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ZENSHIN 2003/03/17(No2093
p06)
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週刊『前進』(2093号1面1)
米英のイラク開戦阻止 日帝・小泉の参戦と有事立法粉砕を
生活防衛・イラク反戦・反弾圧 3月春闘集会に大結集しよう
3・15国際反戦大統一行動へ
米英帝のイラク侵略戦争の開戦がここ数日中とも言える超切迫した状況になってきた。2・14〜16の全地球規模の1500万人の巨大な反戦デモの爆発をも踏みにじり、そしてフランス、ドイツなどとの帝国主義間の対立をも辞さず、米帝ブッシュは、何がなんでも開戦しようとしている。世界史の大きな転換点が訪れている。この開戦を前に立ち尽くし、許していいのか。今立たないでいつ立つのか。石油略奪のための虐殺戦争を許すな。イラクの人民、子どもたちを殺すな。日本の参戦を許すな。すべての皆さん。全国ですぐに行動を起こそう。世界の反戦デモと連帯し、3・15渋谷・宮下公園で行われる大行動に結集しよう。アメリカ大使館・総領事館、米軍基地へ闘いをぶつけよう。連続闘争を爆発させよう。あらゆる大学に闘いを拡大しよう。国際連帯を広げよう。3・16革共同政治集会に大結集し、成功をかちとろう。
第1章 帝国主義の分裂と第3次大戦の危機
米英提出の決議案を今週にも採択しようという策動が強まっている。これに対して、フランス、ドイツ、ロシアなどは激しく反対している。この3国は3月5日の外相会談で、「(国連安保理で)武力行使を容認する決議を通させない」と明記した共同宣言を発表した。ロシア外相は「中国も私たちと同じ見解だ」と語った。決議案採択は9カ国の賛成と常任理事国から拒否権行使が出ないことが条件となるが、仏ロは拒否権行使を辞さない構えであり、双方の亀裂は決定的となっている。
拒否権を行使して新決議採択を阻止するという帝国主義間の衝突が起きると、国連は分裂し崩壊の危機に直面する。しかし、米帝はそれをも辞さないでイラク攻撃に突き進もうとしている。この数日がイラク攻撃の岐路である。いずれにしても帝国主義間の対立と分裂はイラク開戦を前に抜き差しならない地点に来た。
トルコ国会が米軍への基地提供とトルコ領内通過を否決した。これも、仏独の反対と連動したトルコ国内の動きが、米寄りのトルコ政府を圧倒したということであり、米軍の作戦に直接影響する重大事態だ。
米帝ブッシュは2月26日の演説で「(イラク攻撃の終結後も)米軍はイラクにとどまり、イラクの民主化を足掛かりにアラブ世界全体の民主化をめざす」などと言い始めた。米帝は中東石油を制圧し、中東支配全体を軍事的に再編しようとしているのである。
米帝にとって、アフガニスタン侵略戦争に続くイラク侵略戦争を、反対が多いからとやめたのでは、米帝そのものが延命できないという危機に直面しているのだ。ブッシュが単に好戦的だからではなく、米帝が帝国主義として延命するためには、戦争以外の他の選択肢を持たないのだ。
帝国主義が侵略戦争の開戦をめぐって分裂し抗争していることの巨大な世界史的意味をとらえなければならない。「石油略奪のための虐殺戦争」は、それにとどまらず、世界戦争の幕開けになる。三度、世界戦争を繰り返すのかという問題が全世界プロレタリアート人民の前に突き付けられているのだ。
この中で、日帝が米英派に立って、率先して動いていることは重大事態である。2月18日、国連安保理事会公開討論会で、日本代表は、イラクへの最後通告となる新決議の採択を強く主張し、米英のイラク攻撃支持の立場を鮮明に示した。安保理の態度を決めていない中間国に対して、日帝はODA(政府開発援助)をえさに米英決議案を支持するように水面下で働き掛けている。
小泉は「反戦デモはイラクに誤ったメッセージを与える」と発言し、また5日の国会で「世論に左右されず」米を支持すると言明した。日帝が参戦国として最悪の役割を果たしていることを弾劾して闘おう。
人民大虐殺を絶対に許すな
「ショックと畏怖作戦(Shock & Awe)」と名付けられているイラク攻撃作戦は、一言で言えば「広島・長崎原爆」型の爆撃で「理解不能」な恐怖を相手に引き起こし、「急速制圧」するというものである(『コミューン』4月号参照)。その計画はどのようなものか。「3月のある日、空軍、海軍が300から400発の巡航ミサイルをイラクの中のターゲットに向かって発射する。……湾岸戦争の40日間に発射されたすべての巡航ミサイルの合計よりも多い量だ」と、1月24日のCBSニュースは報じた。
これが「Aデー」(Aは空爆=Airstrikes)と呼ばれる日のことだ。計画では、2日目にも300から400発の巡航ミサイルが発射される。
なんということだ。その空爆の下には、イラクの人民が、イラクの子どもたちがいて、何十万人という規模で残酷に殺されることになるのだ。広島・長崎の原爆に匹敵する、いやそれ以上の惨劇が、全世界人民の反対を押し切って、全世界人民の面前で強行されようとしているのだ。人類史上最大最悪の虐殺戦争がそこまで迫っているのだ。
世界最大の帝国主義軍事大国がイラクの「大量破壊兵器の脅威」をデッチあげ、世界最強・最新鋭の文字どおりの大量虐殺兵器をもって襲いかかろうとしているのだ。これが資本主義の最末期である現代帝国主義の究極の姿である。こんなことが許されていいはずがない。全世界の労働者人民と被抑圧民族人民の全力を振り絞って怒りを爆発させなければならない。
全世界で反戦闘争が大爆発
今や米欧を先頭に、帝国主義間の世界史的分裂と対立が発生し、それに沿って人民の闘いの爆発が相互促進的に激化している。また米英伊、スペイン、オーストラリアなどでは自国政府の戦争政策に反対し、反戦闘争が激化している。
2月14〜16日の地球規模の反戦闘争の爆発は、より巨大なイラク反戦闘争の始まりだ。これに鼓舞され、人民の力が歴史を動かすことに確信をもった人びとが続々と闘いに立ち上がっている。パキスタンで10万人が、エジプトのカイロでは10万人、さらに100万人が決起した。
そして、イギリスやアメリカから3・15に全世界で一斉に立ち上がろうという呼び掛けが発せられた。
日本でも、この世界の流れに呼応して、10万、20万の、いや100万人の決起が巻き起こる情勢だ。人民は米帝ブッシュの世界戦争計画、イラク攻撃に怒りを強めており、自分も何かしなければいけないと考え始めている。この2〜3週間で完全に空気が変わった。世論調査でも8割以上がイラク攻撃に反対だ。人民は闘いを求めている。闘いの呼び掛けが届けば立ち上がる人びとばかりである。
創意工夫し、知人、友人、職場の同僚に思い切って呼び掛けよう。
第2章 北朝鮮侵略戦争へ準備進める米日帝
他方、東アジアでは、米帝のイラク攻撃の切迫と直結して、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)をめぐる米帝と日帝の侵略的動きが激化している。
米帝のイラク攻撃切迫に体制的危機を深める北朝鮮・金正日スターリン主義政権の、核開発を手段とする反人民的な瀬戸際政策が展開されている。米帝はこれをえじきとして、北朝鮮の「脅威」をデッチあげ、北朝鮮攻撃を準備している。3月4日、米韓合同軍事演習「フォール・イーグル」が開始された。米軍は、空母カールビンソンを日本周辺に展開している。ラムズフェルド米国防長官は、長距離爆撃機B1、B52をグアムに24機増派すると発表した。ブッシュは3日、北朝鮮に関し「外交的努力がだめなら、軍事的にやらざるをえない」と述べた。イラク攻撃と完全に連動して、北朝鮮攻撃シフトが敷かれたのである。
日帝のイラク参戦は、この北朝鮮侵略戦争の切迫と連動している。安倍官房副長官は1日の講演で「(イラクを)武装解除できなければ北朝鮮もけっして武装解除しない」「万が一、ミサイルが飛んできて日本に落ちた。何発も撃たせないためにはミサイル基地を攻撃しなければならない。それは米国にお願いするしかない」などと述べた。
この北朝鮮侵略戦争に米帝と共同=競合して参戦するために、日帝は有事立法3法案の成立に必死になっており、03年度予算案の3月成立後に、一気に動こうとしているのだ。
それに関連して第4の有事立法というべき個人情報保護法案が7日、閣議決定され国会に提出された。臨時国会で廃案となり、装いを新たに登場した修正案は、何も改善されていないどころか、「報道の定義」を法律で定め、報道を権力の支配下に置くなど、一層反動的な内容になっている。絶対廃案へ闘いを早急に強めよう。
3・30三里塚全国総決起集会に集まろう。成田暫定滑走路は、昨年12・1誘導路上での航空機同士の接触事故や1・27ボーイング機オーバーランに示されるように、無理な建設の構造的欠陥をさらけだしている。不屈の敷地内農民、反対同盟を支え、危険きわまる暫定滑走路は即時閉鎖、軍事空港粉砕への人民の怒りを爆発させ、イラク反戦闘争の一環として3・30闘争に決起しよう。
イラク開戦情勢、北朝鮮侵略戦争切迫の中で、沖縄米軍基地とその警備体制が画然と強化されている。沖縄の闘う人民は、基地の被害に対する怒りのみならず、沖縄基地がイラク人民、朝鮮人民の虐殺戦争の最前線となっていることを許さないと立ち上がっている。沖縄闘争を強めよう。
第3章 戦争と資本攻勢に対決し春闘爆発を
米英帝のイラク攻撃、日帝の参戦、戦争国家化攻撃は、同時に労働者階級に対する一大資本攻勢となって現れる。労働者階級へのリストラ、権利剥奪(はくだつ)、賃下げ、増税の攻撃はすさまじい勢いで激化している。03春闘において、ベアゼロ、定昇廃止の攻撃が全面的に吹き荒れている。この動きは、中小企業の労働者にはさらに厳しい攻撃となっている。
イラク開戦と大資本攻勢に対する労働者階級の怒りが必ず爆発することを確信し、03春闘決戦を闘おう。
動労千葉は、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組・港合同の協賛のもと、「生活防衛! 反弾圧・国鉄闘争勝利! イラク反戦・国際連帯! 小泉内閣打倒!」を掲げて、「03春闘勝利! 3・29全国労働者集会」を呼びかけた。動労千葉は自らストライキに決起する体制を固めつつ全国の労働者人民に共同の決起を訴えている。春闘の復権へ、「解雇は原則自由」を明記する労働基準法改悪を始め労働法制改悪の攻撃、大増税・年金制度破壊・社会保障解体などの攻撃を打ち砕く闘いの先頭に立っている。
何よりも国労5・27臨大闘争弾圧を粉砕する闘いを全労働者階級人民の共同の課題として押し上げていこう。この弾圧は団結権破壊と国鉄闘争破壊の攻撃である。これを裁判闘争を軸にはねかえして闘おう。4党合意を破産に追い込んだ地平を大胆に確認し、国鉄1047名闘争をさらに勝利に向かって推し進めよう。
3・29春闘集会を、イラク開戦情勢の真っただ中での労働者階級の一大反戦闘争として、そして賃下げ攻撃に対する反撃戦として、総力でかちとろう。米英の反戦闘争が、労働者階級の戦争と資本攻勢に対する怒りを一つのものとして闘われているように、「生活防衛・イラク反戦・反弾圧」の春闘として闘おう。
改憲攻撃である教育基本法の改悪阻止へ闘おう。
第4章 4月選挙に必勝し闘う新政党登場へ
イラク・北朝鮮反戦闘争、春闘決戦と並んで、あと7週間後に迫った4月統一地方選挙闘争、とりわけ3候補必勝に向けて杉並選挙闘争に総決起することを訴えたい。
現職の新城せつこ区議は、区議会一般質問に立ち、杉並区議会が「イラク戦争反対決議」を上げることを訴え、山田区長の政治姿勢をただし、先頭に立って闘いつつ、区民の中に支持を拡大している。
前区議のけしば誠一候補は、「3人当選は新党結成にも等しい」と語り、原水禁運動の発祥の地である杉並からイラク反戦のうねりをつくりだす選挙戦の先頭に立っている。
新人の北島邦彦候補は、街頭で精力的にビラをまき、マイクを持ち、熱烈に労働者に反戦を訴えている。イラク反戦を訴え、介護保険料値上げ反対、大増税反対を訴えるビラは、杉並の労働者人民の中に深く浸透し始めている。地熱は熱くなってきている。
3候補を推し立て、住民の決起をつくりだそう。区内在住の親類、友人、知人に声を掛け、支持を訴え、選挙運動の担い手になってもらおう。労働組合の中に支持者を広げよう。選挙勝利のための資金カンパを訴え、集めよう。
3・16革共同政治集会の成功が決定的だ。62〜63年革共同第3次分裂(黒田一派の脱落逃亡)から40年の節目であり、75年3・14本多書記長虐殺から28年の本革共同集会は、世界史的激動期、革命的情勢の接近という情勢の中で、革命党としての一大飛躍が求められる中での重要な政治集会となった。
革共同の強化・拡大こそがこの世界史的情勢に対応して、革命的情勢を日本革命―世界革命に向かって切り開く道である。革命を担う強大な革共同の建設へ、全党が打って一丸となって立ち上がろう。
40年にわたる黒田・カクマルとの闘い、とりわけ73年以来30年の対カクマル戦争は、カクマルとの力関係を劇的に変えた。カクマルは今や党派として成り立たない危機を呈している。
反革命通信『解放』3・3付号は、トップ論文がなくなってしまい、1面冒頭から「ブッシュの独白」パロディーになってしまった。ここでは「戦争狂(ママ)」ブッシュに対するおちゃらかしはあってもアメリカ帝国主義に対する階級的批判は皆無だ。後半は、シラク、ブレア、シュレーダーのコントまがいのものが掲載されているが、ここにも帝国主義間争闘戦爆発に対する批判的コメントも闘いの方針もない。
世界戦争か世界革命かが問われる世界史的情勢の中で、まったくファシスト的な反米民族主義と差別主義を丸出しにブッシュを揶揄(やゆ)してふざけているにすぎないのがカクマルだ。なんたる腐敗、なんたる末期症状か。「左翼」を名乗る資格もないことを自認するものだ。
カクマル中央派と分裂したJR総連カクマルは、今度はその内部で松崎派と嶋田派に分裂し、春闘でも混迷している。これもわが対カクマル戦と国鉄決戦の営々たる闘いの結実だ。今や中央派とJR総連もろともカクマルに完全に決着をつける時がやってきた。
3・16革共同集会に結集し、カクマル完全打倒と党的飛躍を誓い合おう。
3〜4月こそ機関紙拡大を
党建設の闘いの最大の環として、3〜4月機関紙拡大闘争がある。大衆闘争の激闘と高揚の中で党建設を独自の課題としてしっかりと据え、意識的に大衆の中に機関紙を拡大し、機関紙をもって人民を組織する闘いをかちとるかどうか。このことが、高揚した闘いを真に党建設に結実できるかどうかの分岐をなしている。全力で取り組もう。
「連帯し侵略を内乱へ」の総路線、革共同6回大会路線を切り開くという統一した目標のもと、激動期を自ら切り開く気概をもって、三大決戦課題を勇躍闘いぬこうではないか。
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週刊『前進』(2093号1面2)
解同全国連大会に1300人
3月2、3日、部落解放同盟全国連合会第12回全国大会は部落大衆を先頭に1300人が結集し、大成功をかちとった。無実の石川一雄さんと固く連帯し、狭山―差別糾弾闘争を軸とする3大闘争の推進で5万人組織建設を実現する方針を確立。日帝への屈服を深める解同本部派を打倒し、全国連が主流派となって部落大衆の団結をつくり出すことを誓い合った(2日 兵庫県伊丹市・いたみホール)=詳報次号
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週刊『前進』(2093号2面1)
3・29全国労働者集会(代々木公園)に総結集を
03春闘を闘い社会変える
田中康宏 動労千葉委員長が語る
動労千葉は、03春闘の山場にあたり、3月17日以降、いつでもストライキを含む闘争に突入できる準備体制をとることを決定した。そして、全日本建設運輸連帯労働組合・関西地区生コン支部と全国金属機械労働組合・港合同の協賛のもとで「03春闘勝利! 3・29全国労働者集会」を東京・代々木公園で開催する。動労千葉のスト決起にこたえ、全力で春闘を闘い、3・29集会に総結集しよう。動労千葉の田中康宏委員長に03春闘に臨む決意と全国の労働者への訴えを聞いた。(聞き手/本紙・大沢康)
万策尽きた危機の帝国主義 イラク反戦と国際連帯
――委員長として2度目の春闘を指導されるわけですが、今春闘を前にしたお気持ちは。
去年は本部役員の強制配転があり、組織破壊攻撃のあらしが吹き荒れる状況の中で闘争に入りましたが、今年は、直接的には去年のような組織破壊攻撃はありません。これは去年の闘いの成果です。もちろん、当局は検修・構内外注化、習志野電車区廃止などに向けて動労千葉破壊のシフトを敷いている。緊張感をもって、本当に団結を固めて臨みたいと思っています。
今年は歴史の大きな転換点での動労千葉の位置をものすごく感じます。この春闘を成功させれば、日本の労働運動全体に大きなインパクトを与える可能性がある。歴史の局面が変わっているのだから、われわれの闘いも変わらなければならない。だから03春闘は、動労千葉自身の変革をかけた闘争になります。
関西生コン支部と港合同の協賛を得て、3・29労働者集会の呼びかけを全国に発しました。°03年の壮大な決起は動労千葉のストライキから始まった。3・29集会から始まった″と後から言われるような闘いにするために奮闘する決意です。
歴史の歯車が大きく動いた
――イラク戦争が切迫し、世界中で反戦闘争が高揚していますね。
歴史の歯車が大きく動き始めていると感じています。イラクへの侵略戦争は第3次世界大戦の引き金を引きかねない。ブッシュ政権は「もうすでにゲームは終わった。あとはいつ戦争をするかだけだ」と言って、イギリスや日本の小泉政権とともに戦争に突入しようとしている。
アメリカは「北朝鮮の体制を変革する軍事行動を視野に入れる」とも宣言しました。小泉政権は今国会で有事関連3法案を強行する構えを強めています。
一方、ドイツやフランスはイラク攻撃に反対を表明していますが、事態の本質は、イラクの石油利権をめぐる、あるいはEUという経済圏をアメリカが解体することをめぐる、帝国主義間の対立ですね。自分の経済圏を囲い込んでブロック化する。世界の経済が縮小し、生き残りをかけて衝突する。もう万策尽きて、最後の一手は戦争以外にない。帝国主義の断末魔の危機ということが本質です。
もう一つの本質は、史上空前の規模で労働者人民の闘いが燃え広がっていることです。労働者の闘いが時代を動かす情勢に入った。2月15日の行動は全世界で1500万人とも言われていますが、その日の行動だけでなく、イギリスのトレイン・ドライバーズ・ユニオン(ASLEF)、つまり「動労」が米軍の軍事輸送を拒否して貨物列車を止める闘いに立ち上がった。アメリカの西海岸では国際港湾倉庫労組(ILWU)が労働組合弾圧に抗してねばり強く闘い、経営側がロックアウトして、政府がロックアウトを解除する法律を発動せざるを得なくなった。イタリアでもトルコやペルシャ湾に向けての米軍の武器弾薬輸送列車を止めている。
こうした闘いの軸になっているのは労働組合です。レーガン、サッチャー、中曽根以来の新自由主義政策の中で、世界中の労働組合が一度はずたずたにされました。しかし、執行部を左派が握り始めている。その中心には反スターリン主義的なマルクス主義の活動家の営々たる闘いがある。そういう労働組合が中心になって多くの市民と統一戦線を組んでいる。
全世界の労働者が団結し連帯し、新しい時代を見いだす力を取り戻そうとする、大きな流れが始まったと、私は見ています。
ですから、「イラク攻撃をするな」と「仕事をよこせ」というプラカードが一緒に掲げられている。つまり世界の労働者を襲う大失業、権利や雇用や社会保障を奪い尽くす攻撃に対する怒りがひとつに結合した闘いになっている。
この闘いの息吹は間違いなく日本の労働者にも伝わると思います。
生きる権利奪う攻撃許さぬ JRめぐる情勢が激変
賃下げ攻撃に抗して闘おう
――山場を迎えた春闘の情勢については。
日本経団連が出した「経営労働政策委員会報告」と「奥田ビジョン」に書かれていることは、全面的な賃下げ、雇用の破壊であり、社会保障制度の解体です。日本の労働者の賃金を「発展途上国並み」まで引き下げるという断じて許すことができない宣言です。
そこには°今問われているのは国の存続だ。だから労働者・労働組合はこれを甘受せよ″という論理が貫かれています。労働者・労働組合に全面屈服、変質を迫っている。奥田ビジョンでは°東アジア経済圏をつくる以外に日本経済は生き残ることができない″と言っている。アメリカと対抗してアジアになぐり込むという宣言です。
賃金闘争では、主要な産別がベア要求を放棄する中で、定期昇給の全廃、露骨な賃下げ、一時金の廃止・ゼロが提案されている。金属労協の回答指定日は3月12日ですが、賃下げを受けるために労働組合が回答指定日を提案するというとんでもない事態です。
現在の通常国会には、労働者の社会的地位を根こそぎ覆す法案が出されようとしています。「解雇は自由である」という法律に労基法を根本から変えてしまう。有期雇用の拡大や派遣労働の全面解禁で終身雇用制を解体し、労働者をすべて不安定雇用にし、年金や医療制度も解体して、労働者からむしり尽くし、生きる権利を奪う。こういう事態に向けて最後の扉が開け放たれたということです。
これらは、この間の攻撃の延長線上で見てはいけない。これをやったら、資本は労働者を支配し続けることができない。労働者の大反乱が起きるかもしれない。だけど、それをやる以外に資本は生きられない。
このような時代だからこそ、大幅賃上げを堂々と掲げて03春闘に全力で決起したいと考えています。
国鉄労働運動の再生をかけ
――JRの情勢についてはいかがですか。
一つは、1047名闘争と国労をめぐる情勢です。国労5・27臨大闘争への弾圧は、闘争団やわれわれの闘いが4党合意を崩壊に追い込んだことに対する反動であり、その刃(やいば)は結局、動労千葉に向けられ、すべての労働者に向けられる。動労千葉はわがこととして受け止めて、国労の仲間とともに闘いたい。
一方で、国労の一部を牛耳る役員たちは、自らの手で国労を解体しようとしています。財産をエリア本部に山分けし、単一体をバラバラにして連合になだれ込む。闘う闘争団の中心人物を除名にし、残った闘争団も国労から切り離して切り捨てる。国労は事実上、自滅過程に入りました。
闘う闘争団や国労内の反対派に訴えたいことは、1047名闘争をこれまで以上に大衆的に広げる絶好の局面に来ていることです。そうすれば、もっと多くの闘争団を鉄建公団訴訟に参加させ、JRの組合員も含めて、今の国労の混迷状況に決着をつけられる。そのためには「政治解決路線」を徹底的に総括し、資本・カクマル結託体制に攻め込んでいく。そして、5・27臨大闘争弾圧は闘争団に向けられているのだから、弾圧された仲間とともに反弾圧の闘いに立ち上がることが必要だと考えています。
国労が本当にかけがえのない労働組合ならば、闘争団がその全責任を背負って立つべきだと思うんです。
もちろん、動労千葉は今度の春闘で自ら闘って、そういう新たな闘争宣言を発したいと思います。
もう一つは、JR総連カクマルと資本の結託体制の激変です。何が起きてもおかしくない情勢です。
JR東労組の中で、いわゆる嶋田一派=新潟グループと松崎一派とが激しく対立している。当局との癒着関係を続け、利権まみれになってきた結果、醜い内部対立を始めました。2月25日、昨年11月に逮捕された東労組組合員の第1回公判の報告集会で、「千葉地本委員長の小林克也も嶋田一派であり断じて許さない」と松崎派から公然と非難された。東労組が内部から崩壊し始めたのです。
東労組に対する逮捕・家宅捜索は、異常な癒着・結託体制を清算するという国家権力の意志を明確に示したものです。
つまり、権力とカクマルの矛盾、カクマル内部の矛盾が噴き出した。この敵側の矛盾に対して、われわれが攻勢を仕掛ければ、必ずこの体制は崩れる。
そして、JRでも賃下げや賃金制度の見直しが貨物などで本格的に始まろうとしている。第2の分割・民営化と言うべき大合理化攻撃との攻防戦も新しい段階に入ります。JR東日本では「進行の指示運転」が提案されました。これは「絶対信号機」の考え方を解体し、「指令の指示で運転していい」というもので、安全を脅かすものです。
韓国の大邱市の地下鉄で大惨事が起きました。韓国の鉄道労働者や民主労総は「構造調整」、日本で言えば構造改革が根本の原因だと弾劾しています。車掌が廃止され、ワンマン運転です。だから何の対応もしようもなかった。乗客の誘導もできない。列車の防護もできない。しかも対抗列車は「注意して運転せよ」という指令の指示によって、火災が起きている駅に進入した。この事故は他人事とは考えられません。
こういう安全の問題は、全社会的な問題です。規制緩和や利益優先の大合理化、人員削減で、安全が二の次にされる。これも敵の矛盾の現れだと思います。
動労千葉にとっては「反合・運転保安闘争」は終世の原点ですから、この安全問題で徹底的に闘いたいと考えています。
――組織拡大に全力を挙げる方針ですね。
「平成採」の青年労働者を10人でも20人でも獲得したら、JR労働運動全体を動かすことができる。千載一遇のチャンスです。
もちろん、組織拡大は困難な課題です。資本、権力、カクマルの側と動労千葉のどちらが労働者を獲得するのか。彼らは動労千葉に組織拡大させないという一点で攻撃をしかけてきた。最先端の攻防だから困難なのです。だから、首をかけて国鉄分割・民営化攻撃と闘った時と同じような腹を決めて勝負しようと提起しました。動労千葉は、少なくとも千葉の運転職場はすべて動労千葉に統一しようという構えです。
戦国乱世の行動原理で闘う帝国主義への怒りこそ
――定期委員会の総括答弁で、レーニンの言葉を引きながら「戦国乱世の行動原理」ということを強調されましたね。
ええ。「戦国乱世」と言うと坂本龍馬だとかを思い浮かべるだろうけど、戦国乱世に世の中を動かした人物としてレーニンを挙げ、革命的情勢の三つの条件を言ったわけです。つまり、°支配体制が今までのようにやっていけなくなる。そして労働者も今までのように暮らしていけなくなる。それと、世の中を変える労働者党が存在した時に、変えることができるんだ″と。もちろん動労千葉は労働組合ですが、党の問題も含めて労働者に通用する言葉だと思うからです。
組織拡大は困難な課題だと言いましたが、これは、闘う労働者・労働組合がすべてぶつかっている課題です。本質的には労働者を帝国主義が組織するのか、われわれが組織するのかという壮大な組織戦です。
戦争への怒りと、首を切られ賃金を下げられ、自殺にまで追い込まれる労働者の怒り、つまり戦争と労働者の生きる権利を奪う攻撃を本当に一体の問題としてとらえ、帝国主義への怒りを組織することが核心だと思います。
労働者の団結の力で勝利を
――3・29集会に向けて、全国の労働者への訴えをお願いします。
動労千葉は、3・29集会に協賛していただいた2組合とともに、「たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう! 生活防衛、反弾圧―国鉄闘争勝利、反戦」を掲げ、「03春闘への総決起の訴え」を出しました。3組合共闘を発展させるためにも3・29集会に全国から結集してほしいと思っています。
職場では、同じ労働者がみな不満や怒り、将来への不安を持っている。労働者の意識は変わっている。そいう仲間に、自分たちはこういう運動をやっているんだと語りかけ、一人でも多くの労働者を3・29集会に連れてきてほしい。
そして、日本の労働運動も大きく変わることに確信を持つことですね。陸・海・空・港湾労組20団体や百万人署名運動など大きな統一戦線が広がり、連合も「国連の査察徹底」というスローガンですが、春闘集会では「イラク攻撃反対」を掲げざるを得ない。大きな変化の兆しです。われわれの側の構えを変えれば、日本の労働者の壮大な決起をつくり出せる。
動労千葉本部は、春闘の決戦段階で、3月17日以降いつでもストライキを含む闘いに突入できるよう準備指令を下ろしました。
03春闘は、戦争をしなければ生きていくことのできない、労働者に飯を食わせることもできない資本主義体制、社会のあり方そのものを問う春闘です。同時に、資本主義社会に対抗するべき団結体である労働組合の現状を問う春闘です。
労働者の団結した闘いだけが生活と権利を守り、戦争を止めることができる。社会を変えることができる。このことを全国の労働者に心から訴え、自ら闘いに立ち上がりたい。
こうした考え方について機関誌『動労千葉23』に私と中野常任顧問の講演を収録しましたので、ぜひ活用していただき、3・29に全国から結集してほしいと思います。
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週刊『前進』(2093号2面2)
山場でのスト体制へ 動労千葉定期委
動労千葉は3月1日、DC会館で第48回定期委員会を開催し、03春闘勝利に向けた闘争体制確立を始めとした当面する方針を、活発な質疑・討論を受けて決定した。
決戦段階の闘いの展開については、3月17日以降、いつでもストライキを含む闘いに突入できる準備態勢を確立することとし、17日の週および24日の週に二つの山場を設定することとした。
また、03春闘を「生活防衛、反合・運転保安、反弾圧・国鉄闘争勝利、反戦・国際連帯春闘」と位置づけて、第2の分割・民営化粉砕、1047名闘争勝利、イラク侵略戦争阻止、組織拡大などの闘いの課題と、以下の「新賃金、反合・運転保安、労働条件改善要求」を決定した。
@3万8000円の大幅賃上げ獲得。賃金制度改悪阻止。
AJR貨物における「生活改善一時金」 30万円(55歳以上の社員は40万円)の獲得。
Bシニア制度撤廃−年金満額支払い年令に応じた定年延長と、65歳まで働ける労働条件の確立、55歳以降の賃金減額制度廃止。
C第二基本給制度の廃止。
D差別なき基準昇格制度の確立。
E諸手当改善。とくに貨物における諸手当切り下げ攻撃の撤回。
F検修・構内業務および、駅業務の外注化、運輸関係事務センター新設計画の撤回。
G「場内に対する進行の指示運転」の即時中止。
H強制配転者の原職復帰、士職登用。
さらに、「03春闘勝利!3・29全国労働者集会」への全力結集体制の確立や、勝浦市議選での水野正美市議の必勝へ闘うなどの統一地方選方針を確認した。
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週刊『前進』(2093号2面3)
第4回 小谷敦子さん 大阪(中学校)
能力主義の全面化 小中から習熟度別学習に
現場から粘り強く抵抗を貫く
子どもの苦悩に逆行する「改革」
2000年12月、「新しい時代にふさわしい教育基本法を」と打ち出した教育改革国民会議の最終報告「教育を変える17の提案」は、冒頭、次のように述べた。「日本の教育の荒廃は見過ごせないものがある。……子どもはひ弱で欲望を抑えられず、子どもを育てるべき大人自身が、しっかりと地に足をつけて人生を見ることなく、利己的な価値観や単純な正義感に陥り、時には虚構と現実を区別できなくなっている」
ここには、教育の現状に対する政府・支配階級の危機感がよく表われている。「大人観」の方はさておくとして、この「子ども観」は的を射ているだろうか。
大失業時代の中で、親が首を切られても次の就職先がない現状や、高校・大学と進んでも自分が思うような就職先が見つからない将来について、中学生たちは敏感に感じ取っている。°学校で勉強することにどんな意味があるのだろうか″と疑問を感じ、それでもその疑問を必死で打ち消して、さしあたって高校進学のために頑張っているというのが大半の子どもたちの姿ではないだろうか。
「先生、生きていて楽しいことがあるか」と問われ、ある子どもからは「僕は生きている価値があるのだろうか」と書いた詩を見せられた。子どもたちは、この社会の矛盾の中で必死であがき、自分の生きるべき道を求めている。
子どもたちが上げているさまざまな形での不安や苦悩の声を、教育改革国民会議は悪しざまにののしり、°治安問題″として解決しようとしている。「問題を起こす子どもに対して出席停止など適切な措置をとる」「学校で道徳を教えることをためらわない」「奉仕活動を全員が行うようにする」と言い、教育基本法に愛国心、奉公精神を盛り込み、これを「国民共通の規範」として、力ずくで貫こうとしている。
エリート育成と差別・選別の徹底
もう一方では、「国家有為の人材」の育成のために教育の「一律主義を改める」と言い、義務教育段階から習熟度別学習などの能力主義教育と中高一貫校などによる実体的な複線化の攻撃がかけられている。
これには教育現場で根強い抵抗があり、大阪などでは政府の意図がまだまだ貫徹できていない。しかし、この十数年の間に公立高校に格差をつけない「地元集中」の取り組みが崩れ、高校の多様化と学区制の解体が急速に進み、大阪でも公立の超エリート高校づくりが始まっている。
「国際競争にうち勝つ一部のエリートの育成」と「国家のために奉仕する国民の育成」こそ、°新たな戦争の時代″の「国家戦略としての教育改革」なのである。日経連路線にそった差別・選別教育の再編・強化ということでもある。
現状でも、私立中学と公立中学との間に家庭の経済力と「学力」の格差が大きく出ている。それに加えて、公立中学でも「できる」生徒をもっと伸ばし、「できない」生徒はそこそこに、という流れが、解放教育の伝統を掘り崩しながら押し寄せている。学力評価の「相対評価」から「絶対評価」への切り替えにも同じ狙いが込められている。
こんなことを押し通すためには、「教師の意識改革」が最重要課題になる。
教育労働運動の解体が焦点に
政府・支配階級にとって教育労働者が反戦意識や戦後的価値観を持ち続け、ましてや団結して国家に立ち向かうことなどあってはならないことなのだ。
そのため大阪では昨年末から、「評価・育成システム」というより巧妙な新勤評が試験的実施に入った。大阪教組(日教組系)は、°問題がある″と言いながら認めてしまったが、多くの労働者が「自己申告票」の提出を拒否しており、校長との面談もまともになされていない。私たちは、来年度の試行実施に向けた次の闘いを模索している。
「日の丸・君が代」闘争の被処分者が組合を越えて団結して闘う組織も生まれている。また「総合学習」などで反戦的テーマの取り組みなども行われており、子どもたちは戦争の問題にとても敏感で、強い戦争反対の気持ちを表している。
侵略戦争参戦を目前にした小泉政権は、教基法の改悪でこの現実を一挙に突破しようとしているのだ。
史上空前の国際反戦闘争と結合し、「教え子を再び戦場に送るな」を掲げ「教育改革」攻撃に抵抗闘争を粘り強く貫くことが、「国家有為の人材」育成を狙う帝国主義に対する私たち教育労働者の回答である。
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週刊『前進』(2093号2面4)
機関誌『動労千葉』 03春闘の指針
動労千葉は機関誌『動労千葉23』―「有事体制下の労働運動と03春闘方針」を発行した。1月26〜27日に開催した全支部活動者研修会での中野洋常任顧問と田中康宏委員長のそれぞれ約3時間の講演をまとめたもの。動労千葉は、03春闘勝利のために、全国の労働者に活用を呼びかけている。(頒価600円)
○申込先 千葉市中央区要町2−8 DC会館
国鉄千葉動力車労働組合
TEL 043-222-7207
FAX 043-224-7197
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週刊『前進』(2093号3面1)
団結権否定の弾圧に怒り 国労弾圧第3回公判
“被告人は全員無罪” 大法廷に弁護団の声響く
3月3日、国労5・27臨大闘争弾圧の第3回公判が東京地裁刑事第10部で開かれた。今回から、ついに大法廷の使用を認めさせ、被告・弁護団・傍聴者は意気高く公判に臨んだ。
冒頭、弁護団が重戒護の改善と接見禁止の全面解除、被告の保釈を求めて発言した。国労近畿地本組合員の被告も、「私はうつ病で、5カ月も拘禁され病状が悪化している。裁判長!真剣に考えて下さい」と語気を強めて訴えた。
弁護団は、中野洋前動労千葉委員長らを特別弁護人として申請していた。これを却下した裁判所の決定に、弁護団が反論した。
佐藤昭夫弁護団長が、「裁判所は『この事件は暴行かどうかが問題』と言うが、暴行かどうかは行為の外形だけでなく、団結権の行使なのか否かを見ないと判断できない。労働運動への見識を持つ特別弁護人が必要だ」と論陣を張った。九州闘争団員の被告も「私たちの意見陳述を聞いていたのか。国労の運動を守るために精一杯やってきた。それを犯罪扱いするとは何ですか!」と弾劾した。その勢いに青柳勤裁判長がたじろいだ。
南近畿地本組合員の被告が、前回に続いて意見陳述に立った。彼は、国労の団結を引き裂いた4党合意を怒りを込めて弾劾し、4党合意撤回の地労委闘争に立った経過を述べ、「地労委闘争は不当労働行為の張本人である自民党・甘利氏を証人喚問するところまで追いつめていた。地労委闘争をつぶせなかった時点で、4党合意の根底に亀裂が走った」と確信も固く語った。また、この闘いと、除名の恫喝に屈せず鉄建公団訴訟に立った闘争団の闘いが4党合意を崩壊に追い込み、1047名闘争の新たな発展を切り開いていると述べ、「闘争団を基軸とした国鉄闘争の一つひとつの積み重ねは、ますます5・27のビラまき・説得活動の正当性を明らかにするであろうと、私は確信します」ときっぱり宣言した。
続いて支援者の被告が意見を述べた。「7人の国労組合員の心からの訴えは本当に感動的であり、労働者階級の魂の叫びを聞く思いがした。権力と国労本部派への怒りがわき上がってきた。7人に学び、ともに無罪をかちとる」と切り出して、「戦争反対を信念とするからこそ国鉄労働者の闘いを支援してきた」と語った。また、当日の支援者たちの行動は、闘争団切り捨てを自らの問題ととらえ、それに反対して主体的に立ち上がったものであるとともに、国労の組合自治を尊重するものだったこと、暴行の事実はまったくなく、したがっていかなる「共謀」もあり得ないことを明らかにし、イラク侵略戦争情勢の中で強行されたこの弾圧を厳しく指弾した。
休廷をはさみ、弁護団が意見陳述に立った。
佐藤弁護団長は、「被告人は全員無罪。本件は自主的な労働組合運動に加えられた政治弾圧。裁かれるべきは政府・与党・警視庁・検察当局、そして国労執行部だ」と強調した。さらに、「4党合意や与党3党声明よる闘争団切り捨てに抗議して行われた被告らの説得活動は、国家的不当労働行為に対する団結権擁護の運動だ。それを『大会阻止のための暴行』とすることは、憲法と労組法を否定する許しがたい政治弾圧だ」と声を強めた。
葉山岳夫弁護士が、国鉄分割・民営化から4党合意に至る国鉄労働運動解体攻撃を全面的に暴露した。20年に及ぶ歴史をひもといての陳述は、被告たちの行動が国労つぶしの集大成である4党合意・3党声明に対するやむにやまれぬものであったことを鮮明にした。
大口昭彦弁護士が、4党合意とは何であったのかを詳細に説き明かし、これとの攻防の中から国労再生に向けたうねりが始まったからこそ、弾圧が仕掛けられたと語気鋭く弾劾した。大口弁護士の陳述は次回に続行となった。
傍聴求め160人大法廷埋める
この日、早朝から「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」は、東京地裁前で被告の早期保釈を訴えるビラまきに立った。同日開かれた鉄建公団訴訟の口頭弁論に向けて宣伝活動を行う闘争団員を激励しつつ、行動を貫徹した。
公判に先立ち、被告の家族は釈放要求署名約1万2千筆を刑事第10部に提出した。昼には、許さない会ののぼり旗を林立させて東京地裁包囲デモが闘われた。
傍聴券交付には160人が並んだ。大法廷は完全に埋まった。裁判闘争破壊のために現れた国労東京地本の芝崎組織部長らは、被告家族を押しのけて法廷に入ろうとして傍聴者にたしなめられ、「加害者が被害者づらしやがって」と暴言を吐いて強い怒りを買った。
傍聴を終えた家族は、元気に闘う夫や父親の姿を目にして表情も明るく、「私たちも頑張ります」と決意を語った。これにこたえ、3月17日の次回公判に大結集しよう。許さない会のさらなる全国的拡大へ闘おう。
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週刊『前進』(2093号3面2)
鉄建公団訴訟 “大衆闘争で勝利へ” 報告集会で方針提起
3月3日午前、東京地裁で鉄建公団訴訟の第5回口頭弁論が開かれ、150人余が集まった。
佐藤昭夫弁護団長が3点にわたって被告・鉄建公団の主張を批判した後、音威子府闘争団の岡嶋孝一さんが陳述に立った。国鉄清算事業団の「就職あっせん」について「私への就職あっせんは3年間で公的部門4件・民間会社2件の計6件、個人面談は7回。しかし鉄建公団が提出した書証では『12回の就職あっせんと21回の職業指導』とウソが記されている。また、当時の雇用対策支所のメモには実在しない架空の企業名まで就職あっせん先と記されていた」と弾劾した。
午後からは新宿のJR東日本本社前、鉄建公団国鉄清算事業本部、厚生労働省、国土交通省、最高裁に対して抗議・要請行動を展開し、最高裁には8000筆の要請署名を提出した。
午後6時半からは、日本教育会館で「イヤです! 戦争・首切り/3・3鉄建公団訴訟報告集会」が開かれ、260人が参加した。
主催者を代表して、国鉄闘争共闘会議の二瓶久勝議長が「今年を、大衆闘争の力で1047名闘争の勝利の展望を開く年にするために、闘争団員の多数の獲得とJR本体の組合員の多数の獲得、国鉄闘争共闘会議の強化という三つの柱で闘おう。アメリカのイラク攻撃が近づき、リストラや企業倒産が激増している今こそ、戦争とリストラに反対し、賃上げをかちとる労組が必要だ」と訴えた。
「責任転嫁の査問委を糾弾する」として、原告団が発言。国労査問委員会が2月26日(博多)、3月3、4日(札幌)に査問委を開催することを決定し、2月16日以降、鉄建公団訴訟原告の闘争団員33人に「出頭通知書」が届いたことを報告し、「国労本部は闘争団全体を切り捨て、エリアごとの組織にするために闘争団にけじめをつけようとしている」と弾劾した。
最後に国労闘争団員が登壇して自己紹介し、団結ガンバローで勝利を誓った。
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週刊『前進』(2093号3面3)
査問委を徹底弾劾 九州 闘争団除名を許さぬ
国労本部は、鉄建公団訴訟を闘う九州の闘争団員7人に対して、2月26日に福岡市のパークホテルで査問委員会による事情聴取を行うと通告してきた。これは、闘争団を切り捨て、国労を解体する策動だ。
九州の闘う国労組合員と支援者は同日、国労5・27臨大闘争弾圧の被告を権力に売り渡し、さらには闘争団の除名をたくらむ国労本部を徹底的に弾劾する闘いに立ち上がった。不当に起訴・勾留されている2人の闘争団員の顔を染め抜いたのぼり旗を立てて、宣伝行動を行った。(写真)
九州エリア本部の飯田委員長は疲れ切った表情で現れ、追及を避けて逃げるように会場に入った。これに対して力の限りのシュプレヒコールをたたきつけた。
査問の対象とされた闘争団員は、弁護人の旅費支給を拒む国労本部に抗議して事情聴取に欠席し、国労本部の策動は破産した。
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週刊『前進』(2093号3面4)
百万人署名運動 横須賀デモに3度立つ イラク現地報告が感動呼ぶ
3月1日横須賀に「ノーウォーノーウォー!」「イラク戦争反対!」のリズミカルなデモコールが激しい雨をついて響きわたった。
丘の上の横須賀市文化会館から出発した「とめよう戦争への道!百万人署名運動」のデモは、横須賀中央駅前から米軍基地正面ゲートへ。そこで「イラク戦争は米国の大企業のための、石油のための、世界支配のための戦争だ。アメリカの兵士たち、イラクの子どもたちを、その母と父を殺すな! 殺されるな!」と英語で訴えた。
さらに汐入駅前へ進む。駅前のベイサイド・ポケットでは石破防衛庁長官と川口外務大臣が出席したタウンミーティングを開催中だ。「有事立法阻止! 自衛隊のイラク参戦を許さないぞ!」と怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。
百万人署名運動のヨコスカ行動はこれで3回目。横須賀中央駅で待っていてデモに飛び込んだ若い参加者が先頭に立つ。歩道橋の上では雨にぬれながらデモに見入る米兵たち。商店から出てきてビラを受け取り、「いつも頑張っているね」と手を振る女性たち。
210人が集まった集会のほぼ半数が家族連れの横須賀市民や初参加者。署名をした人が家族や友人を誘って参加した。
2月にイラクを訪問してきた横須賀の女子高校生のイラク現地報告が感動を呼んだ。彼女が撮影したビデオには、劣化ウラン弾のために白血病にかかった子どもたち、看病する母親の姿が映っていた。「人間が人間の上に爆弾を落とすなんて絶対に許せません。病院にいる子どもたちの80%は死んでしまうと聞いて、抵抗があったが伝えなきゃと記録しました。この事実を多くの人に重く受けとめてほしい」と語った。
約10人が次々とリレートーク。「60年安保以来、43年ぶりのデモに参加します」という男性、ドイツ人やアメリカ人留学生も発言し「イラク攻撃をしないように一緒に行動しよう」。
神奈川県連絡会の篠田事務局長がまとめと行動提起を行った。篠田さんは、街頭署名で在日朝鮮人から「イラク戦争反対が80%という日本人が、同じ顔で在日を差別するのはなぜだ」と突きつけられて討論し、最後に「一億総行動の時なんだ」と激励されたと紹介。3・8日比谷公園に結集し、15日には横須賀で大街宣に出ようと呼びかけた。
(投稿/木野萌)
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週刊『前進』(2093号3面5)
日本経団連「経労委報告」路線 終身雇用制解体を許すな(5)
社会保障制度の解体 年金支給額を大幅削減へ
生涯給付で1300万円以上も引き下げ
「総額人件費の削減」貫徹狙う
今春闘のただ中で、社会保障制度解体の攻撃が労働者階級に襲いかかっている。それは、定昇解体−賃下げや不安定雇用化の攻撃とともに、労働者の生活を根底から破壊するものとなる。年金や医療保険など、労働者の生活にとってこれまで当然の前提とされてきた諸制度が、全面解体されようとしているのだ。
日本経団連「経労委報告」は、「月例賃金のほかに賞与、退職金、社会労働保険などを含む総額人件費の効率化が急務」と叫んでいる。社会保障の負担に資本はもう耐えられないというのである。日本経団連の「活力と魅力溢(あふ)れる日本をめざして」(奥田ビジョン)は、さらに露骨に「企業の従業員についても、自営業者と同様、保険料を全額本人が負担する方式に改める」と言い放っている。
社会保険、労働保険などの使用者負担分は、所定内給与を100とすると15・5に相当する大きさを持っている。「総額人件費の削減」は、その部分をも徹底的に切り捨てることによって全面的に貫徹される。労働者には大幅な負担増を押しつけつつ、社会保障を徹底的に解体する攻撃が、いよいよ本格化しようとしているのだ。
公的年金も確定拠出型に
中でも、きわめて重大な攻撃が年金制度の改悪だ。
政府は、デフレを口実に、今年4月から年金の支給額を物価スライドで約1%切り下げる方針だ。年金支給額にマイナスの物価スライドを適用するのは、初めての事態である。
また、この4月から年金と健康保険の保険料に総報酬制が導入される。厚生年金の保険料は総報酬の13・58%、健康保険の保険料は政管健保の場合ならば8・2%になる(いずれも労働者負担分はその半分)。これまで保険料徴収の対象ではなかった一時金からも、その約1割が保険料として引き去られるのだ。
だが、これらの攻撃は、年金制度の抜本的改悪に向けた第一歩にすぎない。政府は、今年秋をめどに根本的な年金改悪案をまとめ、04年実施に突き進もうとしている。厚労省が固めつつあるその具体案は、年金給付の大幅削減を図るために「保険料固定方式」を導入するというものだ。
現行の年金制度は、給付水準を決めた上で、それに応じて保険料を定めている。これを抜本的に転換し、保険料をまず決めて、給付水準をそれに応じて定める方式に改めるというのだ。つまり、公的年金も確定拠出型に変えてしまうということだ。確定拠出型年金は、「日本版401k」としてすでに企業年金に導入されている。取られる保険料は決まっているが、もらえる年金額は支給されるまで分からないという、デタラメな制度だ。
厚労省は、「保険料固定方式」導入の目的を「保険料の上昇を抑えるため」と強弁する。しかし、厚労省が検討している案においても、保険料の大幅引き上げは大前提とされている。
具体的には、@年金保険料率を20%へと段階的に引き上げる。A現在の給付水準は、夫婦2人の高齢者世帯の年金収入が現役の男性労働者の平均年収の59%となるように設定されているが、これを段階的に引き下げ、2025年度に56%、2032年度には52%にするというのである。
「保険料固定方式」が導入された場合、現在21歳の労働者が生涯にわたって受給する年金の総額は、現行方式より1300万円以上も減少するという試算さえある。この攻撃で最も激しい打撃を受けるのは青年労働者なのである。
今ひとつ重大なのは、「第3号被保険者」の解体だ。現在は、被用者の配偶者で年収が130万円未満であれば、保険料を払わなくても基礎年金を受給できる。厚労省は、この制度を廃止する方針だ。その手始めに、第3号被保険者の要件を、年収130万円未満から65万円未満に改める。「パート労働者の年金受給権の保障」などという見え透いた口実で、低賃金を強いられている女性労働者からも徹底的に収奪しようとしているのだ。
これに加えて、日本経団連は、「奥田ビジョン」で基礎年金の国庫負担率を現行の3分の1から2分の1に引き上げることに伴い、消費税率を04年度から毎年1%ずつ引き上げて16%にするという構想をぶち上げた。しかも彼らは、°年金給付を大幅に削減しなければ、消費税率は28%に引き上げなければならなくなる″などとして、労働者を恫喝している。
経済同友会も、年金支給額を2割カットし、公的年金は基礎年金だけに限定せよという、年金制度の全面解体案を打ち出した。
さらに、厚生年金基金の解散や確定拠出型年金への移行という事態が、全産業で吹き荒れている。それに伴い、企業年金や退職金を2〜5割も削減するというすさまじい攻撃が、労働者を襲っている。
医療も介護も奪われ大増税
医療保険制度の改悪も激しい勢いで進んでいる。今年4月から、健康保険の本人負担は現行の2割から3割へと引き上げられる。
すでに、昨年10月には老人医療制度が改悪され、高齢者の医療費負担は大幅に引き上げられた。金がなければ医療を受けられない現実が、高齢者にのしかかっている。現役の労働者もまた、これとまったく同じ状況にたたき込まれようとしているのだ。
社会保障制度の根本的な解体の突破口となったものは、介護保険の導入だ。その介護保険については、4月から保険料が引き上げられる。さらに厚労省は、20歳から介護保険料を徴収する案を検討し始めた。
また政府は、配偶者特別控除の上乗せ部分の廃止や、酒税、たばこ税の増税などの大増税を強行しようとしている。
生活破壊への怒りを春闘へ
これらはいずれも、本来ならば労働組合のナショナルセンターがゼネストに立ち上がっても阻止すべき、すさまじい生活破壊攻撃だ。だが、連合は「持続可能な社会保障制度」などというスローガンを唱えて、日帝に根本的に屈服している。それは、°社会保障制度を維持するためには労働者の負担増や給付削減は避けられない″という日帝資本の言い分と何ひとつ変わらない。
日帝が「社会保障制度の維持」などと言い立てるのは、許しがたいペテンだ。現に日帝がやろうとしていることは、労働者の生活が成り立たなくなるところまで社会保障制度を解体するということではないか。
連合はこれに完全屈服しているのだ。だが、生活を奪う攻撃に労働者は必ず立ち上がる。全世界で巻き起こるイラク反戦闘争は、そのことを示している。
賃下げ・雇用破壊の攻撃とともに、社会保障制度解体攻撃への怒りを燃え立たせ、団結を固めて03春闘を闘い抜こう。(長沢典久)
(シリーズ終わり)
厚労省が検討中の年金制度改悪案
○保険料固定方式の導入
・公的年金も確定拠出型に
・保険料を毎年、段階的に引き上げ総報酬の20%にする(労働者負担分は10%)
・現役世代の収入の約6割と設定されている給付水準を、約5割に引き下げる
○第3号被保険者制度の解体
・第3号被保険者の要件を年収130万円未満から年収65万円未満に
・いずれは第3号被保険者制度を全廃
○年金に対する課税の強化
○基礎年金の国庫負担割合の引き上げ
・基礎年金の国庫負担の割合を3分の1から2分の1に引き上げる
・これに伴い消費税もアップ
※以上の改悪案を今年秋までにまとめ、年金改悪法案を次期通常国会に提出
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週刊『前進』(2093号3面6)
資本攻勢&労働日誌 2003 2月12日〜28日
電機など定昇廃止攻撃ラッシュ 労働法制改悪の答申/1月の失業率が最悪水準に
●自動車大手労組が要求提出 自動車の大手労組が03年春闘の要求を会社側に提出し、労資交渉が始まった。日産以外はベア要求を放棄した。(12日)
●解雇ルール法文化を労働弁護団が批判 日本労働弁護団は労基法の解雇ルール法文化について「最低労働条件を法律で定め、その遵守を刑罰の威嚇をもって強制することを本旨とする労働基準法に、使用者の自由な解雇権限をあえて規定することは、同法の基本的性格と明らかに相いれない」と批判した。(12日)
●電機と造船重機の大手労組が要求提出 電機連合と造船重機労連の主要労組が春闘要求を経営側に提出。ベア要求は軒並み放棄した。(13日)
●労基法改悪の厚生労働省案提示 労働政策審議会・労働条件分科会が開かれ、労働基準法改正案の法案要綱が示された。金銭解決の条文は今回は盛り込まないことが確定した。(13日)
●高校生の就職内定率、過去最低の66.3% 文科省が発表した今春高卒予定者の就職内定状況では、昨年12月末現在の就職内定率は66.3%で、過去最低の昨年同期の67.8%を1.5ポイント下回った。県別最低は32%の沖縄県。(14日)
●02年の破産、前年比3割増 東京商工リサーチが発表した破産動向調査によると、02年の破産は前年比34.5%増の5418件で過去最多。破産による従業員被害者数も前年比19.3%増の5万5763人に上った。(17日)
●解雇ルールを明記の労基法改悪案答申 労働政策審議会は、労基法改正案の要綱を坂口厚労相に答申した。「解雇ルール」の明記や、有期雇用の上限の3年への延長、裁量労働制の拡大などを盛り込む。3月上旬にも改正案を国会提出の予定。(18日)
●派遣期間最長3年、製造業も解禁 労働政策審議会は、派遣労働者の派遣期間の上限を最長3年に延長し、製造業にも解禁することを柱とする派遣法改正案を答申した。(21日)
●定昇・ベア、「存続」2割 日経新聞社が行った「社長百人アンケート」によると、定期昇給やベースアップの制度を現行のまま存続させるとする経営者は主要企業の2割弱にとどまることが明らかになった。(26日)
●日産自動車、ベア満額回答 日産自動車はベア1000円を含む賃上げ7000円の回答。年間一時金5.8カ月も満額で出す。(26日)
●1月の失業率、最悪に並ぶ5.5% 総務省発表の労働力調査では、1月の完全失業率(季節調整値)は昨年12月より0.2ポイント上昇して5.5%となり、過去最悪だった昨年10月に並んだ。厚生労働省が発表した有効求人倍率(季節調整値)は、前月を0.01ポイント上回る0.60倍で、5カ月連続で改善。(28日)
電機中心に定昇解体攻撃
●富士通 定昇制度を見直し事実上の賃下げへ(2月7日)
●NEC 定昇を制度的に支える基本給昇給の仕組みを見直し「成果主義」の拡大を労働組合に提案。(12日)
●松下電器 年齢とともに賃金が上昇する年齢給の上限を現在の45歳から35歳まで引き下げる方向。(13日)
●富士電機 定昇制度と配偶者手当の廃止を組合に提案。(14日)
●三菱電機 定昇廃止を含めた賃金制度の見直しを提案し、労資間で交渉。(14日)
●日立製作所 定期昇給を原則的に撤廃し、成果主義の新しい賃金制度に全面移行するため労資交渉。(20日)
●三菱自動車 定昇制度の4月からの全廃で労資が基本合意。(13日)
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週刊『前進』(2093号4面1)
4月郵政公社化=民営化攻撃粉砕へ全逓決戦アピール
小泉−奥田の先兵に転落した連合全逓中央を打倒しよう
革共同全逓委員会
日帝・小泉政権は、4月1日から日本郵政公社を「スタート」させようとしている。これこそ郵政民営化への道であり、郵政職場で働くすべての労働者に対する首切り・賃下げである。同時に、労働組合的団結の破壊、戦闘的全逓労働運動の根絶を狙う大攻撃である。まさに全逓労働者の死活をかけた決戦となっている。この攻撃を前にして、郵政当局と連合全逓中央に対する怒りが渦巻いている。全逓中央の全面屈服と転向にもかかわらず、現場労働者の中には階級的団結と戦闘性が脈々と生き続けている。イラク侵略戦争と有事立法攻撃、大失業と資本攻勢の先兵へと階級移行した連合全逓中央を今こそ打倒する時だ。「これが労働組合と言えるのか」という労働者の怒りを解き放ち、現場から全逓労働者の総力決起をたたきつけ、03春闘を4月公社化=民営化粉砕の全逓決戦として闘おう。動労千葉の呼びかけにこたえ、「03春闘勝利! 3・29全国労働者集会」に総結集しよう。全逓労働者こそが、小泉−奥田路線に対する日本の労働者階級人民の総反撃の先頭に立とう。
小泉-奥田路線との最先端の階級決戦
03春闘は歴史的転換点としての位置にある。9・11で歴史は変わり、今日、米帝ブッシュのイラク侵略戦争がそれをさらに加速している。世界恐慌への突入という情勢の中で、生き残りのための激しいつぶし合いとして帝国主義間争闘戦が進行している。イラク侵略戦争の開始をめぐる米・英と独・仏の対立という形で、帝国主義戦争を舞台にした帝国主義ブロック同士の対立が進行していることは決定的に重大である。
ムスリム人民を先頭とする帝国主義に対する激しい怒りと闘いがまき起こり、それと連帯する反戦闘争が、全世界で、数百万人、数千万人の規模で起きている。戦争に反対する闘いと大失業・資本攻勢に対する闘いが一体となって、労働者人民の総反乱が始まっているのだ。
帝国主義の断末魔の危機の中で、日本経団連は昨年12月17日、03春闘に向かって経営労働政策委員会報告(経労委報告)を打ち出した。それは小泉「構造改革」と一体の攻撃であり、小泉―奥田路線と言うべき大攻撃である。
これとの決戦場が全逓決戦だ。4月郵政公社化をめぐる攻撃のすべてに経労委報告の内容が貫かれている。郵政公社設立会議の「中期経営計画・目標」、「人事制度改革」による賃下げと能力給の導入や労働組合的団結破壊の攻撃、NTT型リストラ―子会社への転籍・出向の強要、さらにトヨタ生産方式の導入など、すべては経労委報告の中身を先取りするものだ。
経労委報告は全面的な賃下げと終身雇用制の解体を狙うものだ。「春闘終焉(しゅうえん)」を呼号し、労働運動と労働組合を真っ向から否定し一掃する攻撃である。また、“首切り自由”の解雇ルールを法制化する労基法の全面改悪を柱に、不安定雇用化を激烈に進行させ、アウトソーシング(外注化)の攻撃を本格的に進行させるものだ。さらに、年金などの戦後社会保障制度を解体しようとしている。経労委報告に続く「奥田ビジョン」では消費税率の16%への引き上げを要求している。
こうして経労委報告は「構造改革の遅れによる国際競争力の劣化は国の存続にかかわる深刻な事態」と国益主義を前面に掲げ、労働者にすべての犠牲を受け入れろと要求しているのだ。実践的結論として「東アジア自由経済圏の形成」(奥田ビジョン)を打ち出した。まさに「大東亜共栄圏」構想そのものだ。日帝・小泉のイラク侵略戦争、朝鮮侵略戦争への参戦と資本攻勢とは、まったく一体の攻撃なのである。
こうした日本経団連のすさまじい資本攻勢は、連合などの労働運動指導部の屈服と転向なしにはありえない。経労委報告は、12月4日の「雇用問題に関する政労使合意」を前提としている。そこで連合は「労働条件の弾力化」と称して、賃下げと「労働法制の見直し」も受け入れた。
経労委報告は結論として「社会の安定帯たる役割を担う労使は、企業の活力向上に一段の協力をすべき」と、連合に「現代の産業報国会になれ」と要求しているのだ。
現に連合全逓中央は、“人事制度改革もNTT型リストラも、組合側から当局への提案として出したものであり、これは組合の方針だ”として現場労働者に押しつけようとしている。
しかし連合を先兵として使う労働者支配の大転換の攻撃は、実は日帝の労働者支配の破綻(はたん)点をなす。今や労働者の生存そのものが脅かされる時代が到来しているのだ。たとえ今は少数であっても闘う労働者の団結がある限り、連合指導部は労働者の憎悪の対象となり、連合支配は必ず崩壊するのだ。
労働運動の存亡かけた全逓決戦
全逓労働運動は、常に日帝の攻撃との決戦場となってきた。戦後労働運動の戦闘的背骨をなしていた春闘=賃闘、そして戦後労働運動総体をけん引してきた国鉄と全逓、この二大産別の労働運動を解体することが、日帝の戦争と大失業攻撃の中軸にある。
したがって03春闘において、郵政公社化=民営化攻撃との闘いは、国鉄決戦と並び、それと一体となった、21世紀の労働運動の存亡をかけた階級決戦となっている。小泉―奥田路線と全面的に対決し、激しく激突する戦場なのである。
まさに全逓の78越年反マル生実力闘争の前夜を思い起こさせる情勢が到来している。日帝の全体重をかけた攻撃が現場労働者に激しく襲いかかり、これに対して階級性と戦闘性を守り続けてきた全逓労働者の怒りが、既成指導部を踏み越えて必ず噴出する。
郵政公社化=民営化攻撃との闘いの勝利は、階級決戦全体の革命的高揚の中でこそ、かちとることができる。78越年闘争の爆発は、当時の階級情勢と密接に結びついていたからこそ、治安問題として発展し、日帝を震えあがらせた。そこに勝利の展望があったからこそ、カクマルが労働者の物ダメ闘争に敵対し、全逓中央は闘争の収束=終結のために総力を挙げたのだ。また日帝は、階級的報復として、58人の免職を始めとする79年4・28の大量処分に踏み切ったのである。
今、日本においても、全世界の労働者人民と連帯して、陸・海・空・港湾労組20団体を始めとする労働組合を中心とした広範な決起が始まった。動労千葉と戦闘的国労組合員を先頭とする国鉄決戦は4党合意を粉砕し、国労中央の裏切りを粉砕して発展し続けている。日帝・国家権力の国労5・27臨大闘争弾圧に対して、「許さない会」の運動が大衆的規模で大きく広がっている。こうした闘いと連帯し、一体となって、全逓決戦に総決起する時が今なのだ。
没落日帝の危機を労働者に犠牲転嫁
小泉は国会で「総理大臣として、もっと大きなことを考えなければならない。そのためには、この程度の約束(公約)を守らないことは、大したことではない」と言い放った。小泉「構造改革」の破産の自認であり、居直りである。その根底には日本帝国主義の没落と危機がある。
97年、橋本政権による行財政改革や郵政分割・民営化などを柱とする「六つの改革」は破産し、拓銀と山一の破綻によって、財政再建路線は完全に崩壊した。長銀、日債銀などが破綻するなど、金融危機はますます深刻で解決不能になっていった。99年から00年、小渕政権と森政権は、大手行への公的資金投入、ゼロ金利政策、ペイオフ1年延期など、一転して積極財政路線をとるが、日本経済はデフレの泥沼へと深々と入っていった。
こうして登場したのが小泉政権であり、その「聖域なき構造改革」路線であった。だが02年10月には、ペイオフ全面解禁2年延期=不良債権処理優先への「何でもあり」政策への転換を余儀なくされた。これが「大したことない」と言った公約違反なのである。ここに小泉「構造改革」の破産は現実化した。〈不良債権処理→デフレの深化→新たな不良債権の発生〉という悪循環に行き着いた。
これは、もともと労働者人民への全面的な犠牲転嫁を本質とする小泉路線が、「痛み」をさらに拡大し、それを労働者人民に強制することを意味している。労働者人民に対するむき出しの資本攻勢と大失業が襲いかかっているのである。
日帝の没落の根拠は、大恐慌への本格的突入と帝国主義間争闘戦における敗北である。奥田はすでに、10月の小泉の政策転換の直前にあたる9月末段階で、次のように述べている。
「日本再生という以上、単に景気が循環的によくなればいいという話ではない。日本の構造を変えて、21世紀型の経済社会システムをつくり出すべきだ」「問題は、一人ひとりが国益と信じるものに殉ずることができるかどうかだ。昔のサムライは、それをやってきた。自分を犠牲にしても、日本を再生するという気持ちが今の日本では失われた」と。また「聖域なき構造改革は避けて通れない。改革の過程で、ある程度の痛みも覚悟しなければならない」とも述べた。
「国の存続」すなわち資本が生き延びるために政治、経済、社会の歴史的転換をかけたものが小泉―奥田路線である。この路線が、今日の帝国主義者と資本家どもの階級的意識と利害を代表しているのだ。
小泉にとっての「もっと大きなこと」とは、1・31施政方針演説に明らかなように、イラク侵略戦争参戦、さらに北朝鮮と中国への侵略戦争突入法案として有事3法案と個人情報「保護」法案を成立させることである。その先にあるのが奥田の「東アジア自由経済圏の形成」=「大東亜共栄圏」構想である。それと一体で、戦後的な階級関係、労資関係すべての転換を狙う労働法制改悪の攻撃がある。
そして「もっと大きなこと」の中に、実は、一見破産したかに見える郵政事業民営化攻撃が位置づけられているのである。
奥田−生田体制で郵政民営化へ突進
郵政公社の総裁、副総裁、理事、監事などの幹部人事が、すでに確定している。郵政公社設立会議の座長を、日本経団連会長でありトヨタ会長でもある奥田碩が務めた。この小泉―奥田体制のもとで生田正治(商船三井会長)が初代総裁となり、高橋俊裕(元トヨタ自動車常務)と団宏明(郵政事業庁長官)が副総裁、理事には奥田らを内定している。まさに奥田―生田体制によって郵政公社化=民営化へ突っ走ろうとしている。
郵政公社の03〜06年度「中期経営計画・目標」が策定され、その内容は4年間累計の最終利益を4兆円とし、それに向けて1147億円の人件費削減と1244億円の経費削減を行うというものだ。1万5000人を削減するとした06年度完了予定の「郵便新生ビジョン」を2年間で前倒し達成することが柱になる。
トヨタ式導入し郵便の大合理化
そこではトヨタ方式の徹底した非人間的な人員削減と経費削減が狙われている。昨年12月、郵政事業庁は、すでにプロフィットセンター構想の対象エリアとされ合理化・効率化のモデル地区とされている埼玉の越谷局に、トヨタ専門チームを投入した。時間帯による郵便物の処理量に応じた人員配置の見直しや作業のレイアウトの改善など、徹底した無駄排除運動を開始しているのだ。
トヨタ専門チームが労働者一人ひとりの後ろに張りつき、動きを監視する。一つひとつの作業を細かく分類し、後ろに立ってストップウォッチで計り、ビデオで撮影する。外務には万歩計を腰に付けさせてチェックする。こうして「乾いた雑巾を絞る」とまで言われた非人間的なトヨタ方式による労働強化と人員削減を徹底しようとしている。
トヨタ「ジャスト・イン・タイム」方式とは、指定時刻に指定量の部品の納入を強制するもので、早く来ても工場には入れない。下請け業者は道路に並び、道路が倉庫状態となり、道路や高速道路のパーキングが労働者の就寝場所となる。「必要な生産時に必要な労働者を配置する」と称して、増産はすべて臨時工や季節工が担い、そして首切りである。こうした経営を公社化を通して郵便職場にまず全面的に導入しようとしているのだ。
彼らの言う「経営効率化」とは、徹底した合理化によって極限的な労働強化を強制し、すべての犠牲を現場労働者に押しつけ、労働者を使いつぶし、使い捨てていくことだ。こんな攻撃を全逓労働者は絶対に許さない。まずは、郵便内外職場が公社化=民営化攻撃との最大の攻防点となる。闘う全逓の主力をなす郵便労働者こそが、小泉―奥田―生田路線との激突の先頭に立とう。
3事業の独立と地域分割も狙う
さらに、奥田―生田体制という経営陣の人事と、郵便・郵貯・簡保のそれぞれを経営企画機能を持った独立採算制の3事業本部にするという組織体制は、「3事業一体経営の見直し」=「3事業の独立採算カンパニー制」という民営化構想を狙ったものである。その着手が「中期経営計画・目標」によって開始されようとしている。
地方組織の見直しは公社発足から1年後と予定されていたが、今秋実施へと前倒しされた。全国11の地方郵政局と沖縄総合通信事務所を、関東郵政局は1支社と3事業所に分割するなど支社や事務所に約23分割する案や、全国64支店とする案などが検討されている。
竹中経財相の12・27提言を受けて、経済財政諮問会議(議長・小泉)は「郵貯・簡保事業の民営化を視野に入れた地域分割」の検討と08年度ごろ実現に向けた「工程表」を作成する方針を固めている。郵政公社から郵貯と簡保の両事業を切り離し、郵便事業だけを残す案を軸にして、12前後に地域分割した郵貯と簡保を、08年度以降に先送りした政府系金融機関の整理・統合と合わせて新たな地域金融の中核にしようという考えである。
郵貯資金236兆円に簡保資金124兆円を合わせると360兆円となり、実に国家予算の4倍超の巨額である。公社初年度の03年度経営計画では、比較的低リスクの国債運用を中心とし、リスクが大きい株式での運用額は公社発足時の規模にとどめると発表されているが、株式投資の含み損=運用失敗の穴埋めは最後的にはすべて人民の税負担となる。また将来、国債信頼度の低下や格下げによる海外資本の逃避などが原因で市場金利が上昇すれば、国債価格は暴落する。その結果、低金利国債を大量にかかえる郵政公社は破産する。国債運用こそ最大のリスクなのであり、国債は元本保証とはいえ、これがまた税金で穴埋めされることになれば、人民には増税としてはね返ってくる。
住宅金融公庫、日本道路公団、年金資金運用資金など、特殊法人の抱える「隠れ不良債権」である財政投融資残高410兆1708億円の出所は、郵貯と簡保資金である。公社化後も、特殊法人の財投債を実質的に引き受けるのは郵貯・簡保資金というカラクリは続くのである。
金融システムの信用収縮が深刻化する中で、ますます金融危機は進行するとともに、郵貯・簡保もまた破綻の時を迎えているのだ。郵政3事業の民営化とは、郵貯・簡保の巨額の資金を、日帝資本と政治家と官僚らに投げ与えるものであると同時に、一切の犠牲を労働者人民に押しつけるものである。とりわけ郵政職場で働く労働者に激しく襲いかかってくるのだ。
腐敗した全逓本部こそ攻撃の弱点だ
こうした中で連合全逓中央本部は、郵政公社化=民営化攻撃の先兵となっている。完全に敵の側に階級移行した連合全逓中央を徹底的に弾劾し、今こそ打倒しなければならない。
全逓委員長・石川正幸は、昨年成立した郵政公社法の「出資条項」を「成果」とし、「関連会社をつくることが出来れば、そこに業務の一部をアウトソーシングし、NTTが行った構造改革のように、その会社で引き続き頑張ることが可能ですし、業務拡大に再チャレンジすることもできる」と最大級の評価をした。昨年10月の全逓の政策提言「郵政事業の経営戦略と新たなサービス」では、「民間企業との提携や自らが出資した子会社」を労働組合の側から提言している。労働者に早期退職や出向を強要し、何十%もの賃下げで子会社にたたき込もうというNTT型の攻撃である。
全逓中央本部は、昨年56回全国大会で「公社における新たな処遇に向けた全逓の基本的考え方」を打ち出した。昨年11月に郵政事業庁が示した「人事制度改革の基本的な考え方」は、その「全逓の提言に沿ったもの」だとして、もろ手をあげて賛成している。2月13〜14日に開催された中央委員会に続き、6月全国大会で全面的にこれを承認しようとしている。労働組合の全面屈服なしに雇用と労働条件を一方的に変更することなどできない。だからこそ連合全逓は、「組合側からの提言に沿ったもの」であり、そもそもが「組合の方針」だ、だから現場組合員は従えと、攻撃を押し通そうとしているのだ。
この人事制度改悪案は、新たな人事評価制度と昇格・昇給制度を導入することで、職場にむき出しの競争を持ち込み、分断支配しようとするものだ。労使交渉ではなく、個人の「能力・実績」や「意欲」「やる気」という管理者の恣意(しい)的評価で賃金が決まる制度に変質させるものである。俸給表の8級から4級への簡素化を始めとする賃下げは、全逓労働者が闘ってかちとってきた現行の賃金体系を投げ捨てるものだ。
さらに現在でも日々雇用というきわめて不安定で劣悪な労働条件のもとに置かれている非常勤労働者にも、新たな人事評価とそれによる能力給を本格的に導入しようとしている。つまり、より一層非常勤を「主力」として位置づけ、すでに進行している正規雇用と非常勤との「逆転現象」をさらに進行させ、労働者をどしどし使い捨てていく攻撃である。
まさに労働組合と労働者の階級的団結を徹底して否定し解体する攻撃である。それを組合が組合の方針として推進するという、ここにこそ最大の破綻点がある。現場組合員は、誰も連合全逓中央を信頼していない。指導部などと思ってもいない。求心力などまったくない。全逓中央を使った労働者支配は完全に破綻している。ここに郵政公社化=民営化攻撃の最大の弱点があるのだ。
全逓中央の裏切りと腐敗は極まっている。「行革対応」と称して組合員の金を政治家や官僚にばらまき、自ら酒食や遊興に使って、あげくに組合員の資産である富士見ハイツを売却するというのだ。まさに中央本部を始めとする専従役員どもによる闘争資金と組合資産の着服・横領である。後藤元委員長への逮捕・有罪判決に至った自治労中央の使途不明金問題と脱税事件と同じ、背任罪や業務上横領罪に該当する犯罪だ。この全逓中央を怒りをこめて断罪し、即時退陣要求を突きつけなければならない。今こそ現場労働者の怒りをたたきつける時だ。
4・1を“総反乱のスタート”の日に
03春闘のただ中で闘われる全逓決戦は、まさに歴史的転換点をなす闘いとなった。「郵政公社スタート」の4月1日を、日帝・郵政事業庁とその手先となった連合全逓中央本部に対する全逓労働者の“総反乱のスタート”の日とするのだ。
職場には、「新郵便処理システム」合理化や「人事交流」=強制配転、「郵便新生ビジョン」、マイナス人勧による画歴史的な賃下げなどに対して「もう我慢ならない」という現場労働者の怒りと憤激がすでに渦巻いている。組合員が自らの生活と権利を守るために組織的団結=組合の闘いを心底から求めている時に、わが全逓を一部の専従役員が私物化し、労働組合を事実上解体しつつある腐り切った現実がある。郵政公社化=民営化の攻撃に対して、今こそ78越年反マル生闘争のような実力反撃の狼煙(のろし)をあげる時が来たのだ。
敵の攻撃の核心は、経営形態の変更に伴う労働者支配の転換、すなわち全逓労働運動の全面的解体であり、労働者の階級的団結の破壊である。ならば郵政公社化=民営化粉砕の闘いは、一切が現場での攻防が決するものとなる。
もはや現場での激突は避けることはできない。どんなに組合指導部が屈服しても現場労働者の不屈の決起があれば、攻撃の正体は暴かれ、敵の攻撃の破綻点を生み出し、怒りの総決起の拠点をつくり出すのだ。攻撃の激しさに対して、これに反撃し打ち勝っていく団結と組織的な反撃力を、支部、分会、各職場における職場支配権をめぐる具体的な攻防をとおして目的意識的につくり出していこう。
全逓労働者こそが、非正規雇用労働者の生活と権利を守る闘いの先頭に立とう。郵政職場においても、ある意味では非常勤労働者こそが最も敵の攻撃の矢面に立たされているのだ。ともに闘い、ここから反撃を組織していくことは決定的に重要である。
公社化=民営化粉砕の最大のかぎは、連合全逓中央打倒の闘いにある。それは同時に、有事立法に賛成し反戦闘争を圧殺して労働者を侵略戦争に動員しようとする連合全逓打倒の闘いでもある。今こそ全逓労働者の闘う団結をうち固め、全逓中央と当局に対する怒りを一層激しくたたきつけよう。そして6月全逓全国大会へ向かって闘いをつくり出していこう。現場からの反撃で、階級的な全逓労働運動を再生しよう。
その反撃の拠点として、反マル生闘争に対する4・28処分粉砕の闘いがある。組合の指令のもとで闘って処分された組合員を守るのか否かは、労働者と労働組合の階級的団結の死活をかけた核心問題である。
4・28反処分闘争と支援の陣形の強化・拡大は、「反処分・反合・反マル生」の原則的立場で連合全逓中央打倒・階級的全逓労働運動の再生という運動の方向性と陣形をつくりだす。4・28闘争こそ、全逓と全郵政の「統合」によるニューユニオン構想をぶっ飛ばし、現場から階級性と戦闘性を復権させていく闘いだ。
イラク反戦闘争、3・29春闘集会へ
さらに全国で地域で、常に反戦闘争・政治闘争の先頭に立つ全逓労働者の戦闘性を復権する闘いが重要である。職場から全逓労働者のイラク反戦闘争への決起をかちとり、その戦闘的息吹をまた職場に持ち込むという闘いを大きくつくり出そう。
全逓労働者こそ国鉄決戦と連帯して闘う中軸を担い、国労5・27臨大闘争弾圧を許さない闘いを職場に広げよう。そして、動労千葉が主催し関西生コン支部と港合同が協賛する3・29春闘集会に職場からの総結集をかちとろう。3・29は4・1公社化を目前にした闘いであり、ここに動労千葉とともに闘う全逓労働者の大隊列を登場させることが、4・1以後の闘いの行方を決めると言っても過言ではない。
勝敗を決する一切のかぎは、党の建設にある。公社化=民営化粉砕の激しい闘いの中でこそ強大な党を建設しよう。全逓労働者はマル青労同の再建の先頭に立つ。闘う全逓労働者は革共同に結集せよ。
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週刊『前進』(2093号4面2)
2月26日〜3月4日
在沖米軍1900人が比に出動 石破「攻撃待ちではない」
●石破「攻撃待ちではない」 石破防衛庁長官が英紙タイムズに「日本の憲法は攻撃されるのをただ待つということを想定していない」と語った。同紙は、日本が必要時には他国への攻撃も検討し始めていることを示す発言だと指摘。(26日)
●北朝鮮が原子炉再稼働 北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が94年の米朝枠組み合意によって稼働を止めていた寧辺の黒鉛原子炉の運転を再開したことが分かった。(26日)
●「中東全体を民主化」 ブッシュ米大統領は講演で、対イラク軍事行動の終結後も米軍がイラクにとどまり、同国の民主化を足掛かりにアラブ世界全体の民主化を目指すとの考えを示した。(26日)
●自衛隊誘致を断念 沖縄県伊良部町の浜川町長が、下地島空港への自衛隊基地の誘致を断念したことを明らかにした。(27日)
●パラシュート兵、畑に落下 沖縄県伊江村の伊江島補助飛行場で、米陸軍特殊部隊の兵士が降下訓練の降下地点を誤り、同飛行場のフェンス外の畑に落下した。(27日)
●アジア防衛態勢見直し 米政府は、北朝鮮に対する抑止などを目的としたイージス艦使用のミサイル防衛網を日本に配備することを想定して、在日米軍と自衛隊による一層の相互運用性の確保など、アジア防衛態勢の大幅な見直しに着手する方針を決めた。(27日)
●自衛艦の給油対象拡大 政府は閣議で海上自衛隊がインド洋で行っている給油活動について、対象国にドイツ、フランス、ニュージーランドも加えることを決めた。(28日)
●核燃再処理すれば「対抗措置」 米政府高官は、北朝鮮が今後、使用済み核燃料の再処理に踏み込んだ場合には、国連安全保障理事会で制裁も視野に入れ何らかの対抗措置をとる考えを明らかにした。(28日)
●「イラク武装解除、北朝鮮を抑止」 安倍官房副長官は講演で「(イラクを)武装解除できなければ北朝鮮もけっして武装解除しない」「万が一、ミサイルが飛んできて日本に落ちた。何発も撃たせないためにはミサイル基地を攻撃しなければならない。米国にお願いするしかない」などと述べた。(1日)
●トルコ国会、米軍駐留否決 トルコ国会は、米軍にトルコの基地を提供し、領内通過を認めるとの政府提案を否決した。(1日)
●アラブ首脳会議「イラク攻撃絶対拒否」 エジプトで開かれたアラブ連盟の定例首脳会議は、イラク攻撃に対する「絶対的な拒否」を訴える最終声明を発表した。(1日)
●「米国は戦争決意」 ブッシュ大統領はラジオ演説で、イラクのフセイン政権との対決を「米国は決意した」と宣言。安保理の武力行使決議に失敗した場合でも軍事攻撃に踏み切ることが決定的になった。(1日)
●米英、イラク爆撃を拡大 イラク上空で監視飛行を続ける米英軍機が最近、連日のように爆撃を行い、その対象を多連装ロケット砲や地対地ミサイルなど米英軍によるイラク攻撃への脅威になる兵器に拡大している。ロイター通信が伝えた。(2日)
●在沖米軍1900人出動 フィリピンのイスラム武装組織アブサヤフ掃討を目的とした米比合同軍事作戦に参加するため、沖縄の第31海兵遠征部隊(31MEU)約1900人を乗せた揚陸艦が勝連町ホワイトビーチを出港した。(2日)
●米英特殊部隊「イラク潜入」 英紙デーリー・テレグラフが、米英とオーストラリア軍の特殊部隊数千人がイラクに入り、油田の監視や空爆の標的を確認する作業を進めていると伝えた。同紙は「戦争はすでに始まったことを示唆する事実」と評論。(4日)
●米韓合同演習始まる 米韓合同軍事演習フォール・イーグルが始まった。野外機動演習を中心に4月2日まで。(4日)
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週刊『前進』(2093号5面1)
3・30三里塚に全国から総結集を
東峰地区の集団移転狙う貨物基地構想を粉砕せよ
暫定滑走路閉鎖・軍事空港廃港に
世界の反戦デモと連帯して
イラク情勢が決定的局面に突入した。われわれは現在、世界戦争に向かう過程の真っただ中にある。
フセイン体制下のイラクに石油権益を握る仏・独・ロが武力行使に反対する中、米帝ブッシュは安保理決議の有無にかかわらず、単独でもイラク開戦を強行すると宣言した。基軸帝国主義の米帝が、中東石油支配の崩壊をイラク人民の大量殺りくで立て直そうとイラク・中東に侵略し、他帝国主義を粉砕し、民族解放闘争を絶滅させて、帝国主義世界の暴力的再編に向かって突進しているのだ。日帝・小泉は、戦争賛成と参戦の意思を明確にした。
これに対してベトナム反戦闘争をはるかに超える空前のイラク反戦闘争が連続的に爆発している。国民の9割が戦争反対のトルコ国会は、米軍の国内駐留を認める政府案を否決した。南北2方面からバグダッドを挟撃する米帝の作戦は、北の拠点を失い、最悪のシナリオによるイラク侵略戦争を余儀なくされている。
米帝の世界戦争計画は、イラク侵略戦争と連動してイスラエルによるパレスチナ人民虐殺を促進し、北朝鮮侵略戦争の危機を抜き差しならない段階に押し上げる。「核燃料再処理施設の再稼働」を口実に「日本列島を射程に入れる約百基のノドン・ミサイルに核弾頭が搭載される」などというデマが噴き出してきた。
われわれは、国際反戦闘争と連帯してイラク反戦闘争の大爆発へ総力をあげるとともに、切迫する北朝鮮侵略戦争に対して反戦・反基地闘争の闘いを新たな段階へと押し上げなければならない。3・30三里塚全国集会に大結集しよう。
北朝鮮侵略戦争と成田空港
米帝ブッシュの世界戦争計画の実戦段階への突入によって、極東・北朝鮮情勢が切迫し、日帝の有事体制構築と全土基地化の攻撃が現実のものとなった。成田空港の兵站(へいたん)・出撃基地化は、現代戦争における軍事的必然性から北朝鮮侵略戦争のための現実的危機となっている。
成田空港の兵站・軍事基地化は、「米韓合同作戦計画5027」に基づいている。「作戦計画5027」は、北朝鮮に攻撃の兆候を見た段階で軍事境界線(38度線)に集結する北朝鮮部隊を爆撃→北朝鮮の軍事基地や主要施設を空爆→韓国軍や在韓米軍、駐留海兵隊などの地上軍部隊を投入→首都ピョンヤンを軍事制圧し、金正日政権を転覆し、韓国主導の南北統一政権を実現する、というものだ。
米帝は、この作戦計画のために、米軍約54万5千人と、5〜7隻の空母、ステルス戦闘機、核搭載戦略爆撃機などのハイテク装備を投入する。
この作戦に対する日帝の軍事支援内容は、94年「北朝鮮核疑惑」時点で喫緊の課題となり、1059項目にまとめられた。これが99年2月、新ガイドライン関連法論議の過程で「民間8空港・6港湾の軍事使用」として衝撃的に報道された。在日米軍は、成田、那覇、関西、新千歳、福岡、長崎、宮崎、鹿児島など8空港の軍事使用と24時間通関体制などを要求した。
また、94年当時、防衛庁は成田や関西などの航空管制を米軍管理とするための法的検討を行ったことも暴露された。朝鮮半島に近い九州に集中しているのは、そこから輸送機で兵員・物資を送り込み、帰りの便で韓国の米軍家族、民間人を輸送する計画だからだ。成田は米本土から直接兵士と物資を受け入れる最大の拠点として位置づけられた。
現代帝国主義の侵略戦争は、航空輸送による大規模かつ迅速な兵站・補給体制が戦争遂行の要をなす。
01年の「4年ごとの防衛見直し(QDR)」で、米軍が実現しようとしているのは、陸軍では5個師団(約10万人規模)の兵員と装備のすべてを、30日以内に世界中のどこにでも展開できる体制である。1個師団(2万人規模)なら5日間、1個戦闘旅団チーム(1万人規模)ならわずか96時間で展開する。これはすべて戦域周辺諸国の空港の米軍管制と米軍輸送資格をもつ民間機の軍事徴発が前提となっている。米軍による成田空港の排他的制圧と管制なくして戦争遂行はありえないのだ。
新ガイドライン関連法制定に加えて有事立法が制定されれば、戦争動員は新ガイドラインの「協力」から「強制」へ飛躍する。新ガイドラインでは、空港の軍事使用ひとつみても、関係省庁や関係自治体、騒音などの対策として周辺住民、民間航空会社とこれを擁する各国政府との調整と合意などの制約に縛られている。さらに戦争協力に反対する労働運動や反戦闘争も禁圧と処罰の対象となる。
北朝鮮・金正日政権の打倒を狙う米帝にとって、日帝の参戦体制構築の遅れが決定的問題としてある。日帝に要求されているのは出撃基地の安定的確保であり、空港と港湾の無条件使用、鉄道、道路などの輸送手段の保証、関係労働者の戦時徴用である。それが有事法制として制度化し、成田の兵站・出撃基地の現実化として進行しつつある。
しかし日帝にとって最大の問題は、帝国主義としてはあまりに脆弱な国内支配体制である。戦後反戦意識は労働者階級と革命的左翼の闘いとして脈々と息づいている。三里塚闘争は、沖縄闘争とともに、米帝の世界戦争計画と闘う反基地闘争として、その意義は計り知れない。日帝に妥協しない農民の存在と労働者階級との連帯、革命的武装闘争の堅持こそ三里塚の真髄であり、その発展にこそ侵略戦争阻止の道筋がある。
大破産した暫定滑走路攻撃
三里塚闘争は、米帝の世界戦争計画と闘う反戦・反基地闘争として、新たな段階に突入した。この視点から昨年4・18暫定滑走路開港後の闘いを総括したい。
(1)昨年4・18開港後の闘いは、兵站・出撃基地化を阻止する新たな攻防の前哨戦だった。1年間の不屈の闘いは、日帝・国交省、空港公団の闘争破壊を粉砕し、さらなる勝利へ押し上げた。日帝・空港公団は反対同盟・農家を1戸も切り崩すことができず、1坪の土地も強奪できなかった。
暫定滑走路とはそもそも暫定的で不完全な計画であり、新たな農地強奪をもって完結(2500b化)するというものだ。開港はそのための農民追放攻撃だったのである。
しかし騒音とジェットブラストで農家をたたき出すという思惑は緒戦で粉砕された。そこで空港公団は、国交省の成田単独民営化が確定する10月冒頭をタイムリミットとして、猛然と東峰・天神峰地区の切り崩しにのりだした。暫定滑走路の「北側延伸計画」、関連しての「西側誘導路建設」デマと脅迫、東峰地区の消滅を前提とする工事計画の予算化で激しく切り崩しをしかけてきた。
木の根の民家を破壊し、横堀要塞の破壊を強行。12月には敷地内の一坪共有地8カ所の強奪を狙う共有権分割訴訟を起こした。
反対同盟は、東峰神社裁判を含む新たな闘争陣形の構築と絶対反対の基本路線をもって切り崩し攻撃を粉砕した。欠陥のまま開港し、開港圧力で切り崩して完成させようという戦略が根底から崩れ去ったのだ。
(2)その結果、暫定滑走路はその構造的欠陥を全面露呈させ重大事故を続発させている。変形誘導路での接触事故(12月1日)と大惨事寸前のオーバーラン事故(1月27日)に続いて、2月13日には、成田発台北行き日本アジア航空機(ボーイング747)が、飛行中に第2エンジン内の羽根が折れエンジンケースを貫通し、那覇空港に緊急着陸した。
暫定滑走路の開港がさまざまなひずみをもたらし事故を続発させている。その原因は当初計画より320bも短縮し、誘導路を曲げICAO(国際民間航空機関)の空港安全基準を逸脱した暫定滑走路の構造的欠陥である。また開港で発着便数は増えているのに、航空機整備の人員は削減され、発着の増加に見合った管制官の増員もない。エンジン損壊はこれが原因だ。
航空当局者は暫定滑走路の重大欠陥について以下を指摘している。
・南側からの着陸時、一部の航空機は進入表面から突出する民家の2階と立ち木に反応して機体を自動的に再上昇させる。機長には自動制御を解除して進入するよう指示されている。
・暫定滑走路の平行誘導路(一部「へ」の字)のうち約7割が管制塔から死角になっており、「へ」の字誘導路や連絡誘導路など3カ所の一時停止地点における渋滞と接触事故の危険が存在する。
・暫定滑走路とターミナルを結ぶ連絡誘導路が急カーブの上、下り坂でスリップによる事故の危険がある。
・暫定滑走路わきの2つの窪地(一坪共有地=滑走路表面から8bの落差と、開拓組合道路=同4b)による大事故の危険がある。
こうした欠陥滑走路による地上走行も含む航空管制の複雑化がパイロットと管制官に極度の緊張を強いているのである。
「機種制限はしない。成田空港はこれまでどおり運行する」との黒野公団総裁発言は、確実に新たな事故を準備している。大事故の発生は不可避である。
(3)いまや「暫定滑走路即時閉鎖」の要求と闘争方針は喫緊の課題であり、兵站・出撃基地化阻止、軍事空港廃港の闘いは絶対的正義である。
扇国土交通相は2月10日、天候や航空機のトラブルで成田の利用時間内に到着できなくなった航空機を羽田空港にまわす方向で調整を開始した。羽田の夜間国際臨時便が09年の新D滑走路の完成前に定期便化されようとしている。
さらに成田空港民営化法案がこの通常国会に提出され、成田空港は資本効率を追求する民間会社に移行する。これがもたらすことは暫定・欠陥滑走路の固定化と安全面で経費削減である。成田空港の陥落は避けられない。
東峰貨物基地構想粉砕せよ
おいつめられた日帝・黒野公団総裁は敷地内・東峰、天神峰切り崩しのための新たな攻撃を開始した。東峰地区の集団移転を狙う「貨物基地建設」構想である。東峰地区に空港を20f拡張して駐機場と貨物基地を建設するものだ。萩原進事務局長の宅地・農地を含む東峰地区の大半を空港敷地に組み込む計画だ。
東峰地区は1月30日に、「計画は地区を消滅させるもの」だとして建設拒否声明を発した。それに対して黒野公団総裁と公団審議役、用地部長らが2月15日、拒否声明に対する公団回答書を東峰区長宅に直接届けた。
そこには「これ以上東峰地区を細分化せず一体として捉える」と書かれている。要するに東峰地区を丸ごと買収するというのであり、札束で農民の頬をたたく集団移転攻撃である。
公団は大騒音とジェットブラストで反対同盟農家を切り崩し、地区全体の化学変化を狙った開港攻撃が破産し、東峰を丸ごと買収し天神峰を切り崩す攻撃に転換したのだ。実際、個別切り崩しでは墓地、開拓組合道路など含む各種共有地は取得できない。東峰全体が移転に応じなければ平行滑走路は完成しない。
09年の羽田空港国際化で成田のアジア便は羽田に移り、成田は欧米便に特化する。欧米便はジャンボクラスの大型機である。暫定滑走路が短縮滑走路のまま固定すれば存在の意味はまったくないのだ。
だから空港公団は完全民営化して延長が不可能となる07年の前に2500b化することを至上命令としている。ここ5年間が決戦的攻防となった。
この貨物基地構想について公団は、「貨物処理能力が限界に達している」と主張する。しかし、これは事実を偽るデマ宣伝だ。
02年の輸送実績は177万dである。成田空港の現在の貨物取り扱い能力は約200万d/年である。しかし成田空港では、既存の貨物地区に加えて、天浪地区貨物取扱施設(処理能力20万d/年 今年4月完成予定)と整備地区南貨物取扱施設(処理能力30万d/年 今年4月完成予定。さらに2期、3期計画で新たに60万d増える)が工事中ないし計画中である。これらがすべて完成した場合の取扱能力は約310万d/年である。
さらに千葉県企業庁は既存の貨物地区に隣接する取香に約78f、処理能力約200万d/年の「国際物流複合基地」を07年完成予定で計画し進めている。これらが完成すれば処理能力は510万d/年に達する。
「7空整」(第7次空港整備5カ年計画)の需要予測では、10年に230万d/年、15年で260万トン/年である。つまり十分に対応可能であるばかりか、県企業庁の「国際物流複合基地」がこのまま進めばとんでもない過剰投資となることは明白なのである。
他方で羽田には国際線のための巨大ターミナル建設が進行している。その規模は約150fというとてつもないものだ。成田の場合、旅客ターミナルはふたつで15f。貨物地区が全部で30f、合わせても45f。成田のざっと3倍である。
現在成田の貨物実績はアジア便が50%を超えているが、羽田新D滑走路が完成する09年には、アジア便が羽田に移転し、成田の貨物便は半減する。
東峰貨物基地は荒唐無稽(こうとうむけい)な作り話である。この構想は「北側延伸」と「西側誘導路建設」デマに続く、黒野公団総裁のデマ・ペテンの切り崩し工作だ。断末魔のあがきを粉砕し、暫定滑走路を閉鎖に追い込もう。
一坪共有地強奪のための不当提訴を粉砕しなければならない。8カ所の一坪共有地は、滑走路わきの巨大な窪地や木の根地区の渋滞問題など暫定滑走路の矛盾と欠陥を象徴する。反対同盟農家の切り崩しに失敗した日帝・国交省と空港公団は、これらの共有地を強奪して、暫定滑走路の立て直しに躍起となっているのだ。裁判闘争を強化し勝利しなければならない。
また、天神峰の市東孝雄さん宅を直撃するジェットブラストの被害をなんとしてもくい止めなければならない。成田市空対部の無策は追い出し攻撃の共犯である。あらゆる手段で粉砕しなければならない。
新たな飛躍を
第一に、3・30三里塚全国集会の大結集をかちとろう。三里塚闘争を米帝ブッシュの世界戦争計画と対決する日本の反戦・反核の砦として新たな飛躍を実現ししよう。全世界の反戦闘争と連帯して総決起するとともに、北朝鮮侵略戦争のための有事立法粉砕の国会闘争に向けて総決起しよう。
第二に、東峰貨物基地構想による切り崩し攻撃をあらゆる手段で粉砕しなければならない。さらに騒音とジェットブラストによる生活破壊から反対同盟農家を守り抜くことである。そのための現地闘争陣形を圧倒的に強化しよう。飛行直下騒音の周辺住民に滑走路の閉鎖を訴えよう。東峰神社裁判闘争勝利へ強固な支援陣形をうちたてよう。
第三に、農民の生活を守り、軍事基地化を実力粉砕する正義の革命的武装闘争の前進と発展を切り開こう。千葉県の堂本知事の収用委再任命策動を監視し、粉砕しなければならない。
3・30三里塚を突破口に、03春闘決戦勝利、4月統一地方選挙決戦に猛然と決起しよう。
〔江波敏之〕
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週刊『前進』(2093号5面2)
“暫定滑走路閉鎖せよ” 反対同盟の3・30アピール(上)
三里塚芝山連合空港反対同盟の3・30全国集会へ向けたアピールを今号と次号に掲載します。全国から総結集しよう。(編集局)
未来への無形の財産 事務局長 北原鉱治さん
26年前(77年)の3月30日、当時の福田内閣による開港宣言に対し、反対同盟は全国の闘う人びとともに阻止闘争に決起した。私も、若い学生らと横堀要塞に立てこもって抵抗した。多くの逮捕者を出したが見事に開港を阻止した。この闘いを思い出し、あらためて三里塚闘争への大結集を呼びかけたい。
成田空港を絶対に廃港に追い込む。三里塚、沖縄、北富士の闘いの勝利が日本の未来を変える。われわれは代償を求めることなく闘い続けてきた。それは未来への無形の財産としてあるのだと考えている。
当初計画の3本の滑走路は、いまだに1本の滑走路と2180bの暫定滑走路しかない。暫定滑走路は、各国のパイロットが着陸を恐怖する危険な滑走路であり、現在の航空産業界にはなんのメリットもない。事実、12月、1月と重大きわまる事故が発生している。反対同盟は暫定滑走路の即時閉鎖を強く要求する。
結果的に暫定滑走路は、日本の政治の恥部をさらけ出すものでしかない。民主主義を一切省略して国家暴力による空港建設がもたらした惨状であり、天人ともに許さざるものである。
しかし空港公団は、暫定滑走路を2500bに延長するために、まったく卑劣にも反対同盟所有の共有地の強奪を狙い、民事訴訟を行った。公団は農民の生きる権利や生命についてどう考えているのか。怒りを覚える。
小泉政権はイラク侵略戦争に賛成し、国会では有事立法を成立させようとしている。イラクの次は北朝鮮と言っている。2月15日には2000万人が「イラク攻撃やめろ」と地球1周の反戦デモが闘われた。日本の全学連が、連帯・共闘を求めて訪米したことは、新しい歴史の始まりである。
本部役員の郡司一治さんが2月24日に亡くなった。空港反対闘争を貫き通した生涯だった。三里塚闘争の勝利をあらためて固く誓いたい。3・30全国集会への結集を訴えます。
危険な暫定滑走路 天神峰 市東孝雄さん
12月1日には接触事故。1月27日には、大事故寸前のオーバーランが起きました。暫定滑走路はもともと滑走路が短く、誘導路は曲がっていて、着陸時には立ち木に飛行機が引っかかってもおかしくない、危険な滑走路です。着陸帯も国際基準の半分しかない。
反対同盟は一貫して暫定滑走路の危険性を訴えてきた。開港してはいけない滑走路だった。それなのに国土交通省や空港公団は「ジェット機を飛ばせば反対農民は落ちる」と地上げ屋まがいに開港を強行した。
今年の新年旗開きでも反対同盟は、暫定滑走路の閉鎖を要求すると宣言した。事故は両方とも私の家の前で起きている。まったく冗談じゃない。いつかの裁判で空港公団は「飛行機が私の家に突っ込む可能性も否定できない」と暴言を吐いたが、それが現実になろうとしている。本当に許せない。
米英はイラクに戦争を行おうとしている。北朝鮮をめぐってもきな臭い情勢です。石油の利権のために、罪のないイラクの子どもたちを殺すなんて、ブッシュの横暴は許せない。日本の小泉政権も、英国と並んでブッシュ政権の戦争を支持している。これに対して2月15日には世界中で2000万人の人びとが反戦デモに立っている。
朝鮮半島で戦争が起これば、米軍は成田空港を必ず使用する。三里塚闘争の位置は大きい。反対同盟も世界の人びとと連帯して闘います。3月30日の全国集会はイラク戦争の最中になる可能性もある。反戦の砦=三里塚は軍事空港に反対し、反戦運動の先頭に立ちます。
亡くなった郡司一治さんの遺志を継いでがんばります。
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週刊『前進』(2093号5面3)
第4部 日帝の中国侵略戦争(8)
中国共産党と長征 1万2000Kmにおよぶ苦難の行軍
第1次国共合作の崩壊(27年7月)は、中国革命の重大な転機であった。20年代をとおして、中国労働者階級は25年5・30上海ストを始め帝国主義の侵略と闘いぬく中で、自己を中国革命の指導勢力として登場させつつあった。
だが、スターリンの直轄指導のもと、中国共産党は労働者階級の自己解放闘争ではなく、「四民ブロック」政策(労働者、農民、都市プチブル、民族ブルジョアの民族統一戦線)―国共合作を基軸的な路線とした。これは労働者階級を民族ブルジョア(蒋介石)の前に武装解除するものであり、「プロレタリア運動の独立的性格の絶対的保持」というレーニン主義を歪曲するものであった。
そのため、労働者階級の成長と革命的激動の到来に恐怖した蒋介石や汪精衛の裏切りと反革命クーデターを前に、壊滅的打撃を強制されざるをえなかった。
しかも、国民党の反革命弾圧に対してスターリン―中国共産党は前衛党の再建と労働者階級の再組織化を対置するのではなく、南昌暴動や湖南などの秋収暴動、さらに広東蜂起と次々に絶望的蜂起を指令し、都市プロレタリアートの組織を壊滅させてしまった。
そして、中国共産党は都市での暴動をくり返す李立三ら党中央派と農民戦争に没入する毛沢東ら農民運動派に分解し、その結果、労働者階級への組織的影響力を決定的に失っていく。
毛沢東路線
無残な敗北を強いられる中で、毛沢東はわずか千余りの部隊を率いて井崗山に入り、山岳ゲリラ戦と土地革命を軸とする「革命根拠地」建設の闘いに入った。
世界大恐慌下の中国農村経済の崩壊と国民党政府による過酷な支配・収奪の中で、中国農民の貧窮と没落は著しく進み、怒りが渦巻いていた。これと結びつくことで30年までに15の赤色根拠地、6万の紅軍と10万の赤衛隊(農民自衛隊)が生み出されたのである。
「三大紀律、八項注意」という鉄の規律の中で紅軍が中国革命の主力としてつくられ、農民を軍事的に組織化し、「農村をもって都市を包囲する」という毛沢東路線が形成されていった。だが、毛沢東、朱徳らの農村武装割拠=「ソビエト革命」は、それが進めば進むほど労働者階級に対する組織的影響力を完全に放棄するものとなった。
一方、毛沢東路線を否定する李立三ら党中央派は、30年6月、紅軍による武漢・南昌への進攻―全国武装蜂起の方針を出した。だがそれは、主客の情勢を読み誤ったものであり、完全な失敗に終わった。その結果、李立三は「極左冒険主義」として排され、代わって王明らソ連留学生グループが党の実権を握った。
日帝の中国侵略の激化に対し、蒋介石はそれと闘うのではなく、「安内攘外」(まず国内の敵を一掃し、後に侵略と闘う)と称し、共産党勢力の壊滅に全力をあげた。赤色根拠地への包囲掃討作戦は、30年12月から31年柳条湖事件での中断をはさみ、5次に及んだ。
33年5月からの第5次包囲掃討作戦では、米独の支援を得た蒋介石が100万の陸軍で攻撃を加えた。これに正面戦を構えた毛沢東らの紅軍は各所で撃破され、34年3月の広昌陥落以降は決定的な劣勢に陥った。
7月、共産党は江西ソビエト地区の放棄を決定し、「北上抗日宣言」を発表。10月、総勢8万6千人の紅軍主力(第1方面軍)は国民党軍の包囲を突破し、瑞金から西方へ脱出した。
翌34年10月、陝西省の呉起鎮に至るまでの丸1年。紅軍は18の山脈と17の大河を越え、11省を通過する1万2000`メートルにも及ぶ苦難の行軍を闘いぬいた。国民党軍との激闘によって紅軍主力は多大な犠牲をだし、最後には8千人となった。この壮大な闘いが「大長征」と呼ばれる。そこでの毛沢東、朱徳ら若き中国人革命家の群像は、エドガー・スノーの『中国の赤い星』などで生き生きと描かれている。
この過程では35年1月の遵義会議が決定的だった。毛沢東は第5次包囲掃討作戦以来の党中央の「極左冒険主義」を批判、周恩来の自己批判をかちとり、中国共産党の実権を握った。
だが毛沢東路線の本質も『新民主主義論』(1940年)に示されるように、世界革命に敵対する一国社会主義と平和共存と2段階戦略のスターリン主義路線に、根本的には立脚したものでしかなかった。
第2次国共合作
32年3月に「満州国」をデッチあげた日帝は、翌年熱河省に侵攻し、中国東北部への侵略を進めていく。これに対し宋慶齢(孫文夫人)や魯迅らは34年5月、「中国人民対日作戦基本綱領」を出し、抗日救国への決起を呼びかけた。
35年11月の冀東(きとう)政権樹立に、華北分離の危機感を高めた学生5千人は12月9日、北平(北京)で「日本帝国主義打倒」を掲げてデモに立った。学生の闘いは全国に波及した。「内戦停止、一致抗日」の声が全土にとどろき日帝の侵略に対する全人民の闘いが組織された。
中国共産党も35年8月、「抗日救国のために全同胞に告げる書」を出し、内戦停止と抗日救国を呼びかけた。だが、蒋介石は日帝に対しては「不抵抗」を貫く一方、抗日・反対勢力への弾圧を激化させた。
35年12月、毛沢東は日本帝国主義との闘いを正面にすえ、統一民族革命戦線を結集して闘う方針を決定。翌年2月、紅軍抗日先鋒軍を組織して東征抗日に出た。これに蒋介石は軍事的反撃を加えたが、共産党は応戦せず撤退した。「反蒋抗日」の統一戦線から、蒋介石にも抗日への参加を呼びかける「逼蒋(ひっしょう)抗日」へと転換したのだ。
8月、共産党は国民党に正式に統一戦線を呼びかけた。蒋介石はこれを無視し、紅軍根拠地への攻撃命令を発した。この中で張学良ら国民党内部からの造反が起きる。柳条湖事件で日本軍によって故郷を追われた張学良は、その軍閥的利害から蒋介石と組んでいた。だが、「抗日」に向かわない蒋介石に業を煮やし、ついに張学良は36年12月12日、蒋介石を監禁し「内戦停止、抗日救国」など8項目要求をつきつけたのだった(西安事変)。
蒋介石の動静をめぐって緊張が高まった。周恩来らが西安に行き蒋介石を説得して要求をほぼ認めさせ、内戦は事実上停止された。37年9月、第2次国共合作が正式に成立し、抗日民族統一戦線が結成された。
折しも、日帝は盧溝橋事件から全面的に中国侵略戦争に乗り出していった。
(五十嵐茂生)
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週刊『前進』(2093号6面1)
個人情報保護法案を廃案へ
侵略戦争のための言論弾圧法 報道に介入し検閲の復活狙う
有事立法粉砕闘争と結合し成立絶対阻め
日帝・小泉政権は、有事立法3法案とともに個人情報保護法案を何としてもこの通常国会で成立させる決意を固め、3月7日に閣議決定し国会に提出した。小泉は「是非とも成立させたい」と言っている。
法案は、これまで以上に「報道・言論」を規制し、侵略戦争を推進するための治安弾圧の強化を狙うものだ。
小泉政権は、衆参両院に特別委員会を設置する方針だ。特別委ならば与党が委員長職を握ることが可能で、定例日にとらわれずに連日審議も可能であり、何よりも強行採決ができるからである。
この攻撃に対して、反対の声が各所から上がっている。日本弁護士連合会(日弁連)は2月4日に反対の意見書を政府に提出した。日本ペンクラブも2月17日に反対を声明した。さらに、日本書籍出版協会も2月26日に反対の意見を発表した。
一度は廃案を余儀なくされた小泉政権は必死になっている。労働者人民の闘いがそこまで小泉を追い込んだのだ。今こそ小泉の巻き返しを許さない迫力で、再度の廃案に向け猛然と闘いぬこう。
小泉政権が再提出する個人情報保護法案で、旧案から変更になった点は以下のとおりである。
@5つの基本原則(利用目的による制限、適正な取扱、正確性の確保、安全性の確保、透明性の確保)の削除。
A個人情報取扱事業者に対して主務大臣が権限を行使する場合は、「表現の自由などを妨げてはならない」と規定。
B「個人情報取扱事業者の義務等」(義務規定)の適用除外対象に「著述を業として行う者」と「報道機関の中に個人を含むこと」を追加。
C報道の定義を明記。
また、行政機関個人情報保護法案では、行政機関の職員と元職員に対して次の処罰規定が新設された。
@自己の利益を図る目的で職権を濫用(らんよう)した、個人の秘密の収集及び個人情報の盗用または不正目的での第三者への提供=「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」、Aコンピューター処理されている個人データの漏洩(ろうえい)=「2年以下の懲役または100万円以下の罰金」
メディア規制と人民の情報の管理が核心
この修正案の特徴は、第一に「反対の声に配慮した」というペテンを使いながら、日帝にとって絶対に実現すべき内容=「報道・言論規制」については一ミリたりとも譲らずに、むしろ徹底的に強化しようとしている点にある。第二に旧案と同じく、労働者人民の個人情報は国家権力に管理・支配され自由に使用され、一方で政治家・官僚・資本家などの国家権力にかかわる個人情報は徹底的に秘匿されるという内容はまったく変更されていないことだ。以下その内容を具体的に暴露する。
基本原則削除 は大ペテンだ
取材から報道の後までのすべての段階を規制する5つの基本原則について、違反しても罰則はないが、「損害賠償訴訟で違法性の判断要素となる」などの裁判規範となって拘束力を持つため、メディア関係者の間では、「取材や報道活動を制約する」と指摘する意見が多い。小泉は、法案ではこの声に配慮したと言っている。
ところが、法案は今まで以上にメディアを規制する内容となっている。
5つの基本原則は削除されたものの、法案には旧案で「基本原則の前書き」として定めた部分(「適正な取扱いに努める」など)を「基本理念」として残し、新たに「安全管理をはかり」との言葉が追加されている。この「適正な取扱い」や「安全管理」という言葉がくせものだ。
小泉政権は、言論・報道を規制する根拠となる「基本理念」を抽象化することで、逆に国家権力(主務大臣)による恣意(しい)的な運用が可能になるように改悪してきている。
「権限の制限」の内容はなし
さらに法案は、違反すると罰則(6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金)が科せられる義務規定に関して、罰則の適用を判断する主務大臣の「権限の制限」について新たに規定している。具体的には、「表現の自由などを妨げることがないように配慮しなければならない」という記述が「表現の自由などを妨げてはならない」と言い換えられている。
これだけの変更で、何をどう制限したというのか。単なる「言葉のあそび」でしかない。日本ペンクラブの声明でも「論評にも値しない」と弾劾されている。
そもそも問題になってきたことは、主務大臣が個人情報取扱事業者を管理・統制するために「報告・助言・勧告及び命令」の形で権限を行使することだ。法案は、この点にはまったく言及されていない。
さらに、義務規定の対象となる個人情報取扱事業者の定義も変わっていないために、個人情報を保有するあらゆる組織や団体が管理・統制の対象となることに変わりはない。
つまり、法案の根幹にある、国家が労働者人民の個人情報を徹底的に管理・統制するという思想にまったく変化はないのだ。
「適用除外」は 国家の恣意で
法案は、「義務規定の適用除外対象」(除外規定)を拡大している。今回新たに、「著述を業として行う者」が「著述の用に供する目的」について、除外対象となった。また、フリージャーナリストを念頭に報道機関に「報道を業として行う個人を含む」との言葉が加えられた。
しかし、適用除外対象がいくつか拡大したとしても国家権力の報道・言論規制の意図にまったく変更はない。
「除外規定」は「報道や言論などに配慮する」というペテンとして使われているだけだ。その本質は「〇〇の用に供する目的」という形で規制して、「除外対象かどうか」についての判断を国家権力(主務大臣)が恣意的にできるところにある。
また法案は、義務規定の対象となる個人情報取扱事業者が、報道機関や学術研究団体など第三者に情報提供する場合は、「主務大臣は権限を行使しないものとする」ことを新たに明記した。小泉政権は「内部告発が行いにくくなるとの批判の声に配慮した」と主張しているが、事実はまったく逆である。
法案は「第三者への情報提供は違法であり罰則を適用する」ことを原則としている。そのうえで、「報道機関や学術研究団体などへの提供」という枠をはめ、例外的に「権限を行使しない」としているにすぎない。その枠にあてはまるかどうかの判断は主務大臣が行うのであり、そこでは内部告発を禁止する国家権力の意図が強力に発揮されるのは間違いない。
政治家・官僚・資本家などの、国家権力にかかわる個人情報は徹底的に守られるということだ。
その証拠に今回も、「出版社」については適用除外対象になっていない。それは、出版社が週刊誌、月刊誌、単行本などの形で、しばしば国家権力や資本家の不正や腐敗を暴く役割を担ってきたからである。
「報道」の内容 を法律で定義
法案で最も注目しなければならない点は、新たに加わった報道の定義である。法案では、政府の国会答弁を踏襲し、「不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせること又は客観的事実を知らせるとともにこれに基づいて意見若(も)しくは見解を述べることをいう」と定義している。
小泉政権は、「報道の定義があいまいで、主務大臣の権限が恣意的に行使される恐れがある」という批判の声を逆手にとって、国家権力として戦後初めて、「報道の内容を法律で定める」という攻撃に踏み込んできた。
この「法律で定める」ということが大攻撃なのだ。小泉政権の狙いは、あらゆる「報道」の内容に土足で踏み込み、「これは、客観的事実ではない」「見解ではない」などと介入し、国家権力の都合のいい内容に変更することだ。そして、憲法21条で定められた「言論、出版、表現の自由の保障」と「検閲の禁止」を有名無実化しようとしているのだ。
これは、とんでもない攻撃だ。かつての「大本営発表」が再びくり返される道が始まったということなのだ。
労働者人民が求めているのは、「報道」への国家権力の介入を一切許さないことだ。この点をはっきりさせて闘おう。
国家が個人情 報を集め悪用
行政機関個人情報保護法案には、新たに罰則規定が盛り込まれた。しかし、処罰の対象となるのは、職員が「個人の利益を図る目的」で個人情報を「収集・盗用・第三者への提供・漏洩」する場合だけである。
その一方で、法案には「内部で利用する」とか「業務の遂行に必要な限度で」などの多数の適用除外が設けられ、役所にいったん入った個人情報は、本人の同意なしに自由に使える形になっている。これでは、「防衛庁リスト問題」などの職場や官庁ぐるみで行われた不正にはまったく対応できない。国家の利益を図る目的ならば処罰の対象にはならないということだ。
法案の最大の問題点は、行政機関が「個人情報取扱事業者」から除外されていることにある。つまり、行政機関による個人情報(労働者人民の情報)の取り扱いが何の規制も受けないことが問題なのだ。例えば思想・信条や「病歴」「犯罪歴」などの「センシティブ情報」の収集禁止規定については、約6割の地方自治体の個人情報保護条例に明記されているにもかかわらず、今回の法案には盛り込まれていない。
住基ネットと結合した治安弾圧を許すな
さらに、個人情報保護法案は住民基本台帳ネットワークと結合して、労働者人民の個人情報を一元的に管理・支配する役割を担う。片山総務相は1月24日の衆院予算委員会で、住基ネットを都道府県の警察が利用する可能性について、「法律上可能だ」と述べ、小泉政権の個人情報保護法案にかけた治安管理強化の狙いを露骨に表明した。
一方で、自治体が住民に郵送した11けたの住民票コードの通知表が一部金融機関の「本人確認」に利用されていた事実が発覚している(2月15日付毎日新聞)。11けたの番号と個人情報が一体となって資本に利用されることがついに始まったのだ。
1月30日に住基ネットに関して都道府県レベルで初めて行われた長野県の調査結果(120市町村を対象にして回答率は93%)を見ると、「何が住民データの安全性を脅かすか」との質問に対する回答では、「国に提供すること」が最も多く52%、本格稼働に伴って配布されるICカード(住民基本台帳カード)の活用が40%を占めた。これが現実の労働者人民の不安であり、怒りの声である。
今や日帝・小泉政権打倒の気運が労働者人民の中にあふれ始めている。この情勢に確信をもって、職場、大学、地域で法案反対の決議を上げ、反対の声明を出して闘おう。集会やデモに立ち上がろう。
(山本茂)
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週刊『前進』(2093号6面2)
三里塚反対同盟本部役員 郡司一治さんが逝去
三里塚芝山連合空港反対同盟本部役員の郡司一治(かつじ)さんが2月24日、ガンのために入院先の病院で亡くなった。享年82歳。
27日に葬儀が行われ、革共同から天田三紀夫書記長らが参列した。
郡司一治さんは、婦人行動隊長だった妻のとめさんが2000年8月に亡くなった直後の全国集会で「今後も気持ちはひとつ。とめの遺志を引き継いで空港反対の闘いを続けていきます」と宣言。精力的に闘争に参加してきた。
66年の成田空港閣議決定の直後からとめさんとともに闘い始め、37年の闘いの生涯を貫いた。朴訥(ぼくとつ)とした物静かな性格だが、信念は固く、穏やかな口調の中にも闘志をみなぎらせる人だった。また出征経験から「戦争だけはやってはならない」と語り、「成田空港は軍事空港だ」と日ごろから口にしていた。
昨年10月13日の全国集会では集会宣言を発し、来る3月30日の全国集会への結集を訴えたが、3・30を目前にして無念にも逝去された。郡司一治さんの遺志を継ぎ、成田軍事空港の廃港を必ずかちとろう。
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週刊『前進』(2093号6面3)
東京で部落解放集会 30年代水平運動の教訓学ぶ
2月22日、東京・八丁堀の労働スクエア東京で、部落解放同盟全国連合会中央本部の主催で「差別を糾弾し、法なき時代の新しい部落解放運動をめざす」をスローガンに掲げて第2回東京部落解放研究集会が開かれた。都内各地から部落大衆、労働者ら約90人が結集し、熱気と意欲のあふれる研究集会となった。
司会を杉並支部が務め、初めに全国連中央本部の中田潔書記長が主催者あいさつを行った。中田書記長は「東京での部落解放運動の組織的課題、部落民と労働者階級との連帯、部落解放運動と労働運動との結合への課題を明らかにしよう。3月2、3日の全国連第12回大会への決起集会としてかちとろう」と述べた。また「全国連は、闘いを放棄した本部派に代わって、全国の部落大衆の差別への怒り、切実な要求を受け止め、討論し、差別糾弾闘争を軸に大衆的に闘う。5万人組織を率いるスタイルをつくりだす」と語った。
部落解放理論センターの馬場博公研究員が「30年代水平運動の教訓」と題して講演を行った。
戦前の水平社は1930年代前半、差別糾弾闘争を基軸に闘い、労働運動と結びついて発展していった。にもかかわらず、中国侵略戦争の本格化のなかで差別糾弾闘争を投げ捨て、惨めな破産を遂げた。
例えば、宇治警察署差別糾弾闘争を取り組んだ京都の田中水平社は、1930年に洛北友禅工争議の勝利を支えた。全国水平社は、1933年の高松差別裁判糾弾闘争で100万人が決起する歴史的な大闘争を実現して勝利した。ところが、日帝・国家権力の弾圧に転向・屈服した日本共産党スターリン主義の水平社解消意見や社会ファシズム論のペテン的論理に押され、差別糾弾闘争を放棄し、自己解体し、戦争翼賛勢力に転落したのだ。
この歴史は、差別糾弾闘争を軸に国家権力と対決して闘うことの死活性、部落解放運動と労働運動が結合して闘うことの重要性、勝利性を示している。講演は、全国連の差別糾弾闘争を基軸とする3大闘争路線の意義を明らかにするものだった。
次に特別報告として、清掃労働者が「公務員現業の切り捨てとの闘い」について報告した。戦前戦後の東京市従の戦闘的な歴史を教訓化して、現在の清掃現業労働者への合理化攻撃の強まり、部落差別事件の頻発などと対決し、部落解放運動と労働運動との結合をつくりだしつつ闘っていく決意を述べた。
講演と特別報告を受け、全国連の江戸川支部は、現業職場を守ることを基軸に闘うと表明。杉並支部は、労働運動のなかに部落解放運動を位置づけることを求め、清掃職場の差別問題を取り上げて闘う決意を明らかにし、ともに全国連大会への結集を熱烈に呼びかけた。
部落解放東日本共闘会議の山川博康事務局長は、全国連と労組交流センターとの共闘を強めることを約束した。国労5・27臨大闘争弾圧と闘う国労組合員、全逓労働者、自治体労働者が連帯と決意を表明した。
最後に中田書記長のまとめを受け、団結ガンバローを三唱し、集会を終えた。
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週刊『前進』(2093号6面4)
有朋寮の廃寮許すな
東北大・廃寮阻止闘争の報告
“闘う自治寮を守れ” 寮生先頭に実力反撃
全国の闘う労働者・学生・市民のみなさん。「廃寮決定」以来の東北大学有朋(ゆうほう)寮の闘いの報告を送ります。
東北大学当局は2001年9月に突如「有朋寮の廃寮」と「入寮募集停止」を発表し、50年以上にわたって自治寮として学生の生活と権利を守り抜いてきた有朋寮の廃寮へと踏み出してきました。
4月から寮生叩き出し狙う
今回の廃寮攻撃の最大の特徴は、「新寮なき廃寮」であるということです。現在有朋寮に居住する寮生が移住すべき新寮の建設については、いつ、どのような寮が建設されるのかも、ほとんど明らかにはなっていません。
「在寮許可期間」をこえる今年4月以降に、大学当局は有朋寮生を暴力的にたたき出すことを狙っています。200人以上の寮生枠を持つ有朋寮の存在をまるごと消し去ってしまうという前代未聞の事態です。
多くの労働者民衆が首切り・リストラ・賃下げ攻撃で苦闘する中、大学当局は学生寮を増やすどころか逆に削減していこうとしているのです。先日の大学入試の際にも、寮削減に憤る受験生から400筆近い署名が寄せられています。
しかも、今回の「廃寮決定」は事前に一切知らされることはなく、ある日突然寮生を呼び出して「廃寮」であることを一方的に通達し、期限までに出ていけというのです。
大学当局は「有朋寮の老朽化の切迫性」を廃寮の理由としています。しかし、1989年以降寮生が建て替えのための話し合いを要求してきたにもかかわらず、6年間も対策をまったくとらずに放置してきました。95年にようやく交渉が開始され、5回の団体交渉を重ねてきましたが、97年6月以降6年近くにわたって中断されています。
新入寮生に「無期停学」の暴挙
昨年4月、有朋寮に、この「廃寮決定」と「入寮募集停止」に反対する一人の新入生が入寮しました。この新入寮生F君は、有朋寮の廃寮がまったく正当性のないものであり、すべての学生が有朋寮に居住する権利があることを実名を明らかにして訴え続けました。
しかし大学当局は、F君に対して学生証の発行保留、親に対する恫喝、「戒告」処分などの常軌を逸した退寮強要攻撃をかけてきました。そしてついに2月18日、東北大学評議会はF君の「無期停学」処分を決定したのです。これほどの不正義があるでしょうか! 有朋寮に住んだというだけでF君から「教育を受ける権利」を奪い去ろうとしているのです。
「寮で生活しただけで無期停学!」。この歴史を画する政治的処分に対して、すでに学内外から大きな反対の声が上がっています。 われわれのこうした訴えに対し、東北大学当局は実に腐り切った姿をさらけ出しました。評議会は独裁を強める吉本学長の提案を承認するだけの機関になり下がり、どの教授も「大学の決定には逆らえない」と自己保身に走るばかりです。教授の中からは、「評議会は儀式」「有朋寮の存置の話などしたら殴られそう」「東北大学は学生運動をつぶそうとしている」「大学は学生と話し合う気はない」などの意見が当たり前のように出てきました。
そして、東北大学当局は今なお「廃寮決定」を居直り続けているのです。この有朋寮廃寮攻撃の核心は、どれほどの学生が苦しもうが一切お構いなしに、闘う自治寮である有朋寮をたたきつぶすことです。
勝利の日まで実力居住闘う
すでに「国立大学法人法案」が2月28日に国会に上程されています。大学が激しい弱肉強食の淘汰(とうた)にさらされ、国家にとって「無用」と判断された大学・研究はドシドシと切り捨てられていくことになります。大学が、帝国主義間争闘戦に勝ち抜き、アジア侵略を担う「エリートの養成機関」へと変貌(へんぼう)しようとしています。大学の戦後的なあり方の一切を否定する攻撃の一環としての有朋寮廃寮攻撃である以上、私たちはどんな激突になろうとも一歩も引くつもりはありません。自らの闘いがイラク侵略戦争と有事立法に反対する闘いの一翼を担っていることを確信して、侵略のお先棒を担いだかつての帝国大学の歴史を二度と繰り返さないために闘う決意です。
「廃寮決定」以降、有朋寮は4次にわたるハンガーストライキ決戦を打ち抜き、体を張った決意を示してきました。昨年12月には2寮生が実に100時間ものハンストを貫徹し、同時に全国学生集会も成功させました。廃寮反対署名はすでに3000筆をこえ、いよいよ4月から実力居住闘争に突入します。全国に連帯を求め、勝利の日まで全力で闘い抜く決意です。
(投稿 東北大学 U)
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週刊『前進』(2093号6面5)
公判日程
☆迎賓館・横田裁判
福嶋同志裁判
3月19日(水)午後1時15分
☆水嶋同志裁判
3月14日(金)午後1時30分
☆6・12私文書弾圧裁判
3月27日(木)午後1時15分
※いずれも東京地裁
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