ZENSHIN 2005/04/04(No2192
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週刊『前進』(2192号1面1)(2005/04/04)
郵政民営化粉砕・教基法改悪阻止へ
石原・都教委の不起立者処分許すな
3・20−動労千葉ストの地平から 戦争・民営化と闘う労働運動を
1〜3月「日の丸・君が代」強制拒否の闘いが大高揚した。教育労働者の不起立闘争と労働者・学生・市民の全都立高校での校門前闘争が結合し、ファシスト石原・都教委に大打撃を与えたのである。教育基本法改悪阻止・改憲阻止の展望が開かれた。この闘いに連帯し、3月動労千葉の春闘ストライキが日本階級闘争の戦闘的心棒として断固闘いぬかれ、全労働者に感動を与えた。この二つの画期的な闘争が合流し3・20国際共同行動が大成功した。日比谷野音に6000人が結集し、陸・海・空・港湾労組20団体を中心に、イラク撤兵、有事法制反対、改憲阻止が宣言され、闘う統一行動の発展と4〜6月闘争の展望が大きく開かれた。ここからさらに入学式闘争、国会闘争、教育基本法改悪・改憲阻止闘争、4大産別決戦を闘いぬき、一切の集約点として6月都議選の勝利へ進もう。
第1章 東京を先頭に卒業式闘争が歴史的爆発
3月卒業式闘争は大爆発した。都立高校で不起立した教育労働者は50人を超えた(3月19日現在)。
これと連帯し、全日制・定時制を問わずすべての都立高校で、「日の丸・君が代」強制拒否、戦争協力拒否、不起立で闘おうとの多種多様のビラがまかれた。校門前ビラまきには、あらゆる産別の労働者、市民団体、全学連、高校生が参加し延べ千数百人になった。教育労働者、生徒、保護者に手渡されたビラの総数は10万枚に迫る。弾圧監視の弁護士も多数参加した。卒業式前には保護者や住民、労組などの校長申し入れが展開された。
これに対し石原・都教委とその指示のもとで、校長が警察を呼んでビラまきへのデタラメきわまる逮捕を2度にわたって行った。だが、逆に即座の大衆的な反撃を受けて、校長はうちのめされ、検察は勾留することもできなかった。この不当弾圧とその粉砕を境に力関係は一変した。
こうした中で校内では教育労働者の積極的な「戦争協力拒否」の不起立闘争が闘いぬかれ、卒業生を中心に高校生の素晴らしい決起が生み出された。愛国心と天皇崇拝をたたき込む国家儀式に卒業式を塗り替えるという石原と都教委のもくろみは完全に粉砕された。
今春3月の卒業式闘争の大爆発をかちとることによって、「日の丸・君が代」闘争を「戦争協力拒否」闘争として戦時下の階級闘争の一大焦点に押し上げることに成功したのだ。
これによって教育基本法改悪・改憲阻止の展望が教育産別の中に築かれた。それは同時に教育労働者の決起を先頭とする4大産別での闘いを、日本階級闘争の基軸的激突点としてはっきりさせた。この闘いの発展の先に石原打倒の展望もあるということだ。
だが問い詰められた石原と都教委は3月24日、不起立を闘った約50人の教育労働者への懲戒処分の方針を決定した。断じて許しがたい。必ず粉砕しよう。
第2章 動労千葉のストと3・20の巨大な高揚
動労千葉は3月17〜19日、旅客の全組合員を対象とした72時間の春闘ストライキを貫徹した。3日間で昨年春闘ストを上回る270本の運休を出した。また15〜19日には、全本線運転士を対象とした安全運転闘争に決起し、レール破断の続発に対する安全対策の実施を求めて闘いぬいた。総武快速線と特急列車の120本以上で1分から4分の遅れを出した。ストと安全運転闘争の参加者は延べ550人に上る。
動労千葉のストは、帝国主義による戦争と民営化(労組破壊)の攻撃によって労働者の権利が踏みにじられ、JR職場では労働者が犠牲にされ、レールが折れているという現実への決起であり、さらに戦争協力拒否の闘いだ。
動労千葉は、全労働者への限りない連帯のアピールを込めてストライキに決起した。労働者が団結して立ち上がった時、戦争を内乱に転化し、戦争を阻止できる。世界を変えられる。
とりわけ動労千葉は、教育労働者の「日の丸・君が代」強制拒否の闘いと連帯し、3・20国際反戦共同行動へと合流する階級的決意のもと総決起したのだ。
3・20国際共同行動は陸・海・空・港湾労組20団体が軸となった闘う大統一行動となった。
20労組の航空安全会議の大野則行議長は、改憲をめぐり「国防の責務」と称する戦争動員の動きを批判し、「20労組は職場で平和、安全、安心で働けるよう要求する」と訴え、日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)の美浦克教議長が「すでに情報統制は始まっている。私たちは戦争協力の報道を拒否する。戦争を止めるためにペンとマイクをとる」と発言した。
本集会に先立つ百万人署名運動の集会では、卒業式で不起立闘争に決起した都高教の労働者が、「50人を超える教育労働者が不起立した。この闘いこそ教育基本法改悪、改憲を阻止し、イラクから自衛隊を撤退させる闘いだ。子どもたちを戦場を送らないために、労働者は戦争への協力命令を拒否しよう」と訴えた。動労千葉の田中康宏委員長が3月春闘ストの勝利を報告した。それは3・20闘争に階級的心棒を与えた。
3・20は「日の丸・君が代」闘争と05春闘・動労千葉ストの集約点であり、日本階級闘争の大きな飛躍点となったのである。
第3章 日帝の危機とファシスト石原の先兵化
世界は完全に世界戦争情勢に突入した。ブッシュはイラク侵略戦争に深々とのめり込み、さらに侵略戦争の矛先をシリア、イラン、北朝鮮、中国へと向けようとしている。日帝に、米帝の世界戦争路線を「血を流して」貫徹する日米枢軸にふさわしい「日米同盟の変革」を突きつけている。
これに対して日帝・小泉=奥田は、1・18日本経団連報告の路線を提起し、教育基本法改悪・改憲を激しく叫び立てている。現行憲法と教基法、労働3法、地方自治法を柱にした戦後体制のままでは、日帝は帝国主義として行き延びていくことができないと、危機感をむき出しにして改憲攻撃を開始している。
こうした中で石原慎太郎の登場があるのだ。帝国主義の根底的危機が始まり、これまでどおりやれなくなってきている時、帝国主義ブルジョアジーの危機感はものすごいものになってきている。これが反動的インテリゲンチャ層、小ブル層においては、日本の危機、国家の危機、民族の危機という激しい愛国主義、ナショナリズム、排外主義の意識、感情を一気に増幅させるものになっている。
あらゆる意味で戦後体制が崩壊し、既存の労働運動指導部(連合、全労連)の帝国主義への完全な屈服があり、愛国主義、ナショナリズム、排外主義というイデオロギー攻勢への防波堤が崩れ始めている。
こうした内外情勢の大きな変化の中で、ファシスト石原が「都民」「国民」の前に大きな顔をして立ち現れているのだ。
石原は、北朝鮮制裁を声高に叫び、中国固有の領土・釣魚台(「尖閣列島」)の略奪行為や「日の丸・君が代」攻撃、教育基本法改悪、改憲の先頭に立つ戦争と排外主義の先兵だ。社会保障制度解体、労組破壊でも最先端を行っている。
石原は帝国主義支配の危機が不可避にもたらす、「外への侵略戦争」「内への階級戦争」のための国家主義、愛国主義、排外主義、差別主義の最悪の形態を体現している。弱肉強食を当然とし、労働者への資本によるじゅうりんを当然とし、「障害者」、高齢者、女性への差別・切り捨てを開き直っている。体制的危機に陥った日帝ブルジョアジーの侵略戦争と資本攻勢という階級的立場をストレートに代弁しているのだ。
このファシスト石原に対して、労働者階級人民は、階級的立場を鮮明にして闘いぬかなければならない。日帝・小泉=奥田の先兵、ファシスト石原を打倒することが侵略戦争を内乱に転化し帝国主義を打倒する最も近道である。
ファシスト石原の最大の狙いは労働者階級の制圧であり、核心は労働組合の破壊にある。ファシストの攻撃と闘い、労働組合を階級的に再生させることこそが勝利を決定する。1〜3月の闘いの地平から4大産別決戦を前進させよう。6月都議選決戦に勝利し、石原打倒情勢を切り開こう。
第4章 6月都議選の絶対勝利へ総決起しよう
4〜6月闘争を以下の方針で闘おう。
第一に、「日の丸・君が代」強制拒否の卒業式闘争の成果を確認し、さらに4月入学式闘争を闘い、「つくる会」教科書採択粉砕、教育基本法改悪阻止、国民投票法案・憲法改悪阻止の歴史的な大闘争をつくり出そう。共謀罪新設を絶対に阻止しよう。
とりわけ教育基本法改悪の攻撃が切迫している。これに対して5月7日に「教育基本法改悪を止めよう!全国集会」が設定されている。教育労働者のギリギリの反撃の闘いが始まっている。今春「日の丸・君が代」闘争の大前進を引き継ぎ、これまでのレベルをはるかに超える教育基本法改悪阻止の大政治闘争をつくり出していこう。
さらに「つくる会」教科書採択の問題がすでに、独島問題と一体となって南朝鮮・韓国の人民の側から突き出され、大きな政治的焦点になっている。06年度から使われる教科書の検定が4月中に出る。7〜8月に各地で採用決定される。石原が東京都で「つくる会」教科書採択を推進し、杉並の山田区長はその先兵になって「つくる会」教科書採択に突進している。これは都議選の重大な対決点だ。
さらに国民投票法案は事実上の改憲攻撃だ。この法案は一言で言えば、言論を統制し、労働者人民の政治活動をすべて禁圧しておいて、改憲案を一挙に通そうというものである。これは改憲への一種のクーデターである。逆に言えば、公明正大にやれば改憲は不可能と日帝は想定しているということだ。
国民投票法案阻止闘争はまさに改憲阻止闘争そのものである。大闘争化して粉砕しよう。そして教育基本法改悪・改憲阻止を徹底的に闘うことが、「日の丸・君が代」闘争の継続・激化に必ずなっていくのだ。
全日建運輸連帯関西生コン支部弾圧は共謀罪のさきがけである。闘う労働組合をつぶし、3労組共闘を解体する攻撃だ。断固反撃し粉砕しよう。
第二に、全逓産別の労働者を先頭に郵政民営化阻止決戦に立ち上がり、4大産別決戦に勝利しよう。
小泉=奥田路線による郵政民営化が07年から強行されるということ、そしてその核心が27万人の郵政労働者の公務員資格剥奪(はくだつ)、首切り・リストラの自由化にあることは今やあまりにも明白だ。これは、3月16日に郵政公社が打ち出した2カ年計画(05〜07年4月)、最後のアクションプランで、さらに1万人の労働者の削減を打ち出していることからも明らかだ。
小泉政権は郵政民営化に政治生命をかけている。この4〜6月こそは郵政民営化阻止決戦の時である。全逓労働者の「物ダメ・ストライキ」の決起をなんとしても実現しよう。全産別の労働者が決起しよう。
戦争に突入した日帝にとって、戦後労働運動の主流をなした公務員労働運動を解体することなくして戦争体制はできない。特に公務員は地方自治体を含めて日帝国家体制の中軸の担い手でもある。日帝は公務員労働組合の解体と翼賛化を迫られている。ここから国鉄、日教組、全逓、自治労に対する解体・翼賛化の攻撃が全面化しているのだ。
そうした中で、連合は改憲賛成を早くも宣言したが、それに自治労が続こうとし、さらに日教組も続こうとしている。改憲が国会で問題になる時には、4大産別のすべてが改憲賛成派に転落していたという情勢が進んでいるのだ。ここに4大産別決戦の重大な意味がある。これは改憲阻止決戦そのものでもある。
第三に、超反動的な「教育改革」、社会保障制度解体、労働組合破壊を狙うファシスト石原を、全都、全国の労働者人民の力で打倒することだ。ファシスト石原打倒を突破口に、日帝の「戦争と民営化」の攻撃を粉砕していこう。6月都議選の決戦に勝利し、石原打倒の突破口を切り開こう。
第四に、米軍再編と対決し、沖縄基地撤去、全土基地化阻止の闘いをかちとろう。辺野古・座間・横須賀・横田闘争に立とう。
第五に、これらの一切の出発点であり、基礎にあるのは、イラク反戦と占領軍撤退闘争だ。自衛隊即時撤兵へ闘おう。
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週刊『前進』(2192号1面2)(2005/04/04)
日韓労働者の国際連帯で 日帝の独島略奪阻止を
「つくる会」教科書採択させるな
排外主義と領土略奪は侵略戦争の始まりである。
朝鮮固有の領土である独島(トクト、「竹島」)の「日本の領土権確立」を掲げた島根県議会での「竹島の日」条例制定こそ、米帝ブッシュとの枢軸を形成しイラク侵略戦争から北朝鮮・中国侵略戦争へと突き進む決断をした日帝・小泉政権の国家意志そのものだ。この攻撃を「新たな侵略戦争の開始だ!」ととらえた朝鮮人民は、即座に弾劾の声をあげ、決死糾弾に立ち上がっている。
この闘いは同時に、デマとウソで塗り固めて、日帝の侵略と植民地支配の歴史を抹殺し正当化する「つくる会」教科書採択阻止の闘いとして爆発しようとしている。
そしてそれは「日の丸・君が代」強制拒否の卒業式闘争を全力で闘った地平から入学式闘争へ、教育基本法改悪阻止・改憲阻止へ、「つくる会」教科書採択阻止へと闘い進もうとしている日本の階級闘争への限りない援助であり、連帯闘争の呼びかけである。教育労働者を先頭に4大産別決戦に立ち上がり、日朝人民の国際連帯と共同闘争で日帝の侵略戦争を打ち破ろう。
領土略奪の意志
独島をめぐる事態の本質は何か。日帝は今まさに100年前の領土略奪と侵略戦争を繰り返そうとしているのだ。慶尚北道鬱陵(ウルルン)郡に属する火山性の岩礁群である独島は、歴史的にも国際法上も朝鮮固有の領土である。その独島を日帝は歴史事実をねじ曲げ、強引に「日本固有の領土」と主張、繰り返し領土略奪の意志をむき出しにしてきた。
県議38人中35人が参加する「竹島領土権確立県議連」が提案した「竹島の日」制定条例案が3月16日に賛成多数で可決した。それは1条で「竹島の領土権早期確立運動を推進、世論を啓発するため」(趣旨)に2月22日を竹島の日と定め(2条)、趣旨に沿った施策実施を県の責務(3条)とした3条から成る。
1905年1月28日、日帝は独島を「竹島」と名付け「本邦所属」とすることを閣議決定した。それを受けて島根県知事が島根県告示40号で「自今本県所属隠岐島の所管」と公示する形で、歴史上初めて「日本領土」に編入した日が「2月22日」である。
1905年当時、「朝鮮は日本の生命線」と称した日帝が、朝鮮半島を舞台にロシアとの帝国主義的戦争を繰り広げていた(日露戦争)。前年の2月には侵攻した日本軍を背景に朝鮮政府に「日韓議定書」を強要した。続く8月には「第1次日韓協約」を強制し、政治顧問を送り込んで内政を掌握、日本人の土地所有も合法化する。そして05年11月には朝鮮人民が亡国条約と呼ぶ「乙巳(ウルサ)保護条約(第2次日韓協約)」で外交権を奪った。そして1910年の韓国併合へと行き着くのである。
05年の独島領有宣言こそ、日帝が帝国主義的侵略戦争に踏み込んだ、まさにその時だったのだ。独島問題を帝国主義の領土拡張、他国領土略奪の侵略の歴史としてきっちりととらえ、新たな侵略戦争を阻止する闘いに立ち上がろう。
民主労総は3月17日に次の抗議声明を発した。
「1905年乙巳侵略犯罪の反省どころか、帝国主義を復活させて朝鮮半島に対する再侵略を始めた日本に対する憤怒であり、この状態になるまで守勢的で、微温的な対処で日米外勢の状況伺いに汲々(きゅうきゅう)としてきた歴代の韓国政権責任者たちの事大亡国的な姿勢に対する憤怒と糾弾だ」「(日本は)最近の平和憲法改正の動き、ピョンヤン宣言に反する対北朝鮮敵視政策の持続といった軍国主義的妄動を即刻中断すべきだ。また米国も、東北アジアと世界に対する軍事覇権戦略を続けることなく……朝鮮半島60年の占領をすぐに終わらせるべきだ」
デマで歴史偽造
3〜4月「日の丸・君が代」強制阻止闘争は同時に「つくる会」教科書との闘いだ。文部科学省は中学校歴史教科書の検定発表を4月上旬に予定している。
01年にはアジア人民との共同闘争で「つくる会」教科書の採択率を0・03%に抑え込んだ。これ対して「つくる会」は逆転を期してうごめいている。「つくる会」の申請図書いわゆる「白表紙本」が違法にも昨年末から全国各地の教育委員会関係者に多数配布されている。昨年7月には、機関誌『史』で「これが新しい教科書だ!」という特集を組んだ。「日本を糾弾するために捏造(ねつぞう)された『南京大虐殺』、『朝鮮人強制連行』『従軍慰安婦強制連行』などの嘘(うそ)も一切書かれていません。旧敵国のプロパガンダから全く自由に書かれている教科書が改訂版『新しい歴史教科書』です」などと、歴史偽造のデマゴギー満載を得意になって宣伝している。
デマとペテンを打ち破る階級的歴史認識で「つくる会」教科書採択を東京と全国の闘いで粉砕しよう。
とりわけ、ファシスト石原とともに特攻隊を賛美し、「支那(ママ)事変は支那側の発砲から始まった」と暴論を吐いて居直っている杉並区の山田区長を、石原ともども打倒しなければならない。「日の丸・君が代」強制拒否の闘いとともに「つくる会」教科書採択阻止を闘おう。
独島略奪を容認せよと迫る排外主義攻撃を打ち破り、日韓労働者の共同闘争で米日帝の北朝鮮・中国侵略戦争を阻止しよう。
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週刊『前進』(2192号2面1)(2005/04/04)
ファシスト石原の圧殺破り不屈の決起
戦時下で「戦争協力拒否」を貫いた卒業式闘争の地平
入学式闘争から日教組大会決戦へ
革共同教育労働者委員会
東京を先頭に全国で、05年卒業式闘争が戦時下の「日の丸・君が代」闘争として断固うちぬかれている。東京都立校の教育労働者は、昨春の闘いを引き継ぎながらも、昨春をはるかに上回る巨大な階級的意義を持った闘いに立ち上がった。全国各地で闘いが大きく広がり、05年階級決戦の大きな展望を切り開いている。闘いの前進に恐れをなした石原・都教委は3月30日の臨時教育委員会で懲戒処分を決定しようとしている。不当処分を許さず、卒業式闘争を引き継いでさらに入学式闘争に立ち上がろう。「教育基本法の改悪をとめよう!5・7全国集会」(東京・代々木公園)の圧倒的な成功をかちとり、超重大決戦となる7月日教組全国大会へ突き進もう。
石原・都教委・警視庁と闘い戦争教育と国家主義に対決
05年の卒業式闘争は、04年春の卒・入学式闘争とは画然と違う激しい情勢の中で闘いぬかれた。
何よりも、05年に入って、かつてなく排外主義と国家主義が台頭してきていることの重大性である。日本の労働者人民を侵略戦争に総動員しようとする恐るべき攻撃である。
政府は2月に、中国の領土である釣魚台に右翼団体が建設した灯台の所有権を国に移し、公然と釣魚台(「尖閣列島」)略奪に踏み切った。さらに3月に入り、改正油濁損害賠償保障法による入港規制強化で、北朝鮮に対して事実上の経済制裁に踏み切った。島根県議会の「竹島の日」条例制定をもって、百年前の植民地化攻撃の中で強奪した独島(「竹島」)を日本領土だと主張し、挑発的な強奪行為に打って出ている。
3月に行われた千葉県知事選では、ファシスト石原を盟主とする「首都圏連合」を掲げた森田健作が6000票の僅差(きんさ)に迫った。すでに東京都、神奈川と埼玉という、日本の全人口の4分の1近くを占める3都県の首長の座を「新しい歴史教科書をつくる会」派が占め、社会大改造に踏み出している。「東京から日本を変える」という石原の攻撃の核心は、教育労働者の団結の解体と学校現場の強権的制圧にある。〈教育改革>と〈治安管理>を最大の焦点とした改憲クーデーターというべき攻撃を開始しているのである。
この国家主義のシンボルこそ「日の丸・君が代」である。「日の丸・君が代」強制をめぐる今春卒業式闘争は、吹き荒れる排外主義と国家主義の大洪水と正面から立ち向かう闘いであった。教育労働者はこの大変な逆流に抗して、断固として「日の丸・君が代」強制を拒否して不起立闘争に立ち上がったのである。
日教組の改憲勢力化を阻め
もうひとつ、今卒業式闘争が憲法改悪へ向けた急激な動きの中で闘いぬかれたということである。改憲攻撃の急切迫の中で、日教組の動向は、改憲を許すのか阻むのかをかけた決定的な位置を持ってきている。
1月18日、日本経団連が「わが国の基本問題を考える」において9条改悪と集団的自衛権行使の明記を求め、財界の本丸が改憲の大号令を発するという戦後初の事態が起きた。
自民党は昨年末に小泉を本部長とする「自民党新憲法制定推進本部」を立ち上げ、4月をめどに自民党改憲草案をまとめようとしている。民主党も4月中にも「憲法提言」を発表しようとしている。国会は衆参ともに9割方が改憲推進の翼賛勢力で占められるという恐るべき状況である。
他方、連合が改憲勢力に大転落しようとしている。昨年8月の自治労大会で、連合の笹森会長は「戦争放棄を定めた9条第1項を変えてはならないが、第2項については大いに論議する必要がある」と、9条改憲を公然と提唱した。
自治労も、自治労「国の基本政策検討委員会」の1月中央委への「論点整理」提出をもって明確に9条改憲に踏み出した。9条2項を改め「最小限防御力の保持」「個別自衛権の容認」を明記するとともに、「平和基本法」あるいは「安保基本法」を制定する、というものである。自治労中央は5月中央委を経て8月定期大会で改憲案を運動方針に盛り込もうとしている。
こうした中で、日教組も3月の中央委員会で「改憲阻止」のスローガンを下ろし、議案では(憲法論議について)「職場討議を進めながら組織内合意形成をめざす」とした。森越委員長あいさつでは「教育基本法改悪阻止」にも触れもしなかった。“論憲”の名による改憲方針への大転換が策動されているのだ。7月大会が重大な決戦である。
国会が翼賛勢力で占められる中、改憲の最大の焦点は日教組と自治労の動向にかかっていると言って過言ではない。小泉=奥田体制は、“日教組・自治労を改憲勢力に転落させることができれば、反対勢力はなきに等しくなる”と襲いかかってきている。今国会に提出が狙われている憲法改悪のための国民投票法案には「教員や公務員の地位を利用した反対運動の禁止」が盛り込まれ、違反した場合の重罰も規定されようとしている。憲法改悪を強行するためには、教育労働者や公務員労働者の反対運動の制圧が死活的なのである。
日本経団連が改憲提言と同日の1月18日に「これからの教育の方向性に関する提言」を発表し、教育基本法改悪を提唱するとともに「教職員組合の本来のあり方への回帰」を掲げ、「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンを投げ捨てることを求めたのも、こうした中で起きていることだ。
日教組の「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンは、改憲勢力に転落した瞬間にまったくの空語と化す。それは、このスローガンのもとに30万組合員が結集している日教組そのものが瓦解(がかい)することを意味する。日教組の解体か、闘う日教組の再生か――このことが、憲法改悪を許すのか否かのかかった決定的なテーマにせり上がっている。
こうした中で、日教組本部や各県教組執行部の屈服方針を突き破って、今卒業式において現場教育労働者が「日の丸・君が代」闘争をうちぬいたことは、闘う日教組の再生へ向けて決定的な意義を持っている。
これらの攻撃はすべて、小泉=奥田が“日本資本主義が生き延びるためには戦争も辞さない”と決断したから起きていることだ。小泉は「圧制打破」「自由の拡大」の名で侵略戦争を次々と拡大する米帝ブッシュの世界戦争戦略と一体になって、イラク派兵延長、新防衛計画大綱、日米戦略合意へと突き進んでいる。
小泉=奥田の攻撃の先兵こそファシスト石原である。石原と全面激突した東京の教育労働者の闘いは、小泉=奥田路線との最先端攻防なのである。
階級闘争の焦点に押し上げられた「日の丸・君が代」闘争
3月卒業式においては、第一に、戒厳体制を突き破って不起立闘争が断固うちぬかれ、新たな不起立決起がかちとられている。
すでに不起立2回で減給処分が出され、「複数回で分限免職」の恫喝が加えられていた。来年度からは処分による昇給延伸に加えて業績評価による二重の不利益が加えられる。被処分者に対する強制異動が強行され、さらに嘱託採用選考で被処分者全員を不合格として「1度でも座れば嘱託の道はない」と恫喝した。被処分者の大半に式場外業務を命じ、不起立闘争の封殺に躍起となった。教職員の監視のための指導主事の派遣は最大で10人に及んだ。
さらに不起立闘争圧殺の最大の切り札がビラまき逮捕であり、私服・制服警官が学校を制圧して教職員を監視する戒厳体制だった。
しかしこの異常な状況下で、都立高だけで50人を超える不起立決起がかちとられ、2度目、3度目の不起立者も続出し、不屈の抵抗闘争がかちとられている。
第二に、石原・都教委・警視庁の大弾圧と真っ向から激突して闘われた。
都教委は各校長に、ビラまきを警察に通報するよう指示した。所轄の警察署からも校長への通報要請がなされた。「日の丸・君が代」闘争への刑事弾圧は、昨年の板橋高事件(卒業式に来賓として参加した元教諭を「威力業務妨害」で起訴)で始まっていたが、今や警察が闘争圧殺の前面に登場した。式当日は私服刑事が校内を徘徊(はいかい)し、校門前に制服警官や公安刑事が陣取ってビラまきを妨害した。
3月4日の野津田高校での2人の逮捕は、教育労働者への威嚇を狙ったものだったが、学校と警察署に対する即座の大衆的反撃がたたきつけられ、検事の勾留請求を却下する決定がかちとられた。8日の農産高校で逮捕された1人については、検事が勾留請求もできずに奪還をかちとった。
この弾圧を粉砕した核心的な力は、教育労働者の不屈の抵抗闘争の存在である。そして弾圧粉砕の勝利が逆に教育労働者を鼓舞激励し、警察権力への反撃の合図となった。
都高教本部は、校門ビラまきに対して「管理職対応」、つまり警察への弾圧要請を方針とする腐敗を示した。しかし職場では通報への徹底追及や通報させない校長交渉が行われ、式当日は警察を弾劾し追い払う教育労働者も続出した。
強制反対のビラまきに警察をさしむけた暴挙は、「戦時下の言論・表現弾圧」への怒りと危機感を広範に呼び覚まし、都教委の墓穴に転化したのだ。
第三に、卒業式闘争は全人民的な共同闘争としても画期的な地平を切り開いた。地域の労組、住民による学校への申し入れ行動が職場闘争に連帯してかつてない規模で取り組まれた。
式当日の校門前は大衆闘争の現場となった。不起立を決意して登校する教育労働者や強制に怒る保護者、生徒の感動的な交流の場となり、数十人で権力の弾圧を完全に押し返した学校もあった。弁護士も弾圧への監視行動に立ち上がった。
都教委は、生徒に「先生を処分させたくないなら立て」と強制する卑劣な攻撃を始めた。今年は職務命令書に「生徒への適正な指導」を盛り込み、「内心の自由」の説明を禁止しようとした。しかし大半の職場で授業、ホームルーム、予行練習で取り組まれた。
生徒たちも自主的に討論し、決起した。答辞などで都教委批判が続出し、「君が代」不起立だけでなく都教委、校長に対する抗議着席も行われた。全学連の学生たちによる同世代の生徒へのビラ入れは大きなインパクトを与え、自らビラまきに決起する高校生も登場した。「日の丸・君が代」強制との闘いは、教育労働者の職場抵抗闘争を軸に、石原・都教委への総反乱の様相を示しつつある。
第四に、不起立闘争が全国に拡大したことである。
「東京を孤立させるな」を合言葉として、大阪を始め各地で「不起立宣言」運動が取り組まれ、「斉唱時起立」を明記した通知が出された神奈川県立校では3けたを超える不起立が闘われた。01年以来の処分に抗して闘いを継続してきた広島でも青年労働者を先頭に新たな不起立決起がかちとられ、創意工夫をこらした抵抗行動が広がった。
これらは、東京の攻撃が全国に波及することへの危機感とともに、8・6ヒロシマを出発点に「日の丸・君が代」闘争を現場組合員による全国統一闘争として復活させようという意識的な闘いが生み出したものだ。闘う日教組運動を再生しようとする潮流が、はっきりとその姿を現しつつある。
教育労働者は今春闘争をとおして、「日の丸・君が代」闘争を教基法改悪・改憲阻止、ファシスト石原打倒の白熱的焦点へと押し上げた。新たな侵略戦争に踏み出した日帝を打倒する水路として、戦時下の「日の丸・君が代」闘争の永続化の道が切り開かれたのだ。
日教組-都高教本部の屈服をのりこえ新指導部創成へ
被処分者の会、被解雇者の会、予防訴訟をすすめる会の三者は、卒業式に向けて「卒入学式対策本部」を設置し、全都の教職員に「強制への不服従」を呼びかけるアピールを発した。ここに05年卒入学式闘争の到達地平が示されている。
被処分者の新たな団結体は、処分撤回のみならず不起立・不服従闘争を継続・発展させる運動体に飛躍しつつあり、不起立闘争はその真の勝利のための闘争態勢を打ち立ててきたのだ。
都高教本部の反動性はいよいよあらわとなり、組合員の怒りと不信は極点に達している。「職務命令には従う」という屈服方針をまたぞろ打ち出し、2月8日の本部委員会では、その削除を求める共同修正案を一方的に「少数否決」と宣言してなりふり構わず葬りさった。組合員の大多数が不服従方針を求めていることが明らかになった。
3月8日の本部委員会では、「日の丸・君が代」闘争なき春闘方針案が組合員の怒りを買い、圧倒的に否決されるという前代未聞の事態が生まれた。警察権力の介入に抗議しないばかりか自ら弾圧を要求する方針に激しい批判がまき起こっている。今や本部は完全に権威失墜し、都高教内の党派を超えた分岐と大流動が始まった。現場組合員の手に闘う都高教を取り戻す闘いは、まさにこれからだ。
卒業式にいたる過程は、2・6都教委包囲ネット集会の不起立宣言集会としての圧倒的成功、2・8本部委員会での本部による屈服方針の護持、2・17三者の総決起集会と卒入学式対策本部の設置、警察権力の大弾圧体制の反動という息づまる動―反動の連続であった。組織的抵抗闘争を否定して個人の「思想・良心の自由」を守る闘いに押しとどめようとする傾向、労働者としての闘いを放棄して教育実践に逃げようとする傾向、長期抵抗の名のもとに階級決戦を見据えない傾向と対決する中から、「日の丸・君が代」闘争を教育労働者の戦争協力拒否闘争として闘う路線が戦闘的労働者をとらえていった。不起立闘争を「挑発」とののしり、「弾圧を引き出すビラまきは迷惑」とわめき立てるカクマルと告訴・告発運動の超反動的正体は、今や誰の目にも明らかだ。
不起立闘争貫徹をめぐる激しい党派闘争と戦時型弾圧との闘いの試練の中から、教育労働運動の階級的路線と指導部が生み出されつつあるのである。
05年決戦勝利の展望を開く
05年不起立闘争の原動力となったものは、11・7労働者集会と、そこに被処分者が大挙合流した地平である。11・7集会が示した国際連帯と帝国主義打倒の展望こそ、国家主義をはねかえす拠点となった。国境を越えたランク・アンド・ファイル運動の合流は、階級的労働運動の一翼として闘う自覚を生み出した。この地平へのカクマルの「告訴」運動による破壊策動を許さず、権力の大弾圧を打ち破って、卒業式闘争は不起立闘争の継続・発展の流れを確固たるものとした。
11・7集会の地平をたたきつぶそうとして加えられた関西生コン支部への大弾圧に一大反撃を組織しよう。1047名闘争と国労の最後的解体策動を断じて許してはならない。全金本山労組の34年間の激闘の歴史的大勝利を、階級的労働運動の時代の到来を告げる歴史的号砲として、すべての労働者に持ち込もう。
動労千葉の05春闘ストライキは、運転保安確立を軸に「日の丸・君が代」不起立闘争との連帯をも掲げてうちぬかれ、教育労働者を大いに鼓舞激励した。陸・海・空・港湾労組20団体が呼びかけた3・20イラク反戦・改憲阻止闘争は6000人の高揚を示した。ここに05年階級決戦はその火ぶたを切ったのだ。
「つくる会」教科書や国民保護計画策定に伴う国防教育の動き、日教組本部の論憲路線への転換など、教労戦線はいよいよ存亡をかけた攻防に突入した。卒業式でかちとった地平を押し広げて入学式闘争を断固闘い、05年教基法決戦=日教組決戦に突入しよう。
社・共に代わる労働者党を
革共同は、都高教をめぐる「日の丸・君が代」攻防を05年階級決戦の突破口として位置づけ、教育労働者の決起を支持・防衛するために党の総力をあげて闘ってきた。この闘いをなんとしても勝利させる立場から、不起立決起を真正面から訴えてきた。そしてこの闘いは、石原・都教委、都高教本部を震撼(しんかん)させ、警視庁の総力をあげた弾圧体制を教育労働者とともに打ち破る力となった。革共同教育労働者委員会は不起立闘争・不起立宣言運動の先頭に立ち、階級に責任をとる党への飛躍をかけて組合権力への本格的挑戦を開始した。教育労働者の怒りと苦悩を共有しながら、その自己解放性を徹底的に信頼し引き出していく闘いは、新指導路線の実践そのものであった。
東京と全国の闘う教育労働者の皆さん! 労働者階級は今こそ自分自身の党をつくりださなければならない。革共同に結集し、社・共に代わる労働者党を建設する事業をともに担おうではないか。
都教委の処分粉砕を
東京都教育委員会は3月24日の定例会において、卒業式で「君が代」斉唱時に不起立するなどした教育労働者を懲戒処分することを確認し、3月30日に臨時教育委員会を開催することを決定した。都教委の不起立者に対する事情聴取もまだ終わっていない時点で、懲戒処分を前提にして臨時教育委員会開催を決定したのである。この暴挙を強く弾劾する。
定例会では、近藤精一指導部長が「(不起立等について)今後調査を行い、厳正な処分をする。被処分者には再発防止研修を行う」と発言したという。東京地裁ですら昨年7月に「違憲違法の問題を生じる可能性がある」と指摘せざるをえなかったほどの違憲・違法な再発防止研修を、またしてもくり返そうとしているのである。
石原・都教委がなりふり構わぬ強権を振りかざそうと、教育労働者の正義の闘いをつぶすことなどけっしてできはしない。
報復処分を絶対に許すな。石原・都教委に抗議を集中しよう。3月30日、都教委傍聴行動に立とう。
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週刊『前進』(2192号2面2)(2005/04/04)
3労組が討論集会 “関生への刑事弾圧糾弾”
熱い闘魂に満場の感動
4・7第1回公判に結集を
1月13日の第1次弾圧から2カ月、3月9日の第2次弾圧への怒りがさめやらぬ中、3月12日に「関西地区生コン支部への刑事弾圧糾弾! 戦闘的労働運動の団結で広範な反撃を目指す労働者討論集会」が港合同の会議室を満杯にする百数十人を結集して開催された。毎年の11月労働者集会をともに呼びかけている港合同、動労千葉が全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部を激励し、弾圧と闘おうと呼びかけて開かれた。
産別・地域に大きな影響力
港合同の大和田幸治事務局長は冒頭のあいさつで、「大弾圧に強い怒りを覚える。逮捕から丸2カ月、獄中で敵に屈することなく断固として闘い抜いている仲間と、関西地区生コン支部の将来に向かって闘志を燃やす姿に敬意と拍手をおくる」と激励。その上で関西生コン支部の闘いの意義を語った。「関西生コン支部は、セメント独占との対抗の中で中小労働運動を前進させ、小・中の経営者も巻き込む戦略で闘ってきた。南大阪の労働運動にも影響を及ぼしてきた」。だからこそ国家権力が弾圧の集中砲火を浴びせてきたのだ。そして「今日の不況と大リストラ・倒産攻撃の中、企業と命運をともにする労働運動は大きく後退したが、関西生コン支部は業界を巻き込み、大独占に闘いを挑んできた。関西生コン支部は『自立した組合を中心とした活動―労働者主体の労働運動』だ」と高く評価した。
港合同サンコー分会への雇用保険詐欺デッチあげ弾圧との闘いを報告し、関西生コン支部弾圧を労働者階級総体への攻撃ととらえ、何がなんでも関西生コン支部を守ろうと呼びかけた。
次に動労千葉の中野洋前委員長が発言した。「関西生コン支部への弾圧は自分たちにかけられた攻撃であり、全世界で吹き荒れている戦争と民営化の攻撃であり、11月労働者集会の3組合共闘を破壊する政治的弾圧である。全労働者がこの弾圧と闘い、闘う労働運動の再生を果たそう」と呼びかけた。
戦時下労働運動弾圧に反撃
そして弾圧の背景として帝国主義を根底的に批判した。「ブッシュは『自由の拡大』『神のおぼし召し』だと世界戦争を宣言し、小泉=奥田はそれと一体となって改憲・戦争を進めている。中小企業は5万7000件倒産し、正社員は260万人減り、不安定雇用労働者は200万人増えた。社会保障制度は解体され、企業のモラルは地に落ちた。帝国主義は末期症状であり、資本は労働者を食わせることを放棄し、戦争をする以外なくなっている。『こんな資本主義はもはやない方がいい』とアメリカや韓国の労働者は闘いに立ち上がっている」
中野さんはさらに、小泉の戦争国家化攻撃を暴露した。「東京都知事の石原が教育現場で『日の丸・君が代』を激しく強制し、強制反対のビラをまいた人が逮捕されている。思想・表現の自由を奪い、労組そのものを禁圧しようとしている。集団的自衛権が行使できる憲法9条改悪と教基法改悪を日本経団連・奥田が独占資本の本流として宣言した。国家権力が教育、労働組合、報道の三つを握った時、戦争ができる」
そして「関西生コン支部に連帯して、動労千葉はイラク派兵・戦時下の反戦春闘を闘う。JRのレールが次々と折れている。15日から安全運転闘争を始め、17日からストに入る」と宣言し、3・20国際反戦統一行動を成功させようと呼びかけた。
資本主義を揺るがす闘い
関西生コン支部が報告と発言を行った。
関西生コン支部のセメント独占資本の責任を追及する闘いは、70年代の全金の背景資本との闘いを教訓化し、個別資本との闘いの限界の中から、中小企業の労働者が横につながって独占資本の支配を覆していく闘いとして展開されてきた。今回の弾圧は、個別資本との闘いを超えた生コン労働者の団結が資本主義の根幹を揺るがすことを許せないとして加えられたものだ。
関西生コン支部は、セメント独占資本の支配のもとで過当競争に苦しめられ、奴隷的な労働条件で働かせられながら、武建一委員長を先頭に、40年かけて生コン労働者の雇用と労働条件のために、何度も殺されかけながら闘ってきた。その苦闘の歴史が語られ、会場は熱い感動に包まれた。
関西生コン支部は「弾圧は次なる闘いのエネルギーの糧。あればあるほど、その中で鍛えられる労働者が出てくる」と熱い闘魂を表明し、「この弾圧は、一過性のものではなく、中小生コン産業の闘いだけでもなく、韓国の労働者の闘いに深く連帯し、国際連帯の闘いとして広がっている。戦争国家をつくり、もの言わぬ労働者をつくろうとする弾圧には絶対に負けられない」と決意を示した。最後に、今春闘で弾圧をはねのけ、生コン産業労働組合の団結と共闘を実現すると確信も高く宣言し、4月7日の第1回公判闘争への大結集を呼びかけた。
自由討論では、港合同、関西合同労組、国労5・27臨大闘争弾圧被告団がそれぞれの闘いとこの弾圧との闘いに取り組むと決意表明した。最後に、関西生コン支部がどんなことがあっても頑張りぬくと固い決意を表明、集会参加者全体が団結し闘う決意を固めた。
関西生コン支部弾圧粉砕へ、4・7第1回公判闘争(午前9時、大阪地裁前)に総結集しよう。
(投稿/関西合同労組S・K)
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週刊『前進』(2192号3面1)(2005/04/04)
神奈川 卒業式に全地区で不起立
都高教での不屈の闘いと連帯
「日の丸・君が代」拒否貫く
役員選挙に断固挑戦し前進
今春卒業式での教育労働者の不起立闘争は、都高教の50人以上の決起を先頭に全国で闘われた。神奈川の教育労働者から以下のような闘いの報告が寄せられました。(編集局)
ファシスト石原を盟主とする「首都圏連合」の一翼を担う神奈川でも、「日の丸・君が代」強制をテコとした教組解体攻撃が凶暴化してきている。都教委に続けとばかりに、県教委は「11・30通知」を発し、起立斉唱の発声を教職員の業務とし、不起立を含む一切の抗議行動に懲戒処分を加えようとしてきた。神奈川においても、「東京の闘いを孤立させるな!」を掲げた今春の卒業式闘争は、明日への展望がかかった「決戦」であった。
労組交流センターと百万人署名運動は地区集会を積み上げ、全県立高校の3分の2に当たる100以上の分会への激励行動に総決起し、当日のビラまき行動を展開していった。戦闘的な教育労働者は「不起立宣言」を発して職場での決起を訴え、生徒・保護者にも不服従の決意を表明していった。多くの組合員からは、「神奈川方式に固執し続けている限り勝てるわけがない」「組織的抵抗方針が出せない組合はダメになる」「ここまで来たら処分覚悟で着席するしかない」との本部批判の声が上がった。ビラまき行動に合流する教育労働者も現れ、教労現場と相呼応した共同闘争が実現したのである。
職場の教育労働者は健在である。A校では司会者自らが着席した。B校では職務命令を跳ね返して着席し、学校長・県教委による3度目の処分策動との対決を強めている。C校では処分をのりこえ、数年間に及ぶ抵抗闘争が続けられる中で、ついに複数の同僚との抗議・着席行動へと発展させた。教師の不退転の決意は生徒にも伝わり、生徒・保護者合わせて60人の不起立を生み出すなど、文字どおりの共同行動がかちとられている。
全県での不起立者は150人をはるかに超すとの報告もある。斉唱終了時まで職員席に座らないといった消極的な抵抗スタイルは、どの分会にも共通していると言える。
何とかしたいと逡巡(しゅんじゅん)しつつも、確固たる決断を鈍らせ、自己解放への契機を妨げているその元凶こそが、日教組の闘争放棄路線であることは言うまでもない。
中でも特筆すべきことは、義務制の地区教組で動労千葉派が「日の丸・君が代」強制拒否、教育労働者の戦争協力拒否を呼びかけ、闘う日教組の再生を訴えて本部役員選挙に挑戦したことだ。予定調和的なぬるま湯に浸りきってきた本部にとっては、まさに激震となった。その結果、選挙妨害などの制動を打ち破り、2割を超える大衆的な支持を獲得したことは画期的とも言える。
これに驚愕(きょうがく)した当局は不起立決起の大爆発を圧殺しようと職務命令を乱発してきた。D小学校では全職員に職務命令が出されようとしたが職場の団結の力でこれを撤回させ、その他の分会でも職務命令を拒否し不起立を貫いた教職員も多い。教組再生に向け、確かな展望を手にした挑戦であった。
教基法改悪(教育の戦争動員)の核心は愛国心教育であり教組運動解体にある。「日の丸・君が代」闘争の爆発なくして、「新職・新2級制」導入を始めとしたさまざまな団結破壊攻撃を阻止することはできない。
今求められているのは、怒りに満ちつつも分断と孤立に追い込まれている教労現場を横につなげる司令塔の存在である。「思想良心の自由論」に依拠する限り、「教育と教育労働者の戦争動員」は阻止できない。不起立・不服従を貫いた数多くの教育労働者の階級的連帯と団結の中にこそ、一切の展望があることを再確認しておきたい。
(M・O)
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週刊『前進』(2192号3面2)(2005/04/04)
「日の丸・君が代」強制に反対
第二東京弁護士会会長が声明
石原東京都知事と都教委による「日の丸・君が代」の強制に対して、第二東京弁護士会の山田勝利会長が発表した抗議声明を紹介します。(編集局)
東京都教育委員会の「国旗掲揚・国歌斉唱」の通達等についての会長声明
東京都教育委員会は、2003年(平成15)10月23日付で、都立学校の入学式・卒業式などにおける国旗掲揚・国歌斉唱の実施について、教職員は国旗に向かって起立し、国歌を斉唱すべきこと、国旗掲揚・国歌斉唱の実施に当たり、校長の職務命令に従わない教職員は服務上の責任を問われることを周知すべきことを通達した。また、東京都教育長は、2004年(平成16)3月16日、都議会において、卒業式で多数の子どもが国歌を歌わない、起立しないことは、教師の指導力不足であるか学習指導要領に反する恣意(しい)的な指導があったと考えざるを得ないので、処分の対象になる旨答弁した。さらに、同年6月8日には国旗国歌に関し、学習指導要領や通達に基づいて児童生徒を指導することを校長の職務命令として教員に出す方針を示した。
これら通達等に基づき、東京都教育庁は、同年5月25日までに、卒業式、入学式において国歌斉唱時に国旗に向かって起立しなかったことを理由として、合計248名の教職員に対し職務命令違反による懲戒処分等を行い、また、生徒に不適切な指導をしたとして、67名の教職員に厳重注意等を行った旨発表した。
今日においても、日章旗については過去の日本の軍国主義を想起させるものとの主張や、君が代については国民主権と矛盾する天皇制を賛美するものとの解釈などが国民の間に存在している。
個人によってはその解釈の大きく分かれる国旗・国歌につき、教職員に対し、起立・斉唱を処分等を背景に教育委員会が求めることは、公権力による強制であり、教職員の思想・良心の自由を侵害する疑いが強く存するものである。また、児童生徒への指導に関して、児童生徒の不起立・不斉唱について教職員に厳重注意等の処分を行うことは、公権力たる教育委員会が、教職員をして児童生徒への起立・斉唱を間接的に強制することにつながり、子供の思想・良心の自由な形成を侵害する疑いが極めて強いものである。
思想・良心の自由は、個人の内面的精神活動のうち最も根元的な自由であり、憲法19条は、その根元的自由を外部からの干渉介入から守るために絶対的に保障している。個人の内面的精神活動の自由についての規律は、あくまでも個人の自律に委ねるものである。
1994年(平成6年)の政府統一見解では、「学校における『国旗・国歌』の指導は内心にわたって強制するものではない」とされ、1999年(平成11年)7月21日の衆議院内閣委員会文教委員会連合審査会においても、国旗・国歌の指導について「何らかの不利益を被るようなことが学校内で行われたり、あるいは児童生徒に心理的な強制力が働くような方法でその後の指導等が行われるということはあってはなら」ず、「学習指導要領は直接、児童生徒に対して拘束力を持つものではない」と確認されている。
よって、当会は、東京都教育委員会に対し、2003年(平成15年)10月23日付「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について(通達)」を廃止すること、そして、都立学校の卒業式・入学式において、教職員・児童生徒に国旗への起立・国歌斉唱を強制しないこと、さらに、教職員・児童生徒の不起立・不斉唱を理由として教職員に不利益処分を科さないことを強く求めるものである。
2005年(平成17年)2月28日
第二東京弁護士会
会長 山田勝利
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週刊『前進』(2192号3面3)(2005/04/04)
動労千葉ストに強い支持
乗客、安全軽視のJRに怒り
3月17〜19日の動労千葉の春闘ストライキに寄せられた支援の声を、「日刊動労千葉」から引用し紹介します。(編集局。紙面の都合上一部割愛)
津田沼駅で水色のチラシを頂き、読みました。
毎朝の通勤にJRを使っているだけに、他人事とは思えません。JRに従事している方にとっても安全ではないし、なによりお客にたいして自信をもって働けませんよね。
私は医療従事者ですが、やはり保険料値上げ・窓口負担増や保険点数の切り下げで、患者にも医療機関にも厳しい状況となっています。お金がない人は病院にかかるなと言わんばかりです。そう言えば…お金持ちは電車に乗りませんよね。
応援しています。ともにがんばりましょう!
(メールより)
関係当事者の皆様へ
国鉄千葉動力車労働組合の争議行為に関する見解
3月15日から同19日まで、国鉄千葉動力車労働組合の一連の争議行為について、東日本旅客鉄道株式会社の一利用者として申し上げさせていただきます。
私は以前より、動労千葉の争議行為については内容がどうあれ、支持するつもりはありませんでした。しかし昨年来、JR東日本千葉支社管内における保線に関するトラブルが計10数件発生。「枕木不備」「レールのつなぎ目の破損またはボルトの欠落」「レールヘのひび」と、一つ間違えれば利用者の人命に関わってきます。それらに対し、JR東日本は具体的かつ、明確な説明を動労千葉に限らず、地元自治体、沿線利用者に対しありません。
JR東日本は、「乗客に不安を与えないよう対策を講じる」というコメントのみで、保線のトラブルが次から次へと発生している実態に、「一昨年の監督官庁の中央線、京浜東北線における保線トラブルに対する事業改善命令」が、結果として裏切られています。
私はこれらの動きを総合的に判断し、今回の動労千葉の争議行為について、保線トラブルに関する改善を求めている点は、利用者に対し、説得できるものであり、争議行為そのものに支持は致しませんが、問題解決を進めさせるためにはやむ得ず、「黙認」の立場を申し上げたいと思います。
私は昨年末、地元近隣で千葉県安房郡和田町にあるJR内房線和田浦駅付近「枕木不備」の実態を確認し、改善を求め、平成16年12月18日までに枕木の交換を確認致しました。しかし、この間約1カ月以上にわたり、全く手をつけずそのまま放置し、列車の運行を続けたこと自体、乗客、沿線住民「軽視」といわざるを得ません。
さらに、内房線館山駅を13時前に始業、当日の22時終業とする運転士さんのローテーションについて。先日、高知県の土佐くろしお鉄道宿毛駅構内での列車事故で、運転士の健康状態が、事故原因のかぎをにぎると一部で報道されています。乗客の人命を預かる運転士にもしものこと、健康状態つまり過酷な勤務により、かりに事故が発生し、犠牲者へ「金銭的な決着」ですますようなことであれば、乗客を「荷物」同様に扱っていると指摘をされてもやむ得ません。
この運転士の勤務の件は、第一線で乗客の命を預かる立場であり、その点に配慮しながら、対応されること。この件について、このローテーションを作成した方が、実際、運転されることではっきりされるものと思われます。
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週刊『前進』(2192号3面4)(2005/04/04)
国労弾圧公判 刑事と2回も密会
平山証人に証拠つきつけ
3月16日、東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第37回公判が開かれた。前回に続き、国労長野地本副委員長の平山芳夫証人への弁護側反対尋問が行われた。
この弾圧は、鉄建公団訴訟を起こした闘争団員を統制処分にかけるために国労本部が02年5月27日に強行開催した臨時大会に際し、本部役員らへのビラまき・説得活動に立った国労組合員の行動が「暴力行為」にデッチあげられたものだ。
その鉄建公団訴訟は3月7日に結審し、「国鉄分割・民営化総決算」攻撃の中で国鉄1047名闘争はきわめて重大な局面を迎えている。公判の冒頭、鉄建公団訴訟原告でもある松崎博己被告団長が意見を述べ、1047名の統一陣形のもとに新たな発展をかちとりつつある鉄建公団訴訟の勝利に向けて全力で闘う決意を表明した。
平山証人は5・27臨大に際し長野地本から動員された警備係の副責任者で、被告から「暴行」されたとして02年6月25日に警察に「被害届」を出している。
前回公判で彼は、被害届を出す約1週間前に長野駅前のホテル「サンルート」で公安刑事と会い、東京地本の鈴木勉法対部長が撮影したビデオを見、臨大当日に着ていたブレザーなどを警察に任意提出したと述べていた。ところが、前回公判後に検察側が開示した平山の任意提出書は、9月3日付になっている。
一瀬敬一郎主任弁護人が「サンルートに行ったのは6月中旬と9月3日の2回なのか」と質問した。証人は「自筆の書類があるから9月3日に行ったと思わざるを得ないが、その時のことは覚えていない」とはぐらかした。弁護団が「6月にサンルートに行ったことは間違いないのか」とたたみかけると、証人はあっさりとその事実を認めた。つまり彼は、少なくとも2回にわたりサンルートで公安刑事と密会していたのだ。
弁護団の追及で、さらに驚くべき事実が暴かれた。
「国労バッジ」も警察に差し出す
平山は、臨大当日、ブレザーに着けていた国労バッジも任意提出したという。
国労バッジは国労組合員の団結のあかしであり、JR体制への抵抗の象徴だ。わずか1a四方の国労バッジを職場で着用していただけで延べ3万人以上の国労組合員が減給や出勤停止などの重処分を受けている。その国労バッジを、平山証人はなんのためらいもなく警察に差し出したのだ。
彼は「当日のもみ合いの中で『よく国労バッジを着けていられるな』とか『職場で着けていないだろう』と言われたから、証拠として提出した」と弁解した。
3列縦隊の目的は突破にあった
弁護団の質問は臨大当日のことに移った。その日の早朝、国労役員や警備係らは、3列縦隊を組んで宿泊先のホテルから出発し、ビラをまこうと待ち受ける被告たちを突破して、もみ合い状態をつくり出した。
河村健夫弁護人が3列縦隊の目的について問いただした。証人は、検察側の主尋問には「バスにスムーズに乗るため」と答えていた。ところが02年9月に作られた調書には、「中核派がいるので、それを突破するために整列するということは分かりませんでした」と書かれている。
河村弁護人が「3列縦隊の真の目的は突破することにあったのか」と追及した。証人は「言い方がまずかったからこういう調書になった」と言葉を濁した。
「痛かった」はずの手も記憶違い
証人は主尋問で、「(羽廣憲被告に)右腕をつかまれ、ねじられ、押された」と述べていた。弁護団は、その時の被告と証人の動作を再現し写真に撮るよう裁判長に要求した。平山証人は、羽廣被告の代役を演じた書記官に自分の右手をひねり上げさせ、「こんな感じだった」と言い張った。
だが、平山証人は前回公判で、02年8月に行われた実況検分の時も「つかまれた手がどちらだったか誤解していた」と認めている。こんな「被害証言」など、およそ信用できない。
平山証人への尋問は次回も続く。公判闘争に結集し、8被告の無罪獲得と国労再生へ闘いを強めよう。
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週刊『前進』(2192号3面5)(2005/04/04)
“必ず米軍追い出す”
3・20沖縄 5団体で集会とデモ
イラク侵略戦争開戦から2年目にあたる3月20日、全世界の統一行動と連帯し、那覇市で酒井啓子氏講演会と県庁前広場での集会とデモが闘われた。この一連の行動は、基地・軍隊を許さない行動する女たちの会、百万人署名運動・沖縄の会など県内5団体の主催で開催され、講演会には180人が参加した。
米帝ブッシュの世界戦争戦略と米軍再編が進む中で決死の闘いを続けている辺野古からも多くの人びとが参加し、海上の最前線で闘いを担っている多くの若者が県庁前広場での集会・デモの先頭に立った。
講演会には多くの人たちが詰めかけ、開始時には会場はほぼ埋まった。桑江テル子さんの司会で始まり、主催者を代表して行動する女たちの会の高里鈴代さんがあいさつに立った。
酒井啓子氏は「イラクの人びとの生活や経済活動は戦争終結直後に比べても悪化しており、米軍にはイラクを復興させる意思はない」と語り、「米軍に生活を侵害されることへの反発」が強まっていることを指摘した。米軍のイラク占領は泥沼に入り込み、完全にはたんしている。米軍には、イラク人民の民族解放の武装闘争によってイラクから追い出される以外、いかなる道も残っていない。
イラクからの「アメリカの帝国主義的侵略は許さない。民族の文化や魂を壊されて黙っていることはできない。米軍を必ずイラクから追いだします」というメッセージが読み上げられた。講演の最後に百万人署名運動・沖縄の会の共同代表である平良修さんが「辺野古へ駆けつけよう」と呼びかけた。
辺野古海上阻止隊からアピール
講演会に参加した人びとは県庁前広場に移り、3・20イラク反戦・ピースコンサート&サウンドデモに合流した。まよなかしんやさんを始めとした多くのミュージシャンが参加し、県庁前広場には150人が集まった。多くの通行人もコンサートに聞き入り、盛り上がった。コンサートの合間に、辺野古の海上阻止隊のメンバーを平良夏芽さんが紹介し、辺野古からのアピールを行った。
デモには80人が参加し、先頭には辺野古の海上阻止隊のメンバーが立った。国際通りに「戦争反対」「イラクはイラク人のもの」「辺野古の海を守ろう」のコールが響きわたった。解散地点では桑江テル子さんが総括発言を行い、この行動を3・20世界統一行動として闘いぬいたことを全参加者とともに確認した。
(投稿/沖縄・TM)
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週刊『前進』(2192号3面6)(2005/04/04)
3・4〜3・15
郵政公社が1万人首切り
公務員賃金5%下げ/金属大手4年連続ベアゼロ
●労働安全衛生法などの改定案を閣議決定 政府は労働安全衛生法や時短促進法などの改定法案を国会に提出した。(4日)
●人権擁護法案反対、6団体が共同声明 政府が今国会への再提出を狙う「人権擁護法案」について、日本ジャーナリスト会議、出版労連、新聞労連、民放労連、メディア総研、日本ペンクラブ言論表現委員会・人権委員会の6団体が反対の共同声明。(6日)
●日本労働弁護団、「時短促進法改正反対」の意見書 日本労働弁護団は、「さらなる労働時間規制の緩和・撤廃に道を開くもの」とする反対意見書を発表。(8日)
●特勤手当全廃で労使合意 大阪市労働組合連合会(市労連)は、特殊勤務手当の計約39億円の廃止を市側と合意する。市が打ち出した166億円規模の経費削減案のうち労組側が廃止に同意するのは計約112億円となる見込み。(9日)
●国家公務員の給与制度改革案 人事院が検討している国家公務員の給与制度見直し案の全容が明らかに。全体の給与水準(俸給表の水準)を約5%下げた上で、@民間賃金の高い地域に勤務する国家公務員への「地域手当」の上乗せ、A相対評価による4段階の査定昇給の導入が柱。(10日)
●民放労連が放送局の指定公共機関化で意見書 民放労連は「国民の保護に関する基本指針」案についての意見を政府に送付。指針案は有事に際し国や自治体、民間機関(指定公共機関)が実施する措置などを定めたもので4日公表。政府への意見は、「有事法制によって報道機関が指定公共機関となり、政府の指示のまま放送を義務づけられることは、報道機関の自立と独立の維持の面から受け入れがたい」と表明。(11日)
●春闘集中回答 金属労協(IMF・JC)の主要労組に経営側が一斉に回答。大部分は4年連続ベアゼロ。(16日)=要旨別掲
●日本郵政公社1万人削減 日本郵政公社は、2年間の経営計画(アクションプラン・フェーズ2)を発表。職員数を04年度末の26.2万人から06年度末に25.2万人へと削減する方針。(16日)
●動労千葉がストライキ 動労千葉が19日までスト。(17日)
●私鉄大手春闘回答 私鉄総連の大手組合は春闘回答を引き出した。関東大手は前年同額を確保。大手全体では5組合が賃上げ額で前年を上回った。(17日)
●労使とも9割が成果主義人事制度に「問題あり」 財団法人労務行政研究所は、東証1部上場企業の人事・労務担当取締役と労組委員長を対象に「成果主義人事制度の導入効果と問題点」について調査した結果を発表。成果主義人事制度について、労使とも9割が「問題あり」と回答。(18日)
金属大手の春闘妥結状況
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賃上げ
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一時金
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●自動車総連 |
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トヨタ自動車 |
6900
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5.0カ月+62万
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日産自動車 |
7000
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6.2カ月
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●電機連合 |
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日立製作所 |
賃金体系維持
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4.82カ月
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松下電器 |
賃金体系維持
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業績連動
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東芝 |
賃金体系維持
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業績連動
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三菱電機 |
賃金体系維持
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4.80カ月
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富士通 |
賃金体系維持
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業績連動
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NEC |
賃金体系維持
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業績連動
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●基幹労連 |
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・鉄鋼 |
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新日本製鉄 |
3700
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業績連動
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JFEスチール |
3700
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業績連動
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・造船重機 |
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三菱重工 |
定昇実施
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3.5カ月+47万
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川崎重工 |
賃金体系維持
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3.5カ月+20万
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週刊『前進』(2192号4面1)(2005/04/04)
3・19−20イラク反戦 即時撤兵へ共同行動
ロンドン15万など全世界で
基地内の現役兵士が決起
イラク侵略戦争開戦2周年の3月19−20日、イラク反戦を掲げた統一行動が全世界で闘われた。現在分かっているだけでも40数カ国、1000都市以上で集会・デモが行われ、全世界でイラク反戦の巨大な波がますます燃え広がっていることが明らかになった。ロンドンでは15万人が結集し、世界最大規模の闘いとなった。アメリカではニューヨーク、サンフランシスコを先頭に全米700カ所以上で集会・デモが闘われ、基地の街フェイエットビルでも闘いが高揚した。韓国でも全国7都市で集会・デモが闘われた。
ニューヨーク
ニューヨークでは、百万人労働者行進(MWM)運動やANSWERなどが呼びかけた「トゥループス・アウト・ナウ」(即時撤兵)の闘争に2万人が結集した。多数のアフリカン・アメリカンが居住するハーレムの中心にあるマーカスガーベイ公園で開かれた集会には、1万5000人が結集した。公園から出発したデモは、ハーレムを縦断して多くの移民労働者のデモ参加をかちとり、セントラルパークにすでに集結していた5000人と合流し、2万人の集会を実現した。
サンフランシスコ
サンフランシスコでは、ILWU(国際港湾倉庫労働組合)ローカル10が早朝からサンフランシスコ湾岸の全港湾の荷役作業を全面ストップして、午前中に湾岸地域の労組主催の労働者集会に参加し、午後にはANSWER主催の集会に参加し、デモを行った。同市のデモは労組隊列を先頭に、学生、ムスリム・コミュニティー、人権活動家、宗教者などが参加し、2万5千人以上になった。
そのほか、ロサンゼルスでは2万人、サンディエゴ、ユーリカなどでも数千人と、全米の中でもカリフォルニア州では特に多くの闘争が闘われた。
ILWUローカル10は、作業を放棄して反戦集会に大挙参加するなど、サンフランシスコでのイラク反戦闘争を全力で牽引(けんいん)している。アメリカ労働運動の新潮流の最先端を担っているILWUローカル10がANSWERとの統一戦線のもと、イラク反戦闘争の爆発のために奮闘したからこそ、サンフランシスコを始めとするカリフォルニア州で、全米で最も活力のある闘いが実現されたのだ。
イラク派兵拠点で、第82空挺師団と特殊部隊の基地であるフォートブラッグ基地のあるノースカロライナ州のフェイエットビルでは、反戦兵士・兵士家族・帰還兵士を軸に4000人が集会・デモを行った。集会には基地の現役兵士が少なくとも20人も参加した。反戦集会の翌日には反戦帰還兵士や兵士家族の全国集会が行われた。
反戦兵士・兵士家族の大量決起は、イラク侵略戦争の不正義性をあらためて暴露するとともに、すべてのアメリカの労働者人民に衝撃を与えた。それは、軍隊内部からの反戦運動の爆発的発展と呼応して、アメリカ反戦運動の転換点ともなろうとしている。
アメリカでは、そのほか、シカゴで6000人、ボストンで数千人、ニューパルツで2000人、ピッツバーグで3000人、ポートランドで1000人、ヒューストンで数百人の集会とデモが行われた。
メーデー復活へ
アメリカでは3・19反戦闘争の成功を受けて、即時撤兵連合とニューヨーク市百万人労働者行進運動が共同して、「戦争ではなく職を」をスローガンに5月1日にメーデー復活闘争を闘うことが呼びかけられている。アメリカはメーデー発祥の地でありながら、メーデーは長年闘われず、9月のレーバーデーがその代わりになってきた。メーデー復活は反戦運動の成功を、階級的労働運動の新たな再生・発展を引き出す導火線とする画歴史的試みなのだ。
イギリス
今年のイラク開戦2周年の闘いで、世界最大規模の反戦集会・デモを実現したロンドンでは、イギリス戦争阻止連合主催の集会に、15万人が結集した。03年の開戦前の集会以来の最大結集となった。
デモはハイドパークに集合してアメリカ大使館前を通り、トラファルガー広場まで行われ、そこで集会が開かれた。アメリカ大使館前では激しい弾劾の声がたたきつけられた。イギリスで巨大な反戦闘争の高揚が再び始まったのだ。同日、グラスゴーなどでも2000人を集めた戦争阻止連合の集会があった。
韓国
3600人、第3位の規模の部隊を派兵している南朝鮮・韓国では、派兵反対国民行動の主催で20日のソウル大学路の3000人を始め、19−20日に光州、大田、大邱、晋州、昌原など7都市で国際反戦闘争が行われた。ソウルでは民主労総などが参加し、民主労働党代表、イラク南部石油産業労組代表などが発言し、世界の連帯を訴え、アメリカのANSWER、イギリス戦争阻止連合からの連帯のメッセージが寄せられた。
イラクの隣国トルコでは、イスタンブールの1万5000人のデモを始め、アンカラなど3都市でデモが行われた。またギリシャのアテネでも5000人のデモが行われた。
イラクで武装勢力の人質になり解放された後、米軍によって殺害されそうになった女性ジャーナリストの出身国、イタリアでは、米軍への怒りとイタリア軍即時撤兵要求の声が噴出し、ローマで数万人の集会とデモが行われた。
このほか、スウェーデン、ノルウエー、デンマークやスペインでも数千人規模の集会とデモが行われた。アイルランドのダブリンでは1200人、南アフリカのヨハネスブルグで1000人、オーストラリアのシドニーで3000人の集会・デモが行われた。
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週刊『前進』(2192号4面2)(2005/04/04)
狭山第2次再審棄却糾弾
300万部落民と労働者の総決起で狭山闘争の勝利切り開こう
極悪の差別決定
最高裁判所第1小法廷(島田仁郎裁判長)は、狭山第2次再審請求棄却への異議申し立て棄却に対する特別抗告を3月16日付で棄却する決定を下した。5人の裁判官は全員一致でこの決定を下し、3月17日に石川一雄さんに決定を送付した。
この決定は、40年を超える狭山差別裁判の歴史の中でも最もデタラメな、特筆すべき極悪の差別決定である。18日の記者会見で石川一雄さんは「(決定を)憤りをもって読んだ。これほどの怒りを持ったことはない」と怒りを明らかにし、「冤罪が晴れるまで一生闘いぬく。何年かかるか分からないが勝つまで最後までやる」と狭山差別裁判糾弾闘争の勝利にかけた不屈、不退転の決意を表明した。
革共同は、最高裁がふりおろした極悪の差別決定を徹底的に糾弾する。全身の血が逆流するような怒りをもって徹底的に糾弾する。日帝・国家権力による部落差別の扇動によって「殺人犯」にデッチあげられ、いったんは死刑判決を受け、332年間の長きにわたって監獄に閉じ込められた石川一雄さんの全人生をかけた怒りを自らの怒りとして、徹底的に糾弾する。革共同は、この最高裁決定を絶対に認めない。この暴挙に対して必ず階級的反撃に打って出る。石川一雄さんとともに、日帝・国家権力による差別犯罪に報復を加え、狭山差別裁判糾弾闘争に勝利するまでどこまでも闘うことを厳粛に誓う。
破綻的な内容
最高裁決定は、狭山差別裁判においては証拠を検討する必要などないということをあからさまに宣言している。裁判の名に値しない一方的な差別決定にほかならない。最高裁は、第2次再審・特別抗告審において、出された新証拠の検討はおろか、事実調べを一切行わず、最高検が隠し持つ証拠の開示も求めなかった。そうして出された最高裁決定は、これまでのどの判決や決定にも増して破綻(はたん)的である。
@脅迫状の筆跡について、寺尾確定判決は「脅迫状及び封筒の文字は被告人の筆跡であることには疑いがない」としていた。最高裁決定は「筆跡は違っても」石川一雄さんが犯人だと言う。「筆跡は同一」でないのなら、確定判決の事実認定に誤りがあったと認めるのが当然ではないか。再審開始を決定するのが当然ではないのか。
A脅迫状を入れた封筒のあて名について、一審内田判決は、警察が石川一雄さんに押しつけた「自白」のとおり「ボールペンで書き直し」たと認定していた。2審において、書き直しは万年筆かペンであるという鑑定(秋谷鑑定)が提出され、唯一の物証(脅迫状と封筒)が事実において「自白」と食い違うことになった。これは「自白」が完全なデッチあげであることを証明していた。窮地に陥った2審寺尾裁判長は、「万年筆又はペンで……書き直した」と1審と異なる事実認定を行い、「自白」と事実が異なるのは「石川一雄さんがうその自白を行ったからだ」と石川さんにすべてをなすりつけた。
こうした経過があるにもかかわらず、最高裁決定では、あて名は「ボールペンで書かれたもの」と書いている。あて名は万年筆かペンで書かれたという事実認定をひっくり返し、ボールペンで書かれたというのだ。そのうえ、石川一雄さんは「万年筆及びインク瓶を所持していた公算が高い」と勝手に断定して、万年筆で書かれていたとしても石川一雄さんが書いたものには違いないとしている。一体、脅迫状のあて名は、ボールペンで書かれたのか、万年筆で書かれたのか、どっちなのだ。
最高裁は、これまでの裁判で争われた事実や証拠など、すべて意味のないものとして平然としている。狭山差別裁判においては「証拠や鑑定など必要ない」と宣言したのである。
B石川一雄さん宅の鴨居(かもい)から3回目の捜索で「発見された」万年筆についても、1回目、2回目の捜索を行った警察官の「鴨居の上には万年筆はなかった」という証言も「信用できない」と一蹴している。またC発見された万年筆が本当に被害者のものかという点についても、「被害者の家族の証言」は信用できるから同一であると言う。D石川一雄さんがなぜデッチあげの「自白」を行わざるをえなかったのかという点について、警察を全面的に信用できると一方的に宣言しているのである。
石川一雄さんの無実を明らかにしている証拠をことごとく無視し、どんな証拠があろうと石川一雄さんが犯人なのだと宣言したのだ。これは、ひとり石川一雄さんに対する差別襲撃というにとどまらず、300万部落大衆と労働者階級に対する差別襲撃である。
戦争体制づくり
日帝・最高裁は何ゆえこのような破綻があらわな決定を05年3月16日という時点で強行してきたのか。日帝・最高裁はなぜこのような凶暴な姿をあらわにせざるをえなかったのか。
それは、今日、日帝が小泉=奥田路線のもと、国家をあげて侵略戦争に突入しており、今後ますます国家総動員体制を構築していく必要に迫られているからである。日本の国家、社会が戦時下に突入していることに一切の源がある。
日帝・小泉=奥田は、日米枢軸化と侵略戦争参戦の一方、教育労働者への「日の丸・君が代」強制による日教組解体攻撃、郵政民営化による全逓解体攻撃、自治体民営化による自治労解体攻撃など、民営化(労組破壊)攻撃を強めている。労働組合を産業報国会に再編して国家総動員体制を担わせた歴史を繰り返そうとする攻撃にほかならない。
戦時下において日帝・小泉=奥田は新たな部落差別攻撃をしかけてきている。その核心は差別糾弾闘争の解体、根絶である。部落解放運動団体を日帝の侵略戦争に向けた国家総動員体制の一翼へと再編しようとする攻撃なのである。
「人権擁護法案」再提出の狙いもここにある。差別糾弾闘争を一切認めず、これを圧殺するために、国家と地方自治体に「人権委員会」を配置し、国家と行政が部落差別=「人権侵害」を容認・放置しようとするものである。部落民の自主解放闘争のかなめである差別糾弾闘争を弾圧の対象としようとしているのである。1930年代には大政翼賛会、産業報国会と並んで、水平社大会で荊冠(けいかん)旗を引き降ろし、「日の丸」を掲げ、官製融和団体―中央融和事業協会を設立し、300万部落大衆を戦争に動員した。
最高裁決定は、「人権擁護法案」強行と並んで、解放同盟本部派、同和会、全解連などを統合した官製融和団体づくりに向けた日帝・小泉=奥田の大攻撃である。最高裁は、どんなに破綻的であろうとも、差別糾弾闘争の基軸中の基軸である狭山差別裁判糾弾闘争の解体をもくろんで、凶暴な差別攻撃に踏み切ったということなのである。
歴史的大闘争に
こうした日帝の攻撃といかに闘うのか。石川一雄さんが発した「狭山差別裁判糾弾闘争に勝つまで一生闘いぬく」という不屈で不退転の決意を自らのものにして闘う。300万部落大衆の総団結と労働者階級の総決起をつくり出し、数十万、数百万人の狭山差別裁判糾弾闘争をつくり出すために総力を挙げて立ち上がることを宣言する。
今から70年前、日帝の侵略戦争への突入と国家総動員体制づくりの攻撃に対して、高松差別裁判糾弾闘争が全国の部落大衆の決起、労働者・農民、学生の決起で闘いぬかれ勝利した歴史を想起しよう。この歴史的な大闘争に学び、今こそ革共同の総力決起で高松差別裁判糾弾闘争を上回る大衆的な狭山差別裁判糾弾闘争の爆発をつくり出し、その力をプロレタリア日本革命の勝利へと結びつけるために全力を傾注しなければならない。
第14回大会をかちとり、差別糾弾闘争の歴史的復権を宣言し、戦時下の部落解放闘争の歴史的高揚をかちとることを宣言した部落解放同盟全国連合会と革共同は固く団結して闘うことを誓う。
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週刊『前進』(2192号4面3)(2005/04/04)
3・20日比谷 再審棄却に怒り
解同全国連が糾弾集会
3月20日、国際反戦共同行動に先だって午前10時半から日比谷公園・健康広場(小公園)で部落解放同盟全国連合会が狭山再審棄却糾弾集会を開いた。全国連の各県連・各支部の部落大衆、部落解放共闘会議の労働者・学生ら300人が全国から結集し、最高裁による狭山事件第2次再審請求棄却決定異議申し立て棄却決定への特別抗告棄却決定は差別決定だと徹底的に糾弾、石川一雄さんとともに第3次再審請求闘争に全力を挙げることを誓った。
初めに解同全国連中央本部の村上久義副委員長が「怒りでいっぱいだ。どんな新証拠があろうと有罪だという決定だ。体制を突き破る以外に狭山闘争の勝利はない。石川さんと同様、命をかけて勝利まで闘う」と力強くあいさつした。
次に茨城県連の井橋昌夫事務局長が「決定は『石川さんは的確に文書が書けた』と断定したうえ、『石川さんは自分自身の万年筆やインク瓶を持っていた公算が高い』などと言って石川さんを犯人と決めつけている。高木・高橋決定よりも際だって差別的・反動的だ。追い詰められた結果であり、支離滅裂であり、破綻(はたん)している。事実調べを一切行わず、証拠開示命令も出さないで初めて書けるでたらめな決定だ」と批判・糾弾した。
そして中田潔書記長が基調報告を提起、「最高裁の棄却決定を徹底的に糾弾しよう。石川さんと怒りをともにし、狭山闘争をますます大きくしよう」と呼びかけた。「決定は、証拠として出されたことのない『以前の雇主の検察官調書』を判断の根拠にしている。手続き原則からいっても裁判の名に値しない」と糾弾・弾劾した。また、解同本部派が人権擁護法案提出に躍起となり、差別糾弾闘争―狭山闘争を放棄している現状を批判、全国連を大きくして第3次再審闘争に勝利しようと訴えた。さらに、小泉・ブッシュの侵略戦争―世界戦争を止める闘いを労働者階級との共同闘争として闘う中に狭山闘争の勝利があると強調した。
全国連と解放共闘の力で狭山闘争の勝利を開く決意を固めた集会となった。
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週刊『前進』(2192号4面4)(2005/04/04)
3月16日〜22日
米新国務長官ライスが訪日
韓国政府が対日政策新原則
●島根県議会で「竹島の日」条例成立
独島(竹島)を日本の領土として確立する運動を進めるため「竹島の日」をつくる条例を島根県議会が可決した。(16日)
●稲嶺「SACO推進堅持」 訪米した沖縄県の稲嶺知事は、普天間飛行場の移設について「基地が集中する沖縄に代替地はない」と述べた。同時に「日米特別行動委員会(SACO)はまだ生きている」と語り、辺野古沖移設を堅持する姿勢も強調した。(16日)
●伊良部町、下地島に自衛隊誘致決議 沖縄県伊良部町議会は、下地島空港への自衛隊駐留を要請する緊急動議を可決した。(16日)
●世銀総裁に米国防副長官を指名 ブッシュ米大統領は、次期世界銀行総裁にネオコンでイラク侵略戦争を主導したウォルフォウィッツ米国防副長官を指名すると発表した。(16日)
●韓国、対日政策で新原則 韓国政府が対日政策の新原則を発表し、独島や歴史教科書問題で「任期中は歴史問題を争点化しない」としてきた盧武鉉(ノムヒョン)政権の対日政策を転換し、日本に「真の謝罪と反省」に基づいた歴史問題の解決を要求した。(17日)
●民主が国民投票法案3党協議入り確認 民主党の憲法調査会(枝野幸男会長)が役員会を開き、憲法改定手続きを定める国民投票法案について、与党との共同提案に向けての協議に入る方針を確認した。(17日)
●小泉「辺野古は難しい」 小泉首相は参院予算委で、普天間飛行場の辺野古沖移設の計画について「なかなか困難な問題もある。日本側の率直な考えを(米側に)伝えるべきだ」などと述べ、辺野古沖以外への移設も検討していることを公式に認めた。(17日)
●在日米軍司令官「辺野古が最良」 在日米軍のブルース・ライト司令官は、普天間飛行場の移設問題に関連して「辺野古は依然として非常に好ましい選択肢だと考えている」と述べた。(18日)
●QDR策定作業に同盟国の意向 米国防総省のファイス国防次官(政策担当)は、同省が来春にまとめる「4年ごとの国防計画見直し(QDR)」の策定作業に同盟国を含める考えを明らかにした。(18日)
●ライス米国務長官が小泉、町村と会談 小泉首相と町村外相が来日中のライス米国務長官とそれぞれ会談した。米国産牛肉の輸入再開問題で日米の主張は平行線をたどった。ライス長官は会談後の共同記者会見で日米関係について「真の意味での地球規模の同盟に進化してきた」との認識を示した。(19日)
●大野防衛庁長官がライス長官に基地の日米共同使用を提案 大野防衛庁長官は、ライス米国務長官と会談し、基地負担の軽減と抑止力維持の両立を念頭に、基地の日米共同使用をあらためて提案した。(19日)
●イラク開戦2年、小泉「支援継続」表明
小泉首相はイラク戦争開始から2年を迎え「民主主義は時間がかかる苦難の道なので、支援を継続しなくてはいけない」と語り、自衛隊派兵を続ける考えを強調した。(20日)
●小泉が防大卒業式で訓辞 小泉首相は防衛大学校の卒業式で訓示し、自衛隊の国際協力活動について、イラクでの人道復興支援などの活動に積極的に取り組む考えを強調した。また、弾道ミサイル防衛に関する法整備などを進める考えを示した。(21日)
●安保理拡大を勧告 国連のアナン事務総長は国連総会で、開発や安全保障、人権、組織改革などを網羅した、国連創設以来最も包括的な改革報告書を発表した。安全保障理事会の拡大が国連改革に不可欠と勧告。(21日)
●沖縄で米軍車両15台民間地で訓練 金武町中川区のキャンプ・ハンセン第13ゲートから100b離れた畑地に米軍車両が侵入して訓練を行っているところを摘発され、基地内に撤収した。(22日)
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週刊『前進』(2192号5面1)(2005/04/04)
帝国主義経済大国として9条改悪を死活的に要求
日本経団連「改憲提言」を批判する
1月18日に発表された日本経団連(奥田会長)の提言「わが国の基本問題を考える――これからの日本を展望して」は、日帝ブルジョアジーが政治問題、特に改憲問題について階級的意志をむき出しに表明したものとして、歴史的な文書である。それは、今日の日帝の攻撃が文字どおり小泉=奥田路線としてあることをあからさまに示している。徹底的に弾劾し、「日の丸・君が代」決戦を引き継ぐ日本労働者階級の総反撃をたたきつけなければならない。本紙2187号での批判に続き、この提言が憲法第9条の改悪を強力に要求していることを中心に、徹底的な批判を加えたい。
帝国主義外交を展開する軍事力保持狙う
まず、提言の本質的性格は、日本帝国主義ブルジョアジーの“帝国主義的経済政策”の貫徹の立場から、日帝の帝国主義的外交・軍事政策と、それに照応する政治・国家体制の全面的な変更・改造を要請・要求するものである。これまでのどの改憲論よりも本格的で、日帝ブルジョアジーの階級的利害にとって、改憲や教育基本法の改正が必要であるということを端的にむきだしに表現している。
次に全体の構成は、第T章、第U章、第V章の内容が、第W章で改憲を提起するための準備作業、または改憲の必要性の展開としてあるということである。
軍事力で発言権追求
第T章「わが国を取り巻く現状と問題認識」で注目すべきことは、国際・国内の脅威の増大……などにふれた上で、こうした現実に「現行憲法や1960年改定の日米安全保障条約、……55年体制と呼ばれる国内政治体制……こうした歴史的枠組みの下では、十分な対応が困難となりつつある」としていることである。現憲法だけでなく、現行安保条約をも変更対象にすえている。
第U章「これからの日本が目指すべき道」では、国家のめざすべき「基本理念」と「国家像」にふれている。
まず、基本理念として「民主」「自由」「平和」をあげている。これが単なる国のあり方ではなく、内外に向かっての行動理念として提起されていることがポイントだ。その上で「こうした理念に対する挑戦が、常に我々の近くに存在する」としているのである。
ここで言う「民主」「自由」は、ブッシュの言う「自由の拡大」=「圧制の打破」という文脈で提起されている。近くに存在するという言い方からは、北朝鮮・中国が「民主」や「自由」への挑戦をしているものとして措定されているのだ。同様に「平和」というのも、平和のための戦争(軍事)を意味している。この提言で「平和」という言葉は、すべて戦争(軍事)と読み換えるべきであり、そうすることで、この提言の帝国主義的本質がきわめて鮮明となる。
次に、めざすべき「国家像」については、「世界平和や国際社会が抱える課題の解決に主体的に関わり、国際社会から信頼・尊敬され……るような国家」をあげている。世界をめぐる戦争と軍事の問題に、日帝が積極的にかかわり、介入していくことを提起しているのだ。また、「国際社会からの信頼・尊敬」を得るということも、要するに、軍事力を含む力で発言権をもち、一個の帝国主義国家としてのその存在、その利害について承認させるということである。
日米同盟とアジア
第V章「外交・安全保障を巡る課題」では、「基本的考え方」として、「経済大国として世界経済の一翼を担う今日、わが国が世界の平和と安定のための明確な提案、主張を行い、その実現のために行動していくことは国際社会の一員としての責務」としている。端的に「経済大国」論を打ち出し、経済大国=帝国主義国家としてその利害を貫くためには、「世界の平和と安定」=世界の戦争と軍事の問題で積極的に行動しなければ通用しない、「経済大国」であり続けるためには帝国主義的軍事力を保持・行使できなければならないということである。
次に、「日米同盟の重要性」と「東アジア地域との連携強化」を押し出している。
「わが国としては、米軍の再編などをはじめとして、安全保障にかかわる情勢と戦略目標について、共通の認識をもつよう努めながら、国益、および世界の平和と持続的発展への道筋を自ら判断し、国際社会全体の利益の観点から、米国に対して必要な意見を述べることで相互信頼を深めていくべきである」
ここはきわめて重要なところである。「米軍再編」という米帝の政策がとてつもない世界的大戦略・大戦争政策であるということ。しかも、日帝の現実的力量および日米同盟という点から、この「米軍再編」に積極的にかかわっていくしか日帝の方向はない。しかし、同時に、これは対北朝鮮のみならず、それ以上に対中国を含んでおり、日帝ブルジョアジーとしては、対中関係を激動させるこの「米軍再編」がもっている争闘戦的側面を直視しないわけにはいかないのだ。
このことは、日米安保問題−米軍再編問題に続いて、「東アジア地域との連携強化」の項目のところで、次のように言っていることとも通底している。
「東アジア諸国は、世界の成長センターであり、国際的な競争相手であるとともに、相互依存関係を深めるパートナーでもある。同時に、国際安全保障において、日本のみならず世界を脅かすリスクを内在する地域である点にも留意しなければならない」
「わが国は、東アジア自由経済圏の構築と日米同盟の強化を外交政策の軸として、地域の安定と発展に最大限の努力を果たしていかなければならない」
「東アジア自由経済圏を構築する上で、日中関係は極めて重要である。中国はわが国にとって、経済面では、米国につぐ重要なパートナーとなりつつある」
ここでも、日帝ブルジョアジーとしては日中経済関係が米国に次ぐ生命線になってきているという現実の中で、東アジア自由経済圏構築を推進し、一定のブロック化を狙っているが、他方では北朝鮮・中国問題は巨大な安保問題をはらんでいる。ここでも、現在的には、日米安保−米軍再編への対応は絶対的な課題でありながら、対日争闘戦的なものを内在させている米帝の政策は、日帝をきわめて緊迫した現実に追い込んでいるのだ。
しかし、こうした現実のはざまで、日帝は結局米軍再編に基本的についていくしかない。ここからも、日帝ブルジョアジーは、帝国主義的外交政策を展開しうる帝国主義的軍事力(軍事政策)を持つことの必要性を決定的につきつけられているのだ。ここにも、日本経団連が改憲へと一気にジャンプする方向をいま打ち出したことの階級的意義がある。
自衛隊の役割を主張
さらに第V章では、以上の展開をふまえて、「国際安全保障への積極的協力」が正面から提起される。これは、国際的な戦争と軍事の問題への積極的協力(参加・参戦)をさす言葉である。そして、この課題が自衛隊の任務として真っ向から打ち出されるのだ。
「現実に紛争が発生した場合……わが国として、国際社会の平和・安定への主体的な関与という国家目標に沿った協力・貢献活動を行わなければならない。その際、中心となるのは自衛隊による活動である」
「自衛隊による国際活動は、国際社会の一員たる国家として当然の責務であり、国際社会の平和・安定の実現の観点からも……強化していくべきである」
「そのためには、何より、後述の通り、憲法における自衛隊の役割や集団的自衛権についての明確化が必要である」
日本防衛とか、周辺事態ではない。世界のどの地点での戦争や紛争であろうと、日本帝国主義としての権益をかけて主体的に関与していき、軍事的に介入していかなければならないと言っているのである。
この場合、「協力・貢献活動」という新しい言い方で、もはや貢献という概念を超えて、自己の利害のために協力(参戦)していくことが押し出されている。日帝ブルジョアジーからすれば、今や国際争闘戦に勝ちぬくためには、安保同盟のエスカレーション(米軍再編)にも対応しぬき、自衛隊は自衛という概念を超えて、帝国主義的国際政策の推進手段として、一人前の帝国主義的軍隊としての役割を果たさなければならないことを、むきだしに主張しているのである。
「現実との乖離」口実に制約の打破を叫ぶ
第W章「憲法について」がこの「提言」の核心部である。
まず、第一節「綻(ほころ)びが目立つ現行憲法」と言って、改憲の必要性を正当化しようとしている。そこで挙げていることは、「第9条にみられる規定と現実の乖離(かいり)」「国際平和にむけた主体的活動への制約」「機能していない違憲立法審査権」「厳格すぎる改正条項」などということである。
まったく盗人たけだけしい物言いだ。第2次大戦の問題や戦後革命の危機の中で、現憲法をひとつのテコに帝国主義的な延命を図ったこと、そして戦後革命の大波が引いていくとともに、日帝権力が第9条の規定を侵害し、解釈改憲を繰り返して、安保条約を結び、自衛隊を増強してきたのではなかったのか。
「神学論争」とか「一国平和主義」などと言って、改憲反対論をののしっているのも許しがたい。その上で、ぬけぬけと解釈改憲自体が「新しい制約」をつくってしまっているなどと言って、その限界がきていることを主張している。
ここで最大の問題は、「国際平和」=国際的な戦争・軍事問題において、日帝が自国の帝国主義軍隊を積極的に投入して、その権益を拡大・強化していく上で、どうにも現憲法第9条が「制約」となっていることだ。
もはやこれ以上、この「制約」に縛られていたら、帝国主義間争闘戦の中で日帝は延命できないということである。帝国主義経済大国は帝国主義的軍事力を自由に行使しなければ今や成り立たないという、火のような要求なのである。
「戦力不保持」を攻撃
第2節「憲法第9条について」で、「自衛隊の役割の明確化」を押し出す。自衛としての自衛についてはごくあっさりと確認した上で、自衛隊の国際活動について「国際社会の平和・安定の実現にむけた協力・貢献の観点からも……強化していくべき機能である」と強調している。
「自衛隊の活動を通じた内外の平和・安定への協力や、これを通じた国際社会における信頼性の向上は、既に示した基本理念と国家目標の実現にも欠かせない」と言っていることを、階級的に翻訳してみることが大切だ。「内外の平和と安定」というのは戦争や軍事介入のことである。自衛隊が戦争に協力・参戦し、そのことで日帝の国際的権威と発言権を強化していくことが、自由と民主の理念=資本主義(帝国主義)の利益を実現していくことになるというのだ。
国家の理念や国家目標を実現するためには、対外的な軍事力(の行使)が不可欠だと攻撃的・積極的に主張しているところに、この提言の階級性がある。
9条改正の具体案として、「第9条1項は引き続き存置されるべき」と言っている。この際、これは自衛権を否定したものではなく「侵略戦争の放棄」を規定したものだなどという口実をあげている。もちろん、これはペテンである。日本の憲法の場合、2項とのセットであって、自衛のための軍隊も保持しないという規定であることは議論の余地がない。
その上で、提言は現憲法第9条2項の戦力の不保持の条項に全力で襲いかかる。「現状から乖離している」と言った上で、「国際貢献・協力活動を進める上での大きな制約にもなっている」ということを最大の論拠として攻撃する。繰り返すが、この「国際貢献・協力活動」というのは、国際的な戦争(紛争)に軍事力で参戦していくことである。
自衛隊の国際活動(つまり海外派兵)にとって、第9条2項が制約となっているとの強調をふまえて、そこから、「従って、憲法上、まず、自衛権を行使するための組織として自衛隊の保持を明確に」する、としていく。
日帝ブルジョアジーの改憲への強烈な要求が、今や自衛隊−帝国主義軍隊の海外派兵の自由の要求となっていることをはっきりと示すものだ。だから提言は次のように付け加えるのを忘れない。
「自衛隊がわが国の主権、平和、独立を守る任務・役割を果たすとともに、国際社会と協調して国際平和に寄与する活動に貢献・協力できる旨を明示すべきである」
もちろん、ここでの重点が後段の国際活動にあるのは明白である。そして、国際活動=海外派兵の大々的、全面的展開を自由自在にできるようにということで、「自衛隊の海外派遣の活動内容・範囲について、……一般法を早急に整備すべきである」という点をしっかりと押し出しているのである。
9条改憲と海外派兵一般法がセットでおしだされていること――ここにも日帝ブルジョアジーが対外戦争を戦える軍事力を公然と保持することを、その階級的利益をかけて、ゴリ押しに求めていることが鮮明となる。
集団的自衛権を強調
しかし、提言は、9条改憲について以上の点の確認だけではけっして満足せず、集団的自衛権についての明確化が必要であることを強烈に押し出す。
「現在、わが国では、主権国家として当然に保有する集団的自衛権は『保有するが行使できない』という解釈に基づき、自衛隊による国際的な活動が制約されている」
「しかし、集団的自衛権が行使できないということは、わが国として同盟国への支援活動が否定されていることになり、国際社会から信頼・尊敬される国家の実現に向けた足枷(あしかせ)となっている」
ここでは「同盟国への支援活動」が打ち出されている。同盟国と言うが、日本の場合、安保同盟を結んでいるのは米国である。集団的自衛権とは、いわゆる個別的自衛権を根源的な論拠として、それをいわば補充・補完するものとして一定の国家間で同盟を結び、同盟国同士でおのおのの自衛戦争に協力して対処するというのがそもそもの論理である。
しかし、これは現実の現代帝国主義の条件のもとでは、当然ながら全然違った働きをする。今日の米帝の、9・11ゲリラを契機として開始されたアフガニスタン、イラクへの侵略戦争は、9・11を米国への戦争行為と規定することで、米帝にとっては自衛戦争なのである。
だから、ここで提言が、憲法第9条2項を糾弾し、その足枷を外せと言っていることは、米帝のこの間のアフガニスタンやイラクへの戦争に対して日帝が、米帝の自衛戦争への同盟国の義務として、積極的に加担・参戦していくことができなければいけないということなのである。だから、これは実際には帝国主義的侵略戦争への全制約を事実上取っ払うことを意味しているのだ。
実際、提言は、「集団的自衛権に関しては、わが国の国益や国際平和の安定のために行使できる旨を、憲法上明らかにすべきである」と言っている。
ここでは、「国益」という決定的な概念が打ち出されている。まさに、日帝ブルジョアジーは帝国主義としての国益のために、帝国主義的軍事力を行使し、他の列強諸国との争闘戦に勝ちぬこうとしているのである。
「改憲を待つことなく対応」と攻撃を先どり
しかし、改憲をめぐっての提言の内容の反動性・反革命性は、以上の内容にとどまるものではまったくない。さらにいくつもの重大な提起が行われている。
ひとつは、「緊急的な対応の必要性」という項目での提起である。
「憲法改正を待つが故に、必要な改革が遅れるようでは本末転倒である」
「何時発生するかもしれない予測不能な多様な事態への対処を憲法改正に委ねてはならない」
「例えば、緊急事態への対処や自衛隊の国際活動の拡大、集団的自衛権の行使などは、昨今の国際情勢の変化を踏まえれば、一刻を争う課題である」
「現在の憲法解釈が制約となっているもの、新たな立法により措置が可能なものなどについては、内外諸情勢の大きな変化を踏まえ、憲法改正を待つことなく、早急に手当てすべきである」
まさに帝国主義者の凶暴性むきだしである。朝鮮侵略戦争や日本版9・11などを想定しているのである。しかし、いざとなれば憲法改正などと関係なく、自衛隊の国際活動も、集団的自衛権の行使もしていいのだと言いきっている。解釈改憲なども自由にやって制約を取り払えとも言っている。また、米軍再編などについても、この考え方を適用すれば、可能となると言える。
「改正要件緩和」唱え
改憲問題での提起のいまひとつの決定的問題は、第9条と第96条の改正にまず限定せよとしていることである。そして、第96条について「改正要件が厳格に過ぎた」「国の進むべき針路と憲法の規定との間に齟齬(そご)が生じた場合、……発議要件などの改正要件を緩和すべきである」としている。
要するに、9条改憲で中央突破することに絞り上げるとともに、第96条の改正要件の緩和をすることで、あとはどんどん改憲を繰り返していくことができるようにするということである。
改憲問題についてさらに重要なこととして、「憲法改正を具体的に実現可能なものとして議論する前提として、まずは憲法改正のための国民投票法の早期成立が不可欠である」としていることだ。この国民投票法案は、すでに自・公のすり合わせが終わり、あとは民主党をいかに巻き込むかという段階にある。05年通常国会の攻防の焦点になっているものだ。
階級的重大性直視を
それにしても、日帝ブルジョアジーを代表する日本経団連が、改憲について、ここまで踏み込んだことのもつ階級的重要性は図り知れない。これによって、日帝権力、政府・自民党、公・民諸党の動向にも決定的な拍車がかけられることは明らかだ。このことの重大性を絶対に見落としてはいけない。05年〜06年〜07年というプロセスが、郵政民営化攻撃・教育基本法改悪攻撃と重なって、改憲攻撃として現実化していくことについて、はっきりと措定しなければならない。
われわれは、「日の丸・君が代」決戦を突破口に4大産別決戦を闘うという方針のもとで、「日の丸・君が代」決戦=教基法決戦=郵政民営化阻止決戦=改憲決戦という闘いのつながりをしっかりつかんで闘いぬかなければならない。その中で6月都議選の勝利をなんとしてもかちとることである。
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週刊『前進』(2192号5面2)(2005/04/04)
国民投票法案絶対粉砕を
改憲反対の言論・政治活動を禁止するクーデーター立法
政府・自民党は改憲に先立ち、憲法改正手続きを進めるための国民投票法案を今通常国会に提出しようとしている。これはとんでもない法案である。ひとことで言えば、言論を統制し、労働者人民の政治活動をすべて禁圧しておいて、改憲案を事実上、何の議論もなしに超スピードで成立させることを狙うものである。
昨年11月30日、自民党と公明党との与党協議の場で、「日本国憲法改正国民投票法案」を05年の通常国会に提出し、早期の成立を図ることが合意された。そこでは、国会が改憲案を採択してから30日以後、90日以内に国民投票にかけるとした上で、改憲への賛否を問う運動を起こすことに対して以下のような許しがたい規制を加えている。
第一に、「公務員及び教育者の地位利用による国民投票運動の禁止」を盛り込んでいることだ。
「国民投票運動」とは、「国民投票に関し憲法改正に対し賛成又は反対の投票をさせる目的をもってする運動」のことである。国と地方の公務員、独立行政法人や公社・公団などの職員、小中高校から大学・専門学校まで含むすべての教員は、改憲に反対する運動にかかわることを一切禁止される。違反した場合は公務員には2年以下の禁固または30万円以下の罰金、教員には1年以下の禁固または30万円以下の罰金という刑事弾圧が加えられる。改憲反対が圧倒的多数を占める教育労働者や自治体労働者のあらゆる闘いを、根こそぎ弾圧するものだ。
第二に、外国人の運動はすべて禁止するだけでなく、日本人の運動に支援カンパをすることも禁止する。外国人からカンパをもらった側も弾圧の対象にすると言っている。違反者は3年以下の禁固または50万円以下の罰金である。これは何よりも在日朝鮮人を最大の対象としている。日本が憲法9条を公然と取り払って侵略戦争・世界戦争にのりだすことへの、在日朝鮮人・中国人を先頭とする反対運動、国際的な怒りの爆発に恐怖して、その徹底的な圧殺を狙っている。
第三に、新聞・雑誌や放送など、メディアに対するすさまじい言論統制である。メディアに対し、国民投票に関して以下の3種類の報道及び評論を禁止している。@投票結果を予想する報道や評論、A「虚偽の事項を記載し、又は事実をゆがめて記載する等表現の自由を濫用して」行われる報道や評論、B「国民投票の結果に影響を及ぼす目的をもって」新聞・雑誌を「不法利用」することの三つである。Bについてはメディアとメディアを利用した側(寄稿した者など)の双方を罰する。違反者は2年以下の禁固または30万円以下の罰金となっている。
とくに重大なのはAとBだ。いったい何をもって「虚偽」の報道とか「事実をゆがめた」評論などとみなすのか。その明確な基準や根拠はどこにもない。何を「不法利用」とみなすかも同じだ。そのすべては改憲攻撃を進める政府とその手先である警察・検察が一方的に決めるのだ。こんな茶番があるか。これは改憲に反対の言論、批判する言論は一切許さないということだ。そもそも新聞や雑誌の「不法利用」などという言葉が飛び出してくること自体、言論統制の意思をあからさまに示すものだ。憲法問題について自由に議論すること自体を敵視し、圧殺しようとしているのだ。
第四に、「買収罪」「国民投票の自由妨害罪」「投票の秘密侵害罪」「投票干渉罪」などの罪を新たに設けて、それらを最高七年という重刑によって処罰しようとしていることである。
「国民投票の自由妨害罪」とは、国民投票運動をする者に暴行や威力を加えた時、交通や集会の便を妨げ演説を妨害したりした時、「投票の自由を妨害した」として4年以下の懲役ないし禁固、または100万円以下の罰金を科すというものだ。とくに「多衆」が集合してやった場合、首謀者には最高7年の懲役か禁固を科すことができる。さらに、警察の解散命令を受けても解散しなかった場合には、警察の命令に従わなかったというだけで首謀者に禁固2年、他の全員に20万円の罰金を科すというのである。
改憲をやろうとしているのは政府・国家権力の側である以上、この条項は百パーセント、反対派を弾圧するためにのみあるものだ。改憲反対の集会を、警察が「推進派の運動への妨害」とみなせばいつでも解散させることができ、抵抗する者は容赦なく獄にぶち込むことも可能になる。逆に右翼・ファシストによる労働者人民への襲撃は野放しとなるのは間違いない。
この国民投票法案は、もともと与野党の国会議員が超党派で構成する「憲法調査推進議員連盟」が2001年の11月に作成していたものである。同連盟は略称を「改憲議連」と言い、極右勢力を中心にした改憲派議員の結集体である。自民党は、この改憲議連がつくった法案をそのまま自民党案として公明党に提示し、公明党はそれに若干の修正を加えるだけで同意した。ここに紹介した運動規制の条項は、その修正対象には一切含まれていないばかりか、逆に「自民党提示案(議連案)を維持する」と明示に確認されている。
そもそも、国民投票の実施を国会での改憲案の採択からわずか30日後としたこと自体、人民に改憲についてじっくり議論する余地など与えず、反対運動が広がらないうちに強行突破しようという卑劣な狙いにもとづくものだ。また20歳以下の青年・学生には投票権を与えない、有効投票数の過半数さえとれば投票率がどんなに低くても国民の過半数の賛成を得たものとみなすなど、あらゆる意味で恐るべき内容となっている。
政府・与党は、衆参両院の憲法調査会に法案審査権を付与する国会法改正案をまず通し、その上で国民投票法案を提出し、憲法調査会での審査に委ねようとしている。そのために民主党を引き込み、その同意をとりつけて、何としても今年中に国民投票法案をまず成立させることを狙っているのだ。同法案が自由な言論と人民の自由な政治活動を根こそぎ圧殺するものであることを覆い隠し、あたかも改憲への単なる手続きだけのものであるかのように装って、その強行成立を狙おうとしている。このクーデター的なやり方を絶対に許してはならない。
声を大にしてその正体を暴露し、労働者階級を先頭に、全人民の怒りの総決起で粉砕しつくそう。
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週刊『前進』(2192号6面1)(2005/04/04)
全金本山闘争 勝利の感動
“全金本山闘争 勝利の感動” 「サイゴン陥落」の時のようなうれしさ 東京 川村しの
全金本山組合員の皆さん。34年にも及ぶ闘いの末、完全勝利をもぎとられたこと、本当におめでとうございます。昨日(3月11日)は東京での報告レセプション、幸せな気持ちでした。とてもとてもうれしくて、なんと言っていいのか分からない位です。私にとっては、ベトナム民族解放戦線が、圧倒的に強かったアメリカ軍をうち破ってかちとった「サイゴン陥落」の時の、あのうれしさと同じような気持ちです。
まさか、こんなに鮮やかに勝てるなんて、思ってもみませんでした。
仙台に住んだ10年が、本山闘争の最初の10年と重なり、門前闘争では暴力ガードマンと二組の暴力にいつもピリピリと身構えていました。
ロックアウトの時、最初に支援のビラを書いたのは私です。「死なばもろとも」という見出しをつけたら、「労働者は死なないんだ」と怒られて変えたことを昨日のように思い出しました。
最高裁で負けたのに会社に勝ったというのがすごいです。やはり実力闘争ってことですよね。希望するすべての組合員17名の原職復帰と全員の厚生年金の権利をかちとったことは、何と言ってもすばらしいです。
今、私もおそまきながら、合同労組で解雇撤回や労災の方の権利回復のために“地をはうような”闘いを始めました。皆さんの輝かしい勝利に鼓舞されて、また歩んでいきます。本当におめでとうございます。深く感謝します。
“全金本山闘争 勝利の感動” ついに大衡工場内に全金本山の旗が翻る 神奈川 横川勝利
34年の本山闘争がついに完勝した。何よりもきわめて難しい最後の詰めの段階で、団結を守りぬいて完璧(かんぺき)な勝利を勝ち取ったことにあらためて敬意を表したいと思います。
勝利報告の庄子副委員長、長谷委員長、青柳書記長の挨拶は圧巻だった。当該、弁護団からの挨拶のあとでの支援側から「完璧な勝利を勝ち取った全金本山労組に乾杯!」の音頭は、大歓声の中で見事にその役割を担いきった。こうした機会は、なかなか体験できるものでないのだ。さらに3月16日に小野さんが東京支店での隔離職場から支店での業務奪還、仙台では16人が大衡工場に入ることになる。いよいよ構内に全金本山の旗が翻るのだ。
「長い間、本当にご苦労さまでした」と当該の方々一人ひとりに挨拶をして回ったときに、「ありがとさん、でもこれからよ」と全員、固い握手と共に同じ言葉が返ってきた。これが全金本山労組なのだ。
北仙台の組合事務所は、今後大衡村工場内の組合事務所の新設と共に維持されることと聞いている。闘いは、工場内での資本攻防とJAM労組との連携、地域での共産党、社民系労組との関係は、非常に白熱したものになるであろう。いやむしろ構内からも地域からも全金本山労組へ、寄り添ってくる闘いが本格的に始動してくるにちがいない。新しい歴史的闘いが始まることになるであろう。私たちもまた新しい全金本山労組との連帯を勝ち取っていかねばならない。こうした実に心地よい闘争の展望が、私の頭をよぎった。
“全金本山闘争 勝利の感動” 私自身の処分撤回の展望も切り開かれた 宮城 金子哲夫
本山労組の闘いに、私の10・20三里塚闘争参加に対する懲戒免職処分撤回・職場復帰闘争もずっと励まされてきました。処分取り消し裁判第一審の判決日には、大挙傍聴に来てくださり、不当判決を弾劾してくれました。判決後に被解雇者である熊谷春男氏が「気を落とさないで」とそっと握らせてくれた缶ビールを今でも鮮明に覚えています。
今回の本山の勝利は、「2名の解雇に対する最高裁判決をくつがえし、解雇撤回」をかちとったという意味で私の処分撤回闘争や国鉄1047名闘争の勝利の展望を大きく開く画期的なものだと感動をもって受け止めています。私の場合も最高裁で敗訴が確定しているからです。
私はこれまで所属する組合の中で物資販売を続けてきました。これまで買ってくれた仲間は「すごいね」「よかったね」と喜んでくれています。中には「これで金子君も戻れるかもしれないね」と言ってくれる人もいます。本当にそのような展望を、本山の勝利はもたらしてくれたと思います。仲間と真正面から向き合い、組合のもとに団結をつくって、現場の闘いを軸に闘えば、労働者はすごい力を発揮し、勝利できるんだということを示してくれたと思います。
私はこれまで10・20三里塚闘争への参加は公務員の信用失墜という市当局の処分理由に対し、「どうして正当な抵抗が信用失墜になるのか」という一念でずっと闘ってきました。『前進』の報道によれば、「日の丸・君が代」処分は「職務命令に従う義務」違反とともに「公務員の信用失墜行為の禁止」違反も理由とされているようです。私が19年間闘い続けてきた「公務員の信用失墜」との闘いが、ついに前面に出てきました。
「日の丸・君が代」の被処分者を始め、すべての被処分者と連帯し、処分との闘いを労働運動・労働組合の重要な闘いの一つとし、処分撤回をめざして今後も闘います。
「遺骨は偽物」の鑑定の信用性が崩れた 東京 小松一彦
今、日帝・小泉政権は、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)から返還された遺骨について「横田めぐみさん以外の人のDNAを複数発見した」――「遺骨は偽物」として、経済制裁から侵略戦争へと突き進んでいる。しかし、盛んに報道されているこの「鑑定結果」なる物が大嘘であることが、鑑定を行った帝京大の吉井富雄講師の発言から明らかとなった。(『Nature』05年2月3日号)
インタビューを行ったのは世界的に権威のある英国の科学雑誌『Nature』で、ここで吉井講師は火葬された標本を鑑定した経験がまったくないこと、さらにはこのサンプル自体汚染されている可能性のあることを認めている。また同誌は、「DNAは日本と朝鮮が拉致問題を巡って衝突する焦眉(しょうび)の問題」と言う表題を掲げており、このことの中に科学雑誌としての権威にかけて、鑑定結果の信憑(しんぴょう)性になみなみならぬ関心を持って臨んだことがうかがえるのである。
にもかかわらず日本では、こんな重大なことが一部のジャーナリストを除いて、マスコミからは一切報道されないという、報道管制の恐ろしい事態になっており、拉致議連などは、『Nature』の報道自体を葬ってしまおうとさえしているのである。排外主義扇動とはこのようにして作られて行くのである!
北朝鮮の行った拉致を認めることはできない。その上で、日帝が行ってきた「軍隊慰安婦」とされた女性達を始めとする膨大な数の拉致事件への反省をぬきにそれを語ることは断じて許されない! 第2次大戦に突き進んだ歴史を今度こそ繰り返してはならないのだ。
〔編集局より 同様の主旨の手紙があと2通寄せられています〕
被解雇者の先生迎えた集会で考えたこと 山梨 田村明子
2月26日、「被解雇者の会」の先生を迎えて、甲府で「日の丸・君が代」強制と教育基本法改悪に反対する集会が開催されました。
先生のお話(写真)を聞いて、印象に残ったことは、3月30日自宅のポストに投げ込まれた一片の通知で解雇を通告されて最初にしたことが、4月1日に失職して医療保険がきかなくなるということで、3月31日には病院回りをして持病の薬を入手しておくために走ったということです。
何の問題もなく再雇用が決まっていたのに、40秒間自己の良心に従って不起立をしたことに対して、解雇して路頭に迷わせる。「処分がイヤなら、良心を売れ!」という石原の悪魔のささやきは、すべての教育労働者への挑戦であり、許せません。
集会の中では、山梨で元PTAの役員の経験者で、校長などとやりあって民主的なPTA会則のために活動してきた方が、入学・卒業式の壇上で、一人で不起立を実行したとき「自分には処分が出るわけではないが、何とも言えぬ圧力を感じました」という発言がありました。私も、子どもの入学式や卒業式で、目に見えぬ圧力を感じつつ不起立をしてきたことを思い出しました。
この無言の圧力こそ、天皇制そのものだと思います。石原は、それを強制しようとしています。東京の先生方は、悩みながら人生と生活をかけて決起しています。この闘いが保護者や生徒、全国の教育労働者の心を揺り動かしています。集会に参加して、東京の闘いこそ、教育基本法・憲法改悪阻止の最前線の闘いだと感じました。私もこの闘いに連帯していきたいと思います。
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週刊『前進』(2192号6面2)(2005/04/04)
NHK番組検閲問題の核心
日放労出身 鈴木達夫弁護士語る
戦争体制に組み込まれるか
マスメディアの分岐点
番組改ざんから海老沢体制の打倒まで、一連のNHK問題が突き出す核心について、70年闘争を日放労(日本放送労働組合)長崎分会の委員長として闘いぬいた鈴木達夫弁護士に語っていただいた。(見出しは編集局)
怒り噴出するNHK労働者
海老沢会長辞任問題の中でNHK労働者の怒りが噴きだしている。これが、この問題を考えていく時の軸だと思います。
この間、NHK会長は、島桂次(89〜91)、川口幹夫(91〜97)、海老沢勝二(97〜05)と続いてきたわけですが、川口はディレクター、島と今度の海老沢は政治記者、その出身の違いも今回の問題に影響しているでしょう。
政治記者からNHK経営陣の中心に行く者には自民党の各派閥と強烈な結びつきがある場合が多い。権力の意向を反映するようなパイプが作られています。それがNHK労働者の自由な番組作り、自由な体制批判を抑圧している。
海老沢辞任問題は、「不祥事で海老沢が居直っている」、外から見るとそういうことでした。けれども日放労の決起の根底にあるのは、海老沢体制下で職場がますます息苦しくなってゆく、権力の番組作りへの圧力が強まってきた、そうした現状に対する労働者としての怒りです。
NHK労働者は、有事法制下の指定公共機関となったことに危機感を強めています。このままでは戦争協力をいや応なく強制されるという意識が海老沢会長への辞任要求という形で噴きだした。日放労が昨年の中央委員会で、全会一致で辞任要求を決定したことが大きかった。
日放労・NHK労働者の労働運動は興味深い歴史をたどっています。敗戦直後の46年に読売新聞のストに連帯して同情スト(他の労資間の労働争議を支援するためのストライキ)を行いました。街頭でみかん箱に乗って支援を訴えた。私が日放労長崎分会長だった当時でも、その時代を闘った組合員がまだ職場にいて、その経験を誇らしげに語ってくれました。
52年のいわゆる4単産批判では、総評の左翼化に反対して右で動きました。逆に70年闘争では、長崎分会を先頭に安保反対で全国ストライキを打ちました。70年闘争に決起した数少ない単産のひとつです。右に左に揺れるけれど、その時代を敏感に反映する労働組合という特徴を持っています。
今回の教育TV「女性国際戦犯法廷」の番組作りに対する介入・改ざん問題には前史があります。80年代に日本社会全体でも戦後責任が問題となっていた中で、フィリピンを始めとする軍隊慰安婦問題などに一所懸命取り組んでいく番組制作者らがNHKでも生まれていたと聞いています。同時に、この人たちの番組作りが、やはりよく分からない形で抑えつけられるということも外部に伝わってきました。
現場に怒りや危機感がたまる一方で、そういう戦争責任・戦後責任をきちんと考えてゆく番組が必要だと考える伝統は、世代を超えて継承されていったと思います。
長井さんを守った日放労
「女性国際戦犯法廷」の番組は、安倍晋三議員らによる検閲・チェックが行われ改変されました。NHK内外でこの番組制作の近くにいた人は誰でも知っている事実です。01年7月に制作に協力した市民団体が裁判を起こしましたが、裁判の中でもなかなか真実は明るみに出ませんでした。
NHKは今回、「予算の説明に行った」と弁明しました。現実には、NHK経営陣、そして番記者・政治記者たちが、「予算を通すため」と称してロビー活動をし、そこで番組内容にまで口を出されることは昔からありました。
その点から見ると、今回のあの長井さんの内部告発は非常に大きかった。長井さんとは私は一面識もないし、世代も違いますが、私は心から感動しました。NHK労働者出身として胸が熱くなりました。しかも、それは長井さんひとりの決起と言うよりは、この間の日放労の海老沢退陣要求やNHKの今のあり方に対する批判の流れの中から生み出されたと言えます。
長井さんが決起することで、番組への介入がきわめてリアルに暴かれてしまった。誰にも隠せないような形で。
たしか、長井さんの内部告発の翌日だったと思いますが、安倍議員はテレビ朝日の「報道ステーション」に出演して「北朝鮮の工作員が戦犯法廷の中心にいた」と言っている。番組への介入・検閲を北朝鮮問題にすり替えて、その片棒を担いだのが長井さんたちであると宣伝している。そして、告発を虚偽として長井攻撃に走ろうとした。そこで一挙に形勢を逆転させようとした。ところが、この時点で日放労が長井さんを擁護する立場を明らかにし、大きな壁として立ちふさがり、長井さんを守った。
今もってこの緊張は続いている。NHK労働者の防壁が崩されれば、相手は攻め込んで来ます。そしてNHK労働者の団結体である日放労を一気につぶそうとするでしょう。その点では長井さんをも含めて、NHK労働者の海老沢体制打倒と番組改ざんの内部告発が、有事体制下の闘いとして互いにかみ合っている。
有事体制下のマスメディア
朝日新聞は、NHKの番組改ざん問題で真実に近い報道をしました。これでNHK当局は海老沢問題に連続して大打撃を受けた。しかも、内部の労働者が、権力の意に従うNHKの姿勢を弾劾して立ち上がっている。
そこで、ことさら「朝日がウソを言った」とそっちに矛先を向けてきた。「NHK−朝日戦争」と言われる様相を作り出そうとした。NHKは、取材現場での発言を翻すという、ジャーナリズムとして常識外れのことをやっています。その上で「記事を書いた根拠は何か」とまでNHKは言っている。しかし、取材源秘匿の権利と義務を有するジャーナリズムにとって書いたものがすべてです。それをわかってNHKは言いがかりをつけている。
NHKの対応の背景には、明らかに自民党・権力の動きがあり、朝日というメディアと有事体制との関係で非常に大事なことが起こっている。
朝日が今の有事体制の中でマスコミとしてどこまでちゃんと報道しているのかについてはいろいろ批判も強い。しかし、この間暴露されてきたNHKの国家への癒着というか、国営放送化そのものに比べれば、まだマシだ。権力の思惑と民意との間で揺れている。9条改憲攻撃の中で一応反対を言っている朝日を、ここで一気に転向させるという戦略を権力は持つに至ったと思います。これがこのNHK問題の2番目の焦点でしょう。
日本のマスメディアが戦争態勢に全面的に組み込まれて行くのかどうかの分岐点です。ここで朝日が全面的に白旗を上げたら、歴史に残る重大事態になってしまう。
2・26事件の時は、朝日は有楽町本社の活字をひっくり返された。しかし、今度の場合には、銃剣は不要のまま屈服させられようとしている。労働者人民の改憲阻止の大運動を作り出し、攻撃を押し返してゆきましょう。
鈴木弁護士の略歴
1940年東京生まれ。50年代半ばに都立新宿高校から原水禁運動に参加し、60年安保闘争を東大生として闘う。64年NHKにディレクターとして入社し長崎放送局に赴任。教宣部長などを経て、27歳で長崎分会の委員長に選ばれる。68年1月の佐世保エンタープライズ寄港阻止闘争に分会を挙げて参加。直後、自民党機関紙の「NHK長崎、三派全学連に占拠される」というキャンペーン。東京への配転攻撃を受ける。現職の分会委員長として配転命令を拒否し、再選されて闘いぬき、最後は機動隊が局内に導入され不当逮捕される。起訴・休職となり、15年間にわたる裁判闘争を闘う。判決は罰金1万円。70年闘争では全国反戦青年委員会代表世話人。91年に弁護士登録。労働者階級の立場に立つ弁護士として闘い続けている。
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週刊『前進』(2192号6面3)(2005/04/04)
本多延嘉同志の思い出
権力の弾圧にはしゃぐ黒田を諌めたこと
小野正春
「3・14」から30年、革共同の新たな決意はすでに3・14アピール(本紙3月14日付)で提起されている。僕は本多さんの指導を受けた最古参のメンバーの一人として、個人的思い出を語ってみたい。
◇
1958年11月、大隈庭園のベンチで本多さんから革共同へのオルグを受けた。すでにブンド(共産同)からも誘いを受けていた。早稲田の共産党細胞の党員として、本多さんについてはそれなりに知っていた。共産党は早大細胞LCの本多さん、小泉さんらを除名したが、150人位いた現役党員のほとんどを失った。その内、120人位がブンドに行き、革共同は教育学部中心に10人位だった。
僕は、当時、共産党は日和見主義でどうしようもないと思っていたが、まだソ連は社会主義だと考えていた。本多さんは、ソ連の戦車にハンガリア労働者が流血の徹底抗戦をしたことの意味を熱を込めて解説した。初めて、共産党が日和見主義一般ではなく、スターリン主義であることを理解した。あのベンチでのオルグこそ、わが人生のブレークスルーであった。
そばやの二階で行われた学習会で、本多さんの天皇制ボナパルチズム論を聞き、日帝打倒の内容が理解できた。本多さんは最初のころは演説はそれほどうまくなかったが、内容のある話をする人だった。しかし、1969年に行った紀元節(建国記念日)復活を天皇制的圧制の象徴として論じた演説は、もう水際立ったものだった。「日の丸・君が代」強制との闘いを前にして、今あらためて思い出している。
◇
1960年安保闘争で、岸訪米阻止の1・16羽田空港占拠闘争が行われた。中に立てこもったメンバーが引きずり出され、公安刑事が一人ずつ逮捕かどうかを選別した。革共同は教育学部自治会委員長ほか1人の逮捕で、僕などは外へ投げ出された。主流派のブンドに弾圧が集中して空前の大量逮捕者が出た。
この直後だったから1月末か、2月初めの革共同早大支部会議の席上だったと思う。本多さんから初めて黒田寛一への批判の言葉を聞いた。会議の始まる前に、黒田が「これでブンドはつぶれる」と大はしゃぎしたのを諫(いさ)めたとしぶい顔で伝えたが、会議の議題にはしなかった。
1962年大管法闘争で東大銀杏並木に8000人の学生が大結集し、闘争は勝利した(10・31の社学同や社青同との大統一行動)。しかし、この後に「銀杏並木集会は正しかったか」という黒田の指図によるビラが早大や東工大でまかれ、中核派とカクマル派の分裂の発端となった。
全学連書記局は委員長の根本も含め社学同との統一戦線を追求し、それが成功したことを確認し、その旨のビラを翌日、各大学にまいたのだが、それに対する逆流だった。黒田はこの統一行動を社学同に対する屈服ととらえ、黒田屋敷に呼びつけた根本に非組織的行動を行わせたのだ。
黒田には他党派と協力して運動全体を発展させる観点などはまったくなく、統一戦線とは相手をつぶすためのものであった。
◇
黒田・カクマルは本多書記長暗殺を狙い、74年1月に破防法弁護団会議を襲撃したが、果たさなかった。そして改めて翌年の「3・14」反革命に及び、目的意識的な虐殺を凶行した。あれから30年、われわれは片時もカクマルに対する復讐の決意を忘れたことはない。本多さんの教えを胸に刻み、黒田・カクマルを絶対に打倒することを改めて誓うものである。
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週刊『前進』(2192号6面4)(2005/04/04)
投稿 「北朝鮮経済制裁」論に強く反対する
新潟 丸山 宏
戦争の一手段
昨年12月、小泉内閣が「横田めぐみさんの遺骨は偽物」との鑑定結果を発表して以来、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)への経済制裁発動を求める排外主義がなお一層吹き荒れている。昨年の改正外為法の成立、特定船舶入港禁止法に続き、3月1日には改正油濁損害賠償保障法が施行され、北朝鮮籍船舶の入港制限が強まっている。
そして経済制裁を求める排外主義が、同時に在日朝鮮人民への襲撃・脅迫として迫っている。現在の状況を在日朝鮮人は「関東大震災時に朝鮮人が大量虐殺された。今はその前夜」と語っている。実際、カミソリ入りの封書が送られたり、脅迫まがいの文書・写真が送られるなど、在日朝鮮人民は身体や生命の危険を感じながら日常生活を送っているのである。私たちは「支援・連帯・防衛」を掲げ、70年以来入管闘争を闘ってきたが、その真価が問われる情勢だ。
昨年12月以降、全国一斉に「経済制裁を求める意見書」の議会提出−採択が行われている。新潟県議会では、12月9日「即刻経済制裁を求める意見書」が採択された。県議60人中52人が賛成し、自民、公明、民主、JR総連出身のカクマル系県議2人も賛成した。社民、共産両党は反対したが、「即時経済制裁」には反対だが、経済制裁そのものには反対ではない。
経済制裁発動の世論が毎日のようにマスコミで洪水のように流され、労働者人民を「洗脳」しているようだ。テレビのワイドショーでは連日のように、北朝鮮関係のゴシップが取り上げられ、排外主義の火に油を注いでいる。「拉致問題の解決のために」と言って、「救う会」は北朝鮮産のアサリの不買運動を提唱している。「救う会」代表の佐藤勝巳は、経済制裁として貿易の全面停止、船舶の入港禁止、在日の渡航全面禁止、朝鮮総連への破防法適用まで主張している。
経済制裁が平和的手段だという認識を払拭(ふっしょく)しなければならない。経済制裁は戦争の一手段であり、武力行使の前段階、別な形態である。
財界のシンクタンク「日本国際問題研究所」のレポートは、「ある国を対象に、その経済や政治、軍事の面での行動を変更させるために適用される非軍事的な措置であり、主に経済分野における(しかし政治・軍事の分野も含む)ペナルティー」と定義している。
また、国連憲章で経済制裁は〈第6章 紛争の平和的解決〉ではなく、〈第7章 平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動〉に含まれる。
経済制裁は直接的には労働者人民、特に子どもたちに重大な影響を与える。
経済制裁推進派の急先鋒(きゅうせんぽう)重村智計早大教授は、「年単位の時間がかかることも覚悟し、『待つ』必要がある」と主張している。長期にわたる経済制裁の影響は、経済弱者に最も犠牲が集中するのである。飢餓や貧困、病気の多発、医薬品の不足、医療設備の不備など…、91年以降のイラクへの経済制裁の犠牲者は、国連の報告でさえ約160万人が死亡した。うち子どもの死亡数が50万人に達するという。しかし、病気と死亡の因果関係が証明できない場合も多く、統計上の被害は氷山の一角だ。
米日の戦争準備
経済制裁に反対する学者・文化人の反論の多くも、「中国、韓国の協力を得られなければ実効性がない」というものである。だが問題は、経済制裁が有効かどうかではない。米・日帝国主義が共同して、北朝鮮侵略戦争を狙っていることが核心なのだ。「拉致」も核もミサイルも、そのための口実にされている。
ブッシュは大統領就任演説で「圧制の拠点」として北朝鮮を名指し、米軍再編による在日米軍強化を進めている。日帝・小泉政権も有事法整備、ミサイル防衛への積極参加など、日米共同して戦争体制づくりを着々と進めている。
もちろん北朝鮮スターリン主義の拉致問題も核武装政策も、きわめて反労働者的、反人民的である。
しかし、米日帝のすさまじい軍事重圧を語らずに、北朝鮮の核、ミサイル問題だけを取り上げるのは本末転倒である。それは帝国主義者と一緒になって「北朝鮮脅威論」「中国脅威論」をあおることになる。
強硬派の自民党幹事長代理・安倍晋三らは、「拉致問題の解決のため」に経済制裁を持ち出しているのではない。経済制裁を行っても金正日政権が折れない、事態が進行しないという既成事実がほしいのである。北朝鮮への排外主義をドンドンあおり、「戦争やむなし」の世論形成のテコに使おうとしているのだ。現に、石原都知事は「北朝鮮と戦争してでも拉致被害者を取り戻せ」(03年11月)と本音を発言している。経済制裁派の中心は、北朝鮮への侵略戦争を狙っている連中なのである。
朝鮮人民と連帯
米日帝による朝鮮侵略戦争の切迫に対して、われわれはいかに闘うのか。
朝鮮半島の平和は、南北朝鮮人民による革命的統一=朝鮮プロレタリア革命の実現によってしか築けない。「日朝国交正常化で解決される」というのは幻想にすぎない。南北朝鮮の革命的統一は、帝国主義による北朝鮮の体制転覆によってではなく、南北朝鮮人民と在日朝鮮人民自身の手によってこそかちとれる。
石原・安倍ら極右ファシスト勢力の台頭を許さず、南北朝鮮人民による革命的統一の闘いを断固支持し、米日帝国主義の北朝鮮(−中国)侵略戦争を阻止するために全力で闘おう。具体的には04年ついに日本労働者階級がつくりだした国際連帯のすばらしい闘いである、11月労働者集会を大きく発展させることである。日米韓三国の労働者の国際連帯闘争を、質量ともに大きく発展させることが、米日帝国主義への最大の打撃となるのだ。日本における階級的労働運動を大きく発展させ、帝国主義戦争を内乱に転化する「砦(とりで)」を強化しよう。
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