ZENSHIN 2003/10/13(No2121
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週刊『前進』(2121号1面1) (2003/10/13)
自治労続開大会決戦に立つ
「21世紀宣言」の強行に全国労組交流センター自治体労働者部会などが絶対反対を訴えた(9月28日午前9時すぎ 東京厚生年金会館前)=記事2面
革共同の11月アピール
小泉=奥田に労働者の反撃を 10月反戦闘争から11月へ
民主党・連合中央の戦争翼賛と団結破壊うち破る新潮流登場を
第1章 日米韓の闘う労働者の国際連帯前進させよう
01年9・11反米ゲリラ戦―03年3・20イラク侵略戦争開戦以来の激動する内外情勢の中で、日帝・小泉の戦争政治と一大資本攻勢による生活・生存の破壊に対して、労働者の根底的な怒りが爆発的に拡大している。「侵略戦争は許さない」「帝国主義のもとでもう生きることはできない」「翼賛国会は我慢できない」。この怒りは、資本とその権力への闘う団結として解き放たれなければならない。 全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同、動労千葉の3組合が呼びかける11月労働者集会は、闘いと団結を求める全労働者の総団結・総決起行動の場である。
さらに、それは今日の階級闘争の国際的発展を土台に、資本・権力との鉄火の死闘の中から必然化する労働者国際主義の実現の第一歩である。帝国主義の侵略戦争を現実に阻止する力と、吹き荒れる資本攻勢―リストラと民営化の嵐を打ち砕く隊列は、日米韓の労働者の団結である。この壮大な国際的団結の旗が、今、11月労働者集会にひるがえろうとしている。この旗のもとに、怒れる労働者、闘いと団結を求め、総選挙=翼賛選挙を打ち砕こうとする全労働者は集まろう。
小泉が強行しようとしている10〜11月解散・総選挙は、自民党と民主党が奥田ビジョン―「構造改革」路線を競い、日本共産党や社民党の屈服・転向が進むとんでもない翼賛選挙となる。この大反動をぶっ飛ばして、日米韓の闘う労働者が巨大な規模で登場しなければならない。
革共同は、3組合の歴史的呼びかけにこたえて総決起することを決意する。
労働者階級への搾取と収奪、抑圧と支配、そして新植民地主義体制諸国人民の搾取・収奪・略奪・民族的抑圧と虐殺の上に立っている帝国主義諸国は、今やその矛盾を激化・爆発させている。一方で世界大恐慌情勢を、他方で帝国主義間の争闘戦をとどまるところなく激化させつつ、帝国主義の侵略戦争と世界戦争が現実化している。この過程と一体のものとして、全世界で資本攻勢がさらに激化し、労働組合的団結の破壊・変質から、ファシスト的な産業報国会運動への転化すら具体的にめざされているのだ。この中でレーニンのいう革命的情勢への移行が始まっているのである。
11月労働者集会は階級的団結=国際的団結の旗のもと、この階級社会=帝国主義社会の現実に、闘う労働者が真っ向から対峙・対決する闘いと行動であり、またその集約点であり出発点なのである。
イラク戦争の泥沼化
11月労働者集会に向け確認すべきことは何か。まず第一に、米英日帝のイラク侵略戦争の世界史的意味と重大性をしっかりと押さえなければならない。
イラク侵略戦争の本質は、世界で唯一の超大国としてふるまってきた米帝が、内外の深刻な危機に落ち込む中で、帝国主義間争闘戦の現状を戦争的手段をもって打開しようという新たな植民地侵略戦争である。石油資源の独占的支配と、中東・アラブ・ムスリム人民の闘いの圧殺のための帝国主義的侵略戦争である。
このイラク侵略戦争は、全イラク人民、ムスリム人民の民族解放・革命戦争の根底的な爆発・永続的激化を引き起こしている。その中で世界に君臨してきた米帝が、かつてのベトナム戦争よりさらに深刻なイラク侵略戦争の泥沼に全身ずっぽりとはまり込んでいるのだ。
ブッシュは9・7の全米向け演説で、イラク戦争が長引くことを正式に認め、米議会に対して合計870億j(10兆2千億円)もの巨額の補正予算〔軍事予算〕の要請をした。9月の国連安保理に「イラク多国籍軍に関する決議」を提出し、国連の名のもとでの諸国軍隊のイラク派兵による、米帝負担の軽減を図ろうとしたが、仏・独などはこれを事実上拒否し、修正=再提出を余儀なくされた。米帝(米英日帝)のイラク侵略戦争の長期化と泥沼化は、巨大な重圧となって米帝危機を深刻化させているのである。
特に、米帝は、イラク戦争による財政危機を抜き差しならないまでに膨らませている。この財政危機は米国債の多発に連動し、金利上昇を不可避とする。そして、この金利上昇は現在のFRB議長グリーンスパンのもとでの超金融緩和によるバブル的経済政策の引き延ばし政策の破綻(はたん)へと直結していく。超金融緩和こそ今日の自動車の前倒し販売や住宅バブルの支柱であり、米経済の大恐慌への崩落を辛うじて支えているものだからだ。
このイラク侵略戦争がもたらす米帝危機のもとで、米帝は「悪の枢軸」論の枠組みの中で、イランそして北朝鮮を大きく追い込もうとしている。だが逆に米帝にとって巨大な破綻点が、ここにこそ形成されるのだ。世界帝国として他帝国主義との争闘戦を勝ちぬこうとしている米帝は、イラクでどんなに七転八倒しようとも、イランや北朝鮮においてその世界政策が大破綻に陥り、そこから崩壊してしまうことを帝国主義である限り許容できない。こうして絶望的危機を拡大していく。結局、帝国主義は世界戦争へとのめり込んで行くしかないのだ。
今こそ、イラク侵略戦争の継続・激化と米日帝の北朝鮮侵略戦争策動に全面対決し、これを阻止する闘いを巨大に発展させなければならない。それはまさに〈新指導方針〉の実践であり、11月労働者集会の5千人結集の実現でなければならない。特に、今日、動労千葉が切り開いている日米韓労働者の国際連帯と団結による日米帝国主義との対決こそ、この戦争と闘う唯一の道なのだ。
第2章 戦争・改憲・大資本攻勢の小泉「構造改革」路線
第二に、この米帝危機に激しく対応した、日帝の「外への侵略戦争、内への階級戦争」の激化に、労働者の団結をもって総反撃しなければならない。
第2次小泉政権は、侵略戦争・改憲と一大資本攻勢の超反動政権である。
小泉は何よりも、対テロ特措法の延長強行によってアフガニスタン派兵を継続し、10・17ブッシュ訪日をテコにイラク派兵と巨額の戦費拠出を行い、日帝の本格的参戦という反革命的飛躍に踏み切ろうとしている。対北朝鮮でも、核問題・拉致問題を利用して、北朝鮮侵略戦争の体制づくりを推進しようとしている。
04年通常国会での国民保護法制や米軍支援法制の制定、沖縄への地位協定問題の押し付けと名護基地建設の強行、さらに自衛隊海外派兵の一般法・恒常法の制定に突き進もうとしている。
また、04年には教育基本法改悪案や労働組合法改悪案、国家公務員法・地方公務員法などの公務員制度改革関連法案の国会提出を狙い、改憲攻撃のプログラムの推進に全力を挙げてきている。
同時に第2次小泉政権は、日本経団連の奥田路線と一体となった一大資本攻勢を全面的に推進しようとしている。
日帝・小泉は、イラク侵略戦争に本格参戦し、さらに北朝鮮侵略戦争へと米帝と共同・競合しつつ突き進もうとしているが、この戦争過程は帝国主義間の市場争奪戦、勢力圏をめぐる争闘戦を極限的に激化させていくものである。
「所信表明演説」批判
こうした中で日帝・小泉は、すさまじい排外主義と国際競争力論(生存競争論)を振りかざしつつ、日本経団連・奥田路線を貫徹する巨大な反革命として、「構造改革」路線の推進=一大資本攻勢に突進しようとしているのである。
ここで重大なのは、この政治過程と対応して、9月25日に日本経団連が「政党評価基準」として10項目を出したことだ。その順番も内容も完全に03年1・1奥田ビジョンそのものであり、小泉所信表明と驚くほど類似しているのである。
今や、この小泉=奥田の「構造改革」路線との全面対決こそが、今日の資本攻勢との、したがって11月労働者集会への最大の激突点となっているのだ。この小泉「構造改革」路線の正体を、臨時国会での所信表明演説や奥田ビジョン−日本経団連「政党評価基準」と照らし合わせて、その反動性を暴かねばならない。
(1)小泉所信表明は、冒頭で「構造改革の痛みなくして日本再生はない」と叫び、奥田ビジョンの言葉そのままに「国から地方へ」「官から民へ」をうたっている。これは直接には、補助金廃止・縮減、交付税見直し、地方への税源移譲の「三位一体改革」、市町村合併―自治体統合のもとでの、公務員制度改革などによる国家改造と公務員の大リストラの強行である。そして何よりも、07年郵政民営化、05年道路公団民営化を始め、「公的業務の民託化」、公務員現業などの民営化の大攻撃である。小泉は「特殊法人改革」の進行の中で「地方独立行政法人法」を強行し、地方公営企業の「事業や組織形態の改革」=スクラップアンドビルドを新たな民営化の手法をもって大々的に推し進めようとしている。
これらは、「政党評価基準」の第3項「民間活力を引き出すための規制・行政改革」、第9項「地方の自立を促す制度改革」に完全に対応したものだ。
こうした新たな民営化攻撃は、国鉄分割・民営化として始まり、全産業に拡大した攻撃が、さらに郵政、自治体など全公務員労働者に対して襲いかかってくるものである。いうまでもなく民営化は、労働者への首切り、賃下げ、リストラ攻撃だ。最も核心的には労働組合の団結破壊である。それはまた全労働者を戦争へと動員していく大攻撃なのである。
今日、民営化攻撃との対決が、反戦闘争とともに、国際労働運動の共通の課題となっている。だが、この全世界に吹き荒れる民営化攻撃は、帝国主義の末期的な姿であり、労働者が国際的団結をもって闘うならば、必ず打ち破れるのだ。
(2)次に小泉は、ついに教育基本法改悪攻撃へのかじ切りを行った。所信表明では「日本発展の原動力は人」「人間力の向上」と、教育基本法改悪の核心の「たくましい日本人」に対応した表現で、戦争への精神的総動員を押し出した。その上で、「教育基本法の見直し」に「精力的に取り組む」と呼号しているのだ。
奥田ビジョンでは、すでに「教育への競争原理の導入」を打ち出している。今回の「政党評価基準」においても、第6項で「教育改革の推進」を、さらに第3項で「民間活力を引き出すための規制・行政改革」を挙げ、「医療・福祉、教育、農業への株式会社参入」(=民営化)をうたっている。教育基本法改悪は、まさに戦争、民営化の攻撃と一体である。したがってそれは教育労働者の組合的団結の解体、日教組の解体ぬきにありえない。これは、改憲(9条改憲)へと突き進む歴史的攻撃なのだ。
(3)また小泉は、年金・介護保険など社会保障制度改悪と、これと一体の消費大増税を推し進めようとしている。
所信表明では、「年金、医療、介護は、社会保障の基本」「公平で持続可能な社会保障制度を構築」と述べ、特に「年内に年金改革案を取りまとめ、来年の通常国会に法案を提出」するとし、公然と社会保障制度解体に踏み込んだ。
また「厳しい財政状況の中、多年度で税収を考え、減税を先行する」と言い、法人税を大幅に引き下げた上で消費税などの大増税を押し出したのである。
この社会保障制度改悪と大増税(法人税減税)こそ、奥田ビジョンが第一義的に具体的に打ち出している反労働者的な内容である。これは、社会保障負担・年金負担をすべて労働者人民に増税として押しつけ、社会保障制度を解体し、切り捨て、生活・生存の破壊に追いやるものなのである。まさに徹底した大衆収奪であり、断じて許すことはできない。
ここで注目すべきなのは、この年金解体、医療保険解体の攻撃との闘いもまた、国際労働運動の共通の最も深刻で激しい攻防となっていることである。
(4)さらに所信表明で「この3年間で約200万人の雇用が創出された」というのは、労働法制の改悪など「規制や制度の改革」によって、正規雇用労働者の削減が進み、不安定雇用労働者が大幅に増加したことを意味する。
政党評価基準の第7項「個人の多様な力を活かす雇用・就労形態の促進」(労働市場・基準の規制緩和)とは、首切りと労組解体が狙いの労働法制改悪のことだ。ここで重大なのは、日帝・小泉が、今春の労働者派遣法、職安法、労基法改悪に続き、司法制度改革と一体のものとして、ついに労働組合法の改悪に踏み込もうとしていることである。
今回の労組法改悪では、「不当労働行為審査の迅速化」「個別紛争処理の迅速化」を口実にして、労働委員会制度を空洞化・解体し、集団的労使関係を否定・解体することで、労働組合の団結権そのものを徹底的に解体しようとしている。さらに重要なのは、労組法に°和解″を明記しようとしていることだ。これは、資本の不当労働行為を刑事罰をもって規制し、曲がりなりにも労働者の団結権を守ろうとしてきた労組法の根本原理を、完全に転覆しようとするものである。
第2次大戦後、この労組法は教育基本法に先駆けて成立した。この二つの法によって戦後憲法制定に至るのである。労組法の団結権は労働基本権のかなめである。この改悪は教育基本法改悪とともにストレートに改憲攻撃そのものなのだ。
また所信表明では、司法制度改革を押し出しつつ「国民の安全と安心の確保」を「政府の基本的な責務」とし、警察官の増員、出入国管理体制の強化を叫んでいる。このような治安弾圧体制の強化は、労働法制改悪と一体であり、ここに共謀罪新設策動のどす黒い狙いがある。
第3章 連合の産業報国会化を労働者の反乱で打ち破れ
第三に、第2次小泉政権のもとで民主党と連合中央が挙国一致と翼賛政治体制に突き進み、奥田路線と一体で労働者に襲いかかってくる情勢と、4大産別決戦を先頭に全面対決することである。
帝国主義は、労働者を労働地獄にたたき込むばかりか、その団結を破壊し、さらには帝国主義的排外主義とナショナリズムで強引にねじ伏せ、資本と権力に積極的に協力させることによってしか、この危機と戦争の時代に延命することはできない。そのためにこそ連合を産業報国会型の労働運動に変質させ、労働者を支配し、動員しようとするのである。
今こそ、日帝の侵略戦争への翼賛政治と連合の産業報国会化に、11月労働者集会の大結集で全面対決し、労働運動の分岐と地殻変動を巻き起こし、労働者を巨大な規模で獲得しなければならない。
連合中央は、昨年5・16連合見解以降、03春闘をとおして、帝国主義的労働運動への純化を加速させた。それは5・15有事法制強行における民主党=連合の大裏切りという戦後最大の反革命(さらに連合の7・16論憲論と改憲容認)となって、労働者階級に襲いかかった。
だが動労千葉の3月ストライキと20労組の決起が、この大反動を切り裂いた。そしてこの反転攻勢は、動労千葉の7〜8月の国際連帯と、さらに8・28自治労大会での「21世紀宣言」否決という歴史的情勢を押し開いた。これは、まぎれもなく89年以来の連合支配体制の瓦解(がかい)、および労働運動の新たな流動・再編・高揚の始まりである。
「自治労21世紀宣言」こそ、奥田ビジョンを労働運動の側から積極的に推進するものであり、それは連合大会に向けて出された「連合評価委員会報告」と同一の内容である。実際、10・2〜3連合大会を前に笹森会長自身が小泉所信表明と寸分たがわぬ「日本再生」を叫び、さらに帝国主義的労働運動化、産業報国会化を決定的に推進しようとしている。だが100万自治労での決起は、全逓、日教組を始め700万連合を揺さぶった。
一方、9月国労大会では、革同の大裏切りにより、このような階級的労働運動の胎動を阻むかのような、闘争団22人の権利停止処分、警察労働運動の酒田執行部の登場という大反動が生まれた。
だが、これらの反動を打ち破り、9・28自治労続開大会では、4分の1の絶対反対派が不屈に形成された。この自治労で起きた流動と新しい闘いの芽は、4大産別で、全産別で、そして民間中小のすべての組合で、さらには未組織労働者の中で、普遍的に起きている事態である。今こそ、この階級的労働運動の再生と高揚のうねりを、労働者階級の新たな国際的団結として打ち固め、11月に闘う新潮流を大登場させなければならない。
この情勢は、日本共産党・全労連にも激震を走らせている。日共新綱領案での「資本主義の枠内での民主的改革」は、「自治労21世紀宣言」や「連合評価委員会報告」以上に、労働者階級や階級闘争の概念を完全追放するものだ。今こそ全労連傘下の多くの労働者に、スターリン主義から脱却し、反スターリン主義・革命的共産主義運動へと結集することを大々的に呼びかけるべき情勢なのだ。
今や連合、全労連、あるいはJR総連のもとで始まった反乱を、労働者の階級的団結=国際主義的団結へと高め、戦闘的労働組合と革命的労働者党のもとに強く結集していかなければならない。
11月総決起への課題
それでは、11月労働者集会の歴史的大結集へ向けて確認すべき課題は何か。
第一に、今こそ動労千葉がどのように闘い、またこれから闘いぬくのかを、自らの切迫するリアルな課題としてとらえきらなければならないということだ。『俺たちは鉄路に生きる2』の中に凝縮された労働運動の実践を自ら血肉化し、“動労千葉のように闘おう”を、具体的に、初めはどんなにたどたどしくても、ひたむきに実践することである。
第二に、自治体労働者の巨万の組織化を先端として、4大産別における階級的な組織化をかちとりつつ、自治労決戦を継続・発展させ、さらに12・1〜2の全逓臨大、04年3月の日教組臨大をそれぞれ一大決戦として全力で闘うことだ。
第三に、11月労働者集会を、イラク派兵阻止と労働運動の国際連帯、そして超反動の小泉政権とその戦争翼賛政治をぶっ飛ばす、闘う労働運動の新潮流の最大の総決起集会としてかちとることだ。
第四に、11月労働者集会を組織化する柱として「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」の組織化と保釈闘争を、全力で推進することだ。これは、今日も依然として最大の白熱的攻防点である国鉄1047名闘争の発展と一体であり、国労再生の闘いそのものだ。また全労働運動が直面する治安弾圧との闘いであり、共謀罪新設粉砕の闘いとも一体である。
第五に、11月労働者集会の最大の組織化の環は、青年労働者の組織化であり、マル青労同建設の闘いだ。マル青労同建設は党建設と完全にイコールである。
今こそ革共同の〈新指導方針>を全力で実践し、中央指導部を先頭とする革命的自己変革をかちとっていこう。そしてレーニンの革命的情勢に対応した三つの義務(宣伝・扇動、革命的大衆行動、党建設)を貫徹し、労働者の中へを実践しよう。10月反戦政治闘争に決起し、11月労働者集会の大結集へと突き進もう。
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週刊『前進』(2121号1面2) (2003/10/13)
イラク派兵と戦費拠出狙う 10・17日米首脳会談粉砕せよ
本格的な参戦へ
ブッシュ米大統領が10月17日に訪日し、小泉首相との日米首脳会談を行おうとしている。今回の会談の最大の目的は、米帝ブッシュが日帝・小泉に自衛隊のイラク大規模派兵と巨額の戦費拠出を要求することだ。しかも小泉は、米帝との共同=競合の関係の中で、これに全面的にこたえ、イラク侵略戦争に本格的に参戦しようとしている。
この超反動的な10・17ブッシュ訪日−日米首脳会談粉砕へ、渋谷・宮下公園での首都圏行動に立とう。
日帝はまず、イラク特措法に基づき、航空自衛隊のC130輸送機5機を派遣しようとしている。周辺国とバグダッド周辺やイラクの主要都市間で水や食糧などの物資輸送にあたる。さらにイラク北部の都市に陸上自衛隊の施設部隊を50〜100人規模で派兵する方向で検討している。
イラク占領の拠出金について、アーミテージ米国務副長官は「イラクからの石油供給を安定させることは日本の国益にも資する。日本は持ち前の寛大な精神を発揮して貢献するだろう」と語り、日本の国連分担金比率の「2割程度」を事実上要求している。米帝は「復興」費用として、米政府が04年度補正予算に盛り込んだ約220億円に加え、数年間で300億〜400億jとの見積もりを示しており、2割だと約60億〜80億j(約6600億〜8800億円)に達する。
小泉は衆院で29日、「イラク復興支援は国際協調のもと、わが国にふさわしい支援をする」と述べ、巨額の拠出金を出す考えを示している。
また10月10日にも解散が迫る臨時国会では、自衛隊がインド洋―アラビア海で米英艦などに給油を行うテロ対策特措法の期限を2年延長する改悪案の審議が始まった。延長しなければ11月1日で期限切れとなり、海上自衛隊の艦艇3隻は引き揚げる。「テロ特措法改正案成立は至上命題」(防衛庁幹部)なのだ。
こうした中で開かれる日米首脳会談の超反動性はあまりにも明白だ。
激化する争闘戦
今日、各国帝国主義がイラク「復興」を口実に、石油略奪と世界支配をめぐり国連などを舞台として、1930年代さながらの帝国主義的な争闘戦と軍事外交を繰り広げている。
米帝のイラク軍事占領の絶望的な泥沼化の中で、ブッシュ政権は、イラクへの多国籍軍派兵を求める国連安保理決議案を要請した。しかしイラク支配と石油利権をめぐる米帝と仏独帝(ロシア)の矛盾・対立は解決しがたく、新決議のめどは立っていない。また決議がなったとしても仏独が派兵する可能性はあまりない。イラク軍事占領と植民地支配のヘゲモニーを手放そうとしない米帝との間に、根底的な矛盾があるのである。
このような帝国主義的な争闘戦と軍事外交の展開の中で、小泉政権は、今回の日米首脳会談で、日帝が米英帝とともにイラク侵略戦争に全面的に参戦し、軍隊も金も出す、と表明しようとしているのだ。
これは日帝の本格的な侵略戦争突入として、戦後史を画する重大情勢なのである。
他方で小泉は構造改革と称して、労働者階級に対して倒産・解雇・賃下げ・不安定雇用化、労働法制・社会保障制度解体の大攻撃に踏み込み、巨額の財政をイラク侵略戦争に投入しようとしているのだ。外への侵略戦争と内への階級戦争は一体の攻撃なのである。
反戦共同行動委が呼びかける10・17日米首脳会談粉砕の首都圏行動に決起しよう。自衛隊のイラク派兵を阻止しよう。ANSWERなどが呼びかける10・25国際反戦統一行動に立とう。
大失業と戦争に立ち向かう日米韓の労働者の国際的団結をつくりだすために、11月労働者集会への大結集運動を展開しよう。
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週刊『前進』(2121号2面1) (2003/10/13)
自治労続開大会 21世紀宣言は断じて認められぬ 再提案・採決強行に猛反撃
4分の1の絶対反対派が登場
自治労は9月28日、東京厚生年金会館で第74回定期大会の続開大会を開催し、新綱領「自治労21世紀宣言」の採決を強行した。「21世紀宣言は認めないぞ!」「労使共同宣言粉砕!」。採決結果が報告されると、傍聴席から怒りのシュプレヒコールが上がり、大ホールに響き渡った。投票総数1000票のうち賛成が748票、反対が238票、無効・白票が14票で、3分の2を上回り可決された。だが、4分の1の確固とした反対票がたたきつけられたのだ。そもそも8月28日、横浜大会で否決された事実は消えない。代議員は明確に「『21世紀宣言』否決による自治労の再生」を選択したのだ。自治労本部はこの1カ月の間に、反対派代議員を恫喝し締め付けることに奔走した。そして「一事不再議の原則」をも踏み破って再提案・採決を強行した。自治労結成以来の歴史的暴挙である。これをめぐって非和解的な分岐が起こった。ここから自治労の真の再生が始まるのだ。「労使協働」をうたう「21世紀宣言」は、小泉構造改革のもとで強まる自治体リストラや戦争動員の攻撃と闘う現場組合員とは相いれない。絶対に認めることはできない。全国から弾劾と抗議の声を本部へ集中しよう。われわれはあらためて職場から「21世紀宣言」を一掃し闘うことを宣言する。
新綱領は「労使共同宣言」
横浜大会での第2号議案「21世紀宣言」の否決という事態を受けて、自治労本部は大会を休会にし、「21世紀宣言」を、ごく一部の「修正」の上で第14号議案として提案するという暴挙に打って出た。°こんなことを強行した自治労は労働組合として二度と立ち上がることはできない″と組合員から猛反発を受けて追いつめられた本部は、職場討論など一切組織しないで、なりふり構わず反対派県本部を恫喝した。自治労の団結を決定的に破壊して回ったのだ。しかも選ばれた代議員を一部で代替えするという不正まで強行した。これが組合民主主義を唱える自治労がやることか!
続開大会での議事運営は、デタラメきわまりないものだった。議長が冒頭に「執行部から提案が求められている」と告げると、代議員が発言を求めた。だが議長はこれを無視し、君島書記長が「『21世紀宣言』を第14号議案として提案することについての説明」と称して事実上の議案提案を行った上で、「議案として扱うことについての承認を求める」と言い放った。「一事不再議」の問題に暴力的にふたをしようとしたのだ。激しいヤジがたたきつけられた。議長は一切の動議を認めず、挙手による採決を強行した。
そして一気に北岡委員長のあいさつに持ち込んだ。これに対して、「議長不信任」の動議が静岡県本部の代議員からたたきつけられた。だが趣旨説明も行わせずに挙手で少数否決とし、竹花副委員長による「21世紀宣言」の提案を強行した。一層激しいヤジと怒号に包まれた。
討論は、わずか1時間で打ち切られた。あらかじめ発言を10人に限定したのだ。動議を提出した静岡の代議員が「一事不再議は認められない」と迫ったのを始め、「ゾンビのように死んだ者を生き返らせるのか。『労使協働』はありえない」(埼玉)、「本部役員が来たが納得できない。修正案を用意した」(愛媛)、「『労使の協働』と『自立した市民社会』は盛り込むべきではない」(静岡)と、4人の代議員が反対討論を行った。逆に賛成討論をしたのは鳥取、福岡、滋賀、大阪の代議員で、青森、大分は事実上賛成だが「状況の変化に対応し改訂すべき」という発言だった。
竹花副委員長も答弁で「不磨の大典ではない」などと言わざるを得なかった。その上で採決・可決を強行したのだ。
誰も自信を持って°これこそ自治労の綱領だ″と言えず、決める前から「改訂」を問題にしなければならないようなものなど、綱領とは言えないのだ。
闘う新潮流が鮮やかに台頭
続開大会までの「歴史選択の1カ月」で明らかになったことは、けっして労働者は平定されていないということだ。依然として自治労組合員は連合の戦争翼賛化、新たな「産業報国会」化に対して闘おうとしている。反対派13県本部が分解したにもかかわらず、4分の1の反対票は微動だにしなかった。役員選挙では反動大阪府本部の植本真砂子書記長候補に、「21世紀宣言」反対票を上回る289票の不信任票が投じられた。この流れはもはや後戻りすることはない。
「1カ月決戦」の過程で、翼賛化した民主党はもとより、社民党が賛成に回り、新社会党が動揺を重ね、協会派が瓦解(がかい)した。その中で断固として絶対反対を唱えたのは新潮流派だけだった。
自治労本部の新委員長に選出された人見一夫東京都本部委員長は、9月18日付で「介入を許さず、毅然(きぜん)と対応をはかる要請について」という、全国労組交流センター自治体労働者部会を名指しし敵意をあらわにした都本部通知を発文した。にもかかわらず都本部代議員の3分の1の反対派はまったく崩れず、逆に反対票は拡大した。人見新委員長の就任あいさつは、かつてない「早くやめろ」というヤジに迎えられた。
全国労組交流センター自治体労働者部会は、早朝から警察とファシスト・カクマルが結託した弾圧策動を打ち破り、「再提案にノー、採択に『×』を」というビラをまき、宣伝カーから声を限りに訴えた。採決が強行されるや、直ちに「断じて認められない」というビラをつくって組合員に配布し、新たな闘いを呼びかけた。
横浜大会へ向けた「1年間決戦」と続開大会までの「決戦の1カ月」をとおして、東京・首都圏を中心に新潮流派が鮮やかに台頭したのである。
奥田ビジョンと一体の内容
「21世紀宣言」は旧綱領にある「労働運動の階級的使命」を放棄して、当局や資本に屈服して「協働」を誓う、歴史的な「労使共同宣言」である。
自治労が続開大会へ向かう過程は、同時に小泉第2次改造内閣が成立する過程でもあった。小泉首相は所信表明演説で、「日本再生」を声高に叫び、「国から地方へ」「官から民へ」と地方自治体の切り捨てと大民営化構想を打ち出した。市町村合併や三位一体改革をとおして、地方自治体を切り捨て、民間的手法を駆使して大行革リストラ、首切り・賃下げを強行するということだ。さらに公営企業の民営化、地方独立行政法人化、解雇、分限免職を狙っている。
小泉演説の背景には日本経団連の「奥田ビジョン」がある。奥田ビジョンは「このままでは日本は崩壊する。それを再生させるためのグランドデザイン」として提出された。
ところで自治労「21世紀宣言」を見よ! 「奥田ビジョン」とまったく同じ内容ではないか。北岡委員長らは「小泉政権と闘うために自治労再生を」と言った。だが、彼らの言う「自治労再生」とは小泉や奥田の「日本再生」と一体なのだ。「日本再生」のために率先して小泉・奥田路線を推進することを政府や資本に宣言したのである。それが「21世紀宣言」なのだ。
小泉改革粉砕・本部打倒へ
同時に、この「21世紀宣言」は連合路線の先頭を行くものでもある。10月2、3日の連合大会は、奥田ビジョンとうり二つの「連合評価委員会報告」を方針化し、本格的な帝国主義的労働運動として戦争に協力する新たな「産業報国会」へ踏み出すことを宣言した。
「21世紀宣言」との闘いは単に一自治労をめぐる攻防ではない。ブッシュの世界戦争政策と大失業・大恐慌に際して、全世界の労働者は連帯し新しい時代を見いだす力をとり戻そうとしている。イラク侵略戦争に対し、全世界で2千万人を超える労働者が決起した。日本でも動労千葉がストに決起し、陸・海・空・港湾労組20団体を中心に画期的な闘いが始まり、連合傘下の労働者に決起を促した。これに対して連合・民主党は有事法制を成立させ、改憲への道筋をつけた。戦争翼賛組合か戦争拒否組合か、首切り・合理化推進運動か、闘う労働運動の再生か――文字どおり労働者の未来をかけた選択が問われているのである。
こうした中で連合の最大産別・自治労で「21世紀宣言」を否決するという劇的事態が生み出された。これは有事法制下での小泉・奥田に対する決起だった。さらに連合支配の崩壊と地殻変動の開始である。
「21世紀宣言」をめぐる攻防の決着はまさにこれからだ。イラク派兵阻止の闘いとともに、小泉構造改革が現場で激突点を迎える。公務員制度改革のための国家・地方公務員法改悪、教育基本法改悪など、次期通常国会への法案提出で激突は不可避である。
03秋季確定闘争は賃下げ攻撃との決戦となる。人事院は不利益不遡及(そきゅう)の原則に反した「減額調整措置」を「制度調整措置」に転換すると称して史上最大のマイナス勧告を強行した。自治労本部はこれを評価して、12月実施に全面的に協力し、賃金闘争を放棄しようとしている。激しい民営化攻撃の中で整理解雇が開始されている。「21世紀宣言」はこれらを推進するものだ。
しかし、現場では「21世紀宣言」とはかけ離れた闘いが繰り広げられている。闘わなくては生きられないのだ。今こそ、連合指導部を打倒し闘う労働運動の新潮流が求められている。自治労中央を打倒して闘う執行部をつくりだそう。
なんとしても11月労働者集会を成功させよう。本当に力ある新潮流が必要なのだ。「21世紀宣言」をめぐる攻防が生み出した自治体労働運動の新潮流を、大挙して11月労働者集会に登場させよう。自治労と労働運動の戦闘的再生のためにさらに奮闘しよう。
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週刊『前進』(2121号2面2) (2003/10/13)
“向山被告の荷物を見た”という貞山証言は偽証だ
国労弾圧8被告の即時保釈を
10・7不当逮捕から1年も勾留
昨年10月7日の国労5・27臨大闘争弾圧の第1次不当逮捕から1年が経過した。8人の被告たちをこれ以上、勾留し続けることは断じて許されない。被告たちは、国労本部派による闘争団除名の策動に反対し、国労大会でビラをまいた。国労組合員として当然の行動を口実に逮捕・起訴され、1年にもわたって長期勾留されているという事実そのものが、この弾圧の不正義性を示して余りある。
このことをすべての労働者人民に明らかにし、10万保釈署名と「許さない会」5千賛同会員を達成しよう。どんなに遅くとも年内には被告の保釈を実現する決意を打ち固め、今こそ運動を強めよう。
公判闘争は、重大な決戦に入っている。10月6日の第13回公判は、国労提出ビデオテープの撮影者である鈴木勉・東京地本法対部長に対する証人尋問が、弁護側の主尋問から始まる。
国労本部・東京地本一部幹部と警視庁公安部が結託し仕掛けてきた、本件弾圧の実態と真相が、当事者の証言で全面的に暴き出される時が来たのである。
検察側は、第10回から3回の法廷で、警察官証人・貞山明(警視庁公安一課、警部補)の尋問をとおして「向山=リーダー」論をデッチあげようと策動した。弁護団と被告団は、それを激しく追及し打ち破った。警察官証人・遠山文雄(国労ビデオを領置した)の尋問に続く勝利は、検察側立証の破綻(はたん)をさらに拡大させている。
検察側は、第10回公判のわずか2日前、突如、貞山証人の「立証趣旨拡張請求書」を裁判所に提出した。
貞山証人の本来の立証趣旨は、「杉並ビデオの押収手続きに関与した事実」だった。それに加えて、@「杉並ビデオと国労ビデオを見分して解析し、その結果を書面にした事実」、A「杉並共同購入会館の状況」、B「犯行直後の現場の状況等」の3点を立証するというのである。
検察側は、@で、ビデオの静止画像についての警察の見方を法廷で証言させることで、本件の罪体(起訴状に記載された公訴事実)に関して裁判所に重大な予断を与えようとした。
そしてAで、向山被告が杉並の都革新事務所に個室を保有していたというウソ、Bで、向山被告が現場で集団全体の指揮をとっていたというデマを繰り広げ、「向山=リーダー」論を押し出そうとした。
「向山=リーダー」論こそ°外部勢力である中核派が国労組合員に暴行を加えた″とする検察側がデッチあげたストーリーの根幹をなしている。検察側は、事件が共謀に基づき計画的・組織的に実行され、その「リーダー」が向山被告だということを、この時点で裁判所にすりこみ、予断を与えようとしたのである。
だが、弁護側による反対尋問で、貞山証人のウソとデマはたちまち暴かれた。
荷物が置かれたのは逮捕のあと
貞山は、01年4月ないし6月ころの杉並事務所への家宅捜索の際に、検察側が「向山被告の個室」と称する部屋に、「向山」の「荷札」が張ってある段ボール箱があり、その中に「清水丈夫選集」など前進社発行の書籍があったのを見たと証言した。だが、これは百パーセントのウソである。
01年4月ないし6月は都議選の終盤戦過程であり、そこは臨時に選対関係者の部屋として使用されていた。そこに向山被告の荷物が名札付きで置かれていることなどありえない。そこが現在のような物置部屋となったのは、都議選が終わってからのことである。
貞山はまた、昨年10月7日の家宅捜索の時、帰り際にこの部屋をのぞいて、「(01年の時と)雰囲気が変わっていないのだけ確認した」と証言した。これも真っ赤なウソだ。都議選前と後では、この部屋の「雰囲気」はがらりと違うものになっていたのだ。
弁護団の追及に対して、貞山は、名札付きの箱の存在については、「その時は確認していない」と返答した。この部屋に関心を持ち続けていたと自慢する者としては、首尾一貫しない不自然きわまる答えである。
向山被告はこの日、家宅捜索後に逮捕された。この部屋にその箱があったとしたら、逮捕の際にそれも捜索されていたはずだ。しかし、その事実はない。
その箱がこの部屋に置かれたのは、彼が起訴された02年10月28日以降である。01年の段階で、貞山が向山被告の荷物を見たなどということはありえない。
10月7日の捜索差押調書には、この部屋は「北側更衣室」と記入されている。貞山は、この記載について聞かれると、長い沈黙の後、「ちょっとわかりません」ととぼけたが、さらに追及されて、小さな声で「北側更衣室」と答えざるをえなかった。
10月7日の時点では、警視庁公安部はこの部屋を「北側更衣室」と認識していた。11月13日の検証の際、この部屋に向山被告の名札付きの箱が数個あったことから「向山被告の個室」とされたというのが、事の顛末(てんまつ)なのだ。
この部屋が01年春からずっと向山被告の個室だったという貞山証言は、徹頭徹尾ウソであり、裁判所を欺く偽証にほかならない。
さらに検察側は、バスが出発した後、現場に到着したにすぎない貞山に、「犯行時の状況がどのようなものであったかを推認せしめる」証言をさせるとしていた。その狙いもまた、「向山=リーダー」論をデッチあげることにあった。
「向山=リーダー」論の破綻は明白
ここでも作り話が飛び出した。貞山は検察側主尋問で、「おまえが頭(あたま)か」と言ったら、向山被告が「困った表情を浮かべた」と証言した。だが、貞山自身が作成した「現認状況報告書」には、向山被告が貞山を「にらみ付け」たとあり、証言とは食い違っている。
向山被告が怒りに燃えて立ち上がり、「『おまえが頭か』というヤクザのような言葉は覚えているはずだが、私は覚えていない。あなたがウソをついているのではないか」と貞山を厳しく追及した。そして、「裁判長! 今、私が言ったことが事実です」ときっぱりと発言した。これで勝負はついたのだ。
こうして、ビデオの証拠採否をめぐる局面で「向山=リーダー」論の立証を強引に押し込もうとした検察側のたくらみは、逆に彼らの墓穴を掘ったのだ。
貞山証人尋問をめぐる攻防を経て、被告と弁護団は勝利に向かってさらに前進した。この闘いにこたえ、被告の即時保釈と無罪獲得へ総決起しよう。
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週刊『前進』(2121号2面3) (2003/10/13)
闘争団処分に抗議 撤回を求め緊急集会
9月25日夜、飯田橋のシニアワーク東京で「闘争団への統制処分撤回・書記局への強制配転に反対する緊急集会」が開催された。国労大会で強行された闘争団員22人の「組合員権3年の権利停止処分」決定に抗議する緊急行動である。
冒頭、主催者あいさつに立った国労組合員は「現役の国労組合員の処分は、64年『4・8声明』の時以来のことだ。腹を据えて、国労、全動労、動労千葉の1047名闘争陣形で運動を広めよう」と訴えた。
高知短期大学名誉教授の芹沢壽良さんが講演を行い、「国労は4党合意以降、組合民主主義を否定し、警察権力を導入した大会を重ねてきた。1047名闘争は全動労も動労千葉も含めた闘争だ。3労組が共同したらもっと前進できる。4党合意が破棄された今、新たな展望が開かれている。国労本部の闘争団処分は、これにまったく逆行した対応だ」と批判した。
国労に人権と民主主義を取り戻す会の共同代表が激励・連帯のあいさつ。査問委員会で闘争団員の弁護人を務めた国労組合員も不当処分を強く弾劾した。
処分された闘争団員が登壇し、22人の闘争団員が連署した「査問委員会答申の統制処分撤回を勝ち取るアピール」を読み上げた。
最後に「私たちは、国労本部が22名の闘争団組合員に対する統制処分及び書記局への強制配転を撤回するまで、その撤回を求め、国労本部に対しあらゆる要請行動を取り組む」という集会決議を採択した。
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週刊『前進』(2121号2面4) (2003/10/13)
資本攻勢&労働日誌 2003 9月12日〜26日
郵政民営化基本方針を来秋策定 民間賃金5年連続減少/AFL−CIO会長逮捕
●06年度末、失対事業が完全廃止へ 厚生労働省「特定地域開発就労事業の在り方に関する調査研究会」は54年間続いてきた失業対策事業中、最後まで残っていた特定地域開発就労事業を06年度末で廃止すべきと報告。(12日)
解説記事
●国労大会、闘争団員処分決定 国労大会が14日まで開かれ、鉄建公団訴訟に参加する闘争団員22人を、権利停止処分にするとの査問委員会答申を承認した。(13日)
●社会保障費の企業負担5%増 日本経団連の加盟企業の02年度の従業員数は、95年度比で16%減だが、企業の社会保障費負担は5%増加していることが、日本経団連の調査で分かった。1人当たりの社会保障費負担は76.0万円から94.8万円と25%増加。(13日)
●AFL−CIO・スウィーニー会長逮捕 米国のAFL−CIO(労働総同盟・産別会議)のジョン・スウィーニー会長が逮捕された。8月27日からストを続けているイエール大学の労働者支援のため、大学構内での集会に参加し、大学業務妨害の容疑。(13日)
●地域別最賃、5県で引き上げ 厚労省は、03年度の地域別最低賃金の改定状況をまとめた。山形、神奈川、香川、福岡、沖縄の各県で1円の引き上げ。これ以外の42都道府県で据え置き。(16日)
●人勧実施を閣議決定 政府は閣議で一般職国家公務員の給与改定を人事院勧告どおりに実施することを決めた。(16日) 官房長官談話
●運輸労働者が立てこもり 宅配会社「軽急便」名古屋支店に委託労働者が給与振り込みを要求して火を放ち死亡した。背後に「見せかけの自営業者」の増加という雇用構造の変化が。(16日)
●全労連が賃闘交流集会 全労連は賃金闘争交流集会を開いた。(17日)=要旨別掲
●UIゼンセン同盟定期大会 民間最大単産のUIゼンセン同盟(82万人)は、18日まで定期大会を開き、1年間で5万人組織拡大達成などの計画を決定。(17日)
●「貯蓄ない」全世帯の2割 金融広報中央委員会が発表した家計の金融資産に関する世論調査では貯蓄のない世帯が全体の21.8%と40年ぶりの高水準。(22日)
●中電、サービス残業最大級6500人 中部電力は、労働者約6500人に「サービス残業」があり、未払い賃金計9億3000万円を支払ったと発表した。(22日)
●民間給与5年連続減少 民間企業に勤める人の02年1年間の1人当たりの平均給与は447万8000円で、前年より6万2000円(1.4%)減ったことが国税庁の民間給与実態統計調査で分かった。(22日)
●郵政民営化、来年秋までに基本方針策定を指示 小泉首相は、政府の経済財政諮問会議で来年秋までに07年民営化の基本方針を策定するよう指示。諮問会議は来年春にも中間報告を公表。(26日)
全労連の賃金闘争交流集会の討議内容
・今後の賃金闘争の方向として「国民総ぐるみの賃金闘争」を提起。底上げ要求を柱に、官民共同で通年の賃金闘争を繰り広げるとの内容。
・賃金は生計費原則を基本に、@全国一律最賃制、A自治体での公契約条例制定、B専門性を公正に評価する賃金、C均等待遇による賃金格差の是正−−などを要求し、底上げを図る考えという。
・全労連賃金委員会の大木寿委員長は専門性を評価する賃金については「職務給・職能給につながる恐れがあるが、公正な配分を重視する」などと語った。
〔解説〕
これは、「通年闘争」というかたちで春闘を否定し、「底上げ要求」というかたちで大幅賃上げ要求を否定するもの。職種別賃金への屈服である。
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週刊『前進』(2121号3面1) (2003/10/13)
イラク派兵阻止へ一斉行動
イギリスの戦争阻止連合などが呼びかけた全世界一斉行動に、9・27渋谷ワールドアクションを始め各地でさまざまな団体がイラク反戦闘争に立ち上がった。次は10・25国際反戦行動に全国で立とう。
10・25に5千人デモを ワールドアクション 渋谷で300人ウォーク
「10月25日、ワシントンデモの先頭に兵士の家族が立とうとしています。自衛隊員とその家族が胸を張ってイラク占領と派兵に反対できる、そういう情勢をつくっていきましょう!」
(写真 多くの青年労働者・学生が注目する中、「自衛隊はイラクへ行くな」と、渋谷の公園通りをデモ【9月27日】)
司会の女性が声を弾ませ9・27全世界一斉行動として取り組まれた渋谷ワールドアクションが始まった。
若い女性労働者が主催者発言に立ち、「きょうは世界の40カ国以上でイラク反戦同時行動が実行されています。国境や時差を超えて渋谷デモを大成功させましょう」と呼びかけ、「10月25日は大きなチャンスです。みんなの力で政府を追い詰め、自衛隊のイラク派兵を絶対にやめさせましょう。10月25日、5千人を超える大規模な人数をこの宮下公園に集め、世界大行動を日本で大成功させましょう」と訴えた。
イギリスの戦争阻止連合の男性が「ウソをついてイラク戦争で人を殺しているブレア政権はもうすぐやめちゃう。皆さん、日本でも小泉をやめさせる闘いをしましょう。戦争がいらない世界をつくるために10・25をがんばりましょう」と連帯アピールを行った。
反戦自衛官の小多基実夫さんは、「イラク派兵をめぐって国論を二分させる状況がつくれたら派兵は止められる。今こそ自衛隊とその家族に派兵拒否を訴え、反戦運動に引き込もう」。
ニューヨークの「反戦軍人の母親からのメッセージ」と「米軍家族の会」代表のスティーブン・クレッグホーンさんの日本人へのメッセージが紹介された。
ヨッシーとジュゴンの家が反戦ライブを行い、新曲を披露。続いて、10・25学生実行委から「イラクは自治も自由も奪われたままです。『自衛隊のイラク派兵はおかしいよね』と一人ひとりに声をかけ、学生の力で自衛隊のイラク派兵をとめる」と決意を述べた。
最後に女性労働者が「私は怒っています。写真を撮って威嚇する人たちがいると電話がかかってきた。集会を妨害するのをやめなさい!」と歩道橋に群れなす私服刑事どもを一喝し、「民衆だけが戦争を止めることができることをアピールしてデモに引き込みましょう」とアジテーション。
渋谷一周のピースウォークは、チリから来たという家族を始め、デモへの合流者でどんどんふくれあがり、300人となった。「負ける気がしない」「渋谷で5千人デモを実現しよう」との気迫と決意が確実に渋谷の街に広がった。
“復興支援”は侵略 9・27ヒロシマ行動に100人
9月27日、広島市中区の原爆ドーム前で「STOP!自衛隊のイラク派兵 9・27ヒロシマ行動」が「とめよう戦争への道 百万人署名運動広島県連絡会」の主催で行われた。100人を超える人びとが熱気あふれる集会とデモを行った。
冒頭、百万人署名運動広島県連絡会の共同代表の栗原君子さんがあいさつし、共同代表の北西允さんのメッセージが紹介された。
県内の各地区連絡会が発言。西部地区連絡会は自衛隊派兵絶対阻止の決意を述べた。安佐北連絡会からは高陽第一診療所が、戦争と介護・福祉の切り捨てとは一つの攻撃であり、一体のものとして闘おうと述べた。東広島・賀茂地区連絡会は、新設の中高一貫校で「つくる会」教科書の採択を阻止したと報告した。
続いて、工場閉鎖の攻撃と闘う全造船三菱広機分会が、工場閉鎖と対決し、組合の団結を守って闘い抜く決意を述べた。
今年の2月と6月にイラクを訪問したセイブ・ザ・イラクチルドレン広島の代表大江厚子さんがイラク現地報告。「戦車や装甲車が町のすみずみに配置され、銃を市民に向けて構えている。銃を押収するための家宅捜索もある。『フセインもいらないがアメリカはもっといらない』とイラクの人びとは言っている」と、イラク人民の米軍占領への怒りを伝えた。また「イラクの人びとは『復興支援と言うが、自分たちには技術も労働力もある。自衛隊がそれをやれば自分たちの職を奪うことになる』と言っている」と述べて、「復興支援」のペテンを暴いた。
デモに出発。広島の繁華街は労働者や若者であふれ、多くの若者が一緒にこぶしを振り上げ「オー」と叫んだり、ギターを抱えた若者がデモに合流した。解散地点のアリスガーデンは大勢の若者が集まっており、総括集会には多くの人びとが耳を傾けた。広大学生自治会の一年生が「自衛隊員が自信をもって出兵を拒否できるような巨大な行動を実現しよう」と決意を述べた。最後に東広島・賀茂地区連絡会の労働者が「労働組合の中に署名を拡大し、10・25の大行動を成功させよう」と提起した。
岡山―中・四国各地で
同日、岡山では労組・市民団体による実行委員会の呼びかけで150人が集会と岡山市内デモを行った(写真下)。
山陰でも百万人署名運動山陰連絡会の呼びかけで米子の自衛隊駐屯地への申し入れと基地包囲行動を行った。その他、松山市など中国・四国地方各地で百万人署名運動による一斉街頭宣伝活動が取り組まれた。
春を超える闘いを 福岡・天神で120人が結集
9月28日、福岡で「米英などの占領軍はイラクから撤退せよ!自衛隊のイラク派兵を許さない!」集会とデモがかちとられ、120人が結集した。
警固公園での集会は「アメリカのイラク攻撃を許さない実行委員会」の青柳代表のあいさつで始まった。次にウクレレをもった若者が小泉政権批判の歌を披露した後、各団体からの発言が続いた。最後に発言したのは、完黙・非転向で19日に出獄した九大弾圧被告のM君だ。「みなさん、ただ今帰りました」の声に会場がわいた。「みなさんの支援のおかげで帰ってくることができました。春の闘いの高揚に対して襲いかかったのが今回の弾圧。しかし、弾圧で闘いをつぶすことはできない。この春を超える闘いで、自衛隊のイラク派兵を必ず阻止しよう」と述べると、大きな拍手がわき起こった。
集会後、天神を一周するデモに出発。若者の圧倒的注目と共感に迎えられながらデモ隊は進んだ。「自衛隊をイラクに送るな」「戦争する国変えよう」と太鼓のリズムにあわせてコールを上げた。沿道の若者たちがデモ隊に合わせて次々と「イラク占領今すぐやめろ」と声を上げ、こぶしを突き上げた。
最後に10・26の大結集を確認し、この日の闘いを終えた。
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週刊『前進』(2121号3面2) (2003/10/13)
10・12三里塚へ大結集を 反対同盟からのアピール(下)
国家犯罪を許さぬ 事務局次長 萩原進さん
成田空港の現状は、38年前には誰も予想できなかった惨状だ。国家の体制をかけてつくろうとした成田空港は、結局完成しないまま破産に直面している。
来年4月に成田空港は民営化される。09年には羽田空港のD滑走路の供用が開始される。利便性を考えたら大半のアジア便が羽田の方へ行くだろう。民営化で暫定滑走路が「お荷物」になっている。民営化の期限が切られて空港公団や国土交通省は暫定滑走路を完成させようと焦っている。しかし、われわれの闘いは無期限だ。反対同盟はどっしり構えて闘う。
昨年4月に暫定滑走路が開港した時、向こうは暫定滑走路の開港で反対農民をつぶせると考えた。農家の頭上40bにジェット機を飛ばす。確かに常識からすれば、普通は逃げ出す。しかし1年半以上たっても反対農家は健在だ。
暫定滑走路は、本来の意味の滑走路ではなく、反対農家をつぶすためだけの暫定滑走路でしかなかった。今日の現状は、公団の側からすれば、まったく想定外だろう。
こういうやり方は、この38年間、まったく変わらない。暴力と金。一期も暫定滑走路だった。まずジェット機を飛ばして農民を追い出す。暫定滑走路の国家犯罪性を反対同盟は絶対に許さない。
来年の民営化を前にして、敵にとってもこの秋は決断の時だろう。激しい攻撃に出てこざるをえない。北側延伸、一坪共有地、東峰神社裁判の和解……。
東峰神社裁判における公団側の和解提案は、裁判で公団側の敗色が濃厚になる中、和解をも拡張工事の道具にしたいということだ。裏返せば、それくらいしか打つ手がない。貨物基地構想もそうだ。
結局、反対同盟がなぜ闘い続けるのか、国や公団には本質的に分からない。既成政党も同じだ。日本共産党は自衛隊を認め、国家権力とはけっして闘わず、自分たちを守ることしか考えない。自民党の総裁選もまったくの猿芝居だ。三里塚が人民に左から衝撃を与えるような闘いをやる。
イラク侵略戦争に対して、米国の中からも、米軍を撤退させる闘いが敢然と始まっている。日本の地からも一緒に闘う。反対同盟は、有事立法に対しても断固とした闘いを組む。有事立法で米軍の成田空港の使用が狙われている。反戦の砦(とりで)として全国に呼びかけていきたい。
闘う仲間ふやそう 本部役員 鈴木幸司さん
暫定滑走路のような世界に類例のない空港の開港をなぜ強行したのか。やはり侵略戦争の問題がある。
北朝鮮侵略戦争になれば、小泉政権は米国と一緒に戦争する。今のままでは有事立法によって成田空港も米軍に提供されることになる。近ごろは、国全体が戦争の雰囲気になってきていると感じる。小泉の靖国神社参拝や教育基本法の改悪など、「天皇のため」「お国のため」という昔の教育に戻ろうとしている。拉致が許せないから北朝鮮と戦争すべきという石原都知事のような連中もいる。
戦争に駆り出されるのは若い労働者だ。犠牲が多い。日本の侵略戦争への動きを止めるために、どんなことをしてでも、この空港を廃港にする。
三里塚闘争は、もう40年近くになる。まさか自分も37年間も闘うとは思わなかった。三里塚闘争は、ただの空港反対運動ではなく、農民だけの闘いでもない。全人民の闘いだ。
成田空港の民営化は、想像以上に大きい問題だ。暫定の滑走路なんて世界のどこにもない。たとえ民営化しても、反対同盟と三里塚闘争を抱えた空港の株など投資家は買わない。民営化で、芝山鉄道の赤字問題はどうなるのか。
反対同盟の闘い方は、これまでどおりだ。国家権力と実力対決して闘い抜く。
「闘いが人をつくる」といつも考える。侵略戦争に行った時は、自分も次は靖国神社で会いましょうと言っていた。三里塚闘争がなければ、そのまま右翼になっていたかもしれない。
私欲のためでは反対運動はできない。どんなに金を積まれても屈しない。今のままでは、日本の状態は悪くなるばかりだ。戦前のようになっていく。仲間をたくさんつくって闘う以外にない。これは生き方の問題だ。三里塚のように闘うのが当たり前の時代がやってきた。闘う人間をどう増やしていくかが課題だ。闘うには絶好の時代だ。
三里塚闘争も、ここまで来たんだから、実を結ばせる。せっかく良い種を蒔(ま)いたんだから。成田空港の廃港は容易ではないができないことではない。
闘いはいよいよ本格的になってきた。小泉政権打倒が課題だ。資本主義から社会主義へ、そういう根本的な変革が必要だ。10・12集会で、三里塚闘争の新たな勝利の第1段階へ進んでいきたい。
全国のみなさん。ぜひ大結集してください。
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週刊『前進』(2121号3面3) (2003/10/13)
杉並区議会報告 山田区政を鋭く追及
“石原暴言の撤回を求めよ” 新城議員
“思想弾圧告訴取り下げを” けしば議員
9月16日から10月9日まで杉並区議会が開催され、都政を革新する会の新城せつこ議員、けしば誠一議員が一般質問に立った。外環道に反対する善福寺周辺住民、富士見丘駅前斎場建設に反対する住民など多くの傍聴者が見守る中、福祉切り捨てと戦争協力の山田区政を鋭く追及した。
新城せつこ区議
新城議員は第一に、自治体と住民に戦争協力を強制する国民保護法案に区長は反対すべきだと迫り、山田区長が6月に設置し退職警察官を採用した危機管理室は、国民保護法に備えたものではないかとただした。
第二に、在日外国人への襲撃をあおり、右翼による外務審議官自宅への爆弾攻撃を支持する石原都知事の発言を厳しく弾劾し、区長は撤回を求めるべきだと訴えた。山田はこの石原暴言に対する態度に関してだけは答弁に立ち、「知事としては不穏当な発言だが、拉致問題など経過があること」と「理解」を示した。人民のゲリラ戦への敵意をむき出しにし、右翼テロを容認する山田は許さない。
第三に、住基ネットへの区の参加方針への転換を追及した。住基ネットへの区民の全員参加を決める基準は何かという点を、杉並区が国に提出した「意見書」の中にあるプライバシー保護の条件を読みあげ、この条件のどこが満たされたのかとただしたが、区はまったく回答できなかった。すでにネットに送付された個人情報は、国の機関や他の自治体、警察などが開くことができ、それをデータベースに新たな情報を加えていくことも可能となっている。こうした問題点が住民に知らされていないことを追及した。
第四に、都教育委員会による「教員の異動要綱」改定問題について取り上げた。すでに校長権限で1年間後には強制的に異動させることができるようになった。またこれまで最大1時間半までとされていた教育労働者の通勤時間を2時間までに延長し、通勤に往復4時間を費やす状況を強いている。新城議員はこうした現状でどうして子どもたちや父母と信頼関係をつくるための時間を確保できるのかと迫った。区教育委員会は「校長が学校経営を積極的に推進するために必要なこと」と都に全面的に従うことを表明した。
第五に、清掃事業の民間委託に反対する立場で質問した。清掃事業が都から区に移管されて3年がたった。清掃工場の新たな建設や修築の問題など、財政負担の大きさから清掃事業は区単独ではやれないことを杉並区も認めざるをえない。新城区議は「清掃事業の今ある姿は、東京清掃の職員が日ごろから地域の人たちと相談し、意見を交わしながら積み上げてきた成果」だと強調した。その成果をつぶし、山田区長が清掃を民間にゆだねようとしていることを暴き出し、その先には家庭ゴミの有料化や、清掃事業を区が投げ出すことになると批判した。
けしば誠一区議
けしば議員は第一に、米軍のイラク攻撃が続く4月17日、区内に住むAさんが区立公園の公衆トイレに「反戦」と落書きしたことで逮捕・起訴され、44日間も勾留された事件を取り上げた。警察は通例軽犯罪法違反として扱うべき軽微な事件を、たまたま反戦落書きであったこと、Aさんが黙秘したことをもって勾留しつづけ、「器物損壊」による告訴を「建造物損壊」の重罪に切り替えて起訴したのだ。「公園課長が事件を知り翌日被害届を出し同時に器物損壊で告訴した」という区の答弁に対し、けしば区議は裁判に提出された資料を示し、4月23日付で荻窪警察署員の代筆で告訴状が提出された事実から、区が警察の言いなりになったことを暴き出した。警察の反戦思想弾圧に手を貸す告訴を取り下げるよう強く求めた。
第二に、石原都知事の強引な外郭環状道路建設に対する区の姿勢をただし、着工への既成事実を積み重ねるための環境影響調査は撤回するよう都に求めよと迫った。区は「善福寺池がかれるようなことがあれば、大深度の工事に反対することもある」と答弁せざるをえなくなった。
第三に、富士見丘通りを一層危険にさらす斎場計画に対し、住民の強い要望から、区が制定した「杉並区斎場の設置に関する指導要綱」を取り上げた。危険な道路に加え、斎場計画が発表されて以降、富士見丘商店街では店じまいが続出している。富士見丘商店街を守るために、区の強い支援を求めた。
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週刊『前進』(2121号3面4) (2003/10/13)
九大弾圧裁判 M君が堂々たる証言 “暴行の事実ない”
9月17日午後、福岡地裁で九大弾圧事件(「暴力行為」デッチあげで九大学生自治会の4人を逮捕、1人を起訴)の第3回公判が行われた。この日も傍聴席が満杯になった。
この日はM君への尋問による弁護側立証である。検察側はこれまでの1人から3人体制で臨んできた。弁護側立証に先立ってM君が発言に立ち、@福岡高裁が福岡地裁の保釈決定を取り消したことへの抗議A第2回公判の「ビデオリンク方式」への抗議B獄中処遇の改善要求――を堂々と読み上げた。
続いて本人尋問に移った。弁護人からの尋問にM君は、「暴行の事実は一切ない」と堂々と述べた。また、デッチあげの張本人である石井が自分の右翼サークルのメンバーをM君から遠ざけるため「突っかかってきた」ことを明らかにした。M君が暴行をした事実など一切なく、むしろM君の方が石井から暴行を受けたのである。また、「窓のある壁の3〜4b手前で対峙した」と発言し、「窓枠に打ち当てた」事実はないことを明らかにした。
続く検察官の反対尋問に対して、M君は黙秘でこたえた。M君の堂々たる姿勢に圧倒された裁判官も「検察官の尋問に答えた方がいいのではないか」と問いかけたが、M君は「本件は警察・検察が一体となったデッチあげ弾圧であり、検察官の尋問に答える必要はない」ときっぱり答えた。
今回の事件では目撃者や物証などの客観的な証拠はなく、石井とM君の証言が真っ向からぶつかる形になった。裁判官はM君の証言の矛盾を引き出そうとしたり、「M君が押しているように思えるが」などとM君を有罪にするための証言を引き出そうとした。M君はこうした検察官や裁判官の尋問をすべて粉砕した。
最後に弁護人が、石井が天皇制右翼=生長の家の活動家であることを証明する証拠と石井の員面・検面調書と法廷証言との矛盾を示す対照表を提出した。検察官はM君の無実を証明する証拠の前に取り乱した。
公判の後、総括集会を行った。弁護人は「証言を聞き、あらためてM君の無実を確信した。権力は『4人で取り囲んだ』ことを理由に『暴力行為等処罰に関する法律』違反で4人の学生を不当逮捕したが、M君の証言でそれも崩れた。九大学生自治会をつぶすための政治弾圧であることが明らかになった。無罪判決への手ごたえを感じる」と発言した。
次回は10月27日午後1時10分から福岡地裁で論告求刑が行われる。
M君を奪還
公判翌日に再び福岡地裁はM君の保釈を決定した。検察官は再び福岡高裁に抗告と地裁への保釈執行停止を申し立てたが、これをうち破って19日夜にM君を奪還した。M君は6カ月の闘いの勝利を振り返って、「こうしたデッチあげ弾圧を許さないために、必ず無罪判決をかちとる」と決意をみなぎらせた。
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週刊『前進』(2121号3面5) (2003/10/13)
保安処分病棟中止を 国立武蔵病院に申し入れ
9月3日と24日、「処遇困難者専門病棟」新設阻止共闘会議は、今年度中に保安処分病棟建設が予想される国立精神神経センター武蔵病院(東京・小平市)に対する病棟建設中止の申し入れ・請願行動を行った。
すでに今年度35億円の病棟建設予算が計上されている。厚労省は国立武蔵病院と佐賀県の国立肥前病院を筆頭に数年で約10カ所の保安処分病棟建設を呼号している。来年度は国立のみならず都道府県立病院も候補にあげ、50億円の概算要求の追加発表も行っている。
9月3日、「精神病者」を先頭に阻止共闘の仲間は30人で武蔵病院へ申し入れを行った(写真)。ところが、事前に連絡済みであったにもかかわらず病院当局は病院敷地の各門に職員を警備に立たせ、警視庁を始め公安刑事20人を正門付近に招き入れるという厳戒態勢で臨んだのだ。病院当局は庶務課長Hを先頭に正門外で対応し「申し入れは受けられない。請願なら受けることもできるが、今日はダメだ」と門前払いの対応に終始した。さすがに抗議の声を無視できなかったのか、「検討させてくれ」と当局内での検討に移ったが、その間「病者」の仲間を始め1時間以上も炎天下で正門に立たせるという非人間的扱いを行った。
対応した中に副院長の浦田医師もいた。国会で参考人に呼ばれ、「イギリスのような地域保安病棟は日本でも必要。武蔵病院ではいつでも受け入れ可能」と、保安処分新法である「心神喪失等医療観察法」を推進した医師だ。国会発言では「患者さまも司法判断を希望している。患者さまの社会復帰のため」とさんざん「患者さま」を強調しながら、抗議に来た「病者」には冷たい仕打ちを重ねたのだ。結局、この日は請願日をあらためて決めることを約束して申し入れを終えた。
9月24日、約束に基づき第1回目の請願行動が行われた。だが警視庁・公安はこの日も背後につきまとっている。対応した庶務課長は「今日はあいにく雨なので軒下に移りましょう」と言う。もともとは正門敷地外で請願を受けるつもりだったのだ。軒下とは病院玄関外で、そこに簡易机一つ出し、立ったままでの受付だ。八つにのぼる団体・個人は怒りをかみしめながら次々と請願文を読み上げて病棟受け入れの中止を要請し、9月末日までの質問事項への返答を要請した。しかし庶務課長は「請願での回答要請に答える義務はない」とくり返すばかりで、“話し合いは一切ノーコメント”を貫こうとした。
こうした病院当局の横柄な態度の中に、保安処分病棟受け入れの不正義性と医者・医療労働者を先兵にしようとする政府・厚労省の悪らつな意図が表れている。請願参加者の誰もが怒りを燃やし、さらなる闘いを決意した。
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週刊『前進』(2121号4面1) (2003/10/13)
日米労働者の11月国際連帯で小泉政権をぶっ飛ばせ
倒産・解雇と立ち向かおう
国家的リストラ進める小泉 団結を打ち固め総反撃へ
自民党総裁選を制した小泉は、第2次改造内閣を発足させた。金融・経済担当相には竹中が留任し、産業再生担当相だった谷垣が財務相に、行政改革担当相だった石原が国土交通相に横滑りした。こうした布陣のもとで、小泉政権は民営化と大リストラ、労働基本権解体を軸とした「構造改革」にあらためて突入しようとたくらんでいる。労働者に倒産・解雇・低賃金・不安定雇用を強いる攻撃は、ますます激しくなる。しかし、それは資本の危機の現れだ。労働者の団結と闘いは、敵階級の矛盾を突いて、その支配を破綻(はたん)に追い込むだろう。11月労働者集会に結集し、新たな闘う労働運動をつくり出そう。
国家を挙げ大量首切り
小泉は、所信表明演説で07年度郵政民営化を軸とした「構造改革路線の堅持」をあらためて強調し、政権の目玉として押し出した。公務員制度改革や、道路公団などの特殊法人の民営化にも、いよいよ本格的に着手しようとしているのだ。また「産業再生機構の活用」を打ち出した。小泉は、「日本再生に向けた改革にようやく芽が出てきた」とうそぶきながら、なお一層の「痛み」を労働者に強いようとたくらんでいる。
今年5月に業務を開始した産業再生機構とは、経営破綻に陥った企業に対して銀行が保有する不良債権を、公的資金を使って買い取る機関である。メインバンクの持つ不良債権は買い取りの対象にはならないが、これによって企業の財務内容を改善し、再建させるという。九州産業交通やダイア建設、うすい百貨店などが、産業再生機構のもとでの企業再建の対象に上がっている。
ここで言う企業再建とは、不採算部門の徹底した切り捨てだ。産業再生機構によって債務を整理された企業には、「自己資本利益率(ROE)の2%以上の向上」「従業員1人当たり付加価値額の6%以上の向上」などの数値目標が課されることになる。それが、大規模な首切りと、残った労働者への限度を超える労働強化をもたらすことは明らかだ。下請けや取引先の労働者もまた、重大な影響を受けるのだ。
昨年末、小泉政権は産業再生機構の設置を含む「企業・産業再生に関する基本指針」を策定した。そこでは、「過剰供給構造の解消」が真正面から打ち出された。産業再生機構の設置目的については、次のように明記されている。
「過剰供給構造に直面している企業は、本来であれば市場の圧力の中で、事業分野の絞り込みを行い、不採算部門からは自主的に撤退していくことが望ましいが、現実には、事業の撤退・縮小については多大なコストがかかるため、痛みを伴う経営判断は先送りされやすい。こうした状況を解消するためには、撤退・縮小に伴う負担を軽減し、不採算部門からの撤退、縮小を円滑化していく必要がある」
つまり、個別資本に任せておいても不採算部門の切り捨ては進まないから、国家が直接乗り出して強権的にリストラを進めなければならないというのである。今や小泉政権は、労働政策の目標から「雇用維持」という項目を完全に投げ捨てた。むしろ、国家の役割は、徹底したリストラ・解雇を推し進め、労働者の権利を奪って不安定雇用にたたき込むことにあると言い放ったに等しい事態だ。
小泉政権はこの6月、資本の解雇権を明文化する労働基準法改悪を強行した。それは、資本による解雇を容認するだけでなく、国家自らが首切りに乗り出すためのものでもあったのだ。
産業再生機構には、10兆円の政府保証枠が設けられている。社会保障を切り捨て、労働者からむしり取った税金で、労働者に対する容赦ないリストラ・解雇を強行しようとしているのだ。こんなことは断じて認めるわけにいかない。
小泉は、こうした国家的リストラをテコとして、官公部門の民営化をも促進しようとしているのだ。
不安定雇用が一層拡大
内閣府の試算によれば、大手銀行の不良債権処理により、昨年度だけでも10万〜15万人の労働者が離職を余儀なくされたという。
昨年の倒産件数は1万9458件で、3年連続で増加した。これは、84年に次ぐ戦後2番目の水準だ。
景気は若干持ち直したと言われるが、8月の完全失業者は333万人、失業率は5・1%で、依然として高止まりしたままである。
こうした中で、労働者はますます不安定雇用にたたき込まれている。今年4−6月期、非正規雇用労働者の全雇用労働者に占める割合は30・1%に達した。女性の場合、非正規雇用の比率は49・5%にも上る。95年段階で21%ほどであった非正規雇用比率は、ここ数年で急速に上昇した。正規雇用はますます削減され、不安定で無権利な雇用形態への置き換えがすさまじい勢いで進んでいる。(グラフ参照)
今年5月、労働者派遣法の改悪が強行され、製造業への派遣が解禁された。これは、不安定雇用の増大に一層拍車をかけるものになるだろう。01年の派遣労働者数は175万人、その7割は3カ月未満の派遣契約を強いられている。賃金も平均年収は239万円そこそこだ。これではとうてい生活ができない。
こうした不安定雇用化の攻撃は、95年の日経連「新時代の『日本的経営』」を転機として始まった。そこで日経連は、労働者を「長期蓄積能力活用型グループ」「高度専門能力活用型グループ」「雇用柔軟型グループ」の3類型に分けるという基本構想を打ち出した。圧倒的多数の労働者は、有期契約、時間給で、昇給も退職金も年金もない「雇用柔軟型グループ」に落とし込めるというのが、その主要な内容だった。
今年1月に出された日本経団連の「奥田ビジョン」は、「画一的な雇用システムは、価値観の多様化などから、もはや今日の時代に合わなくなってきている。企業の正社員としての道は、今後、選択肢のひとつにすぎなくなるであろう」と公言した。不安定雇用化をさらに加速させようとしているのだ。
日経連路線のもとに進められてきた「雇用形態の多様化」は、一つの職場、一つの作業所にさまざまな雇用関係のもとにある労働者が混在する状態を、通常のものにさせてしまった。資本は、こうした形で職場的・労組的団結の基盤を奪い去ろうとしているのだ。
だが、それは資本にとっても致命的な破綻を引き起こす。多発する労働災害はその現れだ。つい最近の例だけでも、エクソンモービル名古屋油漕所、新日鉄名古屋製鉄所の爆発事故、ブリジストン栃木工場、出光興産北海道精油所の火災事故が起こっている。
極限的な合理化とアウトソーシング、その結果としての熟練の解体が、こうした事故を引き起こしているのである。とりわけ、エクソンモービルの事故では、工事関係会社の労働者6人の命が奪われている。断じて許すことはできない。労働組合が闘わなければ労働者の生命は守れないのだ。
闘いぬけば勝機は来る
倒産・解雇・不安定雇用化の攻撃は、労働者の団結を解体し、階級意識を粉砕して、無抵抗状態にたたき込むことなしには貫徹しえない。だからこそ、資本と権力は、日本労働運動にとってかなめの位置にある国鉄闘争の暴力的解体に躍起となっている。
首切りに直面した労働者が、不安定雇用下で資本の横暴と立ち向かう労働者が、失業を強いられ苦闘する労働者が、それぞれに団結を取り戻し、階級的連帯をよみがえらせて立ち上がるなら、それは敵の思惑を根本において打ち破る意味を持つ。闘いを持続的に貫けば、いずれ必ず勝機を見いだすことはできるのだ。
ところが連合指導部は、一切の闘いを投げ捨て、団結が踏みにじられても反撃を試みようともしない。そして、首切りと賃下げ、不安定雇用化を強いる資本のたくらみを自らにかけられた攻撃ととらえるのではなく、止めることのできない自然の流れであるかのように描き出し、全面屈服しているのだ。
昨年末、連合は政府、日本経団連と2つの政労使合意を結び、「従来の雇用慣行や制度の検討・見直しに取り組み、様々な雇用・就労形態を多様に組み合わせた雇用システムを整備」すると誓約した。「雇用の多様化」と称する資本の攻撃を、自ら率先推進しているのが連合だ。
だが、連合支配は下から激しく揺さぶられている。自治労大会で「21世紀宣言」がいったんは否決に追い込まれた事態は、連合支配を突き破る新たなうねりを示している。
強まる倒産・解雇・不安定雇用化の攻撃に、団結を固めて立ち向かおう。11月労働者集会に結集し、闘う新たな労働運動の潮流をつくり出そう。
〔長沢典久〕
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週刊『前進』(2121号4面2) (2003/10/13)
教基法改悪は日帝が再び戦争をするための大攻撃
11月大結集で反撃の号砲を
戦時体制下の教育基本法改悪が目前に切迫している! 小泉新内閣は発足早々、米帝の占領が長期泥沼化しているイラクへの「自衛隊年内派遣」を決定し、来年の通常国会には教育基本法の改悪、有事法制の実動化法案、団結権破壊を狙う労組法改悪案などの提出をもくろんでいる。
“いつか戦争になる”のではない。米帝のイラク侵略戦争をもって世界戦争は開始され、日帝はイラク派兵をなんとしても強行し侵略戦争、世界戦争へ参入しなければ帝国主義の世界支配から吹き飛ばされかねない危機に直面しているのである。〈現実に進行する帝国主義戦争とその一環としての教基法改悪攻撃の重大性〉について、徹底的な政治宣伝をもって、戦後最大級の教育労働者の決起を訴える。
闘う教育労働者は、今まさに新たな戦争に突入しつつあることを強烈に提起し、「教え子を戦場に送る」ことを阻止するために教育労働者こそが反戦闘争の先頭に立ち、その闘いの一環として教基法改悪阻止に立ち上がるべきことを主張し訴えよう。
国による教育支配を合法化
教基法改悪の最大の狙いは、日本を「戦争ができる国」にするために、学校教育(制度)の転換を通じて労働者人民全体・社会全体を帝国主義戦争に動員することにある。現代帝国主義の戦争は「国民の総動員戦」として初めて成り立つものだからである。とりわけ決定的なものは「国民の精神的総動員」という問題である。
具体的には学校教育を軸とする教育制度を帝国主義者やファシストが反革命的に掌握し、少年少女の時代から青年時代にかけて、全教育課程を通じて帝国主義的な愛国主義=排外主義、ナショナリズムをたたき込み、「公のため」「国家のため」に命を捧げて惜しまないまでに「鍛え上げ(戦前は“錬成”と言った)」ようとしているのだ。
中教審最終答申は「教育改革の基本的方向」として「たくましい日本人の育成」という観点を強調し、「教育の目的」そのものを変更して、「個人の自己実現と個性・能力・創造性の涵養(=かんよう。この用語は戦前“国体明徴運動”などで使用された)」と「『公共』の精神、道徳心」「日本の伝統文化の尊重、国を愛する心」を押し出している。まさに学校を「統治の場」にするためのものにほかならない。
イラク派兵を狙い、さらには対北朝鮮、対中国侵略戦争に向かって有事体制を整えようとする日帝にとって、「たくましい日本人の育成」教育=侵略教育の実現という点から、現行の戦後憲法体制や憲法と一体の教基法の存在がどうにも邪魔でならないのである。
そのために現行教基法第10条の全面改悪が必然的に出されている。10条は教育の内容、教育そのものへの国家権力の介入を禁止している。この条文は労働者階級に力がある限りにおいて、日帝にとって一定の制動力を持つのである。かつての勤評闘争、学テ闘争、教科書裁判など戦後史上激烈に闘われた教育攻防と教育労働運動にとって、10条は常に闘いの武器として活用されてきた。だからこそ、戦後から今日に至るまで日帝・文部省は一貫してこれを切り崩し、無力化し、教育の帝国主義支配をめざしてきたのだ。
10条破棄の決定的問題は、最終答申が新たな教基法に「教育振興基本計画策定の根拠を規定する」としていることである。「教育振興基本計画」とは、文科省の計画そのものである。「例示として」「たくましい日本人の育成のための教育目標」を挙げ、「全国的学力テスト・習熟度別指導・中高一貫校教育・道徳教育の充実・教育評価システムの導入」などを挙げているのだ。国家権力による教育の支配・統制、「国策としての教育」といったことのすべてが合法化されることになるのだ。
最終答申は「大競争」時代の要請にこたえるという立場から、せんじつめれば資本の利益追求のために「教育を手段化する」と言っている。これは95年に日経連が出した「新時代の『日本的経営』」に対応するものである。
日帝経済界の要請に対応して教育を、一方においてスーパーエリート層およびエリート層の育成を激しい競争原理のもとで行うこと、他方においてそれらのエリートコースに乗れない九十九パーセントの者は、それなりの読み書き・計算の基礎を教え、あとは道徳心、公共心をたたき込んで、「従順な国民であれ」というのだ。これは戦前の複線型教育の今日的再生であり、不可避的に激しい競争原理が子どもたちに働くとともに、学校間にも働くものとなる。金持ちだけが有利な条件を獲得することを当然視し、教基法3条の「教育の機会均等原則」を真っ向から否定する、階級的差別・分断以外の何ものでもない。これが日帝が強行している「教育改革」の本当の姿である。
「教育改革」との徹底対決を
とは言っても、現場の教育労働者からいえば、教育基本法はずでに踏み破られてしまっている状況にあるだろう。そのとおりである。しかしである。これを帝国主義権力の側から見れば、教育を帝国主義的発展に対応する人材形成として手段化しようとしても、教育基本法は教育労働者および現場のレベルで拒否する法的根拠を与えているのである。
全労働者階級を総動員し、まさに戦争に突入しようという国家が、教育労働者に国家のシンボルである「日の丸・君が代」を拒否し、国策に抵抗するような余地を与えておくわけがない。教育基本法は、帝国主義にとって憲法と並ぶ戦後の平和と民主主義の骨格を形づくる法律であり、今や帝国主義戦争遂行の決定的妨害物と化している。
教基法改悪は、戦後「民主教育」から「戦争教育」への教育と教育制度の根本的大転換の攻撃であるとともに、戦後教育の象徴である日教組運動の解体・変質を核心としている。教育労働者は、教基法改悪攻撃と闘い、これと徹底対決し粉砕しない限り、帝国主義侵略教育の先兵となることを絶対的に強制されることを肝に銘じて闘いに立ち上がらなければならない。
戦後最大の激動情勢到来
本来教基法改悪阻止の闘いは、日教組が組織をあげた一大決戦として闘わなければならない課題である。しかし連合日教組本部は、教基法改悪反対を掲げながら、実態は「文科省とのパートナー路線」にのめり込んでいる。
重大なことは、連合が7月に教育基本問題検討委員会(座長・草野事務局長)を発足させ、教育基本法についての考え方をまとめるとしていることだ。「国の基本政策」検討委員会でまとめられた有事立法賛成の「5・16連合見解」の教基法版である。日教組本部が、この連合見解を契機に「意見反映―修正協議」路線に走りだすことは必至である。昨秋以来、ペテン的に「改悪反対」を掲げて現場の怒りをかわし、8月定期大会をのりきった日教組本部だが、その裏切りと転向をむきだしにする時が近づいている。04年3月の日教組臨時大会は一大決戦となる。
国鉄闘争、1047名闘争の勝利をもって、連合傘下の労働者の下からの反乱で連合中央・日教組本部打倒へ、労働運動の大流動をつくりだそう。
今年2月、世界の2000万人を超える労働者が、イラク侵略戦争反対に決起した。イラク開戦直後にストライキで決起した動労千葉が、世界的注目を浴びたのは偶然ではない。今世界の労働者は、世界諸帝国主義の「戦争と民営化」攻撃と対決して闘いに決起しているのである。日本の労働者もまったく同じである。日米の朝鮮侵略戦争を阻止するためには、日・米・韓の労働者連帯と闘いこそが決戦を制する力なのである。11月労働者集会は、決戦の渦中で開催される国際連帯闘争として重大な意義をもっている。
闘う日教組を再生しよう!
日教組運動は今日の戦争への突入と真っ向から闘うためにこそ存在し、「教え子を戦場に送らない」というスローガンを堅持してきたのではないか。職場には不満と怒りが満ち満ちている。教え子が戦場で殺し殺される前に、仲間が「過労死」で殺される前に、教育労働者は怒りを解き放ち、ともに生きるために立ち上がる時代だ。
全国の闘う教育労働者は、連合日教組路線と対決し、職場分会から「教育基本法改悪絶対阻止」の闘いに決起しよう。それが、有事立法を「完成させない! 発動させない! 協力しない!」闘いそのものであり、全労働者階級の政治闘争課題であることを鮮明にして、11月労働者集会5千人結集への組織化を先頭で闘いぬこう。11月全国労働者総決起集会を、戦争と改憲・教基法改悪に反撃する「労働者階級の号砲」としよう。
〔革共同教育労働者委員会〕
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週刊『前進』(2121号4面3) (2003/10/13)
コミューン 11月号 米労働運動・戦前編
動労千葉とサンフランシスコの国際港湾倉庫労働組合(ILWU)などとの国際連帯の闘いが前進している中で、各国の労働運動の歴史と新潮流運動の形成・発展過程を正しく理解することは決定的に重要になっている。
そうした作業の一環として、特集ではアメリカ労働運動の歴史をとりあげ、その創成期から今日の新潮流運動の形成過程までを階級的歴史観を貫きつつ解明する。対象がきわめて巨大であるため特集は上・下の2回に分ける。今号ではまず1930年代末までのアメリカ労働者階級の闘いの歴史について明らかにした。
特集の第1章では、アメリカ国家創成期から19世紀末の帝国主義時代に至るまでの戦闘的労働運動の歴史について論及した。
第2章は、帝国主義時代への突入期から第2次世界大戦に至る過程のアメリカ労働運動の発展過程について明らかにした。この時期における労働者階級の帝国主義および帝国主義的労働運動との死闘の歴史の学習は、階級的労働運動の発展をめざす今日のわれわれにとって大きな教訓を与えてくれるであろう。
翻訳資料1は、イギリスのナショナルセンターTUCの大会の報道。ブレア労働党政権の破産と労働運動の主流のヘゲモニーの劇的な転換がよくわかる。
翻訳資料2は、厭戦(えんせん)・反戦意識を生の形で伝える米軍兵士、家族の手紙。反軍闘争に生かしてほしい。
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週刊『前進』(2121号5面1) (2003/10/13)
日米労働者の11月国際連帯で小泉政権をぶっ飛ばせ
『俺たちは鉄路に生きる2』に学ぼう
自分の職場から第2、第3の動労千葉つくり出す武器
動労千葉の組合員は底抜けに明るい。何よりも労働者としての誇りに満ちている。「このパワーの源は何なのか?」。この問いに、『俺たちは鉄路に生きる2――動労千葉の歴史と教訓』は、動労千葉の書記長を10年、委員長を18年務めた中野洋さんの生きざまをとおして回答を与えてくれた。本書の全章が、労働運動の指導者として、あるいはそれをめざす者として、《今、自らの職場で、自らの組合で何をなすべきか》という教訓に満ちている。
組合員への信頼
中野さんの言葉には、労働者(組合員)への信頼と愛情があふれている。
国鉄分割・民営化攻撃に対し、動労千葉以外のすべての労組が敵の手先になるか、闘わず屈服していった85年、動労千葉は役員を先頭に全組合員が解雇覚悟で分割・民営化反対ストライキに立った。なぜ闘うことができたのか。中野さんはまず「労働組合観(労働者観)の違い」をあげる。「『民同労働運動を乗り越えるというのはどういうことか』……それは根底的には、動労千葉に結集している労働者の階級性、本来労働者が持っている力を掛け値なしに全面的に信頼し、それに依拠して闘うということです。それ以外に労働者は生きようがないから」
そして指導部が労働者を信頼し労働者の団結に依拠した組合だからこそ、内部では激しい討論が行われる。「組合員も、資本主義社会の中で生まれ育ってきているわけだから、その腐敗した考え方をみんな身につけているわけですよ。……個々の労働者がそれと闘い、闘いの中でこの考え方は間違っているとはっきりさせることが必要ですよね。……労働組合は、内部におけるいわば『党派闘争』を抜きに、闘う方針の形成や、そのもとでの団結ができるわけない」
動労千葉は79年、動労本部カクマルとの激しい分離・独立闘争をとおして、1350人の組合員が動労千葉のもとに結集するという、「総評労働運動始まって以来の勝利」をかちとった。中野さんは「徹底した内部討議をとおしての団結」がその原動力だったと語る。「どの党派のどういった考え方を選ぶのかということは、組合員が選択することです。……もちろん指導者がそういうものとして提起しなければダメです。……組合員にちゃんと事実を明らかにすれば、それで組合員はちゃんと判断してくれます」
こういう組合だからこそ、動労千葉には官僚主義や権威主義がない。組合員が役員にばんばん物を言う。今なお強制配転により士職に登用されない組合員も多く、全員が昇進差別で賃金格差をつけられているにもかかわらず、闘うことによって築かれた強固な団結はけっして崩れない。
マルクス主義
労働運動において、指導部がマルクス主義の真の実践者であるかどうかは、一切を決する核心である。
国鉄分割・民営化反対闘争を振り返って、中野さんは語る。「体制内労働運動とは違って、マルクス主義的な物の見方をすることができたということが、動労千葉が唯一闘いぬくことができた核心だと言えると思います」
敵が体制の存亡をかけた攻撃を労働者階級にかけてきた時には、マルクス主義を実践に貫く者だけが闘うことができる。激しい攻撃が労働者にどれほどの困難を強いるものであっても、その中に敵の危機と労働者のチャンスを見抜く。ここで闘いぬくことが労働者の勝利を切り開くことに不動の確信を持つ。分割・民営化攻撃と闘う動労千葉の姿はそのまま《戦争と資本攻勢と抑圧》に立ち向かう現在の労働者の指針である。
さらに重要なことがある。「僕は、動労千葉が分割・民営化に反対してストライキで闘うことができたということだけをとらえてほしくない。ストライキを闘い、公労法解雇と清算事業団送りを含めて四〇人も首を切られて、にもかかわらずそれ以降一六年間も闘いを継続しているということを認識してもらいたい」
動労千葉が、『共産党宣言』の「労働者の闘争の本当の成果は、直接の成功にあるのではなくて、労働者の団結がますます広がっていくことにある」という思想を体現して闘っていることを痛感する言葉である。
明るく誇り高く
この本を読むと、いつの間にか動労千葉の組合員とともに怒り、笑い、涙している自分がいる。
例えば、60年代の大スコ闘争(石炭をくべるのに大きなスコップを使った)。「一番重要なことは、当時の機関助士、青年部で、この運動が猛烈に受けたということです。職場闘争は、現場の労働者に受けるということが大事ですよ。受けなきゃ、『よし、やろう』というふうにならないんです」。順法闘争についても「やり始めておもしろくなると、労働者は知恵をいっぱい出します。これはもう心配しなくていい」と述べている。
70年代に動労本部カクマルの指令により、ヘルメットにテープを巻かされた悔しさ。動労本部の「三里塚反対同盟とは一線を画す」という決定に抗して、反対同盟が集会を行った三里塚第1公園と「一線を画した」第2公園で独自集会を開いたしたたかさ。
資本や組合ダラ幹に対する怒りがあり、闘う中に喜びがある。そして闘いをとおして《俺たちが鉄路の主役だ》と実感する。だから動労千葉は、誇りも高く「俺たちは鉄路に生きる」という言葉を掲げるのだ。
国際連帯の11月
『俺たちは鉄路に生きる2』は、「第2、第3の動労千葉をつくり出す」ための書である。組合役員はもちろん、御用組合のもとで苦闘する労働者も、未組織労働者も、「第2、第3の動労千葉をつくり出す」闘いを職場から始めるためのエッセンスがつまっている。この本をとことん学んで、第2、第3の動労千葉を全国につくりだそう!
その実践を、ただちに始めよう。「チャンスと危機は、常に裏表です。チャンスを正しく闘いに生かせればチャンスになるけれど、チャンスを生かしきれなければ危機に転化します。チャンスを本当に生かしきる闘いを、なんとしてもやらなければいけないと思います」。今がその時だ!
動労千葉は今夏、サンフランシスコのILWU(国際港湾倉庫労働組合)ローカル10や韓国民主労総との交流をかちとった。胸がふるえる思いである。本書を武器に、「国際連帯」の11月労働者集会に職場・地域から労働者を組織しよう。
〔中野洋動労千葉顧問著、労働者学習センター刊〕
(上原祐希)
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週刊『前進』(2121号5面2) (2003/10/13)
イギリス 郵便労働者 ストへ ブレア政権と全面対決
10・1ロンドン
イギリス・ロンドンの郵便労働者3万人は圧倒的多数でスト権を確立し、10月1日、24時間ストライキに突入した。
イギリスの郵便物の多くはロンドン経由で配達されるので、ロンドン地区の郵便労働者がストライキに突入したため、イギリス全体の郵便業務に重大な影響を及ぼしている。
しかも、すでにいくつかの組合が山猫スト(組合本部の承認を得ないスト)を行っている全国の重要な集配・仕分けセンターでも、この日のロンドンでのストライキに呼応して、一斉に山猫ストに突入すると見られており、ロンドンのストライキの威力はさらに増強される。
このロンドンでのストライキは、9月28日にほぼ確実に実施されると思われていた旧国営企業・ロイヤルポストの民営化会社であるロイヤルメール(組合員16万人)の全国ストライキが、政府と資本の暴力的介入によってつぶされたことへの怒りと危機感に満ちた、郵便労働者の大反撃の闘いである。
労働条件の悪化
01年3月にブレア政権のもとで民営化されて以降、他の民営郵便事業と対抗するために旧ロイヤル・ポストの郵便労働者の労働条件は著しく悪化し、賃金も低下した。現在の郵便労働者の全国平均の基本給は年1万2667ポンド(約240万円、警官の給料の3分の1)でしかない。地域によっては週200ポンド以下(年収200万円以下)の労働者もおり、最低限の生活さえ保障されていないのだ。1日2回の集配制導入に伴い、労働時間も週に6日、50時間以上になる。
その上、ロイヤルメール側は昨年、他の民間郵便事業との競争にうち勝つためとして、集配・仕分けセンターの統廃合と3万人の首切り・人員削減を打ち出してきた。ここに至って、ついに郵便労働者の怒りは忍耐の限度を越え、全国ストで闘う以外に生きる道はないと決意したのだ。
この間、郵便労働者16万人とブリティッシュテレコムの労働者10万人など通信関係労働者30万人を組織するCWU(通信労働組合)の中で、2年間にわたって労働党政権との「パートナーシップ」路線を続けてきた郵便事業担当の前書記次長に反対する勢力が急速に台頭してきた。そして今年6月、イラク反戦運動を積極的に組織し、労働党政権と対決する姿勢を鮮明にさせた新潮流労働運動派のデイブ・ワードがCWUの新書記次長に選出され、郵便事業における労働運動の戦闘的展開を追求し始めたのだ。このことが、賃上げと労働条件改善を求める全国ストライキに向かう動きを決定的に促進した。
小差でスト否決
新指導部のもと、郵便労働者は4000ポンドの賃上げ、3万人の首切り撤回、1日2回集配制の廃止、週労働時間の削減などを要求して全国ストへと突進し始めた。すると、政府・資本はすさまじいスト破壊策動に打って出た。
ロイヤルメールの社長は、全郵便労働者に手紙を送りつけ、“他の民間郵便事業会社との競争に敗北させ、ロイヤルメールを死滅させる全国ストを回避しなければ賃上げにも労働条件改善要求にも応じない”と恫喝した。
他方で今後18カ月で14・5%の賃上げ(組合側の要求賃上げ率の半分以下)、1日2回集配制の廃止と週5日労働制の導入などの「改善案」を提案して、あたかも労働者側の要求を一部受け入れるかのような姿勢を示した。だがそれは、「賃金引き上げをコストダウン、生産性上昇とリンクさせて実施する」というものであり、3万人首切り合理化と労働強化を前提としたものでしかない。だから18カ月後に確実に14・5%の賃上げが保証されているのではなく、とりあえず来年4月までの4・5%の賃上げを約束するものでしかなかった。
だが、9月16日に発表されたストライキ投票の結果は、賛成4万6391票、反対4万8038票で、わずかの差で全国ストライキは否決された。これは、会社側の脅しと甘言を用いた労働者への宣伝工作の結果であると同時に、勢力を急速に拡大しつつある新潮流労働運動への組合内部からの反動的抵抗の結果でもあった。労働党政権と密接に協力してきた旧組合指導部勢力が、ストライキの実現によって新潮流勢力がさらに著しく伸長することを恐れ、ストの組織活動をサボタージュしたのである。
他方、新潮流勢力が指導権を握ったCWUも、労働党との対決姿勢を強めて拠金を半減させはしたものの、「ニューレーバー」を掲げて民営化政策と賃下げ、労働条件の改悪を強引に推進するとともに、イラク侵略戦争に積極的に参戦している労働党との関係を断絶せず、依然として強固な関係を維持している。この指導部に対する労働者の不信も、新指導部のもとで断固全国ストに突入する決意を鈍らせたのである。
新潮流の台頭を
全国ストを背景として賃金交渉を有利に進めるというCWUの戦略はいったん挫折したかのように見えたが、郵便労働者の怒りは依然として激しく燃え、その戦闘性も衰えていない。
ロンドンの郵便労働者のストは、新潮流勢力と政府・資本との力関係を逆転するものとして設定されている。この成功は、全国の郵便労働者に新たな闘いの展望を与え、すべての民営化企業の労働者に大きな希望を与えるであろう。
同時にこの闘いには、新潮流運動がイギリス労働者階級の真の指導勢力として登場しうるか否かがかかっている。新潮流勢力がロンドンストを突破口に新たな全国スト態勢を確立し、反撃に打って出る指導を貫くことができるか否か、まさに試練の時を迎えている。
(丹沢望)
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週刊『前進』(2121号5面3) (2003/10/13)
戦争・リストラと闘う金属労働者の結集を
11月労働者集会へ 金属労働者の決意
帝国主義の争闘戦が激化し、第3次世界大戦への過程が開始された。01年9・11ムスリム人民によるゲリラ戦闘は米帝を震撼(しんかん)させ、米帝はアフガニスタンを侵略した。さらに米帝ブッシュはイラク、イラン、北朝鮮を「悪の枢軸」と言いなし、イラク侵略戦争を開始した。
だが、イラク人民の戦いでイラク占領は泥沼に陥り、アフガニスタンでもムスリム人民の闘いは米帝の植民地支配を完成させてはいない。8月19日、国連のイラク事務所に炸裂(さくれつ)した自爆戦闘は、米帝ブッシュ政権を直撃した。それは一瞬にして国連のペテン性を暴き出した。
日帝も自衛隊を年内にイラクに派兵することを決めた。われわれは、日帝の侵略戦争突入を意味する自衛隊イラク派兵を絶対に阻止し、11月労働者集会への大結集で「有事法制を完成させない、発動させない、協力しない」立場を明確にし、職場に反戦の砦(とりで)を築き上げよう。米日帝の北朝鮮侵略戦争を絶対阻止しよう。
「闘う金属」の隊列の実現へ
米帝の世界支配の破産は、資本主義が世界規模で崩壊的危機に直面していることを示している。世界はすでにブロック化し始めており、欧州と米英ブロックの対立は、イラク侵略戦争でさらに深まっている。
日帝はこうした情勢に対し、アジアをめぐる争闘戦へ、なりふり構わぬ攻撃に踏み出している。日帝・小泉の「聖域なき構造改革」路線は、出口を失った日本経済の救済策として、アジア再侵略のための戦争国家化の推進と一体である。日帝は、外に向かっての侵略戦争政策とともに、内に向かっての階級戦争をもって、連合を屈服させて産業報国会化し、闘う労働運動の圧殺をもくろんでいる。
今日の資本攻勢は、職場の中で小さくまとまっていれば何とかなる事態ではない。「ある日突然に肩をたたかれる」「ある日突然に倒産」ということが今や日常であり、職場の仲間が資本の攻撃によって目の前で殺されている。今や既成の労働運動では立ちいかなくなっていることは、国労や自治労の大会でも明白になっている。
こうした中で、国鉄1047名闘争、国労5・27臨大闘争弾圧の8人の闘い、そして国際連帯の新たな地平を切り開いた動労千葉の闘い、何よりも30年におよび資本との攻防を闘い抜いている全金本山労組の闘い、11月労働者集会を呼びかけている全国金属機械労組港合同、全日建運輸連帯関西地区生コン支部の闘いなど、生きた教科書となる闘いが目の前にある。彼らの闘いに学ぶことをとおして、闘う金属の隊列を実現しなければならない。
闘えば仲間は集まる。闘えば団結が生まれる。闘えば活路は切り開かれるのである。資本攻勢としての大失業、リストラ合理化、首切りと対決し、闘う労働運動を職場につくりだすことが今こそ求められている。
求心力を失うJAM執行部
小泉が首相に就任して以来、失業率は5%を超え、潜在失業者を加えると7%を優に超えている。また、経済的・精神的苦痛の中で年間3万人を超える自殺者が出ている。労働者を犠牲にする日帝・小泉の攻撃の前に既成の労働運動はなすすべがない現状である。
全国の中小企業労組を束ねるJAMも結成当初は50万人だったが、今年は40万を下回ろうとしている。
その原因の第一は、そもそも闘う方針を失った金属機械=旧総評とゼンキン連合=旧同盟・友愛会が一緒になったため、労働者のための労働運動が存在しなくなったことにある。闘う方針のない組合指導部に対して労働現場では期待感は薄れ、運動はまったくない。
第二に、リストラ合理化の提案に対して、企業と一体となったJAM指導部はほとんど丸飲みであり、そこには労働者の未来をかけた闘う労働運動は存在していない。春闘方針もあいまいで、反戦闘争課題もまったく闘わない。昨年同様、今年の定期大会でも明確な方針は出ず、大会後の交流会では中小労組から怒りの声が発せられた。
JAMは下請け金属産業で働く労働者の集団であり、日々資本のコスト論と単価論との攻防の中にある。それゆえ資本の国鉄分割・民営化型攻撃は激化を極め、組合は合理化提案に抗しきれていない。単組の大会に「日の丸」を掲げ、会社社長を筆頭来賓として、会社の意向を背景に力を誇示しているような現状である。そこには階級闘争と言えるものは何もない。
第三に、労働組合の綱領の問題が根本にある。
何よりも°労働者による社会主義社会の実現″という階級的視点がまったく欠如している。総同盟が労資協調を軸として連合を結成し、連合は旧総評系を取り込みナショナルセンターを名乗ってきた。しかし、資本主義の崩壊的危機と侵略戦争を目前にして、連合は日帝の恫喝を受け、「政労使合意」なるものを結び、完全に屈服しているのである。こうした連合に労働者の未来を託すことはできないし、まして産別を名乗るJAM指導部に労働運動を指導する力が今やあるはずがない。
闘う労働運動は、労働者の団結した力で、自国帝国主義と対決し、打倒して労働者国家を実現するためにある。そのためにはマルクス主義に立脚した労働運動を今こそ実践しなければならない。資本主義の崩壊的危機を労働者の犠牲に転嫁し延命しようとしている帝国主義に対して、これと真っ向から闘う労働運動の新潮流と大合流しよう。
労働者に立脚した指導部を
今、現場では安全を無視した超過密工程で労働者の鮮血が日々流されている。労働者に立脚した労働運動の指導が求められている。
JAM傘下のいくつかの組合では闘う労働運動が開始されており、その勢力は拡大しつつある。個別資本との闘いは熾烈(しれつ)を極めるが、対決を避けて資本にうち勝つことは絶対にできない。奥田ビジョンによる資本の一大攻勢と対決し、闘うことをとおして初めて労働者の連帯と団結が生まれるのである。
私は、金属労働者がマルクス主義で武装し団結し、労働者階級自己解放をかけた闘いに総決起することを強く訴える。11月労働者集会は、闘う労働運動を切り開いている労働者や新たな労働運動を模索している労働者、日本の戦争国家化に反対する市民など多くの人びとが結集してくる。
金属産業に働く労働者のみなさん。11月労働者集会に結集し、闘う金属労働者の大合流をつくりだそう。
(河井隆弘)
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週刊『前進』(2121号6面1) (2003/10/13)
「帝国主義時代は終わった」と強弁する不破議長の“新理論”
日共新綱領案の基礎にある世界観
帝国主義は未曽有(みぞう)の危機にあえぎ、01年9・11反米ゲリラ戦争と米帝のアフガニスタン侵略戦争、今年3・20イラク侵略戦争突入を転機に世界戦争の時代に突入した。この中で、スターリン主義の日本共産党は、自らの延命のために、帝国主義の最後の番兵として帝国主義を救済する役割を自らに課し、延命しようと図っている。23回大会で改定しようとしている綱領案は、そのための宣言の文書である。前進社発行のブックレット「労働者に背を向けた日本共産党@日本共産党新綱領案の全面批判」は、帝国主義の戦争と資本攻勢に対して闘おうとしている日本共産党員とその傘下の労働者に向けて、新綱領案の反労働者的本質を徹底的に暴き、ともに闘うことを呼びかける画期的なシリーズである。11月集会への大結集を実現するために、このブックレットを活用することを訴える。
「20世紀後半には植民地体制が完全に崩壊した」
日本共産党は、今日、日帝の階級支配の危機、政治危機の爆発に際して、自らその救済者、最後の番兵としての役割を担い、労働運動を抑圧し、プロレタリア革命を絞殺しようとしている。それをアピールするためにこそ、綱領を改定しようとしているのだ。
日本共産党指導部は、帝国主義の未曽有の危機とその凶暴化に対して、労働者階級人民の下からの反撃の必然性と革命の現実性を見るのではなく、逆に闘争の激化への危機と恐怖を感じ、一切の階級的なもの、革命的なものを一掃して、自分たちが帝国主義にとって無害であること、いやそれどころか、有用な存在であることを訴え、ブルジョアジーから承認をとりつけようとしているのだ。
そのために、党の綱領から労働者の階級的な闘いの要素を一掃し、議会主義に純化して、日帝権力の一角に食い込んで、政権を担当する用意があることを売り込もうとしている。「民主主義革命」を掲げているけれど、これは「資本主義の枠内」のことであって、天皇制にも自衛隊にもなんら抵触するものではありませんと誓い、革命と言っても「IT革命と同じようなもの」「何も物騒なことではない」(不破)と強調しているのだ。
つまり、新綱領案全体が、自国帝国主義ブルジョアジーの方を向いて、書かれているのである。
「植民地を争う戦争はない」
新綱領案は、第三章「世界情勢――二〇世紀から二一世紀へ」の中で、「人類社会は」2回の世界大戦などを「乗り越え、人類史の上でも画期をなす巨大な変化」が進行したと言う。
そして、「多くの諸民族を抑圧の鎖のもとにおいた植民地体制は完全に崩壊し、民族の自決権は公認の世界的な原理という地位を獲得し、百をこえる国ぐにが新たに政治的独立をかちとって主権国家となった」「国際連合の設立とともに、……戦争を未然に防止する平和の国際秩序の建設が世界的な目標として提起された」とし、国連設立の「意義」を強調している。
「独占資本主義というのは、……独占体に固有の拡張欲とかそれを基盤にした侵略性とか、そういう性格や傾向を当然持っています。しかし、今日の時代的な変化のなかでは、それらが、植民地支配とその拡大とか、それを争っての戦争などという形で現れるという条件はなくなりました」(7中総の不破報告)
「植民地体制の完全な崩壊」を断定し、そこから、現代では植民地の拡大やそれをめぐっての戦争が起こる条件がなくなったとし、独占資本主義=帝国主義国であると特徴づけることはできなくなったと言うのである。不破は、帝国主義の「もとがなくなった」とまで言っている!
第2次大戦後の嵐のような民族解放闘争の高まりの中で、旧植民地の政治的・形式的な独立は認め、経済的・実体的にはカイライ政権を通して支配・抑圧するやり方が基本になった。これが戦後の新植民地主義体制である。このこと自身は日本共産党も使っていた用語であるが、今や彼らはこれを投げ捨て、植民地がなくなったのだから、「被抑圧民族」という存在もなくなり、平等な関係になった、したがって帝国主義も存在しないと言うのである。これは完全に形式主義である。世界の現実を見れば、帝国主義国と新植民地主義体制諸国とは画然と違う存在であることは明白である。
しかも驚くべきことに、日本共産党は、この国家間の支配と従属の関係が「異常な形で」残っているのが日本とアメリカの関係(のみ)だと言うのである。世界第1位と第2位の経済力を持った帝国主義国の間に(のみ)、植民地的な支配と従属の関係があるが、それ以外にはもはやどこにもないと言うのだ! これは日本共産党が自国帝国主義防衛の純然たる帝国主義的ナショナリズムを鼓吹している以外の何ものでもない。世界の人口の3割が飢えているという、厳然たる帝国主義世界体制の矛盾があるのに、「植民地はない」と言い、「日本の対米従属」のみが問題だという日本共産党の立場は、完全に抑圧民族の排外主義的世界観である。
不破は、「『独占資本主義=帝国主義』という旧来の見方で世界を見て」はならない、と言う。「イラク戦争の問題をめぐって、独占資本主義国の間で、先制攻撃戦争という道に国連無視で踏み出したアメリカ、イギリスと、これに反対するフランス、ドイツが対立しました。この対立を、帝国主義陣営内部の対立、矛盾と見てすむか、そうではなくなっている」と。
これまで日本共産党は、日本は独占資本主義の国だがアメリカに支配された従属国家である、帝国主義の国ではないと言ってきた。「しかし、現在では……より一般的な意味で、帝国主義という規定を再検討する必要がある」として、フランスもドイツも帝国主義ではない、「独占資本主義の国」を帝国主義と呼ぶ根拠とするのではなく、「その国の政策と行動に侵略性が体系的に現れている」かどうかが基準だと強弁する。
はたしてフランスやドイツは、帝国主義ではなくなったのか。イラク戦争に反対したから帝国主義ではなくなったと言えるのか。そうではない。米英日対独仏の対立は、中東と石油の支配をめぐる帝国主義間争闘戦であり、帝国主義の矛盾の現れなのである。3・20イラク開戦は、戦後初めて帝国主義間対立が戦争をめぐる衝突にまで突き進んだという点で、決定的な事態だった。これはプロレタリア革命の現実性を示すものであって、日本共産党のようなドイツ、フランスを礼賛するのは、帝国主義の尻押しでしかないのだ。
「アメリカも独占資本主義のままで帝国主義でなくなる」
結局、レーニンの帝国主義論を完全に否定することが日本共産党新綱領案の目的である。レーニンは、「帝国主義論」を第1次世界大戦の真っただ中で執筆した。それは「資本主義の最高の段階としての帝国主義」というタイトルであった。「最高の段階」とは「最後の段階」ということであり、帝国主義戦争を不可避とするに至った帝国主義は、もはやプロレタリア革命によって打倒する以外にないことをはっきりさせたのである。
1917年4月に「帝国主義論」を発行したレーニンは、同時期に「4月テーゼ」を出し、「帝国主義戦争を内乱へ」のスローガンのもとにロシア・プロレタリア革命に向かって前進し、勝利したのである。
しかし、不破と日本共産党は、この帝国主義論の根本を破壊し、帝国主義は資本主義の最高の発展段階、最後の段階ではない、と強弁し、資本主義の永遠の発展を唱えるに至ったのである。日本共産党のスローガンである「資本主義の枠内での民主的改革」とは、要するに、資本主義は改革の余地がいくらでもあるという立場に立って初めて打ち出せるものである。
自覚的なカウツキー主義
不破の言っていることは、第1次世界大戦での帝国主義についてカウツキーが展開した「超帝国主義論」の基本的立場とまったく同じである。つまり、カウツキーは、帝国主義を資本主義の世界史的発展段階と解すべきではなく、「一つの政策、すなわち金融資本によって『好んでもちいられる』一定の政策、と解されなければならない」とすることで、帝国主義が他の平和的手段をとることが可能であると主張し、帝国主義とプロレタリアートとを和解させるための説教を行った。レーニンはこれを根底的に批判した。
今日、帝国主義の危機と世界戦争の時代への突入の中で、不破は再びカウツキーの道を説いているのである。しかも、このことを不破は意識している。
「レーニン自身、独占資本主義の土台の上に現れてくるのは、帝国主義の政策以外にない、非帝国主義的政策が独占資本主義と両立すると考えるのは、カウツキー主義だといった議論をよく展開したものでした。
しかし、いまでは、状況が大きく違っています。私たちは、国際秩序をめぐる闘争で、一国覇権主義の危険な政策を放棄することをアメリカに要求し、それを実践的な要求としています。そして、これは、世界の平和の勢力の国際的なたたかいによって、実現可能な目標であることを確信しています」(7中総報告)
不破は明らかに「状況が変わった」という言い訳で「カウツキーの方が正しい」という立場に移行したのだ。自覚的な反レーニン主義への転落である。
このカウツキー主義とは、単なる理論上の色合いの違いや学説の相違ではない。帝国主義を打倒するのか、帝国主義の側に立って祖国防衛主義に転落するのかの違いであり、革命と反革命との別れ道なのである。そもそも「共産党」という名称は、帝国主義戦争の協力者に転落したカウツキーと第2インターから決別して、プロレタリア世界革命を推進する側に立ったレーニンとボルシェビキのアイデンティティーを示す名称である。スターリン主義によって、この「共産党」という名称そのものが汚されてしまったのだが、そもそもの出自を問えば、不破は「カウツキー主義で行く」という態度表明をすることで、もはや「共産党」を名乗る資格はないことを自認したに等しい。
アメリカ帝国主義の評価
確かに不破は、今のアメリカがとっている世界政策は「まぎれもなく帝国主義」であると言う。綱領改定案では一個所だけ、「アメリカ帝国主義」という語が使われている。「いま、アメリカ帝国主義は、世界の平和と安全、諸国民の主権と独立にとって最大の脅威となっている」と。
だがその上で、不破は、「私たちは、いま、アメリカの世界政策に対して、『アメリカ帝国主義』という規定づけをおこなっていますが、そのことは、私たちが、アメリカの国家あるいは独占資本主義体制を、固定的に特徴づけている、ということではありません」と言って、アメリカに「一国覇権主義の危険な政策を放棄することを要求し」、それを実現することは可能だと言っている。
これは日本共産党が、アメリカのブッシュ政権の戦争政策が一時的なもので、ブッシュ・ネオコン政権が終われば「民主的な独占資本主義」の時代に入ると言っているに等しい。しかし、米帝の戦争は、「好戦的政権」だから起こっているのではなく、帝国主義の体制的危機から不可避となっている戦争なのである。
不破は、日米関係では国粋主義的なまでの愛国主義、反米民族主義であるが、アメリカ帝国主義自身との対決という点では、完全に屈服しているのだ。
「日本のアジアへの経済進出は帝国主義的侵略ではない」
不破の帝国主義否定論の実践的結論は、「日本は帝国主義ではないし、帝国主義が復活することもない」と断定して、日本帝国主義ブルジョアジーに全面協力するというところにある。
今日の日本をどのように規定するかということについて、現綱領では「軍国主義、帝国主義の復活・強化の道すすむ日本独占資本」と言っている。
それは対米従属論に立ったものだが、日米帝間の矛盾に言及してもいる。ところが、これが新綱領案では一変している。
「日本経済にたいするアメリカの介入は、これまでもしばしば日本政府の経済政策に誤った方向づけを与え、日本経済の危機と矛盾の大きな要因となってきた」「これらすべてによって、日本経済はとくに基盤の弱いものとなっており、二一世紀の世界資本主義の激動する情勢のもとで、日本独占資本主義の前途には、とりわけ激しい矛盾と危機が予想される」
ここでは、アメリカによって日本の資本主義が危機に追いやられていることがもっぱら強調されている。また、現綱領にあった、日本独占資本の海外での搾取・収奪についての言及も皆無になっている。アメリカのために、「日本経済の前進」は阻まれ、「日本経済の基盤を弱められ」「日本独占資本主義の前途には激しい矛盾と危機」が横たわっている、と、日帝ブルジョアジーの立場に立って危機感を表明している。
要するに日本共産党の最大の問題意識は、「アメリカの横暴から日本資本主義を守る」ことにある。新綱領案の第二章「現在の日本社会の特質」は、「第二次世界大戦後の日本で起こった最大の変化」として、「日本が、独立国としての地位を失い、アメリカへの事実上の従属国の立場に落ち込んだこと」を第一に挙げている。ここから、「独立と主権を回復する」ことが最大の課題とされる。これは今現在、外に侵略戦争を仕掛け、内に労働者への階級戦争を仕掛けている日本帝国主義の現実に照らして、根本的な誤りだ。
奥田ビジョンの立場と同じ
不破は、日本の独占資本主義をどう見るかということで、次のように言う。
「私たちは、いまの綱領でも、日本の現状を帝国主義とは規定していません。しかし、……独占資本主義として復活・強化の道をすすんでゆけば、それはおのずから帝国主義的な発展に結びつく、こういう見方がありました」。しかし、そういう見方は「いまでは現実に合わなくなっています」と言うのだ。
「実際、アジア諸国が、日本の対外活動について警戒の目を向けているのも、日本の大企業の経済活動ではなく、軍国主義の復活につながる日本の対外活動であります。……そのなかの問題点について、個々の批判はあっても、対外進出そのものについての批判や告発はありません。これは、偶然ではありません」
「現在の世界の政治・経済の情勢のもとでは、独占資本主義国からの資本の輸出、即°経済的帝国主義″とはいえない状況が展開しているわけです」
これは日帝のアジア侵略と侵略企業の完全な擁護だ。新綱領案では、これまで「行動綱領」にあった「日本独占資本の帝国主義的対外進出に反対」という文言が削除されている。
要するに、日帝のアジア侵略万々歳の論理である。不破が、マレーシアやベトナムを訪問し、それぞれの国の労働者民衆とではなく、政府要人と会談して「意気投合」し、それをもって「野党外交」と自画自賛していることと、この綱領改定案とは密接な関係がある。アメリカの支配を受けないアジアの共同市場などと言って、日本経団連の奥田ビジョンで描かれる「東アジア自由経済圏構想」を日本共産党の側から推進しようとしているのである。純然たる日帝ブルジョアジーの先兵の役を果たしているのである。
この日帝の帝国主義的侵略の積極的容認が、日本共産党の帝国主義論の結論である。彼らは、その立場から「帝国主義の時代は終わった」論をこじつけ、強弁しているのである。
だが、それは帝国主義の戦争と資本攻勢に対する労働者階級の階級的反乱の力への決定的な過小評価だ。日本共産党新綱領は、必ず彼らの命取りになるだろう。
(高田隆志)
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週刊『前進』(2121号6面2) (2003/10/13)
原因隠ぺいを弾劾 JCO臨界事故から4年
99年9月30日午前10時35分、茨城県東海村のJCO東海事業所で臨界事故が発生し、2人の労働者(大内久さん、篠原理人さん)の犠牲と667人の被曝(ひばく)者を生みだし、地域住民31万人が避難する大惨事となった。この事故から4周年目の9月30日、臨界被曝事故4周年東京圏行動実行委員会主催で「臨界被曝事故の責任を問う」一日行動が取り組まれ、約200人が立ち上がった。
午前10時から霞が関の原子力保安院前で、犠牲者を追悼し核燃料サイクル開発機構(旧動燃)の責任を追及する集会が行われた(写真)。集会では、犠牲となった労働者に責任を転嫁し「旧動燃の無理な注文」という事故原因を隠ぺいする小泉政権への怒りが噴出した。集会後、原子力安全委員会・経済産業省・文部科学省に「事故原因の再調査」を申し入れた。
夕方から飯田橋のシニアワーク東京で「東海村臨界ヒバク事故・4周年東京圏集会」が行われた。肥田舜太郎医師は、ヒロシマの被爆体験をリアルに語りながら、アメリカの責任も問わなければならないことを熱烈に訴えた。臨界事故被害者の裁判を支援する会の大泉実成さんは、被曝住民を切り捨てた資本と政府を弾劾した。JCO事故調査市民の会・名城大学教授の槌田敦さんは、「事故の真犯人は核燃料サイクル機構」と断言した。集会後、西神田公園までデモを行った。
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週刊『前進』(2121号6面3) (2003/10/13)
労働者の闘いを抑圧する 日本共産党の新綱領案(4)
自衛権の積極承認 「自衛隊解散要求」取り下げ
「解消へ前進」
日本共産党は今回の新綱領案で、従来の綱領(94年綱領)にあった「自衛隊の解散を要求する」という項目を撤回し、「自衛隊の解消に向かっての前進をはかる」と変更し、自衛隊承認を基本的態度とすることを宣言した。すでに第22回党大会(00年)では「必要に迫られた場合には、自衛隊を国民の安全のために活用する」と決議していたが、今回これを綱領の上で、自衛隊そのものの承認を明文化したのだ。
現在、小泉超反動内閣はイラクへの自衛隊派遣を年内にも強行しようとしている。侵略軍隊として戦場に送り込まれようとしている自衛隊の兵士たちに、イラク人民の敵となるな、侵略軍隊となることを拒否せよ、と呼びかけねばならないまさにその時に、日本共産党が大会で「当面自衛隊の存在そのものには反対しない」という綱領を採択しようとしているのだ。
「国民の合意」
改定案は、次のように言う。「自衛隊については、海外派兵立法をやめ、軍縮の措置をとる。安保条約廃棄後のアジア情勢の新しい展開を踏まえつつ、国民の合意での憲法第九条の完全実施(自衛隊の解消)に向かっての前進をはかる」(第四章「民主主義革命と民主連合政府」)
これはつまり、@従来の「自衛隊解散要求」は、正式に綱領として取り下げる、A自衛隊の「海外派兵」「軍備強化」については、「海外派兵反対」「軍事力強化反対」ではなく、立法のレベルで対応する、B安保条約を廃棄しても〔民主連合政府ができても〕すぐ自衛隊解散を行うことはせず、「憲法第九条の完全実施」として「自衛隊の解消」を「国民の合意」のもとに行う、Cしかも、すぐにこの点での「国民の合意」を求めるのではなく、それに「向かっての前進をはかる」ということだ。
「自衛隊の解消」を「憲法第九条の完全実施」として行うということは、現在の自衛隊の存在は憲法違反だと自覚した上で、日本共産党は、その違憲の自衛隊を当面容認するだけでなく、「民主連合政府」のもとでも自衛隊を直ちに解散することはない、と綱領で「約束」しているのだ。
どうして、今日本共産党は「自衛隊は憲法違反だ。侵略の軍隊=自衛隊反対」「自衛隊のイラク派兵反対」とストレートに労働者人民に呼びかけないのか。
日本共産党は、ブルジョアジーも含めた「国民的合意」が得られないかぎり、現在、そして将来にわたっても、自衛隊が憲法に違反しているからといって自衛隊の解散を要求することはしない、ということである。このような議論でいくなら、侵略戦争についても、反対の「国民的合意」が得られなければ、戦争反対をおろすことになってしまうではないか。
自衛戦争賛成
もうひとつの問題は、日本共産党は、そもそも党として、日本〔=日本帝国主義〕の自衛権を認める立場に立っているということ、つまり、「自衛のための戦争」をする権利を擁護し、実質的に日帝の侵略戦争を支持すると表明しているということである。現行憲法制定時の国会審議(1946年)を総括して述べている次の言葉に、日本共産党の基本的立場が明らかにされている。
「党は、憲法九条のもとでも、急迫不正の侵害から国をまもる権利をもつことを明確にするよう提起しました。しかし、吉田首相は九条のもとで自衛権はないとの立場をとり、党は、これを日本の主権と独立を危うくするものと批判して、草案の採択に反対したのでした。その後、戦争を放棄し、戦力の不保持をさだめた憲法九条のもとでも自衛権をもっていることは、ひろくみとめられるようになりました」(日本共産党中央委員会『日本共産党の八〇年』02年7月)
すなわち、日本共産党自身がそもそも自衛権は必要であり「国を守る軍隊」として自衛隊を必要と考えているということである。しかし、帝国主義の侵略戦争はいつも「侵略から国を守る」という口実で行われてきた。
こうした日本共産党の自衛権擁護論が正面におしだされるようになったのは、94年朝鮮危機以来、日帝ブルジョアジーが日米新ガイドライン締結(97年)と周辺事態法制定(99年)を区切りとする戦争体制構築攻撃を激しく開始した時期のただ中であり、それとの闘いではなく、屈服としてあったということである。日本共産党は「安保廃棄の凍結」(98年)、「日の丸・君が代」法制化の提唱(99年)などの反動的動きの頂点で00年の第22回党大会で、すでに述べたように「有事の自衛隊活用容認」を決定したのだ。
ところで、安保条約を廃棄しても、日本共産党はすぐ自衛隊の解散を要求するわけではない。上に引用した改定綱領の該当部分で、「自衛隊については……安保条約廃棄後のアジア情勢の新しい展開を踏まえつつ」と書いているように、アジア情勢、すなわち具体的には「北朝鮮情勢」の展開いかんでは、自衛隊の解散・解消どころか、自衛力の強化が必要になってくる、と言っているのだ。実際、日本共産党は、「テポドン問題」「不審船問題」などで、反北朝鮮キャンペーンの先頭に立って、海上保安庁法の改悪にも賛成したのだ。
この根底にあるのは、帝国主義の侵略戦争反対の立場ではなく、「自衛戦争賛成」あるいは「国連の承認する戦争なら支持する」(この論理で、日本共産党は、91年の米帝のイラク侵略戦争を擁護した!)という立場である。このように帝国主義に徹底して屈服した立場では、自衛隊イラク派兵に反対し、反戦闘争を本気でやれるわけがないのである。
(川武信夫)
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週刊『前進』(2121号6面4) (2003/10/13)
9月24日〜30日
安倍「多国籍軍参加は可能」 自衛隊、年内イラク派兵狙う
●航空燃料が基地外に流出 沖縄県具志川市の米陸軍貯油施設・第1ファームで米兵が送油作業中、航空機燃料約114gが漏れて基地外に流出し、農業用の排水溝に流れ込んだ。(24日)
●イラク開発「証拠ない」 AP通信などによると、イラクで大量破壊兵器の捜索に携わっている米中央情報局(CIA)の調査団が、大量破壊兵器の開発計画を裏付ける証拠は見つかっていないとする第1次報告書をまとめた。近くCIA長官に提出。(24日)
●日本の「寛大な貢献」期待 アーミテージ米国務副長官は、イラク「復興」への日本の財政的な貢献について「寛大な提案があると確信している」と述べ、日本に対し相当額の拠出を求めた。(24日)
●民主、自由両党が合併 民主党と自由党が合併協議書に調印し、国会議員204人を擁する野党第1党が誕生した。(24日)
●野沢法相「旅券に指紋を」 野沢法相は、治安対策として「顔の形、指紋など個人特有のデータを読み込んだ形でパスポート、その他が効果があるのではないか。母国での犯罪履歴データを相互交換する協定を結ぶことも大事だ」と述べた。(25日)
●米、7カ国攻撃計画 イラク攻撃後、テロ支援国家と指定した国を5年がかりで武力攻撃する――01年9・11直後にブッシュ政権が計画した軍事行動の一部を北大西洋条約機構(NATO)のウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官が10月に出版する本で明らかにした。(25日)
●自衛隊年内にイラク派兵 政府は、イラクへの自衛隊派兵を年内に実現する方針を固め、米国などとの具体的な調整に入った。航空自衛隊による物資輸送を行うほか、北部の都市に陸上自衛隊を50〜100人規模で派兵する方向で検討している。(25日)
●米軍が無通知訓練 名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沖で、米海兵隊が那覇防衛施設局や地元の自治体に事前通知せず、強襲揚陸艦などによる訓練を実施していたことが分かった。その後、金武町のブルービーチ訓練場海域でも無通知訓練が行われていたことが分かった。(25日)
●臨時国会始まる 第157臨時国会が召集された。小泉首相が衆参両院本会議で所信表明演説を行った。(26日)
●嘉手納に新医療中隊 嘉手納基地に第18航空医療搬送中隊(119人)が新設された。横田基地の第374航空医療搬送中隊の解散に伴うもの。同中隊の新設で海軍病院(北谷町)とあわせ在日米軍の医療任務が沖縄に集約されることになる。(26日)
●防衛庁、鳥取県と連携で有事シミュレーション 防衛庁は有事の際の住民避難シミュレーションを、自衛隊と自治体との共同で実施する方針を固めた。石破防衛庁長官(衆院鳥取1区)は、全国で初めて独自の住民避難マニュアルを作成した鳥取県と実施する意向を示している。(27日)
●新防衛大綱1年先送り 政府は、長期的な防衛方針や防衛力整備の全体像を示す新たな「防衛計画の大綱」について、当初予定していた年内の策定を1年先送りする方針を固めた。イラクへの自衛隊派兵の作業を優先させ、大綱の柱である「国際協力のあり方の見直し」にはイラク派兵の成り行きを見極める必要があると判断したという。(28日)
●多国籍軍参加「現行法で可能」 自民党の安倍幹事長は、イラクに多国籍軍を派兵する国連安保理決議案が採択された場合の対応について、「多国籍軍と言っても、戦闘をするのではなく、平和の維持、治安の安定が目的だ。すでにつくっている特措法の中で、自衛隊ができることは当然ある」と述べ、現行法の枠内で自衛隊の参加は可能だとの考えを示した。(28日)
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週刊『前進』(2121号7面1) (2003/10/13)
東大阪市議選闘争の総括と教訓 住民の団結と行動の勝利
革共同関西地方委員会
「反戦と介護・福祉」の要求実現へ団結
部落解放同盟全国連合会・荒本支部書記長の阪口克己氏は、9月21日の東大阪市議選で2811票を獲得、41位で初当選をかちとった。これは、全国連・荒本支部と全国連全体の決定的な勝利であり、革命的議会主義の進路を切り開く重大な勝利である。
今回の東大阪市議選は、自民党総裁選での小泉の圧勝と総選挙情勢のもとで自民党、公明党などが候補を乱立させ、総選挙に向けて票の掘り起こしを行うと同時に大幅な議席増をも狙うというきわめて反動的な動きと激突する選挙戦であった。実際に、この選挙の結果、自民党が現有11議席から7議席を増やし、公明党が現有12議席から2議席を増やした。東大阪市議会は、50議席のうち実に42議席を自民、公明、民主などの与党が占める反動体制となった。
日共は大敗北
だが、今回の選挙の最大の特徴は日本共産党の大敗北である。共産党は、岡崎議員団長、内海議会幹事長を始めとして現職6人が落選、12議席を5議席に減らす大敗北を喫した。彼らは「総裁選での小泉圧勝の流れに押し流された」などと客観主義的総括を決め込んでいるが、この大凋落(ちょうらく)は、今日の階級情勢のもとで綱領改定に象徴される転向を一層深め、労働運動や大衆闘争に敵対し、それを抑圧する日共スターリン主義の必然的な敗北である。議席確保のために口先だけで「福祉充実」などと言っても、そんなものはもはや人民に通用する時代ではないのだ。
阪口氏は、小泉再選と総選挙という反動の嵐(あらし)を食い破り、まったくの無名、新人という大きな困難をもはねのけて人民の支持を獲得し、見事に当選を果たした。この勝利の最大の要因は、阪口氏が介護保険闘争を始めとした大衆行動の爆発のために闘い、終始その先頭に立って大衆行動を牽引(けんいん)したことにある。
われわれは、この選挙を「反戦と介護・福祉」を基本政策として闘ったが、この基本政策の実現主体がほかならぬ労働者階級自身、人民自身であることを真っ向から訴え、小泉政権による戦争と社会保障切り捨ての政治の中、このままでは生きられない現実に直面する労働者、高齢者の生きるための要求を引き出し、その実現のための団結と行動を呼びかけ、阪口氏を先頭に住民大衆と一緒になって闘ったのである。
7月と8月の2波にわたる介護保険料減免要求の大衆行動、「東大阪国保と健康を守る会(国健会)」の会員拡大と支部組織の建設、支部組織を軸にした大衆的な集票行動。この選挙戦における3カ月間の闘いは、これまでばらばらに分断されていた労働者と高齢者を始めとした住民が階級的団結を取り戻し、政治変革の主人公として立ち上がり、そして自らの手で勝利をかちとる過程となった。
この選挙戦の勝利の中には、戦争と革命の時代における革命的議会主義の本格的な発展の道筋、革命党の自己変革の道筋が豊かに示されている。革共同はこの選挙戦の中で、小なりとはいえ、またほんの端緒とはいえ、日本共産党スターリン主義に代わる新たな労働者階級の党として登場したと言えるのである。
阪口氏、荒本支部、住民、党が一体で
今回、部落解放同盟全国連・荒本支部と、その代表としての阪口候補、党(革共同)のオルグ団、国健会を始めとした住民大衆の4者が「住民選対本部」のもとに固く団結し、渾然(こんぜん)一体となって選挙戦を闘った。
党のオルグ団が荒本支部と一体となって闘うことはもちろん初めてである。また荒本支部が国健会を始めとする住民と一体となって闘うことも初めてである。さらに住民が選挙戦の主役として方針の討議や意志形成の場に参加するのも初めてである。だがわれわれは、この選挙の主人公が誰よりも荒本支部であり、国健会を始めとした住民自身であることを心の底から承認し、この選挙戦がこれらの人びとの革命的大衆行動そのものであるという認識に立って、ともに肩を並べて闘ったのである。
この住民選対本部は、全国連中央本部の中田書記長を本部長とする指導体制のもとで、選挙戦の全過程をとおして司令塔としての責任を果たした。4者は互いに切磋琢磨(せっさたくま)しあい、協力しあって闘った。この選挙の勝利は、文字どおり4者の勝利であり、その団結の輝かしい勝利である。
村ぐるみ決起
荒本支部の部落大衆は、荒本村内の票を獲得するだけでなく、終始、選挙戦全体を牽引して闘いぬいた。
老人会の皆さんは、3カ月間にわたって一日も欠かすことなく阪口候補とともに駅頭に立ち、朝夕の街宣を担った。さらに、炎天下にもかかわらず、連日、事務所横に設置されたテントに詰めかけ、選挙戦全体を激励した。
婦人部の皆さんは、3カ月間の炊き出しを担い、選挙戦の土台を支えた。この炊き出しには、これまで支部の運動には距離をおいていた若手の婦人も参加し、選挙戦をとおして婦人の団結は一挙に強まったのである。
青年は「さかぐち克己を育てる会」を結成して闘った。今日、荒本を始め部落の青年の多くは不安定就労に追いやられ、帰宅が深夜という現実があり、青年の集まりを持つこと自体が困難であった。しかし、青年部は、会議を持てるのが深夜の11時、12時からという困難をのりこえて、青年の組織化をなしとげたのだ。さらに、壮年と婦人を中心とした村内オルグ、校区内のオルグが何波にもわたって繰り広げられた。
また、宣伝戦の主力も荒本支部の人びとによって担われた。選挙カーのドライバーは壮年部のローテーションによって貫徹され、選挙カー、政策宣伝カーのレギュラーのウグイスは若手の婦人と青年によって担われた。荒本支部の誰もがこの選挙戦の主役として闘ったのである。
荒本支部にとって、この選挙は、瀬川博市議以来の部落解放運動と荒本の村の議席を守る死活的な闘いであるだけでなく、自らの手で全国連の5万人組織建設の行方を切り開く闘いであった。寝屋川支部に対するデッチあげ弾圧を打ち砕き、法打ち切り情勢下で部落大衆の生きる権利と生活を守る、そのために、法や制度のもとでつくられてきたこれまでの団結に代わる新しい村の団結を創造する闘いだったのである。
この荒本支部の支部一丸となった力こそ、勝利の最も重要な原動力であった。だがそれは、荒本支部が集票の決定的な柱をなしたということだけではない。荒本支部の闘いは、介護保険闘争での対行政闘争を土台において牽引し、団結することの意味、その素晴らしさを、事実をもって住民選対に結集した住民に示していったのである。
住民が票集め
この選挙戦のいま一方の主役は、国健会に結集する住民大衆である。特に選挙戦の最終局面における爆発的な集票活動を担ったのは、この住民大衆であった。実際に、最終局面において市内各地につくり出された国健会支部のもとで紹介活動が爆発的に行われ、ひとりで何十票も集める住民が次々と生み出されたのである。
また、こうした住民大衆の決起は選挙戦本番における宣伝戦においても十二分に発揮された。選挙カーに60代、70代の婦人が乗ってウグイスをやったり、スポット演説の会場に周辺の住民が詰めかけ、自らマイクを取って訴えたり、また自分たちの居住地域や商店街を候補を案内して練り歩くなどの闘いが全域で展開された。
圧巻は、選挙戦最終日の近鉄若江岩田駅前での街頭演説会だった。若江岩田駅は市内のど真ん中に位置し、多いときには一度に7候補がひしめきあう激戦の中心地である。ここに折からの台風の影響による雨をもはねのけ、昼すぎから住民が続々と詰めかけ、夕方までにその数は250人を超えた。この熱気と迫力の前に他の候補は近づけず、選挙戦最終日の市内の中心地が半日にわたって住民によって制圧されるという事態となったのである。この勢いは、資金と物量を誇る大政党の宣伝を完全に圧倒した。
しかし、これらの人びとは元からの支持者ばかりではない。その多くは、これまでは選挙にも行ったことのなかった人びと、あるいはこれまでは生健会に所属して共産党に投票してきた人びと、公明党に投票してきた人びとである。初めは国健会も阪口候補も知らなかった住民が、相談会に参加して介護保険料の減免要求の大衆行動に立ち上がり、団結することを学び、阪口候補を自分たちの団結の代表として議会に送り出し、政治を変革する主人公として立ち上がったのである。この選挙戦は、小泉政権による年金制度改悪と社会福祉切り捨ての政治のもとで苦しめられる高齢者と労働者が生きる権利をかけて団結し、その要求を実現する闘いだったのである。
住民の階級的結合へオルグ団が格闘
党のオルグ団もまた、候補者が体現する綱領、政策をもって独自の集票活動を粘り強く行い、これが選挙戦全体を土台的に牽引した。しかし、今回の選挙においてオルグ団が挑戦した課題は、名簿を対象にした集票活動をあくまで土台にしながらも、住民による大衆行動とその組織を住民とともにつくるという大テーマであった。
この挑戦は、オルグ団にとっても、党そのもにとっても、選挙戦の考え方を根本からひっくり返すことを意味していた。支持者の人びとは党の綱領や路線、政策を支持するだけではなく、自己解放の主体であり、だからこそ選挙戦の主役であり、選挙戦はこれらの人びとの革命的な大衆行動そのものだということである。しかし、現実には組織も団結ももたず一人ひとり個々ばらばらにされている人びとが政治を変革する主体としての自己を取り戻し、組織的団結をつくり出していくために、オルグ団は血の汗を流すことを要求された。
実際にオルグ団が直面したのは、小泉政権による反動政治のもとで、このままでは労働者や高齢者は生きられないという衝撃的な現実であった。一食69円のラーメンで食いつなぐお年寄り、3日間も食事をしていないお年寄り、借金の話をオルグ団にしゃべることに耐えられずトイレに駆け込んですすり泣く人など。しかし、より衝撃的だったのは、このようなぎりぎりのところに立たされていながら、あきらめている現実であり、自分ひとりだけの問題、自分の甲斐性(かいしょう=能力)の問題だと思い込まされている現実である。オルグ団の挑戦は、ここに猛然と踏み込んで、この生きていけない現実はみんなに共通する問題であること、これは政治によってつくり出されていることであるという認識を示し、生きるための要求を公然と掲げ、その実現のために闘うという自覚を打ち立てることに据えられなくてはならなかった。
相談会と行政闘争が転機に
こうした中で住民決起の決定的な転換点をなしたのが相談会の開催と介護保険料減免の集団申請の対行政闘争である。7月から8月にかけて開かれた相談会は、折からの介護保険料(引き上げ)通知の送付と相まって、「ビラをみた」「宣伝カーの声を聞いた」人びとが続々と飛び入りで参加する事態となった。この相談会は、7月から8月の1カ月半の間に実に48カ所で開かれ、のべ500人を超える結集を実現した。この中で介護保険料減免の集団申請・対行政闘争が組織されていくとともに、国健会加入が爆発的に広がっていった。そして各地域に国健会の地域組織が生まれ、これが住民による集票の母体となっていった。まさに相談会と対行政闘争が集団的オルグの場になり、急速に階級的自覚を促進していったのである。
しかし相談会の成功は、介護保険料の引き上げ通知の送付によってというような偶然の産物ではけっしてない。オルグ団の必死の格闘が大衆の「もはや我慢できない」という気持ち、闘いの道筋を求める機運と完全にかみ合った結果である。相談会に初めて飛び入りで参加し、集団申請に参加、国健会の支部結成にも参加して選挙戦の主人公として立ち上がった70歳の男性は、相談会の帰りに「こんな考え方があったのか。今日は本当にいい話を聞かせてもらいました」と涙ながらに語っていた。選挙における住民決起の背景には、住民と一緒になった党のオルグ団の血のにじむ格闘があったのである。
阪口氏先頭に
今回の選挙勝利の要因として絶対に欠かすことのできない決定的な契機は、候補者自身の闘いである。
阪口克己氏は、荒本支部と全国連の5万人組織建設を一身に背負い、さらに相談会、対行政闘争、地域での会合、組織づくりなど、すべての住民の行動の先頭に立ってきた。「反戦と介護・福祉」という選挙綱領や路線を断固として貫き、不屈に体現すると同時に、この綱領、路線を実現するのは住民自身であるという断固とした確信に立ち、住民と徹底的に話し合い、生活の現実と怒り、苦しみを知り、要求をつかみ、その要求を住民と一緒に実現するために全力で闘いに取り組んできたのである。
しかし、この闘いは、けっしてこれまでの延長線でできることではなかった。これまでの自己のあり方をいったんは白紙にして、まったく新たに生まれ変わる決断なしにはできなかったのである。実際に、この選挙戦を担った住民は、「こんな候補がいたんや」「本当に私らの代表と言える人や」「阪口さんを先生とは呼ばない。自分の友人、同志と言える人」「こういう姿勢は絶対変えんといて」という声を上げている。阪口氏の闘いは、新たな革命的議員への挑戦であった。
“地域ソビエト”の発展めざし闘おう
最後に、この選挙戦勝利のために全国から結集して闘いぬいたすべての同志、応援・支援のために協力していただいたすべての皆さんに心から感謝します。
革共同関西地方委員会は、この選挙の勝利に甘んじることなく、国健会を「いのちのネットワーク」と呼べる数万人規模の大衆組織に育てていくとともに、関西合同労組や仕事保障要求者組合の闘いを発展させ、労働者の組織化のために全力を挙げる決意です。
また、荒本支部を始めとする全国連の皆さん、国健会に結集する住民の皆さんと固く団結し、「住民選対」という形で選挙を勝利に導いた共闘組織を地域ソビエトとも言える階級的共同闘争の組織に発展させていくために闘います。
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週刊『前進』(2121号7面2) (2003/10/13)
B介護奪う介護保険
利用料で介護受けられず高齢者の生きる権利奪う
介護保険制度が実施されてすでに3年半が経過した。この間に多くの高齢者が孤独死、心中、介護殺人に追い込まれた。日帝が社会保障解体の突破口として位置づけた介護保険は、収入の少ない高齢者から介護を奪い、労働者人民の生きる権利を奪うものであることが突き出されている。
わずかな年金から保険料天引き
今年4月、介護保険の保険料の改定と介護報酬単価の見直しが行われ、保険料の基準月額が全国平均で13・1%アップし、3293円になった。19の府県で月3500円を超えており、最高額の北海道鶴居村では5942円になった。都道府県の格差は1・9倍にもなっている。わずかな年金で生活する高齢者には耐えられない負担である。
介護保険の問題点は何よりも、収入の少ない高齢者から強制的に保険料を取ることにある。月に4、5万円以下の年金で暮らす高齢者の年金から保険料を天引きすることによって、高齢者が生きていけない状態を強制している。
介護保険の保険料は、消費税よりもさらに逆進性が強い大衆課税であり、人頭税に等しい。65歳以上の高齢者の場合、年間の年金が70万円でも第2段階の保険料(2470円=全国平均)の保険料を取られるのに対し、年収が1億円を超えている人でも第5段階(4940円=同)の保険料である。これほど不公平な税制はない。
介護保険の問題点はさらに、利用料の1割の自己負担があるために低所得者は介護を受けたくても受けられないということだ。「保険あって介護なし」なのだ。その一方で、所得の多い人は低所得者が納めた保険料で、以前よりははるかに低い利用料で介護が受けられるようになっている。お金のある高齢者の介護を、お金のない高齢者の保険料で支える仕組みになっているのだ。
利用料自己負担がのしかかる
介護保険の導入にあたって政府は、「社会で介護を支える」とか「介護の社会化」と盛んに宣伝した。ところがその実態は、福祉を切り捨て介護を金で買う仕組みに変えたということなのだ。低所得者は、これまで利用料なしで公費でホームヘルプサービスなどを受けていたのが、利用料が取られるようになって介護が受けられなくなった。しかも保険料が年金から天引きされて、生きていけない状態を強制されている。
介護保険は、保険料を強制的に取り上げるが、利用できるサービスの提供はまったく保証しない。たとえば杉並では、介護保健施設が区内にないために、介護が必要な高齢者が施設を利用しようとすれば、遠く三多摩地区まで行かなければならない。この点でも「保険あって介護なし」なのだ。
介護保険は、サービスの提供を地方自治体に責任を負わせているために、地域によってサービスが受けられなかったり、あるいは人口の少ない地方では他より9割も高い保険料が取られたりするのである。それでいて厚労省は、各自治体が独自の保険料・利用料の減免措置をとることに対して減免を実質的に不可能にさせる3条件(@保険料の全額免除、A収入のみに着目した一律の減免、B保険料減免分に対する一般財源の繰り入れ――の三つは好ましくないとするもの)を課し、減免させないようにしてきた。しかし、地域の高齢者の現実から減免措置をとらざるを得ない自治体が全体の1割、400を超えている。
こうした中で、杉並、高槻、東大阪を始め全国各地で介護保険の廃止を要求する高齢者を中心とした運動が広がり、生きる権利の要求がわき上がっている。多くの高齢者が、介護保険の廃止と保険料・利用料の減免を求める運動に希望を見いだし、怒りの闘いを開始している。
20歳以上からも保険料を徴収へ
にもかかわらず厚労省の社会保障審議会は、社会保障制度全体の見直しを進めており、そこでは高齢者への給付を削減すると公然と言われている(表)。高齢者の年金支給を抑え、介護や医療の保険料、消費税などを引き上げようというのである。また、第2号被保険者を現行の40歳以上から20歳以上に引き下げ、20歳から保険料を徴収しようという大増税である。現役労働者の実質的賃下げである。労働者に対する首切り、リストラ、不安定雇用化と一体の攻撃なのである。資本が生き延びるために労働者を犠牲にする攻撃に対して、今こそ労働者の大反撃をたたきつけよう。
(柿坂信二)
社会保障審議会 意見書のポイント
1、給付の在り方
○給付全体の見直しと効率化
○「高齢」関係給付の抑制
○長期入所者の居住費用徴収
○生活保護の在り方を再検討
2、負担の在り方
○厚生年金等保険料引き上げの凍結措置の早期の解除
○幅広い世代に負担の平準化
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週刊『前進』(2121号7面3) (2003/10/13)
第5部 アジア・太平洋侵略戦争
マレー、シンガポール 占領下で中国人を大虐殺
対日ボイコット
マレー半島は、スマトラ南部からのマレー人や、タイ人、中国人、インド人など、古くから多くの移住者によって社会が構成されていた。14世紀初めに成立したムラカ(マラッカ)王国の時代、ムラカ市はインド・中国・群島を結ぶ交易ルートとの交差点として国際貿易の中心地となった。
しかし、このような東南アジア地域は、「大航海時代」から資本主義の発展過程、そして帝国主義の世界支配の歴史の中で、交易の拠点都市という性格から、労働力と資源の搾取・収奪の対象地域として、実にさまざまな勢力による争奪戦の渦中におかれていく。初めはポルトガル、続いてオランダ、そしてイギリスの進出。とりわけイギリスは基軸帝国主義としての地位を築く契機を、この東南アジア地域の「確保」で得たともいえる。
しかし第1次大戦はこの地域においても重要な転換点であった。直接戦闘の影響を受けはしなかったが、ヨーロッパ人・ヨーロッパ資本の撤退に伴って日本人および日系企業の進出が始まった。その対象はゴム園・鉄鉱山・水産業であったが、これはこの地域の中国商人や中国人労働者との間に大きな緊張関係を生んだ。
そして1915年、日本の対華21カ条要求のニュースがきっかけとなって第1次の対日ボイコットが起こった。さらにパリ講和会議の後に第2回のボイコットが起こった。このような行動の最大の原因は、中国本土における日本の行動に対する反発であった。
こうした中でマラヤ(イギリス支配下のマレー半島の呼称)の人びとは、権利要求や差別是正の運動を起こすようになっていった。また、マレー・ナショナリズムの形成がイスラム世界の影響を受けながら進められていった。
また1921年の中国共産党の結成は、22年の南洋共産党、そして30年のマラヤ共産党の結成を推し進めるものであった。なぜなら華僑と呼ばれる中国系商人の間でまず活動が展開されるようになったことが土台になっているからである。
37年の盧溝橋事件後の日中戦争の戦火が中国全土へ拡大していくとともに多くの中国人が東南アジア各地へ避難していった。
マラヤに住む中国人は中国でのこうした状況に強い衝撃を受けた。彼らの間では国民政府に対する献金活動が組織され、また多くの人びとが本国に戻り、軍隊に志願した。一方、39年までに急成長をとげたマラヤ共産党は、中国人・インド人・マレー人で構成されたもので、党員・同調者あわせて4万人を擁する大部隊となった。
日帝が全土占領
1941年12月8日早朝、山下奉文率いる日本陸軍第25軍は、コタバル・シンゴラ・パタニの3地点からマレー半島に上陸した。一気に南下した日本軍は、42年1月までにシンガポールを除くマラヤ全土を占領した。そしてシンガポールを目前にしていったん進撃を中止し、総攻撃の準備にとりかかる。それは、シンガポールが英軍の巨大な軍事拠点であったからだ。
そして同年2月1日に始まった日本軍のシンガポール攻撃は、最大の攻防点であったブキテマ高地を陥落させたことで英軍の降伏をひきだし、15日間で終結した。しかし住民によって組織された中国人、マレー人らの抗日部隊は、さまざまな戦局において、英軍の撤退後も全滅するまで戦い続けたのであった。
占領の翌日、シンガポール島は「昭南島」と改称され、日本軍による軍政が敷かれた。まず日本軍の行ったことは、中国人の中から抗日分子を摘発することであった。現地に住む中国系住民で18歳〜60歳の男性約20万人を連行し、その中から“容疑者”をトラックで海岸に運び出して射殺した。殺されたのは主に教師や医者、インテリ層の人たちであったという。その数は6千人とも4万人とも言われている。
このころ蒋介石を支援するルート(援蒋ルート)の存在が日本軍を苦しませ、日中戦争が泥沼化・長期化した原因と言われていた。そのため日本軍の南方進出のひとつには、マレー半島からのルートを根絶すること、すなわちマレー半島における中国人の抹殺ということがあった。そしてこの地の中国語学校が抗日運動の拠点であるという理由で、そこに通うすべての生徒と教師を殺害していった。
第25軍のマラヤ軍政の目的は、軍港シンガポールの確保と、ゴム・ボーキサイト・スズなどの戦略物資の獲得であって、すべての政策はこの目的を達成するために立案された。
シンガポール市(「昭南市」)に特別市制が施行され、大達茂雄が市長として在任する以外は、行政組織は英帝支配時代のそれを踏襲した。そして日本人では数が足りない部門では「興亜訓練所」を設立してマレー人・インド人・中国人・ユーラシアン人それぞれを入所させ、官吏を養成した。そして、これまでイギリス人官吏の占めていた地位に登用した。
ほかにも、マレー人による警察を編成し、学校では日本語教育を行った。英帝の支配から「アジアを解放する」とうたった「大東亜共栄圏」の支配は、このような内容で実行されたのだった。
43年になると太平洋戦争において日本軍の敗勢は色濃くなった。海上交通が制限されるようになり、食料の約3分の2を輸入していたマラヤは食糧不足に陥った。また生活物資の不足もはなはだしくなった。こうした中で日本軍は食料の自給自足を進める一方、シンガポールの中国人のマラヤへの強制移住などを行った。
抗日軍を弾圧
このような日本軍に対し、英軍と国民党系の指導者はブキテマ陥落後シンガポールを離れるが、共産党系のグループはジャングルに隠れてマレー人民抗日軍を編成。ゲリラ活動を行おうとしたが、ほとんど事前に日本軍憲兵に捕らえられ、闘いは困難をきわめた。
45年8月15日の日本帝国主義の敗戦によって、マラヤとシンガポールはイギリス領の植民地に戻ったが、植民地支配に反対するマレー人、中国人らの独立運動が激化した。マラヤ連邦は57年8月(63年にマレーシア連邦となる)、シンガポールは63年8月に独立した。
(萩野弘三)
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週刊『前進』(2121号8面1) (2003/10/13)
名古屋「軽急便」事件に韓国の闘いを思う 神奈川・川崎 粟島健二
9月16日に名古屋で起きた「軽急便」名古屋支店ろう城・爆発事件のニュースを見て、もしや、と思うところがありました。韓国の貨物連帯ストと同じような背景があるのではと思ったのです。
詳しく見てみると、やはりそのようでした。運送会社の「軽急便」は、「会員」を募って契約を結び、「委託代金」と称する出来高払いシステムをとっているとのことです。仕事に使うトラックは自分で購入しなければなりません。事件を起こした男性の場合、3カ月の委託代金がわずか25万円。それすらも2カ月後になってやっと支払われるというシステムだったようです。
南朝鮮・韓国でこの5月と8月にストライキに決起した全国運送荷役労組・貨物連帯の労働者の場合、やはりトラック「持ち込み制」で、おまけにこの「持ち込み」にあたっては、運送会社からむちゃくちゃなことに「持ち込み料」をとられます。労災保険など労働者としての権利も認められていません。「労働者」ではなく「経営者」とされているからです。その他、原価にも満たない運賃、中間搾取など諸々の劣悪条件のもとで、睡眠も十分に取れずに働いています。
こうした状況に対し、長いあいだの粘り強い組織化の過程を経て、貨物連帯は一大ストに決起し、韓国社会を「物流大乱」にたたき込みました。運送労働者の怒りが爆発し、物流を止め、労働者こそが社会の主人公であることを満天下に示したのです。
「軽急便」事件を見て思いました。何が「会員」ですか。何が「稼ぎが悪かった」ですか。もういいかげんにしてほしい。私たち労働者は資本家のためにこれ以上死んではなりません。
労働者の怒りは団結力に転化させなければなりません。戦闘的デモやストライキ闘争の大爆発をこそ資本家階級にたたきつけてやりましょう。
自分の職場で初めて春闘ストを構えた 東京・医療労働者 奥山翔
今春闘で、私は初めて自らの職場でストライキの威力というものを実感しました。労組の賃上げ要求に対して当局回答が実質賃下げ回答となり、私のストライキ方針が初めて労組の方針として決定され、地労委や都知事に手続きをとりストを構えました。しかし、スト突入の前に当局が折れ、ストは中止しましたが、ストライキの力は大きいということを自らの闘いの中で知ることができました。
さて、労働者の戦争動員が現実化しつつあります。かつて白衣を血に染めた医療労働者の戦争動員を再び繰り返さないために、日赤を始めすべての医療労働者の闘いを「戦争動員拒否」の闘いとして、20労組に続く大きな闘いとして巻き起こさなければなりません。
そして社会保障制度解体攻撃が戦後の医療福祉を破壊し、労働者民衆の「生存権」に手を掛けてきたことを絶対許しません。この攻撃は同時に職場破壊・団結破壊の首切り、賃下げ、強労働、パート・アルバイト化攻撃として労働者に襲いかかってきており、現場労働者の怒りと団結を武器に全力で反撃していこうではありませんか。こうした闘いこそが職場を守り、民衆の医療・福祉を作り出していけるものと思います。
最近、年金問題の社会的大きさを感じています。受給の当事者は1300万人位ですが、給料から天引きされる労働者を含めれば7千万人が直接の影響を受けます。年金予算は社会保障財政の半分を占めています。この数年介護保険闘争や医療制度改悪問題に取り組んできましたが、その先に見えてきた大きな問題がこの年金問題でした。国家がこの年金問題に手を着けてきたことは生存権剥奪の核心に入ったことを意味します。受給年齢はどんどん上げ受給額は下げ、保険料は20%までむしりとる。フランスで数百万人の大デモが起こりましたが、まさに日本でも年金問題は国家を揺るがす大テーマになります。こうした課題も内包させ、米・韓・日労働者が闘い取る11月労働者集会に大結集しましょう。
北海道連帯まつりで闘争団と家族を激励 北海道・札幌 伊達勇人
9月21日、札幌市中島公園において「国鉄労働者1047名の解雇撤回をめざす北海道国鉄連帯まつり2003」が開催され、延べ1千人の労働者・市民が参加しました(写真)。北海道労組交流センターは300本の焼き鳥を完売する一方、5・27臨大闘争弾圧で獄中にいる仲間の保釈を要求する署名を募りました。
アピールタイムでは動労千葉の代表が田中委員長の連帯のメッセージを読み上げ、アメリカ・韓国の闘う労働運動との連帯を発展させる動労千葉の闘いを紹介し、5・27臨大闘争弾圧を許さない運動と鉄建公団訴訟との団結、11月労働者集会への結集を呼びかけました。北海道星野文昭さんを救う会の文昭さんの兄・治男さんからも訴えがありました。
闘争団を代表して北海道連絡会議の葛西議長は、鉄建公団訴訟原告団への国労中央の処分を弾劾し、「連帯まつりを突破口に解雇撤回をめざして闘う」と決意表明。家族を代表して稚内の万城目さんもともに闘う決意を表明しました。
今回の連帯まつりは、札幌闘争団や札幌地本の有志を先頭に教労、自治労など多くの労働組合員が結集し、道本が仕切っていた時代に劣らぬ盛況となりました。闘う国労の旗を守ろうとする国労組合員・闘争団員・家族への最高の激励となったと思います。
私たちは、10月の国労道本大会をめぐる国労解体・JR連合合流策動との闘いに総決起し、11月労働者集会へ総結集します。
『俺たちは鉄路に生きる2』を読む 国家・資本と闘う姿は私たちの羅針盤 民間・青年労働者T・M
この本は、「生きているマルクス主義の理論」と「労働運動における不屈の闘い・実践」を教えてくれる。私も民間の連合傘下の労働組合に身を置く者ですが、既成のナショナルセンターではマルクス主義はまったく語られることはありません。ここ数年は春闘で賃上げ要求を行うことすら放棄し、労資協調・戦争翼賛にますます突き進む有り様には、労働者の未来は描けません。今こそ、私たち労働者がその生存をかけて闘いに立ち上がるギリギリの境界線だと思います。その時まさに荒波を進む私たちの羅針盤としてこの本が登場した、そんな印象を感じる内容です。
序章では、特に有事体制下の戦争前夜の日本情勢を、労働者の視点で分析しています。私たちに対して、階級闘争、それも国際的連帯をもって闘って行く重要性が述べられています。
本文では、筆者自身の闘いの歴史、動労千葉の歴史を中心にさまざまな教訓が示されています。徹頭徹尾「闘い」を準備し、国家・資本とぶつかり、総括を行い、また次の闘いに立ち向かう力強い労働組合の姿に強い感動を覚えました。そのエネルギーの根源は、労働者としての怒りを燃やし、それを団結させること。あらためて鮮明に学び取ることができました。
一方、闘いの主役がいつも青年労働者であることや、学習会活動の必要性を認識したことも収穫でした。ぜひとも職場や組合の仲間にこの本を持ち込んで、自らの労働運動の武器として活用したいと思います。
〔中野洋動労千葉顧問著、労働者学習センター刊〕
全学連大会に参加して
大衆組織化の展望をつかむ 東北大学1年 武田和樹
現代の治安維持法(=共謀罪)の新設や、国立大学独立行政法人化と一体の流れにある学生の自治破壊攻撃は、日帝存続のためのギリギリのあがきであり、今の大衆のうねりを組織し、ともに闘うことで必ず打ち破ることができる。その確信を今回の全学連大会で得ることができた。
特に、今、自衛隊(員)はイラク派兵を拒否すれば仕事を失い、受け入れればイラク派兵と続く、板ばさみの、ぬきさしならない状況にある。これに対して、大衆運動が派兵拒否をうったえ、自衛官の決起をうながすことで、イラク派兵を止めることは十分に可能であると思う。
新たな決意で大学の活動へ 東北の大学1年 山田剛
自分は今回初めて全学連大会に参加したのですが、学生の力の大きさを感じるとともに、現社会への怒り、自分のなすべきことを確認し、これからの闘いに新たな決意のもと参加していくことを誓いました。
勉強不足での参加のため交わされた論議の内容を完全に理解することはできませんでしたが、私の不十分な理解でも現社会へ有り余るほどの怒りを感じとるには十分なものでした。この怒りとともに今回の大会で得た数多くの認識、真実、そして戦争を止めるという確固たる決意を胸に、今後キャンパスで活動していきたいと思います。10月25日、全世界を大衆の決起で埋めつくしましょう。
資本家こそが諸悪の元凶だ 法政大学1年 東村武二
アメリカのイラク攻撃、日本の有事立法制定は、ほんの一部の資本家たちが自分の富を守るためだけのものであり、大部分の労働者たちは自分たちが生きていく上で最低の賃金しかもらえません。そういう状況を政治家連中は「愛国心」という言葉を使い、資本家の味方についています。
また、余談ですが、祖母と父とで政治の話をした時、なんと「自民党のおかげで自分たちが生活できている」などということを言ったのです。自民党(資本家)こそが労働者を苦しめている元凶だということを多くの労働者にわかってもらうことが戦争を止めることだと思います。
帝国主義打倒が一番の収穫 東京の大学3年 大石和也
私は、全学連に出会って2カ月もたたず、何の闘争経験もない中で全学連大会に参加した。
一日目の地区別討論で、私は初心者として議論をさえぎって、資本主義の枠内での社会改革が良いと思っている人が多いのではないか、と疑問を出した。これに対し、実際現在の資本主義=帝国主義は、不況・戦争を起こし多くの人を苦しめているのだから、打倒するしかないという指摘を複数の人からもらった。
現在の資本主義と強い姿勢で闘わなくては今より良くなることはないということに気付き、反戦闘争・労働運動と連帯することに前向きな気持ちになれた。自分の中ではこれが一番の収穫だった。
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週刊『前進』(2121号8面2) (2003/10/13)
一点の曇りもない無罪判決を完成させるよう要求する
迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判 十亀弘史同志の最終意見陳述(抜粋)
立ち上がっていない「立証」
私は本件両事件に関与していません。
本件は、典型的な政治的デッチあげ事件であり、しかもデッチあげとしてもあきれるほどに杜撰(ずさん)な内容と、同じくあきれるほどにもろい構造しか有していません。本件のような無内容そのものの公訴によって、私たちが未決のままに、15年2カ月の独房生活を強いられたことに対して、煮えたぎる怒りを感じます。
公権力によるデッチあげ弾圧ほど卑劣な犯罪はありません。それは、たまたま誤って引き起こされる個人的な犯罪とはまったく違います。デッチあげ弾圧は、完全に意識的に、十分に準備されて周到に進められ、しかも何度も繰り返される「組織犯罪」そのものです。裁判所は何よりもそのような犯罪をこそ絶対に許してはなりません。
本件において裁判所が直ちに一点の曇りもない完璧(かんぺき)な無罪判決を完成させるよう、断じて要求します。
検察官立証は、文字どおり自滅し、崩壊し去っています。と言うよりむしろ、最初から立証として少しも立ち上がっていないという方が正確です。そしてそれは、結局は、立証すべき事実自体が存在しないからにほかなりません。
〈証明>と〈虚構>とは完全な矛盾命題です。虚構を証明することは絶対にできませんし、証明できる事柄であればそれは虚構ではありません。本件における「被告人3名の共謀」は虚構そのものであり、それを正しく証明することは絶対的に不可能です。本件における検察官立証の不成立を端的に一言で表せば、〈やっていないから立証できない>ということに尽きるのです。
<5W1H>が何もない論告
検察官論告は例えば、「個々の共謀の日時、場所、参加者、共謀の具体的内容等は不明ではあるものの、本件両事件において被告人3名は、信管の開発・製造、及び弾胴部への炸薬(さくやく)の装填(そうてん)という本件遂行にとって不可欠の役割を分担することによって関与したものであり、実行者との間の共謀は優に認定しうる」と述べています。
すなわち検察官は、「共謀」の具体相をどうしても証明できないために、そんなことはもうどうでもいい、〈とにかく被告人3名は信管を作って、砲弾に爆薬を詰め込んだのだから、そこに本件両事件についての共謀があったことは「優に認定」できる>としているのです。ここにおいて「共謀」そのものの立証は、居直り的に完全に放棄されています。
しかしそうであるのならば、今度はその「信管の開発・製造」と「炸薬の装填」について、必ずそれぞれの行動の具体的な要素が明確かつ厳密に特定されなければなりません。しかし検察官はそれらの具体的要素を何ひとつ特定しようとしていません。しかもただ証明できないというだけではなく、証明の対象つまり〈要証事実>としてさえそれらを提示し得ていないのです。このことは、検察官立証の初めからの不成立を示す決定的な核心項目の一つです。
人の行動や事件については、いわゆる〈5W1H>を明確にしなければそれらを具体的に特定したことにはならないということは、新聞記事に関する中学の国語の授業で習った常識的な原則のはずです。検察官は、法廷での立証においてこそ最も生かされるべき、その基本的な原則の一切を投げ捨てています。
検察官は、一番肝心な要素である〈who(誰が)>についてさえ「被告人3名が」と繰り返すだけで、個々の具体的な行動主体を特定していません。しかし、人間は一人ひとりが別々の人格を有し、別々に行動しています。したがって、どの行動についてもその主語がただ「被告人3名が」でしかない検察官論告は、つまるところ〈誰が・何をやったのか>を何も特定していないということにほかなりません。こんな論告がいったいどこにありますか!
whoを除くほかの4W1Hについてはどうなのか。〈誰が>に次ぐ決定的な要素である〈いつ>も、また〈どこで>もまったく特定がありません。残りの2W1Hについても同じです。検察官論告は、結局は〈被告人3名のうちの誰ともいえない人物が・いつとも知れない時点で・どことも分からないところで・はっきりしないが何らかの方法によって・何か分からないものを・とにかくどうかしたのだ>、としか述べていないのです。
これはもはや〈証明が尽くされていない>などという水準のものではありません。公判の最後の最後になっても「証拠により証明すべき事実」(刑訴法296条)そのものが、具体的に特定されていないということなのです。立証としてたった1ミリも立ち上がってはいないということ以外ではありません。
証拠にならない岩手押収物
検察官が「証拠」と称しているものは、大別すると@事件現場押収物、A岩手アジト押収物、Bその他、に分類されます。その中で検察官が証拠の中心に位置づけているのは、岩手アジト押収物にほかなりません。しかし、その岩手アジト押収物は、けっして本件の証拠にはなり得ません。
何よりも検察官は、岩手アジト押収物が私たちの「逮捕」(それは通常にいう逮捕ではなく、テロ的な急襲でしかありませんでした)の以前、とりわけ岩手アジトの開設(86年8月)以前には、どこで・どのような状態で存在し、そしてそれらの物と被告人それぞれとがどのような関係にあったのかを、何ひとつ明らかにしていません。すなわち、最も肝心の本件両事件時(同年4、5月)におけるそれらの物と被告それぞれとの関係を、一切何も示していないということです。
もしもそれらの物が本件両事件時には被告の誰とも無関係に存在していたとすれば、それらが本件の証拠となり得ないことは言うまでもありません。したがって検察官はまず最初に、本件両事件時におけるそれらの物と被告それぞれとの関係を具体的に証明していくことから、岩手アジト押収物についての立論を始めていくしかありません。しかし検察官は、その最初になすべき証明を完全に放棄しています。
すなわち検察官は、本件の証拠とするには根本的に前提を欠く岩手アジト押収物を、本件についての中心的な証拠にしてしまっているということです。これで立証が成立するなどということは、絶対にあり得ません。
検察官は、これまでの立証過程ではほとんど主張してこなかったメモについての内容解釈を、論告において突然に前面化させています。これは、〈物>による立証が不可能であるために、立論の主要な構成要素を物から〈解釈次第でどうにでもなるメモ>へとシフトさせたということにほかなりません。
とはいえ、まず検察官は、それらのメモがいつ・どこで・何のために書かれたのかといったことを、まったく明らかにしていません。しかし、それらの特定を欠いた解釈は根本的に無意味です(例えば事件後に書かれたメモはけっして「事前共謀」の証拠にはなり得ません)。また、検察官によるメモ解釈それ自体も、後に各論において詳述するとおり、そのすべてがでたらめそのものであるか、さらには原文の捏造(ねつぞう)にまで踏み込んだ卑劣で恣意(しい)的なものでしかなく、立証などではまったくありません。
さらに、以上に述べたことのほかにも、検察官立証の不成立を示す決定的な項目を、総論的にも各論的にも数多く指摘することができるのです。
私たちは既に勝利している
本件はデッチあげです。そのことは、最初の私たちの逮捕の瞬間から、すでに完全に明白になっています。ここまで重ねられた公判のすべては、本件のデッチあげ性を一層確実に、一層具体的に暴き出していく過程以外ではありませんでした。
私たちは無罪判決を確信しているという以上に、判決を待つまでもなく、今ここで15年の獄中闘争と獄外8カ月のすべての闘いをやりきって、すでに勝利を手にしているということです。まだ文字には書かれていないとしても、完璧な無実・無罪の判決は、すでに私たちの掌中にあります。
私たちの党、私たちの階級、私たちの革命闘争は、この先においてもおそらくさらに熾烈(しれつ)な多くの弾圧に遭遇しなければなりません。しかし、治安弾圧は本件のデッチあげを含めてそのすべてが、人間の歴史に逆行するものでしかありません。私たち闘う労働者は、獄壁の内にあっても獄壁の外にあっても、闘いの原則を貫き、その弾圧を打ち砕きます。
デッチあげは断じて許されません。しかし、本件の弾圧が私たちの本質から奪い取ったものは何ひとつありません。この16年を経て私たちが失ったものは、文字どおり鉄鎖であり鉄格子でしかありません。そして、これから私たちが手にするのは、真に人間的な未来の全世界です。
私たちは、法廷におけるこの3日間の闘いを最後に、強いられた公判闘争の一切から解放されます。私たちは今、闘いの新しい分野への前進を開始します。さらに大いなる勝利に向かって、ともに闘いぬきましょう!
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