ZENSHIN 2004/08/23(No2162
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週刊『前進』(2162号1面1)(2004/08/23)
教基法改悪・改憲・労組破壊と対決し
11月労働者大行動へ進撃を
青年労働者の総決起を牽引力に4大産別決戦の前進切り開こう
解雇撤回・国鉄1047名闘争勝利へ
8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争は大爆発、大高揚をかちとった。闘う青年労働者、教育労働者を先頭に、自衛隊のイラク撤兵、有事法制粉砕、教育基本法改悪・改憲阻止、小泉打倒の今秋決戦へ、うなりをあげた進撃が始まった。今や体制として完全に破産し腐り果て、戦争に突き進むしかなくなった帝国主義を打ち倒し、労働者階級の力で全社会を根本的につくりかえる以外に人類史の未来はない。今秋11月労働者大行動は、その突破口を開く歴史的な闘いだ。11月の巨万の決起の実現へ、闘いを画然と開始しよう。
第1章 今秋11月へ闘いの火ぶたが切られた
04年後半〜05年への闘いの火ぶたは切られた。
8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争の中心に闘う青年労働者の大部隊が登場した。これは、昨年来の日本階級闘争の分岐・流動・再編の激しい動きを、さらに決定的段階へと大きく押し上げるものである。
この地平から、8・15闘争で一層深められた日韓米労働者の国際連帯の旗を高く掲げ、11月へ猛然と突き進もう。8・1革共同政治集会で打ち固めた新指導路線への圧倒的確信の上に立ち、マル青労同1000人建設と、教労、全逓、自治体、国鉄の4大産別決戦の勝利へ驀進(ばくしん)しよう。教育労働者を先頭に、労働運動・労働組合運動をめぐる1年間決戦を闘いぬこう。
8・6広島の中で、労組青年部運動のみずみずしい復権と、それをテコにした労働組合運動の階級的再生への展望がはっきりと照らし出された。しかもそれが青年労働者自身の自主的な運動、自己解放性に満ちた闘いとして進んでいる。青年労働者・学生の戦闘的革命的エネルギーが爆発的に解き放たれる時代がついに再び始まったことを、深い感動と確信をもってとらえ返し、マル青労同1000人建設へ、今こそ全力をあげて突き進もう。
さらに、8・6広島では東京と広島を結び全国へ拡大する「日の丸・君が代」決起から教基法改悪阻止闘争へ進む教育労働者の力強い姿が鮮明に示された。
8月2日、9日には、都教委が実施した「日の丸・君が代」被処分者への「服務事故再発防止研修」に対し、闘う教育労働者の激しい怒りがたたきつけられた。「再発防止研修」とは、戦争動員=従事命令そのものである03年10・23都教委通達とそれに基づく職務命令に従わなかった者への思想改造攻撃だ。これに対して、被処分者を先頭に200人〜300人が結集して真っ向から反撃し、研修を破産に追い込む重大な勝利をかちとった。
さらに、辺野古現地での闘いに呼応した名護新基地建設阻止の国会前座り込み闘争、8・8青森での自衛隊イラク第3次出兵阻止の闘い、8・11横須賀闘争の高揚など、米軍の大再編=トランスフォーメーションと対決する反戦・反基地闘争の新たな展開が力強く始まっている。
今や、これらの一切を今秋11月労働者大行動の爆発の一点にしぼりあげ、危機に立つ日帝・小泉政権と奥田経団連の打倒へ、総力をあげた進撃を開始する時だ。何よりも11月労働者集会を、3労組の共闘と日韓米3カ国の労働者の国際連帯を貫き、動労千葉を先頭とした闘う労働運動の新潮流が日本の労働運動の首座にすわる巨万の集会として断固かちとろう。これを11・6教基法改悪阻止総決起集会の成功と一体の闘いとして実現しよう。
こうした中で8月9日、警察権力は全国33都道府県、130カ所に不当な一斉家宅捜索を行った。戦時下での階級闘争とプロレタリア革命運動の不屈の前進に対する日帝国家権力の恐怖の現れであり、戦前3・15型弾圧への踏み切りなのだ。だがこんな脅しは、むしろ闘いの火に油を注ぐものでしかない。
闘う労働者階級人民は、今や全世界で帝国主義の支配を打ち倒す闘いに続々と立ち上がっている。イラクでは、暫定カイライ政権を前面に立てた米英日帝による軍事占領と侵略戦争の継続に対し、イラク人民の武装抵抗闘争がますます激しく燃えさかっている。米本土で、韓国で、欧州で、戦争に反対し資本攻勢と対決する労働者階級の新たな一大決起が始まっている。
これらと連帯し、日本の地で歴史を揺るがす反転攻勢に立ち上がろう。
第2章 戦争と資本攻勢の小泉=奥田打倒を
小泉政権は、参院選敗北に大打撃を受けながらも、それゆえにこそ戦争・改憲と年金など社会保障制度解体・生活破壊の路線を凶暴に突っ走っている。日本経団連・奥田に代表される日帝ブルジョアジーは、これを支えるだけでなく、今や財界が自ら政治の先頭に立って改憲への道をこじ開けようとしている。
7月22、23日の経団連夏季セミナーで奥田は「私は改憲論者」と宣言し、憲法9条を廃棄して戦争をどしどしやれる国にすることが経済界にとって重要だと公言した。米帝がトランスフォーメーションをもって新たな世界戦争の体制を構築しようとしている中で、日帝はこれに共同=競合しつつ、日帝自身の生き残りをかけて、イラク・中東と北朝鮮・中国への侵略戦争に本格的、全面的にのめり込もうとしているのだ。
そのために、沖縄を始めとする日本全土の米軍基地の司令中枢化、前線基地化をさらに推進するとともに海外出兵を自衛隊の主任務とし、集団的自衛権の行使を可能にし、武器輸出3原則を撤廃することを策動している。また、教育基本法を改悪して国家への絶対的忠誠をたたき込むための「愛国心」教育を確立しようとしている。治安弾圧攻撃を激化し、最後は改憲でその総仕上げをしようとしている。
そして、戦争・改憲への攻撃と一体のものとして、その突破口をも開く攻撃として、小泉改革の名による労働者階級への一大資本攻勢をますます強めている。「骨太方針W」のもと、行政、財政、金融、社会保障など、日帝の戦後的諸制度を全面的に解体し、戦争体制へ転換すると同時に、労働者への大リストラ・賃下げと団結破壊、労働運動圧殺を一挙に推し進めようとしている。当面するその最大の柱が郵政民営化と公務員制度改革の攻撃だ。
8月6日、経済財政諮問会議は、郵政4事業の分割と07年4月の民営化移行という基本方針の骨子を発表した。この郵政民営化は、持ち株会社の傘下で窓口ネットワーク、郵便、郵貯、簡保の4事業会社に分割し、そのもとで全逓労働者をいったん全員解雇し、再雇用し、首を切っていく、国鉄分割・民営化やNTT再編をも上回る大攻撃だ。95年日経連路線を公務員労働者にも全面的に適用する歴史的大攻撃である。
そのためには、連合全逓のような、帝国主義にあらかじめ屈服してきた労使協調型の労働運動すらも今や阻害物であるとして、全逓労働運動を丸ごと解体・絶滅することを狙っている。およそ労働組合と労働運動の存在そのものを一切認めず、根絶・一掃しようとしているのだ。
8月9日、美浜原発で配管破裂・蒸気噴出の重大事故が発生し、下請け企業に働く労働者4人が死亡し7人が重傷を負う事件が起きた。配管の安全点検が実に28年間もなされないまま放置され続けた結果として、4人の労働者が関電資本によって虐殺されたのである。日帝が原発―核燃料サイクル確立を核武装のための「国策」として、「安全」など最初から無視して推進する中で、一切の矛盾と負担を現場に働く労働者に押しつけ、ついには命さえ奪ったのだ。これが帝国主義の正体だ。
まさに、帝国主義を倒さなければ労働者は本当に殺されてしまう、そういう時代が来ているのだ。労働者階級が団結して決起し、連合中央に巣くう腐敗した労働貴族から労働組合の権力を奪い、動労千葉のように反合・運転保安闘争を掲げた階級的労働運動を打ち立てることが、もはや待ったなしに求められている。
第3章 動労千葉から学び連帯し共に闘おう
一切のかぎは、11月労働者集会を頂点に今秋11月労働者大行動の巨万の高揚を実現することにある。3カ月間の決戦に直ちに打って出なくてはならない。
労働者の戦争協力なしに、帝国主義はその戦争を遂行できない。だからこそ日帝は、労働者階級のあらゆる抵抗を封じ込めるために、とりわけ闘いの中心となる労働組合・労働運動の圧殺を狙って激しい攻撃をかけてきているのだ。だから逆に言えば、労働者階級が階級的に団結して不屈に闘いぬくならば、戦争に突き進む以外になくなった帝国主義を打ち倒し、戦争を実力で阻止することは必ずできるということだ。
11月へ向かって、4大産別を始めとする決戦に全面的に打って出よう。連合や全労連など既成の組織に依拠していては、資本や権力の激しい攻撃に何ひとつ立ち向かえないのは明白である。全産別、全戦線で、闘う新潮流運動がなんとしても労働運動の主流派に躍り出よう。青年労働者がその牽引(けんいん)車となって闘おう。
再発防止研修に反撃した闘いを引き継ぎ、教育労働者を先頭に、ファシスト石原を倒せの大運動、8・30都教委包囲闘争を大爆発させよう。全逓4・28処分の無罪判決をかちとった地平の上に、郵政民営化阻止へ総決起しよう。公務員制度改革法案と対決し、8月自治労大会決戦を、昨年を超える大決戦として闘おう。
さらに重要なのは、8・26〜27の国労大会をめぐる決戦に絶対勝利することだ。「総団結」の名のもとに、闘う闘争団を酒田・革同体制のもとに屈服させ、動労千葉を排除して1047名闘争の幕引きを狙う大陰謀が進んでいることを、断じて許すことはできない。破産した「4党合意」に基づく和解路線に今さらすがりつくことに、どんな展望があるというのか。そこにあるのは地獄への道だけだ。
解雇撤回・1047名闘争勝利への真の展望は、危機に立つJR資本と真っ向から対決し、動労千葉のように、動労千葉と連帯して闘う中でこそ切り開かれる。その道を拒否し、逆に闘う国労組合員を権力に売り渡して国労の解体をたくらんでいるのが酒田と革同だ。酒田らを打倒し、国労の再生をかちとるために全力をあげて闘おう。
この大闘争と一体の闘いとして、マル青労同1000人建設を圧倒的に推進しよう。日本共産党・社民党に代わる真の闘う労働者党をつくりだそう。
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週刊『前進』(2162号1面2)(2004/08/23)
全逓労働者への大量首切り
郵政民営化 絶対阻止せよ
07年民営化と4分割を狙う
経済財政諮問会議(議長・小泉首相)は8月6日、07年4月からの郵政民営化の基本方針を発表した。17年までに「完全民営化」するとし、持ち株会社方式による窓口業務、郵便、郵便貯金、簡易保険の4分割を盛り込んだ。諮問会議は、8月末には基本方針を最終決定し、05年通常国会に関連法案を提出することを狙っている。
小泉・自民党は、参院選での歴史的敗北に大打撃を受けながら、だからこそ一層凶暴化し、戦争と教育基本法改悪―改憲攻撃にしゃにむに突き進んでいる。
郵政民営化は、小泉政権が「改革の本丸」とうたってきた攻撃だ。「骨太方針W」での「官から民へ」「国から地方へ」と「国のかたち」を大転換する攻撃の中心に位置するものだ。しかも、小泉は郵政民営化に政権延命をかけている。
革共同は、全逓委員会の現場労働者を先頭にして、すべての労働者階級の未来をかけて、直ちに郵政民営化絶対粉砕の大決戦に突入することを宣言する。
何よりも重大で核心的なことは、基本方針に国家公務員の身分保障を撤廃し「非公務員化」すると明記したことである。
非公務員化しいったん解雇
小泉が集中審議で最も積極的に主張したことは「なぜ国家公務員でなければいけないのか」ということだ。28万人の国家公務員(短時間・非常勤を含め40万人)の権利を奪い、いったん解雇・再雇用し、首切り自由にすること、全逓労働運動を解体し尽くすことが民営化の最大の狙いだ。
95年の日経連「新時代の『日本的経営』」以来の日帝資本の終身雇用制解体攻撃は、公務員労働者を除外しては貫徹できない。これは公務員制度改悪―大リストラ・民営化攻撃と一体であり、小泉・奥田(日本経団連会長)の政治=経済攻勢、経済=政治攻勢の死活をかけたものとしてある。郵政民営化粉砕の闘いは、この小泉・奥田路線との最先端の決戦なのである。
他方、基本方針では分割の時期などは「さらに検討する」としたが、マスコミなどは早期に分割・民営化し、郵貯・簡保を廃止または縮小せよと叫んでいる。
郵貯と簡保を合わせた資金は約350兆円にも上る。郵政公社の国債保有額は140兆円で発行残高の4分の1を占める。日帝の経済・財政危機が続く中での郵貯・簡保の分割・民営化は一面で危機的である。だが小泉や竹中(経財・金融相)や奥田らは、「官」の資金を「民」の銀行や生保など独占的金融資本のえじきにすると同時に、営利優先で郵便局を統廃合することをも狙っているのだ。
小泉・奥田―生田路線粉砕
郵政公社総裁の生田は「雇用もきわめて重要な課題であり、慎重な取り扱いをしてほしい。労使問題が難しくなる」と述べたが、民営化と非公務員化には反対していない。
実際に、生田が連合全逓中央(JPUに改称)と労使一体でやっていることは、大量の人員削減と非常勤化、殺人的深夜勤導入、能力主義賃金の導入、集配ネットワークの高度化(10時間労働)であり、さらに内務のアウトソーシングで「余剰人員」を「人材活用センター」に送り込むという民営化の先取りである。
JPU委員長・菰田(こもだ)らの言う「雇用維持」は大うそだ。菰田体制を打倒し、小泉・奥田―生田路線の民営化攻撃を粉砕する体制をつくろう。
4・28反処分闘争の高裁逆転勝利判決でその突破口は開かれた。国鉄分割・民営化以来の“闘いかしからずんば死か”という現実の中で、今こそ職場の団結を打ち固め、階級的な全逓労働運動を再生しよう。戦争・民営化と闘う全世界の労働者階級と連帯し、11月労働者大行動へ闘おう。
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週刊『前進』(2162号1面3)(2004/08/23)
8・6ヒロシマ大行動に2800人
被爆59周年の8月6日、韓国・中国・イラクからのゲストを迎えて、熱気あふれて開かれた。米・日帝国主義のイラク侵略戦争、核戦争策動と対決し、反戦反核闘争の新たな決意を固めた(広島県立総合体育館)=記事5面
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週刊『前進』(2162号1面4)(2004/08/23)
労働者の魂 渡せない
「君が代」不起立の被処分者に都教委が「再発防止研修」。教育労働者が怒りのこぶし(2日 東京・文京区)=記事4面
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週刊『前進』(2162号2面1)(2004/08/23)
国鉄闘争収拾を許してはならない
1047名陣形の解体狙う酒田・革同体制を打ち倒そう
国労大会決戦に向け訴える
8月26〜27日の国労第72回定期全国大会(熱海・ニューフジヤホテル)は、国鉄1047名闘争の早期闘争収拾=解体をたくらむ酒田・革同執行部の反動的のりきり策を許さず、国労再生・1047名闘争勝利の大道を切り開く重大な大会だ。酒田執行部は昨年12月の最高裁反動判決に屈し、1047名闘争を解体して「解雇撤回・JR復帰」を最後的に放棄しようとしている。彼らが掲げる「総団結」とは、国鉄闘争解体路線のもとに全国労組合員を組み伏せ、全闘争団を切り捨てるものにほかならない。1047名闘争の最大の危機を突破し、今次大会を酒田・革同体制打倒の総決起の場としよう。国労大会決戦を貫き、11月労働者大行動へと突き進もう。
4・13勝利の地平に敵対する大反動
国労本部・酒田執行部は、国労大会を前に国鉄闘争解体の大反動に乗り出している。彼らは、闘う闘争団など国労再生を求める組合員の闘いを封じ込め、動労千葉の排除によって1047名闘争陣形を破壊しようと策している。総じてそれは、4・13集会の勝利の地平を圧殺しようとするものだ。今次国労大会は、こうした反動との激突の中で開かれる。
高揚期迎えた国際労働運動
国鉄闘争をめぐる反動はいかなる階級情勢の中で生まれたのか。それを打ち破る道はどこにあるのか。
米英日帝によるイラク侵略戦争への突入は、世界が戦争の時代に入ったことを突き出した。他方、全世界の労働者は、イラク・中東・パレスチナ人民の命をかけた民族解放闘争と連帯し、壮大な反戦闘争に立ち上がっている。それは、80年代以来のすさまじい資本攻勢に対する怒りと結びついて、階級闘争の新たな高揚期を切り開きつつある。
アメリカでは、ブッシュ・ノーを掲げたMWM(ミリオン・ワーカー・マーチ)が10月17日、ワシントンで闘われようとしている。韓国・民主労総は、廬武鉉政権下の民営化攻撃・非正規雇用化攻撃や労働運動弾圧に抗し、壮絶な6−7月闘争の渦中にある。
日本でも労働運動の分岐・流動・再編・高揚情勢は始まった。今春の卒・入学式での「日の丸・君が代」強制に対する教育労働者の決起は、労働運動が奥深いところで地殻変動を始めたことの象徴だ。労働者の積年の怒りはついに噴き出し、参院選で小泉・自民党を惨敗に追い込んだ。
今年の3・20を転機に、日本の労働者階級は既存のナショナルセンターの枠を超えた大統一行動を実現し闘ってきた。それは勝利を希求する労働者の根本的な要求から生まれたものだ。
だが、こうした労働者階級の大統一行動に隠然・公然と敵対し続けたのが日共中央だ。彼らは、労働者階級の命運をかけた有事法阻止闘争が最大の決戦を迎えたその時に、陸・海・空・港湾労組20団体が予定していた6・4集会から全労連傘下労組を召還した。日共中央は、「トロツキスト」「過激派」とは一緒にやらないとして、大統一戦線の解体を策したのだ。
日共中央の裏切りの根底には、今年1月の綱領改定でプロレタリア革命を最後的に放棄し、「労働者階級」という言葉すら全面的に抹殺した歴史的転向がある。彼らは「資本主義の枠内での改革論」を一層純化させ、戦争に対して革命が問題になっているその時に、労働者の闘いを圧殺する役割を買って出たのだ。
だが労働者階級は、この「6月反動」をのりこえ、有事法制定−イラク多国籍軍参加−改憲策動という戦時下で、新たな闘いに立ち上がっている。
反動の狙いは動労千葉排除
国鉄闘争をめぐる動と反動も、大きくはこうした情勢の中にある。
4・13の日比谷公会堂での3500人の大集会は、国労闘争団・全動労争議団・動労千葉争議団が初めて一堂に会して共闘を誓い合う歴史的な場となった。それは、最高裁判決の反動とそれに屈した国労本部の裏切りをのりこえ、国鉄闘争に勝利する展望を明々と指し示した。
だが、この集会に対し、国労本部は東京地本に「国労とは一切関係ない」という声明を出させて真っ向から敵対した。国労革同は、組合員の集会参加を阻止しようと必死になった。日共中央も『赤旗』の集会報道記事から動労千葉を抹殺する許しがたい対応に出た。
国労本部・酒田執行部は今また、4・13の勝利の地平をなきものにしようと超反動的な策動を始めている。「国労と建交労の共闘」なるものはその一環だ。彼らは8・5大阪に続き8・23東京でも国労本部と建交労本部の合同集会を設定している。
日共中央−全労連中央も4・13集会を積極的に担った建交労(全動労)に官僚的恫喝を加えて国労本部・酒田執行部に呼応した。
この反動の核心は、動労千葉を排除して1047名闘争陣形を破壊することにある。「共同」だの「統一」だのの美辞麗句にごまかされてはならない。
「JR復帰」を投げ捨てた運動方針案
この反動はまた、1047名の大同団結に勝利のカギがあることを見いだした国労闘争団と全動労争議団の真剣な思いをも真っ向から踏みにじるものだ。国労本部が全国大会に向けて出した「04年度運動方針(案)第1次草案」は、そのどこにも「1047名闘争」や「解雇撤回・JR復帰」の文字がない。「不当労働行為根絶」のスローガンも消し去られ、「JR不採用事件の早期解決」に置き換えられた。これは、最高裁反動判決に屈服した国労本部が、「解雇撤回・JR復帰」を最終的に投げ捨てたことの宣言だ。
その国労本部が、7月1日の全国代表者会議で「7・1アッピール」を出し、「早期解決実現にむけて組織の総力をあげて全力で取り組む」「第72回定期全国大会を総団結・総決起する歴史的大会にする」と叫んでいる。まさにそれは、国鉄闘争の早期収拾=解体路線のもとに全組合員は屈服せよという恫喝だ。
酒田執行部は、卑劣な延命と大会のりきりのために6月のILO報告にすがり、「ILO勧告に基づく政治解決」なるものを叫んでいる。だが、そのILO報告自身、4党合意の復活を求めるものでしかない。
酒田との融和は敗北の道だ
国労本部の言う政治解決なるもののペテンは、早くも明白になっている。彼らは、今年1月の拡大中央委員会で「新たな訴訟を検討する」としたものの、「訴訟を行うかどうかは、政府の対応を見て決める」と先送りを続けてきた。ここに来て酒田委員長は、『国労文化』最新号で「訴訟の場合、相手方は一切和解に応じず裁判で決着ということになる」「訴訟を行いながら政治解決ということはない」と本音を吐いた。国労弁護団の岡田尚弁護士も、「8・4国鉄労働者1047名の解決要求実現をめざすシンポジウム」で「情勢は4党合意の時よりずっと厳しい。闘争も17年経過した。早く解決したいのなら訴訟などやらないことだ」とあけすけに言い放った。国労本部には鉄建公団訴訟への合流はもとより、彼らの言う「新たな訴訟」をやるつもりはまったくない。
本部の唱える「早期政治解決」は、なんの展望もないばかりか、酒田らにとってまじめに実現すべき目標ですらない。
闘争団全国連絡会議の「アンケート結果」では、85%の闘争団員が「闘争の継続」を望んでいることが明らかになった。だが、国労本部はこれに背を向け、4党合意に賛成した闘争団も含め、全闘争団を切り捨てようとしているのだ。
酒田は「これまでの行きがかりをのりこえて団結を」とうそぶき、「闘争指示52号」を出して8・2〜3中央行動への鉄建公団訴訟原告の参加を容認した。吉田書記長は「(本部に従うなら)生活援助金の凍結解除も考えてもいい」とほのめかしている。1047名闘争解体のため、ペテンを用いて闘争団・反対派を取り込もうとしているのだ。だが、国労本部は鉄建公団訴訟原告ら22人の統制処分を絶対に撤回しようとはしない。自ら犯したこの暴挙を不問にして「総団結」を叫ぶ卑劣漢どもを、断じて許してはならない。
国労本部は、まともな「解決」などみじんも考えていない。にもかかわらず「国労本部が加わらなければ解決できない」という脅しで闘う闘争団を籠絡(ろうらく)しようと躍起になっている。
残念なことに、4党合意に反対してきた国労組合員や闘争団員、支援者の中にも、4・13の勝利的地平を見失い、早期解決への主観的願望のあまり酒田執行部ときっぱりと対決できない傾向が生まれている。
だが、酒田は国労大会に何度となく機動隊を導入し、4党合意強行の最先兵となり、5・27臨大闘争弾圧で組合員を警察権力に売り渡した張本人だ。その酒田に融和を求めて、勝利的解決などあるはずがない。
動労千葉と連帯しJR資本と闘おう
国労大会を前に鮮明にさせるべきことは、“最高裁判決でJR復帰はなくなった”という酒田執行部の振りまく敗北主義を打ち破り、闘う路線を打ち立てることである。
全逓4・28控訴審の逆転勝利判決は、原則を曲げず不屈に闘えば勝利できることを証明している。
被解雇者の切実な要求を貫くためには、闘う闘争団に続き、国労、全動労、動労千葉の3組合、1047名総体が今こそ鉄建公団訴訟に踏み切るべきである。「訴訟をすれば解決は遠のく」などと放言し、「ILO勧告に基づく政治解決」を対置する酒田らの言い分は、争議のイロハも知らない者の虚言にすぎない。
国鉄闘争の勝利は、JR資本と徹底的に闘うことで切り開かれる。4・13の勝利の核心は、JRとの対決を貫く動労千葉が1047名闘争の一角にどっしりと座り、04春闘ストの実績をもって勝利の展望を示したことにあった。
動労千葉は、国鉄分割・民営化反対の2波のストを貫き、40人の解雇という攻撃を受けながら全力の闘いを貫いてきた。闘ったがゆえに解雇された仲間たちのJR復帰をかちとるため、本体の組合員が、春闘を始めあらゆる闘争で「1047名の解雇撤回」を真っ先に掲げ、ストを含む闘いに立ち上がってきた。物販闘争の先頭に立つのも、JR本体の現場組合員だ。
こうした闘いが、28人の公労法解雇を撤回させる勝利的和解を実現させた。それは現場組合員の団結と闘いにどこまでも依拠して闘い抜いた結果であった。
全動労と再生した国労が動労千葉に続き、JR体制を内側から攻める闘いに立った時、解雇撤回・JR復帰は現実のものになる。
JR体制=分割・民営化体制は、今や決定的な矛盾をさらしている。松崎派と嶋田派に分裂したJR総連の醜悪な抗争はとどまらず、資本=カクマル結託体制はついに崩壊の時を迎えている。JR総連を解体し、階級的労働運動の復活をかちとる好機は、まさに今、目の前にある。
JRの安全の崩壊も激しく進行している。JR総連カクマルを先兵に強行された相次ぐ合理化・要員削減・外注化は、鉄道事業としてのJRを存立の危機に立たせている。
動労千葉は、こうしたJR体制の矛盾に対し「反合・運転保安確立」「組織強化・拡大、JR総連解体」を掲げ、不屈の闘いを貫いてきた。その闘いが、JR体制を根底から揺さぶっているのである。
動労千葉に続く国労のJR本体組合員の決起を解き放てば、JRとの力関係は激変する。今起きている反動は、4・13を経て国鉄闘争総体がこうした勝利の大道を歩み始めようとしたことに対する反動なのだ。
国労本部がJR資本との闘いを放棄して久しい。それは、国労を狙い撃ちにした不当労働行為、出向強制、外注化の攻撃を加速させた。JRはさらに能力給導入を始めとした賃金制度の大改悪に着手しようとしている。それぞれの現場で職場闘争を復権させることがなんとしても必要だ。
臨大闘争弾圧粉砕を武器に
現場組合員の怒りは資本と闘わない国労本部にも向かっている。酒田打倒の武器は、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いだ。この弾圧は、労組幹部が、転向を拒否する傘下組合員を警察権力に売り渡した前代未聞の事態である。その首謀者が国労の本部委員長・書記長の座に居座っている。このことに目をふさいで国労の再生はない。5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いを武器に国労大会決戦を闘おう。
階級闘争は今、戦時下の攻防にある。危機を深める小泉政権は、奥田・日本経団連とますます一体化し、その凶暴な姿をむき出しにしている。郵政民営化を頂点とする全面的な民営化攻撃は、公務員労働運動を解体し、それをテコに全労働者への資本攻勢を激化させ、終身雇用制を完全に葬り去ろうとするものだ。小泉は、有事法の強行に続き、労働法制や社会保障、地方自治など戦後体制の支柱をなしてきた諸制度を解体し、教育基本法の改悪から憲法改悪へと突き進もうとしている。その根幹にあるのは労働者の階級的団結の解体だ。
それは、国鉄分割・民営化によって支配階級がめざした「戦後政治の総決算」を、今ここで一挙に成し遂げようとする攻撃だ。国鉄闘争は、それと最前線で対決する戦場なのだ。
教労、全逓、自治体を先頭に全産別で労働組合の存亡をめぐる決戦に入った今、国鉄分割・民営化の激浪をくぐり抜けてきた国鉄労働者こそ、労働組合の団結を打ち固める闘いの最先頭に立つべきだ。
国労大会決戦に勝利し、11月労働者大行動へともに総力で突き進もう。
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週刊『前進』(2162号2面2)(2004/08/23)
国労弾圧公判 “吉田書記長の指示で被害届”
池田証人、重大事実認める
8月5日、国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第27回公判が東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で開かれた。02年5・27臨大当時、国労長野地本東北信支部委員長であり、当日、長野地本の警備係の責任者であった池田久幸証人に対する弁護側の尋問が、前回に引き続いて行われた。
冒頭、松崎博己被告団長が意見を述べ、8月国労全国大会で「解雇撤回・JR復帰」を最終的に投げ捨てようとしている国労本部を徹底的に弾劾した。
佐藤昭夫弁護団長が「国労を脱退した新井元中執、寺内前書記長がやった4党合意受諾方針は正しいのか」「JRに法的責任なしを認めることは労働委員会制度を壊すものと考えなかったのか」と追及した。池田証人は「4党合意自体は正しい」「苦渋の選択だから仕方ない」と居直った。
一瀬敬一郎主任弁護人の尋問で決定的な事実が暴かれた。池田証人は、大会から3週間以上もたった6月18日、ひざげりをされたという被害届を出している。その経緯を聞かれた証人は、当時、長野地本書記長だった吉田進・現本部書記長から「被害届を出し、証人に立ってくれ」と指示されたことを白状した。
池田証人は、5・27臨大直後、長野に帰ってから「被害」の状況を電話で吉田書記長に報告し、さらにその指示で報告書も作成したという。その報告書をもとに「暴力事件」デッチあげのストーリーを描いたのは、吉田書記長だったのだ。現国労本部の酒田充委員長、吉田書記長は、ともどもこの弾圧に深々とかかわっていたのである。
池田証人は、被害届を出した6月18日を前後して、長野駅前のホテル「サンルート」や長野中央警察署で、警視庁公安部の警察官から数回にわたって事情聴取を受けたことも認めた。その中には星警部がいたという。国労幹部の鈴木勉や石井勝幸の証言に続き、星の名前がまた出たのだ。
検察側の共謀立証は破産
尋問の焦点は、池田証人が受けたという「暴行」の問題に移った。検察側は、松崎被告の池田に対する「暴行」があり、他の被告がそれを目撃・了知したことによって現場共謀が成立したと主張している。
だが、池田証人の被害届には松崎被告の行為に関する記述は一切ない。池田証人の捜査段階の5通の調書にも、暴行したのは松崎被告だったとする確定的な供述はまったくない。ところが前々回の公判で、池田証人は「暴行したのは松崎君」と断定的に証言した。
一瀬弁護人がその矛盾を突くと、証人はいらだち、「警察署で写真帳を見てだんだん記憶がよみがえってきた」と言い逃れた。つまり、松崎被告の「暴行」なるものは、後からつくられた「記憶」でしかない。松崎被告の「暴行」は、検察側の最重要の証拠である2本のビデオにも写っていない。松崎被告の「暴行」で共謀が成立したという検察側の主張は破産している。
池田証人への尋問は次回(9月6日)に続行となった。公判闘争は池田証人による共謀立証を打ち破るかどうかの重大局面が続いている。公判闘争に結集しよう。許さない会の会員拡大と無罪要求10万人署名に全力で取り組もう。
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週刊『前進』(2162号2面3)(2004/08/23)
動労千葉 強制配転者を職場に戻せ!
JR千葉支社に抗議
非協力−スト体制を指令
動労千葉は8月9日、強制配転者の原職復帰などを求めてJR東日本千葉支社への緊急抗議行動に立ち上がった。約100人の組合員が参加した。
千葉支社は2月に幕張電車区木更津支区の運転士の欠員補充のため、千葉運転区支部所属の退職間際の動労千葉組合員を強制配転するという暴挙に出た。これに対して動労千葉は2月の指名ストライキ―長期非協力闘争など3波の春闘ストを闘い、当局とJR東労組カクマルの結託体制に風穴を開け、強制配転者の原職復帰の展望を切り開く勝利をかちとった。だが、千葉支社は、駅などに強制配転されていた組合員を幕張電車区の検修職場などに戻すことについて、いまだにやろうとせず、東労組と結託して、大反動攻撃に打って出ているのだ。
また、当局は木更津支区の運転士の欠員補充のために、7月に千葉運転区から2人の「平成採用者」(JR東労組所属)の異動を発令したが、わずか1カ月後に1人を「体調不良」を理由に京葉運輸区に再配転し、もう1人についても本人の意思に反してハンドル訓練を中止させた。これは、平成採の青年労働者をなんとしても動労千葉に加入させまいとして、当局と東労組カクマルが結託して平成採の労働者を脅した中で起きている事態だ。
他方、JR東労組カクマルの松崎派と嶋田派の分裂が決定的となっている。特に千葉では、7月4〜5日の東労組千葉地本大会が流会となり、31日の続開大会では嶋田派の代議員3人の組合員権を一部停止して松崎派の代議員を繰り上げ当選させて、ようやく大会を成立させるという前代未聞の事態が起きている。
動労千葉は千葉支社への抗議行動に先立ち、DC会館で総決起集会を開いた。
田中康宏委員長は、「全面的な非協力闘争、ストに突入できる体制の確立」を訴えるとともに、「当局と東労組の結託体制がガタガタになり、分割・民営化の矛盾が噴き出し、彼らが悲鳴を上げている。われわれはJR体制の壁に穴を開けたが、これが堤防決壊になることにあたふたしている」と指摘し、1047名闘争に対する大反動とともに、JR体制による反動を打ち破ることを訴えた。
長田敏之書記長代行は、強制配転者の検修職場への復帰を実現するために「本部はいつでも闘争に入る腹を固めた。組織拡大のチャンスだ。千葉支社に怒りをぶつけよう」と訴えた。
直ちにJR千葉駅前から支社前に移動し、抗議のシュプレヒコールをたたきつけた。動労千葉とともに国鉄闘争勝利へ前進しよう。
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週刊『前進』(2162号2面4)(2004/08/23)
7・23〜8・6
人勧、地方の賃下げ方針を提案
中立労組が改憲反対/郵政民営化の骨子を発表
●東レ、年齢給昇給35歳で停止 東レは年齢給昇給を35歳で止める制度を導入。家族手当、住宅手当も徐々に削減し、09年4月以降は廃止予定。(7月23日)
●改憲反対へ取り組み/新聞労連大会 新聞労連は28日まで大会を開き、憲法改悪反対で幅広い労組や団体との共闘・共同行動を進める方針を決めた。(27日)
●教員の超勤手当請求を棄却 北海道教組の組合員約1400人が超過勤務手当など計約2億7000万円の支払いを求めた訴訟の判決で、札幌地裁は組合員の請求を棄却した。(29日)=記事へ
●改憲反対で連絡会/新聞、航空など13労組 13の中立系労組(新聞労連、航空連、映演共闘、音楽家ユニオン、私大教連、出版労連、全建総連、全港湾、全倉運、全損保、全大教、全農協労連、電算労)は、今春発足させた憲法懇談会を憲法改悪反対労組連絡会に名称変更し、改憲反対の運動を積極的に行うことを確認した。秋には都内でシンポジウムを開くことにしている。(30日)
●6月の完全失業率4.6% 総務省統計局が発表した6月の労働力調査では、完全失業率は4.6%で前月と同率だった。厚労省が発表した一般職業紹介状況では、6月の有効求人倍率0.82倍となり、前月を0.02ポイント上回った。(30日)
●「社会保障の在り方に関する懇談会」が初会合 連合など労資代表や関係閣僚らで構成する「社会保障の在り方に関する懇談会」の初会合が開かれた。年内に論点を整理し、06年度を目途に結論をまとめる予定。連合はこの場で基礎年金財源の税方式化などを求めていく方針を決めている。(30日)=連合の報道
●国民医療費、前年度比0.6%減少 厚労省は、02年度の国民医療費が31兆1240億円で、前年度に比べ0.6%減少したと公表。老人医療費の自己負担増などが影響したとみられる。(8月3日)
●私鉄大会、改憲反対 私鉄総連は5日まで大会を開き、「平和憲法擁護」の方針を決定。(4日)
●人勧、賃金・一時金前年並み 人事院は一般職国家公務員の賃金改定に関する「勧告」と「報告」を行った。(6日)=内容別掲、「勧告」骨子、「報告骨子」
●郵政民営化の基本方針骨子を決定 政府は経済財政諮問会議を開き、07年からの郵政民営化の基本骨子を決めた。郵便、郵貯、簡保、「窓口ネットワーク」の4事業を分社化し、持ち株会社を設置して統括する。職員の国家公務員の身分保障は廃止する。(6日)=議事要旨
●地域別最賃、44都道府県でプラスへ 地域別最低賃金額の改定審議がほぼ全都道府県で決着し、44都道府県で時間額1〜2円のアップを確保する見通し。(6日)
04年人事院勧告と報告の骨子
●給与勧告
・月例給、一時金ともに水準改定なし
(6年ぶりに前年水準を維持)
・寒冷地手当の支給地域、支給額、支給方法を抜本的に見直し
北海道および北海道と同程度の気象条件の本州の市町村に限定。支給対象の職員数は半減する。
支給額を約4割引き下げ。
一括支給から月額制に変更。
●公務員人事管理に関する報告
・能力・実績に基づく人事管理の推進
新たな評価制度、「査定昇給」導入。
・給与構造の基本的見直し
国公内の賃金格差を現行8.5%から20%にまで広げる。東京都を含む「関東・甲信越」地域以外はすべて現行より賃下げになる。
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週刊『前進』(2162号3面1)(2004/08/23)
労働運動めぐる1年間決戦を宣言
東西で革共同集会大成功
東京 教労始め4大産別決戦へ
天田書記長が基調報告
8月1日、東京・池袋の豊島公会堂と、兵庫県の尼崎市立労働福祉会館で、革共同政治集会が同時に行われた。東京集会では天田三紀夫書記長が、関西集会では今岡透同志が、それぞれ新指導路線のもとに鮮明な基調報告を提起し、全参加者が意気高く確認した。
東京の革共同政治集会には900人が結集した。初めての参加者が数多く見られ、この1年間の前進が示された。
長谷川氏立て05年都議選へ
基調報告に立った天田書記長は、確信に満ちた力強い口調で、まず、昨年夏の革共同集会で労働者階級の自己解放闘争として帝国主義打倒に向かって労働組合運動に全力を挙げる新指導路線を打ち出して以来の闘いの前進を総括した。この1年間の闘いでつかんだ労働運動、労働組合運動の重要な意義を明らかにした。労働組合に依拠するほかにプロレタリア革命に勝利することはできない、としてレーニン労働組合論から徹底的に学んでいくことを強調した。そして、中野洋氏の『俺たちは鉄路に生きる2』に示される動労千葉の階級的な気概に学び、続くことを訴えた。
情勢については、イラク情勢が全世界を規定していることを明確にさせ、米軍はイラクから撤退せず、ますます泥沼にのたうち回るほかないこと、この中でトランスフォーメーション(米軍大再編)によって日本列島全体が北朝鮮侵略戦争の司令中枢、最前線基地とされ、小泉・奥田路線のもとに日帝が改憲に向かって突進していることを鮮明にさせた。教育基本法改悪阻止の闘いは改憲阻止決戦であると提起した。
これからの1年間の闘いを労働組合をめぐる階級決戦ととらえ、労働組合解体攻撃を打ち破ろうと訴えた。11月労働者大行動を、帝国主義打倒の突破口を開く闘いとして闘いとることを訴えた。10・23都教委通達を打ち破る教労決戦を軸に全逓、自治体、国鉄の4大産別決戦を労働組合、労働運動をめぐる1年間決戦として闘いぬくことを宣言した。そして、そのかぎを握るマル青労同1000人建設に向かって突き進むことを呼びかけた。
続いて、天田書記長は、来年の都議会議員選挙闘争について提起した。都の労働運動をめぐる決戦として都議選があることを明らかにし、この選挙に長谷川英憲氏を押し立てて闘うことを宣言した。会場最前列にいた長谷川氏が立ち上がって参加者に手を振り一礼した。満場の参加者が圧倒的な拍手でこの方針を支持、確認した。書記長は、「尋常一様の選挙ではない厳しい闘いだが、打って一丸となって闘おう」と訴えた。
鮮明な基調報告に全参加者が心をひとつにし、意気高く万雷の拍手で1年間決戦の決意を表した。
三里塚・北富士と連帯の絆
集会は、ビデオ「歴史的決戦情勢切り開いた04年前半期の闘い」の上映から始まった。動労千葉の春闘ストライキと3・20日比谷公園6万人結集の闘争を頂点とし、6月の反動を打ち破る闘いの過程をあらためて映像で確認し、全員が勝利の確信を強めた。
連帯のあいさつでは、三里塚芝山連合空港反対同盟から北原鉱治事務局長ら4人が登壇し、北原さんが足かけ40年の三里塚闘争を振り返り、革共同と反対同盟の連帯の勝利を確認し、10・10三里塚現地闘争を呼びかけた。天神峰現闘本部裁判を支援する会事務局長の伊藤信晴さんが天神峰本部を撤去する攻撃を打ち破る闘いの前進を報告した。
北富士忍草母の会の天野美恵事務局長が、渡辺喜美江母の会会長と天野重知入会組合長を相次いで亡くした悲しみをのりこえ、イラク戦争に反対し入会権をかちとる闘いを訴えた。
部落解放同盟全国連合会からは、内本共闘部次長があいさつに立ち、差別糾弾闘争、狭山再審闘争を全力で闘うことを訴えた。
マル青労同建設へ決意新た
基調報告後の休憩の後、「獄中同志奪還・戦時下の弾圧をうち破ろう」のコーナーで、水嶋秀樹同志が出獄あいさつ、デッチあげ弾圧を打ち破り今年3月17日無罪判決をかちとったことを報告し、控訴審闘争勝利を宣言した。富山保信同志が、富山再審請求棄却を弾劾し、弾圧に屈せずひたむきに闘おうと訴えた。革共同救対部が福嶋昌男同志奪還の訴えと、星野文昭同志のメッセージを代読しての奪還アピールを行った。
続いて、各産別労働者からの発言を受けた。民間の青年労働者は「多くの青年が失業し、既成の労働運動に怒っている。マルクス主義を復権させ、組合権力の奪取を」と訴えた。
教育労働者は「闘う日教組を再生させる1年間決戦」を宣言、都教委の処分攻撃と闘う首都決戦への決意を述べた。
全逓労働者は、4・28反処分裁判勝利に触れ「やっぱり正義は勝つ」と述べ、青年労働者を獲得し、小泉に呼応する全逓本部打倒へ闘う決意を表明した。
自治体労働者は、国家が立ち行かない中で小泉が大反動攻撃に出てきていることは自治体労働運動のチャンスであると述べ、全国で自治体労働者を獲得しようと呼びかけた。
国鉄労働者は、国鉄分割・民営化に対して党が闘ったから残ってこれたと総括し、動労千葉のような団結が大事だと述べた。もうひとりの国鉄労働者から8・26〜27国労大会にむけて密集した反動を打ち破るアピールが発せられた。
さらに決意表明として3人の同志が立った。
反軍戦線の代表は、イラク派兵の自衛隊内部からサボタージュや内部告発が起こっていることを報告し、労働者が先頭に立つ反軍闘争の構築を訴えた。
マル青労同中央書記局は、青年労働者の中に分岐と大流動が生まれている具体例を示し、革共同が総力で立ち上がり、青年を獲得することを訴えた。
全学連の学生は、法政大学当局の学生会館解体攻撃に対して、学生が怒りの反撃に決起していることを報告、青年労働者とともに新しい力を爆発させるみずみずしい決意表明を行った。
すべての発言をしっかりと確認し、決意を固めて、会場一体となってシュプレヒコールをあげ、インターナショナルを斉唱した。
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週刊『前進』(2162号3面2)(2004/08/23)
労働運動めぐる1年間決戦を宣言
東西で革共同集会大成功
関西 新指導路線で固く一致
11月集会へ大結集誓う
8月1日、関西革共同政治集会が480人を結集して開催され、今岡同志の「労働者階級の国際的団結で世界革命の勝利を切り開こう」と題する基調報告を割れんばかりの圧倒的な拍手で確認し、新指導路線のもと4大産別決戦を先頭に11月労働者集会に猛然と決起することを確認した。
とりわけ、この革共同集会は、基調報告を軸に、新指導路線について一切のあいまいさなく一致をかちとり、全党がその本格的・全面的な実践に突入していく決意を固めあった画期的な集会となった。また、青年労働者の発言が全体をリードし、マル青労同1000人建設に燃え立つ若いエネルギーがほとばしり出る集会となった。
まず、マル青労同の労働者同志の司会によって、「賃労働を廃止すること、労働者階級が権力を奪取することになしに、もはや労働者が生きることができない時代がきた。全党が新指導路線のもと、階級的労働運動の創成に猛然と突っ込んでいこう」という戦闘的開会宣言が発せられた。
連帯のあいさつの最初に、10年間の合同労組組織化の実践を続けてきた関西合同労組が立ち、「この10年間の実践をつうじて、ついに階級的労働運動が力を発揮し始めた」と、今春闘や多くの争議闘争を確信をこめて報告した。
続いて、三里塚決戦勝利関西実行委員会、部落解放同盟全国連合会からの連帯のあいさつが行われた。全国連の中田潔書記長は「もはや差別と生活破壊と闘う責任をとれるのは全国連しかない。5万人組織建設を実現する」と決意表明し、集会は熱い連帯の拍手に包まれた。
闘う戦線を代表して、在本土沖縄戦線から、「決戦局面を迎えた名護新基地建設を絶対阻止しよう」と呼びかけられた。
注目のマルクス主義青年労働者同盟中央執行委員会からの発言は、若々しい民間労働者が行った。「この激動の時代に本気で革命をやるために、マル青労同を結成した」「動労千葉のような労働組合をいたるところにつくりだそう」と結成の意義を明らかにし、「党と革命の未来をかけてマル青労同を建設しよう」と1000人のマル青労同建設を熱く呼びかけた。
特別報告は、4大産別決戦を闘いぬく教育労働者と国鉄労働者から行われた。教育労働者は、350人を結集した7・24教育基本法改悪に反対する集会の大成功を報告し、「教育労働者が力を合わせ団結して闘えば、これだけの闘いができる。もっと大きなことができるという確信を持った」と確信を述べた。
国鉄労働者の報告は、5・27臨大闘争弾圧被告が行った。「戦時下の労働運動は、国家権力の弾圧を突き破ることができるのか、それとも屈するのかで決せられる」と階級的労働運動の基本路線にかかわる提起をし、仲間を権力に売り渡し国鉄闘争を最後的に解体しようとしている酒田執行部を打倒し、国労を再生するとの固い決意を表明した。
今岡同志が熱い基調提起
青年労働者からのカンパアピールの後、いよいよ今岡同志が基調報告を提起した。まず、本集会の獲得目標が4点にわたって提起された。第一に04年11月労働者集会の歴史的成功に向かって強固な意志一致を図り全党一丸となって組織戦に決起すること、第二に教労をめぐる階級的激突の決戦に絶対に勝利し、階級的力関係の逆転を教労決戦からつくりだしていくこと、第三にマル青労同1000人建設を戦略的突破口に党勢倍増闘争に勝利すること、第四にこれらの課題を成し遂げるために新指導路線で完全に一致し、04年後半戦を闘いぬくことである。
この新指導路線について、革共同の活動の重心を労働者階級に根を張った労働者細胞の建設にすえ、そのために労働運動・労働組合運動への本格的取り組みを全党の力で始めることなど、4点にわたってその核心問題が提起された。
そして、この新指導路線を実践することと一体のものとして、本質的、実体的に革共同を労働者階級の党、労働者階級解放の党としてつくり上げる「党の革命」を推し進めるとした。
また、新指導路線は何を見本にして取り組むのかとして、プロレタリア革命をめざす立場から対資本戦争をくり返しくり返し闘いぬき、反戦闘争に決起してきた「動労千葉に学ぶ」ことであり、党細胞の役割は、対資本の小戦争の中でプロレタリア革命の道筋や共産主義を扇動し、労働者を革命的に組織していくことにあると提起した。特に戦時下の今日において、労働組合の防衛・強化を基軸に、資本攻勢との闘いと反戦政治闘争とを結合させながら原則的に闘うことこそ、階級的労働運動の道筋であることを明らかにした。
さらに、この新指導路線のもと、いよいよ最大の階級決戦を迎えた4大産別決戦に決定的に重心をかけて取り組み、全産別の闘いを発展させ、11月労働者集会には、関西から1000人の隊列を登場させようと熱く訴えてしめくくった。
この基調報告に会場は鳴りやまぬ拍手に包まれた。これを受けて、意気高く全逓、自治体、医療、民間の各労働戦線と学生戦線からの決意表明が行われた。全逓の同志は「全逓労働者自身が『前進』をつくり、産別委員会の指導部になり、全逓決戦を闘う」と確信も高く決意表明した。自治労の労働者は、自ら党をつくり労働組合権力を奪取するとの決意を表明した。まさに、新指導路線にふさわしい決意表明に会場は大きな拍手に包まれ、インターナショナルが高らかに響き渡り、集会は圧倒的な高揚と成功をかちとった。
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週刊『前進』(2162号3面3)(2004/08/23)
美浜原発4人虐殺事故弾劾
8月9日、福井県美浜町の関西電力美浜原発3号機で高温の蒸気が建屋内に噴き出し、下請け企業の労働者4人が死亡、7人が大やけどをするという重大事故が発生した。長崎原爆投下の59周年の日に起きたこの事故は、日本の原発史上最悪の事故であり、まさに労働者を虐殺する許しがたい事件である。
建屋内で二次冷却水を原子炉に戻す配管が破裂して高温の蒸気が噴出した。破裂した冷却水管の肉厚(10_)はなんと1・4_にまで摩耗していた。76年運転開始以来28年間、一度も検査していなかったのだ。関西電力は「放射能漏れはない」と強弁しているが、真っ赤なウソだ。二次冷却水が放射能を含んでいることは常識だ。原発労働者は日常的に大量の放射能にさらされているのだ。日帝の独自核武装の道である原発政策を直ちにやめさせなければならない。
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週刊『前進』(2162号3面4)(2004/08/23)
戦争・民営化と闘う自治体労働運動を
F市町村合併攻撃との闘い
戦争国家へ体制づくり
自治体と労組の解体狙う
近代3度目の強制的大合併
日本は今、近代における3度目の大合併期を迎えている(図)。1度目は「明治の大合併」である。小学校の設置に合わせて7万の集落を1万5千の市町村に再編し、天皇制国家の基礎とした。2度目は「昭和の大合併」である。新制中学や自治体警察の創設に合わせて61年までに3500の市町村に再編し、55年政治体制の基礎とした。
3度目が今回の「平成の大合併」である。帝国主義間争闘戦での生き残りをかけ侵略戦争を遂行するために「国のかたち」を変えようとしている。地方分権化の名で市町村合併を進めている。その完成形態は改憲と戦争国家だ。
この5年間、市町村合併をめぐってめまぐるしい動きがあった。99年に日米安保新ガイドラインに基づいて周辺事態法などを制定したのと並行して、中央省庁改革関連法、地方分権一括法、改正市町村合併特例法を制定した。
中央省庁再編では、首相に権限を集中し、内閣官房機能を強化した。郵政省と自治省を合併してつくった総務省は自治体リストラ・大民営化の元締めとなる。
02年には、第27次地方制度調査会が最終答申を提出し、総務省が「市町村合併推進の指針」を発表した。また経済財政諮問会議が「骨太方針」として税源移譲、国庫補助・負担金、地方交付税交付金の「三位一体改革」を打ち出した。
市町村合併をハードとすると、公務員制度改革はソフトである。公務員制度改革で公務員労働者の意識改革と称して「魂を入れ」「血の入れ換え」を断行し、国と合併市町村の器に従順な官吏を置くのだ。
逆に公務員制度改革のためには市町村合併が不可欠だ。新人事制度として競争原理に基づく能力等級制度を導入しても、町村役場の数十人からやっと数百人という職場では、管理より人間関係が重視されるため、そのような制度はなじまない。人事評価制度導入で労働者を競争させ、分断し、個別化し、団結を解体するには、一定規模の集団職場でないと意味がない。市町村合併と公務員制度改革は相互補完関係にある。
女性・臨時職員を大量に追放
「地方分権」に関して税源移譲問題で財務省と総務省が対立している。交付金や補助金を一般財源化しても、税源移譲が進まないかぎり三位一体改革は進捗(しんちょく)しない。小泉政権は、もはや後がない状態で、合併特例債や地方交付税の合算算定替えなど合併誘導の財政優遇措置を打ち出し、05年に期限を区切って市町村合併を強引に推進しようとしている。
今、合併で自治体には何が起こっているのか。
第一に大規模な行革リストラである。そもそも市町村合併は、地方財政危機の克服のために行政の効率化をめざして開始された。だが合併は、地方行革の枠をはるかに越えて、採算に合わない小規模市町村を消滅させ、民営化を激しく促進している。
第二に過疎地の住民への公共サービス切り捨てである。子どもたちは小中学校や保育園の統廃合によって長時間通学を強いられ、在宅の高齢者も深刻な状況に置かれる。
第三に公務員労働者の賃金・労働条件の一挙的悪化である。まず職員定数が大幅に削減される。市町村合併特例法で身分保障されるのは正規職員だけである。非常勤・臨時職員・委託関係は整理解雇を伴う。とりわけ、職住接近が前提の女性職員や現業職員、非正規職員は、転居して職場に通う環境にないため、大量に退職に追い込まれている。
合併に抵抗する自治体に対して総務省(国)は「1万人に満たない小規模自治体が合併しない場合は、自らそういう決断をしたのだから、これまでのような自治体運営でなくてもよいということだ」と恫喝する。総務省は、段階補正の見直しによって交付金の減額や、業務の一部を都道府県に移したり(垂直補完)、周辺自治体に配分したり(水平補完)する処分をする意向である(地方制度調査会「西尾私案」)。現在1万人に満たない自治体は全体の48%を占める。いかに合併が強制的であるか一目瞭然(りょうぜん)だ。
闘う自治労を再生させよう
合併は労組解体攻撃だ。 地方公務員法55条10項によれば、非現業労組が当局と取り交わした確認書などは、法的効力のない「約束ごと」に過ぎないため、合併を契機に確認書などを放棄する当局の事例が頻発している。
公営企業や現業の労組は労働協約を締結する権利を有するので、当局との協約は法的拘束力をもつが、合併前に再締結しなければならない。ところが、合併後の新当局は合併前には存在しないから、合併後は法定の合併協議会しか労組の交渉相手はない。しかし、この合併協議会は労使交渉の窓口を開こうとしない。合併協議会は地公法上の当局ではないから労組との交渉に応じる義務がないのである。こうしたすき間を突かれて、労組が消滅したり、少数組織化したりしている。
上部団体(自治労、自治労連)が競合する場合の多くは、90年前後の「組織戦争」の再来となる。
労組が組織されていない自治体との合併では、執行部体制を形成できないまま推移して、組織率が激減している。合併は、労組の組織としての命運を決する闘いの正念場なのである。
ところが自治労中央、自治労連中央は、全国町村協議会が反対している市町村合併に反対しないのである。「新自治体の創設にあわせて自治労の旗を確固としてうちたてるように取り組む」(「市町村合併への自治労の対応」自治労政治政策局)と言うだけだ。
県本部段階でも、合併対策会議は開催するものの、経済闘争中心主義と中央本部の制動を打破できず、市町村合併の本質と今後の展望を提起できない状態である。また県本部中心単組である県職労も、市町村合併に「われ関せず」の姿勢を決め込んでいる。
未組織自治体や競合組合を組織できない専従役員は組織統合をあきらめ、組合費徴収をやめて組合解散する動きさえ見せている。
市町村合併による新たな職場の中で、労働組合の職場支配権を確立し、戦争国家化と闘うことで展望は開かれる。強制合併による自治体破壊、労組解体と対決する中から階級的自治体労働運動を再生しよう。
(自治体労働者 浦山 馨)
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週刊『前進』(2162号4面1)(2004/08/23)
軍事占領の危機に焦り凶暴化
米軍のサドル派大虐殺許すな
多国籍軍撤退へ決起する人民
8月5日以来米軍は、イラク中部のイスラム教シーア派の聖地ナジャフでシーア派のモクタダ・サドル師の武装勢力マハディ軍に対する全面的な攻撃を開始した。米軍は5、6両日の戦闘で300人のマハディ軍戦士を殺したと発表した。この数には相当の誇張があるが、米帝はイラク侵略戦争、軍事占領の危機の中で、住民大虐殺を再開したのだ。怒りを込めて徹底弾劾する。
サドル派へ全面攻撃
戦闘はナジャフだけでなく、バスラなどシーア派の多い南部一帯、さらにバグダッドのサドルシティーに広がっており、すでに一週間近くにわたって激しい戦闘が続いている。
ナジャフの戦闘で米軍は戦闘機や戦闘ヘリも投入し、無差別爆撃を繰り返している。マハディ軍を古い墓地の周辺に包囲しながら、イマーム・アリ聖廟への突入をうかがっている。マハディ軍はこれに徹底抗戦し、サドル師自身も「最後の血の一滴まで戦いぬく」と徹底抗戦を宣言している。米軍は、6月にマハディ軍との間で成立した休戦を公然と踏み破り、マハディ軍壊滅のための全面戦争にうって出たのである。
マハディ軍の広報担当者が「休戦交渉の用意はあるが、真の休戦でなければ、偽りの交渉には応じない」と発言したのに対し、イラク暫定カイライ政府の高官は、「われわれは交渉するつもりはない。われわれはこれらの戦士たちと戦おうとしている。十分な軍事力を持っているし、十分な強さを持っている。戦士たちをこの国からたたき出す」とあくまで戦闘を強行する意図を表明している。
ナジャフの市長は水道と電気の供給を停止し、住民は飲む水にも困る状態になっている。
米軍のサドル派への攻撃と一体となってカイライ政権のアラウィ首相は、ナジャフとバグダッドのサドル・シティーに夜間外出禁止令を出した。米軍はこの1週間で360人の民兵を殺したと発表しているが、病院のフセイン・ハディ副院長は、「23人が死亡し、98人が負傷した。その大半は市民だ。死者のうち5人はイラク警察で、4人はイラク軍だ」と言っている。
一方でナジャフ制圧に動員されたイラク国家防衛軍の2つの部隊が命令を拒否して戦場から離脱した。占領軍の中枢があるバグダッドのグリーンゾーンに対してロケット弾が次々と撃ち込まれている。
米軍のサドル派武装勢力への攻撃は、米軍のイラク軍事占領、植民地化の行き詰まりの中で、焦りに駆られた、民族解放・革命戦争に対する住民大虐殺を含む凶暴な鎮圧作戦である。米軍のイラク占領支配は、6月28日のカイライ政権への「主権移譲」のデッチあげにも関わらず、イラク人民の武装闘争が沈静化するどころか、ますます強固に広がっていることに完全に追いつめられているのだ。
7月31日に予定されていた国民会議は、開催期日を示すことなく延期された。国民会議参加への拒否は、イスラム教スンニ派法学者組織「イラク・イスラム聖職者協会」やシーア派指導者ジャワード・ハーリシー師、シーア派指導者モクタダ・サドル師など、広範な人びとにおよんでいる。もはや「民主主義」的装いをとることすら困難になっているのだ。
危機的状態の米軍占領支配
それだけではなく、米軍の占領支配そのものが軍事的にもきわめて危機的状態に追いつめられているのである。米軍が制圧しているのはバグダッドのグリーンゾーンの一角だけだ。
この間、イラク西部のアンバル州で米軍と武装勢力の間で激しい戦闘が闘われてきた。アンバル州の州都があるラマディでは米軍に対する攻勢を強めていた武装勢力が7月28日、29日と米軍司令部が置かれた共和国宮殿を包囲し、制圧作戦を展開した。この中で米軍の将軍が武装勢力に捕捉されたといわれている。
こうした危機的事態に米軍はバグダッドから救援部隊を送ったが、その部隊が同じアンバル州のファルージャの近郊で武装勢力による襲撃を受け、米軍車列が真っ二つに分断された。激しい戦闘となり、米軍はヘリコプターや戦闘機の救援を送ったが、周辺の村々から集結した武装勢力は高度に統制されており、米軍は多くの犠牲を出しながら、後の部隊はバグダッドに、前の部隊はファルージャ近郊の米軍基地に逃げ込むのがやっとだった。
このほか、去る5月19日に米軍が結婚式を爆撃したシリア国境の村の周辺地域でもこの間米軍に対する報復攻撃が相次ぎ、米軍は多くの犠牲を出している。この地域の住民は、多くの米軍脱走兵がこの地域を通ってシリアに逃げており、それを手助けしたので、報復として結婚式を意図的に爆撃したと信じており、米軍に対するゲリラ戦争が地域全体に広がっている。
まさにアンバル州はファルージャをはじめ米占領軍に対する抵抗闘争の最強地域になっており、米軍はこの間ファルージャへの空爆を繰り返してきたが、事態を打開するなんの展望も見いだせない状況にあった。
泥沼の中で米軍は、比較的レジスタンスの弱い南部を中心としたシーア派地域を制圧して、反乱鎮圧の突破口を見いだそうと凶暴な攻撃にでたのである。これは、米帝のパウエル国務長官のバグダッド訪問に引き続いてこうした米軍の戦略的転換が行われたことからも明白である。それは、米帝が陥っているイラク軍事占領の泥沼の深さを示しているのである。
危機深めるブッシュ
米軍の危機は、イラク現地の軍事占領だけでなく、米軍の戦争体制そのものにまで及んでいる。一旦帰還した部隊の再招集が始まっているのだ。米軍は今年に入って第2次世界大戦以来といわれる戦闘中の部隊の大幅入れ替えを行った。すでに開戦以来の部隊が壊滅的状態に陥っていたので新たな部隊と入れ替えた。しかも新たな部隊では13万8000人の部隊が確保できず、一旦帰国が言い渡された部隊の駐留を延期するということまで行った。しかし、今また相次ぐ犠牲の中で追加増派が必要になり、一旦帰国させた部隊を再びイラクに送ろうとしているのである。
昨年から今年にかけて米本土に帰還した米兵には「心的外傷後ストレス障害」と呼ばれる病気に苦しむ若者も多い。武器を持たないイラク人を上官の命令で殺したことに悩み自殺する兵士もでている。こうした病気に苦しむ兵士に対して再びイラク派兵のための招集が言い渡されている。しかも病気を理由に免除を申請する兵士に対して、カウンセリングなどの治療を施すのではなく、軍の営倉に拘束し、無理矢理イラクに派兵しようとしているのである。
こうしたイラク侵略戦争の完全な行き詰まりは、11月の米大統領選挙の行方を決定的に左右することは必定であり、ブッシュは焦りに駆られて凶暴な制圧作戦にでているのである。
しかし、イラク人民は、米帝のイラク占領に対して激しい怒りに燃えて戦いに決起している。この闘いは帝国主義占領軍をたたき出すまで、民族解放・革命戦争としてさらに発展することは不可避である。今こそイラク人民の不屈の決起にこたえ、日米韓の国際連帯を発展させ、イラク反戦闘争の大爆発を切り開かなければならない。
日帝が第3次の派兵
8月8日、自衛隊のイラク派兵の第3次部隊の第1陣140人が青森空港から出発した。
8月10日には自衛隊が駐留するサマワの自衛隊基地に向かって迫撃弾が撃ち込まれ、3発のうち2発は、自衛隊施設を直撃し、宿舎のテントから50bの地点に着弾した。しかし自衛隊は、宿営地内に着弾したにもかかわらず、「宿営地の外」とウソを発表した。
すでにイラク武装勢力と占領軍の軍事衝突はイラク南部全域に広がっており、サマワの自衛隊も完全にターゲットとして据えられているのだ。またサマワでは8日にもイラク警察と住民との間で銃撃戦も起きており、「非戦闘地域」などというペテンはまったく通用しない。にもかかわらず小泉政権は自衛隊イラク派兵をあくまで継続し、自衛隊をイラク人民の戦いと直面させ、実際に殺し殺される戦闘を経験させることによって侵略帝国主義軍隊として自衛隊の決定的転換をはかろうとしている。
野党第1党の民主党の岡田もまた、国連安保理の決議があれば自衛隊が海外で武力行使できるようにすることを主張し、来年中に民主党の改憲案を発表すると言っている。
日帝は、改憲によって戦後的制約を全面的に突破することを狙う一方で、現実的には、イラク占領への参戦という形で侵略戦争のエスカレーションをはかろうとしているのだ。
こうした中で自衛隊は、「防衛計画の大綱」の見直しを進めており、その中で小泉が公言したミサイル防衛(MD)への決定的踏み込みと自衛隊の海外派兵の「本来任務化」、敵基地攻撃能力の構築、武器輸出3原則の見直しなどを決定的に進めようとしている。
日帝は、米帝ブッシュ政権の世界戦争戦略とそのもとで進められる米軍のトランスフォーメーションに対応しつつ、米帝の北朝鮮(中国)侵略戦争に全面的に参戦し、戦争のできる帝国主義へと一挙に飛躍しようとしている。そのための軍事政策の中軸に自衛隊の侵略軍隊化が位置づけられており、自衛隊イラク派兵の既成事実化をテコに一挙にそれを推し進めようとしているのである。
すでに帝国主義は米帝のアフガニスタン、イラク侵略戦争をもって世界支配の危機と帝国主義間争闘戦を戦争によって突破しようとする時代に突入した。日帝もまた、イラクへの自衛隊派兵、多国籍軍参加をもってその道に深々と踏み込んだのだ。この帝国主義を打倒する以外に労働者人民の未来はない。4大産別決戦を先頭に労働運動の決定的飛躍を実現し、11月労働者集会に突き進もう。反戦闘争を一層発展させよう。
〔秋原義明〕
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週刊『前進』(2162号4面2)(2004/08/23)
再発防止研修に反撃
「君が代」不起立 被処分者が都教委に抗議
意気高く屈服強要うち破る
8月2、9日の2日間、都教委は今春の卒・入学式での「君が代」不起立・被処分者に対する「再発防止研修」を強行した。これに対して被処分者を先頭に教育労働者の怒りが大爆発し、「研修」に名をかりて労働者を脅し屈服させようとした都教委のもくろみは完全に打ち破られた。
300人決起 当局は逃げ腰
笑顔、笑顔、笑顔。「再発防止研修」当日、「日の丸・君が代」闘争の被処分者はみな、勝利感に満ちた表情で研修会場から戻ってきた。研修をめぐる攻防が、被処分者の完全勝利と都教委の完全敗北に終わったことを示していた。
今回の「再発防止研修」対象者は、卒・入学式で「君が代」斉唱時に不起立したなどの理由で戒告処分とされた約240人(減給処分の4人は8月30日に実施予定)。自らの生きざまをかけて、誇りも高く闘いぬいた被処分者に「再発防止」の名で反省を促し、報告書を書かせるという、まったく許しがたいものだ。
6月28日に研修実施が通知されると、被処分者は直ちに研修をやめさせるために全力で闘った。7月2日、都人事委員会に申し入れ。16日、139人が東京地裁に処分取消請求および執行停止を申し立て。23日、東京地裁は同申し立てを不当にも却下したが、その一方で「何度も繰り返し研修を受けさせるなど……著しい精神的苦痛を与えれば、違憲違法の可能性がある」との判断を示した。被処分者の闘いの広がりがつくり出したものだった。
こうした中で迎えた研修当日。8月2日、会場となった文京区の東京都総合技術教育センターは、早朝から約300人の教育労働者に包囲された。JR水道橋駅前から会場入り口まで、いたるところでビラがまかれ、メッセージボードが掲げられた。労組交流センター、都政を革新する会も連帯し闘った。
入場時間が近づき、被処分者が弁護団を先頭に会場に向かい、入り口にいる都教委職員を徹底追及した。「この研修は、東京地裁も違憲の可能性ありと言っているものだ。やめるべき」との声に、職員が「まだ係争中ですから」と答える。「ふざけんな! おれたちだって係争中だぞ。処分撤回を求めて人事委で争ってるんだ!」。鋭い追及にたじたじとなる職員に300人がシュプレヒコールをたたきつける中、被処分者は堂々と会場に入場した。
約60人の被処分者が研修室に入ると、冒頭から講師の都教委法務監察課の山本課長に次々と質問を浴びせた。さながら大衆団交だ。「質問は受けつけません」と繰り返す山本課長は「教育公務員の服務義務と関係法令について」と題して講義を始めたが、今回の処分理由とされた「君が代」不起立や「職務命令違反」には一言も触れられない。1時間半を予定した講義を1時間もたたずに切り上げ、再び質問の嵐が浴びせられると「質問は受けつけません」と研修室から逃げるように去っていった。
続いて30分間で「報告書」を書くよう指示されたが、その中身は講義を受けての「所感」を記せというもの。処分を受けたことへの反省文を書かせることなど、まったくできなかったのだ。
午前の研修が終わると、全水道会館で被処分者の会が記者会見を行い、「『再発防止研修』強行に抗議する声明」を発した。
午後の研修に対しても抗議行動が展開された。
「研修」ならぬ脅迫に怒り
9日も午前と午後の2回研修が強行され、朝から闘いが展開された。この日の研修は、都立校のほかに小中学校の被処分者も対象とされた。都高教、東京教組など200人を超える組合員、支援者が決起した。
この日も会場入り口で2日と同様の抗議・追及行動が闘われる中、被処分者が入場していった。
「研修」の実態は、広い会場の中央に被処分者を密集して座らせ、周りを都教委職員やガードマンが取り囲んで威圧するという、およそ「研修」とは名ばかりの脅迫行為だった。
被処分者は始めから攻勢に立ち、質問の矢を放った。「横山教育長は去年、戒告処分を受けたが、どのような再発防止研修が行われたのか」。都教委は何も答えられなかった。
約2時間後、被処分者が意気高く玄関から出てきた。外にいた人たちが大きな拍手で迎えた。同じ建物内の都立工芸高校の生徒がベランダから手を振って応援。「ありがとう。先生たちも頑張るぞ」とマイクでこたえる一幕もあった。
このあと行われた記者会見では、「なぜ国歌を歌いたくないのか」という外国報道機関記者の質問に、在日朝鮮人の教員が、こう語った。「私は国籍は日本だが、朝鮮人にとって『日の丸・君が代』は、植民地支配下で名前を奪われ、言葉を奪われ、文化を奪われた中で強制されたもので、絶対に許せない。また、私の学校には外国人がいっぱいいる。差別に負けないで生きなさいと生徒たちに話している。だから私自身、どんなに処分の脅しがあっても絶対に立てない」。
こうして2日間の闘いが意気高く打ち抜かれた。
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週刊『前進』(2162号4面3)(2004/08/23)
ドイツ
ダイムラー労働者がスト
資本の脅迫に屈せず闘う
7月、IGメタル傘下のダイムラークライスラー労組が6000人の人員削減、労働時間の無償延長などに反対してストライキなどで闘い、2012年まで雇用を確保するなど資本の攻勢を一定押し返して闘争を終結した。
“これは戦争だ”
世界第5位の自動車会社、ダイムラークライスラーは、主要工場のジンデルフィンゲン工場(ドイツ南部のシュトゥットガルト近郊にある。従業員3万人)の労組に対して年間5億ユーロ(約650億円)の人件費削減(6000人の人員削減)に応じなければ、同工場のメルセデスCクラスセダンの生産拠点を南アフリカに移すという脅しのような提案をしてきた。
労組は、IGメタルの指導のもと、ストライキをもって回答した。
7月14日から15日にかけての夜、デュッセルドルフのメルセデス製造プラントの労働者600人が行動の口火を切り、たいまつデモを行った。翌朝は、ジンデルフィンゲン工場の約2000人の労働者が2時間、作業を一時中止した。また同日、ベルリン、ブレーメン、ハンブルクなどドイツ全域で乗用車・トラック製造工場の労働者が作業を一時停止するストライキを行った。
ダイムラークライスラーのドイツ国内16万人の労働者のうち半分がストライキ行動に参加した大闘争だ。
IGメタルは「会社の提案の仕方は労働者への脅迫だ」と厳しく非難した。ジンデルフィンゲン工場のスト参加者も「これは戦争だ」と対決姿勢を明らかにしてデモを行った。
だが会社側は、提案に応じなければ、▽ジンデルフィンゲンからコストの低いブレーメン(ドイツ北西部)に仕事を移す▽時間外労働手当を出さない▽毎時5分の休憩制度をやめる▽賃金増なしの週労働時間の延長を実施する――などとますます高圧的な態度を示した。
資本擁護の首相
シュレーダー首相(社民党)は、労組のストライキに反対を表明した。また労資紛争は損失をもたらすと警告、話し合い解決を促した。さらに「より融通のきく労働時間制度にし、企業が市場の動向に対応しやすくすべきだ」と述べた。ダイムラークライスラーを始めドイツ大資本が内外で導入を狙う労働時間延長を支持したのだ。IGメタルなどを含むドイツ労働総同盟(DGB)の支持で政権に就いた社民党首相の公然たる裏切りだ。
16日、ダイムラークライスラーのシュレンプ会長は「労働者が労働時間延長に応じるならば経営者も自分たちの給料を10%減らすことを考える用意がある」と発言した。
17日、ドイツ南西部のバーデン―ビュルテンブルク州の2工場で1万5000人の労働者がストライキに立ち上がり、作業を早めに切り上げた。
IGメタルのフーバー副委員長は「経営側の申し出は問題解決にならない」と述べた。シュレンプ会長は昨年544万ユーロもらった。経営陣の10%給与削減は数百万ユーロにしかならないのだ。公共サービス部門労組ヴェルディの副委員長も、「ダイムラーは米国や日本での冒険で数億ユーロを無駄にしたのに労働者に責任転嫁しようとしている」と辛辣(しんらつ)に批判した。
20日の早朝も、ジンデルフィンゲン工場の労働者はストライキに立った。交渉は続けられた。同工場の労働者評議会は2006年まで2・79%の賃金引き上げ(2億ユーロ)を逆提案した。
譲歩し雇用確保
7月23日、労資は妥結した。会社側は5年間、年5億ユーロのコスト削減を実施する。経営陣は10%給与カットだ。労働側は、賃上げ要求を引っ込め、2012年までジンデルフィンゲン工場の3万人の雇用を保障される。また労働側は、毎時5分間休憩制をなくす代わりに残業手当付きで労働時間延長を受け入れた。6000人削減も生産拠点移転もなくなったが、これは労働側の大幅譲歩の結果だ。
妥結後、ダイムラークライスラー資本は「5億ユーロのコスト削減提案などしていない」とうそぶいた。脅しで人員削減、賃下げ、労働時間延長などを労働者に飲ませる悪質ドイツ資本への社会的非難は強い。ドイツの労働運動は、今一度団結を強めて闘えば、資本攻勢を粉砕することができる情勢にある。
(藤沢明彦)
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週刊『前進』(2162号4面4)(2004/08/23)
7月27日〜8月10日
美浜原発で4人の死亡事故
岡田「海外で武力行使可能」
●民主「改憲案、来年に」 訪米した民主党の岡田代表がボストン大学の夕食会で民主党の改憲案について「自民党が来年改正案を出すので、われわれも来年中にはまとめたい」と述べた。今年1月の党大会で06年中に改憲案をまとめる方針を示したが、それを1年前倒しするもの。(27日)
●米民主党がケリー指名 米民主党が全国党大会で代議員による投票を行い、大統領候補にケリー上院議員、副大統領候補にエドワーズ上院議員を正式に指名した。ケリーは受諾演説で「強く尊敬される米国に」「必要ならば武力行使をためらうことはない。いかなる国も国際機関も米国の安全保障に介入させない」との考えを表明した。(28日)
●安倍「交戦権認めるべきだ」 自民党の安倍幹事長は「アエラ」(朝日新聞社)のインタビューで、憲法9条について「自衛権の延長線上の交戦権は認めるべきだ」と述べ、9条2項の「国の交戦権は、これを認めない」との規定を見直すべきだとの考えを示した。また中国について「軍事的には脅威と考えるのは常識」と述べた。(29日)
●岡田「国連下で武力行使可能」 民主党の岡田代表がワシントンで講演し、「憲法を改正して、国連安保理の明確な決議がある場合、海外での武力行使を可能にし、世界の平和維持に積極的に貢献すべきだ」と述べ、国連のもとでの武力行使を容認する考えを表明した。(29日)
●海外派兵恒久法で対策室 政府は、自衛隊の海外派兵の恒久法を制定するため、内閣官房の準備室を対策室に格上げし、法案作成作業を本格化する方針を固めた。来年の通常国会への法案提出を目指すという。(31日)
●横田の要員、大半がグアムへ 米国が世界的に進める米軍再編(トランスフォーメーション)の一環として、第13空軍司令部(グアム)と、横田基地(東京都)の第5空軍司令部を統合する問題で、米政府が第5空軍司令部要員の大半をグアムへ移す構想を日本政府に伝えていたことが分かった。ただ実動部隊や、統合後の司令官は横田基地に残り、アジア・太平洋地域の指揮を同基地で統括する方向で調整が行われている。(8月2日)
●PSIに海自護衛艦が参加 日本政府が主催して10月下旬に開催する「拡散防止構想」(PSI)のための海上訓練に、海上保安庁だけでなく、海上自衛隊の艦艇や航空機が参加することが決まった。(3日)
●新防衛大綱 自衛隊は年末の新「防衛計画の大綱」策定に向け、主要装備の大幅な削減試案をまとめた。陸上自衛隊は戦車を約千両から約600両に、海上自衛隊は護衛艦を54隻から48隻に、航空自衛隊は戦闘機を約370機から280機に削減する。他方で陸自常備隊員5千人増員や潜水艦の増加、弾道ミサイルに備えた電子情報収集機の能力向上などが盛り込まれる。(4日)
●落下金属片は米軍機部品 今年6月15日に沖縄県北谷町の民家の庭で見つかった金属片は、米軍のFA18C戦闘攻撃機から落下した部品であることが分かった。在沖海兵隊の関係者が事故原因について「整備点検を怠った人為的なミス」と説明した。(6日)
●美浜原発事故で4人死亡 福井県美浜町の関西電力美浜原子力発電所3号機で、運転中に発電用タービンの異常を示す警報が鳴り、原子炉とタービンが相次いで自動停止した。タービン建屋内で配管が破裂して高温の蒸気が噴出、作業員4人が死亡した。運転中の原発事故としては過去最悪の規模。(9日)
●急患用ポートに米軍ヘリ 米空軍嘉手納基地所属とみられるH60ヘリコプター1機が沖縄県渡名喜村の急患用ヘリポートに緊急着陸した。渡名喜港では「となき祭り」が開かれていたが被害はなかった。(9日)
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週刊『前進』(2162号5面1)(2004/08/23)
8・6広島 8・9長崎 核と戦争と帝国主義に激しい怒り
既成原水禁運動超え大高揚
被爆59周年8・6広島―8・9長崎反戦・反核闘争は、自衛隊のイラク派兵と有事立法・改憲、朝鮮侵略戦争に突き進む日本帝国主義への労働者人民の怒りが大爆発し、戦闘的にうちぬかれた。戦争・大資本攻勢と対決するアメリカの10・17百万人労働者大行進と連帯し、11月労働者大行動の爆発をめざす秋の闘いへ、巨大な突破口を切り開いた。
広島 青年・教育労働者が牽引 国際団結さらに打ち固め
6日、広島県立総合体育館で「被爆59周年/今こそ、ありったけの力を集めて戦争を止めよう/8・6ヒロシマ大行動」が実行委員会の主催で行われた。地元広島の教育労働者、青年労働者を先頭に全国から昨年を大きく超える2800人が結集、また韓国、中国、イラクからも闘う人びとが参加し、国際連帯のきずなを深めた。
会場には、開会時刻の正午前から様々な団体、人びとが続々と詰めかけた。冒頭、呼びかけ人を代表して開会のあいさつに立った栗原君子さん(元参議院議員)は、「今年の8・6ヒロシマは戦時下の大行動となった」と語り、イラク派兵・有事立法と対決する8・6大行動の重要性を強調した。またこの日の早朝、広教組の施設が銃撃されたことを弾劾し、「様々な圧力をはねのけて、教育基本法改悪を阻止し、子どもたちの未来を確かなものにするために、今日の集会を成功させよう」と訴えた。
続いて被爆者の訴えが行われた。下原隆資さん(原爆被爆者教職員の会)は、「戦争と差別は一体のものだ」と弾劾し、「核兵器は皆殺しの兵器であり、絶対に許せない」「目的は一つ。大同団結して闘おう。私も命ある限り闘う」と自らの決意を表明した。
1954年の米帝のビキニ環礁での核実験で被爆した大石又七さん(第五福竜丸元乗組員)は、「ビキニ被爆から今年で50年だ。被爆した私の仲間は10年20年のうちに1人2人と死んでいったが、解決済みとして問題にもされなかった。政府のやり方は許せない」と弾劾し、この事件を忘れるなと訴えた。
続いて「世界の反戦・反核運動との連帯」のプログラムでは、韓国のチェ・ボンテ弁護士が「7・24釜山から8・2ソウルまでイラク派兵阻止行進を行い、8・2〜3米軍基地包囲を闘ってきた。戦前の日帝による朝鮮人強制動員など、歴史の真実を究明することこそ戦争の再発防止の力になる」と語った。テグ市の「平和統一テグ市民連帯」と「挺身隊ハルモニと共にする市民の会」の3人の青年がデモの際に歌うという「パウィ・チョロム(岩のように)」という歌と踊りを披露した。
中国からは日本軍が1938年から5年半にわたりのべ1万機、218回もの無差別爆撃で市民を大虐殺した重慶大爆撃幸存者の高原さん、程銘さん、さらに重慶大爆撃の研究者・徐勇さんがあいさつした。また、油絵の大作「重慶大空爆」の作者・陳可之さんが、「戦争に勝利者はない。ともに損失を被る。私は芸術を通じて世界中に平和を訴えたい」と語った。
帝国主義の侵略戦争と闘うイラクから、フサーム・マフムード・サリッヒさん(バスラの小児科医)があいさつした。フサームさんは、経済制裁と戦争で子どもたちがたくさん殺されていることを弾劾し、「子どもは国の未来。われわれは未来を失いつつある」と危機感を表明、「被爆者の闘いに敬意を表する。広島の闘いを世界に広げ、連帯して絶対に戦争をなくそう」と呼びかけた。
昨年の大行動以降1年間の闘いで、国際連帯のきずなは一層強くうち固められた。三つの国からの参加者に万雷の拍手が送られ、連帯の気持ちを込めて花束が贈呈された。
カンパ・アピールのあと、呼びかけ人の宇野昌樹さん(広島市立大教員)、大内裕和さん(松山大助教授)、吉田良順さん(医師)が紹介された。
続いて「労働者は戦争動員を許さない」のプログラムに移った。陸海空港湾労組20団体の航空労組連絡会の副議長・村中哲也さんは「20労組はこれまで5年間に東京で17回の大集会を開き、33万人が参加し、4500万円の賛同金とカンパが集まった。この力が平和をつくり出す力だ。私が今つけている(航空労組連絡会の)腕章は飾りではない。労働者の命や日本の未来が危うくなっている時に、傍観しているような労組とはわけが違うという表明です」と誇りを持って語り、「むしろこれからが本当の闘い。労組の闘争力が試される。改憲反対の闘いを視野に入れて、平和のために頑張ろう」と熱烈に呼びかけた。
解雇撤回・JR復帰を闘う国鉄労働者から、平嶋慶二さん(鉄建公団訴訟原告団副団長)、高石正博さん(動労千葉争議団)がアピールした。高石さんは動労千葉の今春3波のストライキと3・20闘争を報告し、国鉄1047名闘争の勝利のために国労・動労千葉・全動労の3争議団・闘争団が一体となって闘うことが重要だと語り、今秋10・17アメリカ労働者百万人行進との連帯をかちとり11・7労働者総決起集会に集まろうと呼びかけた。
憲法・教育基本法の改悪と対決する教育労働者からは、まず都立高校で働く清川久基さん(都高教・「日の丸・君が代」強制処分撤回を求める被処分者の会)が、今春大爆発した東京の「君が代」不起立の闘いを報告し、不当処分粉砕の決意を表明した。
小泉政権の教育大改悪を「言うとおり(ゆとり)教育」「忠孝一貫校」とずばり風刺した広教組のコント集団「もみじまんじゅう」の熱演には、会場から何度も爆笑が起こった。
続いて、呼びかけ人の大内裕和さんが発言し、都の教育労働者の今春決起を「目が覚めるような素晴らしい出来事」「人間の尊厳をかけたぎりぎりの闘い」とたたえ、支援を呼びかけた。そして秋の11・6教基法改悪反対全国集会への全力の取り組みを訴えた。
反基地・反派兵の報告と決意
「反基地・派兵阻止のたたかい」のプログラムでは石川元平さん(元沖縄県教組委員長)が天皇ヒロヒトの戦争責任と戦後の沖縄売り渡しを徹底糾弾し、今も変わらない日帝の沖縄差別政策への怒りを表明し、米軍基地撤去へ闘う決意を述べた。
「とめよう戦争!隊員家族と元自衛官連絡会」の三尾雅信さんら3人の元自衛官は、イラクへの自衛隊派兵に絶対反対し、自衛官の決起をつくり出す決意を表明した。岡本三夫さん(第九条の会ヒロシマ代表)は参院選をただ一つ「憲法9条を守ろう」と訴えて闘ったと報告、「憲法を変えたら、日本は必ず核武装に突き進む」と警告し、改憲絶対阻止を呼びかけた。
湯浅一郎さん(ピースリンク広島・呉・岩国世話人)は、呉基地からイラクやアフガニスタンに「おおすみ」などが続々出航し、いまや呉基地が海自の恒常的な侵略派兵基地になっていることを徹底弾劾した。また米軍のトランスフォーメーションによる空母艦載機の厚木基地から岩国基地への移転計画に反対して闘おうと訴えた。
最後に高校生、大学生が若者たちのヒロシマアピールを行い、若い世代こそが闘いの先頭に立とうと呼びかけた。集会アピールを採択し、吉田良順さんの閉会あいさつで集会を終了した。行動方針を由木栄司呼びかけ人が提起した。
こうして3時間にわたる集会は反戦反核と国際連帯の熱気にあふれ、しかも闘いの中軸を労働者・労働組合ががっちりと牽引(けんいん)して大成功した。
長蛇のデモが市民と大合流
元気よくデモにうって出た。呼びかけ人・発言者を先頭に地元広島の労組や市民団体が続く。延々長蛇のデモ隊だ。大通りに出ると、太鼓をたたきリズムをとって進むデモ隊に沿道の市民が圧倒的に注目。本通りのアーケード街に入ると、デモ隊と市民が混然一体となった。外国人の親子や若者たちがつぎつぎとデモ隊に加わった。初参加の教育労働者は「こんなに楽しく、解放感あふれるデモは初めて」と感想を語った。
デモ解散地の平和公園では参加者全員が原爆資料館前に勢ぞろい。栗原君子さんが「これから1年、全国で運動を広げ、来年また広島で会いましょう」と発言し、団結ガンバローを行って今年の大行動を締めくくった。
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週刊『前進』(2162号5面2)(2004/08/23)
“小泉来広許すな”
統一実行委が集会とデモ
6日朝、広島・長崎反戦反核闘争全国統一実行委の主催で、小泉来広弾劾・侵略翼賛の祈念式典糾弾のデモが闘われた。
デモの出発点となった東千田公園(旧広大キャンパス跡地)での集会で、中島健・全国被爆者青年同盟委員長は、「核侵略戦争を推進する小泉を絶対に許せない。新たな戦時下でヒロシマ・ナガサキをくり返さない決意で闘おう」と述べた。
59回目の午前8時15分を前後し、デモ隊は平和公園の祈念式典会場に「改憲と核武装の小泉打倒」「自衛隊は即時撤兵せよ」の怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。その声は発言中の小泉を直撃し、テレビで全国に流れた。
デモ後、午前9時から核廃絶・被爆者解放集会がアステールプラザで開かれ、その後、正午からのヒロシマ大行動に参加した。
核兵器廃絶へ反核の集い
これに先立ち5日夕方には、「被爆59周年・ビキニ被爆50周年、8・5ヒロシマ反核の集い」がアステールプラザで行われた。
開会あいさつに立った入江史郎スタンダードヴァキューム石油自主労働組合(ス労自主)委員長は、「戦争の協力者、また被害者として、歴史の藻くずとなることは許されない」と闘う決意を表明した。
松井英介医師は、劣化ウラン弾被爆による白血病やガンで死亡したイラクの子どもたちの写真を紹介し、新型核兵器・劣化ウラン弾の廃絶を訴えた。
映画『ヒバクシャ』の鎌仲ひとみ監督が特別報告を行った。世界のヒバクシャと出会い、「核と人類は共存できない」と確信した経験を語り、原発と六ケ所村・核燃サイクルは核武装につながると訴えた。
大槻泰生・反戦被爆者の会会長は、「15年侵略戦争」における自らの加害責任を自己批判し、国家の戦争責任=被爆責任を徹底追及する決意を語った。
「とめよう戦争! 隊員家族と元自衛官連絡会」の青年は、「自衛隊の内と外から派兵拒否を訴えよう」と呼びかけた。三角忠・三一書房労組委員長がまとめを行い、熱気の中で閉会した。
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週刊『前進』(2162号5面3)(2004/08/23)
青年労働者が交流
労組活動の強化へ団結
6日夜と7日午後、「青年労働者交流集会 HIROSHIMA」が広島市内で開催された。日教組青年部で活動する各地の青年労働者の呼びかけにこたえ、地域・産別の違いを越え北海道から沖縄まで青年労働者260人が参加した。
6日夜は、松山大学助教授の大内裕和さんと動労千葉の田中康宏委員長が講演。大内さんは教育基本法改悪がめざすものを鮮明に提起した。田中委員長は7月の訪米と労働者との交流を報告、動労千葉を始め3労組が呼びかける11・7全国労働者総決起集会への大結集を訴えた。
7日午後の集会では広島平和記念資料館元館長の高橋昭博さんが、被爆体験にもとづくスライドを上映し、「二度とヒロシマをくり返してはならない。イラク戦争での核使用を許してはならない」と訴えた。「君が代」不起立を闘いぬいた都立高校の被処分者からもあいさつを受けた。
教育労働者を始め、各地で闘う青年労働者が次々と登壇、職場や組合での活動を報告し、「青年労働者の力で労働運動をよみがえらせよう」と訴えた。
最後に、11・6教基法改悪反対集会と11・7全国労働者集会にさらに多くの青年労働者の参加を実現して再会しようと誓い、元気のいい「ウルトラ団結ガンバロー」で終わった。
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週刊『前進』(2162号5面4)(2004/08/23)
教労が団結交流集会
処分を誇りに
東京・広島・全国から
6日夜、広島市アステールプラザ大会議室で、全国教育労働者団結交流会が開かれた。この交流会は、東京と広島の「日の丸・君が代」被処分者が呼びかけ、全国の被処分者や「日の丸・君が代」闘争を闘う教育労働者が賛同して開催されたもので、全国27教組から150人が参加した。
交流会では冒頭、松山大学助教授の大内裕和さん、元沖縄県教組委員長の石川元平さんの連帯のあいさつを受けた後、呼びかけ人のアピールを受けた。東京の被処分者からは、再発防止研修阻止闘争や、闘う方針をかちとった都高教大会の生き生きとした報告、予防抗告訴訟の現状が報告され、参加者の大きな拍手で迎えられた。
広島の呼びかけ人からは00年から始まった大量処分をはね返して教育基本法改悪反対運動をつくり出していることが報告された。
そのあと神奈川、大阪、三重、千葉などが各地の闘いを報告した。「処分を受けていないと肩身が狭い集会は初めて」という発言も出たように、東京と広島の闘いが合流し、被処分者を中心にした闘う教育労働者の団結を固めた画期的な交流集会となった。
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週刊『前進』(2162号5面5)(2004/08/23)
長崎 多彩な陣形で反戦集会
8・8闘う原水禁の復権誓う
8日午後3時から、長崎市丸山公園で、全国統一実行委主催の総決起集会が開かれた。集会には前日7日、佐世保基地での「海のフィールドワーク」に参加した全国の労働者や、午前中の長崎市内での街頭宣伝を闘った九州の労働者・学生が結集した。
集会では、全国統一実行委事務局長の三角忠さんが「8・9ナガサキをイラクからの自衛隊撤退、小泉戦争政権打倒、帝国主義を打倒する闘いとしてかちとろう」と訴え、デモ行進に出発した。学生・青年労働者のたたくドラムとデモ隊のシュプレヒコールは長崎市最大の繁華街・浜の町アーケードを揺るがした。「9・11」を間近に体験したアメリカ人の労働者がデモに飛び入り参加し、反戦集会が開かれる会場までのデモ行進を闘った。
「被爆59周年―ビキニ事件50年/8・8長崎反戦集会」は、8日午後4時半から長崎市の長崎県勤労福祉会館大ホールで開催された。集会には全国から200人が参加した。
司会の長崎の自治体労働者と福岡の教育労働者が開会を宣言し、本島等・元長崎市長が呼びかけ人あいさつを行った。本島さんは、「一番尊敬するのは『蟹工船』の小林多喜二です。虐殺され、その死体に人びとは石を投げた。私は天皇の戦争責任追及で銃弾を受けたが、日本全国から激励を受けた。小林多喜二の正しかったことが分かる。若い人たちに戦争の悲惨さを伝えるために生きたい」と訴えた。
続いて連帯のあいさつを反戦共同行動・福岡の石崎昭哲代表と部落解放同盟全国連合会の村上久義副委員長が述べた。
さらに、多彩な人びとが参加しアピールが行われた。第五福竜丸元乗組員の大石又七さんが「アメリカと日本政府がわずか9カ月で事件を消した。その時から私は被爆者でなくなり、核の怖さが忘れられた。自分の体験を多くの人びとに知ってもらいたい」と訴えた。
沖韓民衆連帯の都裕史(トユサ)さんは、「米軍再編は38度線での戦火をひき起こす。在韓国連軍は新たな決議などなくても命令一つで戦争を始められる。ピョンテックで米軍基地拡張のための農地強奪に反対し農民が命がけで闘っている。民衆の決死的連帯で勝利しよう」と、「米軍基地撤去を闘う韓国の闘いの報告」がなされた。
航空労組連絡会の村中哲也副議長は、全電通千代田丸分会の闘いの教訓をひきながら、「労働組合は平和と労働者の権利を守るために、死力を尽くして闘わなければならない。有事法制は9割方完成したが、しかしこれからが“発動させない、従わない”という本当の決戦だ。戦争反対の闘いに労働組合が先頭に立とう。20労組は憲法改悪に重大な関心を払う合意をつくった。ともに闘おう」と呼びかけた。
基調報告では、今年の8・9長崎闘争の課題と方針が鮮明に提起された。@現代世界を根底から規定しているのは帝国主義のイラク侵略戦争であり、この戦争は中東全域から世界戦争へと泥沼的に進みつつあること、A改憲=集団的自衛権の明記で全世界での戦争参戦に突き進む日本帝国主義を打倒しよう、B国際連帯で戦争を止めよう、C既成原水禁運動の腐敗、転向、屈服を乗りこえ、闘う原水禁運動を復権しよう――の4本柱が鮮明に提起された。
基調報告者はさらに、具体的な闘争方針として、「8月10日の護衛艦はまな出兵阻止佐世保闘争、8月21日の米原子力空母ステニス佐世保寄港阻止闘争から夏秋のイラク反戦、教基法改悪・改憲阻止闘争への総決起と11・6教基法改悪阻止全国集会と11月労働者集会・首都東京へ総決起しよう」と提起した。
また、教基法改悪・改憲阻止闘争への決起が、大内裕和さんの講演で提起された。
さらに、動労千葉と国労小倉地区闘争団日豊オルグ班の労働者が、階級的労働組合運動の再生をめざして、職場生産点での闘いとそこから反戦政治闘争に決起することを訴えた。そして、11月労働者集会への総決起が参加者全体で確認された。
集会は長崎被爆者青年同盟が「ナガサキアピール」を全世界に向かって発し、婦人民主クラブ全国協議会、労組交流センター九州協議会、全学連の決意表明を受け、実行委代表のまとめと団結ガンバローで終了した。イラク派兵下の今年の長崎反戦集会は、広範な結集で盛り上がり、今秋の闘いへ決意を打ち固めた。
集会と爆心地デモ 9日
9日、平和祈念式典・小泉出席弾劾、爆心地デモが闘われた。午前10時から長崎市の天主公園で総決起集会が開かれた。集会では部落解放同盟全国連合会の代表が狭山上告棄却27周年を弾劾し、イラク反戦―教基法改悪・改憲阻止の今秋闘争への総力決起を訴えた。全国被爆者青年同盟、ス労自主労組の発言の後、実行委員会からの基調提起を受け、長崎爆心地に向けてのデモに出発した。
原爆投下時刻の午前11時2分、デモ隊は平和祈念式典・小泉出席弾劾のシュプレヒコールをたたきつけた。爆心地公園ではデモ行進への飛び入り参加もあり、猛暑の中を意気軒高と闘いぬいた。
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週刊『前進』(2162号6面1)(2004/08/23)
「病者」の私が勝ち得た権利を全労働者に T・R
「病者」の私は、自分自身が職場にとどまりつづけ、休職しながらも既成の資本の就業規則を少しずつではあれ食い破りながら、「病者」の「症状」に合わせた労働条件に変えて行っています。
私は従業員3万人くらいの企業に勤めています。労働組合は連合で第二労務管理課と化しています。合理化・労働強化・新任管理職のいじめ・仕事を分け合っている同僚のずるがしこさ、などにより、「うつ病」を「発病」しました。最近でこそ超勤時間数から労災認定される例が出てくるようになりましたが、当時はまだ、「精神病」の労災認定はありませんでした。
元々は、長期休暇には日本アルプスへ、毎週の休みには近郊の山へ朝から晩まで出かけているような体力自慢でした。それが「うつ病」発病ととともに体力・気力が減退し運動をすることもなくなり、体力は落ちていく一方です。加齢とともに体力・気力の低下はすさまじいスピードとなってきています。私にとっては職場に通うことが一つの闘争となっています。
しかしその中で、通いつづけるために様々な条件を資本に要求し交渉し、多くのことを実現してきました。長期休職から復職する際にはいきなりフルタイム勤務が大変なため、短時間勤務からの復職を勝ちとりました。それは後に、就業規則に組み込ませ、すべての従業員が使える権利として成立しました。その他には、遅刻などで月間勤務時間数に達していなくてもお咎(とが)めは無しです(ボーナスでマイナスされますが、私の健康状態からすれば金銭に替え難いものです)。
また「うつ病」は緊張しやすくリラックスしにくい特性があるため、フルタイム勤務は非常にこたえます。そのため午後3時ごろの疲れがピークになるころ、体がだるくてだるくて耐えられません。もしがまんすれば次の日は休むしかありません。
そこで職場上司との話し合いで、「疲れたときには休みを取る」ということを実現しました。疲れたら横になって一眠りし、頭と体がスッキリしたら持ち場に帰るという権利を獲得しました。最初のころは「10分」と言われていましたが、このごろは1時間くらいは休みます。そのほかにも人間らしく働くための当然の条件を獲得しています。
私のこうした、巨大労組執行機関の外でのたった一人の条件闘争ですが、今後これからの時代に意味を持ってくると思います。私にとっての新指導路線は、「病者」である私が勝ちとっていく権利をすべての労働者の権利に拡大することです。小泉=奥田路線は、必ず「もうがまんできない!」というところまで進むでしょう。その時に、「病者」の私が獲得してきた内容で、第二労務課である労組を変革する時が、必ず来ると思っています。連合中の連合、総評解体の旗頭となってきた御用労組を最深部から食い破る、階級の胎動として闘っていきます。
めちゃうれしい青年労働者との出会い 関西 H・I
ある会議の帰途、電車の中で若い酔っぱらいのお兄ちゃんが向かいに座ってきた。私に「○○駅に着いたら起こしてくれませんか?」と頼んできた。私は「それはいいけど、まだ月曜日なのに何でそんなに酔ってんの?」と話しかけた。
「元々自分は工場で働いていたが、会社が上場企業に吸収されて営業職に出向になった」「本社の同じ年の営業の連中は俺の給料の倍もらってる。ボーナスも彼らは2カ月分。俺は0・8カ月分しかない。元々ベースが全然ちがう。これじゃ結婚もできない。まったくひどくてやってられない」と不満をもらす。「組合はないのか。そういう時は組合で要求するんだ」と言うと、「組合はある」との返事。
25歳で手取り15万円、週に一度は得意先と飲む。自炊でお金のやりくりがたいへんだと言う。前夜のドキュメンタリー番組で仕入れた三菱自動車の組織的なリコール隠しの話をした。私としては“消費者(=労働者)にウソをつく営業マンにはなるな”という思いで話したが、三菱の話には「そりゃひどい」と言って、自分は自分のセールスしているものに自信があると言う。“これは見込みある青年だ。こういう青年労働者が会社の中でつぶされてはいけない、つぶされるなよ”という思いで話をした。
20分余りの間に実によく交流できたものだ。こちらは“こういう青年労働者が革命を担うんだ”というスタンスだったので、“何かが生まれるかもしれない。営業だから名刺を持っているだろう。こういう機会をのがしてはいけない”と思い、「名刺ちょうだい」と要求した。そしたら名刺をくれた。
最初は“この酔っぱらい、隣のお姉ちゃんに迷惑かけるなよ”という思いで「起こすためにはたたいてもええんやな」という会話から始まったことではあったが、彼は眠るどころか駅に着くまでランランと目を輝かせて話し続けた。「がんばってな、またね」と言って別れた。
『共産主義者』の論文読み星野同志奪還へ 東京 水原浩司
最近発行された『共産主義者』141号のページを開いて一枚の絵にひきつけられた。星野文昭同志の自画像だ。
星野同志の写真は、これまで何回も見てきた。メガネをかけて正面を向いたものと、ヘルメットをかぶって笛を吹いているものだ。そのイメージと違うので、とまどってしまった。考えてみれば、30年も前の写真が、現在の彼と違っているのは当たり前だ。「そうか、星野同志はこんな顔なのか」としばし見入った。
さっそく、星野同志奪還を訴える論文を読んだ。
70年をともに闘った者として、星野同志を奪還しなければという思いはこれまでも持っていたつもりだ。しかし、何がどう問題なのか、具体的なことが分かっていなかった。今回の論文を読んで、そのことを痛感した。
彼を無期懲役にした確定判決が、どういう構造になっているか、また、どういう点で破綻(はたん)しているかが、全面的に解明されている。これを読めば、誰もが、星野文昭同志は無実なのだ、と確信するだろう。
特に、どうして彼の服装が「きつね色の背広上下」にされたのか、良く分かった。彼が実際に着ていたのは、「うす青のブレザーと明るいグレーのズボン」なのだ。「きつね色」と「うす青」、まるで違うではないか。どうして、このような食い違いが生じたか、『共産主義者』の論文を読んで納得した。
この11月、東京で星野集会が持たれる。無実の革命家が無期懲役を宣告され、30年も獄中で闘っている。これを絶対に許してはならない。星野文昭同志奪還へ、総決起しよう。
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週刊『前進』(2162号6面2)(2004/08/23)
全国一斉不当捜索弾劾
戦時下の治安弾圧に反撃を
8月9日、日帝・警察権力は、東京・江戸川区の前進社本社、各地の支社・支局を始めとして全国33都道府県130カ所もの一斉家宅捜索の大弾圧をかけてきた。130カ所には、杉並にある都政を革新する会の事務所、東北大学、富山大学、京都大学などの学生自治会室・サークルボックス、さらに各地の労組交流センター事務所、教育労働者を始め労組活動家や個人宅が多数含まれており、文字どおりの政治弾圧だ。満腔(まんこう)の怒りを込めて弾劾する。
ある個人宅では早朝、「佐川急便です」とウソをついて突入を図ろうとした。なんと卑劣なやり方か! さらに前進社などの事務所への捜索にはあらかじめエンジンカッター、バール、ハンマーを準備し、破壊のための破壊を強行したのだ。都革新事務所では、私服刑事がハシゴをかけて2階からの侵入を図るなど、攻撃は一段とエスカレートしている。こんな不当な弾圧を絶対に見過ごすわけにはいかない。
そもそも2年近くも前のゲリラ戦闘を口実に、事件とはまったく関係のない事務所や個人宅など130カ所もの一斉捜索を行うことなど絶対に許されるものではない。千葉県警による家宅捜索令状の請求に対して、求められるまま応じた千葉地裁の山田直之裁判官に強く抗議する。
この権力の攻撃は、捜索令状が8月3日に出されていることに示されているように、8・1革共同政治集会で打ち出された今秋11月決戦と05年都議選に至る1年間決戦方針に対する大弾圧である。まさに戦時下の政治弾圧であり、参院選敗北で危機にたたきこまれた日帝・小泉政権の凶暴化に対応した予防反革命にほかならない。
だが、弾圧によって革共同と労働者人民の結合とその闘いを抑えつけることなど絶対にできない。革共同は不当弾圧への怒りをバネに闘いぬく。
8・6広島―8・9長崎の闘いの大高揚を引き継ぎ、8月国労・自治労大会攻防を勝ちぬこう。教労を先頭に4大産別決戦の前進を、青年労働者の決起と一体でかちとろう。日韓米の国際連帯と階級的労働運動の再生を掲げて、11月労働者大行動へと勇躍踏み出していこう。
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週刊『前進』(2162号6面3)(2004/08/23)
基地阻止 攻勢に出る沖縄人民
参院選で基地との共存を拒否する意志をきっぱりと示した沖縄人民は、名護市辺野古での海上基地建設阻止の座り込み、金武町民こぞっての都市型戦闘訓練施設建設阻止闘争を最先端に、「今闘わなくていつ闘うのか」(命を守る会・金城祐治代表)と攻勢に転じている。
平良牧師を先頭に 国会前で座り込み
「辺野古で私たちは反対運動をしているんじゃない。絶対阻止行動をしているんです。機動隊がいつ突っ込んでくるか、一日一日がギリギリの闘いです」
8月2日午前8時、臨時国会が開会中の国会に沖縄から沖縄平和市民連絡会の共同代表であり、辺野古の座り込み闘争の現場責任者の一人である平良夏芽牧師が海上基地建設の白紙撤回を求めて国会にやってきた。この日、辺野古での基地阻止の座り込み闘争は106日を迎えていた。
「基地があることは人殺しに加担していくこと。基地との共存は許してはならない。沖縄にいると加害者であることがよくわかる。だからもう戦争はいやだと座り込みました」「この時期になぜ東京に出てきたか。東京で声が上がらない限りは白紙撤回はありえないからです」と平良さん。
国会前には一坪反戦地主会関東ブロックやキリスト者を始め延べ200人を超える労働者・市民が次々と集まった。婦人民主クラブ全国協代表の西村綾子相模原市議や新城節子杉並区議、沖縄民権の会の座覇光子さんも駆けつけともに座り込んだ。「ヨッシーとジュゴンの家」は1時間に一回のライブで「基地はいらない」と歌った。
同日夕、国会前から市谷に移動、名護新基地建設の白紙撤回を要求する防衛施設庁への抗議行動が闘われた。その後に開かれた緊急報告会では、平良さんが辺野古での闘いの現状を報告、国会行動への結集とその継続を呼びかけた。
国会前座り込み2日目の3日、先の参院選で基地建設反対を掲げて沖縄選挙区で圧勝した糸数慶子参議院議員が訪れ、「皆さんと一緒に広く県民運動として広げていこう。沖縄の海に杭一本打たせない。一緒に守っていきましょう」と熱く呼びかけた。大田昌秀参院議員、東門美津子衆院議員らも激励に訪れた。
第2章 100日超え決起拡大 施設局との攻防続く
8月5日、辺野古座り込み109日目、朝のミーティングでは山城平和運動センター事務局長が、ボーリング調査および新基地建設撤回を求める要請文を国・県・市に提出した際の不誠実な対応を報告した。
午後3時半すぎに那覇防衛施設局がやってきた。7月の人事異動で着任した大八木課長との初対決だ。この日、警備体制は厳戒を極め、名護署の私服刑事に加え、県警本部の公安も繰り出して、すきあらば弾圧に出る姿勢を示し、「テントを撤去せよ」などとがなりたてた。
この施設局をヘリ基地反対協の大西照雄共同代表が迎えた。大八木は、「普天間基地は騒音が問題だが危険だという認識はない。したがって辺野古住民を危険にさらすことはない」「中止や白紙撤回する理由は何もない」と開き直った。反対協は「勉強してこい。それまでは来るな!」と怒りを込めて撃退した。
大八木は「施設局は強行突破も辞さないつもりなのか」と問われて「あるともないとも言えない」「準備・段取りだけは進める」と事実上、強行突破もありうると公言した。一方で国は「公開説明会」の開催を検討するなど、「沖縄の声もちゃんと聞きました」というアリバイづくりで反対運動の切り崩し、分断を図ろうとしているのだ。
座り込みテントには、本部町豊原区の海自P3C通信施設建設を実力阻止している住民などが続々参加。自治労・教労を先頭に民間も含め沖縄の労組が「年休闘争」で座り込みを死守している。特に普天間基地の地元である宜野湾市職労は毎日辺野古に駆けつけることを組合討議で決定し、実行している。
辺野古の座り込み闘争が沖縄のさまざまな反基地闘争を一つにつなぎ、新たな島ぐるみ闘争のうねりとなっている。
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週刊『前進』(2162号6面4)(2004/08/23)
都市型訓練施設建設許すな
県庁前に1200人
8月8日午後3時、那覇市の沖縄県庁前広場で金武(きん)町のキャンプ・ハンセン内の米陸軍都市型戦闘訓練施設建設中止を求める集会が、伊芸地区建設反対実行委員会の主催で開かれた。地元住民が大型バス3台、各区のマイスロバスなどで大挙結集、目標を大きく上回る1200人が集まった。
集会ではまず、池原政文伊芸区区長が「国家は私たちを見捨てた」と弾劾。成人会、子供育成会、子供会、婦人会、町長、老人会の各代表が発言した。
子供会代表は女子中学生3人。「お父さん、お母さん、おじい、おばあがゲート前で毎日頑張っている。なぜ危険が分かっているのに建てるのか。自分たちは逃げ場がない。小泉首相、私たちを助けて下さい」と訴えた。きょうだいが米軍に銃撃された婦人代表は「足腰の弱い老人が孫の手を引き、足を引きずり、心をひとつにしてゲート前に毎日通っている。金武は60%が基地。3年後に人工ビーチができるが、新たな施設ができれば誰も寄りつかない」と断言した。
集会後、国際通りをデモ。小学生のプラカードには「日本政府は誰の味方だ。住民の命を守れ」。「都市型戦闘訓練施設建設反対」ののぼりは自治労金武町職労だ。
黙っていたら日米政府にいいように利用され、侵略戦争の加担者にされる。しかし、闘えば変えられる、勝てる。この自信が労働者人民の間に広がり、怒りのマグマは噴火寸前だ。
* 米陸軍都市型戦闘訓練施設
米軍キャンプ・ハンセン基地内に新たに射撃用建物、強行突入訓練施設、野外射撃場、懸垂降下兼実弾射撃訓練場、管理施設などを造ろうというもの。建物のドアを蹴破って内部の敵を殺すための訓練は、四方八方から銃弾が撃ち込まれるので危険極まりない。この施設が住宅地からわずか300bの所に造られようとしている。
4月25日工事着工。以来工事業者の車両を阻止する基地ゲート前での早朝闘争が続けられている。
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週刊『前進』(2162号6面5)(2004/08/23)
“差別判決許せない”
狭山要請行動 荒本支部員が糾弾
8月3日、部落解放同盟全国連合会と解放共闘は30人で、狭山第2次再審特別抗告審闘争として最高裁と最高検に対する糾弾・要請行動に立ち上がった。
午前、星陵会館での集会で全国連の楠木吉秀事務局長があいさつし、「解同本部派は民主党のもとで戦争推進勢力に転向した。その中で部落差別が激発している。差別糾弾を基軸にすえ、10・31寺尾判決30カ年糾弾の今秋狭山決戦に決起しよう」と訴えた。
次に、全国連の小森勝重狭山闘争本部事務局長が基調報告を行い、「解同本部派は『10月末に弁護団が補充書を提出するまで特別抗告棄却はない』と武装解除しているが最高裁は事実調べをせず、棄却を狙っている」と警鐘を乱打した。
集会後、最高裁までデモ(写真)し、午後、最高裁、最高検に要請行動。
最高裁で全国連荒本支部の支部員が糾弾した。「私は、小学校も満足に行けなかった石川一雄さんと同じような生い立ちです。『家庭の愛情に恵まれなかったから凶悪な犯罪を犯した』などと言うのは許せない。私たちは差別の中で親の愛情を受けて育った。私たちより学力のある裁判官がこのような判決を出して世にまかり通らせていること自体が部落差別だ」。1審以来、差別論告を支持してきた裁判所への怒りに担当の書記官らは圧倒された。
最高検で要請団は「1審差別論告を自己批判し、撤回せよ。昨年11月の最高検有田検事の証拠開示拒否宣言を撤回せよ」と追及した。石川さん逮捕直後の警察鑑定が脅迫状の封筒にペンによる抹消線があると報告していることを指摘した斎藤鑑定補遺に関連して、「41年も埋もれていた真実が今になって明らかにされている。これは証拠開示が不可欠であることを示している。直ちに未開示証拠を開示せよ」と迫った。
最高裁も最高検も質問に一言も答えられなかった。
特別抗告棄却阻止・秋の狭山闘争を闘おう。
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週刊『前進』(2162号6面6)(2004/08/23)
公判日程
☆迎賓館・横田裁判
福嶋昌男同志裁判
9月1日(水)午後1時15分
*東京地方裁判所
☆6・12私文書弾圧裁判
判決公判
9月30日(木)
*東京高等裁判所
*東京地方裁判所
☆6・12私文書弾圧裁判
6月10日(木)午後1時30分
*東京高等裁判所
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