ZENSHIN 2004/07/26(No2159 p06)

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第2159号の目次

参院選勝利の報告に辺野古の座り込みテントを訪れ、「命を守る会」の金城祐治代表とがっちりと握手を交わす糸数慶子氏(7月13日 朝) 記事を読む  
1面の画像
(1面)
8・1革共同集会に結集を
到来した新たな革命的激動を帝国主義打倒・世界革命勝利へ
小泉自民惨敗−参院選の結果と展望
記事を読む  
沖縄 “基地建設絶対反対”糸数氏が圧勝 記事を読む  
夏期カンパのお願い 革命の事業の展望かけて 記事を読む  
8・1革共同政治集会
労働者階級の国際的団結で世界革命勝利の展望切り開こう
記事を読む  
(2面)
4大産別を先頭に小泉打倒へ
「改革」への幻想は吹き飛んだ 郵政民営化阻止を軸に反撃を
骨太方針2004を徹底批判する
記事を読む  
04人勧闘争 大幅賃上げ掲げ闘おう
定昇廃止・査定昇給許さない
記事を読む  
日野「君が代」伴奏拒否裁判
教員の良心の自由侵害 控訴棄却を許すな(7月7日)
記事を読む  
資本攻勢&労働日誌 2004 6・29〜7・9
労働時間規制除外の要求次々
全逓4・28裁判で勝利判決/関西航業争議が和解
記事を読む  
国労5・27臨大闘争弾圧公判日程 記事を読む  
(3面)
JR総連カクマル分裂さらに決定的に
東労組大会 小林除名、嶋田派に「制裁」
松崎崇拝と“総団結”叫ぶ
記事を読む  
連合と参院選 組織内候補に投票せず
労働者支配の危機と空洞化
記事を読む  
戦争・民営化と闘う自治体労働運動を D指定管理者制度の導入
資本に丸投げし解雇も 公共施設で利潤追求狙う
記事を読む  
(4面)
8月広島−長崎反戦反核闘争へ
劣化ウラン弾の使用を許すな 全国被爆者青年同盟のアピール
記事を読む  
小泉戦争内閣倒そう 全国統一実が呼びかけ 記事を読む  
−被爆59周年−
今こそ、ありったけの力を集めて、戦争をとめよう 8・6ヒロシマ大行動
記事を読む  
8・6−8・9反戦反核闘争日程 記事を読む  
演習場内をデモ 日本原で実射阻止闘う(7月6日) 記事を読む  
核武装化を狙っている日帝
2倍のコスト高を隠蔽し核燃料再処理で原爆材料(久木寛)
記事を読む  
日誌'04 7月6日〜13日
大統領選「テロあれば延期」 多国籍軍の死者が1000人超
記事を読む  
(5面)
闘いの圧殺を図る国家安全法 米英で「開戦口実はウソ」報告
主権移譲で激化する解放闘争
記事を読む  
北朝鮮侵略戦争に向けた 「国民保護計画」粉砕を 記事を読む  
法政大 学館解体に怒り沸騰
800人が結集し学生部長追求 サークル員を先頭に決起(7月13日)
記事を読む  
学生大会に500人結集 安田さん講演、活発な討論(7月9日) 記事を読む  
(6面)
団結ひろば 投稿コーナー 記事を読む  
解同全国連長野県連大会
“同盟員2倍化を” 部落差別の実態に怒り(投稿/N・Y)(6月20日)
記事を読む  
警官増員・テロ根絶・入管強化
日共の参院選政策を断罪する
記事を読む  
寄稿 苦節25年の勝利判決に感動の歓声と拍手
全逓調布OB 早川繁雄
記事を読む  
公判日程 記事を読む  

週刊『前進』(2159号1面1)(2004/07/26)

8・1革共同集会に結集を
到来した新たな革命的激動を帝国主義打倒・世界革命勝利へ
 小泉自民惨敗−参院選の結果と展望 

 7月11日に投開票が行われた参議院議員選挙において、小泉・自民党は大敗北した。日本帝国主義は、自民党と公明党の連立によってかろうじて立っているという危機的な階級支配の現実を露呈した。3年間の「小泉改革」に対して労働者階級人民の巨大な怒りが爆発し、小泉に鉄槌(てっつい)を振り下ろしたのである。多国籍軍参加によるイラク侵略戦争の拡大、年金大改悪による労働者人民の生活破壊という「外に向かっての侵略戦争、内に向かっての階級戦争」の攻撃に対する労働者人民の明確な拒否表明にほかならない。これは、世界戦争過程への突入、米英日帝のイラク侵略戦争のもとで階級情勢の大激動を生み出す世界史的な事件である。今や、日帝・小泉政権打倒の巨大な展望が切り開かれた。戦時下の階級決戦において労働者階級は勝利できることが圧倒的に示された。われわれは、小泉打倒−帝国主義打倒に向かってさらに全力で闘うことを訴える。と同時に、民主党の道は自民党と基本的に同じであり戦争と資本攻勢を強めることであることを明確にさせて、社・共をのりこえる闘う労働者党をともに建設することを訴える。8・1革共同集会に総結集しよう。

 第1章 自民党支配の崩壊示す地滑り的敗北

 今回の選挙結果が示していることは何か。
 自民党の獲得議席は、選挙区で34、比例区で15、計49であり、連立与党の公明党の計11を加えても60にとどまった。自公を併せても改選議席の過半数(61)に届かなかった。
 青木参院自民党幹事長は選挙前に、自民党が51議席を割ったら小泉政権は「死に体」になると言っていたが、まさにその勝敗ラインを割ってしまった。小泉政権は、「非改選議席を足せば自公で過半数になるので政権に影響はない」と居直っているが、敗北を塗り隠すことはできない。
 議席数で自民49は、民主50と大差ないように見えるが、投票総数(得票率)を見ればそうではない。比例区では、自民党1679万7687票(30・0%)に対し民主党2113万7458票(37・8%)、選挙区では、自民党1968万7954票(35・1%)、民主党は2193万1984票(39・1%)であり、大変な差なのである。
 前回参院選では比例区で自民38・6%、民主16・4%、選挙区で自民41・0%、民主18・5%だった。しかも今回、選挙区の自民党票は公明党の自民党支援票を含んでいるのだ。
 今回の得票結果を衆院選でシミュレーションすると、民主党307、自民党131になる。まさに小泉自民の惨敗である。戦後史を画する事態なのだ。
 大都市で自民党が大敗しただけではない。とりわけ、自民党の金城湯池と言われてきた1人区で、自民党が27議席中13議席を落としたことは、自民党支配の岩盤崩壊のような重大な意味を持っている。当選したところも、公明党の露骨な支持と協力があって初めて当選したのである。
 しかし同時に、公明党自身も壁にぶつかっている。公明党が特別に力を入れて自民党への投票を組織した8選挙区のうち、3選挙区で自民党を勝たせることができたにすぎない。政権政党にすがりつき、帝国主義支配の危機の安全装置としての存在意義しかない公明党には未来はない。公明党の掲げる「平和」や「百年安心の年金」を先頭で破壊しているのが公明党ではないか。そのことを労働者階級はすべて知っている。公明党の危機が自民党危機の加速と一体となって進行することは不可避である。
 また、沖縄選挙区で全国で唯一の革新統一候補となった糸数慶子氏が31万6148票を獲得し、自公候補に9万5千票の差を付けて圧勝したことは、今回の選挙における自民党敗北の特筆すべき指標である。名護新基地建設に反対し、反戦平和と基地撤去へ闘う沖縄人民の小泉政権に対するノーの意思表示であり、日本の全労働者人民の闘いの先頭に立つ勝利である。

 第2章 労働者は民主党を心から支持したか

 では、今回の選挙は何をめぐる闘いであったのか。
 参院選の最大の争点は、明白に小泉のイラク多国籍軍参加を支持するか否か、また、小泉の年金改悪法強行を支持するか否かにあった。そして、圧倒的多数の人民が小泉の政策に拒否の回答をたたきつけたのである。それは、大衆の生活に手を突っ込んできた小泉に対する怒りの反撃であり、米帝ブッシュとともにどこまでもイラク人民をじゅうりんすることに対する反対の意思表示である。したがって、それは議会選挙の枠内でのことではあれ、労働者人民が日帝・小泉打倒に一歩踏み出したことを意味しているのである。
 また、小泉は「景気回復」を実績であるかのように宣伝したが、それはペテンであり、幻想でしかないことが暴かれた。日本経済の実態は、リストラと輸出攻勢によって大企業の一部が業績を上げているだけで、労働者の実感は、生活苦と労働強化であり、宣伝とかけ離れたものだった。労働者人民は、小泉=奥田路線による資本攻勢、政治=経済攻勢に対する怒りを爆発させたのである。
 さらに、小泉は選挙前の思惑に反して憲法改悪を真っ向から争点として押し出すことができなかった。これも今日の自公連立体制の脆弱(ぜいじゃく)性を示すものである。日帝はいよいよ改憲に突き進もうとしている。だがそのためには、民主党をさらに屈服、分解させてより反動的な体制をつくらなければならない。改憲阻止闘争が巨大に爆発する展望は圧倒的にあるということである。
 小泉は、参院選を前にして年金改悪法案の強行採決を行い、また、国会閉会後に多国籍軍参加の閣議決定を行うという、これまでの自民党政権なら選挙前には避けることをあえて行い、その争点化の中で選挙に臨んだ。労働者人民をなめきったこの二つの暴挙に対して、急速に小泉への怒りが拡大し、自民党の地滑り的な敗北となったのだ。
 参院選最終局面では、拉致被害者家族のジャカルタでの再会(北朝鮮スターリン主義・金正日の小泉との取引政治でもある)を演出した。にもかかわらず、まったく自民党の敗勢を巻き返すことはできなかった。
 他方、民主党の躍進と言われていることは、労働者にとって何を意味するのか。さしあたり労働者階級が民主党への投票を集中したとしても、それは労働者階級の民主党への支持や信頼を意味するものではない。きわめて反人民的な選挙制度のもとで、野党第1党に票が集中したということである。労働者階級にとってはとにかく自民党・小泉に一矢を報いたい、その一心からの選択であった。
 民主党自身が極右やファシスト的勢力から旧社会党までを含む雑多な寄り集まりであり、その基盤はきわめてもろく不安定である。
 民主党が改選議席で第1党派になったことは、日帝支配階級が政治支配をこれまでどおり続けられなくなったことの象徴である。
 民主党は、「2大政党制の時代」「政権政党への第一歩」と宣伝している。だが、その政策は、まず何よりも国連決議をもってする多国籍軍参加を提唱し、「創憲」の名で憲法改悪をうたい、有事法制の成立に賛成し、緊急事態法成立を推進する。一方では、年金改悪で自公政権と3党合意をかわし協力し、年金一元化は消費税増税で財源を確保すると公言する。そういうものでしかないのだ。まさに徹底的な反労働者的な政党である。第2自民党であり、労働者の敵である。
 この民主党の最大実体である連合は、比例区で8人、選挙区で6人をそれぞれ組織内候補として当選させた。比例区では連合候補の個人名を書かせることに必死になった結果、連合右派が上位を占めたが、それでも前回から3万票しか増えず、連合700万人の2割しか投票していないことが明らかになっている。労働者階級は、連合中央の支配から離反して空洞化が進んでいるのである。第2自民党、戦争と資本攻勢に道を開く民主党を支える連合指導部を打倒しなければならない。
 日帝ブルジョアジー、日本経団連は、今回の選挙結果に大打撃を受けている。だからこそ日本経団連会長の奥田は、選挙結果について「小泉改革への影響はない」と強弁し、小泉=奥田路線のもとに、政治=経済攻勢を強めようとしているのだ。

 第3章 基底に階級闘争の流動と高揚がある

 参院選での自民惨敗は、イラク情勢を起点にした今日の国際階級闘争全体を揺るがす世界史的な事件である。特に米帝ブッシュは、日本の選挙結果に打撃を受け、大統領再選戦略を練り直さなければならないところに追いつめられている。
 日本の自民党の敗北は、3月のスペインの総選挙での政権転覆とイラクからの撤兵、4月の韓国総選挙での民主労働党の躍進、6月のイギリスの地方選挙での労働党の大敗北と第3党化に続く事態なのだ。それは米帝の最も強力な同盟国における政変の現実性を突きつけ、帝国主義世界支配の危機に直結している。
 この情勢は、本質的に、昨年以来の全世界的なイラク反戦闘争の高揚、日韓米労働者の国際連帯闘争の前進、そして今年の春の動労千葉の春闘ストライキを軸とする労働者人民の闘い、そして3・20から6月の反戦闘争の貫徹にいたる戦闘的な決起が基底においてつくりだした情勢である。つまり、階級闘争の大流動が参院選情勢をもつき動かしているということである。
 今や戦時下で革命的階級的な大激動が始まり、小泉打倒から帝国主義打倒への現実性と展望が、大きく切り開かれつつあるのだ。

 社・共の無力性は極まった

 一方、社民党は、一層無力化しつつ、かろうじて改憲に対する危機感に訴えて存在を示そうとしている。しかし、改憲攻撃に「護憲」を対置しているだけでは日帝と対決することはできず、小泉の改憲攻撃に打ち勝つことはできない。さらに、社民党が労働者の階級的団結に背を向けてしまったことが、今日の衰退をもたらしたことを確認しなければならない。
 また、日本共産党はどうか。6年前の選挙で15議席をとり、民主党との野党暫定政権構想を打ち出した日本共産党は、00年の総選挙以来の国政選挙で敗北を重ね、今回の参院選でも比例区で4議席、選挙区では45年ぶりのゼロ議席という大敗北となった。
 打撃を受けた日本共産党は、12日に常任幹部会の声明をまとめることができず、13日に発表した。そこでは、「二大政党の流れが強力につくられるもとで、私たちの訴えは、国民の世論を大きく動かすにはいたりませんでした」と指導責任を回避して「総括」されている。
 だが真の敗因は、彼らが労働者階級の根底的な力に依拠して闘うことを投げ捨てているところにあるのだ。今年1月の23回党大会で、「労働者階級の闘い」を完全抹殺し、自衛隊の存在を容認する新綱領を決定したことで、広範な党員と労働者の離反、選挙運動そのものの不活発化を生み出してしまったのだ。これは階級的労働運動、大衆的政治闘争を抑圧し敵対してきたことの必然的帰結である。連戦連敗の不破・志位指導部は、日本共産党の崩壊の道を掃き清めている。
 今や、無力化し反動化して労働者階級の闘いの圧殺を強める社民党、日本共産党をのりこえる、真の闘う労働者階級の党の登場が求められている。労働者階級のこの希求に全力でこたえなければならない。

 第4章 小泉打倒し階級的労働運動の前進へ

 小泉は、選挙結果について「逆風の中で、よく安定多数を与えてくれた」などと居直り敗北を認めず、辞任もしない(党役員の誰も責任をとらない)ことを表明した。そして「改革は民意」などと強弁している。
 日帝・小泉は危機にあえぎながら、「構造改革路線にかんする基本的な考え方は変わらない」と方針堅持を表明した。そして9月にも経済財政諮問会議が郵政民営化の基本方針を決定しようとしており、それを当面の政権延命の突破口にしようとしている。また、来年11月の自民党憲法草案発表に向かって攻撃を強めようとしている。
 小泉打倒、日帝打倒に向かっての大激動、大流動が始まった。何よりも、小泉=奥田路線との大対決の決戦が今次参院選をもって新たに開始されたのだ。
 戦時下において労働者階級が日帝支配階級と激突し打倒していく、まさに「闘うアジア人民、イラク・ムスリム人民と連帯して、日帝の侵略戦争を内乱に転化しよう」というスローガンに表される帝国主義打倒とプロレタリア革命勝利の現実性が明々と示されているのだ。闘うイラク人民、米日帝の朝鮮侵略戦争の切迫のもとで闘う民主労総を始め韓国の労働者、「ブッシュ打倒、ケリーもノー」と決起するアメリカ労働者階級と連帯し闘おう。
 米軍のトランスフォーメーションは、座間、横田、横須賀を軸に、日本をアジア太平洋の軍事作戦上の基軸(ハブ)と位置づける大再編であり、戦後の日米安保体制の大変容をもたらすものである。イラク侵略戦争、朝鮮(中国)侵略戦争に向かっての攻撃として全力で対決しよう。
 一切は革共同の基本路線(労働運動、労働組合運動への全面的突入)である新指導路線の貫徹にかかっている。国鉄、教労、自治労、全逓の4大産別決戦を軸に全産別の階級的闘いを強めよう。マル青労同1000人建設へ突き進もう。
 動労千葉労働運動との共闘の拡大、「日の丸・君が代」処分攻撃と対決する教労決戦、郵政民営化阻止の闘いを強めよう。全逓4・28反処分闘争の高裁逆転勝利判決は、全労働者階級を激励している。また、東京の教育労働者の「日の丸・君が代」拒否の決起は、巨大な闘いの道を切り開いている。連合、全労連指導部の裏切りを打ち破ろう。
 労働組合に結集し、階級的団結をつくり出していくことが、帝国主義の支配を打ち倒していく基礎であることを強く訴える。
 8・1革共同集会の成功をかちとり、8月広島・長崎反戦反核闘争、8・15闘争に決起し、今秋の壮大な決戦に進もう。

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週刊『前進』(2159号1面2)(2004/07/26)

 沖縄 “基地建設絶対反対”糸数氏が圧勝


参院選勝利の報告に辺野古の座り込みテントを訪れ、「命を守る会」の
金城祐治代表とがっちりと握手を交わす糸数慶子氏(7月13日 朝)

 参院選沖縄選挙区では普天間基地の無条件返還、辺野古移設反対を掲げた糸数慶子氏が31万6148票を獲得、与党候補に9万5345票の大差で圧勝した。
 7月13日早朝、糸数氏が辺野古を訪れた。この日、海上基地建設阻止の座り込みは「2639日+86日目」を迎えていた。
 座り込みテント内は歓声と拍手に包まれた。「糸数勝利で防衛施設局に一泡吹かせてやる」と奮闘した「命を守る会」のおじい、おばあたちもテントに駆けつけ、糸数氏と握手し、抱き合って勝利を喜んだ。
 糸数氏は、「今度の選挙は、基地に賛成か反対か、戦争がいいか悪いか、○か×かの選挙でした。辺野古の皆さんの闘いが私に勇気を与えてくれました。この海も知らないで辺野古案を主張する国会議員は、みんなここへ連れて来ます。今後もよろしく」と力強く語った。
 保革一騎討ちとなった選挙戦での糸数圧勝こそ、「基地はいらない」「沖縄戦を繰り返すな」と、沖縄県民が行った選択だ。
 糸数氏は、普天間基地を抱える宜野湾市で圧勝し、新基地建設予定地の名護市を含む北部全域で勝利した。特筆すべきは、伝統的な保守地域と言われる金武町でも勝利したことだ。米軍キャンプ・ハンセン内の都市型戦闘訓練施設建設阻止に町ぐるみで取り組む金武町住民の強固な意思表示だ。
 日帝・小泉の極悪の沖縄差別支配とその手先=稲嶺県政に対する沖縄県民の「怒りのマグマ」が噴き出し始めたのだ。
 同日午後3時半、選挙後初めて那覇防衛施設局がやってきた。ヘリ基地反対協の大西照雄さんが開口一番、選挙結果をどう考えるのかとただした。施設局の職員は「選挙の結果にかかわることなく粛々と作業を進めていく」と開き直る。座り込みの人びとから怒りの声が飛ぶ。安次富浩共同代表が「県民は基地建設にノーの意思を示した。これまでどおりの施設局のやり方は通用しない」と厳しく批判した。
 「選挙後に問題を解決する」と豪語してきた日帝・防衛施設庁は日々の座り込み闘争に追い詰められている。沖縄人民は島ぐるみで立ち上がり、糸数勝利をかちとった。名護新基地建設阻止闘争は決定的な反転攻勢の時を迎えている。
 全国から辺野古の座り込みに駆けつけよう! 激励・カンパを「命を守る会」に集中しよう!

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週刊『前進』(2159号1面3)(2004/07/26)

夏期カンパのお願い 革命の事業の展望かけて

 すべての支持者、読者のみなさんに重ねて圧倒的な夏期一時金カンパの集中を訴えます。
 なぜならそれに値する闘いと展望が目の前に広がっているからです。
 7・11参院選でついにたまりにたまった怒りが爆発しました。労働者人民をなめきった小泉・自民党に、年金改悪とイラク派兵への拒否が突きつけられたのです。そして小泉・自民党が実は公明党に支えられなければ立ってもいられないような末期的危機にあることが暴かれたのです。
 これが日本帝国主義の本当の姿であり、労働者階級自身の闘いによって絶対に打倒できることが明らかになったのです。居直る小泉を打倒する大闘争に打って出るときです。また自民党への怒りの票を集めた民主党の勝利は安定的な2大政党制への道ではなく、まさに支配階級の大分裂という革命情勢の始まりになるでしょう。
 これはスペインでの政権転覆やイギリス地方選でのブレア労働党の3位転落に並ぶ大事件であり、帝国主義の「有志連合」に痛打を浴びせています。アメリカでもこの10月、反動的2大政党制のもとでの大統領選に対して、「ブッシュ打倒、ケリーもノー」の百万人労働者大行進」が計画されています。韓国では、追加派兵に対してゼネストと派兵軍・軍事物資輸送拒否の大闘争がたたきつけられています。まさに世界帝国主義の足下から労働者階級の大攻勢が始まったのです。
 革共同は、命がけの攻勢で米英占領軍の支配を泥沼に追い込んでいるイラク人民と連帯し、多国籍軍参加阻止・自衛隊撤兵の大闘争を実現します。また革共同は改憲を公然と叫ぶ小泉・奥田との大決戦に、統一戦線を形成して突入します。
 ついに戦時下に突入した今、かつて「侵略戦争には反対しました」と言って裏切りを合理化した日本共産党の轍(てつ)を絶対に踏むわけにはいきません。社民党・日本共産党を見限った労働者人民の前に、今こそ革共同が圧倒的存在感をもって登場しなければなりません。
 革共同は今、労働組合が革命運動とプロレタリア独裁の過程のみならず国家の死滅と共産主義の実現にとっても決定的役割を果たすという、労働組合論の革命論的確立をもって、日本革命を切り開こうとしています。革共同が労働組合に深く根ざした組織と運動を持ったとき、日本のプロレタリア革命の現実性は一挙に引き寄せられるのです。
 その中軸で、新生マル青労同1000人建設が圧倒的な可能性に満ちて開始されています。未来は青年のもの! それが今、明らかになりつつあるのです。すべての読者のみなさん。そして青年労働者のみなさん。この展望にかけ、ともにこの事業に参加してください。そのためにはそれにふさわしい財政が必要です。10万円単位でのカンパを重ねて訴えます。
【送り先】東京都江戸川区松江1・12・7前進社
振替00190―0―88857

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週刊『前進』(2159号1面4)(2004/07/26)

8・1革共同政治集会

労働者階級の国際的団結で世界革命勝利の展望切り開こう

■東京

基調報告 革共同書記長 天田三紀夫
◆ビデオ 「歴史的決戦情勢切り開いた04年前半期の闘い」
◆連帯のあいさつ 三里塚反対同盟/北富士忍草母の会/部落解放同盟全国連合会
◆各産別委員会の代表と青年労働者の発言
◆獄中同志奪還! 戦時下の弾圧を打ち破ろう
◆決意表明 マル青労同/差別・抑圧と闘う戦線/全学連
8月1日(日)午前11時半開場
豊島公会堂(池袋駅下車)

■関西

基調報告 今岡 透
◆連帯のあいさつ 部落解放同盟全国連合会ほか
◆闘う戦線からのアピール
◆アピール マルクス主義青年労働者同盟
◆特別報告 教育労働者/国鉄労働者
◆決意表明 労働戦線(全逓・自治労・民間)/学生戦線
8月1日(日)正午開場 午後1時開会
尼崎市立労働福祉会館(阪神尼崎駅下車、北へ約600b)

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週刊『前進』(2159号2面1)(2004/07/26)

4大産別を先頭に小泉打倒へ
「改革」への幻想は吹き飛んだ 郵政民営化阻止を軸に反撃を
 骨太方針2004を徹底批判する

 今次参院選で小泉自民党は惨敗を喫した。自衛隊のイラク派兵と多国籍軍参加、年金改悪を頂点とした一大資本攻勢に対し、労働者階級人民ははっきりと拒否を突きつけたのだ。小泉構造改革が労働者人民の生活を破壊し、戦争動員さえ強制して、日帝資本の延命を図るものでしかないことは赤裸々となり、改革への幻想は今や完全に吹き飛んだ。だが、小泉には構造改革に突き進む道しか残されていない。日帝にとって他に選択の余地はないからだ。小泉政権は参院選に先立つ6月4日、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」(骨太方針W)を閣議決定した。これは、小泉・奥田の政治=経済攻勢の集大成であり、戦時下の国家・社会の改造計画だ。国鉄、全逓、自治労、教労の4大産別を先頭に階級的労働運動を再生し、小泉改革粉砕、小泉政権打倒へ総決起しよう。

 参院選敗北を居直り「改革続行」叫ぶ小泉

 参院選に敗北した小泉は、顔面蒼白(そうはく)になりながらも、「(選挙結果は)改革をやれということ」「(郵政民営化の)方針は断固、変わりない」とうそぶいている。日本経団連会長の奥田も、「参議院全体では与党が安定多数を確保しており、構造改革路線への影響はないと考える。今後は、改革の中身を深彫りし、郵政民営化や総合的な社会保障制度改革の推進に注力すべきである」と言い放った。小泉政権と奥田・日本経団連は、ますます一体化して構造改革の強行にのめり込んでいる。
 今や小泉改革への幻想ははげ落ちている。その中での小泉・奥田路線の強行は、労働者階級人民の一層の怒りをかき立て、階級対立をどこまでも激化させるものになる。日帝にとって後のない政権として登場した小泉政権を、労働者階級が自らの力で打ち倒し、プロレタリア革命に向けての大道を押し開くことのできる情勢が訪れたのである。

 小泉こそ危機深めた張本人

 骨太方針Wは冒頭で、「我が国は今、長期停滞を脱し、新たな飛躍の段階を迎えつつある」「構造改革を進める中で……景気回復の裾野をこれまで着実に広げてきた」とうそぶいている。だが、この間の若干の「景気回復」は、徹底したリストラ・首切り・賃下げによって企業収益を強引に引き上げたことの結果だ。労働者にとってそれは怒りを倍加させる事態ではあっても、喜ぶべきものでは断じてない。しかも、小泉が吹聴する「景気回復」は、いつ崩壊するとも知れないアメリカや中国のバブルにのったものにすぎない。
 ところが小泉は、それを「これまでの構造改革が……総合的な効果を上げた」と自己賛美し、04年度中に「バブル崩壊後の負の遺産からの脱却に目途をつけ」「不良債権問題を終結させる」と豪語している。そして、05年から06年を構造改革の「重点強化期間」と位置づけ、改革を一層加速させると言うのである。労働者階級への攻撃は、今後さらに激しくなる。
 そもそも、小泉が「改革の成果」なるものを押し出していること自体に、決定的なごまかしがある。バブル崩壊後、とりわけ97年の金融恐慌以降、日帝は膨大な赤字財政で資本救済を図ってきた。それが国家破産的事態に突入する中で、この危機を構造改革によって突破すると叫んで登場したのが小泉政権である。01年以来、毎年策定されている骨太方針も、財政赤字の削減を最大のテーマにしていたはずだ。だが、その小泉のもとで財政赤字は逆に増大し、今や国・地方自治体の長期債務は700兆円を超えている。
 国家財政赤字という、最大規模の不良債務の山を築いた張本人こそ、小泉にほかならない。銀行の不良債権問題もまた、財政赤字と表裏一体のものとしてある膨大な公的資金の投入や超低金利によって、かろうじて抑えられているにすぎない。それは、巨大銀行の合併で解消できるようなレベルを超えている。
 小泉は、危機打開を呼号しながら、実際には日帝危機をより深刻なものにしてしまったのだ。こうした現実をさらに暴力的手法で突破しようとするものが、骨太方針Wなのである。

 全面的な国家・社会改造計画

 骨太方針Wの内容は、郵政民営化を始めとする公共部門の全面民営化、「三位一体改革」と称する地方自治の解体、徹底した規制緩和と民間競争力の強化、そのための労働力政策、社会保障制度の一層の解体、治安弾圧の強化、FTA(自由貿易協定)交渉の推進など、国家・社会の全領域にわたる。それは、むき出しの搾取・収奪を貫く支配体制の確立、イラク参戦下での階級支配と統治形態の転換をかけた全面的な国家改造計画・社会改造計画だ。
 これらの攻撃の中でも、特に強調されているのは、「『官から民へ』『国から地方へ』の徹底」なるものだ。具体的には、@07年郵政民営化、A国・地方自治体の業務全般にわたる民営化・民託化・民間開放、B「三位一体の改革」と市町村合併などである。小泉改革との攻防で、当面最大の焦点となっているのは、郵政、国公、自治労、教労を始めとした公務員労働者であり、その闘いの解体だ。

 公務員制度改革は労働運動解体攻撃だ

 郵政民営化は骨太方針Wの第一課題に位置づけられている。民営化の基本方針はこの秋に取りまとめるとされている。郵政民営化をめぐる決戦は、いよいよ本格的な段階に入ったのだ。
 小泉はそもそも、郵政民営化を最大の看板に掲げて登場した人物だ。郵政民営化の直接の目的は、350兆円を超える郵貯・簡保の資金を民間に流出させ、金融資本のえじきとすることにある。郵便事業についても、民間資本の事業参入により徹底した競争を強い、それをテコにあわよくばアジア市場を制圧しうる巨大な郵便・物流資本に育成しようと狙っている。それは、奥田ビジョンの言う「東アジア自由経済圏構想」に対応した計画だ。
 同時にこれは、郵政民営化をつうじて全逓労働運動をたたき伏せ、ひいては公務員労働運動総体を壊滅に追い込もうとするものだ。金融資本の利害を露骨きわまる形で貫徹し、労働者をその前にはいつくばわせようとしているのだ。
 経済財政諮問会議は4月26日、「郵政民営化に関する論点整理」を打ち出し、同日、内閣官房のもとに郵政民営化準備室が設置された。5月には「郵政民営化有識者会議」が発足し、国鉄分割・民営化の手法をまねた民営化プランの策定作業が始まっている。
 参院選に惨敗した小泉は郵政民営化を政権延命の突破口として、8月に集中審議、9月に民営化の具体案を決定、05年に法案を提出しようと突き進んでいる。
 トヨタ式生産方式や殺人的な深夜勤、10時間労働制の導入、1万7千人の人員削減などの攻撃は、連合全逓中央の屈服のもとで、さらに激しく襲いかかろうとしているのだ。
 竹中経財相は、郵便・郵貯・簡保の郵政3事業と「窓口ネットワーク」を郵政の4機能としてとらえるべきだ、と叫んでいる。それは、郵政事業の分割をも視野に入れた大攻撃を策しているということだ。
 こうした攻撃との激しい攻防が開始された矢先に、全逓4・28反処分裁判における高裁逆転勝利判決がかちとられた。ここには、4・28被免職者の不屈・非和解の闘いを抱えたままでは民営化に向かえない日帝の危機がある。それは、権力が労働者の闘いを心底恐れていることを示している。この勝利を全逓再生、郵政民営化粉砕の反転攻勢の突破口として闘おう。

 民営化・民託化の徹底を要求

 「官から民へ」「官の改革」を叫ぶ骨太方針Wには、国家統治のあり方の転換とも言うべき攻撃がはらまれている。骨太方針Wは、「官でなければできない業務を明確化する」と叫んでいる。国や地方自治体の業務全般にわたり、民営化・民託化できるものはぎりぎりまで「民間開放」するということだ。経済財政諮問会議の議論では、国民健康保険の保険料徴収事務や住民票の発行事務の民託化、さらには国保や介護保険そのものの民営化までもが検討対象に上がっている。これを押し詰めていけば、公務員が担うものは純然たる権力作用に限られることになる。
 これを推し進めるための具体的施策が、「公の施設を民間事業者が管理することができる制度(指定管理者制度)」である。さらに、都市交通、水道などの地方公営企業が民営化攻撃の矢面に立たされている。民営化の過程では、公務員労働者へのリストラ・首切り攻撃が吹き荒れる。
 これらは公務員制度改革と連動している。骨太方針Wは、「公務員制度について(06年度までの)重点強化期間中に新たな制度に移行できるよう、改革を進める」とし、05年夏には公務員定数の削減計画を改定するとした。公務員賃金の切り下げや能力主義の導入は激しく進行する。さらに、「地方公務員給与の在り方の見直しを行う」「地域の民間給与の状況をより的確に反映し決定できるよう、人事委員会機能の強化をはじめとしてその在り方を見直す」と言い切っている。

 自治体再編へ三位一体改革

 「三位一体改革」は、こうした攻撃を地方自治体への財政統制をつうじて強力に貫徹しようとするものだ。小泉政権は06年度までに国が地方自治体に交付する補助金・負担金を総額3兆円削減し、同額の税源を自治体に移譲すると言う。税源移譲は、国税の所得税を減らし、地方税の個人住民税を引き上げることで実施するというが、各自治体にとっては、削減された補助金に見合うだけの税収が得られる保証は何もない。
 また、その際、個人住民税の所得割は累進税率を全廃し一律10%の税率にするとされている。法人税減税とセットになって、大衆収奪はさらに強まるのだ。
 国から自治体への地方交付税交付金は大幅に減らされる。財政難の自治体は、公務員の賃下げや福祉切り捨てに追い込まれる。
 こうした圧力のもとに、小泉は市町村合併と道州制導入を強行しようとしているのだ。それは結局、自治体を搾取・収奪の機関、有事法のもとでの住民の戦争動員機関へと再編することになる。
 総じてこれは、福祉政策と地方自治を容認しつつ形成された戦後的階級関係の全面転覆を狙うものだ。

 アジア勢力圏化狙う「競争力強化」の政策

 骨太方針Wは、日本経団連が昨年の「奥田ビジョン」で打ち出した「東アジア自由経済圏構想」を政府レベルで貫徹しようとするものだ。それは、国際競争力を持つ新産業の創造を叫び、「アジアの先進国にふさわしいリーダーシップを発揮しつつ」「アジア各国等との経済連携交渉を……国内構造改革と一体的に加速・強化する」と唱えている。アジアをめぐる帝国主義間争闘戦に勝ち抜くために国内での一層の改革が必要という論理なのである。
 「看護、介護等の分野における外国人労働者の受入れに関して総合的な観点から検討する」としていることも重大だ。それは日本経団連が4月に出した「外国人受け入れ問題に関する提言」に沿い、戦時下の労働力政策、現代版「強制連行」政策を小泉政権が選択したことを示している。

 教基法改悪と連動した攻撃

 国際競争力の強化は、そのための労働力政策と不可分だ。骨太方針Wは「『人間力』の抜本的強化」なるものを打ち出した。つまるところそれは、低賃金・強搾取のもとで従順に働く労働者をつくり出すということだ。そして、「多様な働き方ができる環境の整備」と称して一層の不安定雇用化を強制し、「労働移動支援」の名で職業安定業務のさらなる民間開放を進めるとしている。失業者を人材ビジネスの食い物にするというのである。
 さらに、「『人間力』の抜本的強化」の一環に「教育現場の活性化」が盛り込まれた。これは、日本経団連の「21世紀を生き抜く次世代育成のための提言」を下敷きに、教育を資本の求める労働力創出の場へと完全に塗り替えてしまおうとする攻撃だ。

 社会保障制度の解体を策す

 骨太方針Wは、「『持続的な安全・安心』の確立」を叫びながら、年金、医療、介護や生活保護も含めた社会保障制度の「一体的見直し」=解体をあからさまに唱えている。
 当面の焦点は05年度の介護保険の改悪だ。骨太方針Wは「軽度要介護者に対するサービスを効果ある介護予防に重点化」すると言う。要介護度が低いと判定された高齢者は、介護の対象から外すということだ。厚労省もその方向で改悪案の策定に入っている。
 医療保険をめぐっても、「公的医療保険の守備範囲の見直し」を公言している。医療保険制度の極限的な縮小=解体が攻撃の射程に入ったのだ。
 また、「『持続的な安全・安心』の確立」の一環に、「治安・安全の確保」や司法制度改革が社会保障問題と並んで論じられていることも重大だ。そこでは「大規模災害、テロ、有事等に対する全国的見地からの対応の体制整備」が公然と押し出された。また「犯罪に強い社会」を叫び、労働者階級の反乱に身構えながら、その暴力的な鎮圧を策しているのである。

 団結を固めて闘えば勝てる

 これらの攻撃は、確かに生やさしいものではない。だが、民営化・規制緩和を軸とする資本攻勢に対し、またイラク軍事占領に対して労働者階級の国際的反乱が開始された今、階級的団結を固めて闘えば勝利は必ず手にしうる。骨太方針Wに盛り込まれた攻撃はひとつながりのものである。そのひとつに風穴を開ければ、影響は全体に波及する。全力で闘えば攻撃を打ち破ることはできるのだ。
 4大産別を先頭に、今こそ小泉改革粉砕、小泉打倒の追撃戦に総決起しよう。
 〔長沢典久〕

骨太方針Wの主な項目

はじめに

第1部 「重点強化期間」の主な改革
1.「官から民へ」、「国から地方へ」の徹底
@郵政民営化の着実な実施
A規制改革・民間解放の積極的推進
B地域の真の自立
2.「官の改革」の強化
@予算制度改革の本格化
A公的債務管理の充実を通じた市場の安定
B行政改革
C包括的かつ抜本的な税制改革
3.「民の改革」の推進
@将来の人口減少下での成長戦略の確立
A起業等の促進と新しい企業法制
B金融システムの一層の改革の推進
4.「人間力」の抜本的強化
@「人間力」強化のための戦略の検討
A利用者の立場に立った雇用関連事業の再編
B教育現場の活性化等
5.「持続的な安全・安心」の確立
@社会保障制度の総合的改革
A少子化対策の充実
B健康・介護予防の推進
C治安・安全の確保
D循環型社会の構築
E持続的な発展基盤の確立

第2部 経済活性化に向けた重点施策
1.地域再生
2.雇用政策・人材育成施策の新たな展開
3.「新産業創造戦略」の推進、市場環境の整備及び発展基盤の強化

第3部 経済財政運営と平成17年度予算の在り方

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週刊『前進』(2159号2面2)(2004/07/26)

04人勧闘争 大幅賃上げ掲げ闘おう 定昇廃止・査定昇給許さない

 人事院は、国家公務員給与の定期昇給(「普通昇給」)を廃止し、勤務実績に基づく「査定昇給」を導入する方針を固め、7月1日に公務労協(公務公共サービス労働組合協議会)に提案し、協議に入った。8月の人事院勧告の際、定昇廃止、査定昇給導入を盛り込んだ給与改革の基本方針を報告しようとしている。政府は06年度からの給与改革の実施を目指し、今年秋の臨時国会に国家公務員に関する給与法の改悪案を提出する予定だ。
 小泉政権は、能力・実績主義の人事管理とそれに伴う「実績評価制度」の導入を柱とする国家公務員制度改革関連法案の今秋臨時国会提出をも予定している。
 8月人勧における定昇廃止・査定昇給導入の方針提起は、小泉構造改革「骨太方針2004」で打ち出した「官から民へ」の攻撃を推進するための「官の改革」の中心軸、公務員制度改革の一環である。
 公務員制度改革は、終身雇用制・年功賃金制を解体し、能力・実績主義に基づく人事・給与制度を導入することを柱とする。これによって国家・地方の公務員労働者の階級意識を解体し、労組的団結を破壊し、国家に忠誠を誓った公務員(天皇の官吏)に置き換え、戦争国家と侵略戦争のためにその能力を動員しようとしているのだ。

 能力・実績主義で大幅賃下げ

 現在の給与法のもとですら、労働者の闘いによって「よほどの理由がない限り、横並びで毎年、昇給している」(人事院)現実がある。人事院はこの現実が間違っているかのごとく言い、民間企業で定昇廃止、能力・実績主義が拡大している現実を持ち出し、国家公務員にもこうした制度を導入しようとしている。
 「査定昇給」では、長期不況下で賃下げが続く民間に準拠するとして全体が賃下げされた上に、「成績が悪い」と評価された場合はさらに大幅ダウンとなる。
 また人事院は、@一時金についても勤務実績に応じて支給する「勤務手当」の比重を高め、A本省勤務の職員を対象に「本省手当」を導入する方針だ。
 あらゆる方法で賃下げを強行し、賃金差別を強め、賃金格差を拡大しようとしているのだ。
 こうした能力・実績主義に基づく差別賃金制度の導入の狙いは、第一に、総額人件費を抑制し、大幅な賃下げを強行することにある。労働者を犠牲にした国家財政赤字の縮小である。
 すでに6年連続の年収減と2年連続の俸給表切り下げが強行された。その上の賃下げなど言語道断である。財源のあるなしにかかわらず、大幅賃上げ要求を掲げて闘うのが原則だ。
 第二に、労働者間に競争を持ち込んで階級意識を解体することにある。労働者を差別・分断し、階級的・労働組合的な団結を解体し、闘いを抑圧しようとしているのだ。
 第三に、小泉=奥田路線による資本攻勢を全労働者階級に対して強め、05春闘でさらなる賃下げを強行することにある。
 06年度定昇廃止・査定昇給導入阻止、能力・実績主義人事・給与制度反対、大幅賃上げを掲げて04人勧闘争を闘おう。この闘いは自治体労働者の秋期確定闘争に直結する。小泉構造改革―骨太方針2004―公務員制度改革と対決し、公務労協指導部の屈服を許さず、国家・地方公務員の団結を固めて闘おう。

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週刊『前進』(2159号2面3)(2004/07/26)

日野「君が代」伴奏拒否裁判 教員の良心の自由侵害 控訴棄却を許すな

 東京高裁で7月7日、「君が代」ピアノ伴奏拒否裁判の控訴審判決公判が開かれ、原告の教育労働者の戒告処分を適法とした東京地裁判決(昨年12月)を支持し、控訴を棄却する不当判決が下された。
 原告の女性労働者(音楽専科)は、日野市の小学校に勤務していた99年4月、入学式の「君が代」斉唱時にピアノ伴奏するよう校長から職務命令を出されたが、「思想・信条から従うことができない」と伴奏を拒否した。これに対して都教委が同年6月に発令した戒告処分の撤回を求めて、2年間の人事委員会闘争を闘ったが、2001年10月、都人事委はまったく誤った事実認定のもとに「請求棄却」と採決した。
 02年1月、東京地裁に提訴。11回の公判をへて昨年12月、原告の請求棄却の敗訴判決が下された。ただちに控訴審に立った。今年4月の第1回公判で、裁判長は不当な訴訟指揮で審理開催要求を退け、証拠調べも弁論も行わないまま、反動判決を下したのである。
 本裁判は、公務員労働者の思想・良心の自由に関する憲法判断を問う全国初の裁判として、重要な意味を持つ。一審判決は、「原告のような地方公務員は全体の奉仕者であって、思想・良心の自由も、公務員の職務の公共性に由来する内在的制約を受ける」として、「本件職務命令が、憲法19条に違反するとまではいえない」と結論づけた。控訴審判決もまた、この判決を全面的に引き継いだ反動判決である。絶対に認めることはできない。
 原告は判決を弾劾し、ただちに上告することを明らかにした。日野・「君が代」処分問題対策委員会は声明を発表し、「『公共の福祉』『全体の奉仕者』とは、決して権力のためのものでないこと、子どもの人権さえもないがしろにする問題を明らかにしていかなければと思います。……学校を『逆らわず、考えず、黙って従う』場にしないために、最高裁での闘いを共にすすめていきましょう!」と訴えている。
 反動判決を弾劾し、不当処分撤回を求めて闘う教育労働者と連帯して闘おう。

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週刊『前進』(2159号2面4)(2004/07/26)

資本攻勢&労働日誌 2004 6・29〜7・9
 労働時間規制除外の要求次々
 全逓4・28裁判で勝利判決/関西航業争議が和解

5月の完全失業率4.6% 総務省発表の5月の完全失業率は前月より0.1ポイント低い4.6%となり、3年9カ月ぶりの低水準。厚労省発表の5月の有効求人倍率は前月より0.03ポイント上昇し0.80倍と、約11年ぶりに0.8倍台に。(6月29日)
通商白書、東アジア経済統合の可能性に言及 04年版通商白書が発表された。(29日)=要旨別掲経済産業省発表の概要
全逓4・28反処分裁判で逆転勝利判決 東京高裁が全逓の78越年反マル生闘争への大量処分をめぐる裁判で、7人の原告全員の懲戒免職処分を取り消す画期的な逆転判決を出した。(30日)
東商会員企業6割が「イグゼンプション制導入」要求 東京商工会議所は04年度の労働政策に関するアンケート調査結果を発表。ホワイトカラーを労働時間規制の適用除外にすべきだ、との意見が6割にのぼった。(30日)
外国人の看護師や介護士、「受け入れ」申請相次ぐ 「構造改革特区」の第5次の申請で全国12の病院や介護施設などが外国人の看護師や介護士の受け入れを認めるよう求めている。(30日)
日本商工会議所が労働時間規制の柔軟化など要望 日本商工会議所は05年度の中小企業関係施策の要望を各省庁に要請。解雇無効時の金銭解決制度の導入、柔軟な労働時間法制、産業別最賃制度の廃止と地域別最賃の引き下げなどを要求。(7月1日)
3割の企業がフリーター経験をマイナス評価 厚労省発表の04年雇用管理調査結果によるとフリーターを正社員に採用する場合、フリーターだったことを「マイナスに評価する」が30.3%に。(2日)
電機連合、失業促進の新運動方針 電機連合は7日まで定期大会開催。失業を前提に組合員の再就職を支援する「雇用支援センター」設置に踏み出した。(6日)
関西航業の争議が和解 全日空の孫請け企業・関西航業が親会社の大阪空港事業(OAS)によって全員解雇された事件で和解が成立。解雇された元社員でつくる関西航業争議団にOASが解決金を支払う内容。(7日)
厳重注意処分に抗議/民放労連 テレビ朝日の二つの報道番組に総務省が厳重注意したことに民放労連は「公権力によるメディアへの不当な介入」と抗議する見解を発表した。(7日)
三洋が家族手当廃止へ 三洋電機は、労働組合員に支給している配偶者手当などの家族手当を来年4月にも廃止することを労資間で基本合意した。(7日)
三菱自が岡崎工場閉鎖前倒し 三菱自動車は05年末に岡崎工場を閉鎖する。リストラを1年以上前倒し。生産関連の1600人のうち、約8割を水島製作所に配置転換すると労働組合に打診。(9日)

 04年版通商白書の概要

・東アジア域内の貿易を貿易補完度で見ると、EUの前身である欧州経済共同体(EEC)やNAFTAの設立時と同レベルになっており、東アジア域内での相互補完関係が高まっていることから、東アジアの経済統合の推進を具体的に論じられる段階に来ている。
・東アジアでは「機能分業」が進みつつあるが、その中で日本の競争力は機械分野に集中しており、今後、経済連携協定の締結などを通じて東アジア地域における経済的な統合が進んだ場合には、より広範な分野で機能分業の実現が必要。
・新たな価値創造経済への移行を進めることと、東アジアにおける経済的な統合の進展は、相互に補完し合あう。
〔解説〕日帝の「東アジア自由経済圏」構築の野望をより具体的に述べたもの。

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週刊『前進』(2159号2面5)(2004/07/26)

国労5・27臨大闘争弾圧公判日程

 第26回 7月21日(水)/第27回 8月5日(木)
 第28回 9月6日(月)/第29回 9月27日(月)
 *いずれも午後1時15分から、東京地裁

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週刊『前進』(2159号3面1)(2004/07/26)

JR総連カクマル分裂さらに決定的に
 東労組大会 小林除名、嶋田派に「制裁」 松崎崇拝と“総団結”叫ぶ

 6月のJR総連定期大会、JR東労組定期大会は、JR総連カクマルの松崎派と嶋田派の対立・分裂が修復不可能であり決定的なものになっていることを示した。東労組定期大会では、千葉地本前委員長の小林克也が除名処分になった。7月に開かれたJR東労組千葉地本の定期大会は、本部派の圧力と恫喝で嶋田派の代議員が引き揚げて流会となった。一連の事態は、JR総連のカクマル支配が完全に崩壊し、JR資本とJR総連カクマルの結託体制がいよいよ崩壊寸前にあるということだ。この中で特に「平成採」(国鉄分割・民営化以降に採用された青年労働者)の多数が、松崎派からも嶋田派からも離反し、真に闘う労働組合を求めて流動化し始めている。JR総連解体、動労千葉・動労総連合の組織拡大、闘う国労の再生と組織拡大に向けた決定的なチャンスが訪れているのだ。

 千葉地本大会は「流会」に

 まず、決定的なことはJR東労組千葉地本で起きている重大事態だ。
 7月4〜5日の千葉地本第19回定期大会は、昨年の大会で小林克也前委員長、篠塚哲司前書記長らに代わって選出された木村博委員長(元委員長)らの執行部のもとで開かれた。
 この大会には、小林の辞任以来、地本に張り付いていた東労組本部の冨塚組織部長が「来賓」として乗り込み、反本部派を恫喝して流会にしてしまったのだ。
 反本部派の津田沼支部選出の代議員らの文書などによると、次のような事態が起きたのだった。
 1日目の4日夜、津田沼支部のA執行委員(教宣部長)が、本部の冨塚組織部長とJR東日本千葉支社幹部の会食の席を通りがかったところ、冨塚が呼び止めて、支部の出している「情報」について問い詰め、「責任者はおまえか。職場にも会社にもいられなくしてやる」と恫喝した上で、えり首をつかみ、頭を数発殴った。A執行委員は「錯乱状態」に陥り、津田沼支部の役員が冨塚に事情を聞きに行ったところ、冨塚が罵声(ばせい)を浴びせ、コップの水をかけた。
 支部役員が、この事態を木村委員長に話し、冨塚組織部長の参加を見合わせることなどを要請したが、翌日も冨塚は参加し、また津田沼支部代議員の発言も認められなかったため、27人の代議員が退場し、ついに流会となった。

 「平成採」が両派から離反

 千葉地本では、これに先だって、4月に青年部の「再建大会」が、東京などから本部派の青年部を動員し、反本部派の入場を阻止する中で強行された。また地本執行部が、嶋田派で小林の指揮を受けていると言われる、津田沼、成田、木更津の3支部長への「再指導」を決定するなど、対立・抗争が激化していた。
 これらの事態は、松崎派と嶋田派(小林派)の決定的対立ということだが、単にそれだけの問題ではない。松崎派にも嶋田派にも従わず、組合員不在の内部抗争や利権争いへの不信と怒りを募らせている組合員が「平成採」を中心に膨大に生まれているのだ。
 これは、明らかに、この間の動労千葉の闘いが、JR資本とJR総連カクマルの結託体制を追い詰め、彼らの労働者支配を破綻(はたん)に追い込んでいることが背景にある。
 JR総連カクマルによる労働者支配は、彼らのファシスト的な暴力と、それと結託した会社当局による他労組組合員への徹底した差別と不当労働行為によって成り立ってきた。
 これと対極で動労千葉は、1979年の動労本部カクマルとの分離・独立闘争以来の強固な団結を維持し、カクマルの度重なる襲撃をはね返し、首をかけて国鉄分割・民営化反対を貫き、JR結託体制打倒へ闘ってきた。
 特に、ここ数年にわたる検修・構内業務の外注化阻止の闘い、昨年12月の習志野電車区廃止阻止闘争から04春闘の長期非協力闘争―3波のストライキがついに当局・カクマルの結託体制に風穴を開け、強制配転者の原職復帰、運転士登用などの懸案要求を前進させる展望を切り開いている。
 さらに、こうしたJR結託体制のもとで安全問題が噴出したことに対し、動労千葉は千葉における度重なるレール破断などを暴き、反合・運転保安闘争を強化している。
 そして、イラク反戦、有事立法阻止の闘いの先頭に立ち、陸・海・空・港湾労組20団体などとともに3・20国際反戦共同行動の大成功の一翼を担い、「戦争協力拒否」の闘いを貫いている。また、賃金闘争など労働条件をめぐる闘いでも労働組合の原則を守って闘っている。そうした闘いは労働者階級への絶対的な信頼があるから可能なのだ。
 逆に、国鉄分割・民営化を推進してきたカクマルは、どこまでも資本の先兵となり、合理化に率先協力することで組合権力を維持するしかない。しかも、JRの輸送混乱や事故が相次ぐ中で、「会社を守る」ことを第一にしてJR資本の責任を追及するどころか、逆に「正すべきは正す」と言って、「職場規律」と称する労働者への締め付けの攻撃を資本とともに強行しているのだ。

 動労千葉が組織拡大方針

 その中で画期的な地平を切り開いた動労千葉の闘いは、東労組組合員に、労働者としての生き方、労働組合とはどうあるべきかを問い、東労組指導部からの組合員の決定的な離反を生み出しているのである。
 動労千葉は、中村栄一書記長の急逝をのりこえ、田中康宏委員長―長田敏之書記長代行体制のもとで、反合・運転保安闘争を強化するとともに、結成25周年の最大の課題として、JR総連解体・組織拡大を掲げている。その決定的な展望を開いているのだ。
 このことを、動労千葉組合員とともに断固確認し、国鉄―JR戦線からJR総連カクマルを打倒・一掃する闘いに立ち上がろう。

 「制裁方針」に多数の反対

 次に、6月6〜7日に開かれたJR総連第20回定期大会、11〜13日に開かれたJR東労組第20回定期大会についてだ。そこで、JR総連カクマルの対立・分裂がかつてなく激化していたのであった。
 2月の東労組中央委員会では、松崎の一声で「総団結」の名のもとに、「嶋田前副委員長ら辞任した8人は組織破壊者ではない。嶋田、関根の制裁申請は取り下げる。小林、篠塚については再審査委員会を設置する」ことなどを決定した。だが実は、これはかつてなく深まる東労組の危機をのりきるための一時しのぎに過ぎなかった。
 直後に開かれた「反本部」の新潟地本、長野地本の定期委員会から、抗争はすぐさま再燃した。
 青年部をめぐっては、6月3〜4日に開かれた東労組本部青年部主催の野球大会の決勝トーナメントで、新潟地本が東京地本を相手に5対0で優位に試合を進めていたところ、本部青年部が介入し「新潟の応援団の人数が指定より多い」と言いがかりをつけ「没収試合」にしたり、本部青年部主催の全支部青年部長会議から新潟地本青年部長が排除される事態が起きた。
 そして、東労組定期大会では、「全組合員の総団結で世界に冠たるJR東労組を創ろう!」というスローガンのもとで、「総団結方針を堅持し、さらに深度化(!?)させる」、「これに背く行為は従来以上に『反東労組』ということになる。総団結路線の破壊者には、断固たる厳しい態度で臨む」(角岸委員長あいさつ)として、次のような制裁措置を決定した。
 @前千葉地本委員長・小林の除名、A同書記長・篠塚の組合員権停止3年、B横浜地本の3人を組合員権停止5年、C同じく4人を組合員権停止3年、D千葉地本成田支部長の制裁審査委員会設置、Eさらに、嶋田、関根を除く本部辞任役員6人の制裁審査委員会は継続審議とする。
 だが、これらの制裁答申について、277人中39の反対票が投じられた。一般経過にも反対13・棄権26、スローガン、運動方針、予算にも棄権が32も出た。「採決」自体が、昨年の大会が初めてという異例のことだが、これらの数自体も、横浜や千葉など、松崎派と嶋田派が公然と対立する地本での代議員選で松崎派が不正選挙をやった上での結果なのである。
 さらに、役員人事では、角岸委員長が退任し、石川尚吾(前東京地本委員長)が新委員長に就任した。石川は、松崎派と嶋田派の対立の直接のきっかけとなった東京支社の管理職人事をめぐって、02年4月に東京地本委員長を辞任していた。東労組の組織破壊にかかわった者を昇進させたとして松崎が激怒し、石川の辞任をもって会社側に圧力をかけたという、いわく付きの人物である。この人事も、松崎派による嶋田派つぶしの意図を示すものだ。
 そもそも、2月の中央委での「総団結」方針の本質は、先述したようにJR東日本での輸送混乱と事故の続発に対して社会的批判が高まり、国土交通省からJRでは初の「事業改善命令」が出される中で、これらを「JR東日本会社にどす黒い攻撃の刃(やいば)をむけるものであり、政治的意図をもったJR東日本労使への攻撃にほかならない」と言いくるめ、“会社を守るために総団結しよう”というものであった。

 安全の破壊を居直る東労組

 この問題では、今大会で「パートナー会社の施工部分による事故だがJR東日本への責任が直接降りかかってきた」などという代議員の発言があった。千葉書記長は総括答弁で「原因究明がスローガン的になっていないか」と述べたが、要するに絶対にJR東日本に責任が及ばないように「原因究明すべきだ」ということだ。外注化などの合理化を推進した結果、大事故を引き起こした自らの大裏切りを押し隠すために、「総団結」を叫んできたのだ。
 だが今や、反松崎の動向を放置することはできず、なりふり構わず、嶋田派つぶしに出てきたのである。今や、東労組の組織的分裂さえ不可避な情勢が訪れているのだ。

 ファシスト運動の大破産

 一連の大会の今ひとつの特徴は、本部派が松崎明を異様なほどに、あがめ奉ったことである。
 JR総連定期大会では、小田委員長あいさつで、「松崎前顧問の教え」「松崎前顧問とともに」などと何度も繰り返した。
 この大会には、連合会長の笹森(松崎とは同じ埼玉県川越市の高校を卒業)が来賓あいさつし、「同じ地域から労働運動のリーダーが、やや思想や理念が違うが2人出ていたことで感慨をもった」などと述べたが、その後、15日に行われたJR連合の大会では、笹森は「JR総連の大会で、委員長あいさつの中で松崎顧問という名前が4回も出た。不思議な組合だ」(実際は少なくとも6回)と語っている。
 この委員長のあいさつで小田は、04春闘について「笹森会長の方針、今年の春闘で大きな役割を果たした」などと、ベア放棄、春闘解体の連合方針を賛美した! JR総連こそ連合中央の裏切りの先兵なのだ。

 組合の私物化と利権の争い

 その松崎は今や、組合の利権の私物化を嶋田らから「内部告発」されるだけでなく、国家権力からも“走狗(そうく)煮らる”の運命に追い込まれている。公然と「脱税・横領の疑い」で捜査され、「逮捕は時間の問題」「海外に逃亡か」などと言われる始末だ。
 松崎派と嶋田派の対立は、このような利権をめぐる争いが発端である。
 これも、中曽根や秦野(元警視総監)などに取り入り、国鉄分割・民営化の先兵となって組織の延命を図り、JR資本と結託して組合を私物化し、利権をむさぼってきた松崎路線の惨めで恥多き末路なのである。
 その松崎を「個人崇拝」と言われようが、“教祖”とあがめ奉って忠誠を誓うこと以外に、JR総連カクマルの「総団結」の道はないというわけだ。松崎の末路は、JR総連の最後的な破産でもある。

 参院選で公明を推薦

 有事法成立に賛成・協力誓う

 この間、本紙で暴露してきたとおり、松崎は1月の講演で「有事法制が通ったら、武器輸送、兵員輸送をストライキでストップをかけることはできない」と、戦争協力を誓った。
 今回のJR総連大会は、まさに有事10法案の参院審議の山場で労働者人民の必死の闘いが繰り広げられていた時であった。だが、この松崎の「教え」どおりに、有事法成立を前提にして、これを阻止するという方針も意見も何も出なかった。5月20日に有事法案が衆院を通過した翌日の見解で、JR総連は、連合の5・20事務局長談話とまったく同じ、与党と民主党による「修正案」に賛成する立場を表明していたのだから、当然のことではある。だがJR総連はより積極的に戦争協力を誓ったのだ。
 JR貨物労組の代議員の「今、職場では平和を語れない現実がある。平和の話をすると周囲の組合員から浮いてしまう」という発言に対して、なんと山下書記長が「このようなファシズムの時代であるから、いつまで反対運動ができるのか。実際、JRは、指定公共機関として動員される」と答弁しているのだ。
 「日本の民衆は、あの太平洋戦争の反省を忘れて戦争とファシズムを支える側に取り込まれつつある」(小田委員長あいさつ)というのも、松崎とまったく同じ時代認識だ。松崎が吹聴してきた“ファシズムの時代には、その先兵になり生き残る”というファシスト労働運動の論理である。
 ここには、カクマル特有の、黒田(カクマルの教祖)カクマル中央派と分裂しても変わることのない、労働者蔑視(べっし)とニヒリズムの許しがたい思想が貫かれているのだ。
 その松崎路線の出発点が国鉄分割・民営化の先兵となることだった。そして、その松崎路線は、実際に戦時下に突入し、それに対する全世界の労働者階級と被抑圧民族人民の闘いが大高揚する中で、今や全面的な破産を遂げたのである。「テロにも、報復戦争にも反対」と言って、何よりもまず、ムスリム人民、イラク人民の決死の抵抗闘争、民族解放闘争に敵対していることにも、その反労働者性が表れている。

 “自民は惨敗していない゛

 さらに、許しがたいことは、今回の参院選への対応である。JR総連は、有事法制成立に賛成した民主党候補を連合とともに推薦しただけではない。なんと、比例区では、与党・公明党の現職の候補(弘友和夫)を推薦し、「上位当選を果たした」と“誇って”いるのである。その上、決定的なのは「自民党が惨敗した訳ではない」「連立与党は安定多数を維持した」「二大政党化の流れが進んだ」とコメントを出し、敗北を居直った小泉や権力と完全に同じ立場で総括していることである。“冬の時代”“ファシズムの時代”が基本認識の彼らには、自民党の惨敗などあってはならないことなのだ。

 「護憲」方針は大ペテンだ!

 JR総連の唱える「護憲」などは大ペテンであることは、このことからも明らかだ。だが、労働者階級は、このようなファシスト労働運動の存在を許しはしない。
 今こそ、動労千葉労働運動と国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いを広め、国鉄分割・民営化反対闘争を貫いて1047名闘争の団結を強化しよう。国鉄―JR労働運動の地殻変動的な流動・再編情勢を促進し、松崎・JR総連を解体・一掃しよう。

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週刊『前進』(2159号3面2)(2004/07/26)

連合と参院選 組織内候補に投票せず 労働者支配の危機と空洞化

 今回の参院選で労働者人民は自民党・小泉政権に怒りをたたきつけ、自民党を敗北させた。小泉は居直っているが求心力を失い、政治的大激動の過程に突入した。労働者人民が一層攻勢に出て闘えば、小泉政権を打倒できる状況がつくり出されたのだ。
 今回の参院選では、真に闘う労働者政党が国会に不在であるという状況のもとで、民主党がさしあたって反自民票の受け皿となって得票数、獲得議席ともに大きく伸ばした。その民主党の比例区当選者19人のうち8人が連合(組合員700万人弱)の組織内候補である。電力総連、電機連合、情報労連(NTT労組など)、自動車総連など、有事立法・改憲に賛成する連合内右派組合の候補が全逓中央などの推薦も得て30万〜21万票で上位当選した。
 これは連合の労働者支配の強さを意味するか? 全然そうではない。それどころか、資本家の春闘解体に手を貸し、リストラ・賃下げに闘うこともなく屈服し、有事立法・改憲に賛成する連合中央への組合員の怒りと不信は一層深まっている。そうした中で、連合を使った日帝の労働者支配が打ち破られる情勢が到来しているのである。
 連合は3年前の参院選では民主党比例区に9人の推薦候補を立てたが、170万票しか集められず3人が落選した。これに打撃を受けて今回の選挙では、個人名による投票を強く訴えて組合員に発破をかけた。
 にもかかわらず、今回の連合8候補の総得票数は173万票で、3年前から3万票増えただけである。民主党が比例区で前回より800万票も得票を増やしたにもかかわらず、連合推薦候補の得票はほとんど増えなかった。なかでも自治労の組織内候補・高嶋良充(元自治労書記長)は3年前の自治労候補より4万9千票も減らした。全組合員98万人の2割弱しか高嶋に投票しなかった。有事立法成立に協力した民主党・高嶋に、大部分の自治労組合員はそっぽを向いたのだ。
 連合は参院選後の草野事務局長談話で「連合は民主党の躍進を支えた」「2大政党状態をより定着させ、次期総選挙で政権交代を実現する大きな足がかりを築いた」などと言っている。
 だが民主党とは何か。@年金改悪で自民・公明と3党合意、A消費税大増税を提唱、B有事立法賛成、Cイラク派兵容認と「国連待機軍」構想、D「創憲」と称する9条改憲など、徹頭徹尾、反労働者的な「第2自民党」である。
 こんな政党を労働者がどうして心から支持できようか。「2大政党制」など虚構である。自民党と第2自民党が国会を独占し、労働者階級を支配しきることなど絶対にできない。
 ストライキを放棄し、春闘の解体に手を貸す連合に労働者の利益を守ることはできない。日帝・小泉の悪政を根源から打ち破る力は、労働運動の中にこそある。今こそチャンスだ。下からの決起で連合中央を打倒し、階級的な労働運動と闘う労働者党をつくろう。

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週刊『前進』(2159号3面3)(2004/07/26)

戦争・民営化と闘う自治体労働運動を D指定管理者制度の導入
 資本に丸投げし解雇も
 公共施設で利潤追求狙う

 官=悪のイデオロギー攻撃

 今日、日帝・小泉政権が「国のかたちを変える」として進めている構造改革の重要な柱として地方行革がある。地方行革攻撃は、合理化攻撃であると同時に、「自治体であること、公務員であることをやめろ」という大民営化攻撃である。
 小泉のスローガン、「民でできることは民で」は、今や「官」と「民」のコストや効率、サービスの質の比較ですらなく、「官」がそれを抱えてやっていること自体が悪であるというイデオロギー攻撃でもある。自治体の果たしてきた公共業務、公共サービスを民間資本に丸投げし、資本の利権、食い物にして、資本が肥え太ることをより良いこととしているのだ。
 「官」から「民」への行革=民営化攻撃のかなめをなしているのが「指定管理者制度」である。
 指定管理者制度は、03年9月の地方自治法の一部改定(244条2−3)によって新設された。普通地方公共団体(市町村)は「指定管理者」に「公の施設の管理を行わせることができる」ことになった。「公の施設」とは、地方公共団体が設ける「住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設」だ(同法244条1−1)。
 「公の施設」は自治体のあらゆる公共施設に及ぶ。民生施設(保育所、母子寮、養護老人ホーム、老人福祉センター、福祉会館、児童会館)、体育施設(体育館、温水プール、武道館)、社会教育施設(教育会館、公民館、図書館、美術館)、診療施設、公園施設などだ。個別法で管理される病院、特別養護老人ホーム、学校や「福祉の増進」に当たらない競輪場、競馬場、庁舎は対象外だ。
 「公の施設」は従来、自治体の出資団体にしか管理運営を委託することができなかったが、指定管理者制度の導入で、100%の民間資本にも管理委託することが可能となった。指定管理者は、管理を幅広く代行でき、施設の利用許可権限を持ち、利用料金を自らの収入とすることもできる。
 自治体がつくった「公の施設」を「資本の好きなように利用して、もうけてください」ということだ。「公の施設」は「住民の福祉の増進」のためのものではなく、資本の利潤追求の手段となるのだ。
 実際、東京都江東区当局は、「民間委託の場合は、その業務の管理監督責任はあくまでも区にあるが、指定管理者制度においては、その業務の公共性は離れ、資産の所有から経営方針まで、すべてにおいて権限を委譲することである」と説明している。
 指定管理者制度は、「公務への民間的手法の導入」や「民間委託」とは違う。
 三菱総研が3月に設立した「パブリックビジネス研究会」はその設立趣旨で述べている。「産・官・学・民の連携による新しい公共サービスを生み出す取り組みとして、PPP(パブリック・アンド・プライベート・パートナーシップ)への注目が高まっています。民間委託、PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ=民間資金導入)、アウトソーシング(外部委託)などの導入に続き」、指定管理者制度の導入によって「公共施設を純粋に民間企業によって運営することが可能となり、そこに大きなビジネスチャンスとなる市場が創出される」。指定管理者制度は資本が新規市場を拡大する絶好のチャンスなのだ。
 そして指定管理者制度の有利さを強調する。「PFI事業は、基本的に施設整備と維持管理・運営などを一括して民間を活用して実施するもので、民間事業者は施設整備に当たり資金調達が必要なため、リスクが大きく参入できる企業は限られる」が、「指定管理者制度は、施設整備が伴わないため、事業参入のリスクが小さく、運営事業者を中心に多様な事業者の参入が見込める。事業選定の負担も小さいため、自治体にとっても容易に導入することが可能だ」(三菱総研「指定管理者制度によるPPPの新展開」)
 今、自治体は、この貪欲(どんよく)な資本のためにせっせと公共施設を建設し提供しているのである。
 総務省は、全国の自治体に指定管理者制度を積極的に導入するように要請した。自治体はこれにこたえて続々と指定管理者制度の導入を開始している。
 大阪府堺市は、@来年の新設図書館に指定管理者制度を導入するA今後5年間に中央図書館を除いて既存の図書館すべてに指定管理者制度を導入する。
 兵庫県西宮市が作成した「行政経営改革基本計画」には「指定管理者制度」という言葉が10カ所も出てくる。西宮市は、同計画の運用指針を決定するや、即日、各課に「所管する公の施設」の一つひとつについて指定管理者制度を導入するか否かの証書を提出せよと指示を出した。
 これに対して保育労働者は、保育所への指定管理者制度導入の中止を要求し、60人が3時間にわたって部長と団交を行い追及した。
 指定管理者制度は、自治体労働者と住民に深刻な影響を及ぼす。

 闘う方針ない自治労中央

 自治体は「住民の福祉の増進」という自治体の責務を放棄する。指定管理者は自治体、議会のチェックを受けない。使用者の民間資本への交代で自治体労働者は、過員化し、仕事・職場を奪われ解雇されるか、劣悪な労働条件の中にたたき込まれる。住民は公共サービスを無料(廉価)で平等に受ける権利を奪われる。
 ところが、「労使協働」「自治体改革」「質の高い公共サービス」を掲げる自治労中央はまったく無方針だ。「公務員=全体の奉仕者」論の自治労連中央も本質的に闘う立場にはない。
 彼らは、小泉構造改革と自治体領域の行革・リストラ・合理化・民営化攻撃を日本帝国主義の侵略戦争国家体制づくり、労働組合解体の攻撃としてとらえることができない。攻撃の中に帝国主義の危機と矛盾を見いだし労働者階級の反転攻勢に転化するという姿勢がない。国家総掛かりの攻撃には屈服・協力して延命するしかないと考えている。
 自治体労働者は、赤字であろうが黒字であろうがあらゆる自治体合理化・リストラ・民営化攻撃に職場闘争、政治闘争をもって反撃し、公務領域にあくまでも労働組合としての団結形態を維持し、発展させていかなければならない。そうしなければ、生活と権利、雇用は守れない。
 動労千葉は、現場組合員の闘いに依拠した職場闘争と反戦政治闘争とを一体的に展開し、団結を固め、維持・発展させてきた。動労千葉に学び、職場で闘争を燃え上がらせ、階級的労働運動を再生させよう。
(自治体労働者 桑原雅人)

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週刊『前進』(2159号4面1)(2004/07/26)

8月広島−長崎反戦反核闘争へ
 劣化ウラン弾の使用を許すな 全国被爆者青年同盟のアピール

 米帝のイラクへの劣化ウラン弾使用を許すな。全国から8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争に総結集し、被爆者を先頭に、自衛隊のイラク撤兵闘争を大爆発させよう。有事法制粉砕、教育基本法改悪阻止・改憲阻止、小泉打倒の今秋決戦へ、社・共に代わる反戦反核運動の新潮流の本格的登場をかちとろう。

 イラクで広島・長崎が再現されている

 戦後59年目、ついに日帝は、武装した自衛隊をイラクへ派兵した。なんとしても自衛隊の即時撤兵を実現しなくてはならない。
 いま、イラクで起こっていることは何か。労働者人民の無差別大量虐殺であり、劣化ウラン弾の使用によるイラク全土の放射能汚染である。
 新たな核兵器=劣化ウラン弾による放射能汚染は湾岸戦争から13年をへて、急速に深刻化している。白血病や悪性腫瘍(しゅよう)発生率は、湾岸戦争前の数倍となり、ガン患者の低年齢化(5歳以下)、先天性の形成「異常」など、目を覆わんばかりの惨禍だ。治療の施しようもないまま、目の前で死んで行く我が子や兄弟姉妹を助けることもできない。その恐怖と悔しさと怒りは、ヒロシマ・ナガサキそのものだ。
 ヒロシマ・ナガサキへの核の使用と同様に、米帝は、戦争の長期化の回避と民族解放闘争の圧殺のために、新型核兵器ともいうべき劣化ウラン弾を使用した。まさに、人類絶滅の危機をはらむ帝国主義世界戦争・世界核戦争過程が、イラク戦争開始をもって、本格的に始まったのだ。
 一方、被爆者は、イラク人民へのこのジェノサイドを直視し、「ヒロシマ・ナガサキをくりかえすな」と怒りの決起を開始した。昨年7月5日の「ヒバクシャの集い」では、被爆者として、イラク侵略戦争と劣化ウラン弾の使用を弾劾し、ブッシュに対し核兵器廃絶を要求する声明を発した。
 全国の被爆者、被爆2世のみなさん。今こそ、この決意を引き継ぎ「反戦被爆者の会」「全国被爆者青年同盟」に結集し、核戦争の生き証人として、渾身(こんしん)の決起をしよう。

 核戦争を繰り返す帝国主義の打倒を

 今回のイラク侵略戦争で米軍が劣化ウラン弾使用により撒き散らした放射能量は、ヒロシマの10万倍以上といわれる。しかし、いまだに米帝は、次々と明らかにされるこの惨禍の現実を「劣化ウラン弾によるものではない」と居直り、汚染調査すら拒否している。
 一方で、現地のイラク人医師や科学者たちは、自らも被曝によるガンなどに侵されながら、治療や汚染調査を献身的に続けている。しかし、米帝のかいらいでしかないイラク統治評議会−暫定政府は、事態をまったく無視し、米帝の被曝者抹殺に手を貸している。 
 59年前、ヒロシマ・ナガサキの被爆者も、帝国主義による無視・抹殺政策に苦しめられた。米帝は原爆投下直後、「死すべきものは死に絶え、もう原爆症に苦しむものはいない」と放言し、プレスコードを敷き原爆報道を禁止した。日帝は、このとき、自らの延命のためにこれを積極的に承認し、救護所を撤去して被爆者抹殺に手を染めた。
 劣化ウラン弾使用をめぐって、同じことが繰り返されている。劣化ウラン弾が現代の対戦車戦や塹壕(ざんごう)破壊用に必要不可欠の新型核兵器となったからである。
 劣化ウランは、比重が特別に高く、燃焼しやすい。したがって、これを材料とした砲弾は射程距離が長く、命中精度が高く、貫通した戦車のタンクの中で燃え上がってイラク兵を焼き尽くした。イギリス軍将校が劣化ウラン弾を「熱したナイフでバターを切るように鋼鉄を溶かす」と絶賛したことは、あまりに有名だ。この兵器としての「優秀さ=防御不能の無敵さ」が、湾岸戦争や今日のイラク侵略戦争の対戦車戦・塹壕戦において、米軍の一方的戦果を生み出したのだ。
 しかし、劣化ウラン弾は他方で、放射能汚染による大量無差別の被曝を生み出し続けている。
 それはイラク人民の犠牲にとどまらず、米軍兵士をも巻き込むものとなった。湾岸戦争症候群といわれる米兵の被曝死は、すでに1万人以上といわれる。使用者の圧倒的戦果の陰で、直接の戦闘による戦死者の百倍もの犠牲を生み出す劣化ウラン弾。これが労働者階級にとって何を意味するかは明白だ。「人類と核は共存できない」
 核さえも必要とする帝国主義戦争において、戦争の勝利者はひとりもいないのだ。イラク侵略戦争における劣化ウラン弾使用は、ヒロシマ・ナガサキの教訓に続いて、あらためてそのことを指し示した。
 イラク人民による4〜6月蜂起、3・20を始めイラク国際反戦闘争の爆発は、米英はもとより国際帝国主義と残存スターリン主義の体制的危機をますます深める。しかも、全世界で、01年9・11反米ゲリラ闘争を新たな突破口に、パレスチナ・ムスリム人民を先頭とする民族解放・革命戦争−国際的内乱の炎が燎原(りょうげん)の火のように燃え上がっているのだ。
 米帝を始め国際帝国主義は、イラク侵略戦争の泥沼に引き込まれ、もはや撤退もできず、この戦争の凶暴な激化・世界的拡大以外に延命の道がないところまで追いつめられている。
 すでに劣化ウラン弾の使用に踏み切った帝国主義は、戦争の勝利に必要となれば躊躇(ちゅうちょ)することなく核を使用するだろう。イラク侵略戦争で世界核戦争過程が大きく動き始めたのである。
 帝国主義戦争・核戦争の危機の前に、万国の労働者・被抑圧民族人民は団結しよう。国際連帯の力で、核と戦争の根源である帝国主義を打倒しよう。

 労働者・労働組合が反戦反核の先頭に

 この情勢の下で、日帝・小泉は、世界の民族解放闘争を「テロ」と言いなし、「テロとの闘い=国際貢献」を現代の「聖戦」のように強弁し、有事10法や多国籍軍参加を強行した。さらに、教育基本法改悪を策動し、改憲に着手しようと躍起になっている。
 日帝は、世界戦争・世界核戦争過程の到来に対し、帝国主義としての延命の道を、この戦争過程に積極的に参戦することにかけたのである。それは、さしあたり、米軍と共同し、イラク侵略戦争を継続・激化させ、一方で北朝鮮・中国侵略戦争に本格的に乗り出して行くことである。
 防衛庁長官の石破は、有事法案の国会答弁の中で「核攻撃を受けても、被爆(の被害)がどう局限できるか」と暴言を吐いた。「今度は日本が核戦争をやって勝つんだ」−これが日帝の本音なのだ。アジア侵略、ヒロシマ・ナガサキが繰り返されようとしているのだ。絶対に許せない。
 59年前、肉親が焼き尽くされ、蒸発すらしたあの日。突然、髪が抜け、体中の穴から血を流しながら死んで行った肉親に何もしてやれなかった被爆後の日々。戦争を起こした者どもが反省を忘れ、「原爆はたいしたことはない」と言い始めた今、生き残り、生を受けた者が声を上げ、立ち上がろう。
 「あのとき戦争に反対していればよかった。国が再び戦争を起こすその時は、今度こそは反対するぞ」という誓いこそが、ヒロシマ・ナガサキの原点だ。この誓いを実行すべきその時がきた。
 「テロとの闘い=国際貢献」を美化し、大政翼賛会の道へ転げおちた社・共既成原水禁運動の枠をこえて国際的内乱にこたえ、戦争を阻止する新しい反戦反核運動の潮流を生み出そう。被爆労働者を先頭にした労働者・労働組合こそ、この運動の主人公だ。労働者が組合的に団結し、国境を越えて国際的に連帯するとき、闘いは勝利できる。
 8・6広島−8・9長崎へ全国から総結集しよう。

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週刊『前進』(2159号4面2)(2004/07/26)

小泉戦争内閣倒そう 全国統一実が呼びかけ

 8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会が広島・長崎反戦反核闘争への参加を訴える呼びかけを発しました。ここに紹介します。(編集局)

 被爆59周年を迎える今夏8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争は、きわめて重大な情勢の中で闘われようとしています。
 日本の小泉政権は、アメリカ・イギリスのイラク侵略戦争に参戦し自衛隊をサマワに派兵しました。さらに、有事7法案・ACSA大改定による日米共同の北朝鮮・中国侵略戦争体制を構築し、イラク「多国籍軍」への参加=集団的自衛権の行使を突破口とする自衛隊の侵略軍隊化への踏み込みを行おうとしています。この中で名護・辺野古への新基地建設を始め沖縄の米軍基地が再編・強化されようとしています。
 また、小泉首相は福岡地裁の違憲判決を踏みにじり靖国神社への参拝を継続すると公言しました。石原都知事は公立学校の卒・入学式などの学校行事に「日の丸・君が代」を強制し、拒否した教育労働者への大量不当処分を強行しています。労働者民衆の基本的人権・団結権を破壊する「司法改革」攻撃が推進され、憲法第9条の明文改憲を始めとする全面的な戦後憲法解体の攻撃が始まろうとしています。
 日本の帝国主義は、ビキニ被曝者の存在を抹殺して「原子力の平和利用」の名で原発を推進し、さらに六ケ所核燃施設の本格稼働と核燃料サイクルの確立に踏み込んでいます。
 労働者民衆の反戦運動は完全に戦時下での闘いへと突入しました。
 イラクでは2千dもの劣化ウラン弾が撒き散らされ、今なお多くの被曝者が生み出されています。劣化ウラン弾は核兵器そのものなのです。イラク民衆は、激しい反米闘争への決起の中で「どうしてヒロシマ、ナガサキを体験した日本人が、アメリカの味方をするのか」と訴えています。
 全国統一実行委員会は、「くり返すなアジア侵略、ヒロシマ・ナガサキ、オキナワを」という確立されたメインスローガンに加え「有事立法粉砕! 北朝鮮・中国侵略戦争阻止、日本の核武装化阻止! 小泉戦争内閣打倒」を鮮明にして闘い、切迫する北朝鮮侵略戦争(核戦争攻撃)をなんとしても阻止する決意です。ともに闘いましょう
 【被爆59周年8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争呼びかけ人】本島等(元長崎市長)、知花昌一(反戦地主・読谷村議)、吉田義久(相模原反核市民の会)、三角忠(三一書房労組委員長)、下田禮子(反戦被爆者の会)、大野康平(弁護士)、佐藤芳夫(元中立労連議長)、高實康稔(長崎大学教授)、入江史郎(ス労自主委員長)、土本典昭(映画監督)、高山俊吉(弁護士)、大石又七(第五福竜丸元乗組員)、坂井留吉(核燃から漁場を守る会)、結柴誠一(杉並区議)、田中康宏(動労千葉委員長)、桜井善作(月刊小新聞「野火」発行人)

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週刊『前進』(2159号4面3)(2004/07/26)

−被爆59周年−
今こそ、ありったけの力を集めて、戦争をとめよう 8・6ヒロシマ大行動

 8月6日(金)正午広島県立総合体育館小アリーナ(広島市中区基町4の1)
▼被爆者の訴え
 下原隆資さん(原爆被爆教職員の会)
 大石又七さん(第五福竜丸元乗組員)
▼労働者は戦争動員を許さない
 村中哲也さん(航空労組連絡会副議長)
 広島県教職員組合のコント集団「もみじまんじゅう」
 東京・広島の「日の丸・君が代」強制被処分者
 大内裕和さん(松山大学助教授)
 湯浅一郎さん(ピースリンク広島・呉・岩国世話人)
▼自衛隊家族の願いは即時撤退
 三尾雅信さん(とめよう戦争! 隊員家族と元自衛官連絡会)
▼世界の反戦・反核運動との連帯
 韓国−崔鳳泰(チェボンテ)さん(弁護士、原爆被害者と共にする会顧問)
 イラク−医師
 中国−重慶大爆撃被害者と研究者
▼米軍基地撤去を闘う沖縄から
 石川元平さん(元沖縄県教職員組合委員長)
▼ヒロシマから世界へ〜若者のヒロシマアピール
デモ行進(午後3時出発〜5時平和公園解散)
主催 8・6ヒロシマ大行動実行委員会

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週刊『前進』(2159号4面4)(2004/07/26)

8・6−8・9反戦反核闘争日程

 主催 8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会
8月5日(木)
 ヒロシマ反核の集い 午後5時開場 アステールプラザ(加古町4−17)
 ◎講演「『劣化ウラン弾』の人体への影響」−松井英介医師(放射線医学)
 ◎特別報告「世界のヒバクシャ」−鎌仲ひとみさん(「ヒバクシャ」監督)
 ◎被爆者からのアピール−大槻泰生さん(反戦被爆者の会)
8月6日(金)
 小泉首相出席弾劾!祈念式典糾弾デモ 午前7時 東千田公園(旧広大本部)
 核廃絶・被爆者解放集会 午前9時開場 アステールプラザ
 8・6ヒロシマ大行動参加(要項別掲)
8月7日(土)
 海のフィールドワーク・佐世保基地 午後2時 長崎県佐世保市
8月8日(日)
 長崎・中心地デモ 午後3時 長崎市・中央公園
 被爆59周年8・8長崎反戦集会 午後5時 長崎県勤労福祉会館大ホール
8月9日(月)
 爆心地・長崎市内デモ 午前10時 天主公園

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週刊『前進』(2159号4面5)(2004/07/26)

演習場内をデモ 日本原で実射阻止闘う

 岡山の労働者と全学連の部隊は7月6日、岡山県の陸上自衛隊日本原演習場東地区の実弾射撃演習の阻止行動を闘った。
 第7普通科連隊による前日からの個人携帯対戦車弾と無反動砲の演習は、イラクの人民に向けられており、イラク人民の虐殺のための演習である。自衛官に対して「イラク人民に銃を向けるな」「不当な命令を拒否しよう」「反戦自衛官・家族とともに立ち上がろう」と訴え、演習開始1時間前から不当な立ち入り規制を粉砕して演習場内デモを貫徹した。さらに演習場内を移動し中地区の第3偵察隊の爆破訓練に動員された自衛官に対しても、反軍決起を訴えた。
 日本原演習場は、イラク侵略戦争下で演習場周辺のフェンスの建設など演習場の強化が進んでいる。そうした中で、軍服を着た労働者である自衛官に、8・6ヒロシマ反戦行動へともに立ち上がろうと呼びかける重要な闘いとなった。

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週刊『前進』(2159号4面6)(2004/07/26)

核武装化を狙っている日帝 2倍のコスト高を隠蔽し核燃料再処理で原爆材料

 日帝・小泉政権は、帝国主義としての生き残りをかけて、自衛隊のイラク派兵と多国籍軍参加、有事関連10法や、年金改悪の強行など、「外への侵略戦争と内への階級戦争」の大反動攻撃に出ている。この動きに連動して日帝の核武装化攻撃も激しさを増してきた。

 核戦争を想定

 米軍と自衛隊の先制攻撃を公言する石破防衛庁長官は、有事10法の国会審議(4月22日)で、「広島、長崎で爆心地の近くでありながら生き残った人がたくさんいる。どういう状況であれば核攻撃を受けても被害が局限できるか考えていかなければならない」と言い放った。また、国民保護法には原発・核燃施設へのミサイル被弾―放射能汚染発生とその「対処」が言及されている。
 石破の暴言や国民保護法は、核攻撃や核災害から「国民」を守るという大うそで、先制(核)攻撃を合理化し、日帝独自の核武装を促進するものである。
 イラク侵略戦争から北朝鮮侵略戦争へ突き進む米日帝は、イラクに続き北朝鮮への劣化ウラン弾、そして戦術小型核兵器の使用すら狙っている。朝鮮・中国―アジア人民の大量虐殺、日本の労働者人民の死を当然視し、ヒロシマ・ナガサキを再び繰り返そうとする帝国主義を、今こそ労働者人民の力で打倒しよう。

 軍事モードへ

 日帝は、「核兵器を持てる」(福田=02年)「大陸間弾道弾(ICBM)保有は憲法上、問題ではない」(安倍=02年)と核武装の衝動を募らせてきたが、「宇宙開発は平和利用目的に限る」と明記した69年の国会決議についても「必要なら見直すべき」(科学技術担当相・茂木発言=7月6日)と言い始めた。
 独自の軍事情報収集のためのスパイ衛星打ち上げ、H2Aロケットなどの打ち上げや日米共同ミサイル迎撃実験をとおした発射・誘導・大気圏突入・ターゲット破壊などの技術体系の確立、宇宙開発事業団などの「宇宙航空研究開発機構」への統合、自衛隊の権限の強化、宇宙軍事関連情報・組織の機密化……。
 日帝は「平和利用」の看板を掲げながら推進してきたロケット・衛星開発を軍事モードへ大転換しようとしている。核兵器運搬手段としてのミサイル開発の解禁は、核爆弾材料プルトニウムの生産・核弾頭製造解禁(=「原子力の平和利用」原則の破棄)攻撃と一体だ。

 10年間も隠す

 原発の使用済み核燃料の再処理と直接処分(地中に埋める)のコスト比較について、原子力委員会や電事連とともに経済産業省(旧通産省)がその試算を10年間ひた隠しにしてきたことが7月初めに発覚した。
 94年2月の総合エネルギー調査会(通産省諮問機関)のワーキンググループで出された「核燃料サイクルの経済性試算について」と題した極秘資料(別掲資料参照)によれば、国内施設での再処理は、直接処分の約2倍のコスト高になる。これが発表されると、「サイクル事業が成り立たなくなる」「混乱する」として日帝権力・電力資本は試算結果を密封し、青森県六ケ所村の再処理工場建設を強行してきたのだ。
 再処とは、原子炉の使用済み核燃料からプルトニウムを単体として取り出す作業である。独自の核武装計画(=独自の核燃サイクル)を進める日帝にとって核爆弾の不可欠の材料=プルトニウムの抽出ができないことは致命的だ。高コストであろうと、あくまでも再処理に固執する理由がここにある。
 純度が低い軽水炉産プルトニウムは核兵器には不適切だが、高速増殖炉の「常陽」や「もんじゅ」で燃やすことで、劣化ウランを核兵器に最適の98%以上の高純度のプルトニウム(すでに「常陽」の稼働で40`を生産)に転換できる。これが核燃サイクルの目的なのだ。茨城県東海村のリサイクル機器試験施設(RETF)は、高純度プルトニウムを生産する、文字どおりの核軍事施設である。
 「もんじゅ」大事故、「プルトニウム増殖」論の破産、軽水炉再処理工場建設・稼働コストの膨大化、電力自由化……。電力・エネルギー・経済性問題としての核燃サイクル(高速増殖炉路線)の破綻(はたん)は明白だ。日帝は、「原子力の電力コストは安い」という大デマで、地元住民などの反対を一切無視して、原発や核燃施設の建設・稼働を強行し、核施設の労働者や周辺住民に被曝を強いてきた。さらに人体を殺傷し環境を汚染する消滅不可能な大量の核廃棄物を生み出している。
 「核燃の事業コストは、最終的には消費者に電気料金として負担させる」(前記試算)「再処理は日本にとって重要な政策で、コストだけで判断すべきでない」(原子力長期計画策定会議)と、日帝は、労働者人民に責任と犠牲を全面転嫁して核武装に突き進もうとしている。絶対に許せない。
 「原子力の平和利用」を前提とし、日帝の核武装化攻撃との対決を放棄してきた既成原水禁運動に代わり、労働運動の新潮流の中に新たな反戦反核闘争をつくりだそう。
 六ケ所再処理工場の今夏劣化ウラン使用試験を阻止しよう。RETFや「もんじゅ」などの核燃サイクルの完全解体をかちとろう。8・6広島―8・9長崎へ結集しよう。(久木寛)

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週刊『前進』(2159号4面7)(2004/07/26)

日誌'04  7月6日〜13日
 大統領選「テロあれば延期」
 多国籍軍の死者が1000人超

●日商会頭「改憲の機は熟した」 日本商工会議所の山口会頭(旭化成会長)は、憲法問題に関する懇談会で、改憲について「国民の大多数も基本的に検討したらどうかと考えるようになり、機は熟した」「これまでは『憲法改正が即戦争賛成』という考え方が長く定着してきたが、社会民主党もあまり言わなくなった」と述べた。(6日)
●電事連も試算隠し 核燃料サイクルをめぐり、電気事業連合会は、使用済み核燃料を再処理せずに地中にそのまま埋める「直接処分」のコストを94〜95年度に試算していたことを明らかにした。試算では直接処分は再処理より3割程度安い。(7日)
●イラク暫定政府が国家安全法を施行 イラク暫定政府は、「国家安全法」を発表し、即時施行した。非常事態令の発令を可能にするなど首相の権限を強化する内容。(7日)
●「新聞・TVに北朝鮮が工作」 自民党の安倍幹事長は、参院選の応援演説などで、特定船舶入港禁止特措法について、「この法律を通すと大変なことになると、北朝鮮はいろんな圧力を使って、いろんな工作をした。新聞・テレビに工作した。おそらくたくさんのお金を使った」などと述べた。発言の根拠は何も語らなかった。(7日)
●ミサイル迎撃実験へ 日米両政府は、海上配備型ミサイル防衛システム開発を目指す共同技術研究について、試作したミサイルで実際の標的ミサイルを撃ち落とす初の迎撃実験を05年度に実施する方針を決めた。(7日)
●「CIA、失態と怠慢」報告 イラク侵略戦争前の米政府の情報活動を調べていた米上院の情報特別委員会が、開戦の理由としたイラクの大量破壊兵器の保有に関連し、米中央情報局(CIA)の「失態と怠慢」を指摘する報告書をまとめた。(8日)
●沖縄海兵隊、日本国外移転に反対 米太平洋軍海兵隊司令官のグレグソン中将は、米国防総省が検討している在沖縄海兵隊の移転問題について「移転は、自衛隊との共同訓練能力を高めることが目的。自衛隊基地周辺への海兵隊移転ならつじつまが合う」と述べ、本州の自衛隊基地周辺への移転が望ましいとの考えを表明した。(8日)
●多国籍軍、死者1千人超 米CNNは昨年3月のイラク開戦以来、多国籍軍の死者が計1千人を超えたと報じた。「イラク・ボディーカウント」も同様の発表。イラクの民間人の死者は、報道を基に1万1千〜1万3千人と推計している。(9日)
●強制連行、時効認めず賠償命令 15年戦争中に強制連行され、広島県加計町の水力発電所建設現場で過酷な労働を強いられたとして、中国人の元労働者らが工事を請け負った西松建設に対し、総額2750万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が広島高裁であった。鈴木裁判長は強制連行・強制労働を認めた上で、「時効の適用は著しく正義に反する」と述べ、一審判決を取り消し、同社に請求全額の支払いを命じた。(9日)
●参院選、自民敗北 第20回参議院選挙が投開票され、自民党は改選51議席を割り込み敗北した。小泉首相は衆参両院での与党の過半数維持を理由に続投の考えを明言した。議席はそれぞれ民主50、自民49、公明11、共産4、社民2議席。(11日)
●米大統領選、テロあれば投票延期 米ニューズウィーク誌は、11月2日投票の米大統領選の直前にテロが起きた場合に備えて、米国土安全保障省が投票日を延期する法的措置を検討していると報じた。(11日)
●比政府、イラク撤兵「早急に」 イラクでフィリピン人のトラック運転手が人質に取られた事件で、比外務省のセギス次官は、衛星テレビ局アルジャジーラに出演し、比部隊をできる限り早くイラクから撤退させる意向を表明した。(12日)

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週刊『前進』(2159号5面1)(2004/07/26)

闘いの圧殺を図る国家安全法 米英で「開戦口実はウソ」報告
 主権移譲で激化する解放闘争

 7月11日の参議院選挙では、自民党が大敗北し、小泉政権の自衛隊イラク派兵や年金改悪に対して労働者人民の「ノー」がたたきつけられた。にもかかわらず日帝・小泉は厚顔にも政権に居座っている。特に自衛隊の多国籍軍参加を強行し、なし崩しに集団的自衛権を行使する侵略戦争拡大に踏み込んでいる。今こそ闘うイラク人民と連帯し、自衛隊をイラクから撤兵させよう。小泉政権を打倒しよう。

 イラク戦争居直るブッシュ

 米英日帝のイラク侵略戦争は、ますます泥沼化を深めている。6月28日の主権移譲後もイラク人民の武装闘争は激しく燃え上がっており、多国籍軍の死者・負傷者もますます増加している。開戦以来の米英軍などの死者はついに千人を超えた。7月8日には、中部のサマラでは解放勢力が警備隊施設を攻撃し、米兵5人とイラク警察1人が死亡した。これを初めとしてイラク全土で多国籍軍やイラク警察に対するイラク人民のゲリラ戦争が激しく闘われている。7月の多国籍軍の死者はすでに14日までで34人に上っている。
 またイラクの武装勢力がフィリピン人のアンゲロ・デラクルス氏を人質としフィリピン軍の撤退を要求したことに対し、フィリピン政府は12日、武装勢力の要求を受け入れ、派遣部隊を早急に撤退させることを表明した。米帝が露骨に要求をのむなと恫喝する中で、国内的な怒りの爆発を恐れて要求を受け入れたのだ。
 また、ポーランド政府は、現在2500人派兵しているポーランド軍を千人以上削減すると発表した。13日にブルガリア人人質が処刑されるなど、イラク人民の怒りの激化と侵略戦争の泥沼化、米帝の侵略戦争の不正義性が弁解の余地なく明らかになる中で多国籍軍に派兵している諸国の間に動揺が広がっている。

 「愛国者法」を模した治安法

 こうした中で、イラク暫定政権は7月7日、国家安全法を発表し、即日施行した。この国家安全法はブッシュ政権が01年9・11ゲリラ戦争後に制定した愛国者法(パトリオット・アクト)を模してつくったものだ。条文は全13条からなり、首相に非常事態令を発令する権限を与えており、さらにテロや犯罪に関与している疑いがあるというだけで拘束される。また、資産の凍結や盗聴、郵便物の摘発ができるようになっている。
 現在アメリカで横行しているように、テロに関与していると疑いを持たれただけで拘束され、理由も告げられず、起訴もされないで長期にわたって収容所に入れられ、拷問によってデッチあげの自白を強制されるのだ。
 要するに、アブグレイブに象徴されるように、これまで米軍がグアンタナモやアフガニスタン、イラクでやってきたのと同じことが、イラク暫定政権によって行われるのである。基本的人権など完全に圧殺し、強権支配で人民の戦いを圧殺しようとしているのだ。そのために暫定政権は、「投降すれば恩赦を与える」と懐柔をはかる一方で死刑の復活を強行した。
 米帝は、アブグレイブでの収容者の拷問・虐待・虐殺が暴き出されて今になってもイラク国内でまだ5千人もの人びとを拘束していると言われている。また、米帝の戦争を基本的に容認している赤十字国際委員会でさえ、アメリカが戦争捕虜や収容者をグアンタナモやアフガニスタン、イラクではない別の場所に隠していると非難している。イラクの国家安全法の施行はこうした不当な拘束や拷問・虐待をさらに激化させるものなのだ。
 だが、こうした血の弾圧でイラク人民の米英日占領軍やカイライ政権に対する戦闘が圧殺できるわけではない。米帝の侵略と占領に対するイラク人民の激しい怒り、不屈の戦いの中で16万米英軍自身が危機的泥沼に陥っており、米英軍による残虐な人民虐殺によってさらにイラク人民の決起が広がっているからである。イラク人民の民族解放・革命戦争は、侵略軍の完全撤退へとけっしてやむことなく拡大していくのである。
 一方、7月9日、米上院情報特別委員会は、イラク戦争開戦の理由とされた大量破壊兵器問題で中央情報局(CIA)の情報分析に大きな誤りがあったとする報告書を発表した。続いて14日にはイギリス政府の独立調査委員会がイギリス政府が開戦の口実のために情報を不公平に扱ったとする報告書を発表した。
 米帝の調査団がイラクに大量破壊兵器はなかった、フセイン政権とアルカイダとの間に関係はなかったと結論づけたのに続いて、情報機関が情報を歪曲したことも公式の調査委員会自身によって結論づけられたのだ。米英帝のイラク開戦はデマとデッチあげを根拠にしたものだったのだ。
 しかし、ブッシュ政権は「イラク戦争でアメリカはより安全になった」とイラク戦争がアメリカを「防衛」するための戦争であるかのように言いなして、あくまでも正当化しようとしている。米帝は、「防衛のため」という口実さえつければどこでも好き勝手に攻撃できると主張しているのだ。イラク占領・植民地支配を進める一方、北朝鮮・中国侵略戦争へと拡大していこうとしているのだ。ブッシュの恥知らずな居直りをどうして許せるか。

 『防衛白書』に集団的自衛権

 特にこうした中で小泉政権が自衛隊の多国籍軍への参加を決めたことはきわめて重大である。憲法的制約を公然と踏み越えて、全面的な侵略戦争へと突入しようとしているのだ。
 7月6日に石破防衛庁長官が閣議報告し、発表した今年の防衛白書は、初めて集団的自衛権行使容認論について触れた。自衛隊の海外派兵を本来任務にするために自衛隊法を改悪するよう主張し、そのための「自衛隊の在り方」として「海外での活動に適した組織へと自衛隊を変える」ことを宣言した。そして海外派兵の専門部隊を創設することや航空輸送力の大幅な増強なども主張している。さらに基盤的防衛力整備構想をも大転換し、侵略軍隊の形成を基軸に据えようとしているのである。
 これまでも基盤的防衛力整備構想の下に「憲法の枠内」と言いながら実際には軍事力増強を進めてきた。それを公然と転換することは、侵略戦争突入下で果てしない大軍拡に一挙に突入することを意味している。
 こうした侵略軍隊化に向けて防衛白書ではイラク派兵を大きく取り上げた。そして「国際社会とイラク国民から高い評価」などとウソを書き連ね、「日米の安全保障面での協力をさらに緊密かつ実効性のあるものにする上で有意義」と押し出している。イラク派兵を本格的な突破口として日米の共同作戦になし崩し的に踏み込むことを狙っている。

 イラクからの即時撤兵を!

 米帝が、「防衛のため」と主張して侵略戦争に突入し、それに日帝が参戦していくという際限のない侵略戦争の拡大が今まさに行われているのである。日帝・小泉政権は、有事法制をもって米帝とともに北朝鮮(中国)侵略戦争に突進しようとしているのだ。そのために有事法制を成立させた上に立って、改憲攻撃に突き進もうとしている。
 この攻撃を絶対に許してはならない。闘うイラク人民・ムスリム人民と連帯し、自衛隊イラク撤兵に向けイラク反戦闘争を全力で爆発させ、改憲阻止闘争の大爆発へ突き進もう。有事法制を「発動させない・従わない」闘いを貫き、米日帝の北朝鮮侵略戦争を絶対に阻止しよう。

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週刊『前進』(2159号5面2)(2004/07/26)

北朝鮮侵略戦争に向けた 「国民保護計画」粉砕を

 国が「基本指針」の策定に着手

 小泉政権は、国民保護法32条に基づく「国民の保護に関する基本指針」の策定に着手した。(6月21日付読売新聞)
 まず「基本指針」では日本への武力攻撃の対応を@地上部隊が上陸する攻撃Aゲリラや特殊部隊による攻撃B弾道ミサイルによる攻撃C航空機による攻撃――の4ケースを想定し、それぞれの場合の国の対応を明記するとしている。また武力攻撃とは別に、大規模テロなどの緊急対処事態での対応も指針に盛り込む。
 政府はすでに昨年11月から全都道府県に対して「今後の5カ年間における国民保護関連事業の想定」と題するスケジュール表を配り5年以内に「国民保護の計画」をつくるように圧力をかけている。「国の基本指針」はその大本になるものである。各自治体と指定公共機関はこの指針に基づいて、それぞれの「計画」「業務計画」を策定する。
 昨年11月といえば、まだ有事法案も国会に提出されていない段階だ。こんな段階から政府は、まるで国民保護法がもう成立したかのようなやり方で、地方自治体に有事計画=戦争計画づくりに取り組むよう圧力をかけてきたのである。
 スケジュール表によると政府は来年3月までに「基本指針」を策定し、これに沿って省庁と都道府県が05年度中に「国民保護計画」をつくる。06年度から市町村と、放送・運輸・電力会社などの指定公共機関が「計画」を策定することになっている。(表参照)
 実に許すことのできない攻撃である。これは米日帝による北朝鮮(中国)侵略戦争の計画の一環である。そこでは、@「北朝鮮の脅威」をあおり、国民を排外主義的に北朝鮮侵略戦争に屈服させ動員すると同時に、A米日帝の侵略戦争に対する北朝鮮側からの必死の反撃を想定し、これへの対応を問題にしている。つまりたとえ反撃されようともあくまで北朝鮮・金正日体制転覆の侵略戦争を強行しようとしているのだ。
 これは今日の社会のあり方を根底からひっくり返し侵略戦争をする国家・社会体制に変える攻撃である。

 自衛隊の主導で国民保護協議会

 重大なことは、この「国民保護計画」をつくるために、都道府県と自治体に「国民保護協議会」がつくられることである。これには、自治体の長・職員、指定地方行政機関の長・職員、警察・消防・教育(学校)・指定公共機関などの代表が参加する。神奈川県では約60人の規模になるという。実際に協議会をリードするのは自衛隊である。自衛隊幹部が出席し、国の「基本指針」をごり押しし、全機関を一律に戦争体制に組み入れることを狙っている。
 日帝はこの協議会をテコにして何よりも自治体の施策に一層の介入と圧力を強め、都市計画やさまざまな施策、福祉、教育、住民統制など、すべてにわたって国家管理・統制・監視を強め、戦争遂行の観点から再編しようとしている。地方自治を圧殺し、上意下達の軍隊編成的な国家をつくろうとしているのだ。
 またこうした戦争国家づくりに学校・教育が動員されようとしている。教育基本法改悪や、それを先取りする都教委の10・23「日の丸・君が代」強制通達などは、有事立法と一体の攻撃である。闘う教育労働者を圧殺・排除し、児童・生徒に軍国主義教育を行おうとしている。さらに地域の「自主防災組織」(住民を戦争に動員する組織)づくりのために、学校のPTAを活用することも狙っている。このために9月1日などに自衛隊・警察の主導で「有事避難訓練」を行い、「国防(=戦争)は国民の第一の義務」という思想を住民や子どもたちに植えつけようとしているのだ。
 「国民保護計画=戦争計画」策定の過程は改憲攻撃と一体的に同時進行する。これ自体が、9条改憲を先取りする攻撃である。絶対に許せない。
 まさに「国民保護計画」づくりは労働者人民に対する重大な攻撃である。だがこんな戦争計画づくりが日帝の思惑どおりに進む保障は何もない。計画に密接なかかわりをもつ自治体労働者、教育労働者を始めすべての労働者が団結して反戦の立場で闘えば、「国民保護計画」を粉砕し、日帝の戦争体制をがたがたにできるのだ。有事法を「発動させない、協力しない」闘いを強めよう。

政府の「国民保護計画」のプラン

■計画策定のスケジュール
 05年3月までに国の「基本指針」
 06年3月までに省庁と都道府県の「計画」
 06年4月以降、市町村の「計画」と指定公共機関の「業務計画」策定
■国民保護協議会
 都道府県、市町村に設置。実質的に自衛隊が主導。行政機関、自治体の長、警察・消防・学校(教育)・医療、指定公共機関などの代表が参加。都道府県では60人規模に。有事には「国民保護対策本部」に
■計画の内容
 「実施体制」「計画」「普及・啓発」「避難の検討」「資機材整備」など。
■攻撃の狙い
 ・米日帝の北朝鮮(中国)侵略戦争のための国 内体制づくり。
 ・教基法改悪、改憲攻撃と一体で進行。地方自 治と労働者人民の権利を圧殺。軍事最優先の国 家、社会につくりかえる

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週刊『前進』(2159号5面3)(2004/07/26)

法政大 学館解体に怒り沸騰 800人が結集し学生部長追求
 サークル員を先頭に決起

 7月13日、法政大学で「新複合施設の建設についての全学説明会」ならびに学生部長会見が行われた。学館解体決定に怒りを燃やし、800人あまりの法大生が大教室に結集した。
 法大当局は、これに先立つ7月8日付で「新複合施設の建設についての全学説明会について」「学生会館の解体と荷物移動のスケジュールについて」という2通の文書を大学名で発表した。その計画は、9月に学館の本部棟、ついで12月にホール棟を解体するという許し難いものだ。
 法大当局の計画は、学生会館の本部棟ならびにホール棟、そして第一校舎を取り壊して、隣接する嘉悦学園との通路を確保したうえで、10階建ての「新複合施設」を建設するというものであるが、そこに入るのは学生部や就職部などの事務室と教室が大半を占め、若干のアトリエや音楽練習室などはあるものの、サークルの死活的な要求である部室は一部屋さえも設けられないというものである。
 この日、出席した浜村学生部長ら法大当局の説明は、なぜ学生会館を解体するのかの理由、サークル活動への保障が不十分であることなどについて、およそ学生を納得させられるようなものではない。そもそも手続きがでたらめであり、許せないことに、翌日から「誓約書」を書かせ、直ちにBOXの荷物を出させようとしているのだ。
 学生部長らは、無断で撮影した学館BOX内の写真を投影し「ゴミ捨て場?」「漫画喫茶?」などとキャプションをつけて、ネガティブキャンペーンを張ろうと試みた。これにはサークル員の怒りが爆発した。何しろその写真たるや、漫画研究会の漫画や、麻雀同好会の雀卓などをもって問題にするという具合なのだ。
 続いて、学生3団体主催の学生部長会見に移った。
 冒頭マイクを握った学生が、「今回の決定が、学生の意見をまったく聞かずになされたことに抗議する」と発言すると、会場から拍手が巻き起こった。
 サークル員が次々と、「サークル活動は保障されるのか」と発言する。学生部長らはまともに答えることはできず「今までの活動がすべて保障されることはあり得ない」と言い放つ。学生の怒りは収まらない。
 会見時間の延長をかちとり、学生が発言に立つ。「今日の議論でも、どのサークルも活動が大幅に困難になることが明らかになった。これでは、とうてい納得できない。学生サービスの充実のためなんてのはペテンだ。学生会館利用者は全学生の2割しかいないというが、2割の活動を保障することができずに、どうして10割保障できるというのか」「とりわけ、代替施設でも、新施設でも、一つも部室が用意されていない。これでは大多数のサークルが死滅する。法政からサークルを取り上げたら、何が残るというのか。この学生会館があり、自由にサークル活動ができる法政を後輩に残してやりたい」
「当局もサークルの要求に『今後検討する』『想定していなかった』という回答ばかりではないか。こんな状態で手続きを進めてしまっていいのか。それぞれのサークルでも、部会で議論しなければならない。白紙撤回すべきだ。それでも強行するというのなら、一年間計画を凍結し、議論を尽くすべきではないのか」
 会場から拍手がわき起こった。学生部長らは何も答えることができずに、会見の終了を一方的に通告し、退席してしまった。「まだ発言を求めている人がいるぞ!」「発言させろ!」と怒りの声が飛び交う。
 こんなものは、説明会でも話し合いでもない。怒りは高まるばかりだ。当局のシナリオどおりにことが進むことなど、けっしてあり得ない。
 7・13会見の攻防は大勝利した。
 サークル員の怒りがついに当局にたたきつけられ、法大当局と全学生の大激突が始まったのだ。
 「サークルなど必要あるのか」――この暴言に示されるように、当局の意志は学生会館の解体と、サークル活動そのものの圧殺にある。これを、一部の当局派学生を取り込んでサークル員の怒りを押さえ込んで強行しようとしてきたのだ。
 しかし、7・13ではっきりしたことは、学館解体と諸施設建設の強行過程がサークル員を先頭とした大学対全学生の大激突にならざるをえない。そして、日帝・小泉=奥田路線に対応した法大清成体制がズタズタに粉砕されるのだ。資本の独裁から大学を学生のもとに取り戻し新しい自治を打ち立てる大決戦になるということだ。
 法大の学館闘争は、60年とも70年とも違う新たな学生運動の爆発の開始を告げ知らせている。サークル員を始めとする全法大生の総決起で、攻撃を粉砕していく。

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週刊『前進』(2159号5面4)(2004/07/26)

学生大会に500人結集 安田さん講演、活発な討論

 7月9日、法政大学において学生大会が開催され、500人の結集で大成功をかちとった。
 この日、法大当局は、自主・自治活動やサークル活動の拠点である学生会館を解体すると抜き打ち的に発表した。大会冒頭、執行部が怒りを込めて法大当局の決定を弾劾し、7月13日の「全学説明会」に集まり、白紙撤回させようと呼びかけた。
 サークル員が発言に立ち、「学館には思い出がたくさん詰まっている。サークル活動に必要不可欠なものだ。絶対壊させてはいけない」「こんなだまし討ちのようなやり方が許されていいのか」と次々にアピールを行った。
 記念講演に移り、ジャーナリストの安田純平さんがイラクでの「拘束の3日間」の体験を中心に、講演を行った。
 講演の冒頭、安田さんは、自分たちを拘束したのは、地域公認の農民の自警団だったことを例にあげ、「それぞれの事例を考えればなぜ彼らがそこまでの行動をしなければならなかったかがわかる」と問題提起した。武装勢力の一人は、「なぜ自分がこんなにアメリカを憎むかわかるか?」と、米軍による虐待の体験を語り、「日本は広島・長崎の経験があるのになぜ、この戦争を支持するのか」と語ったという。
 話は名護の新基地建設にもおよび、質疑応答が活発に交わされ、会場は盛り上がった。

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週刊『前進』(2159号6面1)(2004/07/26)

団結ひろば 投稿コーナー

 日々勝利積み重ねる「辺野古効果」は絶大 東京 糸川俊郎

 辺野古のヘリ基地建設反対座り込み闘争に参加しました。参院選で糸数氏が敗北すれば即日強制撤去、と緊張が高まるさなかですが、日々テントで過ごしているうちに、これはものすごいことが起きているぞ、と肌身で感じた9日間でもありました。
 テントがあるとはいえ、沖縄の炎天下で毎日朝から晩まで座り込めば猛烈に体力を消耗します。80日も座り込めば疲労もピークに達します。おじい・おばあを筆頭に、文字どおり決死の決意で座り込んでいるのです。これを書いている今も彼らは座り込みを続けています。
 それでも、エメラルドの海を前にジュゴンの風船が空を泳ぐ「テント村」は、いつも冗談が飛び交い、ゆんたく(おしゃべり)の輪が絶えません。
 決然とした空気のなかにも、自分たちの力で工事を止めている勝利感、解放感がテントには満ちあふれているのでした。
 この闘いが糸数さん圧勝の原動力となったことは間違いありません。
 日々勝利を積み重ねる「辺野古効果」は絶大です。テントには沖縄全島からひっきりなしに人びとが訪れ、座り込んで交流しています。工事を止めている現実を全身で受け止め、勝利の手ごたえをつかんで帰っていく。
 ある参加者を乗せてきたタクシー運転手は「国に逆らってもムダだと思ってたけど、案外そうでもないんだね」と語ったそうですが、辺野古を基点に沖縄人民の意識は大きく変わりつつあります。
 「市民アセスなご」の森山憲一代表は、目をランランと輝かせて「強制着工しようものなら、間違いなく沖縄じゅうの米軍基地が止まる事態になりますよ」と勝利の確信を語ってくれました。工事着工の既成事実で反対運動をつぶそうとした敵の狙いは、まったく逆の現実を生み出してしまったのです。
 全国の力で辺野古を支えよう! 戦争への流れを止めたい人は、みんな駆けつけて座り込みに参加しよう!

 重圧を吹き飛ばした「糸数圧勝」に大歓声 東京M・K

 7月13日午前8時すぎ、参院選沖縄選挙区で当選を果たした糸数慶子さんが、辺野古を訪れた。
 自公が推薦した翁長候補に大差をつけて勝利した糸数議員の登場に、座り込み参加者がにわかに色めき立った。
 4月19日から続く漁港前での座り込みは、この日で86日目。早朝からおつれあいと一緒に座り込んでいた桑江テル子さんと糸数さんは抱き合って喜び合った。命を守る会の代表、金城祐治さんとしっかりと握手。平良修さん、悦美さんとも喜びの握手を交わした。見ている私の胸にも熱いものがこみ上げてきた。
 「けいこ来たる」の知らせを聞いて地元のおじいやおばあたちが駆けつけてきた。「あんたは本当に親孝行娘だ」と何度も繰り返す81歳のおじい。投票日前夜の総決起集会の発言で満場を感動で包み込んだ嘉陽宗義さんだ。
 「ここに基地は造らせません。計画を撤回させます」と、糸数議員が全員に向かって宣言し、テント内に歓声が上がった。
 糸数慶子さんの勝利は、おばあたちの表情を変えた。みんな、「今度の選挙は今までとは違う」と、全力で投票を組織した。だから自分たちの闘いの勝利だと腹の底から感じている。それは不安と重圧を吹き飛ばした。糸数さんを囲んで、テント内には会心の笑い声が何度も何度も響いた。
 命を守る会は、この日午後に1週間ぶりでやって来た防衛施設局職員を毅然と追い返した。
 新基地建設反対闘争は、辺野古だけが地元ではない。大浦湾の北に広がる二見以北10区も、騒音直下となる地元なのだ。二見以北10区の住民も連日、座り込みに駆けつけ、命を守る会とともに闘っている。
 座り込みテント上空には大きな真っ青なジュゴンバルーンが泳ぎ、「命の海を守ろう」と訴えていた(写真)。ジュゴン保護基金委員会の東恩納琢磨さんの手になる「7月11日は投票に行こう」の垂れ幕が下がっていた。東恩納さんも10区の一つ、瀬嵩(せだけ)の人だ。
 参院選投票日をはさんで1週間の辺野古座り込みは、あっという間に過ぎた。ひとまず東京に戻るとあいさつをする私に、金城祐治さんが、ご自身の座右の銘を教えてくれた。
 「闘いは継続なり。継続は力なり」。がんばろう。

 若者の「進出」にかけ電機連合の変革へ 電機労働者H・S

 燃えるような日差しが続く夏場は、労働組合の定期大会の最盛期である。私が所属する電機連合もさいたま市で52回目(7・6〜7)の定期大会を開催した。
 参加した60%強が40歳にも手の届かない代議員(傍聴者)が占めていた。本来なら若者が主流となっての活気に満ちた大会が、硬直し枯渇した大会となったのは何故であったのか。
 資本の突き出すリストラに反旗を揚げることなく屈伏したのみか、組合指導部が第2労務に成り下がって組合員を押さえつけ、中高年者を職場から追い出し続けたことが若者の「進出」を生んだのであり、電機連合の将来を考慮した故ではまったくない。最大85万余いた組合員が57万強に減少したのが何よりの証拠である。
 大会では、組合員の防衛ではなく、企業に不必要な労働者を組合が核となって追い出していくための「産業職業アカデミー」や「雇用支援センター」の創設を取り決め、小泉や奥田の“戦争国家化”を担う「産業報国会」路線を組合運動の中軸に据えたのである。職場にあっては、安価な労働力として派遣・請負労働者を増やし、正規労働者には、かつてない労働強化を強いるのみか、「36協定」などなきに等しい状態にあり、人によっては100時間超えが何カ月も続き、比較的、賃金水準が高い技術労働者などにはサービス残業が強要されている。
 どのような経路で執行委員を受け入れたにしても、若き執行部の未来に希望をかけて、1人でも多くの執行委員の変革に着手しなければ、電機のみか社会を変革することなどあり得ないことだ、労働組合を「1人の首切りも許さない」“場”として再生していくために、動労千葉の闘いに徹底的に学び、自らのものとすることをもって、大会参加の若き執行委員を闘う陣営に引き込み、第2、第3の動労千葉を電機の職場に構築しよう。そのことで軍需製品の拡大のために、戦争国家を支持し、イラクや北朝鮮への「侵略戦争」をほくそ笑む企業と既存指導部との全面対決を開始しなければならない。次回の大会には、1人でも多い若き指導者とスクラムを組んで闘えることを決意し会場を後にした。

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週刊『前進』(2159号6面2)(2004/07/26)

解同全国連長野県連大会 “同盟員2倍化を” 部落差別の実態に怒り

 梅雨の雨空が、いったん晴れに変わった6月20日、第3回長野県連大会が長野市で開かれました。大会会場には、県下の部落大衆が集まり、特に若い青年たちがひときわ目立っていました。93人の結集によって、大きな成功を収めました。
 午後1時30分、解放歌斉唱のあと司会者によって開会が宣言されました。議長団には、長野県連の中心軸をなす青年部からも初めて選出されました。開会のあいさつを中村副委員長が行いました。主催者を代表して、小森勝重委員長がたちました。2回大会からの1年3カ月間をふりかえり、「第2回大会は、アメリカによる3・20イラク侵略戦争が開始された直後だった。あれから今日まで一気に情勢は動いた。自衛隊は派遣され、今度は多国籍軍になって侵略に参加しようとしている。帝国主義の侵略戦争を私たちの手で終わらせよう。世界の労働者は決起を開始し、日本でも大きな反戦闘争が闘いとられている。年金改悪法に反対しよう。有事立法の強行採決をした小泉政権を打倒しよう」と訴えました。
 来賓のあいさつは、@全国連中央本部、A茨城県連、B東日本解放共闘、C婦人民主クラブ全国協議会、D長野県連を支える会のそれぞれの代表から行われました。
 活動報告は、高橋事務局長が行いました。「27部落、350軒の面談と聞き取りを行ってきた。そこには、部落差別が貫かれている」と例を出して報告しました。そして、全国連が解同本部派に代わって部落の村に責任を取ること抜きで、この実態が解決できないことが訴えられました。
 続いて運動方針の提案を小林あや子書記長が行いました。「解同本部派は、狭山闘争を基軸とする差別糾弾闘争を放棄した。融和主義の運動であり、侵略翼賛の団体だ。解同本部派を今こそ打倒し、部落の村の団結を取り戻していこう。そのためにも、部落の生活実態に合わせた生活要求闘争を全力で取り組もう」「全国連の同盟員の2倍化を実現すること。3支部に続いて、今年度は新たに2支部を結成すること」などが、熱烈に訴えられました。
 休憩後、アトラクションが行われました。篠ノ井支部の山口支部長と子ども会による「大正琴」の演奏が行われ、会場を大いに盛り上げました。
 自由討論では、保育園からの子どもを預かれない、などの差別実態に対して、支部に相談し、保育園と交渉して謝罪させ、保育園に通わせることができるようになったことが、初参加の婦人から報告されました。荒井さんは、「借金によって家を追われることになったが、解同本部派はその人を助けるのではなく、村の中で住むことを妨害した」ことなどを怒りに体を震わせて弾劾し、本部派との闘いを訴えました。
 また青年部からは「組織を作り上げるには、それ独自の闘いが必要だ。機関紙を作って闘ってきたが、内容を充実させていきたい」など、多くの発言もなされた。共闘の仲間からも「毎月の狭山デーをきちんと取り組む」と語られました。
 提案された全議案が満場一致で可決されました。16人の執行委員会を代表して、小森委員長の団結がんばろうで終了しました。
(投稿/N・Y)

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週刊『前進』(2159号6面3)(2004/07/26)

警官増員・テロ根絶・入管強化 日共の参院選政策を断罪する

「国民の生命と安全をまもるために」より抜粋

●治安への不安にこたえる
「治安への不安がひろがっています」
「警察のいちばんの仕事は市民生活の安全を確保すること」
「警察官を増員することにより、空き交番を即時に解消します」

●テロから国民の生命・安全をまもるために
「テロを根絶することは人類生存の条件になった」
「テロ対策の基本を規定した12の条約、関連する国内法の厳格な実施を求めます」
「警察行政、出入国管理行政の役割が重要です」

 日本共産党は、6月2日、参議院選挙にのぞむ政策として「政治のゆがみをただす本物の改革をすすめ、国民が希望を持てる日本をめざします」と題する文書を発表した。17項目の「各分野の政策」の中に「国民の生命と安全をまもるために」という項目を設け、「治安への不安にこたえる」「テロから国民の生命・安全をまもるために」と主張し、「治安強化」の先兵となることを宣言した。とんでもない反動的政策である。
 日本共産党は、ついに戦時下での「治安強化」のキャンペーンに乗り出した。日帝・小泉の侵略翼賛攻撃に屈服し、その先兵となり果てたのだ。

 「治安悪化」宣伝の片棒を担ぐ

 第一に、日本共産党は、「凶悪犯罪が大きく宣伝され」「治安への住民の不安がひろがっています」などというところから始めているが、このようなとらえ方自体が、警察のデマキャンペーンをうのみにしたまったく根拠のないものだ。
 昨年10月の第30回犯罪社会学会において、法務省総合研究所の官僚は「犯罪情勢の悪化とその指標」と題して、@犯罪認知件数の激増と検挙率の低下、A強盗犯の増加などの公式統計を発表し、「治安の悪化」を報告した。
 これに対して、河合幹雄桐蔭横浜大学教授は、「犯罪統計のからくり−犯罪統計の正しい読み方」と題して、全面的に批判し「治安の悪化はウソ」と暴いている。実際は犯罪は微増ないし横ばいであり、殺人は戦後ずっと減少しているのだ。法務省官僚の作文は、警察強化のためのデマキャンペーンなのだ。
 さらに、警察・入管当局と石原都政が一体となって推進している「不法滞在外国人による犯罪が東京で急増し、治安悪化の要因になっている」というキャンペーンもデマである。96年から02年の警視庁「不法滞在者」の犯罪統計データによると「不法滞在者」刑法犯検挙人数は平均484人で、その構成比も東京都全体の1%未満にすぎない。
 日本共産党の言う「治安への不安」は、権力のデマ宣伝を批判的に検討することもなく、唱和しているものであり、それだけでも労働者階級人民の立場とまったく相入れないものである。

 「空き交番解消」を積極的に提言

 第二に、そのようなデマ宣伝に乗った「現状認識」に立って、日本共産党は警察権力による治安弾圧の強化・拡大を積極的に呼びかけている。
 日本共産党は、「警察のいちばんの仕事は市民生活の安全を確保すること」「警察官を市民生活の安全の分野に適正に配置し、足りない場合は最小限必要な警察官を増員することにより、空き交番を即時に解消します」と主張している。
 ここに現れているのは、警察の治安維持活動を評価し、その強化を積極的に推進する立場だ。
 警察による治安強化の攻撃の現実はすさまじい。
 駅前、コンビニ、繁華街、住宅街、学校を始めとした公共施設などに監視カメラを設置し、労働者人民の日常活動を監視している。主要な交通機関に警察官を配置し、労働者人民に不当な検問や職質を恒常的に行っている。地域住民を「自警団」に組織し、夜回りなどを行わせている。さらに住民基本台帳ネットワークの本格稼働により、すべての労働者人民の個人情報(思想・信条から趣味まで)を国家権力が一元的に掌握しようとしている。
 このように、警察力の強化とは、市民生活、労働者人民の生活や権利が侵されることを意味するにもかかわらず、日本共産党はこのことにまったく何の批判もなく、警察活動の強化と警察官の増員を掲げているのである。
 一方、反戦運動や組合運動を始めとする労働者人民の政治活動への弾圧も激化している。
 2月27日、自衛隊官舎への反戦ビラまきで不当逮捕・起訴され75日間も勾留された立川反戦ビラまき弾圧。3月3日、公務員が勤務時間外に政党(日本共産党)機関紙を配布したことをもって「国家公務員法違反」で逮捕・起訴。7月4日、「平和のために選挙へ行こう」を掲げたパレードに対する3人の不当逮捕と被逮捕者の自宅や関連事務所への強制捜索。7月7日、講演会のために一橋大学に来校した石原都知事への抗議行動で参加者の1人を不当逮捕。
 これらの弾圧は、日帝・小泉政権のイラク侵略戦争への参戦を契機として、日帝の治安弾圧が戦時体制へと突入したこと示している。日帝・法務省は、共謀罪の新設を始めとして戦時下の治安弾圧強化の攻撃を労働者人民にかけてきている。その狙いは、革命党や労働組合を解体し、あらゆる反戦運動や反体制運動を根絶することだ。
 ところが日本共産党は、自分自身が不当弾圧を受けた当事者でありながら、労働者人民を抗議行動に組織し警察権力と真っ向から闘うことを否定している。権力に完全に屈服し、自分たちはけっして警察に逆らわず、警察に協力するので、弾圧の対象から外してくれと哀願しているのだ。なんという恥ずべき奴隷根性であろうか。

 「テロ根絶」叫び他民族抑圧擁護

 第三に、日本共産党は現実のブルジョア社会(帝国主義体制)を擁護する立場を鮮明にしている。
 「いま、テロを根絶することは、人類生存の条件になったといえるほど、切実な問題となっています」と呼びかけ、米帝を始めとする世界の帝国主義国家権力に全面的に協力することを宣言している。
 そこから、「テロ資金供与防止条約、核物質防護条約をはじめ、テロ対策の基本を規定した12の条約、関連する国内法の厳格な実施を求めます」「テロ集団の潜入を阻止し、摘発するうえで、警察行政、出入国管理行政の役割が重要です」と主張している。この立場は、帝国主義の反戦運動や反体制運動を抹殺するための政策に賛成し、その推進を呼びかけることにほかならない。
 これらの条約、関連国内法は、ことごとく反人民的な治安弾圧法であり、労働者階級が闘って打ち破るべきものである。とりわけ、入管体制の「役割が重要」と言ってその強化を要求していることは許しがたいものである。入管体制は、在日朝鮮人・中国人に対してどれほど差別・抑圧、分断・同化・追放の攻撃を加え続けてきたことか。とりわけ9・11以降在日イスラム・中東人民に非人間的な攻撃が加えられている。それは今日ますます激化している。このことを一顧だにせず、「テロ防止のために入管の強化を」などと言うのは、完全に帝国主義的排外主義そのものである。
 そもそも「テロ」と呼ばれているのは、被抑圧民族人民のやむにやまれぬ民族解放闘争であり、その特殊的・極限的な表現である。帝国主義による侵略と戦争、搾取と抑圧があるから起こっているのだ。日本共産党の「テロ非難」は本末転倒しているのだ。
 こうして、日本共産党は、階級対立が非和解的に存在していること、帝国主義と被抑圧民族の対立も非和解的であることを全面的に否定し、帝国主義と同じ立場に立って、帝国主義の治安弾圧攻撃と他民族抑圧体制を積極的に支持・推進しているのだ。
 もはや日本共産党には、世界の労働者階級とともに闘い、労働者が主人公の社会を実現する思想などまったく存在しない。
 日本共産党や全労連の旗のもとで闘う労働者、とりわけ青年労働者に訴える。このような日本共産党とともに戦時下の反戦運動や労働運動を闘えるのか。戦前、命をかけて侵略戦争に反対した山本宣治や小林多喜二の遺志を本当に引き継ぐことができるのか。
 本気で日帝・小泉政権のイラク侵略戦争、教育基本法改悪・改憲攻撃と闘う気概を持つ青年労働者は、革共同とともに闘おう。

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週刊『前進』(2159号6面4)(2004/07/26)

寄稿 苦節25年の勝利判決に感動の歓声と拍手
 全逓調布OB 早川繁雄

 6月30日は、25年闘い続けた全逓・反マル生実力闘争4・28不当処分撤回裁判闘争の東京高裁の判決の日だった。この日われわれは歴史的な全面勝利をかちとった。
 午前10時50分開廷。いきなり「原判決を取り消す」の裁判官の第一声。法廷内にいたものの誰もが「えっ?」となり、一瞬、裁判官が言った言葉を頭の中でなぞってみて、「ワァー」と一斉に声を上げた。その直後の裁判官の話「……に対する懲戒免職処分をいずれも取り消す」は聞こえなかった。法廷は11時前には終わった。法廷の外に出るやいなやみんながあちこちに勝利判決を携帯電話で知らせまくっていた。知らせを受けたものの誰もが「ウッソー」と言う返事から会話が始まった。「ほんとだよ」と言う声があちこちでする。裁判官・江見は国鉄分割・民営化の時、最高裁調査官から国鉄総裁室に出向して「国鉄改革法」を作りあげ、国鉄職員20万人を職場から排除し、とりわけ国労組合員に対する差別選別の首切りに手を貸した張本人であるだけに、誰も「勝利判決」は予想だにしていなかったと言っても言い過ぎではない。
 10時40分ごろから822号法廷への傍聴人の入廷が始まった。40人ほどで満席となる。法廷に入れない人が40から50人はいた。私は隣の人と「10時50分開廷なんて裁判官は5分ぐらいで不当判決を言い渡してさっと逃げる気だな」などと話した。「起立願います」の書記官の声とともに裁判官が入廷したが、ふてくされて起立しなかったものがたくさんいた。しかし、判決文を言い渡し裁判官が退廷する時にはその人たちも「起立」していた。すぐ全員で弁護士会館の会議室へ向かった。法廷から廊下に出てエレベーターに向かう時、多くの人が目頭を押さえていた。私も黙っていても目頭からにじみ出てくるものを押さえきれず、押し合いへし合いのエレベーターの中で目のやりばに困ってしまった。教育社労組をはじめ長期にわたって争議を闘っている多くの人たちもわが勝利として感激して「よかったねー」と感極まった声で言いながら握手をしてきた。
 弁護士会館5階の会議室での勝利集会の冒頭、伊東弁護士が「裁判官の判決文をあらためて味わってください。ゆっくり読みあげますよ」と言って「主文・1原判決を取り消す。2……懲戒免職処分をいずれも取り消す。3……。4……。5……」と読み上げた。読み終わったとたん勝利を確認する感動の歓声と拍手が全館に響き渡った。被免職者一人ひとりの喜びの発言が語られた。最後の黒瀬君は「うっ、うっ」と声を詰まらせ、涙は出るが言葉が出なかった。みんなも一緒に泣いたように思えた。
 弁護士から、判決のポイントは一言で言えば「争議においてその責任は指導者が負わねばならず、それをさておいて争議の方針を忠実に貫こうとした個々の末端組合員にその責任を負わせ懲戒免職とするのは合理性に重大な疑いがある」ということだと説明された。
 この当たり前と言えば当たり前のことを勝利判決としてもぎりとることのために、何よりも被免職者が、そして支援して来た人たち、そして反マル生闘争を闘った全逓労働者たちがどんなに口惜しい、苦しい思いをしてきたことか。弁護士は「心ならずもこの反処分闘争を放棄しなければならなかった人たちもいたことも忘れないようにしよう」とも言っていた。
 思えば、78年、われわれ全逓労働者は、郵政省の全逓労働者に対する強権的・差別的労務政策にたいして怒りを爆発させ、3万7千件の即決処分、11件43人の刑事弾圧、4億3千万通の滞貨、十数億通の年賀はがきの大混乱をもたらしながら郵政マル生粉砕闘争を闘いぬいた。
 政府自民党は、「一郵政事業の枠を越えて一挙に公共部門全体の服務規律、人事管理、職場規律を崩壊させようとする重大な様相を呈している」と悲鳴を上げ、全逓労働者(運動)を最大の治安問題として対処すべきとする通達を出した。それに基づき郵政省は、79年4月28日、58人の懲戒免職、3人の解雇、長期停職を始めとする処分8183人という前代未聞の階級的報復処分に打って出てきたのであった。全逓反マル生闘争は実に日帝支配階級を震撼(しんかん)させた大闘争であった。本来であれば「裁判闘争として勝利」するということだけでなく、民同・全逓中央本部を打倒して連合労働運動への転換策動を木っ端みじんに粉砕する勝利をかちとりたかった。
 ともあれ、苦節25年、全逓4・28裁判闘争に勝利した。このでっかい勝利を職場の力関係の転換として反映させ勝利しなければならない。しかも、イラク出兵下の階級情勢だ。最高裁の反動ぶりは際だっている。職場と裁判の闘いの勝利のために決意を新たにして頑張ろう。
 定年8年目にしてみんなでかちとったこの勝利をかみしめながら、そう決意して郵政公社本社前集会に向かった。公社前の勝利宣言集会後の新橋でのビールはうまかった。

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週刊『前進』(2159号6面5)(2004/07/26)

 公判日程

☆迎賓館横田裁判 福嶋昌男同志裁判
8月30日(月)午後1時15分
 *東京地方裁判所
☆6・12私文書弾圧裁判
7月29日(木)午後1時30分
 *東京高等裁判所

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