ZENSHIN 2003/12/15(No2130
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週刊『前進』(2130号1面1)(2003/12/15)
自衛隊派兵「基本計画」粉砕せよ 小牧・北海道・全国で反戦闘争の嵐を
米英日帝と闘うイラク人民に連帯し派兵阻止闘争に立とう
11・29ゲリラ戦闘に対する革共同の態度
11月29日、米英日帝のイラク侵略戦争と軍事占領に対するイラク人民の怒りが日本大使館の外交官に向けられ、2人の死者を出す事態が発生した。日本国内では「国を挙げて哀悼を」だとか「英雄」化を狙うキャンペーンが張られ、「テロに屈せず、自衛隊派遣を貫く」という小泉政権の掛け声のもと、イラク特措法に基づく自衛隊派兵の基本計画が今週にも閣議決定され、侵略戦争の戦場への大規模派兵が強行されようとしている。この事態に対して、われわれはどのような態度をとるべきなのか。
第1章 侵略の先兵たちへの怒りの反撃は正義だ
第一に、この事件は米英日帝のイラク侵略戦争に対する必然的なゲリラ戦争であり、正義の闘いである。
起こったことは、侵略当事国、最凶悪の参戦国である日帝に対する攻撃である。政府自身も認めているように、日本人外交官に向けて狙いすました攻撃である。米英軍の軍事占領を支えるために、日本政府がイラクの地で行ってきたことへの当然の反撃である。3・20開戦直後から米帝ブッシュを真っ先に支持し、強力な後ろ盾となってきた日帝に対して、イラク人民の怒りが爆発したのだ。
さらにまた、これは日帝の自衛隊イラク派兵を絶対に許さないという意志表明である。イラク人民、ムスリム人民は、3・20以来の日帝の突出した米帝支持表明に対して、「日本は第3の敵国」と断罪し、さまざまな形で警告を発してきた。それにもかかわらず、日帝・小泉は、「テロリストの脅迫には屈しない」と繰り返して、自衛隊派兵に向かって準備を続けてきたのである。
2人の外交官は、4月からORHA(米復興人道支援室)に派遣され、CPA(米英暫定占領当局)のもとで、積極的に占領行政に加担してきた侵略者そのものである。イラク侵略戦争の先兵として自衛隊の受け入れ体制を構築するための工作活動に従事していたのだ。死亡した奥参事官は、自身のホームページで「テロとの戦い」を叫び、「復興支援」の名のもとに自覚的に米帝のイラク侵略戦争に協力・加担してきた中心的な人物であり、当然にもイラク人民のゲリラ戦争の標的となったのである。
一切は、米英日帝のイラク侵略戦争と軍事占領の中で起きている。この残虐なイラク侵略戦争を止め、米英日帝がイラクから撤退しないかぎり、このような事態がますます激化することは明白である。
考えてもみよ。政府もマスコミも「日本人2人の死」を大騒ぎするが、米英軍によって殺された数万人のイラク人民のことは、政権転覆や石油資源略奪のことは、どうして問題にしないのか。自分たちの土地に侵略してきた、圧倒的な重武装の帝国主義軍隊に大量虐殺されているのはイラク人民なのだ。
米軍は今、大空爆を再開している。「アイアンハンマー」作戦で、「ゲリラが潜んでいる」という口実を設けてイラク人民を住居から立退かせて破壊することを続けている。パレスチナにおけるイスラエル軍と同じことをやっているのだ。
イラク人民の怒りと敵意と憎悪に包囲された米英軍は、ますますイラク人民全体を敵視して攻撃をエスカレートせざるをえなくなっている。かつて日帝が中国侵略戦争にどこまでも深々とのめり込んで破滅していったように、米帝はイラク侵略戦争の泥沼から抜け出すことはできない。
本格的な参戦狙う日帝小泉
第二に、この事件後もあくまでも自衛隊派兵方針を変更せず、自衛隊を戦場に送り込もうとしている小泉にこそ最大の責任があるということである。
「イラク侵略戦争は不正義の戦争だ」「米英軍は一刻も早く撤退すべきだ」という大多数の人民の声を踏みにじって、イラク侵略戦争に協力加担し続けてきたのが、日帝・小泉である。
一握りのブルジョアジーの利益を「国益」と称し、そのために文民を戦場に派遣し、自衛隊を派兵して殺し合いをさせ、帝国主義としての大突出を図ろうとしているのだ。これに対しゲリラ戦争はもっと激しくなる。「テロに屈しない」という掛け声でさらに派兵が展開されれば、もっと激烈な殺し合いになる。帝国主義は「殺し殺される」戦場にどんどん送り込もうとしている。つまり、日本の労働者人民を死地に赴かせているのだ。これから自衛隊派兵で死亡する場合、最大の責任は小泉にあるのだ。
第2次世界大戦で、日本では300万人の兵士と人民が戦死したが、それは何よりも天皇と日帝ブルジョアジーによって侵略戦争に動員され、殺されたのである。そして今まさに、それと同じことが始まっているのである。
小泉(またその背後にいる奥田らブルジョアジー)に従っていたら、日本の労働者人民は再び侵略戦争の戦場に送り込まれ、他国の人民に敵対し、死ぬことになる。2人の死は、その前触れであり、警鐘である。日本の労働者人民はこのシグナルを受け取って、敵は誰であり、何をなすべきかを学びとらなければならないのだ。「復興支援」とか「国際貢献」の名のもとに本格的な侵略戦争に突入しようとしている小泉こそ、人民の敵であり打倒の対象なのだ。
12月1日、航空労組連絡会など3団体が、「民間機の軍事利用に反対し、自衛隊のイラク派遣の中止を求める」声明を発表した。帝国主義の戦争動員の最前線にある航空労働者が、決起しているのである。侵略戦争の拡大は、民間労働者も動員する。これに対する労働者の階級的な反撃を今こそつくりだしていかなければならない。
侵略戦争を内乱に転化せよ
第三に、具体的に、われわれは何をなすべきか。侵略戦争にのめり込み、侵略戦争に人民を動員しなければ存立することのできない自国の帝国主義を打倒する、すなわち日帝・小泉を打倒することをはっきりと宣言して闘うことである。
日帝・小泉は、あくまでも自衛隊を派兵し、有事法制を完成し、イラク・北朝鮮侵略戦争を強行しようとしている。さらに、教育基本法を改悪し、憲法改悪も公然と掲げて攻撃を強めている。しかも、改憲はずっと先の話ではない。イラク派兵は、憲法9条破壊=事実上の改憲だ。
そして、他方で、大失業・リストラ、賃下げ、労働法制改悪、年金改悪を始め社会保障解体と、一大資本攻勢を強めている。そうしなければ帝国主義として延命できないところまで危機を深めているのだ。
労働者を食わしていくことができなくなった帝国主義、自国人民を戦争で死に追いやることしかできなくなった帝国主義、このような帝国主義は打倒するほかない。この帝国主義の存在を根っこから断ち切らなければ人民は生きていけない。その中にこそ、人民の生きる道がある。帝国主義の侵略戦争を内乱=国内戦に転化せよ、ということが現実の課題となっている。
日帝は帝国主義であるかぎり、対米関係からも、対北朝鮮の観点からも、自衛隊派兵を絶対に中止することができない。読売新聞の3日付社説は、「国益の観点に立った日本の主体的な判断として」自衛隊のイラク派兵の基本姿勢を貫け、と叫んでいる。そして、「万一、自衛隊派遣の方針を転換するようなことがあれば、北朝鮮に侮られるだけだ」と北朝鮮侵略戦争のために派兵は譲れないとしている。日帝支配階級にとって、イラク侵略戦争と北朝鮮侵略戦争は一体の侵略戦争なのである。
小泉は、今週にもイラク派兵の基本計画を閣議決定し、来年早々に自衛隊本体を派兵しようとしている。この12月から、これに対する巨大な反戦闘争を爆発させなければならない。自衛隊本体が派兵される北海道・旭川、愛知県・小牧、広島県・呉を中心に派兵阻止現地闘争を巻き起こそう。
第2章 12月闘争で革命党建設へ本格的な前進をかちとれ
3労組主催による11・9全国労働者総決起集会は、国際連帯と階級的労働運動の発展への画期的な成果を生み出した。この歴史的意義を踏まえ、その切り開いたものをさらに圧倒的に発展させる強い決意をもって、この12月から04年へ、全力で闘いぬこう。
生み出された実体的な国際連帯、労働者国際主義を発展させるとは、自らの部署で、反戦闘争においても、資本攻勢との闘いにおいても、具体的な闘いを繰り広げることだ。
具体的には、何よりも、動労千葉に対する習志野電車区廃止の組織破壊攻撃を打ち破る闘いを支援し、勝利することだ。
さらに国労解体攻撃を粉砕し、1047名闘争の不屈の前進をかちとろう。5・27臨大闘争弾圧8被告の保釈をかちとろう。
ファシスト石原都政との都労連攻防に勝利しよう。
また、動き出した年金改悪に反対する闘いを労働運動の課題として、奥田ビジョンに対する階級的反撃としてかちとろう。
そして、来年の春闘に向かって闘いを発展させていかなくてはならない。資本攻勢に対する闘いを日韓米3国共同の闘いとして闘うと同時に、3・20イラク侵略戦争開戦1周年の国際反戦闘争を今から準備し大成功させることである。
カンパ闘争と機関紙拡大を
とりわけわが革共同にとって当面最大の課題は、年末一時期カンパ決戦と機関紙拡大闘争、党勢拡大の闘いである。闘いの国際的広がりという面でも、革命的情勢の接近への対応という面でも、革共同の強化を死活的課題としてかちとらなければならないところにわれわれは立っている。
敵・日帝権力も、侵略戦争への本格的突入情勢下でわが革共同の存在と闘いを脅威ととらえ、危機感をもって対象化してきており、『前進』販売に対する破防法型の弾圧を加えてきている。こうした権力の攻撃を打ち破り、革命党を強化することをとおして初めて闘いは勝利するのだ。
「米日帝のイラク・北朝鮮侵略戦争を内乱に転化せよ」ということが問われる情勢は、それを勝ちぬく革命党、労働者党を圧倒的に建設することを突き付けている。社民党、日本共産党の没落とは、今こそ社・共に代わる党が求められているということなのだ。
また、カクマルの黒田・中央派と松崎・JR総連派への分裂、JR総連の松崎派と嶋田派への大分裂という形で、ファシスト・カクマルが最大の危機を深めている。6回大会をもって対カクマル勝利宣言を発した革共同が、いよいよ暗雲をはねのけて登場する時だ。
労働者階級が勝利するためには、労働者の革命党が必要だ。帝国主義戦争を内乱に転化するためには、労働者一人ひとりが革命党に結集して闘うことが必要だ。それはプロレタリア革命をこの手でかちとる素晴らしい労働者自己解放の主体となるということだ。すべての闘う労働者は、革共同に結集しよう。
そして今、決定的な闘いは、年末カンパである。党を強化し、来年のさらに巨大な闘争を準備し、また獄中の同志と仲間の奪還のための保釈金を用意するために、巨額のカンパが必要だ。それなくしては、党が党として成り立たない。破防法型弾圧と闘えない。
すべての同志、支持者、読者の皆さんが、圧倒的なカンパを革共同に寄せられることを心から訴ます。
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週刊『前進』(2130号1面2)(2003/12/15)
11・29渋谷 “派兵止めよう”熱いデモ ワールドアクション 旭川の闘いと連帯
11月29日夕、大雨をはねのけ、450人が東京・渋谷ワールドアクションのイラク反戦デモに立ち上がった。全国各地での一斉行動とあわせて“自衛隊のイラク侵略派兵は絶対に許さない”という活気にあふれた集会・デモとなり、飛び入り参加者が目立った。
宮下公園の集会で、不戦兵士市民の会の坂井弘事務局長は、「自衛隊のイラク派兵を許せば、日本はどこにでも出かけて戦争をやる国になる。そのために教育基本法改悪が狙われている。国民を犠牲にし、苦しめている小泉政権に人道援助ができるはずがない」と訴えた。
「私の息子は『今後の人生をイラクで過ごすことになるより、処罰を受けることを選ぶ』と兵役を拒否しました。…日本でもそのような動きを広めてください」――反戦兵役拒否アメリカ軍人の母親の連帯メッセージが読み上げられた。
飛び入りした人が次々と発言に立った。「子どもを持つ母親として戦争には反対」と女性。若い女性は「小泉首相は選挙で国民に支持されたと言うが、私は支持していない。日本を変えていきたい」。「夫の命は皆さんの闘いにかかっている」という自衛官の妻のメッセージを紹介した男性は「精神病者もともに闘う」と決意を語った。
合唱グループは、「明日を夢見て生きようとしている子どもたちを守りたい」と歌を披露し、インターナショナルを合唱した。
北海道に行って闘っているワールドアクションのスタッフから「旭川駐屯地からは出兵を拒否する自衛官がでています。北海道では、12月13日〜15日に札幌と旭川で連続行動を行います。自衛隊の年内派兵を絶対に阻止しましょう!」と、闘いの高揚が伝わってくるメッセージが届いた。
学生が次々とアピール。「ワールドアクションが北海道まで行って派兵をとめようとしているのはかっこいい。自分も反戦貫く」「資本家のための侵略派兵には反対」と発言し、女子学生が派兵阻止闘争へのカンパを訴えた。
飛び入りの自治体労働者が「戦争反対も言えない自治労だが、現場の自治体労働者は皆さんと心をひとつにして闘う」と語り、女性医療労働者は「戦争をとめるのは私たち。派兵阻止を訴え、団結をつくりだすためにピースウオークしよう」と熱く呼びかけた。
「ヨッシー&ジュゴンの家」のライブでは、コスタリカ人男性が「アフガニスタン戦争も、イラク戦争にも反対」と発言した。
司会が「今日も渋谷の街を飲み込むくらい熱いデモをやろう」と訴え、元気よくピースウオークに飛び出した。「自衛隊をイラクへ出すな」「戦争をやらない社会をつくろう」と声をひとつに叫ぶ。デモに合流する人が続出し、多くの声援が飛んだ。
デモ後、司会が「イラク派兵の閣議決定時には国会を包囲し弾劾しよう。北海道の闘いと連帯して12・20もっと大きなデモを!」と次の闘いを確認した。
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週刊『前進』(2130号1面3)(2003/12/15)
国際連帯闘う革共同に圧倒的なカンパを
労働者、市民の皆さん。読者の皆さん。
最大の帝国主義国アメリカでも、新自由主義に基づく資本攻勢の激化の中で貧富の格差が広がり働くことのできない労働者が激増しています。イギリス、フランス、ドイツでも、日本でも民営化という名の首切り・合理化、搾取の強化が吹き荒れ、不安定雇用が激増しています。
新植民地主義諸国では、資源や勢力圏を求めて侵略戦争、収奪と抑圧がずっと続いています。膨大な被抑圧民族の民衆の生活と生存が圧迫され、破壊され、貧困と飢えに苦しんでいます。「劣化ウラン弾」が多用される現代の侵略戦争は、半永久的に人類を破壊し続けるのです。
もはや、このような社会体制は、人間存在とは相入れません。一刻も早く資本主義・帝国主義は、労働者階級と被抑圧諸民族人民の手によって倒され、新たな社会に転化されねばなりません。
01年「9・11」以後、03年冒頭には2000万人の反戦デモが全世界を駆けめぐり、世界各地でストライキが闘われ、イラク開戦以後イラク内外の反米反占領・民族解放闘争が爆発しています。そして11・9日比谷野音での日韓米労働者の国際連帯行動の始まり。確実に、労働者階級と被抑圧民族人民のインターナショナルな闘いのうねりを生み出しています。
全世界の労働者階級と被抑圧民族人民の連帯し統一した力こそ、帝国主義を倒し、新しい未来を切り開くスーパーパワーです。
自衛隊のイラク派兵、韓国の追加派兵をめぐって、米英軍の占領継続をめぐって、国際連帯の闘いは来年3・20に向かって、急速に拡大・激化することは不可避です。
すべての労働者・市民の皆さん。激しい資本攻勢、首切り・リストラ、強労働で生きていくことそのものが大変な日々です。しかし、労働者が立ち上がった時、社会は変えられます。労働者人民に生命と生活を保障できない社会は、崩壊するほかありません。労働者人民はこの体制を打倒する以外に生きていく方法がありません。
革共同は、国際労働者階級と被抑圧民族人民の団結で帝国主義を打倒するというロシア革命によって開始された闘いを引き継ぎ、実現するために、スターリン主義による国際階級闘争の歪曲と制動をのりこえる革命党として自らを建設してきました。
革共同が力を増強し、フル展開できるかどうか、労働者階級に根を張った新たな労働者党をともに闘いとれるかどうか、そこに階級闘争全体の前進が大きく委ねられています。
革共同に圧倒的なカンパを寄せてください。国家権力の革共同破壊を狙った悪らつな弾圧を打ち破り、自衛隊派兵阻止へ、04春闘勝利へ、獄中同志奪還へ、圧倒的に資金が不足しています。新たな革命の時代が始まった今、求められているのは人民の草の根からの資金です。革共同は闘います。圧倒的なカンパの集中を訴えます。
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週刊『前進』(2130号2面1)(2003/12/15)
殺人的深夜勤導入に怒り 全逓大会 “名称変更を絶対に許すな”
闘う労働者が会場前制圧 現場の怒りで本部打倒へ
現場の実態を次々訴え
「本部議案に反対しよう」「殺人的深夜勤導入を阻止しよう」「全逓の名称変更反対」。12月1〜2日に開かれた第58回全逓臨時全国大会の初日、会場入り口に陣取った闘う全逓労働者は、大会代議員と傍聴者一人ひとりに声をかけ、ビラを手渡した。
革共同全逓委員会の労働者同志たちも、そのパンフレットを次々と手渡した。いったん受け取り、また戻って「5〜6部下さい」と言って持っていく代議員もいる。
大会会場となった「さいたま市民会館おおみや」の正面には、労組交流センター全逓労働者部会の二つの横断幕と人事交流=強制配転に反対する近畿郵政労働者の会、郵政労働者全国交流集会などの横断幕が、会場を包囲するように掲げられた。全逓4・28連絡会などの旗も立てられた。
闘う全逓労働者は、知っている顔が通ると「頑張って反対してくれよ」と声をかけ、あるいは「現場組合員を裏切るな」と弾劾。会場前は闘う全逓労働者の怒りと熱気で制圧され、中央本部の裏切りを弾劾する声で埋めつくされた。
会場前では、たちまち現場共闘が生まれた。全国各地の分会や支部の役員などを担っている組合活動家と4・28被免職者がリレートーク方式で次々とマイクを握り訴えた。
殺人的深夜勤の当該である郵便内務の労働者は訴えた。「週4回連続夜勤などの勤務がやれると言うなら、本部役員がまず自分でやってみろ。こんなんじゃ退職するか殺されるかだ。これが現場の声だ。臨大議案の組織・財政改革では組合費を安くすると言っているが、深夜勤と闘ってくれるなら組合費を倍にしてもいいと、うちの組合員は言っているぞ」
トヨタ方式導入のモデル局とされている局の労働者は、その非人間的な実態を暴いて弾劾した。「トヨタ方式というが、まず職場からいすを全部撤去する。現場労働者は、自分たちで一番働きやすい方法をあみだしてきた。座ってやれる仕事は座って、立ってやれる仕事は立って。それを一律全部立ち仕事にするという。それも連続深夜勤だ。労働者はへとへとになって使い捨てられるだけだ」
さらに現場の実態が訴えられた。慢性的な欠員状態の職場で、超勤の連続となっている。過酷なノルマを課せられ、自腹営業を強いられている保険を始めとする現場。自殺や病死などの現職死亡が相次ぎ、泣く泣く退職する労働者が後を絶たない。
こんな職場実態が全国で横行している中で、臨大で提案されている「私たちの未来づくり宣言」では「自らの意識を『仕事をさせられる』意識から『仕事を創る』意識へと切り替え、主体的に仕事に……とりくみます」などと言っている。ふざけるんじゃない。まさに奥田路線が要求していること、連合評価委員会報告が言っていること、そのものではないか。闘う全逓労働者は、この産業報国会への道をきっぱりと拒否すると宣言した。
全逓(全逓信労働組合)のJPU(日本郵政公社労働組合)への名称変更は、単なる名称変更にとどまらない。闘う全逓の解体である。「組織・財政の改革」とは、一切の権限を中央本部が独裁的に握り、現場労働者を切り捨て、公社当局に売り渡すことだ。とりわけ労組交流センター全逓部会は「今こそ中央本部を総退陣に追い込め」と鮮明に訴えた。
これと並行して、闘う全逓労働者は共同で中央本部への申し入れを行った。大会議案に深夜勤見直し問題は一切入っていないが、労働協約の改訂となる見直しは、全逓規約に照らしても、少なくとも中央委員会で議決する必要がある。実際、深夜勤導入をめぐって第90回臨時中央委員会が開かれた先例がある。そもそも本部は公社との間で労働協約改訂を行ったのか。この追及に対し、本部は「前回6月大会で一任を取り付けた」の一点張りだった。
大会開始時間が迫ると、会場前を埋めた闘う全逓労働者は、全体で怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。そして被免職者を先頭に、この日開かれる4・28処分粉砕の控訴審闘争へと向かっていった。
反対意見を制圧できず
臨時大会2日目の採決では、本部提出議案に対して有効投票数364票のうち66票の反対票が出た。今年6月の第57回定期全国大会では、反対票と白票を合わせると、全体の3分の1となる事態が生まれた。これを「総括」した本部は、代議員立候補者は支部の委員長・書記長に限るよう、傍聴者は代議員を出していない支部の委員長・書記長に限るよう「指導」した。にもかかわらず、臨大でも本部に反対する意見が次々とあがり、これを「制圧」することはできなかったのだ。
アクションプラン、トヨタ方式導入、人事・給与制度改革、そして組織・財政改革も、何も決着はついていない。小泉=奥田路線による郵政民営化攻撃との闘いはこれからだ。とりわけ深夜勤の「2月実施」をめぐり、次回中央委員会(2月12〜13日)に向かって、これからが決戦だ。現場からの怒りで中央本部を打倒するまで闘おう。
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週刊『前進』(2130号2面2)(2003/12/15)
動労千葉 “習志野電車区の廃止許すな” スト貫徹へ総決起集会
12月2日、動労千葉は千葉市文化センターで「習志野電車区廃止反対・運転保安確立! 貨物年末手当超低額回答弾劾! 12・2動労千葉総決起集会」を開催した。会場がいっぱいになる200人が結集した。真っ赤なハチマキを締めた執行部を先頭に固い団結力を示し、ストライキ体制を打ち固めた。支援の労働者も多数駆けつけた。
集会は「ストライキで闘うぞ!」と、力強いシュプレヒコールで開会した。
田中康宏委員長があいさつし、「03年は、春闘スト、勝浦市議選、御宿町議選などで大きな勝利を切り開いた。師走を迎えもうひと踏ん張りの総決起をお願いしたい」と訴え、三つの課題を提起した。
第一は、12月15日に迫った習志野電車区廃止攻撃粉砕へ万全の総決起体制を築くことだ。廃止に伴う配転の事前通知が数日中にも出される緊迫した状況だ。これは、2年余りの間の検修基地の大再編攻撃の始まりだ。特に幕張電車区を縮小し、組織を破壊する攻撃だ。また、検修・構内業務から車掌、人事部門まで外注化しようとしている。
第二は、04春闘に向けて、動労の原点である反合・運転保安闘争を新たに再構築することだ。その第1波闘争が12月闘争だ。この間の重大事故は、保線・電力・信通の全面外注化によって起きている。「闘いなくして安全なし」「安全に関する一切の問題は労働組合の闘いの課題だ」という立場で闘うことだ。
第三は、貨物の年末手当1・72カ月という超低額回答に怒りの声を上げ、来年4月以降の年功制賃金解体攻撃に対する闘いを開始することだ。JR総連・日貨労と貨物会社は水面下で決定しようとしている。基本給を解体し、賃下げを行い、賃金差別によって団結の基盤を崩す攻撃だ。
田中委員長は、「動労千葉らしく、労働組合らしく反撃しよう。団結を崩さなければ必ず展望が開ける。習電の仲間を絶対に守り抜こう」と檄(げき)を飛ばした。そして、「今年は予想もしなかった国際連帯がつくり出された。世界から動労千葉の闘いが正当に評価された。動労千葉が千葉の職場の主導権を握り、日本労働運動の中心になる状況が始まる。労働者の生きる権利を奪う賃下げ、社会保障解体、そしてイラク自衛隊派兵が強行されようとしている。戦争する以外に生きられない国はつぶれればいいという立場で闘おう。一切の闘いが12月ストから始まる」と、04年の勝利の展望を明らかにした。
車両技術分科の代表が「メンテナンス第V期合理化阻止へ、検修員の誇りをかけて闘う」と述べ、乗務員分科の代表は「新たな運転保安闘争をつくり上げる」と決意表明。貨物協の代表は「超低額の年末手当を弾劾し、成果主義賃金導入を阻止する」と訴えた。
中村栄一書記長が基調報告で「11・9集会に組織内で最高の数が集まった。この成果をもって闘いたい」と述べた上で、スト方針を提起した。
習電廃止に伴う配転などの事前通知が強行された場合、検修職場の半日ストに突入し、非協力闘争に入る。習電廃止を強行した場合は、15日、検修職場を対象とした全日ストに突入する。組織破壊的な配転が強行された場合、強制配転者の原職復帰などの懸案諸要求の解決を拒否した場合は、本線運転士・営業を含めて戦術を拡大する。
中村書記長は、「マスコミで“JRたたき”が始まっている。階級的警戒心をもって闘おう。何よりもJR総連を解体し、組織防衛・強化・拡大に結びつけよう。500人の組合がJRの安全と労働条件を守っている。ここに多くの仲間を結集しよう」と訴えた。
習電の当該支部である津田沼支部を始めとした全支部代表の決意表明が熱気を高めた。
1047名の当該である中村俊六郎御宿町議、結柴誠一杉並区議、動労千葉を支援する会があいさつし、婦人民主クラブ全国協の西村綾子代表からカンパが届けられたと報告された。
動労千葉とともに第2の分割・民営化攻撃を粉砕しよう。年末に向けて正念場を迎える国鉄1047名闘争勝利へ闘おう。
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週刊『前進』(2130号2面3)(2003/12/15)
アメリカ “イラク労組との連帯を”
全米反戦労組連が呼びかけ
ANSWERとともにアメリカにおける労働者階級の決起の中心に立っているUSLAW(全米反戦労働組合連合)は、米英占領下のイラクで高揚を開始したイラク労働運動との連帯をめざす新たなイラク反戦闘争を開始している。
9・11後に設立
USLAWは、今年の1月18日ANSWERが呼びかけた首都ワシントンDC50万人イラク反戦デモ直前の1月11日にシカゴで結成された。設立には76の組合支部・地域組合・全国組合など200万人以上の労働者を代表する100人以上の労組活動家が参加した。
その設立文は、「ブッシュの戦争政策は、……解雇などを覆い隠し、そこから人びとの注意をそらす」「ブッシュの戦争政策に強く反対する」とうたっている。「外への侵略戦争と内への階級戦争」に反対する質を持った、帝国主義国における戦闘的労働運動である。
しかも、注目すべきはその構成団体の広さである。アメリカ東海岸のSEIU(全米サービス従業員組合)など90年代以降戦闘性を回復してきた労組や、AFSCME(全米州・郡・市職員同盟)、AFT(全米教員連盟)など公務員労組、さらに西海岸のILWU(国際港湾倉庫労働組合)や、UE(アメリカ電気無線機械労働組合)などの伝統的な戦闘的労働組合が一同に会している。文字どおりアメリカ労働運動における戦闘的潮流の大同団結なのだ。
“民営化に反対”
USLAWは、「イラク占領反対と労働者の権利確立に向けたキャンペーン」と名付けられた署名運動を開始している。
その特徴は、イラクにおいて次々と結成されている労働組合と連帯し、米英帝国主義の暫定占領当局(CPA)による国有企業の民営化に反対する闘いを呼びかけていることだ。
イラクではフセイン政権下で大部分の産業が国有化されていたが、87年成立の法律によって公共企業体や国営企業での労働組合の結成が禁止されていた。フセイン政権崩壊後、イラクの労働者は続々と労働組合を結成している。ところがCPAは、フセイン政権がつくった団結権否定の悪法を廃止するどころか、維持して労組を弾圧している。
CPAは、多くの国営企業をブッシュ政権と一体のベクテルやハリバートンといった悪徳企業に売り飛ばし、さらにエクソンモービルやデルタ航空などの巨大企業をこの民営化に参入させようとしている。CPAにとって労働組合は民営化=植民地化の邪魔なのだ。
この結果、イラクにおいては現在70%にも達する失業率がさらに上昇しようとしている。
USLAWが呼びかける新たな闘いは、「兵士を帰還させろ」という反軍闘争と一体となって全米の反戦運動を一層盛り上げている。
帝国主義のイラク侵略戦争粉砕へ、日韓米の国際連帯闘争を日本の新潮流運動の高揚を基礎にさらに前進させよう。
(湯村宏則)
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週刊『前進』(2130号2面4)(2003/12/15)
日本ASEAN首脳会議と奥田ビジョン 「対テロ」で人民抑圧体制
新「大東亜共栄圏」を狙う
アジア労働者を超低賃金で搾取
12月11、12日、東京で日本・東南アジア諸国連合(ASEAN)特別首脳会議が開かれる。これは日帝の主導のもとにASEAN首脳が域外に集まる初めての会議である。この会議で日帝は「東アジア共同体」構想の推進を提唱する。
これこそ、日本経団連・奥田ビジョン『活力と魅力溢れる日本をめざして』がいう「東アジア自由経済圏」の形成を狙い、「国境という概念を積極的に打ち消し」「MADE“BY”JAPAN戦略」を推進するものだ。アメリカ帝国主義やEU帝国主義との激しい争闘戦の中で、アジアの各国反動政権をカネで買収し、労働者人民を恐るべき飢餓的低賃金で搾取し収奪し、資源を略奪し、日帝の排他的な経済ブロックを形成しようとしているのだ。
同会議で採択されようとしている基本文書と共同行動計画の概要をみると、各国の労働者・農民の生活と生業を直撃する攻撃が並んでいる。「包括的経済連携、金融・通貨協力の強化。貿易の自由化、透明な投資環境の整備」「非関税障壁の削減」「政治・安保協力の強化」「テロ対策での協力」などである。一つひとつが労働者人民への激しい攻撃である。
「テロ対策での協力」とは何か。帝国主義の侵略と抑圧に対する労働者階級人民の闘い、被抑圧民族の民族解放闘争を徹底的に弾圧することである。日帝資本の権益を脅かす「テロ」と非難し、暴力的軍事的にせん滅することである。日帝は今回の会議で対テロ合同会議を発足させ、「対テロ東南アジア地域センター」の活動を支援し、各国の対テロ部隊を日本で訓練するとしている。
奥田ビジョンはこうした凶暴な治安体制、軍事体制、暴力的支配の上に成り立つものなのだ。
争闘戦立ち遅れに激しい危機感
奥田ビジョンは、帝国主義間争闘戦に完全に立ち遅れている日帝の危機感をむき出しにして、次のように言っている。
「今日の日本経済の低迷は、20世紀終盤における国際制度間競争に敗れたことが一因である。……日本が21世紀の国際制度間競争に勝利することが何よりも必要である」
「国際競争を勝ち抜くには、もはや一国の力だけでは限界があり、近隣諸国との連携を強化していく必要がある」
「東アジアに自由経済圏が形成されないまま、域内各国が欧米などとの協定の締結を進めれば……21世紀に期待される東アジアの発展からなんら果実を得られないという深刻な事態に直面するであろう」
こうして、日本も今こそ「人口21億人、GDP7兆jという巨大でかつ急速な成長が期待される単一市場」として「東アジア自由経済圏」を形成しようと言っている。それは、世界貿易機関(WTO)や二国間の自由貿易協定(FTA)の積み上げだけでなく、地域的結合の強化で東アジアを「強力なハブ」としてつくりあげてこそ、帝国主義間争闘戦に勝ち抜けるのだと強烈に押し出している。今回の日本・ASEAN特別首脳会議は、そのための決定的な攻撃であり、“アジアに広がる日本帝国主義”の勢力圏づくりだ。
国際連帯で奥田ビジョン粉砕へ
「東アジア自由経済圏」はアジア人民の共存共栄の道なのか? まったく否だ。それは、日帝金融独占資本の生き残りのためにアジアを再植民地化し、そこに住むすべての労働者人民、農民を犠牲にする侵略と抑圧のための攻撃だ。
@それは、アジアの労働者人民の飢餓的低賃金、首切り自由の不安定雇用、労働者の権利の圧殺なしには成り立たない。
奥田ビジョンが言う「域内各地から最高品質・最低価格の素材・部品を調達し、人件費が安い技術工が豊富な地域で組み立てを行い……」とは、何を意味するか。賃上げを要求する労働者の闘いを圧殺するということだ。そのために日帝は、各国の反動政権、政治体制を全面的に支え、反帝国主義の民族解放闘争、腐敗した政治体制の変革を求める各国人民の闘いに全面的に襲いかかるのである。
これはすでに現実の問題である。小泉政権は、日韓FTAの締結のために韓国ノムヒョン政権に労働法の改悪を要求し、ノムヒョン政権は、帝国主義の資本を呼び入れるためにこの要求に積極的にこたえ、労働法の改悪を策動している。これに対して民主労総は「明白な内政干渉だ」と、日本政府に対する8・30抗議声明を出し、生活と権利を守るためにゼネストや決死的闘争に立ち上がっている。またFTAに反対して10万人の農民がソウルで大会を開いた。
中国では、日本企業で働く労働者の賃上げ要求に、中国スターリン主義政権が指導者3人の死刑をもって弾圧を加えた。(『共産主義者』138号島崎論文)
日帝は、自衛隊のイラク派兵と北朝鮮侵略戦争強行を突破口にアジアの軍事的制圧を追求しているのだ。
AWTO、FTAの推進は、「グローバル化」「市場開放」の名のもとに農業分野への金融独占資本の進出を促進し、日本の農業を切り捨てると同時に、アジア・全世界の小規模農業を破壊し、農民を容赦なく抑圧し収奪するものである。
Bそして、日帝の東アジア勢力圏化の策動は、かつての「大東亜共栄圏」の場合と同様、必ず米帝、EU帝国主義の「日帝の勢力圏化阻止」の動きと激突する。相互の争闘戦、つぶし合いに拍車をかけ、それを競い合うような形で侵略戦争を激化させ、さらには帝国主義間戦争にすら発展していくものである。
帝国主義は、「外への侵略戦争と内への階級戦争」を不可避とする。全世界で労働者と被抑圧民族人民の怒りが爆発している。11月労働者集会で具体的に始まった労働者国際連帯を発展させ、危機に立つ帝国主義を打倒し、労働者階級の権力を打ち立てよう。
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週刊『前進』(2130号2面5)(2003/12/15)
教基法改悪を斬る 広島で意欲的な学習集会
広島で11月24日、集会実行委員会の主催で「教育基本法改悪反対!学習集会」が80人余の参加で開催された。「教育基本法改悪阻止を戦後史を画する大闘争に!」と題して島崎陽子氏が基調報告を提起した。
島崎氏は「教育の自由は、労働者階級の闘いで実現される。帝国主義国家の打倒なくして、労働者階級の自由はなく、教育の自由もない」「日教組中央の『21世紀の教育の航路図』には『労働者』『階級』という言葉はまったくない。労使協調は労働者と使用者の対立を認めた上での協調だが、『航路図』はそれを越えた階級移行・転向、翼賛運動だ」などと提起。
最後に@教育基本法改悪反対の闘いは、戦後革命の敗北をのりこえ、日帝を打倒し、労働者解放を実現する階級決戦、A全世界の民族解放闘争、労働者階級の闘いと連帯し、イラク反戦闘争と一体で教基法改悪反対の闘いを爆発させよう、B教基法決戦で改憲阻止闘争の爆発を切り開こう、C闘う教育労働者は、日教組運動を再生し、教育労働者にかけられたすべての攻撃をはね返そう――と4点の闘いの方針を提起した。
会場から次々と決意表明が行われた。広島を始め中国・四国各地の教育労働者、国労、全逓、自治労、大学職組の労働者、医療労働者、学生が教基法改悪阻止の闘いを全体の決戦課題として取り組むことを訴えた。青年労働者が意欲あふれる決意を示し、集会実行委員会が12・23全国集会のアピールが行った。最後に広教組の組合員がまとめを提起した。
この集会は、中国・四国における教基法改悪阻止闘争の爆発への第一歩だ。自衛隊のイラク派兵阻止の闘いに決起し、階級決戦として教基法改悪阻止を闘う決意だ。
(投稿/O)
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週刊『前進』(2130号3面1)(2003/12/15)
暴行したのは本部派だった 国労弾圧公判 押収ビデオ撮影者が証言
殴打された被告の姿くっきり 8人を年内に奪還しよう
12月2日、東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第16回公判が開かれた。検察側は、警察が昨年10月に都政を革新する会の事務所から不法に押収したビデオテープを、被告を有罪にするための証拠として法廷に持ち出している。この日の公判では、このビデオの撮影者である都革新事務局員のAさんが証言に立った。その証言により、ビラまき・説得活動を行おうとしていた被告たちに対し、本部派が体当たりする、殴るなどの行為を働いていた事実が明らかになった。被告たちが一方的に暴力行為をしたという検察側の主張は崩壊した。裁判闘争は、無罪獲得に向けていよいよ重大な局面を迎えている。被告たちの保釈を実現する闘いも、年末に向けて最大の決戦過程に突入した。
松崎被告の顔面殴り 橘被告に体当たり!
杉並の都革新事務所から押収されたビデオは、押収そのものが不法であり、本来、証拠たり得るものではない。検察側は、不法に入手した証拠を法廷に持ち出しつつ、その撮影者の尋問はしないという不当きわまる態度をとっていた。警察権力と国労本部派によって仕組まれた弾圧という、この事件の真相が明るみに出ることを恐れたからである。国労東京地本の鈴木勉法対部長についても、当初、検察側はその証人尋問の回避に躍起となった。
だが、通常の刑事裁判であれば、写真やビデオが証拠とされる場合、その撮影者を尋問することは当然の手続きとされている。そこに映し出された映像は、撮影者の撮影意図を色濃く反映するからだ。
弁護団は、撮影者の尋問は不必要とする検察側の不当な態度と徹底的に対決し、鈴木法対部長の証人尋問を実現させた。そして、杉並押収ビデオについても、撮影者の尋問は不可欠だとして、都革新事務局員のAさんを弁護側証人として採用させたのである。
公判で一瀬敬一郎主任弁護人が国鉄闘争と都革新のかかわりについて質問した。Aさんは、都革新が労働者の権利、雇用を守る立場から1047名闘争支援の活動を続けてきたこと、02年5月27日の国労臨時大会の際のビデオ撮影もその活動の一環であり、国労闘争団などの闘いの姿を杉並区民に伝えるためのものであったことを証言した。
西村正治弁護人がAさんの撮影したビデオを再生しつつ、5月27日当日の状況について質問した。本部派がホテルから出てきた時の静止画像を示され、その状況の説明を求められたAさんは、「本部側は隊列を組んでまとまって出てきた」「先頭にいた笹原という人は、ビラをとる素振りはまったく見せず、被告たちを一切相手にしないと決め込んでいるような態度だった」「江田という人が橘さんの腰のあたりをいきなりつかんで押しのけた。橘さんはのけぞり、倒れそうになった」と証言した。
事件当日、最初に行われた暴行は、東京地本の江田雄次執行委員が橘日出夫被告に対して行ったものだったのである。
3度にわたる激しいパンチ
西村弁護人が「それに続いてどのような場面を撮影したか」と質問した。Aさんが「バスの後部乗降口付近で、松崎さんが殴られたように顔を横に3回ぐらい振った場面があった」と答えた。
その状況を写したビデオが再生された。松崎博己被告らがバスの乗降口に立つ長野地本の池田久幸組合員に必死に訴えかけている姿が映し出された。そして、いきなり池田組合員の右手が伸び、前方を向いていた松崎被告の顔が3度にわたって激しく右横にぶれたのだ。本部派が松崎被告を殴打したことは明らかだ。
検察側は、松崎被告による池田組合員への暴行によって「共謀」が成立したと主張している。だが、暴行したのは池田組合員の側だったのだ。この事実が明らかになると、検事は投げやりな表情を浮かべた。
ビデオを再生しての質問が続いた。バスの二つの乗降口で本部派を説得する被告たちの姿が映し出された。「こんな大会に防衛隊として行くのか。絶対生涯に残るぞ」「自民党に言われて開く大会やないか」という松崎被告の声と真剣な表情、「労働組合の原点を思い出してくれよ」と声を上げる羽廣憲被告の必死の訴えがとらえられている。まさにこの日の行動は、被告たちの人生をかけた説得活動だったのである。
西村弁護人が最後に「あなたが撮影したビデオが押収されたことをどう思うか」と質問した。Aさんは「闘争団と国労組合員の闘いを記録し、多くの区民に伝えるために撮影したビデオを権力が押収し、こともあろうに刑事弾圧に使っている。腹の底からの怒りを覚える。報道の自由、表現の自由への重大な侵害だ。またこの弾圧は、団結権への侵害であり絶対に許せない」ときっぱりと述べた。
休憩をはさみ、検察側が反対尋問した。古田浩史検事が「都革新と中核派の関係は」「あなたと被告人向山の関係は」などと、事件とまったく関係のない質問をしつこく繰り返した。破産しきった「中核派組織犯行」論を必死になって立て直そうというのである。だが、Aさんは「ビデオ撮影は都革新の活動の一環」と断言し、検事の不当な尋問をはねつけた。
これに窮した古田検事は、「あなたは闘争団の人たちの必死の説得活動を撮影したと言うが、被告人松崎も被告人羽廣も同じ言葉を繰り返しているだけではないか」と言い放った。Aさんがすかさず「検事の感性ではとらえられない」とやりこめた。古田検事は薄笑いを浮かべて平静を装うが、手元が大きく震えている。結局、検事の反対尋問は、事実を無視した「中核派組織犯行」論にすがりつく以外に手段がない検察側の惨状をさらけ出すものに終わった。
証人尋問終了後、青柳裁判長は、次回公判期日(12月16日)ないしそれ以前に鈴木法対部長撮影のビデオと杉並押収ビデオについての証拠採否を決定すると発言した。裁判闘争は、無罪獲得に向けての本格的な攻防に入る。次回公判に結集しよう。
次回公判から年末が被告奪還の正念場に
公判の冒頭、萱野一樹弁護人と富田益行被告が即時保釈を求める意見を述べた。萱野弁護人は、「証拠隠滅のおそれはもはや存在しない。公判終了後にも直ちに保釈許可の決定を」と声を強めた。富田被告は、「無罪を主張し争うと長期勾留を強いられるのか。これは冤罪をつくり出すものだ。もし私たちが起訴事実を認めていたら、鈴木氏が告訴のためにビデオを撮ったことや、酒田氏が公安刑事と連携し現場逮捕を要求していたことも、やみに葬られていた」と弾劾した。
被告家族と全国の職場・地域でつくる「許さない会」5団体は、公判に先立ち東京地裁に即時保釈の申し入れを行い、約2千筆の保釈要求署名を提出した。署名は総計で4万1千筆を超えた。被告の家族が「労働者の思いを必死で訴えた者がこんな扱いを受けている。経済的にも精神的にも本当に困っている。夫を子どもたちのもとに返して下さい」と切々と訴えた。
弁護団は11月27日、第4次の保釈請求を提出した。次回公判から年末に至る過程は、8被告の保釈に向けて文字どおりの正念場を迎える。許さない会の賛同会員を拡大し、保釈金カンパと10万人保釈署名を集めきろう。なんとしても被告の年内奪還を実現しよう。
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週刊『前進』(2130号3面2)(2003/12/15)
北富士 米軍演習阻止に立つ “自衛隊 イラクに行くな”
北富士忍草母の会は11月28日、この日から開始される在沖米海兵隊の本土移転演習を阻止する闘いに決起し、50人が結集した。この在沖海兵隊が来年早々にイラクに派兵される。今回の演習は文字どおりイラク侵略戦争の実戦演習として行われるのだ。
国有入会地守る会の天野重知会長は前夜から演習場入り口前で抗議の座り込みに決起した。95歳になる天野会長の壮絶な決起だ。正午から始まった決起集会では、忍草母の会の天野美恵事務局長が冒頭にこのことを報告した。開会のことばは母の会の天野正子さん。「米軍の実弾演習に断固反対します。米軍に入会地を貸した覚えはない。入会地の無断使用は許せない。米軍はイラクから手を引くべき。自衛隊のイラク出兵にも反対する。自衛隊は侵略出兵するな」と語った。
連帯のあいさつでは、婦人民主クラブ全国協の丹治孝子さんが「イラク戦争は石油強盗、侵略だ。世界中がこれを知っている。海兵隊は直ちに富士から出ていけ」と怒りを表明した。都政を革新する会の新城節子杉並区議は「誰が104号越え演習を移してくれと言ったか。イラクの人たちは解放のためのレジスタンスに決起している。これと連帯し闘う」と決意を明らかにした。
部落解放同盟全国連、都留文科大学生協労組などが発言し、全学連の大山尚行委員長は北海道でイラク派兵反対の署名が続々と寄せられていることを紹介して、「全国で自衛隊イラク派兵阻止の闘いを切り開こう」と訴えた。
天野事務局長は「自衛隊は絶対にイラクに行ってはいけない。なぜ今日から演習を行うのか。日曜日に母の会がゲリラに入るのを恐れたためだ。これは忍草が勝ったということだ」と訴えた。
母の会の大森ふじえさんが「私たちは北富士を朝鮮・中東につなぐなと闘ってきました。自衛隊の派兵は米軍のイラク侵略への加担。自衛隊はイラクに出兵すべきではない」と閉会のことばを述べた。シュプレヒコールをあげデモに出発した。海兵隊演習阻止、自衛隊派兵阻止のコールが自衛隊駐屯地にこだました。
演習場正門では演習場管理室長が待ちかまえて立っている。天野事務局長が「業務隊長に会わせろ」と要求したが、業務隊長を呼ぼうとしない。デモ隊は自衛隊の硬直的な態度に怒りを燃やし、次々とマイクをとって自衛隊を弾劾した。
正門前に座り込んでいた天野重知会長が発言に立った。「国は忍草の農民をいじめ抜いてきた。入会闘争を起こしたが、途中から忍草をつぶす攻撃をかけてきた。100歳になっても105歳になっても闘いを貫きます。富士山を平和の山にする。平和の山にすることで県民は利益を結ぶ」と気迫を込めて宣言した。申入書を婦民全国協代表の西村綾子相模原市議が読み上げ、必ず伝えることを約束させて手渡した。
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週刊『前進』(2130号3面3)(2003/12/15)
保安処分施設許さない 「病者」先頭に建設中止を訴え 阻止共闘が連続行動
裁判官命令による「精神障害者」への長期隔離・拘禁・抹殺を狙う保安処分施設の建設中止を訴え、「処遇困難者専門病棟」新設阻止共闘会議は連続行動を展開した。
国立武蔵病院に怒り込めて請願
11月26日、「病者」を先頭に東京小平市の国立精神・神経センター武蔵病院に、9月に続き2回目の請願行動を行った。
東京を始め兵庫、京都、宮城、名古屋などの患者会や「障害者」団体が建設中止の請願文を読み上げた。関西の診療所医師は武蔵病院に猛省を促し、建設中止まで徹底的に抵抗するとの固い決意を表明した。
対応した庶務課長は、「上が決めることでまだ何も決まってない」と繰り返すばかりだったが、総計12枚に上る請願文を突きつけ、当初20分で切り上げると制限した武蔵当局の規制を跳ね返して、1時間にわたる請願行動を貫徹した。
武蔵当局は依然、遠方から来た「病者」を門前に立たせたまま、広い敷地門のはるか遠くで机一つを持ち出して対応してくる。しかも、動物実験病棟という名で今年度中完成の新病棟の告示まで張り出している。筋ジストロフィー治療を掲げているが、人体実験の身代わりに犬に遺伝子治療実験を施し、ゆくゆくは「障害者」排除・抹殺を促進するための研究所であり、許しがたいものだ。こうした新施設着工が、いつ保安施設に変わってもおかしくない時期を迎えているのだ。
阻止共闘は沿道の外来者、「病者」、労働者、地域住民にビラをまき、横断幕を広げて保安処分施設中止をアピールした。
国立武蔵病院のある小平市は、9月市議会で「指定入院・通院医療機関の指定に慎重を期することを求める意見書」を全会一致で採択し、厚生労働相に提出している。内容は「『他害行為者患者』受け入れのための地域不安」を語った「精神病者」排除を含んだものだが、治安的国策強要は強い憤りを呼び起こし、地域にも波紋を広げている。武蔵病院の不正義性は至るところで明らかなのだ。
労働者に共闘訴え厚労省を追及
阻止共闘は11月19日、国立病院の賃金職員(1年ごとの厚労省雇いの臨職)への今年度中の雇い止め=7500人リストラに反対する全医労などの3千人の集会(日比谷野音)に、「首切りリストラと一体の保安処分施設建設阻止へ」のビラまきを行った。保安施設につぎ込む金と人員は一層、国立病院・療養所の統廃合とリストラを生む。犠牲になるのは労働者と「病者」だ。加担を拒否し、ともに闘おうと訴えた。
同日、保安処分施設中止を求め、厚労省へ交渉を申し入れた。敷地門外でしか対応しない精神保健福祉課は、「議員紹介がなければ会わない」と門前払いだ。
厚労省は今年度35億円、来年度概算要求では県立病院も含め50億円の建設費を計上している。医者やケースワーカーを何人も外国の保安施設の視察に連れ立たせている。いったい、「再犯のおそれ」はどうやって判断できるのか? どう説明するのだ!
厚労省は渋々申入書を受け取った。だが、「病者」の怒りはやむことがない。厚労省の責任を徹底的に追及することを誓ってシュプレヒコールを上げた。
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週刊『前進』(2130号3面4)(2003/12/15)
在本土の闘いの再形成を 全国沖青委が第12回総会
11月29日、神奈川県川崎市で第12回全国沖縄青年委員会総会が開かれた。
司会の仲宗根朝寿副委員長が「今日の総会をもっていま一歩踏み出し、沖縄出身者の青年運動をつくり上げていこう」と開会を宣言した。全国から寄せられたメッセージが紹介された後、新城峯子委員長が「力ある在本土沖縄青年運動をつくり出そう」と題した基調提起を行った。
新城委員長は、労働者の国際連帯を実現した11・9集会の意義を確認した上で「全国沖青委の10年間を総括し、新たな闘いの方針をつくりだしたい」と切り出した。「日本帝国主義はどこまでも沖縄を差別し、ウチナーンチュを踏みにじる存在であり、私たちはこれと闘うことなしに人間らしく生きていくことはできない」と怒りを込め、在本土沖縄出身者のタクシードライバーの労働実態などに言及し、「沖縄の失業率は全国平均の2倍、所得は7割以下という差別と貧困の現実の中で、在本土沖縄出身者が人間として誇りをもって生きようとすれば、日本社会を根底的に変革するしかない」と提起した。
在本土沖縄出身者を、@戦争を体験した第1世代、A米軍支配時代を体験し、72年返還政策のペテン性と闘い、あるいはそれを共有している第2世代、Bその後の「日本支配」下で育った若い第3世代に分け、「この広がり全体を対象にした運動、その軸として沖青委を位置づけ直し、新たな出発点を形成しよう。沖縄闘争での共同行動の形成を積極的に図っていこう」と結んだ。
続いて関西の宮城啓さんが、第2報告として沖縄情勢を提起した。「沖縄は米帝ブッシュの世界戦争計画の戦略的拠点であり、日帝は新たな『沖縄売り渡し』攻撃に出ている」と指摘し、「来年1月に予定される辺野古のボーリング調査開始は、これ自身が実に許しがたい環境破壊であり、事実上の着工だ」「海兵隊縮小計画の実態は沖縄海兵隊のアジア全域における超臨戦態勢への突入であり、北朝鮮侵略戦争態勢だ」と暴露し、沖縄現地と呼応して闘おうと呼びかけた。
さらに、沖縄民権の会の座覇光子さんが「『古波津さんの闘いを継承する』とは」、新城節子杉並区議が「議員としての闘いから」と題した講演を行った。
座覇さんは、沖縄民権の会を育てた故古波津英興さんが「歴史は私たちがつくるもの、いい時代が来るよ。大丈夫、負けないで」と励ましてくれたことを紹介、「琉球処分」以来の沖縄差別と、75%の米軍基地を押しつけられたままの現実を解き明かし、「ヤマトの人間に『あなたの中に沖縄を取り戻して下さい』と私は言っている。沖縄を差別のない平和な島として取り戻す、その延長線上でともに沖縄のことをやっていきましょう」と訴えた。
新城さんは、杉並区議会で自衛隊のイラク派兵反対の論陣を張って闘っていることを報告、「イラク人民のレジスタンスがイラク全土に拡大している。そのイラクに自衛隊が派兵されようとしている。今こそ沖青委が歴史の主体となって、自信をもって踏み出した時に大きな力になる。私も全力で取り組んでいきたい」と語った。
関西、関東など各地から「沖縄性を出して地域で共同闘争を広げ、今度は初めて反戦デモを行います」「労働運動の経験を生かしウチナーンチュであることをよりどころとして運動していく」「沖縄の労働者は日本の社会で生きて闘うしかない」――など、地域での闘いの前進が報告された。
大阪の20代の女性労働者は「新しい方針が出たことがうれしくてどきどきしました。気持ちを新たに頑張ります」と感動を語り、最後に東京で闘う青年労働者が「第3世代の旗頭として頑張ります」と宣言した。厳しい総括と率直な討論の中から力強い沖縄青年運動がスタートした。
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週刊『前進』(2130号3面5)(2003/12/15)
『前進』街宣 大衆的反撃で弾圧を粉砕 労働者の中へ機関紙拡大を
新小岩駅前に連日の登場
11月17日のJR新小岩駅前広場での『前進』街頭宣伝準備中に「軽犯罪法違反」容疑で逮捕されたA同志は、28日に釈放をかちとった。
A同志は12日間の逮捕・勾留と闘い、勝利し、直ちに12月1日のJR新小岩駅頭街宣に立った。「完黙・非転向を貫き、釈放をかちとりました。これも私の逮捕に対する新小岩駅前における連日の抗議の闘い、釈放要求署名の力によるものです。感激すると同時に、深く感謝いたします。私たち中核派は負けません。今回私に加えられた権力犯罪を告発し闘いぬきます。毎週月曜日の駅前『前進』販売をやり続けます」
雨の中、ひとりで2時間、街頭演説をやりぬいた。面識もない多くの労働者が振り向き、「よかったですね」「頑張って下さい」「小泉は許せない」と声をかけてきた。権力は手出しひとつできなかった。
弾圧粉砕の力は街頭にある
逮捕により街宣用具の一切と担い手を奪われ、街宣は困難に直面した。奪われたものは街頭で取り戻すほかないと固く決意し、19日から連日、新小岩駅頭に登場した。駅頭に登場してあらためて分かったことは、労働者大衆が予想も超えて支持していることだった。感動的であった。
ポールに反戦ののぼりを付けようとしただけで、物陰に隠れていた20人もの私服刑事が襲撃し逮捕したことの異常さに大衆は驚き、怒った。「警察はひどいことするねえ」「こんなこと考えられない」「頑張って」と声をかけてくれた。
警察の非道への怒りと戦争への不安・怒りがひとつになった。多くの人びとが逮捕現場の「現地調査」にやってきて、びっくりした。「何か協力できることがありますか」と申し出る人も現れた。こうした大衆の熱い支持と行動力は、われわれが決意ある闘いに出ることをとおして引き出された。「まだ出てこないんですか。考え方は違うけど逮捕は許せない」と1000円のカンパを2回もした労働者が現れた。
ビラの受け取りはこれまでの3倍も良くなった。近所の老婦人は「昔もこうしてやられたのよ。戦争への動きよね」と語り、家族全員分の釈放要求署名をしてくれた。1年半にわたり街宣を続けてきたことが力になった。
権力はこれを恐れ、「交番の前で毎週やられたらメンツ丸つぶれだ。やりすぎだ」と総力で弾圧を加えてきた。11・9労働者集会への反動である。だが、これを跳ね返す力も街宣の中にあった。
イラク派兵への怒りで街頭は熱くなっている。『前進』販売・署名・カンパが倍増している。どこでも5部、7部、13部とこれまで最高の販売数である。激突を恐れず、年末年始、『前進』を掲げて街頭に登場しよう。労働者の中に『前進』を広めよう。
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週刊『前進』(2130号4面1)(2003/12/15)
自衛隊イラク派兵阻止! 12月北海道・小牧闘争へ
03年版米国防報告を批判する
イラク侵略戦争の継続拡大と北朝鮮への戦争狙う米軍再編
米帝は、アフガニスタン、イラクでの侵略戦争の継続と激化、さらには北朝鮮侵略戦争への突入を狙って、全地球規模での米軍再編を進めている。イラク人民、ムスリム人民の民族解放・革命戦争に直撃され、米帝はさらに凶暴化し、全世界で「対テロ戦争」を拡大しようとしているのだ。帝国主義の危機が世界戦争に転化する過程が始まった。イラク侵略戦争への本格参戦を進める日帝・小泉政権を打倒し、侵略戦争を内乱に転化するために闘おう。12月北海道・小牧現地闘争に立ち、自衛隊の侵略派兵を阻止しよう。
「対テロ戦争」の拡大 先制攻撃戦略を推進
米国防総省は11月21日、03年の国防報告を発表した。これはイラク侵略戦争の泥沼化にあえぐ米帝が、それ以外にないものとして、さらに凶暴に民族解放闘争に対する「対テロ戦争」を拡大し、世界戦争政策を推し進めていくことを路線化したものである。
(1)「世界規模の対テロ戦争に勝利するため、米軍には柔軟さと軽量さ、機敏さが必要で、突然の変化に即応する能力を持たねばならない」「海外に常駐、もしくは交代で駐留する軍をどう再編するかを、即応性や情報収集能力、同盟国の貢献などを勘案しつつ再考している」
国防報告は、全世界で「対テロ戦争」を行っていくために、米軍の機動力と即応能力を高める軍事革命を進め、全世界の米軍の配置を見直すことを提言した。海兵隊については「2時間以内に世界中のあらゆる地域に攻撃部隊を輸送できる能力を取得できるよう検討している」とした。
米帝は現状ではイラクを軍事占領する兵力(現在13万人、周辺国を含めれば17万人)を維持できなくなっている。総勢48万人の陸軍兵力では駐留軍のローテーションを回せなくなり、来年1月からの交代では州兵や予備役4万人以上を動員しなくてはならない状況だ。こうした中で、在沖部隊を含む海兵隊3個大隊(約3千人)のイラクへの追加派兵を決めるなどして、イラク侵略戦争での戦力強化を図っている。
米帝は、こうしたイラク侵略戦争の泥沼化に対応するためにも、駐留米軍の再配置を早急に進める必要に迫られているのだ。
(2)「われわれは、テロリストが米国と米国民に危害を与えるのを阻止し、敵が大量破壊兵器で、われわれや同盟・友好諸国に脅威を与えるのを阻止するため、先制的な行動をとる能力を持たなければならない」
国防報告は北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)、イランなどに対し、イラクと同様に「大量破壊兵器」を口実に(デッチあげて)先制攻撃を発動していくことをあらためてうちだした。
米帝は、イラク侵略戦争の泥沼化の中で、北朝鮮侵略戦争に直ちに突入できる状況にないことから、北朝鮮を6カ国協議に引き込んでコントロールし、追いつめようとしている。北朝鮮のスターリン主義体制の崩壊を狙いつつ、在韓米軍のソウル南方への配置転換までの時間を稼ごうとしているのだ。米帝は地下貫通型の戦術核兵器の開発を進め、北朝鮮の地下施設を破壊するための先制攻撃に使用することを狙っている。
(3)「米国の当面する課題は、@世界的な対テロ戦争の勝利、A2010年までの時期に直面する脅威への備え、B同年以降に直面する脅威に対処するための軍の再編継続の3つを同時並行に実施すること」
国防報告は、「対テロ戦争」に全力をあげつつ、同時に中国侵略戦争への体制づくりを目指し、さらには帝国主義間の戦争をも見据えた米軍戦力の構築を図ろうとしている。
米帝のイラク侵略戦争は、むきだしの戦争による市場・資源・勢力圏の略奪であり、世界史をまったく新しい段階へと突入させた。他帝国主義はこれに対抗する軍事政策をもたなくては争闘戦で勝ちぬき、帝国主義として延命することはできない。すでに独、仏帝国主義は、米帝の反対を押し切って、04年「欧州防衛庁」の創設を決定した。このもとでアメリカとの軍事力格差を埋めて、欧州軍事産業の競争力強化に全力をあげるとしている。
日帝は日米安保をテコに米帝の「対テロ戦争」にとことん食らいついていくことで戦後的な制約を突破し、アジア勢力圏化の道を開こうとしている。小泉政権が何がなんでも自衛隊のイラク侵略派兵を強行しようとしているのは、米帝への従属ではなく、軍事的な争闘戦に勝ちぬける帝国主義に飛躍するためだ。
4千億j超の大軍拡予算
03年度国防報告で示された米軍戦略を推進する、総額4013億j(約44兆円)の04年会計年度国防予算が11月24日成立した。これにはイラク戦費870億jは含まれていない。これに伴い広島型原爆の約3分の1にあたる小型核兵器(爆発力5`トン未満)の研究・開発を禁じた「ファース・スプラット条項」が撤廃された。またミサイル防衛(MD)の初期配備に向けて関連予算を20%増額した。このMD配備は中国の長距離弾道ミサイルを封じ込め、北朝鮮・中国侵略戦争に向けた態勢を整えるためのものだ。
世界的な部隊再編 実質戦力増強めざす
ブッシュは11月25日、米軍の世界規模での態勢見直しに向けた同盟国・友好国との本格的な交渉を12月から開始するとの声明を発表した。「ならず者国家や世界的なテロ、大量破壊兵器に」対応するために、駐留地域外への軍事展開を視野に入れた配置を行うほか、同盟国や友好国に対してもイラクやアフガニスタンなど「域外」への部隊派遣を求めるとしている。
ラムズフェルド米国防長官は、この再編により在外米軍の実質戦力の増強を目指すことを明らかにした。海外基地の合理化で兵員数が削減されても、日韓など同盟国との協力関係やハイテク兵器の導入などで実質戦力はアップするという。
国防総省高官は、米軍再編の基本となる考え方について、@不確実な脅威に対応するための柔軟性の強化A同盟国の役割拡大と新たなパートナーシップの構築B駐留地域内だけでなく域外での活動重視C即応展開力の開発――をあげた。
すでに駐独米軍のポーランドなど東欧諸国への移転や、在韓米軍の再編については協議が進められており、この2つの駐留米軍については大規模な縮小、再編が行われる。
最前線基地=沖縄米軍強化
在韓米軍について、米帝は北緯38度線の近くに展開している第2歩兵師団1万7千人などをソウル以南に下げ、北朝鮮の保有する火砲の射程外に移そうとしている。米軍を「北朝鮮の人質」にとられない位置に下げることで、いつでも北朝鮮を先制攻撃できる態勢をとろうとしているのだ。
在沖米軍基地を中心とする在日米軍については、駐独米軍や駐韓米軍ほどの縮小・再編は行われない見通しである。在日米軍基地こそは北朝鮮侵略戦争の最大の前線基地である。しかもラムズフェルドが「機動的で装備的にも軽い。日本だけでなく、アジアから中東までの安全保障を対象としている」と言うように、今回の再編で米軍が達成しようとしている能力を先取りしているからだ。
ラムズフェルドは11月16日の稲嶺沖縄県知事との会談で、稲嶺のペテン的な「基地の整理・縮小」の要請を相手にもしなかった。
また在沖米軍は、金武町キャンプ・ハンセン「レンジ(射撃場)4」に都市型戦闘訓練施設を新たに建設しようとしている。東アジアで唯一前方展開する沖縄の米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の訓練環境を向上させるためだ。
「レンジ4」は金武町伊芸地区の民間地域から約300bしか離れていない。これまでも流弾による民間地域の被弾事故や原野火災、騒音被害をくり返しており、住民の怒りが沸騰している。
小泉政権は北朝鮮・中国侵略戦争のための最前線基地として沖縄基地を使い切るために、とことん沖縄を犠牲にしようとしている。日帝の沖縄差別政策を許さず、来年1月の名護新基地建設のボーリング着工を阻止するために闘おう。
帝間争闘戦の新段階 世界戦争が不可避に
米帝のイラク侵略戦争は、帝国主義の基本矛盾が全面的に爆発し、帝国主義の危機がついに世界戦争への過程に転化し始めたことを示している。
戦後世界体制が崩壊し世界恐慌への過程が始まる中で、米帝の歴史的没落と世界支配力の衰退は米帝の体制の存亡に直結する死活的な問題となった。そこへ01年9・11反米ゲリラ戦争がたたきつけられた。米帝は凶暴化し、圧倒的な軍事力で世界を再編する「対テロ戦争」を行うことで、帝国主義間争闘戦にうち勝ち、9・11を契機に激化するムスリム人民の民族解放闘争とアメリカの階級闘争を圧殺しようと絶望的な攻撃にうって出た。
米帝はアフガニスタン侵略戦争を決定する前から、イラク侵略戦争をやることを決めていた。米帝は91年湾岸戦争(イラク・中東侵略戦争)でイラクの生産・社会基盤を破壊し、その後も国連の経済制裁などで徹底的に痛めつけた。にもかかわらずフセイン政権は存続し、そこにフランスやロシアなどがつけ込んで関係を深めたばかりか、石油決済をドルからユーロに切り替えた。これを見過ごせば、中東における米帝の支配力は衰退するばかりか、ドル基軸通貨体制が崩壊してしまう。米帝はこれに恐怖し、どんな理屈をデッチあげてもイラク侵略戦争に突入するしかなかった。
米帝は帝国主義であるかぎり、どのような泥沼に陥ってもイラクから撤退することはできない。また米軍が主導する占領政策から、国連に主導権を渡すわけにはいかない。
9・11−3・20以降の情勢下では、米帝のイラクからの撤退はひいては全中東からの撤退を意味し、米帝の世界支配体制・ドル体制の崩壊も避けられないからだ。また国連に主導権を渡すということは、フランスやロシアのイラクでの石油権益を認めることであり、ドイツやフランスの台頭を許し、唯一絶対的な帝国主義としての位置を失うことである。イラクにおける米帝の敗北は、ベトナム革命をはるかに超えるほどの、世界革命に直結していく巨大さをもっている。
帝国主義は歴史的な生命力を失い、世界戦争と世界大恐慌に突き進んでいる。金融独占ブルジョアジーとその政府は、労働者人民に対する階級戦争で犠牲を転化し、被抑圧民族人民に対する残酷な侵略戦争と虐殺、植民地的収奪を激化させている。この中で労働者人民が生きていく道は、闘うイラク人民、ムスリム人民と連帯し、帝国主義を打倒することだ。
侵略を内乱へ今こそ闘おう
11月29日、米軍占領の先兵として働いていた日本の外交官2人がせん滅された。自衛隊の派兵を狙う日帝・小泉政権にイラク人民の怒りの戦闘がたたきつけられたのだ。小泉は「テロに屈してはならない。復興・人道支援には国際社会としての責任を果たす」などと述べ、自衛隊派兵の政府方針に変わりがないことを強調した。どうして許すことができようか。
イラク人民はどのように困難な状況の中で生活し、闘っているのか。
米軍は掃討作戦と称し大規模な空爆で無差別虐殺を行っているが、それだけではない。抵抗勢力をかくまったとの理由で、住民を連行し、女性や子どもを追い出し住居を破壊している。地域の人びとのゲリラをやめさせないとの理由で部族の指導者を逮捕し、農民たちはゲリラ情報を与えないからと果樹園を根こそぎ破壊されている。連行された人びとの多くが行方もわからない状態だ。
ラムズフェルドは11月25日、バグダッドでの掃討作戦で、1週間に約1200人のイラク人民を拘束し、40〜50人を虐殺したと自賛した。米軍のこうした作戦こそ、ゲリラ戦争が圧倒的なイラク人民の支持と支援を受けていることを証明している。またそのことによって、米帝の軍事占領と植民地支配に対する全人民的な抵抗闘争はますます激化しているのだ。
日本人民は「テロに屈するな」という小泉に対し、「侵略戦争絶対反対、イラク人民、ムスリム人民の民族解放闘争を支持し、連帯する」とはっきりと言い切らなければならない。日本共産党などが主張する「米軍主導の占領から、国連中心の復興・支援へ」というのはブルジョアジーの立場からの選択肢であり、帝国主義のイラク支配を容認し、支持するものだ。
イラク人民、ムスリム人民の血叫びにこたえ、決起に連帯し、自衛隊派兵を実力で阻止しよう。レーニンが言うように帝国主義戦争を内乱=国内戦へ転化すること、日帝の侵略戦争を内乱に転化すること、そのために闘うことこそが日本人民の決定的な任務なのである。
(早乙女優)
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週刊『前進』(2130号4面2)(2003/12/15)
呉基地 人間の鎖で包囲 海自に派兵中止申し入れ
11月30日、呉市の海上自衛隊呉基地の潜水隊バース前で、学生・若者が中心となって呼びかけた実行委員会の主催で、「11・30呉 人間の鎖」行動が行われました。広島各地の労働者や学生・若者、そして地元呉の高校生など約210人が結集しました。目の前には多くの潜水艦や護衛艦、そしてイラクへの出兵がねらわれている「おおすみ」が所せましと並んでいる。
午後1時、呼びかけ人のひとりである前参議院議員の栗原君子さんのあいさつで集会が始まり、高校生のバンドや地元のストリートミュージシャンが、“僕らが戦争のない世界をつくる”と熱唱しました。続いて、11月16日から30日までの2週間、イラクを訪問している広島大の1年生から寄せられたメッセージが読み上げられました。メッセージは、イラク人民の反撃におびえる米兵と、それとは対照的なイラクの人びとの活気あふれる様子を伝え、自衛官に派兵を拒否するよう強く訴えた。
発言にたった呉出身の80歳の戦争体験者は、「海軍が呉から侵略をした結果、空襲や原爆投下があったことを忘れてはならない」と力強く提起しました。また、広島の教育労働者は、「教基法改悪に反対しよう」と訴えました。派兵反対のメッセージを書いたピンク色のハンカチをつなげて持ってきた医療労働者は、「戦争協力を拒否する医療労働者の闘いをつくっていく」と語りました。
反戦反核運動のリーダーである河合護郎さんは「核戦争が近づいている。若い新しい力がこれからの平和を築いていく力だ」と若者への期待を表明しました。また、呼びかけ人である呉の高校生は「呉には20人に一人の割合で自衛隊関係者がいる。イラク派兵は身近な問題。イラクの子どもも日本の子どもも一緒に笑って暮らせる社会にしていきたい」と発言しました。
2時から呉基地を囲む人間の鎖行動を始めました。潜水隊バースを取り囲むように、アレイからすこじま公園の端から端まで、思いおもいのメッセージボードやのぼりを掲げて人間の鎖をつないでいきました。15分ほどで鎖が完成。みんなで手をつなぎ、ウェーブをし、「やった!」という歓声があがりました。呉基地に向かって「自衛官は出兵を拒否しよう」「私たちとともに立ち上がろう」とシュプレヒコールをし、基地見学に来た市民や自衛官に訴えました。そのあと手をつないだままで、高校生や教育労働者や大学生が次々と自分の思いを自衛官にアピールしました。
3時からピースウォークに出発。海上自衛隊呉総監部前では学生が代表して派兵中止の申し入れをしました。「自衛隊行かしちゃいけんぢゃろ」のコールが響き渡り、商店街ではたくさんの人がビラを受け取り、「頑張って!」と声をかけてくれました。
(投稿/広島大A)
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週刊『前進』(2130号4面3)(2003/12/15)
伊丹 派兵拒否を訴え 隊員、家族に呼びかけ
兵庫県伊丹市の自衛隊駐屯地へのイラク派兵拒否の要請行動が、11月29日、2回目の行動として行われました。三里塚決戦勝利・全関西実行委員会代表で牧師の永井満さん、4月にイラク・バグダッドに飛んで米軍の攻撃に反対する行動をやりぬいてきた兵庫労組交流センターの会員で看護師の高藪繁子さん、弁護士などの呼びかけで始めたこの行動は「STOP自衛隊派兵! 伊丹アクション」と名付けられ、この団体を実行委員会とし、これからも続けていくものとして2回目の行動が行われました。
あいにくの雨の一日でしたが、京都から来た学生たちがドッドッドドドンと打ち鳴らす太鼓のリズムに合わせ、「イラク占領とめよう」「派兵を拒否して立ち上がろう」とコールをあげながら、150人が元気よく約3キロを練り歩きました。この日の行動は自衛隊への要請とともに、自衛隊員と家族に呼びかけようということで、千近い世帯が住む山本団地まで行進し、「一緒に拒否しよう」と呼びかけ、団地の子どもたちが部屋の中から手を振って応えました。自衛隊への要請は中部方面総監部に行い、百万人署名運動・関西連絡会、部落解放同盟全国連、大阪で活動する反戦グループA&Uの若者からの要請が行われました。
デモに先立って12時から阪急伊丹駅前で街宣を行いました。署名板の前にひっきりなしに人びとが足を止め、署名をし、話しかけてきた。宣伝隊は思い思いに道行く人に訴えました。
街宣の後、緑が丘公園に移り、デモ出発前の集会を行いました。フリートーク形式で行い、在日の学生は北朝鮮の核開発を口実に日本のジャーナリズムが排外主義に乗っかっていることに怒りを表し、「北朝鮮への攻撃阻止も同時にやらなければならない」と北朝鮮侵略戦争との闘いを提起し、大きな拍手を浴びました。アジアの平和を考える若者の会・京都の女性はPKOに参加した自衛官との交流を紹介した。高藪繁子さんは「イラク人民の命がけの闘いに連帯して派兵をとめよう」と檄を飛ばしました。集会のまとめとして奈良の藤原好雄さんが「子どものころババババと米軍が機銃を撃ってきたことをいつまでも覚えてる。自衛隊と言えば昔は目の敵。今は違う。温かい心でともに悩み、考えていこう」と提起し、デモに出発しました。
(投稿/兵庫Y)
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週刊『前進』(2130号4面4)(2003/12/15)
姫路 米艦入港を弾劾 労組など300人が結集
11月28日、米海軍のミサイル駆逐艦バンデクリフト(4100d)が姫路港に強行入港した。一昨年の周辺事態法成立直後の8月にミサイル巡洋艦ビンセンスが入港したのに続き、イラク侵略戦争、占領の真っ最中に2度目の入港だ。バンデクリフトは、イラク侵略戦争に空母を護衛し参加、イラク民衆にミサイルを発射した血塗られた軍艦だ。
米軍艦船が小さな商工業港、瀬戸内海フェリーの発着港である姫路港に入港する理由はまったくない。有事3法が成立し、自治体に協力させるためであり、同時に米総領事が再三にわたり使用を申し入れながら「非核神戸方式」により入港できない神戸港への圧力である。姫路港を管理する兵庫県は、井戸知事が「核はないと判断」として入港を許可した。神戸港の隣の港に、やすやすと入港を認めることは許し難いと怒りの声が上がった。
この入港に対し自治労兵庫県本部の呼びかけで、28日朝9時から姫路港近くの公園で抗議集会が開かれた。戦争に反対する市民団体や自治体に働く労働者、労働組合から反対、抗議の発言が相次いだ。
関西合同労組兵庫支部の組合員、百万人署名運動兵庫県連絡会の人たちも、早朝から抗議行動に参加した。
集会では「戦争協力につながる米艦船の入港や港湾の軍事利用に絶対に反対する」とアピールを採択。10時すぎにバンデクリフトが姿を見せると、集まった300人が岸壁近くに移動し「米艦は入港するな! 有事法の発動に反対するぞ! 戦争協力はしないぞ!」とシュプレヒコールを上げた。自治労の労働者や関西合同労組の組合員らが、「入港が許せるか。もっと前に行こう」と旗を持って駆け出すと約50人がつづき、岸壁間近かで旗を振り「米軍はイラクから出ていけ!」と英文の横断幕を掲げ、怒りと抗議の声をあげた。
(投稿/兵庫・民間労働者N)
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週刊『前進』(2130号4面5)(2003/12/15)
11月25日〜12月2日
最高裁、改悪特措法合憲判決 米軍が地球的規模で再編へ
●「地球規模で米軍再編」 ブッシュ米大統領が在日米軍を含む米軍の地球的規模での態勢見直しに向けた同盟国や友好国との協議を本格的に始めるとの声明を発表した。柔軟性と即応性を強化し、駐留地以外への派兵を視野に入れるほか、同盟国に対しても役割の拡大を求めるという。(25日)
●海兵隊を増派 ラムズフェルド米国防長官が、イラク情勢に対応するため来年初めにも海兵隊3個大隊をイラクに追加派兵することを承認した。米軍関係筋によると、派兵される予定の海兵隊員の半数近くは沖縄を拠点とする第3海兵遠征軍の海兵隊員という。総勢2800人以上になる見通し。(26日)
●改悪特措法「合憲」判決 沖縄県読谷村の楚辺通信所(象のオリ)などの反戦地主8人が、暫定使用制度を新たに創設し、期限が切れた後でも継続使用できるようにした改悪米軍用地特別措置法は違憲として、国に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁は2審判決を支持して同法は合憲との初判断を示し、地主側の上告を棄却した。(27日)
●ブッシュがバグダッド訪問 ブッシュがイラクの首都バグダッドを訪問。バグダッド国際空港内で、駐留米軍部隊の約600人と感謝祭の夕食をともにした。米大統領がイラクを訪問するのは歴史上初めて。(27日)
●安倍「国益含め、大義名分」 自民党の安倍幹事長が東京都内で講演し、イラクへの自衛隊派兵について「われわれが自衛隊を派遣しないということはありえない」「対米協力のためではない。国際社会におけるわれわれの責任、エネルギー資源を頼っている地域の安定というわが国の国益も含めて、大義名分があると思う」と述べた。(28日)
●珠洲原発の建設断念 関西電力、中部電力、北陸電力は、石川県珠洲市に共同で計画している珠洲原発の建設を凍結し、事実上断念する方針を固めた。(28日)
●日本人2外交官を殺害 イラク北部ティクリート近郊の幹線道路で、四輪駆動車で移動中の日本人外交官2人が襲撃され、殺害された。3月の戦争開始以降、日本人に死者が出たのは初めて。同じ日にスペインの情報機関職員7人、翌30日に韓国の民間人2人が殺害された。(29日)
●文民派遣見送り 政府は、イラク特措法に基づく政府職員や民間人ら文民のイラク派遣を当面、見送る方針を固めた。(1日)
●石原「攻撃されたら堂々と反撃を」 石原慎太郎・東京都知事が、イラクへの自衛隊派兵について「平和目的で行った自衛隊がもし攻撃されるなら、堂々と反撃してせん滅したらいい」などと述べた。(1日)
●国民保護法制で各知事と意見交換 政府は、他国から武力攻撃を受けた際の住民の避難・救援方法を定める「国民保護法制」について、住民の避難指示などにあたる都道府県知事との2回目の意見交換会を開いた。知事側から、「有事に至らないテロや不審船についてどう対応するのかについても、きちんとしたシステムの構築を期待する」などの意見が出た。(1日)
●「外交官殺害はテロ」 政府は、日本人外交官殺害事件について、現場の状況や2人のこれまでの活動内容から、強盗や怨恨(えんこん)によるものとは考えられないとして、事件を「テロ」とほぼ断定した。(2日)
●自衛隊による在外公館警備を検討 政府は自衛隊による在外公館の警備を可能にするための自衛隊法改正など、関係法制整備に向けて検討に着手した。(2日)
●SACO最終報告から7年 沖縄の基地を削減すると称して、日米政府が合意した日米特別行動委員会(SACO)最終報告から7年になった。「5〜7年以内に返還」とされた普天間飛行場は、7年内の返還はなされなかった。(2日)
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週刊『前進』(2130号5面1)(2003/12/15)
階級的利益売り渡すJR総連の大分裂と松崎支配の破綻(下)
新潟・長野は地本ごと嶋田派が制圧
矢剣 智
「内部の敵との闘い」わめき散らす松崎派
昨年10月に中央執行委員8人(別表)が辞任し、松崎明派と嶋田邦彦派への分裂が公然化したJR東労組において、JR総連カクマルの中枢分裂―崩壊が進んでいる。それは、組合員の階級的利害とまったく関係のないところで激しい対立・抗争として展開されている。
嶋田派が影響力を持っているところは新潟、長野、横浜、千葉各地本と東京の一部である。その組合員数はJR東労組5万5千人のうちの約1万人におよぶ。約5分の1勢力である。しかも辞任した役員は、役職を見れば分かるとおり、事実上東労組を運営してきた者たちと言っていい。
決戦となった今年6月の東労組大会を前に、本部・松崎派は執行部権限を最大限使って大会代議員選挙に介入した。東京地本を制圧した上で、横浜地本、千葉地本で激しい不正選挙を行って代議員確保を行った。
だが、東労組第19回大会は、本部・松崎派自身が「ヤジと怒号のうずまく大会」と認めざるをえないものとなった。
松崎派の戦略は、「多少強引ではあるが、『数の論理』と規約に則って淡々と対応していく」というものだが、それは組合民主主義などない、暴力を背景にしたものである。具体的には論議なしの辞任強制や統制処分の乱発による各地本、支部の嶋田派役員のそぎ落としであった。
JR労研(=JR労働運動研究会)は今年4月、新潟、長野地本を「反本部」と規定し、「JR労働運動の場から放逐するたたかいとしても推進しなければならない」「内部の敵とのたたかいなしにはこの労研組織の防衛はありえない」として、嶋田派排除の意志を鮮明にした。
JR労研とは、黒田・中央派カクマルと分裂した、松崎を党首とする産別JR総連カクマル組織である。JR総連の各単組別に幹事会があり、中央幹事会が単組幹事会を統括している。
これに対して6月、JR新潟労研は総決起集会を開催し、真っ向から反撃に出た。招集責任者は元JR新潟労研代表幹事・渡辺で、辞任中執も出席した。その中で講演に立った本間雄治は「中央労研はそれを指導している者に問題がある、我々の手で改革しなければならない、そして多数派を創り出していくこと」だと、松崎の言いなりになっている中央労研の改革を宣言した。
また渡辺は、JR東日本労研代表幹事・千葉(東労組書記長)に書簡を送り、「貴方たちのフラクションが、私たちを敵と規定することを宣言した以上、対抗して闘うことは当然のことです」と、あらためて宣戦布告した。これらは松崎の権威がJR総連カクマル内で大きく失墜していることを示している。
新潟、長野は「反本部大会」
このような状況の中で各地本―支部―分会の大会が行われた。新潟地本、長野地本は地本組織全体が嶋田派で固まった。横浜地本、千葉地本は松崎派が地本執行部を押さえたが、下部組織での激しい対立が今なお続いている。
7月の新潟地本大会では、あいさつに立った斎藤委員長が、本部と非和解的関係にある新潟地本の立場を組合員に明らかにして、団結を求めた。「私の価値観は、組合員とその家族のためになるか否か、新潟地本は組合員派だ」とし、組合員をないがしろにしている本部・松崎派と対決する姿勢を示した。
長野地本大会(峰田委員長)は、松崎前会長や角岸委員長など本部役員を名指しで批判する激しいものとなった。特に、東労組大会代議員に立候補した組合員が、本部で4日間の「追及行動(=白色テロル)」を受け、「うつ病」に追い込まれた事件で怒りが爆発した。松崎を「教祖さま」とやゆする発言も飛び出すありさまで、以前には到底考えられない光景となった。
両地本大会の結果を受け、本部・松崎派は新潟、長野地本への対処を決定した。それは中央労研での方針を貫徹するものだった。
松崎派は、新潟、長野地本の両大会を「反本部の大会」と決めつけ、委員長を始め専従役員の指導責任を追及。専従解除の恫喝でけん制した。また、本稿(上)でとりあげた嶋田編著『虚構からの訣別(けつべつ)』(以下「嶋田本」という)を「組織破壊の本」と規定した。
この決定に対して新潟地本は「認識の相違」だとして訂正を要請したが、本部はこれを拒否。8月2日の新潟支部大会は、地本大会を反本部と規定した根拠を求める「特別決議」を採択し、8月4日には地本を含めた代表16人が東労組本部に押しかけ、上記「特別決議」を手渡した。千葉書記長はこの抗議を拒否した。
こうした中で開かれた青年部大会では、新潟の委員が発言している時に、松崎派はマイクの電源を切って妨害した。この非民主的大会運営に怒った新潟の委員は退場して抗議した。本部はその後、両地本の組合員全員に「総団結のためのレポート集」を送付して反乱を呼びかけた。
一方嶋田派は、新潟地本で『非常事態宣言ニュース』を発行。「組織破壊の本」とされた嶋田本を東労組全地本や支部に送って、本部発表の「デマの訂正」を訴えている。
鶴見支部は二重権力状態
松崎派の横浜地本執行部は、嶋田派の副委員長、書記長の辞任を受理(解任)、青年部6人の役職解任など、執行部権限を使って最大限の処分行動に出た。
また青年部に力がない松崎派は、東京地本、大宮地本、八王子地本からの総動員で「青年部再建委員会」を立ち上げた。
最大の激突となったのは嶋田派の拠点、横浜地本鶴見支部大会である。松崎派は流会を狙い、役員選挙に入ったとたん、来賓の地本組織部長が「この大会は認められない」と席を立ち、松崎派代議員を引き連れて退場した。地本執行部が前面に立って大会破壊を公然と行ったのだ。嶋田派は大会を継続し、新執行部の確立と大会宣言採択を嶋田派単独で行った。
これに対して横浜地本執行部は支部大会の「流会」を宣告、やり直し大会の開催を命じた。「やり直し大会」では、冒頭から松崎派は執行部不信任案を提出し、これを地本役員が強引に採決させるという方法をとった。組合民主主義もルールもない地本執行部の押しつけに対し、今度は嶋田派執行委員、代議員は総退場、大会は再度流会となった。松崎派は、他地本から動員していた松崎派組合員で即刻「支部再建大会」を開催し、これをもって「鶴見支部」と宣言した。
しかし、鶴見支部の中原電車区分会、鶴見線営業所分会の大会は、両派が別個に分裂大会を開催し、それぞれが執行部体制を確立している。分会レベルでは完全な二重権力状態にある。
千葉は青年部全役員が辞任
千葉地本大会は、現執行部(嶋田派)に対する不信任動議を松崎派が拍手で採択して執行部を総辞職させ、新執行部を松崎派で選出した。
この強引な大会運営に対して、千葉支部や千葉地本青年部は異議を唱え、特に青年部はこの地本のもとではやれないとして青年部常任委員全員が辞任した。さらに津田沼支部青年部を始めとした青年部が抗議の声をあげている。青年部総反乱に対し、松崎派は「千葉地本青年部再建委員会」を立ち上げたが、執行部をつくっただけで終わっている。
こうして両派の分裂は、組合員の階級的利害とはまったく関係のないところでの執行部をめぐる権力闘争として展開されている。青年部は組合運営への反発や松崎独裁への怒りがある分だけ反松崎派として行動してはいるが、それは必ずしも嶋田派に組織されているというわけではない。そこには組合員から見捨てられたファシスト労組の姿がある。
この分裂に対し、中央派カクマルは『解放』紙上で一言も言及していない。松崎派支持を訴える「怪文書」をまいただけで、完全に弾き飛ばされている。カクマルよ、かつての「階級敵」規定はどこへ行ったのだ。答えてみよ。
白色テロで組合員に退職強要の浦和事件
昨年11月、日帝権力はJR東労組組合員7人を逮捕した。容疑は、地本役員が先頭に立って、組合方針に反発していることを理由にして浦和電車区の東労組組合員を十数回も取り囲んでゴリQ(=集団暴力と恫喝・脅迫による白色テロル)し、職場をやめさせたという「退職強要」である。東労組はこれを「正常な組合活動」「組合防衛」だとしている。
組合員が職場で働き続けられるように守ることは、労働組合の最低限の闘いである。地本役員を先頭に組合員を取り囲んで脅し、職場をやめろと集団的暴力をふるい、実際にやめさせることが、「正常な組合活動」であるわけがない。組合員を敵とするような東労組こそ、資本と一体となって組合員に「利益が出るように働け」と強制しているファシスト組合ではないか。こうした白色暴力による「組合防衛」と称した抑圧と恫喝が、資本の容認のもとで常日頃から「正常に」行われていたということである。これこそカクマルによる過疎支配の根拠であり、資本との癒着体制なのだ。
その証拠に、東労組執行部は、逮捕された7人の解雇をあらかじめ容認し、現職復帰闘争を初めから放棄している。逮捕された7人を中央執行委員にして給料を組合支給とすることで終わらせようとしている。階級性や正義性がまったくないことが、ここにもはっきり現れている。
組合員の権利を守るための職場闘争を投げ捨て、松崎個人の権威やプライドが守られているかどうかを基準とした「ボス交」ですべてを決してきた東労組のやり方への不満や怒りが、もはや抑えることができない形で噴き出ている。浦和事件は、JR総連カクマルのファシスト暴力による組合支配を暴き出すとともに、その崩壊の現実をはっきりと示したものである。
7人の逮捕は、白色暴力による東労組組合支配が権力にとって見過ごせない地点にまで至った現実がある。だが、それだけではない。ここには、日帝・警察権力によるファシストとのこれまでの連携を解消する意図が働いている。日帝は国鉄分割・民営化以降、JR総連カクマルを動労千葉および国労を解体する攻撃の先兵としてK=K連合(警察=カクマル連合)政策に基づいて使ってきた。組合の白色過疎支配の容認はその象徴である。
だが、動労千葉を先頭とする国鉄労働者は、権力・資本・カクマル一体となった労組破壊、国鉄闘争圧殺策動を粉砕し、逆にJR総連カクマルを追いつめ、K=K連合政策を破綻(はたん)させてきたのである。
権力とファシストとの矛盾
こうした中で、日帝のイラク侵略戦争突入―北朝鮮への侵略戦争切迫情勢において、日帝は、JR総連カクマルとの関係をこれまでどおりには維持できなくなっているのだ。
権力にとって、軍需物資の輸送を担う交通運輸組合であるJR総連を完全に支配下におく必要に迫られている。JR総連は、侵略戦争遂行の物資輸送に協力することをすでにはっきり大会決定しているのであるが(99年6月、JR総連15回定期大会)、権力にとってはファシスト的独自性をそのままにはしておけないということである。しかも、JR東資本と癒着して利権の独占を図るファシストを、そのまま組合権力として抱え込むことは認められないのだ。
浦和事件は、権力とファシストとの矛盾、あつれきの爆発であり、ファシストとの関係の「解消=再編」としてもあるのだ。今年に入ってからの松崎を始め、JR総連関係への連続する家宅捜索もこうした流れの中にある。
松崎的なあり方とは、資本との癒着をトコトン進め、奴隷頭として自らの存在価値を形成し、その一角に入り込もうとしながら、ペテン的に「独自性」(エセ対権力性、階級性)を持っているかに見せて組合支配をするものである。
連合のような労使協調ではなく、あくまでもファシスト的主体性に基づいた労使協力路線でなければならないのだ。しかし、この支配者の側に立った偽物(エセ)独自性であっても、今では権力はそのエセ性すら認めないということである。つまり権力に対して屈服と恭順を表明することを求めているのだ。
だが、「屈服を自己表明する」ことは、そのファシスト的独自性、存立根拠を失うものとしてある。松崎は、この点を一番よく知っている。
このことはJR総連カクマルに重大な選択を迫るものとなった。「屈服を自己表明すること」は、これまでのカクマル組織を根本的に成り立たなくさせるからである。松崎=JR総連カクマルは、マルクス主義からの決別をはっきり宣言した転向者でありファシストでありながら、「ヒューマニズムの立場」なるものを掲げ、そのかぎりで労働者の味方面(づら)し、エセ「対権力性」を表向き維持して成り立っている。
これに対して嶋田派は、戦争突入下では松崎的なペテンはもはや通用しないことをはっきり見て取ったファシスト指導部である。すでに進めてきた資本との癒着路線をはっきりさせ、資本と組合の「現実的な」役割確認を行い、その現実を権力にも自己表明して進むカクマルである。ここまでの「屈服の自己表明」は、嶋田にはできるが、松崎にはけっしてできないことである。嶋田は松崎のペテンの衣をはぎとった裸の松崎の思想を体現している。
それは嶋田派が、松崎の掲げた「資本と労働組合はニアリーイコール」論を現在自ら掲げてJR資本との協力に走っていることに現れている。彼らこそ、松崎的な「労使協力」路線を忠実に継承し、体現した部分なのである。
重要なことは、嶋田派カクマルも、いわゆる労使協調とは区別した労使協力路線を掲げるファシスト・カクマルであり、労働者の味方面して労働者の権利を資本や権力に売り渡す存在であるということを、しっかり確認することである。労働者的積極性を組織して戦争動員の立場で資本を支える勢力なのである。
松崎崇拝と専制支配狙った私塾「松明塾」
松崎は02年8月、「松明(たいまつ)塾」なる私塾を立ち上げた。嶋田派の分裂がはっきりした同年10月、塾は再編され「新塾」と名称を変更している。
この塾はかつて松崎が主催した「寺子屋」などとも違い、単なる学習会ではない。JR総連や東労組への松崎専制支配を貫く、JR労研の上に位置する指導会議である。松崎によってここで方針が語られるのである。塾生には本部役員・書記と各地本の役員など松崎派カクマル分子が集められる。ここはまた松崎の「親衛隊」形成の場であり、塾生は嶋田派排除の急先鋒(きゅうせんぽう)として組織されている。
10月14日の「新塾」で松崎は、嶋田派との分裂抗争を、「もう仲間内の議論だとは思っていません。明らかに階級闘争の一環」と宣言している。
塾は『松明塾通信』なる機関紙を発行している。その内容は、松崎講演の抜粋や松崎を礼賛する「松崎本の感想文」で埋め尽くされている。中央派カクマルによる「黒田感想文」運動とうり二つの、創始者崇拝運動である。どこまで行ってもファシストとしての感性は同じなのである。
『松明塾通信』では、松崎に関して次のように語られている。
「JR東労組が、その創始者である優れた指導者『松崎前顧問』と共に歩むといって、何をはばかるものがあろうか」
「日本労働運動のリーダー松崎前顧問の教えを直接いただける恵まれた条件をフルに活用し、労働組合としての王道を歩みつづけるのが東労組の現在であり、未来である」
組合権力に年齢を超えていつまでも君臨することはできない。松崎は、JR東労組に会長職を設けて5年居座り続け、さらにその後顧問に就き、それを辞したと思いきや、今度は東京圏の各地本の顧問に就いて、どこまでも東労組内での影響力確保とその利権にこだわってきた。
長過ぎた組合権力の独占と後継者のすりつぶしや排除。そうした組合指導部である松崎は、もはや組合権力を失って、裸の松崎となったとたん、なんらの組織的な力や影響力をもたない存在であることを彼自身が一番よく知っているのである。松崎はJR東労組にしがみつき朽ち果てるしかない存在となったのである。しかし、それもすでに限界を迎えている。
嶋田派との抗争はさしあたり、JR資本に取り入りすり寄っている松崎派が優勢であるかに見えるが、しかしそれはJR東資本がついているからにすぎない。その意味で松崎の命運は、今は完全にJR東資本の動向に規定されている。だから松崎はその言葉の激しさとは裏腹に、必死でJR東の経営陣に取り入っている。その点は、嶋田派も同様である。両派とも、どこまでもJR東資本に組合員の権利を売り渡して屈服し、資本への貢献度を争うものとして進んでいる。
労働者階級を裏切り敵対したファシスト組合・JR東労組の動向は、結局日帝権力とJR東資本の動向に左右されているのだ。だが、権力と資本に左右されるような労働組合は、労働者のものではない。絶対に打倒しなければならない存在である。
JR総連打倒し階級的労働運動に合流を
こうしたJR総連の危機を根底において規定しているのは、動労千葉、国労闘争団を先頭とする国鉄1047名闘争の不屈の闘いである。そして動労千葉など3労組呼びかけの「11・9労働者総決起集会」に結集した国際連帯の大きな団結と闘う力である。
韓国・民主労総とアメリカのILWU(国際港湾倉庫労働組合)、UTU(全米運輸労組)は、民営化と合理化攻撃と断固として闘う労組である。彼らは、分割・民営化に反対して闘ってきた動労千葉に熱い国際連帯の意思を表明して合流してきた。JR総連の「反グローバリズム」労働運動のペテンは完全に見破られ、闘う国際主義的労働運動から見向きもされていない。「分割・民営化の先兵」としてJR総連カクマルは唾棄(だき)すべき存在として急速に国際的に認知され始めている。
そのJR総連内部から、隠しようのない形で白色支配に対する怒りが充満し、決起が始まっている。JR総連が組合員のための組織ではないことがはっきりした。組合員の生活や権利擁護を捨て去り、権力闘争に明け暮れる労組指導部こそ打倒の対象であることに多くの組合員が気づき始めている。特に「平成採」の青年部労働者の離反は著しい。今後の階級的激動情勢の煮詰まりとともに、ファシスト労働組合支配の矛盾は、いたるところで噴出してくる。
JR総連のもとで抑圧されているすべての組合員は、戦闘的階級的労働運動の隊列に合流し、JR総連解体・打倒、新潮流運動の拡大へ、ともに突き進もう!
辞任したJR東労組の中執8人(役職は02年10月時点)
嶋田邦彦 副委員長(本部)
関根一義 副委員長(新潟)
阿部克幸 組織・研修局長(新潟)
小林信一 労働平和環境調査資料センター所長(新潟)
宮坂隆義 組織・研修担当部長(新潟)
百瀬篤志 組織研修担当部長(長野)
本間雄治 業務部長(横浜)
神田浩一 情宣部長(横浜)
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週刊『前進』(2130号5面2)(2003/12/15)
日常化する外国人「摘発」
入管攻撃の激化許すな 排外主義打ち破る闘いを
イラクへの自衛隊派兵と北朝鮮侵略戦争発動の動きの中、日帝・小泉政権は有事法制下の国内治安体制づくりの一環として、戦時型入管攻撃を激しく推し進めている。
10月2日、自民党は拉致問題対策本部を設置、本部長に安倍幹事長を据えた。「拉致問題解決のための国民運動」の展開、日帝独自の北朝鮮制裁を可能にする外為法改悪や新法制定など、北朝鮮侵略戦争発動に向け具体的政策を推進しようというのである。これは「送金停止と船舶入港阻止が拉致問題解決の切り札」と主張し、排外主義的な国民運動を展開している「救う会」と全面的に連動したものだ。
さらに自民党政権公約「小泉改革宣言」では、「宣言2 国民の安全」として「5年で治安の危機的現状を脱し、5年間で不法滞在外国人を半減します」「警察官の数を思い切って増員します」と、入管体制強化が「治安回復」の柱に据えられた。
この内容を実施するものとして、10月17日に法務省入管局、東京入管局、東京都、警視庁が「首都東京における不法滞在外国人対策の強化に関する共同宣言」を発表。「我が国に不法に滞在する外国人」を「約25万人(推計)」とし、「その約半数が首都東京」にいるとして「今後5年間で半減させる」というのだ。そこには、「不法滞在者の摘発を飛躍的に強化するため、東京入国管理局と警視庁との連携を強化し、合同摘発の恒常化」「警視庁警察官による不法滞在者に対する職務質問等の強化」が明記されている。
この宣言発表にぶつけた「外国人=犯罪者」キャンペーンとして、9月16日から東京入管と警視庁が合同で実施してきた「入管法違反集中摘発」の結果が発表された。10月17日までの1カ月間で実に「1643人を摘発」、「集中摘発」としては史上最多人数で、単純に計算しても1日50人以上だ! 共同宣言はすでに発表前から恐るべき弾圧として発動されていたのだ。
具体的には「新宿区内のマンションに居住するインドネシア人等71人を摘発」「新宿区歌舞伎町周辺の路上を徘徊(はいかい)する外国人94人を摘発」など新宿での事案が目立つ。「業務上の都合」で所在地を非公開とする東京入管新宿出張所を拠点に「摘発業務」が展開されているのだ。
ここで「路上での摘発」と言われているのは、外国人と見たら職務質問し外国人登録証明書(外登証)またはパスポートを提示させての「摘発」のことだ。
この点について共同宣言では、「留学・就学、研修、興行、日本人の配偶者等の…在留資格は名目のみで、当初から不法就労を目的としている者が数多く存在して」いると、外登証の悪用を強調し、「審査部門における実態調査能力の強化」を方針化している。
これは「実態調査」をとおして在日朝鮮人・中国人を日常的に監視し、治安管理下に置こうとする攻撃そのものであり、戦後、入管法・外登法−入管体制と粘り強く闘いぬく中で在日人民がかちとってきた全成果を奪おうとするものだ。
日帝は、北朝鮮侵略戦争に立ちはだかる在日朝鮮人の存在と闘いを恐れ、戦争突入後、朝鮮半島から大量に渡航する難民と在日朝鮮人が結びつくことをあらかじめ抑え込もうと画策しているのである。
10月28日、「救う会東京」の決起集会で基調講演を行った石原都知事が「政府も経済制裁を行え」「日韓併合は朝鮮人の総意」と、デマ暴言で排外主義を扇動した狙いもここにある。
その後、11月に警視庁組織犯罪1課が、9月16日〜11月14日までの2カ月間で424人の外国人を「摘発」したと発表したことからも、すでに「集中摘発」が恒常化していることが明らかになった。
この洪水のような排外主義攻撃を打ち破るためにも、石原らが憎悪する外国人労働者の存在と闘いにしっかりと焦点を合わせることが必要だ。入管弾圧の一例を見てみよう。
ビルマ人のキンマウンラさん(45歳)は88年に来日、運送会社で11年間働き、その間にフィリピン人のマリアさんと結婚、幼い2人の娘がいる。ミャンマー政府による迫害を理由に94年に難民認定を申請したが、98年に難民不認定通知−収容−退去強制令書発付、妻子にも退去強制令書が出された。一家はその取り消しなどを求めて提訴したが、10月29日、東京高裁は一審を支持し棄却判決を出した。(11月7日に上告)
キンマウンラさんをミャンマーに、妻子をフィリピンに送還するというのだ。生活の基盤が日本にしかない一家を引き裂こうとする暴挙を許してはならない。
10月31日、03年版入管白書『出入国管理――新時代における出入国管理行政の対応』が発行された。白書は「はじめに」で、01年9・11反米ゲリラ戦闘をもって入管行政は「新時代」に突入したと総括し、さらに入管体制を強化し、「全力を挙げてテロリスト等の上陸を阻止する」と宣言している。
「9・11」以降、アメリカを始め世界で帝国主義による民族排外主義攻撃が激化している。他方、地球規模の反戦闘争が巻き起こり、労働者人民の国際共同行動が生み出されてきた。
帝国主義者は、被抑圧民族人民と帝国主義国のプロレタリアートが合流し、帝国主義打倒に立ち上がることを恐れている。すべての職場・地域で、在日・滞日人民との階級的団結を実現しよう。日帝の排外主義攻撃を打ち破り、北朝鮮侵略戦争を阻止しよう。自衛隊のイラク派兵を阻止しよう。
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週刊『前進』(2130号6面1)(2003/12/15)
万国の労働者は団結せよ」が身近に 関東・教育労働者 原口和彦
「万国の労働者は団結せよ!」。11・9をもって、この言葉はすべての人に身近なものになった。ソウル本部長の血を吐く訴え、アメリカ労働者の闘いの歴史を受け継ぐねばり強い闘い。日本の労働者は、闘う労組のネットワークを創(つく)ることを自らの責務にしなければならない。
今、連合支配の中で各産別指導部が変質し闘いを放棄する中で、各職場では閉塞(へいそく)感やあきらめが渦巻いている。闘うことへの消耗感や倦怠(けんたい)感も生まれている。
しかし、こうした民主労総・アメリカの労組の自らの命をも投げ打つ闘いはムスリム人民の闘いと共通し、世界の恒久平和=労働者階級の解放という未来のために世界の労働者に決起を呼びかけるものだ。
これに答え、日々フラクションを創り仲間を増やして職場を組織するという労働運動の原理原則に立ち返ることが求められている。
この集会にこぎ着けた最大の理由は、動労千葉の偉大な闘いが世界の労働者の目にとまり、この人たち以外にないという判断に立たせたことだ。小なりといえこうしたすぐれた労働運動を支え抜いている自分たち自身にも誇りをもちたい。
「万国の労働者は団結せよ!」。この言葉をわがものとし、勝利の日まで闘いぬこうではないか!
原則を曲げず闘えば人はひきつけられる 千葉・労働者 赤瀬秀策
11月9日は、ちょうど選挙の日でした。だから、選挙では、戦争政権の番犬である裁判官には全員に×をつけて、その後、労働者決起集会に参加しました。
この日の集会には、韓国からも、アメリカからも、労働者の「援軍」がくるということで、活動家はみんな例年以上に力を入れていましたけど、海外からのお客様のためにとがんばっていたところが、正直に言って、日本人らしいな(笑)と思っています。
動労千葉は、たったの500人の少数精鋭で当局や国家権力と互角に闘っていて、春闘ではストライキをイラク反戦のためにもやったのだから、自然体で堂々としていれば良いのにと僕自身は思っていましたけど、主催している人たちは、結構興奮したりしていました。
なにしろ、海外からの「援軍」、しかもアメリカと韓国からということで、めったにないことでしたから、例年の労働者集会以上に国際社会において名誉ある地位を占めるための集会になったと思います。
やはり、労働者のゆずれないものを守り抜くという原則をまげなければ、信頼が生まれ闘争の質が良くなり、その質の良さに心ある人間はひきつけられるのだろうなと思いました。
原則をまげないという基本があったからこそ、少数派に見えても、海外からのすばらしい「援軍」が日本に来てくれたのだと思っています。
派兵阻止へ千葉でも基地闘争が始まった 千葉・労働者 倉木槙人
11・9集会が終われば、今までは「ほっと一息」という感じだったが、今年は違う。なによりも、せまりくる自衛隊のイラク派兵を絶対にとめなければならない――。気持ちも新たに千葉の百万人署名運動の仲間たちと基地への申し入れを行いました。
11月16日、津田沼駅前で街頭署名とりを行った後、ゼッケンや横断幕でアピールをしながら、習志野駐屯地へ申し入れに立ちました。習志野駐屯地は練馬と並ぶ治安出動のための基地で、とくに「習志野空挺(くうてい)団」という敵地へ乗り込むためのパラシュート部隊が配属されているところです。応対に出てきた自衛官は、「自衛官は勇気をもって出兵を拒否しよう」「敵はイラク人民ではなく、小泉や資本家だ」との訴えに真剣に耳を傾け、涙ぐむ表情さえ浮かべていました。「人道的」に派兵反対を訴える人が多い中で、階級的に「軍服を着た労働者」に訴えかけることが重要だと改めて実感しました。
翌週の24日には松戸駐屯地に登場。ここは、PKO派兵以来、手袋や装備品などの補給廠(しょう)になっているところで、すでにイラク向け物資の搬出が開始されているのです。
こちらは、門を固く閉ざし、休日であることを理由に申し入れさえ塀越しに受け取るという無礼な対応です。私たちは、代表者だけが形式的に申し入れるのではなく、一人ひとりがアピールや手紙を読み、手渡しをして、ついに寒風吹きすさぶ中、1時間もの間、門前にねばり、最後にシュプレヒコールをあげました。
松戸駐屯地のある東葛地区は、いままで基地闘争がほとんど行われませんでしたが、ついに公然と反戦闘争が開始されました。これも「今やらねばならない」という「11・9効果」です。今後は、労働組合にももっとよびかけ、千葉の反戦闘争をもりあげていきたいです。
徳島集会に参加して星野さん無実を確信 徳島 吉島 光
11月15日に開催された「星野文昭さんを取り戻す全国集会 徳島」に参加しました。星野さんの家族の思い、星野さんがやった闘いの正しさ、沖縄の人びとの思い、逮捕・無期攻撃が権力による完全なデッチあげであることが伝わってくるすばらしい集会でした。
知花昌一さんによる「1971、あの日のオキナワ、そして今」という講演のなかで「沖縄返還の日は、沖縄の人びとにとってお祝いの日にしたかったが、闘いの日になっている」という言葉に沖縄の思いがひしひしと伝わってきました。
沖縄は3度の琉球処分を受けています。1879年の琉球処分、アメリカ分離支配の1952年、そして1972年のペテン的返還。沖縄は差別的な扱いを受け続け、「基地の島」を強制させられています。このことに怒りをもった星野さんの闘いは、本土の労働者階級として、これ以上、沖縄を基地の島、戦争の島にさせないという正しさがあり、私も本土の人民としてイラク侵略戦争反対、基地撤去のために闘って行こうと思いました。
弁護団報告の中で、星野さんが警官を殴打した現場にいなかったことが、服の色から客観的に断言できることがわかり、あらためて権力による冤罪であることに確信をもちました。
獄中で闘う星野さんとともに、帝国主義の悲惨からの人間的解放のためにイラク侵略戦争反対、星野さんの奪還に取り組んでいきたいと思いました。
イラク派兵反対で4回目の女たちデモ 福岡 沢野佳代
外務省職員2人がイラクで攻撃を受け、殺害されたという衝撃的なニュースが伝わった11月30日、福岡では4回目の女たちのデモを開催した。(写真)
午後2時いつもの警固公園には約100人が集まる。実行委員会代表の平井禮子さんが最初に発言。元軍国少女としての「戦争を絶対に許してはならない。自衛隊をイラクに行かせてはならない」という思いを訴える。
次に実行委員会から提案がされる。「武装して乗り込んでくる自衛隊は、イラクの人びとにとってアメリカやイギリスと同じ占領軍そのもの。日本人外交官2人の死は、自衛隊がイラクに行けばもっと犠牲者が増えることを示している」と与謝野晶子の「君死にたもうことなかれ」という一節を紹介して「自衛隊をイラクに行かせないために今こそ声をあげる時。いっしょに行動しよう」と提案。
さらに次々と女性たちが思いを込めて発言。街頭で署名をしてビラをもらったという女性は、「『これは絶対行かなくては』と思って参加した」。小さな子どもを連れて参加した女性は「この子が大きくなって『自分は戦争に行かないといけないけど、おかあさん、なんしよったと?』と言われないように今がんばらなければ」。この女性たちの思いを乗せてデモに出発。
メッセージボードには、それぞれの思いが込められている。元気ににぎにぎしく注目を集めて歩く。途中から参加する人もいる。初めて参加した女性は「はまってしまいそう」と「次にも絶対参加」と、はりきっている。
“反戦STREET”で若者が怒り表現 福岡 R・O
11月30日、福岡・天神で行われた「女たちのデモ」に先立って、警固公園で、「反戦STREET」という企画をやりました。
まず初めに、天神の中心にある警固公園のど真ん中にスピーカーとマイクを設置して、「ひょっこりひょうたん島」の替え歌で自衛隊のイラク派兵反対を訴えました。歌はあまりうまくありませんでしたが、注目度は百%。
続いて公園にいる人に「私たちは自衛隊のイラクへの派兵に反対です。黙っていたら、小泉は黙認したと思ってしまいます。みなさんはどう思っていますか?」と呼びかけると、若者たちが次々と飛び入りでマイクを手にとり、戦争反対のアピールをしてくれました。
飛び入りのアピールをはさみながら、天神で夜にストリートライブをやっている人たちに出演を依頼してまわり、それにこたえてくれたミュージシャンたちによるライブに突入! オリジナルの反戦歌も登場し大盛り上がり、大盛況の内に「女たちのデモ」に合流していきました。
何しろ初めてのことだったので、いろいろうまくいかないこともありましたが、何とかやりきることができました。若者たちだけで企画し、準備し、やり遂げました。みんなも「今度はもっとうまくやれる」と次の企画に向けてやる気満々になっています。
誰もがイラク侵略戦争に怒り、小泉に対して怒っています。しかし、なかなかそれを表現する機会、場所を奪われています。とくに若者たちはそうした怒りがたまりにたまっています。その「場」を用意しさえすれば、多くの若者が次々と集まってきました。
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週刊『前進』(2130号6面2)(2003/12/15)
04年「司法改革」攻撃粉砕へ(上)
北朝鮮侵略戦争突入に向け憲法破壊と戦争国家化狙う
04年は「司法改革」攻撃との全面対決の年となる。「司法改革」攻撃の目的は、北朝鮮侵略戦争を遂行できる「凶暴な戦争国家」をつくりあげることだ。そのために、革命党を壊滅し、労働組合を始めとする労働者人民のあらゆる団結と闘争を破壊・解体しようとしている。すべての労働者人民は「司法改革」攻撃との闘いに立ち上がろう。今号では、日帝はどうして「司法改革」攻撃に出てきているのかについて明らかにしたい。次号では、「司法改革」攻撃の具体的暴露を行う予定である。
凶暴な戦争国家へ大転換が始まった
戦争と大失業の時代の到来は、労働者人民への弾圧を激化させている。資本攻勢と一体となった治安弾圧の激化は、労働者人民にとって、今や最も身近で切実な問題となっているのだ。
日帝・小泉政権は、「司法改革」を、87年「国鉄改革」(国鉄分割・民営化)、94年「政治改革」(小選挙区制導入)、96年「行政改革」(中央省庁再編、規制緩和、大リストラ)に続く一連の諸改革の「最後の要(かなめ)」(01年「司法制度改革審議会最終意見書」)として位置づけ、全力で推進している。
「国鉄改革」は、戦後労働運動の根幹をなしてきた国鉄労働運動解体の攻撃である。「政治改革」による小選挙区制の導入は、戦後民主主義的統治形態の土台を破壊する攻撃である。そして労働者人民への治安弾圧強化の攻撃が「司法改革」なのだ。
こうしてみると、日帝の一連の「改革」攻撃の目標は、現在の統治形態(戦後民主主義的統治形態)の大転換にあることがよくわかる。それでは、どのような統治形態に大転換しようとしているのだろうか。
「帝国主義の時代にあっては、国家はその公的暴力と国家機関(軍隊・警察・官僚機構)をますます強化し、プロレタリアートの抵抗・内乱・革命はもちろん、人民のあらゆる自主的な活動を許さず、暴力的に抑えこむ警察国家・治安国家となり、帝国主義戦争に全社会・全国家を総動員する凶暴な戦争国家となる」(マルクス主義基本文献学習シリーズ7『国家と革命』34n)
日帝・小泉は、北朝鮮侵略戦争を遂行できる「凶暴な戦争国家」という統治形態への大転換を必死になって追求しているのだ。「司法改革」は、そのための「しめくくりの改革」であり、日帝の全体重をかけた攻撃なのだ。
この攻撃の激しさを理解するためには、「戦後民主主義的統治形態とは何か、なぜ破壊されなければならないのか」、「凶暴な戦争国家とはどのような国家か」ということをつかみとる必要がある。
階級的反撃力強め治安強化粉砕せよ
戦後民主主義的統治形態の柱である戦後憲法の特徴は、戦後革命の高揚と敗北の副産物であること、とりわけその表現としての「戦争の放棄」という内容にある。戦後憲法は、1946年11月3日、ポツダム宣言に沿った「非軍事化と民主化」を基調とする「日帝弱体化政策」の中心として、戦後革命の激動のまっただ中で公布された。
米帝は、戦後革命の高揚を鎮圧し、日本(市場)に対する独占的な支配を確立するために、「平和的で民主的な」戦後憲法を必要とした。日帝は、天皇制を護持し自らが延命するために、戦後憲法(第1章の象徴天皇制)を必要とした。
そして、労働者人民にとっての戦後憲法とは何か。それは、戦後革命の高揚で戦争の元凶である天皇制・日帝を追いつめたにもかかわらず、日共スターリン主義の「占領軍を解放軍と規定し積極的に支持する」という裏切りにより、天皇制・日帝を打倒できずに敗北させられ、その代償としてもたらされたものであった。
戦争放棄の憲法
戦後憲法は、「前文」において「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにする」などの言葉で、「戦争放棄」を憲法の骨格を構成する内容として位置づけている。その上に、第2章「戦争の放棄」(第9条)を設定している。
戦後憲法は、このような位置づけをとおして、憲法全体が「戦争という事態を想定しない体系」としてつくられている。戦争を想定していないから、「国家緊急権」(戦争や内乱など国家体制の維持・存続を脅かす重大事態において、憲法に制約されない特別な執行権を発動すること)も規定されていない。
このことに、戦前の天皇制を支えた治安維持法の内容を払拭(ふっしょく)することが重なり、帝国主義国としては例のない規模と質で基本的人権の尊重を規定する内容となっている。
その一方で日帝は、「戦争放棄」と「戦力の不保持」(国家の暴力装置の支柱である軍隊を永久に持たない)という帝国主義としての体制的矛盾を抱えたまま、沖縄に矛盾を集中(米帝による分離支配と軍事要塞化)し、日米安保体制を推進することで延命してきたのである。
強力な人権保障
戦後憲法は、被疑者・被告人の権利については、憲法全文103条のうち10条にも及び具体的に定めている。この戦後憲法に規定されて、49年に制定された刑事訴訟法(刑事事件の捜査、公訴、公判などの手続きについて定めた法律)は、被疑者・被告人や弁護人の防御権を幅広く保障している。
ところが、現実の刑事裁判においては、基本的人権をないがしろにする事例があまりにも多い。保釈問題を例にとっても、容疑を否認している場合は長期にわたって保釈を認めないという「人質司法」が蔓延(まんえん)している。
治安弾圧の強化
戦後民主主義的統治形態の本質的役割は、いずれの近代代議制国家もそうであるように、あくまでブルジョア的私有財産制度を守ることにある。議会制民主主義と戦後憲法は、ブルジョア的生産関係、所有制度を物質的基礎としているのであり、ブルジョアジーの階級利害、階級意志の表れである。それを「社会常識」「公共の利害」という形で、何か普遍的なもののように装い、労働者人民に押しつけてくるのだ。
「ブルジョアジーは、近代代議制国家において、ついに独占的な政治支配をたたかいとったのである。近代的国家権力とは、全ブルジョア階級の共通の事務を執行する委員会にすぎない」(新訳『共産党宣言』11〜12n)
そのため、現実には、労働者人民が資本攻勢との闘い、政府を打倒する闘いに決起した途端に公的暴力(軍隊や警察、監獄や各種の強制施設)が発動され、労働者人民は暴力的に弾圧される。
日米争闘戦の激化、01年9・11反米ゲリラ戦闘の爆発、03年3・20イラク侵略戦争への突入による3度目の世界戦争の切迫は、日帝・小泉を震えあがらせた。日帝がいまだ敗戦帝国主義として数々の矛盾と制約を抱えたままだからである。断崖(だんがい)絶壁に追いつめられた小泉は、この帝国主義間争闘戦敗北の危機突破をかけて北朝鮮侵略戦争への参戦を決断し、そのために国家の暴力性をむきだしにした強権的支配(凶暴な戦争国家)への大転換を開始した。何の勝算もないままに、日帝の側から戦後的階級関係を一掃する攻撃=戦後憲法(体制)の破壊に出てきたのだ。
しかし、日帝・小泉の前には、戦後憲法体制を日帝に強制し続けてきた労働者人民の闘い(階級的反撃力)が、いまだ強固に存在する。激化する資本攻勢への怒りと「二度と戦争をくりかえさない」という反戦・反核意識は、労働者人民の中に血肉化されている。日帝・小泉は追いつめられている。だから、ますます凶暴化してきている。
したがって、革命党や労働組合を始めとする労働者人民の組織、団結形態への治安弾圧も、これまでのようなレベルではなくなっている。労働者人民の日常生活にまで介入する形での治安強化の攻撃が始まっている。住基ネットや個人情報保護法は、その典型である。
警察権力は最近、「体感治安」という言葉を使い始めた。住民の日常生活での漠然とした不安感を、治安の対象とすることである。「街頭の落書きをなくすことも治安対策だ」などと言われている。例えば、住民が「近ごろ、物騒になった」と感じれば、治安が悪化したということになるのだ。すでにこれと一体のものとして、何の根拠もない百パーセントデッチあげの「外国人が増えたから犯罪も増えた」という排外主義的キャンペーンが開始されている。
また、「監視カメラ」やスーパー防犯灯などのハイテク機器が街頭に張り巡らされている。その上に、防犯協会を先頭に、住民を巻き込んだ「防犯活動」(自警団)が活発化している。新聞配達や郵便配達の労働者も「犯罪の発見と通報」を強制され始めている。この行き着く先は「隣組」制度の復活である。
革命党と人民弾圧のための司法改革
戦後的階級関係の大転換は、戦後憲法体制を根幹から全面的に解体することぬきにはあり得ない。そのためには、革命党を壊滅し、労働組合を始めとする労働者人民のあらゆる自主的な組織や活動を、暴力的に抑えこまなければならない。具体的には、第9条を始めとした憲法の「明文改憲」を行うことと、労働者人民への治安弾圧を激化させることである。この治安弾圧激化のための体制と制度をつくることが「司法改革」攻撃の目的である。
攻撃は2本柱で
司法改革攻撃は、内閣直属の司法制度改革推進本部(01年12月発足、本部長は小泉首相)のプランのもとで推進されている。推進本部の顧問会議には、財界代表とともに笹森連合会長も加わっている。さらに、バックアップを行うボランティアとして「司法改革国民会議」があり、草野連合事務局長や中坊公平(不祥事で辞任、元日弁連会長)らが運営委員となっている。
彼らは、「司法を国民の手に」というキャンペーンを行っている。労働者人民の基本的人権を守るという建前からかけはなれてしまっている司法の現状を逆手にとって、労働者人民の基本的人権を一切認めない司法を実現しようとしているのだ。
司法改革攻撃は、「刑事司法の大改悪」と「弁護士の自治破壊と御用化」の二つの方向でかけられてきている。 次は、それを具体的に見てみよう。
(山本 茂)
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週刊『前進』(2130号6面3)(2003/12/15)
獄中同志奪還に注がれた命 森山つとむさんの逝去を悼む
須賀陽子
11月7日、「不当な長期勾留をやめさせるために! 十万人保釈署名運動」の代表世話人であり、「とめよう戦争への道! 百万人署名運動」の呼びかけ人・東京東部地区連絡会世話人でもあった牧師の森山つとむさんが亡くなられました。
しばらく前から喉頭(こうとう)がんとの闘病を続けておられたとはいえ、あまりにも早い、あまりにも突然の逝去です。知らせを受けた時、思わず「どうして?」の叫びが口をつくのを抑えることができませんでした。
日本基督教団本所緑星教会の牧師であった森山さんと、私たち迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧裁判の被告・家族との出会いは、1995年にさかのぼります。靖国闘争や大嘗祭訴訟など反天皇の闘いを継続してきた森山さんは、百十数年前の太政官布告(天皇の「おふれ」)である爆発物取締罰則のもとで一審判決も出ないうちから超長期の勾留が続いていることに、心底からの驚きと怒りを表明されました。以来、裁判所に、あるいは東京拘置所に、数限りなく足を運んで被告の即時保釈を訴え続けて来られました。
当初は、私たち家族の訴えに同情はしても「過激派の救援」には二の足を踏む人も少なくありませんでした。その中でいつも背筋をまっすぐに伸ばした森山さんが、私たちを背後から静かに、しかし毅然(きぜん)と支えて下さったことにどれほど励まされたか知れません。
とりわけ昨年の3同志奪還の過程で示された森山さんの奮闘は、今にして思えば文字どおり命を削るような闘いでした。クリスマスを挟んだ12月末の最も忙しい時期に、教会の業務をも投げうって東京地裁前での座り込みに連日駆けつけて来られました。出獄の当日も身を切るような寒風の中、3同志出迎えのために東拘の門前に朝から夕方まで終日、立ち尽くされました。すでにこの時、病がその体を襲っていたにもかかわらず、鈍感な私はそのことに十分な自覚もないまま今日まで来てしまったのでした。
森山さんはまた、97年の日米安保ガイドライン攻撃に始まる有事立法・改憲攻撃との闘いにも、率先して決起したお一人です。地域の労働者や市民と百万人署名運動の東京東部連絡会を結成し、国会行動を始めあらゆる集会やデモに欠かさず参加されました。
「日の丸・君が代」問題での日本共産党の大裏切りに衝撃を受けた森山さんが、私を質問攻めにされた後、「共産党はもう戦争に絶対反対する思想そのものを捨てたんですね。戦前の共産党員が命懸けで貫こうとした闘いを今に受け継いでいるのは、結局はあなた方ですね」と、低く深い声でつぶやかれたことを思い出します。『前進』を読み始められたのも確かそのころからでした。
「牧師」という職にふさわしく、もの静かな表情と姿勢をどんな時でもけっして崩されたことのなかった森山さん。しかしそのピンと伸ばした背筋には、天皇制を頂点とした日帝国家権力のあらゆる抑圧と真っ向から非妥協的に対決して闘うという点で、どんな熱血漢にも劣らぬ激しい意思が秘められていたように思います。
そしてまさしくその点で、敬虔(けいけん)なキリスト者である森山さんと獄中非転向を貫く革命的共産主義者との出会いは、ひとつの歴史的な出会いとなり、互いの人間的な真実に根ざした深い連帯を生み出すものとなりました。
私たちは森山さんから学んできた多くのことをただのエピソードで終わらせず、今後の日本階級闘争に生かすことが求められていると思います。何よりも福嶋同志の早期奪還と3同志の無実・無罪判決を必ずかちとり、森山さんの墓前に報告することを誓います。森山先生、本当にありがとうございました。
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週刊『前進』(2130号6面4)(2003/12/15)
水嶋同志への15年求刑弾劾
12月4日、東京地裁刑事第1部(川口宰護裁判長)で、88年9・21千葉県収用委会長せん滅戦闘デッチあげ裁判が行われ、極悪検事どもは無実の水嶋秀樹同志に懲役15年を求刑した。こんな暴挙がどうして許せるか。満腔(まんこう)の怒りを込めて弾劾する。
検察官による重刑求刑は、9・21戦闘への報復であり、有事体制下での革共同破壊攻撃にほかならない。さらに、「無実を徹底的に争っている」「長期にわたり非公然活動を行ってきた」と、不屈に闘う水嶋同志への憎悪をむき出しにした弾圧である。
水嶋同志の怒りと一体となって、完全無罪判決と年内奪還を必ずかちとろう。12月19日(金)の最終弁論に大結集しよう。
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週刊『前進』(2130号6面5)(2003/12/15)
公判日程
☆迎賓館・横田裁判
福嶋昌男同志裁判
12月22日(月)午後1時15分
☆水嶋秀樹同志裁判
最終弁論
12月19日(金)午後1時30分
*いずれも東京地裁
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