ZENSHIN 2004/03/08(No2040
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週刊『前進』(2140号1面1)(2004/03/08)
革共同の3月アピール
3・6春闘集会に全力を 3・20イラク反戦 日比谷大結集へ
北朝鮮侵略戦争突入のための有事法案国会提出を阻止しよう
陸上自衛隊本隊派兵に対する2・19〜21北海道現地闘争が、イラク侵略戦争参戦への怒りをたたきつけ、自衛隊兵士に出兵拒否を訴えて闘い抜かれた。全学連を始めとする反戦共同行動委や現地の百万人署名運動が旭川・札幌・千歳の労働者人民の熱い感動的な合流を生み出した。海自派兵に対しては室蘭で決起した全国港湾を先頭に各労組が力強い取り組みを示した。動労千葉は2月10日から指名スト・非協力闘争を敢行し、春闘絶滅攻撃に真っ向から抗して04春闘全体の戦闘化を牽引(けんいん)している。日本でも明らかに3・20イラク反戦世界同時決起へと情勢が大きく動いている。3・6首都圏、3・5関西を始めとする3月春闘集会を大成功させよう。3・20日比谷10万人をあいまいさのない目標として職場・産別・地域・学園から大結集運動を巻き起こそう。
第1章 動労千葉ストに連帯し04春闘をともに闘おう
3月春闘集会(5日大阪、6日東京)と3・20イラク反戦世界同時決起で階級的力関係の画然たる転換をかちとろう。
そのために第一に訴えたいことは、動労千葉の組織の存亡をかけたストライキ決起に連帯し続こうということである。動労千葉の闘いをすべての労働者人民に雷鳴のように知らせ、闘いの意欲とエネルギーに火をつけよう。
04年、あらゆるところで動労千葉のような闘いが絶対に必要なのだ。
01年9・11反米ゲリラ戦闘と03年2・15全世界2千万人反戦決起と米英日帝による3・20イラク開戦は、世界史を一変させた。とりわけ、03年3・20をもって、米帝―国際帝国主義は、「対テロ戦争」を呼号しベトナム戦争以上に大規模で泥沼化必至のイラク侵略戦争に突入した。そして、それをめぐって国際階級闘争は、帝国主義国の労働者階級の全世界的決起と、イラク人民・ムスリム人民のやむにやまれぬ壮絶な民族解放戦争の爆発を始め、全世界でのイラク反戦闘争の高揚として新たな局面を迎えた。
まさに、21世紀革命のすべての要素が早くも端緒的・決定的に噴き出し始めた。日本でも、世界的規模での戦争と民営化・外注化と治安弾圧をめぐる革命と反革命の激突の真っただ中で、昨年の11・9日韓米国際連帯労働者集会がかちとられた。同時に、国鉄、全逓、自治労、教労を始めとする諸産別で、青年労働者の中で、日本労働運動の戦闘的決起が起こり始めた。問題はどういう戦略と路線で、どういう思想で闘うかである。
実際、小泉の構造改革路線の攻撃や総資本の側からの奥田ビジョンに基づく攻撃はすさまじいものだ。
04年版経労委報告は、95年以来の日本帝国主義の資本攻勢の総仕上げの位置をもって打ち出されている。それは、大不況と国家財政の破綻(はたん)と帝国主義間争闘戦での敗勢にあえぐ日帝が、帝国主義の死活をかけて生き残るという凶暴さをもって労働者階級への攻勢に出てきたものだ。東アジア・中国市場をめぐる日米争闘戦の激化の中で、一方ではFTA締結を武器とする日帝独自の東アジア自由経済圏構想の実行を打ち出している。同時に国際競争力をつけることを至上命令として、国家と企業が国際競争に勝つために労働者はすべてを犠牲にせよという。年功型賃金制度から能力主義と成果主義による賃金制度に全面転換し、定期昇給制度廃止、ベースダウンをやり、総額人件費大幅削減を受け入れよ、春闘などやめよ、文句があるなら治安体制を強化して弾圧するぞというのだ。
それによって、6千万労働者階級は、連合本部や全労連中央の闘争放棄あるいは自己解体の裏切りの中で、ずるずると後退を強いられ屈服させられるかどうかの断崖絶壁に立たされている。
だが、現情勢の核心は、日帝の労働者支配の破綻の中で最大のチャンスを迎えていることにある。04春闘を逆に反転攻勢の転機とすることは不可能ではないのだ。いや、固く団結し必死に闘えば闘いの火柱を立てる春闘にすることはできる。それを早くも実際に証明してみせたのが動労千葉の闘いだ。
動労千葉は、国鉄分割・民営化がもたらす要員問題の矛盾、事故、労働災害を暴露し、安全問題を全社会的に突き出し、動労千葉への差別的な不当配転・不当労働行為への怒りを猛爆発させて決起している。「われわれは団結を守りぬいてJR体制にのり込み、そして今、国鉄分割・民営化攻撃に決着をつける新たな闘いを開始したのである」と高らかに宣言している(『動労千葉24』)。そこには、流動化しつつある日本労働運動の胎動への確信がある。戦争と大失業の厳しく苦しい時代は同時にプロレタリア革命の時代であるという確固たるマルクス主義的な時代認識が共有されている。だから、ここで決起すれば血路を開けるという階級的決断をもって、まさに壮絶な死闘戦に突入したのだ。
2・10からの断固たる指名ストライキ・非協力闘争はすさまじい打撃力でJR資本を震撼させ、第1ラウンドで当局を追いつめる画期的勝利をかちとった。動労千葉は、その地平を確認し、次の3月ダイ改阻止ストライキに決起する体制に入った。動労千葉の闘いは、日本の労働者階級に広く充満する気分とその階級的魂を体現している。
日帝・小泉政権の12・9イラク派兵計画閣議決定による侵略戦争への参戦は、国論二分状況で強行されたものである。それを契機に、昨年時点ではその規模において国際反戦闘争で圧倒的に立ちおくれていた日本においても、たまりにたまっていた怒りがついに噴出する決定的情勢を迎えている。
これは、主体的にいえば、日帝権力がファシスト・カクマルを使って革命党と戦闘的労働運動を破壊しようとした警察=カクマル連合を、革共同の対カクマル戦争と動労千葉の戦闘的労働運動防衛の闘いが歴史的に破綻させたということにほかならない。89年総評解体―連合結成から15年、ついに連合を使った労働者支配が破綻し、他方、カクマルはそのファシスト性を労働者から見抜かれたばかりか、自らが黒田中央派と松崎JR総連派に分裂し、後者はさらに松崎派と嶋田派に分裂した。われわれは、カクマルを先兵とする日帝の労働者支配を全面的行き詰まりに追い込んだのである。
それゆえ日帝はむき出しの凶暴な姿をもって12・9開戦に突っ込んでいかざるをえなかった。階級的労働運動が反動期をのりこえ全面的に発展する主体的条件を、われわれは多くの闘う労働者とともにつかんだのだ。
動労千葉の中野洋前委員長が「89年総評解体以来待ちに待った絶好の情勢が到来した」と喝破していることは、実はすべての労働者の危機感と戦闘意欲と響き合う情勢認識なのである。
必要なのは断固たる闘いの牽引車であり、労働者階級の闘いの路線と方針を明確に打ち出すマルクス主義の党である。
だからわれわれは心から熱烈に訴える。動労千葉のように闘おう、ストライキを闘い抜いた動労千葉を先頭に3・20日比谷に総結集しよう、陸・海・空・港湾労組20団体の闘いと連帯し、本当に10万人を結集して世界と日本の階級闘争の歴史的転換点としようと。イラク派兵反対署名を飛躍的に広めようと。
第2章 日帝足下から労働者の反戦の嵐まき起こそう
第二に訴えたいことは、今日版「武運長久」の黄色いハンカチ運動や対北朝鮮排外主義の帝国主義的愛国主義運動を真っ向から打ち砕き、イラク派兵阻止・戦争協力拒否の反戦・反軍の大闘争を3・20で爆発させようということである。
「イラク復興のための派兵」「イラク人によるイラク人の政府をつくるための派兵」とは真っ赤なうそだ。それは現実を見れば明らかだ。侵略戦争は昨年5・1で終わっていない。むしろ逆だ。5・1以後始まっているものこそ、本格的な帝国主義的侵略戦争なのだ。帝国主義軍隊による主要都市の軍事占領、「ゲリラ掃討戦」の名による侵略戦争の継続・強化、イラク人民の虐殺、劣化ウラン弾被害の拡大、その中で植民地カイライ政権づくりをやる戦争だ。
自衛隊派兵は、イラク再植民地化の戦果を帝国主義諸国が山分けすることに日帝が「実力の行動」(小泉施政方針演説)をもって参入することだ。
昨年3・20をもって開始されたイラク戦争とは何か。それはイラクの植民地支配、イラク・中東石油の略奪と中東全体の支配のための文字どおりの帝国主義的侵略戦争、強盗戦争、虐殺戦争なのだ。「6・30を期限とする主権移譲」などまったくのペテンである。米帝に都合のいいカイライ政権をつくるものだ。そもそもイラク統治評議会はイラク人民の意志と無縁なところで米帝―占領当局が勝手にデッチあげたものではないか。また「国連主導の復興支援」なら許されるのか。とんでもない。それは、より狡猾(こうかつ)な植民地主義だ。
小泉は日米同盟が大事だからイラク派兵をすると言う。だが、日米同盟は日本とアメリカの帝国主義強盗同士の軍事同盟であり、労働者人民の利益とはまったく無縁のものだ。それは米日帝が軍事力によってそれぞれのブルジョアジーの利益を貫くために互いを利用するだけのものだ。同盟と言うが、日米帝国主義は実際には非和解的対立の場にいる。中国市場などアジアをめぐってはつぶし合いをやってきた。米帝は日本市場にも攻め込んできている。米帝のアジア支配に対して日帝はFTA協定を武器に食い込もうとしている。それは激しい保護主義を強め、排他的ブロック化に走り、そのあげくには帝国主義間戦争、世界戦争に行き着くしかないという破滅の道である。
だが、イラク侵略戦争の階級的性格と目的は、それだけではない。
帝国主義諸国の一部の支配階級どもは、自分たちは安全地帯にいて(ブッシュが若い時に前線逃れをしていたことなど支配階級においては日常茶飯事だ!)自国の多くの若者たちを戦場に送り、犬死にを強い、特に被差別人民を戦火の矢面に立て、労働者を前線や後方で戦争動員する。とりわけ基地重圧を強いられている沖縄人民により一層の差別と戦場化を強いる道だ。だからそのために労働運動を解体し、労働者の権利や生活を破壊し、ますます悲惨な賃金奴隷制を強制し、愛国主義一色の国民的総動員をかけ、自国の階級支配を強権的に強める。自分たち金融独占ブルジョアジーの利益を守るために膨大な自国の労働者人民に犠牲を強要するのだ。
なぜ今、「安全」をうたい文句とした治安の強化なのか。労働者の団結権・争議権の強権的な剥奪(はくだつ)なのか。在日・滞日外国人差別、部落差別、沖縄差別、「障害者」差別、被爆者差別、女性差別が激化しているのか。それは、労働運動を絶滅し、闘う労働者を監獄に送り込み、労働者人民を差別=分断支配でがんじがらめにし、黙らせる以外に、侵略戦争を遂行することはできないからだ。それは、資本主義の命脈が尽き、最後の時を迎えているからなのだ。
3・20イラク反戦行動を、労働者を軸にすべての人民・兵士がひとつの階級のきょうだいとして団結し、階級性=国際主義性をよみがえらせ、階級的労働運動を復権する壮大な闘いとしよう。
ムスリム人民と連帯世界革命切り開こう
第三に訴えたいことは、帝国主義国の労働者階級人民が団結してブッシュ政権や小泉政権を始めすべての帝国主義を打倒しようということである。プロレタリアートが社会の主人公になるのだ。
イラク・ムスリム人民の闘いは民族的・人間的尊厳をかけた誇り高い民族解放の闘いである。彼らは、全土で、連日連夜、特殊的・極限的ゲリラ戦争をたたきつけ、大衆的デモをくりひろげている。アメリカ軍、イギリス軍、オランダ軍、ポーランド軍や国連、米英占領当局や警察や軍事占領協力者に対して必死の反撃をたたきつけている。自衛隊が本格参戦した今、どのような形であれ、自衛隊や日本国内の諸機関を標的とする日本版9・11が起きるのは避けられない。
彼らは訴えている。イラクはイラク人のものだ。外国帝国主義の軍隊は撤退せよ。石油や資源を帝国主義が強奪するのは許せない。イラク経済を帝国主義資本が食い物にするのはやめろ。米英の戦争は不正義の侵略戦争だ。イラクの国土や文化を破壊し、大量の無差別虐殺を行った戦争犯罪人たちに死を与えよ。帝国主義諸国の労働者人民は自国の侵略戦争をやめさせよ、と。
この戦争で敵と味方は誰なのか。テロリストと言えば「悪」「敵」とされているが、まったく間違っている。イラク人民・ムスリム人民とそのテロリスト・ゲリラ戦士たちはわれわれ日本の労働者人民の敵なのか。断じてそうではない。同じ味方なのだ。日本版9・11が起こったとしても、そうなのだ。共通の敵は世界の帝国主義者どもなのだ。
3・20でイラク・パレスチナ・中東・ムスリム人民の民族解放闘争と連帯し、日比谷10万人決起をかちとろう。
第3章 有事・治安弾圧国会に反撃し小泉政権打倒を
第四に訴えたいことは、3月春闘集会―3・20全世界同時反戦決起をもって、小泉政権の有事法制と労働運動圧殺のための反動国会を粉砕し、小泉政権を労働者人民の実力で打倒する闘いの突破口としようということである。
小泉=奥田路線の攻撃はますます激化している。国会では国民保護法案を始めとする有事関連7法案・3条約(協定)、特定船舶入港禁止法案、労働組合法改悪案、年金改革関連法案、司法改革関連法案、臓器移植法案など、反動法案が目白押しだ。教育基本法改悪の攻撃も重大化している。また、自衛隊イラク派兵と並んで、6者協議をてこに拉致問題と核問題をふりまわしつつ、MD(ミサイル防衛)構想を進め、北朝鮮侵略戦争体制の構築を総力で進めている。
労働現場では首切り自由の解雇ルールが制定され、民営化が拡大し、大企業が生き残るためなら何でもオーケーの資本攻勢が吹き荒れている。国労本部の屈服と裏切りをてこに国鉄1047名闘争破壊の攻撃が重大な局面に入っている。「日の丸・君が代」の昨年10・23都教委通達と教基法改悪策動をもって教労運動の圧殺攻撃が激化している。そして「安全」を国策に祭り上げ、警察官増強、共謀罪新設、在日・滞日外国人に対する密告体制づくりなどを推進している。
それに対して野党の民主党は有事法制づくりを自民党と競っている。連合は、賃金カーブの低下は避けられないとうそぶき、定昇制度の廃止を容認し、それどころか賃金決定基準に成果主義・業績主義の導入を主張するありさまだ。年金制度についても年金目的税などと消費税増税に賛成している。連合指導部は奥田路線の先兵そのものである。
重要なことは、イラク侵略戦争がそれらすべての動向を規定していることである。日帝は、96年以来の安保・沖縄―有事立法をめぐる攻防を経て、国論二分情勢のままイラク参戦へ突っ込んだ。つまり、革命党と戦闘的労働運動を壊滅できないまま、米帝と共同・競合して世界戦争過程へ突入した。そこから、治安弾圧の強化をむき出しにしてきている。労働問題が治安問題化している。まさに戦時下の労働運動・階級決戦となったのだ。
自衛隊イラク派兵阻止闘争をさらに連続的に推進しよう。北朝鮮侵略戦争阻止の旗を鮮明にさせ、有事関連7法案阻止、改悪外為法粉砕、特定船舶入港禁止法案粉砕を闘いとろう。
沖縄の名護新基地建設をめぐる闘いは、96年日米安保再定義、SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意から8年、いよいよこれから本番に突入する。既成革新政党の崩壊の中で、米軍用地特措法の最高裁反動判決攻撃に屈服することなく継続して闘い抜いている反戦地主の闘いと名護新基地建設阻止の闘いは、沖縄闘争の新たな高揚の土台となっている。沖縄の3・20大統一行動は、東京10万人大結集と並んで、戦時下の階級闘争を体現した闘いだ。ともにその成功をかちとろう。
国鉄3争議団・闘争団の団結をつくり出し、5・27臨大闘争弾圧を打ち破る闘いをますます強力かつ広範に推し進め、1047名闘争勝利をかちとろう。国鉄労働運動を基軸に4大産別決戦をかちとろう。民間、中小、未組織の労働運動をつくりあげよう。
三里塚闘争は農地死守・空港廃港と同時に国際反戦闘争の最前線だ。3・28三里塚全国総決起集会に総力結集しよう。
3・14革共同政治集会をかちとり、それをもバネに3・20へ突き進もう。
「われわれとブルジョア平和主義者との相違は、われわれが戦争と国の内部の階級闘争との不可避的なつながりを理解していることであり、階級を絶滅し社会主義を建設しなければ戦争をなくしえないということを理解していることであり、また内戦すなわち抑圧階級に対する被抑圧階級の戦争、ブルジョアジーにたいする賃金労働者の戦争の正当性、進歩性、必然性を完全に認めていることである」(レーニン『社会主義と戦争』)
まさにこの戦時下の階級決戦の最初の関門を突破する闘いが3月春闘集会と3・20だ。これは、対カクマル戦に勝ち抜いてきた地平から、革共同の91年5月テーゼ―01年第6回大会路線―新指導路線の真価を発揮する闘いである。
この闘いの中で、党の革命をやり抜き、青年・学生を大胆に獲得し、労働組合運動・労働運動の中に党細胞を建設していこう。『前進』拡大とマルクス主義学習会の組織化がかぎだ。連合や全労連や全労協の枠を突き破って、3・20東京日比谷10万人結集を本当に実現しよう。ここに全力投入し、労働者階級が生きるか死ぬかの勝負をかけよう。
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週刊『前進』(2140号1面2)(2004/03/08)
反戦共同行動委 陸自本隊の出兵を痛撃 学生逮捕はねのけ兵士に訴え
2月21日の陸自本隊第2陣・約140人のイラク出兵に対し、19日から21日までの3日間の連続闘争がたたきつけられた(=関連記事4面)。全国から駆けつけた絶対反対派が地元の労働者人民の決起と結合し、侵略派兵への怒りを解き放った。日帝・小泉が狙う派兵の既成事実化は粉砕された。反撃の時だ。この闘いを引き継ぎ、3・20の大爆発へ。
旭川基地の北門で攻防
反戦共同行動委は20日、旭川駐屯地を包囲する戦闘的デモを行い、権力の弾圧を打ち破ってゲート前を制圧。派兵される陸自隊員に直接、出兵拒否を訴えた。翌21日には空自千歳基地へ2波のデモを敢行し、正門ゲート前で最後まで派兵阻止を闘い抜いた。その中で地元住民と自衛隊家族の決起がかちとられた。
「陸自本隊派兵を阻止するぞ!」。20日午前11時、140人のデモが旭川駐屯地の正門に近い花咲スポーツ公園を出発した。全学連が先頭に立ち、駐屯地に沿って力強く進んだ。自衛隊宿舎の前では、ひときわ大きな声で訴えた。デモの途中、部隊の半分はそのまま北門の阻止行動に入り、残りが基地を一周するデモを貫徹した。抜け駆けの出兵を防ぐためだ。
北門では、機動隊と対峙し侵略派兵を弾劾するシュプレヒコールをたたきつけ、リレーアピールで出兵拒否を真剣に呼びかけた。自衛官の家族が駐屯地に入っていく。最後までデモをした部隊の大半が応援に駆けつけた。午後1時。北門の向こう側に「日の丸」(天皇制右翼の日本会議が配ったもので、隊員・家族からも批判が出た)の小旗を持った隊員と家族が集まってきた。見送り式典が始まろうとしているのだ。
その時、機動隊と私服が全学連の部隊に襲いかかった。密集して踏ん張る全学連。先頭で闘っていた宮城啓副委員長が不当逮捕された。「絶対に退くものか。侵略派兵は許さないぞ」。全学連はこの弾圧に怒りを爆発させ一歩も引かない。大勝利だ。北門の正面に「イラク・北朝鮮への侵略戦争反対」の横断幕を広げた。突然、宣伝カーが交差点を突っ切って北門前に突入し、大音量で派兵を弾劾。出兵部隊を乗せたバスはもう出発間際で、権力は宣伝カーを排除できない。権力の度肝を抜く快挙だ。
地元の住民たちも集まってきて騒然たる状況となった。1時30分、大型バス3台に分乗した派兵隊員が出ていく。機動隊ともみ合いながら、バスの両側から出兵拒否を猛然と呼びかけた。大勢の隊員がバスの中から抗議部隊に手を振ってこたえた。権力の弾圧をものともしない必死の訴えが自衛官を揺さぶったのだ。
正門では、担当官が「請願は西門で受け付ける」「脅威を感じた」などと言って一度は帰ってしまったが、粘り強い抗議で申し入れ行動を貫徹した。
午前の集会は婦人民主クラブ全国協議会の司会で始まった。北海道反戦共同行動委が主催者あいさつ。地元・旭川の男性が「補償するというが命は戻らない。止めなかったらどうにもならない」と発言した。
全学連現地行動隊が「『出兵拒否は正義の闘い』という横断幕を掲げ、朝は駐屯地前と市役所前で、昼間は買物公園で、夕方には再び駐屯地前で派兵反対を訴え続けた。今回の闘いは、そうした闘いの蓄積の上にかちとられている」と報告した。関東「障害者」解放委員会、部落解放同盟全国連合会などが決意表明を行った。
千歳基地へ2波のデモ
21日、90人が空自千歳基地へ2波のデモを敢行。地元の夫婦の方も参加した。
早朝、ひざまで雪が積もったグリーンベルト・ポエム公園を踏み固め、集会ができる状態にした。東北大学学生自治会が「右翼とカクマルを蹴散らし、派兵反対の声で埋め尽くそう」と基調報告。全国沖縄青年委員会、都政を革新する会の北島邦彦事務局長などが発言した。
午前10時、第1波デモに出発。住宅から一家3人が出てきて「ご苦労様。頑張って」と手を振った。ゲート前では、「日の丸」と黄色い旗を並べた30人ほどの右翼が、「日本国・自衛隊頑張れ」「復興人道支援頑張れ」とがなりたてていた。デモ隊は「侵略の旗・日の丸を振るな」と右翼を弾劾した。
午後、第2波のデモも戦闘的に闘われた。商店や町工場の労働者が声援。住民から「今日のデモは多いわね」の声。外国人や修学旅行生がバスから手を振った。ゲート前では権力の弾圧をうち破り、立ち止まって侵略派兵を弾劾した。
午後4時から、基地ゲート前に陣取って横断幕を広げ、「侵略派兵をやめろ」と申し入れた。北海道反戦共同行動委を始め11団体が請願書を読み上げた(15団体が提出)。見送りに来た家族と自衛官を乗せたバスが注目して通過していく。午後5時17分、新千歳空港から政府専用機が夕やみの空に飛び立った。「侵略出兵を許さないぞ。派兵を阻止するまで闘うぞ」と怒りのこぶしを突き上げた。
大山尚行全学連委員長が「全人民と自衛官の中に絶対反対勢力をつくり出す闘いが本格的に始まった。3・20の10万人結集を」と闘いを総括。北海道反戦共同行動委が「この勢力でこれだけの闘いがやれた。多くの人にこのことを伝え、派兵は止められると訴えよう」と締めくくった。
一方、カクマルは旭川闘争から逃亡。千歳では「日本国軍」の見送りに来たものの、寒さに耐えかねて出兵を待たずに退散した。
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週刊『前進』(2140号2面1)(2004/03/08)
04春闘 動労千葉 ダイ改阻止・運転保安確立へ 3・12−13スト方針
2月指名ストの地平を打ち固め ともに闘う3・6春闘集会へ
動労千葉は2月22日にDC会館で開催した第50回定期委員会において、2月10日から開始した指名ストライキと非協力闘争がかちとった画期的な成果の上に立って、3月12〜13日を中心として48〜72時間規模の全組合員を対象としたストライキを配置して闘う方針を決定した。動労千葉とともに、04春闘に立ち上がろう。動労千葉が主催する「04春闘勝利! 3・6首都圏討論集会」に集まり、自らの職場に、動労千葉のように闘う労働組合をつくり出そう。3・20日比谷に職場の仲間を根こそぎ組織しよう。
定期委で闘争体制確立
動労千葉第50回定期委員会は、04春闘勝利に向けた闘争体制確立を始め、当面する方針を決定した。指名ストと非協力闘争がJR東日本当局をかつてなく追いつめていることを確認し、3月ダイ改阻止の山場の闘いに打って出る方針だ。
決戦段階の闘いについては、3月12〜13日を中心として、48〜72時間規模の全組合員を対象としたストライキを配置し、要求の解決を求めることとした。
また04春闘を@反合・運転保安春闘、A団結権・年金・生活防衛春闘、B1047名闘争勝利―国鉄労働運動再生春闘、C反戦・国際連帯春闘、D組織拡大春闘として位置づけて、組織の総力を結集して立ち上がる方針を確立した。
さらに04春闘の最大の焦点として「3・20に東京で10万、20万のデモを実現し、小泉―奥田体制に一矢(いっし)を報い、階級的力関係を変えるきっかけとなるような闘いを実現しよう」と確認した。
04春闘における新賃金、反合・運転保安、労働条件改善要求は以下のとおり。
@3万8000円の大幅賃上げ獲得。賃金制度改悪阻止。
AJR貨物における「生活改善一時金」30万円(55歳以上の社員は40万円)の獲得。
Bシニア制度撤廃―年金満額支払い年齢に応じた定年延長と、65歳まで働ける労働条件の確立、55歳以降の賃金減額制度廃止。
C第二基本給制度の廃止。
D差別なき基準昇格制度の確立。
E諸手当改善。
F総武緩行線及び快速線の運転時分短縮計画撤回。
Gこの間の重大事故に関する経営責任の明確化、安全に係わる一切の規制緩和計画の撤回、安全に係わる規程の厳格な運用。
H検修・構内業務外注化、基地統廃合計画撤回。
I強制配転者の原職復帰、士職登用、懸案要求解決。
また委員会では「自衛隊のイラク派兵反対、有事立法粉砕、小泉政権打倒にむけた決議」と「定期委員会宣言」を採択した。
団結して総力戦に突入
動労千葉は2月10日より指名ストライキと非協力闘争に突入した。ベテラン運転士Hさんの不当配転を撤回すること、運転士資格を持ちながら発令を拒否され続けてきた組合員を運転士にすることを始めとする懸案要求の解決を求めて、立ち上がったのだ。
動労千葉が国鉄分割・民営化に反対してストライキに立ち上がってから18年。動労千葉には、運転士の資格を持っているのに、入社して20年、40歳を過ぎても運転士に発令されず、他の職種を転々とさせられている組合員(=予科生)が何人もいる。運転士から駅に強制配転されて17年もたつ組合員も数十人いる。
Hさんが配転されようとした木更津にも予科生がいる。運転士が必要なら、地元の予科生を運転士にして当然だ。当局はそれを承知の上で、Hさんに異動を発令した。組合の団結を崩すことを狙った不当配転だ。
「日刊動労千葉」第5823号(2月19日発行)は次のように訴えている。
「JR発足以降17年に及ぶ不当差別、不当労働行為、動労千葉破壊攻撃の数々に決着をつけるためにわれわれはたち上がった。われわれは、退職を目前にして不当配転された仲間の痛み、20年も運転士発令を拒否され続けている仲間の痛み、不当配転されて17年間も塩漬けにされ続けた仲間の痛みを絶対に忘れない。そして許さない」
「東労組の組合員に訴える。……それでも動労千葉の組合員は、労働者としての誇りを失わず、胸を張り、人間らしく、明るく何よりも仲間を大切にして闘い続けていること、それがなぜなのか考えてほしい。これは一人の労働者としての生き方の問題だ。わずかの昇進や会社の攻撃にさらされないために自己保身だけを考えて仲間どおしで足をひっぱり合い、会社のロボットになっていくような生き方をしていいのか。労働者にとって何よりも大切な財産は仲間だ。仲間を信頼して団結することだ。動労千葉に結集してともに闘おう」
この中に、労働者としての生き方と、労働組合のあるべき姿が示されている。
今、多くの労働組合が労働者のために闘うことをやめ、まったく逆に、経営者になり代わって労働者に賃下げやリストラ計画を認めさせる側に立っている。これがいったい労働組合なのか? 動労千葉が団結して立ち上がったように、当たり前に闘う労働組合をすべての職場につくり、04春闘に立ち上がろう。
JR体制の矛盾が噴出
動労千葉はJR発足以降、毎年のように春闘ストライキを闘い、大幅賃上げを求め、不当配転や士職登用差別の解決を迫ってきた。動労千葉の要求はほとんど通らないという現実に歯がみしながらも、闘いをとおして組合の団結を堅持して闘いぬいてきた。
しかし今や、JR体制の矛盾が噴き出している。いよいよ分割・民営化体制が崩れる過程に入ったのだ。
まず一つは、JR総連カクマルの分裂である。あらゆる合理化・賃下げ攻撃をJR資本とともに推進してきたJR総連カクマルが大分裂し、JR資本とJR総連カクマルの結託体制が崩壊の過程に入っている。
二つめに、要員不足の問題が壁に突き当たっている。検修職場など保守部門では、この3年間でほぼ3人に1人が退職する。動労千葉の組合員を運転職場や検修職場から引きはがすという労務政策を最優先した結果、ついに仕事をまわすために必要な要員が足りなくなろうとしている。
三つめが安全問題である。JR東日本の安全は今、崩壊の危機に陥っている。昨年9月の中央線の大幅な輸送混乱や、京浜東北線での工事部品との衝突事故、成田線でレールスター(保線点検車)が6`も暴走するなど、重大事故を繰り返してきた。
千葉でも1月6日、総武快速線下り津田沼〜幕張間で、レールが真っ二つに割れて2aものすき間ができているのが発見された。1月13日には、習志野電車区構内の検査線で2本のレールが折れていた。まさに脱線寸前の状態なのだ。
JR発足から17年間で、業務中の事故により死亡した労働者はJR全体で228人、うちJR東日本が121人と過半を占める(社員16人、外注作業員105人)。合理化を徹底して推し進めた結果、JR東日本はとんでもない「殺人企業」になり果てた。
分割・民営化で経験豊富な技術者を解雇し、あるいは強制配転で現場からはずし、さらに施設関係(保線、電力、信通など)の業務を外注化したことが、安全を崩壊させたのだ。
重要なことは、この〈JR体制の危機>をつくり出したのが動労千葉の闘いだということだ。
なぜJR総連カクマルが松崎派と嶋田派に分裂し、醜悪な抗争を繰り広げているのか。動労千葉の不屈の闘いが、分割・民営化攻撃の先兵であり労働者階級の敵であるというカクマルの本性を暴いたからだ。
なぜ要員問題が危機に陥ったのか。動労千葉の組合員が強制配転や士職登用差別を受けながら、一歩も譲らず闘ってきたことが、今や仕事がまわらない事態まで強制しているのだ。
安全の危機とは何か。一切を「動労千葉つぶし」にかけるJR東日本の労務政策と、無謀きわまりない合理化が、ついに鉄道会社として成り立たないほどの危機をつくり出したのだ。
不屈にJR体制と対峙し闘い続けてきた動労千葉の闘いが、ついに、JR体制を完全にひっくり返す局面を切り開いたのだ。
いよいよ国鉄分割・民営化攻撃の決着を迫る新たな闘いが始まった。動労千葉は、JR総連を解体して組織拡大を実現するため総力で立ち上がっている。
この動労千葉の闘いこそ、すべての労働者の勝利の道を示している。国鉄1047名闘争の勝利の道筋も、ここにある。
3・20大結集へのインパクト
動労千葉の3月ストは、3・20へ向けて、全国の労働者に大きなインパクトを与え、鼓舞激励する闘いとなる。イラク派兵や、賃下げ・定昇解体、団結権破壊、社会保障の解体などの総攻撃に対し、怒りを解き放ち、資本家階級と労働者階級の階級的な力関係そのものを塗り変える闘いを3・20で実現しよう。
総評解散・連合結成から15年。抑え込まれてきた労働者のエネルギーを解き放つ時が来た。労働運動の大再編と大高揚の局面を迎えたのだ。ナショナルセンターの枠組みを越えた闘いの巨大なうねりも始まった。なんとしても10万人結集を実現しよう。職場の仲間をみな誘って、ともに参加しよう。
3・6春闘集会は3・12〜13春闘ストの総決起の場だ。動労千葉の闘いがすべての労働者の心に響く時代が来た。動労千葉のように闘う労働組合をつくろう。3・6集会に集まろう。
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週刊『前進』(2140号2面2)(2004/03/08)
『動労千葉No.24』発行 04春闘を闘う武器に
動労千葉は、機関誌『動労千葉24』を結成25周年記念誌として発行した。「戦時下の労働運動――開始された労働者の反撃/小泉―奥田体制に立ち向かう04春闘を!」というタイトルだ。動労千葉は3・6首都圏春闘討論集会から3・20国際反戦行動の10万人決起に向けて多くの労働組合などで活用することを呼びかけている。
内容は、1月25〜26日に開催した動労千葉全支部活動者研修会での中野洋常任顧問と田中康宏委員長、中田一夫さん(動労千葉を支援する会)の講演、中野常任顧問の著書『俺たちは鉄路に生きる2』についての布施宇一顧問(前副委員長)と現執行部の感想文などだ。それぞれ、動労千葉にかける組合員の思いが伝わってくる。
20周年から25周年の歩みがグラビアで紹介されている。DC会館の建設、田中委員長体制の確立、そして昨年11・9国際連帯集会など、5年間の闘いの前進をあらためて確信させるものだ。
(頒価600円)
○申込先 千葉市中央区要町2―8 DC会館 国鉄千葉動力車労働組合
TEL 043‐222‐7207
FAX 043‐224‐7197
E-mail doro-chiba@doro-chiba.org
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週刊『前進』(2140号2面3)(2004/03/08)
国労弾圧公判 石井証人の暴言に怒り “闘争団が大会妨害” 警官導入居直る革同
2月24日、国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第20回公判が東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で開かれた。前回に続き、「被害者」と称する石井勝幸・国労本部会計監査員への証人尋問が行われた。
冒頭、浅野史生弁護人が鉄建公団訴訟の意義を明らかにし、その原告を統制処分に付そうとしたのが5・27臨大だと述べて、被告の正当性を明らかにした。松崎博己被告団長は「闘争団の実態調査」と称して闘争団の分断と切り捨てを狙う国労本部を弾劾した。
前回公判で裁判長は、検察側に「犯行に至る経緯等」をどう立証するのか釈明せよと求めていた。検察側冒頭陳述には、「犯行に至る経緯等」として「中核派は……闘争団の一部を取り込み、国労全国大会会場内で演壇を占拠するなどの議事妨害をした」などと書かれている。
釈明を求められた古田浩史検事は、「証人請求もする予定」と述べた。一瀬敬一郎主任弁護人がすかさず「公安刑事を証人に予定しているのか」と問いただした。検事は「どの警察官に証言させるかは釈明しない」と口走った。公安刑事に「中核派が演壇占拠」などというでたらめをしゃべらせようというのである。弁護団がさらに追及を続けたが、青柳裁判長は「検察官の主張によれば『犯行に至る経緯等』には証拠の裏付けが一応あると考えられる」と検察側を救済した。
石井証人が入廷した。被告が彼をにらみ据えた。
前回、弁護団は国鉄分割・民営化以来の経過、とりわけ4党合意以来の国労本部の裏切りについて尋問するため、石井証人を弁護側証人としても採用するよう求めていた。裁判長はこれを認め、この日の尋問は石井証人に対する弁護側主尋問として行われた。
大口昭彦弁護人が尋問に立ち、国労近畿地本書記長や西日本エリア本部執行委員を務めた証人の経歴と、証人が革同に所属することなどを聞き出した。
佐藤昭夫弁護団長が「4党合意の受諾は国労の従来の方針を否定するものではないか」と質問した。証人は「そうではない」と言い張った。だが、その理由を聞かれると「中央執行委員会できちんと判断した。中央執行委員会の決定に従うのが本部役員の立場」と繰り返すだけだ。
肝心な質問になると「覚えていない」「中央執行委員ではないから分からない」とはぐらかす証人を、東元被告が「無責任じゃないですか」と弾劾した。裁判長も「できる限り記憶を探って答えるように」と証人をたしなめた。
弁護団は、ビデオプレス制作の『4党合意撤回を求めて』を上映して質問を続けた。00年8月の続開大会前夜に闘争団が国労本部と行った長時間の交渉場面が映し出された。そこでの闘争団の主張をどう思うかと聞かれた証人は、「本部は忍耐強く説得している」とちぐはぐな返答をした。
だが、ビデオは闘争団の鋭い追及を前に黙り込むしかない本部の姿をとらえている。その矛盾を突かれた石井証人は、「政府との折衝の中身は言えないこともある。本部は難しい立場にあった」と居直った。
大口弁護人が、00年7・1臨大の開催に反対した闘争団の主張をどう考えたのかと質問した。石井証人は「正規の大会を力で開催できないようにするのは組合員として誤りだ」とうそぶいた。弁護団は「闘争団が大会を妨害したと判断したのか」とたたみかけた。石井証人は「妨害した」「中央執行委員会で決定したらそれに従う。それが組織だ」と言ってのけた。
弁護団は続けて、ビデオプレス制作の『7・1国労臨大ドキュメント』を上映した。大会会場周辺を埋めた国労組合員を排除しようと機動隊が乱入する場面が映し出された。大口弁護人が「これは警察の暴力ですね」と問いただした。石井証人は「あれは暴力とは思わない」と言い放った。
闘争団の闘いを国家暴力で鎮圧して当然という石井証人を前に、法廷は強い怒りに包まれた。彼への尋問はさらに続く。法廷は激しい攻防の場になっている。
この日、国労本部派は東京地本の阿部力委員長、鈴木勉法対部長ら6人が傍聴券抽選所に現れたが、法廷には誰も入らず退散した。
次回公判(3月16日)に結集し、8被告の無罪獲得と国労再生へ闘おう。
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週刊『前進』(2140号2面4)(2004/03/08)
被告迎え長崎で集会 許さない会を砦に無罪を
2月15日、長崎市女性センターアマランスで「国労5・27臨大闘争弾圧を許すな! 長崎集会」が開催された。被告の松崎博己さんと羽廣憲さんの2人(いずれも国労小倉地区闘争団)を迎え、国労、自治労を始め30人が参加した。
まず当日撮影されたビデオを上映した。暴行の事実など何ひとつない。「これで1年3カ月の勾留はひどい」という声が上がった。
長崎大学教員の高實康稔さんが主催者あいさつを行い、「イラク派兵反対の運動が盛り上がってきています。希望を持ち闘おう。その闘いのうねりの中から裁判勝利へ展望を切り開こう」と呼びかけた。
松崎さんは「4党合意に対し『こんなものは飲んではいけない』と闘ってきました。昨日、呉で海自輸送艦おおすみの派兵に対して『自衛隊はイラクに行くな!』と訴えてきた。労働組合と団結権を破壊する攻撃と闘い、イラク反戦闘争を一体で闘います」と述べた。羽廣さんは「裁判に勝利して無実・無罪をかちとり、闘う国労の再生、労働運動の再生へ全力で闘います。その力で侵略戦争を行う小泉政権打倒へ突っ走りたい。裁判闘争への支援を」と訴えた。
国労九州本部前書記長の手嶋浩一さんが講演を行い「8人の無実をかちとらないことには、許さない会運動は終わりません。許さない会運動を砦(とりで)になんとしても無罪をかちとろう。国民一人ひとりに訴えよう」と提起した。
民間労働者が「8人に対する不当弾圧をはね返す運動を長崎県下でつくりたい」と述べた。県内の労組代表が連帯のあいさつに立ち「今、志のある人たちは大同団結すべきです。不当弾圧を大衆的に明らかにしていこう。私もできる限り広めたい」と発言した。
まとめを国労佐世保地区闘争団の高田末博さんが行い、「許さない会・長崎は当面、三つの方針で闘う。一つに裁判闘争を全力で支援しよう。二つに無罪判決勝利の署名に取り組もう。三つに許さない会会員を拡大していこう」と訴えた。
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週刊『前進』(2140号2面5)(2004/03/08)
フランス
医療労働者 24時間スト 医療保険改悪阻止へ突破口
民営化反対掲げ
1月22日、フランスの医療労働者(看護師、医師その他)がラファラン内閣と厚生省の医療保険制度改革に反対して公的病院の24時間ストライキを決行した。パリの街頭を数千人の医療労働者がデモをした。医療労働者のストライキは15年ぶりである。ストライキを指導するのはFO(労働者の力)、CGT(労働総同盟)、SUD(連帯・団結・民主)、CFTC(仏キリスト教労働者同盟)の4労組、3医師組合だ。
なお、病院ストの前の1月20日、電力公社(EDF)、ガス公社(GDF)の労働者が民営化反対を掲げて「1日全国行動」を展開、時限ストライキを行った。翌21日にはフランス国鉄(SNCF)などの交通労働者がストライキに入り、ユーロスター(英仏間)、TGV(新幹線)、郊外からパリへの電車、各地のバスを止めた。国鉄の諸労組は、民営化反対、6%賃上げ、04年3500人削減計画撤回などを要求している。このほか、1〜2月、航空管制官が繰り返しストで闘い、外交官も国内外でストに立ち上がった。
医療労働者は、病院人員の充実と労働条件の改善を要求してきた。現在の病院の労働環境・条件は不十分であり、みな疲労し、いたるところが危機的状態にある。それは、昨年夏に熱波で高齢者を中心に1万5000人が死亡したこと、冬にインフルエンザと気管支炎が広がった時に病院とベッドが足りなかったことなどからも明らかだ。だが政府はなんらこの問題に回答しない。このため、医療労働者はやむなくストライキに入ったのだ。
また医療労働者は、ラファラン内閣の策動する公的病院の民営化にも強く反対している。マテー厚相が1月22日に発表した医療制度改革案の「病院2007」と政府の将来医療制度高等諮問会議が23日に発表した報告書が強調する「医療コスト削減」方針は、実際上民営化の始まりだからだ。
フランス労働者階級が歴史的に闘いとった権利としての社会保障、その重要な柱である公的医療保険制度は譲れない。公的病院の民営化すなわち医療の商業化を阻止することは労働者にとって死活的である。
仏帝の延命かけ
政府にとっての問題は、財政均衡化のために国家による医療費負担を軽減すること、医療コストを下げることである。もはや「世界一の医療制度」(WHO=世界保健機関)などいらないということだ。
諮問会議報告は、フランスの今年度の医療費はGDP(国内総生産)の9%を占め、国家の医療費負担は109億 (約1兆5000億円)となり、財政赤字の20%を占めると予測している。改革がなされなければ政府の年間の医療費負担は2020年には660億
に増加するという。
「病院2007」も諮問会議報告書も、医療コストを下げるために規制・管理を強化せよと言っている。
政府が医療コスト削減が必要だとする理由に「人口問題」がある。退職・高齢人口の増大、労働・納税人口の減少で政府の医療費負担が増大し、国庫収入が減少するという主張だ。
政府が財政赤字解消に躍起になるのは、フランスが拡大EUの主導権を握るためだ。財政赤字をユーロ加盟基準のGDP3%以内に抑えなければ、親米的なイタリアやスペイン、新規加盟国の批判を封じ、拡大EU(今年25カ国に)をドイツとともに対米対抗的に領導することはできない。
ラファラン内閣には猶予がない。昨年、数波に及ぶ公務員ゼネストを押し返して年金改革諸法案を成立させた。今年の目標は医療保険制度の改革である。医療改革法制の6月成立を目指している。
保守ラファラン内閣は、95年の保守ジュペ内閣が労働者の大反撃にあって挫折した社会保障解体、公的部門のリストラ・民営化、賃金引き下げの大攻撃をより追いつめられた中でやらざるを得ない。労働者階級が年頭のストライキをばねに3・20国際反戦行動を爆発させ、攻撃を跳ね返すことは可能だ。
(藤沢明彦)
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週刊『前進』(2140号3面1)(2004/03/08)
04春闘で経労委報告に大反撃を
年功賃金解体・定昇廃止・ベースダウン
小泉のイラク派兵と一体で労働者への階級戦争を宣言
04春闘は、動労千葉の2・10指名スト突入から3・13ダイ改反対の全面ストを配置した闘いへ、そして3月中下旬の賃金回答に向けて本番を迎えている。動労千葉主催、全日建運輸連帯関西生コン支部、全国金属機械港合同の協賛で開かれる「04春闘勝利!3・6首都圏討論集会」を成功させ、ともに闘い、3・20国際反戦闘争に攻め上ろう。04春闘は、日帝・小泉=奥田路線による「外への侵略戦争、内なる階級戦争」と総対決する階級決戦である。日本経団連が昨年12月16日に発表した「04年版経営労働政策委員会報告(経労委報告)」は、そのことを日帝資本の側から宣言したものだ。それは、日帝資本のあくどい搾取と収奪の野望を徹頭徹尾むき出しにしたものであり、対外侵略と新植民地主義の意図を露骨にし、そのために日本における労資関係の根本的転換をより一層推し進めることを表明したものである。小泉政権の侵略戦争への突入と表裏一体のものとして、「内なる階級戦争」の論理を前面化させている。その一言一句が、すべてのものを貪欲(どんよく)にあくなき利潤の対象としてむさぼっていく日帝資本の恥知らずさに満ちあふれている。その観点から経労委報告を全面的に批判したい。
帝国主義間争闘戦の論理 「東アジア経済圏」に「国の存亡」をかける
04年版経労委報告を読み解くキーワードは、表題となっている「高付加価値経営」と「多様性人材立国」、そして「経営者の高い志と使命感」である。
全体の構成は、第1部で世界的デフレ下の帝国主義間争闘戦の激化への対応を軸にし、第2部で労資関係に関する基本政策を扱い、第3部で経営者のあり方を論じる構成になっている。第2部は「雇用・人材育成・労使関係」という、あたかも雇用対策が最大のテーマであるかのようなペテン的な見出しだが、実は、賃下げと賃金体系の抜本的変更と雇用形態の多様化、それらを保証する「労使協議」の根本的変更を提起している。
「高付加価値経営」とは要するに賃金(人件費)を減らしに減らして利益を上げよということであり、今年は「賃下げに踏み切れ」とはっきりと打ち出したところに核心がある。また「多様性人材立国」とは、終身雇用制を解体して雇用形態の多様化を推し進め、国際競争=帝国主義間争闘戦に勝ちぬくために必要な「人材」をあくどく活用するための経営戦略を持つということである。
それは同時に、昨年1月の「奥田ビジョン」で「国をひとつの大きな森にたとえるならば、国民や企業が木々にあたる。いきいきと根を張り枝葉を繁らせるためには、枝打ちや下草刈りなどの手入れが欠かせない」と言っているように、大多数の労働者、さらには中小企業や農業なども徹底して犠牲にし、切り捨てるということである。
「攻めの改革」を絶叫
今回の経労委報告の序文では、まず「守りの改革から攻めの改革へ」という言葉が目に付く。つまり「少子・高齢化問題も環境問題も、これらを事業機会(=金もうけの機会)としてとらえ、新たな産業を生み出す積極的な(=貪欲な欲望に満ちた)姿勢をもつ」べきだと言っている。社会保障制度の破綻(はたん)、「構造改革の痛み」を受けている家計の危機など、否定的な現実はすべて利潤追求の視点でとらえ返せと、あきれるほどのあくどさで展開している。
このことは、『文芸春秋』1月号に掲載された奥田の「死に物狂い(ママ)で成長を実現せよ」という「緊急提言」を見ると、よりはっきりする。そこで奥田は、「業績を回復した企業をみると……要するにリストラしてコスト削減した分だけ(=労働者に犠牲を押しつけた分だけ)業績が良くなったということだ」と言っている。だから「手放しで喜ぶわけにはいかない」として、売上を伸ばせと絶叫しているのだ。
そうした日帝資本の激しい危機感をむき出しにしたものとして、今回の経労委報告を見ていく必要がある。
「交易立国」への転換
今回の経労委報告の重要な特徴の第一は、「『貿易立国』から『交易立国』への転換」である。これは昨年1月の「奥田ビジョン」で三本の柱のひとつとして提起した「MADE“BY”JAPAN」戦略を、帝国主義的な勢力圏構築として強く押し出したものである。
そもそも日帝は、95年の日経連プロジェクト報告「新時代の『日本的経営』」で「大競争時代」と表現して以来、帝国主義間争闘戦に存亡をかけて対応し、労資関係(賃労働と資本の関係)の根本的転換を推し進めてきた。その上で、今回の報告は、これまでの「企業の国際競争力の強化」という次元から、「立国」論として、国家がらみの根本的転換を強く押し出している。
「奥田ビジョン」で「東アジア自由経済圏の確立」を打ち出したことを転機に、今回の報告は、これを前面化し、そうとう踏み込んで展開している。
その場合に重要なことの一つは、日帝経済が、「企業活動の国際化、いわゆるグローバリゼーションによって国境を超えた企業間競争が激化し、労働力、土地、社会インフラなどの諸コストを引き下げようとする圧力が世界的規模で働いている」という「世界的デフレ」下にあることを、この報告全体に貫く情勢認識にしていることである。
世界的デフレとは、世界恐慌過程への突入である。この認識を政策全体を規定するものとして危機感をもって押し出し、そういう時代の「雇用と賃金の調整(つまり首切りとリストラと賃下げ)」を唱えているのである。
FTAの流れに後れ
二つは、EU(欧州連合)やNAFTA(北米自由貿易協定)と対抗して、「NIES(新興工業経済群)、ASEAN諸国(東南アジア諸国連合)などを中心にしたFTA(自由貿易協定)を含む経済連携を積極的に推進し、『東アジア自由経済圏』の確立の努力」を強く押し出したことである。特に、日帝が「ASEAN諸国をめぐるFTA締結の流れのなかで、後れをとっている」ことが「国の存亡にかかわる」と、危機感をあらわにしている。とりわけ中国市場の獲得と中国との「共存・共栄」関係を、米帝をにらみすえながら強調している。
そしてFTA交渉の障害になっている「農業のあり方」を構造改革する、つまり国内の農業を切り捨てるとしている。
「交易立国」の提起と一体で何度も出てくるのは、日本の技術や資本を海外に投資し、そこでの搾取と収奪をむさぼることと、「そこで得られた利益を国内にも還元し、次なるイノベーション(技術と経営の革新)を生むための資金とするというサイクル」を確立するということである。そのためには「輸出のみならず、輸入や対外・対内直接投資を一層促進することが求められる」と言って、その相手国として中国を挙げている。日帝資本の中国への直接投資に基づく日本への中国からの逆輸入が増大している現実を挙げて、「門戸を開放し、ヒト、モノ、カネ、情報」を日本が受け入れるべきだとしている。そして、これが国内競争を活性化し、「わが国の高コスト体質」をも是正し、国際競争力をつけていくことになると言う。
そのようにして、「潜在的需要」市場である中国をはじめとする東アジアとの連携を強化して対米・対欧の「グローバル競争」に打ち勝っていくことが、日帝が生き残っていく基本的方向性として出されているのである。
イラク派兵・改憲推進
奥田をはじめ、この報告に名を連ねる日帝ブルジョアジーどもは、小泉政権と不即不離の関係をもって、小泉政権のイラク派兵への歴史的踏み切りを積極的に賛同し、促進している連中である。
昨年1月に「奥田ビジョン」を提起した直後の3・20対イラク開戦が、市場・資源・勢力圏をめぐる米欧の帝国主義的強盗どもの決定的対立を伴う侵略戦争として遂行されたことが日帝ブルジョアジーに与えた衝撃は大きい。昨年は日帝・小泉政権が日米同盟を掲げてこれに食いこむことに懸命になった1年であった。このことを前提に読むならば、03年までの報告との決定的違いの持つ意味の重大性は明らかである。
しかも日帝は、仏独などと同じように、中東石油の確保のためにイラク・イランなどとの関係を対米対抗的に独自に形成してきた帝国主義である。また、米帝の91年湾岸戦争をはじめとした戦争と対日争闘戦のすさまじさゆえに、90年代の「失われた10年」をいやというほど味わってきたブルジョアジーである。その結果として、日帝にとって唯一のブロック経済の対象である東アジアをすら、自己の勢力圏とすることを掲げることもできないところまで追い込められている。
したがって日帝は、日米同盟を決定的テコに日帝の安保・防衛問題での決定的飛躍を実現しつつ活路を切り開くことに懸命なのだ。これは日本経団連に巣くうブルジョアジーどもにとって二重の意味で決定的なのである。ひとつは、中国をはじめとする東アジアの勢力圏化が米帝とのむき出しの激突であるがゆえに、日米同盟を強力に売り込んで、その激突の政治的対立への発展を回避するという点で。いまひとつは、日米同盟の強化という水路で戦争をやる帝国主義への歴史的飛躍を実現するために決定的なのだ。
この報告が、安保・防衛問題に一言も言及していないのは、実はきわめて不自然なことなのだが、逆にその不自然さをとおして「東アジア自由経済圏構築」に日帝がかけているものの大きさとその危機を表現している。「経済圏(=勢力圏)構築」とは、侵略戦争が遂行できる帝国主義への飛躍ということなのだ。
奥田は『文芸春秋』1月号では、「小泉改革は進んでいる」と、小泉政権を支える立場を明確にした。そして、「イラクへの自衛隊派遣」や「憲法改正問題」などの「大事な問題」を先送りするようでは「日本という国の繁栄を保つことはできない」と言い、小泉政権の戦争・改憲の政策を声高に支持している。さらに、奥田ビジョンで打ち出した「政治献金の再開」を公然と唱えている。これは、ブルジョアジーの政権買収費である。「自民党にも民主党にも出す」と言いつつ、1月に発表した日本経団連の「政党評価」では、小泉・自民党の政策を全面的に評価している。
「高付加価値経営」を提唱 これは賃下げで利益上げよという攻撃だ
今回の報告の重要な特徴の第二は、世界的デフレ下の政策として「高付加価値経営」を声高に強調していることである。
報告の第2部は、雇用状況の厳しさを繰り返し述べるのみで、結局「企業の発展なくして雇用はない」と言っているだけである。
この直後に「雇用・人材なくして企業も存在しえない」と言っているが、実は「人材なくして」というところに主眼があって、首切り・リストラを遂行した後の残った人材の活用戦略につなげるという意味で言っているのだ。
雇用対策として挙げていることは、結局、新しい企業を起こそうということに尽きる。中小企業などをどしどし倒産に追い込みながら、行政が何とかすべきだということでしかない。むしろ、「事業の継続が困難な中小企業に対しては……市場から円滑に退出できる仕組みを考える」べきだと言うのだ。そして、資本のあくなき人減らしの結果としての若年層の雇用情勢の深刻化が、社会問題を引き起こすことへの恐怖が語られているが、それへの有効な政策などはまったく提起せず、ただただ治安・弾圧問題としているのある。
資本家はもう労働者を食わせられない!
第2部の核心の第一は、実は3節の「デフレ下における賃金決定の考え方」なるものにあるのだ。ここでは、明瞭にデフレ下とは「経済規模が縮小し、企業の売上高や利益も減少していく」ことだと言っている。つまり世界経済の統一性が崩壊し、経済規模が急速に縮小し、ブロック経済にいつでも移行する、そういう時代認識で問題を論じているのだ。
そういう時代に入ったから、「付加価値生産性(従業員一人当たりが生み出した付加価値)に準拠しての総額人件費管理を徹底していく」と言い、「高付加価値経営とは、従業員の貢献に見合った賃金を支払い、企業が適正な利益を確保する経営」と言うのである。つまり、「外部購入の原材料コストなどの引き下げや生産性向上等々の労使の努力によって付加価値を維持・向上できなければ、人件費も減らさざるをえない」と述べ、ただただ人件費を減らすことを強調し、業績が改善された場合、賞与・一時金形式で配分し、賃上げは絶対に行わないことが「デフレ下では特に重要」だとしている。
このことは、賃金問題で、労働者が生活できるか否かという基準はまったく考えない、資本の生き残りのために労働者が生活できなく生存すらできなくとも、知ったことではないということだ。資本主義社会として、労働者を食わせ、労働者家族を養うことはもはやできなくなったということなのだ。
生活水準きり下げろ
奥田は、“身分不相応な生活はやめろ”“生活水準を切り下げろ”と叫び、ささやかな要求をするのは「異星人だ」とまで言い出している。
さらにいまひとつは、「複線的な賃金体系の確立」「賃金制度再構築」と称して、「生活給の要素が強い諸手当は削減」し、「賃金そのものを仕事と役割に応じた体系にしていく」ことや、「雇用形態の多様化を前提にした賃金制度の確立」をうたい、賃金体系の改革を強調していることである。この中で、これから激しい闘争課題となるパート労働者の常用労働者との均等処遇の要求は「問題である」と理屈ぬきで拒否している。
また同時にここには、あまりにも賃金が下がり、雇用形態の多様化によるあくらつな処遇が蔓延(まんえん)することによって、「従業員の企業への帰属性」が喪失するなど「モラールと言う点で問題が発生している」ことへの対応が問題になっている。つまり企業が面倒を見ないのならば、労働者階級も企業のために働くことをやめて、自分の生活と生存のために闘いに決起する情勢を成熟させつつあると強く自覚しているのだ。
そして、04年の課題は「人件費を合理的なものにする(賃下げを行う)」ことと、「従業員の活力を引き出す人事・賃金制度の改革」であるとしている。ここで言う「活力」とは、労働者を危機に追い込んでがむしゃらに働かせることであることは言うまでもない。
特に「わが国の賃金水準は世界のトップクラス」だから「賃金水準の適正化(つまり賃下げ)が喫緊(きっきん)の課題である」として繰り返し繰り返し賃下げに言及している。また年功型賃金は円滑な労働移動の妨げであるとして、能力・成果・貢献度に応じた賃金体系への切り替えを強調している。そして今春闘の目標として、「一律的ベースアップは論外」「賃金制度の見直しによる属人的賃金項目の排除」「定期昇給制度の廃止・縮小」「さらにはベースダウンも」と、初めて明示の形でベースダウン(一律賃下げ)に言及したのである。
その意味で、今年の春闘は歴史的に決定的な春闘になるであろう。労働者階級は、「生活できる賃金をよこせ」というスローガンで賃金闘争に立ち上がっていかねばならない。すでに非正規雇用労働者の賃金は生活不可能なものになっており、非正規雇用労働者の現在の姿に労働者階級全体の未来の姿があることを見てとり、非正規雇用労働者とともに団結して闘うことが重要である。また際限なき過酷な労働時間の強制に対する猛然たる反乱を組織しなければならない。さらに、「雇用形態の多様化」をとおして生産現場が荒廃し、労働者の安全や健康が徹底的に無視される現実への怒りを爆発させなければならない。
終身雇用制の解体へ労働法制を一層改悪
今回の報告の重要な特徴の第三は、「人材戦略」ということが強力に打ち出されていることである。
この問題は、まず「交易立国」論との関係で「イノベーションの担い手」である「高度人材」を国内で育てるだけでなく海外からもやってくるような新しい人材戦略の構築を挙げている。
第1部においては、「競争力の源泉としての新しいタイプの人材の育成」を、「製造業だけではなく知的財産分野やサービス産業における競争力の強化」と一体で、「テクノロジスト(専門教育を受けたエリート層)の抜擢と人材の多様性・創造性を生かす人事管理」や「ホワイトカラー労働者の働き方の抜本的見直し」が強調されている。
しかし、この主要な内容は、第2部の「多様な働き方を推進する人事管理」というところにある。
ここでは、非正規雇用労働者が23%になる(02年)など、就業形態の多様化が着実に進展したことを確認し、さらにこの流れを加速するために、「多様な働き方を企業の生産性向上と従業員の満足度の向上にいかに結びつけていくか」がテーマになっていると述べている。
「多様な働き方」とは端的に言えば非正規雇用形態である。さらに思い切って正規雇用を減らし、非正規雇用形態の労働者を増やしていくことがめざされ、そのための労働法制の見直しが必要であることをさかんに強調しているのである。
03年の労働基準法、労働者派遣法、職業安定法の「改正」の成果を誇らしげに確認して、さらに、労働基準法の裁量労働制の一層の要件緩和や、ホワイトカラーの一定の労働者には労働時間規制の適用を除外する制度の導入、派遣労働の一層の規制撤廃など、資本のやりたい放題を可能にすることを求めているのだ。
断じて許せないのは、「個人は自分の生き方に合った働き方を選び、企業は個人の力を十分に発揮できる組織をつくっていく」などと、労働者に選択権があるかのような書き方をしつつ、現実には労働者をどん底にたたき込んでがむしゃらに働く力を発揮させようとしていることだ。この結果として、健康を害する労働者が激増しつつある現実を踏まえ、健康管理やメンタルへルスなどをペテン的に論じなければならなくなっている。
また日帝ブルジョアジーの「人材戦略」の観点から、教育問題に企業が積極的に関与することが論じられている。これは、日帝の参戦国への転換と一体のものとして、日本社会を短期間のうちに変貌(へんぼう)させるものなのである。
「春闘」を解体し「春討」に 「雇用維持」も放棄し「競争力強化を協議」
今回の報告の重要な特徴の第四は、「労使協議」の重要性を露骨に強調していることである。
その特徴は、昨年の報告で「労働組合が実力行使を背景に賃金水準の社会的横断化を意図して闘うという『春闘』はすでに終焉(しゅうえん)した」と言いきった上で、「今後は、個別企業が生き残りをかけ、労使一体となって生産性向上に取り組むとともに、さまざまな改革を成し遂げなければならない」として、「経営課題……について広範な議論を行ない、企業の存続、競争力強化の方策を討議し、検討するという『春討』、『春季労使協議』へと変えていく」と露骨に述べたことである。ここでは、これまでペテン的に使っていた「雇用の維持のため」という言葉を建て前としても使っていない。
つまり連合指導部に、ペテン的にせよ労組的装いすらとらせないということを露骨に宣言しているのだ。「春闘」ではなく、ただただ企業の存続や競争力強化問題、つまり経営的課題だけを協議するものにするというのである。
労働者の反乱に恐怖
そして、「とりわけ就労形態の多様化により、長期勤続を前提とせず、企業への帰属度の高くない従業員の比率が高まる」と公然と述べて、つまり、そのまま放置したら自然発生的にも労働者の反乱が起こる状態になってきているがゆえに、それを抑えるために「労使協議」が切迫したものになっていると言っているのである。
もっとえげつないことには、労組があれば闘争化を抑えられるが、労組もないところの「個別労使紛争などの発生を回避する」ために、労使協議が必要であるとすら言っているのだ。
これを労働者階級の側からとらえ返すならば、04年は、労組がなくとも「個別労使紛争」が多発する情勢に入っており、労組があれば労組としての闘いが爆発する情勢に入っているということだ。
われわれは、既存の指導部のペテン性・裏切り性のみに目を奪われて「冷ややかな」態度で見ていては断じてならない。労組的形態のいかなる闘いも、この根底に膨大な労働者階級の怒りが渦巻いている。それを爆発させる方向で大胆にかかわり、その闘いの爆発の中で指導部のペテン性・裏切り性・抑圧性を暴き、大衆的にのりこえて進むような闘いを、広範に展開しなければならない。
04年報告のこの「労使協議」の提起は、情勢の激動化を敵の側から階級的本能でつかんでいることを意味している。われわれは、これを〈革命的情勢の到来〉として読むことができる。04年を転機に労働運動は確実に新たなうねりへと発展していくであろう。
JRなどの事故続発は帝国主義の破綻点
今回の報告の重要な特徴の第五は、「経営者の高い志や使命感」が異常に強調されていることである。
そもそも、企業の倫理や、経営者の高い志などあろうはずがない。競争社会を勝ちぬくためにはどんなことでも許されるという論理で動く企業に、倫理などあろうはずがない。だが、今度の報告は、この面をきわめて重視し、さかんに強調しているのである。一方で付加価値が減れば人件費を削減するしかないとして、次から次へとリストラを遂行しながら「雇用の維持・確保に注力せよ」とか、非正規雇用形態の労働者を膨大につくりながら「採用した人材を大切にせよ、活躍の場を与えよ」などと言っても、それはしょせん「競争力を支える人材の確保」であり「育成」のことでしかない。
また、企業の「遵法精神」をいくら説いても、膨大な労働者階級に不当不法の限りをつくしておいて遵法精神などウソッパチもいいところなのだ。
だが、日経連の95年報告以来の攻撃は、有名大企業をはじめとして企業の遵法精神などどこ吹く風という荒廃した状態をつくり出してしまった。それが社会的リスクに転じつつあることを、ブルジョアジーは恐怖しつつあるのだ。
特にJRをはじめとする民営化攻撃やアウトソーシングの推進の結果、JRの事故が多発したり、「ここ1年間、従来ほとんど起こらなかった工場での大規模な事故が頻発して」おり、報告はこれを「単に規律の問題としてでなく、『現場力』、すなわち現場の人材力の低下の反映であると、危機感をもって認識する必要があろう」と述べ、「一連の事故は、高度な技能や知的熟練をもつ現場の人材の減少、過度の成果志向による従業員への圧力が原因ではないか、との指摘もある」「長期雇用慣行や雇用維持について企業の努力が乏しいと、批判する意見もある」と、日帝ブルジョアジーのこの間の攻撃がもたらしたものであることを認めている。
そして、これが原因で階級闘争が爆発することを恐れ、「働きやすい職場づくり」とか「社会の安定帯としての労使関係の重視」とか「企業活動の社会的責任感」とか「経営者の高い倫理観」とかが並べられて強調されているのである。
だが、この報告の9割以上を通じて、「多様な雇用形態」や「成果主義の賃金制度」を唱えて、「報酬や懲罰での人事管理」を強調しているのである。その上で「経営者の高い志や倫理観」などと言っても、解決できるはずがない。
労働者階級の立場から見るなら、資本が一切を労働者階級にしわ寄せし、労組を解体・無力化させて労働者の権利を奪い、現場労働者の発言権を奪った結果、敵の破綻がこのような形で爆発しつつあるということだ。安全闘争をはじめとして、この破綻点をつかんで徹底的に闘いの水路にしていくことが重要である。
労働者も、闘うことなしに生きられない情勢に突入したのであり、非和解的に対決して闘うことのみが、労働者階級が生きる道である。
社会保障の企業責任を放棄し増税を主張
最後に、この報告の全体をとおして、社会保障問題を取り上げているが、それは企業への負担を減らせという一点であり、なんら「社会保障制度の存続」のための提案は行っていない。日帝ブルジョアジーは、「総額人件費の削減」の観点から、企業が社会保障制度を担うことを露骨に拒否・放棄し、実際上、社会保障制度の解体を推し進めながら、それがもたらす労働者人民の社会保障制度への「信頼の喪失」に脅えつつあり、ペテン的に「存続」を唱えつつある。
しかし、怒りに堪えないことは、企業の負担を減らせということを、労働者の負担を減らすことと同一であるかのように言っていることだ。労使で共同で政府に働きかけることを提起して、“社会保障制度を財政改革・税制改革と一体で抜本的改革にせよ”と言って、実は消費税のすさまじいアップのみを提起し続けていることである。つまり、企業の負担を減らし、「広く浅く」労働者階級人民にのみ負担を転嫁することが奥田ビジョン以来の日本経団連の一貫した主張なのだ。悪らつの限りである。
だが、労働者階級人民は、日帝ブルジョア支配階級が、いったい何を狙っているかをほぼ自覚しつつある。04〜05年は、年金・介護・医療・消費税を含む度重なる重税攻撃への労働者人民の総反撃の闘いが爆発する時となった。
労働者の怒りが爆発する情勢が成熟した
日帝は、東アジア勢力圏化の野望のために、一方でイラク侵略戦争に参戦し、有事法制の確立を狙い、他方で労働者階級人民に膨大な失業状態を強制し、それをテコに賃下げと過酷な労働条件を強制し、社会保障制度の解体と増税を強行し、労働基本権や団結権を徹底的にたたきつぶす攻撃に打って出てきた。労働者階級は今こそ生命と生活をかけて決起しなければならない時を迎えたのだ。
労働者人民のギリギリのところからの怒りが爆発する情勢が完全に成熟した。日本経団連の「労使協議」は、この怒りの前に万能の力ではまったくない。動労千葉を先頭とする国鉄決戦の強靭(きょうじん)な闘いは、その破綻を深部でつくり出しつつある。国家権力を使った労組否定・労組破壊の弾圧攻撃も、03年の闘いはその試練をくぐりぬける地平を切り開いてきた。労働組合運動は、04年をもって完全に不死鳥のごとく活性化し、大きなうねりとなって革命的再生へと進むことは確実である。03年11・9労働者集会は、その突破口を確実に切り開いた。この路線を断固として強力に推し進めよう。
3・20国際反戦大行動への空前の大結集で小泉=奥田らとの階級的力関係を転換し、04春闘を突破口に日本労働運動の新たな発展の時代を切り開こう。
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週刊『前進』(2140号4面1)(2004/03/08)
イラク反戦・有事法粉砕へ3・20日比谷10万人結集で小泉打倒を
旭川・札幌でピースウォーク 地元住民が感動的合流 次つぎと派兵反対の署名
2月19〜21日の陸自本隊第2陣の派兵阻止闘争は、地元の旭川・札幌・千歳の労働者人民の大きな共感と決起をかちとった。百万人署名運動などの呼びかけで行われた19日札幌、20日旭川のピースウォークと街頭宣伝には地元の労働者、学生、市民が多数参加した。この闘いをバネに北海道と全国から3・20国際反戦闘争への大結集を実現しよう。
基地の街に共感のうず 2・20旭川
旭川駅前の買物公園1周ピースウォークが2月20日の夕方、「とめよう戦争への道!百万人署名運動・北海道」の主催で行われ、80人が参加した。うち20人は地元旭川の飛び入り参加者だ。
買物公園で、ピースウォーク前に1時間の街頭宣伝を行った。
前の人の署名が終わるのを待つ人、署名隊を呼び止めて署名する人。署名する人が後を絶たない。空いている署名板がないほどだ。「昼のデモを見て感激しました」と署名する市民が数十人もいた。不当逮捕された学生の救援カンパがどんどん集まった。1968年の佐世保現象を思い起こさせる感動的な光景が続いた。旭川市民の派兵反対の思いがひしひしと伝わってくる。家族・親戚や友人など派兵される隊員が身近にいるため、みんな真剣に考えて、小泉のウソを見破っているのだ。
前日に署名した地元の10代の女性が、この日は署名集めに決起し、続いてピースウォークに参加した。彼女は「私には守りたいものがあるんです」とその思いを語ってくれた。派兵賛成だという男性もいたが、聞けばJR総連から何十年もいじめられてきたJRの労働者で、カクマルに反発してのことだとわかった。
デモ出発前の集会では、北海道の百万人署名運動の会員が司会を務めた。国賀祥司泉佐野市議会議員が旭川駐屯地での陸自本隊派兵阻止闘争の報告を行った。「権力が襲いかかり学生1人を逮捕したが、実力ではね返して出兵拒否を呼びかけた。たくさんの自衛官がバスの中から手を振ってこたえてくれた」
新潟労組交流センターなどの発言の後、ピースウォークに出発。地元の人びとが参加しようとすでに待ち構えていた。「一緒に歩いて派兵をとめよう」とのデモ隊の呼びかけにこたえ、高校生などがどんどん合流した。
デモの最後尾を高齢の男性が足を引きずりながら必死で付いてきた。声をかけると、「シベリヤに4年間抑留された。孫のような人が頑張っているのが泣けてくるほどうれしくてね」と話してくれた。仕事を抜け出してきたと言う女性は「70年闘争の頃はよくデモに参加したのよ。これが私のストレス解消なの。黄色いハンカチ運動?それって戦前の千人針でしょ」と、明快だ。
この日の街頭署名とピースウォークは、昼の旭川駐屯地前での派兵阻止闘争が旭川市民のものすごい共感を呼び起こしていることを実感させた。自分たちの行動、闘いでイラク反戦闘争の大爆発を実現できるという確信を強くした。
一人で百筆集めた人も 2・19札幌
札幌では19日、北海道の「STOP WAR!自衛隊のイラク派兵をとめよう!実行委員会」が主催し、街頭宣伝とピースウォークが行われた。
昼過ぎから3時間、JR札幌駅の南にある大通り公園の交差点など3カ所で署名を集め、札幌でのピースウォークなどへの参加を呼びかけた。途中かなりの雪が降る悪天候にもかかわらず、約620筆のイラク派兵反対署名が集まった。宣伝カーを順次回して訴えると、反応が一段と良くなった。百万人署名運動・神奈川連絡会の男性は一人で100筆の署名を集めた。
夕刻、大通公園の舗道上で小集会を行った。30人で闘争に参加した東北大学など全国の学生が次々に「絶対に派兵をとめる」と決意表明した。通りかかった男性から激励のカンパが寄せられた。
ラップ調のピースウォークは札幌では初めて。「復興支援は大うそだ。戦争政権倒そう」の訴えが市民の注目と共感を集めた。デモにあわせて、沿道でのビラまきと署名活動を行った。通行人がどんどん署名した。レストランバーの宣伝を行っていた若者たちが手を振り、ハンドマイクで「派兵とめよう」とレスポンス。札幌に住む夫婦や男性などが一緒にデモした。高知から自転車で来たという高校生も。ものすごい高揚感だ。北海道の労働者人民の派兵反対の地熱に触れ、「あす、あさっての闘いで派兵をとめるぞ」という決意を固めた。
(投稿 T・A)
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週刊『前進』(2140号4面2)(2004/03/08)
杉並区議会 “戦争協力するな” 新城区議 山田区長を追及
2月24日午前、杉並区議会本会議で都政を革新する会の新城節子議員が一般質問に立ち、@国民保護法制と自治体の戦争協力、住民基本台帳ネットワーク、A介護保険、B教育、C清掃、Dレジ袋と商店対策、E都市計画道路問題について、山田区政を追及した。
新城議員は冒頭、自衛隊のイラク派兵に対し全国で反戦闘争が巻き起こり、動労千葉のストライキを先頭に労働者人民の反撃が始まっていることを報告し、国民保護法制は「国家権力が知事・警察・自衛隊を使って、住民の戦争動員、戦争訓練を義務づける法律ではないのか」と追及した。
さらに「2月12日に民間防衛制度の概要が明らかになった。ここでは事実上、町内会などでつくる自主防衛組織に対する戦争動員が強制されようとしている。区民への戦争協力要請には反対すべき」と区長の姿勢をただした。
新城議員は、「区議会に今回、新たに警視庁から現職警察幹部の派遣と退職警察官9名の採用が提案されている。警察の介入は自治の破壊であり、現職警察官の採用はやめるべきだ」と強く求めた。
このような戦争動員と連動して都教委・区教委による「日の丸・君が代」強制攻撃が進められている。
新城議員と都革新は、一般質問に先立つ2月17日、昨年11月4日に杉並区教育委員会名で出された「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について(通知)」と「実施指針」を撤回するよう区教委に申し入れた。この通知は、10月23日に都教委が発した通達と実施指針の内容をさらに細かく指示したもので、23区で杉並区だけが独自の「通知」を出したのである。
答弁に立った区教委事務局次長は、「いずれも適法であり、撤回するつもりはございません」と居直った。再質問で新城議員は、「強制ではないというが、ではなぜ教職員に対する処分があるんですか! 憲法に保障された内心の自由を侵して、上から愛国心を強制するものだ」と弾劾した。
23日の本会議で山田区長は、他会派の代表質問に答えて「イラク自衛隊派遣は国連安保理決議1483号を踏まえたもので、わが国にふさわしい貢献策だ」と発言。予算編成方針の中で「今年は、日露戦争開戦から百年を迎えます」と述べたことを質問され、日露戦争を「ロシアは東進南下政策をとっており、日本にとっては祖国を守るための戦争だった」と公言した。日帝の侵略戦争を露骨に美化したのである。
さらに、住民基本台帳ネットワークの横浜方式を進めるとして、非通知申し出をしなかった83%の区民の接続を国に求めて裁判に訴えた山田区長を追及した。学校給食の民間委託、区移管後の清掃事業など労働現場の労働強化と民間委託化攻撃に強く反対した。
また、介護保険では、国の06年制度見直しの内容が、高齢者や「障害者」から介護を奪うものだと指摘し、区がこれに反対するとともに、憲法や老人福祉法に基づく独自の施策をとるように求めた。
新城議員の奮闘に傍聴していた区民から激励と共感の拍手が寄せられた。
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週刊『前進』(2140号4面3)(2004/03/08)
北朝鮮侵略戦争法阻止へ 有事法案決定を弾劾する
3月上旬にも国会提出狙う
国民保護法案の要綱を決定
小泉政権は2月24日、国民保護法制整備本部(本部長・福田官房長官)で、有事関連7法案と3条約・協定の要綱と概要を決定し、発表した。7法案のポイントは表1のとおりである。政府は法案を3月上旬に閣議決定して国会に提出し、会期内の成立をめざすとしている。
昨年6月に成立した有事3法(武力攻撃事態法、安全保障会議設置法改悪、自衛隊法改悪)と合わせて今回の一連の有事法案は、北朝鮮侵略戦争を日帝が米軍と共同で行うための戦争法案であり、そこに労働者人民を動員する攻撃である。絶対に粉砕しなければならない。
有事立法攻撃の時代的背景と本質をはっきりさせよう。
世界の帝国主義は今や歴史的な没落と危機を深め、アメリカ帝国主義を先頭にむき出しの争闘戦、世界分割戦争の時代に突入している。それは軍事力=戦争で他国領土を侵略し、勢力圏としてうち固め、それによって他帝国主義をけ落とし、延命を図る時代である。米帝のイラク侵略戦争はそのとびらを大きく開けた。こうした中で日帝もまた自衛隊のイラク派兵をもって、世界再分割戦に参戦した。
日本経団連・奥田ビジョンの「東アジア自由経済圏」構想は、日帝の唯一の延命の道であり、このために日帝は実際に戦争を行うことでアジアに日帝の勢力圏をつくりだそうとしている。
そして、そのために日帝は米帝の北朝鮮侵略戦争計画に必死に参戦しようとしている。それが拉致問題を使った北朝鮮に対する排外主義の鼓吹や外為法改悪であり、特定船舶入港禁止法案(表2)、そして有事7法案の攻撃である。
政府は「北朝鮮が攻めてくるかもしれない」という排外主義と危機感をあおって、有事立法攻撃を「正当化」しようとしている。だが、事態はまったく逆である。有事7法案は、米日共同の対北朝鮮侵略戦争の体制づくりであり、米日帝が北朝鮮を先制攻撃しようとしている中で、北朝鮮がゲリラなどで必死で反撃してくることへの対応を決めようとしているのである。
軍隊の最優先と人民の動員
有事7法案は軍隊最優先法(表1の@ACD)と、モノとヒトの戦争動員法(同@)と、先制攻撃法(同B)と、捕虜取り扱いに関する法案(EF)だ。一つひとつがまったく許すことのできない戦争法案である。
「国民保護法」などというのはとんでもないペテンだ。「住民の避難・救援」などと言っているが、最大の狙いは軍隊が自由に軍事行動できるように、住民を一定の地域から強制的に排除するということである。これに抵抗したら処罰され、現場で銃殺されることすらある。
国民保護法で、業者が医薬品や食料などの保管命令に違反した場合は、無理やりに収用するとしている。これも「住民のため」ではなく、米軍・自衛隊最優先であり、そのための強制措置なのだ。
米軍支援法や改悪自衛隊法(昨年6月改定)で戦車・軍用車や部隊は、私有地・田畑も、好き勝手に占拠し、じゅうりんすることができる。作戦行動の過程で建物を破壊したり、勝手に占拠しても「合法」である。これに住民が抵抗したら処罰される。そして民家などを破壊しても損失は「国が補償する」と言っているだけである。
外国軍用品等海上輸送規制法案は、公海上で強制的に「臨検」を行うことを定めており、抵抗した場合には船体射撃もできる。つまり日本が攻撃を受けていなくても、相手船舶を撃沈することすらできるのだ。
特定船舶入港禁止法案 対北朝鮮戦争挑発許すな
有事7法案のほかに、自民党は「特定船舶入港禁止法案」の国会提出を狙っている。これは拉致問題をてこに万景峰(マンギョンボン)号など北朝鮮の船の日本への入港を禁止し、貿易や人民の往来・交流を途絶させる封鎖を狙うものである。こうして北朝鮮を一層の経済危機に追い込み、北朝鮮人民を苦境に追いやり、さらには金正日政権を挑発し軍事冒険政策の「暴発」を誘い、侵略戦争発動の格好の口実にしようとしているのだ。
米韓・米日の大規模な共同軍事演習を北朝鮮の鼻先で繰り返していることにも明らかなように、北朝鮮に戦争重圧を仕掛けているのは日米帝国主義の側である。米帝・日帝はイラクでの戦争の泥沼化にあえぎながらも、時期とタイミングを見計らって北朝鮮・金正日体制転覆の侵略戦争を起こそうと策動している。
3・20反戦闘争の空前の大爆発で反撃しよう。
(高村 晋)
表1 今国会に提出される有事関連7法案のポイント
法案
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主な内容
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@国民保護法案 |
北朝鮮侵略戦争への自治体や民間業者の動員、住民の避難・立ち退き、物資統制などを規定。知事は業者に医薬品や食料の保管を命令、理由なく拒否すれば収用。大規模テロ(緊急対処事態)にも適用 |
A米軍支援法案 |
北朝鮮侵略戦争で米軍が自由に行動できるよう、自衛隊などの物品・役務を米軍に提供。米軍に民間の土地・家屋を提供。拒否した者には罰則 |
B外国軍用品等海上輸送法案 |
戦争する相手国(=北朝鮮)の武器・弾薬の海上輸送を阻止。船舶検査を実力で行い、航行停止、日本への回航、積み荷の没収などの措置を取る。抵抗する場合は武器で攻撃。撃沈・虐殺も合法化 |
C自衛隊法改悪案 |
日米物品役務相互提供協定(ACSA)の戦時ACSAへの改定に伴い、米軍との物品・役務の相互提供の手続きを規定 |
D交通・通信利用法案 |
北朝鮮侵略戦争で、自衛隊・米軍が空港、港湾、道路、海域・空域、電波、公共施設などを最優先で利用できるよう首相が管理者に要請。管理者が拒否しても首相権限で強制的に使用 |
E捕虜取扱法案 |
自衛隊が捕虜を拘束できることを規定。捕虜収容所を設置 |
F国際人道法違反処罰法案 |
ジュネーブ条約に違反する行為のうち、刑法に規定していない犯罪(重要文化財破壊罪、捕虜送還遅延罪、占領地域移送罪、文民出国妨害罪)を規定 |
表2 特定船舶入港禁止法案の骨子
△とくに必要があるとき、閣議決定により、期間を定めて特定船舶の国内への入港を禁止できる
△対象は特定の外国船籍を持つ船と特定の外国に寄港した船
△閣議決定では、外国名、入港禁止の期間などを定める
△政府は閣議決定の告示から20日以内に国会に付議し、国会承認を求めなければならない
△入港禁止期間が開始された際、すでに入港している船舶は出港しなければならない
△違反した船長は、3年以下の懲役または百万円以下の罰金、またはその双方を科す
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週刊『前進』(2140号4面4)(2004/03/08)
2月17日〜24日
有事関連7法案の概要決定 陸自本隊140人をイラク派兵
●ブッシュ「イラク戦争正しかった」 ブッシュ米大統領がルイジアナ州のフォートポークで米陸軍兵士らを前に演説し、イラク侵略戦争について、「大量破壊兵器の発見にかかわらず、決定に迷いはなかった」と述べた。(17日)
●21世紀の安保体制を確立する若手議員の会
自民、民主両党を中心に超党派の国会議員173人でつくる「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」が8カ月ぶりに国会内で総会を開いた。会員は総選挙後、約40人増えた。(18日)
●予測事態から米軍へ弾薬提供 政府が今国会に提出を狙う日米物品役務相互提供協定(ACSA)改定案の全容が明らかになった。自衛隊と米軍の協力について、@武力攻撃事態や予測事態の際に、弾薬を含む物品・役務を互いに提供できるようにする、A国際貢献や大規模災害救援でもACSAを適用する――の2点が柱。(19日)
●「憲法前文に愛国心」 自民党憲法改正プロジェクトチームが、05年11月に作成する予定の改憲草案のたたき台として、「前文」と「国会」「内閣」に関する論点整理案をまとめた。憲法前文については「書き換える」とし、日本の歴史・伝統・文化・国柄、健全な愛国心を盛り込み、9条見直しを反映させる、などとしている。(19日)
●輸送艦「おおすみ」が室蘭を出発 イラクに派兵された陸上自衛隊の物資や装備を積んだ海上自衛隊の大型輸送艦「おおすみ」と護衛艦「むらさめ」が北海道室蘭市の室蘭港を出港した。3月中旬にクウェートに到着する予定。(20日)
●普天間返還再検討も 沖縄県宜野湾市にある米軍普天間飛行場の返還をめぐり、米国が在日米軍再編の一環として返還方式の再検討もありうるとの意向を日本側に非公式に伝えていることが分かった。1996年に日米両政府が全面返還で合意後、8年近くが経過して、名護市沖の代替施設着工の見通しが立たないことへの米側の不満が背景にあるとみられている。(20日)
●米軍が下地島に強行着陸 米比合同演習「バリカタン04」に参加する在沖米海兵隊のCH46中型ヘリ4機とKC130空中給油機1機が給油目的で沖縄県管理の下地島空港に着陸した。給油後、フィリピンのバタン島に向け離陸した。沖縄県は再三の自粛要請を行っているが、外務省は「地位協定上、問題はない。米軍は公共の安全に配慮していると聞いている」として容認している。(20日)
●陸自主力140人を派兵 陸上自衛隊の本隊主力第1波の約140人が北海道千歳市の新千歳空港から政府専用機で出発した。クウェートの米軍キャンプで砂漠で活動するための訓練を受けた後、イラク南東部のサマワに入る。(21日)
●原発新・増設半減へ 原子力発電所を新設したり増設する計画が、大幅に修正される見通しが強まった。政府は2010年度までに10〜13基を新たにつくる目標を定めているが、それを半減し、4〜6基にとどめる方向で検討を始めた。電力需要の伸び悩みや電力自由化に伴う新規参入の増加が背景にある。(22日)
●国民保護法案の要綱決定 政府は、国民保護法制整備本部を開き、有事の際の避難・救援の手続きを定めた国民保護法案の要綱を決め、有事法制関連6法案と3条約の概要を示した。政府は7法案と3条約の締結承認案をあわせて3月上旬に閣議決定し、今国会での成立を狙っている。(24日)
●国連事務総長が国会演説 アナン国連事務総長が来日し、参院本会議場で演説した。イラクへの自衛隊派兵に言及し、「窮状に立ち向かうイラクに、称賛されるべき連帯姿勢を示した」と評価した。(24日)
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週刊『前進』(2140号5面1)(2004/03/08)
イラク反戦・有事法粉砕へ3・20日比谷10万人結集で小泉打倒を
3・28三里塚に大結集を 暫定滑走路北側延伸粉砕し成田の軍事空港基地化を阻もう
赤坂 潤
イラクへの自衛隊派兵による日帝のイラク侵略戦争への参戦で、三里塚闘争の重要性は高まっている。陸海空港湾労働者の戦争協力拒否の闘いと固く連帯して、成田空港の軍事使用を粉砕しよう。3・20の10万人決起を全力でかちとろう。そして三里塚芝山連合空港反対同盟が呼びかける3・20三里塚全国総決起集会(招請状は別掲)に大結集しよう。
世界戦争へと突入した帝国主義の打倒へ
世界はいま鳴動している。第2次大戦以来のアメリカ帝国主義の世界支配、その核をなす中東支配(石油支配)の崩壊である。グローバリゼーションの名のもとで進行する巨大資本の争闘と全地球的収奪は、ついに世界的な人民の反乱に転化し、帝国主義の支配は中心部から瓦解(がかい)し始めたのである。
途方もない殺戮(さつりく)と抑圧にさらされてきたパレスチナを始めとする中東・アラブ・ムスリム人民全体の反米・民族解放闘争は、〈9・11>によって劇的に表面化した。帝国主義の中東支配のクサビとして米帝の強力な軍事援助で支えられてきた軍事基地国家=イスラエルは存立の危機に陥り、米帝の中東支配が根底から揺らぎ始めた。
振り返れば、かつてイラン革命(79年)圧殺の先兵となり、米帝の手厚い軍事援助を受けたイラクのフセイン体制が反米に転じたことは、中東支配崩壊の始まりを象徴する問題だった。また91年の湾岸戦争を機に、アメリカ支配の後退をついて仏・独などの欧州帝国主義諸国やロシア、中国などがイラクやイランの石油権益に食い込んだことも、世界的な不況と争闘戦激化の中で、米帝が絶対に許容できない問題だった。
昨年3月以来のイラク戦争とは、こうした米帝による中東支配の再編=米帝主導の再植民地化をめざす、むきだしの侵略戦争なのである。そして決定的な問題は、イラク・中東・ムスリム人民の英雄的反米闘争によって、米英のイラク軍事占領が早くも破綻(はたん)に瀕(ひん)していることだ。自爆戦闘を含む占領軍への抵抗闘争は、イラクのみならずパレスチナ・中東人民全体の怒りを背景にした民族解放の闘いとして広がっている。軍事占領の破綻はもはや決定的だ。
すでに米帝は、対イラク戦争を中東全域と世界に拡大する以外に逃げ道を失っている。米帝は第3次世界戦争の引き金を引いたのである。これに日帝・自衛隊は帝国主義の軍隊として参戦したのである。
一方、帝国主義各国はこの三度目の世界戦争の始まりと表裏をなす資本のグローバル化・争闘戦の拡大に対応し、激しい資本攻勢と農業切り捨て、戦時型治安政策などを展開している。支配階級および大資本は、一方で中東など被抑圧諸国人民のおびただしい犠牲の上に資源や勢力圏を奪い合い、他方で国内の労働者・農民からの収奪を極限化させ(賃下げ・リストラなど)、国家主義イデオロギーをテコに一切の政治的「自由」を奪い、侵略戦争への人民の動員を図ろうとしている。
自衛隊派兵を強行した日帝はどうか。有事法制の制定、労働者への激しい資本攻勢と農業絶滅政策、武器輸出解禁の動き、共謀罪導入の策動などの戦前型治安弾圧の開始、そしてついに政治日程に上った改憲攻撃。すべてが一体の攻撃である。攻防点は明白だ。人民の膨大な犠牲の上に一握りの支配階級が生き残りを図る世界戦争の道か、それとも労働者・農民とすべての被抑圧民族人民が団結・連帯し、帝国主義の支配を打ち倒すのかである。
革共同の新指導路線は、こうした世界革命の時代への突入に対応し、帝国主義と対決する労働者階級の組織化を死活的に推し進めるための指針だ。三里塚闘争とすべての戦線はこの闘いの方向性を明確にし、相互に強固な連帯を築き上げることが問われている。
戦争協力を拒否する航空労働者の闘い
自衛隊のイラク侵略戦争への参戦と同時に、成田空港はイラク戦争の戦場そのものとなった。
イラクへの自衛隊派兵は、いかなる理屈をつけようとイラク軍事占領への参画である。イラク人民の反占領・反米闘争に真っ向から敵対する行為だ。破壊の限りを尽くした街の惨状をしり目に巨大な軍事基地を要所に築き、圧倒的な物量の近代兵器で武装し、捜索・掃討作戦と称する住民への無差別的虐殺を続ける米英軍に加担する行為だ。自衛隊はCPA(暫定占領当局)の業務を支える占領軍の一員なのだ。イラク・中東人民の怒りが日帝・自衛隊と日本全土に向けられることも時間の問題だ。
日本国内で、イラク派兵に伴い真っ先に“戦時体制”に入ったのは成田空港である。国土交通省が発令した同空港の警備態勢はイラク開戦以来、最高レベルの「フェーズE」(非常時厳戒態勢)が続いている。そしてついに2月21日、警察庁の指示で軽機関銃(サブマシンガン)を装備した特殊部隊が配備された。成田空港がムスリム人民の反占領闘争の重要ターゲットになったからである。すでに空港内での銃撃戦まで想定されているのだ。成田はイラクに最も近い“戦場”となった。
成田が戦場扱いとなった理由は、成田空港が恒常的な自衛隊の海外派兵基地となったからだ。今回の派兵では昨年12月26日〜28日の航空自衛隊の先遣隊(BA機)および1月16日の陸自先遣隊(ノースウェスト機)が成田から出発し、1月22日の空自本隊は政府専用機で小牧から、2月3日の陸自本隊第1陣、21日の陸自本隊の主力部隊は新千歳空港から出発した。
しかし後者3回の派兵についても、政府は本来、成田空港から国内航空会社のチャーター機を飛ばす計画だった。日航と全日空が労働組合の拒否(戦争協力を拒否する闘い)によって自衛隊に航空機を提供することができなくなり、自民党の国防族などから強い不満が爆発した。兵員の空輸は軍事輸送の最重要部門で、自国の国策航空会社が担うことが帝国主義国の常識となっているからだ。
世界中に軍を展開する米軍はその典型で、米民間航空会社は軍隊の一部に編入され、兵員輸送の9割以上を民間航空機で輸送している。米軍幹部や政府要人が海外に出向く際は、自国の航空会社を使わなければならない内規もある。民間航空輸送は、それ自体が軍事体制の一部なのだ。ましてや戦時に自国航空会社を動員できない帝国主義国家など本来ありえない。
日航や全日空の自衛隊輸送拒否で外国の航空会社に振り替えとなったことに政府関係者らは衝撃を受けた。「隊員の士気にかかわる」(政府)「ナショナル・フラッグ(国策航空会社)としての矜持(きょうじ)がうかがえない」(前内閣府副大臣)「日本の一員としての自覚を持て」(自衛隊関係者)「国民の一致団結が問われる」(産経新聞)など。
この攻防は、労働者が戦時動員攻撃に屈服するか拒否かをめぐる最初の分水嶺(ぶんすいれい)になろうとしている。国民保護法案を始めとする有事関連7法案の成立を阻止する闘いは、労働現場で戦時動員を拒否する闘いと一体のものだ。「有事法制を完成させない」「(戦争への)従事命令には従わない」との声を上げ、戦時動員を拒否している勇気ある航空労働者たちの闘いと連帯し、軍事基地=成田空港を大衆的に包囲する新たな闘いを開始しよう! この闘いは三里塚闘争の新たな、そして決定的な課題である。
この闘いの意義は、イラク侵略戦争の一方で米ブッシュ政権が準備する対北朝鮮戦争計画においてさらに明らかだ。
有事法制が想定する事態は「日本有事」ではない。日米ガイドライン見直しの根拠となった「朝鮮半島有事」である。そこでは日本列島全体が兵站(へいたん)と出撃の基地となる。見直し協議で米軍は、その中心的役割を担う基地として成田空港を要求した。
朝鮮有事での来援米軍の規模は50万人に達する。これを日本で受け入れることを前提に朝鮮半島での侵略戦争計画(作戦計画5027など)は作成されている。受け入れ体制は空港本体の施設と運用体制はもとより、鉄道、陸運などの物流業者の施設・人員、糧食の調達や宿泊にかかわる施設、医療体制、通信など、空港関連を中心に幅広い業種が戦時動員の対象となる。これが日米安保新ガイドライン(97年策定)から周辺事態法(99年成立)、有事3法(03年成立)の実践的帰結なのである。
この巨大な規模の戦時動員が支障なく行われることが、作戦遂行の成否を決定する。有事法制の重要なポイントとして戦時動員に強制(罰則付き)の枠がはめられた意味はここにある。人民の戦争協力拒否が広がった瞬間、戦争の遂行は決定的な窮地に陥るのだ。
三里塚闘争は、巨大軍事基地=成田空港で働くすべての現場労働者に戦時協力への拒否を呼びかけて闘う。3・28全国集会を新たな突破口に、空港の内外で成田空港の軍事基地化反対の闘いを組織しよう!
空港建設の歴史に最後的な破綻が迫る
軍事基地化の一方で、空港公団はいま三里塚闘争に対する攻撃をさまざまな形で強めている。彼らの目的は戦時体制構築のための三里塚闘争の破壊、そして4月の空港民営化の絶対課題となっている暫定滑走路の「2500b化」である。この間の公団の攻撃を列挙すると以下のとおりだ。
@一坪共有地強奪のための訴訟提起。土地収用法でも取れなかった一坪共有地を民法で取り上げようというでたらめな攻撃である。
A市東孝雄さん宅のジェットブラスト対策塀かさ上げ要求を最終的に拒否。市東さんは独自の対策防護林を植林。
B同じく市東孝雄さんの耕作地(祖父の代から70年以上耕作を続けている)の底地買収と「耕作権解約要請」(昨年12月から数度の文書送付)。公団はいまさらのように誘導路の「へ」の字湾曲解消が目的だとしている。
C反対同盟野戦病院と岩山団結小屋の底地買収と「退去要求」。すでに地上権が発生している両者に対して、公団は暴力的攻撃の姿勢を示唆している。
D暫定滑走路の「北側延伸」攻撃。2500b化の挫折を塗り隠すための措置で、東峰区住民への新たな脅迫手段として公団・黒野が公言している。
攻撃全体の柱となっている「北側延伸」攻撃について明らかにしておく。
背景としては、昨年12月に東峰区住民の全面勝訴で決着した東峰神社裁判(地区住民による神社土地の「総有」が確定)で、平行滑走路の当初計画である南側=東峰区側への2500b化が事実上不可能になった現実がある。これは民営化を目前にした成田空港にとって深刻な問題だ。この危機を突破するために、公団は敷地内農民への新たな脅迫と買収攻撃を開始した。その中心が北側延伸攻撃である。
周知のとおり、現在の暫定平行滑走路は南側の東峰区によって切断され、2180bの長さしかない。誘導路は3カ所で「へ」の字に曲がり、開港からわずか1年で2度の事故を起こした(航空機同士の接触とオーバーラン事故)。そして何より成田空港発着の9割を占める大型ジャンボ機が使えない。これが民営化の致命的な支障となっているのである。
「北側延伸」構想とは、この暫定滑走路を北側に延長して2500bとし、抵抗する東峰・天神峰の農家の頭上にジャンボ機を飛ばすという計画である。その「破壊的騒音」を脅し材料に反対農家に屈服を強要しようとしているのだ。公団は東峰神社裁判で「東峰区が折れなければ北延伸しかない」と何度も脅迫的言辞を弄(ろう)した。実に悪辣(あくらつ)である。
しかし実際は北側延伸ではジャンボ機は飛ばせない。東峰区の未買収地に阻まれた誘導路問題(安全基準より狭く、クランクの坂になっている)が解決できないからだ。また北側に隣接する東関道(北延伸だと高速道路までの距離がわずか400bとなる)との関係で着陸点が変えられず、仮に北側に滑走路の舗装を伸ばしても実質的な運用は現在の2180bのままになることも判明した。北側延伸は東峰区への脅し以外に、運用上はまったく意味のない工事だ。
こうした現実にもかかわらず、公団・黒野は民営化の破綻(株式上場の破産)という国にとって最悪の事態を一時しのぎで逃れるために、意味のない北延伸工事を強行しようとしている。民営化をめぐる危機はそれほど深い。
暫定滑走路は、滑走路の短さと連絡誘導路の狭さゆえに大型機が就航できない。便数も1日100回程度の離発着で上限に達し、09年完成予定の羽田新滑走路に成田のアジア便は大幅に移管する趨勢(すうせい)となった。暫定滑走路がこのまま固定化されると、07年に予定されている株式上場も危うい。民営化後は採算がすべてなので、単体では赤字運行となっている暫定滑走路は、閉鎖すら取りざたされている。
また民営化を契機に、暫定滑走路開港(02年4月)の国家犯罪があらためて白日のもとにさらされることも公団を追いつめている。農家の屈服を前提に見切り開港した結果、暫定滑走路開港で、農家の頭上40bをジェット機が飛行し、誘導路では排ガスが民家(市東孝雄さん宅)を直撃するなど、常識では考えられない事態が起こった。こうした国家犯罪の露呈は民営会社にとって致命的だ。
成田空港建設38年の歴史は、いままさに最後的な破綻の烙印(らくいん)を押されようとしている。こうして公団・黒野は民営化への出口をふさがれ、見境もなく「北側延伸」構想を公言しているのである。
3・28三里塚集会は、「北側延伸」攻撃を始めとする三里塚闘争破壊攻撃に全面的な反撃を開始する闘いである。民営化後の成田空港会社がなおも農民殺しの政策を引き継ぐようなことを、革共同は絶対に許さない。また民営化後の成田空港が経営危機をのりきるためにも軍事基地化を積極的に進めようとしていることを見逃してはならない。3・28闘争を皮切りに、軍事基地=成田に対する大衆的包囲の闘いを強化しよう。
革共同は三里塚農民と血盟を交わし、70年代以降の全社会的な反動の嵐(あらし)に抗して対権力戦争を闘いぬき、全国の労働者人民とともに多大な犠牲を払って日本階級闘争の死活的な陣地を守り抜いてきた。この三里塚闘争の地平は全世界の労働者・農民のかけがえのない財産だ。われわれは、反対同盟と三里塚闘争に対して新たに始まった公団や千葉県の焦りに満ちた攻撃をいささかたりとも容認しないことを厳粛に誓う。3・20を大高揚させよう。3・28三里塚全国闘争に総決起しよう!
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週刊『前進』(2140号5面2)(2004/03/08)
反対同盟が招請状 3・28三里塚現地大集会へ
三里塚芝山連合空港反対同盟が3・20全国総決起集会の招請状を全国に向け発した。反対同盟の呼びかけにこたえ、全国から三里塚現地へ大結集しよう。(編集局)
招請状
全国の闘う仲間のみなさん。自衛隊のイラク派兵が強行されるなか、三里塚では暫定滑走路延伸と闘争破壊攻撃が強まっています。私たち反対同盟は三月二十八日に全国集会を開催し新たな闘いに決起します。みなさんの総結集を訴えます。
成田空港の軍事使用が公然と始まりました。小泉内閣は昨年十二月二十六日から二波にわたって航空自衛隊先遣隊を、一月十六日には陸上自衛隊先遣隊を成田空港から民間機でイラクに派遣しました。これらはイラク占領のための明白な軍事行動であり、「成田空港は軍事使用しない」とする政府の国会答弁を踏み破る暴挙です。政府は内閣官房に「水際危機管理チーム」を設置して成田空港に危機管理官を任命しました。千葉県警は空港でNBC(核・生物・化学)対策部隊と爆発物処理班、銃器対策部隊による合同訓練を実施し、空港警備隊内に軽機関銃を装備する「銃器対策部隊」を常設しました。成田空港は戦争体制に組み込まれ、軍事空港、治安弾圧空港へと変わりつつあるのです。
四月一日に始まる成田空港民営化とそのための暫定滑走路延伸攻撃(二五〇〇メートル化)はこの動きと一体です。黒野公団総裁は昨年来、「〇七年の株式上場までに平行滑走路完成に目途をつける」と表明し、「当初計画の完成が無理ならここ数カ月のうちに暫定滑走路の北延伸を決断する」と発言しています。「へ」の字誘導路を直線化するために、これに係る市東同盟員の畑と天神峰現闘本部、さらには野戦病院と岩山団結小屋の底地買収を発表し、耕作権の解約を求め、現闘本部など団結小屋の土地の明け渡しを要求する文書を送達してきました。また一坪共有地に対しては、強奪のための不当裁判を起こしています。
もとより反対同盟はこれらの攻撃に屈するものではありません。敷地内反対同盟を先頭に敢然と迎え撃つ決意です。そもそも成田空港民営化がもたらすものは、空港の欠陥性と危険性の飛躍的な増大です。利益追求のリストラと経費削減で空港の危険が増し、環境対策がなおざりになることは必至です。
この民営化にともなう北延伸攻撃の本質は、暫定滑走路の欠陥隠しと闘争破壊です。来年、中部国際空港が開港し成田の航空貨物が激減します。〇九年には羽田空港の新D滑走路が完成し成田のアジア便の大半が移ります。暫定滑走路をかかえたままでは成田の陥落が避けられず、〇七年の株式上場もおぼつかないのです。
それゆえ黒野公団総裁は、ただただ「二五〇〇メートル完成」の言葉欲しさに、まともにジャンボ機が飛べず無意味な北延伸を、危険性の増大と住民生活破壊に蓋(ふた)をして強行しようと策動するのです。
全国のみなさん。三里塚闘争は闘いの成否を決める決戦に突入しました。おいつめられた公団の農地強奪と北延伸攻撃を、反対同盟は総力で粉砕します。東峰神社裁判の勝利は、滑走路中央部の拠点を守り、平行滑走路を粉砕しました。この勝利を引きつぎ、敷地内農家を先頭に総決起する決意です。
成田空港はイラク―朝鮮侵略戦争の出撃拠点です。反対同盟は米反戦団体ANSWERと連帯し、韓国・アジアの戦争と軍事基地に反対する人々との連帯を強めてきました。三・二八全国集会は国際反戦闘争への連帯集会でもあります。米・ブッシュ政権と小泉内閣のイラク侵略を阻止しよう。有事法制と改憲、戦争のための法改悪に反対しよう。「労農連帯」の旗を高く掲げ、動労千葉を始めとする戦闘的な労働者とともに闘おう。三・二八全国集会への大結集を呼びかけます。
二〇〇四年二月十九日
記
【集会名称】
イラクへの自衛隊派兵阻止・有事法制粉砕
暫定滑走路延伸攻撃粉砕し軍事空港を廃港へ
3・28全国総決起集会
【日時】3月28日(日)正午
【会場】成田市天神峰 反対同盟員所有地
【主催】三里塚芝山連合空港反対同盟
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週刊『前進』(2140号5面3)(2004/03/08)
北富士 天野会長偲ぶ会に80人 “遺志を継ぎ闘う”
2月22日、北富士・忍草(しぼくさ)で天野重知忍草国有入会地守る会会長を偲(しの)ぶ会が忍草母の会の主催で開かれた。三里塚反対同盟や全関西実行委員会、婦人民主クラブ全国協など80人が集まった。94歳まで全生涯を入会地奪還にかけて闘いぬいた天野会長にふさわしく、入会地奪還・演習場撤去まで全力で闘いぬくことを誓う偲ぶ会となった。
最初に正面に飾られた天野さんのにっこりほほえんだ遺影に1分間の黙祷(もくとう)をささげた。主催者あいさつとして母の会から天野美恵事務局長が、「最後の最後まで入会権確立のために闘いぬいた。日本にこれだけの人はいない。命をかけて闘った天野さんの魂を引き継いで闘い続ける」と語った。
忍草入会組合から渡辺明広さんと天野豊徳さんがあいさつに立った。渡辺さんは、「先生が忍草農民の将来を考えて入会権確立のために命をかけて闘いぬいてきた姿に心から敬服しています。先生の業績は絶対に忘れ去られることはない」と追悼の言葉を述べた。天野さんは1年間に264回もゲリラに入った闘いや国会を始め全国に行った闘いなどを振り返りながら「私もその中で磨かれて闘う人の仲間入りができた。今後は残された先生の活字を手引きとして闘っていく」とあいさつした。
入会組合の大森太平さんの音頭で献杯をした後、連帯のあいさつを受けた。三里塚反対同盟の北原鉱治事務局長は「組合長は北富士の行く末を見届けるためにもっと生きたかったに違いない」と故人を偲び、成田空港を機動隊が自動小銃や機関銃で警備している現実を明らかにし、小泉政権の自衛隊イラク派兵を弾劾した。反対同盟からは敷地内の市東孝雄さんと萩原富夫さんも参加した。
全関西実行委員会の永井満代表(淡路町空港反対同盟代表)の「命の灯の尽きるまで闘い続けられた故天野重知氏の心を心としてともに闘い抜く」と誓ったメッセージを事務局次長の安藤真一さんが代読した。世話人の加辺永吉さんは「闘いはやめたらいけない。思い出話になったらだめと教えられた」と「死ぬまで闘い続ける」決意を語った。
婦民全国協の西村綾子代表は、米英日帝のイラク侵略戦争で世界戦争の道が始まったことを弾劾し、「そういう時代にならないように、女性の力を信頼して闘う」と誓った。ストライキで闘っている動労千葉のメッセージが紹介された。
革共同の天田三紀夫書記長は、天野組合長から「闘いは勝たなければだめだ」と教えられたことを語り、母の会とともに闘いぬくことを誓った。さらに部落解放同盟全国連合会、都政を革新する会の長谷川英憲代表、反戦共同行動委員会、全国沖縄青年委員会の新城峯子委員長、全学連などから追悼と決意が語られた。
北富士闘争三部作の著者の安藤登志子さんは「先生に導かれて生きる道を間違えずに来ることができた」と感謝の気持ちを述べた。全学連現闘として最初に北富士に入った同志が天野さんの闘いにかける厳しい姿勢を示す逸話を紹介しながら、「生存権を侵すものに対して闘う姿」を語った。
途中には天野さんの闘う姿を映しだしたビデオも流され、遺言となった昨年11月28日の演習場前での演説に参加者全員が遺志を引き継いで闘う決意をうち固めた。
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週刊『前進』(2140号6面1)(2004/03/08)
2004年3・14アピール
カクマル両派を完全打倒し階級的労働運動の大飛躍を
JR総連は民営化攻撃の先兵
団藤 清
第1章 労働運動の戦闘的な発展がカクマルを追いつめている
いよいよ反革命カクマルを完全打倒する時がきた。75年3月14日。この日、反革命カクマルは、わが革命党の創成者であり、また一貫して日本革命を指導しぬいてきた党首である本多延嘉書記長を暗殺した。われわれは、この虐殺を未来永劫(えいごう)けっして許さない。
本多書記長の死を、革共同の一人ひとりは「革命の死」ともいうべき重さで受けとめた。われわれはすさまじい形相で3・14復讐戦に決起した。それは、自ら一度死んだ立場に立って、新たな日本革命へ自己と革共同が再出発する決意をもって立ち上がったものだ。3・14反革命に復讐することは、日本革命を貫くわが党の絶対的責務である。
われわれは、01年の革共同第6回大会で二重対峙・対カクマル戦争の基本的勝利を確認し、カクマル中央派とJR総連カクマルを階級闘争場裏から全面的に追放する闘いの地平に立ったことを確認した。われわれは、勝利の指標を、
★カクマルの綱領的な破産の決定的な深化−黒田・カクマルの〈反帝・反スタ>の腐敗と自壊、
★カクマル謀略論路線の大破産−神戸謀略論運動の破産、
★カクマルを中央派とJR総連カクマルとに大分裂させた、
こととしてはっきりさせた。その上で、
★黒田哲学の全面的な批判を行い、黒田哲学なるものがすでに完全に死んだこと、今やファシスト反動哲学として腐臭を放っていると断じたのだ。カクマルが依拠する一切の思想的・理論的・哲学的根拠を完全に粉砕したのである。
カクマルとは何者か。反帝・反スターリン主義世界革命の時代に〈反帝・反スタ>の仮面をかぶり、闘う革命党破壊のために存在している現代のファシスト・反革命である。階級闘争の革命的・内乱的・武装的発展に敵対し、階級的激動期に権力にそそのかされ、またこれと有無通じて革命党と革命運動に予防反革命として襲いかかる民間反革命である。カクマルは、不遜(ふそん)にも自らを「唯一の革命党」と名乗るがゆえに、他の革命党組織の存在と闘いを目的意識的に解体することで自己の存在を守ろうと武装した反革命集団だ。まさに権力と闘う党派の解体を自己目的的に追求している民間反革命ファシスト組織である。
第6回大会で確認した勝利は、革命的内戦での20年間の勝利の積み重ねによるカクマル組織の軍事的解体の地平があって初めて可能となったものであり、同時に91年5月テーゼ以来の「労働者の中へ」の実践と革命的大衆運動の実現によってつくり出したものである。とりわけ、19全総−20全総決定による党としての国鉄決戦への取り組みによる1047名闘争を支えぬく闘い、JR総連カクマルの資本と結託した国労解体策動を打ち破る闘いへの決起、そしてJR総連=カクマル、カクマル=JR総連の反労働者性、反革命性を暴露した闘いは決定的に重要であった。この闘いは、国鉄の分割・民営化での大裏切りとニアリーイコール論に立つカクマルを追いつめた。反革命性の暴露・批判はカクマル内でJR総連派カクマルとの組織的亀裂を拡大させ、ついに組織の大分裂へと追い込んだのである。
そして、何よりもその基礎には、動労千葉の79年分離・独立以来の階級的原則を貫いた戦闘的な労働運動が営々と闘いぬかれてきたことがあるのだ。
カクマル中央派は、JR総連指導部を「階級敵」と規定しながら、共倒れの危機の中で「腐った妥協」に走った。今やJR総連に関して一言も発せられないという組織的腐敗を進行させている。
「黒田組織現実論の精華」ともてはやされたJR総連は、分割・民営化の大罪ゆえに労働者階級の怒りと怨嗟(えんさ)の前で立ち往生し、資本との癒着の仕方をめぐってさらに松崎派と嶋田派とに自己分解し、解体・打倒される道に入っている。
階級的=国際的闘い
昨年11・9労働者集会において、韓国の民主労総、アメリカILWU(国際港湾倉庫労働組合)との合流の中で明らかになったことは、階級的な闘いは国際性をもっており、国際的な闘いは階級性を貫いた闘いであるということであった。国鉄の分割・民営化攻撃と真正面から闘った動労千葉を軸として11・9集会の大合流ができたことはそのことのあかしである。
世界の労働者もまた、国際帝国主義・巨大独占資本による民営化攻撃のもとで、極限的な労働強化、合理化、首切り、権利破壊攻撃と渡り合って闘うことで、労働者の団結と権利を守り、仲間を守りぬいてきた。それはまた関西生コン、港合同の動労千葉と共闘する組合の闘いに共通するものである。
JR総連カクマルは、こうした階級的な労働運動の裏切り者である。国鉄の分割・民営化に協力し、戦争国家化の先頭に立った労働組合である。労働者の最大の裏切り者・JR総連カクマルに対して、日本の労働者階級だけでなく、国際的な労働者階級からの激烈な怒りがわき起こっている。JR総連は、分割・民営化以降も、資本との結託体制のもとで、シニア制度や外注化攻撃を応諾するなど組合員の権利を資本に売り渡し、職場闘争を投げ捨て、異議を唱える組合員をファシスト暴力で退職に追い込むなどの反労働者性を強めてきた。JR総連は、日本の労働運動の中でファシスト組合として完全に孤立している。この反労働者的事実を隠蔽(いんぺい)しようとするものが「反グローバリズム労働運動」なるものである。だがこの策謀も、事実を知りつつある国際的な労働運動の出現によって、化けの皮がはがれ落ちてきた。
「民営化に賛成した組合=JR総連」という事実が国際的な労働者の怒りを買っている。階級的な裏切りは、全世界の労働者が許さないということだ。
革共同は、11・9労働者集会の成功をがっちりと総括し、階級的労働運動を貫いて闘ってきた動労千葉の闘いに学び、動労千葉の闘いを全階級的に広げていこうという立場に立って、党総体が「労働者の中へ」を全面的に展開する新指導路線に挑戦している。それは第6回大会決定を貫徹する闘いであり、「党の革命」をも伴った闘いとして、党勢の2倍化を戦取する絶対的な課題への挑戦としてある。その先頭に、昨年12月に結成されたマルクス主義青年労働者同盟の若々しい闘いがある。訪れた階級的激動を革命のチャンスとするための労働者党建設に今こそ全力を挙げよう!
すでに、労働者の組織的決起が始まっている。国労の5・27臨大闘争弾圧の被告が職場に戻り、仲間から熱烈に歓迎されている。国労本部が反対派組合員を権力に売り渡すという前代未聞の攻撃は、警察労働運動そのものであり、絶対に許されるものではない。被告たちの闘いを核として闘う国労組合員による大反撃は必ず爆発する。
連合の柱としての100万人組合員を擁する自治労では、昨年夏の定期大会で『21世紀宣言』なる組合綱領の改悪攻撃に対して、3分の1以上の代議員が反対票を投じ、いったんはこれを否決するという事態を生み出した。自治労本部の「転向」策動に対する組合員による拒否と抗議である。その闘う力は、今もしっかり継続し、有事立法−戦争攻撃と対決する決定的な反撃の拠点となっている。
教育労働者は、12月23日に集会をもち、分裂時に激しく対立した日教組系と全教系の組合員が一堂に会して、会場に入り切れない5000人の結集をもって、教育基本法改悪反対の闘いをともに闘った。東京都を先頭にした「日の丸・君が代」攻撃との闘い、不適格教員処分攻撃などへの反撃も続けられている。侵略戦争の開始−改憲を射程に入れた日帝・小泉反革命に対して、教育労働者が危機感に燃えて決起し始めたのである。
全逓では、郵政民営化の合理化攻撃と闘い、殺人的深夜勤導入に反対して労働者の闘いが爆発している。
動労千葉と共闘している関西生コン支部は、2月20日、イラク反戦を掲げて2時間のストライキに決起した。港合同は組合破壊攻撃を真っ向からはね返して闘っている。
そして何よりも動労千葉は、昨年12月15日の習志野電車区廃止攻撃に対する検修職場組合員50人の全日ストライキ決起に続き、運転保安を無視した「3・13ダイヤ改定」阻止の04春闘へ、2月10日からの不当配転粉砕・非協力闘争の指名ストライキに突入した。04年の反戦・春闘が実力闘争として始まったのだ。こうした労働組合運動の決起の基底に、対カクマル戦の勝利でファシストの反革命制動を打ち破った力が大きく働いている。そして、この労働組合運動の爆発は、カクマルを組織的に解体・打倒していく大きな力になることは、明らかだ。
労働運動の深部から、侵略戦争と闘う決起が始まっている。全戦線で闘う労働者が革共同を待っているのだ。われわれには、新指導路線のもと、労働者の中へ徹底的に入り、あらゆる職場に日本革命を担う闘う労働者党の細胞を建設していくことが求められている。そのために「党の革命」を遂行し、革命的情勢に対応する革共同を建設しよう! その闘いによって、反革命カクマルを職場・学園・街頭から一掃することができるのだ。新指導路線のもと、カクマル完全打倒の闘いに、今こそ突入しよう!
第2章 類例のないファシスト組合=JR総連が大分解を開始
(一)国鉄分割・民営化への 協力こそJR総連の原点
世界的な民営化攻撃
国鉄の分割・民営化は、当時の中曽根首相が唱えた「戦後政治の総決算」の柱をなした、戦後労働運動の解体をめざした攻撃であった。中曽根自身がその後語っているように、攻撃の中心は戦後の労働運動の柱をなしてきた国鉄労働運動の解体−総評解体にあった。中曽根は、労働者階級との戦後的力関係を変え、階級的労働運動の粉砕を目指したのである。
中曽根の民営化攻撃は、当時世界的に行われた帝国主義支配者の民営化攻撃のひとつでもあった。レーガン(米)・サッチャー(英)・中曽根(日)による「小さな政府、民営化」攻撃として、労働効率化重視、労働者の無権利化、労働者の首切り−合理化の全面攻撃として、労働組合の団結と闘いそのものを粉砕する攻撃として加えられたのだ。レーガンの航空管制官スト弾圧、サッチャーのイギリス国鉄つぶしなど帝国主義支配階級によるプロレタリア階級との力関係の反動的転覆、労働運動そのものの解体を狙ったものであった。
中曽根の先兵として
この中曽根の戦争国家化攻撃の先兵となって働いたのがカクマルだった。
国鉄の分割・民営化攻撃は、日帝・国家権力の国策として、戦後労働運動の最大の柱であった国労を解体することを狙いとした階級攻撃であった。だから真っ向から階級的に反撃し、闘う以外になかったのだ。にもかかわらずカクマル副議長であった松崎明を頭目とする動労カクマルは、この階級攻撃の先端で階級内部の裏切り者として、敵階級の突撃隊となり、闘う陣形を内側から攻撃し、破壊していった。カクマルのこの裏切りがなければ、国鉄の分割・民営化は一歩も進めることはできなかったのだ。
動労カクマルは、「自分たちだけが助かるために労働者を裏切る」「組織として仲間を裏切れば革命的である」「生き残るためだったら、闘う国労つぶしの先頭を担う」という組織論で武装し、積極的な裏切り組合として登場した。彼らは「民営的手法の導入は歴史の必然」と言い切り、組合指導部が“ストライキをやるな! 既得権を放棄せよ! 骨身を削って働け!”と権力・当局と一緒になって組合員を恫喝して回った。
国鉄当局との間で雇用安定協約を締結し、また「働こう運動」を推進した。そして国鉄当局が出した「余剰人員調整策」なる「首切り三本柱(退職勧奨、一時帰休、出向)」攻撃を、組合指導部として組合員に強制した。国労が「三ない運動(辞めない、休まない、出向しない)」で闘ったことに対し、「国労は余剰人員調整策を妨害している」「会社倒産運動の国労」などと国労つぶし攻撃を先頭で行った。カクマルは普通の意味での労働運動の単なる裏切り分子の枠をこえている。積極的に日帝・当局の立場で労働者に襲いかかるファシスト集団なのである。
当時松崎は、自民党の機関紙『自由新報』や勝共連合の『世界日報』などに登場し、「組合委員長室に日の丸を掲げよ」とか、「われわれは変節した。もうマルクス主義には戻らない」「私自身の価値観が変わった」などと、いわゆる「松崎のコペ転(コペルニクス的転換)」を宣伝しまくった。そして、日米安保体制や自衛隊容認を強調し、また天皇制擁護を行動で示した。中曽根の戦争国家化の先頭を松崎・カクマルが突撃したのである。
カクマルこそ、20万人国鉄労働者の首を権力・当局に差し出し、200人の国鉄労働者を自殺に追い込んだ労働者人民の大裏切り者である。JR総連という組合は、労働者人民によって流されたおびただしい血が染み付いた組合なのだ。日帝・資本の労働者攻撃の突撃隊であり、階級的労働運動解体をめざすファシスト組合なのである。階級的力で打倒あるのみなのだ。
重要なことは、この裏切りをカクマル議長・黒田と松崎の決定と指導のもとで、全カクマルが組織の総力を挙げて推進したということである。けっしてJR総連派カクマルだけが行ったことではない。今、JR総連と分裂した黒田と中央派カクマルは、あたかもこの大罪はJR総連カクマルの問題であるかのごとく沈黙している。だがカクマル=黒田こそ、この分割・民営化攻撃の最先頭を松崎とともに担った事実はけっして消し去ることができないのだ。
中央派との大分裂
組織総体をかけて裏切りを進めたカクマルは、産別組織全体が組合主義者のような組織となってしまった。この変革をかけて黒田に登用されたのが賃プロ主義者(注1)であった(91〜93年)。だが松崎批判をするまでに至った彼らを黒田は粛清する(93年)。松崎は、JR総連攻撃をした賃プロ主義者に対する黒田による総括(94年)を受け入れず、ここに重大な組織的亀裂が進行した。これ以降松崎はJR総連を独自王国化する一方、ワークシェアリング、軍需産業推進、自衛隊容認などを積極的に発言する(95年)。ファシスト反革命でありながら革命の仮面を必要とする政治組織カクマル(黒田)とさらに決定的に対立し、97年神戸謀略デマ運動を拒否して、ついに2000年に分裂に至るのである。われわれの松崎批判がこれを強制したのである。黒田組織論は最後的に破産した。
(二)歴史的大裏切り隠して「闘う勢力」を装う松崎
松崎派と嶋田派分裂
2000年に中央派と分裂したJR総連カクマルは、松崎の側近が拉致されるなどの事態に直面し、いったんはカクマル中央派を権力に告訴するなどの行為に出たが、その後共倒れの危機を回避するため、「腐った妥協」を進めた。だがこれで共倒れの危機から逃れられたわけではない。彼らの最大の危機の根拠は国鉄の分割・民営化の大罪を犯したことであり、会社側組合であることである。つまり労働者階級全体から、「裏切り者=階級敵」と刻印されていることである。彼らの打倒こそが、労働者階級人民から待ち望まれているのだ。
JR体制の危機露呈
JR体制になって起きていることは、資本の利益追求第一主義による安全無視、労働者の極限的酷使である。鉄道労働者への合理化による要員削減と運転保安の危機が現実化している。外注化、コスト至上主義の強制で、触車死亡事故(99年品川・5人死亡)、列車脱線(01年鶴見)や車両事故、レール折損、保安装置故障、信号機故障など日常的に事故が多発している。また極限的労働強化による現職死亡が多発している。だがJR東労組という御用組合を隠れみのにした事故隠しが大手を振ってまかり通っているのだ。また権利剥奪(はくだつ)攻撃が驚くべき激しさで襲っている。
組合が資本の立場に立って、乗員と乗客の安全を捨て去り、危険ぎりぎりの状態に目をつぶっていること、組合内部に向かっては白色暴力を行使し、外へ向かってはマスコミを使ったデマ宣伝をもって実態を覆い隠しているからである。昨年9月の中央線での大規模輸送混乱、京浜東北線でのシャベル置き忘れ(衝突)事故などは、利益至上主義の企業体質に基づく、安全無視、外注化、下請けへの丸投げが原因である。
カクマル=JR総連は、「責任追及から原因究明へ」などと言って現場労働者に責任を押しつけて資本を救済し、この現実と一度として闘ったことはない。逆に動労千葉や国労の安全確立、運転保安の闘いを「企業倒産運動だ」として敵対し続けてきたのだ。
だが、本質的に動労千葉の階級的労働運動、不屈に闘う国労闘争団と国鉄労働者の存在によって、JR総連は日々追いつめられている。今やJR総連の裏切り的反革命性は労働者階級の中に知れ渡っている。
一方で侵略戦争への突入情勢の中で日帝権力、JR資本、JR総連−東労組のこれまでどおりにいかない新たな矛盾とあつれきが激しく始まっている。
こうした中で、ファシスト組合の独自性にしがみつく松崎派に対し、「ニアリーイコール」論を忠実に貫いて資本との癒着・協調を公然化させた嶋田派が分裂した。
確認すべきことは、この両者とも組合員の味方面した裏切り者であり、集団暴力を背景に組合支配を行うファシスト労働運動だということである。JR総連の組合的「実力者」を擁した嶋田派と、松崎の個人的権威と本部権限に依拠する松崎派。彼らが、分割・民営化の功労として17年をこえてJR資本と結託体制を維持して来たこと自身が、腐敗と利権にどっぷりつかった体質を作り上げてきた。嶋田の委員長人事への松崎の背信を原因とした分裂は、巨大労組の実権と利権をめぐってのものである。この両者は、第2の分割・民営化ともいうべきJR東会社1万人合理化攻撃に対し、ファシスト労組幹部としてJR組合員の職場からの決起を抑え、「ボス交」によって合理化に協力し、組合員の利益を売り渡す役割を果たしてきたのだ。
組合員の生活と存在からまったくかけ離れた組合執行部のこうした権力闘争への疑問や不平・不満、そして怒りが、組合員の離脱や種々の下からの反抗を生み出している。JR総連カクマル支配が音をたてて瓦解(がかい)し始めた。JR総連−東労組の解体的危機が根底的に進行しているのだ。
反撃に出た嶋田派
松崎は、一昨年10月に辞任した8人の嶋田派本部役員を、「組合の敵」「権力を引き入れて浦和の7人を逮捕させた」などと非難した。松崎派による嶋田派攻撃は、新潟地本、長野地本を中央委員会で反本部と決定し、横浜地本内の嶋田派支部、分会役員への締め付けと制裁、千葉地本の嶋田派旧役員への組合員権剥奪などの処分の連発として進められてきた。
これに対し、嶋田派は嶋田著の『虚構からの訣別』という本を出版し、本部情報しか入らない各地本、支部、分会へ送付した。昨年10月には東労組中央委員会に押しかけ、入り口で処分に抗議するビラまきを行い、双方の組合員で激しいやりあいとなった。そして、横浜地本鶴見支部代議員は、松崎派の地本役員に対する制裁委員会の設置を逆に申請するなど、松崎派との抗争態勢に入った。今年に入って「嶋田たちのホームページ」を立ち上げ、ここで松崎派による処分の不当性を大衆論議にかけて反撃し始めた。
松崎派は、「浦和の7人逮捕の弾圧と闘う」として、5000人集会を開くなどして結束力を維持しようとしている。だがそもそも浦和事件の発端は、組合員を陰湿な集団暴力でやめさせたものであり、けっして「労働組合の正当な活動」などと呼べるものではないのだ。JR東労組では、組合員への白色暴力による迫害とたたき出しが日常茶飯事に行われている。それは浦和電車区だけでなく、高崎地本における平成採組合員の東労組脱退と国労への移行の時に行われた激しいゴリQ(=白色暴力による集団的テロ)に示されている。権力・資本の容認のもとでJR総連・ファシスト組合支配が行われてきたのである。
浦和事件が示していることは、第2の分割・民営化攻撃の中で、国労組合員のみならずJR東労組組合員自身が合理化対象となっており、組合執行部が資本の側に立ち組合員に敵対している状況の中で、JR総連カクマルの組合過疎支配が音をたてて崩れつつあるということであり、それへのJR総連カクマルの暴力的対応が至る所で問題となっているということである。
松崎派と嶋田派への分裂は、今後の日帝権力、資本の動向に大きく左右され、紆余(うよ)曲折を経ながら一層の組織分解的事態へと突き進んでいくことは明らかだ。まだその序曲に過ぎない。
「会社と組合守れ」
JRからたたき出される恐怖にかられる松崎は最近、一転して嶋田派との関係修復を図ろうとしている。
2月10日に開かれた東労組第27回定期中央委員会で、これまでの決定を変更して「@嶋田を始め辞任した8人は、組織破壊者ではない。A新潟、長野地本を『反本部』とした決定を取り消す。B辞任した前副委員長・嶋田と関根の制裁申請を取り下げ、そのほかの制裁処分も次期大会まで保留する。C処分を決定した千葉地本の小林前委員長、篠塚前書記長に関して、再審査委員会を設置する」として、松崎派は嶋田派との対立の「解決」に動き始めた。その理由は「組合と会社のために総団結しよう」というものである。明らかに資本の強力な介入があったことは明らかだ。権力、資本、JR総連をめぐる矛盾とあつれきの中で、追いつめられた松崎が一方的に嶋田派に屈服してでも会社と自己を守るという選択を迫られたことを示している。
すでに松崎が自分の息子の篤を社長に据えた「さつき企画」では、息子・篤が社長を辞任し不明朗な資金疑惑の追及逃れに入っている。松崎は、ささやかれる「横領・脱税」の疑惑を消せない中で、嶋田派への屈服と譲歩をも辞さず、なんとしても組合利権にしがみついて延命することに全力を挙げているのだ。
だが松崎派、嶋田派の組合幹部間でのこうした取引自身、JR総連−東労組が労働者の手で打倒されるべき存在であることをますますはっきり示している。JR総連の大流動、大分解情勢が不可避となっている。JR総連の解体・打倒に向かって突撃しよう! 今こそJR労働運動に階級的労働運動を再生させよう!
(三)階級的戦闘性堅持した動労千葉の闘いの勝利性
原則を貫いた闘い
国鉄の分割・民営化という大攻撃が加えられ始めた80年代前半、動労千葉の中野洋委員長は3年間迷ったと言う。そして「迷ったら、原則にたち帰ろう」との立場で闘ったという。その時の気持ちを「組合員を信頼して闘うことが組合指導部の責任だ」「魚は頭から腐る」と言い切っている(『俺たちは鉄路に生きる2』)。つまり組合員は階級的原則で闘うことを当然と思っているのに、指導者が闘いの結果や弾圧を考え、闘う責任を取ろうとしないことから、すべての闘争回避が起こるのだと言っている。そして実際に闘って、組合の団結を守ってきた。それまでの「闘ったら分裂する」という闘争回避のデマを打ち破ったのだ。
超ど級の分割・民営化攻撃に対して、1100人の組合員(当時)の動労千葉が、階級的原則を貫いて闘った対極に、動労カクマルの日帝への組織を挙げた協力、国鉄労働者への襲撃があったのだ。
革共同は、日帝・中曽根の戦後政治の総決算攻撃と真っ向から闘った。
当時革共同は、カクマルとの内戦のフェーズT(PT)段階の闘いとして三里塚決戦、国鉄・天皇決戦の大衆闘争を必死でかちとる闘いを組織しつつ、革命軍による自民党本部火炎放射戦闘、成田・羽田ロケット弾戦闘、迎賓館・横田=サミット戦闘、皇居砲撃戦闘など革命的ゲリラ戦争を爆発させ、また三里塚十字路戦闘の大衆的武装闘争を戦取した。
国家権力が総力を挙げた分割・民営化攻撃に対して、革共同はこの粉砕に全力で決起した。動労千葉の2波のストを支援・防衛してともに闘った。また2度の首切りを突き抜けて不屈に闘う国労闘争団を守り連帯する労働者人民の隊列として、国労解体の狙いを粉砕した。分割・民営化の重要な局面の85年11月には、動労千葉のストライキと連帯した大衆的武装闘争が、権力の銃撃を突き抜けて浅草橋戦闘として貫徹された。まさに国鉄分割・民営化をめぐる闘いは、日本の労働運動、革命運動の成否をかけた闘いだった。われわれは、流血を辞さず命をかけて全力で闘ったのである。動労千葉が生き残り、国労が存続した。それは日帝・中曽根の狙いを根底において粉砕したことを意味している。その後の日本の階級闘争は、国労闘争団の闘い、動労千葉の階級的闘いが存在することで、連合支配の崩壊、JR総連カクマル支配の瓦解(がかい)へと進んでいる。
こうした闘いの核心にファシスト・カクマル、JR総連との激しい攻防があった。白色暴力で敵対した資本の手先・ファシスト反革命に対する怒りの赤色テロル戦闘が、戦後史の大反動を根底において完全に打ち砕いて爆発したことをはっきり確認しておきたい。
松崎・カクマルは分割・民営化後、一企業一組合を叫び、会社と結託した配転攻撃や拠点つぶしなどをもって動労千葉破壊、国労破壊攻撃をさまざまに加え続けた。「分割・民営化後、3年もたてば国労は崩壊する」などと言っていた政府、カクマルにとって、動労千葉の結束した闘い、不屈の1047名闘争を軸とする国鉄労働者の戦闘的存在はまったく信じられないできごとだったのだ。この持続した闘いが、ファシスト労働運動に裏切りの紋章をくっきり刻印し、圧倒し続けている。階級的闘いがJR資本とカクマルの結託体制を破綻させ、ファシスト・カクマルを中央派とJR総連に大分裂させ、さらにJR総連を松崎派と嶋田派へ分裂させたのだ。
「戦争反対」のペテン
日帝・権力、奥田指導下の支配階級にとって、JR資本のようなファシストの力を借りなければ組合支配ができない、労務政策が貫けない資本のあり方は、もはや許容できなくなっている。しかもファシストが権力構造の一角に半公認的に存在を確保しようとうごめくなど認められないのだ。帝国主義の危機とイラク侵略戦争への突入、北朝鮮侵略戦争切迫情勢−有事体制確立を進める日帝・支配階級にとって、ファシストによる独自利益を追求する自己運動を許しておく余裕などない。またJR資本にとっても利益追求が第一であり、そのためにファシストの既得権益を許容する余裕はなくなっている。
この間の権力によるJR総連−東労組への強権発動は、分割・民営化以降続いた癒着構造をいったんは清算し、再編・解体して完全な日帝の統制下におく必要から踏み切られたものである。今日の松崎派と嶋田派のJR東労組内部の分裂を含めたJR総連ファシスト、日帝権力、JR資本の間の矛盾・あつれきの激化は、癒着体制に依存して来たJR総連をさらに大流動させ瓦解させる力として働いている。動労千葉、国労闘争団の不屈の闘いが、本質的に彼らを解体する力となって揺さぶっている。
今、カクマル=JR総連は、「闘う組合」の新しい仮面をかぶって人民の闘いにすり寄ってきている。「戦争反対の組合」を押し出し、「憲法9条―世界へ未来へ」と称する「9条連」運動に全力を挙げている。しかし9条連は、「武力によらない平和を」として、帝国主義のイラク侵略戦争反対を絶対に言わない。北朝鮮侵略戦争突入のための有事立法反対も絶対に言わない。9条連という形で闘争を破壊しようとしているのだ。JR総連は、組合運動の裏切りを隠すためのアリバイ的動きとして使っているのだ。戦争体制づくりを先頭で担った者が、体を張って戦争に反対することはあり得ない。すでにJR総連は99年の第15回大会で、軍事輸送に協力することを決めている組合である。「9条連」そのものがファシスト組合の新たな反人民的裏切り策動なのである。一切の展望を失ったファシストの新たな反労働者的策動を許すな! 闘う労働者の力でファシスト組合・JR総連を今こそ解体・打倒しよう! JR労働者の階級的労働運動への合流をかちとろう! その時が来た。
第3章 「暗黒の21世紀」論で革命に敵対するカクマル中央派
(一)帝国主義論を欠落したカクマルの理論的破産
カクマルにとっての〈反帝・反スタ〉綱領は91年のソ連崩壊とともに崩れ去った。「ソ連とその国家群」の強大さに依拠した世界観はものの見事に破産した。帝国主義論をもたない黒田は、その後は地肌を現し反米国粋主義の世界認識へ回帰していった。
マルクス主義を放擲(ほうてき)したカクマル黒田は、ソ連スターリン主義崩壊以降の世界を帝国主義国家間の対立の時代としてとらえ、現在の戦争の根源を帝国主義の問題として論じることがまったくできなくなっている。
「宗教・民族戦争」?
これを示す特徴の第一は、米英日帝によるイラク侵略戦争を「宗教=民族戦争」として規定し、帝国主義的利益をめぐる再分割戦争という階級的本質を隠していることである。
今年の反革命通信『解放』新年号トップ論文「暗黒の21世紀を突破せよ」のサブタイトルは「現代の宗教=民族戦争の悲劇を打ち砕け!」である。(本紙2137号で批判)。マルクス主義のかけらもないこの論文を引き継いだ論文が「現代の宗教=民族戦争に反対する闘いを創造せよ」(解放1月12日付号)である。これらの論文でカクマルは、イラク侵略戦争が「国際帝国主義のイラク−中東石油利権をめぐる争闘戦」として起きていること、この本質的な問題を徹底的に隠蔽しているのである。
カクマルは、イラク侵略戦争がキリスト教とイスラム教による「宗教=民族戦争」であると繰り返し述べているのだ。
「現代版『十字軍』とこのムスリム勢力との衝突は、宗教=民族戦争としての性格をもつ、といってよい」(同新年号)
「ブッシュの『一超』軍国主義帝国の『イエス』をツイタテとしたアラブ・イスラーム世界への侵略戦争という新たな形態の宗教=民族戦争」(同1月12日付号無署名論文)。ここにはマルクス主義はどこにもない。
しかもカクマルは、このような分析から現代世界の特徴は「神の復活」であるなどと主張している! そして、この復活した神と対決できるのは「マルクスのマルクス主義」などと言っている。これは、イスラムのジハードを鎮静化するのがマルクス主義だという意味である。その立場から「テロに反対」とわめきだしている(2・8労働者集会など)。これはイラク人民やパレスチナ人民の武装闘争への全面敵対であり、さらなる帝国主義の先兵化のイデオロギー的自認だ!
日帝・小泉打倒に敵対
第二に、この再分割戦をめぐる帝国主義国家間の対立を、好戦国家と非戦国家との対立であるかのように描き、自国帝国主義打倒の国際的な闘いに敵対していることである。それは“好戦主義者・ブッシュ率いるハーケンクロイツ同盟(米・英・日)と非戦組(独・仏・露)の対立”という主張である。
マルクス主義者にとって、第2次世界大戦が、植民地・資源・市場を「もたざる帝国主義(独・日・伊)」による「もてる帝国主義(英・米・仏)」との、領土・資源・市場をめぐる再分割戦争であったということは常識である。これをブルジョア歴史学者やスターリン主義者は、「民主主義陣営国家とファシスト陣営国家との戦争だった」とし、その階級的性格をあいまいにした。
カクマルの主張は、労働者階級人民による自国帝国主義打倒の国際主義的闘いに敵対し、武装解除させるものである。これでは、独・仏・露の労働者はこの戦争に反対するシラクやシュレーダーやプーチンを守れ!彼らととともに闘おう!ということになる。これほど反動的なイラク戦争論はない。
第三に、日帝・小泉のイラク派兵が、日帝としての国益をかけた戦争国家としての「必死の主体的な飛躍」であることを隠蔽していることである。カクマルはしきりに「ブッシュの犬、ポチ」などと小泉を対米従属に描き上げている。
だが自衛隊の派兵は、けっして米帝に従属しているから決定されたというようなものではない。日帝・小泉は、日帝の生き死にがかかった石油利権確保、イラク復興利権という国益をかけて必死の主体的飛躍として派兵に踏み切ったのである。そこに日帝の凶暴性と不退転性があるのだ。国論二分状況であっても強行しなければならない理由もそこにある。闘う側の徹底性もだからこそ必要なのだ。
「11・29謀略」のデマ
第四に、これを純化したものが、11月29日の日本人外交官2人の銃撃死を米軍の意図的謀略だとするデマ主張である。
「日本人外交官二名の虐殺事件−これは、イラク占領軍政の破産にあえぐブッシュ政権が、“実戦参加”を逡巡しつづけてきた小泉政権に、ハーケンクロイツ同盟の一員にふさわしい『貢献』を果たすという決断を迫るために、意図的に仕組んだ謀略にほかならない。ことここにいたって小泉政権は、ついに戦後初の戦地への日本国軍の出兵に踏みきったのである」(解放1月12日付号)
いわば“グズグズ小泉”論“派兵したくない小泉”論、“仕方なく派兵に踏み切った小泉”論を展開している。小泉はブッシュに脅された被害者だとでも言わんばかりだ。これほどの日帝・小泉美化論、対米従属論、反米愛国論はほかにない。日帝の侵略戦争の凶暴性を否定し免罪し、米帝に強制されてしたくないことをしている小泉に同情せよというのだ!
カクマルの主張の根拠は、一部のマスコミの「米軍誤射」報道にある。だがカクマルの「米帝による目的意識的な殺人謀略」論は、この「誤射」報道とはまったく異質なものである。この記事に飛びついてカクマルがねつ造した反動的な闘争破壊のデマである。
(二)権力へ投降して恭順を表明する朝倉、西條ら
中央派カクマルは、権力への組織的投降を開始した。労働者人民に数々の悪行を働き、警察無線情報で労働者の隊列に襲いかかり、あるいは自ら盗聴、盗撮、尾行、家宅侵入、窃盗、脅し、ナーバス(白色暴力による嫌がらせ)を行ってきたカクマル非公然軍事部隊が、この間次々と権力に投降している。
すでに逮捕されただけでも指名手配者6人が投降し、他にも、手配が出ていないのに確かめに自分から出ていった者がいる。明らかにカクマル組織が権力への投降を路線化したということである。
昨年6月、福岡での非公然アジトが摘発され、そこにいたカクマル指導中枢である朝倉文夫(池上洋司)、西條武夫(木下宏)が身体捜索を受けた。当然組織的重要文書が押収された。これにカクマルは震え上がっている。
中央派カクマルは、その言葉の尊大さとは裏腹に、権力と真っ向から闘う思想も路線もなく、また実際に組織をあげて権力と闘ったこともない。階級闘争の決戦期には必ず裏切り、脱落する党派である。しかも、それを「革命的である」と正当化するために「闘う党派を襲撃・解体する」ことを目的化する反革命である。本当に権力と闘っていないがゆえに、いざ権力の踏み込みにあうや恐怖と混乱の中で算を乱して逃走し、自ら非公然組織を堅持することもできないのだ。今回の投降路線は、権力には勝てない、権力とは闘わないという思想に基づいた組織的行動である。警察=カクマル連合(K=K連合)のもとで「非公然」であり得たに過ぎないことが暴露された。カクマルの数々の悪行は、権力の容認のもとで可能だったのだ。
カクマルは、すでに軍事責任者・塩田明男が02年に逮捕されている。組織そのものが何ゆえに次々敗北したのかの総括や原因究明もできないまま、ただただ権力の強さに恐れ屈服し、自己崩壊・投降の道に入ったのである。その指導責任は『内ゲバにみる警備公安警察の犯罪』なるデマ本で黒田が語っているように、軍事指導責任者・黒田その人にあるのである。
(三)黒田の政治的な衰滅がカクマル危機を生みだす
「神戸謀略論」の破産
カクマルの組織的混迷と衰滅は、黒田の理論的・組織的活動での衰滅がもたらしているものである。
黒田は、96年に権力の追及逃れから「躍出」と言ってカクマル議長を辞任しておきながら、97年の「神戸謀略論」デマ運動をねつ造し、それをカクマル全組織に強制した張本人である。言うまでもなく今なお最高指導者である。黒田は、「政治的判断を優先させた認識」を唱え、“訓練を積んできた自分の直観だけが正しい”という都合のいい立場を確保して専横支配を行ってきた。だがその直観のまやかしが白日のもとにさらされ、黒田の政治的衰滅が組織を崩壊させている。政治的直観でご託宣を垂れる黒田とそれに付き従うだけの官僚指導部による組織方針化。それに振り回された組織の瓦解として事態は進行しているのだ。
その最たる例が「CIAによる神戸謀略」論運動であった。97年神戸で起きた「小学生連続殺傷事件」を根拠もなく「CIAの謀略」としたものだ。記者会見後にこの破産が露呈するや、非公然組織を使って「CIA謀略」のねつ造に入った。「神戸謀略論」を提唱した黒田の権威をなんとしても守らなければならなかったからである。カクマルは当時“これをCIAの謀略と認識できるかどうかは「1956年のハンガリー革命に匹敵する」たたかい”と最大級に位置づけ、「反スタ」がかかった問題としてCIA謀略論を強制していった。「信じられない」という教労を始め産別メンバーには「現地調査」を強要し、「現地に行って謀略だと思った」という感想文を書かせ、内部思想闘争と称してこれを運動化した。一方、破産した謀略論のねつ造のために非公然組織をフル回転させた。逮捕された「A少年」の自宅への盗聴、尾行、家宅侵入、窃盗を行い、また家族を尾行して取り囲んで会話を集めては、自らの都合に合わせたシナリオ作りに利用した。そして検事調書の窃盗(コピー)とマスコミ操作へと走った。
こうした荒唐無稽(こうとうむけい)の謀略物語をねつ造するために組織を挙げて熱中する集団とはいったい何なのか。カクマルはまさに人民を蔑視し、情報操作で人を動かせると思っている反人民的な存在だ。社会的に孤立しているA少年の家族への軍事力行使を見よ! これが「革命」を口にする者のやることなのか。「労働者の自己解放」とは対極のこうした行動は、黒田の自己保身のためだけに行われたのだ。
「CIA神戸謀略」論は、実は離反しつつあったJR総連をカクマルに引き戻すために企てられた。松崎が「JR総連に戦後三大謀略のような謀略がかけられようとしている」と主張していることに取り入り唱和したものだ。かつての動労カクマルの水本謀略運動(注2)以来の謀略運動でJR総連のとり込みを狙ったものだった。だが、神戸謀略運動の破綻(はたん)があまりにも早く訪れたこと、その荒唐無稽さの中で、JR総連は神戸謀略論には乗って来ず、むしろ最後的分裂の動力となった。
責任をとらない黒田
K=K連合の枠を超えたなりふりかまわない行動、特にマスコミへの検事調書送付は、権力の許容をこえたファシストの自己運動としてあった。権力はいったんカクマル軍事力を解体して完全統制下におくことに踏み切ったのである。「神戸謀略論」の破産、その取り戻し策動とその破綻。破綻が次の破綻を生み出すという形で、黒田主導の「神戸謀略論」はカクマル組織を分裂させ自壊に導いた。非公然組織の摘発と自己崩壊、産別メンバーの離反、何よりもJR総連との大分裂の最後の引き金となった。
JR総連を引き止めようと開始した「神戸謀略論」は結局、黒田の権威を守るという自己保身へと突き進んで組織崩壊を生んだだけだったのだ。黒田はこのことに一切責任を取ろうとしていない。カクマルは黒田の権威の前で組織内的には「CIAの神戸謀略」を口にするが、大衆的にはまったく言及できない。せいぜい「マスコミ報道の人権問題を追及する」などと黒田の主張とはかけ離れたつぶやきでごまかしている。「CIAによる神戸謀略」論をカクマルはなぜ組織総括しないのだ。「ハンガリー革命に匹敵する」はどこへいったのか。大衆的に大騒ぎしたくせに総括も出さず口をつぐんで忘れられるのを待っているのか。
「優等生ではいけない」と言ってカクマル集会(昨年3・16)で説教している常盤、朝倉よ! 黒田になぜ謀略論の破産を言わないのだ。優等生は誰なのだ。黒田が存在している間は言えないということか。このカクマル組織員のどこにいったい「共産主義的主体性」があるというのか。黒田との「内部思想闘争」をなぜしないのだ。常盤や朝倉が今でもCIAの謀略だというのなら、大衆に向かって根拠を示しそれを言ってみせよ!
カクマル組織は今や労働者大衆とあまりに掛け離れた存在となった。
黒田の「直観」に基づいた主張は、組織内部の確認だけで済み、大衆的人民的信認(=検証)を受けないのだ。謀略論を唱え続けたり、これにすがりついた取り巻きの指導が可能となっている理由はここにある。カクマルはすでに政治組織としての死を宣告されているのだ。
(四)「非公然」組織は解体し深まる組織崩壊の惨状
非公然組織の解体、産別組織の瓦解、学生組織の腐敗はこうしたカクマル組織中枢の無責任指導が招いた結果である。JR総連は「階級敵」と断罪したのはどこのどいつだ。カクマル植田議長はなぜ基調報告もできないのか、言ってみろ。
JR総連との組織分裂は、黒田=カクマルの「組織現実論」が革命とはまったく関係のない単なるファシスト組織論でしかなかったことを名実ともに示した。社・共の「のりこえ」のペテンが通用しなくなった時、全面的に帝国主義政策に協力することがカクマル組織論だということである。この松崎・JR総連をひな型にした組織論しかカクマルにはない。カクマル産別は今なお、JR総連型組織づくりしかできない。「腐った妥協」は、JR総連にすがりつくほかないカクマル産別の絶望的事態を示している。しかしそれはすでに崩壊した理論だ。基本的組織路線の破産を総括できない指導中枢のもとでカクマル組織の展望のない腐敗と対立と瓦解が進行している。
分裂の総括もないまま「腐った妥協」に走ったカクマルは、黒田が無責任を決め込む中で、産別指導部の責任問題として激しい対立が『解放』編集局を巻き込んだ指導中枢で続いている。
教労、自治労、全逓産別での脱落・離反は今なおやむことがない。すでにカクマルを代表する産別組合は皆無となった。学生組織は、黒田の直観のまま引き回され、混乱と混迷の中で、SOB議長の腐敗が大衆的に露呈し、それを隠蔽したSOB指導部の共犯を含めて組織全体の問題となり、いったんは学生組織が解体的状況となった。
マルクス主義を捨て「暗黒の21世紀」に迷い込んだ反革命カクマルは、腐敗と瓦解の中で、一方で「自己救済」としての「黒田への帰依=カルト化」(それこそ「神の復活」だ!)を強めながら、新たなK=K連合の修復に未来を求めるほかないところに立っている。投降路線はその踏み出しであり自己表明だ。そのためには闘う勢力への反革命行動による「証明」が必要である。しかしカクマル白色暴力の弱体化の中では、その力もない。大衆闘争の激しい爆発の中で逆に最後的打倒に至りかねないのだ。カクマルの反革命正体の露呈と孤立は、大衆行動でのカクマル打倒の気運として盛り上がっている。
展望を失った反革命を、階級闘争の大激動の真っただ中で完全打倒する時が現実的に到来したのだ。それはJR総連・松崎打倒情勢と結びついてすでに成熟している。
結び
労働者階級の全世界での帝国主義に対する反撃が開始されている。3・20国際反戦大闘争はその大きな世界史的激闘への突破口をなすであろう。労働者の国際主義に満ちた闘いの大爆発をもって歴史を変えて行くのだ。労働者の階級的な闘いの原則的貫徹は、全世界で必ず通じるのだ。11・9で示されたように、まさに階級的=国際的、国際的=階級的ということである。
革共同の新指導路線の強力な展開をもって、反帝国主義・反スターリン主義世界革命−日本革命を担う労働者党の細胞を労働者階級の中に建設することが反革命カクマル完全打倒の道である。
理論的、イデオロギー的闘いをさらに強力に推し進め、反革命の一切の存立点をうち砕こう! マルクス主義を捨てたカクマルがすがりついてきた黒田哲学なるものはすでに腐臭を放っている。この反革命的汚物−インチキ黒田の観念論哲学の清掃に入らなければならない。
そして、最後的な軍事的打倒である。この闘いこそ、完全打倒の決定的闘いである。組織的、思想的、理論的根拠のすべてで展望を失ったカクマルは軍事的凶暴化でもって生き延びようとしている。これに対しては徹底的に闘おう! 人民の闘いに常に敵対してきたカクマルは、人民の決起に自らの危機を感じ、おびえ、恐怖している。彼らの軍事性は闘う労働者人民に向けられたものだ。カクマルの反革命軍事行動を、武装自衛を徹底的に貫徹して粉みじんに粉砕し、カクマル完全打倒のチャンスとしよう! 革命軍は戦略的攻撃体制を堅持し、常に報復できる陣形を怠ってはならない。
全党の同志諸君! カクマル完全打倒へまっしぐらに前進しよう! 完全打倒への条件は整った。第6回大会路線の貫徹をかけて新指導路線を実践し、労働者の中に党を作り、もってカクマル完全打倒へ攻めのぼろう! 黒田、松崎、土門の革命的処刑をかちとれ! 3・14復讐戦貫徹、カクマル完全打倒、JR総連のファシスト的労働者支配の全面転覆を戦取しよう! 3・20国際反戦大闘争に決起しよう!
(注1)賃プロ主義 「資本との対決」と称して展開した組合主義者打倒運動。その矛先はJR総連に向けられた。
(注2)水本謀略運動 1977年にカクマル学生・水本の水死体事件を謀略だとしたもの。動労カクマルが組織を挙げてこの謀略論運動に取り組んだ。
本多延嘉書記長
1934年2月6日、東京に生まれる。54年早稲田大学入学。『早稲田大学新聞』編集長。日共早大細胞を指導。56年ハンガリー革命の衝撃を受けスターリン主義の問題を根本的にとらえ返す。トロツキー教条主義との闘いをつうじて(革共同第1次、第2次分裂)、59年革共同全国委員会を創設。以降、革共同書記長。63年黒田一派の卑劣な分裂・逃亡と闘う。69年4月27日、4・28沖縄闘争を前に破防法40条で逮捕、2年間の獄中闘争。二重対峙・対カクマル戦争を最先頭で指導中の75年3月14日、反革命カクマルの卑劣な憎むべき襲撃を受け暗殺される。享年41歳。
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週刊『前進』(2140号7面1)(2004/03/08)
コミューン 4月号 教基法改悪の批判
第1章で教育基本法改悪批判を行っている。自衛隊のイラク派兵開始で、日帝が教育基本法改悪にかける狙いは疑問の余地なく明白になった。学校を、子どもたちに愛国心をたたき込み、積極的に戦争に動員する道具に変えることである。公明党が教育基本法改悪の方向に転じ情勢が緊迫していることを明らかにしている。さらに、04年版経労委報告の中の教育関係部分を中教審最終答申と重ねて批判している。
第2章で、石原都知事の教育攻撃を弾劾している。最大の攻撃は昨年の10・23通達である。都立高校の教職員に「日の丸」壇上正面掲揚、「君が代」起立・斉唱を職務命令で求めたこの通達は、学校を天皇賛美、愛国心で塗りつぶし、子どもたちを戦争に動員するものである。現場の教育労働者の中から激しい怒り、反発が生まれ闘いが始まっている。さらに石原の都立高校改悪が奥田ビジョンの実践であることを暴露している。特に新たに創立される中高一貫校を取り上げて批判している。
「資料/12・23教育基本法改悪反対集会の報告」は、昨年12月23日、日比谷公会堂に5000人を集めて開かれた「子どもは『お国』のためにあるんじゃない!教育基本法反対!12・23全国集会」の報告。4人の呼びかけ人の講演、賛同人の斎藤貴男さんのアピール、「しゃべり場」から11人の発言を掲載している。闘いへの大きな励ましになっている。
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週刊『前進』(2140号8面1)(2004/03/08)
“おおすみ出港阻止” 海上抗議船に乗って 岡山 平原菜々花
2月14日、広島の海上自衛隊呉基地からの「おおすみ」イラク出兵阻止闘争に参加し、抗議船に乗りました。
乗船の前に海上保安庁の検問、全員が軍用拳銃を腰に装着しており、人目をさけていて、軍隊であることを感じさせる。
岸壁に残って抗議行動を続ける仲間に、乗船前にひとこと発言。小泉は靖国参拝の時、「心ならずも、犠牲になった人びとが」と言ったが、政府の行為によって犠牲を強制したのではないか! イラク出兵でおんなじことをやっているんじゃないか!
抗議船に乗り込んで、すぐ旗を立て、横断幕を両側に取り付けて、石破防衛庁長官や自衛隊員と家族など出兵式典の参加者に抗議のシュプレヒコールやアジテーションをくり返した。
戦争の張本人・小泉は侵略戦争をやめろ! 石破は出兵命令を撤回せよ! 自衛隊員は出兵を拒否しよう! 自衛隊員は「おおすみ」から降りるべきだ! 家族は自衛隊員を戦場に送るな! イラク人民を殺すな! 広島はイラク侵略戦争を許さないぞ!
途中、岸壁の抗議の人びとと交歓した。昼ごろから春一番が吹き、波が高くなり、船上ではどこかにつかまっていないと立っていられない。船の前と後ろに配置した大型スピーカーも転がり、海に落ちたのではと思ったほど。いっとき海上保安庁から中止の指示が出るが、なおもくいさがり抗議を続けた。
いよいよ「おおすみ」が動き始めた。抗議船は並進しながらシュプレヒコールをあびせ続ける。たまらず巡視艇は、「おおすみ」の艦上に立つ自衛隊員の目から抗議船を見せまいと妨害行動に出てくる。ぶつかるのではと思うほど接近してくる。負けてたまるかと抗議をたたきつけた。
春闘、3・20日比谷へ。
北海道現地行動隊の闘いが情勢を変えた 全学連 M
北海道でのイラク派兵阻止闘争を大爆発させました。目の前で派兵されたことは本当に悔しいです。しかし、派兵現地で派兵反対の声はさらに燃え上がっています。
「石油強奪のイラク侵略派兵反対、自衛隊員は小泉のために血を流すな」という絶対反対派の連日の登場が現地を揺さぶり、民衆の決起が生まれています。この中に帝国主義を倒し戦争を止める力があると確信します。闘いはこれからです。なぜならぼくたちの闘いは、最後の一人をイラクから撤退させるまで続くからです。
全学連北海道現地行動隊は、2月半ばから部隊を旭川・札幌に再編成し、21日の陸自本隊主力部隊派兵阻止決戦への蜂起戦に突入しました。
旭川では街頭宣伝に毎日駆けつけてくれる労働者、差し入れを下さる方、拡声器を貸して下さった労働組合の方がおられました。
駐屯地行動では、自衛隊員とあいさつを交わすという劇的な交流が始まっています。札幌ではメインストリートでの街頭宣伝、大学生への呼びかけ、全戸ビラ入れを行いました。
2・17〜18室蘭闘争ではイラク関連物資の荷役に反対する全港湾の闘いが中心となって爆発しました。
19〜21日の派兵阻止闘争は、行動隊が蓄積してきたすべての力を発揮することができたと思います。
2・20旭川では、機動隊と激突し「本当の敵は小泉だ!」と力いっぱい訴えました。「日の丸」を振った派兵歓迎ムードが完全に粉砕され、追い詰められた小泉政権は、仲間の学生を不当逮捕するという許しがたい暴挙に出ました。
しかし、出兵する自衛隊員・家族の目の前で、丸腰の学生に武装した国家権力が襲いかかったのです。復興支援がまったくの大うそであることを最も鋭い形で突きつけました。
それは今後、必ずや派兵された自衛隊員の、「占領に加担しない!」という兵役拒否の闘いに結びつくと確信しています。すべての自衛隊員には仲間と団結して出兵を拒否する力があります。一人ひとりの隊員と話してみてわかりました。
汚い侵略戦争をやってしか社会を運営できない資本家・帝国主義はぼくらによって倒されるべきです。9・11反米ゲリラ戦闘以降、人類史は労働者が権力を奪取して階級社会を廃絶する新たな段階に入ったと体中で実感しています。
“3・20世界反戦行動・すべての力を東京へ!”を合言葉に北海道から大挙して押しかけます。10万人の一角を占めるぞ!
京都で広がる反戦の闘い―2・15A&U 雨宮慎二
京都の反戦運動は、小泉の出兵強行に負けずに広がっています。私たちアクト・アンド・ユナイトは、2・15デモを行いました。
14日にSTOP!イラク派兵・京都が主催したデモ、当日のピースウォーク京都主催のピースウォーク、どちらにもA&Uは太鼓を抱えて参加、小泉政権を倒そうと訴えて、大いに盛り上がりました。
夕方からのA&Uの集会は、「イラク派兵許さないぞ! 私達の反戦の声を無視するな」「みんなの力を集めて派兵を止めよう」「派兵中止のために小泉政権を退陣させよう」を掲げて行われました。
「アジアの平和を考える若者の会」から弾圧を跳ね返して反戦運動を闘ってきたことが報告されました。陸・海・空・港湾労組20団体の闘いを支援するために激励メッセージが集められました。
戦争体験者の男性は、「兄は反軍工作を担い、完全黙秘のまま銃殺刑に処せられた。この派兵は止めなければならない」と訴え、司会の学生がデモ警備の警察を激しく弾劾しました。
そのあと、四条大橋までのデモを派手に行いましたが、途中、繁華街では若い世代が手を振ったり、飛び入りしたりしました。
最後に、3・20を小泉政権を倒す日にするため総力で東京に駆けつけて頑張ることをみんなで確認しあいました。
旭川駐屯地包囲デモ良くぞやってくれた 旭川 S
皆さんの当地における駐屯地包囲デモに、拍手を送ります。マイナス15度の中、良くぞやってくれた、と思います。
皆さんの勇敢な行動にビビッタのか、当局は不当な逮捕を行使しましたが、大体、道路でもない所での行動なのに道交法を適用するとは何とも早、余程の焦りなのでしょうか。
これからも皆さんの行動に注視して行き、自分も皆さんの隊列に加わりたいと思ってます。
石原による都職員の警視庁派遣を許すな 都職員 上村明
都知事石原は、「治安の悪化」を理由に東京都職員千人の警視庁派遣を2期目の選挙公約として打ち出していました。都当局は、主に都庁職員労働組合と協議を続けてきましたが、1月8日、知事部局、学校事務など関係組合に対して、来年度から2年間、職務命令で警視庁へ派遣するという提案をしてきました。
全関係組合が絶対反対の意思を表明し、当局側を厳しく追及した中で1月13日、都側は、当初千人の派遣数を百人に圧縮する、本人の意向調査を行うなどの最終提案をしてきました。
警察は労働法上も特例職場とされ労働3権が完全に否定されます。ここへの組合員の派遣は組合脱退が条件とされることからも、団体交渉事項であり、合意なしに実施できない問題です。各組合は、反対の立場を堅持するとしながらも異動・補充問題などを理由に「引き続き協議を求めていく」として事実上ゴーサインを出してしまいました。
全都で288人が申し込み、うち約百人が学校事務でした。実際に派遣される名簿や数の内訳は組合側に示してはいません。警察の秘密主義の始まりです。
そもそも「治安対策」とは、第一義的には革命党対策です。資本主義が労働者を食わせていけない、若年層の5人に1人が失業という現実の中で、労働者階級の反乱から日帝・国家権力や一握りのブルジョアジーを何がなんでも守ろうというわけです。
同時に、不法滞在外国人対策として東京入管への研修派遣(15人程度)が決められました。相互の連携と研修成果を都の外国人関連業務に反映させるとしています。排外主義の先兵になれという攻撃です。
今回の攻撃は、都労連の団結破壊という要素も持っています。派遣に応じた職員を業績評価(昇任・昇給・昇格)や異動などで優遇し、組合脱退を促進しようとするものです。
派遣後の欠員を正規職員で補充することが困難になってきています。定数削減でギリギリの職場は怒りでいっぱいです。
ファシスト石原打倒のカギも3・20の10万人決起が握っています。悔いのない闘いをしよう。
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週刊『前進』(2140号8面2)(2004/03/08)
3・17判決公判へ水嶋同志がアピール 私は完全無罪かちとる
88年9・21千葉県収用委会長せん滅戦闘デッチあげ裁判の判決公判が3月17日に迫った。無実の水嶋秀樹同志から判決公判に向けてアピールが寄せられた。怒りを共有し、完全無罪判決をかちとろう。
9・21戦闘は歴史的勝利だ。しかし一切関与していない私は無罪だ
国家権力は、無実の私を88年9・21戦闘の総括責任者として指名手配し不当逮捕した。検察官は、逮捕段階で私が9・21戦闘の総括責任者Aでないことが判明していたにもかかわらず、私を起訴した。
裁判ではデッチあげの張本人・正井利明に私を見せないよう、遮蔽(しゃへい)物を置こうと画策して打ち破られた。公判では検察立証段階で立証が完全に破綻(はたん)し、地裁が4度の保釈決定をしたにもかかわらず、検察官はことごとく妨害した。
その上で、私に15年もの超長期刑を求刑した。これほどあからさまな権力犯罪を絶対に許さない。私は3・20決起と一体のものとして国際反戦闘争・春闘の激戦の中で、なんとしても3月17日に完全無罪判決をかちとる。
三里塚農民の皆さんは、日本階級闘争の最先頭で闘い抜いている。9・21戦闘によって千葉県収用委は完全に解体され、国家権力は三里塚農民からの農地強奪を断念せざるをえなかった。だから、何がなんでもデッチあげてでも犯人を捕まえるという攻撃を加えてきたのだ。私は完全にその標的とされた。
私は9・21戦闘当日、四国の徳島市にいた。転向裏切り分子の正井が総括責任者と一緒に活動したとする期間には福井市、徳島市、堺市で活動・生活しており、関東圏には一歩も足を踏み入れていない。私は正井利明なる人物をまったく知らない。私に対する指名手配・逮捕・起訴・勾留と裁判のすべてが(74年の)横浜国大でのカクマルせん滅戦に対する報復であり、国家権力の犯罪である。
デタラメなデッチあげを重ねる国家の犯罪を必ず粉砕する
そもそも私へのデッチあげは、89年8月16日に古河市で公安刑事・岡部が「水嶋を見た」という大うそが発端だった。私は74年1・24戦闘で全国指名手配されて以来、茨城県古河市に一歩も入ったことはない。74年3月以後私は、西日本で活動し生活していた。89年11月に逮捕した正井に対して警視庁公安部は、2カ月にわたる長期・長時間の取り調べと85年浅草橋戦闘を取引材料にして、私の写真を特定させた。私の鮮明な原本や他にも写真が多数あるにもかかわらず、それらを隠して〈ピントをずらした、写りの悪い、斜めから撮った、細工した〉写真を作り、「特定」を誘導したのだ。
検察は01年6〜7月の私の逮捕時に、正井が私の逮捕写真を見、長時間にわたって面通しして「Aとは別人」と言った。大うそつきの公安刑事・岡部も、当然にも公判で私を見て「随分違う」と証言せざるを得なかった。
裁判が開始されるや否や、すでに述べたように検察は正井に私を見せまいとして「遮蔽措置」の導入を強硬に主張した。私が正井の言うAかどうかが、この裁判の唯一にして最大の争点であるのにだ。
公判で正井は本来の証人席に着くや否や弁護人の尋問に対して、身長・体格・歯・視力・髪・声などの特徴のことごとくが「Aと異なり、別人です」と証言した。あたりまえなのだ。
その場で私は、「私はお前など知らない」と心の底から叫びたい衝動に駆り立てられた。検察立証は根本的に崩壊したのだ。そして正井証言終了後、1回目の保釈許可決定が出された。
にもかかわらず検察は公文書で、身柄引受人となってくれた妹を「同人も中核派非公然活動家」と大うそを書いて私の保釈を妨害した。妹は会社員として働き、夫と娘と一緒に住み、病気のために来られなかった1回の公判を除き、毎回の公判を傍聴してくれていたのにだ。
さらに03年10月10日付の保釈許可決定に対しては、弁護側の事実に基づいた完璧(かんぺき)なアリバイ立証に大打撃を受け、88年9・21戦闘を「30年以上も前の出来事」と大うそを書き、「30年以上も前からアリバイ工作を行っていた」とデッチあげ、高裁をだましたのだ。
母を殺したのは国家権力だ。必ず責任をとらせる
しかも、しかもだ。検察はすでに却下された「母の供述調書」を母の死に乗じて証拠請求してきた。母は私の逮捕時すでに一定「痴呆」症の進行が進んでいたと言われていた。すでに記憶に一部混濁がある母に対して、私を転向させるために、国家権力は4度も押しかけ脅迫したのだ。
しかも検事・吉野は、母に供述させたデタラメな調書に対して末弟が抗議と拒否をしたことに対しても、「このまま、東京に帰ります」とうそをつき、その弟の留守を狙って家に入り込み、母をだまして調書を完成させたのだ。検察官は人を陥れるためにはこういうことを平然と行う極悪人であるのだ。この卑劣と非道を私は絶対に許さない。
公判ですでに私の無実が明らかになり、地裁が4度も保釈決定を行ったにもかかわらず、検察官はことごとく妨害し、母に会わせないのみか、私から母の介護の機会を奪い、母を「交通事故死」に追い込んで殺したのだ。
私は弁護団・救対部を先頭とする友人・同志たち・家族の闘いによって勾留の一時執行停止をかちとり、母の死に顔を見ることができた。私は無実の私をデッチあげで指名手配し続け、さらに獄中に閉じ込め、保釈を妨害して母に会わせず母の「痴呆」を加速させ、保釈を妨害し、遂には母を死に追いやった国家権力を、労働者人民とともに生涯闘い抜き、必ず打倒すると誓った。私には直接的下手人たちに責任をとらせる権利と義務と責任がある。
判決は完全無罪以外にありえない。裁判所はこれ以上の検察の犯罪を許すな。
3月17日の判決公判への結集をお願いします
私は74年以来、多くの支援者の皆様と多くの同志たちとの共同闘争で非公然活動を闘い抜くことができた。昨年12月に、皆様の闘いによって保釈をかちとることができました。
30年を経た首都圏の巨大な変化と新たな世界革命の時代の急激な展開に毎日毎日びっくりしているのが、私の現状です。しかし、いくつかの集会などに参加して感じることは、30代・20代の新たな指導的中心が登場し活躍していること、新たな革共同の時代が始まるという実感と確信です。
そうした世代が大量に登場する時代を切り開くために、われわれ70年世代があらためてきっちりと責任を取らなければならないと深く決意しています。
私にとってのその第一歩は、一審無罪判決をかちとることです。3月17日の判決公判への結集を心からお願いします。
水嶋裁判
水嶋秀樹同志は無実である。9・21戦闘には一切関与していない。昨年12月19日に結審した裁判は、丸2年、23回に及んだ。裁判をとおして水嶋同志の無実は確定した。「懲役15年」という、断じて許せぬ超長期求刑攻撃を打ち砕き、なんとしても完全無罪判決をかちとろう。
転向裏切り分子・正井利明は、9・21戦闘の総括責任者をAと記号で供述し、戦闘にまったく関与していない無実の水嶋同志の写真をAだと「特定」したとされている。検察官はこれを唯一の根拠に、水嶋同志を指名手配・逮捕・起訴したのである。
だが、正井は法廷で水嶋同志を間近に見て、「水嶋さんはAではない、水嶋さんには会ったことがない」と証言した(第5回公判)。唯一の証人である正井のこの証言で検察側立証は根本的に破綻し、デッチあげが明白になったのである。この時点で水嶋同志は直ちに釈放され、公訴は棄却されるべきだった。だが無実の水嶋同志は昨年12月10日に保釈奪還されるまで、実に2年7カ月も勾留され続けた。これは、無実を争う者は保釈しないという人質司法であり、司法改悪の先取り攻撃である。断じて許さない。
国論二分状況のもとで自衛隊のイラク派兵を強行している日帝は、同時にリストラ・首切り、賃下げ、団結破壊の資本攻勢を激化させている。また、戦時型治安弾圧を激化させるとともに、戦後司法の全面的な大改悪を狙っている。
今や労働者階級人民の怒りは爆発寸前である。3月20日、10万人大結集を実現し、階級的力関係を逆転しよう。この闘いの中で、水嶋同志の完全無罪判決をかちとろう。3・17判決公判への結集を訴える。
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週刊『前進』(2140号8面3)(2004/03/08)
解同全国連大会へ
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3月7〜8日、大阪で部落解放同盟全国連合会第13回全国大会が開催される。寝屋川弾圧の完全無罪と、5万人組織建設に向け、ともに闘おう。(写真は大会ポスター) |
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週刊『前進』(2140号8面4)(2004/03/08)
公判日程
☆水嶋秀樹同志判決
3月17日(水)午後1時30分
☆迎賓館・横田裁判
福嶋昌男同志裁判
3月12日(金)午後1時15分
須賀・十亀・板垣同志判決
3月25日(木)午後1時15分
*いずれも東京地裁
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