ZENSHIN 2003/12/22(No2131 p06)

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第2131号の目次
 
1面の画像
(1面)
自衛隊イラク派兵阻止
国労弾圧8被告年内奪還し国労本部打倒へ突き進もう
動労千葉スト−国鉄決戦勝利へ
記事を読む  
12・9国会前 “閣議決定絶対許すな”
首相官邸へ怒りのこぶし(12月9日)
記事を読む  
04年決戦勝利へ熱烈なカンパを 記事を読む  
(2面)
国鉄闘争の危機に際して訴える
1047名闘争を守りぬき国労酒田執行部を打ち倒せ
第2の分割・民営化粉砕しよう 革共同中央労働者組織委員会
記事を読む  
資本攻勢&労働日誌2003 11月22日〜12月4日
金属労協が統一ベア要求放棄
航空労組が自衛隊派兵反対/松下・ソニー定昇全廃
記事を読む  
世界の労働運動 アメリカ “FTAAをつぶせ”
労組と学生ら1.5万が決起(藤沢明彦)(11月17−22日)
記事を読む  
(3面)
連合春闘方針 大幅賃下げ容認許すな
定昇廃止攻撃に屈服 新潮流を先頭に春闘爆発へ(12月7、8日)
記事を読む  
東峰神社裁判 東峰部落が全面勝利
“神社は創建以来、部落の総有”
空港公団、全主張を認める(12月5日)
記事を読む  
「介護」全国ネット総会 運動の広がりに確信
年金闘争に取り組みへ(12月7日)
記事を読む  
地元からのリポート 足利銀行破綻に怒り
倒産リストラの嵐は必至(投稿/栃木・I)
記事を読む  
12・7−8 動労総連合が定期大会 組織の拡大へ決意 記事を読む  
(4面)
北海道からの自衛隊イラク派兵阻止せよ
反戦闘争の歴史的正念場だ 革共同北海道地方委員会から訴える
記事を読む  
教基法改悪阻止へ 東京 反戦共同行動が学習会(12月7日) 記事を読む  
自民党に弾劾行動 京都 反戦団体の学生ら(11月29日) 記事を読む  
切々と戦争体験者
福岡 築城基地に申し入れ(投稿/沢野佳代)(12月2日)
記事を読む  
イラクの高校教師から日本人民へのメール 記事を読む  
日誌'03 12月3日〜9日
派兵「基本計画」を閣議決定 「テロは戦闘と認めぬ」方針 
記事を読む  
(5面)
分裂で衰滅の危機にあえぐカクマル黒田中央派の惨状
完全破産した「謀略論」への執着 滝沢輝規
記事を読む  
水嶋同志を奪還(12月11日) 記事を読む  
[対角線] 米軍撤退求めない日共 記事を読む  
(6面)
団結ひろば 投稿コーナー
労働者に国境はない団結して資本と闘う 関西合同労組兵庫支部 M
民主労総の「律動」で自分の中に高揚感 静岡・福祉労働者 坂井由紀子
「生存権は譲れぬ」を読みもやもや晴れた 東京・介護労働者 水島かほり
佐世保相浦駐屯地に派兵即時中止を要求 長崎 大村章子
『俺たちは鉄路に生きる2』を読む 明るい未来が見える組合づくりの必読書 千葉・民間労働者 小西由貴子
記事を読む  
04年「司法改革」攻撃粉砕へ(下)
「予防検束」復活する共謀罪 冤罪を拡大する裁判員制度(山本 茂)
記事を読む  
弾圧と闘う
10万人署名 3・25無罪判決獲得を
福嶋さん年内保釈へ集会
記事を読む  
弾圧と闘う
福嶋裁判 許せぬ服部裁判長の指揮
公判引き延ばし図る
記事を読む  
公判日程 記事を読む  

週刊『前進』(2131号1面1)(2003/12/22)

 自衛隊イラク派兵阻止

 国労弾圧8被告年内奪還し国労本部打倒へ突き進もう

 動労千葉スト−国鉄決戦勝利へ

 日帝・小泉政権は9日、自衛隊イラク派兵の「基本計画」を閣議決定した。ついに日帝・自衛隊が文字どおり侵略戦争の戦場に戦後初めて乗りこみ、イラク人民虐殺の侵略戦争に踏み出すのだ。満腔(まんこう)の怒りを込めて弾劾する。12月から04年1〜3月、派兵阻止闘争を猛然と闘いぬき、04春闘のただ中で迎える3・20イラク開戦1周年の国際反戦闘争を全世界の労働者階級・被抑圧民族人民と連帯して闘おう。11・9全国労働者集会が発した国際連帯と日本労働運動再生の宣言を支持し、発展させよう。そのかなめをなすのが国鉄労働運動―1047名闘争だ。国労5・27臨大闘争弾圧の8被告を年内に奪還し、国労の階級的再生をかちとろう。12・15習志野電車区廃止阻止、反合・運転保安確立へ闘われようとしている動労千葉のストライキ決起は、その突破口だ。断固支援しよう。ともに04春闘の爆発をかちとろう。

 第1章 米英軍と一体で軍事占領の中軸担う日帝

 12・9派兵計画決定は、日本帝国主義の侵略戦争開始宣言だ。戦後史を画する超重大事態だ。小泉は、閣議後の記者会見で憲法前文を正反対に歪曲しつつ、「戦争に行くのではない」と繰り返した。だが、日帝・自衛隊は明白に侵略軍隊として、米英軍と一体となって侵略戦争―軍事占領の中軸を担うのだ。
 「基本計画」は、派兵期間を12月15日から1年間とし、陸上自衛隊が600人で、装輪装甲車、軽装甲機動車など車両200両以内、拳銃、小銃、機関銃、無反動砲、個人携帯対戦車弾などの武器を持っていく。航空自衛隊はC130輸送機など8機以内、海上自衛隊は輸送艦2隻以内、護衛艦2隻以内としている。総勢1000人規模の派兵となる。小泉は派兵時期を明らかにしていないが、今月25日にも空自の先遣隊を派兵し、1月中旬に空自のC130輸送機、1月末に陸自先遣隊、2月中旬〜3月中旬に陸自本隊を派兵すると言われている。
 陸自の携行する無反動砲などは、戦車も破壊することができ、射程は1`に達する殺人兵器だ。イラク南部に「人道復興支援」と称して乗り込む陸自がこのような重火器を持っていくのだ。日帝は、イラク人民に対して銃口を向け虐殺することを宣言したに等しい。
 自衛隊派兵予定地のサマワでは9日、職を求める1千人の労働者が米英の暫定占領当局(CPA)事務所前でデモを行った。「治安維持活動」にあたるオランダ軍が出動し、デモ隊に威嚇射撃し2人を負傷させた。自衛隊もこうしたことをどんどんやるのだ。
 また「基本計画」では、「人道復興支援活動」に加えて「安全確保支援活動」を実施するとしている。これは米軍などの行う「治安維持活動」の後方支援を意味する。C130輸送機が米軍の輸送を担うのだ。
 現在イラクに軍隊を常駐させている国は38カ国で、G8(主要8カ国)では米英以外ではイタリアのみだ。独仏ロは派兵していない。日帝の派兵は、世界の帝国主義国における位置から言っても、他国とは比較にならない重大な意味を持つ。日帝は、イラク人民にとっては米英に次ぐ「第3の敵国」となったのだ。

 第2章 労働者は“侵略を内乱へ”の闘いに総決起を

 日帝ブルジョアジーは「必ず出さなければならない」(奥田日本経団連会長)、「エネルギー面で依存度の高い中東地域の平和と安定的発展は重要」(北城経済同友会代表幹事)などと、直ちに自衛隊派兵に支持を表明した。奥田は8日の記者会見では「派遣する以上は、出す方も出される方も犠牲者が出るかも知れないという覚悟を決めた方がいい。そういう腹構えがないと変なことになる」と述べている。
 小泉や奥田らは、自衛隊がイラク人民を虐殺し、あるいは自衛隊がイラク人民の反撃にあって死ぬことを、敢えて言えば積極的に望んでいるのだ。自衛隊が、そうした「殺し殺される」帝国主義の侵略軍隊になることを狙っている。
 小泉は、それが「国際社会において名誉ある地位を占める」ことだとうそぶいている。閣議決定をもって日帝は戦後的制約をついに突破し、帝国主義の分裂と抗争が激化する中で、米帝と共同・競合しながら侵略戦争に本格参戦する道に踏み込んだのである。
 日帝・小泉らは、11・29のイラクでのゲリラ戦で2人の外交官が死亡したことに、激しい衝撃を受けている。だからこそ、逆に何がなんでも武装した自衛隊をイラクに送り込むことが必要と決断したのである。
 考えても見よ。2人の外交官は、イラクのORHA(米復興人道支援機構)に派遣され、CPA(米英暫定占領当局)の占領行政を担っていた。奥参事官は、イギリスの日本大使館から派遣され、米軍が占領したサダム・フセイン宮殿に住み込み、ORHAで国際支援担当の英陸軍将校の代理を務めていたという。完全に米英軍の一員としてイラクに乗り込んでいたのだ。日本帝国主義の文字どおりの先兵であり、きわめて自覚的に、米英軍のもとでイラク侵略戦争にかかわっていた。イラク人民の怒りのゲリラ戦はまったく正当であり、正義である。
 空自が派兵される小牧で、陸自の旭川で、海自の呉で、“自衛隊員はイラク人民虐殺の侵略戦争に行くな。派兵を拒否しよう。敵は小泉や資本家だ”と激しく訴え、反戦・反軍闘争を闘わなければならない。
 「国連決議があれば自衛隊派遣に賛成」という民主党・連合などを断じて許さず、連合内外から派兵絶対阻止の労働組合の決起を巻き起こそう。
 12・20ワールドアクションに学生・青年労働者を先頭に総決起しよう。
 04年3・20に向け、イラク派兵阻止闘争を日帝の侵略戦争を内乱に転化する闘いとして大爆発させよう。

 第3章 小泉=奥田の賃下げ・年金破壊・大増税攻撃粉砕を

 日帝の外への侵略戦争はは、同時に、国内での資本攻勢も激化させる。とりわけ、04春闘は重大な情勢を迎えている。
 日帝ブルジョアジー・日本経団連は04春闘に向けた経営労働政策委員会報告の原案で、成果主義型賃金制度への全面的な転換を初めて求め、「一律的なベアは論外。賃金制度の見直しにより定期昇給の廃止、さらにはベースダウンも労使の話し合いの対象」と言っている。日本経団連は昨年末の経労委報告で「春闘終焉(しゅうえん)」を宣言したが、あらためて、そのことを確認し、賃下げを労資交渉の課題にしろとまで迫っているのだ。
 さらに日帝は、04年の年金制度改悪に向けて、厚生年金の保険料率を現在の13・58%(労資折半)から18〜20%への引き上げを打ち出している。厚生労働省の20%案に対して、経団連らブルジョアジーが資本の負担を問題にしているが、こうした中で経団連などが主張する消費税率の大幅引き上げが現実化してきている。自民党も06年には引き上げを決定するとの方向を打ち出している。
 だがこれに対して、連合の「04春季生活闘争方針」は、ベア要求を放棄しただけでなく、賃金闘争そのものを一層後景化させている。「社会的合意形成の促進」や「通年的な取り組みを通じた総合生活改善」の名のもとに、「春闘終焉」を主張する経団連に全面屈服し、昨年の「雇用問題に関する政労使合意」以来の、国家・資本と一体化した路線を進めている。
 賃金闘争についても「賃金カーブの確保」と言っているが、「定期昇給相当分」という言葉を削除し、賃下げ・定昇解体攻撃に屈服している。また、「賃金制度の整備」は「労使の共通課題」として、「『成績・業績』と『賃金』の適正バランスを実現する」と言い、成績主義・業績主義賃金の全面的導入を連合自ら提案し、ベアゼロ・定昇解体、年功制解体を率先して行おうとしているのだ。
 さらに連合が「最優先」とする年金改革については、「安心と信頼の年金改革の実現を」と述べて、負担増・給付削減の「年金改革」を容認した上で、経団連などと歩調を合わせて負担の抑制は主張するが、「持続可能な年金制度」の名のもとで、財源を消費税にすべきとうたっているのだ。それは先の総選挙での民主党のマニフェストを見れば明らかである。
 連合は、日帝資本の危機を自ら叫び、「総額人件費削減」を主張する資本と同じ立場からの年金改革を主張しているのだ。
 こうした賃下げ・年金改悪攻撃に対して「労働者を食わせられなくなった帝国主義は打倒するべきだ」という立場で、労働者に対する一切の犠牲転嫁に反対して闘うことが重要である。
 戦争と労働者への首切り・賃下げ・生活破壊の攻撃、すなわち「外への侵略戦争と内への階級戦争」の攻撃は完全に一体のものである。それは、資本主義・帝国主義という体制が今までのようなあり方では生きていくことができず、外に向かっては石油を始めとした資源や勢力圏の確保、民族解放闘争の圧殺のための侵略戦争を行い、内に向かっては労働者階級を徹底して搾取・収奪して資本の利潤を確保しようという攻撃である。そのために労働者の権利を奪い、治安弾圧を加え、労働組合の団結を破壊しようとしているのだ。
 これらの攻撃を一体のものとしてとらえ、その両方と闘う階級的労働運動こそが求められている。資本攻勢と闘う労働組合こそが戦争を止める力を持っており、同時に戦争と闘う労働組合こそが労働者の生活と権利を守ることができるのである。11・9集会の3労組共闘と日韓米3国の国際連帯の闘いを発展させることこそ、日本の労働者階級の勝利の道なのだ。
 特に、年末から来春にかけて国鉄分割・民営化以来最大の決戦を迎えようとしている国鉄労働運動―1047名の解雇撤回闘争を強めることを訴える。9月国労大会で闘争団員に対する統制処分を強行した国労中央は、年末から来年1月31日の中央委、または2月臨大に向けて、闘争団を最後的に切り捨て国労の自己解体に突き進もうとしている。
 国労5・27臨大闘争弾圧を警察権力と結託して強行した酒田―吉田―芝崎ら、警察労働運動の張本人どもを絶対に許さず、1年を超えて獄にとらわれ続けている8人の被告たちの年内保釈奪還をかちとろう。それこそ国労解体攻撃をうち砕き、1047名闘争を発展させ、国労の革命的再生をかちとる最大の突撃路である。
 そして、動労千葉の12月ストライキ闘争は04春闘爆発の合図となる闘いだ。国鉄労働運動を基軸に、04春闘に向け、動労千葉のように闘う労働運動をともにつくり上げよう。
 12月全逓臨大での名称変更、殺人的深夜勤導入を弾劾し、都労連解体攻撃との闘いを最先端とする自治体労働運動、教育労働運動など、全産別の闘いを発展させよう。

 第4章 年末大カンパ闘争に全力で立ち上がろう

 その上で、現下の最大の課題は、この階級決戦を先頭で闘い、世界革命―日本革命に向けて労働者階級自己解放闘争の最高の団結体である労働者党として、革共同を強大に建設することである。そのために機関紙拡大闘争に取り組もう。
 11日には水嶋秀樹同志を保釈奪還した。すべての獄中同志を奪還しよう。
 そして最後に、この壮大な革命的事業を担うために、革共同への絶大な年末一時金カンパを心から訴えます。

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週刊『前進』(2131号1面2)(2003/12/22)

 12・9国会前 “閣議決定絶対許すな”

 首相官邸へ怒りのこぶし

 小泉首相が自衛隊派兵基本計画の閣議決定を強行した9日、国会前には朝早くから大勢の労働者人民が詰めかけ、「許せない!」と抗議行動を続けた。全学連やワールドアクションの青年たちは午前9時過ぎから、閣議が行われる首相官邸そばの衆院議員会館前に集まり抗議の声を上げた。
 昼近くになると、婦人民主クラブ全国協議会や百万人署名運動を各地で闘う人びとも続々と集まり、70人近くがプラカードを掲げて、「閣議決定をするな」と抗議行動を続けた。
 リレートークが行われ、青年、労働者、高校生、高齢者らさまざまな人びとがマイクを握り、小泉政権の侵略派兵の暴挙への怒りを語った。
 バグダッドの高校生とメールで交流しているという2人の女子高校生は、「いても立ってもいられなくて、学校を休んでここに来た」「イラクの人たちへの戦争は絶対に許せない。このまま小泉さんの思うとおりにしていいのでしょうか」「これからの日本のことを考えよう」と訴えた。
 ワールドアクションの女性は、「イラクの人たちがやっていることは、テロではない。ブッシュやブレアによって家が壊され人が殺されているんです。これに抵抗するのは当たり前ではないですか」と、イラク人民との連帯を呼びかけた。
 別の用件で国会近くに来たという栃木の年輩の男性も抗議行動に加わり、「このままでは帰れない」「外交官の死を反省するなら、派兵をやめるべきだ。外交官の葬儀の時の小泉の涙は、偽りの涙だ」と怒りをあらわにした。
 この抗議行動の間、義務教育費国庫負担の削減反対で国会行動に来ていた全国の多くの日教組組合員がリレートークに聞き入り、ビラを受け取り、イラク派兵反対の署名に応じた。
 午後4時過ぎから、警察官の数が増え警備が厳しくなった。閣議が強行されようとしている。4時半過ぎ、基本計画が閣議決定されたことが伝えられると、一斉に怒りの声がわき上がった。首相官邸に向かって、怒りのシュプレヒコールがたたきつけられた。
 多くの人民の声を踏みにじって日帝・小泉はイラク侵略戦争参戦を決めた。本当に許せない! 反対運動をさらに大きくして派兵を止めようと、国会前の人びとは悔しさをかみしめ誓い合った。

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週刊『前進』(2131号1面3)(2003/12/22)

 04年決戦勝利へ熱烈なカンパを

 労働者・市民の皆さん、読者の皆さん。年末一時金の支給時期にあたり、革共同に絶大なカンパをお寄せいただくよう、心から訴えます。
 いま私たち日本の労働者階級は、再び侵略戦争国家とその国民となって過ちをくり返すのか、それともそれを拒否するのかの重大な歴史の岐路に立っています。
 小泉政権は12月9日、自衛隊をイラクに派兵するための「基本計画」を閣議決定しました。米英軍による軍事占領支配の加担者であった日本人外交官2人が、イラク人民の抵抗闘争によって殺され、派兵反対の世論が渦巻く中での決定です。小泉首相は死の責任をほおかむりするばかりか、逆に死者を「国民の英雄」「英霊」にまつり上げ、何がなんでも自衛隊を派兵しようとしています。小泉政権を打倒し、絶対に派兵を止めなければなりません。革共同は持てる力の一切をふり絞って先頭で闘います。
 2年前の9・11反米ゲリラ以降、さらに本年の3・20イラク開戦以降、世界は一変しました。3度目の帝国主義世界戦争の時代に入ったのです。ブッシュの世界戦争戦略は世界中を戦争に引きずりこんでいます。背景には、戦後の帝国主義世界体制の危機と矛盾が横たわっています。
 今やアメリカ経済は双子の赤字にあえぎ、牽引(けんいん)車をなくした世界資本主義は完全に暗礁に乗り上げています。
 行き場を失った過剰資本は、グローバリゼーションの掛け声のもと、新植民地主義諸国に襲いかかり、国家丸ごと二束三文で買いたたき、片っ端から市場化することで、土地、仕事、家を奪い、水や食糧さえ奪い、何十億の人びとを貧困・飢餓のどん底にたたき込んでいます。
 帝国主義国でも、首切り・賃下げ・リストラの嵐が労働者人民を奪い、「反テロ」を口実にした暴力的な労働運動弾圧が吹き荒れています。年金を始め社会保障制度も解体攻撃にさらされ、ついに労働者階級は強奪と虐殺の侵略戦争に動員されようとしています。
 今や資本主義=帝国主義は、危機の中でその本性をむき出しにし、人間の生存の対立物となるまで極まったのです。世界の労働者人民の団結した力によって、この資本主義=帝国主義を打ち倒すところにしか、私たちの未来はありません。
 今年1〜3月、全世界で数千万の人たちがイラク反戦に立ち上がりました。そして11月9日、日米韓労働者の国際連帯と国境をこえた共同闘争が日本から始まりました。世界革命が現実の運動となって始まったのです。
 今こそ労働者階級は社・共をのりこえる本物の労働者党をつくり、ともに平和に生きられる未来を切り開く時です。革共同は「反帝国主義・反スターリン主義世界革命の党」として、労働者階級の負託にこたえるため、全力で自己を変革しつつ闘います。労働者階級の共同の事業として、強大な革共同を建設するために、絶大なカンパを寄せられることを心から訴えます。ともに闘い、勝利しましょう。

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週刊『前進』(2131号2面1)(2003/12/22)

 国鉄闘争の危機に際して訴える

 1047名闘争を守りぬき国労酒田執行部を打ち倒せ

 第2の分割・民営化粉砕しよう

 革共同中央労働者組織委員会

 11・9労働者集会は、イラク侵略戦争に始まる世界戦争と全世界で吹き荒れる資本攻勢に対し、日韓米の労働者が国際的に団結して総反撃する闘いの歴史的出発点となった。われわれは、11・9集会を呼びかけた動労千葉、全国金属機械港合同、全日建運輸連帯関西生コン支部の3労組の闘いを支持し、11・9集会の歴史的勝利の地平をさらに発展させるために奮闘しなければならない。12月9日、日本帝国主義は自衛隊イラク派兵の「基本計画」を閣議決定した。この「外への侵略戦争」と一対をなして、04春闘をめぐり「内への階級戦争」、大資本攻勢が吹き荒れようとしている。ついに新たな階級的激突の時代が到来した。日本階級闘争は戦後最大の転換点を迎えている。この中で、日本労働運動の命運を握り続けてきた国鉄闘争は、国鉄分割・民営化以来の最大の決戦に入ったのである。

 国労解体への最後的攻撃に怒りの反撃を

 11・9労働者集会は国際連帯の金字塔を打ち立てた。この歴史的成功を切り開いたものは、日帝・小泉政権と奥田・日本経団連による「外への侵略戦争と内への階級戦争」の攻撃、とりわけリストラ・首切り、賃下げ、団結破壊、社会保障制度解体の一大攻撃と真っ向から対決する動労千葉、全国金属機械港合同、全日建運輸連帯関西生コン支部の、24時間365日の地をはうような闘いの実践であり、それをつうじて鍛えられた団結であった。
 さらに、日本労働運動の中軸にあって、動と反動の激突の中で不屈に闘い抜かれる1047名国鉄闘争の発展であった。
 帝国主義が延命をかけて戦争と大失業の攻撃へとのめり込む中で、労働者階級が国際的に連帯し、これに立ち向かう壮大な闘いの時代が到来したのである。
 11月29日、イラク北部で2人の日本人外交官がイラク人民の怒りの鉄槌を浴びて死亡した。小泉はこうした事態の中で激しい危機に陥りながらも、帝国主義としての存亡をかけて、自衛隊のイラク派兵に突進している。日帝・小泉は、自衛隊をイラクに送り、米英占領軍の中枢的一角を担うことによってイラク人民虐殺に手を染めようとしているのだ。それは、自衛隊員に死を強いるものでもある。日帝のイラク侵略戦争への突入に対し、日本の労働者階級は世界の労働者と連帯し、総反乱に立ち上がらなければならない。
 他方、日本経団連は04春闘に向けての経営労働政策委員会報告で、あらためて「春闘終焉(しゅうえん)」を宣言した。彼らは今や、定期昇給廃止はもとより、むき出しの賃下げ強行を叫んでいる。
 小泉・奥田らによる「内への階級戦争」とは、どういうものか。奥田ビジョンは、国を森にたとえて、森が崩壊の危機にひんしているから「枝打ちや下草刈りなどの手入れ」を徹底的にやれ、と唱えている。“国=企業の危機を救うために切り捨てるものは切り捨てろ、それが改革だ”と叫んでいるのだ。
 これこそが危機にのたうつ日帝の階級意志である。米帝は、没落の危機の中で戦争を仕掛ける以外に延命の道を失った。奥田ビジョンは、この米帝による対日争闘戦の激化におののきながら、いまだ敗戦帝国主義としての制約を脱却できない日帝の現実に激しい危機感を表明している。そこには、米帝以上の危機にたたき込まれた日帝の姿がまざまざと映し出されている。それは、体制的に成り立たなくなり、「労働者を食わせていけない」ところに陥った日帝ブルジョアジーの断末魔の叫びである。

 イラク参戦と階級情勢一変

 自衛隊のイラク派兵は、階級情勢を一変させずにはおかない。他方、11・9を闘い取った日本の労働者階級は、国際連帯をもってイラク侵略と対決する新たな闘いに踏み出している。
 だからこそ日帝は、この情勢下で国鉄闘争が今も存続していることに耐えきれず、ついに1047名闘争解体、国労・動労千葉解体に向けての最後的とも言うべき決戦を仕掛けてきたのである。それは、全労協、全労連、連合を巻き込んだ労働運動の分岐と再編を激しく促進するものとなる。
 日帝権力は、12月中にもJR採用差別事件の最高裁判決を下そうと策動している。こうした形で国労本部の酒田・吉田やチャレンジ一派、革同一派を恫喝し、他方で第2の国鉄分割・民営化攻撃−JR職場の全面外注化を始めとする大リストラ攻撃を強行して国鉄闘争の絶滅と国労解体に突き進もうとしているのだ。
 国労・酒田執行部は、9月大会で被解雇者である闘争団への統制処分を強行し、さらに書記の配転・首切りを行い、労働組合の死ともいうべき暴挙に手を染めた。そして、目前に迫った最高裁判決の直後には「国鉄闘争終結宣言」を出し、1月31日の国労中央委員会、あるいは2月にも強行されようとしている臨時大会で全闘争団の組合員資格剥奪(はくだつ)などの1047名闘争解体方針を決定し、あわよくば国労を一挙に丸ごと連合に合流させようとしているのだ。
 また、これらの策動がどのように推移しようとも、北海道における脱退に続き、盛岡を先頭にチャレンジ一派の雪崩をうつ国労脱退は不可避である。
 警鐘乱打しなければならないのは、こうした国労自己解体動向の急速な進展は、4党合意反対派も含む国労全体の総崩れに直結しかねない主体の危機としても進行しているということだ。だが、こうした主体の危機が真剣に総括され克服されるならば、国鉄決戦が一直線に絶望と敗北に向かうことには絶対にならない。国鉄闘争の現在の危機の中には、ついに到来したチャンスがまぎれもなくはらまれているからである。

 勝利の突破口開いた動労千葉のスト決起

 その根拠の第一は、11・9を闘い抜いた動労千葉が、習志野電車区廃止阻止、反合・運転保安確立を掲げた12月15日のストライキ決起によって、断固たる戦闘宣言を発したことである。それは、第2の分割・民営化攻撃と真っ向から立ち向かう闘いだ。
 JRが仕掛けている第2の分割・民営化攻撃は、日本経団連・奥田路線をJRにおいて貫徹するものだ。JR東日本の「メンテナンス近代化(第V期)計画」は、基地統廃合や工場機能廃止を始め、すさまじいリストラ・合理化を強行し、鉄道事業のほとんどを外注化する大攻撃である。
 だが、国鉄分割・民営化は、続出する事故、爆発する安全問題に示されるように、すでに完全に破綻(はたん)している。資本にとって、保安設備への投資は利潤を生まない。だから資本は設備や要員の切り捨てを進める。外注化、合理化の結果、下請け労働者に過酷な長時間労働が押しつけられ、技術や安全管理さえもが丸投げにされている。これが民営化が生み出した恐るべき実態なのだ。
 民営化されたイギリス国鉄の破滅的な現実は、その典型だ。鉄道に限らず、安全問題には資本主義・帝国主義の矛盾が集約的に現れる。それは全世界の民営化攻撃の中で暴かれている。
 こうしたどうしようもない危機を抱え、さらにそれを押し広げるだけの第2の分割・民営化攻撃が成り立つのか。労働組合にとって、資本と闘う以外にないことは明らかだ。それは全世界の労働者にとって共通の課題であり、この闘いには国際連帯の洋々たる展望が開かれている。
 動労千葉は、合理化闘争と運転保安闘争を結合して闘ってきた輝かしい伝統を踏まえ、この12月、勝利への展望をもって渾身(こんしん)のストライキに決起したのである。

 国労弾圧粉砕し反転攻勢へ

 第二は、こうした第2の分割・民営化攻撃はあまりにも破綻的だからこそ、資本と権力は国鉄闘争の存在を絶対に容認できず、国鉄1047名闘争の解体に乗り出してきたということだ。だが、ここには敵の矛盾と危機が隠しようもなく露呈している。
 日帝が国策として打ち出した国鉄分割・民営化は、けっして完成してはいない。国鉄闘争は、そもそも分割・民営化反対闘争である。採用差別され90年4月1日に清算事業団から解雇された1047名は、十数年間不屈に闘い続けている。国鉄分割・民営化攻撃は、国鉄労働運動を完膚なきまでに解体しつくす攻撃だった。だが、修善寺大会を経て、国労が4万であっても組織を残し、1047名の解雇撤回闘争として闘いが継続し、動労千葉は確固として生き残った。国鉄分割・民営化の完成は阻まれたのだ。
 国鉄分割・民営化攻撃は日本の全労働者への資本攻勢の先駆けであり、戦後最大の労働運動破壊攻撃だった。1047名闘争の不屈の展開は、国鉄分割・民営化攻撃のとてつもない反動性を暴いている。国鉄闘争を突破口に、資本攻勢への激しい反乱が燃え広がろうとしている。だからこそ国家権力はこれに恐怖して、その中心組合である国労を破壊するために、あらゆる攻撃を仕掛けてきた。
 4党合意は、その頂点をなす攻撃だった。だが闘争団を先頭にした怒りの決起は4党合意を破産させた。
 重要なのは、4党合意を破産に追い込んだ闘いの中で、1047名闘争の本来の方向が確立されつつあることだ。「1047名不当解雇撤回」を掲げた国鉄闘争共闘会議が生まれ、国労闘争団と全動労争議団、動労千葉争議団が加わり、名実ともに1047名陣形の闘いが開始された。このことは、国鉄分割・民営化に決着がつけられるどころか、闘いがますます発展していくことを意味している。これは、日帝権力に対する決定的打撃になった。
 そこから国労5・27臨大闘争弾圧が発動された。国労東京地本のSSコンビ(酒田、芝崎)がその先兵となった。戦前から労働運動・大衆運動弾圧の武器として使われた暴力行為等処罰法が、国労組合員の正当なビラまき活動に適用され、闘争団員を始めとする国労組合員と支援者を逮捕・起訴する大弾圧が加えられたのである。日帝権力は、こうした弾圧による以外、国労を解体する手段を失ったのだ。
 この弾圧との闘いを全労働者の課題として闘うとともに、弾圧の張本人である現執行部の酒田・吉田・芝崎を打倒することこそ、国労の革命的再生を実現する最短コースである。そして、開始された1047名闘争陣形を全力で防衛することだ。国労、全動労、動労千葉が連帯して解雇撤回闘争を闘えば、それは最も強固で最も広大な闘いの基盤になるのである。
 5・27臨大闘争弾圧を打ち砕き、1047名闘争にかちぬくことによってこそ、日帝権力とJR資本の国鉄闘争解体攻撃を根幹で粉砕し、勝利を実現することができるのだ。

 大分裂のJR総連解体せよ

 第三は、国鉄分割・民営化攻撃の破綻は、JR総連カクマルの分裂と崩壊の危機として爆発していることである。
 分割・民営化は、動労カクマルを先兵として強行された。この論功行賞で、JR総連カクマル支配が形成された。だが、ファシストを使ってようやく強行できた分割・民営化は絶対に不正義である。動労千葉を始め国鉄労働者の怒りは激しく深く拡大した。その怒りをテコに、分割・民営化反対闘争としての1047名解雇撤回闘争が継続し続けたと言ってもよい。だからこそ、分割・民営化攻撃の破綻はJR総連カクマルとJR資本の結託体制の破綻として噴出したのである。
 国鉄分割・民営化は、日帝の支配構造の一角にファシストを抱え込むという負の遺産を、権力と資本に負わせた。彼らにとっても、その決着が迫られている。
 日帝権力は、松崎カクマルの切り捨てに乗り出している。それは、JR総連カクマルとカクマル中央派の分裂を生み、さらにJR総連カクマルの内部における松崎派と嶋田派への非和解的分裂を引き起こしている。JR総連カクマルのファシスト労働運動はついに行き詰まり、破産し、崩壊を開始した。国鉄・JR労働運動は、分割・民営化攻撃以来の大流動・大再編情勢に入ったのだ。国鉄闘争は今や、決定的な勝利の条件を手にしている。
 JR総連傘下の心ある組合員は、大分裂し組合員の利害とは無関係な抗争に明け暮れるJR総連から今こそ離反すべきである。

 政治解決路線と決別し国労の真の再生を

 こうして見るならば、日帝権力・JR資本による国鉄闘争解体攻撃、国労・動労千葉解体攻撃との一大決戦は、その客観的条件の中に敗北の要素は存在せず、勝利の条件に満ちていると言いうるのである。
 だからこそ好機をみすみす逃してはならないのだ。求められているのは、国労と闘争団、国鉄闘争支援勢力が確信も固く国労本部打倒に立ち、国労の執行権力を奪取することである。
 そのためには、89年の国労臨時大会で決定された「全面一括解決要求」路線、そこに根ざす「政治解決・和解路線」から脱却し、それに代わる闘う路線を打ち立てることがなんとしても必要なのである。
 国鉄分割・民営化は、国家が総力を挙げて不当労働行為を推進する攻撃だった。JR体制は、この国家的不当労働行為を貫徹するものとして形成された。だから、1047名の解雇撤回・JR復帰の闘いは、JR資本、とりわけJR東日本と闘わなければ勝利できない。この闘いはまた、JR総連カクマルを解体する闘いと一体のものである。
 だが、国労本部の方針は、権力・資本と徹底的に闘って団結を強化し、解雇を撤回させるものではなかった。89年段階で、国労本部は中労委命令すら求めず、JR資本との和解解決を追求した。しかしその思惑が外れ、98年に東京地裁で5・28反動判決が出た後は、彼らは政治解決路線を全面化させた。これはJR本体の闘いと闘争団の闘いを切り離す結果となった。
 とりわけ00年の4党合意以降は、4党合意=政治解決のためと称してJRの大合理化・リストラ攻撃との闘いは一切放棄され、JR本体の闘いはまったく否定されるに至ったのである。
 4党合意の破綻は、政治解決・和解路線の末路を示している。政治解決路線から自らを解き放ち、JR資本と縦横に対決することが必要なのである。
 ところが、こうした時に反対派の一部の諸君は、闘争団闘争をJR資本との闘い・JR本体の闘いから切り離された争議団闘争に一般化しようとしている。それは、国労のみの争議解決を求めて1047名闘争の核心をあいまいにし後景化させ、結果として解決も実現できず、勝利に近づくことさえできないものだ。
 鉄建公団訴訟についても、この闘いが持つ本来の意義は、鉄建公団を相手に90年4月1日の解雇撤回を求める形をとって、実はJR資本との闘いを貫くことにある。それは、1047名闘争をJR本体の闘いと結びつけ、JR内の力関係を変える闘いなのである。そこには政治解決・和解路線が入り込む余地はない。むしろ、鉄建公団訴訟を闘うことをとおして、闘争団が国労を担い、執行部をとる腹構えが必要なのだ。
 自衛隊イラク派兵と有事法制の制定、北朝鮮侵略戦争の切迫という情勢下で、国労に求められていることは、陸・海・空・港湾労組20団体の闘いの中軸に座り、日帝の侵略戦争と対決することだ。反戦闘争の先頭に立ってこそ、国労の真の再生は実現される。
 そして、動労千葉と連帯し、共闘して闘うことである。動労千葉は、闘うことによってしか団結は守れないことを日々の実践で証明してきた。「労働組合は、二者択一を迫られる時があります。分割・民営化の時もそうです。これに賛成するのか、反対するのか。中間の道はありません」(中野洋著『俺たちは鉄路に生きる2』)。こうした中で、動労千葉は断固として闘う道を選択し、それを貫いてきたのである。
 国労組合員とすべての労働者は、今こそ国鉄決戦の勝利へ総決起しよう。

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週刊『前進』(2131号2面2)(2003/12/22)

 資本攻勢&労働日誌2003

 11月22日〜12月4日

 金属労協が統一ベア要求放棄

 航空労組が自衛隊派兵反対/松下・ソニー定昇全廃

深刻な訴え 日本労働弁護団と過労死弁護団全国連絡会議が「残業・過労死110番」を実施。長時間のサービス残業で過労死・過労自殺したり、体をこわすなど深刻な相談が304件。30歳代からの相談が60件を占めた。リストラのしわ寄せが若手に来ているという。(11月22日)
松下も年功賃金廃止 松下電器産業は、来年4月から年功型賃金を撤廃することを明らかにした。国内の全労働者が対象。廃止するのは45歳まで毎年定期昇給する「基礎給(年齢給)」で、給与の3割を占めている。(26日)
金属労協が春闘方針 IMF・JC(金属労協)は協議委員会で04春闘方針「2004年闘争の推進」を確認した。ベア要求は各産別にゆだねて、JCとしての統一要求を放棄した。(28日)
10月の失業率5.2%に上昇 総務省発表の10月の完全失業率は5.2%と前月比0.1ポイント上昇し、7カ月ぶりに悪化した。また、厚労省発表の有効求人倍率は0.70倍となり、6年ぶりに0.70倍台を回復した。(28日)
ソニー、家族・住宅手当全廃へ ソニーは、来年4月から一般労働者を対象に徹底した成果主義に基づく賃金制度を導入すると労資合意したことを明らかに。「扶養家族」「住宅補助」などの手当も全廃し、現行の諸手当のうち存続するのは残業手当(超過勤務手当)だけとなる。(29日)
航空関係労組「自衛隊派遣すれば労働者が標的に」 航空安全推進連絡会議と航空労組連絡会、日本乗員組合連絡会議は、連名で「戦争状態のイラクへの自衛隊派遣に反対する声明」を発表した。声明は、「兵員や物資の輸送に民間機が利用されれば、日本の民間航空機に対するテロの可能性を高める」としている。(12月1日)
全逓、JPUに改称 全逓は2日まで臨大を開いて、新たな組合名を「日本郵政公社労働組合」(略称JPU)にすることを賛成295、反対66、無効3で可決。専従役員数も168人から120人に削減する方針。(1日)
「労組は会社に譲っている」が5割 連合総研が「労働組合に関する意識調査」の結果を発表。(1日)=要旨別掲
改悪派遣法・職安法施行へ 厚労省の労働政策審議会は、前国会で成立した改悪労働者派遣法と改悪職業安定法の運用細則を定める政省令・告示案要綱などの諮問に対して「おおむね妥当」と答申した。両改悪法の施行期日を来年3月1日に定めた。(2日)
全労連、賃上げ要求へ 全労連は幹事会を開き、来春闘での賃上げ交渉に向けた要求統一目標を「誰でも1万円以上」などとする方針を固めた。来年1月22、23日の評議員会で正式決定の予定。(4日)

 連合総研「労働組合に関する意識調査」概要

▽労使関係
・組合が会社に譲っている   49.2%
(うち、大幅に譲っている  17.5%)
・会社が組合に譲っている   8.0%

▽春闘についてのとらえ方
・わからない         35.4%
・労働条件を向上させている  31.2%

▽労働組合の活動で重視する点
・雇用の安定         60.7%
・定期昇給の維持・賃上げ   57.8%
・ボーナスの維持・改善    52.5%
・退職金の維持・改善     42.2%
・福利厚生や職場環境の改善  38.3%
〔解説〕労組と会社の関係では「労組が譲っている」が約5割に近く、「会社が譲っている」の1割以下を大きく上回り、労働者の厳しい見方が示されている。また定期昇給維持への要求は強い。

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週刊『前進』(2131号2面3)(2003/12/22)

世界の労働運動 アメリカ

 “FTAAをつぶせ”

 労組と学生ら1.5万が決起

 機動隊と激突

 11月17−22日、南北アメリカ自由貿易協定(FTAA)の2005年発足に向けて、南北アメリカ大陸、カリブ海からキューバを除く全34カ国の貿易相らがフロリダ州マイアミで準備閣僚会議を開いた。
 これに対し労働組合、学生ら1万5000人が全米からマイアミに結集し、反FTAAの戦闘的デモンストレーションを行った。
 マイアミの警察・機動隊は、デモ隊を襲撃し、282人も逮捕し、数十人を負傷させた。
 マイアミ・デモに参加したAFL−CIO(米労働総同盟−産別会議)傘下の米鉄鋼労連(USWA)や反FTAAの諸団体、法律家たちは、連日、マイアミで抗議活動を続けている。
 このマイアミでの反FTAA闘争に続いて、12月12−14日にブラジルのサンパウロでブラジル労働組合総連盟(CUT)とボリビア労働組合連盟(COB)とが呼びかける反FTAA西半球労働者総会が開かれる。この提起にこたえたサンフランシスコ労働者評議会や全米反戦労組連(USLAW)は、内外の労組活動家らにブラジルでの反FTAA総会への賛同と現地結集を呼びかけている。
 「FTAAを発足する前にぶっつぶそう」というスローガンのもと、闘いは南北アメリカ大陸全体に広がっている。

 実力行動に共感

 警察のデモへの襲撃と逮捕は予告なく行われた。バスで結集した数百人の労組員が警察に阻止されてデモに参加できなかった例もある。警察は集会も包囲・監視し、嫌がらせをした。  実力行動に出た学生たちを機動隊が襲撃した。労組の隊列が割って入り、学生のデモをそのまま行かせるという場面も生じた。労働者は学生たちの実力行動への共感を表明した。
 弾圧のエスカレーションは、ブッシュ政権がFTAAに自己の延命をかけていることの現れだ。また99年に米シアトルで開かれた世界銀行・IMFの会議が労働者人民の実力闘争によって粉砕されて以降、この種の国際会議が労働者人民の国際的抗議闘争に包囲されてきたことへの米帝のいらだちと報復でもある。ブッシュ大統領の弟がフロリダ州知事を務め、そのもとでマイアミ市長が米国土安全保障省の政策に沿って「マイアミ・モデル」という治安都市をめざしていることも関係している。
 大量逮捕・拷問への抗議運動が全米に広がり、議会の調査や逮捕者の不起訴を求めて闘われている。

 閣僚会議の真実

 ブッシュ政権はマイアミ会議を「成功」と総括しているが、失敗は明らかだ。会議の合意内容は可変的で、条文の取捨選択も認められている。米帝は、マイアミ会議後、中南米諸国との個別2国間FTAを積み上げる戦略を進め始めた。
 米帝はブラジルと一緒に共同提案を作り、討議に付すことで中南米諸国を合意に巻き込もうとした。ところが、この提案はブラジルによって骨抜きにされていた。米帝としてはこの提案への諸国の賛同を得てもFTAAとしては意味をなさないと判断したのだ。
 米帝のFTAA戦略は中南米諸国の抵抗と内外の労働者人民の国際的な闘いによって頓挫(とんざ)させられているのだ。
 北米自由貿易協定(NAFTA)にすでに明らかなように、どのFTAも、帝国主義とその資本による労働者・農民(帝国主義国、新植民地主義体制諸国の双方)に対するむきだしの搾取・収奪、無権利化であり、より露骨な植民地化、勢力圏化である。
 ブラジルでの反FTAA総会は、南北アメリカ大陸の労働者、帝国主義国と新植民地主義体制諸国の労働者とが一堂に会して闘う歴史的な日になろうとしている。 (藤沢明彦)

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週刊『前進』(2131号3面1)(2003/12/22)

 連合春闘方針 大幅賃下げ容認許すな

 定昇廃止攻撃に屈服

 新潮流を先頭に春闘爆発へ

 連合は、11月21日に中央委員会を開き、「2004春期生活闘争方針」を決定した。連合中央は、3年連続のベア要求放棄だけでなく、ついに「定昇維持」までも放棄した。これは資本の定昇廃止攻撃に屈服し、大幅賃下げを受け入れる大裏切りだ。さらに「安心と信頼の年金改革の実現」などと、年金削減と、消費税増税を唱えている。日帝・小泉のイラク派兵と国内階級戦争の先兵・連合中央を打倒し、新潮流運動を先頭に04春闘に進撃しよう。本稿では、連合中央の定昇廃止への屈服を中心に暴露したい。

 11月に電機産別で次々と定昇を廃止

 今回の連合春闘方針の犯罪性は第一に、賃金闘争を百パーセント放棄し、日帝の定昇廃止攻撃の先兵として登場していることだ。
 日本経団連は、昨年に続いて12月中旬にも総資本の春闘方針である「経営労働政策委員会報告」(経労委報告)を出すが、その最終原案が11月29日に明らかになった。
 そこでは、「一律的なベアは論外。賃金制度の見直しにより定期昇給の廃止、さらにはベースダウンも労使の話し合いの対象」と、定昇廃止と賃下げを真正面から提起している。
 特に注目して欲しいのは今年の経労委報告では「定昇の凍結・見直し」とあったのが、「定昇の廃止」に変わっている点だ。
 02春闘と03春闘においては、電機連合の裏切りによって「定昇確保」というペテン的妥結直後に、定昇凍結と賃下げ攻撃が吹き荒れた。日本経団連は、賃上げゼロどころか、定昇凍結はすでに既成事実になったとばかりに、今度は、居丈高に定昇廃止に踏み込んできたのだ。
 実際、電機においてはこの11月に今までとは次元を異にする定昇廃止の発表が相次いでいる。
 まず、11月5日には、日立が製造業を含む全労働者を対象に年功賃金を廃止し、成果主義の賃金制度に全面的に移行することを発表した。(詳細別掲)
 管理職だけを対象にした年功賃金廃止は今までも数多くあったが、製造業の現場労働者をも含めて年功賃金を全廃し、降格・減給もありうるとしたのは、大手企業では初めてであり、日帝の労働者支配の転換を意味している。
 マスコミは、「定昇はすでにキヤノンやセイコーエプソンなども廃止しているが、総合電機トップで春闘時などに産業界の賃金交渉のリード役を務めてきた日立が年功型賃金の廃止を決めたことで、日本企業の給与制度の在り方に大きな影響を与えそうだ」と、衝撃的に報道している。
 この日立の定昇廃止を受けて、11日にはソニーが、26日には松下電器産業が相次いで全労働者を対象にした年功賃金廃止を打ち出した。電機業界では、すでにNECや富士通では定昇を廃止し、成果主義を取り入れた賃金制度に改悪されている。今回の一連の改悪で、電機では定昇廃止が完全に定着したことになる。この間、電機連合を先兵にして日帝の資本攻勢が吹き荒れてきたことを見るならば、電機の一連の動きは直ちに全産業に波及する。
 この日帝・資本の定昇廃止攻撃は、露骨な賃下げ攻撃である。定昇というかたちで毎年、1年先輩の賃金に追いつくということが、労働者階級が生活設計・人生設計をする上で決定的に重要な意味を持っていた。
 これを否定して、成果主義賃金に全面的に移行するということは、労働者階級の団結を解体して個々バラバラにすることなしに不可能である。しかもこの団結破壊は、能力・成果主義賃金制度の導入でより加速される。
 だが、この年功賃金廃止を突破口にした賃下げと、不安定雇用化攻撃のあらしは、労働者階級が団結して闘いに立ち上がるならば、逆に日帝の労働者支配の危機に転化するのだ。

 定昇なき「賃金カーブ確保」論はペテン

 このようにすでに開始された日帝・総資本による定昇廃止攻撃に対して、連合は許し難いことに、それを完全に追認し、屈服した春闘方針を提起した。
 連合の04春闘方針では、賃金闘争は、「すべての組合は、賃金カーブ維持分を算定し、……賃金カーブ確保を最低限の要求としてその獲得をめざす」となっている。ところが、03春闘方針では、「賃金カーブ維持分(定期昇給相当分)の確保」となっていた。つまり、04春闘方針では、今まであった「定期昇給相当分」という文言をこっそりと削除しているのだ。
 これは、一体何を意味するか。それは、すでに始まっている定昇廃止攻撃への屈服・追認であり、それを前提とした「賃金カーブ維持分要求」なのだ。だが、定昇という、全体が一斉に賃金が上がる制度を前提に、初めて賃金カーブというものが考えられるのであり、定昇廃止を認めた賃金カーブなどというものは意味がない。そこには個々バラバラにされた労働者の個別賃金の総和があるだけだ。
 定昇確保なしの賃金カーブ確保要求などはペテンそのものだ。それは、労働者の団結破壊を容認し、個々の労働者を競争させ、首切りと大幅賃下げを認め、それを組合員に強要するとんでもない大裏切り方針なのだ。まったく許せない。
 現に連合会長笹森は、IMF・JC(金属労協)の04闘争シンポジウムで、「もう既に定昇制度の問題を含めて制度見直しの交渉が始まっておりますし、それによって今までの我々が持っていた賃金制度というものが大きく変わってくる。そして、それに対して給与水準や労働条件水準がどうなるかということを全部整理しなければならない」などと、定昇解体攻撃に屈服し、前提にした論議をしている。本当に腹の底から怒りが噴き出てくる。

 団結破壊する成果主義賃金

 連合中央は、定昇維持放棄という今回の歴史的大裏切りを何とか合理化しようと、04春闘方針では、今までになかった「賃金制度の整備・見直しに向けて」と題する参考資料なるものを添付している。だが、この参考資料こそ裏切りの証拠そのものだ。
 それは初めに、「参考資料の取り扱いについて」と題して、「近年の定昇制度等の見直し・廃止や能力・成果主義の導入に対して、連合として一定の考え方を整理すべきとの多くの意見がよせられた。連合は、……定昇制度等の見直しや能力・成果主義賃金の整備にあたって、その留意点や考え方などについて、この資料を整理した」などと述べている。とんでもないことだ。定昇廃止に対して、まず闘おうというのではなく、定昇廃止を認めて、能力・成果主義賃金の整備のために参考資料を提出するというのだ。
 しかも本文では、「経済や社会、企業動向等の変化により、賃金カーブの低下が避けられない場合も出てくる」と、露骨に賃金カーブの低下=労働者階級全体の大幅賃下げを認めているのだ!
 そして、「労働者は、将来の収入予測ができなければ安心して働くことができない」などと言いながら、「企業は、……労務コストを重視する」と企業の立場に立って、「労務コスト」(何たる言いぐさ)=賃金が下がるのは当然だと言い放っているのだ。
 さらに、「労働者にとって公正な賃金とは、働きに応じ、かつ労働市場の水準(世間相場)を考慮した納得性の高い賃金を受け取ること」と市場賃金論を展開している。だが、この市場賃金なみにしろという主張こそ、「途上国なみの賃金への大幅賃下げ」攻撃の根拠であり、地域賃金というかたちでの全国単一賃金解体の反動的論理なのだ。
 さらに、「従業員がほぼ一律に上昇する定期昇給制度でなくても、……一定の賃金上昇と適切な水準が担保されればいいことになる」と、完全に資本と一体となって定昇廃止論を展開している。
 そして最後に、「成果主義賃金とは、仕事そのものの価値や仕事に発揮された能力(顕在能力)とその結果としての成果・業績を基準として賃金・人事制度の運用を行うことである」と、成果主義賃金を全面賛美して、導入の仕方だけに問題を切り縮めている。
 だが、成果主義賃金こそ以上見たように労働者階級の団結を破壊し、分断して互いに競わせる反労働者的な賃金体系であり、徹底粉砕の対象なのだ。

 民主党と一体化し年金制度改悪方針

 連合春闘方針の犯罪性の第二は、賃金闘争を完全に放棄した上で、それを隠蔽(いんぺい)しようと春闘をまったく別のものにねじ曲げようとしていることだ。そのために、「政策制度要求」を賃金闘争の前に掲げている。その中身として、「景気、雇用、年金を柱とした政策要求の実現」などと言って、「国民に安心と信頼を保障する年金改革」の実現をあげている。
 だが、連合の年金制度改革案とは、民主党のマニフェストとまったく同じ給付の削減と、消費税アップを前提にした基礎年金の税方式への転換なのだ。
 これは、総額人件費の削減を主張して、社会保障費の企業負担分の削減を主張する日本経団連の年金改革とまったく同じ方針であり、企業救済、国家救済の思想だ。それは戦争と資本攻勢に対して、新たな産業報国会として延命しようという連合中央の反労働者的な本質を暴露するものだ。
 以上見たように、連合の04春闘方針は、単に統一ベア要求を放棄したとか、中小だけ要求水準を提起したという水準ではない、文字どおり資本と身も心も一体となって春闘を解体し、賃下げと不安定雇用化、年金制度解体の先兵になるという方針なのだ。

 全労連の賃闘放棄を許すな

 このように、連合中央が完全な定昇廃止、大幅賃下げ攻撃の先兵になっている中で、全労連も賃上げ要求を放棄して、春闘解体の先兵として登場してきている。全労連は、10月29日に国民春闘共闘委員会を発足させた。そこでは賃上げ要求額を明示せず、「すべての労働者の賃金底上げ」をかかげているだけだ。これこそ、賃上げ要求の放棄そのものである。
 今こそ、連合・全労連の賃金闘争放棄を弾劾し、一律大幅賃上げを掲げて04春闘をストライキで闘おう。
 11・9労働者集会で始まった3労組共闘を基礎にした日韓米の労働者国際連帯を広げ、新潮流運動の拡大をかちとろう。(湯村宏則)
 
 日立の新賃金制度
 2000年に管理職を対象に導入した成果・能力主義の賃金体系を、国内の一般職3万人に拡大する。今後は一部グループ会社にも適用していく考え。
 新賃金制度は、従来の基本給(給与の約4割)と職能給(同6割)を「本給」に一本化。総合職を7段階、工場などで働く技能職を5段階に分けた職務等級と、働きぶりに対する評価で給与が決まる。
 評価は5段階で、管理職が本人と毎年面接した後決める。求められる能力を職種や職務等級ごとにあらかじめ定めておき、その評価基準に基づいて判断。
 評価が真ん中の「3」以上は昇給するが、下から2番目の「4」だと給与を据え置き、最低の評価「5」だと減給される。評価が高い社員の「飛び級」がある一方、最低評価が2年続くと降格となる。

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週刊『前進』(2131号3面2)(2003/12/22)

 東峰神社裁判 東峰部落が全面勝利

 “神社は創建以来、部落の総有”

 空港公団、全主張を認める

 三里塚の東峰神社の立ち木を空港公団が伐採したことの違法性と神社敷地の所有権確認を求めた東峰神社裁判は12月5日、千葉地裁で和解協議が行われ、被告の空港公団が原告の東峰部落の主張をすべて受け入れ、原告側の全面勝利で決着した。
 空港公団は、神社敷地が1953年の神社創建の時から東峰部落の総有的所有関係にあることを認めた。また立ち木が東峰部落のものであることも認め、神社林伐採の非を謝罪した。伐採前日にひそかに表見上の土地所有名義人から公団名義に書き換えた登記簿についても、東峰部落の住民の名義にあらためること(真正な登記名義の回復)を承認した。
 こうして東峰神社裁判は02年4月9日の提訴から1年8カ月で原告・東峰部落の全面勝利をかちとった。
 空港公団は01年6月16日、暫定滑走路の飛行のじゃまになるとして、東峰神社の立ち木を住民の抗議中に伐採し、東峰住民で三里塚反対同盟事務局次長の萩原進さん逮捕の暴挙にまでおよんだ。公団総裁は「神社の土地は公団所有だから伐採は正当」と開き直った。しかし、東峰神社は、東峰部落の産土(うぶすな)神社であり、土地も立ち木も氏子である東峰住民の総有財産である。裁判ではこの事実を法社会学者の現地調査や芝山町の実態調査、各種文献によって明らかにして立証が進められてきた。
 こうした地道な立証によって裁判は終始、原告・東峰部落の全面勝訴の方向で進行してきた。空港公団は、長期にわたる裁判で敗訴が確定するよりも和解決着の方がましだと判断して、和解を申し入れてきたのである。

 黒野の虚偽報告と無償譲渡デマ

 しかし空港公団は全面敗北の事実を隠す虚偽報告やデマ宣伝を展開している。3日付けの読売新聞夕刊は、「空港公団が土地を無償譲渡」とするデマ記事を掲載した。
 また黒野総裁は記者会見で、53年の神社創建時点で総有関係が発生していたことや、今回の名義書き換えは「真正な登記名義の回復」であることなどの和解条項の核心部分を隠して報告している。その一方で「公団が譲歩したから住民も譲歩しろ」などと卑劣なデマ宣伝を企てているのだ。絶対に許せない。
 東峰神社裁判の全面勝利を突破口に、暫定滑走路閉鎖へ突き進もう。

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週刊『前進』(2131号3面3)(2003/12/22)

 「介護」全国ネット総会 運動の広がりに確信

 年金闘争に取り組みへ

 介護保険に異議あり!全国ネットワークの第3回総会が12月7日、大阪・高槻市の高槻現代劇場で開かれた。高齢者を中心に全国から400人が集まり、全国ネットワークの運動の広がりと闘いの前進が示され、今後の闘いを勇気づける総会となった。
 司会を森田充二全国ネット事務局次長(高槻市議)と阪口克己東大阪市議が務めた。最初に女性の和太鼓グループが友情出演し、力強く、躍動感あふれる若々しい演奏で鼓舞した。
 開会宣言を共同代表の水上信也さん(高槻)が行い、「小泉改革はろくなことを考えていない。医療制度も改悪しようとしている。介護保険の悪法を撤廃させなければ子どもや孫の世代も幸せになれない。怒りを出していかなければならない。年金闘争にも取り組んでいこう」と訴えた。
 基調報告を共同代表の高田普次夫さん(杉並)が行った。まず全国ネットの組織的前進として神奈川県民の会、泉佐野・介護と医療を求める会をはじめ運動が広がっていることを報告した。さらに年金制度改悪について、「政府は年金財政問題での失敗を反省しないどころか、その付けを高齢者や労働者に払わせようとしている。年金改悪に怒りを発していかなければならない。高齢者と労働者が一つになって大きな力となれば国を動かすことができる」と方針を提起した。
 選挙報告では4―9月の統一地方選で9人の推薦候補のうち7人が当選したことが報告された。総会では8人の議員が並び、結柴誠一杉並区議、新城節子杉並区議、西村綾子相模原市議、森田充二高槻市議、三浦たけお守口市議、小西弘泰高槻市議、阪口克己東大阪市議、国賀祥司泉佐野市議がそれぞれ決意を明らかにした。
 総会のハイライトは各地域からの報告。介護と福祉を要求する杉並住民の会は八木ケ谷妙子代表が、「惨めな老人が一人もいないようにしよう」と呼びかけた。続いて川久保恵美副代表が、この一年の取り組みを報告し、「人間として生きる権利を守るために闘っていきます」と決意を語った。「介護保険に反対!人として生きられる介護と福祉を求める神奈川県民の会」の碓氷代表は、会員が一挙に40人に拡大したこと、不服審査請求と口頭陳述をめぐる市との攻防を報告し、「やれる自信がつきました」と語った。
 東大阪の荒本地区介護と福祉を要求する会の岩崎玉男代表は、阪口市議と住民が一体となった行政闘争で介護保険料減免制度を実現したことを「大きな成果を上げた」と報告した。続いて住民が発言し、さらに闘う決意を表明した。八尾北医療センター患者会介護を要求する会の役員は、年金財政の危機は政府の政策によるものであることに激しい怒りを表明した。
 高槻健診介護要求者組合からは3人の住民が次々と発言、一人で市と交渉して要求を認めさせた報告、介護保険料値上げに対する怒り、20歳から保険料を取ることの重大性の訴えや年金財政の失敗を高齢者や労働者に転嫁することへの怒りなどを語った。泉佐野・介護と医療を求める会は横幕とプラカードを掲げて並び、後迫一郎代表が、大阪府下で二番目に高い保険料値上げを阻止しようとした闘いと、それに対する公明党、共産党議員の反動的態度を弾劾し、また会員が2倍に増えたことも報告した。住民も次々と介護保険制度への怒りを表明した。
 広島高陽第一診療所いのちと健康を守る会は参加した代表が並び、「介護も医療も一割負担がつきまとい、年をとるとともに肩身が狭い思いをする社会は間違っている」と弾劾し、現役世代も高齢者とともに闘うことを呼びかけた。
 カンパアピールを会計監査役員の三好建也さんが行い、続いて総会宣言を各地の代表4人が読み上げ、全員の拍手で採択した。会計報告を森田事務局次長が、監査報告を会計監査役の高沢光代さんが行った。続いて新役員体制が拍手で確認された。
 第2部では各地の会員が歌や踊り、芝居に演奏と演技を披露し、親睦(しんぼく)を深めた。閉会宣言で泉佐野・介護と医療を求める会の後迫代表が総会の大成功を宣言して、全員で団結ガンバローを行った。

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週刊『前進』(2131号3面4)(2003/12/22)

 地元からのリポート 足利銀行破綻に怒り

 倒産リストラの嵐は必至

 11月29日、地方銀行最大手の足利銀行(足銀)の破たんが決まった。この日以降、地元テレビやラジオでは、ほぼ「毎時」のように「預金は全額保護されます」「相談窓口を開いています」と流し続けている。しかしその割には取り付け騒ぎなどは起きていない。というのも、5〜6年前に北海道拓殖銀行や山一証券などの金融機関の破たんが相次いだ時に、県民の多くは預金を引き出してしまっているからだ。

 買い支えた株が一夜で紙くずに

 今回の足銀破たんは何が問題なのか。経済的に最大の問題は、「再建処理」として“りそなグループ”の時には公的資金の投入だけがおこなわれたのに対して、足銀の場合には「破たん」として足銀の全株がゼロ円で国に強制取得されたことである。
 足銀には過去2回にわたり1350億円もの公的資金が投入されている。さらに2回増資が行われ、県や県内12市の自治体が出資している。この自治体が投入した額は十数億円(しかし、これとて労働者からの血税だ!)だが、問題はこの時に「県や市がやっていることだから」と、県内の企業、個人から相当広範に資金提供を求め、多くの企業や個人からカネが集められたことだ。その額は800億円にのぼる。
 個人で出した人も少なくない。当時の一株は114円ほどだが、これを一千株単位、すなわちほぼ10万円を単位として中小企業と個人が出している。しかも、そのほとんどは借金をして出したのである。それが、今回の「破たん処理」によって、手元の株券はほぼ無価値になり、借金だけが残ったのだ。
 今一つの足銀破たんの問題は、金融庁の監査である。足銀はこれまでも、そして今回も、日光や鬼怒川地域の旅館などへの貸し出し先について「要管理先」程度には振り分けていたが、これを今回金融庁は実質的に「破たん先」として処理するよう求めたということである。「繰り延べ税金資産の計上(※)」をゼロとしたが、実際的な中身はこういうことである。
 今回、確かに取り付け騒ぎは起こってはいない。しかし深刻な事態は、確実にこれから大津波のようにおそってくる。中小企業であれ、温泉地であれ、そこには労働者が雇われている。労働者やその家族を無慈悲に切り捨てたということだ。中小はもとより大手企業でも一時金カットや減給が取りざたされてきている。それどころか、倒産を余儀なくされるところも出ようとしている。97年の北海道拓銀の時以上の事態がこれから起こることは間違いないのである。
 足銀は、1895年に営業を開始し、県内市町村の「金庫事務」の一切を足銀が行ってきた。県内では、労働者への賃金はほとんど足銀を通して振り込まれる。どこに行っても足銀のATMが設置されている。栃木県の労働者は足銀なしには生活すらできないようにされてきた。その足銀が倒産したということだ。
 足銀は、バブル期のゴルフ場やリゾート開発への野放図な融資を都銀並みに拡大した。それが財務悪化の最大原因だ。それを県内の自治体・企業・個人の出資で尻拭いさせ、最後は破たんで大損させるなどというのは絶対に許せない。

 労働者は生きるために団結を

 自民党員からは「(衆参合わせて)10人も国会議員がいながら破たんを止められなかった」との声が漏れているという。違う! 10人もの自民党議員を出しているからこそ、こういう事態になったのだ。1950年代の勤評闘争以来、一時は「革新知事」まで生み出した栃木県の労働運動はまさに力ずくでたたきつぶされ、その後連合などによって労働者はバラバラに分断されてきた。
 労働者の反乱はこれから確実に起こる。「死ぬか、生きるか」がまさに今、突きつけられている。ならば、今、労働者は闘うために団結し、闘って生きるしかないのだ。
(投稿/栃木・I)

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週刊『前進』(2131号3面5)(2003/12/22)

 12・7−8 動労総連合が定期大会

 組織の拡大へ決意

 動労総連合は12月7、8日、千葉市内で第18回定期大会を開いた(写真)。習志野電車区廃止という動労千葉への組織破壊攻撃との攻防のただ中で、緊迫した大会になった。
 平岡誠副委員長(動労西日本)が開会の言葉を述べ、和田山繁執行委員(動労連帯高崎)が大会の成立を宣言した。君塚正治委員長(動労千葉)があいさつに立ち、「11・9集会における国際連帯は、動労総連合が国鉄分割・民営化以来、闘いを続けてきたことが米韓の労働者に認められて実現された」とこの間の闘いを総括し、当面する課題について「安全を切り捨てる第2の分割・民営化との闘いは最大のテーマだ」と呼びかけた。また、JR総連が大分裂に陥り、国労本部が裏切りを深める中で、「何のために動労総連合をつくったかが問われている。来年を組織拡大のチャンスにしよう」と熱を込めて訴えた。
 国分勝之副委員長(動労水戸)が経過を報告し、田中康宏書記長(動労千葉)が運動方針を提案した。田中書記長は、「国際連帯の実現により、われわれを見る内外の目は確実に変わった。これまでのわれわれのあり方を変革し、組織拡大に打って出よう」と切り出して、@1047名の解雇撤回、A第2の分割・民営化攻撃粉砕、B反合・運転保安闘争の強化、C04春闘への全力決起、D国際的共同闘争と闘う労働組合の全国ネットワークの本格的発展、E有事立法と対決し自衛隊イラク派兵−北朝鮮侵略戦争を阻止する反戦闘争、FJR総連解体−組織強化・拡大の闘いを軸とする方針案を提起した。
 習志野電車区廃止攻撃との闘い、運転保安確立の闘い、JR貨物の新賃金制度導入との闘い、JR総連解体−組織拡大の課題などをめぐる活発な議論を経て、運動方針が承認された。
 こうして動労総連合は、12月闘争から04春闘に向かう決戦態勢を打ち固めた。

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週刊『前進』(2131号4面1)(2003/12/22)

 北海道からの自衛隊イラク派兵阻止せよ

 反戦闘争の歴史的正念場だ

 革共同北海道地方委員会から訴える

 12月9日、日帝・小泉政権は自衛隊イラク派兵の基本計画の閣議決定を強行した。ついに日帝が本格的な侵略戦争に突入しようとしているのだ。この重大事態に対して革共同北海道地方委員会は、自衛隊イラク派兵阻止の最先頭に立って闘う重大な決意をもって、すべての労働者人民に訴える。

 基本計画決定許すな

 自衛隊イラク派兵の基本計画閣議決定は戦後史を画する重大攻撃である。政府は、実施計画も年内に策定し、陸海空自衛隊1千人規模の派兵を年明け以降に本格化する方針だ。日帝・小泉政権は、自衛隊派兵反対の労働者人民の圧倒的な声を真っ向から踏みにじって、ついに本格的な侵略戦争に出兵しようとしているのだ。今こそ労働者階級人民の総決起で自衛隊イラク派兵を阻止しなければならない。
 11月29日、イラク北部のティクリットで外務省幹部2人が銃撃を受けて死亡した。これは自衛隊派兵を根本的に揺るがす重大事態となった。一時は政権与党内も動揺した。だが、日帝・小泉は、2人の死を逆に利用し、「犠牲を無駄にするな」と基本計画閣議決定を強行したのだ。
 死亡した2人は、バグダッド陥落直後に米復興人道支援室(ORHA、後の暫定占領当局=CPA)に派遣され、CPAと日本政府のパイプ役を務めていた侵略の先兵だ。奥参事官は「テロリストの好きなままにさせるわけにはいかない」と公言していた。
 事件の翌日、イラク中部のサマラで米軍が住民を攻撃し、イラン人巡礼の高齢者2人を含む8人が虐殺された。米軍は「武装勢力サダム・フェダインとの大規模衝突で46人を殺した」と発表したが、後日これを否定した。戦車の砲撃で幼稚園が被弾し、無差別攻撃で住民が殺され、怒った住民が米軍に反撃したのだ。占領軍への怒りが大衆的に噴出し始めたのだ。侵略軍である米軍は、日々イラクで残虐なイラク人民虐殺を繰り返しているのだ。
 これに対し12月5日、石破防衛庁長官は「自衛隊が行くところ、活動するところが非戦闘地域」と言い、小泉も「自衛隊でも活躍できる分野はある」「派遣は可能だ」と居直った。
 日帝は完全に踏み切っているのだ。侵略帝国主義として登場し、他国の人民を虐殺し、死んだ自衛隊兵士を「英雄」として祭り上げる戦争国家へと転換するために歴史的攻撃に出てきているのだ。労働者人民の怒りの総決起で派兵阻止闘争の巨大な爆発を実現し、日帝・小泉を打倒しよう。

 「侵略戦争を内乱へ」

 米帝のイラク侵略戦争は、イラク・中東の石油や勢力圏を独占的に再編成しようとするものだ。9・11ゲリラ戦闘に示されたイラク・中東人民の侵略と再植民地化に対する闘いを暴力的にたたきつぶし、米帝支配の下に中東を再編しようとするものでもある。しかも、米帝支配の危機を突いて中東への影響力拡大を狙う仏独に対する帝国主義間争闘戦としてこの侵略戦争を強行しているのだ。
 日帝は、派兵の強行によってイラク・中東の石油・勢力圏の再編成に参入するとともに、北朝鮮侵略戦争に向けて戦争のできる帝国主義に飛躍しようとしている。帝国主義としての利益を貫徹するためだけの派兵だ。日帝・小泉はイラク人民を「テロリスト」と呼び、「テロに屈してはならない」とイラク人民大虐殺を叫びたてているのだ。この強盗の論理を絶対に許してはならない。
 陸自は3カ月交替で2年半に10個の部隊を送る。殺し殺されることで実戦部隊化された自衛隊をもって、北朝鮮侵略戦争にも臨もうというのだ。また、派兵に伴い日本国内もその報復の対象になるとして超厳戒体制を敷き、労働者人民への大攻撃を狙っている。
 イラク人民は、軍事占領と植民地化を拒否し、民族解放・革命戦争を発展させている。イラク人民の抵抗の激化によって占領体制は危機に直面している。ブッシュの電撃的な現地訪問もそれを示した。米軍は11月、日に50回という激しい空爆を繰り返す掃討作戦を展開、600人を「容疑者」として拘束した。だが、イラク人民はこうした攻撃に屈することなく、さらに戦闘を激化させている。11月の米軍の死者は、侵攻後最も多い81人に達した。
 今、自衛隊派兵を目前にしてイラク人民の闘いにこたえる日本人民の「連帯し侵略戦争を内乱へ」の闘いが問われている。日本人民の総力をあげた決起で自衛隊イラク派兵をなんとしても阻止しよう。

 侵略の銃をとるな!

 防衛庁は、陸自部隊の現地指揮官を万匠(ばんしょう)第3普通科連隊長(兼名寄駐屯地司令、一等陸佐)に内定した。北部方面隊や陸幕から予備隊員を含めて700人以上を選抜、派遣候補部隊を編成し、射撃などの対テロ訓練を重点に、派遣に備えているという。万匠一佐は「世界の平和と安定のために陸上自衛隊の力が求められる時代に入っている」(同駐屯地報)と豪語している。
 一方で、派兵国の中では人民の反対の声がさらに高まっている。初の戦死者が出たポーランドでは、11月の世論調査で「駐留反対」が前月を10ポイント上回る67%に達した。スペインでは、死亡した情報機関員の死体を踏んで歓声を上げる現地住民の姿が放映されて議論が沸騰、世論調査では8割以上が派兵に反対している。タイ政府は撤退の検討に入り、国防相は駐留軍の規模を縮小する考えを表明した。ドミニカは派兵国で初めて撤退を決めた。
 こうした中で米帝ブッシュは「来年6月予定のイラク暫定政権樹立以前に自衛隊が派遣されることを確信する」と述べ、日帝に早期派兵を迫っているのだ。
 派兵が迫る中で、自衛隊幹部の発言はエスカレートしている。「実戦経験のない隊員が、例えば妊婦姿のテロリストをためらいなく射殺するのは難しい(覚悟が迫られる)」という幹部の発言(北海道新聞)。これは隊員に、妊婦姿でもテロリストに見えれば即射殺する覚悟を迫るものだ。
 だが、別の空自幹部は「国民の理解と支持がないまま、武器使用で相手を死傷させた場合、自衛隊が悪者になる」と発言、北部方面隊の幹部は「イラクの危険性よりも、国民の賛同を得られないことが怖い、脅威だ。仮に現地で死んだら『勝手に行って、勝手に死んだんだろう』と言われるかもしれない」と発言している。ここに自衛隊の弱点がある。日帝は、こうした自衛隊をイラク侵略戦争に派兵し、平然と人民を虐殺できる軍隊・兵士へと転換させようとしているのだ。
 第2混成団(香川県善通寺市)が取材対応用の想定問答集を作成し、「不安はないか」には「特にありません」などと答えるように指導していた。北海道でも「死者が出たと言ってもわれわれは命令に従い、任務をこなすだけ」「思うところはあるが、隊の見解と食い違うことは話せない」という答が多いが、「国民の総意のない中で派遣され、万一何かあれば両親は悲しむだけ」(第2師団の隊員)という声も出ている。
 政府は現地調査団を10回以上派遣したが、報告の詳細は未公表だ。11月25日の衆院予算委員会を隊員とその家族が注目していたが、小泉は「どこが非戦闘地域か、調査団の報告を見極め最終判断する」と答弁した。ペテンを使ってあくまで派兵を強行しようとしている小泉に、隊員・家族の不信感が深まっている。「派遣時期をはっきり言うと思った」「自衛官・家族の不安を分かってほしかった」という家族の怒りは大きい。自衛隊兵士も、今、派兵を拒否しなければ侵略戦争の泥沼の中で自らも死ぬことになるのだ。
 自衛隊兵士諸君! 派兵を拒否せよ。侵略の銃をとるな。銃を向けて倒すべきはイラク人民ではない。自衛隊イラク派兵を強行し、諸君に死を強制しようとしている小泉であり、日帝ブルジョアジーだ。

 労働者の決起を軸に

 今、日本人民、全世界人民の未来がかかった重大局面に直面している。自衛隊派兵を許し、国内に対しては労働者への首切りや福祉切り捨てで人民に死を強制する攻撃を許すのか。それとも派兵阻止闘争の大爆発で小泉政権打倒、日帝打倒への展望を切り開くのか。命運をかけた闘いである。
 労働者階級人民の圧倒的多数が反対していることを闘いで示さなければならない。隊員が2部に通学する大学では、教官や学生が「ひとごとではない」と反対の声を上げ始めた。「バブル崩壊」以降に入隊した隊員は「地元では数少ない公務員の就職口」と勧誘されて入った。派兵命令を拒みたい隊員は、「国民的支持のない戦死」か失職かで揺れている。巨万の人民の決起で自衛隊を包囲し、その闘いの中で派兵命令を拒もうとする隊員を、「軍服を着た労働者」として反戦闘争に獲得し守りぬこう。派兵を拒否する隊員同士の団結で退職強要を拒み、派兵拒否を隊内の大衆的な動きにすることを訴えよう。
 そのためには地域ぐるみの日常的な闘いが求められる。隊員とその家族を隣人に持つ住民は派兵を阻止するための行動方針を求めている。大失業、年金問題や生活保護費の削減など社会保障の切り捨てや増税、ふるさと銀河線廃止など地方の切り捨ては、侵略戦争にのめり込む日帝の人民への犠牲の転嫁である。闘うイラク人民と連帯し、出兵を拒否する隊員とともに、自衛隊派兵を阻止することが人民の生きる道だ。
 派兵第1陣は北部方面隊しかも第2師団(旭川、名寄、留萌など)である。これは国鉄闘争への襲撃にも似た事態だ。国労闘争団はこの地域で階級的労働運動の結集軸を担っている。国鉄分割・民営化攻撃が示すように、侵略戦争と大失業攻撃の根は一つだ。鉄路は戦争遂行の動脈である。だから日帝は国鉄労働運動を解体しなければならなかった。それを打ち破ってきた国鉄闘争の営々たる蓄積が派兵阻止に向かって解き放たれる時、本当に階級的で大衆的な闘いとなりうる。
 11・9労働者集会は、日韓米の労働者の国際連帯で大失業攻撃と闘い、イラク侵略戦争と闘うことを確認した。自衛隊イラク派兵阻止闘争は、世界の労働者階級人民と被抑圧民族人民が注目している。全国の闘う労働者・学生・市民の皆さんに、出兵時、小牧と並ぶ出兵拠点=北海道での現地闘争に総結集することを訴える。北海道地方委員会は、残存カクマルの敵対を粉砕し、全国の最先頭で決起することを決意する。

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週刊『前進』(2131号4面2)(2003/12/22)

 教基法改悪阻止へ

 東京 反戦共同行動が学習会

 12月7日、東京・中央区の月島区民館で、「止めようイラク派兵/許すな教育基本法改悪/12・7反戦学習集会」が、反戦共同行動委員会の主催で、125人が参加して開かれた。戦争国家への大転換の攻撃に、労働者階級の一大反撃を組織しようという熱気と気迫に満ちて集会はかちとられた。
 午前中、三多摩の労働者は自衛隊の立川基地にイラク派兵中止の申し入れ行動を行った。また多くの労働者学生が有楽町マリオン前で街頭宣伝を行ってから集会に参加した。
 集会は冒頭、主催者を代表して東京反戦共同行動委員会の三角忠代表があいさつし、本日の集会を力にして12月闘争に総決起することを呼びかけた。
 これに続き、労組交流センターの教育労働者が「今なぜ、教基法の改悪か」と題して提起を行った。講師は教基法改悪の狙いを、イラク出兵と北朝鮮侵略戦争のために、他国の人民を殺すことを正義と思える人間を大量につくり出すことにあると指摘した。そして教基法改悪阻止闘争と反戦闘争を一体的に闘う中で、文科省とのパートナー路線を走る日教組中央を大きく揺り動かし、“闘う日教組”の階級的再生をかちとろうと訴えた。さらに「教基法改悪反対12・23全国集会」(12時半開演、東京・日比谷公会堂、主催・実行委)への参加を呼びかけた。
 質疑の中で、石原の大反動攻撃と闘う東京都の教育労働者から闘いの報告があり、問題の分析と理解が一層深まった。
 この後、コソボ、イラクでの米軍の劣化ウラン弾使用の実態を描いたビデオ「見えざる戦争」が上映された。イラクの子どもたちに広がるガンや白血病などの放射能被害の映像を見て誰もが、この残虐な帝国主義への怒りを新たにした。
 反戦自衛官・小多基実夫さんが「動揺している自衛隊兵士に積極的に働きかけよう」と呼びかけた。さらに、多くの団体が決意表明し、集会をかちとった。

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週刊『前進』(2131号4面3)(2003/12/22)

 自民党に弾劾行動

 京都 反戦団体の学生ら

 11月29日、小泉政権がイラク人民・ムスリム人民の占領軍に対するゲリラ戦への憎しみをむきだしにして自衛隊のイラク出兵を強行しようとする中、京都では学生を中心とする反戦団体アクト・アンド・ユナイトが自民党京都府連に対して派兵反対の声明を要求する行動を行った。
 自民党京都府連局長・吉本は「自民党・公明党に自衛隊のイラク出兵即時中止を求めます!」と書かれた大横断幕を見て、いきなり「横断幕を下げろ」「全員外に出ろ」「来ても対応しないと電話で言ったはずだ」と怒鳴り始めた。学生が「派兵は重大問題なのに話も聞かずに強行するのはおかしい」と抗議する。吉本はこう言った。「イラクに行くのは戦争ではない、人道支援や」。これに対し学生は口々に「『人道支援』などと言いながらイラク民衆の声を聞かないのはおかしい」と問い詰めた。
 さらに学生が「自衛官がイラク民衆を殺したり、自衛官がイラクで死んだ場合、自民党はどう責任をとるのか」と質問した。それに対して吉本が「そんなもん、あとでうまいことやりよるわ」と返答した。これに対して参加した学生はあきれかえると同時に怒り爆発。「ふざけるな」「なんで声を聞かない。僕らには意見を言う権利がないのか」と弾劾。そして自民党が連絡した京都府警が乱入、吉本が学生を無理やり排除しようとし、もみあいになる。最後、ドア越しに要請文とアピール文を受け取るようやりあう。吉本は「受け取るも受け取らないもこっちの勝手や」と一度受け取ったアピール文を目の前で地面に落としたが、学生に激しく弾劾され、結局受け取った。
 行動後の総括集会では、すべての参加者から「あんなやつらによって勝手に出兵が強行されることがどうして許せるか」「話を聞こうともせず警察で排除する対応が許せない」と怒りにあふれた感想が出された。
 ただちに12月出兵絶対阻止の大決戦に立とう。

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週刊『前進』(2131号4面4)(2003/12/22)

 切々と戦争体験者

 福岡 築城基地に申し入れ

 12月2日、アメリカのイラク攻撃を許さない実行委員会(青柳行信代表)、とめよう戦争への道!百万人署名運動福岡県連絡会、地元築城の平和といのちをみつめる会など10団体で、航空自衛隊西部方面隊築城基地に対して自衛隊のイラク派兵の中止を求める申し入れ行動を行った。
 築城基地に対して京築住民の会、平和といのちをみつめる会は、毎月2日には基地ゲート前で座り込み行動を続けている。1989年4月2日、築城基地へのF15戦闘機配備反対の人間の鎖行動以来、雨の日も、風の日も、正月も座り込んでいる。地元の人だけでなく、周辺の町、北九州、大分、筑豊などからも座り込みに来る。国労日豊班の松崎さんや羽広さん、北九州労組交流センターの仲間も参加してきた。
 この日12月2日も、福岡から申し入れ行動に来た仲間とともに朝10時から座り込んだ。住民の会事務局長の「イラクでついに日本人が殺されるという情勢の中、絶対自衛隊をイラクに行かせてはならない」というあいさつから座り込みは開始され、次々とアピールがされる。申し入れの時間、11時半になった。
 あらかじめ申し込んだ12人が基地内に入って、申し入れをした。基地内の小部屋に入り、若い係官が対応した。最初に、百万人署名運動が「行くな。殺すな。死ぬな」と訴え、7631筆の署名を手渡した。そして次から次へと訴えた。戦争体験者の切々たる訴えに係官は神妙な顔でうなだれた。最後に、仏教徒非戦の会・福岡を代表して郡島恒昭さん、10団体連名の申し入れ文を平和といのちをみつめる会の渡辺ひろ子さんが読み上げ手渡した。
 ゲート前で待機していた仲間たちと合流。中での様子を報告し、「ありったけの思いをぜーんぶしっかり言ってきた。さすがにこれまでの申し入れと違って真剣に聞いていた。すっきりした」という感想が出された。(投稿/沢野佳代)

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週刊『前進』(2131号4面5)(2003/12/22)

 イラクの高校教師から日本人民へのメール

 「侵略軍として来ないで下さい−もし日本軍が来たら日本はすべてのムスリムの敵となる」
 イラクのバグダッドに住む高校教師から日本の人民に「イラクを侵略しないで」と訴えるメールが送られてきた。二つめは日本からの返信に対する再信。ワールドアクションのホームページから転載します。(編集局)

〈第1信メール〉

 こんにちは、礼。
 あなたがたのeメールアドレスをヤフージャパンで見つけました。私はM・Hといいます。バグダッドで生活する高校の教師です。私は空手と日本語を習ってきました。私はいつも日本と日本の人々に敬意をもっていました。
 米軍の侵略を手助けするために日本軍が来るというのは、私たちにとって恐ろしい知らせでした。私は、サダム・フセインを手助けしたことはありませんが、アメリカは武装した盗賊以外の何者でもありません。彼らは連日、イラクの人々を殺しており、一般の人たちは誰も、彼らを支持していません。
 いま、ますます多くの人々がレジスタンス活動に参加しています。彼らは旧政権の残存勢力やテロリストではなく、ただの普通の人々です。他の国が日本を侵略することを想像してみてください。まったく同じことが起きるのではないでしょうか。イラクは侵略者ではなく、イラク人によって再建されるべきです。
 アメリカと同盟する侵略軍として、イラクに来ないでください! イラク人は、日本に敬意を表しますが、もし日本軍が来たならば、日本はイラク人とすべてのムスリムの敵となるでしょう。
 すべてのイラク人は、日本−過去にムスリムに対して敵視したことのない偉大な国−に深い失望を感じています。アメリカを支援することには、日本の人々の生命を含めたこれらすべてのものを失うほどの価値は絶対にありません。私たちは、侵略軍が去った後に日本が来ることを歓迎しますが、今ではないことは確実です。
 私たちが本当に感じていることを日本の人々に伝えてください。日本軍は、私たちの国を侵略すべきではありません。私は、日本を愛していますから、決して敵にはならないでください。私たちは、日本に一つの独立国として、正義の決定をしてもらうことを望んでいます。
 礼。 M・H
バグダッド、イラク
03年11月29日
    ◇

〈第2信メール〉

 礼。 
 ありがとうございました。あたたかいご支援に感謝します。アメリカニズムに洗脳されていない賢明な日本人が多くいることを知ってうれしいです。写真には感動しました。
 ロシアがアフガニスタンを侵略したとき、アメリカはこれを不法な侵略だといいました。今、彼らはイラクでもっと悪いことをしています。しかも自分たちを「解放者」と呼んで。いい教育を受けた人でも、これは理解できません。
 私は、日本に多くのメッセージを送ってきましたが、その返事の一つに、日本は国益のために軍隊を送ろうとしているのだというのがありました。どうか日本の人々に、この考えはまったく間違いだということを知らせてください。アメリカは永久にここ、イラクにいるわけではありません。つまり、イラクは近い将来、独立した国になるということです。独立国になったら、私たち(=イラク)は、フランスやドイツのように礼儀にかなった国に対してだけ石油を売るでしょう。アメリカや、イギリスや、スペイン、イタリアなど外からの侵略者には売らないでしょう。アラブ世界のすべてを敵に回し、石油不足になることは日本の利益では絶対にあり得ません。このことは、もし、朝鮮が日本を侵略したら人々がどう感じるかを想像してみたら、簡単に理解できるでしょう。
 私は個人的には、日本の人々がとてもいい人達だととてもよく知っているし、イラクを助けようと軍隊を送ろうとしていることも知っています。問題は、そのことはイラクの人々には理解されないし、イラクの人々にとって敵になるだけだということです。どうか侵略者が去ってから手伝いに来てください。そうしたら、私たちの二つの国は、永遠に友好国になるでしょう。
 私はあなたに伝えるべきことが多くありますが、これが最後のメールになるかもしれません。インターネットの状態がとても悪いのと、あなた方が想像しているように、多くのCIAのエージェントがここでは活動しているのです。
 とにかく、お返事とても感謝しています。仲間によろしくお伝えください。
 礼。 M・H 
03年12月7日

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週刊『前進』(2131号4面6)(2003/12/22)

日誌'03 12月3日〜9日

 派兵「基本計画」を閣議決定

 「テロは戦闘と認めぬ」方針 

●石破、派兵可能と報告 小泉首相が石破防衛庁長官、石川統合幕僚会議議長、川口外相らとイラクへの自衛隊派兵決定に向けて調整を行った。石破は、専門調査団の@陸上自衛隊の派遣候補地の南部サマワの治安は安定している一方、部隊が移動中や活動中に攻撃の標的になる可能性は否定できないAバグダッド空港周辺の治安は不安定だが、航空自衛隊輸送機の危険回避は可能――などとする調査結果を踏まえ、「派遣は可能」とする防衛庁の評価を説明した。(3日)
●伊、派兵縮小を提案へ イタリアのマルティノ国防相は、イラクに駐留するイタリア軍の規模について「最大で2700人に達したが、ペルシャ湾に展開中の海軍部隊に戻し、2200人に縮小するよう近く議会に提案する」と述べた。(3日)
●「やると言ったらやる」 アーミテージ米国務副長官は、自衛隊のイラク派兵について「日本政府の方針に変わりはなく、間違いなくやると言ったことはきちんとやると思う」と語った。(3日)
●米兵1700人が任務放棄 イラク駐留米軍で、任務を勝手に離れる兵士が相次ぎ、5月の「大規模戦闘終結宣言」以降では約1700人にのぼると、フランスの週刊紙カナール・アンシェネが報じた。(3日)
●沖縄相が都市型訓練施設容認 沖縄訪問中の茂木沖縄担当相が、金武町キャンプ・ハンセン内に計画されている都市型訓練施設について「基地の機能強化ではないと確認した」と述べ、建設を容認する姿勢を示した。(3日)
●個人情報法、完全施行05年4月 政府は、個人情報保護法について、適用除外などを盛り込んだ施行令を閣議決定し、個人情報取扱業者に対する義務規定を、05年4月1日から施行することを決めた。(5日)
●珠洲原発の「凍結」申し入れ 関西電力と中部電力、北陸電力の3社の社長が、石川県珠洲市長を訪ね、3社共同で進めてきた珠洲原子力発電所計画を「凍結」し、立地活動を取りやめることを正式に申し入れた。(5日)
●テロ攻撃「戦闘」と認めず 政府は、イラクへの自衛隊派兵に関連し、派兵部隊が活動している場所周辺でテロ攻撃が発生したり、米軍など他国の軍隊がゲリラと交戦しても、こうした事態を「戦闘行為」とは認めない方針を固めた。イラク特措法では部隊の近くで戦闘が起きた場合は、活動の一時休止や中断を定めているが、戦闘と見なさないことで、活動を継続できるようにする狙い。(5日)
●公明が派兵容認を表明 公明党が党本部で全国代表者会議を開き、神崎代表が冒頭のあいさつで、自衛隊のイラク派兵について「自衛隊を出すという国家意思を内外に示すことには反対しない」と述べ、公明党として容認する考えを公式に明らかにした。(6日)
●米軍機銃掃射で子ども9人死亡 アフガニスタン駐留米軍が同国中部ガズニ州南部のフタラ村で攻撃を行った際、塀に囲まれた住宅の敷地内でボール遊びをしていた子どもたちに、A10攻撃機が機銃掃射を浴びせ、9人の子どもが死亡した。(6日)
●自衛隊のイラク派兵を決定 政府は臨時閣議で、イラク復興支援特措法に基づく自衛隊派兵の概要を定めた基本計画を決定した。自衛隊の派兵規模は、▽陸上自衛隊部隊600人以内▽陸自車両200両以内▽航空自衛隊の航空機8機以内▽海上自衛隊の輸送艦2隻、護衛艦2隻とし、派兵期間は「12月15日から来年12月14日」としている。具体的な派兵時期については言及を避けている。米英軍など他国の武器・弾薬の輸送業務については「行わない」としている。政府は、まず空自の輸送機を早ければ来年1月中旬にも派兵する考え。(9日)

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週刊『前進』(2131号5面1)(2003/12/22)

 分裂で衰滅の危機にあえぐカクマル黒田中央派の惨状

 完全破産した「謀略論」への執着

 滝沢輝規

 反米国粋主義に回帰した黒田思想の末路

 JR総連・カクマルと分裂した中央派・カクマルは、著しい政治的・組織的衰退の道を転がり始めた。JR総連カクマルの分裂にひとことも言及できず、その一方でJR総連の権力への屈服、資本への協力という路線を全面的に容認している。
 産別カクマルの脱落―松崎派・JR総連カクマルへの移行も激しい。すべては黒田の政治的・思想的衰退にある。

 「文明の衝突」論への屈服

 反革命通信『解放』6月23日付で黒田は「ブッシュの戦争」という長大駄文を発表するが、ここで黒田は「新東西冷戦論」の破産を認めざるを得なくなり、さらに非マルクス主義的な「文明の衝突論」「宗教=民族の対立論」に屈服して、帝国主義論を完全に否定・放棄している。そして、マルクス主義・レーニン主義とはまったくかけ離れた世界認識から「21世紀=暗黒の世界論」を完成させた。(本紙2111号の批判論文参照)
 「ヤンキー帝国主義の世界制覇の野望」という一面的強調はその象徴的表現である。「ヤンキー帝国主義」という言い方自身、日帝ナショナリズム、民族排外主義である。そして、国際帝国主義の世界恐慌的危機―帝国主義間争闘戦という観点などなしに、圧倒的な軍事力を持つ米帝の動向が世界情勢を規定しているとだけ見るのである。
 黒田は、かつて日本革命=民族革命と主張した「M綱領草案」(注1)の立場に完全に回帰し、『実践と場所』(第1巻)で満展開した日本文化礼賛の国粋主義の立場に深々とのめり込んでいる。それこそカクマル・黒田の帝国主義的民族排外主義・国粋主義の姿を浮き彫りにしている。
 このように、エセ左翼性すら維持できなくなった反革命党派・カクマルの危機を決定的に促進したものは「神戸謀略論」運動の破産であった。にもかかわらず「謀略論」は黒田・カクマルの基本路線、黒田のイデオロギー、黒田の認識論、運動論そのものなのであり、黒田に忠誠を誓うカクマルはけっしてこの呪縛(じゅばく)から解放されることはないのだ。
 『解放』9月15日付は、イラク人民によるナジャフのアリ廟に対する爆破戦闘(バキル・ハキム師を始め百数十名が死亡)をCIAの謀略だとする「米CIAによる8・29シーア派指導者爆殺の謀略を弾劾せよ」なる論文を掲載した。
 「ムスリムの自爆攻撃とは形態を異にしたこの事件は、今や占領軍政の最後的崩壊寸前にまで追いつめられたヤンキー帝国主義権力者が、シーア派の力を削(そ)ぐとともにサダム軍とシーア派諸組織・民衆との対立を煽(あお)ることを企(たくら)んで、米諜報機関(CIAもしくはDIA=米軍諜報部)を動員して仕組んだものと推断しうる」(同9月8日付)、「金曜礼拝を狙ったあからさまな反ムスリムの手口からして、しかも、スンナ派とシーア派とが反米のために共闘を宣言した後に発生したことからして……CIA工作部隊を動員した謀略にちがいない」(同9月15日付)などと書き立てたのである。このような何の根拠もない破廉恥きわまりない「CIAの謀略」なるものを「推断」で言い立てるのは、黒田以外にない。

 被抑圧民族の決起に敵対

 カクマル・黒田は、米帝によるイラク占領支配の危機を謀略によって転換できる、ムスリム人民はやがては米帝によって屈服させられる、と考えているのだ。ここには被抑圧民族人民の命懸けの決起、民族解放への武装闘争の根底性ということについての認識もなければ信頼もない。したがって帝国主義国のプロレタリアートがこれといかに連帯するのか、どのようにしてこの侵略戦争と闘うべきなのか、という視点などまったくない。カクマル・黒田は初めから米帝の軍事力の前に圧倒され、屈服しているのだ。
 CIAによる「ハキム師爆殺謀略」だけではない。新型肺炎SARSに関してさえ、CIAの謀略であることを組織的に確認している(同6月9日付、中央学生組織委員会論文)。
 このように、「神戸謀略論」運動の破産が完全に明らかとなった今日なお、黒田・カクマルは「CIA謀略論」にすがりつこうとしているのだ。最近では、日帝権力の「緊急治安対策プログラム」に対して「ブッシュ政権・CIAによる日本の暴力装置(直接には警察・情報機関)の解体的再編」「この(神戸小学生惨殺)事件は、クリントン政権下のCIA(いわば旧CIA)が日本の暴力装置を再編するために仕組んだもの」(同10月20日付)などとでたらめな主張も始めた。
 カクマル・黒田の「謀略論」デマ運動は反米愛国主義ファシストが侵略翼賛勢力へと純化していく反革命運動なのである。
 今や黒田とカクマルはマルクス主義をもって世界史を解明しようとする立場からはるか彼方に行ってしまった。われわれは革共同第6回大会で黒田哲学の死を宣告したが、今それは激しい腐臭を放っている。
 注1 M綱領草案 1957年、黒田が緑川俊成=Mのペンネームで提出した党綱領草案。本多延嘉書記長にその対米従属論を批判され、党内討議資料の価値もないものとして葬られた。

 「神戸謀略論」の破産は黒田の指導の責任

 カクマルの組織的衰滅を決定的に促進したものは、黒田の直接的指導によって反革命組織の総力を挙げて展開した「CIAによる神戸謀略論」運動の完全な破産・行き詰まりである。
 カクマルは今日、神戸事件で関東医療少年院に入所していたA少年の出所が近いとあって戦々恐々としている。しかし、「神戸謀略論」デマ運動のでたらめさ、その破産が最後的に白日のもとにさらされるのは時間の問題である。
 この間、『週刊文春』が草薙厚子(元東京少年鑑別所法務教官)のレポートを掲載した。これは、21歳になった「A少年」の社会復帰をめぐる是非論が交錯する中で、そうした世論への緩衝の意味をもっている。だが、この中には昨年「A少年」の両親が東北少年院で面会した際、母親の問いかけに「まちがいなく自分がやりました」と告白したことなど、カクマルの「神戸謀略論」デマ運動を最後的に打ち砕く内容が含まれている。
 カクマルはこれに対していまだ何ひとつ反論することもできない。A少年の言動がカクマル組織と黒田の権威の死命を制するものとなってしまったのだ。つまりA少年の存在がカクマルの危機に転化したことを意味する。それゆえカクマルは、出所したA少年の動向をめぐって必死に対応しようとしているのである。
 そもそも「CIAによる神戸謀略」論は、カクマル・黒田が組織内操作のためにひねり出した産物である。CIA謀略論はカクマル・黒田の衰滅の墓標である。
 カクマル・黒田よ。『内ゲバにみる警備公安警察の犯罪』(02年5月発行)に「神戸謀略論」が含まれていない理由を答えてみよ。
 われわれは、カクマル・黒田が唱えた「CIAによる神戸謀略論」を何度でも思い出させてやろう。

 黒田が唱えた「CIA謀略」

 「CIAによる神戸謀略論」デマ運動は、97年に神戸市須磨区で起こった小学生連続殺傷事件で、当時14歳のA少年が逮捕される直前の6月19日、カクマルが解放社で行った記者会見が出発点である。ここでカクマルは、「解放社の前で外国人の男が『生首、バラバラ、デス バイハンギング……』と英語で叫んだ」と録音テープとともに発表、これは「神戸事件がCIAの謀略であることを示唆するものだ」と主張した。
 カクマルにとって神戸事件は、A少年が逮捕される前からCIAによる「謀略事件」だったのであり、黒田の「直観」と「推断」に基づいてデッチあげた「謀略論」運動だったのだ。A少年にかかわる権力の捜査が不正だったとか、だまされて供述したとかいう問題は、まったく別の次元の問題なのだ。
 カクマルは、A少年が逮捕されるや、小学生殺害は「CIAの謀略」であるというデマを押し通すために「A少年は真犯人ではない」と主張したのである。A少年の人権を守る立場などまったくなく、ただ黒田のご託宣による「CIAの謀略」を捏造(ねつぞう)しなければならなくなったに過ぎない。その目的のために、権力情報の入手やマスコミを使った情報操作に非公然部隊の総力を投入し、デマ工作=反革命的軍事作戦に走ったのだ。
 カクマルは神戸市内の県立病院に忍び込み、少年の員面調書、検察調書を盗み出した(コピーした)。そしてそれを『文芸春秋』に売った。また、A少年の両親宅に盗聴器をセットし、動向を逐一把握しつつ、A少年との面会に上京する母親を新幹線内で取り囲み詰問し、その内容をデッチあげの口実に利用したのだ。
 およそ「A少年の人権」など語る資格のない、腐りきった感覚しか持ち合わせてはいないのである。
 カクマルの情報操作の手法は、情報の「独占」と捏造にある。そして、権力への不信や怒りを持っている人びとの気持ちにつけ込み、たぶらかすのだ。
 カクマルが「謀略論」運動のためにいかに反革命的・反人民的な手段を弄(ろう)してきたかは、97年1月7日に権力から摘発されたカクマルの軍事拠点・豊玉アジト(東京都練馬区)から出てきたものを見れば明らかである。
 ここからは、偽造した警察手帳や名刺、1万4000本にも上る鍵(かぎ)、400本もの印鑑……。そのほかにもフロッピーディスク500枚、数え切れないほどのカセットテープ類に資料、工具類などが押収されている。
 カクマルは自作自演の「謀略論」をデッチあげるために警察官になりすまして、民間施設や一般の家に侵入し、盗聴・盗撮、窃盗を繰り返してきたおぞましい反革命党派である。
 「神戸謀略論」デマ運動は、黒田がそれにすべてを賭(か)けろと号令したものである。カクマル中枢・鬼塚が98年の『解放』新年号で、反スターリン主義・革命的共産主義運動の原点である1956年ハンガリー革命を例に出して、「神戸事件はハンガリー革命に匹敵する意義がある」と述べていることからも、黒田・カクマルがいかにこれに賭けていたか明らかだ。
 カクマル組織内でも「CIA謀略」論を信じられない産別カクマル、特に教労カクマルなどには、黒田に忠誠を誓わせるため総力で「現地調査」に行かせ、感想文運動を強制した(教労カクマルの崩壊はこの時に始まっているのだ)。
 だが、1977年の「水本謀略論」デマ運動(注2)で中心的役割を担った当時の動労(現JR総連)カクマルが、この「神戸謀略論」デマ運動では、ついに動かなかった。
 黒田は「CIAによる神戸謀略論」デマ運動をJR総連へ持ち込むことで、当時から組織分裂的危機にあったJR総連を取り込もうと策したが、黒田の狙いは最後的に破綻(はたん)し、むしろ黒田・カクマルとJR総連・カクマルへの分裂を決定的にしてしまったのだ。

 権力との蜜月も崩壊した

 さらに、権力とのK=K連合(警察=カクマル連合)の蜜月(みつげつ)も、検察調書の非合法的入手という突出によって、権力と反革命の間の軋轢(あつれき)と矛盾が激化する方向へと突き進む。
 カクマルは、権力の容認のもとで反革命的軍事行動を行ってきたが、いざ権力が追及を始めるや、自らの非公然組織を対権力的になんら守り切れないという無力さを思い知らされ、軍事組織そのものの自己崩壊が進行したのだ。
 黒田の権威をかけた「CIAによる神戸謀略論」はこうして、@JR総連との分裂、A軍事組織の自己崩壊、B産別カクマルの解体という、カクマル組織の衰滅的事態を生み出した。
 すべては黒田とそれをとりまいているカクマル中枢の指導の結果なのだ。今日、「CIAによる謀略」は内輪の話であり、人前では相手にされない。
 「神戸謀略論」を始めとした「謀略論」運動の本質は、人権問題や権力犯罪の告発とは百パーセント無縁なものだ。否、むしろこれに敵対し、人民の意識を階級闘争からそむけ、権力への怒りを「謀略史観」によって解体するものである。
 われわれは、ここで純粋に人権問題のつもりでかかわっているという人士にも問わなければならない。カクマルが反人民的手段を用いて入手した情報に依拠し、またそれを前提とするような運動が人権運動たり得るだろうか、と。
 注2 「水本謀略論」デマ運動 1977年1月6日、江戸川で元日大生カクマル活動家・水本潔が水死体で発見された事件。カクマルは「死体は水本ではない。水本は権力に謀殺され、死体はすりかえられた」とうそを主張し、「謀略粉砕運 動」を展開した。

 侵略戦争突入情勢はカクマル追い詰める

 JR総連・カクマルと反革命軍事力をそがれた中央派・カクマルは、ひたすら黒田への帰依運動に精を出している。
 日帝・小泉の侵略戦争開始という激動情勢の中で、反戦闘争に敵対し、特に学生組織はと言えば、「二度とブントのような組織を作ってはならない」、すなわち大衆闘争を本気で展開しようとしたら反カクマル=ブント的になると批判され、ひたすらアリバイ的な政治行動に振り回され、消耗しきっているのである。
 今やカクマルは、黒田を「尊師」と仰ぐカルト的集団になりつつある。
 オウム真理教(現アーレフ)などに見られるカルトの主な特徴として、@「超越的存在」としての「尊師」がいる。A構成員は「自分はだめな、未熟な存在」として永遠に自己と自己の人格を否定(=帰依)する。B「尊師」には未来を予見できる能力があるかのように信じさせる(=予言)。C社会的な事象を終末論(暗黒論)で説明する。Dそして閉鎖的空間における情報の操作(世間との隔離、出家など)が行われる。すなわち、暴力をも背景として外に向かってはデマ宣伝と懐柔、内に対しては事実を事実としてとらえることが俗人的であり忌まわしいこと、未熟な者として排撃される関係にある。Eこれらを精神的、実体的に補強し強制するための強迫観念を形成する(自分たちは得体の知れない巨大な力によって攻撃されている、悪魔が襲ってくる、呪われるなど)――などが挙げられる。
 黒田・カクマルは、このようなカルト的性格を決定的に深めていると言わなければならない。
 黒田が現代社会を「彩電的、電脳的疎外の深刻極まりない深まり……は現代国家独占資本主義的腐朽の表れであるが、しかし、こうした概念規定をもってしてもあらわし得ないほどの世紀末的様相」(『政治判断と認識』)とか、「暗黒の21世紀」と言うとき、それは完全に世紀末的終末論に立っている。黒田は、今日起こっている社会的事象について、帝国主義の危機と腐朽の問題としてとらえ、これを労働者階級自己解放の闘いへと転化していくというマルクス主義的視点にはまったく立っていない。逆に階級的なものを否定するために、権力の謀略、CIAの謀略を対置するのである。

 「革命の仮面」は通用しない

 この根底にあるのは、愚民思想に基づいて他者への絶望を組織することであり、かつ労働者人民の闘いに対する根底的不信である。「この社会は腐敗しきっている、変革などできない。カクマル(=黒田)だけが崇高なものを求めている」という「選民思想」で組織を維持しようとしているのだ。
 このような観念的逆立ち(観念的疎外の極致)は、カクマル・黒田の組織現実論の根幹にあるものである。これこそ、労働者階級が打倒しなければならないファシスト思想そのものである。
 中央派・カクマルの危機的惨状を規定しているのは、第一に、帝国主義間争闘戦の激化とその突破をかけた日帝のイラク侵略戦争―北朝鮮侵略戦争切迫情勢である。この激動情勢こそ、大衆闘争を単なる組織戦術としてしか位置づけないカクマルを直撃している。労働者人民の激しい階級的決起にカクマル自身が揺さぶられ、ファシスト的アリバイ行動による対応が自らの動揺を繰り返し引き起こすからである。
 第二に、階級闘争の社会的先鋭化とこれに対する日帝・国家権力の戦時型治安弾圧体制は、ファシスト・カクマルが権力の統制を超えて独自的な反革命活動を展開することを許容しない段階に入っているということがある。
 第三には、こうした情勢の中で帝国主義の戦争政治に対する労働者人民の怒りが一層深まっており、革命と反革命を峻別(しゅんべつ)する能力が大きく育っているということである。それは、もはやカクマルの左翼的ポーズや革命の仮面が通用しないことを意味している。もちろん、われわれが血を流して切り開いた対カクマル戦争がそれをはぐくんできたことについてはっきりさせなければならない。
 この間の中央派・カクマルそしてJR総連・カクマルへの権力の弾圧、踏み込みは、何を示しているか。それは、戦争突入情勢下においては、日帝・国家権力にとって、これまでのようなK=K連合のあり方が桎梏(しっこく)となったがゆえに、権力の側からカクマルとの関係の根本的転換・再編を迫っているということである。
 それは、カクマルにとっては反革命党派としてもこれまでどおりやって行けないということであり、翼賛的・排外主義的ファシストへのさらなる脱皮を図ることが迫られているということを意味する。しかし、それも甘くはない。反革命であることが人民に認知されてしまっているからである。カクマルは、あくまでも革命の皮をかぶった反革命であることに意味があるからだ。
 そうした中で、カクマルのカルト化が進行しているのである。それは黒田の思想的死であり、権力への投降の結果である。だが、カルト化を深めているとはいえ、カクマルがファシスト集団であることに、いささかの変わりもない。革命か反革命かをめぐる階級的激突情勢の中で、展望を失ったプチブル層を組織し、反革命的暴力を行使する一層凶暴なファシスト運動へと転化することは歴史が示している。
 反革命党であり、ファシストであるカクマルの中央派とJR総連派に対して、われわれはけっして武装解除することなく、すべての戦線から一掃するまで戦わなければならない。
 革共同第6回大会で確認した対カクマル戦勝利の地平に立って、政治的・軍事的・イデオロギー的にカクマルを打倒する闘いとJR総連カクマルを打倒する闘いを階級闘争の一環として正しく展開し、新指導路線の貫徹、「労働者の中へ」の本格的・全面的な実践のために闘おう。その闘いこそがまたカクマル完全打倒の道でもある。

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週刊『前進』(2131号5面2)(2003/12/22)

 水嶋同志を奪還

 88年9・21千葉県収用委会長せん滅戦闘デッチあげ裁判被告、無実の水嶋秀樹同志がついに保釈をかちとり、闘う人民のもとに奪還された。11日夕刻、水嶋同志は3年ぶりに東京拘置所を元気に出獄した。重大な勝利だ。12月19日(金)の最終弁論に大結集し、懲役15年求刑攻撃を粉砕し、無罪戦取へ闘おう。

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週刊『前進』(2131号5面3)(2003/12/22)

対角線 米軍撤退求めない日共

 日本共産党のイラク侵略戦争に対する態度を象徴的に示す事態が起こった。11月25日の衆議院予算委員会での質問に立った日共の赤嶺政賢議員が「今国連で米軍が撤退せよと言う、こういう議論は起こっていません」と発言し、逆に小泉から「共産党は米軍の撤退を求めていないのか」と再三突っ込まれるという醜態をさらしたのだ。総括質問の主客が転倒してしまったのである。
 これについて、27日の『赤旗』に穀田恵二国会対策委員長の「日本共産党の主張ともことなる誤った発言」との釈明が載り、赤嶺自身も「自己批判」的コメントを載せている。だが、これは、日本共産党の言う「国連中心の復興支援の枠組みのもとでの米英軍の早期の撤退」という「提案」が、実は米英軍と現に戦っているイラク人民に真っ向から敵対するものであることを示している。
 ほかならぬ米軍基地の島・沖縄から出ている赤嶺が、米英軍を容認しているというのも驚くべきことだ。侵略軍隊である米英軍と命を懸けて闘うイラク人民と連帯しない「沖縄基地撤去」は偽りだ。その意味では、赤嶺質問は、沖縄人民の闘いにも敵対しているのだ。
 しかし、何よりも問題なのは、日本共産党が「テロ根絶」の立場に立ち、イラク人民の武装解放闘争に敵対していること、そのために「国連の枠組み」のもとでの治安回復=イラク人民の「平定」を望んでいること、したがって米英軍の存在を口先はともかく現実に容認していること、にある。それが赤嶺発言という形で露呈してしまったということなのだ。
 日本共産党は、日帝の先兵として米英軍に協力していた外交官2人がイラク人民のゲリラ戦争で死亡したことについて、「哀悼の意」を表明し、志位委員長を始め幹部が合同葬に参列している。
 帝国主義の侵略戦争に対決する立場が少しでもあれば、こんな態度は絶対にとれないはずである。日共は帝国主義の番兵そのものだ。 (来)

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週刊『前進』(2131号6面1)(2003/12/22)

団結ひろば 投稿コーナー

 労働者に国境はない団結して資本と闘う 関西合同労組兵庫支部 M

 11・9は、日比谷野音を埋める日本の労働者とアメリカ・韓国の労働組合代表が合流し、国際連帯を宣言する画期的集会でした。
 わたしはこの種の国際的共同行動は初めてで連帯感に身震いしました。たしかに数はまだ数千ですが、背後には大失業と戦争攻撃に怒る膨大な労働者がおり、彼らとの結合が進みつつある中での日・米・韓の労働者の国際的司令部の形成は、国際帝国主義打倒の展望を指し示しました。ふだんは音楽のリズムに体が動かない50歳を超す私ですが、この日は律動のリズムを必死で行い、ツジェン! を大声で叫んでいました。
 関西合同労組ではこの集会を職場闘争全国大会と位置づけ、兵庫からは大型バスを運行しました。当初はこの間直面する職場闘争の壁の突破・弾圧との闘いが中心と考えていましたが、国際連帯がメインと聞きバス内で韓国の生コン労働者の闘いを学習しての参加でした。ビデオでは生コン労働者の身を切る激しい闘いとともに、おもちゃの車を引いての一人デモに共感が広がり、繰り返しビデオを見ました。これは弾圧の集中する関西合同労組こそ、創意工夫あふれる闘いを学び共に闘おうという共感です。帰りの車中でも、組合に結集して間もない初めての参加者や、交流センター各産別の仲間から、労働者の団結の力を実感したとの発言が続きました。
 地元に帰り地区労に報告に行きました。少し前までは「職場の課題で手が一杯」と国労臨大弾圧署名を断る組合の中に、今は「他人事ではない。人の痛みが分かる組合でありたい」と言う組合が生まれています。そして実は彼らは11月9日、ソウルの労働者大会に行っていたのです。東京でも、ソウルでも、兵庫でも、資本の攻勢の前に労働者は団結して闘う以外ないのです。関西合同労組は、職場闘争・弾圧との闘いの勝利と国際連帯をかかげ1年を闘い、来年は今回を倍する規模で登場します。

 民主労総の「律動」で自分の中に高揚感 静岡・福祉労働者 坂井由紀子

 この労働者集会には今まで何回も参加していますが、今年の集会は国際連帯ということで、韓国とアメリカが参加するので今までとは違った集会になるのではないかと思い、わくわくした気持ちで参加しました。
 韓国やアメリカを始めとするさまざまな発言もよかったのですが、私が一番印象に残ったのは、なんと言っても民主労総の「律動」と呼ばれる歌と踊りでした。最初は振りもバラバラで合っていませんでしたが、回数を重ねる度に合っていき、自分の中で高揚感が漂い、今年の集会は今まで以上に盛り上がった集会なんだとあらためて感じました。
 その後のデモも3カ国語でのシュプレヒコールが響き、沿道の人びとが注目していました。
 しかし今、労働条件の劣悪化や首切り、戦争へ向かっているこの情勢の中で、この沿道の人たちも当たり前のように集会やデモに参加するような運動を、私たちは広めていかなければならないと思いました。
 私の職場も労働強化が激しく、仲間の間でも不満や矛盾が噴き出しています。団結の大切さや組合の必要性など常に訴えながら、3労組や韓国、アメリカの闘いを見習い、がんばっていきたいです。
 そして来年は、韓国やアメリカ、そしてそれ以上にもっと多くの国が一緒に連帯して、今年よりもパワーアップした集会にしていきたいと思います。
 いろいろなことがあるけれど、乗り越えて頑張っていくぞ!

 「生存権は譲れぬ」を読みもやもや晴れた 東京・介護労働者 水島かほり

 『前進』で介護の問題をとりあげていると友人から聞き、初めは少し抵抗があったのですが、読者に開かれているというのでいくつか読ませてもらいました。
 私は、最近、あるケアセンターに勤め始めました。「生存権は譲れぬ」の連載はよかったです。社会保障制度を解体する国の政策の数々が紹介されています。日々お年寄りに接して感じていたもやもやが晴れました。
 年金制度の改悪は、介護保険制度の中で苦しんでいるお年寄りを、よけいいじめるものです。わずかな年金にすがって生活している方々にとって、今の保険料の額が相当負担になっています。本当に、年金制度の改悪は、すべての人間が人間として人生を全うする権利を国民から奪うものだと思いました。
 貧しい高齢者を殺すのに刃物はいらぬ介護保険がある、と言う方がおられるとのこと。そうだ! 怒りが湧(わ)いてきました。私も、こういうかわいそうなお年寄りのために、何かしなければという思いを強くしました。
 この連載を読んで残念だなあと思うことがあります。『前進』には、社会福祉の問題についての記事が少ないです。反戦やリストラの問題も大切です。だけど、命を削られているお年寄りのことを思うと、もっと身近なものを取り上げてもらいたいと思います。ケアセンターの同僚にも気軽に読めるようにして欲しいです。『前進』に期待します。

 佐世保相浦駐屯地に派兵即時中止を要求 長崎 大村章子

 11月30日朝、「イラクで日本人外交官2人が殺害された」という記事が目に飛び込んできました。私たちが心配していた現実がついに起きてしまいました。福岡の「女たちのデモ」に参加し、仲間とさっそく相談。自衛隊基地への申し入れを決定しました。
 12月5日、「とめよう戦争への道! 百万人署名運動長崎県連絡会」(高田末博代表)は、長崎県佐世保市の陸上自衛隊相浦駐屯地を訪れ、着任したばかりの川口洋市司令に対し、陸上自衛隊のイラク派兵の中止を求める申し入れ書を提出しました。(写真)
 小泉首相は国会論議も避けて年内にイラクに派兵させようとしています。何としても派兵を止めようと11月から長崎、佐世保両市を中心に「自衛隊はイラクに行くな! 殺すな! 死ぬな!」を合言葉に、署名活動を行ってきました。
 街頭署名には自衛隊員の家族が多数応じてくれました。60代の女性は、「私の息子は自衛官です。死にに行くようなもので反対です」。20代の男性は、「友人が自衛隊員で(イラクに)行きたくないと言っている」。30代の隊員の家族は、「現在のイラクは戦争状態と変わらない。自衛隊派遣を考え直してほしい」と訴えています。
 「19日佐世保市民の会」にも呼びかけて2050人分の署名を提示し、派兵の即時中止を要求。徳永五郎さん(日本キリスト教団相知伝道所牧師)は、「イラクで死ぬのは名誉でも何でもない。間違った戦争だ」と訴えました。

 『俺たちは鉄路に生きる2』を読む 明るい未来が見える組合づくりの必読書 千葉・民間労働者 小西由貴子

 中野洋さんは、青年労働者だったころに「もう一回マルクス主義・レーニン主義を復権させよう」「社会党・共産党に代わるもっとちゃんとした労働者の党をつくろう」「そういう壮大な事業の一角を一介の労働者である自分が占めるのだという誇りや、血沸き肉躍る感覚みたいなものがあった」と語っておられます。この思いがあるから、何をする時も、いつだって心の底から意地を張って闘いぬくことができたし、動労千葉の今があるのですね。戦時下の今、私もその気持ちをもって行動する時だと思いました。
 労資協調組合を闘う労働組合に変革していく闘い、反合・運転保安闘争、ジェット闘争、分離・独立へ……など、労働者の闘いは労働者家族を含めた闘いです。この闘いを十分に知らなければいけないと思いました。この土台の上に今の動労千葉があり、動労千葉の未来があるのですから。歴史を知って実践する中でこそ明るい未来が見えてくるとつくづく思いました。だから動労千葉以外の人ももっと知るべきだと思いました。この本は闘う労働組合をつくろうとする人の必読書だと思うからです。
 本の後半からは、私も動労千葉の闘いに触れ、ともに歩んできました。読んでいる行間から、興奮、ものすごい怒り、感動、その時の汗くささまでも新鮮によみがえってきます。
 そして連日厳しい闘いであったでしょうに、なぜか動労千葉の組合員のみなさんが子どものように楽しそうな笑顔で活気に満ちていて、とても不思議だったことが思い出されます。信頼し合って団結して闘う姿なのですね。また、暗い動力車会館に立ち寄った時の、肩をいからせて後方にメラメラ炎が見えるほどだった仁王様は、悩みに悩んでいた時だったのだと納得しました。
 『俺たちは鉄路に生きる2』の題名は、鉄道労働者として生きると同時に、どこまでもまっすぐに輝く線路のように信念を貫いて生きる生きざまなのだと思いました。

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週刊『前進』(2131号6面2)(2003/12/22)

 04年「司法改革」攻撃粉砕へ(下)

 「予防検束」復活する共謀罪 冤罪を拡大する裁判員制度

 日帝・小泉政権は04年1月からの通常国会に20本近くの「司法改革」関連法案を提出する予定だ。この過程が「司法改革」攻撃との最大の戦場となる。
 日帝・小泉は、北朝鮮侵略戦争への参戦を決断し、「凶暴な戦争国家」への大転換を開始している。
 帝国主義とは、米帝に見られるように、そもそも「凶暴な戦争国家」だ。ところが日帝は、戦後憲法体制と労働者人民の闘いに規定されて、「凶暴な戦争国家」を支える暴力装置=侵略戦争のできる軍隊と強力な国内治安弾圧体制を形成しきれなかった。第3次世界戦争=帝国主義間の強盗戦争の切迫に追いつめられた日帝にとって、このことが最大の桎梏(しっこく)となっている。
 小泉政権は、絶体絶命の危機に直面し、この桎梏を「イラク派兵」と「司法改革」攻撃で突破しようとしている。したがって、「司法改革」攻撃を粉砕する闘いは、日帝・小泉政権打倒に直結しているのだ。

 刑事司法の大改悪で一層の強権支配

 「刑事司法の大改悪」は、戦後憲法と刑事訴訟法を完全にぶち壊し、第2次世界大戦中の「簡易、迅速、重罰」裁判を復活させる攻撃である。かつての治安維持法をも上回る形で、革命党を壊滅し、労働組合を始めとするあらゆる自主的組織を弾圧・解体することが狙いなのである。とりわけ共謀罪と裁判員制度が合体することにより、恐るべき弾圧体制が形成される。(図参照)

 共謀罪の新設

 先の臨時国会に提出された共謀罪法案は廃案となった。しかし、来年の通常国会には必ず再提出される。
 共謀罪は、「○○の共謀をしている」と警察官が判断するだけで逮捕ができる。これにより、革命党や労働組合、反戦団体などを対象にして、その活動を事前に弾圧することのみを目的として共謀罪を適用することが可能となる。まさに治安維持法下の「予防検束」を復活させるものだ。
 共謀罪の問題点は、@2人以上の「集まり」はすべて捜査(弾圧)の対象となる、A対象犯罪が刑法と特別刑法にある557罪種と膨大である、B「犯罪」の成立に実行行為(着手や未遂も含めて)を一切必要としない、C自首した者は減刑または免除(起訴しないこと)する、D警察権力が共謀罪の捜査・立証と称して、社会の隅々まで監視する体制をつくりあげ治安弾圧を強化する―などである。
 さらに、来年の通常国会には、次のような治安立法の攻撃が行われようとしている。
 ゲートキーパー法 弁護士を国際金融システムのゲートキーパー(門番)と位置づけ、マネーロンダリング(資金洗浄)の「疑いある取引」の報告義務を強制する法律。違反すれば懲役刑となる。
 重無期刑 死刑と無期刑(仮釈放がある)の中間に重無期刑=「仮釈放のない終身刑」を創設する攻撃。死刑廃止を推進する議員連盟(亀井静香会長)が議員立法を推進している。
 サイバー犯罪条約の批准 「国際犯罪防止」を名目に、国家権力がインターネットを管理・統制し、自由に傍受=盗聴できるようになる。

 裁判員制度の創設

 裁判員制度とは、無作為(抽選)で選ばれた25歳以上の「国民」が、裁判官とともに刑事裁判の審理と量刑に加わる制度である。司法制度改革推進本部の「試案」では、「職業裁判官3人、裁判員4人」となっている。
 裁判員制度は、戦時型裁判への道である。戦時型裁判の特徴的な例として、2・26事件における戒厳下の特設軍法会議がある。この「裁判」には、@1審制で上告なし、A公判は非公開、B弁護人なし、C証人の喚問は全部却下、D被告人は拘束されたまま発言する、E公判開始から2カ月で決着した、などの特徴点がある。
 「軍法会議は特別だ」と考えるべきではない。戒厳下では、平時の法制度は全面的に停止され、軍隊は軍内部のみならず民間人にも自らの規律を強制する。したがって帝国主義国の軍隊は、自律的にその組織を維持するための軍刑法と軍事法廷や軍法会議と言われる裁判機関を持っているのだ。ところが、日帝・自衛隊はそれを持っていない。この点も日帝・小泉にとって桎梏となっている。裁判員制度は、そのすき間を埋める制度にほかならない。
 裁判員制度の第一の問題点は、国家権力が差別主義・排外主義を民衆(裁判員)に扇動し、それを「健全な社会常識」として裁判に反映させ、重罰化など権力の思惑どおりに裁判を誘導することである。
 第二の問題点は、「裁判の公開」を定めた憲法37条と82条に違反する「準備手続き」(弁護人と検察官と裁判官だけの密室協議)と「連日開廷」を導入することだ。それにより、法廷は「否認事件でも5日、普通は2日もあれば十分だ」と言われるような儀式の場となる。また訴訟指揮に従わない被告人や弁護人には制裁処置を行うことができるた。
 第三の問題点は、裁判員に出頭の義務を課し、現代版「赤紙」を強制することだ。そのために、違反者には罰金が科せられる。
 第四の問題点は、「有罪か無罪か」だけでなく「死刑か懲役か」などの量刑まで「過半数」で決めることで、冤罪を増加させ、重罰化を拡大することだ。
 第五の問題点は、「裁判員への接触を禁止」することで、裁判報道を禁止し、大衆的な裁判批判・裁判闘争を弾圧することだ。
 ★公的(国営)弁護制度
 国費による被疑者弁護制度と称して、法務省が主管する独立行政法人の「リーガルサービスセンター」(LSC)を全国に100カ所創設し、そこが弁護士を雇い入れ重大な刑事裁判の弁護を担当するという制度がつくられようとしている。刑事専門弁護士なるものをつくり、一人年間100件もの裁判を担わせるなどの方針がすでに論議されている。この刑事専門弁護士が裁判員制度で被告の弁護人となる。
 この制度は法務省が監督官庁になり、弁護士を国家権力に奉仕する存在へと転換させる大攻撃だ。
 ★裁判迅速化促進法
 03年7月に「裁判の迅速化に関する法律」が成立した。その内容は、「第1審の訴訟手続きについては、2年以内のできるだけ短い期間内に終局させる」というものだ。
 01年の統計を見ると、1審で2年を超える刑事裁判は0・4%、民事裁判は7・2%である。この現実にもかかわらずあえて立法化したのは、これらの裁判が起訴事実をめぐって激しく争っている裁判だからである。裁判迅速化法は、裁判闘争を抹殺する攻撃なのだ。

 弁護士自治を破壊国家への奉仕者に

 弁護士とはいかなる存在か。もちろん、階級的に見れば、ブルジョア社会の法は「法律という形にまで高められたブルジョアジーの階級意志」(『新訳・共産党宣言』39n)の表現であり、弁護士は「ブルジョアジーのお雇い賃金労働者」(同13n)という存在だ。
 しかし重要なのは、労働者人民の闘いは、戦後憲法をテコとして弁護士を「被疑者・被告人の共同闘争者」として獲得する中で闘いぬかれたことだ。それは、弁護士自身が労働者階級の側に積極的に合流する闘いの歴史でもあった。
 日帝は、もはやこのような労働者人民と弁護士の関係を放置できなくなった。そこで、既存の弁護士制度そのものを解体し、「公益」(国家)への奉仕者へと変質させる攻撃に出てきたのである。

 弁護士の変質

 法律家の養成機関として、法科大学院(ロースクール)が来年4月から開校(66校で定員総数5430人)される。これにより、06年から始まる新司法試験は法科大学院の修了が受験資格となり、現行試験は2010年で終わる。
 法科大学院は大学卒業者を対象とし、年間学費300万円以上が必要となる。あらかじめ経済的弱者を排除している。また「専門職大学院」のため、文科省と法務省が設立から運営まで介入する。そのため教授などに、検事・判事・法務官僚のOBや企業顧問の弁護士などがどんどん進出している。そこでたたき込まれるのは、もはや学問や理念ではなく、国家権力への奉仕者としての実務である。
 ★弁護士自治の解体
 弁護士会は、国家権力から完全に独立した自主懲戒権を持っている。弁護士の資格を剥奪(はくだつ)できるのは、弁護士会の「綱紀・懲戒委員会」だけである。この制度の「見直し」と弁護士会運営に介入する(「市民」を参加させる)ことで、弁護士自治を解体しようとしている。
 ★弁護士業務規定の導入
 弁護士法の懲戒事由は「倫理規定」であり、具体的な判断は所属弁護士会が判断する。
 ところが、法務省に屈服した日弁連執行部は、弁護士倫理委員会で「弁護士業務基本規程」を策定し、04 年2月の日弁連臨時総会で導入しようとしている。実現すれば、職場占拠で争議を闘う組合の弁護ができなくなる、被告人に黙秘を勧めることができなくなる、共同弁護団が禁止される、などの事態が生まれる。

 小泉打倒に向けた戦略的闘いの一環

 日帝ブルジョアジーは、もはや労働者人民を食わせていけないという状況に突入し、さらなる首切りとリストラ、民営化の大攻撃を激化させている。それを小泉=奥田路線として全面的に推進している。
 これに対して、11・9労働者集会は、日帝足下の労働者人民の団結強化と日韓米の労働者人民の国際連帯闘争による世界的な規模での資本攻勢との闘いを宣言した。労働者人民は小泉=奥田路線を粉砕できるという確信をつかんだ。この確信は、日帝・小泉の「凶暴な戦争国家」への大転換の攻撃に対する巨大な階級的反撃力を形成する。
 世界各地で闘われている階級的労働運動や反戦運動のスローガンには、デッチあげ弾圧と闘う政治犯に対する救援の呼びかけが必ず掲げられている。そこには、資本攻勢と侵略戦争と治安弾圧は帝国主義の一体的な攻撃であるという考え方が浸透している。
 今や、日本の労働者人民は、戦後革命期をしのぐ「戦争と革命の時代」に突入している。「司法改革」攻撃との闘いは、日帝打倒に向けた戦略的闘いの一環である。「司法改革」粉砕の04年決戦へ、すべての労働者人民はともに闘おう。
(山本 茂)

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週刊『前進』(2131号6面3)(2003/12/22)

弾圧と闘う 10万人署名 3・25無罪判決獲得を

 福嶋さん年内保釈へ集会

 12月6日午後、日本キリスト教会館において、不当な長期勾留をやめさせるために!十万人保釈署名運動主催の「実現しよう!福嶋さんの年内保釈を、須賀・十亀・板垣さんの無罪を、12・6集会」が行われ、会場を満杯にする90人の結集で熱気ある集会がかちとられた。
 冒頭、事務局から11月7日に急逝された呼びかけ人代表の森山つとむさんを追悼し、彼の遺志を継いでなんとしても福嶋昌男さんを年内にとり戻し、4人の無実・無罪をかちとろうという開会の宣言がなされた。
 連帯のあいさつが、獄中29年無実を訴え再審運動を不屈に闘いぬく星野文昭同志の連れ合いの暁子さん、続いて共謀罪新設攻撃の最先頭で闘いぬく破防法・組対法に反対する共同行動、救援連絡センター・山中幸男事務局長からなされた。続いて、昨年末12月27日、3同志が解放された場面のビデオ上映が行われた。16年という年月を物語る膨大な荷物とともに、元気よく獄外に出てきた3同志が、多くの仲間とインターナショナルを大合唱する場面などが映し出され、あの日の感動が再び会場を覆った。
 興奮さめやらぬ中、3同志が登壇した。3人とも、森山さんを始め今年亡くなられた方々に対する追悼と、その遺志を継いで自ら先頭で闘いぬく決意を述べた。
 まず、須賀武敏同志は、「昨年末の保釈は奇跡とも言える勝利であった。しかしそれゆえに福嶋さんの保釈闘争はけっして平坦なものではない。検察側の反動的巻き返しが行われており、新たな決意、気迫で今日をもって闘いぬこう」と檄(げき)を飛ばした。
 次に板垣宏同志が立ち、「検事論告は膨大ではあるが、同じことのくり返しばかり。論証はないし、証拠もないという奇妙きてれつな論告になっている。論告が私たちの無実・無罪を証明している」「重要なのは、検察がこの論告の破産を福嶋さんの公判で取り戻しを図って卑劣な策動を展開しようとしていることだ」と述べ、まなじりを決して闘いぬく必要があることを熱烈に訴えた。
 十亀弘史同志は、「裁判官を前にしている時より緊張する」と言いながら、保釈制度などなきに等しい司法の現状、東京拘置所新獄舎の非人間的構造、自らの無実・無罪への確信、そして獄外での闘いの重要性について簡潔に展開した。「3・25での無罪判決獲得は、実体的真実と自分たち3人の確信だけではかちとることはできない。やはり、ダイナミックな運動の展開がどうしても必要」だと強調し、無罪戦取への参加者の決意を促した。
 福嶋昌男同志の「裁判闘争・獄中闘争に勝利します」というメッセージが読み上げられ、ひときわ大きな拍手で確認された。
 福嶋弁護団と3同志弁護団からのあいさつがあった。デッチあげ弾圧の核心である岩手借家から押収したとされる「バラバラの断片メモ」について、検察側は何も立証できていないことが報告された。そして、無罪判決しかないと断言し、最後までともに闘いぬく決意が語られた。
 次に福嶋同志の弟さんから「皆さんいつもお世話になっています。自分も一生懸命やりますのでどうぞ力を貸して下さい」とのあいさつを受けた。
 休憩を挟んで、リレートークに移った。宗教者、市民運動家、憲法学者、学生など運動にゆかりのある人びとがそれぞれの思いを語った。憲法学者からは、「保釈の問題と判決の行方は一法律学者として注目している。この国の将来がかかった試金石だ」と警鐘を鳴らす発言がなされた。
 最後に、共同代表の西山勲さんから、「森山さんに哀悼の意を表するということは、行動で福嶋さんを取り戻し無実・無罪をかちとるということです。年末に向かってともに闘っていきましょう」とのまとめが力強くなされ、集会を締めくくった。保釈奪還と無罪判決戦取にむけ年末決戦を闘いぬこう。

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週刊『前進』(2131号6面4)(2003/12/22)

弾圧と闘う 福嶋裁判 許せぬ服部裁判長の指揮

 公判引き延ばし図る

 12月5日、福嶋昌男同志の170回公判で東京地裁刑事第3部服部悟裁判長は、前代未聞の裁判引き延ばしと検事への反動的指揮を行った。徹底弾劾する。
 服部は、検察官の10年にも及ぶ「立証活動」を容認してきた。しかしそれも次回12月22日の公判で終了する予定となり、最後の検察側証人である馬路(まじ)充英筆跡鑑定人に対する反対尋問が大詰めを迎えた。
 ところが服部は、前回11月の公判で突如として、検察官に追加立証を行うよう要請した。迎賓館・横田事件とはおよそ関係ない他事件をからませて、「立証」を続けよと裁判官自ら働きかけたのだ。これにこたえこの日、検事はこれまでもはや立証の予定はないとしてきた17点もの証拠調べを新たに請求したのだ。
 これは、裁判長自らが公判の引き延ばしを図り、保釈却下の理由にしようとするものである。それだけではない。服部裁判長は有罪判決を書く立場で、検事にこれこれが必要だと補完させているのだ。89年に須賀同志らの公判を担当していた中谷判事が「証拠がないのは被告人が隠しているから」と『ジュリスト』誌上で発言したことを上回る暴挙だ。絶対に許せない。
 4年間にも及んだ筆跡鑑定をめぐる小島直樹と馬路充英への証人尋問で、弁護団はデッチあげの根拠である筆跡鑑定が非科学的「御用鑑定」でしかなく、同一性の証明たりえないことを完璧(かんぺき)に明らかにした。この日も馬路鑑定人が、片仮名の「ネ」と「初のころもへん」を比較し平然としていることなどに怒声と失笑があふれた。
 検察側立証が10年をかけてもなんら立証できなかった事態に不安を抱いた服部が、福嶋同志への予断と偏見をむき出しにして、検察立証に協力し、指導まで行う異常事態になったのだ。
 治安判事の姿をあらわにした服部を徹底的に弾劾する。追加立証の採用を許すな! 福嶋同志をただちに釈放せよ。

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週刊『前進』(2131号6面5)(2003/12/22)

 公判日程

☆迎賓館・横田裁判
福嶋昌男同志裁判
12月22日(月)午後1時15分
☆水嶋秀樹同志裁判
最終弁論
12月19日(金)午後1時30分
 *いずれも東京地裁

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