ZENSHIN 2004/01/06(NoG003
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週刊『前進』(G003号1面1)(2004/01/06)
空自本隊の1月イラク侵略出兵阻止 小牧現地闘争に立て
闘うイラク・中東人民と連帯し3・20国際反戦闘争の大爆発を
国鉄決戦を軸に04春闘勝利へ
新年冒頭から重大な決戦を迎えた。日本帝国主義・小泉政権は、日本と全世界の労働者人民の「派兵反対」の声を踏みにじって12月9日、「イラク派兵基本計画」を閣議決定し、ついに陸海空自衛隊1000人の派兵を開始した。小泉首相がどうごまかそうとも、これはイラク侵略戦争への日帝の参戦そのものである。世界恐慌と帝国主義間争闘戦の激化の中で、日本帝国主義が〈内への階級戦争>とともに、ついに公然と〈外への侵略戦争>の道に踏み出したのだ。革共同はこの重大な歴史の岐路にあたり、すべての労働者人民に全力決起を訴える。闘うイラク・中東人民、ムスリム人民と連帯し、米英日帝のイラク侵略戦争を粉砕せよ! 1月26日、小牧からの空自本隊の派兵阻止に立とう! 1〜2月北海道・呉現地闘争に決起し、さらに3月20日、開戦1周年に全世界で闘われる国際的な反戦統一行動を10万、20万の規模で大爆発させよう。これと一体の闘いとして、1・31国労中央委闘争から04春闘を戦闘的に闘おう。
第1章 26日にも小牧基地から空自本隊の150人が
第2次大戦後五十余年、自衛隊発足50年を経て、ついに日帝は再び泥沼の侵略戦争の過程に突入したのである。昨年末12月26日に空自先遣隊が出発したのに続き、1月26日に空自本隊150人が小牧基地(愛知県)からC130輸送機3機で出兵しようとしている。さらに1〜3月に陸自・海自が北海道、小牧、呉などから続々と出兵しようとしている。(左の表参照)
日帝のイラク派兵は、戦後体制を一変させ、日帝を再び侵略戦争の道に突入させる最大級の攻撃である。そしてこのイラク侵略戦争参戦は、確実に北朝鮮侵略戦争に連動する。日帝支配階級は、北朝鮮侵略戦争を射程に入れて、イラク派兵=参戦を決定したのだ。
イラク人民が米英の侵略軍およびこれに加担・協力するスペイン・オランダ・韓国・日本などの軍隊や政府機関員と全力で闘い抜いている時、日本の労働者階級は自国の軍隊の侵略出兵を許してよいのか! 断じて否だ。絶対に体を張って阻止しなければならない。
12月9日にイラク派兵の基本計画を閣議決定した時、小泉は記者会見で「武力行使はしない。戦闘行為には参加しない」「イラクに安定した民主的政権をつくるための人的支援だ」と強調した。だが、これはとんでもないペテンである。自衛隊が行うとしている「人道復興支援活動」とか「安全確保支援活動」とはいったい何か?
「人道復興支援活動」とは、「医療・給水・輸送」など、侵略軍としての米軍が民衆支配のために行うことを、自衛隊が肩代わりするものだ。自衛隊が肩代わりする分だけ、米軍はイラク人民を殺戮(さつりく)する戦争に全力を挙げられるのだ。つまりこれ自体が侵略戦争と軍事占領に不可欠の作戦なのだ。しかも陸上自衛隊は装甲車や無反動砲で重武装し、現場判断で「警告なしで射撃も行う」としている! なにが「人道的支援」か! 百パーセントの戦争行為だ。
さらに「安全確保支援活動」とは、もっと直接に米軍の戦争行動と一体である。政府は「国連加盟国の安全・安定回復活動の支援のため」の活動と説明しているが、要するに米軍が「アイアンハンマー作戦」などと称して現に行っている軍事作戦の支援のための行動である。イラク人民の住居の破壊と捜索、空からの爆撃、殺戮と大量逮捕、迫害という戦争行動と完全に一体の活動なのだ。自衛隊がこのために米軍の武器・弾薬を輸送し、完全武装の米兵を輸送する、さらに医療や通信、補給などを支援するのである。これが「安全確保支援活動」の正体だ。どこをどう押しても侵略戦争への参戦そのものではないか。
実際、すでに報道されているように、自衛隊の派遣部隊は今、連日激しい戦闘訓練=殺戮訓練を繰り返しており、その上でイラクの戦場に出兵しようとしているのだ。こんなことを絶対に許してはならない。
第2章 帝国主義侵略戦争を内乱に転化する闘い
さらに許せないことに、小泉は1月1日、抜き打ち的に靖国神社参拝を行った。これは自衛隊のイラク派兵と完全に一体の攻撃である。侵略戦争を「聖戦」と美化し、自衛隊員と日本人民に向かって「国家のために犠牲になれ。国家のために命をささげよ」と強制する攻撃である。
われわれは、帝国主義ブルジョアジーのために他国・他民族への侵略戦争を行うことなど真っ向から拒否する。そのために自らの命を犠牲にすることなど、きっぱりと拒絶する。それどころか、労働者階級人民は体を張って侵略戦争に反対し、帝国主義を打倒するために、血を流しても闘うのだ。侵略戦争と資本攻勢で労働者人民を犠牲にすることでしか生きられなくなった帝国主義を打倒するためにこそ、日本の労働者人民は国際的に連帯し団結して闘うのだ。
イラク派兵=イラク侵略戦争参戦は、戦時下の階級闘争への突入である。レーニンが第1次大戦に際し、祖国防衛主義をぶち破って祖国敗北主義に立って、侵略戦争を内乱=国内戦に転化することを強調したように、今日、日本階級闘争の未来はイラク派兵阻止の階級的、内乱的闘いを打ち立てることができるか否かに一切がかかっている。
イラクでは、イラク人民の民族解放・革命戦争が連日闘い抜かれ、米軍ヘリ撃墜など米帝侵略軍に確実に打撃を与えている。12月13日にフセインが捕捉されたが、イラク人民・ムスリム人民の闘いは、むしろそれ以降一層激しく燃え広がっている。
米帝のイラク侵略戦争は今や完全に米帝を死のふちに引きずり込む泥沼戦争となった。また、帝国主義間争闘戦とブロック化は、帝国主義相互のつぶし合いの段階へと突入している。米帝は帝国主義である限り、どんなにイラクで危機を深めても、絶対にイラクから引き揚げることはできない。それはブッシュ政権の破滅を意味し、中東での石油独占支配の野望が突き崩され、仏独露などの権益が大手を振って入ってくることにつながるからだ。さらに、それはアフガニスタン支配の崩壊やパレスチナ政策の全面的破綻(はたん)へとつながるからだ。だから、米帝は何がなんでもイラクにしがみつく。だが、そのことによって帝国主義としての危機を限りなく激化させていく。
全世界の労働者人民がイラク反戦闘争を不屈に、壮大な規模で爆発させ発展させることによって、米帝の危機の泥沼的激化は、プロレタリア世界革命の勝利の条件に転化できるのだ。
日帝のイラク侵略戦争参戦もまた長期化し、泥沼化し、日帝の危機と反動化をとことん促進するものとなるだろう。国内階級情勢も、戦争下の階級戦争的状態へと一挙に突入していく。革共同と労働者階級人民は、今こそ強烈な革命的精神を発揮し、どんな弾圧も恐れず、日帝・小泉のイラク派兵を阻止するために火の玉となって闘い抜こう。3・20国際反戦闘争の大爆発と戦闘的労働運動の発展で帝国主義打倒―プロレタリア世界革命の勝利へ突き進もう。
第3章 04年経労委報告と対決し 1・31国労中央委−春闘へ
イラク出兵と軌を一にして、労働者階級への資本攻勢は一段と強まっている。「外への侵略戦争」と「内への階級戦争」は、日帝の体制的危機という同一の根源から発する一体の攻撃なのである。
日本経団連は12月16日、「04年版経営労働政策委員会報告」を発表した。その内容は、未曽有の危機を深める日帝ブルジョアジー、大銀行・大企業が、生き残るためになりふり構わず労働者階級への階級戦争にうって出る宣言である。「定期昇給の廃止・縮小、ベースダウン(一律賃下げ)も労使の話し合いの対象」と居丈高に叫び、さらに社会保障の解体や、消費税の大幅アップを正面から主張している。日帝・資本家階級は、連合の完全屈服を見透かして、労働組合の存在と労働者の生きる権利そのものを全面的に否定する攻撃を強めているのだ。
これに続き12月22日、最高裁は国労と全動労のJR採用差別事件について、「JRに責任なし」の反動判決を行い、中労委が出した救済命令の取り消しを確定させた。日帝・国鉄=JR資本の国家的不当労働行為を完全に免罪し、労働者の団結権と労働委員会制度そのものを全否定したのである。
この時にあたり国労・酒田執行部は、この判決に全面屈服する声明を出した。彼らは1・31中央委員会、さらに2月にも臨時大会を開いて「国鉄闘争の幕引き」を宣言し、国労の自己解体の道を進もうとしている。絶対に許すな。極悪の警察労働運動を進める国労中央=酒田執行部を打倒し、闘う執行部を打ち立て、1047名闘争と国労5・27臨大闘争弾圧裁判の勝利をかちとり、国労の戦闘的再生を闘いとろう。
またこの反動判決は、分割・民営化反対を組合ぐるみで闘ってきた動労千葉への破壊攻撃である。闘う動労千葉を断固守り抜こう。
日帝のイラク参戦と軌を一にして最高裁反動判決が行われたことはけっして偶然ではない。次期通常国会では、不当労働行為救済制度―労働委員会制度の解体を狙う労働組合法改悪が狙われている。侵略戦争と資本攻勢を強める日帝は、あたりまえの労働運動、労働組合すら認める余裕もなくなっているのだ。
04年はまさに労働者階級と労働運動の存亡をかけた決戦の年となった。今こそ連合中央、全労連の屈服を突き破り、階級的大反撃にうって出よう。敵階級の凶暴な攻撃の中に、敵の危機の深さをはっきりと見抜いて、あくまで階級的=国際的に、党派的に闘って勝利を切り開こう。
11・9集会が示した労働者国際連帯の道をさらに発展させよう。この道こそ、侵略戦争・資本攻勢と闘う労働者階級の勝利の道だ。
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週刊『前進』(G003号1面2)(2004/01/06)
国労弾圧 全被告の奪還かちとる 国労再生へ反撃の突破口
12月22日、国労5・27臨大闘争弾圧の7被告の保釈が実現した(残る東元〔はじめ〕被告は、昨年8月以来、闘病のため勾留の執行停止をかちとっている)。02年10月7日の第1次逮捕から1年2カ月を超える長期勾留を打ち破り、被告たちは家族や仲間のもとに取り戻された。
被告の保釈が決定したという知らせを受けた被告家族や国労組合員、友人・支援者らは、同日夕、東京拘置所前に集まった。釈放を待ちわびる間に、夕やみが濃くなった。
午後6時過ぎ、獄壁の門扉が動いた。橘日出夫被告の姿が現れた。続いて小泉伸被告、原田隆司被告が門扉をくぐった。家族や友人たちが駆け寄った。各被告に花束が渡され、あちこちで固い握手が交わされた。しばらくおいて松崎博己被告、富田益行被告が、さらに羽廣憲被告、向山和光被告が出てきた。遠く九州から駆けつけた松崎被告、羽廣被告の家族が目頭を押さえて被告に寄り添った。
午後7時半、都内のホテルで歓迎集会が開かれた。会場には、弁護団や許さない会の会員など100人近い人びとが集まった。被告が姿を見せると、歓声が上がった。ついにこの日を迎えることができたのだ。その喜びに会場がわく。誰もが興奮を抑えられない。乾杯して飲み干すビールはまさに勝利の美酒だ。
被告たちがあいさつに立った。松崎被告団長は家族の奮闘に感謝した後、「今日、最高裁が不当な判決を出した。国労再生のために奮闘する。動労千葉を追い抜くような運動をつくりたい」と闘志に燃えて発言した。羽廣被告は「今日は一歩勝利に近づいた。闘いはこれから。われわれの勝利を権力に見せつけるために全力で頑張りたい」と確信も固く決意を表明。原田被告は「思いがけない弾圧だったが、僕自身も鍛えられ、家族のきずなも深まった」と1年の闘いを振り返った。富田被告団副団長は「出てきた私たちがするべきことは、私たちを権力に売った国労本部を打倒し、国労を再生させることだ」と今後の方針を鮮明にさせた。小泉被告は「皆さんのおかげです。ありがとうございます。頑張ります」と述べて感極まり、涙を浮かべた。橘被告団副団長は「皆さんの闘い、仲間の力に勇気づけられた。今日を、激動情勢を勝利的に闘い抜く門出にしたい」と喜びを表した。向山被告は「現在の司法反動の中で、検察側立証がまだ3分の1も終わっていない段階で保釈を実現したことは快挙だ」とこの日の勝利を総括した。
被告家族もそれぞれに喜びと感謝の言葉を述べた。会場に駆けつけた一瀬敬一郎主任弁護人、西村正治弁護人が被告たちをねぎらった。国労組合員、動労千葉組合員、各地の許さない会の歓迎の言葉が続いた。
この日、弁護団は東京高裁第4刑事部とのぎりぎりの折衝を続けた。東京地裁刑事第10部の青柳勤裁判長は12月18日に保釈の決定を出したが、不当にも検事がそれに抗告していた。高裁がどのような判断を下すかは、予断を許さなかった。
許さない会は、なんとしてもこの日のうちに保釈をかちとる決意を込めて、東京地裁・高裁前での早朝からの座り込みと宣伝活動を貫徹した。そうした力が相乗して、午後2時過ぎ、検事抗告棄却の東京高裁決定をもぎり取ったのだ。
最高裁がJR採用差別事件の反動判決を下した当日に、被告の保釈奪還を実現した意義はきわめて大きい。国鉄闘争解体へ支配階級が全体重をかけて振り下ろした最高裁判決の反動は、瞬く間にその一角を崩されたのだ。国労組合員の手に取り戻された被告たちの存在は、国労再生に向けての大激動を押し開くものになるだろう。組合員を権力に売り渡し、闘争団員を統制処分にした裏切り執行部を打ち倒し、国労を再生させる闘いは、ついに勝利のテコを手に入れたのだ。
許さない会は、被告奪還の勝利を受けて、2月10日の第19回公判後の全国集会(午後6時半から、文京区民センター)方針を打ち出した。1月23日の第18回公判闘争と1月31日の国労中央委員会闘争を闘い抜き、2・10公判−全国集会に結集しよう。国鉄闘争勝利へ今こそ全力で闘おう。
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週刊『前進』(G003号2面1)(2004/01/06)
最高裁反動判決を弾劾し国労再生へ
国家的不当労働行為居直り 団結権の解体を策す大反動
1・31国労中央委決戦に立とう
12月22日、最高裁は国労と全動労のJR採用差別事件について、JRは使用者責任を負わないとした反動判決を下した。98年5月28日の東京地裁判決以来、地労委・中労委の救済命令をことごとく否定してきた司法判断は、この判決により確定した。日帝のイラク参戦情勢のただ中で下されたこの判決は、司法を含む日帝国家権力が労働者の団結権を解体し、労働委員会制度をなきに等しいものにする一大反動攻勢に打って出たことを示している。国鉄決戦を軸に、労働者の団結を守り抜く闘いは、いよいよ本格的な決戦を迎えた。12・22反動判決を徹底的に弾劾し、国鉄1047名闘争を不屈に貫こう。労働者階級の総反撃の突破口をなんとしても切り開こう。
国鉄改革法をタテにJRの責任を全否定
最高裁判決は、国鉄改革法をタテに、「JR各社は使用者としての責任を負わない」と断定した。国鉄とJRは別組織という反動的論理を振りかざして、1047名のJR復帰を傲然(ごうぜん)と拒否し去ったのだ。
87年4月1日の国鉄分割・民営化は、国労や全動労、動労千葉の組合員をJRから排除することによって国鉄労働運動を解体しようとした巨大な不当労働行為であった。国家がその最大の政策として国鉄内労組の絶滅を掲げ、そのために支配階級の総力を結集して労働者に襲いかかったのである。そこには、国鉄改革法を憲法の上に置くことで、労働者の団結権保障を重要な柱の一つとする戦後憲法体制を転覆するという狙いが込められていた。
だからこそ、1047名の解雇撤回を求めて17年にわたって闘い抜かれる国鉄闘争は、労働運動の最大の決戦課題であり、権力・資本との激突点をなしてきたのである。
司法権力の頂点に立つ最高裁は、今回の反動判決によって、こうした国家的不当労働行為を最終的に開き直った。組合差別によってJR不採用とされた1047名の救済を否定する最高裁判決は、“不当労働行為などそもそも存在しなかった”と言い放っていると言ってよい。それは、判決という形をとって、支配階級が国鉄闘争と団結権の解体を絶対的課題として宣言したということなのだ。
さらに判決は、87年6月の追加採用に関しても、それは「新規採用」にあたるとした上で、新規採用には資本に「広い範囲の自由」があるから、採用差別があったとしても不当労働行為にはならないという、許しがたい判断を下した。
87年の国鉄分割・民営化は、今日に至る資本による大リストラの突破口を開くものだった。これを機に、分社化や会社分割、営業譲渡などの企業再編を軸としたリストラ・首切りは一挙に拡大した。それは、労組絶滅−団結破壊の攻撃と一体をなすものとして仕掛けられている。“新規採用なら組合差別をしても構わない”とした最高裁判決は、最も悪らつな組合解体の手法である偽装解散・偽装倒産を司法の名で奨励するものにほかならない。
今回の判決は、98年5・28判決以来の司法反動の流れを確定させたというにとどまらない重大な意味を持っている。今や小泉政権は、自衛隊のイラク派兵を強行し、公共部門の徹底した民営化を呼号しながら、資本のリストラ・首切り、賃下げを国家政策として推し進めている。そのただ中で下された今回の最高裁判決は、日帝国家が憲法第28条の団結権保障と労組法第7条の不当労働行為禁止規定を有名無実化し抹殺する攻撃に本格的に着手したことを示している。まさに、階級闘争は戦時下のそれに突入した。
改憲に道開く労組法の改悪
この判決と軌を一にして、12月16日、厚生労働省の労働政策審議会は労組法改悪に向けての建議を提出し、19日、政府の司法制度改革推進本部・労働検討会は労働審判制導入の方針を確定した。小泉政権は、これらをもとに通常国会に労組法改悪案を提出する構えでいる。
労組法改悪の当面の焦点は労働委員会の「審査期間短縮化」に置かれているが、その狙いは労働組合・労働者による救済申し立てを入り口の段階でシャットアウトすることにある。不当労働行為救済制度−労働委員会制度は、今回の最高裁判決と労組法改悪によって徹底的に無力化され、解体されようとしているのだ。そうした形をとって、労働基本権−団結権の根本的な解体がもくろまれているのである。
時を同じくして16日、日本経団連は04年版経営労働政策委員会報告を公表した。それは、「ベースダウンも労使交渉の対象」と賃下げを露骨に叫びながら、「労使にはベクトルをあわせて、新たな時代を切り拓(ひら)くべく挑戦を続けることが求められている」と連合に一層の「産業報国会」化を迫っている。「守りの改革から攻めの改革へ」と唱えながら、労働者階級へのさらに凶暴な攻撃を押し貫こうとしている。これは、闘う労働組合に対してはむき出しの労組破壊と暴力的弾圧として現れる。
03年末に続発したこれらの反動は、04年が労働運動をめぐる決戦の年となったことを告げ知らせた。この攻防の最深部にあるのは、労働者の団結権を守り抜くことができるのか否かという歴史的課題なのである。
判決に屈服し闘争団解体を狙う国労本部
国鉄闘争は、分割・民営化以来の最大の決戦に突入した。日帝がこの時期を選んで最高裁判決を振り下ろしたのは、国労と国鉄闘争を一挙に壊滅に追い込もうとしているからだ。
昨年9月の国労大会における闘争団員22人への権利停止処分や、寺内前書記長らチャレンジ一派の国労からの脱走、「国鉄闘争終結宣言」を策する酒田・吉田執行部と革同中央の際限ない裏切りの中で、国労はまさに危急存亡の時を迎えている。
最高裁判決が下されるや、国労本部は即座に「最高裁判決は……採用差別が反組合的意図のもとになされた不当労働行為であるとする地労委・中労委命令の判断を覆したものではない」とする声明を出した。ことここに及んで、最高裁反動判決を美化するとはどういうことか! 最高裁判決の核心は、1047名のJR復帰は断じて認めないとしたことにある。こうした判決に対して、徹底弾劾以外にいかなる態度表明があるというのか。国労本部がいち早く最高裁判決への全面屈服を表明したのは、彼らが1047名闘争の解体を一刻も早く成し遂げようとしているからにほかならない。
国労本部の声明はさらに、「JRは……使用者に当たらないということが国鉄改革法の定めであるとされた以上、国鉄改革法を制定・施行した国の責任がますます重大なものとなっている」などと述べている。これは、ペテン的な表現を用いているが、“JRに責任がないことは最高裁で確定したから、JR資本との闘いは今後一切やりません”という全面投降の表明だ。「JRに法的責任なし」とした4党合意の受諾を上回る、重大きわまる裏切りが行われているのだ。
他方で国労本部は、「不当労働行為問題が未解決であり、その犠牲者である不採用組合員が存在している以上……その責任を追及する闘いを放棄するわけにはいかない」などとして、政治解決=和解路線に一層没入することで延命を図ろうとしている。そのために彼らは、最高裁判決に2人の裁判官の反対意見が付されたことをことさらに強調し、政治解決の手がかりがそこにあるかのような幻想をあおっている。
だが、2裁判官の反対意見は、日帝が法的整合性をもかなぐり捨てて国鉄闘争解体の階級意志を押し貫いたことの結果に過ぎない。「3対2」という票決には、支配階級内部にどのような矛盾や軋轢(あつれき)が生まれようとも、国鉄闘争解体の基本路線をごり押しするしかないというう、凶暴きわまる国家意志が示されているのである。
何よりも、裁判官の意見がどのように割れようが、最高裁によって団結権を根本から否定する判決が確定されたという事実こそが決定的に重大なのだ。
また、反対意見は「国鉄による名簿作成に不当労働行為があった時はJRが不当労働行為責任を負う」としているだけであって、不当労働行為があったという事実そのものを認めているわけではない。そこには、JRの使用者性を認めながら「国是としての国鉄再建に反対した者は不採用になっても当然だ」とした、全動労東京高裁判決につながるものが含まれているのである。
今回の最高裁判決は、政治解決路線の余地などないことを国家の側から鮮明にさせた。この期に及んで政治解決を唱える酒田−吉田執行部のもとでは、国労は瞬時にして崩壊に追い込まれかねない。事実、吉田書記長は「組織体制の再編」「本体組合員の闘争団支援のあり方を見直す」などとして、1月31日の国労中央委員会に闘争団組織の解体方針を提案しようとしているのだ。この策動を断じて許してはならない。
最高裁判決は、国労本部による裁判闘争依存路線の完全な破産を突き出した。国鉄闘争は、国家的不当労働行為と対決し、1047名の解雇を撤回させ、JR復帰をかちとる闘いだ。国家権力とJR資本との全面対決を貫く以外にその勝利はない。ところが国労本部は、裁判闘争のみを唯一の方針とし、被解雇者の命運を司法にゆだねてきた。その路線が98年5・28東京地裁判決で破綻(はたん)するや、彼らは「政治解決」路線に一直線にのめり込み、4党合意の受諾から闘争団への統制処分というすさまじい裏切り・国労自己解体に突っ走ったのだ。
今こそ、こうした政治解決路線、裁判闘争依存路線をきっぱりと清算しなければならない。
12月15日、動労千葉は習志野電車区廃止という組織破壊攻撃に対し、検修職場における全日ストで立ち向かった。このようにJR資本と闘い、崩壊の瀬戸際に立つ資本=カクマル結託体制を痛打する闘いを貫くことが必要なのだ。
酒田−吉田執行部を打倒し、1047名陣形を強化することこそ勝利の道だ。
JRとの対決を貫き国鉄闘争の前進開け
最高裁判決は、支配階級が国鉄闘争解体に向けて振り下ろした一大反動だ。だが、その中には敵階級の危機がはらまれている。17年に及ぶ国鉄闘争の不屈の展開に追いつめられているのは敵の側だ。国家と資本は、いわば1047名闘争解体にむけての最大の切り札を使ってしまったのだ。
また、資本の軍門に下ったJR総連は、1047名闘争と動労千葉の闘いに追いつめられて大分裂を遂げた。JR総連傘下の組合員のカクマルへの怒りは高まっている。JRにおける労働運動は大流動・大再編情勢に入っている。
この時にあって、最高裁判決にひるまず、JR資本と対決し抜き、その観点から鉄建公団訴訟を始めとする闘いを貫くならば、敵は必ず破綻点をさらけ出す。勝機は必ず存在する。
最高裁判決が下された22日、国労5・27臨大闘争弾圧の被告はついに保釈をかちとった。この勝利は、最高裁判決への最大の反撃だ。支配階級が最高裁判決に託したもくろみは、その日のうちに巨大な破産に直面した。弾圧にくみした酒田−吉田−芝崎らを国労執行部から引き下ろし、国労を革命的に再生する闘いの大道が押し開かれたのだ。
1月の国労中央委はその最初の激突点である。04年国鉄決戦の勝利へ、縦横無尽に闘い抜こう。
最高裁反動判決の要点
@国鉄改革法は、採用手続の各段階における国鉄と(JR)設立委員の権限を明確に分離して規定しており、国鉄が採用候補者の選定及び採用候補者名簿の作成に当たり組合差別をしたという場合には、労働組合法7条の適用上、もっぱら国鉄(国鉄清算事業団)にその責任を負わせることとしたものであるから、JRが「使用者」として不当労働行為の責任を負うものではない。
A労働組合法7条1号は、「労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもって、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱をすること」「労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること」を不当労働行為として禁止するが、雇入れにおける差別的取扱いが不当労働行為の類型に含まれることを明示していないから、雇入れの拒否は、特段の事情がない限り、不利益な取扱いにも支配介入にも当たらない。
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週刊『前進』(G003号2面2)(2004/01/06)
04年経労委報告
大銀行・大企業の生き残りへ 資本攻勢とアジア勢力圏化
定昇解体・ベースダウンを叫ぶ
日本経団連は昨年12月16日、経営労働政策委員会報告(経労委報告)を発表した。それは、日帝の断末魔の危機に悲鳴を上げ、“未曽有の「国難」突破のためには、定昇廃止とベースダウン(一律賃下げ)を認めろ”と居丈高に迫り、賃金水準の大幅引き下げと賃金・雇用制度の大改悪、社会保障制度解体、消費税の18%へのアップを真正面から主張している。まさに、労働者階級の生存権を全面的に否定する一大階級戦争そのものだ。
このなりふりかまわぬ凶暴さこそ、日帝が支配階級としても破産したことの現れだ。今や生半可なことでは労働運動は闘えない。しかし、敵の危機を鋭く見抜き、連合中央の裏切りを粉砕し、階級性=国際性と党派性を鮮明にして闘うならば04春闘の大爆発をかちとることはまったく可能だ。
日本帝国主義の体制破綻と小泉=奥田路線
今回の経労委報告の超反動性の第一は、日帝の絶望的危機の自認と、その脱却をかけて、侵略と反動の小泉=奥田路線を真っ向から提起していることだ。
報告は、「EU(欧州連合)やNAFTA(北米自由貿易協定)に代表される地域経済圏や各国において、FTA(自由貿易協定)の締結交渉が盛んである。日本は、シンガポールとのFTAを2001年に締結したが、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国をめぐるFTA締結の流れのなかで、後れをとっている」「自由貿易を国是としてきた日本にとって、FTA締結の流れに後れをとることは、国の存亡にかかわる」と、世界経済のブロック化の中で、圧倒的な立ち後れに直面した日帝の断末魔の絶望的な危機をゴリゴリと確認している。
これこそ、昨年1月発表の奥田ビジョンの核心であり、世界のブロック化の進展の中ではじき飛ばされまいと、自衛隊イラク派兵に踏み切った小泉の立場そのものである。
その上で、「『東アジア自由経済圏』の確立に向けての一段の努力が必要である」「『貿易立国』から『交易立国』への転換」などと言って、大銀行・大企業(金融独占ブルジョアジー)の生き残りのために農業や中小企業などを切り捨て、新たな大東亜共栄圏建設に向かっての絶望的な飛躍を宣言している。
さらに、「国際競争に勝てる企業経営」が必要と叫び、資本の超独占体制を強化すると同時に、「労使は社会の安定帯」と連合中央の屈服をついて労働者階級を日帝危機の突破に動員しようとしている。
そのためには「(春闘を)企業労使が経営環境の変化や経営課題、すなわち賃金・労働時間・雇用問題から多様な働き方……について広範な議論を行ない、企業の存続、競争力強化の方策を討議し、検討するという『春討』、『春季労使協議』へと変えていく」必要があると主張している。
まさに、「あらゆる資本攻勢が、“わが祖国を守るためだ、自国産業を防衛するのに必要だ、個別企業が生き残るために”として、絶体絶命的に打ち出される」(本紙新年号アピール)ということであり、この攻撃に、連合中央がぶざまに屈服していることこそが、最大の問題なのだ。
さらに、報告は序文で、「わが国経済・社会は構造改革を迫られ、……いま、徐々にではあるがその成果が現われはじめている」などと言っている。
絶望的危機の中でなぜこのような主張をするのか。
日本経団連の奥田会長は、文芸春秋04年1月号の「緊急提言 この国を変える!−死に物狂い(ママ)で成長を実現せよ」という危機感に満ち満ちた論文で、「11月の総選挙で連立与党は絶対安定多数を確保した。……小泉総理の構造改革路線について、国民から一定の信認を得られた」「私は小泉改革は加速しつつあると思う」などと、小泉擁護・小泉支持を真っ向から宣言している。それと同時に、奥田ビジョンの消費税18%へのアップを開き直っている。
まさに、日帝にとって小泉=奥田路線しかないことを経労委報告は主張しているのだ。戦争と大失業の小泉=奥田路線との真正面からの対決が問われている。
「国際競争力の強化」を唱えて侵略と賃下げ
今回の経労委報告の反動性の第二は、定昇解体とベースダウンを主張し、大幅賃下げ・生活破壊に全面的に踏み込むことを宣言した。そこにあるのは“資本家は労働者階級を食わせなくてもいい。そんな余裕はもうない”という考えだ。
報告は、「一律的なベースアップは論外であり、賃金制度の見直しによる属人的賃金項目の排除や定期昇給制度の廃止・縮小、さらにはベースダウンも労使の話し合いの対象となりうる」と、定昇廃止とベースダウンを真正面から打ち出した。昨年の報告では「定期昇給の凍結・見直し」となっていたが、03春闘での連合中央の屈服で定昇凍結が相次いだ。それを受けて今年はかさにかかって「廃止・縮小」と、ベースダウンにまで踏み込んできたのだ。つまり、一歩退けば、百歩後退を迫る、それが資本の本性なのだ。
しかも、「国際競争力を維持・強化する観点からも、賃金水準の調整が喫緊の課題」と、中国の賃金は日本の100分の3だなどとキャンペーンし、“国難”を口実に途上国並みの賃金への大幅賃下げまで主張している。
それだけではない。「付加価値生産性に準拠しての総額人件費管理」だとか、「労働分配率の適切な管理」などと言って、“企業がもうからなくなったら、その分だけ労働者の賃金を下げないと企業は生きていけない”などという暴論をさもさもしく主張し始めている。
しかし、そもそも賃労働と資本の関係自身が労働者を徹底的に搾取し、収奪する体制ではないのか。それを、“もうけが減ったから賃金を下げる”などとさらに強労働・強搾取を強めようとしているのだ。これでは、労働者の生活は成り立たないではないか。この主張は、資本家が支配階級としての能力さえ喪失したことの自認である。そんな資本家、資本主義はさっさと打倒するしかない。
つまり帝国主義が、「今や自国の労働者階級人民さえ生かしていくこと、生活させていくこと、働かせていくことができなくなった」(新年号アピール)ということなのだ。日帝の危機はここにきわまった。
「弱肉強食」を主張し社会保障の解体狙う
今回の経労委報告の反動性の第三は、社会保障制度の全面的解体と消費税アップを打ち出していることだ。そこにあるのは、「枝打ちや下草刈り」(奥田ビジョン)という“強いものが生き残るためには、弱いものは抹殺せよ”という思想である。
報告は、「持続可能な社会保障制度のグランドデザインの構築」と称して、「21世紀の最初の10年は、いわゆる団塊の世代が年金を受給しはじめる時期であり、社会保障制度の抜本的改革の最後の機会」と危機感をあおり立て、「給付については聖域を設けず見直せ」(大幅削減しろ)と叫び、「財源として消費税を考える時期がきている」と経労委報告としては初めて消費税大幅アップを明示に主張した。
さらに、「保険料率の引き上げは……経済の活力や雇用への影響などの点から容認できるものではない」などと、企業負担をいかに減らすかだけを考え、労働者階級の生活と老後のことなど知ったことではないと、主張しているのだ。
それだけではない。奥田は先の文芸春秋の論文で、「年金未納者は、いわば国民の義務を果たしていないわけだから、パスポートや健康保険証や運転免許証を発行しないなどのわかりやすい形でペナルティを設けるべきだ」などと、なんの痛みもなく主張している。
この中に、奥田の社会保障観が明確に現れている。保険料も払えない人びとにこそ年金制度は必要なのではないのか。“保険料を払わない人間から健康保険証を取り上げろ、運転免許証を取り上げろ。死んでしまえ”というこの奥田の主張を絶対に許すな。
連合中央打倒 04春闘爆発を
このように、今年の経労委報告は、今までの報告とも画然と異なる。
そこにあるのは、死の苦悶(くもん)にのたうち回る日帝が、その危機からの脱出を、小泉=奥田路線による「外への侵略戦争と内への階級戦争」でなりふりかまわず突破しようとしている姿そのものだ。
かれらの凶暴さは危機の現れだ。敵がこんなとんでもないことを主張できるのも連合中央の屈服があってのことだ。連合中央を打倒し、階級的労働運動を発展させて闘うことこそ小泉=奥田の超反動的な挑戦を粉砕する道だ。
1−2月イラク派兵阻止闘争を突破口に、04春闘−3・20イラク反戦国際連帯闘争の大爆発をかちとろう。昨年の11・9労働者集会を出発点とする、全世界の労働運動と連帯した、闘う労働運動の新しい潮流をつくり出し、日本の労働者階級人民の怒りを根底から解き放とう。
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