ZENSHIN 2004/04/05(No2144
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週刊『前進』(2144号1面1)(2004/04/05)
3・20大高揚から4月決戦へ
イラク撤兵・有事関連法案粉砕4・9日比谷野音に結集しよう
動労千葉スト先頭に国鉄闘争勝利を
3・20イラク開戦1周年の国際反戦共同行動は、世界で1000万人、日本で50万人が決起した。全世界の労働者人民が米英日帝国主義のイラク侵略戦争に反対して同時決起したことの意味は大きい。日本でも日比谷公園の6万人を先頭に全国でかつてない人びとが立ち上がった。日帝・小泉=奥田路線と対決し、「労働者人民の新しい大統一運動」への第一歩を切り開いた。闘いはこれからだ。さらに東京で50万−100万の決起へ向けて前進しよう。3・20の地平の上に4月決戦を打ち抜こう。有事関連法案粉砕が4月決戦最大の闘争になる。3・30〜4・1の陸・海・空・港湾労組20団体の国会前行動、4・9日比谷野音集会を闘おう。4・13国鉄闘争支援大集会(日比谷公会堂)を支持し成功させよう。改憲阻止闘争の展望を切り開こう。この中で機関紙倍増、党勢倍増の闘いを貫こう。
第1章 冷雨をついて膨大な人々が日比谷に集う
日本では、東京・日比谷公園の6万人を先頭に、北は北海道・旭川から南は沖縄・那覇まで、約50万人がイラク反戦、自衛隊撤兵、有事法案粉砕を訴えて闘いに決起した。
東京は、主催者団体である陸・海・空・港湾労組20団体が日比谷公園全体で5、6万人と発表した。陸・海・空・港湾労組20団体の小音楽堂−大噴水前を始め、ワールド・ピース・ナウが主催した野外音楽堂、平和フォーラムが結集した「かもめの広場(郷土の森)」、図書館前、花壇内、その他の公園内各所の集会。そして芝公園から出発しデモの解散地として日比谷公園に入ってきた膨大な全労連の部隊。さらに冷雨をついて数えきれない膨大な労働者、学生、市民が日比谷公園に結集し、集会に参加したのである。
この中で百万人署名運動が大きな隊列で参加した。その隊列は一部は小音楽堂に入り、さらに憤水前を埋めつくした。集会後、霞門から出発したデモ隊数千が迫力に満ちた十数てい団をつくり、延々と長蛇の列となった。陸・海・空・港湾労組20団体と連帯して全国から駆けつけた百万人署名運動の迫力が集会をひっぱった。
さらに、20労組とともに動労千葉が総決起した。動労千葉は、昨年11・9に日韓米の国際連帯集会をかちとり、その成果の上に、民主労総ソウル地域本部、「タフト・ハートレー、抑圧と民営化反対キャンペーン」、動労千葉の3者で2月21日、「3・20国際労働者行動日への共同声明−戦争・抑圧・民営化に反対しよう」との国際共同声明を発した。
動労千葉ストの階級的衝撃
動労千葉は04春闘において、2月指名ストライキと長期非協力闘争、3・12−14の48時間ストライキを反合・運転保安確立を掲げて打ち抜き、247本の列車を運休させた。労働者階級が「社会の主人公である」ことを示すストライキであった。これが3・20の大きな起爆剤となり、同時に6万人決起を牽引(けんいん)した。
さらに学生運動の爆発の展望が大きく開かれた。自衛隊のイラク派兵阻止の1月小牧闘争、2月北海道・旭川闘争、呉闘争、3月北海道闘争を学生戦線が先頭で切り開いた。これらの現地闘争では自衛官とその家族に「出兵を拒否しよう」「侵略戦争の銃をとるな」と訴えて闘った。この闘いを貫徹して、3・20に300人の学生を結集したことは決定的だ。激動期における学生運動の新しい可能性を生み出したのだ。
日帝は「外への侵略戦争、内への階級戦争」を仕掛け、労働者人民を生活もできない苦しみのどん底に突き落としている。小泉は年金改悪法案を出し、負担大幅増と給付大幅減を強制し、生活保障の切り捨てに走っている。奥田は、リストラ、非正規雇用化、定昇解体・ベースダウンによる大幅賃下げ、成果主義など生きていけない賃金体系を労働者に押しつけている。
ところが連合や全労連は、小泉=奥田路線のもとに完全に屈服している。これに抗して労働者の怒りは根底から噴き出そうとしている。無数の闘いが始まり、既成の連合支配を突き破る闘いが燃え広がりつつある。まさに階級的な地殻変動が起きている。
こうして開始された階級的流動情勢を大きく揺り動かし、小泉=奥田との階級的力関係を変革する闘いとして、3・20日比谷公園10万人決起方針があった。この方針は労働組合などの闘う労働者人民の気持ちに結びつき、大きな求心力を持って発展した。
そして、真冬並みの寒気と雨をついての日比谷公園6万人決起となり「労働者人民の新しい大統一運動の第一歩」を開いたのだ。
これこそが激動情勢に最も革命的に対応した方針であった。この中で日本共産党は露骨な分裂と裏切りに走り、カクマルは全面的に敵対した。
日本共産党は、日比谷公園10万人結集に対置する形での芝公園方針を出して、集会の統一を求める闘う人民の怒りと批判を買った。
カクマルに至っては3・2イラクと3・11スペインでのゲリラ戦闘に対して「CIAの謀略」というデマゴギーを流し、さらに「タフト・ハートレー、抑圧と民営化反対キャンペーン」代表のスティーブ・ゼルツァー氏をも「CIAのスパイ」呼ばわりし、反革命としての墓穴を掘った。カクマルの敵対は広範な人びとの怒りを買った。そして日比谷公園にわずかな数で登場し、破産したみじめな姿をさらした。JR総連カクマルも、資本に全面協力するファシストとしての破産をあらわにした。
日本共産党の「資本主義の枠内」論、カクマルの「暗黒の21世紀」論の綱領的破産と反労働者性はあまりにも明らかだ。しかし労働者階級人民は、もはや彼らの敵対・制動を粉砕して決起しつつある。
世界の大激動と革命的情勢
世界は完全に大激動している。米帝とイスラエル・シャロン政権はハマスの最高指導者であるヤシン師を虐殺した。これは米帝のイラク侵略戦争の泥沼的危機への凶暴な対応である。民族抹殺の攻撃である。パレスチナ人民は、イスラエルに対して怒りと憎悪に震え、報復の全面戦争を宣言した。イスラエルと米帝を打倒するまで終わらない闘いに突入した。
スペインでは3・11列車同時爆破ゲリラを契機にアスナール政権は打倒され、イラク撤兵を掲げる社会労働党が次期政権を担当する大激変が起きた。「有志連合」の一角が崩れ米英日帝は大打撃を受けている。3・11の衝撃は、参戦国であるポーランド、オランダなどに波及している。イラク撤兵の国際的大運動を爆発させなければならない。
韓国での盧武鉉(ノムヒョン)大統領への弾劾政局や台湾の大統領選挙での大混乱などの大激動も、根底にはイラク侵略戦争の泥沼的危機と米帝の北朝鮮・中国侵略戦争の緊迫、帝国主義間争闘戦の激化がある。
米帝対独仏帝を軸とする石油資源分割、市場分割、勢力圏分割の争闘戦の非和解的激化があり、アジアをめぐる日米の帝国主義間争闘戦が深刻化している。世界はイラク侵略戦争を突破口に世界戦争―第3次世界大戦へと戻ることのない道を進み始めているのだ。
こうした中で革命的情勢が急接近し、数十年に一度あるかないかの世界革命のチャンスが到来しつつある。革共同は時間との勝負で〈党の革命>を推進し、日本階級闘争に責任をとる真の主流派として登場しなければならない。
第2章 日帝・小泉=奥田路線への階級的総反撃を
革命的情勢への端緒的突入とは、1カ月がこれまでの1年、1年がこれまでの10年に匹敵するような激動情勢を意味する。3・20を引き継ぐ4月決戦はこの渦中の闘いだ。
4月決戦を日帝・小泉=奥田路線との全面対決を真正面に掲げて闘おう。
日帝・小泉は、3月9日に有事関連法案(7法案と3条約・協定)を国会に提出し、早期の審議入りを狙っている。そして連休前にも衆院を通過させることを策している。
北朝鮮侵略戦争法案粉砕へ
国民保護法案を始めとする有事関連法案とは、小泉が言うような「日本への武力攻撃から国民を保護するためのもの」などでは断じてなく、米帝と日帝が北朝鮮(中国)に対し先制攻撃をかけ、侵略戦争を強行するための法案だ。先制的に侵略戦争を発動した時、相手国から当然にも反撃が起こることを想定し、自衛隊と米軍への「国民の協力」と動員を無制限に強制する法律である。結局のところ「保護」どころか労働者人民のあらゆる権利と自由を剥奪(はくだつ)するものである。
さらに米軍活動円滑化法案、交通・通信利用法案やACSA(日米物品役務相互提供協定)改定案などは米軍に弾薬や物資を提供し、米軍と自衛隊が自由に共同作戦できるようにする攻撃だ。特に成田を始めとした空港、港湾、道路などを自衛隊・米軍が優先利用し、航空・港湾・運輸労働者を戦争動員することが目指されている。4月決戦として有事関連法案粉砕闘争を必死に闘い抜こう。
そして北朝鮮船の入港を禁止する特定船舶入港禁止法案も国会に提出されようとしている。これは北朝鮮への侵略戦争法案そのものである。
こうした緊迫情勢を受けて陸・海・空・港湾労組20団体は3月30〜4月1日の国会連続行動を提起した。さらに4月9日日比谷野音集会、5月21日明治公園集会を呼びかけている。これと連帯し、ともに総決起して闘おう。
国労の再生へ今こそ闘おう
3・20と動労千葉春闘ストライキの勝利によって、階級的労働運動の全面的発展の展望が開かれた。しかも、さらに動労千葉はベアゼロ・新賃金制度粉砕へ、3・29ストを配置して闘おうとしている。
この地平に立って4月決戦では、国労5・27臨大闘争弾圧を粉砕し、国労を再生させる闘いを発展させることが重要だ。1047名闘争の発展に向けて4・13国鉄闘争支援大集会(日比谷公会堂)を支持し、その成功のために全力を挙げて闘おう。
そして、@「日の丸・君が代」攻防を闘い、教育基本法改悪反対を闘う教育労働運動、とりわけ高揚する都高教をめぐる闘い、A殺人的な深夜勤の強行実施と闘う全逓労働運動、B有事法制による戦争協力を拒否し、大行革・民営化と闘う自治体労働運動を始め、全産別で階級的労働運動を前進させるために闘おう。特に4・13集会への総結集を訴えよう。
同時に労組法改悪阻止−団結権防衛の闘い、年金改悪関連法案阻止の闘いを強めよう。治安弾圧の激化と対決し、裁判員制度導入−司法制度改悪、共謀罪新設を阻止しよう。
3・17水嶋秀樹同志無罪判決に続く、3・25迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧裁判における須賀武敏、十亀弘史、板垣宏の3同志無罪判決は決定的な勝利であり、日帝国家権力の治安弾圧への大反撃を加えた感動的地平だ。
こうした闘いの中から今こそ04−05年改憲阻止闘争の展望を切り開いていこう。小泉は05年に憲法改悪案をまとめることを狙い、今国会に「国民投票法案」を提出しようとしている。イラク派兵や有事関連法案の憲法破壊的現実に対応するために、もはや「解釈改憲」ではなく、9条破棄の改憲を強行しようとしているのだ。
教育基本法改悪、労組法改悪も改憲と一体の攻撃だ。3・20の地平からイラク撤兵、有事法案粉砕、改憲阻止闘争の巨大な展望を開こう。
第3章 党勢倍増・機関紙拡大の闘いに取り組もう
03年の3・20イラク開戦と12・9派兵閣議決定以降の「戦時下の階級闘争」に勝ち抜き、激動期に勝利する道は、工場・経営の奥深くに労働者細胞を建設することにある。非合法・非公然体制を堅持しつつ、労働運動の前進をかちとり、労働組合権力を獲得し、合法的拠点と運動をつくりあげていくことである。
革命的情勢の到来の中で、それは十分に可能だ。日帝のイラク参戦下の今日、膨大な労働者人民が信頼できる革命党派、闘う労働者党を真剣に選択しようとしている。3・20に参加した労働者人民を始め、全労働者人民の中に党派選択における分岐、流動化が地殻変動的に起きている。
今こそ労働者人民に向かって積極的に党派選択を求め、革命運動への決起を訴え、機関紙の購読を積極的に提起し、機関紙倍増を図り、さらに党への結集をかちとり、党勢倍増を実現するチャンスである。
このことはまた、職場で、労働組合で、大学で、地域で、党派闘争を激化させている。〈外への侵略戦争、内への階級戦争〉に対し、原則的に階級的=国際的に闘う者が、労働者階級を獲得できるし、信頼されるのである。動労千葉の労働運動こそ、そのような手本を示しているのだ。
こうした階級情勢認識に立って、4〜5月闘争の中で機関紙拡大と党勢倍増計画を数値化して決定し、その貫徹のために闘おう。この実践を地区党の指導の勝利、地区党建設の前進としてかちとっていこう。
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週刊『前進』(2144号1面2)(2004/04/05)
迎賓館・横田爆取弾圧裁判
3同志に無罪判決
デッチあげ粉砕、不屈の16年
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弁護士会館で行われた勝利報告集会は無罪獲得の喜びに沸いた。花束を掲げて勝利をかみしめる須賀武敏、板垣弘、十亀弘史の3同志(3月25日)
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1986年4・15米軍横田基地、同年5・4迎賓館に対する革命軍のロケット弾戦闘を理由に、無実の須賀武敏同志、十亀弘史同志、板垣宏同志に加えられた爆発物取締罰則デッチあげ弾圧の判決公判が、3月25日午後、東京地裁刑事第11部であり、木口信之裁判長は、3被告に無罪を言い渡した。87年10月のデッチあげ逮捕以来16年半、88年9月の初公判以来15年半、ついにかちとった歴史的な勝利だ。
3被告は無実であり、裁判は当初から事件との直接の関与を示す証拠など一切なかったのだ。関係のない証拠調べを延々と繰り返してきた、そのデッチあげが最終的に破産したのだ。判決は、86年8月に設置された「岩手借家」と、それ以前の4、5月の本件事件とを直接に結びつけるものはない、3被告を本件両事件の共謀共同正犯とする証明がないとして、検察側の主張の核心を退けた。
公判の冒頭で「被告人3名は無罪」と裁判長が主文を読み上げると、法廷には歓呼の声が沸き上がった。主文を聞いた3同志は、傍聴席に向かって手を挙げ満面の笑顔で喜びを表した。すぐさま、法廷外に無罪の報が告げられた。法廷に入りきれず4階廊下に待機していた約100人の支援者から、大きな拍手と歓声と万歳の声が起こった。長い闘いを不屈に闘いぬいた末の勝利をかみしめた。
判決後の記者会見で、3同志が無罪判決の喜びとともに、奪われた16年間に対する怒りを述べた。
板垣同志は、「私たちは迎賓館、横田にまったく関与していない。完全に無実・無罪だ。検察官自ら第1回公判から証拠がないと自認した。16年間遅れた判決だ。検察官と裁判官は謝罪せよ」と弾劾した。
十亀同志は、「判決の内容は各論には疑問があるが総論と結論は正しい。第1回から公訴棄却を主張してきた。16年間は無期禁固と同じ。この長さを未決のまま独房生活を強いられた」と述べて、「検察は控訴するな」とくぎを刺した。
須賀同志は、「事実審理の過程で中谷裁判官は雑誌『ジュリスト』で『証拠がないのは被告人が隠しているから』と公言した。こういう人がいま司法改革の先頭に立っている」と重大性を強調した。
3同志の発言は、無実と知りながら16年間もデッチあげを維持しようとしてきた検察官と裁判官の権力犯罪を痛烈に弾劾するものだった。
続いて弁護団長が、「当初から直接的な証拠がないことを裁判官も検察官も認めていた。それがきょうの無罪判決の骨子になっていた。それを考えると16年間の裁判での証拠調べは無意味だった」と述べ、きわめて政治的な事件としてデッチあげられたものであることを弾劾した。
午後6時前、弁護士会館で勝利報告集会が行われ、「十万人保釈署名運動」を支えてきた多くの人びとが3被告と家族と弁護団を囲んで勝利を祝福し、同じ事件で獄中12年の福嶋昌男同志の即時保釈と、星野文昭同志奪還に向かって闘うことを誓いあった。
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週刊『前進』(2144号1面3)(2004/04/05)
集会日程
守ろう!平和といのち4・9集会
4月9日(金)午後6時3分開会
日比谷野外音楽堂
守ろう!平和といのち5・21大集会
5月21日(金)午後6時30分開会
東京・明治公園
国会前行動
3月30日(火)〜4月1日(木)正午〜午後1時
衆議院第2議員会館前
呼びかけ/陸・海・空・港湾労組20団体
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週刊『前進』(2144号2面1)(2004/04/05)
全世界で1000万人デモ イラク反戦。有事法阻止の叫び全国で
3・20 日比谷6万人を先頭に50万人
東京・日比谷 “きょうは歴史的な日”
陸海空港湾20労組がけん引
「きょう3月20日は、この雨と寒さとともに私たちの記憶に残る歴史的な日となるだろう」。航空安全会議副議長の中川香さんはこう語った。イラク戦争開戦から1年目、自衛隊の派兵が進む中で迎えた3・20世界同時反戦行動は、冷雨をはね飛ばす熱い闘いを実現した。6万人が参加した東京・日比谷公園の闘いは、新しい労働者・市民の大統一戦線をつくる第一歩を印した。日比谷小音楽堂を中心に噴水周辺の広場から日比谷公会堂方向まで広がった陸・海・空・港湾労組20団体主催の集会が、牽引(けんいん)した(前号既報)。これを頂点に、北海道から沖縄まで全都道府県の数百カ所で計約50万人が決起し、イラク反戦で最大規模の闘いとなった。
全国から、「3・20日比谷へ」を合言葉に、この闘いで歴史を大転換するのだという意気込みをもって、続々と労働者・学生・市民が大結集した。あまりの寒さと雨のため、早く帰った人びとも相当数いた。晴れた春の日だったら、完全に公園中が埋め尽くされていただろう。
小音楽堂で開かれた「世界の人々とともに 3・20平和コンサートinHIBIYA」で、航空労組連絡会議長の内田妙子さんは、自衛隊のイラク派遣と有事法制に対して闘い続けることを訴えた(要旨別掲)。
この集会には、ナショナルセンターの枠を越えて、多くの労組が結集した。
20労組とともに闘いの先頭に立ったのは、3・12〜14ストを闘って意気軒高と結集した動労千葉の隊列だ。田中康宏委員長を始め約100人が小音楽堂の前方の一角を占めた。昨年のイラク開戦に対してストで闘い、11・9労働者国際連帯集会を実現した動労千葉の闘いは、その階級的=国際的闘いをもって、3・20行動の推進力となった。
小音楽堂と噴水周辺には、午前中から全国の労働者人民が集まった。百万人署名運動の各地の連絡会ののぼりが林立した。
東京・杉並からは、結柴誠一、新城節子両区議を先頭に、介護と福祉を要求する杉並住民の会、「戦争体験者杉並百人の声の会」の高齢者が集まった。
「憲法と人権の日弁連をめざす会」の弁護士は、高山俊吉弁護士を先頭に大挙して参加し、主催者と一体となって、会場内に入り込んだ公安刑事の弾圧を監視する闘いに決起した。
関西からは、関西合同労組や高槻の医療労働者、国賀祥司泉佐野市議を先頭に泉州住民の会、阪神被災地の労働者らが参加した。第13回全国大会をかちとったばかりの部落解放同盟全国連合会が大結集した。
国立大学の独法化に危機感をもった全国学生300人も集まり、「4月からが勝負」と集会を開いた。
また、在日朝鮮人・中国人や多数の外国人が集まった。オーストラリア人男性は「日本が国際連帯の闘いに参加するのはいいことだ」と語った。ベトナム人女性は「ベトナムでも戦争反対の集会をやっている。日本人が戦争についてどう考えているか知りたくて来た」。アメリカ人男性は「米国政府の戦争に反対するために来た。人種差別的で資源を支配する政策だ。大多数のアメリカ人も戦争反対だ」と語った。
平和フォーラム労組も集会
東京では、さらに日比谷野外音楽堂のワールド・ピース・ナウの集会、その西側のかもめの広場(郷土の森)での平和フォーラムの集会、芝公園での安保破棄中央実行委員会主催の集会などが行われた。
平和フォーラムの集会には、自治労、日教組を始め全国一般、国公総連、東交、私鉄総連、全水道、中小労組ネットワークなどの労組、各県の平和運動センターなどが広場からあふれるほど参加し、銀座デモを行った。反戦の強い意志を表すと同時に、階級的労働運動の再生が可能であることを示した。
中央本部の動員指令の人数枠を超える決起で参加した単組も多かった。全逓や国労、全労協の労働者も集まった。20労組のデモに合流した労組も多い。
平和フォーラム集会で米「発言する軍人家族の会」のロバート・スミスさんはベトナム帰還兵の兄を自殺で失い、自らも湾岸戦争に派兵された経験を踏まえ、米国の誤った戦争に加わってはならないと述べた。
熱烈な訴えに続々日比谷へ
一方、芝公園での集会の正当性を説明できない日本共産党は、『赤旗』の「主張」欄で「ヨーロッパでは『極左』を排除して共同行動を発展させている」などとデマを並べて、苦しい言い訳をしている。日共の党員と支持者からも、「なぜ日比谷で一緒にやらないのか」という抗議の声が沸き起こった。
こういう中で、20労組は統一の実現のために最後まで奮闘した。芝公園の集会には、航空安全会議副議長の中川香さんがあいさつに行き、「これまで三つの集会実行委員会は、努力を重ねながら、連帯して運動をつくってきました。日比谷公園を人で埋め尽くすのが、この三つの集会の本当の成功だと思っています。雨にも負けず、風にも負けず、日比谷公園に足を運んでください」と熱烈に訴えた。この訴えに心を動かされて、多くの労働者が日比谷に大合流したのだった。
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週刊『前進』(2144号2面2)(2004/04/05)
平和の誓いを行動で示そう
航空労組連絡会 内田妙子議長のあいさつ
きょう全国各地でイラク戦争に反対し、自衛隊を撤退せよとの行動が展開されています。東京では芝公園と野外大音楽堂でも集会をもっています。場所は異なっても気持ちは共通です。
スペインの総選挙ではイラクからの撤兵を主張して社会労働党が勝利しました。ポーランドの大統領も大量破壊兵器問題で米英にだまされたと発言しています。韓国も派兵の見直し検討と報道されています。しかし小泉政権は戦争支持をいち早く表明し、アメリカの要請にひたすら応じ、危険な道を進んでいます。
戦争でイラクの民間人は1万人以上が犠牲になり、米英軍の多くの兵士も犠牲になっています。
日本もテロの標的とすると声明が出されました。その対処は危機管理官を配置して警備を強化するというもので、陸・海・空・港湾が対象となっています。私たちは断固抗議します。
この1年、クラスター爆弾、劣化ウラン弾でイラクにもたらされた犠牲は想像を絶します。戦争の手助けをしている日本、事実を覆い隠すマスコミ、改憲まで策動する国家権力。
憲法前文は、平和な社会をめざして努力する、「日本国民は、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う」とうたっています。私たちはこの誓いを、あきらめず、粘り強く、黙さず、行動で示し続けたいと思います。
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週刊『前進』(2144号2面3)(2004/04/05)
沖縄など各地で大統一行動
沖縄
「イラク派兵反対 沖縄うまんちゅ大集会」が午後3時から7時まで那覇市県庁前広場で行われ、参加者は500人を超えた。この集会は平良修、桑江テル子、知花昌一の3氏を代表呼びかけ人に、国会議員、県議、自治体の長、市町村議会議員、各界の人士ら100人を超える人たちの呼びかけで開催された。
集会はミュージシャン・まよなかしんや、沖縄市議で元アナウンサーの玉城デニー、県議の糸数慶子の3氏の司会で4時間にわたるコンサートとトークの大ロングラン。喜納昌吉、海勢頭豊、まよなかしんや、名護新基地建設反対運動を続ける沖縄民謡家・金城繁の各氏が反戦平和の思いをこめて演奏しアピールした。
知花昌一氏、沖縄1フィートの会の中村文子氏、平和市民連絡会の平良夏芽氏、桑江テル子氏らがイラク戦争と自衛隊イラク派兵を弾劾し、沖縄の闘いの再構築を訴えた。新基地建設と闘う名護の住民約20人も参加し、辺野古・命を守る会の金城佑治代表、嘉陽宗儀さんが発言に立った。
アメリカの反戦団体・ANSWERからの連帯メッセージが読み上げられた。
大集会には多くの市民や観光客も聞きいり、多くの労働組合が組織参加した。
圧巻は集会後の国際通りデモだ。若者のラップ、喜納昌吉氏のエイサー隊の太鼓のジョイントは、沖縄ならではの明るい雰囲気とエネルギッシュな覇気を生みだし、随所で沿道の人びとと熱烈な交歓が見られた。
解散地の牧志公園では平良修氏がまとめの発言を行い「私自身、今日の行動で10年若返った」と訴えた。
沖縄人民は闘う総団結、帝国主義との徹底対決を待ち望んでいる。95年の沖縄の「新たな人民反乱」の第2ラウンドが始まった。
福岡
「みんなの思いをひとつに!/みんなの声をひとつに!/自衛隊のイラク派兵に反対します」と天神地区4会場で集会が行われ、午後3〜4時には1万人余のデモが天神のメインストリートを埋めた。
午後2時、警固公園には、福岡市議団18人の呼びかけにこたえた「3・20自衛隊のイラク派兵反対福岡共同行動実行委員会」主催の集会に200人の市民が参加した。元福岡県評事務局長の岩崎隆次郎さんが司会を務めた。市議団各派代表があいさつに立ち、共同アピールを読み上げた。
市民団体の集会が続いた。宮崎の高校生のメッセージや立川テント村の弾圧への救援の訴え、アメリカのイラク攻撃を許さない実行委員会の訴え、若者たちの歌、九大学生自治会のアピールが行われた。
3時からデモに出発した。天神のメインストリートでは、労働組合のデモ隊とお互いに手を振りながらエールを交換した。歩道から市民が次々とデモに参加してくる。Vサインや手拍子でこたえる若者があちこちで見受けられた。
集会に先立って、「アメリカのイラク攻撃を許さない実行委員会」はアメリカ領事館に申し入れ行動を行った。
(投稿 Y・N)
広島
原爆ドーム前で行われた「3・20イラク戦争1周年世界同時行動inヒロシマ」に3600人が参加した。
午後1時からピースソング・リレーが行われ、2時15分から集会。主催者あいさつを岡本三夫さん(広島修道大学名誉教授)が行った。被爆者を代表して空辰男さん(被爆教職員の会)がアピールし、ブッシュの一国主義を批判した。
スペインの平和団体から「国民の大多数の気持ちに反して戦争を支持した政府が政権を去った」というメッセージが寄せられ、イラクで働く2人の医師が劣化ウラン弾被害とイラクの現状を報告した。集会アピールを採択し、「世界の命=広島の心」を合唱した。
3時からピースウオークに出発。繁華街を「イラク戦争反対! 自衛隊派兵を許すな!」とメッセージボードを掲げて行進した。
大動員で参加者の半数を占めた広島県教職員組合の組合員は、カラーボードをもって座り込み、「NO WAR」の人文字をつくった。
動労西日本は国労広島、建交労(全動労)広島支部の仲間と隊列を組んでデモ行進した。広島連帯ユニオンは3悪人=ブッシュ、ブレア、小泉のデコレーションをつくり参加した。
広島県下では福山、三次、東広島などで3・20の行動が行われた。
中四国各県
中四国各県でも、既成の枠組みを越えた大統一実行委員会が結成された。
岡山市では「イラク戦争1周年国際共同行動3・20inおかやま」が行われ、千人が参加した。愛媛県松山市では「自衛隊のイラク派遣に反対する3・20愛媛集会」を行い、400人が参加した。山口県岩国市では、岩国基地包囲の人間の鎖が千人で闘われた。
京都
「STOP! イラク派兵 京都」行動に、百万人署名運動・京都連絡会、ユニオン自立の労働者や京都大学の学生などと参加しました。会場の三条河川敷から四条河原町を埋めるすごい人数が集まりました。
米ANSWER連合のターニー・ステアさんのメッセージが紹介され、宗教者、弁護士、青年、女性団体、在日団体、市民運動が反戦の決意を述べました。
ターニー・ステアさんが「私たちはきょう、アメリカがイラクから撤退することを求めてデモ行進を行います。それはイラクの人びとの自己決定権を無条件に支持し、中東を再植民地化しようとするアメリカの計画に抵抗するすべての中東民衆の自己決定権を支持するものです。すべての軍隊が今すぐ撤退すること、日本が憲法違反の自衛隊のイラク派兵を中止することを求めます」と、闘う立場を正確に訴えていることに驚きました。
(投稿 H・K)
仙台
「3・20イラク派兵反対/平和憲法擁護 宮城集会」は、会場の勾当台公園・市民広場を4000人の労働者・市民が埋めつくし、仙台の集会では近年最大となりました。
22人の呼びかけ人、12の呼びかけ団体を代表して、写真家の後藤東陽さんがあいさつし、後藤さんのかけ声に合わせて全員が「派兵反対!」とこぶしを突きあげました。教員や宗教者らが「派兵をやめろ」「占領は許せない」とアピールしました。途中で司会が「用意した3500部のプログラムを全部配りきりました。参加者は4000人を超えています」と発言し、歓声があがりました。
会場は労働組合や団体の旗が林立し、色とりどりの横断幕やのぼり、風船が掲げられました。生協連が15万枚のチラシをつくって配布するなど、様々な地域・職場から参加しました。
集会後のピースウオークではアーケード通りがぎっしり埋まり、通行人とエールを交換。元気な行進となりました。
(投稿 T)
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週刊『前進』(2144号2面4)(2004/04/05)
ベアゼロ、新賃金制度粉砕へ 動労千葉が3・29スト配置
動労千葉は、3月29日に春闘第3波のストライキに決起しようとしている。JR東日本のベアゼロ回答を弾劾し、29日に予定されているJR貨物のベアゼロ回答打破、新賃金制度導入粉砕を掲げて闘われる。また、2月非協力闘争の画期的成果をさらに拡大することをめざしている。貨物は地上勤務者を対象として正午以降、半日のスト、東日本は検修職場を対象として正午以降、半日のストを配置している。
JR東日本は3月18日、3年連続のベアゼロ回答を強行した。前日17日の金属大手の集中回答が軒並みベアゼロで、定期昇給制度の廃止も相次いでいる。JR東海、JR西日本もベアゼロ回答で、私鉄大手などもベアゼロだ。日本経団連・奥田の「04年版経営労働政策委員会報告」に基づいて、年功序列賃金制度と終身雇用制を解体する攻撃が襲いかかっているのだ。
これに対して、連合指導部は、ベアゼロを受け入れ、あらかじめ定昇廃止に同意するなど、賃下げ攻撃に全面的に屈服している。
JR東労組も、分割・民営化以降最高利益にもかかわらず強行されたベアゼロ回答を即座に妥結したのだ。組織分裂の危機にあえぐ松崎・JR東労組カクマルは、「会社を守れ」と叫び、労働者の生活を資本に売り渡すことで延命を図ろうとしている。断じて許すことはできない。動労千葉・動労総連合は断固として再回答を要求している。
JR貨物では、4年連続のベアゼロに加えて、「賃金制度の白紙的見直し」が狙われている。旅客との賃金格差が拡大している上に、成果主義賃金で差別を持ち込み、職場の団結を破壊するものだ。これに対して団結を固め、ストではね返そうとしている。
04春闘を勝利的に闘う動労千葉とともに、3・20国際反戦闘争の地平を発展させ、4〜5月の有事関連法案粉砕などの階級決戦を闘おう。
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週刊『前進』(2144号2面5)(2004/04/05)
国労5・27臨大闘争弾圧裁判公判日程
第22回 4月27日(火)
午後1時15分、東京地裁
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週刊『前進』(2144号2面6)(2004/04/05)
訂正
前号1面、 3・20の記事中、「広島の千羽鶴の佐々木貞子さん」とあるのは「佐々木禎子さん」の誤りでした。
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週刊『前進』(2144号3面1)(2004/04/05)
全世界で1000万人デモ イラク反戦・有事法阻止の叫び全国で
全米300ヵ所で“占領終結を” ローマ200万人を最高に反戦の波
3・20イラク反戦世界同時行動は、地球を一周した1000万人決起として大爆発した。イタリア・ローマの200万人デモを筆頭に、アメリカではニューヨーク10万人、サンフランシスコ5万人など数十万人が決起した。韓国では、昼に韓国軍のイラク派兵反対1万人デモに続き、夜には「盧武鉉(ノムヒョン)大統領弾劾撤回」などを求め20万人が決起。イギリスやスペインなど参戦国で10万人以上のデモが爆発し、ムスリム諸国でも闘いが高揚した。昨年2月の2000万人決起を引き継ぐ画期的な事態である。
ニューヨーク
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ニューヨークの中心部、マンハッタンの大通りをデモ隊が完全に埋め尽くし、イラク反戦の声を上げた |
ニューヨークの集会は、ANSWER連合とユナイテッド・フォー・ピース・アンド・ジャスティスによるアメリカ東海岸の統一集会として持たれ、主催者の予想を超える10万人以上が参加した。
デモ参加者がマンハッタン1周のデモから帰ってきても、まだ集会場にはデモに出発できない人びとがいるほどだった。デモ参加者は、「米軍をただちに帰還させろ」「戦争と占領にではなく、雇用と教育に予算を回せ」というプラカードを掲げて行進した。
この日の勝利は、パレスチナ人を始めとするアラブ系アメリカ人とムスリムのコミュニティーから発せられた公開質問状に対して、アメリカ反戦運動諸組織が真剣にとらえ返しをすることで、また戦闘的な潮流を含めた大統一戦線を形成したことによってかちとられた。さらに、イラクに派兵され死亡した米兵家族の勇気ある決起が「米軍を直ちに帰還させろ」というスローガンに説得力を与え、反軍闘争の巨大な発展の展望を示した。
サンフランシスコ
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「テロへの戦争」は「労働者への戦争」という横断幕を掲げて、デモの先頭に立つILWUのデモ行進部隊(サンフランシスコ) |
ILWU(国際港湾倉庫労働組合)の労働者を先頭に、5万人の労働者市民が市中心部のドロレス広場に集まり、戦闘的デモを行った。デモ参加者は大通りを埋め尽くし、通りいっぱいに広がってドラムをたたき、スローガンを叫び、踊りをおどった。このデモに権力が襲いかかり81人の参加者を大量不当逮捕した。
このほか、ロサンゼルス2万人など全米300の各都市で百万人が決起した。米帝ブッシュ政権の愛国者法などを使った治安弾圧に抗してイラク派兵反対、ムスリム人民との連帯を真正面から主張し、イラクの労働者階級との連帯を掲げたアメリカの労働者階級人民の反戦決起の意義は巨大である。戦時に突入した帝国主義の愛国主義・排外主義を粉砕し、戦時下で被抑圧民族との連帯・合流をかちとるという内乱的質を持った世界革命にも通じる根底的な決起が実現されつつある。
韓国
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昼のイラク撤兵要求1万人デモに続き、夜には「大統領弾劾撤回」を求めて決起した20万人の集会参加者で光化門十字路一帯はあふれた(ソウル) |
韓国では、ソウルの大学路で午後3時から3・20全世界反戦行動韓国組織委員会が呼びかけた「アメリカのイラク占領反対、韓国軍派兵反対」を要求する集会が開かれ約1万人が参加した。集会参加者は、「占領を中断しろ」「派兵を中断しろ」というスローガンを叫びながら、光化門までデモ行進を行った。
さらに、その日の夜には盧武鉉大統領への弾劾撤回を求めて光化門十字路に20万人の労働者市民が結集、大通りを埋め尽くした。韓国全土では総計50万人以上が決起した。この昼と夜の闘いは、根底的には韓国の労働者人民の「外への侵略戦争と内への階級戦争」に対する怒りの爆発だ。
ロンドン
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ロンドンに「うそつきブレア糾弾」の声が響いた
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イギリスでも最初は雨と強風が吹き荒れた。それをついてロンドンで10万人が反戦デモに決起した。ハイドパークに正午に集まったデモ隊は集会場であるトラファルガー広場をめざして大デモを行った。人々は口々に「うそつきブレアを許すな」「占領をやめろ」と叫び、イギリス軍のイラク撤兵を要求した。
ローマ
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ローマにイラク撤兵要求のにじの旗が舞った
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この日、ローマではイタリア軍2600人のイラクからの撤退を要求して実に200万人がデモを行った。行動に賛同した団体は2000以上にのぼり、デモ隊は7色のにじの旗を掲げてローマ市内を埋め尽くした。
スペイン
3・11マドリードで起きた列車同時爆破ゲリラによってイラク派兵を強行してきたアスナール政権が選挙で敗北し打倒される中、スペインではマドリード10万人、バルセロナ15万人の大規模デモが巻き起こり、スペイン軍のイラクからの撤兵を求めてデモを行った。
さらに、フランス、ドイツ、ベルギー、ギリシャなどヨーロッパ各地でもイラク反戦闘争が闘われた。
アジアでも、オーストララリアで1万人以上、フィリピンで千人以上がデモに決起した。さらに中東でもエジプトのカイロで3千人が決起し、中南米各地でも闘いが行われた。
参戦国で撤兵求め闘い爆発
以上を見てみると、イラクに軍隊を派兵している国での反戦闘争が爆発していることが鮮明だ。米・英帝国主義が昨年の3・20に開始したイラク侵略戦争がまったくの不正義の戦争であること、「大量破壊兵器の存在」が百パーセントのデマであり、石油争奪のための戦争でしかないことが暴露され、この不正義の戦争への怒りが巻き起こっている。イラク派兵がイラク人民を虐殺するだけでなく、不正義の侵略戦争に加担することで自国の兵士の死と動揺、崩壊すら招きつつあることに、多くの労働者階級人民が気づき、帝国主義軍隊を内外から解体する反軍闘争の展望をもって、撤兵のスローガンを掲げた闘いに決起しつつある。
この日の全世界同時反戦決起は、29年の世界大恐慌をも上回る世界恐慌過程に突入した帝国主義が労働者階級を食わせることができなくなったことへの労働者階級の根底的な怒りの反撃でもある。イラク侵略戦争を突破口に世界戦争過程にのめり込んだアメリカ帝国主義を先頭にした帝国主義による「外への侵略戦争と内への階級戦争」への文字どおりの反撃である。
3・20全世界1000万人決起の意義を確認し、4月決戦に攻め上ろう。
表 主要都市のデモ参加者数
アメリカ
・ニューヨーク10万人
・サンフランシスコ5万人
・ロサンゼルス2万人
・シカゴ1万人
・ポートランド2万人
・シアトル1万5000人
・総計100万人
韓国
・ソウル20万人
・総計50万人
イギリス ・ロンドン10万人
イタリア ・ローマ200万人
スペイン
・マドリード10万人
・バルセロナ15万人
フランス ・パリ1万人
ドイツ ・ベルリン5000人
ロシア ・モスクワ5000人
ベルギー ・ブリュッセル1万人
ギリシャ ・アテネ1万人
ポルトガル ・リスボン5000人
オーストラリア
・メルボルン5000人
・シドニー6000人
フィリピン ・マニラ1000人
エジプト ・カイロ3000人
コロンビア ・ボゴタ1万人
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週刊『前進』(2144号3面2)(2004/04/05)
都教委の「日の丸・君が代」通達打ち破り 教育労働者が続々決起
都立校卒業式 大量報復処分を許すな
10・23実施指針で処分の恫喝
石原都政・東京都教育委員会による「日の丸・君が代」の「起立・斉唱・伴奏」強要と処分恫喝をうち破って、卒業式において教育労働者が続々と立ち上がった。大打撃を受けた都教委は、月内にも約200人の教育労働者に戒告処分を出そうとしている。
東京都・石原教育行政との激突は、教育労働運動の未来を決する大決戦だ。闘う教育労働者と連帯し、大量報復処分をうち破ろう。
激突の始まりは10月23日に都教委が発した「通達」「実施指針」である。「日の丸・君が代」完全実施攻撃により数字上は百パーセント実施とされたものの、教職員の「立たない・歌わない・教えない」闘いや、生徒に「内心の自由」を告げる取り組みなどの抵抗がねばり強く続く現実に業を煮やした都教委が、一切の抵抗を封じ込めようと発したものだ。
「実施指針」は、「国旗」は「式典会場の舞台壇上正面に掲揚」「掲揚する時間は、式典当日の児童・生徒の始業時刻から終業時刻」とし、「国歌」は「式次第には『国歌斉唱』と記載」「式典の司会者が『国歌斉唱』と発声し、起立を促す」「教職員は会場の指定された席で国旗に向かって起立し、国歌を斉唱」とした。「会場設営等」では「舞台壇上に演台を置き卒業証書を授与」「児童・生徒が正面を向いて着席するように設営」とした。“国家に忠誠を誓わせる儀式”として、徹底的に管理・統制しようとしたのだ。
さらに都教委は2月17日、10・23通達が適用された10〜12月の創立記念行事で不起立した10人の教職員に戒告処分を出した。
「予防訴訟」に訴え反撃へ
都高教本部の「処分を出さない」「職務命令が出たら引く」という屈服方針をのりこえて、職場から闘いが爆発していった。
1月30日、都立学校の教育労働者228人が原告団となって「『君が代』斉唱時の起立、斉唱、ピアノ伴奏の義務不存在確認訴訟」(いわゆる予防訴訟)を東京地裁に訴えた。都教委が「日の丸」に向かっての起立や「君が代」斉唱を強制するのは憲法違反として、起立や斉唱の義務がないことの確認を求めたものだ。
この原告団が闘争委員会的な役割を担い、職場からの闘いが打ちぬかれた。
各校で不起立闘争が爆発
こうした中で迎えた卒業式は、まさに「戒厳令下」と言うべき異様な体制で行われた。教職員一人ひとりに「起立して斉唱せよ」という職務命令が渡され、都教委の幹部は校長の上席に陣取り、教職員は座席を指定され指導主事が監視し、現認のために配置された。
攻撃は養護学校にも襲いかかった。車いすを使う「障害児」が多くいる養護学校では、これまで平面のフロアで卒業式を実施してきた。それが「舞台壇上に演台を置き、卒業証書を授与」という実施指針に反するとして、壇上にのぼるために10b近い長さのスロープが取り付けられた。
しかし教育労働者の抵抗を封じることはできなかった。不起立する可能性のある教職員の多くが式場外に排除されたにもかかわらず、約200人の不起立闘争が打ちぬかれた。
生徒の抵抗も多くの学校に広がった。3月11日の都立板橋高校の卒業式では、参列した板橋選出の土屋敬之都議が「君が代」斉唱時に「起立しろ」と怒鳴り散らす中、約270人の卒業生の9割が着席した。
都議会予算特別委員会で“教員を処分せよ”と絶叫した土屋都議の質問を受けて横山洋吉教育長は、児童・生徒が「君が代」を歌わないのは「(教員の)指導力の問題」と、担任教員を処分すると公言した。
さらに都教委は、処分が複数回重なった教職員については分限免職も検討するとしている。処分・解雇の恫喝で教育労働者の闘いを封殺した上で教育実践にまで追い打ちをかけることは、都教委のあらかじめの方針だろう。だが教育労働者は、自ら労働者として闘う姿を全人民に、そして生徒たちにも示した。教育実践を処分の対象とする攻撃は、逆に生徒の反乱を一層拡大するだけだ。
石原・都教委と闘う教育労働者とのつぶすか、つぶされるかの激突が始まった。戦時下の「日の丸・君が代」闘争が始まったのだ。石原の凶暴な攻撃は逆に“イラク派兵が強行された今屈することは、教え子を戦場に送ることになる”という不退転の抵抗を生み出した。どんな処分恫喝も労働者の生きざまをかけた闘いの前には無力である。
組合本部の屈服の中で、「私が日教組」「私が都高教」として闘う膨大な教育労働者が生みだされ、新たな闘う団結がつくられつつある。
都教委は入学式での不起立の拡大を恐れ、異例の短期間で月内にも戒告処分を出そうとしている。全国の教育労働者と全人民の力で闘う教育労働者を守りぬき、石原・都教委を包囲・打倒しよう。
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週刊『前進』(2144号3面3)(2004/04/05)
イラク
占領下で不屈の闘い
ナショナルセンター形成
占領支配下のイラクでは今、労働者階級の画歴史的な戦闘的労働運動が、全土で爆発している。占領支配をうち破る全人民的な武装解放闘争と一体のものとして闘われている労働者階級の戦闘的労働運動は、「戦後革命」ともいうべき激動情勢を生みだしている。それは、イラクにおける民族解放闘争をまったく新たな歴史的地平へと押し上げているのである。
失業労働者立つ
イラクにおける労働運動は、米英軍による占領開始直後から広範な地域で爆発的な勢いで開始された。消滅したフセイン政権に代わって米英軍の軍事占領下でCPA(連合国暫定占領当局)がフセイン時代の労働運動弾圧を継続している。イラクの労働者階級人民はこれと対決し、権利の確立と人間らしい生活を求めて続々と決起している。
闘いの火ぶたはまず失業労働者によって切られた。職を求める労働者は、昨年6月12日のキルクークでの数千人のデモ、同日のバグダッドでの7000人のデモ、7月の占領当局前での45日間の座り込み闘争などを展開した。「復興支援」などと言いながら70%の失業率に苦しむイラク人民に何もせず、弾圧するだけの占領当局に激しい抗議闘争をたたきつけたのだ。
この闘いはイラク労働者共産党(CPI)を軸として創設された「イラク失業者組合」(UUI)によって指導され、またたくまに職と労働者の権利を要求する全国的闘いへと発展していった。UUIは米軍やイスラム極右勢力による度重なる襲撃や虐殺、指導者の逮捕にもかかわらず、現在では20万人に達する失業者を組織して闘いぬいている。
ストライキ爆発
他方、占領当局の計画する民営化によって大失業攻撃を仕掛けられている国営企業の労働者を先頭に、占領当局の労働運動解体攻撃と新たな植民地的労働条件の押しつけ攻撃に対して、イラク労働者階級の激烈な反撃が開始されている。
03年夏以降、イラク南部のバスラやウムカスルでは、港湾労働者が何度もストライキや山猫ストをうって、元バース党員の経営者やアメリカの港湾会社による休日なしの14時間労働や月50jという超低賃金の押しつけと闘っている。
南部石油会社の労働者は、03年11月以来、3カ月にわたって強固な闘争態勢を築いた上で賃上げを要求する闘いに決起した。労働者は「要求が認められなければ、武装抵抗闘争に参加する。軍隊が石油生産に動員されれば、武装闘争でこれを阻止する」という声明を発し、石油相と直接交渉して、北部、中部を含む全イラクの石油労働者のために大幅賃上げをかちとっている。
03年11月以降は、ダウラ精油所やバグダッドのレンガ工場、バスラの電機労働者、綿産業の労働者、北部ガス会社やアル・ナシールタバコ会社などで大規模なストライキ闘争が行われている。しかもそれらの闘いは、銃で武装した労働者のピケットや、反動的な経営者を実力でたたき出すなどきわめて戦闘的で、大衆的な闘いとして展開されているのである。
国際連帯を追求
こうした闘いは現在、統治評議会に参加したスターリン主義党であるイラク共産党と決別したイラク労働者共産党指導下の「労働者評議会・労働組合連盟」(WCTU)と、バース党政権時代に亡命していた労働運動活動家の指導する「労働組合連盟」(FWTU)という二つの労働運動のナショナルセンターによって指導されており、燎原(りょうげん)の火のような勢いで全国に拡大している。
しかもこれらのナショナルセンターは、アメリカのILWU(国際港湾倉庫労働組合)やUSLAW(アメリカ反戦労組連合)などを始めとする全世界の労働者との連帯を求めてさまざまな働きかけを行っている。帝国主義諸国の戦闘的労働運動の側からも、これを受け止めて真剣な連帯の闘いが行われている。
イラク労働者階級の闘いは、ムスリムとしての社会的・文化的アイデンティティーを保持しながら、労働者階級としての階級的立場から、全人民的武装解放闘争と連携しつつ、職場・生産点での戦闘的労働運動を爆発させている。この闘いは、中東における民族解放闘争のこれまでの構図を塗り替える新たな歴史的地平を切り開くものだ。(イラク労働者階級の闘いの詳細については、『コミューン5月号』を是非参照してほしい。)
(丹沢 望)
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週刊『前進』(2144号4面1)(2004/04/05)
民族解放戦争の激発と労働者の政治的な台頭
泥沼化する米帝イラク占領
米英帝のイラク侵略戦争突入から1年。3月20日には全世界60カ国1000万人がイラク反戦に決起した。
米帝は帝国主義超大国としての自己の世界支配の危機を突破するために、本質的に帝国主義間争闘戦での他帝国主義、特にEU・独仏帝国主義(さらには日帝)の打倒を狙ってイラク侵略戦争を開始した。それは同時に、イラク人民・ムスリム人民の民族解放闘争の圧殺、中東地域の軍事的制圧、石油資源の略奪と独占的支配のための侵略戦争であった。
だが、イラク人民の占領軍に対する解放闘争が激しく闘いぬかれ、米帝のイラク侵略戦争は完全な泥沼に陥っている。連日、手製爆破装置による米軍車両の爆破やロケット弾による攻撃が戦われている。米軍12万、全体で14万という軍隊を投入しながらイラク人民の闘いをまったく抑えられず、米英軍は、ただただイラク人民の無差別虐殺と破壊を繰り返している。
死傷者続出で米軍「壊滅」へ
この1年間で死亡した米兵の数は586人に上っている(3月23日現在)。ブッシュが戦闘終結を宣言した5月1日以降でも415人である。1日平均1・5人の米兵が死んでいるのだ。またこの1年間の米兵の負傷者は3343人に上っており、さらに病気も含めて米本国に送還された米兵の数は3万人近くに上っている。まさに「壊滅」といえるような事態なのだ。
これに対して米軍は、今年に入って第2次世界大戦以来といわれる前線部隊の大規模な入れ替えを行っている。沖縄の海兵隊やストライカー部隊と呼ばれる最新鋭部隊を投入し、イラク人民の闘いを鎮圧しようとしている。しかし、闘うイラク人民についての情報がまったく得られない中で、有効な手段もなく、逆に米軍の拠点の数を縮小し、イラク人を警察や保安部隊として配置することで米軍の被害を少なくしようとしているのだ。
こうした中で米軍の先兵となったイラク人警察や政治勢力に対しても自爆を含むゲリラ攻撃が加えられている。3月2日にはバグダッドとカルバラでシーア派最大の祭典「アシュラ」に自爆攻撃がかけられ、171人が死亡した。また3月18日にはバグダッドのホテル前で爆弾を積んだ車が爆発し、約20人が死亡した。これはイラク復興に群がって利益を得ようとする民間人を狙った攻撃である。
とりわけ3月11日のムスリム人民によるスペイン・マドリードでの列車同時爆破は、総選挙での国民党の敗北、アスナール政権の崩壊をもたらし、イラク開戦を強行した3国首脳の一角が崩れた点で米英帝に決定的な打撃を与えている。
米帝はイラク占領の危機をのりきるために、6月30日のカイライ政権デッチあげと7月1日「政権移譲」のペテンを成功させようと全力を挙げているが、それも完全に破産している。
3月8日にイラク統治評議会はイラク基本法に署名した。統治評議会に参加しているシーア派のイラク・イスラム革命最高評議会はこの基本法に署名したが、シーア派の圧倒的多数はこれを認めていない。シーア派住民に最も影響力があるシスタニ師が3月中旬に国連のブラヒミ特別顧問に「基本法を認めるな」という手紙を送ったことで基本法の効力は完全になくなったと言っていい。もともと米帝は7月1日の政権移譲を、18の州から15人の代表を選んで投票させる方式で進めようとしていたが、シスタニ師が直接選挙を要求して代表方式に反対したことでつぶれた。
結局、米帝が選んだ亡命イラク人を中心として統治評議会を若干拡大することによって「暫定政府」とする以外にない。これこそ見え見えのカイライ政権だ。
この中で、イラク労働者の闘いが解放闘争の重要な一翼として登場していることが重要だ。
禁圧を破って労組を再組織
フセイン政権下では1987年の労働法で国営企業労働者の労働組合権が否定され、多くの組合活動家が外国に亡命し、労働組合が解体された。だがバース党政権崩壊後、イラク労働者共産党の指導のもとに失業者組合が結成されたのを始め、各職場で労働組合が再組織された。これに対して米英占領当局は、以前の労働法が有効であることを宣言して労働組合を禁圧しようとしてきた。だが労働者は労働組合を結成し、バース党の会社幹部の追放や賃上げ、差別賃金の撤廃などを要求して闘いに立ち上がっている。(3面参照)
とりわけ南部石油労働者の闘いは、占領軍が昨年9月8日に出した公共企業労働者の賃下げの占領軍命令30号を撤回させた。
イラク労働者の闘いは、実質的に職場支配権を労働者が握るところまで来ている。もともとイラクでは石油収入をもとにした国営企業による近代化政策が進められており、国営企業の幅が広く、そこに働く労働者も多い。その一方で会社幹部はバース党につながる者たちで大半を占められていたのであり、バース党政権が崩壊した今、ブルジョア支配政党と呼べるようなものもない。統治評議会のメンバーであるチャラビを中心としたイラク国民議会は、基本的に亡命者の組織であり、イラク人民の中にはなんの影響力も支持もない。米帝が力ずくで労働者の闘いを制圧する以外にない状態なのだ。米帝が進めるイラク公共企業、機関の民営化は、こうした労働者の闘いとの直接的な激突となることは不可避なのだ。
イラク産業の中軸を担う労働者階級の政治的台頭は、帝国主義の軍事占領からの解放が世界プロレタリア革命の中で実現されていく展望を示している。
米英日帝のもとでの労働者人民の闘いが決定的に重要だ。闘うイラク人民、ムスリム人民と連帯し、有事関連法案阻止闘争を全力で闘いぬき、イラク反戦闘争をさらに大爆発させよう。
(秋原義明)
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週刊『前進』(2144号4面2)(2004/04/05)
米帝とシャロン政権による ハマス=ヤシン師暗殺弾劾
3月22日、パレスチナのガザ地区でパレスチナ抵抗運動ハマスの創設者で精神的指導者であるアハメド・ヤシン師がイスラエル・シャロン政権によって暗殺された。イスラエル軍は、ヤシン師の朝のモスクでの礼拝からの帰途を狙い、ヘリコプター3機からミサイルで攻撃し、ヤシン師を虐殺したのだ。
ヤシン師暗殺は、パレスチナ人民の解放闘争の全面圧殺、パレスチナ人民の民族抹殺を狙った断じて許せない歴史的犯罪である。満腔(まんこう)の怒りを込めてこの反革命大罪を弾劾する。闘うパレスチナ人民と連帯して闘いぬく。
今回のヤシン師暗殺は、イスラエル首相シャロンが直接指揮して行われた。シャロン政権はこの間、ヨルダン川西岸地区で「アパルトヘイトの壁」と呼ばれる巨大な分離壁の建設を進める一方、ガザ地区南部の町ラファでは「静かなジェニン」と呼ばれる住民虐殺と家屋の破壊を繰り返してきた。その他の町に対しても侵攻を繰り返し、住民虐殺を繰り返している。まさにパレスチナ人民の民族抹殺を狙った攻撃として行われているのである。ヤシン師暗殺後もガザ地区に侵攻し、抗議デモに発砲して4人を虐殺し、ハンユニスではユダヤ人入植地を見下ろせる家をブルドーザーで破壊している。イスラエル国防相モファズは23日、ハマス幹部の暗殺をさらに進めると宣言した。イスラエルはさらにアラファト議長やレバノンのヒズボラを率いるナスララ師の暗殺も宣言している。ヤシン師暗殺がシャロン政権のパレスチナ人民虐殺の新たな段階への突入宣言であることは明らかだ。
イスラエルのヤシン師虐殺に対して米帝ブッシュは、「イスラエルはテロから身を守る権利がある」と発言した。この発言は、ヤシン師暗殺がイラク侵略戦争の泥沼化にあえぐ米帝の承認のもとに行われたことを示している。日帝・小泉は「暴力の連鎖を断ち切らないとね。お互いに自制心を持って」などとイスラエル非難を避け、虐殺を容認した。
ヤシン師暗殺に対してパレスチナ人民を始め、中東諸国で労働者人民の怒りが爆発している。パレスチナではヤシン師の葬儀に40万人が結集し「シャロンによって戦争が開始された」と宣言し、大規模な報復を誓った。パレスチナ解放勢力は、ハマスだけでなく、PFLPやファタハ、イスラム聖戦など各組織がヤシン師暗殺に報復を誓った。中東各国でも各地でイスラエル抗議のデモが闘われ、報復を呼びかけた。
ヤシン師暗殺は、イラク侵略戦争を一環とする米帝のパレスチナ解放闘争圧殺―中東全面制圧・支配策動である。だが、米帝とイスラエルがどんなに凶暴な攻撃を加えようとも、パレスチナ人民の民族解放の闘いを圧殺することはできない。絶望的危機に追いつめられているのは彼らの側だ。闘うパレスチナ人民、イラク人民、ムスリム人民と連帯し、帝国主義を打倒しよう。
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週刊『前進』(2144号4面3)(2004/04/05)
スペインがイラク撤兵へ
「3・11」の一切の責任はアスナールと米帝にある
有志連合に痛撃
3月11日のスペイン・マドリードでの列車同時爆破ゲリラは、14日のスペイン総選挙で与党の敗北を引き起こした。しかも、次期社会労働党政権がイラク撤兵を公約していることは世界に大衝撃を与えている。イラク侵略戦争を強行する帝国主義有志連合の一角が崩れたからだ。
帝国主義超大国・米帝の凶暴なイラク侵略戦争・軍事占領と、それに最も積極的に参戦してきたスペインのアスナール政権。3・11は、それに対するムスリム人民の特殊的・極限的な反撃だった。直後に出された声明文にあるように、スペインがこの侵略戦争に参戦していることがこの結果を招いたことは明白だ。
だが、アスナール政権は列車爆破の直後、ETA(バスク祖国と自由)の戦闘だと「断言」した。
しかし、すでにアルカイダは、スペインや日本の国内での大規模な反撃を予告していた。そして3・11は、従来のETAの戦闘とは、攻撃目標も、方法も、規模も違っていた。
すでにアスナール政権は、「大量破壊兵器」なる戦争理由がウソだったことをスペイン人民に追及され続けて、不正義の戦争を正面から居直るエネルギーを粉砕されていた。だから、3・11がイラク戦争の結果であるという自明のことを隠し、ETA問題にすり替えようとしたのだ。
スペインの労働者人民は、確かに通勤電車の爆破という事態に衝撃を受けた。社会労働党や旧共産党系の諸派、労組の既成指導部ばかりでなく、トロツキスト諸派などからも「テロ弾劾」論が大きく噴出した。しかし、労働者階級は、そこにとどまらなかった。早くも11日当日、アスナール政権のETA説を「情報操作、ウソであり、イラク戦争の責任逃れだ」「イラク人民虐殺の責任を取れ」という声明がCNT(全国労働連盟)マドリード支部やマドリード・インディメディア(左翼系インターネット報道機関)などから出された。翌日からは、学生自治会やTVE(スペインテレビ)労働者などもこれに続き、街頭で官製デモをはねのけて「これ以上血を流すな! 情報操作反対! ウソを許すな!」の3つのスローガンを掲げてデモ。これを阻止しようとする警官隊と激突した。日本で報道された1000万人の「反テロのデモ」の実態は、こうした流動と激突だったのだ。
アルカイダの声明文は、イラク戦争の残虐性をあらためて弾劾し、アメリカに協力する限りはスペイン、日本、イタリアなどを攻撃すると明言していた。
スペイン人民は、昨年来、ロンドン200万人の反戦デモを実現したイギリスよりさらに大規模な空前の反戦デモを貫徹してきた。だが、今回は、そのデモ参加者よりもさらに広範な層が「殺さず、殺されない」という戦争反対の原点の実感をもって決起したのだ。
こうした層が大きく動いたことが14日の投票の結果に現れたのだ。3・11前の世論調査などでは、2期8年続いたアスナール与党の国民党の勝利が確実とされていた。これには、スペイン経済のそれなりの浮揚(独仏などが経済危機・リストラを激化させ、賃金水準の低いスペインなどの諸国へ生産拠点を移転させていることなどによる)という要因が大きい。
他方で、80―90年代前半に社会労働党政権が労働者の権利、生活に激しい攻撃をかけてきたことに対する労働者人民の幻滅と怒りも大きい。社会労働党とソ連崩壊後に四分五裂した旧共産党に取って代わる労働者階級の党が登場していない中で、労働者人民には積極的に選挙に行く意欲は失われていた。
こうした関係が3・11〜14に急激に変化する。
社会労働党は、労働者階級のアスナール政権への怒りによって第一党の座に押し上げられたが、新政権は、かつての社会労働党政権と同じく、本質的に反労働者的な政権だ。
例えば、すでに昨年から、北部大西洋岸のヒホン港の港湾局長、フェルナンド・パラオは、ヒホン港のエビサ埠頭(ふとう)の一方的な民営化を強行し、そこの労働者のほぼ半数(41人)を解雇した。パラオはれっきとした社会労働党員であり、党中央サパテロ書記長の指示のもとにこの民営化・首切りを強行しているのだ。これは、昨年の欧州統一港湾ストの先頭に立ち、EU港湾指令(海員に港湾荷役もさせる規制緩和・リストラ・民営化推進など)を撤回させる大勝利をかちとったスペインの港湾労働運動への攻撃だ。
「欧州志向」宣言
だが、次期政権がイラク撤兵と「欧州志向」を表明していることは、米帝を痛撃している。もともと社会労働党は、80年代のゴンサレス政権の登場過程から、ドイツ社民党との物心両面の関係が非常に深い。スペイン資本とドイツ資本(スペインに1100以上の子会社がある)の関係の深さを体現している。そして、イラク復興事業からは、独仏ばかりか、スペイン資本まで事実上排除されている。また01年末のアルゼンチン金融危機の際に、かなりの投資額(スペインはEU全体の対アルゼンチン投資の半分以上を占めた)が、米帝の政策によって回収不能とされている。こうした物質的な基礎がサパテロ次期首相の「欧州志向」宣言にはある。
もともと、米帝のイラク侵略戦争は、独仏帝国主義との中東支配をめぐる争闘戦、EUの分断を決定的な動力として行われてきた。イギリス・スペインを軸とし、東欧諸国を巻き込んで「有志連合」を形成したことは、その柱だった。ここで、そのスペインが米英から離反し、独仏と同盟することは、さらにポーランドなどにも影響を及ぼす。米帝とEUの力関係は地殻変動を開始した。
スペインに続き、日本、イギリス、イタリアなど凶悪な参戦帝国主義のもとでの特殊的・極限的なゲリラ戦の爆発も不可避となっている。
イラク人民、ムスリム人民と連帯し、イラク反戦、帝国主義軍隊の撤兵へと全力で闘いぬこう。
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週刊『前進』(2144号4面4)(2004/04/05)
3・13呉 「とわだ」出港弾劾
中東侵略派兵許さない
3月13日、広島反戦共同行動委員会は、海上自衛隊呉基地からの補給艦「とわだ」のインド洋出兵を弾劾する抗議行動を行った。
呉基地からは強襲揚陸艦「おおすみ」が2月にイラク侵略戦争に参戦している。今回の「とわだ」の出港は、こうしたイラク侵略戦争への参戦と完全に一体のものであり、同時にアフガニスタン侵略戦争への侵略出兵である。呉基地がますます侵略出撃基地として強化されていることを絶対に許すことはできない。
午前8時、「とわだ」が係留されているFバースの直近にあるアレイからすこじま公園に、広島大学の学生を先頭にした抗議隊が陣取った(写真)。潜水艦や護衛艦が居並ぶその向こうに、「とわだ」の巨体がはっきりと見える。甲板で歓送式典が始まるや否や抗議のシュプレヒコールをたたきつけた。「とわだの侵略出兵を許さないぞ!」「自衛官は出兵命令を拒否しよう!」――シュプレヒコールが「とわだ」を直撃する。9時前、黒煙を噴きながら出港する「とわだ」にさらに激しい怒りをたたきつけた。「イラク人民、アフガニスタン人民を殺すな!」「石油のために血を流すな!」――抗議隊は声をふりしぼって抗議行動をやり抜いた。
3・20日比谷10万人決起で、この自衛隊の侵略出兵を阻止し撤退させよう! 被爆地ヒロシマから3・20日比谷へ、闘いは大きく広がっている。
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週刊『前進』(2144号4面5)(2004/04/05)
三里塚講座に60人
鈴木幸司さんが現地報告
3・20国際反戦行動と3・28三里塚全国闘争を前にした3月15日、エル・おおさかで三里塚決戦勝利関西実行委員会主催の三里塚公開講座が開催された。講師に三里塚芝山連合空港反対同盟の鈴木幸司さんを迎え、60人が参加した。
最初に昨年11月の現地調査で安藤真一関実事務局次長が撮影した現地、芝山町菱田地区(中郷)の様子が上映された。菱田地区は暫定滑走路直下の激甚騒音地域であり、80年代の反対同盟切り崩しのために実施された成田用水を利用する地元民は、一人として残っていない。そのような中で鈴木幸司さんとご家族は、警察権力の嫌がらせや監視をはね返して闘っている。荒地となった田畑、碑文もうつろな成田用水の記念碑、80デシベルを超える轟音(ごうおん)などの映像を見るだけで、政府・空港公団への怒りが沸いてくる。
主催者あいさつに立った永井満関実代表は、孤軍奮闘にも近い鈴木幸司さんとご家族の闘いを2期用地内の闘いとともに支えていこうと訴えた。
鈴木幸司さんは、今後、小林成田市長、堂本千葉県知事に成田空港を軍事使用してはならないと申し入れ、暫定滑走路の北側延伸を阻止することを明らかにし、市東さんの農地を地主から買収したうえ、引き渡せなどという攻撃を厳しく弾劾した。(写真)
そして「空港反対運動は侵略戦争を許さない闘いであり、どんな困難をものりこえて団結し、一生をかけて闘っていく」と決意を語った。
鈴木さんの闘いの原点ともいえる戦争体験、成田用水闘争の経緯などについて活発な質疑応答が行われ、3・28三里塚全国闘争への総決起を参加者全員で確認した。最後に加辺永吉関実世話人のまとめで集会を終えた。
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週刊『前進』(2144号4面6)(2004/04/05)
国労5・27臨大闘争弾圧被告招き 岡山で春闘集会
3・20総結集を宣言
3月14日、岡山市内で国労5・27臨大闘争弾圧被告である小倉地区闘争団の羽廣憲さんを招き、春闘交流集会が開催されました。司会は自治労の労働者が担いました。
主催者あいさつに立った許さない会・岡山代表の矢山有作さんは、「労働運動への権力の弾圧を許さず、イラク派兵、改憲といった情勢を吹き飛ばそう」と力強く訴えました。
引き続き、羽廣さんが特別講演(写真)。国労組合員として、原則を守り闘い抜いてきたこと、清算事業団での闘い、解雇撤回闘争など学ぶべきことの多い経験談を中心に、何よりも「国労幹部は腐っている。裁判をとおして国労を再生する」という怒りと決意あふれる報告でした。
その後、実行委員会の全逓労働者が、問題提起として、「年々賃金を下げられているのに反撃さえできないこの状況をなんとかしよう」と訴え、職場闘争報告を中心にした討論に入りました。「成績主義・能力主義」導入への反撃や「合併問題」での合理化との闘い、真っ先に人減らしの対象とされる非常勤職員の闘い、あるいは職場協約を武器にした闘いなど、さまざまな取り組みが報告されました。
また、戦争国家化と闘う宗教団体からも連帯の発言がありました。許さない会・岡山の事務局員は、裁判の現状を報告し、会員拡大と闘争団支援の物資販売を訴えました。最後に岡山反戦共同行動の労働者が、今春闘の最大の課題として、3・20日比谷に結集することを訴えました。
(投稿 A)
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週刊『前進』(2144号4面7)(2004/04/05)
3月16日〜22日
米イージス艦、日本海配備へ
空自が米占領軍物資を輸送
●ホンジュラスもイラク撤退表明 中米のホンジュラスのマドゥーロ大統領は、イラクに派兵している兵士を6月末までに完全に撤兵する方針を明らかにした。ホンジェラスは昨年8月に370人を派兵、旧宗主国のスペインが率いる部隊に所属。(16日)
●日本名指しで攻撃警告の声明 マドリードでの列車同時爆破ゲリラに関連して、アルカイダ傘下を名乗る「アブハフズ・アルマスリ軍団」から、日本などを名指しして攻撃を警告する声明がロンドン発行のアルハヤト紙に届いた。スペインがスペイン軍のイラク撤退方針を表明したことにふれ、「スペイン人は平和を選択した。組織指導部はスペインへの攻撃停止を決めた」としている。(17日)
●暫定政府作り、国連に支援要請 イラクの統治評議会と米英の占領当局(CPA)がアナン国連事務総長に書簡を送り、イラクの暫定政府作りで国連の支援を要請した。これを受けアナン事務総長は、近く支援チームをイラクに派遣すると表明した。(18日)
●ポーランド大統領が「だまされ不愉快」
ポーランドのクワシニエフスキ大統領は、「大量破壊兵器に関する情報でだまされたことに、不愉快さを感じている」と述べ、イラクからのポーランド軍撤退時期について、従来表明していた「05年半ば」より早い「05年初め」となる可能性に言及した。(18日)
●杉並で監視カメラ条例 杉並区の監視カメラ条例が成立。区は今後、区立の全小学校に監視カメラを設置する。区内の「監視社会」化の動きは加速する見通し。(18日)
●空自、米軍物資輸送開始 クウェートに派兵されている航空自衛隊のC130輸送機が今月半ばから米軍を中心とする連合軍の物資の輸送を開始したことが分かった。(18日)
●小沢・横路が安保政策に合意
民主党の小沢一郎代表代行と横路孝弘副代表が安全保障政策の基本原則で合意した。自衛隊とは別に「国連待機部隊」を設置し、「国連主導の多国籍軍に参加する」としている。(19日)
●地位協定、凶悪犯罪のみ米側同席 日本で罪を犯した米兵容疑者を日本の警察が取り調べる際、殺人や強姦などの凶悪犯罪に限って、米政府関係者の同席を認める方向が、日米地位協定をめぐる日米間の非公式協議で大筋合意された。運用見直しが実現すれば、凶悪犯の身柄を起訴前に日本側に引き渡すことに「米政府が好意的考慮を払う」と定めた95年合意以来となる。(21日)
●9・11直後「イラクとの関連見つけろ」
01年9・11直後から、ブッシュ大統領やラムズフェルド国防長官がイラク攻撃を指示していたことがリチャード・クラーク前大統領特別顧問の証言で分かった。証言によると、イラクは9・11と関係ないという説明に対し、ブッシュらは「イラク! サダム! 関連を見つけ出せ」と強い調子で指示したという。ラムズフェルドは「アフガンにはいい標的がない。イラクにはいい標的がたくさんある」と主張したという。(21日)
●来月にも文民派遣 福田官房長官は、イラク特措法に基づいて、ディーゼル発電機設置をイラク人に技術指導する技術者1人をヨルダンに派遣する方針を明らかにした。4―5月に10日間程度、派遣する予定で、同法に基づく初の文民派遣となる。(22日)
●教員150人以上が不起立 東京都立の高校の卒業式で、「君が代」斉唱時などに起立しなかった教職員が150人以上に上ることが、現職教職員の調査で分かった。(22日)
●イージス艦を日本海に配備 米海軍のイングランド長官がワシントンで講演し、ブッシュ政権が推進するミサイル防衛の一環として、広範囲のレーダー探索能力のあるイージス艦を9月末までに日本海に配備する方針を明らかにした。(22日)
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週刊『前進』(2144号5面1)(2004/04/05)
有事7法案・ACSA改定案粉砕へ
「予測事態」で米軍に弾薬
北朝鮮侵略戦争で日米共同作戦
有事関連7法案とACSA改定案など3条約承認案の粉砕へ総決起しよう。法案は「武力攻撃予測事態」から自衛隊が米軍に弾薬を提供し、空港・港湾・道路などを米軍・自衛隊が優先使用する攻撃である。連合・民主党の裏切りを許さず、3・20闘争の大高揚を発展させ、陸・海・空・港湾労組20団体の呼びかけに応え、有事法制阻止の広範な共同行動をつくりだそう。4・9日比谷野音に結集しよう。
20労組と連帯し闘おう
■周辺事態、武力攻撃(予測)事態とACSA改定案■
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改定後の日米協力 |
自衛隊の行動 |
周辺事態 |
物品(弾薬含まず)・役務の相互提供 |
米軍への後方支援 |
武力攻撃予測事態 |
弾薬を含む物品・役務の相互提供 |
陣地構築などの事前展開 |
武力攻撃事態 |
武力行使 |
※政府の説明では周辺事態と武力攻撃予測事態は並存することがある
政府・与党は、国民保護法案など有事関連7法案と3条約の締結承認案について、4月6日の衆院本会議で趣旨説明・質疑を行い、審議入りさせる方針を固めたと報道されている。7月参院選でタイムリミットが切られている小泉政権は、5月の連休までに衆院を通過させ、今国会成立を狙っているのだ。
他方、民主党は昨年6月に有事3法賛成に転じ、国民保護法制については、1年以内を目標に成立を目指すことで与党と合意している。すでに与党と民主党の間では、@民主党が提唱する緊急事態基本法の協議を条件に有事関連7法案の修正協議を行う案や、A国民保護法案を先行処理する案など、有事関連法案をめぐる国会情勢は重大な局面を迎えている。
有事法制は、日帝が米帝の北朝鮮侵略戦争に参戦するための国民総動員法である。これらの法案は、周辺事態法や武力攻撃事態法と一体のものとして、日本を再び侵略戦争の歴史へ進ませ、労働者に侵略の銃を握らせるものだ。さらに国民保護法などをもって自治体、交通、教育、製造業からサービス業まであらゆる労働者が戦争動員される。
イラクでは米欧の民間企業の労働者が少なくとも1万人動員されている。米軍はコスト削減のため、物資の補給や兵舎清掃、ハイテク兵器の運用、警備など、従来は軍隊が自力で行ってきた業務の外注化を進めている。労働者の戦争動員拒否は死活的な課題だ。
有事関連7法案を廃案に追い込むことは闘えば可能だ。3・20日比谷6万人決起で始まった労働者の新しい大統一運動を発展させ、ナショナルセンターの枠を越えた全労働者階級の共同行動として有事法制反対の大運動を推進しよう。「有事法制を完成させない。発動させない。従わない」闘いを職場からつくり出し、陸・海・空・港湾労組20団体が呼びかける4・9日比谷野音集会、5・21明治公園集会に大結集しよう。
スペインでは、「イラク撤兵」を公約した野党の社会労働党が事前の予想を覆して勝利した。スペイン労働者階級は、米英帝と一緒にイラク侵略戦争に参戦するアスナール政権にノーを選択したのだ。
小泉政権打倒−自衛隊撤兵、有事法案粉砕、改憲阻止へ、時の政権に影響力を及ぼす社会的勢力として労働者階級を登場させよう。20労組が呼びかける4−5月闘争に総決起しよう。
空港・港湾・道路は軍隊最優先に
国民保護法案を軸とした有事7法案と3条約のうち米軍と自衛隊の軍事行動に直接関連するのが、日米物品役務相互提供協定(ACSA)改定案とその関連法案の米軍行動円滑化法案と自衛隊法改正案、交通・通信利用法案、外国軍用品等海上輸送規制法案だ。
ACSAは、自衛隊と米軍との間における後方支援、物品や役務の提供に関する協定だ。今回の改定案は@「武力攻撃予測事態」の段階から、自衛隊が弾薬を含む物品・役務を相互に提供できる。A有事以外でも、国際貢献や大規模災害救援などに適用――の2点が柱だ。つまり「予測事態」で弾薬を提供でき、イラクでの物資提供や米軍輸送なども可能になる。
「予測事態」と「周辺事態」について、政府は「並存することもありうる」としており、米軍が朝鮮半島周辺で軍事行動を開始した段階で、日帝は「予測事態」「周辺事態」を宣言し、後方支援活動を自衛隊が行うことを狙っている。
米軍行動円滑化法案と自衛隊法改正案は、米軍が日本国内で活動する際の日本政府の対応を規定する。ACSA拡大に合わせて、弾薬など自衛隊の保有物品を米軍に提供したり、物資や兵員の輸送ができるようにする。このほか米軍の陣地構築が必要な場合、首相の判断で強制的に土地や倉庫を使用でき、その際の損失は日本政府が補償する仕組みをつくる。
注意が必要なのは、この法案は、日米安保条約に基づいて米軍が日本国内で行動する際の日本政府の対応を規定するだけであることだ。つまり実際には、米軍が日米安保条約を盾に自由自在に行動することを意味するのだ。いかなる意味においても米軍の行動を規制するものではない。
交通・通信利用法案は、港湾や空港などを自衛隊や米軍が優先利用するための法案だ。首相が優先利用を空港管理者らに要請し、管理者が停泊中の民間船舶などに移動を命じる。管理者が要請を拒んだ場合も、首相の権限で利用が可能だ。道路や電波、海域、空域についても、同様に優先利用できるよう規定する。
これらの法案の具体的イメージは、94年の北朝鮮侵略戦争危機に際して、米軍が日本政府に示した1059項目の支援の要求が参考になる。以下のようなものだ(左の地図も参照)。
【空港】成田、福岡、長崎、那覇空港の使用。24時間の通関態勢/新千歳、関西、福岡、宮崎、鹿児島、那覇における施設、通信、労務、宿泊・給食
【港湾】松山、大阪、名古屋、水島、福岡、神戸港の使用/苫小牧、八戸、那覇港などの公共岸壁の使用。水先案内人、船舶修理、荷役人などの港湾支援
【施設】横須賀基地、佐世保基地へのミサイル施設、艦船停泊・修理施設の提供/北海道に重火器の実弾射撃が可能な訓練場の提供
【輸送】川上弾薬庫(広島県)からの弾薬輸送(10dトラック148台)/沖縄で865個、佐世保で240個、岩国で228個のコンテナとその輸送
【補給】簡易寝台や毛布など約3万セット
【警備】警察、海上保安庁、自衛隊、日本人基地労働者による米軍基地・施設の警備――などである。
米軍支援の物品や役務は、非常に広い分野で膨大な数量に及ぶ。法案は、北朝鮮侵略戦争遂行のために、▼日本中の空港・港湾、道路の米軍と自衛隊による最優先使用▼交通・港湾・自治体労働者などの動員▼軍事物資の調達▼訓練場や兵舎・ミサイル基地などの土地確保――などを行うものなのだ。
外国軍用品等海上輸送規制法案は、北朝鮮などの船舶に停船を求め、積荷や書類を検査する「臨検」を実施できる。停船命令に従わなければ、船体への危害射撃も可能と規定している。これは憲法が禁じる「交戦権の行使」そのものだ。食料や燃料などの経済物資についても事実上、臨検が可能で、北朝鮮を海上封鎖し、日帝の側から先制攻撃するための法案だ。
自衛隊が捕虜を拘束できる規定
捕虜等取り扱い法案は、捕虜の収容方法や拷問・虐待の禁止事項を定めるものだが、核心は自衛隊が捕虜を拘束できるように規定することである。
国際人道法違反処罰法案は、国際紛争において、文化財の破壊、捕虜送還の遅延、文民の出国妨害など、国内法では想定されていない罪を新設する。
この2法案は、戦争放棄の戦後憲法体系を転覆し「戦争のルール」を定めるということである。
国民保護法案は、国や自治体による有事の際の避難・救援のための措置を規定している。しかし、「住民の避難」とは、自衛隊や米軍が円滑に軍事行動できるように住民を排除し統制するということである。あたかも北朝鮮からのミサイルやゲリラに備える自衛的な形式だが、実際は、米日帝の先制攻撃の戦争から生ずる「反撃」に備えるもので、自衛の名による侵略戦争法の典型である。
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週刊『前進』(2144号5面2)(2004/04/05)
陸海空港湾労組20団体がアピール
有事法阻止へ奮闘を
陸・海・空・港湾労組20団体の有事法制完成阻止のアピールを紹介します。(編集局)
有事関連法案閣議決定に強く抗議するとともに、有事法制完成阻止にむけていっそう奮闘します
1.政府は3月9日有事関連法案を閣議決定し、今通常国会での成立を図りたいとしています。私たちは有事法制反対の立場から閣議決定に強く抗議するとともに、有事法制完成の阻止にむけていっそうの奮闘を表明するものです。
2.有事法制は、日本が武力攻撃を受けた場合に備えるためとの口実で進められてきました。しかし閣議決定された法案は、民間を含めて、日本が総力をあげて米軍を支援するためのものであることを鮮明にしています。とりわけ、交通運輸産業に携わる私たちに直接関係する特定公共施設等利用法案は、「アメリカ合衆国の軍隊が実施する……行動」で「必要であると認められるときは……(港湾・飛行場・道路・海域など)施設の全部又は一部を……優先的に利用させるよう要請することができる」としていますし、「内閣総理大臣は……利用が確保されない場合において……利用を確保すべきことを指示することができる」と、強権をもって米軍利用を優先確保する姿勢があからさまになっています。
3.私たち陸・海・空・港湾労組20団体は、新ガイドライン関連法成立が現実味を増してきた1999年3月19日、「私たち交通運輸関係に働く労働者を知らないうちに戦争への協力者としてしまう危険性が、日を増すごとに明らかになってき(た)」ことに対して、「『自らが絶対に加害者にならない』という決意を込めて」アピールを発信しました。そのおり私たちは、新ガイドライン関連法の危険性を、「アメリカが始める戦争に自動的に巻き込まれる」「後方地域支援だから安全は欺瞞」「経済活動と国民生活に計り知れない影響を与える」などを指摘しました。閣議決定された有事関連法案は私たちの指摘を、まさに、現実のものにしようとしています。
4.私たちは「有事法制を完成させない、発動させない」立場から、労働組合・市民・宗教者の方々と連携を強化し廃案を強く求めていくとともに、イラク戦争1周年の3月20日に予定している日比谷公園小音楽堂での平和コンサート、さらには4月・5月に計画している集会や国会前行動などの諸取り組みの成功に向けて奮闘するものです。
以上
2004年3月11日
陸・海・空・港湾労組20団体
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週刊『前進』(2144号5面3)(2004/04/05)
労組法改悪絶対許すな
労働委員会制度を解体し団結権破壊を狙う大攻撃
3月5日、政府は労働組合法の一部「改正」案を閣議決定し、ただちに国会に提出した。
この労組法改悪案の内容は以下のとおりである。
(1)労働委員会は審問開始前に争点、証拠、証人数、命令の交付時期などにつき審査計画を作成し、審査期間の目標達成状況を公表。
(2)証人の宣誓義務を新設し、虚偽の陳述には3月〜10年の懲役(当事者は30万円以下の過料)。
(3)審問を妨げる者に退廷を命じる規定を設け、違反者には10万円以下の過料。
(4)公益委員が合議により証人の出頭、物件の提出を命令することができ、命令に従わない場合は30万円以下の過料。
(5)労働委員会が和解を勧めることができる権限を明記し、和解調書は強制執行できる。
(6)地方労働委員会に2人以内の常勤の公益委員を置くことができる。
この労組法の改悪は、昨年12月16日の労働政策審議会の「労働委員会の審査迅速化等を図るための方策」の建議に基づくものであるが、そこでは、労働委員会の審問の「長期化」や行政訴訟における命令の「高取り消し率」を理由に審査の「迅速化」と「的確化」を図ることが「法改正」の目的だとされている。
しかしその本質は、労働委員会制度を解体し、反動的につくりかえられた労働委員会のもとで、刑事罰をも使って労働者の団結破壊を暴力的に貫徹しようとするものにほかならない。
命令を守らないJRと反動司法こそ問題の根元
そもそも「審査の長期化」の最大の原因は、JR採用差別事件などのJR関連事件の救済命令をJR資本が履行せず、大量のJR関連事件が中労委で「寝たまま」になっていることにある。
また、「高取り消し率」の問題は、団結権を保障するために労働委員会が出した救済命令を形式論理で否定した98年5・28反動判決以来の裁判所の反動化にこそ原因がある。命令を守らないJR資本や反動化する裁判所のあり方をまったく問題にせず、逆にそのような裁判所に労働委員会を従属させようとする今回の労組法改悪は、まったく本末転倒している。
この法案を一見して明らかなことは、審査における公益委員の権限を圧倒的に強化していることである。刑事罰や行政罰を背景に「審査計画」を強権的な審問指揮で強行し、「審査の迅速化」「的確化」を図るというのだ。そして審問指揮に従わない労働者は暴力的に排除するというのである。つまり、反動的な裁判所のやり方の労働委員会への導入だ。「審査の迅速化」とは、こういうことである。まさに大改悪にほかならない。
労働者の救済も審問主義も否定する「審査計画」
「審査の迅速化」とは司法制度改革が意図する強権的訴訟指揮と同様、労働者の権利否定につながる。
「審査の迅速化」「的確化」の主要な手段が、審問開始前の「審査計画」の導入にあることは明白だ。
昨年7月に発表された「不当労働行為審査制度の在り方に関する研究会報告」は、「当事者から提出された多数の書証」「多数の証人尋問」など「審問が当事者主導」となっていることや、「争点に係る判断に必ずしも必要と言えないような事件に至る経緯や背景事情などが詳細かつ幅広く記載されがち」なことに「審査の遅延」の原因を求めている。ここに、今回の改悪の本質がさらけ出されている。
労使関係にかかわる事実を総合的に判断して不当労働行為を認定するという労働委員会のあり方は、ここでは否定されている。事実の総合的な立証は、単なる「背景立証」として争点整理の段階で切り捨てられるのだ。しかも、こうしたやり方に従わない労働者は暴力的に排除される。
こんなことを許せば、使用者が「自白」した場合など、直接的に不当労働行為が立証できるきわめて限られた場合しか労働者は救済されないことになり、本来の不当労働行為救済制度は根本的に否定される。
不当労働行為制度の本来の趣旨は、「私法上の権利義務関係」の形式論だけで判断せず、団結権の保障を具体的・実質的に実現するところにある。
ところが、「私法上の権利義務関係」の形式論だけで一切を判断し、労働委員会命令を取り消すことが、JR不採用事件の98年5・28反動判決以来、裁判所の基本姿勢となっている。それは、まさに憲法に保障された団結権を否定し、労働者の権利を廃絶しようとする「規制緩和」や「小泉構造改革」と一体のものなのである。
さらに研究会報告では、陳述書によって審問を削減することさえも打ち出されている。
労組法の審問主義の規定は、準備手続きや書面のやりとりを長々とする裁判所と違い、書面を準備する負担なしに事実調べをまず行い、その中で真実を明らかにしようというものであり、労働者の救済機関として当然のあり方であった。
それに反して「審問開始前に争点、証拠、証人数などにつき審査計画を立て、労使双方は計画に従う」とすることは、審問主義を破壊し、労働組合に著しい不利益を与えるものになる。
労使の力関係は使用者の側にそもそも傾いている。それを団結権の保障をもって「対等関係」に持ち込むというのが労組法の基本的な立場である。証拠も法的知識もない、時間もない、圧倒的に不利な労働者が労働委員会に申し立てをし、申し立てた労働者は審問の開始の中で手探りで問題を整理し、争点を次第に明確にし、証拠を探し、事実を立証していくのである。
にもかかわらず、あらかじめ争点を整理し、証拠、証人を決めてしまうことは、圧倒的に有利な立場にある使用者と、圧倒的に不利な立場にある労働者・労働組合の関係を始めから固定化してしまうものであり、労働委員会制度の審問主義の趣旨に根本的に反している。このような労働委員会の裁判所化は、あらかじめ不利な立場に労働者をしばりつけ、それに抵抗する労働者は暴力的に弾圧するということなのだ。
「労使関係秩序の回復」を優先化し和解を法制化
さらに、「建議」は不当労働行為制度の目的として「労使関係秩序の迅速な回復」をうたっている。「建議」は、不当労働行為審査制度は「団結権侵害行為によって、……労働条件について使用者と対等に交渉できる正常な労使関係秩序が損なわれている場合に、これを迅速に回復することを目的」とするという、労組法のどこにもない目的規定を書き連ねている。
団結権保障よりも「労使関係秩序」を優先するとして、価値観を転換しているのだ。
こうした労組法改悪の行き着く先が、悪名高いタフト・ハートレー法のような「労働組合の不当労働行為」規定の導入であり、戦時下における階級闘争の平定と城内平和確立にあることは明白だ。
このような法目的の反動的転換から「和解」が労組法の成文規定として導入されようとしている。これによって、労働基本権の侵害に対して救済命令を出すという不当労働行為救済制度の目的は破壊され、「労使関係秩序の回復」をすることが労働委員会の目的とされるのである。
今また、労基法のさらなる改悪で金銭解決条項(裁判で労働者が勝訴し、解雇無効となった場合でも、資本が一定の金銭を支払えば解雇できる)の導入がたくらまれている。労組法に和解を明記する改悪は、こうした策動とあいまって、原状回復を基本とする不当労働行為救済制度を根本から覆すものになる。
このように、今回の労組法改悪は、裁判所に従属した方法と考え方による「審査計画」の暴力的な強行で労働者・労働組合を「正常な労使関係秩序」に追い込もうとするものだ。
それは、「外への侵略戦争」と「内への階級戦争」の攻撃そのものであり、団結権の暴力的破壊そのものだ。司法制度改革や共謀罪の新設、労働運動への治安弾圧の激化の一環なのだ。
政府は、今国会での成立を強行しようとしており、連合・全労連など既成の労働組合はこの手先になっている。労働委員会闘争を闘う争議組合・争議団、中小零細、地域合同労組、そして何よりも4党合意と闘いぬいてきた国鉄1047名闘争陣形を中心に、闘う労働組合・労働者が団結し、労組法改悪阻止の闘いに今こそ決起しよう。
(投稿/関西合同労組 平沼武昭)
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週刊『前進』(2144号5面4)(2004/04/05)
第6部 総動員体制(6)
マスコミの戦争協力
封じ込められた戦争批判報道
戦争翼賛の報道
日帝の15年戦争は、マスメディアの積極的な戦争協力、翼賛報道なしには成り立たないものであった。
31年9・18柳条湖事件−中国侵略戦争への突入。国内では、30年11月浜口首相襲撃や32年5・15事件を始め軍部による連続するクーデター(計画)。
こうした事件を当時のマスコミはどう報道したか。柳条湖事件について、新聞は軍部発表のデマだけを大々的に報道した。「奉天軍の襲撃から日・支両軍遂に交戦」「悪鬼の如き支那暴兵」(東京日日新聞)「燦(さん)として輝くわが軍の偉容」(大阪朝日新聞)と日本軍を称揚し、中国への差別をあおった。
柳条湖事件を契機に権力による新聞記事差し止めが激増、報道・言論への統制が強まっていった。しかし、新聞・ラジオなどが日帝の侵略戦争政策に積極的に協力したことも事実である。大阪朝日新聞は31年10月、「国家重大事に処し日本国民として軍部を支持し国論の統一を図るは当然……軍部及軍事行動に対しては絶対非難批判を下さず、極力之を支持すべきこと」を決めた。そして、朝日新聞社は在満軍隊慰問金募集を始め侵略戦争支持の大キャンペーンを行った。
一方、当時、新聞と並ぶ2大マスメディアに成長していったラジオは、柳条湖事件を初めての臨時ニュースとして流し、軍部への協力を開始。日本放送協会は「生命線満蒙の認識を徹底させ、外には正義に立つ日本の国策を明示し、内には国民の覚悟と奮起とを促して、世論の方向を指示するに努める」方針をとった。
中国侵略戦争の拡大の中で、32年2月廟巷鎮(びょうこうちん)での戦闘において、部落出身者を含めた3人の青年兵士が敵陣を突破するために自爆死の犠牲を強いられた。しかし新聞・ラジオはこれを「肉弾三勇士」と祭り上げ、戦争の激化・拡大をあおった。
同じ時期、5・15事件(犬養毅首相殺害)を始め軍部急進派によるテロ、クーデター計画が相次いだ。5・15事件翌日、軍部非難の論陣を張った福岡日日新聞に対して陸軍や右翼が脅迫し、「憲政擁護」を訴えた名古屋新聞は社説の発表を禁止された(社説欄を空白のまま発行)。
33年8月、国家総動員への実践的訓練として大々的に行われた関東防空演習に対して、信濃毎日新聞の主筆桐生悠々は「関東防空演習を嗤(わら)う」と題して論説を掲載した。「かかる架空的な演習を行っても、実際には、さほど役に立たないだらうことを想像するものである」。だが、これにさえ軍部は在郷軍人組織を動員して、同紙の不買運動をおこし、桐生を退社に追い込んだ。
内閣に情報機関
その後、軍部・国家権力による言論統制は、36年2・26事件と37年7・7盧溝橋事件を決定的契機に一層強まっていった。
戒厳令下の36年7月、中央情報機関として内閣情報委員会が設置され、翌37年9月に内閣情報部へと改組・強化された。言論・表現を統制・抑圧し、マスメディア政策を決定する中央機関である。さらに38年4月、国家総動員法は「総動員業務」として新聞その他の出版物の掲載を制限・禁止する権限を政府に与えること(第20条)とし、従来の「軍事・外交」のみならず「一般治安」や「財政金融」についても事前に言論統制ができるとした。
そして40年12月、第2次近衛内閣は情報局を発足させる。現役軍人が実権を握り、報道・出版を全面的な国家的統制下に置き、映画・演劇・音楽などあらゆる表現活動を支配した。
40年2月、衆議院議員斎藤隆夫は「聖戦の美名に隠れて……国家百年の大計を誤るようなことがあれば、政治家は死してもその罪を滅し得ない」と演説を行った。しかし軍部などがこの演説に集中砲火を浴びせ、斎藤は議会から除名された。明治憲法下とはいえ議会内での言論の自由が完全に奪われたのだ。こうした言論弾圧は、治安維持法や国防保安法、言論出版集会結社等臨時取締法、戦時刑事特別法など弾圧立法による戦時治安弾圧攻撃の激化として加えられた。
言論統制はどのように行われたのか。書籍・雑誌の場合、ひとつは編集過程への干渉である。最初は編集者への協力要請から始まり、編集方針・内容への介入や事前検閲が行われ、さらに掲載差し止めや執筆禁止、発行許可制へと進み、編集者や執筆者の逮捕へと至った。また発行された書籍・雑誌を検閲し、記事削除や発売禁止の処分が加えられた。さらに「国難」を名目に出版社そのものが暴力的に整理統合・解体され、軍部の独断で書籍・雑誌が廃刊にされた。「思想戦の参謀本部」(奥村情報局次長)と豪語した情報局を先頭に、戦時下の言論統制が激しく進められた。
「中央公論」37年9月号の矢内原忠雄による「国家の理想」という論文が「国情を無視する不穏思想(キリスト教的反戦人道主義)」として削除処分を受け、「改造」や「唯物論研究」などの雑誌が次々と削除や発禁処分をうけた。
また37年7月、警視庁は新聞雑誌などで「反戦または反軍的言説をなしあるいは軍民離間を招来せしむるごとき事項」の掲載を禁止し、10月には出版関係54社と検閲当局の「出版懇話会」を発足させた。
41年に入り情報局は総合雑誌の「執筆禁止リスト」を作成、さらに雑誌の編集プランと予定執筆者の事前提出を命令。6月には「日本編集者協会」を設立し、編集者の戦争協力を推し進めた。例えば経済雑誌については、@国防国家の経済体制を作るという新しい経済理念を確立せよ、A大東亜共栄圏はできるという信念をもて、B政府にまかせるという気持ちを国民にもたせよ、C日本の食糧問題に不安を与えるな、といった指示を与えた。
こうした中で、戦時下の最大の言論弾圧である横浜事件が引き起こされた。これは、「改造」42年8〜9月号に掲載された細川嘉六の論文が、「共産主義の宣伝」であるとして同氏を治安維持法で逮捕したのを始め、「共産党再建」をデッチあげ、中央公論社や改造社、岩波書店などの編集者約60人が逮捕され、4人が獄死、約30人が有罪とされた事件である。
新たな15年戦争に突入した今日、戦前のマスメディアの戦争協力と権力による言論弾圧は、けっして過去に終わった問題ではない。(五十嵐茂生)
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週刊『前進』(2144号6面1)(2004/04/05)
「とめたいんや戦争」女性が呼びかけ行動 大阪 N・M
3月14日、大阪・扇町公園で、関西の女性たちが呼びかけた「とめたいんや戦争! 守るんや命! 3・14行動」が行われた。イラクで「人間の盾」として闘った神戸の高薮繁子さんが呼びかけ、450人を超える賛同を集めて大きな陣形になった。(写真下)
この行動には、アメリカの約3千人の兵士の家族で構成される「発言する軍人家族の会」のメンバーのヴィッキー・マンクさんが参加した。彼女の息子は、現在米陸軍兵士としてバグダッドにいる。彼女は息子の写真とともに登壇し、息子のイラク派兵によって真実に目覚めたと話した。「不正義の戦争のために私たちの子どもを犠牲にするなと政府に要求しよう」と訴え、大きな拍手をあびた。
暑いくらいの日差しの中、さまざまな旗や幕、のぼりをもった男女800人近くが集まった。
高薮さんが「イラクの人びとに連帯し、3・20に大結集して自衛隊を撤退させよう」と呼びかけた。子どもたちは「戦争で幸せになる子どもはいない!」と訴え、満場の拍手。歌やダンスをはさんで、沖縄や在日から発言。イラク戦争が沖縄戦や朝鮮侵略戦争とつながっていることを訴えた。
労働組合で闘う元自衛官の男性は、派兵違憲の訴訟を準備していること、ミキサー車200台の反戦パレードやストライキを報告した。続いて1分間のリレーアピール。次々と飛び入り発言が続き、婦民全国協、部落解放同盟全国連婦人部を始め10組の多彩なアピールとなった。
最後に、東京・各地での3・20行動への決起が呼びかけられ、ヴィッキーさんを先頭にピースウォークに出発した。A&Uの若者たちの太鼓のリズムで元気に梅田までデモをした。
一緒に参加した若い友人が3・20日比谷への参加を決めてくれた。戦争をとめる女性たちの力を実感した行動だった。
自衛艦3隻の大阪港入港に抗議のデモ 大阪 印刷労働者 S
3月22日、冷たい雨がそぼふる中、800人の労働者が天保山公園に集まり、自衛艦3隻の入港に抗議して南大阪官民連帯総決起集会とデモを闘いました。関西反戦共同行動委員会も合流し闘いました。
3月6日の米ミサイル駆逐艦カーティス・ウィルバー入港に次いで、幹部候補生の研修を口実に一般公開などをたくらむ自衛艦の入港です。「大阪港の平和利用を推進する連絡会議」に結集する港、住吉、西成、大正などの南大阪平和人権センターの労組員は、「大阪港の軍港化を阻止するぞ」「イラクの自衛隊は今すぐ撤兵しろ」のシュプレヒコールをあげました。海遊館から港湾局、東西線大阪港駅を回って天保山公園まで1周デモをしました。
集会では労働者が、「94年から米艦船や自衛艦が入港するたびに抗議してきたが、3月に入って2回、しかも自衛隊イラク派兵のただ中、有事7法案の国会提出の中での自衛艦の入港だ」と発言。年配の労働者は、「この天保山岸壁は、前の戦争で中国やアジアへの侵略戦争のための兵站(へいたん)基地として山のような物資が積み出された。空襲と機雷封鎖でさびれたこの港を労働者と市民の力で商業港として復興させ、市民の憩いの場としてにぎわうまでなった」。青年労働者は、「難波、天王寺、京橋でイラク反戦の署名を集めている。私たち労働者が戦争反対の先頭に立とう」。戦前・戦中・戦後と脈々と流れる南大阪の労働者魂があふれんばかりの力強い発言でした。
ちなみに天保山は海抜4・5bの二等三角点のある日本最低山です。天保2年(1831年)に川をさらい土砂を積み上げて大阪港の入出の目印として行灯(あんどん)などが設置されました。
会社を追い詰めた動労西日本のスト 関西 江崎 有
3月13日、吹田機関区で行われた動労西日本のストライキを私もともに闘った。スト通告を行った後、早朝から機関区門前でスト突入集会が闘われ、同じ吹田機関区の国労5・27臨大闘争弾圧被告の小泉伸さんや家族の会の東理恵さん、春闘ストを闘う関西合同労組を始め地域の労働組合・労働者30人が結集した。
このストは、JR貨物6000人、吹田機関区300人の怒りを体現した闘いだ。87年の会社発足時、約1万2千人だったJR貨物の要員は、相次ぐ合理化の結果、現在6千人になっている。「ニューチャレンジ21」のもとでさらに要員が削減され、現場では退職者の欠員補充もされていない。「一日休んだだけでは疲れがとれない」「ダブル泊や明けの早出は体がもたない」「年休抑制の上、休日出勤を命じられる」など労働者の声は切実だ。深夜労働中心の列車乗務員や検修・保線の労働者が疲労を蓄積させている現状は、運転保安の上でも深刻だ。
各職場の欠員状態を前にJR貨物関西支社は「マイナスの平準化」として岡山や広島などへの遠隔地配転を強行している。JR総連・貨物労は会社と一体となり合理化・要員削減を推し進めている。これへの労働者の怒りは激しい。「動労千葉のようにストライキで闘おう」という訴えがストレートに浸透し始めた。
今回、会社はさまざまなスト妨害を行ってきた。団体交渉が決裂した直後、会社は口頭で「ダイ改当日のストはやめろ」と通告してきた。スト前日には関西支社長・河野春樹の名で警告書を持ってきた。「ダイ改の日のストは非常識」「ストの回避を通知する」という内容だ。明確な不当介入・不当労働行為だ。
追いつめられた会社の対応に勝利を確信して動労西日本はストを貫徹した。
自衛隊官舎ビラ入れ弾圧に怒り抗議集会 東京・三多摩 中原一朗
立川市内の自衛隊官舎に自衛隊イラク派兵に反対するビラをまいたことを口実に「立川自衛隊監視テント村」のメンバー3人が2月末に不当逮捕された事件に対し、「反戦ビラ入れへの弾圧を許さない3・15立川集会」が行われ、弾圧に怒る150人の労働者市民が集りました。
集会で、内田雅敏弁護士は、「警視庁と最高検察庁が事前に起訴することを協議して踏み切った弾圧だ。しかし大切なのは、弾圧直後に50名の法学者が声明を出すなど、大衆的な反撃で弾圧を押し返していることだ」と力強く述べました。
法学者声明の発起人である亜細亜大学教授の石埼学さん(憲法学)は、「法学者の立場から弾圧を許せないと思い、メールで『声明』を呼びかけた。イラク反戦闘争の高揚でこの弾圧を無力化していこう」と訴えました。会場からの発言では、一人で米大使館抗議行動を続けていた女性労働者が、職場ガサを受け、日常的に尾行されていると報告しました。
19日、逮捕された3人は不当にも起訴されました。しかしこれは権力支配の危機を示すものです。派兵強行によって国論二分的状況を現出してしまった日帝・小泉は、一市民の「表現の自由」さえも許す余裕がなくなってしまったということでしょう。
この弾圧を聞いてがっくりきた人もいるようですが、冗談じゃない。法学者声明も出たし、あの朝日新聞さえ社説で「逮捕は問題だ」と言ったのです。落ち込んでいるひまはない。3・20の高揚をバネに戦時型弾圧を跳ね返していきましょう。
゛派兵は地獄道゛
3月15日昼下がり、JR上野駅公園口に「自衛隊イラク派兵は地獄道」のメッセージボードを掲げて登場した「二度と戦争は許さない! 戦争体験者杉並100人の声の会」、総勢20人。公園警備や警察、JR職員の排除攻撃をはねのけ2時間の宣伝をやりきった。
高田普次夫代表は「ここは敗戦直後は焼け野原、大勢の浮浪児たちがいた。もう二度と戦争はしないと平和憲法をつくったのではないか」と語り、3・20日比谷結集を訴えた。多くの署名が寄せられ、交流の輪が広がった。
(土倉加奈、写真も)
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週刊『前進』(2144号6面2)(2004/04/05)
水嶋同志無罪判決の意義
弾圧破った不屈の闘い 検察官控訴を弾劾する
3月17日、東京地裁刑事第1部(川口宰護裁判長)において、88年9・21千葉県収用委会長せん滅戦闘デッチあげ弾圧裁判で、無実の水嶋秀樹同志の完全無罪判決をかちとった。この勝利は、反動化を強める司法に対し、力でもぎりとった大勝利である。しかし3月26日、検察官は不当にも控訴した。この暴挙を激しい怒りで弾劾する。
水嶋同志は無実であり、9・21戦闘には一切関与していない。国家権力の悪辣(あくらつ)なデッチあげに怒りを燃えたたせ、不屈・非転向の獄中闘争を貫いた水嶋同志を先頭に、家族、弁護団、友人・同志の全力をあげた闘いで大勝利したのだ。
検察官主張を全面的に排除
判決には、これまでの公判闘争の勝利が完全に反映され、検察側主張は全面的に退けられた。無実の水嶋同志を指名手配・逮捕・起訴した唯一の根拠であった正井の写真「特定」は信用できないとした。
正井が法廷において直接水嶋同志と対面し、会話もした上で、「この人は『A』ではない」と述べたことや、水嶋同志と『A』との身体的特徴の違いを具体的に指摘した。「特に、体格、しゃべる口調、頭髪の状態、歯の状態、視力の違いについて、検察官の主張する加齢に基づく容貌(ようぼう)の変化によっては合理的に説明することは出来ない」と言い切った。アリバイ立証に関して「アリバイが虚構であると断定することは出来ない」との判断を示した。
検察官のデッチあげを粉砕した被告・弁護団の闘いの前に、川口裁判長は検察官の主張をことごとく退けるほかなかったのである。完ぺきな勝利である。
水嶋同志の完全無罪判決戦取は、同時に検察官によるデッチあげの実態を社会的に明らかにした。
このデッチあげは、取調官が正井に「写真特定」させるに当たり、ほかに多数の写真を持っていながら、「これしかない」と言って、細工したピントのぼやけた14年も前の顔写真だけしか見せずに「特定」を誘導したこと、裁判においては、正井が水嶋同志を見て「A」であるか否かを証言することが核心であったにもかかわらず、検察官がこれを阻もうと法廷についたてを立てることを強硬に主張したことなどに典型的に現れている。被告と弁護団はこれを打ち破った。
水嶋同志に対する本件での指名手配・逮捕・起訴の全過程は、権力による政治的デッチあげ弾圧そのものだった。日帝は88年、三里塚闘争が反対同盟の不屈の闘いで軍事空港粉砕・二期工事阻止の闘いとして爆発していることに対し、強制収用を画策した。革命軍の千葉県収用委会長せん滅戦闘は、この狙いを完全に打ち砕いた。この闘いへの階級的報復弾圧が水嶋同志へのデッチあげ弾圧だった。
水嶋同志が74年の対カクマル横国大戦闘への国家権力の弾圧を打ち破り、全国指名手配の時効を迎えようとしていた中で、権力は転向分子・正井を使って水嶋同志をデッチあげたのだ。だが、水嶋同志はこの二重の弾圧と不屈に闘いぬき、ついに権力の政治的弾圧を粉砕したのである。
日帝・国家権力は、革共同と人民の闘いを押しつぶすためには、人権など一切顧みず平然とデッチあげ弾圧を強行するのだ。われわれの闘いはまさにこれとの攻防であった。
84年9月の自民党本部火炎戦闘へのデッチあげ弾圧での無罪戦取、87年8月の皇居砲撃戦闘に対するデッチあげ弾圧での内藤雄二同志の無罪判決確定、神藤猛雄同志の一審無罪戦取。これまで数々のデッチあげ弾圧を粉砕してきた。逆に言えば国家権力がいかにデタラメなデッチあげ弾圧を繰り返してきたかがわかる。革共同はこれに屈せず闘い続け、今回また、水嶋同志の裁判でも勝った。そして3月25日には、86年迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧裁判で無実の須賀武敏同志、十亀弘史同志、板垣宏同志の無罪判決をかちとったのだ。
無実の同志達の闘いを鼓舞
水嶋同志の完全無罪判決戦取の意義は限りなく大きい。第一に、権力のデッチあげ弾圧が不屈の闘いの前には無力であることを示したことである。自衛隊のイラク派兵を強行し、戦時下に突入した日帝は、革命党と一切の反戦勢力を壊滅・解体するためにますますデッチあげを使った戦時型弾圧を激化させている。司法改革攻撃や共謀罪新設攻撃はデッチあげ治安弾圧のための大攻撃である。これを全力で粉砕しよう。そしてひるむことなく闘おう。完黙・非転向、不屈・非妥協の闘いは必ず勝利する。
第二に、軍事空港粉砕・二期完成阻止を闘っている三里塚闘争の永続的爆発への檄(げき)を発していることである。戦時下、三里塚闘争はますます光り輝いている。反対同盟の農地死守の闘いと一体となって〈9・21戦闘〉の勝利の地平を引き継ぎ、空港廃港・有事立法粉砕を闘おう。
第三に、この勝利は、獄中29年、デッチあげ弾圧と不屈に闘う無実の星野文昭同志の再審実現と奪還への闘い、迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧と闘う無実の福嶋昌男同志奪還の闘い、同じく無実の3同志の無罪判決戦取の闘い、無実の富山保信同志の再審を求める闘いと固く連帯してかちとられた。今回の勝利は、すべての無実の同志たちのデッチあげ弾圧粉砕の闘いを力強く推進するだろう。
弾圧との闘いの勝利は、権力の不当な弾圧を許さず、闘う人民の勝利への確信を深め、階級闘争の発展を根底において推進する。この勝利を高く掲げ、有事立法粉砕! 司法改悪−共謀罪阻止! イラク反戦闘争の空前の爆発に向かって4月決戦に突入しよう。
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週刊『前進』(2144号6面3)(2004/04/05)
ブックレット 『教育基本法の改悪とどうたたかうか』
前進社出版部編 400円
帝国主義打倒の闘いが教基法改悪阻止する道
昨年3月20日の中教審答申によって教育基本法改悪策動が具体的に始まった。イラク派兵、北朝鮮侵略戦争の切迫、有事関連法制定攻撃が改憲を日程に上らせている。教基法決戦はこれとの闘いとまさに一体である。本ブックレットは、04〜05年の歴史的決戦を闘うための決定的な武器として発行された。
本書の冒頭でまず、昨年の12・23日比谷集会の画期的意義を確認しているように、何よりも闘う教育労働者、労働者階級人民自身が決戦の訪れを痛切に感じ、勝利の路線と方針を求めている。本書はこのことに真っ向からこたえた闘争論である。現場で闘いを開始した活動家を始め、広く労働者・学生・人民にぜひとも持ち込んでもらいたい。
国際主義を対置
本書は以下の内容で構成されている。
1章では、最初に教基法改悪にかけた帝国主義の階級的目的を明らかにした。「国策としての戦争」への国民の精神的総動員にこの攻撃の最大の狙いがあること、その絶対的前提が「教育労働者の一切の抵抗をねじふせ、戦争教育のために動員すること」である。
2章では、そもそも現行の教基法とはどのようなものなのか、それ自体を逐条的に解明し、あらためて憲法との関係を押さえた。戦前の天皇制教育との対比で教基法の性格を明確にし、教基法改悪の意味を浮き彫りにするためである。
3章では、中教審最終答申を具体的に暴露した。本書の中心個所である。教基法各条の何がどのように否定されているのか明確にとらえることが重要だ。ここで特に強調したいことは、本書が階級的な批判の視点と立場を鋭く一貫させていることの重要性である。例えば、答申の「教育目的」で言う「たくましい日本人の育成」を、本書では「これ自体、排外主義の扇動そのものなのである」(24n)と突き、批判の根底を的確に論じている。「国益」「祖国防衛」を盾にとった攻撃に勝利する立場とは、労働者階級の階級的=国際主義的立場であることの力強い提起だ。
4章では「愛国心」攻撃の現段階を暴露・批判している。その恐るべき実態を徹底的に暴露・宣伝することが求められている。戦前への回帰がけっして抽象的観念ではないことを痛感する。
全労働者の課題
5章ではこの攻撃とどのように闘うのか、その実践的結論として次のように訴えている。「今日の教育基本法改悪を軸とする教育改悪攻撃……にたいしては、全労働者階級がみずからの課題としてたたかわなければならない……全階級的政治闘争としてたたかわなければ、けっして真の勝利はかちとれない」(53n)と。そして勝利の究極的展望は「労働者階級全体の解放、帝国主義打倒の展望のなかにみずからの自己解放の道を見いだしていくこと」(54n)にあると明らかにしている。
現に日教組・全教傘下の労働者の共闘を実現した12・23集会は、既成教労運動をのりこえ、連合・全労連の制動を打ち破って闘いを戦闘的に推し進める歴史的うねりとなり始めている。本書は、教基法闘争をこうした観点とスケールでとらえ、教育労働者、労働者階級の闘いの実践こそが歴史変革の推進力であることを鮮烈に示している。
最後に6章では、戦後教育労働運動を全体として階級的に総括し、新たな戦闘的教育労働運動の路線を提起している。これまでの教育労働運動に支配的であった、教基法そのものに「理想の教育像」「一種の価値理念」を見いだすような傾向、資本主義公教育としての教基法の限界を批判し、「教基法自体が教育反動化への歯止めになるということではない」として、闘いの主体はあくまでも階級的立場に立って闘う教育労働者であることをあらためて強調している。
教労運動を総括
そのために勤評闘争に至る戦後教育労働者の闘いを生き生きとつかみ、教基法制定過程を振り返って教基法とは何なのかを歴史的にとらえ直した。
現行の教基法は一面では戦後革命の発展を強く反映しているが、同時に日帝ブルジョアジーの予防反革命的意図が基本的に貫かれている。その意味で「やはり、教育基本法も、憲法と同様、戦後革命の敗北・挫折の副産物ととらえることができる」(63n)
5、6章はこれ自体、戦後日教組運動を総括し、日教組本部のパートナー路線、全教本部を根底から批判するものとなっている。
教基法改悪阻止の闘いとは何なのか――「帝国主義こそ滅びるべきだという祖国敗北主義=国際主義の立場でプロレタリア革命にむかってたたかいぬくこと」(70n)。これが本書の結論と言える。
本書は戦後日教組運動の総括そのものでもあるが、この課題は戦後民主主義に対する日本人民全体のかかわりの総括とも密接に絡みあっている。また、改憲闘争が現実の政治的正面課題として急浮上してきた今日、改憲阻止決戦論としても必読の書である。
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週刊『前進』(2144号6面4)(2004/04/05)
集会日程
群がって悪いか!のさばるな警察!
4・11緊急共同集会
4月11日(日)午後1時開始
京橋プラザ区民館2Fホール(中央区銀座1の25)
地下鉄「京橋」「宝町」「銀座1丁目」下車
★集会後、日比谷公園までデモ行進
主催 4・11緊急共同集会実行委員会
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週刊『前進』(2144号6面5)(2004/04/05)
公判日程
☆迎賓館・横田裁判 福嶋昌男同志裁判
4月20日(火)後後1時15分
*東京地方裁判所
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