ZENSHIN 2003/07/28(No2111
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週刊『前進』(2111号1面1)
東西革共同集会に大結集を
自衛隊イラク大規模派兵許すな 派兵法案の参院成立阻止せよ
国労弾圧粉砕軸に産別大会決戦へ
日本の労働者階級と革共同の当面する闘いの任務は何か。第一に、「イラクへの日帝・自衛隊の大規模派兵阻止! イラク自衛隊派兵法案を参院段階で絶対に阻止せよ!」の闘いの爆発、百万人民の決起をかちとることだ。第二に、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いの大運動を発展させ、それを軸に9月国労大会決戦に向けて、7月国労代議員選挙勝利のために総決起することだ。この国鉄決戦を先頭に、国鉄・全逓・自治労・教労の4大産別決戦と、全産別での労働運動決戦を、真正面の最重要課題として闘いぬくことだ。そして以上の闘いと一体のものとして、夏期一時金カンパ闘争と機関紙拡大闘争に全力を挙げることを訴えたい。さらに、7・27関西、8・3東京の革共同政治集会の圧倒的成功をかちとろう!
第1章 革命情勢
今日の内外の大情勢・階級情勢は、きわめて重大な局面に立っている。戦後革命期を除いて、戦後史上最大の激動期が、実際に到来しつつある。米英帝国主義の3・20イラク侵略戦争突入は、帝国主義の世界戦争へと行きつく帝国主義侵略戦争がついに開始されたことを意味した。これは帝国主義の基本矛盾の全面的爆発そのものであり、世界経済の大恐慌・大不況化、分裂・ブロック化と一体のものである。資本攻勢、政治反動、治安弾圧という国内階級戦争の激化とも、この世界戦争の開始情勢は完全に一体である。
これは階級主体の側から言えば、革命的情勢の急速な接近、革命的情勢への端緒的突入と言うべき情勢の到来だ。03年1〜3月に全世界で2千万人もの労働者人民がイラク反戦に決起したことは、けっしてエピソード的事態ではない。米、英、仏、独、韓国などで労働者のストライキも爆発している。これからも全世界で、さまざまな形態で、激しいダイナミックな闘いが生まれてくる。
これは、明らかにレーニンの「社会主義と戦争」的な階級決戦情勢への、新たな世界史的突入である。
急速に接近する革命的情勢を、本当に白熱的な革命そのものに転化し、資本主義=帝国主義打倒のプロレタリア革命として成熟させていくためには何が必要か。それは革命党たらんとする党が、この大激動情勢の中で、労働者階級に深く広く根を張り、白熱的な階級闘争の先頭に立って闘うことである。しかもこの革命的激動期の到来は、本質的には待ちに待った絶好の情勢、数十年ぶりの決定的チャンスの到来である。今こそこの絶好機をつかみ、絶対にわがものとしなければならないのだ。
この決定的瞬間に、われわれが真の革命党に成長していくためには、マルクス主義を真っ向から実践に移すことが必要である。労働者階級自己解放の思想であるマルクス主義に全身をゆだねて、労働者の闘いの中に飛び込み、そこで先頭に立ち、ともに闘いぬくということだ。革命党が、その活動の中心基軸を労働運動の中に直ちに入っていくことに据えきり、そこに根を張り、激動期の労働運動・労働組合運動を最重要の正面課題としてやりぬくということである。
だから、03年前半期の3大決戦(イラク侵略戦争反対・有事立法粉砕闘争、動労千葉ストと春闘、統一地方選挙闘争)も、相互に並列的な三つの算術的総和としてあったのではなかった。それは労働者階級を主体的中心に据え、労働者階級の決起を根底に据えて、それを実現していく3大決戦としてあったのだ。労働運動・労働組合運動決戦の展開と労働者細胞建設の推進。これを圧倒的な軸にして闘い、情勢を分析し、方針を出して、3大決戦をやりぬくということだ。
第2章 資本攻勢
米英帝の3・20イラク侵略戦争開戦をもって帝国主義は世界戦争の時代に突入した。日本帝国主義をめぐる政治情勢・階級情勢も、未曽有(みぞう)の階級的激動期〔階級決戦期〕が到来しつつあることを示している。それはイラク反戦闘争や有事立法決戦の高揚・激化という政治攻防面と、一大資本攻勢および治安弾圧攻撃に対する階級攻防面の双方での、決戦情勢の白熱的激化として現実化してきている。
もちろんこの両面は、日帝の体制的危機を背景とした内外展開(外への侵略戦争、内への階級戦争)と、それに対する攻防として本来的に一体のものだ。03年前半期には、こうした戦後階級闘争史を画するような事態と情勢が、明らかに生み出されたのである。
一切の矛盾を労働者に転嫁
では、まず資本攻勢の激化とそれをめぐる階級的攻防について見てみたい。
03年前半期にも、日帝ブルジョアジー(資本家階級)の資本攻勢は嵐のように襲いかかった。連合や全労連の裏切り、屈服に支えられて、日帝危機の一切の矛盾と犠牲を労働者人民に押しつけ、資本家の利潤の確保と資本主義の延命を図ろうとしてきた。リストラが全産業で強行され、首切りと失業、労働強化、賃下げや、労働者の分断・差別支配、労働組合的団結の破壊の攻撃が激化してきた。
とりわけ今日の資本攻勢は、95年の日経連プロジェクト報告「新時代の『日本的経営』」を歴史的契機に、終身雇用制の解体と不安定雇用化、年功序列賃金体系の破壊として、戦後労資関係を根本から変更する攻撃として激化している。全産業にわたる大リストラが、分社化・子会社化、業務の外部委託(アウトソーシング)、早期退職制度やシニア制度の導入、派遣労働や変形労働時間制、裁量労働制の活用という形で、首切り、賃下げ、団結破壊を伴って強まっている。
国鉄分割・民営化をも超える大リストラ攻撃が、NTTの11万人大合理化、郵政の公社化=民営化、JRにおける第2の分割・民営化攻撃、公務員制度改革、教育基本法改悪を頂点とする教育と教育労働者(運動)への攻撃などとして激化している。
03年の「奥田ビジョン」と日本経団連「経労委報告」では、労働組合の完全な産業報国会化、戦後的な労働者保護法制の解体、「途上国並み賃金」、社会保障制度解体、消費税の16%化(18%化)、新たな「大東亜共栄圏」としての「東アジア自由経済圏」構想などが打ち出された。これは日帝総資本の意志だ。
さらに03春闘では、春闘そのものを圧殺し終息させる攻撃やベア・ゼロ攻撃の激化と同時に、定昇制の見直し=廃止の攻撃へと日帝ブルジョアジーは踏み込んできた。
労働者人民の反乱は不可避
このように、確かに今日の資本攻勢は全面的であり、それが嵐のように吹きつのっている。しかしそこには絶望しかないのか。断じて否である。
そもそも日帝ブルジョアジーを一大資本攻勢へと突き動かしているものは、帝国主義の危機であり、日帝の危機なのだ。日帝は世界で最も早く激しい恐慌と大不況、デフレスパイラルに転落し、帝国主義間争闘戦においても90年代をとおして敗勢を重ね、資本主義・帝国主義としての延命のために七転八倒している。国際帝国主義の「最弱の環」が日帝だ。
しかもリストラと首切りで労働者を街頭に放り出し、生活と生活設計を破壊し、大量の労働者を不安定雇用化し、定昇廃止や労働強化、賃下げを極限まで強めることは、階級としての労働者階級を完全に生存の危機に追い込むものだ。これが帝国主義の侵略戦争突入、労働者の戦争動員の攻撃と一体で進められているのである。
したがって、今日の資本攻勢の嵐は、労働者の生存をかけた闘いへの決起を必ずつくり出す。いかに民主党・連合や日本共産党と全労連が裏切り、屈服し、ブルジョアジーに協力したとしても、日帝の資本攻勢と労働者支配はいたる所で破綻(はたん)し、労働者人民の下からの反乱を爆発させることは不可避である。ブルジョアジーはプロレタリアートをなんら平定できてはいない。定昇廃止などもけっして簡単にはやれないのが現実だ。賃労働と資本の階級矛盾がある限り、労働者の階級性を抹殺することなどできないのだ。
実際に03年前半期、全世界の労働者階級はイラク反戦や民営化反対、年金改革反対などを水路に空前の規模で決起した。日本でも20労組陣形、3労組陣形の闘いや、動労千葉の3月ストへの決起が、世界史的意義を持つものとして闘いぬかれた。6・27労基法改悪で「解雇権」が明白に盛り込まれたことは、資本の首切りを原則自由化する大攻撃であり、これに対して労働者階級の反乱は、必ずこれから本格化していく。
だからこそ日帝権力と資本は、侵略戦争への突入と一大資本攻勢のただ中で、労働者人民の反乱の芽をつぶすために治安弾圧攻撃に全力を挙げ、国労5・27臨大闘争弾圧を頂点に階級的労働運動の最先端への弾圧を激化させているのだ。革命党圧殺と労働運動の解体を狙った破防法以上の治安法=共謀罪の新設に躍起となっているのだ。
賃労働と資本の矛盾はいたる所で爆発する。労働者の反乱の火の手は必ず上がり、燃え広がる。
闘う労働者と革共同が前進し勝利していく歴史的な余地はいくらでもある。このことに絶対的な確信をもって、労働運動・労働組合運動決戦を実践し、労働者細胞建設の闘いを推進していこう。
第3章 国鉄決戦
そのための当面する最先端基軸をなす闘いが国鉄決戦であり、国労5・27臨大闘争弾圧を粉砕する大運動だ。この弾圧は、闘う国労の再生をかけた最先端の決起への、きわめて政治的な治安弾圧だった。8人の国労組合員・支援者と家族が、弾圧に抗し、9カ月もの長期不当勾留をはねのけ、原則的に獄中闘争、公判闘争を闘っている。強力な弁護団のもとで警察労働運動の実態を暴き、警視庁公安と国労本部―東京地本・酒田一派を追い詰めている。
弾圧には何の根拠も道理もない。広範な怒りを結集して、「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」の運動が、全国で力強く展開され始めている。
国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いは、国鉄闘争において、完全に1047名闘争勝利と両輪をなす闘いだ。そこには階級的労働運動の防衛と前進、治安弾圧粉砕の普遍的課題が凝縮されている。この闘いには、闘争団切り捨てと国労解体=JR連合への吸収か、闘う国労の再生かが、かかっている。公判闘争勝利へ決起し、「許さない会」運動を圧倒的に広げ、8人の被告全員を早期に家族と組合員のもとに奪い返さなければならない。
国鉄決戦勝利、1047名闘争勝利の軸に国労5・27臨大闘争弾圧粉砕を据えきって闘うことが重要だ。そしてこれを突破口に、労働者階級を裏切るチャレンジと革同指導部を打倒し、「政治解決路線」を粉砕して、闘う国労を再生するために、9月国労大会決戦に総決起しよう。7月代議員選挙に絶対に勝利しよう。
動労千葉に連帯し、それに学んで闘うことこそが、国鉄闘争に勝利し、4大産別と全産別での闘いを前進させる最良の道だ。このことを圧倒的に確認して闘うことを訴えたい。
第4章 本格派兵
次に、当面する最大の政治的攻防は何か。「イラクへの日帝・自衛隊の大規模派兵阻止! イラク派兵法案を参院段階で絶対に阻止せよ!」の闘いだ。
米英帝国主義のイラク侵略戦争は、軍事占領・再植民地化政策のもとで継続・激化している。これに対し全イラク人民がゲリラ戦やデモに立ち上がっている。イラク軍は完全に壊滅したのではなく、武器を持って逃散しただけだった。米(英)占領軍へのイラク側の攻撃は連日10〜25件に達し、1日平均1〜2人の米兵がせん滅されている。イラクは「戦闘状態」どころか「戦争はまだ終わっていない」(サンチェス米司令官)。イラク人民の民族解放・革命戦争は、これからさらに激化し発展する。
このイラクに今秋10月から11月にも、1千人から2千人の自国の軍隊=自衛隊が大規模派兵されようとしているのだ。「イラク復興支援特措法案」の第1条(目的)、第2条(基本原則)、第3条(定義)で規定する「人道復興支援活動」「安全確保支援活動」なるものによって、米軍への兵員・武器・弾薬の輸送や給水活動を行うのだ。米帝は最も戦闘の激しいバグダッド北方への派兵を求めている。自衛隊の大規模派兵とはイラク侵略戦争と軍事占領への日帝の参戦、石油のぶん取り合いへの参入である。
日帝はイラク人民の「第3の敵国」になる。当然、自衛隊に死者も出る。いやむしろ小泉や石破は、武器使用や自衛隊員の犠牲を十分覚悟で、派兵しようとしているのだ。武器に「法的制限はない」「武器使用は正当行為」と強弁し、対戦車戦用の無反動砲や装輪装甲車すら持って行こうとしている。
これは完全に対イラクの侵略戦争、強盗戦争、虐殺戦争への突入である。「安全確保支援活動」とは対ゲリラ制圧戦争そのものではないか。今われわれが立っている地点は、1937年(7・7盧溝橋事件)であり、新たな侵略戦争への突入情勢なのだ。
日本の労働者階級人民は、自国帝国主義の侵略戦争開始に対し、今こそレーニンの「社会主義と戦争」の立場に立ち切り、この夏から秋へ、日帝・自衛隊のイラク大規模派兵阻止の大闘争を設定し、その決定的突破口としてイラク派兵法案の参院成立阻止へ総決起しなければならない。
国会闘争は7月24〜25日が最大の山場だ。法案修正策動による民主党の裏切り、絶対阻止で闘わない日本共産党、社民党を含めた野党のどうしようもない屈服を弾劾して、参院決戦を闘いぬこう。この闘いと結合し、「テロ対策特措法」の延長阻止闘争を、今秋臨時国会へ向けて強めよう。
北朝鮮侵略戦争策動の激化
以上のイラク情勢は、同時に、イランと北朝鮮をめぐる帝国主義の侵略戦争情勢を激化させる。イランへの米帝の国際的圧力、北朝鮮への米日帝のKEDO=軽水炉建設中止決定を焦点とした国際的包囲と戦争重圧が、予断を許さない情勢になっている。まだ有事立法決戦はまったく終わっていない。国民保護法制や米軍支援法制は04年通常国会の大決戦となる。多国籍軍への永続派兵を狙う「恒常法」の策動も大問題だ。イラク本格派兵阻止の大決戦と結合して闘おう。
学生戦線を先頭に、名護新基地建設阻止の闘いの再構築と発展に取り組もう。
今年の8・6ヒロシマは例年以上に重要だ。8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争の大高揚へ、学生戦線や教労を先頭とした全産別から総結集しよう。
革命党と労働運動の壊滅を狙う新たな治安維持法=共謀罪の新設を絶対に阻止せよ。
最後に、夏期一時金カンパの圧倒的集中を、闘うすべての労働者人民の皆さんに心から訴えたい。財政決戦には党建設と革命運動の死活がかかっている。全力で勝利しよう。
7・27関西、8・3東京の東西革共同政治集会へ、闘うすべての労働者、学生、人民は大結集しよう。
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週刊『前進』(2111号1面2)
ワールドアクション “イラク派兵とめよう” 渋谷に青年労働者の熱気
自衛隊のイラク派兵をとめよう!――7月12日、ワールドアクションの呼びかけに約300人が東京・渋谷の宮下公園に集まり、集会と渋谷の街を1周するピースウオークを行った。
今春3月、世界中でイラク反戦運動が高揚する中で誕生したワールドアクション。イラク反戦運動や有事立法反対など、若者を中心に日本の反戦運動の新たな展開をもたらしてきた。そして今、日本の自衛隊イラク派兵という事態に、ワールドアクションも新たな飛躍が求められている。
今回は、この春に初めて反戦運動を始めたという人たちが次々と登壇し、なぜ自分が反戦運動を始めたのか、と原点を問い返し、新たな決意で日本の自衛隊のイラク派兵を止める決意を語る場面も見られた。
「百人いれば百通りの反戦の気持ちがあると思う。いろんな人の意見を聞きたい」という司会の呼びかけで学生や青年労働者が次々と反戦の思いを語った。
中学生が自作の反戦歌を歌い、高校生が「北朝鮮に対する差別的な報道は許せない。欧米のように何十万人もデモに集まれば戦争は止められる」と訴えた。大学生は「イラク新法は、日本も石油強奪戦争に参加しイラクの人たちを虐殺するもの」と訴えて、「大学生の決起をつくりだすためになんでもやります」と決意を強調した。
3カ月以上、スタッフとして活動してきたという青年労働者が初めて演壇で発言した。「イラク戦争が始まった時、自分ができることはないかと探し求め出会ったのがワールドアクション。労働者として女性として訴えたい。イラクの労働者は失業・低賃金でまったく普通の生活はできない。賃金未払いを追及して米軍と闘っている。労働者が本来やるべき行動を黙ってみていられない」
カンパアピールの青年労働者は有事法や労基法改悪における民主党や日本共産党員の裏切りを弾劾した。「私は共産党員でした。共産党は自己保身で腐りきった綱領に。裏切られた気持ちです。共産党を名乗っているのが許せない。既成の政党には任せられない」
また職業安定所の労働者は「戦前の職業安定所は失業者を軍需工場に送り込んだ。軍需工場に労働者を送り込む仕事だけはしたくない」と語った。
主催者の訴えでは「米英軍はすべてのイラク人を敵視し、子どもまで身体検査し、武器を持たないデモ隊を銃撃している。イラクの人たちは、植民地化を阻むために立ち上がっている。日本は、このイラクに自衛隊を送り、米英と一緒に石油強盗戦争に参加しようとしている。戦争反対と言う時、日本の侵略戦争参戦をハッキリさせよう。みんなで戦争反対の声をあげ、労働者は戦争動員を拒否しよう」と提案した。
渋谷の街を1周するピースウオークに出発。日本の自衛隊がイラク侵略戦争に参加しようとしていると訴え若者の決起を訴えた。
(写真 「戦争反対!」を訴えて公園通りをピースウオーク。若者たちの注目を浴びた【7月12日 渋谷】)
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週刊『前進』(2111号1面3)
03年決戦勝利へ闘う革共同に圧倒的カンパを
すべての『前進』読者の皆さん。革共同は、03年後半決戦を勝ち抜くための圧倒的なカンパの集中を重ねて訴えます。
01年9・11反米ゲリラ戦争と03年3・20イラク侵略戦争突入で世界史は明らかに転換しました。世界恐慌の深まりとともに「帝国主義の平和」は音をたてて崩れ出しました。米・英対独・仏・露の対立を始め、市場、資源、勢力圏をめぐる帝国主義間の争闘戦は、後戻りのできないところまで来ています。アメリカ帝国主義を最悪の戦争放火者として、世界は三度目の帝国主義世界戦争に突き進みつつあるのです。
6月6日、民主党・連合の裏切りによって有事3法が成立しました。日本帝国主義は明らかに一線を越えました。03年後半からの過程は、自衛隊イラク派兵と北朝鮮侵略戦争、改憲をめぐる戦後最大級の決戦となったのです。日帝・小泉政権は、自衛隊のイラク出兵・占領軍参加をもって一気に戦争体制を構築しようとしています。
同時に、労働法制改悪を強行し、労働組合運動の解体、社会保障制度の解体と大増税、生活破壊の攻撃を一気に強めています。
攻防の焦点は、日本労働者階級の動向であり、労働運動・労働組合運動をめぐる攻防です。今や連合ダラ幹は、日本経団連・奥田ビジョンの先兵として、労働者の階級的団結と闘いを自ら解体し、戦争と資本攻勢に全面協力するに至っています。しかし、連合幹部や民主党がどんなに屈服しようと、労働者は負けてはいません。5月末の自治労中央委員会では民主党議員の発言に「有事立法に賛成したやつは首だ」というヤジが集中し、6月の全逓大会ではトヨタ工場並みの深夜労働の導入をめぐって本部方針反対の意見が続出しました。今こそ連合ダラ幹支配を打倒し、階級的労働運動の復権と再生をかちとる時です。
すでに今春、世界の労働者人民が2千万人規模の街頭反戦デモを実現しました。日本では陸・海・空・港湾労組20団体を中心とするイラク反戦・有事立法反対の闘いが、連合や全労連の制動をはね返して闘いぬかれています。動労千葉の72時間ストライキは、全世界の闘う労働組合に歓呼の声で迎えられています。
革共同は、今こそ歴史的蓄積の一切をかけて真の労働者階級の党として飛躍します。階級的労働組合運動の防衛と再生こそ反転攻勢のカギであり、労働者階級に根を張った本格的な党建設の土台です。この闘いの中で、青年労働者の圧倒的決起を実現し、マルクス主義青年労働者同盟の再建へ闘います。
03年後半決戦の勝利のために絶大なカンパをお願いします。ともに勝利を切り開きましょう。
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週刊『前進』(2111号2面1)
分裂と対立深めたJR総連
松崎支配が全面崩壊へ 嶋田派の追放失敗 カクマル打倒へ攻勢を
ファシスト労働運動=JR総連カクマルの内部分裂と松崎支配の崩壊は決定的な段階に入った。6月1〜2日のJR総連定期大会、15〜17日のJR東労組定期大会で、松崎派と嶋田派の分裂が非和解的であることが隠しようもなくさらけ出された。松崎派は嶋田派の制圧・一掃を狙ったが、それもできず、組織の大分裂・大崩壊の危機を深めている。そのさなかの12日には、JR総連本部のある目黒さつき会館に初めて警察の家宅捜索が入った。国家権力・JR資本とJR総連カクマルの結託体制も、かつてない危機を迎えている。JRをめぐる地殻変動が始まったのだ。JR総連カクマルを打倒し、階級的国鉄労働運動を再生するまたとないチャンスである。
定期大会で両派が激突
JR東労組大会や同千葉地本、横浜地本の大会の代議員選で松崎派と嶋田派が激しい分裂選挙を繰り広げたが(本紙2104号参照)、それを受けた一連の大会は松崎派と嶋田派がののしり合う事態となった。
6月1〜2日のJR総連大会は、小田委員長のあいさつに始まり、松崎派による嶋田派非難の大合唱だった。JR東労組の7人が昨年11月に逮捕された問題をからめて、嶋田前東労組副委員長や小林前千葉地本委員長らを「弾圧の側に回った」「組織破壊の同調者だ」とののしったのだ。
また、嶋田らが昨年10月末に東労組中執を集団辞任したのと同時期に、JR総連中執の辞任届を出した新妻の解任の是非を問う一票投票が行われた。投票は、1日目の最後に会社とマスコミ関係者を「場外待機」にするという異様なやり方で行われたが、賛成99票に対して反対が10票も出た。
2日目の討論では、松崎派の代議員が一斉に「×を付けた者は理由を言うべきだ」などと非難。しかし嶋田派で発言したのは、東労組新潟地本委員長・齋藤だけだった。
松崎明VS福原福太郎の対立
この大会の過程で明らかになったことの一つは、JR総連元委員長の福原福太郎が嶋田派のバックにいるということだ。福原は、動労時代、委員長・松崎明のもとで書記長をやり、JR総連委員長を96年まで務めた。この間、嶋田ら「新潟グループ」の°影の頭目″と見られていた。その福原が5月1日付で『国鉄改革前後、労組役員の備忘録』という本を出版し、その中で、嶋田らについて「彼らが警察の手先などではあり得ない」と擁護し、「『魚は頭から腐る』という。組織の盛衰はリーダーによることは明らか」などと、松崎を批判したのである。これを全国のJR総連の単組の事務所などに送りつけた。JR総連は一斉に送料着払いで返却したという。
大会では、小田委員長が冒頭のあいさつで、この本を「権力による弾圧を容認し、JR総連・東労組に敵対を明らかにした。破壊をしている行為」と非難した。新潟地本・齋藤の発言は、これに対し「(福原に)真意を確かめるべき」というもので、山下書記長は「現役に一言の相談もなく出版した」から「組織破壊だ」と答弁した。
松崎派と嶋田派の内部抗争は、松崎と福原という動労カクマル時代からの「盟友」同士の泥仕合の様相をも呈してきた。
労資結託体制が危機に
いま一つ重大なことは、JR資本とカクマルの結託体制の危機がいよいよ明らかになってきたことだ。
JR総連大会で来賓あいさつしたJR東日本の石田副社長は、東労組カクマルら7人の逮捕に触れて「世間から指弾されることのないように改めるべきところがあれば謙虚に改める」と発言した。
討論では、松崎派が「嶋田講演を見ると、昨日の東日本会社(石田)がメッセージとして残していった内容とうり二つ」と発言し、山下書記長も集約答弁で、「嶋田元副委員長は『反省すべきは反省したら良い』と言っている。これは会社の主張ではないか」と述べた。
また、JR貨物の田村常務のあいさつに対して、JR貨物労組の代議員が「野次ろうかと思った。組合員の努力と血を流した結果(増収増益)であることに一言も触れない」「一方的な協力関係などあり得ない」などと毒づいた。
JR総連大会での会社代表の発言がこれほど問題になったのは初めてである。
さらに、JRとJR総連に激震が走った。6月12日、国家権力・警視庁がJR総連本部(目黒さつき会館)や松崎、小田の自宅など十数カ所に家宅捜索を行ったのだ。昨年6月にJR東海の助役に対してJR総連役員3人が「暴力行為」を行ったという容疑だ。
目黒さつき会館内にあるさつき企画、鉄道ファミリー、日本鉄道福祉事業協会にも捜索が入った。さつき企画は松崎の息子・松崎篤が社長をやっている会社であり、いずれもJR総連の利権がらみの会社だ。
JR総連は即日、「抗議声明」を発表した。そこでJR総連は、「各団体の会計関係資料を念入りに捜索し、多数品目を押収していった。これは……『JR総連=革マル』を裏付けるための『資金の流れ』を捜査するためと考えられる」と、問わず語りにカクマルへの「資金の流れ」を認めてしまったのだ。
松崎は00年12・9JR東労組全支部委員長会議の講演で、つい最近までカクマルに「資金の提供」を行ったことを自白した。その上で「カクマルからの決別」を宣言した。だが松崎らは黒田・カクマル中央派への「資金の提供」をやめても、依然としてカクマルJR総連派のファシスト支配の資金をつくり、自らの私腹を肥やすために、JRに巣くっているのである。
権力が捜索で松崎への圧力
今回の権力の捜索は、こうした松崎らの利権構造を追及することによって、彼らのファシスト的な独自行動を牽制(けんせい)し、完全に権力のコントロール下に抑え込むことを狙ったものである。
重要なことは、この捜索が、JR総連の一連の大会の過程であり、6月25日のJR東日本の株主総会を前にして行われたことだ。JR東資本は、東労組カクマルの分裂による危機をのりきるための経営人事でもめ、例年より1カ月遅れで大塚社長―夏目副社長(昇格)体制を決めた。松崎派は、これをバックに嶋田派をたたきつぶそうとした。これに対して国家権力は、松崎派の増長を抑えて嶋田派を残し、分裂状態のままコントロールすることを狙ったのだ。
その意味で、これは断じて「労働組合に対する弾圧」などではない。国家権力がカクマルを使った国鉄分割・民営化攻撃の危機と破綻(はたん)を取り繕うための、アクロバット的なのりきり策なのだ。
こうした中で6月15〜17日にJR東労組大会が開かれた。ここでも松崎派と嶋田派の激突が繰り広げられたが、直前の捜索に震え上がった松崎派は嶋田派を制圧・一掃することができず、嶋田派が「拍子抜け」するほどだったという。
焦点の小林に対する制裁委員会の設置は、賛成230、反対40で承認されたが、嶋田派が一定の勢力をもって存在し続けることになったのだ。
JRと闘う労働運動を
これらの事態の意味するものは何か。
第一に、分割・民営化体制の破綻であり、国家権力・JR資本・JR総連カクマルのあつれきと矛盾が深まり、資本・カクマル結託体制が最後的な崩壊の過程に入ったということだ。
国家権力は、有事3法の成立に続き、イラク自衛隊派兵法の成立を狙い、さらに北朝鮮侵略戦争体制づくりを急ピッチで進めている。民主党・連合中央を取り込み、彼らの大裏切りをとおして労働者階級を侵略戦争に動員していく攻撃を強めている。
そうした中で、有事法制で指定公共機関となり、軍事輸送のかなめとなるJRにおいて、権力・資本に少しでもたてつくような、JR総連のファシスト的な独自行動をもはや容認できず、「奥田ビジョン」が狙っているような完全な産業報国会への変質を迫っているのだ。そのために、松崎派と嶋田派の抗争という組織的危機を突いて圧力を加えているということだ。
第二に、JR総連カクマルの松崎派と嶋田派への分裂は、双方の生き残りをかけた抗争であるということだ。特に松崎は、そのファシスト労働運動の延命のためにあがいている。
この抗争は、組合員の利益とはまったく無縁なところで行われている。利権をめぐる非難の応酬に始まり、結局はどちらが会社との関係をうまくやるのかをめぐる対立に過ぎない。
松崎派は嶋田派を「会社丸抱えの労働運動」と批判し、松崎派はあたかも会社と「闘う」かのように言っているが、それは国鉄分割・民営化に協力しニューフロンティア21=第2の分割・民営化を推進している自分たちを切り捨てるな、ということでしかない。だいたい「権力の弾圧と闘う」「戦争に反対する」などと言うが、中曽根と連合し、元警視総監・秦野章との親密ぶりを誇り、安保も自衛隊も天皇制も「日の丸・君が代」も認めることを誓って国家権力に取り入ったのが松崎なのだ。
双方とも、JRの大合理化といかに闘うのかという方針をめぐる論議は皆無である。組合員を資本の利潤追求のえじきに差し出し、そのおこぼれに預かりながら延命しようというのだ。
どちらの側にも労働組合としての正当性はひとかけらもない。十数年にわたる資本との癒着・結託体制のもとで、JR総連カクマルの腐敗・堕落が極点にまで達しているのだ。それは松崎路線の行き着いた先であり、その全面破産の結果なのだ。それはまた、ファシスト・カクマルの頭目=黒田の全面破産でもある。このことを、黒田・カクマル中央派にも突きつけ、打倒しなければならない。
JR総連傘下の組合員、とりわけ東労組の組合員は、今こそ、カクマル支配から決別し、JRの中に闘う労働組合、階級的労働運動をつくり出すために、ともに闘おうではないか。
国労組合員は、国労5・27臨大闘争弾圧を粉砕し、国労を階級的に再生させ、動労千葉のように原則を貫いて闘う労働組合をつくり出そう。そして動労千葉・動労総連合、闘う国労のもとにJR総連傘下の組合員、とりわけ「平成採」の青年労働者を獲得しよう。
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週刊『前進』(2111号2面2)
革共同集会の歴史的意義 労働者階級の党へ飛躍かけて
03年夏の革共同集会は、3・20イラク開戦と有事3法の強行により、またイラクへの自衛隊地上軍派兵により、日帝が帝国主義侵略戦争に本格的に参戦するという重大情勢のもとで開催されます。この情勢は、日帝が中国侵略戦争に突入していった1930年代と対比できますが、実際にはそれ以上に深刻です。帝国主義の世界史的危機がもっともっと深いからです。
米帝のイラク侵略戦争はイラク人民の民族解放・革命戦争との全面激突の段階に入り、戦争は新しい形で継続し激化しています。これに対して日帝・小泉は、自衛隊をイラクの戦場に派兵しようとしています。米帝の北朝鮮侵略戦争に、有事法を発動して「日帝自身の戦争」として対応していくためにも、まずイラクで自衛隊に「殺し殺される軍隊」として血を流させようとしているのです。
体制的存亡の危機、破局への恐怖につき動かされた日帝の攻撃は、確かに凶暴です。戦争への本格的踏み切りは、労働者階級への「上からの内乱」的攻撃、そして革命党と反戦闘争勢力への戦時治安弾圧を激化させています。
革共同もその中で、党としての試練に立たされていると言えます。この情勢としっかりと向き合い、本格的な階級的反撃の先頭に立ちえないならば、歴史のくず箱にたたきこまれるしかない。しかし、単純にこの延長で、反動が吹き荒れ一切の抵抗が不可能となるような暗黒の時代が到来するわけではありません。
重要なことは、イラク反戦闘争が示したように、国際的なプロレタリアート人民の隊列が、ムスリム人民や南北朝鮮人民の闘いと連帯して、帝国主義を打倒する革命的な胎動を開始していることです。日帝が拉致問題や北朝鮮の核開発問題を逆手にとって、排外主義の大攻撃を仕掛けても、日本の労働者階級人民は、それに「たちまちからめとられていく」ような存在ではない。戦後の階級闘争の歴史だけをとってもそんな簡単なものではありません。
核心は、労働者の根源的怒りが帝国主義との全面対決に向かって渦巻いているということ、そこに帝国主義を打倒する「根源的な革命」の力があることを正しくつかみ取ることです。
帝国主義の危機と言う場合、帝国主義ブルジョアジーと労働者階級の階級的な非和解的敵対の関係をしっかりと踏まえなければならない。その矛盾は根源的に深い。したがってまた、帝国主義の攻撃に対する労働者階級人民の怒りは根源的なものです。民主党や連合の率先協力、社民党や日本共産党の屈服と裏切りにもかかわらず、労働者がこのまま、帝国主義によって全面的に平定されつくすということはありえない。
革命情勢への移行期が到来しつつある中で、真の労働者党、革命の党こそ求められています。革共同が労働者の日常的な死活の攻防の先頭に立ち、労働者に根を張った党として自己を確立した時、すべては可能となる。革命的情勢への移行期の到来は、革共同が文字どおり立党の原点に立ち返ることを要求しています。
レーニン的な「帝国主義戦争を内乱へ」「帝国主義の侵略戦争を内乱へ」を切り開いていく闘いは、それによって本当に可能となるのです。われわれは、権力との死活の攻防、労働者階級の獲得をかけた命がけの大党派闘争に大胆に突入していかなければならない。戦時体制を先取りした革命党への弾圧、戦闘的労働組合破壊の攻撃をはね返し、社・共をのりこえる真の労働者党、革命党を建設しなければならないのです。
今回の革共同政治集会の基調報告のタイトルは「プロレタリア世界革命の大道開く、階級的労働運動の防衛と創造へ」です。これこそ今集会でかちとるべき路線的一致と大方針の内容、基本テーマそのものです。
われわれは、今春の3大決戦(有事3法阻止、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕と動労千葉72時間スト支援を軸とする03年春闘、統一地方選)を全力で闘い、この情勢に対決できる確かなものを根底で切り開いてきました。しかし、現在の延長では革共同に課せられた歴史的使命に真にこたえぬくことはできないこともまたはっきりしています。
革共同はここで歴史的な飛躍と脱皮を成し遂げなければなりません。「階級的労働運動の防衛と創造」に大胆に挑戦し、すべてをかけて確実な、力強い前進を実現すること、ここに党としての歴史的飛躍の「大道」があります。なんとしても、この大道をこじ開けようではありませんか。
すべての同志と闘う労働者人民が、強烈な階級的意志をもって、03年夏革共同集会に結集し、この「飛躍と脱皮」をともに実現していくことを呼びかけます。
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週刊『前進』(2111号2面3)
“戦争協力拒否する” 神奈川 交運労働者が集会
7月4日夜、神奈川県交通運輸産業労働組合協議会の主催する「有事法制に非協力宣言! 神奈川交通運輸労働者・怒りの決議集会」が行われました。会場の横浜・関内大通り公園には仕事を終えた労働者が続々と集まり、参加者は920人になりました。
来賓あいさつに、陸・海・空・港湾労組20団体を代表して航空労組連絡会の村中哲也副議長が立ちました。「私は有事法制廃案を求める闘いに負けたような気がまったくしない。6月10日の日比谷野音集会では5000人が次の闘いの決意を固めました。そして今、建設や医療、鉄道、トラックの労働者などと新しい運動を模索し始めました。目標はまず戦争国家を完成させるための法整備を阻むこと、第二に有事法制の発動をくい止めること、第三に労働者が戦争協力に断固として従わない闘いです。今までの闘いをもっと飛躍させ、平和を守る闘いの先頭に立ちましょう」
基調報告は神奈川交運労協の本間事務局長が行い、「有事法を発動させず、廃止に追い込むために奮闘します。万一発動された場合も、私たちは武器・弾薬や兵員の輸送はきっぱり拒否します」と宣言しました。
決意表明では、県私鉄の労働者が「公共交通が兵員や武器・弾薬を輸送し戦争に加担すれば、自らの命も乗客の命も守れません。平和なくして労働なし。輸送協力拒否の声を上げ、行動に移そう。イラクへの自衛隊派兵を阻止しよう」、全港湾の労働者が「港湾労働者にとって戦争協力拒否は、解雇を覚悟しなければならないことです。有事法を発動させない、戦争のための法整備を許さない、戦争に協力しない闘いを断固闘います」と訴えました。
最後に集会決議が提案され、「有事法を発動させない運動の強化を大衆的に取り組む。さらに万一、有事法が発動された場合、それにもとづく輸送業務を拒否する」という決議が大きな拍手で採択されました。
集会後は、県交運労協の労働者と横須賀・厚木の反基地闘争を闘う仲間が、横浜スタジアムや横浜市役所の横を通るデモに立ち、「有事法制反対! 戦争動員は拒否するぞ!」という力強いシュプレヒコールが繁華街に響き渡りました。
有事法闘争は終わっていません。労働者の動員なくして戦争はできません。「完成させない、発動させない、戦争協力を拒否する」闘いで、有事法を廃止に追い込もう! (投稿 N)
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週刊『前進』(2111号2面4)
動労千葉を支援する会 訪米の報告に沸く 国際連帯の前進を確信
7月12日、動労千葉を支援する会が03年度定期総会を千葉市のDC会館で開いた。動労千葉組合員と会員の労働者ら100人が参加し、動労千葉支援運動を強化することを誓い合った。
アメリカのILWU(国際港湾倉庫労組)ローカル10が中心となって結成された「タフトハートレイ・抑圧・民営化反対行動」からの要請で、動労千葉の代表がサンフランシスコを訪問している最中だった。
中野洋前委員長が特別講演を行い、この訪米の意義を明らかにした。
ILWUは経営側のロックアウトによるタフトハートレイ法(スト禁止法)発動とねばり強く闘っている。アメリカではペンタゴン(国防総省)やホワイトハウスの民営化が狙われ、9・11直後に制定された愛国者法(パトリオット)に続き、テロ集団に近いと認定されたら構成員の財産を奪うというパトリオット2が上程されている。
中野前委員長は、こうした攻撃と闘うアメリカの労働組合から「日本の国鉄分割・民営化に反対して闘う労組として、国労ではなく動労千葉に白羽の矢が立ったことが核心だ。イラク戦争が始まった3月20日の直後に動労千葉が72時間ストライキを打ち抜いたことが国際的に脚光を浴びた」と語った。
そして、「1047名闘争は、国労の4党合意反対派も賛成派と同じ政治解決・和解路線では勝てない。解雇撤回・JR復帰のためにはJR資本と闘うことが必要だ。組合員を警察に売り渡す執行部をのうのうとさせてはならない」と強調。「労働組合は原則を守り抜くことで情勢を切り開く。自分たちの闘いに自信と確信を持とう。有事法制が成立し、団結を固めて立ち向かう以外に労働者は存在し得ない時代に入った。今年の11月労働者集会が勝負だ。国際連帯の集会になる。日比谷野音を満杯にしよう」と熱っぽく訴え、盛んな拍手を浴びた。
総会で採択された運動方針は、「動労千葉の位置と役割がますます高まっている」とした上で、「03春闘ストに心から感動し、3・29労働者集会に総決起できたのか」と、組合員の期待にこたえ切れていない現実を厳しく総括。「動労千葉の時代認識、路線、労働者観、闘い方―戦術、一人ひとりの組合員の生き方、そして階級的団結とは、などを学びつくし、自らの職場で労働者の怒りの先頭に立って闘いぬく。第2、第3の動労千葉をつくり出そう」と確認した。
懇親会では、動労千葉組合員との交流を深めた。
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週刊『前進』(2111号2面5)
資本攻勢&労働日誌 6月27日〜7月10日
電機連合が「強い日本」を提唱 失業率の最悪水準続く/サービス残業が過去最多
●完全失業率5.4%、最悪水準 総務省発表の労働力調査では5月の完全失業率は5.4%で、前月と同率だった。厚労省発表の5月の一般職業紹介状況では、有効求人倍率は前月比0.01ポイント改善し、0.61倍。若年層(15〜24歳)の失業率は11.1%と高水準。沖縄県の5月の失業率は7.9%で前月比0.1ポイント悪化。(6月27日)
●団交より労使協議重視、厚労省調査 厚労省発表の02年度「団体交渉と労働争議に関する実態調査」結果によると、大企業ほど団体交渉の機会は少なく、労組は団交より常設の労使協議会を重視する傾向が強い結果に。調査は97年以来5年ぶり。(27日)
●「障害者」雇用、11年ぶりに企業名公表 厚労省は「障害者雇用促進法」の法定雇用率(1.8%)を守らない悪質企業1社の企業名を公開した。「障害者」の昨年の民間企業の実雇用率は不況が響き、一昨年よりも0.02ポイント低下して1.47%。法定の1.8%を大きく下回った。(27日)=厚労省発表
●通商白書、外国人受け入れを提言 03年版通商白書は、専門的な技術を持つ外国人労働者を積極的に受け入れるよう、政府の白書として初めて提言。(7月1日)
●NTT労組が大会でリストラ受け入れ表明 NTT労組の定期大会が開かれた。運動方針で、「さらなる構造改革(リストラ)を着実に実践」するとして、首切りへの協力姿勢を表明した。(1日)
●地方独立行政法人法案が成立、自治体リストラの手段に 地方独立行政法人法案が参議院本会議で可決、成立。地方行革の道具となり自治体行政の分社化・アウトソーシングに拍車がかかると懸念されている。(2日)
●電機連合大会、裁量労働制緩和を提言 電機連合が4日まで大会を開催。(3日)=要旨別掲
●サービス残業是正指導、昨年過去最多 いわゆるサービス残業に対する労働基準監督署の是正指導件数が、昨年は約1万7000件で、過去30年で最多なことが厚労省まとめで分かった。(7日)
●京阪電鉄、車掌に契約社員 京阪電気鉄道は電車の車掌など乗務員に契約社員を採用する。契約期間は1年で、時給は950円。応募資格は18歳から30歳まで。(9日)
●転職正社員の35%、パート・アルバイトに 総務省の02年の就業構造基本調査で、過去5年間に正社員から転職した596万9千人のうち、35.5%がパートやアルバイトなど正社員以外の職種で働いていることが分かった。(9日)
●赤字の健保組合8割超、過去最悪 健康保険組合連合会(健保連)は大企業の労働者が加入する健康保険組合全体の02年度決算見込みを発表。経常収支は過去最悪の4003億円の赤字で、赤字組合の割合も初めて8割を超え、80.6%に上った。(10日)
電機連合大会で決定した裏切り方針
電機連合は、「奥田ビジョン」と有無相通じて労働運動解体方針を決定。
@賃金闘争放棄して「職種別賃金」推進
職種別の賃金差別を容認・推進。技能職労働者の賃金半減が狙い。
A「強い日本を創る」と叫ぶ「第6次産業政策」の提唱−新たな産業報国会へ
°企業は強いが、国家が弱いために国際競争に負けた″と、「強い国、強い企業、強い個人」づくりを提唱。
B「電機産業職業アカデミー構想」は終身雇用制解体が目的
「エンプロイアビリティ」(雇用される能力)を身につけろと労働者に迫り、首切り自由の社会を狙う。
C裁量労働制拡大の「新労働時間政策」
今回の労基法改悪でも不十分と、企画型裁量労働制を全労働者に拡大。
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週刊『前進』(2111号3面1)
国労弾圧打ち砕き国鉄闘争勝利へ 治安弾圧と対決し国労再生を
警視庁公安の手先と化した国労本部指導部を打倒せよ
国労5・27臨大闘争弾圧との闘いは、緒戦における重大な決戦攻防のただ中にある。この弾圧が警視庁公安部と国労東京地本一部幹部によって仕組まれたデッチあげ弾圧であることは、公判が回を重ねるたびにますます明らかになっている。日帝権力は、この弾圧で国鉄闘争を壊滅させ、それをテコに労働者階級のあらゆる闘いを鎮圧しようとたくらんだ。事実、有事3法の成立とイラク派兵法案の強行情勢のもとで、さまざまな領域においてかつてなく激しい治安弾圧攻撃が吹き荒れている。国労5・27臨大闘争弾圧を粉砕する闘いは、それらすべての弾圧を根底において打ち破る位置を持っている。「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」の運動をさらに発展させ、8被告を早期に取り戻し、無罪をかちとろう。それは、国鉄闘争と労働運動総体の階級的再生に直結する課題なのである。
<反動的核心>よみがえらせた暴処法
検察側は、被告らが共謀の上、本部派組合員の宿泊するホテル前に集結して「多衆の威力を示し」、各被告が本部派への「暴行」に及んだなどと主張する。
もとより、昨年5月27日の国労臨時大会当日における被告たちの行動は、闘争団除名と国労解体に走る国労本部を弾劾し、本部派組合員を説得するための正義のビラまき・説得活動であり、違法とされるものは何もない。したがって「暴行」の「共謀」もありえない。だが権力は、被告たちの正当な組合活動を「大会阻止を企てた中核派の組織的犯行」として描きあげて、弾圧を強行した。
共謀がどのように成立したのかについて、検察側の主張はまったくでたらめだ。起訴状では集結以前の事前共謀説を唱え、検察側冒頭陳述では集結後、現場において「黙示の共謀」が成立したと矛盾したことを言った。ところが、第9回公判では、青柳勤裁判長の誘導に沿って、再び事前共謀説を持ち出してきた。全被告の間に共謀関係があったとしながら、それがどのように成立したかを一義的に確定しないのは、起訴自体が違法だということだ。
この弾圧には戦前来の治安弾圧法である「暴力行為等処罰に関する法律」が適用された。暴処法は、「団体もしくは多衆の威力」を示してなされた暴行、脅迫などについては、刑法に規定する刑罰よりも重く罰することを定めている。暴処法の目的は、団結に基づく活動を刑罰の威嚇で鎮圧することにある。
このことは、暴処法の前身である治安警察法第17条を見ればより明確になる。それは、労働組合への加入、同盟罷業(ストライキ)、団体交渉に関してなされた暴行、脅迫や同盟罷業の扇動を処罰するときわめて露骨にうたっていた。暴処法は、治安警察法のこの条文の削除と引き換えに制定された。つまり、労働運動の禁圧を目的とする明治時代の治安弾圧法を、そっくりそのまま引き継いたものが暴処法なのである。
しかも、暴処法制定は1926年、治安維持法制定の翌年だ。治安維持法が「国体ヲ変革シ又ハ私有財産制度ヲ否認スルコトヲ目的」とする結社を禁ずるとして日本共産党を主要な弾圧対象にしたことと対をなして、暴処法は労働争議、小作争議、水平社運動の弾圧に猛威を振るった。
ここで一言指摘しておきたいのは、治安維持法と暴処法という弾圧法の制定をもって、時代は一気に暗転したわけではないということだ。戦前の労働争議や小作争議は、29年世界恐慌以降30年代に爆発的に増大した。ところが、戦前の日本共産党は、治安維持法と暴処法という二つにして一つの治安弾圧法・治安弾圧攻撃に受動的にしか対応せず、労働者階級の大衆的反撃を組織することを放棄し、そのことも一要因として壊滅に追い込まれた。労働者や農民の闘いも鎮圧され、その上に日帝の中国・アジア侵略戦争、対米戦争に動員されていったのだ。
今日の情勢を直視すれば、これはけっして過去の話ではない。こうした過ちと敗北を再び繰り返すのか否かが、今われわれに突きつけられている。
暴処法は、団結権を保障した戦後憲法とは明らかに相入れないにもかかわらず、爆発物取締罰則などとともに戦後も生きながらえ、労働運動弾圧にしばしば適用されてきた。
だが、今回の弾圧における暴処法の発動は、従来のレベルと同じものではない。暴処法は、その制定期における極反動的核心をよみがえらせて、労働運動弾圧の武器としてさらに乱発されようとしているのだ。だがそれは、必ず敵の破綻(はたん)点に転化する。
労組破壊狙う共謀罪の新設
昨年10月の国労弾圧以来、3月の九州大学自治会、5月の部落解放同盟全国連合会寝屋川支部、6月の東北大−全金本山労組への弾圧と、連続して弾圧が加えられてきた。いずれも逮捕者は起訴され、被告は不当に勾留されている。
世界戦争過程への突入と有事3法成立のもとで、労働組合や部落解放運動、学生自治会などの大衆的な団結形態とその闘いに弾圧の矛先が向けられている。今や権力は、革命党と労働者人民の分断を狙って、戦後民主主義のもとで支配階級が認めてきた(認めざるをえなかった)大衆的団結体にも、国家暴力をむき出しにして襲いかかっている。
小泉政権が今国会で強行しようとしている国際的組織犯罪条約の批准に伴う共謀罪の新設は、こうした攻撃を極限まで推し進めるものになる。共謀罪は、長期4年以上の刑に該当する行為を「団体の活動として」共謀した者を処罰する。実行行為に至らなくても、共謀それ自体が独立して刑罰の対象になるのである。
労働運動弾圧にたびたび適用されてきた威力業務妨害罪、逮捕・監禁罪、強要罪、恐喝罪などは、組織的犯罪対策法と結びつけられると、そのいずれもが長期4年以上の刑になる。これらが共謀の段階で処罰されるとすれば、労働争議は事前に全面的に禁圧されることになる。しかも権力は、事実の存否にかかわらず、実に安易に共謀をデッチあげてくるだろう。
共謀罪新設は、革命党の存立にかかわる問題だ。ブルジョア国家機構の粉砕とプロレタリア独裁の樹立、「ブルジョア的生産諸関係の専制的侵害」をつうじての共産主義社会建設に向けて労働者階級を組織する革命党の闘いは、そのすべてが「長期4年以上の刑に該当する行為」そのものか、それに向けての「共謀」と見なされることになる。
共謀罪は、団結権解体を狙う労働運動弾圧法であり、破壊活動防止法以上の革命党抹殺法だ。絶対に成立を許してはならない。
だがそれは、こうしたむき出しの治安弾圧法を手にしなければ、資本はその支配を維持できないところに至ったことを示している。
戦争と大失業へ労働運動一掃狙う
帝国主義は、あからさまな植民地強奪と相互のつぶしあいの中で、三度の世界戦争にのめり込んでいく過程に突入した。米英帝のイラク侵略戦争と軍事占領は、それを示している。同時に帝国主義は、世界恐慌の進展と大不況の永続化の中で、労働者を生存できるか否かのぎりぎりの状態にまで追い込んで、自らの延命を図っている。労働者は闘わなければ生きていくことができない時代に入ったのだ。
今や、全世界で労働者の反乱が起こっている。だからこそ帝国主義は、階級支配のあり方を根本的に転換し、労働者の団結と闘いを暴力的に解体する攻撃に乗り出してきたのである。これとの闘いは、いずれの国の労働者にとっても差し迫った重要なテーマとなっている。
アメリカでは今、「PATRIOT ACT2」(愛国者法2)と呼ばれる治安立法の成立を阻むために労働者が立ち上がりつつある。これは、政府によって「テロリスト」とレッテルを張られた人間に物質的援助や資金提供を行うことを犯罪とし、援助した者は市民権剥奪(はくだつ)、国外追放、財産没収に処すというすさまじい法律だ。ブッシュ政権は、01年9・11反米ゲリラ戦直後に「PATRIOT ACT」を成立させ、それ自体すさまじい治安弾圧体制をつくったが、今度は労働組合を標的に、それをより強化しようとしているのだ。
日本におけるこの間の治安弾圧法の制定も、戦争と大失業の攻撃と完全に連動している。周辺事態法がつくられた99年には、組織的犯罪対策法や盗聴法も成立した。日経連が本格的な資本攻勢を決断し、終身雇用制の解体に向けて労働者派遣法が改悪されたのもこの年だ。
ここにおいて日帝の治安政策は明らかに転換した。労働運動・労働争議を明確に治安弾圧の対象に据えたということだ。労働運動への弾圧としては異例の10カ月もの長期勾留を行った99年の洋書センター弾圧や、全日本建設運輸連帯労働組合・関西地区生コン支部などに対してそのころから集中的に加えられた刑事弾圧は、その典型的な例である。そして今、有事3法−イラク派兵法案と労働法制改悪、共謀罪新設が一連のものとして立ち現れているのである。
日本経団連は、「奥田ビジョン」で労働組合が「産業報国会」となるべきことを露骨に要求した。今年の経営労働政策委員会報告は、「倒産や雇用情勢の悪化に伴う社会不安を回避」せよと叫び立てた。それは、労働運動を治安問題としてとらえ、国家暴力をもって壊滅させるという宣言である。
そうした攻撃に対し不屈の反撃を先端で貫いているのが、国労5・27臨大闘争弾圧との闘いなのである。
自ら国労解体策す東京地本悪質幹部
日帝権力は、政治解決路線に傾斜を深める国労本部の屈服を見透かし、国労自身に「JRに法的責任なし」を認めさせる4党合意で国鉄闘争を解体しようと企てた(00年5月)。その策動が闘う国労組合員の手で破産の危機に追い込まれるや、酒田委員長ら東京地本の一部悪質幹部に闘う国労組合員を差し出させて、この弾圧を強行した。
国労本部と東京地本一部幹部を公安警察の手中に収め、彼らを先兵として国労を解体に追い込もうとする試みは、凶悪きわまるものである。同じ国労組合員の一方は無実の罪で獄中にあり、他方は警察の下僕となってその処罰を要求する−−これほどすさまじい団結破壊はほかにない。
公安警察の手先と化した国労本部は、9月の国労定期大会で闘争団闘争を最後的に切り捨て、国労を解体してJR連合に合流する方針を打ち出そうとしている。それは、国鉄闘争の行く末に自らの未来を重ね合わせてきた幾多の労働者の希望をも打ち砕く、許しがたい所業だ。
この弾圧は、「過激派の問題」などでは断じてない。国労組合員にとっては、自らが依拠する団結体がこんな無残な形で引き裂かれていいのかという問題なのだ。反対派の一部には、この弾圧から目をそらし、本部打倒の闘いを放棄して、1047名闘争をJR本体の闘いから切り離された「争議団の自立した闘い」に流し込もうとする動きもある。
しかし、弾圧を打ち砕き、弾圧に手を染めた現国労執行部を打ち倒して、国労の再生を実現しなければ国鉄闘争の勝利はない。1047名の闘いとJR本体の闘いを結びつけ、JR総連を解体し、JR資本と正面から闘い抜くこと、国労闘争団・全動労争議団・動労千葉争議団が団結し、1047名闘争として闘い抜くことが、支援陣形を広げ勝利の展望を開くのだ。
獄中の8被告は、弾圧に敢然と立ち向かって闘い抜いている。被告の家族もまた、夫や父親の正義を確信して、弾圧を打ち破る闘いの先頭に立っている。
「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」の呼びかけにこたえ、反弾圧の運動を広げよう。そこから国鉄闘争と日本の労働運動を再生させる道は開けるのだ。
組織的犯罪対策法
団体によって組織的に実行された犯罪には刑を加重すると定めた治安弾圧法。加重対象罪は、逮捕・監禁罪、強要罪、威力業務妨害罪、恐喝罪など、労働運動弾圧に適用されてきたものがほとんどだ。また「犯罪収益」没収も規定している。労働組合がかちとった和解金なども「犯罪収益」にされてしまう。警察に盗聴を認める盗聴法や刑訴法改悪とともに99年成立した。
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週刊『前進』(2111号3面2)
青柳裁判長は保釈を認めよ 9カ月もの勾留は違法・不当
国労5・27臨大闘争弾圧によって長期勾留を強制されている8人の被告と「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」は、7月2日の第9回公判前に、日本弁護士連合会人権擁護委員会に対し「長期の勾留は重大な人権侵害である」として救済申し立てを行った。
この申し立てにおいて訴えられている事実は、長期勾留が被告と家族に対していかに深刻な迫害と重圧になっているかを伝えている。8人の被告と許さない会のこの申し立てを断固支持し、長期勾留への激しい怒りを込めて8被告の一日も早い保釈奪還をかちとろう。
人権救済申立書が第一に重視しているのは、多くの被告が持病を悪化させている問題だ。
何よりも東元被告のうつ病である。申立書は「東京拘置所の医師の治療は……勾留を維持するために、今うつ病が爆発することを抑えるための薬の投与をしているのであって、治療とはほど遠い」と弾劾している。東被告の不眠症状は、東拘の医師が「これ以上の睡眠薬は投与できない」と言って治療方針を見いだせないほどに悪化している。
独房とそこでの生活がうつ病にとって最悪の環境であることは明白だ。主治医によるきめ細かな診断と治療が絶対に必要なのだ。東被告のこれ以上の勾留は人道上許されない。青柳裁判長は東被告の保釈を直ちに無条件に認めよ。さもなくば、勾留を一時停止し、外での治療を認めよ。
第二に重視しているのは、被告を早期に職場復帰させることである。関西の5人の被告は、JR西日本あるいはJR貨物の労働者だ。5人の被告は、保釈されれば翌日から復職できるのだ。しかし、「現在までのところ、『事故欠勤』扱いをしているが、取り扱いの裁量はもっぱらJR会社にあるので、これ以上の長期勾留が続けば『解雇』になるおそれがある」(申立書)。もはや勾留を続けることは許されない。
第三に重視しているのは、被告家族の経済的・精神的負担である。被告が逮捕・勾留され、賃金が払われず、どの家計も収入が激減した。しかし、家賃・水光熱費、子どもの養育費などの支出はほとんど変わらない。また、被告の住民税のほか、年金、健康保険・介護保険などの保険料や、共済会費も納めなければならない。そのための持ち出しはそれぞれ6万円から17万円になる。「預貯金の取り崩しで何とかしのいでいるが、この夏には底をついてしまう」(同)危機が切迫しているのだ。
深刻なのは家計の問題だけではない。被告の多くが小学生から大学生までの子どもを抱えている。権力が父親を奪い、家族を切り裂いていることが子どもに与える影響は、時間がたつにつれて大きくなっている。高齢の父母・義父母への矛盾と犠牲の押しつけも小さくない。被告の妻が労働と生活の面で受ける肉体的・精神的負担とストレスも限度を超えてぎりぎりのところまで来ているのだ。
保釈却下を徹底弾劾する
東京地裁刑事第10部の青柳勤裁判長は6月9日、弁護団による3度目の保釈申請を却下した。青柳裁判長は、弁護団の抗告申し立てに対する意見の中で、保釈を許可しない最大の理由として「全面的に争っている被告人の応訴態度」を挙げた。「法定刑が3年以下の懲役」と微罪であることを認めながらも、無実を主張しているから保釈はしないというのだ。また、東京高裁・山田利夫裁判長は、この青柳の意見に同調し、6月30日に抗告を棄却した。(本紙前号参照)
青柳裁判長は、被告と家族の苦しみを分かろうともせず、無罪を推定されるべき被告たちを勾留し続け、「裁判」の名で公然と人権侵害を行っているのだ。被告と家族を踏みつけにするこうした暴挙は、有事法制下の国鉄闘争と日本労働運動への見せしめ的な弾圧以外の何ものでもない。
腹の底からの怒りを込めてこの事実を徹底的に暴露・弾劾して、8被告の保釈奪還を何としてもかちとろう。「許さない会」が訴える「4千の賛同会員の獲得と10万筆の保釈署名」を達成し、逮捕1周年(10月7日)を前に8被告を取り戻そう。
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週刊『前進』(2111号3面3)
(3) ■横浜大会に向けて訴える■
市町村の強制合併 戦争体制へ地方自治破壊
3200の自治体を1000に再編 人員削減リストラが不可避
小泉構造改革で合併が加速
小泉政権は、政権発足後の01年6月に「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」(いわゆる「骨太の方針」)を決定した。そこで「市町村合併を強力に促進し、目途を立てすみやかな市町村の再編を促す」として、市町村合併を小泉構造改革の大きな柱に据えきった。
合併特例法の期限05年3月までに、全国3200の市町村数を3分の1の1000程度に減らす目標を立て、「アメとムチ」で合併に駆り立てている。財政や制度面の優遇策で釣るアメよりもムチが目立ち始めた。特例法の期限後になお残る小規模市町村の仕事と責任を取り上げ、都道府県などに肩代わりさせるなど、小規模自治体をつぶす「脅し」をかけてきている。
こうした「アメとムチ」のやり方が功を奏し、全国では市町村合併の法定協議会や任意協議会、研究会など8割を超える市町村が合併協議に参加している(グラフ参照)。05年3月までに現在の全国市町村が半数近くの1700程度に再編される見通しであると報じられている(7・2共同通信)。
現状は、「合併をしない」と宣言した福島県矢祭町のような自治体もあり、特例法の期限まで十分な時間がないなど、目標である1000自治体への再編は困難と言える。しかし、市町村の再編攻撃は、これからより激しくなる。自治体労働者は、この攻撃を見据え、市町村合併の実態とその狙いを暴露し、住民とともに立ち上がろう。
有事法制、住基ネットと一体
戦前の県や市町村は旧内務省が支配する国の下級機関にすぎなかった。それは侵略戦争を支える大きな基盤となった。それに対して戦後、日本国憲法の第8章第92条以下で地方自治の基本原則が定められ、憲法と地方自治法が同時に施行され、現在の地方自治制度が確立した。日帝は、有事立法攻撃と一体のものとして中央権力の強化を行い、地方分権と称して地方自治の破壊にのりだした。それは改憲に行き着く。そして有事法制成立―北朝鮮侵略戦争策動の激化の中で、戦後地方自治制度を全面的に解体しようとしているのだ。
住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)や有事法制など、国家が住民の管理・統制を強め、戦争に動員するには、地方自治は邪魔になるのだ。この地方自治制度を破壊し、日本帝国主義の新たな侵略戦争を支える基盤をつくりあげる。そのための市町村合併なのだ。
そもそも住民にとって市町村合併の恩恵は何もない。政府は市町村合併の最大のメリットとして行財政の効率化をあげているが、その内容は、首長・議員そして職員の削減による人件費削減である。合併後の新自治体には、身近な首長や議員そして職員までもいなくなり、それは「自治の空洞化」を進行させる。
そして、市町村合併と並行して都道府県の再編論議が地方制度調査会(首相・小泉の諮問機関で会長は諸井虔)で進んでいる。全国300の基礎自治体と道州制だ。日本経団連の「奥田ビジョン」は明確に「州制」の導入を掲げた。
合併誘導のための財政措置として、合併特例法は目玉を二つ掲げている。
一つは普通交付税の合併算定替えだ。合併から10カ年度は、合併しなかった場合の交付税措置として、減額せず、その後に減らす(5年間は激変緩和)。
二つは合併特例債だ。例えば、100億円の仕事をするときに95億円を借金でまかなえる。そのうちの70%は交付税で計算して後で補填(ほてん)してもらう。この特例債で豪華なハコモノなどを建設しても、合併バブルの後は借金地獄を招きかねない。
地方交付税は、地方自治に一定の行政水準を保障し、独立性を強化するためにある。この見直しを小泉政権は始めたのだ。特に小規模自治体つぶしである。また、財政危機を口実に、税源移譲の明確な提示がないまま、国庫補助負担金とともに交付税の廃止・縮減が検討されている(「骨太の方針・第3弾」の「三位一体の改革」)。
これらは、自治体リストラを一層促進し、人員削減・賃下げ攻撃となって襲いかかる。それはまさに、自治労解体攻撃である。
自治労解体と対決し闘おう
こうした激しい市町村合併による地方自治の破壊、自治体リストラ、自治労解体攻撃に、自治労は対応できているのか。
03年2月には、全国町村議会議長会・全国町村会が「町村自治権確立総決起大会」決議をあげ、小規模自治体つぶしに猛反発している。闘いはこれからなのだ。自治労本部の君島書記長の言うような「住民にとって良質な公共サービス論」では闘えないのだ。
市町村合併は、当該の自治体で働く自治体労働者にとって、その身分を始めとして賃金・労働条件に大きく影響する。合併特例法では、一般職の職員は新自治体に引き継がれると明記されているが、臨時・非常勤職員はもとより一部事務組合など自治体関連職員についての身分は保障されていない。身分の取り扱いさえ不確かなのであるから、賃金その他の労働条件はまったく白紙といっていい。
合併協議が開始されても職員の身分・労働条件は後回しにされてしまう。合併後の新自治体の枠組みを決める合併協議会は、組合との交渉窓口をなかなか開設しようとしないのだ。せいぜい合併直前に労使交渉が数回もたれてバタバタと決められてしまう。
合併後には、激しい自治体リストラ攻撃が不可避である。
また、さいたま市の合併のように、それぞれの単組が自治労ばかりではなく、競合する自治労連の場合もあり、合併が組織の命運を決する闘いになるのだ。
全国の自治体で働く仲間の皆さん。強制合併による自治破壊・自治体リストラ、自治労解体攻撃と対決しよう。その中で戦闘的・階級的な自治体労働運動を復権しよう。
(自治体労働者 飯塚弘通)
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週刊『前進』(2111号3面4)
国労5・27臨大闘争弾圧公判日程
第11回 8月27日(水)/第12回 9月17日(水)
第13回 10月6日(月)/第14回 10月27日(月)
第15回 11月21日(金)/第16回 12月16日(火)
※いずれも午後1時15分から、東京地裁
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週刊『前進』(2111号4面1)
「相手を殺す場合も」と小泉 自衛隊が対ゲリラ掃討に参戦
「強盗」は日帝だ
「(派兵された)自衛隊員でも民間人でも、野盗や強盗のたぐいに襲われたら殺される可能性はあるかもしれない。相手を殺す場合もないとは言えない」
7月9日の参院で小泉首相は、自衛隊のイラク派兵についてこう言った。何を言うか。強盗はどっちだ。イラクの石油を奪おうとしているのは帝国主義であり、小泉こそ帝国主義強盗の親玉ではないか。
この小泉の言葉は、イラク軍事占領軍への自衛隊参戦がもたらす恐るべき結果を赤裸々に示している。自衛隊のイラク派兵とは、イラク人民の虐殺であり自衛官の戦死を意味するのだ。
日本の軍隊=自衛隊が放った一発の銃弾がイラク人民の生命を奪う――このことの深刻な歴史的意味を真剣に考えて欲しい。今回の自衛隊イラク派兵を許すならば、戦後日本の歴史、社会、階級関係のすべてが一変する。日帝は、かつての中国侵略戦争と同じことをイラクに対して開始しようとしているのだ。日本の労働者階級人民は重大な歴史の岐路に立っている。
イラクでは、イラクを再植民地化して石油を強奪しようとする帝国主義に対して、イラク人民は政治的・大衆的決起を発展させ、米英軍に対するゲリラ戦争を連日展開している。米英軍は、イラク人民一人ひとりの怒りと闘いに直面しているのだ。これは文字どおり泥沼の侵略戦争である。それは帝国主義軍隊の暴力によってイラク住民の最後の一人まで屈服させるか、米英軍がイラクから撤退するかしかない関係である。イラクの現状は、帝国主義の侵略戦争が軍事占領という形で継続・拡大し、民族解放・革命戦争が次第に激化しつつある情勢なのだ。
小泉は、イラクが戦争状態であることを百も承知で「金で石油を買う時代ではない」とうそぶき、自衛隊をイラクに派兵し占領軍の一角に加わり、帝国主義的強盗の軍隊としてイラク人民を抑圧、弾圧、虐殺し、そして自衛官を戦死させることで、帝国主義的権益や争闘戦的利益の獲得を狙っているのだ。
「まだ戦争状態」
イラク派兵法案の大ペテン性は、現実には戦争状態にあるイラクを戦争の終結した戦後復興の国家としている点にある。そして「もう戦争は終わった」「復興支援に行くだけだ」と強弁して、戦争状態のイラクに自衛隊を軍事占領に参戦させようとしているのだ。百パーセント架空の前提で法案を作成している。「戦争は終わった」とか「非戦闘地域で活動する」などと言うが、そもそもブッシュ自身が「まだ戦争状態」であると宣言し、米英軍への攻撃は頻発し、より高度化していることを認めている。むしろ、だからこそ米軍の長期駐留は不可避であると言明しているのである。
イラクに派兵する自衛隊の活動として法案に書いてある「安全確保支援活動」の「安全確保」とは、いわゆる警察的な治安活動のイメージではなく、米英軍が総力をあげて遂行しているゲリラ戦争の掃討作戦のことである。このゲリラ戦によって5・1「戦闘終結」宣言以降、米英軍兵士がすでに80人近く死んでいる。ゲリラの規模と回数は拡大し、せん滅される米英軍兵士の数は増え続けている。
「安全確保活動」とは実際には、対ゲリラ戦制圧戦争という侵略戦争の基本的形態のことなのだ。この対ゲリラ掃討戦(の支援)に自衛隊が加わろうとしているのだ。ところが法案や国会審議では黒を白と言いくるめて押し通そうとしている。@テロは「国または国に準ずる者による組織的、計画的な行為」ではないから「戦闘」ではない、A「非戦闘地域」での米英軍の「治安維持活動」を後方支援しても武力行使につながらない――という論法だ。しかし、自衛隊は軍事的補給作戦をやると言うが、戦争状態でないはずのイラクでなぜ大量に武器弾薬を運ぶ必要があるのだ。ここにも自衛隊が対ゲリラ掃討戦に参戦することがハッキリと示されている。
そして詭弁を弄する一方で、小泉は開き直り的に「殺されることも殺すことも」と言って真正面から、自衛隊がイラク人民を虐殺することを宣言し、自衛官に戦死することを強要しているのだ。また石破防衛庁長官は「武器使用は正当行為」(7月15日)だと強弁している。
かつての中国侵略戦争で点(主要都市)と線(鉄道)しか確保できなかった日本軍が行った軍事行動の大半が、言うならば「安全確保活動」である。日本軍は中国・朝鮮人民の抗日ゲリラを「馬賊」「共匪」などと呼んで軍事的掃討戦を行い、抗日ゲリラに協力しているという理由で村落を襲い、“殺し尽くし・奪い尽くし・焼き尽くす”という「三光作戦」を行ったのである。
大規模派兵阻止
イラクで米英軍が行っていること、そして自衛隊がやろうとしていることは、基本的にはこれと同じだ。
イラク派兵法案に基づく自衛隊派兵は陸海空1000人のかつてない大規模なものであり、特殊部隊の投入も検討されている。侵略戦争のまっただ中の戦場に自衛隊が占領軍の一員として参戦し、しかもきわめて長期にわたって展開されるものである。今回の派兵はこれまでの海外派兵とはまったく違う。日帝が引き返すことのない侵略戦争の道についに突入するのだ。
自衛隊の海外派兵反対運動と二度と侵略戦争を許さない闘いは、大きな正念場を迎えている。全国の職場や地域、学園で訴え、今秋の巨大な派兵阻止の闘いをつくりだそう。
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週刊『前進』(2111号4面2)
派兵阻止のヒロシマ行動
百万人署名が呼びかけ 米女子学生の訴えに感動
7月13日、百万人署名運動広島県連絡会の呼びかけで「自衛隊のイラク派兵をとめよう!7・13ヒロシマ行動」が取り組まれました。降りしきる雨の中、原爆ドーム前には「イラク特措法の強行を許すな」の決意も固く、県内各地から80人が駆けつけました。
連絡会の駕屋晴治さんが「イラクに自衛隊を送ることは絶対に許せない。かつての侵略戦争の犠牲者の遺言が憲法9条だ」と訴え、西部地区連絡会が「教育基本法改悪や扶桑社の教科書採択を許せば、子どもたちを戦場に送ることになる。来年度開設の中高一貫校での『つくる会教科書』採択反対の大運動をつくろう」とアピール。広島大学の学生は「イラク派兵を8・6行動の大成功で粉砕しよう」と呼びかけました。
雨をついて繁華街へ向けてのデモに出発。日曜午後のアーケード街は、若者や家族連れであふれています。旅行中の米国人女子学生がデモに合流する一幕もあり「イラク派兵反対」のシュプレヒコールは大きなな注目を集めました。
デモ後、福屋デパート前で「イラク派兵反対緊急署名」と8・6ヒロシマ大行動参加を訴える街宣行動を行いました。米女子学生もマイクを握り、「私の祖父は軍人として被爆直後の広島に来ました。祖父は、戦争の犠牲を少なくするため原爆投下は必要だったと言っていますが、私はそうは思わない。ネバー・アゲイン・ヒロシマ、ネバー・アゲイン・ナガサキ」と涙ながらに訴えました。7月15日に中東へ出兵する予定の自衛艦「とわだ」の乗組員も真剣に話を聞いていました。2時間で300余の署名が寄せられました。
この日、岡山、松山など中四国地方各地でも一斉の行動が行われ、岡山ではイラク派兵の賛否を問う市民投票を企画。2時間で300人が投票に応じ、9割が派兵反対でした。
(投稿/広島G・K)
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週刊『前進』(2111号4面3)
都副知事に警察官僚 警察主導の都政狙う石原
治安担当専門の副知事新設
東京都知事・ファシスト石原は6月25日、治安担当専門の副知事を新たに設け、広島県警本部長・竹花豊を任命した。竹花は暴力団対策法を推進し、また広島県警時代には、暴走族対策と称して公園で開く集会に中止命令を出せるという全国初の市条例制定を推進した極悪の警察官僚だ。
この竹花を副知事に任命した理由は何か。それは、ファシスト石原が、戦争と大失業の攻撃に対する労働者人民の怒りの爆発、闘いの広がりを恐れているからだ。同時に有事法攻撃と一体で、首都における北朝鮮侵略戦争体制づくりを狙うものである。警察が主導権を握る都政に変えようとする絶対に許せない攻撃だ。
警察への協力強制する条例
この竹花副知事任命と時を同じくして、6月都議会に「安全・安心まちづくり条例」案が提出され、7月9日の都議会本会議で可決・成立した。石原は「治安こそ最大の福祉」「外国人の組織犯罪が治安悪化の大きな要因になっている」と排外主義的扇動を行い、石川警視総監は、「地域コミュニティの力を高めることによって犯罪を防止する」と、この条例案の意義を述べている。
この条例は、警察主導の防犯システムに都民が協力することを「責務」とするもので、例えば住民パトロールなどへの協力を求めるものである。また、住民相互の監視や通報を求め、防犯カメラを地域社会に張り巡らし、監視社会を徹底しようとするものである。また、警察と行政・住民を一体にした「協議会の整備」を規定し、住民参加の治安体制をつくろうというのである。要するに、戦前の内務省のもとでの自警団や隣組を復活させようとするものにほかならない。
石原は、竹花副知事(広島時代に同種の治安条例制定に力を発揮した)のもとに、条例に基づく治安対策を強めると言っている。日帝の経済的破局が深まり、戦争と大失業、首切り・賃下げ、不安定雇用化、大増税・福祉切り捨ての攻撃が労働者人民に襲いかかっている。石原は、こうした過酷な状況に追い込まれた労働者階級が、不満と怒りを爆発させることに恐怖し、首都における内乱鎮圧の攻撃に踏み出しているのだ。有事立法、イラク派兵、北朝鮮侵略戦争策動、大資本攻勢と一体の攻撃である。
共謀罪攻撃を粉砕しよう!
さらに日帝は、北朝鮮侵略戦争に突入するため、入管体制の戦時的強化をてこに、在日朝鮮人―アジア人民、外国人労働者への弾圧、民族抑圧を強めている。そして外国人労働者の存在をあたかも「犯罪の温床」であるかのようなデマゴギーを振りまき、地域住民を自警団的に組織し、首都東京の治安体制を強化しようとしている。
住基ネットを強行し、監視カメラを新宿や錦糸町など、人民が集まる至る所に設置し、労働者人民の動向を監視し、戦争に反対する労働者・学生・人民の闘いへの弾圧体制を強めようとしている。
さらに石原は、治安対策のため、制服警官を街頭に出す代わりに都庁職員を警視庁の事務職員として派遣することも策動している。
治安弾圧体制の強化は、全国で強められている。国労5・27臨大闘争弾圧を始め、闘う労働組合員、学生、部落大衆をデッチあげで逮捕し、全員起訴して牢獄にぶち込むという、まさに戦前の治安維持法時代のような弾圧が強められているのだ。
今国会で日帝が狙っている共謀罪は、実行行為がなくても、言論・思想を理由にして革命党や労働組合、学生自治会、大衆運動団体を弾圧し、活動家を逮捕・投獄するものだ。国際的な「テロ対策」を口実にして、帝国主義がなりふり構わず、労働者人民への弾圧体制を強めている。
戦争体制下の階級的激突がぎりぎりと煮つまっているのである。今こそ、労働者階級人民の猛然たる闘いの爆発で反撃しよう。闘う南北朝鮮人民、在日朝鮮人民と固く連帯し、日帝の北朝鮮侵略戦争を阻止しよう。今国会での自衛隊イラク派兵法の成立を阻止し、共謀罪攻撃を粉砕しよう。
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週刊『前進』(2111号4面4)
狭山要請行動 最高裁などを追及 “高木決定維持は差別”
7月9日、部落解放同盟全国連と解放共闘の20人が東京高裁高木決定(狭山第2次再審請求棄却決定)4カ年糾弾!最高裁・最高検要請行動に立ち上がった。
午前10時から東京・永田町の星陵会館で集会を開いた。全国連中央本部の楠木吉秀事務局長は、4年前を思い起こし、部落差別に満ちたでたらめな高木決定を許さず、国家権力の差別犯罪、石川一雄さんの無実を突きつけて闘おうと呼びかけた。また東大阪市議選の闘い、寝屋川支部へのデッチあげ弾圧との闘いと連帯して闘うことを訴えた。
小森勝重狭山闘争本部事務局長は、東京高裁が13年間なんら事実審理をしなかったことは部落差別以外の何ものでもないと断罪した。また狭山闘争を冤罪事件の救援運動としてしまう解同本部派を許さず、狭山闘争を差別糾弾闘争として闘おうと強調した。
全国連の長野県連、茨城県連、狭山現地の各代表、東日本解放共闘の山川博康事務局長、動労千葉、東京西部労組交流センター、都留文科大生協労組、婦民全国協、法政大解放研が決意を表明した後、最高裁前までデモを行った。
午後、初めに最高裁要請行動に立った。全国連を始め各団体が最高裁への要請文を読み上げ、碓井書記官に手渡し、意見を述べた。
高木は、一度も事実調べをせず、確定判決の認定を覆す決定を出した。“石川さんは脅迫状を書く能力があった。上申書と脅迫状の筆跡の違いは心理状態の違いから生じた。だから石川さんは脅迫状を書いた。犯人だ”と断定したのだ。
全国連と解放共闘は、最高裁がこのような差別決定を事実調べもせずに維持・擁護するならば、それは部落差別だと追及した。
次に最高検への要請行動で、全国連を始め各団体が要請文を読み上げ、粟辻事務官に渡した。特に1審の差別論告を検察は自己批判すべきだと追及、最高検の意見を再度求めた。また検察が隠し持つ全証拠開示を強く要求、証拠開示の基準などをただした。
全国連と解放共闘は、何も答えない最高裁、最高検に怒りを倍加させ、毎月の要請行動を継続して闘うことを確認した。
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週刊『前進』(2111号4面5)
(4)
ネオコンの正体
凶暴な新帝国主義者が結集 背景に米帝の没落への焦り
米帝ブッシュの世界戦争路線を主導する超反動グループを、最近ネオコンと呼ぶようになっている。ネオコンとはネオコンサーバティブ(=新保守主義)の略称で、もともとは民主党などから転向した共和党系の保守主義的な政治家や知識人をこう呼んできた。そうした連中が、軍需独占体の利害代表者であり、共和党の国防政策に長年携わってきた保守主義者らに合流してブッシュ政権の中枢を握った。彼らの総称としては、「新帝国主義者」と呼ぶのが適当である。
むき出しの帝間争闘戦主張
PNACに賛同するブッシュ政権の中心人物
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左上から、チェイニー副大統領、ラムズフェルド国防長官、ウォルフォウィッツ国防副長官、パール国防政策委員会議長(辞任)、ボルトン国務次官、リビー副大統領主席補佐官 |
新帝国主義者の主張は、「米国の巨大な軍事力を行使し、米国の価値観である民主主義と自由を世界に拡大することで、米国の国益が貫かれる世界を築く」というものだ。こうした考え方は、従来の共和党の軍事外交政策にも基本的には貫かれてきた。しかし既存の世界秩序をも破壊し、どんどん戦争を発動していくという点で、その主張は際だっている。彼らはイラクを手始めとして、米帝の意のままにならない「ならず者国家」に先制攻撃を加え「民主化」すると言う。「民主化」とは、イラク侵略戦争の現実が示すように、民族解放闘争の圧殺と親米政権づくりのことだ。
ブルジョア・ジャーナリズムは、「新帝国主義」という概念に、過去の帝国主義とは違い「侵略的な意図によらない帝国主義」という意味を込める。だが実際は、世界大恐慌過程の始まりの中で、市場・石油資源・勢力圏を排他的に獲得しようとする、より凶暴な帝国主義そのものである。
新帝国主義者は1997年3月にシンクタンク「新しいアメリカの世紀のためのプロジェクト(PNAC)」を結成し、活発なロビー活動と政策提言を始めた。設立趣意書には「レーガン時代の強力な軍事力と道徳的外交を堅持し、自由、民主主義などの原則を世界に拡大する」と謳う。賛同人にはブッシュ政権の中心人物が並ぶ。(写真)
PNACは1998年1月に、クリントン大統領に書簡を送り、フセイン政権を打倒するためイラクに対する軍事行動を要求した。2000年9月には「米国防衛の再建−新世紀のための戦略、軍事力、資源」と題した報告書を発表し、「複数の大規模地域戦争を戦い、決定的に勝利する」「地下施設破壊の核兵器開発を」などと、01年QDRや01年NPRの基本的内容を打ち出している。
ブッシュ政権の中枢を握る
PNAC創設者のひとりであるウィリアム・クリストルは語る。
「もしアメリカ自身がこの新時代を自らの手で創造するのでなければ、間違いなく他の国々がそれに手を出し、彼らが構築する秩序はアメリカの国益の伸張に役立ったり、我々が理想とする価値を反映するものではありえないのは確実である」「『世界全体』を米国的諸原則に合致したシステムに変えようという大統領の主張の前では、イラク一国の問題などは大したことではないのだ」(『ネオコンの真実』)
クリストルは、イラクの「大量破壊兵器の脅威」などは、実は「大したこと」ではなく、イラク戦争を突破口に、「世界全体を米国的諸原則に合致したシステムに変え」ることで、他帝国主義による支配力の拡大を阻止するのが狙いだと言っているのだ。
もうひとりの創始者のロバート・ケーガンは、「力と弱さ」という論文を発表し、「ドイツやフランスがアメリカの単独行動主義や先制攻撃を非難するのは、軍事力でアメリカに圧倒的に劣っているからであって、それが弱者としての彼らの国益にかなっているからだ」と述べ、「もはや欧州は米国にとって用なしになった」と断じた。
彼らは戦争で帝国主義間争闘戦に勝利するのだと息巻く。ブルジョア・イデオローグの多くが、その戦争的な迫力に押され、21世紀はアメリカが超大国として世界に君臨する「帝国」の時代だと嘆く。なんと浅薄なことか。しかし新帝国主義はアメリカの生命力の現れではなく、最末期を迎えた帝国主義の絶望的な凶暴性の現れにすぎず、破産と没落は不可避なのだ。
ブッシュ政権の登場は、世界秩序を破壊して、アメリカが支配する新たな世界を築くというファシスト的なグループが、軍需独占体と石油エネルギー産業と結びついて政治権力の中枢を握ったことを示している。それは米帝の没落と危機の中で、1930年代のドイツ・ナチスのような政権がアメリカに登場し、世界戦争の時代が始まったということであり、恐るべき事態だ。だがその背後には、米帝(帝国主義)のとてつもない危機があるのだ。
29年型世界大恐慌の過程が始まり、帝国主義経済は長期不況化とブロック化に突入している。今後EUの勢力圏とユーロ取引の拡大が進めば、ドルは大暴落し、巨額の借金でまかなわれているアメリカ経済は崩壊する。イラクがフランスやロシアとの経済関係を強めて石油代金のユーロ決済を開始し、他の中東諸国が続こうとしている中で、米帝はこうした動きを戦争で粉砕するしかなかった。
さらに01年の9・11ゲリラ戦争がたたきつけられ、中東支配の破産が米帝そのものを脅かし、米帝の世界支配−階級支配を崩壊させかねない危機を突きつけられたことが、米帝支配階級を最後的に決断させた。
第2のベトナム化は不可避
米帝ブッシュの世界戦争戦略に何らの勝算があるわけではない。何よりも被抑圧諸国人民、また帝国主義国内の労働者人民の闘いをあまりにも見くびりすぎているのだ。さらに米帝は大軍拡と軍事革命(RMA)で他帝国主義を圧倒しているが、ベトナム戦争の敗北から一歩も抜け出せていない。米帝はベトナム戦争の敗北によって歴史的没落を決定づけられ、世界支配力を衰退させた。新帝国主義者はベトナム戦争のトラウマに縛られ続ける軍事・外交関係者を批判するが、ベトナム革命を始めとする民族解放・革命戦争の正義性には一言も反論できない。新帝国主義は、労働者階級と被抑圧民族人民の連帯闘争と階級的正義性の前には無力なのだ。
イラク人民は命がけの民族解放・革命戦争に決起し、「第2のベトナム化」を米帝に突きつけている。これに対し、日帝・小泉は1千人規模の陸自派兵を決め、イラク派兵法案を強行成立させようとしている。小泉はイラク人民の反撃戦を「野盗や強盗のたぐい」などと言い放って、かつて中国でやったことを繰り返そうとしている。イラク人民と連帯し、開戦前を質量とも上回るイラク反戦闘争を爆発させ、世界戦争に突き進む帝国主義を打倒しよう。 (早乙女優)
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週刊『前進』(2111号4面6)
7月8日〜15日
江藤「韓国併合は国連承認」 鳥取県が有事マニュアル案
●「沖縄県北部に米軍移転を」 米太平洋軍のブレア前司令官が講演で、在沖米軍について、他地域への移転ではなく人口の集中している沖縄本島南部から北部に移転することによって、沖縄県民の負担を軽減すべきとの考えを示した。(8日)
●北朝鮮有事対応で真珠湾に即応部隊 リングル米ハワイ州知事が、米国防総省が北朝鮮有事への軍事的対応を強化するために、空母、最新鋭戦略輸送機などからなる大規模な「即応部隊」を新たにハワイ真珠湾に配備する計画があることを明らかにした。(8日)
●鳥取県が有事の住民避難マニュアル 有事の際の住民避難について鳥取県がまとめたマニュアル案が明らかになった。自治体がマニュアル案をまとめたのは全国で初めて。避難は市町村が主体となって実施し、県は対策本部を設けて関係機関との調整、避難の指示、避難先の確保などにあたる。自衛隊は支援や情報提供、警察は交通規制や騒乱防止、消防は避難完了までの災害防除などを担当するという。(9日)
●「相手を殺す場合も」 小泉首相が参院連合審査会で、自衛隊のイラク派兵について「自衛隊員でも民間人でも、野盗や強盗のたぐいに襲われたら殺される可能性はあるかもしれない。相手を殺す場合もないとは言えない」と述べた。(9日)
●「捜索で武器使用も」 石破防衛庁長官が自衛隊のイラク派兵について「拉致された人間の捜索はできる。そこで実際に自己を守る必要があれば(イラク派兵)法案17条による武器使用ができる」と述べた。(9日)
●米国防長官「劇的新証拠なかった」 ラムズフェルド米国防長官が上院軍事委で「開戦前にイラクの大量破壊兵器について新たな劇的な証拠は持っていなかった」「われわれは同時多発テロの経験というプリズムを通して、新たな観点からすでにある証拠をみた」などと述べた。(9日)
●空自機が中東へ 国連平和維持活動(PKO)協力法に基づき、航空自衛隊のC130輸送機2機が中東のヨルダンに向け空自小牧基地(愛知県小牧市)を出発した。(10日)
●自衛隊派兵の恒久法検討 政府は、自衛隊の多国籍軍支援を可能にする「恒久法」を制定する方針を決めた。今後、半年程度をかけて大綱をつくり、早ければ来年の通常国会への法案提出を目指すという。(10日)
●劣化ウラン弾の危険認識 劣化ウラン弾が生体に悪影響を及ぼす恐れのあることを、米国防総省傘下の研究機関が動物実験などで確かめていたことが分かった。(11日)
●CIA長官「偽造情報」の責任認める イラクが核兵器をつくるため、アフリカからウランを入手しようとしているという偽造情報をブッシュ大統領が今年1月の一般教書演説の中で取り上げた問題で、米中央情報局(CIA)のテネット長官が自らの責任を認める声明を発表した。(11日)
●「韓国併合は国連が承認」自民・江藤が暴言連発 自民党江藤・亀井派の江藤隆美会長が講演で「新宿の歌舞伎町は第三国人が支配する無法地帯。最近は、中国や韓国やその他の国々の不法滞在者が群れをなして強盗をしている」「南京大虐殺が30万人などというのはデッチあげのうそっぱち」と発言。さらに1910年の韓国併合について、当時は国際連盟の発足前にもかかわらず「両国が調印して国連が無条件で承認したものが、90年たったらどうして植民地支配になるのか」などと語った。(12日)
●イラク統治評議会が発足 米英の暫定占領当局(CPA)によって選ばれたイラクの各政治勢力の代表ら25人による統治評議会が発足した。評議会は諮問機関的性格のもので、決定権限はCPAが維持する。(13日)
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週刊『前進』(2111号5面1)
マルクス主義から離脱した黒田の「暗黒の21世紀」論
イラク人民に敵対するカクマル
ファシスト・カクマルのイラク侵略戦争に対する態度は、今やグラグラである。反革命通信『解放』1774号(6・23付)に、2面分の長大な駄文「ブッシュの戦争―イラク侵略戦争の意味と世界制覇の野望」が掲載されている。これはカクマルの頭目・黒田寛一の「論文」である。しかし、論文と言うのも褒めすぎだ。論理が好き勝手に跳んでいて、カルト集団の教祖の反革命的御託宣のたぐいである。ここには、カクマル・黒田の今日の到達点、腐りきった本性、帝国主義の支配の永遠性への屈服が余すところなく示されている。ここまで行ってしまったのか、と驚嘆してしまう。カクマルよ、これがお前たちの“尊師”黒田の今日の惨状だ。こんなものをあがめ奉っている己の姿を鏡に映してみよ。ますますカルト集団化するカクマルを今こそ一掃せよ。
帝国主義間争闘戦論のない「三極論」と「文明の衝突」論
第1章「『勝利』の儀式」では、米帝は勝利したということがひたすら確認されている。この戦争の階級的意味、すなわち米帝の体制的危機、そこから不可避となった帝国主義世界戦争の開始ということは問題にならず、またこれまでのように「ヤンキー」をひたすら呪うこともできず、米帝の勝利を確認しているのである。イラク人民の民族解放・革命戦争に言及することもできない。黒田は、米帝のハイテク軍事力の威力に打ちのめされ、おびえてしまっているのである。
第2章「暗黒の二十一世紀への転換」において、黒田は、1991年から2003年までの「世界史の動き」のデタラメな整理を行っている。
まず、91年を「現代世界史の結節点的転換」とし、そこから99年までを「過渡期=新東西冷戦構造」とし、99年のコソボ・ユーゴスラビア空爆をもって「本質的転換点」だとする。そして、01年のアフガニスタン空爆を「現実的転換点」、03年のイラク侵略戦争を「現実的転換の第二幕」とするのである。
そして、99年を「本質的転換の即自的形態」、01年をその「向自的局面」、03年をその「即自的且(かつ)向自的な局面」だ、などとドイツ観念論の「哲学用語」を得手勝手に使って読む人を惑わすが、実は中身は空っぽである。
カクマル黒田は、「新東西冷戦構造」なるものを、91〜99年的な過渡期の理論とし、今や歴史的過去の議論としてしまっているのだ。カクマルは、ソ連スターリン主義の破産もそれ以後の現代世界もまったくとらえられず、それまでの「体制間矛盾論」の延長で中ロが同盟して米帝を圧倒する「新東西冷戦」などと言ってきた。これが今や大破産しているのだ。ソ連崩壊からイラク侵略戦争の過程で黒田は完全破産し、「暗黒の二十一世紀」つまり未来展望を完全に失ったと告白するに至ったのだ。笑止千万である。
「現代史の転換」と言いながら、何から何への転換なのかはっきりさせられず、その内的弁証法を百パーセント欠く無内容ぶりをさらしている。
新しい御託宣として「暗黒の二十一世紀世界の三極」と言い出したが、現象論もいいところだ。
つまり「第一の極=米・英・日を枢軸とした連合国」、「第二の極=非戦組=仏・独・露枢軸」、「第三極=相対的に独立しながらも第二極とも同一性を有する中国」というものである。これ以外のアフリカ諸国、イスラム諸国、インドなどアジア諸国やメルコスル(南米南部共同市場)などは三極の“草刈り場”だと言うのである。
この三極論は、帝国主義論とは無縁である。帝国主義間争闘戦による分裂化・ブロック化や帝国主義と新植民地主義体制諸国という観点は百パーセントない。
そして、「二十一世紀世界の趨勢(すうせい)を決定するもの」として次のようなことを言う。
@「現代世界の脱イデオロギー風潮のゆえに、」
A「現代技術文明と世界各国に独自な文化との摩擦および抗争は同時に、」
B「キリスト教とイスラームとのイデオロギー的対立をも伴った『文明化=工業化』をめぐる対立としてあらわれるであろう。」
C「けれども、軍国主義帝国アメリカの世界制覇の野望にたいする階級闘争の進展と、第二および第三極に属する諸国ならびにイスラーム諸国の反抗によって、二十一世紀世界の趨勢は決定されるであろう」
(@〜Cは引用者による)
これは、まず、@「脱イデオロギー風潮のゆえに」ということが前提化=土台とされてしまい、あっさりとマルクス主義が放棄されている。
次に、A「現代技術文明と世界各国に独自な文化との摩擦・抗争」が世界史の動力ということになる。これを現代世界認識の基軸に据えている。
Bそれは「文明化=工業化」をめぐる対立とされている。だが、これでは米帝ブッシュの帝国主義的な支配、搾取、収奪、民族抑圧が「文明化=工業化」の推進として超階級化される。ここでは、キリスト教とイスラーム教のイデオロギー対立は「文明化=工業化」をめぐる対立のイデオロギー的側面とされている。しかし、後には黒田は、宗教戦争論的世界観をよりストレートに出している。きわめてイージーだ。
Cの「けれども」は黒田式の、論理をすり替えるための接続詞で、そのことでその前の文章との関係はあいまいにされる。ここでは「階級闘争」が突然出てくるが、その中身は何もない。帝国主義ブルジョアジーと労働者階級、被抑圧民族人民の関係などはまったくとらえられていない。階級闘争自体が米帝の野望に対する闘争(反米闘争)にしぼられてしまっている。また、それも、独仏露中の帝国主義的大国の敵対も、イスラームの「反抗」なるものも、力学的に一緒くたに並列されてしまっている。
要するに、黒田は「文明の衝突」論をとっているということである。
独仏帝を「20世紀の悲惨な歴史記憶している」と賛美
第3章「国連安保理の分裂」では、とんでもない考え方がうちだされている。
03年2月の国連安保理の分裂について、米英の「ハーケンクロイツ同盟」対ナチズムの再来に反対する独仏露中の反ナチズム的同盟として描いている。
黒田は、この独仏などの態度を米英に対する「断固とした反対の態度」として徹底的に肯定的に美化して描くのである。
そして黒田は、この章の結論として、はっきりと「安保理をめぐる米・英・スペインにたいする独・仏・露の反対は、このような二十世紀の悲惨な歴史の記憶を抱いている者とそうでない者との間の対立としても、われわれはつかみとらなければならないであろう」と言っている。
この独・仏帝国主義への限りない美化は犯罪的なものである。独・仏・露の支配階級は、反戦勢力なのか。とんでもない。彼らは自らの帝国主義的勢力圏と権益の危機に対して全力で米帝と衝突したのであって、戦争に反対しているのではないのだ。
カクマルの帝国主義美化論は、かつての中国スターリン主義・毛沢東の「反米統一戦線」論より悪い。
第4章「世界制覇の野望」では、帝国主義論とはまったく無縁な形で、米のネオコンは「長い歴史」をもっているから、米では対抗する政治的潮流をつくりだすことは「かなり困難」であると言っている。「健全な知性の持ち主」(!)である「東部エスタブリッシュメント」に期待したいが、それもどうなるか分からないと絶望し、こうした理由から4章の結論として、「二十一世紀を暗黒の世紀たらしめるための戦争をアメリカ国家意志にもとづいて遂行することが、米帝の眼目にされるに違いない」と論断されている。
黒田は「世界戦争」を、帝国主義の根拠から位置づけるのではなく、ブッシュの好戦イデオロギー(戦争の好きなブッシュ)なるものによって論じている。世界の他の一切の国々と人びとがそれにまゆをひそめ、反対するものとしてくくられている。黒田の反米愛国主義はここで極点に達している。独仏露中の帝国主義や反動大国を含む全世界の「反米統一戦線」のようなものを黒田は夢想しているのだ。それはもはや反帝国主義ではまったくなく、ウルトラな帝国主義的反米イデオロギーである。
第5章「経済の攪乱(かくらん)」では、帝国主義的戦後経済の大恐慌化とブロック化といったことの分析は完全にゼロである。
ここでは、「SARS禍は謀略の疑い」とか、21世紀は「水の世紀」(20世紀を石油の世紀とするならば、21世紀は水不足が問題になる)とか、無責任に勝手気ままにしゃべっている。マルクス主義的な政治経済分析の百パーセントの放棄であり、地政学やエコロジー風の非階級的な床屋談義のみである。黒田が『実践と場所』で満展開した日本主義や復古主義がここにも顔を出している。
帝国主義論の放棄と欠如の極致だ。
第6章「二十一世紀のハイテク宗教戦争」も、反マルクス主義のオンパレードだ。米帝の軍事力が独仏などに「二十年も先んじている」ということからストレートに次のように言う。
「“爆撃機に乗ったキリスト教”を粉砕する力を、アラブ世界も『古いヨーロッパ』独仏なども、もっていない」
「軍事力において雲泥の格差を示されてしまった以上、アメリカ帝国主義への『属国』となるしか道はない。軍事同盟を結んでいる独立国が同時に『アメリカの属国』とならざるをえない。これが、今回の小泉政権の参戦の意志として現れれている」
日帝の参戦についても、完全に対米従属論に立って小泉を免罪しているのだ。
ここから、「反米」諸国の軍拡について黒田は公然と支持している。
「NATOの内部に仏・独・ベルギー・ルクセンブルクの四ヵ国が合同軍を結成しようとしているということは、先見の明があるといってもよいであろう」
もはや、いうべき言葉をもたない。仏独帝と一緒にアメリカに対決しようと叫んでいるに等しい。
そうして、ついに文明の衝突論を完全に肯定して、次のように言うに至る。
「いわゆる文明間の衝突を提起したハンチントンは、アメリカのイラク侵略に反対の姿勢を取っている。ヤンキーが civili- zationという用語を用いるばあいには、複数形ではなく単数形である。このことは、civilizationとは即アメリカ技術文明=軍事技術文明を指すものにほかならないことを示している。このアメリカ帝国主義の軍事技術文明に抗するために、近代物質文明の発祥地たる古いヨーロッパがどのように対応するのか、まだ模索中であろう」
「こうした文明の観点からするならば、アメリカの軍事技術文明対もろもろの諸国の物質文明=文化との対抗を、アメリカ文明にたいするイスラーム文化の対抗を念頭に置かなければならない」
これも、文明の衝突論への完全な屈服である。
「反米闘争回避」のため帝国主義に「復興」の代案を提示
第7章「危機に立つイラク軍政」では、黒田は米帝のイラク軍政について、あれこれ言っているが、そこにはイラク人民の民族解放・革命戦争とその勝利性ということは百パーセント欠如している。
もっと驚くのは、米帝の軍事上の失敗という理由から、イラクのパレスチナ化ないしアフガニスタン化は必然としていることだ。人民の闘いを憎しみと差別感をもって語っている。
「こうしたアメリカ軍の戦術上の失敗、電撃作戦の成功、迂回(うかい)作戦の失敗、市街戦の放擲(ほうてき)、武器の流出、その他のゆえに、イラクのパレスチナ化ないしはアフガン化は必然的に生みだされるといってよいであろう」
「なお、連合軍は『解放軍』として迎えられなかったことからして、ORHA(イラク復興人道支援室)ガーナーの初仕事が、政治犯だけではなく殺人犯や強盗犯をも監獄から解放し、『解放軍』たるの実を示すことになった。これが“バクダッドの盗賊”の横行する根拠に他ならない」
これは、イラク人民、ムスリム人民の米帝に対する根源的怒りの決起が米帝を追い詰めているということ、民族解放闘争のエネルギーが爆発しているということを否定するものである。黒田は、イラク人民の闘いを「野盗、強盗のたぐい」と言って虐殺を正当化する小泉ら帝国主義者と同じ立場に立っているのだ。
次に引用するイラク復興への提案が、この黒田論文の結語だ。
「イラクはアメリカ軍政下に置かれている。……このstatus quo(現状)を是認したうえでの話であるが、このイラクを復興するのは、アメリカを中心とした友邦=同志連合の軍隊ではなくして、ほかでもなくアラビア語を喋(しゃべ)る各国のムスリムがイラクの破壊された経済・社会の立て直しのために、尽力する方がまだましである。こういうことを言うのは、われわれ的立場に立っていない願望にすぎない。願望であるにもかかわらず、あえてこういうくだらないことを妄想するのは、アメリカ国防総省管轄下のORHAは、たとえブレマーのお飾りを付けたにしても、反米闘争の噴出に火を注ぐことになるのだからである。この反米闘争の火を回避するためには、同じイスラーム教徒が復興に携わるのが一番良いと思うからである。キリスト教とイスラームとの宗教戦争というイラク戦争の背後にあるイデオロギー的な意味をおさえたばあいには、非革マル主義的な予測もまた必要ではないかと思われる」
日ごろ「代案を対置する社・共」を非難してみせるカクマルよ。お前たちの首領の方が度外れた代案を出しているではないか。
黒田は、米英帝の軍事占領を容認し、その立場からイラク復興の仕方を論じているのだ。それは、カクマル黒田の無展望、大破産を告白した文章である。
黒田は、「われわれ的立場」でない=「非革マル主義」だとわざわざ断っている。つまり黒田は、カクマルの立場を離れて大局的に見るという感じで「提言」している。黒田の心はとっくにマルクス主義からも共産主義からも離脱しているのだ。
これが黒田式ヤンキー帝国主義論の行きついたところだ。反米闘争を言っているかのようでありながら、米帝の力に恐れおののき、屈服しているのだ。独仏帝国主義を含む反米統一戦線を夢見る黒田――これこそ黒田=カクマルの腐敗・堕落の反革命的到達点だ。
なお、カクマルはイラク侵略派兵法について「イラク軍政参加法」などと言っている。これは侵略戦争とその継続、軍事占領・再植民地化という基本的階級的視点の百パーセントの放棄、それへの敵対である。
カクマル中央派は、この黒田論文を「最高指示」としてトップ論文や集会発言に貫徹しようと四苦八苦している。「暗黒の二十一世紀への現実的転換」「ハーケンクロイツ同盟」「三極」「爆撃機に乗ったキリスト教」などなど。しかし、笑止にも、「この暗黒の世紀には一条の光もないのか、いやそうではない」(6・15集会)などと、必死に「展望」らしきものを言おうとして言えないという惨状を示している。
この黒田論文を徹底的にやり玉に挙げ、ファシスト・カクマルの命脈を断つところまで追い込もう。
〔工藤俊夫〕
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週刊『前進』(2111号5面2)
戦争反対の力の総結集でヒロシマ大行動へ
「8・6ヒロシマ大行動」のアピールが発せられた。これにこたえて全国から大結集しよう。(編集局)
◇ ◇
反戦・反核・平和を願う全国のみなさん!
「過ちをくり返さない」ために、今、戦争反対の力を総結集すべきときを迎えています。被爆者は「あの日の悲しみと怒りを決して忘れない、余生をまっしぐらに、戦争のない、核兵器廃絶の道をわたしたちの力で拓きます」(7・5ヒバクシャ集会のビラより)と立ち上がっています。「−被爆58周年−再び戦争をくり返すな!8・6ヒロシマ大行動」への参加を心より訴えます。
米ブッシュ政権は戦争を世界に拡大させてきています。イラクで劣化ウラン弾を使用し、戦術核兵器の開発やミサイル防衛構想を進め、朝鮮への核兵器攻撃も公言しています。絶対に看過することはできません。
小泉政権は、占領軍として自衛隊をイラクに派兵しようとしており、排外主義をあおって朝鮮への戦争策動を強めています。有事法の発動を許さず、何としても戦争をとめましょう! 戦争ができる国・人づくりのための教育基本法、憲法の改悪をはばみましょう。
何千人ものアジアの人々を殺し、ヒロシマ・ナガサキ、オキナワの惨劇をもたらした道をくり返してはなりません。世界の人々は今、反戦・反核の大きな行動に立ち上がっています。朝鮮・中国・アジア、世界の民衆と連帯し、今夏「8・6ヒロシマ大行動」を成功させようではありませんか。8月6日、ヒロシマに大集合しましょう。みんなで「戦争絶対反対!」の声をあげましょう!
■共同代表■北西允/広島大学名誉教授 栗原貞子/詩人 佐久川政一/沖縄大学教授 関千枝子/ジャーナリスト 弓削達/東京大学・フェリス女学院大学名誉教授
□ □
《集会内容》
◆被爆者の訴え
石田 明さん(「7・5ヒバクシャの集い」発起人)
大石又七さん(第5福竜丸元乗組員)
詩の朗読−栗原貞子さん(詩人)
◆世界の反戦運動との連帯
韓国・中国からの訴え
アメリカ―ANSWER連合
◆有事法を拒否する労働者
村中哲也さん(航空労組連絡会副議長)
◆沖縄からの訴え
◆ヒロシマの決意
教育基本法改悪とたたかう教育労働者
湯浅一郎さん(ピースリンク広島・呉・岩国世話人)
栗原君子さん(元参議院議員)
ヒロシマから世界へ〜若者のヒロシマアピール
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ヒロシマ大行動要項
被爆58周年 再び戦争をくり返すな!
8・6ヒロシマ大行動
8月6日(水)広島県立体育館・小アリーナ(広島市中区基町4の1)
デモ行進(午後3時出発〜5時平和公園解散)
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週刊『前進』(2111号5面3)
国立大学法人法を弾劾する
7月9日、国立大学法人法が成立した。これは日帝と大資本が延命するために戦後の国立大学のあり方を根本的に改変する攻撃だ。同時に、有事体制強化のために大学自治・学生自治を破壊し、戦後教育のあり方を大転換し改憲へと突き進む攻撃である。怒りを込めて弾劾する。
国立大学法人法はまず第一に、国による国立大学の支配・統制を決定的に強め、大学自治、学生自治を全面的に解体するものだ。
各国立大学法人に文部科学大臣が任命した監事2人が役員として置かれ、大学の運営を監視し、文部科学相に通報する。文部科学省には評価委員会が置かれ、大学の業績評価を通じて支配を強める。また経営責任を各国立大学法人に負わせることで国の財政負担を軽減する一方、天下りの国家官僚が経営協議会を牛耳ることで資金面からも大学をがんじがらめに支配する。
こうして、従来の教授会による大学運営などを解体し、それをテコに学生自治を全面的に解体しようとしているのである。学生自治の解体は、大学の侵略翼賛化のための治安弾圧だ。九州大学学生自治会や東北大学有朋寮にかけられている弾圧はその典型である。
第二に、大学を国家と資本のための純然たる下請け研究機関に改変する。
文科省に設置された評価委員会が大学の業績を評価して研究のあり方を支配する。法律自体にも受託研究や地域社会との連携、研究成果の普及・活用促進がうたわれ、資本のための研究・技術開発が国立大学法人の業務として規定されている。「国際競争力強化」をうたい、資本の生き残りのための大学にするのだ。
また、中曽根康弘元首相が「日本の大学には国際政治学上の戦略を専門に教育研究する大学や学問が皆無」と言ったように(00年9月)、大学を国家戦略を研究する機関、侵略と戦争の先兵に仕立て上げようとしているのである。
こうした国立大学のあり方は、大学がもはや学問研究の場ではなくなるということだ。一部のエリートを国家や資本の研究機関・要員として育成する一方で、直接的に国家や資本に役立たない研究分野や基礎研究は切り捨てられる。同時に、大学が形式上も資本が徹底して搾取するための労働力の製造工場へと変わることを意味している。
第三に、大学を国が支配・管理することで教育基本法改悪への決定的な突破口を開き、改憲に向かって突き進む攻撃だ。
教育基本法は、「教育を受ける権利」「教育の機会均等」を理念として掲げ、政府による教育の「不当な支配」を否定した。国立大学法人法は、この点で大学自治や学生自治を破壊して、大学を一気に国家支配のもとに組み敷き、教育基本法改悪、憲法改悪の突破口にしようとするものだ。
この攻撃を絶対に許してはならない。戦闘的な学生運動の大高揚を切り開き、国立大学法人化にかけた日帝の狙いを粉砕しよう。
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週刊『前進』(2111号5面4)
朱碩著 在日として被爆者として ●ある民族教師の生涯
在日朝鮮人被爆者から日本人民への熱い遺言
西村豊行
生命の証の重み
「万国の労働者は団結せよ! 反戦・反核、民主主義と豊かな生活を求めてたたかう、日本の労働者階級に栄光あれ!」―この熱いメッセージは、祖国朝鮮を離れて異郷の日本で75歳の生涯を閉じられた朱碩(チュソク)さんの生命の証の重みをもち、告発や糾弾を内側に秘めて発せられた、遺言ではないだろうか。
本書は、「第1章 思いはいつも故郷に」「第2章 被爆そして怒り」「第3章 民族教師として生き抜いて」「第4章 終章」「追悼」で構成されている。「終章」と明示された「第4章」は、本文は2n足らずで中断し、「ここで朱碩さんの筆は止まりました」と編集者の註記が挿入され、末期ガンとの闘病生活の胸を衝(つ)かれる告知である。
著者の朱碩さんは本書の完成を待たずに急逝された。2002年5月12日である。民族解放闘争の途上における戦死であり、追悼文集が巻末を飾ることになったのである。
朱碩さんの生涯は、在日朝鮮人一世たちが、祖国朝鮮から身を引きはがされるように離れ、渡日せざるをえなかった理不尽な理由を等しくしているであろう。日本帝国主義の1910年から45年の36年間にわたる植民地支配の暴虐にほかならない。
本書は、蛮行を極めた日本帝国主義の植民地政策を烈(はげ)しく弾劾して、「十一奪」の言葉を当てている。「@主権を奪われA国土を奪われB風俗を奪われC文化を奪われD自由を奪われE魂を奪われF文字をG言葉をH姓名をI命を奪われる」、それに「従軍慰安婦」を加えて「十一奪」だと告発するが、朱碩さんの遺恨の鋭い声を聴く思いである。
弟への愛惜の念
「遠い道をよう来たな」と、一足先に渡日していた父が広島から下関に駆けつけ、母と5人の子どもたちを出迎えたという。1940年12月5日、14歳の朱碩さんには2度目の渡日である。赤貧と逆境の中で7人家族はたくましく生き、朱碩少年は成長した。
原爆投下の8月6日について語るくだりは、兄の弟への愛惜の念の激しさと深さが、読者の心を揺さぶってやまないであろう。「軍国少年」だったことによって、崇徳中学校学徒報国隊の弟を被爆死させた、と自らを仮借なく断罪する。朝鮮への帰国を思いとどまる一因ともなる、弟を捜して市内を練り歩き、核兵器の使用による大量殺戮(さつりく)の想像を絶する空前の惨状が活写されていく。被爆の未曽有(みぞう)の惨禍を体験したこと、「弟を殺してしまった」痛覚と反省が、後に被爆の語りべとなり、10万人証言運動を使命とするのである。
苦学して旧制修道中学校で学んだことで、広島文理科大学のある教授のもとで科学研究員の仕事に続いて、発送部でバイトしていた中国新聞社の編集局連絡員となるが、民族差別によって不当にも解雇されてしまう。そんな失意の時に一大事と出会うのであった。
「『来たれ朝鮮青年! 日帝の植民の鎖から 祖国は光復(解放)を迎えた。新朝鮮建設に若人よ集へ!』の血湧き肉踊る感動的な呼びかけであった」という。朱碩さんが、在日朝鮮人としての民族の主体と尊厳を取り戻す転機となり、民族学校の教師として生きる進路を獲得していく劇的な場面であり、感動とともに衿(えり)を正さずにはおられなかった。
結婚した翌年の1948年9月には、兵庫県相生市の朝鮮小学校の教壇に立ち、約束の期限をこえて勤続することになり、阪神教育闘争を同胞とともに闘うのであった。朝鮮学校閉鎖令から団体等規正令と続く民族学校や在日朝鮮人連盟の解体攻撃への反対闘争を経て、朝鮮戦争に至る激動期の過程の筆鋒(ひっぽう)は、怒りとともに躍動しており、戦後日本の階級闘争史に記した民族解放闘争の金字塔として、感動をかきたてずにはおかない個所である。
第1回原水爆禁止世界大会は1955年8月6日に広島で開催され、朱碩さんは兵庫県教組の一員として参加して、3日目の全体会議で発言を確保し、「私は朝鮮人ヒバクシャである」と宣言した。「唯一の被爆国日本」の中に、朝鮮民族の被爆体験を刻印した歴史的な瞬間であり、1970年からは広島の朝鮮学校へ転任し、ヒロシマにこだわり続けたのは、弟の供養とともに日本の原水禁運動を糺(ただ)すためだったのではないだろうか。
21世紀への警鐘
本書には、在日朝鮮人子弟が恩師への思いをつづり、また追悼文集への同胞や日本人の文章も収録され、朱碩さんの奥深い遺徳や人柄を浮かびあがらせて、くしくも対面させてくれる。さらには新聞やミニコミ紙に投稿した、墓がなくて父の遺骨の安置を頼んで拒否された寺への批判文や、「鋼鉄の詩人・峠三吉」についてふれたエッセイが強く胸を打つ。
冒頭の引用文は、「病院を抜け出して参加した」、2001年の8・6広島大行動へのアピールの結びである。「思うに二十一世紀は二十世紀以上の蛮行が展開されるのでは? と恐怖を感じます」と本文にあり、警鐘を乱打しておられた。朱碩さんのメッセージと託された課題にこたえる道は、有事立法をすえた新たな戦時下の、日本帝国主義がもくろむ北朝鮮への今日ただ今の侵略を阻止することである。その一環の今夏8・6―8・9広島長崎反戦闘争を闘う上で、本書は多くの仲間に読んでいただきたい好著である。(部落解放理論センター所長)
〔朱碩先生「自分史」編集委員会(広島市西区福島町1−24−1)発行、定価1000円。青年アジア研究会と前進社でも取り扱います。〕
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週刊『前進』(2111号6面1)
名護新基地建設阻止しよう 沖縄闘争の最先端の激突点 調査着手で闘いは新段階に
革共同沖縄県委員会
北朝鮮侵略阻止する沖縄闘争の再構築を
03年に入って急激変、急展開している世界情勢、階級情勢の中で、あらためて沖縄闘争が日本革命、アジア・世界革命を左右するような激突点となることは不可避である。有事立法強行と自衛隊イラク派兵の新情勢下で、今あらためて沖縄闘争、安保・沖縄闘争の戦略的重要性を再認識、再確立し、猛然と闘っていかなければならない。
沖縄は極限的矛盾の集中と歴史的な大闘争爆発の前夜にある。そこへ向かって人民的闘いのエネルギーが日々高まっている。日米帝国主義は今日、沖縄を戦争の道具として使い、再び三たび、差別と抑圧を強めながら「いくさばのあわり」(戦場の悲惨さ)の中に引きずりこもうとしている。95年決起以来の人民の「我慢も限界」に近づいてきている。
沖縄の基地の強化、戦場化として物質化される帝国主義の「死の苦悶(くもん)」としての侵略戦争と真っ向から対決し粉砕していく路線と、そのもとに労働者階級人民を組織していく党の存在が問われている。革共同第6回大会で確立した21世紀革命勝利の大路線の物質化は、「待ったなし」である。
沖縄闘争を、自らの解放のための不可欠の課題として位置付け闘う日本プロレタリアートの階級的再生、階級的団結を実現していこう。日米帝国主義の侵略戦争の最大、最重要拠点である沖縄を、侵略戦争反対、国際連帯の「内乱の世界的拠点」にしていかなければならない。新たな段階を迎えた名護新基地建設阻止闘争は、その最基軸であり最前線に位置する闘いだ。
在沖米軍動向が示す北朝鮮情勢の超切迫
有事立法(3法)強行とイラク派兵への突進の中で、「日米帝の侵略戦争を内乱へ」を掲げ、安保・沖縄闘争の大爆発を実現し、その決定的水路として、新たな段階に突入した名護新基地建設阻止闘争を猛然と闘っていかなければならない。
その際に見ておくべきことの第一は、沖縄の米軍動向の中に見て取れる米帝ブッシュの北朝鮮侵略戦争発動の切迫性、その反人民性と凶暴性である。
軍事力をむき出しにして危機突破と分割戦的な世界支配、一元的支配に乗り出す米帝ブッシュ、これと共同・競合しながら、有事立法の成立を跳躍台に、独自の侵略戦争へと突き進む日帝・小泉によって、北朝鮮侵略戦争の危機はますます高まっている。5・23日米首脳会談は、こうした侵略戦争への踏み切りと具体的な行動を取り決めたという点できわめて重大なものであった。中国を入れて行われた4月23〜24日の米朝の接触は、外交的交渉のレールを敷いたのではなく、米帝の金正日体制転覆の意志を突きつけた。
米帝は、イラク侵略戦争を継続・拡大すると同時に、沖縄を一大拠点に北朝鮮侵略戦争、究極的には中国スターリン主義の戦争的転覆を含む米帝ブッシュの世界戦争戦略の発動へと踏み出している。イラク侵略戦争は「泥沼化」「ベトナム戦争化」している。それは米帝がむしろアジアに戦争を拡大する方向に働く。
今年5月30日の沖縄地元紙は「在沖海兵隊1万5千人オーストラリア移駐」と大々的に報道した。それは29日付ロサンゼルス・タイムズが複数の米高官の話として、米国防総省が沖縄に駐留する約2万人の海兵隊のうち約1万5千人をオーストラリアに移駐させるなど、アジアに展開する米軍の再配置計画の策定を進めている、というものである。当然にもこの計画が本当ならば普天間基地の名護市・辺野古への移設・新基地建設は必要なくなるのではないか、という論議をも呼び起こすなど、一つの「騒ぎ」となった。また、沖縄県がこの報道の真偽を米国防総省に問い合わせたことに、日本政府が「不快感」をあらわすという事態が生起した。
今日、公式には米政府としてはこれを否定しているが、米帝内部において全面的な検討がなされて、すでに「大計画」が進行していることは間違いない。問題は米帝が、何のために何をどう検討しているかである。米帝は北朝鮮侵略戦争を本格的に構え、しかもそれが不可避に中国との軍事衝突にまで行き着くことを前提として、そういう全面戦争に勝つ体制をどうつくるかを策定しようとしているのである。
米帝は、北緯38度線の近くに展開している在韓米軍を南に下げようとしている。この動きは在韓米軍が北朝鮮の第一撃を受けることを避け、北朝鮮の保有する武器の射程外にいったん米軍を全部移そうということである。これに対し、韓国の盧武鉉(ノムヒョン)政権が、北朝鮮の攻撃を誘うことになるとして、反対を唱えている。だが米帝の真意は、米軍を「北朝鮮の人質」にならない位置に下げることによって、いつでも攻撃に踏み切ることができるというところにある。すなわち米帝は北朝鮮侵略戦争の敷居を限りなく低めようとしているのだ。
在沖縄海兵隊のオーストラリア移駐案も、こうした動きの中で大規模な縦深性と機動性を確立しようというものである。特に北朝鮮侵略戦争の連続、あるいは台湾問題を口実とする中国との戦争的激突を想定した場合、沖縄は完全に中国軍のミサイルの射程内にあって戦場そのものとなることは不可避であり、その外側、フィリピン、インドネシアからオーストラリアにまでいたる長大な縦深性を確保しようとしているのである。重要なことは、これによって、沖縄の海兵隊基地としての重要性と役割が少しでも減るのかというと、まったくそうではないことだ。逆に、このことによって、沖縄を中心拠点にする海兵隊の全アジア的展開の構造がつくられ、人員、施設の中心はこれまで以上に沖縄に置かれるようになる。要するに、このインチキな「海兵隊削減」によって、沖縄基地はこれから半永久化されることになるのだ。海兵隊施設はすべてそのまま残されるし、名護基地建設も強行されるのだ。日本政府が今のところこの報道を否定して見せているのは、この計画が実は米軍の沖縄への半永久的居座りの露骨な計画が見え見えだからなのだ。
日帝と稲嶺県政への沖縄の怒り必ず爆発
第二に、日帝の安保・沖縄政策が根底から破綻(はたん)し、階級的全人民的激突情勢が急激に醸成されていることである。日帝は「崩壊したSACO路線」にしがみつくしかなく、それは必然的に米軍基地、安保・沖縄をめぐって人民対帝国主義の決戦的激突に行き着く。既成左翼の崩壊によって現在これが形になって爆発することがかろうじて封じられているが、これも含めて空中に吹き飛ばされるような爆発に至ることは時間の問題である。
有事法制をめぐる人民の怒りの噴出と階級的激突はこれからである。特に今後に持ち越された国民保護法制と米軍支援法の策定は、安保・沖縄政策を根底から覆すようなものまで含み、日米争闘戦に転化する。
有事法制の重大な構成要素である米軍支援法は、日米関係、沖縄人民対日米帝国主義、人民対帝国主義の対立と矛盾を非和解的に激化させていく。米軍支援法は、日米地位協定の改定問題ともからんで日米間に緊張関係を生じさせる。この問題を結論的にいえば日米両帝国主義とも、一切の矛盾を沖縄人民にかぶせて「解決」を図ろうとするし、それ以外ないということである。
SACO路線のペテン性が暴かれ、沖縄は何も変わらない、何も好転しない。加えて有事法制をもって米軍への支援協力が義務付けられることが、沖縄人民に受け入れられるはずがないのである。
有事法制とリンクしながら日米地位協定の改定問題が大きな矛盾の集中点として急浮上してきている。
日米地位協定とは、日米安保条約に基づき在日米軍に対する土地の提供を始めその行動を保障する協定であるが、本質的には米軍の「特権保障協定」であり、日本国憲法の上に置かれている。安保条約にせよ日米地位協定にせよ、実質的には在日米軍基地の75%が集中する沖縄県民がその犠牲を差別的、集中的に被っている。しかも沖縄の場合は、この日米地位協定は72年返還に伴う「5・15メモ」によって特例を設けられているのだ。この全体はいまだに明らかにされてもいないのである。
1995年9・4少女暴行事件に対する爆発的な人民決起は、「日米地位協定の改定」「基地の整理・縮小」を最大公約数的スローガンに掲げていた。多岐にわたる日米地位協定(および「5・15メモ」)に対し今日的に最も県民の怒りを買っているのは、度重なる米兵犯罪と「犯人である米兵」、そしてこれに対し日本の警察・検察、司法権が及ばない、ないしは大幅に制限されていることである。だが問題はこれだけではないのだ。
9・4事件を始めその後起こった幾多の米兵による事件に対し、日本政府は「運用改善で対処」とくり返すのみで、まったく米国側に日米地位協定の改定を求めようとはしない。日帝・小泉政権は、これを「起訴前の犯人引き渡し」の一点にしぼった運用改善で決着を着けようとした。しかし米帝・米軍にとっては絶対に認められないのである。米政府が全世界で米軍兵士の権利を無条件に守っている形をとりたいのである。このため、米帝は日本の刑事手続きでは被告の権利が守れないという理由で、日帝の要請を拒否している(7月中に決着という期限が切れる)。
稲嶺県政は今、これに対して「地位協定の改定」を声高に叫んでいる。SACO路線の破綻があらわとなるにつれ、沖縄人民の怒りが日帝の手先である自らに向かい打倒される恐怖にさいなまれ、それを回避するためのあがきを行っているのだ。稲嶺としても必死である。
稲嶺は連合沖縄と組んで95年以来の超党派の日米地位協定改定要求10万人県民大会の開催をいったんは方針化した。しかし当然にもこの「改定要求」は日帝の国策と相入れない。したがって稲嶺は身動きがとれなくなっている。
しかし、いずれにせよ基本的なすう勢としては、稲嶺県政や連合、また日本政府のどんな思惑をも超えて、沖縄人民と日帝との階級的な激突情勢が深まらざるを得ないし、現にそれは激しく進行している。
調査と称して辺野古の環境破壊する工事
第三に、名護新基地建設を阻止する闘いが沖縄闘争の最先端的激突点であり、その現地攻防において政府・防衛施設局は「事実上の工事着工」である現地調査に着手し、闘いは完全に新たな段階に突入したということである。
名護・辺野古への新基地建設攻撃は、様々な矛盾と破綻点を抱えながらも、ある意味ではそうであるからこそ、ガムシャラな工事着工へと凶暴さを増している。那覇防衛施設局は4月7日、名護市議会に対する「現地技術調査についての説明会」を開き、ここで初めて調査の具体的内容を明らかにし、翌日には「調査」を開始した。まったくの不意打ちである。以後連日、辺野古漁港から高額でチャーターした現地漁民の船に防衛施設局が委託した民間業者を乗せ、建設予定海域の「調査」を続けた。
(左図 出典=「普天間飛行場代替施設の建設に係わる現地技術調査」那覇防衛施設局)
2003年1月で基地建設代替施設協議会を終了すると同時に建設協議会を設置、建設位置と工法を「決定」し、防衛施設局は当面「環境影響評価」「護岸構造の検討」「現地技術調査」を行うとしている。大きくは今年から始まる環境影響調査法に基づくいわゆる環境アセスメントがだいたい3年かけて行われ、本格的な建設工事着工となる。
しかし、名護市議会に提出された現地技術調査書をみれば、その調査なるもの自身がとてつもない大工事で、これ自身重大な環境破壊となるであろうことは一目瞭然(りょうぜん)だ。例えば調査項目の一つである地質調査の方法、建設予定地を中心とした外側海域12`×3`という広大な区域に、10bから25b(以上)の鋼鉄製のヤグラを63カ所も設置してボーリングを行うというものである。しかも「これは護岸構造の検討に付す調査であり『環境アセス』ではないから、同法の手続きに縛られない」などと言いつつ、一方では「その調査結果の一部は『環境アセス』にも使用する」とも言っている。調査と称して辺野古の海、環境に重大で壊滅的な破壊をもたらす工事に、いよいよ手をつけてきたのである。
日帝はただ強硬に事態を進め敗北主義とあきらめを誘い、なし崩しにことを運ぼうという魂胆である。既成左翼の屈服と地元自治体の金による買収に依拠し、これまではなんとか日帝の方が押し切ってきた。だがこれからはそうはいかなくなる。名護新基地建設の根本問題が全面化し、避けて通れない幾つかの問題で、必ず矛盾が爆発せざるをえない。
一つは、「15年期限問題」である。「15年期限問題」とは、大田革新県政を打倒するために日帝に担ぎだされた稲嶺現知事が、名護新基地建設容認の条件として公約に掲げたものだ。米帝がこれを認めることなど絶対にありえず、稲嶺としてはホゴにするしかないのだが、その時は「命とり」となる。この問題があいまいにできないところまできている。
二つめには、環境アセスの今後3年間で、建設される新基地の現実の姿、実態が目にみえる形で人民の前に明らかとなってくるのであり、その巨大さ、反人民性に対する人民の怒りが高まっていく。環境アセスをめぐる今後3年間の攻防は決定的に重要である。環境アセスを義務付けた法律「環境影響評価法」は、「影響調査の結果によってその建設自体を禁止することができる」という性格のものではない。しかし名護新基地が、環境と地元住民の生活に取り返しのつかない甚大で致命的な破壊をもたらすことは最初から明らかである。したがって日帝・防衛施設局は、アセスの内容・やり方を徹底的に隠し、とことんズサン・デタラメに、場合によっては違法に行わざるを得ないのである。
環境アセスが「終了」するであろう06年には名護市長選挙、沖縄県知事選挙が行われる。環境アセスが進行する3年間は、決戦の3年間である。06年に至るこの3年間決戦で、沖縄基地と日米軍事同盟の根幹にかかわる歴史的な大激突が確実に準備される。それは、日帝と日本労働者階級人民の歴史的大決戦を左右する戦略的意義を持つ闘いとなるのである。
名護新基地建設阻止へ、戦列を整え、理論武装・再武装し、全国の労働者人民は立ち上がろう。
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週刊『前進』(2111号6面2)
水嶋裁判 アリバイを立証 福井、徳島での生活鮮明に
7月8日、東京地裁刑事第1部(川口宰護裁判長)において、無実の水嶋秀樹同志に対する88年9・21千葉県収用委会長せん滅戦闘デッチあげ裁判の第17回公判が行われた。弁護側立証第3回目の今回はアリバイ立証である。
冒頭、水嶋同志は意見陳述を行い、「私は無実です。私は(正井がAと会って行動していたとされる)1987年7月から89年8月の間、関東圏には一歩も足を踏み入れたことはありません。明確なアリバイがあり、証人がいます」と怒りを込めて宣言した。
転向裏切り分子・正井利明は権力の誘導と強制のもと、水嶋同志が26歳の時の写真を指して「これがA(9・21戦闘の統括責任者)です」と特定したとされ、権力はこれを唯一の「根拠」に、無実の水嶋同志へのデッチあげ弾圧を強行した。その正井は、「87年7月か8月ごろ、茨城県結城市で、Aと最初に会い、その後も9・21戦闘に至るまで何度もAと会った」と証言している。
仮にそうだとしても、水嶋同志は絶対にAではない証拠がつき出されたのである。当時、水嶋同志は、74年1・24横浜国大カクマルせん滅戦闘で不当な全国指名手配攻撃を受けていた。この期間、87年5月から88年8月初めにかけてS同志と福井市内で生活し、88年8月の阿波踊り前から同年12月初めにかけてF同志と徳島市内のマンションで共同生活をしていた。このことが、当時を知る人でないと分からない事実をもって、2人の同志から鮮明に明らかにされたのだ。
初めにS同志が、水嶋同志との共同生活を詳しく証言した。マンション暮らしの中で、運動をかねて一週間に一度ほどともに外出したこと、時には越前海岸や一乗谷まで遠出したこと、歯の悪い水嶋同志のために柔らかい物、魚料理、中華物を覚えて作ったことなどを証言した。そして水嶋同志の声を聞いて、「昔と変わらない」とはっきり証言した。
次に88年9・21戦闘当時のアリバイをF同志が証言した。水嶋同志との共同生活では、朝7時半までには起床し、夜は23時半までには就寝するという規則正しい生活を送っていたこと、食料品等生活必需品の買い物はF同志が全部やっていたこと、水嶋同志の散髪も、散髪セットを買ってきてF同志が室内でやったことなどを証言した。
またF同志は、この徳島のマンションにいる間、出入りの厳しさから水嶋同志が一度も外出しなかったことを明らかにし、マンション自体が若い単身者が多く、中年の出入りが不審がられる危険性を避けるための努力が語られた。
また2同志は口ぐちに、法廷の水嶋同志を見て、87〜88年当時とほとんど変わっていないこと、当時の手配写真(水嶋同志の26歳の時のもの)が、まったく本人と似ていないので安心できたことを証言した。これは正井の「写真特定」の破産性を示し、かつ水嶋同志手配のデッチあげを暴くものとなった。同時に、検察官の「容貌の変化」の主張を根底から粉砕したのだ。
2同志は「協力者」の防衛を貫きつつ、きっぱりと真実を証言した。水嶋同志は88年9・21戦闘とは一切関係のないことが完璧(かんぺき)に立証された。
川口裁判長は無実の水嶋同志を一刻も早く釈放せよ。接見禁止を全面的に解除せよ。7月30日(水)の次回公判に結集しよう。
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週刊『前進』(2111号6面3)
許せぬ“再発予測で収容” 医療観察法で学習会
関西で行われた保安処分の学習会に参加しました。保安処分新法である医療観察法案では収容対象者は全体で900人と見込んでいますが、900人を「将来のおそれ」で隔離収容することで一つの犯罪が防げればいいというのが保安処分です。残りの899人が何の危険性がなくても収容されてもかまわないということを意味します。「精神病者」による重大犯罪はそんなに多くあるわけではありません。犯罪率は一般より低く、事件も家族に対するものがほとんどです。
ところで新法は、不可能とされている「再犯予測」にもとづいて「精神病者」を隔離・収容するものだと思っていましたが、国会での修正案作りを通してもっとひどい内容が明らかにされてきました。「再犯予測」ではなく「症状の再発の予測」によって収容されるというのです。これでは「精神病者」は病気が完全に治るまで一生閉じ込められてしまうことになります。「再犯予測」は不可能であると精神神経学会などが抗議するのをすり抜けようとして言い出したのだと思いますが、しかし収容の範囲が極めて広く、病気が完全に治って「病者」ではなくなったら社会に出してやるというものに聞こえます。「精神病者」の望む社会復帰ともまったく違うものです。
イギリスでの実態も報告されました。イギリスでは高度保安病院が3カ所1500床、地域保安病棟が数十カ所・約2200床です。約5年間で倍以上に増えています。入院形態は二つあり、民事セクション(日本の医療保護にあたる)と刑事セクションがあります。犯罪を犯していたら刑事セクションということで保安処分施設に収容されます。しかし、そればかりではなく医療保護入院でも保安処分施設に収容されます。日本でいうところの「処遇困難者」が保安処分施設の収容対象となっています。また、保安処分施設に収容されているうちの4分の1は「精神病」と「人格障害」を併せ持つ者であり、4分の1が「人格障害」のみの者です。
「人格障害」というのはかつてナチスドイツが広め今では否定されている「精神病質」を言い換えたものです。「性格の偏りによって自分や社会が悩むもの」と定義されます。社会でやっかい者とされるような人が対象となります。犯罪を犯しやすい人は「反社会的人格障害」と規定されます。「人格障害」の人が犯罪を犯しやすいということではなく、犯罪を犯しやすい人を「人格障害」と規定しているわけです。
医療観察法は戦時の治安立法=戦時「精神病者」対策であり、「反社会的人格障害」の名のもとに社会運動家・革命家を保安施設に収容することも可能な法律です。精神医療の抜本的改革というのは、病気の原因を作る社会の変革と同時に行われなければなりません。それを抜きにした「改革」を重ねることは収容主義を強めるだけです。
30カ所を予定している保安病棟の建設を阻止する闘い、新法の廃止を求める闘いが必要です。今からでも遅くはありません。多くの「精神病者」、労働者・市民、精神科医・医療従事者を結集して反撃しましょう。(投稿/関西 G・T)
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週刊『前進』(2111号6面4)
公判日程
☆迎賓館・横田裁判
福嶋同志裁判
7月222日(火)午後1時15分
☆水嶋同志裁判
7月30日(水)午後1時30分
☆6・12私文書弾圧裁判 判決公判
7月24日(木)午後1時15分
※いずれも東京地裁
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