ZENSHIN 2003/12/08(No2129 p08)

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第2129号の目次
 
1面の画像
(1面)
革共同の12月アピール1 労働運動と党建設の大前進を
自衛隊のイラク派兵阻止 小牧・北海道現地闘争に立て
年金改悪・国民保護法制・治安弾圧をはね返し12月総決起へ
記事を読む  
不当逮捕・捜索を徹底弾劾する 東京・福島・仙台など 警視庁の暴挙許すな 記事を読む  
(2面)
天皇のために死ぬ戦士づくり
「教育勅語」体制の復活=教育基本法改悪を阻もう
教育労働者先頭に総決起を(大西 晶)
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習志野電車区廃止を許すな 動労千葉が12月スト配置 反合・運転保安確立へ総力 記事を読む  
三一闘争 争議5周年で集会 国鉄闘争との合流を実現 (投稿/労働者A・K)(11月21日) 記事を読む  
資本攻勢&労働日誌 2003 11月7日〜21日
連合春闘 3年連続賃上げ要求を放棄 退職金6年間で370万円減/労災隠しが過去最多
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(3面)
国労弾圧 8被告の年内奪還を 11・21公判 酒田委員長が携帯で弾圧要請
“逮捕できないですかね” ビデオに通話の声 鈴木尋問で決定的事実(11月21日)
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絶大な年末カンパ訴えます
国際共同闘争の新時代に世界革命めざす党建設へ 革命的共産主義者同盟
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杉並 住基ネット「非通知」を 山田区長の裏切りに怒り 区民が集団申請(投稿/都政を革新する会事務局長・北島邦彦)(11月21日) 記事を読む  
世界の労働運動 イタリア
年金改悪阻止へゼネスト 3大労連、1000万人が参加(丹沢 望)(10月24日)
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(4面)
国際連帯でイラク派兵阻止 呉・小牧・旭川現地闘争に立とう
自衛隊を1人もイラクに出すな 占領統治揺るがす抵抗闘争 国際機関・石油省も標的に すべての侵略軍をたたき出せ〔片瀬涼〕
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福岡 “派兵中止しろ” 春日基地に申し入れ(投稿・K)(11月21日) 記事を読む  
[新刊紹介] コミューン 1月号 米労働運動 戦後編 記事を読む  
(5面)
国際連帯でイラク派兵阻止 呉・小牧・旭川現地闘争に立とう
自衛隊員は出兵を拒否しよう
インタビュー 反戦兵士 小多基実夫さんの訴え
イラク人民に侵略の銃を向けるな 自衛官が拒めば出兵は止められる
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国民保護法制は北朝鮮侵略戦争への人民の戦争動員法
罰則強化し、“テロ”にも準用
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狭山要請行動 齋藤第5鑑定つきつけ 事実調べを要求(11月25日) 記事を読む  
(6面)
総破産するアメリカ経済
バブル崩壊 巨額債務と金融不正噴出 ドル暴落 流出しはじめた海外資金
世界大恐慌の本格的爆発へ 秋月丈志
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日誌'03 11月19日〜25日
国民保護法制「要旨」を決定 米国防報告「機動力ある軍」
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(7面)
階級的利益売り渡すJR総連の大分裂と松崎支配の破綻(上)
ファシスト組合打倒し闘う労働運動を 矢剣智
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改憲阻止決戦シリーズ 今、問い直す侵略と戦争の歴史
第5部 アジア・太平洋侵略戦争(8)
日本軍慰安婦政策 アジア全域で極限的な性暴力(室田順子)
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(8面)
団結ひろば 投稿コーナー
歴史的な集会に間に合い参加できた喜び 東京 板垣宏
労働者が団結し闘うことで道は開ける 中四国・自治体労働者 島川浩憲
戦争と大失業の時代生き抜く道見いだす 九州・民間労働者 関本宏
国際連帯を肌で感じ「頑張らねば」と決意 愛媛・全逓労働者 杉山実
徳島の地で星野さん取り戻す思い強める 東京 桜井聡
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弾圧と闘う 水嶋同志を即時保釈せよ
4日論告求刑 19日最終弁論 完全無罪へ大結集を(11月12日)
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“のさばるな警察” 共謀罪と闘う共同集会(投稿 内田比呂志)(11月24日) 記事を読む  
軍用地特措法違憲訴訟 沖縄差別の上告棄却
最高裁小法廷 反戦地主の怒り渦巻く(11月27日)
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公判日程 記事を読む  

週刊『前進』(2129号1面1)(2003/12/08)

革共同の12月アピール
労働運動と党建設の大前進を
 自衛隊のイラク派兵阻止 小牧・北海道現地闘争に立て
 年金改悪・国民保護法制・治安弾圧をはね返し12月総決起へ

 この12月の闘いは、11・9労働者集会の成果を打ち固め、その地平をさらに発展させ、イラク反戦闘争と04春闘を軸とする04年1〜3月期の闘いの勝利の展望を切り開く決定的な位置をもっている。「11・9の後半戦」として「労働者の中へ」の闘いをやりぬき、12月自衛隊のイラク派兵阻止闘争への総決起、国労5・27臨大闘争弾圧の8被告を始めとする全獄中同志の奪還、年末一時金カンパと保釈金カンパ闘争をかちとろう。

 第1章 「11月」の高揚が新たな激突情勢を切り開いた

 11・9労働者集会の成功に対して日帝国家権力が襲いかかってきている。まさに革命の前進に対して反革命が密集してきたのである12月決戦の第一の課題は、この国家権力の弾圧をはね返し勝利するために、いっそう深く労働者人民の中に入り、根を張っていくことである。これが一切の前提である。
 敵権力の攻撃の一つは、11月17日のJR新小岩駅前で毎週月曜日に行われてきた『前進』販売活動に対する「軽犯罪法」違反を口実としたデッチあげである。「自衛隊のイラク派兵阻止」というのぼりを駅前広場のポールにしばりつけたとして20人の公安刑事が襲いかかり、A同志を逮捕した。これは、労働者人民に『前進』を販売することを禁圧する弾圧である。また、「軽犯罪法」は、戦前の治安法規で戦後まで生き延びた三つの法律の一つである警察犯処罰令が名称変更されたものである(他の二つは、爆発物取締罰則と暴力行為等処罰に関する法律)。そして警察庁は、8月に出した「緊急治安対策プログラム」の中で「軽犯罪法を使った取り締まりを積極的に行う」と指示していた。その発動として今回の弾圧はある。
 もう一つは、11月24日の「電磁的公正証書原本不実記録・同供用」を口実としたデッチあげである。これまでに3人が逮捕され、2人が指名手配され、前進社本社を始め7カ所が家宅捜索されるという大規模な弾圧である。その逮捕や家宅捜索にものすごいエスカレーションがある。
 「01年9・11」―「03年3・20」情勢下、ますます強まる帝国主義間争闘戦の中で、日帝・小泉政権はその体制的危機ののりきりを、自衛隊のイラク派兵と大資本攻勢―階級的闘いの解体にかけてきている。その攻撃は労働者人民の不満と怒りを確実に高め、その秘められた戦闘力とエネルギーは社・共、連合・全労連・JR総連の既成指導部の反動的制動をのりこえて必ず爆発する。11・9労働者集会の現実の中に革共同がその決定的「触媒」となることをみてとり、それに恐怖した国家権力が治安弾圧攻撃にうって出てきたのだ。
 昨年の10・7弾圧(国労5・27臨大闘争弾圧)と一連の弾圧としてとらえ、労働組合運動・機関紙活動・党活動の基盤そのものへの弾圧攻撃と闘って勝利しよう。この弾圧攻防自体に勝ちぬき、自衛隊のイラク派兵阻止など12月の革命的大衆行動をうちぬき、社・共に代わる労働者党として革共同を建設することで反撃しよう。

 第2章 不屈に闘うイラク人民と連帯し参戦阻止せよ

 12月決戦の第二の課題は、自衛隊のイラク派兵阻止闘争に総決起することである。
 国際情勢を根本で規定しているのが米帝のイラク侵略戦争である。米英軍のイラク軍事占領に対するイラク―ムスリム人民の闘いは民族解放・革命戦争的発展のコースに入った。
 11月12日、米軍が新たな掃討作戦「アイアンハンマー」を開始し、バグダッドを空爆した。空爆は7日から始まっていたが、米軍が首都すら制圧できていないことが暴露されたのである。
 その後の大きなゲリラ戦をみていく。12日、南部ナーシリアのイタリア軍駐屯地への自爆戦闘。15日には北部モスルで米軍ヘリコプター2機が撃墜された。この間4件5機のヘリが撃墜され、ヘリの行動が米軍の弱点に転化してきている。
 20日のブッシュ大統領のイギリス訪問と米英首脳会談を狙いすましたように、トルコのイスタンブールでイギリス領事館と英系銀行への自爆戦闘が同時に敢行された。この間アラブ諸国のサウジアラビア、モロッコでもゲリラ戦が行われてきたが、イスラム諸国でありNATO加盟国であるトルコへの戦闘の拡大の意味は大きい。
 21日には、バグダッドで石油省と欧米メディアや企業の拠点となっているホテルにロケット弾が撃ち込まれた。22日、バグダッド空港を飛び立った民間貨物機にミサイルが命中し緊急着陸。同日、イラク中部の2都市で警察署に自爆戦闘が行われた。
 イラク―ムスリム人民の戦いは当初の個別分散的な状況を突破し、攻撃対象や攻撃方法の選択肢を多くもち、間断なき戦闘と戦略的エスカレーションを実現するという本格的なゲリラ戦争の段階に入りつつあることが示されている。
 こうしたイラク情勢に必死に対応するものとして、ブッシュ大統領の訪英と米英首脳会談(20日)、ラムズフェルド国防長官の訪日・訪沖・訪韓(14〜18日)が行われた。
 米英首脳会談では「イラク宣言」が出され、そこで「米英はイラクへの長期的な関与を再確認する」として、04年6月末の暫定政府樹立、05年末までの憲法と新政府樹立以降も「イラクに駐屯し続ける」と永続的な軍事占領方針を確認している。
 これに対してイギリスの労働者人民は20日、20万人の抗議デモに決起し、ブッシュ大統領の像をひき倒すなどして不屈に対決する決意を明らかにし、ブレア政権を追いつめている。

 派兵を確約した小泉

 他方、小泉首相はラムズフェルドとの会談で、「イラクをテロリストの巣窟(そうくつ)にしてはならない」「日本としてできるだけのことはやるつもりだ」と自衛隊のイラク派兵を約束した。石破防衛庁長官は「自衛隊の能力を活用したふさわしい責任の履行を早期に実現したい」と、より積極的な態度を表明した。
 これに対して16日、「(日本が軍隊を派遣すれば)われわれの攻撃は東京の心臓部に達するだろう」というアルカイダを名乗る声明が発表された。そして、同様の声明が21日にもアラブの報道機関に届けられた。小泉首相は「テロとの戦いは全世界共通の戦いだ」(16日)、「テロに屈してはならない」(21日)と自衛隊のイラク派兵を強行する姿勢を明らかにした。
 小泉政権は、イラクでのゲリラ戦争の激化に動揺している。だが日帝としては、時期の幅が一定程度あるにしろ自衛隊派兵を強行する以外にない。そこにしか帝国主義間争闘戦での敗退と日米関係の緊張激化を避ける道はないからだ。
 11・30広島・呉闘争を突破口に、12月小牧・北海道現地闘争に立とう。先遣隊派兵阻止決戦に全力で決起しよう。
 小泉政権の戦争と大失業攻撃に対する労働者人民の怒りが噴出し始めている。街頭や労働組合で呼びかけて、自衛隊のイラク派兵阻止の署名運動を推進しよう。
 アメリカの反戦団体ANSWERはイラク侵略戦争開戦1年の来年3月20日に国際統一行動を呼びかけている。11・9労働者集会でかちとった日米韓の労働者国際連帯の力をイラク反戦闘争において共同闘争として発展させ、3・20に日本で百万人規模の労働者人民の決起を実現しよう。

 名護新基地建設阻止

 イラク情勢の泥沼化の中で、ラムズフェルドの訪沖を契機に、米帝の沖縄政策が転換してきている。すなわち、沖縄人民の闘いを圧殺し、日帝による沖縄の売り渡しをさらに促進し、米軍基地の永久化とこれまで以上の自由使用を狙っているのである。その最大の攻撃として、名護新基地の建設がある。来年1月に予定されているボーリング工事着工との闘いをもって名護をめぐる攻防に全面的に突入しなくてはならない。
 イラク侵略戦争に向けた全土基地化の攻撃と対決して、沖縄を始め三里塚、北富士、関西新空港などでの闘いを強化しよう。
 米帝の北朝鮮侵略戦争策動は、一方で、六カ国協議に北朝鮮をとりこみつつ、他方で、KEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)理事会が軽水炉建設事業を1年間中断すると決定する(21日)など瀬戸際政策として展開されている。
 そして小泉政権は同じ21日、「国民保護法制の要旨」を決定した。来年通常国会での、米軍支援法も含めた有事法制制定の攻撃との闘いに向けて、「完成させない・発動させない・従わない」という闘う態勢を築き上げていこう。
 また来年の通常国会では、教育基本法改悪が策動されている。これは侵略戦争に労働者人民を動員する大攻撃であり、改憲の一里塚である。この闘いを一大政治決戦として爆発させる中で、日教組の階級的再生をかけた教育労働運動の発展をかちとろう。

 第3章 闘う動労千葉守りぬき資本攻勢粉砕の陣形を

 12月決戦の第三の課題は、日帝ブルジョアジーの大資本攻勢と労働組合解体攻撃と闘い勝利することである。
 まず国鉄決戦攻防である。国労9月定期大会後、北海道からの脱退者が出たのを始め、国労自己解体情勢が進行している。国労本部による闘争団切り捨てと国鉄1047名闘争解体の策動が強まっている。国労の存亡のかかった局面において、闘う主体の側にこれを突きぬけ、のりこえていく路線と組織が求められている。今こそ、国労本部を打倒し、国労の革命的再生をかちとろう。国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会の賛同会員を国労内で拡大し、8被告を奪還して、国鉄決戦勝利の展望を切り開こう。
 動労千葉に対する組合解体攻撃との闘いは、国鉄決戦のもう一つの大攻防である。動労千葉は、12月習志野電車区廃止攻撃にストをもって反撃に立ち上がろうとしている。今こそ、動労千葉支援・防衛の闘いに決起しよう。
 次に全逓決戦情勢である。12・1〜2全逓臨時大会において、中央本部は組合の名称変更を決議しようとしている。これは戦闘的・階級的労働運動からの転向と変質の宣言であり、全逓労働者を売り渡す策動である。絶対粉砕あるのみだ。闘う全逓労働者の力で本部を打倒し、殺人的な深夜労働の強化の攻撃をはね返し、小泉政権の郵政民営化攻撃と闘う態勢を築き上げよう。
 そして都労連攻防である。石原都政の民営化と行革リストラ攻撃は都労連解体攻撃として全面的に激化している。国鉄1047名闘争支援陣形の最大勢力が都労連であることから、これは国労解体策動と一体である。都労連は秋闘では、賃下げと退職金削減などを受け入れて11月18日のストライキを中止した。ストなし妥結をのりこえ、都労連の階級的団結を今こそうち固めよう。
 さらに日教組決戦である。石原都政下で教育と教育労働者に対する攻撃が激化している。「日の丸・君が代」強制、右翼都議を先兵とする教育内容への露骨な介入、学校と教職員に対する管理統制といった攻撃が強まっている。これらすべてが、労働組合の影響力の一掃と組織解体の攻撃としてかけられてきているのだ。既成の労働運動指導部の屈服と無力化をのりこえて、職場・組合の団結と抵抗・反撃の闘いをつくりだし、日教組の階級的再生をかちとろう。
 その他すべての産別においても、労働者が団結し闘わなければ生きていけない、労働組合の死活をかけたぎりぎりの攻防が闘われている。これらすべてに勝利していく核心点が11・9労働者集会の団結と国際連帯の力にある。そのことを訴えるために、『11・9全国労働者総決起集会報告集』を、11・9に向けた闘いを上回る勢いで労働者・労働組合に持ち込もう。

 年金改悪粉砕しよう

 今回の総選挙の争点の一つが年金問題だと言われたように、04春闘を始めとして年金改革が重大テーマとなってきている。年金改革案については政府・与党内、および政府とブルジョアジーとの内部矛盾によって確定まで難航している。
 04年改革の最大の特徴は、これまでの部分的な見直しや調整とは違って、年金制度の基本構造の改革だということにある。その一つは、保険料の値上げと給付額の引き下げである。いわゆる「保険料固定方式」では、厚生年金のモデルケースで、現在13・58%の保険料率を2022年ころまでに20%(約1・5倍)まで引き上げ、それで固定する。他方、年金給付額は、最低でも12%、最高なら24%の引き下げになる。引き下げの終了年度は2032年ないし2043年とされている。30〜40年間引き下げ続けるということである。日本経団連はこれにも反対して、資本家の負担を減らすために保険料率は15%以下にしろと主張している。そうなると、給付額は30%もの引き下げになる。
 二つは、「マクロ経済スライド」という新制度をつくることで、物価以外の少子化率や経済成長率などの変動を口実として、すでに年金を受け取っている人の給付額をも自動的に切り下げるということである。
 その他、「短時間労働者の厚生年金適用拡大策」や「国民年金保険料の徴収強化策」といったかたちで、低所得の労働者や零細・小企業の経営者からも保険料をとることが盛り込まれている。
 また日本の年金制度は、01年3月末の積立金の累積額が約196兆円(年金給付額の5・4年分)あり、それが財政投融資にまわされているという特徴をもっている。年金制度はじつは労働者人民からの収奪機構なのである。
 こうした年金制度を改悪する狙いは、日帝の侵略戦争参戦に対応した戦時財政に転換していくことにあり、それは戦前の歴史からも明らかである。教育、福祉・民生関連の予算が減らされ、戦争と戦争体制関係の予算が増やされている中での年金改悪だということである。
 他方、年金改悪は、日経連路線の終身雇用制解体攻撃そのものであり、一個の大資本攻勢である。また奥田ビジョンの攻撃として、年金の国庫負担を増やすという口実のもとに消費税増税がたくらまれている。
 その裏で資本家の負担を減らすことが狙われており、年金改悪攻撃の核心はあくまでも企業を救済し、労働者に犠牲を転嫁しようということにある。
 職場や街頭で労働者人民の声を聞くと、その不満と怒りが年金改悪にむかっている。年金改悪攻撃が、小泉政権の戦争と大失業攻撃と一体のものであることを暴露しぬき、小泉政権打倒へ労働者人民の決起をかちとろう。

 党の強化と拡大を

 12月決戦の第四の課題は、弾圧攻防の勝利、機関紙・財政闘争をとおして党建設の闘いの画期的な前進をかちとることである。
 まず何よりも、11・9労働者集会の意義と成果、切り開いた展望と課せられた飛躍の課題を全体的にも個別的にもしっかりと確認し、新指導路線での一致と党の自己変革をかちとり、次の実践に踏み込んでいかなくてはならない。〈路線的一致→方針形成→実践→総括→路線的一致の深化→……>のサイクルを確立して、新指導路線の前進をかちとろう。
 二つに、第一の課題として確認したように、日帝国家権力の弾圧との闘いに勝利することが一切の前提である。
 三つに、機関紙拡大闘争への取り組みである。11・9労働者集会への参加者数と『前進』読者を獲得する闘いには相関関係があること、労働組合役員や活動家の獲得をめぐる党派闘争において『前進』こそが決定的な武器であること、大衆的なパンフレットと『前進』を組み合わせたオルグが効果的であることなどの教訓がある。労働組合活動家が『前進』購読の勧誘を待っているのに、党員の側が遠慮しているという例が少なくなかった。問題は『前進』を持ち込むべき主体の側にあるのだ(本紙2126号5面「機関紙拡大闘争に取り組み労働者細胞を建設しよう」参照)。
 四つに、年末一時金カンパ闘争、獄中同志奪還カンパ闘争などの財政闘争に勝利することである。職場の仲間に、さらにこの間、交流を深めた多くの労組活動家にカンパ闘争への協力を大胆に訴えよう。また、11・9総選挙後の街頭情勢は一変している。翼賛選挙そして小泉政権の自衛隊のイラク派兵や年金改悪への怒りが噴き出し、署名とカンパが集まっている。これは労働者人民の政治意識と行動が活性化していることの氷山の一角である。今こそ、「労働者の中へ」の闘いの最大の環としてカンパを訴える闘いに立とう。
 総じて、こうした闘いをとおして04年の革命的大衆行動(政治闘争、労働運動、革命的議会主義)を労働者人民の先頭に立って闘う革共同の戦闘態勢を築き上げよう。

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週刊『前進』(2129号1面2)(2003/12/08)

不当逮捕・捜索を徹底弾劾する 東京・福島・仙台など 警視庁の暴挙許すな

 11月17日に東京・JR新小岩駅前で『前進』販売を準備中のA同志を「軽犯罪法」違反で不当逮捕(前号既報)した警視庁は、24日には自動車登録に関する「電磁的公正証書原本不実記録・同供用」をデッチあげ、新たにB同志ら3人を不当逮捕した。そしてこの二つの弾圧を口実に24日、前進社本社(東京都江戸川区)と「都政を革新する会」事務所(同杉並区)を家宅捜索し、25、26日にも仙台や福島の事務所などへの不当捜索を強行した。警視庁はさらに弾圧の拡大を狙っている。(28日にA同志を奪還した)
 今回の逮捕・捜索はまったく違法・不当なものであり、逮捕された同志たちは百パーセント無実である。革共同を弾圧し、活動家を逮捕するために「事件」をねつ造し、強行された政治弾圧である。
 何よりも直接的には、3労組呼びかけによる11・9労働者集会の大爆発が日帝権力に激しい打撃を与えたのである。日帝権力は、ここに「革命のヒドラ」を見て、労働者人民の先頭で闘う革共同に弾圧を強めているのだ。絶対に許すことはできない。警視庁は直ちに弾圧をやめろ! 逮捕した同志らを釈放しろ!
 わが革共同はこの不当きわまる弾圧に猛然と怒りを爆発させ、全党が火の玉となって弾圧粉砕へ総決起する。そして自衛隊のイラク派兵を阻止し、労働者国際連帯の闘いを壮大に発展させ、帝国主義打倒・プロレタリア世界革命の闘いに必ず勝利する。
 権力は焦りと危機感にかられて暴力性むき出しに家宅捜索と不当逮捕を強行した。前進社本社のドアの破壊を試み、杉並の事務所では窓枠を破って侵入しようとした。だが、同志たちの戦闘的で原則的な闘いによって、権力の暴力的襲撃は粉砕された。
 今回の弾圧は破防法型の弾圧であり、絶対に許されない。捜索に来た警視庁の刑事は、「容疑」について「組織的に行っている」と強調し、革共同が組織として団結して闘っていること自体を「犯罪」と見なしてきた。また『前進』バックナンバーの特定の数号を「『前進』の拡大を呼びかけているから」という理由で押収していった。
 これは人民の団結そのものを「犯罪」として弾圧する共謀罪の先取りであり、また自由な出版・言論活動に対する大弾圧である。日帝・警視庁は『前進』の影響力の拡大に危機感を深め、『前進』の発行・販売自体をつぶそうとしてきている。
 この攻撃はまた、戦争反対の言論と運動を押しつぶし、労働者人民をイラク・北朝鮮侵略戦争に屈服させようとするものである。侵略戦争の凶暴性に対応した戦時下の治安弾圧である。
 だが、どんな凶暴な弾圧も労働者人民と革共同の前進を阻むことはできない。 今こそ党の戦闘体制を圧倒的に強化し、新指導路線のもとに、労働者階級の中に深く根を張って闘おう。一切の弾圧を粉砕し、獄中の全同志を奪還しよう。

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週刊『前進』(2129号2面1)(2003/12/08)

天皇のために死ぬ戦士づくり 「教育勅語」体制の復活=教育基本法改悪を阻もう
 教育労働者先頭に総決起を

 第2次小泉内閣のもとで教育基本法改悪が切迫している。教基法改悪の狙いは@侵略戦争に労働者人民を動員するための教育、A帝国主義間争闘戦に対応した労働力養成のための差別・選別教育、B教育労働者の抑圧と日教組運動の解体にある。有事立法と一体で戦争国家体制をつくるための重大攻撃であり、その核心は、国のために死ぬ人間をつくる教育、すなわち教育勅語体制の復活にある。教育基本法改悪を阻止する闘いをつくり出すために、本論では「教育勅語体制とは何だったのか」を見ていく。

 改悪強硬派で組閣 通常国会提出狙う

 第2次小泉内閣は、来年の通常国会への教基法改悪案提出をめざして、閣僚に改悪強硬論者を並べた。
 文部科学大臣の河村建夫は1999年8月に設置された自民党・教育改革実施本部の教育基本法研究グループの主査であり、今年1月に設置された自民党教育基本法検討特命委員会の事務局長である。「(教育基本法見直しは)平成の教育勅語を念頭に議論する」と公言する人物である。
 総務大臣の麻生太郎は自民党教育基本法検討特命委員会委員長。自民党教育改革実施本部顧問だった2000年、「教育勅語は徳、忠、孝といった道徳や父母、兄弟、友、夫婦、国民との関係など社会で健全に生きていくための指針が示されていた。教育勅語も見直されるべき」と述べた。
 「教育勅語体制の復活などありえない」と言う人もいる。果たしてそうか。
 11月1日、大阪市立柴島(くにしま)中学校で行われた新校舎竣工式典であいさつした大阪市議会議員・床田正勝が「新校舎に魂を吹き込みたい」と、全校生徒、保護者、教職員の前で教育勅語を全文暗唱し、「何年たっても、どういう世界になろうとも、私はこれが本当の教育の基本であると思います」と語った。
 教育勅語は過去のものではない。イラク侵略戦争への自衛隊派兵、北朝鮮侵略戦争へ突進する日帝にとって、「国のために生き、国のために命を捧げる」人間をつくり出すためには、それがどんなに人民との摩擦やあつれきを生もうとも、戦後的教育体制を解体して戦前型の教育勅語体制へ大転換する以外にないのだ。

 「国のため命を投げ出せ」とする道徳律

 1889年に発布された大日本帝国憲法は第1条で「大日本帝国は万世一系の天皇之を統治す」と宣言し、第3条で「天皇は神聖にして侵すべからず」、第11条で「天皇は陸海軍を統帥す」とうたった。
 翌1890年10月30日に発布された教育勅語(正式には「教育ニ関スル勅語」)は、大日本帝国憲法とともに、天皇制国家の支配体系の柱をなした。1945年の敗戦までの55年間の教育は、一貫して教育勅語に規定されて行われた。勅語の趣旨に基づいて教育を進めるべきという指示は、学校に関する各種の勅令や法規類に繰り返し記された。
 教育勅語の全文は別掲のとおりである。この文章を読み解くことは簡単ではないが、ここでは批判的な意味を込めて、あえて「つくる会」が作成した扶桑社版歴史教科書が掲載した教育勅語の解説に基づいて、意訳してみる。
 「朕(ちん=天皇の自称)思うに、皇室の始祖である天照大神(あまてらすおおみかみ)ないし神武天皇と歴代の天皇が国をつくり開いたことは広くてとおく、徳を立てること深く厚いものである。わが臣民が忠孝をつくし、すべての国民が心を一つにして世々その美をなしてきたのは、わが国体のすぐれて美しい特色であり、教育のよって立つ根源はまたここにある。爾(なんじ)臣民は、父母に孝行し、兄弟・友・夫婦は相和し、友人とは相信じ、慎み深く心を引き締めて己を持ち、博愛を衆に及ぼし、学を修め、業を習い、もって知能を啓発し、立派な人格を成就し、進んで公益を広め、世の中の務めを開き、常に国の憲法を重んじ、国の法に従い、一旦国に危急の事態が起こった場合には正義にかなった勇気をふるいおこし国家・公共のために尽力し、もって天地とともに窮まりない天皇をいただく日本国の運をたすけるべし。かくのごときは、ひとり朕の忠良の臣民であるだけでなく、また爾の祖先が残した威風を顕彰することである。
 この道は実にわが皇室の始祖と歴代の天皇の遺訓であり、子孫である臣民がともに遵守すべきところであり、古今を通してあやまらず、我が国で実践しても外国で実践しても道理に反しない。朕は、爾臣民とともに謹んで捧げ持つようによく守り、みなその徳を一つにすることを願い望む (天皇の署名と印)」
 教育勅語を賛美する勢力は、よく「父母に孝に兄弟に友に夫婦相和し」の個所などを取り上げて「どの時代にも通用する道徳」などと語る。しかし教育勅語においては、これらはすべて「一旦緩急あれば義勇公に奉じ天壌無窮の皇運を扶翼すべし」のためのものであった。教育勅語の道徳律とは、万世一系の天皇を頂点にした「国体」すなわち天皇制国家を護持するために命を投げ出すことが絶対の使命であると、子どもたちにたたき込むものだった。

 「脳髄に感覚」させる儀式を強制

 教育勅語体制の確立とは、思考力を働かせて真実を追求しようとする構えを失わせる過程であった。子どもたちにくり返し勅語を読み聞かせ、1879年の「教学聖旨」にあったように「脳髄に感覚」させることが重要な手段とされた。修身科は全教科の中でもっとも重視され、多くの小学校で月曜日の1時間目に組まれ、しっかり勅語の内容を教えるよう指示された。
 儀式も重要な手段とされた。発布の翌年1891年には勅語謄本が学校に交付され、同年6月の「小学校祝日大祭日儀式規定」で「紀元節」(2月11日。初代天皇・神武天皇が即位したという神話による)、「天長節」(11月3日。明治天皇の誕生日)などの祝祭日の儀式の子細が定められた。教師・生徒一同が式場に集まり、「御真影」への最敬礼、「天皇陛下万歳」の三唱、教育勅語拝読、校長訓辞、祝祭日唱歌合唱などを行うというものだ。校長の勅語拝読が始まると「御名御璽」(ぎょめいぎょじ)と終わるまで、咳(せき)をすることも鼻をすすることもできず、いっさい動いてはならない。
 儀式は「身体的動作を反復することにより、知識としてよりも感性の面から天皇への畏敬(いけい)の念を培うための訓練として行われた」(家永三郎『歴史のなかの憲法』)。こうした独特の神秘的・宗教的雰囲気をもった儀式を強制して、子どもたちにけっして逆らうことのできない「国体の尊厳」や「忠君愛国の精神」をたたき込んだ。
 また儀式が苦痛だけを意味してはならないと、多くの学校で式終了後、紅白の和菓子を持ち帰らせた。これもまた、子どもたちに楽しみを与えて祝祭日の印象を強める手段だった。

 敬意を表さない者はすべて排除

 教育勅語を教育現場に徹底するためには、勅語に敬意を示さない者への徹底した弾圧が必要だった。その代表的な事件が、「内村鑑三不敬事件」である。
 勅語発布の直後の1891年1月9日、第一高等中学校(東京大学教養学部の前身の一つ)で、教育勅語の棒読式が行われた。参列した教員や生徒は宸署(しんしょ=明治天皇の署名)に拝礼したが、嘱託教員だった内村鑑三は、キリスト教徒としての良心からちょっと頭を下げただけだった。この行動が「不敬」であるとして、教員・生徒、多くのジャーナリズムに非難され、一高を依願解嘱となった。式当日は欠席していたにもかかわらず後に内村の行動を弁護した同僚の木村駿吉も非職となった。
 教育勅語体制に反する者が教壇から追われる事件は続いた。帝大文科大学教授の久米邦武は1892年、神道の起源を論じた論文「神道は祭天の古俗」が雑誌『史海』に掲載されたことをもって非職とされた。
 勅語発布直後からこうした弾圧が始まり、日帝が中国侵略戦争に突き進んだ1930年代には治安維持法を振りかざした弾圧が猛威を振るった。暴力的弾圧をとおして教員に「国体思想」を注入することにより、教育勅語体制を確立していったのである。

 勅語・御真影の奉護で「殉職者」

 勅語の発布と前後して、「御真影」と称する天皇・皇后の写真が全国の学校に交付され始めた。御真影を各学校が受け取る「拝戴式」は、各地で「空前絶後の盛典」として行われた。
 子どもたちは普段から御真影や勅語謄本が「安置」されている方向に敬礼させられた。1930年代の終わりには多くの学校の校庭に御真影を安置する「奉安殿」がつくられ、毎日登下校時に最敬礼させられた。
 教員には、御真影や勅語謄本を守ることが他の校務や職責より最優先すべきものとされた。災害時には身命を賭しても御真影、勅語謄本を「奉護」することが使命とされた。教員の宿直が一般的になったのも、御真影が交付されてからだ。
 そして、校長が災害時に御真影を守るために命を落とすという「殉職」も起きた。沖縄では1910年、火事により御真影と勅語謄本を焼失したことを理由に、当日宿直だった教員と校長が免職となった。御真影・勅語謄本の奉護は「学校生徒及児童の保護」より優先され、空襲時に御真影のため殉職したと記録される教員も10人いる。
 教育勅語体制は、天皇の写真1枚のために教員が命を捨てることが当たり前というところにまで行き着いたのである。

 「神風」を信じた「少国民」の世代

 日帝が中国侵略戦争を全面的に拡大した1937年、文部省が全国の教師に配布したパンフ『国体の本義』は「我が国の教育は……自我の実現、人格の完成といふが如(ごと)き、個人の発展のみを目的とするものとは本質を異にする。即ち国家を離れた単なる個人的心意・性能の開発ではなく、我が国の道を体現するところの国民の育成である」と記した。
 さらに1941年、小学校を「国民学校」に改称した際の「国民学校令施行規則」は、その第1条の1で「教育に関する勅語の旨趣を奉体して教育の全般に亘(わた)り皇国の道を修練せしめ特に国体に対する信念を深からしむべし」とした。全教育活動の根底に教育勅語を置くことが、あらためて徹底された。
 国民学校に就学した世代は「少国民」と言われ、親の世代以上に愛国主義と軍国主義に染め上げられていった。毎日が奉安殿への最敬礼から始まり、教育勅語や歴代天皇の名前を丸暗記し、授業よりも軍事教練や勤労奉仕が優先された。こうした中で、「神風」が吹くことを信じ、「神国日本」の勝利のために進んで命を投げ出そうという子どもたちがつくられた。

 戦時体制許さない全人民の大運動へ

 教育勅語体制の確立過程とは、同時に、教育労働者の抵抗を封じ込めて、天皇主義教育の先兵に染め上げていく過程だった。教育労働者を「戦場に教え子を送る死の手配師」とすることなくして、戦時教育は貫徹しないのだ。
 逆に言えば今、戦時教育の復活を許さないためには、教育労働運動を解体しようとする攻撃と対決して、闘う日教組の再生をかちとることが最大の課題だということでもある。
 よく〈この道を行くと戦争になる>と言われるが、今やそれどころの状況ではない。日帝はすでにイラク侵略戦争への本格参戦に突き進んでいる。教育勅語体制の復活を許さず、教育基本法改悪を阻む闘いは、日帝の侵略戦争参戦を阻む闘いである。教育労働者が最先頭で闘うべきテーマであるとともに、すべての労働者人民のテーマである。
 教育基本法改悪の凶暴な狙いを暴き、反対運動を巻き起こそう。
 (大西 晶)

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週刊『前進』(2129号2面2)(2003/12/08)

習志野電車区廃止を許すな 動労千葉が12月スト配置
 反合・運転保安確立へ総力

 組織破壊攻撃はね返す闘い

 動労千葉は、習志野電車区廃止攻撃粉砕―運転保安確立に向けて組織の総力を挙げた決戦に突入する。
 JR東日本千葉支社は9月、習志野電車区を12月15日に廃止することを提案した。動労千葉は10月5、6日の第32回定期大会の方針に基づき、10月21日には国土交通省、中労委、千葉支社に対して争議行為の通知を行った。そして、11月26日の支部代表者会議で12月中旬のストライキを含む闘争方針を決定した。
 動労千葉は、次のような課題・目標を掲げている。
 1、検修メンテナンス近代化第V期計画―習志野電車区廃止、幕張電車区縮小計画撤回!
 2、検修・構内業務の全面的外注化阻止!
 3、強制配転者の原職復帰・士職登用等、懸案諸要求解決!
 4、反合理化・運転保安確立!
 5、JR総連解体―組織防衛・強化・拡大
 闘いの基本的な考え方は、@習志野電車区廃止にからむ組織破壊攻撃が明らかになった場合は、組織の総力を挙げたストライキを配置する、A04春闘に向けて、第2の分割・民営化攻撃―検修大再編攻撃粉砕、運転保安確立に向けた総力戦を構え、12月闘争をその第1波闘争と位置づけて、ストライキを含む闘いを配置する、としている。
 具体的な闘いの配置は、次のとおりだ。
 (1)会社が習志野電車区廃止に伴う異動の事前通知を強行した場合は、検修職場を対象とした半日規模のストライキに突入する。
 (2)事前通知の強行以降、検修職場を対象とした非協力闘争に突入する。
 (3)習志野電車区廃止を強行した場合、検修職場を対象とした全日ストライキに突入する。組織破壊的配転などが強行された場合は、ストライキを本線運転士も含めて拡大する。
 また、12月2日午後6時から千葉市文化センターで総決起集会を開催する。

 検修基地の大再編の一環

 習志野電車区廃止の攻撃は、「車両(検修)メンテナンス近代化第V期計画」の一環である。それは今年5月に打ち出されたもので、03〜05年度の3年間に工場を含む検修基地・検修職場を大再編する計画だ。
 03年12月に習志野電車区と武蔵小金井電車区を廃止し、04年夏以降、幕張電車区を縮小(新系列車両への置き換え)。工場と区所の「人事交流」を開始する(新規採用は工場のみ)。
 05年度には幕張電車区の検修業務を一部移管し、田町電車区を縮小する(廃止が狙われている)。鎌倉総合車両所の工場機能を廃止し、要員を大規模に区所などに異動する(大井工場、横浜支社の区所、周辺支社の区所へそれぞれ100人程度)。
 これらの検修基地の大再編は、検修・構内業務の外注化と同時並行的に強行される。最終的には検修業務のほとんどをJR本体から切り離し、外注化―アウトソーシングしようとしていることは明らかだ。
 動労千葉は、02年、03年の春闘ストや、検修職場の最大拠点である幕張支部の職場闘争によって、千葉支社だけ検修・構内業務の外注化を阻止するという大きな成果をかちとっている。この動労千葉の団結力を破壊するために、文字どおり動労千葉破壊攻撃として、第2の分割・民営化―検修大合理化が強行されようとしているのだ。
 習志野電車区廃止の次には幕張電車区の縮小が狙われている。これを阻止する闘いは、文字どおり動労千葉の組織の存亡をかけた闘いである。
 動労千葉は、どんなに困難であろうと闘いによって団結を守り、勝利の展望は闘いの中から自らの手で切り開くという立場で闘争体制を強化している。
 さらにこの闘いは、動労千葉の原点である反合理化・運転保安確立をかけた闘いである。
 「ニューフロンティア21」計画による業務の外注化は安全の崩壊を生み出している。
 最近では、中央線や京浜東北線での工事ミスによる輸送大混乱、成田線で保線点検車が無人のまま走行した事故など、運転保安を根本的に脅かす事故が続発している。99年に山手貨物線で5人の関連会社の作業員が死亡した事故など、多くの労働者の命を奪っている。これらは、設備部門の外注化がもたらしたものだ。JR東日本は「利益至上主義」で、コスト削減のために関連会社に業務を丸投げし、一切の責任をとらない。すべて労働者に犠牲が押しつけられているのだ。今後、検修外注化によって、車両故障などによる大事故が不可避となる。
 動労千葉の反合・運転保安闘争は、こうした現実に唯一反撃する闘いである。

 JR総連解体―組織拡大へ

 JR総連・東労組は、この大合理化攻撃を全面的に容認している。東労組らの職場討議資料は、「最大のコストダウンによる商品と労働力の活用」などと全面的に賛美し、「メンテナンス近代化Vをバネに盤石な東労組組織づくりをめざす」と言っている。攻撃の手先になることで、JR総連カクマルの延命を図ろうというのだ。
 動労千葉は、このJR総連を解体し、組織強化・拡大を実現する闘いとして全力で闘おうとしている。
 動労千葉は、11・9全国労働者総決起集会に最大の動員を実現し、その切り開いた国際連帯闘争の地平を全面的に発展させ、国鉄・JR労働運動を戦闘的に再編・再生させようとしている。それは、国労中央が全面屈服する中で、検修職場や工場などで有効な闘いを組めずに苦闘する国労組合員をも激励し、闘いの道を指し示している。そして1047名闘争の勝利の展望を切り開く闘いである。
 この闘いを支援し、ともに新潮流運動を発展させよう。

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週刊『前進』(2129号2面3)(2003/12/08)

三一闘争 争議5周年で集会
 国鉄闘争との合流を実現

 11月21日に「三一書房争議5周年集会」が三一書房争議支援共闘会議の主催、三一書房労組を支える会の協賛で市ケ谷で開催され、出版労連の労働者など出版産別を中心に約180人の労働者が参加した。
 この集会は、98年11月14日のロックアウト攻撃から5年を経過して不屈に闘いぬく三一労組を支援しようとして開かれたものだ。
 三一労組は、99年1月14日にロックアウト解除と職場確保を闘いとり、鈴木経営の3・8朝霞倉庫襲撃をはね返し、5年間にわたり闘いぬいてきた。01年9月13日には、東京地労委から勝利命令を獲得している。
 集会は、劇作家の唐十郎さんの支援のあいさつや、解雇撤回闘争を不屈に闘う沖電気被解雇者の田中哲朗さんの連帯コンサートなど多彩なプログラムだったが私の印象に残ったのは、小番(こつがい)書記長の基調報告と、国鉄1047名闘争の3争議団のあいさつだった。小番さんは、「5年にわたって泊まり込み、就労闘争を続けてきた。経営はこの就労闘争に打撃を受けている」と5年間の勝利的地平を総括し、経営側が東京地裁に起こした「明け渡し損害賠償請求」訴訟の不当性を暴露した。さらに国労本部による「4党合意」受け入れの裏切りを弾劾、闘う国労闘争団との連帯を表明した。最後に、12月26日の明け渡し訴訟地裁判決への注目を訴えた。
 連帯のあいさつとして、「首切り自由を許さない」実行委員会の渡部さんが登壇し、東京地裁と東京高裁の労働裁判における一連の反動判決に反撃する闘いを紹介。全動労争議団の副団長としての立場から、昨年10月の東京高裁による全動労採用差別事件への反動判決を鋭く弾劾した。そして国鉄闘争をともに闘う立場から、国労闘争団の内田さん、動労千葉の後藤さんを紹介し、両氏はそれぞれ国鉄闘争勝利の決意を表明した。三一闘争と国鉄1047名闘争の合流が実現した感動的な瞬間だった。
 最後に当該全員が登壇して決意表明。三角委員長は、「争議団が反戦闘争に責任を持つ。労働者の権利は闘って初めて得られる。12月にはどんな判決があろうとも闘いぬく。そのためにも団結を固めていく。年末・年始は争議体制を強めるのでぜひとも支援を」と熱烈に訴えた。
 三一闘争は、試練を経ながらも首都圏の真ん中で粘り強く闘っている。勝利の展望を感じた集会だった。
 (投稿/労働者A・K)

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週刊『前進』(2129号2面4)(2003/12/08)

資本攻勢&労働日誌 2003 11月7日〜21日
連合春闘 3年連続賃上げ要求を放棄
 退職金6年間で370万円減/労災隠しが過去最多

東京都、来年から退職手当引き下げ提案 東京都は、来年1月から労働者の退職手当を引き下げる方針を決め、都労連に提示した。提示どおりに実施された場合、都の退職手当の最高支給率が国を初めて下回る。(7日)
労災保険の民営化を提言 政府の総合規制改革会議は、労災保険と雇用保険3事業の民営化を提言した。(10日)=規制改革会議提出資料
55人中49人が当選/総選挙で連合 連合の笹森清会長らは記者会見で、総選挙で連合の組織内候補者の55人中49人が当選したことを明らかにした。(10日)
過労死、過去最多ペース 過労死した人が136人と、過去最多だった前年同期を大きく上回るペースで増えていることが、厚労省のまとめで分かった。(10日)
ソニー、一般労働者に「成果主義」 ソニーは現在は課長以上の管理職に適用している成果主義型賃金を、来年4月から係長以下の一般労働者にも拡大する方針を明らかに。一部に残っている年功的要素を全廃する。(11日)
JCの04春闘方針 JC(金属労協)は13日まで「04年闘争シンポジウム」を開いた。賃上げ要求を放棄し、「ミニマム」「賃金カーブ維持」などを重視。(12日)
退職金、6年間で370万円減少 昨年1年間の大卒労働者の退職金と退職年金を合わせた「退職給付」は平均約2500万円で、97年の前回調査に比べ約13%、370万円少なかったことが、厚労省「就労条件総合調査」で判明。(12日)
「65歳定年」延長見送り 厚労省の雇用対策基本問題部会は、法的に義務付けた定年の60歳から65歳への引き上げを見送ることでほぼ一致した。(12日)
連合が外国人受け入れ反対 日本経団連の発表した「外国人受け入れ問題に関する中間とりまとめ」に対し連合は、単純労働者の無条件受け入れに反対する談話を発表した。「中間とりまとめ」は将来の労働力不足が予測される分野に限り、相手国や人数の限定、就労管理、労働者保護などの整備をはかりながら、試験的に受け入れることを提言した。(14日)
04年の年金制度改革案を発表 厚労省は、04年の年金制度改革案を発表した。(17日)
都労連スト中止 都労連と都側の交渉は18日未明までもつれこんだが、都独自の2%カットを3月末で終わらせることを確認し、予定のストを中止。2年連続の賃下げ実施や退職手当の引き下げは、都側に押し切られた。(18日)
労災隠し過去最多ペースで送検 厚労省は、労災隠し事案の今年1〜10月の送検状況を発表した。過去最多ペース。(20日)
連合が04年春闘方針を決定 連合は中央委員会で「2004春季生活闘争方針」を決定した。(21日)=要旨別掲

 連合の04春闘方針概要

@安心と信頼の年金改革の実現
A賃金カーブの確保と、純ベア要求を設定する組合のベア獲得
B中小・地場組合の交渉支援と共闘強化
C労働時間管理の協定化と賃金不払い残業の撲滅
Dパート労働者を含む企業内最賃協定化
〔解説〕
 3年連続の賃上げ要求放棄(=賃下げ容認)。昨年まであった「定昇確保」という言葉が消えた。これは、電機を中心にした定昇解体攻撃を容認したもの。
 今回は参考資料として「賃金制度の整備・見直しに向けて」という文章を初めて添付。そこには、「賃金カーブの低下が避けられない場合も出てくる」と明確に賃下げ容認を明記している。定昇解体、成果主義への移行も打ち出した。

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週刊『前進』(2129号3面1)(2003/12/08)

国労弾圧 8被告の年内奪還を 11・21公判 酒田委員長が携帯で弾圧要請
 “逮捕できないですかね” ビデオに通話の声 鈴木尋問で決定的事実

 11月21日、国労5・27臨大闘争弾圧の第15回公判が東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で行われた。東京地本の鈴木勉法対部長に対する3回目の尋問が行われた。この日の公判では、彼が撮影し、警察に任意提出したビデオテープの中に、携帯電話で公安刑事に弾圧を要請している酒田充・東京地本委員長(当時)の声が残っていることが明らかになった。国労本部派が組合員を売り渡したという弾圧の真相は、物証によっても裏付けられたのだ。弁護団とともに被告たちも鈴木法対部長を徹底的に追及した。裁判闘争はますます重大な攻防に入っている。被告の保釈奪還を実現する闘いも、最大の山場を迎えている。1年を超える長期勾留を徹底弾劾し、8被告をなんとしても年内に取り戻そう。

 “もうパクるしかねえだろう”

 冒頭、浅野史生弁護人と羽廣憲被告が、即時保釈を求める意見を述べた。浅野弁護人は、国労の存亡をめぐる重大情勢のただ中で、被告たちは不当な勾留によってこの情勢に関与できない状態に置かれていることを指弾した。羽廣被告は、「保釈を認めない理由は何もない」と声を強めた。
 鈴木証人が入廷した。前回にも増して憔悴(しょうすい)の色を深めている。
 萱野一樹弁護人が、「今からビデオを再生するが、車内のものと思われる音を聞いてもらいたい」と尋問を切り出した。法廷に用意された画面に、ビデオの一部が映し出された。被告たちが本部派を弾劾する声に混じって、「おい、110番しろ、110番」という音声がかすかに聞き取れる。鈴木証人のビデオは、組合員を権力に売り渡す目的で撮影されたものだ。だが、図らずもそこには、ホテルから大会会場に向かうバスの中で、本部派役員らが交わした会話が残されていたのである。
 萱野弁護人が、「警察を呼べと言っている。組合幹部としてどう考えるのか」と問いただした。鈴木証人は、「暴力行為があり、自力でバスに乗り込むのは不可能な状況があって、110番という声が出た」と弁解した。
 ビデオ再生が続く。「全部撮ってる?」「撮ってるよ、撮ってる、撮ってる」という会話が明瞭(めいりょう)に聞き取れる。誰の声かという質問に、鈴木証人は酒田委員長と証人自身の声であることを認めた。ビデオには「もうパクるしかねえだろう」という何者かの声も入っていた。
 さらに決定的な事実が暴かれた。再生されたビデオから、「中核派がね……バスに乗ろうとするのを……逮捕できないですかね……110番したんですけどね、ちょっと見てるだけなんですよ……要請してあるんですけどね……中核が暴力振るっているもんですから。ええ、はい、よろしく」という音声が、だんだん大きく聞こえてくる。画像からは声の主は分からないが、明らかに誰かが警察と携帯電話で通話している音声だ。
 弁護団は、「誰の声か」と追及した。鈴木証人は「声の質から、酒田委員長」と返答した。
 萱野弁護人が、「次に見ていただくのは音声でなく画像」と尋問を続けた。画面には、バスの前部乗降口付近に立つ男性の首を、後ろからつかんでいる手首の映像が映し出された。「つかんでいるのは誰か」という質問に、証人は「私です」と白状した。「首を絞めるのは立派な暴行」「危険で卑怯な行為ではないか」と追及する弁護団に、鈴木証人は「道を開けてもらいたかった」と弁解した末、「尋問には答えない」と居直って沈黙した。
 追及の焦点は、ビデオを警察に提出する経緯に移った。前回公判で、鈴木証人は以下の事実を認めていた。@大会当日の27日夜に自宅でダビングテープを作成したが、それは原本を部分的に複写したものだった。A28日には、警察がホテル前の事件について捜査に動いていることを、酒田委員長から聞いた。B29日に、笹原財政部長(当時)から画像のすべてが入ったテープをダビングしてほしいと要請され、東京地本でダビングし、酒田委員長に手渡した。
 さらに、そのテープが警察の手に渡り、30日に酒田委員長と星、関らの公安刑事が荒川署でテープを再生し、見ていたことも、すでに明らかになっている。
 河村健夫弁護人が、「警察に出すことを前提にダビングしたのか」と問いつめた。鈴木証人は「警察が見たいというのでテープが必要だった」と認めた。
 弁護団はさらに、鈴木証人が6月3日にオリジナルのテープを任意提出した時のことを追及した。「本当に自分の意思で提出したのか」と問うと、証人は「任意提出しなければ強制手続きに移ると言われた」と答えた。だから「拒否する態度はとらなかった」と言うのである。また彼は、提出に先だってビデオを再生した際、誰が組合員で誰が組合員ではないかを警察に説明したとも証言した。

 “犯罪者集団は説得の対象外”

 休憩をはさみ、検察側が尋問した。検事は、鈴木証人が現場でビデオ撮影した経緯を一通り聞き出した後、「国労共闘とはどういう組織か」「中核派とは」「中核派と国労共闘の関係は」などと質問し始めた。だが、検事の意図をつかみ損ねた鈴木証人の証言は、7人の被告が国労組合員であることを印象づける結果に終わった。
 検察側主尋問に対する弁護側の反対尋問が行われ、佐藤昭夫弁護団長が口火を切った。佐藤弁護人は、「執行部の一員として、反対派組合員を説得する気持ちはなかったのか」と問いかけた。証人は「そのような状況になかった」と言い逃れる。佐藤弁護人が「説得する気持ちがあったのか、なかったのか」と語気を強めて証人に迫った。鈴木証人は「ありませんでした」と白状した。
 佐藤弁護人はさらに、「あなたが中核派と呼ぶ人に対して、説得しようと試みたか」とたたみかけた。たまりかねた証人は、「中核派は犯罪者集団。説得する対象ではない」と口走った。権力と寸部違わない言い方で、組合員を売り渡した大罪を逃れようというのである。法廷は強い怒りに包まれた。
 「組合員に対しても処罰を求めるのか」と追及が続いた。鈴木証人はついに、「処罰を求める」と本音を吐いた。

 被告が次々と鈴木証人を弾劾

 被告自身が尋問に立ち、まず羽廣被告が質問した。
 鈴木証人は、ビデオカメラを準備した理由の一つに、01年10月の大会で「秋田の代議員とのトラブルがあった」ことを挙げていた。羽廣被告は、「その代議員は今も国労組合員か」と質問した。証人は「確認していない」としらを切る。だが、国労幹部が秋田におけるチャレンジ一派の分裂・脱退問題を知らないはずがない。「分裂活動している代議員を弾劾するのは当然ではないか」と羽廣被告が詰め寄った。鈴木証人は渋々、「背景は知っていた」と認めた。
 富田益行被告が、前々回の公判で「大会会場内は国労の自治」と述べた鈴木証言を取り上げ、「自治というなら、大会でけが人が出たことを、検事がいる法廷でなぜ言うのか」と指摘した。鈴木証人は「けが人が出たのは会場の外」と全面的に居直った。
 松崎博己被告が、「7・1大会を流会させたのは中核派か」と問いつめた。証人は「『前進』の記事から見てそう」とうそぶいた。松崎被告はまた、話し合いにも応じず、ただビデオを回していた事件当日の証人の行動を、「それが役員のすることか」と弾劾した。
 橘日出夫被告は、会場内の様子も写ったビデオを警察に差し出した証人の行為に怒りをぶつけ、「われわれの人生をめちゃくちゃにした。被害届は取り下げるべきだ」と迫った。鈴木証人は「被告が被害者に謝罪すべき」と開き直った。
 原田隆司被告が、「国労手帳の中の、弾圧に対する心がけは読んだか」と質問した。鈴木証人はやむなく「弾圧に対しては黙秘して闘えと書いてある」と返答した。「それでなぜ、ビデオを任意提出したのか。それが法対部長のすることか」と声を強める被告を前に、鈴木証人は一言もなくうなだれた。

 被告とり戻す最大の決戦に

 公判に先立ち、被告家族と国労組合員は、国労本部に被告の保釈に向けて協力を求める要請をした。事前の申し入れにもかかわらず、委員長も書記長も姿を見せない。芝崎辰郎執行委員だけが、要請行動を妨害する目的で現れた。彼は、要請文を読み上げる被告家族に、「文句があるなら中核派の最高責任者に言え。中核派の方針が間違っていたから逮捕されたんだ」と暴言を吐き、要請文を破りゴミ箱に投げ捨てた。
 これが酒田−吉田執行部の正体だ。夫や父親を獄中にとらわれた家族の切実な思いをこれみよがしに踏みにじり、どこまでも権力の手先になって生き延びる以外に道がないのだ。だが、それは反弾圧闘争の発展に心底からおびえる彼らの姿を示している。
 被告の勾留は、すでに1年を超えた。これ以上の勾留は一刻たりとも許されない。被告を奪還する闘いは、12月を頂点に最大の山場に入っている。許さない会の会員を拡大し、10万人保釈署名と保釈金カンパを集めきろう。8被告をなんとしても年内に取り戻すための決戦に立とう。

 (資料) 鈴木ビデオに酒田委員長の声が残っていた!
 中核がね、あの……バスに乗ろうとするのを……逮捕できないですかね。……ええ、グリーンホテルです。淡路町ですよ、淡路町。ええ、淡路町2丁目、千代田区の。ええ、あの、このね、あの、110番したんですけどね、ちょっと見てるだけなんですよ。ちょっと、あの、要請してあるんですけどね、われわれはね。あの、暴力、中核、中核が暴力振るっているもんですから。ええ、はい、よろしく。

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週刊『前進』(2129号3面2)(2003/12/08)

絶大な年末カンパ訴えます 国際共同闘争の新時代に世界革命めざす党建設へ
 革命的共産主義者同盟

 11・9集会成功の感動わかち合い

 すべての同志の皆さん。『前進』読者の皆さん。03年末一時金の支給時期にあたり、革共同に絶大なカンパを寄せられることを心より訴えます。
 11月9日、日比谷野外音楽堂で開催された全国労働者総決起集会は、日・米・韓労働者の歴史的な大合流を実現しました。発言者の一言一言に巻き起こる拍手、そして圧倒的な当日の会場カンパ――。日比谷野音を満杯に埋め尽くした全参加者が感動と興奮に包まれ、スタートを切った国際共同闘争に労働者階級の未来を見いだしました。
 この日、韓国では「全泰壱(チョンテイル)烈士精神継承全国労働者大会」が民主労総の主催で開催され、5万人がソウル市庁前に結集。今年に入って5人もの労働者が盧武鉉(ノムヒョン)政権の弾圧で殺されている中で、火炎瓶、鉄パイプで武装した激しい激突が闘われました。この決定的な日に日比谷にやってきたコジョンファン氏を始めとする民主労総ソウル本部の3氏の日韓連帯にかけた決意に、熱い思いが込み上げてきます。
 また、警察と海運会社の反組合的な攻撃と連日闘い抜いているILWU(国際港湾倉庫労組)ローカル34書記長のラッセル・K・ミヤシロさんを始めアメリカから駆けつけた労働者から、「万国の労働者の団結によってすべての労働者に勝利を!」と感動的な連帯のあいさつをいただきました。
 昨年をはるかに上まわる結集を実現した力は、全日建運輸連帯関西生コン支部、全国金属機械港合同、動労千葉の渾身(こんしん)の決起に学び、組合決定で参加した労組が中核になって牽引(けんいん)したからです。しかも、翼賛選挙の投票日という大反動と対峙し、「闘う労働者の結集場所は日比谷だ!」という自己解放的決起が大成功をもたらしたのです。この迫力に、こそくな妨害を繰り返してきたカクマルもまったく手出しできないありさまでした。
 「私たちは労働者の団結だけが戦争を止め、現状を変革することができるという一点に確信をもって闘ってきました。その思いが今、ひとつに結合したのです」(動労千葉・田中委員長の開会あいさつ)。ついに、日本労働運動の新たな1ページが開かれました。3労組共闘として闘い抜かれてきた11月労働者集会が、世界最強の労働組合の結合という形で世界史に刻まれたのです。
 革共同は、この集会を支持し、ともに成功のために奮闘してきたものとして、すべての労働者とともにこの感動を分かち合うものです。そして「一日共闘ではなく永続的な共闘」として打ち固められたきずなを、3労組とともに打ち鍛え、どんな困難があってもこの道を突き進む決意です。

 闘う労働者党が求められる時代

 11月9日は、衆議院選挙の投票日でもありました。「マニフェスト選挙」とか「政権交代の可能性」などと喧伝(けんでん)されていたにもかかわらず、戦後2番目に低い投票率(59・86%)に見られるように、労働者はソッポを向きました。それもそのはずです。連合が推す民主党の公約なるものは、奥田ビジョンの政策そのものです。「雇用」「失業」などは言葉としても消し去り「公務員削減」を呼号し、「『論憲』から『創憲』へ」と称して改憲に道を開くなど、完全な第2自民党に転落した民主党に労働者の未来を託せるはずはありません。
 一方、日本共産党は6月に「新綱領案」を打ち出し、なんと「労働者階級」も「団結権」も消し去り、「資本主義の枠内の改革」に労働者の闘いを押し込めようとしています。惨敗するのは当然です。社民党もイラク派兵に「護憲」を弱々しく対置するのみで、労働者の支持を得られるはずはありません。
 今求められているのは、真に闘う労働者党です。小泉自民党が、70%もの「派兵するべきではない」という世論を無視して、イラクへの侵略派兵を強行しようとしている今、労働者階級の反戦闘争を巨大に巻き起こしていく革命党が必要です。
 今年9月、「軽急便」名古屋支店ろう城・爆発といういたましい事件が起きました。自前でトラックを購入し、仕事もろくに回してもらえないという詐欺まがいの経営で殺されたのです! 繰り返される巨大企業での労災事故。民営化で下請けに丸投げ、事故続発のJR――。年間3万数千人もの労働者が自殺しています。
 すべてがすべて、奥田ビジョンと小泉「構造改革」によって、「規制緩和」の名のもとにもうけ第一主義の「市場原理」が優先しているからです。賃下げ・リストラが当たり前といった風潮が世間を覆い、年金改悪・消費税アップという生活破壊が襲いかかっている今、ついに連合・全労連の屈服方針に代わる闘う新潮流が芽生えました。革共同は、この流れを巨大な奔流にまで守り育てるために党の全力を尽くします。

 帝国主義を打倒するための費用

 革共同は01年第6回大会を開催し、本年夏の革共同集会で〈新指導方針〉を打ち立て、党中央から労働運動に本格的に突入し、労働者の苦闘に学び、労働現場に身を入れて、労働者階級の期待に真にこたえる党への飛躍をかけて闘ってきました。それは、世界に類をみない反革命カクマルとの壮絶な闘いを貫き、国鉄分割・民営化という日本労働運動の未来のかかった決戦に唯一ストライキで反撃した動労千葉の労働運動を、とことん学ぶことから始まりました。3労組共闘という労働運動の闘う統一戦線を堅持し、日和見主義諸潮流との党派闘争を正しく展開して、階級的利益と闘う労働運動を守り抜いてきました。
 そのたゆまない連続が、ついに感動的な国際共同闘争にまで押し上げられたのです。
 国際帝国主義が世界恐慌の接近におののき、民営化=大失業と戦争に突き進んでいる時代に、革共同はついに現実的な世界革命の実感をもつに至りました。
 すべての皆さん。いよいよ時代は革命党の登場を要請しています。革共同に思う存分働かせてください。昨年をはるかに上回るカンパを寄せてください。この時代、生きるのに精一杯の生計であることは重々承知しております。しかし、労働者が生き抜くためには、今何よりも大失業と戦争によってしか延命できない帝国主義を打倒しなければなりません。そのための費用は、労働者の必要経費です。労働者の皆さんが自ら、この帝国主義社会を転覆し、新しい社会を建設する革命の事業に参加しようではありませんか。資金を拠出し、ともに真の革命党を建設するために闘おうではありませんか。革共同は寄せられるカンパを一円たりともムダにしません。
 国労5・27臨大闘争弾圧裁判は、国家権力と国労の一部幹部が結託した弾圧の構造を暴き、権力を徹底的に追い詰めています。なんとしても8人の被告を年内に奪還しなければなりません。
 イラク派兵を阻止し、04年を国際共同闘争の大発展の年とするために、革共同に絶大なるカンパを寄せられるよう心から訴えます。

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週刊『前進』(2129号3面3)(2003/12/08)

杉並 住基ネット「非通知」を
 山田区長の裏切りに怒り 区民が集団申請

 11月21日、都政を革新する会は、住民の皆さんとともに杉並区に対して住民基本台帳ネットワークシステムの「非通知」集団申請を行いました。託された多数の申請書を手に20人が参加しました。
 10月11日、杉並区は住民票コード(11ケタの背番号)と「非通知申出書」を区民全員に送るとともに、「非通知申し出」の受付を11月28日まで行うと発表しました。申し出をしない人は住民基本台帳にかかわる6情報を東京都(国)に送ることになったのです。
 このような段階的参加方式は、住基ネットに不参加を表明してきた山田区長の重大な裏切りです。区はこの集団申請に対して「家族かそれに準ずる者」以外の代理申請は認めないと言い、多くの区民の「不参加」の思いを踏みにじろうとしたのです。
 こうしたやり方に住民の怒りが爆発しました。「参加の人でなく不参加の人に面倒な手続きをさせるのはおかしい」「代理申請を認めないなら、一人暮らしの高齢者はどうやって思いを伝えればよいのか」「区長は非通知の数が増えて欲しくないのではないか」という訴えに、住民課長は申請を受け取らざるを得ませんでした。また、ある区民は「人間は商品ではない。人間に国が番号をつけ管理すること自体間違っている」「区長の前提全員参加という立場では私たちの情報は守られない」と訴え、区を厳しく追及したのです。
 さらに、住基ネットへの怒りは有事立法への怒りと一体です。「これまでこうした行動に参加しなかったが、戦争につながることには絶対反対だから今日は参加した」という女性は、区役所前でビラを配り「住基ネットに不参加を」と熱心に訴えかけました。
 住基ネットに対する怒りは広範にあります。その本質を暴露した時に破綻(はたん)に追い込むことができると感じました。全力で闘います。
 (投稿/都政を革新する会事務局長・北島邦彦)

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週刊『前進』(2129号3面4)(2003/12/08)

世界の労働運動 イタリア
 年金改悪阻止へゼネスト 3大労連、1000万人が参加

 150万人デモ

 10月24日、イタリアでベルルスコーニ政権による年金制度改悪に反対して大規模なゼネストが爆発した。CGIL(労働総同盟)、CISL(労働組合同盟)、UIL(労働連合)の3大労連の呼びかけで1千万人以上の労働者が参加する4時間のゼネストが行われた。教員を含む公務員は全日ストに立った。
 このゼネストによって、自動車大手フィアットなどの工場、事務所、学校、銀行、郵便局、病院、空港などが朝から完全に業務をストップした。鉄道、バス、地下鉄、連絡船などの公共交通機関も完全に止まった。列車の半分とアリタリア航空の150便が運行を停止したほか、イタリアと結ぶ各国の鉄道、交通機関も大混乱に陥った。
 これと並行して、ローマ、ミラノ、ボローニャなど全国100カ所以上でデモ・集会が行われ、150万人以上が参加した。とりわけ、ベルルスコーニのホームタウンで財界の拠点都市のミラノでは20万人が怒りのデモ行進を行った。
 ヨーロッパでは現在、独、仏、オーストリアなどで年金制度改悪攻撃が激化しているが、それに対する労働者階級の反撃が開始されている。フランスではラファラン内閣が5月、6月のストで反撃され、年金支給年齢の引き上げをやめざるをえなくなっている。オーストリアでも、年金制度改悪に反対して第2次大戦後最大のストライキが爆発した。ドイツでも大衆的反撃の闘いが開始されている。イタリアでの今回のゼネストは、全ヨーロッパに拡大する社会保障制度解体攻撃への反撃の闘いの一環として爆発した。

 抜本的な改悪案

 政府の提出した法案は、@年金積み立て金の拠出期間を現行の35年から40年にし、A満額受給年齢を現行の57歳から男性65歳、女性60歳に繰り延べ、B受給開始が早い場合の減額率を引き上げるというものだ。実施は08年からとしている。
 これによって労働者は、現行よりも5年も長く拠出金を出さなければならなくなるばかりか、受給開始を8年(男性の場合)も遅らされることになる。政府はこの改悪案の提出によって社会保障制度の全面的解体攻撃を開始したのだ。
 ベルルスコーニ政権は94年10月の8時間ゼネストとローマでの300万人デモによって、最初の年金制度改悪案を葬られ、政権そのものが打倒されてしまった経験を持つため、今回はさらに悪らつで強硬な形で新法案を打ち出してきた。
 ベルルスコーニは、3大労連側に事前の提示もなく突然、国営テレビを動員して「イタリアの諸家庭へ」というメッセージを放送し、年金制度改悪の必要性についてのキャンペーンを開始した。さらに全国の1800万戸に個人的手紙を送り、年金制度改悪に支持を要求した。
 政府は現在、年金支出がGDPの14%に達し、赤字や債務増大の最大原因になっているとして、労働者階級に矛盾を転嫁する抜本的な年金制度改悪案を今回はなんとしてもごり押ししようとしているのだ。

 本格的な闘いへ

 こうした卑劣な手口に労働者階級は今回のゼネストで怒りを爆発させた。闘いはまだ始まったばかりであり、今回は警告ストの性格を持つ。
 政府が予定どおり10月27日に国会に法案提出したため、さらに本格的な闘いが始まろうとしている。すでに12月6日にローマで大デモを行い、政府が法案を撤回しない場合は全日のゼネストを行う計画が発表されており、ベルルスコーニの右翼反動連立政権にさらなる反撃がたたきつけられるであろう。この闘いは、労働法制改悪反対の闘いとも結合して政府との全面的対決へと発展するであろう。
 (丹沢 望)

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週刊『前進』(2129号4面1)(2003/12/08)

国際連帯でイラク派兵阻止 呉・小牧・旭川現地闘争に立とう
自衛隊を1人もイラクに出すな 占領統治揺るがす抵抗闘争 国際機関・石油省も標的に
 すべての侵略軍をたたき出せ

 人民の自由は圧殺 復興の利権は独占

 フセイン政権崩壊後、イラクは米英の暫定占領当局(CPA)による占領統治下にある。CPAは「自由なイラクの樹立」「イラク復興」を掲げるが、実態は正反対である。戦争は終結せず、米軍による空爆が再開され、イラク抵抗勢力の掃討作戦が続いている。イラク人民の生活は破壊されたままである。水や電力の供給は回復せず、石油産出国にもかかわらずガソリンも手に入らない。街頭には失業者があふれ、未払いの給料を要求する失業者のデモに米軍は発砲している。

 拷問や殺害も

 米軍は、フセイン政権の残党狩りや武器の捜索と称して無差別に家宅捜索を行っている。米軍は、抵抗勢力の潜むアジトと見なすと家屋の中の住民を問答無用で殺害・拘束し、逃げる人間を後ろから撃ち殺している。最後は家屋をすべて破壊する。拘束された人はどこにいるのか、生死さえも分からないケースも多い。そこでは拷問的な虐待や恣意(しい)的殺害が常態化している。米軍の「誤射」による住民死亡事件も相次いでいる。「イスラエル軍と似ている」(ワシントン・ポスト紙)占領・抑圧政策が行われているのだ。
 米軍はイラクのテレビやラジオ、新聞を厳しい統制下に置き、米軍に都合の悪いことを報じたメディアに対し、会社を閉鎖したり罰金を科している。「イラクのメディアに自由な発言はない。情報を流す前に米軍の検閲を受けているから米軍の意にかなった情報しか手に入らない」
 イラク解放を掲げる米軍は、実際にはイラクの自由を徹底的に抑圧している。

 劣化ウラン汚染

 米軍によって破壊されたイラク軍の残骸(ざんがい)がイラク全土で放置されている。不発弾の処理は行われず、不発弾に対する知識のない子どもがクラスター爆弾などの不発弾に触れ、爆発事故で殺されている。戦車の残骸の大半は、劣化ウラン弾によって破壊されたものだ。
 劣化ウラン弾は、天然ウランを濃縮処理する過程で発生する核廃棄物の劣化ウランを利用した弾丸である。米軍は91年の湾岸戦争でも大量に使用し、劣化ウラン弾が使われた地域のガン患者は、湾岸戦争以前の数倍から十数倍に上る。
 米軍は今回の戦争で31万発以上の劣化ウラン弾を使用したことを認めている。核医学の第一人者であるアサフ博士が所長を務める「ウラニウム医療研究センター」がバグダッド、バスラなどイラク国内15カ所で住民の尿や遺体の組織、土、水、大気などを調査したところ、分析された放射能は、比較対照したカナダの都市トロントの水や空気の数千倍に達するものもあるという。
 防衛庁は、イラクに派兵する自衛隊には、放射能の検知器を携行させると言っているが、イラク人民は日常的に、半永久的で深刻なウラン放射能の汚染にさらされているのだ。イラクの医師は、最近急激に白血病やガン患者が増えていると報告している。

 利権は米資本に

 イラク復興事業は、ブッシュ政権とつながりのある米企業が独占的に受注している。
 例えば、油田修復事業では、米陸軍が競争入札なしでケロッグ・ブラウン&ルート社に発注した。ケロッグ社の親会社はエネルギー大手のハリバートン社。チェイニー米副大統領が就任直前まで最高経営責任者だった会社だ。チェイニーは、現在も年額16万jの手当を受け取っている。ケロッグ社が独占受注した契約額は最大70億j(約7600億円)という。
 イラク暫定内閣が発表したイラク経済の自由化を目指す再建計画は@外銀6行に5年以内にイラクの銀行の100%所有を許可、A外銀の参入制限を撤廃する、B外国人は不動産を所有できないが、40年間のリースを認める――というもので、石油部門を除き外国資本にイラク企業の100%保有を認めるものだ。
 これは、フセイン政権の国家統制経済にあった国営企業をすべて民営化して、米帝(国際帝)資本がその巨大な資本力ですべて支配することを意味する。携帯電話や自動車などの米資本が「イラク復興事業」に殺到している。「イラクの復興」とは、米資本によるイラク利権の独占的強奪でしかないのだ。
 特に石油利権は米軍の占領政策のかなめだ。イラクは世界第2位の埋蔵量を誇る。イラク石油省は、戦争中も空爆をまったく受けず、米軍は、バグダッド制圧とともに真っ先に石油省を接収し、イラクの石油収入のすべてを「イラクの復興費用に充てる」としてCPAが管理している。
 CPAによる占領統治の狙いが米英帝によるイラク再植民地化であることは、イラク人民に自明だ。米英帝のイラク占領統治は、イラク人民の怒りの標的であり、打倒対象だ。フセイン体制を崩壊させた米英軍に期待を持っていた住民や、傍観していた住民たちもデモやゲリラに加わって米軍を弾劾し、攻撃している。

 米兵死者が激増しバスラCPA閉鎖

 米英軍の軍事占領に対するイラク人民の抵抗闘争(レジスタンス)は、日増しに強まっている。攻撃による米軍の死者は、6月に20人台だったが10月には32人となり、11月下旬には60人を超えた。3月20日の開戦以降の米軍の死者は、事故死なども含めると500人近くになる。
 闘うイラク人民は、バグダッド中心部にあるCPA本部そのものをロケット弾で攻撃している。CPAの中枢施設が集中し、ブレマー代表らも滞在する「グリーンゾーン」地区を厳重な警備態勢を突破して連日攻撃している。11月21日には、占領統治の象徴である石油省やパレスチナホテルも同時攻撃した。
 ヘリコプターに対するロケット弾攻撃も相次ぎ、10月末から計5件、死者も50人近くだ。11月22日には、バグダッド国際空港を離陸直後の民間機が地対空ミサイルで攻撃され、翼から火を出して同空港に緊急着陸した。米軍の制空権は破綻(はたん)しつつある。
 米軍に加え、国連や赤十字国際委員会(ICRC)も攻撃している。8月の国連現地本部爆破に続き、10月末には、ICRCの現地本部近くで爆発物を積んだ救急車が爆発し、職員ら11人以上が死亡した。国連はイラクから完全撤退し、ICRCもバグダッドとバスラの2拠点を閉鎖した。
 米英軍以外の外国軍に対する攻撃も始まっている。イラク南部のナーシリヤに駐留するイタリア警察の駐屯地で11月12日、自爆攻撃が行われ、警察軍やイタリア軍兵士19人が死亡した。イラクに駐留する米英軍以外の外国軍の根拠地が攻撃対象になったのは、これが初めてだ。この戦闘によってCPAのバスラ本部は一時閉鎖に追い込まれた。8月にはデンマーク兵1人、11月6日にポーランド兵1人が銃撃戦などで死亡している。バグダッドの日本大使館でも11月18日、銃撃戦になっている。
 日帝とともにイラク侵略戦争を支持し、イラク復興支援国会議のホスト国になるなど米英帝支持の先頭に立ってきたスペインは、外交官が殺害された事件を機にバグダッド駐在の同国外交官らを引き揚げさせると表明した。ポーランド軍も早期撤退を表明している。

 軍事占領の破綻

 米英軍の軍事占領統治はイラク人民の心を獲得できず、ゲリラ戦闘の波状的展開は、占領統治を軍事的にも困難にさせている。
 米軍は10月に入ってからアイアンハンマー作戦と称する掃討作戦を展開し、空爆も再開した。F15やF16戦闘機を出動させ、多数の500ポンドや千ポンド爆弾を投下。軍事衛星を使って誘導する2千ポンド(約1d)の精密誘導爆弾(JDAM)も使用している。米軍は、10月だけで1500回の攻撃をかけ、千人以上を殺害・拘束したと言っている。米軍によるイラク人民虐殺(ジェノサイド)の侵略戦争は継続しているのだ。
 しかし、駐留長期化と侵略戦争に対する疑問で米軍の士気は著しく下がり、家族の不満も高まっている。「これは抑圧された人びとを解放したり……独裁者を世界から取り除くための聖戦ではなく、他国の天然資源を支配する聖戦のようである。石油……私たちがイラクにいる理由がそこにあるように見える」(第101空挺部隊の兵士の手紙)
 ラムズフェルド米国防長官は11月6日、13万人余のイラク駐留米軍を来年1月から大幅に交代させると発表した。陸軍と海兵隊から計8万5千人を動員し、足りない4万人余を州兵と予備役から動員する。重傷や精神面でのトラブルから米国に送り返された兵士も数千人単位で存在する。
 多国籍軍についても、10月16日の国連安保理の決議で多国籍軍派兵が決まって1カ月以上経過するが、派兵を申し入れる国がなく名称さえ決まらない。1万人規模の派兵を計画していたトルコでは、連続自爆テロで英総領事が死亡。トルコは派兵を断念した。米帝は韓国に5千人規模の戦闘部隊を要求したが、イラク派兵反対闘争の高揚の中で、ノムヒョン政権は工兵・医療部隊主軸の3千人規模の派兵案を提示した。

 レジスタンス

 ブッシュは「自由なイラクの樹立は世界的な民主的革命の重大な転機になる。自由は、そのために戦い、死ぬ価値がある」(11月6日の演説)と言った。ふざけるな。この戦争は、イラクを再植民地化し、石油を独占するための帝国主義強盗戦争、侵略戦争だ。イラクを軍事占領し、人民を虐殺し、抑圧し、生活を破壊する不正義の侵略戦争だ。中東支配と石油利権のための帝国主義ブルジョアジーの利害のための侵略戦争なのだ。国際プロレタリアートは、イラク人民に侵略の銃を向けてはならない、その銃口は帝国主義者にこそ向けるべきなのだ。
 米英軍の占領統治に対するイラク人民の闘争は、パレスチナ人民のインティファーダや南ベトナム民族解放戦線の戦い、フランスの植民地支配に対するアルジェリア人民の武装解放闘争、第2次大戦中の中国・朝鮮人民の抗日闘争、ナチス・ドイツに対するレジスタンスなど、古今東西、人民の圧倒的な支持に依拠して闘われている正義の抵抗闘争(レジスタンス)であり、民族解放闘争である。
 ラムズフェルドらは「2300万人のイラク国民のうち数千人が不満を持っている」「(抵抗勢力は)最大でも5000人」などと言うが、本気でそう考えているのなら、米帝の敗北は百パーセント確実である。米帝が直面しているのは、米英帝の侵略戦争、民族抑圧、占領統治に対するイラク人民、ムスリム人民総体の怒りと闘いなのだ。この人民の中に怒りと闘いの意思がある限り、占領軍が撤退するまで闘いは続く。

 大失業と侵略戦争で米帝危機も激化

 来年11月2日に米大統領選が行われる。3月20日開戦からバグダッド陥落でブッシュの支持率は一定持ち直したが、イラク侵略戦争の泥沼化と破産に比例するように支持率は下がり続けている。米帝の戦争の是非がこれほど争点になるのは、ベトナム戦争以来である。ブッシュは10月28日、「私の指導力のもとで世界は平和で自由になり、米国は安全になった」と大統領選の主張を発表したが、事実はまったく逆だ。
 最新の世論調査によると、ブッシュ(共和党)と民主党候補のどちらを支持するかでは48%と47%で拮抗している。イラク政策については過半数が反対である。イラク侵略戦争の泥沼化は、ブッシュ再選の危機を激化させている。
 イラク占領統治の動揺に対してブッシュ政権はなんら「有効」な方針が出せない。イスラエル軍のような赤裸々な暴力で、イラク人民を抑圧し、人民のさらなる闘いを引き出すだけだ。占領政策をめぐるブッシュ政権中枢の対立や不協和音も報道されている。
 イラク侵略戦争の泥沼化で戦費問題と米経済の矛盾がブッシュ政権を揺るがす。米軍のイラク駐留費などを含めた補正予算は875億j(約9兆6千億円)、過去最大の追加予算だ。議会予算局は13年までにさらに850〜2千億jが必要になる可能性を指摘している。米帝の軍事費は実質で前年比5割増しの大軍拡で、朝鮮戦争以来だ。クリントン政権時代に黒字だった財政も03会計年度(02年10月〜03年9月)で過去最大の赤字3742億jとなった。経常赤字も5千億jを突破する勢いだ。
 今年7〜9月期の成長率が8・2%を記録したと米帝経済の好調が宣伝されているが、イラク侵略戦争による国防費の大幅アップ、金利低下に伴う家計債務の増加に依存した消費拡大など、人為的なものだ。特に問題なのは、「ブッシュ政権は、金持ち減税に1兆jを使い、1兆jの借金を残し、320万人に解雇通知を配った」「雇用を失う景気回復」と批判されるように、労働者人民に対する大失業攻撃による「好調」であることだ。ブッシュは「大恐慌期のフーバー政権以来、在職中に就業者数を減らした初の大統領」なのだ。大失業と侵略戦争は表裏一体である。

 派兵強行狙う小泉 百万デモで阻止を

 9・11反米ゲリラは、戦後帝国主義体制の盟主、米帝の深刻な体制的危機を露呈させた。これを契機に米帝ブッシュは世界戦争政策を発動し、全世界を戦火で覆おうとしている。この米帝の世界戦争政策の激しい展開の中で、英・日・独・仏などの帝国主義諸国は存亡をかけて帝国主義的軍事外交をくりひろげている。
 イラクに派兵予定の自衛隊は、陸海空3自衛隊と文民合わせて約1200人。陸上自衛隊700人は、イラク南部のサマワ周辺に展開する計画である。海上自衛隊は、陸上で使用する車両や機材を運ぶため、「おおすみ」型輸送艦、護衛艦と乗員約300人をペルシャ湾に派兵する。航空自衛隊は150人規模でクウェートに拠点を置き、C130輸送機3機でバグダッドやバスラの空港に物資を空輸する。
 陸自は従来の国連平和維持活動(PKO)などで携行してきた短銃や機関銃に加え、携行式の対戦車砲や無反動砲を携行する方針だ。軽装甲機動車や装輪装甲車も持っていく方針だ。「相手が撃たないと武器が使用できないわけではない」と言って、米軍同様のイラク人民虐殺を行おうとしている。
 当初、派兵期間は従来のPKOと同じように半年間とされたが、半分の3カ月程度で交代する予定だ。陸上自衛隊の派兵部隊は北海道の北部方面隊を中心に編成され、第1陣は第2師団(旭川市)中心の部隊編成で、第2陣も第11師団(札幌市)を中心に編成される。空自は愛知県の小牧基地から、海自は広島県の呉基地から派兵される。
 自衛隊の年内派兵方針は二転三転しているが、小泉は「現在の状況でも、自衛隊の派遣が無理だと断定する状況にない」と強弁し、あくまで派兵を強行しようとしている。海・空自の先行派兵論も出ている。
 日本の労働者人民は、重大局面に直面している。小泉政権は、重武装の軍隊を送り、米英軍とともにイラク人民の抵抗闘争を圧殺しようとしているのだ。日帝の本格的な侵略戦争の突入である。日本の労働者人民のイラク派兵阻止の闘いが歴史を決する。

 自衛隊戦死狙う

 自爆テロで19人が死亡したイタリアでは、派兵に反対してきた左翼民主党や再建共産党が政治休戦し、国葬に参列した。マスコミは「犠牲者の意思を継ぎ、テロに屈せずイラク復興を促進する」という論調で報道している。
 小泉はある意味でこのような政治状況を狙っているのだ。自衛隊の戦死を意識的に追求し、「自衛隊員の死の犠牲に文句を付けるのか!」という恫喝で、社・共などの既成勢力の最終的な屈服を強要し、挙国一致の侵略戦争体制をつくりだし、改憲−北朝鮮侵略戦争へと突き進もうとしているのだ。
 日帝の自衛隊派兵に対して、反帝国主義の武装勢力による「イラクに自衛隊を派兵するなら東京を攻撃する」という警告が連続で発せられている。日帝のイラク派兵とは当然、゛日本における9・11゛をも引き起こす問題なのだ。イラク人民からも自衛隊派兵に重大な警告が発せられている。
 なぜ東京が狙われるのか? なぜ自衛隊員の生命が危険にさらされるのか? それは日帝(自衛隊)こそ、米英軍によるイラクの軍事占領に加担し、イラク人民の虐殺、抑圧、生活破壊の侵略戦争に参戦しようとしているからだ。自衛隊は「イラク人民の解放」「イラクの復興」のために行くのでは断じてない。自衛隊は、日帝の利害(イラク・中東の支配と利権)のための侵略戦争に動員されるのだ。
 イラク人民、ムスリム人民の激しい怒りと抵抗闘争に連帯して、自衛隊を日本から一歩たりとも出さない闘いをやろう。ロンドンではトルコの英総領事館への自爆テロの最中に、ブッシュとブレアこそ一切の元凶という立場を鮮明にして、ブッシュ訪英に対して20万人デモが展開された。ロンドンに続き、日本の地で自衛隊のイラク派兵阻止の百万人デモを実現しよう。
 イラク人民・ムスリム人民の闘いを突破口に、全世界で米帝ブッシュの世界戦争路線に対し、国際的な連帯闘争が始まっている。今春のイラク反戦の再度の高揚を実現しよう。11・9労働者集会で提起された日米韓の国際連帯事業を推進し、大失業と戦争と対決する労働者の団結と闘いをつくりだそう。
 12月イラク派兵阻止の大決戦に決起しよう。呉・小牧・札幌・旭川の派兵阻止現地闘争に決起しよう。イラク派兵反対の署名を全国で組織しよう。戦争と大失業の小泉政権を打倒せよ。
 (片瀬 涼)

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週刊『前進』(2129号4面2)(2003/12/08)

福岡 “派兵中止しろ” 春日基地に申し入れ

 11月21日、「アメリカのイラク攻撃を許さない実行委員会」の主催で、自衛隊春日基地に派兵中止を求める申し入れ行動が行われました。春日基地には陸上自衛隊西部方面隊第4師団と航空自衛隊西部航空方面隊が配属されています。
 百万人署名運動・福岡県連絡会は、5千筆を超える署名を携え自衛隊員に出兵拒否を熱烈に呼びかけました。仏教徒非戦の会代表の群島恒昭さんが派兵中止を申し入れ、続いて実行委員会代表の青柳行信さんが申入書を読み上げました。「私たちは自衛隊がイラクに行き、イラクの人々を殺すのにも自衛隊員が死ぬのにも反対です」
 急きょ駆けつけた市民は「小泉は自衛隊員の命にあまりにも無責任。イラクに行ってはならない」と訴えました。また、ある女性は「イラクの子どもたちは劣化ウラン弾の被害に苦しんでいる」と訴えました。
 申し入れ行動後の駅頭街宣では署名とカンパが続々と寄せられ、派兵阻止の決意を新たにしました。
 (投稿・K)

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週刊『前進』(2129号4面3)(2003/12/08)

新刊紹介 コミューン 1月号 米労働運動 戦後編

 今号の特集は、03年11月号に続いてアメリカ労働運動の歴史(下)。第2次世界大戦直後から現在までのアメリカ労働運動の歴史を解説しながら、今日の新潮流運動がいかなる苦闘を経て形成されてきたのかを明らかにする。アメリカ労働運動に決定的転換点をもたらした新潮流運動とは何であり、いかなる発展の可能性を秘めているかをつかみとることができる。
 第1章は、第2次大戦以後の労働運動総体の反共主義的変質の実態と80年代におけるレーガン政権による大資本攻勢と労働運動破壊攻撃の恐るべき様相について分析する。
 第2章は、80年代以後の労働運動の戦闘的再建に向かって、60年代、70年代の公民権運動やベトナム反戦闘争に源流を持ちながら、今日の新潮流運動へと労働運動がダイナミックに発展していく過程を明らかにする。
 第3章では、03年11・9全国労働者集会――動労千葉や韓国の民主労総との国際連帯の闘い――に代表を派遣したアメリカで最も戦闘的な組合であるILWU(国際港湾倉庫労組)の輝かしい闘いの歴史を紹介する。
 この第3章を受け、翻訳資料では、現在進行中のILWUの闘いの息吹にふれるために、ローカル10執行部の演説と闘争報告記事を掲載する。米西海岸で闘うILWUが東海岸や海外の労働者との団結を形成するために死活をかけて奮闘していることがわかる。

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週刊『前進』(2129号5面1)(2003/12/08)

インタビュー 反戦兵士 小多基実夫さんの訴え
国際連帯でイラク派兵阻止 呉・小牧・旭川現地闘争に立とう
自衛隊員は出兵を拒否しよう
イラク人民に侵略の銃を向けるな 自衛官が拒めば出兵は止められる

 自衛隊のイラク派兵を絶対阻止するために反戦兵士の小多基実夫さんに自衛隊員と全国の闘う人びとへの訴えを語ってもらった。(編集局)

 これは米軍の侵略戦争

――イラクのイタリア軍基地に自爆攻撃がありましたが、政府は派兵を強行しようとしていますね。
 政府の方はどんなことがあっても自衛隊をイラクに送ろうとしています。しかし、一般の兵士や幹部(将校)の動揺は激しいということを見ておく必要があります。
 イラク特措法の前提条件である平和になっているというのがまったくない。戦闘状態どころか、ブッシュ自身が「これは戦争である」と言っている。法的な大前提が崩れているのにあえて自衛隊を派兵しようとしている。
 ゲリラ勢力は日本が軍隊を送ればターゲットにすると名指ししています。すでに日本大使館が銃撃されているわけです。必ず自衛隊に犠牲がでる。
 また、ゲリラはどこからどう攻撃してくるかわからないわけで、武器を手にしていたらイラクの人たちに危害を加えることになる。米軍と同じようにイラクの民衆を虐殺していくことになる。イラクの民衆がゲリラを守っているわけです。
 そして実際に自衛隊員が死ぬという事態になれば、日本社会は一変すると思います。自衛隊がイラクに行けば、家族は事故があった、戦闘があったと聞けば気が気でないわけで、パニックのような状態になる。
――反動の側も一挙に国家主義的な攻撃を強めてくるでしょうね。
 政治的に大きな攻防になると思います。政府の側はそうした危機にたいして凶暴化して「死を無駄にするな」というキャンペーンをしてくるでしょう。それに対して、反戦闘争の側も腹をくくって闘っていかなくてはならない。
 現場ではっきり言わなければならないのは、「政府によって殺されたんだ」ということです。米軍のイラク戦争は侵略戦争であり、軍事占領に対してイラク人民は反撃する正当な権利を持っているわけで、自衛隊は占領されている人たちに対して銃を向ける権利はないんだということをはっきりさせなければいけない。

 戦争目的は支配と略奪

――復興支援ということがいわれていますが、これについてどうですか。
 そもそものアメリカの戦争の目的はイラクを植民地支配し、資源を奪うということです。
 今回のイラク戦争では、石油の強奪だけでなく、航空機産業を始め軍需産業が特需で大もうけしているし、イラクの市場支配、資源強奪をしようとしている。そこに日本も利権から排除されまいと割り込もうとしているわけです。
 自衛官の側も、イラクに行かされる場合に、占領支援というと抵抗があるけど、復興支援だということでそれを心の支えにしようとしているところもあると思う。また、治安回復がイラクの人たちのためになる、自分はそのために行くんだとか。しかし占領軍の米軍を追い出すことがイラクの民衆に対する一番の支援だということをはっきりさせなければならない。
 そもそもの戦争の目的、占領の目的をはっきりさせれば、米軍も自衛隊も誰もそんなことはやりたくない。それをごまかすための「復興支援」というカンバンなんですね。独裁をなくすだとか、テロ支援国家を変え民主化するとか、そのウソをはっきりさせないといけないですね。
――イラクにいるアメリカ兵の間でもそのウソが明らかになりつつありますね。
 戦争目的のウソがはっきりしつつあるという点では米軍兵士が殺されるかもしれないという危険性、恐怖を感じていることがものすごく大きいと思います。
 イラクの民衆の武装闘争が闘われていて、これが米軍やイギリス軍に動揺を与えていて、戦争の目的は何なのかと疑問を抱く契機にもなっているし、自衛隊もこれに動揺している。
 それは日本を始め国際的な反戦闘争を闘う民衆への援助になっている。イラクの闘っている人たち、占領に反対して決起している民衆との連帯をもう一つの大きな柱としてやっていく必要があると思います。
 各国の労働者たちがイラクの運動との連帯を強めて、運動をとおしてイラクにいるそれぞれ自国の軍隊に働きかけていくようにならないといけない。そのイラクの民衆と反戦運動が結びついて民衆の側に兵士を獲得していく必要がある。そして派兵されている軍隊がイラクの解放戦線と手を結び交歓するようになれば、戦争は必ず止まるということです。
――今、自衛隊の派兵が世界的に注目されています。
 自衛隊派兵は日本の民衆が止めなければならない。まずそれが大前提だと思います。自衛隊が実際の戦力としてどれほど役に立つのかといったら大して役には立たないと思います。しかし、自衛隊派兵を止められれば占領軍とイラク民衆双方に与える政治的、精神的影響は大きいと思います。
 そして実際に自衛官が抵抗闘争を始めれば戦争はできなくなってしまうわけです。海自の護衛艦でペルシャ湾に派兵されるときに内部告発で整備不良があるといって、それでその船は行けなかったわけで、そういうことがあちこちで起これば戦争はできなくなっていくわけです。

 全国で兵士に訴えよう

――自衛官の家族が自分で派兵反対署名を集めて署名運動に送っていると聞きました。
 署名というのも一つの行動ですよね。現在運動に参加しているというわけではありませんが、その必死さという点で一番熱心にがんばっているのが家族とかそういう人たちではないかと思います。その人たちがそのように必死になっているところに自衛隊が今直面している危機の深さと、運動の可能性が見えます。
 ただ、そこまで自衛官とか家族が思っているときに運動の側の認識がまだまだ甘いと思います。もっと重視してほしいですね。署名運動を含めて街頭などで接する機会がどんどん増えてくると思います。そのときにきちんと対応できるかどうかです。
 出兵部隊を当初は旭川(第2師団)から始めて半年交替と考えていたのが、自衛隊の中でかなり動揺があるから3カ月交替にするということが言われている。残りの3カ月は札幌・真駒内の第11師団ということになっている。これは大変な事態だと思う。というのは、半年は嫌だけど3カ月ならいいということではないわけです。しかも3カ月ごとに次の部隊が行くわけだから、その対象が倍になり、2年半で10個の部隊になる。兵士の動揺を抑えるどころか、逆に駆り立てることになる。
 もう一つは、空自は小牧からC130を出すことになっていますが、第一航空団だけが対象ですが、危険度という点では陸自とそんなに変わらないわけです。あれだけ米軍の航空機が落とされている。しかも今回米軍はAC130を使って空からの攻撃作戦をやっている。これはぱっと見にはC130と同じわけです。それが米軍の管制の下でバグダッドの空港を使うことなる。ますます危険になっている。
 こういうことを考えると派兵される部隊は絶望的な感じですね。そういう中で誰が展望を指し示すのかということです。政府は死んだら1億円出すということしか言わない。9月に市ケ谷のメモリアルゾーンが完成したが、早速ブッシュが献花したけど、イラク戦争で戦死者が出るからそのために造ったといわんばかりのものです。こんなもので死に追いやられた自衛官や家族が喜ぶでしょうか。
 そこで反戦運動がどう対応していくかです。派兵される部隊に対して働きかけていかなければならない。特に陸自は全国の部隊が対象になります。その地域で最大限可能な形で闘いを準備して、地域の力で闘いを切り開くということが重要だと思います。
 というのは、全国結集の闘いは出兵するその日だけの闘いですが、自衛官とその家族は出ていったその時からより大変な過程が始まるわけです。殺されるかもしれない、人を殺すかもしれないという不安な毎日が始まるわけです。恒常的な闘いで家族や自衛官の気持ちに入り込んでいかなくてはいけない。
 有事立法が通って、イラク特措法ができて、国会も2大政党に近づいて大変な側面はあるけど、逆に反戦運動でそれを止めて、ひっくり返していく展望も出てきたと言っていいと思う。戦争が近づいてきたから、逆に民衆が全力で闘えば展望が開ける時代が来たということです。

 いま決断が問われてる

――自衛隊兵士に何を訴えたいですか。
 自衛官のみなさんも大半の人は戦争はないと思っていて、安定した職業だから、公務員だからということで入った人が多いと思うんです。イラクの民衆に銃を向けたいと思っている人はいないと思います。命令だから行かざるをえないと思っているかもしれませんが、遠慮する必要はありません。世論の70%は、イラク派兵に反対しています。イラク派兵反対が民衆の意思だということで「出兵は嫌だ」と堂々と主張して下さい。自衛隊の現場にいる人が声を上げることが重要なんです。
 政府は、死んだときにはいくら金を出すというようなことしか言えない。大金を出すと言えば黙るだろうと人を見下した態度をとっている。自衛官と家族の力が反戦運動に集まれば必ずイラク派兵を止めることができるし、それがイラクの人びとを救うことになります。日本が戦争国家になることを止めるのは反戦運動しかありません。反戦運動の仲間と一緒に闘いましょう。それが他の25万人の自衛官を助けることにもなります。
 また11月21日付の東京新聞夕刊の1面に、自衛隊が派兵されようとしているサマワで劣化ウラン弾が使われたという記事が出ていました。たとえ攻撃されなかった場合でも、ウランの放射能でガンや白血病になったり、生まれてくる子どもが先天性疾患になる危険があります。自衛隊はウランに被曝することにたいして何も知らせずなんの対策も行っていません。ウランによる被曝でガンや白血病にならないためにも派兵を拒否してください。
 アメリカでも大勢の兵士が劣化ウランによる病気で苦しんでいます。イラクの人たちにはもっともっと深刻な被害が出ており、しかもそこに住み続けなければならないのです。この戦争を起こしたブッシュ大統領やこれに加担した小泉首相に責任をとらせなければなりません。
 自衛官のみなさん、イラクで民衆に銃弾の雨を降らせないでほしい。いま決断が問われています。私たちは、自衛官や家族のみなさんの決断を待っているし、一緒に闘い、出兵を止めたいと思っています。私たちの力で自衛隊派兵をやめさせ、この戦争を止めるために一緒に運動に参加してください。

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週刊『前進』(2129号5面2)(2003/12/08)

国民保護法制は北朝鮮侵略戦争への人民の戦争動員法

 罰則強化し、“テロ”にも準用

 通常国会提出を阻止しよう

 政府は11月21日、「国民保護法制整備本部」(本部長・福田康夫官房長官)を開き、「国民保護法制の要旨」を決定した。井上喜一有事法制担当相は同会合で、@米軍への支援法制A捕虜などの扱いを定める国際人道法関連法制B電波利用の優先的割り当てなどの自衛隊関連法制とともに一括して次期通常国会に提出する方針を明らかにした。
 これらが成立すれば、有事法制の整備がひとまず整い、法律的にはいつでも北朝鮮侵略戦争に突入できることになる。与党は日帝単独で北朝鮮への経済制裁発動が可能となる外国為替・外国貿易法改悪案も、通常国会に提出しようとしている。小泉首相は衆院予算委員会で25日、「(北朝鮮が)この状況をさらに悪化させれば、(経済制裁を)検討しなければならない」と答弁し、改憲についても意欲を示した。
 この重大な情勢と対決するために、以下「国民保護法制の要旨」を批判する。

 戦争遂行優先し戦災を強制

 国民保護法制は、6月に成立した武力攻撃事態法などとセットの、北朝鮮侵略戦争のための戦争法である。「国民保護」の名目で人民を巻き込んだ防戦体制を構築するためのものであり、北朝鮮侵略戦争に向かって人民を排外主義的に組織しようとする攻撃だ。
 国民保護法制は第一に、何よりも北朝鮮侵略戦争を具体的に想定した国民の統制・動員の戦争法である。
 要旨は、日本への「武力攻撃事態等」に際し、「国全体として万全な態勢を整備し、国民保護のための措置を総合的に推進」することが、国民保護法制の目的であるとした。
 久間章生元防衛庁長官が「北朝鮮が先に攻めてきたり、侵略してくることは現実的にはないと思う」と述べているように、日本を侵略してくる国家は軍事上想定されていない。
 今日の有事法制が想定しているのは、米帝が「悪の枢軸」と名指しした朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に対する侵略戦争を発動する際に、日帝が全面的に参戦するということである。その場合、米日帝の圧倒的な軍事攻撃に対し、北朝鮮が一定のミサイル攻撃や特殊的なゲリラ戦として限定的ではあるが必死の反撃を試みることを想定し、これに備えた国民防戦体制を作ろうとしているのだ。
 国民保護法制が「国全体として万全な態勢を整備し、総合的に推進」などと言うとき、何よりも政府が戦争での勝利を最優先し、都道府県や市町村などが行う避難や救援措置をその観点から指揮することを意味している。
 国民保護法制は、日米帝が北朝鮮への軍事攻撃を発動しようとする段階(=武力攻撃予測事態)から、人民を防戦体制に組み敷くことで、反戦運動の高揚を阻止し、人民を排外主義的に組織し、侵略戦争に動員していくためのものである。侵略戦争遂行のために、人民が戦災に見舞われ、死傷し、逃げまどうことを前提に、そのプロセスを軍事・治安優先で統制しようとしている。「国民保護」などと言うが、それは侵略戦争遂行の一環をなすものであり、それ自身が戦争政策の一部をなしているのだ。
 さらに要旨で、「武力攻撃事態に準ずる大規模テロが発生した事態」にも国民保護法制を準用する方針が盛り込まれたことは重大だ。日帝はイラク侵略戦争を突破口に米帝の対テロ戦争にどこまでも食らいつき参戦していこうとしている。そうした中で被抑圧民族人民が日帝に対し命がけの反撃戦に決起してくることを想定し、これに対処するとして人民の権利の制限と治安弾圧をさらに強化し、国家による人民の統制と戦争動員を恒常的に進めようとしているのだ。

 首相の独裁で自治体を動員

 国民保護法制は第二に、首相に全権限を集中し、地方公共団体、指定公共機関を使って人民を統制し、動員しようとするものだ。
 国民保護法制は、武力攻撃事態対策本部長(=内閣総理大臣)が、戦争遂行上の全体的課題の一環として、戦時下(「予測事態」も含む)、被災下の人民を国家が上から組織しようとするものとしてある。
 政府は武力攻撃事態に備え、あらかじめ「国民の保護に関する基本指針」を作成する。基本指針は安全保障会議に諮問され、閣議決定する。国会の承認は必要とされない。この基本指針に基づき、指定行政機関の長と都道府県知事は「国民の保護に関する計画」を、指定公共機関は「業務計画」を作成する。この都道府県知事の「計画」に基づき、市町村長は「国民の保護に関する計画」を、指定地方公共機関は「業務計画」を作成する。
 地方公共団体は、都道府県対策本部、市町村対策本部を設置し、必要があれば都道府県対策本部の会議に防衛庁長官が指名する職員を出席させる。「指定行政機関の長等は、それぞれまたは共同して訓練を実施する」と、平素からの民間防衛訓練を行うことも義務づけられた。
 こうしたトップ・ダウン方式のもとで、以下のような対処が行われる。
(1)警報の発令
 対策本部長(首相)が、@武力攻撃事態等の現状および予測A武力攻撃が迫り、または武力攻撃が発生したと認められる地域B住民および公私の団体に対し周知させるべき事項について警報を発令する。NHKと指定を受けた民放は政府の発表内容をそのまま報道しなくてはならない。日本民間放送連盟は「報道の自由を侵害する」とし、「指定公共機関」から放送機関をはずすよう要請してきたが、認められなかった。
(2)避難の指示・誘導
 都道府県知事は、対策本部長からの指示を受けて、市町村長を通じて住民に避難を指示する。この際、「市町村長は、警察もしくは海上保安庁または自衛隊に避難住民の誘導を要請することができる」「避難住民を誘導する者は、危険を生じさせ、または危害を受けるおそれのある者に対し、必要な警告または指示」を行うとされ、治安弾圧的な観点を強力に押し出している。
 こうした取り組みがどんなものになるかは、鳥取県の住民避難マニュアル(別掲)を見れば明らかだ。そこでは軍隊と警察が指導的な役割を果たし、軍事と治安政策上の観点から住民を統制することが打ち出されている。
(3)救援
 被災者や避難民の救援は、対策本部長の指示に基づき都道府県知事が主に実施し、一部を市町村や日本赤十字社に行わせる。知事は@医薬品、食品等の緊急物資についての保管を命令し、売り渡しを要請A収容施設または臨時の医療施設を開設するため、土地、家屋または物資を使用B医療関係者に医療の実施を要請する。いずれの場合も当該の事業者や個人、医療関係者が「正当な理由なく」拒否しても強制的に行う。
 住民の避難、救援のいずれについても、都道府県知事が避難誘導や強権的な収用、徴用を拒否したり、内閣総理大臣が自治体まかせでは「適切に行われない」と判断すれば、「是正措置」として強制代執行できる。すべて首相の独裁的な権限のもとに行われるのだ。
(4)武力攻撃災害への対処措置
 指定行政機関の長は、原子力事業者や危険物質取扱者に対して施設、取扱所の使用停止等を命じることができる。また指定行政機関の長と都道府県知事は、生活関連施設の管理者に警備の強化などを要請する。
 市町村長または都道府県知事は応急措置として、警察官、海上保安官、自衛官の支援を受けて、@武力攻撃災害を拡大させるおそれがある設備又は物件を除却A退避の指示B土地、建物等の一時使用等および支障物件の除却C警戒区域の設定を行う。

 家屋など収用を拒めば罰則

 国民保護法制は第三に、罰則規定まで設けて、民間防衛に人民を強制動員しようとしている。
 要旨では、「国民は、協力を要請されたときは、必要な協力をするよう努める。協力は、国民の自発的な意思にゆだねられる」としている。自発性を強調する表現をとっているが、実際は協力義務の強い規定としてあり、°必要な協力は自発的にやるべきだ″と積極的な動員を図ろうとするものだ。
 要旨は、@原子炉、危険物質等による危険防止のための措置命令に従わなかった者A物資の保管命令に従わず、または保管命令等に伴う立ち入り検査を拒んだ者B交通規制または警戒区域の立ち入り制限に従わなかった者など、国民統制のための罰則規定を4月概要から大きく拡大した。土地・家屋などの収用に従わない者への罰則も明記した。また、政府への協力が義務づけられる民間機関(指定公共機関)として、電気、ガス、運送、電気通信、日本郵政公社、医療、日本赤十字社、放送などの事業者を列挙した。
 さらに退避の指示、土地や建物などの一時使用、警戒区域の設定、車両の移動などの通行確保のための措置を、自衛隊が軍事作戦を優先するために自ら実施できる規定も盛り込んだ。「生活関連物資等の価格安定」など国民生活と経済を統制する措置も明記した。
 こうして国民保護法制は、侵略戦争を遂行する自衛隊と米軍の行動を最優先で保障するために、人民の権利を奪い弾圧する悪法である。国民保護などと言う名目にごまかされてはならない。そもそも人民は日帝によって戦争被害から保護されるような存在ではなく、戦争の加害者や被害者とならないために日帝と闘う存在なのだ。
 闘うイラク人民と連帯し、日帝のイラク侵略戦争への本格参戦を阻止し、その力で有事法制の完成と改憲攻撃を粉砕しよう。

 鳥取県住民避難マニュアル(研究案抜粋) 7月9日

■交通規制の必要性
 「有事における避難は、避難措置に関係する車両相互あるいは避難車両と防衛出動する自衛隊車両との錯綜防止を図ることが必要」
■共同検問所の設置
 「住民が避難した地区への、避難者の舞戻りの防止とゲリラ等の活動を阻止するため、各要所地点に検問所を設置する。警察、自衛隊との共同運営とする」
n避難所開設・運営−立ち入り制限
■「避難地域については、立ち入りが制限され、自衛隊に安全確保義務が生じる(武力攻撃事態法17条)」「不穏分子(テロ)とボランティアとの見分けが必要となる」

 国民保護法制の強制措置・罰則(抜粋)
■@医薬品、食品の保管命令と売り渡しの要請
 A土地、家屋、物資の使用
 B医療の実施の要請については、当事者が拒否しても知事が強制的に行う。知事が拒否した場合は、内閣総理大臣が強制代執行
■「物資の保管命令に従わなかった者」「通行の禁止や制限に従わなかった車両の運転者」「土地、家屋の使用や物資の収用に関し、立ち入り検査を拒み、妨げ、または忌避した者」「警戒区域や立ち入り制限区域への立ち入り制限や禁止、退去命令に従わなかった者」など10項目に該当する人物は処罰

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週刊『前進』(2129号5面3)(2003/12/08)

狭山要請行動 齋藤第5鑑定つきつけ 事実調べを要求

 11月25日、部落解放同盟全国連の同盟員と解放共闘の労働者、学生、約30人は無実の石川一雄さんと固く連帯して狭山最高裁・最高検要請行動を闘った。
 午前10時から永田町の星陵会館で集会をもった。全国連の小森勝重狭山闘争本部事務局長が基調報告。本部派の闘争放棄をのりこえて行った10・26狭山中央闘争の意義を確認し、弁護団が9月30日に3つの新鑑定からなる補充書を最高裁に提出して以降、決戦情勢に入っていると述べた。
 特に11月12日に齋藤第5鑑定の補遺が提出されたことを報告した。補遺は、石川さんの逮捕から9日後の警察側の「関根・吉田鑑定」が「少時」の文字の背後に抹消文字があると確認していることなどを指摘している。
 また齋藤第5鑑定は、▽脅迫状の封筒に万年筆あるいはインクつけペンによる幾つもの「2条線痕」がある▽封筒に書かれた「少時」「中田江さく」の文字は犯行当日以前に万年筆で書かれた▽万年筆で書いた後インク消しで繰り返し消した――ことを明らかにしている。
 犯行前に「少時」とボールペンで書き、犯行後に被害者の万年筆を奪って「中田江さく」に訂正したという2審寺尾判決、東京高裁高木・高橋決定の事実認定は完全に覆された。石川一雄さんの家に万年筆はなく、石川さんは脅迫状を書かなかったのだ。
 小森事務局長は、寺尾判決の事実認定が成り立たない以上、最高裁は事実調べを行い、最高検に証拠開示させ、再審を開始させなければならないと強調した。
 午後1時すぎの最高裁要請行動で全国連は、碓井書記官らに要請書と6800筆の狭山署名を提出し、井橋昌夫茨城県連事務局長らが齋藤第5鑑定をもって最高裁が事実調べしなければならない状況に置かれていることを突きつけた。最高検要請行動でも全国連は要請書を提出、原口孝一茨城県連副委員長らが最高検に隠し持つ証拠の全面開示を強く要求し、検察の差別犯罪を厳しく糾弾した。

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週刊『前進』(2129号6面1)(2003/12/08)

総破産するアメリカ経済 バブル崩壊 巨額債務と金融不正噴出
 ドル暴落 流出しはじめた海外資金 世界大恐慌の本格的爆発へ
 秋月丈志

 イラク占領支配の崩壊と侵略戦争の泥沼化、住宅バブル・消費バブルの限界、証券・外国為替取引をめぐる金融スキャンダルの続出、過去最悪の「双子の赤字」とドル暴落危機……。ベトナム敗戦以来、歴史的没落の危機をしのごうとあがき続けてきたアメリカ帝国主義は、軍事・政治・経済の全面で蓄積された全矛盾を爆発させ、総破産の危機に直面している。米帝は29年型恐慌への本格的突入を絶対に回避できない。米帝経済の29年型恐慌への突入は、9・11―3・20をはるかに超える巨大なインパクトをもって全世界を革命的危機のあらしに投げ込む。帝国主義間の争闘戦も国際階級闘争の様相も一変し、危機と矛盾は極限まで先鋭化する。しかしそれこそレーニンが帝国主義論で指摘したとおり、世界革命の条件を成熟させるのである。世界革命を実現する国際連帯闘争の発展と革命党の建設は、待ったなしである。この課題の切迫性、死活性、現実性を鮮明にするために米帝経済の現状をみよう。(写真はニューヨーク証券市場)

 

図1 株バブル崩壊を補てんした住宅バブル

2003年キャッシュアウト金額は前半の実績を2倍したものS&P500は全米500社の株価指数

 減税と借金の消費バブル最終段階に

 アメリカの7―9月期実質GDP(国内総生産)成長率は、前期比年率8・2%という「19年ぶりの高成長」を示した。しかしそれは、@春以降のイラク情勢楽観論の広がりによる株価の反発、A減税効果、B住宅バブルのピーク、C膨大な戦費・軍事支出といった要因が重なり合うことによってもたらされた「瞬間風速値」にすぎない。いまや夏場の「高成長」をもたらした要因のことごとくが消失し、あるいは逆のものに転化してしまっている。
 ◆減税効果は消失
 10年間で総額3500億jというブッシュ減税の中身は、株式配当や株売買にかかわる「金持ち減税」がメインであるが、7月以降に実施された児童減税では、就学児童1人につき400j(約4万4000円)の小切手が各家庭に送付され、消費拡大を直接に促した。しかし、10―12月期には小切手送付はなく、来年は春にこうした小切手送付は終わり、減税効果は消滅する。
 ◆住宅バブルも崩壊へ
 株式バブル崩壊後も消費バブルを引き延ばした住宅バブル(住宅価格の上昇と住宅を担保とする借金拡大)は、すでに崩壊過程に入っている。
 株式バブル崩壊が始まってから米金融資産は2兆9000億j減少したが、住宅資産は3兆6000億j余りも上昇し、株式暴落の逆資産効果を減殺してきた。01年以降11回にわたって実施された金融緩和により、住宅ローン金利も歴史的な低水準に下がった。住宅購入は伸び続け、住宅価格の上昇率は00年から今年初めまで6―9%(前年比伸び率)と90年代後半の約2倍で推移してきた。そして金利低下と住宅価格の上昇は、住宅ローンの借り換え=借り増しを空前の規模で増加させた。この借り換えによって現金化(キャッシュアウト)された資金は、この2年間で2000億j(約22兆円)規模にもなっている(図1およびひとこと解説参照)。
 この住宅ローン借り換えは、デフレ懸念でさらなる金融緩和期待が膨らんだ今年5月末、ピークに達した。この時期に借り換え申請をした人たちが実際に現金を手に入れたのが、この夏過程だった。これが夏場の個人消費を大きく押し上げたのである。

図2 米個人負債残高の推移

FRB Consumer Credit Historical Data より作成

 だが、6月半ば以降、「双子の赤字」問題の再浮上によるドル下落懸念から米長期金利が上昇しはじめ、住宅ローン金利も上昇に転じた。これにより借り換え申請件数は5月末の4分の1まで激減した。まだ金利上昇前後の駆け込み需要による住宅建設が進んでいるが、今後、住宅需要が減少し、借金の担保としてきた住宅価格の上昇率が鈍化していくと、家計債務の重圧(図2)は一気に強まる。すでに家計債務は可処分所得を上回る過去最高の規模になっており、自己破産が急増し続けている。
 家計債務増大と表裏一体で膨張してきた住宅バブルの崩壊は、自動車などの耐久財消費の急減、消費バブル崩壊に直結している。米消費バブルの崩壊は、米バブルの最後的崩壊であり、米経済のみならず、全世界的な過剰資本・過剰生産力状態をむきだしにする。
 ◆低下する稼働率
 ハイテク部門を中心に設備投資が回復しているといわれているが、依然として設備稼働率は75%程度で低迷している。製造業に限ってみると72〜73%(10月72・9%)まで低下している。バブル絶頂期に稼働率90%を超えたハイテク部門は、「回復」といっても60%まで急降下したものが若干反発して66%になったにすぎない。
 90年代に形成された生産能力の過剰は、いまだ米経済に重くのしかかっている。しかもこの過剰は、米国内のみならず、中国・アジア、中南米などが帝国主義の巨大な生産基地と化したことによって、全世界を覆いつくしているのだ。ここから歴史的な超金融緩和下にあるにもかかわらず、デフレが広がるということが起きている。
 米企業は独占的高価格を維持することが困難になり、利潤を圧迫され、さらなるリストラを迫られている。この世界的な生産能力の過剰とデフレ下にあっては、金融緩和効果など無力であり、設備投資拡大による景気回復などおよそありえない。
 ◆「雇用増」の実態
 米経済回復「本格化」を示す証拠として、雇用の増勢が挙げられている。確かに統計によると非農業部門の雇用者数は、8―10月の3カ月で28万6000人増加している。だがその実態は、より一層激しいリストラの進行を示すものでしかない。雇用の増加分の大半は、コンピューター関連・人材派遣関連サービス業の非正規職である。大企業はリストラを継続し、製造業の雇用は10月には2万4000人減少し、3年以上も減少が続いている。
 アメリカにおいては解雇に関する制限は、人種や性別での差別禁止といった建前以外には何も無い。帝国主義諸国の中で雇用保護規制が最も弱いのがアメリカである。失業保障の中身も低水準で、一般的な失業保険の給付期間は6カ月、給付水準は従前所得の半分程度である。しかもこれもあればいい方で、簡単に首を切られる非正規職労働者には何の保障もない。つまり9月以降の雇用増加とは、どんどん首を切られ裸同然で路頭にほうり出されてきた労働者とその家族がどんな過酷な条件の仕事であろうと受け入れるしかなくなったことを表しているのである。
 リストラ・首切り・不安定雇用によってアメリカの労働者人民は、かつてない困窮に追いやられている。米商務省が発表した02年の世帯調査によると、米国の総人口に占める「貧困層」(3人家族なら年収が約162万円を下回ると「貧困層」に分類される)の割合は、前年の11・7%から12・1%となり、2年連続で上昇した。
 この数字は1970年代初頭よりも高い。貧困層の人口は3460万人で、前年に比べ170万人増加。黒人は24・1%で、ほぼ4人に1人が貧困層に入る(白人は8%と前年からほぼ横ばい。人種差別は歴然としている)。29年型恐慌が本格的に爆発する時、米国内において資本主義の歴史上かつてない階級矛盾が爆発するのは不可避だ。

 スキャンダル続発で株式市場に激震

 春以降上昇を続けてきた株価は、ハイテク株を中心に利益水準では合理的説明がつかないITバブル期の再現を思わせる状況となった。しかし10月の業績発表が終わり、さらなる高成長への期待がはげ落ちてしまうと、株価上昇の勢いは失速した。そこに再び、エンロン事件に端を発した粉飾会計ショック以来の金融スキャンダルが発覚し、米株式市場への信用が再度大きく揺さぶられている。資産総額7兆j(約760兆円。東京株式市場時価総額の約2倍)、全米で約半分の世帯1億人が老後の生活資金や教育資金の確保のために活用している投資信託(ひとこと解説)をめぐる不正取引問題である。
 スピッツァー・ニューヨーク州司法長官(民主党)は9月、ヘッジファンド(ひとこと解説)のカナリー・キャピタルが米最大手銀行のひとつバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)など4社を通じて不正投信取引を行っていたことを告発した。以後、投資運用5位のパトナム・インベストメンツを始め続々と不正取引が発覚している。米USAトゥデー紙は「大恐慌以来の不祥事」と書き立てている。
 アメリカの投資信託は、90年代以降のバブルの膨張、退職年齢が迫ったベビーブーマー世代の年金資金の流入、銀行による投信販売(29年恐慌の「教訓」として規制されていたが87年に解禁)の急増などが相乗し合って、猛烈な勢いで急成長した。投信は長期運用が基本で、ごく一部の「プロ」しかやらない短期売買による利ざや稼ぎとは無縁である。
 ところが投信運用会社は、ヘッジファンドと結託し、短期売買の繰り返しや時間外取引などの不正取引を行っていた。これらの不正の全体像は、いまだ明らかにされていないが、投信運用大手パトナムでは次のような短期売買が行われていた。パトナムは、取引時間最後の1時間に、ボイラー工組合の確定拠出年金の加入者から一斉に出される売り買いの注文を受け付けていた。アメリカの株が大幅に上昇すると、翌日の東京市場の株もほぼ確実に上昇する。したがってアメリカの株価の終値を見定めることができる取引時間の最後に、日本株を組み入れた投信を買い、翌日の日本株の値上がりを待って売るという売買を繰り返せば、ほぼ確実に巨額の利ざやを得ることができた。こうしてあるボイラー工は3年間に296回も短期売買を繰り返し、115万ドル(約1億3千万円)もの利ざやを稼いでいたのである。
 時間外取引とは、午後4時の取引時間終了後に、翌日の値上がりが確実だとわかった株の買い注文をその日の終値で受け付けたりすることで、「競馬でレースが終わった後に1位の馬にかけるようなもの」(スピッツァーNY州司法長官)である。先に挙げたヘッジファンドのカナリー・キャピタルは、バンカメなど4社から、夕方6時半まで企業の決算発表などを見極めたうえで、午後4時の取引終了時の価格で投信を売買することを許されていた。バンカメなどは巨額の資金を動かし、多額の手数料収入を稼げる「上客」のへッジファンドを引きつけるために不正を許していたのだ。
 こうした不正取引で一般の投資家は、年間40億j(約440億円)の損失を出しているとも言われる。株式売買それ自体からは、1円たりとも新たな価値は生まれない。社会全体としてみれば、安く買い高く売ってもうけた者がいれば、必ず安く売らされ高く買わされた者がいるだけの話である。したがって一部の者が短期売買や時間外取引で得た巨額の利ざやは、必ず他の大半の一般投資家の損失となっているのである。
 カネを右から左へ動かすだけで大金が転がりこんでくるバブル期には、帝国主義が生成当初から抱え込んでいる不正・腐敗、その社会寄生的性格が極限化する。そしてバブル崩壊とともにそれが全社会的に暴露されるのは、日本のバブル崩壊で見てきたとおりである(住専、証券スキャンダルなど)。しかし、米バブルが生み出した不正・腐敗は、日本と比べてもけた違いである。
 米市場は日本と違って公明正大などというのはまったくのウソである。不正手段で夜ごとに社会から巨額の富を盗み出してきたのは、一部の特殊な例外ではなく、米帝国主義ブルジョアジーの本体中の本体なのである。ヘッジファンドにも投信運用会社のどちらのバックにもバンカメ、シティグループ、メリルリンチなど米金融資本の中枢をなす巨大銀行・巨大証券会社がついている。アメリカ帝国主義は史上最大のバブルの中で丸ごと腐り果てているのだ。
 投信不正は、どこまで広がるかわからない状態で、死活のかかった年金資金や教育資金を預けていた一般大衆の不信と怒りが渦を巻き、解約も続出している。02年会計ショックに次ぐ激震が株式市場を襲う可能性があり、ブッシュ政権・金融当局を震撼させている。11月14日にはスノー財務長官、グリーンスパンFRB(連邦準備制度理事会)議長、米証券取引委員会(SEC)委員長らをメンバーとする大統領金融市場問題作業部会が開催された。この部会の開催は9・11以来のことである。
 今回のスキャンダルがさらに広がると、東京市場を始め世界中の市場も大きな打撃を受けることになる。投信が解約に応じるには巨額の現金を用意しておかなくてはならない。また大量の訴訟が起こされ、巨額の賠償や罰金の支払いを迫られるのも不可避で、そうした現金を確保するには大量の保有株を売るしかない。再び1万円を割った東京株式市場の急落も、米投信による日本株売却によって促進されている面がある。
 この投信不正に加え、この間くすぶりつづけてきた住宅金融公社フレディマック、ファニーメイをめぐる不正会計問題もいつ燃え広がるかわからない。これにもシティグループやモルガン・スタンレーという米金融資本の中枢がかかわっている。住宅バブルの崩壊が進む中で、この問題は必ず全面的に露呈する。住宅バブルの崩壊は消費バブルの崩壊のみならず、最大級の金融危機・恐慌爆発に直結している(本紙2112号秋月論文参照)

 巨大「双子の赤字」でドル暴落の危機

図3 史上空前の規模に達した「双子の赤字」

経常収支は〔貿易収支〕〔サービス貿易収支〕〔所得収支(投資収益)〕〔経常移転収支(送金や財関連の援助など〕をあわせた収支

 本来、赤字を垂れ流し続ける国は資金不足に陥り、金利上昇を招いて経済は収縮する。基軸通貨国は、いくらでも紙幣を印刷して対外支払いをすることができるが、やがてその通貨は信用を失って下落し、赤字が度を超せば暴落する。
 アメリカの経常赤字が1000億jを超え、財政赤字が2000億jを超えた80年代レーガン政権期、米帝経済と世界経済はこの「双子の赤字」を震源とするドル暴落の危機に大きく揺るがされた。この危機は、85年プラザ合意(米と日の協調利下げを基本内容とするドル「軟着陸」)と80年代後半の日帝経済のバブル化、それに続く90年代の米帝のバブル経済化によって繰り延べされた。その間、米帝は世界的な投資の自由化を推進した。基軸通貨国の強みを最大限に使い、いくら赤字を垂れ流そうと米国債や株式市場に資金が環流してくるシステムをつくった。こうして巨額の対外赤字と「強いドル」を両立させるアクロバットを可能にしたのである。また90年代以降のドル体制の維持は、著しく軍事・戦争に依存するものだった。
 こうして90年代のハイテクバブル膨張とともに米帝には怒濤(どとう)のように資金が流入していった。軍事・金融のみが突出し、産業基盤を衰退させた米帝は、それらの資金を生産的投資にではなく、ことごとく投機と消費と軍事に回した。その結果、米経常収支は90年代半ばからバケツの底が抜けたような状態になった。経常赤字は、4000億〜5000億jというとてつもない規模に膨れ上がり、04年には6000億j台になると予測されている。資本主義の歴史上例のない異常な世界的不均衡が現出した。この不均衡が持続することはありえない。
 ◆軍拡・減税で破綻
 一方、財政収支はバブル下の税収増で穴埋めされ、98年から00年にかけて一時黒字化した。だが、バブル崩壊と「対テロ戦争」(アフガニスタン侵略戦争・イラク侵略戦争)の泥沼化と減税の実施によって瞬く間に史上最悪の赤字に転落した。03年には92年ブッシュ(父)政権時の最悪記録2900億jをはるかに超える3742億jに達し、04年には5250億jまで拡大すると予測されている。
 ブッシュ政権は11月24日に総額4013億j(約43兆7000億円)に上る04年度国防予算案を成立させた。史上最悪の「双子の赤字」下でレーガン以上の大軍拡と減税を行っているのだ。米帝は、体制末期特有の自己破滅的政策に突き進んでいる。
 米財政赤字は、さらに加速度的に悪化する。これまで財政赤字額は、本来「予算外」として扱われるべき社会保障会計部分の黒字を組み込むことで、少な目に見せることができた。しかし、ベビーブーマー世代8000万人が退職年齢に達する08年以降、社会保障会計部分も赤字化する。一般会計部分に限った「本来の」財政赤字は来年度で7000億jにも達しており、これに急速に膨らむ社会保障会計の赤字が加わっていくと財政赤字は1兆j突破もありうるのだ。
 史上空前の「双子の赤字」の拡大が続く中、ドル暴落の危機はかつてなく切迫している。@イラクにおける軍事占領支配の崩壊的危機、ゲリラ戦の続発と世界への拡大。「ハイテク軍事力」万能神話の崩壊、米帝=米軍の本質的脆弱(ぜいじゃく)性の露呈。これが米帝に残った基軸通貨国としての最後の条件である世界支配力・国際的威信を根底から揺るがしている。Aバブル期に対米投資の中心をなした欧州投資家が巨額の損失を出し、余力を失っている。米帝の「対テロ戦争」以来中東マネーも米から逃避した。B金融市場スキャンダルが米資本主義への不信をさらに抜きがたいものにし、米からの資本逃避を加速させている。C大統領選を1年後に控え、ブッシュ政権がドル安放置による輸出促進、保護主義(対中および対日)の傾向を強めている。
 これらが重なり合って、11月にドルは96年以来7年ぶりの安値をつけた。アメリカが赤字の穴埋めに必要とする海外資金の量は、とてつもなく巨大になっているにもかかわらず、資金の流入は細くなり、不安定になっている。9月の米への資金流入は、海外投資家が米国株や米政府機関債(住宅公社債など)を大量に売ったことで、98年金融危機以来の低水準に落ち込んだ。日本と並ぶ大量の米国債の買い手である中国までもが債券を売り越す中で、日銀だけが史上最大のドル買い介入(9月だけで5兆円)を続けている。
 家計・企業・政府のすべてが巨額の借金漬け状態にある中、海外からの資金が流出しはじめると、米帝経済はたちまちにして金利の急上昇に見舞われる。それは株価、住宅バブル、個人消費、設備投資のすべてを崩壊させる。米帝への輸出に依存する日本、中国・アジアを始め全世界経済が螺旋(らせん)的に収縮し、世界大恐慌に向かう。このことは避けられない。
 ブッシュはイラクでも経済でも大破産し、窮地に立たされたまま大統領選の年を迎えようとしている。米帝ブッシュに残された道は、一層の国内階級戦争の貫徹と軍事的凶暴化しかない。米労働者階級を始めとする全世界労働者階級と被抑圧民族人民が21世紀早期における世界革命を実現する条件はますます成熟している。

 ひとこと解説

 借り換えとキャッシュアウト(現金化)
 住宅ローンの借り換えとは、低下した金利で金を借りなおし、金利負担を軽くすること。その際、住宅資産の上昇分を担保にして多額の金を借り増し、消費支出や自動車ローン、消費者ローンの返済に回した。これをキャッシュアウトという。これが米個人消費バブルの最後の支柱となってきた。

 投資信託
 多数の投資家から集めた資金を一つにまとめ、運用会社が債券や株式などで運用し、その収益を還元する。預貯金と違い、運用成果によって収益が変動し、運用実績が悪い場合は元本割れもある。

 ヘッジファン
 ごく一部の富裕層の資産を運用し、高い危険を伴う金融取引で高収益をめざす投機家集団。その実態はやみの中。

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週刊『前進』(2129号6面2)(2003/12/08)

日誌'03 11月19日〜25日
 国民保護法制「要旨」を決定 米国防報告「機動力ある軍」

●第2次小泉内閣発足 特別国会で小泉が首相指名を受け、自民、公明両党連立による第2次小泉内閣が発足した。(19日)
●金武町に都市型訓練施設 那覇防衛施設局は、在沖米陸軍の特殊部隊(グリーンベレー)が金武町のキャンプ・ハンセン「レンジ4」射撃場に新たな都市型戦闘訓練施設を建設する計画を明らかにした。(19日)
●米軍、バグダッド周辺に空爆 イラク駐留米軍は、首都バグダッド周辺で武装勢力に対する掃討作戦「アイアンハンマー」の一環として、5月のブッシュ大統領による戦闘終結宣言後、最大規模の空爆を行った。(19日)
●額賀「集団自衛権行使議論を」 日米安全保障戦略会議で、自民党の額賀政調会長が「集団的自衛権を行使しえないことは、わが国が国際的責任を果たしていく上で、大きな問題点だ」と述べ、行使を容認する方向で積極的に検討する考えを示した。(20日)
●米国防報告を公表 米国防総省は、ラムズフェルド国防長官が大統領と議会に提出した2003年の国防報告を公表した。報告は「迅速に行動できる機動力のある軍を目指すべきだ」と指摘している。(20日)
●北朝鮮制裁法案提出へ 与党は、北朝鮮に対する日本独自の経済制裁を可能とする外国為替・外国貿易法(外為法)改正案を、来年の通常国会に議員立法として提出し、成立を目指す方針を固めた。自民党の安倍幹事長が明らかにした。(21日)
●国民保護法制「要旨」 政府は、国民保護法制整備本部(本部長・福田官房長官)の会議を開き、国民保護法制の「要旨」を決めた。4月に発表した「概要」に比べ、都道府県知事の権限・役割を拡大したのが特徴。大規模なテロが起きた場合にも国民保護法制を準用する方向を示した。(21日)
●緊急時の参集チーム 政府は閣議で大規模テロや地震など緊急事態発生時の初動態勢を定めたマニュアルを決めた。関係省庁の局長級による緊急参集チームを招集する基準を、自然災害だけでなく、ハイジャックや不審船事件、原子力災害などに広げた。(21日)
●「自衛隊送れば東京攻撃」と警告 アルカイダの幹部を名乗る人物がアラビア語の雑誌「アルマジャラ」(ロンドン発行)に声明を寄せ、「日本の兵士がイラクに足を踏み入れた瞬間、アルカイダは東京の中心を攻撃する」と警告した。この人物から日本に対する警告の声明が出たのは2度目。(21日)
●軽水炉事業の中断を発表 朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)理事会は、北朝鮮で進めている軽水炉建設事業を12月1日から1年間中断すると正式に発表した。すでに作業員は段階的な撤退を始めているが、北朝鮮側は建設機材や資材などの搬出に応じない構えを見せている。(21日)
●イラク駐留06年まで10万人 米ニューヨーク・タイムズ紙は、米陸軍が今後のイラク駐留計画で06年初めまでは約10万人を維持することを前提にしていると報道した。(22日)
●迎撃ミサイル、米と共同生産 防衛庁は、米国と共同技術研究しているミサイル防衛(MD)の次世代迎撃ミサイルについて、数年の内に実用化のめどを付け、共同生産に踏み切る方針を固めた。共同生産のためには、政府の基本的政策である「武器輸出3原則」の見直しが必要。(23日)
●小泉が「自衛隊派遣したい」 小泉首相が、衆院予算委員会で「現在の状況で派遣が無理だと断定する状況にはない。自衛隊が活動できる分野があれば、派遣したい」と答弁した。(25日)
●在外米軍再編を発表 ブッシュ米大統領が、在外米軍の再編問題で声明を出し、同盟国や友好国との本格的な交渉を開始すると発表した。(25日)

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週刊『前進』(2129号7面1)(2003/12/08)

階級的利益売り渡すJR総連の大分裂と松崎支配の破綻(上)
 ファシスト組合打倒し闘う労働運動を
 矢剣 智

 東労組内の松崎派と嶋田派の対立・抗争

 JR総連・JR東労組内の松崎派(松崎明=前JR東労組会長、カクマル副議長)と嶋田派(嶋田邦彦=前JR東労組副委員長)の分裂は、激しい対立抗争を伴いながら決定的な組織分裂として進んでいる。
 2001年に中央派カクマルと完全に分裂したJR総連カクマルは、翌02年、今度は、松崎派と嶋田派の分裂に進んだ。嶋田ら8人の東労組執行委員の辞任(02年10月31日)として分裂が顕在化して以降、今年の東労組大会−地本大会−支部大会をとおして対立は一層激化している。新潟地本、長野地本は、完全に本部・松崎派から離反し、嶋田派執行部体制である。千葉地本、横浜地本では、松崎派が地本執行部を握り、本部と対立したことを理由に処分を連発して、嶋田派追い落としを図っている。横浜地本・鶴見支部では、嶋田派執行部が支部大会を開いたが、地本役員が退席してこれを認めず、第二大会を地本が招集して、これを鶴見支部に仕立てることが行われている。(次号に詳述)
 松崎は嶋田派との抗争を、「これは階級闘争の一環だ」などと、手前勝手な意義付与をしてJR総連カクマル分子のオルグを行いつつ、組合員に対して「越後騒動」(国盗り物語)や怪文書をバラまいて、嶋田派の影響力切り落としに躍起になっている。そこでは「JR総連を創った前顧問」として松崎の権威とカリスマ性を最大限使っている。
 他方、「デマをふりまく」本部・松崎派に対抗して嶋田派は、『虚構からの訣別――貧しき者たちへの挽歌』なる本を出版し、松崎による組合私物化と支配の現実を暴露している。この本は、本年6月1日からのJR総連大会にぶつけて、5月28日に出版された。4月に、松崎が『仇花と崇高な心』を出版したことへの批判を込めたものである。JR総連内部から、しかもかつて松崎の側近中の側近であったカクマル嶋田から、このような文書が出たこと自体、決定的な出来事である。松崎・JR総連カクマルの組織的自己崩壊を示したものだからである。
 嶋田本では、1年前まで自らも内側にいて実践していた、松崎・JR総連のファシスト組合支配が赤裸々に語られている。そこでは、組合民主主義がひとかけらもなく、松崎を頂点とした文字どおりのデマと暴力によるファシスト独裁支配が行われていることが明らかにされている。
 「JR東労組は今や労働組合の基本である、組合民主主義が完全に投げ捨てられている」
 「ここまで事態が進むと、これ以上の『沈黙』はむしろ反組織的犯罪であるとの思いに至った。事実を明らかにしないと『嘘も百遍言えば真実に』なる」
 「東労組本部役員の面々の理解力では、『一枚岩の団結』には、批判の自由は絶対に含まれていないのである。なぜなら『批判や反論』は『反松崎』であり、『反本部』、『反JR東労組』になると信じ込まされている」
 嶋田は、自分はこれらと無縁であるかのように述べているが、実は嶋田自身がこうした組合支配を貫いてきたのだ。松崎のもとでの「第一の実力者」として、嶋田はこのファシスト組合を作ってきた張本人だ。動労千葉への襲撃や、国労への首切り攻撃を嶋田は先頭に立ってやってきたのだ。
 7万5千人のJR総連組合員は、松崎派にせよ、嶋田派にせよ、こうしたファシストによる組合支配のもとで、資本による秒単位の労務管理の強制、強労働・強搾取を受け、安全を無視した経営方針のもとで命を縮め、首切り・合理化攻撃の中で労働者的権利を奪われている。分裂を開始した東労組両派を一刻も早く打倒し、階級的労働運動に合流するために闘うことが求められている。

 「次期委員長」嶋田を外そうと策した松崎

 松崎と嶋田の確執の火種は、00年の東労組委員長人事にさかのぼる。
 東労組会長・松崎(当時)は、委員長候補として自他ともに認められていた嶋田書記長(当時)に、「1期2年間だけ角岸(当時副委員長・盛岡地本委員長)にやらせてやってくれないか」と頼み、「その器でない」と固辞する角岸のオルグまで嶋田に頼んで、角岸委員長の実現にこぎつけた。
 「1期2年」の約束から、02年には、角岸自身も、また東労組執行部のほとんど全員が、嶋田が次期委員長になるものと考えていた。だが突然、大会を前に松崎が「角岸にさらに2年やらせる」と言い出したのである。これについて『虚構からの訣別』では以下のように書かれている。
 「このとき顧問は嶋田に対して『2年後に委員長やれ、そして、その後会長をやれ』と言ったのである。嶋田はこれに対して『それは出来ません。会長職などは顧問のみに与えられたものであり、われわれ凡人は組合員と同じく、60歳で役職は降りるべきだ』との考えを伝えたのである」
 現在、57歳の嶋田にとっては、松崎の変心は、単なる約束違反ではなく自分が排斥されるものと映ったことは間違いない(事実そういうものとして事態は進行した)。
 東労組執行部は角岸を含め、嶋田が委員長となることが既定方針として進んでいたから、執行部の全員に近い者が松崎の変心にいぶかったようである。
 6月7日の酒席で阿部克行企画局長(当時)は、松崎の側近の書記・林和美に、「何で角さんなの? どう思う、嶋田さんではだめ?」と口走った。林和美自身かねてから、「嶋田さんは組織を作って来たし、即一番の人」と評価していたからである。しかし実は、林はその直前の伊東での集まりで、松崎から「今回も角岸、その次を嶋田」の話を聞いていた。そこで、林和美はこの阿部の発言を松崎への不服従として松崎に報告した。これが源となって、阿部は松崎から「阿部の野郎ゆるさねえ」「チンピラ阿部め!」と追及されることとなった。(「『地獄までもっていこう』と思った」なる林和美レポート)。
 なお、この林和美こそ、あの98年に摘発されたカクマル軍事拠点・豊玉アジトと同じマンションに住んでいた人物であり、松崎とカクマル白色テロ部隊とのパイプ役となっていた人物である。
 そして、松崎はその「林レポート」を角岸ら役員に示して、「嶋田の委員長代行を外す。阿部の局長を外す。嶋田の後は石川がやれ、阿部の後は本間がやれ」と通告する。そして、「俺は松崎派を作る。俺は東京四地本の顧問になる」と公言し、嶋田を「尊敬しています」という石川に「馬鹿野郎! その認識を変えろ! 今日から敵と思え!」とどなりちらした。
 松崎の一声で、東労組役員からの信任を受けていた嶋田外しは進んだ(本間業務部長は嶋田とともに辞任している)。
 嶋田編著の本だから、割り引いて評価しても、嶋田は、「組織を作った第一人者」として松崎らに認められていた人物であることが分かる。だからこそ松崎は、いろいろ理由を作って、“自分の地位を脅かす危険人物”として嶋田をつぶしにかかったのだ。それが、「次の2年後の委員長」説=嶋田を次期委員長にしない論の真相だったのである。松崎は、自分が組合権力を失った時の恐怖から逃れられないのである。そのために、「実力者」嶋田外しに走ったのである。
 嶋田は言う。
 「私たちは前顧問は絶対だと思っていたし、今にして思えば、悲しい事かもしれないが、前顧問の顔色を常に意識し、誉められる事を励みにして、この何十年間運動をやって来たのである。
 この私たちを『国盗りを策動していた』と言われると、私たちのこれまでは何だったのかなと悲しくなるばかりである」

 階級的労働運動への恐怖が分裂の動因

 今回の東労組の分裂は、直接の契機は松崎による嶋田追い落としであり、東労組内の権力闘争である。だが本質的には、動労千葉や闘争団などを先頭とする国鉄労働者の1047名闘争と、JR総連打倒の闘いがつくり出した地平である。
 そもそも松崎は、日帝・中曽根の先兵となって国鉄の分割・民営化を率先した裏切り分子である。松崎は、JR資本との癒着体制によって、国労と動労千葉を3年もたたないうちに解体し、JRの労組を一企業一組合にして、JR総連カクマルの一党支配にすることをたくらんだ。だが、動労千葉と国労の闘う労働者は、あらゆる妨害をはねのけて国鉄1047名闘争を闘いぬき、政府の不当労働行為を弾劾し、労働者の階級的利益をかけて闘い続けてきた。裏切り者・松崎とJR総連の敵対は、闘う動労千葉や国労組合員の怒りと戦闘性をかき立てるものでしかなかったのだ。
 こうした闘いで松崎やJR総連のもくろみは打ち破られ、その反労働者性と無力さを決定的に突き出され、内部から分裂と崩壊の危機を深めているのである。
 また、JR資本の新たな合理化攻撃の中では、JR総連カクマル自身、合理化の対象となっている。それはJR総連・松崎を使った、JR資本による動労千葉・国労解体策動の破綻(はたん)の中で、松崎・JR総連に、絶えず「使い捨て」の恐怖と危機感をいだかせるものである。そうした恐怖が、松崎・JR総連を資本にどこまでもすり寄らせるものとなって働いたのだ。
 松崎・東労組は、労働組合としての最低限の基本的闘いである賃金闘争や職場闘争をいっさい放棄し、また労働者の政治闘争を投げ捨て、それをごまかすものとして「中国での小学校建設」「子供平和基金」(アフガニスタン復興支援)や、「ドングリの森作り運動」(植樹)、「旅のプレゼント運動」(ボランティア)に組合費を使い、組合員を振り回してきた。
 この間、東労組が行ってきたことは、00年3月の「シニア協定」であり、01年8月の「第4次労使共同宣言」締結であり、「ニューフロンティア21」計画に沿った、資本のより忠実な先兵になることであった。
 この第2の分割・民営化攻撃としての「ニューフロンティア21」は、「01年から05年までの中期経営構想」という、1万人の首切りと作業の外注化・合理化を中心とした、リストラ攻撃である。それは鉄道会社のあり方を抜本的に変える大合理化攻撃であり、賃金体系の改変、総額人件費の大削減を伴ったものである。安全問題を度外視し、メンテナンス費用の縮減の数値目標化が図られ、「ステーションルネッサンス」、「IT化」などの営利優先の企業戦略が貫かれている。JR総連カクマルは、その極悪の先兵として先頭に立っている。
 奴隷頭の松崎は、組合員の権利を売り渡す代償に、JR資本から松崎個人のプライドと利権を保証されてきた。それは、資本としては、きわめて利用価値があったからである。すなわちJR総連・松崎カクマルの存在は、動労千葉のように労働者としての権利と階級的魂を守り、ストライキを構えて闘うこととの対極にある、実に反労働者的なものである。会社に対する松崎の言葉の激しさや勇ましさは、ファシストの激しさであり、また、こうした階級的裏切りをおし隠すものでしかない。

 会社に切り捨てられる危機

 松崎は、自分が優遇されている間は、資本との間に問題はないとしてきた。事実、1998年に「東京問題」(注)の発端とされている阿部真喜雄が「指定職」に栄転となった時には、「人事は会社の専権事項」として了承し、何の問題にもしなかった。そもそも96年の段階で、松崎はマロードイン会議参加者を「不問に付す」と東京地本大会で組織決定していたのである。松崎も、角岸も、嶋田も石川もそれを知っている。
 だが今回、松崎は、突如その阿部真喜雄の02年2月の業務担当課長就任を「裏切り分子への会社側の優遇人事」としてむし返し、問題にし始めたのだ。これは“会社が自分を切り捨てるのではないか”という松崎の危機感とおびえにもとづくものである。
 嶋田本では、以下のように記述されている。
 「『東京問題』に対して何も言ってこない本社に前顧問が激怒したのがすべての出発点になっているのである。
 7月10日、酒を飲んでいるとき前顧問は9日の『講演』の激怒の理由を『本社が俺に何もいってこないからだ』ときわめてわかりやすく説明してくれた。
 そのときの前顧問と嶋田との会話の一部を紹介しよう。
 前顧問『会社は俺をなめている。2月15日の席には俺がいたんだ。しかし、知らん面(ツラ)だ。誰も俺に謝りに来ない。なめやがって!』
 嶋田『こっちからは言いません。常識的に、こちらから言うべきものではありませんから、私からは会社に話はしません』
 前顧問『おう、そうだ。それでいいよ嶋ちゃん』
 しかし、その後の展開は、『嶋田、阿部は会社と裏取引をしていた。だから動かなかった』とまことしやかに組織内に浸透させていくのである」
 そして、この後、松崎は「(嶋田と会社との)密約」とか「嶋田が夫婦で会社と付き合っている」という話を流した。これに対して嶋田は「15年の役員経験の中で、前顧問も知っている一回だけの夫婦での食事をこのように言いふらし」ていると弁明し、かく言う松崎こそ、「夫婦同伴でかなりの回数、会社幹部とゴルフや食事」をしているではないかと反撃している。
 「1期2年」の約束違反、「林和美の告げ口」、「夫婦同伴の食事」に限らず、松崎は、自己の権威をもって話を作り、嶋田追い落としのために使っていることがわかる。松崎は、ファシスト支配の核心が、デマと暴力にあることを知っており、組合内にデマをふりまくことで自己権力の維持に躍起になっているのである。

 自己崩壊を始めたJR総連

 JR総連指導部の分裂は、現場で資本と苦闘している組合員とまったく無関係のところで進んでいる。それは松崎と嶋田による、5万5千人の労働組合=JR東労組における、自己の影響力と利権をめぐる対立を発端としているが、重要なことは、ついにこのような形でファシスト労働組合=JR総連・東労組の抱える本質的な矛盾が噴出し、内部から決定的な崩壊を始めた、ということだ。これまで関西や東海、九州などの「失陥」として進行してきたJR総連の危機が、いよいよ松崎カクマルの本丸、東労組で決定的な形を取り始めたのである。
 今回の分裂の背景には、JR総連カクマルが、資本の労働者支配にとって無力であることが見透かされていることへの恐怖がある。だから松崎は、「ストライキはしない」と言い続けてきた東労組に、今回は「順法闘争だ」などと脅しをかけたりしたのだ。それも労働者の権利のために資本と実力で対決するというのではなく、自己のメンツを守るためにである。
 松崎の資本への「なめんなよ」なる発言は、口先の勇ましさや言葉の激しさとは裏腹に、資本に向かって「おれを捨てないでくれ」という泣訴以外の何ものでもない。
 松崎・JR総連カクマルによる東労組の過疎支配は、JR組合員の怨嗟(えんさ)の的になっている。02年11月に警視庁が東労組大宮地本役員など7人を逮捕したいわゆる「浦和事件」は、東労組の危機の進行と、組合員の不満の現れを示しており、それへのファシスト的対応に権力が付け込んだものである。このようにして日帝・権力の分割・民営化攻撃の総決算として今回の事件はある。基本的には、JR総連の組合運動の崩壊を示しているのだ。
 そうした中で、動労千葉や闘う国鉄労働者の階級的闘いは、大きく共感を広げている。JR総連カクマルは、資本や権力から、いつお払い箱になるかもしれないという恐怖に絶えずさらされ、あせり、もがいている。
 こうして、戦闘的で階級的な闘いの存在が、今回の東労組分裂を引き起こす圧倒的な動力となって働いている。階級的な闘いと存在がファシスト労働運動を根幹において揺さぶり、打撃を与え、分裂を強制しているのだ。このことをしっかりと確認する必要がある。
 東労組は、ファシスト組合であり、組合員の利益を守る組織ではない。分裂自身がそれを示している。組合員の生活や権利擁護から乖離(かいり)したこの分裂と対立の激化に、多くの組合員が反発を強めている。階級的利害と無縁な、資本との癒着にしがみつくJR東労組両派を打倒する気運は大きく高まっている。ファシスト支配は明確に崩壊状況に入った。とりわけJR東労組青年部をめぐる両派のやりあいの中で、「平成採」の組合員は、この分裂・対立自体の反労働者性、東労組という組合自体の反労働者性に気づき始めている。
 闘うJR東労組組合員は、今こそ階級的労働運動の戦列に合流しよう! 新潮流運動に結集して資本と闘おう! 資本と癒着し、腐敗を極めるJR総連の解体・打倒へ、すべてのJR総連組合員は決起せよ!
 (つづく)

 ●JR総連をめぐる動き

95年6月 松崎、JR東労組会長に就任
  9月 大宮マロード・イン会議(東京地本・阿部真喜雄など参画)
  12月 JRグリーンユニオン結成
00年3月 JR東労使、「シニア協定」「今後の雇用に関する覚書」締結
  4月 JR東日本が大塚社長体制発表
  11月 カクマル、JR総連幹部・坂入充を拉致・監禁
  12月 東労組全支部委員長会議で松崎講演、カクマル批判
01年6月 JR東労組第17回定期大会、松崎会長辞任、顧問就任
  8月 「第4次労使共同宣言」締結
  12月 松崎明『鬼の咆哮』出版
02年2月 東京支社が阿部真喜雄を業務担当課長に発令人事。「東京問題」
  4月 東京地本第24回臨時委員会で石川委員長が「東京問題」で辞任
  7月 松崎、「組織が半分になることも覚悟し順法闘争で闘おう」と提起
     松崎、角岸委員長と大塚社長、夏目常務との会談で事態収拾
  10月 松崎は嶋田派との抗争を「階級闘争の一環」と断言
     嶋田派8人が辞表提出
  11月 東労組「浦和事件」で7人逮捕、松崎の自宅など家宅捜索
03年1月 東労組中執が「8人の中央指導部の辞任に対する見解」
  2月 東労組中央委員会で松崎派が名指しで嶋田派を批判
  5月 嶋田邦彦『虚構からの訣別』出版
  6月 東労組第19回定期大会、千葉地本前委員長小林への制裁委設置を230対40で承認
  7月 JR東労組中執・全地本委員長会議、「新潟、長野に反本部の動きがある」と指摘

(注) 「東京問題」

 95年、東労組の分裂組合、グリーンユニオン結成を謀議する会議が、大宮のマロード・インホテルで開かれた。これに参加した東京支社・阿部真喜雄に、02年2月、業務担当課長への内定が出された。松崎がこれを「組織破壊者」への優遇人事であると騒ぎ出し、東京地本委員長・石川尚吾を辞めさせることで、会社に抗議した。会社は、阿部真喜雄を転籍させることで決着した。02年8月26日、本部副委員長石川と東京支社総務部長伊東との会談で、「水に流す」という合意が成立した。これがいわゆる「東京問題」である。
 今回松崎は、委員長石川(当時)の辞任をJR東会社に突き付けて、阿部人事撤回を要求したが、その矛先は、実は松崎をさし置いてJR東会社との意見取りまとめに動いた嶋田に向けられていた。それが東労組の分裂問題へと進展した。

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週刊『前進』(2129号7面2)(2003/12/08)

改憲阻止決戦シリーズ 今、問い直す侵略と戦争の歴史 第5部 アジア・太平洋侵略戦争(8)
 日本軍慰安婦政策 アジア全域で極限的な性暴力

 全面的な中国侵略戦争を展開していた日帝が、41年12月に開始したアジア太平洋侵略戦争は、その一歩から「天皇の軍隊」による蛮行そのものだった。日本軍が侵攻した先々で軍慰安所が設置されていった。
 これは事前に検討・準備された計画的なものだった。インドネシアを視察した軍医が陸軍省に提出した報告書に「多く回教徒にて一夫多妻の点もあるも、貞操感も強し。かりそめにも強かん等を行い日本軍紀に不信を抱くことのなき様、厳重注意の要あり。…村長に割当て、厳重なる検黴(けんばい)の下に慰安所を設くる要あり」(41年7月)とある。“日本軍の強かん、性病蔓延(まんえん)を防ぐため”に“村長に割当てて地元の女性を集め、厳重な性病検査をして軍慰安所をつくるべきだ”というのだ。
 しかし、占領地で「村長に割当てる」とは、強制的な動員そのものだ。ここにはアジア人民蔑視(べっし)、他民族抹殺政策としての日本軍軍隊慰安婦制度の本質が示されている。

 総数もわからず

 今日までに史料で確認された慰安所は、沖縄・北海道を含む日本全国、植民地支配下の朝鮮、台湾、そしてカイライ政権下の中国東北部を始め、中国、フィリピン、マレーシア、シンガポール、ビルマ、ベトナム、タイ、インド(アンダマン・ニコバル諸島)、パプア・ニューギニア、グアム、ミクロネシア、メラネシアにまで及んでいる。ラオス、カンボジアは確認されていないが慰安所があった可能性は高い。
 「安定した慰安婦供給源」とされた朝鮮からは10代の少女を含む女性たちが文字どおり暴力的に、あるいはだまされ、いずれも本人の意志に反する強制連行として最前線の慰安所に送られたのだ。
 被害女性は朝鮮人だけで20万人とも言われるが、アジア太平洋全域でどれほど多くの女性たちが犠牲になったことか。海外に派兵された日本兵は42年に232万人、45年8月には351万人、この兵隊にまるで物のように「天皇の賜り物」として与えられた日本軍軍隊慰安婦。この恐るべき戦争犯罪の犠牲者は、名前どころか総数すら確定できないまま放置されている。
 極限的な性暴力の中である者は殺され、あるいは自殺・病死・心中の強要……生きぬいてなお敗戦と同時に殺され、あるいはその地に捨てられた。そして戦後も半世紀にわたって沈黙を強いられたのだ。

 「粛清」と同時に

 アジア各地で日本軍侵攻直後に慰安所が開設された。40年9月ベトナム北部に日本軍が侵入、直後に東南アジアで最初の慰安所が設置された。41年12月にマレーシア(英領マラヤ)のアロースターに、42年1月にはタイのハジャイとシンゴラに、2月にシンガポールに慰安所が開設された。
 マレーシアのネグリセンビラン州のクアラピアでは42年3月ごろ日本軍が町の治安維持会の幹部に女性集めを命令、幹部は18人の中国人女性を集めて日本軍に渡した。日本軍は、抗日的とみなした中国人を皆殺しにする「粛清作戦」と一体のものとして「慰安婦集め」を行ったのだ。
 クアラルンプール郊外に住んでいた16歳の女性は、「日本軍が家にやってきて兄と自分を連行し、兄は二度と戻って来なかった。自分は繰り返しレイプされ、慰安婦にされた」と証言している。
 フィリピンでは44年10月、第14方面軍司令官・山下奉文大将が「比島作戦計画大綱」を発令し、抗日武装ゲリラを「討伐鎮定して其(そ)の統一ある活動を封殺す」と命じた。
 そして11月23日、日本軍はパンパンガ州カンダバ市マパニケに砲撃を開始し、村民を殺害し略奪・破壊、女性を強かんして回った後、住民たちを学校の庭に連行した。校庭では女性や子どもたちが見ている前で男性たちを縛り上げ、「ゲリラだと白状せよ」と残忍な拷問を加えて殺害、その遺体と生きている男性たちを校舎に押し込み、火を放って皆殺しにした。
 その後、日本軍は、10代の少女と若い女性たちを、日本軍の兵舎に連行した。その移動中と到着後、複数以上の日本兵によって女性たちは繰り返し強かんされ続けた。被害女性は100人に及ぶと推定される。
 女性たちの証言から明らかになったこの残虐なマパニケ事件は、日本軍が組織的計画的に行った虐殺であり、女性たちに対する集団強かんと監禁は「抗日ゲリラ掃討戦」の不可欠の要素だったのである。

 バタビア裁判

 42年3月、ジャワ島(オランダ領)を占領した日本軍は、島内のヨーロッパ系住民を、男性と女性・子どもを別々にして抑留所に収容した。そして44年2月、アンバラワ抑留所など4抑留所から「17歳以上28歳以下」の女性35人を州都スマランに運び、日本軍将校の慰安婦を強制した。
 このスマラン慰安所は、オランダ人の告発を受け、2カ月で閉鎖となったが、戦後バタビアで開かれたオランダ軍事法廷で裁かれることになった。@婦女子を強制売春に連行した罪、A売春強制罪、B強かん罪、C抑留者を不当に扱った罪で起訴された被告は日本陸軍中将以下13人。有罪となったのは将校7人と慰安所経営者(軍属)4人で、慰安所開設の責任者だった少佐は@ABにより死刑(銃殺)となった。
 この裁判では、日本軍司令部が売春のための強制徴収は戦争犯罪であるという国際法をよく承知していたという事実と、日本軍は売春を強制してはならないという指示をヨーロッパ系の女性には出しながら、日本人を除くアジア系の女性たちには出さなかったという事実が明らかになった。
 ここに示された差別的な日本軍慰安婦政策の基本姿勢は、今日に至ってなお、戦後補償裁判における日本政府の姿勢として貫かれている。90年代以降、アジア人民が続々と日帝の戦争責任追及、戦後賠償要求に立ち上がり、とりわけ人類史上類例のない国家的戦争犯罪である日本軍軍隊慰安婦制度について、日本政府は謝罪・賠償、責任者処罰はおろか真相究明すら行ってはいない。日帝がイラク侵略派兵を強行しようとしている今、この歴史と向き合い、労働者人民が進むべき道を切り開かなければならない。
 (室田順子)
 第5部おわり。
 第6部「総動員体制」は来年1月に開始します。

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週刊『前進』(2129号8面1)(2003/12/08)

 団結ひろば 投稿コーナー

歴史的な集会に間に合い参加できた喜び 東京 板垣 宏

 東京・日比谷野外音楽堂で開催された11・9全国労働者総決起集会に参加しました。途中で降り出した雨も日比谷公園をビッシリと埋め尽くした参加者の執念で吹き飛ばして、日・米・韓の闘う労働組合と労働者が一堂に会し、国際連帯の新たな、歴史的な一ページを切り開いたのです。
 16年間も未決のまま不当に勾留されていた私にとって、このような歴史的集会に間に合い、参加しえたことは非常な喜びです。
 集会は、民主労総の「チョレ ノドンジャ」(鉄の労働者)の合唱と振り付けで、元気よく始まりました。私は、振り付けに体がついていかず困りましたが、一気に雰囲気が盛り上がりました。
 発言はどれもすばらしい内容だったのですが、私は、航空労組連絡会副議長の村中哲也さんの「この間の闘いで、反戦・平和の闘いを闘わないような組合は、労働者の権利も守れないということがはっきりと分かった。有事立法攻撃に対し最後まで闘う」との力強いあいさつが印象に残りました。
 デモに移り、長期不当勾留の影響で足の痛い私も、最後までデモを貫徹し、イラク戦争反対と、労働者の団結を訴えました。
 まさに11・9集会は、全世界に侵略戦争と貧困・大失業を振りまき、世界を惨禍と惨劇の生き地獄に追いやっている帝国主義の支配に抗して、労働者・人民の新たな質を持った闘いが全世界で開始されていること、しかもその闘いが国際連帯としてがっちりとつながり始めたことを、実感として確認できるすばらしい集会となりました。

 労働者が団結し闘うことで道は開ける 中四国・自治体労働者 島川浩憲

 私たちの職場も、慢性的な人員不足で、賃金不払いの時間外労働が年を追うごとに増え、また、市町村合併に伴う業務により、労働が厳しくなっています。
 組合としての動きは、5年連続の一時金の削減にみられるように、人事院勧告を受け入れるだけ。本来、労使の力関係によって賃金、労働条件が決まるものなのに、人勧制度をはね返す状況もありません。
 また、今年6月に可決された有事関連法案に対しても、一般の組合員はもとより、組合幹部においても、ほとんど議論がなされず、本部より下ろされたポーズだけの反対行動の要請に対応するのみです。
 財界は、90%の労働者を不安定雇用にする方針であり、公務員労働者に対しても、能力・実績主義をもち出して、労働者を差別、選別し、賃金、労働条件を下げ、ますます団結をなくさせようとしています。ところが、われわれは日々の業務に追われ、そのようなことを考える時間すらない状況です。
 しかし、このままでは賃金奴隷として、人間的な生活は望めず、世界から戦争はなくならない。
 今集会で、労働者の団結と、闘うことによってのみ道は開けること、日本ではストという言葉さえ死語になりつつあるが、韓国、アメリカの労働者が実力行使によって、社会を変革しようとする姿を見、戦争を止めようとする行動を知ることができ、今は少数でも、動労千葉や結集した仲間とともに闘う決意を新たにしました。

 戦争と大失業の時代生き抜く道見いだす 九州・民間労働者 関本 宏

 戦争と大失業の時代。これをどのように生き闘いぬくのか。その答を見いだせる集会だった。ある意味で歴史的地平を切り開く第一歩の集会とも思える。まさしく労働者は団結しなくてはならないし、連帯することだ。労働者に国境はなく、真に資本と闘う労働者は、地域・職場・産別、民族・国籍を超えて、団結・連帯できるということを示した。プロレタリア国際主義の確実な前進と思う。
 この運動と闘いをケンインしているのが動労千葉であり、国労闘争団と8名の不当逮捕されている仲間である。彼らの運動と闘いをもっともっと広く大きく各職場・産別、さらに労働者全体に推し進めていかなくてはと感じた。
 戦後労働運動の戦闘性と階級性は失われてはいない。
 韓国の民主労総やアメリカの労働者の闘いに、さらに連帯すべく労働戦線の拡大が重要だと思う。未組織労働者・民間労組、そしてやはり国労を中心とした全逓・教労・自治労などの産別が大きく動くことだと思う。
 °労働者が真に国際的・階級的に団結し、立ち上がった時、資本と帝国主義を打倒できるぞ!″と感じられる集会だった。

 国際連帯を肌で感じ「頑張らねば」と決意 愛媛・全逓労働者 杉山 実

 米・韓の闘う労働者との国際連帯の集会、実に感動的な集会だった。参加する前からわくわくする思いで集会に参加しました。
 まさに思っていた以上にすばらしい集会だった。今まで、ことばでは「国際連帯」とか、「連帯して闘うぞ!」と何度となく言ってきたけれど、実際に国際連帯を肌で感じたのは初めての経験だった。
 「世界の労働者の団結こそが、戦争を止める力になる」――それを実感させてくれた集会だった。生命をかけて闘っているからこその迫力を感じた。この迫力・力強さは生命がけで闘うことなしには出てこないだろうし、身につかないと思った。
 そう思うと、自分はこれまでどれほどの闘いをやってきたのか? 彼らの闘いに比べればまだまだではないか。彼らは国際連帯を求めて日本の地に来てるのに、自分はまだまだ闘えていないと思った。彼らの闘いに学び、自分も「頑張らねば」と、闘う決意を新たにしました。

 徳島の地で星野さん取り戻す思い強める 東京 桜井 聡

 11月14日、星野文昭さんが閉じ込められている徳島刑務所に向かいました。
 徳島は、私が高校を卒業するまで18年間暮らした街です。昔、何時間立ち読みをしても文句も言わなかった本屋やら、よく魚釣りをした川やらを車からながめながら向かいました。
 刑務所を見下ろす山道から、大声で「星野さん、がんばってください」と叫びました。受刑者が屋外で作業をしているのが見えましたが、かなり離れた距離なので、少しでも声が届いたのかどうか、不安でした。
 感動したのは、その日の夕方の徳島駅前での街頭宣伝でした。知っている人に会いやしないかと少し緊張して始めましたが、「ヨッシー&ジュゴンの家」の歌を聴いて立ち止まる若者も多く、「新聞で見て、知っている」「明日(集会を)やるんですよね」「こんなひどいことがあるなんて」と、どんどんと再審署名がとれました。
 私は「星野さんは、地元では人望があるし、沖縄でも知っている人が多い。だから権力はわざわざ、遠く離れた、誰も知っている人がいない徳島にまでもってきて収監した。家族が面会にくるだけでも大変なのです。だからぜひ、徳島の人にも知ってほしい」と訴えました。高校生も多く署名しました。
 翌15日の全国集会は、広い会場が満席で、県内からの出席者も多かった。暁子さんの、文昭さんとの面会をもとにした対話劇は、涙が出そうになりました。
 正直、地元から離れて年月も長く、地元のことなど無関心になっておりましたが、河口堰(せき)やら、木頭村の自然保護の問題も含めて、地元の人もがんばっているのだなあと思い、地元の人の「顔」が見れてうれしく思いました。
 徳島行動に参加して星野さんを取り戻したいという思いがますます強くなりました。

 投稿のお願い

 本欄は投稿の常設欄です。みなさんの原稿をどしどしお送りください。
 日々の労働やくらしの中で感じた疑問や怒り、労働実態や職場活動の報告、機関紙拡大闘争の教訓、闘争や集会の感想、マルクス主義・レーニン主義の学習感想文、書評や映評、本紙の記事へのご意見など。読者の皆さんと一緒につくっていきたいと思います。また、全世界からの反戦闘争、労働運動の投稿も歓迎します。闘いの写真も送ってください。
〈投稿規定>
 原稿は800字以内。紙面の都合で短くする場合があります。原稿は返却しません。都道府県名または地方名、職業、所属組織・団体、希望のペンネームを添えてください。
 宛先は、〒132−0025 東京都江戸川区松江1−12−7 前進編集局「団結ひろば」係
 『前進』ホームページの「安心メール」でも受け付けます。

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週刊『前進』(2129号8面2)(2003/12/08)

弾圧と闘う 水嶋同志を即時保釈せよ
 4日論告求刑 19日最終弁論 完全無罪へ大結集を

 88年9・21千葉県収用委会長せん滅戦闘デッチあげ裁判は、11月12日の第21回公判をもって事実調べをすべて終了した。裁判はあと今月4日の論告求刑と、19日の最終弁論を残すのみである。
 水嶋秀樹同志は無実である。88年9・21戦闘にはまったく関与していない。当初から検察官は、政治的意図をもって水嶋同志を千葉県収用委会長せん滅戦闘の責任者にデッチあげようとしてきたのだ。そのことが、丸2年におよんだ審理をとおして、あらゆる角度から鮮明になった。
 無実の水嶋同志の即時釈放を求める。完全無罪戦取のために12・4、12・19公判闘争および保釈奪還闘争への総力決起を訴える。
 無実の水嶋同志へのデッチあげ指名手配・逮捕・起訴攻撃は、まったく証拠がない中で、警察官・検察官の強制と誘導による、転向・裏切り分子・正井利明を使った「写真特定」の捏造(ねつぞう)を発端としている。正井が、88年9・21戦闘の総括責任者Aだとして水嶋同志の写真を「特定」したとされているのである。
 だが、写真特定そのものが権力によってつくられたものなのだ。水嶋同志には明白なアリバイがある。88年9・21戦闘時には四国の徳島市にいた。そして、正井が初めてAと会ったという時には、北陸の福井市にいた。このことは二人の証人によって完璧(かんぺき)に証明されている。
 水嶋同志がAでないことは、正井が一番良く知っている。一目見て分かったのだ。そのことは水嶋同志の身体的特徴が、正井が取り調べ段階で供述したAのそれとはことごとく異なっていることからも一目瞭然(りょうぜん)である。水嶋同志はAではない。
 正井はAの身長について最初は「170a位」と供述し、その後も「168a位」とか「170」とか述べている。だが水嶋同志は164・1aしかない小柄である。
 視力について正井は、Aは風呂場でもメガネを離せないほど強度の近視だったと証言し、0・03の自分よりも強度の近眼だという印象をもったとも証言した。これに対して水嶋同志は子どものころから視力は良かった。最後に測定した郵便局時代の検査では1・5だった。水嶋同志は現在、拘置所での薄暗い劣悪な条件のもとで目を悪くしたが、それでもメガネなしで十分生活できる。もちろん法廷でもメガネなしで書類を読んでいる。
 Aの頭髪について正井は、「前部から頭頂部にかけて薄くなっておるような状態で、いわゆるバーコード状態」と証言した。水嶋同志はおでここそ広いが頭髪は豊富なのだ。毛髪の質についても、水嶋同志は「天然パーマ」だが、Aは「ストレートの髪型」だったと証言した。
 青年時代からの水嶋同志の顔の最大の特徴は前歯のないことだった。郵便局時代には職場の同僚から「歯欠(はっかけ)さん」と呼ばれていた。その後も次々と歯をなくし、88年当時には上が3本、下が5本しか残っていなかった。ところが正井は、Aには「歯があった」「デンタルフロスを使って歯を磨いていた」と証言している。入れ歯にはデンタルフロスは使えないのである。
 正井は水嶋同志を前にして、Aとは違う人であることを完全に認識していた。検察側証人ゆえに検察官に気を使って恐る恐るではあるが、「あごの形は違うと思います」、Aはもっと「とがっておった」、もし水嶋さんに歯があったとしても「私の記憶と、一致しないんではないかと思います」と証言した。
 さらに正井は、法廷で「水嶋はAではない」と証言した。これ以上決定的なことがあるか。水嶋同志を88年9・21戦闘と結びつけた唯一の証人である正井が、法廷で水嶋同志を間近からじっくりと眺め、声も聞いた上で、弁護人から「証人が一緒に行動したAという人物が被告人水嶋と一緒かどうか」と聞かれて、正井は「違うと思う」と証言した。さらに「ここにいる水嶋に会った記憶はない」「Aは水嶋ではない、水嶋はAではない」ともはっきり証言した。
 東京地裁刑事第1部・川口宰護裁判長はすでに3度も保釈許可を決定した。正井証言が終了した昨年10月、検察側立証が全面的な破綻(はたん)の上に終了した今年1月、そしてアリバイ立証の終了した10月である。だが検察官はその都度抗告し、高裁は審理を踏まえた地裁決定をなんら検討することもなく、政治的意図から保釈許可を取り消した。検察官のデッチあげに高裁が加担しているのだ。この点を声を大にして、全人民に訴える。
 無実の水嶋同志に獄中で3度目の正月を迎えさせてはならない。一日も早く奪還しよう。12・4公判の傍聴闘争に全力で駆けつけ、検察官論告求刑を徹底的に弾劾しよう。

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週刊『前進』(2129号8面3)(2003/12/08)

“のさばるな警察” 共謀罪と闘う共同集会

 11月24日夕、東京・文京区民センターで「群がって悪いか! のさばるな警察! 緊急共同集会」が行われ、110人の労働者・市民が参加した。集会の主催者は、山際永三さん(人権と報道・連絡会)を始めとする10人の呼びかけ人。
 集会は、共謀罪新設・警察大増強(来年度から3年間で1万人増員し26万人体制とする)・イラク派兵の攻撃と闘う現場から、反撃の経験と教訓が報告され、豊かな交流の場となった。また、日常生活の漠然とした不安感を弾圧の根拠とする「体感治安」のデマキャンペーンをあおる、日帝・小泉の治安弾圧攻撃に対する共同闘争の出発点となった。
 集会は、山際さんの「来年さらに輪を広げて集会を行いたい」という訴えで始まり、呼びかけ人のなすびさん(山谷労働者福祉会館)が基調報告を行った。
 続いて、「闘いの現場からいかに反撃するか」という問題提起が行われた。
 ACA(反資本主義行動)で闘う青年は、「この間のイラク反戦デモで11人の仲間が不当逮捕された。シンパシーを持って一緒にデモする人たちが増えてきている」と報告した。
 洋書センター争議弾圧の被告は、「共謀罪と司法改革の攻撃は、身近な問題。黙秘権を否定する攻撃を絶対に許さない」と訴えた。
 動労千葉共闘部長の滝口誠さんは、11・9国際連帯集会を報告し、「資本のグローバリゼーションと闘うこと、つまり戦争と大失業と貧困と飢えと闘うためには、労働者階級の国際連帯が重要だ」と訴えた。
 さらに会場から、「外国人がいるから犯罪が増える」というデマへの弾劾、民主労総訪問と11・9集会参加の報告、「犯罪不安と厳罰化の悪循環を断とう」という訴えが行われた。続いて、杉並区の公園トイレに書いたイラク反戦の「落書き」で「建造物損壊」の裁判闘争を闘う青年は、告発した山田区長への抗議行動を呼びかけた。救援連絡センターの青年は、「一人の人権侵害は全人民の人権侵害」の立場で闘う重要性を訴えた。呼びかけ人の土屋翼さん(国家賠償請求訴訟ネットワーク)は、なかなか国家賠償を認めない「司法」を批判した。
 会場からの声としてマスコミの現状を批判する意見に続いて、石原都知事の大規模留置場の建設に反対する地元青年から「外国人犯罪の増加を建設理由とするキャンペーンにどう反撃すればよいのか」という質問が出され、真摯(しんし)な討論が行われた。
 最後に、参加者の1分間アピールが行われた。
 全金本山の中野七郎書記次長は、無罪判決をかちとる決意を訴えた。国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会は、8被告の1年2カ月もの未決勾留を弾劾し、保釈闘争への支援を訴えた。破防法・組対法に反対する共同行動は、共謀罪の再提出阻止の決意と国際署名運動の推進を呼びかけ、杉並星野文昭さんを救う会は、再審闘争へのさらなる支援を呼びかけた。
 (投稿 内田比呂志)

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週刊『前進』(2129号8面4)(2003/12/08)

軍用地特措法違憲訴訟 沖縄差別の上告棄却 最高裁小法廷 反戦地主の怒り渦巻く

 沖縄県読谷村の米軍楚辺通信所(通称・象のオリ)と嘉手納基地などの反戦地主8人が、改悪米軍用地特別措置法は違憲として、国を相手取り損害賠償を求めた訴訟の最高裁判決公判が11月27日行われ、第1小法廷の泉徳治裁判長は、2審福岡高裁那覇支部の判決を支持し上告を棄却した。97年の改悪特措法は、これまでの特措法のもとでは土地取り上げが不可能となった政府が、使用期限後も暫定使用できるとルールを一方的に変更するという言語道断の暴挙であったが、最高裁は、これを全面的に追認したのである。沖縄に犠牲を押しつける日本帝国主義の政策を司法として承認するものであり、断じて許すことはできない。
 1審・那覇地裁判決は、96年3月末で使用期限が切れた知花昌一さんの土地について、特措法改悪までの389日間の国の占拠を違法と認め、国に約48万円の支払いを命じた。2審は、違法占拠は認めたが、国が損失補償を供託したことで「賠償請求権は消滅した」とする判断で原告の請求を却下した。最高裁判決は、使用権限なく土地を使用し続けた389日間について、1、2審と同様、違法な公権力の行使による°不法占拠″と認めて国家賠償請求の対象となるとした。最高裁をもってしても「象のオリ」不法占拠は否定できなかったのだ。
 しかし、最高裁は、この違法な土地使用によりすでに発生している損害賠償請求権が、その後につくられた改悪特措法の損失補償規定とその補償規定に基づく弁済供託により消滅するという2審の判断を支持した。

 原告団が弾劾

 この日、沖縄から反戦地主会の照屋秀伝会長、池原秀明事務局長、違憲共闘会議議長の有銘政夫さん、知花昌一さんら6人の原告団が駆けつけた。「上告を棄却する」との判決はわずか7秒だった。怒りが第1小法廷に充満した。「何が最高裁判決か」「沖縄からやってきて判決の内容もわからんじゃ、動けん」
 その後、最高裁前で報告集会が開かれた。照屋会長は、「こんな裁判で私たちの財産が、基本的権利が、生活権が踏みにじられていいのか!」と怒りをぶちまけ、「小泉政府を打ち倒して、裁判長を民衆の手で選ぶような日本にしたい」と訴えた。有銘さんは「私たちは、安保優先でいいのかと最高裁まで争った。しかし問答無用。私たちは沖縄で米軍と真正面から体当たりをする以外にない。新たな闘いで攻め上る」。
 最後に知花さんが「怒りだけだ。憲法よりも安保条約を最優先すべきだというのが行政・立法・司法の一致した見解。今の日本の有事法や戦争の流れを止めるため、さらに頑張っていく」と断言した。
 この後、反戦地主会、違憲共闘会議、反戦地主弁護団は、記者会見で抗議声明を発表、「沖縄を基地のない平和な島にするため全力を尽くす」と、新たな闘争宣言を発した。

 ◎駐留軍用地特別措置法

 日米安保条約に基づき、米軍に日本政府が土地などを提供する際の強制使用手続きなどを定めた法律。97年4月の改悪で、使用期限が切れた後も、国が引き続き暫定使用できるようになり、さらに99年7月の再改悪で、強制使用に必要な代理署名を首相が直接行えるようになった。

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週刊『前進』(2129号8面5)(2003/12/08)

 公判日程

☆迎賓館・横田裁判
福嶋昌男同志裁判
112月5日(金)午後1時15分
☆水嶋秀樹同志裁判
12月4日(木)午後1時30分
12月19日(金)午後1時30分
*いずれも東京地裁

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