ZENSHIN 2003/07/14(No2109 p08)

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第2109号の目次

イラク派兵法案衆院通過弾劾!

衆議院第2議員会館前で怒りのシュプレヒコール(7月4日午後2時すぎ)

 

1面の画像
(1面)
革共同の7月アピール
7・18自衛隊派兵法案粉砕へ
国労弾圧粉砕と百万人民決起で侵略戦争への総翼賛化うち破れ
C130機出兵阻止 7・10小牧闘争へ
記事を読む  
国会前 怒りの阻止行動  “侵略戦争参戦許さぬ”(7月4日) 記事を読む  
スケジュール 記事を読む  
東西革共同政治集会 スケジュール 記事を読む  
(2面)
国労弾圧9回公判 前言翻す刑事の証言
“罪名は後から書いた”  ビデオ領置の手続きは違法(7月2日)
記事を読む  
長期勾留は人権侵害 被告が日弁連に申し立て(7月2日) 記事を読む  
早期保釈を訴え新橋駅前で署名活動(7月2日) 記事を読む  
勝利の夜明けを確信 許さない会・広島を結成(6月28日) 記事を読む  
国労5・27臨大闘争弾圧公判日程 記事を読む  
国粋主義右翼による広教組銃撃を弾劾する 緊急声明 革共同教育労働者委員会 記事を読む  
全金本山が徹底追及 “争議解決を図れ”  みずほ銀行株主総会(6月25日) 記事を読む  
資本攻勢&労働日誌 2003 6月12日〜27日
労基法に「解雇権」明記の大改悪 連合が拉致問題で集会/韓国民主労総6万人スト
記事を読む  
(3面)
消費税率2ケタ化許すな 政府税調答申を弾劾する
年金に課税、所得税控除も縮小 人民は大増税で企業は減税
記事を読む  
夏期カンパの集中を訴えます
戦争と資本攻勢をうち破る階級の力を結集しよう! 革命的共産主義者同盟
記事を読む  
動労千葉が「戦争協力拒否」(6月28日) 記事を読む  
自治労運動の階級的再生へ(1)■横浜大会に向けて訴える■
賃下げ容認の自治労中央  「人勧完全実施」路線は破綻
労働者の団結力で賃上げを 人勧と公務員賃闘(自治体労働者望月一夫)
記事を読む  
(4面)
イラク派兵法案阻止せよ 占領軍に加わり武力行使  連日の国会行動と7・18闘争へ 記事を読む  
米帝ブッシュの世界戦争計画暴く(2) 戦争発動で世界の再編狙う
対日想定し対中国戦争計画  01年9月QDR(早乙女優)
記事を読む  
日誌'03 6月24日〜7月1日
米帝が臨検で国際連携構想 来年通常国会に国民保護法
記事を読む  
(5面)
被爆58周年 8月ヒロシマ−ナガサキ反戦闘争へ
北朝鮮侵略戦争と対決し反戦反核大行動に立とう
帝国主義の核戦争阻む闘いを 深沢明夫
記事を読む  
8・6−8・9反戦反核闘争日程 記事を読む  
対角線 民主党現地報告のウソ(N) 記事を読む  
コミューン 8月号 ていねいなQ&A 記事を読む  
(6面)
蘆溝橋事件から66年 7・7自己批判から33年
闘うムスリム・アジア人民と連帯し帝国主義打倒へ労働運動の前進を  五十嵐茂生
記事を読む  
名護・辺野古 カヌーで海上デモ  ボーリング調査阻止訴え(6月28日) 記事を読む  
富山大自治会 スヤンサン号 入港拒否撤回を  富山県庁に抗議(富山大U)(6月24日) 記事を読む  
(7面)
労働者の階級的闘い否定し「資本主義の枠内」を絶対化
日本共産党新綱領案の大転向  高田隆志
記事を読む  
解同全国連 “3大闘争路線貫く”  茨城県連12回大会が成功(6月29日) 記事を読む  
5・15沖縄闘争に参加して  ひめゆり学徒の体験に衝撃(関東学生S・W) 記事を読む  
(8面)
7・16王城寺原現地闘争へ 北朝鮮侵略戦争訓練許すな 記事を読む  
沖縄万人(ウマンチュ)の会 暁子さん囲み星野奪還誓う  “戦争突き破る闘い沖縄から”(6月22日) 記事を読む  
6・9新潟闘争に参加して 排外主義との闘いに確信 富山大 七瀬 記事を読む  
読者からの手紙 お祭りに軍艦がやってきた 広島 河辺十三(77) 記事を読む  
公判日程 記事を読む  
スケジュール つぶせ! 共謀罪 とめよう戦争への道 7・17集会 記事を読む  

週刊『前進』(2109号1面1)

革共同の7月アピール
7・18自衛隊派兵法案粉砕へ 国労弾圧粉砕と百万人民決起で侵略戦争への総翼賛化うち破れ
 C130機出兵阻止 7・10小牧闘争へ

 第1章 03年前半の闘い総括し後半戦に打って出よう

 世界の政治情勢、階級情勢は03年に入り激変した。米帝はアフガニスタンに続くイラク侵略戦争を強行し、むきだしの軍事力による世界再編に乗り出している。その一方で全世界の被抑圧民族と労働者階級は新たな闘いを開始し、21世紀の世界革命へ力強い胎動を始めている。
 日帝はイラク侵略戦争にイージス艦などを派遣、同時に北朝鮮侵略戦争の危機を促進することをテコに、ついに6月6日、有事3法を成立させた。そして7月4日には、野党の総屈服のもとでイラク自衛隊派兵法案の衆院通過を強行した。
 階級情勢も激変している。民主党の賛成で国会議員の9割が有事立法賛成=戦争支持を表明。連合の戦争協力姿勢はあらわとなり、社民党、日本共産党も労基法改悪で「解雇権」明記の修正案に賛成し、反労働者的立場に転落した。
 日帝は、激しい賃下げ、首切り、終身雇用制解体などの階級戦争と東アジアの勢力圏形成、アジア侵略戦争に活路を見いだそうとしている。03春闘で連合はベアゼロを全面的に受け入れ、資本と合体して賃下げを労働者に強要した。電機を中心に民間企業では定昇の見直しが進行した。中小企業労働者はとりわけ激しい不安定雇用と生活破壊を強いられ、パート労働者の生活は極限状況に置かれている。日本経団連の消費税大増税の叫びに加えて、健保3割負担と年金削減攻撃は労働政策の戦後的な常識を覆している。
 だがこうした戦時体制づくりへの大反動と既成左翼勢力の転落にもかかわらず、労働者階級はこれと鋭く対決する道を進み出している。その確かな現れが、陸・海・空・港湾労組20団体の陣形や百万人署名運動の前進、動労千葉の3月ストライキと3・29春闘行動、3労組共闘の闘い、そしてイラク反戦を真っ向から掲げて闘った統一地方選挙闘争だった。
 これら03年前半期の闘いを総括し、7月からの後半戦にうって出よう。

 綱領的認識の正しさ

 03年前半期の総括の第一点は、革共同の綱領的認識の正しさを実証する世界情勢の展開ということである。総じて、米帝を始めとする帝国主義の世界支配の全面的な崩壊過程がついに始まった。戦後形成された米帝的統一性は完全に崩壊し、分裂化とブロック化を深め、世界は再び戦争と大恐慌に突入しつつある。
 アフガニスタンやイラクへの侵略戦争で米帝が直面している事態は、世界支配と国内階級支配の死活にかかわる中東の新植民地体制全体、そして中東石油支配総体の瓦解(がかい)である。軍事的手段による殺戮(さつりく)の上に世界の一極支配をめざす米帝ブッシュの政策は、そもそも実現不可能なのだ。イラク占領統治の破綻(はたん)はこの問題を早くも露呈させている。
 米帝が巨大な軍事力でフセイン・バース党権力を崩壊させた瞬間から、イラク人民は米軍支配に対する激しい民族解放闘争を開始している。暫定統治構想は消し飛び、すでにイラク・アラブ世界の“第2のベトナム化”は始まっている。
 アメリカが、中東を中心に新たな侵略戦争を開始した背景には、軍事基地国家=イスラエル建国以来の暴力的な中東支配の全面的な危機と破綻がある。米中東政策を根本から揺るがしたイラン革命(79年)後に創設した米中央軍の常時駐留は、イラン・イラク戦争(80〜88年。米がフセインを支援)、91年湾岸戦争、サウジへの駐留軍の固定化と進んだが、その帰結が01年9・11反米ゲリラ戦争の爆発だった。パレスチナ人民の民族解放闘争は、米帝に支援されたイスラエルの途方もない殺戮と占領政策にもかかわらず、その支配の土台を大きく揺るがしている。OPEC諸国の反動政権(サウジ王政など)の屈服にもかかわらず、米帝は世界の石油埋蔵量の3分の2を占める中東石油のコントロールができない事態に追い込まれている。
 さらにアメリカ経済の極度の停滞と29年型世界大恐慌過程への突入という問題が、アメリカの戦争政策を大きく規定している。経済不況と大規模な軍拡で、5千億jの経常赤字と財政収支がさらに急速に悪化し(双子の赤字)、歴史的なドル暴落の危機に直面している。
 世界恐慌と基軸帝国主義の本質的脆弱(ぜいじゃく)性が、帝国主義世界経済の分裂化・ブロック化を激しく進行させている。イラク戦争を契機に、独仏を中心とするEUと米帝との間で帝国主義間対立が一挙に激化し、それが米帝経済に一層の打撃を強制している。
 「唯一の超大国」といわれる米帝の巨大な軍事力は、実は世界支配の危機の表現である。アメリカの世界支配は、実は土台から崩壊を始めている。それゆえの01年QDR(4年ごとの戦力見直し)であり、02年ブッシュ・ドクトリン=世界戦争計画の発動なのだ。
 米帝の世界戦争計画は必ず破綻する。イラクでの「戦闘終結」発表(5・1)後の戦闘で米英兵の死者が連日増え続けている。米帝はアフガニスタン侵略戦争―イラク侵略戦争をとおして、世界の被抑圧諸国人民・ムスリム人民全体を敵に回した。米帝はシリア、イラン、中東全域、さらには北朝鮮、究極的には中国スターリン主義との戦争まで準備している。しかし米軍の敗退は歴史的に不可避なのである。
 03年前半期の総括の第二点は、全世界の労働者人民が共同で大規模な反戦闘争に立ち上がったことである。昨年秋から今年2〜3月にかけて、イラク戦争切迫の中、世界の労働者人民がくり返し、同時的に1千万人規模の街頭反戦デモを成功させたことは、労働者階級自己解放闘争の歴史的な可能性を証明した。世界戦争の時代におけるプロレタリア世界革命の展望を指し示す闘いとして、その意義は計り知れないものがあった。問題は革命的な指導部、前衛党である。
 また「9・11」で衝撃的に突き出されたムスリム人民、被抑圧諸国人民の民族解放闘争との国際主義的連帯が、帝国主義国の労働者階級の闘いにとって死活的であることも突き出された。帝国主義の世界支配の最も過酷な地域で闘いぬく人びととの連帯という視点を明確にして闘う陣形のみが、イラク戦争後の労働者階級の団結や反戦運動を牽引(けんいん)できる勢力となっている。切迫する北朝鮮侵略戦争との闘いは、日本の労働者人民にとって国際主義的連帯の歴史的な試金石である。
 03年前半期の総括の第三点は、米日帝国主義による北朝鮮侵略戦争がついに現実化する中で、日本の政治動向と階級闘争がこれを中心に激しく動き出し、一気に有事3法の成立に行き着いたことだ。

 対北朝鮮の侵略戦争

 5・23日米首脳会談は、北朝鮮の核開発計画とともに、拉致問題を正式に取り上げ、金正日体制の軍事的転覆に米日帝が共同で(共同的・競合的に)踏み出すことに合意した。事態はすでに抜き差しならない段階に移行している。
 第一に経済制裁の実質的発動という形で、すでに対北朝鮮戦争開戦の第一段階の引き金が引かれたことだ。ブッシュ政権はKEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)による軽水炉建設の中止を事実上決定。日帝は、拉致問題を利用した排外主義の扇動をテコに、年間千数百隻にのぼる北朝鮮船舶(往来と貿易)の日本寄港を閉め出す政策に踏み切った。
 第二に、有事体制の実体をなす総動員態勢づくりが激しく進行している。主要な空港と港湾、鉄道、道路その他の関連施設、さらには医療、各種製造業や被服、糧食関連の企業とそこで働く労働者人民が、在日米軍基地や自衛隊の基地と連携して数十万の米軍への兵站(へいたん)・補給を支えない限り、侵略戦争は遂行できない。すでに自衛隊員の各自治体への出向が大々的に開始され、自治体の有事動員体制が準備されている。
 第三に、開戦に向けた革命党と労働者人民への治安弾圧攻撃だ。
 有事体制、侵略体制の根幹は労働者人民の戦争動員・協力にある。そのためには動労千葉を始めとする戦闘的、階級的労働組合、三里塚反対同盟を始めとする戦闘的な闘争拠点、そして革命党の解体が絶対的課題となる。日帝・治安当局はすでにこの攻撃を、国労5・27臨大闘争弾圧を最先端に、九大弾圧、解同全国連寝屋川支部弾圧、東北大寮闘争での全金本山労組への弾圧などとして全面的に開始している。広教組への国粋主義右翼による銃撃は重大事態である。
 そして戦時型治安弾圧立法の最大の攻撃は共謀罪の新設だ。それは重罪犯罪(4年以上の刑)の「共謀」に団体がかかわっていれば、実行行為がなくても犯罪となり、その構成員全員を逮捕できるという法律だ。破防法をも超える予防反革命法である。有事3法、個人情報保護法と一体の攻撃であり、革命党圧殺と労働運動解体のための攻撃である。
 さらに保安処分新法=心身喪失等医療観察法案、入管法改悪、司法改革関連法(裁判迅速化法)、生活安全・迷惑防止条例などの形で治安国家としての完成を狙っている。
 こうした戦時型治安弾圧を粉砕し今こそ本紙新年号の1・1政治局アピールで提起したレーニン主義的な新たな型の「社会主義と戦争」の立場で武装し、本格的な反戦闘争を闘いとろう。
 レーニンは、帝国主義戦争と徹底対決して、「祖国防衛の戦争などという政府の宣伝は、労働者人民を欺くデマゴギー」であり、革命的祖国敗北主義の立場から、「帝国主義の侵略戦争を国内戦に転化せよ」と訴えた。この立場がわれわれの「連帯し、侵略を内乱へ」の戦略的スローガンである。

 第2章 階級的労働運動の防衛と発展のために全力を

 03年前半期の総括の第四点は、日本における階級情勢の激変である。とりわけ労働運動、労働組合運動をめぐる大激動情勢である。
 国会における民主党の完全な戦争翼賛勢力化は、日帝の侵略体制づくりを新たな段階に押し上げた。03年通常国会において、与党対野党という戦後の議会的な対決構造自体が崩壊した。この中で、日本共産党は大衆闘争、労働運動を全否定し、国会内の野党連合の枠内での活動と選挙闘争だけに活動を限定している。「資本主義の枠内での民主的改革」として資本主義を肯定し、体制内改良政党としての立場を明確にした。11月の党大会で綱領を改定し、「社会主義革命」を放棄することを最後的に決定した。これは、日本共産党が翼賛勢力化の道を歩んでいくことの宣言である。
 不破議長は、「『革命』と『改革』の違いは市場経済の評価である」として「変革」後も市場経済を認めると発言した。革命の完全な放棄であり、資本主義への全面的屈服である。
 他方、JR総連カクマルと中央派カクマルは、分裂・抗争を深めている。カクマル中央派は朝鮮侵略戦争情勢下で大衆運動をめぐる内部対立を激化させている。JR総連派は、ついに始まったJRの労資結託体制の破綻と崩壊をめぐって、松崎派と嶋田派に完全に分裂した。
 こうした階級情勢の中で、階級闘争と反戦闘争の中心軸に20労組陣形が躍り出てきた。そして連合の反動化と全労連の危機の中で、最も戦闘的な闘いを組織したのは今春闘で72時間ストライキを打ち抜いた動労千葉であり、3労組共闘に結集する労働組合である。
 わが革共同は、今こそ真の労働者党、前衛党としての責任を果たしていかなければならない。
 03年の情勢は、革命的激動の時代に完全に突入した。この03年前半戦の攻防において革共同は、イラク侵略戦争反対闘争(北朝鮮侵略戦争阻止・有事立法粉砕決戦)と春闘、統一地方選挙を統一的・全体的に闘いぬくことを要求された。これを3大決戦として全力で闘い、大きな成果と前進をかちとった。
 しかし、この1〜6月期の闘いの前進は、時代が革共同に要求する革命的労働者党の建設とその闘いの勝利からみれば、実現したものと党の指導は、いまだ圧倒的に不十分であることを強く確認・総括しなければならない。
 党としての闘い方の基本は、政治闘争、労働運動、革命的議会主義の三つの領域の闘いをトータルに貫くことであり、とりわけ革共同が労働運動・労働組合運動を本格的に推進し、労働者細胞の建設に勝利していくことである。そのために、党中央指導部を先頭に指導の変革を闘いとり、非公然・公然の一体的指導体制を構築しなければならない。闘いの出発点は、革共同が戦闘的労働者とともに歴史をかけてかちとった強固な土台の中にある。最大の結晶が動労千葉であり、全国・全産別での組織的闘いである。そして、3労組共闘の陣形であり、20労組陣形や百万人署名運動、反戦共同行動委員会などの結合・連帯の闘いである。また国鉄闘争1047人陣形であり、国労5・27臨大闘争弾圧裁判の「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」の陣形である。
 今03春闘行動の取り組みの不十分性と3・29労働者集会の動員数の問題を厳しく総括しなければならない。労働運動は、日常的な資本・権力との闘争を通年的に闘いぬくとともに、その闘いの爆発を突破口に3月春闘行動(→11月労働者集会)へと集約・発展させられなければならなかった。党としての闘いのあり方が、根本的な転換を迫られているのだ。革共同の路線展開、情勢分析、方針形成も、労働運動を推進する観点を決定的に重視してつくりあげなければならない。
 それは、革共同の91年5月テーゼ―19全総(全国委員総会)―6回大会方針の実行であり、°3全総路線″へのラセン的復帰である。°3全総路線″とは、日常的な政治闘争を基礎に、党全体で労働運動に取り組むことである。戦線、部署の違いを超えて、革共同として労働運動に第一義的に取り組むことである。労働運動方針の強化だけでなく、党のあり方の転換が要求されているのである。

 第3章 軍事占領と武力行使のイラク派兵を阻止せよ

 小泉政権は、野党の総屈服状況のもとで、イラク派兵法案の参院成立強行を狙っている。さらに、PKO協力法を根拠に周辺国支援と称して10日に小牧基地から自衛隊輸送機2機をヨルダンに派兵しようとしている。
 日帝は、米英占領軍とともにイラク軍事占領と再植民地化に参画する計画である。イラクで進行していることは、米英軍の侵略、軍事占領に対するイラク人民の反乱と、それに対する米英の殺戮、膨大な資源の略奪と再植民地化である。自衛隊の派兵は、再植民地化、資源強奪を米英軍と共同で行うことである。絶対に許してはならない。イラク人民の民族解放の闘いと連帯して闘おう。
 連日の国会闘争に立とう。反戦共同行動委が主催する7・18闘争(東京・大阪)を全力で闘いとろう。小牧基地からのC130輸送機の出発を阻止しよう。
 8・6広島−8・9長崎反戦闘争に決起しよう。そのための7・20東京集会を成功させよう。沖縄名護基地の事実上の着工を意味するボーリング調査を阻止しよう。朝鮮侵略戦争のための沖縄の最前線基地化を許すな。成田暫定滑走路の北側延伸攻撃を阻止し、成田空港の朝鮮侵略戦争出撃基地化を粉砕しよう。

 動労千葉に続こう!

 日帝ブルジョアジーは経済危機突破の道を再びアジア侵略、新たな「大東亜共栄圏」の建設に求め始めている。海外侵略戦争と同時に国内における階級戦争、資本攻勢の一挙的激化が進行している。その中で、連合や全労連ではまったく闘えなくなり、労働運動の危機が進行しているのだ。連合中央は産業報国会化の道を突き進んでいる。
 この危機を粉砕し、階級的労働運動を防衛する道は、動労千葉の3月ストライキ闘争、3・29春闘行動、3労組共闘のように闘うことである。資本擁護の改良主義的・経済主義的な労働運動は、競争力強化という資本に翼賛し、労働者の生活と権利を自ら進んで売り渡すものとなった。資本攻勢と真っ向から闘い、帝国主義と対決する立場で労働者の生活と権利を防衛し、階級的団結を固めていく闘いが求められている。
 小泉政権は有事3法を成立させた反動的勢いをもって、労働法制改悪、公務員制度改悪などを次々と狙っている。資本攻勢の激化は、戦争政策と同根である。帝国主義と真っ向から対決する立場で闘わなければならない。
 第一に、3月ストライキをかちとった動労千葉の闘い、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いとその路線・方針を全労働者の闘いに拡大していくことである。日帝・資本と激烈に対決し、労働運動全体の趨勢(すうせい)を決する闘いは、依然として国鉄決戦だ。だからこそ、国労5・27臨大闘争弾圧という大攻撃がかけられた。7人の国労組合員と1人の支持者が8カ月にわたって牢獄に閉じこめられている。これを許していては労働運動は成り立たない。被告8人の早期奪還をかちとれ。「許さない会」の全国的、全産別的拡大をかちとろう。
 第二に、3労組共闘、国鉄1047名闘争の統一戦線、百万人署名運動、20労組などの労働運動のさまざまな統一戦線をさらに拡大、発展させよう。
 第三に、国鉄決戦が最大の決戦局面に突入している。国労5・27臨大闘争弾圧粉砕を軸に、9月国労大会に向け総決起しよう。代議員選勝利へ突入しよう。
 第四に、国鉄・全逓・自治労・教労の4大産別大会を始め、全産別の闘いをさらに推し進めよう。
 全逓は、「奥田ビジョン」による組合破壊攻撃との最先端の闘いである。連合全逓中央は、奥田トヨタ方式による労務管理の導入を認め、組合名称を変更し全逓を解体する方針を6月大会で打ち出した。本部打倒の闘いが前進している。
 教育労働者は、教育基本法改悪攻撃と全面的に闘おう。この攻撃は、戦争教育への転換であり、日教組の絶滅・解体である。国粋主義右翼による広教組銃撃事件を絶対に許すな。
 自治労中央は、自治労綱領を破棄し、「21世紀宣言」で翼賛化の道を進もうとしている。自治体労働者は、有事法制下の戦争動員、公務員制度改革との決戦にうち勝たなくてはならない。
 有事立法に賛成した連合指導部を弾劾する声が噴き出している。さらに各産別大会へ攻め上ろう。民間産別、中小企業では、解雇攻撃が日増しに激化している。賃下げが常態化し、賃金制度そのものの改悪が進んでいる。団結を強化し、日常的な資本との対決を闘いぬこう。

 党建設と拠点づくり

 03年後半戦の党建設の最も重要な課題は、青年労働者による自主的、解放的な闘いとしてマルクス主義青年労働者同盟の再建を闘いとることである。党全体が労働運動への取り組みを戦略的に重視し、党自身の変革をかちとる中で初めて、「青年同盟としてのマル青労同を建設する」ことが可能となる。
 組織建設と労働運動拠点づくりの活動の中で、青年同盟としてのマル青労同再建を位置づけ闘いとろう。革共同が3大決戦全体の土台をなす労働運動決戦に真に取り組み、変革し、飛躍することがすべての前提である。
 03年後半戦の闘いは、全学連を中軸とする学生運動の大衆的高揚・建設と、青年労働者の活性化、組織化の前進をもって総括されなければならない。マル青労同再建の闘いは、当面する最大の組織課題である。この成功なしに党の明日はない、という精神で取り組もう。
 夏期一時金カンパ闘争を貫徹しよう。先進的労働者人民に、階級情勢の決戦化とその中で革命党の役割が今こそ決定的に重要になっていることを強く訴え、一時金カンパを要請しよう。一時金カンパ闘争を党建設の重要な課題として取り組もう。それと一体の闘いとして機関紙『前進』を拡大しよう。

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週刊『前進』(2109号1面2)

国会前 怒りの阻止行動 “侵略戦争参戦許さぬ”

イラク派兵法案衆院通過弾劾! 衆議院第2議員会館前で怒りのシュプレヒコール(7月4日午後2時すぎ)

 7月4日午後2時すぎ、衆院本会議でイラク復興支援特措法案の採決が強行された。記名投票ですらなく「起立多数で可決」だ。この暴挙に「採決弾劾!」「自衛隊のイラク派兵を許さないぞ!」――怒りの声が国会前にとどろいた。
 「とめよう戦争への道!百万人署名運動」が呼びかけた国会前抗議行動には、続々と労働者、学生、市民が集まった。動労千葉も鉄輪旗をなびかせて登場した。ワールドアクションの若者たちも声を限りに叫んだ。正午すぎには、破防法・組対法に反対する共同行動、組対法に反対する全国ネットワークの共謀罪反対国会前行動に合流、ともに抗議の声を上げ、国会前は数百人に膨れ上がった。
 午後1時すぎから始まったリレーアピールでは、全国の学生がイラク派兵法案に怒りを爆発させ、自治体労働者や電機労働者などが参院で法案を絶対に阻止する決意を語った。
 委員会採決が強行された3日には、100人以上が衆院議面前まで押しかけ、激しいシュプレヒコールを国会審議にたたきつけた。

 

 

 

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週刊『前進』(2109号1面3)

 スケジュール

イラク新法反対/C130自衛隊機のイラク派兵阻止
小牧現地闘争
 7月10日(木)午前
 小牧基地(愛知県春日井市)
 主催 反戦共同行動委員会

 米海兵隊の実弾砲撃演習阻止!/北朝鮮侵略演習許すな
 7・16王城寺原現地闘争(アピール8面)
 7月16日(水)午前8時30分
 王城寺原演習場除ゲート前(宮城県色麻町)
 主催 みやぎ反戦共同行動委員会

イラクへ自衛隊を派兵するな!7・18集会
 7月18日(金)午後6時集合 6時30分開会
 宮下公園(渋谷駅、徒歩5分)
 主催 反戦共同行動委員会

イラクへ自衛隊を派兵するな! 北朝鮮への侵略戦争阻止!
7・18全関西集会
 7月18日(金)午後6時30分
 大阪市立住まい情報センター
 (地下鉄・阪急「天神橋筋6丁目」下車すぐ)
 主催 関西反戦共同行動委員会

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週刊『前進』(2109号1面4)

 東西革共同政治集会

■関西 7月27日(日)正午開場
 浪速区民センター
 (大阪市浪速区 地下鉄千日前線桜川駅下車)
■東京 8月3日(日)11時半開場
 豊島公会堂
 (豊島区東池袋 池袋駅下車)
 基調報告 高原 洋三
 「プロレタリア世界革命の大道開く階級的労働運動の防衛と創造へ」

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週刊『前進』(2109号2面1)

国労弾圧9回公判 前言翻す刑事の証言 “罪名は後から書いた”
 ビデオ領置の手続きは違法

 7月2日、東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で国労5・27臨大闘争弾圧の第9回公判が開かれた。前回に続き遠山文雄巡査部長(当時、神田警察署警備課)への反対尋問が行われた。遠山は第7回公判で、国労東京地本の鈴木勉法対部長が事件現場を撮影したビデオテープを神田署に持参した昨年6月3日に、その領置調書を作成したと述べていた。ところが今回は、領置調書に記された被疑者名と被疑事件罪名は、6月3日には記入せず後日書き加えたと言い、先の証言を翻した。検察側の最重要証拠であるビデオテープの領置手続きは、違法なものだったのだ。検察側立証をめぐる攻防は緒戦から緊迫しつつある。

 退廷命令うち破る

 公判の冒頭、萱野一樹弁護人が「無罪を主張しているからと勾留を続けるのは人質裁判だ」と裁判長を弾劾した。小倉地区闘争団の羽廣憲被告も、「私たちは国労全国大会の代議員選挙告示日に不当逮捕された。9月には次の大会が予定されている。また組合の方針形成に参加できないのか。9カ月もの投獄を覚悟しないと大会でビラまきもできない前例を裁判長はつくっている」と語気を強めた。
 遠山証人への反対尋問で弁護団はまず、ビデオテープの領置調書の作成経緯を聞き出した。この領置調書には、「被疑者向山和光等8名に対する暴力行為等処罰に関する法律違反被疑事件」と記されている。
 尋問に対して遠山は突然、「被疑者名と罪名は6月3日には書いていない。空白にしておき、後日書き加えた」と言い出した。しかも「書き加えた時期は覚えていない」と言うのだ。だが領置調書の日付は6月3日で、「遠山」の印鑑が押されている。調書作成のでたらめさ、領置手続きの違法性が明らかになった。
 遠山は第7回公判で、「(罪名は)6月3日に書いた時に(上司から)言われたから書いた」と明確に証言している。浅野史生弁護人が、証言を翻すのかと遠山に迫った。河村健夫弁護人も公判調書を示して問いただした。しかし遠山は「6月3日に書いたとは言っていない」と居直り、牧島聡検事も「6月3日に書いたという証言は出ていない」と言いつのった。
 検察側は、公判調書に記録された明白な事実さえ、うその証言で消し去ろうというのだ。訴訟のルールなど頭から無視し、証言を次々と塗り替える。こんなことがまかり通ったら、裁判など成り立たない。
 小倉地区闘争団の松崎博己被告が、たまりかねて抗議の声を上げた。青柳裁判長は、発言も聞かずに「発言禁止。退廷」と叫び立てた。この公判で退廷命令が出されたのは初めてだ。裁判長を弾劾し続ける松崎被告が、廷吏に引きずられて連れ出される。その光景を目にした被告たちが立ち上がった。傍聴席にも無言の怒りが広がった。
 一瀬敬一郎主任弁護人が異議をたたきつけた。「弁護人が第7回の証言を具体的に指摘して尋問しようとした。検察官がそれを妨害し、松崎被告が抗議したら裁判長が退廷にした。一番重要な尋問を聞く権利を、裁判長が奪った。それで公正な裁判ができるのか」
 舌鋒(ぜっぽう)鋭い弾劾に青柳裁判長がたじろいだ。「弁護人の言い分も分かるので、休憩にし、その後、松崎被告を入れる」と事実上、退廷命令を撤回したが、検察側を擁護する訴訟指揮は許されない。
 休廷後、反対尋問が再開された。弁護団はビデオの領置手続きについてさらに詳しく追及した。「押収品目録は作成したか」という質問に、遠山は「していない」と答えた。その理由をただすと、遠山は「特に理由はない」とうそぶいた。それでいて「通常は作成する必要がある」と言う。作成しないこと自体が文書作成規定に反している。
 弁護団は、ビデオテープの任意提出書の問題に質問を移した。この書面の日付は、「6月1日」と書かれた跡があり、「3日」に訂正されている。遠山は前々回、@警察署長名、提出物件の品名と数量は自分で書いた、A日付と提出者の住居、職業、氏名、年齢は鈴木法対部長が書いた、B鈴木法対部長が日付を書き間違えたので、鈴木に訂正させたと述べていた。
 弁護団は、任意提出書と領置調書を並べて遠山に示した。任意提出書の日付の筆跡は、鈴木法対部長が書いた住所や電話番号の数字の筆跡とは異なり、むしろ遠山が書いた領置調書のものとそっくりだ。弁護団がこの事実を突きつけると、遠山は長い沈黙の後、聞き取れないほど小さな声で「日付は私が書きました」と返答した。ならば、日付を書き間違えたのも遠山ということになる。遠山はそれも認めた。
 だが、警察官が重要書類の日付を書き間違えることがありえるのか。任意提出書が作られたのは本当に6月3日なのか。疑惑はさらに深まった。
 裁判長が再主尋問を促したが、検事はそれを放棄した。弁護団の反対尋問で主尋問での遠山証言は破たんをさらけ出している。にもかかわらず再主尋問をしないのは、完敗の自認であり、まともな立証などできず、する気もない検事の姿勢の現れだ。

 またも事前共謀説

 遠山証言は、ビデオテープの領置手続きの違法性を明白にした。だが、裁判長はビデオテープの提示命令を出した。裁判所が証拠採否の判断のためにビデオを見るというのである。
 大口昭彦弁護人が「その前に撮影者の鈴木法対部長を尋問せよ」と要求した。撮影者の尋問を経なければ、ビデオテープが証拠たりえるかどうかは判断できないはずだ。遠山証言では、テープの保管状況は何も明らかにされていない。内容が改ざんされた疑いはむしろ強くなっている。ダビングしたテープを任意提出以前に警視庁公安部が入手するというでたらめなことさえ行われている。
 だが裁判長は、「いずれ鈴木証人を調べざるをえない」と言いつつも、鈴木証人の採用決定を留保した。そして、次回は支援者が撮影したビデオテープの押収手続きに関与した警察官・貞山明を尋問するとした。
 裁判長は、検察側冒頭陳述への求釈明へと審理を進めた。焦点は共謀の成立時期の問題だ。起訴状は現場集結以前の事前共謀を主張し、冒頭陳述は「松崎被告らが本部派の池田への暴行に及び、それを他の被告が目撃し、その意思を了知し、遅くともここにおいて共謀が成立した」と述べている。事前共謀説が成り立たないことを、冒頭陳述で早くも自認していたのだ。
 裁判長は、「遅くともここにおいて、とはそれ以前も含むのか」と検事を誘導した。牧島検事は「それ以前における共謀の成立も主張している」と返答した。法廷は、求釈明の名で検察側の救済を図る青柳裁判長への強い怒りに包まれた。
 これでは、共謀の成立時期は限りなくあいまいになる。第6回公判で検事は、「池田への暴行を目撃した時より早い時期に共謀が成立したと主張するつもりはあるのか」と裁判長に聞かれ、「ありません」と明確に答えている。それを覆して、事前共謀説を復活させようとしているのだ。ここでも検察側による発言の塗り替えが行われている。
 弁護団が、検事の釈明は訴因の特定を定めた刑訴法に反すると論じたが、裁判長はそれを聞こうともせず、次回この問題で時間をとると述べて閉廷した。
 この間、弁護団の鋭い追及で次々と破たんをさらけ出した検察側は、全面的に居直りながら「中核派の組織的犯行だから有罪」という事実に反するでたらめな主張で一切を押し切ろうとしているのだ。次回公判(7月18日)に結集し、無罪獲得へ闘いを強めよう。

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週刊『前進』(2109号2面2)

長期勾留は人権侵害 被告が日弁連に申し立て

 公判に先だち、8人の被告と「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」は、今なお続く長期勾留は重大な人権侵害だと訴え、日本弁護士連合会人権擁護委員会に救済申し立てを行った。
 東京地裁刑事第10部は6月9日、被告の保釈請求を不当にも却下、これに対する弁護団の抗告(26日付)も6月30日に東京高裁が棄却した。勾留はすでに9カ月を超えている。被告たちは、獄中で健康を破壊され、JR資本による解雇の危険にもさらされている。被告家族の経済的・精神的負担もあらゆる点で限度を超えている。
 申し立てを終えた被告の家族たちは、厚生労働省記者クラブで記者会見を行った。近畿地本環状地域分会の東元被告の家族、南近畿地本奈良電車区分会の橘日出夫被告の家族が、逮捕時の状況を「職場や自宅に警官が大勢来て捜索・逮捕しているのに、令状には住所不詳・職業不詳と書かれていた」と怒りを込めて報告した。そして、家族の生活状況も顧みず長期勾留を続ける裁判所を弾劾した。近畿地本兵庫保線分会の富田益行被告の家族は、父親の無罪を信じて一家がぎりぎりの生活を支え合っている実情を訴えた。小倉闘争団の羽廣憲被告の家族は、起訴数日前に警察が「本人が組合をやめれば出られる。組合が何を言っても信用するな」という電話を寄こした事実を暴き、「マスコミは逮捕の時は報道するが、その後の経過は載せない。人権侵害の事実を広く知らせてほしい」と訴えた。
 許さない会呼びかけ発起人の佐藤昭夫さん、宮島尚史さん、師岡武男さんが、団結権を侵害する弾圧の不当性を説き明かした。国労新橋支部の組合員、被告家族が組合員にいる関西合同労組、動労千葉が、この弾圧を労働者として絶対に許さないと決意を語った。
 8被告の保釈へ、新たな闘いが始まった。「日弁連への申し立て」を武器に、許さない会を広げ、10万筆の保釈要求署名を集めて、被告を早期に取り戻そう。

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週刊『前進』(2109号2面3)

勝利の夜明けを確信 許さない会・広島を結成

 6月28日、広島市西区民文化センターで「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会・広島」の結成集会が開かれ、90人の労働者が結集した。会場の正面には呼びかけ組合の旗が並び、戦闘的雰囲気を盛り上げた。
 集会は動労西日本組合員の司会で始まった。
 呼びかけ人代表の国労広島の組合員が、5・27臨大は3与党声明を受けて闘争団の除名処分を狙う中央本部が機動隊を要請し、異様な状況で開催されたこと、逮捕された組合員たちの説得活動は正当な行為であったと述べ、暴力行為等処罰法で今なお勾留し続けていることの不当性を弾劾して、「許さない会」への参加を強力に訴えた。
 日本労働弁護団広島支部長の山田延廣弁護士が「労働法改悪と国労弾圧」と題して記念講演を行い、今回の弾圧は4党合意に反対し権力に刃向かう者への見せしめであること、厳しい時代だが、松川事件がそうであったように夜明けの来ない夜はない、最後は勝利することを確信して頑張ろうと訴えた。
 国労小倉地区闘争団日豊オルグ班の家族が、逮捕時の状況や裁判傍聴・面会に連れて行った子どもたちが「お父さんは間違っていない。悪いのは警察だ」と言っていると発言した。一番の望みは夫が帰ってくることであり、そのためにも「許さない会」を拡大してもらいたいと訴えた。切々とした訴えに目頭を押さえる人が多い。警察権力への怒りが膨れあがった。
 広島連帯ユニオン、全造船三菱広機分会、郵政労働者、教育労働者などが、この闘いは自らの問題だと連帯の決意を述べた。教育労働者は広教組本部への右翼の銃撃を弾劾した。まさに戦時下の労働運動の構築が求められている。
 一日も早い被告の保釈奪還と裁判闘争の勝利に向けて前進しよう。
 (投稿/許さない会会員B)

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週刊『前進』(2109号2面4)

国労5・27臨大闘争弾圧公判日程

第10回 7月18日(金)/第11回 8月27日(水)
第12回 9月17日(水)/第13回 10月6日(月)
第14回 10月27日(月)/第15回 11月21日(金)
 ※いずれも午後1時15分から、東京地裁

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週刊『前進』(2109号2面5)

国粋主義右翼による広教組銃撃を弾劾する
 緊急声明 革共同教育労働者委員会

 すべての労働者の皆さん。教育労働者の皆さん。国粋主義右翼による6・27広教組銃撃事件は、闘う日教組つぶし、その突破口としてのヒロシマつぶしの組織的・計画的襲撃である。反戦闘争と労働運動を闘う労働者階級人民総体に対する国家権力と一体となった反革命的襲撃であり、絶対に許すことはできない。
 6月27日午後9時35分ごろ、広島市東区光町の「エコード広島」ビル3階の広島県教職員組合(広教組)事務所に2発の銃弾が撃ち込まれた。銃撃の下手人どもは、報道機関に対し「建国義勇団別動隊国賊征伐隊」と名乗り、「日教組を征伐するため広島の日教組に銃弾2発を撃ち込んだ。全国の日教組をせん滅する」とうそぶいている。
 28日朝、広教組本部山今彰委員長は緊急記者会見を行い、「今回の犯行が、卑劣な暴力と脅しによって、言論を抑圧することを目的とした組織的犯行であるならば広教組は断じて暴力には屈しない」という抗議声明を読み上げた。
 これを受けて日教組本部榊原長一委員長も同日、「目的が何であれ、言論や民主的活動をこうした暴力によって封じ込めようとする卑劣な犯行は許されるものではない。日教組はこうした卑劣な犯行に屈しない」などとする抗議声明を発表した。
 われわれは、この国粋主義右翼による歴史的・階級的犯罪を徹底的に弾劾し、日教組・広教組の「屈しない」という抗議声明を支持し、階級的反撃の先頭に立ち、闘う日教組運動の階級的再生の闘いを全力で闘いぬくことを宣言する。
 この襲撃・銃撃の目的と階級的本質は何か。これは、日帝・小泉政権が有事法=朝鮮侵略戦争突入法の成立とイラク派兵法案の制定をもって、イラク侵略戦争―北朝鮮侵略戦争に突入していく中での、国家権力の治安弾圧と一体となった国粋主義右翼による、闘う労働組合に対する反革命襲撃である。この間の国労5・27臨大闘争弾圧と並ぶ、一切の反戦闘争、階級的労働運動を圧殺するための階級絶滅攻撃である。
 襲撃の対象となった広教組と広高教組は、日帝・文部科学省の先兵である辰野裕一前広島県教育長と常盤豊現県教育長の5年に及ぶ「是正指導」という名の両教組解体攻撃・ヒロシマつぶしの攻撃に対し断固として闘ってきた。
 広教組山今彰委員長は、「今回の襲撃は、(尾道市の)高須小の(慶徳)元校長自殺が背景にあると思っている。教育活動に対し弾圧がかけられたことに心から憤りを感じる」と表明し、今年3月の高須小校長自死問題をめぐり、匿名の脅迫電話や中傷の手紙などが5月以降活発化したこと、組合事務所や組合定期大会会場周辺で右翼街宣車が組合破壊を公言していたことを明らかにしている。
 常盤豊教育長は、自らの指導責任で引き起こした高須小校長自死問題を開き直り、広教組の責任にすり替え、県教委の広報用ホームページを使って民間右翼運動の跳りょうや、両教組への白色テロ行為を誘導してきた。
 今回の事件は、まさに一連のヒロシマつぶし攻撃の激化の中で引き出された襲撃であり、国家権力―文部科学省・広島県教育委員会と一体となった国粋主義右翼による反革命襲撃であることは明白だ。
 今回の襲撃の背景には、有事法制の実動化と憲法改悪を目的とする教育基本法の改悪攻撃、そしてその攻撃の柱である日教組解体攻撃がある。
 日本経団連は今年1月の奥田ビジョンの中で、「日本の崩壊」の危機を叫び、「東アジア自由経済圏」=新大東亜共栄圏構想を打ち出し、有事法と労働法制改悪、教育改革・教育基本法改悪を最重視している。
 2003年3月20日の中教審最終答申を受け、小泉政権・文部科学省は、次期国会において、@国家主義・愛国主義A競争原理B国策教育の3本柱を掲げた教育基本法改悪案を提出・成立させようとしている。帝国主義間争闘戦に生き残るために、戦争のできる国家への大転換をかけた右からの教育決戦に打って出てきているのだ。
 6・27反革命襲撃に反撃し勝利するためには、戦争と大資本攻勢と対決する労働者・労働組合の国際的・国内的な階級的団結を強化することが決定的だ。
 今こそ、「国賊征伐隊」などという排外主義と反革命白色テロを結合させた民間反革命を利用した国家権力の労働組合・労働運動解体攻撃を跳ね返し、階級的反転攻勢に打って出る時だ。6・27襲撃を粉砕する闘いは、国労5・27臨大闘争弾圧を始めとする労働運動に対する戦時下の治安弾圧を粉砕する闘いと一体である。そして有事法制下で戦争動員を拒否して闘う陸・海・空・港湾労組20団体の闘いと結合し、教育基本法改悪反対の広範な陣形と結合した、戦争と資本攻勢と対決する革命的大衆行動こそ勝利の核心だ。
 革共同教育労働者委員会は、階級決戦の主体であり土台である労働者の革命的大衆行動の先頭に立ち、こうした反革命襲撃から闘う組合を防衛・強化するために闘う。そして革命的労働者党の建設を基礎に、労働運動・労働組合運動の本格的推進と、国労・日教組を始めとする労働運動の階級的再生と発展のために全力を挙げる決意である。勝利までともに闘おう。

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週刊『前進』(2109号2面6)

早期保釈を訴え新橋駅前で署名活動

 7月2日夕、「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」は第9回公判闘争を闘った後、新橋駅SL広場で8被告の早期保釈を求める署名活動を行った。国労大会へのビラまき・説得活動に対する暴処法弾圧で9カ月もの勾留が続いている事実を訴えると、勤め帰りの多くの労働者が「組合内の問題に警察が介入すべきでない」と快く署名した。

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週刊『前進』(2109号2面7)

全金本山が徹底追及 “争議解決を図れ” みずほ銀行株主総会

 6月25日、全金本山労働組合は、みずほファイナンシャルグループ株主総会闘争を闘った(写真)。早朝から会場の東京国際フォーラム前に組合旗と横断幕を掲げ、「みずほ銀行は暴力会社本山製作所を擁護するな! 争議解決を図れ!」と訴えるビラを配った。本山資本に融資する銀行の責任をただす質問に回答せよと求める通知書を株主たちに手渡した。
 この日、みずほ銀行がかかわる労働争議を闘う多くの労組・争議団が決起した。動労千葉も支援にかけつけた。ただちに現場共闘が生まれ、百人を超える労働者が会場を包囲した。株主として総会に乗り込んだ全金本山労組の長谷武志委員長が質問に立ち、銀行の責任を徹底的に追及した。

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週刊『前進』(2109号2面8)

資本攻勢&労働日誌 2003 6月12日〜27日
 労基法に「解雇権」明記の大改悪
 連合が拉致問題で集会/韓国民主労総6万人スト

連合が拉致問題でセミナー 連合は拉致問題で「人権セミナー」を開き、「救う会」前事務局長・荒木和博拓殖大助教授が講演。荒木は「『救う会』の救出運動を通じて力を注いでいるのは、北朝鮮の独裁体制を倒すこと。ほかの国にやらせるのではなく、日本の力で打倒(する)」と別のところで発言している人物。(12日) 連合の報道
男女共同参画白書 政府は03年版の男女共同参画白書を発表。女性の社会進出は諸外国に比べて低い水準と指摘。(13日)
日立、企業年金を変動利率制に 日立製作所は10月1日をめどに、企業年金の給付利率を市場の金利動向に合わせて変動する制度に移行する。松下電器などが同様の制度を導入している。(16日)
JR連合、国労解体の方針 JR連合が大会。4党合意破たんを踏まえ、国労を「組織拡大の重要なターゲット」にする。(17日)
2.5%前後のマイナス、郵政などに仲裁裁定 中央労働委員会は郵政などの新賃金紛争にかかわる仲裁裁定を提示。2%台半ばの賃下げ率となっている。(17日)
全逓が「名称変更」へ 全逓が20日まで大会。郵政公社発足を機に、「組合名称変更」を秋の臨時大会で決定する方針を打ち出す。夜間労働強化の本部方針に反対意見が相次ぐ。(18日)
全労連が職種別賃金を打ち出す 全労連は賃金闘争交流集会を開いた。「職務・職種・専門性に見合った公正・適正な賃金」という表現で、ベア要求放棄の職種別賃金を提案。(18日)
JR西、契約社員200人採用 JR西日本は、契約社員200人を採用し、駅の営業係員として配置すると発表。退職による欠員を契約社員で補充し人件費削減を図る。契約社員は1年契約。時給は1000円程度。(18日)
医療分野への労働者派遣解禁へ 厚労省の「医療分野における規制改革に関する検討会」は、医療機関への労働者派遣を「紹介予定派遣」の方法をとれば認めてもよいとする内容の報告をまとめた。これに対して日本医労連は抗議声明を発表した。(19日)
ILOが2つの勧告 ILO(国際労働機関)はJRの不採用問題と、日本の公務員制度改革問題に関する勧告を採択。(20日)
韓国で6万人スト 韓国の民主労総は6万6千人が参加して労働者の待遇改善などを求める4時間の時限ストを実施。(25日)
連合、中央委員会で春闘方針論議 連合は中央委員会を開き、03春季生活闘争の中間まとめを確認した。(26日)=要旨別掲 連合の報道
改悪労基法が成立 労基法改悪の修正案が、参議院本会議で可決され成立した。資本の「解雇権」を明記し、有期雇用契約を3年ないし5年に延長、裁量労働の要件を緩和する大改悪。(27日)

 連合中央委員会の討議内容

・「03春季生活闘争・中間まとめ」で、従来型交渉パターンの限界が一層明確になり、@産別組織と連合の役割分担の明確化、A連合はミニマム水準を提示、賃金の具体的要求は産別責任、B統一的要求基準の設定はマクロ経済の好転等を踏まえ別途議論、とすることを確認した。
・笹森会長発言
 「もはや時代は変わってしまった。理想論より現実対応に徹するべき」
・私鉄総連
 「財界の賃下げ・雇用破壊攻撃に対し、有効に闘うことになるのか。連合は調整役でいいのか」
・自動車総連
 「制度整備など賃金は通年で扱う問題とし、連合は結成の原点である政策制度課題へ明確に軸足を移すべきだ」

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週刊『前進』(2109号3面1)

消費税率2ケタ化許すな 政府税調答申を弾劾する
 年金に課税、所得税控除も縮小 人民は大増税で企業は減税

 政府税制調査会(首相の諮問機関)は6月17日、「少子・高齢社会における税制のあり方」と題した中期答申を小泉首相に提出した。高齢者や労働者への課税強化、消費税率の2ケタ(10%以上)への引き上げなど、労働者人民の生活を破壊する大増税を明記した。日帝経済の危機、国家財政の破綻(はたん)を労働者人民に犠牲転嫁する大衆収奪の攻撃だ。絶対に許すな。増税粉砕の大闘争をつくり出そう。

 労働者からの大衆収奪狙う

 政府税調の答申が打ち出した増税策の内容は次のとおりだ。その柱は、個人所得税と消費税である。
 @まず個人所得税では、実質非課税になっている高齢者の年金について、公的年金等控除と65歳以上の老年者控除を縮小することにより課税を強化する。財務省は04年度にもこれを実施する方針といわれる。
 遺族年金や失業保険給付にも課税する。
 労働者の給与所得については、所得控除を縮小し、課税を強化する方向を打ち出した。これは賃金労働者全体の増税となるものだ。また、すでに04年1月から配偶者特別控除(上乗せ部分)を廃止することが決まっているが、これに続いて05年度にも配偶者控除を廃止しようとしている。さらに退職金への課税を強化するとしている。
 A消費税については、2ケタ(10%以上)税率への引き上げを明記した。答申は「これが今後の税体系全体の見直しの基本となる」と言い切っている。現在5%の税率を2倍以上に引き上げよというのだ。10%への引き上げで12兆5000億円の大増税になる。
 小泉は在任中の引き上げを否定しているが、経済財政諮問会議や塩川財務相は「早ければ07年度以降の引き上げ」を主張している。
 消費税は、所得税が「累進性」(所得が高いほど負担率が上がる)であるのに対して、所得にかかわらず一律の税率であるため、低所得者ほど負担が大きい「逆進性」の税だ。
 この間、所得税の最高税率引き下げや法人税率の引き下げで高所得者や資本に対しては減税を行い、他方では消費税率は3%から5%に引き上げ、低所得者への増税を進めてきたが、その大衆課税をさらに加速しようというのだ。
 Bまた、賃金の引き下げ、年金支給額の「物価スライド」による削減、介護保険料の値上げ、健康保険の医療費本人負担の引き上げ、酒税・たばこ税の引き上げなど、労働者人民に対する搾取の強化と大収奪が強行されている。
 その上に、さらなる大増税を強行しようというのだ。これでどうやって生活しろというのか! 労働者階級の生存すら脅かす許しがたい攻撃だ。労働者階級の総反撃をたたきつけなければならない。資本攻勢と闘う労働組合運動の重要課題として闘おう。
 特に、消費税率2ケタ化反対・消費税廃止に向け、89年消費税導入時を上回る大闘争をつくり出し、小泉政権を打倒しなければならない。

 「社会保障の財源」はウソ

 政府税調は、「将来にわたり持続可能な社会保障制度と財政構造の構築が必要」と言う。あたかも社会保障制度の財源として増税を行うかのように言っているが、とんでもないペテンである。
 実際には、労働者人民に対して年金や医療、介護などの保険料負担を増やし、給付を削減している。社会保障制度そのものを解体する攻撃を強めているのだ。
 大増税の狙いは、国家財政破綻のツケをすべて労働者人民に押しつけ、日本帝国主義の延命を図ることである。03年度予算での国債の新規発行額は36兆円を超え、地方自治体の借金を含めた長期債務残高は03年度末で686兆円となる。年間の国家予算の8倍以上、GDP(国内総生産)の1・4倍に上る巨額の借金を抱えているのだ。
 これは、バブル崩壊以降140兆円もの景気対策を発動し、銀行救済に23兆円もの公的資金を投入するなど、銀行と大資本救済を行ってきた結果である。にもかかわらず、日帝経済の危機は深まり、°国家破産″といっても過言ではない事態となっている。資本主義が生み出した膨大な財政赤字のツケを、労働者階級が払わなければならない理由はまったくない。
 さらに、「現役世代に負担がかからないよう世代間の公平を確保」ということを高齢者への増税の口実にしているが、これもデタラメだ。高齢者にも増税、「現役世代」の労働者にも増税である。そして、「現役世代」には、これまでのような社会保障を行わないということなのだ。
 もはや日本帝国主義は、労働者人民を食べさせていくことはできない、と宣言しているのだ。今や資本主義を打倒し真の社会主義を実現することなくして、労働者人民は生きていけないのである。

 奥田ビジョン「18%」具体化

 労働者階級に対しては、このような大増税を行う一方で、法人税率の引き下げについては「今後検討すべき課題」として、その方向を明確にした。
 日本経団連の資本家どもは、消費税率引き上げなどを賛美するとともに、法人税率引き下げの実施を要求している。政府税調答申は、日帝ブルジョアジーの要求そのものである。
 このような「税制改革」は、「労働市場改革」=労働法制改悪とともに小泉「構造改革」の柱の一つだった。今や小泉「構造改革」は、不良債権処理策などが大破産する中で、ただひたすら労働者人民を搾取し収奪するものとなっているのだ。
 それは、日本経団連の「奥田ビジョン」(キーワード参照)の具体化でもある。奥田ビジョンは、「税制の再構築」として、社会保障給付を徹底して削減した上で消費税率を16%まで段階的に引き上げる方針を打ち出した。5月29日には、04年度に消費税率を3%程度引き上げ(8%に)、07年度までに10%に、25年度には18%に引き上げるという「意見」を発表した。
 年金課税や所得控除の縮小なども、終身雇用制を解体し、高齢者や女性を低賃金の不安定雇用労働者として活用しようとする資本攻勢と一体のものである。
 労働者階級への負担を強いるあらゆる増税・社会保障解体に反対し、生活と生存を守るために団結して大決戦に立ち上がろう。

政府税調答申の骨子

 ▽所得税
 ・年金、給与、退職金の所得控除を縮小
 ・遺族年金、失業給付を課税対象に

 ▽消費税
 ・2ケタの税率に引き上げる必要

 ▽法人税
 ・税率引き下げを今後の検討課題に

 ▽納税者番号制度導入の本格検討

キーワード  奥田ビジョン

 03年1月1日に日本経団連が発表した新ビジョン『活力と魅力溢(あふ)れる日本をめざして』。消費税率引き上げや社会保障制度解体とともに、「東アジア自由経済圏構想」というアジア侵略政策を提唱。資本家団体の文書ではかつてない反動的なもの。この実行のために、労働組合に対し国家・企業とともに行動する新たな「産業報国会」になることを要求している。

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週刊『前進』(2109号3面2)

夏期カンパの集中を訴えます 戦争と資本攻勢をうち破る階級の力を結集しよう!
 革命的共産主義者同盟

 帝国主義と闘おう

 すべてのみなさん! 夏期一時金支給時にあたり、03年後半決戦を勝ち抜くための決戦資金カンパの集中を訴えます。
 今や時代は転換し、帝国主義の戦争と大資本攻勢をめぐる史上空前の階級決戦期が到来しました。一気にイラク・北朝鮮への侵略戦争と労働者保護法制解体に突き進む日本帝国主義を許しておいてよいのか。それに対し真の決戦にふさわしい規模と激しさをもって階級決戦を闘いうるのか否か。これはひとえに、これから集められる資金の量にかかっているといっても過言ではありません。
 失業・賃下げと大増税、社会保障制度解体の攻撃のもとで苦闘するすべてのみなさん!
 一切の元凶である帝国主義と対決しうち破るため、掛け値なしに、これまでを倍する決戦資金が必要です。階級の力をことごとく結集してこそ、初めてこの未曽有(みぞう)の決戦を勝ち抜くことができるのです。革命的共産主義者同盟は革命的労働者党にふさわしい党と党細胞への変革をかちとり、全身全霊をかけて階級決戦を闘う決意です。決戦勝利のためのカンパの集中を心から訴えます。

 戦後最大級の決戦

 6月6日、民主党・連合の裏切りによる有事3法成立をもって、日本帝国主義は明らかに一線を越えました。03年後半からの過程が、北朝鮮侵略戦争と改憲をめぐる戦後最大級の決戦となったことは明白です。そのスケールにふさわしい決戦資金がなんとしても必要となっているのです。
 小泉政権はイラク派兵法強行に走り、重武装した自衛隊のイラク出兵・占領軍参加が現実のものとなろうとしています。北朝鮮に対する戦争発動の第一段階である臨検・経済封鎖が実質上始まり、排外主義の扇動が暴力をともなって激化しています。教育基本法改悪攻撃と一体となって、広島県教組に対する銃撃テロまで起こっているのです。
 同時に、労基法改悪が強行され、労働者保護法制解体と労働組合運動の変質・解体、社会保障制度の解体と大増税、生活破壊の攻撃が一気に進んでいます。
 国を挙げての治安維持と入管体制強化が叫ばれ、治安弾圧攻撃が日常化しています。国労5・27臨大闘争弾圧をはじめ労働運動、学生運動、部落解放運動に対して、暴力行為等処罰法や傷害罪、恐喝罪などあらゆる罪名でデッチあげてたたきつぶそうとする手法がまかりとおろうとしているのです。さらに司法制度改悪と共謀罪制定の大攻撃がさし迫っています。
 しかし、こうした戦後的あり方の一掃をめざす攻撃は、帝国主義の強さを証明するものでしょうか。断じてそうではありません。
 2001年9・11反米ゲリラと03年3・20イラク戦争突入で世界は明らかに変わりました。世界恐慌情勢の深まりとともに「帝国主義の平和」は音を立てて崩れだしました。「米・英」対「独・仏・露」の対立をはじめ、市場、資源、勢力圏をめぐる帝国主義列強間の争闘戦は、後戻りのできないところまできています。アメリカ帝国主義を最悪の戦争放火者として、世界は三たびの帝国主義世界戦争に突き進みつつあるのです。
 しかし、同時に帝国主義打倒の世界革命にまで行き着く国際階級闘争と民族解放・革命戦争の嵐(あらし)のような爆発が始まっています。イラク戦争をめぐる全世界数千万の反戦決起。民営化と年金・社会保障制度改悪など全世界的な資本攻勢に対して激しく闘われる各国の労働者のゼネスト。そして、イラク・パレスチナ、ムスリム人民を先頭とする被抑圧民族人民の反帝武装決起の闘いです。
 戦争か革命か。帝国主義の基本矛盾の爆発に対して、1930年代を超える人類史上最大の流動と激闘の過程が始まっています。その決定的一翼として、日本における03年後半の決戦が闘われようとしているのです。

 労働運動の復権を

 攻防の焦点は、日本労働者階級の動向であり、労働運動・労働組合運動をめぐる決戦です。最大の危機と好機もここにあります。
 今や連合ダラ幹は、日本経団連・奥田ビジョンの先兵として、労働者の階級的団結と闘いをみずから解体し、戦争と資本攻勢に全面協力するに至っています。しかし「産業報国会」そのものというべき連合の権威と統制力は地に落ちつつあります。5月末の自治労中央委員会では来賓の民主党議員に有事法賛成弾劾のヤジが集中し、全逓大会においてはトヨタ工場なみの深夜勤の導入をめぐって本部派代議員も含め反対意見が続出しました。今こそ連合ダラ幹支配を打倒し、階級的労働運動の復権と再生をかちとる時です。有事3法と労働法制大改悪に与党とともに手を染めた民主党、資本主義体制擁護と天皇制・自衛隊承認まで新綱領案に盛り込むに至った日本共産党の大転向を乗り越え、連合、全労連、全労協の枠を超えて日本労働者階級が総決起する時が到来しているのです。
 現に、民営化・外注化攻撃と闘いぬき、03春闘において600本の列車を止めた動労千葉72時間ストライキの闘いは、アメリカ西海岸労働者をはじめ全世界の闘う労働組合に歓呼の声をもって迎えられています。「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」運動は、有事体制下で一挙に拡大する労働運動弾圧をはね返す大衆運動として、党派的枠組みを超えて発展しています。何より陸・海・空・港湾労組20団体の労働者は、有事法制定を断じて許さず、業務命令拒否・戦争動員拒否を闘おうとしているのです。

 社・共に代わる党

 今や情勢は待ったなしです。帝国主義の戦争突入と革命的情勢の成熟という情勢のもとで、社・共に代わる労働者党の建設をなんとしても推し進めなければなりません。革共同は、今年前半のイラク反戦・有事立法決戦、3・29春闘集会を総括軸とする労働運動決戦、杉並区議選・統一地方選決戦という3大決戦の厳格な総括の上に、労働運動・労働組合運動決戦を命がけで実践・実行し、労働者細胞の建設に進撃する決意を打ち固めています。
 戦闘的労働組合運動の防衛と再生こそ反転攻勢の最大の展開軸であり、階級に根を張った本格的な労働者党建設の土台をなすものです。革共同6回大会路線を全力で実践し、有事立法粉砕決戦とともに、「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」運動を先頭に一大資本攻勢と徹底的に闘いぬくことを決意します。労働組合運動決戦を推し進め、膨大な青年労働者の獲得とマルクス主義青年労働者同盟(マル青労同)の再建をめざすものです。
 革命的労働者党の建設は労働者階級の共同の歴史的事業です。膨大な資金が必要となっています。帝国主義を打倒する革命闘争の成否をかけて、例年を倍する夏期一時金カンパの集中を訴えます。

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週刊『前進』(2109号3面3)

動労千葉が「戦争協力拒否」

 動労千葉は、6月28日の第49回定期委員会で「戦争協力拒否宣言」を決議し、公表した。これこそ、民主党・連合の歴史的な裏切りによって成立した有事関連3法に対する「戦闘宣言」である。動労千葉の決意にこたえ、労働者の階級的団結をつくりだすために全力で闘おう。(編集局)

 戦争協力拒否宣言

 有事関連三法の制定をもって、日本は再び戦争への道を踏みだそうとしている。かつての戦争への痛苦な反省を込めて制定されたはずの憲法九条は踏みにじられ、戦争への歯止めが外れようとしている。戦争への道を断つために、力の限り闘わなければならないときがきたのだ。
 有事関連三法は、民主党の歴史的な裏切りによって、国会議員の九割が賛成するという驚くべき事態のなかで成立した。われわれは歴史から学んできたはずであった。それまでは戦争に反対してきた多くの勢力が、戦争が現実化したとたんに挙国一致主義に転落し、戦争の協力者となっていった歴史に。だが、今また同じことが繰り返されている。連合−労働組合のナショナルセンターまでもが、「有事立法は基本的に必要である」という見解を明らかにした。
 北朝鮮への排外主義ナショナリズムの洪水のような宣伝によって、事の本質が隠され、誰もそうとは気づかないうちに、憎悪と恐怖が時代の精神になろうとしている。
 だが、少しでも目をこらせば、今起きている事態の本質は鮮明である。有事関連三法は、北朝鮮への侵略戦争を視野に入れた戦争遂行法であり、国家総動員法だ。この法律で鉄道は「指定公共機関」に定められた。政府が「武力攻撃事態」を宣言した場合、われわれ鉄道に働く労働者には業務従事命令が発せられることになる。戦争の歯車として組み込まれたのだ。
 また、外への戦争の野望は内に向けた労働者への戦争とひとつのものだ。実際、有事立法の制定と同時に進んだのは、大多数の労働者を不安定雇用に突き落とす労働法制の抜本改悪であり、使用者に解雇の権利を与え、労働者の諸権利を解体する最後の扉を開け放つ攻撃であった。すでに一割の世帯が年収一五〇万円以下という状態に突き落とされている。戦争と一体で、労働者の生きる権利が奪われようとしている。
 また、国労臨大闘争弾圧に見られるような労働運動への弾圧、不当逮捕−長期投獄攻撃が相次いでいる。まさに戦争が至るところで増殖している。
 戦争と大失業の根はひとつだ。資本主義体制は万策つきて、戦争という暴力的な手段と、労働者を虫けらのように犠牲にすることによってしか生きていけないのである。
 われわれは、歴史の大きな分岐点にたった。有事立法を完成させない闘い、有事立法−戦争を発動させない闘い、そして有事立法に従わない戦争協力拒否の闘いが、労働運動の重要な課題として浮上している。これは平和を求める労働者の特別の任務だ。われわれはこの闘いが大きな困難を伴うであろうことを承知している。この闘いは強靭な団結がなければ闘えない課題だ。広汎な連帯を必要とする闘いだ。有事立法が発動された場合、それに抗する闘いは、密集せる反動と対決しながら、長期にわたる抵抗を貫いて戦争をストップさせるという厳しい闘争にならざるを得ない。しかしわれわれは、人類の歴史の裏切り者になることはできない。
 有事立法を阻止するためにナショナルセンターの枠をこえて結集した 陸・海・空・港湾労組20団体は、新たな闘争宣言を発している。われわれもまた、イラク戦争に反対し、有事立法の制定を阻止するためにストライキに起ちあがった。労働運動の再生に向けて、この闘いをどこまで広く、深く燃え上がらせることができるのか、大切なのは今だ。
 鉄道を戦争のために使わせるわけにはいかない。われわれは戦争の加担者になることを拒否する。労働者の団結した闘いこそが戦争を止める力だ。われわれは、アジア−世界の民衆と連帯し、力を合わせて戦争反対の闘いに起ちあがる。平和のための任務として一切の戦争協力を拒否する。われわれは未来への希望を自らの手で築きあげるために、二度と過ちは繰り返さない。
 右、決議する。
二〇〇三年六月二八日 
国鉄千葉動力車労働組合
第四九回定期委員会 

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週刊『前進』(2109号3面4)

自治労運動の階級的再生へ ■横浜大会に向けて訴える■ (1)

 賃下げ容認の自治労中央
 「人勧完全実施」路線は破綻 労働者の団結力で賃上げを
 人勧と公務員賃闘

 自治労第74回定期大会が8月26〜29日、横浜市のパシフィコ横浜で開催される。今大会は、有事3法成立と北朝鮮侵略戦争の切迫情勢下での、労働者の戦争動員と国労5・27臨大闘争弾圧のような治安弾圧による団結解体攻撃との闘いだ。「外への侵略戦争、内への階級戦争」に対して自治体労働者の総がかりの決起が求められる。一昨年来の「自治労不祥事」についてあいまいな決着を許さず、真の「自治労再生」、すなわち階級的自治体労働運動の復権をかちとらなければならない。そのために、自治体をめぐる攻撃と自治労方針に対する現場からの批判を行っていく。

 公務員を襲う終身雇用解体

 03春闘において、資本家階級は攻撃をエスカレートさせた。日本経団連の『03年度版経営労働政策委員会報告』と『活力と魅力溢れる日本をめざして』(奥田ビジョン)がそれである。このままでは日本帝国主義が「崩壊していく」という危機感をむき出しにして、「ベアゼロは当たり前」「定期昇給解体」「賃上げ要求をするな(=春闘の終焉)」と労働者を恫喝し、労働組合の変質を迫っているのだ。
 95年の日経連『新時代の「日本的経営」』で打ち出した、終身雇用制・年功賃金制破壊の攻撃を貫徹する資本家階級の意思をあからさまに表明したものだ。
 これに対し、連合中央は賃上げ闘争を放棄し、昨年12月の「政労使合意」で全面屈服した。これが資本家階級を勢いづかせ、多くの労働者にベアゼロや賃下げをもたらした最大の要因であることは言うまでもない。連合中央はまさに弾劾と打倒の対象である。
 これらの攻撃は、公務員労働者も無縁ではない。終身雇用制解体と賃下げ攻撃は公務員労働者を全面的に制圧することなしには貫徹できないからだ。
 戦後の公務員労働者の賃金は、「人事院勧告」(地方公務員は都道府県などの人事委員会勧告)によって決定されてきた。この人勧制度は、憲法が保障する労働基本権を剥奪(はくだつ)する「代償措置」として設けられたものと説明されてきた。公務員制度改革をめぐる議論の中で、あらためてその違憲性、「国際的労働基準」からの逸脱が問題にされている。
 人勧制度は、公務員労働者の賃上げを求める強い声に上からふたをする役割を果たしてきた。また、職種による給料表の差別(一般行政、現業、医療、研究など多数)、「標準職務表」による差別(職位〔ポスト〕により適用される級を決定する)など多くの差別構造を温存・固定したことも忘れてはならない。これに対して、公務員労働者は「人勧体制打破」を掲げて全国統一闘争や中央大集会を闘った。また「先進的な自治体に追いつこう」という「到達闘争」が各地で取り組まれた。

 マイナス勧告実施を要求?!

 その後、財政危機や不況を理由にして、勧告の「値切り」(実施時期を繰り下げたり、賃上げ幅を圧縮すること)や「凍結」が強行されることがあった。それ以降「人勧完全実施」が、一部に批判の声を残しながらも、スローガンとして定着した。
 しかし、ここ4年続いた「マイナス勧告」で、「完全実施」路線も行き詰まりを見せた。多くの職場組合員から、「われわれの賃金を引き下げる勧告の完全実施をなぜ求めるのか」という批判の声が起こったのだ。そして、02年8月、人事院が史上初めて「給料表のマイナス改定」を勧告するに及んで、「完全実施」のスローガンは最終的に破綻したのだ。
 賃金は不利益不遡及(そきゅう)の原則が支配する。したがって、さすがに人事院も給料表のマイナス改定は勧告の翌月からとした。しかし実際には「情勢適応の原則」というペテン的手法を使って、4月からのマイナス分を期末手当か年度末手当で削減する減額調整措置をとった。

 人事院訴訟も取り下げ図る

 当然にも、現場には驚きと不満と怒りが渦巻いた。これに押されて自治労中央も、02年山口大会では「減額調整措置は容認できない。全国一斉に訴訟を起こそう」と方針化した。ところが、その舌の根も乾かぬうちに、今年8月の横浜大会では「人事院との長期にわたって培ってきた関係を重視する」として、人事院を相手にした訴訟を取り下げる方向である。理由は高度成長がまったく望めないこと、公務員制度改革の動向とあいまって「人事院を敵に回すのは損」という打算である。
 代わって、8月の人事院勧告がなんとかマイナスにならないよう、あるいはせめて給料表のマイナス改定は避けるようにと、闘いを「交渉」に押し込めた。この交渉は「諸手当の削減による賃下げはやむなし」という合意が含まれている。つまり自治労中央自ら人勧維持のために賃下げ容認に踏みきろうとしているのである。断じて許せない!
 自治労中央や公務員連絡会の人勧ぶら下がり路線は完全に破綻しているのである。
 公務員労働者が血を流して獲得してきた現業調整手当や特勤手当などの削減や廃止をめぐる攻防はすでに火を噴いている。03年秋季確定闘争は、公務員制度改革や人勧制度とともに、戦後続いてきた公務員賃闘の枠組みが抜本的に転換し、公務員労働運動の団結を根こそぎ解体する攻撃との大決戦となる。
 公務員賃金は何によって決まるのか。この古くて新しい命題の回答はただひとつである。「生活できる賃金」「大幅賃上げ」を求めて、職場労働者の団結を力にして実力で獲得することである。団結してストライキを背景に実力で賃上げをかちとろうではないか。
 (自治体労働者 望月一夫)

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週刊『前進』(2109号4面1)

イラク派兵法案阻止せよ 占領軍に加わり武力行使
 連日の国会行動と7・18闘争へ

 今国会で審議されている「イラク復興支援特別措置法案」=自衛隊派兵法案と11月1日に期限が切れるテロ対策特措法を2年延長する改正案について、政府・与党は7月4日、「イラク復興支援特別措置法案」を政府案のまま、与党単独で衆院通過を強行した。テロ対策特措法改正案は当面先送りするという。今月上旬にはPKO協力法に基づき航空自衛隊のC130輸送機を小牧基地(愛知県)からヨルダンに派遣しようとしている。米英帝のイラク侵略戦争、軍事占領・再植民地化攻撃に日帝・自衛隊が全面参戦することを断じて許すな。参院での法案絶対阻止へ、国会闘争と小牧現地闘争、7・18闘争に総決起しよう。

 米英に次ぐ「第三の敵国」 侵略戦争の戦場に派兵し人民虐殺も辞さない日帝

 小泉政権が今国会成立を目指す「イラク復興支援特別措置法案」の核心は、米英帝国主義のイラク侵略戦争とその継続としての軍事占領への自衛隊の派兵である。帝国主義的石油強奪のイラク・中東侵略戦争に日帝が参戦し、戦後初めて、戦場となっている他国の領土で武力行使しようとしている。もって北朝鮮侵略戦争への軍事的制約を取っ払おうとしているのである。
 イラク現地では、米英帝は、かいらい政権のデッチあげも不可能な中で、直接の治安弾圧体制の軍事占領と植民地化政策を強行している。これに対してイラク人民は、大規模な大衆的反米デモや広範な支持に支えられた対米英軍のゲリラ戦闘など、不屈の抵抗闘争を展開している。帝国主義のイラク侵略戦争とその継続としての植民地戦争とイラク人民の民族解放・革命戦争の発展が真っ向から激突しているのだ。5月1日にブッシュが「戦闘終結」を宣言してからも米英兵を標的にした攻撃が連続し、すでに60人を超える兵士がせん滅されている。
 日帝は今も戦闘が続くイラクに、「人道復興支援」「安全確保支援」(法案第1条ほか)と称して陸海空3自衛隊1千人の大規模派兵を画策しているのだ。自衛隊の海外派兵としては過去最大の規模である。防衛庁は、陸上自衛隊の活動内容を@バグダッド空港近くなどでの給水や浄水、配給、A治安維持にあたる米英軍などへのガソリンなどの補給、B傷病兵など人員・物資の輸送や救援物資の輸送調整などと発表している。だがこれは、米英帝のイラク侵略戦争と軍事占領に日帝・自衛隊が全面参戦し、戦うイラク人民と戦火を交えイラク人民を虐殺することを意味する。
 石破防衛庁長官は国会審議の中で、自衛隊がイラクに携行する武器について「法的制限はない」と主張し「装輪装甲車や無反動砲も必要」と言っている。武器使用基準については、国会審議に時間がかかることを回避するために法的な緩和は行わず、武器使用の手順を定める「部隊行動基準」(ROE=交戦規則)の大幅変更・緩和をもくろんでいる。そして「自爆テロには武器使用」(6月27日)と、公然とイラク人民に銃を向け虐殺することを宣言しているのだ。
 しかも日帝は今回のイラク派兵について、「組織的な戦闘は終結した」「非戦闘地域で活動する」「テロは戦闘行為ではない。正当防衛で反撃しても武力行使にはあたらない」というペテン的論理で合理化・正当化しようとしている。しかしこれは、かつての中国侵略戦争において、戦争を「事変」とごまかして泥沼的に戦線を拡大し、中国人民の抗日ゲリラを「匪賊」と称して虐殺したのとまったく同じ論理である。
 日帝は、自衛隊によるイラク人民の虐殺や自衛隊兵士が戦死者を出すことさえ追求している。自民党の久間は「自衛隊員が死亡することもあるかもしれない……それを恐れて、何もしないという選択はできない」と公言している(6・18毎日新聞)。日本の労働者階級人民は、これまでの自衛隊の海外派兵とはまったく次元を画する重大問題に直面しているのだ。軍服を着た労働者階級である自衛隊兵士が戦後初めて、侵略戦争の戦場で侵略の銃を握ろうとしているのだ。
 イラク人民の「日本は米英に次ぐ第三の敵になる」という警告はあまりに重大である。イラク派兵法案絶対阻止へ総決起しよう。

 軍事力で征服し石油強奪 イラク国営の石油部門を民営化し米国企業が支配

 日帝・自衛隊が参戦を狙うイラク侵略戦争とはどのような戦争なのか。
 第一に、国連に議席を持つ主権国であるイラクを、米英帝国主義が巨大な軍事力で征服(軍事占領と政権転覆)し石油を独占するという強盗戦争である。しかも「イラクが大量破壊兵器を保有している」という証拠をねつ造し国連決議もなしで戦争を強行した。
 かつて日帝は、満鉄の権益や軍需物資の確保のために、柳条湖事件(関東軍が満鉄線路を爆破し、軍閥の張学良軍の犯行とみせかけた)を口実に、軍事力で中国東北部に「満州国」をデッチあげた。国際連盟が派遣したリットン調査団は「満州国」を認めず、日本を含む列強の共同管理下に置くことを主張した。日帝は国際連盟を脱退し、泥沼の中国侵略戦争に踏み込んでいった。
 今回のイラク侵略戦争は、この戦前日帝の「満州国」デッチあげのような第2次世界大戦以前に典型的だった露骨な侵略戦争、いやそれ以上に凶暴な戦争の再現である。だが、このような侵略戦争に訴えざるを得ないほど米帝の危機の深さは絶望的なのだ。
 第二に、70年代に中東を席巻した石油国有化の波と産油国で構成される石油輸出国機構(OPEC)に対する歴史的反動として植民地主義丸出しの公然たる石油強奪を行おうとしていることである。
 イラクは1921年、オスマン帝国崩壊後に英帝の委任統治のもとで王国として建国された。この時、50年にわたりイラク石油会社が発見する油田は英国の管理下に置くという協定が結ばれ英国はイラク石油を占有した。第二次大戦後もイラク石油は米英が独占的に支配し、イラクの石油収入はほとんどなかった。
 しかし72〜75年、バース党政権のもとでイラクは国内の外国系石油会社をすべて国有化した。この石油国有化の波はサウジアラビア、クウェート、アブダビ、カタールに広がり、原油価格から産油量まですべてが石油輸出国機構(OPEC)の主導で決まるようになった。帝国主義の石油支配はアラブ・ナショナリズムの決定的挑戦を受けたのだ。73年の第4次中東戦争では、OAPEC(アラブ石油輸出国機構)は原油価格の引き上げや生産削減という石油戦略を発動した。この結果、原油価格は約4倍になり、イラクの石油収入も大幅に増加した。
 フセイン体制下のイラクでは、石油部門をはじめ主要産業のほとんどは国営だった。米英軍の占領統治下で「米国流」の経済改革が進められているが、それは石油部門を中心に主要な国営企業を民営化し、それを米帝資本がまるごと支配するということだ。そして世界2位の埋蔵量を誇るイラクの石油を米英帝が排他的に支配し、OPECに対しても強力な支配権を及ぼそうとしているのである。
 第三に、米帝は争闘戦を激化させ、他帝国主義を排除して資源(石油)や市場を独占するために侵略戦争に訴えた。
 レーニンは『帝国主義論』の中で、帝国主義による植民地の略取について以下のように指摘している。「植民地市場では、独占的方法によって競争者を排除し、供給を確保し、適当な『結びつき』を打ち固める等々のことが、よりたやすいからである(いや、時としては植民地市場でだけそういうことが可能だからである)」
 今回のイラク侵略戦争は、このレーニンの指摘を文字どおり地で行くものである。イラクの国有化された石油を米英帝が奪うために、主権国であるイラクを征服(軍事占領と政権転覆)し、フセイン政権との間で結ばれた仏独ロの油田開発などの権益を粉砕し、米軍の占領統治下で国営の石油部門を民営化し、米国の石油企業が排他的に支配することを戦果として獲得しようとしているのだ。
 実際すでに、国連の「石油と食糧の交換」計画は停止され、5・22国連決議をも背景にイラク石油は米国管理下に置かれている。米帝は、「石油と食糧の交換」計画による食糧の配給も廃止し、石油利権をまるごと、殺到する米国の石油企業に売り渡そうとしているのだ。戦後復興の利権もすべて米帝資本が独占しようとしている。
 世界大恐慌と米帝の歴史的没落、世界経済の縮小と分裂・ブロック化の中で、米帝ブッシュ政権は、侵略戦争によって資源や市場を独占し、他帝国主義との争闘戦に勝利して延命しようとしているのである。まさに三度目の帝国主義世界戦争への道である。
 「この『獲物』の分配は、世界的に強力な、頭のてっぺんから足の先まで武装した2〜3の強盗ども(アメリカ、イギリス、日本)の間で行われ、そして彼らは、自分たちの獲物の分配をめぐる彼らの戦争に世界を引きずり込むのである」(同『帝国主義論』独仏語版の序文)
 だがそこにはなんの展望もない。イラク人民の抵抗闘争の激化・拡大で米英軍の長期駐留は不可避であり、米帝はイラク侵略戦争が泥沼化したまま北朝鮮やイランへ侵略戦争を拡大しようとしている。またイラク侵略戦争で米帝経済は好転せず、むしろ戦争の泥沼化の矛盾と負担は米帝経済へのボディブローとなる。
 そして米国内の資本攻勢の激化、福祉や教育の切り捨てなど、米帝国内の階級矛盾は一層深まり、米労働者階級人民の闘いは国際的内乱と結びついていく。

 戦争のできる国への飛躍 イラクの次は北朝鮮への侵略出兵を狙っている!

 日帝・自衛隊のイラク派兵とは、この戦後史を画する凶悪きわまりない石油強奪の強盗戦争に日帝が参戦するということであり、自衛隊がイラク占領軍の一角に加わり、イラク人民に侵略の銃を向けることを意味するのだ。イラク人民を抑圧・虐殺し、イラク人民の民族自決権を圧殺してイラク再植民地化に加担・協力することで、帝国主義的権益を得ようとしているのだ。
 「石油のための侵略戦争反対」という国際反戦闘争のスローガンは、そのまま日帝と自衛隊に向けられなければならない。
 かつて朝鮮・中国−アジアに侵略戦争を繰り広げ、アジアをめぐる米帝との激突で決定的に敗北した敗戦帝国主義・日帝が戦後再び、頭のてっぺんから足の先まで武装した強盗帝国主義として世界に登場しようとしている。この意味するところは実に重大である。有事3法の成立と自衛隊イラク派兵の策動は、米帝ブッシュの世界戦争路線に対して、日帝が共同的=競合的に侵略戦争にトコトン突き進む階級的決断をしたということである。
 日帝は、海上保安庁が撃沈した「不審船」を一般公開するなど、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)への排外主義扇動を強めている。そして、万景峰(マンギョンボン)号を始め年間約1400回日本に寄港する北朝鮮の船舶すべてに船舶検査=臨検を実施することを決め、入港拒否や事実上の経済制裁を始めている。さらに送金停止や貿易停止を狙っている。米帝は、国連安保理で北朝鮮の核不拡散条約(NPT)違反を非難する声明採択を工作し、北朝鮮で建設している軽水炉型原発の建設事業の停止を求める方針を固めている。また在韓米軍と在日米軍の再配置・強化を進めている。
 小泉政権は、北朝鮮に対する戦争重圧政策へと決定的な踏み切りを行い、米帝ブッシュ政権も北朝鮮侵略戦争策動をさらに一挙に強めている。自衛隊のイラク派兵は同時に、米日帝の北朝鮮侵略戦争を射程に入れて日帝の軍事的制約を決定的に取っ払うことを狙ったものであり、米日帝の北朝鮮侵略戦争の策動をさらに強めるものとなるのだ。
 日帝の排外主義攻撃と対決し北朝鮮侵略戦争阻止を鮮明に掲げた反戦闘争をつくりだそう。民主党の裏切り、野党の総屈服を許すな! 反戦共同行動委員会が呼びかける7・18集会(東京・大阪)に決起しよう。

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週刊『前進』(2109号4面2)

米帝ブッシュの世界戦争計画暴く (2)

 戦争発動で世界の再編狙う 対日想定し対中国戦争計画
 01年9月QDR

 ブッシュ政権は、2001年9月30日にQDR(4年ごとの戦力見直し)を発表し、世界戦争戦略を公式に打ち出した。米帝ブッシュは、9・11反米ゲリラ戦争による世界支配−階級支配の危機を逆手にとって、以前から準備してきたこの01年QDR路線をアフガニスタンやイラク、北朝鮮への侵略戦争として直ちに発動し始めた。

 2大戦域戦争戦略から転換

 QDRとは、ソ連崩壊後のアメリカの軍事戦略と戦力の再構築を定めた1993年ボトムアップレビュー(戦力編成の全般的見直し)を4年ごとに改定するためのものである。
 ボトムアップレビューは、「軍事力で経済を巻き返し、他帝国主義にうち勝つ」というクリントン政権の経済安保戦略の基礎となったもので、イラクと北朝鮮の軍事侵攻による戦争を想定し、「ほぼ同時に発生する2つの大規模地域紛争で戦い勝利する戦力」を保持する「2大戦域戦争戦略」をとっていた。クリントン政権はこの経済安保戦略によって日帝を歴史的没落にたたき込んだが、世界的な過剰資本・過剰生産力状態の中で、結局は米経済バブルも崩壊した。米帝はいよいよ危機と没落を深め、ついに29年型世界大恐慌の過程が始まったのだ。そうした危機の中で、ブッシュ政権は実際に戦争を発動することで帝国主義間争闘戦に勝ち抜く路線をもって登場したのだ。
 01年QDRは、「2大戦域戦争戦略」から転換し、「グローバルに大規模戦闘作戦を遂行する」「重なって発生する大規模紛争で侵略を速やかに撃退し、その一つで体制変革や占領を含め決定的に勝利する」という軍事戦略を打ち出した。具体的には中国スターリン主義との世界戦争級の大戦争を戦略的に構えながら、イラク、北朝鮮を先制的に攻撃し体制を転覆することで世界支配を再編していこうとしている。それをもって、日帝やEU帝国主義などを組み伏せて、世界戦争で米帝の延命を図ろうとしているのだ。

 露骨な「新帝国主義宣言」

 01年QDRは第一に、「米国の国益」の排他的な強要を行動原理とするいわゆる「ユニラテラリズム」の観点で米軍戦略を発動することを鮮明にした。
 「米軍の目的は米国の国益を守り推進すること、そして抑止ができなかった場合には、こうした利益への脅威を決定的に撃破することだ」「米国の利益が守られているときは、米国と友好国は平和と自由によって繁栄することができる」
 QDRは「米軍の目的」が米帝の帝国主義的な利益を戦争で推進することだと言い切った。そして米帝の利益に従うことで友好国もおこぼれにあずかれると、露骨な「新帝国主義宣言」を行った。「決定的な撃破」とは、「軍事占領」や「体制変革」を意味する。米帝がイラクで行っているように、米帝の国益にとって「脅威」と見なした存在を攻撃し、軍事占領と再植民地化を進めるということだ。これに従わない帝国主義は徹底的にたたき伏せ、粉砕するということだ。
 01年QDRは第二に、「非対称的脅威」=反米ゲリラ戦争からの米本土防衛を最優先課題にあげるとともに、あらためてアジア重視を押しだした。
 「アジアは、大規模な軍事的対抗を起こしやすい地域へと徐々になりつつある」「優れた資源的基盤を持つ軍事的対抗者がこの地域に台頭してくる可能性が存在するのだ。東アジア沿岸は、特に課題をかかえた地域だ」
 ここでアジアとは中東から北東アジアまでの地域全体を指し、インド、パキスタン、イラク、イランなども想定した表現になっている。しかし、「東アジア沿岸は、特に」と指摘しているように、「軍事的対抗者」とは、何よりも中国のことであり、また同時に日帝のことである。「敵は、戦略的縦深性を利用する可能性も高い」「敵の領土の奥深くの固定目標・移動目標も精密に攻撃できる」戦力が必要だとしているのは、明らかに中国との戦争を想定したものだ。
 米帝は中国との世界大戦級の戦争を構えて、北朝鮮侵略戦争を強行し、その中で日帝を組み伏せようとしている。日帝はこの米帝戦略に必死で対応し、米帝の北朝鮮侵略戦争に共同的=競合的に参戦することで、戦争のできる帝国主義へと決定的に飛躍し、帝国主義間争闘戦に勝ち抜こうとしているのだ。

 巨大な革命的情勢が到来へ

 第三に、01年QDRの際だった特徴は、米帝があらゆる「脅威」に直面し、それらは「予測不可能」であると強調していることだ。
 「この国には多くの脅威があり、脅威には多くの形がある。それは大規模戦争から姿なきテロの脅威にまでわたっている」「冷戦時代と違い、現在では、すべての大陸で、広範な敵に対して、米国の軍事的介入または活動が要求されている」
 米帝は9・11で米帝の世界支配の崩壊を突きつけられ、被抑圧民族人民と労働者階級人民の決起で打倒される恐怖を感じた。米帝は、@ソ連スターリン主義が崩壊し、米帝(帝国主義)の歴史的没落が進行する中で、旧スターリン主義圏や残存スターリン主義の問題が世界支配の危機と破綻(はたん)を拡大し、A新植民地主義体制諸国で反米帝の民族解放闘争が爆発し始めた、Bこれらに対応して世界中で侵略戦争を行い、世界を再編しなくては打倒されかねないと絶望的に凶暴化しているのだ。
 01年QDRは、こうした認識のもとに、米軍戦略を「脅威対応型」から「能力対応型」に転換するとしている。すなわち「脅威」を特定し、それに見合う戦略を立てるのではなく、世界支配を再編する米帝自身の軍事戦略に基づいて、米帝の側から先制的に戦争を発動していくということだ。
 さらに米帝は、こうした世界戦争戦略の発動が被抑圧民族の予想を超えた反撃や他帝国主義の対抗的な軍事大国化を引き起こすことをも想定し、「誰が敵になり、どこで戦争が発生するか」はわからないと、他帝国主義との戦争をも射程に入れた戦力再編と軍拡を進めるとしている。
 総じて、01年QDRは世界大恐慌過程と米帝の世界支配の崩壊が始まる中で、米帝ブッシュが世界戦争戦略を発動していくことを打ち出したものだ。それは第2次世界大戦に向かう過程をも上回る現状破壊性をもって世界秩序を破壊し、世界戦争か世界革命かを問う巨大な階級決戦を到来させている。イラク反戦闘争で示された世界人民の闘いと、イラク人民の新たな民族解放・革命戦争への決起はそれを証明している。
 自衛隊のイラク派兵阻止と北朝鮮侵略戦争阻止へ全力で闘おう。(早乙女優)

 米日軍事動向年表

91年1月17日 イラク中東侵略戦争(湾岸戦争)
  12月   ソ連スターリン主義が崩壊
93年9月1日 ボトムアップレビュー
94年     北朝鮮侵略戦争の緊迫情勢
97年9月23日 日米新安保ガイドラインを締結
99年5月24日 周辺事態法成立
01年1月20日 ブッシュが米大統領に就任
  9月11日 反米ゲリラ戦争
  9月30日 米国防総省が01年QDRを発表
  10月8日 アフガニスタン侵略戦争が始まる
02年1月9日 NPR(核戦力態勢見直し)発表
  1月29日 一般教書演説で「悪の枢軸」発言
  8月15日 国防総省が02年米国防報告を発表
  9月20日 米国家安全保障戦略を発表
03年3月20日 イラク侵略戦争が始まる
  6月6日 武力攻撃事態法など有事3法成立

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週刊『前進』(2109号4面3)

日誌'03 6月24日〜7月1日
 米帝が臨検で国際連携構想 来年通常国会に国民保護法

●「イラク支援会議」日本が共同議長 「イラク復興」に向けた「支援国」国際会議が、日本などが共同議長になって10月に開かれる見通しとなった。(24日)
●クラスター爆弾「専守防衛の範囲」 クラスター爆弾を航空自衛隊が配備していた問題で、防衛庁は、「専守防衛の趣旨にかなう兵器」「わが国の領域外では使わない」との見解を示した。(25日)
●自衛隊派兵千人規模 イラク派兵法案が成立した場合、陸海空3自衛隊から1千人規模の過去最大規模の派兵を想定していることが分かった。「おおすみ」型の輸送艦と護衛艦をペルシャ湾に派兵する検討も。(26日)
●米高官「日本の旗を」 米ホワイトハウス高官が「ほかの支援国やイラクの人びとは、日本の旗をつけたトラックや飛行機が食糧や医療器具を運ぶのを見ることになる。それこそ望むところだ」と語った。(26日)
●「沖縄海兵隊は微調整」 米国防総省のロドマン次官補は米下院アジア太平洋小委員会の公聴会で、「沖縄の米海兵隊については、わずかな調整について話し合っている」と証言。在沖海兵隊については微調整になる見通しを示した。(26日)
●米が輸送機派遣を要請 イラクでの自衛隊活動をめぐり、米国防総省高官が、首都バグダッドを拠点に航空自衛隊のC130輸送機派遣と陸上自衛隊による陸上輸送や護衛を実施するよう求めていることが複数の日米関係筋の話で明らかになった。(26日)
●「自爆テロに武器使用」 石破防衛庁長官は衆院イラク復興支援特別委員会で、自爆テロについて「場合によっては武器使用もあり得る」と述べた。(27日)
●自衛隊活動地域は非公表 政府は、イラクに派兵する自衛隊の活動地域を公表しない方針を固めた。「基本計画」ではおおまかな活動範囲を示すにとどめ、公表しない「実施要項」に詳細。(27日)
●国民保護法制、来年国会提出を確認 「国民保護法制整備本部」の初会合が首相官邸で開かれ、年内に法案を作成し、来年の通常国会に提出することを確認した。(27日)
●米、臨検の国際連携構想 米政府は、北朝鮮やイランなどによる大量破壊兵器やミサイルの輸出を封じ込めるためとして、国際的な船舶・航空機の臨検体制の強化をめざす方針を固めた。@日米欧豪など11カ国を中核に、それぞれの現行法に基づき「有志連合」をつくるA国連制裁決議などをテコに、より強力な「新たな権限と枠組み」の構築を模索するという。(27日)
●安保常設機関を検討 政府が、米国の国家安全保障会議(NSC)のような組織を念頭に、安全保障政策について首相に助言する常設諮問機関設置の研究に着手したことが明らかになった。(28日)
●自衛隊、内部投書で出航中止 インド洋へ派兵が予定されていた海上自衛隊第1護衛隊群(神奈川県・横須賀基地)の護衛艦「しらね」をめぐり、昨年11月の出航直前に「機関の修理に不正があった」との海自内部からとみられる投書があり、急きょ出航が中止されていたことが分かった。派兵の過酷さが自衛官の間に広がり、派兵を嫌がる自衛官が投書した可能性があるという。(29日)
●公園に米軍ヘリ着陸 沖縄県名護市の21世紀の森公園に、負傷したキャンプ・ハンセン所属の軍人男性の搬送のため米軍ヘリ1機が緊急着陸した。(29日)
●日本企業のイラン油田開発、米が先送り求める 米政府高官が、日本企業によるイランの油田開発事業について、イランが核疑惑施設に対する国際原子力機関(IAEA)の追加査察を受け入れるまで、開発契約の調印を延期すべきだとの考えを日本政府に伝えたことを明らかにした。(30日)

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週刊『前進』(2109号5面1)

被爆58周年 8月ヒロシマ−ナガサキ反戦闘争へ
 北朝鮮侵略戦争と対決し反戦反核大行動に立とう 帝国主義の核戦争阻む闘いを
 深沢 明夫

 日帝・小泉政権による有事3法の成立強行と、イラク侵略戦争・朝鮮侵略戦争への参戦の切迫という重大な情勢の中で、被爆58年目の8・6ヒロシマ―8・9ナガサキ反戦・反核闘争が闘われる。「再び戦争を繰り返すな! 繰り返させるな!」の固い決意のもと、全国から大結集しよう。

 自衛隊イラク出兵絶対阻止へ闘おう

 有事3法の成立と、これに続くイラク派兵新法案の制定策動は、日本階級闘争をまったく新たな段階にたたき込んだ。自国帝国主義がすさまじい対北朝鮮排外主義をあおり立てて、ついに公然たる侵略戦争に踏み出したのである。日帝は、戦後的な制約の一切を取り払い、労働者階級への一大資本攻勢と侵略戦争への総動員を一体の攻撃としてかけてきている。それはこれまでのあらゆる労働運動、反戦運動の枠組みを上から破壊し、連合中央や既成政党の総翼賛化という事態を生み出している。こうした中で、労働者階級はある種の無防備状態におかれ、重大な危機に直面している。
 しかしこの事態は、連合中央や民主党が帝国主義の最悪の救済者として、日本経団連「奥田ビジョン」の推進勢力として登場していることによって、ギリギリのところで支えられているに過ぎない。連合中央や民主党が戦争推進勢力に成り果てたとしても、労働者人民は日本帝国主義が再び侵略戦争に踏み出すことなど断じて認めてはいない。
 今日、日本階級闘争の大地から、あらゆる水路をとおって労働者人民の新しい決起が始まっている。陸・海・空・港湾労組20団体を先頭とした有事法制に反対する広範な闘いは、「職場が戦場になる!」という激しい危機感から発せられた根底的決起である。6・10日比谷集会を新たな出発点として、「有事法制の発動を許さない、戦争をするためのさらなる法整備を許さない、戦争への協力を断じて拒否する」を掲げ、新たな闘いに立ち上がっている。そして反戦闘争と経済闘争の先頭に立っているのが、戦争突入情勢下で72時間ストを打ち抜き闘う動労千葉であり、国労5・27臨大闘争弾圧と闘う国労組合員である。
 さらに教育基本法改悪に対して、教育労働者を先頭に猛然たる反撃が始まっている。組合的団結を破壊するための新人事評価制度や「日の丸・君が代」強制、中高一貫校への「つくる会」教科書導入などに対して、広島を始め全国の教育労働者が「教え子を再び戦場に送るな」を掲げて闘っている。教育基本法改悪―憲法改悪に対する全人民的な闘いは、すでに激しく火を噴いている。こうした闘いに恐怖した国粋主義右翼の「6・27広教組銃撃事件」などから闘う教育労働運動を守り抜き、日教組の戦闘的再生をかちとらなくてはならない。
 今春のイラク反戦運動は国際反戦運動と連帯して実現された。既成の枠を食い破り、とりわけ若者を中心に始まった新たな決起は、本質的に帝国主義の打倒までやむことのないものである。そして今夏、イラク反戦闘争・有事立法闘争の中で決起した若者が、全国から被爆地に集い、被爆者の闘いに学びながら、「再び戦争を繰り返さない!」を合言葉として、核と戦争を許さない若者の世界宣言を発しようとしている。
 今夏反戦反核闘争に立ち上がり、自衛隊のイラク出兵を絶対阻止しよう。

 7・5被爆者大集会と連帯し8月へ!

 核戦争前夜情勢の中で、被爆者が積もりに積もった怒りを解き放ち、根底的な決起を開始した。7月5日、被爆地ヒロシマで、被爆者自身の手による自主的で主体的な被爆者大集会がもたれようとしている。これまでのあらゆる被爆者団体の枠組みを取り払い、核と戦争の一切の根源である帝国主義を告発する根底的決起が始まったのだ。
 「ブッシュ大統領へ
 わたしたちにはもう『明日』がありません。そう思うわたしたちは、この時、真実の叫びを心の底から発しなければなりません。
 明日ではおそい。その余生がもうなくなってしまいます。
 はっきり言いましょう。わたしたちは、ただ、黙りつづけ何も言わずに一生を終えることはできません。
 人類の未来のためです。
 人間の歴史を永久のものにするためです。…
 ブッシュ大統領、はっきり答えてください。
 いまも強力な原爆をつくり実際に使用しようとしています。
 アフガニスタン・イラクで放射能兵器ウラン弾を投下して、幼い子どもを多く放射能の犠牲にしているのはなぜですか。…
 人類の歴史は全地球の生命を奪う権利をあなたの政権に委ねたことは絶対にありません。…
 最初の核戦争をくぐり生きてきたヒバクシャはブッシュ大統領に直言します。…平和公園の慰霊碑の前で、原爆投下の行為を謝罪し、つぐないとして核兵器を直ちに廃絶することをヒロシマに、世界に宣言してください。…
 ヒバクシャは核廃絶の日まで生きる、生きねばなりません。核兵器なき世界をこの目で確かめるまで」(『7・5ヒロシマ ヒバクシャ アピール』より)
 この被爆者の“最後の叫び”とも言うべきアピールは、戦争と核の一切の根源である帝国主義に対する、被爆した労働者階級としての階級的人間的怒りそのものである。帝国主義戦争がもたらした“生き地獄”の中を生き抜いてきた被爆者が、自らの全存在をかけて、再びヒロシマ・ナガサキを繰り返そうとしている帝国主義を告発している。
 被爆者は、戦後一貫して日米帝国主義によって切り捨てと抹殺の攻撃にさらされてきた。「核爆発によって生じる放射能はすぐ消滅する」と言って、救護所の設置も認めず、その死を抹殺し続けてきた米占領軍。そして日帝もまた「放射能は社会生活に影響しない」と居直り、被爆者のガン、肝機能障害、放射線白内障などを「原爆との因果関係が証明されない」として、原爆症認定を拒否し続けてきた(被爆者手帳取得者26万人のうち、原爆症認定者は3千人に満たない!)。こうした中で、被爆者それぞれが分断され、既成の原水禁運動の中でその怒りを抑え込まれてきた。
 しかし被爆者は、再び帝国主義が世界戦争・核戦争の過程に突入してヒロシマ・ナガサキの惨劇を繰り返そうとしていること、何より自国政府が有事3法をもって本格的な北朝鮮侵略戦争に踏み込んだことに対して、「もう黙っていられない!」という根底的決起を始めた。在日朝鮮人被爆者の壮絶な闘いにも学びながら、北朝鮮への排外主義キャンペーンを打ち破って新たな決起を開始したのである。反戦被爆者の会と全国被爆者青年同盟は、その歴史的成功のために最先頭で闘っている。
 こうしたあらゆる水路からの人民決起のうねりを、8・6―8・9反戦大行動に大合流させよう。「再び戦争を繰り返させるな!」という被爆地からの訴えは、侵略戦争突入情勢下で巻き起こるあらゆる階層の怒りと行動への要求をひとつにまとめ上げ、巨大な反帝決起・革命的大衆行動の奔流としていくカギをなしている。8・6―8・9反戦反核闘争の大高揚で、労働者人民は歴史的総反撃に立ち上がろう!
 今やヒロシマ・ナガサキの闘いは、オキナワの反基地闘争と並んで、闘うアジア人民・全世界人民の共同の闘いとして発展してきている。この地平をさらに推し進め、アジアと世界の反戦運動のメッカとして8・6―8・9反戦反核闘争を、日本の労働者の事業として闘いとろう!

 戦争と核の根源=帝国主義を倒せ

 米英帝国主義のイラク侵略戦争は世界史を一変するような現状破壊性をもっている。イラクに続いて、イランに対するIAEA(国際原子力機関)を使った戦争重圧、そして北朝鮮への「核兵器開発」デッチあげをもってする侵略戦争発動情勢、そのすべてが3度目の世界戦争をたぐり寄せている。しかも米帝ブッシュははっきりと核戦争を決断し、踏み込んでいる。
 「衝撃と恐怖―ヒロシマ的心理効果を与える」作戦と銘打ったイラク侵略戦争によって、イラク全土は無差別爆撃と劣化ウラン弾の放射能汚染にじゅうりんされた。劣化ウランの放射線量は、湾岸戦争だけでヒロシマ型原爆の3万6千倍と言われたが、今回はそれをはるかに上回る量が、しかもイラク全土に襲いかかったのである。今後長期間にわたってこの放射能による大量の犠牲が強制されようとしている。この事実を全世界の労働者人民、イスラム諸国人民を始め被抑圧民族人民は絶対にあいまいにしないだろう。そしてすでにイラク人民、パレスチナ人民を始めとしたイスラム諸国人民は連日にわたる米帝打倒のゲリラ戦や民衆蜂起に立ち上がっている。
 さらに米帝ブッシュが、北朝鮮への核先制攻撃を具体的に想定し、地中貫通型小型核兵器の研究開発に着手したことを絶対に許してはならない。国防長官ラムズフェルドは「(北朝鮮の)地下壕にある大量破壊兵器を飛散させることなく破壊するには核兵器使用しかない」と強弁している。しかしこれはまったくのデマゴギーである。小型と言っても威力は広島型原爆の3分の1であり、大量の放射能が地上にばらまかれ、放射能汚染の影響は朝鮮半島を飲みつくし、東アジア一帯の環境をも破壊するのである。まさにヒロシマ・ナガサキが朝鮮半島で繰り返されようとしている。
 日本帝国主義はこの恐るべき侵略戦争に全面的に参戦しようとしているのである。そして有事3法によってすべての労働者人民を動員していこうとしている。
 北朝鮮侵略戦争は、東アジアだけでなく、世界を一挙に戦争―核戦争にたたき込むものだ。この歴史的事態を前にして、労働者人民はいかなる立場で、いかなる闘いを対置するのか。
 この戦争の本当の原因が帝国主義とその世界支配の危機そのものにあることをきっぱりと見抜き、戦争と核の一切の根源である帝国主義と対決して闘う、ということだ。「テロが世界を危機に追い込んでいる」「拉致もテロだ」「北朝鮮が核兵器を開発し、世界秩序を脅かしている」――こういった一切のデマゴギーを粉砕しよう。帝国主義は自らの存亡の危機の中で、帝国主義的強盗の利害のために侵略戦争を発動している。イスラム諸国人民、南北朝鮮人民の闘いはこの帝国主義の暴虐と真っ向から対決する民族解放をかけた決起であり、この闘いと連帯して、ともに帝国主義を打倒して闘う中に労働者階級の真の解放の道がある。
 労働者人民は、自らにかけられたすさまじいリストラ、首切り、賃下げ、団結破壊、「暴力行為」デッチあげ弾圧などの攻撃と、イラクや北朝鮮に対する侵略戦争とがまったく一体であり、帝国主義の危機にかられた絶望的な攻撃であることを見抜いて闘わなければならない。職場から学園から街頭から、あらゆる水路から、自国帝国主義に対する内乱的闘いをたたきつけよう。自国帝国主義が侵略戦争に乗り出そうとしている今、自国政府の敗北を望み、それどころか自国政府が戦争に敗北するように働きかけよう。

 民主党・連合中央、日共の屈服許すな

 今、連合中央や民主党、そして日本共産党などあらゆる既成勢力が、自国帝国主義の戦争政策との対決において屈服し、戦争翼賛勢力に成り果てている。だが、巨万の革命的大衆行動が、こうした翼賛勢力の制動を突き抜けて発展していこうとしている。再び戦争を繰り返そうとしている今こそ、戦後日本帝国主義の最大の弱点であった戦争問題=戦争責任問題を徹底追及し、一挙に反撃に転じようではないか。8・6―8・9反戦反核闘争をその闘いへの突破口として大爆発させよう!
 「戦争を繰り返すな、繰り返させるな!」の共同スローガンのもと、朝鮮・中国・アジア人民、イスラム諸国人民の闘い、そして米・欧の反戦闘争などとの熱い国際連帯の闘いを実現しよう。それはすでに理念的確認ではなく、実体的に躍動感をもって進行している。この地平をさらに発展させよう!
 北朝鮮への排外主義と対決し、朝鮮・中国人民と連帯し、北朝鮮・中国侵略戦争を阻止する広範な革命的大衆行動を実現しよう。戦争協力拒否、有事立法粉砕、イラク新法阻止の大運動を組織しよう。陸・海・空・港湾労組20団体の闘い、動労千葉を始めとした国鉄・全産業労働者の闘いと結合して闘おう。
 教基法改悪と対決する広範な統一戦線を実現しよう。日教組中央の屈服を許さず、闘う教育労働者を先頭に、「教育を戦争の道具にするな」「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンを掲げて闘いぬこう。
 8・6―8・9反戦反核闘争に、全国の若者・青年労働者の総決起を実現しよう。被爆者の闘いに学び真に継承する闘いは、自国帝国主義との対決に向かう決定的水路である。創意あふれる闘いで、独自の結集軸をもって闘おう。
 核戦争責任・被爆責任を徹底追及し、ブッシュ・小泉の戦争政策を糾弾し、反戦運動の先頭に立つ被爆者解放運動と連帯しよう。被爆者抹殺・英霊化攻撃を粉砕し、反戦被爆者の会・全国被爆者青年同盟の戦略的前進、高陽病院建設運動の発展を闘いとろう。故友野幽被青同前委員長の遺志を引き継いで闘いぬこう。
 日帝の核武装阻止へ、「もんじゅ」闘争、六ケ所村核燃サイクル基地建設阻止闘争など、全国の反核運動との連帯をかちとろう。
 こうした闘いをとおして、労働者階級・労働組合の中に分け入り、連合中央や全労連の支配を下から覆し、激動期における一大階級決戦の真っただ中で、労働者細胞を基礎とした労働者党建設を成し遂げよう。

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週刊『前進』(2109号5面2)

8・6−8・9反戦反核闘争日程

 主催 被爆58周年8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会
●東京 ■7月20日(日)
 反戦反核の集い
 午前10時 高円寺会館(杉並区高円寺北2−1−2)
●広島
 ■8月5日(火)
 ヒロシマ反戦反核の集い
 午後4時 アステールプラザ(広島市中区加古町4−17)
 ■8月6日(水)
 小泉首相出席弾劾! 祈念式典糾弾デモ
 午前7時 東千田公園(旧広島大学本部正門)
 8・6ヒロシマ大行動参加
 正午 県立体育館小アリーナ(主催 8・6ヒロシマ大行動実行委員会)
●長崎
 ■8月8日(金)
 長崎市内・中心地デモ
 午後3特 長崎市中央公園
 被爆58周年8・8長崎反戦集会
 午後5時 長崎県勤労福祉会館大ホール(長崎市桜町9−6)
 ■8月9日(土)
 爆心地・長崎市内デモ
 午前10時 天主公園(浦上天主堂前)

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週刊『前進』(2109号5面3)

対角線 民主党現地報告のウソ

 有事立法に賛成した民主党は6月2日から1週間、イラクに現地調査団(団長=末松義規衆院議員)を送った。
 報告書は言う。「米軍攻撃(バグダッド)は、かなり正確なミサイル・ピンポイント攻撃であり、地上戦の痕跡はあまり見られない」「限定された軍事目標のみ被害をもたらした程度」
 多数のイラク軍兵士を米英が虐殺したこと自体が不正義だが、民主党はこのことをまったく問題にしない。
 その上で、「限定された軍事目標のみに被害」と大うそをついている。
 民主党議員は何を見てきたのだ? 調査団が見たバグダッドに限っても(ほかの地域の被害状況には関心がないのか)、3月26日、住宅地爆撃で住民15人が殺された。同28日にはナセル市場がミサイル攻撃され、市民58人が殺された。4月7日、マンスール地区が空爆され市民14人が死亡した。同日バグダッド北部の浄水場も空爆され、広範な地域で断水した。このようにたくさんの民間人が殺されているのだ。
 さらに劣化ウラン弾が大量に使われ、今後イラクの子どもたちに白血病・ガンなどの放射線被害の多発が憂慮される。
 報告書はこうしたことを、まったく語らない。
 そして言う。「むしろ主要な被害は、戦争時の広範な強盗・略奪・放火によって生じたもの」!
 事実は正反対だ。米占領軍こそが強盗を働き、銃で脅してドル紙幣や自動車を奪っている(たとえば、7・1毎日を見よ)。それを、「治安維持の要は米英軍が担っている」とは!
 報告書の結論はこうだ。「最近の武装反乱活動などを考えると、現在の防護武器や、武器使用基準では不十分」と。だから自衛隊は、相手を殺せる装備と体制で乗り込めと言いたいのだ。
 現地に行きながら民衆の声を一声も聞かず、「国益」の立場からこんな侵略出兵賛美論を「現地報告」と銘打って主張するとは! 民主党よ、恥を知れ!
 (N)

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週刊『前進』(2109号5面4)

新刊紹介 コミューン 8月号 ていねいなQ&A

 本号の特集は、かつてなくていねいに、分かりやすいQ&Aになっている。
 現在、戦争、労働法制改悪、既成政党の歴史的な転向という情勢を受けて、かつてなく広範な人民が、あらためて世界を根本から考え直したいと思っている。この特集は、そうした仲間のさまざまな疑問にていねいに答えている。疑問への解答を示すだけでなく、疑問を自分自身で考え、解明していくための方法、姿勢について述べている。
 役立つ資料も、グラフや文献の引用などの形で提供されている。ものごとを根本から考えていくための考え方、考える姿勢とはどういうものかが、こうした精選したデータに基づいて、具体的に明らかにされる。
 第1章は、天文学的な対外債務にあえぐアメリカ経済の破産を軸に、帝国主義、侵略戦争、世界戦争について考える。暴力革命、対カクマル戦についてのさまざまな疑問についても真っ向から答える。
 第2章は、『共産党宣言』の階級闘争を軸にした考え方を貫いて、なぜ革命が必要か、なぜ革命が可能かを明らかにする。そして、戦争と国内人民への攻撃に対して、労働者階級が団結して闘う道を考える。
 討議資料は、イラク派兵法案に対する鋭い批判文である。付属の資料として、イラク派兵法案の原文および米英の独裁的なイラク占領支配=事実上の植民地化を容認した国連の5月22日の「イラク制裁解除決議」を掲載する。

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週刊『前進』(2109号6面1)

蘆溝橋事件から66年 7・7自己批判から33年
闘うムスリム・アジア人民と連帯し帝国主義打倒へ労働運動の前進を
 五十嵐 茂生

 帝国主義の危機が爆発し、「戦争と大恐慌」の時代が到来した。イラク・北朝鮮侵略戦争情勢の進展は革命的情勢の急速な接近を告げ知らせている。この中で民主党と連合、日本共産党の裏切りは日本階級闘争の主体的危機をもたらすと同時に、新たな階級的流動と分岐を生み出している。今こそ、労働者階級は闘うムスリム人民、闘うアジア人民と連帯して、侵略戦争と資本攻勢の帝国主義を打倒する闘いに総決起しよう。新たな「社会主義と戦争」(世界大戦下のプロレタリアートの任務)の内容を作り出し、反帝・反スターリン主義世界革命に突き進む時が来たのだ。

 危機を爆発させ労働者に襲いかかる帝国主義

 米英日帝のイラク侵略戦争が継続・拡大し、これと連動して北朝鮮侵略戦争策動が激化している。こうした情勢の中で、労働者階級はいかに生き、闘うべきなのか。
 まず、帝国主義世界体制が崩壊し、29年大恐慌を上回る世界恐慌と大不況に突入し、世界経済の分裂化とブロック化が進行していることを押さえなければならない。帝国主義の基本矛盾が爆発し、基軸帝国主義・米帝はバブル崩壊から恐慌的過程に突入し、経済収縮、ドル暴落の危機に直面している。また日帝は90年代末から恐慌−長期大不況に突入し、泥沼的なデフレ・スパイラルにあえいでいる。今や世界的にデフレ危機が深まっている。死滅しつつある資本主義として帝国主義の生命力はもはや尽きている。
 こうした中で独仏を軸にEUが対米対抗的勢力圏として台頭し、米帝もNAFTA(北米自由貿易協定)などの囲い込みに向かっている。アジアでは中国市場の争奪戦をはじめ米・日・EU帝の帝国主義間争闘戦が展開されている。米帝の戦後世界支配体制は決定的に行きづまり、世界経済の分裂と国際争闘戦の重圧が米帝を圧迫しているのだ。
 こうした危機の突破をかけ、米帝は01年版QDRとブッシュ・ドクトリンをもって、軍事力の全面的行使によって世界支配を暴力的に再編する世界戦争計画を基本戦略にすえた。それは「9・11」に対する「対テロ戦争」と称して、アフガニスタン、イラクに対する侵略戦争として発動された。ブッシュはイラク、イラン、北朝鮮を「悪の枢軸」と呼んで全世界を侵略戦争にたたきこむことを宣言したのであり、究極的には中国スターリン主義の転覆がすえられている。その基底には対EU、対日帝の帝国主義間争闘戦が貫かれている。他帝国主義を弱体化させて中東やアジアの新植民地主義的支配体制を米帝が独占的に支配しようとするものである。
 しかし、それはEUや日帝の独自ブロック形成とそのための軍事展開力の保持への衝動を募らせるものとなる。実際、イラク開戦をめぐり帝国主義は米英日対独仏の2大陣営に分裂し、対立を深めている。イラク侵略戦争は帝国主義間争闘戦を激化させ、侵略戦争から第3次世界大戦の危機を醸成させたのだ。
 世界恐慌、ブロック化の進展に対し、帝国主義は平時の政治・経済的手段での解決能力を失い、一切を戦争的手段で突破する以外になくなっている。その中で帝国主義・資本は、自己の延命のために絶望的に凶暴化し、労働運動への圧殺を強め、一切の犠牲を労働者に転嫁する資本攻勢を激化させている。それは労働者の生きる権利を奪って、搾取・収奪を強めるものであり、さらに労働者を侵略戦争に動員する攻撃である。「戦争と大恐慌」の危機が爆発する中で労働者階級に対する戦争動員と大失業の攻撃が一体となって襲いかかっているのだ。

 歴史的大裏切りの民主党・連合許すな

 今こそ労働者階級は被抑圧民族人民と固く連帯して、帝国主義打倒へ総決起していかなければならない。米英帝のイラク侵略戦争が強行され、北朝鮮侵略戦争策動が強まる中、日帝は有事立法攻撃を加速し6月6日に採決を強行した。有事法制は米帝の世界戦争計画に対応し、日帝が米帝と共同・競合して北朝鮮侵略戦争に突入するための法制であり、侵略戦争国家への反動的飛躍を遂げようとするものである。
 6・6有事法制成立は、民主党と日本共産党の裏切りと屈服があってはじめて可能となった。労働者階級人民の必死の闘いを踏みにじる歴史的暴挙であり、徹底弾劾しなければならない。
 民主党・連合は、有事法制での裏切りと一体で、資本攻勢激化の労働法制改悪にも賛成している。700万の労働者を組織する大ナショナルセンターである連合は、帝国主義の側に階級移行した。それは帝国主義の延命を自らの使命とし、「侵略と戦争こそ国益」とする立場への転落である。連合中央は、労働者を侵略戦争に動員すると同時に、資本の生き残りのために労働者は犠牲になれということを推進しているのだ。
 民主党は、イラク・北朝鮮侵略戦争に早々と賛成し、帝国主義への投降を表明した。「日米同盟=国益」論や「北朝鮮問題とのリンク」をあげ、ブッシュの先制攻撃論を全面的に支持した。さらに、日帝以上の激しさで北朝鮮脅威論を展開し、万景峰(マンギョンボン)号の入港規制などの対北朝鮮強硬策を主張した。民主党は、もはやどんな意味でも労働者階級や被抑圧民族人民の利害を代表する立場を投げ捨てているのだ。
 民主党・連合は、「自国帝国主義の存亡の危機の問題をつきつけられるや否や、侵略と戦争の問題をつきつけられるや否や、これまでのあたかも労働者人民の利益を『防衛』してきたかのような立場、ふるまいさえもかなぐり捨てて階級移行」したのである。(高橋論文。清水丈夫選集第10巻所収)
 一方、日本共産党は第7回中央委員総会での綱領改定案をもって歴史的転向を遂げた。「労働者階級」の用語の一掃、自衛隊と天皇制の完全容認など、日本共産党はいかなる意味でも「体制の変革」を放棄し、「労働者階級の党」であることを否定して、「国民の党」として資本主義・帝国主義体制を防衛する側に立つことを宣言したのである。
 日本共産党が有事法制や労働法制改悪に屈服し賛成したことは、こうした日帝に対する綱領的屈服に規定されたものだ。7中総での綱領改定こそ有事法制成立と軌を一にした、この歴史的転向の決定的なメルクマールである。
 日本共産党は、世界革命の放棄と一国社会主義論を掲げるスターリン主義反革命の党である。その立場から労働者階級の帝国主義打倒の闘いを圧殺してきた。今や帝国主義が死の苦悶(くもん)にあえぎ、決定的な革命的激動期に突入している。この時に、日共は祖国防衛主義に転落し、共産主義を捨て去って、帝国主義と一体となって労働者階級自己解放闘争を圧殺することを表明したのだ。
 民主党・連合や日本共産党の存在を許しておいて労働者階級の未来はない。その屈服と裏切りを労働者人民に暴露し、のりこえて闘い、打倒・一掃しよう。

 イラク派兵・北朝鮮侵略戦争阻止の共同闘争を

 革共同の5月テーゼ−19全総−6回大会路線こそ、勝利の道である。このことに確信を持ち、それを全面的に実践してプロレタリア革命(日本革命・世界革命)の勝利へ突き進むことを熱烈に訴える。
 今日、階級情勢の核心問題は何か。一方で帝国主義の危機が全面的に爆発し、日帝が「戦争と大失業」の攻撃に絶望的に突進し、他方で民主党や日本共産党がこれに屈服し、挙国一致の戦争翼賛的転向が公然と始まったことにある。
 労働者階級にとって帝国主義を打倒しない限り侵略戦争に動員され、被抑圧民族人民の虐殺に加担させられ、自らも「戦争と大失業」の攻撃によって殺される時代が来た。しかも、有事体制下での治安弾圧攻撃が激化し、排外主義と戦争翼賛イデオロギーが吹き荒れ、これに労働運動内部からの裏切りが加わることで、労働者階級はとてつもない試練と困難を強いられる。
 だが、危機なのは帝国主義であり、20年代、30年代をはるかに上回る革命的情勢が急接近しているのだ。こうした時代、まさに「危機は好機」なのであり、帝国主義を打倒する決定的情勢が訪れていることを明確にしなければならない。
 労働者階級は、本質的にも現実的にも帝国主義と非和解である。「戦争と大失業」攻撃が労働者階級と被抑圧民族人民の生活と生命を徹底的に破壊し、じゅうりんするものであることをとらえて、階級的・人間的怒りを爆発させて決起する存在である。どんなに厳しい反動攻撃が襲いかかろうとも、根底においてそれらを打ち破り必ずや闘いに立ち上がる。
 3月末の動労千葉72時間ストライキは、3・20イラク開戦の大反動と03春闘の危機と真っ向から対決し、労働者階級の団結した闘いこそ危機を打ち破り、情勢を打開する力があることを示した最先頭の闘いだ。
 さらに陸・海・空・港湾労組20団体による5・23−6・10の闘いは、国際階級闘争の軍勢としての日本労働者階級の新たな胎動である。20労組を先頭に広範な労働組合が、有事法制=自国帝国主義の戦争との重々しい闘いに、怒りを爆発させて階級的決起を開始したのだ。
 有事法制、労働法制などをめぐる動労千葉や20労組の闘いこそ、民主党・連合や日本共産党、全労連の裏切りを弾劾し、のりこえる闘いである。このような労働組合の存在と闘いがある限り、「戦争と大失業」をめぐる攻防はけっして終わらない。動労千葉や20労組の闘いを守り抜き、発展させ、労働者階級総決起の壮大な展望を切り開こう。
 民主党や連合の戦争翼賛、帝国主義的労働運動への怒りと弾劾が労働者の中からわき起こっている。また日共中央への不信と反乱が噴出し、全労連内部に大流動情勢が生まれ、それが連合の分岐と流動に連動している。
 今、問われているのは革命党の問題である。今日の階級情勢が革命的共産主義者とその党にとって決定的情勢の到来であることをはっきりさせることだ。労働者階級の解放を実現する闘いの中に、全人民の解放を導く普遍性が存在する。このマルクス主義の労働者階級自己解放闘争論の神髄を今こそ発揮する時だ。その根源的力は団結である。だからこそ、労働者階級は労働組合を組織して闘う。だが同時に、労働者階級の最高の団結形態であり、最高の意識形態である革命党の存在なくして、労働者階級の勝利はない。革命党が労働者階級の中に深々と広大に根を張って、その先頭に立って闘うことが求められている。
 5月テーゼ−19全総−6回大会の方針で一致し、全力で労働運動・労働組合運動決戦に立ち上がろう。民主党と連合、日共と全労連の転向と屈服をのりこえ、03年後半決戦勝利と、21世紀のプロレタリア革命の勝利のために全党が一丸となって突き進もう。

 イラク特措法案阻止国会闘争に立とう!

 イラク侵略戦争は何よりもイラク人民虐殺の戦争として遂行された。米英帝は、イラク人民の血の犠牲の上に、独仏をたたき出してイラク石油を強奪しようとしている。そればかりか、全中東支配の暴力的再編に向かってイランへの攻撃とパレスチナ「和平」策動を決定的に強めている。米軍15万人、英軍5万人をはじめ15カ国の軍隊がイラクを軍事占領し、イラク人民虐殺の侵略戦争を継続・激化させている。しかし、この軍事支配・植民地化に対してイラク人民は決死のゲリラ戦争に決起し、米軍に打撃を与えている。それは「9・11」で始まった中東・ムスリム人民の民族解放・革命戦争を引き継ぐものである。すでに「イラク復興」と称した米帝の軍事支配は完全に破産しているのだ。
 この中で日帝は、自衛隊を戦後初めて戦場に派兵するイラク派兵新法を強行しようとしている。米英帝とともにイラク人民を虐殺し、イラク−中東石油を強奪しようとするイラク派兵新法を絶対に許してはならない。7月延長国会決戦に決起し、廃案に追い込もう。
 こうしたイラク情勢と完全に連動し、北朝鮮侵略戦争情勢がますます緊迫化している。4月の米朝中協議を皮切りとする米韓、日米、日韓の各首脳会談、さらにエビアン・サミットをとおして北朝鮮侵略戦争策動は決定的に激化した。これらは米韓軍事演習、駐韓米軍の再編、沖縄米軍基地のハブ化など米帝が激しい対北朝鮮軍事重圧を加える中で行われ、また日帝もスパイ衛星打ち上げや有事立法攻撃を北朝鮮に加えた。日米帝は「追加的措置」や「より強硬な措置」として北朝鮮のミサイル輸出を口実に経済制裁発動の攻撃を強めた。とりわけ、5・15衆院有事法制通過後の5・23日米首脳会談で、ブッシュは「北朝鮮の核兵器開発の完全な、検証可能な不可逆的な廃棄以外に何も受け入れられない」と強硬な姿勢を示し、小泉も「北朝鮮の核保有は一切容認できない。対話以外に圧力が必要」と述べ、対北朝鮮の戦争攻撃をエスカレートさせた。
 この中で日帝は、国家権力、右翼が一体となって北朝鮮侵略戦争策動のための排外主義攻撃を大々的に展開し、さらに自民党・麻生が暴言を吐き、北朝鮮・万景峰号の6月9日新潟港入港を断念させた。それ以外にも北朝鮮船舶には徹底的な検査を行うとして、入港制限や入港禁止の攻撃を加えている。事実上、臨検が発動されたのであり、経済制裁へと向かう攻撃である。と同時に、朝鮮総連をつぶし、在日朝鮮人の生活を破壊し圧殺する攻撃である。
 これに対し、新潟労組交流センターの労働者は断固たる抗議デモに立った。排外主義暴力が制圧する中、体を張って北朝鮮侵略戦争阻止に決起し、日帝や民間右翼、反革命どもを打ち破ったのだ。自国帝国主義の侵略戦争を阻止する闘いとして画期をなす闘いである。
 このような帝国主義のイラク・北朝鮮侵略戦争の攻撃を絶対に許してはならない。労働者階級人民は、闘うムスリム人民、闘う南北・在日朝鮮人民と連帯して闘おう。労働者自己解放闘争の重要な一環をなす7・7路線(被抑圧民族人民の民族解放・革命戦争との連帯路線)の飛躍的前進を実現しよう。

 労働者階級の団結固め排外主義攻撃うち破れ

 2〜3月、イラク反戦闘争の大高揚は、米・ANSWERや英・戦争阻止連合をはじめ帝国主義国における新たな労働運動潮流が軸に座り、国内のムスリム勢力と連帯する闘いとして切り開かれた。「戦争反対、人種差別反対、資本攻勢反対」の統一スローガンを掲げた画期的闘いであった。それは「9・11」で始まったムスリム人民、被抑圧民族人民の決死の糾弾にこたえ、反戦・反帝国主義の国際的内乱を大きく飛躍させる闘いである。そして、日本における動労千葉や20労組の闘いは、こうした闘いの一翼を担ったのである。
 また南朝鮮・韓国では、民主労総が反戦闘争と労働運動を一体的、戦闘的に闘っている。盧武鉉(ノムヒョン)政権のもとでの激しい資本攻勢に対し、民主労総はくり返しストライキ、ゼネストを対置して反撃している。昨年来の反米・反基地闘争をはじめ民主労総はあらゆる闘いの軸に座り、労農連帯−全人民的統一戦線を形成している。民主労総は、イラク反戦闘争では全世界のナショナルセンターに国際連帯闘争を呼びかけ、イラクに組合員を派遣して闘った。この呼びかけに対して連合は、3・10北朝鮮声明を出し、侵略戦争に加担する立場を表明する許しがたい裏切りでこたえたのだ。
 日本の労働者階級人民は全世界の労働者階級と被抑圧民族人民の闘いとともに、自国帝国主義打倒の旗を高々と掲げて国際連帯闘争に総決起していこう。
 有事法制を制定し北朝鮮侵略戦争に突き進む日帝との闘いにおいて、「北朝鮮脅威」論や国益論といった排外主義攻撃と対決し粉砕することは、労働者階級にとって重要な課題となっている。
 まず何よりも、朝鮮半島をめぐる戦争危機の元凶は米日帝国主義にあることをはっきりさせなければならない。「北朝鮮脅威」論は、帝国主義が北朝鮮の金正日・スターリン主義政権の転覆を目的とした侵略戦争を合理化するためにある。「北朝鮮が戦争の原因」であるかのように見せかけるために「核兵器開発」について平然とデマを並べたてているのだ。
 日米帝の戦争目的は何か。ブッシュ・ドクトリン、「奥田ビジョン」の中にはっきり示されている。米帝は、中国スターリン主義の転覆を究極の国家戦略にすえており、そのためには朝鮮半島支配の再編を不可欠としている。一方の日帝もまた、「東アジア自由経済圏」を打ち出し、新たな大東亜共栄圏構想をもってアジア再侵略を本格化させようとしている。そのために朝鮮の軍事占領・再植民地化に突き進もうとしているのだ。
 また、朝鮮半島の南北分断について、日米帝にこそ責任があることを明確にしなくてはならない。50年朝鮮戦争、65年日韓条約、94年朝鮮危機と、日米帝は戦後一貫して北朝鮮の転覆を狙い、軍事重圧を加え続けてきた。
 北朝鮮スターリン主義は南北分断の一方の当事者であり、世界革命を放棄し、民族解放闘争を歪曲して労働者階級の闘いと切断し、帝国主義の戦争攻撃に対して反人民的な軍事挑発路線で対抗してきた。拉致事件は、その反人民的政策の一環として引き起こされたものであり、けっして許されないものである。
 しかし、だからといって、帝国主義が侵略戦争によって金正日政権を転覆していいとは絶対にならない。朝鮮のことは朝鮮人民自身が決めるのである。朝鮮人民の南北体制打倒、南北分断打破・革命的統一の闘いに連帯し、侵略戦争に突き進む自国帝国主義を打倒することでこたえよう。有事法制制定を弾劾し、イラク・北朝鮮反戦闘争に決起する南北朝鮮人民・在日朝鮮人民と連帯して闘おう。
 さらに日帝の朝鮮植民地支配に対する国家的責任がなんら果たされていないことをあらためて想起する必要がある。関東大震災での朝鮮人虐殺、日本軍軍隊慰安婦問題、強制連行・強制労働など日帝が強制してきた幾多の犠牲に対し、朝鮮人民は必死に糾弾し、その責任を追及して闘っている。これに断固として連帯して闘おう。

 入管法改悪阻止せよ

 現在、有事法制と一体で入管法改悪案が提出されている。民主党は、有事法制での裏切りと同様、対案を出す裏切りを行っている。朝鮮侵略戦争に伴う難民の日本渡航を排除する攻撃であり、絶対に阻止しよう。有事体制下での治安弾圧攻撃に先行して、在日・滞日人民への排外主義弾圧が激化している。難民認定申請者に対する長期収容、退去強制の攻撃を許さず、品川・牛久・茨木・大村など入管収容所に対する闘いを進めよう。
 反戦闘争と資本攻勢との闘いを一体のものとして推進する労働運動決戦において一切の土台は労働組合の闘いにかかっている。とりわけ「奥田ビジョン」は、「要求し変革する」労働組合から企業・国家防衛主義の労働組合、つまり「産業報国会」への変質を迫り、労働組合あげて侵略戦争に動員しようとするものだ。
 国労5・27臨大闘争弾圧を粉砕する闘いは、有事体制下での階級的労働運動の防衛と再生をかけた最先端の攻防である。この弾圧は、労働組合への治安弾圧であり、何よりも闘争団切り捨て−国鉄決戦圧殺の攻撃である。また、有事法制、個人情報保護法、共謀罪新設などの攻撃と一体である。この闘いを、「戦争と大失業」の攻撃に対して労働者階級が階級的団結を固めて反撃する闘いの軸にすえて闘おう。「許さない会」運動を全国的に強化して闘おう。
 労働法制改悪と連合中央の屈服を徹底弾劾し、国鉄、全逓、自治労、教労の4大産別での労働運動決戦に断固躍り込もう。連合指導部の裏切りに対する労働者の怒りを組織し、全逓大会決戦に続き、夏の各産別大会決戦に勝利しよう。
 プロレタリア自己解放の思想と実践を貫き、労働運動をめぐる大決戦に決起し、その一環をなす7・7路線の前進をかちとろう。
 反スターリン主義・革命的共産主義運動の飛躍を実現するために、今こそ革共同を国際主義的単一党として建設しよう。

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週刊『前進』(2109号6面2)

名護・辺野古 カヌーで海上デモ ボーリング調査阻止訴え

 6月28日、名護市の新基地建設が策動されている辺野古の沖で抗議のカヌーデモと集会が行われた。呼びかけたのは、辺野古の命を守る会とヘリ基地反対協。現在、防衛施設庁が強行しようとしているボーリング調査の即時中止を訴えた。
 昼から新基地建設予定の海域にカヌー23隻が漕ぎ出し、沖合2`の予定海域を目指した。約20分かけて到達した参加者は、2500b滑走路の巨大さを実感。新基地が建設されれば「美(ちゅ)ら海」がたちまち「死の海」になってしまうと肌身に感じた。
 集会に先立って、辺野古の浜では参加者250人による「NO BASE(基地)」の人文字も描かれた。
 集会ではヘリ基地反対協共同代表の安次富浩さんが「辺野古の海域は生活と生産の場として守り継がれてきた。ボーリング調査自体がこの海を破壊し、ジュゴンを追い出すことになる。基地建設の既成事実化を許さない闘いを今日からつくっていこう」とボーリング調査阻止を訴えた。
 命を守る会や二見以北十区の会を始め地元の住民団体から次々と辺野古の海を守り抜く決意が語られた。
 若者代表は、「守る会小屋のおじいやおばあから『わったーがここで反対している限り絶対基地はできないよ。やんばるのうっそうとした森の木々も最初は一個の種から始めるんだから。まず最初の一人がふんばることが大切なんだよ』と教えてもらった。この精神で自分も最後まで頑張ります」と決意を語り、会場を沸かせた。
 日帝・防衛施設局は名護市民の強固な基地建設反対の決意を転覆するため、ボーリング調査と称して事実上の杭打ちを強行しようとしている。63本もの巨大な鉄塔を辺野古の海に打ち込めば、それ自体が計りしれない自然破壊を引き起こし、事実上の工事着工を意味する。それは名護市民に対して「反対してもムダ、基地反対をやめよ」という攻撃そのものだ。
 名護市の隣・金武町で起きた米海兵隊員による住宅地域での女性暴行事件が県民に衝撃を与えている。
 集会翌日の29日には、名護市内のラグビー場に「急患発送」を口実に米軍ヘリ1機が強行着陸した。米帝の戦争突入情勢下で沖縄北部・名護に基地被害が集中しようとしていることに、名護市民の怒りは極限まで高まっている。
 全力で沖縄闘争に立ち上がろう! 名護新基地建設を全国の力で阻止しよう!

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週刊『前進』(2109号6面3)

富山大自治会 スヤンサン号 入港拒否撤回を 富山県庁に抗議

 6月12日に富山港への入港を拒否された北朝鮮船籍の貨物船スヤンサン号が、停泊を余儀なくされて10日以上が経過した24日、富山大学学生自治会は、県庁の労働者へのビラまきを行い、中沖富山県知事と港湾課に抗議申し入れをしました。(写真下)
 対応に出てきた港湾課課長補佐と主幹は、「差別ではない」「拒否はしていない」と逃げ回ったあげく、学生の鋭い追及についに「県として入港申請が出ても入港を認めない方針」「北朝鮮の船は不備が多いから厳しい対応をしている」と、結局PSC(ポートステートコントロール)を口実にして北朝鮮の船をねらいうちして入港を拒否しているという県当局の本音を吐露しました。
 参加した学生は、北朝鮮への経済制裁−戦争につながる差別的対応を即刻やめ、入港拒否を撤回するよう強く抗議し、申し入れました。
 学生たちはこの1週間キャンパスで「経済制裁反対・入港拒否弾劾」のクラス討論・決議を積み上げ、“北朝鮮侵略戦争阻止!”を闘ってきました。
 スヤンサン号への入港拒否は、新潟県での万景峰(マンギョンボン)号の入港取りやめに続く、差別・排外主義の扇動であり、有事法体制下での経済制裁から実際の侵略戦争に突入していく過程そのものです。
 第一に、富山県が入港拒否の理由にしているPSCは、安全上不備のある船舶に改善を要求することであり、最大の措置としても出港の差し止めです。県の入港拒否は「北朝鮮の船だから」という理由だけの差別的取り扱いであり、北朝鮮への敵視政策です。
 第二に、県の入港拒否は有事法制のもと、戦争の第一段階である経済制裁の先行的発動です。日米首脳会談で合意した「経済制裁を含む北朝鮮へのより強硬な措置」の手始めに、在日朝鮮人の北朝鮮との交易を妨害し、経済制裁を発動しようとしています。
 第三は、県の対応は北朝鮮への差別・排外主義をあおり、侵略戦争の実質的発動です。
 扇国土交通相は「日本をなめている」と言い、県知事も議会で「付近の住民に不安を与えている」と答弁しています。意図的な北朝鮮への差別・排外主義に基づく行為であり、絶対に許すことはできません。富山県は即刻やめるべきです。
 (富山大 U)

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週刊『前進』(2109号7面1)

労働者の階級的闘い否定し「資本主義の枠内」を絶対化
 日本共産党新綱領案の大転向
 高田 隆志

 前号1面で弾劾したとおり、日本共産党はその反革命路線を完成する綱領全面改定を行おうとしている。6月の第7回中央委員会総会で採択、約5カ月の全党討論を経て、11月22日に開く第23回大会で決定するとしている。今回の綱領改定は、現綱領の全面改定であり、61年の第8回大会での綱領と比べると共通するところはほぼ皆無、いわば新綱領に等しいものである。それは、スターリン主義党としての破産の表明であり、根本的路線転換と言いうるものである。しかもその内容は、これでも「共産党」の名を名乗り続けるのか、と誰もが疑問に思うほど、今日の戦争と大失業の時代に対決する姿勢を完全に失った、帝国主義擁護の綱領案にほかならない。

 団結の抹殺と闘いの抑圧

 第一に断罪しなければならないことは、この新綱領案には労働者階級の立場に立って闘うということが完全になくなっていることである。大恐慌情勢の中で、労働者階級に対する資本攻勢はますます強まり、資本家階級と労働者階級との非和解的対立が一層鮮明になってきている時に、日本共産党は階級政党であることを最後的にやめ、国民政党になることを宣言したのである。これは労働者階級に対する敵対宣言であると言わなければならない。
 94年の綱領改定の際、それまでの「人民」という語を大幅に「国民」に変え、その違いについて、「国民とは支配者も含めたすべての国民」と説明した。これは階級闘争の思想の否定を意味するとわれわれは批判した。今回の改定ではこれを徹底化させ、「人民」は日本の人民を指す言葉としてはまったくなくなってしまった。つまり、「各国人民」とか「世界の人民」という言葉は残っているが、日本の人民はすべて「国民」に変えられた。
 階級政党であることをやめ、国民政党になる。これはかつて59年に西ドイツ社民党が「バートゴーデスベルク綱領」を採択し、「階級政党から国民政党への転換」を宣言し、国家の決定に共同参加していくこと、国防軍と和解すること、など帝国主義政党への路線転換を行ったことに匹敵する事態である。もっともこれによって日共が西ドイツ社民党のように連立政権の一翼を担うことが保障されたわけではない。
 この「国民」という言葉は、階級性の放棄である。労働者階級が団結してストライキなどの実力闘争で闘うこと、資本との力関係を転覆することを否定してしまっているのである。
 さらにまたこの「国民」とは、労働者の国際性への敵対である。つまり、日本国民以外を排除するものなのである。朝鮮・中国・アジア人民への抑圧の上に成り立っている日本帝国主義の現実をそのまま容認し、これと闘う人民を敵視しているのだ。現に、綱領案には在日の存在も、外国人労働者問題も、難民もまったくない。最も排外主義的な文書である。
 別掲の「消えた言葉」を見てほしい。これまでの綱領にあった「戦闘性」の残りかすのようなものまですべてこの際なくしてしまおうとしている。労働者階級の階級性、階級意識、階級的戦闘性、自己解放性の中に闘いの展望を見いだすのではなく、逆にそれを完全に抹殺する上に、彼らの「資本主義の枠内での民主的改革」は描かれているのである。

 「戦争用語」抜く

 不破議長は7中総の中で「なるべく戦争用語をぬくように努力している」などと言い、記者会見でも「(61年綱領のころは)勇ましい言葉が喜ばれた」(読売新聞6・24付)が、今はそうではないとしている。これは、帝国主義との階級的対決、戦闘的姿勢を綱領の上でも完全に一掃することで、支配階級に向かって「抵抗しません」「歯向かいません」と訴え、自らの無害性、有用性をアピールしているものである。
 現綱領では「わが党の当面する行動綱領」として並べていた闘争課題をなくし、改定案では「現在、日本社会が必要とする民主的改革の主要な内容」に編成がえした。これによって「すべての人民の要求と闘争を発展させる」という要素を一掃し、「資本主義の枠内での民主的改革」の中身を列挙することで、それを実現するための国会での議席獲得がすべてとなってしまうのである。いわば当面の闘争課題はなくなり、あるべき「新しい日本」の政府の政策が並べられるのである。もはや階級的闘いの一掃どころか、あらゆる人民の闘いが蒸発してしまっているのだ。議会主義の徹底、つまり人民の闘いへの敵対を綱領上でも明記したといえる。
 職場・生産点における闘いを土台に据えた労働者の階級的団結、労働組合の戦闘的決起、ストライキなどによって労働者の利益を自ら守る、という階級闘争のあり方を全面的に否定し、労働者の生活を守る「ルール」づくりの問題にしている。こうした綱領的基礎の上に、国鉄1047名闘争に敵対し国労の自己解体を進める日共革同の裏切り、「解雇権」を明記した労働基準法改悪の修正案に屈服・賛成した日共国会議員の裏切り、北朝鮮侵略戦争攻撃と闘わない日共指導部の裏切りが、現実にどしどし進んでいるのである。労働者は日共への投票以外に意味のない存在に落としこめられているのだ。
 新綱領案は、現実の労働者の闘いを否定した上で、「経済的民主主義」と称して、「『ルールなき資本主義』の現状を打破し、労働者の長時間労働や一方的解雇の規制を含め、ヨーロッパの主要資本主義諸国などの到達点も踏まえつつ、国民の生活と権利を守る『ルールある経済社会』をつくる」などとしている。
 新綱領案は、「社会主義革命」を明示に否定するとともに、資本主義の枠外にはみ出す運動、資本主義の枠を取り払い、資本主義社会を転覆する闘いに対して真っ向から敵対することを宣言したのである。

 自衛隊・天皇制容認明記

 戦後の日本資本主義について、新綱領案は、「日本は、これらの条件のもとで、世界の独占資本主義国の一つとして、大きな経済的発展へと進んだ。しかし、経済的な高成長にもかかわらず、アメリカに対する従属的な同盟という対米関係の基本は変わらなかった」としている。資本家階級と労働者階級の対立をまったく消し去り、高度成長そのものを肯定的に評価した上で、アメリカに従属していなければもっと素晴らしいという歪んだ総括をしているのである。
 これは、「アメリカの介入から日本経済(日本独占資本主義)を守る」という立場、日本の国益(日本の資本家階級の利益)を守ることを第一に置く立場に完全に移行したことを示している。
 また、安保のもとで日帝が自衛隊を軍隊として強化してきたことを押し隠して、「日本の自衛隊は、事実上アメリカ軍の掌握と指揮のもとにおかれており、アメリカの世界戦略の一翼を担わされている」としてしまっている。これはアメリカに従属しない、日本のための軍隊にするという主張である。自衛隊を日本国民のものに取り戻し、大いに活用しようと言っているに等しい。
 「日本とアメリカの関係は、対等・平等の同盟関係では決してない。日本の現状は、発達した資本主義諸国のあいだではもちろん、植民地支配が過去のものとなった今日の世界の国際関係のなかで、きわめて異常な国家的な対米従属の状態であって、アメリカの対日支配は、明らかに、アメリカの世界戦略とアメリカ独占資本主義の利益のために、日本の主権と独立を踏みにじる帝国主義的な性格のものである」(改定案)
 しかし、レーニン「帝国主義論」の見地から見て、日本がれっきとした帝国主義国であることは議論の余地がない。日本帝国主義は、敗戦帝国主義から復興し、世界第2位の経済力を持ち、G7の一角を占め、現に日米間の利害の対立から激烈な争闘戦を展開している。日米安保は従属同盟ではなく、帝国主義間の強盗同盟である。
 日共は、日米安保という強盗同盟のもとで、在日米軍がどれほど侵略戦争を繰り広げ、他民族虐殺を繰り返してきたかということをまったく見ない。それは、現に米帝が北朝鮮侵略戦争を開始しようとしており、日帝がそれに共同・競合して参戦するために有事法制を成立させたという時に、これに完全に屈服・合流するものであり、反戦闘争へのあからさまな敵対としてある。有事立法が、かつて日帝によって侵略された朝鮮・中国・アジアの人民にとってどれほど脅威であるかということが、ことがらの核心問題であるにもかかわらず、日本共産党は「自国の主権」を騒ぎ立てることで、祖国防衛主義をあおっているのである。それは、帝国主義の戦争への綱領的・実践的屈服と協力の宣言である。

 認証式にも出席

 「暫定政権」入りするという場合に、安保・自衛隊の容認とともに、もうひとつの大きなハードルになる問題が天皇制の問題である。日共が入閣する、つまり大臣になる時には、天皇による認証式という手続きがある。不破は綱領改定案に関する記者会見でこのことをきかれて、「認証は国家統治の意思の入らない(天皇の)国事行為で、以前から出席する態度を明らかにしている」と言っている。この「以前から」とは、98年の参院選後に、不破が「安保廃棄を凍結して」野党連合政権をめざすと表明した時に、自分が大臣になることを思い浮かべて「認証式は当然出る」と表明したことを指している。天皇の前にひれ伏しても内閣に入りたいということである。
 改定案から「君主制の廃止」を取り去ったことについて、不破議長は「主権在民の原則を明確にしている日本は、国家制度としては、君主制の国には属しません」と断言している(7中総)。
 日共は、皇太子の娘の誕生に際しての「賀詞」決議への賛成、皇太后の死に際しての不破の「弔意」表明、さらには国旗・国歌法制化への協力など、この間、実際に進んでいる天皇制攻撃に次々と屈服・協力してきた。日帝の北朝鮮・中国侵略戦争に向かっての天皇制攻撃の激化、教育基本法改悪・改憲攻撃に対して、抵抗しないことを約束するに等しいことである。
 自衛隊と天皇制を認めるということは、完全な体制擁護派として、体制に歯向かうものを弾圧する側に立つということである。自衛隊と天皇制という国家機構の最も重要な柱を守るということなのだ。より良い資本主義をめざすとして、「資本主義の枠」を守るためにあらゆることをするということである。

 非帝国主義的発展の幻想

 日共は、「帝国主義の侵略的本質は今日も変わっていない」という文章を削除し、帝国主義概念のレーニン主義的規定を、明示に自覚的に捨て去ることを宣言し、綱領の上でもそれを完成させた。
 不破議長の改定案提案報告では、次のように言われている。「この(レーニンの)時代には、帝国主義とは、独占資本主義の段階に到達した資本主義のことだ、あるいは、独占資本主義の国は帝国主義国となる、こう規定してほぼ間違いなかった」「ところが、二〇世紀の後半に、世界情勢には、この点にかかわる巨大な変化が進行した」と言って、「植民地支配を許さない国際秩序が生まれた」「植民地支配とその拡大を争っての戦争の条件がなくなった」、「『独占資本主義=帝国主義』という旧来の見方で世界を見てよいだろうか」「イラク戦争の問題をめぐって、独占資本主義国の間で、……アメリカ、イギリスと、これに反対するフランス、ドイツが対立しました。この対立を、帝国主義陣営内部の対立、矛盾と見てすむか、そうではなくなっている」と言っている。
 「独占資本主義国でも非帝国主義的な政策や態度をとることはありえる」「ある国を帝国主義と呼ぶときには、その国が現実にとっている政策と行動の内容を根拠にすべきである」。「こういう見地で見て、現在アメリカがとっている世界政策は、まぎれもなく帝国主義」であるが、「それを固定的に特徴づけているのではない」と押さえている。つまりアメリカも独占資本主義のもとで非帝国主義になりうる、というのである。
 これらの議論は、かつてレーニンが批判し壊滅的に粉砕したカウツキーの主張とうり二つである。そして、不破はそのことをよく知っていながら、「しかし、今では状況が違っている」と言って、カウツキー主義の旗を拾い上げて振りかざしているのである。
 植民地をめぐる争いはなくなったという世界認識がそもそもおかしい。イラク侵略戦争こそ、古典的とも言える帝国主義の本質を示しているではないか。ドイツ、フランスは帝国主義ではなくなったのか。日帝は帝国主義ではないのか。そうではない。石油と中東支配をめぐる帝国主義間争闘戦の爆発であり、戦後の帝国主義世界体制がついに戦争をめぐって二大陣営的に分裂した決定的な事態なのである。
 結局、不破は、帝国主義を階級的科学的にとらえることを完全に放棄し、帝国主義の基本矛盾の爆発、帝国主義戦争の不可避性ということを否定し、帝国主義のもとで戦争も失業もない社会が可能であるかのように宣伝しているのである。それは現に世界戦争に訴えることによってしか延命できなくなっている帝国主義に屈服するものである。労働者人民が帝国主義戦争に絶対反対して闘うこと、戦争の根源である帝国主義と対決して闘うことに、日本共産党は根本的に敵対しているのである。

 スターリン主義の延命策

 日本共産党は今、党勢後退とスターリン主義党としての存続の危機の中で、生き残りをかけた反動的転換路線に踏み込もうとしている。スターリン主義とは、ロシア革命によって突破口を切り開いた世界革命を、一国社会主義論によって裏切り、革命を圧殺してきた反革命である。その根本問題をごまかして日共は延命してきたが、ソ連スターリン主義の崩壊と帝国主義の基本矛盾の爆発という情勢の中で、最後的に破産し、あがき回っているのである。
 日本共産党の転向路線は、これまでペテン的にも掲げていた天皇制と自衛隊の廃止を完全に取り下げることで、形式上も日本において天皇制と自衛隊に反対する議会内政党がまったくなくなることを意味している。総翼賛化の完成のような事態なのである。ということは、社・共に代わる労働者党の登場がいよいよ待ったなしに求められているということである。
 ここまできてなお「日本共産党」という看板を掲げるのは、労働者人民をあざむくものである。どこに共産主義と共通するものがあるのか。
 筆者は3年近く前、『日本共産党―改憲派への転向』(前進社刊)のあとがきで、「日帝の危機の深化と階級闘争の激動化のなかで、日本共産党は『資本主義の枠内での民主的改革』をキーワードに掲げて、資本主義=帝国主義の打倒に反対し、資本主義を守る、社会主義を永遠の彼岸とすることを宣言した」と記した。そして、このキーワードが、今や日共の「民主主義革命」の内容として綱領の上に明記されるに至ったのである。
 体制擁護者、日帝の最後の番兵に転落した日本共産党を打倒し、のりこえる闘う労働者の党を今こそ登場させる時だ。
 すべての日本共産党員のみなさん。全労連傘下で闘う労働者のみなさん。「国民の党」の名のもとに、階級的労働運動に反対し、プロレタリア革命に敵対し、帝国主義に協力する日本共産党中央と今こそ決別し、革共同とともに闘おう。

キーワード  カウツキー主義

 第2インターナショナルの最大の権威だったドイツ社会民主党の指導者カウツキーは、「帝国主義は近代資本主義の政策の一つにすぎない」とし、「超帝国主義論」を説き、そのブルジョア的改良主義がレーニンによって壊滅的に批判された。カウツキーとその同調者は、第1次世界大戦に際して、祖国擁護主義に転落して自国政府の戦争に賛成する裏切りに走った。

●綱領案から消えた主な言葉

日本人民 帝国主義陣営 「万国の労働者と被抑圧民族団結せよ」 団結権、ストライキ権、団体交渉権 労働組合 国際連帯 階級的戦闘性 大衆的前衛党 革命権力 労働者階級の権力 人民革命

●新たに増えた言葉

国連憲章 平和の国際秩序 非同盟諸国首脳会議

 

日共の現綱領と改定案の比較

 
現綱領(94年改定)
改定案
天皇制 ▼現行憲法は、このような状況のもとでつくられたものであり、主権在民の立場にたった民主的平和的な条項をもつと同時に、天皇条項などの反動的なものを残している。天皇制は絶対主義的な性格を失ったが、ブルジョア君主制の一種として温存され、アメリカ帝国主義と日本独占資本の政治的思想的支配と軍国主義復活の道具とされた。
▼この(民族民主統一戦線の)権力は、労働者、農民、勤労市民を中心とする人民の民主連合の性格をもち、……独占資本の政治的・経済的支配の復活を阻止し、君主制を廃止し、……
▼(現行憲法で)形を変えて天皇制の存続を認めた天皇条項は、民主主義の徹底に逆行する弱点を残したものだったが、そこでも、天皇は「国政に関する権能を有しない」ことなどの制限条項が明記された。
▼天皇条項については、「国政に関する権能を有しない」などの制限規定の厳格な実施を重視し、天皇の政治利用をはじめ、憲法の条項と精神からの逸脱を是正する。
▼これは憲法上の制度であり、その存廃は、将来、情勢が熟したときに、国民の総意によって解決されるべきものである。
自衛隊 ▼日本の自衛隊は、事実上アメリカ軍隊の掌握と指揮のもとにおかれており、日本独占資本の支配の道具であるとともに、アメリカの世界戦略の一翼をになわされ、海外派兵とその拡大がたくらまれている。
▼党は、自衛隊の増強と核武装、海外派兵など軍国主義の復活・強化に反対し、自衛隊の解散を要求する。
▼日本の自衛隊は、事実上アメリカ軍の掌握と指揮のもとにおかれており、アメリカの世界戦略の一翼を担わされている。
▼自衛隊については、海外派兵立法をやめ、軍縮の措置をとる。安保条約廃棄後のアジア情勢の新しい展開を踏まえつつ、国民の合意での憲法第九条の完全実施(自衛隊の解消)に向かっての前進をはかる。
当面する革命 ▼現在、日本の当面する革命は、アメリカ帝国主義と日本独占資本の支配に反対する新しい民主主義革命、人民の民主主義革命である。
 この革命をなしとげること、すなわち、アメリカ帝国主義と日本独占資本を中心とする勢力の反民族的、反人民的な支配を打破し、真の独立と政治・経済・社会の民主主義的変革を達成することは、当面する国民的な苦難を解決し、国民大多数の根本的な利益をまもる道であり、それをつうじてこそ、労働者階級の歴史的使命である社会主義への道をも確実にきりひらくことができる。
▼現在、日本社会が必要としている変革は、社会主義革命ではなく、異常な対米従属と大企業・財界の横暴な支配の打破――日本の真の独立の確保と政治・経済・社会の民主主義的な改革の実現を内容とする民主主義革命である。それらは、資本主義の枠内で可能な民主的改革であるが、日本の独占資本主義と対米従属の体制を代表する勢力から、日本国民の利益を代表する勢力の手に国の権力を移すことによってこそ、その本格的な実現に進むことができる。
社会主義 ▼日本人民の自由と幸福は、社会主義の建設をつうじていっそう全面的なものとなる。社会主義の目標は、資本主義制度にもとづくいっさいの搾取からの解放、まずしさからの最終的な解放にある。そのためには、社会主義建設を任務とする労働者階級の権力の確立、大企業の手にある主要な生産手段を社会の手に移す生産手段の社会化、国民生活と日本経済のゆたかな繁栄を保障するために生産力をむだなく効果的に活用する社会主義的計画経済が必要である。 ▼日本の社会発展の次の段階では、資本主義を乗り越え、社会主義・共産主義の社会への前進をはかる社会主義的変革が、課題となる。これまでの世界では、資本主義時代の高度な経済的・社会的な達成を踏まえて、社会主義的変革に本格的に取り組んだ経験はなかった。発達した資本主義の国での社会主義・共産主義への前進をめざす取り組みは、二一世紀の新しい世界史的な課題である。
▼社会化の対象となるのは生産手段だけで、生活手段については、この社会の発展のあらゆる段階を通じて、私有財産が保障される。

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週刊『前進』(2109号7面2)

解同全国連 “3大闘争路線貫く” 茨城県連12回大会が成功

 6月29日、部落解放同盟全国連合会茨城県連合会第12回定期大会が茨城県五霞町で開かれ、茨城県連の各支部員、長野県連、東京の杉並支部、江戸川支部の代表、埼玉の部落青年、共闘の労働者・学生、茨城の県市町村の代表ら、昨年を上回る400人が結集、大成功した。石川一雄さんとの連帯を強め、「法」なき時代に3大闘争(狭山―差別糾弾闘争、生活要求闘争、共同闘争)路線で闘うことを確認した。
 山口秀男茨城県連副委員長の「今後も3大闘争を中心に闘おう」という開会の言葉、青年の水平社宣言朗読を受け、石川辰衛委員長があいさつ、「狭山闘争を基軸に闘う。『法』があろうとなかろうと、部落差別があるかぎり運動は必要だ。部落差別を絶対に許さない。有事立法を弾劾し、反戦の闘いを強める。全国連5万人組織建設を進める」と高らかに宣言した。
 来賓の祝辞を茨城県知事(代読)、県教育長(代読)、五霞町長、朝鮮総連茨城県本部副委員長が述べた。部落解放東日本共闘会議の山川博康事務局長は「狭山最高裁・最高検要請行動で全国連との連帯を強めてきた。有事法制、労基法改悪・解雇権、国労臨大闘争弾圧などの攻撃があるが、こういう時にこそ闘おう」と決意を語った。
 記念講演の一つめに鈴木達夫弁護士が「有事立法は何をもたらすか」と題して講演。「有事立法、イラク派兵法は日本の支配階級・企業の権益を守るためにある。陸・海・空・港湾労組20団体が有事3法に反対する中、『人権の尊重』の明記で与野党が修正合意し、有事立法が成立したが、戦時に人権保障など成り立たない。有事立法は北朝鮮・中国侵略戦争のためのもの。侵略戦争をさせないよう闘おう」と呼びかけた。
 次に全国連中央本部の中田潔書記長が「法なき時代の同和行政の課題」を講演。「特別措置法の期限切れで、同和行政・対策事業が廃止される動き、環境改善事業をやめて啓発事業に転換する動きがある。しかし、部落差別があるかぎり同和行政・対策は必要だ。部落民の側ではなく社会構造に部落差別の根源がある。人権意識の強化だけでは部落差別はなくならない」と解き明かした。
 午後、2002年度の経過報告で井橋昌夫事務局長は、5月23日の大阪・寝屋川支部4人に対する国家権力のデッチあげ弾圧を部落差別として糾弾、4人を取り戻そうと訴えた。2003年度運動方針案を提起した高橋昭一書記長は「法なき時代の運動として3大闘争を一体的に推進しよう。村全体の決起で要求闘争を」と呼びかけた。
 自由討論で茨城県連の支部員が「排外主義をあおって有事立法をつくり、朝鮮人民を殺させようとする国を認めることはできない。自衛隊が古河駐屯地で訓練している。大送信所が総和にある。地元が朝鮮侵略戦争の火の元になる。有事立法に従わず戦争に協力しない闘いはこれからが勝負」と反戦闘争を力強く訴えた。青年が7月20日の全国青年交流集会への結集を訴えた。「住宅資金問題を全体で取り組もう」「ミサイルよりも仕事の保障を」など多くの意見を支部員が述べた。動労水戸と婦民全国協が共闘の決意を表明。
 大会諸議案採択の後、石川辰衛委員長が新役員を代表してあいさつ、全国連として、また組織として闘うことの意義を強調した。特別決議(寝屋川支部弾圧糾弾)と大会宣言の採択、原口孝一副委員長の閉会の言葉をもって終えた。

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週刊『前進』(2109号7面3)

5・15沖縄闘争に参加して ひめゆり学徒の体験に衝撃

 「有事立法」の現実化が迫る中、活動を始めたばかりの私は、国会に集中して反対運動を高めなきゃという思いでいました。しかし、沖縄が米帝の戦争戦略において最前線の位置にあり、ここから出撃し人を殺しに行くんだと思い、沖縄に行こうと決めました。
 5・15沖縄県民大会では、沖縄にあるすべての基地を撤去しよう、有事立法を絶対止めようということで、本土から結集したたくさんの労働者の人たちが3日間にわたって平和行進を終えたところを、みんなで拍手をして出迎えました。
 今回の訪沖で、私が特に衝撃を受けたのは、あの沖縄戦を「ひめゆり部隊」として体験されたおばあさんの話でした。兵士の体の一部を切り落として治療したこと、南へ南へと追いつめられ最後の崖(がけ)で人びとが死んでいったこと、洞窟(どうくつ)で身を潜めて捕虜になれば非国民扱いされることなど、本当に生々しい話でした。
 イラク侵略戦争にも触れて、「沖縄戦では人間の体が吹き飛ばされた。マスコミには流れないが、イラクでもそういうことが起きていたんだ。それが『戦争』であり、そうした場面を見れば反対運動はもっと高まる」と言われました。
 今、北朝鮮に対する非難があふれ、戦争はこういう排外の過程を経て始まっていくんだと感じています。6月6日、有事立法が現実のものとなってしまいました。しかし、何があっても侵略戦争をさせてはならない。とめるために行動するんだ、と思っています。みなさん、ともに闘おう。
 (関東学生S・W)

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週刊『前進』(2109号8面1)

7・16王城寺原現地闘争へ 北朝鮮侵略戦争訓練許すな

 7月16日から宮城県の陸上自衛隊王城寺原演習場で在沖米海兵隊による155_榴弾(りゅうだん)砲の実弾砲撃演習が行われようとしている。北朝鮮侵略戦争の実戦演習を阻止する現地闘争への決起を訴える。
(1面に要項)

 155ミリ砲は大量殺人兵器

 今回の演習は第一に、北朝鮮への侵略戦争演習である。現在、在沖米軍は、ウォルフォウィッツ米国防副長官が「沖縄海兵隊は2日間で朝鮮へ展開できる」と言明したように、いつ開戦になっても対応できるような臨戦態勢におかれている。また、金武町の海兵隊の女性暴行事件、普天間基地でのCH53ヘリコプターの胴体着陸事故、KC130空中給油機のエンジン故障による緊急着陸など、重大事件・事故が相次いで起こっている。戦争的緊張状態のゆえのものだ。
 在沖米軍は3・20イラク開戦の真っ最中に、在韓米軍、韓国軍とともに大規模な米韓合同演習「フォールイーグル」(3・4〜4・2)、指揮系統訓練(3・19〜26)を行っていた。これらは「作戦計画5027のリハーサル」(3月21日付米ロサンゼルス・タイムズ紙)と言われているように、朝鮮侵略戦争への突入訓練であり、北朝鮮への戦争挑発そのものだ。
 在沖米軍は完全に北朝鮮侵略戦争を構えている。王城寺原での実弾砲撃演習は、北朝鮮侵略戦争演習以外のなにものでもない。
 第二に、王城寺原での実弾砲撃演習は、朝鮮半島への強襲上陸と朝鮮人民大殺戮(さつりく)の実戦演習である。
 155_榴弾砲は、91年湾岸戦争において地上戦の最初の段階で使われ、イラク軍を壊滅させた。その破壊力について、イラク軍砲兵隊指揮官は「地上戦初期の米軍砲兵の射撃によってわれわれは全滅した」と語り、スティールレイン(鋼鉄の雨)とたとえている。無差別大量殺人兵器なのだ。今回のイラク侵略戦争においても、米本土から出撃した米第1海兵遠征軍(約1万5千人)の部隊が155_榴弾砲を使って制圧作戦を行った。
 沖縄海兵隊は、先述した「フォールイーグル」で上陸演習を行った。北朝鮮侵略戦争で在沖海兵隊は北朝鮮の元山(ウォンサン)から上陸するという。この元山上陸―制圧作戦で155_榴弾砲が使われるのだ。
 海兵隊は真っ先に敵地に上陸する「殴り込み部隊」だ。155_榴弾砲は、陸上戦闘の最初の砲撃戦に投入され、「米軍にとって一番重要な火力」と言われている。最大射程は通常弾で24`、攻撃目標地域(45b×30b)に立つ人間を半数の確率で殺傷する能力があり、900bの距離から弾2発で90aのコンクリート塊を破壊する威力をもつ。
 155_榴弾砲には、実弾として戦術用核弾頭を装着できるN型榴弾や、劣化ウラン弾を使用した対戦車榴弾も使われる。
 今度の王城寺原演習では、砲台を初めて4門から6門に増やして行おうとしている。北朝鮮の地形と似ているとされる東北の地形を利用した今回の演習を絶対に許してはならない。

 総動員のための実戦的訓練

 第三に、演習の全過程が一つの戦争発動として行われようとしている。
 この間の王城寺原演習では、兵員は、民間機で沖縄から仙台空港まで、地元のテイサン交通で演習場まで輸送されている。榴弾砲や車両は、米艦の護衛を伴った民間の船で仙台港まで、日通のトラックで演習場まで輸送されている。
 古川市立病院には米軍から直接「協力要請」が来ている。すべてを防衛施設庁と宮城県がお膳(ぜん)立てし、宮城県警が厳重な警戒態勢をとっている。
 王城寺原現地住民は、戦後開拓農民として王城寺原の地に移り住み、米軍に対する実力闘争によって農地を守りぬいてきた。今は、米軍演習移転に伴う地元自治体による強制移転の攻撃と対決して農地を守りぬいている。演習場の周辺には「1人のいのちは砲弾1発よりも重い」と書かれた大看板が掲げられ、今年も看板新設作業を続けている。
 有事法制は、指定公共機関、自治体、民間の戦争協力を義務化した。また、展開予定地域での陣地構築の際の武器の使用を明記し、自衛隊の軍事作戦に協力しない者への弾圧を規定した。有事法制成立後、初めての実弾砲撃演習阻止闘争は、有事法制の発動を許さない闘いであり、今後整備するとされている米軍支援法などを許さない闘いだ。地元住民を支え、ともに闘おう。
 王城寺原演習阻止闘争は、沖縄人民と連帯して基地と戦争をなくしていく闘いであり、朝鮮人民と連帯して日米帝の北朝鮮侵略戦争を阻止する闘いだ。
 「沖縄の痛みを分かち合う」を口実に155_榴弾砲の実弾砲撃演習が全国5カ所に移転された。これは沖縄差別に基づく基地再編・強化であり、日本全土戦争体制づくりだった。
 朝鮮半島での戦争に反対し、南北分断打破・革命的統一の新たな闘いに立ち上がっている朝鮮人民と連帯し、100万朝鮮人民を虐殺するための軍事演習を絶対阻止しよう。

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週刊『前進』(2109号8面2)

沖縄万人(ウマンチュ)の会 暁子さん囲み星野奪還誓う “戦争突き破る闘い沖縄から”

 6月22日、「沖縄万人(ウマンチュ)の力で星野さんを取り戻す会」の第9回総会が、与那原コミュニティセンターで開かれた。星野再審ビデオ「ある冤罪」の上映から始まった。
 司会の知花昌一事務局長が「輪になり、皆の顔を見ながらその席でやっていく。演壇はありません」と新たな試みを紹介した。知花盛康会長が「戦争に向かっていく状況の中、それを突き破っていく闘いを沖縄で実現し、星野さんを取り戻そう」と開会のあいさつ。
 平良夏芽さんがイラク現地報告。「イラクに滞在した6日間、銃撃を聞かなかった日はなかった。イラクは戦争中です。民主党議員が『バグダッド市内は落ち着いているが、郊外では散発的にテロが行われている』と国会で報告したが、ウソです」と怒りを込めた。
 無実の星野文昭さんの妻・星野暁子さんが、「イラク侵略戦争が起こり、有事法制が通ってしまった中で、彼が『星野奪還の闘いは、全体の闘いの土台なんだ』と言っている意味を考えています。戦争に反対する者をみんな刑務所に入れてしまう。見せしめであり、そのことで闘いを分断する。これを大きな運動の中で跳ね返していかなければならない」と語り、今年11月の全国総会を徳島で開催することなど、具体的な運動方針について提案した。
 これに呼応する形で共同代表の平良修さんが発言した。「全国11の救援会をまとめて力にする取り組みが必要。今年の徳島での全国集会の場が重要だ」と提起し、「星野さんは人柱になったんだと古波津(英興)さんが言っていた。人柱を預けっぱなしにしていいわけがない。責任を自覚しています」と決意を語った。
 活動経過報告、決算報告、さらに新年度の活動提案へと進んだ。特に11月の徳島での全国集会にはツアーを組んでの参加が決まった。島田善次さんが閉会のあいさつを行い、「なんとしても彼を取り戻したい。この願いは沖縄の願い。時代が厳しくなればなるほど、星野さんの闘いの真実が明らかになる」と結んだ。
 翌日の国際反戦沖縄集会に参加した万人の会は、星野署名を呼びかけた。

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週刊『前進』(2109号8面3)

6・9新潟闘争に参加して 排外主義との闘いに確信 富山大 七瀬

 6月9日、新潟でのマンギョンボン号闘争に参加して実感したことは、もう日本が戦時下であるということでした。しかし、ここで僕たちが「北朝鮮への侵略戦争阻止!」「有事立法粉砕!」「北朝鮮船籍の入港規制反対!」を鮮明にし登場したのは決定的行動だったと思います。
 拉致議連1500人が新潟に結集し、全国の右翼が街宣車200台で街を乗り回し、騒音をガナリたて、北朝鮮への「制裁」を叫び続ける。その光景は本当に異様でした。新潟の街が北朝鮮への排外主義に染まったかのようでした。
 本質的に1923年9月1日の関東大震災の中で「朝鮮人が井戸に毒を入れた」というデマで6千人が殺された状況と同じでした。この中で在日朝鮮人民が生きていると思うと、重いものを感じました。日本人民の立場として絶対に許してはならないと思いました。
 この中で断固「北朝鮮への侵略戦争反対」のデモ行進をやり抜いたのは良かったと思います。正直、この情勢でデモをすることに厳しい反応が返ってくると思っていましたが、街頭に出てみれば、手を振ったり、支持を表明する反応が返ってきました。市民から圧倒的な注目を集めました。
 このことが示したことは、街が拉致議連や右翼に占領され、排外主義がばらまかれようとも、市民は日米の北朝鮮への対応=侵略戦争に対しておかしいと感じているということです。
 北朝鮮へ経済制裁、戦争が当然のように言われ、既成の反戦団体は沈黙しています。しかし、僕たちが北朝鮮への侵略戦争反対の行動をやりきったことで、市民からも声があがりました。全国でも情勢を二分する闘いが必ずできると思いました。
 僕は、ここに確信を持って、富山で北朝鮮への差別・排外主義があおられている中で、ストレートに北朝鮮への侵略戦争反対を掲げ闘っていきます。

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週刊『前進』(2109号8面4)

読者からの手紙 お祭りに軍艦がやってきた 広島 河辺十三(77)

 5月17〜18日は尾道の港祭りだった。その祭りに海上自衛隊の掃海艇がやってきた。祭りは庶民の活力漲(みなぎ)り満ちあふれる場。軍艦は破壊・殺戮(さつりく)の戦争道具。水と油。似合わない。°出ていけ″しかない。祭りのメーン会場から目と鼻の先、数百bの岸壁に停泊。砲身は照準を会場へピタリ。そこだけが雰囲気から浮かび上がっている。お呼びでない。出ていけ! 皆で軍艦の目の前で反戦ビラ配り、シュプレヒコール。
 掃海艇は港祭りから出ていけ!
 朝鮮、中国、アジアの人を殺すな!
 戦争は許さないぞ!
 尾道市民はたたかうぞ!
 翌18日、公安が警戒に張りこんだそうだ。敵はおどろきあわてたにちがいない。1人は10人、10人は百人。百人の力は大きい。
 このできごとが物語るもの。戦争が茶の間に侵入、侵略を企てた。さらに有事法制全情況の一環として位置づけると、まず「有事」あり、「法制」は後でくっつけろ。先の衆議院9割賛成も、まず既成事実をだ。冗談じゃない。翼賛国会だけが日本の現実じゃない。議場の外に9割を超える反対のコールが漲り渡っている。これが日本の現実だ。だから翼賛マスコミは無視抹殺する。°港祭りに軍艦″も全くの報道なしで終始した。日本共産党、社民党はこの有事の現場に出てこなかった。
 戦争阻止、有事法制粉砕の主力は労働者人民一人一人の力にあり。
 がんばろう!!

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週刊『前進』(2109号8面5)

公判日程

☆迎賓館・横田裁判
福嶋同志裁判
7月22日(火)午後1時15分
☆水嶋同志裁判
7月8日(火)午後1時30分
7月30日(木)午後1時30分
☆6・12私文書弾圧裁判  判決公判
7月24日(木)午後1時15分
※いずれも東京地裁

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週刊『前進』(2109号8面6)

つぶせ! 共謀罪 とめよう戦争への道 7・17集会

 7月17日(木)18時開場、18時30分開始
 シニアワーク東京(JR飯田橋駅から徒歩10分)

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