ZENSHIN 2004/03/01(No2139
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週刊『前進』(2139号1面1)(2004/03/01)
米軍・自衛隊をイラクから叩き出せ イラク人民の民族解放に連帯を
呉・室蘭・旭川で連続決起 2・14 「おおすみ」出港を撃つ
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石破訓辞を直撃し式典ズタズタに
反戦共同行動委員会の海上デモ船は、「おおすみ」が停泊する桟橋で行われている激励式典の真ん前に登場し「復興支援はうそ」「出兵を拒否しよう」と大音量でシュプレヒコールをたたきつけた(2月14日 広島・呉) |
2月14日、海上自衛隊呉基地からイラクへ向け海自輸送艦「おおすみ」が出港した。これに対し労働者・学生・市民ら約400人による海上デモや基地申し入れ行動など激しい抗議闘争が闘われた。16日に海自横須賀基地から「おおすみ」に随行する護衛艦「むらさめ」が出港、両艦は18日、軍事物資積み込みのため室蘭港に入港した。呉に続き横須賀、室蘭でも抗議闘争が高揚した(4面に記事)。さらに20日、反戦共同行動委140人は旭川駐屯地前で陸自本隊のイラク派兵阻止の闘いに決起。権力と激突し、全学連の学生1人の不当逮捕をはねのけ、出兵自衛官に「イラクに行くな!」と呼びかけた(詳報次号)。
約150人が乗艦するおおすみは、18日に室蘭に入港、軽装甲機動車、水タンク車などの車両や装備品などを積み込み、20日に護衛艦むらさめとともにクウェートへ向かった。陸海空3自衛隊がすべてイラクに派兵されることになるのだ。
午後1時すぎ、石破防衛庁長官らが出席して激励行事が始まった。海自呉音楽隊が「君が代」を演奏し、石破が訓示を行った。
反戦共同行動委の海上デモ船が海保の妨害をかわし、おおすみの船首の前に登場。海上から式典正面に向かって大音量のシュプレヒコールが響き渡った。「侵略の銃をとるな」「復興支援は大うそだ」「命令を拒否しよう」。石破の訓示をじゅうりんした。
午後2時すぎ、軍艦マーチは弾劾のシュプレヒコールにかき消された。おおすみは騒然たる状況の中を出港した。激励ムードの中でおおすみを出港させたいという小泉・石破の願望は、被爆地広島・呉での労働者人民の決起で粉砕された。
この日、7時前から呉基地の潜水艦桟橋前「アレイからすこじま公園」に労働者や学生が集まった。地元の広島大学や岡山大学、九州大学の学生ら全学連、中国・四国地方各県の反戦共同行動委員会、地元の市民団体や百万人署名運動などが抗議行動を始めた。
8時、広大の学生らが呉基地に派兵中止を申し入れた。9時には広島県、福岡県の両労組交流センターや広島連帯ユニオン、部落解放同盟全国連広島支部などが申し入れ。呉基地側の不遜(ふそん)な対応に「海自による米軍への給油でどれほどのアフガニスタン・イラク人民が殺されたと思っているのか!」と鋭い声が飛んだ。自衛官や見送りの家族には「侵略の銃を握るな」「命令を拒否しよう」と懸命に訴え続けた。
申し入れ後、公園に戻り報告。「戦前と違うのは反戦運動の存在」「イラク人民を殺してはならない」「労働者の仲間が殺し殺される」など、派兵への危機感と闘いの決意を語った。
(写真 「侵略の銃をとるな!」と岸壁から抗議【2月14日 呉】)
10時すぎ、百万人署名運動の呉連絡会を始め広島県内、中国・四国・九州地方などから参加した12の連絡会が呉基地前に移動した。次々と1時間以上にわたって派兵中止を求める申し入れをした。「イラクの子どもたちが米兵に殺されていることをどう思うか」との問いに「職務中だから自分の気持ちは言えない」と答える自衛官。「人間としてどう思うのか」と鋭い追及の声が上がった。
10時ごろ、チャーターされた海上デモ船2隻が到着し、学生らが乗り込んだ。海上にはすでに海上保安庁の警備艇が構えている。十数隻のゴムボートも抗議行動を始めた。
公園の左側には右翼が集まり、「日の丸」や黄色い旗を振り「頑張れ」などと絶叫。呉基地内外で自衛隊員500人と警察官500人が厳戒態勢をとった。一帯の市道約1・9`が4時間も通行止めにされ、抗議闘争に参加できない人も多数出た。
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週刊『前進』(2139号1面2)(2004/03/01)
2・15渋谷反戦ウォーク 900人熱気のデモ 元自衛官・中学生も訴え
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「自衛隊のイラク派兵をとめよう!」とアピールして宮下公園からデモに出発。熱気あるれるデモに途中から合流する人が続出し900人になった(2月15日 渋谷) |
2月15日、東京・渋谷で「自衛隊のイラク派兵をとめよう!渋谷反戦ウオーク」が開催された。多くの飛び入りもあり、900人が参加した。大衆活動家やアーティストが次々と渋谷デビューした。3・20の10万人デモの実現へ、大衆決起のうねりが始まった。
日曜の午後、宮下公園でイラクでの米軍占領の現実を伝える写真展や反戦歌の演奏が行われる中、集会がスタートした。
まず、2月20日の陸自本隊の大規模派兵を阻止する旭川決戦を呼びかける、北海道現地行動隊からの携帯メールを、女子学生が読み上げた。「命ある限りともに闘い抜く」という不戦兵士・市民の会の坂井弘事務局長の連帯メッセージが紹介された。
2・15渋谷反戦ウオークの発起団体であるワールドアクションの若い女性労働者が、「労働法制の改悪は許せない。小泉は私たち労働者を犠牲にし、戦争の道具にしようとしている。小泉政権を打倒し戦争を止めよう」とアピールした。
元自衛官の男性が、「私は(9・11反米ゲリラ戦直後の)2001年9月12日の午前2時に呼び出された。12日から休暇だったが、駐屯地の衛門の警備を命じられ、その後も一日中待機を命じられた。人生を全うするためには平和が必要だと痛感した。イラクからの自衛隊の即時撤退を求めて参加した」と語った。
創価学会の青年が「私たちは公明党のイラク派兵容認に反対する署名を集めて党本部に提出した。公明党は今や“9条をタブー視しない”とまで公言するようになった。党3役を是正したい」と決意を述べた。
動労千葉の労働者は「退職前の労働者への不当配転攻撃に対する指名ストに突入した。1カ月でも2カ月でも闘う」と報告した。医療労働者の女性は「3月20日、世界中の人びとが手を結んで私たちの力で戦争を止めよう」とアジった。
勢いよく反戦ウオークに出発した。「戦争政権倒そう! 自衛隊をイラクに出すな! 今すぐ戻せ!」。集会で歌を披露した7人の女子中学生が横断幕を持った。
外国人の参加も目立つ。沿道でビラをまく女性スタッフに勧誘され、どんどん若者がデモに加わる。渋谷区勤労福祉会館から不戦兵士・市民の会の約20人が合流した。ものすごい高揚感が渋谷の街を包んだ。
デモは参加者を増やして公園に帰ってきた。イギリスの戦争阻止連合の男性が「3月20日、東京の10万人デモにみんな参加してください」と呼びかけた。戦争体験者杉並100人の声の会が「イラク派兵は地獄道」というメッセージボードを掲げて登壇し、前日の巣鴨街宣を報告し「みんなの力で小泉を引きずり下ろそう」と訴えた。
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週刊『前進』(2139号1面3)(2004/03/01)
3・20空前の国際反戦行動へ 動労千葉スト連帯・春闘勝利
3・6集会に総結集しよう
第1章 3・20へ世界で闘いのうねり
3・20国際反戦統一行動に向かって闘いが激しく進んでいる。国際的にもアメリカ、イギリス、韓国で闘いが進んでいる。日本でも、2月13日の明治公園の1万2000人の集会・デモが大成功し、15日には東京・渋谷で900人の反戦ウオークが闘われた。さらに自衛隊のイラク派兵阻止の現地行動が2月14日から21日まで、呉、横須賀、室蘭、旭川、札幌、千歳で闘いぬかれた。まさに日本列島を縦断する連続的な反戦闘争が行われたのだ。
同時に、こうした中で動労千葉は、2月10日から指名ストに突入し、小泉=奥田路線と対決する04春闘の最先頭で決起している。動労千葉のストライキと連帯し、ともに闘うために3・6首都圏春闘討論集会に総結集し、その力で3・20日比谷野音大結集へ突き進もう。イラク反戦、有事関連法粉砕、04春闘の力のすべてを3・20の10万人集会に結実させよう。
3・20国際反戦闘争に向かって、アメリカでは闘いの再統一が行われ、ボストンとワシントンの集会がニューヨーク集会に一本化された。ロサンゼルス、サンフランシスコでも大集会が行われる。
イギリスではロンドンで100万人規模の大集会が計画されている。
韓国では、2月13日、国会本会議で韓国軍のイラク追加派兵同意案が可決された直後、民主労総など361団体が参加するイラク派兵反対非常国民行動がこれを弾劾する声明を発表し、3・20国際反戦行動を呼びかけた。1月19日のムンバイでの世界反戦運動総会は、3月20日を国際行動の日とすることを確認した。
国際階級闘争は、米英日帝国主義のイラク侵略戦争と軍事占領に対するイラク人民・ムスリム人民の民族解放闘争の爆発が米帝を追い詰め、他方で全世界のイラク反戦闘争の高揚という新たな局面を生み出しているのだ。
日帝・小泉はついにイラク派兵=侵略戦争参戦に踏み切り、新たな「15年戦争」に突入した。「復興支援であり戦争に行くのではない」「武力行使と武器使用は違う」「テロへの反撃は戦闘行為ではない」といった、とんでもないウソと詭弁(きべん)を弄(ろう)しながら。
自衛隊の出兵に「日の丸」が振られ、軍艦マーチが演奏され、サマワでの自衛隊の「活躍」なるものが大々的に宣伝されている。かつての中国侵略戦争と同様の事態が現出している。戦争と軍事の論理が急速に動き始めている。
このことに日本の労働者人民は、ものすごい怒りと危機感を爆発させ、イラク派兵阻止、「侵略戦争を内乱へ」の闘いに決起し、国際連帯を発展させることが死活的に求められている。
日帝はイラク参戦と連動して北朝鮮侵略戦争策動を強めている。何よりも、日帝は、今国会に「国民保護法案」「米軍支援法案」など有事関連7法案、3条約・協定を一括提出しようとしている。すでに2月9日、北朝鮮への経済制裁、送金停止・貿易停止を可能にする「外国為替及び外国貿易法」(外為法)が改悪された。また日帝は、有事関連7法案の一つとして、海上自衛隊が外国船舶に警告射撃を行い、積み荷を検査し、物資を押収できるとする「外国軍用品等海上輸送規制法案」を、さらには北朝鮮船舶の日本への入港を禁止する「特定船舶入港禁止法案」を提出しようとしている。これらは北朝鮮侵略戦争の攻撃そのものであり、絶対に粉砕しなければならない。
この恐るべき情勢に対決して、小牧で呉で北海道でイラク派兵阻止闘争が爆発し、3・20に向けた労働者階級の反戦のうねりが全国で巻き起こっている。
第2章 動労千葉、不退転のスト突入
こうした中で2月10日、動労千葉がストライキに突入した。動労千葉は不退転の決意で動労千葉つぶしを許さず、不当配転粉砕、運転保安確立の指名ストと非協力闘争に突入したのだ。これはイラク反戦闘争でもあり、同時に04春闘を牽引(けんいん)する闘いである。
田中康宏委員長は「新たに配転の事前通知があれば、さらに指名ストに入れる。全面ストも辞さない。この闘争の渦中で戦争と大失業の時代に通用する団結をつくりたい」とストライキ闘争の決意を述べた。
動労千葉は04春闘の課題として、@反合・運転保安春闘、A団結権・年金・生活防衛春闘、B1047名闘争勝利、国鉄労働運動再生春闘、C反戦・国際連帯春闘、D組織拡大春闘の五つを掲げている。
具体的な要求としては、@大幅賃上げ獲得−貨物における人事・賃金制度改悪阻止、A運転保安確立、3月ダイ改合理化粉砕−総武緩行線の運転時分短縮阻止、検修・構内業務外注化阻止−車両メンテナンス第V期合理化阻止、B12月闘争で確認した懸案要求の実現などを求めている。
動労千葉は、3月13日に予定されているJR東日本のダイヤ改定に04春闘の焦点を合わせていたが、不当配転攻撃を受け、1カ月前倒しで「総力戦」に突入した。続く3月ダイ改との闘争では、JR東日本が提案する総武緩行線の千葉−御茶ノ水間で6分40秒もの運転時間の短縮が対決点になる。これは現行の運転保安上のギリギリの限界をさらに超えるすさまじいものだ。乗客と乗務員の命を危険にさらす。動労千葉は労働者の命のかかったものとして運転保安確立闘争を闘おうとしている。
3・6春闘集会は、ストライキに突入して闘う動労千葉と連帯し、ともに闘う集会である。04春闘の勝利へここから展望を開く集会である。
動労千葉のストライキを支持し、連帯する闘いは日本の労働運動の未来を決する最重要の闘いだ。3・6首都圏春闘討論集会を大結集で成功させよう。すべての職場で動労千葉のように闘い勝利の展望を開こう。
さらに3月、東京の小・中・高校の卒業式は「日の丸・君が代」決戦になる。都教委が出した「日の丸・君が代」強制の10・23通達との全面対決だ。「日の丸・君が代」は、学校を天皇賛美と愛国心で塗り固め、子どもたちを侵略戦争に総動員するために、教育労働者に戦争協力を強いるものだ。「日の丸・君が代」との闘いを戦争協力拒否の闘いとして、組合的反撃をつくりだし闘おう。
教育基本法改悪の動きも切迫している。これは教育の根本を戦争への精神的総動員に転換する攻撃である。3・20への教育労働者の総決起が決定的である。
平和フォーラムや新たに自治労東京都本部、平和運動センターも3・20動員を決定した。
3・20になんとしても10万人を結集しよう。自治労、日教組−教労、全逓、国労を始め、全産別・職場で総決起を組織しよう。全労連傘下からの決起をつくりだそう。キャンパス、街頭、地域で署名を呼びかけ、大結集を訴えよう。
10万人結集の力が階級的力関係を確実に変える。日帝・小泉と奥田が震え上がるような打撃を与えよう。労働者人民が自らの闘いに自信と確信を持ち、職場でも地域でも街頭でも、権力や資本と闘うエネルギーを生み出すような大集会として実現しよう。10万人が集まれば、それが新たな歴史的出発点になるのだ。
第3章 経労委報告と全面的対決を
3・20国際反戦統一行動に向かって労組の闘いが高揚している根底には、04春闘の決戦的情勢がある。95年日経連報告以来、日帝・資本の悪辣(あくらつ)な資本攻勢によって我慢できないところまで追い込まれてきた日本の労働者階級が、いよいよ反転攻勢に打って出る局面に入った。昨年8月の自治労大会、11・9労働者集会、そして12・23教育基本法改悪反対集会はその合図であった。
昨年12・22最高裁判決は、国鉄1047名闘争に終止符を打つことを狙う大反革命である。労組法改悪は戦後階級闘争を根底で支えた労働者の団結権を破壊する大攻撃である。さらに、小泉=奥田は年金改悪を柱に、社会保障制度の解体攻撃を強めている。
小泉構造改革と奥田ビジョンは何を目指しているのか。それは一方でイラク−北朝鮮侵略戦争であり、東アジア自由経済圏構想だ。これは、日帝がアジア・中東に向かって帝国主義間争闘戦を激化させ、侵略戦争に訴えてでも勢力圏を拡大していこうという宣言だ。日帝のイラク参戦と北朝鮮(中国)侵略戦争への突進を、レーニンの「帝国主義戦争を内乱へ」の今日的な闘いで粉砕しなければならない。
そして他方で、日本の労働者に、定期昇給廃止とベースダウンの大攻撃をかけている。奥田は、労働者に向かって大幅な賃下げをするからそれ相応の生活に切り替えろ、「家計をリストラしろ。教育費やローン返済、生命保険を見直せ」と言っている。これもすべては、独占的な大企業が生き残るためなのだ。
これは、日帝がもはや労働者階級を食わせることができなくなったことの告白だ。年金も維持できないと言っている。労働者の将来にあるのは生活破壊と戦争動員だ。労働者は、もうこれ以上我慢できなくなっている。これがイラク反戦闘争へのうねりを根底で支えている。労働者人民は、日帝の「外への侵略戦争」と「内への階級戦争」に対する闘いをひとつのものとして闘わなければならない。だからこそ労働者は階級的に国際的に団結して、国家と資本の支配を打倒するために徹底的に闘わなければならない。
死すべきは労働者ではなく、帝国主義である。そうした思想・路線をもって初めて資本との対決もできる。動労千葉が04春闘をストライキで闘っているのは、この闘う立場があるからだ。ストに連帯し、ともに闘おう。
第4章 今こそ死活かけた党建設へ
革命的大衆行動が始まっている。労働者人民がわき出すように決起し始めている。労働者人民が革命党を求めている。
そうした情勢にあって、新指導路線のもと、労働者人民に積極的に党への結集を提起し、党勢倍増をかちとることが死活的である。それと一体のものとして機関紙の倍増をかちとることである。そのためにも3・20に向けて、職場丸ごとの決起を計画し、組織化を進め、実現することだ。それを機関紙拡大と党勢倍増に結びつけて闘おう。職場細胞を建設しよう。闘う青年労働者はこぞってマルクス主義青年労働者同盟に結集し、ともに闘おう。
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週刊『前進』(2139号2面1)(2004/03/01)
3・6春闘集会に結集し3・20国際反戦大統一行動に攻め上ろう
革共同国鉄委員会から訴える
動労千葉ストと国労弾圧粉砕闘争軸に国鉄労働運動再生へ 1047名闘争を堅持しよう
われわれは今、歴史の分水嶺(ぶんすいれい)に立っている。階級闘争は、昨年3・20の米英帝国主義によるイラク侵略戦争への突入をもって、戦時下のそれに突入した。帝国主義は労働者を食わせていくこともできなくなり、残虐な侵略戦争にのめり込む以外に延命の道を失った。帝国主義による「外への侵略戦争」と「内への階級戦争」の攻撃はますます激しいものになっている。だが、これと対決しぬく中にこそ、労働運動の階級的再生を実現し、プロレタリア革命をたぐり寄せる決定的なチャンスがある。今や帝国主義への労働者階級の怒りは噴出し、全世界的な規模で闘いが巻き起こっている。イラク開戦1年を迎える3・20は、全世界の労働者が帝国主義と立ち向かう壮大な闘いの日となろうとしている。この中で、国鉄決戦は階級攻防の帰趨(きすう)を決する基軸的闘いへと一段とせり上がった。渾身(こんしん)のストに立った動労千葉の闘いと、8被告を奪還した国労5・27臨大闘争弾圧との闘いは、勝利の大道を押し開く決定的なテコである。革共同国鉄委員会は、開始された労働者階級の決起の先頭に立つ。
国鉄分割・民営化以来の連合支配を覆そう
イラク開戦という歴史を画する事態の中で、革共同は昨年、〈新指導路線〉を打ち立て、4大産別における産別委員会の建設をテコとして、本格的な労働者細胞建設へと踏み出した。イラク開戦直後に闘われた動労千葉のスト決起は、11・9労働者集会における日韓米労働者の歴史的な国際連帯闘争の地平を切り開いた。それはまた、マルクス主義青年労働者同盟の結成へと結実した。
国鉄委員会は、この1年の激闘を経て新しく生まれ変わった。とりわけ、国労5・27臨大闘争弾圧との全力の闘いをとおして8被告の保釈奪還をかちとった勝利は、国鉄戦線に大きな力を与えている。こうしてわれわれは、かつてない激動の年となった04年に勇躍、躍り出たのである。
イラク人民は今、米英占領軍に対する決死の抵抗を貫いている。超軍事大国アメリカの万能神話は崩壊しつつある。その中で日帝は武装した自衛隊部隊をイラクに送り、米英占領軍とともにイラク人民虐殺に手を染めようとしている。
日帝の侵略戦争への公然たる踏み込みによって、歴史は一変した。小泉は今国会で国民保護法案を始めとする有事関連法案を強行し、05年の改憲さえ公言してはばからない。
これと軌を一にして、奥田・日本経団連は『04年版経営労働政策委員会報告』を発表した。それは、労働者に激しい賃下げ、首切りと徹底した不安定雇用化を迫り、労働者を分断して抑えつけ、労働組合を産業報国会に完全に変質させようとするものだ。資本はこうして、世界恐慌下で他帝国主義との争闘戦を貫徹しつつ、「東アジア自由経済圏」の形成へとのめり込もうとしているのだ。だが、こうした小泉=奥田路線に基づく諸攻撃は、体制的破産に陥った帝国主義が、延命のために絶望的に繰り出してきたものなのだ。ぎりぎりのところまで追い込まれつつある労働者は、必ず反撃に立ち上がる。
事実、こうした情勢下で、労働者階級の大流動は始まりつつある。3・20への10万人大結集が実現されれば、それは確実に日本の労働運動を塗り替えるものになるだろう。
02年「5・16見解」で傘下労働者の反戦決起を抑え込もうとした連合指導部の制動は、もはや無力化しつつある。平和フォーラムや平和運動センターなど、旧総評系労組は、3・20への組織動員を決定した。有事法反対の先頭に立つ陸・海・空・港湾労組20団体も、3・20への結集を呼びかけている。全労連傘下の労働組合も、ここへの合流に向けて動き始めた。
こうした事態は、87年国鉄分割・民営化−総評解体・連合結成以来の日本労働運動をめぐる反動期が、今まさに覆されようとしていることを意味している。国鉄分割・民営化の強行によって成立した連合は、労働者階級への統制力を急速に失い、分裂・崩壊の瀬戸際に立たされている。
国鉄闘争は、分割・民営化以来17年にわたる苦難の闘いを経て、下からわき上がる労働者階級の抑えがたい決起と、ついに大合流する時を迎えたのだ。国鉄闘争勝利の展望は、まさにこの中にある。
JR体制を揺さぶり3・20総決起へ号砲
3・20を前にして、動労千葉は2月10日から、渾身の指名ストライキに立ち上がった。定年を間近に控えた組合員への強制配転攻撃に対し、動労千葉は長期闘争も辞さず、一大反撃をたたきつけたのだ。3・13ダイヤ改定に先立ちストに突入した動労千葉の闘いは、JR体制を揺さぶっている。
JR資本は、55歳以上の運転士を配転の対象にしないという慣行を踏みにじって配転攻撃をかけてきた。これは、日帝のイラク参戦という情勢下で、JRが動労千葉の解体へと乗り出してきたきわめて重大な事態である。これに対し、動労千葉は組織の存亡をかけた闘いを貫いている。
今春闘で日本経団連は、「ベースダウン」を公然と叫び、定昇解体に踏み込んできた。連合指導部はこれに軒並み屈服し、ベア要求さえしないありさまだ。だが、この間の横暴きわまる資本攻勢への労働者の怒りは、積もりに積もって噴出口を求めている。まさにその時、動労千葉は春闘ストライキの号砲を上げた。それは、3・20に向けての労働者の決起を一層促進させる闘いだ。
動労千葉はさらに、3月13日のダイ改を山場に闘いを構えている。このダイ改は、運転保安を根本的に解体するものだ。とりわけ、総武緩行線の千葉〜御茶ノ水間で6分40秒も運転時間を短縮するという方策は、恐るべき安全無視だ。
この間、JRでは大事故が立て続けに起きている。分割・民営化以来17年を経て、JRの安全は大崩壊状況に入っている。
JR資本は、設備部門を中心に進めてきた外注化・合理化攻撃を車両部門へと広げようとしている。JR東日本の「車両メンテナンス近代化構想第V期計画」は、工場機能を廃止し、工場と運転区・所間の「人事交流」によりその統廃合を極限まで推し進めようとするものだ。同時にJRは、この大合理化を動労千葉や国労の組織破壊に使い切り、さらにはJR総連カクマルを先兵に仕立てることで成り立ってきた分割・民営化の遺産のすべてを清算しようとしているのだ。
昨年、新日鉄やエクソン−モービル、ブリヂストン、出光興産など名だたる大企業で大規模な労災事故が相次いだ。それはまぎれもなく、資本が強行したリストラ・首切り・外注化の結果だ。労働者が資本によって命を奪われる事態が頻発する中で、動労千葉は命と安全をかけて、闘いに立ち上がった。団結と闘いなしに、労働者の生命を守ることはできないのだ。
労働者階級全体の利害をかけて闘いを貫いてきた動労千葉は、今春闘においてもその使命感に燃えて闘いに立っている。こうした動労千葉の闘いこそ、今日の激動情勢を押し開く根源的な原動力だった。今こそ動労千葉に続き、春闘に立とう。動労千葉が主催し、全日建運輸連帯関西生コン支部、全国金属機械港合同が協賛する3・6春闘討論集会に結集しよう。
国労弾圧被告先頭に酒田執行部打倒へ!
日帝は、労働者階級の団結と闘いにおびえ、その軸をなす国鉄闘争を解体しようと、再び攻撃を激化させている。
昨年12月22日、最高裁はJR採用差別事件に関し、「JRに使用者責任はない」とする許しがたい判決を下した。それは、国鉄闘争解体のために支配階級が切った「最後の切り札」だ。
日帝は、この判決をもって不当労働行為救済制度をなきものにしようとたくらんでいる。日帝の狙いは、1047名のJR復帰を傲然(ごうぜん)と拒否することをもって、労組解体を目的とした悪らつきわまる不当解雇をあらゆる場面で合法化し、すべての労働者から団結権を奪い去ることにある。
国労本部・酒田−吉田執行部は、これに完全に屈服し「最高裁判決でJRの責任追及の道は断たれた」と権力に頭を垂れた。そして、1月31日の国労中央委員会で、「組織整備」の名をもって闘争団組織の解体に突き進む方針を打ち出した。他方で酒田執行部は、「新たな訴訟」を口にして国労組合員をペテンにかけ、卑劣な延命を追い求めている。
こうした酒田執行部の屈服を見透かしたJR連合は、「国労崩壊」「国労組合員のJR連合への結集を図る」と叫んでいる。権力と資本の意を受けて、国労の切り崩しに打って出るというのである。反動革同やチャレンジは、これと呼応して、国労を連合に売り渡そうと策している。
こんなことは許されない。酒田執行部を打ち倒し、国労の再生をかちとることは急務である。
こうした決戦情勢下で、国労5・27臨大闘争弾圧の8被告が奪還された。関西の被告は直ちに職場復帰をかちとり、国労再生への新たなうねりを職場からつくり出しつつある。
彼らを警察権力に売り渡したのは、酒田委員長その人だ。酒田執行部は、8被告の保釈奪還という事態に恐れおののいている。酒田委員長らによって行われた反階級的大罪を大衆的に暴き出し、「許さない会」運動をさらに発展させて、8被告の無罪をかちとろう。それは、国労を警察労働運動へと限りなく転落させた酒田執行部に断を下し、彼らの延命の道を最後的に断ち切るものになる。ここに、国労再生の最短コースがある。
政治解決路線の徹底総括を
国労の再生は日本労働運動の階級的再生に直結する闘いだ。
国労は、86年の修善寺大会で労使共同宣言を拒否したが、その後の執行部はJR資本と真正面から闘う路線を打ち立てることができなかった。国労は89年の臨時大会で「全面一括解決要求」を掲げるが、国労本部はそれを、採用差別問題をスト権ストへの202億円損害賠償訴訟と絡めて和解解決に持ち込むものとしてのみ位置づけてきた。その後、労働者階級を裏切って政権の座にありついた社会党・村山政権が登場する中で、国労本部はそれに解決をゆだねる政治解決路線にのめり込む。そして、98年5・28反動判決以降は、自民党の懐に一直線に飛び込んで、国鉄改革法の承認や4党合意の受け入れという露骨な裏切りに突進した。
その4党合意も、闘争団を先頭とする国労組合員の怒りの決起で打ち砕かれるや、国労本部は闘争団員への生活援助金の停止と鉄建公団訴訟原告22人への統制処分という暴挙に手を染めた。そして、ついに5・27臨大闘争弾圧で組合員を警察権力に売り渡すところにまで行き着いたのだ。
国労本部をここにまで至らしめた政治解決・和解路線を徹底的に総括しなければならない。自らの団結と力に依拠し、JR資本と徹底対決する路線を打ち立てられなかったことにこそ、最大の問題があったのだ。
国鉄分割・民営化は、国労・動労千葉を解体するために国家が総力を挙げて展開した不当労働行為だった。JR体制は、この国家的不当労働行為を貫徹する体制として形成された。1047名の解雇撤回は、JR資本と徹底的に闘うことで初めて実現しえるのだ。
そのためには、JR本体の組合員と闘争団が団結を固め、共通の敵であるJRと闘うことが必要だ。現に、動労千葉はそうした闘いを貫いている。これに続き、裏切り者たちを打ち倒して、闘う国労を再生しよう。1047名闘争を堅持し、国労、全動労、動労千葉の1047名陣形を打ち固めることこそ、勝利を間近に引き寄せるのだ。
先の国労中央委員会が示したものは、酒田執行部を打倒し、これに取って代わる執念を闘う国労組合員が持たない限り、国労を危急存亡の危機から救うことはできないということだ。1047名闘争陣形を真に構築することに勝利のかぎがあることを確信し、その意志統一をかちとらなければならないということだ。1047名の解雇撤回を求める4・13国鉄闘争支援大集会への大結集を実現し、闘う主体と陣形を固めよう。
たとえそれが一見、困難な闘いに見えようとも、国労の再生をあきらめてはならない。闘う国労組合員は、今や決定的な武器を手にしている。1年3カ月の長期勾留を完全黙秘・非転向で闘いぬいた5・27臨大闘争弾圧の被告たちは、酒田執行部の最大の弱点に食らいついている。この誇るべき仲間たちの闘いをすべての闘う国労組合員の共通の闘いとした時に、酒田執行部の虚勢ははげ落ちる。闘う国労組合員が国労執行部を握るべく、決戦を挑む時が来ているのだ。
国労が再生されるならば、勝利の条件は満ちている。国鉄分割・民営化によって成立した連合支配は崩れ落ち、国鉄闘争17年の闘いがついに実を結ぶ時を迎えているのだ。開始された労働者階級の壮大な決起の先頭に国労が立つならば、それは国鉄闘争の勝利だけでなく、日本労働運動の階級的再生を押し開く。国労はそうした位置を歴史的にも今日的にも持っている。
JR総連打倒へ好機の到来
こうした時にあって、JR総連は分裂と瓦解(がかい)の道を転げ落ち始めた。カクマル中央派と分裂したJR総連カクマルは、資本に見捨てられる危機におびえつつ松崎支配の大崩壊という事態に突入している。JR労働運動と日本労働運動を反革命的に抑圧してきた資本=カクマル結託体制を崩壊に追い込む好機である。国鉄・JR労働運動は、分割・民営化以来の大流動情勢に入っている。
この情勢に切り込み、青年労働者を始め、JR総連傘下にあってカクマル支配に憎悪を募らせるすべての労働者の怒りを解き放ち、ともに闘う時が来た。
国鉄闘争は、いよいよその真価を発揮すべき時を迎えた。われわれは、この情勢をわがものとするために、全力で闘う。『俺たちは鉄路に生きる2』を徹底的に学習し、国鉄職場の至るところに、労働者細胞を建設する。
すべての闘う国鉄労働者は、革共同国鉄委員会に結集しよう。国鉄闘争に勝利し、日本労働運動再生の巨大な突破口を開こう。
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週刊『前進』(2139号2面2)(2004/03/01)
動労千葉 休日労働など業務命令に抗し 指名ストを継続・拡大
強制配転撤回へ不退転の決起
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指名ストライキと非協力闘争への突入前夜、JR東日本千葉支社前で不当配転に対する抗議のシュプレヒコールを上げる動労千葉組合員(2月9日 千葉)
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動労千葉が2月10日から開始した指名ストライキは、大きな反響を呼んでいる。イギリスの「レーバーネット」のホームページでも紹介された。
前号既報のとおり、千葉運転区支部のH運転士は幕張電車区木更津支区への強制配転の発令撤回に向けて指名ストを続行中だ。
この配転は、定年間近の電車運転士に木更津支区(久留里線)の気動車を運転させようというもので、千葉支社自らが言い続けてきた「高齢者を配転の対象にしない」ということを踏み破るものだ。気動車の運転免許を持つ運転士は、JR総連など他労組にも多数いる。木更津への配転希望者もいるのだ。にもかかわらず、あえて定年間近の動労千葉組合員に配転を発令したのだ。
また、木更津には運転士資格を持っていながら20年間も運転士に発令されていない動労千葉組合員がいる。動労千葉は、運転士資格保有者を士職に登用すること、分割・民営化攻撃以来の強制配転者を原職に戻すことなど、懸案要求の解決を要求している。
これは、動労千葉に対する差別的な労務政策により、今後の大量退職に伴う要員不足が発生する事態を前にして、その労務政策の矛盾を突く闘いである。
同時に、全本線運転士などを対象に、休日労働、時間外労働、勤務変更を拒否し、所定以外の作業について一切行わないという「非協力闘争」も続行中だ。これに対して千葉支社は、休日労働の業務命令を乱発しており、また時間外で実施することを労資で確認している総武快速線のATS―P(自動列車停止装置)の訓練を予備勤務者(非常時のために待機している)にやらせる業務命令を発している。
動労千葉は、争議行為の通知に基づき、直ちに業務命令を受けた組合員を指名ストに突入させた。
これらの指名ストは、10日に千葉運転区で2人、11日に館山運転区で3人、12日は千葉転で1人、館山で3人、習志野運輸区(津田沼支部)で1人、15日に館山で1人、16日に館山で2人となっている。指名スト突入者は、H運転士を含めて計14人に上っている。
動労千葉は、千葉支社に対して休日労働の業務命令の中止、予備勤務者に対するATS―P訓練の業務命令の中止を申し入れている。また、ATS―Pの訓練を争議行為として拒否した組合員に対して管理者が「業務指示違反になる」と主張していることに対して、「紛争を拡大することを意図した行為であり、かつ争議行為への不当な支配介入である」と申し入れている。
千葉支社が、これらの申し入れにこたえなければ、指名ストはさらに京葉運輸区、鴨川運輸区などにも拡大する見込みだ。
動労千葉は、不当な労務政策が続く限り、長期闘争も辞さず指名ストと「非協力闘争」を継続する構えである。そして、3月13日のダイ改を04春闘の山場に設定し、反合・運転保安の確立を求めて総決起しようとしている。
今こそ、動労千葉とともに04春闘に立ち上がろう。「04春闘勝利!3・6首都圏討論集会」に総結集し、3・13ダイ改阻止闘争から3・20へ総決起しよう。
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週刊『前進』(2139号2面3)(2004/03/01)
資本攻勢&労働日誌 2004 2・2〜2・13
重大労災が過去最悪の205件に
NTT労組がベア要求放棄/派遣労働者が22%増
●三菱電機、定昇原則廃止 三菱電機は、30歳までの労働者を除き4月から定昇を廃止する。賃金制度も大幅に見直す。(2日)
●賃金が3年連続減 厚労省が発表した「毎月勤労統計調査03年調査結果」(速報)によると、賃金と正社員数が3年連続で減少したことが分かった。(2日)=確報
●UIゼンセン同盟、春闘方針決定 連合最大の民間単産のUIゼンセン同盟は中央委員会を開き、春闘方針を決定。大手は「カーブ維持分プラスα」、中小は5200円を要求する。(3日)
●JR連合ベア1000円要求 JR連合は中央委員会を開き、1000円のベア要求を決定した。(3日)
●松下電器、家族手当廃止へ 松下電器産業は賃金として扱っていた家族手当を4月に廃止し、育児支援金を新たに福利厚生に組み込む。年功型賃金の廃止に合わせたもの。資本から見て個人の仕事と無関係と見なす手当を賃金から外すことが狙い。(4日)
●私鉄総連、ベア1300円要求 私鉄総連は中央委員会を開き、2年連続で定昇相当分(2.1%)プラス1300円のベアを統一要求する方針を決めた。(4日)
●連合「賃上げより年金」 連合は東京都内で中央総決起集会を開催。春闘を放棄し、政策要求を前面に出した。(6日)
●NTT労組、4年連続ベア要求放棄 民間最大のNTT労組は、ベア要求を4年連続で見送る方針を正式に発表した。(9日)
●基幹労連が一律ベア要求放棄 基幹労連が中央委員会を開き、春闘方針を決定。(10日)
●昨年の重大労災205件に 一度に3人以上が死傷する重大労災の発生件数が03年は速報値で205件に上り、前年の速報値を10件上回ったことが厚労省のまとめで分かった。過去25年間で最悪のペース。(12日)
●春闘スタート、新日鉄が要求提出 新日鉄労組が経営側に要求書を提出した。基幹労連の各単組がこれに続く。電機などは18日に提出する。(12日)
●奥田が暴言 日本経団連の奥田会長が名古屋市内の懇談会で暴言をはいた。(12日)=要旨別掲
●ドイツ金属労組賃上げ決着 ドイツのIGメタル(約300万人)の労働協約改定交渉が決着。今年3月から2.2%、来年3月から2.7%の賃上げを行う。(12日)
●派遣労働者213万人 厚労省が発表した労働者派遣事業の運営状況によると、02年度の全国の派遣労働者数は前年度から22%増加し、延べ213万人に達したことが明らかに。(13日)
●カネボウ労組が花王による買収反対 花王によるカネボウの化粧品事業買収に、カネボウの労組が反対を表明した。(13日)
日本経団連会長・奥田の新たな暴言
●1月29日 笹森連合会長との懇談で
・(リストラとは)ダブダブの背広を脱ぎ捨てて、きちんとした服に着替えることだ。
・生活全般にわたりいびつになっている現状を改革すべきだ。
・(職がなくても低賃金労働に就きたがらなかったり、重複する生命保険や塾などの教育費が家計を圧迫しているなどとして)家計をみれば、無駄や高コストの改善・合理化が必要。塾にしても義務教育制度がしっかりしていれば不要だ。
●2月12日 名古屋市内での懇談会で
・制度改革が進む中で、リストラが遅れているのは国民の生活だ。
・(家計支出のうち生命保険を見直すべきだなどとする一連の発言について)失言とは思っていない。
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週刊『前進』(2139号3面1)(2004/03/01)
3・6春闘集会に結集し3・20国際反戦大統一行動に攻め上ろう 04春闘
春闘解体の「連合白書」
小泉=奥田路線と一体化し賃下げ推進する連合打倒を
04春闘は、3・20日比谷の国際反戦大行動を頂点として、労働者階級が小泉=奥田路線に対する怒りの闘いに立ち上がり、階級闘争の力関係を転換するチャンスの時である。イラク侵略戦争―自衛隊派兵と日帝資本の定昇解体・賃下げ攻撃を一体のものとしてとらえ一大反転攻勢に立とう。すでに動労千葉は、春闘方針を前倒しして、指名ストに突入した。さらに3・13ダイ改を山場にした闘いに立とうとしている。その動労千葉が主催する「04春闘勝利! 3・6首都圏討論集会」は、動労千葉とともに闘う春闘集会である。昨年11・9全国労働者総決起集会の地平を発展させ、大結集をかちとろう。特に、首都圏の闘う労働者は、3・20への労組動員のオルグと一体のものとして3・6集会への総結集を訴えよう。そのために「連合白書」(連合の04春季生活闘争方針)を暴露・批判し、連合傘下からの総決起を訴える。
トヨタ労組がベア要求放棄
連合の「04春闘方針」は、奥田・日本経団連の「04年版経営労働委員会報告」に全面的に屈服した春闘解体方針である。連合は、3年連続で統一ベア要求を放棄し、IMF−JC(金属労協)傘下の自動車総連、電機連合、基幹労連などが軒並みベア要求をしないことを決定した。2月18日から、そのような要求ならざる「要求」を経営側に提出している。
特にトヨタ自動車労組が昨年に続いてベア要求を放棄しただけでなく、一時金要求も減額し、昨年は要求した別枠の「成果配分(年間6万円)」すらも引っ込めたことは重大だ。トヨタは史上最高の1兆円超の経常利益が予測されるにもかかわらず、「米国や韓国の追い上げで国際競争力が低下する」との理由でベア要求を拒否し、トヨタ労組はそれに完全に屈服した。断じて許せない。労働貴族どもは、一握りの資本家がその膨大な利益を独占することを容認したのだ。
「死に物狂い(ママ)で成長を実現せよ」「(要求するのは)異星人」「春闘(という言葉)をまだ使っているの。もう死語になったと思った」「家計の中身が社会人としてあるべき生活をしているのか」などと叫ぶ奥田日本経団連会長(トヨタ自動車会長)に完全にひれ伏し、トヨタの労働者を犠牲にするのみならず、全労働者への賃下げ攻撃を容認する犯罪的役割を果たしているのだ。
鈴木JC議長(前電機連合委員長)などは「すべてがカネ、カネ、カネという時代は終わった」とうそぶき、笹森連合会長は、2月6日の連合中央総決起集会で、昨年までの「春闘開始宣言」から「政策要求実現」の集会としたことについて「自分たちの取り分を言う(春闘の)集会より、社会・国民全体が抱える問題を打破する政策・制度実現の方が大事」などと居直っている始末だ。その「政策・制度実現」も、年金問題では「年金目的税」などを掲げるもので、日本経団連の消費税増税の主張とほとんど同一のものである。
このように連合は、「春闘」を自ら徹底的に解体し、「企業の存続、競争力強化の方策を討議し、検討するという『春討』」にすべきだという経労委報告そのものの「春討」へと変質させているのである。
笹森が日本経団連に対して「調子にのりやがって」(1・5記者会見)などと毒づいたり、年金問題で「逮捕者が出るぐらいのことをしなければいけない」などと言ったのは、いったい何だったのか。03年版経労委報告を出す前には「雇用問題に関する政労使合意」など事前の協議があったが、今回の報告がほとんど連合を無視して出されたことに、自らの裏切りを棚に上げて八つ当たりしているにすぎない。
実際、12月26日に出された「2004連合白書」は「『経労委』報告批判」を行っているが、そこには、この間の激しい資本攻勢が生み出した大失業、賃下げ、生活破壊の現実について触れてはあっても、それに対する労働者階級としての怒りもなく、職場から反撃に立つ路線も思想も方針も何もないのだ。
「定期昇給」の言葉も無くす
特に許しがたいのは、今春闘で奥田・経労委報告が叫ぶ「定期昇給制度の廃止・縮小」を自らの方針として積極的に推進しようとしていることだ。
今春闘方針では、ベア放棄に続いて定期昇給の要求すら引き下ろした。「賃金カーブの確保」は昨年と同じだが、昨年までは「定期昇給相当分の維持」と付け加えていたのを今年は消し去った。これは、日本経団連の定昇解体方針に完全に呼応している。
これまでは、年齢が1歳上がり1年先輩の労働者の賃金に追いつくために必要な「定期昇給相当分」を最低限として、全体の底上げを図る「ベア」を加えて賃上げ要求を組み立ててきた。実際に「定期昇給」が制度として確立している企業が少ないのが現実だが、そのことによって、ギリギリ全体の賃金水準を維持する目安ともなってきた。これをなくすと言うのだ。「賃金カーブの確保」と言いつつ、「賃金カーブの低下が避けられない場合も出てくる」などと、賃下げを容認しているのである。
「連合白書」に「参考資料」として掲載されている「賃金制度の整備・見直しに向けて」という文書に、その狙いが表れている。
そこでは、「定期昇給額や定期昇給相当分での比較はあまり意味をなさず」だとか「従業員がほぼ一律に上昇する定期昇給制度でなくても、公正で明確な昇給制度が確立し、一定の賃金上昇と適切な水準が担保されていればいい」と言っている。要するに、少なくとも1歳上の労働者の賃金に追いつくというような制度はやめるということだ。だから、もう「定期昇給」という言葉自身をなくしてしまうというのだ。
さらに、賃金決定の基準には六つの要素があると主張している。それは、@快適度、A難易度、B修得度、C習熟度、D達成度、そして最後にE生計費だ。仕事に習熟しているか、その成果を達成したかなどが基準になるとしたら、資本は好き勝手に賃金を切り下げることができる。労働組合がこんな基準を言い出したら、労働者は団結できるはずがない。
連合が言う「公正な賃金制度」とは、「生活給」的な賃金を徹底的に抑え、総額人件費の削減を狙う資本にとっても「公正」であるということだ。「賃金カーブの確保」は、その「成果・業績主義賃金」を完全に認めたものなのだ。
連合傘下から反乱起こそう
労働者を食わせていけなくなった帝国主義、それに完全に一体化する連合指導部の大裏切りは、労働者の大反乱を必ず呼び起こす。
労働者の生活と権利を守れない労働組合は戦争にも協力する。戦争に反対しない労働組合は労働者の生活も権利も投げ捨てる。それがJC傘下の軍需産業関連の労組を中心とした連合指導部だ。それに対して、中小労組や自治労などで怒りが高まっている。連合の分裂が深まり、瓦解(がかい)は必至だ。
3・20日比谷への10万人の大結集で連合指導部をぶっ飛ばそう。そこに04春闘勝利の展望がある。
職場で、小泉や奥田の攻撃を徹底的に暴露し、ストや職場集会など、可能なあらゆる行動を巻き起こし、3・6春闘集会に総結集しよう。
(大沢 康)
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週刊『前進』(2139号3面2)(2004/03/01)
労働者の団結解体を狙う 奥田と経労委報告に反撃を(下)
奥田「経労委報告」への怒りは労働者階級人民の中に広範に巻き起こりつつある。「経労委報告」の労働者階級に対する一線を画した「襲撃」とも言える資本攻勢も、連合中央の屈服と協力抜きにはそもそも成立しない。イラクに自衛隊を派兵し、「身分不相応な生活をやめろ。生活水準をさげろ」などという小泉=奥田の先兵、連合中央への怒りの爆発が始まった。連合中央を打倒し、動労千葉を先頭とする闘う労働運動の新しい潮流を前進させよう。3・6春闘集会、3・20首都10万人決起を全力で成功させよう。
労働者の反乱を恐れて連合に協力を強要
前回見たように、奥田「経労委報告」の一線を画した凶暴さの背後には、29年の世界大恐慌をも上回る世界恐慌過程にたたき込まれ、国論二分下でイラク侵略派兵に踏み切った日帝の絶望的な危機がある。
だが労働者階級を食わせていけなくなった奥田・日本経団連の凶暴きわまる攻撃に何か成算があるわけではない。むしろ労働者階級の団結した反撃の闘いを死ぬほど恐れている。
闘う労働運動が存在する限り、労働者の戦争動員と生活水準を切り下げる凶暴な資本攻勢は成功しない。日本の労働者階級は「食えない」時には団結して決起し、支配階級を恐怖のどん底にたたき込んできた。
日帝の敗戦後、配給制の食糧が遅配・欠配し、飢餓状態に怒った労働者階級は労組を続々と結成し、「働けるだけ食わせろ」というスローガンを掲げて戦後革命を闘った。
労働者の闘いへの恐怖から経労委報告では「構造改革の推進、人材戦略の構築にあたっては、労使の協力が欠かせない」(序文)と、労働者の団結を解体し、屈服・協力させることが死活的だと言っている。
本文でも第2部で、「労使関係のあり方」と題して労働者の団結を解体し、労働者支配をどう貫徹するかをいろいろと論じている。
そこではまず、03春闘が電機連合を筆頭にした連合中央の屈服により、定昇凍結、賃金カットを実現したと居丈高に確認し、04春闘ではその屈服を前提にかさにかかって、「企業の存続と雇用の維持を最重点に、労使で徹底議論を行う」とさらなる屈服を迫っているのだ。そして、@世界大恐慌下での果てしない賃下げ攻撃、A途上国並みの賃金への大幅賃下げと定昇解体、B職種ごとに賃金をばらばらにして差別賃金に移行する、そのために終身雇用制を解体し、労働者階級全体を不安定雇用化する、これに連合は屈服・協力せよ、と強要しているのだ。
春闘を「春季労使協議」に変更迫る攻撃
続いて、「高まる労使協議制の重要性」と題して、「企業労使が経営環境の変化や経営課題、すなわち賃金・労働時間・雇用問題……広範な論議を行い、企業の存続、競争力強化の方策を討議し、検討するという『春討』、『春季労使協議』に変えていく」と春闘の徹底的な解体を公言している。さらに、「企業内の新たな労使関係のあり方」と称して、「労働組合の有無にかかわらず、労使協議制の活用が有意義」などと主張している。
「労働組合の有無にかかわらず活用する労使協議制」とは一体何か。これこそ労働組合の闘う団結をひとかけらも認めない攻撃だ。どれほど右翼的な組合であったとしても労働組合というだけで、資本に反抗する可能性があるとして、その反抗の芽をいっさい摘もうと、連合の全面的な総屈服を要求し、労働者の団結権を徹底的に破壊することを狙っているのだ。
この団結権破壊の鋭い現れが、昨年12月22日のJR採用差別事件への最高裁の反動判決であり、3月にも国会提出が狙われている労組法改悪攻撃であり、共謀罪の新設攻撃なのだ。
東京都では、都庁職の労働者100人を警視庁に出向させ、その間は組合員資格を剥奪し、労組を治安弾圧の先兵に仕立てる攻撃がかけられている。また、有事法制で労組を侵略戦争に動員しようという攻撃が激化している。
この労組破壊攻撃に完全に屈服し、その先兵を誓ったのが連合中央だ。史上空前の1兆円の経常利益を前にしてベア要求を放棄し、一時金要求も減額要求するトヨタ労組を見よ。資本に成り代わって中国侵略を提言し、終身雇用制解体を提案する電機連合を見よ。これらこそ資本の奴隷頭として、日本の労働組合の新たな産業報国会化の先兵の姿そのものではないか。
04年経労委報告に貫かれた日帝・小泉=奥田の〈外への侵略戦争と内への階級戦争>のすさまじい攻撃に対し、04春闘の爆発と3・20総決起で大反撃しよう。
3・20総決起で階級闘争の流れ変えよう
今や、支配階級が今までのやり方では支配ができなくなり、被支配階級の貧困と窮乏も一線を越え、労働者人民の政治的決起が始まっている。まさにレーニンが『第2インターナショナルの崩壊』で言っている革命的情勢の到来だ。
連合中央の支配はけっして盤石ではない。昨年来すでに開始されている労働者の怒りの決起でいったんそれが崩れるや、日本の労働運動は一気に再編・流動情勢に突入する。3・20全世界の巨万の反戦決起と一体で、日本の地で10万人決起を実現しよう。その可能性と展望にかけきって、3・6春闘集会への職場からの根こそぎ動員を実現しよう。
(湯村宏則)
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週刊『前進』(2139号3面3)(2004/03/01)
“イラク派兵・有事法反対” 明治公園 20労組など1万2千
2月13日夕、東京・明治公園で「自衛隊のイラク派遣NO! STOP!有事法制 守ろう!平和といのち2・13大集会」(主催・同実行委)が開かれ、労働者・市民・宗教者など1万2000人が自衛隊のイラク派兵反対、有事関連法案を許すなと怒りの声を上げた。集会後、国会、新宿、渋谷の3方向にデモ行進を行い、都心に「イラク戦争反対」の声がこだました。(前号1面に写真報道)
夕やみが迫る中、会場には色とりどりの労働組合旗や横断幕、のぼりなどが林立した。「陸・海・空・港湾20」ののぼりは黄色、航空連は緑、国労の赤旗も目立つ。有事法制反対の闘いの先頭に立ってきた陸・海・空・港湾労組20団体の労働者たちだ。
集会は、キリスト者平和ネットの門間幸枝さんの司会で始まった。日本共産党、社民党、民主党有志などがあいさつ、集会のメインは、「平和に向けたアピール」だった。
CHANCE!pono2の星野ゆかさんは「3月20日に日本中の人びとがそれぞれの場所で声をあげましょう。勝利の秘訣(ひけつ)はただ一つ、闘い続けることです」と訴えた。
全国港湾労働組合協議会の星野徹教宣委員は、「港は市民、国民のための物流基地であって、戦場に向かう輸送艦の基地ではありません。防衛庁は2月17日から20日に室蘭港で軍事物資を積み込み、自衛隊の輸送艦でイラクに運ぼうとしています。私たち港湾の仲間は全国から北海道に駆けつけ抗議行動を行います。港湾労働者の先輩たちは、弾薬の積み込みにストで対抗したりして平和の闘いを積み重ねてきました。このすばらしい平和の伝統を守り続けます。皆さん、小泉内閣の暴走を一緒になって止めようではありませんか!」と力強くアピール。
閉会のあいさつに立った航空安全会議の大野則行議長は、「イラクへの無法な占領をやめさせるために世界中の人びとが3月20日、一斉に行動をします。私たちも、この呼びかけにこたえて立ち上がりましょう。日本全国津々浦々で一斉に行動を起こしましょう。首都東京に集まることのできる人は、日比谷野外音楽堂に集まりましょう」と集会宣言を提案、満場の拍手を受けた。
“3月20日、世界中の人びととともに行動しよう”との鮮明な行動方針が全体のものとなった。いざ3・20へ!
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週刊『前進』(2139号3面4)(2004/03/01)
アメリカ
3・20大統一行動を決定 東海岸 ニューヨークに結集
2団体が共同で
3・20の国際的なイラク反戦行動に向けてアメリカで決定的な前進がかちとられている。
2月5日に発表されたニューヨーク市反戦労組連合(NYCLAW)の回状によれば、ANSWER連合を含む「3・20行進全国連合」と、ユナイテッド・フォー・ピース・アンド・ジャスティスを含む「3・20動員委員会」の2つの主要な反戦運動統一戦線の20構成団体が会合し、3・20に共同してニューヨークで統一集会・デモを行うことで合意した。
これまでボストン、ワシントン、ニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコ、ロサンゼルスの6都市で行うとされていた3・20反戦行動の方針が変更され、東海岸では3都市の行動をひとつにまとめてニューヨークに総力結集し、巨大な行動にすることが決定されたのだ。
この大統一戦線の形成をふまえて2大反戦運動統一戦線組織は共同声明を出した。
「……われわれは、イラクの占領と大企業支配を終わらせ、部隊を国内にすぐに帰還させるために行進する。われわれはパレスチナ戦争を終わらせるために行進する。われわれは、人間的な生活のために費用を支出し、削減された社会保障を回復し、そしてあらゆる移民への、労働者の権利への、全員の市民的権利へのますます拡大する攻撃に反対して行進する。……われわれは、ブッシュ政権の政策に多くの理由から反対するさまざまなコミュニティーと組織を代表しているが、3月20日には一緒に行進する。一緒に取り組むことによって、われわれの二つの連合は、3月20日の大動員を実現し、強力で鮮明なメッセージを発することに自信を持っている」と高らかに宣言している。
SEIUが主軸
このような大統一戦線の形成は、アメリカ階級闘争の新たな戦闘的高揚の現れだ。「外への侵略戦争と内への階級戦争」をしかけてきた米帝ブッシュ政権に対して、労働者階級人民がその持てる力のすべてを結集して、真正面から力勝負を挑み、ブッシュを打倒するのだという、熱烈な決意が大統一戦線による共同行動方針を導いたのだ。
そしてこの大統一戦線の形成に重大な役割を果たしたNYCLAWは、ブッシュ政権の激しい資本攻勢と最も戦闘的に対決して闘っているSEIU1199(国際サービス従業員労組1199支部。ニューヨークを中心とする地本)などが主軸となっている。
9・11当時、世界貿易センターで多くのSEIU組合員が働いていた。このSEIUがイラクとパレスチナへの侵略戦争に反対して闘う大統一戦線形成の闘いを積極的に推進したのだ。このことは、アメリカ労働者階級の先進的部分がブッシュの発動した世界戦争戦略と国内治安弾圧、資本攻勢との闘いの中できわめて高い階級的地平を獲得しつつあることを示している。
「公開質問状」
この大統一戦線の形成の背景には、アメリカのパレスチナ人を始めとするアラブ系アメリカ人とムスリムのコミュニティーからアメリカ反戦運動諸組織に発せられた公開質問状に対する真剣なとらえ返しがある。
1月15日に発表された公開質問状は、3・20の行動呼びかけを支持するとともに、アメリカの反戦運動諸組織に対し、パレスチナを始めとしてイラクやアフガニスタンの人民の自決権を防衛し、アメリカのすべての植民地的占領計画に反対することがアメリカの反戦運動にとって重要な課題であることを訴えている。とりわけ、反戦運動からパレスチナ人民の闘いを切り離したり、パレスチナ人民の帰還権を否定することに反対し、ともに闘うことを訴えたのである。
これに対し、2月10日現在で、アラブ系アメリカ人のみならず、NYCLAWを始めアメリカの労組や反戦団体、人権団体など257もの諸団体が支持声明を出し、連帯して闘う熱烈な意思を明らかにした。このような闘いをも媒介として今回の大統一戦線が形成されたのだ。
3・20国際反戦闘争のアメリカでの大爆発は確実となった。この闘いと連帯し、日本においても3・20日比谷の10万人を超える大統一行動をなんとしても実現しよう。
(丹沢 望)
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週刊『前進』(2139号3面5)(2004/03/01)
労組法改悪許さぬ 関西合同労組 厚労省に申し入れ
2月10日午前、関西合同労組は、しごと開発就労者組合、被災地雇用と生活要求者組合の組合員とともに厚生労働省交渉を行った(写真)。昨年11・9労働者集会の翌日の10日に提出した失業対策要求、被災者対策、労組法改悪反対、労基法改悪撤回、パート労働者保護の要求書の回答を聞くための交渉で、組合代表9人に対し、厚労省各部局から係長クラスの14人が対応した。
交渉の中で、労組法改悪を狙う昨年12月16日の労働政策審議会の「労働委員会の審査迅速化等を図るための方策」の建議に激しい批判をたたきつけた。
建議では、労働委員会の審問の「長期化」や行政訴訟における命令の「高取消率」を口実に審理の「迅速化」と「適格化」が全面に押し出されている。だがそれは、団結権保護や侵害された団結権の回復ではなく「労使関係の秩序回復」を目的に掲げている。組合側は「労組法の目的のすり替えだ」と弾劾した。
さらに、事実上の5審制や、他の行政訴訟と比べて2倍の高取消率(40%)になっている現実に屈服し、「司法に耐えうる命令」と称して労組法を改定することは、不当労働行為救済制度への敵視を強める司法にすり寄り、労働委員会制度を解体し、ひいては労働者の団結権を解体するものだと徹底批判を突きつけた。
担当の役人からは、「労働委員会制度など不要だという国会議員すらいる」との発言もなされ、国会の厚生労働委員会ではまともな論議はほとんどされていない実態が語られた。
連合・民主党や全労連・日本共産党の裏切りによって事態はここまで来ているのだ。坂口厚労相は16日、労組法改悪案要綱を労働政策審議会に諮問した。3月にも改悪案を国会に提出するという。労働者の団結権の確保へ、労働委員会制度の解体を許さず、労組法の改悪反対の大運動を巻き起こそう。
(投稿/関西合同労組 組合員S)
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週刊『前進』(2139号4面1)(2004/03/01)
自衛隊イラクに行かすな おおすみ入港(武器輸送)を弾劾
室蘭 港湾労働者を先頭に
2月18日午前8時半すぎ、14日に呉を出港した海自輸送艦「おおすみ」が室蘭港に姿を現した(横須賀の護衛艦「むらさめ」は9時40分入港)。激しい吹雪の中、怒りのシュプレヒコールがこれを迎え撃った。
祝津(しゅくづ)ふ頭に隣接した岸壁には、全国港湾労働組合協議会(全国港湾)と北海道平和運動フォーラムなどが主催する「自衛隊を戦場に送るな!室蘭行動実行委員会」の労働者200人が結集している。前夜に行われた600人の集会・デモに続く闘いだ。全国港湾傘下の全港湾など全国から集まった港湾労働者の真っ赤な組合旗が横殴りの風に翻る。「港の軍事利用反対! イラクに軍事物資を送るな!」
その後方、高台にある白鳥大橋展望広場では「とめよう戦争への道!百万人署名運動・北海道」や「STOP WAR!自衛隊のイラク派兵を止めよう実行委員会」も参加する「自衛隊をイラクへ送るな!室蘭市民集会実行委」150人がが陣取り、大漁旗やのぼり、「自衛隊はイラクに行くな!」の横断幕が広げられている。海上では同実行委が出した2隻の漁船に乗った20人が「おおすみ」の巨体に200bまで迫り、抗議の声を直接ぶつけた。
「私は1歳に満たない子どもがいます。未来の子どもたちに平和な毎日を」。この全港湾の労働者の思いは全参加者の思いだ。
その場からただちに次の闘いが始まった。全国港湾は、自衛隊の寄港を許可した新宮正志室蘭市長への抗議行動に立った。代表団が申し入れを行っている間、市庁舎の周りで全国港湾の「イラク派兵反対、並びに有事体制準備の諸法案に反対する決議」を刷り込んだビラが市民に手渡された。
市民集会実行委は、車約20台を連ねて自動車パレード。市民に「イラク占領に加担する室蘭港の軍事使用に反対しよう」と訴えた。
百万人署名運動・北海道の賛同人有志と「STOP WAR!実行委」の学生は、室蘭市の繁華街・中島町で街頭署名運動を行った。雪の中で多くの人たちが署名に応じ、「戦争には反対」「どうしてこんな日本になったのか。責任を感じる」などとそれぞれの思いを署名に託した。
(M)
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週刊『前進』(2139号4面2)(2004/03/01)
むらさめ出港を許すな 横須賀 右翼と対決しデモ
2月16日、「おおすみ」とともにイラクに派兵される護衛艦「むらさめ」の横須賀基地からの出港に対し抗議のデモと申し入れが行われた。早朝から右翼が市内に入り騒然とする中、百万人署名運動の神奈川県連絡会の呼びかけに約50人が集まった。横須賀では百万人署名運動が継続的に自衛隊官舎へのビラ入れなどを続け、この日も隊員と家族の署名運動への切実な思いが報告された。
海自総監部へのデモと「自衛隊はイラクへ行くな」の声は、昼休み中の労働者の注目を集めた。基地横の公園には右翼の街宣車が並び、街中に機動隊が配備されていた。デモ参加者の中から代表が海自総監部に要請文と1万1629筆の署名を提出した。さらにJR横須賀駅前で市民と自衛隊員・家族への訴えを行い署名を集めた。自衛隊員の家族だから署名できないという人や、家族だからなんとかしたいと署名する人など、反応はさまざまだった。
(投稿/N・N)
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週刊『前進』(2139号4面3)(2004/03/01)
派兵中止を 福岡・百万人署名 基地に申し入れ
2月15日、九大学生自治会と百万人署名運動・福岡県連絡会は、福岡県春日市にある航空自衛隊春日基地と陸上自衛隊第4師団に対し、約150人の市民・労働者とともに、派兵反対の申し入れとピースウォークを行った。(写真左上)
申し入れの前に春日市役所前で、主催団体である平和をつくる筑紫住民の会代表の郡島恒昭さんらが自らの戦争経験から「今の時代は当時と似ている。イラク戦争は石油利権の侵略戦争だ」と批判した。
右翼が街宣車で執拗に妨害を繰り返したが、参加者はより大きな声で「イラク派兵反対」と元気に訴え、右翼の妨害を吹き飛ばして申し入れとピースウオークをやり遂げた。
まず空自春日基地に申し入れを行い、そこからピースウオークで陸自第4師団春日基地に移動して再び申し入れを行った。基地の入り口には右翼が妨害を狙っていたが、妨害を許さず申し入れをやり遂げた。
最後にアメリカのイラク攻撃を許さない実行委の青柳行信さんが、今後も闘いを広げようと訴え、次回2月29日の天神デモの参加を呼びかけた。
(投稿/H)
派兵反対で5千人が集会
同日、「平和・人権・環境福岡県フォーラム」の主催で「自衛隊のイラク派兵反対!九州ブロック総決起集会」が福岡市博多区の冷泉公園で開催された。自治労・教組・全逓・国労など労組や百万人署名運動など市民団体約5千人が参加(写真左下)。主催者が3・20行動への決起を呼びかけた。集会後、天神までの約1・5`をデモ行進した。
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週刊『前進』(2139号4面4)(2004/03/01)
紀元節粉砕で現地集会 岡山・日本原
岡山・日本原で2月11日、「紀元節粉砕・基地撤去・イラク派兵阻止」を掲げ、統一集会実行委主催の闘争が約80人で闘われた。
宮内地区の防衛庁用地で統一集会が行われ、日本原農民の奥鉄男さんが「私はかつてノモンハン事件の現場に一兵卒として居合わせ、戦争の残酷さ、無意味さを嫌というほど思い知らされました。戦争は絶対に繰り返してはならない」とメッセージを寄せた。
三里塚反対同盟の伊藤信晴さんが「公団は暫定滑走路の北側延伸をたくらんでいるが、これは追い詰められた結果。三里塚は必ず勝利する」と決意を示した。被爆者青年同盟、労組交流センター、全学連などが発言、最後に日本原現地闘争本部が「3・20日比谷の大結集へ全力を」と訴えた。
集会後、日本原駐屯地まで約6`のデモに出発。駐屯地正門前で、「イラクに行くな。派兵命令を拒否しよう」とアピールした。
戦場に自衛隊が派兵された今、演習場全面使用=りゅう弾砲全面射撃との対決が迫っている。日本原闘争の発展をかちとろう。
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週刊『前進』(2139号4面5)(2004/03/01)
隊員・家族に訴え 伊丹 420人がウオーク
2月11日、陸上自衛隊伊丹基地(兵庫県)近くで行われた「許すな侵略・とめよう派兵! 2・11みんなで行動 伊丹」行動に参加しました。会場は420人で満員になりました。
自衛隊員の家族と一緒に参加した百万人署名運動・奈良県連絡会代表の藤原好雄さんのあいさつなどに続き、反戦自衛官の小多基実夫さんが特別報告。小多さんは、北部方面隊元総監・志方の「傷ついた子どもを見ても見捨てよ」という言葉を紹介し、「人道支援」のウソを弾劾しました。
続いて、航空労組連絡会副議長の村中哲也さんが講演。村中さんは「平和のために闘う組合こそが労働者の権利を守ることができる。労働者の権利を守れない組合は平和も守れない」「労組が正しい路線を自覚して歩むことが、日本の進路を決める」と強調、「連合や全労連、市民運動の枠をこえて、大きな行動を実現したい」と訴えました。
「日の丸・君が代」処分と闘う教育労働者の訴えや京都・若者の会の元自衛官のメッセージに続き、反戦・福祉議員ネットの守口市議の三浦たけおさんがまとめを提起し、A&Uの若者の元気な太鼓のリズムにのって、申し入れと自衛隊基地・官舎までのピースウオークに出ました。
休日の公園の自衛隊員や家族が手を振ってこたえたり、官舎前で「日の丸で送り出した家族が棺になって戻ってくるようなことを拒否しよう」の訴えに、「日の丸」を片づける人もいました。
(投稿/関西T)
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週刊『前進』(2139号4面6)(2004/03/01)
実弾演習に英語で抗議 大分・日出生台
大分県の日出生台演習場で2月11日、九州と山口の労働者や学生らが在沖米海兵隊の実弾砲撃演習に対する抗議行動を行った。
ゲート前集会では自衛隊派兵への怒りが述べられ、「何か自分にできることはないかと、新聞で今日のことを知って来た」という人もいた。百万人署名運動の福岡県連絡会、九州大学自治会などが「自衛隊派兵は侵略戦争そのもの」「これは世界戦争への道だ。自衛隊員や米兵が命令拒否できる大きな反戦運動を」と訴えた。その後、英語で米兵に「ブッシュはうそつき」「ブッシュのために殺すな死ぬな」と呼び掛けた。
地元の農民は「日出生台は私の誇りです。ここで人殺しのための演習が行われることは許せない。子どものためにも、がんばり続ける」と決意を述べた。
この日は日教組も闘争に取り組み、エール交換した。
(投稿/九州大K)
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週刊『前進』(2139号4面7)(2004/03/01)
米英日帝のイラク軍事占領の実態 空爆・虐殺・逮捕と経済の支配
日帝・小泉政権が自衛隊イラク派兵を強行し、日帝が新たな「15年戦争」の道に突入した。イラク・サマワ現地から自衛隊幹部の映像が日々流され、侵略戦争の正当化と人民動員が図られている。
米帝がイラクでやっていることはイラクの「復興」や「民主化」ではない。残虐な侵略戦争の継続と軍事占領と石油の略奪である。
日本の労働者人民に、日帝・小泉政権を打倒し、侵略戦争を内乱に転化する闘いが鋭く問われている。
日帝・小泉は「戦争に行くのではない」「復興人道支援のためだ」「武器の使用は武力行使ではない」などとデマとペテンでイラク侵略戦争参戦を強行した。だが、自衛隊がイラクに派兵された目的は米占領軍の支援のためであって、イラク軍事占領・植民地支配とイラク人民の闘いの武力による圧殺のためである。
2月14日、バグダッド西方の町ファルージャで治安部隊本部に解放勢力が襲撃をかけ、20人以上の保安部隊要員が死亡し、80人とも言われる被収容者を解放した。この戦闘には数十人の解放勢力が加わっており、四方から連携して攻撃が行われた。
この攻撃は、イラク人民の闘いがしっかりとした指揮系統をもった大きな戦闘組織として形成されていることを示しており、米軍に大きな衝撃を与えている。
容疑もなしで拘留し、電気ショック拷問
そもそも米帝は、今も連日、「テロとの戦い」と称して残虐な空爆と人民虐殺、逮捕・投獄を繰り返しているのだ。
2月18日にはバグダッドにある米軍基地からの砲撃で10歳の少女を含む3人が虐殺された。米軍は、反乱者の対岸からの銃撃を防ぐための「嫌がらせ作戦」と称してチグリス川の対岸の草地に砲撃を繰り返し、そのうちの一発が民家に当たったのだ。米軍はこうした虐殺や交通事故などに対しても被害者や遺族に対して一切の補償を行わない。
国際NGO組織の「バグダッド占領監視センター」と「イラク人権擁護協会」が1月に現地調査に基づく報告書を作成した。その中で家宅捜査に入った米軍が貴金属や現金を強奪したり、イラク人民を連行していくケースが相次いでいることを明らかにしている。
容疑があいまいなまま5千人を超える拘留者に対してつめをはがす、電気ショックを加える、殴るなどの拷問が行われている。イギリス軍はサッカーだと言って拘留者を蹴飛ばし死亡させている。キルクークに住むサディク・アブラヒムさん(55)は連行後暴行を受け、昏睡(こんすい)状態に陥り病院の前に置き去りにされた。
家宅捜査に入って住民を立ち退かせた後、家を砲撃して破壊する、ゲリラ実行者について通報しなかったと言ってなつめやしの畑をブルドーザーで踏みつぶして木をなぎ倒すなど、米軍はありとあらゆる暴虐を行っているのだ。
米帝が選んだメンバーのみの政権移譲案
こうした米英占領軍の暴虐に対してイラク人民は怒りに燃えて激しく民族解放のゲリラ戦争を闘いぬいている。それによって米軍の占領支配も完全に泥沼に陥っている。激化するゲリラ戦闘でイラク戦争開始以来の米軍の死者は544人に上っている。米国防総省の発表でも、死亡や負傷、病気でアメリカ国内に送り返された米兵の数は2万9000人に上っており、ほぼ3個師団が壊滅したというべき事態である。
こうした軍事占領の危機の中で米帝は、「政権委譲」と称してかいらい政権をデッチあげ、植民地支配を行おうとしている。米帝は7月1日に政権委譲すると発表している。
だがその暫定政権の選出の仕方は、イラクの18の地域に組織委員会を設け、その組織委員会は15人の委員からなる。15人の委員のうち5人は統治評議会が指名し、5人は地方議会が指名し、残る5人は5つの都市がそれぞれ1人ずつ指名して構成する。
この18地方の各15人が選挙権を持ち、15人のうち11人以上の信任を得られたものが暫定国会の議員になれる。すなわち選挙権を持っているのは270人で、そのうち90人は統治評議会が指名するのだ。立候補者は政党、地方議員、職業・市民団体、部族・宗教組織から出される実力者に限られている。
15人の組織委員のうち11人の信任が得られなければ暫定国会の議員にはなれないことにより、統治評議会が指名する人間が反対する勢力は1人も選出されない仕組みになっている。統治評議会自身が米帝が勝手に取り上げた人間たちであり、労働組合の代表や左翼政党などは1人も選出されない仕組みになっているのだ。これは、「民主主義」などとは正反対のかいらい政権づくり以外の何ものでもない。
この米帝の暫定政権づくり案に対し、シーア派の宗教指導者であるシスタニ師が国民投票による直接選挙以外に認められないと反対し、南部を中心に各地で大規模なデモが行われた。
企業民営化でイラク経済は米資本の手に
一方、統治評議会は公共企業の再建のためと称して民営化する方針を表明し、統治評議会産業省のハナン・ジャッセン報道官は、国有企業再建のために民間資金の借り入れを進めると発表した。05年の恒久政府の発足までは正式契約はできないと言っているが、それまでにも資金が必要なので最小でも5年期限の借り入れ契約を結ぶとしている。
投資家は、再建のために自由裁量権を与えられるとしており、これによって05年のイラクの「正式」政府が発足するまでに米英の資本によるイラク公共企業の支配が形成されるのである。こうしてイラク経済は完全に米帝によって支配されることになるのだ。
こうした米帝の占領支配・イラク植民地化にイラク人民は激しく闘いぬいている。たとえ米帝がかいらい政権をデッチあげようともイラク人民がそれに屈服し容認することはあり得ない。かいらい政権は、占領軍がいなくなれば1日たりとも持ちこたえることはできない。結局、米英日帝はイラクに居座り続け、不屈の民族解放戦争によって泥沼の戦争拡大に向かっていく以外にないのである。
闘うイラク・中東・ムスリム人民と連帯し、米英日帝のイラク侵略戦争に対する国際的内乱が求められている。3・20国際反戦闘争の巨万の決起へ全力あげて闘いぬこう。
(秋原義明)
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週刊『前進』(2139号4面8)(2004/03/01)
2月10日〜17日
輸送艦「おおすみ」呉を出港 普天間「代替なし返還」報道
●神崎「自衛隊が援護可能」 公明党の神崎代表は、英紙のインタビューでイラクへの自衛隊派兵に関連して「自衛隊がオランダ軍を助けられないのは奇妙な現象だ。国際法に基づく限り、オランダ軍を助けることは、憲法改正ではなく解釈で可能だと思う」と述べた。(10日)
●核燃料、非核保有国の生産規制 ブッシュ米大統領は、非核保有国による原子力発電用の核燃料生産の規制や、国際原子力機関(IAEA)の機能強化などを盛り込んだ核不拡散のための新提案を発表した。すでに技術を持つ国に核燃料生産を限定し、核兵器の秘密開発を防ぐのが目的。(11日)
●プルサーマル、受け入れ自治体優遇 経済産業省は、原発など発電所の立地自治体に支払う電源3法交付金の支給方法を改め、ウランとプルトニウムの混合酸化物(MOX)燃料を原発で燃やすプルサーマル計画を受け入れる自治体には、通常の交付金より手厚く配分する方針を固めた。(12日)
●米中央軍司令官に攻撃 イラク中部のファルージャで、アビゼイド米中央軍司令官の車列がロケット砲で攻撃を受けた。(12日)
●「靖国なければ日本支持」 公明党の神崎代表が訪中した際、中国側が、日独仏で受注を争う北京―上海間の高速鉄道計画について、小泉首相の靖国神社参拝問題を理由に、中国が日本を選択することは難しいとの見方を示していたことが分かった。昨年末の対日政策会議では小泉首相に対しては当面、訪中を要請しない方針が示されている。(12日)
●民間防衛、町内会も協力 政府が検討を進めていた民間防衛制度の概要が明らかになった。担当するのは警察や消防署が中心だが、必要があれば町内会でつくる自主防災組織など民間人にも協力を求め、活動の際には外国軍隊から攻撃されないよう識別できる着用の「腕章」(ラベル)をつくる。(12日)
●韓国、イラクへ3千人増派
韓国の国会は、政府が提出したイラクへの追加派兵同意案を賛成多数で可決した。すでに派兵されている工兵・医療部隊約600人に、約3千人が4月末にも加わり、イラクでは米英に次ぐ規模に。(13日)
●「強制連行、教科書から削除を」 自民党の「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」(約80人)が約2年ぶりに党本部で会合を開き、今年1月に実施された大学入試センター試験の「世界史」の問題に「強制連行」という表現が使われたことを批判、歴史教科書から「強制連行」の記述の削除を求める運動に取り組む方針を決めた。(13日)
●普天間「代替なしで返還も」 米側が代替施設の建設を米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)返還の条件としない意向を日本政府に打診していたことが明らかになった、と毎日新聞が報じた。米軍の再編の一環として、米空軍のハブ(拠点)空港となっている同県内の嘉手納飛行場に基地機能を統合し、沖縄駐留海兵隊の一部や訓練場所をグアムやフィリピンに移す案が検討対象となる見通し。このニュースについて福田官房長官、川口外相、石破防衛庁長官は、それぞれ「そのような打診を米側から受けた事実はない」と否定した。米国防総省も同様に否定した。(13日)
●朝鮮総連施設、公売手続きへ 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の関連施設が、東京都から課税された固定資産税などを滞納しているとして、都は差し押さえている「朝鮮出版会館」の土地・建物について、公売手続きに入る方針を固めた。(13日)
●海自「おおすみ」が出港 イラクに派兵された陸上自衛隊に装備品などを運ぶため、海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」が広島県呉市の海自呉基地を出港した。北海道・室蘭で軽装甲機動車などの装備品を積み、クウェートに向かう。(14日)
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週刊『前進』(2139号5面1)(2004/03/01)
3・8国際婦人デー闘争のために
女性労働者の階級的決起の力で3・20イラク反戦闘争の高揚へ
深沢 史子
1908年3月8日、ニューヨークのイーストエンドで、女性たちの食糧と参政権を求めるデモが起こった。この出来事が第1次大戦前の不況と危機にあえぐヨーロッパに広がり、ドイツの女性革命家クララ・ツェトキンらが国際婦人デーを提唱した。1917年3月8日に起こったロシア・ペトログラードの労働者街・ビボルグ地区での「パンと平和」を求める女性労働者たちのデモは、燎原(りょうげん)の火のように広がり、ついに革命の火ぶたを切るまでにいたった。2004年国際婦人デー闘争こそ、ロシア革命の口火を切った精神に立って階級的・国際主義的闘いを復権する時だ。米・英帝国主義によるイラク戦争の開戦から1年、米帝ブッシュ、英帝ブレアは、戦争の泥沼化で危機を深めている。「帝国主義の戦争・軍事占領をやめさせ、一刻も早く軍隊の撤退を」と叫ぶ全世界数千万人の決起が、昨年の全世界2000万人の決起に続いて再び起ころうとしている。この世界の動きと固く結んで、3月20日、日本における10万・20万の労働者階級人民の決起を実現しよう。3・20で日帝国家権力と労働者階級人民の階級関係の転換をかちとろう。先人たちの闘いを引き継ぎ、2004年国際婦人デーの闘いをもって、3・20の大高揚を切り開こう。女性労働者・女性大衆の根底からの決起は、必ずや労働者階級人民全体の決起へと広がる。全党の女性同志が最先頭に立とう。すべての女性は闘おう。
女性の怒りを逆手に国策への動員狙う小泉
日帝・小泉と日本経団連・奥田の労働者に対する攻撃は、労働者階級人民のいのちを奪い、切り捨てるところにまで行き着いた。帝国主義間で繰り広げられる激しい争闘戦の中で、日本帝国主義は、帝国主義として延命できるかどうかのぎりぎりのところに立たされている。帝国主義はどんづまりの危機にあえいでいる。そうした中で、戦争と資本攻勢が完全に一体の攻撃としてかけられている。
日帝・小泉は昨年12月9日、「自衛隊派遣基本計画」を閣議決定し、米英のイラク戦争支持から、ついに参戦に踏みこんだ。そして今、帝国主義としての延命をかけ、武装した自衛隊の戦地への派兵を強行している。小泉首相が元旦に強行した靖国神社参拝は「自衛隊員よ、お国のために死んでこい」ということだ。「日の丸」の旗を振って自衛隊をイラクに送り出す光景は、60年前とまったく違わない光景の再現である。
派兵された陸上自衛隊の隊長が、隊員や日本のマスコミ向けに「これは戦争ではない。人道復興支援だ」と小泉首相の言葉を繰り返しても、真実をくつがえすことはできない。自衛隊はイラクの人民に銃を向けていく存在だ。そういう矢先に、自衛隊が到着した直後のサマワで迫撃弾が宿営地付近に飛んだ。イラク人民にとって、重武装の自衛隊は侵略・占領軍以外の何ものでもない。日帝は米・英帝国主義がはまりこんでいる泥沼に入りこんだのだ。その戦費だけでもいったいどれほどの金額になるというのか。この侵略戦争・軍事占領を絶対にやめさせなければならない。
なぜイラク人民が70%を超える失業率に苦しまなければならないのか。イラクは世界第2位の石油埋蔵量を持つ国であるにもかかわらず、どうしてイラク人民には毎日のガソリンさえ手に入らないのか。自衛隊の「人道復興支援」はまったくのペテンだ。米英の侵略戦争によって破壊された街、奪われた仕事・教育・医療を、米英を真っ先に支持した日本政府がもたらすことはけっしてない。
自国内でリストラ・賃下げ、年金改悪、福祉の切り捨て、大増税を推進して労働者階級人民の生き血を吸っている小泉政権・日帝ブルジョアジーが、「人道復興支援」をすることなど絶対にありえない。心底怒りがこみ上げるではないか。
日本経団連会長・奥田のこの間の言動はすさまじい。文芸春秋1月号の「緊急提言 死に物狂い(ママ)で成長を実現せよ」における暴言を始めとする奥田の主張は、ひと握りのブルジョアジーが生き残るために、「戦争をやるのも改憲するのも当たり前」「労働者が食えなかろうが、生きられなかろうが知ったことではない」「労働者は分相応な生き方をしろ。家計を見直せ」「労働者は小さな幸せなど求めてはいけない」ということだ。労働者ばかりではない。中小・零細企業や農業に対しても「競争に勝てないものは切り捨てろ」と、独裁者のように絶叫している。
1980年代の国鉄分割・民営化の強行と総評解散・連合結成以来、日帝ブルジョアジーは、労働者階級を分断し、団結を破壊し、労働者家族の苦しみと女性差別への怒りを逆手にとって、男女雇用機会均等法を突破口に労働者の雇用・賃金のあり方の解体を狙ってきた。
そしてさらに今、労組法の改悪や共謀罪新設、司法改悪・教育基本法改悪に手をつけ、労働者の団結と闘いを抑え込もうとしている。戦時型階級関係への転換の攻撃の焦点として、男女共同参画社会基本法、少子化社会対策基本法、次世代育成支援法などを通じて、国家政策への女性の動員が狙われている。「少子化対策」を叫んで「お国のために産めよ、増やせよ」と国家主義・家族主義をあおり、税制・社会保障制度改悪と労組解体を強行し、そこに女性を位置づけていこうとしている。
不安定雇用が激増し出産もできない現実に
女性労働者とプロレタリア家族は今、どのような現実に置かれているのか。
日帝・小泉の規制緩和・構造改革攻撃により、女性労働者はますます不安定雇用にたたき込まれている。派遣・パート・嘱託・アルバイト・フリーターなどあらゆる呼び方があるが、細分化され、分断された非正規雇用の労働形態は、労働者に労働強化と無権利状態を激しく強制している。
この中で、妊娠・出産・育児・疾病・「障害」・高齢化・介護など当たり前の人間としての生活ができなくされている。政府は「少子化」「安心」「持続可能な社会保障制度改革」などと声高に叫ぶが、それは年金改悪や介護保険改悪のように、最低限の生存権を保障する社会保障からも国と企業が手を引くためである。
今や女性の労働は「家計補助」のためのものではない。家族が総出で労働して得る生計費・生活費の中で不可欠のものになっている。戦後続いてきた女性労働者のM字型就労(*)はなくなり、女性の労働力率は高止まりを続けている。そのため、どんなに「少子化」が叫ばれようと、出産・育児期間の生活費カットに耐えられないために子どもを産み育てることも不可能になっている。
失業やリストラはもちろん、疾病・事故などが一家の中に発生しただけで生活できなくなる不安が、当たり前のように存在している。奥田は労働者が生命保険をかけることに対して「家計に負担をかける、分不相応な保険のかけ方」などとあしざまに言い放ったが、労働者家庭がまったく将来に展望を見いだせず、不安を抱えて生命保険に頼らざるをえなくしている元凶は日帝ブルジョアジー、お前たちではないか。
すでに5年以上、年間の自殺者が3万人を越えている。まるで戦場のようではないか。連日JRでの人身事故が報じられる。出勤途中の労働者の間には、同僚の死を迎えたように沈痛な面もちが広がる。自殺者の多くは40〜50歳代の男性の世帯主である。経済的理由による自殺は、帝国主義による虐殺である。その労働者家族は、どうやって暮していけというのか!
世界の生産力水準は優に全世界の人口を食わしていけるだけのものがあるというのに、世界中に飢餓があふれ、戦争が起こり、劣化ウラン弾などで環境が次々に破壊されているではないか。
すべては、今の帝国主義支配体制の問題だ。帝国主義を倒す以外に労働者階級人民の生きる道はない。
*M字型就労
女性労働者の出産・育児期の就労中断と再就労を指す。90年代後半からM字の谷間がなくなってきた。現在は労働者総体に不安定雇用が拡大し、その上、女性労働者の低賃金・無権利・不安定雇用化が進んでいる。
3・8精神継承し従来の枠組みを越えた闘いを
帝国主義支配階級は今までどおりには支配していけなくなった。労働者の側も、生きるためには黙っていることはできなくなった。闘わなくては生きられない情勢が訪れている。労働者階級人民の反転攻勢の大流動が起こっている。
昨年11・9日韓米国際連帯集会の大成功から、12月動労千葉のストライキ決起、さかのぼって8月の自治労全国大会での「21世紀宣言」否決、12・23教育基本法改悪反対集会の5000人の結集など、労働者階級の新たな闘いが巻き起こっている。労働者本隊が地殻変動を開始した。動労千葉は春闘を1カ月前倒しして、組合つぶし攻撃と正面から激突してストライキで闘いぬいている。小泉・奥田らの戦争と大資本攻勢=労働者の生活と団結を破壊する攻撃に屈服する連合指導部をのりこえる闘いが、確実に労働者階級人民の中から始まっている。
イラク派兵中止を求めて、さまざまな女性たちの従来の枠を越えた活動が全国に広がっている。1月13日には、航空連・医労連・新聞労連の3労組委員長・議長(すべて女性労働者)によるイラク派兵中止を求める女性たちの行動が呼びかけられた。労働組合運動の主導権のもとに女性大衆の決起が結びついた中に、帝国主義との対決の非和解性、根底性、そして勝利性が現れている。ナショナルセンターや縦割りの壁をはずした決起が呼びかけられている。階級性に根ざした闘いが求心力を持っているのだ。階級的労働運動、女性労働者が、情勢を突き動かしている。
最後に、全党の同志、とりわけ女性同志のみなさん。ロシア革命への道を押し開いた3・8国際婦人デーを復権・継承する闘いは、第6回大会で21世紀革命を宣言した革共同によってのみ実現される。今、新指導路線のもとで、私たち自身があらためて、自分の職場・地域の中で労働者階級人民の帝国主義支配への怒りを聞き取り、掘り起こし、ともに決起していこうではないか。現に今、「戦争をとめよう」と訴える署名運動が、無数の女性たちによって地域・街頭で巻き起こっている。
すべての女性労働者・労働者家族・女性のみなさん。国際婦人デー闘争に立ち上がろう。3・20全世界反戦行動―日比谷10万人の決起をともにつくりだそう。小泉・奥田を打倒しよう。
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週刊『前進』(2139号5面2)(2004/03/01)
北朝鮮侵略戦争と日共 「不破インタビュー」批判
「北東アジアの安全と平和」は帝国主義と同じ主張だ
排外主義攻撃をしり押し
日本共産党は、1月の第23回大会で綱領を改定し、労働者自己解放の階級的立場を捨て去り、帝国主義の最後の番兵として生きることを宣言した。その立場は、イラク反戦闘争でも、春闘でも、いたるところで貫かれている。
『赤旗』の新年企画で毎年「インタビュー」を載せている不破哲三議長は、今年は、「どう考える北朝鮮問題」のタイトルで、国際局長の緒方靖夫参院議員と対談している(1月4日〜7日付)。だが、そこで不破は米・日帝国主義の北朝鮮侵略戦争策動を弾劾するどころか、帝国主義の立場に立って「北朝鮮問題」の提案を展開している。
まず、多くのマスコミ論調がそうであるのと同様、日本共産党も「北朝鮮という問題のある国に対して日本は何をすべきか」という問題の立て方をしている。この出発点からして間違っているのである。
だが、今日の問題の中心は「自国帝国主義・日帝の北朝鮮侵略戦争策動」にこそある。ここに向かって、97年の日米安保新ガイドラインの締結があり、99年の周辺事態法があり、03年の有事法制があり、今年の国民保護法など有事関連7法案の策動がある。この攻撃がすべて北朝鮮侵略戦争のための攻撃であることに、不破は言及さえしない。このこと自体が不破=日本共産党が日帝の排外主義攻撃のしり押し勢力でしかないことを証明している。
不破は「日本外交として北朝鮮問題では、何が目標となるのか」と問題を設定し、「次の三点が大目標になる」と言って、@「朝鮮半島に、戦争も動乱も絶対に起こさせてはならない」A「拉致問題を全面的に解決すること」B「日本が“過去の遺産”を清算すること」を提起している。
しかしこれは外務省の文書とまったく同様の「日本国家が何をすべきか」という論立てであり、帝国主義と同じ立場である。
@は、戦争に反対する立場の表明なのか。そうではない。不破は「北東アジアの安定と平和」と強調する。それは北東アジアの現在の秩序を保持するという帝国主義の言葉だ。そして不破は「戦争も動乱も絶対に起こさせないこと」と言って、この「安定と平和」を脅かしてはならないとするのである。
朝鮮半島では、南北分断体制打破、革命的統一の闘いが不屈に闘われている。この闘いに連帯することが労働者人民に求められている。それは一個の動乱であり、革命である。ところが不破は、そのような「動乱は絶対に起こさせない」と、反革命的な態度を表明したのだ。
現に米帝が「悪の枢軸」と北朝鮮を名指しし、「イラクの次は北朝鮮」と公言し、侵略戦争を仕掛け政権転覆を図っている。日帝も北朝鮮侵略戦争に参戦しようとしている。これに対して日本・朝鮮・アメリカの労働者人民が連帯して闘うことが必要なのだ。
Aの問題では、日帝が拉致被害者を「守る」かのような態度をとりながら、実際は被害者の人権よりも、拉致というスターリン主義の反人民性を絶好の口実にして侵略戦争を強行しようとしていることを問題にしていない。排外主義攻撃の一翼を担っているのだ。
Bの問題も、朝鮮人民に対する日本の労働者人民の階級的血債の問題が提起されているのではなく、「日本外交として」「“過去の遺産”を清算」しておかないと不利になるという反階級的な立場から問題にしているにすぎない。
「6カ国協議」の推進を表明
不破は今日の6カ国協議を全面賛美する。「その国際協議に、北朝鮮と韓国、日本と中国、ロシアとアメリカがそろって加わったというのは、たいへん画期的なことです。ここには北東アジアの安定と平和にかかわるすべての国が参加しているわけですから」と。
これは、当事国が理性的で道理のある態度をとるかのように宣伝して、この動きを促進することが北朝鮮問題の平和的解決になるという立場の表明だ。
だが、米帝は「交渉で解決」の立場に立っているのか。そうではない。米帝は大量破壊兵器を無限大に抱え、在韓米軍を始めとする東アジア10万人体制の軍事力をもって北朝鮮を明日にも侵略しようと構えているのだ。そして日帝は米帝と共同・競合して北朝鮮侵略戦争に参戦すべく有事法制を完成させようとしている。このすさまじい軍事重圧が、人口2300万人の小国である北朝鮮にのしかかっているのだ。何か対等の6カ国が平等の立場で平和的な議論をしているのとはわけが違うのである。
この6カ国協議に、不破が何の留保もなくもろ手を挙げて賛成しているのは、「侵略戦争を仕掛けるための駆け引きと時間稼ぎ」を行っている米日帝を翼賛するものにほかならない。
しかも、それを不破は、自分の99年の2度にわたる衆院本会議での代表質問の「成果」として自慢している。不破は99年1月、「外交ルートを持たないまま、先制攻撃への心配から互いに非難しあうのはいちばん危険だ、ただちに外交的なルートを開くべきだ」という「提案」を行った。同年11月の代表質問でも「無条件で交渉ルートを開き、すべての問題を交渉のテーブルにのせる」という提案をした。これが、アメリカや韓国を動かし、日本政府を動かして99年12月の超党派の訪朝団に、そして02年の9・17小泉訪朝に結実し、さらには6カ国協議の情勢を切り開いたのだと言う。
だが、ここでも不破は、米日帝に全面協力し、この交渉さえ行われればすべて問題は解決するという態度を表明してはばからない。小泉訪朝の際に、志位委員長は大歓迎して、協力できることは何でもするという談話を発表したが、この6カ国協議に対する不破の態度もまったく同じである。
これらに一貫していることは、“外交は超党派で”という立場である。
しかし、イラク侵略戦争に参戦し、北朝鮮侵略戦争を策動し、労働者階級には定昇解体・賃下げ・リストラ、年金改悪などの攻撃をかけてくる日帝・小泉と労働者階級人民の利害はまったく相反するのだ。不破はこのような対立がないかのように描いて“国家存亡の危機には、挙国一致で”という論理を押しつけようとしているのだ。帝国主義の先兵として戦争への道を掃き清めているのだ。
民族解放闘争に敵対の立場
不破は、朝鮮人民の民族解放・革命戦争に連帯する立場に敵対し、その立場から北朝鮮スターリン主義を「批判」し、米・日帝国主義に翼賛し、排外主義攻撃にくみしているのである。スターリン主義の歴史的破産の中で、帝国主義の番兵となって延命する道を選んだ日本共産党として、北朝鮮スターリン主義に対する「批判」は帝国主義と同じ立場からしかできない。
不破は、68年以来北朝鮮の党と政府に対して一貫して闘ってきた、という弁明を必死に行っている。
だが、そもそもスターリン主義の歴史的破産の過程は、日本共産党自身の破産の過程である。北朝鮮にいろいろ問題があった、などとひとごとのように言うのは許されない。
「世界革命の放棄と一国社会主義論」という同じスターリン主義の立場から出発し、片方は自己の体制維持のために核武装路線と冒険主義的瀬戸際政策に走り、片方はスターリン主義の破産の中で帝国主義に屈服する道を選んだのだ。だから、日本共産党は北朝鮮スターリン主義に対してブルジョア的基準で「批判」することしかできない。
また、日本共産党は、残存スターリン主義・中国の力で北朝鮮問題の解決を図るという立場を押し出している。だが、米帝は北朝鮮に続いて、中国の体制転覆を究極的に狙っているのであり、この点でも、「米日帝の北朝鮮・中国侵略戦争反対」の立場で闘わない日本共産党の犯罪性は明白である。 (高田隆志)
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週刊『前進』(2139号5面3)(2004/03/01)
狭山要請行動 “証拠開示命令出せ” 茨城の婦人が鋭く追及
2月16日、部落解放同盟全国連と解放共闘は、石川一雄さんと連帯し、狭山第2次再審特別抗告審闘争の一環として最高裁・最高検要請行動を30人で闘った。
まず東京・永田町の星陵会館で集会をもった。解同全国連狭山闘争本部の小森事務局長は、警察権力に差別事件取り締まりを要求する解同本部派を弾劾し、全国連が狭山を軸とする糾弾闘争を復権しようと訴えた。また要請行動の方針として、▽昨年11月26日の最高検有田検事の証拠非開示宣言――証拠リストは内部文書だから開示義務はない。証拠を特定すれば開示に応じる――の破綻(はたん)を突き、全証拠開示を迫る▽最高裁に有田発言への見解表明、証拠開示命令、事実調べ、再審決定を要求する▽国際人権規約第26条の証拠開示規定、国際人権規約委の日本政府への改善勧告などを武器にする――と提起した。
最高裁への要請行動では、茨城県連の婦人が独自に行った実験の結果を拡大写真などで示し、石川さんは脅迫状のような文字を万年筆を使って書けなかったから無実であると的確に鋭く証明してみせた。石川さんと同世代の支部員は、万年筆の使い方を知らず、万年筆で文字を滑らかに書くことができなかった。石川さんも同様だったのだ。
小森事務局長は、最高裁が差別的態度を改め、最高検に証拠開示を命令し、事実調べを開始し、再審を決定するよう強く迫った。
応対の碓井管理官は「お聞きました」「30分を過ぎてます」とのみ言い、逃げるようにして席を立った。
最高検では有田検事発言を中心に追及し、01年の滋賀県日野町事件で弁護側の要請に応じて大津地検が証拠リストを見せた事実などをもつきつけて検察の証拠隠しを弾劾した。応対の事務官は、前回要請行動での有田検事への質問の回答を示したが、11・26発言の繰り返しにすぎなかった。要請団は一斉に弾劾の声を上げ、最高検の部落差別に満ちた対応を徹底糾弾した。
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週刊『前進』(2139号6面1)(2004/03/01)
高校生の署名を冒涜する小泉は謝罪せよ 高校生 大曽根一樹
イラクへの自衛隊派兵に対して、宮崎県の1人の高校生が、平和的解決と自衛隊の撤退を小泉に求める請願書を作り2カ月で5300人の署名を集めて、2月2日内閣府に提出した。その素晴らしい、だがあまりにも当然な行動に対し、小泉首相は次のように吐き捨てた。
「自衛隊は平和的に貢献するんですよ。学校の先生もよく生徒さんに話さないとね。……この世の中、善意の人だけで成り立っているわけじゃない。なぜ軍隊が必要か。イラクの事情を説明して、国際政治、複雑だなあという点を、先生がもっと生徒に教えるべきですね」
小泉は、教育現場を不当にも中傷した。だがしかし、そうした社会問題について実践的に教えるのを妨げ、学ぶ機会を奪っているのが、自民党政権であり文部省行政ではないのか。誤った教育が行われているというなら、小泉はまず自己を反省すべきだ。
高校生が自ら獲得した知識や経験をもとにとった勇気ある行動に対して、正しい教育が行われていないと「批判」し、結果として高校生を無知であるかのように言うのは、教育労働者と生徒に対する冒涜(ぼうとく)である。小泉は直ちに発言を撤回し、高校生に謝罪せよ!
そもそも高校生の政治活動に理解が無いことが問題だ。理解どころか、文部省は1969年、高校生の政治活動を「偏りを生み、良識ある公民の育成を阻害する」として禁止し、今もってその方針を堅持している。近年日本が遅れに遅れて批准した「子どもの権利条約」、あるいは憲法・教育基本法の趣旨にも反するこの通知は即時撤回されねばならない。
今回攻撃を受けた宮崎の高校生は多くの励ましを受け署名再開を宣言したが、今もなおネット上などで心ない人びとによる彼女に対する誹謗(ひぼう)中傷は後を絶たない。われわれは平和を希求する高校生を孤立させてはならない! 彼女を、そしてすべての反戦高校生を全力で防衛し、激励しよう。自衛隊イラク派兵を阻止し、高校生運動の発展をともにかちとろう!
巣鴨の縁日で戦争体験者が迫力ある街宣 東京・杉並 村越源太郎
2月14日、とげぬき地蔵の縁日でにぎわうJR巣鴨駅前、「二度と戦争は許さない!〈戦争体験者杉並100人の声〉の会」が、「イラク派兵は地獄道」と書いたボードを身につけてイラク派兵反対をアピールしました(写真)。90歳の八木ケ谷妙子さん、84歳の高田普次夫さんを始めとする会員の方々、桜井善作さん、結柴誠一さんなど応援の市民も一緒になって迫力ある街頭行動でした。
「とげぬき地蔵の御利益は心のとげを抜くこと。戦争を起こす心のとげを抜きましょう」「来月20日は、日比谷で10万人が立ち上がります。私たちと一緒に行動しましょう」などと、春一番の強風の中、必死の訴え。この場に台湾人元日本兵の林歳徳さんも参加、声をふりしぼって「日本人は再び侵略魔になるな!」と呼びかける姿に、心打たれました。この人生の大先輩たちの怒りをがっちりと受けとめ、後輩である私たちが行動しなければならない時だと思います。
戦争防止に決起した英情報機関の職員 東京 川野学
2月8日付の沖縄タイムスにこんな記事が載っていました。
今、イギリスで一人の女性が裁判にかけられている。その人はキャサリン・ガンさん(29)。キャサリンさんは、イギリスの情報機関である政府通信本部(GCHQ)の翻訳官です。
昨年2月、アメリカは、「イラクの大量破壊兵器」に関するデッチあげを国連安保理で行おうとしていました。その外交工作のためにイギリスにも協力を求めました。彼女はこのことを知り、その事実(アメリカからの依頼電報)を新聞社に提供したのです。3月2日付のオブザーバー紙にこれが掲載されました。その直後にキャサリンさんは逮捕され、昨年11月に政府機密法違反で起訴されました。
職場ではけっして目立つ存在ではなかった彼女は、予審で「何千、何万人のイラク市民や英兵が死に、大けがを負う違法な戦争を防ぐ必要がある」との強い確信から「良心に従って行動した」と述べました。そして「重大な違法性と米政府の不法な行動を暴露することは正当な行為だ」と主張しています。
勇気あるキャサリンさんの決起に米英で支援の輪が広がっているといいます。
侵略戦争を進める政府機関の内部から、このような労働者の決起があったことは感動的です。こうした労働者の勇気ある闘いが必ず人民の決起をつくりだし、帝国主義の戦争体制を内外から突き崩す力になっていくものと確信します。
形は違いますが、権力の弾圧に家族とともに立ち向かい、保釈をかちとった国労5・27臨大闘争弾圧8被告も、戦争の時代に労働者はどう生きるべきかを示していると思います。
全世界で立ち上がる労働者と連帯して、3・20闘争に友人とともにぜひ参加したいと思います。
『コミューン』12月号の教基法特集に感動 元教員 柳原正
私立中高を定年退職して3年の元教員です。教育基本法改悪にモヤモヤしていましたが、『コミューン』12月号の無署名レポートを読んで「これだ」と思い、教基法や戦後教育史を正月に勉強しなおしました。
レポートの言う如く、教基法改悪の攻撃の中心軸は「@愛国心の強制(前文・1条、2条関連)」「A教育の国家による全面統制・支配の復活(10条、6条関連)」の二つです。これは「戦争のため」であり、むこうの突破口は「組合(日教組)つぶし」です。
テーマは他に、それなりに重要なものが五つくらいありますが、まずはこの二つにしぼり、他の五つはこれに関連づけて考えましょう。そうすると実にわかりやすい(中学生でもわかるでしょう)。
レポートの日教組闘争小史もすばらしかった。私の感想を言えば「学テ反対闘争」をもっと高く評価してほしい。勤評闘争が「金字塔」だとすれば、学テは「第二の金字塔」です。闘争テーマの質が高く、実力闘争の色あいも強まり、「実害」は巨大で、弾圧・処分も激烈でした。
私立中高は、日教組のこういう血みどろの闘いの勝利の大恩恵を受けています。それで(昔の公立校のように)「(ア)生徒の人権の尊重(イ)学力の重視(ウ)教職員の自由と団結」をつらぬけている学校がかなりある。「日の丸・君が代」の不実施率は40%前後で、むしろ増えています。
私学の教育労働者は「恩返し」のために、日教組運動の戦闘的「新潮流」に連帯し合流しよう。そしてアジア・中東の闘う人民に対する血の債務の返済に着手しよう。
12・23の「教基法反対」の全国集会に参加しました。「時代が変わる」と思いました。
小泉は宮崎の高校生5300人のイラク反戦署名に激高して「先生はデモなんか行くな。ちゃんとした授業をやれ」と怒鳴っています。
こちらはもっと大声で怒鳴り返そう。集会・デモへ行こう。小泉流の授業などするものか。
地元の労働者として小牧闘争に参加した 愛知・未組織労働者 H
1月22日早朝より雪が舞い散る中、全国から500人の労働者、学生が結集した集会とデモに参加しました。休暇をとっての地元小牧闘争への参加は、職場・家族問題を考えると、正直かなりの緊張感の伴ったものでした。連れ合いには「空自がイラクへ侵略出兵しようとしている1月22日に、地元労働者である自分がこの小牧闘争に参加しないということは、今まで反戦を訴え続けてきた思想性が問われることになる」と宣言しての結集でした。
集会は、愛知連絡会の桐村代表の熱い思いのこもった提起を受け、全国から結集した仲間の空自のイラク侵略派兵絶対反対の力強い決意が、ストレートに伝わってきました。太鼓を打ち鳴らし、元気いっぱいのコールでデモに出発。ゲート前では装甲車を挟んで右翼と対峙、愛知県警の恫喝もデモ隊の気迫で吹き飛ばし、代表団が申し入れ行動を行いました。
午後からは完全にゲート前を制圧し、反戦自衛官の小多さん、元自衛官の方が「出兵命令を拒否しよう」と感動的な訴えを行い、次々とアピール申し入れ文を読み上げました。
夕方からの学生、若者の街・栄でのデモにも参加し、元気な彼らのデモには力をもらいました。ラップ調のコールは今も耳に残っています。
私はまだまだ非力な労働者です。家族問題で悩み、日々の仕事に疲れ果て「日常」に埋没しそうになります。しかし、1月22日小牧闘争に参加し全国の仲間の皆さんとともに闘えたことは大きな力になりました。この力を継続させ、さらに大きくして労働者人民の敵「小泉・奥田」を打倒する闘いを担っていきます。
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週刊『前進』(2139号6面2)(2004/03/01)
裁判闘争解体する裁判員制度
「国民」が権力の手先にされ単純多数決で死刑の判決も
日帝・小泉政権は、共謀罪と並んで司法改革攻撃の軸をなす裁判員制度法案や国営弁護士制度を創設する「司法ネット法案」を2月中にも国会へ提出しようとしている。裁判員制度法案には「公布日から5年を超えない範囲内に施行する」と明記し、09年までに全国の裁判所でスタートさせる方針である。司法改革攻撃の目的は、北朝鮮侵略戦争を推進できる凶暴な戦争国家への転換をめざすことだ。3・20イラク反戦10万人決起に向けた反戦闘争の高揚の中で、裁判員制度関連法案の2月国会提出を阻止しよう。
国民の司法参加は全く口実
裁判員制度は、@殺人や傷害致死などの重大事件について、A選挙人名簿から無作為で選ばれた20歳以上の「国民」が裁判員として、裁判官と対等の権限で合議体(裁判官3人と裁判員6人。場合によっては、裁判官1人と裁判員4人)を構成し、B評決は裁判官と裁判員それぞれ1人以上が賛成する過半数の意見により行い、被告の有罪・無罪や刑期を決めるという制度である。
裁判への参加は義務(拒否者は10万円以下の過料)となる。また裁判内容についても公務員なみの守秘義務を永遠に負い、違反者は「1年以下の懲役か50万円以下の罰金」という刑事罰を受けることになる。
司法制度改革推進本部(本部長は小泉首相)によると、裁判員制度の対象事件は全国で2800件程度になる見込みで、補充裁判員も含め年間約12万4000人が裁判員候補になる計算だ。つまり有権者の約830人に1人が候補となるということだ。
日帝・小泉政権の司法改革攻撃のお先棒を担ぐ日弁連執行部は、裁判員制度を「国民の司法参加」と評価し、陪審制と混同させる宣伝を意識的に行っている。しかし、実際には裁判員制度はアメリカなどの陪審制(小陪審)とはまったく違う制度である。
陪審制は、@すべての刑事裁判を対象とし、A市民から無作為に選ばれた12人の陪審員で構成され、裁判官から独立した別個の機関として裁判に関与し、B検察側が有罪を立証したと思うまで被告人を無罪と推定することを原則として、法廷に提出された証拠に基づいて事件の事実関係を審理し、有罪か無罪かの事実判断のみを全員一致で評決し、量刑は裁判官が決めるという制度である。
しかし、裁判員制度も陪審制も帝国主義の裁判制度であることに変わりはない。帝国主義は、労働者人民を一方的に「武装解除」した上で暴力を独占し、軍隊と監獄(警察)という暴力装置により支配している。そして現実の裁判制度もこの暴力装置の一翼を担っているのである。労働者人民が自らの手に暴力を奪還しそれを発動した場合には、裁判で裁かれ監獄に送られる対象となる。
しかし、帝国主義の暴力支配は万能ではない。いくらそのように対象化しても、革命党が非合法・非公然体制を堅持して闘う限り、それは無意味化する。
したがって、労働者人民にとっての裁判闘争とは、文字どおり国家権力と闘う階級闘争の一環であり、裁判員制度も陪審制も粉砕すべき対象なのだ。
防御権を奪い冤罪は拡大
裁判員制度の第一の最大の問題点は、重大事件の裁判に無作為で一般の労働者人民大衆を動員することで、戦時下の治安裁判の体制を確立しようとしていることである。
日帝は今、北朝鮮(中国)侵略戦争とそのための国家総動員に向け、愛国主義と排外主義を扇動している。また「テロやゲリラは市民の敵」とか、「凶悪犯を許すな」「犯罪被害者の感情を考えろ」とキャンペーンし、治安体制強化に躍起となっている。
これを裁判員の動員によって「健全な社会常識」として裁判と判決に反映させ、単純多数決で、デッチあげや冤罪事件を含めて重刑や死刑をどんどん乱発しようとしているのだ。裁判員制度とは、司法への「国民参加」という名による戦時下の究極の治安裁判にほかならない。
裁判員制度の第二の問題点は、そのために法律の専門家でもない(裁判の経験や蓄積がまったくない)労働者人民を「裁く側」、つまり権力の手先として動員することである。これは、労働者人民を労働者階級としての階級性を解体して「国益」の立場に立つ「国民」として動員することを意味する。
裁判員制度は、労働者人民に対して「出頭の義務」や生涯の「守秘義務」を定めることで、裁判員として「裁く側(国家権力を発動する側)に立つ」ことを強制する。まさに現代版「赤紙」の攻撃である。
裁判員になるとはどういうことなのか。国家権力を体現し、被告人に有罪および懲役や死刑などの刑罰を言い渡す役割を担うということなのだ。
裁判期間は長くて1週間
裁判員制度の第三の問題点は、権力の冤罪やデッチあげと闘う裁判闘争そのものを根絶・一掃することである。
裁判員制度では、今までの裁判にはなかったやり方で「準備手続き」や「公判期日の指定」や「裁判報道の規制」が行われることとなる。
準備手続きは、「裁判員の負担を軽減しつつ……迅速で分かりやすい審理」という名のもとに、第1回公判期日前に必ず行わなければならないものとして定められている。弁護人と検察官と裁判官だけで密室協議を行い、起訴状に対する求釈明や争点の整理から証人の尋問事項や順序、審理に要する見込み時間(日数)まで事前にかつ具体的に決めてしまうのである。
例えば、弁護人がアリバイ立証を行う予定であれば、ここで証人の住所・氏名を提示しなければならない。それでは、検察官が事前に弁護側証人に対して圧力をかけてつぶすことも可能となってしまうのだ。
公判期日の指定は、審理に2日以上を要する事件については、できる限り連日開廷しなければならないものとして定められている。
これにより、「普通の事件は3日ぐらい。重大な事件や否認事件でも、長くて1週間で終わる」と言われている。これでは、事実関係をめぐる時間をかけた検証はできなくなる。法廷は単なる儀式の場と化してしまうこととなり、被告人の防御権は著しく侵害される。逆に国家権力のデッチあげがまかり通ることとなる。
裁判報道の規制は、「裁判員に課される守秘義務の範囲、期限が明確化されていない」ことや「被告や弁護人に対して、検察から開示された証拠の目的外使用を罰則付きで禁止していること」などに特徴的に表れている。要するに、「公判以外で裁判内容について言及することを禁止する」ということであり、その目的は労働者人民に大衆的な裁判闘争(救援闘争)をやらせないことだ。こうして、労働者人民が冤罪やデッチあげと闘う裁判闘争は解体されていくのだ。
裁判員制度導入阻止は、今や革命党と労働者人民にとって最重要の闘争課題となった。3・20イラク反戦闘争への10万人決起のエネルギーと合流して闘おう。そして何よりも労働者人民の階級的団結を強化し、裁判員制度の導入を阻止しよう。
裁判員制度のポイント
★選ばれる確率は830分の1
★参加義務(拒否は過料10万円)
★守秘義務(違反は懲役1年)
★実質審理の否定(1週間裁判)
★デッチあげと冤罪が拡大
★労働者が労働者を「裁く」
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週刊『前進』(2139号6面3)(2004/03/01)
福嶋裁判 追加立証は破綻
違法な訴訟指揮を弾劾
2月4日、福嶋昌男同志の公判が東京地裁刑事第3部(服部悟裁判長)で行われた。
福嶋同志は無実である。86年迎賓館と米軍横田基地へのロケット弾戦闘には一切関与していない。それゆえ検察官立証は11年もかけて行われた。それも昨年末には終了する予定であったが、検事側立証が破綻(はたん)している状態に対して服部裁判長は、なんと検察官にデッチあげ立証の追加を促したのだ。そして、検察は21点もの追加の証拠調べ請求を行い、服部裁判長はそれらすべてを認めたのである。
デッチあげを何がなんでも強行しようとする服部裁判長に対して、福嶋同志は「本来の裁判所の役割は公正と独立を守り、検察官と弁護側双方の主張に耳を傾け、判定を行うことにある。検察官立証に不備があるからといってその立証内容に介入し、さらなる立証を求めることは刑訴法の根幹を破壊した訴訟指揮であり、違法である」と弾劾した。
さらに今回の裁判冒頭で、指紋立証の破綻をとりつくろおうと追加請求した文献=『指紋学』(ガルトン著)の採用決定に対しても、福嶋同志は怒りを込めて異議を述べた。
被告・弁護人は「証人石川の鑑定手法は12点法を満たしていない」と批判してきた。それに対して、指紋鑑定官である警視庁の石川俊一証人は、「(特徴点の形状の違いを問題にしないというやり方は)日本だけでなく世界的にもそういうことをやっている」と開き直った。
服部裁判長は「そのような指紋鑑定の手法について記載した日本あるいは外国の文献が存在するのか」と追加立証を促したのだ。そこで検察が証拠調べを請求してきた文献が、19世紀にイギリスで書かれた『指紋学』なのである。
福嶋同志は、「当時イギリス内務省はその著者の主張を聞いたが、いまだ分類法も完成しておらず実用に堪えないと判断したものである。このような19世紀の文献を証拠として採用することに、今日的な意味はない」と弾劾した。
続いて、新たに追加された証人7人のうち3人への弁護側反対尋問が行われた。井上博康(当時千葉県警警察官)は、85年4・12、9・3、11・1成田空港へのロケット弾戦闘に使用された発射装置などの構造・機能などを鑑定した証人である。井上証人は、鑑定書に記載された寸法の矛盾を弁護人にただされると、「木材なので曲がっていて数ミリの誤差はある。あくまで見取図として書いたものだ」と開き直り、ずさんな鑑定書であることを露呈した。
2人目の中村勇(当時千葉県警警察官)は、4・12戦闘の捜査責任者として砲弾の飛距離などについて立証する証人でありながら、証人自身は飛距離を測定したり実況見分したわけではなく、報告を受けたにすぎないことが明確になった。すなわち、伝聞証言でしかなく信用性がない。また、最も長い飛距離が1`であると証言して、検察立証の前提とされている「飛距離600b」とは異なることが明らかになった。
楠山隆(当時千葉県警警察官)は、11・1戦闘の着弾地点の実況見分を行った証人であるが、実況見分調書に書かれた以上のことは、「昔のことでよく覚えていない」という証言を繰り返し、事件から18年後の追加立証の破綻を浮き彫りにした。
次回2月23日の公判では、弁護人の反対尋問で破綻をさらけだした「筆跡鑑定人」馬路充英に対する検察の再主尋問が予定されている。裁判闘争の傍聴に結集し、取り戻しを策動する検察官を許さず闘おう。
無実の福嶋同志への11年もの長期勾留は人権じゅうりんである。しかも自然を奪い、徹底的に管理を強化した新東京拘置所に、福嶋同志を拘禁するなど1日たりとも許すことはできない。福嶋同志の保釈を絶対にかちとろう。
次回公判は、2月23日(月)午後1時15分から東京地裁。
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