ZENSHIN 2005/03/21(No2190
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週刊『前進』(2190号1面1)(2005/03/21)
「日の丸・君が代」闘争の爆発の力を 3・20日比谷野音へ
動労千葉のスト決起を先頭に戦時下の春闘の戦闘的高揚を
郵政民営化・教基法改悪を阻もう
学生が都教委包囲デモ
「日の丸・君が代」強制をやめろと50人が決起(3月10日 新宿・都庁前)
世界の階級闘争は激動を深めている。米英日の帝国主義枢軸によるイラク侵略戦争は絶望的に凶暴化している。だが一方、これと闘うイラク・ムスリム人民の民族解放闘争は、帝国主義侵略軍とイラクのカイライ軍に巨大な打撃を与え、米英日帝国主義を日一日と泥沼的な危機に引きずり込んでいる。この闘いと固く連帯し、イラク開戦から2周年の3・20闘争を、イラクから米英日と全外国軍隊の即時撤兵を求める全世界的な大統一行動として闘おう。日比谷野音を埋め尽くす万余の大結集をかちとろう。「日の丸・君が代」不起立を闘う教育労働者、3月ストライキ闘争を闘う動労千葉と固く連帯し、05春闘を戦闘的に闘いとろう。
第1章 石原=山田打倒を
全国の高校の卒業式で「日の丸・君が代」闘争が爆発している。東京では被処分者が今年も不起立を貫いた高校で、在校生のほぼ全員が校長と都教委あいさつに不起立で抵抗の意志を示したという。大阪では万を超える規模で教育労働者と生徒の不起立が闘われた。広島でも神奈川でも、全国各地でさまざまな抵抗闘争が爆発している。そしてこれと連帯して、労働者市民による支援のビラまき、校長申し入れ、分会激励が取り組まれている。こうして「日の丸・君が代」闘争は今や階級闘争の一大激突点に押し上げられた。
これに対して警視庁は、卒業式当日のビラまきで二つの高校で3人を逮捕する暴挙に出た。戦時下のとんでもない言論弾圧であり、小泉政権とファシスト石原・都教委がこの闘いをどれほど恐れているかを示している。抗議行動が直ちに取り組まれ、3人は1〜2日で奪還された。理不尽きわまる戦時下の大弾圧も、大衆的反撃によって必ず粉砕できることを示した。
「東京から日本を変える」と言い放つファシスト石原・都教委の03年10・23通達は、処分の恫喝をもって「日の丸に敬礼し、君が代を直立不動で斉唱せよ」と強制する大攻撃だ。その狙いは、教育労働者と生徒の主体性を破壊し、国家権力の言いなりになって戦争に行く人間を大量につくり出し、争闘戦と侵略戦争に動員することにある。
石原は、若者が無気力で画一的なのは「60年間戦争がなかったから」「勝つ高揚感を一番感じるのは、スポーツなどではなく戦争だ」などと平然と言い放つファシストだ(週刊ポスト1月14・21日合併号)。石原はこのような発言を繰り返すことで、侵略戦争をどんどん拡大せよ、イラク・中東人民、アジア人民を虐殺せよとあおっているのだ。
また石原の先兵=山田杉並区長は「特攻隊」讃美発言、「大東亜戦争は自衛戦争」発言に続き、3月7日の区議会で中国侵略戦争(日中戦争)は「シナ側からの発砲で始まった」と答弁し、侵略戦争を居直り正当化する暴論を三たび繰り返した。この石原と山田をくし刺しにして絶対に打倒しなければならない。
日教組中央―都高教本部は石原・都教委の処分恫喝に恐れをなし、10・23通達に対して都高教の存亡をかけて闘うべき時に「職務命令が出たら引く」という屈服方針を出して組合員を攻撃にさらしている。これに対して、闘う教育労働者は「今、闘わないでいつ闘うのか」と、職をかけ人生をかけて闘っている。
それは「戦争協力拒否」闘争そのものである。この闘いこそ、労働者階級の未来を切り開く。また、生徒・子どもたちに、人間的誇りと主体性、勇気をもってこの時代を生きるべきことを、労働者自らの身をもって示す闘いである。
労働運動が帝国主義の攻撃に屈服して自滅するのか、それとも階級的団結を守り抜き、帝国主義の危機をはっきりと見据えて反転攻勢に転ずるのか――勝負の時だ。教育労働者はさらに卒入学式闘争を闘おう。国鉄分割・民営化攻撃にストライキで闘い、勝利してきた動労千葉の闘いから学び、それに続こう。
第2章 3・20闘争の意義
3・20全世界一斉の国際反戦闘争に決起しよう。陸・海・空・港湾労組20団体の呼びかけにこたえ職場・地域・キャンパスから大結集運動を巻き起こそう。
3・20闘争は第一に、米英日のイラク侵略戦争−世界戦争への突進と全面対決する国際連帯闘争である。ブッシュは1月の大統領就任演説で「全世界で圧制に終止符を打つ」「世界に自由を拡大する」と語った。これこそ帝国主義の侵略戦争のイデオロギーである。「圧制の打破」「自由の拡大」を掲げて、米帝ブッシュはイラク侵略戦争の中東全域―全世界への拡大を狙っている。歴史的な没落を深めるアメリカ帝国主義は、他帝国主義を圧倒する軍事力を争闘戦の武器として駆使し、全世界を戦争にたたき込むことでEU(欧州連合)や日本帝国主義との争闘戦に勝ちぬこうとしているのである。
今こそ闘うイラク・ムスリム人民と連帯し、世界の労働者階級と連帯して決起しよう。
3・20闘争は第二に、日帝の戦争国家への大転換、その中心環としての改憲・教育基本法改悪と対決する闘いである。
今年は敗戦から60年の節目の年である。この時、小泉政権は、敗戦後の日本が二度と戦争を繰り返さないと誓ってつくったはずの法律や戦後制度(憲法・教基法・労働法制や赤字国債禁止、地方自治制度など)を「小泉改革」と称して次々と破壊し、猛スピードで戦争の道を突き進んでいる。
2月にワシントンで開かれた日米安保協議委員会(2プラス2)は、「圧制の打破」と称するブッシュの世界戦争路線を、日帝が自らの戦略目標とすることで合意した。
4月に自民党が改憲草案を出そうとしている。今国会で改憲への重大な踏み出しとして国民投票法の制定が狙われている。こうした攻撃と対決し、3・20闘争に立とう。
また、北朝鮮―中国侵略戦争のための米軍再編(トランスフォーメーション)と対決し、沖縄・辺野古への米軍新基地建設粉砕、米陸軍第1軍団司令部の座間基地移転阻止へ闘おう。
3・20闘争は第三に、05春闘と一体の闘いであり、小泉=奥田の戦争・民営化(労組破壊)攻撃と対決し、階級的労働運動の前進をかちとる闘いである。
動労千葉は15日から安全運転闘争を、17日から72時間ストライキを闘う方針を決定した。千葉ではこの間、重大事故につながるレール破断が1カ月間に4回も立て続けに発生した。動労千葉のストライキ闘争はこのようなJR資本の安全無視の極限的なリストラに対して、運転保安確立を求める正義の闘いである。
同時に、動労千葉はストライキ闘争を、@教育労働者の不起立闘争と連帯し、A3・20反戦闘争に階級的心棒を打ち立て、B国鉄1047名の解雇撤回闘争の勝利をかけて闘いとろうとしている。
動労千葉のストライキ支援・連帯に立とう。3・20闘争を05春闘勝利、労働者総決起の日としよう。
第3章 関西生コン支部への第2次弾圧粉砕せよ
05―07年政治過程は、戦後60年を経て再び到来した重大な階級決戦の時である。日帝はイラク派兵をもって「新たな15年戦争」に踏み込んだ。そのことは同時に、日本帝国主義を打倒するプロレタリア革命が階級闘争の具体的・直接的な課題になったことをも意味する。
実際、日帝は未曽有(みぞう)の危機を深めている。1月に出された日本経団連の提言「わが国の基本問題を考える」は、「国益の最優先」を掲げ、戦後社会のあり方を戦争に向かって根本的につくり変える方向を打ち出した。「国益最優先」とは、トヨタなど一握りの金融独占ブルジョアジーの階級的利益を一切に優先するということであり、そのために首切り・賃下げ、雇用破壊、社会保障解体・大増税などあらゆる負担を労働者人民に押しつける大攻撃である。
だが、裏を返せば日本経団連「提言」は同時に、帝国主義間争闘戦への国家総力戦的な体制がいまだつくり出せていないことへの支配階級の悲鳴である。提言は「『一国平和主義』といわれる無責任な主張が通用」し、「公(おおやけ)を担う気概が失われている」と、危機感をあらわにしている。
日帝の戦争国家づくりを阻んできた最大の要因は、労働者階級の団結の力であり、反戦闘争の蓄積である。だからこそ日帝は、戦後労働運動の成果を最も強く残し、階級的戦闘能力をなお保持している官公労系労働者の労組的団結を全面的に破壊しようと、4大産別(教労、全逓、自治労、国鉄)への攻撃を強めているのである。
かつてドイツでナチスが権力をとるや否やまず第一に労働組合を一掃・絶滅する攻撃を行ったように、日帝・小泉政権は、国際争闘戦とその極致としての帝国主義戦争に突き進む上で、その最大の抵抗主体である階級的な労働運動を解体・一掃し、労働者階級の戦闘能力を奪い去ろうとしているのだ。
ここに4大産別決戦の決戦性は明らかだ。組合中央がどんなに屈服していようとも、現場組合員の中には戦争・民営化への怒りが渦巻いている。今こそ昨年の11・7労働者集会の地平を引き継ぎ、「ランク&ファイル(現場組合員)」の運動を巻き起こし、労働組合を下からつくり変え、4大産別にかけられた攻撃を粉砕しよう。
国家権力のあらゆる弾圧を粉砕して階級的労働運動の思想と実践が全国潮流として根を張り、その先頭に革命党が立って闘い続ける時、戦争に突き進む帝国主義の危機をプロレタリア革命の勝利に転化する好機・情勢が必ず成熟する。そうした革命的展望をもって労働組合権力の獲得に挑戦し、連合御用幹部の労働組合支配を打ち破り、職場に闘いの旗を打ち立てよう。
郵政民営化法案、国民投票法案、メディア規制法案(人権擁護法案)の今国会提出―制定策動を絶対阻止しよう。
全日建運輸連帯労組関西生コン支部に第2次弾圧が加えられ、武建一委員長以下4人が逮捕・再逮捕された。闘う労働組合への戦時下の大弾圧を打ち破れ。労組破壊を狙う共謀罪の新設を絶対に阻止しよう。
ファシスト石原打倒を掲げ、6月都議選で都政を革新する会の長谷川英憲氏(杉並区)の当選をかちとろう。3・27三里塚闘争に全国から総結集しよう。
機関紙拡大闘争は、革命党建設の基軸をなす闘いである。労働者階級の闘いの勝利にとってプロレタリア革命の思想と実践、そのための組織(革命党)が必要であること、革共同とともに闘うことを訴え、『前進』の定期購読者の拡大をかちとろう。
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週刊『前進』(2190号1面2)(2005/03/21)
都立高卒業式 ビラ配りで3人を逮捕 怒りの反撃で直ちに奪還
校長の通報と被害届で逮捕
3月4日、東京都町田市の都立野津田高校の門前で、卒業式の朝、労働者2人が「日の丸・君が代」強制反対のビラを配っていたところ、まったく許せないことに校長が警察に連絡し、AさんとBさんが「建造物侵入」なるデッチあげで警察に不当逮捕された。
さらに8日にも、葛飾区の都立農産高校の門前で卒業式の朝、ビラを配っていたCさんが校長の通報で逮捕された。
憲法21条が保障する「表現の自由」をも公然と踏みにじる、許すことのできない政治弾圧である。いずれの場合も「建造物侵入」にはまったくあたらないのに、警察は警告もなしに暴力的に車の中に引きずり込み、後から「建造物侵入」をデッチあげて逮捕した。
直ちに反撃の闘いが大衆的に取り組まれた。そして間髪入れぬ抗議行動によって3人を奪還した。
野津田高校の弾圧では、東京地裁八王子支部が東京地検の勾留請求を却下し、検察の準抗告も棄却して、6日にAさんとBさんは釈放された。商業新聞は釈放を大きく報道し、「逮捕に改めて疑問呈す」(朝日)と解説した。
農産高校の弾圧では、検察も勾留を請求できず、逮捕翌日の9日にCさんの釈放をかちとった。「日の丸・君が代」弾圧を打ち破る決定的な勝利だ。
弾圧をはね返し、教育労働者の決起と連帯して、各地各校で卒業式当日の門前闘争が燃え上がっている。
野津田高校と町田署に抗議
3月5日、AさんとBさんの不当逮捕に抗議し即時釈放を求める行動が、野津田高校と町田警察署に対して行われた。緊急にもかかわらず、百万人署名運動三多摩連絡会の西山勲事務局長、都政を革新する会の長谷川英憲代表、結柴誠一杉並区議、西村綾子相模原市議ら、不当な弾圧に怒る40人の人びとが参加した。
午前10時すぎ、野津田高校に行き、応対した副校長に事情説明を要求した。副校長は恥知らずにも「私が警察に連絡しました」「校長が警察に被害届を出しました」などと言う。
抗議団の怒りが爆発した。「被害とはなんだ!」「予備校のビラまきでも警察に通報するのか」「甚だしい言論弾圧、人権侵害だ」「それでもあなたは教育者か!」と声をあげた。
参加者全員の要求として「被害届」を直ちに撤回するよう強く要請した。
続いて町田警察署に行った。署の中に全員で入ろうとすると、町田署は「中に入れない」と拒否してきた。しばらくして中から顔を出したのは、なんと警視庁本庁所属の公安刑事だ。この弾圧が、警視庁公安が指揮する「日の丸・君が代」闘争つぶしの政治弾圧であることをはっきりと示すものだ。
署の玄関先で西山さんと長谷川さんが要請書を読み上げ始めた。すると、多数の警官が中から出てきて抗議団を歩道まで押し出そうとした。抗議行動に警察は震え上がっているのだ。「不当逮捕を許さないぞ!」「今すぐ釈放しろ!」とシュプレヒコールをたたきつけ、勾留されている仲間を励ました。
抗議行動後、町田駅前でビラをまき、市民に警察の暴挙を暴露、「戦時下の弾圧を許さず、戦争協力拒否を闘おう」と呼びかけた。
8日には、釈放されたAさん、Bさんらが都教委に抗議と申し入れを行い、都庁で記者会見した。
農産高校校長を厳しく追及
農産高校で逮捕されたCさんの釈放を求めて9日、東京東部労組交流センターと百万人署名運動東部連絡会の労働者・葛飾区民ら20人が亀有警察署と農産高校校長らに対する抗議・弾劾行動に立ち上がった。
朝8時前、農産高校正門前でデッチあげ不当逮捕への抗議ビラを配り始めると、5分もたたないうちに副校長が正門に現れ、なんと、公然と警察に弾圧要請の電話をかけた。労働者たちの怒りは倍になった。
10分もしないうちにパトカーがサイレンを鳴らして飛んできた。正門とその周りを40人の私服・制服警官が制圧し、ビラまきを妨害する。だが、20人は8時半すぎまでビラまきを貫徹した。教職員や生徒たちは、ビラを次々と受け取り、読みながら登校していった。
9時すぎ、20人と弁護士は農産高校校長との話し合いに向かった。間に立った副校長は公然と警察官を校舎内に招き入れ、威圧しようとした。石原都政のもとで警察の学校支配は驚くべきレベルまで進んでいる。
労組交流センターの労働者と弁護士が1時間、校長を追及した。校長は8日、「被害届」を出し、のべ5時間半にわたって事情聴取を受け、供述調書を取らせた上、慰労会の送り迎えまで警察にしてもらったということが分かった。
校長は、追い詰められて「すぐに釈放してもらいたいと思う」などと調子のいいことを言いながら、「被害届」の取り下げを拒否し警察の弾圧を容認した。
翌10日には、釈放されたCさんが弁護士会館で記者会見を行い、不当逮捕を徹底弾劾した。
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週刊『前進』(2190号2面1)(2005/03/21)
動労千葉 3・17〜19春闘ストに立つ
反合・運転保安、組織拡大の実現へ
田中康宏 動労千葉委員長に聞く
動労千葉は、大幅賃上げなどの要求を掲げて3月17〜19日にストライキを配置し、05春闘に総決起している。15日から安全運転闘争に突入し、17日午後2時から千葉市文化センターで総決起集会を開催する。動労千葉は05春闘を、@反戦―国際連帯春闘、A教育基本法―憲法改悪阻止、小泉内閣打倒春闘、B反民営化―小泉・奥田路線粉砕春闘、C反合・運転保安確立、1047名闘争勝利、JR体制打倒、組織拡大春闘――と位置づけている。田中康宏委員長に今春闘をめぐる情勢と課題についてうかがった。小泉=奥田体制による戦争と民営化(労組破壊)の攻撃を打ち破るために、ともに05春闘に総決起しよう。(インタビュー・構成/大沢 康)
戦後史の分岐の年未来かけた決戦を
――05春闘を闘うにあたって、情勢についてどのように見ていますか。
戦後の歴史の大きな分岐点が05年です。敵の攻撃が激しく、労働者の反乱の兆しもいたるところにあります。このせめぎ合いで労働者の未来が決まります。
05春闘をめぐる情勢を一言で言えば、全部を総決算するということです。憲法も教育基本法も労働基準法も、そしてJR体制も総決算する形で激しく動き出しています。05年は戦後60年です。07年が憲法施行60年で、教育基本法や労働基準法が制定されてから60年です。小泉政権は、この3年間で憲法を改悪するために動き出しています。
現にイラクに自衛隊が派兵され、しかもそれが延長されている情勢の中で、1月に出された日本経団連の「わが国の基本問題を考える」と「これからの教育の方向性に関する提言」は二つにして一つのものです。財界の側は今までの制限を完全に取り払って、しゃにむに突き進み始めたということです。憲法9条を変えることが焦点で、日本が本当の意味で戦争をする国になる。現に、日米安全保障協議委員会(2プラス2)では、日米安保をグローバルに責任をとるものにすることを確認しています。米軍と自衛隊が一体となって世界中で戦争の牙(きば)をむくということです。
その前に「経営労働政策委員会報告」が出されています。経団連は、ベアをなくすだけでなく、定昇の廃止を公然と掲げました。奥田は「攻めのリストラにシフトする」と言っています。労働者を保護する法制、つまり企業を規制する一切の法律を撤廃しろと言い始めた。“企業に一切の自由を与えよ。労働者を切り殺す自由を与えよ”ということです。労働基準法などは「工場法の時代の遺制」に過ぎないとまで言っています。工場法は1911年(明治44年)、「女工哀史」の時代につくられた法律で、それ以前に戻せということです。その焦点を労働時間法制と労働契約法制の抜本改革に据えました。つまり、8時間労働制をつぶせということです。
もう一点、“民間にゆだねることができるものは徹底的に民間にするという原則を徹底しろ”と言っている。つまり大民営化攻撃です。通常国会では郵政民営化法案に加えて、市場化テスト法案が提出されます。市場化とは民営化です。やり玉に上がっているのは社会保険庁、公共職業安定所の業務、それと刑務所です。地方自治体のあらゆる業務も対象になる。規制改革・民間開放3カ年計画で、これも05年から07年に労働者に襲いかかります。
民営化とは、われわれ自身が国鉄分割・民営化を経験しているから分かりますが、労働者の雇用、賃金を奪い、首を切り、労働組合を破壊する攻撃です。そして労働者を非正規雇用に突き落とすものです。
帝国主義の危機が背景に
こういう「戦争と民営化」の背景にあるのは、日本もアメリカも、資本を野放しにし弱肉強食にして、世界中に戦争をしかけ、労働者を虫けらのごとく犠牲にする以外にのりきることができない帝国主義の危機です。今、日本の生活保護世帯が100万世帯、140万人です。100人に1人以上が生活保護で生きるしかない。しかも、その生活保護が社会保障制度解体攻撃の対象になっていて、もう労働者を食わせていくことはできないと敵の側は宣言しています。これは支配者としては失格であって、もう何の責任もとらないということです。
こういう情勢を本当に真正面から見据えることからしか、これに対抗する闘いの戦略や方針や路線は出てこない。労働者がこの現実に真正面から怒りを爆発させるべきですが、そうなっていないのは、労働組合の幹部が腐っているからです。この関係を打ち破ることに努力を集中すれば事態は動くと、ものすごく感じていますね。
労働運動の現状を変革する結節点に
この間、「労働組合」と「教育」と「報道」の三つが攻防の焦点で、ここに全面的な攻撃が来ている。それに加えて、治安弾圧が激化しています。
教育労働者の「日の丸・君が代」闘争は、その攻撃の核心を撃っているわけですね。戦争は学校から始まる。これに対して立ち上がった。だから、昨年の東京の二百数十人の決起が情勢を動かした。今年も卒業式での決起が始まりました。しかも、都高教などの組合幹部の屈服を突いて立ち上がっている。二重の意味で核心を突く闘いであることが、全国に波紋を広げたと思います。この闘いが教基法改悪や憲法改悪を粉砕する展望を示しています。そういう芽がいたるところで出ている。
3・20国際反戦統一行動も大きな可能性を持っています。今年の3・20闘争の特徴は、分岐が起きたことです。3・19集会をやるワールド・ピース・ナウは、イラク反戦は掲げるけれど憲法改悪反対のスローガンは掲げない。そんな主張は成り立たない。今の攻撃に対する屈服の表れです。平和フォーラムの自治労や日教組も3・19です。
自治労は旧総評系の中で改憲勢力化しています。連合の笹森会長が去年の自治労大会で「9条2項の改正」に言及したのは根拠のあることです。「日の丸・君が代」闘争の焦点になっている日教組や、全逓とともに民営化の焦点になっている自治労で、下から反乱が起きている。ここでも分岐が起きている。
そういう中で、われわれが陸・海・空・港湾労組20団体と団結し、それを下から支えて、3・20日比谷野音の集会を爆発的に成功させることが、春闘のひとつの焦点です。3・20に連合傘下の労組からの結集をかちとることが、今の情勢を打開する決定的な位置を持ちます。
動労千葉としては、去年の11・7集会で実現した国際連帯闘争の地平を受け継いで発展させる闘いとして、3・20への結集を構えたいと思います。今年の11月集会の爆発的な成功のステップにする。日本の労働運動のあり方を変える力をわれわれが持つ、非常に重要な結節点の闘いだと考えています。
――その中での国鉄闘争をめぐる攻防ですね。
そうです。JRにおける情勢も全体の情勢と一体のものだと見なければいけません。05春闘は「国鉄改革の総決算」という、嵐のように職場に激変をもたらす情勢と対決する春闘です。
国鉄改革の総決算情勢下での05春闘
07年が国鉄分割・民営化20周年です。国土交通省は「国鉄改革」の検証・総決算をするための人事配置をしたと言われています。その動きは、「JR東日本と国労との和解」という形で始まっています。昨年9月に配属差別事件について一括和解し、昇進差別事件も今年6月までに和解する動きが進んでいます。これをどう見るかです。
やはり、1047名闘争に終止符を打つということだと思います。国労西日本エリア本部委員長の上村が「1047名問題は20年までには絶対に結末をつける」と発言しているとおり、この3年間が国鉄分割・民営化以来20年にわたる闘いの文字どおり正念場になったということです。
それと、国鉄分割・民営化―JR体制が、安全問題にしても、カクマルとの結託体制という労務政策でも根本的に破綻(はたん)したということです。JR体制の矛盾です。
この二つの面から見なければいけないと思います。
動労千葉にとっては、今年が分割・民営化反対の第1波ストから20年ですから、20年を経て、本当に組織を挙げた勝負の時が来たと考えています。
――動労千葉は去年の闘いの成果として原職復帰を実現していますね。
2月末にも幕張電車区に3人が戻り、全部で12人です。こういう情勢を迎えるにあたって、僕らはいい勝負をしてきました。
そもそも、国鉄分割・民営化に反対して首をかけ2波のストライキを打って闘ったことが、結局、国鉄分割・民営化に決着をつけさせなかった。このストライキなしに、1047名闘争も存在しなかった。教基法改悪も、郵政を始めとした大民営化攻撃も遅らせてきた。憲法改悪もそうです。当時から、国鉄改革の次は教育改革だと言われ、中曽根は「お座敷をきれいにして立派な憲法を安置する」と言っていたわけです。
この「国鉄改革」を総決算する動きは、大枠としては4年ほど前から始まっています。その具体的な現れがJR東日本のニューフロンティア21などの大リストラ計画です。これを第2の分割・民営化攻撃だと位置づけて、以降4年間、業務の全面的な外注化を阻止し、組織の総力を挙げた闘いを展開してきました。
この過程で、4党合意で1047名問題に終止符を打とうということも起きた。東労組のカクマルは、いつ切り捨てられるかという危機感の中で分裂した。
ですから、この4年間の闘いが第2の分割・民営化攻撃の核心を打ち砕いて勝利したと考えています。
国労との和解という問題は、もちろん国労を尊重する労務政策ではなく、国労も動労千葉もつぶす、1047名闘争もつぶす、同時にカクマルも整理するということです。ですから動労千葉としては、この状況を甘く見てはいません。
問題は、闘う側の構えです。国労本部や革同の動きはひどい。だけど、現場には頑張っている組合員がいる。和解の行き着く先は、連合、JR連合と一体化していくことですけれど、この20年間、歯を食いしばって頑張ってきた組合員はそれをよしとしない。だから簡単に決着はつかない。
1047名は団結し闘おう
――動労千葉も鉄建公団訴訟を起こしましたね。
この鉄建公団訴訟は、闘いの武器を握ったということです。その武器を使う労働者の団結をつくることが大事ですから、国労、全動労(建交労)、動労千葉の三つの闘争団・争議団が本当に固く団結する状況をつくらなければいけません。全労連の幹事会が建交労の鉄建公団訴訟方針について「全労連国鉄闘争本部の基本方針と異なる」と非難し、支援しないことを確認するような、労働運動の常識では考えられないような対応をしていることも、この総決算情勢の中で起きていることです。
1047名の当事者が、国鉄闘争の持っている位置をあらためて見据えなければいけない。教基法改悪から改憲、大民営化と闘う最前線が1047名闘争です。労働者が今の労働運動の否定的な現状を打破して、連合や全労連をのりこえて階級的団結を固めて反撃に立つ、そのキーポイントを1047名闘争が握っている。こうした攻防の焦点を双肩に担う腹づもりと決意で、全国に連帯の輪を広げていくことが、1047名闘争勝利、解雇撤回を実現する最短の道です。
鉄建公団との和解を主張する人たちがいますけれど、これは絶対に間違いです。JRと本気で闘うことが1047名の解雇撤回のためにも決定的になったということです。
戦争と大民営化に対決し団結力示す
――そういう中での05春闘ですね。
05春闘の課題は、まず、戦争と民営化という情勢と真正面から対決して、労働運動の再生を求める春闘です。本来であれば、憲法改悪の動きに対してゼネストを組織しなければいけない情勢ですよね。小泉や奥田を打倒する闘いであるべきです。国際連帯も重要です。戦争と民営化という帝国主義の共通の攻撃に対してわき起こる全世界の闘いと連帯して闘うことにこそ勝利の展望があります。
その上で、具体的な課題としては、大幅賃上げ獲得を絶対に掲げ続け、賃金制度の抜本的な改悪を絶対阻止する闘いとして構えたい。賃金制度の改悪は、労働者の団結の根幹を打ち砕く攻撃ですから、それが第一の要求になります。
第二に、反合・運転保安闘争です。2月13日に総武快速線でレールが折れ、2月27日には鹿島線でレールが折れて、成田線の滑河駅で3月3日にレールのつなぎ板のボルトが折れて脱落。3月5日にまた総武快速線でレールが折れました。非常事態です。去年も同じことが起きて、われわれが闘争を構えて、総点検をやらせた。だけど、1年を経て同じことが起きている。これは保線業務の丸投げ的な外注化が原因であり、民営化の矛盾です。徹底的に追及します。また、労働者の生理的な限界を超えた労働強化が運転士にのしかかっている問題を焦点にします。
第三に、強制配転者の復帰問題について、去年の成果を受け継いで、次の風穴を開けることです。特に予科生の運転士発令を絶対にかちとりたい。それと動労千葉組合員を再雇用から排除するシニア制度を撤廃させ、定年延長を求める闘いです。国労と配属差別事件や昇進差別事件で和解することは、これまで差別していたことを認めることだから、敵にとっては弱点です。ここを攻める闘いをやることで、「国鉄改革の総決算」情勢に立ち向かうということです。
第四に、職場からのストを含む闘いで1047名闘争の勝利の展望を切り開くことです。国労闘争団を始め、1047名の争議団全部に身をもって訴えたい。
このような具体的な要求課題を掲げて、3月15日〜19日に安全運転闘争を行い、17〜19日にストライキを配置して闘います。
こうした課題を実現するためにも、動労千葉としては組織拡大に本当に全力を挙げて取り組んでいるところです。組織拡大を実現すること以外に、国鉄分割・民営化の総決算情勢に決着をつけ、JR体制を打倒する道はないと考えています。そのためにも、職場闘争を闘うということです。
労働者の反撃のチャンスだ
――全国の労働者への訴えをお願いします。
今、労働者は一方的に嵐にさらされている現実にあるわけですけれど、その労働者が持っている力、持っている可能性は本当に大きいということを訴えたいですね。労働者が団結した時に持っている力はどれほど大きいのかを労働者自身がまだ自覚していない。むしろ、腐りきった幹部たちによって、そういう可能性が押しとどめられてしまっている。こんな現状を打ち破って、本当に団結して、戦争を止める力も、大民営化攻撃を止める力も、この間の雇用、賃金、社会保障制度など生きる権利をすべて奪われるような現状を変える力も、われわれ労働者自身が本来持っているという感覚を取り戻そうということです。
それで、今の労働組合のあり方の変革をかちとる。それができれば、敵の攻撃とわれわれは十分勝負できる。今、支配階級がもう労働者を支配することもできなくなるほどの危機を深めている。だから、今が本当にチャンスです。ともに05春闘を闘おうと訴えたいと思います。この1年間が本当に勝負ですね。
――どうもありがとうございました。
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週刊『前進』(2190号2面2)(2005/03/21)
関生への第2次弾圧許すな 全労働者の力で粉砕しよう
3月9日早朝から、大阪府警は全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部の会館など8カ所の不当捜索を強行するとともに、関西生コン支部の武建一委員長ら2人の執行委員を再逮捕し、新たに2人の執行委員を逮捕した。これで、合計6人の執行委員が逮捕され、4人が起訴されて現在も勾留中である。
今回の弾圧は、1・13第1次弾圧と同じ強要未遂および威力業務妨害をデッチあげたものであるが、対象は別の生コン業者である。大阪府警は、関西生コン支部の生コン業者への協同組合加盟促進活動を次々と弾圧の対象として拡大し、関西生コン支部の壊滅を狙った攻撃を加えてきている。
国家権力・大阪府警は、この関西生コン支部への連続的な弾圧によって、協同組合を組織しセメント独占資本とゼネコンの搾取に対抗していくという正当な組合活動を解体しようと襲いかかってきたのだ。それは、生コン産業を再び過当競争にたたき込み、セメント独占とゼネコン資本が搾取の限りを尽くそうということであり、40年前の関西生コン支部結成以前の奴隷的な労働条件に生コン労働者は戻れということだ。日本経団連の05年版経労委報告が言う「工場法以前に戻せ」ということなのだ。
今日、日本帝国主義・国家権力は、02年国労5・27臨時大会闘争弾圧、03年部落解放同盟全国連寝屋川支部弾圧、全金本山弾圧、02〜03年の全国金属機械労組港合同や関西合同労組への雇用保険詐欺デッチあげ弾圧など、連合・全労連などの既成指導部の裏切りをのりこえて決起した労働者・労働組合への画歴史的な弾圧を加えている。そして、この間の都立高校への「日の丸・君が代」強制反対のビラまきに対する連続的な弾圧である。まさに、国家権力は、労働者の決起に対して見境のない弾圧の嵐を加えてきているのである。
しかし、その弾圧の凶暴性や長期勾留攻撃にもかかわらず、闘いの主体をつぶすことができず、むしろ弾圧を契機に主体が強化され、闘いが拡大している。国労5・27臨大闘争弾圧被告団は、国労再生の闘いの先頭に立ち、権力は国鉄闘争の解体に失敗し、新たな1047名闘争が発展しているではないか。全金本山労組は、弾圧を粉砕し全金本山闘争の歴史的な勝利をかちとったではないか。都高教の労働者と生徒たちは昨年に続いて再びファシスト石原と真っ向から対決して決起したではないか。
日本階級闘争は、国家権力との激しいやり合いをとおして、戦闘的・階級的な発展と内乱的な激動に向かって情勢を押し開き始めたのである。まさに戦時下の階級闘争である。
今日の階級情勢の特徴は、連合・全労連指導部をのりこえた、やむにやまれぬ労働者の現場からの決起である。帝国主義はもはや体制として成り立たず、労働者を食わせることもできず、帝国主義戦争に泥沼的にのめり込むしかない。そのもとでの資本の攻撃は労働者の忍耐の限度を超えている。それは、労働者階級の根底的な決起を引き起こさずにはおかない。
そして、その下からのやむにやまれぬ決起の爆発を切り開く陣形が、関西生コン支部、港合同、動労千葉の11月労働者集会の陣形であり、この発展に日本階級闘争の未来がかかっている。だからこそ、敵国家権力は、この3労組陣形をなきものにしようと関西生コン支部に襲いかかっているのだ。この弾圧の嵐を打ち破った時に、日本階級闘争はまったく新たな発展の段階に突入する。間違いなくこれは「勝利に向かっての試練」なのである。
4・7第1回公判闘争へ
1月21日の勾留理由開示公判で、武委員長は、関西生コン支部の仲間は会社の雇ったヤクザに何度も殺されかけ、80年代の大弾圧と果敢に闘い、日共による組織分断攻撃と闘い抜いてきた、「この闘いの歴史を誇りとし、今回の弾圧に対しても断固として闘うことを明らかにしたい」と戦闘宣言を発している。そして、関西生コン支部は、4月7日の第1回公判闘争を、大阪地裁・地検を包囲する大闘争として闘おうとしているのだ。
すべての労働者・労働組合は、この関西生コン支部の呼びかけにこたえ、4・7第1回公判闘争に決起しよう。午前9時、大阪地裁に結集し、全労働者の力で弾圧を粉砕しよう。
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週刊『前進』(2190号2面3)(2005/03/21)
2・18〜3・2 大阪府で市場化テスト導入へ
富士通が成果主義手直し/JFE千葉が労災隠し
●中立系労組が改憲反対集会 新聞労連や航空労組連絡会など中立労組でつくる憲法改悪反対労組連絡会(憲法労組連)が都内で改憲反対集会を開催。日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)が協賛し、550人が参加。(2月18日)
●都、教員給与表の細分化を検討 東京都教育委員会が、教育労働者への成果主義賃金を強めるため、現行5段階の給与表を見直し、細分化する作業を進めていることが分かった。(21日)
●大阪市、労使合意なしで166億円カットへ 大阪市は、労働組合との合意が得られないまま、特殊勤務手当など166億円分の削減を盛り込んだ予算案を議会に提出した。(22日)
●大阪府が自治体初の市場化テスト導入指針 大阪府は、行政サービスの担い手を官民競争入札で決める「市場化テスト」の導入に向け、ガイドライン素案を発表した。(22日)=要旨別掲
●人事院、査定昇給導入で現行の成績判定を暫定利用 人事院は、国家公務員への査定昇給の導入にあたり、現行の成績判定手続きを手直しして暫定的に使用することを決めた。来年4月からの実施を目指し、今夏の人事院勧告に盛り込む予定。職員組合は査定昇給導入には本格的な評価基準の整備が前提と反発している。(23日)
●郵政公社、サービス残業代支払い 日本郵政公社が昨年10月から12月までの3カ月間に、全国の職員約5万7000人に「サービス残業」をさせていたとして、総額約32億円の未払い賃金を支払っていたことが分かった。(23日)
●富士通、成果主義手直し 富士通は、幹部社員の成果の評価を従来の個人単位からチームワークなど組織単位の成果を重視する方法に転換した。(24日)
●新聞労連が人権擁護法案反対 03年に廃案になった人権擁護法案今国会再提出の動きに対して新聞労連が反対声明を発表。(25日)
●1月の完全失業率4.5% 総務省統計局公表の労働力調査の結果では1月の完全失業率は前月と同じ4.5%。厚労省発表の一般職業紹介状況によると、1月の有効求人倍率は0.91倍で、前月を0.01ポイント上回った。(3月1日)
●大阪市、手当7億円削減で労使合意 大阪市交通局は「業務手当」と「変則勤務者手当」の一部の計7億3700万円を今月末で廃止することで労働組合と合意したと発表した。(1日)
●JFE千葉、2年間以上労災隠し JFEスチール東日本製鉄所千葉地区の鉄粉溶材工場で起きた4件の労災事故について、社内調査で発覚するまで約2年にわたり隠ぺいしていたことが分かった。労基署は労働安全衛生法違反とみて詳しく調べる。(2日)
大阪府の市場化テストガイドライン(要旨)
本ガイドラインは、大阪府におけるPPP(Public Private Partnership:民間活力誘導型の手法)改革の一環として導入する市場化テストを実施するための基本指針を定めるものである。
日本においても、04年12月24日に国の規制改革・民間開放推進会議において「『市場化テスト』(官民競争入札制度)に関するガイドライン」が公表され……しかしながら、国ガイドラインは、地方行政における特質に十分に配慮された内容とはなっていない。
大阪府においては、04年度から05年度において、市場化テスト導入に関する実施体制、実施手続等について検討を行うとともに、……それらの成果を踏まえて06年度以降、官民競争型を含めた導入を検討するものとする。
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週刊『前進』(2190号3面1)(2005/03/21)
全金本山 盛大に勝利報告集会 34年の闘いの教訓 全国へ
“一人の首切りも許さぬ貫く”
3月5日、仙台市内で全金本山労組の勝利報告集会&レセプションが開催された。全金本山闘争の発端である青柳充氏の不当解雇から34年目、全金本山労組結成から25年、この長期争議をともに闘ってきた200人を超える仲間が全国から集い、2人の解雇撤回、職場復帰をともに喜びあった。
司会の庄子和副委員長は「『一人の首切りも許さない』のスローガンのもとに33年間、人生をかける闘いになった。ひたすら勝利に向けて闘い、ついに今年1月19日に解雇撤回、職場復帰をかちとり、3月16日より就労する。職場に高々と全金本山労組の旗を掲げ、さらに労働運動、反戦・平和の闘いに決起していく」と勝利の感動をかみしめるように開会を宣言した。
長谷武志委員長が主催者あいさつ。「暴力ガードマン導入、ロックアウトなどの攻撃に、気持ちがバラバラになりそうなときもあったが、『一人の首切りも許さない』という団結でお互いに助け合い、分かち合い、闘いぬいてこられた。全国のみなさんの支援、労働運動全体の力で最高裁判決をひっくり返して解雇を撤回させ、17名の組合員が職場に戻る。戻れない組合員もともに『職場に砦(とりで)を、地域に共闘を』の闘いを貫く。小泉の戦争国家づくりと民営化と対決する05年から07年の階級決戦を、本山の勝利を武器にして闘おう。ともに新たな闘いをつくりあげるために、今日はおいしい酒をくみ交わそう」との訴えに、全参加者があらためて勝利の実感を強くした。
続いて青柳充書記長が、「34年、当該はなんとか勝ちたい、支援の皆さんはなんとか勝たせたいという思いで闘い続け、ついに全面勝利を手に入れることができました」と、この歴史的勝利をかちとった経過について報告した。
「会社は争議で瀕死の重傷となり、争議解決がなければ、存続もおぼつかないという中でようやく解決のハラを持った。仙台高裁での和解協議と会社との当事者交渉の2方式で、就労と解雇撤回を求めてきた。組合員中11名が60歳を超える中で、希望者全員の就労を認めさせ、厚生年金の回復もかちとった。最高裁で敗訴している解雇の撤回は、高裁の場には出てこない。当事者交渉で詰めていく中で、会社があれほどこだわった解雇の撤回をついにかちとった。私もアルバイトをやめて、組合の専従としてがんばっていく。34年という戦後労働運動に比類ない長期争議となったが、3月16日から新たな団結をつくりあげていきたい」
1971年3月の青柳書記長への不当な懲戒解雇攻撃から本山闘争は始まった。63歳を迎えた青柳氏が自らの解雇を34年前にさかのぼって撤回させ、さらに組合専従として次の闘いに入るという決断に、万雷の拍手と歓声が送られた。
弁護団からは、「長期争議で17人の職場復帰は異例のこと、いろんな消火ホースがあちこちから水をかけてきたが、闘いの灯をともし続けてきたことが勝利を導いた」とユーモアたっぷりなあいさつ。
34年ともに闘いぬいてきた支援を代表して、東洋エンジニアリング労組元書記長の山本弘行さんが「本山闘争で仲間を信頼し、団結することを教えてもらった」と万感の思いを込めて、乾杯の音頭をとった。
いよいよ不屈の団結で闘いぬいてきた全組合員が登壇。「30年は長かったが、原則を曲げなかったこと、あきらめなかったことでここまでこられた」「闘ってこられたのは全国の支援のおかげ、定年までさらにがんばる」「入社して2年目で争議となり、ほとんど働いた記憶はない。仕事は何をさせられるか分からないが新たな決意で闘う」など、一人ひとりから熱い思いが述べられた。とりわけ、不当解雇を撤回させて職場に復帰する熊谷春男氏からは、「最高裁での敗訴をはねのけての職場復帰は大きな意義がある。職場に赤旗を立ててこれからも労働運動の勝利をめざす」と、16日からの新たな闘いへの決意が語られた。とても言いつくすことができない34年の闘いの日々が思い起こされ、大きな感動が会場を覆った。一人ひとりの発言に満場の拍手と声援が巻き起こった。
争議開始時に宮城県労評議長として、1971年末のストライキ闘争では工場にともに泊まり込んで闘った高橋治氏、当時「西の細川鉄工、東の本山」と称され、ともに暴力ガードマン導入と闘った全国金属機械港合同の西村文一事務局次長、一貫して支援を貫いてきた地元の労働組合や東京交通労組の代表などが次々と登壇し、勝利の喜びを分かち合った。全国の支援にとっても、本山闘争は自らの人生をかけた闘いだ。
動労千葉から熱烈なエール
80年の全金本山労組の結成以来「きょうだい組合」としてともに闘ってきた動労千葉からは、中野洋前委員長がかけつけ、「歴史的で完璧(かんぺき)な勝利だ。勝った時期がいい。労働運動の後退に次ぐ後退から、ようやく反転攻勢が始まったこの時期での本山の勝利は本当に大きな激励だ。さらに勝ち方がいい。大衆闘争として闘い続ければ必ず勝機は来ると、本山は示してくれた。全国で闘う労働運動をつくり出すためにともに闘っていこう」と熱烈なエールを送った。
中野七郎書記次長が「この勝利を全国に広め、新たな闘いを切り開こう」とまとめ、長谷委員長の団結ガンバローで感動的な集いを締めくくった。
3月11日の東京での勝利報告レセプションなど、今後各地で勝利報告集会が開催される。全金本山闘争の歴史的な勝利をともに確認し、小泉=奥田の戦争と民営化攻撃を打ち砕く労働運動をともにつくりだそう。05春闘に勝利しよう。
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週刊『前進』(2190号3面2)(2005/03/21)
“統一陣形強め勝利へ” 鉄建公団訴訟 結審を迎え集会開く
3月7日、東京地裁で鉄建公団訴訟の最終弁論が行われ、裁判は提訴以来3年余の闘いを経て結審した。判決日は9月15日に指定された。
昨年末、動労千葉争議団と全動労争議団が鉄道建設・運輸施設整備機構(旧鉄建公団)を相手に訴訟を起こし、鉄建公団訴訟を軸とした1047名の統一陣形が整えられつつある。一方、国労本部は「JR東日本との労使関係正常化」を唱えて国労自己解体と「1047名闘争終結宣言」の策動を強めている。国鉄闘争は、国鉄分割・民営化の総決算を図る権力・資本の攻撃との本格的な攻防に突入した。その中で、国労闘争団の第1陣訴訟が結審したことは、国鉄闘争の行方を決める重大な意味を持っている。
法廷では、最終弁論に立った弁護団が、闘争団員をJR採用候補者名簿に登載しなかった旧国鉄の不当労働行為責任と、90年4月1日に1047名を解雇した国鉄清算事業団の違法性を全面的に暴ききった。
他方、被告の鉄建公団は「国鉄分割・民営化に反対し合理化・人員整理に非協力の言動をとったから、原告らは採用候補者名簿に登載されなかった」「原告は自ら解雇を選んだ」と言い放った。“国策に反対する者は首になって当然”という、戦時下における支配階級の超反動的論理を振りかざしてきたのだ。こうした国家的不当労働行為の居直りを、1047名の固い団結で打ち破ってこそ、鉄建公団訴訟の勝利がある。
この日、東京地裁には傍聴を求めて300人以上の労働者が集まった。裁判終了後、原告と支援400人は、日比谷公園霞門から霞が関を一周するデモに出て裁判闘争勝利を訴えた。
午後1時、国労闘争団、全動労争議団、動労千葉争議団の原告団が共同で鉄道建設・運輸施設整備支援機構・国鉄清算事業本部への申し入れを行った。
同日夜、日本教育会館で開かれた「つかむぞ勝利判決!裁判結審総決起集会」には600人が結集した。スト態勢を構えて05春闘に臨む動労千葉の組合員も多数参加し、共闘を誓った。
国労闘争団、全動労争議団、動労千葉争議団がそろって壇上に並んだ。国労闘争団の酒井直昭原告団長が「裁判は結審したが、勝利判決まで頑張らなければならない。国労闘争団、全動労争議団、千葉動労争議団が一緒に並んでしっかり闘う」と決意を表明した。
弁護団がそれぞれに思いを述べた。加藤晋介主任弁護人が鉄建公団側の最終弁論を徹底的に批判した。佐藤昭夫弁護団長は「この期に及んで1047名の統一を妨害する勢力を皆さんの力で打ち破っていただきたい」と呼びかけた。
国鉄闘争共闘会議の二瓶久勝議長が「1047名の統一・連携を強め、判決までの半年間、できる限りの行動を展開し勝利しよう」と訴えた。参加者はさらなる奮闘への決意を固めた。
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週刊『前進』(2190号3面3)(2005/03/21)
大阪府立高 教員も生徒も次々着席
教職員が手づくりビラ 支援のビラまき各校に
2月24日から始まった大阪の府立高校の卒業式闘争は、「東京を孤立させるな」と、果敢に闘いぬかれている。府立高校の大半の卒業式には支援のビラまきが行われている。校長が文句を言ってくるところや、中には東京のように警察に通報する高校も出ている。
しかし生徒や保護者の反応はとてもいい。
支援のビラまきには、教職員も好意的で「ご苦労さん」と言って受け取ってくれる。わざわざ校舎内から出てきて、丁寧に礼を言い、「うちの学校は、5年ほど前に大きな運動が起こりまして、それから『君が代』には生徒も教職員もほとんど立ちません。例年は教職員でビラまきをしていたんですが、今年は時間休が認められなくて困っていたんです。来ていただいて本当にありがたいです」と組合の分会長。
校長が「今年はビラまきをやめてほしい」と言ってきている高校で、これをはねのけて例年どおりの卒業式ビラまきが行われている。東京の闘いを孤立させないという思いが、大阪での闘いのエネルギーを引き出している。
また、こうした大阪の闘いの様子は、東京の被処分者に伝えられ、「大阪での闘いは、東京方式を拡大させることを阻止し、敵を追いつめていく闘いだと思います。大阪の様子は皆に知らせます。私たちも頑張ります。ともに闘いましょう」という返信が東京から寄せられた。
●教職員が年休で A高校
教職員約10人が年休をとってビラまき。卒業生はほとんど受け取った。教職員がビラまきを終わってからも引き続き支援の2人がビラまき。生徒・保護者のほとんどがビラを受け取る。教職員も合わせると400枚以上のビラが入った。
式は対面式。校長が「証書の授与は正面でやる」と横やりを入れてきたが、突っぱねて例年どおり対面式でやった。また、校長は組合員には「ビラまきはやめてくれないかな」とソフトに言いながら、言うことを聞きそうな教職員には「出席して起立せよ」と言って回ったようだ。
●担任全員が着席 B高校
卒業学年の担任全員が着席し、(他にはあまり出席がなく)教職員のほとんどが着席した。起立した生徒が多かったと、当該の教職員が悔しそうだった。
●生徒半数が着席 C高校
卒業学年の担任で起立したのは1人のみで、他は着席。他に教職員で起立したのは4〜5人のみ。生徒は約半数が着席。保護者で不起立は2割くらい。生き生きと着席していた。
●職場としてビラ D高校
当高校の教職員3人が校内で作ったビラをまく。支援も2人がビラまきに。生徒8割、保護者9割がビラを受け取る。支援のビラは300枚入った。
この高校は例年、生徒も教職員もほとんど立たず、校長には府教委からだいぶ圧力がかかっている様子。どの組合に属している人も、非組の人も一緒に職場としてのビラを作ってまいた。また、「強制反対」の横断幕が掲げられていた。
●教員がビラまき E高校
校長が「ビラまきはやめてほしい」と言ってきたが、高教組E分会と府高教有志連名のビラを作り、教職員がまいた。支援のビラまきも。卒業式では3分の2の教職員が不起立。生徒も半分以上が不起立。保護者の不起立もぱらぱらとあった。
●不起立者の話 F高校
式で不起立の教育労働者の話。「予行の前日に、これまでも一緒にビラまきしてきた仲間に相談し、教職員有志としてのビラを作り、予行の朝、配りました。卒業式当日は、地域住民の方が朝配ってくれました。保護者の受け取りは約200枚くらいだそうです。式が始まり、『国歌斉唱』が始まると、9割くらいが立つ中に何人か座っている生徒の姿が見えます。その生徒らに『肩身が狭いような感覚にならないで、当然のことをしているんだから、胸を張れよ』と心の中で言いました。担任のうち半分は座っていたと思います」
●連名の分会ビラ G高校
府高教(全教)、高教組(日教組)、教育合同の各分会連名のビラが教職員によってまかれた。その時まかれたビラ(前号に一部既報)は、「『国歌斉唱』と言われたら/私たちは、座ります/歌う必要はありません」とはっきり不起立宣言した心に響くビラだ。
●「天皇教の宣伝」 H高校
支援がビラまきに行っていると、開式直前に3人の教職員が「国歌斉唱」を逃れてきたという感じで、校門のあたりにやってきて、「天皇教の宣伝に利用されてたまるか」と、強い怒りを表明していたという。生徒たちはどのくらい立つのか聞くと、ほとんどの生徒は立つとのことで、支援の人は、「やっぱり教職員は生徒を会場に残して逃げてはいけないのではないか。黙って座るだけでも支えになるのにと、つくづく思いました」と感想を述べた。大阪でも、生徒や保護者の目に見える形での闘いをすることが必要である。
●一卒業生の闘い I高校
ある卒業生が、「日の丸・君が代」強制に反対して、式途中に退席したいと、直前のホームルームで申し出たところ、担任教員が「それだけはやめてくれ」と言い出して、その場で論争になった。結局、当人は「君が代」が終わった後に入場することに。
「君が代」斉唱時には、退席したいと言った卒業生のクラスメート数人が、クラスでの議論を聞いて、着席したとのこと。式後のホームルームでは、担任の勧めで、途中入場となった卒業生がクラス全体の前で、「日の丸・君が代」になぜ反対なのか、自分の意見を表明したという。
(関西・教育労働者 K)
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週刊『前進』(2190号3面4)(2005/03/21)
広島で05春闘集会 労組ネットワークが主催
2月27日、闘う労働組合ネットワーク・広島主催の「05年春闘勝利集会」が広島市内の県立生涯学習センターで開催された。
広教組の労働者は、「卒業式の『日の丸・君が代』強制は違憲・違法であり、職務命令を出させない、出たら撤回させる、処分に対しては組織の総力で守る、を3本柱にして断固不起立で闘う」と決意を述べた。
全逓労働者は、「郵政分割・民営化攻撃に対して物ダメ・ストライキを貫徹する職場の団結をつくるために闘う」と宣言し、「JPUの裏切りに怒りが渦巻いている」と報告した。
基調報告は、広島連帯ユニオンの今川書記長が行った。「経労委報告」の全面的暴露に続いて、「日の丸・君が代」強制への不起立・不服従の闘いの階級的意義を強調し、全労働者の力で粉砕しようと述べた。毎年の動労千葉の春闘ストの取り組みが闘う労働組合をつくりあげていることを確認して、三菱広機分会と動労西日本は断固3月春闘ストを打ちぬくと宣言し、国際連帯をかけて3・20日比谷への大結集を訴えた。
動労西日本の労働者が、「3月ダイ改と新賃金制度反対を掲げて断固ストに突入する」と宣言。連帯ユニオンの労働者が、非正規雇用労働者を「モノ」としてしか扱わない派遣業者との闘いについて述べた。
最後に大資本攻勢と闘い3・20総結集を誓った。
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週刊『前進』(2190号3面5)(2005/03/21)
「自治労改憲案」粉砕を
「9条1項堅持、2項改定」は9条破棄=戦争国家への道だ
改憲案作りのための検討委
自治労は、自治労「国の基本政策検討委員会」(検討委)の1月中央委への「論点整理」提出をもって明確に改憲=9条改憲に踏み出した。自治労中央は5月中央委を経て8月定期大会で改憲案を採択し、秋の連合大会での連合の改憲勢力化を確定しようとしている。07年改憲へ向かって政労資の改憲機運を加速しようとしているのだ。連合全体が改憲勢力化するか否かは自治労の動向にかかっている。日帝と連合中央の意をくむ自治労中央の改憲案作りを全国の闘う自治体労働者の怒りの決起で粉砕しよう。
1月中央委に提出された論点整理の核心は9条改憲論だ。これは、昨年8月の自治労大会(東京)での連合・笹森会長の9条改憲発言(1項「戦争放棄」の堅持、2項「戦力不保持、交戦権否認」の改定)に完全に合致している。しかもこれは自民党、日本経団連の9条改憲案と基本的に同じ論理構造になっている。
自治労中央は、論点整理をまとめて5月26〜27日の中央委に最終的な「報告」として提出し、承認を受け、これを8月の定期大会(鹿児島)で運動方針案に盛り込み、決定しようとしている。
5月中央委は自治労と連合の改憲勢力化を阻止するか否かのかかった一大決戦となる。3・20国際反戦行動と5月中央委決戦の爆発で「報告」=自治労版改憲案を粉砕しよう。8月定期大会に総決起し、自治労の改憲勢力化を絶対に阻止しよう。
「論点整理」は9条破棄論
検討委の論点整理(「論点整理の要点」参照)には四角で囲った主要な「論点」(論議となった部分に下線)と枠外の「委員からの意見」が併記されている。枠外は反対意見を聞いたという民主主義的体裁を整えるためにある。問題は「論点」の下線部分である。自治労中央が「改憲反対」論から改憲論=9条改憲論へその基本スタンスを転換させたことがここに明示されている。
自治労はこれまで公式には「憲法の積極的平和主義の理念に立って、国連憲章を基本に安全保障のあり方を考える。集団的自衛権については解釈変更を許さない」という基本視点を掲げ、「改憲反対」の立場をとってきた。これはすでに有事立法とりわけ国民保護法の容認で形だけになった。そして今や「改憲反対」の立場を公然と破棄し、9条改憲=9条破壊に突き進もうとしている。
「論点整理」の9条・安保問題部分をまとめると次の3項目となる。
@9条1項を堅持する。
A9条2項を改め、「最小限防御力の保持」(戦力不保持の破棄)、「個別自衛権の容認」(交戦権否認の破棄)を明記する。
B「平和基本法」あるいは「安保基本法」を制定して、国連の集団的安全保障活動への参加の形で集団的自衛権の行使と海外での武力行使を容認する。
@1項堅持A2項改定は、連合の笹森会長が昨年の自治労大会と自動車総連大会で叫んだ9条改憲論だ。自治労の植本書記長も昨年10月の連合中央執行委で笹森発言を踏襲した。
笹森発言とは「護憲のスローガンを叫んでデモしても支持されない。第1項『戦争放棄』は変えてはいけないが、国際貢献、国連のもとの国際平和、人道・復興支援や専守防衛の『戦力保持』へ第2項を改定すべきだ」というものだ。
@1項を「堅持」しつつ、A2項改定(とB安保基本法制定)によって現行憲法の前文と9条の趣旨・内容を破壊するやり方だ。
こうした9条破壊の論理は、自民党・新憲法起草委員会の改憲草案、日本経団連・国の基本問題検討委員会の「わが国の基本問題を考える」とそっくりだ。
また論点整理は、改憲合理化の論理として「憲法と現状の乖離(かいり)を埋めなければならない」ことを強調している。解釈改憲や自衛隊のイラク派兵などで「9条が形骸(けいがい)化している」現状に合わせて憲法を改悪し、「乖離を埋める」べきだという。これも自民党や日本経団連の論理とそっくりだ。
@ABで「憲法と現状との乖離を埋め」れば現状が固定化され、平和が確保されると考えたら大間違いだ。@ABによる9条破壊は、今日の世界情勢のもとでは日米枢軸の形成・強化、日米軍事一体化、自衛隊の帝国主義軍隊化、米日帝の中東侵略戦争、北朝鮮―中国侵略戦争、世界戦争参戦の突破口となるのだ。
そして「東アジアとの連携の強化」「東アジア集団安保」も主張している。これも自民党案、日本経団連提言と近似している。
「1項堅持」でも戦争は可能
論点整理(自民党案や日本経団連提言も)が強調する「9条1項の堅持」はまやかしだ。1項を「堅持」しても2項を変えればいくらでも戦争ができる。
実際、憲法に「戦争放棄」をうたい、「自衛権・交戦権保有」を明記し、侵略戦争をしている国家は他にいくらでもある。「戦争放棄」一般では軍隊の保持と武力行使、すなわち侵略戦争を禁じることはできないのだ。
現行9条は、1項「戦争放棄」を2項「戦力不保持、交戦権否認」で物質的現実的に保証する構造になっている。2項が「最小限の防御力保持、個別的自衛権明記」に改定されれば1項「戦争放棄」は完全に空文化する。1項堅持、2項改定で解釈改憲への歯止めがかかるとか平和主義が保たれるとか考えるのはまったくの幻想だ。
しかも論点整理は、平和基本法=安保基本法に国連の集団的安全保障の名で日本の集団的自衛権の保持・行使を規定し、2項改定を補おうとしている。
平和基本法=安保基本法は、改定9条2項の内容の法制化に加えて、国連憲章のうたう集団的安全保障概念のもとで国連軍あるいは国連主導の多国籍軍への自衛隊の参加を規定する。国連を盾に日帝が日米同盟=日米枢軸のもと、集団的自衛権を行使し、海外で武力を行使するための法律だ。平和基本法のもとで日帝が米帝と組んで世界中で侵略戦争を展開するのだ。この意味でも2項改定はなんら歯止めにならないのだ。
論点整理は自治労の改憲への踏み切りだ。全国で大衆的な議論を巻き起こし、自治労の改憲案作りを粉砕しよう。5月自治労中央委決戦に向かって3月決戦を闘おう。
(本田久)
論点整理の要点
U 外交・防衛・安全保障
1.基本的考え方について
憲法前文及び9条における恒久平和・戦争放棄の理念を現実化させ、憲法と現状の乖離を埋めるために「平和基本法」を制定すべき
2.自衛隊
「最小限防御力」とされるべきである
……段階的縮小を進め、専守防衛を前提として「平和基本法」においてこれを認知すべき
3.個別自衛権、集団的自衛権、集団的安全保障
個別自衛権をまったく認めないことについて、もはや国民的合意が得られない
国連を中心とした国際貢献のあり方と集団的安全保障のあり方について、さらに議論が必要
4.日米安保(ガイドライン)
日本自らがアジアとの連携をめざす必要
アメリカ一国依存の外交と安全保障政策を脱し、アジアの一員として地域安全保障の確立を
5.国連
国連主導の多国籍軍への参加の是非、最小限の武力行使を認めるかどうか等について、議論を深める必要がある
6.アジアの安全保障
アジアの集団的安全保障体制について議論を深めていかなくてはいけない
7.戦争責任〔略〕
8.平和基本法
さらに深刻化した憲法と現実の乖離を埋めるためにあらたな「平和基本法」を制定する必要
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週刊『前進』(2190号4面1)(2005/03/21)
米帝ブッシュの世界戦争路線と対決 全世界で3・19〜20国際反戦行動へ
MWM(ミリオン・ワーカー・ムーブメント)が呼びかけ全米から「即時撤兵」求め大統一行動
イラク開戦2周年、反戦闘争爆発を
イラク開戦2周年の3・20闘争は、労働者階級の闘いの分岐点になる。この世界一斉決起で、全世界を獲得する確信に満ちた闘いが大進撃を開始する。今年の3・20の特徴は、世界の闘いが、9・11以後の3年半の激突、分岐・流動・再編過程を経て、新たな高揚と力関係を切り開きつつあるということだ。世界のいたる所で、既存の勢力配置が崩れ、新たな闘う戦線が築き上げられつつある。
イラク人民の解放闘争支持の立場鮮明に
アメリカでは3月19日、ニューヨーク市のセントラルパークで「トゥループス・アウト・ナウ(即時撤兵)連合」の主催で全国集会が行われる。即時撤兵連合は、昨年百万人労働者行進運動(MWM=別掲参照)が広範な反戦団体、諸団体の統一行動を呼びかけたことにこたえて作られた連合体である。アメリカの反戦運動は、新たな大統一行動に向けて動き出した。
また、ノースカロライナ州のフェイエットビルという基地の町に全国から結集することも今回の闘争の特徴だ。基地闘争、兵士への呼びかけを非常に重視しているのだ。また、各地でも同時にイラク開戦2周年の闘いを行う。
イギリスでは19日、反戦連合などの主催で、ロンドンに40万人以上が結集して大デモを行う。スローガンは、「撤兵」一本に絞られた。この単純明快なスローガンは、後で述べる非常に重要な闘争の末に出て来たものである。
韓国では20日、派兵反対国民行動の主催でソウルの大学路で大集会を行う。結集部隊の主力は、民主労総(全国民主労働組合総連盟)、特に、民主労総ソウル地域本部だ。スローガンは、「米国はイラクから出て行け」「派兵韓国軍撤収せよ」。
韓国では、非正規職労働法の強行をもくろむ盧武鉉(ノムヒョン)政権との「社会的交渉」路線をとる民主労総指導部に対して、反対派の激しい闘いが行われている。3・20は、韓国軍の派兵を強行し非正規職労働法を強行する盧武鉉政権との力関係の転換をかけた闘いだ。だから、労働運動の路線をかけた決定的な闘いになっている。
イラクに3千人の部隊を派兵しているイタリアでは19日、デモ実行委員会の主催で全国結集の国際反戦闘争がローマの共和国広場で行われる。スローガンは次の四つである。「イタリア軍の即時撤兵」「イラクの主権回復、軍事占領へのレジスタンスは正当」「イタリアの米軍基地・NATO基地撤去」「核兵器廃絶、武器生産・輸出反対闘争の強化」
イタリアでは、マニフェスト紙のスグレナ記者に対する米軍の銃撃が焦点になっている。スグレナ記者は、イラクの武装勢力に拘束されていたが、釈放されて空港に向かう所で、彼女の乗った車に米軍は300発もの銃弾を撃ち込み、同乗していたイタリア軍人が死亡し、彼女も負傷した。
彼女が昨年、アブグレイブの拷問とファルージャ大虐殺を取材して書いた記事は、イラク侵略戦争・占領の実態を鋭く暴露する内容だった。イタリアでは今、スグレナ記者の記事が読み返され、あらためてイラク侵略戦争・戦争の不正義性への怒りが高まっている。
「テロも戦争も反対」論を克服
現在の国際反戦闘争の重要な特徴は、「テロも戦争も悪い」といった傾向が闘いの経験をとおして克服され、断固として帝国主義の侵略戦争と闘う方針が確立されつつあることだ。
9・11後の帝国主義の反テロ大宣伝の重圧の中で、「テロにも戦争にも反対」という傾向が反戦運動の中にもあった。それは、既成指導部による裏切りや歪曲と結合して、かなり広範に根深いものとしてあった。だが、こうした傾向に陥った潮流も含めて、巨大な統一戦線の闘いが粘り強く闘われる中で、この傾向が克服されていった。
特に、昨年は、イラク人民の不屈の闘いに対して否定的な態度をとったとたんに帝国主義国内で反戦闘争が敗北するという事態を突きつけられた。
イギリスの反戦連合は、巨大労組の既成指導部をも含む大統一戦線であり、特にここで、この転換が重大な問題になった。イラクのカイライ政権に認められた「労働組合」がイギリスのこうした「左派」系労組にイギリス軍の即時撤退の要求を下ろすよう働きかけたのだ。イラクの武装闘争を利することになるというのが、即時撤退反対の理由だった。これをめぐる粘り強い討論の末、反戦連合は統一見解を出した。その「労組」が占領軍と協力し、本当の労働組合を襲撃する勢力であることを暴露した。そして断固として、占領に対する武装闘争の権利を支持する立場を鮮明にした。
アメリカの全米反戦労組連合執行部とニューヨーク市反戦労組連合(前者の一員でもある)との間でも同様の論争があった。「トゥループス・アウト・ナウ」は、この点で非常に明確に態度を明らかにしている。
侵略戦争=人殺しを拒否する兵士の闘い
「初めは、大量破壊兵器をなくす必要があると信じてイラクにいったんです。海兵隊として経験したことは、まったく別のことでした。われわれは、『人殺しのカウボーイ』でした。罪のない民間人を殺しました。しかも、何度もやったんです。バグダッドの南の基地のそばで、平和的にデモをしていたグループを襲いました。血の海になりました。手が民間人の血で染まるという恐ろしさに直面したのはこれが初めてでした。イラク人は、クラスター爆弾で爆撃されています。検問所で逃げたら『テロリスト』として扱われます」
「われわれは、(家屋の)『捜索と破壊』をやりました。イラク人の命を考慮することは許されません。われわれは、この任務の遂行のためには、人を殺したんです」
「初めは、自分が人殺しだという現実を否定しました。しかしある日の朝、起きた時に、若者の言葉を思い出しました。『なんで兄さんを殺したんだ』。その若者だけ、同じ車に乗っていたけれど助かったんです。この光景が、脅迫観念になりました。精神のバランスが崩れました。動くことも話すこともできなくなってしまいました」
「04年、海兵隊では31人が自殺し、85人が自殺未遂しています」(03年開戦2日後から5月までイラクにいたジミー・マシー海兵隊軍曹へのインタビュー。伊マニフェスト紙より)
マシー軍曹は、ノースカロライナ州ウェインズビルという保守的な町で育ち、反戦運動の報道もほとんど届かなかった。「大量破壊兵器」などの反動的なデマ宣伝も信じ込まされた。だが彼は今、イラク侵略戦争への加担を拒否し、反戦活動をしている。世界の反戦運動に大きなインパクトを与えている。
米軍の多くの反戦兵士や兵士の家族が、参戦国であるイギリスやイタリアを訪問し、そこで反戦運動や反戦兵士・家族と交流し、反戦運動を新たな段階に押し上げる力になっている。
03年2月にロンドンで200万人の反戦デモを組織したイギリス反戦連合は、昨年の秋の過程で、アメリカから反戦兵士・家族を呼んで、各地で小集会を行う活動を積み重ねてきた。これが現在、帝国主義国家権力のあらゆる弾圧をはねのけて反戦運動を巨大に発展させる新たな力になっている。
帝国主義軍隊の兵士は、労働者階級から徴募されている。学校に行く金がない、就職口がない労働者、若者に「軍隊に入れば奨学金が出る」「職業訓練を受けられ、除隊後も就職口が紹介される」「退役軍人には医療保険も年金もある」と甘い言葉をかけて入隊させているのだ。
今、反戦運動は、この兵士募集活動に照準をあわせて闘争している。募兵活動をしている軍人や募兵請負会社をキャンパス内で大衆的に取り囲み、ウソを暴き、弾劾し、追い出す闘いだ。大学、短大、高校が闘争の現場であり、闘争の主体は、学生・高校生だ。
アメリカでは、3月14日から18日までを、募兵に反対する抗議行動、ティーチイン、学内デモ、教育のためのフォーラム、授業放棄、座り込み、集会の重点週間として設定して闘っている。
戦死した組合員の妻の発言
また、アメリカの労働組合では、組合員の2割、3割が州兵、予備役兵だという組合も多い。昨年のAPWU(郵便労働者組合)の大会で代議員が最も動かされた発言は、イラクで戦死した組合員の妻の発言だったと報告されている。このAPWU大会は、AFL−CIO(アメリカ労働総同盟・産別会議)指導部の方針に反して、イラク反戦決議とMWM賛同決議をあげている。右派のNPMHU(郵便内務労働者組合)の大会でさえ、仲間の組合員が多数イラクの戦場に送られている現実があるため、左派の活動家が提出した部隊を撤退させる決議が満場の注目を集め、圧倒的に承認された。
現在、イラクでの米軍兵士の死者は、すでに1500人を超えている。これは、米軍当局の公式発表だけに基づいてAP通信が集計した数字だ。実際は、はるかに多いであろう。
米軍は、戦略的に敗北している。ファルージャの大虐殺にもかかわらず、ファルージャも、その周辺の都市も制圧できていない。そして、米軍兵士は、不正義の侵略戦争・占領に耐えられなくなっているのだ。
こうして帝国主義軍隊が危機に陥ってもアメリカは撤退できない。撤退は、帝国主義としての死を意味するからだ。逆に、シリアやイランへ、さらに中東全体、朝鮮(中国)、全世界へと戦争を拡大しようとしている。ブッシュが就任演説や一般教書演説で言っていることは、全世界に戦争を仕掛けるということ以外の何ものでもない。
戦争協力拒否の労働者の決起こそが必要
労働者階級は、こんな帝国主義は打倒すべきだ。そして、打倒できるのだ。帝国主義がよって立つ基盤は、われわれ労働者が握っている。労働者が労働しているからこそ、生産と交通が成り立っている。ほとんど労働者階級出身である兵士こそが帝国主義の戦争を担っているのだ。労働者が帝国主義に対して決起し、兵士が決起すれば、すべてが止まってしまうのだ。そして、その決起が現に開始されている。労働者階級の本隊は、アメリカの百万人労働者行進運動(MWM)という形で巨大な独立した勢力としての姿を現し始めた。
日本の動労千葉、関西生コン・港合同の3労組共闘を軸とした11・7労働者集会は、アメリカMWM、韓国民主労総ソウル地域本部と一体になって、大前進を開始した。動労千葉は、昨年春闘から今年にかけて、原職復帰の大勝利をかちとっている。動労千葉とともに闘ってきた全金本山は、34年間の闘いをとおして、解雇撤回・原職復帰の圧倒的大勝利をかちとった。
MWMの発祥の地、拠点であるカリフォルニア州で3月1日、ロサンゼルスの統一教員組合(UTLA)の執行部選挙で左派が現執行部を破り、圧勝した。UTLAは、その名のとおり、全国的には分かれている二つの教員組合、NEA(全国教育協会)とAFT(米国教員連盟)がロサンゼルス地区で統一したもので、大ストライキを闘う必要性から生まれた組織だ。だから、もともと戦闘的な伝統がある組合なのである。こうした組合で、「教育改革」、賃金、年金、労組破壊などの攻撃に屈服した指導部に対して反乱がおき、戦闘的グループがあらゆる予想を超えて圧勝したのだ。ブッシュは、一般教書演説でも、「教育改革」を掲げて民営化・公教育破壊、教員労組破壊を宣言している。
確かに労働運動全体では、組織率の長期連続低下など危機が進行している。だが、原則的に闘う労働運動が成長し、勝利する時代が始まったのだ。むしろ、既成の労働運動の危機は、原則的・階級的な労働運動のチャンスに転化できるものであることがこうした例で示されている。
職場のあらゆる労働者が団結して闘う労働組合が、この世界でおきるすべてのことに主体的に立ち向かう時代が始まった。戦争は、労働者にとって最大の問題だ。だから、3・20国際反戦闘争に、階級的労働運動は全力で取り組んでいるのだ。
募兵され、派兵される若者、同世代の若者の決起が全世界で拡大している。日本でも、「日の丸・君が代」と闘う教育労働者とともに、高校生・大学生の闘いが広がりつつある。有事法制=国民保護法によって戦争動員される「指定公共機関」の労働者の戦争拒否の闘いが広がっている。陸海空港湾20労組が提唱する「有事法制を発動させない、協力しない」闘いが今こそ問われている。
青年労働者を先頭に労組単位で3・20日比谷野音に全国から総結集しよう。3・20の大結集で労働者階級の力強さを示し、日帝・小泉=奥田との力関係を転換しよう。
〔村上和幸〕
●百万人労働者行進運動(MWM=ミリオン・ワーカー・ムーブメント)
アメリカ西海岸のサンフランシスコのILWU(国際港湾倉庫労働組合)ローカル10が昨04年10月17日に米国の首都ワシントンDCで「労働者が独立した勢力として」行うことを呼びかけた。ナショナルセンターであるAFL−CIOの指導部が民主党を支持してきたことへの明確な「ノー」である。そして、「全員に医療保険を」などの切実な要求とイラク反戦をスローガンにした。
AFL−CIO執行部は、11月2日の大統領選直前の時期に別のことをするのはとんでもないとして、賛同禁止の通達を出した。MWMは、既成指導部の敵対と激突しつつ、350万人の労働者を代表する労働組合や地域労組評議会などの賛同を得た。10月17日のMWM集会には、1万5千人が結集し、日本からは動労千葉派遣団が参加して発言した。日本の11・7労働者集会でもMWMの正式代表が発言した。
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週刊『前進』(2190号4面2)(2005/03/21)
反戦の砦=三里塚へ 3・27集会 反対同盟の訴え(上)
3・27全国総決起集会にむけた三里塚芝山連合空港反対同盟のアピールを今号と次号に紹介します。全国から結集しよう。(編集局)
農民殺しをやめろ 事務局長 北原鉱治さん
イラク戦争など国際情勢はまったく展望の見えない世の中に入っています。反戦の砦(とりで)=三里塚は、日本の未来の方向を指し示す全国のみなさんの共有の闘いです。
政府・空港公団は、重機を庭先まで持ち込み、軒先工事の脅しで話し合いを求める脅しと懐柔策で空港建設を半世紀近く進めてきた。言うことを聞かなければ暴力で押しつぶすやり方です。しかし、成田空港はいまだに2本目の滑走路さえ完成しない。なぜ農民・労働者が40年も闘い続けてきたのか。自分のことだけではなくて、日本の未来をかけて闘ってきたからだ。
暫定滑走路は2180bという無様な姿だ。政府は最近、この無様な暫定滑走路を2500bに延長するために、北延伸の脅しで農地を強奪しようとしている。このやり方は40年間まったく変わっていない。
反対同盟は、国家の暴政と闘い続ける決意を固めている。北延伸しても大型機は飛ばせない。建設費、補償費を計算しただけでもばく大な予算が必要だ。
反対同盟には金も暴力も通用しない。最近、成田空港会社(NAA)の職員の間では「国にできないものが民営会社にできるわけがない」との声も出ている。
NAAは、反対同盟員の底地を地主から買収する卑劣な手段を使って、農地取り上げと現闘本部の撤去を要求している。しかし、歴然とした耕作権、地上権がある。40年の農民殺しをいい加減にやめろ! われわれのいる限り、絶対に空港は完成しない。ぜひとも多くの人に「裁判闘争を支援する会」への入会をお願いします。
自衛隊がイラクに派兵される事態は、日本が戦争国家になりつつあるということだ。自衛隊の成田空港の使用は、昨年9回に及んだ。60年前、アジアで2千万人以上の人びとが死に追いやられたことが昨今のように思えてきた。
アジアの侵略戦争の軍事拠点として成田空港がある。三里塚闘争は当初から「軍事空港反対」をスローガンに入れてきた。まったく正しかった。教育基本法改悪と改憲は、まさに再び同じ轍(てつ)、60年前の苦しい悲惨な時代の再来と言わざるを得ない。この体制を変えない限り、日本は戦争の方向へ進む。労農連帯、国際連帯が必要だと考えています。3・27全国集会に多くの方の結集を呼びかけます。
北延伸に屈しない 天神峰 市東孝雄さん
NAA(成田空港会社)黒野社長と北側・国土交通大臣が3月までに用地交渉に進展がない場合には北延伸の正式決定をすると言っています。予算の関係もあるし、07年の株式上場までになんらかのメドをつけたいと思っているんだろう。だけど実際は、誘導路の入り口の問題があってジャンボは通れない。結局、工事の脅しで農家を追い出すことが狙いだ。暫定滑走路をつくった時のやり方と同じですよ。
黒野はついこの間「謝罪の手紙」を送り付けてきたばかりです。向こうはなんだかんだ「話し合い」だと言っても、結局は暴力的に工事をやるということです。私たちはまったく信用しないし、脅しにも屈しません。逆に、反対同盟の40年の闘いで攻守が逆転していると感じています。
小泉政権は農業つぶしをやっている。労働者も農民も生活をどんどん切り下げられて、資本がいいとこ取りをしている。日本とアジアの関係もそうだ。
自衛隊もイラクに派兵されて本当に変わってきた。米兵と一緒に対テロ訓練をしている。常任理事国入りとあわせて、憲法9条も変えて、本当の軍隊にしようとしている。共謀罪も大変な問題だ。犯罪がなくてもデッチあげられる。
本部役員の鈴木幸司さんが「自分たちのやってきたことは間違ってなかった」と言っていますが、本当にそう思う。三里塚の闘いが認められてきた、勝利の方向に行っていると思う。三里塚闘争の40年は長いけど、国を相手に闘ってきたからそれくらいはかかる。だけど国が相手でも自分たちの権利は守る。3月27日の全国集会には全国からの参加をお願いします。
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週刊『前進』(2190号4面3)(2005/03/21)
3月2日〜8日
拘束解放の車列に米が銃撃
政府が国民保護基本指針案
●米軍死者1500人超す イラク戦争下での米兵の死者が03年3月の開戦以来、1500人を超えた。死者数には戦闘時だけでなく、事故などによるものも含まれる。死者数が増加するなか、軍への志願数が求人数を下回る事態になっている。米陸軍の求人担当当局者によると、今年2月の陸軍への志願者数は求人目標の7050人に対し、5114人にとどまり、27・5%の不足となった。軍の予備役や州兵などの志願者数も求人数を下回る事態になっている。(3日)
●普天間に米軍ヘリが帰還 在沖米海兵隊は、スマトラ沖地震による津波被害の救援活動で、東南アジアに派遣したCH46中型輸送ヘリ6機を含む第36海兵航空群を普天間飛行場に帰還させた。沖縄国際大学は一般入試中だった。(3日)
●ジュゴン保護で米法適用 名護市辺野古沖に生息する国の天然記念物ジュゴンの保護を、日米の自然保護団体が求めた訴訟で、サンフランシスコの米連邦地裁は、被告の米国防総省とラムズフェルド長官から出されていた訴え却下の申し立てを退けた。裁判長は「ジュゴンは沖縄県民にとって文化的、歴史的にも重要なため、米文化財保護法(NHPA)と同趣旨の日本法で保護されている」と指摘し、NHPAが適用されると判断した。(3日)
●施設局、海域使用延長へ 名護市辺野古沖のボーリング地質調査で、那覇防衛施設局は、同調査を4月以降も継続するため、県に公共用財産使用の「期間更新協議書」を提出した。施設局は04年度中に同調査を終える予定だった。延長期間などは公表されていない。(3日)
●国民保護基本指針案 政府は、昨年6月に成立した国民保護法に基づく「国民の保護に関する基本指針」案を公表した。@都道府県が対応職員を当直させ、災害とあわせて有事にも24時間即応できるように努めるA警報が発令された地域に原子炉がある場合、経済産業相や文部科学相が運転停止を命令――などが書き込まれた。沖縄の住民避難について「国が特段の配慮をする」ことが明記された。地域名が特記されたのは沖縄だけ。(4日)
●拘束解放の車列に米銃撃 イラクで武装勢力に拉致されていたイタリアのマニフェスト紙の記者がバグダッド郊外で解放された。しかし、解放後、空港から700bの路上で米兵に銃撃され、同行の伊情報機関の男性が死亡した。記者は「検問所ではなく、車も通常のスピードで走っていた」と述べ、「検問所で制止したのに止まらなかったので撃った」とする米軍の説明を全面的に否定している。(4日)
●迫撃砲弾、場外へ 陸上自衛隊北部方面総監部は、北海道恵庭市の北海道大演習場島松地区で、実弾射撃訓練中に発射した迫撃砲弾1発が破裂せず、境界を越えて演習場外に飛び出した可能性があると発表した。実弾は重さ20`、信管がついており爆発する可能性がある。火薬の量を間違えたという。陸自が捜索しているが、8日まで見つかっていない。(6日)
●「教科書、慰安婦の言葉減り良かった」政務官が支持 文部科学省の下村政務官は講演で、中山文科相の昨年11月の「歴史教科書から従軍慰安婦や強制連行という言葉が減って良かった」との発言を支持する考えを明らかにした。(6日)
●普天間の機能分散案が浮上 米軍普天間飛行場について、輸送、給油、緊急時の物資集積という機能ごとに、米軍嘉手納基地や岩国基地(山口県岩国市)、九州の自衛隊基地などに分散移転する案が政府内で浮上していることが分かった。沖縄タイムスなどが報道した。(7日)
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週刊『前進』(2190号5面1)(2005/03/21)
米帝ブッシュの世界戦争路線と対決 全世界で3・19〜20国際反戦行動へ
現代の戦争を必然化している 米帝とドルの歴史的没落
帝国主義打倒に労働者の未来
第3次世界大戦に向けての現実的なプロセスが、恐るべき勢いで進行しつつある。米帝ブッシュは就任演説、一般教書演説で「圧制に終止符を打つ」「自由の拡大」を叫び立てた。それは、イラク侵略戦争にさらに深々とのめり込み、イランや北朝鮮を始め全世界に戦火を拡大するという宣言だ。日帝も米帝と軍事的に一体化し、日米枢軸のもとで世界戦争に突き進むことを選択した。米帝の世界戦争路線をその基底で必然化させているものは、米帝とドルの没落である。つまり、昨秋からドル信認が崩れ、ドルを基軸に成り立ってきた世界経済体制が崩壊の危機に直面しているという事態が、米帝ブッシュを戦争に突き動かしているのだ。だがそれは、労働者階級にとって、帝国主義を打倒し、プロレタリア世界革命を押し開く絶好機が到来したことを意味している。
ブッシュ再選でドルは急落 6千億jを超えた貿易赤字
昨秋からのドル信認の急低下は、従来のドル下落とは異なる質を持つ歴史的な事態である。
ブッシュが大統領に再選された昨年10月以降、ドルは大きく下落した。対円では1j=110円台だった為替相場が、11月末には102円台に急降下した。
イラク侵略戦争を継続・激化させて膨大な戦費を支出しつつ、ブルジョアジーには大減税を実施するというブッシュの政策が、アメリカの財政赤字・経常赤字を一層拡大させることは明白だ。だから、ブッシュ再選とともにドルへの信認は急速に崩れ始めたのだ。
04年(暦年)の米貿易赤字は前年比24・4%増の6177億jとなり、過去最大を更新した。アメリカの05会計年度(04年10月〜05年9月)の財政赤字もまた、4270億jと過去最大に膨らむ見通しだ。ブッシュ政権は、国防費を前年度比4・8%増の4194億jとするという06年度予算を組んでいる。これとは別に、800億jを超えるイラク・アフガニスタン戦費を補正予算として提出する方針だ。ブッシュ政権は、いわゆる「双子の赤字」に対処するすべを持たず、逆にそれを悪無限的に拡大させるほかにない。ドル体制崩壊の危機に駆られて始めたイラク侵略戦争が、さらにドル体制の崩壊を促しているのである。
米帝の歴史的没落が明白になった80年代、レーガン政権下で急拡大した経常赤字は、1200〜1600億j程度だった。今やその5倍近くにもアメリカの経常赤字は膨らんだ。これほど膨大な赤字を、貿易黒字国からのドル資金の還流によってファイナンス(補てん)することも、もはや限界に達しつつある。
ドルを国際金融的に支えているのは、今や日本と中国の膨大な外貨準備と米国債購入だといって過言ではない。8410億jもの世界一の外貨準備を抱える日本と、5145億jの世界第2位の外貨準備を急速にため込んだ中国が、その大半を米国債につぎ込むことで、米ドルの暴落はかろうじて阻止されている。
03年1月から04年3月にかけて、日帝通貨当局はドル安・円高を阻もうと総額35兆円(約3000億j)もの為替介入を実施した。それは、03年の日本の経常収支黒字を超えるほどの大きさだ。同年のアメリカの財政赤字(3748億j)、経常収支赤字(5307億j)の半分以上もの膨大な額が、為替介入につぎ込まれたのである。
だが、こんなやり方によるアメリカへの資金流入の効果が、いつまでも続くはずはない。
ドル維持策が効かなくなる
米帝は長期にわたって、ドル信認を維持するためにあらゆる政策と行動をとってきた。だが今やそれは完全に行き詰まった。ドル暴落という米帝の破滅に等しい事態が、ついに切迫し始めたのだ。
第2次大戦直後、米帝は他の帝国主義と比肩しようのない絶対的力を持つ超大国の位置を確保した。工業力・金融力そして軍事力において、それは圧倒的存在であった。
世界の金準備の66%を保有するアメリカのドルが、一定の条件のもとで金との交換を保証され、各国通貨は固定相場でドルと結びつけられた。ドルを基軸通貨とすることで、戦後の世界体制は成り立ってきた。
だが、その体制のもとで進行した日本と西欧の高度成長は、アメリカの経済力を掘り崩していった。71年のドルと金の交換廃止と74−75年恐慌を転機に、帝国主義世界経済は分裂と長期不況に転じた。ベトナム侵略戦争と米帝の敗北は、帝国主義の没落を急激に促進した。以来、さまざまな曲折があったとはいえ、歴史的・趨勢(すうせい)的にドルは下落し没落を深めてきた。
80年代のレーガン政権は、その巻き返しをかけた反革命的諸政策を展開した。意図的なドル高を貫くことでアメリカへの資金の流れをつくり出したレーガン政権の当初の政策は、膨大な貿易赤字を生み出すことで限界に達した。85年のプラザ合意は、ドル暴落を阻止しつつドル安を誘導することを意図した歴史的な政策選択だった。
だが、それによってドル相場は2、3年のうちに1j=240円台から120円台に半減した。
その後のクリントン政権は、ドル安を対日争闘戦の武器とする政策を採用した。95年4月には、1j=79円にまでドル価値は下がった。だが、こうした円高・ドル安をテコに日帝がアジア勢力圏化に踏み出すや、米帝は今度はそれを再逆転する政策を選択する。
こうして米帝の歴代政権によって手を替え品を替えて繰り返されたドル維持策は、ついに通用しなくなる局面を迎えつつある。
今日、アメリカ経済が表面的な好調を保っているのは、住宅バブルに依拠したものでしかない。00年の「ITバブル」崩壊以降、アメリカも本質的に恐慌局面に入っている。それをすさまじい大減税と低金利政策によってのりきってきたのが、アメリカ経済の実態だ。住宅バブルが破裂するのも早晩、不可避である。恐慌対策を出し尽くした米帝には、その時もはや打つ手がない。
住宅バブルの崩壊は米国内外の金融市場を大動揺させ、ドルの信認をますます低下させるだろう。あるいは逆に、ドル信認の低下をきっかけに米金融市場が大動揺し、それが住宅バブル崩壊への“最後の一撃”となることもありうる。
しかも一方で、米帝経済が好調であればそれだけ製造業を中心に輸入が急増し、貿易赤字・経常赤字が拡大するというどうにもならない経済産業構造に今やなっているのである。
一層深まる独仏帝との対立 ドル資産がユーロにシフト
米帝にとって、このまま放置するならドル暴落と大恐慌という破滅は必至となる。米帝はこうした危機と没落の中で延命するために、世界の暴力的再編、つまり世界戦争に踏み込みつつある。
1月30日のイラク国民議会選挙の強行は、イラク人民の民族解放戦争をさらに激しく燃え上がらせた。米帝のイラク侵略戦争が一層の泥沼化にのめり込み、激化・拡大することは不可避である。
ブッシュが「圧制の打倒」や「自由の拡大」を叫び、それを「神の召命」とまで言い立てているのは、もはや最後の一線にまで追いつめられた米帝の絶望的危機を示してあまりある。
第1次世界大戦は、後発帝国主義としてのドイツが、先発帝国主義のイギリスやフランスに勢力圏の暴力的再分割を求めたことを動因に引き起こされた。第2次世界大戦も、後発帝国主義のドイツ・日本・イタリアが枢軸関係を形成し、アメリカ・イギリス・フランスの連合国と対立した。
だが、今起きているのは、戦後世界を主導してきた基軸帝国主義のアメリカが、自ら戦争の放火者となり、「既成秩序」の破壊者となっているという歴史的にかつてない事態である。それは確実に第3次世界大戦を引き寄せている。
昨秋からのドル信認の低下は、イラク侵略戦争をめぐって帝国主義が大分裂し、米欧対立が激化の一途をたどっていることを背景にしている。実際、ドル急落の引き金を引いたのは、昨年来、産油国や中国、ロシアなどが外貨準備をドル資産からユーロ資産に半ば公然と移したことだった。
99年の欧州単一通貨ユーロの導入(貨幣の流通は02年から)は、ドルの没落を決定的に刻印した。ユーロはドルに代わって基軸通貨となるほどの力を持たないとはいえ、ドルの絶対的優位を脅かす存在として登場したことは間違いない。しかも、イラク侵略戦争をめぐって米英日と独仏は激しく対立している。帝国主義が2大陣営に割れ、ブロック化に向けて走り始めたこと自体、戦後史を画する大変なことなのである。
米欧の対立は、中国やイラン政策をめぐっても決定的になった。ブッシュの訪欧は、イラク侵略戦争をめぐる米欧対立の深刻化を浮き彫りにしただけでなく、イランや中国をめぐっても、ますますその対立が激化していくことを鮮明にさせた。中国をめぐっては、武器輸出の解禁に進む独仏に対し、アメリカは2月19日の日米安保協議委員会(2プラス2)で台湾海峡問題への武力介入にあからさまに言及している。イラクをめぐって軍事面での対立に発展した帝国主義の分裂は、今後さらに拡大していこうとしているのだ。
なすすべない姿示したG7
2月4〜5日、ロンドンで開かれたG7(7カ国財務相・中央銀行総裁会議)は、ドル暴落の危機を前になすすべのない帝国主義の姿をさらけ出した。
G7の共同声明には、「主たる優先課題として米国は財政健全化、日欧はさらなる構造改革を約束している」という一節が入っている。拡大する一方の米財政赤字への対処方針に表面上は触れておかなければ、帝国主義間の協調を演出すべきG7が逆にドル暴落のきっかけになりかねないからだ。しかし、ドル体制の危機を国際帝国主義はどうすることもできない。
共同声明はまた、「相場の柔軟性を欠く主要な国・地域にとって、さらなる柔軟性が国際金融システムにおいて市場メカニズムに基づき円滑かつ広範な調整を進めるために望ましい」として、中国に人民元の切り上げを求めた。とりわけ今や米帝は、経済面でも残存スターリン主義国家・中国の人民元に攻撃の照準を定めなければドル体制を維持できないほどに没落の度を深めているのだ。
だが、中国スターリン主義政権は、「(人民元改革の前には)いくつかやるべきことがある」として米帝の要求を一蹴した。
日・中の外貨準備と米国債 暴力的な世界再編狙う米帝
今や米貿易赤字の約4分の1を対中国赤字が占めている。日本と並んで中国が多くの米国債を買っている。中国は市場としてもきわめて大きな存在だ。
ところが米帝は、この中国スターリン主義政権の転覆を究極的には戦略目標にしているのだ。日米安保協議委員会で打ち出された共同発表は、台湾海峡問題への介入を公然と掲げている。それは、中国スターリン主義との軍事対決=戦争をも辞さない態勢の構築を、米帝が世界政策の中心に据えたということだ。ブッシュが強行しようとしている米軍大再編(トランスフォーメーション)は、北朝鮮とともに中国に対しても現実的・具体的に戦争を構えるものである。
米帝は、経済的な生命線となっているような相手を戦争でせん滅しようとしているのだ。没落する米帝が延命するためには、米帝が今なお圧倒的優位性を保つ軍事にものをいわせ、世界を暴力的に再編するほかにないからである。
だが、これこそ帝国主義の歴史的命脈が尽きたことの証左ではないか。
年金の解体が唯一の処方策
ドル急落に見舞われたブッシュは、2月2日の一般教書演説で「09年までに財政赤字を半減する」と強調した。だがそこにはなんの現実性もない。ブッシュはただただ、年金制度−社会保障制度の解体によって財政赤字に対処しようとしているのだ。資本に対しては大減税を施す一方、労働者階級の生活はどこまでも破壊しようというのである。外への侵略戦争と内への階級戦争の攻撃は一体となって襲いかかっている。
だが、これへのアメリカ労働者階級の反撃は、昨年10月のMWM(ミリオン・ワーカー・マーチ)を転機に巨大な規模で始まった。
日帝・小泉も、ブッシュとともに世界戦争にのめり込み、民営化をテコとした労組破壊・労働者の権利はく奪の攻撃を仕掛けている。だが、「日の丸・君が代」強制との攻防を先頭に、この攻撃と対決する闘いは、日本の労働運動の階級的再生の展望を大きく押し開いている。
労働者階級の団結を固め帝国主義の戦争と民営化(労組破壊)攻撃を打ち破ろう。3・20日比谷に総結集し、イラク反戦・改憲阻止の巨大な闘いをつくり出そう。世界革命によって帝国主義を打倒しよう。
〔岩谷芳之〕
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週刊『前進』(2190号5面2)(2005/03/21)
滑走路「北延伸」決定させるな 全国から3・27三里塚へ
成田空港の軍事化阻止しよう
小泉内閣はついに9条改憲を政治日程にのせて戦時国家の道へと突進している。「日の丸・君が代」、イラク反戦、春闘・資本攻勢との闘いなど、05年の階級攻防がこの3月激突する中、三里塚闘争が一体的に決戦化した。北側国交相は成田国際空港会社に対して、3月を期限に暫定滑走路「北延伸」の検討を指示した。これは階級的実力闘争の背骨をなす三里塚への真っ向からの挑戦(階級解体攻撃)であり、米軍の世界的再編(トランスフォーメーション)と軌を一にした成田空港の軍事化攻撃である。同時にこれを規定するものは、三里塚における日帝の戦略的敗北であり、航空政策の破綻(はたん)と成田国際空港会社の危機である。そして攻撃は破綻と危機の取り戻しであればこそ絶望的に凶暴である。3・27集会はこの攻撃に対する決戦集会として、きわめて重大である。また現闘本部裁判(3・24口頭弁論)が白熱化している。大結集を闘いとろう。
脅迫が目的の「北延伸」策動
3・27三里塚全国大結集を闘いとるために第一に確認したいことは、暫定滑走路「北延伸」3月決定の攻撃性と破綻性である。
2月17日、中部国際空港が開港した。09年には羽田空港が国際化する。成田空港の貨物の15%が中部に移行し、国際線の半分を占めるアジア便の大半が羽田空港にシフトする。日帝の航空政策に決定的な遅延をもたらした成田空港は、欠陥だらけの暫定滑走路を抱えて地位陥落の危機に直面している。こうして成田空港会社は、07年株式上場までに暫定滑走路を2500bに延伸することを至上命令としている。
だが、暫定滑走路の当初計画完成(南への延伸)は、東峰神社裁判の勝利によって断たれ、行き場を失った空港会社は、この3月、場当たり的で凶悪な「北延伸」を強行せざるを得ない情勢である。
この暴挙がどうして許されるだろうか。用地が買収できないと見るや工事計画を変更して欠陥だらけ(重大事故がすでに2件)の暫定滑走路を強行し、これが使い物にならないとなると今度は再度の計画変更で北に延伸するというのだ。
しかもこの計画はそれ自体破綻している。暫定滑走路の欠陥をひとつも解消できないばかりか、その欠陥を増幅させるのだ。北端が320b伸びることによって、航空保安区域を東関東自動車道(高速道路)が横断する。離着陸時の緊急避難エリアである着陸帯に段差4bの開拓道路と「へ」の字誘導路がくい込むのだ。管制塔から滑走路が目視できないことも他に例がない。
しかも空港にとって「北延伸」の実効性という点では、延伸してもなお国際線ジャンボ機には短すぎ、国内線ジャンボ機もターミナルと滑走路とを結ぶ連絡誘導路が狭くて走行できない。それでもなお強行するのは反対同盟と敷地内農家に屈服を強要するためである。3・27全国集会は「北延伸」3月決定を粉砕する大闘争である。
天神峰裁判が重大な局面に
3・27三里塚全国大結集を闘いとるために第二に確認したいことは、「北延伸」攻防にかかわる天神峰現闘本部裁判闘争が3月24日の口頭弁論をもって、地上権(土地を使用する正当な権利)をめぐる本格的論争に突入することである。
この裁判は暫定滑走路の欠陥の象徴である「へ」の字誘導路を直線化するための用地強奪攻撃である。
現闘本部は外見的には鉄骨造り3階建ての建物だが、二重構造になっていて、中には1966年に建設し翌年に登記した木造平屋建ての現闘本部が現存する。原告・空港会社は、鉄骨造りの建物を「未登記」物件として提訴した。現闘本部を撤去するために、地上権の構成要件である登記物件の存在を抹殺して「未登記」とし、木造の登記物件は解体されたとの詭弁(きべん)でのりきろうとしていることは明白である。
裁判闘争は、この詭弁・暴論を徹底的に突き、追いつめ、完膚なきまで粉砕し、暫定滑走路粉砕の拠点である現闘本部を守る最大の山場に到達したのである。これは現闘本部とともに誘導路を「へ」の字に曲げる市東孝雄さんの農地と一坪共有地を守る闘いでもある。3・24傍聴闘争、「支援する会」運動の発展を全国の支援陣形の総力で闘いとろう。
米軍大再編と一体の攻撃
3・27三里塚全国大結集を闘いとるために第三に確認したいことは、米軍の世界的再編(トランスフォーメーション)によって、成田空港の軍事的役割がますます明確になってきたことである。
トランスフォーメーションは、在日・在韓米軍の実戦的再編であり、日米安保体制の質的エスカレーションである。日米帝は、50年朝鮮戦争以来、北朝鮮侵略戦争の実戦配置に初めて着手している。米陸軍第1軍団の司令部を座間基地に移転し、陸海空海兵4軍を統合する司令部に格上げするこの軍事再編において、最大の課題は米軍の膨大な地上兵力を移動させる戦略的空輸体制の構築である。
湾岸戦争以降の米陸軍の特徴は、戦略空輸による迅速な展開力である。地上兵力の9割以上が民間の航空輸送力に依拠している。巨大な兵站(へいたん)処理能力を備えた空港施設の確保がその大前提である。
米帝の朝鮮侵略作戦計画5027に基づき策定された「対日支援要求1059項目」(95年)で、米軍が真っ先に成田空港の確保を要求してきたのは決定的な意味があった。米軍は成田を単なる物資輸送の中継点とするのではなく軍事基地と位置づけている。
現在、横田基地はアジアに展開する米空輸体制の中軸にあるが、朝鮮戦争で必要な作戦レベルにおいて横田単独では対応できず、成田空港の軍事化が一体的に推進されているのである。
この軍事的視点から暫定滑走路「北延伸」をとらえ返すと、これは最長3800bの軍用滑走路建設である。(暫定滑走路で800b北に移動。これをさらに320b北延伸。滑走路の南側110bは滑走路と同様の強度に整備してある)
3・27は、沖縄・辺野古の新基地建設阻止闘争と連帯し、日米帝の侵略体制づくりと闘う総決起集会だ。
農民切り捨て政策に反撃を
労働者に対する資本攻勢とともに、農業破壊・農民切り捨て政策が激化している。農水省による食料・農業・農村基本計画の見直し(05年)にあわせて、日本経団連や経済同友会が、「自由貿易」「グローバル化」時代における競争力強化の名のもとに、農業資源を集積させる農業構造改革を提言している。それが意味することは日本農民切り捨てである。
労働者への過酷な資本攻勢と農民切り捨て政策は一体である。今こそ労農連帯の力で、資本攻勢を打ち破り戦争の道を阻止しよう。
天神峰現闘本部裁判闘争支援運動への取り組みをさらに強化しよう。3・24天神峰現闘本部裁判闘争に決起し、3・27三里塚に全国から総決起しよう。
〔江波敏之〕
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週刊『前進』(2190号6面1)(2005/03/21)
全金本山労組の歴史的な勝利に乾杯! 東京 鎌田雅志
全金本山労組34年の激闘に歴史的な勝利! 本紙2186号の5面を、ひとしおの感慨をもって読んだ。
本山争議の最初の記憶は、右翼暴力ガードマンのテロ・リンチとの攻防である。高校3年の時だった。その激しい門前闘争の様子は、仙台ではテレビのニュースで幾度も流れた。それは、確かに事件だった。
69〜71年の学園闘争・全共闘運動を担った世代が卒業してしまった72年、私は授業を抜け出しては映画館に通う毎日を送っていた。かなり迷った末、友人と「見に行ってみっぺ」となった。ロックアウト攻撃開始前後のころだった。雪が舞っていた。結局、ガードマンにしたたか殴られて帰ってきた。「おっかねぇな」が正直な感想だった。
「卒業式で何かやったら卒業取り消しだ」と生徒指導部から通告されたので、それならもう一年居てやると「卒業式粉砕闘争」で暴れた。すると、「こんな奴らは追い出すに限る」ということで卒業することに。仕方がないから土建屋でアルバイトをしたら、本山の組合員たちも働いていた。
争議中の組合員たちは、バイト代を全額一度集めてから各人が必要最低額を受け取るシステムでやっていた。ものすごい団結だと感動した。それで、最初の一月のバイト代の半分ほどをカンパしたら喜ばれた。
本山闘争の支援集会ではいつも三里塚闘争の映画が上映され、「本山・三里塚支援集会」として開催されていた。三里塚との連帯は当たり前のことだった。大衆的実力闘争で勝利するぞという戦闘的な雰囲気が満ちており、ほとんど映画目的で参加していた私も強烈にオルグされた。
仙台を離れてから本山支援に駆けつけたことがなく、申し訳ないと思っている。こちらには動労千葉があった。これも人生を決める出会いになった。
労働者魂に乾杯!
星野文昭同志を1日も早く取り戻そう 東京 神藤猛雄
星野文昭同志は無実であるにもかかわらずいまだ獄中に閉じ込められている。この悔しさはいかばかりだろう。毎日毎日、看守たちに監視されている塀の中の状況は想像を絶するものがある。国家によって仕組まれたこの呪縛(じゅばく)から一日も早く解き放つこと。それには獄外にいる私たちがこの理不尽に怒り、国家と正面から向き合っていくなかでこのような国家のやり方を変えていくことが必要だ。そのような思いで先日の最高裁への申し入れに参加した。(写真)
2月23日、星野暁子さんを始め各地の連絡会の人びとが結集し、星野同志の再審を一刻も早く開始するよう申し入れを行った。門前には警視庁公安部の私服刑事たちが待機していた。無実の星野同志をいまだ獄中に閉じ込めているのは裁判所である。その裁判所への当然の訴えをあたかも許されざる行為として監視に来ているのだ。許せない。
最初に、@事実調べを行うこと、A証拠開示を命令することの2点を求める請願書を提出した。星野暁子さんは弁護団の提出した特別抗告理由書を裁判官はきちんと読んでいるのかはっきりさせて欲しいと訟廷書記官に強く迫った。また、各地の連絡会の人がそれぞれ、口頭で再審開始を訴えた。沖縄の平良牧師の請願書は何度も日本政府に裏切られてきた沖縄と星野さんの思いは一つ、デッチあげられた星野さんを解放して欲しいとの訴えであった。
ペテン的な沖縄返還。それは今だれの目にも明らかになっている。基地のない沖縄を目指し全力で最先頭で決起した星野同志。それゆえ、権力は無理やり星野同志をデッチあげた。未成年者にウソの供述を強制し、星野同志を無期に処したのだ。最も自由を求めて闘った同志が今、最も自由の抑圧された獄中にいる。この現実をなんとしても突破しなければならない。
コンパクトにわかる『現代帝国主義論U』 10代の学生 西尾哲郎
この本は重要と思い、早速読ませていただきました。濃厚で重要なことが多くおもしろかった。マルクスやレーニンの時代だけでなく、現代帝国主義の悪事や矛盾とその構造が鋭角的に示されている。権力が教育や歴史に盛り込もうとしない第2次大戦後の帝国主義の諸政策、今後の日帝や米帝の政策とその背景、さらに第3次大戦につながる現在のEU対米帝の対立構造まで書かれた大局的な本です。とりわけ、この本の長所は、後半の「キーワードで読み解く帝国主義」です。帝論がコンパクトに整理されていてわかりやすい。帝国主義の定義とその構造から学び、帝国主義はつぶれていくしかないことを知る。本の結論どおり、やはり反帝と帝国主義打倒しかないのです。
ところで運動はわかりやすく教えられるかにかかっています。視覚的にわかりやすいグラフや図を加え、情報の出典を書くともっといい本になるでしょう。オルグにもビラや宣伝にも使えます。労働者にも活動家にもわかりやすさが求められています。改善しながら今後もこのような本をたくさん出版してください。
人びとは行動の呼びかけを求めている 福岡 轟 健太郎
3月5日反戦共同行動・福岡は福岡市天神で3・20イラク反戦世界行動への決起を訴える街頭宣伝を行いました。(写真)
この日は、たいへん寒い中での街宣となりましたが、町ゆく人びとが次々と足を止め、署名に応じてくれました。街頭の圧倒的な人びとが、帝国主義の侵略戦争に怒り、小泉の労働者階級に対する殺人的な政策に対し怒っており、行動を求めているということを実感しました。なかには「ホームページなどでいろんな行動の呼びかけを探していた、3・20には是非参加したい」と言った人もいました。
街宣も終盤になってから、おそらく右翼から通報を受けたと思われる制服警官がいちゃもんを付けてきて、署名中の人に体当たりをしてくるなどとんでもない弾圧を行ってきましたが、権力の挑発を完全に粉砕して街宣活動を貫徹しました。
1月30日に強行された「イラク国民議会選挙」は完全に破綻(はたん)しています。米政府はマスコミを総動員して選挙の成功を大宣伝し、日本のマスコミも完全にそれに乗っかる形での報道を行いましたが、選挙人名簿の数も不確定のまま行われた選挙で、なにが「高い投票率で大成功」か。実際にはほとんどのイラク人民は投票を拒否し、武装解放勢力による一大ゲリラ戦がたたきつけられています。
こうした状況の中で、開戦から2周年となる3・20は決定的な意義を持っています。全世界の民衆と連帯し、イラク反戦世界行動に総決起しよう。
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週刊『前進』(2190号6面2)(2005/03/21)
介護保険改悪法案阻もう 半数の人から介護奪う
施設入所は3〜5万負担増
2月8日、小泉内閣は介護保険制度改悪法案を閣議決定し、国会に提出した。介護保険がそもそも高齢者から介護を奪い、命を奪う悪らつな制度の強行だったが、それをさらに改悪しようとしているのだ。介護保険制度改悪法の成立を絶対に阻止し、「必要な人に必要な介護を」「介護は全額公費負担で」をスローガンに、労働者人民が安心して生きられる介護と福祉を実現しよう。
狙いは介護保険給付費削減
今回の制度改悪のポイントは、@予防給付を新設して従来の「要支援」「要介護1」の7〜8割の人から、家事援助の介護を奪う、A施設入所者の居住費、食費を自己負担化する、B数年かけて現在のヘルパー1級、2級資格を廃止し、介護福祉士に一本化する。ケアマネージャーの資格を5年ごとの更新制にし、研修を義務化する、C保険料の特別徴収(年金からの天引き)の対象を拡大する、などである。
まずはっきりしていることは、今回の介護保険制度改悪の狙いが介護保険給付費の削減にあることである。厚労省はこの制度改悪によって7年後には1兆8000億円も介護保険給付費を削減できると見込んでいるのだ。日帝がイラクに自衛隊を派兵し戦時下に突入した中で、自衛隊法改悪によってさらに侵略戦争を拡大しようとしている。そうした中で国家財政の破産をのりきるために介護や年金などの福祉財政を徹底的に削り込み、戦争国家体制を構築しようとしているのだ。
今回の制度改悪によって介護はどうなるのか。
第一の問題点は、介護と予防を分離することによって、実際には家事援助の介護が奪われることだ。要支援と要介護1の人は要介護認定を受けている人の約半数に達する。この人たちから介護を奪おうとしているのである。
厚労省は家事援助介護を受けることによって介護度が重度化するというウソを言っている。しかし厚労省の調査でも要介護1の人の重度化は全介護度の中で最も低い18・9%であり、維持、改善している人は80%に達している。家事援助介護を受けることで多くの高齢者が生きる希望を見出し、以前より状態が良くなっているのだ。また実際に必要としているのも、掃除や洗濯や食事を作るといった家事援助であって、高価な器具を使った筋力トレーニングなどではない。
「予防」と称し家事援助奪う
新設される予防給付は、これまでの要支援の人が要支援1となり、要介護1の人の一部を要支援2として、要介護認定の際に振り分ける。要支援1、要支援2とされた人は予防給付は受けられるが、家事援助などの介護サービスは受けられない。厚労省は介護保険実施の際に「サービスの自己選択・自己決定」などとうたったが、完全なまやかしだったのだ。
また介護予防事業を介護保険制度に位置づけるとしているが、これは従来国の補助事業として行われていた老人保健事業や介護予防事業を介護保険に組み込むことによって利用者の費用負担に転嫁しようとするものである。
第二の問題点は、施設入所者の住居費、食費を自己負担にすることで、自己負担が一挙に増え、払えない人は施設から出て行かざるをえなくなる、また施設には入れなくなることだ。
厚労省が示した標準的な住居費は、相部屋で月1万円、個室で6万円、食費はいずれも現行の倍近い月4万8000円になる。この標準の場合でも月にして3万円の自己負担増になる。低所得者には自己負担の上限を定め、それを超えた分については差額を補填(ほてん)する制度がとられるが、いったん全額を支払わなければならず、その金が払えない人は利用できないことになる。
現在、在宅介護では介護にかかる費用がかさむので多くの高齢者が施設入所を希望せざるをえない状況にある。とくに要介護度が重い人ほどこの問題は深刻である。ところが低所得者は施設入所をあきらめざるをえなくなる。厚労省は、これによって初年度でも3000億円の給付削減を見込んでいるのである。
労働者の職を奪い利用抑制
第三の問題点は、現在、家事援助などをしている在宅ヘルパー労働者から職を奪い、さらには資格さえ奪う攻撃である。ケアマネージャーへの統制を強めることで、給付削減を狙っているのである。厚労省は、ケアマネージャーが甘い認定調査をして不必要な介護サービスを掘り起こすから給付が増えるのだと、ケアマネを悪者にして統制を強化し、給付抑制を狙っている。そのために要介護認定調査を民間の事業者にさせず、原則として市町村に限定する。また要介護認定の申し込みも高齢者本人か家族に限定し、民間事業者の代行を認めないことにしている。代理申請の比率は8割に上っており、これが認められなくなれば、手続きが難しくてできないために多くの人が介護保険を利用できなくなる。
また、ヘルパー労働者は、要介護度の低い人が家事援助介護を受けられなくなることによって、現在行っている仕事の大半を奪われることになる。もともと不安定雇用が多いうえに、仕事が減れば、職を失うことになる。その上、現在のヘルパー資格を廃止し、長期の研修が必要な介護福祉士の資格を強制しようとしている。まさにあらゆる手を使って介護保険の利用を抑制しようとしているのである。
保険料負担の年齢を現在の40歳以上から20歳以上まで拡大する問題については、今回は先送りされたが、付則の中に「09年度をめどに所要の措置を講ずる」と明記し、今後この拡大を行うことを法律で決める形になっている。介護が必要な高齢者から介護を奪う一方で、介護保険料が際限なく上がり、対象者は20歳以上に拡大されるのである。
「障害者」への介護保険適用は、見送られた形になっているが、実質的には介護保険と同じような仕組みの「障害者自立支援給付法」を今国会で強行しようとしている。応能負担から応益負担に変え、光熱水費を原則自己負担として、「障害者」から介助を奪い、地域自立生活を破壊する改悪を行おうとしているのである。
介護保険制度改悪は、日帝が侵略戦争にさらに突き進むために労働者人民にすべての矛盾を押しつける攻撃である。とりわけ、高齢者から介護を奪い、「死ね」というに等しい攻撃なのだ。絶対に許してはならない。高齢者を先頭とした労働者人民の総決起で、介護保険制度改悪法案を粉砕しよう。
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週刊『前進』(2190号6面3)(2005/03/21)
長谷川さんの『挑戦状』を推す 暗雲吹き飛ばす快感
血の通った正義の人と対面
『野火』編集・発行人 桜井善作
この本を手にしてタイトルをしっかりと確認したとき、私は、わが内面から湧きあがる闘志を感じた。
頁(ページ)を捲(めく)る前から、すでに興奮をさえ覚える気持ちだった。それは、歴史の真実と向きあう勇気を持たない卑劣漢、八つ裂きにしてもなお飽き足りない男への喧嘩(けんか)状、果たし状だと思ったからである。
いまやこの国の実態は、正に明日を失って滅びゆく運命のマンモスだ。にもかかわらず、打算と保身のみに右往左往する政治が蔓延(まんえん)している。使命感もなく、翼賛化した議会やマスメディアに支えられて、ますます独裁者気取りの振る舞いに拍車がかかっている小泉と石原。
その石原に膝下(しっか)する都政に、長谷川ひでのり氏が殴り込みをかけるというのだから、閉塞(へいそく)感に苛(さいな)まれていたものにとっては、待ってましたっ、と握り拳を突き上げたくなろうというものだ。重く垂れこめた暗雲が一気に吹き飛ばされる程の快感である。
権力サイドや敵対する勢力は、著者を常に“過激派”として悪宣伝し、とりわけ選挙戦となると“過激派に人権なし”とばかりに不法・不当・無法な妨害・弾圧を繰り返してきた。
しかし、読者はこの本の中身を通じて、まるで食塩注射でもされた時のように、じわじわと全身が熱くなり、やがて頬(ほお)がぽおっと赤みを帯びてくるのを実感するに違いない。
まっこと、血の通った正義の人物と対面することになるからだ。過激派というなら、なる程、過激派というのは市民の人権を守るために自らの体を張る人たちの代名詞だったのかとの思いに至るだろう。
こんな認識が市民の中で広く共有されるようになると、「過激派」も死語となってしまうかも知れないなぁ。それは残念。
本の冒頭で著者は、石原知事との最大の対決の場は、教育と介護・福祉だ、と断言してこの本がファシスト石原知事打倒の闘いの口火の一つとなることを心から願っていると書く。
第1部は、フリージャーナリストの斎藤貴男氏と、平和遺族会代表で、「とめよう戦争への道!百万人署名運動」事務局長の西川重則氏、それと著者・長谷川ひでのり氏との鼎談(ていだん)である。
斎藤氏は、「都教委は人間を『家畜』としかみなしていない。あくまでも『お上』に服従する家畜だとしか思っていない。生徒が『君が代』斉唱で立たなかった場合も教師が処分されるというなら、東京の全部の学校がストライキに入ってもおかしくないですね」と語っている。
私も全都全校でストライキを決行して欲しいと心の底から期待せずにはいられない。この戦時下体制を打ち破るためには、各自がそれぞれの場所で渾身(こんしん)のたたかいに立ち上がる以外に道は開けないと思うからである。
西川氏は「石原知事は、中国に対するすさまじい蔑視(べっし)を続けている。歴史の総括を回避し、無視し靖国神社参拝を繰り返すという憲法破壊をしている。今年の8月15日に天皇に靖国参拝の要望を出すと。ともに立ち上がって、都政のあり方を変えなくてはなりません」と強調。
ここで長谷川氏は、“生物テロ”にからんで、憲法を命がけで破る、と声を荒げて叫んだという石原知事に対する議場の反応を話す。「自民党のみならず民主党も公明党も歓声をあげて拍手喝采(かっさい)した」と、都議会のあまりにお寒い現状を語り、「このままでよいのか」と自らの都議選挑戦への決意を滲(にじ)ませている。
第2部の社会保障の項では、“都民の命を市場原理に投げ出す”と切り、「都立病院改革マスタープラン」によって、16カ所あった都立病院が8カ所にされてしまい、職員が大削減されることになり、その結果として医療事故と隣り合わせのギリギリの労働強化と事故の責任転嫁が持ち込まれると指摘している。
著者は、「適切な医療をきちんと受けられることは万人の権利だ。だから自分は過酷な労働を強いられる医療労働者と連帯し、また石原都政の医療政策によって命を危険にさらされている方々と連帯して、いのちと健康を守るためにたたかう」と明言する。
第3部は女性労働者との座談会だ。認証保育制度が、女性労働者が劣悪な条件でも働かざるを得ない現実を逆手にとった毒入り饅頭(まんじゅう)だと、石原偽善の皮をはぐ。
戦争教育、介護と福祉、民営化と戦争動員、環境破壊、女性の地位の問題など、全編を通じて著者の視線は一人ひとりの「人権」に注がれている。主権者たる都民として、著者・長谷川ひでのり氏の都議選勝利への闘志がふつふつと湧いてくる本である。
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週刊『前進』(2190号6面4)(2005/03/21)
『共産党宣言』 −学習の感想−
資本主義社会転覆する存在 M・G
『ドイツ・イデオロギー』の学習会の最後で、『ド・イデ』から『共産党宣言』にいたるには大きな飛躍が必要だった、と話されていました。それはどこにあるのだろうかと思いながら今日の講義を聞いていました。ブルジョアジーとプロレタリアートの階級関係がよりはっきり提起されていること、とりわけ階級的存在としてのプロレタリアートということがその内容になるのではないかと思います。
プロレタリアートのブルジョアジーに対する闘争はその存在とともに始まるという規定や、武器をとる階級という規定など、プロレタリアートが、ブルジョアジーの支配する資本主義社会を転覆する存在として描かれていて、読んでいても高揚感を感じるという書き方で書かれていると思います。
また、資本主義がその本質から言っても、永遠の体制ではないということも、すごくよく理解できる。今起こっていること、日本経団連(奥田碩会長)の「05年版経労委報告」などの現実を思い浮かべながら聞いていると、『党宣言』の内容と一致させて読んでいけると思えました。昔読んだ時より、今読んだ方が新鮮に感じます。
あと、ルンペン・プロレタリアートの話は、今まで間違って理解していました。今まではブルジョアジーに(その時点で)雇われていない、失業している労働者のことかと思っていました。討論の中で、旧社会の分解から出てきた部分で、旧社会に帰ろうとする反動的運動に組織されていく社会的存在だというふうに理解しました。
賃金奴隷の位置は変わらず M・O
『共産党宣言』は150年以上も前に書かれた本であるが、あらためて今日のわれわれの闘いの決定的武器であることを確認できた。
プロレタリアートの存在と闘い、ここで描かれ、暴露されているプロレタリアートの状況は、21世紀の今日のプロレタリアートが直面している状況と驚くほど同じである。資本主義・帝国主義下での生産諸関係の発展のもとでは、プロレタリアートは本質的にも現実的にも、賃金奴隷としての位置は変わらないし、それどころか、働くことも、食べることもできない状況にたたき込まれつつある。
奥田を会長とする日本経団連の「05年版経労委報告」では、それを極限まで進めるとしている。「奴隷制の内部で奴隷としての生存を保障することができない」(新訳『共産党宣言』29n)状況にあることを告白しているのである。
『共産党宣言』を労働者自己解放闘争としての革命を目指すわれわれにとっての綱領的文書として、党活動の武器として生かしていきたい。
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