ZENSHIN 2004/06/21(No2154
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週刊『前進』(2154号1面1)(2004/06/21)
6・14−16国会包囲行動へ
労働者階級の統一戦線発展させ連合と日共中央の屈服うち破れ
多国籍軍参加宣言した小泉打倒を
有事関連7法案とACSA改定案・ジュネーブ条約2追加議定書承認案の全10法案の廃案へ、国会闘争を最後の最後まで闘いぬこう。有事法制反対の声を上げ、闘ってきたすべての労働者人民、学生に、6・14〜16国会包囲闘争への総決起を呼びかける。有事関連7法案と3協定・条約承認案は、自衛隊が米軍とともに今後数十年(米副大統領チェイニーは「50年」と言っている!)にわたってイラク・中東侵略戦争にのめりこんでいくためのものであり、北朝鮮・中国への侵略戦争体制を構築するための攻撃である。石油資源地帯・中東と世界最大の潜在的市場・中国という「2大戦場」への侵略戦争突入法案だ。絶対に阻止しよう。
第1章 有事10法案絶対阻止へ
6月8日、日帝・小泉は、シーアイランド・サミットを前にした日米首脳会談で、米軍指揮下のイラク多国籍軍への自衛隊参加を早々と表明した。これを許せば自衛隊が米軍とともにイラク侵略戦争・軍事占領にいよいよ本格的全面的に参戦し、軍事力を行使していくことになる。改定ACSAはこのイラクでフルに発動されるのだ。
ACSA改定案を軸とした米軍行動円滑化法案や米軍への物品・役務提供を日常活動化する自衛隊法改悪案などの米軍支援関連法案は、米軍が全世界で直ちに戦争に突入できるように進めている基地・兵力の再編計画(トランスフォーメーション)と一体だ。
米軍再編の最大のかなめは、北朝鮮そして中国への侵略戦争突入をにらんだ在韓・在沖・在日米軍基地と兵力配置の実戦的な大再編である。前線に近すぎる南朝鮮・韓国の米軍基地を後退させ、兵力も3分の1(1万2500人)削減する一方、対イラク侵略戦争における出撃・兵站(へいたん)基地と前線司令部が置かれたサウジ、クウェート、カタールの位置にあたる沖縄、日本本土の基地・兵力・司令部機能は圧倒的に実戦的に再編・強化しようとしているのだ。
国民保護法案は、全労働者人民を恒常的に戦時訓練と国家・軍=自衛隊による指揮・管理・統制の中に投げ入れ、国家総動員体制を形成しようとするものだ。また、帝国主義戦争における捕虜の取り扱いを定めたジュネーブ条約2追加議定書承認案は、日帝が本気で15年戦争以来の大戦争をやろうとしていることを露骨に示している。
これら有事関連10法案は侵略戦争への反省とか憲法9条とかをぼろ切れのように捨て去り、日本とアジア・全世界を新たな侵略戦争、世界戦争に投げ入れようとする攻撃だ。
ところがこの一連の戦争法案が、民主党の賛成と社・共の総屈服と裏切り(ジュネーブ条約2追加議定書を承認!)によって国会では対決法案にもされなかった。5月20日の衆院通過後には、瞬く間に参院で成立してもおかしくない状況だった。だが陸・海・空・港湾労組20団体を軸とする労働者階級人民の統一戦線的な反有事法制闘争の広がりと、年金改悪とその横暴な審議・強行採決に対する全人民的な怒りの爆発が結合し、有事法案と年金改悪案をあわせて葬り去ることもまったく可能な情勢がつくり出された。
ここでわれわれは、20労組を軸とする統一戦線陣形のさらなる発展をめざして全力を尽くして闘った。03年11・9、04年3・20、5・21と進んできた労働者階級の闘いの地平を守り抜き、発展させる決意のもと、6・4、13の連続闘争を終盤国会の山場にぶつけて全力で闘った。広範な労働者階級と人民の怒りと結びついて闘った。この中で6・10には20労組陣形の集会が大成功を収めた。
他方では、労働者人民の大衆的な怒りを組織化し反対して闘う方針をもたない民主党などは、年金改悪法案を「3党合意」で衆院通過させた揚げ句、参院の最後の段階で参院選に向けたパフォーマンスを演じることしかできなかった。日本共産党に至っては、例によって与党の暴挙を容認して採決に加わり、年金改悪に議会手続き的「正当性」を付与して自民党を喜ばせただけだった。
だがこの間のイラク派兵、有事法制や年金改悪をめぐる闘いの中で明らかになったことは、労働者人民の階級的総決起がついに本格的に始まりつつあるということだった。
3・20国際反戦共同大行動は、日本の労働者階級と労働組合の底力を示した。
国鉄決戦では1047名闘争が、教育決戦ではファシスト石原の「君が代」不起立処分攻撃に対する現場からの大反乱とそれを防衛する闘いが、それぞれ既成の枠組みを越えて巨大な統一戦線の形成へ向かって発展しようとしている。自治労、全逓、あらゆる産別で下部組合員から根底的決起が始まりつつある。
沖縄では辺野古現地の座り込み闘争を先頭に米・日帝国主義の名護新基地建設を阻止し、米軍再編・世界戦争計画を根底的に揺るがしている。
日帝の歴史的な政治=経済攻勢、経済=政治攻勢に対して、労働者人民がなんの抵抗もなく屈していくことなどありえないのだ。
今こそ日帝・小泉への怒りを総結集し、6・13闘争の大爆発から6・14〜16国会包囲行動に全力で立ち上がり、有事関連10法案を絶対に粉砕しよう。
第2章 小泉が「米の大義」称賛
小泉や奥田は、日本の労働者階級の怒りと決起をあまりにもなめきってきた。それが彼らの命取りである。小泉の年金未加入と厚生年金偽装加入をめぐる一連の放言、ウソで塗り固められた年金改悪の強行採決は、小泉に対する「幻想」を最後的に打ち砕いた。小泉は労働者人民の憎むべき敵として、打倒対象として完全に据えられ始めた。
さらにサミット過程の日米首脳会談において小泉は、アブグレイブの拷問発覚などで米国内ですら影を潜めた「米国の大義」なるものを米帝ブッシュに向かって称賛し、小泉の独断で多国籍軍参加を表明するなど反革命的暴走を重ねた。
まさに今日、真に絶望的危機に陥っているのは、日帝・小泉である。そして体制として破産し、労働者階級を食わせられなくなり、ただひたすら搾取と収奪を強め、侵略戦争―世界戦争へと突き進むしかなくなった全世界の帝国主義ブルジョアジーの側である。
今回の年金改悪は、保険料負担を今後少なくとも14年にわたって増やし続け、20年にわたって給付額を削り続けるという、とてつもない大増税・国家的収奪の強行である。しかもこれはまだ序の口でしかない。次には消費税18%化や社会保障制度の完全解体の大攻撃を仕掛けようとしているのである。
しかしこのことは、いま盛んに宣伝されている「デフレ脱却」とか「景気回復」などまったくのウソっぱちであり、帝国主義のとてつもない経済的破局(米帝・中国バブルの崩壊、極限的に積み上がった過剰資本・過剰生産力の矛盾の爆発、ドル暴落、世界大恐慌)が到来しようとしていることをブルジョアジー自身が自白していることでもあるのだ。
また、年金改悪直後に出生率低下(これ自体帝国主義の危機と矛盾の産物だ)が報じられ、早くもさらなる負担増が避けられないなどと言われている。だが「少子高齢化」を負担増の理由にするのは、生産力の問題を捨象したデマゴギーである。そもそもブルジョアジーは巨大な生産力と技術の飛躍的発展を誇らしげに語り、あり余る富をもてあましているではないか。実際は少子化や高齢化のスピードとは比較にならないすさまじい規模で社会的な生産力は上昇(資本制的・帝国主義的に疎外された形であるが)してきたのである。それが労働者人民のささやかな老後の生活すら保障できないとはどういうことか。これは現代の資本主義社会が、もはや一個の社会体制として成り立たなくなっているということだ。
GDPの140%超、700兆円もの国家財政の巨大な借金についても、労働者階級にはなんの責任もない。労働者階級は自分たちがそれを借りたのではないことを知っている。それは独占資本の救済のために、巨額の軍事費のために、ブルジョアジーへの利払いという「貢ぎ物」のために、野放図に使われてきた。その穴埋めのためになぜ労働者の生活費が削られなくてはならないのか。
年金だけではない。医療も介護も奪い、リストラ、大失業と賃下げを強制し、揚げ句の果てに侵略戦争、世界戦争に動員し労働者階級総体を破滅へと追いやる。これが現代の資本主義=帝国主義の現実の姿だ。このような歴史的生命力の尽き果てた帝国主義を打倒する以外に、労働者の生きる道はないのだ。
第3章 労働者に根張った党を
こうした資本主義・帝国主義を打倒する立場をはっきりさせてこそ、労働者階級と労働組合は資本のいかなる論理にも攻撃にも屈することなく、一大資本攻勢と侵略戦争に対決し、団結して徹底的に闘うことができるのだ。まさに動労千葉のように闘えるのである。
民主党・連合中央、社・共などすべての既成野党・既成労組指導部の裏切りと屈服の一切の源は、彼らが帝国主義の打倒ではなく「救済」の立場に立っていることにあるのだ。
しかし労働者階級にとって情勢はなんら絶望的ではない。われわれは今日、世界史的な階級闘争の本格的爆発と高揚の時代を、プロレタリア世界革命の時代を迎えているのだ。
米シーアイランド・サミットは、帝国主義の政治的・治安的・軍事的支配、経済的支配が完全に限界に達し、いかなる展望も示せず、米・英・日と独・仏の修復不可能な対立を軸に、イラク・中東支配と世界再分割をめぐる対立と争闘を絶望的に激化させていくしかないことを示した。国外では侵略戦争を繰り広げ、国内では資本攻勢と「テロの脅威」を叫んで治安弾圧体制の際限なき強化に突き進む帝国主義の姿は、これまで滅亡した歴史上のいかなる体制よりも末期的な姿をさらしている。われわれはここに21世紀革命の現実性を見る。
われわれは今こそ、どっしりと労働者階級の中に根を張り、マル青労同建設を柱に労働組合内における多数派の形成をめざそう。そのことをとおしてプロレタリア革命の大道を進もう。レーニンも言うように、闘う組織ある限り、党と労働組合という団結の武器を自ら捨て去らない限り、労働者階級は不敗である。
革共同の機関紙『前進』を労働組合を中心に拡大しよう。ボリシェヴィキは2万人の機関紙読者を獲得して党の基盤と17年革命勝利の基礎を築いた(当時のロシアの人口は1億4000万)。ツアーリの警察は弾圧を繰り返し読者リストも押収したが、2万人もの読者を弾圧することはできなかった。大胆に進攻することこそ勝利の道だ。
夏期一時金カンパを労働者に心から熱烈に訴えよう。巨大な統一戦線の形成と労働運動・労働組合の再生=大再編を実現する党の建設を推し進めよう。
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週刊『前進』(2154号1面2)(2004/06/21)
年金改悪法案の強行弾劾 怒りと闘いの爆発はこれからだ
小泉政権は6月5日、参院本会議で年金改悪法を可決・成立させた。この暴挙を怒りを込めて徹底的に弾劾する。だが、年金改悪をめぐる攻防はいまだなんら決着がついてはいない。
今回の採決は、あらゆる意味で無効だ。どの世論調査でも、年金改悪に反対する声は7割に迫っていた。小泉自身を始め閣僚や150人を超える国会議員の国民年金未納・未加入が暴かれ、こうした議員たちに年金改悪案を審議し決定する資格などかけらもないことも明らかだった。小泉が改悪案について虚偽の説明をしていたことも、突き出されていた。野党の質問を封じて委員会採決を強行し、副議長がいったん「散会」を宣言した参院本会議を不信任案を突きつけられた議長が再開して採決に及んだやり方も、デタラメだ。
小泉はもはや、議会制民主主義の建前さえ投げ捨て、やみくもに採決強行に走るほかになかったのだ。
法案成立後、小泉支持率は10%も急落した。小泉改革の虚飾ははげ落ち、それが労働者の生活を根底から破壊するものであることが赤裸々になった。小泉への労働者の怒りはますます高まっている。これはけっして一過性のものではない。有事法制や自衛隊イラク派兵への怒りと結びついて、労働者階級の闘いはこれから本格的に始まるのだ。採決強行という事態を、小泉打倒の労働者人民の壮大な階級的決起への転換点としよう。小泉政権を引きずり降ろし、強行された年金改悪を労働者の力で覆そう。
今回の改悪は、年金保険料をどこまでも引き上げ、年金給付をどこまでも削減するというもので、それは労働者人民の命をも奪う許しがたい攻撃だ。しかもこれは社会保障全般の解体に向けた第一歩に過ぎない。
日本経団連会長の奥田は、法案成立を受けて「年金・医療・介護などの社会保障制度を、財政や税制と一体的に改革(せよ)」と叫び立てた。小泉自身も、「年金一元化を含む社会保障全般の一体的見直しに取り組む」としている。年金改悪はけっして一区切りついたのではなく、介護や医療を含む社会保障解体との闘いは労働者の死活をかけた決戦課題になったのだ。
小泉と奥田は、社会保障制度の破産を逆手にとり、消費税を18%にも引き上げようと策している。膨大な資本救済費と泥沼化するイラク軍事占領の戦費、北朝鮮(中国)侵略戦争をにらんだ巨大な軍事費を調達するのがその本質的狙いだ。
労働者を搾取してきた資本には、高齢者の生活を全面的に保障する義務がある。それもできず、労働者人民の生活をどこまでも破壊しなければ延命できない帝国主義は、労働者の力で打倒する以外にない。
民主党は「徹底抗戦」を一夜にして投げ捨て、「国会正常化」で与党と合意し、有事法案成立に突き進んでいる。日本共産党は、民主、社民が参院本会議を欠席する中で唯々諾々と出席し、年金改悪法の成立に手を貸した。連合中央は、小泉に社会保障制度の抜本改革に向けた政労使協議を提案し、奥田とともに消費税アップを唱えている。
これら裏切り者を許さず、年金改悪への怒りを全面的に解き放って小泉政権打倒へ総決起しよう。
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週刊『前進』(2154号1面3)(2004/06/21)
夏期カンパのお願い 歴史変え未来を開こう
全国の同志、支持者の皆さん。すべての『前進』読者の皆さん。夏期一時金の支給期にあたり、革共同よりかつてない圧倒的なカンパを訴えます。
今次一時金闘争は、今までのカンパ闘争のレベルをも大きく超える金額の達成が必要となっています。
体制的に完全に行き詰まり、労働者人民の生活を破壊し、最後は戦争に突き進む以外にない帝国主義。この帝国主義を打倒する時代=革命の時代がいよいよ到来したからです。帝国主義は現在、イラクで数万人の人びとを虐殺し、おそるべき拷問と虐待を繰り返しています。私たちは腐敗と危機を深め、極悪非道を続け、戦争へと突き進む帝国主義をこれ以上延命させるわけにはいきません。
日帝・小泉政権は6月5日に年金改悪法案を強行採決しました。さらに今国会でのACSA改定・有事関連法案の成立策動、また自衛隊の多国籍軍への編入、改憲の動きを強めています。こうした諸反動攻撃は、政治的、経済的に追い詰められた日帝・小泉政権の危機打開のための絶望的な攻撃にほかなりません。
今回の年金改悪こそ、日本帝国主義の追い詰められた姿そのものです。年金保険料をいつまでも引き上げ、支給額は際限なく減らさなくてはやっていけなくなっているのです。帝国主義は自らが生き残るために、労働者人民を犠牲にしようとしています。
帝国主義は自ら歴史の舞台から退場することはありません。労働者人民の闘いによって打倒する以外にないのです。労働者階級自己解放=プロレタリア革命のみが社会を変えることができます。
闘えば社会を変えられる時がついにやって来たのです。3・20国際反戦行動では全世界で1千万人、東京日比谷に6万人の人びとが結集し、大デモンストレーションが闘われました。その中軸を今春3波のストライキを打ち抜いた動労千葉が担い、陸・海・空・港湾労組20団体の労働者が、連合、全労連の制動をのりこえて決起しました。続いて5・21明治公園の有事関連法阻止闘争、6・4日比谷野音、6・13芝公園と日本の戦闘的な労働者が立ち上がっています。
わが革共同は、新指導路線のもと、労働運動=労働組合運動を決定的に重視して、新たな闘争に立ち上がりました。とりわけ、マルクス主義青年労働者同盟の結成と1千人の組織化は、雷鳴のように全国にとどろき、新たな青年労働者が結集しつつあります。
帝国主義を打倒し、労働者人民の勝利を闘いとるためには革命的労働者党の強大な建設が不可欠です。そのための資金が必要です。
革命党建設のために10万円単位のカンパをお願いします。歴史を変革し、未来を切り開く労働者人民の尊厳をかけたカンパをお願いするものです。革共同への絶大なカンパをよろしくお願いいたします。
【送り先】東京都江戸川区松江1・12・7 前進社
振替00190・0・88857
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週刊『前進』(2154号1面4)(2004/06/21)
20労組先頭に国会行動
6月11日昼、有事法案の廃案をめざして陸・海・空・港湾労組20団体などが呼びかけた国会前行動が闘われ、労働組合、宗教者、百万人署名運動など多くの人が駆けつけた。会期末まで全力で闘おうと決意を固め、「ここであきらめたら労組の名がすたる。連帯を広げ戦争のない国をめざそう」との訴えを拍手で確認した
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週刊『前進』(2154号2面1)(2004/06/21)
小泉=奥田の政治=経済攻勢に総反撃を
「闘う経団連」叫ぶ奥田 5・27総会
労組破壊へ「攻めのリストラ」 改憲に向けての検討委も設置
日本経団連は5月27日、第3回定時総会を開催した。2年前に日経連と経団連が統合した日本経団連は、奥田碩会長(トヨタ自動車会長)体制の2期目に入った。今次総会で奥田・日本経団連は、日本帝国主義ブルジョアジーを代表する財界団体として、日帝の生き残りをかけ、すさまじい政治=経済攻勢を推進することを宣言した。03年1月に発表した「奥田ビジョン(活力と魅力溢〔あふ〕れる日本をめざして)」の実現のために「闘う経団連」を叫び、労働者階級に襲いかかろうとしているのだ。奥田は、小泉政権=国家権力と一体化して、憲法改悪を行う布陣を敷き、さらには労働者階級に対する極限的な一大資本攻勢をあらためて宣言した。このことに怒りを爆発させて、労働者階級の総決起をかちとろう。年金改悪を徹底弾劾し、有事法案阻止へ6・14〜16国会決戦に立とう。
軍需資本が武器輸出を求め改憲と戦争国家づくり狙う
まず、日本経団連(以下経団連)会長・奥田の、総会を前にした5月25日の記者会見での発言を見よう。
「1期目は、消費税引き上げを求めたほか、政治献金の関与の復活など、タブー視されていた問題に取り組み、多くの人が関心を示してくれた。ただ、成果は非常に不満足だ。2期目は提言したことをどれだけ実行できるかだ。『闘う経団連』を目指す」
「定時総会で『国の基本問題検討委員会』を設置して憲法や安全保障、外交などを検討したい。秋には何らかの結論が出せるのではないか」
「社会保障改革は、年金・医療・介護を総合的に改革することを望んだが、三つが分断され不満だ」
「政治と経済は不即不離の関係だ」
この奥田の発言は、経団連が政治に対して「口もカネも出す」として、日帝資本と国家の生き残りをかけて、小泉政権=日帝政治委員会との癒着・結託・一体化を強め、「外への侵略戦争と内への階級戦争」を推進することをあらためて宣言したものとして重大だ。
「奥田ビジョン」や03、04年の「経営労働政策委員会報告」、そして次々と繰り出す諸提言を本気になって実行すると叫んでいる。
年金などの社会保障制度改革については、小泉政権の年金改悪法案の成立を後押ししつつ、「総合的な改革」と称して、企業負担を徹底して回避し、結局は消費税率を18%にまで引き上げることを主張している。
政治と経済が「不即不離の関係」とは、政治権力と一体化しながら政治=経済攻勢、経済=政治攻勢を強めるということである。
何よりもこの総会で、「国の基本問題検討委員会」を新設し、改憲に向けて経団連が前面に立つことを宣言したことは超重大事態だ。自民党が05年に、民主党が06年にも改憲案をまとめることに対応し、それに先駆けて改憲案を提言し、それを「政党評価」の項目に加え、改憲への翼賛体制を目指しているのだ。
この委員会の委員長には東京三菱銀行頭取の三木繁光を起用した。東京三菱銀行は、三菱重工という日本最大の軍需産業企業を抱える三菱グループの中心であり、最大手の銀行である。
昨年末、日帝が導入を決め日米共同研究を進めている弾道ミサイル防衛(BMD)の主要部分に、三菱重工が開発している部品を採用することが決まった。経団連副会長(防衛生産委員会委員長)でもある三菱重工の西岡喬会長は、5月5日にワシントンで開かれた「日米安全保障戦略会議」で「日米関係を発展させるための課題は、武器に使われるハードウエアの対米輸出まで可能にすることだ」と、「武器輸出3原則の緩和」を求めた。経団連も、今年2月に自民党に見直しを要請している。武器輸出3原則は事実上、輸出を全面禁止してきたものだが、対米の技術供与は解禁されていた。武器そのものの輸出解禁の要求である。
それは単に軍需産業資本の主張にとどまらない。帝国主義間争闘戦に勝ち抜くためには、経済面でのアジア勢力圏化だけではなく、実際に戦争をやって勝つ国家づくりに、日帝総資本として踏み切ったのだ。
4月27日、小泉首相のもとで開かれた「安全保障と防衛力に関する懇談会」は、座長に荒木浩東京電力顧問、座長代理に張富士夫トヨタ自動車社長を据えて、「防衛力全般の抜本的見直しだけでなく、経済、外交の幅広い視点が必要になる」(小泉)と、軍事と経済の一体的な国家戦略を検討すると宣言している。
こうした動向は、ACSA(日米物品役務相互提供協定)改定・有事7法案と一体であり、集団的自衛権の行使―憲法9条解体・改憲攻撃そのものである。
米帝を先頭とするイラク侵略戦争が泥沼化する中で、日帝・自衛隊は多国籍軍への参加を表明し、米帝と共同=競合しつつ侵略戦争を継続・拡大しようとしている。そうしなければ中東の石油資源の確保はもとより、世界中の資源と市場をめぐる米帝やEU(欧州帝国主義)との争闘戦に敗退すると、日帝資本は死の恐怖にかられているのだ。
大恐慌・争闘戦激化にあえぎ東アジア自由経済圏を策動
このことは、大恐慌の重圧と帝国主義間争闘戦の激化にあえぐ日帝経済それ自体への、経団連の激しい危機感と一体である。
総会で奥田は、「安定成長への軌道に乗りつつある。小泉構造改革が成果を上げ始めたことに加え、高成長を続ける中国など海外の需要拡大が続いていることが大きな要因となっている」としつつも、「為替や金利、原油価格、さらにはイラク問題のリスクなど、依然として不透明な要素があり、日本経済の基盤は盤石とは言えない状況にある」と、日帝経済への危機感を表明している。だから、「攻めの経営再構築」をやるべきだと言うのだ。
「攻めの経営再構築(リストラ)」とは、5月18日に出された報告書「これからの企業戦略―『守りの経営再構築(リストラ)』から『攻めの経営再構築(リストラ)』へ―」で、その中身が提起されたものだ。
奥田は『文芸春秋』1月号の「緊急提言」では「業績を回復した企業をみると、そのほとんどは売上高の増加ではなくコスト削減効果によるものである。要するにリストラしてコスト削減した分だけ良くなったということだ」と述べていた。つまり、賃下げや人員削減などによるコスト削減はあくまで「守りのリストラ」であり、それだけでは日帝経済の未来はないから「死に物狂い(ママ)で成長を実現せよ」ということだ。それが「攻めのリストラ」ということだ。
経団連の報告書では、武田薬品、三菱重工、キャノン、シャープ、トヨタ自動車が「研究開発の推進」「能力増強・更新など設備増強」「積極的な海外展開」「生産方法・在庫管理の効率化」「優秀な人材の確保・育成」などの「攻めのリストラ」を行って成功したと称揚している。
だがこうした企業が行ったことは、労働者への激しい人員削減・首切り、賃下げ・賃金制度改悪(定昇廃止、能力・実績主義など)、労働強化、労働組合的団結の破壊であり、海外展開=侵略の推進である。
また、奥田が2年間の成果として特に強調しているのは、「賃上げを中心としていた春季労使交渉を、人事処遇制度をはじめとする経営諸課題について、広範な議論を行う場とするなど、そのあり方を見直すことができた」ということだ。「闘う春闘」を解体し連合指導部を取り込んで「討論する『春討』」に転換させたというのである。
奥田はあいさつでさらに、「わが国経済が、10年以上の長きにわたり低迷したのは、国際的な制度間競争、すなわち経済社会の発展に向けた法律・制度づくりの面での競争に後れをとったからだ」として、企業法制の見直しや法人実効税率の引き下げ、規制改革の徹底を求めている。
特に、「企業のグローバルな事業環境を整備する観点」(帝国主義間争闘戦のことだ)から、東アジア諸国との間で、自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)の締結を急ぐことを要求している。
教基法改悪など次々と提言
実際、経団連は、今年に入って様々な反労働者的な提言を行ってきた。最近の主な提言を見てみよう。
▼「経済連携の強化に向けた緊急提言」(3月16日)
これは、「『通商立国』日本の安定と更なる繁栄のための基盤の強化」を掲げて、EPAを推進し、「東アジア自由経済圏の実現」を図るという内容だ。
メキシコに続いて、韓国、タイ、フィリピン、マレーシアとの間でEPA締結を急ぐことを提言している。そのためにモノの貿易、投資だけではなく、「ヒトの移動」と称して、外国人労働者の受け入れをうたっている。
また、農産物の輸入の自由化が不可欠であるとして、そのために国内の「農業の構造改革」、すなわち国内農業の切り捨てを主張している。
▼「外国人受け入れ問題に関する提言」(4月14日)
前記の提言と一体で、「専門的・技術的分野」と「将来的に労働力の不足が予想される分野」(看護・介護分野)での受け入れと、「不法滞在者・治安対策」を要求している。
これはイラク―北朝鮮・中国侵略戦争をもって「東アジア自由経済圏」を争闘戦的に確保する、そしてこの新たな大東亜共栄圏づくりのために、戦時下の外国人労働力政策に移行し、現代版の「強制連行」を進めようという提言だ。
▼「『独占禁止法改正(案)の概要』に対する意見」(4月15日)
これは、公正取引委員会の独禁法改正案が、談合・カルテル(価格協定)を行った事業者に対する課徴金を強化するものであるから反対であるとして、自民党が公約に掲げている「自由な経済活動を保証し、企業の国際競争力を強化する観点」での見直しを求めるというもの。「競争なくして成長なし」をうたい、大資本の独占支配を強化しようとしているのだ。
▼「21世紀を生き抜く次世代育成のための提言」(4月19日)
これまで奥田ビジョンなどで「競争力の源泉は人材」として、資本に役に立つ人材育成のための教育改革を要求してきたが、この提言では「教育を国家戦略の重要な柱として位置づける」ことを主張している。
そして、「自国の文化・歴史の教育のあり方など様々な角度から、国会での議論を早期に開始し、教育基本法の見直しを進めるべきである」と、公然と教育基本法改悪を要求している。経団連が改憲と教基法改悪の先頭に立つことを宣言したものであり、極めて重大だ。
▼「介護保険制度の改革についての意見」(4月20日)
これは、介護を受ける際の自己負担、利用料の引き上げを求めるものである。経団連は、厚生労働省が20〜39歳からも保険料を徴収することを検討していることには、企業負担が増えるとの理由で反対した上で、消費税率を18%にまで引き上げよと主張している。
労働組合運動の防衛・再生で終身雇用制解体うち破ろう
▼「多様化する雇用・就労形態における人材活性化と人事・賃金管理」(5月18日)
前述した「攻めのリストラ」と一体のものとして出された報告書。「いわゆる非正規従業員を含めた全従業員の人材活性化策と人事・賃金管理のあり方を検討し」たもので、95年の日経連「新時代の『日本的経営』」で打ち出した終身雇用制の解体と9割の労働者の不安定雇用・非正規雇用化を進めるための「雇用ポートフォリオ」(雇用の最適編成)を一層具体化して提言している。
この報告でも、「高・中成長期のように、持続的に経済が拡大していく時代はすでに終焉(しゅうえん)し……企業間競争は熾烈(しれつ)の度を増している」として、「売上が落ちても付加価値が減らない経営」が必要だとか、「パートタイム、フルタイムの有期契約労働者など、いわゆる非正規従業員の活用の重要性がますます高まっている」などと言っている。
そのために、まず正規雇用(長期雇用)労働者の「複線型賃金管理」「年功型賃金から能力・成果・貢献度反映型賃金へ」、定期昇給制度の廃止と「定期昇降給制度」への見直しを進める。そして、非正規雇用(有期雇用)労働者は、労基法改悪による有期労働契約の上限が「原則3年」に延長されたことをふまえ、「雇い止め」により、好き勝手に首切りを強行できるようにする。
その上で特に、長期雇用と有期雇用の「均衡確保」と称して、長期雇用労働者の賃金・労働条件を切り下げることを主張している。
その際、「長期雇用従業員の労働条件の不利益変更が生じる場合がある」から「労組の合意を得ることが困難な場合も想定できる」ので、新規採用者から新制度を適用するとか、不利益を緩和するための暫定的な補填(ほてん)措置を講じるとかの「労使合意」を得ることを提起している。
すでに、NTTでの50歳以降の3割賃下げなどで、こうした手法がとられているが、資本はあらゆる手段で労組の屈服を迫り、労組的団結を破壊しようとしているのだ。
命脈の尽きた帝国主義倒せ
以上のような奥田・経団連の凶暴な反労働者的攻撃の核心は、労働組合と労働運動の破壊・変質、資本の指揮のもとで働く翼賛組合化という点にある。
奥田らは、新しい型の大東亜共栄圏としての「東アジア自由経済圏」の形成をたくらみ、実行に移している。相対的に安価な中国やASEAN(東南アジア諸国連合)の労働力を、直接投資をとおして搾取・収奪しつつ、その返す刀で日本の労働市場を再編成し、総人件費を圧倒的に切り縮めつつ、労働組合的団結をトコトン解体し、産業報国会的な労働組合への変質を狙っているのだ。
しかしそれは、国内での労働者支配と搾取・収奪を一層強化することなしに成り立たない。終身雇用制の解体や年功序列賃金から成果主義賃金体系への転換や、非正規雇用労働者に置き換えていく攻撃との攻防は激烈なものとなる。
事態の核心は、帝国主義の側が危機に陥り、労働者の職場も安全も、生活も子育ても老後も、医療も保障できず、一切の犠牲を労働者階級に転嫁して延命しようとしていることだ。このような歴史的生命力の尽きた、腐りきった帝国主義を打倒する以外に、労働者階級の生きる道はない。
ここで労働組合が資本家階級の道具へと変質させられることを許さず、労働組合運動の戦闘化・防衛・強化・再生と創造のために全力を挙げて闘うことが、小泉=奥田路線による政治=経済攻勢、経済=政治攻勢を打ち破る道なのだ。
特に、生産点での闘いを決定的に重視し、その団結の強化を基礎に、国際連帯と反戦政治闘争に職場生産点から決起していくこと、この両者を一体のものとして闘い抜くことである。そうすれば必ずや敵の攻撃の矛盾が暴かれ、危機と破綻(はたん)にたたき込むことができる。そうした闘い方の勝利性は、動労千葉の04春闘が示している。それに続き、教育労働者、全逓労働者、自治体労働者などの連合傘下での闘いの高揚と地殻変動的な再編状況が生まれている。
日帝・小泉=奥田路線との闘いは、まさにこれからだ。6月闘争から04年後半の階級的労働運動の圧倒的前進へ、勇躍と闘おう。
〔大沢 康〕
日本経団連2年間の動向
02年5月 経済・産業政策を軸に活動してきた経団連と労使関係専管団体として活動してきた日経連が統合し、日本経団連が発足。奥田日経連会長が会長に就任
12月 連合に生産性向上や雇用コスト削減、労働条件の弾力化に協力させる「雇用問題に関する政労使合意」
03年版経労委報告「多様な価値観が生むダイナミズムと創造をめざして」を発表
03年1月 奥田ビジョン「活力と魅力溢れる日本をめざして」を発表
5月 第2回定時総会。「政治との関係強化」を打ち出す
9月 政党評価の優先政策事項を公表
10月 奥田会長ら自民党執行部と懇談。「小泉内閣の改革路線支援」表明
12月 04年版経労委報告「高付加価値経営と多様性人材立国への道」を発表
04年1月 奥田会長が「自衛隊のイラク派遣は当然行うべき」と発言。自民党と民主党についての第1次政策評価を公表
3月 「経済連携の強化に向けた緊急提言」など発表
4月 「教育改革提言」など発表
5月 第3回定時総会で奥田会長を再任。「国の基本問題検討委」を新設
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週刊『前進』(2154号2面2)(2004/06/21)
国労弾圧公判 公安刑事と2回の密談 偽証暴かれ石井証人が白状
6月9日、国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第24回公判が東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で開かれた。「被害者」と称する石井勝幸・国労本部会計監査員に対する尋問で、国労本部派と警察との結託の実態はさらに明白になった。
冒頭、羽廣憲被告が、無罪判決要求署名に地域の多くの労組が取り組んでいること、国鉄闘争は最高裁の反動判決や国労本部の屈服をのりこえて発展しつつあることを述べ、その先頭に立つ決意を表明した。
佐藤昭夫弁護団長がILO勧告をゆがめた政府のデタラメな情報提供に対し損害賠償を求める闘争団の新たな訴訟の意義を語った。
弁護団に追いつめられた検察側は、石井証人が提出した被害届と、彼が警視庁の事情聴取に応じて作成した2通の供述調書を、今回公判の直前にようやく開示した。その結果、これまでの石井証言は、数々の重大な事実を塗り隠す偽証に等しいものだったことが突き出された。
前回、石井証人は5・27臨大からわずか3日後の5月30日昼、東京地本の酒田充委員長や笹原助雄財政部長らとともに地本事務所近くの喫茶店「ルノアール」で警視庁公安一課の星警部や神田署警備課長代理の関警部らと会い、30分ほど話した後、その場で被害届を書いたと述べていた。
ところが開示された被害届の日付は5月31日、「被害の模様」の欄などはワープロで打ち込まれていた。
萱野一樹弁護人がその食い違いを問いただした。石井証人は「30日に自分で書いたというのは勘違い」と開き直った。だが、こんな重大なことを「勘違い」することはありえない。
酒田委員長も同席し被害届
弁護団に追及された石井証人は、さらに決定的な事実を白状した。彼は30日にルノアールで酒田委員長らとともに公安刑事に会って「被害状況」を説明し、翌31日に再びルノアールで酒田委員長同席のもとに公安刑事と会っていたのだ。被害届は、31日に警察が作った文面を石井がそのまま認め、署名して提出したという。喫茶店で2回も公安刑事と会い、警察に言われるままに被害届を出した事実を、彼は隠していたのだ。
一瀬敬一郎主任弁護人が「2回会ったことを隠していたのか」とたたみかけた。石井は「2回ほど会ったと前回証言した」と言い逃れた。青柳裁判長もあきれて「前回の証言はそうではない」と口をはさんだ。
追及の焦点は、石井証人が受けたと言う「被害」の問題に移った。彼は検察側主尋問で、ホテル前路上で富田益行被告に30秒間ネクタイをつかまれ首を絞められたと述べていた。弁護団は鈴木勉・東京地本法対部長が警察に任意提出したビデオテープの静止画像を示し、富田被告の手が石井のネクタイの上にある時間は、長くても4秒間に過ぎないことを突きつけた。
石井はまた、バスに乗る際に東元被告に「右腕で首を絞められた」とも述べていた。河村健夫弁護人が鈴木ビデオの静止画像を示して追及した。石井が「首を絞められた」と述べた場面では右腕はすでに外れており、「首を絞められた」というのも事実に反し誇張に過ぎないことが暴かれた。
検察側再主尋問で、溝内克信検事から「中核派の活動をどう認識するか」と聞かれた石井は「百害あって一利なし」と言い放った。強い怒りが法廷を包んだ。
弁護側が再び尋問に立った。大口昭彦弁護人が00年7・1臨大以来の国労本部の非民主的な組合運営を弾劾した。松崎博己被告は、自分の職場で国労組合員を拡大した被告の活動についても「百害あって一利なし」と言うのかと声を強めた。富田被告が「革同は国労内派閥だが国労共闘は外部勢力」とうそぶく石井を問いつめ、「内部と外部を分かつ基準はあるのか」と問いつめた。石井は「そんな基準はありません」と認めるほかになくなった。原田隆司被告が「中央執行委員でないから本部方針は分からない」と言い逃れてきた石井の態度を弾劾した。
次回公判(6月29日)から、共謀立証のかぎを握る長野地本幹部の池田久幸証人への尋問が始まる。8被告の無罪と国労再生へ、許さない会を広げて闘おう。
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週刊『前進』(2154号2面3)(2004/06/21)
6・10集会 “有事法阻止へ全力” 陸海空港湾労組20団体 共闘の継続・拡大へ
東京港区の赤坂区民センターで6月10日、陸・海・空・港湾労組20団体などの呼びかけで「自衛隊の即時撤退! STOP!有事法制/守ろう!平和といのち6・10集会」が行われた。6月16日の国会会期末を前に、参院での有事7法案・3協定条約案をめぐる緊迫した攻防の中で約500人が集まった。成立阻止へ全力で闘い、20労組の運動の意義を再確認し、今後も戦争協力拒否と改憲反対などの共闘として拡大・発展させることを確認した。
基調報告を航空労組連絡会の村中哲也副議長が行った。「今後の運動の課題と展望を提起したい」と切り出し、99年3月に新ガイドライン関連法の反対運動から始まった20労組の闘いを振り返り、「潮流の違いなどを克服して一致する要求に基づく共闘、労働組合にとって原則的な運動を実現することができた」「労働組合が市民や宗教者、学生などと、安保闘争以来の共闘を実現した」「共闘は教育基本法改悪反対や争議でも実践されている」と、その意義を語った。
さらに共闘のテーマが新ガイドライン関連法反対から有事法制反対、イラク戦争反対、自衛隊撤退要求などに発展したことの意義を強調。今後の課題として、特に連合傘下の労組との共闘実現の努力を訴えた。闘いの継続・強化は十分に可能だとして、「有事法制での労働者動員と改憲問題は同根の問題であり、これらを結びつけて共闘しうるか否かが今後の闘いの成否に関わる」と問題提起した。
続いて各界からの決意表明。弁護士や中学生、韓統連、イラクで活動するNGO活動家に続いて労働組合が登壇。東交の労働者は、安全に鉄道を運行することに労働者としての誇りがあると語り、「侵略戦争を階級戦争に変えていこう」と自衛隊撤退と有事法案の廃案への決意を示した。全日赤の労働者は、医療労働者の戦争動員の準備が始まっていることを暴露した。川崎市職港湾支部の労働者は、港湾が軍事利用されることに危機感を示し、「戦争の片棒を担ぐために自治体労働者になったわけではない」と語った。新聞労連の明珍美紀委員長は「平和のためのペンを執る」と決意を表明した。
キリスト者の大津健一さんが、全力で国会前行動に取り組むことを訴えた。
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週刊『前進』(2154号3面1)(2004/06/21)
生徒の不起立理由とした都教委の処分を弾劾する
職場の怒り組織し闘う団結を
東京都教育委員会は、5月25日、入学式などでの不起立者への戒告・減給処分を発令するとともに、「国歌斉唱時に……生徒に不起立を促す発言をするなど不適切な指導が行われた」として、13校、67人の教員を厳重に注意すると発表した(既報)。今回の処分は、生徒の不起立を犯罪視し、それを教員の「不適切な言動」や「指導不足」のせいにして責めを負わせるという点で、前代未聞の暴挙である。断固糾弾する。教育活動そのものを処分の対象とし、思想・良心の自由をあからさまに否定する憲法・教育基本法を踏みにじる攻撃である。猛然たる抗議と反撃を石原・都教委にたたきつけていかなければならない。
「結果責任論」と率先垂範の強要
都教委がどのような教育活動を具体的にとらえて処分の対象としたのかは現時点でははっきりしないが、以下の重大な事実が明らかになっている。
まず、不起立生徒が多い学校の担任は、おしなべて「指導不足」と決めつけ「指導」されていることである。当該校の教育活動や教員の指導内容を具体的に問題にしえない場合にも、いわば「結果責任」をとらされているのである。
さらに、生徒が不起立した学校の不起立教員は、おしなべて「注意」とされている。つまり、服務違反による懲戒処分に加えて、起立・斉唱を率先垂範しないことを「指導不足」として二重に処分しているのである。学習指導要領の国旗・国歌条項を根拠に、「起立・斉唱を率先垂範することは教員の『職務上の義務』」とするものである。
今回、「指導不足」として指導・注意を受けた教員は、来年も担当する生徒が不起立した場合は、「資質・能力の欠如」として「指導力不足教員」に認定されかねない。その先には「研修を受けさせても不適切な指導しかできない」という「不適格教員」認定が待ち受けている。不起立教員は、懲戒処分の累積による懲戒・分限免職とともに、「指導力不足教員→不適格教員」という二つのコースで免職の危機にさらされることになる。
厳重注意、注意は、地公法上の懲戒処分とは異なり、服務監督行為であり不利益処分ではないとされている。だが、このように見れば、今回の処分の重大性は、明らかだろう。「厳重注意、注意、指導」など、絶対に認めるわけにはいかないのだ。
侵略戦争の歴史や「日の丸・君が代」が果たした役割や、憲法について学習した結果、生徒が強烈に批判的な態度をとることは当然ありうることであり、尊重されなければならない。そうした生徒の主体的な判断と態度を決定するための客観的判断材料を教員が提供することは、教育基本法の「平和と真理を希求する人間の育成」「個人の価値を尊び、自主的精神に満ちた」という教育目的・目標や、学校教育法の「健全な批判力の育成」という高校教育の教育目標に照らしても、大いに奨励されこそすれ、非難されるべきではまったくない。
歴史教育や憲法教育の禁圧を狙う
「結果責任」論による教員処分は、現行法令下でおよそ偏向教育とされる余地のない歴史教育や憲法教育さえ、事実上禁圧することを狙っているのだ。
都教委は、そもそも生徒を自ら判断し行動する主体として見ず、自主的な判断力、批判力を育てる教育を嫌悪し破壊しようとしている。上司・上官の命令には無条件に服従する青年、「戦争の大義」を疑うことなくテロ掃討戦を担う兵士をつくりたいのである。
都の教育目標から、憲法、教育基本法、子どもの権利条約を削除したからといって、こんな無法が正当化されるはずもない。
「不適切な言動」とされ、格段に重い「厳重注意」となっているのは、HRなどで担任が内心の自由を伝えたこと、生徒会主催の「日の丸・君が代」問題の討論会での教員の発言などである。
従来、都立高校では、多くの学校で式当日に「内心の自由が保障されていますので、起立・斉唱は個人の判断でお願いします」といった説明を行う取り組みが行われてきた。都教育委員会では、これが教員・生徒の不起立の元凶だとしてやり玉にあがり、「強制しないという政府答弁が間違っている」という発言まで飛び出した。
都教委は、さすがに「内心の自由」の説明の禁止を実施指針に盛り込むことまではできなかったものの、校長を強力に指導した結果、周年行事では「不参加を容認又は促すような言動は厳に慎むこと」という職務命令を発する校長まで現れた。
2月の校長連絡会で配布された資料では、「憲法に保障されている内心の自由について、あえて開式前に説明する必要はない」などという詭弁(きべん)をろうし、念には念を入れて3月11日付で「HRや予行演習、生徒会や卒業式実行委員会の場で、生徒に不起立を促すなどの不適切な指導を行わないこと」という高校教育指導課長名の通知を出した。
不起立や不参加の自由を参加者に告げないままに、号令一下、起立・斉唱を実施することは強制以外の何ものでもなく、そうした式の挙行こそ憲法違反というべきである。実施指針どおりに式が強行される状況下で、HRや予行演習の場で「内心の自由」の説明をすることは、教員の職務権限の行使である以上に、公務員の憲法尊重擁護義務を履行した行為というべきである。「内心の自由」の説明を「不起立を促す」とすりかえ、いわば「教唆・扇動」罪として処分することは、まさに憲法を踏み破る暴挙というほかない。
教育基本法の改悪が迫っている今、学テ闘争などの先輩たちの激烈な闘いから学ぶべき教訓は多い。
生徒の不起立を理由とする担任処分の方針は、3月16日の都議会文教委員会での土屋議員の質問に対する横山教育長答弁で打ち出されていた。
都教委の予想を超える闘いが爆発
横山教育長答弁の核心は、以下の2点に要約できる。「歌わない児童生徒が多数いる場合には、指導力が不足しているか、学習指導要領に反する恣意(しい)的な指導があった」と見なす。そして「不適切な指導」に対しては、「校長が改善指導を行い、従わない場合は職務命令を出す」か「研修命令を含めた処分の対象にする」というのである。
処分、免職の恫喝で教育労働者の抵抗を押さえ込み、ただちに教育活動にも踏み込んでいくのが、卒入学式に臨む都教委の戦略であったろう。見せしめ処分で起立・斉唱指導に教員を駆り立て、教員と生徒の信頼関係を利用して生徒の行動を抑圧することを狙っていたのである。
だが、都教委の予想をはるかに超える不起立闘争の大爆発は、こうした都教委のもくろみを大きく打ち砕いてしまった。教育労働者の体を張った闘いが生み出した社会的批判の大きさにうろたえているのが今の都教委である。
都教委の暴挙を徹底暴露、弾劾し、全国的全社会的な反撃を巻き起こそう。何よりも、職場の怒りと危機感を総結集し、この攻撃を逆テコにして、闘う団結の強化をかちとろう。その時、今回の処分は、その意図とは逆に、教育労働者と生徒・保護者のさらなる決起の引き金になるだろう。不起立闘争を軸に、戦時下の「日の丸・君が代」闘争の新たな発展をかちとり、教育基本法改悪攻撃をうち砕こう。
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週刊『前進』(2154号3面2)(2004/06/21)
6・4集会 沖縄からメッセージ
命を守る会代表 金城祐治さん
6月4日、日比谷野音で行われた6・4緊急大集会に、名護市辺野古で闘う命を守る会の金城祐治代表から「沖縄からのメッセージ」が寄せられ、新城節子杉並区議が代読した。命を守る会は4月19日以来、ボーリング調査を実力で阻止し続けている。座り込みは6月7日で50日目となった。辺野古に結集し、ともに闘おう。以下にメッセージ全文を紹介する。(編集局)
私達は平均年齢80代の年寄りを中心とする「命を守る会」という市民団体です。母なる地球に生きる、人間のみならず、全ての生命を守るために日米政府による米軍の海上基地建設に反対して8年間阻止し続けています。
辺野古では4月19日より日本政府が基地建設の実質着工であるボーリング調査(地質調査)を強行しようとしています。
現在、私達はボーリング調査の資材搬入を阻止するために道路に座り込みをしています。座り込みを始めた4月19日から現在までで座り込み参加者は延べ3000人を突破し、一ヶ月以上に渡る座り込みを継続し、ボーリング調査を阻止し続けています。
有事法案の成立は、沖縄の米軍基地内における沖縄の土地の接収を容易に出来るようにするものであり、今まで反戦地主として土地の不法接収に対して抵抗してきた人々の生き方を奪おうとするものです。そして私達が守ろうとしている生命の海を奪い、戦争への道を開くものです。その法案成立を絶対に許すわけにはいきません。
皆様の誇りある行動は私達、そして世界中で共に闘っている人々に勇気を与え、活力を与えるものです。
大和(やまと)と沖縄(うちなー)が真の意味でつながりあうには、沖縄が大和から受けてきた全国の75%におよぶ米軍基地の押し付けを初めとする様々な差別を、大和で生き、闘う人々が謝罪の意を込め、沖縄の歴史の痛みを共有し、私達と共に生き、共に闘い、共に勝利しなければなりません。
私達の闘いは差別されている全ての人々の手に歴史の真実を取り戻し、過去、現在の侵略戦争によって奪われた人々の文化、人々の生命を取り戻す闘いとなることでしょう。
二度と朝鮮半島に侵略を行ってはならない、イラク、中東地域での侵略を止めなければならない、そして二度と沖縄から、侵略を行うための出撃をさせてはならない。
私達は謝罪の意を込め、朝鮮半島と中東の平和を願い闘っています。
全ての労働をする人々、全ての学生、市民、生きとし生きる全ての人々にお願いします。足や腰が悪いおばぁ、おじぃに代わって、私達と基地建設を止めるために、戦争を止めるために共に座ってください。辺野古で私たちは待っています。
歴史の暗闇は私達が開く未来への糧。たとえ、今は疲れ果てたとしても私達は負けることなく、揺るぎなく立ち向かわなければなりません。子や孫たちの未来のために。
2004年6月4日
ヘリポート建設阻止協議会「命を守る会」
代表 金城祐治
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週刊『前進』(2154号3面3)(2004/06/21)
戦争協力を誓ったJR総連 松崎1月講演と5・21見解
有事法成立前に屈服を表明
権力への恭順の意
JR総連特別顧問・松崎明は、新たな反労働者的言動を強めている。JR東労組の「セミナー81」に掲載された「個の確立を通じて、健全な労働組合の創造を」と銘打った松崎1月講演は、有事関連7法案、ACSA改定など3協定条約案がまだ国会に提出されてもいない今年1月段階で、軍事輸送に協力することを早々と宣言したのである。
そればかりではない。なんと労働組合の反戦闘争への取り組みの破壊を宣言した。労働組合が階級的に団結して政治闘争を闘うこと自体を敵視し、これを破壊しようというのである。
今年に入って松崎・JR総連・カクマルは明らかにいくつかの点で、方針転換とも言える動きを示した。その一つは、激しく展開していた嶋田派との分裂・抗争の修復を突如一方的に言い出したことである。そしてもう一つは、JR総連式ペテン的反戦闘争への組合動員の抑制である。
この背景には、まず何よりも動労千葉を始め国鉄労働者の闘いが、JR総連カクマルとJR資本との結託体制を危機にたたき込んでいるということがある。
さらに、昨年12月9日の日帝・小泉の自衛隊イラク派兵閣議決定と、国論二分状況を押し切って1〜3月に強行された自衛隊のイラク派兵による戦時下の階級闘争への突入がある。
日帝は、戦闘的労働運動解体への攻撃を激化させると同時に、JR総連=カクマルですら今までのような形で存在することを許さなくなった。この「走狗煮らる」の状況に焦った松崎がなりふり構わず方針転換を行い、絶望的延命を図ろうとしているのだ。
日帝権力はJR総連により一層の屈服を強要するために、松崎の組合私物化に対する追及に乗り出した。昨年12月4日、警視庁は松崎明に対して「6月のJR総連役員による東京駅助役暴行事件」に関しての事情聴取=出頭要請を行っている。松崎は弁護士を立てて出頭に応じなかった。
しかしここには以前から周知のJR総連に寄生する「さつき企画」や財団法人・鉄道事業福祉協会の利権がらみでの松崎への「脱税・横領」容疑を射程に入れた追及があるとされている。この事態に心底恐怖した松崎は、事情聴取を断ったあとに予想される強制捜査に戦々恐々となった。「JR東日本会社を守るための総団結」(東労組2月中央委)と叫び、JR東労組の分裂を避け、他方で階級的労働組合運動そのものの解体を宣言することで、権力に直接許しを請うという行動に出てきたのだ。
松崎は言う。「なんで労働組合がダメかというと、動員で動いたからですよ。指令・指示で動いたからです。自分の判断で動いていないからですよ」
「もう一回言いますけれども組合員の皆さんのなかには一つの課題に向かって賛成の人も反対の人もいます。無理強いしてはダメです。議論は必要だけれども、当然反対の人と賛成の人はそういう立場があっていい、それが労働組合だ」
ここではJR総連の組合動員が、主体的決起へのオルグもなく単なる無理強いとして行われてきたことが明らかにされている。JR総連の組合支配が、カクマルによる暴力とゴリキュウ(集団白色テロ)によって成立してきたことを告白しているものである。
松崎・カクマルは、労働者蔑視(べっし)のファシスト的な労働者観に立っており、組合員を恐怖支配で動かしてきた。そこには組合指導部と組合員の階級的連帯感などカケラもない。
日帝の侵略戦争参戦という状況に対してこそ、労働者は階級的に一致団結して労働組合を武器として闘うことが求められている。松崎はこの時、組合員の「主体性」を口実に、「スト破りの権利を認めよ」と言う資本と同じ論理で労働組合の階級的闘いを売り渡し、団結破壊を積極的に主張しているのである。
“ストはできない”
松崎の主張は、実はそれにとどまらない。何よりも重大なことは、“法律が通ったら闘ってはならない。ストはできない”などと強力に主張していることだ。
「……『有事法制が通ったら公労法に反対する以上のストライキをもってたたかう』というような感じの、つまり労働者としての感性において『反対する』という議論があったわけです。私はそのとき『法律が通ったあと、ストライキはできません。……』とコメントしました」
「極端な話、貨物の仲間たちが『武器輸送反対』といってストライキができますか。それは『憲法はそんなことを認めていない、だから断固たたかう』という強い意志を持つことはとても大事ですけれども、でも労働組合としてその法律を犯して兵員輸送、ストライキをかけてストップさせるということはできない」(同)
日帝の戦争突入の中で、有事立法粉砕を闘うべき時に、有事法制は戦争動員を強制するものだから絶対粉砕だと主張せず、あらかじめ法成立を前提に、成立時には一切反対せず、積極的に協力すべきだという話をしているのだ。しかも法律が成立したら闘ってはならないとまで言っている。「憲法違反」の法律でも「法律に従って軍事輸送しろ」と言っているのだ。
連合事務局長談話と同じ
さらに松崎1月講演路線に沿って、労働者の戦争動員を積極的に主張しているのが、5月21日にJR総連が発表した「有事関連7法案の衆議院可決に対する見解」(以下「JR総連見解」)である。
JR総連見解は、冒頭、有事関連7法案と3条約承認案が衆議院本会議で可決されたことをもって、「これにより参議院審議のあと可決され、今国会での成立は確実となった」と何の怒りもなく表明し、法律がすでに成立したかのように言って、参院段階での闘いを完全に放棄している。
そして、「有事法制が出そろったことになり、昨年6月に成立した武力攻撃事態関連3法案を骨格とした法整備が完成することになる。これで日本がアメリカの軍事戦略や『テロとの戦争』に全面的に協力する体制がつくられたということである」などと、帝国主義者と同じ立場から「テロとの戦争」の推進を表明しているのだ。
その上でJR総連は、労働者の戦争動員を日帝・権力に提言している。JR総連見解の骨格部分で次のように主張している。
「私たちは事業計画策定段階で、現場の労働者の安全確保を第一に会社と労働組合が協議し、労働者が『危険である』と判断した場合の措置などについて具体的に検討していく」「(今後)参議院段階で、人命・人権尊重の立場を明確にした議論が行われることを望む」と。
しかし「現場の労働者の安全確保を第一に」などと言うが、有事立法の成立前に早々と屈服し、法律ができれば抵抗もストライキもできないと宣言しておいて、どこに「安全確保」があるというのか。労資が協議して有事立法発動と戦争に協力するということでしかないではないか。
しかも「安全な職場環境整備」の要求が達成されれば、軍事輸送自体に問題はないというのだ。帝国主義侵略戦争のどこに「人命・人権尊重」があるのか。殺りくと破壊という最悪の人権侵害への加担と協力があるだけではないか。
このようなJR総連の見解は、「関係労働者の安全確保に重点を置き、指定公共機関等が国民保護に関する業務計画を作成するに際し、労働組合の関与を条文に明記することを強く求めてきた」とする連合事務局長の「5・20有事関連7法案3条約の衆議院通過に当たっての談話」とまったく同じ内容である。JR総連こそ労働者階級を戦争動員しようとする連合中央の最悪の先兵なのだ。
さらにJR総連見解は、「有事立法を完成させない、発動させない、従わない」として「3ない」運動を闘っている陸・海・空・港湾労組20団体の闘いの破壊を意図したものである。イラク撤兵・有事立法反対・改憲阻止の闘争をますます決戦的に闘うべき時に、その破壊と敵対をあからさまに宣言し、戦争協力にのめり込んでいるのだ。
これに対して、04春闘をストで闘った動労千葉は、軍事輸送に協力しないことを宣言している。動労千葉と20労組を先頭にした闘う日本全国の労働者は、それぞれの職場・生産点を武器に、帝国主義戦争に反対する闘争をさまざまな工夫をもって闘う道を追求し、決起することを誓っている。こうした労働者のさまざまな闘いが情勢を揺り動かす力となるのだ。
松崎・JR総連による闘争破壊と敵対、「反改憲闘争」を称する9条連運動のペテンを粉砕し、自衛隊のイラク撤兵、沖縄・名護新基地建設阻止、日帝のイラク侵略戦争−北朝鮮(中国)侵略戦争を絶対に阻止し、改憲阻止を闘おう!
分割・民営化攻撃の先兵となって国鉄労働運動に襲いかかった松崎・JR総連を踏みつぶし、階級的労働運動を爆発させよう!
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週刊『前進』(2154号3面4)(2004/06/21)
韓国
民主労総6月総力闘争 イラク派兵撤回へ攻防
全国民主労働組合総連盟(民主労総)は、6月総力闘争に突入している。
6月5日に開会した第17代国会には、4・15総選挙で当選した10人の民主労働党議員が登場した。盧武鉉(ノムヒョン)大統領との熱い攻防の幕が開いた。
イラク派兵撤回をめぐる攻防は、6・12女子中学生追慕・イラク派兵撤回・韓(朝鮮)半島平和実現汎国民大会が数万人のキャンドルデモとして実現されようとしている。
このイラク派兵撤回闘争の高揚と同時に6月は、賃金・団体協約交渉闘争(賃団闘)が山場を迎える。盧武鉉政権の資本攻勢との全面的な闘いが火を噴く。
民主労総は、「貧富の格差解消、非正規職差別撤廃」を中心的スローガンに、△最低賃金月額76万6140ウォン(平均賃金の50%)争取△勤労条件低下のない週5日制争取△派遣法改悪阻止△雇用拡大、産業空洞化阻止△社会保障予算の20%拡充を掲げ、これらを反WTO・FTA、派兵撤回・帝国主義戦争反対とともに闘おうとしている。
非正規職と連帯
現代重工業がパクイルス烈士焚身(ふんしん)から54日目の4月7日に社内下請け労組と結んだ合意書の履行をサボタージュ、社内下請け労組は4月27日、「合意不履行は烈士精神を傷つけるもの」と再度の闘争体制に入った。
一方、化学繊維連盟傘下のクムホタイヤ正規職労組は、4月23日、社内下請け非正規職労働者154人を直接雇用することで会社と合意した。会社内の違法法下請け労働者は282人、すでに正規職化する予定の128人と併せて「社内下請け全員の直接雇用」をかちとったのだ。
クムホタイヤ労組では、昨年来、違法派遣の実態調査を行い、労働部に告発するなど、非正規職労組結成を準備・主導してきた。正規職労組が、非正規職労働者問題を正面から課題に据えて闘った成果だ。
昨年、民主労総の11の産別連盟傘下の143労組(支部)で非正規職の処遇改善と正規職化に関連する合意をかちとり、うち60労組(支部)で「非正規職差別撤廃および処遇改善」で合意している。
4月28日、非正規職労働者であるタワークレーン技師労働組合が、無期限ストライキに突入した。全国のタワークレーン技師2890人中、1470人が結集している。5月5日未明、組合員500人が5人一組となってソウル・京畿(キョンギ)・仁川(インチョン)地域の100台のタワークレーンを奇襲占拠し、高空ろう城闘争に入った。
この決死の闘いを背景に7日未明、△標準勤労契約の締結(契約なしが慣行になっていた!)△不法用役・小社長制(労働者の請負業者化)廃止△パジュ教育院(非熟練技師の供給源。小社長制のもとで働かせる)の来年廃止△最低賃金の12万5000ウォン引き上げなどで合意した。
抗議の焚身!
5月7日、光化門でソウル地域のタクシー労働者1000人余が集まる中、「労組弾圧を中断しなさい!」「付加価値税を支給しなさい!」と叫んで一人のタクシー労働者が焚身した。チョンオ交通分会のチェジョンシク組合員(44)だった。
95年にタクシー労働者の勤労条件改善を目的にタクシー事業主の付加価値税が50%軽減された。しかし、この8年余、その減額分の7割、5000億ウォンを事業主らが着服。労働者の処遇は改善されないばかりか、新たに施行された運送収入金の全額管理制によって、より過酷な収奪が行われている。民主タクシー連盟は、生存権保障、着服付加価値税分の奪取、月給制要求を掲げ、6・16スト突入を構えて闘っている。
6月10日、全国保健医療産業労働組合(ユンヨンギュ委員長)が、医療公共性強化、非正規職の正規職化などを掲げて全国121支部3万7000人余が産別ゼネストに突入した。
金属産業連盟、公共連盟なども6月中旬から下旬に集中闘争を予定している。イラク派兵撤回と生存権死守を闘う民主労総と連帯し、有事関連法案阻止を闘おう。 (室田順子)
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週刊『前進』(2154号4面1)(2004/06/21)
有事立法は多国籍軍参加に直結
ACSA改定と捕虜関連法でイラク集団的自衛権行使狙う 戦争法案絶対阻止へ
有事立法との闘いは、最大の大詰めの攻防に入った。小泉政権は、年金大改悪と有事立法、イラク派兵への人民の怒りの爆発に追いつめられながら、16日の会期末ぎりぎりの参院強行採決を狙っている。民主党と連合中央は有事立法全体に賛成し、社民党・日本共産党もジュネーブ条約関連の承認案に賛成するなど、野党は総崩れだ。だが、労働者人民の間には「再び戦争の時代を許すな」という怒りと危機感が広がっている。有事7法案・3協定条約承認案(別表)を絶対に粉砕しよう。6・4―6・13闘争の大爆発から、さらに14、15、16日と連日国会に駆けつけ、座り込み、最後の最後まで闘おう。
ACSA改定と日米共同作戦
国連安保理は8日、米軍など帝国主義軍隊のイラク駐留継続を認める新イラク決議1546を採択した。これは、ペテン的な「主権移譲」をもって、米英帝などのイラク侵略戦争と軍事占領、人民大虐殺、石油資源の略奪を国連の名において正当化するものであり、超反動的な決議である。徹底的に弾劾する。
日帝・小泉は、同日の日米首脳会談で、この新安保理決議を「アメリカの大義の勝利だ」と最大限に称賛し、新決議に基づく多国籍軍に自衛隊を参加させることを約束した。
これは、自衛隊がイラクで危機を深める米軍を全面的に支え、集団的自衛権の行使に踏み切り、「治安維持活動」と称してイラク人民の反帝国主義・民族解放闘争に敵対し、イラク人民虐殺戦争に日帝自らが参戦するということである。
日帝・自衛隊は、現在は派遣規模は1000人だが、イラク情勢の泥沼化の中で、さらに増派することさえ狙っている。こんなことをどうして許せるだろうか。自衛隊の多国籍軍参加を絶対に阻止しよう。
重大なことは、有事立法と多国籍軍参加は直結しているということだ。とりわけ、3協定条約承認案と、ジュネーブ諸条約の国内法としての捕虜等取り扱い法案、国際人道法違反行為処罰法案は、直ちにイラク侵略戦争に適用・発動されるものである。
日米物品役務相互提供協定(ACSA=アクサ)の改定は、第一に「日本有事」(武力攻撃事態と同予測事態)に対してACSAを適用し、自衛隊が米軍に対して弾薬・物品・役務を提供できるようにするものである。さらに第二に、イラク・アフガニスタン侵略戦争にも「国際貢献」の名のもとに直ちに適用され、侵略戦争を行っている米軍との間で物品・役務の相互提供をできるようにするのである。
イラク、アフガニスタンでの米軍支援は、対テロ特措法、イラク特措法に基づいてすでに部分的に実施されているが、改定ACSAの全面適用で日米共同作戦は飛躍的に強まる。イラク、アフガニスタン国内で自衛隊による米軍基地の警備、陸海空の輸送支援、燃料・食料の提供、衛生業務、部品提供、整備・修理、空港・港湾業務、基地の相互利用、宿泊などあらゆる兵站(へいたん)支援が可能になるのである。自衛隊も米軍からさまざまな支援を受けるのだ。これには民間労働者も動員される。
この過程、たとえば輸送支援の過程で自衛隊は、反占領の民族解放闘争を闘うイラクの人民を攻撃し、戦闘を行うのである。多国籍軍に加わり、「治安維持活動」「自衛の権利」と称してイラク人民虐殺の戦闘を行おうとしているのだ。
さらに日帝・自衛隊は、捕虜等取り扱い法案、ジュネーブ条約2追加議定書の加入なども、今すぐ必要としているのである。
ジュネーブ4条約は、戦傷者や難船者の保護、捕虜の取り扱い、文民保護などを定めた国際的な戦争法規である。第2次大戦後の1949年に締結され、日本は53年に加入した。この4条約を補足するものとして77年に締結されたのが二つの追加議定書だ。これには日本はこれまで四半世紀以上、加入してこなかったが、今回、有事関連法案としてこの加入承認案件を国会提出したのは、日帝自身が侵略戦争に踏み出すために、今やこうした国際戦争法規への加入が必須の要件となってきたからである。イラクやアフガニスタン、さらには朝鮮半島、中国、東南アジアで米帝と共同・競合しつつ侵略戦争を進めていく上で、戦場で捕虜を拘束したり抑留することが現実の問題となってきたからである。また、国際的な戦争ルールに従って“合法的”に戦争を行うことを国の内外にアピールして、侵略戦争の正体を押し隠そうとしているのである。
まさにジュネーブ条約2追加議定書承認案も、日帝の侵略戦争準備の法案なのだ。日本共産党と社民党が、これに衆院で賛成したことは、日帝の戦争攻撃への完全な屈服である。
トランスフォーメーション
米軍のトランスフォーメーションが進められる中、それと軌を一にして日米の軍事的一体化が激しく進行している。トランスフォーメーションとは全世界的規模での米軍の部隊再編・再配置計画であるが、これは米帝が財政危機、体制的危機を深める中で、なおかつ米帝・米軍の世界制圧力を維持し、世界戦争に訴えてでも帝国主義間争闘戦に勝利するためのものである。明らかにされた在日米軍に関する再編計画では、▽米陸軍第1軍団司令部(米ワシントン州)をキャンプ座間(神奈川県)に移転、▽沖縄の米第3海兵師団の砲兵部隊を陸自矢臼別演習場(北海道)に移転、▽横須賀基地への新たな原子力空母の配備――などがある。最大の攻撃が沖縄の米軍基地の強化であり、名護新基地の建設や、下地島空港の米軍基地化が狙われている。
こうした再編計画と一体で、航空自衛隊の航空総隊司令部(東京都府中市)および第2輸送航空隊(埼玉県狭山市)を米軍横田基地に移転する計画が浮上している。
一方、在韓米軍(約3万7500人)については、05年末までに3分の1にあたる1万2500人を削減する計画が発表された。
こうした動きは、明らかに朝鮮半島から一定の部隊を撤退させた上で、日本全土を出撃・兵站(へいたん)基地としてうち固め、米日帝が共同して朝鮮(中国)侵略戦争にうって出るための臨戦態勢づくりである。有事関連法案は、これと一体の攻撃である。
日帝・自衛隊は、米帝の世界戦争戦略にどこまでも協力し、日米安保での共同・競合を貫き、帝国主義間争闘戦に生き残ろうとしているのだ。
戦争に労働者動員する連合
労働者階級は今こそ巨大な反戦闘争の大爆発をもってこれを粉砕しなければならない。ところがこの重大な歴史の分かれ道で、連合中央は5・20事務局長談話をもって有事立法に全面賛成を表明した。戦争反対の先頭に立つべき労働組合のナショナル・センターが、あろうことか戦争法案の作成に積極的に手を貸し、さらに「指定公共機関の戦争計画(国民保護業務計画)の作成に労働組合を関与させよ」と要求しているのだ。これは連合中央が労働者の侵略戦争動員の先兵となることの宣言である。徹底的に断罪しなければならない。
どんなに米英日帝国主義がイラク侵略戦争を強めようとも、イラク人民の民族解放闘争を鎮圧することなど、絶対に不可能だ。米英日帝は、イラク侵略戦争を強めれば強めるほど、逆にイラク・中東人民の闘いの一層の爆発をつくりだし、体制的危機を泥沼的に深めていくのである。
求められているのは、闘うイラク・中東人民と連帯して、派兵国家の足下で、帝国主義打倒の反戦闘争を爆発させることである。有事立法絶対阻止、自衛隊イラク撤兵、多国籍軍参加阻止へ闘おう。
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週刊『前進』(2154号4面2)(2004/06/21)
交通・通信等利用法案 日本全土の空港・港湾を米軍・自衛隊が優先使用
自治体の管理権を政府が奪う
有事7法案・3条約協定案のひとつ、交通・通信等利用法案は、「武力攻撃事態」「武力攻撃予測事態」の際、空港、港湾、道路、海域、空域、電波の6分野で自衛隊や米軍が独占的に利用できるようにする法案だ。管理者が拒否した場合には首相の権限で強制的に利用可能で、事実上の接収が行われる。
94年に米帝が北朝鮮侵略戦争を始めようとした際、米軍は日本に対して1059項目の支援を要求した。この中には、新千歳、成田、関西、福岡、長崎、那覇などの空港使用や、地方自治体が管理する苫小牧、八戸、名古屋、神戸、福岡、那覇などの港湾や公共岸壁使用の要求もあった。
日本全国の空港や港湾が、米軍と自衛隊の集結・出撃基地、兵站補給活動の物流拠点として使用され、海域、空域、道路が米軍と自衛隊の移動と兵站補給活動に利用されるのである。
港湾や空港、道路などの管理権の多くは地方自治体が持っている。これらは憲法の「地方自治の本旨」に基づくものだが、かつて国の一元的な管理のもとで港湾や道路が侵略戦争に使用されたことを繰り返さないために地方自治体の管理下に移されたものだ。交通・通信等利用法案は、これを覆すことを狙っている。
道路管理権使い戦車を阻止(72年)
実際、これまで地方自治体の管理権限を駆使した闘いによって、港湾や道路の軍事使用が阻まれてきたのである。
ベトナム戦争末期の1972年、横浜港ノースドックでは、M48戦車が米陸軍の相模補給廠から民間トレーラーで運ばれ、戦場へ送られていた。当時の横浜市の飛鳥田市長は、市道の管理者権限で戦車の運搬に待ったをかけ、労働者のスクラムによって1カ月半にわたって戦車輸送を阻んだのである。さらに飛鳥田市長は米軍の鶴見貯油施設に対して、消防法を適用して立ち入り調査も行ったのである。
また「非核神戸方式」で知られる神戸市は、1975年の市議会決議以来、港湾管理事務のひとつとして、寄港する船舶に核を持っていないという非核証明提出を要求している。以来、米軍艦船は入港していない。
これらはすべて地方自治体の港湾管理権や道路管理権を行使して行われてきたものである。交通・通信等利用法案は、地方自治体の管理権を奪って、一般の住民や商業利用を排除して空港や港湾を米軍と自衛隊が独占使用するのである。しかも、米軍と自衛隊の使用に際して、水の供給やゴミの処理、港湾業務などで自治体労働者や港湾労働者が動員されるのだ。
また、首相権限での船舶移動も新設している。全日本海員組合は「船の安全は気象や水深などを把握する船長の専権事項。それが奪われ、危険なところに追いやられる恐れがある」「戦前の船舶保護法の復活」(5・24東京新聞)と危機感を訴えている。
軍隊が電波を独占
交通・通信等利用法案は、米軍と自衛隊による電波の独占的利用も規定している。古今東西、情報と通信は戦局を決する重大な位置を持つが、今日の帝国主義軍隊(特に米軍)は情報を基盤とする軍隊と言ってもよい。情報・通信システムは、指揮統制から防衛、兵站補給などすべてにおいて絶対不可欠だ。情報・通信システムが機能しなければ軍隊はその力を失う。
だからこそ、イラク侵略戦争などで米軍は、イラクのあらゆる情報通信システムを真っ先に攻撃したのである。イラク軍の指揮司令部や通信施設はもとより、電話局や放送局を攻撃したのである。
在日米軍と自衛隊は、平時から偵察衛星、対空監視レーダー、対潜哨戒、通信傍受などで膨大な量の情報を収集しているが、戦時となればその情報の量(つまり通信の量も)は飛躍的に大きくなる。米軍の遠距離通信の主力は衛星通信だが、米軍専用の軍事通信衛星には限りがある。特に秘密機能が確保される通信はデータ量が大きい。通信衛星や光ファイバー網の独占的利用が必要になる。
また戦時になれば、一般の電話や携帯電話などのインフラが破壊された場合を想定して、軍隊は独自の通信網をつくる。これらのシステムは、破壊や妨害電波に対処できるよう周波数の変更が自由にできる。そのためにきわめて広範囲の電波の割り当てが必要となるのである。周波数ホッピング技術は、通信を行いながら、周波数を1秒間で数百回も変えるという。
このように米軍や自衛隊が戦争を行う際には、電波を独占し、情報戦や通信の確保のために通信関係の労働者が動員されるのだ。
交通・通信等利用法案は、ACSA(日米物品役務相互提供協定)改定や米軍行動円滑化法案などと合わせて、自衛隊と米軍が共同作戦を遂行するために空港や港湾を独占使用し、当該の労働者を戦争動員していく戦争法案なのだ。陸・海・空・港湾労組20団体の闘いと連帯し、有事7法案・3条約協定案すべてを廃案にしよう。
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週刊『前進』(2154号4面3)(2004/06/21)
学生運動の最前線から 新入生諸君、ともに闘おう(6)
九州大学 侵略戦争の先兵化拒否し反戦・政治闘争の先頭に
根底から変革を
全国の労働者・学生のみなさん。とりわけ新入生のみなさん。腐り切ったこの世の中を、いまこそ根底から変革しよう。
米英軍がイラクで行っていることはいったい何だ。 イラクで占領軍が行っている拷問・虐待やファルージャでの大虐殺などを絶対に許すことができない。しかもそれを「イラク解放」だの「テロとの闘い」だのと言いながらやっている。もう本当に我慢がならない。そしてほかならぬ日本の自衛隊が「人道支援」「復興支援」などというインチキな宣伝の裏側で、実際には「安全確保支援活動」などと称してそれらを支えているのである。
現在イラクで行われているのは、帝国主義の侵略戦争である。世界の国々を植民地的に抑圧し、金融的に絞殺しているいくつかの資本主義列強による、イラク・中東の支配をめぐる強盗戦争である。そして、はっきりさせなければならないことは、それはイラクにとどまらない、世界の分捕りをめぐる帝国主義世界戦争の始まりだということである。
アメリカのバブルも崩壊し、世界経済が29年型の恐慌過程へと突入している中で、帝国主義各国はその生き残りをかけて熾烈な争闘戦を展開し、独自の勢力圏形成へと突き進んでいる。その一方では「9・11」という形で民族解放闘争があらたな爆発を開始し、米帝の世界支配は決定的な破綻(はたん)を突きつけられた。
イラク侵略戦争とは、何よりもそうした中で危機に陥っている米帝が、その強大な軍事力の発動をもって、対抗するあらゆる勢力の台頭をたたきつぶし、自らの世界支配を独占的に立て直すために開始した戦争である。そしてそれに激しく追いつめられた英・日、独・仏など他の帝国主義が、その存亡をかけて必死に食らいついて参戦したり、あるいは必死に「反対」しているのだ。
有事法案阻止へ
小泉政権が今国会で成立を狙う有事関連7法案・3条約協定案とは、まさにこの米帝の世界戦争に、日帝が協力するという形をとりつつ対抗して、どこまでも参戦するためのものである。イラク侵略戦争を継続・激化・拡大させながら、とりわけ「イラクの次」だとされる北朝鮮侵略戦争に、日本が全面的に参戦するものにほかならない。
法案によれば、米軍が全世界の至る所で行う侵略戦争に、自衛隊が弾薬の供給も含むあらゆる協力ができるようにしようとしている。そして北朝鮮に対して経済制裁を発動し、海上封鎖・臨検を行って、当然なされるであろう反撃のわずかな動きをとらえて「武力攻撃事態」「武力攻撃予測事態」と言いなし、自衛隊が先制攻撃できるようにしようとしている。
しかも今回は自衛隊だけではない。米軍・自衛隊が行う軍事行動に、民間人を有無を言わさず協力させようとしている。侵略戦争のために道路・鉄道・港湾・空港が米軍と自衛隊に独占的に使用され、物資の保管や輸送が命令されるばかりか土地や家屋までもが奪われようとしているのである。拒否すれば逮捕されて罰金・懲役なのだ。
闘うイラク・ムスリム人民と連帯して、有事法制の成立を阻止しよう。全世界の労働者・被抑圧人民と連帯して、日本帝国主義を打倒しよう。
小泉政権は侵略戦争を推し進める一方で、首切り・賃下げ、増税、福祉切り捨て、年金改悪などの犠牲を労働者人民に強制している。帝国主義は体制としてもはやあらゆる意味で成り立たなくなっているのであり、その矛盾をみたびの世界戦争と大失業として爆発させているのである。
社会の主人公は労働者階級だ。被抑圧民族人民と連帯して帝国主義を打倒し、労働者階級が社会の真の主人公となるべきときが来た。日本の労働者階級は、動労千葉や陸・海・空・港湾労組20団体を先頭にしてすでにその闘いを開始している。全国学生はマルクス主義で武装し、その先頭で闘おう。
自治破壊許すな
九州大学における学生運動は、新たな発展のときを迎えている。とりわけ今年度から独立行政法人化が開始されて、学生生活が一変している。新入生は入学早々から英語の検定試験を受けさせられ、毎日の授業では膨大な宿題が出され、今後は成績別・習熟度別に授業を受けさせられようとしている。そうした中で新入生は、国家・企業のための「学問」なるものに、矛盾を真剣に感じ始めている。
また来年度からキャンパス移転が強行されようとしており、それに伴って学生自治破壊の攻撃が格段にエスカレートされようとしている。だが大学祭や新歓オリエンテーションを始め、自分たちの活動を自分たちの手で守り抜いてきた九大生が、それが破壊されるのをやすやすと見過ごすことなど絶対にあり得ない。
京大医学部の福岡分校として出発した九大は、遠藤周作の『海と毒薬』に著されているような米軍捕虜に対する人体実験など、かつての侵略戦争において極悪の先兵の役割を果たしてきた。九大生は、かつての過ちを繰り返すような道はきっぱりと拒否するだろう。独法化に対する九大生の闘いが、反戦・政治闘争と一体となって大爆発していくことはまったく不可避である。
その闘いは、すでに爆発を開始している。今年の新歓講演会は新入生自身がその組織化と運営を担い、会場を埋め尽くす300人を集めて大成功した。そして彼らを中心とする多くの新入生が、この間、地域で闘われている集会やデモの先頭に立っている。マル学同・九大支部はいっさいの弾圧を打ち破り、今後とも九大生とともにその先頭で闘い抜く決意だ。全国の闘う仲間のみなさん。ともに闘おう。
(マルクス主義学生同盟中核派・九大支部)
(シリーズおわり)
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週刊『前進』(2154号4面4)(2004/06/21)
6月2日〜8日
新たに在日米軍イラクへ 米国務長官が軍再編で演説
●公明、自衛隊容認を9条に追加 公明党が憲法9条に自衛隊の存在を認める項目を追加する意見を同党の憲法論議の論点整理案に盛り込むことを決めた。公明党は一昨年の党大会で「加憲」を打ち出したが、9条は「堅持」するとしていた。(2日)
●都市型訓練施設を政府「容認」崩さず 米陸軍が沖縄県金武町のキャンプ・ハンセン内に建設を進める都市型訓練施設について、儀間金武町長らが外務省、防衛施設庁、米大使館に中止要請の行動を行った。政府は「十分な安全対策を取っていると聞いている」と従来どおりの見解を示し、建設容認の姿勢を崩さなかった。(2日)
●CIA長官が辞任 ブッシュ米大統領がホワイトハウスで緊急記者会見し、米中央情報局(CIA)のテネット長官が「個人的な理由」で7月中旬に辞任すると発表。(3日)
●自民、自衛戦力保持「明記を」 05年11月に作成予定の自民党改憲草案に向けて、党憲法改正プロジェクトチームが改憲の全体像を示した論点整理案が明らかになった。憲法9条に関しては「自衛のための戦力保持の明記」を求め、「個別的・集団的自衛権の行使を盛り込むべきだ」とした。前文については全面的に書き換え、「健全な愛国心」などを盛り込む。(3日)
●入港禁止法案が衆院通過 万景峰(マンギョンボン)号など北朝鮮船舶を念頭においた特定船舶入港禁止法案が衆院本会議で自民、民主、公明などの賛成多数で可決された。(3日)
●米軍再編「対テロ重視」 ラムズフェルド米国防長官が世界的な米軍の再編(トランスフォーメーション)について演説し、対テロ戦での急速展開能力を重視し、地域ごとの作戦計画の廃止などを軸に、@既存、新規の同盟国、友好国との連携強化A予測できない事態に対処するための柔軟性の開発B急速に展開できる能力、戦力の重視C作戦計画における地域間の「人工的な壁」の廃止――の4原則を挙げた。(5日)
●陸自が移動訓練で民間機搭乗 陸上自衛隊西部方面隊第8師団の約50人が日本航空機で福岡空港から羽田を経由して釧路空港まで移動訓練を強行した。北方機動演習の一環で、一般乗客にまじって迷彩服で搭乗。(5日)
●在日米空軍もイラクへ 嘉手納基地と横田基地の米空軍が新たにイラクへ派兵された。米軍準機関紙「星条旗」によると、「イラクの自由作戦」に参加するため嘉手納基地の20〜30人以上、横田基地の120人が嘉手納基地を出発した。横田基地の部隊は6月中旬までに約300人が派遣される。(5日)
●在沖海兵隊、北海道へ一部移転案 米国が、沖縄に駐留する約1万4千人の海兵隊の一部を、北海道の陸上自衛隊演習場に移転させる構想を日本政府に打診していることが分かった。(7日)
●21都府県で自衛官・OBを採用 朝日新聞のアンケートで、21都府県で自衛官やOBを職員に受け入れ、10道県で自衛官を交えた国民保護計画に対応する会議を設置していたことが分かった。(7日)
●在韓米軍3分の1削減 韓国政府は、在韓米軍(約3万7500人)の再編問題を話し合う米韓公式協議で、米国が05年末までに1万2500人を削減する計画を正式に伝えてきたと明らかにした。米国は昨年6月に1万2千人規模の削減案を非公式に韓国側に伝えていたが、時期を明示したのは初めて。(7日)
●「君が代」指導、職務命令に 学校行事での「日の丸・君が代」の扱いについて、東京都の横山教育長は、学習指導要領や、昨秋の都教育委員会通達に基づき子どもに指導することを、校長の職務命令として教員に出す方針を明らかにした。(8日)
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週刊『前進』(2154号5面1)(2004/06/21)
天神峰現闘本部の強奪許すな 6・17第1回口頭弁論に結集しよう
公団の不当提訴を弾劾し全国的な裁判支援運動を
空港公団(現・成田国際空港株式会社)が、成田暫定滑走路の誘導路予定地を寸断している天神峰現闘本部の撤去と敷地の明け渡しを求めて提訴した裁判の第1回口頭弁論が、6月17日午前10時から千葉地裁で行われる。天神峰現闘本部は暫定滑走路粉砕の闘争拠点であり、三里塚闘争を象徴する建物である。日帝権力は現闘本部を撤去・破壊することで闘争を解体し、軍事空港=成田の完成に向かう攻撃を開始したのだ。三里塚反対同盟は全面的に闘う方針を確認し、17日に始まる口頭弁論の傍聴闘争に広範な参加を呼びかけている。また故・戸村一作反対同盟委員長の弟の戸村義弘さん(三里塚教会信徒代表)らを世話人とする「天神峰現闘本部裁判を支援する会」がこの日に発足する。米英日帝のイラク軍事占領反対、年金大改悪とACSA改定・有事関連7法案粉砕の6月決戦を闘い、6・17千葉地裁に集まろう!
本部は同盟のもの 揺るぎない地上権
昨年12月24日、空港公団は天神峰現闘本部の敷地と市東孝雄同盟員の一部耕作地を、条件移転した旧地主から買収し「へ」の字に曲がった誘導路を直線化したいと表明した(野戦病院と岩山団結小屋の敷地買収も同時に公表)。その後、今年3月12日に公団は、天神峰現闘本部の建物を撤去し土地の明け渡しを求める訴訟を、建物所有者の三里塚反対同盟を被告として千葉地裁に起こした。
天神峰現闘本部の建物は、1966年12月16日に旧地主の石橋政次(元反対同盟副委員長)が提供した土地の上に三里塚反対同盟によって建設・登記された。石橋は82年に反対同盟を裏切り87年に移転したが、この時、現闘本部の敷地を分筆し、「この土地は反対同盟に提供したもの、どのように使ってもらっても構わない」と反対同盟との間で確認し陳述書として記録した。
88年9月には鉄筋コンクリート3階建て建物が増築された。90年1月16日以降、成田治安法による封鎖処分が適用され、以後、立ち入りもできない状態が国によって強制されてきたが、三里塚反対同盟の地上権は確定している。
地上権は民法上の物権であり、土地所有権と同様に土地そのものに対する強固な権利である。旧地主から底地を買収・登記したことを根拠に、公団は今回の提訴を強行したが、現闘本部の設立・登記とその後の経過に明白なように反対同盟には確固たる地上権があり、反対同盟に明け渡しに応じる義務はない。裁判闘争はこの地上権を根拠に空港公団の違法・不当を暴露粉砕して闘われる。
さらに、この裁判闘争は、憲法違反の成田治安法による封鎖処分の不当を暴露弾劾する闘いとなる。
天神峰現闘本部は成田治安法に基づき、国土交通大臣によって封鎖・使用禁止処分とされている。行政は、撤去どころか立ち入ることすらできない状態に置いているのである。こうした行政処分の対象物に対して、一民間企業である成田国際空港株式会社が、反対同盟に撤去・明け渡しを要求するなど本末転倒だ。撤去を要求すること自体が矛盾に満ちている。撤去を要求する前に、封鎖・使用禁止を解除すべきだ。そもそも訴訟を起こすこと自体が訴権の乱用である。
そのうち公団は「使われていないから撤去してもかまわない」などの便法を持ち出すだろう。成田治安法で封鎖状態にして立ち入りを禁じ、使ってないから存在理由がないという暴論など言語道断だ。成田治安法それ自体の違憲・不法を暴くという点においても天神峰現闘本部裁判は重要である。
成田の軍事使用へ誘導路直線化狙う
空港公団による不当提訴の背後にあるのは、成田空港をめぐる今日的攻撃である。
第一は、有事法制で浮き彫りになってきた成田空港の軍事化である。
4月28日の衆院有事法制特別委員会で、井上有事担当大臣は「米軍・自衛隊が成田空港を軍事使用することが可能である」と閣僚として初めて答弁した。空港建設阻止闘争が高揚を始めた1968年、中曽根運輸大臣(当時)は、「成田空港は軍事基地には使わせない。戦闘目的や軍事基地として成田空港を使うことは拒絶する」と答弁した。以後これが内閣の公式見解とされてきたが、小泉内閣はこれを踏みやぶったのである。
北朝鮮・中国侵略戦争を想定する米軍は、成田空港を戦略的拠点と位置づけており、その独占的使用を日帝に要求している。有事関連法案(交通・通信利用法案と国民保護法案)は、この成田の軍事使用を法制度に組み込むものである。
成田暫定滑走路は、用地買収の破たんから当初計画の平行滑走路(2500b)を2180bに切り縮め、北側に800b移動した間に合わせの欠陥・短縮滑走路である。平行滑走路を計画どおり完成させ、ずらした800bと、非公式ながらすでに滑走路として舗装している南側400b(計画外)を加えると3700bの滑走路となる。成田は米軍の巨大輸送機(C5ギャラクシー)が必要とする4000b級滑走路を2本備える極東最大の軍事空港に変貌する。「へ」の字誘導路の直線化はこの軍用滑走路の完成のためである。
第二は、民営化した成田空港の危機である。
成田空港は本年4月1日をもって民営化され、成田国際空港株式会社となった。新会社にとっての最大課題は、競争に耐えうるものとして空港経営を軌道に乗せることである。だが出発点から巨額債務をかかえ破産的だ。
新会社は、政府が66年7月設立の空港公団に出資した3016億円のうち1496億円を14年間(年間111億円)で返済する。しかもこれまで政府が支出してきた年間100億円の資金援助がなくなった。空港会社は航空外収益に活路を見出すとしているが方策はない。07年株式上場は破産的だ。2本目の暫定滑走路でジャンボ機など現在主流の大型旅客機が使えないことは、国際空港=成田にとって致命的なのである。
しかも欠陥ゆえに開港から1年もたたないうちに立て続けに事故が発生した。「へ」の字誘導路が原因の航空機同士の接触事故(02年12月)、滑走路の短さが原因のオーバーラン事故(03年1月)。また駐機場との連絡誘導路の不備(狭く、傾斜したクランク状)などが原因で、航空機発着の遅れが常態化している。
さらに09年に羽田空港の新D滑走路が完成し、成田のアジア便の大半が羽田に移る。来年(05年)中部国際空港が開港する。成田空港を通過する貨物のうち、中部・近畿の物流(輸出で約34%)が、早晩、新空港にシフトすることは火を見るより明らかだ。
欠陥・短縮の暫定滑走路をかかえた成田空港は、このままでは破たん的なのだ。切り縮められた2180bの短さと誘導路問題は、民営化の成否を決める課題となっている。
こうした危機に追いつめられて、空港公団は東峰・天神峰地区の地権者を脅迫する露骨な意図をもって今回の不当提訴を強行したのである。
裁判勝利へ支援する会に参加しよう
この裁判闘争の勝利のために、三里塚反対同盟は全国的な支援運動をまきおこすことを呼びかけている。「天神峰現闘本部裁判闘争を支援する会」はそうした運動を推進するものとして準備され、会報(準備号)も出された。
三里塚闘争は敷地内の天神峰・東峰地区破壊攻撃と激烈に闘っている。生活破壊攻撃とともに、不当な底地買収や司法反動による権利剥奪(はくだつ)の裁判攻撃との闘いが、現下の現地攻防の重要課題だ。日帝はこうした攻撃を加えることで、闘争に打撃を与え闘争解体を策動している。
東峰神社裁判はこの攻撃を粉砕し闘争拠点を確定する偉大な勝利を実現した。この勝利の地平を引き継ぎ絶対勝利する重要裁判として天神峰裁判闘争を闘うことを三里塚反対同盟は呼びかけているのである。
6月決戦は有事法制粉砕の決戦攻防として激烈に闘われている。北朝鮮・中国侵略戦争法の粉砕闘争と連携し、反基地闘争、労働者の戦争動員、そして空港・港湾の軍事使用と闘う闘争陣形を強化しよう。三里塚の軍事空港建設阻止は、この階級攻防の橋頭保である。
この闘いの勝利のために天神峰現闘本部裁判闘争の勝利をなんとしても闘いとろう。全国の三里塚陣形が総力で「支援する会」の運動をとり組もう。6・17傍聴闘争に決起しよう。
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天神峰現闘本部裁判第1回口頭弁論
6月17日(木)午前10時
千葉地裁 501号法廷
公判終了後に裁判報告と「支援する会」発足
※三里塚反対同盟は午前9時30分に千葉地裁に集合するように呼びかけている
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週刊『前進』(2154号5面2)(2004/06/21)
7・4関西新空港闘争へ 大阪湾岸住民団体が呼びかけ
大阪湾岸住民4団体(泉州・淡路・明石・東灘)と関西反戦共同行動委員会の7・4関西新空港反対闘争への呼びかけを紹介します。(編集局)
ご案内
闘う仲間のみなさん、7・4関西新空港反対全国集会への参加を呼びかけます。
今年の7・4集会は、例年にもまして重要な闘いになりました。小泉政権が有事7法案を衆議院で強行可決し、イラク侵略戦争を拡大・激化しようとする情勢下で開催されます。関西新空港闘争は、イラク侵略の出撃・兵站(へいたん)基地化を阻止する重要なたたかいになりました。7月4日泉佐野現地に結集されますよう訴えます。
有事7法は、日本がアメリカと共にイラク侵略戦争を激化・拡大すると共に、北朝鮮・アジア侵略戦争を準備し、発動するための侵略戦争法案です。小泉の言う「国際貢献」などというのは真っ赤なウソです。実際に、イラクに派兵された航空自衛隊は、クウェートを拠点にイラク国内に武装米兵と米軍軍事物資を輸送しています。有事7法と3条約が可決されれば、改定ACSA(日米物品役務相互提供協定)を中心に有事7法が発動され、日本から米軍に全面的に軍事物資や労務が提供されることになります。基地・空港・港湾なども無制限に利用できるようになります。つまり関西新空港や成田空港も無制限に軍事使用されることになるのです。
さらに小泉は、イラクで多国籍軍が編成されれば、自衛隊を参加させようとしています。戦後はじめての暴挙です。多国籍軍に入れば、有事7法・3条約は全面的に発動され、米英軍と同様の侵略軍になるのです。絶対に許してはなりません。自衛隊をイラクから即時撤退させるために断固闘いましょう。
また、小泉は巧妙なデマで北朝鮮脅威論を扇動し民族排外主義をあおり、北朝鮮侵略戦争を準備し、発動しようとしています。朝鮮人民の呼びかけに応え、連帯し侵略戦争を阻止する闘いに起ちあがりましょう。
いま関西新空港闘争は、三十数年の闘いの中で最も重要な決戦を迎えています。小泉政権は、関空二期事業をイラク・北朝鮮侵略戦争のための軍事空港と位置づけ、工事を進めているからです。これまで政府が言ってきた二期必要論は完全に破産しています。便数は減り続け、発着回数は昨年度はついに10万回に減り、開港以来最低に落ち込んでいます。空港はガラガラ、二期事業など問題にもならない水準です。つぎに関空会社の経営赤字問題です。昨年度から国が90億円も利子補給しているが、それでも64億円もの赤字です。利子補給がなければ154億円もの赤字になります。累積赤字はついに2156億円にものぼり、実質的に倒産しています。その上に地盤沈下が止まらず、またもや止水壁工事に45億円もかけるというのです。どんな対策を講じても地盤沈下を止めることはできません。関空の命取りになる大問題に発展しています。このように関西新空港計画は、完全に破たんしています。
それにもかかわらず、小泉政権が今年度予算に936億円も計上し二期工事を続けるのは、北朝鮮・アジア侵略戦争のための軍事空港を建設するためです。まさに関空二期を阻止する闘いは、朝鮮、アジア人民との国際連帯であるのです。
つぎに神戸空港工事を中止に追い込むために闘いましょう。「神戸空港工事の中止を求める市民の会」が、集会、デモ、抗議行動など果敢に闘っています。広範な住民が不屈に闘っています。環境破壊と地盤沈下、財源問題などを暴露・宣伝し、神戸の侵略拠点化を阻止するために闘いましょう。
反対同盟と連帯して三里塚闘争に起ち上がりましょう。三里塚闘争こそ、全国の反戦闘争の砦であり、侵略のための軍事空港を阻止する最前線の闘争です。敷地内反対同盟を防衛し廃港までともに闘いましょう。
沖縄・名護市の新基地建設反対闘争を支援、連帯しましょう。地元・辺野古の住民を先頭に4月19日から実質着工を意味するボーリング調査を2カ月以上も阻止して闘っています。連帯してたたかいましょう。
世界の民衆と連帯を深め、イラク侵略を止めましょう。7月4日泉佐野現地に結集してください。
2004年6月
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関空二期阻止・軍事空港化反対!
有事7法反対! 自衛隊イラク即時撤退!
7・4関西新空港反対全国集会
7月4日(日)午後1時半集合、2時開会
末広公園コミュニティーひろば(泉佐野市)
主催 大阪湾岸住民4団体(泉州住民の会・淡路町反対同盟・明石住民の会・東灘区住民の会)
関西反戦共同行動委員会
協賛 三里塚芝山連合空港反対同盟
集会の後、りんくうタウンまでデモ行進します。
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週刊『前進』(2154号5面3)(2004/06/21)
有事法案を絶対廃案に 大阪 怒りに燃え緊急行動
6月8日夕、大阪中之島公園女神像前で、百万人署名運動・関西連絡会の呼びかけた「つぶせ有事法!自衛隊即時撤退を!6・8緊急行動in大阪」が梅雨の雨をついて135人の参加で闘われた。
この日の大阪の集会は、年金法を改悪し、戦争法案を強行しようとする小泉に対する怒りに燃える集会となった。折から雨も止み、参加者全員が集中する中身の濃い闘争として貫かれた。
泉佐野市会議員の国賀祥司さんが司会を行い、冒頭、国会会期末まで連日行動に立ち上がり有事関連法案を絶対廃案に追い込もうと、力強く呼びかけた。フリートークは積極的な発言が続き多彩な内容で行われた。
最初に壇上に上った百万人署名運動奈良県連絡会の藤原さんはマイクも壊れんばかりの迫力で怒りをあらわにした。婦人民主クラブ関西協からは国会行動の報告が行われ、6月26日の高薮繁子さんのイラク報告会への参加が訴えられた。
名護・辺野古の座り込み闘争を闘ってきた人からは、特に、キャンプシュワーブとキャンプハンセンから合計3000人の海兵隊員がファルージャに送られていること、金武町に新たな都市型訓練施設の建設が始まったこと、従ってイラク反戦闘争と沖縄闘争が本当に一体の闘いであることなどを報告した。
関西に物販オルグに来ていた動労千葉の労働者がアピール。部落解放同盟全国連の人は改良住宅家賃値上げ裁判で神戸番町に続いて西宮でも勝利したことを報告した。女性労働者がカンパアピールを行った。自治体労働者は、「有事法が完成すれば避難計画案と称する国民を戦争に動員する計画を強制される。いまこそ外への侵略戦争と内への階級戦争に対し動労千葉に続いて闘っていく」と決意表明した。
関西では6月4日から7日まで20隻の艦船と航空機8機を動員して「展示訓練」と称する海上自衛隊の軍事演習が行われた。これに対する反撃に立ち上がった港合同の組合員から4日には東京と並行して大阪で1000人の労働者が集会・デモに決起したことが報告された。また兵庫連絡会の梶原世話人からは神戸でも800人で闘った報告、さらに7月24日には東京の12・23集会に続いて関西でも教育基本法改悪に反対する集会を成功させようとの呼びかけが発せられた。
フリートークの締めくくりには大阪市大の学生が立った。反戦福祉議員ネットの森田充二高槻市議が集会のまとめを行い、デモに出発した。大阪梅田の繁華街をA&U(アクト・アンド・ユナイト)の若者のドラムの力強い響きを先頭に行進した。沿道でまくビラがどんどん受け取られた。街頭も怒りで確実に熱くなっている。13日東京総結集で有事法を廃案に追い込もう。
(投稿/大阪 M・N)
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週刊『前進』(2154号5面4)(2004/06/21)
第7部 戦争と人民の闘い(2)
日本共産党の屈服 プロレタリア革命綱領の放棄
出発点での敗北
戦前の日本共産党は、日帝の侵略戦争に対してどのように闘ったのか。そしてどのように敗北したのか。
第一次世界大戦とロシア革命の世界史的激動の中で、日本においても労働組合運動の高揚、共産主義思想の広がりが生まれ、日本共産党は1922年に創立された。コミンテルン(共産主義インターナショナル=国際共産党)の日本支部として承認された。
ところが、日本共産党は翌23年6月の第1次共産党事件(80人逮捕)と9・1関東大震災での朝鮮人・中国人大虐殺と社会主義者虐殺の反動に震え上がり、共産党を結成したこと自体が時期尚早だったという敗北主義、解党主義に支配され、24年3月に解党を決議して解散してしまった。排外主義の嵐と闘って日本の労働者階級を階級的に組織することが問われていた真っただ中で、自ら撤退してしまったのである。
ロシア革命とその後の労働者階級の国際的な闘いの高揚、民族解放闘争の爆発的拡大の中で、日本帝国主義ブルジョアジーもまた、プロレタリア革命の現実性の前に震撼(しんかん)していたのだ。日本共産党の存在と闘いは、たとえその勢力がまだまだ小さいものであっても、日帝権力にとって最大の治安問題であった。弾圧の激しさ、凶暴さは日帝の強さではなく、危機と矛盾の自己表明であった。
いずれにしても日本共産党は 創成期において天皇制的白色テロルの前に屈服した。もともと1910年大逆事件以来、「冬の時代」論という名の敗北主義(天皇制権力とは闘っても勝てないとする思想)が日本の左翼、知識人の中に根強くあり、それを革命的に突破する闘いを貫徹できなかったのである。
スターリン主義
24年の解党をコミンテルンは認めず、その指導によって再建が進められた。だが、ロシア革命によってプロレタリア世界革命の突破口を切り開いたロシア共産党とコミンテルンは、レーニン死後、スターリンによってその路線を歪められ、ソ連一国で社会主義建設は可能とする一国社会主義論によって世界革命を裏切り、各国の党はソ連の防衛に従属するという関係を強いられた。
したがって26年12月に日本共産党が再建される際には、基本的にスターリン主義的に変質したコミンテルンの指導下にあったのである。戦前の日本の革命運動の総括は、こうした世界の革命運動との関係においてとらえられなければならない。
25年に普通選挙法(これ自体、女性の参政権を否定した差別的なものであったが)とセットで制定された治安維持法は、「国体を変革し(つまり天皇制を転覆し打倒すること)」「私有財産制度を否認(つまり資本主義を打倒しプロレタリア独裁を樹立すること)」する一切の結社およびその言論や運動を禁止し、違反者を重罰にするというもので(28年以降、「国体変革」の最高刑は死刑に)、いかに当時の支配階級がこの労働者階級の闘いに恐怖していたかを示している。
しかし、問題は日本共産党が創立以来一度も、真の意味でのプロレタリア革命の綱領も路線も持たず、それに基づく闘いも組織しなかったことである。
コミンテルンの決定した32年テーゼ「日本の情勢と日本共産党の任務に関するテーゼ」は、「ブルジョア民主主義革命の社会主義革命への転化」と称する2段階戦略を唱えたものであった。革命の当面の任務として@天皇制の転覆、A寄生的土地所有の廃止、B7時間労働制の実現、などをあげた。
日本共産党の2段階戦略の誤りは、日本帝国主義と天皇制権力とが分かちがたく結びついている関係であることをとらえず、前者(日帝)に対する闘いと後者(天皇制)に対する闘いを段階的に分離してしまうところにあったのである。
他方、当時労農派と呼ばれた潮流は、日共に対して「社会主義革命」を対置するのだが、こちらの方は、日本資本主義論の決定的な弱点が、日本ブルジョア階級の政治支配が天皇制権力を媒介にして成立しているところにあるという明白な事実を一貫して見ようとしない誤りがあった。それは要するに天皇制に対する日和見主義であった。
天皇制のもとでの日本共産党への弾圧は酷烈を極めた。28年2月、普通選挙制度での最初の総選挙で日本共産党は労農党から11人を立候補させ、山本宣治ら2人を当選させた。これに対して3月15日、国家権力は一斉弾圧を加え、全国で1600人の党員と支持者を検挙した(3・15弾圧)。翌29年3月には、山本宣治が右翼の凶刃に命を奪われた。続く4・16弾圧では、1000人が検挙された。
33年2月には党員で作家の小林多喜二が逮捕され、築地署で7時間にわたる拷問の末、虐殺された。権力の拷問によって命を奪われた党員は数多い。
天皇制への屈服
こうした中で、獄中の日共幹部であった佐野学、鍋山貞親が「転向声明書」を発表、以後、転向者が続いた。その内容は、天皇制への思想的屈服である。それは、天皇制をうち破るものとしてのマルクス主義のプロレタリア自己解放の思想を自らのものとできなかった日本共産党の弱点の現れである。
また、日本共産党は、非合法・非公然の党建設における徹底性の欠如、完黙・非転向の闘いの不貫徹など多くの弱点を持っていた。そして何よりも労働者階級の中に深く根を張って闘うという、労働者階級自己解放闘争として共産主義運動を貫徹しなかったことである。侵略戦争の激化の中で、日帝は「外への侵略戦争と内への階級戦争」を展開していたのであり、やはり、この労働者階級に徹底的に依拠し、その闘いにかけきることが基本に据えられなければならなかったのである。
戦前の日本共産党は35年の弾圧で組織の骨格をほぼ完全に解体され、壊滅状態にたたき込まれた。
戦前の天皇制権力、特高警察のもとで、個々の日本共産党員、活動家は実に勇敢に、不屈に、寝食を忘れ、自己犠牲的に闘いぬいた。その重要な一翼を在日朝鮮人党員が担ったことも重大な歴史的事実である。この闘いを正しく革命的に生かしきれず、敗北したことを重く総括しなければならない。
(高田隆志)
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週刊『前進』(2154号6面1)(2004/06/21)
「ウィニー」開発者はなぜ逮捕されたのか 東京 桜井聡
「ウィニー問題」について投稿します。「Winny(ウィニー)」とは、インターネットを通じ映画や音楽などのデータを入手できる「ファイル交換ソフト」です。
それを開発した東大助手が、5月10日、京都府警に「著作権法違反の幇助(ほうじょ)」容疑で逮捕されました。問題点は三つあります。
一つは、ウィニー利用者が感染するウイルスによって、たまたま、京都府警や陸上自衛隊など「権力者」が独占する情報がもれてしまったということ。
二つ目は、本人は著作権法違反に手を染めていないにもかかわらず、「著作権法違反(違法コピー)が可能になる道具」をつくったというだけで逮捕されたということ。
ソフト利用者が犯した犯罪についてソフト開発者を処罰することは、アメリカでも認められていません。新聞では「切れ味のいい包丁を作って殺人が起こった場合、包丁職人が逮捕されたに等しい」と報じられています。
三つ目は、ソフト開発者が「2ちゃんねる」などで、「そろそろ匿名性を実現できるファイル共有ソフトが出て、現在の著作権に関する概念を変えざるを得なくなるはず。試しに自分でその流れを後押ししてみよう」などと発言していることをもって、「著作権法違反の意思あり」とみなして逮捕している点です。
これは、「体制変革させようと思った」と発言しただけで、たまたま、これを聞いた人が事件を起こした。すると知らない人がどこかで勝手にやったことまで責任をとらされるということです。
「中国大使館を爆破してやる」と2チャンネル上で発言しただけで、「脅迫罪」だといって逮捕されている例もあります。
ネット上での自由な会話(無論、その中に含まれる差別や排外主義は許せませんが)そのものが、「犯罪の幇助」や「脅迫」にあたると言って逮捕されるのは、まさに、「実行行為」がなくても逮捕される共謀罪の先取りです。共謀罪を廃案にしましょう。
沖縄のように闘えば小泉は打倒できる 東北大学 本田翼
5月16日から17日、沖縄現地交流ツアーに参加しました。
ひめゆり平和祈念資料館、チビチリガマを見学しました。日本政府による沖縄民衆の沖縄戦への動員や、集団「自決」の強制、戦争のため、「お国」のための教育などがいかなるものかを示していました。第2次世界大戦時に、日本政府は本土戦までの「時間稼ぎ」のために沖縄を捨て石にし、沖縄人民に沖縄戦を強制しました。
その「沖縄戦」を再び繰り返そうとし、かつ自らはそれによって甘い汁を吸う存在である小泉に、あらためて怒りを感じました。
普天間基地包囲行動はまさに島ぐるみの闘いで、沖縄人民の反基地の熱い思いが感じられました。
その中で全駐労は組織決定で包囲行動に参加していました。“沖縄には基地があるから雇用がある”などと言われることがありますが、そもそも基地は雇用のためにあるのではなく、戦争のためにあるものです。それを確信した基地労働者が、激しい沖縄差別により失業率が高く、生きるために基地で働かざるを得ないという状況下でも基地撤去の闘いに決起するという、この歴史的事態に感激しました。
今回のツアーで、沖縄の抱える問題は沖縄だけのものではないことをあらためて感じました。基地内部からの闘いが始まったことに、沖縄への基地強制政策の破綻(はたん)=基地撤去の展望が見えました。沖縄のような闘いが戦争と大失業の小泉政権を打倒できるのだと感じました。
「ここで感じたことを持ち帰り、本土で闘いを広げてください」という訴えにこたえ、ここ東北大でも基地撤去、小泉政権打倒の闘いを広げていきます。
有事法廃案を求めて6・6ヒロシマ行動 広島 山沖尚
6月6日、「とめよう戦争への道! 百万人署名運動広島県連絡会」主催の集会とデモが広島で行われました。
年金法改悪案での小泉政権の強行採決の暴挙に対して激しい怒りをたぎらせ、広島の各地から100人を超す労働者・学生が参加しました。
午後1時、原爆ドーム前で集会が行われました。主催者を代表して、栗原君子さんは「年金法案の強行採決の暴挙を許してはなりません。どんなに小泉政権が国会の多数で暴挙をやろうとも、圧倒的多数派は庶民の側にあります。有事法案を廃案にするまで声をかぎりに頑張りましょう!」とあいさつ。7月の参議院選挙に改憲絶対反対派として立候補を予定している岡本三夫さんもかけつけ、「今の国会を見て誰が日本に生まれて来てよかった、と思うでしょうか! 今こそ、ヒロシマの声を国会に届けましょう!」とアピールしました。
元自衛官の青年は、「隊内では反戦運動は禁止されている。しかしそれではだめだ。そのためにも『隊員家族と元自衛官連絡会』を結成して闘っている。小泉首相の言う『人道復興支援』は真っ赤なウソ。今ならまだ間に合う。イラクからの自衛隊の撤退のためにともに闘いましょう!」と力強く訴えました。
集会にはイラク現地を訪問した高薮繁子さん、航空安全会議副議長の村中哲也さんからメッセージが寄せられました。
午後2時には広島市内のデモに出発。参加者がそれぞれ準備してきたメッセージボードや横断幕を掲げ、“とうか祭”という祭りでにぎやかな繁華街をねり歩きました。途中、自民党県連の宣伝カーと遭遇し、デモ参加者は「戦争やめて年金よこせ!」「小泉許さんぞ!」と激しい怒りをたたきつけました。
デモを終えた参加者は、ただちに街頭での署名活動を展開。わずか1時間あまりで200筆近い署名が集まりました。
被爆地ヒロシマでは有事法案に対する怒りが渦巻いています。この日は、中四国各地でも一斉に街頭署名活動が行われました。有事法案の採決強行を許さないためにも、国会に対する波状的な行動とともに、全国各地であらん限りの声をあげましょう!
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週刊『前進』(2154号6面2)(2004/06/21)
福嶋裁判 無実の弁護側立証始まる 冒頭で公訴棄却申し立て
6月1日、福嶋昌男同志の第178回公判が東京地裁刑事第3部(服部悟裁判長)で行われた。
11年にも及ぶ検察側立証がついに終わり、いよいよ弁護側立証が始まった。即時奪還と須賀・十亀・板垣3同志に引き続き、無罪獲得のための大きな正念場を迎えた。傍聴席は同志と支援者で満杯となり、報道記者も傍聴した。
冒頭陳述に先立って、福嶋同志と弁護団から、前回の小島直樹筆跡鑑定に対する証拠意見に続いて、馬路充英(まじ・あつひで)筆跡鑑定に対する証拠意見が述べられた。
福嶋同志は「私は無実だ。メモなど書いていない」ときっぱりと宣言した上で、1時間にわたって、いかに馬路筆跡鑑定がいい加減な、恣意(しい)的、非科学的な「似たもの選び」に過ぎず、デッチあげのためのニセ「鑑定」であるかを馬路証人の法廷証言を徹底的に分析・暴露しつつ明らかにした。デッチあげと筆跡鑑定のデタラメさに対する怒りに毅然(きぜん)とかつ確信も固く意見表明を行った福嶋同志に対し、傍聴席から盛んな拍手がわき起こった。
弁護団の冒頭陳述は、まず「被告は無実」であり、「共謀を立証する証拠は存在しない」と公訴棄却を申し立てた。
その上で、@検察側は「間接事実の積み重ねによって立証する」としてきたが、それは完全に破産した。A須賀・十亀・板垣同志の3・25無罪判決により、一層福嶋同志の無実・無罪が鮮明になった。B「証拠」とされているメモは迎賓館・横田ロケット弾戦闘とはなんの関係もない。Cしかもメモは岩手借家に対する違法捜索による違法収集証拠である。Dさらに筆跡鑑定は「証明力がなく、筆跡の同一性は立証されていない」。Eそもそも、爆発物取締罰則は違憲の法ならざる法であり、それで人を裁くことそのものが許されないことなど、福嶋同志の無実・無罪を全面的に明らかにした。
この冒頭陳述に沿って今後弁護側立証が行われる。弁護団は7人の証人を申請した。メモの筆跡は福嶋同志のものではないという異筆鑑定を行うI氏。統計学の立場から具体的なデータに基づいて筆跡鑑定を批判するS氏。岩手借家に対する暴力的襲撃・違法捜索と違法な押収を暴露するための岩手県警元警察官ら2人と板垣宏同志。さらに検察官がロケット弾の飛距離を計算したとデッチあげている「メモ」は両戦闘とは一切関係ないことを明らかにするY氏。爆発物取締罰則の違憲性と「共謀共同正犯」の法律的批判を行う関東学院大学教授の足立昌勝氏の7人である。
服部裁判長は、板垣同志とI氏のみ証人採用を決定し、ほかの5人は保留にするというまったく不当な訴訟指揮を行った。11年にもわたって検察側立証をやらせておきながら、弁護側証人の採用を渋るなどもってのほかである。7人全員の証人採用をかちとり、なんとしても無罪判決をかちとろう。
即時保釈かちとれ
福嶋同志の未決勾留は、11年と3カ月になった。弁護側立証が始まった今、裁判所が保釈を許可しないいかなる口実もなくなった。証拠隠滅のおそれなどもはや理由にならない。そもそも福嶋さんは無実だ。そのことは検察立証が終了した今、ますます鮮明になっているではないか。判決も出さないうちから無期禁固に匹敵する拘禁、しかも独房での拘禁の強制とは裁判所権力による人権侵害であり、拷問・虐待以外のなにものでもない。こんな無法を一日たりとも許しておくわけにはいかない。
4月21日に行った第8次保釈請求から1カ月半が過ぎた。服部裁判長はまったく傲岸(ごうがん)にも「裁判の進行を見ながら保釈を考える」などと言い放っている。弁護側立証の進行と保釈がどう関係があるというのか。断じて認められない。
人道的立場から福嶋同志の釈放を要求する精神科医を始めとする医療関係者44氏の要望署名が5月7日弁護団によって裁判所に提出された。さらに次々と賛同署名が送られてきている。また、3同志を先頭にして毎週裁判所前で服部裁判長弾劾、即時保釈を訴える街頭宣伝行動が展開されている。
自衛隊のイラク派兵と有事立法、年金改悪など労働者階級人民への攻撃が決定的に強まっている。こうした戦争突入情勢の中で、治安弾圧が激化している。『前進』街宣に対する不当逮捕、自衛隊派兵反対のビラまきに対する不当逮捕・起訴、教育労働者に対する「日の丸・君が代」の強制と、闘う教育労働者への大量処分などである。福嶋同志に対する不当な長期未決勾留も、こうした戦時下の治安弾圧の一環として加えられてきている。このことをはっきりさせ、労働者人民の怒りで裁判所を包囲し、なんとしてもこの6、7月決戦の渦中で福嶋同志を奪還しよう。
6・16、7・2公判闘争に結集し、福嶋同志および弁護団とともに無罪戦取めざして闘おう。
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週刊『前進』(2154号6面3)(2004/06/21)
M君が権力犯罪弾劾 九大弾圧 控訴審で無罪主張
6月3日、福岡高等裁判所で、九大弾圧の控訴審初公判が行われた。この弾圧は昨年3〜4月に九州大学学生自治会の4人を「暴力行為」のデッチあげで不当逮捕し、そのうちM君を不当起訴した政治弾圧である。右翼を使って、逮捕から1年半も前の出来事を口実に、九大学生運動、反戦運動の前進を阻むために国家権力が弾圧をかけてきたのである。
一審・福岡地裁(林秀文裁判長)は今年2月、不当にもM君に懲役4カ月、執行猶予3年、未決勾留日数110日算入(M君は180日間勾留されていた)というとんでもない判決を行った。
福岡高裁は控訴審の前から、M君に対して「被告人の意見陳述は認められない」「質問に答えるだけ」「質問の内容についても前もって裁判所に提出すること」などとまったく不当な発言制限を行ってきた。当事者であるM君が意見を言う機会を一切奪い、短期間で裁判を終えることに躍起になっているのだ。控訴審当日は、ものものしい警備体制を敷いた。
一審判決では、M君が、被害者を自称する石井(天皇制右翼=生長の家活動家)に対して、「胸部に多数回体当たりし、同人の背部を数回廊下東側窓の窓枠に押し当てる暴行を加えた」とし、検事のデッチあげをそのまま認めて有罪判決を行った。
M君は完全に無実であり、無罪である。一審でも十分に明らかにされた。ところが、林裁判長は警察権力、右翼と一体となり、治安弾圧に手を貸したのだ。有罪の根拠とされたのは、ただ石井の証言のみである。M君が暴行したことを証明する物証も証人も一切存在しない。断じて許すことのできない暴挙である。
判決ではM君が石井に対して多数回体当たりをしたなどというが、当時現場廊下は授業終了の学生でごった返しており、体当たりをするような余裕など、まったくなかったのである。そんなところで多数回体当たりし、20b近く移動したなどということは絶対にありえない。もしそんなことがあれば、必ずそこにいる学生に接触しなければならないはずだが、石井自身も他の誰かには当たっていないと証言しているのである。
また判決は「石井の背部を窓枠に押し当てる暴行を加えた」などと石井のうそをそのまま採用し、判決の理由にしているが、この石井のうそは、M君が逮捕され、起訴された後(事件から一年半以上経過した後)に初めて出てくる供述なのだ。
石井は「事件」当日から何度も何度も警察に足を運び10通近い供述調書を作成し、つじつまが合わないところは修正まで行っている。しかしそれらの石井供述には「窓枠に押し当てられた」などといった表現は一切出てこない。「窓枠に押し当てられた」といううそは、M君を起訴するために石井と検察、警察がつくり出したものなのだ。判決は万事がこういった有様である。
裁判所はただただ何の根拠もなく、石井が言っていることは信用でき、M君が言っていることは信用できないと断言し、有罪判決を言い渡した。こんな魔女狩りのような裁判が公然と行われているのだ。絶対に許すことはできない。
控訴審初公判でM君は、裁判所の不当な発言制限を打ち破って堂々と無罪を主張し、治安弾圧への怒りを込めて権力犯罪を断罪した。
次回公判は、6月17日(木)午後2時半から福岡高等裁判所で弁護人の弁論が行われる。公判闘争に結集しよう。そして治安弾圧に抗し敢然と闘い抜くM君の無罪判決をなんとしてもかちとろう。
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週刊『前進』(2154号6面4)(2004/06/21)
サマワで撤退申し入れた 高薮繁子さんの報告 6・4集会の発言から
イラク人民を地獄にたたき込んでいる占領支配助ける自衛隊を撤退させよう
今、私たちは非常に緊迫した情勢の中にいます。国会も会期末まで後わずかですけれども、私たちはあきらめることなく、闘いを強め、有事法案を廃案に追い込んでいきましょう。
そして今、イラクの戦場にいる自衛隊をどんなことをしても撤退させなければなりません。すでに日本の自衛隊派兵は、日本人ジャーナリストがアメリカの手先とみなされて銃撃を受け、死亡するという事態まで引き起こしています。私たちは今サマワにいる自衛隊が直接にイラクの人びとと交戦し、殺すことをしていない今のうちに、自衛隊を撤退させなければなりません。
私は、先日イラクに行って、アブグレイブ刑務所を訪問し、サマワの自衛隊にも撤退を申し入れてきました。みなさん、私たちは本当にイラク侵略戦争に反対して闘ってきましたが、あらためて外国の軍隊の占領下で生きるということが、どういうことなのか、わが身に置き換えて考えていただきたいと思います。
あのファルージャ、カルバラ、ナジャフの大虐殺、そしてアブグレイブを始めイラクに16カ所あると言われている収容施設での虐待、拷問の数々。イラク侵略戦争と今の占領支配下でイラクの人びとがどんな思いでいるのか。
この戦場に人道支援というようなことを言って、自衛隊が派兵されています。私は小泉首相のこんなうそ、こんな非道を絶対に許すことができません。
5月15日、サマワの自衛隊に撤退を申し入れてきました。基地司令は出てこず、代わりに外務省のサマワ事務所の人が出てきました。「とめよう戦争! 隊員家族と元自衛官連絡会」の自衛隊撤退の申入書を読み上げて、持参した3通の申入書を渡してきました。
サマワでも、そして行く先々で聞きましたが、イラクの人びとで、日本の自衛隊派兵について歓迎と言った人は1人もありませんでした。みな「自衛隊は何もしていない」と言い、「アメリカと同じだ」と答えた方もいました。
アブグレイブ刑務所には、200名以上の方が面会を求めて訪れていました。9人の方に話を聞きましたけれども、15歳から75歳までの方が入っていることがわかりました。何の容疑も明らかにされず、不当に拘束されて、連絡や面会も一切とれないという状況の中で、彼らは虐待の事実に怒り、そして自分の家族がそういう目にあっているのではないかと、毎日毎日刑務所の前で面会を求めて待っています。
今回、虐待が明らかになった時に、アメリカがお金で解決しようと提案をしたそうですが、これに対してイラクの人びとはますます怒り、アラブにはこのように尊厳を踏みにじられ、傷つけられてお金で解決するという価値観はないのだとはね返しています。「これは復讐する以外にない。血の一滴まで闘う」と、毎日毎日血を流しながら闘いぬいています。
そして病院ではまだまだ薬が足りなくて、治る患者も治らない、学校に行けば紙がなくて、テストも口頭試験という状態でした。
今小泉政府は、サマワに自衛隊を出し、1日1億円の駐留費をかけてわずかな水を供給しているだけだそうです。こんなことがあっていいはずがないと思いました。
イラクへの人道支援を言うならば、何よりもイラクの人を地獄にたたき込んでいるこの占領支配を直ちにやめさせることです。直ちに自衛隊を撤退させなければならないことを訴えていきましょう。
私が無事に帰ってこれたのは運が良かったと言う人がいます。しかしそうじゃないことをわかってもらいたい。今回は、私はあの3人の日本人(人質事件)に対するバッシングの中で、どうしてもこの逆風を突き破って小泉政府と闘うという強烈な自覚を持って行きました。
そして現地で私を支えてくれたイラク人、ヨルダン人、そして多数のムスリムの人も、私の行動を無事に終わらせ、日本に無事に送り返すことが自分たちの反占領・反米の闘いを貫くことだということを十分に認識していました。今回のサマワでの申し入れ行動は、ムスリムの人びと、そして日本の人びとの共同闘争として実現できました。
この闘いをさらに強く発展させて、イラクの占領をやめさせ、イラクの人びとによるイラクの政府を作っていけるために、がんばっていきたいと思います。一緒にがんばりましょう。
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