ZENSHIN 2004/04/19(No2146 p06)

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第2146号の目次

首相官邸向かいの内閣府前に婦民全国協や百万人署名運動の人びとが結集し、「自衛隊をイラクから撤退させろ」と声を上げた(4月9日午後5時20分)
1面の画像
(1面)
占領やめ自衛隊撤退を
小泉政権は拘束の3人を殺すな
「君が代」不起立闘争を支持し処分撤回・教基法改悪阻止へ
記事を読む  
「今すぐ撤退せよ」の叫び 首相官邸と国会前(4月9日) 記事を読む  
(2面)
警察に組合員売り渡した酒田執行部を打倒しよう
弾圧粉砕が国労再生の道
記事を読む  
都立校「君が代」不起立処分 撤回求め75人が審査請求(4月5日) 記事を読む  
動労千葉の安全闘争
合理化に絶対反対貫き労働者の命を守る闘い(湯村宏則)
記事を読む  
世界の労働運動 ヨーロッパ
“雇用と社会的権利保障を” 欧州行動デーに160万人(藤沢明彦)
記事を読む  
無罪獲得へ団結固め
福岡で許さない会集会(投稿/九州・弘田 徹)(4月4日)
記事を読む  
国労5・27臨大闘争弾圧公判日程 記事を読む  
(3面)
資本と闘い生存権守ろう 年金改悪絶対阻止へ〈上〉
社会保障解体する奥田路線
記事を読む  
04春闘後半戦、スト爆発
動労千葉ストと3・20を契機に 労働者階級の決起始まる
記事を読む  
全金本山 争議完全勝利へ攻勢
「最大の山場」へ全国闘争(3月28、29日)
記事を読む  
国賀市議の地域活動報告
泉佐野市政に抗議のデモ 市民犠牲の空港優先市政
「財政非常時態宣言」による体育館休館日増に反対運動(泉佐野市議会議員・国賀祥司)(3月16日)
記事を読む  
(4面)
有事関連7法案 ACSA改定案 北朝鮮侵略戦争法粉砕を
軍隊最優先と国民総動員 日米が全世界で共同作戦
日米安保の大エスカレート
記事を読む  
“生きる権利を奪うな”
介護全国ネット 「年金」で厚労省交渉(投稿/関西 O・A)(3月24日)
記事を読む  
学生運動の最前線から 新入生諸君、ともに闘おう (1)
東北大学 イラク撤兵・有事法闘争の爆発で大学を反戦の砦に(マル学同中核派・東北大支部)
記事を読む  
日誌’04 3月30日〜4月6日
北朝鮮船への入港禁止法案
日米地位協定の新運用合意
記事を読む  
(5面)
司法制度改革を粉砕しよう
弁護士を翼賛勢力に変え戦時治安体制の構築狙う
関連法案の今国会成立を阻もう
山根玲子
記事を読む  
改憲阻止決戦シリーズ 今、問い直す侵略と戦争の歴史
第6部 総動員体制 (7)
学童集団疎開
子どもにまで戦争の犠牲重く(矢野道夫)
記事を読む  
(6面)
団結ひろば 投稿コーナー 記事を読む  
3・25爆取無罪判決 検察官控訴弾劾する
迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧被告団
画期的勝利に喜びと感謝
司法改革・共謀罪への先制反撃
記事を読む  
[対角線]  「日本国軍」問題で弁解(来) 記事を読む  
公判日程 記事を読む  

週刊『前進』(2146号1面1)(2004/04/19)

 占領やめ自衛隊撤退を

 小泉政権は拘束の3人を殺すな

 「君が代」不起立闘争を支持し処分撤回・教基法改悪阻止へ

4・9 日比谷野音に4000人
陸・海・空・港湾労組20団体などが「自衛隊のイラク派遣NO!/STOP!有事法制/守ろう!平和といのち4・9集会」を開催した。「政府がただちにイラクから自衛隊を全員撤退させるよう求める」と「緊急アピール」を採択した(4月9日夜)=詳報次号

 4月8日にイラク・イスラム武装解放勢力であるサラヤ・ムジャヒディンが3人の日本人を拘束、米軍の暴虐と日本の加担を糾弾し、3日間の期限を切って自衛隊撤退を要求し、それが入れられない場合は報復すると宣言した。情勢は刻々と進展している。この事態をどう考えるべきなのか、そして闘いの方針は何か、さらに4〜5月決戦の課題は何かをはっきりさせよう。

 イラク人民の血叫びと糾弾

 第一に、サラヤ・ムジャヒディンはなぜ今回の非常手段に訴えたのだろうか。その背後にあるイラク人民の置かれている軍事占領下のせっぱ詰まった現実を直視しなければならない。
 サラヤ・ムジャヒディンが日本政府と日本人民にあてたメッセージは、「米軍はわれわれの土地に侵略したり、子どもを殺したり、いろいろとひどいことをしているのに、あなたたちはその米軍に協力した」「自衛隊が撤退しなければ、ファルージャでやった以上のことを3人にもやるだろう」と糾弾している。
 実際、米英日帝は、3・20開戦以来、この1年以上にわたってイラクの民間人を無差別に虐殺し続けている。今、ファルージャでモスクを空爆し、民家を砲撃し、すでに280人もの民間人を虐殺している。ムクタダ・サドル師とその宗教系列に対して新聞発禁、逮捕、事務所銃撃、そして壊滅作戦を強行している。いたる所で夜間に民家に押し入り、理由もなく逮捕し、投獄している。米帝の侵略戦争が明らかにもう一段エスカレートしているのだ。
 十数万人の帝国主義有志連合軍がイラクの土地をじゅうりんし、イスラム社会の規範や文化を踏みにじり、軍事占領を押しつけている。そのもとで国営企業の解体・民営化・大失業を強行している。米帝資本が各種事業を独り占めにして石油を強奪している。
 統治評議会は、米帝が任命した亡命イラク人中心の米帝の手先である。6月30日を期限として暫定政権に委譲すると言うが、それはイラク人民の民意とはかけ離れた、米帝のカイライ政権である。イラク人民の民族自決を一貫して全面否定しているのだ。
 サラヤ・ムジャヒディンのメッセージが告発し糾弾しているように、日本人3人の拘束は、3・31ファルージャでの米警備会社の4人の社員(元軍人)への報復を含め、今、イラクのほぼ全土で軍事占領・植民地化反対、占領軍撤退要求の反帝民族解放闘争が武装的大衆蜂起となって燃え上がっていることの一環だ。
 そこでは「シーア派もスンニ派もない、イスラムは一つだ」「外国軍の占領反対」「労働者の権利を認めろ」「イラク基本法反対」「政府は民意によって選べ」の切実な要求が爆発的に強まっている。
 われわれは、昨年3・20開戦以来、5・1軍事占領開始以来、そしてこの4月に入って、米帝・米軍がイラクで強行している現実をもうこれ以上許してはならない。占領軍である日帝・自衛隊をただちに撤退させなければならない。

 撤兵拒否する小泉打倒を!

 第二に、3人の拘束に対する小泉政権の対応は何だ。日帝・小泉政権は早々と「自衛隊を撤退する理由がない」と自衛隊撤退要求拒否を正式に声明し、テロリストに屈するな、問答無用だと扇動している。まさに3人の日本の民間人を見殺しにしてもいいという暴挙を行っているのだ。何が「人道復興支援」か。
 イラク人民の友たらんとしてイラクに入国し拘束された3人を解放する道は何か。答えは一つだ。イラクから自衛隊を撤兵させることだ。イラク侵略戦争と日米同盟護持と有事法制完成を国是とし、それをただただ強行する小泉政権を今すぐに打倒することだ。
 日本帝国主義・小泉政権は、イラク人民虐殺を続ける米帝とともにイラク人民に戦争と軍事占領を強制し、イスラムを踏みにじっている。また同時に帝国主義国家の国益のためには自国の労働者人民の人命をかえりみず、犠牲にしてはばからないのだ。この日帝・小泉政権を、スペインの労働者人民がアスナール政権を打倒したように、今こそ実力で打倒しよう。
 〈米英日帝はこれ以上の軍事占領をやめよ。小泉政権は自衛隊の軍事占領をやめ、ただちに自衛隊を撤兵させよ。小泉政権は3人を殺すな。侵略戦争と植民地主義的略奪と自国人民の人命無視の小泉政権は退陣せよ>〈すべての外国軍はただちに撤退せよ。イラクはイラク人民のものだ>――この声を結集し、ありとあらゆる方法で行動を起こし、小泉政権を倒そう。
 これ以外に、今、シーア派のサドル師支持勢力を先頭として、イラク全土で蜂起し、特殊的・極限的ゲリラ戦にも訴え、民族の自決を求めるイラク人民に連帯する方法はない。3人の若者を救う道はない。
 3・20日比谷公園6万人決起を始めとする全世界1000万人決起の地平に確信をもって、4〜5月闘争に総決起しよう。

 第1章 5・21明治公園集会に全国から総結集しよう

 北朝鮮侵略戦争法案粉砕

 4〜5月決戦の第一の柱は、イラク占領反対・自衛隊即時撤兵、有事7法案・ACSA改定案粉砕の闘いだ。3・20と4・9を引き継ぎ、全力で決起しよう。
 小泉・自民党が連休明けにも衆院通過を狙っている有事7法案と3条約・協定は、まぎれもなく対北朝鮮(中国)・対イラクの侵略戦争法案である。
 その一方の軸がACSA(日米物品役務相互提供協定)改定案だ。これは米軍行動円滑化法案、自衛隊法改悪案、交通・通信利用法案などと一体であり、日米安保の一大エスカレーションである。なぜなら、@武力攻撃事態とその予測事態に際して自衛隊が米軍に物品・役務だけでなく「弾薬」を提供でき、A国際貢献(国際の平和および安全に寄与する活動)や「大規模災害」の場合にも米軍に物品・役務を提供できるようにするものだからだ。
 これだと北朝鮮(中国)侵略戦争はもとより、アフガニスタン・インド洋、イラク、さらにはシリア、イランなど全世界あらゆる地域で米軍が侵略戦争を行う時、改定ACSAがあれば、そのつど個別のACSAを結ばなくてもいつでも自衛隊が米軍に物品・役務を提供できる。事実上、集団的自衛権を行使し、日米共同作戦をやれる。まさに日米安保の大改変である。
 もう一方の軸である国民保護法案は、米日帝が先制攻撃戦略をもって北朝鮮侵略戦争に突入する時、当然にも攻撃される側から必死の反撃があることを前提に、それから「国民」を「保護」すると称して、労働者人民を強制動員する法案である。「保護」などと言うが、実際は米軍と自衛隊が自由に行動できるように強制的に住民を「避難」「退避」させ、私権を制限し、交通規制、物資保管などを命令するのだ。まさに北朝鮮(中国)侵略戦争への国民総動員攻撃である。
 この有事立法攻撃、北朝鮮侵略戦争の切迫に対応して、米帝が地球的規模で進めるトランスフォーメーションの一環として在韓米軍・在沖米軍の再編がある。名護基地建設の攻撃に加え、普天間基地の下地島移転案や嘉手納基地統合案が出てきている。4月6日には北朝鮮への制裁発動を狙う特定船舶入港禁止法案を自公が国会に提出した。こうした中で日帝による中国領・釣魚台での中国人7人の逮捕、強制送還という許せない事態が起きた。
 有事7法案・ACSA改定案粉砕の闘いを、イラク撤兵、北朝鮮侵略戦争阻止、改憲阻止の闘いと結合し、この4〜5月に大爆発させよう。陸・海・空・港湾労組20団体と連帯して、5・21明治公園集会を全国結集で闘おう。

 4月国鉄・教労決戦を闘おう

 4〜5月決戦の第二の柱は、国鉄闘争と教労決戦(東京決戦)である。
 3月卒業式で、石原と東京都教育委員会による「日の丸・君が代」強制に対し、200人以上の教育労働者が「君が代」斉唱拒否の不起立で闘った。活動家が職務命令で会場外に排除される中で、良心的な組合員が、強制や愛国心教育・戦争教育に強い怒りと闘いの信念をもって決起した。
 これに打撃を受けた石原と都教委は、4月入学式での決起に恐怖し直ちに3月30日、都立高校教職員171人を戒告処分、5人を嘱託教員の再雇用取り消し処分にした(4月6日には公立小中学校などの教職員20人を追加処分した)。これに対し4月5日、75人が都人事委に処分取り消しを求めて審査請求し、反撃に立った。先の予防訴訟の228人と合わせ300人以上の大訴訟団が生まれた。
 石原と都教委は日帝・小泉の教基法改悪・改憲攻撃の先兵として、「日の丸・君が代」と愛国心教育の強制、大量処分の攻撃をかけてきた。これに対する大反撃は、教労決戦=東京決戦となり、国鉄1047名闘争と並ぶ階級的攻防に押し上げられた。処分覚悟で不屈に決起した教育労働者と連帯し、被処分者を守り、処分粉砕・教基法改悪反対の大闘争に立とう。都高教、日教組の既成指導部の屈服をのりこえ闘おう。
 教労決戦と同時に国鉄決戦が正念場だ。動労千葉の3波にわたる春闘ストの歴史的地平は、JRの当局=JR総連カクマル結託体制を打ち破って、勝利の展望を指し示している。4・13国鉄闘争支援集会を大成功させ、1047名闘争と国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いを両輪として、国労再生=国鉄闘争勝利へ闘おう。その重要なテコが動労千葉物販闘争である。ここでの決定的な飛躍をかちとろう。
 同時に、自治労、全逓を始めすべての産別・職場での労働運動の階級的前進をかちとろう。
 さらに今国会での大攻防として、@保険料の大幅な負担増と給付削減、年金制度解体を狙う年金改悪法案、A労働委員会制度の解体と団結権破壊の労組法改悪法案、B労働運動と革命党を弾圧する共謀罪新設、C裁判員制度など司法改革関連法案がある。労働者の決起で絶対に粉砕しよう。

 “権力獲得のための武器”

 4〜5月決戦の第三の柱は、革命党=労働者党建設の闘い、組織拡大決戦だ。
 レーニンは「権力獲得のために闘うにあたって、プロレタリアートには、組織のほかにどんな武器もない」と訴えている。革命党を建設することは、労働者階級が闘い、勝利していく死活的課題だ。特に革命党の機関紙(誌)は、労働者階級の勝利の不可欠の武器である。拡大目標の設定と不屈の執念をもって、本格的に機関紙拡大と党建設の闘いに取り組もう。
 とりわけ、闘う青年労働者はマルクス主義青年労働者同盟にどんどん結集し、マルクス主義を学び、労働運動を実践し、勝利を握りしめよう。すべての闘う労働者、組合指導部、学生、人民は、『前進』を読み、活用し、闘いの武器としよう。4〜6月の政治的・大衆的高揚のただ中で、組織拡大決戦をやり抜こう。
 最後に、5・15沖縄闘争の高揚、戦時下での4〜5月入管闘争の成功、学生戦線の4月新歓闘争の勝利、3月の二つの無罪判決の地平を引き継ぐ反弾圧などの闘いに断固決起しよう。
 以上のことを、心からアピールしたい。

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週刊『前進』(2146号1面2)(2004/04/19)

 「今すぐ撤退せよ」の叫び 首相官邸と国会前

首相官邸向かいの内閣府前に婦民全国協や百万人署名運動の人びとが結集し、「自衛隊をイラクから撤退させろ」と声を上げた(4月9日午後5時20分)
 イラクでの日本人3人の拘束という衝撃的な事件の翌9日、国会周辺は朝から権力の厳戒態勢を打ち破って、さまざまな団体からの「小泉は3人を殺すな」「自衛隊は直ちに撤退しろ」「イラク占領をやめろ」という声があふれた。
 正午から衆議院の議員面会所前で諸団体による緊急行動が行われた。事態を知った労働者人民がウイークデーにもかかわらず、続々と駆けつけ、自衛隊を撤退させないと表明した小泉首相への怒りの声を上げた。
 集会に参加した前レバノン大使の天木直人さんは、「すべては小泉首相の間違ったイラク戦争支援から始まった。小泉首相に一刻でも早く自分の誤りを認めて自衛隊を撤収しろと言いたい」と、自衛隊撤兵こそ問題解決の道だと強調した。
 高遠菜穂子さんの友人は「怒りがおさまらない。自衛隊派遣は復興支援ではなく、復興の妨げ。3人のいのちに責任とれないなら、小泉は首相をやめるべきだ」と自衛隊イラク派兵を徹底的に批判した。
 議面前は300人を超える人びとであふれかえり、3日間の連続緊急行動を闘うことを誓い合った。
 集会後、首相官邸前に移動して小泉首相に要望書を提出。その後、自治労や日教組など平和フォーラムの労働者が合流し、600人以上で自衛隊のイラク撤兵を求めて首相官邸へシュプレヒコールをあげた。
 午後4時半から、婦人民主クラブ全国協議会代表の西村綾子相模原市議や百万人署名運動、都政を革新する会などの市民団体200人あまりが内閣府前に結集し、福田官房長官をとおして小泉首相に自衛隊のイラク撤退を求める要望書を提出、怒りの声を上げた。

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週刊『前進』(2146号2面1)(2004/04/19)

 警察に組合員売り渡した酒田執行部を打倒しよう

 弾圧粉砕が国労再生の道

 国労5・27臨大闘争弾圧との闘いは、今日ますます重大な意味を持ち始めた。裁判闘争は、「被害者」と称する石井勝幸・国労本部会計監査員に対する弁護側尋問に入っている。それは、4党合意以来の国労本部の裏切りを、本部派証人自身の証言によって明らかにさせる闘いだ。こうした裁判闘争の前進に追いつめられた国労本部は、「指示第51号」を出して「被害者の証人尋問などについては、関係する地方本部を中心に傍聴体制を取り組むこと」と叫び、反弾圧闘争にあからさまに敵対している。5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いが、裏切りを深める国労本部−酒田執行部を打倒し、国労を階級的に再生させる課題に直結していることは、いよいよ鮮明になったのだ。

 分割・民営化に最終的屈服

 小泉政権による戦争と大失業の攻撃に対し、労働者階級の怒りは噴出し始めた。2〜3月の動労千葉の3波にわたるストライキと3・20イラク反戦国際共同行動の大高揚は、労働者の反転攻勢の時代を押し開いた。石原による処分恫喝を打ち破り、「日の丸・君が代」強制への抵抗を貫いた教育労働者の決起は、こうした情勢の到来を明確に示している。
 動労千葉のストライキは、国鉄闘争勝利の展望を指し示した。JR体制の矛盾を突き、JR資本と徹底的に対決する中に、国鉄闘争勝利の展望もある。
 こうした動労千葉に続く闘いを国労の中に築き上げることが、国鉄1047名闘争の勝利にとって絶対に必要なのだ。だが、そのためには国鉄闘争を裏切り、国労を解体に導こうとしている国労本部―酒田執行部を打倒し、国労を階級的に再生させなければならない。そのカギを握るのが、国労5・27臨大闘争弾圧を打ち破る闘いだ。
 この弾圧の口実とされたのは、02年5月27日の国労臨時大会における国労組合員のビラまき・説得活動だ。この大会で、国労本部は闘争団員に対する除名を含む統制処分の手続きを進めようとしていた。
 何よりも重大なことは、闘争団員への統制処分という本部の方針が、自民党によって強制されたものだったということだ。国労本部は、被解雇者の除名を迫る政権与党の常軌を逸した介入に完全に屈服した。
 国労闘争団を始めとする1047名は、国家権力・自民党によって首を切られ、JRから排除されたのだ。国鉄分割・民営化を主導した元首相の中曽根は、「国労が崩壊すれば、総評も崩壊するということを明確に意識してやったわけです」とぬけぬけと言い放っている。国鉄分割・民営化は、国鉄労働運動を解体し、総評を壊滅に追い込み、階級的労働運動を根絶やしにすることを目的とした国家的不当労働行為そのものだった。
 ところが国労本部は、自民党に命じられるままに闘争団員を統制処分に付そうとした。こうした本部方針に、闘争団員を先頭に組合員が心の底からの弾劾をたたきつけたことは、きわめて当然のことだった。
 5・27臨大闘争弾圧を警察権力と一体となって計画し、仕組んだのは酒田委員長ら国労本部派だ。この事実は、公判廷での鈴木勉・東京地本法対部長に対する弁護側の尋問によって明白に暴き出されている。
 そもそも、「事件」とされた5・27早朝の出来事は、労働組合内部の方針形成に向けての対立であって、権力が介入できるものではない。また、そこには「暴力」と言われるようなものは一切なかった。にもかかわらず、権力は本部派を弾圧の先兵に仕立てることで、国労組合員の逮捕・起訴、1年3カ月にもわたる長期勾留へと踏み込んだのである。

 弾圧加担は本部の最弱点

 今日、小泉政権は、日本経団連・奥田と一体化し、労働組合に産業報国会化を迫っている。労働組合法の改悪や労働契約法の制定策動、共謀罪の新設、労働審判制の導入などによって、団結権を根底から踏みにじろうと策している。その最も凶暴な現れこそが、5・27臨大闘争弾圧だ。この弾圧にくみした国労本部は、全労働者階級の利害を敵に売り渡したのである。
 労働組合を変質・解体させようとする資本や権力の攻撃は、労働組合内部からそれに呼応する裏切り者がいなければ効を奏しない。4党合意以来、その恥ずべき役割を担ったのは、ほかならぬ国労本部だった。
 00年5月の4党合意で、国家権力は国労に「JRに法的責任なし」を認めさせ、国労本部の手で闘争団の解雇撤回・JR復帰の闘いを鎮圧させようとたくらんだ。国家権力やJR資本と対決する路線を持たず、「政治解決」路線にのめり込んでいた国労本部は、これにすぐさま屈服した。
 だが、4党合意は国労組合員の根源的な怒りの決起を引き起こした。国労本部は、機動隊導入下の国労大会で4党合意受諾を決定してもなお、反対派組合員の闘いを制圧することができない現実に立ち至った。そこで彼らは、権力と結託し弾圧を強行することで卑劣な延命を図ったのである。
 酒田執行部を手中に取り込んだ権力は、昨年12月の最高裁反動判決をもテコにして、国労を壊滅に追い込もうと策している。
 だが、組合員を権力に売り渡したという事実そのものが、酒田執行部の最大の弱点なのだ。被告たちの闘いは、そこにしっかりと食らいついている。この弾圧と徹底的に闘うならば、酒田執行部を打倒し、権力の思惑を粉砕して、国労再生への突破口を切り開くことは必ずできる。
 被告たちの不屈の闘いと、それを支える「許さない会」の大衆的発展は、弾圧にかけた権力の狙いを打ち砕き、国労の階級的再生への大道を押し開こうとしているのだ。

 動労千葉に続き勝利開け

 小泉政権は、泥沼化を深めるイラク侵略戦争にのめり込み、有事関連法案を今国会で成立させ、北朝鮮侵略戦争への突入を狙っている。首切り、賃下げ、不安定雇用化の資本攻勢を強め、労働者を一層の無権利状態にたたき込もうと攻撃を強めている。
 だが、これらは労働者の階級的団結を解体することなしには押し貫けない。国鉄闘争はその攻防の頂点にあり、階級闘争の帰趨(きすう)を決める位置を持っている。だからこそ権力は、国鉄闘争を解体しようと躍起なのだ。
 この攻撃に立ち向かい、3波のストライキを貫徹した動労千葉の闘いを基軸に、国鉄闘争勝利に向けて闘おう。1047名闘争と5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いを両輪として国労を再生させよう。労働者の反撃は始まったのだ。動労千葉に続くことこそ勝利の道を押し開く。
 4・13国鉄闘争支援大集会に結集し、国労闘争団、全動労争議団、動労千葉争議団の1047名闘争の陣形を打ち固めよう。
 次回公判(4月27日)に結集し、8被告の無罪獲得へと闘いを進めよう。国労の再生を願うすべての人びとは、弾圧粉砕へともに闘おう。

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週刊『前進』(2146号2面2)(2004/04/19)

 都立校「君が代」不起立処分

 撤回求め75人が審査請求

 東京都の「日の丸・君が代」強制に対する教育労働者の闘いが大きく広がっている。石原都政と都教委の凶暴な処分攻撃に屈せず、誇り高く闘いぬく教育労働者と連帯して闘いぬこう。
 3月卒業式で「君が代」斉唱時に起立しなかったことなどを理由に3月30日に戒告処分とされた都立校の教育労働者171人のうち75人が、4月5日、東京都人事委員会に処分取り消しを求める不服審査請求を申し立てた。入学式における抵抗を封じ込めるために異常なスピードで決定された不当処分に対し、入学式前に反撃しようと立ち上がったもので、今後さらに申立人は広がろうとしている。
 申立人約50人が都庁に集まり、人事委員会に申し立てをした後、記者会見を行った。「人事委員会への審査請求の申立にあたっての声明」では、「今や都教委の進める『教育改革』が、『国民のための教育』ではなく、『国家のための教育』であることが白日の下にさらけ出されました」「今回の都教委による異常、拙速な大量処分は、明らかに入学式を目前にした見せしめ的処分」と弾劾、不当処分撤回まで闘いぬくことを宣言した。4月17日には「『日の丸・君が代』不当処分撤回を求める被処分者の会」を結成する。
 昨年10〜12月に行われた創立記念行事で不起立したなどとして戒告処分とされた教育労働者のうち8人も、3月29日に処分取り消しを求めて都人事委員会に審査請求を行っている。
 また、嘱託職員の雇用が取り消されて事実上、懲戒解雇された8人(再雇用3人、再雇用更新5人)も、撤回を求め裁判闘争に立ち上がろうとしている。
 今後、「『日の丸・君が代』強制反対/予防訴訟」と処分撤回の人事委員会闘争の二つを両輪に、「日の丸・君が代」攻撃と徹底的に対決する大きな闘いに発展していこうとしている。

 ●入学式でも多数の不起立

 4月7日を中心に行われた都立校の入学式でも、都教委の職員が監視するただ中で、多数の教育労働者が不起立闘争に立ち上がった。戒告処分の恫喝はまったく無力だったのだ。
 他方、都教委は5日、小中学校・都立養護学校の教職員20人に対する第2次処分を決定した。19人は戒告処分、1人は減給(10分の1、1カ月)。処分の拡大に対して、被処分者がさらに処分撤回闘争に立ち上がろうとしている。
 10・23「通達」による処分の恫喝を打ち破って200人を超える教育労働者が断固として立ち上がった意義は限りなく大きい。3・20闘争と04春闘のただ中で、動労千葉を先頭とするストライキ決起とともに、教育労働者が積もりに積もった怒りを爆発させて、歴史的な反撃に立ったのだ。
 都知事・石原は“処分を振りかざせば教職員の抵抗など封じることができる”と見くびっていた。しかしこの恫喝は抵抗を封じる力を持たなかったばかりか、まったく逆に労働者の怒りに火をつけた。都高教本部の屈服方針をのりこえて、「こんな不正義には屈しない」「教え子を再び戦場に送らない」「アジア侵略戦争の歴史を繰り返さない」と、教育労働者の生きざまをかけて立ち上がった。自衛隊イラク派兵のただ中で、戦争協力を拒否する巨大な反乱が始まったのだ。

 ●大量処分は都の敗北宣言

 大量処分を出さざるをえなかったこと自身が、石原と都教委の敗北宣言である。「(2期目は)もっと過激に」と豪語してきた石原のおごり高ぶった攻撃に対して、教育労働者が都労連傘下の労働者の先頭に立って、本格的な反撃の火ぶたを切ったのだ。
 首都・東京で始まった反撃は、間違いなく全国闘争に発展する。「日の丸・君が代」闘争の爆発は、同時に日教組の階級的再生へ向けた大きな一歩である。教基法改悪攻撃に対して、教育労働者の職場からの反撃が始まった。この闘いを全国に広げよう。被処分者とともに処分撤回へ闘おう。

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週刊『前進』(2146号2面3)(2004/04/19)

 動労千葉の安全闘争

 合理化に絶対反対貫き労働者の命を守る闘い

 動労千葉は、3月13日実施のダイヤ「改正」に反対し、反合・運転保安確立を第一義的課題に掲げて、12日から列車247本を止める48時間ストライキに決起した。この闘いの画期的意義に肉薄したい。

 JRと大企業で大事故続発

 昨年、JR東日本で重大事故が多発した。9月28日には中央線高架化切り替え工事の配線ミスで8時間も不通になり18万人に影響。10月6日には京浜東北線で補修工事の部品が放置され、電車と接触し4時間以上不通になった。そのあまりのでたらめさに、国土交通省は12月19日にはJR東日本に対してJRでは初の事業改善命令を出すほどだった。
 さらに昨年、業界トップ企業での大事故が相次いで起きた。エクソンモービル名古屋油槽所でガソリンタンクが炎上、新日鉄名古屋製鉄所でガスタンクが爆発・炎上、ブリヂストン栃木工場でタイヤ20万本以上が炎上、出光興産北海道精油所の原油タンクが相次いで炎上。これらの事態を前に日本経団連・奥田は悲鳴を上げた。
 JRだけでなく日本帝国主義そのものが根本から崩壊を開始しているのだ。その根底には、連合中央の裏切りの上に遂行された大リストラ、技術力を持った労働者の追放がある。
 今回のJRのダイ改の最大の問題点は、各駅停車の電車が走る総武緩行線の千葉駅〜御茶ノ水駅間で最大6分40秒もの運転時間の短縮を強行した点だ。

 総武緩行線の運転時間短縮

 千葉〜御茶ノ水間は営業キロ数で38・7`、通常は五十数分で走行している。6分以上も時間短縮するとは、あまりに無謀だ。
 総武緩行線では1964年に東中野、72年に船橋、80年と88年に東中野と繰り返し事故が起きている。
 特に88年の東中野の事故は重大だ。88年12月5日午前9時半過ぎ、東中野駅で運転士と乗客1人の計2人が死亡する追突事故が発生した。この事故は、東中野駅に停車中の先行電車に後続電車が突っ込む形で衝突したものだ。直接の原因は後続電車の運転士がATS(自動列車停止装置)を切っていたため、先行電車に近づいてもATSのブレーキが効かなかったことだ。ダイヤが遅れており、その圧力の中で、先行電車が「発車すると思ったから」という見込みで低速進入したためだという。
 この事故の背景には、直前の12月1日のダイ改によるスピードアップがある。その結果、朝のラッシュ時には遅延が目立つようになっていた。ところが遅れると、運転士に最悪乗務停止まで含む注意勧告が出される現実が存在した。最短2分30秒間隔の過密ダイヤのもとでダイヤ維持のため、JRの労働者は神経をすり減らしているのだ。
 この東中野事故をくり返さないということを合言葉に、自らと乗客のいのちを守るために、動労千葉は89年12月5日にストライキに決起した。このストは、一連のJRの事故に不安を抱く乗客から、「私達利用者にとって安全無視のJRは絶対に許せません。いつかはJRに殺されるという不安を抱えながら利用しているようなものです」という共感の声が動労千葉に寄せられるほどの社会的支持を獲得した。JRは翌年のダイ改で、元の運転時間に戻さざるを得なかった。

 保線外注化でレールが破断

 JRにおける安全無視は重大事故を起こしかねないところにまで来ている。
 今年1月6日、総武快速線下り津田沼〜幕張間でレールが2aも破断する重大事態が発生した。半径1200bの曲線区間でレールのゲージコーナー(レール頭部の車輪と接触する部分。一番力がかかる)に発生していたひび割れが拡大して破断に至ったと見られる。列車のスピードアップで線路への負荷が大きくなり、しかも保守部門の合理化でまともな点検もされず、破断するまで放置されていたのだ。
 この破断事故は、イギリスの国鉄分割・民営化後の線路保有会社レールトラック社破産の直接の原因となったハットフィールド事故を想起させる。2000年10月17日に発生した事故は、損傷したレール上を列車が走行した時、レールが300以上の破片となって砕け、9両連結の客車のうち7両が脱線、4人の死者を出したものだ。
 事故現場は曲線部分であり、そこのレールにはゲージコーナー・クラッキング(裂け目)と呼ばれる傷が以前から存在し、それを放置した結果、レールがばらばらに砕けるにまで至ったものだ。曲線部のゲージコーナーのひびが拡大してレールが破断した点で総武快速線とまったく同じだ。
 鉄道のレールは何十dもの車両の重さを支えておりさまざまな損傷を受ける。特に曲線部分では、自動車と違って車輪が左右固定されているのできしみが発生し、さらに遠心力がかかるため曲線部分のゲージコーナーは特に金属疲労を起こし、ひび割れなどさまざまな損傷を受けやすい。
 だからこそ線路の保守・点検は鉄道の安全にとって第一級の課題である。ところが、イギリスのレールトラック社は分割・民営化の過程で線路の基礎資料を散逸させ、保線業務を下請け業者に丸投げしていた。だから、ゲージコーナー・クラッキングの存在を知りながら無責任きわまる態度をとって大事故に至った。
 JR東日本も2年前に保守部門(保線、電気、信号・通信)を全面的に外注化し、3千人以上の労働者を関連会社に出向に出すという大リストラを行った。
 しかも、JR東日本は、99年に山手貨物線で関連会社の労働者5人が死亡した大事故の後に、「(下請け会社に対して)安全管理等に関して指示もしくはそれに近い行為があった場合は、施工管理と見なされ、JRが特定元請け業者となる恐れがあるのでしてはならない」という内部通達を出し、JRに責任が及ばないようにしてきた。このような体質が一連の大事故やレール破断を引き起こした。まさにイギリスのレールトラック社と同じだ。
 JR総連カクマルは保守部門外注化を丸のみし、事故が起こっても、「責任追及から原因究明へ」などと言って、資本の責任追及を放棄している。このようなJR総連を許しておいては、JRの労働者のいのちと安全は守れない。

 イギリス鉄道労組と連帯を

 イギリスの闘う鉄道労組であるRMT(鉄道海員運輸労組)やASLEF(運転乗務員組合)は動労千葉と同様、安全問題を正面に掲げ、「国鉄再国有化」を要求して闘っている。
 闘う労働運動の復権なしに労働者階級のいのちと安全は守れない。72年の船橋事故への闘いをとおして確立した動労千葉の反合・運転保安闘争こそ動労千葉労働運動の神髄である。ここから徹底的に学び、いのちの危機に直面している労働者階級の根源的な危機感と怒りを全産別で組織し、闘う労働運動を再建しよう。
 (湯村宏則)

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週刊『前進』(2146号2面4)(2004/04/19)

世界の労働運動 ヨーロッパ

 “雇用と社会的権利保障を”

 欧州行動デーに160万人

 4月2〜3日、欧州労連(CES―ETUC)が呼びかけたヨーロッパ行動デーとして、イタリア、ドイツ、フランス、スロベニア、ハンガリー、ポーランドなどで「雇用と社会的権利の防衛」を掲げてデモが行われ、総計160万人の労働者人民が参加した。

 イタリア100万人

 4月3日、イタリアでは、ローマに全国から50万人、全国で総計100万人が行動に参加し、高齢者の困窮や政府の年金制度改悪への怒りを表明した。
 高齢者が年金の増額を求めて労組の旗を翻してローマの中心に向かって行進した。若い労働者もデモに加わり、年金保険料拠出期間の延長に反対した。
 3月20日のイラク撤兵要求デモ、3月26日の年金改悪反対ゼネスト、4月3日のデモと、数百万人規模の大行動が連続している。イラク反戦闘争と社会保障解体反対闘争、ベルルスコーニ政権打倒闘争がますます燃え上がることは必至だ。
 ドイツでは、ベルリンで25万人、シュトゥットガルトで10万人、ケルンで12万人など総計50万人以上の労働者人民が街頭に出て闘った。労働組合、退職者同盟、反グローバリゼーション組織が「アジェンダ2010反対」「労働と社会正義のために立ち上がろう」のスローガンを掲げた。
 「アジェンダ2010」はシュレーダー社民・緑連立政権が昨年議会に提出した社会保障制度解体諸法案である。これは“2010年までに福祉国家をやめる”という宣言だ。
 昨年の労働市場法案成立で失業手当が生活扶助に統合された。職安で紹介された仕事に就かない失業者は手当をもらえなくなった。歯科治療費・薬代の引き上げ、税制改革、地方自治体財政改革、たばこ税増税、連邦雇用庁の権限強化も決まった。今年は介護保険改悪案が提出された。シュレーダーは週労働時間の40時間への延長を提起した。
 4月3日のデモは、こうしたシュレーダー政権への労働者、年金生活者の怒りの爆発だ。3月29日にも介護保険料全額自己負担に反対する3万人の高齢者のデモが行われた。労働時間延長にはストライキで反撃する機運が生まれつつある。

 仏で激突情勢へ

 フランスでは、パリの1万人を始め、ボルドー、タルブ、リヨン、リールなど60以上の都市で総計3万人以上が街頭に出た。
 パリのデモには研究員、教育労働者、学生、非常勤劇場労働者、電力・ガス労働者、失業労働者、プジョーやエールフランスの労働者の参加が見られ、「雇用と社会的権利、社会保障、公共サービスを要求し、パリとヨーロッパで一緒に(闘おう)」という横断幕が掲げられた。デモ参加者はイタリアやドイツほどは多くないが、労組活動家層の範囲を上回った。
 シラク大統領とラファラン首相は、3月21〜28日の地方選で与党UMP(国民運動連合)が大敗し、深刻な打撃を受けた。失業率も10%に迫っている。シラクは内閣を大幅に改造し、国民議会での与党UMP絶対多数を背景に新自由主義政策を貫こうとしている。
 ラファランは4月5日、最低賃金の2年連続3・7%引き上げを約束して譲歩する一方、医療保険改悪、公的病院の商業化、教育の非中央集権化(教育関係労働者の地方自治体への移籍、広域配転)、国営企業の民営化・競争導入を加速すると宣言した。
 労働者階級の反撃はすでに始まっている。1月22日、医療保険改悪案に反対して医療労働者が24時間ストに立ち上がった(2140号参照)。民営化反対闘争も強められている。国鉄労働者は、1月21日にストを決行したほか、3月31日にリールで全ヨーロッパの鉄道労働者とともに2千人のデモを行った。4月1日にパリで6千人の教育関係労働者や学生がデモを行った。フランス・テレコムの労働者も4月26日のストライキ決行を決めている。
 労働者階級はシラク―ラファラン政権との激突に向かっている。
 (藤沢明彦)

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週刊『前進』(2146号2面5)(2004/04/19)

 無罪獲得へ団結固め

 福岡で許さない会集会

 4月4日、福岡市農民会館大ホールで「有罪になれば労働運動がつぶされる!国労組合員らへの暴処法弾圧許さず、無罪判決を求める4・4九州集会」が開かれた(写真)。松崎博己さん、羽廣憲さんら被告とその家族、保釈署名に取り組んだ労働組合や組合員が集まった。
 呼びかけ人のあいさつに続いて、5・27の現場を撮影したビデオが上映され、「何が暴行か! これで逮捕・長期勾留は許せない」という怒りの声がわき上がった。
 羽廣さんが「事件はデッチあげ。だから検事側に重大な矛盾が出ている」として、公判での検察側の破産を具体的に明らかにした。
 松崎さんは「許さない会運動を一大国民運動に発展させよう。動労千葉の春闘ストと3・20国際反戦闘争の爆発を引き継ぎ、国労再生の先頭に立つ」と力強く訴えた。被告の家族が「無罪判決をかちとるために支援者と家族の団結を」と訴えると、会場は大きな拍手に包まれた。
 佐世保地区闘争団員、佐賀地区闘争団員が「闘争団は歴史への責任がある」と1047名闘争勝利に向けての決意を表明した。
 許さない会・九州の事務局長で元国労九州本部書記長の手嶋浩一さんが基調報告を行い、「8名の逮捕は戦前に似てきている。有罪になれば労働運動ができなくなる。無罪判決のためにあなたも署名を集めてくれと言える運動にしたい。この運動を広げること、8名の無罪をかちとることが戦争を止める」と訴えた。
 不当解雇と闘う労働者、会社の団交拒否と闘う労組、許さない会・長崎の労働者、4党合意福岡地労委闘争の代理人のス労自主組合員、民間の労働者が闘いの報告をした。
 「デッチあげだから検察側は重大な矛盾をきたしている」という参加者の確信は、無罪獲得署名と賛同会員の飛躍的拡大を絶対に可能にする。許さない会運動から労働運動の新潮流の発展をかちとろう。
(投稿/九州・弘田 徹)

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週刊『前進』(2146号2面6)(2004/04/19)

 国労5・27臨大闘争弾圧公判日程

 第22回4月27日(火)
 第23回5月18日(火)
 第24回6月9日(水)
 大25回6月29日(火)
 *いずれも午後1時15分から、東京地裁

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週刊『前進』(2146号3面1)(2004/04/19)

 資本と闘い生存権守ろう

 年金改悪絶対阻止へ〈上〉

 社会保障解体する奥田路線

 小泉政権は、年金制度改悪法案を4月中にも衆院通過させようと全力を挙げている。年金制度改悪との闘いは、いよいよ決戦局面に突入した。今や労働者階級は、積もりに積もった怒りを解き放ち、反転攻勢に転じようとしている。2〜3月の動労千葉の3波にわたるスト決起と、3・20イラク反戦国際共同行動の大高揚は、その決定的な転機となった。自衛隊のイラク派兵と有事関連法案の国会提出という「外への侵略戦争」の攻撃と、小泉=奥田路線のもとで襲いかかる一大資本攻勢、「内への階級戦争」の攻撃に対し、労働者の怒りは激しく噴出し始めた。労働者階級が自らの力に確信を深めて立ち上がるならば、年金改悪を阻止することは絶対に可能だ。今こそ年金改悪への怒りを小泉政権にたたきつけよう。

 企業負担削り消費税アップ

 4月2日と7日、与党は衆院厚生労働委員会で年金改悪法案の審議に入った。民主党や社民党は、小泉が国民年金や厚生年金、公務員共済などに分立した年金制度について「将来、一元化すべき」と発言したことをとらえて、「一元化の展望を欠く政府案は審議に値しない」と審議を拒んでいる。その中で単独審議を強行した与党の姿は、小泉政権の危機を示して余りある。だが、民主党の「年金改革案」なるものも、実は年金制度の解体を推し進めるものでしかない。その民主党さえ置き去りにして審議を進めざるをえないほどに、小泉政権は追いつめられている。
 今回の年金改悪は、保険料の大幅引き上げと年金受給額の大幅削減を労働者人民に強いるものだ。この攻撃の背後には、社会保障制度解体に向けた資本家階級の強烈な階級意志がある。
 日本経団連の04年版経労委報告は、「21世紀の最初の10年は、いわゆる団塊の世代が年金を受給しはじめる時期であり、社会保障制度の抜本的改革の最後の機会である」と叫び立てている。社会保障解体に向けて、支配階級の側から決戦を挑んできたのである。
 これは、企業の社会保険料負担をどこまでも削減するということだ。定昇解体−ベースダウンに踏み込んだ資本は、さらに社会保障にかかわる企業負担を徹底的に絞り込もうとたくらんでいる。
 日本経団連は昨年1月の「奥田ビジョン」で、消費税率の18%への引き上げを打ち出すとともに、「企業の従業員についても、自営業者と同様、保険料を全額本人が負担する方式に改める」と言い切った。社会保険料の企業負担は全廃し、社会保障制度そのものを極限的に縮小した上で、消費税による大衆収奪を貫こうというのである。日本経団連会長の奥田に至っては、「『消費税増税反対』や『医療費患者負担の軽減』などを主張する(者は)……我々から見れば異星人」(文芸春秋1月号)と暴言を吐いている。
 資本は今や、労働者の生活・生存など保障しないと言ってのけた。そうしなければ資本として生き残れないという激しい危機感を背景に、労働者の生存を奪う攻撃に出てきたのだ。労働者を生かしていくことのできなくなった資本主義=帝国主義を打ち倒すことが必要だ。年金改悪が労働者に突きつけているのは、そういう問題なのである。

 保険料増額し受給額は削減

 今回の年金制度改悪は、次のような内容だ。
 (1)厚生年金の保険料率は、現在13・58%(労資折半)だが、これを毎年0・354%ずつ引き上げ、2017年度には18・30%にする。年収500万円の層では、年間34万円ほどの保険料が毎年8500円ずつ上がり、17年度には46万円になる。年間12万円もの負担増だ。国民年金の保険料は、現在の月額1万3300円が毎年280円ずつ引き上げられ、17年度には1万6900円になる。年間8万円もの増額だ。
 (2)他方、給付額は約15%も削減される。厚労省が設定する「モデル世帯」(夫は40年勤続・平均月収36・7万円、妻はいわゆる「専業主婦」)の場合、年金受給額は現在、現役労働者の給与収入の59・3%に設定されている。それが2025年には50%に減らされる。与党は「50%を下回ることはない」と言うが、そんな保障は何もない。削減幅が拡大することは、大いにありえる。
 そもそも厚労省の描く「モデル世帯」は、すさまじい資本攻勢にあえぐ労働者の実態をなんら反映していない。「モデル」に当てはまらない世帯の場合、受給額の低下はより激しい。例えば、独身男性の受給額は、現役世代の収入の36%にまで下げられる。
 現在21歳の労働者が生涯にわたって受給する年金の総額は、この改悪で1300万円以上も減る。
 国民年金のみを受給している人の3割強は、年間100万円以下の年金しか得ていない。そうした人びとにも、一律に15%もの給付削減が襲いかかるのだ。これではとうてい生活していくことができない。

 「生活保障」の考え方を一掃

 今回の年金改悪は、これまでとはまったく異なる抜本的な改悪だ。最大の問題は、「マクロ経済スライド」なるものを導入して、年金をいくらでも削減できる仕組みを制度の中に埋め込んでしまうことにある。
 これまでの年金制度は、給付水準をまず決めて、それに応じて保険料を定める方式をとっていた。給付水準はインフレ率などに連動していた。そこには、少なくとも建前としては、高齢者の生活を保障できる水準に年金額を設定するという考え方があった。
 ところが、「マクロ経済スライド」が導入されれば「高齢者の生活保障」という考え方は一掃される。保険料の水準をあらかじめ決めた上で、国が徴収した保険料の総額と高齢者の数・平均余命の伸び率などを勘案して、受給額を自動的に削減するというのである。
 今春闘で資本は「生活給の要素が強い諸手当については、今後削減されていくべき」(経労委報告)と叫び、生活給の概念を否定して賃下げに踏み込んだ。これと同様の攻撃を年金でも貫こうとしているのだ。
 しかも、「マクロ経済スライド」による支給削減は、国会審議の対象にもならない。これまでは、年金の受給額や保険料は5年ごとに見直され、その都度、年金改定法がつくられた。だが、今回の改悪を許せば支給削減は政府の思いのままにされてしまう。

 改悪推進する連合と民主党

 この年金制度改悪に手を貸しているのが連合・民主党と日本共産党だ。
 民主党が打ち出した「年金改革案」なるものは、税率3%の「年金目的消費税」を創設することが最大の柱になっている。消費税アップによる大衆収奪を明言した点で、民主党案は政府案より露骨なものだ。また、保険料は現在水準に据え置くとしているが、それは「保険料率の引き上げは……企業の収益を圧迫する」(経労委報告)と叫んで政府案に反発する資本におもねるものでしかない。受給額を大幅に削減する点では政府案と同様だ。
 ところが連合中央は、こうした民主党案を実現させることが連合の課題だなどとうそぶいている。それは、資本がたくらむ社会保障制度の解体を、労働組合の名をかたって推進するものにほかならない。だが、連合中央がどのような思惑を持とうが、彼らが「政府案を廃案に」と口にした途端、年金改悪への労働者の怒りが噴き出すことは避けられない。年金改悪と大増税反対の闘いを大きく発展させるならば、連合中央を打倒して階級的労働運動を復権させるチャンスもまた到来するのである。
 日本共産党は、民主党などが与党の国会運営に反発し審議を拒む中で、「出席するが質問しない」というペテン的口実を設けて衆院厚生労働委員会に出席した。これは政府案の早期成立に手を貸す裏切りだ。
 労働者が求めているのは、政府にあれこれの対案を対置して、日帝の救済策を競い合うことではない。政府案・民主党案ともども、労働者階級の闘いで廃案に追い込む以外にない。
 年金は国と資本が全額保障すべきである。それができないなら、帝国主義は倒されなければならない。このことを明確にし、年金改悪を絶対に粉砕しよう。

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週刊『前進』(2146号3面2)(2004/04/19)

 04春闘後半戦、スト爆発

 動労千葉ストと3・20を契機に 労働者階級の決起始まる

 ベアゼロ回答に怒りの反撃

 04春闘は昨年までの春闘とは様相を一変している。いたるところで連合支配が破綻(はたん)し、労働運動の地殻変動と階級的力関係の転換が始まった。
 3月17日の金属大手での許し難い3年連続ベアゼロ回答とこれへのIMF―JC(金属労協)を始めとする連合指導部の裏切りと屈服に抗して、動労千葉を先頭にストライキが闘われた。労働者階級を食わせられず、全世界を戦争へ引き込む資本主義・帝国主義への労働者階級の根底的な怒りの爆発がついに日本でも始まったのだ。
 04春闘の爆発を象徴している第一の事実は、動労千葉の3波にわたるストライキ闘争への決起とその勝利的推進である。とりわけ2月の指名スト―長期非協力闘争への決起によって、JR資本からついに初めて譲歩をかちとった画期的勝利は春闘勝利への号砲となった。さらに、3月12〜14日の反合・運転保安確立を掲げ、247本の列車をぶっとめた48時間ストライキは、闘いを熱烈に求める日本の労働者階級人民への根源的な激励となり、3・20日比谷6万人決起を根底のところで支え抜いた。
 第二の事実は、3・20日比谷6万人決起と、全世界1000万人決起の衝撃である。とりわけ、日本、韓国、アメリカ、イギリス、イタリア、スペインなどイラク侵略派兵を行っている「有志連合」諸国で反戦闘争が爆発したことは、決定的な意義を持っている。
 昨年2月15日の全世界2000万人決起は、帝国主義の「外への侵略戦争と内への階級戦争」に対する全世界の労働者階級人民の根源的な決起であり、世界的内乱の到来を告げ知らせるものであった。
 今年の3・20日比谷6万人決起と、全世界1000万人決起は、昨年の地平をより根底的にのりこえる新たな質を持っている。
 まず、陸・海・空・港湾労組20団体を中心にナショナルセンターを越えた巨大な決起が実現され、4〜5月闘争の展望を切り開いたことだ。
 次に、今回は、「軍隊を直ちに撤兵させろ」「イラクとパレスチナの占領をやめろ」というスローガンが全体を牽引(けんいん)した。これは一般的な「戦争反対」から、イラク人民、パレスチナ人民の闘いへの支持を内包し、自国政府の打倒にまで発展する可能性を持っている。
 第三の事実は、以上の大情勢を受けて、日本の春闘においても今までにない闘いがまき起こっていることである。
 第一には、石原東京都政による「日の丸・君が代」強制攻撃に対して、都立高校などの卒業式で実に200人以上の闘う教育労働者が処分恫喝をはね返して決起したことである。これに対して石原都政は、3月30日と4月5日に計約200人もの教育労働者に対してまったく許し難い処分を強行した。闘う教育労働者は都の人事委員会に不服審査請求を申し立て、さらに入学式でも断固として闘いぬいている。
 首都東京で爆発したこの闘いは、昨年12月23日の東京・日比谷公会堂をあふれかえる教基法改悪反対5000人決起を引き継ぎ、3・20全世界1000万人決起と一体となってかちとられた教育労働者の根源的な決起なのだ。
 第二には、私鉄総連傘下の相模鉄道労組、関東バス労組、千葉海浜交通労組などがストライキに突入して闘いぬいたことである。
 相模鉄道労組は、実に12年ぶりのストライキに突入した。賃上げはベアゼロだったが、分社化を阻止し、臨時給与を前年同月数確保し、派遣社員の正社員化をかちとるなど、相当の譲歩を引き出したとしている。この闘いは、資本主義の危機の時代だからこそ、動労千葉のように団結して実力闘争で闘えば、敵の譲歩を引き出すことができることを示している。
 第三に、金属大手の屈服を突き抜けて中小の労組が奮闘し、昨年以上の賃上げをかちとっていることである。3月下旬の先行回答で、連合20産別の300人未満の組合で昨年を334円上回る4627円(1・68%アップ)の回答を得ている。また、全労連など春闘共闘会議も昨年を156円上回る6030円(1・91%アップ)の回答を獲得している。
 これは、5年連続の賃下げ、とりわけ民間中小の賃金格差の拡大に対して、労働者階級の憤激が明確に一線を越えて爆発を開始していることを示している。文字通り労働者階級を「食わせられなくなった」資本主義への根源的怒りが、3・20決起ともからみあって爆発を開始しつつあるのだ。

 連合中央打倒は急務だ

 以上、04春闘の爆発の始まりを見るならば、逆に3月17日の金属大手での3年ベアゼロ妥結がいかに許し難い大裏切りであるかがますます鮮明になる。
 3月17日、金属大手資本が集中回答を行った。日産自動車のベア1000円を除いて軒並み3年連続のベアゼロとなった。しかも、電機連合や自動車総連は、春闘前や、春闘過程で定昇解体と成果主義賃金への移行を次々にのんでいった。
 電機連合が言う「賃金体系の維持」とは、連合中央の言う「賃金カーブの維持」ですらない。30歳の技術職とか35歳の技能職の労働者の賃金を昨年と同様にする、というだけである。それ以外の年齢の労働者が定昇解体でどれほど賃下げになろうが、また30歳や35歳の労働者であったとしても、成果主義導入でどれほど賃下げになろうが、知ったことではない、という意味なのだ。
 このような大裏切りを塗り隠すために連合会長の笹森は、「連合が掲げた目標に沿って、ほぼ百パーセントに近い形で解決が図られた」などとまったくのでたらめを主張している。定昇解体を容認し、差別賃金推進の成果主義賃金への移行を賛美し、賃下げを認めておいて何が百パーセント解決だ。こんなペテンを絶対に許してはならない。
 連合の裏切りによって、定昇解体を大手では基本的に貫徹した日本経団連の奥田は、「賃上げだけでなく労働条件全般にかかわる幅広いテーマについて労使で討議する『春討』の色彩が強まったことは、望ましいこと」と言い放った。これこそ、連合中央がベアゼロ容認だけでなく、定昇解体の要求まで全面的に受け入れ、賃金制度改悪と終身雇用制解体を受け入れたことへの「勝利宣言」なのだ。
 だが、連合中央の裏切りを吹き飛ばす闘いが3・20を突破口に始まった。有事法制粉砕、年金改悪阻止、労組法改悪阻止の闘い、国鉄1047名闘争と一体で、春闘後半戦の爆発を実現しよう。

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週刊『前進』(2146号3面3)(2004/04/19)

 全金本山 争議完全勝利へ攻勢

 「最大の山場」へ全国闘争

 3月28、29日、全金本山闘争の全国総決起集会と本社工場門前闘争が闘われた。
 仙台市内で開かれた28日の総決起集会では、長谷武志委員長が「青柳充さんが不当解雇されたのが3月25日、闘いは34年目に入った。全国オルグで『原則ばかりやっていると折れやすい』と言われたこともあったが、筋金が入っているのは折れない。原則があるから闘ってこれた。3月20日に仙台でも4千人のナショナルセンターを越えた集会が開かれたが、私たちは主催者の一員としてその成功を支えた。当時私たちを排除した人たちはどこへ行ったのか。まさに、権利を闘わない人は戦争とも闘えない。会社は7〜8月までの解決と言っている。5月9、10日の全国闘争をバネに、完全勝利をかちとりたい」と、争議の完全勝利への決意を語った。
 連帯あいさつでは、不当配転と闘う医労連の仲間、組合つぶしのための大量配転攻撃と闘う都職労の仲間などが、職場闘争を軸にした反撃を力強く報告した。
 青柳充書記長は基調報告で、「連合は労組としての意味をなしていない。首切りの時に労組が守ってくれるか不安」という状況の中で、全金本山闘争が、「労働組合の団結がある限り、労働者の闘い続ける意思は貫かれるし、支援する人たちもいる」ことを示してきたことの大きな意義を確認した。
 そしてその力で中野七郎書記次長への「傷害」事件デッチあげ弾圧をはね返してきたこと、さらに新たな団結で完全無罪をかちとることを訴えた。さらに、会社に争議解決のスケジュールの設定を迫り、「遅くともお盆明けまで」の解決で会社側も了解したことを報告し、「最大の山場」の決戦として、当該労組員と支援の総決起を呼びかけた。
 本山資本のメインバンクであったみずほ銀行が、03年3月に本山資本の債権を整理回収機構に売却していたことが明らかになった。整理回収機構の意向にかかわらず、本山資本にとっては争議解決なしに企業再建はない。
 青柳書記長は、「現在60歳の定年年齢を超えた組合員もいるが、8年前から『全面解決』と言っては引き延ばしてきた責任が会社にある。希望者全員の就労を認める。それがないと就労問題の解決はない」「職場に赤旗を立て、地域で闘うのが全金本山労組だ」と、「2名の解雇撤回、全員の原職奪還」をかちとる大攻勢を熱烈に訴えた。
 支援の決意表明では、全国の本支連を代表して東京本支連の仲間が、「勝利への絶好のチャンス。今までの枠を越え、闘いを強化して完全勝利をかちとろう」と決意を表明した。
 当該からの決意表明では、中野七郎書記次長が発言、「私への弾圧は本山闘争の決戦期をつぶそう、有朋寮をつぶそう、反戦運動をつぶそうという狙いだった。しかし、今みると本山闘争を勝利に押し上げ、私も家族も元気、有朋寮も存続して、大学側がガタガタになっている。私の弾圧には全国から350を超える労働組合が無罪を要求した。市民も『人ごとではない』と大きな広がりができている。反戦運動も3・20の大結集など、昨年より大きな輪になっている。仙台の3・20の4千人集会では本山の組合員と東北大生が事務局を担った。権力がなんだろうと思うような状況だ。この力で全金本山闘争の勝利、反戦と生活、権利を守る闘いの勝利をかちとろう」と03年の激闘と前進をふり返り、あらためて自らの控訴審闘争で無罪をかちとる決意を語った。
 29日には、大衝村の本山製作所本社工場門前で出勤時間から昼休みまでの就労要求闘争を貫徹、30年来の支援者や初めて門前に決起した労働者、学生などが次々に争議の解決を会社に迫った。管理職は鉄の門扉を開け閉めするだけでまったく元気がない。その代わり宮城県警が機動隊を増員し、「警告」を乱発して弾圧を策したが一切の介入を阻止して闘い抜いた。昼休みには構内で働くJAMの組合員にともに闘うことを訴えた。
 34年目を迎えた全金本山闘争は、完全勝利=「2名の解雇撤回、全員の原職奪還」へ、最大の正念場を迎えている。暴力労政を30年以上にもわたって支えてきながら、自らの危機のために本山資本を見捨てたみずほ銀行は、それによって自らの争議責任から逃れるわけにはいかない。その上で、卑劣なみずほ銀行から見捨てられた本山資本にはもはや逃げ場はないのだ。全金本山闘争勝利へ、4〜8月大攻勢に立とう。
 「一人の首切りも許さない」を労働組合として貫いてきた全金本山労組の勝利は、階級的労働運動を再生する歴史的突破口となる。
 5月9、10日、全国闘争が呼びかけられている。全金本山闘争を支援してきたすべての仲間は5月全国闘争に総結集しよう。

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週刊『前進』(2146号3面4)(2004/04/19)

 泉佐野市政に抗議のデモ

 国賀市議の地域活動報告

 市民犠牲の空港優先市政

 「財政非常時態宣言」による体育館休館日増に反対運動

 3月16日午前10時、体育館の休館日を週2日に増やす泉佐野市長の方針に抗議し、泉佐野市体育協会を中心に市民約150人が泉佐野駅前から市役所に抗議のデモ行進を行った。先頭の横断幕には「体育館の週休2日化断固反対」と書かれている。参加者は「市民のスポーツ! 健康の場を奪うな!」「市民を無視した2日休館断固反対!」などそれぞれの思いを書いたプラカードをもって、メガホンで必死に呼びかけた。沿道の市民、運転中のドライバーらが「何が起こっているのか!?」と立ち止まって注目した。このような趣旨のデモは、泉佐野市始まって以来の出来事だ。
 この日は、「休館日2日撤回を求める請願」が市議会厚生文教委員会で審議されるため、委員会開催時刻に合わせてデモしてきたのである。
 これに先立ち体育協会は、2月19日に市長に対し約50人で「白紙撤回」を申し入れた。

 請願継続審査に

 体育協会の人たちは、請願書を持って議員を回り、全会派から紹介議員になる署名をとっている。当然、全会一致で採択されるはずである。ところが、この動きを知った新田谷市長が、与党議員を集めて「休館を10月まで延期するので継続審査にしてくれ」と頼み、与党が「継続審査」に同意したので、この日の抗議デモとなった。デモ後、代表約30人が傍聴に入った。
 私は厚生文教委員会で新田谷市長を、「市長らの失政で財政危機に陥りながら市民に犠牲を押しつけるのか」と怒りを込めて追及した。市長は「財政危機の中、全公共施設の休館日を増やさざるを得ない」と認めた上で「4月実施を10月まで延期し、それまでに関係者と話し合いたい」と休館日を増やす方針を変えようとしない。傍聴者らは怒った。社会教育部長の「全国で体育館を週2日休館にした市は聞いていない」との答弁に「そうだろう」と傍聴者の怒りはさらに増した。
 だが与党議員らは質問もせず、継続審査の提案をした。私は採択を主張した。4対3で残念ながら継続審査になったが、傍聴者らは怒り「白紙撤回まで闘おう」と確認した。

 再建団体の危機

 この事態を招いた原因は、泉佐野市の財政破綻であり、市民犠牲の空港優先市政である。関西新空港の地元・泉佐野市は赤字再建団体転落の危機に陥っている。昨年度の累積赤字は35億円にまで増えた。39億円で赤字再建団体に転落する。1〜2年後の転落は避けられない情勢である。
 関西新空港を建設するため、関連事業を国や大阪府の要求通り、あるいは利権のために続けてきた。事業費にして1600億円にも上る。そのために巨額の借金が残った。一般事業を含めると1400億円にもなる。市民1人当たり140万円、府下ダントツ1位である。公債費=借金返済額は年62億円、病院、下水道分を含めると約75億円にもなる。他方、税収は年々減り180億円しかない。昨年に続き今年度も約10億円の財源不足である。
 国や府に空港関連事業の責任をとらせない限り、どんなに市民に犠牲を押しつけてものりきれない。ちなみに体育館の休館日を週1日増やしても約400万円しか削減できない。
 しかし新田谷市長は、極限的に市民を犠牲にしようとしている。「新財政健全化計画」では、公共料金を府下最高額に引き上げ、文化会館を閉鎖、コミュニティーバス廃止、職員給与10%カットなどすさまじい内容になっている。市民が怒るのは当たり前だ。
 しかし、新計画を実施したとしても3年後に12億円も赤字が残るという。実際には赤字は増えて再建団体に転落するのである。
 危機に追いつめられた市長は、自分と保守勢力の支持基盤であった体育協会など各種団体をも切り捨て始めた。それに対して犠牲にされる市民が、ついに立ち上がり始めた。体育協会だけではない。文化協会や高齢者などもいっせいに反対の声をあげている。
 この時、革命的議員はどう闘うのか。私は市民とともに全力で闘う決意です。
(泉佐野市議会議員・国賀祥司)

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週刊『前進』(2146号4面1)(2004/04/19)

 有事関連7法案 ACSA改定案 北朝鮮侵略戦争法粉砕を

 軍隊最優先と国民総動員 日米が全世界で共同作戦

 日米安保の大エスカレート

 有事関連法案が今週から衆院で審議入りする。有事立法攻撃は、北朝鮮・中国侵略戦争の発動とイラク侵略戦争への参戦強化を狙う、日帝の全体重をかけた攻撃である。4〜6月のイラク撤兵・有事法案粉砕闘争は、侵略戦争への道を許すのか、それとも日帝・小泉政権を打倒し、労働者人民の新たな勝利の時代を切り開くのかをかけた一大決戦である。闘うイラク・ムスリム人民、朝鮮人民との連帯をかけて、絶対に法案の制定を阻止しよう。国会闘争を強め、5月21日、東京・明治公園に全国から総結集しよう。

 北朝鮮侵略戦争で反撃想定した立法

 有事関連7法案と3条約・協定承認案は、すべて重大な戦争攻撃である。
 国民保護法案は、日本の労働者人民が戦火にさらされることを前提にして、先制的に北朝鮮・中国侵略戦争を強行するための法案である。北朝鮮・中国から反撃されることを想定して住民の「避難」や「救援」などを定めているが、そもそも有事立法の全体が米帝とともに北朝鮮・中国に対する先制攻撃―侵略戦争を行うためのものである。
 しかも国民保護法案では平時から有事計画の作成や、住民組織の整備、訓練、啓発などを行うものとされている。これは労働者人民を排外主義に組織化し、また反戦闘争を解体・圧殺することを狙う攻撃である。こうして戦争突入に向かっての国内体制づくりが、政府中央から市町村レベルまで、民間を巻き込んで行われるのである。
 その影響は地域・家庭・職場・学校など労働者人民の生活の隅々に及んでくる。東京都の石原慎太郎知事をファシスト先兵とする公立学校での「日の丸・君が代」強制攻撃は、有事立法と一体の攻撃である。まさに日本の社会の戦後的なあり方を根本から覆して、戦時体制にたたき込む攻撃が強まっている。

 ACSAの適用範囲拡大

新ACSAの内容
 
類型
融通する物品・役務
現行の枠組み 共同訓練 食糧、水、宿泊、輸送、燃料、被服、通信、衛生業務、基地支援、保管、施設の利用、部品、修理・整備、空港・港湾業務など
国連PKO、人道的な国際救援活動
周辺事態
新規の追加枠組み 国際貢献、大規模災害救援 同上
武力攻撃事態、予測事態 同上及び弾薬

 さらに重大なのは日米物品役務相互提供協定(ACSA)の改定と、その関連法案(自衛隊法改悪、米軍行動円滑化法案)である。ACSAは2月に日米間で改定協定が調印された。その締結承認案が国会に提出されている。
 改定の内容はどのようなものか。これまでのACSAは、自衛隊と米軍が食料、燃料、通信設備、整備などを互いに提供できるケースを、▽共同訓練▽国連平和維持活動(PKO)または人道的な国際救援活動▽周辺事態――に限定していた。だが、今回の改定で新たに「日本国に対する武力攻撃」と「国際貢献・大規模災害」の二つの枠組みを付け加えた。
 まず「武力攻撃事態」「予測事態」の際には米軍に弾薬をも提供できるとした。これは、北朝鮮侵略戦争を日米共同作戦として強行するための決定的な攻撃である。
 さらに「国際貢献」を加えたことも重大である。ACSAの適用範囲が無際限に拡大されるからである。
 今すでに自衛隊が展開しているイラクやインド洋(アフガニスタン侵略戦争支援のための海自派兵)でも、そのほか全世界で物品役務の相互提供が可能になるし、また日本国内でも日常的に、ほぼ無制約にやれることになるのである。
 この改定が強行されると、米軍支援のための自衛隊の海外派兵1件ごとに個別のACSAを結ぶ必要がなくなる。政府が狙っている海外派兵恒久法をこれと重ねることで、国連の枠外で、しかも相手国の同意なしで、自衛隊が侵略出兵し米軍と全世界で共同作戦できるようになるのである。
 有事法案の制定は、日帝のイラク侵略戦争参戦を一層強めるものである。昨年12月9日に閣議決定したイラク派遣基本計画で、自衛隊は「人道復興支援活動」と「安全確保支援活動」の二つを行うとしている。サマワでの給水活動など、前者の「人道復興支援活動」ばかりが宣伝されているが、こんなものはまやかしだ。米軍が自衛隊に要求していること、そして日帝自身がやりたがっていることは、「安全確保支援活動」だ。これは米軍の「治安維持活動」(反占領・民族解放闘争の圧殺のこと)を支援するための軍事作戦だ。
 改定ACSAの発動は、日帝がこの「安全確保支援活動」に本格的、全面的に踏み出すための攻撃である。「後方支援」と称して、武装米兵を前線に送り込む活動、兵站(へいたん)や通信、基地支援などの軍事作戦を米軍とともに行うのであり、文字どおりの日米共同作戦である。

 「臨検」で自衛隊が危害射撃や撃沈も

 このほか、交通・通信利用法案は、空港・港湾・道路、海域・空域、電波などを米軍・自衛隊が最優先で利用できるようにするものである。外国軍用品等海上輸送規制法案は、北朝鮮の船舶を対象に臨検を強行し、停戦命令に従わなければ危害射撃や撃沈もできるとする戦争法案である。さらに捕虜等取り扱い法案、国際人道法違反行為処罰法案、ジュネーブ条約の2追加議定書締結承認案が国会提出されている。その全体が北朝鮮・中国侵略戦争のための重大な攻撃である。絶対に阻止しなければならない。

 労働者の戦争動員拒否を!

 これに対して、戦争になれば真っ先に動員される陸・海・空・港湾労働者を先頭に、有事立法阻止、戦争動員拒否の闘いが不屈に闘い抜かれている。
 航空労働者は3月30日の国会前行動で、「私たちの職場は武力攻撃事態法で『指定公共機関』に指定され、米軍支援法で協力を義務づけられ、自衛隊法103条で業務従事命令の対象になっている。このように二重三重に網をかけながら、交通・運輸に働く私たちを強制的に戦争体制に組み込んでいこうとしている」と絶対反対を訴えた。
 太平洋戦争中、すべての民間船舶が戦争に動員され、6万人の船員が海で死んだ。全日本海員組合の機関誌『海員』(02年8月号)は「ブッシュの『悪の枢軸』先制攻撃によって火を吹く中東有事、朝鮮半島有事は、直ちに日本有事と認定されて大量の軍需物資の海上輸送が始まると予想すべきであり、その時、『業務従事命令』は民間商船とわれわれ船員に必ず強制力を持って迫ってくる。こんな事態を許してはならない」と訴えている。
 日帝による労働者の戦争動員を絶対に許すな!
 一切は、4〜5月闘争の爆発にかかっている。5・21闘争に向けて、職場・大学・地域で、集会・デモ、決議、署名運動など、あらゆる闘いを嵐(あらし)のように巻き起こそう。
 前進社ブックレット『有事七法案を阻止しよう』は、組織化の最良の武器だ。全国の労働組合、大学、地域の中に広めよう。

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週刊『前進』(2146号4面2)(2004/04/19)

 “生きる権利を奪うな”

 介護全国ネット 「年金」で厚労省交渉

 90歳を先頭に70人が決起

 3月24日、「介護保険に異議あり、全国ネットワーク」の70人の高齢者が、年金制度改悪を阻むために厚労省交渉を行いました(杉並、世田谷、神奈川、広島、東大阪、泉佐野、八尾、高槻、神戸から参加)。
 最初に、東京杉並の住民の会代表の八木ケ谷妙子さんが「90歳、ただ生きてきたわけじゃない。一刻一刻、感性を切り開いて『あーここか、あーここか』と生きてきた。90歳は真っ先に先頭で闘う。90歳、ここにあり!」と檄(げき)を発しました。
 まず、今の年金制度が崩壊というならその責任は誰にあるのかと鋭く追及しました。会員が「国のやっていることは民間なら横領だ」「運用や流用についての責任を取るべきだ」と追及しました。
 厚労省官僚は「運用については国会で審議したはず」と答弁。会員が「ウソつくな! 審議したことはない!」と追及すると、厚労省は「制度で決まっている。保養施設は造っていい」とごまかしました。また会員が「天下りした元官僚の退職金の返還請求をしているのか」と追及すると、「答えられない」と逃げたのです。
 さらに会員が「江角さんのコマーシャルに6億8千万円もかけているというじゃないか! その江角さん自身が年金を払っていない。そんなコマーシャル代も私たちの年金から出されている。冗談じゃない」と追及すると、厚労省官僚はうつむいてしまいました。

 ゛生きていけない゛と怒りの声

 現在の年金制度自身も、およそ生存権を保障するものではない現状が明らかにされました。
 「毎月20日ごろになると2〜3千円しかない。妻が寂しそうに、どないしょーと言い、粥(かゆ)をすすっている。どうやったら節約できるかと新聞もやめた。こんな生活や」
 「私は2カ月で4万円ちょっと。1カ月2万円や。家賃払ってお米買って、1日200円くらいで過ごさないとやっていけない。どないしてくれる?」
 「私は東北から出てきて作業員としてずっと働いてきた。今は目が見えなくなった。不況の中、働くこともままならない。生活保護以下の年金以外に何の収入もない」
 「3万8千円の年金。腰痛がきついけど、なんとか生活するためにヘルパーをやってきた。あちこち体が悪くなり病院も行かなならん。医療費が上がり、1回2千円くらいかかる。その上に介護保険料もアップする。生きていけない」
 このように高齢者が年金生活の現状を次々と告発しました。
 厚労省側は、この切実な訴えに対して、「こういう実態があることは伺っている」「年金は現役のときに払った額に対しての当然の権利として給付する。少ない人も多い人もいる」と言い、制度の仕組みを説明し始めたために、みんなの怒りが爆発しました。
 「権利や給付の仕組みは知っている! そういうことを言ってるんじゃない。生きる権利が歴然と私たちにあるんだ!」「生存権としても足りないことについてどう思っているのか!」と、国自身が憲法25条の生存権保障を踏みにじっていることを徹底的に弾劾しました。
 そして、厚労省側が「少子高齢化の流れの中で、年金制度を持続するために改正させていただきたい」と言ったことに対して、「デタラメはいい加減にして!今、年金をもらっている人は、今働いている人からもらっているのか? 違うでしょ! 働いてきた高齢者を目の前にしてそういうデタラメを言うのか?」と追及しました。官僚は完全に沈黙せざるをえませんでした。そして、「約束の1時間です」と言って、逃げるように会場を出て行ってしまいました。

 ゛結束して政治を変えよう゛

 まとめの集会では、次のような発言がありました。 「40歳で山形から出てきて今76歳。職場しか収入がない。24時間中4時間しか仮眠がない中で仕事をしている。大変だけど、みんなといることが今の幸せ。他人のためは自分のため。政治家は傲慢(ごうまん)すぎる。結束が必要や。会うことがいかにすばらしいか、身を持って感じる。団結を強めて闘いましょう」
 「給付と負担の問題を言っていたが、国は給付の責任があるのでは? そこの回答を求めていきたい」「厚生省は何も答えていない。がんがん言っていかないといけない。少子高齢化は政府の責任。それを告白している。子を産んで育てる環境がない。生存権の保障がないからだ」
 こうして、「生きる権利」を掲げた要求が正義に貫かれていることをみんなで確認できました。
 また、高齢者の要求は「年寄りが年金や介護でいじめられず、堂々と生きていけるなら若い人たちもがんばる。血税を戦争に使って、足元の人びとは苦しんでいる。政治を変えないと、年寄りも若い人も生きていけない」と、すべての世代の問題であることが明らかになりました。
 国は年金制度改悪にまったく自信を失っていることも明らかになりました。改悪反対の署名、各地での生存権保障を求める闘い、介護保険を始め、医療・福祉切り捨てを許さない闘いを高齢者自身が身をもって行動していこうと確認し、翌日の国会行動に向けて決意を打ち固めました。
 国が労働者民衆を生かすことができない現実を、この年金制度改悪は全面的に暴露しています。そんな国をつくり変えていくことが今こそ問われているのではないでしょうか。
 翌25日には国会行動を行い、野党議員に年金改悪に反対するよう訴えました。その後、国会前に座り込み、議員回りの報告集会を行い、団結ガンバローで年金改悪阻止へさらに闘うことを誓い合いました。
 (投稿/関西 O・A)

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週刊『前進』(2146号4面3)(2004/04/19)

 学生運動の最前線から 新入生諸君、ともに闘おう (1)

 東北大学 イラク撤兵・有事法闘争の爆発で大学を反戦の砦に

 イラクでの戦争

 新入生諸君! 昨年3月に始まったイラク戦争は、当初は「自由と民主主義のため」「圧制者からの解放」などと大宣伝された。だがそれから1年、米英軍などの占領軍はイラク民衆の怒りに包囲され、全土で連日連夜のゲリラ戦闘がたたきつけられている。
 君はこの事態をどう見るか? どう考えるか? いったい誰のための戦争だったのか?
 米帝ブッシュは「イラクの大量破壊兵器の脅威」を叫んで戦争に踏み切った。だが、それはまったくのデッチあげだった。
 では、なぜブッシュはイラク戦争を強行したのか? それは埋蔵量世界第2位と言われるイラクの石油資源を独占しようとしたからだ。さらに、中東全体を軍事支配しようとしている。
 資源強奪と勢力圏拡大のための強盗戦争。私たちはこれを「帝国主義侵略戦争」と呼ぶ。日帝・自衛隊は、この米帝の侵略戦争に積極的に加担し、独自の帝国主義的利益の追求のために参戦したのである。
 米帝は全世界に侵略戦争を拡大しようとしている。次に米帝が狙っているのは北朝鮮だ。北朝鮮、さらには中国のスターリン主義政権を転覆しようとしている。そして、この強盗戦争に日帝が参戦するためのものこそ、国会に提出されている有事関連法案とACSA改定案だ。これをもって日帝は、イラク侵略戦争でも、北朝鮮・中国侵略戦争でも、いつでもどこでも日米共同作戦を展開できるようになる。まさに日帝は、日米安保をもって世界戦争に参戦していこうとしている。絶対に粉砕しよう。

 帝国主義の危機

 帝国主義はなぜ戦争にのめり込むのか? それは、資本主義−帝国主義による世界支配が行き詰まっているからだ。資本主義体制は全世界に戦争を拡大して民衆を窮乏の淵(ふち)にたたき込むことによってしか延命できなくなっている。「資本主義はもはや民衆を食わせていけない」――これが現代世界を読み解く重要なキーワードである。
 人類は高度に発展した生産力を持ちながら、資本主義体制のもとでそれが逆に破壊力となって恐慌を引き起こし、侵略戦争によって突破するしかなくなっている。これは、3度目の世界戦争にまで必ず行き着く。
 では、未来に展望はないのか? そうではない。資本主義社会で最も抑圧された存在である労働者階級が国家権力を握ることによって自らの手に生産手段を奪い返し、新たな世界をつくることができる。この歴史的事業こそプロレタリア世界革命の闘いである。
 3月20日、全世界でイラク反戦行動の中軸を担ったのは労働者階級・労働組合だった。この闘いの中にこそ革命の未来がある!

 大学の戦争動員

 日帝の侵略戦争政策は、私たち学生と無関係ではない。大学もまたそのお先棒を担がされようとしている。国公立大学の法人化−「大学改革」攻撃こそ、大学の戦後的なあり方を粉砕して大学自治を一掃し、資本家の思うがままの大学につくりかえ、大学・学生に帝国主義間争闘戦を担わせようとするものだ。
 4月からの「国立大学法人」化を前に、東北大学でもここ数年、学生自治会や寮、サークルなどの闘う拠点を破壊する攻撃がかけられてきた。2001年9月の有朋(ゆうほう)寮の「廃寮決定」こそ、その最たるものだ。
 それは、一つに「新寮なき廃寮」=代替施設の存在しない寮生たたき出しという点において、二つに当事者である寮生にまったく秘密裏に決定されたという点において、三つに「教育の機会均等」を保障する厚生施設を破壊するという点において、絶対に許すことのできない決定だった。
 東北大学当局−吉本学長はこのトップダウンの「廃寮決定」を全学に認めさせ、警察や裁判所を総動員して有朋寮をたたきつぶすことで、法人化の先鞭(せんべん)をつけようとした。有朋寮生F君に対する無期停学攻撃は、見せしめ的な弾圧であり、徹底的に弾劾しなければならない。
 だが、それは、有朋寮生の原則的で粘り強い闘いによって基本的に破産した。法人化体制のもとでも、勝利に向けた闘いは意気高く継続されている。廃寮反対署名や支援陣形は拡大し、「廃寮期限」を1年以上経過した今現在も、大学当局は有朋寮に一指も触れられないでいる。逆に、吉本学長の独裁体制は自らの収賄と腐敗を学生の闘いによって暴露・弾劾され、ぐらぐらだ。
 3月20日には、国際反戦行動と一体となって、東京・日比谷公園で有朋寮を含む3者の呼びかけで、全国の学生300人が集まり、法人化反対集会がかちとられた。侵略戦争と法人化攻撃に対し、一体的に反撃していく決定的な陣形が築かれた。私たち学生の反撃はいよいよこれから本格的に爆発していくのだ。
 全国の学友諸君、有朋寮のように闘おう! 法人化攻撃を粉砕し、大学を学生の手に取り戻そう! 大学を反戦の砦(とりで)として打ち立てよう!

 革命的変革者へ

 すべての新入生のみなさん! 資本主義の危機の時代、侵略戦争−世界戦争の時代において、革命に人生をかけることこそが、最も人間らしいあり方だ。マルクス主義こそ、労働者階級自己解放の思想であり、これからの私たちの生き方の指針とすべきものだ。
 マル学同中核派・東北大支部は、「反帝国主義・反スターリン主義世界革命」の旗を掲げて、全世界の労働者階級とともに闘う決意である。私たち東北大の学生は、自衛隊派兵と有事法制に反対する巨大な学生の隊列を組織し、全国学生運動の最先頭に立つ。有朋寮の廃寮を阻止し、法人化粉砕闘争の主軸を担い抜く。
 新入生諸君! 君も現代世界のラジカルな変革者として、中核派とともに闘おう! 歴史の主人公に躍り出よう!
 (マル学同中核派・東北大支部)

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週刊『前進』(2146号4面4)(2004/04/19)

日誌’04 3月30日〜4月6日

 北朝鮮船への入港禁止法案

 日米地位協定の新運用合意

●北富士にイラク想定の訓練施設 自衛隊は、イラク派兵に絡み、宿営地が襲撃を受けた場合を想定した訓練を行う模擬施設を近く北富士演習場梨ケ原廠舎(しょうしゃ)に建設する。横浜防衛施設局が地元自治体に口頭で建設計画を3月29日までに伝えていたことが明らかになった。(30日)
●08年以降に原子力空母を横須賀配備 米太平洋軍のファーゴ司令官は米下院軍事委員会で証言し、第7艦隊の空母キティホークの後継艦として最新鋭の原子力空母を就役させる方針を示唆した。(31日)
●「日の丸・君が代」で176人処分 東京都教育委員会は、都立高校、障害児学校での卒業式で「君が代」斉唱に起立しなかったなどとして176人の教職員を大量処分した。処分された教員らは4月5日、東京都人事委員会に不服申し立てを行った。(31日)
●高裁が出版禁止取り消し 田中真紀子前外相の長女の私生活を報じる記事を掲載した「週刊文春」が出版差し止め仮処分命令を受けた問題で、東京高裁は表現の自由を尊重するとして仮処分命令を取り消す決定をした。(31日)
●イラクで米国人殺害 イラクの首都バグダッドの西方のファルージャで米占領当局の請負業者の4人が殺され、遺体が切られたり橋につるされるなどした。4人は米軍契約の警備会社の要員で、元陸軍レンジャー部隊隊員や元海軍特殊部隊隊員など。(31日)
●成田空港が民営化 成田国際空港株式会社が発足した。黒野社長は祝賀式典で「期待されている機能を発揮しなければならない」とあいさつし、暫定滑走路の延長への意欲を示した。(1日)
●地位協定新運用に合意 日米両国政府が日米合同委員会を開き、日米地位協定の新たな運用で合意した。政府は、重大犯罪の米兵容疑者の取り調べに米側捜査官の同席を認める一方、現行運用合意に明記されている殺人・強姦に加え「その他」でも被疑者の起訴前の引き渡しが実現するとしている。しかし、引き渡すかどうかの判断は米側の裁量にゆだねられている。(2日)
●米国務長官「誤情報で国連演説」認める
パウエル米国務長官は、イラクの大量破壊兵器の脅威を訴えた昨年2月の国連安保理での演説の間違いを認めた。武力行使に踏み切る節目となった演説について「確たる情報に基づくものではなかった」と述べた。(2日)
●拡大NATO始動 新加盟した中東欧7カ国を加えた北大西洋条約機構(NATO)の外相理事会がブリュッセルで開かれた。パウエル米国務長官は、イラクでNATOがより大きな役割を果たすよう、あらためて求めた。(2日)
●イラクで衝突拡大 イラク中部の都市ナジャフで、米軍占領やシーア派のモクタダ・サドル師派の新聞発行禁止に抗議するデモにスペイン軍などが発砲し、イラク人20人以上が死亡、200人以上が負傷した。バグダッドでも東部のサドルシティーでシーア派住民と米軍が衝突、米軍は米兵7人が死亡、20人が負傷したと発表した。占領軍とイラク人の衝突は5日、6日と拡大し、3日間でイラク人の死者は100人を超えた。(4日)
●米軍がMDシステムの日本への持ち込みを検討 米政府が緊急時に在日米軍基地などを弾道ミサイルによる攻撃から守るために、米軍の地上配備型ミサイル防衛システムを日本国内に持ち込むことを検討していることが分かった。(5日)
●与党、入港禁止法案提出 自民、公明の両与党は、北朝鮮の船舶を念頭に置いた特定船舶入港禁止法案を国会に提出した。民主党が3月31日に独自案を提出しており、与党は修正協議に応じる考えで、今国会での成立を狙っている。(6日)

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週刊『前進』(2146号5面1)(2004/04/19)

 司法制度改革を粉砕しよう

 弁護士を翼賛勢力に変え戦時治安体制の構築狙う

 関連法案の今国会成立を阻もう

 山根玲子

 司法改革関連法案が3月2日、国会に提出され、3月16日から衆議院法務委員会で審議が始まった。これは「戦時下の治安体制」へと一挙に転換させることを狙った大攻撃である。イラク侵略戦争に参戦し、北朝鮮侵略戦争策動を強める日帝は、戦争遂行のために反戦闘争や労働運動を圧殺しようと、死活をかけて今国会での成立を策しており、4月中旬にも衆議院での採決に持ち込もうとしている。弁護士や法学者や救援運動を闘う多くの人びとが反対の声を上げている。3・20全国50万人決起の力をさらに爆発させ、「自衛隊イラク撤兵、有事7法案・ACSA改定案粉砕、改憲阻止」の闘いと一体で、司法改革関連法案粉砕の闘いの大爆発をかちとろう。

 戦後憲法下の司法と裁判制度を大転換 目的は人民の運動弾圧

 米英日帝国主義によるイラク侵略戦争はますます泥沼化し、帝国主義の危機と腐敗を一層深めている。
 日帝は、イラクへの自衛隊派兵によって、この世界戦争過程に深々とはまり込んだ。新たな「15年戦争」の時代に入ったのだ。
 日帝は開始した侵略戦争と一体で「内への階級戦争」攻撃を激化させている。北朝鮮侵略戦争のための有事関連7法案・ACSA改定案を今国会で成立させようとしている。教育基本法改悪で教育労働者の闘いを圧殺し、軍国主義教育を強制し、労働法制改悪で労働者の団結権を破壊しようとしている。
 戦争遂行のために、日帝が最も恐れるのは、反戦闘争や労働運動である。「挙国一致」体制で労働者階級を動員しない限り、戦争を遂行することはできない。そのために、治安弾圧体制を強化し、凶暴な国家暴力で革命党を解体し、労働者階級人民の闘いをねじ伏せようとしている。
 革共同は幾多の弾圧やデッチあげ弾圧に屈せず、3月に迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧裁判や、水嶋秀樹同志へのデッチあげ弾圧裁判で無罪判決をかちとり、今や日本階級闘争の先頭で反戦闘争、労働運動の高揚を切り開いている。他方、動労千葉は、国鉄分割・民営化攻撃にも屈せず団結を固めてストライキに決起し、階級的労働運動の旗を高く掲げている。陸・海・空・港湾労組20団体は、戦争協力断固拒否を掲げて有事立法粉砕闘争の先頭に立っている。自治体労働者や教育労働者の感動的な決起も始まった。
 労働者階級が「食えない現実」に対して底の底からの怒りを爆発させ始めている。こうした中で「革命の現実性」に恐怖する日帝が、上からの内乱的攻撃に出てきたのだ。
 日帝は新たな「15年戦争」のために桎梏(しっこく)となった戦後憲法の改悪攻撃に踏み出した。司法改革攻撃も、戦後憲法体系下の治安体制や裁判のあり方を戦時型に大転換させ、司法の中心的担い手である弁護士と弁護士会を戦争翼賛勢力へと変質させることを目的にした攻撃であり、改憲攻撃そのものである。
 司法改革関連法案とは、@裁判員制度導入のための「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案」、A刑事裁判制度を戦時型へ転換するための「刑事訴訟法等の一部を改定する法律案」、B弁護士と弁護活動を国家が管理するための「総合法律支援法案」を中心とするものである。
 これらのすべてが、基本的人権の抹殺、裁判闘争の破壊、国家権力に対する「司法的抑制」機能の一掃、戦後民主主義の破壊を内容とするものである。強権的な国家主義の全面化である。
 さらに共謀罪の新設や刑法改悪(厳罰化)、「テロ対策」を口実とした厳戒体制や治安弾圧のエスカレートと一体となって、戦時型治安弾圧体制を構築するものにほかならない。
 司法改革関連法案粉砕へ、すべての労働者人民は総決起しよう。

 「国民」動員し超短期で死刑・無期の判決 裁判員制度の導入

 今国会で制定されようとしている裁判員制度とは、以下のようなものである。
 (1)裁判員制度は、法定刑が死刑ないし無期懲役の重大裁判に適用される。
 (2)構成は裁判官3人、裁判員6人である。この構成で事実認定(有罪・無罪の判断)も量刑も多数決で決定する。裁判員の名前は公表しない。
 (3)裁判員は選挙人名簿から無作為で抽出される。裁判員になれないと定められているのは、「障害者」、不公平な裁判をするおそれがあると裁判所が認めた者、国会議員や裁判官などとされている。その上で「思想・信条による理由での辞退」も認めようとしている。在日外国人も除外されている。
 (4)裁判員には守秘義務が負わされる。裁判に関わっている期間のみならず、裁判終了後も終生この義務を負う。守秘義務に違反した場合は1年以下の懲役か50万円以下の罰金が科される。さらに裁判員が出頭しなかった場合も罰金だ。
 (5)裁判は「密室での準備手続き、連日開廷の迅速裁判」へと、あり方が一変する。それは裁判員が関わる裁判だけに限らず、あらゆる裁判に適用されるものとして、刑事訴訟法の改悪法案がある。(後述)
 この裁判員制度は、恐るべきものである。
 第一に、「国民の声を裁判に反映させる」「国民に身近な裁判になる」と言って、何かいい制度ができるかのように宣伝されているが、まったくのペテンだ。
 裁判所は資本家階級による階級支配のための国家的な暴力装置である。支配階級と非和解的な階級的対立関係にある労働者階級の声と立場を、支配階級が裁判に原理的に取り入れることなどそもそもありえない。
 実際にも裁判員は6人のみである。さらには「思想・信条を理由とする辞退を認める」「裁判所が、不公平な裁判をするおそれがあると認めた者は、裁判員になることができない」とされており、結局は国家権力と一体で処罰感情を持つ者だけが裁判員になるのである。
 第二に、重大事件であればあるほど、厳格な事実認定が必要であるにもかかわらず、裁判員のためと称して迅速裁判が強行される。さらに有罪・無罪の判断も、死刑・無期懲役などの量刑の重大な決定も、過半数で下される。しかも裁判員の氏名は明らかにされない。これはもはや裁判と言えるものではなく、国家の報復の意志に支配される「制裁」制度に等しい。
 第三に、裁判員になることを「国民の義務」とすることは、労働者人民に帝国主義の「国益」の立場に立って治安弾圧体制を担うことを強制するものである。
 罰則付きのがんじがらめの義務規定を設けて、暴力的に強制する。裁判員は、前述した終生の守秘義務を負わされる(違反した場合は懲役か罰金)、呼び出しを受けた場合の出頭義務(義務違反は罰金)もある。さらに裁判員を辞退したいがために「虚偽」の申告をしたと見なされれば、罰金である。また「その品位を害するような行為をしてはならない」とまで規定されている。まさに「21世紀の赤紙」である。フジテレビの世論調査では84・6%の人が「裁判員になりたくない」と答えている。
 裁判員制度の導入を絶対に阻止しよう。

 密室で公判の内容を決定し防御権を奪う 刑事訴訟法の改悪

 裁判員制度の導入を口実に、裁判のあり方を大転換するための刑事訴訟法の改悪案が国会に提出されている。
 これは、現行刑訴法の改定などというものでは断じてない。戦後憲法の理念や原則に基づく裁判のあり方を根底から破壊し、戦時における強権的な裁判制度の構築を目的とした大攻撃である。以下、具体的な内容を明らかにする。
(1)公判前整理手続きの新設
 裁判の開始前に裁判官・弁護人・検察官で、事件の争点整理、証拠決定、証拠調べの順序、被告・弁護人側の主張と証拠調べまで決めてしまう。裁判開始後に新たな証拠を請求をすることはできない。これは、あらかじめ密室で全部決めてしまうもので、裁判の公開原則の否定である。
 また、検事が何の立証もしていない段階で、被告・弁護側に反論とその証拠請求の義務を負わせるという、黙秘権の否定であり、防御権の解体である。
 刑事裁判では、公訴提起した検察側に立証の義務があり、検察側が合理的疑いの余地がないほどに有罪を立証できなければ無罪なのであり、被告・弁護人が無実の証明をする必要はないのだ。
(2)開示された証拠の目的外使用の禁止
 検察官が被告・弁護側に明らかにした「証拠」を「当該事件の審理」以外の目的で使用することを禁止し、違反した場合には刑事罰が科される。
 デッチあげや違法・不当に起訴された場合に、裁判を広く社会的に明らかにし、救援運動をつくり出して闘うのは当然である。
 迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧裁判においても、検察官の「証拠」は事件とも被告とも関係のないものだということを大衆運動をつうじて広く社会的に明らかにすることによって、無罪判決をかちとったのだ。
 日帝は、こうした救援運動や労働者人民の裁判批判の声に恐怖し、それを破壊するために、「証拠の目的外使用の禁止」を罰則付きで被告・弁護人に課そうというのである。
 これでは裁判が裁判でなくなり、デッチあげ事件がますます横行することは火を見るより明らかである。
(3)連日裁判
 「審理に2日以上を要する事件については、出来る限り、連日開廷し、継続して審理を行わなければならない」と規定されている。
 警察や検察は強大な捜査権を持っている上、違法捜査や人権無視の弾圧がまかり通っており、弾圧された者や弁護人との力関係は比較にならないほどに圧倒的である。にもかかわらず連日裁判を強制するのは、被告・弁護側の防御権を剥奪(はくだつ)するものであり、裁判で争うことを不可能にさせることが目的だ。
 こうして、裁判は刑罰を科すだけの儀式になり下がり、治安維持法や治安警察法体制の復活に道を開くものである。
(4)裁判長の強権的訴訟指揮と弁護活動の圧殺
 公判前整理手続きや裁判の期日に弁護人が在廷しない時(出頭しないおそれのある場合まで含む)、被告人の意志にかかわりなく国選弁護人をつけ、不出頭の弁護人には過料の制裁を科す。さらに弁護人の陳述や証人の尋問を裁判官が制限した場合、それに従わない弁護人にも過料の制裁だ。
 これらは裁判長の権限の一方的強化であり、弁護活動をなきものにするものである。
 今日でも裁判長の訴訟指揮は検察側寄りであり、被告・弁護側の防御権や弁護権の侵害がくり返されている。
 裁判でデッチあげを暴くためには、無実の陳述やデッチあげ証人への反対尋問を徹底的に闘いとることこそ重要であり、それは裁判長の尋問制限を粉砕して初めてかちとることができるのである。
 そうした弁護士の闘いに恐怖し、国家権力と闘う弁護活動の一掃を狙ったものである。
 以上のとおり、刑訴法改悪案は、裁判闘争の徹底的破壊が目的である。
 革共同を始めとする闘う労働者人民は、革命運動や反戦闘争を圧殺するための政治弾圧やデッチあげ弾圧を粉砕するために、国家権力と闘う階級闘争として、裁判闘争を不屈に闘いぬいてきた。法廷の場で闘いの正義を全面的に明らかにし、国家権力の不当な弾圧を弾劾し、デッチあげ弾圧を暴いてきた。こうした裁判闘争が、日帝の人民支配体制を根底から揺るがしていることに恐怖し、その破壊に乗り出してきたのが司法改革攻撃である。戦時型の暗黒裁判への転換を策す刑事訴訟法改悪案を阻止しよう。

 弁護活動を国家が完全管理

 弁護士と弁護活動を国家が管理するために、「総合法律支援法案」で「日本司法支援センター」制度をつくろうとしている。これは弁護士とその活動を戦争翼賛体制に強引に組み込むことを狙った攻撃である。
 弁護士と弁護士会は、「社会正義の実現と基本的人権の擁護」をその使命とし、戦後一貫して国家権力や資本や行政と闘いぬいてきた。そのためにあらゆる権力から独立を保ち、弁護士自治を守りぬいてきたのである。
 ところが、「日本司法支援センター」は、法務大臣が理事長と幹事の任命権を持ち、活動の目標や活動内容についても決定権を持っている。
 そして国選弁護人の選任は「センター」が担い、「センター」と契約している弁護士が担当するとされている。これまでは日弁連が国選弁護人を推薦していたことからすれば、露骨な日弁連排除であり、結局は日弁連とは違う、国家が運営するもう一つの弁護士の連合体をつくるに等しい攻撃である。
 日帝は、裁判員制度の導入や刑事訴訟法の改悪によって、刑事裁判の迅速化に同意して連日開廷裁判を担い、警察・検察や裁判所と争わず、逆に協力することを弁護士に要求してくる。こうした中では、結局「センター」と契約する弁護士しか刑事弁護が担当できなくなる。
 まさに弁護士を戦時司法の担い手とするために、弁護士と弁護士活動の国家管理を推し進めるのが「日本司法支援センター」なのである。
 こうした攻撃に日弁連執行部は屈服し、日帝・小泉政権の司法改革攻撃の先兵の役割を果たしている。また日本共産党は反対の声ひとつ上げず、日弁連執行部と歩調を合わせて司法改革を推進している。

 闘う弁護士と連帯し決起を

 司法改革関連法案は戦後史を画する大攻撃である。改憲攻撃そのものであり、体制的危機を深め、戦争にのめりこむしかない日帝が、革命党の解体、反戦運動・労働運動破壊を狙った攻撃にほかならない。
 にもかかわらず、国会での論議もないまま、民主党の対案提出で早期成立が策動されている。
 司法改革の先兵と化した日弁連執行部を弾劾し、労働者と連帯してともに闘う弁護士の戦列が大きく前進している。“治安維持法下で第2次世界大戦へ協力した弁護士の轍(てつ)は踏まない”と司法改革攻撃と先頭で闘っている。
 闘う弁護士や法学者、反弾圧・救援運動、治安法と闘う戦線と固く連帯し、労働者階級の総決起で司法改革関連法案を粉砕しよう。

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週刊『前進』(2146号5面2)(2004/04/19)

改憲阻止決戦シリーズ 今、問い直す侵略と戦争の歴史 第6部 総動員体制(7)

 学童集団疎開

 子どもにまで戦争の犠牲重く

 1943年、日帝のアジア侵略は完全に泥沼化し、日本軍はガダルカナルより撤退を開始、アッツ島守備隊が全滅したこの年の11月、米軍は超大型爆撃機B29の完成を公表した。翌44年6月には、中国の米軍基地から出撃したB29が、北九州の製鉄所に対し大規模な爆撃を行い、本土都市への大規模空爆は時間の問題という状況にあった。
 しかし当時は、「原則として避難はするな」が東京防衛司令部・警視庁・東京府・東京市が主催した「東京防空展覧会」を飾ったパネルのタイトルであった。たとえ空爆が始まっても、民衆は逃げることさえ許されなかったのである。総理大臣兼陸軍大臣であった東条英機は「米英に打ち勝つために最も肝心なことは、日本古来の大和魂・国民精神を十分に発揮することにある。国民精神の基盤は日本の家族制度であって死なばもろともという気概が必要だ。家族の疎開などもっての外である」と強弁していたのだ。

 疎開へ政策転換

 ところが、こうした政策は戦況の悪化と大規模空爆の現実化の中で転換する。
 「今や日本の父母は大楠公(だいなんこう=楠正成)にならいその愛し児を決然河内に帰して皇国の将来を託し、自らはまず湊川に赴くのでなければならぬ。……一人にても生き残りて神州(日本の尊称)護持に任ずべきの秋(とき)である」(前青山師範学校筆頭教諭草場弘)
 「足手まといの子供を疎開させて、大人が国土防衛と生産に十分に働くためのものであり、予期せられる空襲への防御体制を完成するために、さらに皇国を継ぐ若木の生命を、いささかなりとも傷つけ失うことなきを願う国家の大愛のしるしとして実施するもの」(作家・野上彌生子)
 このように学童集団疎開の必要性が打ち出された。
 学童集団疎開政策をなにか人道的な政策であるかのように賛美する歴史家がいるが、けっしてそうではない。そこにあるのは、子どもを将来の兵器・戦力と位置づけて、それらを「少国民の軍隊化」することだったのだ。

 空爆激化で実施

 6月30日に学童集団疎開の閣議決定がなされると、事態は急速に動き出した。
 国民学校長会議指示事項には次のような具体的な実施項目が記された。
 「集団疎開を実施すべき学童は初等科三年以上六年までにして縁故疎開をなし難き者とし保護者の申請に基づき計画的にこれを定むるものとす」
 「宿舎は旅館・集会所・寺院・教会所・錬成所・別荘等を借り上げこれに充て一個所大体百名を収容するものとす」
 「疎開先における教育は地元国民学校または宿舎等において行うものとしその設置の形式は都立国民学校の分教場あるいは地元委託のいずれかによること」
 しかし、政府は学童集団疎開の実施に当たり「敗戦思想」に火がつくことを極力おそれた。「時節柄言辞に注意し紛乱誤解を惹起(じゃっき)せざるよう留意すること」と注意をつけ、集団疎開児童の出発の際ののぼりのスローガンにまで通達を出している。
 政府はこの時期に至っても戦局の悪化、空襲の激化をおし隠し、地方都市にまで空襲があるなど一言も言わずに、半強制的に子どもたちを田舎へと移動させたのである。それは「(疎開は)避難というような消極性を持たず、むしろ学童の戦争参加という積極性を備えている」(岡部文相)と意義づけられた。
 学童集団疎開の総数は、約58万人以上と推計されるが、戦争末期の混乱や戦災による文書類の散逸で実数は不明である。
 疎開の過程では、対馬丸事件という悲惨な事件も起こった。沖縄を本土防衛の捨て石として沖縄戦を構えるため、学童疎開が進められた。沖縄から鹿児島に向けて約836人の学童が、疎開船対馬丸に乗って44年8月21日那覇港を出港、翌22日夜、鹿児島県悪石島沖で米潜水艦の攻撃を受けて沈没した。助かったのはわずか59人の児童だけだった。沖縄戦の前触れをなすこの悲惨な事件は、沖縄県民に伝えられなかった。

 食糧不足の悲惨

 疎開の様子については多くの疎開体験者が手記を残しているが、そのほとんどで問題になっているのが食糧不足の問題だった。
 41年4月以降の食糧管理法によって44年度における食糧配給の基準量は米に換算して決められた。全量を米で配給する余裕がないため、不足分は大麦・小麦粉・麺・大豆・さつまいも・じゃがいも・脱脂大豆などがカロリー計算に基づいて代用食とされた。1〜5歳120c、6〜10歳200c、11〜60歳330c、60歳以上300c。
 当時学童とともに疎開地に同行した教員たちがその窮乏を訴えている。
 杉並区桃井第二国民学校の「疎開先の月例報告・生活状況調」は言う。
 「主食物は都より持参したる物にてまず間に合わせているが、副食物は甚だしく欠乏し、ほとんど茄子(なす)と胡瓜(きゅうり)のみなり、このままでは栄養上の欠陥を生ずること疑いなし。食糧中の動物性タンパク質皆無につき都のご配慮を願いたし」
 目黒区鷹番国民学校から目黒区長への「学童集団疎開に関する報告(4月分)」では、次のようだ。
 「鮮魚・塩魚・塩物等の配給ほとんどなし。副食物は依然として野菜類に依存するの状態なるも、その野菜類極めて少なし。概して蛋白(たんぱく)質・脂肪は欠乏す。毎日の献立各寮とも朝味噌汁一椀(わん)香の物、昼弁当はフリカケまたは野菜煮少し香の物、夕野菜煮香の物」
 こうした最悪の食糧事情から、多くの子どもたちが栄養失調で体調を壊し、若い命を奪われていった。
 今日、学童集団疎開を肯定的に語る人がいるが、たいてい戦争は逆らいがたい運命のように描き、ただ学童疎開は「学童の命を守ったから良かった」と結論づけようとする。しかし、何が空襲を呼び込んだのか。なぜ、この辛酸を経験しなくてはならなかったのか。それは日帝のアジア侵略の帰結だったのである。15年戦争の末路として、子どもたちまでも戦争に動員し、そして犠牲を押しつけていった帝国主義の侵略戦争を絶対に繰り返してはならない。   (矢野道夫)
(第6部おわり。第7部「大戦間の階級闘争」は5月に開始します)

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週刊『前進』(2146号6面1)(2004/04/19)

団結ひろば 投稿コーナー

 戦時下の翼賛運動はもう始まっている! 兵庫 永山景信

 3月初め、昨年まで勤務していた職場で労働者が過労死したと聞いたので、慌ててその企業の労働組合本部に確認に出向いた。
 電機連合傘下の国内外合わせれば5万人もの組織人員を抱える大手労働組合である。OBとして訪問したので、国際部長との肩書きを持つ書記長と会見できた。
 しかし、彼の見解にはビックリさせられた。まず過労死の事実関係をたずねると、「いやそのような情報は会社から入っていないので知らない」と言う。あきれるほかなかった。
 亡くなった労働者の家族からは悩みに悩んだ上か、「労働基準監督署に提訴することを決めました。何かあれば支援をお願いします」との手紙が届いた。今後できるだけの支援を行いたいと決意している。
 この時、同時に職場における派遣や請負労働者についても確認した。労働者派遣法が改悪され、不定形労働者の雇用が増加しているだろうとの判断からだ。
 彼の回答は鮮明だった。なんと、「今メーカーはすさまじいせめぎ合いを行っている。外に出るか、中ですべて外部委託するかどうかだ」「もう労働集約型部門では9割方派遣や請負の労働者に委託している」「労働組合としては籍の問題があるのでタッチしない」ときた。
 “同じ職場で同じ作業をしている若者が、時給700円か800円、年収200万円で働かされていることについて、組合としておかしいとは思わないのか”と問うと、「それには一切関知しない。関知したら組合員に反対されるから」。
 もうここには労働者の連帯など考えもしない「エセ労働組合」が存在している。私たちには今後どう闘っていくか、派遣や委託の労働者をどう獲得し、組織化していくか、早急な課題として問われている。
 私が元いた職場では広島連帯ユニオンが素晴らしい原則的闘いをつうじて若者たちの組織化を大いに進めている。情報を提供しつつ闘いを学び、連帯していきたい。

 運転保安確立掲げた動労千葉ストに共感 東京 内田 隆

 久々に、大学時代の友人と討論する機会がありました。友人は建設関係の仕事で、反合・運転保安を掲げた動労千葉のストに、ものすごい共感でした。以下は友人の話です。
 建設業界、特に下請け・孫請け段階では、仕事を普通にやってたら赤字というところまで元請けからたたかれ続けている。だから良く言えば「合理化」、悪く言えば「手抜き」をしないと利益なんかほんとに出ない状態にある。中小零細では、そうやってでもなんとかこの不況から脱出するまで生き延びるということしか考えられなくなっている。
 自分が作りたいものがどんどん形になっていくことが好きだったから、なんとか仕事を続けられれば金なんか貯まらなくてもいいやと思っていたが、だんだん生き延びるために手を抜くところは抜かないとしょうがなくなって、なんかひっくり返ってきている。
 建築現場でも今、考えられないような事故やミスがすごく増えている。なぜかというと、とにかく「人」がいない。熟練した職人さんほど給料が高いからと、どんどん切られている。ほんとにJRと同じ。
 建築の現場は経験が8割という面があるから、どれだけ手を抜くとこは抜いても「ここだけはちゃんと見ておかないと危ない」という勘所がわかる。そういう勘所が押さえられる人が、現場からどんどん居なくなっている。これから何年かしたら、どんなことが起こるのかほんとうに怖い。
 「安全問題」でストライキを打てる動労千葉は、すごい。全面支持するよ。
 今、建築資材を加工する鉄工所・町工場が、どんどんつぶれている。自分が関係していた町工場もバタバタとつぶれている。生コン業界は組合が強くて、なかなか元請けがたたいて単価を下げるということが通用しないから、横のつながりが弱い鉄工所なんかのたたけるところをたたいて単価を下げまくるということが起こっている。
 この最後の話も、印象的でした。

 共産主義の核心とは労働者の共同性だ 千葉 本木義直

 最近参加した勉強会で、講師が「共産主義の核心は労働者の共同性を取り戻すこと」というようなことを話され、ハッとしました。
 「共産主義とは何か」と問われれば、「階級対立の止揚」だとか「生産手段の共有化」だと答え、「本当にそんなことは実現可能なのか」「やってみなければわからない」式の空虚な問答をくりかえしてきました。また、どうしても「生産手段をどうするのか」とか「個人の財産はなくなるのか」とか、モノの面から考えてしまいがちでした。しかし、核心が「共同性の奪還」とか。
 たしかに共産主義の英語は「コミュニズム」、つまり「コミューン」(“共同体”または“親しく交わる”)の「イズム」(主義)です。モノをこれこれこうして、というのがまずあるのではなく、労働者階級が共同性を取り戻し、そこからわき出る力で新たな社会を共同で建設するということです。「もうけることがなくなったら誰も働かなくなる」といった反論がつけいるすきのない思想です。
 ひるがえって、『俺たちは鉄路に生きる2』では、“動労千葉は、賃上げなどの要求は一つも実現しないけど、団結だけはある”“闘いの総括軸を団結に置く”といった趣旨のことが強調されています。そして“動労千葉の組合員は最もよく闘うだけでなく、最もしっかり働く”とも。さらに言うならば、動労千葉は2〜3月スト闘争では団結の力で要求項目という「モノ」まで勝ち取った…。
 共産主義の端緒的実現形態が『俺鉄2』にある。そして労働組合の団結の中にある。共産主義は空想ではない。

 中国人強制連行訴訟国・企業に賠償命令 新潟・労働者 A

 中国人強制連行訴訟で画期的な判決がありました。3月26日、新潟地裁は、中国人被爆者・張文彬さんら原告12人の損害賠償請求で、国と企業(新潟市の港運会社リンコーコーポレーション)に対して安全配慮義務違反を認定し、1人800万円の支払いを命じました。93年に張さんを招いて証言集会、99年提訴、原告8人の法廷証言、裁判所による現場検証……。裁判支援の一人として大勝利を喜びたいと思います。
 判決公判には原告ら3人が来日。中国のマスコミだけではなく、米英のマスコミも「国、企業への賠償命令」を即時に報道しました。判決は、原告証言を採用し、港湾荷役における暴力支配と劣悪な処遇・就労実態を認めました。さらに、国の監督責任に言及、戦後の国による隠ぺい工作まで「はなはだ不誠実」「実質的に提訴を妨害したものと評価できる」と指弾しました。全国で展開されている12件の訴訟の中でも、国と企業の強制連行・強制労働の不法行為を認めさせた点で画期的です。
 裁判は県内の労組、市民団体など反戦平和運動の一つの結集軸となって闘われてきました。事実を率直に受け止めれば当然の結果だと思いますが、「裁判所」という限界がある中でも、きちんと闘えば勝てることを内外に示しました。
 当たり前の判決が画期的と称されるほどに国内は反動化、戦争政策に塗りつぶされようとしています。この判決は、自衛隊のイラク派兵、靖国神社参拝など戦争政策に突進する小泉内閣に一矢を報いるものです。拉致事件で排外主義の逆風の吹く新潟県内、そこに風穴を開ける一歩でしょう。
 「父の生きているうちに勝訴できてうれしい」と来日した原告家族。早速、中国に住む原告に勝訴を伝えました。しかし、国・企業は控訴し、強制連行の事実を居直り続け、歴史の闇(やみ)に葬り去ろうとしています。東京高裁での公判に注目していただきたいと思います。

 3・20日比谷集会に家族で参加して 東海 S・K

 3・20は雨の中でも寒さを感じない大変気分のいいものでした。素晴らしい盛り上がりでした。
 人びとは本当に多かった。よく集まった。全体がすごく意気高かった。デモもずいぶん長くてスピーカーが列の中まで届いてこないくらいでした。
 百万人署名運動の地元旗をみつけて、初めて地元で運動をしている人たちと連絡がとれ、話ができました。私は仕事を代わってもらってやっと行けた状態で、家族以外に働きかけるゆとりはありませんでしたが。
 『朝日』や『東京』も3・20は無視できなかったけれど、『前進』2143号の写真はやっぱり素晴らしいですね。
 ついに日本が参戦し、また釣魚台など排外主義の世相で、いよいよ本当の「戦時下」が来たんだと実感します。パレスチナもすごいことになって。
 百万人署名運動の隊列があんなに大きくなってるのを実際に見ると、戦時下でも権力者の思いどおりスイスイ進むことはないなあ、必ず反対・反戦運動は大きくなってくるなあ、つぶされてものも言えないような戦前・戦中のようなことには絶対ならないなあと思えます。旧社会党があんなに小さくまでつぶされていったのは、社会的・大衆的に排外主義と闘う大衆運動をやれなかったからでしょうね。
 数を持続し、ますます増大していけば必ずや新たな質が生み出されると思います。動労千葉や百万人署名運動や昨年の11・9集会を闘いぬいた新潮流運動が主導しているのが良く分かりました。やる気わきますよね。がんばってゆきましょう。

 中国人のインターナショナルに声合わせ 岡山 永瀬幸子

 3・20国際反戦行動の日、世界に新しいウエーブを起こそうと、一路、日比谷公園へと夜を徹して高速を飛ばし駆けつけた。11時30分ごろに到着すると、すでに公園は、大きな花が咲いたように色とりどりの傘で埋めつくされていた。
 しかし、3月下旬というのになんちゅう寒さだ! 降りしきる冷たい雨! でもわたしたち中四国の百万人署名運動の仲間は、元気よく噴水周辺に陣取った。
 午後1時、コンサートが始まり、反戦歌が響く中で“寒いなあ、寒くない?”と、今回初めて参加した若者を気遣ったり、後続の仲間を探したり、戦争反対の熱い思いを確かめ合っているうちに、さあデモだ!
 公園を出発するにも長蛇の列でなかなか進まない。わたしたちのすぐ前を「731部隊細菌戦国家賠償訴訟中国原告声援団」の中国人がデモをしていた。突然、その一団にいた若手の人が中国語で“インターナショナル”を歌い始めた。わたしは「おお!インターだ!」と、すかさず仲間とこの大合唱に加わった。
 ことばも住む国も違うけれど、戦争反対! 帝国主義や占領軍への怒りは共通なのだ。インターをいっしょに歌えることがその証(あかし)だ。昨秋、11・9労働者集会のあの国際連帯を想い起こさせてくれる実に感動的な場面だった。
 この日、全世界で1000万人の人たちが反戦の行動に立ち上がった。イラク占領をやめさせよう! 撤退させよう! イラク派兵反対! 日本の労働者の闘いはますます重要になっている。3・20の勝利を大きなステップにして、さらに100万人〜1000万人大行動ができる力をつけていこう。小泉首相を“ギャフン”と言わせよう。

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週刊『前進』(2146号6面2)(2004/04/19)

 3・25爆取無罪判決 検察官控訴弾劾する

 迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧被告団

 画期的勝利に喜びと感謝

 司法改革・共謀罪への先制反撃

 迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧事件の第1審判決公判が3月25日に行われ、私たち被告・弁護団は、東京地裁刑事第11部、木口信之裁判長に「被告人らはいずれも無罪」(主文)とする画期的な無罪判決を出させ、歴史的な勝利をかちとりました。

 国家の総力あげた治安弾圧

 本件爆取デッチあげ弾圧は、1986年、東京サミットおよび天皇在位60年式典を直撃するロケット弾が迎賓館と米軍横田基地に発射され、日帝・中曽根の「戦後政治の総決算」攻撃、「軍事大国化」攻撃が大打撃を受けたことへの政治的報復であり、国家権力の総力を挙げたデッチあげによる治安弾圧でした。
 当時の山田警察庁長官が「5・7宣言」を発し、中核派をつぶすためなら「構成員の誰でもいい」とばかりに、証拠がまったくないにもかかわらず、「岩手鍋爆弾事件」で勾留中であった須賀武敏・十亀弘史・板垣宏の3人を不当逮捕・起訴(福嶋昌男さんを全国指名手配)しました。以来16年にわたって私たちの不当な未決勾留を続け、獄死をさえもくろんでいたのです。
 日本の政治弾圧史上に例のない究極的治安弾圧・デッチあげを、被告団・弁護団・家族・十万人保釈署名運動・党・救対が一体となって粉砕し、無罪判決をかちとった意義は巨大です。
 私たち被告団は、毎回毎回の法廷の冒頭に、証拠がまったくない「公訴権の濫用」としての本件「公訴」の犯罪性、検察官「立証」の不可能性とデタラメさ、無内容さを暴露し、同時に検察官と結託した裁判官の暴力的訴訟指揮の反動性を弾劾して、法廷を権力犯罪告発の闘いの場、階級闘争の戦場に転化してきました。日本の裁判史上にこのような被告主導の裁判闘争を17年も続けた裁判はありません。そのたゆみなき闘い、あくなき追及の闘いが、今回の無罪判決として結実したのです。
 毎回の公判冒頭における被告の意見表明は、本件裁判闘争を特徴づける一種の「名物」となりました。この法廷内における被告・弁護側の一貫した無実・無罪の訴えの真実性と、証拠がなくウソと偽証で固めた検察側のあまりにもぶざまな対応が、法廷外の多くの人士に知られるにつれて、救援運動が牧師さんたちによって立ち上げられ、やがてそれは大きく発展して「十万人保釈署名運動」となり、多くの労働者・人民が結集して広範な救援活動が展開されるに至りました。
 そして、党の闘いと広範な救援活動の力が相まって分厚い壁を打ち破り、02年12月27日に16年ぶりに保釈を実現しました。03年9月1〜3日には弁護人最終弁論、被告人最終意見陳述をかちとり、検察官論告の虚構性を暴き、事実関係においても論理性においても完全に圧倒・粉砕し、無罪判決をもたらしたのです。
 これらの闘いは、私たち被告団と完全に一体となって激しく闘って下さった弁護団、家族の温かい支え、救対の同志の献身的な努力、そして多くの傍聴者や十万人保釈署名運動の皆さんの支援、党の総力を挙げた闘いがあって初めて実現できたのです。
 したがって、3・25無罪判決の勝利は、私たち被告団のみの勝利ではなくて、迎賓館・横田爆取デッチあげ治安弾圧粉砕の闘いに結集された多くの皆さんの勝利なのです。どうもありがとうございました。

 「共謀の証明はない」と断定

 無罪判決獲得の第一の意義は、どんな過酷な弾圧にも闘えば勝てることを実践をもって示したことです。司法改悪と治安弾圧の吹き荒れる真っただ中で、水嶋秀樹同志の無罪判決に次ぐ勝利として、権力のデッチあげを連続して打ち砕いた意義は計り知れません。
 第二の意義は、「『前進』を読んでいたことのみでも共謀が成立する」とする検察官の暴論を打ち砕き、「『共謀』立証には厳格な証明が必要である」との判決をかちとり、権力の「共謀罪」新設攻撃や司法改悪攻撃に対する反撃の足場を決定的に切り開いたことです。
 権力は戦争国家化のかなめとしての「司法改革」の筆頭に迎賓館・横田デッチあげ裁判の長期化をあげ、被告の闘いをつぶすために、「2年以内」で裁判を終わらせる「裁判迅速化法」や「裁判員制度」などの諸反動法案の新設または改悪の攻撃を仕掛けてきています。これを真っ向から打ち破る判決を権力からもぎ取った意義は重大です。
 判決は、許せないことに、検察側の違法収集証拠問題、押収立証の不在、星ら公安刑事の偽証、幅田供述調書の違法証拠採用、メモ内容の得手勝手な分析・解釈・ねつ造などについて「検察側に違法性はない」と検察官の主張をことごとく追認しました。一方、被告・弁護側の主張は爆取違憲立証を始め、すべて退けています。その意味ではきわめて反動的な判決です。
 しかし、その3・25判決をしてさえ、「共謀の証明はない」と言わしめ、無罪判決を出さざるを得ないところにまで追いつめた闘いこそ、完黙・非転向の17年の闘いなのです。
 戦時下の司法の反動化と治安弾圧の極限的強化の中では、「無実は無罪に」という、このごく当たり前の判決をかちとること自体が、どれほどまでに困難であり、難しいことであったか。何よりも、無罪判決をかちとるまでに16年もの過酷な未決勾留を受け、不当逮捕・起訴から17年もの年月を要したこと自体が、このことを物語っています。
 私たちは、完全無罪判決をかちとったとはいえ、16年にもわたって未決勾留され、人生の最も充実した時間を、権力によって不当に奪われました。この事実は本当に許すことが出来ません。この卑劣な弾圧に対する怒りはどんな表現をもってしても表せないほど深く、激しいものです。失われた時間はけっして回復させることは出来ないのです。この間の私たち本人はもちろん、家族の苦しみは筆舌に尽くし難いものがあります。無実・無罪と知りつつ公訴した検察官とそれと知って加担した裁判官にその責任を絶対取らせなくてはなりません。
 さらに、検察官は卑劣な控訴を4月2日付で行いました。断じて許しません。求刑(15年〜13年)以上の未曽有(みぞう)の未決勾留のあげく、控訴までして、これから先もずっと私たちを苦しめようとするのは、あまりにも非人間的ではないか。
 怒りを込めて検察官控訴を弾劾し、控訴審闘争にも必ず勝利することを被告団は決意しています。
 私たちは、1審におけるデッチあげ裁判粉砕の闘い以上の大闘争を、被告・弁護団を先頭に総力を挙げて闘い、十万人保釈署名運動の皆さんとともに、本件デッチあげ弾圧粉砕の大衆的闘いの陣形を一層広範に、一層力強く推し進め、真実の力をもって必ずや検察官控訴の棄却をかちとり、無罪判決を確定させることをはっきりと宣言します。

 福嶋さん即時保釈と無罪を

 何よりも3・25無罪判決戦取の大勝利の力をもって、福嶋さんの無罪判決・即時保釈を実現しなくてはなりません。今回の刑事11部木口裁判長の3・25判決によって、刑事第3部服部悟裁判長のもとで裁判を受けている福嶋さんも、私たちと同様に無実・無罪であることが明確となりました。検察官は一切の公訴の根拠を失い、裁判所はこれ以上裁判を続ける理由も意味もないことがはっきりと示されたのです。
 私たちは、福嶋さんの公判が開始される以前に、福嶋さんとの併合裁判(統一公判)を要求してきました。ところが検察官は私たちの裁判とまったく同じ「岩手押収メモ」と称するメモを「証拠」群としながら、「立証趣旨が違う」などという屁(へ)理屈を述べて併合要求を拒否し、裁判所も検察官に加担して、福嶋さんとの分離裁判を強行したのです。
 この時、福嶋さんと私たち3人の併合が、私たちの要求どおりに実現していたら、3・25判決公判の席には福嶋さんも一緒だったはずであり、ともに無罪判決を受けられたのです。ですから裁判所は福嶋さんの公判を直ちに停止し、即時無罪判決を出すべきなのです。少なくとも保釈はすぐに行う義務と責任があります。
 刑事第3部服部裁判長は、福嶋さんの保釈を直ちに行え! そして無罪判決をすぐせよ! 
 さらに、3・25判決勝利の力で、星野文昭さんの再審・無罪判決をかちとりましょう。
 検察官の卑劣な控訴弾劾! 控訴審で断固粉砕するぞ! ともに闘わん!
〔写真は、3月25日、弁護士とともに無罪勝利の記者会見を行う3被告。左から十亀、板垣、須賀同志〕

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週刊『前進』(2146号6面3)(2004/04/19)

対角線 「日本国軍」問題で弁解

 ファシスト・カクマルはイラクへ派兵されている自衛隊を「日本国軍」と呼び、驚くべきことにそれを自慢(!)してきた。「日本国軍の出兵阻止!」を掲げているのはわが派だけである、と。
 われわれは、自衛隊を「日本国軍」などと規定するのは、帝国主義者や右翼と同じであり、憲法9条改悪を先取りしたものであると批判した(本紙2月16日付)。この批判は的を突いたものだったので、カクマルは打撃を受けた。そこで次のように弁解する。
 「事実、自衛隊は米英軍にたいしては、『ジャパニーズ・アーミー』と名乗っている。この『日本国軍』は、米軍からは『コアリション(連合軍)の一員』とみなされている」(解放3・22付)
 彼らは、英語では「ジャパニーズ・アーミー」だから、それを翻訳すれば「日本国軍」となる、と言って、自分たちの呼称が理にかなっていると言いたいらしい。だが、自衛隊が自らを「日本軍(ジャパニーズ・アーミー)」として押し出すこと自体、憲法違反だ。ましてやわざわざ「国軍」として強調することなど許されない。
 それにしても、帝国主義軍隊として世界に公然と登場したいという自衛隊当局者の意図、願望をなぜカクマルが代弁するのか。問題はそこだ。
 戦後の日本労働者人民は、「二度と侵略戦争を許してはならない」と誓い、憲法第9条を日帝に強制してきた。この力関係は依然として決定的に崩されていないのだ。だからこそ日帝は、帝国主義として侵略戦争に突入した今、憲法9条を変えるために上から襲いかかってきているのだ。このせめぎあいに重要な意味がある。これは全面的な階級決戦となる。
 カクマルの「自衛隊はすでに日本国軍」という絶叫は、現下の決定的な焦点を、反動的決着がすでについたとして確定しようとするものだ。「冬の時代」論で闘いを決定的に裏切り転向してきたカクマルの正体が、ここにも示されている。(来)

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週刊『前進』(2146号6面4)(2004/04/19)

 公判日程

☆迎賓館・横田裁判
 福嶋昌男同志裁判
4月20日(火)午後1時15分
*東京地方裁判所

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