ZENSHIN 2003/06/30(No2107
p06)
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週刊『前進』(2107号1面1)
イラク派兵特措法案絶対粉砕! 自衛隊の参戦阻止せよ
国労臨大闘争弾圧粉砕を軸に階級的労働運動の大前進を!
労基法改悪阻止・4大産別決戦勝利
有事3法の成立とイラク派兵新法の国会提出は、ともに戦後日本史を画する重大事態である。米英占領軍に対する人民の激烈な怒りの闘いが渦巻くイラクの戦場に自衛隊を送り出し、イラク人民を虐殺するイラク派兵新法を絶対に粉砕しなければならない。また、有事3法の成立に続いて、北朝鮮侵略戦争が切迫し、排外主義攻撃が吹き荒れている。この攻撃を南北・在日朝鮮人民と連帯して全力で粉砕しよう。延長国会闘争に勝利しよう。民主党・連合指導部の裏切りを暴露・弾劾し、社・共に代わる労働者党を建設しよう。労基法改悪の大攻撃と闘い、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いを軸に、労働運動の戦闘的再生のために闘おう。労働運動の中に全力で飛び込み、労働者細胞を建設し、労働運動を闘う党を建設しよう。この闘いのただ中で夏の一時金カンパ闘争に勝利しよう。
第1章 民主党・連合の侵略戦争への加担弾劾
日帝・小泉政権は、6月6日に有事3法を成立させたのに引き続いて、6月13日、イラク派兵法案(イラク復興支援特別措置法案)とテロ対策特措法の2年延長を閣議決定し、国会に提出した。そして今国会で成立させるために6月17日、会期を7月28日まで40日間延長した。この延長国会は、重大な決戦となった。
民主党は「政府原案には反対」と、与党が修正に応じれば賛成する大裏切りをまたしても準備している。民主党と連合の侵略戦争加担を断じて許さず、イラク派兵法案を絶対阻止せよ。
しかも日帝はイラク派兵法の成立を待たずに、PKO(国連平和維持活動)法に基づき、7月にも航空自衛隊のC130輸送機2〜3機を周辺国支援としてヨルダンに派遣し、FAO(国連食糧農業機関)のあるイタリアとの間で物資をピストン輸送することを計画している。そして、イラク新法が成立すれば輸送機を直ちにバグダッドかバスラの空港に派遣し、物資輸送をしようとしている。
しかし、これは5・22国連安保理イラク制裁解除決議が突き出しているように、米英占領軍とともに、イラクを軍事占領し再植民地化する攻撃の担い手に日帝軍隊がなることであり、日帝のイラク参戦の決定的なエスカレーションである。これまでのPKO派兵とも画然と違う、侵略戦争の戦場そのものへの派兵であり、イラク人民に直接銃口を向け虐殺する戦後史上初めての踏み込みである。日帝は日米安保のもとで自衛隊をつくり、90年代以降はPKO派兵を繰り返してきたが、それをも根本から変更するような戦闘地域への侵略戦争派兵である。
今や米英日帝国主義のイラク侵略戦争がこれまでのどの侵略戦争をも上回る理不尽で凶悪な侵略戦争、虐殺戦争であることが、ますます明白になっている。ブッシュがイラク攻撃の口実にした「大量破壊兵器(WMD)」は、先制攻撃をあくまでも貫徹するためのデッチあげであった。「証拠」の偽造、隠滅が国家ぐるみで行われ、3・20開戦が強行されたのだ。ブッシュ・ドクトリンによる先制攻撃がいかに不正義の虐殺戦争であったかという問題を、徹底的に問題にしていかなければならない。
米帝は何千人、何万人ものイラク人民を虐殺し、イラクを軍事制圧し、占領を開始したが、イラク人民は米帝にまったく屈服していない。米英軍による解放だとか民主化だなどと考え歓迎しているイラク人民などまったくいない。反米の大衆闘争はいたるところで巻き起こり、この人民の海の中からゲリラ戦が果敢に闘われている。これに対して、米軍は各地でイラク人民虐殺を繰り返している。
このイラクに派兵することは、まさに日帝軍隊が米英帝国主義のむき出しの侵略戦争の一員になることであり、イラク人民の民族解放・革命戦争に直接対峙し、虐殺者として登場するということである。
戦闘地域に自衛隊の地上部隊を送り込み、「安全確保支援」「人道復興支援」と称して武器・弾薬輸送や医療・補給・通信・整備などの軍事作戦を行うのである。しかも、イラク人民の意思にかかわりなく、米占領軍の同意だけでそれが開始できるとしている。
久間章生自民党政調会長代理(元防衛庁長官)は、「危機だからこそ武器を持った自衛隊が行かざるをえない」と言い、また、「テロは戦闘行為ではない、正当防衛で反撃しても武力行使にはあたらない」(毎日新聞6・18)と言っている。機関銃よりも強力な無反動砲も持っていこうとしているのである。
また、石破防衛庁長官は「強盗との戦いは戦闘とは言わない」と発言している。これは、かつて中国侵略戦争において、「匪賊(ひぞく)討伐」と称して中国人民虐殺を繰り広げたのと同一の論理である。
久間は「日本は石油資源の9割を中東に依存しており、支援しないわけにいかない」と語っている。まさに帝国主義の強盗戦争への参入であることの表明だ。
日帝・小泉は、米帝のイラク開戦に際し、「北朝鮮のことがあるから支持する」と表明したが、このイラク新法において貫かれていることも、北朝鮮侵略戦争に向かって不可欠の派兵であるという論理だ。
この闘いは、1〜4月のイラク反戦闘争の直接的継続の闘いだ。米英日帝のイラク侵略戦争に反対して立ち上がった労働者人民は、その時以上の怒りをもって自国帝国主義の軍隊の侵略戦争出兵のためのイラク新法を粉砕するためにこぞって決起しなければならない。民主党の裏切りを許さず、20労組とともにイラク派兵法案を粉砕しよう。
第2章 米日帝の対北朝鮮圧殺策動を許すな
イラク侵略派兵のためのイラク新法を進めると同時に、日帝は米帝の北朝鮮侵略戦争に共同・競合して侵略戦争体制を急速に構築しようとしている。有事3法はそのために強行されたのだ。日帝は核をめぐる対北朝鮮の重圧を強めている。
北朝鮮の核開発と言われているものも、実は核兵器製造能力を持っているとは言えない代物である。いま日本で動いている100万`ワットの原子力発電所に比べると、100分の1程度の実験用の原子炉があるにすぎない。しかも、核兵器をつくろうとすればこの中から膨大なプルトニウムを分離する再処理の工程が不可欠だが、北朝鮮にはそれほど大規模な再処理工場がない。つまり北朝鮮には核兵器製造能力はないのである。
たしかに北朝鮮の金正日政権は、「核兵器開発」を公言し、その能力があると宣伝している。そしてそれをもって米帝を2国間交渉に引き出すカードにしようとしている。そのためにすでに「核」を持っているかのように見せかけるところに自らを追い込んでいる。米帝や日帝はその事情と反人民性につけこんで「脅威」を宣伝しているのだ。
北朝鮮スターリン主義にとって核武装路線の放棄を本当に実行するなら、帝国主義および韓国との対峙・対決関係において最大の牙を抜かれたようになってしまうということである(94年の「米朝合意」の際の革共同政治局声明。清水丈夫選集第10巻所収)。金正日体制は、本質的に極度に硬直した専制的スターリン主義体制であり、超軍事的国家体制である。その核武装路線は、旧ソ連スターリン主義や中国スターリン主義の対抗的核武装政策を、縮小された形態で貫徹するものであり、スターリン主義的で反人民的なものである。民族解放・革命戦争と全世界の労働者人民の革命的な反戦闘争で帝国主義と闘う立場を持ってもいない。こうしたことから、金正日体制は南北朝鮮の労働者人民によって打倒されなければならないことは明白である。
だが、今日最大の問題は、この北朝鮮・金正日体制のどん詰まりの危機と核開発を掲げた瀬戸際政策をとらえて、これを絶好の口実としエジキとして、米帝が圧倒的な力の差をもって、北朝鮮に対する侵略戦争に踏み込もうとしていることである。また、日帝が有事法制の成立に続いて、北朝鮮の脅威をデッチあげ大宣伝して金正日体制の転覆へ米帝と共同・競合して乗り出そうとしていることである。元凶は帝国主義であり、帝国主義の戦争重圧が一切の原因なのである。
また、日本の労働者人民は、日帝の36年間の朝鮮植民地支配がどれほど大きな困難を朝鮮人民に強いてきたかということを押さえなければならない。38度線による南北分断にも日帝は責任がある。日帝が北朝鮮との関係において何一つ賠償もせず、植民地支配の責任を認めず、軍隊慰安婦政策や強制連行について謝罪も補償も責任者処罰も行わないという態度を取り続けていることを許しているという現実がある。
まさに、今起こっていることは、米日帝による北朝鮮侵略戦争に向けての攻撃の激化である。6月18日、ネグロポンテ米国連大使は、北朝鮮の核開発問題で、国連安保理に北朝鮮非難決議の採択を求めると表明した。また同日、ウォルフォウィッツ米国防副長官が、沖縄の米海兵隊を朝鮮有事に即応させ、2日間で朝鮮半島に到着可能と証言した。一切の動きが北朝鮮侵略戦争の切迫を示しているのである。それに労働者人民を動員するために排外主義宣伝があるのである。
万景峰(マンギョンボン)号の入港をめぐる日帝の攻撃は、臨検や経済制裁の開始であり、まさに戦争行為である。しかも日本各地で検査を徹底するとして、入港規制、退船命令などが打ち出されている。これと一体で日帝は、「拉致」問題を口実にした排外主義運動を起こしている。
こうした動きに対して、唯一新潟県労組交流センターが断固反撃するデモを敢行したことは重要である。この闘いに続き、労働者人民の階級的、国際主義的な闘いを巻き起こそう。
民主党は有事立法で日帝に協力したのに続いて、北朝鮮問題でも、日帝との完全同調姿勢をとっている。また、日本共産党は元凶が米日帝であることを主張せず、北朝鮮に対する排外主義攻撃にさおさしている。他方、ファシスト・カクマルはもっともらしく「排外主義反対」などと言うが、絶対に米日帝の北朝鮮侵略戦争策動の超切迫という事態に言及しない。まったくインチキな党派である。
こうした諸党派の裏切りと屈服と歪曲を打ち破って、南北朝鮮人民、在日朝鮮人民と連帯し、米日帝の北朝鮮侵略戦争に反対して闘いぬこう。
北朝鮮侵略戦争の切迫は何よりも沖縄基地の強化として現れている。名護新基地建設攻撃も7月ボーリング調査開始策動など、きわめて差し迫ってきている。一方でまたしても米兵の女性暴行事件が起こり、基地の現実に対する人民の闘いが激化している。沖縄闘争を強化しよう。
労基法改悪、保安処分新法=心神喪失等医療観察法案、共謀罪新設法案などの攻撃も、延長国会に持ち越された。これとの対決はきわめて重大である。
戦時下の治安弾圧の強化は、まさに革命党の存在を抹殺する攻撃として激化する。共謀罪は本質的に結社禁止法、会議を行っただけで事前検束という戦前型の治安弾圧への移行を狙ったものである。われわれは、共謀罪新設を絶対に阻止すると同時に、全力を挙げて非合法・非公然の体制を防衛し、労働者階級の中に深く根を張った党として強力に自らを鍛え上げていかなければならない。
有事法制との闘いはまだこれからである。有事3法は北朝鮮侵略戦争のための法律である。ただちに廃棄させる闘いをたたきつけよう。そして「国民保護法制」「米軍支援法制」などの関連法の策動に対する闘いをつくりだそう。
第3章 8人奪還へ「許さない会」を全国各地に
日帝の一大資本攻勢は、有事法制、北朝鮮侵略戦争、イラク参戦と一体の攻撃である。したがってこれらの攻撃との闘いを一体のものとして結合して反撃していくことが必要だ。
労働基準法改悪法案を参院で絶対に阻止する闘いを強めよう。労基法改悪の修正案で民主党は有事法制に続く裏切りを行った。日本共産党も「修正部分については4野党共闘の成果」として賛成した。民主党も日共も、ともに「解雇権」導入という決定的な攻撃を認めたのである。
日共は、連合との接近・共同路線をいよいよ強め、連合の裏切りを支え促進する役割を果たしている。そして、それは全労連との矛盾を深めている。既成指導部の裏切りと屈服に対して労働者は怒りを高めている。労働戦線で大きな流動情勢が生まれている。
この中で闘いの道筋を示しているのは、動労千葉を先頭とする階級的・戦闘的労働運動だけだ。この道をすべての労働者人民の前に提起し、今こそ連合、全労連、全労協のもとにある労働者の圧倒的な大衆的結集をかちとろう。
何よりも労働運動推進の軸に、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いを据えなければならない。毎回の公判闘争は白熱的に展開され、この中で国労東京地本・酒田一派が警察と一体となってデッチあげ弾圧に加担した事実が次々と暴かれている。このことを多くの労働者人民の中に宣伝し、「許さない会」を大きく増やし、国鉄労働運動の再生の突破口を切り開こう。
7人の国鉄労働者(2人の闘争団員を含む国労組合員)と1人の支援が、逮捕以来実に8カ月も未決勾留され続けている現実をどうして許すことができるか。国労組合員が国労大会参加者に必死の説得活動を行ったことはまさに国労内の問題であり、国家権力が介入すべきことではない。逮捕だけでも許せないことであるのに、いまだに拘置所に閉じこめ続けているのは、まさに戦時下の労働運動弾圧というべき異常事態である。労働者であれば誰でもことの重大性を分かってくれる。もっともっと働き掛けを強め組織しよう。絶対に弾圧を打ち破り、1日も早く奪還しよう。
国鉄決戦を軸に全逓、自治労、教労の4大産別決戦に勝利しよう。その先陣を切って全逓大会では労組交流センターなどの戦闘的労働者が闘いぬいた。JR総連の危機と再分裂の事態を見据え、今こそファシスト労働運動=JR総連を打倒し、そのもとにある労働者を大胆に獲得しよう。
労働者党建設を本気でかちとろう。夏期一時金カンパ闘争に勝利しよう。それと一体となって機関紙拡大闘争の勝利を実現しよう。
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週刊『前進』(2107号1面2)
巨万の大衆行動の実現へ闘う革共同に大カンパを
有事立法が国会議員の9割もの賛成で「成立」させられ、今またイラク特措法が大問題となってきています。労働法制の改悪攻撃とあいまって、国会前や都心での座り込み、抗議行動が、数千〜数万人もの労働者と市民で連日のように繰り広げられています。
そうして、すでに「国家が社会の上に立ち、『社会からみずからをますます疎外していく』権力」(レーニン『国家と革命』)という状況であることは、誰しもが明白に感じ始めています。すなわち「あきらかに、被抑圧階級の解放は、暴力革命なしには不可能」(同上)な状況にますますなってきました。帝国主義の戦争に加担するのか、革命を志向するのかは、まさに全労働者人民の一人ひとりの生き方の問題となってきています。
北朝鮮に対するすさまじい排外主義扇動が行われ、侵略戦争を「下から」扇動する「大衆運動」も公然と繰り広げられてきています。こうした排外主義に打ち勝ち、まさに被抑圧階級である労働者人民の解放をかちとるために、社・共をのりこえる党の建設と、その党の力による革命の扇動こそがどうしても必要です。ビラの1枚、インターネットを含めたさまざまな通信、何より党建設とその宣伝・扇動のための機関紙・誌―すべてに今までのレベルをはるかに超える財政が問題になっているのです。
不安定雇用の労働者と失業者が街頭にあふれだし、自衛隊=軍隊が銃口を住民に突きつけて中東・アジアに乗りだそうとしている今、数百万人、数千万人の大衆行動が実現されなくて革命など展望できません。こうした大規模な運動と、そうした運動をつくり出すための党を建設するためにカンパを寄せて下さい。これまで数万円のカンパを寄せて下さってきた方は10万円を、数十万円を寄せて下さってきた方は、ぜひ100万円のカンパをお願いしたいのです。一人だけでは10万円が無理な方は、周囲を見渡して下さい。あなたの周囲にも、こうした現状をなんとかしたいと思っている人が絶対に存在します。そうした人たちにともに闘うことを訴え、数千円、数万円のカンパをつのって、それを集めて金額を大きくして下さい。
有事立法闘争や労働法制改悪に対する闘いで現実に示されたことは、戦争を止めること、労働者の生活と権利を守ることを真剣に考え、行動する政党は、もはや反帝国主義・反スターリン主義を掲げて実践する革共同以外に存在しないということです。あなたのカンパが、革共同を本物の革命党へと飛躍・変革させる源泉です。
革命党に本物の力を! 本物の革命党を! ぜひ協力してください。そしてともに闘う隊列に加わってください。必ずその負託にこたえる闘いを実現します。
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週刊『前進』(2107号1面3)
全逓大会 “本部は総退陣せよ” 深夜勤導入、名称変更方針に怒り
闘う組合員が会場前集会
全逓第57回定期全国大会が6月18〜20日、新宿の東京厚生年金会館で開かれた。日本郵政公社発足後の初めての大会で、連合全逓中央本部は「公社時代における郵政労働運動の構築」と称して「組合名称変更」=全逓解体方針を打ち出し、殺人的夜間労働や1万7千人削減などの「アクションプラン」を推進する民営化方針を提案した。
全国労組交流センター全逓労働者部会、4・28連絡会、人事交流=強制配転に反対する近畿郵政労働者の会などに結集する全逓労働者、4・28被免職者、支援の労働者ら約100人が大会初日の18日、会場前で代議員・傍聴者らへの宣伝活動を行った。昼休みには会場敷地内での集会を実現し「本部を総退陣に追い込もう」と怒りの声を上げた(写真)。交流センターは3日目にも本部方針案の否決を訴えた。(次号に続報)
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週刊『前進』(2107号2面1)
ビデオを警察に渡す 国労弾圧公判弁護団が追及
臨時大会の直後に 酒田委員長が弾圧要請
保釈却下に被告の怒り
6月17日、国労5・27臨大闘争弾圧の第8回公判が東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で開かれた。前回に続き、遠山文雄巡査部長への反対尋問が行われた。遠山は、国労東京地本の鈴木勉法対部長が事件現場を撮影したビデオテープを領置した公安刑事である。警視庁公安部と国労東京地本が一体となって仕組んだこの弾圧の真相は、一層明らかになりつつある。
青柳裁判長は6月9日、被告の保釈請求を不当にも却下した。勾留はすでに8カ月を超えている。佐藤昭夫弁護団長が、「却下決定に厳しく抗議する。裁判所は反省して本日直ちに釈放していただきたい。長期勾留は被告への拷問だ」と語気強く裁判長に迫った。近畿地本豊岡分会の原田隆司被告も、早期保釈を求める意見を述べた。
小倉地区闘争団の松崎博己被告団長が立ち上がり、「裁判長は時計ばかり見ている。どうして保釈を求める被告の訴えを親身になって聞かないのか。東君の顔をよく見て下さい」と裁判長をにらみ据えた。近畿地本環状地域分会の東元被告は、JRの配属差別攻撃によってうつ病になった。逮捕以来、不屈の獄中闘争・裁判闘争を闘い抜いているが、これ以上の勾留は絶対に許せない。
弁護団が遠山証人への反対尋問に立った。弁護団はまず、遠山が自分の住所を「千代田区霞が関2−1−1」と述べたことを追及した。これは警視庁の所在地だ。検事は「本件と関係ない」と叫び立てた。弁護団は「証人の信用性にかかわる」と食い下がる。支援者の向山和光被告も怒りに燃えて質問の矢を放った。たまりかねた牧島聡検事が、「打ち合わせでそうアドバイスした」と白状した。
前回、遠山は、@鈴木法対部長が撮影したビデオを昨年5月30日(5・27臨時大会から3日後!)に荒川署で見た、Aビデオ再生には東京地本の酒田充委員長も立ち会った、Bその日、遠山は神田署の関警備課長とともに車で警視庁に向かい、そこで話をした後、西日暮里駅付近に立ち寄ってから荒川署に行った、C6月3日に酒田委員長と鈴木法対部長がオリジナルのビデオテープを神田署に持参して任意提出し、遠山がその領置手続きをした、などの事実を証言していた。
警察が車で酒田を送迎
浅野史生弁護人が、5月30日の遠山の行動をさらに詳しく聞き出した。その結果、警視庁から公安一課の星警部(中核派担当筆頭係長)を車に乗せて出たこと、西日暮里駅付近で酒田委員長と落ち合い、荒川署におもむいたことが明るみに出た。遠山は、荒川署でのビデオ再生を終えた後、酒田委員長を車で西日暮里駅近くまで送ったことも証言した。西日暮里駅といえば東京地本の直近だ。酒田委員長は、公安刑事に車で送迎されて荒川署に行き、一緒にビデオを見て弾圧を要請していたのだ。
さらに弁護団は、5月30日に遠山らが荒川署で見たビデオは、誰がどこから持ってきたのかと問いただした。遠山は「星警部が持ってきた」と返答した。「酒田委員長が持ってきたのではないか」と弁護団は重ねて聞いたが、遠山は明確にそれを否定した。そうならば、問題のビデオテープは、5月30日より前に警視庁公安部の手に渡っていたということではないか。
前回公判で遠山は、「事件の捜査に携わったのは5月30日」と述べていた。だが、弁護団の尋問で、遠山は5・27臨大当日も大会会場の社会文化会館付近に行った事実を渋々認めた。
弁護団は、質問を6月3日の領置手続きに移した。その日、神田署に来た鈴木法対部長は、「ビデオの冒頭に虹が映っているのは、大会前日に試しに撮ったから」などと説明したという。弁護団は、鈴木法対部長のこうした発言を記載した供述調書を作ったのかと質問した。遠山は「捜査上の秘密」を盾に答えようとしない。弁護団はさらに「鈴木法対部長を参考人として調べたか」とたたみかけた。証人は返答を拒む。さすがに裁判長も証人を擁護しかねて、「前回証言している以上、秘密は解除されている」と証言を促した。遠山は、小さな声で「供述調書を作成した」と述べた。
弁護団は、鋭い質問をさらに繰り出した。だが「ビデオを見ながら被疑者を特定したのか」「被害届は出ているか」などの肝心な点になると、遠山は「捜査上の秘密」「覚えていない」と繰り返す。牧島検事も、弁護団の質問に頻繁に異議を出した。そのほとんどが却下された。異議は尋問妨害だけが目的なのだ。遠山のでたらめな態度と検事の尋問妨害により、反対尋問は予定時間を上回った。弁護団の粘り強い追及に対し、裁判長が「あとどのくらいかかるのか」と反対尋問を制限する不当な動きを見せた。検事も「時間が来たら打ち切るべき」と絶叫した。だが、尋問すればするほど疑惑は膨れるばかりだ。聞かなければならないことはまだまだある。
ついに裁判長も、遠山への反対尋問を次回(7月2日)も続行するとした。次回はその後、検察側冒頭陳述への求釈明が行われる。
公判に先立ち、被告の家族は3514筆の署名を添えて刑事第10部に保釈の要請をした。保釈要求署名は累計2万4千筆を超えた。国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会は、東京地裁包囲デモを闘った。傍聴券交付には128人が結集した。公判闘争は重大な山場を迎えている。次回公判に結集しよう。各地に許さない会をつくり、被告の早期保釈へ運動を強めよう。
暴力行為等処罰法
権力は「暴力行為等処罰に関する法律」を適用して国労5・27臨大闘争弾圧を強行した。この法律は、「団体もしくは多衆の威力」を示してなされた暴行、脅迫、毀棄(きき)の罪は、刑法の規定より刑を重くすることなどを定めている。団結活動の抑圧を狙う悪法だ。制定されたのは1926年、治安維持法制定の翌年だ。戦前は労働運動、小作争議、水平社運動の弾圧に猛威を振るった。団結権を保障した戦後憲法とは相入れないにもかかわらず、戦後も労働運動弾圧にしばしば適用され、共謀罪新設の攻撃などとあいまって今日さらに乱発されている。
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週刊『前進』(2107号2面2)
“教基法改悪を阻む” 6・14東京 教育労働者先頭に4000人
6月14日午後、東京・芝公園で、「教育基本法改悪反対6・14中央集会」が開催された。「教育基本法改悪ストップ!実行委員会」(日教組など8団体)が主催し、4000人が参加した。教育労働者は北海道から沖縄まで全国から大挙結集し、教基法改悪への怒りと危機感、改悪阻止の決意を示した。教育労働者が初の全国闘争に立ち、改悪絶対阻止の声を高く上げて闘いぬいたことは決定的な意義を持っている。自治労を始め他産別の労働者も合流し、ともに闘いぬいた。
しかし、日教組本部の対応は許し難いものだった。主催者あいさつに立った榊原長一委員長は、ペテン的ではあれ「教育基本法改悪を許さない国民世論を形成していくために、日教組も組織の総力を挙げて取り組む」と述べたものの、中村譲書記長の基調報告は「中教審での再審議を含め、国民的合意がはかられるまで慎重に十分に議論がはかられるべき」というものだった。口先で「改悪反対」と言っても、本音は「慎重審議要求」であり、「国民的合意がはかられれば賛成」ということなのである。
採択された集会アピールも「教育基本法のあり方については……国会に『調査会』などを設置して慎重に対応すること」と、調査会設置による教基法の改悪議論を推進する立場を表明したものだった。この集会アピールの提案に対しては、「調査会なんていらないぞ!」などのヤジがたたきつけられた。
また民主党の横路孝弘衆院議員があいさつに立つと、「有事法賛成を自己批判しろ」「何をやってるんだ」など、激しいヤジがたたきつけられた。日教組が支持する民主党議員が賛成票を投じたことで、約9割の国会議員の賛成で有事3法が成立するという事態が引き起こされたのだ。°これが果たして「教え子を再び戦場に送るな」を掲げる日教組のすることか!″という教育労働者の怒りが噴き出したのである。
集会後は、日比谷公園までデモを行い、「教育基本法改悪反対」「教育の国家統制反対」などのシュプレヒコールを繰り返し、教基法改悪反対の闘いに立ちあがろうと訴えた。
日教組本部の屈服を許すな
小泉政権は、有事法成立に続きイラク派兵法成立に突き進み、並行して教基法改悪へ向けても動き始めた。「今国会への改悪案の提出は見送り」と報じられているが、6月12日には与党3党が「与党教育基本法に関する検討会」設置を決定、17日に初会合を開催した。いよいよ改悪案の具体化へ動き出したのである。
これと軌を一にして、日教組本部の屈服が深まっている。日教組本部が唯一指示している取り組みである「教育基本法に関する請願書」署名は、「@教育基本法のあり方については……国会に『調査会』などを設置し慎重に対応すること、A教育振興基本計画については……財源措置の伴った実効ある教育改革をすすめるものとすること」という内容である。「教基法改悪反対」の一言も掲げず、調査会を設置して「国民的合意形成」を推進し、教育振興基本計画に財源をつけろというのである。
有事立法や労働法制改悪と同じく、連合中央・民主党を推進者にして挙国一致で教基法を改悪しようという流れである。日帝は、連合が昨年「5・16見解」で有事法賛成を表明したことを受けて民主党を取り込み有事法を成立させたのと同様に、3月20日の「中教審答申に対する日教組見解」を教基法版の「5・16見解」として、日教組を取り込もうと策動している。
日教組が教基法改悪阻止闘争の先頭に立つのか、それとも改悪の先兵に転落するのか、重大な決戦の時を迎えている。今こそ日教組傘下の教育労働者の渾身(こんしん)の闘いが求められている。日教組本部の屈服を突き破り打倒して、日教組運動の階級的再生をかちとろう。8月日教組大会で、文科省との「パートナー路線」を破棄し、政府・文科省の「教育改革」攻撃と全面対決する路線と方針を再確立しよう。教育労働者が先頭に立ち、教基法改悪阻止へ全人民の広範な共同闘争を実現しよう。
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週刊『前進』(2107号2面3)
当面する闘争スローガン
〔A〕
◎イラク自衛隊派兵特措法案絶対粉砕!
アフガニスタン対テロ特措法の2年延長策動を許すな!
◎米英日帝国主義のイラク侵略戦争の継続・拡大を許すな! 米英日帝国主義のイラク軍事占領・再植民地化絶対反対! 5・22国連安保理「イラク経済制裁解除決議」弾劾!
イラク人民の民族解放・革命戦争と連帯して日帝・自衛隊のイラク侵略戦争参戦を阻止せよ!
◎イラク侵略者=米帝による全中東支配のためのペテン的中東「和平」策動(行程表)を粉砕せよ! パレスチナ人民を分断し武装解除し、イスラエルのパレスチナ支配の強化狙う「行程表」策動を許すな!
〔B〕
◎北朝鮮・中国侵略戦争のための有事3法の国会成立を弾劾する!
有事3法を直ちに廃棄せよ!
有事3法と一体の個人情報保護法を廃棄せよ!
◎現代版国家総動員法=国民保護法制の制定を断固粉砕しよう!
米軍支援法制定・有事ACSA締結を粉砕せよ!
思想・表現・結社の自由を奪う共謀罪新設を阻止し、有事体制のためのあらゆる治安弾圧と闘おう!
国民保護法制の制定を阻止し、有事3法を廃棄へと追い込め!
◎侵略戦争に加担する民主党・連合の安保・防衛政策を糾弾せよ!
◎戦争の根源が米日帝にあることを否定し、反米主義、議会主義、小ブル平和主義をもって大衆的反戦闘争の組織化に敵対する日共、社民党の反人民的制動をはねのけて前進しよう!
〔C〕
◎米日帝の北朝鮮・中国侵略戦争反対!
米日帝の北朝鮮圧殺策動を許すな!
北朝鮮への先制攻撃策動―有事法制こそ戦争の真の原因だ!
◎北朝鮮の核ミサイル政策を口実とする米日帝の北朝鮮侵略戦争を阻止せよ!
◎米日帝の北朝鮮侵略戦争を日朝人民・全世界人民の力で阻止しよう! 金正日政権は反人民的な核ミサイル政策を直ちに中止せよ!
◎南朝鮮・韓国人民の米軍基地撤去・朝鮮戦争反対・南北統一の闘いと連帯しよう!
〔D〕
◎沖縄の侵略最前線基地化阻止・米軍基地撤去! 全海兵隊基地をたたき出せ!
名護新基地建設粉砕・7月ボーリング調査絶対阻止! 普天間基地実力撤去!
米兵による相次ぐ暴行事件弾劾!
〔E〕
◎日帝の一大資本攻勢と対決し、労働法制改悪阻止・有事法制粉砕をかちとれ!
◎全労働者は有事法制の発動を阻止し、あらゆる戦争動員攻撃を粉砕しよう!
◎日本経団連・奥田ビジョンを粉砕し、労働組合の階級的防衛をかちとれ!
◎労基法改悪法案を阻止せよ! 「解雇権」導入を絶対に許すな!
◎労働者派遣法、職安法、雇用保険法改悪を弾劾する! ただちに廃棄せよ!
◎労働法制改悪を推進した民主党・連合の裏切り弾劾! 日共・社民党の「修正案」への賛成を許すな!
◎教育基本法改悪策動を絶対に粉砕せよ! 改憲策動を許すな!
◎「公務員制度改革法案」粉砕! 国会提出を阻止せよ!
◎共謀罪新設阻止! 司法制度改悪粉砕! すべての治安弾圧法を許すな!
〔F〕
◎国労5・27臨大闘争弾圧絶対粉砕! 7〜9月国鉄決戦に勝利しよう!
◎臨大闘争弾圧の8人の被告奪還! 「許さない会」を全国各地でつくりだそう!
◎闘争団を切り捨て国鉄労働運動を解体する国労指導部を打倒せよ!
◎9・13〜14国労大会の勝利かちとり、闘う国労の旗を打ち立てよう!
◎分割・民営化反対の旗を掲げ、1047名闘争に勝利しよう!
◎JR総連を解体し、第2の分割・民営化攻撃を打ち破れ!
〔G〕
◎4大産別(国鉄、全逓、教労、自治労)決戦の爆発へ、各産別大会に勝利しよう!
◎4・1公社=民営化攻撃粉砕! 殺人的夜間労働導入に率先協力し、全逓解体への道を走る連合全逓中央を打倒しよう!
◎教育基本法改悪阻止! 日教組解体攻撃粉砕! 闘う教育労働者は、全労働者の先頭で日帝の有事法制発動・戦争動員攻撃と対決しよう!
◎公務員制度改革粉砕! 「21世紀自治労宣言」による自治労綱領の変質・解体を許すな! すべての自治体労働者は戦争動員を粉砕しよう!
◎4大産別を先頭に、今こそ連合ダラ幹を打倒しよう! 連合・全労連傘下の労働者、中小未組織労働者は連帯して、階級的団結を打ち固めよう!
〔H〕
◎侵略戦争と資本攻勢の先兵=JR総連カクマルのファシスト労働運動を解体・打倒せよ!
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週刊『前進』(2107号2面4)
フランスでゼネスト 年金改革で政府と対決 労働者の階級的力示す
95年以来の闘いの大高揚
4―6月、フランスの公務員労働者は、右派ラファラン内閣が提出した年金改革案に反対して、連日のようにストライキとデモンストレーションで闘っている。1995年に年金改革を葬って以来の規模だ。
ラファラン内閣は、EUの財政均衡・自由化政策の一環として電力・ガス・国鉄・エールフランス民営化、年金改革、予算削減を基本政策として打ち出している。これに対して昨年10月、電力、ガス、国鉄、航空の公務員労働者ら10万人がパリをデモで席巻した。これが今春の年金改革反対ストライキの始まりだ。
公務員労働者は現在、37年半保険料を納めると年金受給資格が得られるが、それを2008年から40年にし、民間と同じにするというのが政府の年金改革案だ。高齢者の増大、出生率の低下で20年後には年金制度が破産するというのが理由だ。2012年にはそれが41年となり、2020年には42年となる。戦闘的な労働組合の要求は逆に35年への短縮だ。
4月2日、航空と鉄道の公務員労働者が全国でストライキに立ち上がった。CGT(労働総同盟)、CFDT(民主労働連合)、CGT―FO(労働者の力)、CNT(全国労組連合)、SUD(連帯・団結・民主)、FSU(統一労組連盟)などフランスの主要な労働組合ナショナルセンターはいずれも、2日午後8時から4日午前2時までのストライキを指令した。
エールフランスは、中短距離便の55%、長距離便の全部が欠航となった。全体で80%が欠航だ。主要都市の陸上公共交通機関も止まった。パリ地下鉄の3分の1が、パリ郊外電車の半分が止まった。国鉄の高速新幹線TGVはほとんど運休した。
交通ストライキで郵便や税関の業務も影響を受けた。パリやその他の都市ではストライキを支持する数万人のデモが行われた。
教育労働者もストライキに突入、小学校教員の46%、中学校・高校の教員の33%が参加した。教育労働者は、年金改革だけでなく教育改革――地方分権化の名の教員削減、賃金カット――にも反対している。
ラファランの脅しに屈せず
5月も連日のようにストライキが闘われた。13日を頂点に19日、27日にもフランス全土で空陸の交通が止まった。航空便の80%を始めとして電車、バスが止まった。ドーバー・トンネルの特急列車ユーロスターも止まった。病院や郵便局、電信、ガス、電力も一部がストップした。教育労働者は、半数が5月5日、13日、19日、21日にストライキを行った。ストライキ支持デモが全国で闘われた。
ラファラン首相は、フランス国民向けの公開書簡で、°改革案が通らなかったら、20年後には年金を現在の半分しか受け取れなくなる″と脅した(6月16日には全フランス家庭に同趣旨の手紙を送った)。
この中でCFDTとCFE―CGC(管理職組合連合)が年金改革修正案に賛成を表明して交渉を開始、闘争から脱落した。交通ストの影響の大きさにたじろいだのだ。しかし、CGTやFO、CNT、新潮流のFSU、SUDは、政府との交渉を拒否して闘いを続ける方針をとった。
6月1日、パリで20万人以上がデモを行った。3日には、全土の3分の2の列車が止まり、教育労働者が今年度11回目のストライキを行った。マルセイユでは清掃労働者のストライキで市内にはゴミの山が築かれ始めた。10日もパリで20万人がデモを行い、夕方には武装闘争化した。
12日の全国ストで国鉄は3分の2が運休となった。パリ交通公団はバスの半分と地下鉄の半分以上を運休にした。マルセイユやボルドー、ルーアンの公共交通機関はほとんど止まった。
各空港の航空管制官や地上勤務員が業務をやめ、全体の80%が欠航となった。ルフトハンザや英国航空(BA)もフランス発着便を大幅に減らした。エールフランスは国際線の運航を維持したが、短中距離路線の3分の2を欠航とした。
港湾労働者も闘い、英仏海峡フェリーにも影響を及ぼした。病院や郵便、税務局、新聞の労働者、長距離トラックや救急車の運転士もストに参加した。教育労働者は12回目のストだ。
19日の全国ストライキも強力に闘われた。
ラファランが強気なのは、国民議会(下院)の多数を右派が占めているからだ。議会は6月9日から年金改革法案の審議を始め、18日までに第1、2、3条を採択した。しかし夏休みを越えて続く超長期の審議となることは確実である。
CGT、FO、CNT、FSU、SUDなどは、政府との交渉を拒否し、夏季も含めて永続的に、より戦闘的に闘う決意を表明している。闘争の永続的激化こそ勝利の道だ。イラク反戦闘争の爆発を引き継ぐ年金改革反対ストライキ闘争は、EU諸国に波及し、国際的内乱情勢を促進している。この闘いに学び、連帯し、日本における階級的労働運動の再生と発展をかちとろう。
(藤沢明彦)
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週刊『前進』(2107号2面5)
資本攻勢&労働日誌 2003 5月30日〜6月12日
派遣法と職安法の改悪を強行 労基法改悪案が参院審議へ/夏・冬一時金マイナス
●一時金夏・冬とも前年比マイナス 日本経団連は02年の一時金調査結果を発表。組合員平均の支給額は、夏季69万1735円、冬季71万2524円。前年同期比マイナス5.0%、マイナス4.5%。(5月30日)
●日航と全日空、全社員対象に無給の一時休職募集 日本航空は7月から全社員を対象に無給の一時休職者を募集する方針を決めた。全日本空輸も6月6日、8月から同様の措置を決定。(30日)
●4月の平均現金給与24カ月連続減少 厚労省発表の4月の毎月勤労統計調査によると、月間平均の現金給与総額は28万5537円と前年同月比0.6%減。前年水準を下回るのは24カ月連続。(6月2日)
●日立電線、組合員の賃金7%カット 日立電線は組合員の賃金を7%引き下げると発表。(2日)
●フランス、公務員再びゼネスト 年金改革に反対する公務員が再びゼネスト、あらゆる方面で国の機能がストップ。オーストリアでも年金改革反対でスト。(3日)
●03年春闘の賃上げ率、史上2番目の低率 日本経団連の03年春闘の妥結結果最終集計では、185社の総平均の妥結額は5391円で、賃上げ率は1.65%と、56年春闘開始以来最低の昨年1.59%に次ぎ、2番目に低い伸び。(5日)
●労基法改悪案が衆議院通過 労基法の改悪案が4日衆議院厚労委、5日衆議院本会議で採決され可決、参院に送られた。(5日)
●米軍輸送資格で航空労組が撤回迫る 米軍への後方支援のために防衛施設庁が国内航空3社に米国防省の米軍輸送資格を取得することを要請した問題で、航空労組連絡会と航空安全会議、日本乗員組合連絡会議の3団体が撤回を求め、同庁へ要請行動。(6日)
●労働者派遣法と職業安定法改悪が成立 「物の製造」への派遣解禁や、一般業務の派遣期間制限の1年から3年への延長、紹介予定派遣での事前面接の解禁などが主な内容。(6日)
●過労死認定、過去最多 厚労省発表では昨年度過労死認定は160件、前年度の58件から2.8倍に急増、過去最多を記録。01年12月の認定基準の緩和も影響。(10日)
●若者の就職へ政府が総合対策 政府は若年層への就業総合対策をまとめた。フリーターの増加など雇用が不安定化している若年層への危機感から。(10日)
●連合の討論集会で有事法制へ反対論 連合は11日まで政策・制度中央討論集会を開き、04〜05年度の要求と提言を討議した。有事法制への言及がないことに異論が噴出。(10日)=要旨別掲
●医療労働者も人材派遣の対象へ 厚労省は、医師や看護師など医療従事者を労働者派遣の対象業務とする方針を固めた。(11日)
●厚生年金の01年度収支、初赤字 厚労省まとめでは、昨年度収支は6999億円の初赤字に。(12日)
連合 政策・制度中央討論集会での有事法制をめぐる論議
●全国一般
「有事法制もイラク新法の問題も(政策制度要求で)扱われていないが、憲法を制約する大変な法律であり、大衆運動や反対見解を」
●海員組合
「専守防衛の日本で先制攻撃を行う恐れがある法律。これからの具体法の段階で連合も指摘してきた未解明部分の追及が必要で、労働者として加担できないとの姿勢を明確にすべきだ」
これらに対し連合の高木政策委員長は、有事法制の「A案とB案がある時にその真ん中に線を引いても両方に不満がある」とし、国の基本政策で連合見解の一本化はまだ困難との考えを示した。草野事務局長は、「国の基本政策」検討委員会の議論内容を近く報告すると述べた。
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週刊『前進』(2107号3面1)
6・15広島 有事法成立に怒り 被爆者ら“核戦争阻止を”
6月15日、中四国反戦共同行動委員会が主催する「つぶせ!有事法制 とめよう!イラク新法 ゆるすな!北朝鮮侵略戦争 ヒロシマ緊急行動」に中・四国各地から180人が結集し、闘った。
集会の冒頭、主催者を代表して大槻泰生さんが「有事法制を実働させてはならない。朝鮮侵略をさせてはならない。本当に闘うのは今です」とあいさつした。
続いて反戦被爆者の会の下田礼子さんが「有事法が成立し、再び日本が戦争をやろうとしている。被爆者が高齢になってきて、これが最後という思いでブッシュに怒りをぶつけるような行動が始まっている。ヒロシマの心を皆さんに引き継いでいただき、この戦争をやめさせるまで頑張りましょう」と力強くアピールした。
全国被爆者青年同盟の壹貫田康博さんは「ブッシュは核戦争をやろうとしている。二度と核兵器は使わせないという意気込みで闘っている被爆者とともに北朝鮮侵略戦争を阻止しよう」と訴えた。また、動労西日本の労働者は「国労5・27臨大闘争弾圧で8名の仲間が長期勾留と闘っている。『許さない会』を結成し、労働者魂を発揮して闘う」と決意を明らかにした。
中四国反戦共同行動の事務局が基調報告を提起。「有事法制と一体のものとしてイラク侵略派兵法が狙われている。イラク人民虐殺に直接自衛隊が手を染めることを許すな。北朝鮮への排外主義キャンペーンを切り裂き、経済制裁、侵略戦争をストップさせよう。連合中央や民主党の大裏切りを弾劾し、労働者の団結と行動で、戦争をやらなければ生き延びられないようなこの社会をひっくりかえそう。8・6広島反戦闘争の大爆発へ闘おう」と呼びかけた。
部落解放同盟全国連広島支部、婦人民主クラブ全国協、労組交流センターなどが発言した。最後に、広島大学自治会の学生は「キャンパスでの100時間ハンスト決起への反響はすごい。有事法の成立の中でまったく新しい闘いが始まった」と意気高く報告した。
直ちにデモに出発した。
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週刊『前進』(2107号3面2)
イラク新法粉砕へ 東京 新宿街宣と講演集会
反戦共同行動委員会は6月15日、有事法制3法案の成立を弾劾し、イラク新法粉砕や北朝鮮侵略戦争阻止などを訴えて、新宿駅西口の大街宣と集会を行った。
午後2時、休日の行楽や買い物客などでにぎわう新宿駅西口には、すでに「救う会」や右翼が署名運動や演説を行っている。ここに反戦共同行動委の総勢80人余が登場。新宿駅西口の雰囲気を反戦一色に変えた。北朝鮮への排外主義に反対し、侵略戦争を阻止しようと熱烈に訴えた。
街宣開始から1時間後、大型バスを改造した黒塗りの右翼の街宣車数台が現れた。大音量で罵詈(ばり)雑言を投げつけ、街宣の妨害を始めた。右翼の暴力に負けてなるものか!と街宣参加者も発奮。倍する迫力で訴え続けた。騒然とした雰囲気の中、ビラの受け取り、署名やカンパをする人が歴然と増える。「右翼は帰れ」と一緒にシュプレヒコールをする通行人も。また在日朝鮮人、在日ムスリム、英国の国労組合員らと交流する機会もあった。
その後、文京区民センターに場所を移し、「阻もう!朝鮮への武力行使/許すな!イラク新法/6・15集会」が約180人の参加で行われた。
新宿街宣で演説も行った三里塚空港反対同盟の北原鉱治事務局長があいさつ。朝鮮有事の米軍による成田空港使用問題を断罪し、廃港を訴えた。
続いて軍事問題研究家の秋原義明さんが「イラク特措法阻止しよう」と題して講演した。自衛隊のイラク派兵は米英軍と一緒に侵略戦争・軍事占領を行うものだと断罪。法案が「イラク特別事態」というインチキな文言や安保理決議1483で、侵略戦争と軍事占領を正当化していることを明らかにした。また当該外国=イラクの承認がなくても米英軍の承認で派兵するという侵略の論理を暴いた。さらに法案にある「安全確保支援活動」とは米英軍の支援であり、武器・弾薬・兵員輸送は戦闘参加を意味し、民族解放をかけてデモやゲリラ戦争に立つイラク人民を虐殺することだ、絶対阻止しようと訴えた。
続いて全国労組交流センターの教労部会が教育基本法改悪阻止闘争報告を行った。教基法改悪は教育の国家支配を狙うものと訴え、現場の怒りと対照的に日教組が「国民合意が必要」と称し国会に協議会設置を要求するなど「絶対反対」を降ろしたことを弾劾した。
今後の闘いの方向性を全学連の大山尚行委員長が提起。陸海空港湾労組20団体の闘いと連帯し、有事法発動を許さず北朝鮮侵略戦争阻止の永続闘争をと呼びかけた。労働者人民は連合・民主党の裏切りに怒り、分岐が始まっていると訴えた。
自由討論で最初に部落解放同盟全国連杉並支部が寝屋川支部弾圧での4人起訴を弾劾。地元の80歳の女性が「死ぬまで闘う」と決意していることを紹介し、弾圧粉砕を熱烈に訴えた。全学連の学生が「大学でビラをまき、声をかけ、学習会を行ってきた。反戦の輪を広げたい」と話した。
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週刊『前進』(2107号3面3)
6・8仙台 有事法を認めない 100人がピースウォーク
とめよう戦争への道!百万人署名運動・宮城県連絡会は6月8日、仙台でSTOP!有事法制6・8ピースアクションを100人で行いました。
集会では6日に強行された有事法制採決に怒りの発言が相次ぎました。「絶対に認めない」「殺されようとしているのは朝鮮の民衆だ」「職場の仲間を組織して、戦争協力を拒否する闘いをつくろう」とアピールされました。この間さまざまな企画や集会に参加して署名を集めている女性が「有事法制についてまったく報道しないマスコミは許せない。1人でも多くの人に反対の輪を広げていく」と訴えました。私たちのアピールを聞いていた方が飛び入りでマイクをとり「第2次大戦時の仙台大空襲を経験した。戦争には絶対反対」と発言しました。
集会後、ただちにピースウオークに出発しました。フェスティバル会場の前を通過すると、多くの人が一緒に声をあげ、拍手をして、ピースウオークに加わりました。
宮城ではピースアクションの度に参加者の輪を広げて運動を進めてきました。有事法制を発動させない、朝鮮への戦争をとめる、イラクへの自衛隊派兵を許さない、大きな運動を宮城の地からつくっていきます。
(投稿/T)
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週刊『前進』(2107号3面4)
“改憲に絶対反対” 高松憲法公聴会を弾劾 戦争協力拒否の決意
6月9日、香川・高松市で衆議院憲法調査会の高松公聴会弾劾闘争が行われた。香川で有事法制反対の闘いを取り組んできた有志の呼びかけにこたえて、四国、中国から「とめよう戦争への道!百万人署名運動」を中心に労働者、市民、学生が公聴会会場の国際ホテル前に駆けつけた。
憲法調査会の地方公聴会は、有事立法強行の暴挙を引き継ぐ改憲攻撃そのものであり、山口を皮切りに全国5カ所で行われている文科省主催の「教育改革フォーラム」と一体の攻撃だ。会場周辺を総力で警備する香川県警は、意見陳述人と傍聴人以外近づけず、陳述人の意見書コピーの配布さえ禁止してきた。こうした大反動に人民の怒りの反撃がたたきつけられた。
正午から公聴会弾劾集会が行われた。香川、愛媛、徳島から来た傍聴人は次々と「有事法制が強行成立し、次は改憲が狙われている。絶対許してはならない」「反対の意思を込めて傍聴する」と決意を語った。これを受けて集会参加者も「有事法制が成立したからといって誰が戦争に協力できるか」「戦争を繰り返さないの誓いを守り、改憲に絶対反対しよう」とアピールした。戦争体験者の高齢者から20歳の学生まで17人が1時間にわたり意見を表明した。
最後に全員で「有事法制反対「朝鮮への侵略を許すな」「改憲反対」のシュプレヒコールを上げ、高松市内の繁華街で元気に街頭宣伝を繰り広げた。
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週刊『前進』(2107号3面5)
新潟県労組交流センター ビラ紹介
万景峰号の入港規制・経済制裁に反対します 有事法制の発動許すな
北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の貨客船・万景峰号に対する不当な入港規制に反対する新潟県労組交流センター、全学連などの6・9デモは、右翼の襲撃を粉砕し、断固として打ち抜かれ、全国の労働者人民の大きな共感と反響を生みだした(前号既報)。この闘いに続こう。米日帝国主義の北朝鮮侵略戦争に反対し、排外主義と対決し、日朝人民の連帯をめざして闘おう。デモで市民に配布された新潟県労組交流センターのビラを紹介します。(編集局)
私たちは、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の貨客船・万景峰号に対する入港規制と経済制裁に反対します。政府は1500人の機動隊と6省庁130名による検査・監視をとって締め出しにやっきとなり、ファシスト団体や右翼が200台の宣伝カーでおしかけ、「入港阻止、制裁」を叫んでいます。これを許すことはできません。
「祖国」、親族をつなぐパイプを奪ってはならない
私たちが入港規制と経済制裁に反対する理由は第一に、万景峰号は在日朝鮮人と北朝鮮の親族、「祖国」とのパイプとなっており、これを閉ざしてはならないからです。
安部官房副長官は6月3日、「安全検査をやれば、必ず不備が見つかるはずだ。旅客船としての水準を満たすには数億円以上かかり、北朝鮮はその負担に耐えられない」と述べています。政府は検査をテコに入港ができなくなる状況においこもうとしています。
万景峰号は、帰国事業が終了した後も、北朝鮮との人的交流の唯一のパイプとなってきました。この船で在日朝鮮人は、親族との連絡や訪問、朝鮮学校の生徒による「祖国訪問」を行ってきました。
在日朝鮮人は、戦前の日本による強制連行や植民地支配によって「在日」をよぎなくされた人々が大多数です。政府は国交を開くことなく、「祖国」との自由往来の権利を奪ってきました。今度は万景峰号という細いパイプすら閉ざそうというのです。
また万景峰号は、北朝鮮の子どもたちに送るNGOの支援米も運び、「友好と平和」を求める日本の労働者人民の連帯の手だてとなってきたことも忘れてはなりません。
経済制裁は困窮と戦争をもたらす
第二に、万景峰号を手初めに北朝鮮の全船舶をしめだし、経済制裁を実施することは戦争を準備するからです。
経済制裁を10年以上にわたって受けたイラクでは、食料・医療品の不足で50万人の子どもたち(湾岸戦争で米軍が使った劣化ウラン弾の犠牲者も多い)が死にました。重油の供給もストップし、食糧危機にある北朝鮮の場合、制裁の打撃はイラク以上のものとなります。多くの餓死者をだすことは明らかです。しかも経済制裁はそれだけにとどまらず、国家間対立や戦争をもあおる行為にほかなりません。
侵略を狙っているのは日米政府
第三に、万景峰号入港規制・経済制裁と一体となって有事法制が成立し、日米政府は北朝鮮への侵略戦争にふみこもうとしているからです。
6月6日、成立した有事法制は、小泉首相が言うような「北朝鮮の脅威に対抗するため」の法案ではありません。日本の「先制攻撃」を可能とする法案であり、北朝鮮や中国への侵略戦争のための法案です。私たちはこの法案についてのアジアの人々の声を真摯(しんし)に聞くべきだと考えます。
5月14日に韓国30名の国会議員が日本の衆院議員全員に送ったファックスでは、「有事法制が過去のアジア諸国家と国民に大きな痛みを与えた不幸な戦争の歴史を再現しかねないということについて深刻な憂慮を抱いております。有事法制の通過は直ちにアジアの軍事・安保環境を悪化させるに充分な契機になるという点からも、極めて大きな憂慮を抱いております」と述べているのです。
米政府が昨年9月に発表した「ブッシュ・ドクトリン」(国家安全保障戦略)では、「イラク、イラン、北朝鮮が大量破壊兵器を開発している」として核を含む先制攻撃を加えると宣言しています。ブッシュ政権によるイラク戦争はこの始まりでした。2万3千発のミサイルや大量の劣化ウラン弾によって子どもや一般市民が多数虐殺されたのです。
今、朝鮮半島―北東アジアに「危機」をもたらしているのは、日米の北朝鮮への侵略戦争策動です。北朝鮮ではありません。
拉致問題は制裁や戦争では解決しない
第四に、万景峰号入港規制・経済制裁や戦争では拉致問題は絶対に解決しないということです。
最近、拉致議連や救う会の中心メンバー、石原東京都知事などが「制裁や戦争をやってでもとりかえせ」とあおっていることは非常に危険です。それは侵略の歴史を再現するものです。米軍の第二次朝鮮戦争を想定した「作戦計画5027」では、百万人の死者がでると述べています。これを米国防長官は核を含む先制攻撃作戦に変更することを命じています。戦争によってぼう大な犠牲者や離散家族を生みだすことが、拉致問題の解決なのでしょうか。
拉致事件は、断じて許せるものではありません。しかし拉致問題を考える場合、この問題の根っこにある、@戦前の日本による植民地支配と戦後政府がそれに対する真摯な謝罪や賠償を拒否しつづけ、A戦後も米政府とともに朝鮮民族を南北に分断し、安保条約を結んで米軍を駐留(核を含む)させ、北朝鮮を敵視し、政権転覆を狙ってきた民族抑圧の歴史をとらえ返すことが重要です。このとらえかえしとこの現実の変革がないかぎり、拉致問題の解決もありえません。
北朝鮮の現政権が核開発やミサイル開発という手段で対抗することは誤りです。しかしそれを正すのは北朝鮮人民の手によってであり、また全朝鮮人民の手によってです。
南北・在日朝鮮人民と連帯し、北朝鮮への侵略戦争を阻止しよう
戦前の日本による朝鮮・中国・アジア諸国への侵略と植民地支配という歴史にもかかわらず、今また、北朝鮮への排外主義の嵐(あらし)がふきあれ、大政翼賛会のような国会状況の中で有事法制が成立しました。再び同じ道を歩みはじめたと言わねばなりません。私たち日本の労働者人民は歴史的選択が問われています。
今こそこの歴史をくりかえさないために、南北・在日朝鮮人民と連帯し、日米帝国主義による北朝鮮への侵略戦争を阻止しようではありませんか。そして朝鮮人民による南北の自主的統一を支持していこうではありませんか。私たちはこの連帯闘争の中にこそ拉致問題の解決があると考えています。
(2003年6月9日)
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週刊『前進』(2107号3面6)
7・6関西新空港反対集会 アピール
7・6関西新空港反対集会(要項1面)の「ご案内」を紹介します。呼びかけにこたえて、全力で結集しよう。(編集局)
ご案内
闘う仲間のみなさん、関西新空港反対集会への参加を呼びかけます。今年の関西新空港反対集会は、例年にもまして重要な闘いになりました。小泉政権が有事法制を強行可決し、北朝鮮侵略戦争が本格的に開始されようとしている情勢下で開催されます。関西新空港闘争は、北朝鮮侵略の出撃・兵站(へいたん)基地化を阻止する重要な闘いになりました。さらにイラク新法と対決する中で闘われる集会です。7月6日泉佐野現地に結集されますよう訴えます。
6月6日、全国で有事法制に反対する闘いが行われている中、小泉政権は参議院で有事三法案を可決し成立させました。許し難い暴挙です。有事法は、戦争法です。日本がアメリカと共に北朝鮮・アジアに侵略戦争を起こすための法制です。小泉の言う「備えあれば憂いなし」などというのは真っ赤なウソです。逆に小泉は巧妙なデマで北朝鮮脅威論を扇動し民族排外主義をあおり、民主党を屈服させ有事法の成立を強行したのです。韓国の『民族和解自主統一協議会』は5月15日、有事三法弾劾声明を発表しました。「米日軍事同盟の好戦性と覇権性に翼を与える格好の有事三法制定こそ、ほかならぬ韓半島を1次的に狙っているという点で、われわれはこれを決して座視できない」「わが民族と東北アジア民衆に対する正面からの挑戦行為とみなし、即時撤回を日本に要求する」と言っています。これが朝鮮人民からみた有事法の姿であり、日本に対する要求です。私たちは朝鮮人民の呼びかけに応(こた)え連帯し、有事法制を撤回させる闘いに起(た)ち上がろうではありませんか。
またイラク新法を阻止する闘いも重要です。米英軍の一方的なイラク侵略戦争は、紛れもない強盗戦争であり、一片の正義性もありません。ブッシュが攻撃の口実にした「大量破壊兵器」は発見できないばかりか、偽造文書で国際社会とアメリカ国民をだましていたことが明らかになっています。小泉は、そんな不正義の戦争をまっ先に支持したばかりか、今度は国会を延長してイラクに自衛隊を派兵するイラク新法を成立させようとしています。イラク人民を殺すための自衛隊派兵法案など絶対に許せません。阻止するために断固闘いましょう。
現下の関西新空港闘争は三〇数年の闘いの中で最も重要な決戦を迎えています。有事立法を成立させた小泉政権は、関空二期工事を北朝鮮侵略戦争のための軍事空港と位置づけて二期工事を進めているからです。これまで政府が言ってきた二期必要論は全面的に破産しています。発着回数は昨年度は10万8千回に減り、開港2年目のレベルまで落ち込んでいます。空港はガラガラ、二期事業など問題にもならない水準です。さらに今年度は、新型肺炎SARSの影響を最も受け、4月は旅客が35%も減り14億円もの減収になっています。また昨年度の経営赤字は167億円、累積赤字はついに2千億円を超え2068億円にもなりました。その上に地盤沈下が止まらず、またもや止水壁工事に45億円もかけるというのです。どんな対策を講じても地盤沈下を止めることはできません。関空の命取りになる大問題に発展しています。このように関西新空港計画は、完全に破産しています。
破産しているにもかかわらず、小泉政権は今年度予算に925億円も計上し二期工事を続けるのは、北朝鮮侵略戦争のため軍事空港を建設するためです。まさに関空二期阻止闘争は国際連帯闘争として闘われるのです。
さらに神戸空港工事を中止に追い込むために闘いましょう。「神戸空港工事の中止を求める市民の会」が集会、デモ、抗議行動など果敢に闘っています。広範な住民が不屈に闘っています。環境破壊と地盤沈下、財政破綻問題などを暴露し神戸の侵略拠点化を阻止するために闘いましょう。
反対同盟と連帯して三里塚闘争に起ち上がりましょう。三里塚闘争こそ、全国の反戦闘争の砦(とりで)であり、侵略のための軍事空港を阻止する最前線の闘争です。敷地内反対同盟を防衛し廃港までともに闘いましょう。
最後に、2003年を北朝鮮侵略を止める国際反戦闘争の年にするために共に闘うことを呼びかけます。
2003年6月
大阪湾岸住民4団体(泉州・淡路・明石・東灘)
関西反戦共同行動委員会
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週刊『前進』(2107号3面7)
6・9新潟闘争に参加して
多くの市民がデモに賛同 東北・学生 御蘇羅
6月9日に右翼が新潟に集結するからそれに反対してうちらも新潟に行こうと言われたのは6月の頭あたりだったか。話を聞いた直後はよく分かっていなかったが、6日の国会前闘争などの合間に行った学習会で、大体ではあるがその全貌(ぜんぼう)をつかむことができた。拉致議連や救う会の真実、つまり侵略戦争を望むその心を知ってしまっては、もはやわれわれも新潟に集結するしかない。
新潟に入る前から話は聞いていたが、その物々しい雰囲気はまるで戦時体制のようであった。こんな状況の中で生活している在日の方々のつらさは計り知れない。
デモは約4`のコースだったが、心配していた右翼からの圧力は自分の予測をはるかに下回るものだった。1人の男性が殴りかかってきたが、それ以外はほとんどなかった。右翼は面と向かって反論してこない。街頭宣伝をしていた2名の右翼男性も横断幕をしまってしまった。彼らにはわれわれとまともにぶつかれるだけの理論武装がされていないのだ。巧妙な「うそ」で何層にも覆われた「侵略戦争」の意図が存在するだけである。
しかしわれわれにはそれを打ち砕くだけの理論、信念がある。デモ、そして繁華街で行われた街頭宣伝で、多くの市民の方がわれわれの言葉に耳を傾け、ビラに目を通し、賛同の意を伝えてくれた。
ところが翌日それを報道した新聞は皆無だった。権力というのは恐ろしい。国をあげた戦争扇動に多くの人民が翻弄(ほんろう)されている。
しかし真実は今世間一般で叫ばれていることとは別にある。日米帝の北朝鮮侵略戦争の意図を全民衆に示さなければならない。日本のファシスト化を阻止し、戦争主導者を徹底的に弾劾し、われわれの確固たる意思を示していかなければならない。今回の新潟での闘争はその一歩として大きな意味を持っていた。この流れを打ち消さずに、今後の活動を断固として遂行していきたい所存である。
在日朝鮮人との連帯を貫く 東北・学生 月山詩野
6月9日、私は数十人の学生・労働者とともに新潟に赴きました。新潟市に入る高速道路から、右翼の街宣カーが数十台も並んでいるのを目にし、自分がどのような闘争をこれから行うのかを実感しました。
新潟の既成政党が北朝鮮問題に沈黙し、または「北朝鮮脅威論」にのみ込まれている中で、労働者人民は帝国主義への怒りを声に出せず、抑えつけられていました。
私たちは午前中にデモ、午後から街宣を行いました。人数的には少数でしたが、この闘争の意義は計り知れません。それは一つに在日朝鮮人との血債をかけた連帯闘争を貫徹したことです。二つに新潟で帝国主義への怒りを表に出せる状況を切り開いたことです。そして三つに私たちが本格的に戦時下の闘いに突入していく土台を作ったことだと思います。
市民の多くが北朝鮮への排外主義扇動に疑問や怒りをもち、私たちのビラを受け取りました。「支持します」と言っていく人もいました。
私自身はこの間、在日の現実や日本による植民地化、朝鮮史などをあらためて学んできました。そして拉致問題、核問題など、一般の人たちが北朝鮮の「脅威」と規定しているものが、すべて日本の植民地化と南北分断=「冷戦」による産物なのだということを知りました。すべては帝国主義の引き起こした事態であり、またスターリン主義によって世界革命がゆがめられたことにより生じた事態であることを認識しました。そして、絶対に北朝鮮侵略戦争を許さないと決意しました。今回の闘争は、こういった自分自身の決意を物質化する闘いでした。
でも、万景峰号は入港できない状況に追い込まれてしまいました。戦争か革命かという時代の中で、私たちの闘いは圧倒的に遅れています。これが本当に悔しい。今は本当に戦前であり、戦争を繰り返すのか否かが私たちの手にかかっている。私は今回の右翼との対決の中で、あらためてそのことを実感しました。
頑張りましょう! 戦争を繰り返す帝国主義を打倒しましょう!
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週刊『前進』(2107号4面1)
イラク新法絶対阻止へ 侵略戦争と軍事占領への自衛隊派兵=参戦許すな
自衛隊のイラク侵略派兵、米英軍と一体となった軍事占領に向けたイラク新法が6月13日、国会に提出された。日帝・小泉政権は、何が何でもこのイラク新法を成立させようと国会会期を40日延長した。戦後初めて地上部隊である陸上自衛隊が直接戦場に乗り込み、不屈に民族解放・革命戦争を闘い抜くイラク人民を虐殺する、歴史を画する重大攻撃である。日帝が完全に侵略戦争の時代に突入しようとしているのである。この歴史的な重大事態に対し、労働者人民の根底からの決起をつくり出し、イラク新法と自衛隊派兵を絶対に阻止しなければならない。以下、イラク復興支援特措法案をいくつかのポイントに絞って批判する。
「国連決議に基づき」の大ウソ
イラク復興支援法の重大な問題性はどこにあるか。
第一は、自衛隊のイラク侵略派兵を正当化するために米英軍のイラク侵略戦争を「イラク特別事態」と表現し、この戦争が「国連決議に基づき……行われた武力の行使」と主張していることである。
だがそれはまったくのウソでありペテンだ。ここで挙げられている国連安保理決議678は1990年のイラクのクウェート侵攻に対してクウェートからの撤退を要求し撤退しなければ武力を行使することを宣言したものであり、687はイラクの査察受け入れを条件に停戦を決議したものであり、1441は、大統領施設を含めた査察を決議したものだ。これらの決議によって米英軍の今回のイラク侵略戦争が正当化されることなどあり得ないのだ。
だからこそ米帝は国連での新たな武力行使のための決議を策動したのであり、仏独ロシアが反対して決議が得られないことが明らかになった段階で国連加盟国であるイラクになんの国際法的な根拠もなく一方的に戦争を強行したのである。
しかも米英帝は、この戦争を一方的に強行するためにイラクの「大量破壊兵器」問題をデッチあげた。今それは米英国内でも「情報操作が行われたのではないか」として大問題になっている。だが、実際は単なる情報操作にとどまらず、明白に「証拠」を偽造し、それを口実に強引に戦争を強行したのである。しかも一般市民だけで少なくとも数千人ものイラク人民を大虐殺し、今現在、イラクを軍事占領している。
「イラクに戦闘はない」と強弁
第二は、第2条の基本原則の中で派兵の目的を「安全確保支援活動」とし、米英軍を支援することで自衛隊がイラク軍事支配の一翼を担うことを規定していることである。これは自衛隊が直接戦闘に加わり、イラク人民を大虐殺することを宣言するものだ。しかも、もう一つの派兵目的とされている「人道復興支援活動」自体も、イラク軍事占領活動の一環であり、イラク人民への侵略と抑圧の活動以外の何ものでもない。
さらに小泉政権は、自衛隊イラク派兵を強引に貫くために、全土で戦闘が闘われているイラクについて、戦闘がないかのように強弁している。石破防衛庁長官は6月13日、「戦闘行為とは国または国に準ずる者による組織的、計画的な武力の行使と整理している。例えば強盗であるとか、そういうものは戦闘とはいわない」と発言した。だがこれは、戦前の日帝が朝鮮人民や中国人民の武装解放闘争について「匪賊」「間諜」などと称して人民大虐殺を繰り返したことを再び行おうとするものである。
そもそも、新法で陸自を派兵しようとしているイラクでは今、イラク人民の米英軍に対する武装解放闘争が激しく闘われている。6月16日にもバグダッド北部でパトロール中の米兵がイラク人民の銃撃によって死んでいる。バグダッドやバスラなど主要都市では連日のように米英軍の撤退を要求するデモが闘われている。イラクを軍事占領・植民地支配し、石油を略奪しようとする米英侵略軍に対してイラク人民は不屈に闘い抜いているのだ。
こうしたイラク人民の闘いに対して、日帝は米英軍とともに武力鎮圧するために自衛隊を派兵しようとしているのだ。そのために「武力の行使に当たるものであってはならない」などと言いつつ、「攻撃を加えられないという抑止力をきちんと担保する」(石破)などと強弁して、装甲兵員輸送車や無反動砲などを持ち込み、重武装して、イラク人民の闘いを鎮圧しようとしているのである。
何よりもイラク新法で武器・弾薬と兵員の輸送を行うとしていることは、単に自衛隊が米軍の兵站(へいたん)を担うだけでなく、米軍とともに戦闘に参加することをはっきりと示している。今回の自衛隊派兵の狙いは、まさに輸送と称して実際には自衛隊が直接戦闘に参加し、イラク人民のゲリラ戦闘を鎮圧することにあるのだ。
「当該外国の承認なし」で派兵
第三は、自衛隊の外国での活動を規定しながら「当該外国の承認」の問題をはずし、侵略戦争の無制限の拡大に道を開いていることである。
この法律は「イラクにあっては、……イラクにおいて施政を行う機関の同意によることができる」と規定し、米英占領軍の同意があればよいとしている。イラク政府やイラク人民の一切の同意なしで派兵できるとした点で、これまでのPKO派兵法やテロ対策特措法をもはるかに超えている。
世界的あるいは歴史的に見た場合、たとえ当該国の政府の同意という外見をとったとしても実際にはカイライ政権をデッチあげ、侵略戦争を展開するということが歴史的に繰り返されてきた。そうした中で、当該国の政府や人民に一切関係なく自衛隊を派兵できるという規定は、日帝が侵略戦争を無制限に拡大していくことに直結する。すでに自民党の山崎幹事長などが恒久法が必要だという発言をしており、日帝はアジアや全世界への侵略派兵の衝動を強めているのである。
政府の独断で国会事後承認
第四は、国会承認の問題が事後承認になっていて、政府の独断的決定でどんどん侵略戦争を展開する構造になっていることだ。国会承認は「20日以内に付議」するということであり、実際に審議に時間がかかればその間にどんどん侵略戦争を展開することになる。しかも、ただし書きがあり、国会閉会中や衆議院が解散になっていれば次の国会で承認を求めればよいことになっている。基本的に国会承認なしで侵略出兵がどんどん進められるのである。
この問題と一体のものとして、自衛隊派兵の内容が、基本的に政府が作成する「基本計画」によって決められることになっており、その点でも政府が勝手に侵略戦争を展開できる構造になっているのである。
また、武器使用の問題は法文上は従来通りとなっているが、実際上は自衛隊が携行する武器に無反動砲や装甲兵員輸送車も含めるということが早々と言われている。およそ「正当防衛」の範囲などはるかに超えた強力な侵略軍としてイラクに乗り込むのである。これらは、すでに軍隊が崩壊し、人民が小銃などでゲリラ戦争を展開しているイラクに持っていく装備としては重装備なのである。
武力攻撃事態法など有事3法が成立した中でのイラク派兵新法は、明白に日帝が戦闘地域や軍事占領されている国に恒常的に自衛隊を海外派兵し、侵略戦争を展開する道を開くものだ。憲法9条は破壊され日帝が戦争の時代に突入していくのである。しかも陸上自衛隊のイラク派兵は、北朝鮮侵略戦争での自衛隊の全面参戦に向けた決定的な突破口となろうとしている。イラク反戦闘争、有事3法阻止闘争を引き継ぎ、それを上回る6〜7月闘争を爆発させイラク新法を阻止しよう。自衛隊のイラク派兵を絶対に阻止しよう。
(秋原義明)
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週刊『前進』(2107号4面2)
ロードマップは破産必至 米帝が中東全面支配を狙う
ペテン的「和平」策動粉砕を
パレスチナ解放闘争の根絶が最大の目的
アフガニスタンとイラクに対する侵略戦争の強行によって世界戦争計画を推進し、中東全体と石油資源の独占的制圧に突き進む米帝ブッシュ政権は5月、パレスチナに対しても恐るべき反革命的政策を打ち出した。「イスラエル・パレスチナ『和平』のロードマップ」(行程表)なるパレスチナ解放闘争の全面圧殺のための新戦略である。
米帝はイラク軍事占領・再植民地化の攻撃に続き、中東民族解放闘争の中軸をなすパレスチナ解放闘争を戦争的手段をもって最後的にたたきつぶす策動を本格的に開始したのだ。
93年のオスロ合意に基づく「和平」策動が90年代後半以降のパレスチナ人民の新たなインティファーダの爆発によって完全に破産する中で、米帝とイスラエルはむきだしの暴力による解放闘争の圧殺に全力を注いできた。さらに米帝は、02年春以降の自治区へのイスラエル軍の大侵攻と虐殺作戦の展開、イラク侵略戦争中のイスラエル軍によるさらなる侵攻作戦の展開を容認することによって、パレスチナ解放闘争の弱体化を図り、その上で、最後的にパレスチナ人民を抹殺するためにこのロードマップを打ち出したのだ。
だがそれは同時に、最近のアフガニスタンにおけるタリバンの軍事活動の再度の活発化と、イラク侵略戦争後のアラブ義勇兵の武装抵抗闘争やイラク民衆の反米抵抗闘争=イラクにおけるインティファーダともいえる闘いの爆発不可避の情勢が到来していることによって、米帝の中東支配戦略が総崩壊の危機に直面していることへの激烈な巻き返し策動としてもある。パレスチナ人民が米帝の中東侵略戦争の激烈な展開にも屈せず、再び巨大な民族解放闘争のエネルギーを爆発させ、それを全中東に波及させていることに対して米帝はすさまじい危機感をもっているのだ。
そして現在、ロードマップの実施をめぐり、パレスチナではイスラエル軍によるパレスチナ解放運動せん滅作戦と、それに対する反撃の闘いが激突している。
6月10日のハマス(イスラム抵抗運動)の政治部門最高幹部・ランティシ師に対する武装ヘリからのミサイル攻撃による殺害攻撃とそれ以降のハマス活動家への相次ぐミサイル攻撃は、「過激派せん滅」「パレスチナ人民抹殺」というロードマップの本質そのものである。
米帝・イスラエルがその本格的発動に踏み切った今、パレスチナ人民は英雄的な反撃戦に決起している。すでにハマスやイスラム聖戦、「アル・アクサ殉教者軍団」などは、断固たる抵抗戦争を開始しており、ロードマップの根底的な破産を突きつけている。
米帝ブッシュのロードマップは、戦争的手段による中東支配の根本的再編策動であり、その強引な推進は中東全域を新たな激動にたたき込むであろう。
パレスチナの人民を分断し武装解除策す
6月4日、米帝はエジプトのアカバで米・イスラエル・パレスチナの3首脳会談を行い、パレスチナのアッバス首相にロードマップの受諾を公式表明させた。
ロードマップは、ブッシュが02年6月に発表した中東「和平」構想を土台として、4月30日に米、露、EU、国連の4者によってイスラエルとパレスチナに提案された。それは「05年までにパレスチナ国家を樹立し、パレスチナ紛争を最終的かつ包括的に解決するため」として、次の3段階を設定した。
・第1段階 5月末までにパレスチナ側が一切の暴力を停止し、イスラエルの生存権を認める。イスラエル側はあらゆるユダヤ人入植活動を凍結し、00年9月以降の軍事侵攻地から撤退する。
・第2段階(6月〜12月) パレスチナ側が憲法を制定し、03年中に暫定的な国境を有するパレスチナ国家を樹立。米、英、露、EU、国連がパレスチナ経済復興支援のための国際会議を開催。アラブ諸国とイスラエルの関係を修復する。
・第3段階(04年〜05年) 難民帰還問題、入植地問題、エルサレムの帰属問題などについて最終地位協定を締結し、1967年からの占領を終わらせて恒久的な国境を画定する。
米帝は、このロードマップによってパレスチナ問題が解決し、中東全域に平和がもたらされるかのような幻想をあおっている。だが実際には、それはパレスチナ解放闘争を壊滅させ、パレスチナ人民を抹殺する恐るべき計画なのである。
第一に、このロードマップがパレスチナ解放闘争壊滅に最大の重点を置いていることだ。それはパレスチナ人に対し、「暴力とテロの放棄」を求めるだけでなく、「暴力的攻撃を実行し計画している個人や団体をその場で逮捕し、崩壊させ、抑制するために目に見える努力を行う」ことを強要している。パレスチナ人自身の手でパレスチナ解放闘争を闘う人民を圧殺させ、相互に殺し合わせようという卑劣な策動なのだ。
米帝はそのための下準備として、4月末に武装解放闘争反対の立場を主張するアッバス前PLO(パレスチナ解放機構)執行委員会事務局長を首相に就任させ、前ガザ担当のパレスチナ治安警察長官で、かつてハマスやインティファーダを闘う人民に暴虐きわまる弾圧を加えたダハランを治安担当相に据えた。
アッバス体制の形成という反革命クーデターを行った上で、ロードマップではさらに首相と治安担当相の権限を全面的に強化し、PLOのアラファト議長の排除と軍事的権限を剥奪することを露骨に規定しているのである。
その上で米帝は「治安維持」という名目で米軍のパレスチナへの派兵も検討しており、解放運動絶滅のために直接乗り出そうとしているのである。
「入植停止」は無視。難民帰還権も認めず
第二に、4月中旬にイスラエルが表明したロードマップに対する15項目の「重大な懸念」を最大限考慮するという立場から、米帝がイスラエルに義務規定の順守を求める姿勢を一切示していないことである。
イスラエルは米帝ブッシュ政権が「ロードマップに関するイスラエル側の懸念を共有する。ロードマップの実施過程でこれらの懸念を完全かつ真剣に反映させる」と確約したことを確認して初めて5月25日にそれを正式に受け入れた。
したがってイスラエルは、ロードマップに明示されている多くの項目を実施する意思はまったく持っていない。「すべての入植活動の凍結」と「エルサレムの地位」(東エルサレムをパレスチナの首都として認める問題)については話し合いさえするつもりはない。入植地問題については、「(ロードマップの)枠組みの外」で米政府と話し合うとか、「ヨルダン川西岸などへの入植活動は今後も制限されない」などとさえ主張している。
450万人のパレスチナ難民の帰還権については、そもそもロードマップではそれを認める条項がないが、イスラエル側もあらかじめ閣議決定でパレスチナ人に対しそれを放棄することを要求しており、話し合いに応じる意思はまったくない。ロードマップがパレスチナの最終地位を「主権を持つ独立国家」としていることにも反対している。
(写真 イスラエルがヨルダン川西岸地区に建設中の壁)
巨大な壁建設し西岸自治区を包囲・分断
第三に、ロードマップは、現実にすさまじい勢いで進行している自治区併合政策を隠ぺいする「イチジクの葉」でしかない。解放運動壊滅作戦を強引に推進する一方で交渉を長引かせ、その間に占領と併合を既成事実化しようという意図がみえみえなのだ。
シャロンの狙いはあくまで、現在の自治区の一部を領土として外交権も軍事権もない「パレスチナ国家」なるものをデッチあげ、軍事的に完全に封鎖された領土にパレスチナ人を永遠に封じ込めることにある。
実際、現在、治安維持という名目で西岸自治区を包囲し、パレスチナ人を閉じ込める長大なフェンスの設置が進められている(上の写真と図を参照)。それは幅約45b、高さ約8bの巨大な壁で、壕が掘られ、監視装置と監視道路、銃座、常時封鎖される厳重な門が設置されている。
それは西岸自治区すべてを03年末までに完全に包囲し、自治区を大きく3分割し、領土としての統一性を破壊するものとしてある。フェンスは農地と住居を分断し、水源へのアクセスを遮断し、交通を遮断する。住居からわずか数百b離れた農地や水源、職場などに行くためには何`も、何十`も離れた門を通るしかなく、農業やその他の経済活動は実質的に不可能になる。これによってパレスチナ人の生活と経済は完全に破壊される。
しかもフェンスの設置場所は67年のイスラエル・パレスチナ境界線からさらに数`〜20`も東であり、ヨルダン川からは何十`も西である。これによって西岸自治区はシャロンが従来主張していたとおり、西岸全体の約40%に縮小される。
それ以外の地域は、その地域の入植地を含めイスラエルに併合される。そして、このフェンスによって新たに数十万人のパレスチナ人がイスラエル領となる地域に取り残される。さらに自治区の主要都市、トルカレムとカルキリヤの場合はなんと市内に壁が築かれ、大部分がイスラエルに併合される。
このようにロードマップは和平を実現するものでは決してなく、パレスチナ人民の民族解放闘争と生活を破壊するためのもの以外の何ものでもない。破産は必至だ。米帝のロードマップ策動を粉砕し、闘うパレスチナ人民と連帯して決起しよう。イラク侵略戦争の継続・拡大に反対して闘おう。
(丹沢望)
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週刊『前進』(2107号4面3)
韓国・女子中学生れき殺から1年 反戦の灯に5万人
申孝順(シンヒョスン)さん、沈美善(シムミソン)さんが米軍車両にひき殺されて1年の6月13日、「女子中学生追慕、民族自主・反戦平和ろうそく大行進」がソウル市庁舎前で開催され、中高校生を先頭に5万人が集まった(写真)。韓国各地89カ所で追悼集会が行われ、15万人が参加。南北同時開催も実現するなど北朝鮮侵略戦争が緊迫する中、朝鮮人民の反米反戦闘争が燃え上がった。「ブッシュは謝罪しろ」「不平等なSOFA(韓米駐屯軍地位協定)を改正せよ」「戦争挑発を中止せよ」と要求。「ロウソクの力で韓半島(朝鮮半島)に垂れ込めた戦争の暗雲をふり払おう」と誓った。
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週刊『前進』(2107号4面4)
イージス艦入港を弾劾 6・15富山
6月15日、富山大学学生自治会の学生と北陸労組交流センターは、民間港の富山新港に一般公開を口実に入港したイージス艦「みょうこう」に対する抗議行動に決起した。「みょうこう」は海上自衛隊舞鶴基地所属のイージス艦であり、対北朝鮮の軍事活動を任務とする。今回の入港は、富山県当局が北朝鮮籍の貨物船のスー・ヤン・サン号の入港を拒否し、沖合に停泊させている中で強行された。軍艦は入港させて、民間貨物船は北朝鮮籍船だから入港させないのだ。
イージス艦の真横に横断幕を広げ「北朝鮮籍船の入港拒否弾劾」と訴えながらのビラ配りは非常に注目を集めた。さらに自衛隊富山地方連絡部に申し入れを行い、港での抗議行動を続けた。日本海側を中心に激しく強まる排外主義・差別主義が実際の経済制裁として発動されていることに危機感と怒りを燃やして闘おう。
(投稿/富山大T)
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週刊『前進』(2107号4面5)
6月10日〜17日
イラク派兵新法を国会提出 沖縄でまた米兵が暴行事件
●民間犠牲3240人を確認 AP通信がイラク侵略戦争で少なくとも3240人の民間人が死亡したとする独自報告の結果を報じた。実際の民間人死者数は数倍、数十倍の可能性があるという。病院に運ばれずに埋葬された例も多いとみられ、米英軍は民間人死者の推計をしていない。(10日)
●イラク新法「非組織的攻撃、戦闘でない」
イラク特措法案に関連し、イラク人民の戦闘行為について「組織的でなければ、戦闘行為と見なされない」とする解釈が政府内で有力に。ブッシュ米大統領の戦闘終結宣言に基づいているという。(11日)
●「先制攻撃排除せず」 米国防総省の諮問機関・国防政策委員会のリチャード・パール前委員長が北朝鮮の核開発問題について「サージカル・ストライク(特定目標だけに対する正確で迅速な空爆)を排除できない。必要なら米国単独で行う準備を常に備えておくべきだ」と述べた。(11日)
●米兵、女性に暴行致傷 5月25日、沖縄本島北部で県内の女性がキャンプ・ハンセン所属の米海兵隊上等兵に暴行され、顔面を殴られた、と同基地の憲兵隊に訴え、米軍が上等兵の身柄を拘束したことが分かった。(11日)
●米兵訴追、猶予1年再延長 国連安保理事会が国際刑事裁判所(ICC)設置に関するローマ条約を批准していない米国など出身の国際平和維持活動(PKO)要員らへの捜査と訴追の猶予を1年間延長する決議案を賛成12、反対0で採択した。ICCは戦争個人犯罪を裁く常設裁判所。米国は昨年、米兵の除外規定を要求、1年間の捜査・起訴猶予が決議されていた。(12日)
●有事3法施行 武力攻撃事態法、改正自衛隊法、改正安全保障会議設置法の有事法制3法が施行された。国民保護法制の施行まで武力攻撃事態法のうち、首相の自治体に対する代執行権などを定めた部分は凍結される。(13日)
●強力な武器、携行検討も 石破防衛庁長官は、イラク特措法に関連し、イラクに派遣する自衛隊が携行する武器の装備強化について「危険な地域に十分な武器使用権限を与えないまま、自衛官を派遣する考えはない」などと表明。法案の武器使用基準は緩和しないが、部隊の行動や武器使用の手順を定めた「部隊行動基準」の運用などで対応する考えを示した。(13日)
●イラク特措法案、国会提出 政府は米英軍の後方支援などに自衛隊を派遣する「イラク復興特別措置法案」と11月1日に期限が切れるテロ対策特措法を2年延長する改正案を閣議決定し、国会に提出した。政府が自衛隊の活動分野の一つに盛り込んでいた「大量破壊兵器処理の支援活動」は法案から削除された。(13日)
●安保の丘に銃携行憲兵 沖縄の米軍嘉手納基地所属の憲兵2人が嘉手納町の通称・安保の丘で銃を携行していたことが分かった。米軍側は通常の警備であると説明している。(13日)
●ハマス対策部隊「米軍の参加も」 ルーガー米上院外交委員長(共和党)が米FOXテレビに出演し、「ハマスの攻撃を止めるための国際部隊に米軍も参加するかもしれない」と述べた。(15日)
●イラク市民保有武器、実力回収へ イラクを占領統治する米英暫定占領局(CPA)が、市民に自発的な武器提出を求めていた2週間の「猶予期間」が終わったとし、武器を実力で捜索、回収する作戦に本格的に乗り出した。(15日)
●国会40日間延長 衆院本会議で、今国会の会期を40日間延長することを与党3党などの賛成多数で議決した。会期は7月28日まで延長される。(17日)
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週刊『前進』(2107号5面1)
北朝鮮侵略戦争出撃基地化狙う 暫定滑走路北側延伸許すな
反対同盟・敷地内農民を守ろう
赤坂 潤
有事法制を成立させた日帝・小泉政権は、アメリカ帝国主義・ブッシュ政権の世界戦争政策に限りなく接近することで軍事大国化への道を走り出した。拉致問題を逆手に取り、対北朝鮮排外主義の大々的扇動と経済制裁へ事実上踏み切ったことは、北朝鮮侵略戦争への参戦の引き金を引いたに等しい。侵略戦争と敗戦の末、戦争の道を永久に放棄した日本労働者人民は重大な岐路に立たされている。三里塚闘争も新たな正念場である。成田空港は朝鮮有事で米軍の出撃・兵站(へいたん)を支える中心的基地だ。「暫定滑走路の2500b化」をめぐる攻防の渦中にある三里塚闘争は、侵略戦争を阻止する最重要の闘いのひとつとなった。北朝鮮侵略戦争と対決する三里塚闘争の新たな課題と方針を提起する。
新たな世界戦争の引き金が引かれた
(1)アメリカ帝国主義は、対イラク侵略戦争後の占領統治の破綻(はたん)が明らかになる一方、早くも北朝鮮侵略戦争に手をかけ始めた。アメリカは古典的な帝国主義的利害の獲得(石油資源の略奪など)において、有無を言わさぬ軍事力による中東全域の支配、さらには世界の一極支配を目指す破滅的な道を進み出している。
だが軍事力による世界の一極支配など本質的に不可能だ。9・11でアメリカが直面した事態は、世界の植民地諸国で百数十年におよんだ殺りくと収奪が、ついに限界を超えた結果である。一見強大で凶暴なアメリカ的世界支配は、実は土台から崩壊を始めているのである。
この米帝ブッシュ政権の戦争政策に対して日帝・小泉政権は全面的な支持を表明した。狙いは侵略戦争への参戦をとおした“敗戦国”の地位からの脱却であり軍事大国への飛躍だ。北朝鮮侵略戦争への参戦をとおして階級支配の暴力的転換をなしとげ、戦時国家へ移行しようとの計画だ。有事法制の成立(6・6)はその画期である。
(2)有事法制は成立しても、敗戦国である日本帝国主義が本格的な戦時体制へ移行するハードルはなお高い。自らが本格的な参戦国となる北朝鮮侵略戦争では、労働者人民の戦時動員という巨大な関門がある。
北朝鮮への侵略戦争(米韓連合軍「作戦計画5027」)は、日本全土の空港・港湾や輸送機関、製造業、通信機関などを総動員して行われる。全土が米軍部隊の受け入れと出撃、兵站・補給を支える基地となる。
開戦となれば、国内の反戦派を黙らせなければならない。革命党および階級的労働運動の破壊・投獄・せん滅、そして三里塚のように非妥協的な反戦派の拠点を制圧することが治安政策上の死活的課題となる。
小泉政権は有事法制制定で「万が一、攻められた場合の備え」などというペテン的言辞で人民を欺こうとした。しかし、民主党など既成政党の屈服と裏切りにもかかわらず、労働者人民は参戦に同意などしていない。小泉政権の危機の根源はまさにこの点にある。
(3)朝鮮情勢はすでに開戦前夜だ。ブッシュ政権は、北朝鮮・金正日体制を軍事的に転覆する方針を確定している。米日は開戦を前提にした軍事的圧力と挑発をくり返し、尋常ではない排外主義の扇動を始めている。軍事行動の第一段階はすでに始まっている。
米軍の作戦は、圧倒的な航空戦力で相手戦力を機能停止に追い込み、百数十万の米韓地上軍が北朝鮮領内に侵攻、一気に政権を崩壊させるというものだ。作戦の生命線は、米軍との共同作戦と後方支援全般を担う日本側の体制である。特に米軍への膨大な後方支援(兵站・補給)を保証できるか否かが作戦全体の死命を制する。
何しろ数十万の地上兵力が日本に集結し、その搬送や補給の相当部分が日本側の責任となる。沖縄と本土のすべての空港(軍用飛行場と民間空港)が基地となり、港湾・鉄道・道路を中心に巨大な兵站・補給ラインが形成される。そのための有事法制なのである。
(4)しかし問題は労働者人民の協力と戦時動員である。「武力攻撃事態」(予測事態も含む)とは、米日が共同で北朝鮮を攻撃する侵略戦争だが、殺到する米軍への補給にかかわる施設で働く労働者の動員、物資の徴発、土地収用などが真っ先に問題となる。
戦時下の動員や徴発は絶対的で、ここで抵抗運動が起きれば戦争計画は足元から揺らぎ、ひいては内乱の引き金を引く。国家が戦争を始めて労働者が非協力の立場をとり、反戦運動や抵抗闘争が爆発すると国家支配の根幹が危機に瀕(ひん)するのである。
物資保管命令や業務従事命令、土地への立ち入り命令などが罰則付きで強制される(改悪自衛隊法124〜125条等)理由はここにある。戦時下の反戦闘争が犯罪と見なされる規定(武力攻撃事態法8条・国民の協力義務)も同様だ。アメリカは「対テロ戦争」開始とともに、外国人の一斉逮捕や労働運動への激しい弾圧に乗り出し、暗黒の警察国家に舞い戻った。有事体制は国内治安戦争=反戦派のせん滅として貫徹される以外にないのである。
日帝権力は、上からの階級戦争をすでに始めている。革命党や戦闘的労働運動への弾圧を強め、在日朝鮮人民に対する排外主義的扇動を異常なまでにエスカレートさせている。
爆取の戦前的運用を可能とする「爆弾テロ防止条約」批准(01年11月)。「テロ資金供与罪」新設(法案提出済)。「共謀罪」やデモ「参加罪」、司法取引、強制供述制度導入などを含む「国際的組織犯罪条約」の批准など。かつての「15年戦争」における治安維持法体系の全面的な復活である。開戦前夜の激烈な階級戦争が始まっているのだ。
こうした国内治安戦争・階級戦争の矛先が、今あらためて三里塚闘争に向かっている。
有事体制に立ちはだかる三里塚闘争
(1)北朝鮮侵略戦争で最大級の兵站・補給基地となる成田空港が、武装闘争をも内包する最強の反戦派の結集拠点である三里塚闘争に包囲されている現状は、開戦という事態を控えた日帝権力が許容できない問題だ。
三里塚は現在、日本国内で唯一、国家の統治が完全には及ばない地域である。37年におよぶ実力抵抗闘争には国内のすべての政党・党派がかかわり、逮捕者と死傷者の総数が1万人を超える闘いとなった。その熾烈な闘いの結果、空港用地内には今なお未買収地が多数残り、滑走路は当初計画の半分しか完成していない。ここには農民闘争としての深い正義性、労農連帯の歴史、70年闘争以来の広範な人民的反戦運動の立場と実践が凝縮されている。
強制収用のための機関である千葉県収用委員会(県の準司法機関)は、88年に強制収用の準備を始めたことで弾劾の嵐を浴び、実力で解体に追い込まれ、丸15年が経過した。いまだ再建の見通しが立たない状態が続いている。「悪法も法なり」が法治国家だが、三里塚では国家の暴力装置が機能しない。それが人民的正義のもとに定着している。
権力が権力を行使できない。権力万能の神話は事実をもって崩壊している。三里塚闘争は、反権力の実力闘争が広範な人民の支持に支えられるなら、権力の暴力支配さえ打ち破る陣地を階級闘争の中に確保できることを実証した。
(2)有事法制制定論議が具体化した発端は、94年の「北朝鮮核危機」での後方支援問題だ。米クリントン政権が開戦寸前まで危機を高めながら、成田空港など日本国内の主要な兵站・補給拠点が使用できない問題が突き出された。羽田連立内閣は極秘に対米軍事支援の短期法案を準備したが、与党内の根回しも出来ず断念に追い込まれた。こうしてアメリカは土壇場でカーター元大統領を訪朝させ、「枠組み合意」でさしあたり軍事攻撃を回避した。
この94年危機の起点に、日米安保体制の実質改訂作業が一気に進んだ。翌95年に朝鮮有事を想定した「1059項目の対日支援要求(成田空港の米軍使用など後方支援全般)」が米軍から提示され、96年に日米安保共同宣言(日米安保の対象領域を「アジア太平洋地域」に拡大)、97年9月の日米新ガイドライン締結、99年5月周辺事態法成立と、矢継ぎ早に米軍支援の法制度が整備された。
そしてアメリカは2000年のアーミテージ報告で日本政府に「集団的自衛権の承認と有事法制の整備」を要請、日米同盟の新たな性格(朝鮮有事での共同作戦体制)を明示した。
アメリカの要求は明確だ。北朝鮮侵略戦争は純然たる戦争であり、集団的自衛権の承認と、強制力をもった戦時動員体制が必要というものだ。
こうした流れの中で日本の有事法制制定攻撃は具体化した。有事法制が「万が一、日本が攻撃された時の備え」(小泉答弁)ではなく、対北朝鮮の侵略戦争遂行のための法整備であることは議論の余地もない。
(3)米軍は朝鮮半島での軍事行動に際し、成田空港など日本の大空港とすべての航空基地を戦略的に重視している。湾岸戦争以後の十数年で米軍が進めた軍事戦略変更の中身は、階級支配の危機(多数の自国戦死者を出せない)と財政危機(地上軍の長期・大量派遣の困難)に規定され、短期決着を基本とする航空戦力に圧倒的な重きを置くものとなった。このひとつが「兵站革命」と呼ばれる迅速・大量の航空輸送である。
前記「1059項目」で米軍が成田空港に期待したのは巨大な貨物処理能力を含む兵站・補給基地としての戦略性だ。戦場(38度線)から600`以上離れているという条件も大規模兵站拠点の要件とされる。成田と結ぶ東関道の料金ゲートも最近、軍用トレーラーなどが通過できる幅広規格に改良された。
爆撃機などの出撃基地としても、成田空港の4000b滑走路は不可欠である。アフガニスタンでもイラクでも、4000b級滑走路が必要なB52爆撃機などが多数運用された。日本でこのクラスの滑走路を持つ飛行場は沖縄・嘉手納基地以外では横田基地(東京=3350b。過走帯を含め3955b)と関空(大阪=3500b)そして成田空港だけだ。
米軍は、攻撃作戦に際して一飛行場に50機以上の航空機を駐留させないという運用原則をもつ(滑走路破壊による戦力低下を避ける)。成田空港が三里塚闘争を抱えていることを政府は自覚しているが、ことは戦争であり成田を使用対象からはずすことはない。政府は「成田空港の軍事使用はしない」と明言した過去の政府答弁をすでに覆した(99年10月=全国知事会への回答)。そして有事法制で、空港・港湾などの米軍使用は強制力をもって行われることになった。
以上のような戦略性をもつ成田空港が、戦争を目前にして最強の反戦闘争・三里塚闘争に包囲され、37年間も空港の完成を阻まれている。この現状に日帝権力はあらためて危機感を募らせているのである。
出撃と兵站基地=成田空港の戦略性
(1)戦時体制づくりをめぐる以上のような問題を背景に、三里塚では暫定滑走路の北側再延伸を含む「2500b化」攻撃がさまざまな形で強まっている。
02年4月の暫定開港は、国際空港として論外の欠陥を露呈した。2180bと極端に短い滑走路は中型機以下しか飛べず、予想どおりオーバーラン事故を生んだ。湾曲した誘導路(市東孝雄さん所有地による)では航空機同士の接触事故も発生。両者とも再発防止の手だてはない。「農家の頭上に飛行機を飛ばせば地権者は必ず落ちる」(公団用地部)として無茶な暫定開港を強行した公団は、解決不可能な危機を抱え込んでしまった。
空港公団にとって最大の問題は、来年4月にスタートする空港の民営化だ。株式上場期限は07年。それまでに暫定路を2500bにできないと上場自体が不可能化する危険が高い。09年に羽田空港の再国際化と新滑走路完成が迫っており、これが先行すると成田発着のアジア便の大半が羽田に移管し、成田の暫定滑走路不要論が現実化しかねない。成田空港の資産評価は急落し、上場どころではなくなる。民営化後は採算性がすべてで、暫定滑走路の閉鎖すら現実化する。国家的施策だった成田空港建設の最後的破綻が全世界に露呈することになる。
(2)公団の攻撃プランは、あくまで暫定滑走路南側の東峰区住民を追い出し、本来の平行滑走路2500bを整備することだ。そうすれば暫定開港で北側に伸ばした800b分を合わせ、3300bの本格滑走路となる。しかし公団は、暫定開港による“頭上40b飛行”という暴挙によっても、反対同盟と東峰区住民の抵抗の意志をくじくことができなかった。
追いつめられた公団はその後、住民を脅す最終手段として「(交渉決裂なら)北側への再延伸でジャンボ機を飛ばす」と陰に陽に吹聴し始めた。すでに十分に非人間的な環境を強制しておいて、この上に生存条件を最後的に壊してやるという脅しだ。常々「民主的話し合い」を語る公団の実に卑劣な実態である。
しかし、たとえ北側再延伸(暫定プラス320b)を強行しても、実はジャンボ機は飛べない。駐機場との連絡誘導路が狭く、片側通行で湾曲しジャンボ機は通過できない。滑走路に入れないのだ。また北側延伸の場合、滑走路の北寄り400b地点(航空保安地域)を露天の高速道路が横断する。その危険度は許容範囲を超える。結局現状の暫定滑走路と同様に、中型機以下の運行しかできず便数も増やせない。北側再延伸は運行上まったく意味のない工事なのだ。
また2500bで飛べる型式のジャンボ機は旧式の国内線用だけで保有機数も限られ、墜落事故を起こし退役が進行している欠陥機種だ(SR100型=御巣鷹山事故)。大半のジャンボ型機は3000b以上の滑走路長が必要だ。結局、東峰区をつぶして南側に延伸できなければ、延伸の意味はない。
それでも公団は、東峰区住民を脅し反対闘争を破壊するために、それだけの目的で、意味のない北側延伸工事を強行する構えを強めている。脅す一方で札束を積み屈服を迫る。相も変わらぬ理不尽な農民殺しである。
黒野総裁が敷地内を脅迫
公団の攻撃は、なりふり構わぬものとなってきた。
そもそも円卓会議(地権者の同意なき着工はしない等)を反故(ほご)にして、暫定滑走路開港を強行したこと自体が論外である。公団・黒野は開港後、地権者が屈服しないとみるや「北側再延伸」の脅迫を重ね、空港敷地内の一坪共有地を強奪するための民事訴訟を始めた。土地収用法をもってしても三十数年取得できなかった共有地を民法で取り上げるという理不尽きわまる行為だ。これも“権力”を振りかざした脅迫の一環だ。ジェット排ガス被害が著しい反対同盟・市東孝雄さん宅(天神峰区)の対策塀かさ上げ要求も、公団は拒否し続けている。
また公団は脅迫と表裏一体で、東峰区住民への買収にも全力をあげている。これまで公団は空港敷地外の土地買い上げは原則として行わなかった。しかし今回、東峰区全体の土地を買い上げる「東峰貨物地区構想」をデッチあげた。成田の貨物地区はすでに大規模な増設が進行中で、向こう20年以上不必要なのだ。東峰区買収のためにする「構想」である。
さらに黒野総裁は、暫定開港の一方的な強行を「謝罪」する文書(3月)を自署名で同区に配布した。「(暫定開港は)地権者の同意なき身勝手な手法で反省します(■)」「騒音下の生活を思うと胸が締め付けられる痛みを感じます(■)」などと頭を下げて見せたのである。そしてこの「謝罪」の舌の根も乾かぬ2カ月後、「暫定滑走路の北側延伸構想が可能になった」(5・17朝日新聞)というむき出しの脅迫記事を大新聞にスクープさせた。結論は「東峰区の皆さんと移転について話し合いたい」である。脅迫と“謝罪”、脅迫と買収。このくり返しだ。
政府・公団の農民無視は37年前と変わらない。彼らは今も農民たちを人として扱っていない。「一切の話し合いを拒否する」という反対同盟農民たちの怒りはあまりに正当である。
三里塚闘争37年の歴史的勝利開く時
(1)反対同盟と敷地内農民を守りぬこう
北側延伸を含む暫定滑走路の「2500b化」攻撃は、一片の正当性もない農民殺しである。反対同盟と敷地内農民はこの理不尽きわまる攻撃に対して、あくまで屈服を拒否し闘い抜いている。それは三里塚闘争が37年の歳月をかけて世に問い続けてきた反権力闘争の集大成だ。国際空港建設という「国益」を盾に、あらゆる暴力と奸計(かんけい)で農地を奪おうとしてきた政府。これに対して最後まで屈服を拒否し、今なお空港の完成を阻み続ける三里塚農民の生きざまは、今まさに国家主義の扇動とともに侵略戦争の歴史を再現しつつある日帝権力との闘いの核心部を照らしている。反対同盟自身がそうした気概で家族ぐるみの闘いを継続している。
この不屈の闘いにこたえ、北側延伸攻撃を粉砕し、三里塚闘争の歴史的勝利の道を切り開くことはわが革共同と労働者人民の責務である。
暫定滑走路の2500b化を阻止することは十分可能だ。それは民営化後の暫定滑走路(使い物にならない!)を閉鎖に追い込む闘いとなる。
(2)東峰神社裁判闘争の大衆的発展を
当面する三里塚現地攻防戦の具体的焦点は、敷地内農民に対するさまざまな脅迫と買収・切り崩し攻撃を粉砕しつつ、東峰神社裁判闘争の大衆的発展をかちとることである。特に神社裁判は、東峰地区の所有する(総有関係)産土神社の樹木を、公団が開港の必要に駆られて不法を承知で伐採した事実が暴かれており、その勝利は暫定滑走路の存在自体を揺るがすことになる。東峰区住民の闘いに連帯し、支援カンパを始めとする大衆的取り組みに全力をあげよう。
(3)北朝鮮侵略戦争阻止! 朝鮮人民と連帯を
北朝鮮侵略戦争の切迫という事態の中で、成田空港の軍事空港化阻止の闘いがあらためて反戦闘争の中心的テーマとなった。朝鮮半島への出撃・兵站基地=成田空港を包囲する闘いは、闘う朝鮮人民との国際主義的連帯を実践する闘いである。とりわけ激しく闘われている韓国の労働者・学生による反米軍(基地)闘争と固く連帯し、三里塚闘争を拠点に日本労働者人民の反戦闘争の新たな革命的発展を切り開こう。成田空港を朝鮮侵略戦争の基地にするな! 反対同盟を先頭に、暫定滑走路の2500b化と北側延伸攻撃を粉砕しよう!
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週刊『前進』(2107号5面2)
寝屋川支部弾圧粉砕を
解同全国連と連帯して 獄中の4人を奪い返せ
6月12日、大阪地検は、デッチあげ逮捕していた部落解放同盟全国連合会寝屋川支部の滝口敏明支部長、伊地知重行副支部長、木邨(きむら)秀幸事務局長、島田洋司青年部長の4人を不当にも「恐喝」罪で起訴した(前号既報)。この暗黒のデッチあげ弾圧、部落差別を満腔(まんこう)の怒りを込めて弾劾する。必ずこれを粉砕し、4人を早期に奪還するために、解同全国連とともに闘おう。
弾劾すべき第一の点は、このデッチあげ起訴攻撃が全国連つぶしを狙ったきわめて意識的な治安弾圧であるということである。
大阪地検は起訴状で、4人は「部落差別による不当解雇の糾弾を装って解雇予告手当を喝取しようと企て」「部落解放同盟全国連合会寝屋川支部長の肩書きの名刺を差し出し」「『家まで来とる。部落かどうか確かめに来たんやろ』『部落やから会社をやめさせたんやろ。部落差別やないか』『手当を払わんかい』と怒号し……団体の威力を背景に……畏怖(いふ)・困惑させ……喝取した」などとしている。
この起訴状に明らかなように、日帝は4人が全国連であること、部落民が部落差別を糾弾することそれ自体を犯罪としているのである。まさに<全国連罪>そのものであり、糾弾闘争弾圧法の人権擁護法案の先取りである。有事立法情勢下における階級闘争撲滅攻撃である。
起訴状は極悪の差別文書だ
弾劾すべき第二の点は、この起訴状が国家権力による前代未聞の極悪の差別文書であり、起訴が部落民に対する国家による差別襲撃そのものとして行われたことである。
いったい全体、全国連の名刺を出して、自らの役職を相手に告げることや、部落差別を「部落差別だ」と糾弾することが、どうして「(人を)畏怖・困惑させる」ことなのか。名刺を相手に渡し、所属を明らかにすることは当然の社会的常識であり、「礼儀」とされているものである。ところが部落民の場合には、自らが所属する差別と闘う団体を名乗る行為自体が脅迫=犯罪になるというのである。
なんということか! 日帝は全国連を文字どおりの暴力団のような犯罪集団扱いしているのである。しかも、それは組織としての全国連のみならず、部落民であることを明らかにすること自体が相手を恐怖させる行為であると国家が認定したということであり、重大な部落差別である。それを日帝は公文書として国家的に扇動したのである。絶対に許すことはできない。
弾劾すべき第三の点は、日帝は今回の弾圧の労働問題としての側面を意図的に後景化し隠ぺいし、「糾弾による恐喝」問題に絞り上げようとしていることである。日帝はこの弾圧粉砕闘争が、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕を始めとする労働者階級の闘いと合流し連帯し、階級的共同闘争として発展していくことを心底から恐れている。だから労働者階級の闘いから差別的に分断しようとしているのである。
この弾圧が労基法改悪の先取りであり、大資本攻勢の一環であることは明白である。起訴状では、大阪地検は島田君に対する解雇が労災中に行った違法解雇であることをあくまで隠蔽しようとしている。だが既報のように、一切のデッチあげの出発点と破綻(はたん)点はここにあるのである。また、会社が解雇通告したことに対して、島田君が解雇予告手当を請求したことも、まったく当然のことなのである。この事実の抹殺を断じて許すな。
労働者人民は、島田君への不当解雇が部落差別に貫かれて強行されていること、さらに日帝権力が部落差別を扇動し、労働者階級人民を分断することで資本を擁護し、労働者の権利を剥奪(はくだつ)しようとしていることに階級的怒りを燃え立たせ、必ずこの攻撃を粉砕しよう。
最後に訴えたいことは、このデッチあげ弾圧を必ず粉砕し、逆にこれを日帝権力の致命的敗北に転化しようということである。
検察は起訴状で、勾留状では「13日」になっていた「恐喝の実行日」を、何の釈明もなく「18日」に変更した。それに加えて島田君とメタルカラーとの雇用関係を、「二カ月」の「期間を定めて使用される者」であったとさらなる改ざんを行っている。大阪地検は卑劣にも、日付の改ざんが暴かれ島田君が労基法21条の4の解雇予告義務が免除される雇用関係にあったとの主張が成立しなくなるや、今度は雇用関係を同法21条の2であったとすることによって、解雇予告義務はなかったとデッチあげようとしているのである。
だが、改ざんの上にどんな新たな改ざんを重ねようとも、真実にはならない。刑事裁判はもとより民事裁判でも、労災中の違法解雇と、雇用関係の相次ぐ改ざん問題を徹底的に暴き、警察・検察のデッチあげを全面破産に追い込もう。
滝口支部長ら4人の仲間に加えられた弾圧は300万部落大衆と6千万労働者人民すべてにかけられた攻撃である。獄中の4人の闘いと固く連帯して、全国連はこの弾圧粉砕闘争に組織の総力をあげて取り組み、逆に全国連5万人建設の決定的突破口にしようと闘っている。
国労を始めとするすべての労働者のみなさん。部落解放同盟全国連合会と固く連帯し、この暗黒のデッチあげ弾圧を粉砕するために差別分断攻撃をうち破って、最後の勝利までともに闘い抜こう。
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週刊『前進』(2107号5面3)
300人が起訴弾劾集会
6月12日午後7時半、滝口支部長ら4人に対する不当な起訴攻撃を弾劾する全国集会が寝屋川の国守地区で開かれ、全国から300人が結集した。
集会はデタラメきわまりない起訴攻撃に対する激しい怒りのるつぼと化した。支部長代行が「4人を1時間でも早く取り戻そう」と呼びかけ、全国連中央本部の村上久義副委員長が「国労臨大大弾圧、九州大への弾圧に続く大弾圧だ。腹を固めて闘おう」と訴えた。
家族が悔し涙を浮かべ登壇。「息子を取り戻すまで闘う」「こんなことで20日も閉じこめれば十分ではないか!」との発言が、会場の怒りを倍加させた。中田潔中央本部書記長は基調報告で、「このデッチあげは国守住民への警察にも行政にも逆らうなという見せしめだ。弾圧を恐れて権利は守れない。弾圧の不正義性を示し、全力で差別攻撃を粉砕しよう」と訴えた。
全国連各ブロックと高槻市の小西弘泰市議、森田充二市議ら闘う議員団、国労臨大闘争弾圧の家族2人がともに闘う決意を述べた。また荒本支部の阪口克己書記長は「全国連つぶし」をうち破り、9月東大阪市議選に勝利するアピールを行った。最後に寝屋川支部の飛山利光書記長が、保釈要求の署名・カンパ、組織拡大などの行動方針を提起した。
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週刊『前進』(2107号6面1)
有朋寮廃寮阻止へ総決起を 国立大学法人案粉砕 学生自治圧殺うち破れ
マル学同中核派・東北大支部
すべての学友諸君! 東北大学有朋寮廃寮阻止決戦に全力で決起しよう。有朋寮決戦こそ、日帝の延命をかけた「大学の構造改革」攻撃と真っ向から対決する闘いだ。この闘いは、国家権力・大学当局と正面から激突しながら歴史的勝利に向かって前進している。イラク新法制定を阻止し、日帝の北朝鮮侵略戦争突入攻撃を粉砕せよ! これと一体のものとして有朋寮決戦の大爆発をかちとり、「東北大学学長・吉本打倒! 国立大学法人化攻撃粉砕! 日帝・小泉政権打倒!」へつき進め!
反対闘争の拡大に恐怖する大学当局
有朋寮廃寮攻撃をわれわれは絶対に許さない。マルクス主義学生同盟中核派東北大支部は、有朋寮決戦の大爆発で、大学を内乱的激突にたたき込み、学長・吉本を打倒し、有朋寮廃寮白紙撤回をかちとるために全寮生・全学生とともにどこまでも闘いぬく決意だ。
01年9月、東北大学当局は有朋寮の廃寮を勝手に決定し、それを一方的に通告してきた。新寮建設すらない廃寮であり、寮生のたたき出しだ。しかも大学当局は破廉恥にも「老朽化」「寮生の安全」を口実としてきた。寮生・学生の新寮建設の切実な要求を6年以上も放置し続け、何が今さら「老朽化」か。その後大学当局が有朋寮をつぶすために行ってきたことを見れば、これがまったくの口実に過ぎないことは明らかだ。
02年度入寮生のF君に対して、大学当局は学生証の発行を拒否した。F君が寮に住んでいることを理由にして東北大の学生であることを認めないという暴挙だ。さらに今年2月大学当局はF君に対し、前代未聞の無期停学処分を決定した。どうして寮に住んでいるだけで無期停学処分なのだ。しかもF君の主張を直接聞くこともなく、密室で決定された反動処分だ。大学当局は有朋寮廃寮を強行するためには、学生から「学ぶ権利」を奪ってもかまわないというのだ。
それだけではない。ついに東北大学当局は自作自演の「傷害事件」をねつ造し、警察と一体でこの闘いをつぶそうとしている。3月28日に、50人近くの教職員が「現況確認」と称して寮に押しかけてきた。そのうちの1人である農学部教授・西森克彦が、自ら転んで「被害届」をデッチあげた。それをもとに6月2日、宮城県警は、3月28日当日に大学の横暴を許さないための監視活動に駆けつけていた全金本山労働組合の中野七郎氏をデッチあげ逮捕した。しかも西森はその「功績」を買われて学長特別補佐のいすを手に入れた。「出世」目当てに転び屋を買って出る西森と、「出世」をエサにデッチあげまでやらせる学長・吉本。なんという腐りきった構図か。
この弾圧は有事立法情勢下で日帝の攻撃と労働運動・学生運動が激突していることに対する治安弾圧であり、とりわけ有朋寮決戦をとおして地域の学生運動と労働運動の結合が一層強化されてきていることに対する国家権力・大学当局の恐怖の表れなのだ。
これに対して有朋寮生を先頭に「新寮なき廃寮」反対の当然の要求を掲げた闘いが開始されてきた。大衆的団結を闘いの中で打ち固め、大学当局を追いつめてきた。F君を先頭とする必死の訴えと、命がけの100時間ハンストを含む5波のハンガーストライキが全学を席巻し、寮生の闘いへの共感が広がっている。廃寮反対署名は3000筆にのぼり、2波にわたる全学決議運動がたたきつけられている。これと一体で、有朋寮生はイラク反戦闘争、有事立法決戦にも全力で決起してきた。
この中で、有朋寮決戦は大前進をかちとっている。当局が廃寮期限としていた今年4月1日以降も「電気・ガス・水道をストップする」という大学当局の決定を覆させ、闘いを前進させてきた。「新寮なき廃寮」反対の当然の要求に、社会的にも圧倒的共感が広がり、廃寮反対アピールにはすでに270人を超える賛同(6月現在)が寄せられている。有事立法や国立大学法人化の攻撃の中で、「権利が奪われる時、戦争が始まる」という危機感が有朋寮決戦を契機にあらゆるところで広がっているのだ。米帝のイラク開戦直後の3月21日には、市民が呼びかけて有朋寮廃寮とイラク開戦を弾劾する市民集会が開催された。地域での労働運動との連帯もさらに強固に打ち固められている。
一方大学当局は今や、警察の導入と情報統制でしか、有朋寮廃寮攻撃を維持できなくなっている。デッチあげを行った西森は、研究室に監視カメラを設置し、戦々恐々としている。西森のこのデッチあげには教職員の中からも疑問の声が上がっている。ついに大学当局は教職員に「寮生とは話をするな。ビラを受け取るな」という統制を加えるところまで追いつめられた。もはや東北大学は真理とも真実とも無縁な大学に成り下がった。
有朋寮決戦の勝利に向けてさらに進撃しよう。有朋寮決戦は、廃寮決定、処分、弾圧という敵の反動攻撃と真っ向から激突し、その中で大学当局の本性を暴きだし、さらに怒りを組織し、拡大させて発展をかちとってきている。あらゆる反動を恐れず、闘いの中でこそ団結を打ち固め、次々と闘いの拠点を押し広げるのだ。そして大学を内乱的状況にたたき込み、吉本を打倒して、有朋寮廃寮決定白紙撤回をかちとろう。
争闘戦と戦争への「大学の構造改革」
3・20米帝のイラク侵略戦争突入と6・6日帝の有事立法強行成立は、現代世界を画然と転換させた。現代世界はもはや後もどりのきかない帝国主義の分裂と抗争の時代、世界戦争か世界革命かが真っ向から問われる時代に突入している。 日帝の危機突破の国家指針として支配階級が打ち出したものが「奥田ビジョン」だ。「奥田ビジョン」は、「東アジア自由経済圏構想」をうちだし、米帝やEU帝国主義に対抗することを打ち出した。日帝が、ついに再び「大東亜共栄圏」の道に踏み出すことを激しく主張しだしたのだ。その中で、「主役は産学」と大学に最大級の位置づけを与えている。日帝が米帝と対抗しながら、北朝鮮・中国侵略戦争に突入し、アジアを勢力圏にしていくために大学を徹底的に使い切るということだ。有朋寮廃寮化攻撃も国立大学法人化攻撃もこの攻撃の一環としてかけられている。 一つに、「大学の構造改革」攻撃こそ、「奥田ビジョン」の「失われた20年」という危機感に本質的に対応し、そこから大学を帝国主義間争闘戦の拠点として徹底的に位置づけるものである。「平沼プラン」(新市場・雇用創出に向けた重点プラン、01年5月25日)はそれを「産官学総力戦」と表現している。 二つに、日帝・小泉政権は教育改革攻撃と一体でこれをさらに推進しようとしている。教基法改悪を打ち出した3月20日の中央教育審議会答申はこのことを鮮明にさせている。教育基本法改悪の中でこれまで記述がなかった大学の役割を明記している。「国のための教育」の頂点に大学をはっきりと位置づけ、教育と教育体系の側面からも「産官学総力戦」遂行を徹底するものだ。 国立大学法人化攻撃の狙いは「学問の自由」と「大学の自治」を解体し、帝国主義による支配と統制と動員を貫徹することである。 まず、狙いがあくまで大学の国家統制だということだ。文科大臣が中期目標(6年間)を定め、大学に指示し、大学はそれに基づき「中期計画」を策定することが基本骨格である。そして文科省による年度ごとの評価結果が翌年度の予算配分に反映される。さらに中期目標期間の終了時には評価結果は総務省の審議会でも評価され、審議会は評価によっては国立大学法人の改廃すら勧告できる。 そして各大学に国家目標の貫徹を徹底的に競わせるため、財政の自己責任を一層はっきりさせた。 さらに、学長を決定者とし、「役員会」を最高決定機関とし、そのもとに「教育研究評議会」と「経営協議会」が設置されるとしている。検討過程では新たな学科などの設立を「教育研究評議会」の権限としていたものが、法案でははずされた。教育研究内容の確定は、教育研究の必要からではなく、国家目標の達成から行うという制度を確立するためだ。
東北大は再び侵略に加担するのか!
東北大学こそ国立大学法人化攻撃の先兵だ。同時に、国立大学法人化のもとでの大学がいかなる姿をとるのかを如実に表している。そこにあるのは、本当に腐りきった姿だ。
そもそも昨年まで東北大学の学長であり、廃寮決定の下手人である阿部博之は、国立大学協会副会長として国大協を国立大学法人化攻撃に導きいれる最悪の役割を果たした。さらに調査検討会議の座長として国立大学法人化攻撃を推し進め、学長任期が終わった今は総合科学技術会議のメンバーとして小泉のもとで「産官学総力戦」の極悪の推進者となっている。
阿部は学長時代から「抵抗する自治から貢献する自治へ」と吹聴し、「自治」という言葉を使った大ペテンで大学の帝国主義間争闘戦への動員を積極的に推し進めていた。
それだけではない。有朋寮問題について「廃寮反対アピール」賛同者が、「なぜ有朋寮を廃寮にするのか」と問いただしたのに対し、答えに窮したあげく「あそこは活動家が多い寮だから」と答えたのだ。
まさに阿部は国立大学法人化攻撃を東北大学で先取りし、学生運動を解体することを最大の目的として有朋寮廃寮決定を強行したのだ。そして全教職員がこれに手を貸したのだ。
大学丸ごと自治を投げ捨てた大学がいかなる姿になるか。東北大学の今日の姿がそれを示している。
国立大学法人化攻撃という「大学自治」を一掃し、「学問の自由」を否定する大攻撃に対して、全国の大学では東京大学、京都大学を始め学部、研究室、ゼミ単位で次々と意見書や声明が発せられている。教職員による国会デモも闘い抜かれている。にもかからず、この東北大学では、評価を恐れ、誰ひとり反対の表明すらできなくなっている。「自主規制」という形で現実には国家統制が始まっているのだ。
さらに文部官僚に教授の資格を与え、副学長に就任させるという異例の人事すら行っている。積極的に官僚支配を受け入れているのだ。その中で、評議会や教授会は形骸(けいがい)化され、「意見を言ったら殴られそうな雰囲気」(評議委員A)だという。すでに学長−官僚による大学支配が行われている。そしてこの評議会がF君への無期停学処分を決定したのだ。
そして学生が戦争と自治つぶしに反対するためにクラスで討論を広げようと呼びかけていることに対しては「大学の自治と学問の自由の破壊だ」と異様にわめきたてる。いったいこの大学のどこに「大学自治」「学問の自由」を語る資格があるというのか!
さらに寮生に向かって「お前らには人権はない」(前学寮担当教授・高田)とがなりたて、陰で有朋寮のポスターだけを選別してはがすことが教職員に指示され、実行されている。寮生には憲法も何もないのか。
さらに学長室の窓はここ数年間、金網で覆われ続けている。大学執行部の研究室には次々と監視カメラが設置されている。自分たちがやっていることがどれだけ不正義なのかをよく自覚しているから、恥も外聞もなくこんなことができるのだ。あげくの果てに、論功行賞でデッチあげまでやらせるのだ。
国立大学法人化攻撃は大学の国家統制と一体であり、それと対決するものを徹底的にパージする。学生であれ、教職員であれ、国家的要請に従わないものは、予算で締め上げ、首を切り、それでもだめなら警察にさしだし、密告やデッチあげすら奨励する。東北大学のこの腐りきった姿こそ、国立大学法人化大学の本性なのだ。
東北大学当局は、新学生寄宿舎をPFI事業として行うことを決定したと発表した。国立大学法人化の中で起こることは、新学生寄宿舎そのものが、国家目標を達成するための施設とされるのである。そこで学生は、あくまで成果を挙げることによってのみ生活していくことが許される。同時に、大学を利権の温床にするものだ。
こうして批判精神すら失い、腐敗を極め、自らの目的のためには手段を選ばぬようになった大学のいきつく先こそ、軍事研究や人体実験に手を染めた「帝国大学」なのだ。
実際、「奥田ビジョン」は「日本の産学連携がこれまで一貫して弱かったわけではない。たとえば、トヨタ自動車が成功した基礎は、1930年代に自動車用特殊鋼の生産に関して、東北帝国大学と密接に協力したことによって確立された」と主張し、目指すべきは「帝国大学」の復活だと主張しているのだ。
これは荒唐無稽(こうとうむけい)な話ではない。2月18日の衆院予算委員会で防衛庁長官・石破は「防衛と学との交流をきちんとやっていかねばならない」と述べ、具体的対象として「ミサイル防衛に関する日米共同研究」をあげた。今の東北大学ならこれを先を争ってやっていくことは間違いない。
では「奥田ビジョン」が目指す1930年代の東北帝国大学で何が起こったのか。
1938年人民戦線事件が起こり、東北帝国大学では宇野弘蔵助教授らが逮捕され、経済理論を口実に治安維持法で起訴された。大学は死の沈黙を守った。当時の助教授は「“じっと黙っていなければならないというのはなんと苦しいことだろうか”と手紙を書き送った」と後に述べている。
他方で軍事研究のために次々と予算が投入された。東北帝国大学では敗戦時にあった10の研究所のうち、実に9つが1930年代以降の準戦時下あるいは戦時下に設立されたものだ。そのいきついたところは「学徒動員」であり、東北大学が「誇る」本多光太郎や八木秀次らによる「原爆の製造について」の検討だった。これが国立大学法人化で起ころうとしていることだ。この歴史を繰り返すのか否かが問われている。
ここに有朋寮決戦の歴史的意義は明らかだ。有朋寮決戦とは、戦争のために学生寮と学生自治を破壊する攻撃との対決であり、侵略戦争体制確立に向けた大攻撃との対決なのだ。そして今や自治を完全に売り渡した大学当局を本当に打倒して、自らの手で自治を闘いとり、大学を根本からつくりなおす闘いだ。そしてこの中で自治と団結を打ち固め、侵略戦争を繰り返すなを真正面から掲げて、日帝・小泉に対する総反乱に転じていく歴史的意義を持つ大決戦なのだ。
イラク新法阻止へ全国学生は立とう
すべての学友諸君! 戦争と革命の時代が本格的に到来している。日帝は死の苦悶(くもん)にのたうち、グラグラになりながら、侵略戦争と大資本攻勢に突き進んでいる。これに対する労働者階級と被抑圧民族人民の歴史的決起は始まっている。帝国主義の危機と凶暴化の時代は、労働者階級と被抑圧民族人民の総反乱の時代だ。階級決戦の全面的爆発の先頭に学生運動が立とう。
第一に、イラク・北朝鮮侵略戦争粉砕決戦の爆発をかちとろう。イラク新法粉砕の国会決戦に決起しよう。北朝鮮侵略戦争阻止を掲げて万景峰号入港規制=経済制裁発動と対決した6・9新潟闘争は決定的であった。今や北朝鮮侵略戦争阻止を掲げることそのものが分岐を促進し内乱的激突を激化させる。さらに街頭に飛び出し、内乱的激突の中で分岐を促進していくのだ。
第二に、国立大学法人法案粉砕の国会決戦に決起しよう。文科省がうそとペテンで塗り固めて法案成立を強行しようとしていることが明らかになり、法案に対する怒りがさらに高まっている。何としても廃案に追い込もう。
第三に、有朋寮決戦を全国的闘いとして大爆発させよう。有朋寮決戦を突破口に、国立大学法人化攻撃に対する全国大学の総反乱をたたきつけよ。それを日帝のイラク・北朝鮮侵略戦争阻止決戦と両輪的に大爆発させ、全国大学に不抜の自治会建設をかちとろう。
第四に、これらの激闘を闘う中で、今こそ学生共産主義者を膨大に生み出そう。マルクス主義こそ戦争と革命の時代に躍り出る生きた行動原理であり、原動力なのだ。すべての学友はマル学同中核派に結集し、この大決戦に突入しよう。
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週刊『前進』(2107号6面2)
東北大弾圧 中野さん(全金本山)を不当起訴 デッチあげに怒り広がる
6月2日に不当逮捕された全金本山書記次長の中野七郎さんが20日に不当起訴された。徹底弾劾する。必ず取り戻そう。(詳報次号)
不当な勾留に全国から多くの抗議の声があがっている。不当逮捕に抗議し即時釈放を要求するアピールが仙台市議会議員や弁護士など10氏の呼びかけで発せられ、10日間で動労千葉、仙台市職労など80団体と150人から賛同が寄せられている。
6月11日には勾留理由開示公判が50人を超える結集で闘われた。法廷に入りきれない全金本山労組の組合員、学生、市民が廊下まであふれた。仙台地裁・阿閉裁判長は「事案の性質に照らして、罪証隠滅および逃亡の恐れがある」と言い放ちデッチあげ弾圧に加担した。
弁護士は3月28日の「ころび事件」直後の西森農学部教授の後頭部をアップで撮影した写真を示し、「外傷らしきものは認められない。何をもって外傷と認定したのか」「2カ月以上も経過し、捜査を終了しているはずで罪証隠滅の恐れは認められない。労働組合の争議も重要局面を迎えており、執行部として責任ある立場にある被疑者が逃亡することはあり得ない」と釈明をくり返し求めた。
しかし、阿閉裁判長は「答える必要はない」と居直り「黙秘していることも勾留する一要素だ」とまで言い放った。裁判所自身が憲法38条で保障されている黙秘権を否定しウソの自白強要に加担しているのだ。
中野さんは被告席から「それでは何で勾留されるのかまったく分かりません。分かるように説明してください」と阿閉裁判長を追及した。傍聴席からも激しい弾劾が浴びせられた。
中野さんは、意見表明の冒頭に、後ろの傍聴席を振り返り元気な笑顔をみせて決意を示し、「事実は彼(西森)がころび屋を演じたということ。私のところには大学から何の連絡もなかった。良識の府であるならば、私本人に話があってしかるべきではないか」「私は物資販売で全国を回っている最中だ。3月に賃金支払いを求める判決も出て、全国の支援の人たちにお礼に行かなければならない重要な時期だ。そんなときに逮捕されてとても怒っている。自分の人生をかけて闘いたい」と怒りをこめて意見を表明した。
そして「最後にもう一度みなさんのお顔を見て私の話を終わりにします」としめくくり、再び傍聴席を振り返った。激励と拍手で阿閉裁判長の制止の声もかき消された。公判後に裁判所前で報告集会を行い、抗議のシュプレヒコールをたたきつけた。
15日には仙台市内で、不当な勾留延長に抗議する緊急集会を80人の結集でかちとった。有朋寮委員長は、3月28日の大学ぐるみの「傷害事件」ねつ造を怒りも新たに暴露した。そして、真実を隠ぺいしようとする大学当局の腐敗を徹底的に弾劾し、デッチあげ弾圧を粉砕し廃寮を阻止する決意を表明した。
全金本山労組の青柳充書記長は、このデッチあげ弾圧が全金本山労組への弾圧であり、全金本山労組と学生運動や地域との共闘が力強く発展していることに恐怖した治安弾圧であることを弾劾し、中野さんをただちに奪還する闘いに総決起することを訴えた。
中野さんの家族は、「とんでもないことが起きていることをみなさんに知らせてほしい。こんなことを許しておいたら、本当に戦争をくり返すことになります」と訴えた。全参加者はこの権力犯罪を打ち破る決意を打ち固めた。
集会後に一番町をデモ行進し、街を行く人びとも注目し、数百枚のビラがまかれた。
大学の教授が「ころび屋」を演じて人を罪に陥れ、多くの教職員がそれを知っていながら真実を明らかにする声も上げない。まさに戦前の「ものも言えぬ大学」ではないか。こんな弾圧を許したら戦争への道だ。全国から抗議を集中し、デッチあげ弾圧を打ち砕こう。無実の中野さんをただちにとりもどそう。
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週刊『前進』(2107号6面3)
福嶋同志保釈却下弾劾 検察側の違法立証許すな
迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧の福嶋昌男同志(東京拘置所在監)と弁護団が5月13日に行った保釈請求を、東京地裁刑事第3部・服部悟裁判長は、6月11日付で却下した。断じて許せない。11年にも及ぶ長期不当勾留を弾劾し、福嶋同志の即時保釈を全力で実現しよう。
6月10日、第162回公判が行われた。前回に引き続き、警視庁科学捜査研究所・小島直樹に対する弁護側再反対尋問が行われた。
小島は、福嶋同志の手紙を基礎資料にして、岩手借家から警察が押収したというメモ45枚を比較し、そのメモが福嶋同志の「筆跡と推定する」というデッチあげ鑑定を行った。しかし、そもそも45枚のメモは押収場所も、紙質も筆記用具も記載内容もバラバラのものである。にもかかわらず、一体性判断と称して、わずか半日もかけずにざっと見ただけで同一人が書いたものと決めつけた。その上で福嶋同志が書いた手紙との異同識別(同一性判断)を行ったのだ。本来同じ筆跡鑑定であるはずの作業を、片や一体性判断といい、片や異同識別と言い換えながら、デッチあげ鑑定を行ったのが小島なのだ。
小島は、過去の反対尋問では一体性判断は異同識別(同一性判断)と比べて緩やかな判断で構わないと言っていた。服部裁判長自ら、「(小島証言によれば)同一性と一体性は同じものではなくて、一体性というのは同一性よりもそれ自体レベルの低いものだろうと思います」と小島証言をまとめ上げているのである。にもかかわらず、検察再主尋問では、一体性判断と異同識別(同一性判断)の確度は同じであり、「鑑定の際の心証は百パーセント間違いない。百パーセント確実なもので確実なものを判断するのですから、確度が低くなることはない」と開き直ったのである。
さらに検察側は、「一体性判断と同一性判断の確度は同じ」というでまかせをそれらしく見せかけようと鑑定書に取り上げていない十数個の文字をなりふり構わず持ち出して、「それらは『希少性ある特徴文字』であり、一体性判断の根拠だ」などと小島に言わせたのである。しかし、それらは特徴文字とすら言えないものであり、さらには共通文字が45枚のメモの内で3枚、あるいは2枚のみに現れているに過ぎないたぐいのものばかりである。
弁護団は、「そもそも鑑定書にない文字を最終段階で法廷に持ち出してくるなど、はなはだしい違法立証であり、防御権の侵害だ」と強く弾劾し、証拠からの排除を要求した。
さらに小島は、「希少性」の基準は10%前後の出現頻度であるとのなんの根拠もない主張をなんとか正当化したい思惑で、科学警察研究所の幹部に電話で問い合わせた話を証言しようとした。明らかに伝聞法則違反だ。弁護団は異議を申し立てたが、服部裁判長は検察による尋問を強行させたのである。このデタラメな強権的訴訟指揮に、弁護団は当然にも伝聞証言の証拠排除を要求した。
結局、今回の法廷で服部裁判長は上記2点の証拠排除の申し立てを却下した。ただちに福嶋同志が「不当な決定だ」と異議申し立てを行った。
次回の公判に全力で決起し、却下決定を弾劾し、福嶋同志・弁護団とともに闘いぬこう。
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週刊『前進』(2107号6面4)
公判日程
☆迎賓館・横田裁判
福嶋同志裁判
7月1日(火)午後1時15分
7月22日(火)午後1時15分
☆水嶋同志裁判
7月8日(火)午後1時30分
☆6・12私文書弾圧裁判
判決公判
7月24日(木)午後1時15分
※いずれも東京地裁
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