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ZENSHIN 2004/07/12(No2157
p08)
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週刊『前進』(2157号1面1)(2004/07/12)
革共同の7月アピール
労働者の怒りで小泉打倒を
多国籍軍参加は集団的自衛権と9条改憲−世界戦争突入の道だ
イラク人民と連帯し自衛隊撤退へ
全逓4・28懲戒免職取り消し 高裁で逆転勝利判決 記事3面
座り込み70日目。沖縄労組交流センターも全力で闘った(6月27日 辺野古)
第1章 04年前半期の大激闘が“小泉倒せ”の情勢開く
革共同は新指導路線のもとに、03年11・9労働者集会の地平を継承・発展させながら、04年前半期の闘いを全力で闘いぬいてきた。
それは一方で、陸・海・空・港湾労組20団体を軸とした広範な統一戦線と国際連帯による04年3・20−5・21の闘いであり、イラク反戦、自衛隊派兵阻止(↓撤兵)、有事関連10法案阻止の一大反戦政治闘争の展開であった。革共同はこの闘いを、一切の反動と、民主党・連合中央や日本共産党・全労連中央の屈服、裏切りに抗して、6月闘争の設定・戦取に至るまで、全力で闘ってきた。
他方でこの闘いと一体のものとして、動労千葉労働運動の展開と拡大を軸とした階級的労働運動の前進と、革命的労働者党建設のための闘いを、国鉄、教労を始めとする4大産別、全産別での労働者の決起と固く結合して闘ってきた。
こうした04年前半期と6月闘争が切り開いた地平は、自公民など国会議員の9割が有事立法に賛成するという戦後空前の翼賛政治状況を打ち破って、日帝・小泉政権打倒の展望をつくり出している。
目前の最大の政治決戦である参院選で、革共同は、戦争、改憲、年金改悪と大リストラの憎むべき日帝・小泉に階級的怒りの鉄槌(てっつい)を打ち下ろし、政権から引きずり降ろし打倒するために総決起して闘う決意である。参院選で小泉を打ち倒し、「有事法を発動させない、有事法に協力しない」闘いと、多国籍軍参加絶対反対・自衛隊即時撤兵、教基法改悪粉砕・改憲阻止、年金改悪法廃止、小泉改革−郵政民営化粉砕の闘いを夏から秋へ大爆発させていこう。
さらにこの7月、夏期一時金カンパ闘争、マル青労同1000人建設の闘い、機関紙拡大の闘いを、革命党建設の決定的な環として、労働者階級の流動・決起と固く結びついて断固やり抜こう。
闘う統一戦線の前進
04年前半期の闘いでわれわれは第一に、イラク侵略戦争に突入した米日帝のすさまじい危機とそこからくる反動攻勢の激化に抗し、日帝・小泉政権の侵略的・反人民的正体とその破滅性を広範な規模で暴きだすことに成功した。
第159通常国会は、有事7法の成立と3協定条約承認を強行し、年金改悪法、裁判員法、改悪外為法・特定船舶入港禁止法などの超反動的諸法を成立させた。日帝が本格的な侵略戦争へ突入していく画期をなす大攻撃であった。
国会終了後の6月18日、日帝・小泉は自衛隊の多国籍軍参加を閣議決定した。さらに、教育基本法改悪と改憲への決定的踏み込みを表明し、9月内閣改造での郵政民営化担当大臣の任命、05年通常国会までの郵政民営化の攻撃スケジュールなどを次々と発表した。
また、こうした日帝・小泉の政治反動攻勢は、同時に一大資本攻勢としてある。労働運動の4大産別を中心に、民間、中小企業でも激突は始まっている。侵略戦争と侵略戦争体制の構築は、労働運動への解体攻撃と一体なのである。
しかし、今年前半の闘いを経て、日本の労働者人民は日帝・小泉政権への怒りと明確な拒絶の意志を示しつつある。小泉打倒の機運は急速に高まっている。
第二に、日帝の反動攻勢の激化に対する階級的反撃が、民主党、日本共産党、社民党や連合、全労連などの既成指導部の完全な屈服をのりこえ、労働者の根底的怒りと結合し、発展軌道に乗りだしたことである。
それは、3・20の巨大な地平、さらには教育労働者の決起を始めとする戦闘的な大統一戦線の形成として始まった。労働者階級の怒りが具体的な政治行動への参加として発展し始めたのである。
戦時下という情勢で、既成指導部はまったく指導力、対応能力を失っている。それとは対照的に、侵略戦争と資本の攻撃に全面的に対決する運動の勝利性を動労千葉の闘いが示した。動労千葉の闘いを多様な運動体において普遍化し拡大する情勢が生まれたのである。われわれは、昨年秋から、階級的大統一行動の発展のために全力で闘いぬいた。この闘いを発展させる結節環として、03年11・9集会を継承しかちとられた動労千葉の春闘ストライキがあったのだ。
第三に、新指導路線による組織的な一致と一体化が進んだことである。
新指導路線は、革命的情勢の接近に対応する革共同の組織的・運動的現実を直視し、党の活動の戦略的な重心を労働者細胞の建設におくこと、そのためには党は労働運動、労働組合運動への取り組みの強化にその力を傾斜的に投入するということであった。
帝国主義の危機の時代、戦争と大失業の時代、戦争と革命の時代の激烈な階級的攻防の中で、プロレタリアートがその歴史的使命にめざめ、プロレタリア革命とプロレタリア独裁の思想と運動を貫くことが、実践的に要請されてきている。新指導路線は、時代の要請にこたえた革命的な路線、政策である。
この路線のもとで初めて、04年春闘、3・20イラク反戦闘争、有事法案粉砕闘争、年金改悪反対闘争を闘いぬき、5〜6月の数度の全国結集という激しい闘いを労働者の怒りと結合し闘いぬけたのである。
この新指導路線でさらに武装し、04年後半戦に打ってでよう。
第2章 民族解放・革命戦争の発展と侵略戦争の破綻
イラク人民の4月蜂起と、「主権移譲」を粉砕する6月中旬以降の全土的な闘いによって、米帝のカイライ政権づくりは決定的な危機に追い込まれている。米帝は、イラクについての国連安保理新決議をとりつけ、主権移譲をもって、情勢の主導権を取り戻そうとあがいている。しかし、米帝・米軍は、イラク人民の武装解除に最後的に失敗したのである。イラク人民の圧倒的多数が米軍の駐留に明確な拒否の姿勢を示し、ファルージャ、ナジャフを始めとする住民の武装レジスタンスが人民の海の中で不断に再生産される政治関係が定着している。
また他方で、そもそも米帝がイラクの大油田の独占的支配と、イスラエルを先兵に強奪してきた中東の死活的権益を絶対に手放すことはありえない。
国連新決議の主権移譲は空文句でしかない。多国籍軍に衣替えした米(米英日)占領軍の行動はまったく規制されない。増派を含めてカイライ政府が必要と認める限り駐留し続ける。職員数1700人にのぼる「アメリカ大使館」を見よ。これはアメリカによる植民地支配の永久化を宣告するものだ。
革共同は断言する。この戦争が侵略戦争であり、占領であり、カイライ政権による植民地支配でしかない以上、イラク人民は必ずイラク全土を覆う民族解放・革命戦争に決起し、米英日を泥沼戦争へとひきずり込むだろう、と。
帝国主義経済の危機
一方、米帝経済は、「景気回復」を喧伝(けんでん)されているが、「雇用なき景気回復」であり、雇用と人件費の削減は激しく進行している。巨大な財政赤字・貿易赤字、超低金利政策とイラク戦費の巨大な支出に支えられた「回復」にすぎない。この「回復」を理由にした低金利政策からの転換は、大恐慌の呼び水になる。また、イラク戦費は純粋駐留経費だけで毎月40億jを超える。
その結果、景気動向にかかわらず、不断にリストラと労働市場の再編、低賃金体制が強化される。階級闘争は激化し、階級支配の破綻(はたん)は必至だ。
日帝経済もより一層の危機に突入している。「デフレ脱却」の内実は、小泉「構造改革」のもとでも発行され続けた巨額の国債および地方債に支えられたものだ。その残高はついに700兆円を突破した。絶対に返済不可能な公的債務(借金)である。
また、日本の対中国輸出の著しい増加と、超金融緩和政策による疑似的「回復」であり、日本経済の自立的発展からはほど遠い。また、中国市場への依存の増大は、帝国主義間争闘戦の激化の中で、日帝のアジア侵略=勢力圏形成への本格的な衝動を高めるものであり、最終的には、米、EUとの激突に必ず発展するものである。
改憲阻止が大焦点に
米帝は、自らの世界支配の行き詰まりに対して、侵略戦争の世界的拡大以外の選択肢をもちえない。すでにブッシュ政権は、イラク侵略戦争の中東・北アフリカ全体への拡大の方針と、北朝鮮・中国侵略戦争への準備を同時的に開始した。
米軍の「トランスフォーメーション」は、イラク・中東侵略戦争の継続・激化に対応した大再編であると同時に、北朝鮮侵略戦争の発動を保障し、さらには、対中国侵略戦争をも準備するものである。米帝はイラク情勢の泥沼化にもかかわらず、在韓、在日・在沖米軍の再編と強化など、対北朝鮮侵略戦争の開戦準備を強力に推し進めている。
日帝は、米帝と共同=競合しつつイラク侵略戦争に全面的に参戦し、先の通常国会で有事7法と3協定条約承認を強行成立させ、日帝独自の侵略軍事体制、戦争国家体制の構築に突き進んでいる。そのために教育基本法改悪から、改憲にいたる最終的な政治反動をこの04年後半から05年〜07年までに推し進めようとしている。その突破口が、イラク多国籍軍への参加であった。さらには朝鮮侵略戦争という歴史的大攻撃に向かっている。
この政治反動は同時に資本攻勢であり、国内階級戦争である。それは日本経団連の小泉政権との一体化と政治=経済攻勢の激化に鋭く現れている。
日本経団連・奥田は、「交易立国論」として中国市場を含む「東アジア自由経済圏構想」で日本経済の延命を構想している。これは日帝・独占ブルジョアジーの本格的な中国政策である。帝国主義的勢力圏形成、すなわち帝国主義的ブロック化政策が本質だ。そのために、日本経団連は、小泉政権と一体となり、改憲問題の委員会を設置するなどの政治反動を自ら推し進めているのだ。
日帝のイラク多国籍軍への参加決定は、侵略戦争への決定的なもう一歩の踏み切りである。改憲攻撃の最大の焦点は、6月27日のNHK党首討論での小泉発言が示すように(5面参照)、9条破棄と集団的自衛権の明文化にあるが、多国籍軍参加は、改憲への現実先行の歴史を画する攻撃である。しかし、日帝の危機はまさにこの多国籍軍参加の中にある。日帝は、米帝と共同=競合して、侵略戦争−世界戦争の過程に絶望的にのめり込んでいく以外にないのである。
われわれは、イラク人民と連帯して闘いぬき、イラクの泥沼的戦局で苦しむ日帝を打倒しなければならない。
第3章 年金改悪法廃止、教育基本法の大改悪阻止へ
全世界の階級闘争は、世界経済の危機のより一層の激化とイラク侵略戦争の泥沼化の中で、国際反戦闘争、イラク、パレスチナを始めとする中東ムスリム人民総体の民族解放闘争の前進による激動のただ中にある。
核心的な問題は、帝国主義侵略戦争と帝間争闘戦の激化が、まぎれもなく、革命的情勢の接近でもあることだ。支配階級も被支配階級も、また、さまざまな既成の党派も、労組・労働運動も、その指導部も、今までどおりのあり方、発想では、やっていけなくなっている。
労働者階級の闘いは、さまざまなプロセスをたどり、激しく揺れ動きつつ発展していく。労働者階級の怒り・不満・闘いの要求はどこかで既成指導部の思惑を超え、制動を破って噴出し、現実化する。この点に不動の階級的確信をおいて闘いぬこう。
04年後半戦の第一の闘争課題は、改憲阻止決戦である。日本の階級闘争の中心課題が改憲をめぐる攻防になる。この7月の参議院選挙自体、改憲問題が一大政治対決となっている。05年11月の自民党改憲案の党大会上程が00年代中期の階級情勢の大きな焦点である。
改憲の中心的テーマは9条改憲、すなわち軍隊の復活および集団的自衛権の明示、そして天皇制的国家主義への大逆流にある。既成の政党が現実の対イラク・対北朝鮮の侵略戦争に屈服し、改憲に率先賛成するか飲み込まれる中で、われわれが懸命に闘いぬき、また、戦闘的統一戦線を的確に展開すれば、巨大な運動へと必ずや発展し、階級決戦の道を勝利的に切り開くことは可能である。革共同は、04〜05年から07年の全闘争を、この改憲阻止決戦へと集中して闘いぬく。イラク侵略戦争を内乱に転化する闘いと固く結びつけて改憲阻止決戦を強力に推進する。その点で今年の8・15闘争は例年にまして決定的に重要である。
04年後半戦の第二の闘争課題は、イラク反戦闘争の歴史的発展を闘いとることである。パレスチナ情勢とともに、イラク情勢の進展は、全世界階級闘争の最大焦点をなしている。米帝とカイライ政権に対する民族解放・革命戦争の決定的反乱が始まっている。米英占領軍は、ついに全住民的レベルでの武装解除に失敗し、ゲリラ戦的戦闘の強力な発展と正規戦的激突すら始まっている。そのために、主権移譲は予定の6月30日から2日繰り上げて6月28日、密室の中でコソ泥的に行われた。民族解放闘争のイラク全土での爆発を恐れたのである。
この中で、日帝・自衛隊は多国籍軍の一員となり、闘うイラク人民の攻撃ターゲットとなった。また、日本国内での「9・11」の炸裂(さくれつ)も不可避である。在イラク・中東の日本の「民間人」への攻撃もさらに拡大するだろう。
国際的なイラク反戦の闘いは、今や03年1〜3月の2000万決起、04年3・20の1000万決起と、全世界の労働者階級の闘いとして発展している。日本における反戦闘争も、労働者階級の中に巨大なエネルギーが蓄積されていることを示している。イラク情勢の進展の中で米帝ブッシュ弾劾、自衛隊の撤兵要求、イラク民族解放闘争への連帯を掲げて、大発展させていこう。
04年後半戦の第三の闘争課題は、イラク侵略戦争、改憲攻撃と一体の大攻撃である年金大改悪、資本攻勢の激化、そして労働運動解体攻撃との労働戦線の闘いである。
その最大の軸は、教育基本法改悪阻止を始めとする教労戦線の闘いである。この闘いは、石原都政と激突している。「日の丸・君が代」強制反対闘争の継続的発展として闘われようとしている。教育労働者を中心とした教育基本法改悪阻止の闘いは、昨年の12・23集会以来、産別的取り組みとしても、最大の闘争に発展した。すでに東京都では8・30都庁包囲、石原・都教委弾劾闘争が爆発しようとしている。今秋11・6の大規模闘争がすでに打ち出されている。
この闘いは、04年から05年に、改憲阻止決戦の重要な一環をなす闘いである。8・6〜7広島−8・9長崎の反戦反核闘争は教育基本法改悪阻止の決定的な攻防としても重要な闘いである。
さらに、小泉「改革」の最大テーマである郵政民営化攻撃との闘いがある。小泉は9月の内閣改造で郵政民営化担当大臣を決めると表明した。6月30日の4・28控訴審での7人の懲戒免職処分を取り消した画期的勝利判決をバネに、全逓戦線を先頭にした歴史的決戦に立とう。
自治体労働者も一大決戦に突入している。公務員制度改革の基本方針を6月に自民党の公務員制度改革委員会が了承し、秋の臨時国会に国家公務員法改正案など関連法案、05年通常国会では公務員制度改革法案が提出される予定である。公務員制度改革は、年功主義を全廃し、能力等級を基礎とした新任用制度を導入する。能力主義による賃金差別で労働組合運動の解体を狙い、さらに、有事体制での自治体労働者の戦争動員を行うとしている。戦前型の官員制度への転換である。この動きと連動し、各地方自治体でもすでに続々と人事考課制度が導入され始めている。現業を中心に委託、民営化攻撃が吹き荒れている。全面的反撃を開始しよう。
動労千葉の春闘ストライキを始めとする決起は、国鉄情勢を一変させている。とりわけ、JR総連・カクマル松崎体制が音をたてて崩れだしていることが重要である。JR東会社は、分割・民営化以降、JR総連との労資癒着、結託体制をもって反革命的労働者支配を成立させてきた。その体制が崩壊しつつある中で、合理化、安全問題、人員削減への怒りが充満し、爆発する情勢になっている。動労千葉の闘いを国鉄戦線全体へと広げるチャンスが訪れたのである。
5・27国労臨大闘争弾圧裁判に勝利しよう。1047名闘争の解雇撤回・現職復帰を今こそ掲げ闘いぬこう。
各産別の夏の大会への取り組みを強化していこう。
04年後半戦の第四の闘争課題は、国際連帯の闘い、今秋の労働者総行動への闘いをこの夏から開始することである。
昨年の11・9を引き継ぎ日韓米の国際連帯の闘いがさらに豊かに発展しようとしている。
ILWU(国際港湾倉庫労働組合)のローカル10が中心になって11月大統領選挙前の10月に、「ブッシュ政権打倒、ケリーもノー」を掲げ100万人大行動を呼びかけている。これは米国における巨大な反戦闘争になろうとしている。このアメリカ労働者階級の戦闘的闘いと連帯し日本でも決起していかなければならない。
また、韓国では、イラクで拘束されたキムソニル氏死亡の責任は、3000人のイラク増派を決定したノムヒョン政府にあるとして全国的反戦闘争が巻き起こっている。全国民衆連帯は、6月23日付の声明文の中で、「故キムソニル氏を無残に殺害したのはイラクの武装団体だが、彼らを暴力に駆り立てた根本的な責任は、イラク侵略戦争を起こし、軍人、民間人を問わずイラク民衆を無差別大量虐殺し、今この瞬間にも侵略の銃剣を振り回している米国にあり、米国の圧力に屈服して追加派兵を強行するノムヒョン政府にある」と断言している。
日韓米の連帯行動をさらに発展させるために闘いぬこう。
革命党建設の死活性
最後に革命党建設の決定的な重要性を訴えたい。
闘争的発展、爆発は、党建設の闘いの不断の前進を基礎として闘いとられるのである。そのために、党建設としての党建設独自の闘いを、一個の闘争そのものとして取り組まなければならない。
まず、夏の一時金カンパ闘争を全力で貫徹しよう。次に、党勢2倍化の闘いであり、そのための機関紙誌拡大闘争が最大の推進軸である。党勢2倍化の突破口としてのマル青労同の1000人建設を党全体の重大課題、任務として取り組もう。マル青労同こそ新指導路線の戦略的な環だ。マル青労同建設とならび、学生戦線、高校生戦線の強化も、党建設上のいまひとつの重要な闘いであり、決定的に重視していこう。
没落を深めるカクマル両派を解体していこう。
長期獄中同志を奪還しよう。
戦時下の治安弾圧の激化を非合法・非公然体制の強化で粉砕しよう。
8・1東西革共同政治集会に総結集しよう。
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週刊『前進』(2157号1面2)(2004/07/12)
沖縄 糸数候補の必勝へ熱気 新基地阻み座り込み70日
6月24日、参議院議員選挙が公示となり、沖縄選挙区では、基地絶対反対の糸数けいこ候補と、自民・公明が推す翁長政俊候補の一騎討ちとなっている。翁長候補は「辺野古沖への移設は基地の整理・縮小を目指す上で、ベターな選択だ」とし、辺野古沖への移設推進の立場だ。これに対して糸数候補は、「普天間基地の代替施設なしの撤去、返還」「美しい海を殺す辺野古移設は論外」と真っ向から反対している。憲法9条をめぐっても死守か改憲か、両者は激突している。闘う沖縄の人びとの下からの決起で、当初出馬表明していた日本共産党候補が降りたことによって、闘う大統一戦線の構図がつくられた。
(写真 辺野古のおばあたちもみな集まった糸数けいこ候補の北部総決起集会【6月26日 名護市】)
基地絶対反対の糸数候補当選に、普天間−辺野古、さらに都市型ゲリラ訓練施設建設阻止を闘う金武町民の闘い、そして沖縄の未来がかかっている。残る1週間、全国から糸数勝利へ、知人・友人に手紙、電話、メールなどで投票を依頼し、糸数候補の勝利へ闘いぬくことを訴える。
24日、座り込みテントには、辺野古のおばあ、おじいが総決起。ともに座り込む杉並の高田普次夫さん、星野暁子さん、反戦自衛官の小多基実夫さんらの姿があった。午後2時、糸数けいこ候補が宣伝カーで駆けつけ、おばあたちと感激の握手、「参院選を勝ちぬいて辺野古の基地建設を止めよう。この海にくい一本打たせない」と宣言した。
那覇防衛施設局の岡崎匠局長は24日、辺野古沖のボーリング調査で「名護市や県からも説明会開催の要望はない」と、反対派住民が要求している説明会を開く考えがないことを表明。この発言に危機感をもった人びとが辺野古に駆けつけ、のべ150人が座り込んだ。
午後3時半、那覇防衛施設局がやってきた。またも台風前の状態に資材置き場を再建したいと繰り返す。命を守る会の金城祐治さんが「おばあさんたちを見てくれ。何日座らせるの。死んでもいいのか!」と怒りを爆発させた。
6月27日、ついに座り込みは2639日プラス70日となった。
沖縄の声国会へ
26日夕、名護市の大西公民館で「沖縄から日本を変えよう! 糸数けいこを国会へ」と題した北部総決起集会が行われた。辺野古からもおばあたちが総出で駆けつけ、200人余の結集で会場は満杯となった。
冒頭、北部選対責任者の渡久地裕徳さん(元名護市長)が「沖縄県民は人を殺すための基地は歓迎していませんと行動で示そう。今度の選挙の勝利で辺野古の基地建設を完全にボツにすることができる」と力説した。応援演説に駆けつけた社民党の東門美津子衆院議員は、「沖縄県民無視の小泉内閣にレッドカードを突きつけ、県内移設を止める選挙だ」と力を込めた。
糸数候補は、「雇用・失業問題は振興策では解決できない。平和に裏打ちされた産業でなければ成り立たない。基地は造らせない」と宣言した。「必勝! 必勝! けいこ!」の声が会場にこだました。
基地絶対反対の糸数候補の当選をかちとろう!
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週刊『前進』(2157号1面3)(2004/07/12)
夏期カンパのお願い 労働運動の戦闘的再生を
すべてのみなさん! 巨大な地殻変動が始まっている04〜05年決戦勝利のために、一口10万円単位のカンパを訴えます。
夏期一時金カンパの金額が掛け値なしに革命の側の闘いを決め、04年後半決戦の勝敗を左右することとなります。開始された帝国主義侵略戦争の泥沼かそれともプロレタリア革命の勝利か。私たちは絶対に負けるわけにはいきません。戦時下という最大級の階級決戦期への突入にあたって、労働者一人ひとりの人生をかけた決起が問われ、そして現に力強い闘いがまき起こっているのです。今こそ、巨大な闘争資金を集中する必要があります。これまでを倍する夏期一時金カンパをお願いします。
集められたカンパをもとに闘った04年前半の闘いは、日帝・小泉−奥田の政治経済攻勢と真正面からぶつかるかつてない激闘と進撃の時となりました。それは、04年後半から05年の決戦を展望しうる巨大な地平を切り開いています。「外への侵略戦争と内への階級戦争」に突き進む日本帝国主義の労働者支配の構造は崩壊し、連合・全労連中央の制動をふきとばす労働組合運動の〈分岐・流動・高揚〉の情勢が息づまるような攻防の中でかちとられつつあります。動労千葉ストライキの勝利を号砲に3・20イラク反戦全世界統一行動がかちとられ、5〜6月有事立法・年金決戦が必死に闘いぬかれました。
それはけっして平板な過程ではありませんでした。動と反動のせめぎあう中で、革共同は帝国主義打倒と労働者階級自己解放、プロレタリア革命の思想を基礎に、闘う労働組合の大統一戦線の形成をめざし奮闘しました。陸・海・空・港湾労組20団体が訴える「有事法制を完成させない、発動させない、従わない」運動、そして自衛隊「多国籍軍」参加阻止・即時撤兵と教基法改悪阻止、改憲粉砕の大決戦は、これからが正念場です。国鉄1047名闘争陣形の前進や教育労働者の「日の丸・君が代」強制拒否の闘いを始め、職場生産点を基礎とする労働者の闘いが画期的な高揚を開始しつつあります。新生マル青労同に結集する青年労働者が1000人組織建設を掲げ、これからの労働運動を戦闘的に塗り変えようと奮闘しています。
プロレタリア革命の思想と運動のみが主体の危機を打開し勝利を切り開く、そうした時代が到来しています。革共同は、プロレタリア革命にとっての労働組合の決定的役割を明確にさせ、労働組合運動の戦闘的再生へ、持てるすべての力を投入して闘いぬく決意です。
戦時下の一時金カンパ闘争です。階級の側、革命の側がどれだけの決戦資金を集められるかによって、勝敗が決まるのです。 歴史をかけた決戦としてどう闘いぬくのかが問われています。
闘う全世界の労働者階級人民と連帯しプロレタリア世界革命の勝利へ。それを可能とする圧倒的なカンパを訴えます。
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週刊『前進』(2157号2面1)(2004/07/12)
「本部との融和」は敗北への道
5・27臨大闘争弾圧粉砕へ闘い酒田・革同体制を打倒しよう
国労大会代議員選に向け訴える
革共同国鉄委員会
国労本部は、次期定期全国大会を8月26、27日に開催するとの指令を下ろした。国労大会に向けての代議員選挙は、7月中旬に実施される。今、国労組合員に問われているのは、酒田執行部による国鉄闘争の絞殺・国労の破壊を許さず、酒田を執行部の座から引き降ろして、国労再生の大道を押し開くことである。国鉄闘争を敗北の道に追いやってきた国労本部の政治解決・和解路線を徹底的に総括し、国鉄闘争勝利の確固たる路線を打ち立てることである。小泉政権が有事7法とACSA改定など3協定条約承認を強行し、自衛隊を多国籍軍に参加させ、イラク侵略戦争に一層深々とのめり込んでいる今、次期国労大会は国労と国鉄闘争、さらに日本の労働者階級の命運を決する重大な位置を持つ。この大会を、危急存亡の危機に立つ国労の階級的再生に向けての一大決戦として闘おう。
戦時下の階級攻防の命運を握る国鉄闘争
小泉政権は有事7法案とACSA改定など3協定条約承認案を強行成立させ、さらに「主権移譲」下のイラクの多国籍軍に自衛隊を参加させた。米英軍の占領下で不屈に闘い抜かれるイラク人民の民族解放闘争の圧殺者・虐殺者として、日帝はその凶暴な姿をむき出しにした。小泉はさらに、米帝と共同=競合して北朝鮮(中国)侵略戦争を策動し、参院選過程では教育基本法の改悪や憲法改悪さえ公言し始めた。
有事関連法の成立により、労働者を侵略戦争に強制的に動員する法制がほぼ完成したということは、労働者階級にとってただならない事態である。輸送労働者に即していえば、国家がひとたび武力攻撃事態(その予測事態)を宣言すれば、戦時交通統制と業務従事命令が全面的に発動されるのだ。「有事法制を発動させない、協力しない」闘いは、労働者が階級的団結を打ち固め、それを強固に発展させることを基盤に初めて可能となる。歴史の転換点にあって、階級闘争は労働者の階級的団結、労組的団結を維持しぬくことができるか否かをかけた死闘戦に突入した。
他方で、3・20国際反戦共同行動の高揚をもって、労働者階級の壮大な反転攻勢の時代が始まった。この情勢を根底でこじ開けたのは、動労千葉の04春闘ストライキだった。こうした中で、今春の卒・入学式での「日の丸・君が代」強制に対する教育労働者の決起が巻き起こった。それは、国鉄1047名闘争と並ぶ日本労働者階級の反撃の拠点が新たに登場したことを示している。陸・海・空・港湾労組20団体の闘いは、有事法の強行という小泉の攻撃に屈することなく、さらなる闘いに踏み込もうとしている。国鉄闘争においても、国労闘争団、全動労争議団、動労千葉争議団がともに並んでの4・13国鉄闘争支援大集会が打ち抜かれ、1047名の統一戦線にこそ勝利の道があることを照らし出した。
こうしたうねりは、小泉政権による年金改悪の強行をも突き抜けて、さらに奥深く労働者階級をとらえている。小泉による政治=経済攻勢、経済=政治攻勢への労働者の怒りは、至るところで噴出し始めたのだ。
だが、労働者の怒りを真に力ある闘いへと転化するためには、労働運動内部の裏切り者を打ち倒すことが必要であることもまた突き出された。6月有事法成立阻止決戦の中で明らかになったのは、巨大な統一戦線を求める労働者階級の切実な願いを踏みにじり、狭小なセクト的利害に固執して労働者の隊列を分断することに躍起となった連合中央や全労連中央の許しがたい裏切りであった。労働者階級は、こうした抑圧・制動と闘いながら、さらなる闘争への突撃路を必死にこじ開けようとしている。
こうした中で、階級情勢を根底で規定しているのが国鉄闘争だ。国鉄闘争は、今日の階級攻防の縮図をなしている。総評解散−連合結成以来、戦闘的労働運動を支える位置にあった国鉄闘争の内部から、権力と有無相通じてこの闘いの絞殺者として登場したのが、国労本部・酒田執行部とそれを支える革同だ。彼らは闘争団員を統制処分にかけ、傘下組合員を平然と警察権力に売り渡した最悪の裏切り者だ。これを現場組合員の闘いによって打ち倒し、国労の再生をかちとることができるならば、それは国労と国鉄闘争だけでなく、日本の労働運動全体を塗り変えるものとなる。
なんとしても次期国労大会を酒田執行部打倒の場としなければならない。5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いを軸に、現場の国労組合員が酒田体制打倒の決意を打ち固めて攻勢に立つならば、それはけっして不可能ではないのである。
4党合意の復活叫ぶILO盾に延命策す
酒田執行部は、JR不採用事件に関してILO結社の自由委員会がこの6月に出した報告にすがりつき、政治解決・和解路線のもとに国労組合員を抑え込もうと必死になっている。
6月のILO報告は、「この問題解決のために一度は大勢となった政治的・人道的見地の精神に立った話し合いを、すべての関係当事者との間で推進するよう勧める」とあからさまに述べている。闘争団を先頭とした国労組合員の激しい怒りの前に、ひとたびは破産に追い込まれた4党合意をもう一度復活させ、「全当事者」はその前にひれ伏すべきだというのである。
この報告は、“JR採用にあたり国労・全動労組合員への差別はなかった”とする政府の虚偽の情報に依拠している。そして、昨年12月22日の最高裁判決が1047名のJR復帰を傲然(ごうぜん)と拒否したことも容認し、「(日本における)組合差別に対する法的保護機構が全体として不十分であると結論付けることはできない」とさえ言い放っている。これは、国労の申し立てを全面却下したということだ。
反動報告許した国労本部の屈服
こうしたILO報告を引き出した最大の責任は、国労本部の政治解決・和解路線にある。国鉄分割・民営化とは、国家の総力を挙げた国鉄労働運動解体の攻撃だった。その国家意志は、今日に至るも何ひとつ変わっていない。直視しなければならないのは、今や日帝は、イラクに自衛隊を送る参戦国家だということだ。戦時下において、国鉄闘争解体を頂点に一切の労働組合を壊滅させ、産業報国会化しようとする国家意志は、強まりこそすれ弱まることはない。その時に、攻撃の遂行者である政府にすがり、採用差別問題の「解決」を哀願するなどということは本来成り立たない。
こうした国労本部の屈服を見透かした政府は、最高裁反動判決を開き直り、それを盾にとってILOに圧力をかけた。その結果出されたのが、今回の報告だ。
ところが酒田執行部は、このILO報告にあくまでしがみついている。そうすることで、破産しきった政治解決路線に何か具体性があるかのように見せかけるほかに、彼らの延命策はないからだ。
これは最悪の裏切りだ。4党合意を巡って国労内を二分する対立が起きたのは、4党合意が国労の総屈服と解体を強いるものだったからだ。分割・民営化以来の闘争団と国労組合員の闘いを総否定するものだったからだ。ILO報告にしがみつく酒田執行部は、闘争団を最終的に切り捨て、国労を総崩壊に導こうとしているのだ。
それはまた、98年の宮坂補強案と同様、国労の名称変更や会社ごとへの組織の分割=連合体化に必然的につながる。次期大会でこうした策動を根底から断ち切らなければならない。
一審勝利のため全力で闘うべき
4・13集会を経て1047名の統一闘争の圧倒的な展望が切り開かれる一方で、鉄建公団訴訟を巡って今、新社会党の一部に「年内和解」を唱える動きが起きている。そして、“和解のためには国労本部を引き入れることが必要だ”として本部との融和を図り、「反対派ということはやめよう」と主張したり、「ILO勧告の完全履行」のスローガンを掲げる動きが生まれている。
だが、今回のILO報告は、闘争団員一人ひとりに4党合意への全面屈服を求めるものなのだ。その「完全履行」を唱えることは、4党合意を崩壊に追いやった00年7・1以来の闘いを自ら否定することにしかならない。4党合意を受け入れるか否かの対立は、国労の自己解体を認めるのか否かという非和解的対立だった。そこを絶対にあいまいにしてはならない。「本部との融和」は敗北の道だ。
今なすべきなのは、一審勝利のために全力を挙げることである。鉄建公団訴訟はもともと、採用差別の不当労働行為責任を徹底追及し、国家的不当労働行為の上に成立したJR体制を弾劾する闘いとして始まった。この闘いを貫徹し、勝利判決を実力でもぎりとることによって初めて、敵に譲歩を強いる現実的可能性が生まれてくる。初めから和解を追い求めていては、敵に足元を見透かされるだけだ。全逓4・28反処分闘争で全員の懲戒免職取り消しの高裁逆転勝利判決をかちとった仲間に続き、勝訴へ全力で闘うべきなのだ。
これらの動きは、4党合意反対派の中においても政治解決路線、裁判闘争依存路線の徹底総括がなされていないことから発生している。政治解決路線、裁判闘争依存路線は、本質的に分割・民営化反対の旗を降ろすということだ。それは、JR資本との徹底対決を貫いて分割・民営化の破綻(はたん)を引き出し敵との力関係を変えるのではなく、政府や裁判所がJRの不当労働行為を規制してくれるかのような幻想にのり、それらに「解決」をゆだねようとするものだ。その決定的な誤りは、組合員の団結と闘いに依拠して勝利をもぎりとるという、労働組合の最も基本的な闘いが欠けていることにある。
政治解決路線を断ち切りJR体制撃とう
今こそ、破産しきった政治解決路線と決別しなければならない。国鉄闘争勝利の道は、JR本体の組合員がJR資本と徹底的に闘い、資本=カクマル結託体制を痛撃し、JR内の力関係を変えることにある。この闘いと結合して1047名の統一闘争を貫くことである。ここに唯一の、しかも必ず勝利できる道がある。JR体制を揺るがす闘いを貫いてこそ、1047名のJR復帰は実現できるのだ。
動労千葉は、こうした闘いを実践的に貫いている。動労千葉のストライキが突き出したように、分割・民営化体制=JR体制は、@JR資本とJR総連カクマルの結託体制の崩壊、A安全の崩壊、B極限的な外注化・合理化による要員問題の噴出、という三つの根本的な矛盾を抱えている。動労千葉の04春闘ストは、これを痛打する渾身(こんしん)の決起であった。
動労千葉は、04春闘ストを先頭で指導した中村栄一書記長の突然の逝去という悲痛な事態ものりこえ、長田敏之書記長代行を始めとする新体制を確立して、反合・運転保安確立を軸にさらなる闘いに立っている。JR総連解体・組織拡大に向けて全力の闘いを始めている。この動労千葉と連帯し、動労千葉に続く闘いを国労の中に築き上げることこそが必要なのだ。
今や、JRの安全の崩壊は、抜き差しならないものになっている。反合・運転保安確立の闘いは、労働者の生死に直結する根源的な要求に基づく闘いだ。同時にそれは、分割・民営化から17年を経てついに本格的に噴出し始めたJR体制の矛盾を最も鋭く突く闘いなのである。
JR総連カクマルによる労働者支配も音を立てて崩れ去ろうとしている。JR総連は松崎派と嶋田派への分裂を修復することもできず、東労組の大会では前千葉地本委員長の小林克也の除名を始め、嶋田派幹部への権利停止処分が強行された。組合員を無視したカクマル内部の泥仕合は果てず、青年労働者を始め東労組組合員のカクマルからの離反はますます広がっている。JR総連解体の決定的チャンスが訪れたのだ。
今こそ、JR体制を内側から食い破る闘いに立とう。職場における労働者の怒りを闘いに組織し、たとえ小さなものであっても勝利を積み重ね、職場の団結をうまずたゆまずつくり出していくことが決定的に重要なのだ。それは、本部や機関の指示がなければできないということではない。
もともと国労は職場の闘いを基本とし、職場の団結を基礎に成り立ってきた労働組合だったはずだ。たとえ極悪酒田執行部のもとであっても、職場闘争を闘えないことない。逆に、そうした闘いの蓄積こそが、酒田執行部を倒し、国労を階級的に再生する力をつくり出すのだ。
組合員売り渡しは酒田の最弱点
国労組合員は、国労再生への決定的な武器を手にしている。それは、5・27臨大闘争弾圧との闘いだ。完全黙秘・非転向の闘いを貫き、1年3カ月の長期勾留を打ち破って職場に戻った国労組合員の存在は、国労の誇るべき宝である。
酒田執行部の最弱点は、彼らがこの弾圧に手を染めたという事実にある。5・27臨大闘争弾圧は、労組幹部が傘下組合員を警察に売り渡したという前代未聞の弾圧だ。しかも酒田らは、この弾圧に加担することで、戦前来の労働運動弾圧法である暴力行為等処罰法の発動を引き出した。それは、被告とされた国労組合員だけでなく、国労組織そのものを権力に差し出す断じて許しがたい裏切りだ。
弾圧の口実とされた02年5月27日の国労臨時大会でのビラまき・説得活動は、国労組合員としての正当な組合活動にほかならない。闘争団員を査問にかけるための大会に国労組合員が抗議したのは当然のことではないか。それはまさに、本部によってずたずたに破壊された国労の団結の回復を求める、やむにやまれぬ行動だった。
ところが酒田や革同は、“被告の行動は組合員としてのものではなく中核派の一員としてのものだった”と強弁して、この弾圧を居直っている。革同に至っては、「革同は国労内の派閥だが国労共闘は外部勢力」と放言して弾圧加担を自己合理化しているありさまだ。だが、組合員がどの党派に所属しようが、大会方針を巡り大会当日に行われたビラまき活動が、組合員としての行動であることは明白ではないか。闘争団員を切り捨て、権力の庇護(ひご)のもとに役員の座に居座り続けたいという恥ずべきセクト的利害のために、組合員を警察に売り渡したのが酒田、革同、チャレンジだ。
本来、労働組合は、資本・権力と闘い、労働者の階級的利益を守りぬくための団結体だ。労働者の内部にさまざまな意見の違いがあろうとも、権力・資本に対しては団結して立ち向かい、仲間を守りぬくのが労働組合の本来のあり方だ。弾圧に手を染めた酒田・革同執行部は、最も根本的なところで労働組合を破壊したのだ。
こうした者たちをいつまでも国労本部の座にとどめておくことはできない。一刻も早く彼らを打倒しなければならない。国労内部においてこそ、公正裁判・無罪要求10万人署名を推進しよう。「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」の賛同会員を拡大しよう。
国労を再生させ、1047名の団結を盤石のものに打ち固めよう。『俺たちは鉄路に生きる2』(中野洋動労千葉前委員長著)を学び、国労の中に広げよう。
7月国労代議員選に勝利し、8月全国大会で酒田執行部を打倒するため、決意を固めて2カ月間の決戦を闘おう。
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週刊『前進』(2157号2面2)(2004/07/12)
国労弾圧公判 チャレンジに怒りの追及 4党合意の破産を居直る(池田証人)
6月29日、東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第25回公判が開かれた。公判は、国労長野地本幹部の池田久幸証人への鋭い追及の場になった。
冒頭、東元(あずま・はじめ)被告が意見を述べ、JR西日本による不当な配転発令を撤回させた闘いの勝利を語った。JRは、うつ病と闘う東被告に対し、国労組合員が1人もいない職場に6月1日付で配転すると命令した。病状を悪化させ、闘いの戦列からの切り崩しを図る卑劣な攻撃だ。だが東被告は組合やJRの産業医にも働きかけ、配転に応じない意思表示を貫いた。追いつめられたJRは、ついに配転前夜になって撤回を伝えてきた。
こうした経緯を語った東被告は、「私は泣き寝入りしなかった。闘えば勝てる。国労本部は屈服したが、労働者の権利を守る力は組合員の中に着実に継承されている」と自信に満ちて宣言した。
「現場共謀」の破産を自認
池田証人が入廷した。被告が彼をにらみ据えた。
池田証人は、検察側の「共謀」立証のかぎを握る証人だ。検察側冒頭陳述は「被告人松崎を含む数名が池田を取り囲み……こもごも同人を突き、その両太ももをひざ蹴りし……大会参加者らに対して暴行に及ぶ意思のあることを示した。被告人らはその状況を目撃し、被告人松崎らの意思を了知して……遅くとも、ここにおいて、被告人らの間に……共謀が成立した」と述べている。松崎博己被告の池田証人への暴行をきっかけに「現場共謀」が成立したというストーリーだ。
溝内克信検事の主尋問で、池田証人は、5・27大会当時、長野地本東北信支部の委員長だったこと、大会には長野地本の警備係の責任者として20人の組合員を率いて参加したこと、本部派全体が出発する前にホテルの外に出たところ、松崎被告、富田益行被告ら3人に囲まれ「暴行」されたことなどを証言した。
溝内検事が「被告の行動をどう思ったか」と聞くと、証人は「あらかじめ打ち合わせて、(大会会場に向かう)バスに絶対乗せない意図を持っていたと思った」と返答した。もしそうならば、池田証人への「暴行」の前に、被告間の「共謀」が成立していたことになる。検察側は自ら描いた「現場共謀」成立の筋書きが破産していることを、早くも自認したのである。
その後、池田証人は、バス乗降口付近で暴行を受けたとか、長野地本の組合員が暴行されたのを見た、と言い張った。検察側は、その場面を確認するとしてビデオを再生しが、そこに映っているのはおよそ暴行と言えるものではない。
検事に「被告への気持ちは」と聞かれた証人は、「4党合意受け入れの大会決定にもかかわらずそれに反対する行動のため4党合意が崩れた。そのことに強い怒りを持つ。法律に従って厳正な対処を」と言い放った。“4党合意を破産させたから処罰せよ”などという、チャレンジの本音をむき出しにした証言に、法廷は強い怒りに包まれた。
西村正治、浅野史生両弁護人が尋問に立ち、4党合意受諾以来の国労本部と長野地本の方針について追及した。00年7・1臨大に代議員として参加したという証人を、弁護団は「闘争団は解決案も示されないまま臨大を開くことに反対していた。その意見をあなたはどう考えたのか」と問い詰めた。証人は「解決案が示されていたかどうかは一支部の役員には分からない」と逃げた末、「4党合意は苦渋の選択。4党合意でいくのが正しい。本部が解決できると言ったのだからその本部を支えるべき」「闘う闘争団は大会決定に対しさまざまな妨害活動をしている団体」と言い放った。
池田証人への尋問は次回(7月21日)に続行となった。本部派の裏切りと弾圧加担を暴く闘いはいよいよ重大局面を迎える。無罪要求の10万人署名を広げ、許さない会を拡大し、被告の無罪と国労再生へ闘おう。
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週刊『前進』(2157号2面3)(2004/07/12)
6・15〜6・26
「愛国心は必要」と連合報告書
家計部門、初の赤字/新聞労連が多国籍軍参加反対
●家計初の赤字/日銀統計 03年度の家計部門の資金収支は、約2兆2000億円の赤字になることが日本銀行発表の資金循環統計(速報)で分かった。赤字は1964年の調査開始以来初めて。(15日)
●日航3組合がスト通告 日航乗員組合、日航ジャパン乗員組合、日航客室乗務員組合の日航3労組は、夏季一時金などの要求で17日にストを行うことを会社側に通告。交渉の結果、16日深夜までにスト回避を決めた。(16日)
●三菱自動車労組が賃金カット受け入れ 三菱自動車の賃金カットの表明に、同社の労働組合は「会社存続と組合員の雇用確保のため受け入れる」との見解を発表した。(16日)
●連合、教基法問題で報告書 連合の教育基本問題検討会は教育基本法に対する考え方を発表。「愛国心」が必要なことでは一致。(17日)=概要別掲
●新聞労連が多国籍軍参加反対声明 新聞労連は、自衛隊の多国籍軍参加に「断固抗議する」との緊急声明を発表した。(17日)
●全国から深刻事例214件/過労死110番 過労死弁護団全国連絡会議は全国31都道府県で「過労死・過労自殺110番」を実施し、延べ214件の相談が寄せられた。過労死や過労「障害」に関する相談がほぼ半数を占め、自殺をめぐる相談も1割を超えた。(19日)
●松下電器、早期退職3000人 松下電器産業は新たに3000人強の人員削減を柱とした合理化に着手。不採算品目の国内生産を04年度中に中止する。「業績が好調な今こそ、費用負担の大きい合理化を加速し、財務体質や国際競争力の強化を図る考え」という。(20日)
●民主と連合が政策協定 民主党の岡田代表と連合の笹森会長は参院選に向けた政策協定に調印した。(23日) 参考:連合ニュース記事
●厚労省の検討会議が事実上のイグゼンプション制提言 厚労省内の「仕事と生活の調和に関する検討会議」が、@週40時間内の所定外労働時間に残業手当を支給、A労働時間規制にとらわれない働き方の導入、B残業に対し代償休日を付与する仕組みづくり、などの検討を呼びかける報告書を発表。これは事実上の「ホワイトカラー・イグゼンプション制度」の提言。(23日)
●連合公務員制度研究会が提言 連合の「公務員制度改革に関する研究会」が公務員制度改革に関する提言(中間報告)をまとめた。一般職の国家公務員に労働基本権を保障する内容。(23日) 参考:公務公共サービス
労働組合協議会HP記事
●心の電話相談1万3千件 全国21の労災病院で受け付けている「心の電話相談」で昨年度の相談件数が1万2920件に達し、2000年度の3.5倍に急増していることが分かった。(26日)
連合「教育基本問題検討会」での愛国心に関する論議
中央教育審議会が昨年3月に教育基本法改正を求める最終答申を出したのを受けて、連合は7月に教育基本問題検討会を設置した。
今回、教育基本法に対する考え方をまとめ、中央執行委員会に答申した。「純粋な家族愛や郷土愛が愛国心につながり、自然に育まれる愛国心が必要であること」が共通認識になったが、教育基本法に愛国心などを明記することについては賛否両論が出て、両論併記となった。
〈賛成論〉愛国心は自然発生的に生まれてはこない。国を意識し、大事にすることを教育していく中で生まれてくるもの。
〈反対論〉法律で強制して育てていくものではない。自然なおもいとして生まれてくるもの。
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週刊『前進』(2157号2面4)(2004/07/12)
訂正
2155号2面の国労5・27臨大闘争弾圧に関する年表中の許さない会発足の日付「12月9日」は「12月19日」の誤り、8被告の保釈の日付「12月12日」は「12月22日」の誤りでした。また同面の教育労働者への不当処分に関する記事中、「都立七尾養護学校」は「都立七生養護学校」の誤りでした。訂正します。
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週刊『前進』(2157号2面5)(2004/07/12)
国労5・27臨大闘争弾圧公判日程
第26回 7月21日(水)/第27回 8月5日(木)/第28回 9月6日(月)/第29回 9月27日(月)
※いずれも午後1時15分から、東京地裁
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週刊『前進』(2157号3面1)(2004/07/12)
全逓労働運動再生の快進撃へ
4・28控訴審 7人の免職取り消し 団結権を守る画期的勝利
全逓労働運動史上、いや日本労働運動史上においても歴史的な全面勝利判決がかちとられた。
6月30日、東京高裁第1民事部(江見弘武裁判長)は、全逓の78越年反マル生闘争に対する79年4・28懲戒免職処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審で、東京地裁反動判決を取り消し、7人の懲戒免職処分を取り消す判決を言い渡した。
当時の郵政省によるマル生(生産性向上運動)攻撃=全逓破壊攻撃に対し、全逓組合員は本部の指令で78年暮れから79年初めにかけて年賀状の集配業務などを止める「ブツだめ」闘争で反撃した。郵政当局は、現場の20歳代の組合員を中心に58人を懲戒免職(55人が東京郵政局管内)、3人を解雇にし、全国で8千人余りに懲戒処分を下した。
被免職者らが全逓本部の方針で処分取り消しを求める訴訟を起こしたが、91年に連合全逓中央が反処分闘争方針を投げ捨てて訴訟を取り下げさせ、組合員資格も奪った。これに抗し、全国の全逓組合員らの支援で7人が新たな弁護団のもとで訴訟を再開。その後、4人は組合員資格を回復し、裁判闘争と現場の闘いを結合して闘ってきた。一審・東京地裁は02年3月、「処分は裁量権の範囲内」とする反動判決を下したが、処分以来25年を経て、ついに感動的な逆転勝利判決を手にしたのだ。原告は、徳差清さん、神矢努さん、黒瀬英之さん、庄野光さん、斉藤昇さん、名古屋哲一さん、池田実さんの7人。
高裁822号法廷で、江見裁判長が「主文、原判決を取り消す」と告げると、一瞬静まりかえった。それが処分の取り消しであることが分かると、沸き立った。原告と弁護団、全逓組合員、支援者らが肩をたたき合い、握手、握手……。
直ちに弁護士会館で報告集会が開かれ、原告らは「闘い続けて本当に良かった」と喜びを語り、原職奪還を誓い合った。
゛郵政公社は職場に戻せ゛
地裁反動判決は、憲法28条の団結権を否定し、原告らの闘いを「非違行為」とののしった。これに対して当然のことではあるが、高裁判決は、78越年闘争が「全逓の意思決定の下、多数の組合員が参加して実施された」と認定し、「違法な(この規定自体はまったく不当!)争議行為を実施した組合員に課されうる懲戒処分の選択及びその限界の決定につき……裁量権の行使を誤った重大明白な瑕疵(かし)があり、取消しを免れず、また、無効というべき」と結論づけている。特に、被免職者らが役員の指示に「忠実に」従った末端の組合員であり、役員ではないことを重視した。
さらに、控訴にあたって原告らが追加した地位確認請求は却下するとしたが、これは「判決の効力により、被控訴人(=日本郵政公社)との間に請求に係る地位が確認される」から、直ちに原職=郵政公社に戻すべきだということだ。
「郵政公社・生田総裁は上告せず、判決に従い、直ちに被免職者を職場に戻せ!」――被免職者、全逓組合員ら約60人は、霞が関の郵政公社本社前でシュプレヒコールを上げた。
この逆転勝利判決は、イラク侵略戦争と有事法成立、改憲攻撃のもとで激化する労働組合つぶし、団結権破壊―労組法解体攻撃に抗してかちとられた点で実に重大な意義を持っている。被免職者を始めとする全逓労働者の不屈の闘いの勝利であり、3・20国際反戦共同行動や動労千葉の04春闘、教育労働者の決起など、労働運動の地殻変動的な高揚と一体のものだ。
また、JR採用差別事件の98年5・28反動判決以来の労働裁判の反動化、特に東京高裁での反動判決が相次ぐ中での勝利判決である。江見裁判長は、国鉄改革法をつくった張本人の一人だが、労働基本権―団結権を全面的に否定できなかった。国鉄1047名闘争を始め、全国で争議を闘う労組にとっても画期的な意味を持っている。
そして、この判決をもぎり取った全逓労働者の闘いは、JPU(日本郵政公社労組)に名称変更した全逓大会の直後に、本部の路線転換の反労働者性を暴いた。小泉―奥田―生田路線による郵政民営化攻撃を粉砕する快進撃の号砲が上がったのだ。今こそ連合全逓=JPU中央を打倒し、全逓労働運動の階級的再生へ突き進もう!
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週刊『前進』(2157号3面2)(2004/07/12)
全逓旭川大会 “国鉄型首切り許すな” JPU(日本郵政公社労組)菰田体制を痛撃
6月23〜25日、北海道・旭川市民文化会館で全逓第59回全国大会が開かれた。連合全逓中央は、大会冒頭にJPU(日本郵政公社労働組合)へ名称変更し、「JPU結成大会」にするという暴挙を強行した。
それは、単なる名称変更にとどまらない。日帝・小泉―奥田―生田(郵政公社総裁)路線による郵政民営化攻撃への全面屈服であり、戦後労働運動の戦闘的一翼を担ってきた全逓を名実ともに解体して労働者を食い物にし、「未来づくり宣言」をもって帝国主義的労働運動への一層の転落を進めるものだ。
今大会は、有事関連10法や年金大改悪の強行の上に参院選過程に入った中で、多国籍軍参加、改憲攻撃に突き進む超反動小泉政権と対決し、郵政民営化攻撃に総反撃することが求められていた。旭川は、陸上自衛隊の派兵部隊を送り出した地でもあり、ここで侵略戦争への労働者階級の怒りをたたきつけることが決定的に重要だった。
全国労組交流センター全逓労働者部会や全逓4・28連絡会、人事交流=強制配転に反対する近畿郵政労働者の会などに結集する全逓労働者らは、大会前日の22日に旭川市内で郵政職場全国交流集会を開いた。大会初日の23日は、早朝から会場前を制圧し、「殺人的深夜労働強化を許すな! 全逓中央本部は総退陣しろ!」「名称変更=全逓解体を許すな!」と、宣伝行動を繰り広げた。
「雇用確保」は大ペテンだ!
大会直前に、全逓中央がひた隠しにしていた大合理化計画が明らかになった。郵政公社郵便事業本部が「真っ向サービスの実現」と称して、郵便外務の「集配ネットワークの高度化」(10時間労働=拘束11〜12時間の導入)だけでなく、郵便内務のアウトソーシング(外部委託)や「人材活用センター構想」を提示していたのだ。
これは、国鉄分割・民営化に向けて国鉄労働者の採用差別=首切りのために設置された「人材活用センター」と名前まで同じだ。国鉄分割・民営化型の大量首切りを狙っていることは明らかだ。交流センター全逓部会は「中央本部の言う『雇用確保』は大うそだ!」と暴露し、郵政民営化攻撃粉砕へ立ち上がることを訴えた。
革共同全逓委員会は、小泉―奥田の「外への侵略戦争と内への階級戦争」は、同時に帝国主義の危機の現れであるという時代認識を鮮明にし、開始された労働者階級の反転攻勢を一層拡大すれば、小泉政権もろとも郵政民営化攻撃を粉砕できることを訴え、その先頭で闘い抜いたのである。
闘う全逓労働者が次々とマイクを握り訴えた。
「深夜勤の導入で現職死亡が続出している。本部方針を否決しろ」
「全逓の名称を変えようが、現場で階級的な全逓労働運動を再生させる」
また、地元の国労旭川闘争団の代表が駆けつけ、「傷つけられた人権、尊厳を取り戻すまで闘い抜く」と、解雇撤回・JR復帰への熱烈な決意と連帯の意を表明した。
4・28連絡会は、島田総務部長に被免職者の切り捨ては許さないと申し入れた。深夜勤の廃止を求める申し入れも行われた。
他方、凋落(ちょうらく)著しい北海道カクマルが、のこのこと会場前に現れたが、「分割・民営化反対は生田路線と同じじゃないか」などと言って、分割・民営化賛成であることを自己暴露した。また、「人材活用センターを活用した首切りを許すな」とうそぶいたが、これは国鉄分割・民営化に際して松崎を先頭にカクマルが率先してやったことだ。「お前らは職場で当局と一緒に合理化を推進しているではないか」。闘う労働者に一喝され、そそくさと退散したのであった。
殺人的合理化に怒りが噴出
大会では、石川委員長が「小泉首相の民営化ありきの議論が先行する政治手法には怒りを禁じ得ない」などと言いつつ、「ビジネスモデルの具体的な姿や、組織のあり方」などが示されれば民営化賛成であることを鮮明にした。そして「民間的経営手法」を進める生田らの「経営努力を高く評価する」と賛美し、首切り施策を「労使共同作業」で進めることを宣言した。
また、連合会長・笹森が「全郵政との統一」を求め、公社総裁・生田は「経営形態は政治が決めること。しかし、アクションプラン(大量首切り攻撃!)さえ達成すれば心配ない」などとあいさつした。
討論では、本部方針への「補強」と言いつつも、ほとんどの代議員が現場の怒りに触れざるを得ない。
「トヨタ方式(JPS)による立ち作業の見直しを求める」「名称変更は一考せよ」「ボーナスの事業別支給は絶対反対」「連続深夜勤の間の睡眠時間が4時間しかとれない」「職員の悲鳴が上がっている。これが(未来づくり宣言の)『ピープルファースト(人間第一)』か」「輸送部門は去るも地獄、残るも地獄だ」「集配ネットワークは慎重に」などだ。
多国籍軍参加について本部は「反対」と言うが、「本部の姿勢は弱すぎる」との意見も出された。
本部答弁には激しいヤジが浴びせられた。
議案の一票投票では、地本をとおした激しい締め付けにより、投票総数345のうち反対が48と、57回大会、58回臨時大会より減らされた。だが、役員選挙では、菰田(こもた)委員長に64、難波書記長に78と、56回大会より多い不信任票がたたきつけられたのだ。
階級的全逓労働運動の再生は、まさにこれから始まるのである。
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週刊『前進』(2157号3面3)(2004/07/12)
“新執行部体制で前進する” 動労千葉が戦闘宣言
動労千葉は6月20日の第51回定期委員会で以下の「宣言」を採択した。故中村書記長の遺志を引き継ぎ闘う動労千葉と連帯して闘おう。(編集局)
委員会宣言
本日われわれは、新たな世代の動労千葉を、最も身体を張って推進してきた、中村栄一書記長の急逝を追悼し、その激しいまでの国鉄労働運動の復権にかけた魂を、胸中にいだきつつ第51回定期委員会を新たなる闘いへの標として開催した。
われわれは、故中村書記長の遺志を引き継ぎ、その思いを実現させるためにも、長田書記長代行をはじめとした新執行体制のもとに固く団結し、力強く前進することを誓った。故中村書記長の一挙手一投足がどれほどわれわれを勇気づけ、闘いを鼓舞してきたことか。中村書記長は、これからもわれわれの闘いの中で生き続ける。共にスクラムを組んで闘いの前進を勝ちとろう。
われわれは、04春闘50日間闘争において、JR体制に風穴をあける画期的な成果を勝ちとった。第一波闘争は、退職間近の組合員に対する前代未聞の強制配転をきっかけとして、2月10日から16日間にわたる指名ストと非協力闘争を闘い抜き、強制配転者の原職復帰をはじめとした懸案要求打開へ向け大きな成果をあげた。第二波闘争は、その成果のうえにたって3月12日〜14日にかけた48時間ストライキを闘い抜いた。保守部門の全面的外注化と限度を越えた要員削減、「作業ミス」による輸送混乱の続発、280名にも及ぶ労災死、「レール破断」という信じがたい事象の連続的な発生等、最早一秒たりとも看過できない危機的現実を現場から告発する闘いとして、運転保安闘争の新たな地平を築きあげた。そして、第三波闘争は、3月29日、「ベア・ゼロ」回答打破、大幅賃上げ獲得、賃金制度改悪反対を掲げ、労働者の手になる春闘の復権をかけたストライキに起ちあがった。またわれわれは、職場からの闘いと結合し、3・20国際反戦大行動を小泉―奥田路線に一矢を報い、階級的力関係を変えるきっかけとなるような闘いとして実現しようと声を大にして訴えた。
そして、労働運動をめぐる状況は地殻変動的に動き出した。全世界規模で闘い抜かれた3・20イラク反戦の闘いは、日本でも日比谷野音6万人をはじめ全国で120万の労働者・市民が起ちあがる画期的な大統一行動となり、また「日の丸・君が代」への300名の不起立、不斉唱という教育労働者の闘いの高揚を生み出すなど、労働者は団結して時代に立ち向かう、新たな胎動を開始している。国鉄闘争も4月13日の国鉄闘争支援大集会において、動労千葉争議団、国労闘争団、全動労争議団の統一陣形による集会が3500名の大結集で開催されるなど1047名闘争の新たな第一歩が踏み出されている。昨年11・9集会で実現した国際連帯闘争―そして04春闘での渾身の闘いが実を結ぼうとしている。
大失業と戦争の時代が全面化せんとしている。小泉政権は、今国会での年金法の改悪、有事関連七法案と三条約の制定・改悪を強行した。イラクへの自衛隊派兵は継続され、多国籍軍参加までが表明されている。戦後の歴史の大転換を意味する重大法案であり、そして今、秋の臨時国会から05年に向けて教育基本法改悪―改憲へ向けて具体化する政治過程がはじまろうとしている。
動労千葉はこうした労働者の生活も権利も、そして生きることそのものを奪いつくそうとする、大失業と戦争の時代に、闘う労働運動の新しい潮流をつくりあげるために闘い続ける。新執行体制を確立し、躍進させていくパワーは、ひとりひとりの組合員が動労千葉かくあるべしと、まなじりをけっして起ちあがることだ。
運転保安確立の闘いはいまや急務の闘いとなっている。とりわけ外注化〜業務改善命令〜線路破断〜職場規律攻撃というこの過程が示した現実は、動労千葉の立脚点である反合・運転保安闘争の強化・再構築なくして、安全も生命も守れないことを何度でも確認しなければならない。「JR体制」が生み出した矛盾を白日の下に引き出し、目に見える形で社会的に明らかにし、「安全崩壊」に労働者が断を下していくことこそがわれわれの闘いの道だ。われわれは第二の分割・民営化攻撃粉砕に向けて、動労千葉の立脚点であり原点である反合・運転保安闘争を全力で強化する。国鉄分割・民営化からはじまった、全労働者へのリストラ、首切り、転籍攻撃と、それと一体となった外注化、不安定雇用化攻撃、まさしく大失業時代を撃つ闘いこそが、戦争へと向かう流れにストップをかけられるものだ。そして何よりもわれわれは、組織の存亡をかけた最大の闘いの課題として、全組合員がJR総連解体―組織拡大の闘いに総決起することを決意した。結託体制―JR総連の松崎支配は音をたてて崩れ落ちようとしている。ここにわれわれの持つ力をすべて傾注して闘いを挑もう。
労働者相互の団結こそが時代を打ち破る原動力だ。われわれは闘いの中でそれを示してきた。世界―日本のすべての労働者階級とともに! 動労千葉はさらに闘いを前進させる。
右、宣言する。
2004年6月20日
国鉄千葉動力車労働組合
第51回定期委員会
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週刊『前進』(2157号3面4)(2004/07/12)
B川崎市の人事評価制度導入
能力・実績で差別・分断
戦争動員へ労組破壊狙う
6月14日に自公=与党と 民主党の賛成で有事関連7法・3協定条約が成立した。自治体の有事=戦争協力業務をどうするのか。全国の自治体とそこで働く自治体労働者にとって、まさに正念場が来た。
川崎市職労港湾支部は陸・海・空・港湾労組20団体の一員として「STOP!有事法制」各中央行動などの先頭に立ち、また全国の自治体労働者に闘いの呼びかけを発し続けている。
6月17日、川崎市で自治労内の港湾関連労組の協議会総会が開かれた。「有事関連7法案の可決に抗議し、反戦平和の取り組みを進める決議」を採択し、「平和な港づくりを進めよう」と語り合った。
川崎市職労民生支部は6月18日に「平和を守る緊急集会」を開催。20労組参加団体の報告を受け、有事関連法案可決に抗議する集会決議を各政党に送った。
5段階評価で賃金・人事決定
阿部孝夫川崎市長は、昨年6月の有事3法の成立を受けて総務局に「危機管理室」を新設し、「保安と防災」を市政の目玉にするとともに、「民間でできるものは民間で」「3年間で千人の削減」を叫び、現業の新規採用を停止し、学校給食調理や清掃、保育などの現業職場を狙って合理化・リストラを強行している。
そして今年3月、「川崎市新人事評価制度の手引き」を発表し、06年度からの能力・実績主義による「新人事評価制度」の導入に向けて試行を始めた。
この「手引き」は、「職員の業務上の実績や職務遂行過程において発揮された能力等を的確に把握し、適切に評価することにより、@能力・実績に基づく人事管理A職員の主体的な職務遂行や能力開発B効果的な人材育成」を「目的」として掲げている。また、「目標管理の手法を用いて、職員の業務目標の難易度(AからDまで)、達成度(T1からT5まで)による〈業績評価>と〈能力評価>との2本立ての評価とし、職務の業績を重視した人事評価とする」と「特徴」を述べている。これは95年の日経連「新時代の『日本的経営』」報告で打ち出された人事制度をそのまま導入したものだ。(図参照)
被評価者は、上司(評価者)から提示された「組織目標」や抱えている課題、指示された事項を考慮して、自ら「業務目標」を3〜4項目設定する。「チャレンジ目標」として業務目標以外のものを自分から一つ設定できる。6月中旬、被評価者は「人事評価シート」に「業務目標」を記入して上司に提出する。
6月下旬には上司との面談が行われ、7月の「評価会議」で決定する。10月に上司は指導・助言を行う。
12月には被評価者は、1年間を振り返り、業務目標と能力発揮などによって「自己申告」する。上司が1次、2次の評価を行い、最終的に局長が相対評価による「最終評価」を行う。
〈業績評価>については、例えば、「達成が困難を極めるとされる目標(難易度A)」を設定して、その結果「目標を大きく上回って達成(達成度T1)」したなら、点数は100点となる。「達成に従来どおりの手法が想定される目標(難易度C)」を設定し、その結果が「目標をほぼ達成(達成度T3)」したなら、50点となる。「達成が容易に見込める目標(難易度D)」でも「目標を大きく下回った(達成度T5)」なら、わずか5点だ。
これと〈能力評価>を合わせ、結果的には5段階の「相対評価」が行われる。本格実施時には、それが賃金や人事処遇に反映される。
市職労本部は推進の立場だ
連合―自治労の指導下にある川崎市職労本部は、新人事評価制度推進の立場から「改善」を提案している。「公正性、透明性、客観性、納得性」の「4原則」と「組合が参加するシステムの確立」「苦情処理制度の確立」を要求し、「試行期間中は賃金等へは反映させない」「適材適所の人事配置」「評価者のスキルを上げろ」「試行期間中にアンケートなどにより検証していく」と方針を提起している。
当然にも一般組合員の間から疑問や反対意見が噴出している。「千人削減という『阿部行革プラン』を前提にしないと目標設定ができないというのでは、何のためのものなのか」「公務労働をどう評価するのか」「相対評価では、お互い競争するしかなくなって職場が荒れ放題になる」「毎日の決まりきった業務の重要性が反映されない」――。
これに対して市職労本部は中央委で「国の指導によって2006年度導入となる。公務員制度改革の能力・実績主義に基づく人事管理が前提にある」とぬけぬけと答えた。当局の先兵として新人事評価制度を推進しようとしているのだ。
公務員制度改革の先取り
能力・実績主義に基づく人事評価制度(人事考課制度)は、「公務員制度改革」の核心である能力等級制度の先取りである。これが通れば「公務員の血の入れ換え」が貫徹される。
そもそも人事評価制度は19世紀以来、使い古された制度であり、手を変え品を変えて幾度も現れてきた。しかし資本主義の枠内においてさえ理に合わない制度である。
資本主義は今日、1929年世界大恐慌―30年代大不況をも上回る危機にある。帝国主義間争闘戦が激化し、侵略戦争―世界戦争過程に突入した。その中で資本攻勢と階級闘争への弾圧を強めている。
新人事評価制度の導入は@総額人件費の抑制とA労働者の闘う団結の破壊を目的としている。
そもそも人事評価など不可能であるが、資本・当局は人事評価制度をあたかも正当で合理的であるかのように押し出して実施する。その結果として、当初の目的である総額人件費を抑制するのだ。人事評価制度は賃下げの手口なのである。
また、資本は人事評価制度をとおして労働者を競争にたたき込み、猜疑(さいぎ)心をはびこらせ、差別と分断を持ち込み、労働組合的団結を破壊することを狙っている。労働者をばらばらにし、個人契約化し、労組の賃金、労働条件、雇用確保をめぐる闘争をできなくさせる。資本・当局は労資(労使)関係の転換をとおして自由な解雇や人事異動の権利を掌中にする。そうして戦争協力業務への動員を強制しようというのである。
「外への侵略戦争と内への階級戦争」と対決することができる自治体労働運動を築き上げることが今求められている。
戦争協力業務を拒否し、能力・実績主義に基づく人事制度・賃金制度の導入を阻止しよう。
(自治体労働者 長谷川幸宏)
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週刊『前進』(2157号4面1)(2004/07/12)
イラク侵略戦争は一層泥沼化
占領の継続とカイライ政権づくりが本質の「政権移譲」
一斉蜂起恐れ繰り上げ「式典」
6月28日、米英占領当局(CPA)からイラク暫定政府への「政権移譲」が2日繰り上げられて突然行われた。武装解放勢力の一斉蜂起を恐怖したこの「政権移譲」で「イラクに主権が戻った」というのはまったくのペテンだ。米帝がイラクを植民地支配していくためのカイライ政権デッチあげの過程にすぎない。13万8千人の米軍が居座り続け、2万5千人(5個旅団)の増派さえ行おうとしているのだ。「政権移譲」のペテンに対するイラク人民の怒りは、翌日の海兵隊3人のせん滅戦闘として直ちにたたきつけられた。米帝によるイラク侵略・占領支配、日帝の多国籍軍参加に怒りを燃やし、闘うイラク人民と連帯し、イラク反戦闘争の大爆発を切り開かなければならない。多国籍軍への参加を強行し、泥沼の侵略戦争に突入した小泉政権を打倒し、自衛隊をイラクから撤退させよう。
米軍増派と2百人の顧問団
イラク時間の28日午前、占領軍の中枢施設が集中し厳重警備されたグリーンゾーン内の暫定政府関連庁舎の地下室で「主権移譲」の式典が行われた。時間はわずか5分、出席したのは米英各1人、イラク暫定政府から4人の計6人で、式典としても完全に破産したものとなった。イラクの人民は3時間後にニュースでようやく知ることになった。
招待された報道関係は、目的も行き先も告げられず、携帯電話の電源も切らされて、入ってみたら「政権移譲」の式典だったというわけだ。イラク人民の激しい闘いに追いつめられて式典そのものが粉砕されかねない状況の中で、形式だけを取り繕ったにすぎない。CPA行政官のブレマーは、式典の1時間半後にはそそくさと空港から飛び立ち逃げ帰った。
「主権移譲」で何が変わるのか。何も変わらない。米軍13万8千人、多国籍軍全体で16万人、「民間警備会社」の準軍人1万人の膨大な侵略軍が居座り、占領を続ける。ブッシュは増派を含めてあらためて「必要な限り駐留を続ける」と発言し、イラクを支配下におくことを宣言している。
この米軍の占領下で米帝の手先である暫定政権にさらに200人にも上る米顧問団が各省庁に付き実質的に支配するのだ。とりわけCPAがあった旧大統領宮殿は、米大使館となり、1700人の「職員」を擁する巨大な機関が出現する。CPAが米大使館と名前を変え、ブレマーがネグロポンテに代わるだけである。結局、米帝の意に反した決定は何もできないのだ。この米大使館の1700人の要員は、米大使館が実質的にイラクを支配するからこそ必要な陣容なのである。
しかもイラクの暫定政府自身が米帝のカイライである。実質的に最も権限を持っている首相のイヤド・アラウィは、元バース党員の治安機関幹部で、イギリスに亡命し、CIAの援助でイラク国民合意(INA)を創設し、米帝の侵略戦争を推進する先兵となった人物だ。大統領のガジ・ヤワルはサウジアラビアで通信会社を経営していた人物で、アメリカの大学に留学して以降はイラクにいなかった人物であり、こうした米帝の操り人形の政権をイラク人民は誰も支持していない。イラク人民の間にまったく基盤を持たないこうした連中は、米軍の占領がなければ1秒たりとも持たない政権にすぎない。
暫定政権は、移行政府を選出するための選挙管理内閣として位置づけられている。まず、今年の7月に国民会議の代表千人を選び、来年1月に暫定国民議会選挙を行い、8月15日までに恒久憲法を起草し、憲法承認のための国民投票を行った上で、12月15日までに国民議会選挙を行い、12月31日までに政権が発足するというスケジュールになっている。米軍の支配下で行われるこうした過程自身がカイライ政権デッチあげの過程である。
だが、すべてのイラク人民は、米帝が2度に渡る凶暴な侵略戦争を行い、10年以上に渡る経済制裁で百万人を超える人びとを死に追いやったことへの怒りに燃えており、たとえかっこ付きであれ「自由な」選挙で米帝の意に添う政権ができるはずなどありえない。すでにイラク人民は「政権移譲」のペテンを粉砕するために激烈な戦闘に連続的に決起している。米帝にとって結局カイライ政権をデッチあげるためにはイラク人民の闘いを軍事力で圧殺する以外にないのだ。
こうした中で、米帝がイラクを植民地支配しようとしていることがますます明白になり、「イラク独立」という幻想が最後的に崩壊し、米軍を実力でたたき出す以外にイラクの独立は一切ありえないことが鮮明になる過程になるのだ。
米帝は、国連新安保理決議で、イラクを軍事占領しているという既成事実をテコに仏独帝国主義をねじ伏せ、無期限に米軍駐留が可能な新決議1546を認めさせた。その国連決議1546は、暫定政権にCPAの命令を変更する権限を与えておらず、CPAが決めたイラク資源略奪の枠組みは正式政府ができるまでは生きたままなのだ。
イラク国内的には、基本法では連邦制の約束でクルド人勢力をたぶらかしたのに対し、国連決議では基本法を再確認せず、シスターニ師の取り込みをはかった。また、サドル派に軍事作戦で重圧をかける一方、シスターニ師によるサドル師押さえ込みをはかった。しかし、それもこれも米帝がイラク人民の民族解放・革命戦争への決起を力ずくで押さえつけることが大前提となっているものだ。
民族解放・革命戦争の激発
イラクの「政権移譲」が2日早めて行われた唯一最大の理由は、30日にはバグダッドで武装解放勢力が一斉蜂起し、米軍をバグダッドからたたき出す計画があることが伝えられていたことにある。「政権移譲」の儀式そのものが襲撃されて粉砕される危機を感じ、その前にとにかく政権移譲を行ったという形式を取り繕おうとしたのだ。
この話が単なるうわさではないことは、この間のイラク人民の闘いがはっきりと示していた。とりわけ6月中旬以降の戦闘は実にすさまじいものである。6月24日には、5都市で同時攻撃が行われ、百人が死亡し、数百人が負傷した。この中で特徴的なのは、米軍がバクバ市内からたたき出されたことである。
バクバではこの日朝5時半、パトロール中の米軍をレジスタンス戦士が待ち伏せ攻撃し、2人を殺し、7人を負傷させた。米軍は戦車の応援を派遣したが結局町から撤退せざるをえなくなり、500ポンド爆弾で空爆した。この空爆で市民13人が死亡し、15人が負傷した。その後レジスタンス戦士は市の中心部にある2つの警察署を迫撃砲、ロケット弾、自動小銃で襲撃し、警察官30人が死亡した。さらに地方行政庁舎をも攻撃して占拠した。結局米軍は、市の外に撤退し、幹線道路を封鎖して包囲体制を敷き、空からの攻撃を繰り返した。まさにファルージャと同じ事態が各地で出現したのである。
この日の5都市での同時攻撃は、レジスタンス戦士がバグダッドで蜂起し、米軍を市外にたたき出すという噂の現実性を示した。
ファルージャやバグダッドのサドルシティ地区などに続いて米軍が安易に踏み込めない都市や地域が次々と拡大している。バグダッドでさえもCPA要員がグリーンゾーンからほとんど出られない状況に陥っている。また暫定政府の閣僚は毎日帰宅のコースを変え、多数の護衛に守られなければ、身動きできない状況にある。実際に暫定政府の外務次官や教育省局長など多数の幹部が殺された。
アメリカ階級闘争が新段階
こうしたイラク人民の戦いの高揚と高度化の中で、米軍自身が危機に陥っている。兵士は戦闘意欲をなくし、脱走も相次いでいる。また、米軍が行っていることがイラク人民虐殺以外の何ものでもないことを、戦場でそれを担っている兵士が自分自身で体験し、ブッシュ政権に怒りを燃やし始めている。イラクで劣化ウラン弾に被曝した米兵士が、自分が行ったイラク人民虐殺への反省を込めて戦争の現実を告発している。
さらに、米帝がイラク侵略戦争の口実としたすべてがデッチあげであったことが確定したことで侵略戦争の不正義性が暴き出されている。米議会の超党派の調査委員会が6月17日、「アルカイダとフセイン政権は関係なかった」と結論づけた報告書を出した。1月23日に米調査団のデービッド・ケイ団長(CIA特別顧問)が「イラクに大量破壊兵器はない」として辞任したのに続いて、開戦の口実がすべてウソだったことが確定したのである。ブッシュは「イラクを民主化する」などと言ってきたが、それもアブグレイブを始めとした刑務所での虐殺、拷問、虐待で完全に崩壊している。まさに石油強奪のための侵略戦争なのだ。
今やブッシュ政権は、11月大統領選挙を前にして国内的にも危機に陥っており、今こそブッシュ政権を打倒しなければならない。アメリカでは今秋10月に百万人規模の超党派的なブッシュ打倒、ケリーもノーの立場での労働者大行進が行われようとしている。
米帝は、サウジアラビアに次ぐ原油埋蔵量をもつイラクを制圧下に置き、中東地域を抑え、EUを始めとした帝国主義間争闘戦に勝ち抜くためにイラク侵略戦争を強行したのであり、それが失敗のまま撤退することは、帝間争闘戦における米帝の決定的な敗北をもたらすからである。米英日帝はイラク侵略戦争の泥沼にどこまでもはまりこんでいくしかないのである。
すでに米帝はイランやシリアに対して圧力を強め、侵略戦争の拡大を狙っている。また、アラブ人民の怒りの中でサウジアラビアでも米帝に対する強烈なゲリラ戦闘がたたきつけられており、サウジ王制が決定的な危機に陥れば米帝は介入していくしかないところに追いつめられている。イラク侵略戦争の泥沼と米帝の凶暴なあがきは、必然的に侵略戦争の全中東への拡大へと向かわざるをえないのだ。米英日の労働者階級の決起で自国帝国主義を打倒する以外に一切の解決はありえないのである。
自衛隊の即時撤退へ闘おう
日帝・小泉政権は、6月18日の閣議決定でイラク多国籍軍への参加を決めたが、30日の施行期日前に「政権移譲」が行われたことであわてて閣議で施行期日を28日にあらためたが、4時間の法的空白さえ生じた。ACSA改定でイラクでの米軍との共同作戦にさらに深く踏み込んだ日帝は、米軍指揮下の多国籍軍として行動することでさらに集団的自衛権の行使に踏み込もうとしている。
こうした既成事実への踏み込みの中で小泉は、6月27日のNHKでの党首討論で集団的自衛権を改憲で明記する発言を行った。これは実際にイラクで自衛隊が集団的自衛権に踏み込んでいる現実をペテン的に認めさせようとする悪らつな手口である。日帝は、すでに自衛隊をイラクに派兵した以上、米英帝とともにどこまでも侵略戦争を拡大していくほかなく、はずかしげもなくウソとデマとペテンを繰り返しながら、侵略戦争を拡大しようとしているのだ。これは、イラク人民の不屈の民族解放・革命戦争への決起の中で、どこまでも際限なく拡大していくものである。
今こそ日帝・小泉政権を打倒しなければならない。日帝・小泉政権は、激しい資本攻勢と一体で年金改悪など労働者人民からの収奪を決定的に強めながら、東京都の「君が代」不起立処分攻撃を始めとして労働運動を解体する攻撃を強め、労働組合を産業報国会化していこうとする攻撃を強めている。まさに戦時下の階級闘争圧殺攻撃としてかけられてきている。
だが、こうした攻撃に対して労働者階級の怒りの反撃はますます広がっている。今国会の有事関連10法強行に対しては、陸・海・空・港湾20労組を先頭とした闘いがまき起こった。「日の丸・君が代」強制に対しては、教育労働者の広範な決起が石原都知事を追いつめている。動労千葉を先頭とした労働者階級の戦闘的決起を中軸にイラク反戦闘争の大爆発をかちとり、今こそ日帝・小泉政権を打倒しよう。多国籍軍参加を許さず、自衛隊イラク撤兵へ全力で闘いぬこう。
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週刊『前進』(2157号4面2)(2004/07/12)
6・23国際反戦沖縄集会 世代結んだ反戦の思い 小泉の式典出席を弾劾
炎天下の6月23日、戦後59年目の「慰霊の日」。沖縄県糸満市摩文仁で開かれた県主催の「沖縄全戦没者追悼式」への小泉出席は新たな怒りを呼んだ。公園前では沖縄労組交流センターなどが「小泉は帰れ!」と抗議闘争(前号既報)。式典では、一昨年「有事3法案絶対反対」と糾弾した北中城(きたなかぐすく)村議の宮城盛光さんが、小泉が献花に立ち上がった瞬間、抗議退場した。
この日、「魂魄(こんぱく)の塔」近くでは、一坪反戦地主会や平和市民連絡会などでつくる実行委主催の第21回6・23国際反戦沖縄集会が開かれ、県内外から300人が集まった。
集会前の午前11時半、「語(かた)やびら戦(いくさ)ぬ世(ゆ)・創(つく)らびや平和ぬ世」と書かれた横断幕を先頭に「ひめゆりの塔」近くから出発、3万5千人の沖縄戦の犠牲者が眠る「魂魄の塔」前までデモ行進し、「怒りで舞え」(知念ウシ作)とのアピールを若者2人が朗読した。
集会冒頭、主催者を代表して1フィート運動の会の中村文子事務局長が、「日本の国は憲法第9条を揺さぶっている。米軍は新たに海上基地をつくり、陸に都市型戦闘訓練施設をつくろうとしている。今こそしっかりと声をあげ抵抗する時。未来永劫(えいごう)、沖縄戦を繰り返さない誓いを新たにしましょう」。
海勢頭豊さんが「月桃」を歌い、中学生14人が沖縄戦とイラク反戦から平和を願って作った「虹に咲く花」を披露した。6人の孫と一緒に立った反戦地主の瑞慶覧(ずけらん)長方さんは、13歳当時、日本軍に防空壕(ごう)から追われ母子で逃げまどった南部で、死臭にたえられずフーチバー(よもぎ)を鼻に詰めたことなどを語った。
伊波洋一宜野湾市長、参院選予定候補の糸数けいこさんも駆けつけ、普天間基地無条件返還、辺野古の新基地建設阻止を訴えた。ヘリ基地反対協の安次富浩共同代表は、辺野古の座り込みへの参加を呼びかけた。
多くの参加者が歌や紙芝居、詩などでそれぞれの思いを表現、その中心に戦争体験者の思いを次代につなぐ若者たちがいた。司会の知念ウシさんも「世代を超えて人びとが結び合うことができました」と語った。
最後に、桑江テル子さんが「二度と戦はしないと誓ったのに、それをやろうとしている国。語り合うだけで平和は来ない。闘い取りましょう」と結んだ。
小泉は許せない 北中城村議 宮城盛光さん
沖縄県主催の全戦没者追悼式典にまたもや小泉首相が出席しました。私にとって6月23日は小泉との因縁の日ですが、この日がめぐってくるたびにやりきれない気持ちとなります。私は小泉が許せない。一昨年にもまして、今年は本当に怒りでいっぱいです。
私服刑事が私の周りを取り囲む異様な警備のなかで、小泉の献花と発言のときに多くの人びとの目の前で退席しました。小泉の沖縄に対する態度はあまりにも冷淡だ。この冷淡さは日本政府の一貫した沖縄への差別と抑圧の極致です。この小泉が「新たな沖縄の売り渡し」「新たな銃剣とブルドーザー」の時代に引き戻そうとしている。
いま辺野古のオバーたちの闘いを軸に、沖縄は大きな反転攻勢に転じることができるのかどうかの重要な局面に来ています。負けられない闘いです。ともに頑張りましょう。
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週刊『前進』(2157号4面3)(2004/07/12)
コミューン 8月号 2期目のプーチン
特集は、2期目に入ったロシア・プーチン体制の分析。第1章は、プーチンの独裁体制の成立過程と現在を解明している。エリツィン体制とその急進的資本主義化政策の破産をのりきるためにプーチンの独裁体制が必然化した。しかし、1期目のプーチンは強権=国家暴力と大国主義を強めただけで、オリガルヒ(新興財閥)、ノーメンクラトゥーラ(特権官僚)、マフィアが根幹を握るロシア経済の基本構造を変えることはできなかった。したがって2期目のプーチンが掲げる「成熟した市民社会」「高度な生活水準」もスローガン倒れは必至だ。
第2章は、エリツィン時代からプーチン政権1期目までのロシアの軍事・外交政策の展開をたどり、2期目のプーチン外交を解明している。ソ連崩壊で世界史の展開基軸が帝国主義間対立へと転換した。エリツィンは帝国主義世界体制にロシアを組み込むために対欧米協調路線をとり、資本主義化政策を進め、失敗し、大国主義・排外主義によるのりきりを図ったが、行き詰まった。プーチンは世界戦争危機の中で対米政策をさまざまに展開し、ロシアの大国化を追求しているが、危機は深化している。
翻訳資料1は、米東海岸の港湾労組で、腐敗した本部に挑んだ改革運動が、労働協約投票で否決寸前まで迫った前進を伝える。
翻訳資料2は、大会で英労働党からの歴史的決別をかちとった消防労働者の闘いについて紹介した。
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週刊『前進』(2157号4面4)(2004/07/12)
参院選政治決戦スローガン
■小泉改革は戦争国家化とリストラ・生活破壊だ。小泉政権を打倒しよう!
■「多国籍軍参加」絶対阻止! 自衛隊は即時撤退せよ!
■有事法を発動させるな! 在日米軍基地強化反対! 名護新基地建設阻止!
■教育基本法改悪絶対反対! 「日の丸・君が代」強制と闘う教育労働者と連帯しよう!
■憲法9条の解体を許すな! 改憲阻止を闘う大統一戦線をつくろう!
■年金改悪法廃止! 医療・介護・社会保障の改悪と解体を許すな!
■民主党は第2自民党だ。社民党・日本共産党に代わる闘う労働者党を建設しよう!
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週刊『前進』(2157号5面1)(2004/07/12)
世界戦争計画と米軍大再編 北朝鮮侵略戦争の発動へ在日米軍基地を最前線化
トランスフォーメーションの狙い
米帝ブッシュが進める米軍のトランスフォーメーション(世界規模での再編・変革)は、米帝の世界戦争計画に基づき、イラク侵略戦争を継続・拡大しながら、同時に中国侵略戦争を戦略的な視野に入れて北朝鮮侵略戦争を発動する態勢を整える観点から取り組まれている。米帝は北朝鮮侵略戦争に備えて在韓米軍をソウル以南に後退させるとともに、在日米軍基地を強化し、日本に米軍の司令部機能を集中し、日米韓の共同作戦体制の強化を図ろうとしている。アジアにおけるその恐るべき現実を暴露する。
戦略的視野に中国 中東とドイツも重大焦点
図1 在韓米軍の再配置計画
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図2 アジア太平洋地域に展開する米軍
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米国防省発表の2001年12月31日現在の兵員数。ただし上記の数字には、米国領土であるハワイ(陸・海・空軍と海兵隊の総数33191人)及びグアム(同3398人)の米軍は含まれていない
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トランスフォーメーションとは、91年ソ連崩壊後の世界情勢の変化に伴って進められてきた米軍の再編・変革のことである。
米帝は90年代以降、ソ連スターリン主義の崩壊によって生じた帝国主義の支配の破綻(はたん)点に対する侵略戦争を、帝国主義間争闘戦に勝ちぬく観点から推進してきた。91年のイラク中東侵略戦争(湾岸戦争)、ソマリア侵略戦争、ユーゴスラビア解体・再編の侵略戦争など。これらの侵略戦争の中で、対ソ戦を想定した従来の米軍戦力では対応できないことが明らかになった。また財政赤字の巨大化によって、一定の軍事費の削減・米軍兵力のリストラを迫られた。
そこで米軍は、情報における優位と先端技術を活用した「軍事における革命」(RMA)を進め、そうした軍事技術上の進歩と結合させて、米軍の編成や配置、運用を変革し、米軍戦力の軽量化と機動性、破壊力を高めることに全力をあげたのである。
先制攻撃戦略と世界戦争計画を明確に掲げたブッシュ政権の登場と01年9・11反米ゲリラ戦争を契機とする「対テロ戦争」の全面的な踏み切りは、この米軍のトランスフォーメーションを決定的に加速させ、全地球規模での米軍の再編を推し進めるものとなった。
9・11直後の9月30日に出された01年QDR(4年ごとの戦力見直し)は、「この国には多くの脅威があり、脅威には多くの形がある。それは大規模戦争から姿なきテロの脅威にまでわたっている」「現存の脅威に対応しつつ、将来の挑戦に対して準備しなければならない」として、「能力ベースのアプローチ」をうちだした。
米帝は、「現存の脅威」「テロの脅威」に対応するとしてイラクや北朝鮮への先制攻撃を宣言するとともに、「将来の挑戦に対して準備」するとして中国との「大規模戦争」を戦略的に構えることを決めたのだ。
「アジアは、大規模な軍事的対抗を起こしやすい地域へと徐々になりつつある」「優れた資源的基盤を持つ軍事的対抗者がこの地域に台頭してくる可能性が存在するのだ。東アジア沿岸は、とくに課題をかかえた地域だ」
右の引用からも、米帝が究極的には日帝との激突を想定しつつ、中国との軍事的対決を何よりも重視していることは明らかだ。
今日ブッシュ政権が進める米軍のトランスフォーメーションは、イラク・中東での侵略戦争・軍事占領を継続しながら、同時に中国侵略戦争を戦略的な視野に入れた北朝鮮侵略戦争を発動する態勢を整える観点から取り組まれている。
米軍のトランスフォーメーションで米軍兵力の削減が大規模に行われるのは、イラク開戦を前にしたサウジアラビアからカタールへの拠点移動に続いて、西欧(ドイツ)と韓国である。
在独米軍の場合は、6万8千人の駐留米軍をハブ(拠点)となるラムシュタイン空軍基地だけを残して1万5千人ほどに減らし、浮いた兵力を東欧の新NATO加盟国であるポーランド、ルーマニア、ブルガリアなどに持っていこうという話が進んでいる。中東・中央アジアへ兵力を近づけるということだが、イラク侵略戦争をめぐって米帝と対立を深めたドイツからの撤退という側面もある。
在韓米軍の再編は、何よりも北朝鮮侵略戦争の切迫と、その後の中国・アジア情勢の激変をにらんだものだ。
在韓米軍を再配置 機動力拡大し戦力は倍増
イラク開戦と重なる昨年の2、3月に、ラムズフェルド米国防長官は「南北軍事境界線付近に集中する在韓米軍の主力、第2歩兵師団と、ソウル・龍山(ヨンサン)駐屯地の在韓米軍司令部の南への移転」を明らかにした。このラムズフェルドの指示に基づき、昨年4月から在韓米軍の再編に関する米韓の協議が進められてきた。
昨年6月の協議で以下の基本線が確認された(図1参照)。
(1)軍事境界線のすぐ南側に15カ所ほどに分かれて点在する第2歩兵師団の基地や部隊を、まず、議政府(ウィジョンブ)のキャンプ・レッドクラウドと、東豆川(トンドゥチョン)のキャンプ・ケーシーに集約する。
(2)次いで、これらの基地や部隊をソウルの南80`の烏山(オサン)と平澤(ピョンテク)、そして韓国東南部の釜山(プサン)、大邱(テグ)という二つの拠点に再配置する。
ラムズフェルドの「在韓米軍基地を半島南部へ後退させ、即応態勢に有利な空と海のハブ(拠点)にまとめたい」という構想にあてはめると、烏山と平澤が「エアハブ」、釜山、大邱が「シーハブ」である。烏山は米第7空軍所在地、平澤は陸軍のヘリの総合基地、釜山は韓国最大の港、大邱は北隣の倭館(ウェガン)にあるキャンプ・キャロルと併せて兵站(へいたん)の一大拠点である。
(3)以上の二つのハブのほかに、主要基地として、ソウルの中心部から漢江(ハンガン)の南へ移す龍山駐屯地、軍事境界線の南に集中する演習場を新たに整備する連合訓練センター、黄海側の群山(クンサン)空軍基地がある。これらをサイトと呼ぶ。全体を総称して「2ハブ・プラス・3サイト」体制と呼ぶ。
(4)こうした米軍の後退・再編に伴い、約3万8千人の在韓米軍は2万5千人ほどに減らす。
昨年6月の米韓協議では、2段階方式や2ハブ・プラス・3サイト体制では基本的に一致したものの、再配置を急ぐ米側と、再配置の慎重な推進を求める韓国とで「意見のくいちがい」があると報じられた。
これまで米軍が担ってきた軍事的役割の一部を韓国軍へ移譲することも決まった。@板門店(パンムンジョン)の共同警備区域の警備、Aアパッチヘリによる北朝鮮の特殊部隊の海上浸透阻止、B多連装ロケットシステムを使った北朝鮮軍の地下砲台のせん滅作戦など10項目である。
こうした在韓米軍の再配置と削減は、機動力、戦闘能力、迅速・柔軟な部隊展開というトランスフォーメーションの原則に基づくものであり、在韓米軍の戦力は実際には2倍化すると言われている。
事実、在韓米軍の削減と一体のものとして、他方で在韓米軍のすさまじい戦力強化が図られている。@最新型の地対空ミサイル・パトリオットPAC3の配備、AAH64アパッチの増強、B米陸軍の最新鋭機動旅団「ストライカー部隊」の投入などである。
ウォルフォウィッツ国防副長官は米下院の軍事委員会で昨年6月18日、韓国で実施された共同演習で在沖海兵隊が高速輸送船に乗って浦項(ポハン)に24時間で到着したことを称賛した。在韓米軍の削減は在日米軍の強化と両者の一体化で補われるものだ。
こうした在韓米軍の動きについて、昨年6月16日付のニューヨークタイムズは「軍事境界線の反対側に並ぶ北朝鮮の砲列の射程の外へ一刻も早く出ることが米軍にとっては有利だからだ」と指摘し、元ピョンヤン在駐のロシア外交官の「米軍の後退、即、いつでも先制攻撃可能……という意味さ」との発言を紹介している。米帝は、ソウルまでを射程とする南北軍事境界線付近に集中配備された北朝鮮の火砲で米軍が決定的な損害を被らないために、米軍をソウル南方に後退させようとしているのだ。
「5030」計画と連動
現在、米帝は北朝鮮を6者協議に引き込み、この中で北朝鮮を追いつめて体制転覆を図るとともに、最も都合のいいタイミングで北朝鮮侵略戦争を発動しようとしている。
米帝は昨年春、そのために北朝鮮侵略戦争の新たな作戦計画「5030」を立案した。これは作戦計画「5027」をやめて別の作戦計画を立てたということではなく、2年ごとに改定されている「5027」は維持したままで、新たなバージョンを付け加えたということである。
その内容は、@北朝鮮に近接した陸海空からの奇襲的示威や演習をくり返すことによって北朝鮮の反撃を誘い、不安と動揺、資源の消耗、軍事力の弱体化を図る。A虚偽の情報やデマ、スパイ活動などで北朝鮮の内部分裂を図り、反乱を誘発させ、体制転覆を図る。Bそれでも反乱や崩壊が起こらない場合は、米太平洋軍司令官の判断によって多様な低強度作戦を可能とする、というものである。
米帝は、作戦計画「5027」などに基づく北朝鮮侵略戦争において、「陸上作戦については韓国軍に担当させ、海空作戦を米軍が担当する」という基本戦略を立てている。
米帝は北朝鮮侵略戦争で投入する戦力を最大で、米軍全体の海軍力の40%、空軍力の50%、海兵隊の70%と公表している。中心となる空母戦闘群は最大で6個を投入するが、米陸軍の投入規模を公表した資料はない。
現在米陸軍は全部で10個師団であるが、韓国陸軍は予備師団を含めて49師団と発表されている。400万人の予備役に支えられている韓国軍は世界でもトップクラスの規模である。
78年には米韓連合軍(CFC)が創設され副司令官に韓国軍将官が就任した。そして92年にはCFCの地上軍構成軍司令官が韓国陸軍将官となった。94年には平時の作戦統制権は韓国軍将官に委譲された。
米帝は、陸上作戦を主に韓国軍に任せることで、米陸軍の兵力をイラク軍事占領に張り付けたままでも北朝鮮侵略戦争に踏み切れるのである。
ところで、図2を見れば、北朝鮮侵略戦争で米軍が主力を担う海空軍作戦で果たす在日米軍基地の決定的な大きさがわかる。
在韓米軍は約3万8千人。海、空、海兵隊が主力の在日米軍(約4万人)と違って、陸軍が7割以上を占めている。在韓米軍には海軍、海兵隊の兵力はほとんどなく、空軍力も在日米軍に比べれば小さい。また日本の海上自衛隊、航空自衛隊は、その能力や構成から見て、在日米軍を始めとした米太平洋軍の補完部隊として組み込まれている。北朝鮮侵略戦争の海空作戦の主力は、実は在日米軍と自衛隊なのである。
在日米軍が司令部 アジア最大の戦略拠点に
在韓米軍の削減は、日米安保の強化、沖縄米軍基地を始めとする在日米軍基地の役割の拡大と一体のものとしてある。国防総省は海外の米軍基地を4段階にランクわけしているが、この間の米軍再編の動きの中で、在日米軍は「戦力展開拠点」の第1ランクに位置づけられ、在韓米軍は「主要作戦基地」の第2ランクに降格したと言われる。
在日米軍のトランスフォーメーションは、イラク中東侵略戦争の泥沼化の中での北朝鮮侵略戦争の切迫に対応したものであり、さらには中国侵略戦争をにらんで、在日米軍基地の機能をアジアの中核基地として高めようとするものである。それは米軍の司令部機能の移管と日米の基地共同利用の拡大=米軍と自衛隊の一体化を目指している。在日米軍基地は、これまで以上に、朝鮮半島から中東にいたる広範な地域をカバーするアジアの最重要拠点となるのだ。
米政府は、次のような案を持ち出し、日本政府との最終調整に入っていると言われる。
(1)米ワシントン州フォートルイスにある米陸軍第1軍団司令部(司令官の中将ら約500人)を神奈川県の座間基地に移転する。これは直接には北朝鮮侵略戦争などの際に、米陸軍を円滑に展開させるためだ。
米陸軍第1軍団は現役、予備役をそれぞれ2万人かかえる実戦部隊である。ひとことで言えば、朝鮮侵略戦争などのアジア全域の有事に駆けつける増派勢力となる部隊である。軍事専門家は、この移転が行われれば、座間の新軍団司令部が在日米陸軍のほか韓国駐留の第2歩兵師団、ハワイの第25歩兵師団などをも指揮下に収めるのではないかと分析している。座間の新軍団司令部が米陸軍のアジア太平洋全域のハブ(中枢)司令部となるというのだ。
(2)沖縄にいる米海兵隊1万6千人のうち、3200人の移転を検討している。このうち2600人は在日陸軍司令部のある座間基地に移転し、残り600人は補給部隊の合理化の一環としてアメリカ本土に移す。座間に移転した2600人は東富士演習場を中心に演習し、北海道の矢臼別演習場で実弾砲撃演習などを分散実施させる。
そしてこの海兵隊2600人が座間の新軍団司令部を守ることになる。
(3)沖縄の海兵隊については、普天間基地を米空軍の嘉手納基地に統合する案や、宮古の下地島に移転する案も出されている。実際に北朝鮮侵略戦争を始めた場合、市街地の中心にある普天間基地で重大事故が発生し、基地撤去闘争が爆発しかねないからだ。
(4)米政府は横田基地に空自の航空総隊司令部(府中市)を移転するよう日本政府に打診している。
横田基地には横田や三沢(青森)、嘉手納(沖縄)を統括する米第5空軍の司令部があり、司令官は在日米軍司令官を兼ねている。航空作戦における日米の両司令部を横田基地に置いて連携強化を図ることで、両軍の統合的な運用を行おうとしているのだ。また横田基地は座間基地の隣にあり、さらに座間や横田は国道16号線と横浜・横須賀道路(通称横横高速)を使えば、米海軍横須賀基地と結ばれている。すなわち、米帝は横田(空軍)、座間(陸軍)、横須賀(海軍)の司令部機能を強化して、これらを北朝鮮・中国侵略戦争などにおける軍事中枢にしようとしているのだ。
イージス艦や陸上に配備されるPAC3などのミサイル防衛システム(MD)は、北朝鮮・中国侵略戦争に向けて、まず第一にこの軍事中枢を守るために配備されるのだ。
(5)米海軍太平洋艦隊第1哨戒偵察航空団の司令部が横浜市の上瀬谷通信施設から三沢基地に移転する。
三沢基地の実動部隊と上瀬谷の司令部を統合しようというものだが、それだけではない。同司令部は移転を機に名称を第7艦隊哨戒偵察軍司令部に変更し、司令官としてハワイの上級司令部(太平洋艦隊哨戒偵察軍司令部)から少将が異動してきた。すなわち航空団から航空軍に格上げされ、司令官も大佐から少将に昇格したのである。三沢の新司令部が実質的にハワイの司令部にとって代わる可能性が高い。
三沢基地は米空軍、米海軍、航空自衛隊、民間機が利用する軍民共用空港。極東最大の電波受信施設「象の檻(おり)」があり、哨戒偵察軍司令部の移転で、情報収集の最前線拠点になる。
政府は三沢基地に3000b級滑走路をもう一本増設する工事に着手した。
(6)横須賀への原子力空母の配備と母港化を狙っている。
(7)米海軍は長崎県の佐世保基地に配備している強襲揚陸部隊に、巡航ミサイルトマホーク搭載のイージス艦などを加え、遠征攻撃軍(ESG)を新設しようとしている。
ESGは米海軍のトランスフォーメーションの目玉とされ、米帝の先制攻撃戦略の実行部隊である。佐世保は北朝鮮侵略戦争の強襲揚陸攻撃の拠点に位置づけられているのだ。
ミサイル防衛と完全に一体
これらと一体の動きとして、米日帝が共同で推進するMD戦略がある。特に日本周辺では、米軍は年内に高性能レーダーに積み替えたイージス艦1隻を日本海に配備する。これと連動して海上自衛隊の4隻のイージス護衛艦がMD用に改造される。米の衛星によって弾道ミサイルを探知し、日本の迎撃ミサイルが発射されることになるのだ。
在日米軍のトランスフォーメーションは、北朝鮮・中国侵略戦争に向けて、司令部の機能と日米共同作戦体制の強化を図ろうとするものである。
またこれらの米軍再編は、従来の日米安保条約の枠組みの実質的大改定であり、米軍と自衛隊の一体化=集団的自衛権の行使に踏み込むものだ。米帝のイラク侵略戦争から、さらに北朝鮮侵略戦争に共同=競合して参戦しようとしている日帝は、この面からももはや改憲する以外にないところに来ているのだ。
名護新基地建設を体を張って阻止している沖縄人民と連帯し、安保・沖縄・改憲をめぐる大決戦を闘いぬこう。有事法制を発動させない、協力しない闘いを強めよう。日帝・小泉政権を打倒し、自衛隊の多国籍軍参加絶対反対・イラクからの即時撤退へ闘おう。
〔早乙女優〕
在日米軍基地の再編プラン
基地・部隊名
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具体案
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陸軍第1軍団 |
米ワシントン州の米陸軍第1軍団司令部を座間基地(神奈川県)に移転 |
沖縄駐留海兵隊 |
在沖米海兵隊の2600人を座間基地に、600人をアメリカ本土に移転。普天間基地(宜野湾市)は嘉手納空軍基地に統合か、宮古の下地島へ移転 |
空軍横田基地 |
空自の航空総隊司令部(府中市)を横田基地に移転 |
海軍哨戒偵察航空団 |
米海軍太平洋艦隊第1哨戒偵察航空団の司令部を上瀬谷通信施設(横浜市)から青森県の三沢基地に移転 |
海軍佐世保基地 |
米海軍は長崎県の佐世保基地に遠征攻撃軍(ESG)を新設 |
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週刊『前進』(2157号5面2)(2004/07/12)
小泉「9条改憲」発言弾劾する
「集団的自衛権行使」公言し侵略戦争発動の合法化策す
「憲法を改正して、米国と一緒になって行動できるようにする」
(6月27日NHK党首討論)
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参議院選挙の中で、日帝・小泉と自民党は、憲法改悪を積極的に押しだし、正面突破を図ってきている。選挙戦4日目の6月227日、NHKの5党首討論で、小泉は、「集団的自衛権行使のために改憲が必要」という重大発言を行った。これは、有事7法と3協定・条約を成立させ、イラクへの多国籍軍に自衛隊を参加させた日帝が、さらに侵略戦争に深々と突入していくために、現行憲法第9条が完全に桎梏(しっこく)となっていることを真っ向から打ち出し、9条破棄を押し出してきていることを示している。
小泉は、討論の中で次のように発言した。
「日本を守るために米国が日米安保条約で協力してくれる。米軍が日本と一緒に戦っている時に、米軍が攻撃された時に、日本を守るために一緒に戦っているのに(自衛隊が)米軍と共同行動できない、集団的自衛権を行使できない、それはおかしい。そういう点もこれから憲法ではっきりしていくことが大事だ。憲法を改正して、日本が攻撃された場合には米国と一緒になって行動できるような(形にすべきだ)」
今の憲法では集団的自衛権を行使できないから、憲法を変えるべきだ、と明言したのである。日帝政府が改憲において最も成し遂げたいことがここにある。
しかもここで小泉は、意図的に「集団的自衛権」の概念を違えて発言している。集団的自衛権とは、政府解釈によっても、「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」(81年5月29日、政府答弁書)であり、その行使は「憲法上許されない」(同)としてきた。これは01年5月の小泉内閣発足時にも同趣旨の答弁書が出されている。日帝・小泉は、なんとしてもこの制約を取り払って、集団的自衛権を行使できるようにしたいのである。
小泉はそれを国民向けのテレビ討論では、「日本が攻撃された場合には米軍と一緒に戦えるようにしたいのだ」と言って、突破しようとしているのだ。まったくペテン的な手法である。
そもそも小泉がここで歪曲して言っているような「集団的自衛権」なら、あえて言えば、@現行安保条約の第4、5、6条で、A周辺事態法や武力攻撃事態法を始めとする有事法制や改定ACSA(日米物品役務相互提供協定)で、これまで規定されているものだ。それ自体がすでに憲法9条に違反しているのだ。
戦後の帝国主義世界の中で、「集団的自衛権行使」は国連憲章を含めて正当化されている。そして、戦後の侵略戦争はすべていわゆる「個別的自衛権」とか「集団的自衛権」の名において遂行されてきたのだ。
そして米帝は、9・11を契機として対テロ戦争は自衛戦争であると宣言し、対テロの名目さえつけばどんな国に対しても一方的な攻撃を加えても合法であると強弁してきた。
この現実世界で、日帝が集団的自衛権を行使できるということは、日帝が米帝と共同=競合しつつ世界中のどこの国に対しても侵略戦争を展開できるということなのだ。全面的に交戦し、相手の軍隊・人民を虐殺することができるということだ。したがってまた、集団的自衛権の行使が合憲化・合法化されれば、日帝は朝鮮半島内にも中国大陸内にも侵攻し、占領するなど、あらゆる戦争行為が可能となる。しかも、日帝自体が直接攻撃されていなくても、米帝が北朝鮮・中国などと交戦状態に入るか、入ろうとすれば、同盟国としてともに戦争状態に突入しうるのである。
日帝が今、改憲によって9条を破棄して確保しようとしている集団的自衛権とは、このように帝国主義的侵略戦争を発動する「権利」だ。それは何よりも、@イラク侵略戦争の継続・激化・拡大、A北朝鮮侵略戦争から中国侵略戦争への突進、Bひいては帝国主義世界戦争への突進につながっているのだ。第2次世界大戦の惨禍を再び繰り返す道なのだ。
小泉がペテン的な言辞ではしなくも吐露した集団的自衛権のもくろみを怒りをもって弾劾し、いよいよ本格的な改憲阻止決戦へ突入していこう。
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週刊『前進』(2157号6面1)(2004/07/12)
8月ヒロシマ−ナガサキ反戦反核闘争へ
闘う青年労働者を先頭に労組の総結集かちとろう 世界戦争(核戦争)の危機と対決し
深沢明夫
被爆59周年を迎える8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争は画歴史的意義を持った闘いである。日本帝国主義の軍隊がついに海外派兵を強行し、新たな「15年戦争」の過程に突入した中で、「連帯し、侵略を内乱へ」の闘いをどう実現していくのかがかかった階級決戦の場となった。「あやまちの歴史をくり返すな!」と闘ってきた労働者階級人民は、その思いを引き継ぎながらも、単純にその延長線上では闘えない重大な局面に立っている。最大の焦点は労働組合をめぐる攻防にある。「この戦争を止めよう!」という労働組合の力ある登場が求められている。戦時下の階級情勢への突入の中、教労を始め労働組合の青年労働者を先頭とした総決起で、8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争の歴史的大爆発をかちとろう。そして今秋決戦から05年決戦への戦略的突破口を切り開こう!
原水禁運動の高揚と戦後の労働運動
日本階級闘争は戦後史を画する重大な階級決戦に突入している。イラク侵略戦争への自衛隊派兵と多国籍軍への参加、そして超反動国会における有事7法案と3協定条約承認案の可決・成立を始めとする反動諸法案の成立、さらに決定的なことは、7月参院選を契機として、小泉政権が教育基本法改悪と明文改憲の攻撃に国家意志として踏み出したことである。日本帝国主義が敗戦帝国主義としての戦後的制約を取り払い、ついに帝国主義的侵略戦争と世界戦争の道に深々とのめり込み始めたのだ。
帝国主義は絶望的な危機にのたうち回りながら、「外への侵略戦争、内への階級戦争」を推し進めている。しかし、このすべての攻撃は労働組合と労働者の闘う団結を解体することによってしか貫徹しえない。なぜなら資本主義のもとで社会的生産を実際に現場で担っているのは労働者だからだ。労働組合が存在し、闘う団結が根絶・一掃されてしまわない限り、労働者は必ず労働組合を拠点としてあらゆる抵抗と反撃をくりひろげる。それは体制の根幹を揺るがす事態に発展する。すべての労働組合を解体し、産業報国会化することによってしか国家も資本も生き延びられないところまで日本帝国主義の危機は極まり、帝国主義間争闘戦での敗勢は進んでいるのである。
戦時下の階級闘争とは、同時に革命的情勢の急接近を意味する。それはプロレタリア革命−プロレタリア独裁樹立の思想と運動が決定的に試される時代、さらにはその思想と運動のみが真に危機を打開できる時代への突入ということである。労働運動・労働組合運動という角度から言えば、革命党の指導に媒介されつつ労働者階級が団結して帝国主義を打倒し、すべての社会的生産を組織する、そういう時代への突入ということである。ブルジョアジーの指揮によらずとも、労働者階級は労働組合とソビエトを基盤として、自分たちの国家、自分たちの社会を立派に組織し運営することができるのである。
われわれは革共同の新指導路線のもと、昨年の11・9労働者集会から3・20全世界一斉行動・日比谷集会を闘いぬいてきた。労働組合を基軸に、「外への侵略戦争、内への階級戦争」に対する統一的一体的闘いの実現を意識的に追求した。その中で、動労千葉の3波にわたる04春闘ストライキは、労働運動界に衝撃を与え、闘う労働組合の防衛と再生に決定的な役割を果たした。この動労千葉のストライキが陸・海・空・港湾労組20団体の「有事法制を完成させない、発動させない、協力しない」の3ない運動と結合し、3・20日比谷6万人−全国50万人決起の力を生み出したのだ。
今、日本階級闘争は、こうした労働組合運動における分岐・流動・再編・高揚の真っただ中にある。この4〜6月、有事立法阻止決戦において突き出されたことは、激動的情勢の中で戦時下の階級闘争を指導し、プロレタリア革命の勝利をもって階級の利害を貫く、真の労働運動の指導部の創出という問題である。具体的には、民主党、日本共産党や、連合中央、全労連指導部の恐るべき屈服と総転向状況の中で、闘う労働組合を防衛・再生し、動労千葉に続く闘う労働組合の鮮烈な登場をかちとることであった。6月決戦を、百万人署名運動が労働組合と広範な闘う人びとに呼びかけて連続的に闘いぬいたことは、その意味からも決定的な意義を持っていた。
今夏8・6−9闘争こそ、6月決戦を引き継ぐ、労働組合をめぐる攻防の最大の焦点である。日本の労働組合運動にとって、この8・6−9にいかにかかわり、どのように闘うのか、それは日常的な資本攻勢との闘いとともに、その労働組合の階級的性格を決定づける意味を持ってきた。とりわけ、自国帝国主義が侵略戦争に参戦し、再びヒロシマ・ナガサキをくり返そうとしている今、そのことはますます決定的に問われているのである。
「ヒロシマ・ナガサキをくり返すな」という歴史的スローガンは、戦後一貫して、労働組合が核実験と侵略戦争をくり返す帝国主義と対決し、その階級性を貫いてきた決定的な契機であった。ヒロシマ・ナガサキは反戦反核闘争のメッカであり続けた。それは原水禁運動を実体として、「教え子を二度と戦場に送るまい」(日教組)、「二度と赤紙を配らない」(自治労)という形で、各産別の労働組合の中に脈々と生き続けてきた。「被爆教師の会」を始め被爆労働者がこの運動の先頭に立ち、国際的な闘いとして発展させてきたのである。
そしてこの闘いは、社共的な「平和擁護運動」への歪曲や、「ソ連の防衛=ソ連・中国の核武装容認」という日共スターリン主義による反革命的制動との闘いでもあった。
今、帝国主義の侵略戦争が開始され、世界戦争過程に突入している中で、既成の原水禁運動が決定的な動揺と再編に突入している。しかし原水禁運動の中で組織されてきた労働組合の闘いは、原水禁運動指導部がどんなに屈服と無力化を深めようとも脈々と引き継がれている。
何よりも、反戦反核を闘う労働者、労働組合と、有事法制に全面的に賛成し労働組合の戦争動員を推し進める民主党・連合路線とは、本質的に非和解の関係にある。開始された労働者階級の決起と結び付き、小泉−奥田による「外への侵略戦争、内への階級戦争」に対する反撃を、革命的大衆行動として組織しなければならない。
8・6広島−8・9長崎反戦闘争にこの労働組合・労働運動を基軸とした革命的大衆行動を実現すること、ここに革共同の新指導路線の成否がかかっており、04年から05年の階級決戦の成否がかかっている。「この力が戦争を止める」という、労働組合の力強い大隊列を8・6広島−8・9長崎に登場させよう。
闘うイラク人民の決起と連帯しよう
アメリカ帝国主義のイラク侵略戦争は、6月28日の密室での「主権移譲」という新たな展開の中で、ますます泥沼化し、継続・激化・拡大している。米帝の歴史的没落と帝国主義間のすさまじい争闘戦を根拠にしているこの戦争は、米帝にとってどんなに敗勢が必至であったとしても、絶対に引き返すことなどできない戦争である。何よりイラク人民の民族解放の闘いが全世界の労働者人民の決起と結び付き、帝国主義を決定的に追い詰め、帝国主義世界支配体制そのものを揺るがしているのである。
世界史は明らかに、イラク情勢を起点に3度目の世界戦争を許してしまうのか、それとも国際プロレタリアートと被抑圧民族人民の共同の闘いで帝国主義を打倒するのかをかけた歴史的決戦に突入している。
2002年9月に打ち出されたブッシュ・ドクトリンとは何か。それは先制攻撃戦略をもってイラク・北朝鮮を始め全世界を戦争にたたき込み、その暴力的再編の中で他の帝国主義をたたき落とし、核兵器で全世界の労働者を灰にしてでも、米帝の帝国主義的利害を貫こうというものだ。イラク戦争のすべてにこの戦略が貫かれている。
昨年の3月20日、「衝撃と恐怖−広島的心理効果を与える」などと言ってイラク侵略戦争を強行した米帝。その戦略思想的な根拠となったのは次の報告書である。
「日本人は、(広島・長崎へ)二つの核爆弾が使用されるまでは自殺抵抗をする覚悟だった。これらの兵器の衝撃は、平均的日本市民の思考様式と指導部の展望の双方を、この“ショックと恐怖”の状況をとおして変えるに十分であった」(96年国防大学研究報告書)
これが米帝の原爆投下の「総括」であり、核戦略思想である。これが帝国主義なのだ! 帝国主義侵略戦争と帝国主義間戦争において、「敵国」の戦争意志をたたきのめし、自国の帝国主義的利害を貫徹するためには、何万何十万人という労働者民衆を衝撃的に虐殺することが最も効果的だというのだ。
イラク侵略戦争において、湾岸戦争をはるかに上回る2200d(その放射線量は広島型原爆の10万倍!)もの劣化ウラン弾を使った米帝。まさにイラク人民への民族抹殺ともいうべきこの暴虐こそ、帝国主義本来の、ありのままの姿なのだ。
石破暴言弾劾
では日本帝国主義の場合はどうか。4月22日、衆院「武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会」において防衛庁長官・石破は次のように発言している。
「核攻撃を受けたとして、日本が守れないなどということを私は申し上げるつもりは全くございません。……例えば広島で原子爆弾が落ちた、長崎で原子爆弾が落ちた。……その後、あの広島においても、あの長崎においても、爆心地の近くでありながら落命をされずに生き残った方というのがたくさんおられる。では、どういう状況であれば核攻撃を万々が一受けても、被害が局限できるかということは、私ども、同時に考えていかねばならないことでしょう」
これが国民保護法を始めとした有事法制に貫かれている考え方なのだ。そして実際に、国民保護法には「武力攻撃災害」などと言って、原子炉への攻撃や核攻撃などまで想定されている。「ヒロシマ・ナガサキがふたたびくり返される結果となったとしても、国家意志としてイラクや北朝鮮への侵略戦争をやる、帝国主義間戦争をやる」――これがイラクへの自衛隊派兵の意味であり、有事法制定の意味なのだ。「国民保護」などとんでもないウソとペテンである。
では、ヒロシマ・ナガサキの被爆の実相とはどのようなものだったのか。
「爆心地から半径500b以内の地域は、一瞬にして壊滅し、点々とビルデイングの残がいが立つ平地と化した。住民はごく一部、特殊な場所にいた人を除いてはほとんど蒸発的即死に近く、直後に暁部隊の救援隊が入ったとき、地表は、死体も骨片もあまり見当たらないほど焼き尽くされており、すべての物は原型をとどめず破砕されて白い灰に埋まっていた。……爆心地から約600bの地点にあった広島県立第一高等女学校の第4学年の生徒の一部約50名は、原子爆弾のさく裂時に登校していて被爆し、全員死亡したが、その当時、校庭に首も手足も何処かへ千切れ飛んだ胴体だけの死体が、まるで丸太棒のように多数転がっていたという」(『広島原爆戦災誌−第2編各説 第1章市内各地区被爆状況』より)
このヒロシマ・ナガサキの惨劇を、帝国主義は再び労働者階級人民に強制しようというのだ!
帝国主義は、イラク人民を始め抑圧されている諸民族を抹殺し、自国の労働者にもヒロシマ・ナガサキを強制することによってしか生き延びられないところにまできている。沖縄に日米安保のすべての矛盾を押し付け、新たな巨大基地建設を策動し、“第二のオキナワ戦”を強制しようとしているのが今日の日本帝国主義なのだ。
一体全体、日本帝国主義が労働者に対して日々行っていることは何か。リストラや首切りによってすでにどれほどの労働者を過労死や自殺に追い込んでいるというのか。残業の強制や「多忙化」によって、自死や死産を強制されている労働者も限りなく増えている。年金改悪は、65歳まではトコトン働き続けろ、働けなくなったら早く死ねという攻撃ではないか。あげくの果てには「お国のため」といって侵略戦争に動員し、再びヒロシマ・ナガサキを強制しようとしているのだ。
労働組合こそがこの戦争や資本攻勢と闘う最大の武器なのだ。その労働組合が資本と一体化し、資本家の先兵となったとき、労働者の生活も、命すらも守れないところにまで行きつく。逆に、労働組合が資本攻勢と原則的に闘い、いかなる戦争協力も拒否し、有事法制の発動をストップさせるならば、戦争を止め、戦争と失業の根源である帝国主義を打倒することができるのだ。
今夏8・6広島−8・9長崎の闘いこそ、反戦反核闘争の頂点をなす闘いだ。
イラク人民は、「今、ファルージャやナジャフで起こっていることは、ヒロシマ・ナガサキと同じだ。あの惨禍をうけた日本の民衆ならば、自分たちの痛みが分かってくれるはずだ」と闘いのメッセージを送り続けている。
このイラク人民の闘いに連帯し、広島・長崎に総結集しよう。日韓米を始めとする労働者の国際連帯の闘いで、帝国主義のイラク侵略戦争を国際的内乱に転化するために闘いぬこう。
教基法改悪―改憲阻止決戦の爆発へ
自衛隊のイラク派兵と有事10法案の成立という戦争突入情勢下で、労働者階級全体を揺り動かすような教育労働者の決起が始まっている。今年の東京都の卒・入学式での「日の丸・君が代」強制に対する教育労働者の「不起立」の決起は、ファシスト石原による処分攻撃をはねかえして、階級的団結を武器に意気高く闘われている。これこそ戦時下の労働運動の具体的姿であり、日教組運動の再生の展望を示すものである。教育基本法改悪−憲法改悪攻撃との全階級と全社会を巻き込んだ大決戦が、首都・東京から始まったのだ。
教育基本法改悪攻撃は、この6月に与党協議会の中間報告が出され、東京都や広島市などの議会で「教育基本法改正促進」の意見書が採択されるなど切迫している。教育基本法の改悪とは、開始された戦争に侵略の「魂をふきこむ」攻撃であり、敗勢を深める帝国主義間争闘戦に絶望的に戦争的に勝ちぬくために、国民を精神的に拘束・動員し、教育と社会のありかたを丸ごとつくりかえるものだ。
教育課程審議会元会長の三浦朱門(作家)は「もし戦死者が出れば、それは憲法改正のための尊い犠牲なのだ」(文芸春秋3月号)などと公然と宣言している。さらに民主党議員の西村真悟は、「お国のために命を投げ出すことをいとわない機構、つまり国民の軍隊が明確に意識されなければならない。この中で国民教育が復活していく」(2月25日教育基本法改正促進委員会設立総会)と、教育基本法改悪の狙いをあけすけに語っている。
先日成立した国民保護法では、平時から「戦災訓練」をくり返し、都道府県・市町村に「国民保護協議会」をつくるとしている。戦意を高揚させていくためだ。ここには教育長がその構成メンバーとして入り、教職員や保護者、子どもたちをこの「戦災訓練」に動員する。すでに戦時教育が復活しているのである。
こうした「愛国心」の強調と完全に一体のものとして、能力主義・差別主義をあおり、徹底したエリート教育を導入しようとしている。これは日本経団連・奥田による戦時型労働政策への転換と完全に一体の攻撃である。
前出の三浦は、「できん者はできんままで結構。戦後五十年、落ちこぼれの底辺を上げることにばかり注いできた労力を、できる者を限りなく伸ばすことに振り向ける。百人に一人でいい、やがて彼らが国を引っ張っていきます。限りなくできない非才、無才には、せめて実直な精神だけを養っておいてもらえばいいんです」(斎藤貴男著『機会不平等』)などと公言している。
「お国のために命を投げ出せ」「落ちこぼれは切り捨てろ」だと! 戦争で人を殺し、戦争に自らの命を差し出し、人を差別することを教えるのが「教育」だというのか。労働者も、子どもも、教育も、「お国のためにあるんじゃない」のだ。もはや帝国主義は労働者階級に基礎的な教育をも保障できないまでに腐りきっている。今こそ帝国主義を打倒し、教育を教育労働者と児童・生徒と保護者の手に奪い返さなければならない。それ以外にいかなる解決もありえないのだ。
有事法制をめぐる激突、教育基本法改悪をめぐる激突。こうした階級決戦の一切は憲法改悪をめぐる戦後最大の階級決戦の始まりである。第9条の解体を核心に、現行憲法の3原則、すなわち「平和主義」「基本的人権の尊重」「国民主権」のすべてを解体する改憲攻撃を労働者階級の総反撃で粉砕しよう。
「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し……この憲法を確定する」(憲法前文)、「日本国民は……国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」(第9条第1項)
ここまで書かせた大きな要因として、日米帝を「戦後革命」の危機にまで追いつめた、敗戦直後に続々と労働組合を結成した労働者階級の闘いがあった。この闘いを引き継ぎ、のりこえるものとして改憲阻止決戦の大爆発を実現しなければならない。
8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争に教基法改悪阻止、改憲阻止を掲げた労働組合の総決起をかちとり、全労働者階級の総反乱にうって出よう!
マルクス主義復権し労働運動再生を
戦後史を画する激動期への突入の中で、労働者階級の根底的決起があらゆるところから、労働組合をめぐる攻防として始まっている。今問われているのは、この階級的激動を革命的情勢の到来としてとらえ、労働者階級の決起を全面的に信頼して、労働運動を組織し、指導しぬく革命党の問題である。一言でいえば、革命党としてここで勝負に出るということである。
最大の問題は、労働組合を戦闘的に丸ごとつくり変え、「第2、第3の動労千葉」をつくり出していく青年労働者の決起、労組青年部の決起を、党のすべての力を投入して組織することである。マル青労同1000人建設とは、そういうものとしてしかあり得ない。逆にまた、1000人という量の中には、階級全体を丸ごと獲得するような質的転換がある。
労働組合の中でマルクス主義を復権させ、労働者階級のど真ん中にマルクス主義を持ち込もう。機関紙『前進』を武器に、革命的時代認識と勝利の戦略・路線で労働組合の防衛・再生をかちとろう。それが「プロレタリア革命の現実性」を「現実の革命」に転化する唯一の勝利の道である。
青年労働者に訴える! 青年労働者が労働組合と労働運動をつくり変えていくならば、必ず世の中を変えることができる。戦争を「国内戦」に転化することができる。ここが帝国主義との最大の攻防点なのだ。
8・6広島−8・9長崎は反戦反核闘争の天王山だ。職場の仲間を組織し、青年部丸ごと、組合丸ごとの総決起を実現しよう。全国・全戦線から総決起しよう!
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週刊『前進』(2157号6面2)(2004/07/12)
7・19反核東京集会へ 8・6 8・9 全国統一実行委が呼びかけ
8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会から7・19東京集会への呼びかけが行われたので紹介します。(編集局)
「あらたな核戦争をくいとめよう! 7・19東京集会」にひとりでも多くの方が参加されることを呼びかけます。
反戦反核闘争は完全に「戦時下」での闘いへと突入しました。
全国統一実行委員会は、メインスローガンの「くり返すなアジア侵略、ヒロシマ・ナガサキ、オキナワを」に加えて、「北朝鮮・中国侵略戦争阻止、日本の核武装化阻止! 小泉戦争内閣打倒」を鮮明にして闘いぬく決意です。
7・19東京集会の企画を紹介します。
反核講演として、新型核兵器である「劣化ウラン弾」が人体に与える影響について、放射線医学が専門の松井英介医師が詳しい研究報告を行います。
反核映画として、「原発切抜帖」(82年作、16_カラー45分)を上映します。監督・土本典昭、ナレーター・小沢昭一、音楽・高橋悠治と水牛楽団。原爆被爆体験国から原子力大国へ突き進む日本の戦後史を新聞記事の早めくりで映像化した世界にもまれな実験映画です。
さらに次のようなアピールが行われます。
☆自衛隊はイラクから撤退せよ!/とめよう戦争!隊員家族と元自衛官連絡会
☆原子力空母の横須賀母港化に反対する/鈴木保さん(厚木基地爆音防止期成同盟)
☆沖縄・名護新基地に反対する/上江田千代さん(元ひめゆり学徒)
☆石原都知事の不当処分と闘う/「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会
☆労働者の戦争協力を拒否する/国鉄千葉動力車労働組合
お互いの教訓を集会をとおして共有したいと思います。ぜひご参加ください。
■集会要項■
7月19日(月・休日)
午後1時開場、1時半開始
杉並産業商工会館3F講堂(阿佐谷南3−2−19 JR中央線「阿佐ケ谷」駅・地下鉄丸の内線「南阿佐ケ谷」駅下車、徒歩5分)
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週刊『前進』(2157号6面3)(2004/07/12)
6月22日〜28日
密室で前倒しの「主権移譲」
民主党が改憲案の中間報告
●民主が改憲案の中間報告 民主党の憲法調査会が06年中にまとめる改憲案の中間報告を正式に発表した。国連の集団安全保障活動や専守防衛に徹した「制約された自衛権」の明記などを打ち出している。(22日)
●イラク5都市で同時攻撃 イラク中部ラマディ、北部モスルなど5都市で、米軍や警察署などを狙った武装勢力による同時攻撃があった。米軍は空爆などで激しく応戦。死者数は少なくとも計92人に達した。(24日)
●駐留米軍の増派を検討 イラク駐留米軍のサンチェス司令官の後任として指名されたケーシー陸軍参謀長が上院軍事委員会で、イラク駐留米軍を現在の13万8千人規模から増やす方向で検討していることを明らかにした。(24日)
●戦闘目的の他国兵「運ばない」 津曲空幕長が記者会見で、イラクで多国籍軍に参加する航空自衛隊による他国兵士の輸送について「戦闘目的のための移動にC130輸送機は使用しない」と述べ、輸送先が“非戦闘地域”であっても、戦闘に参加する外国部隊の輸送はしない考えを示した。(25日)
●ボーリング調査の説明会「要望ない」 那覇防衛施設局の岡崎局長は、米軍普天間飛行場の代替施設建設に伴う名護市辺野古沖のボーリング調査について、「名護市は具体的に説明会開催を要望する気はなく、県からの要望も来ていない」として、住民らが求める説明会を開く考えのないことを改めて示した。(25日)
●都市型施設着工1カ月 沖縄県金武町のキャンプ・ハンセン内レンジ4に米陸軍が都市型戦闘訓練施設を着工してから1カ月。地元の伊芸区が始めた基地ゲート前の抗議行動の輪が町内に広がりつつある。伊芸区の行政委員会が関連業者に、工事に協力しないよう要請したのに対し、ある業者は「工事から手を引く」と約束した。(25日)
●豪軍機が被弾 バグダッド空港を飛び立ったオーストラリア軍C130輸送機が地上から攻撃を受け、乗員1人が死亡。航空機への攻撃で初の死者。(27日)
●「集団的自衛権行使に改憲を」 小泉首相がNHKの討論番組で集団的自衛権の行使について「日本を守るために一緒に戦っている米軍が攻撃された時に、集団的自衛権を行使できないのはおかしい。憲法ではっきりしていくことが大事だ。憲法を改正して、日本が攻撃された場合には米国と一緒に行動できるような(形にすべき)」と述べた。(27日)
●イラクに主権移譲 米英によるイラク暫定占領当局(CPA)は、30日の予定を前倒しして、イラク暫定政府に主権を移譲した。CPAは解散し、昨年4月のフセイン政権崩壊以来続いてきた米英の占領統治は約1年3カ月で形式的には終了した。駐留米軍は占領軍がイラク駐留多国籍軍に移行したことを宣言した。(28日)
●自衛隊、多国籍軍に参加 イラク暫定政府に主権が移譲され、多国籍軍が発足したことを受け、イラクで活動している自衛隊が多国籍軍に参加した。日本政府は閣議を開き、イラク暫定政府の承認を決めた。(28日)
●NATOがイラク部隊訓練 北大西洋条約機構が首脳会議を開き、「NATOは治安部隊の訓練でイラク政府を支援する」との共同声明を採択。部隊派遣は行わない。(28日)
●復興支援国会議「10月に東京で」 次官級の日米戦略対話がワシントンで開かれ、日本側が10月に東京でイラク復興支援国会議を開く考えを表明した。(28日)
●米の新イラク大使が着任 米国の新イラク大使に任命されたジョン・ネグロポンテがイラク入りした。駐イラク大使館は、CPA本部があった旧大統領宮殿周辺に設置される。約1700人の職員を擁する世界最大の米国大使館になる。(28日)
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週刊『前進』(2157号7面1)(2004/07/12)
新指導路線と7・7路線の意義
国際主義的な労働者の団結で日帝・小泉=奥田を打倒しよう
佐久間祐
日帝・小泉は、帝国主義的延命を策動し、本格的な戦争国家化に突き進んでいる。今や日本階級闘争は、戦時下の階級攻防に突入しており、一切の平時感覚が吹き飛ばされるような情勢に立ち至っている。内に向かっての階級戦争と外に向かっての侵略戦争の激しい展開の中で、われわれは新指導路線を掲げて、今その本格的実践の途についた。7・7盧溝橋事件から67年、70年7・7自己批判から34年のこの時、われわれの7・7路線はいよいよその真価が問われている。
イラク・北朝鮮侵略戦争と全世界の労働者人民の闘い
6月28日、突然、米帝は30日の予定を前倒ししてイラクの暫定政権への「主権移譲」をたった5分で行い、ブレマー行政官はイラクから脱兎(だっと)のごとく逃亡した。イラク人民の民族解放・革命戦争は、「主権移譲」にあわせてイラク全土で炸裂(さくれつ)し、大きな犠牲を払いながらも米英を追いつめている。もはやイラク全土は例外なく戦闘地域と化している。「主権移譲」後は、多国籍軍16万の軍事力で、イラク人民の民族解放への希求を圧殺しようというのだ。許し難いことに日帝・小泉政権は、ここに多国籍軍の一員として自衛隊を派兵すると決定した。ウソとペテンで塗り固めて、小泉は多国籍軍への参加を強行しようとしているのだ。
こうした米英を始めとする帝国主義のイラク侵略戦争に対して、全世界人民の怒りは一層高まっている。トルコで行われたNATO首脳会議に対して、連日数万人の怒りが結集、戦争阻止をたたきつけた。人口400万に満たないアイルランドで1万人のデモが繰り広げられた。アメリカではANSWER連合が6月6日に全米デモを呼びかけて2万2000人の闘いが爆発している。日本でも6・4〜6・13と連続して闘いぬいた。韓国では金鮮一(キムソニル)氏殺害の衝撃を、3000人増派を決定した盧武鉉(ノムヒョン)政権への怒りに変えて、撤兵を要求する全人民的な闘いが連日闘いぬかれている。
何よりもスペインでの与党の敗北−政権交代−撤兵に続き、イギリスの地方選挙でブレアの労働党が大敗北し、第3党に転落するという形で、イラク参戦国内で、戦争政権に対する審判が下っていることが重要である。今年11月の大統領選挙を前にして、米帝ブッシュは、なお一層イラク侵略戦争の泥沼の中に突き進む以外にないところに追い込まれている。
米帝は、世界的規模で米軍が直ちに戦争に突入できるように基地・兵力の再編(トランスフォーメーション)を行っている。在韓米軍兵力を3分の1(1万2500人)削減する一方、沖縄、本土の基地・兵力・司令部機能は実戦的に強化・再編しようとしているのだ。対北朝鮮侵略戦争を構え、対中国侵略戦争まで行き着くことを想定して、米帝は軍事力の再編を行っている。
米帝は北朝鮮に対して、自己の都合のよい時に金正日(キムジョンイル)政権を崩壊させ朝鮮半島を全面支配することをもくろんでおり、作戦計画5030でそのプランを明らかにしている。これに連動して、日帝も米帝と共同=競合して対北朝鮮侵略戦争を準備している。通常国会で成立した外為法(外国為替及び外国貿易法)改悪や特定船舶入港禁止法は北朝鮮侵略戦争策動そのものである。小泉の5・22訪朝もそうした脈絡の中で行われたのだ。
有事法粉砕へ闘いの高まり
6月14日、有事7法と3協定・条約が成立した。どれ一つとっても重大な法律を一度に10本も審議にかけるというかつてなかった反革命的手法で、国会成立を強行した。小泉は、国会審議においても、「人生いろいろ」などと言い放って、デマとペテンで切り抜けようとした。しかも国会閉会直後に、多国籍軍への参加を閣議決定するという暴挙を平然とやっている。
第159通常国会は徹頭徹尾、反人民的であり翼賛的であった。そこで成立した135の法律のことごとくが、労働者階級の生存と生活、生命に直結するものであり、人民を戦争政治に引き込むものである。とりわけ有事関連7法と3協定・条約は、日帝が完全に戦争国家として世界史に登場するためのものであり、日帝の延命をかけた反革命である。
さらに日帝・小泉は、公明党と一体となって臨時国会にも教育基本法改悪案を提出、来年の通常国会では「緊急事態対処法」の提出を狙っている。その帰結として改憲に行き着こうとしている。改憲に向けた「国民投票法」の制定も狙っている。そして05年の自民党結党50年に、自民党の憲法草案を出し、改憲論議に決着をつけ、改憲を強行しようとしているのだ。
しかし、これらの日帝の超反動攻撃は労働者階級深部に根を張った新たな闘う勢力を生み出した。陸・海・空・港湾労組20団体を軸とする労働者階級人民の統一戦線が生まれ、99年の周辺事態法をめぐる闘い以降、反戦闘争を強力につくりあげた。有事法制を「完成させない、発動させない、従わない」という三ない運動を提唱し、労働者の戦争動員を拒否する力を生み出している。
また教育労働者は、東京都・石原の「日の丸・君が代」強制攻撃に対して、300人を超える処分をものともせず、敢然と闘いぬいている。
そして何よりも、動労千葉が、イラク反戦と結合して今春3波のストライキに決起、日本はもとより、全世界の労働者階級人民の闘いの先頭に立ち、牽引(けんいん)車となった。
米英日帝のイラク侵略戦争の進行は、同時に、全世界にこれまでになかったような強力な反戦闘争を生み出した。侵略と戦争から始まった21世紀を、プロレタリア世界革命に転化することが可能な情勢を切り開いてきたのだ。
東アジア自由経済圏構想は戦前の強制連行政策の再来
日帝・小泉は経団連・奥田と一体となって、政治・経済攻撃をかけてきている。日本経団連会長・奥田は、「政治と経済は不即不離の関係だ」として、小泉と一体となって改憲を促進する布陣を敷き、労働者階級に対する極限的な大資本攻勢、「外への侵略戦争と内への階級戦争」を推進することをあらためて宣言している。そもそも奥田ビジョンは「活力と魅力溢(あふ)れる日本をめざして」と銘打って、2025年までの日帝ブルジョアジーの政治・経済攻勢のプランを明示したものである。
こうした中で奥田は「東アジア自由経済圏構想」を主張し、「攻めの経営再構築」の一環として外国人労働者の導入を図っている。3月「経済連携の強化にむけた緊急提言」、4月「外国人受け入れ問題に関する提言」によって、その意図は明らかになっている。
「外国人受け入れ問題に関する提言」では、「東アジア自由経済圏」に包摂したアジア諸国から、資本にとって都合のいい労働者を、資本の都合のいいように受け入れようというものである。もともと、入管体制下で、日帝は「単純労働者の受け入れ拒否」を貫いていたが、現実には研修制度をとおしてアジアから低賃金労働者を導入し、強搾取・強収奪を行ってきた。経団連のアジア人労働者導入政策も基本的にはこれを踏襲している。
そして、「外国人庁」の創設を検討するとしており、本格的な戦時労働力としてアジア人労働者を導入する方針を明確化させているのである。タイやフィリピンから介護・看護労働者を導入するために、入管法の在留資格も変更しようとしている。
こうした経団連の政策は、実は戦前の強制連行政策の再来そのものだ。1938年「国家総動員法」が公布され「労務関係勅令」が発動されるのに続いて、企画院によって「労務動員計画」が立てられた。朝鮮人はこの計画に従って、始めは「募集」の形式で、その後は「官斡旋(あっせん)」の割り当てで、最後は徴用令を適用されて、強権的に日本に連行されてきた。こうして戦時労働力として朝鮮人・中国人の労働力を導入し、銃後の日本の生産力を維持するために動員されたのである。
今、政府が経団連と一体となって行っている外国人労働者の導入政策は、戦争政策と表裏一体である。このためには、膨大な外国人労働者をいったん「整理」する必要にかられているために、「不法滞在外国人の半減」などを掲げて、激しい「摘発・送還」を繰り返しているのだ。経団連による「外国人労働者受け入れ」が有事体制と一体の動きであることを見据え、労働者階級の力でこれに反撃していくことである。
さらに付言すれば、日帝は、韓国とのFTA(自由貿易協定)交渉に際して、労働運動・組合の撲滅を条件としており、民主労総への弾圧を日帝が韓国に要求していることも重視しなくてはならない。
改悪入管法と排外主義攻撃
有事法制の一環として、今国会で改悪入管法が成立した。今次入管法改悪は、イラク侵略戦争に突き進む日帝が、日本版9・11に恐怖し、在日・滞日ムスリム人民を始め在日外国人への戦時型治安弾圧を強化するものとして推し進められた。入管法は日帝の外国人政策の要(かなめ)に位置しており、治安立法としての性格を前面に出し、民族抑圧を推し進めるものとして大改悪されたのだ。
同時に、戦争国家化の中で、入管体制は完全に戦時体制に転換し、在日人民に激しく襲いかかっている。
第一には、「不法在留外国人25万人を5年間で半減する」として、「摘発」が常態化していることである。昨年10月、「小泉改革宣言」で「5年間で不法滞在外国人を半減」という方針を打ち出した日帝は、「首都東京における不法滞在外国人対策の強化に関する共同宣言」を発した。ここでも「5年間で半減させる」という数値目標を掲げた。
毎日のように新聞で「外国人犯罪」が報道され、キャンペーンが展開されている。さらに法務省による「密告メール」の開始は、多くの抗議の声にもかかわらず、依然として存続している。また、外国人雇用の際、外登証チェックを奨励するパンフレットを行政の窓口に積み上げ、「外登法の運用厳格化」を実施している。「不法滞在」=犯罪者として拘束し、ことごとく強制送還の対象にしているのである。
厚労省は6月8日からは、「不法滞在者」が国民健康保険に加入できないよう施行規則を明文化し、即日施行した。「不法滞在者」は人間にあらず、とする日帝の根深い民族差別の本質がますますむき出しになってきている。
第二に、第一と相互に関連して、「テロ対策」を口実にした、退去強制の攻撃が頻発していることである。今次改悪入管法成立に先だって5月26日に「アルカイダである」としてフランス人を始めムスリム人民5人を入管法違反で逮捕した。マスコミはあたかも「アルカイダが日本に潜伏」していたかのような大キャンペーンを今も展開している。名前がムスリム系である、というだけで入国拒否となって強制送還された例も報告されている。
第三に、在日朝鮮人をめぐる同化・融和の攻撃の展開である。02年9・17に次いで5月22日、小泉は突然再訪朝し自らの延命のために、拉致被害者家族をその日に帰国させるという大パフォーマンスをやってのけた。5月28日に行われた朝鮮総連の第20回全体大会に歴代首相で初めてメッセージを送り、「日朝国交正常化の実現に向け最大限努力を払いたい」とした。
日帝・小泉は、9・17以降の総連バッシング、北朝鮮脅威論のキャンペーンの中で、在日朝鮮人がどれほど生命の危機を感じ、息苦しさを感じていたのかなど見向きもせず、総連の変質と解体を狙ったのだ。「日朝国交正常化」を振りかざすことで、在日朝鮮人の既成運動を解体し、逆に日帝の北朝鮮侵略戦争政策に組み敷くことを狙っているのだ。日帝は全国の総連関連施設への課税に手をつけ、民族学校への解体攻撃も推し進めている。
今通常国会で外為法改悪や特定船舶入港禁止法を成立させた中での「国交正常化」交渉は、それ自身が戦争への助走に転化するものなのだ。在日の戦前・戦後を貫く日帝下での存在と闘いを解体しようとするこうした攻撃をなんとしても阻止しなければならない。
日帝の戦争国家化が激しく進行している今日、日帝の侵略戦争と植民地支配の歴史性を体現する存在としての在日朝鮮人は、最も深部から日帝の戦争攻撃と闘いぬく存在である。新たな闘いのうねりを開始しつつある在日朝鮮人との連帯を深めていくことだ。
侵略戦争下で7・7路線の国際的=階級的真価示そう
われわれは開始された国際連帯の地平をより一層押し広げ、新指導路線のもと、世界革命路線としての7・7路線の実践を高めていくことが求められている。
世界最強と言われている韓国・民主労総は6月16日と29日の2波にわたるゼネストを闘い、6月賃金団体協約交渉(賃団闘)を勝利的に貫徹した。今年の賃団闘では、@最低賃金月額76万6140ウォン(平均賃金の50%)争取A勤労条件低下のない週休2日制の実現B派遣法改悪阻止C雇用拡大、産業空洞化阻止D社会保障予算の20%拡充、などを掲げて闘っている。
全国保健医療産業労働組合(組合員4万人、121支部)が初めての産別交渉に取り組み、6月10日、産別ゼネストに突入した。
6月16日は全国8万人、29日には13万人の労働者がゼネストを闘った。闘えば闘うほど組織拡大を実現し、強固な団結を打ち固めている民主労総の存在は、労働者階級の輝かしい未来を指し示している。また、イラク反戦の取り組みを強め、文字どおり全人民の階級的指導部として登場してきている。民主労総の動向が朝鮮情勢を決定するところにきたのだ。
さらに、入管収容所をめぐる闘いは国内における国際連帯の実践である。入管収容所をめぐる闘いは、外国人労働者の基本的人権=生存権と労働権を防衛する闘いであり、入管法との現実的、具体的な攻防である。われわれ自身の基本的人権を守ると同様、外国人労働者の人権を守るため、地道にねばり強く闘うことである。
15年戦争下の労働者階級
われわれにとって7・7とは何か。それは二重の意義を持っている。ひとつは中国侵略戦争への全面的突入の突破口となった1937年7月7日、盧溝橋事件の日である。1931年9・18柳条湖事件から盧溝橋事件を転換点として45年8・15まで日帝は絶望的な侵略戦争にのめり込んでいった。15年戦争である。とりわけ31年から37年に至る過程が労働者階級にとっていかなるものであったか。
37年上半期の労働争議は件数、参加人数ともに戦前の最高数となり、さらに同年4月の総選挙でも無産政党への投票がこれまた戦前最高となっていた。ところが7・7以降、日中戦争の全面化の中で、一挙に事態は逆転していく。日本労働組合総連合は「労働者が、産業に協力し其の使命の遂行に労資一体にて努力せんことは、日本として、必然の道程であって此の心構への有る処、争議は跡を絶つであろう」と声明し、産業報国会の道へと突き進むのである。
日帝は「満蒙生命線論」や「暴支膺懲(ぼうしようちょう=暴れる中国をこらしめよ)」などの排外主義的言辞をもって、労働者人民を愛国主義、国益主義のもとにからめとっていった。これは当時の日本共産党を始め、スターリン主義や社会民主主義の敗北と裏切りの結果である。
われわれにとっての7・7の今ひとつの意味は、70年7・7における「7・7自己批判」の深化・発展という課題である。自らの階級意識を真にプロレタリア的階級性に根ざしたものに鮮明化して、闘うアジア人民との連帯を自己の闘いの戦略的要素の一環にはっきりと組み入れようと決意し、その闘いを自己批判の貫徹として推し進めてきたのである。
今、日帝・小泉がイラク侵略戦争への本格的参戦を推し進めようとしている時、われわれは、あらためて歴史的な回帰の中で迎える7・7を見据え、排外主義との闘いを日常のすべての闘いの中に貫くことをはっきりと確認しなければならない。
「プロレタリア革命と戦闘的労働運動の圧倒的前進をかちとるために闘い、その中であらゆる差別・抑圧からの解放の問題の基本的解決の方向を獲得するために闘う」「プロレタリア革命の勝利のための闘いの中で、その途上で、差別・抑圧との闘いに自覚的に取り組んでいこう」
この新年号論文での提起をあらためて確認し、これを実践することを7・7アピールの結びとしたい。
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週刊『前進』(2157号7面2)(2004/07/12)
第3回6者協議の帰結 北朝鮮に戦争重圧を強め期限付きで核廃棄を要求
6月23日から4日間、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の核問題をめぐる3回目の6者協議(アメリカ、北朝鮮、中国、日本、韓国、ロシア)が北京で開かれた。今回の協議について日帝・小泉政権は、参院選をも意識して「核廃棄の第一歩に向けた積極的な考え方が示された。一定の前進だ」(日本側代表・薮中アジア大洋州局長)と成果を誇示している。
だが、「核廃棄の第一歩」というが、それは圧倒的な核兵器を持つ米帝が、一個でも核を廃棄するということなのか? まったく否である。逆に圧倒的な核と軍事力を持つ米日帝の側が、対抗的な核武装路線に走る北朝鮮の「核廃棄」を要求し、完全に武装解除させるということなのだ。
そもそも6者協議は、朝鮮の統一と恒久平和への南北朝鮮人民、在日朝鮮人民の願いを踏みにじり、米・日帝国主義が中国スターリン主義の屈服のもとに北朝鮮スターリン主義・金正日政権を追いつめ、完全に武装解除し、体制転覆の侵略戦争にうって出るための反人民的な国際会議である。
米帝と日帝が、自分に都合のよいタイミングで侵略戦争を発動するための時間稼ぎの場であり、また侵略戦争の発動に有利な政治情勢をつくり出すためのプロセスである。
日帝は有事法を背景に参加
小泉政権は6者協議の直前に有事関連10法と特定船舶入港禁止法を成立させた。外為法改悪、入管法・入管体制改悪と合わせて、これらを武器にして6者協議に乗り込み、米帝とともに排外主義的な対北朝鮮の戦争外交を展開した。
今回の協議では、6者の共同声明は米帝側の反対で作成されず、中国の議長声明だけが発表された。議長声明は、「朝鮮半島の非核化の目標に向けた確約を再確認し、その目標に向けた第1段階の措置を可能な限り早くとる」とか「さらなる論議が必要」などと抽象的で、課題を先送りしただけである。
協議の背景としては、米帝ブッシュ政権がイラク情勢の泥沼化にあえぎ、また大統領選を前にして朝鮮情勢をコントロールする時間稼ぎという側面があった。そうした中での、実際の火花を散らしたやり合いや微妙な駆け引きは詳しくは報道されていない。はっきりしていることは、次回第4回協議が9月末に設定され、それまでに北朝鮮が核凍結(「朝鮮半島の非核化への第1段階の措置」と呼ばれている)の範囲、期間、検証について、つまり諾否について回答を迫られたということである。
結論的には、今回の6者協議では、北朝鮮スターリン主義の核開発をめぐって、米日帝が中朝離間の策動を強めつつ、北朝鮮の核武装解除=全面屈服を意味する「完全で検証可能かつ不可逆的な核廃棄」(CVID)を強硬に突きつけ、そのために実質的には米朝決裂となったのだが、双方とも一定の政治的配慮から協議を継続することに意味を持たせたと見るべきであろう。核凍結の見返りといわれる米帝の「新提案」もそのような脈絡でとらえなければならない。
次回9月の6者協議までに北朝鮮がこれを受け入れなければ、米帝は「安全の保障」「エネルギー支援」「経済制裁の解除に向けた協議」にも一切応じない、それどころか秋にもこの問題を国連安保理に持ち込み、制裁決議などの強硬措置に踏み切ろうとしている。
繰り返すと、米日帝の北朝鮮侵略戦争のための戦争外交が、北朝鮮に3カ月という期限を切って全面屈服の返答を迫るという形で、今一段と強まったのだ。しかも、米日帝はそうして設定した時間をフルに使って中国を屈服させ、北朝鮮を孤立化させつつ、北朝鮮侵略戦争の開戦準備をどしどし進めているのである。
米帝は北朝鮮侵略戦争を計画しているからこそ、「エネルギー支援」についても米帝自らは1jも拠出するつもりはなく、ケリー国務次官補が「協議参加国(日中韓ロ)による支援を支持する」と表明しただけである。北朝鮮がアメリカに支援への参加を要請したことにも拒否を突きつけた。逆に米帝は、北朝鮮が計画の存在そのものを否定しているウラン濃縮計画と、そのための遠心分離器の公開を強く要求したのだ。
侵略戦争準備進める米日帝
原発も含め北朝鮮が一切核をもってはならないという米帝の要求は、帝国主義への対抗的な瀬戸際外交をもって体制の延命を狙っている金正日政権にとって、到底受け入れることのできない全面武装解除要求である。北朝鮮は「敗戦国にのみ強要できる屈辱的な言葉」(北朝鮮外務省高官)と強く反発した。
米帝は、こうした要求に金正日政権が強く反発することを百も承知で、計算ずくでやっている。金正日政権の反人民的な核武装化発言とその動きは、帝国主義の侵略戦争の格好の口実とされている。
考えてもみよう。経済力で663対1(GDP比、02年)、しかも「1万5000発の核兵器配備能力を持つ」(米核問題専門家ロバート・ノリス氏)という米帝が、比べものにならないほど弱小な北朝鮮の「核の脅威」を叫び立て、「悪の枢軸」「テロ国家」などと非難し、数十万人の軍隊を投入して朝鮮人民に襲いかかろうとしている。こんなことが、どうして許されるだろうか。
米帝・米軍のトランスフォーメーション(世界的規模での米軍再編)は、米帝の世界戦争計画に対応した、イラク−中東侵略戦争の継続・激化のための戦力再編であると同時に、北朝鮮侵略戦争の体制をより実戦的な縦深性と機動性を持ったものとして形成するものである。そしてその背後には対中国侵略戦争の準備という戦略的伏線も同時に存在している。
米帝は在韓米軍の再編や米ワシントン州の陸軍第1軍団司令部の座間移転、沖縄海兵隊の一部本土移転や下地島空港の米軍基地化の動き、日本海へのイージス艦配備、MD(ミサイル防衛)構想などを進めている。どれも北朝鮮(中国)侵略戦争への重大な攻撃である。イラクでやってきた大虐殺戦争を、今度は朝鮮半島でやろうとしている。
そして日帝・小泉政権は独自の帝国主義的利害を貫くために、この米帝の北朝鮮(中国)侵略戦争に共同参戦しようとしているのである。そのために、北朝鮮政権による反人民的な「拉致」問題をも口実に、北朝鮮に対する排外主義をあおり、有事立法や外為法改悪や特定船舶入港禁止法などで、北朝鮮侵略戦争への準備を一段と強めている。米帝の北朝鮮(中国)侵略戦争とそれへの日帝の共同的=競合的、積極的参戦は、今や21世紀の大戦争の問題となり、これとの闘いが決定的に重大化している。
日本共産党は、こうした米日帝の北朝鮮(中国)侵略戦争の意図を暴露せず、北朝鮮の核こそが最大の脅威であるとする6者協議の土俵の上にのっかって、第3回協議について「歓迎される結果だ」「(北朝鮮の)核問題解決へ前進期待」(志位委員長)などともちあげ、労働者人民の闘いを武装解除しようとしている。絶対に許し難い。
南北、在日朝鮮人民と連帯を
民主労総を先頭とする韓国の労働者・学生のイラク派兵反対、駐韓米軍撤退要求の闘いは、米日帝の北朝鮮侵略戦争の策動を打ち砕く決定的な闘いである。
昨年来かちとられてきた日韓米の労働者の階級的=国際的な連帯闘争で米日帝の北朝鮮侵略戦争策動を打ち破ろう。
労働運動の不屈の闘い、国際連帯の闘いがある限り帝国主義の侵略戦争は、逆に帝国主義打倒の国際的内乱に転化できる。自衛隊の即時撤兵と改憲粉砕・教基法改悪阻止、有事法発動阻止の闘いを強めよう。
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週刊『前進』(2157号7面3)(2004/07/12)
民主労総、派兵阻止へ全力
6月29日、韓国の民主労総は第2次総力闘争に立った。自動車労組を先頭に金属産業連盟、サービス連盟、化学繊維連盟など13万人がイラク派兵撤回のゼネストに突入。全国15都市で集会を行った。
盧武鉉(ノムヒョン)政権がイラク増派を決めた直後、イラクで拘束中のキムソニル氏が殺害された。この責任は盧武鉉政権にある! 民主労総はキム氏を非正規職労働者として哀悼し、闘いを強化した。
24日、大韓航空・アシアナ航空の操縦士労組が派兵軍輸送飛行拒否宣言、25日には貨物統合労組(準)が派兵軍物資輸送拒否を宣言。民主労総京畿道(キョンギド)地域本部は米軍基地の清掃・ゴミ収集拒否闘争を決定した。全教組は28日から全国で反戦平和授業を始めた。本格的な派兵阻止闘争に突入した民主労総とともに闘おう。(写真は、6・29ソウル1万人集会)
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週刊『前進』(2157号8面1)(2004/07/12)
リープクネヒトのような議員がいたら 東京 小野千鶴
6月14日。国会の名において日本が侵略戦争をやることを宣言した日、私は参院特別委員会を傍聴しました。いかに民主党と共産党が法案成立を助けたか「しか」と見てきました。
民主党の発言は2人。1人はなんと小泉の大学時代の「セクハラ裁判」の資料を裁判所から取り寄せて、その暴露に終始したのです。党代表発言は「堂々と」賛成をしました。
共産党は「自衛隊がクウェートから20回も米軍を運んでいる。これは参加ではないか」「多国籍軍に参加することは米軍指揮下に入ることだと米政府が発言しているのはどうなんだ」などの発言で小泉の詭弁(きべん)に食いついて対抗しました。
しかしです。この小泉批判の中で共産党は驚くべき発言をしたのです。「国連決議を支持します」「首相の訪朝は成果だった」と小泉を賛美したのです。有事立法が成立か!という日に国会を取り巻く闘いを組織しない共産党に怒り心頭の思いでした。60年安保闘争の6月14日。この国会の周りを数十万のデモ隊が押し寄せ取り囲んでいたのを思い出したのです。
社民党は「有事法案は戦争法案」と言い切って沖縄戦の教訓から戦争をくり返してはならないと発言しました。戦争反対の思いはしっかり伝わってきましたが、しかし、小泉の詭弁を木っ端みじんに粉砕する内容にはなりませんでした。
私は、ここに革共同の国会議員が一人いたら居並ぶ議員を震撼(しんかん)させただろうと悔しい思いでした。1914年12月、ドイツ社民党が排外主義と愛国主義に屈した国会でただ一人敢然と行ったリープクネヒトの反戦演説は世界に響き渡りました。世界の労働者に希望を与えたリープクネヒトのような議員を私たちもつくりだそう。
“小泉政権倒そう!”女たちのデモ6回目 福岡 沢野佳代
6月27日、6回目の女たちのデモを迎えた。主催者から「7月1日、『主権移譲』という占領の継続をめぐってイラクの人びとは全土的に激しく闘い、日本はこれに多国籍軍という形で参加しようとしている。小泉政権を倒そう! 今度の選挙で小泉を通したら、3年間これまで以上のやりたい放題、改憲まで突き進む。小泉を引きずりおろそう!」と提案が行われた。
今日が2回目という北九州から家族連れで参加された女性が「息子や恋人を戦争に送りたくない」とアピール。85歳のアムネスティの女性は「戦争に協力させられた苦い思いを伝えなければと訴え続ける」と発言。18歳の高校生が「戦争のことを学校で習ったはず。それなのに戦争が起こるのは大人、国が悪い。運動を大きくしたらそれが届くと思う」。それを受けて「国、政治家が悪いけど、それを選んでる自分らも悪い。今度の選挙で小泉をおろそう」と北九州からの男性が発言した。
まだまだ発言したい人をたくさん残し、元気に天神デモに出発した。トレードマークのピンクの横断幕、反戦の思いがピンクの傘の花となり、にぎわう街の人びとの注目を集めながらデモ行進(写真)。天神を1周し、警固公園に戻り、アピールできなかった人びとが次々と発言した。
18歳の女子大生は「行動することが大切だと思う」と発言。公園で展示していた福島菊次郎さんの戦争写真を見て参加した若者グループも「今起こっている戦争を忘れてはいけない。できるかぎり行動に参加したい」と語った。反戦共同行動・福岡の石崎昭哲さんが「参議院選挙前のこのときに女たちのデモをやったことの意義は大きい。小泉に政権を取らせない。改憲反対の闘いの第一歩としてあった」と次の行動を訴え、女たちのデモは終了した。
第21回被災地総行動神戸の差別行政糾弾 兵庫S・K
6月17日、第21回被災地反失業総行動が90人を結集して元気よく闘われた。神戸・番町と西宮・芦原の仲間が家賃値上げ反対裁判で完全勝訴をかちとる中で、被災地の共同闘争はこの勝利と連帯し、神戸市の差別行政を糾弾する闘いを中心にすえて闘われた。
雇用と生活要求者組合の長谷川正夫代表は、「10年間こんなに苦しんできたのは何だったのか。しかし、あきらめてしまっては生きていけない。行政は義務を果たさねばならない」と被災との闘いも戦争との闘いも、絶対にあきらめてはいけない、と訴えた。
蒲牟田要求者組合事務次長は「今日は、県と市に突きつける。震災から歯を食いしばって10年間仲間が闘い続け、番町が勝った。闘えば必ず道が開ける」と要求を提起した。しごと開発就労者組合の和田代表は、「番町のように一から盛り返すように闘う」と決意を述べた。
関西合同労組日本管検工業分会が、「破産解雇で争議を闘っている。闘わなければ労働者が生きていけない時代に入った」と報告。義えん金詐欺デッチあげと闘う百々(どど)さんは、最高裁の上告棄却決定の弾劾と、支援へのお礼をのべた。神戸空港建設中止を求める市民の会の松原さんは神戸市との対決を訴えた。
家賃値上げ反対番町住民の会の仲間は、現代版必殺仕置き人劇『家賃値上げ反対物語』を演じ、訴えた。「どぶさらい」発言や、「供託しているのはよそ者と朝鮮人だけや」と差別発言をはいた住宅部長大山(当時課長)や、「同和対策は終わった」と居直る同対室に住民の弾劾がとんだ。
関西合同労組の石田委員長が、差別と徹底して闘う新しい闘いと、資本主義の破たんが結びついて、この勝利がある。一声100の闘い、共同の新たな闘いを、とまとめた。
90人が県に要求書を提出後、元気よくデモ。市役所では、60人が16階のフロアに陣取り、公聴課に申し入れを行った(写真)。番町住民の会が担当者に、「特殊地域」という記載は差別と違うのかと糾弾。担当者は「受け止め方にいろいろあります」と、受け取る側に問題があるかのような居直りに対し、約1時間の糾弾。担当者はついに「申し訳ありませんでした」と謝罪した。第21回総行動は大成功だった。
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週刊『前進』(2157号8面2)(2004/07/12)
解同全国連茨城県連大会 “戦争・差別と闘う” 生活要求闘争の強化へ
6月27日、部落解放同盟全国連の茨城県連第13回定期大会が古河市で開かれ、茨城県連の各支部員、長野県連、東京、埼玉の代表、東日本解放共闘の労働者・学生、茨城県市町村代表など370人が集まった。大会は、戦争と差別と大失業の攻撃と対決し、運動と組織を大きくすることを高らかに宣言し、大成功した。
茨城県連の山口秀男副委員長が開会を宣言し、青年が水平社宣言を朗読した。石川辰衛委員長が主催者として、「戦争、大失業、大不況の厳しい時代。部落大衆の生活と権利を守る闘いを強力に進めよう。狭山闘争を主軸に3大闘争をやりぬく。逆境をチャンスに変え、5万人組織建設を目指して頑張ろう」と力強く宣言した。
来賓のあいさつの初めに全国連中央本部の中田潔書記長が登壇、「3月に神戸、5月に西宮で、同和住宅の家賃値上げは無効という勝利判決をかちとった。全国連とともに全国連のように闘おうという機運が生まれている。戦争と大不況の中で部落差別があおられている。差別と闘う力強い解放運動団体として全国連の飛躍が求められている。関東の拠点、茨城県連ぬきに全国連の組織拡大はない。一致団結して闘おう」
続いて茨城県知事(代読)、茨城県教育長(代読)、古河市長、部落解放東日本共闘会議の山川博康事務局長、朝鮮総連茨城県本部副委員長があいさつした。山川事務局長は「解放共闘は全国連とともに狭山闘争、反戦闘争を力いっぱい闘う」と語った。
東京・杉並の結柴誠一区議が「年金・社会保障の改悪にどう立ち向かうか」と題し記念講演を行った。@今の年金制度では高齢者、部落民は暮らせないA改悪年金法で生活はますます厳しくなるB年金制度は厚生官僚の利権となってきたC小泉政権の福祉切り捨ては戦争国家づくりのためD住民の団結と闘いで改悪年金法の撤回を――と訴えた。
午後、茨城県連の井橋昌夫事務局長が2003年度経過報告を行い、「アンケートの結果、生活の困難を抱える人が増えていることが分かった。3大闘争、とりわけ生活要求の大衆運動をつくり出そう」と呼びかけた。高橋昭一書記長が2004年度運動方針を提起、「小泉政権の戦争政治と対決しなければ、生活と権利を守れない。全国連第13回大会決定に沿って日常活動を展開し、村の主流派となろう。大衆を主人公に支部建設を進める。差別糾弾闘争―狭山闘争を軸に生活要求闘争、反戦・共同闘争を強めよう」と訴えた。
自由討論と県連答弁を行い、議案を採択、新役員を選出した。新役員を代表して石川辰衛委員長があいさつした。「差別に怒り、主体性をもって闘おう。大会をステップとして、一歩踏み出して頑張っていこう」
大会宣言を採択した後、「差別裁判うちくだこう」の合唱、原口孝一副委員長の閉会宣言と団結ガンバローで締めくくった。
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週刊『前進』(2157号8面3)(2004/07/12)
福嶋同志の保釈却下弾劾
6月28日、福嶋昌男同志の第8次保釈請求(4月21日請求)に対し東京地裁刑事第3部・服部悟裁判長は却下決定を行った。満身の怒りを込めて弾劾する。
93年の不当逮捕以来、11年3カ月にわたる未決勾留は違憲・違法であり、人権じゅうりんである。
福嶋同志は青天白日無実である。この無実・無罪は3月25日、須賀武敏・十亀弘史・板垣宏同志に対する東京地裁刑事第11部・木口信之裁判長が行った無罪判決によって明白である。福嶋同志と「共犯関係」にあるとされた3人に無罪判決が出たにもかかわらず、服部裁判長が保釈を却下したことは絶対に許せない暴挙である。
しかも、超長期拘禁の結果、福嶋同志の健康は深刻に破壊され続けている。東京拘置所新獄舎の環境は極限的なまでに閉鎖的であり、長期拘禁者にとってそれは拷問・虐待に等しい。
弁護団と精神科医が呼びかけた福嶋同志の解放を要請する署名に61人の精神科医が賛同し、裁判所に提出されている。「十万人保釈署名運動」が集めた4万7千筆を超える署名も裁判所に提出されている。福嶋同志の保釈奪還をなんとしてもかちとろう。
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週刊『前進』(2157号8面4)(2004/07/12)
沖縄万人(ウマンチュ)の会が総会 反戦と星野奪還は一体
知花昌一さんが新会長に
6月22日夕、「沖縄万人(うまんちゅ)の力で星野さんを取り戻す会」の第10回総会がぎのわんセミナーハウスで開かれた。結成10年目の今年、知花昌一さんを新会長に選出し、「一日も早く無実の星野文昭さんを取り戻そう」と誓い合った。
総会に続いて、再審弁護団の和久田修弁護士の講演会が行われた。和久田弁護士は冒頭、「日の丸・君が代」を拒否して処分を受けた東京都の教職員の闘いを報告し、「私が生まれてこの方、戦争に一番近づいているだろうと思います」と前置きし、今年1月19日に強行された再審棄却の異議審における棄却決定の問題点、さらに最高裁への特別抗告審と今後の再審闘争の展望を明確に語った。
総会では知花盛康会長のあいさつの後、徳島刑務所にいる星野文昭さんの近況をつれあいの星野暁子さんが報告した。2級になって雑居房に移ったこと、政治犯としては異例なことだが工場で班長になったことなどを話した暁子さんは、ついに自衛隊のイラク派兵が強行され、「闘う人たちに見せしめ的な弾圧が激化している」ことに危機感を示し、「戦争反対の闘いと弾圧との闘い、文昭を奪還する闘いは一体の闘いです。世界に広がるイラク反戦闘争の中で、この連帯闘争の中で文昭を奪い返していきたい」と決意を込めて語った。この発言は参加者全員を奮い立たせた。
活動報告などが行われた後の討論では、平良悦美さんから「昨年11月の徳島集会について『成功させることができました』と書かれているが、『成功』は星野さんを取り戻せた時のこと。成功していないんだという悔しさがある。簡単には使わないようにしましょう」と提案があり、そのとおりだと全体で確認した。
新会長となった知花昌一さんは、「10年を迎え、会長が代わることをとおしてもう一歩踏み込む契機になればと引き受けた。事務局体制も強化し、早めに星野さんを取り戻したい」と決意を語った。10年間会長を務めた知花盛康さんは、「闘いは継続する。早く星野さんを取り戻してこの会を解散したい。気持ちを引き締めて頑張ろう」と決意も新たに訴えた。
平良修牧師が閉会のあいさつ。「日本政府は今本気になって沖縄を軍事基地化しようとしている。こうなることを予測して星野さんは立ち上がった。星野さんはこの場にいるべきであり、刑務所にいるべきじゃない。口惜しい。彼を取り戻しましょう。今年も結束して進んでいきましょう」
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