ZENSHIN 2004/09/13(No2165
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週刊『前進』(2165号1面1)(2004/09/13)
革共同の9月アピール
ブッシュ ノー、小泉打倒へ
8月産別決戦の激闘引き継ぎ教労を先頭に11月大高揚を
名護新基地ボーリング強行絶対阻止
第1章 労働運動の階級的再生めぐる激突にかちぬけ
われわれは革共同の「8・1提起」で武装して8月闘争を闘いぬき、今秋11月労働者大行動の爆発へ向けて大きな展望を押し開いた。8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争の高揚。8・13の米軍ヘリ墜落に対する沖縄の怒りの噴出と米軍基地撤去闘争の爆発。「日の丸・君が代」強制と処分攻撃を真っ向から跳ね返し、石原都知事と都教委を痛撃した教育労働者の闘いの大前進。そして8月国労大会と自治労大会決戦の勝利的貫徹、とりわけ国労大会での酒田・革同執行部の大反動を打ち破り、押し返した勝利である。
帝国主義の危機の爆発の中で、階級情勢は巨大な分岐・流動・再編・高揚の局面に明白に突入している。帝国主義による〈外への侵略戦争、内への階級戦争>の激化に対し、労働者階級人民の根底的な怒りがあらゆる制動を突き破って噴出し始めたのだ。そしてこれに対する、追いつめられた国家権力と資本による反動と弾圧の攻撃が強まり、階級的激突情勢が日一日と深まっている。
その最大の焦点は、労働組合と労働運動をめぐる攻防だ。今や、教労、全逓、自治体、国鉄の4大産別のすべてが戦時下の階級闘争として、最大の決戦、激突に突入した。
国労大会で反動突破
8月26、27日の国労第72回定期大会は、国労本部を牛耳る酒田・革同執行部に労働者階級の怒りを爆発させ、打倒することが、闘う国労の再生の唯一の道であることを鮮明にした。国労共闘を先頭に、代議員・傍聴者と会場外の決起が一体となって、酒田・革同執行部による、1047名闘争の早期終結=解体と連合への合流を画策する希代の大反動を大きく打ち破ったのだ。
闘う国労組合員は大会で、「鉄建公団訴訟の裁判を行え」「闘争団への統制処分を解除しろ」という2本の修正動議を提出し、さらに原案も一票投票に持ち込み、鋭い対決構造をつくりだした。「総団結」の虚構をつくりだすことに唯一の延命の道を求め、修正動議を出させないための組合員への脅迫に全力を挙げていた酒田らのもくろみは吹き飛んだ。
国労共闘が呼びかけた「鉄建公団訴訟に取り組もう」の方針と、「酒田こそ最悪の団結破壊者」という断罪は全体に大きな影響を与え、酒田委員長あいさつが闘争団の切り捨てと連合への合流宣言であることを喝破し、闘う国労の再生の道を指し示すことに成功した。この地平を引き継ぎ、動労千葉を排除した1047名闘争破壊策動を断じて許さず、酒田・革同体制打倒へ突き進もう。
8月25〜27日の自治労大会は、公務員労働運動の重大な局面を迎えた中で開催された。闘う勢力は小泉=奥田の戦争と大民営化攻撃との対決を訴え、「『21世紀宣言』を拒否した力で、自治労運動の戦闘的再生を!」のスローガンを掲げて戦闘的に闘いぬいた。
日本帝国主義・小泉政権と経団連・奥田は「骨太方針W」で自治体労働者への全面的な民営化攻撃を仕掛けている。それは、「官から民へ」「官の改革」の名のもとに徹底した人員削減と自治体の解体、労働運動つぶしを狙う攻撃だ。これに対する自治労本部の屈服と転向が深まる中で、大会では本部議案に対する激しい批判が噴出した。
また、冒頭であいさつした笹森・連合会長は「集団的自衛権については9条2項の削除という方法がある」と発言し、激しくやじりとばされた。「大会速報」からは削除されたが、消し去ることのできない重大発言である。
こうした中で、沖縄県本部から米軍ヘリ墜落への怒りの決起方針が提起され、26日国会院内集会に100人が合流した。大会最終日には、沖縄を始め15県本部の共同提案による米軍基地撤去の特別決議が採択された。
1年間決戦に突入を
小泉構造改革攻撃の核心は、郵政民営化、自治体民営化、公務員制度改革などの攻撃による官公部門の労働運動の完全な解体であり、全逓、自治労、日教組を始めとする労働組合総体の解体である。国鉄労働運動つぶしはその突破口である。この攻撃は同時に、有事法制、自衛隊のイラク派兵・多国籍軍参加、教育基本法改悪・改憲攻撃と完全に一体だ。
04年秋から05年にかけての向こう1年間は、この4大産別をめぐる一大決戦の過程であり、その帰趨(きすう)に日本労働運動の命運がかかっている。そしてこの1年間決戦は、教基法改悪阻止・改憲阻止をも決することになる。労働組合運動をめぐるこの死活をかけた決戦に、なんとしてもかちぬこう。特に郵政民営化攻撃を粉砕する全逓決戦の爆発は、全労働者への民営化攻撃に対する最先端の闘いとして重大だ。全力でこの闘いを押し開こう。
すでに、8月闘争をも新たな突破口として、小泉=奥田路線への労働者階級の反転攻勢は圧倒的に開始されている。その先頭に立っているのが、教育労働者の歴史的決起である。
今春、東京の卒業式・入学式での教育労働者の不起立闘争は、時代の閉塞(へいそく)をうち破る雷鳴である。イラクに自衛隊が派兵され、有事立法が成立した状況下で、職務命令に不服従を貫いた教育労働者の闘いは、有事立法を「完成させない、発動させない、従わない」という戦争協力拒否の闘いの先駆であり、自治体労働者を始め、有事体制下での戦争動員を拒否して闘おうとしているすべての労働者への連帯のアピールだ。
8月の都教委による被処分者の屈服と転向を狙った「再発防止研修」は、会場内外を貫く激しい抗議闘争の場に転化した。8月30日には、都教委包囲・弾劾の行動が都の教育労働者を先頭に700人を結集して闘われた。この教育労働者の帝国主義侵略戦争反対の偉大な決起を、全労働者階級の闘いへと転化することが決定的に重要である。
今秋11月労働者大行動への万余の決起こそが勝利のかぎだ。絶対に11月の大爆発をつくりだそう。
第2章 激動するイラク・沖縄情勢と日米安保大再編
世界情勢は、歴史的な大激動期に突入している。アメリカ帝国主義のイラク・中東侵略戦争が激動の震源地である。
イラク・中東侵略戦争は、イラク人民の民族解放・革命戦争の爆発によって完全に追いつめられ、アメリカ帝国主義にとっての泥沼と化した。イラク情勢は、労働者階級人民が主導権を握り、米軍をイラクからたたき出す闘いの本格的段階に突き進みつつある。それがまたアメリカの国内危機を爆発させている。米帝は侵略戦争を遂行するために国内を非常戒厳令体制で抑圧し、労働者に大資本攻勢を仕掛けているからだ。これに対してブッシュの足元で労働者の巨大な決起がおこっている。
日帝・自衛隊もすでに完全にイラク人民の怒りのターゲットとなっている。日本でもイラク反戦闘争、自衛隊撤兵闘争をさらに徹底的に強化しよう。
アメリカ大統領選挙を挟んで情勢は一層危機的展開を遂げようとしている。まさにアメリカ帝国主義が帝国主義である限り、ブッシュになろうがケリーになろうが、イラク侵略戦争を激化・拡大し、さらに北朝鮮・中国侵略戦争へとのめり込んでいくのは不可避である。
米帝のこの動向は、同時に日米安保同盟の反動的大エスカレーションに直結している。
ブッシュ米大統領が8月16日演説で打ち出した米軍再編(トランスフォーメーション)は、6〜7万人の米軍の撤退と発表しているが、米軍兵力の削減ではまったくない。旧ソ連との軍事対決を軸としていた旧来の戦力配置を見直し、泥沼化するイラク侵略戦争の兵力を拡充しつつ、同時に北朝鮮・中国侵略戦争の体制を構築するための大攻撃である。
8月27日から始まった日米間の局長級協議で明らかにされた内容は、@米陸軍第1軍団司令部(ワシントン州)の座間への移転、A横田の米第5空軍司令部をグアムの米第13空軍司令部に統合し、司令官を横田に残す、B自衛隊の航空総隊司令部を府中基地から米軍横田基地に移転し、自衛隊と米空軍を一体化する、C沖縄の海兵隊約2600人をキャンプ富士やキャンプ座間に移転し、砲撃訓練を沖縄以外に移す、D空母艦載機による夜間離発着訓練(NLP)を厚木基地から岩国基地に移転する、などである。
こうした在日米軍の再編は、司令部機能の強化、日米両軍の一体化であり、在日米軍基地をアジア全域の司令塔・ハブ基地として強化し、イラク侵略戦争の継続・激化・拡大と、北朝鮮・中国侵略戦争発動態勢を構築する大攻撃である。
米軍再編のもう一つの重要な柱は、日米安保条約の実質的な大改定であり、日帝・自衛隊による集団的自衛権行使への踏み込みである。この間のパウエル国務長官やアーミテージ国務副長官の「憲法9条は日米同盟の妨げ」発言は、それと完全に一体だ。
日帝は、この米軍再編が日帝の東アジア勢力圏化への動きに対する対日争闘戦の側面をもつことに激しくゆさぶられつつも、これを逆に憲法9条破棄、日帝自身の侵略戦争突入への一大突破口としようとしている。新たな「防衛計画の大綱」を年内にまとめ、「専守防衛」の政策を大転換し、反動的一大飛躍に突進しようとしているのだ。
こうした中で、8月13日の米軍CH53輸送ヘリの沖縄国際大への墜落・爆発・炎上は、沖縄が戦場の島であり、基地の島であり、沖縄人民がその中で言いしれぬ恐怖と米軍に対する怒りをもって日々生活している現実を明らかにした。沖縄人民の怒りは日に日に高まり、宜野湾市が呼びかける9月5日の沖国大における市民大会から、9月26日の県民大会へと重大な過程に突入しつつある。
今回の米軍ヘリ墜落は、人身に被害がなかったことが奇跡ともいうべき大事件である。その衝撃性と歴史的政治的大きさは、1959年の宮森小学校事件(米戦闘機が墜落し生徒ら17人死亡)や1968年の嘉手納基地でのB52爆撃機墜落事件に匹敵する。これが全県民の大衆感覚であることを知らなければならない。
そして、米軍の事件後の振る舞いが一層の怒りをかき立てている。米軍はイラクにおける米軍とまったく同じく沖縄の占領者として振る舞っている。米軍は事故の直後にフェンスを乗り越えて大学に突入し、現場を占拠し、民間地域から県警、消防なども含め一切を排除し、沖縄県民の命を一顧だにせず軍事作戦優先で行動している。そして事故から2日後には飛行を再開し、さらに事故機の同型機を6機イラクに飛び立たせた。
これに対して日本帝国主義・小泉は、露骨に無視の態度をとり続け、口を開けば「普天間基地が危険なことが示された。だから早く辺野古への移設を」とぬけぬけと言い放っている。小泉は事故から12日もたった8月25日、ようやく稲嶺知事に会ったが、この会談は小泉に屈服した稲嶺の破産した姿をさらけだし、県民の怒りをさらにかき立てた。
沖縄人民とブッシュ米大統領、沖縄人民と小泉首相とは完全に非和解である。米帝のイラク侵略戦争と日帝・小泉の自衛隊派兵=イラク参戦が日本労働者階級に何をもたらすかをこの事件はつきだしている。今や「普天間基地の即時閉鎖、名護新基地建設撤回、すべての基地機能の停止」は、全沖縄人民のスローガンとなった。これを全労働者階級のスローガンにしよう。辺野古へのボーリング調査強行を阻止しよう。
沖縄は今や、95年9・4少女暴行事件から10・21県民大会への過程にラセン的に回帰した。安保・沖縄、基地撤去闘争の新たな爆発の時代に完全に突入したことを確認しよう。イラク情勢の激烈な展開の中で、国際連帯、イラク反戦、沖縄基地撤去を、小泉=奥田路線との対決と一体のものとして闘いぬくことが、11月労働者大行動の成功の道である。
米軍基地撤去=沖縄奪還を先頭に、座間、横須賀、北富士など全国基地闘争の強化・発展をかちとろう。
第3章 国際連帯の旗高く掲げ全職場から11月行動へ
階級情勢の激動的展開の中で、今秋11月労働者大行動への万余の結集をかちとることは、もはや絶対的な死活的課題となっている。革共同にとっては、自らの革命的労働者党としての飛躍をかけた激烈な挑戦である。なんとしてもこの挑戦をやりぬき、動労千葉を先頭とした階級的労働運動の新潮流のもとに結集する闘う労働組合の大隊列をつくりだそう。
米帝ブッシュを始めとした帝国主義による戦争と資本攻勢への突進に対し、労働者階級の全世界的な決起が拡大している。米共和党大会の前日の8月29日、ニューヨークで、「平和と正義のための団結」(UFPJ)の呼びかけで「ノーモア・ブッシュ」の50万人のデモが闘われた。共和党大会の開催中だけで1700人を超える逮捕者を出しながら、反戦デモが全米で激しく闘われている。
11月2日の米大統領選の直前の10月17日には、米の首都ワシントンDCで百万人労働者大行進(ミリオン・ワーカー・マーチ=MWM)が計画されている。ILWU(国際港湾倉庫労組)ローカル10が全米の労働組合に呼びかけ、支部、地区労レベルで賛同を積み上げ、文字どおりの百万人大行進を実現しようとしているのだ。ILWUの伝統である「労働組合を現場組合員の手にとり戻そう」という趣旨のランク・アンド・ファイル運動をその基本とする素晴らしい闘いである。そして、戦争と民営化に反対する国際連帯の闘いを推進しようと力強く呼びかけを発している。
韓国・民主労総は、民営化攻撃など激しい資本攻勢との闘いを貫くとともに、イラク派兵撤回を第一の課題に掲げて闘っている。8・15にはイラク派兵撤回を求める闘いが爆発し、ソウル光化門で、民主労総と韓国労総の共催による「派兵撤回・反戦平和2004自主統一労働者大会」が1万人の労働者を結集して画期的に開催された。
米韓の闘う労働者の闘いに学び連帯して11月労働者大行動に突き進もう。10・17米MWMと連帯し、日本における反戦行動に思いきって決起していこう。
労働組合と労働組合運動の革命論的意義を鮮明にとらえ、新指導路線で全身武装し、「労働者の中へ」を熱烈に実践しよう。その核心は、動労千葉労働運動の全産別への拡大にある。
もはや労働者を食わせていけなくなり、戦争をする以外に延命できなくなった帝国主義に対して、労働者階級がたたきつけるべき闘いは何か。それは、労働者学習センターからこのほど発刊された『闘う日教組の再生のために―教育労働者の戦争協力拒否宣言』の中で動労千葉前委員長の中野洋氏が語っているように「お前ら資本家の時代は終わったんだ」という立場を鮮明にして闘うことだ。
「『労働者が革命を起こして、お前たちに引導を渡してやる。労働者に権力をよこせ』という立場をもたなければ、労働運動はひとつも前進しない時代が来た」ということだ。
逆に労働者階級がこの立場で本当に団結を打ち固めて総決起するならば、危機に立つ帝国主義を打ち倒すことは必ずできるのだ。今こそ4大産別を先頭に、あらゆる職場、あらゆる組合にこのことを大胆に訴えて、11月への一大結集の流れをつくりだそう。
何よりも、青年労働者の組織化が一切を決する。青年労働者の総結集のためにすべての支持者、全同志が総決起しよう。全党の力でマル青労同1000人建設の飛躍的前進を押し開こう。
治安弾圧攻撃許すな
日本帝国主義のイラク派兵=侵略戦争参戦は戦時下の治安弾圧攻撃を激化させている。弾圧との闘いは、反戦の闘い、資本との闘いの不可欠の一環である。
今秋の臨時国会で政府・法務省が成立をもくろんでいる共謀罪は、恐るべき弾圧立法だ。2人以上の集まりをすべて適用対象とし、557罪種について、犯罪の実行行為がなくても「共謀した」というだけで死刑と無期の罪種は5年以下の懲役・禁固、4年以上の懲役の罪種は2年以下の懲役・禁固が科せられる。「標的は労組と市民団体」(8月22日東京新聞)と報じられたように、労働者人民にとって重大な攻撃だ。全労働者階級に警鐘を乱打し、5・27臨大闘争弾圧粉砕への決起と一体で絶対阻止しよう。
機関紙拡大闘争に全力を挙げよう。数値目標を鮮明にし、11月への過程を『前進』拡大月間として闘いとろう。ロシア革命を勝利させたボルシェビキにならって、『前進』拡大を武器に、すべての重要職場の指導権獲得を目指そう。
新指導路線の帰趨は、マル青労同の1000人建設と並んで、全学連の一大飛躍、大躍進にかかっている。9・17〜19全学連大会の大成功をかちとろう。
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週刊『前進』(2165号1面2)(2004/09/13)
都教委を700人が包囲 石原・横山打倒へ激しい怒り
都教委が入る都庁第2庁舎前にデモが到着。「『日の丸・君が代』の押しつけを許さないぞ」「処分を撤回しろ」の声が響きわたった(8月30日 西新宿)
「『日の丸・君が代』の押しつけを許さないぞ!」「石原・横山の暴走を許さないぞ!」「ただちに処分を撤回しろ!」
8月30日午後、東京都教育委員会が入る都庁第2庁舎を700人の労働者・市民・学生の怒りが包囲した。主催は、都教委包囲首都圏ネットワーク。10・23通達による「日の丸・君が代」強制と教育労働者の処分の乱発、さらに8月26日に「つくる会」歴史教科書を中高一貫校に採択するという暴挙を続ける都教委に対して、教育労働者が直接に怒りをたたきつけた初の行動である。
包囲行動に先立って、3時半から新宿駅西口の柏木公園で集会が行われた。都教委包囲ネットを代表して見城赳樹さんが発言し、「『日の丸・君が代』強制に反対して立ち上がった教育労働者の闘いは、今の日本の政治・社会情勢を転換させていく闘いだ。今日の都教委包囲行動を成功させて都教委を追いつめ、さらに11月6日の教育基本法改悪反対全国集会の成功につなげていこう。石原と小泉の戦争政策を許さず、断固闘いぬこう」と訴えた。
「教育基本法の改悪をとめよう! 全国連絡会」呼びかけ人の高橋哲哉さん(東京大学大学院教授)、三宅晶子さん(千葉大学教授)も発言し、今回の都教委包囲行動を石原の暴挙に対する初の総決起として闘いぬこうと訴えた。
集会アピールを全体で採択し、約450人が隊列を組んでデモに出発した。先頭には「教育基本法の改悪をとめよう! 全国連絡会」の呼びかけ人3人と「日の丸・君が代」被処分者、被解雇者が横断幕を掲げて立ち、教職員組合の組合旗が続いた。
デモ行進と都教委包囲行動を同時並行で行うため、都庁第2庁舎を包囲する人びとは柏木公園に立ち寄った後、続々と都庁に向かった。午後4時には、第2庁舎の四方約500bの歩道に、被処分者や教育労働者を始め250人の労働者・市民が並んだ。動労千葉や国労闘争団など、他産別の労働者も多く合流した。
午後4時半。デモ隊列が都庁に近づき、シュプレヒコールが聞こえてくると、都庁の周りに並んだ人びとが手をつないだ。デモ隊のシュプレヒコールに合わせ、つないだ手を力強く突き上げる。「『日の丸・君が代』強制反対」「処分を撤回しろ」「被解雇者を職場に戻せ」「都教委を包囲しよう」。長く続くシュプレヒコールが、都庁の巨大なビルにこだまする。北海道や広島、関西など全国各地から集まった労働者の怒りがひとつに結集して、都教委を完全に包囲したのである。
その後、包囲行動の人びともデモに合流。新宿駅南口から駅東側の繁華街を歩くデモ行進を最後まで闘いぬいた。沿道の労働者・市民も大変な注目で、「日の丸・君が代」や教職員の不当処分をめぐって語り合う姿がいたるところで見られた。参加者はデモ終了後、夜の交流集会に向かった。
処分撤回へ闘いぬく被処分者と連帯し、「日の丸・君が代」闘争、教育基本法改悪阻止闘争を巻き起こそう。11・6教育基本法改悪阻止全国集会―11月労働者大行動の連続決起へ、教育労働者を先頭に闘いぬこう。(関連記事2面)
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週刊『前進』(2165号2面1)(2004/09/13)
教基法改悪阻止へ熱気 “教育現場に闘い広げよう”
都庁包囲デモの後 交流集会に全国から
8月30日夜、都教委包囲行動とデモ(記事1面)の熱気を引き継ぎ、都教委包囲ネットワークが「石原・横山都教委の暴走をとめよう! 交流集会」を新宿文化センターで開催した。
初めにデモと包囲行動の報告が行われた。デモの責任者は「都教委を弾劾する大きな力となった」と述べ、包囲行動の責任者も「初めて都教委を包囲することができた。大成功だった」と述べた。
「教育基本法の改悪をとめよう! 全国連絡会」呼びかけ人の三宅晶子さん(千葉大学教授)と大内裕和さん(松山大学助教授)が発言した。三宅さんは「私たちは今、歴史の重要な分岐点に立っています」と訴え、石原による教育基本法改悪の先取り的な攻撃を弾劾。「教育基本法が改悪されたら教育の全権委任法がつくられてしまう。未来のために力を合わせよう」と訴えた。大内さんは「教育基本法が改悪されたら何が起こるのかを示した10・23通達に対して、教職員が現場から声を上げた意義は大きい。『日の丸・君が代』闘争や『つくる会』教科書との闘いなどの具体的運動をつなげていくことが教基法改悪を阻止する闘いだ。通常国会までの1日1日、闘いを広げていくことが課題です」と訴えた。
続いてこの日午後の2度目の「再発防止研修」の対象とされた教育労働者3人が登壇し、大きな拍手に包まれた。「研修」終了後記者会見を行い、ただちに集会に駆けつけたのだ。
最初に発言した女性は、「都研前でたくさんの声で送られたお陰で、こうして心を奪われずに戻ってくることができました」と述べ、1人が5人に囲まれるという強権的な雰囲気で行われた1時間半の「講義」を報告した。クリスチャンの男性教員は、信仰ゆえに「君が代」斉唱時に立てなかった思いを述べた。3人目に発言した女性は、研修で「再発防止研修の対象とされているセクハラや体罰、公金横領と、『君が代』不起立は違う。再発防止の対象ではない」と堂々と述べたことを報告した。
予防訴訟をすすめる会の代表は「予防訴訟を提訴したことが闘いの盛り上がりにつながった」と自信を持って提起、勝利まで闘うと述べた。被解雇者の会の代表は「『おれは一人じゃない。全国の人と一緒に闘ってるぞ』と実感できてうれしい」と述べ、「君が代解雇裁判」の第1回口頭弁論(9月2日)に参加を呼びかけた。
続いて全国から駆けつけた教育労働者や学生12人が発言。北海道・兵庫・大阪・奈良・愛知など各地で闘う教育労働者が、「石原・都教委に怒りをぶつけよう」という熱い思いで集まったことが確認された。
韓国・民主労総の全教組ウォンヨンマン委員長から寄せられた「連帯アピール」が紹介され、最後に都教委包囲ネット事務局が「10・23通達から1周年の10月24日、10・23通達の撤回を求め、生徒への起立・斉唱の指導を義務づける新たな通達を阻止するために、集会を行う」と提起。「君が代解雇裁判」を始め裁判の傍聴を呼びかけ、「上部団体の違いや過去のいきさつなどは全部捨てて、新たに行動を起こそう。都教委包囲ネットにぜひ結集を」と訴えた。
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週刊『前進』(2165号2面2)(2004/09/13)
2度の「研修」に抗議 被処分者が信念貫く
都教育委員会は30日午後、「日の丸・君が代」強制に反対した教育労働者3人に対して、再度の「再発防止研修」を強行した。「研修」会場の東京都教職員研修センター(目黒区)に多くの教育労働者を始めとする労働者が集まり、抗議行動を闘いぬいた。
3人の教員は、周年行事や卒・入学式で「君が代」不起立を2回繰り返したことを理由に、戒告処分に加えて減給処分とされた。約220人の戒告処分者とともに8月2、9日に「再発防止研修」を受けたのに加えて、課題レポートの提出が命じられ、2度目の研修が8月30日とされたのだ。
この日正午過ぎからJR目黒駅前で、被処分者の会や教職員団体がビラまきと街頭演説を行い、処分の不当性を訴えた。
会場の都研前に場所を移して、予防訴訟の弁護士を先頭に都教委の職員を追及した。「ただちに研修をやめろ」と必死に訴える声が次々とたたきつけられた。
「研修」開始時間が迫る中、研修を受ける労働者2人がマイクを握った。「私たちは自分のやったことを間違っているとはこれっぽっちも思っていません。これこそが教員が今後歩むべき道だと確信しています。絶対にこの研修に屈しないで頑張っていきたい」
もう一人は、提出を命じられた課題レポートに「憲法・教育基本法・子どもの権利条約にのっとり書けない」と返したら、「もう一度書け」と命じられたことを弾劾し、「自信を持って研修に臨んでいく」と述べた。毅然(きぜん)とした決意に、割れるような拍手が起こった。「再発防止研修をやめろ」「反省すべきは都教委だ」とシュプレヒコールを繰り返す中、3人は都研に入っていった。
研修は、3人が別々の部屋に分断され、それぞれ都教委職員4人と校長に囲まれて実施された。1時間半の「講義」、続く1時間で報告書を作成。3人は確固とした信念を貫いて、不当処分を敢然とはね返した。
都教委は2度の再発防止研修に続いて、9月以降、被処分者のいる学校に限定した「校内研修」を実施しようとしている。“被処分者を出した学校の教職員は連帯責任を負え”という戦前の「隣組」と同様の発想で、教職員の団結を破壊し、被処分者の闘いを押しつぶそうとするものだ。
このような中、9月からは処分撤回を求めて申し立てた都人事委員会の審理も開始される。不屈に闘う被処分者と連帯して、不当処分撤回へともに闘おう。
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週刊『前進』(2165号2面3)(2004/09/13)
「つくる会」教科書 都教委は撤回せよ
戦争を担う青年育成が狙い 05年採択阻止へ闘おう
8月26日、東京都教育委員会は、来年4月に開校する東京都立初の中高一貫校・台東地区(白鴎)中高一貫校の歴史教科書に「新しい歴史教科書をつくる会」作成の教科書(扶桑社版)を採択した。この暴挙を弾劾し、採択撤回へ闘おう。
「つくる会」歴史教科書の核心的狙いは、日本帝国主義が行った過去の戦争を全面的に美化することで、現在の日帝が参戦している戦争を賛美し、戦争を担う子どもたちを生みだそうということにある。
皇国史観での歴史教育狙う
そのために「つくる会」歴史教科書は日帝の戦争犯罪をすべて抹殺し、「戦争はアジア解放と自存自衛のための正義の戦争だった」と描いている。天皇神話を歴史的事実として、教育勅語を全文掲載して、皇国史観で子どもたちを染め上げようとしている。
「つくる会」教科書に基づく教育がまかり通ったならば、学校現場は「国のために命を投げ出して戦う青年」をつくるための教育の場に根本的に転換される。「つくる会」教科書攻撃とは、自衛隊のイラク派兵、有事法制制定、そして教育基本法改悪・憲法改悪と連動した大攻撃である。
都立中高一貫校を突破口に
新しい歴史教科書をつくる会は「21世紀に生きる日本の子どもたちのために、新しい歴史教科書をつくり、歴史教育を根本的に立て直す」(趣意書)ことを目的に1997年に結成された。政財界と右翼が合体して310人の賛同者を集め、都知事就任前から石原慎太郎も名を連ねている。
01年4月の教科書検定で初めて「つくる会」が作成した中学校用歴史教科書と公民教科書が検定に合格。全国的にもアジアからも批判の声がわき上がった。こうした中で、02年4月から使う教科書が一斉採択された01年8月には、全国542採択区で1冊も採択されず、公立では東京と愛媛の養護学校の一部、私立中学でも歴史・公民を合わせて9校のみ、わずか500冊余の採択に終わった。採択率は今年4月時点で0・097%に過ぎない。
この事態に打撃を受けた「つくる会」は、ただちに05年夏の一斉採択へ向けて動き始めた。まず02年夏、公立中学で初めて愛媛県立中高一貫校の採択を実現。03年5月には「中高一貫校対策本部」を設置し、本部長に「つくる会」副会長の藤岡信勝が座った。藤岡は「白鴎中学校で扶桑社が採択されれば、その与える影響はきわめて大きなものになる。それに加えて、平成15年(03年)と平成16年(04年)の教科書採択で1カ所でも成功すれば、2年後のいっせい採択での勝利の展望が開ける」(「つくる会」機関誌『史』03年5月号)と述べ、05年度の10%採択達成に向けて都立中高一貫校での採択を実現すると宣言した。
05年夏の一斉採択が決戦に
石原も、都立養護学校で「つくる会」教科書を採択したことを「東京都はやりましたぞ。これは一点突破になる」と述べ、東京を「つくる会」教科書採択の突破口とすると公言した。
こうしてターゲットとされた台東地区中高一貫校は、都が10校開設する中高一貫校の1校目。学校の特色に「日本の伝統文化の理解」を掲げ、「台東地区中高一貫校における日本の伝統文化に関する教育推進会議」を設置した。この座長が、「つくる会」と連動する教科書改善連絡協議会の会長・三浦朱門である。
こうして石原が都知事の権力を最大限にふるって「つくる会」教科書採択への布陣を敷く中、8月26日の都教委では、6人の教育委員のうち5人が「つくる会」教科書を選び、全員の賛成で採択が決まった。石原が就任後に全面的に入れ換えた教育委員が、石原の意思を体現したのだ。
石原は採択翌日の記者会見で、「つくる会」教科書採択について「結構じゃないですか。今までは余計な外部からの干渉がありましたけど、教育委員会のそれぞれの責任で選択をしていくということのひとつの表れ」と述べ、「つくる会」教科書の採択を誇った。
「つくる会」とファシスト石原が結託して強行された採択を、絶対に許すことはできない。05年夏の教科書一斉採択へ向けて、「つくる会」教科書を絶対許さない力をつくり出そう。
イラク派兵のただ中の教科書攻撃、「日の丸・君が代」攻撃、教育基本法改悪攻撃は、全労働者人民のテーマである。来春卒・入学式の「日の丸・君が代」闘争、来年通常国会における教育基本法改悪を絶対に許さない闘いと一体で、闘いを巻き起こそう。
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週刊『前進』(2165号2面4)(2004/09/13)
自治労大会 自治労運動の分岐・流動促す
公務員制度改悪に屈服する本部 有事法協力・改憲推進に怒り
自治労第75回定期大会が8月25日から3日間、東京国際フォーラムで開催された。小泉=奥田の自治体解体、自治労つぶしの攻撃にどう立ち向かうかが厳しく問われた大会となった。わが自治体労働者委員会の「小泉=奥田の『戦争と大民営化』と対決し、『21世紀宣言』を拒否した力で、自治労運動の戦闘的再生を!」の訴えは深々と代議員に浸透した。このスローガンのみが自治労運動の向かうべき方向を示した。大会の討論では、52代議員が発言し、激しい本部批判が続出した。わが自治体労働者委員会は、青年部総会、女性部総会、現業評議会総会なども含めて、大会内外で闘う自治労の再生に向け奮闘した。以下、大会総括を提起する。
スト基金取り崩しを許すな
第一に、自治労の戦闘的再生か自己解体かが鋭く問われた大会となった。
「自治労『人見丸』は今、海図のない大海原に漂っている。羅針盤もなかなか見つからない」――これが最終日の大会議長の総括発言だ。自治労中央・人見執行部は、連合のもとで新綱領「21世紀宣言」に基づき小泉=奥田路線に屈服・協力して延命する方針を提起したが、依然として闘う意思が強固に存在している現場は、本部の闘わない方針に反発していることを示した。
地公3単産(自治労、都市交、全水道)の統合と、特に全国一般との統合を来年の定期大会をめどに進めるという本部提案には反対論が続出した。発言代議員の半数が統合問題に触れ、そのほとんどが「数合わせの合併。何ひとつプラスにならない」(岡山)などの拒絶反応を示したのだ。
本部は「統合を前提とした話し合いに入るが、白紙に戻すこともありうる」(植本書記長答弁)ことを担保に採択を強行せざるをえなかった。そもそも新綱領の「公共サービス産別の形成」構想は、大民営化にあらかじめ屈服し、民営化された事業を自治労産別に包摂してのりきろうとする路線なのだ。民営化攻撃との決戦を回避するための統合は、自治労産別を変質させる。全水道の定期大会でも「全国一般との統合先行では公務公共サービス産別でなくなってしまう」と反対論が出た。
参院選惨敗、組織人員の深刻な減少(全競労との統合にもかかわらず100万人以下に)の原因は本部の屈服路線にあることが明らかとなった。「自治労は有事法制反対方針だったはず。民主党や連合は賛成した。これでは民主党選挙に燃えるはずがない」(大分)。参院選惨敗は、本部の闘わない路線、「民主リベラル総結集―2大政党」路線の破産に起因している。だが本部はそれを「自治労の組織状況……組織が痛んでいる」(笠見副委員長答弁)せいにして路線的総括をしようとしない。
自治労共済の全労災への移管、丸投げについても批判が相次いだ。不正経理問題に端を発して、中央本部には4000億円を超す総資産の運用能力がなく、まともな財政感覚がないことが示された。だが問題は、全労災への移管の信用保証に、闘争資金として積み立ててきた自治労基金95億円を投入することを提案したことだ。本部は、1年間討議し、来年の定期大会で基金投入を決定する方針だ。基金取り崩しは、もはや自治労が存亡をかけた闘争(ストライキ)を組まないことを意味する。基金取り崩しは断じて許せない。
第二に、小泉構造改革との対決が激しく問われた大会となった。
人勧・総務省への屈服に批判
「骨太方針W」は公務員賃金の引き下げと地域別給与の導入を強調した。これに呼応して人事院は04年の「報告」で「給与構造の基本的見直し」として@「地域別給与」A「査定昇給」という新しい概念を打ち出した。@は「適切な地域間配分の実現を図る」として、民間賃金の低い地域に合わせて全国共通俸給表の水準を大幅に引き下げ、民間賃金の高い地域の職員には20%を上限とする「地域手当」を支給する方針(地域別俸給表も考慮)だ。
大会運動方針は、地域別給与や査定昇給を「勧告」ではなく「報告」=「たたき台」にとどめ、実施時期を明示させなかったことを「成果」とし、まったく危機感がないばかりか、全面屈服しているのだ。
討論では、寒冷地手当の適用地域の44%縮小、支給額の半減という人事院勧告の当日、総務省が示してきた「内かん」を公務員連絡会―自治労本部が追及しなかったことを暴露する(北海道)など、中央本部への地方の怒りが噴出した。「地域の官民の賃金決定に負の連鎖になりかねない」「大幅賃金カットで、格差是正に逆行する」「自治体労働運動の弱体化につながる」「断固反対の態度を鮮明にせよ」と16代議員が激しく中央本部を批判した。
全国一律賃金を解体する重大な攻撃を打ち破り、04確定闘争を歴史的な賃闘として爆発させよう。
さらに、切迫する公務員制度改悪との対決が問われた。8月5日に政府・行革推進事務局が公務員制度改革関連法案の骨子を公表した。能力等級制の導入など、年功賃金制を全面的に解体するものだ。「民主的公務員制度改革の実現」「労働3権奪還」の見通しを語ってきた自治労本部は、虚を突かれ、「与党方針に基づく『縮小・収束路線』の法案骨子案を提示するという政府の対応は言語道断」(大会宣言)と悲鳴を上げた。人見委員長は総括答弁で「公務労協に結集し、闘争本部を結成する」方針を提起したが、「政労協議」路線こそが改悪案を導き出したことを徹底弾劾しなければならない。
自治労中央の屈服を許さず、今秋臨時国会での公務員制度改革関連法案提出・成立を阻止しよう。
小泉政権は「規制改革・民間開放推進」を掲げて「官製市場」の全面開放と「市場化テスト」を打ち出した。公務職場を資本のえじきにし、公務員労働者を追放しようとしている。また「雇用の流動化」と称して任期付き短時間公務員制度の導入に踏み切った。討論で臨時・非常勤職員の激しい危機感が報告された。「全国統一ストライキを配置せよ」(富山)は天の声、地の叫びだ。
笹森連合会長が「9条改憲」
第三に、改憲阻止と反戦、有事法制―戦争協力拒否の闘いが厳しく問われた大会となった。
笹森連合会長が初日の来賓あいさつで憲法9条について「戦争放棄を定めた第1項を変えてはならないが、(戦力不保持、交戦権否認の)第2項については大いに論議する必要がある」と述べ、これを連合の憲法論議の方向性とした。
笹森は、田中明彦東大教授の9条2項削除論(00年衆院憲法調査会、04年日本経団連夏季フォーラム発言)を連合会長として支持し、これを自治労の改憲論議の方向性としても提案したのだ。
本部は「憲法改正に対しては、あるべき社会に見合った憲法をつくるという点や安全保障のあり方、労働権・環境権・人権、地方自治など新しい課題を含めて議論を進める」(笠見副委員長)というあいまいな表現で、改憲論議を推進しようとしている。これに対して「安全保障のあり方の項に憲法9条を守るとの記載がない」(大分)など、鋭い批判が続出した。
本部は昨年、新綱領採択直後に「国の基本政策検討委員会」を設置した。これは改憲に行き着く。「21世紀宣言」否決の継続として改憲阻止決戦を闘おう。
国民保護法のもとで設置される国民保護対策本部―国民保護協議会が出す戦争業務命令について、本部のスタンスに疑問が集中した。
大会前、本部は有事法制に積極的に協力することを表明した。「政府は法案づくりで地方の意見を取り入れてくれた」「国民保護の計画を作っていくとき、職員、労働者の安全問題もふくめ、計画づくり等々に組合の意見や職員参加は欠くことができない」(岡部副委員長『自治労通信』7・8月号)
これに対して、大会での討論の冒頭に沖縄から沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落への怒りの決起と県民集会方針が提案され、自治労上京団の国会行動が報告された。神奈川からは横須賀の原子力空母の母港化に反対する10月全国集会への全国動員要請が出された。美浜原発事故を弾劾する発言も含め、反戦・反核闘争を呼びかける意見が席巻した。
これらの発言は神奈川と沖縄のイニシアチブで15県本部が共同提案した「米軍基地撤去、新基地建設反対、日米地位協定抜本改正を求める特別決議」の採択となって結実した。
新たな「1年間決戦」闘おう
自治労の新たな「1年間決戦」を設定しよう。
今大会は中間年大会ということで、多くの課題が来年の定期大会に持ち越された。しかし、すべての課題が明らかにされている。中央本部は、自治労基金問題、組織統合問題などを1年間の組織討論に付し、05年大会で最終決着を図ろうとしている。直ちに反撃を組織しよう。
引き続き県本大会、単組大会が開かれる。さらに04確定闘争が火ぶたを切る。何よりも小泉構造改革攻撃が職場を襲う。自治労は最大の決戦局面にある。「地公3単産の統合にあたっては自治労の名称変更もある」と答弁したように、本部は自治労名称の消滅も考えている。自治労の旗を守り、闘う自治労を再生させるために、大胆に闘いを提起し、組織化しなければならない。
05年大会へ向けて代議員を組織し、獲得しよう。戦争と民営化に反対する全世界の労働者階級と連帯し、11月労働者大行動に、教労、全逓、国鉄や民間の労働者とともに自治体労働者の大部隊を登場させよう。
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週刊『前進』(2165号3面1)(2004/09/13)
国労72回定期大会 2本の修正動議が総翼賛うち破る
連合合流策す酒田に怒り 国鉄闘争早期収拾路線と対決
国労再生の突破口開く
8月26〜27日、熱海・ニューフジヤホテルで開かれた国労第72回定期全国大会は、国鉄闘争の早期収拾=解体路線のもとに全組合員を抑え込もうとした酒田・革同執行部の大反動を打ち破り、国労再生・国鉄1047名闘争勝利に向けて対決構造を発展させる大きな勝利を切り開いた。酒田執行部は「総団結・総決起の歴史的な大会に」と叫んで、この大会で総翼賛体制を形成し、連合合流へと一挙に突き進もうと陰謀をめぐらした。だが、闘う国労組合員は、これに抗して2本の修正動議を提出し、酒田執行部と対決し抜いた。酒田らの思惑は打ち破られ、国労内の分岐は鮮明となり、それによって国労の存在はぎりぎりのところで守られたのである。
訴訟拒む酒田あいさつ
大会の焦点は、酒田執行部と対決しぬき、@闘争団員22人への統制処分と鉄建公団訴訟原告らへの生活援助金支給凍結の解除、A鉄道建設・運輸施設整備支援機構(旧鉄建公団)に対する訴訟の方針、を打ち立てられるか否かにあった。
連合合流を決断した酒田は、その妨げとなる訴訟は一切やらせず、1047名闘争の最終的清算へと突き進もうとした。革同もまた、訴訟を圧殺し、連合合流路線の先兵となることに踏み切った。その背後には間違いなく日共中央の指示があった。ここから鉄建公団訴訟の問題が今大会の最大の焦点になったのだ。
大会初日の酒田充委員長のあいさつは、訴訟の否定と連合合流を露骨に押し出した。1月の拡大中央委員会で「新たな訴訟を準備する」という方針を出していたにもかかわらず、酒田は「訴訟は万策つきた時の最後の手段。現時点で万策は尽きていません。政治・行政対策等まだまだなすべきことは多くあります。従って政治解決に全力を上げる」と言い放った。未来永劫(えいごう)訴訟は絶対やらせないということだ。
万策尽きてのパフォーマンス
酒田は「死に物狂い(ママ)で政治行政対策を行ってきた」「不退転の決意」と恥ずかしげもなく絶叫した。だが、その中身は、国土交通省や厚生労働省、内閣府、鉄建公団に「要請」に行ったものの、体よくあしらわれたということに過ぎない。酒田自身、あいさつで「要請書を渡すだけのパフォーマンスでは意味がない」と述べたが、これらの「要請」はまさに“万策つきた酒田のパフォーマンス”にほかならない。
酒田はまた、18日に連合の笹森会長と、大会前日の25日に民主党の藤井幹事長と会ったことをこれ見よがしに吹聴し、「政治解決」が進んでいるかのような虚構にしがみついた。だが、これこそ彼が国鉄闘争を破壊し、闘争団を切り捨てて連合に合流しようとしていることの証左ではないか。
この間、酒田執行部は『国労文化』8月号に現職の日教組委員長や自治労副委員長の寄稿文を載せるなど、異様なまでに連合へのすり寄りを強めてきた。そして、ついに笹森に対してまで「特段のご指導とご尽力を」と平身低頭したのである。
1047名をイラクに追放?!
大会前には、酒田と結託した上村前副委員長(西日本本部委員長)ら革同が、「鉄道再建支援」と称して闘争団をイラクに追放しようと画策していたことが暴かれた。JR連合・西労組の森委員長から「国労の一〇四七名の人達が、日本の国内では全く出番がないけれども、イラクにおいては出番があるのではないか」(『労働レーダー』)と言われた革同は、一言も反論せず、こともあろうに西労組と一緒に駐日イラク大使館におもむき「復興支援」を申し出たというのだ。これこそ連合合流路線のおぞましい帰結だ。革同はその先兵へと転落した。
さらに酒田は、「違いを強調して対立構造を作り出す旧態依然の大会にするのか、一致点を強調して文字通り歴史的な総団結・総決起の大会にするのかが一人ひとりに問われている」と叫び立てた。闘争の早期収拾路線に全組合員を組み伏せようとする恫喝だ。
そして、「義を見てせざるは勇なきなり」とか「憎しみの連鎖からは何も生まれない」などとしたり顔で説教をたれた。だが、不正義の限りを尽くし、「憎しみの連鎖」をつくり出したのはいったい誰だ! 4党合意強行のために幾度も大会に機動隊を導入し、闘争団を統制処分にかけ、それに反対する組合員を権力に売り渡して、国労の団結を根底から破壊してきたのは、酒田自身ではないか。
酒田はまた、闘争団員への統制処分や生活援助金の支給停止については一言も触れずに居直りを決め込み、その解除を傲然(ごうぜん)と拒否し去った。
国労弁護団の宮里邦雄弁護士も、「今やるべきことは訴訟提起ではなく、政治的条件づくり。訴訟については慎重に検討すべき」と酒田に唱和した。
大会議長の座に着いた東京地本の笹原書記長は、議長就任あいさつで「総団結の真価が問われる大切な大会だ。本部を始め機関に結集した総団結を」と言い立てた。彼は酒田とともに5・27臨大闘争弾圧を企てた中心人物だ。今度は議長として一切の反対意見を封殺し、総翼賛大会を強行しようというのである。
1日目の討論では、革同が「一部闘争団が本部方針に従わず独自の活動を展開している現状では、直ちに新たな訴訟とはならない」(秋田地本)と唱え、チャレンジも「最高裁判決でJR復帰の道が絶たれた現実をしっかり受け止めよ」(盛岡地本)と闘争収拾をあおった。大会は、ひとたびはこうした反動にのみ込まれてしまうかに見えた。
暗雲切り裂き動議提出
だが、暗雲は切り裂かれた。大会2日目、反対派代議員は2本の修正動議を提出した。一つは「鉄建公団に対する訴訟を大会後、速やかに提訴する」というもの、もう一つは「闘争団員22人への組合員権停止の処分を今大会で解除する」というものだ。修正動議には、それぞれ10人の代議員が名を連ねた。
酒田・革同執行部は、生活援助金の支給凍結の解除をにおわせることで闘う闘争団の取り込みを策し、修正動議も出させず、総翼賛・総屈服体制を築くことを狙っていた。だが、その思惑は完全に吹き飛んだ。4党合意以来の国労内の分岐と対立は、再び鮮明になったのだ。
議事は修正動議の賛否をめぐって進行した。革同は動労千葉を排除して行われた国労と建交労共催の8・23集会を「到達点」と言いなしつつ、「国労組織に結集し決定した方針に基づいて闘いを進めよ」(近畿地本)、「処分の解除には現時点で反対だ」(名古屋地本)と闘う闘争団を恫喝した。訴訟についても「相手に反撃の口実を与えかねない」(名古屋地本)と敵対姿勢をあらわにした。
チャレンジは、笹森や藤井に対する酒田の要請行動こそ「到達点」だと絶叫した。特に盛岡地本の代議員は、「闘う闘争団の身勝手な行動が国労内で継続されれば解決は困難」「新たな訴訟は国労としてなし得る策が尽き、解決が閉ざされた時以外は、慎重に判断すべき」と闘う闘争団や鉄建公団訴訟への敵意をむき出しにした。そして、「『国労文化』に日教組委員長のメッセージが掲載されたが、これへの批判が国労共闘チラシに出ている」「解決をよしとしない勢力の妨害に警戒心を持って対処すべき」と言い放った。連合合流路線に対する国労共闘の的確な批判が、反動どもの心臓を射抜いたのだ。
さらに彼は、「JR連合との共同を」「JRとの労使正常化を」と言い立てた。四国エリアや上野支部のチャレンジも、単一体としての国労の解体をあからさまに要求した。
これに対し、新橋支部、中央支部、仙台地本、高崎地本の代議員が、本部批判の論陣を張った。
集約答弁で吉田書記長は、生活援助金の支給停止について「国労組織を維持するための措置」と居直った上、「当事者が機関に結集することを前提に、中央執行委員会で取り扱いを決定する」と述べた。鉄建公団訴訟を続ける限り、今後も支給はしないということだ。支給停止の解除は吉田の口約束に過ぎなかった。
採決の結果、訴訟提起を求める修正動議は95人の出席代議員中23票、統制処分の解除を求める修正動議は226票の賛成を得た。否決はされたが、国労再生への基盤は確固として存在していることが示されたのだ。
会場前で連日の宣伝行動を貫く
会場のニューフジヤホテル前では、大会前日の25日から3日間、「国労に人権と民主主義を取り戻す会」や鉄建公団訴訟原告団、国労共闘、「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」がビラまき・宣伝行動を展開した。臨大闘争弾圧被告も行動をともにした。それは会場内の闘いと一体となって、酒田体制を痛撃した。
静岡県警と警視庁公安部がこの行動を監視し、妨害を試みた。酒田執行部はまたしても大会に警察を招き入れた。酒田・吉田・革同体制を倒さない限り、「機動隊の姿がない整然とした大会」(長野地本代議員の発言)などあり得ないこともまた明白だ。
労働運動の大流動促進する国鉄闘争
今大会で、酒田執行部がもくろんだ総翼賛体制の形成を阻んだことは重大な意味を持っている。
労働運動は今、分岐・流動・再編・高揚の局面に入っている。この情勢を先端で切り開いてきたのが、4党合意以来の国鉄攻防だ。それは、4・13集会での国労闘争団・全動労争議団・動労千葉争議団の1047名の統一陣形の形成という歴史的勝利に行き着いた。
この勝利の大きさこそが、国鉄闘争の早期収拾と国労の連合合流を狙う大反動を引き出したのだ。だが、その反動は国労を丸ごと屈服させなければ貫徹できないものだった。
酒田が大会のりきりのために日教組や自治労の引き込みを図ったことは、今となっては酒田の思惑を超えて、連合内の分岐と再編を促進するものとなる。革同が「建交労との共同」を唱えつつ、酒田と一体化して訴訟圧殺と連合合流の先兵となったことも、全動労争議団が鉄建公団訴訟を心底希求している中では、全労連や革同自身の分岐と再編に必ず結びつく。
国鉄闘争は新たな流動過程に突入した。国労再生・国鉄闘争勝利へ闘おう。11月労働者大行動へ国鉄労働者の総決起をかちとろう。
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週刊『前進』(2165号3面2)(2004/09/13)
9・9天神峰現闘本部裁判へ 三里塚の勝利確定する闘い
天神峰現闘本部の不当撤去攻撃と闘う裁判闘争の第2回口頭弁論が、9月9日、千葉地裁で行われる。三里塚反対同盟の呼びかけにこたえて、傍聴闘争に決起しよう。
即時却下要求し激しい論戦
この裁判は、成田空港暫定滑走路の欠陥をなしている「へ」の字誘導路の直線化のために、旧空港公団(現NAA=成田国際空港株式会社)が反対同盟を被告に起こした裁判である。旧地主の石橋政次(当時・反対同盟副委員長)の相続者から底地を買収したとして、その上に建つ現闘本部の撤去を要求している。しかし土地は、石橋政次が反対同盟に提供したものであり、本部建物は反対同盟の所有物として建築時に登記されており、提訴には法的根拠がない。
前回の公判で反対同盟と弁護団は、土地を利用する正当な権利が反対同盟にあるから提訴は不当とした上で、「そもそも成田治安法で封鎖されており、現状では給付の実現(撤去のこと)が不可能。原告に訴えの利益がない」として却下を要求した。
土地への権利持つ反対同盟
9月9日の公判は、空港会社の訴えが訴訟として継続できるものなのか否かを問う攻防となる。
この裁判闘争の特徴と争点の第一は、前記の成田治安法をめぐる空港会社の自縄自縛である。
政府・国土交通省が鉄板で封鎖し、立ち入ることのできない建物の撤去はあらかじめ不可能である。弁護団はこの根本矛盾を突いて、適法な釈明がない限り本案には入れないと突き放し、冒頭から激しい論戦に突入している。
第二は、当該建物用地に対して反対同盟が直接的に持つ不動の権利である。
現闘本部建物は一見すると鉄筋3階建ての建物だけのように見えるが、実は二重構造になっている。この中にさらに、反対同盟が初期に建築した木造平屋建ての現闘本部建物が存在する。反対同盟はこの木造の現闘本部の建築直後に、当時、反対同盟顧問だった小川三男代議士名義で登記した。これを今年7月2日、反対同盟の北原鉱治事務局長名義とし、名実ともに反対同盟の所有とした。これは、反対同盟が当該建物用地に対して直接的な権利としての地上権を保持していることを意味する。
旧空港公団は、訴状で現闘本部建物を「未登記」としているが、これは重大な事実誤認である。実はこうした不当な撤去攻撃をも想定し、あえて旧現闘本部を保存しこれを守るかたちで鉄筋造りの建物を増築したのである。
現闘本部裁判は、実に勝利性豊かな裁判闘争として闘いを開始した。
暫定滑走路粉砕の根幹に
この裁判は三里塚攻防のかなめである。成田空港暫定滑走路は、無理を押してつくった短縮・欠陥滑走路であり、開港後1年足らずのうちに航空機同士の接触事故、オーバーラン事故を引き起こし、今年7月には誘導路上で航空機同士が立ち往生する事件が起きた。いずれも滑走路と誘導路の欠陥が原因だ。
空港公団は今年4月、民営化して「成田国際空港株式会社」になったが、短かくてジャンボ機が飛べない滑走路と「へ」の字誘導路が象徴する欠陥は、その経営に深刻な打撃を与えている。中部国際空港の開港(来年2月)と羽田国際化(09年)は、欠陥=成田の陥落を促進する。
空港会社は、07年株式上場までに「平行滑走路の完成と誘導路の直線化にめどをつける」ことを至上命令としている。
空港会社は、現闘本部とともに誘導路直線化の障害になっている市東孝雄氏の耕作地について「小作権解除」へと動き出しており、現闘本部裁判闘争は市東孝雄氏の農地を守る上で重要である。
さらに、暫定滑走路の延長と「へ」の字誘導路の直線化は、最長3700bの軍用滑走路の完成を意味する。この点からも現闘本部裁判闘争の勝利をなんとしても実現しよう。
三里塚闘争はいよいよ、その勝利を確定する新たな闘いに突入した。「天神峰裁判闘争を支援する会」の拡大運動を全国的に推進しよう。9・9千葉地裁傍聴闘争に総決起しよう。
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天神峰現闘本部裁判第2回口頭弁論
9月9日(木)午前10時30分
千葉地裁501号法廷
*傍聴券確保のために、午前9時30分に地裁正面に集合
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週刊『前進』(2165号3面3)(2004/09/13)
10・10三里塚集会の成功へ 全国活動者会議開く 新たな闘いの方向論議
成田市市民ホールで8月28日、三里塚芝山連合空港反対同盟の呼びかけで全国活動者会議が開かれ、110人が結集した。
軍事使用の恒常化や農地強奪攻撃など、三里塚闘争は新たな局面を迎えている。この会議は、三里塚を闘う活動家が全国から集い、三里塚闘争をめぐる情勢認識を深め、今後の新たな闘いの方向を話し合い、10・10全国集会の大結集をかちとるためのものだ。
事務局長の北原鉱治さんが「三里塚闘争は40年を迎える。こんな不条理がまかり通れば日本の将来はどうなるか。自衛隊のイラク出兵で日本は大変な時代へ入った。三里塚を反戦闘争として闘ったことは正しかった」とあいさつした。
第1テーマとして、成田空港の軍事化問題が取り上げられた。伊藤信晴さんが、イラク侵略戦争下の成田空港の軍事使用問題と有事法制による出撃基地化について問題提起した。
これを受け、淡路町空港反対同盟の安藤眞一さん、婦人民主クラブ全国協代表で相模原市議の西村綾子さん、反戦自衛官の小多基実夫さん、動労千葉執行委員の川崎昌浩さんが、地域の空港や基地、鉄道の軍事使用について、報告と闘いの決意を語った。
天神峰現闘本部裁判と小作権解除策動が第2のテーマになった。顧問弁護団事務局長の葉山岳夫弁護士が現闘本部裁判と市東孝雄さんの畑に対する小作権解除攻撃について報告した。
市東さんは「本末転倒。小作権解除ではなく、暫定滑走路を閉鎖しろ」と怒りを示した。「天神峰現闘本部裁判闘争を支援する会」世話人の戸村義弘さんが「悪意ある者が法律をまげて襲ってくる。78歳だが若返って闘いたい」と闘いの決意を述べた。革共同の小野正春同志や全学連の学生らが闘う決意を述べた。
最後に事務局次長の萩原進さんが「もう一度新たな闘いを壮大なイメージを持って軍事空港反対を軸に闘おう。現闘本部裁判をもうひとつの軸に闘おう」と語り、本部役員の鈴木幸司さんが「10・10全国集会を全力で闘う。三里塚は必ず勝利する」と檄を発した。
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週刊『前進』(2165号3面4)(2004/09/13)
8・1革共同集会の発言から
動労千葉の闘い学び国労を再生させよう 国鉄労働者
革共同は、反帝・反スターリン主義世界革命という戦略目標を掲げて闘っています。革命情勢を前にして、労働者階級を本格的に組織し、党勢を2倍化しようという方針が出されています。国鉄労働者は、青年を獲得しマル青労同を建設する方針を本当に実践しなければならない。
青年労働者のいる労働組合の権力を取り、労働運動を実践することが、私たちの目標の近道です。政治や労働者階級、革命ということも、労働組合の中では忌憚(きたん)なく話し合える。われわれの方針がじかに入る。社民も日共も獲得するのです。
われわれは、動労千葉に学び『俺たちは鉄路に生きる2』を読もうと言っています。どうやって社民が支配していた動労千葉地本の権力をとったのかが、この本には書かれている。動労千葉は、それだけの実践と闘争をやってきた。私たち革共同の路線・思想とまったく違和感はない。そういう党員を増やしていこう。11月労働者集会は、一人ひとりが党員を増やせば、必ず万余の決起をつくり出せると思います。
国鉄分割・民営化攻撃は、日帝が国鉄労働運動をつぶし、総評・社会党、日本労働運動をつぶす突破口として、戦争国家化に向けた決定的な攻撃でした。しかし、動労千葉も、動労総連合も、全党の同志たちが国鉄決戦に決起したから、こうやって残ることができたのです。
イラク戦争に反対し、1047名闘争、JRの合理化に反対する運転保安闘争を闘い、今やアメリカや韓国の労働者と国際連帯を結んでいます。私たちは、ファシスト・カクマルがJR資本と結託して襲いかかってくる中で国鉄戦線を守り抜いてきた。大変な苦闘もありました。このような闘いが全戦線に求められています。動労千葉のように職場で団結を固めて、民営化や首切り・合理化や戦争に反撃しなければ、血の海に沈むのです。
国鉄労働運動を決する闘いは、国労の再生にかかっています。国労本部は、4党合意によって自ら破産させたILO勧告路線で組合員をだましています。絶対に許すことができません。4党合意こそ、国労をダメにした元凶です。
われわれは、5・27臨大闘争弾圧を受けた8名の仲間たちとともに、4党合意路線を粉砕しました。それに対する弾圧です。しかし、完全黙秘・非転向で闘った仲間を奪還しました。弾圧をしかけたのが酒田、チャレンジ、革同、国家権力です。われわれは、彼らを打倒できる如意棒を手にしています。5・27臨大闘争弾圧を許さない会の素晴らしい陣形を生かし、全同志が勝利のために決起することが、国労指導部のダラ幹を打倒し、国労の権力を握る決定的な突破口です。
国鉄戦線は「平成採」獲得に向けて全力を挙げます。JR総連カクマルは決定的な危機に直面している。東労組千葉地本大会は流会になり、松崎派と嶋田派の亀裂は絶対に埋まらない。そのもとにいる青年労働者は、松崎派と嶋田派の利権争いなど、まったく関係ない。賃下げ、年金の掛け金が上がる中で青年労働者は怒っています。今こそカクマル支配から引っぱがして、青年労働者を獲得しなければならない。そのチャンスが来ている。ともに頑張りましょう。
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週刊『前進』(2165号4面1)(2004/09/13)
闘うイラク人民と連帯し自衛隊即時撤兵へ闘おう
04防衛白書/新大綱を先取り
「対テロ戦争」全面参戦 海外侵略軍へ転換宣言
日帝は今年末に「防衛計画の大綱」(防衛大綱)を改定し、これまでの「独立国として必要最小限の基盤的な防衛力を保持する」とした「基盤的防衛力構想」を見直すことを決定している。日帝は、「専守防衛」を基本としてきた戦後の防衛政策を大転換し、侵略戦争国家に公然と転換することを打ち出したのだ。04年版防衛白書は、新防衛大綱を先取りした日帝の歴史を画する侵略戦争宣言である。日帝がついにむき出しの侵略帝国主義として登場してきたことに怒りを燃やし、労働者階級の反撃をつくり出そう。
「機能する自衛隊へ」 イラク出兵を居直り派兵を“本来任務”に
04年版防衛白書は第一に、米帝の「対テロ戦争」への全面的な参戦、さらにはPKF(国連平和維持軍)参加などの形をとって、日帝が侵略戦争にどんどん打って出ることを宣言した。
白書は、「わが国に対する本格的な侵略事態生起の可能性は低下」したとする一方、「大量破壊兵器や弾道ミサイル、テロ攻撃などの新たな脅威」が緊急課題であるとの認識を示した。そして、こうした「新たな脅威」に対し、自衛隊は「事態などの性質に応じて、多様な段階・局面において適切に役割を果たし、機能する」ことが求められているとして、「存在する自衛隊から機能する自衛隊へ」(石破防衛庁長官)転換することを打ち出した。
要するに、「テロ、大量破壊兵器などの脅威に対し、先制攻撃する」という米帝の「対テロ戦争」を日帝・自衛隊が一体となって進めるということだ。
そのために白書は、「国際的な平和と安定」「特に中東から東アジアにいたる地域の平和と安定」が日本の安全と発展の前提であることを確認し、自衛隊の海外派兵を、これまでの「自衛隊の本来の任務である侵略への対応などに支障を生じない限度で行う付随的任務」から「自衛隊の本来の任務」へと格上げすることを明らかにした。
これは何を意味するのか。海外派兵が「日本の防衛」と同じ自衛隊の「本来の任務」とされることで、これまで海外派兵に加えられてきたさまざまな限定条件が取り払われて、無条件に自衛隊が派兵され、派兵された自衛隊の武力行使や集団的自衛権の行使が当然とされるということだ。現に、政府は自衛隊を迅速、自由自在に海外派兵するための恒久法を制定するとしている。そして防衛庁は、これまで正当防衛に限定してきた海外での武器使用の制限を撤廃し、「任務遂行に必要な範囲」まで(無制限だ!)拡大する考えを明らかにしている。
白書は、「日米両国による協力関係は、アジア太平洋地域のみならず、むしろ世界における広範な課題を対象とした協力関係であるべき」として、「世界の中の日米同盟」(昨年5月日米首脳会談)を押し出している。日帝は、アーミテージ米国務副長官やパウエル米国務長官などが「集団的自衛権の行使や憲法改正」を日本に促したことに積極的に応じる形で、日米同盟の強化をテコに侵略国家化、軍事大国化を図ろうとしているのだ。戦後的な日米関係のあり方、日米帝の圧倒的な力の差に規定されて、日米安保をテコに侵略帝国主義として復活することが日帝の唯一の現実的な選択としてあるからだ。
他方で、白書は「国連をはじめとする国際的な協調体制」をも押し出している。日帝は米帝の「対テロ戦争」へ本格的に参戦していくとともに、PKFへの参加などの形をとって侵略戦争にガンガン打って出ようとしているのだ。
白書は「イラクはテロとの闘いの最前線」と位置づけた。また「地域の秩序を脅かす独裁政権や国際テロ組織などに蝕(むしば)まれた国家が崩壊した場合には、それを責任ある国家へと再生することが、国際的な課題になっている」と侵略戦争の論理を公然と押し出し、アフガニスタンやイラクなどで軍事占領と植民地化を日帝が積極的に推進すべきことを訴えている。日帝は3月のオランダ軍撤退なども見据えて、イラク侵略戦争への参戦拡大を狙っているのだ。
白書は、イラクに大量破壊兵器が存在せず、フセイン政権とアルカイダとの結びつきもなかったことを省みようともせず、イラク人民の犠牲にも一切ふれようとしない。ファルージャ大虐殺も肯定している。
また、イラク人民の全人民的な米占領からの民族解放闘争を「フセイン政権の残存勢力」と「海外からのイスラム過激派」が、「イラク人による政府の樹立」を妨害しているものとして、事実をねじ曲げて描く。こうしたデマを振りまくことで、自衛隊を他民族を虐殺できる侵略軍隊に変えようとしているのだ。
自衛隊の変革・再編 3自衛隊を統合運用 海外専門部隊を創設
防衛白書は第二に、今後侵略戦争を全面的に行っていくために、自衛隊の「法制・装備・運用、あらゆる面から抜本的な改革」(石破)を進めることを明らかにした。
白書は、昨年12月の「我が国の防衛力見直し」を引用し、「自衛隊の新たな体制への転換に当たっては、即応性、機動性、柔軟性及び多目的性の向上、高度の技術力・情報能力を追求しつつ、既存の組織・装備などの抜本的な見直し、効率化を図る」との基本的な考え方を示した。そして、こうした考え方のもとに、@自衛隊の統合運用A陸・海・空自衛隊の基幹部隊の再編成B「国際任務待機部隊」の新設C各自衛隊の装備見直し――を行う方針を明らかにした。
白書は、「必要な地域に部隊を迅速に派遣し、継続的に活動できるよう、即応性、機動性、柔軟性を確保する」などと「即応性、機動性、柔軟性」をくり返し強調している。これは米軍のトランスフォーメーションに合わせて自衛隊を変革・再編し、米帝の「対テロ戦争」にどこまでも共同=競合して参戦していこうとする意思を示している。
(1)自衛隊の変革・再編
白書は、陸・海・空自衛隊が対ソ戦を想定し、それぞれ機甲部隊侵攻への対処(対機甲戦)、潜水艦への対処(対潜戦)、航空侵攻への対処(対航空侵攻)を特に重視して防衛力を整備してきた従来のあり方を転換し、それらの最も基盤的な部分は確保しつつも、「弾道ミサイル攻撃、テロ攻撃、ゲリラ・特殊部隊による攻撃、サイバー攻撃をはじめとする新たな脅威などに対応できる体制の整備を図る」とした。
具体的には、@陸上自衛隊は核・生物・化学兵器などに即応できる部隊を保持するA海上自衛隊は任務の拡大・長期化に対応し得る効率的体制を構築するB航空自衛隊は弾道ミサイルなどに対応できる防空体制をつくるCまた国際活動に積極的に対応できるような輸送・補給を確保する体制をつくる――などの目標を示した。
(2)統合運用
自衛隊3軍の統合運用は、何よりも米軍と共同=競合し侵略戦争を進める必要に迫られてのことだ。
現在「各自衛隊はそれぞれの作戦構想に基づいて個別に行動し、必要に応じて統合調整を行って対処する」ことになっている。こうした自衛隊の運用態勢では、各自衛隊が共同作戦を展開する場合でも、それぞれの司令部を通じなければ一体的に行動できない。ましてや、全軍が一人の指揮官のもとに行動する米軍との共同作戦はもっと困難である。現状のまま米軍との共同作戦を行うためには、米軍部隊に各自衛隊を組み込み、完全な米軍指揮下で動くしかない。日帝・自衛隊が一個の帝国主義軍隊として米帝の侵略戦争に参戦するためには、3軍の統合運用は待ったなしになっているのだ。
左図のように、現在は、陸・海・空の各幕僚長が各自衛隊の運用に関し、防衛庁長官を補佐することになっている。したがって各自衛隊に対する長官の指揮は、各幕僚長を通じて行われる。これに対し、新たな統合運用体制では、統合幕僚長(仮称)が自衛隊の運用に関し、陸・海・空自衛隊を代表して一元的に長官を補佐するとともに、自衛隊に対する長官の指揮・命令は統合幕僚長を通じて行う。また自衛隊の運用に関する長官の補佐のための機関として統合幕僚監部(仮称)を設置する。現在の統合幕僚会議は廃止し、そのもとに置かれた情報本部を長官直轄とする。
(3)国際任務待機部隊
「国際任務待機部隊」は、06年度中の編成を目指し、国連平和維持軍(PKF)本隊業務を行う「普通科大隊(PKF大隊)」と、施設建設、給水などを行う「後方支援部隊」で構成される。防衛庁はこれらの部隊の合同部隊(1300人規模)も編成し、世界の2カ所に同時期に派遣できる体制をとるとしている。PKFは武力行使を前提とした軍隊であり、日帝はこれまで派遣を見合わせてきた。
この国際任務待機部隊は、陸上自衛隊に新設される防衛庁長官直轄の「中央即応集団」に置かれる。中央即応集団は、国際任務待機部隊のほか、「テロ・ゲリラ戦」に対処する特殊作戦群や緊急即応連隊、空挺(くうてい)団などの機動部隊で編成する、4−5千人規模の部隊となる。
BMD配備の狙い 対北朝鮮・中国への一方的先制攻撃準備
防衛白書は第三に、米帝の朝鮮・中国侵略戦争を日帝が主体的に進める観点から、弾道ミサイル防衛システム(BMD)の配備を打ち出した。
(図 BMD構想【04年版防衛白書から】。「PAC-3防護地域」は在日米軍の司令部や日帝の政治・軍事中枢だけで、住民は守らない)
白書は、北朝鮮と中国についての脅威論を叫んでいる。
「北朝鮮は、大量破壊兵器や弾道ミサイルの開発・配備・拡散を行うとともに、大規模な特殊部隊を保持するなど、いわゆる非対称的な軍事能力を維持・強化していると考えられる。北朝鮮のこうした軍事的な動きは、朝鮮半島の緊張を高めており、わが国を含むアジア全域の安全保障にとって重大な不安定要因となっている」
「中国は、近年、核・ミサイル戦力や海・空軍力の近代化を推進するとともに、海洋における活動範囲の拡大などを狙っている」と分析、さらに「大陸間弾道弾(ICBM)を約30基」、「わが国を含むアジア地域を射程に収めるミサイルを合計約110基」を保有していると、中国の弾道ミサイルについて詳しく記載している。
そして白書は、「98年に北朝鮮が日本上空を超える弾道ミサイルの発射を行った」ことを例にあげて、弾道ミサイル防衛が「近年の防衛政策上の喫緊の課題となっている」として、次のように言う。
「政府が整備を決定したBMDシステムは、弾道ミサイル攻撃に対して国民の生命・財産を守るための純粋に防御的な、かつ、他に代替手段のない唯一の手段であり、専守防衛を旨とするわが国の防衛政策にふさわしいものである。また、それ自体が攻撃能力を有することはなく、周辺諸国に脅威を与えるものではない」
これはまったくの大ウソだ。BMDは、米帝ブッシュの「先制攻撃戦略」の根幹をなす最も攻撃的な兵器システムである。米日帝がBMDを配備するのは、北朝鮮や中国に一方的に先制攻撃をしかけるためだ。
1970年代に米ソがABM(弾道弾迎撃ミサイル)制限条約を結んだのはなぜか。それは一方の国の迎撃システムが、他方の国の反撃能力を奪うことで、先制攻撃の可能性を高めるからだ。
BMD配備は、北朝鮮や中国のミサイル基地を常時の監視下に置くということだ。現実には、米軍と自衛隊がわざわざ北朝鮮や中国の弾道ミサイル発射を待ってから、命中する確証がないBMDで撃ち落とすなどということはありえない。米軍と自衛隊は、これらのミサイル基地のすべてを先制攻撃し、万が一破壊し損ねた弾道ミサイルをBMDで撃ち落とそうというのだ。白書は、「敵基地攻撃」というコラムで、「誘導弾などの基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲であり、可能である」との政府見解を紹介した。
日帝は、1兆円もの巨費を投じて、イージス艦に海上配備型のミサイル「SM−3」と、地上配備型のペトリオット「PAC−3」を組み合わせて配備する。
白書は、「同システムはあくまでもわが国を防衛することを目的とするものであって、わが国自身の主体的判断に基づいて運用し、第3国の防衛のために用いられることはないから」集団的自衛権の行使の問題は生じない、としている。
しかし、BMDは米軍と自衛隊の情報・管制システムの一体化を促進し、自衛隊を集団的自衛権の行使へと踏み切らせるものだ。その上で日帝は朝鮮・中国侵略戦争を主体的に担い、自前の軍事衛星の保有を含めBMDをもステップに対米対抗的な軍事大国化へと向かう野望を持っている。
小泉政権はBMD導入を口実に「武器輸出3原則」の見直しを行い、軍需産業にテコ入れしようとしている。白書は、「武器の国際的な共同開発・生産は、世界的な趨勢(すうせい)になっている」として、これを後押ししている。
日帝は96年日米安保共同宣言−97年新ガイドライン(日米防衛協力の新指針)以来の日米間の軍事的な取り組みの進展、とりわけ周辺事態法、武力攻撃事態法を始めとした有事立法の一応の完成、イラク侵略戦争への日帝の参戦と多国籍軍参加、BMD導入の決定など、日米安保をテコにして侵略帝国主義としての復活を図ってきた。これらを踏まえて日帝はついに公然たる侵略帝国主義として登場しようとしている。
小泉は、防衛白書に歴代の首相として初めて巻頭言を寄せて「自衛隊はわが国の代表として国際貢献の最前線で活躍してきた」と称揚し、「国の平和と安全は、防衛庁・自衛隊のみで確保し得るものではなく、国民の理解と支持が不可欠」と述べている。
日帝の金融独占資本とその政治委員会は、最後的に戦争と改憲の道を選択した。彼らはそのために労働者階級の団結と生活を徹底的に破壊し、戦争に動員しようとしている。11月労働者大行動で労働者階級としての誇りと団結を打ち固め、韓米の労働者階級と連帯し帝国主義を打倒しよう。
〔早乙女優〕
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週刊『前進』(2165号4面2)(2004/09/13)
“普天間 即時閉鎖を” 沖縄6議員が呼びかけ 怒りあふれ院内集会
8月26日午後、沖縄県選出の国会議員6氏(衆院・照屋寛徳、赤嶺政賢、東門美津子、参院・糸数慶子、大田昌秀、喜納昌吉)の呼びかけで「米軍ヘリの沖縄国際大学構内への墜落事故に抗議する緊急国会集会」が開かれた。閉会中にもかかわらず野党の国会議員29人が参加、自治労や日教組などの労働者や市民、学生400人が駆けつけ、会場の衆院第2議員会館第1会議室に入りきれなかった。
「昨日の稲嶺県知事と小泉総理の会見は、型どおりの形式的なもの。県民の怒りは高まっています」。司会の糸数議員が怒りを込めた。照屋議員が事件発生5秒後から撮影されたビデオを説明。10階建てのビルより高く上がる黒煙、まさに戦場そのものの光景が映し出された。
6人の沖縄選出議員が次々発言し、口々に普天間基地の即時無条件閉鎖を訴えた。大田議員は「本土の受け止め方は温度差などと言って自分のこととして考えない。温度差ではなく“鈍感度差”だ」と言を強め、「普天間は無条件ですぐに返すべきだ。絶対に代替施設を辺野古なんかに造るべきじゃない。海上を埋め立てて2000bもの滑走路の軍民共用基地だなどとはSACO最終報告にも書いてない」と怒った。
さらに沖縄からの発言として宜野湾市職労の大城紀夫委員長が立った。「事故が起こって感じるのは有事法制と憲法9条の問題。本土で見えないことが沖縄では現実に起こってくる」と危機感をもって訴えた。
伊波洋一宜野湾市長、渡久地朝明沖縄国際大学学長のメッセージが紹介され、民間地上空での米軍飛行の即時停止、普天間飛行場の閉鎖、さらに日米地位協定の全面改定、普天間基地の名護市辺野古への「移設・新設」中止、即時無条件撤去などを要求する「緊急国会集会アピール」を拍手で採択した。最後は照屋議員の音頭で「米軍ヘリの沖縄国際大学への墜落に抗議し、普天間飛行場の即時無条件返還の実現を目指してともにガンバロー」。
沖縄の怒りは臨界点を超えた。米軍基地や日米安保との共存を拒否する沖縄人民の闘いは、稲嶺県政、小泉政権を根底から揺るがす過程に入った。9・5から9・26県民大会へ、全国から沖縄に駆けつけよう。
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週刊『前進』(2165号4面3)(2004/09/13)
アメリカ大使館デモ
「米軍ヘリ墜落糾弾! 普天間基地を即時返還しろ! 辺野古の海への基地計画を白紙撤回しろ!」
夜の都心に怒りの声が響いた。8月27日夕、米軍ヘリ墜落抗議・普天間基地返還要求集会が東京・六本木の三河台公園で開かれた。その後、300人がアメリカ大使館に向かって抗議デモをした。ビルの2階から手を振る人たち、歩道から労働者、市民が「反対!」と声をかけた。
集会では、主催者を代表して沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの上原成信さんが「普天間は閉鎖するしかない。持続した運動で頑張ろう。『けっしてうやむやにはさせないぞ』と決意して闘おう」と訴えた。
糸数慶子、喜納昌吉両参院議員のメッセージ紹介の後、沖縄から駆けつけた桃原(とうばる)功宜野湾市議、「命を守る会」の宮城保事務局長が発言した。
市議会の基地特別委員長である桃原さんは、墜落現場は直後に米軍が封鎖、抗議し続けたのは伊波市長のみで、同行した副知事も防衛庁長官政務官の嘉数知賢も何も言わなかったことなどを報告し、「辺野古への移設の再考」を盛り込んだ市議会決議をかちとるなどの奮闘を報告した。「(日本政府との)この温度差は何なのか! 国がいやがるような抗議をやっていかなければならない。稲嶺知事はベターな選択と言うが、なぜベストの選択、県外移設と言えないのか!」と怒りを込め、「一日も早い閉鎖、即時返還を求めて闘おう」と呼びかけた。
宮城さんはボーリング調査を阻止している辺野古の座り込み闘争について「地元のおじい、おばあは実力で日本の権力を、安保を止めているんです。しかし、おばあたちはあと何年生きられるかわからない。国会、政府を動かす闘いを」と強く訴えた。
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週刊『前進』(2165号4面4)(2004/09/13)
8月24日〜31日
反ブッシュのデモに50万人 都教委「つくる会」教科書を採択
●収容所拷問、容疑件数計300件 イラクのアブグレイブ刑務所の収容者拷問事件で、ラムズフェルド米国防長官が指名した独立調査委員会が最終報告書を発表した。拷問・虐待がイラクのほか、アフガニスタン、キューバのグアンタナモ基地など「状況の異なる複数の場所で広範に行われていた」と結論付けた。今年夏までに認知した虐待容疑件数は300件に上るという。(24日)
●沖縄県知事と小泉が会談 沖縄県宜野湾市で起きた米軍ヘリ墜落事故をめぐり、小泉首相が稲嶺知事と首相官邸で会談した。稲嶺は、@安全策がなされるまで普天間飛行場所属機を全面飛行停止とするA事故の際に沖縄県警が現場検証できるよう日米地位協定を見直すB同飛行場の早期返還など在沖米軍を縮小する――などを要望したが、小泉は具体的返答はしなかった。「基地を見に来て」の要請にも返答を避けた。(25日)
●都教委、「つくる会」教科書採択 「新しい歴史教科書をつくる会」の主導で編集された歴史教科書(中学校用・扶桑社版)が、東京都教育委員会で、来春開校する都立中高一貫校・白鴎高校付属中学校(仮称、台東区)の教科書として採択された。(26日)
●「被害最小限は乗員の功績」 ワスコー在日米軍司令官は記者会見で、米軍ヘリ墜落事故について、「乗務員は飛行コントロールが不能になった機体を、精いっぱい人のいないところに行き、被害を最小限に食い止めた。素晴らしい功績があった」と述べた。沖縄県民への謝罪もなく、乗員に賛辞を送る司令官に沖国大関係者や宜野湾市民の怒りが再び高まった。また在日米軍再編に関連し、沖縄県にある米軍普天間飛行場を同県内の嘉手納飛行場に統合することを日米間で協議していたことを認めた。(26日)
●防衛庁長官補佐機構見直し指示 石破防衛庁長官は、文民統制(シビリアンコントロール)の柱のひとつで、文官(背広組)が長官を補佐する「防衛参事官制度」について再検討するよう同庁幹部に文書で指示した。文書は、イラク派兵など自衛隊の任務の多様化を指摘。「より機能する自衛隊」への転換をうたっている。(27日)
●久間「15年・軍民共用が障害」 自民党の久間幹事長代理は、「使用期限問題や軍民共用で規模が大きくなったことで環境問題が起き、難しくなっている。それを取り下げて原点に戻った方がいい」と述べ、稲嶺知事が県内移設受け入れの条件とした代替施設の15年期限や、軍民共用空港に否定的な考えを示した。(27日)
●同型ヘリ当面飛ばさぬ 米政府は、米軍ヘリ墜落事故について「在日米軍は海兵隊の(事故機と同型機の)CH53Dヘリは適切な時期まで飛行を再開しない」とする声明を在日米国大使館を通じて発表した。(28日)
●反ブッシュデモに50万人 米共和党の全国大会を前にニューヨークで、ブッシュ大統領の再選に反対する大規模なデモが行われた。主催団体の「平和と正義のための団結」は推計約50万人が参加したとしている。(29日)
●イージス艦の中枢システム、日米で技術研究 防衛庁は、ミサイル防衛(MD)を担うイージス艦の「イージス・システム」について、日米共同で技術研究に着手する方針を決めた。これまでは米国単独で開発・生産をしてきたが、新たに日本の民生技術を導入することで探知能力を高め、弾道ミサイルへの対応を強化するのが狙い。(30日)
●陸自に「狙撃班」新設へ 防衛庁は、ゲリラや特殊部隊の攻撃に対処するため、狙撃班を新設することを決めた。自衛隊に狙撃専門のチームができるのは初めて。来年度は陸の3カ所の師団と旅団に6人編成の計50班をつくり、約半数に米国製の専用の狙撃銃を配備する。(31日)
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週刊『前進』(2165号5面1)(2004/09/13)
闘うイラク人民と連帯し自衛隊即時撤兵へ闘おう
泥沼化する米帝のイラク侵略
北から南へ武装抵抗拡大 石油労働者は反米軍スト
昨年3月20日の米英帝のイラク侵略戦争開戦からすでに1年半になろうとしている。イラク人民の激しい民族解放・革命戦争への決起の中で米帝の侵略戦争は完全に泥沼にはまりこみ、米帝はさらに凶暴なイラク人民への無差別虐殺の攻撃を続けている。日帝・小泉政権は、多国籍軍への参加を強行し、さらに深々と侵略戦争にのめり込んでいる。この帝国主義のイラク侵略戦争を終わらせるために、帝国主義国の労働者階級の闘いが問われている。闘うイラク人民と固く連帯し、イラク反戦闘争の大爆発をかちとろう。米英を始めとする帝国主義国や韓国など参戦国の労働者階級と連帯し、日本の労働者階級のイラク反戦闘争への巨大な決起を実現しよう。
ファルージャでもナジャフでも米軍失敗
ナジャフのサドル派マハディ軍に対する8月5日以来の米軍の総攻撃は、3週間にわたる米軍の激しい攻撃でもうち負かすことができなかった。そしてシーア派の権威であるシスタニ師が急きょイギリスから帰って仲介し、27日にマハディ軍がイマーム・アリ・モスクから退去するという形で決着した。米軍は、イマーム・アリ・モスクへの包囲が全世界のイスラム教徒の憤激を引き起こす中で、追いつめられてシスタニ師の仲介にすがりついたのだ。
米軍のナジャフ攻撃は、確実にイラク人民の武装抵抗闘争をさらに拡大させた。米軍のナジャフ攻撃に対して南部の石油労働者が抗議のストライキに決起するなど広範な怒りがまき起こり、住民がマハディ軍とともに武装闘争に決起する決定的な転機となったことは確実である。
すでにバグダッド西部のアンバル州を始め、北部一帯で米軍の軍事制圧が完全に破綻(はたん)している中で、シーア派が多い南部でも武装闘争が拡大することは、米軍・多国籍軍の危機がいよいよ抜き差しならないところに来たことをはっきりと示している。
米帝はイラク戦争開戦当初、フセイン政権を倒せばイラク人民から解放軍として迎えられるという甘い見通しのもとに侵略戦争に突入した。だが広範なイラク人民の民族解放闘争への決起で、その幻想は完全にうち砕かれた。そもそもイラク戦争の本質は、帝国主義的な強盗戦争=侵略戦争であり、イラクの労働者階級人民の利益とはまったく相入れないものであり、民族解放闘争の爆発は不可避だったのだ。
米帝のイラク占領・植民地支配破綻の核心は、イラク人民の民族解放闘争を鎮圧できないし、その見通しすらないことにある。とりわけ今年4月のファルージャ蜂起が米帝イラク占領の破産的現実をまざまざと明らかにした。昨年4月に米軍がデモ隊に発砲して15人を虐殺して以来、民族解放戦争の象徴的な町になってきたファルージャに対し、米軍は今年4月、海兵隊の大部隊を投入して町の制圧をはかり、1カ月近くにおよぶ戦闘にもかかわらず、ついに制圧できないまま撤退せざるを得なかった。
4月の米軍のファルージャ、ナジャフ制圧の大攻撃は、6月末に予定していたペテン的な「主権移譲」が破産的な状況になっていることに対し、それを巻き返すためであった。ところがファルージャ制圧は失敗し、ナジャフへの攻撃もサドル派マハディ軍の蜂起によって制圧に失敗しただけでなく、イラク南部一帯に反乱が拡大する結果になった。
焦った米帝は、6月28日に繰り上げて抜き打ち的に「主権移譲」を行ったが、それはカイライ政権のデッチあげという点でもあまりにもそのペテンが見え透いており、完全に失敗したのである。イラク人民の闘いは「主権移譲」後もますます激しさを増している。この8月の米軍兵士の死者は、米軍の公式発表だけで66人に上っている。イラク戦争全体での米軍の死者は8月末までで978人に上っている。多国籍軍全体では1109人である。
イラクの解放勢力の発表では米軍の死者ははるかに多くなっており、実際には米軍発表の10倍以上である可能性が高い。米軍はイラクでの犠牲があまりにも多く、占領体制の維持にも窮している状態なのだ。
米軍は、イラク派兵部隊の2回目の交代を進めている。その中で1度派兵され帰還した二つの師団が再び派兵されようとしている。米軍の調査によれば帰還した兵士の17%が心的外傷性ストレス症候群に苦しんでいる。そうした負傷兵も含めて再び派兵しなければ戦闘態勢が維持できない状態に陥っているのである。
米帝がカイライの「暫定政権」にすえた連中はもともと亡命イラク人がほとんどで、イラク国内に支持基盤をもっている者はいない。軍事力で反対する者を制圧する以外に支配が成り立たない構造にある。さらに、イラクの産業の支配という点でもかつての「バース党支配」という形をとったブルジョア支配は、開戦とバース党の崩壊で崩れ去っており、労働者階級の台頭を押さえつける力を持っていない。イラク全土で拡大する労働者階級の闘いは、米占領軍をたたき出す戦いが、同時にイラクにおいて労働者階級の権力奪取に向けての展望を開くことにもなっているのである。
石油の強奪と中東支配再編争闘戦が狙い
米帝は、イラク侵略戦争が泥沼に陥っても、けっしてイラク侵略戦争から手を引くことはできない。労働者人民の闘いの爆発で決定的に米帝を追いつめ、帝国主義を打倒するか打倒される恐怖を突きつけない限り、いったん踏み込んだこの侵略戦争を止めることはありえないのだ。
米帝がイラク侵略戦争を開始した狙いはどこにあったのか。
まず第一に、直接的にはイラクを軍事占領=植民地支配することで世界第2位の埋蔵量を誇るイラクの石油を独占支配することだ。それによってサウジアラビアなどの石油産出国に対して米帝の意に反して行動すればイラクと同じように占領するぞという恫喝で屈服させ、OPEC(石油輸出国機構)を決定的に弱体化させて戦略資源である石油の世界市場全体を米帝が独占的に支配することにあった。
第二に、米帝はイラクを軍事占領することをとおして破綻の危機に瀕(ひん)する米帝の中東支配を再編することを狙っていた。
01年9・11ゲリラ戦闘は、米帝中枢を直撃する戦闘として、米帝に決定的な打撃を与えた。米帝の存立そのものが危機に陥ったといっていいほどの打撃を強制したのである。そこには中東・ムスリム人民の米帝の中東支配に対する積年の恨み・怒りが突きつけられており、米帝中東支配の危機が示されていた。
これに対して米帝は、逆にこれを世界戦争戦略発動の好機としてアフガニスタン侵略戦争からイラク侵略戦争へと突き進んでいった。中東において米帝の支配に従わない国を暴力的にたたきつぶしてカイライ政権をデッチあげることで、一切の反対を許さない支配体制を再確立しようとしたのである。
第三に、ある意味ではこれが最も重大なことだが、米帝はEU、日帝を始めとした帝国主義間争闘戦のためにイラク侵略戦争を開始したということである。
米帝経済は、00年の株価暴落で完全なバブル崩壊に突入した。過剰資本・過剰生産力の矛盾が噴出し始めたのだ。そもそも年間4〜6千億jにも上る巨額の経常赤字を抱え、日帝やEUなどからの資金流入で埋め合わせるなどということが長続きするはずもない。バブル崩壊は、米帝を決定的な没落の危機に直面させたのである。
これに対して米帝は、イラク侵略戦争に突入することによって、戦略資源である石油を制圧することで、他帝国主義に屈服を要求しようとした。それは、イラク、イランとの石油開発契約を進め、ユーロによってドルに対抗する基軸通貨を持とうとしている仏独などのEUに対して、その台頭を絶対に許さないことを強烈に突きつけるものとしてあった。米帝は、世界経済危機が世界恐慌として爆発する情勢の中で、侵略戦争という手段に訴えて、その一切の犠牲を他帝国主義に押しつけることで米帝単独の世界支配をつくり上げて生き残ろうとしているのである。イラク侵略戦争は、帝国主義間戦争、世界戦争へと行き着く帝国主義間争闘戦の新たな段階に踏み込んだのである。戦争によってしか生き延びることができない帝国主義の凶暴な姿がここにある。
この政策は同時に、本質的に日帝に対しても向けられている。米帝に対抗してたたきつぶされる道を進むのか、屈服して生きていくのかという強烈な恫喝、選択を迫る政策である。日帝はこれに対して、当面は米帝の世界戦争戦略に沿いながら侵略戦争の一角を担うことで戦争のできる帝国主義へと飛躍し、自らの力=軍事力をもって自らの利益を貫く帝国主義へと突進する道を選択したのである。
対抗するものの登場を許さないという米帝の政策は、中国スターリン主義に対しても向けられている。米帝は、北朝鮮侵略戦争を構え、それを激しく推進することで中国スターリン主義に屈服を迫る一方、究極的には中国スターリン主義体制そのものの転覆を狙っているのである。
こうした帝国主義間争闘戦を核心にイラク侵略戦争を開始した以上、米帝にとってそれに敗北して撤退することは直ちに自らの死に直結するほどの意味を持つ。どんなに泥沼に陥ろうが米帝はイラクから撤退するわけにはいかないのだ。
全世界で帝国主義打倒めざす反戦闘争を
米英日帝のイラク侵略戦争に帝国主義の反人民性、非人間性、暴虐がはっきりと示されている。何よりもまずイラク侵略戦争に現れた現実、これが帝国主義なのだ。米帝は、イラクが大量破壊兵器を持っているとデッチあげて凶暴に侵略戦争へ突入した。しかしイラクに大量破壊兵器がないことを米帝の調査機関自身が認めざるを得なくなった。
イラクに大量破壊兵器がないことは後になってわかったことではない。初めからわかっていたのだ。しかも、イラクが大量破壊兵器を持っているという情報を流していた大本は米帝・CIAと結びついたイラク国民会議代表のチャラビなどの亡命イラク人だったのであり、米帝はデマ情報であることを初めから知っていたのだ。米帝は、これを侵略戦争を開始するための手段として使ったのである。
また米軍は今回のイラク侵略戦争で核兵器そのものである劣化ウラン弾を2000dも使った。実に広島型原爆の10万倍もの放射能がイラク全土にまき散らされたのだ。すでにガンや白血病などの深刻な被害が広がっている。しかも、劣化ウランは放射能の半減期が45億年といわれ、イラクは永久に放射能被害に苦しまなければならない状態に置かれた。このような反人民的無差別虐殺兵器の使用がどうして許せるか。
米軍の戦争によるイラク人民の死者は数万人に上っている。イラクの民間人による団体「民衆の覇権反対運動」は、2カ月にわたって独自の全国聞き取り調査を行い、その集計としてイラク人民の死者が昨年10月の段階で3万7千人に上っていると発表した。その後も米軍はイラク全土で空爆など無差別虐殺の攻撃を繰り返しており、さらに多くのイラク人民が虐殺されているのだ。理由もなく人びとを拘束し、拷問・虐待しているのだ。
石油強奪のためには何十万、何百万もの人民を平然と虐殺する、これが帝国主義の本質だ。第1次世界大戦、第2次世界大戦でも示された帝国主義の現実の姿なのだ。
イラク人民はこの反人民的無差別虐殺、強盗的侵略戦争に怒りを燃やして戦いに決起している。この戦いは民族解放・革命戦争としてさらに爆発することは不可避であり、米軍・多国籍軍がどんなに大量の軍隊を投入しようともけっして抑えることなどできない。
帝国主義の攻撃はイラクやアフガニスタンなど帝国主義国外の人民に対して向けられているだけではない。帝国主義国内の人民に対しても向けられている。イラク侵略戦争で千人の、あるいは1万人以上の米兵が犠牲になっている。
国内に対する犠牲の強制は、兵士だけでなく、労働者階級に対する雇用破壊、団結破壊、低賃金、長時間労働、社会保障解体などが襲いかかっている。こうした攻撃がタフト・ハートレー法や愛国者法といった労働運動弾圧法、治安弾圧法とともにかけられているのである。日本でも自衛隊イラク派兵や有事法制の攻撃と一体で、盗聴法や司法改悪が強行され、共謀罪の新設が狙われている。
「外への侵略戦争と内への階級戦争」の攻撃に労働者階級は反撃しなければならない。帝国主義を打倒しない限り、こうした犠牲が容赦なく労働者人民に強制されるのだ。闘うイラク人民、中東ムスリム人民と連帯し、再び世界戦争へと突き進む帝国主義を打倒しよう。
実際に社会を動かしているのは労働者であり、労働者階級が総決起すれば帝国主義を打倒することができるのだ。日米韓労働者階級の連帯した力で、米帝ブッシュ、日帝・小泉を倒そう。ブッシュ政権打倒は世界的な帝国主義打倒闘争の合図の鐘となるだろう。
米帝のイラク侵略戦争は泥沼に陥っており、危機にあえいでいるのは帝国主義の方なのだ。闘う労働運動の新潮流を力強く形成する運動と一体でイラク反戦闘争の大爆発をかちとろう。自衛隊をイラクから撤兵させよう。
〔秋原義明〕
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週刊『前進』(2165号5面2)(2004/09/13)
北富士 “サマワ訓練やめろ” 母の会先頭に申し入れ
忍草国有入会地守る会と忍草母の会は8月31日、自衛隊北富士演習場のサマワ宿営地模擬施設でのイラク人民虐殺のための訓練の開始に抗議し、申し入れ行動に決起した。緊急の呼びかけにもかかわらず首都圏各地から50人が結集した。
午前10時半過ぎ、演習場入り口に登場した参加者を前に忍草母の会の天野美恵事務局長が「今回の訓練は前回より200人も増えて600人になる」と訓練のエスカレートを暴いた。前日の国有入会地守る会と母の会の県庁への申し入れの報告を全学連北富士現闘の代表が行い、県が「サマワ訓練施設が入会協定の対象地域ではないとか、従来の枠を越えない」として容認していることを弾劾した。
続いて国有入会地守る会の天野豊徳会長があいさつし、前日の申し入れで入会権利者の要求に何もこたえようとしない山梨県の対応を弾劾するとともに、「行動することなしに権利は守れない。これが入会行動、権利主張なんです」とこの日の行動の意義を語った。
直ちに自衛隊への申し入れを行い、訓練の中止と訓練施設の撤去、自衛隊のイラクからの撤退を要求する石破防衛庁長官当ての申し入れ書を天野会長が読み上げ、演習場管理室長に手渡した。続いて、婦人民主クラブ全国協の西村綾子代表や都政を革新する会の長谷川英憲代表、山梨の市民団体5団体、全学連、全国沖縄青年委員会、都留文大生協労組、部落解放同盟全国連合会などが次々と申し入れを行った。
“演習中止し施設撤去を” 県庁に申し入れ
前日の30日、忍草国有入会地守る会と忍草母の会は山梨県庁を訪れ、北富士演習場での訓練中止と訓練施設の撤去を国に申し入れるよう山本栄彦山梨県知事に申し入れた。(左上写真)
対応に出た演習場対策課長は、「知事は理解を示している」と答えたが、「演習場内国有地は、入会権が東京地裁判決で認められている」と入会権無視を弾劾し、要請書を手渡した。
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週刊『前進』(2165号5面3)(2004/09/13)
司令部移転案に反撃 座間基地に200人がデモ
8月29日、台風を突いて200人が相模原市内の相武台1丁目公園に集まり、座間基地への米陸軍第1軍団司令部移転攻撃に怒りの声を上げた。米軍再編(トランスフォーメーション)が発表されてから最初の抗議行動だ。主催は基地撤去をめざす県央共闘会議と神奈川平和運動センター。会場には「米陸軍第1軍団は来るな! 8/29キャンプ座間の基地強化に反対する緊急市民行動」と書かれた横幕が張られた。
県央共闘会議代表で厚木基地爆音防止期成同盟委員長の鈴木保さんが「座間基地へのワシントンからの司令部移転はどうも本当らしい。北朝鮮をにらんで前線基地の司令部を置くということだ。決意を新たに職場や地域でがんばってほしい」とあいさつ。相模原市職労委員長は、米軍ヘリ墜落事故を弾劾し、「宜野湾市職労のビラを今日の会場でまいた」と発言した。
相模原市議会議員の西村綾子さんは「座間基地への米陸軍第1軍団司令部の移転移駐は、アジア・太平洋の総合司令部として機能すること。基地視察に行ったとき米軍は『朝鮮有事のため』と明言した。絶対に阻止しましょう」と力強く発言した。
さらに市議会議員3人と平和運動センター事務局長が発言した。最後に湘北教組が集会宣言を読み上げ、座間基地ゲートに向けてデモを行った。先頭に厚木基地爆音防止期成同盟、その後に婦人民主クラブ全国協や百万人署名運動・湘北連絡会などが続いた。労組の隊列が長蛇をなした。
ゲート前でブッシュと在日米陸軍司令官に抗議文をたたき付けた。デモ隊は怒りのシュプレヒコールをあげ、北朝鮮・中国侵略戦争の司令部が座間基地に配置されることを許さない決意を固めた。
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週刊『前進』(2165号5面4)(2004/09/13)
コミューン 10月号
始まった総蜂起戦
今年4月以降、イラクにおける武装解放闘争は爆発的発展局面に突入し、イラク人民の民族解放闘争は総蜂起戦ともいうべきまったく新しい段階に入った。
米軍はファルージャとナジャフという武装解放闘争の2大拠点をついに軍事的に制圧できず、占領支配の決定的崩壊の危機に直面している。「主権委譲」のペテンも完全に粉砕され、スンニ派、シーア派が完全に一体となった民族解放戦争と米英日などの多国籍軍との真正面からの激突局面に突入したのである。
本特集ではこうした情勢を正確に把握するために、第1章で、04年4、5月のファルージャとナジャフの戦闘の勝利以降、一挙に全土蜂起的局面に突入したイラク人民の武装解放闘争の実態について詳細に明らかにした。
第2章は、イラク侵略戦争の背景にある米帝の中東民主化構想なるものの目的を暴露し、イラク人民の武装解放闘争の爆発によってそれが総破産しつつある現状を明らかにした。
イラク侵略戦争開始から04年8月初旬までの武装解放闘争にかんする年表も掲載している。
翻訳資料は、アメリカで10月17日に行われる「百万人労働者行進」(MWM)に対するAFL−CIO執行部などの抑圧攻撃を跳ね返すMWM組織委員会やILWUローカル10、ニューヨーク州ロングアイランドのチームスターズ労組などの反撃の闘いに関する資料を翻訳した。
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週刊『前進』(2165号6面1)(2004/09/13)
国際連帯の力で11月大行動へ
10月MWM(ミリオン・ワーカー・マーチ)へ進む米労働者
AFL−CIOの制動打破 共和・民主両党からの決別
今アメリカでは、10月17日の百万人労働者行進(MWM)に向かって、労働運動の地殻変動が起こっている。8月30日、ブッシュ・共和党弾劾のニューヨーク50万人デモの爆発は、労働者自身が主人公となる新しい労働運動の潮流が巨大な力をもって登場していることを示している。動労千葉の田中康宏委員長は7月にアメリカ・サンフランシスコを訪問し、MWMとの連帯を強固にした。イギリスの戦争阻止連合(SWC)も10・17への取り組みを決定した。MWMに連帯し、11月大行動の成功へ進撃しよう。
巨大労組が次々賛同
日本と同様に、いやそれ以上にアメリカでは労働運動をめぐって動と反動が激しくぶつかり合っている。しかも重要なことは反動を打ち破って労働運動の再編と高揚が大きく始まっていることだ。
◆共和党弾劾に50万人
アメリカ労働運動の最大の拠点、ニューヨークでブッシュによって挑戦的に開かれた共和党大会に対して労働者階級の怒りが爆発した。8月30日、反戦団体、UFPJ(平和と正義のための団結)やANSWERなどの呼びかけで弾劾闘争が闘われ、50万人以上が参加して大勝利した。
戦争で殺されたイラク人と米兵の名が次々に読み上げられ、棺(ひつぎ)の列が長く続き、戦争放火者ブッシュへの怒りがたたきつけられた。だが、ケリーに投票しようというスローガンは、ほとんどなかった。これほどブッシュが憎まれているにもかかわらずだ。これまでの大統領選にはなかった現象だ。
NYCLAW(ニューヨーク市反戦労組連合)を構成する諸労組が、このデモに圧倒的に結集して中軸を担いぬいた。同労組連の共同議長は、MWMの中心人物の一人であるブレンダ・ストークリーさんである。この50万人反ブッシュ・デモの組織化は、MWMの組織化の大前進によって支えられており、この8・30の50万人デモの爆発は必ず10・17MWMの大爆発へと発展していく。
さらにMWMは全世界に広がろうとしている。イギリスSWCは、10・17をイラク戦争・占領を止めさせる国際デモの日として設定した。動労千葉とイギリスの鉄道労組RMTはともにMWMに賛同している。今や10・17は労働者階級の国際連帯をかけた統一行動日になろうとしている。
◆AFL−CIOの反動
6月23日、アメリカのナショナルセンターであるAFL−CIO(アメリカ労働総同盟・産別会議)の中央執行部は、各州のAFL−CIO州連盟、地域協議会、主要労組にあてて、MWMに賛同しないようにという「覚書」を送付した。これは、今年2月にILWUローカル10などの呼びかけで始まったMWMへの賛同が巨大に拡大しつつあることにあせったAFL−CIO指導部によるMWMへの巨大な反動であった。
この指令は、ちょうど各組合の全国大会が開かれる時期の直前を選んで送付された。だが、この反動を打ち破って全国大会決議で、単産丸ごとの賛同がかちとられる事態が生まれている。さらに、この禁止指令と対決して公然と賛同を決議する労組支部や地域協議会が続出している。AFL−CIOの反動的統制力についに大きな風穴があけられるという画歴史的事態なのだ。
8・30ニューヨーク50万人デモの爆発の背後には、このような労働運動をめぐる分岐・流動・再編・高揚があるのだ。
◆世界最大の郵便労組
郵便部門では33万人という世界最大の組合員数を有するAPWU(米郵便労働者組合)は、8月27日に全国大会でMWMへの賛同を決議した。
労働運動の新潮流が提起したMWMに、巨大な単産が丸ごとAFL−CIOの制動を打ち破って賛同するという画期的地平がかちとられたのである。従来のアメリカ労働運動の常識では考えられない大変動だ。
なお、職種が違うが、同じ郵便労組であるNALC(都市郵便集配労組)のカリフォルニア州にある組織(5万人)も、すでに賛同している。
◆270万の教組NEA
その前の7月8日には、AFL−CIOには加盟していないが270万人の組合員を擁するアメリカ最大の労組であるNEA(全米教育協会)の全国大会において、圧倒的多数でMWMへの賛同が採択された。
50人の代議員が「MWMに賛同し、それを宣伝し、それへの諸支部の参加を奨励する」という決議案を提案、参加した1万2千人の代議員がそれを討議し、賛同を決定したのだ。
NEAは、イラク戦争・占領に使われている巨額の予算を教育、福祉に回せという立場も表明した。
◆ニューヨーク交通労組
50万人デモが闘われたニューヨークでは、TWU(全米運輸労組)ローカル100(3万8千人)とATU(運輸一般労組)ローカル100(3万人)がMWMに賛同した。両組合をあわせると、ニューヨーク市の地下鉄・バスなどの近距離交通は、ほとんどカバーされる。両組合がストをやれば、ウォール街がストップし、全米、全世界が影響を受ける。それぞれTWUとATUの中で最大級の比重をもった支部であり、労組全体を動かす力を持っている。
◆AFSCME各支部
AFSCME(アメリカ州・郡・市従業員労組)は、日本の自治労にあたる組合で、約140万人、AFL−CIO傘下第2位ないし3位の巨大組合だ。
このAFSCMEをめぐってはより激しく動と反動がぶつかり合っている。
6月21日〜25日に開催された全国大会では、イラクから部隊を「出来るだけ早く戻せ」という決議案が、「今すぐ戻せ」と修正されて、圧倒的に可決された。ニューヨークの第215支部委員長であり、第1707地区協議会議長でもあるブレンダ・ストークリーさんの修正の訴えに満場総立ちでこたえたものだ。
ストークリーさんは、ILWUローカル10のMWMの呼びかけに真っ先に個人で賛同し、MWM組織化の中心人物の一人になっている。このAFSCMEの決議が労働運動全体に衝撃を与えた。「出来るだけ早く」が実際に意味していたことは、イラク占領継続を宣言しているケリーに歩み寄ることだったからであり、それが否定されたことは民主党支持からの決別を意味するからだ。
だが、大会の決議採択日直前に出されたAFL−CIO中央の禁止指令とAFSCME本部マッケンティー委員長の制動によって、MWMへの賛同決議の採択そのものは阻止されてしまった。この反動に対する怒りと悔しさの中から、AFSCME内部の新潮流運動による反撃が猛然と組織されていく。
まず、AFSCME中央本部のひざ元で反撃が始まった。首都ワシントンDCとボルチモア市などの各支部を包括するAFSCME第92地域協議会が8月12日にMWM賛同の決議を上げた。
さらに共和党ブッシュの基盤であるテキサス州ヒューストンの第1550支部からの賛同もかちとられた。ワシントン一帯の第92地域協議会は、8月末の共和党大会弾劾闘争への動員のために、ニューヨークまでのバスも仕立てているほどだ。
さらにAFSCMEの中央本部の中からも賛同がかちとられた。中央本部のナンバー2であるウィリアム・ルーシー書記長がMWMに賛同していることが明らかになったのだ。ルーシー書記長は、黒人労組活動家連合(CBTU)の議長でもあり、CBTUは5月の大会でMWMへの賛同を決議していた。
ルーシー書記長はAFSCMEの書記長としてAFL−CIOの執行委員会のメンバーでもあり、彼の賛同の衝撃は大きい。AFL−CIOの反動的制動は、あらゆる所から突き崩され始めているのだ。
“労働者が主人公だ”
MWMの画期的な点は、労働者階級が社会の主人公として、巨大な独立した勢力として登場しようとしている点だ。
MWMが掲げる「独立した労働者の結集運動」とは、具体的には、共和・民主の2大政党制の支配からの独立を意味する。それは、労働者のエネルギーを民主党支持にねじ曲げてきた既成労組官僚に対する鮮明な対決でもある。
これまでアメリカでは、大統領選の年には、あらゆる運動が共和・民主2大政党の選挙戦に圧倒され、飲み込まれてきた。だがMWMは、両党の支配と正面から対決する労働者階級の独立した新しい運動を提起しているのだ。
MWMの要求項目は、皆健康保険制度、生活できる賃金、民営化反対を始めとする労働者の切実な生きる権利の要求だ。自由貿易協定によって、資本の野放図な利益追求と労働者相互の競争の強制によって、世界中の労働者がどん底の労働条件にたたき込まれることに反対し、それと密接に結びついたイラク戦争・占領に反対する要求を掲げている。文字どおり、「外への侵略戦争と内への階級戦争」への反対である。
こうしたMWMのめざすものは、11月労働者集会を結集軸とする日本の新潮流運動がめざすものと、まったく同一だ。もはや労働者を食わせていけなくなり、侵略戦争・世界戦争に訴えるしかなくなった資本主義・帝国主義の断末魔のあがきに対して労働者階級が「ノー」を突きつけ、自分自身で立ち上がり、社会の主人公となる運動をつくっていく闘いなのだ。
国際連帯求めるローカル10
MWMを呼びかけたILWUローカル10の支部決議は、冒頭から次のように言っている。
「われわれの先人たちが、この国でたゆまず労組を組織する権利のために闘ってきて、米国政府がこの権利を民主主義の要として保障してきた」
ローカル10は、労働者の団結を守ることを一切の出発点にしている。
02年のILWUの労働協約改定闘争時、ブッシュ政権は01年「9・11」後のアフガニスタン侵略戦争・イラク侵略戦争突入への戦時体制下で、「外への侵略戦争と内への階級戦争」攻撃そのものとして、最も戦闘的な組合であるILWUをつぶそうとしてきた。そのために、タフト・ハートレー法というスト禁止法を発動してきた。
その後も、愛国者法T、愛国者法Uによる弾圧を狙っている。これとの激闘の中から、ローカル10は労働者の団結を守るためにも死活をかけて全米的・世界的な団結の形成を求めて全米にMWMを呼びかけ、動労千葉を始めとする全世界の闘う労働組合との国際連帯に真剣に取り組んでいるのだ。
この決議は、MWMに最大限の労働者を労働組合の組織決定で動員することを目標にしている。MWMの組織者たちは、民主党・ケリーへの批判を真正面から行っている。ローカル10執行委員のジャック・・ヘイマンさんは「労働者階級を本当に代表することを公然と掲げる大衆政党がアメリカにはない」(動労千葉訪米パンフより)と語っている。また、ローカル10の元書記長でMWM組織化委員会のクラレンス・トーマスさんは、MWMのホームページで、「ケリーはブッシュを右から批判している」と弾劾している。
労組官僚を鋭く弾劾
7月25日、ボストンでの民主党全国大会弾劾闘争の主要な発言者であるブレンダ・ストークリーさんは激しく労組官僚を批判し、労働者自身の決起を呼びかけた。
「AFSCME第1707地区協議会を代表して発言したい。第1707地区協は2万3千人。子どものケア、病人や高齢者のケア、失業者のケアをし、刑務所から出所した人の社会復帰を手伝っている、主に女性、有色の労働者の組合である」
「しかし、上にいる人たちは、ケアはしない。彼らはデイケア労働者に対して4年間、賃上げもせず、労働協約も結ばずにいる。ブルームバーグは億万長者のくせに、ニューヨーク市の市長になって、デイケア労働者に会う時間はないと言っている。この労働者たちは、少しの賃上げにも値しないという。支配階級は、毎日、こういうふうに労働者を軽蔑し、侮辱している。だから、MWMとは、マルコムXが言ったように『精神から鎖を外せ。立ち上がれ。自分たちの利益のために闘おう』ということなのだ」
「スウィーニー(AFL−CIO会長)! お前が代表すると言っている労働者の誰よりも、高い給料を受け取っているじゃないか。だから、お前の利益は労働者と共にあるのではなく、支配階級と共にある。だから、MWMに賛同しないように、などと言う」
「マッケンティー(AFSCME本部委員長)は、私の組合が賛同するのを阻んだ。彼も階級の感覚から、自分の組合の組合員の気持ちからかけ離れている。だから6月の大会で労働者が立ち上がって、『今すぐイラクから部隊を帰還させよう』と叫んだ時、彼は沈黙していたのだ」
「この部隊即時帰還の立場とMWMを推進する立場は少数意見ではない。独立した発言権を求める権利は、この国をつくり、この国を動かしつづけ、車をつくっている民衆の声だ」
「世界で最も豊かなアメリカで、なぜわれわれは、国民健康保険を恵んでくれと言わねばならないのか。なぜ、われわれを代表すると思っているあのケリーに、嘆願しなければならないのか」
「こういうものを振り払い、立ち上がり、自分自身でやってやろう」
労働貴族を打倒し、組合を労働者の手に奪還してこそ、労働者は自分たち自身の利害を貫くことができることが、きっぱりと提起されている。
ブッシュ政権は「大量破壊兵器」というウソでイラク侵略戦争を開始し、極端に金持ち優遇の税制をつくり、社会保障を破壊してきた。労働法制を改悪し600万人の労働者から時間外手当てを奪った。テロとの闘いを口実に労組を弾圧している。3年で300万人失業者が増えた。今やブッシュ政権は労働者の憎しみの的であり、労働者階級の怒りは爆発直前だ。
組合員自身が行動し、アメリカ全土の仲間と集まり団結の力を発揮すれば、労働者の巨大なエネルギーが解き放たれる。このことをMWMは提起している。
MWMの意義は動労千葉のアメリカ訪問とILWUローカル10との交流でより深いところで明らかになった。このことは動労千葉発行の訪米パンフ『世界に翔びたとう3』に詳しい。これを読み、広げて11月の成功に結びつけよう。
MWMと連帯し、日本の階級的労働運動の新潮流の飛躍的発展をかちとろう。11月労働者集会を万余の結集で実現しよう。
〔村上和幸〕
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週刊『前進』(2165号6面2)(2004/09/13)
韓国
韓日FTA阻止の闘い
日帝資本 “労働運動弾圧せよ”
民主労総が反対
「韓国と日本両国政府が密室交渉で韓日FTA(自由貿易協定)を拙速に締結しようとする目的は何か? 労働者民衆に韓日FTAという構造調整を強要し、常時的な雇用不安と非正規職をさらに量産する労働市場柔軟化政策だ。交渉過程で日本側は韓国の労働基本権と団結権を保障するためのさまざまな法制度を『非関税障壁』として扱い、撤廃することを注文している。…日本資本のこうした厚かましい要求がFTAの『非関税措置』によって貫徹されると、労働者の暮らしは完全に破壊されざるをえない」(8・23民主労総などの記者会見文から)
8月23日から25日まで韓国の慶州(キョンジュ)で開催された日韓FTA締結のための第5次交渉に対して、会議場の慶州現代ホテル前で実力攻防が繰り広げられた。
午前中、全国民衆連帯、自由貿易協定・WTO(世界貿易機関)反対国民行動、民主労働党、民主労総などが記者会見し、以下の要求を突きつけた。「一つ、密室交渉を即刻中断しすべての内容を公開しろ! 一つ、労働権を抹殺して社会公共性を破壊する韓日FTA交渉を即刻中断しろ! 一つ、全世界が叫んでいる! 労働者・農民を皆殺しにするWTO反対! DDA(ドーハ開発議題)交渉を中断しろ!」
さらに民主労総は同日午後、全国から結集した組合員1000人余で決意大会を開いた。組合員450人が参加した現代自動車労組のイサンオク委員長は、「自動車産業従事者は25万人に達し、関連業者も合わせれば全体で150万人。FTAが締結されれば原産地規制が撤廃される。東南アジアの部品が日本から安く無関税で入ってくる。韓国の日本への輸出は2%にしかならず、輸入は8%だ。無関税で入ってくれば中小事業場から崩壊する。大工場も例外ではない。部品会社から崩壊すれば完成車もドミノのように倒れざるをえない」と語った。
まさに“韓国・チリFTAで農民が死に、韓日FTAで労働者が死ぬ”と言われる韓日FTA締結阻止の闘いは、民主労総の重要テーマとなった。民主労総は今年下半期の核心要求として、△イラク派兵撤廃、△市場開放と構造調整、雇用不安を引き起こす韓日・韓米FTA、韓米投資協定(BIT)、DDA交渉阻止、△非正規職差別撤廃、立法戦取、△損害賠償・仮差し押さえに関する法改正、産業空洞化阻止、△国民年金法改悪阻止など5項目を提示している。
そして、10月に日本で開催される第6次交渉には、「大規模な遠征闘争団を日本に派遣」することを表明、日韓労働者の連帯闘争を呼びかけている。
日帝・資本は、日韓条約締結から40年となる05年に日韓FTAを締結し、さらに東アジア各国ともFTAを締結、中国も含む東アジア地域の自由貿易圏を形成しようと狙っている。まさに日帝・小泉=奥田が構想する東アジア自由経済圏構想そのものだ。
SJC建議事項
8月10日、在韓国の日帝資本の集まりであるソウルジャパンクラブ(SJC)は、韓国政府に49項目の「事業環境の改善に向けたSJC建議事項」を提出した。うち13項目が「労働・労使関係分野」であり、労働運動に対する露骨な圧殺要求となっている。
「過度に労働者に有利な労使協定や慣行の是正」「激しい労働運動紛争が横行しないよう、政府や各種機関が徹底して指導すること」などに加え、「正規職雇用条件の緩和」などを要求し、「企業が雇用問題に振り回されず事業活動に集中できる環境を造成していただきたい」とごう慢にも突き付けている。
昨年1月に日韓投資協定が施行され、日帝は対米対抗的に韓国への新植民地主義的介入を強めている。危機を深め、凶暴な労働弾圧を行う盧武鉉(ノムヒョン)政権と、民主労総は総力闘争で対決している。日帝資本による闘う民主労総つぶしと韓国労働者人民への激しい資本攻勢を許さず、日帝の北朝鮮侵略戦争阻止、日韓FTA締結阻止を闘いぬこう。
(室田順子)
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週刊『前進』(2165号7面1)(2004/09/13)
危機深める中国スターリン主義
米帝の対中戦争重圧下でバブル経済の破産は必至
河北恵一
人口13億人を擁する中国。03年のGDP成長率は9・1%を記録し、空前の建設・投資ブームだ。日本でも「中国株」に関する各種解説本が書店に並び、中国への投資があおられている。しかし、米帝ブッシュの対中戦争重圧が強まり、「改革・開放」路線による中国経済危機と中国スターリン主義の体制的危機は極限まで深まり、その矛盾の爆発は不可避となった。中国国内の危機と中国をめぐる帝国主義間争闘戦の爆発は連動して、世界戦争危機を引き寄せるものとなっている。新たな決起を開始した中国人民との国際的連帯を強め、全力で闘おう。
「改革・開放」路線の反人民的現実 高い失業率、貧富格差
2002年11月第16回党大会は江沢民(中央軍事委員会主席)−胡錦涛(総書記、国家主席)体制のもと、「2020年(中国建国70周年にあたる)までにGDPを2000年の4倍にする」方針を打ち出し、そのために今後も平均7%を超す成長率を堅持するために、引き続き外資導入と国債の大量発行による積極財政政策をとるとした。
04年第1四半期(1〜3月)の成長率は9・7%、一方固定資産投資は昨年同期比43%増となった。鉄鋼産業(造船を含む)投資が107・2%、セメント産業投資が101・4%、電解アルミ産業投資が39・3%、不動産投資が41・1%増加した。完全にバブル経済化だ。製造業や不動産を中心にした投資の増大に中国政府・中国人民銀行は4月、預金準備率を7%から7・5%に引き上げ、金融引き締め策を実施した。対外経済は、03年の輸出入総額が8512億jで37・1%の増加。外資導入では契約ベースで1000億jを超えた。
しかし9・1%成長の内実を見ると工業生産に占める外資企業の割合が高まっており、けっして中国経済の自立的発展とはなっていない。さらに国有企業改革で都市部の実質的な失業率は7%を超え、しかも都市部には職を求めて農村から1億人以上が労働力として流入している。7〜8%成長は実質的なマイナス成長にならないための最低線なのだ。逆に7〜8%成長を下回ればより一層の失業者があふれ、社会不安が一挙に爆発することになる。
中国経済のバブル崩壊を恐れる中国スターリン主義は、「7〜8%成長」を維持し続けるために、外資を一層大規模に導入し危機を突破しようとした。そのためのWTO加盟(01年12月)だった。
朱鎔基(前首相)は01年3月の全人代(全国人民代表大会=国会)で「3大改革(国有企業改革・金融改革・行政改革)の目標は基本的に達成した」と表明した。しかし今日危機と矛盾はより一層深まっていることが、今年3月の全人代で明らかになった。
政府活動報告を行った温家宝首相は、引き続き7%程度の成長目標を掲げ、そのために積極財政政策(国債の発行)を堅持するとした。何よりも最重要の課題として「3農問題」(農業の振興、農村の経済成長、農民の所得増と負担減)を掲げ、農業と農村の危機的現実に対して農業部門への財政投入を前年より2割増やし、農業関連の各種税金の負担減を決定した。
今年の全人代ではまた、5年ぶりに憲法改正を行い、私有財産保護と「三つの代表」論が盛り込まれた。これは「中国共産党が、@先進的な社会生産力の発展の要求、A先進的文化の前進の方向、B最も広範な人民の根本的利益、を代表すべき」だというものだが、その核心は私営企業経営者=新興資本家層を「中国の特色ある社会主義事業の建設者」として中国共産党へ入党させることにある。
しかし、「生産力、文化、利益」の恩恵にあずかるのはほんの一部のスターリン主義官僚層と、これと結託した私営企業家のみで、逆に圧倒的多数の労働者・農民には、より一層の矛盾や犠牲が集中的に加えられるのである。
中国は政治体制だけでなく経済体制的にも依然として残存スターリン主義そのものであり、その根本矛盾からけっして逃れることはできない。中国スターリン主義がその生き残りをかけて推進する「改革・開放」路線の野放図な展開は、逆に中国経済の危機の爆発と体制崩壊を準備するものとなっているのである。
巨額の不良債権 国家財政は破産 農民収奪で都市発展
不良債権問題が最も深刻なのは4大国有銀行(中国銀行、中国建設銀行、中国商工銀行、中国農業銀行)だ。中国政府は99年に不良債権処理を目的とした「資産管理公司」(日本の整理回収機構にあたる)を設立し、95年までの不良債権(1兆4000億元)を全額移管して処理を進めてきた。
しかし、その後も4大銀行の不良債権は増え続け2兆元にのぼり、資産総額の約25%にも達した。こうした事態を受けて中国政府は昨年末、中国銀行と中国建設銀行に対して450億j(約5兆円)の巨額の公的資金を投入した。銀行関係の不良債権総額は3兆5000億元に達している。
他方、国債発行残高(赤字国債)が約1兆5000億元。国有企業の負債総額約4兆元。郷鎮企業の負債総額が約5000億元。これらを合計すると10兆元前後になる。03年のGDPは約11兆7000億元、国際的な警戒ラインは対GDP比60%と言われており、国家財政が完全破産状態だ。
不良債権はなぜ生まれ、そして巨額化していったのか。90年代前半には大々的に「開発区」が推進された。土地という不動産を外資に開放し投資ブームをあおった。その後も国債の大量発行を行い、インフラ整備(西部大開発など)と不動産への投資を大々的に推し進めてきた結果、01年には8%の経済成長率のうち4分の1を不動産投資が占めたと言われる。
しかし、経済がバブル化しインフレを強める中で景気は一気に後退し、建設中止のビルは廃虚と化し、融資は銀行の不良債権となって終わりをとげた。景気浮揚策としての外資導入と大量の国債発行によって不良債権が雪だるま式に増え続けたわけだ。しかも外資は「経済特区」や「経済技術開発区」がある沿海部に大部分が集中した。
「改革・開放」政策は中国経済、国家財政の破産状態を生み出し、沿海部と中西部・東部、経済特区と周辺部、都市と農村という地域格差が拡大した。
国有企業の負債も4兆元を超え、増え続けている。深刻なのは農業問題と一体で危機が深まっていることだ。国有企業は経済体制の基軸であるだけでなく、国家体制の重要な支柱でもあった。現在国有企業の約半数が赤字状態で国有部門のGDPに占める割合も約30%に低下している。にもかかわらず社会全体の資源の70%を依然として国有企業が占有し、国有企業の固定資産投資に国家財政の50%以上が投入され続けている。
なぜか。それは中国政府が都市住民の怒りの爆発を抑えるため、基幹国有企業の労働者を保護する政策を一定程度取ったからだ。
重要なことは、こうした都市部の「小康」(まずまずの生活)が農村・農民の収奪によって初めて維持されていたことだ。中国政府は農民の農産物買い上げ価格を低くし、国有部門の商工業が農産物物資の価格や郷鎮企業が使うエネルギー原材料代、工業消費財価格を大幅値上げし、銀行は農村預金を国有部門に転用するなどして資本を都市部へ集中した。94年に行われた農産物の買取価格の引き上げも、農業用生産財と工業消費財の値上げによって国有部門に吸収された。
中国政府は都市部では生活状態が「温飽」(衣食が足りるだけのぎりぎりの生活)から「小康」社会が達成されたとしている。しかし国有企業改革とは、国家による大合理化・リストラ・首切りであり、大量の労働者への失業の強制だ。「小康」どころではない。しかもそれは、生きるために都市へ流入する農民をさらに路頭に迷わせることになり、農村のさらなる崩壊を不可避とする。
体制の根幹揺るがす「3農問題」 農業で生きられない
今年2月、中国政府は「3農問題」にかんして「党中央1号文書」を発表した。1号文書農業問題が通達されるのは18年ぶり。ここで農民の低収入は「重要な経済問題」であるだけでなく「重要な政治問題」であるとし、農民の収入増加策を全面的に打ち出した。これに基づいて今年3月の全人代で温家宝首相は、農民の負担軽減策として農業税を5年以内に段階的に撤廃することや、葉タバコを除く農業特産税を全面廃止するなどの具体的に示した。
中国の農村人口は約9億人。そのうち労働力人口は4億8200万人と言われている。一人あたり0・1fの土地があるのみだ。GDPに占める農業生産の割合はわずか18%だ。社会的な生産の2割が農村、8割が都市に集中している一方で、逆に農村に総人口の7割以上が集中している。
02年、中国で『我向総理説実話』(日本語訳『中国農村崩壊』NHK出版、04年6月発行)が出版された。筆者は李昌平、元湖北省監利県の共産党支部の書記だ。彼は朱鎔基にあてた書簡の形をとりながら、農村の想像以上の崩壊現象を詳しく書きつづった。
李は、農民はさまざまな名目(農業税、農業特産税、屠殺税、吸血病予防税、共同生産費など)で違法な徴収を強制されていること、他方共産党幹部の腐敗と堕落現象の蔓延(まんえん)を告発した。ある農民は「食う米は耕作するより町で買ったほうが安上がりだ。だから今年は耕作しない。一銭もいらないからといわれても耕すのはもうごめんだ」と、生活は都市へ出稼ぎに出ている子どもたちに頼ると語っている。
00年中国国家統計局調査隊による調査では、上海市での都市住民の平均賃金は1万6641元、北京市では1万4054元。99年、全国農村住民の一人あたりの年間純収入はわずか2210元。都市と農村の収入格差は7倍を超えている。そのうち農民の52%は年間収入が2000元に届かず、26%は3000元未満だった。99年には農民の現金収入が初めてゼロ成長となった。大部分の農民の家計が赤字だ。農民が農民として生きていけない! とんでもない事態だ。
中国革命の担い手であった農民の極限的状態は中国スターリン主義体制を根幹から揺さぶっている。しかしこれが「改革・開放」路線の行き着いた姿なのだ。
党官僚の腐敗に各地で人民反乱 高まる民族解放闘争
中国共産党官僚の汚職・腐敗が深刻になっている。今年3月の全人代で中国最高人民検察院の活動報告には25%の批判票(反対・棄権)が、最高人民法院(最高裁)活動報告にも28%の批判票が投じられた。
いま中国農村は中国共産党、宗族、黒社会(組織暴力団)の3勢力が統治していると言われている。汚職・腐敗を深める地方幹部らは自らの権力を維持するために、宗族や組織暴力団と相互に癒着しながら農民から収奪している。中国共産党に対する中国人民の支持と信頼は完全に崩壊した。
「工業は大慶に学べ」と言われた大慶油田や国有企業が集中している中国東北部(黒龍江省、遼寧省、吉林省)で、一昨年からストライキやデモ、労働争議と、労働者の闘いが爆発している。北京などでも毎日のようにデモが行われている。出稼ぎ労働者の労働災害事故、労災病が多発している。また、賃金の未払い、ピンはねも日常化し、労働報酬をめぐる労使紛争が全体の75・8%を占めるという調査報告もある。
農村でも闘いが開始された。中国全土で農民50人以上の抗議行動が1年間に66万件もあったと言われている。7月31日には河南省鄭州市郊外の村で、農地の配分や売買をめぐり村長が不正な利益を得たとして抗議行動を展開していた農民と警察が激突、警察がゴム弾や催涙弾などを発砲し、30人以上が負傷、うち6人が重傷を負った(8月2日付朝日新聞夕刊)。
重要なことは、開始された労働者・農民の闘いが「反腐敗」として中国スターリン主義体制そのものへと向かっていることだ。新疆(しんきょう)ウイグル自治区を始め、被抑圧民族の民族解放闘争もこれから本格化する。
さらに台湾情勢である。これは中国スターリン主義体制の危機と激動を促進する。3月の総統選では陳水扁(民進党)がわずかの差で連戦(国民党)を破り再選された。台湾人民の根底には帝国主義の新植民地主義支配体制への怒りが、台湾独立=自立要求として存在している。国民党が党名を「台湾国民党」に変更することを検討したと言われているように、「われわれは台湾人だ」という「台湾アイデンティティ」が強まっている。陳水扁は08年までに新憲法を制定することを表明しており、この流れは加速する。
こうした中国情勢を根底的に規定しているのが、米帝ブッシュの世界戦争計画である。米帝は世界政策の核心に中国スターリン主義の体制的転覆を据えている。その上で、さしあたっては中国への軍事重圧を加えつつも、経済的な中国市場争奪戦で優位に立つことを狙ってその中国政策を進めている。同時に米帝はこの対中政策を日帝のアジア勢力圏化を阻止する決定的な土台に据えている。
米帝のアフガニスタン、イラクへの侵略戦争の発動、北朝鮮に対する戦争重圧は同時に中国への激しい戦争重圧になっている。米帝のイラクへの戦争発動を容認した中国スターリン主義は米帝の戦争重圧にあえぎながら、「帝国主義列強」(米帝)との「共存」による「延命」を狙った外交政策を展開している。
昨年12月に温家宝首相が訪米、同月、胡錦涛が訪ロ、プーチン大統領と首脳会談を行い、中ロ間の戦略的協力、パートナーシップ強化を確認した。東南アジア諸国連合(ASEAN)とは2010年までにFTA(自由貿易協定)締結を目指す協定を取り結んだ。また、中央アジアとロシアの5カ国と「上海協力機構」を新設している。北朝鮮の核問題をめぐる「6者協議」では議長国になるなど、危機的、アクロバット的な政策を続けている。しかしそれは中国スターリン主義体制の危機を一層促進することは間違いない。
米日帝のイラク侵略戦争、北朝鮮侵略戦争の強まりに規定されて、中台情勢もますます激動していくことは不可避である。
日帝の侵略策動に噴出する怒り 連帯して小泉打倒を
日帝は米帝の対中政策に大きくは沿いつつ、根本的には独自の対中政策を貫徹しようとしている。
WTO加盟後の日中間の貿易、投資は拡大した。中国は日本の第2位の貿易相手国であり、中国の最大の貿易相手国は日本だ。昨年03年の貿易総額は約1324億米j(対日輸出は約572億j、輸入は約751億j)となり、過去最高を記録した。日本の対中直接投資も95年以来減少していたが、02年度は263件、2152億円、日本の海外直接投資総額に占めるシェアは4・9%となった。03年度上半期は155件、1588億円(前年同期比35・5%増)となり、シェアは6・2%に上昇。対アジア投資は、昨年上半期は53%増と00年の17%増から急増している。
日帝ブルジョアジーが1年前に強調した「中国脅威」論は「中国待望」論へと一変した。「中国脅威」論は中国からの輸入の急増と特に先端技術企業の中国への工場移転による空洞化懸念から生じた。日本経団連・奥田は「小泉構造改革と中国など海外への需要拡大」によって日本経済は景気回復しつつあると述べた(経団連総会)。要するにブルジョアジーは日本の労働者への資本攻勢(首切り、賃下げ、労働者の団結破壊)と一体となった海外展開=侵略推進、中国(人民)の搾取・収奪によって日本経済が回復したと言っているのだ。
かつて32年に「満州国」をデッチあげ、37年7・7盧溝橋事件から全面的に中国侵略戦争へ突入していった日帝は、独自の勢力圏を構築することはできずに敗北した。だからこそ今、有事法体制と一体となった「東アジア自由経済圏」構想への激しい衝動を募らせているのだ。
日帝はかつての侵略戦争に対して一度として謝罪を行っていない。逆に小泉は3年連続の靖国神社参拝を強行し、中国侵略戦争策動を強めている。昨年8月には東北部のチチハル市(黒龍江省)で旧日本軍が遺棄した化学兵器による中国人死傷事件、9月珠海市(広東省)での日本人による集団買春事件、10月西安市(陜西省)西北大学文化祭での日本人留学生がひわいな寸劇を行った事件が連続して引き起こされた。
今年7月、日帝は現在中国が釣魚台近くの中国領で進めているガス田開発に「主権が侵害される可能性がある」などと言い、資源調査船を出し、地下資源略奪の意志をむき出しにした。日帝は中国領である釣魚台の略奪を繰り返し狙い、日本国内では中国人犯罪キャンペーンを行い、差別主義・排外主義を徹底的に扇動している。断じて許してはならない。
「東アジア自由経済圏」構想は「大東亜共栄圏」の再来であり、新たな侵略戦争ではないのかという中国人民の警戒感、怒りが噴出している。中国重慶市で行われたサッカー・アジアカップでは「歴史を直視し、アジア人民におわびし、釣魚台を返せ」の横断幕が掲げられ(写真)、激しい日本批判が巻き起こった。
新たな決起を始めた中国の労働者・農民がスターリン主義打倒の第2革命に向かうことは不可避だ。日本の労働者は、4大産別を先頭に労働組合の階級的団結を強め、侵略戦争を進める小泉=奥田を打倒しよう。反帝国主義・反スターリン主義世界革命勝利へ。11月労働者大行動を国際連帯の闘いとして勝利しよう。
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週刊『前進』(2165号7面2)(2004/09/13)
第8部 戦後の出発(2)
憲法制定と「第9条」 戦後革命の圧殺が階級目的
不戦の誓い
戦後革命の波は、労働者階級人民の激しい怒りと闘いの高揚を表していた。その根底には、もうこんな戦争はこりごりだ、二度と戦争を起こしてはならない、こんな戦争をやる国は根本から変えよう、労働者の社会を建設しよう、という意志があった。
米占領軍は、この嵐(あらし)のような革命の進撃を前に、それをたたきつぶすために、全力を挙げた。戦後憲法制定を急いだ米帝の思惑は、日本帝国主義を二度とアメリカに刃向かわせないようにすることと同時に、日本の労働者階級による体制転覆を阻止するという狙いがあった。
戦後憲法は、「マッカーサー憲法」とか「GHQ憲法」と言われる。要するにアメリカに押しつけられたもので、日本人の自主的な意志によるものではないというわけだ。しかし重要なのは、マッカーサーの目的だ。戦後プロレタリア革命の阻止、天皇制の護持、これがマッカーサーがやろうとしたことの核心である。
「マッカーサー3原則」と呼ばれる基本方針のもとに8・15敗戦の半年後の1946年2月にはGHQ原案が日本政府に提示された。3原則とは、@天皇制を維持する、A戦争を放棄する、B基本的人権、の3点である(これが現憲法の1章2章3章をなしている)。そして、それをもとに日本政府草案が作成され、6月20日に国会提出、11月3日公布、翌47年5月3日施行となった。
この過程は東京裁判(極東軍事法廷)の過程と重なる。それは、日本帝国主義の戦争指導責任者を連合国が処罰するというものであるが、その最大の問題は、天皇ヒロヒトを戦犯として訴追するかどうかという問題だった。だが、米帝は、戦後革命の圧殺のために天皇制を維持することが不可欠と認識していた。
東京裁判は、したがって天皇制護持のための政治裁判であり、戦争によって引き起こされた一切の問題を「一握りの軍部の責任」にするために、東条英機ら7人の戦犯を死刑にすることが絶対的に必要だったのである。(48年11月判決、12月23日絞首刑)
天皇制と9条
米帝は、天皇制を維持することが日本帝国主義の復活につながるのではないかという内外の懸念にこたえるためにも、憲法上に「戦争放棄・戦力不保持・交戦権否認」の条項を明記することを必要とした。日本帝国軍隊は完全解体し、天皇も「大元帥」ではなく「象徴」になる、とすることで、国際社会、つまり帝国主義国、ソ連スターリン主義、アジア諸民族人民を納得させようとしたのだ。
日本政府が当初考えた憲法改正案は、明治憲法(大日本帝国憲法)を踏襲し、ほとんど字句的な修正にすぎないようなものだった。マッカーサーはこれを一蹴し、プロジェクトチームを作って1週間の徹夜作業でGHQ原案をつくった。
憲法制定過程は、労働者階級を先頭とする激しい闘いの過程と並行しており、米帝は、この闘いを圧殺するためにも「民主化」を掲げ、「戦争放棄」を掲げることが必要だったのだ。
革命の圧殺という点で米帝と利害が一致していた日帝支配階級にとって最大の関心事は、まさに天皇制の護持の一点にあった。実際に進駐軍によって日本軍隊は武装解除されていたわけであり、「戦争放棄」条項はその現実の追認として受け入れざるを得ないものとしてあった。
アメリカは天皇の戦争責任を問題にしなかったが、オーストラリアなど少なくない国が天皇を法廷に立たせることを主張していた。東京裁判において天皇ヒロヒトはけっして安全圏にいたわけではない。
沖縄犠牲の上に
このように「天皇制護持」と「戦争放棄」は、ワンセットのものだった。そして米帝は、ソ連スターリン主義との対決のためにもこれを必要としていたのである。プロレタリア革命を圧殺し、天皇制を護持した日本を自らの勢力圏に組み敷くこと、それをとおして戦後の帝国主義世界支配体制を形成することがめざされていた。
そして重要なことは、日本に軍備を持たせないことは、沖縄を米帝の軍事要塞(ようさい)として打ち固めることを担保として初めて可能だった。沖縄の軍事支配があるから、日本は非武装で大丈夫と判断したということである。つまり、沖縄の犠牲の上に、憲法9条はある。沖縄戦で沖縄を占領して以来、米帝は分離支配を敷き、戦後日本は最初から沖縄を政治から排除して出発した。憲法は制定されたが、その決定過程から排除された沖縄人民は、戦後憲法体制の外に置かれた。
さらに、在日朝鮮人・中国人は、日帝の侵略と植民地支配の結果として、在日を余儀なくされた存在であるにもかかわらず、米帝占領軍と日本政府は、彼らを戦勝国でも敗戦国でもない「第三国人」などと差別的に規定して、政治過程から排除した。GHQ案では、「ピープル=人民」とされた用語が政府案で「国民」に変えられ、憲法上も朝鮮人、中国人を排除することを強行した。現実の階級闘争においては、在日朝鮮人労働者が先頭に立って戦後革命を切り開いていた。支配階級はそのことに恐怖し、民族抑圧を一層強めていったのである。
同時にしっかり確認しておくべきことは、「戦争放棄」条項の背後には、労働者階級人民の「二度と戦争は許さない」「戦争のためのあらゆる口実を許さない」という強い意志があり、日帝の侵略戦争に対する中国・アジア人民の激しい怒りが渦巻いていたということである。これが、憲法制定後半世紀以上にわたって、改悪を許さない力として働いてきた。
このように、戦後憲法制定過程は、何よりも戦後革命の圧殺という帝国主義の階級目的に規定され、同時に帝国主義支配を維持するための天皇制の護持があり、それに規定されて9条という「戦争放棄」条項が設けられるという複雑な構造を持っていた。したがって、それは日帝支配階級にとっては、当初から矛盾に満ちたものであり、戦後発展の中で桎梏(しっこく)に転化するものであった。自民党は55年に保守合同して以来、一貫して「自主憲法制定」と称して改憲を党是とし、悲願としてきた。政権政党が半世紀にわたって自国の憲法にあらがい、空洞化を試み、その転覆を狙うという異様なことが続いた。それは制定過程におけるこのような矛盾に規定されていた。
(高田隆志)
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週刊『前進』(2165号8面1)(2004/09/13)
ウチナーの怒り伝える『前進』13部販売 東京・フリーター 南山あつし
8月13日の衝撃的な米軍ヘリ墜落・爆発事故。でもヤマトのマスコミはオリンピックざんまい。「沖縄の怒りを見よ」とばかり、仲間たちと『前進』販売街宣に出ました。次々に集まる自衛隊撤兵要求の署名。多くの若者が米軍や小泉首相に怒っています。「普天間基地即時撤去を」の見出しと沖縄現地の抗議集会の写真(前進2163号)を見せて「沖縄はみんな本当に怒ってます。事故はイラク侵略戦争のゆえに起きたのです。基地の海兵隊がファルージャやナジャフでイラクの人びとを虐殺しているんです。絶対に許せません」と訴えると、1時間半で13部売れました。
「夫が定期購読しています。イギリスでイラク反戦集会に参加しました」という女性がいました。家族旅行中のウチナーンチュの若夫婦も買ってくれました。
しかし一番心に残ったのは日雇い労働者でホームレスの男性でした。「本籍でいいかい?」と署名。名字でウチナーンチュと判ったので尋ねると身の上話をしてくれました。
「バブル後は不景気でね。仕事もなくてキビシイよ」「ボクは離婚しちゃったんだけれど、22歳の息子がいるんだ。10万円つくったら帰るつもりなんだけどね」と照れながら。
今のウチナーンチュの現実が読者のみなさんに伝わりますか? 労働と生産の場であるべき故郷の土地が奪われて基地にされ、ヤマトに来ても底辺の労働者になってしまう。「やっと生きている」んです。
すべての元凶は軍事基地と侵略戦争です。戦争を今すぐやめろ! 基地をすべてなくせ! 普天間・辺野古・金武町のたたかいにこたえよう!
音割れせずにアジがバッチリ聞こえるスピーカーやたそがれ時に目立つ宣伝用の電光掲示板(いずれも仲間の手製)を使いプレゼンも進化しています。マジで『前進』売れます。さあ、ガンガン街頭へ!
動労千葉のスト報告に思わぬ物販の注文 東京 豊島幸一
都労連傘下の労働組合へ物販オルグに入るようになって、足掛け3年になります。物販担当者から私の担当している労組から物販の注文がきたと連絡が入りました。予想しなかったところからの注文におどろいています。
印象に残っているのは、動労千葉の今年3月のストの報告をしたときです。それまでは「ご苦労さん」で帰るのがほとんどでした。内部の事情について色々話が聞けるようになったのも、この時以来だったように思います。
「いまどき労組の役員なんかやる人はいませんよ。でも私達がやめてしまったら誰も組合のことを解る人がいなくなる。皆の要求を聞くことができなくなってしまうのでやってるようなわけで…」という話をしてくれた役員さんもいました。別のところで聞いたのですが、役員になると手当てが5万円も削られるそうです。やりたがらないのも根拠のないことではないが、5万円で労働者の利益を売り渡すことなく頑張っているこの役員さんに、親しみをおぼえました。
物販を注文してくれたのは、この役員さんの所ではなかったのですが、動労千葉の闘いに注目度が上がったことは明らかです。
労組オルグを始めた当初は義務感だけで、ストレスだけでしたが、色々反応が出ると最近は楽しみも出てきました。もちろん全部が全部いい反応とはかぎりません。一つ言えることはそういう労組でも情報を欲しがっていることは確かです。動労千葉の闘いをバックにして、労働者にとってもっとも必要とされる情報を届け続けることに意義を感じ始めたのが最近の実感です。
奥田の「攻めの経営」の陰で野宿生活者は 静岡 A・S
私の住んでいる地方都市にも多くの野宿を強いられた人たちが生活しています。先日、その中の一人から、この間の信条を吐露する文章を託されました。
「1年近く野宿生活をしています。その間、臨時の仕事などでなんとか生き延びる程度の収入を得て生き延びてきました。市の福祉事務所に生活保護の申請に行き拒否され、支援者の方に付き添ってもらい、やっとの思いで申請しましたが却下され、一時期は今後の生きる望みも絶たれた思いをしていました。
この間の福祉事務所の対応には驚くほど冷たくされてきました。私が何とかして自立して生活したいという気持ちを完全に踏みにじられてきました。野宿者に対する自立支援法は施行されたにもかかわらず、名ばかりの法律では自立できません。市や行政の不当な対応に対して私達は、多くの仲間の声を集め、助け合って訴え続ける以外に方法はありません」
これがこの間押し進めてきた小泉改革の現実の一端です。ブルジョアジーが生き延びるためには労働者を路頭に放り出し、年金・福祉も切り捨てる。「資本の役に立たない労働者はいらない」と労働者を見殺しにしています。
年間3万4千人もの自殺者があり、リストラ・不安定雇用が進んでいる現在。失業して収入を失い、野宿をせざるをえない人たちが今後さらに多く生まれる状況にあります。野宿者の問題は、私たち労働者・労働組合の問題です。
日本経団連の奥田が「攻めの経営」を主張し、首切り、リストラ、不安定雇用の拡大を押し進めている今、労働者の雇用と生活を守る闘い、福祉を保障する闘いは労働運動・労働組合運動でのたたかいの前進以外にありません。
「街が監獄」−アテネ五輪が示す監視社会 東京 H・W
連日、テレビや新聞でアテネオリンピック報道が猛威を振るった。だが、競技と歓声が現地のすべてではない。10億ユーロ(約1320億円)の警備予算、警察・軍の7万人動員、AWACS(早期警戒管制機)6機と軍用機234機などの出動態勢、高感度カメラ・集音マイク搭載の飛行船と警察ヘリの投入、NATO軍特殊部隊のアテネ周辺配備、そして地対空誘導弾パトリオットを含む28基のミサイルの配置。さらにハイテク警備システム「C4I」(指揮・統制・通信・コンピュータおよび情報の略称)が導入され、1500台もの監視カメラが五輪施設や幹線道路、地下鉄の駅などに設置された。無差別に採られた人の顔や声の情報が監視センターに集中され分析される。これこそ、極限的な人民支配、毛穴をふさぐ監視社会の出現ではないか。
ギリシャ人民は「街が監獄になる」「金メダル級の抑圧だ」と叫び、7月22日オリンピック中止を求めて数千人がデモに決起した。さらに五輪施設建設の突貫工事による労働者の犠牲(8月11日までに13人が死亡)に対する抗議と労働条件改善要求の声をあげた。
日刊紙やテレビの記者労働組合も賃上げ要求を掲げ4日間のスト。五輪関連の報道に大打撃を与えた。救急隊員らは五輪期間中の特別手当を要求し24時間ストを打った。アテネのホテル約250軒の労働者7千人も最低賃金のアップなどを求めて24時間のスト。
「五輪開催は国家目標で、われわれはむしろ犠牲になっている」と訴え、五輪開催に反旗を翻したギリシャ労働者階級人民の闘いの中に日帝の治安弾圧攻撃を打ち破るカギがあると思った。
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週刊『前進』(2165号8面2)(2004/09/13)
婦民全国協が発足20周年総会 組織の飛躍的拡大を誓う
婦人民主クラブ全国協議会の第21回全国総会と20周年記念レセプションが、8月21、22日の両日、横浜市内において、全国から多数の会員・読者が結集して開催され、大きな高揚をかちとった。
婦民全国協は、1984年、レーガン・サッチャーと並んで日本では中曽根の戦後政治の総決算攻撃が吹き荒れる中で出発した。当時、国鉄分割・民営化攻撃や三里塚決戦、男女雇用機会均等法などとの対決をめぐって、女性運動の中に大分岐が生まれていた。この時に、戦後革命期の1946年に創立された婦人民主クラブの原点に立ち返り、正面から帝国主義の攻撃と闘う道を選択して発足したのが、婦民全国協である。
発足20周年にあたり『星々の火』というパンフレットが刊行され、会場で配布された。戦後の婦人運動の歴史を振りかえるのにも役立つものだ。総会は、今日の革命的情勢の急接近の時代に婦民全国協こそがあらゆる闘いの先頭に立ち、労働運動と固く結合した闘う女性組織としての大きな発展をつくりだそうと誓い合う場となった。
開会にあたって、西村綾子代表から、「イラクに自衛隊が派兵され、多国籍軍へも参加するという事態。さらに有事関連法の完成、教育基本法改悪から改憲にむけて激しく事態が動いている、まさに『戦時下』というべき今日の情勢と真っ向から対決する婦人運動の方向を討論しよう」と訴えられた。そして今年、小牧現地闘争をたたかいぬき、3・8国際婦人デー集会を迎える中で亡くなった名古屋支部長の桐村明美さんの追悼が行われた。
続いて、結成以来20年婦民全国協とともに闘ってきた、三里塚婦人行動隊の鈴木いとさん、北富士忍草母の会から天野美恵事務局長と天野まさ子さん、動労千葉、部落解放同盟全国連合会から来賓のあいさつが行われた。
議案提起では、帝国主義の危機の深まりが侵略戦争と大資本攻勢の激化となって労働者階級人民に襲いかかっていることが明らかにされ、とりわけ女性労働者や労働者家族の女性のおかれた厳しい現状と怒りの大きさが突き出された。そして、沖縄での米軍ヘリ墜落事故発生後の緊迫した事態をも受け、この秋、11月労働者集会への大結集を頂点に、反戦闘争、資本攻勢との闘い、暮らしを守る活動を、動労千葉などの闘う労働組合と連帯して職場・地域からつくりあげていこうという方針が提起された。また、20周年を期しての組織の飛躍的拡大が訴えられ、2日間にわたって活発な討論が展開された。
松山大学助教授の大内裕和さんが「教育基本法改悪阻止からストップ改憲へ」と題し記念講演を行った。講演を受けて、04年後半から05年、教基法改悪反対の大運動をつくりだそうとの力強い確認がなされた。
初日夜のレセプションでは、動労千葉家族会や、都政を革新する会、三一書房労組、労組交流センター女性部などからのあいさつを受け、ヤスミン植月さんのカーヌーン演奏や、職場の実態と闘いを軽妙に表現した寸劇で大いにわいた。
新たな発展の出発点に立った婦人民主クラブ全国協議会とともに、今秋11月へ闘おう。
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週刊『前進』(2165号8面3)(2004/09/13)
9・1防災訓練 “戦争動員拒否を” 神奈川中央会場で宣伝
9月1日、8都県市合同防災訓練(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市)が行われた。反戦共同行動委員会は、小泉首相が参加する中央訓練会場である横浜市の「南本牧ふ頭」に向けて抗議の街頭宣伝活動を行った。
ここでの訓練は、約50機関、6千人が参加する大規模なものだ。日本最大の港である横浜港で中央訓練が行われたのは、「大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)」訓練実施の準備としての狙いがあったからだ。小泉自身、訓練後「さすが横浜だ。安心した」などと感想を述べるほどだった。
午前7時半から横浜市役所前の関内駅南口と桜木町駅前で、出勤する労働者、とりわけ市役所の自治体労働者に向かって防災訓練が戦時動員訓練であることを暴露したビラを配布し、戦争動員拒否を訴えた(写真)。この闘いに西村綾子相模原市議も参加した。
次いで午前10時から中央会場へのシャトルバスが出ている根岸駅前で防災訓練に参加する労働者・市民に対してビラまきと宣伝カーによる街頭宣伝活動を行った。最初はビラの受け取りを拒否していた参加者もシャトルバスを待つ間に宣伝カーの演説を聞き、ビラを受け取って読むことで防災訓練の真の目的が労働者の戦争動員訓練であることをつかみ取って考えを変える人が続出した。
街頭宣伝のあまりの反響にあせった神奈川県警は宣伝カーへの弾圧を試みたが弾圧をはね返し最後まで宣伝を貫徹した。
小学校校庭に自衛隊ヘリが
米軍厚木基地のある綾瀬市の神奈川県会場では、小学校3校に自衛隊のヘリが着陸し、自衛隊の車両2台が校庭をじゅうりんした。しかも、それを生徒100人が観覧し、教育労働者を動員するという大攻撃がかけられた。教育労働者への戦争動員攻撃そのものである。
今回の訓練は、今春国会での有事関連10法案、とりわけ国民保護法の成立を受け、北朝鮮・中国侵略戦争に向けた有事体制の発動の訓練であった。国民保護法は国家による労働者人民の動員を規定し、そのための機関として「国民保護協議会」の設置を自治体に義務づけている。労働者人民の動員と協力抜きに戦争態勢は構築できないのだ。この日の闘いはその具体化を粉砕する重要な闘いだった。
同時に、沖国大への米軍ヘリ墜落事故をきっかけに爆発を開始した沖縄闘争との連帯をかけた闘いであった。
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週刊『前進』(2165号8面4)(2004/09/13)
大阪 自衛隊行軍に抗議 “イラクに行くな”と訴え
池田市民より、市役所を経由して各自治会に、8月4日に「防災訓練を目的にした」自衛隊の行進があるという文書が配布されたことを聞きつけました。地元自治労の労働者や婦人民主クラブ全国協、百万人署名運動北大阪とともに、伊丹第36普通科連隊の自衛官に出兵拒否のアピールを行いました。
午前5時半に阪急池田駅前に集合した私たち20人は、自衛隊の行軍部隊を迎えるために絹延橋東詰で待機していました。約50人ずつの部隊が北側より行進してきました。
ところが、来る部隊来る部隊、防災訓練用の装備などは何も持っていません。全員が迷彩服で、長期行軍背嚢(はいのう)を背負い、自動小銃とヘルメットを着用。しかも、小銃に着剣用の銃剣まで携行しているではありませんか。その上、各小隊単位で2丁の機関銃(89式自動小銃とは明らかに違う大型の銃器)も装備しているのです。(写真右)
黒光りする銃器をこのように間近に見て、一瞬ここは戦場なのかと鳥肌の立つ思いに襲われました。これは、明らかに有事を想定した治安出動目的の夜間行軍訓練そのものではないかと思いました。
私たちは、自衛隊員一人ひとりに「イラクへの派兵を拒否できるよ」「来年3月にオランダ軍が国に帰る。もう誰も自衛隊を守ってくれへんよ」「あなたたちが行ったらますますイラクは混乱する」「憲法は海外派兵を禁じている」「殺すな! 殺されるな!」と訴えました。(写真左)
最後の2隊の間に入って約1`を一緒に猪名川沿いまで行進し、行進中も一人ひとりに呼びかけることができ、この行動は意義があったと思いました。
池田市内から川西市内に移る手前で、部隊責任者と思われる横山一尉より「防災訓練などとは警察にも自治体にも言っていない」ということを知りました。明らかに治安訓練を彷彿(ほうふつ)とさせる完全武装の自衛隊の市中行軍をいったいどこの誰が防災訓練と言ったのでしょうか?
伊丹の陸上自衛隊が交代要員として近々イラクに派兵されることが報道されています。私たちは、イラクの民衆との連帯をかけて、伊丹の自衛隊の派兵を阻まなくてはならないとあらためて決意しました。
(投稿 M・Y)
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週刊『前進』(2165号8面5)(2004/09/13)
福嶋同志は無実だ 一日も早く奪還しよう(2)
証拠はデッチあげ 両戦闘に関与していない “中核派なら誰でも”弾圧
福嶋昌男同志は無実である。福嶋同志は、86年4・15米軍横田基地と5・4迎賓館へのロケット弾戦闘に関して、爆発物取締罰則1条違反(「爆発物の使用」で、法定刑は死刑・無期を含む懲役7年以上の重罪)の「共謀共同正犯」をデッチあげられた。しかし福嶋同志は、真実、両戦闘には一切関与していない。
裁判は、東京地裁刑事第3部(服部悟裁判長)で11年も長期に及んで争われている。今年5月に検事側立証が終了し現在弁護側立証の段階であるが、裁判においても福嶋同志の無実は完全に鮮明になっている。
政治的な弾圧
86年の両戦闘は、東京サミット、天皇在位50年式典を粉砕するものであった。さらには、「戦後政治の総決算」を唱え、国鉄分割・民営化、三里塚2期強行、軍事大国化攻撃を加える日帝・中曽根政権への怒りの反撃であった。
5月4日、レーガン、サッチャーなど帝国主義首脳が集まっている迎賓館へのロケット弾発射は、日帝・国家権力に大打撃を与えた。警察庁長官山田は、革命軍の根絶を叫び(「5・7宣言」)、全警察に対して「実行犯の逮捕」を号令するのである。
警視庁公安部は、デッチあげ逮捕に走る。87年11月、前年10月に「岩手爆取弾圧」で不当逮捕され、東京拘置所に勾留中の須賀武敏、十亀弘史、板垣宏の3同志を再逮捕し、同時に福嶋同志を指名手配した(福嶋同志は、93年に逮捕された)。証拠などなくとも中核派の者ならだれでもいいとばかりに敢行された、政治的デッチあげ弾圧であった。
違法な「押収物」
福嶋同志は、両戦闘に関する「ロケット弾の飛距離を計算し、発射地点の選定に寄与した」「発射薬室を設計した」「発射薬を製造した」などと、デタラメきわまりないデッチあげをされている。
この根拠になっているものは、岩手借家から不当に押収された「メモ」だけである。検察官は、デッチあげストーリーに基づいて「メモ」の内容を恣意的に「解釈」し、さらにその「メモ」は福嶋同志が書いたものだと、2重3重のデッチあげを行っているのである。
しかし、「メモ」は両戦闘とは何の関係もないし、福嶋同志は「メモ」を書いていない。そもそも、「メモ」は岩手借家で不当に押収したものとされており、この一事をもってしても、両戦闘と無関係であることは明白である。
岩手借家は、両戦闘から3カ月後の86年8月に設置された。岩手借家が捜索され「メモ」が押収されたのは10月である。したがって、「メモ」は86年10月に岩手借家に存在したという意味しかなく、検察官が両戦闘に関する「メモ」であると主張するのなら、両戦闘(86年5月)以前に、どこに、どのように存在していたのかが明確にならなければならないのは理の当然である。ところが、検察官はそれらを一切明らかにできない。
さらに、岩手借家の捜索とは、多数の警察官が令状も示さず土足で押し入り、須賀同志ら3人を公務執行妨害をデッチあげて身柄を拘束し、その上に強行したものだ。そして、岩手借家に存在したものは、衣類であれ、食器であれ、日用品に至るまですべて、極めてずさんな手続きによって押収した。
それ故に、押収した物が明確でなく、「メモ」についても、岩手借家から押収したという明確な立証はされていない。
「メモ」には両戦闘に直接触れた記載は一切ない。いつ、だれが、いかなる趣旨と目的で記載したものか一切不明である。「メモ」がオリジナルなものかどうかも不明である。
無関係の「メモ」
検察官は、そうした「メモ」を、デッチあげストーリーに都合よく、強引な「解釈」を行っているのである。
本年3月25日に出された、須賀・十亀・板垣の3同志への無罪判決でも、「メモの存在によって、その記載者らの一定の行為が推認されるという根拠として、これらのメモを用いるとしても、検察官が主張のような推論をするにはなお相当の飛躍がある」「(両事件の)時点で作成されたオリジナルなものといえるかについては、そのように一概に断定することはできない」と認定しているのである。
筆跡鑑定を粉砕
さらに検察官は、その「メモ」は福嶋同志が書いたものだとデッチあげた。
警視庁科学捜査研究所の小島直樹と、奈良県警鑑識課であった父親から鑑定手法を習得したという馬路充英の「筆跡鑑定」が出されたが、弁護側は、それを裁判で徹底的に粉砕した。
両名の「筆跡鑑定」は、「メモ」と福嶋同志の筆跡が同じという結論が先にあり、その整合性を装うために都合よくデッチあげたものである。客観性、科学性はまったくなく、小島や馬路の恣意的主観そのものであることを暴露した。
弁護側立証で、「異筆鑑定」と「小島筆跡鑑定批判」が行われる。
傍聴に大結集を
東京地裁刑事第11部(木口信之裁判長)で、16年間裁判を闘いぬいた須賀、十亀、板垣の3同志は、本年3月25日に無罪判決をかちとった。
福嶋同志は、この3同志と「共犯」関係にあるとされているが、無実・無罪の人との「共犯」関係などなりたたないことは明らかである。この1点をとっても、福嶋同志の無実は明らかである。
東京地裁・服部裁判長は、直ちに無罪判決を出せ。労働者階級人民の正義の声で裁判所を包囲しよう。長期投獄を跳ね返して、不屈に闘う福嶋同志と一体となって、裁判を傍聴しよう。今すぐ保釈を!10・9集会に集まろう。 (被告団事務局)
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未決勾留12年の福嶋さんをとりもどそう!
破れ獄壁! 迎賓館・横田裁判勝利!
今すぐ保釈を! 10・9集会
10月9日(土)午後2時開場
渋谷勤労福祉会館(渋谷区神南1丁目19−8)
主催・不当な長期勾留をやめさせるために! 十万人保釈署名運動
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