ZENSHIN 2003/11/24(No2127
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週刊『前進』(2127号1面1)(2003/11/24)
11・9全国労働者集会 日米韓国際連帯を宣言
全世界労働者の団結へ第一歩
ソウル労働者大会−ゼネストに連帯 “労働運動弾圧を中止せよ”
11月9日、東京・日比谷野外音楽堂で開かれた全国労働者総決起集会は、日・米・韓労働者の歴史的な大合流を実現した。労働者国際主義の旗のもとに、国境を越えた固い絆(きずな)が結ばれた。会場を満杯に埋めた3100人を超える労働者人民は、全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合港合同、国鉄千葉動力車労働組合の呼びかけのもとに、この共同闘争をともにつくりあげ、その時空を共有した°同志″たちだ。感動と拍手の波が何度も野音を包み込んだ。この集会の画期的で歴史的な地平を日本と世界に広げよう。何よりも日本の労働者の団結と闘いを全国でつくり出し、闘う労働組合のネットワークをさらに大きく発展させよう。そして、翼賛選挙の結果を受けて戦争と改憲、リストラ・大失業、一大資本攻勢を激化させる小泉政権を打ち倒そう。とりわけ11―12月、自衛隊イラク派兵阻止闘争の大爆発をかちとろう。
(本紙・大沢康、2〜3面に11・9集会の主な発言の要旨)
日本労働運動再生の出発点
演壇には、「大失業と戦争にたち向かう労働者の国際的団結を! たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう!」のスローガンのもとに、呼びかけ組合の3枚の赤旗と韓国・民主労総ソウル本部、アメリカのILWU(国際港湾倉庫労組)ローカル34の旗が掲げられた。デモ行進でも、これら5枚の旗が先頭にはためいた。
正午に始まった集会は、動労千葉、港合同、ワールドアクションの医療労働者の3人が活気ある司会を務めた。動労千葉の田中康宏委員長が開会あいさつで、「困難な闘いの渦中に本集会に駆けつけてくださった、韓国とアメリカの仲間たちに心から感謝申し上げる」と述べ、同日に民主労総がソウルで開催している全国労働者大会と12日のゼネストへの連帯集会として開催しようと呼びかけ、「盧武鉉(ノムヒョン)政権は労働運動への一切の弾圧を中止せよ」などの決議を提案した。満場の拍手で確認された。
田中委員長は、「労働者の団結した力だけが戦争を止め、労働者への攻撃をくい止めることができる」と強調し、この集会が「日本の労働運動を一からつくり直す宣言の場だ」と誇らかに訴えた。
連帯のあいさつの後、韓米の労働者のアピールで集会は最高潮に達した。参加者は立ち上がり、地鳴りのような拍手と歓声で迎えた。まず、昨年、米軍の装甲車にひき殺された2人の女子中学生、10月に労働弾圧に抗議して自決した金属連盟韓進(ハンジン)重工業のキムジュイク支会長ら労働烈士に全員で黙祷(もくとう)をささげた。
韓国からは民主労総ソウル本部のコジョンファン本部長、キムチャンソプ副本部長、ムンムンジュ組織次長が登壇した。
キムチャンソプ副本部長が労働歌「鉄の労働者」の「律動」の指揮を執った。両手で°刀″を作り°労働者が資本家を突く″動作だ。参加者の動きが次第に合い、ひとつになった。「トゥジェン(闘争)!」
=写真右 韓国の労働歌「鉄の労働者」のリズムに合わせて「律動」を行う3100人を超える集会参加者(11月9日 日比谷野音)
黒い民族服に身を包んだコジョンファン本部長がマイクを取って前に出た。「ありがとう。うれしいです」と切り出し、「しかし、心穏やかでないことも事実です」と、韓国の闘いの厳しい現実を訴えた。韓国政府と資本は、労働基本権の行使を弾圧し、非正規職拡大を促進する法改悪を進め、使用者の対抗権を強化している。今年だけで5人の労働者が抗議自決し、今も1人の労働者が生死の境をさまよっているという。「盧武鉉政権による『他殺』だ」と怒りを込めた。また、盧武鉉政権はイラク派兵を決定した。このような中で、民主労総は6日の第1次ゼネストに続き、12日に第2次ゼネストへ壮絶な闘いを展開しているのだ。
コジョンファン本部長は「同志の皆さん! 『全世界の労働者よ、団結せよ!』という労働者国際主義は、われわれの闘いの中で具体的に実現しなければなりません。韓半島の戦争危機に韓米日労働者運動の共同対応が重要です」と熱烈に訴えた。
アメリカの3人が発言。
まず、サンフランシスコからILWUローカル34のラッセル・K・ミヤシロ書記長があいさつした。
“共通の敵には共通の行動を”
「皆さんの闘いはけっして孤立していません!」と述べ、動労千葉が3月に行ったストライキと、イラク占領に反対して4月7日にオークランド港で闘って逮捕されたローカル10役員を動労千葉が支援したことに謝意を表明。「断ち切れない絆を鍛え、共通の敵に対して共同の行動をとることによってしか、警察や海運会社の反組合攻撃を阻止することができません。万国の労働者の団結によって、すべての労働者に勝利を」と呼びかけた。
「タフト・ハートレー・抑圧と民営化反対キャンペーン」代表のスティーブ・ゼルツァーさんは、9・11以来、アメリカで300万人以上の労働者が職を失い、パトリオット法などの抑圧法の制定、大規模な民営化、外注化、パートと臨時雇用の急増や、国際的な労働者の連帯も「テロリズム」と決め付けられている現状を語った。そしてAFL−CIOの労資協調の方針を批判し、反撃が始まったことを紹介した。
「朝鮮、中国、日本からアメリカ、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、中東、アフリカまで、労働者はお互いに必要としています。国際主義でこそ敵の攻撃を打ち破ることができる。私たちは、すべての解雇された鉄道労働者の原職奪還と、獄中の全労働組合員の釈放、そして鉄道の再国有化に向けた皆さんの闘いに賛意を表明します」と述べた。
シカゴからやって来たUTU(全米運輸労組)のポール・C・ジャンセンさんは、鉄道会社が特に9・11以後、タフト・ハートレー法で脅し、列車のリモートコントロール化を進め、オペレーター以外の仕事が奪われたと訴えた。
反動小泉と対決しイラク派兵阻止へ
各界で闘う4人が連帯のあいさつを行った。
国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会発起人代表の佐藤昭夫弁護士は、この弾圧について、「労働者の団結と連帯を広げる以外に、攻撃を打ち破る力はない」と訴え、保釈金のカンパと「許さない会」への支援をアピールした。
憲法と人権の日弁連をめざす会代表の高山俊吉弁護士は、「戦争は最大の人権侵害であり、人権侵害と対決して闘うことは弁護士の使命だ」と訴え、司法改悪と闘う決意を表明した。
とめよう戦争への道!百万人署名運動の小田原紀雄事務局次長は、百万人署名運動から多くの市民が参加していると報告し、「年末から来年にかけて、イラク派兵反対の署名運動を全国的に展開し、当初の目的にした百万人の署名を突破したい」と決意を語った。
航空労組連絡会の村中哲也副議長は、「航空労働者は、人を殺すために民間航空を使うことを、絶対に認めない。有事法制反対の闘いと解雇争議の解決をめざす闘いは、労働組合にとっては同じひとつの使命だ」と訴えた。
「1047名の不当解雇撤回・国鉄闘争に勝利する共闘会議」の二瓶久勝議長、鉄建公団訴訟原告団の酒井直昭団長から共闘のメッセージが届いたことが報告された。
司会の港合同の労働者が、民主労総の闘いと国労5・27臨大闘争弾圧被告の保釈金のためのカンパを訴えた。140万円を超えるカンパが寄せられた。
集会の基調を港合同昌一金属支部の木下浩平執行委員が提起した。
「関西生コン支部は民主労総の労働者大会に30人を派遣した。港合同からも中村副委員長が参加。動労千葉は国際連帯委員会を設置した」と報告し、国際的団結をつくり出すことを訴えた。また、団結権を根本に据え、労働運動・大衆運動への弾圧をはね返し、団結権を破壊する労組法改悪を阻止することなどを提起。「資本・権力・敵との関係を明確にして、組織的団結を強めながら、これと闘う」という労働組合の大原則を明確にし、「互いの組織・運動を尊重し合いながら、不一致点は留保し、一致点を拡大してゆくことによって真の闘う統一戦線をつくろう」と訴えた。
決意表明は、全金本山労組の中野七郎書記次長、5・27臨大弾圧国労家族の会の東理恵さん、沖縄行動団の労働者が行った。
「2003年11・9アピール」を動労千葉の中村栄一書記長が朗々と読み上げ、満場の拍手で採択された。
動労千葉の滝口誠共闘担当部長の行動提起に続いて、関西生コン支部の柳充副委員長が閉会のあいさつに立った。いくつかの労働組合が組合決定として初めて結集していることを報告し、「米英によるアフガニスタン、イラクへの侵略に対する反対運動と、アメリカに追随し戦争遂行を進める小泉政権を打倒する運動を韓米日と広げ、反対運動の拡大を図る」と同時に、「国労臨大闘争弾圧を始め、闘う労働運動や市民運動への弾圧を粉砕し、1047名闘争に完全勝利するまで闘う」という2点を提起。闘う労働組合のネットワークを全国に広げようと訴えた。
「インターナショナル」の歌声が高らかに響き、関西生コン支部の武谷新吾執行委員が「トゥジェン!」「ノー・ウオー! イエス・ユニオン!」と呼びかけ、「全世界の労働者が団結してガンバロー!」と全員でこぶしを突き上げた。
=写真左 集会をかちとりスクラムを組んでインターナショナルを歌う日米韓労働者
共闘の継続を固く誓い合う
米韓の労働者と3組合を先頭に都心を戦闘的にデモ行進した。途中、外国人らがデモに合流。銀座や東京駅前では多くの人びとが注目した。
デモ出発の午後3時ごろ、韓国ではソウル市庁舎前に5万人が集まり、労働者大会が始まった。夕方からは警察と激突した。
これと連帯し、デモを終えた日米韓労働者の代表らは都内で交流会を開いた。
アメリカを代表してスティーブ・ゼルツァーさんが「ブッシュに対するアメリカ労働者の闘いは、同時にブッシュの日本、朝鮮、アジアの人民に対する攻撃との闘いだ」と、「ソリダリティー(団結)」を訴えた。
韓国を代表してムンムンジュさんが「非常に意義深い集会を持つことができて感謝する。今回限りの共闘ではなく、継続してもっと力強く活発にやっていこう」と呼びかけ、一層の奮闘を誓い合った。
=写真右 「イラク派兵とめよう」と青年を先頭ににぎやかなデモ
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勝利へ団結 |
「5・27臨大闘争弾圧家族の会」を先頭に「1047人闘争の発展かちとれ」「国労本部をうちたおそう」の横断幕を掲げた労働者の銀座デモ。沿道から大注目! |
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週刊『前進』(2127号1面2)(2003/11/24)
2003年11・9アピール
私たちは時代の大きな転換点にたっています。「テロ根絶」の名のもとに、戦争が「正義」とされ、むきだしの帝国主義政策が世界を覆う恐るべき状況が生み出されています。イラクでは民衆の激しい怒りの声を呼び起こしながら今も虐殺と破壊が続いています。
小泉政権は、有事関連三法の制定をもって再び戦争への道をふみだしました。そして、ブッシュに50億jの「戦費」の支出を約束し、未だ戦争状態のイラクに自衛隊を派兵しようとしています。北朝鮮への洪水のような排外主義が組織され、次の戦争が準備されています。しかも、民主党や連合が有事立法に賛成するなど、多くの勢力が挙国一致主義に転落しています。
小泉政権と財界は、戦後労働法制の解体や、大規模な民営化攻撃をおし進め、労働者をリストラ・倒産・解雇・賃下げと不安定雇用化の嵐のなかにたたき込もうとしています。また、社会保障制度の解体攻撃が激しく進められています。1月に発表された日本経団連・奥田の新ビジョンは、国家と資本が生きのびるために、労働者への全面攻撃を宣言し、労働組合の屈服と変質をあけすけに要求しています。攻撃の矛先は団結権の破壊・抹殺に向けられています。団結権が危機に瀕し、憲法28条と労働組合法そのものに手がかけられようとしています。
また、相次ぐ刑事弾圧や民事仮処分、損害賠償請求など、団結権・争議権の行使を犯罪視する闘う労働運動への攻撃がエスカレートし、共謀罪の新設など治安弾圧立法が次々に制定されようとしています。
全ての労働者の権利、労働運動の未来をかけて闘われてきた、国鉄1047名の解雇撤回闘争が正念場を迎えています。臨時大会で闘いの継続を訴えた国労の仲間たちが長期投獄を強いられ、9月の国労大会では闘争団員22名への統制処分が強行され、そして何とそれを強行した者たちが国労を集団脱退して自らの手で闘いを潰そうとしています。
しかし、世界の労働者は今、団結し、連帯して新しい時代を見いだす力をとり戻そうとしています。「グローバル化」と称して全世界に戦争と貧困・大失業を強制する帝国主義の支配に抗し、労働者・民衆のストライキやデモが、燎原を焼き尽くす炎のように燃え上がっています。また日本でも、ナショナルセンターの枠、制動をのりこえて結集したこの間の有事立法反対闘争や、本集会が日・米・韓労働者の国際連帯集会として画期的な成功を収めたように、新たな闘いが確実に始まっています。一方、資本との一体化を深める連合は、「足元から崩壊しかねない切迫した事態に直面している」と自ら報告しています。怒りの声は充ち、労働運動の復権に向けた好機が到来しています。
韓国民主労総は、ストライキに対するたび重なる損害賠償や組合・個人資産の差し押え、膨大な解雇、逮捕・拘束など、「軍事独裁時代を凌駕する」という盧武鉉政権の苛烈な弾圧に抗し、相次ぐ仲間の焚死(ふんし)をのりこえて11月12日にゼネストを構え、本日ソウルで10万人労働者大会を開催して、今まさに総力戦を挑んでいます。ILWUを先頭としたアメリカの労働者は、タフト・ハートレイ法の発動や、4・7オークランド弾圧にたち向かい、戦争と抑圧、民営化に抗してブッシュ政権を震えあがらせる闘いを展開しています。本日、われわれは日・米・韓労働者の固い連帯の絆を誓いました。その共同した闘いこそが、ブッシュ―小泉による北朝鮮侵略戦争を止める現実的な力です。また日本政府が、日韓自由貿易協定締結に向けて、韓国政府に労働法制改悪を要求していることなど、国際連帯闘争は急務の課題です。
闘う労働者の思いはひとつです。労働者の団結した闘いこそが生活と権利を守り、戦争を止め、我慢のならない社会の在り方を変える力です。労働者が真に社会の主人公となる差別と貧困のない社会をめざして大同団結しよう。分断と個別撃破を許さず、不一致点を留保し、一致点を広げ、あらゆる壁をのりこえて、闘う統一戦線を創りだそう。全労働者の団結で、戦争遂行と改憲の小泉反動内閣を打倒しよう。日・米・韓労働者の国境を越えた連帯と共同闘争を発展させ、闘う労働組合の全国ネットワークを創りあげよう。本集会を出発点に、イラク自衛隊派兵阻止、04春闘に向けて直ちに闘いを開始しよう!
2003年11月9日
たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう! 大失業と戦争にたち向かう労働者の国際的団結を! 11・9全国労働者総決起集会
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週刊『前進』(2127号2面1)(2003/11/24)
11・9集会 国際的共同闘争の新しい発展の時代開く
大失業と戦争に日米韓で反撃 発言の記録
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国境を越える連帯 |
国際連帯の大集会をかちとり、満杯の東京・日比谷野音に「団結ガンバロー」がとどろいた |
11・9全国労働者総決起集会は、闘う3労組の呼びかけにこたえて、東京・日比谷野外音楽堂を満杯にする大結集でかちとられた。韓国・民主労総とアメリカの労働者の代表が初参加し、ともに闘った。集会での主な発言を紹介します。(編集局の責任でまとめました)
開会あいさつ 労働運動創り直そう
国鉄千葉動力車労働組合 田中康宏委員長
困難な闘いの渦中にもかかわらず、本集会のために駆けつけて下さった韓国・民主労総とILWUをはじめとするアメリカの仲間たちに心から感謝します。
冒頭、ひとつ提案があります。民主労総は、ノムヒョン政権の労働運動弾圧と非正規職差別によって、今年に入ってすでに5名の労働者が抗議の自決をするという凄絶(せいぜつ)な事態の中にあります。
全参加者の名をもって次のことを決議し、本日の集会を、時を同じくしてソウルで開催されている全国労働者大会と12日のゼネストへの連帯集会として開催したいという提案です。
1、ノムヒョン政権は労働運動への一切の弾圧を直ちに中止せよ!
1、ストライキへの損害賠償請求、仮差し押え弾圧を直ちに中止せよ!
1、争議行為を理由としたすべての被拘束者を直ちに解放し、不当解雇を撤回せよ!
1、非正規職差別政策を直ちに中止せよ!
ぜひとも、満場の拍手でこれを確認していただきたいと思います。
ILWUを先頭としたアメリカの労働者も、タフト・ハートレー法の発動や、オークランド弾圧にたち向かい、AFL―CIOの労資協調主義と対決し、戦争と抑圧・民営化に抗してブッシュ政権を震えあがらせています。
私たちを結びつけたのは現在の情勢です。01年「9・11」と03年「3・20」イラク侵略戦争開戦で世界は一変しました。むきだしの帝国主義政策が世界を覆い、激しい攻撃が吹き荒れています。そのなかで私たちは、労働者の団結だけが戦争を止め、現状を変革することができるという一点に確信をもって闘ってきました。その思いが今、ひとつに結合したのです。
小泉政権は、12月にもイラクに自衛隊を派兵しようとしています。北朝鮮への排外主義を洪水のようにあおりたて、次の戦争を準備しています。
財界は「9割の労働者を不安定雇用化する」という方針のもとに、弱肉強食の論理をふりかざして、労働法制や社会保障制度の解体、大規模な民営化攻撃をおし進めています。連合はこうした攻撃に屈服し、労働組合としての最後の一線も越え、「産業報国会」に転落しようとしています。
国鉄1047名の解雇撤回闘争をめぐっても、闘いの継続を訴えた組合員を国労本部が権力に売り渡し、統制処分しました。しかも統制処分を強行した者が、10月には国労を集団脱退するという、驚くべき事態が起きています。
しかし、こうした現実のなかから、連合・全労連などの枠組みを越えた労働者の大反乱が始まろうとしています。陸・海・空・港湾労組20団体を先頭とした有事立法反対闘争をはじめ、労働運動の新しい潮流が生まれようとしています。
本集会は、89年の総評解散−連合結成で解体的状況に追いつめられた日本の労働運動を、われわれ自身の手で一から創(つく)り直す、その宣言の場です。労働者は社会の主人公です。歴史をつくるのは労働者です。職場で、地域で怒りの声を結集し、それを全国に、世界につなげよう。
今日は総選挙の投票日です。しかし、労働者の利益を代表し、ともに闘う政党はどこにも存在しません。こうした現実に対する怒りの声を結集して、この集会を開催しています。
全労働者の団結で大失業攻撃をはね返そう。小泉反動内閣を打倒しよう。日・米・韓労働者の連帯と共同闘争を発展させよう。闘う労働運動の全国ネットワークをつくりあげよう。
韓国から 民主労総は弾圧にゼネストで闘う
民主労総ソウル本部本部長 コジョンファンさん
日本の労働者同志たちと連帯する場をうれしく幸せに思います。しかし率直に申し上げると、心穏やかでないことも事実です。それは、韓国の労働者の現実があまりに厳しいからです。
韓国の政府と資本は、憲法が保障し、かつ国際労働機関(ILO)でも保障している労働基本権の正当な行使を、損賠仮差し押さえ、拘束手配など民事・刑事上の手段をとおして深刻に弾圧しているからです。また、非正規職差別撤廃の約束についても、守るどころか逆に非正規職を拡大する方向で法案改正を推し進めています。
韓国政府の労働政策は、最近発表された「労使関係先進化里程標」でまとめられていますが、その骨子は、労働者の手足を縛り、使用者の対抗権を画期的に強化するものです。こうした政府の反労働者的政策は、今年だけで5人の労働者を自決に追い込み、今も1人の労働者が生死の境をさまよっています。これら同志たちの死は、労働排除的な新自由主義政策が招いた惨劇であり、労働弾圧をあおってきた盧武鉉(ノムヒョン)政権による「他殺」です。
また、盧武鉉政権は、韓国民の大多数の派兵反対世論を無視し、イラク派兵を決定しました。盧武鉉政権は、民生破綻(はたん)で労働者民衆を皆殺しにするだけでは足らず、今度は大義なき米国のイラク侵略戦争に同調し、イラクの労働者民衆を虐殺することを韓国民に強要する破廉恥な行動をとっています。
このような重大な時局に対応するため民主労総は、損賠仮差し押さえ・労働弾圧中断、非正規職差別撤廃、不当労働行為事業主の拘束、派兵反対などを掲げて全面的なゼネスト闘争を展開することを決定しました。11月6日には12万人が参加する中、第1次ゼネストを行い、今日、10万人労働者大会を開催しています。そして12日の第2次ゼネストをとおして、超国籍資本と結託した政府の新自由主義労働弾圧を阻止してゆくために頑張ります。
「全世界の労働者よ、団結せよ!」という労働者国際主義は、一時期、一国単位の労働運動の闘いの中で、実現されないままに理念と本の中でぎこちなく残っていました。しかし、いまや全地球的資本主義体制のもとで、労働者国際主義は労働者の闘いの不可欠の領域とならなければならず、そうなったときに、われわれは生存権と労働基本権を守り、一歩前進することができるのです。
北韓の核問題によって引き起こされた韓半島の戦争危機に韓米日労働者運動の共同対応が重要です。特に有事立法に象徴される日本の軍国主義と米帝国主義の野蛮な戦争を阻止しなければなりません。そして、米国内の階級的労働運動と反戦運動勢力の米帝国主義反対運動が展開される必要があります。
戦争を阻止し、新自由主義世界化を阻止するために努力を傾けなければなりません。韓国の労働運動もそのために最善を尽くします。今日この場が韓米日労働者運動の階級的国際連帯の里程標となることを心から希望します。
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アピールする韓国・民主労総の代表。左からソウル本部のコジョンファン本部長、キムチャンソプ副本部長、ムンムンジュ組織次長 |
アメリカから
港湾労働者は国際的共同行動で反撃
ILWU(国際港湾倉庫労働組合)ローカル34書記長 ラッセル・K・ミヤシロさん
ILWUは、1930年代の戦闘的な階級闘争の中で生まれました。私たちには、アメリカ政府に支えられた太平洋海事協会(PMA)の攻撃から組合を防衛してきた長い歴史があります。
私たちは、民主的原則と労働組合の原則に立ち、人種、皮膚の色、信条、民族、宗教や政治的信念など、いかなる違いがあろうと団結を保ち、抑圧と不断に闘うことによって、私たちの組合を防衛してきました。私たちの組合のスローガンである°一人の痛みはみんなの痛み″を実行するために、胸を張って一緒に行進しています。
ILWUは近年、イギリスのリバプールの港湾労働者に連帯して立ち上がり、イギリスからのスト破りの船荷を積んだ船の荷降ろしを拒否して闘いました。オーストラリアの港湾労働者を支援するためオーストラリアの貨物の取り扱いを拒否したこともあります。そして、組合防衛の闘いで警察の弾圧を受け、去年無罪をかちとったチャールストン5(アメリカ東海岸のチャールストン港で不当逮捕された5人)の港湾労働者とも連帯してきました。
社会正義のための支援行動でも、ILWUは80年代にアパルトヘイト反対に立ち、南アフリカからの船舶の荷扱いを拒否しました。流血の内戦下にある労働者に連帯してエルサルバドルのコーヒーの荷扱いを拒否し、チリの軍事独裁に抗議してチリからの船舶をボイコットしました。1999年には、黒人政治犯であるムミア・アブ・ジャマルの釈放を要求し、西海岸のすべての港を閉鎖しました。その年の後半、シアトルでWTOに抗議する人びとと連帯するため、港湾を封鎖して闘いました。
私たちは、イラクにおける石油のための帝国の戦争に反対して立ち上がっているだけでなく、アメリカの占領にも反対しています。皆さんの組合に、アフガニスタンとイラクにおける戦争に反対して、港湾における行動を起こすことをお願いしたいと思います。
9月29日、港湾の民営化と組合破壊に反対するヨーロッパの港湾労働者のロッテルダムにおける抗議行動で、多数の労働者が警察の激しい攻撃にあいました。
私たちは、断ち切れないきずなを鍛え、共通の敵に対して共同の行動をとることによってしか、警察や海運会社の反組合攻撃を阻止することができません。万国の労働者の団結によってすべての労働者に勝利を!
抑圧と民営化反対の国際労働運動を
タフト・ハートレイ・抑圧と民営化反対キャンペーン代表 スティーブ・ゼルツァーさん
ますます激化する生活破壊の攻撃、激しさを増す労働者への抑圧、そして世界の数十の国にアメリカが行っている犯罪的な戦争に反対して闘っているアメリカの組合活動家と労働者より、皆さんへのごあいさつを携えてきました。
9・11のWTC(世界貿易センター)への攻撃以来300万人以上の労働者が職を失いました。ブッシュ政権は議会の民主党支持のもと、この「テロ攻撃」を「パトリオット法」や「海事安全法」のような新たな抑圧法の制定のみならず、大規模な民営化の促進、数百万の仕事の外注化のために利用してきました。パートタイムと臨時雇用は、数千万の労働者にとって今や当たり前になりました。
安全保障と「反テロ」の口実を使いながら、アメリカや日本政府は労働者の権利を骨抜きにする法律を作ろうとしています。組合活動家と移民たちは、今や裁判もなく弁護士すら付けられずに投獄され得ることになりました。労働者の国際連帯も、新ルールのもとでは「テロリズム」と決めつけられてしまいます。
中東に新たなアメリカ帝国をつくるために今使われている数千億jは、教育、住宅、医療、健康と安全の暴力的削減によって捻出(ねんしゅつ)されています。4600万人が無保険状態にいます。
AFL―CIOはブッシュの政策を打ち破るどころか、挑戦すらできません。しかし、重要な反撃が始まっています。民営化反対の全国運動が11月23日、サンフランシスコでの全国会議で始まろうとしています。来年にはワシントンDCで民営化反対・全国労働者抗議運動を立ち上げたい。
同時に、民主的権利のための闘いと戦争反対の闘いを結合させる闘いが全国で発展しています。
アメリカはイラクで敗北するだろうし、イラクの民衆によってたたき出されるでしょう。アメリカの軍隊は石油の支配とイラクの富を奪うための戦争で消耗品にされています。このことに気付けば、街頭と職場で数百万の労働者の巨大な闘いが巻き起こるでしょう。
労働者と労働者を闘わせ、他の労働者を非難させるたくらみは、暴き出され打ち倒されねばなりません。国際主義でこそこの敵の攻撃を打ち破ることができます。本集会はその重要なステップです。
私たちは、解雇された全鉄道労働者の原職奪還と、獄中の全組合員の釈放、鉄道の再国有化に向けた皆さんの闘いに賛意を表明します。日本の労働運動を民主化させよみがえらせるとともに、国際的労働運動の構築へ向け努力される皆さんに賛意を表明します。
リモコン化と闘う米国の鉄道労働者
UTU(全米運輸労働組合) ポール・C・ジャンセンさん
アメリカの鉄道の中心地、イリノイ州のシカゴから参りました。
列車のリモートコントロール化の歴史は25年ほど前にさかのぼります。発端は1970年代末の大不況でした。労働側は闘わなかったため、莫大(ばくだい)な仕事が奪われました。
さらに2001年初め、キャナック社が新しい制御装置を開発しました。当時、多くの組合は、鉄道労働者が60歳まで、もしくは30年間働ける法律の制定を進めていました。ほとんどの労働者が知らないうちに、この法律とバーターでリモートコントロール化が合意されてしまいました。
そして「9・11」が起こったのです。鉄道会社は「国家の安全」をもって血の報復を叫びたて、この事件をリモートコントロール化への合意の推進に利用しました。組合はタフト・ハートレー法で脅され、会社側は好き勝手に振る舞うことができました。
労働者の無関心も問題です。考慮に入れなければいけないのは、アメリカでは生活費が非常に高く、1時間8j以上稼げる仕事はほとんどない、ということです。そのためフルタイム労働のほかにパート労働をせざるを得ない。ひどい場合はフルタイム労働を(1日)2回もやって、それでもまだ帳じりが合わない。
だがみんな絶望しているわけではありません。全米運輸労働組合と機関士友愛会がリモートコントロール化を制限する戦略をまとめつつあります。闘いはまだ始まったばかりです。
基調提起 労働運動の原則貫き闘う統一戦線作ろう
全国金属機械港合同昌一金属支部 木下浩平執行委員
大失業と戦争にたち向かう労働者の国際的団結をつくりだそう
6回目を迎えた本集会は米韓の闘う労働組合の仲間をお招きし、大失業と戦争にたち向かう労働者の国際的団結、労働運動の再生を呼びかけて成功裏にかちとられています。
韓国・ソウルでも、今、非正規職撤廃、国民年金改悪中止、使用者の対抗権阻止の3大要求を掲げた民主労総の10万人全国労働者大会が開催され、12日のゼネスト突入が宣言されています。アメリカではブッシュの組合つぶし、タフト・ハートレー法や民営化との闘い、パトリオットアクト2(新愛国法)制定阻止の闘いが果敢に闘われています。この重要な時期に本集会にはるばる駆けつけて下さった米韓の仲間に、心から感謝と敬意を表します。
関西地区生コン支部は4月から韓国・民主労総に2人の執行委員を派遣しており、本日、民主労総の労働者大会に30名を派遣し、港合同からも中村副委員長が参加しています。動労千葉は国際連帯委員会を設置しました。私たちは米韓を始め世界の闘う労働者とともに、職場・地域・産別から労働者の団結と闘いを粘り強く作り出し、闘う労働組合の全国ネットワークを発展させていく決意です。
自衛隊のイラク派兵を阻止しよう
イラク軍事占領における米軍の死者は140人を超えました。イラク民衆の激しい反撃が、米軍を泥沼に引きずり込んでいます。
小泉政権は、この戦場に千人規模の自衛隊を派兵し5500億円の戦費を支出しようとしています。絶対に許せません。イスラム人民は激しくこれを弾劾し、日本の労働者に闘いを呼びかけています。
陸海空港湾労組20団体とともに、イラク派兵を許さない、有事立法を完成させない、発動させない、従わない闘いを大きく作り出そう。小泉政権が北朝鮮への差別と蔑視(べっし)、恐怖と敵意をあおりながら軍事重圧を強めていることに反撃していこう。9条改憲を絶対に阻止しよう。
戦争と一体の大資本攻勢
同時に政府・財界は猛烈な資本攻勢、社会保障切り捨て攻撃をかけています。資本が生きのびるためにはあらゆる犠牲を労働者・民衆と中小零細企業に転嫁するということです。
95年日経連は、国際競争にうちかつために9割の労働者を不安定雇用にする方針をうち出しました。
03年冒頭には、日本経団連は奥田ビジョン、労働政策委員会報告を出し「労働組合に対しては、既得権益を擁護する活動の是正を求める」と、労働組合のさらなる屈服を迫っています。
こうして労基法大改悪をはじめ、労働者派遣法・職安法・雇用保険法改悪など戦後労働法制の解体、企業法制・倒産法制の改悪・再編、公務員制度改革などを次々と強行し、リストラ・倒産・解雇・終身雇用制解体と不安定雇用化・賃下げの嵐に労働者をたたき込んでいます。年金・医療・福祉など、社会保障制度の解体も激しく進められ、大増税がもくろまれています。
団結権を根本にすえ、労働運動・大衆運動への弾圧をはね返して闘おう
資本攻勢の根幹に据えられているのが団結権の破壊であり、労働運動への刑事弾圧、共謀罪制定など治安弾圧法の強化です。労働者の崇高かつ根幹にすわる権利である団結権が危機に瀕(ひん)しています。
国鉄闘争が正念場を迎えています。国鉄闘争は全労働者の権利、労働運動の未来に重大な影響を及ぼす闘いです。4党合意−3党声明とそれに屈した国労本部による国労闘争団22名への権利停止処分、5・27臨大闘争弾圧など、1047名闘争解体に向けた激しい攻撃がかけられています。
当たり前の労働組合活動や倒産争議に対し、団結権・争議権行使を「犯罪」にでっち上げる弾圧がかけられています。国労臨大闘争弾圧での1年を超える長期勾留をはじめ、関西地区生コン支部、争議団連絡会議、関西合同労組、全金本山労組、港合同サンコー分会、部落解放同盟全国連寝屋川支部への弾圧など、常軌を逸した刑事弾圧が相次ぎ、民事仮処分、損害賠償などの手法を使った争議つぶしも常套(じょうとう)手段として定着、拡大しています。
解雇や弾圧に対しては何をさておいても闘う−これが労働運動の大原則です。今こそ原点に立ちかえる必要があります。関西では「弾圧を許さず闘う」との一点で労働組合・大衆団体が一致団結して10・2集会をかちとりました。団結権破壊攻撃は労働組合法改悪案の国会上程にまでゆきつこうとしています。労組法改悪を絶対に阻止しよう。
3労組を先頭に職場・地域・産別から立ち上がろう
関西地区生コン支部は産別での労働者の組織化と業者の組織化を進め、セメント独占の支配する生コン業界において、生活と権利、雇用を確保してきました。春闘においては府下全事業所でのストをもって要求を実現し、組合つぶしとの争議を数多く闘っています。
動労千葉は今春、80時間ストを打ち抜き、外注化を阻止し、現在ストを構えて拠点事業所の廃止を阻止する闘いを準備しています。
港合同は相次ぐ倒産攻撃にひるむことなく、破産法に労働法を対置し、使用者概念拡大の闘いと職場占拠で倒産・解雇の責任を追及し、倒産争議を勝利させ、あるいは組織破壊攻撃と闘ってきました。
官民、ナショナルセンターを問わず、職場・地域において一から団結をつくりだそう。未組織の職場に労働組合を結成しよう。非正規職労働者を組織しよう。リストラ・解雇・倒産攻撃に対する労働者の怒り、要求は渦巻いています。必要なのはそれを受けとめ、団結と闘いに組織していくことです。たとえ少数であっても、団結権を貫いて闘えば必ず勝利の展望は切り開かれます。
真の闘う統一戦線と国際連帯をつくりだそう
労働組合の大前提は思想・信条の自由であり、大原則は資本・権力・敵との関係を明確にして、組織的団結を強めながら、これと闘うことです。労働者の利害はひとつです。連合・全労連・全労協など、ナショナルセンターや上部団体の違いにこだわらず、労働運動の大原則のもとに一致し、大同団結しよう。互いの組織・運動を尊重しあいながら、不一致点は留保し、一致点を拡大してゆくことによって真の闘う統一戦線を作り出そう。
大失業と戦争にたち向かう労働者の闘いと国際的団結を発展させよう! 日米韓労働者の国際連帯万歳!
連帯のあいさつ
労働者の闘う団結つぶす弾圧許さぬ
国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会発起人代表 佐藤昭夫さん
本日は、韓国、アメリカからも集会にお加わりいただいて、大変力強く思っています。
この弾圧では、国労本部の一部の幹部が「1047名」の闘いをやめさせるために、自民党の言いなりになって闘争団員に統制処分を加えるための臨時大会を開こうとした。これに反対する人たちが、ビラまきや説得活動をした。ところが組合本部の人たちは、話を聞くどころか3列縦隊でそれを突破しようとした。その状況を国労東京地本の鈴木勉法対部長がバスの中から隠し撮りして警察に提出し、それを使って弾圧が加えられた。
大会が終わってから5カ月もたって、次の大会の代議員選挙をしようという時に、組合員、支援者10名を警視庁公安部が逮捕した。それ以来、1年を超える期間、暴力行為等処罰法違反で起訴された8人が勾留され続けています。国労執行部が警察権力と一体となって闘いを押しつぶそうとしている。「裁かれるべきは国労本部と権力だ」と無罪を主張して闘いを続けている状況です。
事実は、日本の軍事国家化と憲法改悪を推進するために、それに反対する団結を押しつぶそうとする弾圧であることは明らかです。労働者の団結と連帯を広げる以外に、この攻撃を打ち破る力はない。
運動路線の違いを超えた多くの人びとが「許さない会」に結集して、釈放と無罪判決をかちとり、国鉄闘争の勝利をめざす運動を進めています。この運動は、本日掲げられております大失業と戦争に反対する運動の一環をなすと思います。この闘う労働組合のネットワークがますます広がることを心から願っています。
この裁判では「中核派という過激団体の組織犯罪だ」として検察は起訴していますが、この共謀罪という新たな立法もつくられようとしている。この状況において闘う団結がますます必要とされています。
裁判所は保釈にあたっても、一人数百万円という高額の保釈金を条件とすることで労働者を痛めつけようとしている。これに対抗するためにも、保釈金カンパも含めて「許さない会」に一層のご支援をいただきたい。私たちも一緒になって闘いをやりぬく決意です。
日本の弁護士は今闘おうとしている
憲法と人権の日弁連をめざす会代表 高山俊吉さん
今日、全国の多くの労働者が投票所に拘束されている時にこの集会を持っていることの意義は非常に大きいと感じています。
二つの路線の対決であるという。正面から「改憲」を言う勢力と「論憲」「創憲」だのと言いながらその実は改憲である勢力と。非常に危険な動向です。
労働者の立場、労働者の権利が論戦のまっただ中に置かれないすべての闘いは欺瞞(ぎまん)です。有事立法や国民保護法制の帰結は改憲です。改憲の中核にあるのは9条です。平和を守る。戦争を阻止する。そのことが戦後の歴史の中でこれほど緊迫した重大な事態に立ち至ったことはありません。
北朝鮮が核反撃をすると言われる。本当にそうか、と真剣に考える議論がなくなってきている。非常に危険な事態だと思います。ある日本の弁護士が韓国の弁護士と話をした。「北の脅威を皆さんは考えないか」と質問した。韓国の弁護士は「北よりも日本がよほど脅威です」と言った。真実そのような状況に逢着(ほうちゃく)しています。
日本の弁護士は今、闘おうとしています。戦争は最大の人権侵害です。人権侵害と対決して闘うことは、弁護士の使命です。したがって弁護士はなんとしてでも、命を懸けてでも、この状況に対決しなければいけない。この会場には、私と志を同じくするたくさんの弁護士が参加しています。
司法制度改革と称する司法改悪が進行しています。その中心にあるのは刑事司法の改悪――簡単に手早く重い刑罰を科して刑務所にぶち込む――そういう司法改悪が進行している。労働者の団結権を破壊し、労働組合を破壊する共謀罪が新設されようとしている。
私は、戦争に反対して治安維持法で長く獄につながれた父の子であります。長く警察権力のもとに留め置かれた母親の子であります。この私は、日本の多くの弁護士から、戦争勢力と対決するために日弁連の会長になれという要請を受けています。先の会長選挙でも、実に40%になんなんとする人びとが私を支援してくれました。多くの弁護士は闘おうとしているのです。多くの人びととともに平和と人権を守る闘いの先頭に立って闘います。
百万人署名運動の全力量かけ闘う時
とめよう戦争への道!百万人署名運動事務局次長 小田原紀雄さん
事態は本当に刻々と、われわれが若いころには想像もしなかったような局面に入りつつあります。経済はほとんど出口のない状態になり、労働運動を現場で担っている人たちは本当に地をはうような決意をしておいでだろうと思います。
以前、呼びかけ団体のひとつである大阪の港合同の大和田さんとお話した時に、「中小企業がつぶれてわれわれの組合を去って行く人を見送らざるを得ない。この悲しみをどう思うのか」と言われたことがあります。そういう本当に苦しい闘いを日々続けておられるわけです。
しかし、他方でわれわれは、今日こうやって5千人が結集し、連合に牽引(けんいん)されるようないわゆる市民社会の中でとりあえずの安定を求める生き方ではなくて、アフガニスタンの、イラクの、パレスチナの、世界の抑圧され収奪されている人民とともに生きる姿勢をもった運動の再建に着手しています。そのことをこそ、今日の闘いをもって選挙に代わる闘いとして示さなければならない、と考えて私はここにやってまいりました。
われわれ百万人署名運動は、この半年間、新たな出発を求めて苦闘を続けてまいりました。日本の民衆の中に戦争を止めたいという思いが確実に100万人はいることを私たちは示してきました。しかし、そんな数では足りない。組織のすべてを点検し、運動方針を再検討する。そのことをとおして、われわれは200万、300万に必ず至りたい。
アメリカとテロリストの戦いではなく、侵略戦争に対する解放闘争をイラク人民は担っているのであり、イラク全土でこれからますます戦争状態が深まっていくだろう。そういう中に侵略軍の一員として自衛隊を行かすことは断じてならない。そのためにわれわれは、これまでの百万人運動の市民的な制動を突破して、反戦に向けたあらゆる感性を解き放ち、年末から来年にかけてイラク派兵反対の署名運動を全国的に展開し、必ず100万人の署名を突破し、さらに来年の国民保護法制などという、実際には国民をがんじがらめにして戦争に動員する、その法律を阻止する、そういう闘いにまで至りたい。
全国の百万人署名運動は、今こそすべての力量をもって闘いに挑まずして、いったいいつ闘うのか。そのことを肝に銘じたい。その私たちの闘いは、今日結集したすべての労働者に通底するものだと信じています。ともに闘いましょう。
平和を守る組合が労働者の権利守る
航空労組連絡会副議長 村中哲也さん
航空連を代表して心からの敬意と連帯をお伝えします。いま航空労働者が直面している二つの大きな問題について訴え、皆さんと共感をともにしたい。
一つは民間航空の軍事利用の危機についてです。私たちが本当に体を張って有事法制の廃案を求めたにもかかわらず、多くの議員は法案の成立を強行しました。その延長線上で自衛隊法103条に基づく業務従事命令の対象に航空運送事業を指定しました。イラクへの自衛官派遣に民間航空の利用を検討していることは間違いありません。
私たちは、日本が再びアジアや世界の災禍をつくる国にするために飛行機を飛ばしているのではない! 人殺しや民衆を殺す兵器、弾薬を運搬するために航空機を管理しているのではない! どんなに困難があっても航空労働者は、人を殺すために民間航空を使うことを、民間航空の軍事利用を、絶対に認めない! そのことを確認します。
いま一つは労働者の権利を守るためにいま労働組合が体を張って闘わなければならないということです。
私が副議長を務める航空連は、関西航業争議という50年間の中で最大の解雇争議を持っています。私の勤める全日空が労働組合をつぶすために工作を繰り返し、労働組合は当然の節度を守って工作や介入をきっぱりと断った。そのために会社ごとつぶされて、75人の孫請け労働者が退職金を支払われることもなく解雇されたのです。
このような大企業の横暴を絶対に許さない。このような暴走するリストラを助けているのは、大企業だけではなく、行政と裁判所の責任もまことに大きい。
このような社会を正すために、関西航業争議を体を張って解決する。全日空の本社前で徹夜で連日の座り込み行動をやってでも彼らを職場に戻したい。
有事法制反対の闘いと解雇争議の解決をめざす闘いとは、労働組合にとっては同じひとつの使命だと痛感します。労働者の権利を守ることに執着を持てない労働組合は、平和も絶対に守りきれないと思うわけです。有事法制反対の一連の闘いの中で、私たちはきわめて重要な教訓を体験しました。平和の問題で無関心な労働組合運動は労働者の権利を守ることにも無関心だったということです。平和に逆行する労働組合運動は経営者と一緒になって労働者の首切りを手伝ったということです。断じて許せない!
この日本の誤った方向を正す。労働者の権利を取り戻す。労働者の権利を輝かす。日本の平和を取り戻してアジアと連帯できる日本をつくる。そのために航空連は力の限り闘います。
決意表明
弾圧はね返し解雇撤回闘う
全金本山労組書記次長 中野七郎さん
1971年3月以来、本山資本の工場移転・首切り合理化の組合つぶしと闘い続けています。いま32名の組合員が解雇撤回・職場復帰を求めて闘っています。 第二組合の分裂、暴力ガードマンの導入、ロックアウト、別棟就労という名の兵糧攻めを受け、多くの熾烈(しれつ)な刑事弾圧と闘ってきました。加えて総評全国金属の争議収拾策動、除名処分という闘争妨害を跳ね返してきました。 今年3月に仙台地裁の一部勝訴の判決をかちとり、職場復帰に向けて奮闘中、6月2日に東北大学有朋寮の廃寮反対闘争の支援・監視行動に対するデッチあげ傷害容疑で逮捕・起訴されれました。労学共闘でこれを跳ね返しています。 今後も「1人の首切りも許さない」「職場にとりで、地域に共闘」を合言葉に闘っていきます。
2度目の冬を過ごさせない
5・27臨大弾圧国労家族の会 東 理恵さん
昨年10月の不当逮捕から1年以上がたちました。裁判は14回を数え、この弾圧が百パーセント、デッチあげであることが次々に明らかになっています。
いま獄中に捕らわれている8名の労働者は、国鉄分割・民営化によって2度も首を切られ16年間の解雇撤回闘争を続けてきた1047名の仲間を守るために闘い、不当逮捕されました。
これは労働者の生きるための権利をかけた闘いです。崇高な任務を引き受けているのです。8名は今日の集会に獄中から参加しています。2度目の冬を絶対に獄中で過ごさない、過ごさせない――それが8名と私たち家族の決意です。
アメリカと韓国の労働者と合流できて大きな力がわいてきました。団結と連帯こそ私たちの求めるものです。8名が一日も早く皆さんとスクラムが組めるように、ともに闘いましょう。
すべての職場に労働組合を
沖縄行動団
沖縄から30人の仲間が参加しています。沖縄の完全失業率は8〜9%です。特に若年労働者の失業率が高く、仕事が見つかっても非常に劣悪な労働条件です。
経験も知識もありませんでしたが、低賃金や労働強化に反対して組合を結成しました。
要求を実現することは容易ではありませんが、職場に労働組合が存在することは、会社が私たちを非人間的に扱えない大きな力になっています。
沖縄への基地の集中や沖縄の労働者の過酷な状況を打ち返す道は、労働者が団結すること以外にありません。韓国・アメリカ・日本、沖縄の労働者が海を越えて団結し、闘わなければなりません。
誰にでも労働組合はつくれます。労働者が人間らしく生きるために、労働組合を結成し、ともに闘っていきましょう。
閉会あいさつ 闘う労組のネットワークを広げよう
全日建運輸連帯関西生コン支部 柳 充委員長
本集会には、いくつかの労働組合が組合決定で初めて結集しています。また今回、アメリカと韓国・民主労総の代表からたいへん力のこもった連帯のアピールをいただきました。
アメリカの仲間からは、労働者の反戦運動の取り組みや国際港湾倉庫労組の戦闘的な闘いが紹介されました。また日本の反戦運動の弱さを指摘されました。この指摘を共通の認識としなければなりません。
そして韓国・民主労総の仲間からは、労働者を死に追いやる盧武鉉(ノムヒョン)政権の労働弾圧政策と非正規職労働者差別政策に対する闘い、この惨劇を防ぐための法律の制定や差別の撤廃、不当労働行為を行った事業主に対する規制や派兵反対など、強力な対政府闘争の決意が表明されました。そして、各地で闘う仲間の連帯のあいさつと決意表明が述べられました。
二つの問題を提起し確認したい。一つは、アメリカ・イギリスによるアフガニスタン・イラク侵略にノーを突きつける運動とアメリカに追随し戦争を進める小泉政権を打倒する運動を韓米日と広げることです。
二つ目は、国労臨大闘争弾圧を始め、闘う労働運動や市民運動への弾圧を粉砕し、反撃の闘いを全国各地でつくり出し、1047名闘争に完全勝利するまで闘いたい。
志をともにする闘う仲間が党派の壁を越えて大同団結を図り、職場・地域で闘う労働組合の旗を高く掲げ、闘う労働組合のネットワークを全国に広げることを確認して閉会のあいさつとします。
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週刊『前進』(2127号3面1)(2003/11/24)
11・9ソウル 民主労総が5万人大会 盧政権の労働弾圧と激突
11月9日午後3時、全国民主労働組合総連盟(民主労総)は、「全泰壱(チョンテイル)烈士精神継承 全国労働者大会」を開催した。ソウル市庁前広場を埋めつくした5万人の労働者・市民・学生を前に、民主労総は、盧武鉉(ノムヒョン)政権の労働弾圧政策を強く弾劾、イラク派兵中断などを要求し、対政府総力闘争を宣言した。
=写真右 民主労総の11・9全国労働者大会に5万人が結集。最前列には抗議自殺した同志の遺影を掲げた組合員が並んだ(ソウル市庁舎前広場)
集会最前列には、盧武鉉政権の労働弾圧に抗議して命を絶った5人の組合員、斗山(トゥサン)重工業労組のペダルホ烈士、韓進(ハンジン)重工業労組のキムジュイク烈士、クァクジェギュ烈士、勤労福祉公団非正規職労組イヨンソク烈士らの遺影を抱いた喪服姿の組合員たちが大挙して並んでいる。
「盧武鉉政府の9カ月は失望と怒りの9カ月だ!」段炳浩(タンビョンホ)民主労総委員長は大会辞で、「ストライキを阻止するための損害賠償請求訴訟、仮差し押さえ申請、非正規職労働者の差別で労働者は基本的な生存権さえ保障されていない。これに抗議した同志たちの死は明白な社会的他殺だ」と盧武鉉政権の労働弾圧を怒りを込めて弾劾し、「12日にはもっと大きく威力あるゼネストを組織しよう」と力強く呼びかけた。
民衆連帯、派兵反対国民行動、民主労働党から労働者の闘いを支持する連帯のあいさつを受けた後、今大会の初企画として2人の現場組合員が発言した。
双竜(サンヨン)自動車労組組合員は、「私たちの怒りをありのまま政権と資本に見せつけなければならない。指導部たちの新たな決断が必要。人が死んでいく現場でストライキ隊伍を導かなければならない」と主張した。次にセウォンテック労組組合員が、「私たちは民主労組闘争をしなくてはならないのです。うちの烈士を無駄に送ってはならない。ぜひ全面ゼネストをしましょう。闘いましょう」と訴えた。
民主労総釜山本部のキムジンスク指導委員が追悼の辞を朗読した。「……(労働者の)歴史の勝利のためにこれからは黒いハチマキを除いて労働解放の赤いハチマキをまた結ぼう。呼吸をすることさえ恐れ多く、今は死ぬほど大変でも、必ず生きぬき、団結(タンギョル)闘争(トゥジェン)労働解放に進軍しよう!」
最後に大会は「使用者対抗権の強化、国民年金改悪、退職金制度改悪、(市場)開放政策、イラク派兵など、労働者・民衆の首を絞める反改革的政策を即刻中断せよ」と決議した。
警察の弾圧に労働者が反撃
大会後、参加者は光化門に向けて行進しようとしたが、デモを禁止し阻止線を張る警察部隊との大激突となった。労働者と学生ら2千人が鉄パイプ、火炎瓶で反撃し、「憤怒の炎がソウルを焦がす」状態となった。10月29日にソウルと釜山で開かれた「盧武鉉政権糾弾労働者大会」以降、デモ隊に対する暴力鎮圧が繰り返され、この日も市庁周辺には93個中隊1万余の警察官を配備していた。火炎瓶700本が飛んだ今回の激突も、生存権をかけた労働者人民のやむにやまれぬ反撃だった。
警察の暴力は、歩道上の一般市民にまで及び、重傷者56人などけが人が続出、113人が連行された。この実力デモを口実に段炳浩委員長、劉徳相(ユドクサン)首席副委員長ら6人に召還状が出され逮捕手続きが急ピッチで進められるなど、事後弾圧が拡大している。
民主労総は12日、12万人が参加した6日の1次ゼネストに続き、15万人が2次ゼネストに突入した! 15日には市庁前広場でイラク派兵撤回汎国民総決起大会が開かれ、19日には全国農民大会、さらに12月初旬の全国民衆大会へと盧武鉉政権との総力闘争が激烈に闘われようとしている。
米日帝のイラク・北朝鮮侵略戦争攻撃に屈服して延命を図る盧武鉉政権は、その危機突破をかけて労働弾圧=民主労総抹殺攻撃に打って出ている。民主労総を先頭とする労働者人民は生存権をかけ、盧武鉉政権との全面対決の闘いに立ち上がっている。
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週刊『前進』(2127号4面1)(2003/11/24)
労働者の闘いを否定した日本共産党
「労働者階級」も「団結権」も新綱領から削除追放された
大企業への「民主的規制」が一切
高田隆志
6月に日本共産党綱領の改定案(新綱領案)が発表されて以来、これに対する大きな議論が巻き起こっている。本紙上でもすでに繰り返し批判が展開され、「労働者の闘いを抑圧する日本共産党新綱領案」のシリーズも連載された。また、前進社からブックレット『労働者に背を向けた日本共産党@日本共産党新綱領案の全面批判』が出され、綱領改定案に即して逐条的な文字どおりの全面批判も展開された。それは、労働者階級の解放=共産主義をめざす意志をもって日本共産党に結集して闘っているすべての党員、また全労連傘下のすべての労働者に向かって、完全転向を遂げた日本共産党と今こそ決別し、革共同とともに闘おうと心から呼びかけたいからである。ここでは、今までの批判の論点を整理し、その核心ポイントにおいて、さらに徹底的な批判を加えていきたい。
資本家・労働者の階級対立と階級闘争の概念を全否定
日本共産党の新綱領案の反革命的本質を示す最大のポイントは、労働者階級の解放闘争と労働運動、労働組合運動、階級的団結などを百パーセント抹殺してしまったことである。
言葉としても「労働者階級」がなくなってしまった。形式上は2カ所にのみ、「労働者階級」という言葉が出てくるが、それは本来の階級的な意味を抹消されてしまっている。具体的に見てみよう。
一つは、第1章「戦前の日本社会と日本共産党」の中にある。
「党は、とりわけ過酷な搾取によって苦しめられていた労働者階級の生活を根本的に改善し、すべての勤労者、知識人、女性、青年の権利と生活の向上のためにたたかった」
もう一つは、第3章「世界情勢――二〇世紀から二一世紀へ」の一節だ。
「日本共産党は、労働者階級をはじめ、独立、平和、民主主義、社会進歩のためにたたかう世界のすべての人民と連帯し、人類の進歩のための闘争を支持する」
これ以外にまったく使われていない(肝心の「第4章・民主主義革命と民主連合政府」で、「変革の主体」として挙げられてさえもいない!)ということは、「労働者階級の解放」というマルクス主義・レーニン主義の核心的テーマが綱領全体から跡形もなく消し去られてしまったことを示している。
賃労働と資本は階級的対立関係にあり、資本家と労働者が共に栄えることはありえない。労働者階級こそが革命の主体である。この真実を日本共産党・不破指導部は否定しているのである。そして、資本主義・帝国主義が史上空前の危機に直面し、戦争と恐慌にのめり込んでいる中で、繁栄があり得るかのような幻想を振りまいているのである。帝国主義の基本矛盾の爆発と階級的対立の激化などないかのように描いているのである。
現綱領(94年)では「労働者階級」の語は8カ所あった。それを見るだけでも、今回それを削ったことの意味は大きく浮かび上がる。現綱領の中には次のような表現が見られる。
「日本人民の解放闘争を前進・勝利させることは、わが党と労働者階級の日本人民にたいする責務であるとともに、国際的な責務である」(第4章)
「(新しい民主主義革命)をつうじてこそ、労働者階級の歴史的使命である社会主義への道をも確実にきりひらくことができる」(第5章)
「労働者階級を科学的社会主義の思想、反核・平和と主権擁護の国際連帯の精神でたかめ、……その階級的戦闘性と政治的指導力をつよめる」(第6章)
「社会主義建設を任務とする労働者階級の権力の確立」(第7章)
これらを見れば、スターリン主義的な歪曲のもとでではあるが、「労働者階級」を主語にして問題が立てられていることが分かる。「労働者階級の歴史的使命」「労働者階級の責務」「労働者階級の権力の確立」などの言葉が残っている。今回、これを一掃・全廃し、一切の階級的なものの見方、考え方、階級的概念そのものを捨て去ったということである。
もともと61年綱領(宮本綱領)では、18カ所にあった「労働者階級」が、94年には8カ所になり、そしてついに今回は2カ所(実質的にゼロ)と化したのだ。
帝国主義支配階級に屈服して体制内改革の路線を完全なものとするためには、このような自己の原点を否定するに等しい質的断絶が必要だったのだ。
「行動綱領」を外し闘い圧殺
この「労働者階級」が一掃されると同時に、新綱領案ではこれまであった「当面する行動綱領」がなくなり、代わりに「日本社会が必要とする民主的改革の主要な内容」が列挙されるにいたった。つまり「資本主義の枠内で可能な民主的改革」の内容を提示する形に変わった。だからそこには労働者階級人民が闘ってかちとるという項目がそもそも成り立たない構造になっているのである。現綱領の「当面する行動綱領」にはまだしも「党は……のためにたたかう」という項目が35項目にわたって展開されていた。これが一掃され、「党が人民の先頭に立ってたたかう」ということは金輪際ないことを宣言したのである。これは決定的な転換だ。
なかでも、次の一文がきれいになくなったことは重大である。本紙上でも何度も指摘してきたが、あらためて確認しておこう。
「党は、すべての労働者の団結権、ストライキ権、団体交渉権を確保し、職場の自由と民主主義を確立し、資本主義的合理化、首切り、低賃金、労働強化に反対し、賃金の引き上げ、同一労働同一賃金を要求する。最低賃金制と労働時間の大幅短縮、非人間的な過密労働の規制その他、労働者の生活と権利を保障する労働立法を実現させる」
この中身自体は、「大企業への規制」や「労働立法」に依拠するなど、そのまま賛成できるものではないが、しかし今やこのような闘いを綱領でうたうこと自体を放棄したということが重大である。
まさに今、日帝・資本家階級が労働者の団結権の破壊に全力を挙げ、「労働三権」を奪い去る攻撃を加えてきている時、吹き荒れる資本攻勢と真っ向から対決して労働者が団結して闘うことが死活的に求められている時、この肝心な時に、労働者の闘いを綱領から追放してしまったことは、決定的なことである。「要求は労働者自身が闘いをとおしてかちとる」という原点の否定である。
「枠内改革」論で革命を否定
日本共産党は新綱領によって「資本主義の枠内の改革」路線を確定し、革命を否定し、もっぱら議会主義のサイドからの「大企業の民主的規制」「大企業の社会的責任」論で、資本主義の永遠の発展の立場に立ち、労働者の階級的闘いを否定したのである。
また、新綱領案からは現綱領(94年綱領)にはまだあった「労働組合」という語も追放されてしまった。労働者階級の生きるための、解放のための階級的団結形態である労働組合を排除してしまって、いったい「変革」を語ることができるのか。
日本共産党は、労働者が労働組合的階級的団結をかちとり、それを武器に資本と闘うというテーマそのものを完全に捨て去ってしまったのである。日本と世界の労働者が労働組合を結成して団結をかちとるためにどれほど過酷で血みどろの闘いを営々と積み重ねたかという歴史も、今日の日本労働者階級が資本の組合破壊の攻撃とどれほど激烈な闘いを展開しているかという現実も、綱領の上に位置づけることなく投げ捨てて省みないのだ。
日本共産党は、一切の労働者的、階級的なものを一掃し抹殺し、労働者の怒りと闘いを抑えて、議会主義的に選挙の一票としてのみ使おうとしているのだ。労働者階級は自己解放闘争の主体なのだ。このことを根底的に否定したところに、今回の綱領改定の核心がある。
「労働者階級の前衛政党」から「日本国民の党」に転向
「労働者階級」の用語を抹殺したことは、2000年の第22回大会での「国民政党」規定を引き継ぐものである。すなわち、この大会で日本共産党は規約を改定し、それまでの規約の前文にあった次の文章を書き替えた。
「日本共産党は、日本の労働者階級の前衛政党であり、はたらく人びと、人民のいろいろな組織のなかでもっとも先進的な組織である。また、日本の労働者階級の歴史的使命の達成をみちびくことをみずからの責務として自覚している組織である」
00年の22回大会の改定では、規約前文がなくなり、第2条の「党の性格」のところが次のようになった。
「日本共産党は、日本の労働者階級の党であると同時に、日本国民の党であり、民主主義、独立、平和、国民生活の向上、そして日本の進歩的未来のために努力しようとするすべての人びとにその門戸を開いている」
これは「労働者政党」から「国民政党」への転向を宣言する改定であった。だが、まだこの段階では「労働者階級の党」という自己規定をペテン的に残していた。実際は否定しているが、「同時に」という言葉でごまかしていたのだ。
ところで、この「国民」という語は、日本共産党ではどのような意味付けを与えられているのだろうか。
94年の綱領改定の際に、それまでの「人民」という語を大幅に減らし、「国民」の用語が圧倒的に増えた。それについて、「日本共産党綱領の一部改定についての提案」という19回大会12中総決定では次のように説明されている。
「改定の文章では、『人民』および『国民』という表現を適宜使っている。この二つの表現のあいだには厳密な境界はないが、おおよそ、支配者、抑圧者をもふくめて日本国民の全体を表現する場合には『国民』の用語を、被支配者、被抑圧者を中心とした叙述の場合には『人民』の用語を使った」
この説明をよく覚えておいてほしい。つまり日本共産党が「国民」と言う時は「支配者、抑圧者をもふくめ」て言っているのである。「国民が主人公」という言葉を彼らは繰り返し使うが、これは「支配者、抑圧者」の意志に逆らわないようにという意味である。
また、「日本国民の党」という枠をはめることで、日本に住む在日朝鮮人、在日中国人、外国人をすべて排除していることが重要である。要するに「国民」規定とは、労働者人民を階級的に搾取・抑圧している「支配者、抑圧者」の意志を尊重し、外国人の存在と生活と闘いは完全に排除の対象とする、徹底的に排外主義、愛国主義の規定である。人民と国民という「この二つの表現」には本質的な違いがあるのだ。
「人民」の語もなくなった
このように94年の綱領改定で「国民」という語が大幅に取り入れられたが、それでも全体としては「人民」の方が多かった。数えてみたら、「国民」が32回、「人民」が45回登場する。ところが、今回の改定案では、これが大逆転する。「国民」が58回、「人民」がたった7回である。
しかもその「人民」も、すべて「世界の人民」「各国人民」あるいは「ソ連の勤労人民」というように、国民という言葉にしたくてもできないところでやむなく使っている。例えばこれまで「人民の民主主義革命」とされてきたが、今度は「人民の」が省かれている。「被支配者、被抑圧者を中心とした」人民は日本には存在せず、日本人民は「国民」としてしか出てこないのだ。これはおそるべきことである。彼ら自身が「支配者、抑圧者をもふくめた」概念だと言っている「国民」として、くくられてしまったのである。
この「国民」という用語は、階級と階級闘争の概念を否定するものである。日本共産党はそれを自覚して使っている。階級の概念を否定するとは、階級協調の立場に立つということなのだ。「国民」の名のもとに、「国益」すなわち資本家階級の利益に従え、ということだ。「国民」とはつまり、敵階級の側の用語であって、階級平和、挙国一致に動員していくためのものなのだ。日本共産党は完全にそれにくみしている。日本共産党がその「国民」を党派的に振りかざしてくることは、現に日帝・資本家階級が日本経団連・奥田ビジョンをもって行っている階級性解体攻撃に屈服し、資本家階級を倒そうとしているのではないことを必死に弁明してすり寄るものとなるのだ。
実際に、日本共産党は不破議長も志位委員長も、財界団体に呼ばれて喜々として講演を行い、「大企業と一緒にルールある経済社会づくりを」などと言って大企業の労務担当などと意気投合したりしているのだ。
「国民の合意」掲げ恭順誓う
また、今回の綱領改定で、「国民の合意」「国民の総意」という言葉が、実に重要な意味をもって使われているが、それも、「支配者、抑圧者」の意志に反してことを行うことはないという誓約である。
具体的に見よう。
「自衛隊については、海外派兵立法をやめ、軍縮の措置をとる。安保条約廃棄後のアジア情勢の新しい展開を踏まえつつ、国民の合意での憲法第九条の完全実施(自衛隊の解消)に向かっての前進をはかる」(第4章12)
次に天皇制については、どうか。
「党は、……国民主権の首尾一貫した展開のためには、民主共和制の政治体制の実現をはかるべきだとの立場に立つ。しかし、これは憲法上の制度であり、その存廃は、将来、情勢が熟したときに、国民の総意によって解決されるべきものである」(同)
片方で憲法違反の軍隊については、「国民の合意がまだないから」と言って容認し、他方で天皇制については、「憲法上の制度だから」と言って容認する。日本共産党は今日の自衛隊と天皇制は「国民の合意」のもとにあるということを正式に認定している。「国民の合意」を盾にして、自衛隊も天皇制も容認したのである。ここで言う「国民の合意」とは、「支配者、抑圧者」の意志ということであり、永遠にそれに従うということである。
このことは、「社会主義建設」のところになると、もっと激しく、二重にも三重にも確認される。
「社会主義的変革は、短期間に一挙におこなわれるものではなく、国民の合意のもと、一歩一歩の段階的な前進を必要とする長期の過程である。
その出発点となるのは、社会主義・共産主義への前進を支持する国民多数の合意の形成であり、国会の安定した過半数を基礎として、社会主義をめざす権力がつくられることである。そのすべての段階で、国民の合意が前提となる」(第5章16)
ここでは「支配者、抑圧者」である帝国主義・資本家階級の意志に反して、社会主義をめざしたりしません、とくどいほど強調されているのだ。これまであった「労働者階級の権力」という語も消し去られ、あらゆる「革命」的な要素は一掃されている。だが、「支配者、抑圧者も含めて」の社会主義建設など、形容矛盾もはなはだしい。社会主義とは、資本家階級の私有財産の没収、搾取の廃止、階級の廃絶を意味するのだ。この根本を否定しておいて語られる「社会主義」とは、日本共産党がかろうじて「共産党」の看板を維持するために最後のベールのような形で残されたものにほかならない。
結局、「国民の合意」と綱領上に明記することで、日本共産党として帝国主義ブルジョア支配階級に向かって、自衛隊も天皇制も社会主義も手を触れることはないから心配ありませんよ、と誓約したのである。そもそも党としての路線を天下に表明するのに、いちいち「国民の合意のもと」などと言わずもがなの「ただし書き」をすることがおかしい。綱領の国家権力問題、体制転換の基本にかかわるところにだけ集中的に「国民の合意」が出てくるのは、帝国主義に恭順を誓う以外の何ものも意味しない。
「労働者階級の国際連帯」の代わりに「テロ根絶」を導入
日本共産党は、労働者階級も人民も抹消したばかりか、綱領にもこれまで掲げ続けてきた次のスローガンを含む一文を、ついに今回の改定案で消し去った。
「党は、『万国の労働者と被抑圧民族団結せよ』の精神にしたがって、労働者階級をはじめ、独立、平和、民主主義、社会進歩のためにたたかう世界のすべての人民と連帯し、人類の進歩をめざす闘争を支持する」
その代わりに登場したのが、これまではなかった「テロ根絶」である。22回大会の規約改定で前文を取り除いたのに伴って、「万国の……」のスローガンは規約から消えているから、日本共産党は規約上も綱領上も、完全にこの連帯スローガン(もっともスターリン主義的にゆがめられたインチキなものでしかなかったとはいえ)を消し去ったのである。そしてこのことと、新綱領の「テロ根絶」は一体のものである。
「一般市民を犠牲にする無差別テロにも報復戦争にも反対し、テロの根絶のための国際的な世論と共同行動を発展させる」(第4章・民主主義革命と民主連合政府)
「当面する行動綱領」を全部なくしておきながら、このような「共同行動」は新たに追加する。ここに日本共産党の立場と路線が如実に現れている。ここで言う「テロ」とは9・11反米ゲリラやパレスチナ、イラク人民の民族解放・革命戦争のことである。また、「国際的な世論と共同行動」とは、日本共産党指導部が9・11直後に全世界の政府に対して「テロ根絶」を呼びかけたような、世界の帝国主義支配階級との「国際共同行動」のことである。これは、この間、全世界的に爆発した国際的なイラク反戦闘争に真っ向から敵対するものである。「万国の労働者と被抑圧民族団結せよ」のスローガンを排除した後に加わったのは、「世界各国政府との共同行動」だということである。
奥田ビジョンの路線に屈服
以上のことを合理化するために、帝国主義に関する認識も変えてしまった。
何よりも「日本の帝国主義的復活」はないと断定している。アジアに対する日帝の侵略、搾取と収奪についても、不破はわざわざ「侵略ではない」と擁護し、日帝が排他的、対米対抗的な「東アジアブロック」をつくることを奨励している。それは結局奥田ビジョンに言う「東アジア自由経済圏」構想と完全にダブっているのである。この間、不破がマレーシアやシンガポールなど東南アジア諸国を訪問してマハティール政権の要人などの支配階級と会談をもって「野党外交」を進めたと自慢しているが、それは奥田ビジョンのしり押し以外の何ものでもない。
戦争と大失業、資本攻勢が吹き荒れ、これと全力で闘わなければならない、まさにその時に、日本共産党は、日本経団連・奥田ビジョンに屈服し、帝国主義の側に階級移行したのだ。まさに帝国主義の最後の番兵であり、日本と世界の労働者階級、被抑圧民族人民と共存することのできない階級敵である。
日本共産党のもとにまだとどまっている労働者に訴えたい。日本共産党の反革命的本質を見抜き、それと決別し、真の階級的立場に立ってともに闘おう。
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週刊『前進』(2127号4面2)(2003/11/24)
福嶋裁判 デタラメな筆跡鑑定 年内奪還へ奮闘しよう
10月29日、東京地裁刑事第3部(服部悟裁判長)で、福嶋昌男同志の168回公判が行われた。
冒頭、福嶋同志が裁判長の訴訟指揮に対して異議を申し立てた。前回、馬路(まじ)充英筆跡鑑定人が、「焼」という字についての証言のやり直しを申し出ていた。「弁護側が自分の証言内容を理解していないかも知れないので、もう一度言い直したい」などという不届きな理由だ。服部裁判長は強行採用し、証言の変更を認めた。
これに対し、福嶋同志は「弁護団による反対尋問を無視する不当な決定だ」として強く弾劾し、取り消しを要求した。福嶋同志の闘いによって、その後の馬路の言い訳が、いかに証言のボロを取り繕おうとするものかが鮮明になった。
馬路は鑑定する対照資料メモ6枚について、1枚1枚別個に基礎資料(福嶋同志の手紙)と比較しているので、あらかじめ6枚のメモの一体性を判断するようなことはしないと明言していた。にもかかわらず、鑑定写真の「焼」の字が対照資料と基礎資料では、一方が草書体に近く、他方が楷書体に近く、まったく異なることを指摘されると、本来バラバラのはずの6枚のメモの中で、しかもまったく別の文字種を持ち出して「両方の書き方をしているものがあるから、対照資料の筆者は両方の書き方をしている」と開き直った。しかし、これはまずいと判断した検察官によって証言内容を変更させられた。
対照資料の「焼」の字の第11画、12画の「ハ」の部分について、基礎資料中の「供」の字の第7画、8画は連続して書かれているが、「悦」の字の第9画、10画の「ハ」の部分は分かち書きされているから、(基礎資料と)「別人が書いたものとはいえない」と言うのだ。思わず、傍聴席から失笑が巻き起こった。そもそも、「焼」という文字は基礎資料、対照資料双方とも1文字しかなく科学的検証の対象たりえない。
馬路は、自ら比較した同一文字間の相違点を弁護団から追及されるとまったく異なる文字の一部分を持ち出してまで「相違しているとは思わない」などと居直った。「同筆」鑑定を前提になんでもこじつけるというでたらめな人物である。
その後の反対尋問でも、漢字の「福」とカタカナの「ネ」、「安」と「奴」の比較などとんでもないものが続いた。また、これらの「筆癖は一つひとつを取り上げると一般的なものに見受けられるが、それが二つ三つと重なると一般的なものではなくなる」などと言って平然としているのだ。科警研でさえ、危険であると否定している非科学的な「鑑定手法」だ。断じて認めるわけにはいかない。
福嶋同志は、11回目の冬を東拘で迎えようとしている。これ以上の拘禁の強制を許すな。なんとしても年内奪還をかちとろう。次回公判当日の昼休み時、拘禁を強制し続ける服部裁判長を弾劾し、地裁前の大街宣を行おう。11時30分、地裁前に結集しよう。
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週刊『前進』(2127号4面3)(2003/11/24)
11月4日〜11日
イラク派兵閣議決定を延期 KEDO、軽水炉建設中断
●油漏れで滑走路閉鎖 航空自衛隊那覇基地所属のF4戦闘機のパイロットが那覇空港の滑走路上で油漏れに気づき、停止した。このトラブルで滑走路が28分間閉鎖された。(4日)
●KEDO、軽水炉建設を中断 朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)の非公式理事会は、北朝鮮で進めていた軽水炉型原発2基の建設事業を中断することで合意した。中断は1年後に見直されるが、米国が再開に応じない姿勢を示しており、94年の米朝枠組み合意に基づく軽水炉事業は終了する可能性が高まった。(4日)
●「理論的には日本も標的免れない」 イラクを訪問中の岡本行夫・首相補佐官がバグダッドで記者会見し、「日本の姿勢をイラク国民に見せ続けなければならない。ここで退いてはテロリストの思い通りになる」「理論的にはイラクから完全撤退しない限り、日本も標的になることは免れない」などと語った。(5日)
●「(対テロ戦争)10〜15年」 ペース米統合参謀本部副議長が米下院で米軍の将来的な戦力構成について説明し、「テロとの戦いは10年から15年続くと予測している」と語った。(5日)
●自衛隊、対戦車火器を携行方針 防衛庁は、イラクに派兵する陸上自衛隊に、対戦車火器の一種である携帯式の対戦車弾を携行させる方針を固めた。(6日)
●イラク米軍大幅交代へ ラムズフェルド米国防長官は、13万1600人のイラク駐留米軍を来年1月から大幅に交代させると発表した。(6日)
●文民も年内イラク派遣 政府は、政府職員や民間人ら文民をバグダッドなどイラク都市部へ年内に派遣する方針を固めた。(7日)
●放射性物質検知器の携行を検討 防衛庁は、イラクに派兵予定の陸上自衛隊の部隊に対し、放射性物質の検知器を携行させる方向で検討を始めた。(7日)
●赤十字、イラク2拠点を閉鎖 赤十字国際委員会(ICRC)は、イラクの首都バグダッドと南部の主要都市バスラの事務所を一時閉鎖すると、発表した。(8日)
●総選挙 第43回総選挙の投開票が行われ、自民党は前回総選挙の233議席を上回る237議席を獲得した。公明、保守新と合わせた与党3党では、絶対安定多数の269議席を上回る275議席を確保した。民主党は40議席増の177議席、日共は9議席、社民は6議席だった。(9日)
●イラク派兵、閣議決定を延期 政府は、自衛隊のイラク派兵などの基本計画の閣議決定を特別国会召集後に延期する方針を固めた。
バグダッドやサマラなどに陸海空自1200人を派兵する方針。(10日)
●米が半年ぶりの空爆 米軍は、ゲリラ戦争が多発している「スンニ・トライアングル」と呼ばれる地域への空爆を再開した。空爆は半年ぶりで、5月1日の大規模戦闘終結宣言以降では初めて。(10日)
●イラク治安「危険」 ラムズフェルド米国防長官は、自衛隊のイラク派兵に関連して現地情勢について「いつでもどこでも、あらゆる攻撃を防ぐことは不可能だ。危険な仕事だと思う」と述べた。(10日)
●「イラン核開発、断定できず」 国際原子力機関(IAEA)がイランの核兵器開発について「現時点では開発を裏付ける証拠はない」とする報告書をまとめたことが明らかになった。(10日)
●「非戦闘地域、線引き困難」 イラク駐留米軍のサンチェス司令官が、記者会見で、占領軍襲撃が頻発する現在のイラクで「戦闘地域」と「非戦闘地域」を明確に区別することは困難との認識を示した。(11日)
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週刊『前進』(2127号5面1)(2003/11/24)
3労組と日米韓の労働者の国際連帯闘争で勝利開こう
11・9労働集会の革命的意義
全日建運輸連帯労組・関西地区生コン支部、全国金属機械労組・港合同、国鉄千葉動力車労働組合の3労組が呼びかけた11・9全国労働者総決起集会は、翼賛選挙攻撃、戦争と大失業攻撃に唯一対決し、全国から3100人を超える大結集を実現した。そして、日米韓の闘う労働組合による労働者国際連帯の新たな時代を切り開いた。革命的共産主義者同盟は、この集会を支持し、その成功に向けてともに全力で闘った立場から、集会の成功に心からの敬意を表するとともに、感動を分かちあいたい。それと同時に、集会が切り開いた偉大な歴史的地平と、意義をしっかりと確認し、3組合から徹底的に学び、ともに闘いぬくことを決意するものである。
日本の労働運動に新しい歴史を刻む
第一に、11・9労働者集会は、3100人を超える大結集のもとで、日米韓の労働運動の新たな国際連帯の新時代を実現した。
集会の全参加者が、国際連帯の地の底からわきおこるような高揚と感動、会場の一体感に闘う魂が揺さぶられた。参加した全労働者は、資本と権力への怒りをさらにかきたて、闘いの新たな決意、団結を固めた。
2003年11月9日。この日、日本労働運動に新たな歴史が刻み込まれた。戦後階級闘争に、かつて例をみない階級的質と戦闘的力を持った歴史的大集会がかちとられたのだ。
この歴史的集会が切り開いた国際連帯の偉大な革命的意義については、どんなに称揚しても称揚しすぎることはない。
01年の「9・11」、03年の「3・20」情勢によって国際階級闘争――国際労働運動が新たな高揚を開始した。それはプロレタリア世界革命の現実性を急速に引き寄せた。たとえ、いくたびかの血の犠牲と鉄火の試練をへるとしても、国際プロレタリアートの新たな不屈の国際連帯闘争が、もはや後戻りすることのない巨大な発展の道についたのだ。
この国際連帯の発展に向けた歴史的胎動が、日本帝国主義の足下において、11・9労働者集会として始まったのである。
この国際連帯を構成する労働組合こそ、世界で最も戦闘的な労働組合である韓国の民主労総であり、世界で最も国際的存在であり、かつ全米最強のILWUなどのアメリカの戦闘的労働組合である。日本において、この米韓の労働組合に完全に匹敵する戦闘性と、世界でも比類のない階級性と団結を持った労働組合である関生支部、港合同、動労千葉が、米韓の労働組合との橋渡しとなって労働組合の国際的統一戦線を誕生させたのだ。
それはまさに歴史的必然であると同時に、奇跡ともいうべき結びつきでもあり、戦後史において存在しなかった国際連帯の世界史的な新たな登場である。
さらにこの国際連帯は、戦争と民営化攻撃という共通のさし迫った課題と激烈に闘う国際共同闘争である。このような国際連帯こそ、国家権力と資本と戦闘的に対決する全世界の労働者階級にとって、労働組合の団結を守りぬくための切実な死活的欲求であり、課題なのだ。
この日米韓の労働組合が、11・9日比谷野音で一堂に会し、戦闘宣言を発した。11・9集会のこの歴史的瞬間の場に参加したことに深い感動と喜びを覚えない人はない。
韓国・民主労総は、時あたかも11・12ゼネストを頂点とする死闘の渦中にあり、ILWUは、ローカル10が国際的規模での港湾労働者の闘いのただ中にある。動労千葉もまたJRの第2の分割・民営化攻撃と対決して11・4をもってスト指令を発している。さらに港合同も倒産・首切りの嵐(あらし)、団結破壊、団結権解体攻撃との日々の死闘を闘い、関生支部は、韓国・運輸連帯とともに、日韓共通の敵である日帝・セメント資本との闘いを続けている。
11・9労働者集会は、労働運動の国際的団結による階級的戦闘行動そのものとしてかちとられた。この生まれたばかりの国際連帯は、急速に内実をもった闘いに成長している。われわれは、新潮流運動の発展をかけて、3労組を支持し、3労組とともに、どんな困難があってもこの道を突き進まなければならない。
翼賛体制と対決し階級的隊列が登場
第二に、日帝・小泉=奥田路線と、そのもとでの翼賛選挙という大反動と真っ向から対決してかちとったことの意義である。
11・9集会は、日帝・小泉=奥田と、これに翼賛的に一体化した民主党・連合の巨大な反動を打ち破る「いまひとつの投票行動」であり、その意味でも革命的な戦闘行動であった。
日帝・小泉=奥田は、労働者階級への賃下げ・倒産・リストラ、年金破壊・社会保障制度解体・大増税による生活権・生存権破壊の大攻撃、労働組合への治安弾圧と、団結権破壊の大攻撃を激化させ、イラクへの自衛隊派兵と労働者の戦争協力動員を狙っている。労働者階級人民は、本来であれば、ゼネストで立ち上がるべき情勢なのだ。
だが、民主党は自民党と寸分違わないマニフェストを打ち出し、連合は民主党を全力で後押しする翼賛体制を推し進めている。さらに日本共産党は、労働者の利害を裏切り、翼賛体制を支えている。この情勢のもとで、戦前となんら変わらないすさまじい翼賛選挙が強行された。この翼賛選挙は、労働者の怒りと反撃を封殺し、11・9集会での新潮流の登場を踏みつぶし、この団結を解体・一掃しかねない大反動であった。
11・9集会は、この翼賛選挙に唯一対決し、労働者階級の寄る辺のない耐えがたい怒りを総結集していくかけがえのない死活的闘いとなった。連合や全労連傘下の労働者も、翼賛選挙を吹き飛ばし、日比谷野音を投票所にすることで、真の階級的な団結に出会い、闘いへの展望と勇気を得ることができたのである。
この訴えにこたえ日比谷を埋めつくした大集会は、小泉=奥田路線と翼賛選挙の大反動を必死にはねのけ、打ち破り、小なりといえどもこの翼賛体制と堂々と互角で対決する労働者階級の隊列を登場させたのである。
それは、この翼賛選挙と対決することで、日本労働運動における決定的な分岐・流動・再編を激烈に推し進めるものとなった。
これは、3組合共闘の新潮流運動(ネットワーク運動)が、これから真の本格的発展をかちとる圧倒的展望を押し開いたということである。
労働者階級獲得へ党派闘争での地平
第三に、翼賛選挙との対決は同時に、労働者階級の獲得をめぐる連合などの帝国主義労働運動と、スターリン主義労働運動、JR総連などのファシスト労働運動との激烈な党派闘争であった。それはまた動労千葉労働運動を発展・拡大していく闘いであり、同時に国鉄決戦の再確立・再強化の闘いをも切り開いている。
労働運動をめぐる党派闘争は、11・9の翼賛選挙だけではなく、革命的激動期が不可避とするあらゆる反動との対決である。
ひとつには、国鉄1047名闘争をめぐる党派闘争が激烈化し、1047名支援共闘を始め国鉄闘争支援陣形での分岐と流動が決定的に引き起こされたことである。
この攻防は、自治労決戦および都労連決戦と結びつき、全逓、教労など4大産別の決戦の激化ともなっているのである。
いまひとつは、全労連傘下の労働組合の獲得をめぐる攻防である。日本共産党のもとで苦闘する労働者の獲得の芽は確実に生まれている。選挙での日共の惨敗は、一層この闘いの重要性を示している。
これらの闘いが示していることは、11・9集会にはその広範な大衆性を強力に推し進めるためにも、帝国主義労働運動と対決する「党派性」「政治性」が問われたということである。この「党派性」を抜きに11・9集会の真の大衆的求心力はけっして生まれなかったのだ。
そしてこの党派性の内実とは、核心的には動労千葉労働運動を階級的労働運動の実践の基軸にすえて闘いぬくことである。新指導路線とは、この動労千葉労働運動を基軸とする国鉄決戦の再確立である。
今回の11・9にはカクマルが妨害にまったく登場できなかった。ついにカクマル組織の瓦解と無力化が始まった。今回の国際連帯をとおして、韓国労働運動、アメリカ労働運動と比較して日本の労働運動における80年代〜90年代のファシストカクマル=JR総連カクマルによる労働運動の反革命的制圧がいかにすさまじい大反動であったかがあらためてはっきりした。
日本労働運動の階級的発展を背後から絞殺するファシスト労働運動に対して、動労千葉は、これと真っ向から対決して打ち破ってきた。そしてこの一大反革命が、国際連帯の登場とともに完全に粉砕されたのである。われわれは労働者階級獲得の巨大な空間と地平をついに獲得したのだ。
このように動労千葉労働運動は、国際連帯と一体となって、新指導路線そのものの戦略的推進力となったのである。つまり動労千葉労働運動と国際連帯は、二つにして一つであり、一つにして二つの闘いである。
変革の課題と次なる挑戦へ
第四に、この11・9集会が切り開いたプロレタリア国際主義は、断じて偶然ではなく歴史的必然であり、それは革共同にとって、みずからが真に革命的実践者であるかどうかを決定的に突きつけるものである。
11・9集会の徹底的な総括の中から、再び5千人結集に挑戦する強烈な内発的な要求が生まれなければならない。その観点からとらえ返した時、自らがプロレタリア自己解放のマルクス主義の革命的実践者としてどうであったか、全党が11・9集会の成功のために団結して闘ってきたのかどうかが、突きつけられているのだ。
3組合共闘の防衛と発展は、本当に血のにじむ苦闘である。革命党が労働運動に踏み込み、ともに闘うことは、大変な悪戦苦闘であり、はね返されても、ひたむきに進めていかなければならない闘いである。
そのことを踏まえて、さらに全党が国際連帯と動労千葉労働運動の実践をとおしてみずからを決定的に自己変革しなければならない、ということである。
今回の集会の成功によって11・9集会が掲げた国際連帯を基軸にする六つのスローガンが、すべての闘う労働者人民の闘いの原点となった。
11・9集会で切り開いた国際連帯は、プロレタリア世界革命への実践の最基軸の闘いである。
革共同は、3組合を支持し、とともに闘いぬいた11・9集会を出発点に、真のプロレタリア世界革命の党として飛躍していくことを決意する。一切はこれからである。
新指導路線での真の一致の闘い、すなわち革共同の戦略的飛躍と変革を推し進める闘いは、まさにこれから始まるのだ。いやむしろ、11月〜12月決戦は、11・9集会の後半戦である。まだ11・9集会は継続しているのだ。
11・9に向かっての全党の労働組合オルグの総決起の闘いを、24時間365日の闘いにしていくのである。一瞬の休みもありえない。それは、本格的な新潮流運動を開始していく闘いであり、3組合統一戦線の強化と拡大を支えていく闘いである。
これらの闘いと一体で、自衛隊イラク派兵阻止闘争を大高揚させ、11〜12月、04年1月へと突入しよう。そして、年金制度改悪阻止、労組法改悪・団結権解体攻撃粉砕を大テーマとする04春闘への進撃をただちに開始しよう。
これらの過程は、国労5・27臨大闘争弾圧の8人の被告の保釈をかちとる決戦でもある。11・9の地平を徹底総括し、国際連帯の旗のもと、不屈の進撃を開始しようではないか。
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週刊『前進』(2127号5面2)(2003/11/24)
ゲリラ戦に追いつめられ空爆を再開した米占領軍
自衛隊は虐殺戦争に参戦
政府は自衛隊イラク派兵の基本計画を固め、特別国会後に閣議決定しようとしている。その中身は、陸海空自衛隊1200人をバグダッド、バスラ、サマワなどに派兵し、対戦車弾や無反動砲、装輪装甲車などを携行するというものだ。文字どおり侵略軍として武装して乗り込み、イラク人民の闘いを圧殺し、イラク人民を虐殺するのである。事態は今や決定的なところにきている。日帝が全面的な侵略と戦争の道に突入し、中東・アラブ人民、朝鮮・中国―アジア人民そしてまた日本人民を大虐殺する道を許すのか、それとも日帝の侵略派兵を阻止し、小泉政権を打倒し、日帝を打倒するのか。労働者人民の命運をかけて、イラク派兵阻止闘争に決起しよう。
イタリア軍に壮絶自爆攻撃
イラク現地では激しいゲリラ戦争が戦われ、米英占領軍を決定的に追いつめている。11月12日イラク南部のナシリヤでイタリア軍施設に対して自爆戦闘がたたきつけられ、イタリア軍憲兵などイタリア人18人を始めとした27人が死亡した。自衛隊の派兵を予定しているサマワから80`で炸裂(さくれつ)したこの戦闘は日帝・小泉政権に衝撃を与え、福田官房長官は記者会見で年内派兵の明言を避けるなど動揺を示している。しかし、日帝は自衛隊員に死者が出ることをあえて辞さず、侵略帝国主義への飛躍をかけて自衛隊派兵を必死になって強行しようとしているのだ。派兵阻止に向かった闘いを猛然と強めなければならない。
特に11月に入ってからのイラク人民の戦闘はすさまじい。11月2日ファルージャ近郊で米軍輸送ヘリを撃墜し、16人が死亡、20人が負傷したのを始め、7日にもティクリットの近郊で米軍ヘリ・ブラックホークを撃墜し、6人が死亡した。10月26日にはウォルフォウィッツ米国防副長官が滞在していたアルラシッドホテルにロケット弾が連続して打ち込まれ、ウォルフォウィッツ自身は命拾いしたとはいえ、米兵1人が死亡、15人が負傷した。
11月に入って以降の占領軍の死者はすでに56人に上っており、5月以降の月間ですでに最大となった。米帝は、5月以降の戦闘による米軍の死者の数しか発表しないが、戦争突入以降の連合軍兵士の死者は471人に上っている。そのうち396人が米兵である。
しかもイラク人民の戦闘が的確に敵の中枢や弱点を突いており、巨大なダメージを強制している。国連や赤十字を標的とした強烈な自爆戦闘がたたきつけられ、占領当局や占領軍本部のある「グリーンゾーン」に対しても連日連夜にわたってロケット弾が打ち込まれている。すでに自爆戦闘によって国連はイラク人以外の全要員をイラクから退去させ、赤十字国際委員会も北部の一部地域を除いて要員を退去させた。
追いつめられた米帝は、7日夜からF16戦闘機による空爆作戦を開始し、民家や倉庫などを爆撃した。12日にはバグダッドで空爆を行い、2人のイラク人民を虐殺した。大規模掃討作戦と称して数十人の住民を拘束している。米軍は、12日にも農民の乗った車を銃撃し買い物に行った親子など5人を虐殺した。こうした事件が連日各地で相次いでいるのだ。
一方米中央軍のアビゼイド司令官は8日、スンニ派トライアングルと呼ばれる地域の各部族の長を集めて、「レジスタンスを抑えないなら米軍は断固たる措置をとる」と、報復のための無差別虐殺や無差別逮捕を強化すると恫喝した。
イギリスの医療援助組織メダクトは、イラク侵略・戦争・占領の間に米英軍が2万2000人から5万5000人のイラク市民を虐殺したと報告書をまとめた。負傷者の数は計り知れない。しかも米軍は5千人以上のイラク人民を不当拘留している。
こうした占領軍の暴虐に対してイラク人民、中東ムスリム人民は、命がけで民族解放・革命戦争に決起しているのだ。
イラク人民の人間の尊厳をかけた解放戦争は、最新鋭の装備で重武装した世界最強の帝国主義軍隊である米軍をあちこちで痛撃し、混乱と動揺、疲弊と消耗のどん底にたたき込んでいるのだ。最初は、独自的に決起した少数の多様なグループが、地域の仲間たちと連携を計り、指揮系統を構築し、一戦一戦戦術的に洗練されていき、的確に米軍に打撃を加えている。
このイラク人民の解放闘争は、一方では全世界の反戦闘争を力強く激励し勇気づけている。開戦前には2000万人の決起が全世界を駆けめぐった。その波が米英軍の戦争強行によって一定の後退を強いられた面もあった。しかし、イラクでは人民を大虐殺し、国内においては労働者人民に大失業と生活破壊の犠牲を強制する帝国主義に対して労働者の怒りが高まり、それがイラク人民の怒りに燃えた激しい決起にも促されながら再び巨大な高揚を開始している。
完全武装部隊での侵略出兵
この時、日帝は自衛隊イラク派兵を強行し、米帝のイラク軍事占領・人民大虐殺に加担しようとしているのだ。イラク人民が解放を求めて米英占領軍と激しく戦いぬいているときに自衛隊が行くということは、人民の闘いを圧殺するためであり、イラク人民虐殺以外の何ものでもない。
はっきりさせよう。自衛隊は復興支援のためにイラクに行くのではない。米帝はイラクのあらゆるものを力ずくで強奪し、中東支配を再編し、帝国主義間争闘戦に勝ちぬこうとしているのだ。民営化と称してイラクの公共部門を米資本が握り、イラク人民は電気や水、公共サービスさえも金で買わなければ手に入らなくなるのだ。しかもハリバートンやベクテルといった政権中枢と関係の深い米資本が主要な契約を獲得し、イラクのすべてを奪い尽くそうとしているのだ。
この侵略出兵を絶対に許してはならない。イラク人民の命をなげうった英雄的決起にこたえ、連帯して日本の労働者人民が自衛隊派兵を絶対に阻止することが問われているのである。
米帝ブッシュは、米占領当局のブレーマー長官をワシントンに呼び寄せ、早期に主権の委譲をはかる方針を探り始めた。また来年5月には、現在13万人いる米軍を10万人に削減するとしている。だが、イラク人民は誰一人、米軍の占領支配やカイライ政権を認めておらず、単純に米帝の思惑どおりには行くはずがない。
帝国主義国の労働者人民が自国帝国主義を打倒される恐怖にたたき込む以外に泥沼のイラク侵略戦争、さらには北朝鮮、イランなどへの侵略戦争、世界戦争の道を阻止することは絶対にできないのだ。12月自衛隊イラク派兵阻止のために直ちに全力で決起しよう。あらゆる行動を起こし、巨万の人民決起をつくりだそう。
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週刊『前進』(2127号5面3)(2003/11/24)
あいば野 共同演習に反撃 反戦共同 派兵阻止の決意固く
10月27日、関西反戦共同行動委員会は、滋賀県あいば野演習場でこの日より行われる日米共同軍事演習に反対する現地闘争を闘った。 今回は3年ぶりの共同演習であり、陸上自衛隊約800人、米海兵隊850人が参加し、2週間にもわたって戦闘訓練を行うと言われている。対ゲリラ戦闘の訓練の目的のために都市型戦闘訓練施設も作られようとしている。
この演習の目的は、あいば野演習場の地形を北朝鮮に見たてて北朝鮮侵略戦争への実戦的準備を行おうというものだ。さらに、12月にも自衛隊のイラク派兵が強行されようとしている時に、日米が共同で演習することは、イラク派兵を想定した侵略演習そのものだ。
米ANSWER連合が全世界に呼びかけた国際統一行動日に当たる10月25日には、午前中に地元の労働組合を中心に、500人が集まった反対集会が行われ、午後は百万人署名運動を先頭とした250人が集まった統一戦線の集会が開催され、日米合同演習反対の闘いは大いに盛り上がった。
10月27日の関西反戦共同行動委員会の集会は、国賀祥司事務局長のあいさつで始まった。全学連の代表が基調報告を行い、「あいば野日米共同演習は北朝鮮侵略戦争の突撃演習だ。米英の軍事占領支配に抗して実力で決起しているイラク人民と連帯して闘おう。自衛隊兵士に対して、イラク、北朝鮮人民に侵略の銃を向けないように強く訴え、われわれの闘いへの合流と、獲得に向けての呼びかけをしていこう」と提起した。
続いて京滋労組交流センター、婦民全国協・関西ブロック、全学連の決意表明があり、演習阻止のデモに出発。途中、今津駐屯地に演習・派兵反対の申し入れを行った。地元のマスコミも注目し、3社が取材に来た。前回の演習時には、アリバイ的に登場した反革命カクマルは姿すら見せず、完全に翼賛勢力としての姿を露わにした。
派兵阻止の闘いはこれからだ。切迫する自衛隊のイラク派兵に対して、米韓の労働者とがっちりと腕を組んで派兵阻止へ闘おう。
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週刊『前進』(2127号5面4)(2003/11/24)
資本攻勢&労働日誌 2003 10月26日〜11月6日
日立が年功賃金を全面撤廃/英郵便労組が大スト
連合春闘討論集会で賃上げ要求の声
●米労組が対中301条提訴を準備 アメリカAFL-CIOの工業労組協議会(IUC)は、中国の為替操作によって打撃を受けたとして、米通商法301条提訴を準備している「公正な通貨連合」への加入を発表した。(10月26日)
●国民春闘共闘委員会が発足 全労連や純中立懇などの組織が結集し、毎春闘の時限共闘組織となる「国民春闘共闘委員会」の発足総会が開かれた。発表された春闘構想では賃上げ要求額を明示しなかった。(29日)=2004年国民春闘構想(案)
●連合が04春季闘争討論集会 連合の04春季生活闘争中央討論集会では、賃上げに積極的な姿勢を示すべきだという意見が相次いだ。(30日)=発言要旨別掲
●全逓が「JPU」に 全逓は新しい名称を「日本郵政公社労働組合」(略称JPU)とすることを明らかにした。12月1〜2日に、さいたま市で開催する臨時全国大会で正式決定の予定。(30日)
●奥田が65歳までの定年延長に反対 奥田日本経団連会長は、坂口厚労相が年金制度改革と関連して先週表明した65歳への定年延長について「企業経営や経済の実態を全く無視した議論だ」と強く反対した。(30日)
●国保の保険料約2割が滞納 国民健康保険の保険料を滞納している世帯は約455万世帯で加入世帯の約2割を占めると厚労省が発表した。(30日)
●伊3大労組、ゼネスト継続を合意 イタリアの3大労組はベルルスコーニ政権が打ち出した年金改革に反対するため全国規模のゼネストを連続的に実施する方針で合意した。(30日)
●9月の完全失業率、前月比横ばい 総務省発表の9月の完全失業率は5.1%となり、前月と同じだった。厚労省が発表した9月の有効求人倍率は0.66倍となり、前月比0.03ポイント上昇した。(31日)
●65歳定年、同友会も反対 経済同友会の北城代表幹事は65歳定年に反対を表明した。(11月1日)
●英郵便で大規模スト ロイヤル・メール・グループで賃金問題で大規模な非公式スト。ロンドンを中心に10日以上、郵便物が届かない状況が続いている。(4日)
●日立、年功賃金を廃止 日立製作所は工場を含む全労働者の年功型賃金を全面撤廃し、04年4月から仕事の成果と毎年の能力評価で給与が決まる新賃金制度を導入することで労資が合意し発表した。「定昇」相当分も廃止。(5日)
●松坂屋がサービス残業/1億円支払い 百貨店の松坂屋が東京の上野店で、「サービス残業」をさせていたとして労基署が是正勧告、1億1千万円を支払っていたことが分かった。(6日)
●日商会頭も65歳定年延長に反対 山口日本商工会議所会頭は、65歳への定年延長に反対する考えを表明した。(6日)
連合春闘討論集会での討論内容概要
・私鉄総連:生活向上と格差是正にむけ、連合として統一的な純ベア要求を提示することが必要。
・UIゼンセン同盟: 経営側の生産性基準原理などからして、ベアの余地がないといえるのか。連合として分配(ベア)の余地があることを示すべき。
・JAM:(中小組合向けの要求指標の示し方について)賃金カーブ維持などの条件をつけずストレートに示せばいい。
・連合広島:5年連続で所得が減少するなかでベア要求できないというのは、物分かりがよすぎないか。難しくても統一的な(ベア要求の)目標提示が必要。
・全国一般:中小への指標だけでなく、連合全体の指標を出すべきだ。
・電機連合:連合は政策制度と底上げへ役割分担を明確にすべき。
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週刊『前進』(2127号6面1)(2003/11/24)
11・9労働者集会に参加して
民主労総の発言に侵略戦争阻止を決意 関東・労働者 長峰和夫
11・9労働者総決起集会に参加し、韓国・民主労総代表の力強い朝鮮語のあいさつに強烈な感動を覚えました。自衛隊をイラクに派兵し、北朝鮮侵略戦争に突入しようとしている日帝本国の労働者である私たちへの、侵略を阻止せよとの限りない階級的連帯の呼びかけです。何としてもこれにこたえたいと思いました。また、翼賛選挙を打ち破って会場を埋め尽くした労働者の大結集に、闘いの爆発を確信しました。
実は、11・9に向けての組合回りで接することのできた労組役員の反応に、昨年に比べてより積極的な変化を感じました。昨年は11月労働者集会への賛同も、参加もしてもらえなかった労組から、今年は賛同を得、委員長一人ですがチケットの購入と参加の確約も得ました。
組合回りで直接話した役員は、いずれも韓国の民主労総とアメリカのILWU、UTUの参加という国際連帯の話に関心を持ち、日米韓の闘う労働者の結集に心を動かされている様子が感じられました。
そして、激化する資本攻勢と必死で闘っている労組役員(及び組合員)は、戦争と資本攻勢にストライキで闘っている動労千葉を始めとする3労組の存在と、国際連帯の闘いに心を動かされないわけがないことを確信したのです。
言葉だけではなく実際に闘い抜いている日米韓の労働者の国際連帯集会がついに実現したこの感動を、一人でも多くの労働者に伝えたいと思います。
米韓の労働者に学び政府揺るがす闘いへ 東京 南田康広
11・9は、闘う労働運動の潮流がいよいよ日本の地において、具体的な形になって動き出したと実感できる日でした。
航空連の村中さんのあいさつにもあったように、戦争と大失業の時代の中で一番大切なのは労働者の団結です。戦争に反対できない労働組合は労働者への抑圧にも闘うことができません。
今年の11・9労働者集会は、国際連帯が中心的内容でしたが、私にとっての国際連帯とは、何よりも路線問題でした。イラク反戦で大高揚した反戦運動の軸が労働運動でした。そこに日本の労働運動が合流できるかどうかは、日本の労働運動が55年体制的な枠をのりこえて、資本とも権力とも闘う動労千葉のような路線をかちとることができるかどうかという問題でした。そのために韓国、米国の労働者が叱咤(しった)激励しに来てくれたのだと思います。
今、国鉄闘争は最大の正念場を迎えています。1047名の大同団結は、今こそ真に闘う団結として発展していくことが求められていると思います。
過日、都内で行われた国鉄集会で、韓国の労働者が「私たちは血みどろの闘いをやって解雇撤回闘争をかちとっている」という報告をしました。それに対して「民主的な解決をお願いしたい」という発言が国労からありました。韓国の労働者は民主的な解決ができないから盧武鉉体制と闘っているのです。本当に解雇撤回闘争をかちとるためには、政府を揺るがすような闘いが絶対に必要だということが、民主労総を始め世界の労働運動のこの間の教訓です。
国際連帯を支えにしながら、国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会の前進をもって、私たちの力でなんとしても日本の労働運動の飛躍をかちとるために国鉄闘争の勝利をかちとります。11・9はその自信と確信を深めた闘いでした。
参加してつかんだインターナショナル 東京 浅野博之
11・9労働者集会に参加して大きな感動と闘う元気をもらいました。スクラムを組んで演壇に並んだ日米韓の労働者と日比谷野音いっぱいの参加者がひとつになって、「インターナショナル」を大合唱した時には「こんな日が来るなんて、頑張ってきてよかったな」としみじみ思いました。
アメリカの代表が「労働者は鉄鎖以外失うものはない」という内容の発言を行いこぶしを高く突きあげた時、(まだ内容をわかっていないにもかかわらず)思わずいっしょにこぶしを突きあげていました。また、韓国の代表が「同志の絆(きずな)を断ち切れないほど強く結ぼう」という内容の発言をした時も、いっしょに「トゥジェン」と叫んでしまいました。それほどすごいアジテーションでした。
となりに座っていた方が「今日は歴史に残る日となった」とつぶやいていましたが、私は「この場から新たな『インターナショナル』が生まれていくのだ」と思いました。
団結とは何か?青年労働者が必見の映画 北陸・労働者 永山景信
ケン・ローチ監督の2000年の作品『ブレッド&ローズ』を鑑賞した。この映画は、労働者の団結とは、人間として尊厳を守るとは何かを問いかけ、世界で一番豊かな国アメリカの底辺で、労働者がいかに生き闘い抜いているかを見事に描き出した感動の作品だ。労働者、とりわけ青年労働者必見の映画である。
メキシコから不法入国した女性マヤは、清掃会社の臨時清掃作業員としてどうにか就職する。時給わずか5j17k(日本円で約550円)で社会保険なし、それも最初の2カ月間は現場監督に半分ピンハネされる、しかもそれにもまだ裏があったのだ。
ある日、仲間の首切りが発生し職場内の会合が開かれ、そこで企業の大幅ピンハネと、時給が17年前より3j以上ダウンされていることが明らかにされる。
そこから本格的な闘いが開始される。不当解雇無効の裁判所判決文を先頭にしたデモ行進、仲間の労働者や教会などを巻き込み、戦線は拡大していく。底辺労働者の確信に満ちた顔、闘う者はみんな美しい。
ブレッド(パン)は、人が生きていくためのギリギリの糧を意味し、ローズ(バラ)は人間同士の絆の強さと尊厳を表している。
この映画は現在のアメリカ、特に不法入国し底辺で働かざるを得ないヒスパニックを始めとした移民労働者の置かれた現実を見事に描写したものだ。
その現実は、既存の労働組合が変質し、利益集団として体制に取り込まれ、「労働者の団結」さえ死語にひんし、失業者や派遣労働者を始めとする底辺労働者に目を向けなくなっている日本の労働環境と驚くほど似通っている。
口惜しいが、ケン・ローチは今、私たちに課せられていることを明確に指し示してくれたように思う。
人間らしく生きたいと不屈に闘う民衆 関西 朴 民基
毎日、イラク情勢を見て思うことは、米英軍対イラク民衆の戦いは「支配する者対人間らしく生きたいと願う者」の戦いでありイラクで起きていること(戦争・暴力・植民地支配による国家権力の横暴)は、けっしてイラクだけの問題ではないということです。
今日、全世界に「イラク」は存在します。
米軍のアフガニスタン攻撃は世界中の大国が、よってたかって小国をたたくという集団リンチであり、残虐な殺人行為です。しかも日本は、「テロ」特措法2年延長法案を国会に通過させることによって、この残虐な殺人行為に自衛隊を加担させており、アフガニスタン侵略の参戦国です。
しかし、チェチェンでロシア軍がチェチェン民衆に苦戦しているように、アフガニスタンでも米軍は、アフガニスタン民衆による抵抗闘争の拡大に苦戦しています。イラクでも、米軍に対するイラク民衆の反占領闘争は拡大されていて、米軍に対する攻撃は千回以上になっています。
朝鮮半島の歴史で言うならば、日本帝国主義の植民地支配に対する抵抗歌「ネッコの歌」にある「膝を屈して生きるよりも、立ったままで死のう」という歌詞の中に、朝鮮民衆の民族解放闘争がいかに広範に不屈に闘われてきたかが、体現されていると思います。
超ハイテク兵器で武装した大国の軍隊も、人間らしく生きたいと願う民衆の強い意志には勝てません。ここには普遍性があります。
アフガニスタン、イラクは第2のベトナムとなり米軍は必ず敗北します。
国家権力による労働者弾圧や自衛隊派兵問題など、日本にも内なるイラクは存在します。みなさんと一緒に国家権力の横暴を止める闘争をしたいです。
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週刊『前進』(2127号6面2)(2003/11/24)
翼賛選挙とその結果について
自衛隊イラク派兵を阻止し小泉超反動政権打倒しよう
11月9日に投開票が行われた第43回総選挙とその結果は、日本の労働者人民に何を突き付けているか。起こっていることは、米帝を始めとした帝国主義の絶望的な体制的危機の激化と、そのもとでの日帝の戦争翼賛体制の一層の進行である。小泉反革命がいよいよ強まっていくという情勢である。われわれは戦闘的にこの事態を分析し、日帝・小泉政権、小泉=奥田路線と対決して猛然と闘いぬかなければならない。
自民と民主の戦争翼賛体制
ブルジョア・マスコミは一斉に、与党の「絶対安定多数」の確保を報ずる一方で、「民主党の躍進」「政権交代に足場」「2大政党時代の到来」を喧伝(けんでん)している。来年の参院選が次の決戦だなどと言っている。
しかしまず、小選挙区制というきわめて反人民的な選挙制度のもとで、59・86%と総選挙としては過去最低水準の投票率であった今回の選挙の結果が示したことは、小泉自民党への労働者階級の信任などではまったくなかった。
いや、小泉構造改革路線への不信と怒りは、自民党が改選前議席を減らし、単独過半数に達せず、明らかに退潮傾向にあることに示された。小泉自民は今、追加公認や保守新党の吸収・合併で議席増をはかることに躍起となっている。実際に小泉は、公明党の支援と議席数に助けられて「政権継続」の道をなんとか確保したのである。
他方、民主党の「躍進」なるものは、連合中央の産業報国会的な変質のもとで、労働者階級にとっては巨大な反動いがいの何ものでもなかった。民主党はそのマニフェスト(政権公約)が示すように、完全な第2自民党であり、改憲政党である。小泉自民と日帝・奥田ビジョンを競い合う反労働者政党であり、有事立法に賛成し、消費税増税を推進し、労働運動・労働組合運動を圧殺する政党である。民主党の「躍進」は日帝の戦争翼賛体制確立への道でしかないのだ。
その上で問題は、日本共産党と社民党の惨敗である。日本共産党は20議席から9議席へと36年ぶりの1桁(けた)議席となり、得票数も70年代以降の最低へと転落した。社民党は18議席から6議席へ激減した。党存亡の危機である。こうした社・共の大敗北と無力化、屈服と転向の一層の深まりは、社・共に代わる新たな闘う労働者党の登場がいよいよ待ったなしであることを突きつけている。
11・9の労働者集会で対決
そもそも今回の総選挙は、かつてない翼賛選挙であった。何よりも日本経団連が奥田ビジョンに基づき、政治献金を行う基準として「優先政策事項」なるものを提出し、それで各政党を評価し、結論として自民党および民主党に集中的に献金するとした。そしてブルジョア・マスコミは「2大政党制」「政権選択」を大キャンペーンし、小泉自民か菅民主を選ぶしかないかのように誘導した。1942年4月、東条内閣のもとで強行された悪名高い翼賛選挙をほうふつさせるこうした状況の中で、選挙は行われたのだ。
そして何よりも今回の総選挙は、9月自民党総裁選で圧勝した小泉が第2次改造内閣を組織し、選挙をクリアすることで、いよいよ凶暴な反革命攻撃に打って出るための政治プロセスとしてあった。
実際、小泉は総選挙で与党としては絶対多数を確保したことをバネに、「改革路線は支持された」と、戦争・改憲、一大資本攻勢へ、労働者階級に対する攻撃を一気に激化させようとしているのである。
こうした11 ・9翼賛選挙に真っ向から対決し、「労働者の投票所は日比谷野音だ」と訴え、国際連帯と階級的団結、闘う新潮流の大登場と社・共に代わる労働者党の必要を訴えて、全力で闘われたものこそ、11・9全国労働者総決起集会であった。
まさに、翼賛選挙の中にではなく、国際連帯の旗のもと、日米韓の戦闘的労働者が大合流し、イラク侵略戦争・北朝鮮侵略戦争反対と資本攻勢・民営化攻撃粉砕を高らかに宣言した11・9日比谷野音にこそ、戦争を阻止する展望があり、労働者階級の未来があったのだ。
殺し殺される侵略軍隊狙う
小泉は今や総選挙の結果を受け、直ちに一大反革命に出ようとしている。
それは一方では、自衛隊イラク本格派兵と海外侵略戦争への道、戦争と改憲の攻撃であり、他方ではリストラ・首切り、民営化などの資本攻勢、労働組合への弾圧と組織破壊、社会保障制度の解体、消費税大増税である。小泉が自民党の政権公約(小泉改革宣言)として10月10日に打ち出した10項目の政策こそ、こうした大反革命を集大成したものなのだ。
当面する最大の攻防は、イラク派兵攻撃との闘いである。小泉は11月19日からの特別国会の後に自衛隊派兵の閣議決定を行い、国会での論議を一切回避しつつ、12月中旬から来年1月にかけ、陸海空と文民(政府職員や民間技術者)の総勢1200人もの大規模派兵を強行しようとしている。「おおすみ」型輸送艦やC130輸送機(3機)と同時に、「自爆テロ対策」と称して対戦車弾や無反動砲、軽装甲機動車や装輪装甲車を携行し、侵略と虐殺の戦争に本格参戦しようとしている。
だがイラクは、米国防長官ラムズフェルドが「危険な仕事」と言い、米占領軍司令官サンチェスが「戦闘地域と非戦闘地域の区別は困難」と言う戦場だ。11月12日にはイラク南部のイタリア軍警察本部が自爆攻撃を受け27人もの死者が出た。日帝はイラク情勢に動揺しながらも、この同じ地域に敢えて本格派兵し、殺し殺される侵略軍隊、帝国主義軍隊として自衛隊を大転換しようとしているのだ。そのことで日帝の戦後的制約を一気に突破しようとしている。しかもイラクの次には、北朝鮮・中国侵略戦争への参戦をにらんでいるのである。
われわれは今、歴史の決定的な転換点に立っている。命をかけたゲリラ戦争への決起で米英占領軍を絶望的危機に追い詰めるイラク人民、ムスリム人民と連帯し、11―12月イラク派兵阻止闘争に総決起しなければならない。不安と怒りをつのらせる自衛隊兵士と家族に、イラクを侵略するな、イラク人民を殺すな、出兵を断固拒否しようと訴え、旭川、小牧、呉で派兵阻止の大闘争に立とう。
また同時に小泉は、社・共が惨敗し、改憲賛成派議員が3分の2を超え、「護憲勢力」が大後退したとして、一気に改憲(9条改憲)への攻撃を強めようとしている。小泉は選挙戦の過程でも、来年の通常国会に改憲の手続きを定める「国民投票法」などを提出すると言明した。教育基本法改悪阻止と並んで、改憲攻撃との攻防が一気に大決戦となった。
さらに、日帝は社会保障制度解体の重大な攻撃として、年金改悪にいよいよ踏み出してきた。11月12日、厚労省は厚生年金の保険料率を労資折半で年収の20%まで順次引き上げ(現在は13・58%)、給付水準は逆に54・7%まで引き下げる(現在は59・4%)という改悪案をまとめた。保険料を引き上げ、年金の給付は引き下げる、そして結局は消費税を大増税するという攻撃を小泉はかけてこようとしているのだ。
社・共に代わる労働者党を
小泉の大反革命は、これらの攻撃と同時に、有事立法としての国民保護法制・米軍支援法制、労組法改悪、共謀罪新設、沖縄SACO攻撃などなど、総選挙のクリアを契機として全面的に激化しようとしている。
11・9全国労働者総決起集会で切り開かれた国際連帯と日米韓の共同闘争の新たな地平に立って、この攻撃と闘う戦闘態勢を直ちに構築しなければならない。
もちろん日帝も小泉も、凶暴であると同時にものすごい危機である。イラク派兵を、逆に小泉の墓穴に転化し、政権をグラグラにし、打倒していくことは可能なのである。敵の矛盾と危機を見据えて闘いぬくことだ。
民主党・連合中央を打倒し、日共・全労連をのりこえて、国際連帯の旗のもと、労働運動の闘う新潮流を圧倒的に前進させよう。社・共に代わる闘う労働者党を建設する闘いを強めよう。11―12月イラク派兵阻止闘争を大爆発させ、04年の闘いに突き進もう。
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週刊『前進』(2127号6面3)(2003/11/24)
米海兵隊の実弾演習許すな 11・28北富士闘争へ
すべてのみなさん。
イラク人民への侵略戦争を展開している米軍は、11月28日より12日間にわたって北富士演習場で在沖縄海兵隊の実弾演習を強行しようとしています。北富士・忍草農民の入会地を無断、不法に使用しておこなわれるこの実弾演習は、イラク人民虐殺の侵略演習そのものであり、絶対に許すことはできません。北富士忍草母の会の呼びかけにこたえ、11・28北富士現地に結集されることを訴えます。
北富士演習場は、地続きとなっている静岡県側の東富士演習場とあわせて富士演習場と呼ばれ、演習場の広さは本州最大であり、沖縄とともに米軍が恒常的に演習している、本土で唯一の演習場です。
北富士演習場の半分は梨ケ原と呼ばれる広大な草原で、古来より地元の忍草農民の入会地でした。忍草は富士山麓の千bの高冷地にあり、火山灰土という厳しい自然条件のため、ここで農業をつづけるには、堆肥や馬の飼料のための採草地として、また燃料のソダの採木地として入会地が不可欠でした。
戦後米軍は、忍草農民の入会地・梨ケ原を、入会権利者に無断で演習場として使用してきました。この演習場無断使用に対し、忍草母の会は「入会地をかえせ」、「富士を朝鮮・中東につなぐな」と叫んで、米軍・自衛隊と体を張ってたたかってきました。たたかいの中で、1970年、1971年の二度にわたって、東京地裁から「梨ケ原に忍草農民の入会権あり」という判決もかちとってきました。
追いつめられた政府は、忍草農民への刑事弾圧、第二組合の育成などあらゆる手段で闘争の圧殺に出ていますが、忍草母の会は不屈のたたかいをつづけています。北富士は三里塚とならぶ人民の反戦・反基地闘争の砦(とりで)です。
2001年9月11日、中東への米帝の新植民地主義支配に対する、ムスリム人民の怒りの反米ゲリラ戦が爆発しました。米帝ブッシュは「テロ撲滅(ぼくめつ)」を叫んでイラク戦争に突入しましたが、この戦争は、イラクの再植民地化、イラク石油の独占のための侵略戦争です。小泉政権は「復興支援」、「テロに屈服するな」と、侵略の分け前を求めて自衛隊をイラクへ派兵しようとしています。さらに米帝は、北朝鮮への侵略戦争をも準備しています。このような、農民の入会地の無断使用、イラク人民虐殺の米軍演習は粉砕あるのみです。
今年7月28日、忍草母の会会長の渡辺喜美江さんが97歳で逝去されましたが、母の会は天野美恵事務局長を先頭に、渡辺会長の遺志を受けついで、11月28日、米軍実弾演習断固粉砕の決意も固く、現地闘争を開催します。北富士は、全世界でたたかわれているイラク反戦闘争と固く連帯してたたかう決意です。
みなさんの北富士への結集をお願いいたします。(全学連北富士現地闘争本部)
要項
入会地無断使用の米軍実弾演習粉砕
11・28北富士総決起集会
日時 11月日(金)正午
場所 忍野村・自衛隊北富
士駐屯地横民有地
主催 北富士忍草母の会
集会後、北富士演習場までデモ行進を行います。
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週刊『前進』(2127号6面4)(2003/11/24)
戦争・資本攻勢と対決し闘う革共同にカンパを
すべての『前進』読者のみなさん!
日韓米労働者の国際的連帯の11・9労働者集会の歴史的大成功の熱気と感動の中、圧倒的な年末一時金カンパを革共同に寄せられることを心からお願いします。
全日建運輸連帯関生支部、全国金属機械港合同、動労千葉の呼びかけた11・9労働者集会は、3100人以上の結集のもと日韓米の闘う労働組合と労働者が、国際連帯を深め、団結をうち固め、ともにスクラムを組んで闘っていくことを確認しあう画期的な集会となりました。「世界に戦争と貧困・大失業を強制する帝国主義に対し」「労働者の団結した闘いこそが生活と権利を守り、戦争を止め、我慢のならない社会のあり方を変える力です」「労働者が真に社会の主人公になる…社会をめざして大同団結しよう」という集会のアピールは、まさに新しいインターナショナルの創成ともいえる歴史的意義を持っています。
革共同は3労組とともこの集会の成功のために渾身(こんしん)の決起をし、この偉大な闘いの一端を担うことができたことを誇りに思います。動労千葉を始めとする原則的・階級的労働運動の実践に学び、自らその実践者となる闘いを全力で遂行した成果と言えます。同時に、この闘いをとおして革共同は、第6回大会で確立し推進してきた階級に根を張った労働者党の建設・新生マル青労同建設路線と「新たな指導路線」の勝利性に確信を深めました。
11・9労働者集会の勝利は闘いの出発点です。国際連帯の闘い、労働者党建設の闘いはこれから本格的に進められなくてはなりません。
01年9・11で世界は変わり、3・20イラク開戦でそれが加速され、帝国主義がますます基本矛盾を深め、帝国主義間の争闘戦的対立を激化させ、世界戦争危機を急速に醸成しています。これに対してイラク・パレスチナを先頭にした民族解放・革命戦争が爆発しています。帝国主義国における労働者階級の闘いも大失業・生活破壊の資本攻勢の嵐(あらし)の中で、もはやこのままでは生きていけないという根底からの壮大な決起となっています。帝国主義の歴史に終わりを突きつける世界史的な大激動の時代がやってきました。
今こそ「万国の労働者団結せよ!」を高々と掲げて、帝国主義打倒・プロレタリア世界革命に向けてたくましく前進する時です。
日帝・小泉政権は、イラクへの自衛隊派兵を強行しようとしています。北朝鮮侵略戦争策動を、強めています。革共同は「連帯し侵略を内乱へ」の総路線を断固堅持し、切り開いた国際連帯の闘いを発展させ、日韓米の労働者の闘う団結で、イラク反戦・日米の北朝鮮侵略戦争を止める闘いの実現に邁進(まいしん)します。
大幅賃下げなどの資本攻勢下で苦闘している『前進』読者のみなさん。この現実を変えるのは革共同の飛躍以外にありません。そしてみなさんの支援と協力が革共同をつくります。
労働者の闘う団結の強化に向け、国際連帯の闘いのさらなる発展に向け、イラク派兵絶対阻止のため、04年国民保護法制定、教育基本法改悪、労働組合法改悪・改憲攻撃との死活的決戦に向け、また獄中に奪われているすべての同志を取り戻すため、例年を上回る絶大な年末一時金カンパを寄せられるようお願いします。歴史的大事業を共に闘い抜きましょう。
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