ZENSHIN 2003/02/10(No2088 p08)

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週刊『前進』(2088号1面1)

2月イラク開戦阻止せよ 国際連帯行動−2・23首都決起へ
 イラク反戦・有事立法粉砕へ学生運動の歴史的大爆発を
 革共同中央学生組織委員会

 02年末から03年冒頭、学生戦線でも画期的な闘いがかちとられている。12月イージス艦派兵阻止の横須賀闘争は、全学連の実力デモに千人を超える労働者市民が合流し、階級情勢を一変する闘いとなった。全学連が先頭で闘った時、労働者階級が大合流するという階級闘争の推進構造が開示された。全学連はこのような闘いの中でこそ大きく発展していくのだ。さらに、1・18〜19ワシントン行動への全学連代表団の派遣は、日本の学生運動、反戦闘争、革命運動に貢献する画期的な闘いだ。代表団は、50万人デモに合流し、また青年学生によるホワイトハウス突入闘争の先頭に立った。多くの活動家と交流し、12月横須賀闘争や動労千葉労働運動などの日本の闘いの歴史と地平を宣伝し、圧倒的に注目された。同時にアメリカの反戦闘争に多くのことを学んだ。具体的な連帯と結合をとおして学生運動の新たな段階が始まっているのだ。03年は、革命的な激動期の到来の中で、間違いなく学生運動が大躍進する年である。

 第1章 米帝を直撃する国際的大反戦闘争

 03年前半決戦は歴史を分かつような大決戦になった。
 1・18〜19ワシントン50万人デモを始めとする世界38カ国にわたる国際的な反戦闘争の大高揚の力が、1月開戦を阻止した。米帝は、戦争を発動する前に、足下の労働者階級によって包囲され直撃されるというベトナム戦争時以上の危機にたたき込まれているのだ。
 しかし米帝ブッシュは戦争を絶対やめようとしない。なぜなら、米帝の歴史的な没落と戦後世界体制の全面的な崩壊の危機があまりに深刻だからである。
 「米国は連合国を率いて武装解除する」(ブッシュ1・28一般教書演説)と米帝は宣戦布告を行った。1月27日の国連査察団報告でも大量破壊兵器開発の「決定的証拠」は見つからないことを認めながら、しかしイラクの査察への協力が「不十分」だから安保理決議1441違反だと強弁している。そして、兵力をすでに10数万人も集中し、米単独も辞さず2〜3月に開戦しようとしている。
 北朝鮮に対しても、対イラク攻撃と連動しながら、対北朝鮮包囲網を形成しつつ、国連決議から経済封鎖に突き進むタイミングを計っている。
 だが、このようなデタラメな戦争の発動は、米帝にとって、一層絶望的なものになるだろう。それは、いよいよ、全世界の労働者階級・被抑圧民族の怒りの火に油を注ぐ。革命的情勢への移行をますます促進する。
 こうした中に日帝が全面的な参戦に画歴史的に踏み出そうとしているのだ。イージス艦派兵からイラク復興支援法や有事立法を強行しようとしている。
 しかし、そのような絶望的な飛躍は日帝の危機を激成し、アジア人民、在日朝鮮人民と日本の労働者階級の大規模な決起を引き出さずにはおかない。
 まさに歴史の大きな分水嶺をこの03年前半戦は越えようとしているのだ。
 ANSWERなどが再度呼びかけている2・15ニューヨークを頂点とする2・13〜21国際反戦連帯行動が決定的な闘争になった。これと連帯して、日本の労働者人民は、2・15〜16全国統一行動、2・23反戦共同行動委員会全国総決起闘争に大結集を実現しよう。さらに、反基地闘争を全国で猛然と爆発させよう。
 2〜3月イラク開戦を労働者人民の行動で阻止するのだ。いま労働者人民の闘いが帝国主義の戦争発動を押し返しているのは紛れもない事実だ。帝国主義は自国の労働者人民が真っ向から戦争反対に立ち上がることを何よりも恐れている。すべての労働者人民が、可能な限りの最大限の方法で反戦闘争に立つ時だ。
 同時にイラク復興支援法と有事立法の成立を阻止する国会闘争に猛然と決起しよう。有事立法決戦はいよいよ後のない決戦だ。百万人署名を達成し、20労組の闘いと連帯し、数万、数十万の労働者階級の国会包囲を実現しよう。そのためにも反戦共同行動委の闘いが重要である。南北朝鮮人民・在日朝鮮人民と固く連帯し北朝鮮侵略戦争を阻止しよう。
 その土台をなすのが、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕闘争と03春闘の勝利であり、動労千葉労働運動の前進である。
 この真っただ中で杉並区議選において3候補の絶対当選をかちとろう。
 学生戦線はこの闘いのすべての先頭に立とう。そしてこの大激動の中で新歓を大成功させよう。
 戦後革命以来あるいはロシア革命以来の世界史的な大決戦が到来している。
 米帝ブッシュの凶暴な戦争政策の展開は、帝国主義の断末魔のあがきであり、延命し過ぎた帝国主義の最期の姿だ。

 第2章 世界史的な決戦期が到来している

 米帝が、ブッシュ・ドクトリンのもとで開始した世界戦争計画−イラク・北朝鮮侵略戦争はこれまでのいかなる戦争とも質を異にする戦争である。
 それは、本質的には、戦後の帝国主義世界体制の基軸をなしてきた米帝が、スーパーパワーとしての軍事力を武器にして、積極的に戦後世界体制を破壊し、暴力的に再編するという世界戦争計画を確立し、その発動に踏み出したものである。そして実体的には、残存スターリン主義である中国の体制的転覆を軸心にしつつ「テロ根絶」を押し出し、中東新植民地主義体制の暴力的再編と再植民地化を狙い、他帝国主義の戦争的粉砕をも射程に入れ、先制核攻撃や主権国家の転覆を公然と狙った凶暴な侵略戦争である。
 戦後の帝国主義世界体制の基軸をなしてきた米帝が、積極的に戦後世界体制の破壊と再編に踏み出したことの意味は重大である。戦後の帝国主義世界体制の再建は、スターリン主義の裏切りに助けられつつも、米帝の圧倒的で絶対的な力量なくしてありえなかった。70年代を境とする戦後世界体制の動揺から崩壊への転落過程においても、米帝がスターリン主義の裏切りをえじきにしながら、激しい戦争政策を発動していくことで戦後世界体制を護持しようとしてきた。しかし、90年代的に進行した戦後世界体制の崩壊の全面的な進行――ソ連スターリン主義の崩壊、アメリカ経済のバブルの崩壊、新植民地主義支配の破綻(はたん)――という事態は、米帝が、もはや戦後世界体制を支えられないことを突き出した。
 9・11反米ゲリラ戦争は、イスラム諸国人民が特殊的極限的な形態で、そのことを劇的な形で指し示したのである。
 したがって、戦後の帝国主義世界体制の基軸をなしてきた米帝が、積極的に戦後世界体制の破壊と再編に踏み出したというその凶暴性は、米帝の歴史的な没落と戦後世界体制の全面的な崩壊という危機の深刻さに規定された、選択の余地のない絶望的な凶暴化なのだ。
 そしてそれは人類を破滅に導く世界戦争過程への突入である。すべての帝国主義諸国が没落・解体か、侵略国家への飛躍かの選択をつきつけられ、帝国主義間の対立・矛盾はますます激化の一途をたどる。帝国主義とスターリン主義による戦後世界体制が全面的に崩壊し、ついに帝国主義の基本矛盾がスターリン主義の歴史的破産をも抱え込んで大爆発を開始したのである。
 だが米帝の凶暴性は強さではない。延命に次ぐ延命を重ねてきた帝国主義というあり方はもはや最末期に達しており、帝国主義的生産関係の下においては、その巨大な生産力はもはや巨大な破壊力となって世界恐慌と世界戦争を引き起こす以外になくなっている。それは、資本主義から社会主義への革命的移行が現実的な日程に上り始めたということだ。
 そして米帝の凶暴性は、その断末魔のあがきであるばかりでなく、戦後世界体制を根底で規定してきたところの労働者階級人民の闘いの世界史的うねりを、全面的に解き放つ役割を果たしている。 9・11は米帝の世界戦争計画に対する国際的な内乱の開始であった。そして、9・11は、全世界の階級闘争を一挙に新たな段階へと突入させた。同時に、恐慌・失業・戦争の時代の到来の中で労働者階級の決起が様々な形で爆発している。今や全世界の労働者階級の決起が、侵略戦争と資本攻勢という一個二重の攻撃に対決して大規模に始まったのだ。

 第3章 イラク・北朝鮮侵略戦争と有事立法攻撃を粉砕せよ

 @「証拠を査察官が発見できないからといって何もないということにはならない」「大量破壊兵器の破棄を証明する義務は査察官ではなくイラク側にある」。つまり°おまえが無実であることを自分で証明できなければおまえは有罪だ″という論理。米帝はこんなデタラメな論理を押し通して意のままにイラクへの先制攻撃をしかけようとしているのだ。 

 戦争の階級的本質

 米帝はかりにも主権国家であるフセイン政権の転覆を公言してはばからない。イラク人民の民族自決を否定して、軍事力でフセイン政権を打倒し、軍事占領し、イラク人民を軍事的植民地主義的に支配しようとしているのだ。
 そしてそのために、開戦初日から連日400発の巡航ミサイルを撃ち込むと言い(国防総省)、核兵器の使用も否定していない(カード補佐官)。そして「400万人が死亡」する(NGO・MEDACTの試算)、すなわち、イラクの人口約2千万人の5人に1人、45年沖縄戦、50年朝鮮戦争の規模の大虐殺を強行しようとしているのだ。
 米帝は何でこんなに凶暴なのか。
 9・11は戦後の米帝の中東新植民地主義支配がついに全面的な破綻にたたき込まれていることを突き出した。追い詰められた米帝は、イランを始め反米国家を壊滅させ、パレスチナ解放闘争を絶滅し、アラブ諸国全体の破壊し、中東新植民地主義体制を暴力的に再編しようとして、イラク侵略戦争にのめり込んでいるのだ。しかしそれはベトナム戦争以上の泥沼化が必至である。
 それは同時に米帝の中東石油支配の危機である。そのことをめぐって帝国主義間の再分割戦になっている。それは米帝にとって世界支配の危機である。だから中東第2の埋蔵量を有するイラクの石油を米系メジャーが手に取り戻して、中東と世界の石油支配を狙っているのだ。
 さらに米帝経済がバブル崩壊を決定的契機に恐慌に突入しつつあることの深刻さだ。それは過剰資本・過剰生産力の膨大さから29年恐慌をはるかに上回る大恐慌になる。そして、スターリン主義の歴史的破産の問題と複合しながら、帝国主義間の分裂とブロック化、帝国主義間の死闘的争闘戦を一挙に激化させる。このことを米帝は強烈に自覚して、先制的に世界を再分割するための戦争に踏み出したのである。しかしイラク侵略戦争への突入は大恐慌を最後的に大爆発させる。
 Aさらに米帝は、北朝鮮に対しても、核問題を口実に金正日政権を転覆しようとしている。北朝鮮スターリン主義の瀬戸際外交、核開発の動きは人民の立場から絶対許されないが、米・日帝国主義が核問題で北朝鮮が「脅威」としているのはデッチあげである。北朝鮮は「核開発の権利がある」と主張したに過ぎない。
 事態は、米帝というスーパーパワーが体制的危機にあえぐ残存スターリン主義の小国を抹殺しようとしているのだ。イラク侵略戦争の切迫、「悪の枢軸」論やブッシュ・ドクトリン、12月重油供給停止、対北朝鮮包囲網が北朝鮮を激しく追い詰めているのだ。
 また、対イラク政策とは違って、対北朝鮮政策については、米帝が結局、外交的手段でコントロールするのではないかという見方も誤りだ。米帝の北朝鮮侵略戦争が、中国スターリン主義の体制的転覆と対日帝争闘戦を措定した世界戦争計画の強行そのものであるということをはっきりさせる必要があるのだ。
 米帝にとって、中国スターリン主義の内的危機の爆発は、米帝の世界支配と帝国主義世界体制の大破綻となる。29年型世界大恐慌の切迫と帝国主義間争闘戦の果てしない激化の中で、その破綻点が、帝国主義間の世界再分割戦の火点となっている。米帝は、アジア勢力圏化の決定的戦場として対中国のヘゲモニーを握りしめない限り、必ず日帝の介入を引き起こすと見ている。また、この中国の危機が爆発した時、必ず人民の民族解放・革命戦争の新たな大爆発に転化する。
 こうして米帝は、中国スターリン主義の危機の爆発に対して文字どおりの世界大戦級の戦争を発動することをもって、新植民地主義支配、帝国主義間関係、対日帝関係、戦後世界体制総体を破壊的に再編していこうとしているのである。

 日帝が全面的参戦へ

 @「日本は、アメリカ、イギリスに次ぐ第三の敵国だ」(ラマダン副大統領)―これはイラクの支配階級の言葉だが、しかし、その背後には、全イスラム諸国人民の怒りがある。このことを日本の労働者人民は痛烈に自覚して闘わなければならない。イラク侵略戦争に日本帝国主義が全面的に参戦していく事態は、日本階級闘争の歴史的な一大対決の時が到来したということにほかならないのだ。
 昨年12月16日の日米安保協議委員会(2+2)において、イラク参戦や対北朝鮮政策、MDへの参加、沖縄政策など、日米安保同盟政策の全面にわたって、96年の日米安保再定義のレベルからの画然たる飛躍、世界戦争計画への完全な密着と日米共同作戦への決定的な踏み切りという重大な決断が行われている。これは日帝の絶望的な飛躍である。
 こうして日帝は、米帝と独・仏帝との矛盾が激化する中で、「新たな決議なしでも武力行使は国際法的に十分根拠がある」(外務省幹部)と、米帝のイラク攻撃を突出して全面的に支持し参戦していくのだ。また、イージス艦派兵は、米軍と自衛隊が完全に一体化してイラク爆撃を実行する画歴史的な攻撃である。
 さらにこうした中で、「米軍などの長期駐留が予想され、PKOの枠組みには収まらない(ケース)」(政府関係者)というイラク復興支援法は重大である。米軍がバグダッドに侵攻し、破壊と虐殺を強行した上に、軍事占領して民族解放闘争の圧殺に全力を挙げ、侵略戦争が泥沼化していく過程に、自衛隊も占領軍としてイラクに上陸し、民族解放闘争の圧殺に手を染めようというのだ。そして石油を始めとして利権のぶん取り合いに参画しようというのだ。
 Aさらに日帝は、9・17日朝首脳会談以降、拉致問題や核開発問題、「脱北者」問題、「スパイ工作」問題などを異様にあおりたて、北朝鮮との貿易・送金停止や「万景峰号」の入港停止、朝鮮総連への弾圧などを策動している。日帝はある面で米帝以上に北朝鮮に対する戦争的対決姿勢を強めている。
 どうしてなのか。そこには、日帝が、米帝の対北朝鮮政策の基調に沿いつつ、しかも日帝自身の戦争として北朝鮮侵略戦争をやろうとしていることがある。
 そしてその背景には、恐慌の本格化、とりわけ日米争闘戦における日帝の完全な敗勢、没落帝国主義化がある。そして、日帝はこの危機に対する絶望的なあがきとして、一方で賃金引き下げや不安定雇用化、社会保障制度解体といった労働者の生活と生存を脅かす全面的な資本攻勢を強行するとともに、他方で、結局「東アジア自由経済圏の形成」(1・1奥田ビジョン)という破局の道に突き進むことを打ち出し、そのために侵略国家への飛躍を強行しているのだ。
 Bこうした中で、日帝は、有事立法の成立に全力を挙げているのだ。
 「北朝鮮が東京を灰燼(かいじん)に帰すと宣言し、ミサイル発射を準備した場合、武力攻撃の着手だ〔したがって、自衛権を発動して北朝鮮を攻撃することができる〕」(石破防衛庁長官)
 だが北朝鮮に「東京を灰燼に帰す」ような能力も意志もない。北朝鮮は米日帝による軍事重圧、対北朝鮮包囲網で未曽有(みぞう)の体制的危機にある。それを巨大な「脅威」であるかのようにデッチあげ、そのわずかの動きをも、「武力攻撃の着手」だと決めつけ、日帝の側から先制攻撃をやろうとしているのだ。
 これが有事立法の本質だ。すなわち、米帝ブッシュの世界戦争計画、とりわけそれがイラクから北朝鮮・中国へと突き進む中で、日帝が米帝と密着して北朝鮮・中国侵略戦争に突入していくための法案である。具体的な北朝鮮・中国侵略戦争のためにこそ有事立法がある。この暴露を軸に、それを戦争国家化、暗黒政治体制化の暴露と正しく結合して一大闘争にしていくのだ。修正案は原案と基本的に同じであり、むしろ改悪である。
 また、沖縄米軍基地をめぐっても、96年の安保再定義とSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)のレベルではない、米帝の世界戦争計画のもとでの再編・強化の攻撃がかけられている。
 全世界の労働者階級・被抑圧民族がブッシュ・ドクトリンと対決している中で、このブッシュ・ドクトリンを支えているのがほかならぬ日帝・小泉の全面支持の表明であり、実体的には沖縄を始めとする巨大な在日米軍基地なのだ。

 日本の闘いの重要性

 韓国、フィリピンの闘いと並んで、日本の米軍基地撤去の闘い、安保粉砕の闘いがブッシュ・ドクトリンを粉砕する決定的な環をなす。だから、世界の労働者階級・被抑圧民族から日本の闘いに熱い期待が寄せられているのだ。現に、12月横須賀闘争の爆発をも通して、米軍兵士の内部に決定的な動揺が広がっている。この間の街宣で、米兵とその家族が多数署名に応じ、その中で米第7艦隊旗艦ブルーリッジや米第7艦隊空母キティホークの乗組員である米兵たちが、口々に「何のための攻撃だか分からない」「乗組員の3分の1は反対している」と語っている。戦艦ポチョムキンの反乱のようなことが目の前に迫っているのだ。
 闘うイスラム諸国人民、アジア人民と連帯して、沖縄闘争を先頭に米軍基地撤去、安保粉砕の闘いを大爆発させよう。

 第4章 大学の独立行政法人化阻止しよう

 寮闘争を先頭に大学の独立行政法人化阻止の闘いを反戦闘争と両輪的に闘おう。とりわけ、全国の自治寮をめぐる攻防に新たな地平を切り開き、独立行政法人化阻止闘争の展望を切り開こう。
 第一に、03年こそが決戦である。大学の独立行政法人化の動きは、現在、文科省官僚と国大協執行部が密室で法案作成を進めており、04年通常国会への法案提出を狙っている。重要なことは、各大学で、04年法人化の開始を前提に準備作業が強行されていることだ。21世紀COEプログラムの始動と一体となり、「競争原理」「国際競争力」をキーワードに国公立大学と私立大学を巻き込んだ激しい再編が始まっている。そしてそれが学生自治への攻撃や自治寮つぶしの攻撃となってかけられているのだ。
 第二に、独立行政法人化阻止闘争は、小泉・構造改革との闘いである。戦後的な大学制度を解体し、一握りの大学を対米争闘戦の戦士として使えるエリート養成機関とし、それ以外の大学はスクラップにしてしまおうとしている。それは大多数の労働者を低賃金・不安定雇用にたたき込むことの対極で、一握りのエリートを養成するものだ。同世代の青年学生がさらに激しく分断され、試験・単位・資格をめぐってさらに徹底的に競争させられるのだ。学生もまたすさまじい資本攻勢の中で生きていけないのだ。帝国主義はもはや最末期であり、とりわけ日帝は没落帝国主義化の危機から脱出できない。今こそ学生は労働者階級とともに闘いに立ち上がるべきなのだ。
 第三に、これは侵略戦争への全面参戦を開始した日帝が、学生自治、反戦闘争を根絶しようとする攻撃、治安弾圧との攻防であり、反戦闘争と一体である。独立行政法人化阻止闘争の爆発は学生の権利・自治を拡大し、反戦闘争の土台を圧倒的に押し広げるのである。

 第5章 大衆闘争高揚の中での変革と前進

 革命的情勢への移行の開始は、学生の政治的活性化と行動への決起の開始でもある。それはさまざまな形ですでに大きく始まっている。03年の学生戦線の闘いは、これらを丸ごと決起させることだ。
 行動方針をめぐる全学生大衆を相手にした白熱的な討論の切り合いが重要である。クラス討論を始めとする大衆的集団的な討論である。そのことを通して扇動が練り上げられ、丸ごと決起ということが手繰り寄せられていくのだ。この切り合いの中で、党の側も学生大衆の側も絶えず変革をかちとりながら前進し、党と学生の関係がどんどん変革されていく。
 まず行動方針を提起し、真っ向から決起を迫り、大衆的討議を始めることだ。
 さらに、われわれは、学生の意見や感覚を大胆に取り入れ、意見や感覚の違いを積極的に評価しながら、ともに行動していく中で、獲得していくことだ。この点で、アクト会議が重要である。ここで学生の意見を引き出し、行動方針や組織化の戦術、扇動の方針、スローガンなどが試され、練り上げられていくのだ。
 さらに、学生大衆との討論は、彼らに対しても変革を迫るものである。学生が即自的にぶつけてくる意見に対し、階級闘争の原則、階級的な見方を、運動の前進、行動方針に即して、学生の決起を信頼し、ねばり強く討論することである。
 これは格好よくいかない。跳ね返されても跳ね返されてもへこたれないで繰り返し突撃する根性、泥臭さが必要である。それは、共産主義者としての強さ、確信である。一つは、革命的な時代認識と歴史的な決戦性への確信である。二つには、われわれが学生共産主義者として、労働者階級の階級的前進のために闘っているのだという自覚である。三つには、『ドイツ・イデオロギー』を武器に、時代を動かす新鮮な価値観としてマルクス主義をつかむことである。
 実践的には、扇動の変革をさらに進める。扇動の問題はわれわれの闘いのあり方の問題である。丸ごと決起の実現をめざし、行動方針で迫り、全学生大衆を対象にした切り合いで勝負しているかどうかということが扇動を規定する。
 03年は『前進』を武器にマル学同中核派を爆発的に拡大しよう。
 革命的激動の到来の中で、わが学生戦線が画期的な闘いを切り開いているのとは対極で、カクマルJACはまさに陥没的な危機にある。今こそカクマルを圧倒し、全大学に中核旗を打ち立てよう。

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週刊『前進』(2088号2面1)

『政治解決路線』脱却し本部打倒へ総決起を 2・15国労中央委闘争へ

 2月15日の国労第173回拡大中央委員会闘争は、03年国鉄闘争の勝利の態勢を築く重大な闘いとなる。4党合意破綻(はたん)以後、初めての中央委であり、ここで高嶋―寺内執行部を徹底追及し、打倒しなければならない。
 高嶋―寺内らは、「ILO勧告に基づく公正な解決」を叫んでいる。だが勧告は、国鉄分割・民営化時に「反組合的差別行為はなかった」として、4党合意の受け入れを求めたものだ。4党合意が破綻した以上、それは何の展望もない。だが高嶋らは、反動革同がふりまくILO勧告による新たな「政治解決路線」の幻影にすがり、責任追及をかわし、執行部に居座ろうとしている。それは国労を「政治解決路線」の地獄に一層深く引きずり込むものだ。断じて許してはならない。
 そして、4党合意破産の責任を、闘う闘争団に転嫁し、査問委員会を継続して除名処分を策している。
 一方、昨年11月の定期大会で打ち出した「ストライキ基金の取り崩し」方針のもと、エリア本部などを握るチャレンジや反動革同が国労の財産ぶんどり、国労解体=JR連合合流路線を突っ走っている。
 彼らチャレンジや反動革同、酒田一派ら裏切り者をのさばらせていては、国労の危機は深まるばかりだ。一刻も早く裏切り者を打倒し、たたき出そう。

 反対派の混迷状況の克服を

 そのために切実に求められていることは、闘争団を始めとする4党合意反対派が、現執行部打倒―新執行部樹立へ決意も新たに総決起することである。
 今日、4党合意反対派は、4党合意粉砕の勝利的地平を切り開きながら、勝利の路線を確立できていない。「36闘争団の団結」の名による鉄建公団訴訟取り下げの策動は打ち破られたが、4党合意とは別の「政治解決」への幻想から脱却し切れていないという混迷状況にある。ある意味で、これが最大の危機である。
 1047名闘争は、解雇撤回・JR復帰をかちとる闘いである以上、JR資本と徹底的に闘わなければならない。だが、国労は一貫してJR資本との闘いを抑えてきた。その根源は「政治解決=和解路線」にある。それは自民党や関係省庁に対する「お願い」路線であり、譲歩を迫られるだけだった。そのことを徹底的に総括し、協会派や革同による「政治解決=和解路線」を根底から克服しなければならない。
 そして、闘争団がJR本体の決起を熱烈に呼びかけ、その闘いと一体となり、1047名闘争をJR資本との攻防を軸に闘わなければならない。
 国労は86年の修善寺大会において現場の力で国労の旗を守った。しかし、89年の臨時大会で決めた「全面解決要求」は、採用差別問題と「労使関係正常化」「202億損賠訴訟」などを一括して和解解決する方針だった。90年3月の和解策動は、動労千葉の前倒しストに続いて国労もストに突入する中で破産した。ここで清算事業団を解雇された1047名の解雇撤回闘争が始まる。
 だが、その後も中労委をめぐる和解策動が続き、94年の村山政権の時に、権力は202億訴訟を取り下げることで一気に闘争終結を狙ったが、これもJRとカクマルの抵抗でつぶれた。
 そうした中で、国労は「政労使交渉」を求め、96年にJR各社への「8・30申し入れ」で「国鉄改革法に基づいて推移している現状を承認」し、「JR各社の発展に寄与する」ことを表明。98年5・28反動判決以降は「政治解決」にのめり込み、宮坂「補強5項目」路線、99年3・18臨大での「国鉄改革法承認」から00年5・30の4党合意へと一気に突き進む。
 今日の反対派も8・30路線に賛成し、改革法承認にも「苦渋の選択」と称して賛成したのだ。今こそ、そのことを根底から総括し、勝利の路線を確立しよう。

 JR労資結託体制と闘おう

 今、その決定的チャンスが訪れている。JR資本とカクマルの結託体制が崩壊し始め、JR総連カクマルの内部で松崎グループと新潟グループの分裂が始まった。JR資本とカクマルは、分割・民営化以来、闘争団とJR本体の組合員に苦難を強いてきた最悪の元凶である。このJR労資結託体制と徹底的に闘い、粉砕するチャンスなのだ。
 この時にこそ、権力・資本と闘う労働組合の原則に立ち返り、闘争団とJR本体組合員の新たな団結をつくり出そう。5・27臨大闘争弾圧を粉砕する闘いは、権力に組合員を売り渡すまでに至った国労本部などの「政治解決路線」を粉砕する闘いでもある。2・3初公判−2・13第2回公判に続き、国労中央委闘争に総決起しよう。

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週刊『前進』(2088号5面1)

〈反戦と介護〉を両輪とした闘いで住民と共に行動する区議団実現を
 日本共産党はイラク反戦の側に立つ政党ではない 「国連の枠内の解決」論の犯罪性

 今度の統一地方選挙は、戦争か平和か、イラク開戦と日帝の参戦を阻止するにはどうしたらいいか、が大きな争点だ。戦争になったら、暮らしもいのちも破壊される。人びとが爆撃のもとで殺されていくのに、それと無関係に私たちの生活はない。だから、都政を革新する会の3候補は、選挙のスローガンとして、イラク・北朝鮮侵略戦争反対、有事立法反対を掲げて闘っている。戦争になったら、さまざまな権利は制限され、戦争のために物資を供出したり、労役を提供することが義務付けられることになる。北朝鮮侵略戦争のための有事法制が今度の通常国会で成立させられようとしている。だから、戦争か平和かは今日最も身近な切実な生活上の最大問題だ。ところが、日本共産党は、選挙の争点からこのイラク侵略戦争問題を追放しているのだ。

 91年湾岸戦争を支持 「イラクのクウェート侵略を制裁する戦争」

 日本共産党は、「あらゆる戦争に反対」してきた政党か。いや、けっしてそうではない。実際に戦争が始まると、戦争に賛成し、協力してきた歴史をもっている。その一番最近の現れが12年前の1991年1月の米軍を始め多国籍軍によるイラク・中東侵略戦争、いわゆる湾岸戦争だった。
 当時、マスコミはよってたかって、「イラクの侵略」を非難し、全世界がこの侵略を懲らしめるために一丸となって頑張っているという図を描こうとした。しかし、そのような宣伝のもとに行われた湾岸戦争は、実は残虐な人民虐殺戦争だった。それは帝国主義による被抑圧民族に対する帝国主義侵略戦争そのものだった。石油資源と勢力圏をめぐる米帝の侵略戦争だったということである。
 ハイテク最新鋭兵器による1カ月半にわたる空爆で朝鮮侵略戦争の1年半分、ベトナム侵略戦争の半年分の量の爆弾が投下された。
 しかも、その爆弾は「劣化ウラン弾」を大量に使った、新たな型の核兵器であり、その放射能被害は、今日に至るもイラク人民、イラクの子どもたちに甚大な影響を残し、多くの悲劇を生んでいるのである。
 ところが、当時、日本共産党は、「湾岸戦争は帝国主義戦争、侵略戦争ではない」ということを公然と叫び、真っ向から帝国主義侵略戦争を支持した。
 「国連決議がしめした目的がまちがっていなかったこと(中心目的にイラクのクウェートからの撤退の実現を掲げた戦争)をも加味して考えるなら、この戦争が国連の戦争でないにしても、それに近いもの、不正義を制裁する性格を帯びたものとしてうけとめられたとしても、不思議ではなかった」(91年3月)
 これは、「国連の戦争だから正しかった」「国連のお墨付きを得れば戦争をやってよい」と言っているのである。だが、国連は帝国主義の世界支配の道具であり、戦争遂行機関だ。「国連の戦争は正しい」というのは、米帝と国際帝国主義が中東支配の危機を、軍事力の発動によって(イラク人民の大量虐殺によって)なりふり構わずのりきろうとすることへの全面屈服を意味しているのだ。
 また、日本共産党が「国連の戦争なら正しい」という場合、それは当然にも日本も協力すべきだという議論につながってくる。日帝軍隊・自衛隊の海外派兵、侵略出兵が、「国連への協力」「国際貢献」の名で90年代を通して強化・拡大していくが、日本共産党には本質的にこれに対抗する論理がなくなってきている。
 91年湾岸戦争がどのような性格、本質をもっていたのかは、その後次々と具体的にあばかれてきた。米軍の空爆、地上軍の攻撃で、イラクの兵士や子どもたち、住民が、どれほど大きな被害を受けたか、劣化ウラン弾の被害がどれほど非人間的なものか、などなど。ところが、日本共産党は、今日にいたるも自分たちが湾岸戦争を支持したことを反省せず、開き直っているのだ。

 許せぬ国連決議賛美 「国連査察」への支持はイラク攻撃加担だ

 日本共産党は、昨年11月、イラクに対する査察を決定した国連安保理決議が上がったことに全面賛成し、イラクに対して「大量破壊兵器の査察を無条件で受け入れよ」という態度表明を行った。そしてそれこそが「アメリカの一方的な攻撃ではなく、国連による平和的解決の道」であるかのように宣伝して回った。
 だが、国連という形での査察自体が、米帝のイラク攻撃の準備であり、口実づくりであり、開戦の第一歩である。日本共産党は戦争のお先棒を担いでいる。
 最近の『赤旗』の見出しを見ていくと、国連や各国政府が、アメリカの一方的な先制攻撃を牽制(けんせい)していることを高く評価し、ここに希望を見いだせるというキャンペーンになっている(数字は『赤旗』掲載の日付)。
 「仏独『戦争回避へ共同』/イラク問題、両国首脳が表明」(1・23)
 「イラク攻撃避ける努力を/国連安保理常任理事国が表明/日本平和委員会の大使館要請に」(1・25)
 「イラク戦争/周辺6国反対で一致/外相会議共同宣言、査察完全履行求める」(1・25)
 「°イラク戦争急ぐな″米英で広がる/米民主党議員122人°査察継続を″/英大衆紙は反対署名呼びかけ」(1・26)
 「国連の枠内で解決を/インドとイランが共同宣言」(1・27)
 これらの米帝に対する「対立」は、独仏の帝国主義の石油利権などをめぐる米帝との政府間の矛盾・対立であり、またアラブの反動政府と米帝との利害対立である。民主党の「反対」も、人民の闘いの強まりに押されての動揺である。
 問題は、米帝が世界戦争計画を推し進め、「悪の枢軸」論をもってイラク攻撃に踏み切ろうと構えていること、これとの対決こそが最大の問題なのだ。
 ところが、日本共産党は、国連や各国政府の米帝を牽制する動きにのみ心を動かされ、1・18、19のような国際反戦闘争の盛り上がりを、あくまでも「各国政府を動かし、米政権を包囲」(1・23)するものとして副次的に利用するだけなのである。まったく本末転倒である。
 全世界人民の国際連帯行動こそが、帝国主義者の戦争をストップする力だ。人民が立ち上った時に歴史は動かすことができる。労働者人民は自らを解放する力を持っている――この真実を日本共産党は否定しているのだ。
 代わりに、「日本共産党、光る野党外交」と、自分たちの「外交努力」の「成果」を押し出し、自慢している。
 「日本共産党は(国際法と国連憲章に基づき国際社会の共同の努力で解決することを)9・11同時テロの直後から主張し、書簡を出して各国政府に訴えてきました。イラク問題でも中国、ベトナム首脳との会談、中東・湾岸諸国や南アジアへの代表団派遣など、各国政府との間で国際的道理と正義に基づく平和的解決で一致しました。国際社会はその方向に向かって動き出しています」(1・23)
 日本共産党の視野にあるのは、アメリカ以外の各国政府と国連幹部だけだ。人民の闘いはせいぜいその各国政府の立場を補強する材料に使われているだけなのだ。
 もう一つ、肝心な問題は、日本政府がイラク侵略戦争に積極賛成し、イージス艦派兵をもって公然と参戦したことだ。これにどういう態度をとるのか。
 筆坂秀世政策委員長は、「日本は憲法9条をもっている国であり、(イラク攻撃反対を)日本政府が真っ先にいうべきだ」と言っている(NHK日曜討論、1月26日)。
 一見もっともらしく聞こえる。だがしかしだ。日本政府は「真っ先にイラク攻撃反対をいう」態度など最初からない。それどころか、真っ先にイージス艦を派兵して、米帝ブッシュとともにイラク侵略戦争に突入しようとしているのだ。小泉政権は「憲法9条を変える」ことに全力を挙げている、そして通常国会で有事立法を成立させようと躍起になっているのだ。このことに反対して闘わないで、日本政府に「イラク攻撃に反対を真っ先に言うべきだ」と「進言」することは、日本政府の参戦を覆い隠し、擁護するものにしかならない。
 米帝のイラク攻撃に絶対反対すること、自国政府=日帝のイラク参戦と有事立法に反対すること、このことがすべての人びとに問われている。日本共産党はこの肝心のことをあいまいにしているのだ。反戦闘争の代表として、体を張って闘う候補者を議会に送ろう。

 日本共産党、ここが問題
@91年湾岸戦争の時は、「不正義を制裁する戦争」と言って米帝を支持した。
A今度は「イラクの大量破壊兵器」を取り締まるためにと、国連による査察を支持。

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週刊『前進』(2088号5面2)

「劣化ウラン弾」の惨禍 イラクの子どもたちを再び殺してはならない

 杉並では今、イラク侵略戦争開戦阻止の住民の運動がわき起こっている。
 米帝ブッシュ政権のイラク侵略戦争を開戦前になんとしても止めようと、若者から高齢者まで広範な人びとが決起している。写真展でイラクの子どもたちの現状を伝える小集会などに多くの人びとが参加し、91年湾岸戦争での米軍の劣化ウラン弾使用が子どもたちを始めとして深刻な被害を及ぼしていることを写真をとおして生々しく知ることによって、米帝の侵略戦争に怒りが沸き上がっている。
 そして同時に、この上さらに何百万人ものイラク人民を虐殺する侵略戦争が強行されようとしていることに対して、なんとしてもこの戦争を阻止しようという決起が開始されている。
 91年湾岸戦争で、バスラ周辺だけで300d、イラク全土で800dものウラン238が使用された。その放射線量は、なんと広島型原爆の1万7千倍から3万6千倍にあたる。
 劣化ウラン弾は「劣化」と付いているが、使われている物質はウラン238そのものである。原爆や原発燃料を製造する時に、天然ウランからウラン235やウラン234を分離して取り出す。ウラン235を抽出した残りのウラン238が「劣化ウラン」と呼ばれている。放射性物質そのものであり、半減期(放射能が半分になる期間)は実に45億年である。またウランは重金属としての毒性も重大な問題としてある。
 米軍はウラン235濃縮の後に残された使い道のなかった放射性廃棄物であるウラン238を、比重が大きく、固いという性質を利用して対戦車砲弾などの貫通体として利用し始めた。比重は、鉄の2・5倍、鉛の1・7倍である。この比重の重さによって高速で衝突した際に強い貫通力を持ち、頑丈な戦車の装甲も貫通する。その際に高熱を発して燃焼し、中にいる兵士を焼き殺す。この時ウラン238は微粒子となって拡散する。米軍はこれを兵器として開発し、湾岸戦争で大量に使用したのだ。少なくとも戦車からの砲弾が1万発、戦闘機からの砲弾が94万発以上使われた。
 イラクにおける劣化ウラン弾の放射線被害は時がたつにつれて一層拡大している。それも急激に増えてきている。たとえばバスラ市内の病院で死亡したがん患者は、88年は34人、10年後の98年は428人、01年は631人に達している。また、バスラ地域における子どもの悪性腫瘍(しゅよう)発生率は90年と比較して97年が120%の増加であったのに対し、99年には242%に増加している。
 放射線による健康障害は年が若いほど受けやすく、そのために白血病やガンなどの病気が子どもたちにより多く出ている。さらに、人体の中では造血器官と生殖器官が最も放射線による影響を受けやすく、そのために親の体に直接放射線被害が現れていなくても生殖器官に影響を受けていることも多いのだ。生まれてきた子どもに先天性障害が現れるケースが増えている。
 実際すでにイラクにおいては先天性の障害を持って生まれる子どもが異常に多くなっている。イラクの医師ジョワード・アル・アリさんは、「湾岸戦争の3年後から今まで、着実にガンの発生率は増え、増加率は10倍、死亡率は19倍までになっている。年齢も老人から若者まで。生まれた時から障害を持つ赤ちゃんも戦前の3倍になっている」と話している。
 劣化ウラン弾は、衝突の際に発火してウラン238が微粒子となって環境にまき散らされる。まき散らされたウラン微粒子は、直接呼吸などによって体内に入り込むだけでなく、食物連鎖の中に入り込み、人間が摂取することが考えられる。放射性物質が体内に取り入れられた場合、排せつされる以外に取り除く方法はなく、体内に蓄積されている間、長期にわたって被曝(ひばく)が続く。たとえ直ちに身体的な影響が現れるほどの被曝ではなくても、長期間に被曝することによって一定の段階で体に異状が現れるということもある。
 国連の経済制裁によってイラクでは医薬品がまったく不足しており、病気になっても薬がないために治療をうち切らざるをえないような現実が強制されている。こうした中で毎月4千人もの子どもたちが死んでいるのだ。
 イラクの子どもたちがなぜ殺されなければならないのか。米帝は、再びこのイラクの人びとの頭上に爆弾の雨を降らせ、何百万人もの人びとを虐殺しようとしているのだ。石油を強奪するためにイラク人民を大虐殺する米帝の侵略戦争を絶対に許してはならない。
 1・18、19国際反戦闘争の爆発に続く労働者人民の2月総決起でイラク侵略戦争を開戦前に止めよう。

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週刊『前進』(2088号6面1)

よく来た!ゼンガクレン   (各写真をクリックすると大きくなるものもあります)

 歓迎の握手攻め 国際連帯の新時代切り開く
 実力デモがブッシュ直撃
 ホワイトハウス前 松尾副委員長がアピール

 1月18、19日に米国の首都ワシントンDCで行われたイラク反戦50万人の大デモに全学連が歴史的な合流を果たし、国際連帯の新時代を開いた(前号既報)。本号では、全学連訪米団の活躍と交流を続報するとともに、米帝国主義の世界戦争政策と闘うアメリカの労働者・学生の反戦闘争の一端を報告したい。(本紙・水野慶太)

ホワイトハウスに向け千人の学生がデモ【1月19日 ワシントンDC】 戦争と人種差別反対

 50万人デモの翌19日、「戦争と人種差別に反対する若者&学生の行動」に全学連の訪米団が参加、ホワイトハウスへの実力闘争をともに闘った。「イラクへの戦争反対」「ペンタゴンを武装解除しろ」「戦争と人種差別(レイシズム)粉砕」などのスローガンを掲げた実力デモだ。

(写真左 ホワイトハウスに向け千人の学生がデモ【1月19日 ワシントンDC】−拡大写真

 この行動には、コロンビア大学、ジョージタウン大学、サンフランシスコ市立大学など全米から千人を超える学生が参加した。コロラドから来たという若者は「大学や地域での人種差別反対運動や青年労組活動家など地元の数百人の代表として今日は25人で来た」と話した。アイオワから来たという学生も10人の代表で来たと話した。地元から高校生もかなり参加した。
「経済制裁で1日に5000人のイラクの人びとが死んでいる」「戦争は私たちを安全にしない」と書かれたボードを持ってデモに参加【1月19日 ワシントンDC】 司法省の前で集会を始めたが、30分もすると参加者の数は次第に増え始め、数百人から最後は千人以上に膨れ上がった。この場でフィリピンのバヤン(新民族主義者同盟)の女性が「米軍は世界中に展開して何をやっているのか」と米軍基地や米軍犯罪の問題を指摘して厳しく弾劾した。
 「軍事費ではなく住宅や福祉、教育や仕事に」というスローガンもあった。米国では労働者の3分の1が医療保険に入れず、救急車(有料!)を呼ぶこともできない。住宅や教育問題も同様だ。福祉や教育などの問題は米労働者階級人民にとって死活的なテーマだ。米帝の対外侵略戦争は、同時に国内の労働者階級人民の生活を著しく脅かす。米反戦運動は人民の生死をかけた決起なのである。

(写真右 「経済制裁で1日に5000人のイラクの人びとが死んでいる」「戦争は私たちを安全にしない」と書かれたボードを持ってデモに参加【1月19日 ワシントンDC】−拡大写真

 ホワイトハウスに向けデモに出発した。トラックの荷台に乗った3〜4人の学生がデモを先導する。ゆっくり走るトラックの上から激しいアジテーションとシュプレヒコールが続く。これだとデモ隊全体との一体感が強く、デモ隊や周りの雰囲気を計算に入れてアジテーションをするのでとてもエキサイティングだ。また日本のようにデモの4列規制がないので道路いっぱいにデモの隊列が広がる。
 とても解放感がある。デモに参加した学生たちには自分たちの力で戦争を止めることができる確信があるのだろう。自分たちには社会を変革する権利があるという確信からくる明るさかもしれない。集会での発言やちょっとした会話からそれがうかがえる。
 ホワイトハウスに近付くに従い騒然とした雰囲気になっていく。警官隊が行く手を阻もうとする。「道路は誰のものだ」「われわれのものだ」。警官隊と対峙して弾劾のシュプレヒコールが続いた。デモ隊が動き始めたと思うと一斉に走り始めた。ホワイトハウス前の公園に次々突入していく。警官隊があわてて襲いかかる。13人が不当逮捕された。(追加写真)激しい抗議を続けながら公園前の交差点を解放区にして集会が始まった。道路に反戦落書きをしたり、歌ったり踊ったりのパフォーマンスもある。
全学連松尾副委員長の発言に注目が集まった【1月19日 ワシントンDC】 デモはさらに続き、別の交差点を解放区にして再度集会が行われた。デモと集会がくり返し行われる感じだ。各大学の発言が行われ、全学連からも3人の学生が発言した。松尾純一副委員長が世界の人民と連帯して帝国主義の侵略戦争を阻止しようと訴えた。続いて沖縄の学生に発言して欲しいとの声にこたえ沖縄の学生が発言した。

(写真左 全学連松尾副委員長の発言に注目が集まった【1月19日 ワシントンDC】−拡大写真

 全学連と米国の学生との間で密度の濃い交流が行われた。全学連の問いかけに対し、ある大学生は「われわれは戦争だけに反対しているわけではない。人種差別の問題、教育の問題――根は一緒だ」と語った。多くの学生が人種差別を非常に大きな問題として認識している。ある大学では当局がFBI(連邦捜査局)に協力し留学生の名簿を渡したりしているという。別の学生は「自分の国が他国を抑圧していて、自分たちの権利だけが保障されることはありえない」と語った。
 また、ある高校生は参加した理由を「私たちは何も知らされていない」「どの国にも爆弾を落としてはいけない。普段から友達と話し合っている」と話した。

 

 沖縄と横須賀を訴え

写真を手に昨年12月のイージス艦派兵阻止の横須賀闘争を報告【1月18日 ワシントンDC】 19日のホワイトハウス実力デモに先立つ18日の夕刻、「戦争と人種差別に反対する若者&学生の行動」のためのミーティングが近くの教会で行われ、全学連も参加した。

(写真右 写真を手に昨年12月のイージス艦派兵阻止の横須賀闘争を報告【1月18日 ワシントンDC】−拡大写真

 ミーティングの雰囲気はユニークだ。ステージには椅子やテーブルなど並べないでステージに直接、各大学の代表者が横一列に座り順番に話していく。人数が多くても形式張らずに自由に討論できる雰囲気だ。自己主張が強いという印象があるが、他人の話も本当に真剣に聞いている。
 大学の枠を越えて大きな反戦運動のネットワークをつくろうと議論が白熱する中で、日本から全学連が来たと紹介された。松尾副委員長がまず発言した。松尾副委員長は、日米反戦運動の連帯でイラク侵略戦争を阻止しようと訴え、小泉政権のイラク侵略戦争の参戦策動を暴露、昨年12月の横須賀イージス艦阻止闘争の報告をした。全学連が5人の逮捕者を出しながらも実力で闘いぬいたことに感動が広がった。
 ここで松尾副委員長はヘルメットを手に、日本の学生の闘争スタイルを紹介した。横須賀闘争の写真を示しながらヘルをかぶって話した。「日本の警察には暴力しかない。なぜなら彼らにはほかに何もない。戦争を止めることはわれわれの権利だ」。ここでひときわ大きな拍手が上がった。自由や正義、平和は自分たちの力で闘ってかちとるもの、人民は力を持っている、という信念をみんなが持っているようだ。
 続いて沖縄大学の学生が発言した。「沖縄を知っていますか?」「イエス」。沖縄には在日米軍基地の75%が集中し、沖縄本島の2割を基地が占領していることを話すと、みな驚きを隠せない表情に。さらに名護新基地建設の問題を訴え、沖縄がイラクや北朝鮮への出撃基地になることを阻むために沖縄人民は闘うと切々と語った。集会終了後、彼は握手と質問攻めに遭った。沖縄の学生が、闘う米国の学生たちに直接訴えたのはとても重要だった。基地闘争に関心が高く、多くの質問が出た。
 全行程をとおして全学連は歓迎され、共感を集めた。これは全学連が昨年12月に横須賀闘争を打ち抜いたことが大きい。体を張った闘いの勝利が大きな共感と連帯を生んだのだ。
  *  *  *
 2月15日のニューヨーク、16日のサンフランシスコでの大デモンストレーションを頂点に2月13〜21日の反戦週間が呼びかけられている。これにこたえ全国で国際連帯の反戦闘争に決起しよう。集会・デモ・基地闘争・署名・街宣などあらゆる行動に立とう。
 切迫するイラク開戦阻止へ、歴史的に切り開かれた国際連帯をさらに推し進め、国際反戦闘争の空前の大爆発をかちとろう。2・23全国総決起集会(東京・日比谷野外音楽堂)に総結集しよう。

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週刊『前進』(2088号7面1)

米議会前で50万人大集会

米議会前を埋め尽くす50万人【1月18日 ワシントンDC】 1月18日の早朝から、米国の首都ワシントンDCの国会議事堂前には、零下5度を下回る身体の芯まで凍るような極寒の中にもかかわらず、続々と人びとが集まってきた。何百台ものバスが次々と到着し、駅からも果てることなく人波が続いている。遠い所ではバスで24時間以上かけて来たという。米国は途方もなく広いので集会結集の大変さも日本の比ではない。ともあれ集会開始の11時前には広場は人、人、人で埋め尽くされ、集会後議会前から郊外へデモをした。
 今回のデモは公民権運動の指導者キング牧師の生誕記念日に合わせて、ANSWERが呼びかけた。ワシントンDCには東海岸を中心に50万人が、西海岸のサンフランシスコには20万人(追加写真)が集まった。元司法長官のラムゼー・クラークさん、ジェシー・ジャクソン牧師、俳優のジェシカ・ラングさん、歌手のパティ・スミスさんらも登壇した。

(写真左 米議会前を埋め尽くす50万人【1月18日 ワシントンDC】−拡大写真

 人種差別との闘い

 会場に到着して最初に会ったのがパレスチナ国旗を身にまとった青年だ。声をかけると「おれはパレスチナ人だ。米国内で人種差別と闘っている」。アラブ系やアジア系住民の参加が多いのも最近の米反戦運動の特徴のひとつだ。昨年4月にこの場所で約20万人の結集でパレスチナ連帯の集会が開かれ、大衆的な反戦運動の高揚が始まった。(追加写真
 「イラク戦争は回答ではない」と訴えた自由パレスチナ連合の代表は、聴衆に向かって「われわれ(の闘い)が回答だ」と呼びかけた。韓国真実委員会の代表は、在韓米軍による少女れき殺事件と北朝鮮侵略戦争策動を弾劾し「われわれ朝鮮人民は、戦争を止めるためにイラク人民や世界の人びととともに闘う」と決意を語った。
 フィリピンのバヤン(新民族主義者同盟)代表は、ブッシュが対テロ戦争の第2戦線としてフィリピンを位置づけていると弾劾し、「フィリピン、韓国、ビエケス、コロンビアから米軍は出ていけ」と訴えた。
 この集会を取材して感じたのは、人種差別(レイシズム)との闘いの重要性だ。米帝の侵略戦争政策は米国内の人種差別の問題と直結している。ブッシュの対テロ戦争は米国内のアラブ系やムスリム住民にも向けられている。令状なしの逮捕や強制送還が行われている。イラク反戦とアラブ系やムスリム住民の生命と生活を守る闘いは死活的に一体なのだと思う。

 ベトナム反戦世代

 集会には全世代が集まっているが、ベトナム反戦世代と若い世代が圧倒的に目立つ。話を聞いてみると労働組合などの中心メンバーもベトナム反戦世代だと言う。「始まる前に戦争を止めよう」というスローガンはこの世代から出てきているのだろう。
 ベトナム戦争で負傷して反戦活動家になったロン・コビックさん(映画「7月4日に生まれて」のモデル)が演壇から呼びかけた。「戦争を止め、この国を変えるために、あなたたちはここに来ている」。反戦を訴えるベトナム退役軍人たちの存在感は大きかった。兵役経験のある人も多く、想像以上に横須賀や沖縄に関心をもっている。
 高校生や大学生の姿も多い。集会の準備も大半は若いボランティアが担っている。若者と学生を代表してジョージタウン大学のペータ・リンゼィさんは「石油のための戦争を阻止するために、ここには大勢の若い人が集まっている。飢餓や貧困、搾取が存在する限り世界に平和はない。正義と平和が回復されるまで断固闘う」と決意を示した。

 労組が中軸を担う

全米サービス従業員労組【1月18日 ワシントンDC】 労働組合も大結集していた。SEIU(全米サービス従業員労組=写真右)のニューヨーク支部がバス20台、シカゴ教組6台など、労組の貸し切りバスが何百台も会場に到着した。
 集会中盤の発言は労働者が続いた。ニューヨークの反戦労組連でAFSCME(全米州都市職員連盟)のブレンダ・ストケリーさんが「われわれがここに来たのは戦争を止めるためだ。黙っていてはダメだ。自分たちの職場や地域で訴えよう。世界中の被抑圧民族人民のために米労働者は闘わなければならない」と訴えた。この反戦労組連は全米で結成され、教員、自治体職員、サービス業従業員、通信関係などの労組が中心だ。約200万の労組員を抱えるという。
 サンフランシスコなど西海岸でも、ILWU(国際港湾倉庫労組)を先頭に労組が反戦運動の中軸を担っている。
 米国の労働運動は80年代にレーガン政権の攻撃で壊滅的な打撃を受けた。しかし今日の資本攻勢と対決し、移民してきたヒスパニック系労働者などを新たに組織し、戦闘的に再生されつつある。米帝ブッシュの世界戦争と対決するアメリカ反戦運動の高揚の背景には、この労働運動、労働組合の再生があるのだ。

 全学連に歓迎の渦

白ヘルの全学連と真剣なまなざしで討論【1月18日 ワシントンDC】 全学連は会場の端で旗とヘルメットを出した瞬間から周りを人垣で囲まれ、歓迎の渦に巻き込まれた。笑顔での握手と抱擁が続いた。「ウェルカム ゼンガクレン」。みんなが英語の全学連ビラを奪い取るように手にし、次々と質問を浴びせかける。全学連の学生は、ビラと昨年12月の横須賀闘争の写真を手に日本での闘いを紹介、日米連帯の反戦闘争を訴えた。

(写真左 白ヘルの全学連と真剣なまなざしで討論【1月18日 ワシントンDC】)

 

 

 


 

 

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週刊『前進』(2088号6面2)

“人民の力で阻め” 全世界で反戦闘争 1・18〜19米軍基地突入も

英国フェアフォードにある米空軍基地に数十人のデモ隊がフェンスを乗り越えて突入【1月26日】 1月18・19日の両日、「湾岸戦争」12周年の巨大なイラク反戦闘争が、アメリカを始めとして全世界30数カ国で行われた。
 アメリカでは、ワシントンとサンフランシスコで、それぞれ50万人、20万人の大集会・デモが行われたほか、オレゴン州のポートランドでも2万人が反戦デモを行った。
 カナダでもモントリオール2万5千人、トロント2万人を始めとして、30都市で10万人以上の労働者人民が街頭行動に決起した。
 フランスではパリで2万人、マルセイユで1万人、イタリアではフロレンスで5千人、ローマで4千人、ドイツではローストックで5千人、ハイデルベルグで2千人のイラク反戦デモが行われた。19日にも、ベルギーのブリュッセルで1万人、スペインのマドリッドで3万人の反戦デモが行われた。
 こうした全人民的集会、デモのほかに、実際にイラク侵略戦争を阻止しようとする実力闘争もさまざまな形で爆発している。
 オランダ南東部にあるボルケル米空軍基地では、数百人のデモ隊のうち約100人の「民間査察員」が米軍の大量破壊兵器実力査察行動に決起した。全員が基地周辺を取り囲む金網を数カ所で切断して突入し、ほとんど全員が逮捕された。
 イギリスでは1月18日に、ロンドン郊外のノースウッドの英軍司令部に対し、デモ隊が軍事機密に関する法律を公然と無視して、基地内部の撮影行動を行った。さらに1月26日には、イラク爆撃を行うB52爆撃機が駐留することになるフェアフォードの米空軍基地に対して、数十人のデモ隊がフェンスを乗り越えて突入した(写真)。これも全員逮捕を覚悟した闘いであった。
 このほか、アイルランド、イタリア、スペインで米軍基地に対する闘いが行われている。スコットランドでは鉄道労働者が、中東向け軍需物資の輸送阻止の闘いに立ち上がった。

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週刊『前進』(2088号7面2)

「大量破壊兵器」「テロ支援」デマで先制攻撃を狙う米帝 2月国際反戦闘争に立とう

 1・27査察報告と1・28ブッシュ一般教書演説は、米帝がイラク開戦の最終段階に突入したことを示した。これに対し、世界の労働者人民が「戦争が始まる前に止めよう」とますます巨大な規模で決起している。この2月の闘いが一切だ。1・27報告と1・28ブッシュ演説に怒りを燃やし、イラク開戦阻止へ! 2・13〜21国際反戦連帯行動を成功させ、2・23東京・日比谷野音に大結集しよう。

 1・27ブリクス国連査察報告 “非協力”と開戦の口実作り

 1月27日、国連安全保障理事会で、国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス委員長と、国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長が、2カ月間にわたる査察状況を報告した。ブリクスは「イラクの非協力により、大量破壊兵器の疑惑が深まった」と強調し、2月14日にも追加報告を提出すると発表した。

 「数量の差」は証拠ではない

 昨年11月27日以降、査察団は米英が提供した情報などをもとに大統領府を含め400カ所以上の施設を徹底的に調べた。国連決議1441号に基づく査察はイラクの国家主権をじゅうりんし、フセイン政権を解体する内容となっているが、イラクはフセイン体制を護持する範囲内で可能な限り査察に協力した。しかし、イラクが大量破壊兵器を保持・開発している具体的な証拠はなかった。イラクの大量破壊兵器の脅威などデッチあげなのだ。
 イラクのラシド大統領顧問は、「イラクの見方に全然触れず、誇張も多い。米中央情報局(CIA)情報に基づいて調べたのに何も発見されなかった。それなのに、見つからなかった事実に触れていない」と抗議している。ブリクス報告は、あきらかに「『イラクの違反』を主張したい英米の意図をくんだ結果」(アジア経済研究所の酒井啓子主任研究員)なのだ。
 ブリクス報告は、以前に保有していたVXガス、炭そ菌などを廃棄した証拠がない、イラク人科学者から核関連文書が見つかったことは、文書を隠匿しようとしたと考えざるをえないなどと指摘した。また、査察の大きな障害として、イラク側が米軍U―2偵察機の使用を拒否したり、科学者との立会人なしの聴取に協力的でないことなどを批判。査察団の前でイラク市民がデモ行進するなどの「いやがらせ」があったとイラクを非難した。すべて戦争を正当化するための言いがかりだ。
 米帝は過去にイラクが保有していた大量破壊兵器と、国連によって廃棄が確認された大量破壊兵器の「数量差」をもって、イラクが大量破壊兵器を隠している証拠だと決めつけている。ブリクスもこれと同じインチキな論法を使っている。すべての化学、生物兵器の行方を証明することなど不可能であり、これではイラクは疑惑を晴らしようがない。米軍の爆撃でどれだけの兵器が爆破されたのか、イラクが自主的に廃棄した数量はどれだけか、遺失した分はどれくらいかを立証できないからだ。
 軍事的に意味があるレベルで言えば、イラクは大量破壊兵器を持ってはいないし、大量破壊兵器の生産に必要な産業基盤そのものが壊滅状態にある。91〜98年の査察でイラクが持つ大量破壊兵器の90〜95%は確実に廃棄された。たとえ一部が残っていたとしても、化学、生物兵器は3〜5年ほどで無力化している。また査察が途絶えた98年以降に、イラクが多額の資金と高度の技術、大規模な施設を必要とする大量破壊兵器の生産能力を、厳しい経済制裁下で、しかも偵察衛星やCIAの情報網をかいくぐって再建したことなどありえないし、仮にそうした兆候があれば、今回の査察ですぐに判明したはずだ。
 VXガスについては、1996年に「研究開発プラントは破壊され、前駆物質は廃棄され、兵器も廃棄され、工場も破壊されている」(『イラク戦争』/元国連査察官スコット・リッターの証言)。イラクの科学者宅で発見された文書は、レーザーを使ってウランを濃縮する技術に関するもので、イラクの産業技術上のレベルでは不可能であると1988年に断念した計画に関するものであり、そのことは国連に報告済みである。核物理学者がこうした文書を所持していることはなんら不思議なことではなく、イラクに核物理学者がいること自体が核開発を狙っている証拠だと騒いでいるにすぎない。
 すでに米英軍がイラク総攻撃の前哨戦として爆撃を繰り返している中で、米軍のU−2偵察機がイラク全土を自由に飛び回ることを認めろというのは、事実上米軍のイラク攻撃を支援するに等しいことだ。イラク人科学者を強制尋問し、亡命を奨励することが国連のやることなのか。イラクの主権をはく奪し、イラク攻撃の口実づくりのための査察に抗議し、イラク人民がデモするのは当然だ。こうした理不尽な要求まで完全に飲めば、米帝との戦争に備えるイラク軍民の志気がくじかれ、フセインは指導者としての支持を失うだろう。要するに、ブリクスはフセインが米帝に白旗を掲げて全面降伏しないことが問題だと言っているのだ。

 米の大量破壊兵器こそ脅威

 何よりも、米帝が「大量破壊兵器」を戦争の口実とすること自体が絶対許せない。当初イラクの自己申告書は、核開発などに直接つながる情報を削除して国連が公表することになっていた。米帝はこれを横取りし、5常任理事国がイラクに大量破壊兵器を与えたことが記載された部分をすべて削除したうえで、非常任理事国に提示するやり方をとった。そうして12000nのうち、なんと8500nを削除してしまった! イラクの責任を問うなら、イラクに大量破壊兵器を与え、イラン・イラク戦争の過程で化学兵器を使用することを容認した米帝の責任はどうなるのか。
 ブッシュ政権は包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准や生物兵器禁止条約(BWC)検証のための議定書を拒否して、地下貫通型の戦術核兵器などの大量破壊兵器を開発し、非核保有国に対しても先制核攻撃をすると宣言している。米帝は核拡散禁止条約(NPT)を根拠に、イラク、北朝鮮、イランの核開発を問題にしているが、同条約は他方で核を独占する5カ国に核軍縮の義務を負わせている。米帝は地球を何百回も破滅させられるほどの核兵器を独占的に保有している。その米帝がさらに核開発を進めている現状で、他国に核開発を禁じることに正当性があるのか。
 米帝が「無法者政権」(=反米政権)と見なした国の大量破壊兵器を口実に戦争を行うのは、今後米帝が核兵器を使って世界戦争戦略を全面発動していくためだ。ブッシュ政権の世界戦争戦略を粉砕し、米帝(国際帝国主義)を打倒することこそ、人類が「大量破壊兵器の脅威」から自由になる唯一の道なのだ。
 米帝にとって、査察はイラクに戦争をしかける口実づくりでしかない。パウエル国務長官は26日、「(国連決議は)査察官が大量破壊兵器を見つけるの(が狙い)ではなくて、イラクに情報提供と武装解除を義務づけたもの。虚偽の申告と査察への非協力自体が問題だ」と、世界経済フォーラム(ダボス会議)で演説した。パウエルは、ブリクス報告を受けて、「イラクが平和的な武装解除を選択するための時間は急速になくなりつつある。米国は主権国家として、同じ考えを持つ国と、武力行使の決断を下す権利がある」と、事実上イラク開戦が不可避となったと主張した。
 米帝は2月下旬から3月冒頭の開戦に向けて同盟国との詰めの協議に入った。全世界の人民の闘いだけが、イラク侵略戦争を阻止する力である。ブリクス報告を徹底的に弾劾し、「イラクの大量破壊兵器が脅威」なるデマを粉砕して、イラク開戦を阻止しよう。

 1・28ブッシュ一般教書演説 ゛無法者政権゛はブッシュだ

 ブッシュ大統領は28日、03年の施政方針を示す一般教書演説を行った。
 ブッシュは「今日、テロとの戦いにおいて、米国や世界が直面している最も深刻な危険は、核、化学、生物兵器を求め、所有する無法者政権だ」と主張し、20世紀に「ヒトラーや軍事独裁、共産主義」をうち破ったように、イラク、北朝鮮などを粉砕すると叫んだ。そして「米国の旗は力や利益以上のものを象徴している」「米国は強大であり、崇高な意志を持って力を行使する」と言い、圧倒的な軍事力で世界を新たな米帝的秩序に再編していくことをあきらかにした。
 ブッシュは、イラクが国連決議に違反していると断じ、フセイン政権打倒の武力行使の決意を鮮明にした。そして、国連安保理を2月5日に開くことを要請し、その場でイラクの大量破壊兵器保有やテロ組織との関係を示す証拠を提示すると述べた。その際、「この国の針路を他国の決定にゆだねることはしない」「われわれは協議はするが、フセインが武装解除しなければ、米国は連合軍を率いて彼を武装解除する」と強調し、イラクと世界各国に米側の「証拠」を一方的に突きつけ、国連決議がなくてもイラク攻撃を行うことをあきらかにした。
 そして、イラクとアルカイダとの結びつきをデッチあげ、「9月11日の19人のハイジャック犯が別の武器も持っていたと想像してほしい」と不安をあおり、将来の脅威に対する先制攻撃が必要だと強弁した。
 ブッシュは「テロリストと関係し、潜在的な富を持つ残忍な独裁者が、きわめて重要な地域を支配し、米国を脅かすことを許さない」「経済制裁も国際社会からの孤立も巡航ミサイルによる攻撃もフセインの大量破壊兵器追求を止められなかった」と述べた。
 言うまでもなく「潜在的富」とは石油であり、「極めて重要な地域」とは世界の石油埋蔵量の65%が集中する中東地域のことだ。
 米帝は91年湾岸戦争後、徹底的な経済制裁を行い、国土の3分の2を飛行禁止区域に設定し、無法な爆撃をくり返してきた。そして91〜98年まで米英の諜報関係者が多数を占めた査察団を送り込んで、イラク・フセイン体制の転覆を試みた。にもかかわらず、フセイン政権は米帝がイラクやパレスチナで行っている不正義を告発する存在として、中東地域での存在感を増しつつある。そしてフランス、ロシアなどがイラクの石油権益と結びついている。ブッシュはこうした現実をもはや容認できないと言っているのだ。
 ブッシュは、米軍兵士に対し「戦いの成否は諸君にかかっている」「戦争の技術は変化しても、戦争のリスクと苦しみは変わらない。後に続く葬送の日々の悲しみを知っている」と述べ、米帝の石油権益と世界支配のための戦争で死んでこいと命じた。
 北朝鮮に対しては、「核兵器は孤立と経済破たんと困難の継続をもたらすだけだとわからせる」と言い、当面は安保理決議や経済制裁などで締め上げていく方針を示した。
 一般教書演説の前半部分では、「所得税減税」と「株式配当課税の撤廃」という金持ち優遇の新経済政策を発表した。また「歳出を抑制する」「公的健康保険制度で問題は解決しない」と述べ、イラク戦費、ミサイル防衛予算など軍事費が大幅に増えた分だけ、社会保障や福祉予算を削減するとした。
 02年の米国内総生産(GDP)に対する経常赤字の割合は5%に迫り過去最悪を記録し、財政収支も5年ぶりに赤字に転落した。海外資金の流入が減少し、ドルはじり安傾向を強めている。もはやブッシュ政権は労働者人民に一切の犠牲を集中し、戦争と大軍拡に突っ込むしかなくなっているのだ。

 イラク人民の大虐殺許すな

 ブッシュが「抑圧されたイラクの人びとを解放する」などと宣伝することほど、許し難いことはない。これは湾岸戦争をはるかに上回るイラク人民の大虐殺戦争なのだ。
 米国防総省は対イラク攻撃の初日だけで、湾岸戦争の40日間に発射した総数を上回る3〜4百発の巡航ミサイルを撃ち込むという。さらに500万都市バグダッドを猛爆撃し、地上戦を展開しようとしている。
 英国人医師団体「メダクト」は、通常兵器によるイラク攻撃でも最大50万人のイラク人民が虐殺されると指摘した。国連の内部メモには、経済制裁の結果、現在も60%のイラク人民が配給に頼っており、戦争で配給システムがストップすれば、約300万人の母親と幼い子どもたちが飢餓に直面すると書かれている。
 なぜ米帝はこうも残虐で理不尽な戦争に訴えるのか。それは、すでに米経済の崩壊−世界大恐慌過程に突入した中で、9・11を契機に米帝の世界支配−階級支配の危機が大爆発し始めたからだ。ブッシュ政権は、アメリカの労働者人民を「反テロ」「民主主義の拡大」なる偽りのイデオロギーで民族解放闘争を圧殺する侵略戦争に動員し、世界支配−国内階級支配を暴力的に貫こうとしている。そして他帝国主義をうち負かし、世界を灰にしてでも米帝だけは延命しようとしているのだ。
 しかし、イラク侵略戦争は、米帝の予想をもはるかに超えて泥沼化し国際的内乱に発展する。世界大恐慌も本格的に爆発する。世界大恐慌と世界戦争に突き進む帝国主義を打倒する以外に、労働者階級人民の生きる道はない。
 ブッシュは25日、小泉首相と電話で会談し、日米の緊密な連携を確認した。日帝・小泉政権は、米帝のイラク侵略戦争支持へと国際世論を誘導する役を担い、自らも参戦し、イラクの「戦後復興」=植民地主義的な軍事支配に参加しようとしている。
 日本人民の責任は重大だ。イラク侵略戦争阻止・有事立法粉砕へ、2・13〜21国際反戦連帯行動に決起し、2・23闘争を大爆発させよう。
 〔早乙女優〕

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週刊『前進』(2088号7面3)

米国ブッシュ政権は対イラク、対北韓戦争策動を直ちに中止せよ!
 民主労総の1・18国際連帯アピール

 1・18〜19の国際反戦闘争に、韓国の民主労総がアピールを発した。全文を紹介します。南北・在日朝鮮人民と連帯し、国際反戦連帯行動を前進させよう。(編集局)
  ◇ ◇ ◇
 韓国労働者民衆の希望・民主労総が、世界平和の実現に向け立ち上がられた、ANSWERを始めとする良心的な米国民と全世界の平和を愛する民衆に熱い連帯のあいさつを送ります。
 平和と統一を追い求める韓国の労働者民衆は、超国家的資本、軍産複合体の果てしなき欲望を背に全世界に向かって一方主義的な軍事・政治・経済的侵略と脅しをほしいままにしている米国ブッシュ政権の帝国主義的横暴とごう慢さに非常に怒っています。
 米国ブッシュ政権の対アフガニスタン侵略戦争に続く対イラク戦争策動は、中東地域の石油利権を独占するための明白な侵略行為です。9・11テロに対する米国民の怒りを悪用し、より大きな国家的テロ行為である侵略戦争を強行するのは、就任と同時に敵対と緊張を急激に高めてきたブッシュ自身の責任を回避しようとする最悪の行為であり、今日われわれが思い出そうとしている平和の伝道師マーティン・ルーサー・キングを始めとするテロと戦争の犠牲者を二度殺し辱める行為です。ブッシュ政権のイラク戦争策動はただちに中止されなければなりません。
 また、ブッシュの「悪の枢軸」発言ならびに核先制攻撃の脅しと北核騒動誘発、重油供給中断、公海上での海賊行為などに始まった最近の韓半島危機の再発も、東北アジア民衆の生存権と自主権、さらには人類社会の安寧を無視し、ただただ自らの政治的後援者である軍産複合体の死活的利害のかかったMD体制構築に血眼になったブッシュ師団の犯罪的陰謀の目標であり結果です。全世界がたたえた6・15共同宣言を契機とした南北韓民衆の平和と統一に向けた貴重な前進を真っ向から阻んできたブッシュ政権の侵略的北核騒動は、ただちに中止されなければなりません。さらには、韓半島の分断と東北アジアの冷戦維持の手段である駐韓米軍の撤収と軍備縮小、東北アジア非核地帯化実現などの内容を盛り込んだ北−米相互不可侵および平和協定の締結に向けた誠実な対話と交渉がただちに開始されなければなりません。
 韓国労働者と民衆の民族自主権回復に向けたろうそくデモは、1月18日も続けられるであろうし、平和と差別撤廃を願う世界人の心の中に、けっして消えることのない良心の炎としていっそう広がってゆくものと固く信じます。
 平和! 親善! 連帯! 闘争!
2003年1月18日
大韓民国 ソウル
 全国民主労働組合総連盟

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