ZENSHIN 2004/06/14(No2153
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週刊『前進』(2153号1面1)(2004/06/14)
革共同の6月アピール
6月決戦で有事法案葬れ
小泉=奥田打倒・年金大改悪粉砕 労働者は団結して総決起しよう
「多国籍軍」派兵阻止−改憲粉砕へ
米英日帝国主義はイラク侵略戦争が泥沼化し、死の淵(ふち)にあえいでいる。イラク人民の民族解放の闘いは、占領軍をたたき出し、実力でイラクを解放するために激しく燃え上がっている。この中で、日帝・小泉は、終盤国会を包囲する労働者階級人民の憤激の高まりと決起のすう勢にグラグラ揺れている。年金改悪法案と有事関連法案の参院成立強行の攻撃は、日帝・小泉打倒への根底的な怒りに必ず転化せずにはおかない。21世紀冒頭、情勢は早くも帝国主義世界戦争とプロレタリア世界革命が現実化する時代に突入した。現代世界の矛盾の爆発は、現代の帝国主義=資本主義が完全に歴史的に行き詰まり、資本主義はもはや一個の社会体制として成り立たなくなったことを告げ知らせている。命脈尽きた帝国主義に対して、被抑圧民族人民と国際プロレタリアートの革命的反乱は全世界で起きている。米英日帝のイラク侵略戦争と軍事占領断固反対を真っ向から掲げ、年金大改悪とACSA改定・有事7法案を葬り去るために闘い抜こう。日本階級闘争の反転攻勢の地平を引き継ぎ、04年前半の最大の闘いとして、6月決戦に渾身(こんしん)の総決起をかちとろう。
第1章 多国籍軍参加と集団的自衛権の行使狙う日帝
6月決戦の第一の課題は、戦争・改憲と年金大改悪に突き進む小泉政権を打倒することである。
6月情勢を最深部で規定しているのは、6月末の「主権移譲」を目前にしたイラク情勢の激動的展開である。4〜5月のイラク情勢において明らかになったことは何か。
何よりもイラク全土の米帝・米軍支配は貫徹できないということだ。米軍が増派して13万8千人体制をとり、さらに在沖米海兵隊に続き、在韓米軍の精鋭を投入して戦力の建て直しを図っても、イラク人民の民族解放・革命戦争の力を押さえきることなど断じてできない。
イラク人民の闘いは、全土において全人民的蜂起といえる段階に入った。スンニ派、シーア派の両者が武装勢力を形成し、ゲリラ戦争の経験を蓄積し、闘いの中で連帯を深め、全人民的な反米帝・民族解放闘争の発展を切り開いている。こうしたイラク人民の闘いが、「イラク統治評議会」を軸としてカイライ政権をデッチあげ、05年1月の総選挙を準備させるプランを完全に打ち砕いている。
パウエル米国務長官は、5月25日、イラク暫定政権の「主権移譲」後も、「米軍は米軍司令官の指揮下にとどまり、自らを守るために必要なことをする」と、「主権移譲」とはカイライ政権のデッチあげであることを自認している。国連も、多国籍軍も、暫定政権も、米軍の補完勢力でしかないのだ。だからこそ、EUを始めとした他帝国主義との対立・抗争・争闘は激化する。そして日帝は、米帝のイラク侵略戦争の泥沼化の中で、自らも参戦と占領活動をエスカレートさせる野望をむき出しにしている。
こうした中で、日本人ジャーナリスト2人の死という事態が起こった。2人の死の一切の責任は、米日帝の軍事占領にある。とりわけ、全世界が震撼したアブグレイブ刑務所などでのとてつもない拷問と虐待は、米帝の侵略と占領の反人民的・植民地主義的本質をまざまざと示した。日帝・小泉も同罪である。5月20日、サマワに近い空自の輸送拠点=タリル空港に砲弾がたたきつけられたが、武装米兵や米軍物資を運び、米軍を支えているのは日帝・自衛隊である。イラク侵略戦争に参戦している自衛隊の即時撤兵こそが求められている。
しかし小泉政権は、ACSA改定・有事7法案の成立強行を狙い、自衛隊の多国籍軍への参加、集団的自衛権の行使に踏み出そうとしているのだ。
有事7法案・3協定条約案は、6月16日が期限の国会会期末の大攻防に突入している。5月21日、衆院の通過自体、とんでもない大暴挙である。衆院有事法制特別委員会は、まったく審議が尽くされていないどころか、「多国籍軍の編成による集団的自衛権に基づく措置を行使する」「劣化ウラン弾は国際的には健康上被害があると判断されていない」「キューバのグアンタナモを始め拘束者に対して米国は人道的に扱っている」など、小泉政権の答弁のことごとくが激しく断罪されなくてはならない。今国会に提出されている有事法案は、米帝・米軍がイラク侵略戦争において展開していることと同じことを、日帝・自衛隊が行うことを企図しているのである。
戦後階級闘争において、65年に「三矢研究」が国会で衝撃的に暴露されたとき以来、有事立法問題は改憲攻撃と一体のものとして、一貫して最大のテーマとしてあった。今次有事法制で、ACSA改定を軸にした米軍支援法(米軍行動円滑化法案、自衛隊法改正案、交通・通信利用法案)、すなわち米軍関係の戦争権限法案が中心を占めていることは重大である。これはイラク侵略戦争を合図にして、帝国主義が後戻りすることのない侵略と戦争の道に突入した中で、帝国主義の戦争体制、戦争準備体制を圧倒的に強めるものになる。日帝はアフガニスタン侵略戦争、イラク侵略戦争を激化・拡大させつつ、全世界のどこで米軍が戦争しても参戦するのだ。そして、50年朝鮮戦争と同じレベルの大侵略戦争を対北朝鮮(ひいては中国)で構える時に、米軍の出撃・兵站基地体制、軍需物資の補給と輸送の体制を全面的に支え、日帝・自衛隊の北朝鮮侵略戦争のためのすべての体制づくりが合法化される。
そして米軍が全地球的規模で進めるトランスフォーメーション(再編)は、沖縄基地が北朝鮮侵略戦争の中心にすわることを意味する。名護新基地建設阻止を労働者階級の正面課題として闘うことが求められている。
有事法案を絶対に廃案にたたき込む、戦後階級闘争史上最大の決戦が今や到来しているのだ。有事法案を、民主党・連合の大裏切り、社・共の屈服を打ち破って、6千万労働者の生死をかけた闘いで粉砕しよう。闘うイラク人民・ムスリム人民、全世界のプロレタリアートと連帯し、有事法案粉砕決戦に死力をふりしぼって立ち上がろう。
帝国主義の体制破産と年金改悪の大暴挙
年金大改悪の暴挙は断じて許せない。年金大改悪―社会保障制度の根底的転覆との闘いは、プロレタリア革命の基本問題として突き出されている。それは一方では、帝国主義の一大資本攻勢=国内階級戦争の一環としてある。帝国主義経済の未曽有(みぞう)の危機の中で、政治攻勢のようなかたちで帝国主義権力と資本が一体化して進める大々的なリストラ、労働市場の暴力的再編、賃金体系の激変と賃下げ、治安弾圧、労働組合・団結権の破壊。これと並んで30年代以来の社会保障制度解体の攻撃がある。
他方で、帝国主義の体制的破産の集中点として今次年金大改悪がある。自己の年金の状態に無関心でいられる政治家たちが、自ら平然と未納・未加入でありながら、労働者人民から年金保険料を大幅アップし厳しく取り立てようとしている。しかし、年金給付を保障することもできない。生存権すら奪いとろうとしているのだ。それほど、資本主義は行き詰まり、体制として崩壊しているのだ。未曽有の年金大改悪に対して、全労働者人民の根源的怒りを爆発させて、日帝・小泉政権を打倒しよう。
第2章 資本攻勢の嵐うち破り階級的労働運動発展へ
6月決戦の第二の課題は、一大資本攻勢を打ち破り、階級的労働運動の発展をかちとることである。
米英日帝のイラク侵略戦争がますます泥沼化する中で、帝国主義世界は、政治と経済の全面で、未曽有の危機にのたうち回っている。とりわけ帝国主義世界経済の危機と激動の深まりは、帝国主義世界を根底的に転覆するプロレタリア革命の現実性を、はっきりと浮き彫りにしている。
この間、米帝経済・日帝経済は、デフレから脱却し回復したなどと宣伝されている。だがこの流れは、直面している世界恐慌―長期大不況の重圧から抜け出たものなのか。資本主義・帝国主義の生命力を示しているものなのか。まったく違う。
ムチャクチャな人為的政策的なつっかえ棒があって、ようやく立っているだけの帝国主義経済の危機的構造が変わらないばかりか、むしろより悪矛盾は深まっている。
米帝の「回復」とは、ブッシュの破天荒の減税と財政散布による野放図な財政赤字の拡大と、空前の超低金利の結果であり、それはほとんど制御できないインフレの危機をはらむものなのだ。日帝経済においても、小泉構造改革のもとで進行したものは、GDPの140%を超える700兆円の公的長期債務という、とてつもない国家財政の破綻(はたん)である。この借金づけを労働者に全部背負わせようとするのが年金改悪であり、消費税大増税だ。さらに日帝と小泉は恐慌対策として、史上類例のないゼロ金利政策を10年間も続けている。この道は間違いなく悪性インフレか大恐慌かの地獄に向かっている。
他方で日帝経済の「回復」は、膨大な中国市場への輸出に大きく依存している。だがこれは、中国経済の残存スターリン主義のもとでのバブルと、大インフレ、大不況の危険と変動の上にさらされたものだ。事実、今の中国経済は米帝経済の「回復」にのって、1000億jの貿易黒字をかせいでいるが、米帝経済が少しでも失速すれば、たちどころに中国経済は激しく落ち込み、そうなれば日帝経済には壊滅的打撃となる。
同時に、この中国情勢は日帝が生命線とする「東アジア自由経済圏」への動きの中で激しい日米対立をまき起こす。このすう勢は、米帝の中国市場への割り込みと、イラクから北朝鮮、さらに残存スターリン主義=中国の体制転覆に向けた世界戦争計画を促進するのだ。
いずれにせよ米帝経済―世界経済は大恐慌への全面突入の重圧から絶対にのがれられず、悪性インフレと大軍拡と経済の戦争経済化へと突き進むしかない。それは、帝国主義体制の行き詰まりのもとで、帝国主義間争闘戦を激化させ、帝国主義の侵略戦争と第3次世界大戦を不可避とする。今こそ、資本主義(帝国主義)が無限の回復力をもっているなどという大キャンペーンを打ち破り、帝国主義は必ず破滅し、労働者によって打倒される以外にないことを力強く訴えよう。
ところで帝国主義ブルジョアジーのリストラ、合理化、賃下げ、治安弾圧、労働組合破壊、社会保障制度解体などの資本攻勢は、当面の「景気回復」の変動とは関係なく、帝国主義であるかぎり不断に繰り返され、労働者に襲いかかるものなのだ。それは帝国主義の矛盾と危機の爆発、争闘戦などへの恐怖からであり、そうしないかぎり生き延びられないからである。このような資本攻勢は、帝国主義・資本主義の本質的あり方であり、帝国主義の危機と矛盾に根ざしており、帝国主義権力と一体化して、政治攻勢そのものとして進められるのである。
最近の日本経団連・奥田の動向は、それを示している。5月27日、日本経団連年次総会で、第2期の奥田体制がスタートした。「闘う経団連」を呼号して、「政治は政治、経済は経済というわけにはいかない。政治と経済は不離なもの」と言い、小泉と完全に一体化していこうとしている。改憲と安全保障を提言する「国の基本問題検討委員会」も設置した。そして社会保障制度解体や増税による生活破壊、郵政を始めとする民営化攻撃、戦後公務員制度の解体などの資本攻勢を画然と激化させようとしている。
これに先立ち、4月19日には、「21世紀を生き抜く次世代育成のための提言」(教育改革提言)をもって、教育基本法改悪を推進していくことを明らかにしている。これは、「教育改革」を抜きに奥田ビジョンの実現はないと呼号し、7月参院選を前に、有事立法の完成とともに、教育基本法改悪と改憲の先頭に、日本経団連が立つことを宣言したものだ。
さらに4月14日には、「外国人受け入れ問題(外国人雇用法)に関する提言」を発している。これは、21世紀の大東亜共栄圏=「東アジア自由経済圏」を争闘戦的に確保するために、日帝の戦時下の外国人労働力政策(現代版の強制連行)を発動しようとするものである。
革命の成否を握る労働組合運動の位置
このような小泉・奥田が一体化する路線のもとで、連合のさらに一段の翼賛化が進められている。ACSA改定−有事7法案強行は、経済の軍事経済化を推し進め、JC系連合指導部が軍需産業の推進を率先して行う中で、連合内の亀裂と分裂は必ずや破裂に向かっていく。
そして、日帝の政治=経済攻勢、経済=政治攻勢と対決する階級的労働運動の戦闘的発展と、労働組合の階級的団結を死守する闘いは、帝国主義の危機と矛盾を激化・拡大し、その打倒を推し進める最も鋭い闘いとなるのだ。
マルクスが『賃金・価格・利潤』の結論で導いているように、労働組合は資本の侵害に対する抵抗の中心であり、労働者階級の基礎的・階級的団結形態にほかならない。そして現代の帝国主義において、プロレタリア革命の成否を握る労働組合の戦略的位置は、過去のいかなる時と比しても圧倒的に高いのである。
すでに労働運動の戦闘的高揚の芽がいたるところで出てきている。こうした中で、小泉=奥田路線と激突する最先端の攻防が、国鉄・全逓・自治労・教労の4大産別決戦である。
今日、小泉と奥田は、「改革は始まったばかり」と呼号して、郵政、自治体、教育などにおいて改革攻勢をますます激化させている。
特に現攻防において決定的なのは、教労決戦―「日の丸・君が代」攻防である。都高教など東京の教育労働者300人を超える不起立を先端とし、全国で数千人になろうとしている教育労働者の決起は、戦争協力拒否の闘いである。この闘いは、石原ファシスト都政に痛打を与え、日帝の戦争国家化と戦争動員攻撃に風穴をあける闘いとなっている。何よりも、日教組運動の戦闘的再生の闘いとして火を噴いている。
自治体攻防は、4・14自治労見解の反動をのりこえて、戦争協力強制との大決戦に突入している。奥田の「三位一体」改革攻撃の宣言は、公務員制度解体と自治体への大がかりな民営化攻撃の本格化である。
さらに全逓において、6月全国大会へ向けて決戦体制を構築しよう。深夜勤攻撃への怒りをたぎらせ、郵政民営化攻撃との激突に勝ち抜こう。
国鉄決戦は、ますます労働運動の攻防を決する基軸的闘いとなっている。
JRにおいては、すでに自衛隊法によって戦争協力が可能となっている。なぜなら分割・民営化によるJR結託体制のもとで、JR総連カクマルが戦争協力を誓っているからだ。しかし重要なのは、戦時下において、JR資本と日常的に闘うことで戦争協力の業務命令を拒否することができることだ。04春闘で示した動労千葉のストライキ闘争による資本との徹底的な対決こそ、戦争協力を拒否する道である。この動労千葉労働運動を基軸に、1047名闘争と国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いを両輪として、国鉄決戦の勝利の展望を押し開こう。
さらに労働法制改悪との闘いの陣形を強化し、階級的労働運動の力強い発展を押し開こう。労働組合運動の再生をかちとり、国際主義を貫き、04年11月集会への革命的な闘いを推し進めよう。
第3章 青年労働者はマル青労同に結集して闘おう
6月決戦の第三の課題は、マルクス主義青年労働者同盟1000人建設の本格的全面的発展を押し開くことである。
革共同は第6回大会において、20世紀の革命的総括をふまえつつ、21世紀における反帝・反スターリン主義のプロレタリア世界革命論を確立した。同時に、このプロレタリア世界革命はプロレタリア自己解放闘争として実現されることを鮮明にし、その立場から革共同を革命的労働者の党として建設する路線を、労働者同志とともに打ち立てた。その第6回大会の最大の実践的結論は、党勢2倍化である。革命的情勢の急速な煮詰まりの中で、党勢2倍化と労働者党建設のために、新指導路線を打ち立て、昨年末マルクス主義青年労働者同盟を結成し1000人建設方針を確立したのだ。
なぜ、マル青労同1000人建設は死活的なのか。プロレタリア世界革命の荒々しい台頭を現実の革命に転化するためには、マルクス主義で武装された青年労働者の階級闘争場裏への圧倒的登場が求められているからである。とりわけ、動労千葉労働運動を先頭にした労働運動・労働組合運動の階級的潮流が、連合、全労連の既成指導部を打倒して、日本労働運動の主流に躍り出るには、青年労働者の決起、労働組合青年部権力の奪取こそ死活的なのである。
戦争と大失業の嵐の中で、マルクス主義のみが青年労働者に希望と未来をさし示す。帝国主義労働運動やスターリン主義労働運動、ファシスト労働運動と決別した階級的労働運動の先頭に、必ずや青年労働者は決起する。
革共同は、かつて三全総時代において、基幹産業や官公労の万余の青年労働者の隊列を率いて、歴史的な70年決戦を闘った経験を有している。しかも主客の情勢は、三全総時代をはるかに超えている。今こそ、革共同中央、産別委員会、そして地区党が一丸となって、マル青労同の同志とともに、マル青労同建設にまい進しよう。
夏期一時金カンパと『前進』拡大闘争軸に
さらに6月決戦の最深部において、夏期一時金大カンパ闘争を飛躍をかけて貫徹することが問われている。
今夏のカンパ闘争は、プロレタリア世界革命―日本革命の帰すうを決するような闘いだ。レーニンは、世界戦争の切迫の中で、「戦争によって生み出された政府の苦境と大衆の憤りを、社会主義革命のために利用しなければならない」(シュトゥットガルト大会「戦争に関する決議」)と訴えた。レーニンには、世界戦争の血と硝煙の中から必ず全世界プロレタリアートの決起が始まるという確信があった。そして17年のロシア革命の勝利へと導いた。イラク侵略戦争と軍事占領、そして日帝・自衛隊のイラク派兵と有事立法・改憲の攻撃は、レーニンの「革命が戦争と結びついてやってくる」ことを自覚した革命党と労働者階級の鮮烈な決起を求めている。
この時に、非合法・非公然の体制を堅持し、プロレタリア革命が必要とする資金をつくり出すことは、いつ、いかなる時と比しても重大である。実際、革共同は労働者階級人民の絶大な援助・協力のもとに、結党以来の幾多の困難と試練をくぐりぬけて、今、21世紀革命の先端に躍り出ている。革命の時代の到来の中で、労働者階級の無限の力と可能性を、今こそ帝国主義を打倒する革命的資金=カンパとして集中してほしい。
6月決戦の白熱的展開の全過程を、同時に機関紙拡大闘争として闘おう。労働者人民の階級的憤激の高まりを、プロレタリア革命の綱領・路線と結合させる唯一の政治新聞『前進』の圧倒的な拡大の時が到来している。新指導路線に基づく労働者の党の建設とは、職場・生産点において革命的共産主義の活動をつくり出すことであり、その最大の武器は機関紙だ。『前進』は、ホームページを媒介にして全世界に羽ばたいている。機関紙活動を組織活動の環にすえて闘うことが、運動的・組織的・財政的飛躍を解決する唯一の道である。
闘うイラク人民、ムスリム人民、朝鮮人民、全世界の労働者階級人民と連帯し、有事法案―年金大改悪を絶対に粉砕し、小泉政権を打倒しよう。6・4闘争を突破口とする6月決戦で、勝利の血路を切り開こう。
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週刊『前進』(2153号1面2)(2004/06/14)
6・4日比谷 緊急集会に1600人集う “戦争法案阻む”の熱気 年金改悪への怒りと一つ
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国会山場、都心に「廃案を」の声とどろく
「国会を動かそう」と呼びかけ人を先頭に都心をデモ行進 |
6月4日夕、東京・日比谷野外音楽堂で、「有事法案を廃案へ! 国会を動かそう! 6・4緊急大集会」が開かれた。サブスローガンに「自衛隊は即時撤退を! 年金改悪反対! 憲法改悪反対!」を掲げ、1600人が集まった。この集会は、5・21明治公園の集会の後、6月の上旬に再び大きな闘いが必要と89人の各界人士が呼びかけ人となってアピールが発せられて開かれた。「有事」と「年金」の最大の山場に、もう黙っていられないという怒りと危機感を胸に、続々と日比谷に集まってきた。
開会あいさつを元東京YMCA主事の手島毅郎さんが行い、「平和のためにボーダーを越えよう」と、垣根を越えて「ノー」の声を広げることを訴えた。
新城節子杉並区議が、名護市辺野古でボーリング調査を座り込みで阻止し続けている「命を守る会」の金城祐治代表のメッセージを代読した。「沖縄の歴史の痛みを共有し、私達と共に生き、共に闘い、共に勝利しなければなりません」。熱い訴えに、会場は辺野古の闘いを必ず勝利させようと誓い合った。
「日の丸・君が代」強制反対で、東京都教育委員会から不当処分された被処分者の会の都立高校教員が、石原のもとでの攻撃が「生徒の不起立」を教師に責任をとらせる攻撃まで踏み込んできたことを弾劾し、「いまこれに反対しないとかつての軍国主義教育の復活になる」と、歯止めをかける闘いを誓った。
北富士忍草母の会事務局長の天野美恵さんが、自衛隊が北富士入会地に、サマワの自衛隊宿営地の模擬施設をつくって演習を開始していることを満身の怒りを込めて暴露し、年はとっても私は絶対に許さない、と宣言した。
自治体の港湾労働者が、戦争業務を強制される当事者として、有事法案を絶対に成立させてはならないことを訴えた。
動労千葉の田中康宏委員長が登壇。5月15日に急逝した中村書記長を悼み、団結を固め、闘う方針を明確にし、打って一丸となって闘う決意を表明した。そして、「自民党も民主党もマスコミもみんな腐っている。有事法制ができれば国のあり方が根本から変わる」と警鐘を鳴らし、大きな怒りの流れをつくることを熱烈に訴えた。そして「3・20国際反戦闘争の地平はけっして低められることはない。大きな怒りの声と職場の闘いを結合して闘おう」と熱烈に訴えた。
新聞労連の明珍美紀委員長がかけつけ、発言した。小泉政権に対して、マスメディアで働く者も反対ののろしを上げると誓った。
この5月にサマワ、アブグレイブなどイラクを訪問した高薮繁子さんが報告した。日本のジャーナリストが死亡する事態まで引き起こしていることについて、今すぐに自衛隊を撤退させなければならないと強調した。サマワで自衛隊の撤退を求める申入書を渡してきたこと、イラクの人びとは誰も自衛隊を歓迎していないこと、アブグレイブでは200人もの人が面会を求めて刑務所前に詰め掛けていたこと、アメリカが拷問問題を金で解決しようとしたことに対しアラブには尊厳を金で売る思想はない、と怒りが燃え上がっていることなどを報告した。命を懸けた連帯闘争に、満場から大きな拍手がこたえた。
6・13芝公園で集会
百万人署名運動事務局長の西川重則さんが国会報告を行った。特に野党が有事関連7法案に反対しながら条約案に賛成したことに、条約案も有事法制と首尾一貫して深い関係がある、最後まで反対しなければならないと訴えた。
憲法と人権の日弁連をめざす会の高山俊吉弁護士が「年金改悪と有事法を廃案へ」と力強く訴えた。
「6・4集会宣言」が読み上げられた。「私たちは有事法案の廃案へ、最後までたたかいます。反戦運動やレジスタンスに立ち上がっている世界の人々と連帯し、反戦反改憲の運動を大きくしていきましょう」
銀座デモに出発。呼び掛け人と関西を始め全国の人びとを先頭に夜の街にシュプレヒコールをとどろかせた。共感の波が広がった。
集会の最後に、「STOP WAR! つぶせ有事法6・13集会」(午後2時、芝公園)への大結集が呼びかけられた。
(本紙・江波一夫)
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週刊『前進』(2153号2面1)(2004/06/14)
郵政民営化粉砕へ闘おう 全逓59回大会へ向け訴える
小泉・奥田−生田路線と対決し名称変更−「未来宣言」否決を
革共同全逓委員会
全逓第59回定期全国大会が6月23〜25日の3日間、北海道・旭川において開催される。日本郵政公社労働組合(JPU)に名称変更しての初めての大会であり、連合全逓中央は「私たちの未来づくり宣言」をもって、企業防衛主義から戦前の産業報国会の道へと、さらに全逓労働運動を変質させようとしている。全逓労働運動と全逓労働者の生き死にのかかった重要な大会である。
日帝・小泉政権は、07年郵政民営化を小泉「構造改革」の柱に据え、4月の「中間報告」から今秋「最終報告」に向け、日本経団連・奥田―郵政公社・生田路線のもとに推進しようとしている。今後、さらに郵政職場で働くすべての労働者に対する首切り・賃下げ・労働強化を強いようというのである。同時に労働者意識の解体と労働組合の団結破壊、階級的全逓労働運動の根絶を狙う大攻撃である。まさに全逓労働者の死活をかけた決戦に入っていることをはっきりと確認し、職場の団結を打ち固めよう。
この攻撃に対して、郵政当局と連合全逓中央への怒りが職場で渦巻いている。全逓中央の全面屈服と転向にもかかわらず、現場労働者の中には階級的団結と戦闘性が脈々と生き続けている。イラク侵略戦争と有事立法・改憲攻撃に屈し、大失業と資本攻勢の先兵へと階級移行した連合全逓中央を、今全国大会で打倒しよう。「連続深夜勤を本部・地本の役員は自分でやってみろ! 賃下げを認め宿舎を追い出すなんてふざけるな! これで労働組合と言えるのか!」。この労働者の怒りを束ね、解き放ち、現場から全逓労働者の総力決起で連合全逓中央を総退陣に追い込もう。
闘う全逓労働者は、6・10、6・13闘争に総決起し、ACSA改定・有事7法案粉砕、改憲阻止と07年郵政民営化粉砕の闘いをとおして階級的全逓労働運動を再生させよう。
帝国主義の戦争・資本攻勢うち破る先頭に
21世紀に入って、世界で国内でさまざまな事態が起き、われわれ労働者の労働現場にも大きく影響している。一言で言えば、“先進国”と言われる帝国主義の支配が危機の時代に突入し、帝国主義は“海外への侵略戦争と国内での労働者階級への戦争”に生き残りをかけているということである。米帝ブッシュを始めとする帝国主義のイラク侵略戦争が、そのことを現実に証明した。
米帝ブッシュは、イラク侵略戦争で、劣化ウラン弾を始めとする殺人兵器のすべてを投入し、6万人を超えるイラクの労働者人民を虐殺した。さらに、アブグレイブ刑務所を始めとして、虐殺、拷問、暴行、性暴力を繰り返した。これは、現代の南京大虐殺であり、アウシュビッツだ。これが帝国主義の本性・本質だ。自衛隊を派兵し加担しているのが日帝・小泉政権であり、日帝も同罪だ。
イラク人民は、帝国主義の侵略に対して、民族的尊厳をかけて武装闘争で闘っている。帝国主義国に生きるわれわれ全逓労働者は、イラク労働者人民と連帯して、腹の底からの怒りをもって立ち上がろう。
日帝・小泉はイラク派兵部隊を治安部隊要員としてさらに増強し、多国籍軍への参加を狙い、中東石油の確保(依存度88%)、資源確保の争闘戦に参戦することで帝国主義として延命しようとしている。そのための法律としてACSA(日米物品役務相互提供協定)改定と有事7法案がある。
小泉・奥田―生田は帝国主義者として侵略戦争と大失業攻撃の張本人である。また、連合全逓中央は今大会をもって支配階級の攻撃に屈服し、労働貴族としての利益と生き残りのために、日本帝国主義を支え、侵略戦争も担う労働運動への変質と、労働者への搾取・収奪をさらに強めようというのである。この帝国主義と労働貴族に対する階級的怒りを持って闘おう。
3・20イラク侵略戦争反対の世界の労働者階級の闘いの爆発は、国境を越えて侵略戦争と大資本攻勢への反撃が開始された証左である。韓国の民主労総の職場生産点の闘いと反戦政治闘争の激烈な闘いは、総選挙で民主労働党の10議席獲得に結びついた。03年自治労大会での連合路線との闘いや、処分恫喝をのりこえた04年「日の丸・君が代」闘争における教育労働者の闘いが現場から起きている。そして、動労千葉の闘いがある。世界でも日本でも、労働者階級の闘いが高揚局面に突入していることをつかみ取ることができる。
連合全逓中央の支持する民主党は有事法案の成立に全面的に賛成し、まったく「対決法案」にもしない。連合中央は、これに全面賛成した。全逓中央も議案では「連合方針の下に」と、賛成なのだ。
また、綱領を改定した日本共産党中央は、闘いの爆発を抑える反動の側に立っている。小泉の訪朝にもろ手を挙げて賛成し、年金未納での小泉政権の追及も放棄している。
こうした中で、資本家の親分=奥田・日本経団連は、憲法改悪のために「国の基本問題検討委員会」を5月27日の総会で新設した。経団連は、奥田ビジョンの実現のために小泉政権と完全に一体化して、小泉=奥田路線のもとに戦争と一大資本攻勢を推進しようとしている。ここに、小泉=奥田路線の中心的攻撃としてある郵政民営化攻撃の位置と、それをめぐって全逓決戦が階級的大攻防となっている理由がある。
以上の時代認識を明確にした上で全逓決戦を闘うことが決定的に重要だ。
「イラク侵略戦争反対・米軍の拷問弾劾、自衛隊の即時撤兵、ACSA改定・有事7法案粉砕、改憲阻止、07年郵政民営化阻止、小泉政権打倒に総決起しよう」をスローガンに闘おう。
「07年民営化」掲げる中間報告に総反撃を
4月26日、小泉政権の経済財政諮問会議が「郵政民営化」についての「中間報告」(論点整理)をまとめ、小泉は同日「郵政民営化準備室」を発足させた。今秋に「最終報告」を決定し、05年の通常国会に民営化関連法案を提出するという。小泉が「改革の本丸」とうたってきた郵政民営化が、「2007年に民営化を実施」という具体的な方針として動き出したのだ。
同日、経団連・奥田が記者会見し、小泉改革を「相当高く評価している」として、「今後は、郵政民営化や道路公団民営化などの課題解決と、社会保障制度改革、地方のいわゆる三位一体改革に力を入れてもらいたい」と述べた。郵政民営化攻撃が、かつての国鉄分割・民営化攻撃と同様に、全逓労働運動を解体し、労働運動の解体と産業報国会化を進める攻撃の中心軸となったことを示している。
「雇用に配慮」とは首切りだ
中間報告は、冒頭に「郵政民営化は、明治以来の大改革であり、改革の本丸である」と強調している。そして、民営化により「経営の自由度を高め、既存の事業や組織の効率化と成長事業への進出の双方を積極的に進めることにより、収益を高めていく」と言う。
ここに、奥田ビジョンに貫かれている資本の利益のための弱肉強食、優勝劣敗の論理がむき出しとなっている。民営化とは、単に経営形態が変わるということにとどまらず、そうした資本の論理で、もうからないところは全部切り捨てていくことである。すでに民営化したNTTやJRを見れば明白だ。
具体的には、特に郵便事業については、「最大限の効率化が必要」と大合理化攻撃を宣言した。また、「世界に通用する総合的な郵便・物流事業」を掲げ、アジア市場に進出すべきだと言っている。これは、奥田ビジョンの「東アジア自由経済圏構想」に対応した、日帝の侵略政策だ。
さらに、「07年に民営化を実施」とし、「移行期間(5〜10年程度)を設ける」「移行期間においては、最終的な民営化の姿の実現に向けて出来ることは一挙に実施する」と言う。「07年の民営化までの期間を準備期間と位置づけ……この期間から民営化を視野に入れた戦略的取り組みを始めるべき」としている。
重大なことは、「雇用に支障を来さないようにする」「職員のモラールと労使関係の安定に配慮すべき」などと言っていることだ。これは大ウソで、国鉄の分割・民営化攻撃のようなすさまじい首切り・リストラ(=最大限の効率化)を狙っているのだ。そして、労働組合の団結と闘いを徹底的に解体しようとしているのだ。
民営化して利益を上げるためには、徹底した人員削減や賃下げが必要だ。1兆円を超える史上空前の利益を上げているトヨタ自動車の例を見ても明らかだ。
郵政公社では国家公務員の身分保障があるが、民営化でそれがなくなり、直ちに首切りが問題となる。「雇用に配慮する」とは、かつての国鉄分割・民営化の際に「一人も路頭に迷わせない」と言いつつも首切りを強行したことと同義語なのだ。ここに攻撃の核心がある。言葉にだまされてはいけない。
民営化論者の公社・生田路線
小泉に請われて就任した郵政公社総裁・生田は、もともと民営化論者である。現在行っているのは、民営化に向けた準備・対応=民営化攻撃そのものだ。
5月25日、郵政公社は初年度決算で当期利益2兆3020億円と発表した。新聞各紙は「財務ぜい弱変わらず」「収益力、リストラが課題」と評した。
記者会見で総裁生田は次のように言っている。
郵便については「黒字構造への転換ができたとは言えない。この1〜2年が勝負だ。黒字276億円は、人件費800億円削減を始めとした合理化によるもの。さらに踏み込んだ人員削減や郵便局の改廃が必要」。簡保については「運用利回りが予定利率を下回り約2兆円の逆ざやが生じた。株式の値上がりで有価証券評価益が1兆円となった」。郵貯については「国債価格の下落や外債の為替差損などで有価証券の評価損が4000億円に膨らんだ。2兆円を上回る黒字だったが、金融情勢に左右されるもので楽観できない。07年までに自己資本を約7兆円までに増やす計画の達成は困難」。
要するに、郵便などの黒字は、人件費削減=合理化によるものであり、これをさらに推進するということだ。また、このことは、@小泉政権と日帝経済の危機の中で、A郵貯・簡保資金がこげつき、B過小資本のため、郵便が独立してやれない――などの矛盾があり、民営化はそう簡単にできないことも示している。
郵政公社は、この中で三つの構想――@郵便・集配ネットワークの再編、A過小資本の解消、B運営コストの削減を軸に、07年郵政民営化に向けてさらに攻撃を強めようとしている。
具体的には、地域区分局の移転・統合、一般局・特定局の廃止・縮小・統合、日逓(郵便輸送会社)を始めとする輸送業務の再編と首切り、外務作業の見直し(軽四輪への切り替え)と勤務時間延長(10時間労働)、人件費=賃金引き下げ、本務者のさらなる削減と非常勤化、服務改悪と深夜勤勤務のさらなる推進などである。
生田は、民営化対応・推進で07年まで突き進もうとしている。連合全逓中央もそのことを十分承知の上で生田と一体なのである。
「経営基盤確立」求め屈服深める全逓中央
中間報告について、連合全逓中央は全郵政(郵政事業に関する労組政策協議会)との共同記者会見で「反対」を表明した。だが、それは「民営化会社のビジネスモデル」を打ち出していないことを問題視するというものだ。事業が成り立つ経営形態が示されれば「民営化賛成」だということが本音である。
これは、「民営化対応」の名のもとに労使一体となって推進している実質的な民営化攻撃を、さらに推進するということである。すでに昨年4月に郵政公社が発足して1年。「アクションプラン」に基づく1万7000人(03〜04年度)の人員削減、現職死亡をもたらしている深夜勤導入、トヨタ式生産方式(JPS)の拡大、大々的な非常勤化などだ。
連合全逓中央は、今旭川大会で、「JPU(日本郵政公社労働組合)」に名実ともに移行しようとしている。これは単に名称変更にとどまらない。労働組合としての全逓の全面解体であり、小泉・奥田―生田路線への全面屈服の宣言だ。2月中央委員会での「労使は公社経営を支えるパートナーであり運命共同体である」という路線をさらに突き進もうとしているのだ。
今大会の議案では、「雇用を守るための公社の経営基盤の強化を基本スタンス」とするとして、「雇用確保から雇用創出へ」を方針としている。「経営基盤の強化」とは、人件費削減=首切りであることは、すでに明らかだ。
実際、「集配ネットワークの再構築」を全面的に推進しようとしている。これは、郵便の深夜勤に続いて、集配でも、8時間労働制を完全に破壊する拘束12時間労働制を導入するものだ。書留から小包までの配達はおろか集荷や営業まで1人でやらせようというものだ。殺人的な労働強化であるばかりでなく、極限的な人員削減をもたらす。
東京では芝局と荻窪局の2局がモデル局となるという。典型的なビジネス街と住宅街で試行することで、どれだけの減員率が見込めるか、はじき出そうとしているのだ。これと一体で「人事交流」=強制配転も拡大しようとしている。すでに中央本部はこれに承認を与えており、今大会の議案に盛り込み、承認を取り付けようとしている。
全逓労働運動の解体と現場で働く労働者の生命と生活の破壊を極限的に進めようとしているのだ。
労組解体する「未来づくり」
その新たな方針が「私たちの未来づくり宣言」である。「自らの意識を『仕事をさせられる』意識から『仕事を創る』意識へと切り替え、主体的に仕事をとりくみます」など、現場の全逓労働者が認めるわけがない。“戦争に反対しない労働組合は労働条件も守ることができないし、労働者を守ろうとしない労働組合は戦争にも本気になって反対などしない”――これが、今現在の連合全逓中央の姿だ。現場の怒りで、全逓の名称変更=「私たちの未来づくり宣言」方針を否決しよう。現書記長の菰田が新委員長となる新体制を断じて許すな!
全国の闘う全逓労働者に訴える。郵政民営化反対、深夜勤即時中止、集配ネットワークの再構築反対、人事交流反対、定員削減反対、JP方式=郵政マル生・合理化反対、4・28反処分闘争勝利のスローガンを掲げて、大会闘争を闘い抜こう。
時代は帝国主義の危機の時代だ。頭を下げて済む時代ではない。この“戦争と大資本攻勢”に通用する労働組合・労働運動が求められている。
郵政民営化攻撃に対する「もうこれ以上我慢できない」という腹の底からの怒り、連合全逓中央への怒りが蓄積している。階級闘争の激動の時代に全逓労働者が、当局や腐敗した労働貴族=全逓本部に唯々諾々と従っていることはありえない。全逓労働運動の輝かしい闘いの伝統は、特に若い全逓労働者に受け継がれ、革命的魂になって階級闘争を牽引(けんいん)することは間違いない。
78越年反マル生闘争の爆発は、70年安保・沖縄闘争の大爆発とそれを引き継ぐ70年代階級闘争の高揚の中でかちとられ、日帝の階級支配を揺るがすような大闘争に発展したのだ。
4・28反処分闘争は、26年目の闘いに突入している。今こそ、4・28反処分闘争の勝利をかちとらなくてはならない。
国鉄労働運動と両輪で闘う
全逓労働運動は、一貫して国鉄労働運動とともに両輪となって日本階級闘争を牽引してきた。07年郵政民営化攻撃を前にして、今日再び階級闘争の先頭に躍り出た。15万全逓労働者に全幅の階級的信頼を置き、その階級的・戦闘的力を全面的に解き放ち、78越年反マル生闘争をはるかに超える大闘争を実現する時代が到来した。
小泉・奥田―生田路線を粉砕しよう。敵の陣営に階級移行した連合全逓中央を打倒し、闘う全逓の再生をかちとろう。
すべての全逓労働者は『前進』を読もう。闘う全逓労働者、とりわけ青年労働者は革共同に結集し、ともに闘おう。連合全逓中央を総罷免し、闘う指導部と路線を職場生産点からつくりあげよう!
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週刊『前進』(2153号2面2)(2004/06/14)
年金改悪強行採決弾劾する 際限ない負担増=大増税許すな
小泉の厚生年金加入は詐欺罪だ
6月3日、小泉政権は参院厚生労働委員会で年金改悪法案を強行採決した。野党の質問も封じ、抜き打ち採決に及んだ自民・公明の暴挙を徹底弾劾する。
年金未納・未加入が発覚した国会議員は100人を超えている。彼らに年金改悪案を決定する資格など毛頭ない。労働者人民の7割もの反対を押し切ってなされた強行採決を、小泉政権打倒への転機としよう。年金・社会保障制度をめぐる階級的激突は、いよいよこれから本格化するのだ。
小泉の厚生年金への偽装加入は許しがたい犯罪だ。小泉は、議員秘書時代から国会初当選後まで4年以上にわたり、勤務実態がないにもかかわらず「不動産会社社員」として厚生年金に偽装加入していた。「当選することが仕事と言われた。だから勤務実態がないとは言えない」などというふざけきった小泉の居直りには、我慢がならない。小泉のやったことは、まさしく詐欺罪ではないか!
年金制度から排除されている労働者は、今日ますます増えている。厚生年金への加入義務があるのに加入していない企業は80万社とも100万社とも言われる。派遣労働者やパート労働者の多くは、厚生年金への加入資格があるのに自腹を切って国民年金保険料を払わせられている。こんな無法をまかり通らせているのは、企業の保険料負担を皆無にしようとたくらむ奥田・日本経団連と、それと一体化した小泉政権だ。その小泉が、働きもせずに年金をだまし取ろうとしているのだ。こんな腐敗した政権は、労働者の決起で一刻も早く引き下ろすべきだ。
生存権を奪う給付減に怒りを
今回の年金改悪は、今後数十年にわたって続く保険料の大幅引き上げと支給額の徹底的な引き下げを一挙に決めてしまうものだ。実質的な大増税が年々続き、年金支給額は涙金に等しいものにまで削り取られる。
小泉政権はこれまで、@厚生年金の保険料率は現行の13・58%(労資折半)を段階的に引き上げ、2017年度以降は18・30%で固定する、A国民年金保険料は現行の月額1万3300円を段階的に引き上げ、17年度以降は1万6900円で固定する、と説明してきた。これだけでも、通常の労働者世帯の場合、7千円〜9千円の負担増が毎年続くすさまじい攻撃だ。
だが、実はそれさえ上限ではない。坂口厚労相は、「少子高齢化」の進展などによっては、さらに保険料を引き上げる、と公言し始めた。負担増は今後、際限なく続くのだ。
給付の削減にも下限はない。小泉は「年金支給額は現役世代の収入の5割を確保する」とうそぶいてきたが、それも真っ赤なウソだった。厚労省自身、独身男性の場合、65歳で初めて年金を受け取る時の給付額は現役世代の収入の36%、85歳になった時点でそれは29%にまで低下すると認めている。だが、これもあくまで試算値にすぎない。
今回の改悪の柱は、「マクロ経済スライド」なるものを導入して、削減幅を政府が勝手に決められるようにすることにある。給付額は今後、いくらでも削られる。これまで労働者から毎月毎月、保険料を取り立てておきながら、資本救済や官僚の特権維持のために積立金を食いつぶし、今になって給付の保障はできないとはどういうことか!
小泉はさらに、「年金破産」を逆手にとって消費税の大増税を策している。
賃下げにあえぐ現役労働者には一層の収奪がのしかかり、今でもぎりぎりの生活に苦しむ高齢者には命も奪うような年金削減が襲いかかる。こんな改悪は必ず覆さなければならない。
労働者を搾取してきた資本には、高齢者の生活を全面的に保障する義務がある。それもできず、イラク侵略戦争−北朝鮮(中国)侵略戦争に突き進むほかになくなった資本主義=帝国主義は、労働者階級の闘いで打ち倒す以外にない。
年金改悪への抑えがたい怒りを有事法案阻止に結びつけよう。6・10−6・13に総決起し、労働者の力で小泉を倒そう。
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週刊『前進』(2153号2面3)(2004/06/14)
5・18〜5・29
パート、派遣労働者が3割超に
賃金総額3年連続減/日本経団連、奥田会長を再任
●労働時間は増え賃金は減 厚労省発表の03年度毎月勤労統計調査(確報値)では、労働者数は6年連続減少、1人当たり月平均労働時間は8年ぶりに増加、賃金総額は3年続けて減少した。(18日)
●個別労働紛争相談件数が前年度比36.5%増 厚労省発表の03年度の個別労働紛争解決制度の施行状況によると、民事上の個別労働紛争相談件数は14万822件と前年度に比べ36.5%増加。(19日)
●民放労連、日テレ同行拒否で声明 首相秘書官が小泉北朝鮮訪問への日本テレビの同行取材を拒否したことに対して、民放労連は抗議声明を発表した。(20日)
●連合が小泉首相と政労会見 政府と連合のトップによる「政労会見」が開かれた。連合の笹森会長は自衛隊のイラク撤兵を要求せず、「国連中心主義」に基づく対応を主張した。(21日) 参考:連合の報道記事
●三菱自動車、7600人の首切り計画 三菱自動車工業は06年度までに岡崎工場での車体生産を終了することなど、労働者を30%(約7600人)削減するリストラ計画を発表した。(21日)
●国労組合員が国を提訴 JR採用差別事件をめぐり「政府が国際労働機関(ILO)に虚偽の情報を伝えた」として、国労組合員6人が国に賠償と謝罪を求める訴えを東京地裁に起こした。(24日)
●連合組合員の投票拒否浮き彫り 連合総合生活開発研究所発表の「勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート」結果によると、昨年の衆議院選挙で投票した労働組合員の割合は63.2%で、非組合員の67.5%を下回った。(25日)
●過労による「精神障害」労災が増加 厚労省が03年度の「脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況」を発表。過労による「精神障害」の労災請求件数は前年度から97件増え(28.4%増)438件に達した。このうち121人が自殺(未遂を含む)。(26日)
●日本経団連総会、奥田会長を再任 日本経団連は定時総会を開き、奥田会長を再任した。(奥田あいさつ要旨は別掲)(27日) 参考:奥田あいさつ、総会決議
●不安定雇用31.5% 総務省発表の今年1−3月の労働力調査(詳報)によると、パート、派遣社員など非正規社員の割合が31.5%と調査開始以来最高に。(28日)
●4月の完全失業率、前月と横ばい 総務省発表の労働力調査(速報)によると、4月の完全失業率(季節調整値)は前月と横ばいの4.7%。厚労省発表の4月有効求人倍率(季節調整値)は0.77倍で5カ月連続同水準。(28日)
●最高裁、労働審判員1000人を選任へ 最高裁は労働審判制度の新設に向け、1000人の労働審判員を来年秋に選任する方針を固めた。日本経団連や連合など労使に協力を求める。(29日)
日本経団連総会での奥田あいさつ・決議など
■春闘のあり方
これまでの賃上げを中心としていた春季労使交渉を……経営諸課題について、広範な議論を行う場とするなど、そのあり方を見直すことができた。
■FTA交渉
メキシコとの実質合意をはかる。韓国、タイとの正式交渉を開始する。
■社会保障
年金、医療、介護など社会保障制度を財政、税制とともに抜本的に改革する。
■労働法制
ホワイトカラー・イグゼンプションを導入する。
■「国の基本問題検討委員会」新設
イラク問題やテロなど最近の諸情勢を背景に、国のあり方や憲法問題、安全保障問題などを経済界としても検討する。
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週刊『前進』(2153号3面1)(2004/06/14)
自治労中央委 行動求め本部批判が噴出 「有事法廃案」の声相次ぐ
5月27〜28日の両日、東京・豊島公会堂で自治労第129回中央委員会が開催された。当面するACSA改定・有事7法案とイラクへの自衛隊派兵などに対する自治労中央の対応に批判が相次いだ。
「廃案」答弁も本音は賛成だ
自治労中央は、中央委員会に先立ち、4月14日の自治労見解に続いて、5月20日に「有事関連7法案の衆議院通過についての自治労見解」を発表した。必死に賛成と推進の本音を押し隠そうとしているが、4・14見解で国民保護法案には事実上賛成する方針を打ち出しており、衆院通過に賛成した5・20連合・草野事務局長談話にも、自治労中央は賛成したのだ。
中央委の議案でも、国民保護法案について「徹底審議を求め」となっており、廃案方針ではないのだ。
これに対して、冒頭から本部が断固闘う方針を出すことを求める発言が相次いだ。
「5月14〜16日の沖縄平和行進、16日の1万6000人による普天間包囲行動で、基地返還の決意を固めた。中央本部と47都道府県本部長が参加した。96年SACO合意による普天間の辺野古への移管は基地機能強化になる。辺野古でボーリング調査の試みがあったが、座り込みで阻止している。辺野古基地建設は、今後15年間、普天間基地を固定化するということ。県内移設なき普天間返還めざして、宜野湾の伊波市長とともに闘おう」(沖縄)
「自治労の国の基本政策検討委員会で何を検討されるのか。自衛隊が一日も早くイラクから撤退することが必要。自治労は憲法9条を守ることを明確にせよ。平和に暮らす権利を奪っているのは自衛隊のイラク派遣」(静岡)
2日目も、「4・14自治労見解は国民保護法制に反対ではないと言っている。有事に国や軍隊は国民を守らない。断固反対と表明せよ。小沢・横路合意の国連待機部隊構想は9条改悪につながる。反対せよ」(秋田)と突き上げた。
こうした意見に圧倒されて、本部答弁で「有事7法案は、廃案の可能性が出てきたので参議院で全力で廃案を目指す」と口走った。「廃案」をめぐって特別決議を出すかどうかで押し問答の末に結局、「中央委員会宣言」には、「自衛隊のイラク派遣と有事関連7法案衆議院通過など、なし崩し的な集団自衛権行使の動きに反対」(第6項)の一文を入れたものの、けっして「廃案」と明記しなかった。
国民保護法案に関しても「反対」と答弁しながら、「可能な限りチェックする付帯決議をつくった」と民主党の「修正案」を評価した。本音は「賛成で推進」なのだ。国民保護法案だけでなく、7法案・3条約協定の全体に賛成しているのだ。
参院国会闘争を訴えて決起
こうした自治労中央の反動方針に対して、全国労組交流センター自治体労働者部会に結集する組合員は、参院国会闘争への決起を訴えて、中央委員会内外で行動を組織して闘った。「4・14自治労見解」を徹底批判したパンフレットは、例外なく中央委員や傍聴者に受け取られた。
組合員の中央不信は極点に
6月4日には経済財政諮問会議が「骨太方針W」を出すが、三位一体改革方針に基づく税源移譲の縮小で地方財政は危機的となる。公務員の制度的賃下げは必至である。大民営化により公務員の雇用は保障されない事態に入り、すでに分限免職攻撃が多発している。資本の側が「闘う日本経団連」を掲げている時に、自治労中央委員会の基調から「闘う」という言葉がまるでなくなっている。これに対する組合員の危機感を反映し、中央委員からも「本部の文案にはまったく危機感がない」と指摘されるありさまだ。
今回の中央委員会で自治労中央(主流派=民主党系)は、39億円不正経理に端を発する本部への批判と不信をかわして、自治労の影響力の低落に区切りをつけ、連合内での発言力を回復したいとの狙いがあった。すでに人見委員長の連合会長代行就任が内定している。そして、「参議院選挙への総決起の場」とすることにあった。
そのために一方で、反対派県本部の批判を封殺するために、機関会議を「効率化」して、組合員と中央との距離を広げようとした。定期大会の地方開催自粛を解除し、来年8月の定期大会(2年に1回の基本大会)から実施するが、06年以降の中間年大会の規模は圧縮する。青年部・女性部・現業の各総会も1日の開催に縮小する。
他方で、組合員の激減に対して、公務公共サービス産別形成にかじを切る。すでに吸収合併した全競労に続き、全国一般、都市交、全水道の併合の道筋をつけようと会合を重ねている。大民営化攻撃に反対せず、膨大な不安定雇用を固定化し、そのまま組合員に取り込もうとする戦略なのだ。自治労の「血の入れ換え」をしようというのだ。
しかし、大民営化・賃下げ攻撃と闘わない自治労中央に対する批判と不信は極点にまで達している。
昨年の定期大会で新綱領「21世紀宣言」をいったん否決に追い込んだ闘いをふまえ、自治労中央を打倒し、闘う自治労を再生しよう。8月定期大会へ向けて、その課題を突き出した中央委員会となった。
自治労中央の参議院国会闘争からの逃亡、有事関連7法案・3条約協定の容認を許さず、6・10、6・13集会に結集しよう。
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週刊『前進』(2153号3面2)(2004/06/14)
三一闘争 岡部社長宅に抗議 船橋デモに100人が決起
5月22日、千葉県船橋市において、三一書房争議支援共闘会議・三一書房労組を支える会・三一書房労組の共催で「三一書房争議の勝利解決をめざす船橋夏見台昼デモ」が100人の結集で闘われた。動労千葉を始め労組交流センターの労働者も支援に駆けつけた。
このデモは、争議発生時から組合つぶしを主導してきた会社乗っ取り屋の岡部清が昨年6月に三一書房の社長に就任し、ついに表舞台に浮上してきたことから、岡部社長への抗議と団交要求の行動として闘われた。
正午にJR船橋駅北の天沼弁天池公園に集まり、集会を行った。出版労連の岩波書記長が主催者あいさつを行い、支援共闘会議の構成団体であるMIC(日本マスコミ文化情報労組会議)と文京区労協の代表が決意表明。地元船橋の労働者も支援に駆けつけ、船橋労連の千葉土建の青年労働者がともに闘う決意を語った。
争議組合を代表して、出版労連傘下の派遣労働者が、不当な雇い止め解雇に直面して「がく然とした。こんな理不尽なことは許せない」と解雇撤回闘争に立ち上がった気持ちを語り、感動を呼んだ。
集会決議を三一労組の小番書記長が読み上げた。小番さんは昨年12月の東京地裁の不当な社屋明け渡し判決をはね返して闘いぬいている勝利の地平をがっちりと提起し、岡部清を追いつめて争議の勝利的解決を実現する決議を提起し、全体の拍手で採択した。続いて、三一労組の三角委員長が岡部宅への抗議闘争の位置づけと具体的行動方針を提起した。
さあ、いよいよデモに出発だ。駅の北側にある新興住宅地の岡部宅まで3`弱のコースを元気よくデモを行った。周囲の注目はものすごい。スーパーに働く労働者も飛び出してきて注目している。約1時間のデモの後、岡部宅のあるマンション前の公園でデモ隊が待機する中、代表団が岡部宅に抗議の申入書を持って訪問したが、岡部は逃げ出していて不在だった。参加した労働者は公園から岡部宅に向かって徹底的に弾劾の声をたたきつけた。
明け渡し控訴審勝利と、中労委勝利命令をかちとり、「解雇撤回・原職復帰」をめざして闘う三一書房争議の勝利へともに闘おう。
(投稿/東京・A)
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週刊『前進』(2153号3面3)(2004/06/14)
“石原の暴走とめよう” 被処分者ら 都教委包囲ネット結成
5月22日午後、東京・星陵会館において、「石原・横山都教委の暴走をとめよう! 都教委包囲ネットワーク結成集会」が開催され、教育労働者を先頭に約210人の労働者、市民が参加しました。教育基本法改悪に反対する教職員と市民の会、「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会、「君が代」不起立嘱託員・講師被解雇者の会など、「日の丸・君が代」攻撃と闘う14団体が共催したものです。
石原と都教委の激しい攻撃に抗して、教育現場で闘う教育労働者が一堂に会して行われた集会は、“石原に好き放題にやらせておくわけにはいかない”という怒りと決意、そして熱気に満ちあふれていました。
「『君が代』斉唱時の起立、斉唱、ピアノ伴奏の義務不存在確認訴訟」に立ち上がった予防訴訟をすすめる会。周年行事や卒業式の不起立を理由に処分を受けた都立高校の教育労働者と被解雇者。卒業式の「威力業務妨害」の容疑で自宅に不当捜索が行われた元高校教員。小中学校で闘う教育労働者。性教育の実践や「君が代」不起立を理由に処分された養護学校の教育労働者。「日の丸・君が代」強制と闘う保護者。東京以外からも、神奈川、千葉、埼玉の教育労働者がアピールしました。
「都高教がなんら闘わない中で、予防訴訟が大きな闘いの陣地をつくった。多くの人が『私は職場では1人だが、予防訴訟の仲間がいたから座ることができた』と言っている。この闘いには絶対に負けられない。勤評以来の全国闘争をつくり出して闘おう」、「『戒告処分3〜4回で免職にされる』といううわさに悩んだが、向こうが厳しい攻撃をしてくるなら倍返しにしてやるぞ、と座った。戦争に向かう道を止め、明るい未来が開けるまで頑張ろう」、「教基法改悪反対の闘いは単にスローガンに『反対』と掲げることではない。この集会に参加している『日の丸・君が代』と闘う人たちこそ、教基法改悪に反対する核心的な部隊です」という発言など、勝利の展望を力強く訴える発言が続きました。
東京に先がけて大量不起立処分と闘ってきた広島県教組の組合員や北九州でココロ裁判を闘う教育労働者からも、連帯あいさつが寄せられました。
そして「都教委を包囲し、その政策を変え、被処分者の処分の撤回を求める大きな運動を全都・首都圏でつくり迫っていくためのネットワークをつくろう」との提起を受け、「都教委に対する新たな大きな反撃が、今始まります。私たちは今後、組織や意見の違いを乗り越え連帯の輪を広げ、都教委の暴走を止め、教職員の人権と子ども達の未来を守るため、共に奮闘し合うことをここに宣言します」という『結成集会アピール』が採択され、「東京都教育委員会の暴走を許さない!ネットワーク」(略称「都教委包囲首都圏ネットワーク」)が結成されました。
最後に今後の行動について、「学校に自由の風を!6・12集会」への参加、都教委に抗議のFAXや電話を集中すること、昨年10月23日の都教委「通達」の撤回を求めて署名運動に取り組み、提出行動に立つこと、8月30日に都教委包囲デモを行うことなどが提起されました。
10・23「通達」で処分の脅しをかけ教育労働者の抵抗を封じようとした石原と都教委にとって、処分に屈せず300人を超える教育労働者が闘いぬき、250人近い処分を出さざるをえなかったことは、敗北の表明です。どんなに石原や横山が居丈高に振る舞おうとも、労働者が不退転の決意で立ち上がった時には無力です。この東京の闘いを大きく全国に広げましょう。
(投稿/東京 君村千佳)
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週刊『前進』(2153号3面4)(2004/06/14)
追悼 中村栄一書記長
『日刊動労千葉』から 国鉄千葉動力車労働組合
動労千葉の中村栄一書記長が、5月15日朝、急逝された。謹んで哀悼の意を表します。現職の運転士として非専従の書記長に2001年10月に就任して以来、動労千葉の闘いの先頭に立ってこられた中村書記長。本紙2148号(春季特別号)に掲載した「動労千葉三役に聞く」の取材に応じていただき、04春闘勝利の画期的な成果と今後の決意をうかがったばかりでした。中村書記長の遺志を継ぎ、哀しみの中から団結を強化して闘う動労千葉に学び、階級的労働運動を再生させるためにともに闘うことを心から誓います。『日刊動労千葉』5881号(5月20日付)に掲載された動労千葉の追悼文を紹介します。(編集局)
5月15日朝、中村栄一書記長が突然自宅で倒れ、帰らぬ人となりました。享年44歳。くも膜下出血でした。
あまりに突然の訃報に言葉を失いました。書記長に就任して3年目、いよいよこれからだというのに。あんなに輝いていた栄一がなぜこんなに早く……。未だに信じられない思いで、組合員は哀しみの底に沈んでいます。
中村書記長は、動労千葉にとって本当にかけがえのない仲間であり、新世代のリーダーでした。
彼が動労千葉に加入したのは、1990年1月。国鉄分割・民営化が強行されてから3年が経ち、JRへの採用を拒否されて清算事業団に送り込まれた7千名余りの仲間たちの二度目の不当解雇が迫る最中のことでした。
1月18日に予定されたストライキを前に、当時中村君が所属していた国労内では、現場の組合員と地方本部、東日本エリア本部の間で激論が続いていました。「スト指令さえ下ろしてくれれば処分されてもいい。犠救もいらない。だからスト破りだけはさせないでくれ!」。連日連夜にわたる必死の訴えにも係わらず、その声は通じませんでした。17日深夜、彼は8名の仲間たちとともに国労と決別し、動労千葉に結集。千葉運転区支部のろう城先に駆けつけてくれたのです。彼は、そのときのことを「とめどもなく涙が流れてた」と語っていました。
以降、組合員から絶大な信頼を集め、たちまち動労千葉の団結にとって、なくてはならない中心的な存在となって頭角をあらわしました。
1995年10月に本部執行委員、そして2001年10月には本部書記長に就任し、組合員の期待を一身に背負って、全身全霊を捧げて組合員を牽引(けんいん)し続けたのです。
動労千葉にとっては初めての「非専従の書記長」という重責を引き受けてから二期3年目に入り、誰からも信頼を得て、いよいよこれからというときでした。
彼は、親分はだで本当に人情に厚い男でした。自分の身を削ってでも仲間を大切にし、そのためには迷わず火の中にも飛び込むような男でした。「仲間が大切だから俺は動労千葉に生命をかけている」と言い切る男でした。誰に対しても熱く、激しく真正面から向き合う人でした。そして物事の本質をするどく見抜く素晴らしい感性の持ち主でもありました。接する人をたちどころに引き込んでしまうような魅力をもった人間でした。
定年間際の組合員の配転をきっかけとして大闘争となった04春闘の決起集会で、「俺はこの闘いで首を覚悟して先頭にたつ決意をしている。仲間を守るために頑張ろう」と、仁王のように組合員に訴えていた姿が今も目に焼き付いています。彼は、文字通り全人生を動労千葉に捧げ、労働者の団結にかけて闘いぬいたのです。
また彼は、動労千葉とともに闘う仲間を心の底から大切にし、各地から多くの労働者が結集してくれることを心から喜んでいました。動労千葉を支援する会の会合や労働学校には必ず参加し、終了後に酒を酌み交わしながら、夜遅くまで語り合うことを楽しみにしていました。
中村書記長は、全身全霊をかけて組織拡大を実現するために奮闘していました。04春闘の総括でも彼は「やり残した最大の課題は『平成採』の獲得。だけど可能性は絶対ある。労働者としてどう生きるのかを問い、仲間として一緒に闘っていこうと訴えよう」と組合員に提起し、自らその先頭にたっていました。
自分にも絶対に妥協を許さなかった彼は生き急ぎすぎたのかも知れません。乗務をしながら書記長という要職を務め、そして仲間とのつき合いを何よりも大切にした彼は、無理をしすぎていたのかも知れません。改めて残念至極です。
しかし、残された私たちは、この悲しみに打ちひしがれていることはできません。彼も常に訴え続けていたとおり、すでに動労千葉は死活をかけた闘いに突入しています。そしてわれわれは今春闘や、昨年11月集会での国際連帯闘争の実現に示されるように、新たな地平を築きあげようとしています。戦争と大失業の時代にたち向う不屈の団結を一層固め、彼の思い、志なかばにして倒れた彼の無念を引き受けて私たちが代わりに達成することこそが彼の供養となるただひとつの道です。
中村書記長は不帰の人となりましたが、永遠にわれわれの仲間であり、これからも天国から私たちの闘いの戦列に加わり、スクラムを組み続けるでしょう。
ご遺族の皆様の悲しみはいかばかりか、心情を察するに余りあります。これからも後顧の憂いの残らぬよう、全組合員が一致協力して、残されたご家族を支えてゆく所存です。
書記長、栄一、お前の遺志は絶対俺たちが引継ぐ。その決意をもって、最後のお別れの言葉とします。
2004年5月17日
国鉄千葉動力車労働組合
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週刊『前進』(2153号3面5)(2004/06/14)
イギリス
民営化後最大のストへ
鉄道の「再国有化」求め
全土ストップへ
イギリスの鉄道労働者が、全土の鉄道をストップさせかねない大鉄道ストライキに突入しようとしている。
民営化後、非営利会社としてイギリス全土の線路の管理・保守、信号業務、駅業務を管理してきたネットワーク・レール社(従業員3万人)の労働者が5月20日にスト権を確立した。さらに続いて、この動きと連携して共同スト行動を行うためにロンドン地下鉄でもスト権投票が始まっている。
この二つの鉄道でストライキが行われれば、民営化後10年にして初めての大鉄道ストになると言われている。
ネットワーク・レール社は、2万1千マイルの線路を保有し、26の幹線を維持し、2500の駅を所有・管理している。全国の信号も管理運営している。ロンドン地下鉄は9000人の労働者が働く首都の交通の大動脈である。したがって、この二つのストの影響は巨大なものとなる。
ネットワーク・レール社の労働者のうち、RMT(鉄道・海運・運輸労働組合、ボブ・クロウ委員長)所属の7000人のメンテナンスと信号労働者、駅勤務労働者は、「賃上げ、年金制度の改悪反対、交通費旅費手当要求」などを要求して、スト権を確立した。すでにRMT本部は、地域の組合代表と協議して、いつどのような規模のストライキ闘争に入るかについて検討していると言われる。
他方、運輸従業員協会という別組合に所属する2000人の駅勤務労働者と事務労働者もスト投票を行う予定である。
労働条件の悪化
この間の会社側との交渉の過程で、労働者側は物価の高騰に見合った大幅賃上げを要求しているが、会社側は史上最低の3%賃上げを提示してきた。
さらに会社は、これまでの年金制度を新規採用者には適用せず、不利な年金制度を強制しようとしてきている。
これに加えて、96年4月1日の民営化以後に入社した労働者については、全鉄道料金の75%割引(年間20回までの鉄道利用については無料)と、40■までの通勤に使用する鉄道料金の無料化など、これまで鉄道労働者がかちとってきた既得権を剥奪(はくだつ)する措置を取ることを発表した。
いずれも、労働者に犠牲を集中して財務を改善しようとする攻撃である。特に遠隔地から職場に通う労働者にとっては交通費負担の増大は大きな問題だ。同時にこれらの措置は、労働者の間に2層化された労働条件を持ち込むことで、労働者間の分断を策するものでもある。
事故死が最多に
これに対し、RMTの労働者を軸に鉄道労働者の怒りが爆発している。
イギリスでは96年に鉄道が民営化されて以降、事故や労働事故が多発した。03年には鉄道労働者の事故死がこの13年間で最多になった。03年1年間で8人の鉄道労働者が事故死し、350人が重傷を負っているのである。
これらは鉄道の分割・民営化によって鉄道が細分化され、営利追求が強化されたために、労働者の安全確保が軽視された結果なのである。
労働者は分割・民営化に怒り、そのもとでの労働条件のさらなる悪化に激しい怒りを爆発させて、ストライキに決起しようとしている。
鉄道労働者は安全確保のためにも鉄道の再国有化を要求している。しかしブレア政権は、保守党政権のもとで行われた分割・民営化をやめて再国有化する意思はまったく持っていない。したがってこの闘いは、必然的にブレア政権と鉄道労働者の真正面からの衝突に発展するであろう。
(丹沢 望)
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週刊『前進』(2153号3面6)(2004/06/14)
命脈尽きた帝国主義と闘うため絶大なカンパを
すべての『前進』読者の皆さん、支持者の皆さん。夏期一時金の支給時期にあたり、革共同に絶大なカンパをお寄せいただくよう、心から訴えます。
今、終盤国会では、有事関連7法案・3条約協定、年金改悪法案を始め、とてつもない悪法が審議の山場を迎えています。ACSA改定などで米英軍と一体でイラク侵略戦争の継続・激化に踏み込み、北朝鮮(中国)侵略戦争を準備する有事法案を絶対に阻止しなければなりません。
年金の破綻(はたん)を口実として、保険料の引き上げ(事実上の大増税)と年金支給額の大幅カット、そして消費税を18%にまでアップしていくことなど、断じて認められません。
革共同は、「有事」「年金」に対する労働者階級人民の怒りの闘いの先頭に立ち、なんとしても廃案に追い込む決意です。
こうした中で、なんと4分の1の企業が史上最高の収益を上げ、その最大の理由が「賃金デフレの加速」と言われています。この間の終身雇用制解体、首切り、リストラ、賃下げにより、労働者に犠牲を集中することによって業績を上げたということです。冗談じゃない。
この「戦争と生活破壊」の我慢のならない攻撃に対して、既成野党と連合・全労連の労働運動の指導部は完全に屈服しています。
しかし他方で、連合・全労連といったナショナルセンターの枠組みを越えた新たな労働運動の胎動、大きな地殻変動が始まっています。3・20イラク反戦国際連帯闘争での日比谷公園6万人の結集に表されたように、労働者人民の怒りの闘いが巻き起こっています。
労働者を食わせていくこともできなくなった帝国主義支配階級に対して、労働者階級の地の底からわき上がるような怒りが巨大な闘いとなって巻き起ころうとしています。日本の労働運動は、89年の総評解散・連合結成以来最大の大再編と大流動の時を迎えたのです。
今この時、求められているのは、戦時下の階級闘争を責任を持って闘いぬく労働者の党の登場です。革共同はこうした時代のために、結党以来の幾多の試練をくぐりぬけて闘いぬいてきました。腐り果て命脈の尽きた帝国主義の支配をうち砕くプロレタリア革命の勝利をめざして闘い、労働者人民の新たな未来をともに築きましょう。
これまでの革共同への支援に心から感謝しつつ、今夏のカンパをぜひ従来の「倍額」で拠出していただくよう心からお願いします。
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週刊『前進』(2153号4面1)(2004/06/14)
自衛隊撤兵・多国籍軍派兵阻止・有事法案絶対粉砕を!
イラクで集団的自衛権を行使 ACSA改定と「捕虜取扱」関連法・条約案の重大な狙い
有事関連7法案と3協定・条約承認案が、野党の総屈服の中で、国会でまともな議論もされないまま衆院を通過し、今まさに参院での採決が狙われている。有事法案成立阻止は、イラク反戦闘争の課題そのものだ。自衛隊をイラクから撤兵させる闘いと一体で、有事立法廃案へ全力で闘おう。6・10―6・13闘争に決起しよう。
「後方支援」口実に多国籍軍に参戦へ
今国会に提出されている有事関連法案は、次のとおりである。
▲有事7法案
@国民保護法案
A米軍行動円滑化法案
B自衛隊法改悪案
C交通・通信等利用法案
D外国軍用品等海上輸送規制法案
E捕虜等取り扱い法案
F国際人道法違反行為処罰法案
▲3協定・条約承認案
@日米物品役務相互提供協定(ACSA)改定案
ABジュネーブ条約2追加議定書承認案
繰り返し強調してきたように、この有事法案は、@米英日のイラク侵略戦争とアフガニスタン侵略戦争を継続・激化・拡大するものであり、A北朝鮮・中国侵略戦争を準備し発動するための侵略戦争法案である。
だから4・14自治労見解のように「国民保護法だけはいい」と賛成したり、社民党・日本共産党のように国会で「ジュネーブ条約2追加議定書承認案だけは賛成」という立場をとることは、日帝の戦争体制づくりに屈服・協力するものである。
イラク人民の不屈の闘いで、米英帝のイラク占領は決定的な危機を深めている。その米英軍を支える最大の柱が今や日帝・自衛隊である。6月末のペテン的「主権移譲」後には、自衛隊は多国籍軍に参加しようと策動している(米軍はすでに一方的に「多国籍軍」を立ち上げ、自衛隊もそこに加えている!)。「米軍の輸送支援」などと称して、日米共同作戦と集団的自衛権の行使に突入しようとしているのだ。そのために今国会で有事関連法案をすべて成立させようとしているのである。
第一に、ACSA改定と自衛隊法改悪によって、イラクにおける日米共同作戦が飛躍的に拡大する。それは、米軍と自衛隊の物品・役務の相互提供の範囲が広がり、基地支援(基地警備)、空港・港湾業務、基地の相互利用などができるようになるからだ。
すでにこの間、航空自衛隊は武装米兵の輸送支援などを行って、在沖海兵隊のファルージャ攻撃などを決定的に支援してきた。「主権移譲」後は陸上自衛隊による陸路での「輸送支援」などにも、支援任務を拡大しようとしている。これはサマワのみならず、バグダッドその他イラク全土に自衛隊の活動範囲が拡大することになるし、さらに輸送過程では戦闘部隊としてイラク人民に銃を向け、戦闘を行うことになるのである。「米軍への後方支援」の形を取って、日帝・自衛隊自身が戦闘行動をやろうとしているのだ。
また自衛隊法改悪案で、平時から自衛隊施設内の米軍に物品・役務を提供できるようにしたことも、イラク・アフガニスタン侵略戦争の継続・激化・拡大の決定的な攻撃である。米軍自身が「(日米両軍が)一緒に訓練し、一緒に出兵し、一緒に生活することが可能になる」(米太平洋軍海兵隊司令官グレグソン中将)という方向で共同使用の基地を増やし、日米共同作戦を一段と強化・緊密化しようとしているのだ。
沖縄や北富士を始め日本で訓練した米軍・自衛隊がイラクやアフガニスタンへ派遣されていること、今や日本がそのような全世界的な米日帝国主義の侵略戦争の出撃拠点となっていることを、反戦闘争の巨大な爆発で絶対に粉砕しよう。
国際戦争ルールの確立に躍起の小泉
第二に、捕虜等取り扱い法案、国際人道法違反行為処罰法案、ジュネーブ条約2追加議定書承認案などの重大性である。これは日帝・自衛隊がイラクやアフガニスタン、北朝鮮で本格的な侵略戦争をやろうとしていることを示すものである。
戦場で捕虜を拘束したり抑留したりする場面に直面することが現実の問題となってきたからこそ、国際的な戦争ルールへの加入が迫られているのである。また、国際的な戦争ルールに従って“合法的”に戦争を行うことを国の内外にアピールして、多国籍軍に本格参戦しようとしているのである。
ジュネーブ条約や追加議定書は、帝国主義国家にも、新植民地主義体制諸国や民族解放勢力にも、戦闘方法・内容などで同じルールを適用することを前提にしている。だが、実際には、これは軍事力で圧倒的に強大な帝国主義が、この戦争ルールを自らは踏みにじって侵略戦争を行い、これと闘う被抑圧国人民から闘いの武器を奪い取ることを可能にするものである。
たとえば、第2追加議定書では、テロや人質をとることを強く禁じているが、これは帝国主義の圧倒的な軍事力と対抗する被抑圧国人民のぎりぎりの抵抗手段をも一切奪い去ろうとするものである。まさにジュネーブ4条約・2追加議定書は徹頭徹尾、民族解放闘争の圧殺と帝国主義の侵略戦争の立場に立ったものでしかないのである。
しかも、帝国主義はこんな戦争ルールなどまったく意に介さないで戦争を進める。たとえば捕虜の待遇に関するジュネーブ条約では、「捕虜は常に人道的に待遇しなければならない」「報復措置は禁止する」「捕虜からいかなる種類の情報を得るためにも、肉体的または精神的拷問その他の強制を加えてはならない」としている。
だが、この間暴露されたように、米英軍は拘束イラク人やアフガニスタン人民に組織的に拷問・虐待を繰り返し、獄中で命までも奪ってきたのである。
これだけではない。第1追加議定書の第3編では、「余分の危害または不必要な苦痛を生じさせる兵器・投射物および物質」「自然環境に対して広範な、長期のかつ重大な障害を生じさせることを意図した……戦争の方法」を一応は禁止している。さらに、第4編では「民間物と軍事目標とを区別しなければならず」「一般住民そのものを攻撃の対象にしてはならない」としている。
だが、米英がこの間、現実にやってきたことはなんなのか。大量の劣化ウラン弾でイラク全土を半永久的に核汚染し、子どもたちやイラク人民に被ばくによるガン・白血病などを強制しているではないか。残虐なクラスター爆弾を大量に使用し、多くの一般市民を無差別に虐殺しているではないか。
以上を見たとき、2追加議定書や捕虜等取り扱い法案など自身が、日帝がイラク侵略戦争を一層激化・拡大し、さらに北朝鮮侵略戦争や世界戦争へ参戦していくための道具立てであることは明らかである。
ところが日本共産党と社民党は、あろうことか衆議院でジュネーブ条約2追加議定書承認案に賛成した。断じて許されない。
たしかに、国会では野党が無力化し、まともな討論さえ行われない状況だが、情勢を根底で決定づけるのは、労働者人民の闘いである。有事立法を粉砕し自衛隊をイラクから撤兵させるために、反動国会を吹き飛ばす勢いで闘おう。陸海空港湾労組20団体と連帯して闘おう。6・10集会、6・13闘争に総決起しよう。
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週刊『前進』(2153号4面2)(2004/06/14)
「在留資格取り消し」と「出国命令制度」新設 入管法改悪を弾劾する
5月27日、衆議院本会議で入管法(出入国管理及び難民認定法)改悪案が可決・成立した。
今次入管法改悪こそ、イラク侵略戦争に参戦した日帝・小泉政権が「テロ・ゲリラ」対策を掲げて強行した戦時入管体制への大転換である。具体的に日本国内で「9・11」が起こること、朝鮮半島から大量の難民が渡航することを想定しているのだ。怒りに燃えて徹底的に弾劾する。
さらにこの5月、アルカイダのメンバーであるとして昨年末ドイツで逮捕された容疑者の日本での足跡が大々的に報道され、その「関係者」に対する入管法違反でのデッチあげ逮捕・家宅捜索が続いている。改悪入管法は、すでに先行して実施されているのだ。
今次入管法改悪は、「在留資格取り消し」と「出国命令制度」の新設を柱としている。在日外国人を「生活実態調査」によって日常的な監視下に置き、どんな在留資格をもっていようといつでも「在留資格取り消し」にするというのだ。
また法外状態の外国人が「自主出頭」した場合、再入国拒否期間を1年に短縮する「出国命令制度」の新設も、利益誘導を図ってより効率的で迅速に強制退去させるのが狙いだ。
昨年来、「推定25万人の不法滞在者を今後5年間で半減させる」と、恐るべき外国人摘発・退去強制攻撃が吹き荒れている。「不法滞在者」には懲役・罰金などの厳罰で臨むとして、今回、罰金額の上限が現行30万円から300万円(10倍!)に引き上げられた。再入国禁止期間も現行の5年から10年に延長された。
「難民認定制度の見直し」と言われる「60日ルールの撤廃(入国から60日以内しか難民申請を受け付けなかった)」「仮滞在制度創設」「難民審査参与員制度の導入」なども、最終的には法務大臣の裁量で決まることに変わりはない。
改悪入管法は、有事7法案・ACSA改定案、北朝鮮船を対象とした特定船舶入港禁止法案などと一体の外国人弾圧法である。しかも小泉はあえてこの時期に訪朝し侵略戦争外交を行ったのだ。
闘う在日朝鮮人・中国人、外国人労働者、ムスリム人民と連帯し、有事法案粉砕、改悪入管法・戦時入管体制粉砕へ闘おう。
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週刊『前進』(2153号4面3)(2004/06/14)
港を戦争拠点にするな 自治体港湾の現場から
「対テロ」掲げ国が介入強化 市民排除や船舶入港禁止も
来日外国人への「水際対策」
日本の港で現在、何が起こっているのか。
一つ目として、「水際対策」が強化されるようになったことが挙げられる。
港ではアジア―中東系の人びとが多く働いている。港からは中古車が多く輸出されている。数年前、アラブ首長国連邦のドバイに中継基地がつくられ、世界の中古車が集まるようになった。そこで中東―アジアの人びとが中古車その他の貿易のために港に来ている。
他方、どの港でも釣りが盛んに行われている。「港を市民の施設に」と言われて、市民が自由に港に来ている。国土交通省も「市民に親しまれる港づくりを」と言ってきた。
ところが「水際対策」が叫ばれるようになり、「港湾は国境である」と強調され様相が一変しつつある。
「来日外国人への対処」を目的として東京湾水際対策連絡協議会がつくられた。警察、海上保安庁、出入国管理局、税関などが東京都や神奈川県、千葉県などの自治体に働きかけ、連絡をとりあっている。
「港にいる外国人の中に密輸にかかわる者や、不法滞在者がいる」と吹聴し、外国人が多く集まる所を危険視している。飛躍して言えば、港にアルカイダがいるかもしれないと考えているのだ。
横浜港で5月21日、「テロ上陸阻止」を掲げ、テロリストが客船でやってきたらと想定する水際危機管理対応合同訓練が行われた。海保、警察、税関など関係機関180人が参加。横浜港の港湾危機管理官(横浜海上保安部長)と官民の港湾関係者による横浜港保安委員会が共催した。船内検疫・検索、テロリスト逮捕、不審物処理の訓練を警察、海保、入管、税関が連携して行った。同様の訓練は東京港でも行われた。
国家暴力機関が港湾管理を主導し、自治体をわきへ追いやりつつあるのだ。
港にフェンスと監視カメラ
二つ目には、さまざまな「保安施設」がつくられつつあることがあげられる。
政府は、港にフェンス、監視カメラなどの保安施設を張り巡らせよ、保安委員会を設けて埠頭(ふとう)訓練をしろと言っている。
三つ目には、PSC(ポートステートコントロール=寄港国による監督)を使って船舶の入港制限を強めていることが挙げられる。
PSCとは、例えば中国の船が日本に寄港した時、日本は中国の船が安全基準に適合しているかを監督・立入検査することができる、ということだ。何か不備があればその船舶をストップする。
今国会では万景峰(マンギョンボン)号など北朝鮮船舶の日本への寄港を禁止できる「特定船舶入港禁止法案」が1日、衆院委を通過した。東京都の石原知事は周辺自治体に一緒に北朝鮮の船を入れないための条例を作ろうと呼びかけている。
だが、戦後憲法に基づいて現行の港湾法は、どんな船舶でも入港を禁止してはいけない、制限してはならないと規定している。この港湾法の原則を公然と踏みにじり、北朝鮮に圧力をかける動きが強まっている。
(左図 国土交通省ホームページより)
以上のような水際作戦、テロ対策、保安施設、船舶入港制限の強化は、▼02年12月にSOLAS条約(海上における人命の安全のための国際条約)が改定され、船舶・港湾施設に保安条項が加わった、▼それに伴い、この4月に「国際航海船舶および国際港湾施設の保安の確保等に関する法律」(船舶・港湾テロ対策法)が成立した――ことに関連している。
SOLAS条約は、1912年のタイタニック号の遭難事故をきっかけに海の安全、船舶の安全、船舶乗組員・乗客の安全を守るために作られた。ところが01年9・11を機にアメリカが強く改定を働きかけ、それまでの「海の安全のため」が「アメリカ国家の安全のため」に変えられた。
船舶・港湾テロ対策法は「国際航海する船舶および国際貿易港の施設に対して行われるおそれがある危害行為の防止を図る」を「目的」としている。「保安の確保を確認できない船舶」については「本邦への入港を規制することができる」とし、また「(国際貿易港の)国際埠頭施設の設置者および管理者(つまり自治体)は、当該埠頭施設に対して行われるおそれのある危害行為を防止するため、保安の確保のために必要な措置を適確に講じなければいけない」と定めている。
この船舶・港湾テロ対策法に基づいて保安措置が整備される。その対象は国際貿易港の重要港湾128港のうちの106港だ。特に特定重要港湾23港が軸となる。港湾管理者(自治体)は改定SOLAS条約が発効する7月1日までに保安設備の整備を終わらせなければならない。
国土交通省は2月、港湾に保安施設を設置するための港湾保安対策費415億円を03年度補正予算に計上した。名古屋港に55億円、神戸港に27億円、横浜港に19億円、川崎港に12億円を出す。さらにプラスして地方自治体がカネを出す。
政府と自治体は「財政危機」の中で社会保障費を徹底的に削る一方で、治安対策費、軍事費にはふんだんに予算を使っているのだ。
現在、上図のような保安措置が実施されつつある。港に制限区域を設け、周りにフェンスを張り巡らし、檻(おり)の中に入れる。今までは港に人が自由に入れ、船が着いていない時は格好の釣り場だった。
ゲートを設けて出入りを管理。カードを持っていない人を入れない警備で港を一方的に市民立入禁止の区域にする。監視カメラを設置して死角をなくすのだ。
フェンスの上部には忍び返しが作ってある。車の上からフェンスを乗り越えられないように、フェンスの外にはクリアゾーン、つまり何も置いてはいけない区域を3bの幅で設ける。保安照明監視灯も付ける。
今までのように使用者が自由に貨物を持ってきて船に載せるとか、船から貨物を下ろして引き出すこともできなくなる。
また保安管理責任者を決め、港湾管理者(自治体)ではなく、海保、入管、警察などの諸機関が連絡調整をする。
しかし、6月末までにすべての措置が終わるわけがない。港湾労働者は時間外労働を強制されている。
港湾労働者は団結し闘おう
今や全国の港は「市民の港」から「戦場」あるいは「ゲリラ対策の港」になっている。なぜゲリラが起こるのかという根本問題を不問に付したまま、港湾労働者を「ゲリラ対策」に強制動員しているのだ。
改定SOLAS条約とこの法律は、有事関連7法案・3条約協定承認案や特定船舶入港禁止法案と一体の包括的な戦争体制づくりだ。北朝鮮に対し米軍や自衛隊が先制攻撃する。そういう中で必死の反撃として北朝鮮の工作船が入ってくることも想定される。港に阻止線を張って、せん滅しようと考えているのだ。
自治体の港湾労働者は、陸・海・空・港湾労組20団体に結集して闘おう。さらに特定重要港湾の自治体労働者とともに有事体制反対を重層的に闘おう。有事体制と密接に関連した港湾保安対策について、国土交通省をさらに追及しよう。
(自治体港湾労働者 皆川利夫)
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週刊『前進』(2153号4面4)(2004/06/14)
撤兵を求めて基地ウオーク 5・30福岡
福岡県春日市で5月30日、「自衛隊はイラクに行かないで! 帰って! 勇気ある撤退を求めます ピース・ウオークin春日」が行われた。地元住民ら100人が参加し、航空自衛隊春日基地と陸上自衛隊第4師団に自衛隊をイラクに送らないよう申し入れた。
春日駅前で行われた集会では平和をつくる筑紫住民の会代表の郡島恒昭さんがあいさつ。地元住民が「ファルージャ現地ルポを読んだ。極悪非道はアメリカの方だ」と語気を強めた。
5月中旬にイラクを訪問したアメリカのイラク攻撃を許さない実行委員会の青柳行信さんは「イラクの人たちは『日本が悪しき連合軍から離脱するよう強く日本政府に要求してほしい』と訴えていた」と報告。
自衛隊基地まで元気にピースウオーク。基地の街に「自衛隊は今すぐ帰れ」の声が響きわたった。
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週刊『前進』(2153号5面1)(2004/06/14)
自衛隊撤兵・多国籍軍派兵阻止・有事法案絶対粉砕を!
主権移譲と国連新決議案の正体 「多国籍軍」で軍事占領を継続
暫定政府の実権は米英が握る
この4〜5月、イラク人民は蜂起戦に決起し、米軍の総力をあげた掃討作戦をはねかえして、民族解放・革命戦争の大前進を切り開いた。この2カ月間に215人の米兵が死んだ。米帝はスンニ、シーア両派の武装勢力を武装解除できずに敗退し、膨大な武装勢力と対峙したままで6月末「主権移譲」を迎えざるをえなくなった。イラク人民は、新たな国連決議やイラク暫定政権の発足が米帝の軍事占領の継続でしかないことを知りぬいている。それらは米帝の窮地を打開するものとはならない。情勢の主導権は闘うイラク人民が握っているのだ。その中で日帝・小泉は自衛隊を多国籍軍として派兵し、イラク侵略戦争の泥沼に深々と引きずり込まれようとしている。闘うイラク人民と連帯し、今こそ小泉政権打倒・自衛隊イラク撤兵の闘いを爆発させよう。有事7法案・3協定条約承認案を廃案に追い込むために死力を尽くそう。6・4に続き、6・10と6・13の闘いに総決起しよう。
カイライ政権作りと再植民地化策動
米英は5月24日、国連安全保障理事会にイラク新決議の草案を提示した。米帝は新決議によって国連の形式も動員し、危機に立つイラク軍事占領を継続し、イラクにカイライ政権をデッチあげようとしている。
この米英の草案では、多国籍軍を指揮下においた米軍が、イラク人民の民族解放闘争を圧殺するために「あらゆる手段を行使する権限を持つ」とされている。これまでと何ら変わらない米英占領軍による統治の継続である。
ブレア英首相は25日の記者会見でそのことを追及されペテン的に、「ファルージャのような場所に展開するかは、イラク暫定政府の同意が必要だ」と発言した。パウエル米国務長官はそのわずか数時間後に「米軍は米司令官のもとにとどまり、自らを守るために必要なすべての措置をとる」とブレア発言を否定し、米軍独自の判断で侵略戦争を進めることを明確にした。
しかも草案は多国籍軍の駐留を事実上の無期限としている。多国籍軍の任務は1年後に見直すとしているが、そのためには新たな安保理決議が必要となるため、拒否権を持つアメリカが反対すれば任務の見直しは行われない。
米英連合軍は、国連新決議を先取りして、すでに名称を一方的に「多国籍軍」と改め、組織改編に乗り出している。連合軍のホームページでは日本を含む33カ国をすでに多国籍軍の参加国と位置づけている。
国連安保理は非公式会合で新決議の修正協議を進めている。最大の焦点は多国籍軍の駐留期限をめぐる問題である。中国は26日、「駐留期限は来年1月までとし、延長の場合は暫定政府の合意を得て安保理が決める」とする修正案を提出し、フランス、ドイツ、ロシアがこれに同調した。
これに対し米英は、多国籍軍の駐留期限を「イラクに恒久政権が樹立される政治プロセスの完了時まで」とする修正案を示した。これは統治評議会が3月に署名したイラク基本法が正式な政権発足の目途としている05年末を期限としているかのようであるが、そうではない。米軍はイラク人民の民族解放闘争を鎮圧し、米帝が意図する「恒久政権」を樹立するまでどこまでも居座るということだ。
米帝はごまかし的な修正には応じても、その実質は絶対に手放さずに軍事占領とカイライ政権づくりをどんどん進めようとしているのだ。その中で米帝と独、仏帝国主義との対立は激化して行かざるをえない。
米帝は、米軍の占領継続をバックに現在の支配構造を温存し、カイライ政権づくりとイラクの国家資産の略奪、イラクの再植民地化を進めようとしている。
“新首相”はCIAの手先
ブラヒミ国連事務総長特別顧問は6月1日、イラク暫定政府の首相と正副大統領、閣僚の陣容を発表した。暫定政府の実権を握る首相には、シーア派の元亡命イラク人組織「イラク国民合意」(INA)のアヤド・アラウィ書記長を正式に指名した。アラウィは米中央情報局(CIA)と親密な関係を持つ米帝の手先そのものだ。アラウィは就任早々、「テロ対策に適した組織にイラク軍を再編し直したい」と発言した。
名誉職の大統領には統治評議会議長でスンニ派のガジ・ヤワル氏が就任した。2人の副大統領にはシーア派とクルド人組織から1人ずつ選出された。ブラヒミが当初言っていた「政治的野心のない実務者」で選挙管理型の政府というものとはほど遠い、米英占領軍当局(CPA)とそのカイライであるイラク統治評議会の影響力をそのまま残した構成になった。イラク人民は暫定政府を誰ひとり支持していない。
統治評議会は1日に解散し暫定政府が事実上発足した。米帝は新決議採択を待たずに「主権移譲」プランを実行し、暫定政府の代表を安保理に出席させて、その正当性を各国に追認させようとしている。
米帝は、暫定政府を実効支配するために、現国連大使のジョン・ネグロポンテを新駐イラク大使に指名し、要員3千人を超える世界最大規模のアメリカ大使館を置いた。ネグロポンテは、レーガン政権下でホンジュラス大使を務めた時、「イラン・コントラ事件」に深く関わった。ブッシュ大統領が「極めて豊富な経験と技量を兼ね備えた人物」と絶賛するとおり、中南米の民族解放闘争を圧殺するために拷問・虐殺を指揮した極悪の人物だ。米帝はこのネグロポンテをとりまとめ役として、イラクの26省庁に200人近い顧問を配置し、イラク暫定政府を支配しようとしている。外国人顧問の9割は米国人で、石油省、中央銀行、国防省、内務省などの重要省庁は米帝が独占する。
アラブのメディアが、「イラクの政策決定権は七月以降、(CPAから)イラクの米国大使館に移るだろう」(クウェート・アルワタン紙)などと論評しているように、イラク人民はペテン的な「主権移譲」など認めていない。イラク人民の反占領軍闘争の激化は不可避だ。
そもそも国連安保理のイラク新決議そのものが、イラク人民の民族自決権を否定し、民族解放闘争の圧殺を狙うものである。帝国主義者の駆け引きの結果、どのような決議になろうと占領軍の即時撤退・帝国主義打倒だけが、闘うイラク人民と連帯する労働者階級の立場である。
13万8千人米軍は維持・増強される
ブッシュ大統領は24日夜、ペンシルバニア州の陸軍大学で今後のイラク政策について演説した。ブッシュは、@6月30日の主権移譲A治安回復Bインフラ(社会基盤)整備C国際支援の促進D05年1月までの総選挙の準備、という5段階のイラク復興基本計画を示した。これまでも掲げてきた政策であり、米帝にとってなんの打開策でもない。結局、イラク人民の反占領闘争・民族解放闘争を圧殺できない限り、そこから先には進めないのだ。
ブッシュは、「必要な限り約13万8千人の駐留米軍は維持する。さらに増強が必要なら増派する」と侵略戦争、軍事占領の継続・拡大を表明した。
また、米軍の組織的な拷問を、「数人の米兵の不名誉な行為」とねじ曲げ、アブグレイブ刑務所を解体することを表明した。米帝は少数の兵士の処分という「トカゲのしっぽ切り」で幕引きを図り、アブグレイブ刑務所の解体で歴史から抹殺しようとしているのだ。こんな恥知らずな居直りをどうして許せるか。
ブッシュは5月6日、米軍の拷問事件にかんして、「独裁体制下ではこうした事件の真相解明は不可能だが、米国の民主主義がそれを可能にすることをアラブ世界は理解せねばならない」と言い放った。ラムズフェルドは17日、「民主主義国家が直面する問題に、どう対応するかを世界に示すセミナーだ」と自慢した。権力で歴史的な事実すら抹殺する――これがアメリカ流の民主主義なのだ。
国際赤十字や国際的な人権団体は昨年の3、4月段階から、こうした米軍の拷問の実態を暴露し、アメリカ政府に事態の改善を要求してきた。米軍の拷問はブッシュやラムズフェルド国防長官の承認のもとに米軍が組織的に行ってきた戦争犯罪なのだ。刑務所でレイプされたイラクの女性の多くが、その後自殺したり、家族によって殺されたりしている。ブッシュとラムズフェルドに必ず責任をとらせなければならない。
米軍の拷問事件は、米帝とその支援国に対するイラク人民の怒りを最後的に解き放った。5月27日、サマワからバグダッドに向かう途中のマフムディヤ付近で、2人の日本人ジャーナリストがイラク人民の日帝への怒りの中で銃撃されて死亡した。一切の責任は、イラク人民の度重なる警告にもかかわらず自衛隊のイラク派兵を続ける日帝・小泉政権にある。
数万人のイラク人民を虐殺し拘束・拷問している米軍を日帝・自衛隊が支援していることに対するイラク人民の怒りはどれほど深いことか。われわれ日本人民はこのことに向き合い、闘うイラク人民と連帯し、米帝ブッシュの同盟者・小泉政権を怒りの決起で打倒しなければならない。
米軍を撃退した4月蜂起
はっきりしていることは、イラク人民の民族解放・革命戦争が一切の情勢を規定しているということだ。その意味でイラク人民の4月蜂起戦が切り開いた地平は決定的である。
中部のファルージャでは、米国人傭兵4人をせん滅した3・31戦闘をきっかけに、米海兵隊3千人が包囲・突入作戦を試みたが、武装した住民に撃退された。米軍は女性や子どもなど1千人近い住民を無差別に虐殺した。しかし米軍は、3・31戦闘の実行者の引き渡しも住民の武装解除も実現できないまま「地元住民代表」との「合意」を結び郊外に撤収した。ファルージャ市内のパトロールは、米軍に代わって旧フセイン軍の幹部が指揮する部隊が行うことになった。しかし、このイラク人部隊がファルージャを支配しているということではない。米軍がスンニ派民兵組織を武装解除できず、ファルージャを始めとするスンニ派系住民が米帝と対峙する力を蓄えたということである。
米軍によるシーア派のサドル師派への弾圧に対しては、同派の武装民兵組織であるマフディ軍が4月4、5日から軍事的な蜂起戦に突入し、バグダッド、ナジャフ、バスラなどイラク全土で大規模な戦闘をたたきつけた。その後マフディ軍はナジャフやカルバラなどのシーア派聖地の市内・モスクに立てこもり米軍と激しい戦闘を交えながら対峙した。この4月蜂起戦はサドル師派の影響力を高めた。結局、米軍はマフディ軍を武装解除できずサドル師の逮捕状を執行することができなかった。そしてサドル師の処遇をシーア派聖職者たちに一任するという敗北に終わった。
またこの過程でスンニ派住民とシーア派住民との連帯がかちとられたことも重要だ。5月8日には両派のイスラム法学者が「イラク統一ムスリム法学者協会」を設立した。米ミシガン大学のフアン・コール教授は「米政府はイラクへの軍事駐留を国造りと考えてきたが、この計画は米国の追放という目的に向け、イラク国民が結集することで成功するかもしれない」と述べている。
多国籍軍への本格参戦を狙う自衛隊
サマワでも、5月10日にオランダ兵2人が死傷するなど戦闘が激化している。自衛隊を狙った攻撃も始まっている。もはや誰が見てもサマワは「非戦闘地域」ではない。
ところが日帝・小泉政権は、サマワが戦闘地域になったら撤退するとのペテンをかなぐり捨てて、いよいよ自衛隊を戦闘行動と集団的自衛権の行使に突入させようとしている。小泉政権は新たな国連決議のもとで自衛隊を多国籍軍に編入しようと動き始めている。そのために今国会でACSA改定とジュネーブ条約の二つの追加議定書の承認案と国際人道法違反行為処罰法案、捕虜等取り扱い法案を成立させようとしている。
北富士では5月31日から、自衛隊がサマワ模擬施設での訓練を開始した。ここでイラク人民虐殺の訓練をした自衛隊員をイラクに派兵し、多国籍軍の一角として闘うイラク人民を虐殺しようとしているのだ。今こそ自衛隊イラク撤兵へ全力で闘おう。
はっきりさせよう。イラク侵略戦争の不正義性と泥沼の危機にあえいでいるのは、米英日帝なのだ。始まった帝国主義打倒の歴史のうねりはとめることはできない。闘えば勝てる!
陸・海・空・港湾労組20団体などが呼びかける6・10集会と6・13闘争に結集しよう。6月大攻勢で日帝・小泉政権打倒へ力強く前進しよう。
イラク新決議草案の骨子
一、6月30日までにイラク暫定政府が発足し、米英占領軍当局(CPA)は解散する。
一、米軍の統一指揮権のもとに置かれる多国籍軍は、イラクの安定と治安維持のために必要なあらゆる手段を行使する権限をもつ。
一、多国籍軍の任務は、決議の12カ月後、あるいは移行政府の要請があれば見直される。
一、05年1月末までに直接選挙を実施する。
一、イラク暫定政府は国際社会の監視のもと、イラクの石油輸出収入を管理する。
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週刊『前進』(2153号5面2)(2004/06/14)
北富士 “サマワ施設やめろ” 母の会先頭に150人がデモ
5月30日、北富士忍草母の会と忍草国有入会地守る会主催のサマワ宿営地模擬施設建設阻止の現地闘争が150人の結集で闘われた。翌日から訓練を開始し、北富士を侵略派兵の基地にしようとする攻撃に怒りをたたきつけ、北富士闘争の新たな発展を示した。
集会では司会の天野美恵母の会事務局長があいさつし、「なんで北富士にイラクに人殺しに行く訓練場をつくったのか。絶対に許すことはできない」と怒りを表明した。主催者あいさつで天野豊徳忍草国有入会地守る会会長は、「私たちは虫けらではない、人間だ。国は住民を無視しすぎている」と弾劾し、「自衛隊はイラクの人たちを攻撃するために訓練するのだ」「立て市民よ、立て労働者よ、立て農民よ」と訴えた。
連帯のあいさつでは三里塚反対同盟の北原鉱治事務局長が、「小泉はとんでもない方向に引っ張っていこうとしている。このままだと徴兵制で労働者が消耗品として使われる」と警鐘を鳴らした。動労千葉の繁沢敬一副委員長は母の会とともに闘う決意を表明し、動労千葉3月ストの切り開いた地平を明らかにした。
婦人民主クラブ全国協の西村綾子代表は有事関連法案について「絶対に通すわけにはいかない」と訴えた。都政を革新する会の新城節子杉並区議は、沖縄・辺野古の米軍新基地建設阻止の座り込み闘争を報告。部落解放同盟全国連の代表は、全力で闘えば有事法案を阻止できると訴えた。
続いて地元山梨から市民ピースネットワークやまなしなど市民団体の人たちが登壇した。「農民の命の糧を取り上げて戦争の演習場にする。まったく許せない」「演習場を撤去させるために市民運動をつくっていきたい」「サマワ模擬施設建設中止の申し入れを県庁や防衛施設庁に行ってきた」「イラクの人たちに対する加害者になりたくない、また犠牲にもなりたくないという思いで違憲訴訟を提訴した」。戦争反対の想いがあふれる発言が続いた。百万人署名運動からは山梨連絡会がACSA改定の重大な攻撃を暴いた。郡内地区連絡会は、自衛隊新聞で元幹部が攻撃してくるイラク人民を「生きて帰すな」と語っていることを弾劾した。
続いて静岡の住民がそろって登壇した。百万人署名運動静岡県連絡会共同代表の白鳥良香さんが、「小泉は人道支援と言ったが人殺しの訓練以外の何ものでもない」と弾劾し、有事法制反対の闘いを訴えた。全学連の大山尚行委員長は「イラクの人たちは何を求めているのか。自衛隊の撤兵だ」と訴えた。
母の会の決意表明では天野まさ子さん、大森ふじえさんが入会地無断使用の訓練施設建設を弾劾した。
集会後、サマワ模擬施設に向かってデモを行い、怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。さらに自衛隊梨ケ原廠舎正門までデモし、天野豊徳さんが石破防衛庁長官への申入書を読み上げ、続いて各団体がそれぞれ申入書を自衛隊業務隊長の代理に手渡した。
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週刊『前進』(2153号5面3)(2004/06/14)
コミューン 7月号 闘うパレスチナ
米英日帝国主義による侵略戦争とそれに対する人民の武装抵抗闘争が爆発しているイラクとならんで、パレスチナでもイスラエル軍の自治区軍事侵攻・併合作戦とそれに対する抵抗闘争が激しく展開されている。
イラク占領支配とパレスチナ解放闘争の圧殺、民族抹殺政策こそ、アメリカ帝国主義の中東再編政策の核心をなすものであるが、そのいずれにおいても人民の武装抵抗闘争が相互に連動し、強化しあいながら爆発し、米帝の中東支配再編政策を根底的な破産の危機に直面させている。
特集では、米帝とイスラエルによる民族抹殺攻撃と闘うパレスチナ人民の民族解放闘争の画歴史的大爆発情勢について明らかにしている。第1章では、ヨルダン川西岸自治区に続いてガザへの大規模侵攻を開始したイスラエル軍による自治区破壊と民族解放闘争解体攻撃の恐るべき実態について暴露した。第2章では、パレスチナ問題の「最終的解決」を目指す分離壁建設の実態とそれに対するパレスチナ人民の新たな抵抗闘争について明らかにしている。第3章では不正義の侵略戦争の強引な展開によって自己解体的危機に直面しているイスラエルの危機について見た。
翻訳資料1は、米史上最大のスーパーの労働者のストと労組執行部の裏切り、そして次の闘いの展望を紹介する。翻訳資料2は、イラク侵略戦争に動員された米軍兵士の軍内部からの闘いの姿を伝える。
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週刊『前進』(2153号6面1)(2004/06/14)
米日帝の経済動向と労働者階級
大恐慌の重圧とイラク侵略戦争泥沼化で危機にあえぐ帝国主義
この間、米帝(米英日帝)のイラク侵略戦争の泥沼化はますます深いものになってきている。イラク人民の民族解放戦争の一層の本格化、帝国主義侵略者の残虐性と反人民的腐敗の暴露。米帝的世界支配体制、帝国主義体制そのものの危機、没落性、腐敗・腐朽性はいよいよ明らかになっている。しかもそうであればあるほど、帝国主義は帝国主義であるかぎりイラク侵略戦争、その全中東的拡大・激化、北朝鮮・中国侵略戦争へと突き進む以外に道はない。他方、こうした中でこの間、帝国主義の経済情勢については「デフレの脅威は解消した」(米)とか「ようやくデフレから脱却して自律的回復軌道にのりつつある」(日)とか、さかんに報道されている。デフレというのは、あえて概略的に言えば、大恐慌とそれに連接する長期大不況の中で物価が下落し、その物価下落と経済活動の縮小、低迷とがサイクルとして永続化する現象をさして言っている。いうまでもなくこの「デフレ脱却」論、「自律回復」論なるものは、帝国主義的なイデオロギーに基づくものである。実際にはどうなのか。まず、帝国主義経済の基軸中の基軸をなす米帝経済から見てみよう。
米帝経済の危機
00年〜01年のITバブル崩壊後、米GDP(国内総生産)成長率は01年に0・5%まで落ち込んだが、その後は02年2・2%、03年3・1%、04年第1四半期4・2%(年率換算)と回復を続けてきた。失業率も昨年の6・0%のピークから今年4月までに5・6%まで低下した(これには207万人にも達する刑務所人口の激増も「寄与」している)。
だが、こうした諸指標の好転をもたらしたのは「内在的回復力の強さ」などと言えるようなものではない。それは「恐慌対策型」と言うべき財政・金融政策、経済実体的には巨額の家計債務を伴った個人消費の増加によって、きわめて人為的にもたらされているものにすぎない。
00年〜01年のITバブル崩壊は、9・11の衝撃やエンロン、ワールドコムなどの不正会計事件も重なって、放置すれば全面的恐慌への突入は不可避と言っていいものだった。これに対してブッシュ政権は、財政赤字拡大(01年度1270億jの黒字から03年度5210億jの赤字へ)を顧みない破天荒と言うべき大減税政策(10年で3500億j。昨年750億j=約8兆円分が小切手で各家庭に還付!)を行い、軍事費・戦費支出を中心に巨額の財政出動を行った。また、歴史的な超低金利政策を実施した。
この「恐慌対策型」の財政・金融政策によって家計債務はさらに激増し、住宅や自動車(大幅値引きも実施)の購入が需要先どり的に拡大した。住宅ローンの借り換えなどによって生ずる差益も消費に回された。また、超低金利下で投資資金の債券市場から株式市場への移動が進み、株価を相対的に上昇させた。その資産効果による需要拡大ももたらした。
さらに押さえておくべきことは、レーガン政権以来のいわば体制存続をかけた政治攻勢のような形で帝国主義権力が資本と一体化して進めた未曽有(みぞう)のリストラ、労働市場の暴力的再編、賃金体系の激変と賃下げ、雇用拡大なき労働強化、非正規雇用拡大、治安弾圧(テロ対策)の激化とそのもとでの労働組合と団結権の破壊、社会保障制度の根底的転覆などの一大資本攻勢=国内階級戦争の永続的展開が、企業収益の強引な「改善」の一切の土台となっているということだ。(これは米帝だけではなく、日本でもEUでも、全世界的に共通する)
以上のような政治的・政策的支柱と資本攻勢に支えられたものとして、若干のGDP成長などがもたらされているのだ。これが「米経済の回復」「デフレの脅威からの脱却」と言われているものの内実である。
つまり00年〜01年のITバブル崩壊(バブルの全面的崩壊の始まり)以降の米帝経済においては、デフレ重圧(本質的には恐慌の発現形態)が基本的には厳存しているが、超低金利と野放図な財政散布という超政治的・政策的介入によって爆発的発現を阻止されてきたにすぎないのだ。
しかし、超低金利政策と財政散布の野放図な展開は、一定の段階で必ずインフレを引き起こす。それは放置すれば収拾のつかない悪性インフレとなり、金利の急騰、株価の暴落をもたらし米帝経済に大打撃を与えることになる。しかも米帝のイラク侵略戦争の泥沼化と中東支配・石油支配の大破産によって原油価格がイラク開戦前の価格(18〜22j)の2倍の水準にまで高騰し、史上最高値を更新している(6月1日ニューヨーク市場42・33j)。
こうした状況の中で、FRB議長グリーンスパンは、70年代米帝経済を蝕み続けた「インフレの脅威」に恐怖し始め、これを未然に防ごうと超低金利政策を転換しようとしている。
だが、この金融政策転換は、超低金利によって支えられてきた米帝経済をたちまち景気後退と大不況に転落させるきっかけとなりかねない。現に米株価は4月にグリーンスパンが金利引き上げへのシフトを宣言したとたんに急落した(一時1万j割れ)。
つまり金融緩和を継続すればインフレを招き、かといって予防的に金融を引き締めてもそれがきっかけで本格的恐慌に突入しかねない、というとてつもないジレンマに米帝経済は陥ってしまっているのだ。
米帝経済が再度恐慌の激化へ向かう場合、より強烈な金融緩和策と財政散布が発動されることになるであろう。そしてそれはより巨大なインフレの危機を呼び起こす。つまりデフレとインフレとは実はきわめて強く連接し、米帝経済をにっちもさっちも行かない危機に追いつめているのだ。
米帝経済が直面する危機はこれにとどまらない。米帝経済のこの間の破天荒な減税政策、天文学的財政赤字政策、そして超低金利政策の展開などは、国際資金循環の面では米帝の国際収支としてファイナンス(穴埋め)されなければならない。ところが、ここに米帝経済としての最大の問題点、破綻(はたん)点が存在するのである。
巨額赤字のファイナンス
今日の米帝経済は、金融、航空宇宙産業、軍事産業、一部先端技術工業、農業(アグリビジネス)などの部門で独占的な世界支配力を保持しているが、一般の工業製品、消費財部門などにおいては、日欧帝、中国、アジア諸国などから輸入する経済構造となっている。
米帝は基軸通貨国の特権にあぐらをかいて外国から相対的に安い商品をどんどん購入し、結果として生ずる貿易収支の巨大な赤字を平然と放置することが一定可能であったのだ。こうしたことから、国も企業も個人も借金づけ生活を半ば体質化しているということが生じてきた。
このような経済構造上の特質のもとで、超放漫財政や超金融緩和政策が展開され、米帝経済は国際的恐慌的重圧にあえぐ世界の中にあって相対的には高い一定の経済的成長を実現してきた。だがこの結果、空前の貿易赤字、経常赤字が生み出された(図参照)。
この巨大な米帝の経常赤字は国際収支的にファイナンスされなければならない。さもなければドルは一気に大暴落する。基軸通貨だからと言って、ただドル紙幣を増刷し続けるだけなら信用を失い「紙切れ」となるのだ。
米帝経済の巨大な赤字を埋め合わせているものは何か。それは01年〜03年前半という段階では、対米黒字を積み上げる日・欧・アジア諸国などからの対米投資であった。しかし、米帝の経常赤字が史上最高レベルとなり、米帝ブッシュ政権が大統領選対策から国内製造業保護のためにドル安を是認するシグナルを送る中、ドル暴落への恐怖も生じて海外からの対米投資は抑制された。米国投資家も超低金利下では国内債券投資のうまみはなく、株式市場で得た利益を対外投資へとふりむけた。こうした動きは米帝の巨大赤字のファイナンスという点では危機的事態を生み出すものであった。
ここで唯一ドルを支えたのが、日銀による円売りドル買い介入であった。米帝のドル安容認政策は日帝にとっては不況下の円高ということになるため、これを阻止するとして日帝政府・日銀によって過去例のない超大規模の外国為替市場介入が行われたのだ。日銀が介入で得たドルは米国債などの購入にあてられ、米経常収支の巨大赤字を埋め合わせることになったのだ。
日銀の市場介入額は01年から02年にかけて年間3〜4兆円程度だったものが、昨年32・8兆円(日本の03年経常黒字17兆円の倍近く)に跳ね上がり、今年は年明けから3カ月たらずで10・5兆円に達した。
その後、米帝経済の諸指標の一定の改善と、FRBが歴史的低金利政策を転換して若干の利上げへと進むという見通しのもとで、ドル安には一定のブレーキがかかった。日銀のドル買い介入は3月中旬以降ストップし、4月には介入ゼロとなった。目下のところ、6月のFRBのFOMCの会議動向をにらんで流動局面にある。
だが、はっきりしていることは超巨額化した米帝の経常赤字を穴埋めする海外資金の流入が、日銀の介入資金のみに依存せざるをえないほどに極度に不安定化しているということだ。こうした状態において米・EU・日の帝国主義各国の政治的・経済的分裂と対立の激化がクロスする時、基軸通貨ドルの暴落はもはや防ぎようがなく、国際資金循環の寸断=世界大恐慌の爆発は避けられない。
以上、米帝経済をめぐる情勢を見てきたが、結局のところ、米帝経済−世界経済は大恐慌への全面突入の重圧からは根本的に逃れることはできないということである。恐慌対策の野放図な財政・金融政策を展開したあげくの果てに、《インフレーションと大軍拡と経済の戦争経済化》に突き進むしかないということである。イラク侵略戦争の泥沼化にあえぐ米帝の姿は、その端緒を示しているにすぎない。
日本経済の現状
日本経済についてもこの間、「ようやく長い不況から回復しつつある」とか、「デフレからの本格的脱出が始まった」などという分析やマスコミ報道があふれつつある。株価の反発(昨年4月のバブル後の最安値7603円から約3600円の上昇)、GDP実質成長率の上昇、企業物価指数・消費者物価指数の下げ止まり、企業の収益とバランスシートの改善、企業債務残高の対売上高比率と地価の対名目GDP比率の二つがバブル前に戻ってきていることなどがあげられる。
しかし、ここでも先に米帝経済動向分析、その批判的検討のところで指摘したことが言える。つまり上記のようなデータに示されるものは、バブル大崩壊以降突入した日本経済の29年型大恐慌過程への突入(その物価的展開形態としてのデフレの進行)に際して、日帝が(米帝に先行する形で)資本主義史上前例のない恐慌対策(「ゼロ金利」、巨額の国債発行と事実上の日銀引き受け)をとってきたことによってつくりだされた結果であり、それは、米帝同様に結局はインフレをもたらさずにはおかないところの巨大な危機を同時に生み出しているということだ。
第一に、バブル崩壊以降、大々的に展開されてきた国債(およびその肩代わりとしての地方債)大量発行の結果、天文学的水準まで膨らみきった国・地方の公的な長期債務(借金)残高の存在である。昨年の国と地方の公的債務残高は686兆円、GDPの実に約1・4倍にも達している。これだけの膨大な財政資金が、公共投資その他の形で景気対策のために投入され続けてきたのだ。しかも「聖域なき構造改革」をとなえた小泉政権のもとで、むしろ急膨張している。ほとんど国家財政として破綻しているのだ。
今日、年金問題などを口実として日帝ブルジョアジーは、消費税の大増税などを準備しつつあるが、仮にこうした反労働者的方策を強行しても、この巨大な債務構造を打開することなど不可能なのだ。しかし、逆に、かといってこの「国債依存からの脱却」を強行すれば、あっという間にこの間の脆弱(ぜいじゃく)な経済成長メカニズムなど吹っ飛んでしまう。
第二には、バブル崩壊後から今日までなお大々的に展開されている超金融緩和政策である。資本主義史上例のないゼロ金利政策がほぼ10年間も続いている。日本の公定歩合は、90年のバブル崩壊時の6%から5年間で5・5%も引き下げられ、01年9月には0・10%という文字どおりのゼロ金利となった。
だが日帝経済はゼロ金利以上の金融緩和を必要とした。そこでゼロ金利に突入した同じ01年から実施されたのが、金融の量的緩和である。このジャブジャブと言われる金融緩和政策が、金融危機にあえぐ大手銀行の延命や再建にとって圧倒的に有利な条件を与え続けてきた。
第三に、米帝経済動向分析で述べたように、日帝は昨年から今年1〜3月にかけて空前のドル買い介入をしたが、これは日帝経済的に言えば、円安化を図って輸出を促進するものとして、巨大な景気対策であった。そしてまた、それはベースマネーの氾濫(はんらん)的膨張をつくりだし、金融を超緩和状況におき続けるものとしてもあったのだ。
第四に、恐慌対策によって支えられた米帝経済の相対的な景気拡大によって、米帝市場への輸出拡大が実現されたことである。「日本の輸出は対米増加というより対中国増加である」などとして、中国(―アジア)の「世界の工場化」の成功と日帝の対米依存度の低下が論じられてもいる。確かに後述するように、対中輸出の拡大は、日帝経済にとってきわめて大きな位置を占めている。だがその中国から吐き出される年間1000億jに達する巨額の輸出を輸入として飲み込んでいるのも、米帝経済の一定の景気浮揚なのだ。
日帝経済は、以上のような政府のかつてないスケールの恐慌対策の支柱と米帝の景気浮揚によってのみ支えられており、この二つがはずれたらたちまちぐらぐらになってしまう構造にあるのである。そうした条件と密接不可分な関係の中で、先にあげたような景気指標の改善なるものが生み出されているにすぎない。
こうした現実を見ず「自律的回復力」をうんぬんするのは、帝国主義の永遠をこいねがう立場に立ち、帝国主義(資本主義)の歴史的破綻と歴史的行きづまりを認めたくない者たちである。
@過剰資本の整理が10年かけてようやく済んだと言う者もいるが、現実には29年型大恐慌で全面的に遂行されるようなレベルの価値破壊も資本整理もまだ本格的には遂行されないまま、巨大な財政・金融政策の中で残存し、大きなしこりとしてのしかかったままだ。
A何よりも国が抱え込んだ巨大な累積債務の整理はほとんど行われていない。超金融緩和措置をはずしたら、破綻してしまうようなのりきり構造がいたるところに満ち満ちているのだ。
B不良債権処理にしても、大手銀行の02年末の不良債権比率8・4%を05年3月までに解消するという小泉=竹中の金融政策も、4大金融グループについてさえ、まだまったく確かなものではない。今年の3月期決算で4000億円の巨額赤字を出したUFJグループは、ほとんど不可能な現状にある。また、重要な不良債権対象企業はこれから破産させ、整理しなければならない状況にある。地方銀行はもっと危機的な状況にある。銀行システムは大手銀行だけによって成り立っているのではない。全国銀行体系として、都市銀行と地方銀行の全体として成り立っている。
Cまた日帝経済の「自律回復」論には、帝国主義の危機の時代における市場・勢力圏をめぐる国際争闘戦の相互絶滅性がなんら措定されていない。あえて言えば、帝国主義経済が一国ごとに成立しているかのような議論をしている。だが実際には日帝自体が抹殺されるような米帝、EU帝との激烈な市場再分割戦の世界となっているのである。
したがって、リストラ・賃金破壊といったレベルにおいても、現状は始まりであって終局ではまったくない。
中国経済の問題
いまひとつ今日の日帝経済にとって、中国(経済)の占めている大きさについてどうとらえるかという問題がある。中国への輸出および資本輸出の急激な拡大は、まさに「救世主」のような観を呈している。
実際、これはすさまじいレベルに達している。中国での猛烈な工場建設、ビル建設などのラッシュのため、またそれに伴う輸出入量の巨大化によって、鉄鋼、造船などの名だたる不況業種が時ならぬ需要の増大に生産が追いつかない面があるという。またトヨタ、日産などの自動車大手もいよいよ本格的な中国現地生産に突き進みつつある。さらに電機(家電・通信)などにおいては、中国に発生している富裕者層の数的大きさ(バブルを含む)からして、比較的高級ブランド品の輸出が激増しているという。
今日の日帝経済の「回復」の大きな部分は、まさにこうした中国への商品・資本輸出に依存していると言って過言ではない。だが、日帝が中国を基本的に牛耳っているかのようなとらえ方、論じ方はとんでもない誤りである。
第一。中国は基本的にどんな国家か。資本主義化政策に体ごとつかっているが、依然として政治・経済体制的には残存スターリン主義体制である。その結果、抱え込んでいる中国の問題は巨大だ。中国の国有企業は優良企業と破産企業とがあるが、その双方を牛耳っているのは中国共産党である。
たしかに中国経済は外資系企業といわゆる民営化部門が大きな推進力となっている。輸出なども55〜60%は外資系企業によるものだ。しかし、国有セクターのスターリン主義官僚支配構造は一筋縄で〈資本主義化〉するわけではない。また、中国国有4大銀行のもつ巨大な不良債権の重圧も何ひとつ解決していない。
また、外国資本の大量導入や民間部門の発展によって経済は成長し巨大化しつつあるが、他方では膨大な農村部とは大きな格差(分裂)が生じていて、この面での解決も根底的にはなんら進んでいない。
中国の経済動向は、これから大きな変動を起こす要因に満ちている。一言で言って、バブル化していて大パンクする危険が迫っている。
第二。中国と日本の関係は帝国主義間争闘戦によって規定される。また中国は基本的にはスターリン主義的主権国家で植民地国家とは言えない。
第三。米帝の対中国政策は複雑な展開をとげる。日帝の対中国支配力が成立するようなことは断じて認めない。また、ブッシュ政権は、残存スターリン主義としての中国の強大化を絶対に認めない。米帝は帝国主義として対中国戦争を本質的に構えている。民主党政権の場合でも、根本は同じだ。
結語
労働者階級の立場から、米帝、日帝の経済動向−帝国主義経済の動向をとらえかえした時、どういうことが言えるだろうか。
第一には、こうした米帝経済、日帝経済−帝国主義世界経済のもつ危機的本質をがっちりと見抜き、デフレとインフレのはざまで大恐慌の重圧にのたうち、イラク侵略戦争(世界戦争)にのたうち回る帝国主義の体制的行きづまり、破綻を階級的につかみとり、帝国主義打倒・プロレタリア革命への根底的な決意を今こそ打ち固めなければならない。
資本主義(帝国主義)が無限の回復力をもっているかのようなウソの大キャンペーンの階級的本質は、労働者は資本の搾取と収奪を甘んじて受けるべきであり、それ以外に生きる道はないのだとする帝国主義ブルジョアジーの政治=経済攻勢の論理であり、イデオロギーである。
第二には、帝国主義ブルジョアジーは帝国主義の体制的行きづまり、大恐慌の恐怖、争闘戦の相互絶滅戦的激化、イラク・パレスチナ・全中東を始めとする全世界的な民族解放・革命戦争の激化の恐怖にかられるがゆえに、景気動向が回復局面であろうとなかろうと、@不断にリストラ・再編攻撃を続ける、A労働市場の再編と低賃金体制の強化(「賃金デフレ」!)、終身雇用制度と年功序列賃金体系の破壊攻撃の徹底的推進、賃金闘争そのものの破壊(春闘解体)、労働諸条件の改悪、保安・安全の無視(利潤増大至上主義)、非正規雇用の圧倒的拡大と雇用体系の再編、労働組合・団結権の破壊と治安攻撃(政党・組合の弾圧、司法反動)などをどんどんかけ続けてくる。すなわち、小泉=奥田路線のもとでの経労委報告や奥田ビジョンの全面的推進ということである。これはいよいよ本格化する。
この帝国主義の歴史的な政治=経済攻勢、経済=政治攻勢に対して、労働者階級は、労働組合の再生と階級的=国際的団結の強化へ、階級闘争の激化による帝国主義の危機と矛盾の一層の促進、激成、そして帝国主義打倒へと闘っていくことについてはっきりさせなければならない。そして、これを帝国主義戦争に反対する闘いと一体化する立場を明確にして決起していくことだ。これだけが、労働者階級が搾取と収奪、抑圧と戦争の帝国主義の鉄鎖から自らを解放する唯一の道である。
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週刊『前進』(2153号6面2)(2004/06/14)
5月25日〜6月1日
「多国籍軍参加可能」と答弁
日本経団連が改憲へ検討委
●米が未臨界核実験 米エネルギー省・国家核安全保障局(NNSA)は、ネバダ州の地下核実験場で未臨界核実験を実施したと発表した。97年以来、通算21回目。ブッシュ政権下では、昨年9月に続いて8回目となる。(25日)
●米軍、主権移譲後も権限維持 パウエル米国務長官は、米英両国が提出したイラク占領統治の終結に関する国連安保理決議案に関連して、主権移譲後、同国内で活動する多国籍軍の指揮権をめぐり「米軍は米国の指揮下にあり、自分自身を守るためにあらゆる必要な行動をとる」と述べた。暫定政府の了承を得ずに軍事行動をとる権限を留保しているとの考えを示したもの。(25日)
●有事法案、参院審議入り 有事関連7法案・3協定条約承認案の参議院での審議が始まった。(26日)
●入管法改悪が成立 82年に難民認定を始めて以来、初の難民認定制度見直しとなった出入国管理及び難民認定法の改正案が衆院本会議で可決、成立した。(27日)
●改憲へ日本経団連が検討委 改憲や安保政策を検討するため、日本経団連が「国の基本問題検討委員会」を新設した。奥田会長は「国民の一人として憲法、自衛権などの問題を深く掘りたい。客観的に憲法のあるべき形を出したいが、憲法何条とかは先の話だ」と語った。検討委は今秋にも報告をまとめる。(27日)
●日本人2人襲撃され、死亡 バグダッド近郊で、日本人フリージャーナリストの2人が乗った車が襲撃され、殺害された。(27日)●米英「多国籍軍」自称 米国防総省がイラクで活動している米英主体の連合軍の名称をすでに「多国籍軍」と改め、組織改編にのりだしていることが明らかになった。多国籍軍は6月末の主権移譲に向けた新たな国連決議により定められる予定だが、現状の派兵国の規模を維持したまま移行させたい米側の思惑があるとみられている。(28日)
●米国防総省が中国軍事力を報告 米国防総省が中国の軍事力に関する年次報告書を発表。中国が台湾向けミサイルを50基以上増強したと指摘した。(28日)
●横田に空自司令部移転 米国防総省が進める世界規模の米軍の再編・変革(トランスフォーメーション)に関連し、日米両政府が、在日米空軍司令部がある米軍横田基地(東京都)に、航空自衛隊の航空総隊司令部(東京都府中市)を移転する検討に入ったことが分かった。また米ワシントン州の米陸軍第1軍団司令部を神奈川県の米軍座間基地に移転する方針を固めたことも判明した。米側は在韓米軍を削減し、横田基地での空自との一体化を始め在日米軍の機能強化を進め、日本をアジア太平洋地域における即応態勢の最重要拠点とする方針。(30日)
●暫定政府が事実上発足 イラク暫定政府の人選を進めていたブラヒミ国連事務総長特別顧問は、正副大統領と首相、閣僚の陣容を発表した。暫定政府は就任式を行い、事実上発足した。(1日)
●「多国籍軍に参加可能」と内閣法制局長官
秋山内閣法制局長官は、参院イラク復興支援・有事法制特別委員会で、多国籍軍への自衛隊の参加問題について、日本が武力を行使せず、他国の武力行使と一体化しないことが確保されれば、参加することは憲法上問題ない――という見解を示した。従来は、武力行使を任務とする多国籍軍への参加を「憲法上許されない」としてきた。(1日)
●入港禁止法案、衆院委で可決 北朝鮮船舶の日本への寄港を禁止できる「特定船舶入港禁止特措法案」が、衆院国土交通委員会で、共産党を除く賛成多数で可決された。26日に自民、公明、民主の3党が共同修正案に合意し、再提出したもの。(1日)
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週刊『前進』(2153号7面1)(2004/06/14)
日韓米労働者の国際連帯発展を
「適用除外(イグゼンプション)」 利用し8時間労働制の解体狙う
昨年11月労働者集会の成功をもって開始された日・韓・米国際連帯の闘いは3・20国際反戦全世界1000万人同時決起の中で継承され発展している。
日本では、自衛隊のイラク侵略派兵と、連合中央の屈服による定昇解体・賃下げ攻撃という「外への侵略戦争、内への階級戦争」を動労千葉の3波のストライキが根底のところで打ち破った。この動労千葉の闘いと20労組が結びついた時、日比谷6万、全国50万人の決起が実現され、ACSA改定・有事7法案粉砕、年金改悪粉砕の大展望をつくり出した。
今や「グローバル化した資本による利潤の追求がもたらしたのは全世界で飢餓もしくは失業状態におかれた数十億もの民衆と戦争」(3・20国際労働者行動日への共同声明)だ。
本稿では資本攻勢の新たな手口であるホワイトカラー・イグゼンプションを中心に考察し、国際連帯発展の一助としたい。
アメリカ 法改悪で800万人の残業代が奪われる
日本の資本家たちが争闘戦の重圧の中で資本攻勢のモデルにしているアメリカでは、労働者階級に対する不安定雇用化と賃金・労働条件の切り下げ攻撃がすさまじい勢いで進んでいる。
アメリカでは「テンプ」と呼ばれる非正規雇用の労働者の割合は全雇用者の3割を占めているが、その中でも派遣と個人請負の問題が浮上している。ILWU(国際港湾倉庫労働組合)も「テンプ」反対闘争を展開している
派遣では日雇い派遣という形態が多くなっている。日本でも広がりつつあるが電話一本でその日の職場が決まるという形態だ。労働者には派遣先を選択する権利は事実上存在しない。
さらに、個人請負の問題は深刻だ。韓国の民主労総に結集する貨物連帯労組の闘いや、日本の名古屋軽急便事件で明らかになったが、雇用関係を避けるためだけに見せかけの個人請負契約を結ぶという形態が広がっている。まさに、アメリカではすさまじい不安定雇用化攻撃が労働者階級に襲いかかっている。
雇用形態の破壊と一体で賃金・労働時間などの労働条件も破壊が進行している。それを象徴するのが昨年に法改悪され、今年の8月から実施されようとしているホワイトカラー・イグゼンプションの拡大だ。
イグゼンプションとは「適用除外」という意味でホワイトカラー・イグゼンプションとは、ホワイトカラーについては労働時間規制を適用除外するという意味だ。これ自体、8時間労働制を否定するとんでもない話である。
アメリカの8時間労働制は、1938年制定の公正労働基準法(FLSA)によって国家の制度として確立したが、戦後憲法下の日本の労働基準法と比較して多くの限界を持っている。
第一に、労働時間の規制に罰則がない。資本は週40時間を超える分について(一日8時間の規定はない)5割増しの賃金さえ払えば、罰則や労働組合の承認なしに労働者に残業を強制できる。
日本の場合は残業は原則禁止であって、それに違反すると刑事罰が科せられる(現に、労働者に「サービス残業」をさせたことで経営者が逮捕されている)。資本が労働者に残業をさせたければ、労基法第36条に基づく労働組合の承認と協定(36=サブロク協定と呼ばれる)とその労基署への届け出が必要である。しかも2割5分から5割の割増賃金が必要だ(第37条)。組合が36協定を拒否すれば、資本は直ちに労働者に残業を強制できなくなる。
これは、サービス残業が横行している現実からはあまりにかけ離れているが、このような現実を許している連合中央を始めとした、既成労組幹部の裏切りと犯罪性こそが怒りをもって断罪されなければならない。
一方、アメリカの公正労働基準法は資本家に割増賃金を払わせることで残業をさせにくくし、間接的に労働時間を規制するにすぎない。(第7条)
アメリカにおいても19世紀以来、労働者階級の8時間労働制を求める血みどろの闘いを背景に、労働時間規制の法的試みがなされてきた。にもかかわらず、それらはことごとく合衆国憲法に規定された「契約の自由」への侵害として違憲判決が出されてきた。
だが、29年世界大恐慌と30年代の大失業時代という「戦争と革命」の現実性の前に震え上がったアメリカの資本家階級の譲歩として35年に団結権を保障したワーグナー法が制定された。このワーグナー法は、日本の戦後の労組法のモデルになったと言われており、全国労働関係局(NLRB)という日本の労働委員会に相当する独立行政委員会が存在し、労働組合の申し立てを受けて、資本の不当労働行為を審査し、救済命令を発する。
ところが、公正労働基準法はワーグナー法制定の3年後に制定されているにもかかわらず、資本の横暴を罰則や労働組合の力で制限しようとはせずに、それまでのポリスパワー(警察力)と称される労働者保護の集大成でしかないのだ。
第二に、このようにアメリカの8時間労働制が必ずしも「権利としての8時間労働制」ではなかったことに規定され、最初から抜け穴だらけの代物だった。その代表がイグゼンプション(適用除外)制度である。
日本の労基法にも適用除外は存在する(第41条)。だがそれは、@農水産業に従事する労働者、A監督または管理者、ないし機密の事務を取り扱う者、B断続的労働などで行政官庁の許可を得た者、ときわめて限定的である。
ところが、アメリカの公正労働基準法では、「イグゼンプション」の表題を持つ第13条はきわめて膨大であって、実にさまざまな職種に関して適用除外を定めている。抜け穴だらけと言っても過言ではない。
まず、@管理的被用者、A運営的被用者、B専門的被用者、C外勤セールスマンが挙げられている。このうち@からBまでがホワイトカラー・イグゼンプションと呼ばれている(Cは含まない)。Aには小学校や中学校の教育労働者までもが含まれている。
さらに、短期雇用の娯楽施設やレクリエーション施設の被用者、水産業、農業の被用者、地方紙の被用者、小電話会社の交換手、ベビーシッター、コンピュータ・プログラマー、船員などが列挙されている。
実際に法律で列挙されている適用除外の対象者のうち6割を占めるのが@からCの労働者で、現在でもホワイトカラーの4割をも占めている。
適用除外のためには、一応三つの要件が必要となっている。@実際に働いた日数や時間数にかかわらず、前もって決定された一定額の賃金が支払われていること、A賃金の額は週あたり 155j(専門的被用者に関しては170j)以上であることとなっている。だが、これらの額は現在のアメリカの最低賃金(週あたり260j)を下回っているので問題にならない。
さらに、いずれのタイプの適用除外も、職務遂行にあたって「採用や解雇の権限がある」などの独立的な裁量、判断を行えることが必要とされているが、賃金額が週あたり250j以上であればこの要件が緩和されることとなり、ほとんど意味を持たない。
ところが、ブッシュ政権はホワイトカラー・イグゼンプションが時代にあわなくなったと言って、昨年公正労働基準法を改定した。その内容は、@81年から据え置きで低すぎる賃金水準の引き上げと、A適用除外の条件の緩和である。
賃金水準に関しては、専門的被用者を統合して週455j(年収換算で約260万円)とした。米労働省は、これで残業代を確保できる労働者が130万人増大すると主張しているが、アメリカのナショナルセンターであるAFL−CIO(アメリカ労働総同盟・産別会議)は、「低所得層で適用除外をはずれる人は実際には7分の1しか時間外労働をやっていない。455jではまだ低すぎる。これでは条件緩和で残業代を失う人の方が圧倒的に多い。800万人が残業代を失う」と反対している。
条件の緩和に関しては、@幼稚園・保育園で働く教育労働者、A「学位がなくてもそれを有している場合と同様の高度の知識を要する職務に従事している者」で具体的にはコックやシェフなど、B看護師、C管理職で「チームリーダー」などである。特に最後の「チームリーダー」はいくらでも拡大解釈が可能だ。
ホワイトカラー・イグゼンプションの拡大には、AFL−CIOを先頭に、UAN(全米看護師組合)、AFSCME(全米州郡市職員組合)、UAW(全米自動車労組)、SEIU(全米サービス従業員組合)、UE(全米電機・ラジオ・機械労組)など多くの組合が反対している。
ブルーカラーにコンプ・タイム制
8時間労働制解体の攻撃はホワイトカラーだけに止まらない。ブルーカラーの労働者には、「コンプ・タイム(代償時間)制」と呼ばれる新たな攻撃が掛けられようとしている。これは労働者に週40時間以上の残業をさせても、残業代を支払わず、その代わり残業1時間につき1時間半の休暇を与えるというものだ。
これだと、忙しい時には労働者をいくら残業させても所定内賃金を払うだけでこき使い、暇な時には休業補償ゼロで休ませることができる。究極の8時間労働制解体攻撃だ。
日本 米をモデルにした小泉の「規制改革」
8時間労働制解体に向けた攻撃は日本でも激化している。01年5月小泉政権発足直後から、「小泉改革」攻撃の中心的役割を担ってきた総合規制改革会議(宮内オリックス会長が議長)は、昨年12月22日に第3次答申を出した。この答申を受けて、小泉内閣は3月19日に「規制改革・民間開放推進3カ年計画」を閣議決定した。総合規制改革会議はこれを受け、基本的役割を終えたとして、3月末に解散した。
小泉内閣は、この「3カ年計画」を実施に移すため4月1日には同じ宮内を議長に規制改革・民間開放推進会議を発足させた。さらに、5月25日には内閣に小泉を本部長として規制改革・民間開放推進本部を発足させた。その直後の5月27日に日本経団連は総会を開き、奥田を会長に再選し、奥田ビジョンの実現に向け、小泉構造改革を全面的に支持することを明らかにした。日帝・政治委員会と総資本は、一体となって自衛隊イラク派兵と有事立法攻撃下、戦争と大失業の「小泉改革」を徹底推進しようというのだ。小泉=奥田路線そのものである。
「3カ年計画」は、IT、競争政策、法務、金融、教育・研究、医療・福祉、雇用・労働、農林水産業、エネルギー、住宅・土地・公共工事・環境、運輸と、「規制改革特区」の設置など、軍事以外の国政全般を網羅している。
労働者階級にとって特に重大なのは「雇用・労働」分野の規制緩和攻撃である。小泉政権の3年間で、労基法に使用者の解雇権が明記され、裁量労働制の改悪と、労働者派遣法改悪が強行された。さらに、労組法改悪案までが今、国会に提出されている。
だが、小泉はこれでも足りないと、3カ年計画では、職業紹介規制の抜本的緩和や派遣労働のさらなる緩和、裁量労働制のさらなる拡大、解雇の金銭和解と並んで、ホワイトカラー・イグゼンプションの導入を叫んでいる。
そこでは、「現行の裁量労働制は、みなし労働時間制を採用しており、……その本質は、『業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し当該業務に従事する労働者に対し具体的な指示をしないこと』にあることを踏まえると、管理監督者等と同様、時間規制の適用除外を認めることが本来の姿である」「よって、米国のホワイトカラー・エグゼンプションの制度(その改革の動向を含む)を参考にしつつ、裁量性の高い業務については、……適用除外方式を採用することを検討する」と述べて、今年度中に海外事例の調査研究をするとしている。
現在実施されている二つの裁量労働制も8時間労働制解体を狙うものだが、あくまでも「みなし労働時間制」であって、資本にとって、現行労基法の労働時間規制から自由ではない。導入時には組合の承認が必要であり、労基署への届け出も必要。さらにサービス残業を強制するために、みなし労働時間を8時間以上に設定しようとすると、組合との間で36協定が必要になる。本人同意が必要になる場合もある。
このように現在の裁量労働制は規制が多すぎて、資本にとっては「使いづらい」と言っている。そこで、裁量労働制のさらなる規制緩和とともに、そもそも労基法の労働時間規制からの完全な「自由」=適用除外をアメリカを参考に導入しようというのだ。
日本の労働者階級の労働時間はますます増大して、過労死が激増している。そのあまりの激化に、厚労省は「サービス残業」の摘発に乗り出さざるをえなくなっており、大企業の摘発が続いている。ホワイトカラー・イグゼンプションが導入されれば、「サービス残業」という言葉すらなくなってしまう。世界の労働者階級と、日本の労働者階級が血と汗の結晶として闘い取った8時間労働制の解体攻撃を許すな。
労組法改悪策動と一体での攻撃
ホワイトカラー・イグゼンプション導入攻撃はそれだけにとどまらない。資本家の労基法違反を刑事罰で取り締まるという日本の戦後革命の成果としての労基法の抹殺を意味している。労働者階級の団結権を労働委員会制度をもって保障した労組法を解体する攻撃と一体のこの攻撃を許せば、労働者の団結は解体され、戦争動員を許すことになり憲法改悪攻撃に直結する。
◇
小泉=奥田路線による一大資本攻勢と対決する労働者階級の団結と抵抗を組織しよう。動労千葉の闘いに学び連帯することが勝利を切り開く道だ。
昨年の11・9労働者集会をもって開始された日・韓・米の労働者階級の国際連帯を発展させ、「外への侵略戦争、内への階級戦争」と対決し粉砕しよう。動労千葉を先頭に闘う労働運動の新しい潮流を今こそつくり出そう。
闘うイラク人民、ムスリム・中東人民と連帯し、日帝・自衛隊をイラクから即時撤退させよう。ACSA改定を始めとする有事7法案・3条約協定承認案を廃案に追い込もう。年金大改悪を粉砕しよう。6月決戦に総決起せよ。
(湯村宏則)
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週刊『前進』(2153号7面2)(2004/06/14)
介護保険「見直し」の正体 保険料20歳からに拡大 「障害者」の介助も奪う
介護保険の05年見直しに向けた厚生労働省の作業が進められており、その骨格が報道された。主要な点は新たに20〜39歳を被保険者に加え、40〜64歳の半額程度の保険料を徴収する、給付対象を現行の高齢者から「障害者」や難病、末期ガンなど介護や支援が必要なすべての人に広げ、身体・知的障害者の支援費制度も統合するというものだ。
すでに財務省が1月2日に利用料の自己負担を1割から2〜3割に引き上げるなどの方針を固めており、厚労省も@要支援、要介護1の高齢者を在宅サービス対象から外し、A施設入所を重度の要介護者に限る方針だと報道されている。
厚労省は今後9月にも正式案を発表し、12月末に政府の介護保険制度改革大綱を決定し、来年の通常国会に関連法案を提出し、06年度から実施しようとしている。介護保険制度見直しは00年の実施後6年目にして行われようとしている抜本的な大改悪だ。支援費制度は実施2年にしてまったく別の制度になろうとしているのである。
高齢者の介護をさらに奪う
厚労省は抜本改悪の理由として「被保険者の負担が過大になる」「支援費制度の財政が行きづまっている」という財政問題を挙げている。
ここに介護保険によって国が福祉の責任を投げ捨て、高齢者の介護を社会保険制度にした悪らつな意図が現れている。「給付と負担のバランス」という論理で政府が負担すべきものを労働者人民に押しつけようとしているのである。
政府は、銀行や大資本救済のために何十兆円もの資金を湯水のごとくつぎ込む一方で、介護や年金などは次々と切り捨てていこうとしているのだ。
厚労省は介護保険制度によって介護が充実したかのように言う。だがそれは完全にペテンだ。低所得の高齢者はわずかな年金から保険料を取られた上で、利用料の自己負担があるために介護が受けられないのだ。
利用料の引き上げ、要介護度の低い高齢者を在宅介護サービスの対象から外すこと、施設入所を重度の要介護者に限ること、これらはすべて介護が必要な高齢者から介護を奪うものである。「介護の社会化」と言ってきたのはとんでもないウソであり、介護保険によって多くの高齢者が介護を奪われているのだ。
NHKの報道によると02年1年間に孤独死に追い込まれた高齢者は東京23区だけで1396人に達するという。こうした高齢者の孤独死は、国(行政)が福祉の責任を投げ捨てた結果である。まさに介護保険が高齢者の生きる権利を奪い、死に追いやったのである。
その一方で、保険料という形での大衆収奪、増税を強行しようとしている。
払えない人は生きられない
介護保険料は実施以来全国平均で18%も引き上げられた。月々4万、5万の年金から保険料を天引きすることに対して多くの高齢者から怨嗟(えんさ)の声がまき起こっている。そこで今度は20〜39歳の世代を被保険者とすることによって一挙に収奪を強めようとしているのである。
これによって20歳以上のすべての人が介護保険料を取られることになる。まさに人頭税と同じ性質のものである。本来、国が全額負担すべきものを社会保険制度とすることによって大衆収奪の機構に転化したのだ。また今国会での年金改悪と一体の社会保障解体の攻撃である。
20〜39歳までを被保険者とすることについては日本経団連が、企業の負担が増えることを理由に反対しているが、日本経団連の主張自身は、社会保障制度全体を一体的に改革し、消費税を18%に上げよということであり、社会保障のさらなる解体と大増税である。絶対に許せない主張である。
「障害者」に対する支援費制度を介護保険に統一することも重大な社会保障解体攻撃だ。24時間介助が必要な「重度障害者」にとって、1日最高でも3時間しか介助が受けられない介護保険の適用は地域自立生活を不可能にする。「障害者」が施設隔離を打ち破って闘いとってきた地域自立生活を奪うものになることは明白である。(本紙2143号4面アピール参照)
厚労省が持ち出した「2階建て」論によってもこれから受けようとする人にとって、さらにこれまで受けてきた人にとっても、3時間以上の介助が保障されるわけではない。介護保険は保険料、利用料を払えない人たちは生きていけない制度であり、そこに「障害者」を組み込もうとしているのだ。
こうした福祉解体の攻撃は、憲法25条の生存権保障を否定する攻撃だ。日本経団連の奥田ビジョンが「かつては日本においても、諸外国から認められるような死生観が存在していたが戦後、この意識が薄れてしまった」と言いつつ「尊厳死」に触れたことに示されるように、資本にとって「価値がない」ものは死ねという攻撃と一体である。帝国主義の侵略・戦争の時代への突入と一体の攻撃である。
高齢者を先頭に、労働者の怒りの決起で、資本が生きるために労働者人民に死を強制する帝国主義を打倒しよう。
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週刊『前進』(2153号7面3)(2004/06/14)
第7部 戦争と人民の闘い(1)
労働者階級の運動 戦時下で階級的団結を圧殺
資本主義と革命
日本帝国主義の朝鮮・中国・アジア侵略戦争、帝国主義間戦争としての太平洋戦争に、日本の労働者階級は動員され、朝鮮・中国・アジア人民の大虐殺に加担させられ、自らも大きな惨禍にたたき込まれた。労働者階級は、自らの解放をかけて必死に闘ったが、スターリン主義と帝国主義的社会民主主義によって敗北を強制された。戦前の階級闘争について、そのことを総括することは、戦時下に突入した今日、重要な意義をもっている。
日本の資本主義が遅れて出発し、「富国強兵・殖産興業」のスローガンのもと、製糸業・紡績業が発展し、重工業が発達した。こうして帝国主義的発展の道をたどる中で、労働者の闘いが自然発生的にも勃興(ぼっこう)した。
日本帝国主義は、最初から労働者の闘いを恐れ、それをつぶすために意識的な攻撃をしかけていた。1900年の治安警察法は、労働者の団結あるいは争議行為のための「誘惑もしくは扇動」を禁じていた。労働組合を組織すること自体が違法とされていたのだ。
このような弾圧を打ち破って、過酷な長時間労働、低賃金、無権利状態に対して、生活を守るためのやむにやまれぬ闘いとしてストライキが激発していった。労働者の団結権獲得は、そもそも合法的にあったのではなく、労働者自身の血みどろの闘いをとおしてかちとられていったものだ。
とりわけ、1917年ロシア革命がもたらした衝撃は巨大だった。ロシア革命は第1次世界大戦を国内戦に転化し、ブルジョア支配を打倒した。帝国主義の基本矛盾の爆発としての戦争を革命によって終わらせたのである。労働者階級とブルジョアジーの階級対立の非和解性に目覚め、労働者の階級的団結の偉大さに目覚めた多くの労働者が続々と立ち上がった。
18年の米騒動に続いて、19〜21年にかけて、八幡製鉄所、東京砲兵工廠(こうしょう)、東京市電、足尾銅山、富士ガス紡績押上工場、東京新聞印刷などで大争議が闘われた。21年の神戸の川崎・三菱両造船所の大争議が闘われた。
これより先、12年には、友愛会が当時唯一の労働組合として結成され、7年後に大日本労働総同盟友愛会に改称された。
この過程は、22年日本共産党結成によって日本に初めて革命党が誕生するとともに、同年の水平社発足に示されるように部落解放闘争の胎動、農民運動、女性解放闘争などが労働運動とともに次々と力を増して動き始めた時期であった。
24年に総同盟が左右に分裂し、左派は日本労働組合評議会(評議会)を結成した。共産党に対する一斉逮捕弾圧としての28年3・15弾圧で評議会に解散命令が出され、これに対して29年に日本労働組合全国協議会(全協)が結成された。
全協に対しては、権力は日共と同様の団体として位置付け、徹底的な弾圧の対象とした。日帝によって植民地支配され、生活を奪われ、渡日を余儀なくされた朝鮮人労働者が、次第に全協の主軸を担うようになっていった。朝鮮人の戦闘的な労働者が、不屈に献身的に闘ったことによって、日本の労働運動が成立したということがあったのだ。30年の岸和田紡績の労働者の決起は、こうした朝鮮人労働者を先頭にした闘いであった。
29年大恐慌のもとで、30年代前半に各地で激しい労働争議が激発した。
労働組合の解体
15年戦争の中で、日本の労働運動は、どのようにこれと対決しえたのか。
35年には、右派の総同盟と中間派の全国労働組合同盟(全労)が、合法左翼の日本労働組合評議会(全評)を除外し、全日本労働総同盟(全総)を結成した。この中には、戦争の危機の中で大衆運動を切実に求める下からの強い運動の盛り上がりがあった。
しかし、総同盟の指導部は、どんどん翼賛勢力として帝国主義の資本攻勢と戦争政策に率先して協力し、翼賛する存在になっていく。37年10月、総同盟(全総)は、「同盟罷業(ひぎょう=スト)絶滅」などの銃後運動を決定した。
権力は、37年12月、日本無産党や全評の活動家など470人を逮捕、無産党と全評を結社禁止とした。翌年の第2次弾圧と併せて、権力はこれを「人民戦線事件」と呼んで、コミンテルンとつながりがあるかのように宣伝した。
40年になると、総同盟は自発的に解散した。一切の労働組合がつぶされる中で、40年に大日本産業報国会が結成された。単位産報8万、会員数540万人。当初は労資関係調整の機能があったが、次第に生産増強策としての色彩を強めた。こうして日本の労働者の階級的団結形態は完全に抹殺され、戦争翼賛一色になっていったのである。
闘いの問題点
戦前の労働者階級の闘いの、重大な弱点は、第一に、天皇制・天皇制イデオロギーとの闘いにおける敗北である。幸徳秋水ら12人が処刑された1910年の大逆事件は、天皇制支配の暴力的本質を示すフレームアップ弾圧だった。天皇制の白色暴力に対する屈服をのりこえることが戦前の闘いの最大の課題であった。
第二は、日本・朝鮮・中国の労働者人民の階級的団結を帝国主義に対する闘いの不可欠の要素としてかちとることができなかったばかりか、排外主義を克服することができなかったことである。抑圧国の労働者階級としての自覚をもって、被抑圧民族の労働者人民との連帯をかちとるというレーニン主義的な立場を自らのものとすることができなかったのである。朝鮮人労働者との連帯は、文字どおり日本の労働者階級の階級性の試金石だった。部分的には感動的な連帯闘争をつくりだしつつも、帝国主義国のプロレタリアートとして、被抑圧民族のプロレタリアートとしての朝鮮人民とのレーニン主義的な連帯をかちとることはできなかったのである。
第三は、革命的祖国敗北主義の立場に立って反戦闘争を闘うことができなかったことである。侵略と戦争、出兵と他民族虐殺を許さないという闘いを展開できなかった。
これらすべては革命党の問題として総括されなければならない。スターリン主義をのりこえる党の建設、階級の団結が、核心問題だ。戦前の共産党の指導の問題については、次回に見ることにする。
(高田隆志)
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週刊『前進』(2153号8面1)(2004/06/14)
裁判員制度許せない法施行前に粉砕を! 東京 高原佳代子
5月18日、司法改悪法案と共謀罪に反対する国会前行動に参加しました。司法改悪法案の審議が緊迫する状況の中、多くの弁護士が「こんなものは裁判ではない。絶対認められない!」と口々に言われていた。
ほとんどの裁判の中身が「公判前整理手続き」という公判前の密室で決められてしまい、争点の整理や証拠の採否まで決めてしまう。弁護士は被告が黙秘していても「争点の整理に協力しろ、さもないと懲戒するぞ」と恫喝され、黙秘の権利までもがおびやかされる。裁判が始まれば「裁判員のため」と称して迅速審理が言われ、長くても1週間で終わらせるという。
爆取被告の十亀さんが、「司法改悪の核心は、無罪でも有罪にする、被告と弁護人の権利は奪い去るということだ。裁判の効率化、迅速化というのは真実を闇(やみ)に葬るということ。私たちは16年かけて闘ったが、被告と弁護人の権利を徹底して貫いたから勝利できた」と発言されました。本当にそうだ! と思います。
イラク戦時下で、闘えば弾圧されるという時代に私たちは入っている。このような中で、即決で裁判をなきものにする、権力の思いのままに重罰を科す、そしてこの体制に民衆を動員していく、裁判員制度は文字どおりの戦時型の司法制度だ。
5月21日の強行成立は絶対に許せない! 日本雑誌協会の緊急抗議声明や、法学者67名の慎重審議を求める意見書が出されるなど、大衆的な怒りの声と闘いの陣形は広まっています。法施行前5年間で攻撃を粉砕するために闘おう!
基地沖縄を命懸けで変えようとする人々 神奈川 宮原直樹
5月15日、ひめゆり平和祈念館見学。最も印象に残ったのは、学校をはじめとした日常生活が戦争一色になっていく過程だった。今の日本の雰囲気と同じようなものを感じ取ったのかも知れない。
16日、普天間基地包囲。地元紙の当日の朝刊を読んで驚いた。1面に「きょう普天間基地包囲」と書いてある。事前にこれほど報道することなど、本土ではあり得ないことだからだ。
復帰から32年たっても、いまだに「基地も軍隊もある沖縄」。それをまさに、命懸けで変えようとしている人たちの想いを感じずにはいられなかった。それは、横断幕などで反戦仕様になっていた宜野湾市役所を見ても感じられた。
行動最終日17日、名護市辺野古の座り込み。座り込みが終わる時間が近づいたころ、今の海の状態を解説してもらった。そのとき見たのが、付近の開発によって赤土が流れ出して変色した辺野古の海だった。悲しかった。
米軍施設があることで沖縄の経済を停滞させ、そんな中でも生きていくには、公共工事や新しい基地建設をするしかない。そんな現実を突きつけられた。しかし、だからといってまた新基地建設を許せば悪循環が続くだけなのだ。こんな現状を変えるには、やはり今の体制を転覆させ、労働者による政権を樹立するしかないのだろうか。
全体的にスケジュールが過密で、もっと時間をかけたいところもあったが、内容が濃く、とてもよい経験ができた。現地行動の重要性を実感した。しかし、やはりいちばん楽しかったのは夜、酒を飲みながらの交流会だった(笑)。沖縄にはまた、行動で行きたい。
基地問題は沖縄だけではなく日本の問題 東北大2年 加藤 実
5月15日から17日、沖縄行動に参加した。何よりも、僕自身が沖縄に行ったことがなかったのでその現実を知りたかった。
5月16日には普天間基地包囲行動に参加した。沖縄内外から2万人が集まって完全に包囲することができた。僕はその取り組みにすごいと思った。市役所には基地反対の大きな垂れ幕がかかっている。街にはこの包囲行動の参加を呼びかける宣伝車が走っている。沖縄のいたるところに包囲行動のたて看板、ポスターが張ってある。この闘争で本当に沖縄の怒りが伝わってきた。
そして、この闘争に全駐労が組織参加で取り組んでいた。基地問題とそこに働く労働者の問題は一体のものであるけれど、その基地労働者が基地撤去の声をあげて、ともに闘うというのはやはりすごいことだと思う。基地は雇用のためにおいているのではなく、戦争をするためにある。基地撤去運動の大きな前進だと思う。
さらに17日は、辺野古での座り込み行動に参加した。4月19日から座り込みを続けているオジー、オバーとともに座り込みをするんだと思って沖縄に来たが、テントには2639日と27日という看板があり、大きな間違いだったことに気づいた。新基地の建設計画が出てきてからずっと実力阻止しているのだ。
沖縄の人々は、「基地問題は沖縄だけの問題ではない。日本の問題なんだ」という話をしていました。沖縄は本当に激しく闘われている。それなのに本土ではまだまだ運動は爆発していない。この運動を発展させなくてはいけない。それが沖縄の人との連帯になるし、基地のない沖縄にすることができると思う。
JR荻窪駅前で毎週『前進』販売に立つ 東京・杉並 北島邦彦
一人でも多くの人に『前進』を読んでもらいたい! そう思って、JR荻窪駅で毎週『前進』の街頭販売活動をやっています。
日本帝国主義のギリギリの危機ゆえの凶暴な攻撃が、小泉−奥田路線として労働者民衆にかけられている中で、スパッと情勢を切る鮮烈なアジテーションが求められています。そのことを街頭に立ち続ける中で痛切に感じさせられた経験から、街頭においても『前進』で勝負するべきだと考えたからです。
支持者の方がよく買っていってくれます。毎週買いに来てくれる支持者もいます。先日は、30歳の民間労働者の女性が「これ購読できるんですよね。家に届けてくれませんか?」と、定期購読者になってくれました。私が朝ビラをしていると「がんばってください、応援しています!」と、いつも激励の声をかけてくれる人でした。
別の日には、19歳の予備校生が友達と一緒に声をかけてくれ、『前進』を初めて買っていきました。この予備校生のお母さんは以前からの支持者なのですが、彼女自身が「選挙に勝てるように私が応援している人なのよ」と友達に私を紹介しているのを聞いて、とても心強く思いもしました。
街頭で『前進』の一節を読みあげながら宣伝活動をしていると、読みあげやすい週と読みあげにくい週があります。トップをすべて読みあげれば十分な宣伝活動ができるように、みんなの力で『前進』をよりよくしていきましょう!
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週刊『前進』(2153号8面2)(2004/06/14)
私文書弾圧 6・10控訴審闘争へ デッチあげ粉砕し無罪を
私文書偽造デッチあげ弾圧と闘う全学連M同志の控訴審が6月10日から東京高裁第10刑事部で始まる。懲役2年4月(執行猶予5年)の不当な一審有罪判決(昨年7月24日)を粉砕し、無罪をかちとるために、6・10公判闘争に結集し、ともに闘うことを訴える。
M同志は、2001年、都議会議員選挙に立候補した都政を革新する会の結柴誠一氏(現杉並区議)の応援のために上京し、街頭宣伝隊として活動していた。
一方、警視庁公安警察官らは、結柴氏に対する選挙妨害のために杉並区内を昼夜徘徊(はいかい)していた。1989年、都議に当選した都革新の長谷川英憲氏は、警視総監尋問を行い、警察の人権侵害を厳しく追及した。この闘いに恐怖した警視庁公安警察官らは、都革新の都議当選を阻むために、杉並区内で違法な選挙妨害を繰り返していた。そして、01年6月12日、結柴氏の高円寺駅頭演説を狙って、20人の公安警察官が大げさなM同志逮捕劇を演じて選挙妨害を謀ったのである。(これらの選挙妨害に対し都革新は国家賠償請求中)
M同志は逮捕以来、昨年5月に保釈奪還されるまで、1年11カ月の不当長期勾留を強いられながら、完黙・非転向の獄中闘争を貫徹した。一審でM同志と弁護団は戦闘的に裁判闘争を貫徹し、敵の意図を暴き、掌紋鑑定や筆跡鑑定と称するエセ証拠の非科学性を徹底的に粉砕した。
東京地裁刑事第2部の治安判事・中谷雄二郎は、「証拠がうすいのは被告人が隠しているからだ」(『ジュリスト』89年3月25日号)と発言したような予断と偏見にこり固まった治安判事である。その中谷が、本件での「うすい証拠」(デッチあげだ!)と闘いに追いつめられ、論理破綻(はたん)した判決文しかデッチあげることができなかった。判決文は「○○鑑定結果は、被告が犯人だということと矛盾しない」の繰り返しに終始している。要するに、証拠への確信がないことを自己暴露している。にもかかわらず、まったく許せないことに有罪判決をなしたのだ。
ここにもイラク侵略戦争にのめりこむ日帝国家権力の腐敗した姿が投影している。とことん敵の不正義と論理破綻を攻め抜こう!
M同志と弁護団は、本年1月9日に71nにわたる控訴趣意書、5月7日に証拠調べ請求書、20日に控訴趣意補充書を提出した。特に、掌紋鑑定信用性の前提とされている「12点法」に関して、@警視庁鑑識課文書「指紋鑑定基準(案)について」(79年12月13日付)、Aイギリス「エコノミスト」誌掲載文を証拠請求した。
@は警察が指紋(掌紋)鑑定基準の資料を隠し続けてきたため批判対象資料そのものがないという状態であったが、それを情報公開請求で開示をかちとった画期的なものであり、徹底批判を開始する。
Aは、米FBIが調査したところ指紋専門研究所での鑑定で2割が一致しなかった例を紹介し、指紋鑑定の科学性に大きな疑問があるとする記事である。
このほかに、頻発する警察の「裏金問題」に関する資料を証拠請求した。警視庁を先頭に組織的文書偽造犯罪を常習的に犯しながら、一件の立件もなされないどころか、犯罪であるとの認識すらない警察の腐敗を暴き、判決が「クリーンハンド」原則に違反することを暴露するものである。
M同志は無実であり、無罪をかちとらなければならない。そして、戦時司法弾圧を率先して遂行する中谷判決と警視庁公安警察の跳梁(ちょうりょう)を完全粉砕しなければならない。前近代的な手法を平然と続ける指紋鑑定、筆跡鑑定の虚偽を暴露し、冤罪発生の源を断つ闘いに進撃しよう。
6月10日(木)午後1時東京高裁傍聴券交付所に結集し、傍聴闘争に立とう。
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週刊『前進』(2153号8面3)(2004/06/14)
臓器移植法改悪許すな 熱気の反対集会
5月23日、「リレートーク、『脳死』を人の死とするな!『臓器移植法』の改悪に反対する市民集会」が東京・品川の国民生活センターで開催され、80人が参加した。(写真)
97年に制定された臓器移植法の全面改悪案が、今国会、秋の臨時国会にも議員立法で提出されようとしている。これに反対する立場から、集会は各地からの熱気あるリレートークと討論の場となった。
講演では、慶応大学医学部講師の近藤誠氏が「自民党調査会案の問題点」と題して昨今の全面改悪案を批判した。臓器摘出時の15歳未満禁止や「脳死判定」の6歳未満禁止条項を削除し、0歳からの小児に臓器摘出を拡大すること、親族への優先的臓器提供が可能なこと、本人の「反対の表明」が確認されない限り臓器が摘出できる法案にすることなどを指弾。近藤氏は、放射線科としてガン治療を始めとした検診などの営利主義・産業化に異を唱える立場から臓器移植技術への警告を発した。
次にリレートークに移った。「現代医療を考える会」は、小児科学会の現場では改悪案への反対意見が噴出していることを報告。実際に事故で「脳死」状態から救命医療とリハビリで回復を果たした女性も登壇して一緒にあいさつした。
「人権監視委員会・大阪」は「臓器移植の現場では救命治療とは正反対に摘出を予定した臓器保存術が優先され、脳の回復を逆に止めている」と暴露した。議員を始めとした「脳死臓器移植を考える委員会」は国会でも法案反対で闘うと決意を述べた。また小児科学会調査では児童虐待が原因で「脳死」状態、「重度障害」になった例が数多いと問題を指摘した。
「医療を考える会」は紙芝居で法案反対をアピールした。交通事故でたまたまドナーカードを持っていた場合にそれをきっかけに救命治療の放棄と臓器移植への誘導が始まると警告。臓器摘出時には生きている反応を押し殺すために麻酔をかける実態も告発した。
「『脳死』臓器移植を許さない市民の会」は「臓器を提供しない人は悪者」というキャンペーンに異議を唱えた。「名古屋NO脳死」からは現場の医師が「ドナーカードを患者が持っていると困る。救命治療を行うことが本人の意思を踏みにじると解釈される。しかし、それは救命に専念する医の倫理に反することだ」と「脳死判定」や臓器移植を厳しく批判した。
「関西市民の会」は「小児脳死判定は不可能・ギマンであり、実際には父母に“看取りの環境”を与えて殺害を承諾させることだ」と弾劾した。東京の「市民会議」は「終末期医療のもとでの『尊厳死』推進や『重症障害児』の治療打ち切りガイドライン作り、日本経団連奥田の『死の準備教育』推進と改悪案は一体」と発言した。「DNA問題研究会」は「医者にメスの権限を与えているのは治療のためであり、殺すためや人体組織の資源採集のためではないはず。殺人を持ち込むな」と指弾した。「薬害・医療被害をなくすための厚生省交渉団」は「ドナーカードの『その他の欄』で法外な無尽蔵の人体組織摘出が行われている」と実態を暴露した。
全体討論や集会決議では改悪案だけでなく、現行法の廃止をも訴えて国会闘争を闘おうと呼びかけられ、参加者の賛同を得た。
戦時体制づくりとともに救命医療を切り捨てる改悪攻撃を絶対に阻止しよう。
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週刊『前進』(2153号8面4)(2004/06/14)
「兵士は自滅せよ」(?!)
カクマルのアリバイ闘争が大混乱している。「自衛隊を日本国軍と称するのは右翼と同じではないか」「なぜカクマルは『自衛隊はイラクから撤退せよ』と言わないのか」というわれわれの鋭い批判に対し、混乱し、のたうち回っている。
そのきわめつけと言えるのが、5・21闘争の会場でまかれたカクマルのビラである。ここでは自衛隊についてアッと驚くことが書いてあるのだ。
「砂漠の中の“三内丸山遺跡”に閉じこもっている日本軍兵士よ! 蜂起したイラク民衆に銃を向けるな! 自滅せよ! 兵士は蜂起した民衆とともに、反米・反占領の闘いにこそ決起せよ!」
これは何だ。「自滅せよ」という兵士への呼びかけは、いったい何をせよと言っているのだ。兵士は「自ら滅びよ」とは自決せよという意味か? どうしてこんな珍奇なスローガンが出てくるのか。「自衛隊は即時撤退せよ!」というスローガンを絶対に口にしてはならない、という枠に縛られているからだ。カクマルは「日本国軍の米英占領軍との一体化弾劾!」ということを繰り返すだけだ。これは自衛隊の派兵そのものには反対していない、ただ「一体化」には反対ということだ。
しかし、自衛隊は米軍の輸送を担っているし、米英占領軍と一体となって活動しているのだ。今、自衛隊は多国籍軍の一員としてその活動を大きくエスカレートしようとしている。だからこそ、「自衛隊は撤退せよ!」の闘いと要求を日帝・小泉政権に突き付けなければならないのだ。
しかもカクマルよ。「遺跡」とは何だ。他国の土地に居座って軍事占領の一翼を担っていることを弾劾せずに、やゆするようなことか。「閉じこもって」いないで外に出よとは、もっと軍事活動をしろということか。
このビラはカクマルの中でもまずいとされて、ホームページにも載らず、『解放』に再録もされていない。だが、カクマルの本性はもはや覆い隠せない。
(来)
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週刊『前進』(2153号8面5)(2004/06/14)
公判日程
☆迎賓館・横田裁判
福嶋昌男同志裁判
6月16日(水)午後1時15分
7月2日(金)午後1時15分
*東京地方裁判所
☆6・12私文書弾圧裁判
6月10日(木)午後1時30分
*東京高等裁判所
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