ZENSHIN 2003/05/26(No2102 p06)

ホームページへ週刊『前進』月刊『コミューン』季刊『共産主義者』週刊『三里塚』出版物案内販売書店案内連絡先English

第2102号の目次
 
1面の画像
(1面)
民主党・連合の裏切りと日共の屈服を弾劾し5・23闘争爆発で大反撃を
北朝鮮への侵略戦争を準備する小泉訪米−日米首脳会談許すな
記事を読む  
有事法案衆院通過を弾劾 5・15 雨の中、国会前に駆けつけ 記事を読む  
(2面)
国労弾圧粉砕・国鉄闘争勝利へ 5・27臨大1周年に際し訴える
「許さない会」運動を拡大し8被告の保釈・無罪勝利を
記事を読む  
福岡 許さない会を結成 松崎さん、羽廣さん支える陣形(5月11日) 記事を読む  
03春闘ストの意義を訴え 動労千葉夏季物販広げよう 記事を読む  
(3面)
労働法制改悪阻止へ
資本の解雇認め終身雇用解体
有事立法下の侵略戦争動員狙う 連合中央の屈服許さず廃案に
記事を読む  
石川さん不当逮捕から40年
5・23狭山全国一斉行動を 最高裁で再審かちとれ
記事を読む  
反戦地主会 最高裁に要請行動 “特措法違憲の判決を”(5月9日) 記事を読む  
有事法反対でシンポ 地公労、海員組合、全港湾など(5月7日) 記事を読む  
(4面)
侵略戦争法案に対案や修正はありえない
衆院通過を弾劾し絶対に廃案に追い込もう
記事を読む  
横須賀 原子力空母 カールビンソン弾劾 キティホークと同時入港(5月6、10日) 記事を読む  
富山でNO WAR 学生らが街宣とデモ(4月29日) 記事を読む  
“採決許すな”1200人が国会包囲(5月12〜14日) 記事を読む  
日誌'03 5月7日〜13日
与党・民主、有事法修正合意 石破「他国領土に出動可能」
記事を読む  
(5面)
北富士 “使用協定は無効” 天野会長 30時間座り込み(5月13、14日) 記事を読む  
青森で反核燃集会 6月ウラン試験阻止へ(5月11日) 記事を読む  
(6面)
共謀罪新設阻止でデモ 国際的組織犯罪条約の衆院採決を弾劾(5月9日) 記事を読む  
心神喪失等医療観察法案
成立すると何が起きるか 「病者」であることだけで隔離・収用・抹殺される
記事を読む  
参院で成立阻止へ 連日国会行動に決起(5月6、8日) 記事を読む  
弾圧と闘う
福嶋同志奪還へ全力を 迎賓館・横田爆取デッチあげ 許せぬ10年余の勾留(5月13日)
記事を読む  
公判日程 記事を読む  

週刊『前進』(2102号1面1)

民主党・連合の裏切りと日共の屈服を弾劾し 5・23闘争爆発で大反撃を
 北朝鮮への侵略戦争を準備する小泉訪米−日米首脳会談許すな

 日本帝国主義が米帝と全面的に共同=競合しつつ一体となって北朝鮮(中国)侵略戦争に突入していくことを可能にする有事3法案が、5月14日の衆院特別委で可決された。翌15日には衆院本会議で採決が強行された。民主党の歴史的な転向と裏切り、日本共産党など野党の公聴会すら要求しない総屈服によって、戦後憲法体制を完全に転覆する北朝鮮侵略戦争法案、日帝の武力行使法案が衆院を通過したのだ。さらに小泉とブッシュは、5月23日の日米首脳会談で北朝鮮侵略戦争への準備を具体的に進めようとしている。日本の労働者人民は今こそ怒りを爆発させて、5・23明治公園10万人大集会の成功のために総決起し、大反撃に打って出よう。

 第1章 参院決戦で有事3法案を絶対阻止せよ

 有事立法決戦はまったく終わっていない。参院で可決・成立を絶対阻止する決戦の本番は、むしろこれからである。5・23闘争を10万人規模で大爆発させ、それを突破口に参院決戦を闘いぬくならば、民主党と連合の許しがたい裏切りを突き崩し、未曽有(みぞう)の経済危機・政治危機にあえぐ日帝・小泉政権を揺さぶって、この希代の侵略戦争法案を阻止し、廃案に追い込むことは可能である。
 われわれは4・27統一地方選決戦を党と人民の総力決起で闘い、偉大な成果をかちとった地平から、この5月前半の有事立法阻止闘争に全力で決起した。20労組や百万人署名運動などと固く連帯して闘い、連日、数百、数千の労働者人民が国会に駆けつけ、有事立法反対の意志と怒りをたたきつけた。反戦共同行動委は、15日朝から国会闘争に決起すると同時に、夕方、250人の永田町集会と国会デモを闘いぬいた。また首都圏の各駅頭でのビラまきと、渋谷、新宿などでの署名街宣行動を圧倒的に展開した。
 次は5・23である。これを大爆発させて、6月参院決戦に突き進むのだ。
 有事立法はイラクに続く米英日帝連合の北朝鮮侵略戦争を合法化する戦争法案である。米帝は北朝鮮を「悪の枢軸」「無法者政権」と呼び、先制攻撃を仕掛けて、人民大虐殺と政権転覆を強行しようとしている。日帝はこれに全面参戦し、戦後初めて自ら北朝鮮に(中国に、アジアに)侵略戦争の武力行使をやろうとしている。すでにある新ガイドライン(日米防衛協力のための指針)や周辺事態法と相互に一体のものとして、北朝鮮(中国)侵略戦争突入を可能にするものこそ、有事3法案なのだ。今こそ戦後最大の政治決戦を爆発させ、自国帝国主義の侵略戦争突入と対決し、有事3法案を絶対に阻止しなければならない。
 有事立法を強行するために、日帝・小泉は「備えあれば憂いなし」などと言って労働者人民をあざむこうとしている。北朝鮮の核開発問題や拉致問題を扇動し、帝国主義的排外主義の大洪水を巻き起こしている。だがそもそも北朝鮮の核やミサイルの「脅威」から日本を、日本の労働者人民を守るものが、有事立法なのか。まったく違う。こんなものはとんでもないウソであり、虚構である。
 米日帝による「北朝鮮脅威」論の扇動と、北朝鮮への排外主義の大洪水を粉砕して、有事立法絶対阻止の参院決戦を爆発させていくために、以下の5点を確認したい。

 第2章 北朝鮮への排外主義扇動粉砕する論点

 第一に、問題の一切の出発点、戦争の根源は、北朝鮮の動向にではなく、帝国主義の側、米日帝の側にあるのだということである。
 米帝ブッシュ政権は、01年9月QDR(4年ごとの戦力見直し)と02年9月ブッシュ・ドクトリン(国家安全保障戦略)をもって、米帝が自らの「国益」を貫き世界帝国として延命していくための世界戦争計画を、すでに米帝の世界戦略として確定している。そして北朝鮮、イラン、イラクを「悪の枢軸」と名指しし、アフガニスタンに続き3・20イラク侵略戦争を強行した。これが一切の起点である。しかも次は北朝鮮であり、シリア、イランだと公言しているのだ。
 この事態は北朝鮮にとって体制存亡の危機である。これだけで体制が揺らぐ情勢なのだ。こうした中で北朝鮮が体制存続の対抗策としてとったのが核開発宣言であり、4月米朝中協議での「核保有」発言であった。それは核をカードにするしか生き残れないという絶体絶命性を根拠にした、捨て身の瀬戸際外交である。
 確かに核開発は、労働者人民の利害とは相入れない。南北朝鮮人民、全世界の労働者人民の反戦決起と世界革命への闘いで帝国主義と闘うのではなく、核武装で対抗するのは反人民的である。そのスターリン主義的反革命性は弾劾されなければならない。またそもそも帝国主義(米日帝)は、この北朝鮮の核武装政策を口実とし、絶好のえじきとして、北朝鮮侵略戦争と有事立法を合理化しているのだ。
 今日、帝国主義は北朝鮮の核の「脅威」を宣伝している。だが、米帝が言うように北朝鮮がすでに核兵器を保有し、それで今にも日本や米軍基地が攻撃されるというのは、ウソであり、完全なデッチあげである。北朝鮮の核開発のレベルは、せいぜい凍結されていた燃料棒の「再処理」をほぼ終了した段階であり、核実験もなされていない。小型化してミサイルに搭載できる技術水準とは、ほど遠いのが現実だ。米日帝はそれを十分知っていながら、イラクの大量破壊兵器の「脅威」と同じようにウソの大宣伝をして、北朝鮮侵略戦争の口実にしようとしているのだ。これを徹底弾劾しなければならない。
 第二に、米日帝が北朝鮮を先制攻撃しようとしていることである。ブッシュ・ドクトリンは近代以来の国際法を完全に転覆して、脅威が発生するはるか以前に予防的、先制的に攻撃できるという論理を合法化した。武力攻撃事態法案が、外からの「武力攻撃」が現実に「発生」したり「切迫」している事態だけでなく、「事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態」を規定し、現実の事態のはるか手前の「予測」段階で、北朝鮮を武力攻撃できるとしているのは、完全にブッシュ・ドクトリンと対応しているのだ。
 米帝も日帝も武力攻撃事態(=日本有事)が単独で突然発生するとは考えていない。新ガイドライン自身、周辺事態が日本への武力攻撃に「波及する可能性のある場合」と「同時に生起する場合」しか想定していない。つまり米日帝が北朝鮮(中国)を先制攻撃する事態である周辺事態が「波及」あるいは「同時に生起」するものとして、武力攻撃事態(=日本有事)はあるのだ。だからこそ「予測」規定をもって、有事立法も先制的に発動しようとしているのである。

 第3章 政権転覆と人民大虐殺の侵略戦争反対

 第三に、米日帝が圧倒的な国力差、軍事力差のもと先制攻撃でやろうとしていることは、北朝鮮への侵略戦争であり、残存スターリン主義としての反米的政権の転覆と100万とも百数十万とも言われる朝鮮人民の大虐殺である。有事立法と周辺事態法、そして2年ごとに改定される作戦計画5027が狙っているのはそういうことだ。
 ある政権が反人民的だからといって、帝国主義が侵略戦争を行い、政権を転覆してよいなどということは断じてない。それは南北の朝鮮人民自身が国際連帯の中で決起し解決することだ。だが米帝は「悪の枢軸」論のもとに、戦争重圧や経済制裁(重油供給の凍結!)で北朝鮮が自壊すればそれでよし、そうでないなら侵略戦争で政権を転覆すると言っているのである。こんな理不尽が許されてよいのか。
 第四に、「自衛」とか「日本の安全」「国民の安全」の名のもとに有事立法と北朝鮮侵略戦争が合理化されていることだ。しかし歴史上すべての帝国主義の侵略戦争が「自衛」を口実に行われた。米帝のイラク攻撃も結局は「米国の安全」と「国益」が理由だった。だが貫かれようとしているのはブルジョアジー(資本家階級)の利益であり、石油権益であり、勢力圏づくりである。日帝が北朝鮮侵略戦争で狙っていることは東アジアの勢力圏化であり(奥田ビジョン=「東アジア自由経済圏」を見よ!)、新たな15年戦争への突入である。帝国主義の「自衛」を認めることは、侵略戦争を認めることになるのだ。
 侵略戦争は「国民の安全」どころか、労働者人民の戦争動員であり、資本攻勢と生活破壊、賃金奴隷制の強化であり、治安弾圧の激化である。このことを訴えて闘おう。
 第五に、南北朝鮮人民と連帯して闘うことだ。朝鮮人民は何を考え、何を訴えているのか、その声を聞くべきである。ところが日帝はそれをまったく無視して有事立法を強行し、帝国主義的虐殺戦争をやろうとしているのである。
 韓国の民主労総は「米国のイラク侵攻を防がなければ、朝鮮半島に恐ろしい戦争がくる」と警鐘を鳴らし、イラクに反戦代表団を送り、国際連帯を貫き闘っている。韓国の労働者は資本攻勢との最も戦闘的な闘いを行っている。
 韓国のトラック運転手などで作る労働組合・貨物連帯は、5月13日全面ストに突入し、韓国最大の貿易港・釜山港の港湾機能を完全にストップさせ、盧武鉉(ノムヒョン)大統領が訪米中に、政権を足下から揺るがしている。
 この朝鮮労働者に侵略戦争、虐殺戦争を仕掛けてよいのか。断じて否だ。闘う民主労総、闘う朝鮮人民と連帯し闘おう。

 第4章 連合と民主党と日共に労働者の怒り

 民主党が、有事立法の対案・修正案を4月30日に提出し、修正協議で合意し、小泉・菅の党首会談をもって、有事立法推進の最先兵に転落したことを徹底弾劾しなければならない。
 民主党提出の「緊急事態対処基本法」は外からの武力攻撃だけでなく「テロリストによる大規模な攻撃、大規模自然災害等」の緊急事態への対処、未然防止をも求めるものであり、有事3法案をむしろしり押しするしろものである。小泉はこの民主党を修正協議に引き込み、一定の「譲歩」はしても、挙国一致的、大政翼賛的に法案を成立させることに全力をあげたのだ。
 だが「基本的人権の保障規定」や「国民保護法制の整備まで、法施行の一部凍結」などの修正要求が認められたと言っても、自民党にとっては痛くもかゆくもない。民主党の協力で法案が成立してしまえば、小泉が「画期的」と礼賛しているように、後はどうにでもなるからだ。侵略戦争を認めて何が人権だ。戦争こそ基本的人権圧殺の最たるものではないか。「挙国一致」で北朝鮮侵略戦争に突き進む民主党の裏切り、そして日本共産党の屈服を許さず、5・23決戦の巨大な爆発をかちとろう。
 民主党と一体の連合も昨年の「5・16見解」などで有事法制に賛成し、9月に「共闘拒否」を通達したのに続き、今年3・10「北朝鮮に関する声明」で、政府に「拉致問題、核開発問題等の解決無しには日朝国交正常化および経済協力はあり得ない」などと要求し、対北朝鮮排外主義の先兵となっている。労働者階級を裏切り、侵略戦争に動員していく連合指導部を打倒し、連合下の労働者の決起を全力で組織しよう。
 今日の有事立法攻撃の一挙的激化は、まさに3・20イラク開戦以降情勢の中で、日帝自身の新たな15年戦争突入の攻撃として起こっていることだ。
 米帝ブッシュは対イラク制裁解除の国連決議案を提出し、米英帝によるイラク軍事占領・再植民地化とイラク石油支配に本格的にのり出し、全中東の「民主化」や10年以内の「自由貿易圏」形成を打ち上げ、全中東の米帝支配=勢力圏化の野望をむき出しにしている。そのために、一方で新たな中東和平構想「ロードマップ」(行程表)を振りかざし、アラファト追放(アッバス新内閣組織化)とパレスチナ解放闘争圧殺の策動を強めている。
 これに対し、12日深夜、サウジアラビアのリヤドで連続自爆ゲリラが爆発した。米帝への怒りに満ちた、民族解放闘争の特殊的=極限的形態での戦いである。チェチェンでも連続的に自爆ゲリラが戦われている。全ムスリム人民の帝国主義への総反撃が開始されているのだ。米帝を先頭に国際帝国主義が、2大陣営に分裂しつつ侵略戦争―世界戦争に突き進んでいる情勢に対決し、全世界の労働者人民と被抑圧民族人民が団結し、連帯して、帝国主義打倒の国際的内乱に総決起していこう。

 第5章 有事法阻止と労働運動決戦が2大正面

 日帝の北朝鮮侵略戦争=有事立法攻撃は、今国会での労働法制改悪や治安弾圧の攻撃と一体だ。 
 解雇(首切り)を原則自由にする労基法改悪案は、5月6日、衆院本会議で趣旨説明が行われ、厚生労働委員会で職安法改悪案、派遣法改悪案と並んで審議入りした。日本経団連の奥田ビジョンや03年経労委報告が狙う「首切り自由」、「途上国並み賃金」、終身雇用制解体、団結破壊への一大資本攻勢と、全面対決して闘うことが求められている。
 これと闘って勝利する水路が、国鉄闘争=1047名闘争であり、3労組共闘であり、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いだ。有事立法決戦と固く結合して、5・27弾圧粉砕へ「許さない会」を圧倒的に組織する闘いに全力をあげよう。労働法制改悪粉砕に総決起しよう。さらに改憲攻撃そのものである教育基本法改悪粉砕の闘いを強めよう。この労働運動決戦を、有事立法粉砕と一体の2大正面として闘うことを訴えたい。
 有事第4法案である個人情報保護法案は、国家権力・政治家・官僚・資本家の機密や腐敗の「個人情報」を防衛するために、報道・言論活動を全面的に規制・弾圧すると同時に、労働者人民を住基ネットと結びつけて徹底的に国家が管理・統制・動員しようとするとんでもない悪法だ。
 4月24日、国際的組織犯罪条約の批准が衆院で強行採決された。「共謀罪」新設の国会審議が始まろうとしている。「共謀罪」こそは究極の結社禁止法であり、革命党弾圧法である。破防法以上の悪法だ。それは権力と闘うすべての労働運動、学生運動、市民運動にも向けられている。革命党の存在をかけて闘い、粉砕しなければならない。
 保安処分新法・医療観察法案は、戦時下で「精神病者」の隔離・抹殺を狙うナチス型の治安攻撃だ。成立阻止へ参院段階での決戦的闘いを強めよう。
 イラク侵略戦争の継続、北朝鮮侵略戦争の切迫と有事立法攻撃の激化は、沖縄闘争の戦略的位置をいよいよ決定的にしている。北朝鮮侵略戦争で最大の出撃・兵站基地となる沖縄において、4・27宜野湾市長選勝利と5・15闘争を突破口に、有事立法粉砕、名護新基地建設阻止の闘いを圧倒的に前進させよう。
 北朝鮮への排外主義扇動を粉砕し、有事立法決戦の大爆発をつくりだす闘いにとって、在日朝鮮人民との連帯を発展させることが死活的に重要である。4〜5月入管闘争の地平から、さらに大胆に防衛・連帯の闘いを前進させよう。
 巨大な世界史的激動と有事立法決戦のただ中で、学生運動の爆発、マル青労同再建を軸とした党建設の闘い、機関紙拡大闘争への決起を、全力でかちとろう。
 当面する一切は5・23決戦の爆発にかかっている。有事立法は絶対阻止以外にない。5・23で大反撃し、6月の展望を開くのだ。参院決戦の大爆発へ突撃しよう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2102号1面2)

有事法案衆院通過を弾劾 5・15 雨の中、国会前に駆けつけ

 5月15日午後2時、有事3法案の衆議院本会議での採決の瞬間、衆院第2議員会館前の道路は全国から駆けつけた労働者人民の怒りのシュプレヒコールが響きわたった。
 朝からの雨にもかかわらず、いてもたってもいられないと、全国から続々と集まってくる。関西からマイクロバスを仕立ててきたグループもいる。東北、九州、北陸からも来ている。仕事を休んだ人、病気にもかかわらず署名用紙を持って駆けつけた人や若者など、国会前は色とりどりの旗と、ゼッケン、プラカード、傘で埋め尽くされた。
 午前11時20分から開かれた集会では、参加した人びとが次々と有事立法への怒りを語った。今年になってからイラク反戦闘争を始めたという若い女性が、有事立法の問題点を知って毎日国会前に来ていると話し、「国会見学にくる多くの小中学生に°戦争法だから、反対しようね″と訴えると反応がある。引率の先生も手を振ってこたえてくれる。この反応を見て勇気がわいた」と語った。
 正午から13、14日に続いて陸・海・空・港湾労組20団体などの集会が開かれ、約500人が参加した。発言者は、口々に民主党の裏切りを弾劾し、あくまで廃案を目指して闘うこと、5月23日の明治公園に結集することを訴えた。
 本会議が始まった午後1時から、再び抗議集会が再開された。ワールドアクションに参加している女性は「有事立法には命がかかっている。『殺すな』と叫びたい」と強く訴えた。関西から来た女性は「憲法を読んだら、なぜ有事法が合憲かさっぱりわからない。どうしても納得いかないから、きょうは子どもを学校を休ませて連れてきました」と話した。
 衆議院本会議で採決が強行された午後2時には、力一杯怒りのシュプレヒコールをあげた。

 自民党本部へデモ 反戦共同行動委

 反戦共同行動委員会は15日夜、「有事法制の成立を許すな!/北朝鮮への侵略戦争をとめよう!」の緊急行動を闘った。首都圏を中心に全国から250人が結集し、国会近くの星陵会館で集会を行い、その後デモに立った。有事3法案の絶対阻止のため5・23明治公園大集会への大結集に全力を尽くす不退転の決意を固めた。
 有事法案の衆院通過という事態に、会場は緊張した雰囲気だ。事務局長の滝口誠さんが「闘いはこれからだ。5・23の10万人大結集のために重大な決意で1週間がんばろう」と訴えた。
 全学連の大山尚行委員長が基調報告を行った。「有事法成立は、ただちに北朝鮮侵略戦争になる。声を大にして『朝鮮の人たちを殺すな』と訴え闘いぬこう」
 国労共闘の労働者が「国労組合員の根こそぎ決起を実現する」、神奈川労組交流センターの自治体労働者が「労組は何のために存在するのか。勝負はこれから」と、それぞれ労働者の5・23への組織化の決意を述べた。新城節子杉並区議、部落解放同盟全国連の決意表明が続いた。最後に動労千葉の田中康宏委員長が「5・23明治公園に10万人を組織し反動をうち砕き、戦争と大失業と対決する労働運動の新しい出発点を築こう」と提起した。
 ただちにデモに出発し、まず自民党本部前で「採決強行を許さないぞ」「北朝鮮侵略戦争を阻止するぞ」と怒りのシュプレコール。その後、赤坂見附を抜け、日比谷公園までのデモを貫徹した。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2102号2面1)

国労弾圧粉砕・国鉄闘争勝利へ 5・27臨大1周年に際し訴える
「許さない会」運動を拡大し8被告の保釈・無罪勝利を

 有事立法・労働法改悪阻止と直結した闘い

 国家権力・警視庁は、昨年10月7日と10月29日、松崎博己さんら九州闘争団員2人と近畿地本組合員5人、国鉄闘争支援者3人の計10人を逮捕、その後国労組合員7人全員と支援者1人を起訴するという暴挙を強行した。昨年5月27日に開かれた国労第69回臨時全国大会当日、国労本部派組合員が宿泊したホテル前で行われたビラまき・説得活動に対して「暴力行為等処罰ニ関スル法律」(以下、「暴処法」とする)を適用し、国労内部の問題に土足で介入した不当きわまる弾圧である。
 8人の被告は、この不当逮捕と対決して完全黙秘の闘いを貫き、「私たちは無実。裁かれるべきは私たちを逮捕・起訴した警察権力であり、私たちを警察に売り渡した国労本部派だ」と法廷内外で主張して闘いぬいている。
 この闘いにこたえ、昨年12月19日、佐藤昭夫(国鉄採用差別事件最高裁訴訟参加申立代理人)、加藤晋介(鉄建公団訴訟主任弁護人)、土屋公献(元日弁連会長)、高山俊吉(弁護士)、宮島尚史(労働法学者)、北野弘久(憲法学者)、山口孝(経営学者)、立山学(評論家)、六本木敏(元国労委員長)、針生一郎(美術評論家)、芹澤壽良(労働問題研究家)、師岡武男(評論家)の12氏が呼びかけ発起人になって「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」が結成された。
 「許さない会」は、弾圧粉砕の大衆的な闘いの軸をなす運動体として活動し、闘いの前面に立っている。その後、新たに大和田幸治(全国金属機械労組港合同事務局長)、武建一(全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部委員長)、手嶋浩一(前国労九州本部書記長)、岩崎隆次郎(元福岡県評事務局長)の4氏を発起人に加え、全国的な運動として拡大しつつある。
 逮捕から7カ月、5・27臨大から1周年を迎える今、われわれは、「許さない会」の運動を心から支持し、この闘いを全力で支えぬく。被告・家族の闘いと連帯し、新たな決意をもって国労5・27臨大闘争弾圧を粉砕するために総決起することを宣言する。有事立法粉砕(有事立法・労働法制改悪粉砕)の大決戦と一体のものとして、「国労5・27臨大闘争弾圧粉砕、8被告の早期保釈奪還・無罪勝利、国鉄闘争勝利」に立つことを訴えたい。

 有事立法下の労働運動弾圧

 国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いは、有事立法・労働法制改悪粉砕闘争と直結し、その闘いの帰趨(きすう)を決する位置を持っている。
 3・20に始まった米英によるイラク軍事攻撃は、帝国主義の侵略戦争への踏み切りであった。帝国主義は、世界を戦争の惨禍にたたき込む以外に、延命の道を失ったのだ。
 他方で、空前の規模で巻き起こったイラク戦争反対の全世界的な闘いは、ムスリム人民の闘いとともに国際プロレタリアートの闘いを、再び世界史の表舞台に登場させ、21世紀冒頭が戦争と大失業の攻撃と対決する「国際的内乱の時代」であることを告げ知らせたのである。
 こうした「3・20」情勢下で、日本帝国主義・小泉政権は、イラク侵略戦争を全面支持した踏み切りの上に、北朝鮮侵略戦争に共同的=競合的に参戦しようと、有事立法制定に突き進んでいる。それは、帝国主義間争闘戦における敗勢に直面した日帝が、その存亡をかけて繰り出してきた必死の攻撃だ。
 同時に小泉政権は、労働法制改悪をテコとして労働者を大失業と低賃金にたたき込む一大資本攻勢に打って出ている。資本主義は、労働者を「食わせられなくなった」のだ。
 労働法制改悪は有事立法攻撃と本質的に一体をなす戦争政策そのものである。その核心には、労働者の階級的団結を破壊し、侵略戦争に動員する攻撃が据えられている。
 日帝資本の戦略を打ち出した「奥田ビジョン」は、労働組合に国益への奉仕=産業報国会化を露骨に迫っている。共謀罪新設や司法制度改革の攻撃は、むき出しの国家暴力で労働者の団結とそれに基づく活動を鎮圧しようとするものにほかならない。
 国労5・27臨大闘争弾圧は、その最も鋭い攻撃として仕掛けられたものである。しかも、戦前以来の治安弾圧法である「暴処法」が適用されたことは、有事立法攻撃下の労働運動弾圧の凶暴性を示している。
 だから、この弾圧を打ち砕く闘いは、国労の再生と国鉄1047名闘争の死活をかけた闘いであるにとどまらず、労働者階級が有事立法攻撃と労働法制改悪を内側から食い破る闘いとなっているのである。

 4党合意粉砕の闘いへの報復弾圧許すな

 有事立法攻撃下において、この弾圧との闘いはいかなる意味を持っているのだろうか。
 国労5・27臨時大会闘争弾圧は、一つに、4党合意粉砕の地平に対する報復弾圧であり、国鉄1047名闘争を分断・破壊する弾圧である。
 今回の弾圧は、直接には、闘う闘争団と並んで4党合意反対派の軸をなしてきた国労共闘への弾圧である。被告の大半は、4党合意地労委闘争の申立人だ。彼らは、「4党合意は国家的不当労働行為」として自民党らの責任を徹底的に追及した。この中で、千葉、福岡、大阪の各地労委が4党協議の座長、甘利明・自民党筆頭副幹事長の証人採用を決定し、甘利は決定的に追いつめられた。それが4党合意破産への最後の引き金を引いた。権力は、被告たちのこうした闘いに憎悪を燃やして襲いかかったのだ。
 5・27臨大は、昨年4月26日の「3与党声明」を受けて行われた。政府・与党の3与党声明は、鉄建公団訴訟に決起した闘う闘争団の除名を、国労本部にあからさまに迫るものであった。権力が労働組合に向かって、組合員の除名を命じることなど、前代未聞の暴挙である。
 00年5月30日の4党合意の攻撃は、逆に闘争団を始めとする激しい憤激を引き起こし、7・1臨大における演壇占拠以後の国労再生に向けた闘いのうねりを生み出した。さらに、4党合意粉砕の闘いは、既成のナショナルセンターの枠を越えた国鉄1047名闘争陣形をつくり出していった。
 3与党声明は、これに恐怖した政府・与党が、国労本部を取り込んでの国鉄闘争破壊攻撃に代えて、力ずくで国労を解体する路線へと転換したことを意味していた。すなわち、昨年12月6日の完全崩壊を待たず、すでにこの時点で4党合意は破産していたのである。
 このことは、権力にとって重大な意味をもっていた。「国鉄分割・民営化攻撃の総仕上げ」を狙い、数年がかりで政府・与党が推し進めてきた策動が大破綻(はたん)したのである。何よりも、国鉄分割・民営化は「小泉構造改革」の手本である。それが今日に至るも未完のままに終わっていることは、階級支配の崩壊につながりかねない。
 現に、1047名闘争の一翼を担う動労千葉は、今春闘において4日間のストライキを貫徹した。それは資本の首切り・賃下げ攻撃に屈した連合幹部の裏切りを突き破り、日本労働運動総体の階級的再生に向けた突破口を切り開いた。何よりもそれは、分裂を深めるJR総連やJR体制そのものに激震を与えている。
 4党合意を破産に追い込んだ闘いは、国労闘争団と動労千葉争議団・全動労争議団の合流という歴史的事態を生み出し、国鉄労働運動の新たな発展を切り開こうとしていたのだ。
 だからこそ、権力はこの弾圧を強行したのである。それは、まぎれもなく4党合意を破産に追いつめた闘いへの政治的報復だったのだ。
 しかも、被告らが逮捕されたのは、国労第70回定期全国大会の代議員選挙の公示日である。警察権力は、こうした形においても国労内部に介入し、その自主的な方針形成を妨害した。そして、3与党声明に屈した国労本部の大会のりきり策を援護したのである。
 3与党声明を発した権力は、国労本部をして5・27臨大を強行させるとともに、国労本部や東京地本の一部役員を取り込んで、この弾圧を周到に準備した。それは、きわめて大がかりな国鉄闘争破壊のための反革命的策謀であった。
 だからこそこの弾圧との闘いは、国鉄闘争と国労再生への死活がかかった闘いになっているのである。

 団結権の死守をかけた攻防

 この弾圧は二つに、労働者の団結破壊を目的とする治安弾圧である。
 5・27当日のビラまきと説得活動は、国労組合員として正当かつ当然の団結権の行使であった。3与党声明に屈服した国労本部を弾劾し、闘争団除名に反対して、闘う国労の再生を訴えた被告たちの行動は、正義である。
 しかもそれは、「抗議・弾劾・平和的ピケット」の域を出るものではなかった。それを犯罪とすること自体、大問題なのである。
 こうした労働組合の団結自治への不当・不法な介入は、憲法第28条、労組法第1条に照らして、断じて許されるものではない。
 今回、警察がそれを承知で踏み破ってきたのは、有事立法攻撃と完全に一体の攻撃なのである。このような弾圧を粉砕しなければ、労働者階級が闘い取ってきた団結権は踏みにじられ、労働者が団結すること自体を犯罪とした19世紀への逆戻りを許してしまうことになる。まさに国労弾圧粉砕の闘いは、「団結権の死守」をかけた攻防なのだ。

 国労本部派は警察労働運動

 この弾圧は三つに、東京地本一部執行部を先頭にした国労本部派による組合員の売り渡しなしに成立しえなかった弾圧である。
 この事件の「証拠」とされているものは、長野、東京、兵庫の国労幹部の証言と5・27臨大当日撮影のビデオテープだけである。このビデオテープは、国労東京地本の鈴木勉執行委員(賛成派革同)が撮影し、わずか1週間後の「02年6月3日付」で警察に任意提出されたものである。
 国労本部はまた、昨年11月11日に「(今回の逮捕は)国労とは関係ない」との声明を出したが、その後に「田中浅雄国労副委員長名」で数回にわたって多数の資料が警察に任意提出されている。その中にはなんと「闘争団の住所録」まである。このような売り渡し行為は、国労運動史上、前例のない暴挙である。
 国労本部は「国鉄改革法承認」の99年3・18臨時大会以来、大会の度に機動隊を導入してきた。その行き着いた先こそ、権力への組合員の売り渡しだ。まさに「警察労働運動」としか呼びようがない腐敗の極致である。
 弾圧との闘いは、ここまで反労働者的転落を深めた国労本部を打倒し、闘う国労の再生をかちとることにも直結しているのだ。

 「暴処法」適用した治安弾圧

 この弾圧は四つに、有事立法攻撃下で激化する戦前型治安弾圧そのものである。
 「暴処法」適用はその象徴だ。この法律は、治安維持法制定の翌年の1926年(大正15年)に制定され、制定と同時に、労働運動・農民運動・部落解放運動などへの弾圧に猛威をふるった。この法律は戦後、「爆発物取締罰則」「警察犯処罰令」とともに生き残った治安弾圧法のひとつであり、戦後の激動期に数多く発動され、その後も民間中小の労働争議などに適用されてきた。
 そもそも労働組合運動とは、労働者が団結し、「多衆の威力を示す」運動である。暴処法は、労働者が団結して資本や裏切り者、スト破りなどと闘うこと自体を処罰する治安弾圧法だ。それは、今年3月末に九州大学の学生自治会運動にも適用されている。
 この闘いは、まさに有事立法攻撃下で、これと一体となって戦前のように労働運動や大衆運動弾圧の武器として再び「暴処法」を乱発する攻撃と対決し、労働運動弾圧を打ち破っていく闘いである。

 「赤狩り」論理による冒頭陳述うち砕こう

 去る4月21日の第5回公判で、検察側は、「(中核派が)闘争団の一部を取り込み、国労全国大会会場内で演壇を占拠するなどの議事妨害をした」と言い放ち、5・27当日は支援者の被告を「リーダー」に「全国大会の会場に向かうのを妨害するため」「多衆の威力を示し、『暴行』を加えた」とする許し難い冒頭陳述を展開した。
 この検察側冒頭陳述は、この弾圧がいかにデタラメな政治弾圧として強行されたかを示している。
 「国労全国大会会場内で演壇を占拠」とは、言うまでもなく00年7月1日の臨時大会のことを指している。だが、周知のように7・1臨大での出来事は、4党合意の受け入れを「拍手承認」で決定しようとした国労本部の非民主的議事運営に対する組合員の大衆的怒りの噴出であった。4党合意に反対するあらゆる勢力が、こぞって本部を弾劾し、大会は休会に至ったのだ。
 ところが検察は、ことさらにそれを「中核派」によるものと描き出し、7・1臨大から5・27臨大に至る国労内の激しい分岐と論争の歴史をゆがめ、「憲法28条も労組法1条も関係ない」とばかりに弾圧を開き直ったのである。
 まさにそれは、戦前同様の「赤狩り」の論理にほかならない。
 しかし、国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会は、こうした階級分断攻撃を打ち破り、この弾圧をまさに自らの問題として引き受けて闘いの先頭に立っている。このことに心からの感動を覚える。われわれは大衆的な反撃によって弾圧を打ち破ることを確信できるのだ。これになんとしてもこたえよう。

 日本労働運動の再生かけて

 8被告を早期保釈奪還し、無罪勝利をかちとり、国労5・27臨大闘争弾圧を粉砕するカギは、全国の地域・職場で許さない会の結成をかちとることである。職場と家族を持つ労働者被告に対して7カ月もの長期勾留を強いるのは、あまりにも不当な弾圧である。こうした長期勾留をし続ける国家権力に対して、心からの怒りを燃やし、許さない会運動の力で8被告を早期保釈奪還するために総決起しなければならない。保釈要求署名を地域・職場で集め、賛同会員の獲得に総力で決起しよう。
 この闘いを、松川事件対策協議会(松対協)の闘いを引き継ぐ、有事立法下の全国的で大衆的な反弾圧闘争として推進することによって、日共指導下の戦前の労働運動や朝鮮戦争下の労働運動が突破できなかった弾圧との闘いを今日的に再構築するとともに、国鉄闘争の新たな発展と、戦争と大失業と対決する闘う労働運動の新潮流を形成しなければならない。
 革共同は、95年の19全総以来、国鉄決戦を水路に日本労働運動の再生をめざして闘いぬいてきた。それは、国鉄決戦が国鉄分割・民営化による総評解散−連合化という一大反動との戦場であったばかりでなく、今日の戦争と大失業攻撃と対決する階級攻防の主戦場をなしているからである。
 警視庁公安部が「革共同の戦略を破壊するためにやった」と公言している今回の弾圧は、19全総以来の営々たる闘いが引き出した「密集した反動」であり、革共同とその路線そのものに向けられた弾圧である。階級闘争は密集した反動を生み出し、それを打ち砕くことなしに前進しない。
 今こそ東京地本の公判破壊策動を始めとする国労本部の敵対を打ち破り、全国的で大衆的な弾圧粉砕の運動をつくり出そう。国労5・27臨大闘争弾圧粉砕へ、6月4日の第7回公判と、許さない会主催の全国集会(飯田橋シニアワーク)に大結集しよう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2102号2面2)

福岡 許さない会を結成 松崎さん、羽廣さん支える陣形

 5月11日、福岡市で「労働運動への弾圧を許さない九州集会」が開かれた。会場は130人の参加者でいっぱいになった。
 国労小倉地区闘争団日豊オルグ班の松崎博己さん、羽廣憲さんら8人の仲間が逮捕・起訴されて7カ月が過ぎた。東京地方裁判所は保釈請求を却下し続け、彼らを東京拘置所に勾留している。こんなに不当に長い勾留は許されない! 直ちに保釈せよ!――怒りが会場に満ちあふれた。
 主催者あいさつを準備会発起人の岩崎隆次郎さんが行った。岩崎さんは福岡県評事務局長として長年労働運動を指導してきた経験を振り返り、「労働運動で逮捕され7カ月というのはどういうことか!」と指摘し、「本来あってはならない弾圧。ほおっておけない。一緒に頑張ろう」と熱烈に訴えた。
 獄中の被告のメッセージを闘争団の仲間が読み上げた。松崎さんは「労働運動・反戦運動をつぶす治安弾圧法=暴力行為等処罰法を何がなんでも葬り去ろう」と訴え、「許さない会」への強い期待を表明した。羽廣さんは「何から何まで不当なことばかり。これが権力による弾圧かと、自分の身をもって体験中」と訴え、自分たちを国家権力に売り渡した国労本部への怒りを表明した。そして有事立法阻止の闘いと一体で闘おうと熱烈に訴えた。大きな拍手が巻き起こった。
 続いて2人の被告の家族が訴えた。「保釈できたら労働運動の勝利」「お父さん、最後まで頑張って勝利して下さい。背中をたたいてそう言いたい」 
 「17日は長男の体育祭。16日の裁判には行くのをやめようかと言ったら、長男は『パンか何かをもって行くので行ったらいい』と言ってくれました」「今まではお父さんに賛成していなかった。今は違います。お父さんは正しい。そしてこれだけの人びとに応援してもらっている」と涙ながらに訴えた。
 被告と家族の訴えで会場が熱くなる中、前国労九州本部書記長の手嶋浩一さんが2人への友情をこめて基調報告を行った。国鉄分割・民営化を強く批判し、今回の労働運動弾圧の不当性を訴え、1日も早く取り戻そうと強い決意を表明した。そして「労働運動への弾圧を許さない会・九州」の結成を宣言し、@賛同会員千人を目指す、A呼びかけ人を募るなど5項目の活動方針を提起した。
 佐藤昭夫弁護団長の講演は、5・27臨大闘争弾圧、「暴力行為等処罰に関する法律」による大衆運動抑圧の狙いを明らかにした。特に国労の4党合意の成り立ち、その中身や狙いなどをつぶさに批判した。
 ここに「許さない会・九州」が発足し、運動の第一歩を踏み出した。
 (投稿/許さない会会員)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2102号2面3)

03春闘ストの意義を訴え 動労千葉夏季物販広げよう

 動労千葉の夏季物品販売が始まった。今季の物販闘争は、国鉄闘争の前進にとって、そして新しい潮流運動の発展にとって、かつてない重要な闘いである。
 それは、国鉄闘争が重大な転換点を迎えているからだ。国労は夏の定期大会に向かって自己崩壊過程に入る。北海道、四国、九州などのチャレンジ一派らがJR連合への合流に突き進んでいる。またJR総連・東労組カクマルが松崎派と嶋田派に分裂し、6月定期大会の代議員選出をめぐって対立候補を立てるところまでエスカレートしている。国鉄労働運動は、間違いなく大再編過程に突入する。
 動労千葉は03春闘で3月27〜30日の4日間90時間に及ぶストライキを打ち抜き、4月勝浦市議選で水野正美元副委員長が3選をかちとった。今や動労千葉の路線と闘いが国鉄闘争を真に再生する力を持っている。動労千葉の闘いを全力で訴え、物販への協力をつくり出そう。
 03春闘ストは、591本の運休を出しJR資本に大打撃を与えると同時に、動労千葉の団結力を示した。スト参加者は延べ540人で、全組合員の力を総結集して敢然と闘い抜かれた。ストは全国に、全世界に大きな波紋を広げ、激励の声が数多く寄せられた。分割・民営化攻撃以来20年を超える国家的不当労働行為―組織破壊攻撃と闘い、団結を守り抜き、ストに決起した動労千葉に多くの労働者は感動している。
 このストライキの切り開いた地平の第一は、イラク侵略戦争―世界戦争突入情勢の中で、それと真っ向から対決して打ち抜いたことだ。歴史が示すように、戦争が開始されるや階級関係が一変し、労働者を戦争に動員していくために排外主義の攻撃、労働運動絶滅攻撃―治安弾圧が吹き荒れる。その重圧―敗北主義を打ち破って闘い抜いた。
 第二は、ベアゼロ・定昇解体―終身雇用制解体攻撃と真っ向から対決したことだ。日本経団連は「経労委報告」と「奥田ビジョン」で、“要求する組合から企業・国家に奉仕する組合へ”という新たな産業報国会化を宣言した。労働組合が資本に対して一切の要求をしてはならないという断じて許せない攻撃だ。
 第三は、第2の分割・民営化―JRの全面的外注化―合理化攻撃と闘い、検修・構内外注化の4月実施を再度阻止したことだ。JR東の中で外注化をいまだに阻止しているのは、動労千葉の職場のみだ。団結の力がいかに重要かを示している。そして、外注化攻撃が安全無視を招くことを訴え、「闘いなくして安全なし」を掲げて決起した。今年2月の韓国地下鉄事故は、安全無視の合理化が招いた大惨事である。動労千葉は韓国の鉄道労働者に連帯して立ち上がった。
 第四は、アメリカとイギリスのレーバーネットで世界に発信され、名実ともに国際連帯・反戦ストとして打ち抜かれたことだ。アメリカから連帯メッセージが寄せられ、国際連帯の闘いが大きく前進した。
 以上の動労千葉のストの意義を心から訴えよう。
 今季物販闘争は、動労千葉のストを日本全国の労働者に広げ、新しい潮流運動の前進をかちとる闘いである。職場・地域のすべての労働組合に入ろう。

 ◇販売品目◇
 1 オーガニック麦茶    600
 2 もずくスープ生タイプ  500
 3 帆立貝柱の黒煮     400
 4 讃岐しょうゆ豆     500
 5 ゆで落花生       600
 6 かりんとうロマン    850
 7 プーさんタオルセット 1,200
 8 味めぐり ふりかけ
   お茶漬けセット    1,400
 9 国産天然はちみつ   1,500
10 純米焼酎25度
   九十九里ものがたり  2,000
11 夕張メロンゼリー   3,000
12 冷酒5本セット    2,400
13 パスタとソースセット 3,000
14 ペリカン石けん    1,200
15 グンゼソックス    1,000
16 天津甘栗(むき栗)    500
17 くんさき        500
18 焼カシューナッツ    600
19 ポケットチーズ(ロルフ) 700
20 草加せんべい      900
21 こんがり焼チーズ    900
22 種ぬきプルーン    1,000
23 アーモンドフィッシュ 1,000
24 静岡茶(八十八夜摘み)  600
25 レギュラーコーヒー  1,000
26 即席みそ汁(わかめ)   700
27 冷し中華(生)     1,000
28 寒干しラーメン    1,200
29 島原てのべそうめん  1,300
30 北信濃手折りそば   1,600
31 稲庭古来うどん    2,200
32 ドライカットわかめ   500
33 ひじき房総産100%   600
34 天然塩(ウユニ塩湖産)  500
35 根昆布しょうゆ     600
36 だしパック(昆布入)  1,200
37 ナガイの焼きのり   1,700
38 紀州梅干       2,200
39 ビーフカレー20食   3,000

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2102号3面1)

労働法制改悪阻止へ 資本の解雇認め終身雇用解体
 有事立法下の侵略戦争動員狙う 連合中央の屈服許さず廃案に

 小泉政権は、有事立法と一体のものとして今国会で労働法制の全面改悪を強行しようとしている。労働基準法改悪案は5月6日に衆院本会議で趣旨説明が行われた。労働者派遣法・職業安定法改悪案は、衆院厚生労働委員会で審議されている。また、雇用保険法の改悪は4月25日に成立、5月1日に施行されている。労働法制改悪は、有事立法と並んで今国会における最焦点をなしている。労基法・派遣法・職安法・雇用保険法という労働者の権利にかかわる四つの法律が、同時に改悪されようとしていること自体、かつて例がないことだ。有事立法攻撃下、労働者の権利を奪う攻撃は全面化した。これと全力で対決し、労働法制改悪をなんとしても阻もう。

 「奥田ビジョン」の全面貫徹たくらむ

 米英帝国主義とそれを支持する日本帝国主義によるイラク侵略戦争は、戦争をしなければ資本主義はもはや生き延びられないことを明確に突きだした。米帝ブッシュは、次の矛先を北朝鮮に向け、激しい軍事重圧を加えている。日帝・小泉もまた、北朝鮮侵略戦争に共同的・競合的に参戦するため、有事立法を強行しつつある。
 労働法制改悪は、この攻撃と対をなしている。有事立法は、「指定公共機関」に戦争協力の義務を課し、労働者を徹底的に侵略戦争に動員するものだ。
 労働者の戦争動員は、何を引き起こすのか。1950年6月に始まった朝鮮戦争下で、職場の実態は次のようなものだったという。「国鉄労働者は六月以降は無休暇であり『食事の時間は与えないから、適当に食ってもらいたい』というような、ひどいありさまであった。全逓労働者は建設隊作業に動員された。……軍工場や造船工場では、強制出勤、連続徹夜が続いた。……電源地帯はカービン銃で武装した警備員によって監視され、発電所は高圧電流を通した有刺鉄線をはりめぐらした」(斉藤一郎『戦後労働運動史』)
 そして、この極限的な状況下でも、労働者は軍需生産阻止・軍事物資輸送阻止の闘いに果敢に立ち上がっていったのである。
 労働者意識を徹底的に解体し、その権利をことごとく奪い尽くさなければ、労働者の戦争動員は全面的には貫徹しえない。だからこそ小泉政権は、労働者の団結を解体し、労組の「産業報国会」化を強いるとともに、労働法制を根本的に転換しようとしているのだ。

 圧倒的多数は雇用柔軟型に

 それはまた、戦後史を覆すような激しい資本攻勢を押し貫くためのものでもある。日本経団連は、「このままでは日本は崩壊する」という日帝資本の危機意識をむき出しにして「奥田ビジョン」を打ち出した。その核心のひとつは、終身雇用制を解体し、戦後的な労働者支配を全面的に転換することにある。
 日本経団連の前身である日経連は、95年の「新時代の『日本的経営』」で、労働者の圧倒的多数を低賃金の不安定雇用に突き落とすことを路線に掲げた。労働者を「長期蓄積能力活用型グループ」「高度専門能力活用型グループ」「雇用柔軟型グループ」の3類型に分け、大多数の労働者を「雇用柔軟型グループ」にするというのである。終身雇用制と月給制が適用されるのは「長期蓄積能力活用型グループ」とされる一部の基幹社員のみ、「雇用柔軟型グループ」は有期契約、時間給で昇給もなく、退職金も年金も支給されない。
 「奥田ビジョン」は、日帝資本のこうした基本路線を本格的・全面的に実行に移すことをあらためて宣言した。労働法制改悪は、それを法制面で押し貫こうとするものだ。

 「首切りは自由」と労基法を抜本転換

 今回の改悪の中でも最も重大な攻撃は、労基法に「使用者は労働者を解雇することができる」という規定を盛り込もうとしていることである。
 新設される条文は、次のとおりだ。「使用者は、この法律又は他の法律の規定によりその使用する労働者の解雇に関する権利が制限されている場合を除き、労働者を解雇することができる。ただし、その解雇が、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」
 一読しただけでは意味が分かりにくい文章だが、決定的なのは、「使用者は……労働者を解雇することができる」という文言が労基法にあからさまに書き込まれるということだ。
 そもそも労基法は、労働者の最低限の労働条件を定め、それに違反する使用者に刑罰を科すことで、労働者の権利確保を図る法律だ。資本の自由な行動を規制することが、労基法の本来の姿なのだ。ところが今回の改悪は、「解雇権」なる資本の「権利」を労基法において確認するというのである。これによって、労基法は首切り推進法へと根本的に転換する。
 あたかも解雇を制約するものであるかのように押し出されている解雇の「合理的理由」や「社会的相当性」など、資本はいくらでも強弁できる。事実、反動化した司法のもとで、「解雇は本来使用者の自由」とする判決や、リストラのためなら解雇は無条件に認められるとした判決が続出しているのだ。全動労採用差別事件の高裁判決に至っては、「国策に従わない者は採用されなくて当然」と言い放った。
 さらに、今回は見送られたが、裁判で解雇無効となり労働者が勝訴した場合でも、資本が一定の金銭を支払えば雇用契約を打ち切ることができるという「金銭解決条項」の制定がたくらまれていた。涙金で資本は自由に労働者を職場から追放できるということだ。
 これは、「今後の検討課題」とされている。資本の得手勝手な解雇を野放しにするこの条項の新設を断じて許してはならない。

 有期・不安定・低賃金強いる

 労働法制改悪の狙いは、解雇の自由化とともに、有期・不安定・低賃金労働の拡大だ。
 労基法改悪案は、これまで原則1年であった有期労働契約期間の上限を3年に延長することを打ち出した。専門職や60歳以上の高齢者については、期間の上限は5年になる。その目的は、終身雇用制を解体し、大多数の労働者を有期雇用に突き落とすことにある。
 これが何をもたらすかは、現在、有期雇用労働者に資本が仕掛けている攻撃を見れば明らかだ。「契約打ち切り」を恫喝材料に更新のたびに賃下げ・労働条件悪化が強いられ、雇い止め解雇は横行するだろう。
 労働者派遣法改悪案では、派遣期間の上限を現行1年から3年に延長する。専門職26業種については、期間制限が撤廃される。さらにすさまじいのは、製造業への派遣の解禁だ。それは派遣労働の爆発的拡大を引き起こしかねない。
 派遣労働者の大多数は、3カ月未満の契約期間のもとで働いている。平均年収は186万円。こうした現実が全労働者に襲いかかろうとしているのだ。
 成立した雇用保険法改悪では、失業給付が額・給付日数ともに引き下げられた。小泉政権は、この改悪を「失業手当があるから失業者は急いで再就職しない。それが失業率を高めている原因だ」と言いなして強行した。°職さえあれば賃金がどんなに低くても文句を言うな″という恫喝だ。ぎりぎりの状態に追い込まれている失業者をさらに激しい競争場裏に投げ込んで、一層の賃下げと権利はく奪を強行しようというのである。

 労働時間規制の全面撤廃も

 さらに、労働時間規制の緩和が狙われている。労基法改悪案では、裁量労働制の適用対象の拡大が打ち出された。裁量労働制とは、実際の労働時間とは関係なく賃金計算上は「一定時間労働したことと見なす」とする制度だ。どれだけ超過勤務をしても、賃金には跳ね返らない。
 許しがたいのは、「ホワイトカラー・イグゼンプション(適用除外)」が今後の検討課題とされたことだ。「ホワイトカラー」やセールス労働者などについては、労働時間制限を全面撤廃しようというのである。長時間労働とただ働きを、何の制限もなくまかり通らせようとしているのだ。まさにこれは労働者の生命に直結する攻撃だ。

 弾圧立法を粉砕し団結を守りぬこう

 労働法制を根本的に転覆し、終身雇用制を解体しようとするこの攻撃は、資本主義がもはや労働者を「食わせていく」ことができなくなったことを示している。労働者は自らの団結と闘いによって生き抜き、未来を切り開く以外にない。階級的労働運動を再生させる条件は、大いに成熟しつつある。だからこそ、労働者の団結をめぐる攻防が階級闘争の焦点となっているのである。
 「奥田ビジョン」は、「労働組合も変革を迫られる」「労働組合に対しては、既得権益を擁護する活動の是正を求める」と、露骨に労組の産業報国会化を迫っている。連合中央はこれに全面的に屈服した。今回の労働法制改悪についても、連合は「廃案」ではなく「抜本修正を求める」として基本的に容認しているのだ。そもそも、有事立法に賛成していて労働法制改悪反対は成り立たない。
 また、小泉政権は共謀罪の新設や産業再生機構発足のもとでの破産・倒産法制の改悪、強制執行妨害罪の新設などの弾圧立法をも矢継ぎ早に進めようとしている。司法制度改革、労働委員会制度の解体はその重大な一環だ。
 こうした攻撃の頂点にあるものこそ、国労5・27臨大闘争弾圧だ。権力は国労内部の問題に露骨に介入し、組合活動の刑事免責を全面的に否定してこの弾圧を強行した。暴力行為等処罰法の適用は、戦時体制確立に向けた攻撃そのものだ。そして何よりもこの弾圧は、4党合意を粉砕した国鉄闘争が、1047名闘争陣形を新たに発展させるとともに、労働運動総体の階級的再生へと大きく道を切り開きつつあったことへの政治的報復であった。国労弾圧を打ち砕く闘いには、労働者階級全体の権利と未来がかかっている。「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」を、職場・地域に一層拡大し、8人の被告を早期に取り戻そう。
 有事立法と一体をなす労働法制改悪を阻止しよう。今こそ階級的労働運動を復権させよう。

労働法制改悪の要点

○資本に「解雇権」を認める(労基法)
 「使用者は労働者を解雇することができる」と明記

○有期雇用契約の拡大(労基法)
 有期雇用契約の上限を原則1年から3年に延長

○労働時間規制の緩和(労基法)
 企画業務型裁量労働制の対象拡大

○派遣労働の拡大(労働者派遣法)
 契約期間の上限を原則1年から3年に延長
 製造業への労働者派遣の解禁

○雇用保険の給付削減(雇用保険法)
 給付額と給付日数の削減

日本経団連の雇用形態の考え方(日経連「新時代の『日本的経営』」)

 
雇用形態
対象
賃金
賞与
退職金
昇進・昇格
福祉施策
長期蓄積能力活用型グループ 期間の定めない雇用契約 管理職、総合職、技能部門の基幹職 月例給か年棒制、職能給、昇給制度 定率+業績スライド ポイント制 役職昇進、職能資格昇格 生涯総合施策
高度専門能力活用型グループ 有期雇用契約 専門部門(企画、営業、研究開発など) 年棒制、業績給、昇給なし 成果配分 なし 業績評価 生活援護施策
雇用柔軟型グループ 有期雇用契約 一般職、技能部門、販売部門 時間給制、職務給、昇給なし 定率 なし 上位職務への転換 生活援護施策

 

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2102号3面2)

石川さん不当逮捕から40年 5・23狭山全国一斉行動を 最高裁で再審かちとれ

 5・23狭山全国統一行動は、有事3法案の衆院通過という重大情勢の中で闘われる。民主党・連合の裏切りを烈火の怒りではねとばし、STOP有事法制5・23大集会の成功を全力で支え、有事3法を廃案にたたきこもう。この決起と結合し、5・23狭山全国統一行動の成功をかちとろう。部落解放同盟全国連の呼びかけにこたえ、5・23を全国一斉の狭山行動デーとして取り組み、5・22最高裁・最高検要請行動や各地の集会、デモ、街宣、署名行動を成功させよう。
 石川一雄さんが不当逮捕された63年5月23日から、40年目の「5・23」をむかえようとしている。石川さんは本年年頭のアピールで、「進む道はどんなに険しくとも、真実は一つで無罪になるまで不屈に闘って参る決意で居ります」と再審勝利への不退転の決意を表明している。石川さんとの血盟にかけて特別抗告審で事実調べ・再審開始をかちとろう。

 特別抗告審は重大な段階に

 解同本部派が融和運動に転落した今日、狭山闘争の勝利は、全国連と解放共闘の双肩にかかっている。
 狭山事件=狭山差別裁判は、警察庁・埼玉県警、最高検・浦和地検が共謀し、部落民を生贄(いけにえ)にするという捜査方針に基づいて、石川さんをワナにかけてウソの「自白」を強要し、証拠をねつ造し、「犯人」にデッチあげた国家権力による極悪の差別犯罪である。そしてそれは、裁判所が無期判決を行い、再審請求を棄却することをもって、40年にわたって国家ぐるみの権力犯罪、差別犯罪として護持されてきた。特別抗告審闘争の勝利をもって、日帝・国家権力の差別犯罪=狭山差別裁判に決着をつけよう。
 特別抗告審闘争は重要な段階に突入している。昨年10月、弁護側は特別抗告申立補充書を最高裁第1小法廷に提出した。担当の永井調査官は2月に行われた弁護団との折衝で、補充書を審理中であると回答した。密室審理を粉砕し、事実調べを行わせ、高木・高橋棄却決定を取り消させ、最高裁第1小法廷自身による再審開始決定をかちとろう。
 永井調査官は、弁護団の昨年12月の証拠開示勧告の申し入れについても、「検討中」と回答している。全国連と解放共闘は、この間の要請行動をとおして、最高裁に対して、最高検に証拠開示勧告・命令を行うよう繰り返し要求してきた。永井調査官の回答は、最高裁がこの闘いに追いつめられていることを示すものである。しかし高木も高橋も、「検討中」と答えながら、開示勧告・命令を行うことなく棄却決定を強行した。証拠開示勧告・命令を実際に最高裁に行わせるために、さらに一層闘いを強めよう。同時に最高検に対する証拠開示要求の闘いを一層強化しよう。

 寺尾差別判決は事実上崩壊

 再審請求審・高木裁判長、異議審・高橋裁判長は、事実調べを一切行わず、開示勧告・命令も行うことなく、棄却決定を強行した。棄却決定は筆跡や殺害態様などに関する寺尾判決の事実認定を維持できなくなっている。筆跡の相違を認めたり、扼(やく)・絞併用を主張し、寺尾判決の事実認定を勝手に変更・改ざんするなど完全に破綻(はたん)している。
 寺尾判決は、脅迫状と石川さんの筆跡には相違点がないと断定しており、両者の相違点を認めていない。相違を認めた高木・高橋決定は寺尾判決の事実認定を覆すものである。寺尾判決は事実上崩壊していると言ってよい。
 筆跡の相違や書字・国語能力の差異を認めながら、「心理的影響による違い」などというペテン的主張でごまかすことは断じて許されない。脅迫状と石川さんの筆跡・書字・表記能力の違いは、石川さんが部落差別によって学校教育から排除され、文字を奪われたために、事件当時、小学校低学年の書字・表記能力しかなかったことによるものであり、石川さんの無実を証明するものである。
 高木・高橋棄却決定は、この部落差別の現実を自覚的、意識的に抹殺し、「心理的影響」論で、「筆跡や書字・表記能力が相違しても筆者は同一で、脅迫状は石川さんが書いた」と主張する極悪の差別決定である。高木・高橋決定を粉々に粉砕しよう。脅迫状と石川さんの筆跡に相違点はないと認定し、両者を同一筆跡と鑑定し、石川さんを「犯人」にデッチあげた検察側エセ鑑定と内田・寺尾判決の犯罪性は明白である。
 3月24日の最高裁要請行動で、全国連茨城県連の婦人たちは、部落差別ゆえに貧しい生活を強いられ、学校教育から排除され文字を学ぶことのできなかった悔しさと生い立ちを語り、「石川さんは脅迫状を書いていない」と怒りを込めて最高裁を徹底糾弾した。茨城県連の婦人を先頭とする闘いは、高木・高橋決定のペテン的で差別的な主張を真っ向から打ち砕く大衆的実力糾弾闘争であり、特別抗告審闘争の勝利の道筋を指し示している。
 高木・高橋棄却決定は、裁判とは名ばかりの国家暴力の発動である。これを粉砕する力こそ、全国連の5万人組織建設路線・「ペンとノート」運動であり、動労千葉を先頭に国労弾圧をうち破る労働者階級の闘いの不屈の前進であり、《無実・差別・糾弾》の原則を貫く部落大衆・労働者人民の10万人実力決起である。
 全国の闘う労働者人民は、全国連とともに、狭山百万人署名運動を水路に、10万人決起をかちとろう。5・23狭山全国統一行動を新たな出発点にして、百万人署名運動を強力に推進しよう。学校や職場や組合や居住に署名用紙を持ち込み、街頭や集会で署名を集め、日常的な署名活動に取り組もう。
 そのために、狭山新パンフを学習し、紙芝居やビデオを活用し、狭山現地調査を行おう。最高裁・最高検要請行動に結集しよう。証拠開示・事実調べ・再審開始をかちとり、特別抗告審闘争に勝利しよう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2102号3面3)

反戦地主会 最高裁に要請行動 “特措法違憲の判決を”

 5月9日午後、反戦地主会(権利と財産を守る軍用地主会)と沖縄一坪反戦地主会関東ブロックは、米軍用地特別措置法の違憲訴訟で最高裁判所に対する要請行動を闘いぬいた。
 沖縄から原告団の有銘政夫さん、池原秀明さん、島袋善祐さん、知花昌一さんが駆けつけ、弁護団とともに最高裁書記官と面談し、以下の諸点を訴えた。@「象のオリ」の389日間の不法占拠に対する損害賠償請求を認めよ。A反戦地主側を狙い撃ちにした「特措法改正」は違憲。B憲法の財産権(29条)・適正手続(31条)を守るべきだ。C最高裁は弁論を開き、地主の声を聞け、など。
 昨年10月31日、福岡高裁那覇支部は、不法占拠と認定し国に賠償を求めた那覇地裁判決を覆し、原告・反戦地主側の全面敗訴判決を出した。これに対して原告・弁護団は最高裁に上告趣意書を提出、最高裁第1小法廷に係属している。
 同日夕、水道橋の全水道会館で「5・9最高裁要請行動&報告集会−沖縄から反戦の嵐を!」が開かれた。
 主催者を代表して反戦地主会の池原秀明事務局長があいさつ。「最高裁への要請行動は慣例を破っての行動だという。請願権に基づくものであり、本来、第1小法廷の判事、調査官が出て来るべきだが相手は書記官2人だった」と経過を説明し、「途中でルールを変えて米軍用地を収用するのが法治国家なのか。しっかりとした憲法判断を求める」と決意を語った。
 沖縄社会大衆党委員長の島袋宗康参院議員が有事法制との闘いを報告した。
 「象のオリ」の地主の知花昌一さんは、「高裁は不法占拠ではあるが損害賠償はしない、土地代相当分の損失補償があるからと言った。しかし損害賠償と損失補償はまったく違う。違法行為を認め、損害を与えたから賠償なんだ」と語り、「米軍特措法は安保優先。最高裁に期待できないが、たとえ針の穴であっても、闘い続けこじ開けていくことが必要だ」と結んだ。
 反戦地主の島袋善祐さんは、「(書記官に)イラクの戦争を見てどう思うか、爆弾落としたらどうなるか考えて下さいと言いました。沖縄戦で九死に一生を得た沖縄人が収容所にいた時、土地泥棒したのではないか。そのうえ法律のブルドーザーを次々つくって土地を奪った」。
 沖縄の一坪反戦地主会の長嶺律雄さんは、「きょうは都職労などの労働者が参加し、若い人もたくさんいるので希望をもって沖縄に帰って運動していく」。
 有銘政夫さんは、「いま沖縄の課題は辺野古に造ろうとしている基地をぶっとめること」と言い、5年以内に普天間基地を全面返還させることを公約に掲げた伊波洋一宜野湾市長の誕生を報告した。
 駆けつけた弁護団からも違憲訴訟とともにイラク反戦、有事法制阻止を闘う決意が語られ、最後に関東一坪の上原成信代表から「最高裁へ『特措法は違憲』判決を求めるハガキ行動」などの行動方針が提起され、反戦地主会とともに最高裁闘争を闘う決意を固めた。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2102号3面4)

有事法反対でシンポ 地公労、海員組合、全港湾など

 5月7日、「有事立法に反対し、北朝鮮問題を考えるシンポジウム」が東京・田町交通ビルで開かれた。東京地方公務員関係労働組合協議会と東京都高等学校教職員組合、全日本海員組合、全日本港湾労働組合が主催し、緊迫する国会をにらんで380人が集まった。
 集会は、2本の基調講演と職場報告で構成され、まず姜尚中(カンサンジュン)東大教授と水島朝穂早大教授からそれぞれ意欲的な講演があった。
 姜氏は「在日の一人として、戦争だけは避けたいという思いだ」と切り出し、「有事法制やスパイ衛星の打ち上げなど、日米が先制攻撃を行うのではないかというメッセージを北朝鮮に与えている」と警鐘を鳴らし、「朝鮮戦争で400万人が死に、1000万人の離散家族が生まれた。再びこのような戦争をやる権利は誰にもない」と訴えた。
 水島氏は、「イラク戦争から見える日本の有事−『備え』の暴走への備えを」と題して講演し、「この集会が、姜さんと一緒で、有事法制と闘う海員組合など労働組合が主催する集会だと聞いて駆けつけました」とエールを送った。そして、小泉政権が進める有事法制を「有事挑発法案」だと暴露し、「民主党の修正案はいけない。国民保護法制を先行させれば人権は守られるかのように民主党は言うが、法制化されることで有事に備えるシステムが自治体や運輸会社などにつくられ、緊張がつくり出される。いわば市民社会の軍事化だ」と訴えた。
 職場報告では、全日本海員組合の平山誠一中央執行委員が、「3月20日以降、すべてが危険な戦争海域となった」と切迫感をもって語り、有事法制反対を訴えた。続いて、平和フォーラムの福山真劫事務局長が韓国派遣団の報告を行い、最後に全港湾の伊藤彰信書記長が、イラクの現状は「まさに植民地支配だ」と訴え、有事法制反対の行動を提起した。
 南北朝鮮人民との連帯の軸は有事立法粉砕にある。有事法推進の民主党、連合の裏切りを許さず、北朝鮮侵略戦争阻止、有事立法粉砕へ全力で立とう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2102号4面1)

侵略戦争法案に対案や修正はありえない
 衆院通過を弾劾し絶対に廃案に追い込もう

 民主党の裏切り許すな

 核心の「事態」定義は不問に 戦争肯定して何が「人権」だ

 戦争法必要が民主党の立場

 有事関連3法案をめぐり、小泉首相と民主党の菅代表が13日に会談し、法案の修正に合意した。民主党の戦争推進勢力への歴史的踏み切りだ。これによって日帝・小泉は同法案の衆院有事法制特別委採決、本会議採決を強行し、今国会成立へ突進している。実に重大な事態である。
 民主党はこの間、@基本的人権の保障規定の明記、A緊急事態対処基本法の制定、B危機管理庁の設置−などを内容とする対案を国会に提出し、政府・与党と「対決」してきた。しかし、それは完全なペテンだ。民主党は、裏では自民党との「修正協議」と称する密室談合を進めてきた。与党側の「若干の譲歩」で修正に合意、民主党も賛成にまわり今国会で成立させることを確信犯的に狙っていたのだ。民主党は最初から有事立法が必要という立場であり、この間の対案や修正協議などの一連の動向は、一切が有事3法案を成立させるための策動だったのだ。
 民主党の役割は実に許しがたい。「基本的人権の保障規定の明記」などの文言をわずかに追加すれば、侵略戦争法案=有事3法案は「対決法案」でさえなく、与野党すべてが賛成し円満に採決−可決できるかのような「演出」を行っているのだ。何が「政権担当能力を証明したい」だ! それは日帝側の立場に完全に立って、日帝の利害のために侵略戦争を行うことでしかない。
 与党と民主党の合意した修正内容は、北朝鮮侵略戦争法案である有事法案の本質に、わずかでもブレーキをかけるものなのか? 答えは完全にノーである。
 まずこの法案の最大の核心である「武力攻撃事態」「武力攻撃予測事態」という新概念の導入によって、米帝の行う先制攻撃の侵略戦争に、日帝が「武力攻撃(予測)事態」を認定し、自衛隊が一方的に参戦すること、労働者人民を総動員した国家の総力で侵略戦争を行うことについてまったく問題にしていない。民主党は、「武力攻撃(予測)事態」定義については、対案でも、修正協議でも、一貫して賛成しているのだ。民主党は、有事立法の核心部分については政府・与党と同じ立場−つまり日帝が一方的に「武力攻撃事態」を認定し、先制攻撃で侵略戦争ができる法律が必要だと考えているのだ。修正はわずかに「事態認定の前提となる事実を明記」という毒にも薬にもならない文言を入れただけだ。
 結局民主党は、ただ有事の際にもう少し「人権」に配慮してほしいと言っているにすぎないのである。だが、そもそも「人権」に配慮した侵略戦争が存在するのか。有事立法とは、米軍が「100万人の死傷者が出る」と公言する北朝鮮侵略戦争に日帝が参戦する法案である。石破防衛庁長官は他国領土への出動も可能だとうそぶいている(5月9日)。侵略戦争で自衛隊が朝鮮半島をじゅうりんし、朝鮮人民の生命を奪い生活を破壊する――これ以上の人権侵害があるのか。これを肯定したところに「人権への配慮」などがあるのか。あるいは日本の労働者人民を侵略兵士として戦場に送り込み、労働者を戦争動員することと基本的人権がわずかでも「調和」することなどあるというのか。ナンセンスだ。
 その上で実際のところ、民主党が最大の焦点とした「基本的人権の保障規定の明記」についての修正合意は、「日本国憲法……の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない」という文言を追加しただけである。これは文字どおりペテン的文言を書き足しただけ。労働者を戦争動員し、土地収用や生活物資の徴発、反戦運動や労働争議の弾圧……など、基本的人権の侵害から労働者人民を守る規定などどこにもない。
 「国会の関与」については「対処措置の終了を国会の議決でも可能とする規定を盛り込む」とした。しかし、「武力攻撃事態」の認定や自衛隊の防衛出動などを盛り込んだ「対処基本方針」は、国会承認を待たずに、閣議決定後に直ちに法的効力を持って戦争が遂行されていく。この問題についてはノーチェックだ。「国会の関与」に関する修正合意はかすかな「歯止め」にもなっていない。
 また最後の焦点となったという「緊急事態対処基本法」については「制定に向け4党間で検討する」との覚え書きを締結するというが、そもそも基本法は自民党国防族が制定を求めていたものである。国民保護法制に至っては、「2年以内目標に整備」を、付帯決議で「1年以内を目標」とするという。戦争動員のための国民保護法制を一刻も早く制定せよというのだ。

 有事3法案は廃案しかない

 ところで、民主党を支持する連合の笹森会長は「有事関連法案は、必要だが、現在の政府提案は、きわめて内容的にもお粗末すぎる」「国会論議の推移を見守りながら、野党に対する意見調整を行っていただきたい」(5月9日)と、民主党と歩調を合わせて修正案支持に回ろうとしている。労働者を侵略戦争に動員する法案に賛成するのか! 今回の修正は、有事法案の本質をわずかでも変更するものではない。侵略戦争法案に対案や修正などありえない。廃案しかない。民主党は侵略戦争に大賛成の改憲政党なのだ。
 国会の中は、民主党の賛成によって衆院議員の9割近くが賛成という恐るべき状態となっている。国会の外の闘いが決定的だ。労働者人民が直接ノーの声をあげよう。

 米軍の03年版5027

 イラク戦踏まえ計画見直し 北朝鮮への核先制攻撃狙う

 北朝鮮・イランへの戦争準備

 米軍はアフガニスタン、イラクに続いて北朝鮮の金正日政権の転覆を狙った侵略戦争を狙っている。ラムズフェルド国防長官は5月4日、FOXテレビで、北朝鮮への軍事作戦計画を策定中であることを公然と認め、「北朝鮮への先制攻撃は大統領が決める」と発言した。
 これより前、4月上旬にボルトン国務次官は「イラク戦争が終われば、イランの核兵器開発計画が北朝鮮と同じ比重で扱われるはず」と語り、ライス大統領補佐官も同趣旨の発言をしている。
 ブッシュ政権が「悪の枢軸」と名指しした3カ国のうち、イラクに続きイラン、北朝鮮に対し、「核兵器開発阻止」を口実に軍事攻撃=侵略戦争を構えるということである。
 米日帝国主義は、共同して「核の脅威」や「拉致問題」で「北朝鮮=テロ国家」という宣伝を行い、「脅威を未然に取り除く」という口実で、先制攻撃を正当化しようとしている。
 日帝は米帝の朝鮮侵略戦争に共同参戦することを決めている。有事立法はそのための決定的な攻撃である。戦争への道筋は、@アメリカが「核開発阻止」を口実に北朝鮮への武力攻撃の必要性を主張し軍事的動きを強める、Aこれに対して北朝鮮が臨戦態勢に入る、Bこの北朝鮮の動きをとらえて日本政府が「武力攻撃予測事態」さらに「武力攻撃事態」を宣言する、C「予測」の段階で自衛隊が出動し陣地構築など戦争体制に入る、D米軍と共同で北朝鮮を攻撃、また国・自治体・民間のあらゆる機関を戦争に総動員――というシナリオだ。こんなことを絶対に許してはならない。

 戦術核で攻撃 占領統治狙う

 ラムズフェルドが言ったとおり、米軍は「作戦計画5027―03」を策定中である。
 これまでの「作戦計画5027」は、陸軍5個師団、海兵隊2個師団、軍用機1600機、海軍艦船160隻など合計69万人の大規模部隊で北朝鮮を攻撃する計画である。「朝鮮半島で全面戦争となり、死傷者は100万人にのぼり、米兵も8万〜10万人が死亡する」という想定の作戦計画である。
 ラムズフェルドは、ブッシュ・ドクトリンとイラク侵略戦争を踏まえて、作戦計画の見直しを命じた。「冷戦時代の遺物のような(陸上兵力大量投入の)戦争計画ではダメだ。精密誘導弾、無人機……とRMA(軍事における革命)は着実に進んでいる」として、ハイテク兵器をフル投入した作戦計画の練り直しを指示した(月刊『現代』5月号)。詳細は不明だがこれまでの作戦計画をさらに深化させ、次の3点を焦点に改定作業が進められているという。
 1、核関連・ミサイル施設への限定的な攻撃
 2、北朝鮮軍の火力と特殊部隊を壊滅するための先制攻撃
 3、米軍に代わって韓国陸軍が主体となる北朝鮮全土制圧の大規模作戦
 3は米軍死傷者をできるだけ少なくするために、南北の朝鮮人民を相互に戦わせるという、まったく憎むべき作戦計画だ。
 実際には、軍事施設・基地への限定攻撃にとどまらず、イラク侵略戦争のように、これらの作戦が連続して発動されるのだ。98年に改定された作戦計画から、従来の5段階に加えて「戦争終結後の占領統治」という新たな段階が加えられている。イラク侵略戦争と同様、米軍は軍事力で金正日政権を崩壊させ、ピョンヤンを始め全土を制圧し、米軍による占領統治を狙っている。
 3月からグアム島のアンダーセン基地に、24機のB1、B52爆撃機部隊が配備された。B1は最高時速約1440`で、3500`先の北朝鮮を数時間で爆撃できる。核施設の集中する寧辺(ヨンビョン)や舞水端(ムスタン)試射場、化学兵器工場などが空爆対象としてリストアップされている。海上発射巡航ミサイル「トマホーク」による攻撃も計画されている。
 重大なのは、通常兵器では破壊しきれない、地下に建設された北朝鮮軍の砲撃システムを破壊するために、戦術核兵器による攻撃が検討されていることである。
 米上院軍事委員会は新型核爆弾「強力地中貫通型核」の研究・開発予算を盛り込んだ国防予算案を可決した。地下深くで爆発を起こし、破壊力や熱で司令部や生物兵器を無力化する能力は貫通型核兵器だけが持つとしている(昨年1月発表の核戦力態勢の見直し報告)。「小型」というが5`トン、広島原爆の3分の1の威力を持つものだ。米帝は「核の脅威を取り除く」などといいながら、自らは平然と核戦争を準備しているのだ。
 米軍は、イラク戦争と同時に、北朝鮮の目と鼻の先で、最大規模の米韓合同軍事演習を実施した。原子力空母カールビンソンを朝鮮近海に張り付けた。こうして激しい軍事的圧力をかけ、北朝鮮のミサイル試射などの対抗的な軍事行動を引き出したのである。
 その後も、米軍はF117ステルス戦闘機や陸軍部隊の一部を韓国へ移駐させ北朝鮮への侵略戦争態勢を一段と強めている。
 日帝は米帝と共同して北朝鮮侵略戦争を準備している。有事立法は北朝鮮、朝鮮人民への「開戦宣言」に等しい。民主労総を先頭とする南朝鮮人民は、「在韓米軍の撤退、北への戦争反対」を掲げて闘いぬいている。南北朝鮮人民と連帯し、米日帝の朝鮮侵略戦争を絶対に阻止しよう。今国会での有事立法制定を絶対に阻止しよう。

 米侵略軍が人民を虐殺

 イラク人民の決起に連帯し 軍事占領反対・有事法阻止へ

 撤退要求するデモ隊を銃撃

 米英日帝は、イラク軍事占領・植民地支配のために凶暴な人民虐殺、植民地化策動を展開している。イラク人民の不屈の決起と連帯し、有事立法阻止闘争と一体のものとしてイラク反戦闘争の爆発を切り開こう。
 4月28日、バグダッドの西にあるファルージャで、学校からの米軍撤退を要求するイラク人民のデモに米軍が無差別銃撃を加え、15人を虐殺し、53人を負傷させた。米軍は30日にも抗議するイラク人民を銃撃し、2人を虐殺し、14人を負傷させた。絶対に許せない。
 虐殺までの経緯はこうだ。米軍は25日にファルージャのハエド小学校を占拠し、駐留を開始した。机を持ち出してバリケードを築き、校舎の中をめちゃくちゃに破壊した。玄関の壁には「くそ食らえ、イラク」と落書きし、子どもたちは学校へ行けなくなった。周辺の住民の部屋を米兵が屋上から双眼鏡でのぞき込んだ。こうした事態に怒ったイラクの市民300人が28日に抗議デモを行い、子どもたちが学校に行けるように米軍の学校からの退去を要求した。これに対し米軍は、何の警告もせずに、一切武器も持たない市民に無差別銃撃を加えたのだ。
 米軍は4月15、16日にもイラク北部のモスルで民衆に無差別銃撃を加え、合わせて13人の市民を虐殺している。イラク戦争で虐殺された人民は数え切れない。
 戦闘終結宣言がなされた後もクラスター爆弾の犠牲者は後を絶たない。クラスター爆弾で殺された人は200人を超えている。また劣化ウラン弾の被害はこれから深刻化する。バグダッド大学の調査によれば、米軍によって破壊されたイラク軍戦車などでは自然界の15倍もの放射線が検出されており、街角に放置されたままである。劣化ウラン弾によるイラク人民の放射線被ばくの被害は、計り知れないものになるだろう。

 米英が石油と中東支配狙う

 米帝は、イラク軍事占領・植民地支配のために米帝と関係の深いアハマド・チャラビを暫定行政機構の中心に据えようとしているが、まったくうまくいっていない。もともとチャラビはヨルダンでの犯罪で有罪判決を受けた人物で、イラク人民は誰も支持しないような人物なのだ。
 こうした中で米帝は、復興人道支援室(ORHA)の室長を、退役軍人でイスラエルのユダヤ安全保障問題研究所に関係するガーナーから、国務省出身のブレマーに代えた。米帝はイラク人民の怒りの中で、危機的状況にある植民地支配体制を軌道に乗せるために体制を強化してきたのである。
 だが、こんなことで米帝のイラク軍事占領・植民地支配がうまくいくことはありえない。イラク人民は米帝の狙いがイラクの石油強奪と中東支配にあることを知り抜いており、これと不屈に闘おうとしている。
 10日にはイラク人口の60%以上を占めるイスラム教シーア派の主要組織であるイスラム革命最高評議会(SCIRI)の最高指導者ムハンマド・ハキーム師がイランから帰国し、バスラで数千人の支持者から歓迎を受けた。
 こうした中で、イラクはイラク人民の手で統治すべきだという声が圧倒的にわき上がっている。バグダッドを始めイラクの各地で、人びとは口々に「占領反対! アメリカ軍は出ていけ」と叫び、デモに立ち上がっている。これに対して米帝は、イラク人民に銃を向け、凶暴な圧殺策動=軍事支配を強めているのだ。米帝は、イラク駐留が長期化すると主張し、結局、軍事力で植民地支配を貫き、石油強奪と中東支配を貫こうとしている。
 米英スペインは5月9日イラク経済制裁解除の決議案を国連安全保障理事会に提出した。この決議案は、90年8月のイラクのクウェート侵攻以来の経済制裁を基本的に解除してイラクの石油輸出を再開しようとするものだ。石油輸出代金は「イラク支援基金」が管理し、実質的には米英が取り仕切る。
 米英企業が「復興」と称してさまざまな事業を行い、その代金として石油輸出の資金を奪い取るのである。その一方でフランスやロシアの石油開発契約は全面的に見直しとなる。要するに米帝がイラクの石油資源を独占的に略奪し、その分け前の一部を侵略戦争に参加した国に与え、米帝に加担する国におこぼれを与えようというものだ。
 米帝は、イラク戦争突入過程がそうであったように、その後の過程でも仏独などの帝国主義を中東から排除する争闘戦として事態を進めている。米帝が仏独ロをたたき落とすために国連を使うことはあっても、国連によって米欧関係が修復されることはない。米欧対立、米欧の帝国主義間争闘戦は非和解的に激化する一方である。米英日帝のイラク戦争によって世界は第3次世界戦争の過程に突入したのである。
 米帝は次の焦点として北朝鮮侵略戦争への突入を据えている。日帝は、帝国主義として争闘戦に勝ち抜くために、この米帝の北朝鮮侵略戦争に参戦し、侵略帝国主義への飛躍を図ろうとしている。そのために今国会で有事立法を成立させようと、必死で攻撃をかけてきているのだ。
 米日帝の北朝鮮侵略戦争を絶対に阻止しなければならない。米帝の「作戦計画5027」は、100万人もの朝鮮人民を虐殺する戦争計画だ。南北朝鮮人民、在日朝鮮人民と固く連帯し、北朝鮮侵略戦争を絶対に阻止しよう。そのためにも参院段階での有事立法阻止闘争に全力で決起し、今国会での成立をなんとしても阻止しよう。

 米欧争闘戦の歴史的激化

 イラク−中東、「新しい欧州」をめぐる再分割戦で激突へ

 米英日のイラク侵略戦争とそれに伴う米欧争闘戦の決定的激化、米欧間の亀裂は、帝国主義のさらなる侵略戦争、帝国主義間戦争、(残存あるいは旧)スターリン主義を巻き込んだ国際戦争、世界戦争の不可避性を示している。
 米帝は、世界大恐慌―大不況の過程が深まる中、基軸国としての地位の保持と延命をかけて、NATOの東方拡大―域外派兵(99年ユーゴスラビア侵略戦争)、01年アフガニスタン侵略戦争からイラク侵略戦争へと進み、さらにシリア、イラン、北朝鮮、中国への侵略戦争、世界戦争に突き進もうとしている。
 これに対して独仏を中心とする欧州帝国主義は、米英主導のイラク戦争に反対しつつも、今となっては事実上承認し、軍事占領下のイラク権益確保を追求している。また、EU拡大、ユーロ強化、欧州安保体制構築による対米対抗軸を形成することによって危機を突破しようとしている。
 当面する米欧争闘戦の焦点は、中東におけるイラクの復興と石油、パレスチナ問題、「新しい欧州」(バルト3国、東中欧―バルカン諸国など)へのNATO拡大、EU拡大問題である。これらをめぐる米欧の利害対立、衝突は不可避であり、米欧間の亀裂修復はますます困難である。
 米英のイラク侵略戦争強行によって米欧間の争闘戦が画然と激化している。

 ブッシュ・ドクトリンの現状破壊性

 米英は、国連安保理新決議とりつけ失敗に示される政治的敗北と国際的孤立にもかかわらず、その取り戻しをもかけてイラク侵略戦争を強行し、フセイン政権を打倒した。今やイラクを軍事占領下に置き、国連を排して米英主導でイラクの再植民地化と石油資源の独占を進めようとしている。
 米帝ブッシュはさらに、中東・アラブ諸国全体を「民主化」し、「中東自由貿易圏」をつくると宣言した。中東と石油の全体を米帝単独で支配する体制をつくる、つまり勢力圏化しようとしているのだ。その推進力は軍事力である。
 これを公式に理念化・正当化したものがブッシュ・ドクトリン(昨年9月の米国家安全保障戦略)だ。
 ブッシュ・ドクトリンは「テロ」や「大量破壊兵器」の「脅威」から米国を防衛すると称して「先制攻撃」をもって敵国の体制転覆を図ることを正当だと明言した。これは、主権国家と領土不可侵、民族自決の原則、侵略戦争を違法とする国際法の真っ向からの否定だ。帝国主義間の国際協調さえ無視し、今後はなりふり構わず、戦争によって自国の利益を追求するという新帝国主義宣言である。この実践としてイラク戦争が行われた。
 イラク戦争過程で米帝は、それまで自らが道具としてきた国連安保理をも無視した。国際帝国主義の認めた「正当な」理由もないまま先制攻撃で主権国家の政権を軍事的に打倒した。
 このような先制攻撃戦略、歴史を覆す新帝国主義的な理念、手法が既成事実化されると、それを突破口に米帝の世界戦争計画が物質化され、米帝の一極支配ができあがってしまいかねない――こういう恐れを仏独ロが抱いたのである。
 イラク復興が問題になると、米帝は、イラク戦争に反対したフランスへの「懲罰」さえ口にし、国連の関与を形式的なものにとどめ、利権を独占する意思をあらわにした。
 米帝ブッシュの新帝国主義そのもののやり方、力ずくで他国の権益を奪い取る掟(おきて)破りのやり方に、「古い欧州」である仏独そしてロシアは反発と対抗を強めている。

 NATO拡大に対抗する欧州安保構想

 イラク侵略戦争とフセイン政権の軍事的打倒は、道義的にはともかく、国連政治に依拠する仏独の帝国主義としての軍事的無力性をつきつけた。軍事力こそ正義だと主張する米英と政治的に抵抗する仏独という構図ができた。米欧対立、帝国主義世界体制の亀裂は決定的となり、事態は帝国主義戦争―第3次世界大戦の爆発へ大きく一歩進んだ。
 米帝は、かねてから圧倒的な軍事的実力を背景にNATO拡大とNATO域外派兵を推進することで欧州―EUへの介入を試みてきた。これは、米帝の世界支配のための行動であり、独仏がユーロ導入、EU拡大をとおして対米対抗的ブロックとして成長することへの牽制(けんせい)だ。
 米帝は、EUがユーゴスラビア内戦問題を政治的に解決することに失敗したことに付け込んだ。ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦では、95年夏のNATO(事実上米軍)による空爆によってセルビア勢力を屈服させ、デイトン合意に持ち込み、3年間の戦争を終結させた。コソボ問題では、99年春のNATOのユーゴスラビア空爆をもってミロシェビッチの降伏を引き出し、コソボをセルビア支配から引き離した。
 米帝は、NATO域外派兵で、ソ連崩壊後のNATOの存在とその東方拡大、すなわち欧州での米軍プレゼンスの維持・拡大を欧州と世界に認めさせてきた。
 イラク戦争を前にして米帝は2月、英帝とスペインを使って欧州10カ国にイラク戦争支持声明を出させた。さらにはポーランド、ブルガリアなど東欧諸国をもイラク侵略戦争に参戦・協力させた。イラク戦争過程で米帝が拡大EUに含まれる東中欧―バルカン諸国を動員し、欧州分断に手を付けたことは、仏独にとって容認しがたい事態だ。
 3月に発足した国際刑事裁判所に米帝が加わらないことも欧州にとっては許し難いことだ。
 ところで、ユーロはイラクを始めアラブ産油国の石油輸出決済通貨として使われ始めていた。米英主導のイラク侵略戦争・フセイン政権転覆でユーロからドルへの再転換は必至となる。
 拡大EUとユーロ防衛の死活性の面からも、仏独はイラク開戦阻止に動いた。
 4月末、イラク戦争に反対した仏独とベルギー、ルクセンブルクは、4カ国協議で欧州独自の安保体制の構築のために司令部を設立する構想を発表した。仏帝の念願である欧州のNATOからの独立の一歩だ。だが、米帝から「懲罰」恫喝を受け、石油利権のためには米帝との関係修復を図らざるをえない仏帝シラクは「この構想はNATOとの共存を図るもの」であると釈明し、摩擦を避けた。
 EUの欧州安保構想の前途は多難である。すでに創設が決まっている欧州緊急展開軍もまだ発足していない。EU諸国は、ユーロのための財政締め付けを進める中で、対米対抗的な独自の軍事力を形成する財政を確保することができない。欧州独自安保体制は今のところ、なんら軍事的実体をもっておらず、政治的な意味しかないのである。最近、マケドニアの平和維持部隊として派兵されたEU部隊の作戦計画はNATOの欧州司令部で作られた。
 米帝は、ポーランド、イタリア、スペイン、デンマーク、ブルガリア、オランダ、ウクライナなどがイラク占領軍に加わることを要請している。ポーランドには、イラクを4分割しその1地域を受け持つよう提案した。そのための資金提供をも約束している。
 仏独は、5月9日のポーランドとの3国首脳会談でポーランドのイラク占領軍参加の意志を撤回させることができなかった。
 04年にNATOにバルト3国と東欧―バルカン4カ国(スロベニア、スロバキア、ブルガリア、ルーマニア)とが加盟する。それに伴って在独米軍を東欧諸国に移駐させることが構想されている。NATO東方拡大は米帝の欧州への一層の軍事的進出を意味する。ロシアへの軍事圧力の増大でもある。
 米帝のイラク戦争、NATO拡大を使った欧州分断―拡大EU弱体化政策に、仏独ロは焦りと危機感を募らせている。

 イラク復興と石油利権での主導権争い

 現在、イラクの軍事占領、暫定統治、石油管理、戦後復興をめぐり米欧が対立している。仏独ロは、イラク復興・石油開発に参加するために米英に亀裂の修復を申し出ているが、米英は受け付けようとしない。
 米帝は、数年間の軍事占領、暫定統治、イラク石油管理を米英が主導し、米国と中東とで自由貿易圏をつくる構想を発表した。国連を事実上排除し、仏独ロ中には一切、イラク復興・石油の利権を与えず、戦勝国がこれを独占する構えだ。
 この線に沿って、イラクへの経済制裁の解除を求める国連安保理決議案が米英などによって提出された。安保理決議案は、国連の役割を人道支援とアドバイザーに限定している。仏ロ中に権益放棄を要求しているに等しい。
 米帝ブッシュは、6月にエビアン・サミットを控える仏帝シラクに、「今一度、われわれに協力を申し出る機会を与える」と、安保理決議案を踏み絵にして屈服を迫っている。
 さらに決議案は、制裁解除の前提とされていたイラクの大量破壊兵器非保有確認をないがしろにしている。仏独にとって査察と武装解除を取り下げることは、イラク開戦反対で得た国際的国内的な支持を裏切り、政治的位置を損なうことになる。戦争の事後承認ともなる。
 もっとも仏独ロは、もはや米英軍のイラク撤退を要求していない点でイラク戦争を事実上承認したも同然だ。仏独ロは、イラクの国連軍事管理のもとでの権益を追求するもうひとつの帝国主義陣営なのだ。
 仏独ロは、米英の主導権確保を一定程度認めつつ、これまで主張してきた国連の関与を強く要求する態度に出る以外になくなっている。仏独ロが米英の新帝国主義的戦争政策に対抗して自らの権益を確保するには、対抗的軍事力を構築する以外にないのである。
 中東と欧州をめぐる米欧対立を軸に帝国主義世界体制が分裂し、帝国主義間争闘戦の激化がさらなる帝国主義の侵略戦争、帝国主義間戦争として爆発する情勢が進行している。帝国主義の侵略戦争を国際的内乱に転化する闘いを強めよう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2102号4面2)

横須賀 原子力空母 カールビンソン弾劾 キティホークと同時入港

 基地ゲート前に1500人デモ

 米原子力空母カールビンソンが5月10日、米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)に寄港した。6日にはイラク侵略戦争に参加した空母キティホークが帰港しており、空母2隻が同時に横須賀に集結した。今回のカールビンソンの寄港に対し、神奈川平和運動センターと三浦半島地区労の主催で抗議集会が開かれ、労組を中心に約1500人が集まり横須賀基地ゲート前への抗議デモを行った。
 集会は、停泊するキティホークを望むヴェルニー公園で行われた。三浦半島地区労の三影憲一議長の司会で進められ、平和運動センターの宇野峰雪代表が主催者を代表して原子力空母の母港化を阻むための行動を訴えた。社会民主党の福島瑞穂幹事長(参院議員)が有事関連3法案の衆院採決を阻止することを訴えた。厚木基地爆音防止期成同盟の鈴木保委員長が「艦載機の爆音は住民の生活と健康を破壊する」と怒りを込めて弾劾、司令部に申し入れたことを報告した。
 集会後のデモでは、横須賀基地ゲート前で立ち止まり、横断幕を大きく広げ怒りのシュプレヒコールを行った。約5400人の乗組員も休養のため上陸している。兵士や家族らが注目する中、反戦を訴えた。デモは商店街から京急横須賀中央駅前へと進み、有事法案の阻止を呼びかけた。
 カールビンソンはこの間、イラク侵略戦争に参加したキティホークに代わり朝鮮半島をにらみ展開。キティホークが船体修理に入るため引き続き日本周辺で展開するが、「大統領の命令があれば遂行できる準備は整えている」(幹部)と即応態勢をとっている。また同基地を事実上の母港とするキティホークは08年に退役予定で、今回の寄港は原子力空母の後継配備の布石だ。横須賀基地では、原子力空母にも対応可能とされる12号バースの延長工事も始まっている。

 イラク侵略弾劾 観音崎で抗議

 6日、イラク侵略戦争に参加していた空母キティホークが横須賀基地に帰港した。観音崎には早朝から地区労の労働者など約100人が集まり、抗議行動を行った(写真)。抗議のシュプレヒコールの中、7時20分頃、キティホークが入港した。その後、反戦共同行動委などが京急横須賀中央駅前や基地前でビラまき街宣を行った。
 キティホークは同基地の4隻の艦船とともにペルシャ湾に派遣された。同機動部隊からはイラクに向けトマホークが約70発撃ち込まれ、艦載機の出撃回数は2500回を超えたという。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2102号4面3)

富山でNO WAR 学生らが街宣とデモ

 富山市で4月29日、富山大の学生が中心に立ち上げた「NO WAR! ACTION実行委員会」が街宣とデモを行いました。
 市中心部のアーケード街では、イラク戦争被害写真のパネルを展示して「民間機による軍需物資の輸送は危険」などと有事法制反対の署名を訴えました。
 駅前までの30人余りの学生や労働者、市民のデモを行い、自作したプラカードを手に、ドラムやギター、タンバリンなど思い思いの楽器でにぎやかに「軍事占領反対」「北朝鮮攻撃のための有事法制反対」「自衛隊をイラクに派兵するな」と、リズムよくコールしました。ビラを読みながらデモに注目する市民も大勢いました。
 デモ解散地でのリレートークでは、1年生からも「参加してよかった」「今後もこういう活動を続けていきたい」と元気な発言が飛び出しました。
 (投稿 富山大K)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2102号4面4)

“採決許すな”1200人が国会包囲 20労組などが廃案へ決意

 民主党の大裏切りで有事立法成立のメドがついてしまったかのような大キャンペーンが行われている。5月12、13、14日の連日の国会闘争の爆発はこの暗雲を吹き飛ばし、有事立法廃案の展望を切り開いた。
 特に、有事法制特別委員会採決日の14日には、全国から1200人の労働者人民が委員会採決を阻止しようと急きょ結集し、衆議院第2議員会館前と参議院議員会館前は、色とりどりの組合旗とのぼりで埋めつくされた。中には、いてもたってもいられず、奈良から子どもをつれて上京してきた女性もいた。
 正午から全労連などと、陸・海・空・港湾労組20団体などの共催で集会が開催された。主催者あいさつに立った航空労組連絡会の村中哲也副議長は、「20労組はどんなことがあっても有事法制を許さない」と断言し、「連合傘下の労働組合がともに闘っていることを誇りに思う」と発言、5・23明治公園への幅広い労組の結集で有事法制を廃案に追い込もうと述べた。
 藤崎良三全労協議長が決意表明し、「憲法と人権の日弁連をめざす会」の鈴木達夫弁護士は、有事法制と共謀罪新設攻撃の一体性を暴露した。平和フォーラムの福山真劫事務局長は「絶対廃案をめざす」という決意を表明した。労働法制改悪への反対意見も出た。
 航空連の内田妙子議長は「民主党の国民・労働者を裏切るやり方に徹底的に抗議し続けなければならない。23日、明治公園にこれまでにない最大多数の記録をつくりたい。あきらめないで、最後までがんばりましょう」と激しく述べた。
 午後2時59分の委員会採決時には、駆けつけた多くの労働者が採決弾劾の怒りの声をあげた。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2102号4面5)

日誌'03 5月7日〜13日
 与党・民主、有事法修正合意  石破「他国領土に出動可能」

●沖縄近海で水中爆破訓練を実施 在日米海軍が、中止を伝えていた沖縄近海での水中爆破訓練を実施した。「連絡ミス」と説明。訓練水域では70〜80隻の漁船が操業し、水産庁が米軍に訓練中止を申し入れていた。(7日)
●「他国領土に出動可能」 石破防衛庁長官が衆院有事法制特別委員会で、海外で自衛隊艦船などが攻撃を受けた場合に「有事」と認定し、自衛隊が防衛出動することについて「可能性は排除されない」との見解を明らかにした。自衛権行使を理由に他国の領土も含め、どこでも自衛隊が出動し、武力行使することが法律上認められるとの主張。(9日)
●対イラク制裁解除の決議案 国連安全保障理事会の非公式会合が開かれ、米国は、米英などによるイラクの実質統治を軸にした対イラク制裁解除決議案を提示した。石油売却金の管理・運用は、新設する「イラク支援基金」が米英の監督下で復興財源として管理するという。(9日)
●民放の指定除外「適当でない」 福田官房長官が衆院有事法制特別委で、武力攻撃事態法案で有事の際に国への協力を求められる「指定公共機関」に民放が含まれるかについて「公共放送か民間放送かで異なることはなく、指定公共機関の定義から民間放送を除外するのは適当ではない」と述べた。(9日)
●米が小型核の開発再開へ 米上院軍事委員会が小型核兵器の研究開発の凍結解除と関連費用を含む04年度の国防総省予算を可決した。米の小型核の開発は10年ぶり。(9日)
●中東と自由貿易圏構想 ブッシュ米大統領が、米国の主導で中東諸国と10年以内に自由貿易圏を形成することを柱とした新構想「中東パートナーシップ・イニシアチブ」を明らかにした。(9日)
●クラスター爆弾「対人地雷の規制外」 政府は、航空自衛隊も保有するクラスター爆弾について「地雷とは使用目的、使用方法を異にし、不発の子爆弾の状態もさまざまと考えられることから、一概に両者を同列に論ずることは適当ではない」との見解を閣議決定した。(9日)
●普天間代替、ボーリング7月以降 那覇防衛施設局は、米軍普天間飛行場移設計画に伴い名護市辺野古沖63カ所で予定しているボーリング調査について、地元議会や市民団体からの環境保全への懸念のため「5月末や6月の着手はない」とし、7月以降に大幅にずれ込む見通しとなった。(9日)
●米原子力空母が横須賀に寄港 米原子力空母カールビンソンが神奈川県横須賀市の米海軍横須賀基地に寄港した。原子力空母の横須賀入港は5年8カ月ぶり、6日にキティホークがペルシャ湾から帰港しているため、米空母2隻の同時入港。(10日)
●バグダッド、劣化ウランで汚染 バグダッド市内に放置されたままのイラク軍車両の残がいなどが放射能で最大で自然界の15倍汚染されていることが分かった。米軍による劣化ウラン弾の使用が原因。(11日)
●ACSA改定を表明 川口外相が衆院有事法制特別委員会で「日米物品役務相互提供協定(ACSA)を武力攻撃事態でも適用するため改定することを含め、政府全体の問題として協議したい」と述べた。(12日)
●サウジ首都で連続爆弾ゲリラ サウジアラビアの首都リヤドの外国人居住地3カ所で連続爆弾ゲリラがあり、アメリカ人など20人が死亡、ゲリラ側は自爆戦闘で9人が死亡した。(12日)
●与党・民主が修正合意 有事法案をめぐり小泉首相と民主党の菅代表が会談し、武力攻撃事態法案に「基本的人権に関する規定は最大限に尊重されなければならない」と明記するなどの修正に合意した。民主党は有事3法案賛成に転じた。(13日)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2102号5面1)

北富士 “使用協定は無効” 天野会長 30時間座り込み

 忍草国有入会地守る会の天野重知会長(95)が、北富士演習場の第7次使用協定はまったく無効であり、自衛隊の入会地使用は違法であると弾劾する断固たる行動に決起した。3月27日に調印された第7次使用協定は、入会権者の同意を得ておらず、まったく無効である。日帝・自衛隊は忍草農民の入会権を無視・抹殺して強制的に演習場を使い続けているのだ。
 5月13日、天野会長は忍草区会事務所前に「北富士開山 入会立村」と大書した大のぼりを立て、正午過ぎ、入会地視察の行動に出た。演習場入り口では自衛隊の滝口演習場管理室長が待ちかまえ、入り口を閉めて天野会長が入会地に入るのを阻止してきた。その根拠を問いただしたところ、使用協定に基づいて演習場として使用していると回答してきた。すかさず天野会長が「演習場使用協定は入会権者の同意を得ておらず無効である」と弾劾した。さらに防衛庁長官あてに内容証明郵便で要請書を送ったことを明らかにし、使用協定が無効であることについての正式な回答を要求した。入り口前には「忍草入会地 無断立入禁止」の看板も設置した。
 天野会長が交渉のための部屋を用意するように要求したが、自衛隊はそれを拒否した。これに対して天野会長は防衛庁および防衛施設庁の正式な回答を要求して演習場入り口に座り込んだ。滝口室長は「業務隊長および横浜防衛施設局富士吉田事務所長に伝えました」と言うのみで、何の回答もよこさない。天野会長は夕刻には演習場入り口わきにテントを設置し、座り込みを続けた。
 翌14日正午過ぎ、今度は北富士駐屯地業務隊長鷲原と横浜防衛施設局富士吉田事務所長が訪れた。だが2人は「上級部隊に伝えました」と言っただけで、あとは何も言うことができない。使用協定は無効であるという天野会長の説明に反論することもできず、ただ黙って退散した。
 結局この日の夕方になっても防衛庁、防衛施設庁は何の回答もよこさなかった。天野会長は「これが有事法制の正体だ。農民の入会地を勝手に奪い、入会権ありの裁判所の判決も踏みにじって強制的に使用し、何の補償もしない。次なる闘いに入る。この現実を訴えていく」と高らかに宣言し、95歳の高齢を押して30時間に及ぶ立ち入り要求と座り込みを貫徹した。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2102号5面2)

青森で反核燃集会 6月ウラン試験阻止へ

 5月11日、青森市で日本の核武装のための六ケ所核燃料サイクル施設建設に反対する集会が開かれた。地元青森県を始め原発立地地域の北海道、福島、新潟、福井など全国各地から労働者・市民1000人が結集し、集会とデモを行った。
 今から18年前の4月9日、青森県知事が県議会に警察機動隊を導入して核燃サイクル施設建設の決定を強行した。それ以降、青森県では毎年4月9日を「反核燃怒りの日」として抗議闘争を展開してきた。
 今年は、6月に予定される再処理工場でのウラン試験に反対する闘いとして全国規模の抗議闘争をこの5月11日に設定して闘った。
 午前11時、青森県平和労組会議、自治労など青森県反核実行委員会主催の集会が青い海公園で開かれた。
 反戦共同行動委員会は、ビラで6月ウラン試験阻止、有事立法廃案を訴え、集会・デモに参加した。
 集会では、核燃阻止一万人訴訟原告団の浅石紘爾共同代表や原水禁の代表がウラン試験や再処理工場の危険性、県民の不安の高まりなどを訴えた。集会後、市内繁華街に向けてデモを行った。
 午後、「ハートピアロウフク」で「2003『4・9反核燃の日』市民集会」が市民集会実行委員会の主催で開催され、浅石氏や原子力資料情報室共同代表の講演が行われた。
 浅石氏は、再処理工場をめぐる訴訟で行われた工場内の現場検証について詳細に報告し、再処理工場の危険性を明らかにした。
 講演後、参加者全体で実践的問題を含めて活発な討論を行った。
 相次ぐ再処理工場での手抜き工事の発覚と大量の漏水問題、福島など東電原発の停止を始めとしたプルサーマル計画の破綻(はたん)状況の中、追い詰められた日本原燃はあくまで6月に再処理工場でのウラン試験強行を画策している。
 イラク侵略戦争で三沢基地などの在日米軍基地から出撃した戦闘機は、イラク人民に劣化ウラン弾などの大量の爆弾を投下した。材料の劣化ウランは、六ケ所村にもあるようなウラン濃縮工場の製造過程で出る。三沢基地のみならず核燃施設も侵略戦争に直結しているのだ。
 小泉政権が六ケ所の再処理工場―核燃料サイクル施設建設に執着するのは、核燃施設が大規模な核爆弾製造工場となるからである。
 六ケ所核燃サイクル建設、特に05年7月稼働予定の再処理工場建設は重大な攻撃だ。地元六ケ所住民や全国の労働者人民とともに6月ウラン試験を阻止しよう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2102号6面1)

共謀罪新設阻止でデモ 国際的組織犯罪条約の衆院採決を弾劾

 5月9日、東京において破防法・組対法に反対する共同行動と組織的犯罪対策立法に反対する全国ネットワークの呼びかけで、「共謀罪新設阻止! 国際的組織犯罪条約批准反対!」の連続行動が取り組まれた。
 正午から衆議院第2議員会館前で、4月24日の衆院本会議での国際的組織犯罪条約の採決強行を弾劾する集会を開いた。
 集会には、朝から国会前で有事立法反対の座り込み闘争を闘っていた人たちも合流し、150人を超える労働者市民が参加した。
 侵略戦争に向けた労働者人民への治安弾圧の攻撃である国際的組織犯罪条約の批准と共謀罪新設を阻止する闘いが、小泉政権による有事立法攻撃に反対する運動と一体となった。
 参加者の熱気はいやが上にも盛り上がった。集会の最後に国会に対して「共謀罪の新設を阻止するぞ」「イラク軍事占領反対、有事法制を阻止するぞ」の怒りのシュプレヒコールがたたきつけられた。集会終了後、共同行動と全国ネットも座り込みに合流した。
 夕方からは、渋谷・宮下公園で全国総決起集会を開き、渋谷駅一周デモを行った。集会・デモには100人を超える労働者市民が決起した。
 集会の初めに、司会が「衆院での採決強行は絶対に許せない。共同行動の5年間の闘いの全力量と質が問われている。共謀罪阻止に向け全力で頑張りぬこう」と決意表明した。
 基調報告に立った小田原紀雄さんは、「まず共謀罪新設阻止の決意を述べたい。国際的組織犯罪条約批准の攻撃は2年前からわかっていた。ところが、反対を呼びかけても『そんなことがあるわけない』という声が多く、なかなか信じてもらえなかった。国家権力は治安法強化の手を一切ゆるめることなくやってくるだろう。それを打ち破る決意で闘いぬく。治安法の強化と有事法制は一体のものだ。国会闘争を拡大して闘おう」と訴えた。
 連帯のあいさつとして、立川自衛隊監視テント村、とめよう戦争への道・百万人署名運動、 のじれん(渋谷・野宿者の生活と居住権をかちとる自由連合)、「つぶせ!破防法・盗聴法」静岡県連絡会、国賠ネット、全国金属機械労働組合・港合同、共謀罪に反対する法学者、予防拘禁法(保安処分新法)反対の病者、反戦青年救援会、洋書センター弾圧の被告が次々と発言した。また司会から福岡の仲間も参加していることが紹介された。
 百万人署名運動の事務局は、民主党の対案路線を徹底批判し「戦争阻止こそが基本的人権を守りぬくこと」と訴えた。そして有事3法案をめぐる国会情勢が緊迫していることを訴え、9日から4日間の国会闘争への総結集を呼びかけた。
 港合同からは南労会支部の労働者が発言し、「共謀罪とともに出された強制執行妨害罪は、争議つぶしの悪法である。これが成立すれば、職場占拠の闘いも弾圧される。絶対に阻止しよう」と訴えた。
 共謀罪に反対する法学者は、共謀罪の問題点を分かりやすく説明し、「政府は、治安対策全体から共謀罪を位置づけ弾圧の手段にしようとしている」「実行行為がなくても、『犯罪について打ち合わせをした』と警察がみなしただけで逮捕される」ことなどを暴露した。そして共謀罪の狙いが反戦運動、労働運動、市民運動への弾圧にあることを強く訴えた。
 集会後、参加者は若者でにぎわう渋谷の街をデモ行進し、共謀罪新設阻止と有事法制阻止を訴えた。デモを見つめる若者からは多くの共感が寄せられた。
 今回の闘争は、治安弾圧に反対する闘いと有事法制反対の闘いを一体的に闘いぬく中で、国際的組織犯罪条約の衆院での採決強行弾劾と共謀罪新設阻止を訴えることを実現した。
 日帝の治安弾圧攻撃は、共謀罪新設を始めとして、サイバー犯罪条約(国境を超えて広がるインターネット犯罪に対応する条約)の批准、包括的反テロ法案の新設などをめざし、エスカレートしている。今こそ治安弾圧と闘う巨大な潮流の形成が求められている。5月22日(木)、憲法と人権の日弁連をめざす会と刑事弁護ガイドライン反対運動が主催する「有事治安法と司法改悪に反対する集い」(午後6時、東京・霞が関の弁護士会館2階講堂「クレオ」)に集まろう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2102号6面2)

心神喪失等医療観察法案 成立すると何が起きるか
 「病者」であることだけで隔離・収用・抹殺される

 「心神喪失等医療観察法案」の成立を絶対に阻止しよう。成立すると一体どういうことが起きるのか。ケーススタディーで考えていきたい。
 まず事件の発生ないし未遂がある。「重大事件が対象」と政府は言うが、新法の範囲は広く、傷害罪などや未遂も含まれている。警察の関心は検挙率を上げることである。そのために、今まで数多くの無実の人が刑務所に送られ、死刑台に送られてきた。犯人が捕まらないと警察は、地域で暮らす「精神病者」であるAさんに目をつける。
 Aさんが逮捕される。検察は簡易鑑定を行い「心神喪失」として新法の審判所にまわす。審判所では正式の精神鑑定を行う。精神鑑定とは事件当時に「心神喪失」であったかを調べるわけではなく、Aさんが「精神病」であるかどうかを鑑定するだけだ。無実を主張していても、「精神病」であれば黒の鑑定を出す。鑑定を精密化するという議論は何の意味もなく、反動的である。鑑定のためとして3カ月の勾留が行われる。
 鑑定の結果、「精神病」であれば審判が開始される。Aさんは無実を訴えたいが弁護士をつけられないことがある。現行の刑事訴訟法では、「重大事件」の場合必ず弁護士をつけなければ裁判ができないが、この審判では弁護士をつけることは義務ではない。Aさんは無実を主張し事実調べを求める。しかし新法では事実調べをするかどうかは裁判官の一存で決まり、しなくてもよいことになっている。また、弁護士には異議申し立ての権利は一切なく、警察・検察のデッチあげた「証拠」すべてに裁判官らが目を通し、裁判官に黒の心証を与えることになる。Aさんの家族、友人が心配して傍聴しようとしても審判は非公開である。ところが、被害者とその家族の傍聴は認められており、警察のデッチあげを信じた被害者側が裁判官と、審判員として加わっている精神科医とに「重罰を科せ」という印象を与える。
 以上のような暗黒の審判の中で、裁判官らが「Aさんは『精神病』だから『再犯のおそれ』がある」と認定する。裁判官らは「再犯のおそれ」があるかないかの判定をするかにみえるが、そうではない。日本精神神経学会を始め圧倒的多数の精神科医が主張しているように、科学的には「再犯予測」など不可能だからだ。法務省が行っている保護司の研修会では「『精神病者』は麻薬中毒患者のようなもので犯罪を繰り返す」という、何の根拠もない、事実と逆のことが言われている。法務省や裁判官には「病者」イコール「再犯のおそれがある者」という差別的偏見があるのだ。だから、「再犯予測」とは、実際には「病者」であるかどうかの判断だけなのだ。
 Aさんは「病者」であるから全国8カ所にある特殊施設送りとされる。そこで求められるのは事件に対する反省である。Aさんは無実を主張しているのだから反省はできない。するとありとあらゆる実験的「医療」と称する拷問が行われ、拷問であり殺されることもある電気ショックが行われる。あげくのはてには脳の一部を切り取ってしまうロボトミーといわれる脳外科手術にも行きつき、意欲も一切の感情も奪ってしまいかねない。Aさんはそこで初めて「再犯のおそれなし」と判定され解放される。
 Aさんは警察発表を丸のみにしたマスコミの差別キャンペーンによって社会的に有罪が宣告されている。働くところも能力も奪われてしまい、のたれ死ぬしか運命はない。Aさんは「精神病者」だというだけの理由で、このような残酷な「罰」が科される。これが「心神喪失等医療観察法案」で起きることだ。Aさんは私であり、あなたの友達、仲間の「病者」であり、すべての「精神病者」であり、「人格障害」とされる人びとであり、やがては社会運動活動家だ。
 事件を行った人であるBさんが逮捕されたという場合でも、まともな裁判を受ける権利が一切奪われているという事情は同じである。刑事裁判なら、情状酌量(しゃくりょう)も、執行猶予も、死刑でなければ刑期も決まっている。また上訴することできる。ところが新法では、それらの保障は一切なく、一生でも収容されることになる。「病者」というのはもはや基本的人権も何もない、人間ではない存在として扱われるのだ。
 また、「強制通院」という処罰もあるが、一生保護観察によって監視され、何か問題があるとされてしまえば強制収容させられることになる。
 「一つの犯罪を防ぐ」と称しながら、千人の無実の「病者」を隔離・収容・抹殺して良いというのが新法だ。有事立法と一体の治安立法を許さず、一切の修正論議を排して闘おう。
 (関西「障害者」解放委員会 吉村隆生)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2102号6面3)

参院で成立阻止へ 連日国会行動に決起

 「精神障害者」差別に基づく新たな保安処分立法である「心神喪失等医療観察法案」が、5月6日参議院法務委で審議入りした。「処遇困難者専門病棟」新設阻止共闘会議は昨年12月衆院採決強行を弾劾しぬいた闘いに続き、さらなる法案成立阻止の国会行動に連日立ち上がっている。
 5月6日、医療観察法案を始め三つの提案の趣旨説明が行われた。まず、政府与党原案が森山法相から提案された。これは、地裁に裁判官と精神科医の合議体による審判所を新設し、被疑者・被告である「精神障害者」が不起訴・無罪・執行猶予付き釈放時に「再犯のおそれあり」と認定されれば、無期限更新の保安処分施設収容や保護観察付き強制通院を制度化できるとするものである。
 二つめは自民党塩崎、公明党漆原らが提案した政府原案の修正案である。これは「再犯のおそれの予測は可能」とする文言への批判をかわすためにペテン的に「同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するため、入院をさせてこの法律による医療を受けさせる必要があると認める場合」とその文言を手直ししたものである。さらに施設収容患者らが3カ月間処遇取り消しの申し立てができなかった期間の削除や「付則」追加で政府の精神医療水準向上や5年後の見直しに言及し、なんとか野党の同意を取りつけようという修正案である。
 三つめは現行の精神保健福祉法、裁判所法、検察庁法の各改定案を一括した民主党のいわゆる「対案」である。これは政府案が掲げる「事件を犯した精神障害者対策」に範囲を狭めず、もっと広範囲の「事件を犯す前・初犯からの防止」を理念に掲げている。本質的には「精神医療を犯罪防止の道具として活用しよう」という保安処分に賛成し政府案と競い合う、まったくふざけきったペテン的対案である。政府案との合体も可能な補完的対案にほかならない。それは日ごろからの「病者」の監視と通報制度強化をうたう保健福祉調査員制度の新設、また司法関係者も含めた各地判定委員会を組織し、その中の指定医2名の判定のもとで措置入院を始め患者分類収容を強化し、PICU=精神科集中治療センターと称した実質上の「処遇困難者専門病棟」への隔離収容を促進させる提案だ。さらに起訴前後の「精神鑑定・鑑定人人事」の国家一元統制を要求する司法精神鑑定センター設置案は、「鑑定の適正化」とは裏腹に、裁判や司法そのものの国家統制に道を開きかねない提案だ。
 5月8日から各党の質疑・討論が始まった。数まかせの医療観察法案の制定策動はますます「病者」への国家的報復・抹殺の意図をむき出しにする一方、「社会復帰」や「高度な医療」の目安が「再犯のおそれの有無」であり、治安的にしか語られない本音も明らかになってきた。
 阻止共闘は国会前に陣取って闘った。そして、4月山梨三生会病院で「病者」が電気ショックで死亡させられた事件で病院当局がミスはなかったと居直っている事実を暴露・弾劾し、精神医療の実態を告発するとともに法案阻止を訴えた。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2102号6面4)

弾圧と闘う 福嶋同志奪還へ全力を
 迎賓館・横田爆取デッチあげ 許せぬ10年余の勾留

 3同志奪還の力で保釈かちとれ

 5月13日、11年間にわたって迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判を闘いぬいている福嶋昌男同志の保釈請求が、東京地裁刑事第3部(服部悟裁判長)に提出された。
 昨年12月27日、須賀武敏同志、十亀弘史同志、板垣宏同志が16年2カ月の不当な超長期未決勾留を打ち破って保釈をかちとってから5カ月になろうとしている。歴史的勝利のその日、3同志と党と人民は勝利の喜びを心からかみしめると同時に「次は福嶋同志奪還だ!」と厳粛に誓い合った。3同志を奪還した力と勢い、そして何よりも不当な超長期勾留に対する怒りを爆発させて福嶋同志奪還に向けた新たな闘いに突入しよう。
 福嶋同志は93年3月に不当逮捕され、以後10年2カ月という超長期にわたって未決勾留を強制され続けている。この未決勾留自体、絶対的に不当な長期であり、許しがたい人権じゅうりんであり、違憲・違法である。
 しかし、検察官は「(拘禁が)いかに長期に及ぼうとも不当ではない」と、許すことのできない言辞を弄(ろう)している。
 これに対し、2000年11月に自由人権協会が東京地裁に「東京地裁による不当な長期勾留についての意見書」を提出した。
 意見書は、憲法第32条、第37条、第38条、さらには国際人権規約を引用しつつ、結論として「(刑事訴訟法第91条で言う)『不当に長くなったとき』が単なる時間的観念ではないとしても、未決勾留という拘禁の性質からすれば、許容される勾留期間には自ら一定の限度があり、その限度を超えて未決勾留が継続された場合には、そのことのみで『不当に長期』の勾留に該当すると理解されるべき」と、検察官のデタラメな主張を徹底的に批判している。
 東京拘置所新庁舎が、この春から使われ始めた。3月21日、福嶋同志は新庁舎に転房になった。12階建ての高層ビルは、以前のような窓の鉄格子がなくなり、強化ガラスがはめられていることもあり、外見からはまるでどこかの大学の研究棟かと思わせる外観を呈しているが、実は恐るべき非人間的構築物である。とりわけ、自然とのふれあいが完全にシャットアウトされて、隔離性が格段に強まった。
 房内の内窓の外には廊下を挟んで、外窓が取り付けられており、その外窓はすりガラスのブラインド構造となっている。このため、外の景色はブラインドの数センチの隙間(すきま)から空が切れ切れにのぞき見えるだけだ。また、運動場は建物の中にあり、しかも遮蔽(しゃへい)物で覆われているため、外の景色はほとんど見ることができない。以前のようにわずかな空間とはいえ、土にじかに触れ、まわりの植物に触れることも可能だった屋外運動場とはかけ離れた代物であり、「屋外運動」などとはとうてい言えない。違法きわまりない、人権侵害そのものである。
 超長期拘禁のため、前立腺(せん)肥大症などのさまざまな健康破壊と闘っている福嶋同志をこれ以上、悪環境の中に閉じこめ続けることを許しておくわけにはいかない。一日も早く奪還しよう。

 小島筆跡鑑定は完全に破産した

 福嶋裁判は検察立証の最終局面にある。福嶋同志と迎賓館・横田爆取事件を結びつけるために検察側がデッチあげている唯一の証拠が、岩手借家から押収したとされるメモと、そのメモが福嶋同志の筆跡だとする鑑定書である。
 小島直樹筆跡鑑定人は警視庁科学捜査研究所の警察官だが、そのあまりのデタラメ、非科学的鑑定のゆえに被告・弁護側は徹底的な反対尋問を繰り広げ、前回第159回公判まで、3年近く計50回もの公判廷を闘いぬいた。一人の証人に対する尋問が3年にも及ぶのは、異例中の異例である。裁判所もその反対尋問を認めざるをえなかった。それほどにも小島の証言とその鑑定書は矛盾だらけ、偽りだらけであり、有罪立証そのものの根幹が破綻(はたん)していることをさらけ出してきた。
 それゆえに、これも異例であるが、検察官は2時間もの再主尋問を要求し、5月12日の公判で小島筆跡鑑定の破綻を取り繕おうと必死の巻き返しを図ってきた。
 しかしその小島証言の内容たるや、小島が繰り返し主張してきた鑑定基準なるものが、どれほどデタラメなものであるかを一層自己暴露するものであった。また、弁護側反対尋問で行った証言をなんの理由もなく「間違っていました」と撤回し正反対の証言を行うという、お粗末きわまるものであった。

 服部裁判長許さず傍聴闘争を

 服部裁判長は露骨なまでに検察寄りであり、小島証人に助け船を出す一方、傍聴者に対し強権的訴訟指揮を繰り返す極反動裁判官である。
 しかし、どんな反動裁判官であろうがひるむことはない。われわれはすでに3同志を党と労働者人民の総力あげた闘いで奪還したではないか。闘えば必ず勝てる。裁判所には一片の正当性もありはしない。福嶋同志を始め4人の無実無罪を徹底的に明らかにし、判決もないままに11年にもわたって長期勾留を続けていることの不当性、人権侵害を広く深く社会に訴え、「ただちに保釈せよ!」の声で裁判所を包囲しよう。毎回の裁判の傍聴闘争に大結集し、福嶋同志と一体となって闘おう。十万人保釈署名を全力で集めきろう。
 世界史は、9・11反米ゲリラ戦の爆発、3・20イラク侵略戦争によって大転換をとげた。
 日帝は米帝と共同・競合しつつイラク侵略戦争に参戦し、朝鮮侵略戦争を射程に入れた有事立法の今国会成立を至上命題にするとともに、諸反動立法の成立を追求している。
 日帝は体制的危機を深める中、反戦闘争、労働運動など階級闘争の圧殺を狙い、そのためにも革命党=革共同解体への衝動を強めている。それは、3、4月の2カ月間に10人の同志が不当逮捕攻撃を受けていることにも明らかである。
 星野文昭同志を始め、超長期獄中闘争を闘いぬくすべての同志の奪還のために闘おう。この闘いを、有事立法攻撃、戦時型治安攻撃と闘うすべての労働者人民に訴え、大衆運動の力で全同志の奪還をかちとろう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2102号6面5)

 公判日程

☆迎賓館・横田裁判
福嶋同志裁判
5月26日(月)午後1時15分
6月10日(火)午後1時15分
☆水嶋同志裁判
6月11日(水)午後1時30分
 ※いずれも東京地裁

------------------------TOPへ---------------------------