ZENSHIN 2004/06/07(No2152
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週刊『前進』(2152号1面1)(2004/06/07)
有事法案を参院で廃案に
6・4緊急大集会の呼びかけにこたえ 日比谷野音に全国総結集を
有事7法案・3協定条約案は5月26日、参院有事法制特別委員会で審議が始まった。日帝は6月上旬にも採決を強行しようとしている。しかし、陸・海・空・港湾労組20団体など4団体が呼びかける5・21闘争が1万人を超える大結集で爆発し、人民の怒りは燃え上がっている。イラク侵略戦争の継続・激化・拡大と北朝鮮侵略戦争を狙う有事法案への怒りは強まるばかりだ。会期末は6月16日。闘いぬけば、年金改悪法案と合わせて、両法案を阻止することができる情勢になった。5・21闘争の大爆発を継承し、有事法案と年金改悪法案の廃案へ呼びかけられている「6・4緊急大集会」に全国からあらん限りの力をふりしぼって大結集し、勝利を開こう。
第1章 「有事」「年金」に巨大な怒り――闘えば勝利できる情勢だ
日帝・小泉は「6月4日には年金法案の参院での採決をしたい」と言い、民主党は「有事法案を廃案にする人質作戦もあり得る」などと言い始めている。
6月4日の年金法案の採決を阻止すれば、年金法案、有事法案ともに廃案にできる情勢が開かれる。大衆的闘いを爆発させれば絶対に勝利が切り開かれるのだ。会期末は6月16日。8日から10日までサミットが入り、日帝・小泉にとっても時間はない。
当面、6月4日が最大の焦点になった。労働者人民の闘いの要求にこたえて設定された「6・4緊急大集会」は、緊急の「一日共闘」である。6・4呼びかけ人一同の訴えに熱烈にこたえ、東京、関東、全国から6・4日比谷野音に大結集しよう。陸・海・空・港湾労組20団体が切り開いてきた地平を後退させることなく、前進させよう。
6・4日比谷野音への総結集を職場、労組、街頭、学園で熱烈に訴えよう。
すでに労働者の壮大な決起、統一戦線の発展がダイナミックに始まっている。
昨年の11・9労働者集会が切り開いた階級的労働運動と国際連帯の地平は、04年の3・20国際反戦統一行動の大爆発から4・9―5・21のイラク反戦・有事法制阻止の闘いへと発展した。それは陸・海・空・港湾労組20団体を軸とした、既成のナショナルセンターの枠を越えた広大な統一戦線によってけん引された。
この過程で特に、3・20の大爆発とその階級的心棒をなした動労千葉の3波の春闘ストは、階級闘争と労働運動に大きな流動と革命的インパクトを与えた。
国労闘争団、全動労争議団、動労千葉争議団が一堂に会し日比谷公会堂に3500人を結集した国鉄闘争支援集会。昨年の12・23日比谷公会堂での5000人集会を引き継ぐ04年春の卒業式・入学式における「日の丸・君が代」闘争、不起立闘争の爆発と、処分攻撃に対する反撃の拡大。
まさに連合や全労連の枠を突き破って、労働運動の大きな流動・再編・戦闘的胎動が始まっているのだ。その中軸に動労千葉の存在と闘いがある。
6・4緊急大集会は、この流れを発展させ、有事法案と年金改悪法案の参院での山場に労働者人民の怒りを総結集し、絶対に廃案に追い込む決定的な闘いだ。
あらゆる労組・職場から、全国各地から、6・4日比谷野音に集まり、勝利を切り開こう。6・1、2、4と国会に続々と駆けつけて闘いぬこう。
第2章 イラク・北朝鮮で共同作戦――ACSA改定案は超重大
日帝・自衛隊のイラク派兵が日本の階級情勢を根底で規定している。有事7法案・3協定条約案はもともと北朝鮮侵略戦争法案であった。だが、自衛隊のイラク参戦によって、法案の性格はイラク侵略戦争を徹底的に激化・拡大するものにも変貌(へんぼう)した。
その最大のものがACSA(日米物品役務相互提供協定)改定である。改定によって自衛隊の後方支援の範囲を北朝鮮侵略戦争の武力攻撃事態・予測事態のみならず、米軍の「対テロ戦争」全般に広げている。アフガニスタン侵略戦争とイラク侵略戦争にACSAを適用する。自衛隊と米軍による共同作戦が展開されるのだ。武器・弾薬の提供はできないが、輸送はできる。現に武装米兵を航空自衛隊は輸送している。ファルージャ作戦のための米軍輸送を自衛隊が行ったのだ。
ACSA改定によって米軍と自衛隊がますます一体化し、イラクで、北朝鮮で、さらに全世界で共同作戦をやり、集団的自衛権を行使するのだ。これは安保の一大エスカレーションであり、とてつもない侵略戦争法案である。
米軍行動円滑化法案は、法案の名前どおり、日本国内で米軍の軍事行動をあらゆる法律より優先させる法案である。道なきところ、民家、田畑、山林、公園を踏みにじって米軍が自由に行動できるようにする。さらに日本政府が米軍にモノとヒトを提供できるようにする。指定公共機関と事業者は米軍の要求に応じなければならない。人民の生産活動、生活や権利を破壊しつくすものだ。
交通・通信利用法案は、戦争の兵站(へいたん)の要(かなめ)である空港、港湾、道路、通信の軍事優先・管理を定めている。
さらに航空労働者に対して輸送協力が強制される。すでに自衛隊のイラク派兵に際して民間航空会社に輸送要請が行われたが、航空労働者の拒否により外国航空会社からチャーターした。戦争と空の安全は相いれないのだ。海員組合の労働者も戦争と海の安全は相いれないと闘っている。
港湾労働者は当局から「港は国境であり、港湾労働者は国境警備隊だ」と言われている。港を利用する船舶の安全ではなく、国の安全を守る港湾という考え方への大転換だ。港湾労働者の戦争動員が始まっている。こうした戦争協力を強制するのが有事法案だ。
自衛隊法改悪では、自衛隊基地も米軍が使用できるようにする。北朝鮮侵略戦争の時には、自衛隊基地も米軍の発進基地になる。
外国軍用品等海上輸送規制法案は、日本の領海だけでなく、公海上の外国船を臨検し、「積み荷の引き渡し」や日本の港への「回航」を求め、従わなければ「警告射撃」や「危害射撃」=撃沈ができる。「武力行使」「交戦権の行使」法案そのものだ。
国民保護法案は、北朝鮮(中国)侵略戦争に向けて国民を扇動し、社会のあり方を戦争モードに切り替えることに狙いがある。
自治体の基本的な仕事を、これまでの住民のための教育・生活・福祉などから、「国民保護行政」という戦争体制をつくりあげる仕事に変える。防災訓練も、戦争防災訓練に変わる。数万人・数十万人の避難計画と実施要綱をつくり、住民を「自主防災組織」などに組織し、訓練することが自治体の仕事の基本になる。自治体を国家の戦争機構の末端機構に変えるのだ。
核心は米日帝の北朝鮮侵略戦争にあり、それへの反撃として北朝鮮からのミサイルや、原発への攻撃を想定している。戦争災害をなくす唯一の方法は、侵略戦争をしないことだ。だが日帝は、北朝鮮侵略戦争の結果、北朝鮮の反撃で原発が破壊され放射能漏れが大規模に起きても構わない、数十万人あるいはそれ以上の人民が放射能被害をこうむっても構わないという立場に立っている。許しがたい。
「国民保護行政」を自治体が実行するためには、自治体労働者を総動員しなければできない。4・14自治労見解は、日帝の北朝鮮侵略戦争体制における自治体労働者動員に積極的にこたえるものであり、絶対認めることができない。
また戦争防災訓練の会場は学校である。児童・生徒の動員と、そのための教育労働者の総動員が行われる。「日の丸・君が代」の強制は、教育労働者の戦争動員の始まりだ。東京の教育労働者の「日の丸・君が代」反対闘争は、日帝と石原に決定的な打撃を与えた。闘った教育労働者を中心に多くの教育労働者が勝利の手応えを感じている。「日の丸・君が代」の次は戦争防災訓練への子どもたちの動員であり、家庭の動員、自主防災組織の組織化、そして戦争への総動員へと進んでいく。これらと真っ向から対決し、有事体制づくりを阻む闘いが始まったのだ。
捕虜等取り扱い法案や国際人道法違反行為処罰法案、ジュネーブ条約追加議定書T、U承認案を有事法案に含めたのは、捕虜の収容、捕虜の虐待・拷問、占領と占領統治を自衛隊が具体的に行おうとしているからだ。つまり、イラクや北朝鮮での自衛隊によるファルージャやアブグレイブを想定した法案なのだ。これは憲法上もとうてい許されないものだ。こんな重大なことが論議されることもなく強行されようとしている。労働者階級の根底からの決起で絶対に阻もう。
小泉再訪朝による北朝鮮への侵略戦争策動に怒りを燃やし、有事法案阻止闘争、年金改悪法案阻止闘争で反撃しよう。
沖縄の名護新基地建設攻撃を粉砕しよう。4月19日以来のボーリング調査阻止の辺野古の座り込み闘争に連帯して闘おう。
共謀罪新設、労組法改悪を阻止しよう。
戦争国家づくりのための司法改革、裁判員制度導入を阻止しよう。
第3章 未納・未加入問題許さない――年金は労働者の生存権だ
さらに年金改悪法案が、労働者人民の怒りの的になっている。年金の納付額は今後上がり続け、給付は下がる一方となるのだ。
一生資本のために働き続けて、働けなくなった労働者がどう生きていけばいいのか。日帝・資本家は国と企業の競争にかちぬくために、資本家の「利潤」を生まない年金には一円も拠出したくないのだ。高齢者は死ねと言っているのだ。
小泉首相の未加入問題に加え勤務実態がないのに厚生年金に加入していた事実と、坂口厚労相に未加入期間があったことも判明した。人民の年金問題への怒りは沸点に達している。
日本経団連の奥田会長は、「年金未納者は、いわば国民の義務を果たしていないわけだから、パスポートや健康保険証や運転免許証を発行しないなどのわかりやすい形でペナルティを設けるべきだ」と、未納者には懲罰を加えろ、と叫んだ。よく見たら「国民の義務違反」をしているのは奥田の仲間の小泉たちではないか。これひとつをとっても、小泉や未納閣僚や神崎などは即刻辞任し、内閣は打倒されなければならない。政府の閣僚や国会議員たちに、年金改悪法案を提出したり、審議したりする資格はまったくない。ただちに国会を解散しろ。
しかも今回の年金改悪法案には、将来の消費税18%への値上げの意図が含まれている。人民の生存権を奪うものであり、絶対廃案にするしかない。
国と資本家は、労働者人民の老後について百パーセント保証する義務がある。これが労働者人民が求める年金制度である。労資折半などは資本家の横暴なのだ。それができない国家や支配者階級はその無責任と無能力のゆえに打倒される以外にないのだ。労働者が主人公となる社会を建設しよう。それができることは動労千葉の闘いが示している。「動労千葉のように闘おう」をスローガンに、労働者の階級的団結を固め闘おう。そして勝利しよう。
闘うムスリム人民、朝鮮人民、全世界の労働者階級人民と連帯し、米英日帝のイラク侵略戦争反対、自衛隊撤兵、ACSA改定・有事7法案阻止、年金改悪阻止へ、6・4日比谷野音に総結集しよう。闘えば絶対に勝てる情勢なのだ。
この闘いの中で、夏期一時金カンパ闘争、機関紙拡大闘争、革共同の党建設の闘いに全力で取り組もう。
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週刊『前進』(2152号1面2)(2004/06/07)
重負担を強い給付は削減 年金改悪法案を葬れ
闘いを貫けば廃案は可能だ
年金改悪法案を阻む闘いはまさに決戦に入った。小泉は、6月サミット前の法案成立をたくらんでいる。だが、小泉や閣僚、与野党幹部の国民年金保険料未納・未加入問題をきっかけに本格的に噴出し始めた労働者人民の怒りは、もはや押しとどめることはできない。どのマスコミの世論調査でも、改悪法案反対の声は7割に迫っている。
とりわけ、小泉の国民年金未加入と勤務実態のない厚生年金加入が暴露されたことは、小泉政権の存亡に直結する問題だ。
「3党合意」による民主党の屈服と法案の衆院通過で、今国会での年金改悪法の成立は、いったんは既定のことにされてしまったかに見えた。だが、労働者人民の激しい怒りは、自公民による議会内的収拾策を打ち砕き、年金改悪法案廃案への現実的な展望を切り開きつつある。
それは同時に、ACSA改定案など3協定条約承認案と有事7法案粉砕の道筋をこじ開けるものでもある。年金改悪への労働者人民の怒りを前に、民主党はペテン的であれ「あくまで年金法案を成立させるというのなら、有事関連7法案は廃案になる可能性が高い」(25日・岡田代表記者会見)と口走り始めた。
もちろん、労働者は民主党に期待するわけにはいかない。だが、年金改悪と有事法案に対する労働者の怒りを結合し、死力を尽くして闘うならば、民主党などの思惑を超えて、有事法案ともども年金改悪法案を葬り去ることはできるのだ。追撃の手を緩めず、今こそ闘いを強めよう。6・4日比谷野音に総結集しよう。
福田前官房長官ら7閣僚や公明党の神崎、冬柴、民主党の菅、小沢らの国民年金保険料未納問題は、ついに小泉自身の約7年間にわたる国民年金未加入が発覚する事態に発展した。
小泉を退陣に追い込もう!
そもそも、「年金未納者は、いわば国民の義務を果たしていないわけだから、パスポートや健康保険証や運転免許証を発行しないなどのわかりやすい形でペナルティを設けるべきだ」と叫び立てていたのは、日本経団連会長の奥田だ(文芸春秋1月号)。ところが、その奥田ら日帝資本の政治的代理人たちこそが、私的な利害得失で国民年金保険料の不払いを決め込んでいたのだ。小泉や未納閣僚、多数の与野党幹部らは、議員年金はく奪などの「ペナルティ」を課された上で、即刻辞任するのが当然ではないか。
未納閣僚や国会議員たちは、「国民年金加入義務があることを知らなかった」「複雑な制度こそ問題」などという弁解に追われている。つまり、年金制度のことなど何も知らない議員たちが改悪案を審議し、労働者人民の未来を決めようとしているのだ。こんなことは断じて許されない。
「現役の5割を給付」は大ウソ
今回の年金改悪法案について、政府がこれまでウソの説明をしてきたことも明らかになっている。
小泉は、“年金給付は現役世代の収入の5割を下回ることはない”とうそぶいてきた。だがそれは、65歳で初めて受給する時の年金額の話でしかなかったのだ。今回の改悪で「マクロ経済スライド」なるものが導入されれば、年金額は政府の一存でいくらでも削減できる。その結果、年金は年々削られ、70歳代では現役世代の収入の4割に低下する。「5割を確保」は真っ赤なウソだ。しかも「現役世代の何割」という数字自体、夫婦の年金を合わせてようやくその水準に達するということでしかない。
国民年金保険料の引き上げ幅にもウソがあった。改悪案は、現在月額1万3300円の保険料を段階的にに引き上げ1万6900円で固定するとしているが、実は賃金が上がった場合、保険料はさらに引き上げられることになっている。保険料が月額2万円を超えることもありえるのだ。
国民年金加入者の3割以上は無職、2割がパートなどの不安定雇用労働者だ。失業者や不安定雇用労働者がどうして月2万円もの保険料を負担できるのか。しかも今、資本はさらに多くの労働者を厚生年金もない不安定雇用にたたき込んでいる。これは結局、労働者人民の大半を年金制度から排除するということだ。
年金改悪の後には消費税の大増税が控えている。日本経団連は、社会保障の企業負担を徹底削減するために、年金改悪を突破口に医療や介護を含む社会保障制度全般を解体し、消費税率を18%に引き上げようと策している。こんなことを許したら労働者人民の生活は成り立たない。
ところが民主党や連合は、資本におもねり、小泉以上に露骨に消費税アップを叫んでいる。他方、日本共産党は、小泉の国民年金未加入問題は追及の対象にしないといち早く表明し、屈服をあらわにした。
これらの裏切りを許さず、労働者の階級的な闘いをたたきつけよう。6・4日比谷野音に結集し、有事法案とともに年金改悪法案を葬り去ろう。
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週刊『前進』(2152号2面1)(2004/06/07)
有事法完成に走る連合 ACSAなど全法案・条約に賛成
5・20事務局長談話うち破れ 労働者は戦争動員拒否する
5月20日、ACSA改定などの3協定条約案と有事関連7法案の衆院通過が強行された。イラク侵略戦争=米帝との共同作戦を継続・激化・拡大し、北朝鮮(中国)侵略戦争の準備を行うための有事法案=戦争法案の完成を許すのか否か。戦時下の日本労働運動の正念場を迎えたのだ。この時、連合中央は有事法案に全面賛成の立場をあらためて明確にした。20日付で出された連合・草野事務局長の「有事関連7法案3条約の衆議院通過に当たっての談話」は、有事法案に賛成しただけではなく「意見反映」と称して、積極的に戦争協力を行う意志を露骨に表明したものだ。連合の屈服・加担を打ち破り、6・4に総結集し有事法案を廃案に追い込もう。
「意見反映」とは労組の名による戦争協力
5・20連合談話(全文別掲)は、衆院を通過した民主・自民・公明3党による「共同修正案」に全面的に賛成している。
それは、「大規模テロなどの緊急対処事態」を武力攻撃事態法に盛り込むことなどだ。また、「業務に従事する者等の意見を聴取する機会が確保されるよう配慮すること」という付帯決議が行われた。連合は、「関係労働者の安全確保に重点を置き……労働組合の関与を条文に明記することを強く求めてきた」が、付帯決議にとどまったとして、参院での「意見反映」に取り組むとしている。
まず、はっきりさせなければならないのは、連合は、これらの「修正」で7法案・3条約の全体に賛成し、与党、民主党とともに今国会での成立を図ることを表明したということだ。
改定ACSAなどは、イラク侵略戦争の継続・拡大のために直ちに発動され、米軍と自衛隊の共同作戦を世界大に拡大する。そして、日本全土を出撃基地にして北朝鮮(中国)への侵略戦争=先制攻撃を準備するものだ。さらに、自治体や交通・通信などの指定公共機関への協力の強制、労働者の戦争動員、国家総動員を狙うものだ。今回の「修正」は、こうした有事法制の核心を何も変更していない。
むしろ、「大規模テロなどの緊急対処事態」を盛り込むことで、自衛隊の武力行使や米軍との共同作戦をより広範囲に認めるものになる。「国会の事後承認」など歯止めにはならない。
さらに連合談話は、「関係労働者の安全確保」と言うが、これは大ペテンだ。
特に改定ACSAにより、米軍と自衛隊の物品・役務の相互提供は世界大に拡大し、輸送や補給、通信などに民間事業者と労働者が協力させられる。それは戦争の相手から見れば当然にも攻撃対象となる。労働者の安全を守るためには、それらの協力を拒否する以外ない。反戦の闘いに立ち上がることこそが、他国の労働者人民を殺すことを許さず、また、自国の労働者人民の犠牲を阻む唯一の道である。
そうした立場に立たない「労働組合の関与」とは、むしろ労働組合が率先して戦争動員に協力するということではないか。
陸・海・空・港湾労組20団体のように「有事法制を完成させない、発動させない」立場こそが求められている。連合中央は、これに全面的に敵対し、有事法制の完成に賛成し、発動された場合の「安全の確保」を求めているに過ぎない。
こうした連合中央の最凶悪の先兵がJR総連・松崎だ。松崎は今年1月の講演で「労働組合としてその法律を犯して兵員輸送、ストライキをかけてストップさせるということはできないのではないですか」と、軍事輸送協力を誓った。
連合の5・20談話は、このように、自治体や指定公共機関、「業務従事命令」の対象となる労働者の動員を、国家や資本になり代わって積極的に強制する役割を果たそうとしているのだ。断じて許しがたい。
02年「5・16見解」では“十分な法制”を要求
連合中央は、今次の7法案・3条約が国会提出されてから、衆院通過までなんの見解も出さなかった。だが、彼らはただ沈黙を決め込んでいたのではない。
そもそも連合中央は、02年4月に武力攻撃事態法などの有事3法案が国会提出された後の「5・16見解」で次のように言っていた。
「日本が武力による侵略を受けないという保証はなく、また大規模テロ、化学兵器、武装ゲリラ、サイバーテロあるいは大規模災害など、現行の対応システムによっては対処しえない緊急事態が発生した場合には……国民の生命および財産を守り、基本的人権を尊重するため憲法の枠内での法整備は、基本的に必要である」
そして、昨年6月の有事3法成立に全面協力した。
さらに5・16見解では、「全体的な法体系が示されていない」「本法案は不十分なもの」と言っていた。「武力攻撃事態」の定義があいまいだとか、「有事における米軍の行動に関する法整備および適用はどうするのか」とか、また「日本はジュネーブ条約に関する追加議定書に加入していない」ことが問題だなどとしてきた。
今次の7法案・3条約は、5・16見解によれば、まさに「不十分なもの」を“十分な法制”として完成させるものであり、これこそ連合が求めてきたものだということなのだ。
だから、連合中央は、戦争法案としての中身を十分に知り尽くした上で、傘下の組合員には明らかにせず、積極的に承認してきたということだ。
改憲推進の連合中央に労働者の総反撃を
実際、談話にあるとおり、連合は法案作成段階から内閣官房に要請するなどしてきた。連合中央は、むしろ今回の法案の作成に政府中枢とともに積極的に関わり推進してきたと言っても過言ではないのだ。
「国の基本政策」検討作業委員会は、草野事務局長(自動車総連出身)を先頭に、自治労の岡部副委員長らも参加し、5・16見解をまとめた。彼らはさらに「国の基本政策」、すなわち憲法や安全保障、外交などの検討を進めている。そこでは金属労協(IMF―JC)系が軍需産業や海外進出を進める資本をバックに、自治労、日教組などの旧総評系労組に激しい圧力をかけ、改憲推進へかじを切ろうとしている。
今次の有事7法案・3条約は、憲法9条を解体し、「集団的自衛権」の行使を認める改憲攻撃そのものだ。これらに賛成したことは、完全な改憲推進勢力になったということだ。
それは、奥田・日本経団連が5月27日の総会で「国の基本問題検討委員会」を設置するのに対応し(名前もそっくりだ)、まさに国家と資本に協力する新たな「産業報国会」への変質を進めるものなのだ。
そうした中で自治労中央は、連合中央に先駆けて国民保護法案に全面賛成する「4・14見解」を出すという大裏切りに走った。
だが、連合傘下の労働者は小泉政権や資本に対する怒りを強めている。3・20日比谷や5・21明治公園に連合傘下の労組が数多く結集している。年金改悪に対する怒りは、自公民の合意で改悪法案成立をいったん容認した民主党を揺さぶり、有事法案をめぐる国会情勢も激しく流動している。この動きを促進し、年金改悪もろとも有事法案を葬り去るためには、連合傘下の労働者の一層の決起が重要だ。決定的チャンスを迎えているのだ。
連合中央を徹底弾劾し、6・4、6・10など6月連続闘争の爆発で、有事法案の廃案をなんとしてもかちとろう。
資料 連合「5・20談話」
有事関連7法案3条約の衆議院通過に当たっての談話(2004年5月20日)
日本労働組合総連合会
事務局長 草野 忠義
1.国民保護法案を中心とする有事関連7法案3条約は、本日、民主・自民・公明3党共同修正案とともに衆議院武力攻撃事態対処特別委員会及び衆議院本会議において、3党の賛成多数で可決され、参議院に送付された。共同修正案は、[1]大規模テロなどの緊急対処事態を武力攻撃事態法(昨年成立)に盛り込む、[2]緊急対処事態の対処方針は国会の事後承認を必要とする、[3]国会の議決で緊急対処事態が終了できる、[4]国と地方が共同で行う国民保護のための訓練の費用は国が負担する、などを内容としている。
2.今回の有事関連法案においては、多くの連合組合員が指定公共機関や指定行政機関の従事者として業務に直接関わることになる。そのため、連合は、拡大「国の基本政策」検討作業委員会で対応を協議し、法案作成段階から内閣官房に関係労働者の安全確保や国民の人権保障の徹底等を文書で要請してきた。また、国会に法案が上程されてからは、民主党を通じて連合の意見の反映を求めてきた。
3.民主党は委員会審議において、連合の要請を踏まえて疑問点の解明にあたるとともに、連合の全要請項目を網羅した前原誠司議員(民主党・有事法制プロジェクト座長)の質問趣意書に対する政府答弁書を引き出した。そして、最終的には与党に対して10項目にわたる修正提案を行って6項目の修正を実現し、修正に至らなかった4項目は委員会において付帯決議を行った。また、民主党は、緊急事態における基本的人権の保障や国会の関与を規定する基本法を制定することを個別法制定の前提としてきたが、この制定に関して与党と合意した。
4.連合は、関係労働者の安全確保に重点を置き、指定公共機関等が国民保護に関する業務計画を作成するに際し、労働組合の関与を条文に明記することを強く求めてきたが、与党と民主党の修正協議では「業務に従事する者等の意見を聴取する機会が確保されるよう配慮すること。」との付帯決議にとどまった。連合は、今後の参議院の審議においては、前原質問趣意書に対する政府答弁書を精査するなどして、これまでの経過を踏まえた意見反映に取り組む。そして、何よりも「国連を中心とする国際協調に基づく外交・安全保障政策の推進」と「紛争の未然防止」に努めることが重要であり、連合は引き続き政府に対してその実行を求めていく。
以上
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週刊『前進』(2152号2面2)(2004/06/07)
「有事」「年金」国会山場に 6・4緊急大集会を呼びかけ
有事法案と年金改悪法案の国会審議の山場に、以下のような「6・4緊急大集会」が呼びかけられています。これにこたえて全国から日比谷野音に総結集しよう。 (編集局)
◇ ◇
「6・4緊急大集会」に全国から駆けつけてください!
これまで百万人署名運動に参加・協力してくださった皆さん、全国の連絡会の皆さん、平和を願うすべての皆さん。有事法制関連法案の今国会成立阻止へ、今ありったけの力を集めてたたかいぬくことを訴えます。有事法案反対の取り組みを全国各地でもっともっと強化してください。そして6月4日、日比谷野外音楽堂に駆けつけてください。
国会は最終盤戦を迎えました。有事法廃案の展望が見えてきました。「年金」の今国会成立に反対する世論も6割、7割と高まっています。労働者民衆の側が勝つのか、それとも小泉政権がこのまま突き進んでしまうのか、歴史を分かつような“決戦”の日々となっています。国会会期末まで、「有事」「年金」廃案のためにもてるすべての力を集中してくださるようお願いいたします。
とめよう戦争への道!
百万人署名運動・事務局
【名称】有事法を廃案へ!国会を動かそう!
6・4緊急大集会
【サブスローガン】自衛隊は即時撤退を! 年金改悪反対! 憲法改悪反対!
【とき】6月4日(金)午後6時30分〜午後7時30分
集会後デモの予定
【ところ】東京・日比谷公園・野外大音楽堂
【主催】6・4緊急大集会呼びかけ人一同
【呼びかけ人】
相澤恭行(PEACE ON)、青木秀樹(弁護士)、天笠啓祐(ジャーナリスト)、荒木昭彦(弁護士)、井口諭(牧師)、石埼学(大学教員)、一瀬敬一郎(弁護士)、岩井健作(日本基督教団牧師)、岩瀬房子、江尻美穂子(津田塾大学名誉教授)、大島孝一、小山内美江子(脚本家)、小田原紀雄(牧師)、萱野一樹(弁護士)、河内謙策(弁護士)、神田香織(講談師)、北西允(広島大学名誉教授)、木村正幸(川崎市職労港湾支部副支部長)、金石範(作家)、栗原君子(元参議院議員)、黒木和雄(映画監督)、桑江テル子(うないネットコザ主宰)、郡島恒昭(浄土真宗僧侶)、坂井弘(不戦兵士市民の会事務局長)、坂手洋二(劇作家)、佐藤昭夫(弁護士)、庄山正(自治労横浜)、下山房雄(九州大学名誉教授)、清水雅彦(明治大学講師)、徐京植(東京経済大学教員)、島袋宗康(参議院議員)、白井佳夫(映画評論家)、芹沢寿良(高知短大名誉教授)、高山俊吉(弁護士)、田中康宏(国鉄千葉動力車労働組合委員長)、知花昌一(沖縄反戦地主)、土本典昭(記録映画作家)、土屋公献(弁護士)、手嶋浩一(元国労九州本部書記長)、寺尾光身(名古屋工業大学名誉教授)、暉峻淑子(埼玉大学名誉教授)、西川重則(百万人署名運動事務局長)、西村正治(弁護士)、二瓶久勝(オリジン電気労働組合書記長)、葉山岳夫(弁護士)、針生一郎(和光大学名誉教授)、藤田進(東京外国語大学教員)、藤丸徹(全日本海員組合教宣部副部長)、松崎三千蔵(元朝日新聞記者)、師岡武男(評論家)、梁石日(作家)
(以上5月27日21時現在)
★詳しくは、
http://www.geocities.jp/stopyuji/ へ
【事務局連絡先】とめよう戦争への道!百万人署名運動 事務局長・西川重則
〒101−0061 東京都千代田区三崎町2−6−7−301 TEL、FAX03−5211−5415
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週刊『前進』(2152号2面3)(2004/06/07)
生徒の「君が代」不起立でも処分 都教委への反撃広がる
「再発防止研修」を許すな
前例のない不当きわまる暴挙
東京都教育委員会は5月24日、「日の丸・君が代」強制をめぐる第3次処分を決定し、「君が代」斉唱時の不起立者の処分に加え、起立しなかった生徒が多かった学校の担任などを「厳重注意、指導」とした。この暴挙を許すな! 被処分者を先頭とする教育労働者とともに闘おう!
24日に都教委が決定したのは、以下の三点である。
@卒・入学式で「君が代」斉唱時に起立しなかったなどとして、教育労働者42人の処分を強行した。うち39人が戒告処分、卒業式・入学式とも起立しなかった3人は減給処分(10分の1、1カ月)。第1次、第2次処分とあわせて、今春だけで実に248人の教育労働者が処分された。
さらに重大なのが、A「不適切な指導等を行った教員への厳重注意」だ。不起立の生徒が多かった学校の学級担任や管理職57人と、式で自分の係の仕事を離れたなどとして10人を「厳重注意、注意、指導」する。
B「今後の対応」として命令研修の実施を決定した。「処分等を受けた教員等については、適正な教育課程の実施及び再発防止に向けて、命令研修を行う」とし、戒告・減給処分を受けた223人の教育労働者に「服務事故再発防止研修」を実施する。
生徒の不起立を「教員の不適切な指導によるもの」として処分するのは、前例のない暴挙だ。都教委は、生徒たちが自主的判断により「日の丸・君が代」を拒否して行動したことを一切認めない。そして教員の処分をとおして、生徒にも「担任が処分されないように立て。歌え」と力ずくで強制しようというのだ。
さらに許せないのが被処分者への研修強制である。「服務事故再発防止研修」とは、処分対象となった行為を「非行」と認め、「反省を促す」ことを内容とする。書かせられる報告書は「自ら行った非行に関する報告書」、すなわち反省文である。被処分者への研修は、「『日の丸・君が代』強制は認められない」という思想を捨てて完全転向することを強要するものだ。
しかも命令研修だから、校長の「研修に行け」という職務命令を拒否したら、またも「職務命令違反」として処分が積み重ねられる。「戒告処分が3回重なれば懲戒免職」という恫喝で、教育労働者の抵抗をくじこうとしているのである。
被処分者は、人事委に不服審査を申し立て、処分の不当性を争っている。その最中に「再発防止研修」を強いるなど、断じて許されない。
不当処分の発端となった昨年10月23日の都教委「通達」こそ、まったく違憲・不当なものだ。この通達に抗して、教育労働者が続々と立ち上がった抵抗闘争は、まったく正義の闘いだ。「再発防止」の対象は教育労働者の行動ではなく、都教委10・23「通達」なのだ。都教委は10・23通達を撤回せよ!
予防訴訟第2次原告に117人
この都教委の暴挙に対して、教育労働者は直ちに反撃に立った。
27日午後、「国歌斉唱義務不存在確認請求訴訟」(いわゆる予防訴訟)の第2次原告団として、117人の教育労働者が東京地裁に提訴した。第1次提訴と合わせて、実に345人の大原告団が結成された。
さらに同日、卒業式で戒告処分などを受けた教育労働者のうち13人が新たに都人事委員会に不服審査請求を申し立てた。3次にわたる請求により、計130人が不当処分撤回を求めて立ち上がったのだ。
同日夕、「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会、「日の丸・君が代」不当解雇撤回を求める被解雇者の会、「日の丸・君が代」強制反対予防訴訟をすすめる会の3団体が合同で、都庁で記者会見を行った。その中では、都高教のOB2人も発言し、都高教の元役員21人が連名で横山教育長に対する「日の丸・君が代」強制への抗議行動に立ち上がることや、都高教高齢者退職者会が予防訴訟を支援することなどが報告された。支援の輪が大きく広がっていることを実感させた。
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週刊『前進』(2152号2面4)(2004/06/07)
労組法改悪阻止訴え 国会行動で廃案への展望
5月21日昼、スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合(ス労自主)と関西合同労組が呼びかけた労組法改悪反対・有事7法成立阻止の国会闘争に50人以上が決起しました。
労組法改悪の動きに対して関西合同労組は昨年11月10日、今年の2月10日、3月19日と連続して厚労省交渉を行ってきました。ス労自主や動労千葉もこの抗議行動に加わってきました。
各労組の反対にもかかわらず、小泉内閣は有事7法案・3条約強行と一体のものとして3月5日、労組法改悪案を国会提出しました。年金改悪法案を強行採決した衆議院厚生労働委員会は、それに続いて労組法改悪案の審議を開始しようとしています。両労組がこうした事態の中で国会闘争を呼びかけました。合同労組を中心に、全国から多数の労働者が呼びかけにこたえて決起しました。
衆参両院議長への請願書には全国から143もの労組・個人の賛同署名が集まりました。中には90分会から署名を集めてくれた労組もあります。賛同署名の広がりと結集の多さに、イラク派兵や有事法案、年金改悪案への怒りとともに労組法改悪案への怒りと危機感が広く存在することを、あらためて確信しました。
まずグループに分かれて国会議員への抗議と要請行動を行いました。有事法制完成攻撃のもとで、国会は労組法改悪案・労働者の団結権破壊という戦後史を画する大攻撃の始まりに対して反対する政党がまったく存在しないという恐るべき総翼賛状況にあります。ほとんどすべての国会議員が、労組法改悪案の中身をまったく知らず、説明を聞いて初めてことの重大さを知るという状態でした。
その後、衆院第2議員会館前でビラまきと座り込み行動・集会に移りました。
ス労自主の中西中央執行委員が司会を行い、関西合同労組の石田委員長が「団結権保護の制度である労働委員会制度のあり方が根本的に否定される労働組合法改悪に対し、労働組合として心の底から反対の声を上げたい。中小・零細、不安定雇用の労働者の団結権が否定されようとしている」と強く弾劾しました。
動労千葉の滝口共闘部長が「労働者の団結を破壊する労組法改悪には絶対反対だ。なぜ今、労組法改悪攻撃がかけられているのか。イラクでは米英軍と自衛隊が共同してイラク人民への虐殺と虐待をくり返している。ACSAの改悪は物・人すべてにわたり、アメリカの世界大的な戦争に日本が参加する攻撃だ。労働者の戦争動員に反対し、夕方6時からの明治公園での20労組の集会を成功させよう」と熱烈に訴えました。
国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会、動労西日本などの労組活動家が次々に発言しました。最後に団結ガンバローを行い、明治公園の集会に合流しました。
労働審判制と一対の攻撃
今回の攻撃は、現在の労働委員会制度を導入した1949年の労組法改定以来、55年ぶりの大改悪です。イラク侵略派兵が強行されている戦時下で、昨年の労基法改悪に続き戦後労働法制を根本的に解体し、労働者の権利を根こそぎ奪い、労働組合的団結を破壊して戦争に動員する攻撃が本格的に始まったのです。
改悪案では、労働委員会の救済命令に時間がかかり命令が裁判で覆される例が多いことを口実に、審問の開始前に争点や証拠を事前整理するとしています。また、刑事罰まで導入して公益委員の指揮権を強化しようとしています。争議を否定する狙いで、和解制度も導入されます。これらは、司法制度改革の一環として5月21日に成立した改悪刑事訴訟法の「争点整理」と同じ発想です。労働委員会制度を裁判のようなものに改変し、「迅速処理」の名で労働者救済機関としての本質を否定しようとしているのです。
しかし、救済の遅れも裁判所による救済命令の否定も、国労5・28反動判決をきっかけに、政府とJR資本、裁判所が一体となって国鉄労働運動破壊攻撃を強めてきたことに最大の原因があるのです。これを問題にせず、労働委員会制度を改悪しようとするのは本末転倒であり、許せません。
この改悪は、4月28日に成立した労働審判制と一対の攻撃です。労働審判制は、労組の組織率低下を背景に個別紛争が増えていることを口実に、労使紛争への労働組合の関与を排除しようとするものです。
労組法は憲法制定前の1945年秋に制定されました。労組法が規定する団結権は、戦後憲法を規定する大原則の一つです。有事法案成立と教基法改悪、労組法改悪を許せば、それは憲法改悪に直結します。
年金法案と有事法案への労働者階級の怒りの中で、労組法改悪案はいまだに審議日程未定です。あくまで審議入りを許さず、改悪反対の声を全国の労働組合に押し広げていきましょう。その可能性を強く感じることができた闘争でした。
(投稿/関西合同労組 S)
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週刊『前進』(2152号3面1)(2004/06/07)
5・21明治公園 有事法案阻止へ1万人 労組先頭に怒りのデモ
陸・海・空・港湾労組20団体など4団体が呼びかけた「自衛隊即時撤退! ストップ!有事法制」の5・21大集会は、東京・明治公園に1万人を超える労働者人民を結集して、意気高く闘われた。(前号既報)
集会・デモの中心は労働者。全国港湾、航空連、海員組合など有事立法に最も危機感を持つ労組が先頭に立った。動労千葉・動労総連合を始め、都労連では都庁職、清掃、東交、東水労が組織動員をかちとり、江戸川、練馬、杉並、渋谷など区職労も組織結集した。全国的にも多くの県職労や市職労、「日の丸・君が代」闘争を闘う教育労働者などが決起した。国鉄闘争支援陣形の労働者、MIC(日本マスコミ文化情報労組会議)や私鉄総連傘下の労働者も結集した。
「とめよう戦争への道!百万人署名運動」は全国から大挙結集し、力強い隊列でデモをけん引した。
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週刊『前進』(2152号3面2)(2004/06/07)
現地ルポ 名護新基地阻む座り込み
“命の海に基地やならん” 不屈に続く島ぐるみ闘争
ACSA改定・有事7法案との国会攻防が続く中、米日帝のイラク侵略戦争で準戦時下にある沖縄で、歴史的な闘いが続いている。名護新基地建設着工攻撃である「ボーリング調査」を4月19日以来阻んでいる座り込み闘争だ。普天間飛行場代替施設の移転先として辺野古沖案が浮上した96年、ヘリポート建設阻止協議会(命を守る会)が辺野古で座り込みを始めた日から実に「2639日プラス39日」(5月27日現在)となる。辺野古現地の闘いを報告する。(本紙 永田朋実)
「座り込むこと、これが闘い、これが力だ。常時100人がここに座り込めば防衛施設局は手出しできない」。ヘリ基地反対協議会の大西輝雄代表委員は、座り込みの意義を説く。
4月19日午前5時半、那覇防衛施設局は業者を伴って辺野古漁港内に突入、作業ヤード(ボーリング調査のための資材置き場)の建設を強行しようとした。反対派はこれを実力で押し返し、辺野古漁港での連日の座り込みが始まった。
◆
現在計画されている普天間飛行場代替施設は、「軍民共用空港」とされているが2000b滑走路をもつ海上基地だ。本体面積は、長さ約2500b×幅約730b=約184f、これに護岸部分約23fと作業ヤード31fを合計した238fが埋め立てられる。辺野古の浜から見える水平線すべてがこの海上基地のために消えてしまう。
しかも今回のボーリング調査は、“本体ではなく護岸工事のための地質調査”だから環境影響評価(アセスメント)法の対象外だというのだ。防衛施設局は、63カ所もの大規模なボーリング調査は当然にも環境アセスの対象とすべきだという意見・要求も無視し、着工を急いでいる。
4月28日、那覇防衛施設局は、「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価方法書」の公告縦覧を開始した。今年中にボーリング調査を終え、環境調査を始めるというのだ。だが400nを超えるこの方法書には、必要不可欠の記載がことごとく欠落している。例えば配備される航空機の機種は「固定翼機」としか記載されておらず、新基地に配備されようとしている最新鋭垂直離着陸機オスプレイの配備は意識的に隠されている。
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5月14日、訪米中の川口外相はパウエル国務長官と会談し、イラクでの米兵による捕虜虐待事件の事後処理に理解を示すとともに、計画どおりに名護市辺野古沖に代替施設を建設する考えを示した。キャンプ・シュワブから調査船を出してボーリング調査を進めることも検討されていると報道されるなど、辺野古での攻防は予断を許さない情勢が続いている。
5月16日には2万人が即時無条件返還を要求し普天間基地を包囲した。この普天間−辺野古を貫く闘いにもかかわらず、日帝・小泉政権はあくまで沖縄差別政策としての新基地建設を推し進めようと構えている。
5月24日、「基地の県内移設に反対する県民会議」の山内徳信代表らが、那覇防衛施設局をたずね、5月10日に提出した公開質問状への回答を求めた。口頭で回答するという施設局に「文書で出さないのか!」と怒りが爆発した。
前例がないと居直る施設局に、1週間後の5月31日に再度の交渉を持つこと、その場で文書回答を行うように要求した。
◆
「イラクでの戦争を見たら、私は沖縄戦とだぶって見えてわじわじ(怒りがつのる)する。国のなさることはなんでもいいさあではだめ。自分で決めて、反対は反対と言わなければ、先祖に顔向けできない」とおばあが諭すように語る。「シュワブにいる米兵だって顔を見れば、15歳とか、かわいそうなもんさ」「戦争はだめだよ」
平均年齢80歳を超えるという辺野古のおばあ、おじいの闘いを労働者・市民が取り巻く。さらに自治労、高教組を始めとする労働組合が組織動員で取り組み、全国各地から座り込みに駆けつける人びとが続いている。
辺野古現地に駆けつけ、この闘いに合流しよう。
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週刊『前進』(2152号3面3)(2004/06/07)
“建設即時中止せよ” 米陸軍都市型戦闘訓練施設 金武町で町民大会
5月20日夕、金武町立体育館で「陸軍複合射撃訓練場の建設に反対する町民大会」(実行委主催)が開かれ、600人を超える金武町民が集まった。「伊芸区民に銃を向けるな」「伊芸区をいくさ場にするな」などのプラカード、全員が赤ハチマキ姿だ。私も入り口で配布された赤いハチマキをしめて参加した。
今回、キャンプ・ハンセン内の射爆場レンジ4に計画されている米陸軍特殊部隊グリーンベレーの都市型戦闘訓練施設は、89年に恩納村(キャンプ・ハンセン内)に建設しようとしたが、恩納村民の実力阻止闘争で阻まれたものだ。予定地は伊芸区の住宅とわずか300bの距離にある。金武町は町ぐるみで反対に立ち上がっている。かの稲嶺県知事でさえ「絶対反対」を表明している。
大会冒頭、儀武剛金武町長(実行委会長)が、「金武町は面積の60%が米軍施設に占められ、基地被害に半世紀も耐えてきた。これ以上の基地負担を背負わせるのか。断固反対の強い意志を日米両政府に届け、建設阻止まで頑張ろう」と訴えた。続いて町内16団体から5人が意見発表した。
池原政文伊芸区長は、施設建設を「国益優先、一部の住民は犠牲にしてもいいというものだ」と弾劾し、「銃弾を四方八方から撃ち込むため住民の安全が確保できないとグアムでの建設を断念。その危険な訓練施設を伊芸に押しつけるのか」と怒りを語った。伊芸区では、幼児や化粧中の若い女性に銃弾が命中するなど、復帰後少なくとも10件の被弾事件が起き、さらに山火事や飲料水汚染などの基地被害が住民に襲いかかってきた。金武町婦人連合会の安次富邦子会長は、イラク戦争と直結している在沖米軍基地の現実を指摘し「都市型戦闘訓練とは、至近距離から人を殺す訓練。子をもつ母として、この地に住む者として断じて認めることはできない」。
建設の即時中止を要求する大会決議を満場一致で採択し、団結ガンバローとこぶしを突き上げた。
しかし25日、現場事務所設置の作業が始まった。6月にも施設本体工事着工と言われる中、地元伊芸区では、26日朝から工事車両進入時の監視行動を始めるなど、臨戦体制に入った。
辺野古でのボーリング阻止とともに、人民虐殺訓練そのものの都市型戦闘訓練施設建設を絶対止めたい。
(投稿/石川敬子)
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週刊『前進』(2152号3面4)(2004/06/07)
圧倒的な夏期カンパのお願い 情勢は革共同の鮮烈な登場を求めています
すべての同志の皆さん。『前進』読者、支持者の皆さん。04〜05年を貫く、戦後最大の階級決戦の勝利のために、革共同への絶大なカンパを心から訴えます。
「有事」「年金」を6月決戦で葬れ
有事法案と改憲をめぐる情勢は今やとんでもない危機にあることを怒りをもって直視しなければなりません。5月20日、有事関連法案が、自公民の賛成で衆院本会議で可決・通過させられました。そして、「福田官房長官辞任」に追い詰められるほど全国で噴き上がっていた小泉政権への怒りを解体する狙いをも明白にもって、小泉首相は5月22日に再訪朝し、日朝首脳会談を行いました。
これ自身がイラク侵略戦争の継続と日帝の参戦政策の一環であり、さらに北朝鮮侵略戦争への布石を敷く攻撃です。日帝・小泉政権はさらに拉致問題を利用した排外主義キャンペーンを執拗に繰り返して、今国会での有事法案と特定船舶入港禁止法案の成立に全力をあげています。
こうして小泉が公聴会さえ設定せずに、有事法案を事実上2週間あまりで参議院で成立させようとしているのに、日本共産党や社民党は小泉訪朝と日朝首脳会談をまったく無批判的に歓迎しています。それどころか日本共産党は「小泉首相の年金未加入問題で責任を追及する考えはない」と記者会見(5月17日、市田書記局長)までして敵対しています。本当にもうガマンなりません。
国会に提出されている有事7法案と改定ACSA(日米物品役務相互提供協定)などは、すでに成立している有事3法や周辺事態法と連動して、法の施行のその日から日本全土を1940年代の戦時体制下におくことを可能とするものです。
ここで想定されている戦争は、野党が国会で言うような「抽象的な、いつ起こるかわからない戦争」のことではなく、今イラクで米軍が大苦戦し、スペインを始めとした各国が次々と撤兵しているあの戦争に、自衛隊が直ちに大量増派して参戦することです。さらに昨年3月20日にブッシュがイラクに対して「あっと言う間に始めた」戦争を、北朝鮮に直ちに強行していく、そのための具体的な戦争動員法だからこそ成立を急ぎ、またそのために再訪朝も強行したのです。
有事法の本質も、実際の運用も〈アブグレイブ刑務所の拷問と虐待>以外ではありません。イラク民衆を勝手に「捕虜」にして、殴る蹴る、犬をけしかける、眠らせない、食べさせない、性的にもてあそび、数限りないレイプの果てに殺す……。こうして書くことさえ肌に粟が生じるようなことを、今度は自衛隊に、イラク・北朝鮮でやらせるための有事法です。日本を戦前と同じ国にするのです。だから有事7法案と改定ACSAは改憲と直結しています。
小泉は、今国会で有事法成立となったならば、直ちに7月参院選挙を〈改憲選挙>とすることさえ狙っています。どうしてこんな暴挙を許せるでしょうか。
革共同はこの階級決戦を直ちに6月決戦として党の総力、党の存亡をかけて闘い、絶対に勝利します。実際、年金問題で窮地に立ったように、小泉に余裕も時間もあるわけではなく、ここで3・20闘争規模の国会包囲闘争を実現すれば、有事法案を必ず吹き飛ばすことができます。立つ時は今です。
なぜ小泉は戦争法案を強行するのか? それは現代が帝国主義支配体制の末期だからです。
現在、世界では毎年約3500兆円の価値(GNP)が生み出されて、約63億人で割ると一人約55万円。世界の全員が十分に食べていける生産力があります。一方国連加盟192カ国のうち、この水準に達しているのは上位40カ国。逆に一人あたり年収10万円未満の国が70数カ国に及びます。こうして、「生産力はありながらも、帝国主義の収奪により世界人口の半分が飢えている」「そこまで極限的に収奪した帝国主義本国の経済さえ破綻(はたん)し、戦争と大失業の時代に突っ込んでいる」のが現代世界です。
日帝・小泉政権と日本経団連・奥田路線の凶暴さは、帝国主義の危機と弱さの現れでもあります。今や帝国主義打倒・プロレタリア世界革命が完全に現実性をもってきているのです。
労働者の壮大な決起が始まった
すでに闘いは激しく開始されています。5月1日、アルジャジーラ局は「世界随一のスーパーパワーがファルージャで負けた」「レジスタンスが勝った」と世界に発信しました。スペイン軍撤退も、実はナジャフ郊外のクーファでのスペイン軍と、蜂起した市民との激突が原因であることが明らかになっています。
そしてこのイラク民衆の壮絶な闘いに連帯して、3月20日のイラク戦争開始1周年には世界50余カ国で1千万人を超える人民が決起しました。アメリカ、イギリスをはじめ、帝国主義本国での自国帝国主義打倒の闘いが広がっています。また韓国では、昨年の11月日比谷集会をともに闘った韓国の民主労総が4月の総選挙で、比例区での得票率13%余で8議席、反動的小選挙区制下でも2議席の計10議席を獲得するという爆発的な発展過程に入っています。
一方、日本でも連合・全労連や社共の屈服をのりこえて闘いが始まりました。3・20闘争の全国での50万人決起に続き、日本人拘束事件をめぐってイラクの闘う勢力と完全に呼応・連帯して闘われた4・9日比谷集会とデモ。さらに5・21明治公園大集会から息もつかせず6・4日比谷野音集会など、6月連続闘争が闘われています。
しかし、勝利は、現在の単純な延長線上にはなく、決定的な飛躍を求めています。
今春、動労千葉と組合員Aさんは不当配転攻撃に対して「組合に体を預ける」と業務命令を拒否し無期限の指名ストに突入、ついに勝利しました。また、石原都知事の「日の丸・君が代に反対したらクビ。(千万円単位の退職金も没収)」の恫喝を跳ね飛ばし、今春の卒・入学式では千人を超える教育労働者が実力で「君が代」不起立闘争を闘いました。
また動労千葉と陸・海・空・港湾労組20団体はストライキを始めあらゆる方法で戦争動員を阻んでいます。こうして労働者階級人民はついに、「できる闘いをやる。部分で参加する」ところから、「自分の人生の丸ごとをかけた決起」を数千人、数万人単位で開始しました。
労働運動を基軸にこの闘いを官公労から基幹産業の全職場、6千万人労働者の総決起へと組織化していくことが革共同第6回大会路線であり、帝国主義打倒と革命の事業の現実性です。それは、総評解散、国鉄分割・民営化攻撃という日本の未来のかかった決戦に唯一ストライキで反撃したからこそ、今日の闘いの最先頭に躍り出られた動労千葉の労働運動に学ぶことでもあります。
革命の事業達成へ共に闘おう!
皆さん。革共同は、すべての同志と支持者の皆さんの献身的な決起により権力・カクマルとの壮絶な死闘に勝ち抜き、「情勢が革共同の登場を求めている」今日の時代を引き寄せました。このことを万感を込めて感謝します。
皆さん。到来した戦後最大の階級決戦を日本帝国主義打倒の絶好機に転化して闘いましょう。
この壮大な事業を実現するために、革共同に、10万円を単位とするような絶大なカンパを寄せられることを心から訴えます。
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週刊『前進』(2152号3面5)(2004/06/07)
“年金改悪やめろ” 介護保険全国ネットワーク 厚労省を徹底追及
介護保険に異議あり!全国ネットワークは5月21日、東京・霞が関の弁護士会館の会議室で厚生労働省交渉を行った。杉並、神奈川、大阪など全国から80人の高齢者が参加し、年金改悪法案の撤回を求めて厚労省を厳しく追及した。交渉の後は厚労省前に移動し、年金改悪阻止の怒りのシュプレヒコールを浴びせた。この行動には狭山要請行動を終えた部落解放同盟全国連の仲間も参加し150人にふくれあがった。この日の行動は、明治公園での有事法案阻止の闘いと一体のものとして闘われた。
午後2時からの交渉には厚労省から4人の担当者が出席し、司会を結柴誠一杉並区議が担当。全国ネットの高田普次夫共同代表、水上信也共同代表、介護と福祉を要求する杉並住民の会の八木ケ谷妙子代表があいさつし、要望書を読み上げ、個人9937人と5団体の署名を手渡した。
厚労省は、「少子高齢化社会が訪れようとしている中で保険料の引き上げは避けられない。高齢者の年金も下げることは避けられない」とあくまでも年金改悪を貫くというのだ。これを「高齢者の生活を配慮した考え方」などと主張した。
厚労省の説明を聞いて参加した高齢者が次々と怒りをぶつけた。「一生懸命保険料を納めたのに1カ月4万円の年金でなんで生活できるのか」「首、腰、足の骨が痛く、目、耳、歯も悪く医者にいけば3割負担をとられ、6万円の年金では医者にもいけない。一生懸命年金を納めたのに、国会議員たちが不払いと聞いて悔しい」。厚労省の役人はこうした追及にまともに答えることができない。
「憲法25条で言う健康で文化的な最低限度の生活というのはどこにラインを引いているのか」「今日はうどん一つで明日はどうしようかという状態で生きつないでいる。年金を引き下げて、介護保険料を上げて、死ねということか」「あなたたちには人間としてのハートがない」
「最初の回答でマクロ経済スライドを入れたことをどうして隠しているのか。今後いくらでも下げられるという制度ではないか」「50%を保障するのか」という質問に対しては、何も答えず、50%を割って切り下げる意図を示した。
「企業が福利厚生をきちんとしていない。何とかしてほしい」「受給資格の年限を考え直してほしい」「未納の国会議員についてどうするのか。彼らは全然責任を果たしてないじゃないか。責任を果たしてない彼らに年金の改悪を提案する資格はない」――次々と鋭い追及が行われた。
年金課税の最低限度額引き下げによって増税されるだけでなく、各種の減免対象から排除されて、国保料、介護保険料が重なって引き上げられようとしていることを、具体的事例を挙げて追及した。厚労省役人は「課税問題は財務省ですから」と回答から逃げた。これに対して「年金課税強化をやめろということだ」と弾劾の声が飛んだ。最後に「生きていけるだけの年金を保障しろ」「年金改悪をやめろ」と弾劾した。
「年金改悪法案廃案」の声は全国をおおっている。この闘いはその先頭で闘いぬかれ、参院段階での廃案への突破口をこじ開けた。
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週刊『前進』(2152号4面1)(2004/06/07)
集団的自衛権行使狙うACSA改定 憲法9条解体の有事法案
イラク・北朝鮮で日米が全面共同作戦に突入
ACSA改定案など3協定・条約承認案と有事関連7法案は、日帝が戦後憲法的制約を踏み破り、侵略戦争に泥沼的に突き進んでいく歴史的攻撃である。10法案の一つひとつが憲法9条を公然と解体する反人民的な戦争法案である。だが許しがたいことに国会ではまともな審議も行われていない。5月20日に衆院通過が強行され、参院に送られた。6・4闘争を大爆発させ、参院段階で絶対に廃案に追い込もう。
日本全土が出撃基地
ACSA(アクサ=日米物品役務相互提供協定)改定案と有事関連7法案は、@米日帝がいま現在強行しているイラク侵略戦争、アフガニスタン侵略戦争を一層激化・拡大するものであり、Aさらに北朝鮮・中国侵略戦争を準備し突入するための法案である。
しかもこの法律は国会で成立すれば直ちに発動されるのだ。ひとつは現に進めているイラク侵略戦争への日帝の参戦拡大、日米共同作戦強化の攻撃として、もう一つは北朝鮮(中国)侵略戦争への全土出撃基地化、日米間での集団的自衛権行使、国民総動員の体制づくりの攻撃として具体化していくのである。平時と有事が完全に一つながりであり、日本の社会全体を戦争モードに切り替えるものとしてある。
そのための中心的な攻撃がACSA改定案を中心とする一連の米軍支援法案だ。ほかに米軍行動円滑化法案、自衛隊法改悪案、交通・通信等利用法案などが関連法案である。
何よりもACSA改定案は、これまでの▽共同訓練▽国連PKO、人道的な国際救援活動▽周辺事態のほかに、新たな枠組みとして@武力攻撃事態とその予測事態、A国際貢献・大規模災害を加えた。
Bまた、自衛隊法改悪案でこのほかに、平時から自衛隊施設内の米軍に物品・役務を提供できるようにしている。(注)
これで、自衛隊が参戦した戦場で米軍との間で物品・役務、弾薬の相互提供ができ、共同作戦を展開できるようになる。
北朝鮮侵略戦争を策動する米帝と日帝は、改定ACSAと一連の米軍支援法案により、武力攻撃予測事態の段階から日米間で物品・役務と弾薬を相互に提供し、日本全土を全面的な戦争体制に突入させ、50年朝鮮戦争の時と同じように、日本を百パーセント自由使用できる出撃基地・補給基地・兵器庫に変えてしまおうとしているのだ。
また、Aに言う「国際貢献」とは米帝のイラクやアフガニスタンへの侵略戦争、さらには全世界で米帝が起こす対テロ戦争=侵略戦争への参戦のことである。日帝は今や米帝の世界規模の侵略戦争に対して、日米安保軍事同盟をエスカレートし、「後方支援活動」の名のもとにとことん米帝との共同作戦、集団的自衛権行使に突入していこうとしているのである。
アメリカのチェイニー副大統領は「対テロ戦争は50年以上続く」と公言している。日帝は、29年型世界大恐慌の切迫、帝国主義間争闘戦の非和解的激化のもとで、米帝との〈共同と競合〉の関係のもとに、米帝の泥沼的=絶望的な、長期にわたる侵略戦争−世界戦争路線に、自らの延命をかけて積極的、能動的に参戦していこうとしている。
ACSA改定と有事関連7法案はそのための決定的攻撃であり、実質的に集団的自衛権行使法案である。改憲を先取りする大攻撃だ。
日帝は同時に、▽海外派兵恒久法の制定、▽弾道ミサイル防衛システム(MD)導入、▽06年3月から陸海空3自衛隊の統合運用、▽06年度に国際貢献・対テロ・ミサイル防衛の3専門部隊創設(長官直轄)など、文字どおり現憲法の枠組みを大きく踏み越えた侵略軍隊(外征軍隊)の形成に向かって、決定的な攻撃を強めているのである。
労働者の国家総動員
同時に有事立法は、労働者を戦争に動員する攻撃である。「国、地方公共団体等の責務」「国民の協力」などの規定のもとに、対策本部長(首相)や軍の強権で労働者が戦争に駆り出されるのだ。特に「国民保護法案」は北朝鮮(中国)侵略戦争に向けた新たな国家総動員法だ。
すでにイラク特措法で「民間の協力」が規定され、労働者が懲役つきの「防衛秘密保全義務」を課せられてインド洋や中東地域に派遣されている。
全日本海員組合の労働者は「私たち民間船員にとって、有事法制と聞けば、思い起こすのは国家総動員法であり、『船員徴用令』によって戦時動員され、一万隻をこえる民間船舶とともに海底深く沈んだ六万人余の先輩たちの痛恨の思いである」と語っている(機関誌『海員』02年8月号)。
だからこそ陸・海・空・港湾労組20団体を始めとして、戦争になれば真っ先に動員される労働組合は必死で有事法阻止に立ち上がっている。
連合中央は有事関連法案の衆院通過にあたって「5・20談話」を発表した。これは、民主党の有事立法賛成の立場を全面支持し、連合中央自らが法案成立に手を貸す、きわめて反労働者的なものである。国民保護法案などに賛成を表明した「4・14自治労見解」ともども労働者の怒りで粉砕しよう。
6・4日比谷野音集会に労働組合の旗を押し立て総決起し、ACSA改定案・有事7法案を絶対に廃案に追い込もう!
ACSA改定案・有事関連法案
◇日米物品役務相互提供協定(ACSA)改定案、米軍行動円滑化法案、自衛隊法改悪案、交通・通信等利用法案
侵略戦争で米軍・自衛隊の物品・役務の相互提供が可能に。「国際貢献」と称し、全世界で米軍の侵略戦争を支援。有事には空港・港湾・道路、空域・海域を米軍最優先に。地方自治体の港湾管理の権限を奪う。民有地や家屋の強制使用も。
◇外国軍用品等海上輸送規制法案
有事の際、公海上でも相手船(北朝鮮船)の同意なしに臨検や拿捕(だほ)が可能に。拒否すれば危害射撃、撃沈も。違憲の「交戦権」を発動。
◇国民保護法案
都道府県、市町村に「国民保護協議会」を設置、平時から国民の戦争動員訓練を実施。自衛隊が協議会委員に加わり自治体の施策に介入。自治体や民間労働者を戦争体制づくりに動員。有事には避難命令で住民を排除。食料や燃料の保管命令に従わなければ、業者に懲役刑も。
◇ほかに捕虜等取り扱い法案、国際人道法違反行為処罰法案、ジュネーブ条約2追加議定書承認案が国会に提出されている。すべてが侵略戦争のための法案だ。
(注)
自衛隊法改悪案に「訓練、連絡調整その他の日常的な活動のため、…自衛隊施設に到着して一時的に滞在する合衆国軍隊」に対して物品・役務の提供権限を新設した。
これは、@北朝鮮侵略戦争の際に米本土から来る数十万の米兵の受け入れのためであり、Aさらに、その段階から自衛隊が米軍を全面支援し、臨戦態勢に突入するということだ。常時、戦争モードになるということである。
米太平洋軍海兵隊司令官のグレグソン中将は、トランスフォーメーション(米軍の世界的な兵力再配置)の一環として、「われわれは共同使用の基地を生みだすべく模索すべきだ。そうすることで一緒に訓練し、一緒に出兵し、一緒に生活することが可能になる」と述べている。(『軍事研究』5月号)
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週刊『前進』(2152号4面2)(2004/06/07)
イラク全土を核汚染した米帝 劣化ウランを2000トンも使用 住民や兵士からウラン検出
ウラン兵器を恒常的に使用
米占領軍に対するイラク人民の不屈の武装解放闘争に決定的に追いつめられた米帝は、ファルージャやアブグレイブでの虐殺・拷問など、日帝の南京大虐殺、ナチスのユダヤ人大虐殺に連なる歴史的犯罪を凶行している。
米帝はイラク・中東石油の独占を目的に03年3月、イラク侵略戦争を開始した。新型ハイテク大量破壊兵器、そしてウラン兵器が再び規模を数倍にして投入され、無数のイラク人民が殺戮(さつりく)された。人体にきわめて有害な放射性物質である劣化ウランが2千dもばらまかれ、イラク人民に被曝を強制し続けている。
劣化ウランは、原爆や原発核燃料の製造過程で発生する核廃棄物である。それは、重さが鉛の1・7倍で、人体にきわめて有害な化学毒性・放射能毒性をもつ物質だ。
戦車や戦闘機から発射される劣化ウラン銃砲弾は、ターゲットの戦車や堅固な建造物を貫通して、爆発的に燃焼し内部の人間を焼き殺す。恐るべき焼夷(しょうい)弾・化学兵器であり、放射能兵器・新たな核兵器そのものである。空気を吸い、食物を摂取することによって身体の中に入った微粒子の劣化ウランは、肺や骨髄、生殖器官などの臓器・組織に付着し、α線の照射で細胞、DNAを損傷し、がんや白血病、「先天障害」などを引き起こす。
ウラン兵器は、汚染源を回収不可能にし、無差別に被曝させて残虐な苦痛と死をもたらし、人類・環境に対し永久に深刻な損害を与える。これを「戦場で有効である以上、さらに良い兵器が開発されるまでこれを使い続けるべきである」(91年ロスアラモス研究所メモ)と言い放ち、米(英)軍はイラク、アフガニスタン、ユーゴスラビアへの侵略戦争、コソボ内戦で相次いで使用し、今後も使い続けようとしている。すでに膨大な量の核物質・ウランがばらまかれているのだ(グラフ参照)。
バグダッドやサマワで判明
カナダの民間医療専門機関・UMRC(ウラニウム医療研究センター)の調査によれば、アフガニスタンでは住民の尿から、ジャララバードで通常の45倍、カブールで200倍という高い放射能のウランが検出された。原子炉内でしか生成されないウラン236がコソボに続き発見されている。さらに、イラクでは、10都市の土・水のサンプルから高濃度の劣化ウランが見つかっている。バグダッドやバスラ、ナシリアなどの住民から劣化ウラン、そしてウラン236も検出された。劣化ウラン主成分のウラン238の半減期は45億年、ウラン236の半減期は数千万年、したがって後者の方が何万倍もの強い放射線量を出すのである。米軍が大量にまき散らした放射能が今後イラク人民に与える影響は、かつてなく重大・深刻なものになるだろうと言われている。
イラク占領軍の4人の米兵士の尿からも劣化ウランが検出されたことが4月、『ニューヨーク・デイリー・ニュース』で報道された。彼らはニューヨークの警察・看守・消防士で、第422憲兵中隊の兵士として、昨年6月から8月までイラク・サマワに駐屯していた。列車の発着場で寝泊まりしながら、拘置所の管理、物資の輸送護衛、イラク警察官の訓練などの軍務についていたという。部隊内で発熱・吐き気・頭痛・しびれ・発疹などの発症が相次いだ。帰還後、軍病院に精密な検査を要求したが拒否され、UMRCのドラコビッチ博士によって尿がドイツの研究所に送られ、最新鋭の質量分析器の検査で、劣化ウランと微量のウラン236が検出された。同地域では昨年のイラク侵略戦争で米軍によって大量の劣化ウラン弾が使用されている。彼らは戦闘には参加していないから、ウランの粉塵からウランを吸収し、被曝したものと考えられる。
米帝が劣化ウラン弾を初めて使用した湾岸戦争では、帰還米兵50万人のうち26万人以上が体調異変を訴え、これまで約1万人がガンや白血病などで死亡している。今回のイラク侵略戦争では、医学的理由で帰還した兵士が3月段階で1万8千人という。4人の米兵の被曝は氷山の一角にすぎない。第2の湾岸戦争症候群が始まっている。
ACSA改定 ウラン弾輸送
小泉政権は、「イラクでの米軍の劣化ウラン弾使用の有無はわからない」「劣化ウラン弾は国際的には危険と判断されていない」とうそぶき、陸自兵士からDNAを採取し、α線が検知できない放射線測定器を携行させて、サマワ派兵を強行した。イラク侵略・軍事占領の共犯者となった日帝は、自衛隊兵士をウラン被曝のモルモットにしようとさえしているのだ。
空自C130はイラク人民への無差別虐殺を続ける武装米兵などを輸送している。沖縄の米軍基地所属の海兵隊はファルージャ大虐殺の部隊である。在日米軍弾薬庫には、劣化ウラン弾が貯蔵されている。
改定ACSA・有事7法案の成立を許せば、米軍へのウラン兵器などの武器・弾薬輸送が自衛隊・事業者によって公然とおこなわれることになる。米軍の世界戦争計画の当面の環としてある北朝鮮侵略戦争でウラン兵器使用がなんら排除されておらず、小型核兵器使用すら検討されていることは重大きわまる事態だ。
イラク侵略戦争を継続・激化・拡大し、北朝鮮侵略戦争を準備し発動するための日米共同の侵略戦争法であるACSA大改定と有事7法案を、闘うムスリム人民・朝鮮人民と連帯してぶっつぶそう。
(河東耕二)
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週刊『前進』(2152号4面3)(2004/06/07)
学生運動の最前線から 新入生諸君、ともに闘おう(5)
広島大学 帝国主義打倒に向かって新たな世代の新たな決起
広島大学では自衛隊の撤退・有事法案粉砕が新入生を先頭に闘われている。イラクでの日本人人質事件直後の4・11行動から4・29ヒロシマ行動、そして5・21明治公園の闘いに新入生が次々と決起している。また、大学当局の自治会への攻撃に新入生から怒りの声が上がっている。
04年3・20の日比谷6万―全国50万、全世界1000万の決起を始めとした、帝国主義打倒に向かって突き進む労働者階級人民の歴史的な胎動が、キャンパスでも新しい世代の新しい決起として始まっている。
どういう時代か
私たちはどういう時代に生きているのか。帝国主義はその矛盾を爆発させ、3度目の世界戦争の過程を開始している。米帝は膨大な経常・財政赤字危機、ドル暴落危機の中で、イラク侵略戦争を皮切りに北朝鮮―中国へと拡大する世界戦争戦略を発動した。軍事力によって他の帝国主義の市場・勢力圏を奪い取り、世界を再編して延命しようとしている。世界の帝国主義は、あるものは米帝と対抗(独仏帝など)し、あるものは米帝と共同・競合(日帝など)して、世界戦争のプロセスに参入している。
だが、世界戦争に突き進む帝国主義にはなんの展望もない。イラク人民の民族解放闘争にのたうちまわる米帝を見てほしい! 米帝は13万人の米軍と「有志連合軍」をもってしても、まったくイラクを制圧することができず、イラク人民の民族解放闘争に追いつめられている。ファルージャ制圧作戦も敗北し、米軍はファルージャからの撤退を余儀なくされた。増え続ける膨大な戦費、戦死者の増大と戦意の後退、兵役拒否者の続出、そして刑務所での虐待・拷問の発覚。米帝は経済的にも、国内支配的にも危機を爆発させている。
帝国主義は自国の労働者を生活させることさえできなくなっている。被抑圧諸国人民に至っては帝国主義の極限的収奪の中で文字どおり殺されている。
この中で、全世界の人民は、帝国主義―資本主義という社会のあり方そのものが歴史的限界に近づいていると感じ始めている。そして生きるために帝国主義の侵略戦争と首切り・リストラ・生活破壊の攻撃と対決して闘っている。
日本でもまた、資本や政府と対決する労働者の闘いが始まっている。その先頭が動労千葉だ。動労千葉は階級的団結の力=組合員の力に徹底的に依拠して闘って資本の攻撃をはね返し、侵略戦争阻止の先頭に立っている。また、陸・海・空・港湾労組20団体を先頭に日帝の侵略戦争と対決する労働者階級のうねりが始まっている。
労働者階級こそ帝国主義を打倒し新しい社会=共産主義社会を建設していく主人公である。われわれ学生は全世界の労働者階級・被抑圧民族人民と固くスクラムを組んで、その先頭で闘おう。いまこそ情勢を揺るがす学生運動の歴史的登場のときだ。新入生を先頭に帝国主義と闘う学生運動の大爆発をかちとろう!
有事法案粉砕へ
日帝・小泉政権は今通常国会で有事7法案・3協定条約承認案を成立させようとしている。この法案成立をもって有事法体制は一応完成し、ただちにイラク侵略戦争に適用され、朝鮮侵略戦争に向けた日常的な体制が作られていくのだ。
例えば、ACSA改定によって米軍に自衛隊が後方支援ができる。つまりイラク人民を虐殺し、拘束している米軍と共同展開できるのだ。また今回のACSA改定によって日常的にも物品役務の提供ができるようになる。この結果、自衛隊と米軍は日常的に一体化し、沖縄―日本の米軍基地を拠点に全世界で共同で侵略戦争を展開していくことになるのだ。
さらに、人民の日常生活も戦争モードにされていく。国民保護法案第37条では都道府県と市町村に国民保護協議会を設置することを規定しているが、この協議会メンバーには自衛官、警察、消防のトップ、学識経験者(反動的な大学教授などが入るに違いない)、さらには教育委員会の教育長までが入っている。
国民保護協議会で「国民の保護の計画」がつくられ、それに基づいて組織が整備される(41条)。これは第4条で「政府による自主防災組織の支援」とあるように自主防災組織などを戦前の隣組のように組み込んでいくことを意味している。そして「計画」にもとづいて訓練が行われる(42条)。これには地域の住民だけでなく教育長などの権限で地域の学校が総動員され、児童・生徒が戦時訓練に動員されるのだ。さらには啓発(43条)と称して学校や地域で国家主義・排外主義が扇動されていく。
これと教育基本法改悪が結びついたとき、学校を中心にして人民の精神をも戦争に動員していくおそるべきレールが敷かれていくことになるのだ。
大学法人化の攻撃の中で、大学が国家や資本の利益に奉仕する機関へと変貌(へんぼう)させられようとしている。有事法攻撃・教育基本法改悪攻撃と一体でとらえたとき、われわれ学生自身が国家や資本の奴隷とされ、戦争に協力させられていくことになる。
広島大学でも、法人化の中で経営協議会に広島県教育委員会の委員長が座り、県教委と一体になって広島の教育反動の先兵として立ち回ろうとしている。
有事立法攻撃は日帝の世界戦争突進への決定的なハードルを超えるものであり、改憲攻撃そのものだ。この攻撃を許したら、米帝と競合した形での日帝による世界戦争が始まってしまうのだ。
侵略戦争―世界戦争を強行する以外延命できない帝国主義に未来はない。マルクス主義で武装し、労働者階級とともに帝国主義と闘う生き方こそがもっとも展望のある生き方だ。世界戦争に突き進む日本帝国主義を打倒しよう! 広大支部は04年、学生運動の大爆発を最先頭で切り開くことを宣言する。すべての学友諸君! ともに闘おう!
(マルクス主義学生同盟中核派広島大学支部)
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週刊『前進』(2152号4面4)(2004/06/07)
5月18日〜25日
ブッシュ演説、撤兵に触れず 有事関連法案が衆院を通過
●イラク・サマワの陸自宿営地近くに地雷 イラク南部サマワの陸上自衛隊宿営地の西方約500bの道路で対戦車地雷が発見された。現場は自衛隊やオランダ軍も通過する道路で、その車両を狙った可能性が高い。(18日)
●国民投票法、来年までに成立で合意 自民、公明両党は、改憲の具体的な手続きを定める国民投票法案に関する実務者会議を開き、来年の通常国会までに法案を提出し、成立を図ることで合意した。(19日)
●有事法案が衆院通過 衆院有事法制特別委員会が有事関連7法案と関連する3条約の締結承認案を一部修正のうえ可決した。各法案と承認案は、同日午後の衆院本会議で可決され、参院へ送られた。(20日)
●「在日米軍が最重要」 在外米軍の世界的な再編を進めている米政府が各地の米軍基地を4ランクに分類し、東アジアでは在日米軍を最重要拠点、在韓米軍を第2ランクの拠点とする考えを韓国政府に伝えていたことが明らかになった。(20日)
●裁判員制度法が成立 市民が重大な刑事事件の審理に参加して、裁判官とともに有罪・無罪や刑の重さを決める裁判員制度を創設する法案が参院本会議で可決、成立した。政府は09年4月の実施を目指している。(21日)
●小泉が再訪朝 小泉首相は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を訪問し、ピョンヤン市内で金正日総書記と会談した。02年9月に交わした平壌宣言の履行などを確認した。拉致被害者5人の家族8人について、うち5人が帰国した。(22日)
●入学式「君が代」不起立で40人追加処分
東京都教育委員会は、都立高校などの今春の入学式で「君が代」斉唱時に起立しなかったなどとして、教員ら約40人を戒告などの処分にすることを決めた。都教委が昨秋、学校行事で「日の丸・君が代」を徹底するよう求める通達を出して以来、処分は計約250人となる。(24日)
●海保、韓国漁船に催涙弾 長崎県対馬市の北西約40`の日本の排他的経済水域(EEZ)で操業中の韓国漁船に対し、対馬海上保安部の巡視艇が催涙弾約20発を発射した。うち5、6発がブリッジに命中した。船長がけがをしたとの情報も。(24日)
●ブッシュ演説 ブッシュ米大統領がペンシルベニア州の陸軍戦争大学でイラク政策について演説し、米政府が今後実施する措置を@イラク(暫定)政府への主権の移譲、A安定と治安の確立支援、B社会基盤整備の継続、Cさらなる国際支援、D選挙実施の支援――という5段階にわけて説明した。6月30日に「主権を完全に移譲する」ことをあらためて表明し、「占領の終結」を意味すると説明した。米軍は多国籍軍の一員として駐留を続け増派もありうるとし、最終的な撤退の時期には触れなかった。(24日)
●入港禁止法案、共同修正案に合意 自民、民主、公明の3党は、万景峰(マンギョンボン)号など北朝鮮船舶を念頭においた「特定船舶入港禁止特措法案」を共同修正し、今国会で成立させることで合意した。与党と民主党がそれぞれ提出していた法案を取り下げ、共同修正案を再提出する。(25日)
●「君が代」生徒不起立、担任ら指導 都教委は、都立高校の卒業・入学式で「君が代」斉唱時に起立しない生徒がいた学級の担任ら57人について、生徒への指導が不足していたとして厳重注意などの指導をすると発表した。生徒への指導責任を問う措置は初めて。(25日)
●都市型訓練施設の建設作業着手 在沖縄米陸軍が金武町のキャンプ・ハンセン内で実弾射撃を伴う特殊部隊用の都市型戦闘訓練施設の建設に向け、建設資材を運び入れ、測量などが行われた。(25日)
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週刊『前進』(2152号5面1)(2004/06/07)
小泉再訪朝のペテンと反動性
米日共同で金正日政権転覆狙う 北朝鮮への侵略戦争策動許すな
5月22日、小泉が再訪朝し、北朝鮮・金正日と会談した。小泉は、この首脳会談について、拉致問題を解決し、核問題でも前進した、また国交正常化へ02年日朝ピョンヤン宣言を再確認したことは平和への第一歩だと宣伝している。しかし今回の日朝首脳会談は、日朝の「友好・協力関係」を進めるものでも、朝鮮半島の平和に資するものでもない。まったく逆に、現に行われているイラク侵略戦争を背景に、日帝が米帝とともに、北朝鮮侵略戦争を発動するための条件づくりを行ったものである。帝国主義の戦争重圧にあえぎ、核・ミサイル問題を瀬戸際政策のカードとする北朝鮮・金正日政権の反人民性を絶好の口実としてその体制を転覆しようとしているのである。国会会期中に有事法制および特定船舶入港禁止法案の恫喝とワンセットで訪朝が強行された。その背景には、米帝とともにイラク情勢に深々と引き込まれた日帝の体制的危機がある。労働者人民は、南北・在日朝鮮人民と連帯して、有事立法阻止・改憲粉砕、イラク侵略戦争・北朝鮮侵略戦争を内乱に転化する闘い(日本帝国主義打倒)を、今こそ決意も新たに強力に推し進めよう。
「拉致」「核」を口実に戦争重圧強めた日帝
報道によれば、5・22日朝首脳会談では、次の諸点が確認された。
@02年日朝ピョンヤン宣言を履行し、日朝間の信頼関係の回復を図るため、今回小泉首相が訪朝した。
A北朝鮮側は人道的見地から拉致被害者の蓮池さん、地村さんの家族5人の帰国に同意する。曽我さんの家族は早期に北京など第三国で再会するように調整する。
B安否不明の拉致被害者については北朝鮮側が「白紙に戻して」、ただちに真相究明のための調査を再開する。
C北朝鮮側は核問題の平和的解決にむけ6者協議の進展に努力する。ミサイル発射実験の凍結を確認する。
D日本側は国際機関を通じて食糧25万dおよび1000万j相当の医薬品などの人道支援を行う。
E双方は日朝ピョンヤン宣言を順守する。国交正常化交渉にむけ協議する。
F北朝鮮側がピョンヤン宣言を順守していくかぎり、日本側は制裁措置を発動しない。
G日本側は在日朝鮮人に差別などが行われないよう友好的に対応する。
これらは、金正日政権の側にも配慮したかのような形をとっているが、その実質を見れば、日本側が金正日政権を大きく屈服させたものであることは明白だ。
北朝鮮が5人の帰国に無条件に同意し、またそれ以外の安否不明者について真相究明のために努力することを約束させられたのは、これまでの北朝鮮の態度から言えば明らかに大幅な屈服であり譲歩である。日帝はこれによって、際限なく安否不明者や特定失踪者に関する真相の追究や解決を要求して北朝鮮にあいくちを突きつけることが可能となったのである。
そのほか核問題の平和的解決やミサイル発射実験の凍結、ピョンヤン宣言の順守などを、日帝に向かって約束したことと合わせると、金正日政権がほとんど全面的に日帝にひざを屈したと言って過言ではない。
ところが、この結果に対して、拉致被害者家族会からは、10人の安否不明者の問題が棚上げされたのは裏切りだ、北朝鮮に対して経済制裁しないと約束するのは認められないなど、被害者家族の絶望的心情と排外主義がないまぜになった強い非難が噴出している。そして、これを使ったすさまじい排外主義キャンペーンが繰り広げられている。
拉致議連などは、弱腰外交だ、圧力あっての対話だ、特定船舶入港禁止法案を成立させよなど、北朝鮮に対する戦争重圧の強化を声高に唱えている。
民主党の訪朝批判も基本的により右からの批判であり、戦争を促進するものだ。それは有事法制を与党と共同して推進する立場から、もっと強硬な戦争外交を求めるものであり、許しがたい対応である。
また日本共産党や社民党は、小泉訪朝と日朝首脳会談をまったく無批判的に歓迎し、拉致問題の解決という角度からきわめて表面的に問題をとらえ、その帝国主義的な反動的意図に屈服してしまっている。
日帝は、そうした排外主義の高まりと野党の屈服をもテコにして、小泉訪朝の結果を受けて、今国会での有事法案(7法案と3協定条約承認案)および特定船舶入港禁止法案の成立へ全力を挙げている。
要するに、日帝は米帝と共同=競合して北朝鮮侵略戦争をやろうとしており、その一ステップとして再訪朝したのである。そして、朝鮮半島と東アジア全体の帝国主義的な新秩序の形成へと突き進もうとしているのである。日帝ブルジョアジー(財界)の代表者、奥田らは「東アジア自由経済圏」を唱え、こうした野望を公然と表明している。小泉はそれに沿って動いているのだ。
イラク侵略戦争下の帝国主義的戦争外交
われわれは、5・22小泉訪朝による対北朝鮮外交に全面的に反対する。なぜなら、それがイラク侵略戦争下でのまぎれもない帝国主義的戦争外交だからである。5・22日朝首脳会談は、日帝あるいは米日帝の側からイラク侵略戦争の継続・激化・拡大のために、その一環として行われたものであり、同時に6者協議の枠に北朝鮮を引き込みつつ、北朝鮮侵略戦争発動への道を敷くために行われたのである。
第一に、小泉にとって拉致問題(の解決)は帝国主義的戦争外交の手段でしかない。帝国主義者どもは拉致被害者家族の心情をよってたかってもてあそんでいるだけなのだ。日帝にとってはむしろ、北朝鮮を「テロ国家だ、許せない」として揺さぶるカードでしかない。
すなわち、小泉は今回、一方ではイラク情勢、年金問題での危機を訪朝外交をもってのりきり、7月参院選情勢を有利にしようとしたのであり、他方ではイラク参戦国であり日米同盟の一方の盟主として、かつ6者協議関係国のトップの一人として、日帝のスタンスを内外に示すために、北朝鮮に乗り込んだのである。
小泉は、拉致問題の解決とか日朝の友好・協力などの煙幕をはりながら労働者人民をペテンにかけ、帝国主義的戦争外交を行ったのである。小泉の言う「国交正常化」とは、帝国主義的戦争外交を覆い隠すための大うそである。もちろん、拉致問題の解決なども大うそであり、日帝・小泉政権の帝国主義的戦争外交に利用する道具でしかない。
第二に、小泉は会談で、「核開発は絶対に認められない。核開発の凍結は完全廃棄の一歩でなければならない。めざすのは完全廃棄だ。大事なのは6者協議を通じて核を廃棄することだ」と特に強調した。
小泉は米帝ブッシュの世界戦争戦略とその現実の巨大な軍事力と一体となって、正面から戦争重圧を加えた。6者協議の枠に北朝鮮をしばりつけ、「完全で検証可能かつ後戻りできない」核廃棄を要求し、全面屈服を迫ったのである。
第三に、そもそも日帝は、米帝と共同=競合の関係のもとに北朝鮮を「テロ国家」と規定し、北朝鮮への経済制裁法である外為法(外国為替及び外国貿易法)改悪を行い、武力攻撃事態法を始め有事3法を成立させ、さらに今国会で有事7法案・3協定条約承認案を提出し、北朝鮮侵略戦争のための法体系の確立をどんどん進めている。さらには、北朝鮮を標的とした大規模なMD(ミサイル防衛)戦略=ミサイル迎撃システムの構築を急ピッチで進めている。
それらのどこが友好・協力なのか。そんなことをしている政権が北朝鮮との「国交正常化」を考えているなどと言えるのか。相手ののどにあいくちを突きつけておいて、関係正常化を語る――それが帝国主義のやり方なのだ。
もともと02年ピョンヤン宣言で言う国交正常化がぎまんなのだ。それは「包括的解決」とされているように、核・ミサイル問題、それに加えて拉致問題で北朝鮮が全面屈服した後に国交正常化をし、そしてそれを待って本格的な経済援助をするとなっている。経済援助のニンジンをぶらさげながら、北朝鮮を完全に武装解除し、体制を転覆しようというのである。
「対話と圧力」などと言うが、基本は圧力なのであり、対話はその圧力を有効にするための手段でしかない。そして、圧力とは軍事力の行使と経済制裁ということだ。
とりわけ、日帝が戦前の侵略戦争と植民地支配について、完全に居直り、謝罪も拒否し、強制連行についても軍隊慰安婦政策についても謝罪・補償を一顧だにせず、居直りを決め込んでいることは絶対に許せないことである。徹底的に責任追及しなければならない。
第四に、この対北朝鮮外交は、現下のイラク侵略戦争情勢と結びついている。米英日帝のイラク侵略戦争が泥沼に陥っている中で、イラク侵略戦争をあくまでも継続・激化・拡大するために、金正日政権を抑え込み戦争重圧をかけておく必要から、小泉は金正日との直接会談を決断したのである。米英日帝の意を体して、小泉は訪朝したのだ。
他方、中国スターリン主義が自己の国家的利害から金正日に対して日朝関係の正常化を図るべきと圧力を加えた。それが北朝鮮による小泉受け入れの大きな動機となった。
また、米帝は日帝の独自的突出を露骨に牽制(けんせい)する一方で、韓国・盧武鉉政権を6者協議の枠内に抑え込もうとしている。南北の独自の関係形成を極度に恐れているからである。根底的には、民主労総を始めとする南朝鮮の労働者人民の「朝鮮戦争反対、民族統一、盧武鉉政権打倒」の内乱的決起を死ぬほど恐れているのだ。
危機深める米日帝と屈服する金正日政権
北朝鮮スターリン主義にとっては、5・22日朝首脳会談は何だったのか。一方では、イラク侵略戦争によって加重された戦争重圧に追いつめられ、窮地に立たされ、他方では、国内経済危機の激化、特にその経済改革のもたらす矛盾――物価高、賃金格差の拡大、ヤミ経済の拡大による経済社会システムの混乱、食糧難、飢餓、竜川駅列車爆発事故など――によって、金正日政権が崩壊的危機にある中で、なんとか息継ぎを得たいということである。
金正日は、02年の日朝首脳会談において、拉致問題を認めることで国交正常化へのレールを敷き、日帝からの経済援助を引き出そうとした。だが、それは「拉致問題を起こすテロ国家」として、かえって米日帝の戦争重圧を強めるものとなった。金正日は、そこから濃縮ウラン型の核開発計画の自認、プルトニウム型の核開発の関連施設の稼働再開の表明、IAEA(国際原子力機関)査察官の国外追放、NPT(核不拡散条約)脱退宣言などに走った。
しかし、フセイン政権転覆のイラク侵略戦争を突きつけられ、核保有の瀬戸際政策の無力性も明白となった。だが金正日政権は、南北・在日朝鮮人民の反帝・民族解放の決起に依拠せず、国際労働者階級の決起に敵対するスターリン主義反革命ゆえに、結局核カードにしがみつくしかないし、日帝に屈服してでも経済援助を得るしかないのである。
金正日政権は、全朝鮮人民の利益を踏みにじり、民族解放闘争を裏切り、自己の延命のために反人民的犯罪を凶行する政権である。だが、この反人民的政権を打倒するのは南北朝鮮人民以外にはない。それを米日帝が「非民主的だ」と言って戦争をしかけて転覆することは絶対に許されない。南北・在日朝鮮人民がその民族自決の行使として米日帝の侵略戦争に反対し、金正日政権を倒し、南北統一をかちとっていく道だけが、真の解放の道である。
日本の労働者人民は、5・22日朝首脳会談を新たな契機に噴き出している在日朝鮮人民に対する排外主義・テロル、朝鮮総連への弾圧、民族教育機関への経済制裁的締め上げなどを断じて許さず、対北朝鮮制裁キャンペーンを打ち破り、米日帝の北朝鮮侵略戦争を阻止し、ともに南北統一に向かって闘っていこう。
昨年11・9国際労働者集会をもって切り開かれた日韓米労働者の国際連帯を一層強め、米日帝の北朝鮮侵略戦争を打ち破る国際的な闘いの陣形を発展させることが、労働者階級の進むべき道である。
有事法粉砕へ会期末まで死力を尽くそう
5・22小泉訪朝は、有事立法阻止闘争を解体し、日本の労働者人民を、国交正常化のペテンと対北朝鮮排外主義をもってイラク侵略戦争と北朝鮮侵略戦争に動員する攻撃だった。
国民保護法案など有事7法案とACSA(日米物品役務相互提供協定)改定案など3協定条約承認案はイラク侵略戦争の継続・激化・拡大と北朝鮮侵略戦争を遂行するための戦争法案である。陸・海・空・港湾を始め、自治体、医療、通信、マスコミ・出版、教育などの現場から、北朝鮮侵略戦争への国家総動員をきっぱりと拒否しよう。「有事法制を完成させない・発動させない・協力しない」の「3ない運動」を強めよう。
イラク人民の抵抗闘争は民族解放・革命戦争の本格的発展として燃え上がっている。国連主導=多国籍軍の形式による占領支配の立て直しを許さず、イラク人民と連帯して闘おう。自衛隊のイラク多国籍軍への参加を許すな。自衛隊をイラクから撤退させよの闘いを今こそ爆発させよう。
イラク情勢と北朝鮮情勢の激動に対応して、日米安保(軍事同盟)は質的に変化している。その中で沖縄基地使用の永久化と新基地建設の攻撃が強まっている。イラクのファルージャで無差別虐殺の攻撃を展開している米海兵隊は沖縄基地から出撃した部隊である。沖縄基地はイラク侵略戦争に直結しているのだ。その中での名護新基地建設着工攻撃は、沖縄基地をイラク侵略戦争、さらには北朝鮮侵略戦争の出撃基地とし、沖縄人民に再び沖縄戦の惨禍を強いるものである。辺野古の「命を守る会」の闘いと連帯し、名護新基地建設着工攻撃を粉砕しよう。
小泉政権が、日朝首脳会談をもって有事立法成立―国会強行突破、7月参院選のりきりを策していることに対して、真っ向から有事立法阻止闘争をたたきつけよう。闘いは参院段階に入っている。そこで成立を阻止することはけっして不可能ではない。いや、6月16日に会期末が切られており、闘いいかんで、年金改悪法案ともども十分に阻止できる。小泉政権の一切の延命策を打ち砕き、有事立法粉砕、年金改悪案阻止、イラクからの自衛隊撤兵、小泉政権打倒の闘いを強めよう。
6・4緊急大集会(日比谷野音)に全国から総結集しよう。陸・海・空・港湾労組20団体の有事立法に対する危機感と怒りを全労働者階級のものとし、有事立法粉砕6月連続闘争の大爆発をかちとろう。
この闘いの中で動労千葉を先頭とする階級的労働運動の再生へさらに大きく前進しよう。
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週刊『前進』(2152号5面2)(2004/06/07)
「前進」「歓迎」と日共 訪朝の最大の称賛者に
小泉の再訪朝は、北朝鮮侵略戦争に向かっての戦争外交であった。ところがマスコミでも国会でも、このことはまったく問題にされず、むしろ「訪朝によって何も得るところなく失敗だった」という、より右からの非難の大合唱が起こっているありさまである。
この中で今や例外的に、小泉訪朝を真っ向から支持し、歓迎している勢力がある。それが日本共産党である。彼らは2年前の9・17訪朝の時ももろ手を挙げて歓迎し、小泉を支持し「協力を惜しまない」として、小泉の先兵になることを恥ずかしげもなく表明した。今回もまた、当然のように支持しているのである。
5・22の再訪朝を受けて日本共産党は、市田忠義書記局長談話を発表し、「日朝平壌宣言が再確認され、拉致問題や核・ミサイル問題、人道援助問題などの一定の合意がみられたこと、そして国交正常化交渉への前進の方向が確認されたことを歓迎する」とし、まったく留保なく無条件で全面賛美しているのである。
また、25日に行われた衆院本会議での小泉の北朝鮮訪問報告に対する各党の代表質問で、穀田恵二国対委員長は、市田と同様に小泉再訪朝の結果を評価し、「(2家族5人の)帰国が実現したことを率直に喜びたいと思います」と手放しでたたえた。
これに対して小泉は答弁で、「政党の立場を超えて激励をいただきありがたい」と答え、エールを交歓しているのである。
だが、いったい、日本共産党はどうして特定船舶入港禁止法案がすぐにも国会に提出されようとしていることに言及しないのだ。いや何よりも、小泉再訪朝の前日に有事7法案と3協定条約承認案が衆院通過されたという重大事態にも言及しないのは、どういうわけだ。これらの法案が端的に示しているように、小泉再訪朝は、イラク参戦のもとで、「イラクの次は北朝鮮」と公言し、北朝鮮侵略戦争を準備する一環として行われた戦争外交である。
小泉が「国交正常化」を語り、「対立から協調へ」とうたっているのは、「核」や「拉致」の問題を口実に北朝鮮を徹底的に追い詰め、武装解除し、体制転覆の侵略戦争をやろうとしているからなのである。だが、「北朝鮮の核問題」と言うが、在韓米軍、在日米軍を始め、圧倒的な大量破壊兵器を北朝鮮に向けいつでも発射できるようにしているのは、米・日帝国主義の側なのである。
日本共産党の小泉再訪朝万万歳論は、日米帝の北朝鮮侵略戦争の攻撃に対する完全な屈服であり、容認である。新ガイドライン以来の対北朝鮮侵略戦争体制の形成を免罪し、認めるものとなるのである。
日本共産党は今年1月の第23回大会で、帝国主義に完全屈服し革命を圧殺する新綱領を決定した。その路線とは、帝国主義の侵略と戦争の政治に屈服し、翼賛勢力に転落することを意味している。それが、この小泉訪朝支持によって完全に明らかになったのである。
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週刊『前進』(2152号5面3)(2004/06/07)
かいらい「大統領」爆殺で プーチンのチェチェン政策大破産
長期強靭・不屈のゲリラ戦で闘うチェチェン人民と連帯を
5月9日、チェチェン共和国の首都グロズヌイのディナモ・スタジアムでの第2次大戦の対独戦勝記念式典の最中、プーチン・ロシア大統領のかいらいであるアフマト・カドイロフ「チェチェン共和国大統領」が爆殺された。イサエフ「チェチェン共和国議会議長」ら5人も死亡、ロシア軍の北カフカス合同軍司令官のバラノフ大将も重傷だ。同時刻にモスクワで対独戦勝記念式典の軍事パレードを観閲していたプーチンは大打撃を受けた。
プーチンは、即座に事件を独立派武装勢力の仕業とし、報復を宣言した。11日にはグロズヌイを電撃訪問して特別部隊1千人の増派と復興施策の強化を言明、チェチェン制圧に躍起になっている。米欧帝国主義もカドイロフ爆殺テロを非難し、プーチンの強硬策を支持している。
だが、カドイロフの後継者がいない。9日に臨時大統領に任命されたアブラモフ「チェチェン共和国首相」は、プーチンの前で恐怖のあまり震えていた。プーチンは、カドイロフの息子のラムザン・カドイロフを副大統領に任命し、チェチェン大統領選挙を8月に実施すると発表した。しかし、ラムザンは27歳で、「大統領」資格の30歳に満たず、大統領になれない。
だからと言って連邦直轄に戻せば、独立派の武装闘争に圧倒的な正当性を与えてしまう。プーチンは打つ手がない状態だ。
カドイロフ爆殺直後、独立派の指導者、マスハドフ・チェチェン共和国大統領は、自らは事件と無関係と表明したが、5月17日、独立派のバサエフ司令官が実行声明を出した。カドイロフ爆殺はチェチェンの民族解放・革命戦争の決定的な勝利だ。
カドイロフは、民族の裏切り者であり、チェチェン人民の怨嗟(えんさ)の的であり、打倒されて当然だった。カドイロフは00年にプーチンにチェチェン行政長官に任命された。その後、03年3月のチェチェン共和国憲法(チェチェンをロシア連邦領とする)承認国民投票、それに基づく同年10月のチェチェン共和国大統領選でカドイロフは大統領になった。国民投票、大統領選とも不正と強制によるデッチあげだ。カドイロフには大統領としての正統性はまったくなかった。
チェチェン人民は2度にわたるロシアの侵略戦争に対して武装闘争を中心に不屈に闘ってきた。チェチェン人民を力で制圧し、大ロシア主義的に植民地支配することは不可能だ。
第2次侵略戦争と闘う武装勢力
99年8月にエリツィン政権の首相となったプーチンは、9月に起きたアパート連続爆発事件(300人死亡)をチェチェン人テロリストの犯行と断定し、またバサエフ司令官らのダゲスタン侵攻を口実にして、9月に第2次チェチェン侵略戦争を発動した。ロシアはチェチェンとの和平合意を破ったのだ。
第1次チェチェン侵略戦争では96年8月、チェチェン側の蜂起の前にロシア軍が敗北した。ロシアとチェチェンは停戦合意を結び、ロシア軍のチェチェンからの撤退とチェチェン独立問題の5年間棚上げが決まった。
この和平合意後、チェチェン人民は独立国家をうたう92年のチェチェン共和国憲法を実施、マスハドフを大統領に選出し、事実上の独立をかちとった。ロシア軍は完全撤退し、チェチェン人民自身が統治し、再建が始まった。
ロシアはチェチェン独立を阻むために99年に再侵攻したのだ。大空爆でグロズヌイは瓦礫(がれき)の街となった。数十万人が難民となった。10万以上のロシア軍が駐留し、ロシアはチェチェンを連邦大統領の直轄統治下に置いた。
そのチェチェンの行政長官に任命されたのがカドイロフだった。カドイロフは宗教指導者で、第1次戦争では独立派だったが、第2次戦争ではロシアに投降し、取り立てられた。
プーチンは01年以降、毎年のようにロシア軍のチェチェン撤退、軍事占領の終了、連邦軍の内務省部隊(警察)への置き換えを宣言し、カドイロフを押し立てて「チェチェン人によるチェチェン支配」をめざしたが、成功しなかった。
今なお8万人を超えると目される大量のロシア軍が駐留している。それをかいらいカドイロフ政府のもとで親ロシア派チェチェン人警察が補ってきた。
マスハドフ大統領を最高指導部とする独立派武装勢力(約2千人と言われる)は、グロズヌイから撤退し、山岳を拠点に対ロシア、対カドイロフの二重対峙戦を果敢に戦い、ロシア軍将兵、カドイロフ派警官・私兵を日々せん滅し、着実に戦果を積み上げてきた。その極点がカドイロフ爆殺だ。
独立派の武装闘争は苦難の道を歩んできた。96年4月にドゥダエフ大統領をミサイル攻撃で失い、02年4月にハッターブ司令官(アラブ出身)が毒殺された。今年2月には、ヤンダルビエフ元暫定大統領が亡命先のカタールでロシア連邦保安局員によって暗殺され、ゲラエフ司令官を戦闘で失った。
重大な損害をこうむりながらも、独立派武装勢力は自爆攻撃をも含む闘いで反撃してきた。00年6月にロシア軍兵舎に女性戦士が自爆攻撃をかけて数十人をせん滅した。これがチェチェンにおける自爆攻撃の始まりだ。02年10月にモスクワ劇場占拠闘争が闘われた。49人の戦士が殺され、その大半は女性兵士だった(観客129人もロシア当局の毒ガス作戦で死亡)。以後も武装勢力は、連続的な自爆攻撃を敢行してきた。
大ロシア主義的民族抑圧と闘う
カドイロフ爆殺でプーチンの「チェチェン人によるチェチェン支配」政策が不可能であり、虚構であることが完全に明らかになった。
すでに第2次チェチェン侵略戦争は4年半に及び、ロシア側将兵の死者は2万5千人を超える。
チェチェン人民の武装抵抗によってチェチェン侵略戦争が長期化・泥沼化し、ロシア軍兵士の死者が積み重なれば、必ず大問題となり、プーチン政権の決定的な危機が訪れる。プーチンは、チェチェン侵略戦争が10年がかりでソ連軍の敗北と撤退に終わったアフガニスタン侵略戦争の二の舞いになることを恐れている。チェチェン人民の民族解放闘争の歴史的勝利の展望が開かれつつある。
チェチェン民族は、ロシア帝国を打倒したロシア革命とその直後の数年を除いて、400年にわたって大ロシア主義的民族抑圧と闘い、抵抗してきた。チェチェン人民の民族解放・革命戦争の勝利は、国際プロレタリアート人民、イラク人民、ムスリム人民との国際的団結のもとに、ロシアを含む国際帝国主義打倒の闘いとして世界プロレタリア革命をかちとる中にある。
ロシアのプロレタリアート人民も今やその圧倒的多数がチェチェン侵略戦争の終結とロシア軍の撤退を望んでいる。正義はチェチェン人民の側にある。不屈に闘うチェチェン人民、イラク人民と連帯し、ロシア・プーチン体制打倒、国際帝国主義打倒の国際的内乱に決起しよう。
(藤沢明彦)
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週刊『前進』(2152号6面1)(2004/06/07)
「命を守る会」の話に身をえぐられる思い 東京 宮原菜穂子
5・15沖縄へ、青年労働者の沖縄行動ツアーに参加しました。久しぶりに訪れた沖縄は、想像以上に決戦化していた。このことに、ある種の「ショック」を受けました。特に、スコールのような雨の中、本土から100人近くの青年労働者が辺野古の座り込みへ合流したが、ここで聞いた「命を守る会」の方などの話は印象的だった。
座り込みは29日目に突入し、いつ何どき防衛施設局が押しかけ工事を強行するかもしれない緊張感の中で、体調を崩す人も出ている。しかしスクラムを組み、ごぼう抜きにされても身を投げ出して阻止しようと話し合って座り込みを続けていること。そして、「沖縄の基地の問題は、私たちの問題ではない。日米安保によって沖縄に基地が強制されているのであり、あなたたちの問題だ。そのこと抜きに『頑張ってください』と言われても、私たちだけでは頑張りきれない。私たちは命を賭(と)して闘う。だから皆さんもここで終わりということではなく、それぞれの地で沖縄の基地の問題を取り組んでください!」という訴えは、私自身をえぐられるような思いで聞きました。
沖縄はまさにイラク侵略戦争の最前線であり、反戦反基地の最大の激突点だ。名護市民投票、沖縄サミット、これまでも沖縄闘争が闘われてきたが、だからこそ今、名護の決戦情勢を伝え、本土―沖縄を貫く反戦闘争を実現しなくてはならない。こうした思いを強くしました。
そしてこの思いは、私だけではなく、参加した青年全員が持っただろうと思います。多くの仲間がぎりぎりの調整をしてこの行動に駆けつけた。ハードだったけど、それだけの価値があったと誰もが思える行動だったと思います。交流集会での「戦争をやらなければならない体制をひっくり返して、労働者が天下を取ろう!」という司会のまとめの檄(げき)は、参加者全体の決意を象徴するものだったと思う。
辺野古の座り込みで日々の勝利を確信 富山大学 森本和正
自分は、4・27〜30までの間、辺野古漁港で、海上ボーリング調査阻止!普天間基地即時撤去!の座り込み闘争に参加しました。
現地で、この8年間おじーおばーを中心に、杭1本打たせず、そして今も闘い続けている人たちは、自分たち本土から来た人を共に闘おうと、温かく迎えてくれました。また、さまざまな団体や党派が参加している中で、反対協の方がそれをうまくまとめ、途切れぬ緊張感はあるものの、とてもよい雰囲気で座り込みは行われています。その中で、教養講座というものが毎日何度か開かれ、植物の名前の講座や、沖縄の他の闘争の体験談など、貴重な話を数多く聞くことができました。
しかし、その座り込みの様子は、キャンプ・シュワブ内の、防衛施設局の建物から常に監視され、近くの廃弾処理場からは、時折すさまじい爆発音が聞こえ、黒煙が見えるという状態でした。
沖縄に行くのは初めてだった自分に、地元の方は、熱心にこの8年間のことを教えて下さいました。97年の市民投票に勝利したこと、その結果が国家権力によってじゅうりんされ、振興策という名の金のばらまきによって住民が分断され、混乱を強いられたことなど、怒りを込めて教えて下さいました。
しかし自分は、この闘争は必ず勝利すると確信しています。防衛施設局がやってきても、責任者がこのボーリング調査の矛盾点、反人民性、そして環境への甚大な被害、また、沖縄の歴史をこんこんと話すと、局員は何も言えずにうなだれて帰るという状態が続いています。日々勝利しているのです!
有事法制7法案・3条約協定が、立法・批准されれば、さらに強権的にボーリング調査に踏み込んでくることも考えられます。闘うウチナンチュと固く連帯し、全国学生は、沖縄名護現地闘争に総決起しよう!
嘉手納の滑走路見てこれが安保だと実感 福岡 SOUBA
緑が広がる小高い丘が見える。静かで緑あふれるこのあたりは嘉手納基地の一部である。このエリアをすぎると巨大な滑走路がある。実に全長は4`! 広すぎて端のほうまで見渡せない。国道をはさんですぐとなりに地元市民の町がある。わたしが来ていた間には経験できなかったけど、軍用機の発する騒音はもろに受ける位置だ。
過去に嘉手納に訪れたことがある連れだった友人に体験を聞いた。爆撃機が滑走路をゆっくり移動しているとき、その騒音は道路工事のアスファルトカッターの鋭く不快な爆音をそばで聞くような感じ。
沖縄で見てきた基地の大きさは信じられないものだった。「お客様」である米兵にはぜいたくな土地、住居が提供される。しかし地元市民は耳をつんざく爆音に日常的に悩まされている。これが安保だということがよくわかった。そしてわたしたちがこの問題に目を向けないことはまさに自分の首をしめているのと同じだということも。現に自衛隊はイラクに出兵し、国会でも戦争可能法案が通されようとしている。沖縄、そしてイラクも私たちにとって「遠いところ」の問題ではなくなっている。わたしたち一人一人の力で何としても止めよう。
法大学生会館閉鎖は自主活動圧殺の攻撃 法政大学 S
5月21日の昼休み、法政大学市ケ谷キャンパスで「学生会館を使いたい!アピール大集会」が開かれました。
4月20日に起きたボヤを口実にして、法大当局は1カ月にわたって学生会館の閉鎖を強行し、サークル活動・自主活動を圧殺しています。この間、サークル員からは、学生会館の使用を強く求め、学生締め出しに反対する膨大な声がまきおこっています。この日の集会は、「必ず学生会館を取り戻そう」という、学生の反撃の行動として開かれました。
集会の冒頭に、司会の学生が「今日まで約500の一言カードが集まっている。学生の団結した行動で、規制をうち破って一日も早く学生会館を取り戻そう」と訴えました。
続いて、学館サークル員や新入生、卒業生らが次々と登壇し、学生会館が閉鎖されていることが自主活動に多大な影響を与えていること、学生にとって、学生会館が、サークル活動と切っても切り離せない重要な場所であり、何ものにも代えがたい思い入れをもっていることが熱心に語られました。
また、キャンパス集会には全国大学の代表も集まり、アピールを寄せました。集会の最後に司会の学生が、次週の5月27日にもう一度キャンパスに集まって、「学館使いたい」のアピールを発しようとよびかけました。
学友の間に当局の攻撃に対するものすごい怒りと、学生会館使用再開を求める要求が満ち満ちていることを強く実感しました。大衆行動の力でこの攻撃をうち破ることは絶対にできます。全力で闘う決意です。
真駒内駐屯地からの派兵阻止に連続決起 北海道 B
5月15日に陸自第2陣230名が真駒内駐屯地から出兵を強行しました。京都から駆けつけた元自衛官も合流して札幌中心部のピースウォークに参加。すぐに駐屯地に向かい、百万人署名運動・北海道や元自衛官がこの日の派兵の中止と即時撤退を申し入れました。16日も雨の中、反対行動を展開しました(写真は17日昼の駐屯地前)。
22日の第3陣130名の出兵に対しても、百万人署名・北海道が自衛隊前駅で街頭署名を行い、駐屯地に向けてアピールを続けました。途中から争議を闘うタクシーの労働組合も合流、駐屯地に向かって組合旗を立てました。部隊は今回も東門から出ることができず正門からの出発でした。
今回の第2次出兵に対して、一貫して真駒内駐屯地への反対行動に取り組んだのは私たちだけです。非常に重要な闘いをやり抜いたと思います。
隊員・家族への訴えにこだわったのは、イラク現地で派兵部隊が「殺し殺される事態」など重大な事態が発生した時、即時撤退の運動を大きく盛り上げるとともに、隊内からの兵士の決起を防衛する運動があることをあらかじめ少しでも多くの隊員・家族に知ってもらうためです。
「派兵されるころには『治安』が回復されているだろう」という派兵隊員たちの期待は吹っ飛び、サマワすらも戦闘地域としか言えない状態となりました。派兵の「前提条件」が崩れたことは誰の目にも明らかです。小泉政権のごまかしと居直りを許さず、派兵阻止闘争以上に撤退を求める闘いが問われています。
秋田からの派兵反対毎週日曜デモが36回 秋田 P・M
8月にも陸上自衛隊東北方面隊第9師団がイラクに派兵されようとしています。本州からの初めての派兵です。第9師団の本部は青森にあり、岩手と秋田の陸上自衛隊も第9師団に所属し岩手の駐屯地で派兵演習を始めています。
秋田では「有事法制の廃案を目指す共同行動」が2年前に作られ、労働組合や市民が有事法制やイラク戦争に反対する運動に立ち上がってきました。数度にわたる1500名規模の大集会や、駅前で毎週日曜デモを継続し、5月でのべ36回を数えました。秋田からの派兵は、この県民の思いを全部踏みにじるものです。
地元紙の報道でも自衛隊員の家族は行ってほしくないと率直に語っています。ところが4月に自衛隊からの協力要請を受けた寺田知事は「職務としていくのだから、もし出るときは激励するのがマナー」などと言ってのけたのです。連合の支援を受けて当選した県知事が、日の丸を振って万歳して県民を戦場に送ろうとしています。冗談じゃない。
イラクの人々は日本が自衛隊を送ったことに怒っています。有事関連法が成立すれば、改悪ACSAまでしょって東北の部隊が派兵されることになります。県民の矜持(きょうじ)にかけて秋田からの派兵に絶対反対します。
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週刊『前進』(2152号6面2)(2004/06/07)
裁判員法の成立弾劾 実施まで5年 共同闘争で廃止を
5月21日、労働者人民に「死刑や無期の懲役・禁固刑に当たる重大犯罪」の刑事裁判への参加を義務づける裁判員法と、裁判員制度の運用に不可欠な「公判前の争点整理」などを検察官と被告・弁護人に義務づける改悪刑事訴訟法が参院本会議で可決・成立した。このような悪法を絶対に認めることはできない。
裁判員制度は、20歳以上の有権者の中から抽選で選ばれた6人の裁判員と3人の裁判官が話し合いながら、多数決によって被告の有罪・無罪や量刑を決める制度であり、09年5月をめどにスタートする。
裁判員制度は、日帝・小泉政権のイラク軍事占領から北朝鮮侵略戦争参戦の決断に対応して、刑事裁判のあり方を「戦時体制」へと大転換する攻撃である。
裁判員制度は労働者人民の利害とまったく相入れない制度だ。すべての労働者人民は断固として裁判員となることを拒否しよう。この5年間で運用を不可能にし、廃止に追い込もう。
国家暴力で強制
裁判員になるとどういう状況に追い込まれるのか。
第一に国家権力に暴力的に動員される。裁判員は「義務」として強制される。そのため、@正当な理由なく出頭を拒めば10万円以下の過料、A生涯にわたり守秘義務を負い、知り得た秘密を漏らせば6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される。
懲役6カ月の罰則を伴う「義務」―まさに現代版「赤紙」の攻撃である。
第二に「量刑の重罰化」と「冤罪の拡大」の役割を担わされることだ。
資本主義社会における「法」の本質は、「法律という形をとった資本家階級の階級意志の表れ」だ。したがって、裁判員制度もブルジョア独裁のための道具(暴力装置)にすぎない。「労働者人民の声を裁判に反映できる」というのは、まったくの幻想である。
裁判員制度は「健全な社会常識を直截(ちょくせつ)反映させうる具体的な仕組み」(司法審最終意見書)として導入された。この「健全な社会常識」の内容とは何か。
一つは、「被害者の気持ちになって考えると被告人を死刑にしても当然だ」「反日分子(非国民)に人権などない」などに代表される報復感情や排外主義だ。これらは必ず「量刑の重罰化」を促進する。
もう一つは、「多数決は正しい」という論理を振りかざして少数意見を圧殺することだ。9人の裁判員制度では、1人から4人までの無罪意見は多数決ですべて切り捨てられる。しかし、無罪意見が1人でも存在することは「有罪の主張には合理的な疑いを入れる余地がある」ことを示している。その場合「疑わしきは被告人の利益に」の原則が適用されて、本来なら無罪となるべきなのだ。ところが、現実は有罪。こうして冤罪が増大するのだ。
裁判闘争を根絶
その一方で、裁判員制度で被告となるとどういう状況に追い込まれるのか。
第一に、裁判員を何日も拘束できないことを理由に「裁判の迅速化」が推進され、@公判前整理手続き、A連日裁判、B裁判長の強権的訴訟指揮などが導入され、被告・弁護人の防御権は破壊され、裁判という名の「儀式」が強制される。
公判前整理手続きとは、裁判の開始前に弁護人と検察官と裁判官だけで事件の争点の整理から証人の尋問事項や順序まで決めてしまう制度だ。当事者である被告人は完全に除外される。そして、いったん裁判が始まると新たな証拠(証人)の請求はできない。すでに検察当局は、「調書や立証を平易にする」名目で「なぜ被告は犯行に至ったのか」などの社会的背景の掘り下げをやめる方向だ。
連日裁判とは、「できる限り、連日開廷しなければならない」(改悪刑事訴訟法)ことを根拠に、重大事件の裁判を1週間で終わらせる制度だ。裁判で争うことが不可能になる。
裁判長の強権的訴訟指揮とは、指揮に従わない被告人や弁護人に対する制裁措置を乱発することだ。
第二に、「開示された証拠……を当該被告事件の審理の準備以外の目的で使用してはならない。これに違反した場合、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」(改悪刑訴法)を根拠に法廷外の裁判闘争が全面的に禁止される。
広津和郎の「松川裁判」批判や八海事件の映画「真昼の暗黒」や今日の迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧裁判支援運動などのように、裁判の不正義性を社会的に明らかにし救援運動をつくり出し、法廷外で裁判闘争を闘うのは被告・弁護人の当然の権利である。
必ず廃止できる
5月21日に日弁連執行部は会長声明という形で、今後も裁判員制度を推進する立場を鮮明にした。声明では、裁判員制度を「司法に健全な社会常識を反映させる意義を有するにとどまらず、わが国の民主主義をより実質化するものとして、歴史的に大きな意義を有するものである」と全面的に賛美し、「この歴史的課題に全力を挙げて取り組み、国民の期待に応える決意である」と表明している。
日弁連執行部は、日帝・小泉政権の司法改革攻撃に屈服し翼賛化した。その一方で、日弁連の中には司法改悪を阻止する立場で労働者人民とともに裁判闘争に取り組む弁護士が多数存在する。この弁護士と労働者人民が共同闘争を推進する中に勝利の展望がある。
裁判員制度をこの5年間で廃止に追い込もう。
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週刊『前進』(2152号6面3)(2004/06/07)
5・21狭山 “事実調べを行え” 最高裁へデモで要請行動
5月21日、部落解放同盟全国連合会と解放共闘は、石川一雄さんと連帯して、狭山差別裁判糾弾の第2次再審・特別抗告審闘争として、最高裁・最高検要請行動に40人で立ち上がった。
星陵会館での集会で解同全国連の楠木吉秀事務局長が基調報告を行った。
「石川さんの不当逮捕以来41年、怒りを新たに闘おう。半年で死刑判決を出した1審以来、一度もまともな事実審理がなされていない。石川さんも『5・23メッセージ』で『裁判所は30年も事実調べを行っていない』と糾弾している。事実調べは再審への突破口だ」と強調。特に「齋藤第5鑑定・補遺は2審寺尾判決、東京高裁高木・高橋決定の事実認定を核心点において覆している。最高裁が石川さんや齋藤鑑定人を法廷に呼び、証言させるよう要求しよう」と述べた。
齋藤第5鑑定は、脅迫状の封筒の「少時」という文字の背後に多数の「抹消文字」「2条線痕」があり、それらが犯行前に万年筆で書かれたことを明らかにしている。第5鑑定補遺は、事件直後に埼玉県警鑑識課が鑑定書に「抹消文字」があったことを記載していると指摘。以上のことから、石川さんが事件当日、被害者から万年筆を奪い、ボールペンで書かれていた封筒・脅迫状の文字を訂正したという確定判決の認定は、完全に誤りなのである。
さらに楠木事務局長は、「本部派は、最高裁が弁護団に脅迫状と封筒の閲覧・撮影を認めたことをもって、事実調べぬきに最高裁が良い決定を出すかのように宣伝し、武装解除を図っている。だが、裁判所は、これまで事実調べをしないまま再審請求を棄却してきた。あくまで事実調べを要求しよう」と述べた。
星陵会館から最高裁までデモを行い、午後、最高裁への要請行動に立った。要請団は「弁護団に証拠の閲覧・撮影を許可するだけではなく、最高裁自身がX線撮影などをして調べるべきだ。石川さんや齋藤鑑定人の尋問を行え。検察の証拠隠しに協力するな」と迫った。金沢書記官は「裁判官に伝える。質問を受けるが、私たちの意見を言う場ではない」と判で押したように言い、会見を打ち切ろうとしたが、要請団は制限時間を超えて追及した。
最高検は、担当を粟辻書記官から箕輪書記官に代えてきた。要請団は「19日の弁護団による証拠物の閲覧・撮影は、証拠調べの必要性を示している。検察は隠し持っていないで、直ちに全証拠を開示せよ」と要求。また「『内部文書』だからと証拠を開示しなかった例があるなら、それを示せ」と要求。「証拠をひとつも開示しないのは無罪であることの証明だ。何も答えられないなら、石川さんの逮捕から起訴、公判のすべてが間違っていたということだ。検事総長に公訴取り下げを求めて闘うことも辞さない」と追及した。
最高裁、最高検は追いつめられている。事実調べ・証拠開示の要求をつきつけ、特別抗告棄却を阻止し、再審をかちとろう。
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週刊『前進』(2152号6面4)(2004/06/07)
“狭山共同闘争を” 中四国解放共闘が総会
5月9日、広島で、中国四国部落解放共闘会議の第2回総会が開催された。
総会では、解同全国連の金平通雄共闘部長が、神戸番町の住宅家賃裁判勝利の報告。国土交通省の一片の「通達」による家賃値上げ・応能応益制の一律導入を徹底糾弾し、神戸裁判の勝利は広島の福島町始め、全国の住宅裁判の展望を切り開いていると報告した。
続いて、全国連理論センターの宗像啓介さんが記念講演を行った。水平運動における労働者階級との共同闘争の歴史を語り、「労働者階級との合流を果たしながらも、水平運動が戦時下の治安弾圧に敗北し糾弾闘争を後退させた歴史をのりこえるために、全国連は寝屋川弾圧を打ち返して5万人建設に全力を挙げている」と今日の全国連の闘いの革命的意義と役割を鮮明にさせた。
講演に続いて、労組交流センターの各県の代表、婦人民主クラブ全国協広島支部の代表が、全国連の闘いに学びながら自分の組合や戦線において階級的共同闘争を前進させる決意を表明した。
「狭山闘争を最大の共同闘争にすえて闘おう」という総会の行動方針に基づき、共闘会議は、石川一雄さん不当逮捕41周年の5月23日、広島を始め、中国・四国各地で「5・23狭山行動」に総決起した。広島県共闘会議は、全国連広島支部の青年、子どもたちとともに広島市の中心街・八丁堀アーケードで、石川さんの無実を訴え狭山百万人署名を行った。(写真)
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週刊『前進』(2152号6面5)(2004/06/07)
保安処分発動許すな 厚労省 「強制治療も医療」
5月12日、「処遇困難者専門病棟」新設阻止共闘会議は、戦時体制構築のもと新たな保安処分立法として制定された心神喪失等医療観察法の施行に反対して、ビラまき(写真)と厚労省交渉を「病者」先頭に25人で行った。
「精神病者」への「再犯のおそれ」を掲げて裁判官と精神科医の共同決定による無期限拘禁を認める保安処分が来年にも実施発動されようとしている。
すでにその収容先である保安施設建設が国立精神神経センター武蔵病院を先頭に九州・肥前療養所、愛知・東尾張療養所、岩手・南花巻療養所の各国立病院4カ所で始められようとしている。絶対粉砕だ。
交渉は午後2時に開始。精神保健福祉課からは課長補佐の三好ら5人が出席。まず法施行の現状を聞きだすと三好は「施行ガイドラインを3月に作った。治療は本人の同意を尊重して行うと盛り込んだ。施設建設は30床を4カ所で進めている。国立武蔵は夏に図面ができたら地元説明会を持つ。来年度概算要求で新たな予算を年末までに組む」などと回答。
厚労省はあらかじめの文書回答を拒否していた。これを糾弾しつつ、では「電気ショックについてはどうか」と追及すると「安全性、有効性には根拠ある」とその実施を公言。患者が殺され、後遺症に何人もが苦しむ電気ショックの現実を厚労省は今なお容認しているのだ。
さらに「インフォームドコンセントをガイドラインは掲げるが、患者の同意は可能なのか? 同意が無ければ治療しないでいいか?」と問うと「強制治療も医療である」と居直り、結局初めから終わりまで強制医療であることを認めた。
さらに「ガイドラインは年間300人の入院者数と言っているが、その根拠は?」と聞くと、「法の対象である心神喪失・耗弱で犯罪を犯した対象者が年間400人でその内、現行の措置入院や医療保護入院となったのが4分の3。それから類推した」と答えた。
しかし、これは新たな審判制度を導入することで、起訴以外はほとんどを保安施設に収容させるという計画であることを言っているのだ。とんでもない計画である。
「精神病者」は、「犯罪」の疑いがかけられればみんな刑務所か保安施設かのどちらかだということだ。「医療を奪いイラク戦争の米軍収容所虐待を再来させるのか!」と糾弾がたたきつけられた。
また「再犯予測の根拠・データを示せ」と追及すると、「対象者の疾病性、治療反応性など多元的に評価しなければならない」とごまかし、「再犯予測」の根拠を何も示せないことを暴露した。しかし国会では坂口厚労相が「再犯予測は可能」と答弁して通過させてきたではないか!
1時間の時間切れを宣言する厚労省に、「自分たちは真っ先に収容されようとしているんだ!」と「病者」の怒りが殺到した。保安施設建設阻止、発動実施粉砕へ、さらに決意を打ち固めた。さらに精神科医、労働者への医療観察法加担拒否を呼びかけ闘おう!
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週刊『前進』(2152号6面6)(2004/06/07)
公判日程
☆迎賓館・横田裁判
福嶋昌男同志裁判
6月1日(火)午後1時15分
6月16日(水)午後1時15分
*東京地方裁判所
☆6・12私文書弾圧裁判
6月10日(木)午後1時15分
*東京高等裁判所
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