ZENSHIN 2001/10/22(No2026 p06)

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週刊『前進』(2026号1面1)

 革共同の緊急アピール

 空爆阻止、参戦法案粉砕 10・21を新たな国際反戦デーとせよ

 闘うイスラム諸国人民と連帯し、帝国主義のアフガニスタン侵略戦争を阻止しよう

 戦争国家化阻止・小泉政権打倒を

 アメリカ帝国主義は、十月七日をもって、ついにアフガニスタン―イスラム諸国に対する長期の残酷で泥沼的な帝国主義侵略戦争に踏み切った。日本帝国主義もまた、戦争国家への反動的「飛躍」と、かつ中央アジアならびに東アジアの勢力圏再分割戦への参入をかけて参戦する国家的決断をした。アフガニスタン侵略戦争は、徹頭徹尾帝国主義の、帝国主義による、帝国主義のための、侵略戦争である。二十一世紀冒頭に開始された戦争のこの階級的性格を鮮明に認識しなければならない。われわれは、ここに新たに〈闘うイスラム諸国人民と連帯し、帝国主義のアフガニスタン侵略戦争を阻止せよ〉の国際反戦闘争スローガンを提起し、帝国主義足下の労働者階級人民の渾身(こんしん)の総決起を呼びかける。「九・一一テロ非難」の大合唱を粉砕し、一切の帝国主義的民族主義・排外主義を打ち破って決起しよう。社・共をのりこえ、連合指導部を打倒し、カクマル中央派およびカクマルJR総連派を打倒・解体し、日本の地から国際反戦闘争の大波を起こそう! 自衛隊出兵とテロ対策法案、自衛隊法改悪を突破口に有事立法・憲法改悪―戦争国家化を推し進める日帝・小泉政権を今こそ実力で打倒せよ! 国会闘争、基地闘争、反軍闘争を闘い、十・二一国際反戦デーに大結集しよう! 十一・一一全国労働者総決起集会に職場から、地域から、総結集しよう! 今秋を国際反戦闘争の炎で赤々と染めあげよう!

 第1章 苦難のアフガニスタン人民を襲う侵略戦争

 米帝ブッシュは十月七日、「長期にわたる大規模な包括的・計画的な軍事行動を行う」「犠牲を覚悟せよ」と言い放った。さらに八日には「地球規模の対テロ攻撃を行う。場所は問わない」と歴史上最も不正義の戦争宣言を発した。
 米軍は、英軍とともに、十月七、八、九、十、十一日と連日の空爆をアフガニスタン人民に加えた。爆撃機、戦闘機による爆撃とインド洋、アラビア海からの巡航ミサイル攻撃を次々と強行した。軍事施設を標的にしていると言いながら、何波にもわたる首都攻撃など都市攻撃をかけ、石油備蓄基地を破壊し、オマル師の自宅を狙い、NGO事務所を破壊し、アフガニスタンの多くの民間人を無差別的に爆撃・殺戮(さつりく)している。
 同時に、北部同盟への露骨なテコ入れ、元国王ザヒル引き出しによるかいらい政権デッチあげを図っている。次には特殊部隊を投入し、山岳師団、海兵隊による地上戦=せん滅戦に移るという。タリバン政権の破壊・転覆を直接の目的にした攻撃ががんがんと打ち出されているのだ。
 しかも「国際テロ支援システムを破壊する」と公言している。米帝ブッシュ政権は「ビンラディン・アルカイダに報復する」とする軍事攻撃を果てしなくエスカレートさせているのだ。ビンラディンの関与について「証拠は示されていない」とイスラム諸国外相会議が確認しているにもかかわらず、なんでもデッチあげる帝国主義のあまりにも卑劣な戦争のやり方を断じて許してはならない。
 そもそも、世界の中の最貧国の一つであるアフガニスタンに対して、富と力を誇るアメリカ帝国主義を始めとする帝国主義連合軍が総力を傾けて襲いかかっていることを到底許すことはできない。
 一人当たりGDPを見ると(世界銀行統計、二〇〇〇年)、アメリカでは三万千九百jであるところ、タジキスタンは百七十j、パキスタンは四百六十jであり、アフガニスタンは統計すらなく、人びとは三年続きの飢餓と二十年余の戦禍にあえいでいる。子どもたちは次々と死に、このままではこの冬には十万人が餓死するという恐るべき危機が訴えられている。すでに三百七十万人の難民が生み出されている。この貧しく、苦難に直面するアフガニスタンに対して、こともあろうに世界最大最強の国家が最新兵器による一方的攻撃を加えるなどということの、どこが「正義」か、どこが「人道」か。そんな偽善の「民主主義国家」の方こそ滅ぶべきなのだ。
 だが問題は、巨大な強国が世界の最貧国に襲いかかるなどということがなぜ、どうして起こってくるのかである。戦争はなぜ起こったのか、その戦争目的は何か、そしてそれを終わらせるためにはどうするのかがまさに問題なのである。
 結論的に言って、アフガニスタン侵略戦争は、新たな勢力圏分割=石油・天然ガス資源争奪をめぐる帝国主義相互間の、ロシア、中国を巻き込んだつぶし合いをかけた強盗戦争として起こっている。したがって、中国、南北朝鮮への侵略戦争へと必然的に連動し発展していく果てしない侵略戦争としてある。何よりもまた、パレスチナを始めイスラム諸国人民の民族解放の願いと闘いとその大義を踏みにじる、まさに民族自決を暴力的に否定しさるための侵略戦争として起こされたのだ。同時に、アメリカ労働者階級を始めとする帝国主義諸国の労働者階級を戦時体制の名で暗黒支配のもとに組み敷きつつ、賃金奴隷制を維持し延命させるための上からの階級戦争としてある。
 したがって、アフガニスタン侵略戦争に対する戦争反対の闘いは、戦争の根源である帝国主義の打倒として貫く以外には、けっして勝利することができないのである。

 第2章 帝国主義の基本矛盾がついに爆発した

 〈闘うイスラム諸国人民と連帯し、帝国主義のアフガニスタン侵略戦争を阻止せよ〉、あるいは〈闘うイスラム諸国人民と連帯し、帝国主義のアフガニスタン侵略戦争を国際的内乱に転化せよ〉――このスローガンを、わが革共同は、九・一一反米ゲリラ戦争の根底にある全世界の被抑圧民族の苦悩、とりわけパレスチナ人民の叫びを真っ向から受けとめるものとして提起する。同時に、これこそ九・一一ゲリラをのりこえる道であることを、反スターリン主義・革命的共産主義者の党の責任において提起するものである。
*「イスラム諸国」という言葉を、われわれはパレスチナ人民あるいは樹立されるべきパレスチナ国家を含むものとして使用する。
 第一に、米帝は九・一一とその衝撃を逆転的に使って、「テロへの報復・根絶」の名による侵略戦争をイスラム諸国に拡大しつつ、没落帝国主義=米帝の建て直しのための帝国主義的国益をかけた争闘戦激化と世界大戦級の戦争にあえて打って出たのである。
 旧ソ連圏であった中央アジアは石油・天然ガスの宝庫と言われる。アフガニスタンは中央アジアをインド洋、アラビア海につなぐ戦略的要衝に位置する。世界の再分割戦に虎視眈々(こしたんたん)と構える米帝国主義など帝国主義諸国にとって、広大な中央アジア諸国はソ連スターリン主義崩壊によって浮かび上がった、いわば「新たな」地域である。
 帝国主義は、アフガニスタン侵略戦争をもって、中東から中央アジアにわたる広大な地域の勢力圏分割、石油・天然ガスなど膨大な資源の強奪のために、帝国主義相互のつぶし合い戦=強盗戦争に突入したのだ。
 それはしたがって、帝国主義と旧スターリン主義ロシア、帝国主義と残存スターリン主義中国、ロシアと中国、さらには橋本政権以来のシルクロード外交を推進してきた日帝と米帝との対立を激しく促進するものとなる。それらのパワーポリティクスの展開をとおして、中央アジアおよび南北朝鮮や中国など東アジアの勢力圏化をめぐる帝国主義間戦争を不可避的に成熟させていくものとなる。
 世界に向かって「アメリカをとるかテロリズムをとるか、二つに一つだ」と傲然(ごうぜん)と言い放つブッシュ。その言辞は、まさに諸帝国主義をアメリカ帝国主義のもとに組み敷くための戦争であることを自認するものだ。米帝ブッシュ政権は新軍事戦略を形成し、本土防衛の名で全世界にミサイル防衛網を張りめぐらせ、米軍の前方展開を戦略化し、かつ核戦争体制を再構築し、その照準を対中国スターリン主義と対日帝にすえている。
 他方で、米帝はバブル経済の崩壊の危機に落ち込み、いかんともし難い過剰資本・過剰生産力の矛盾にあえぎ、経済危機の激化はとどまるところを知らない。ITバブルの崩壊はやはり決定的な基軸の崩壊という意味を持っている。
 そこに九・一一ショックが加わり、一方では、現代帝国主義の戦略産業である航空運輸業と航空機産業が深刻なダメージを受け、ほとんど沈没の局面に落ち込んでおり、他方では、個人消費は急速に冷え込み、経済再建の契機はことごとく失われている。米帝は、ブロック化政策を著しく強化するとともに、米経済の恐慌化をどう脱するかの重大な岐路にある。そこから、ブッシュ政権はなりふり構わず航空運輸・生産に五百億jもの膨大な国家資金を投入している。それはもう恐慌対策そのものである。さらに米帝にとって今最も切実で困難な問題は財政危機転落の中での戦費調達であり、戦時公債の発行が日程に上っている。
 米帝は、軍事面からも、経済面からも、戦争に進む以外にないところに立っているのである。したがって、アフガニスタン侵略戦争は、米帝にとって第二次世界大戦時以上の国家総力戦でなければならず、新軍事戦略を一層エスカレートさせ、世界を第三次世界大戦と二九年型世界大恐慌への道に引きずり込むしかないのである。
 第二に、この侵略戦争は、「国際テロ根絶」を掲げて、明らかに全世界のイスラム復興運動を敵とし、イスラム諸国そのものをも敵とする戦争である。イスラムをよりどころにして帝国主義の新植民地主義的支配、とりわけパレスチナ圧殺・イスラエル護持・中東石油支配に抵抗するすべての運動を暴力的に根絶しようとする被抑圧民族圧殺の皆殺し戦争である。
 帝国主義諸国は早くも「タリバン政権崩壊以後」を工作し、互いに先駆けようとしている。つい数年前までは、パキスタンを支えつつ、タリバンを押し出してきた米帝が、今はタリバン政権に刃向かう北部同盟をバックアップしている現実を見よ。ブッシュはイラクに対して「反米勢力を支援するなら軍事攻撃を行う」と直接的な恫喝を加えている。また、実際にフィリピン、インドネシア、マレーシアのイスラム武装勢力への軍事作戦を拡大させると公言している。それらの本質にあるのは、アフガニスタン人民ひいてはイスラム諸国人民の民族自決の根底的な否定である。
 隣国パキスタンの人民は米軍の軍事攻撃に怒り、内戦化が進行している。イスラム教徒が人口のほとんどを占めるインドネシアでは連日のように反米デモが繰り広げられている。われわれは、イスラム諸国の十二億の人民がアフガニスタン侵略戦争を自らに対する侵略戦争ととらえていることを受けとめ、肉迫していかなければならない。
 すなわち、イスラエル・シャロン政権が今パレスチナに対して強行している残虐なせん滅戦争を、イスラム世界全体に拡大しようというのが米帝ブッシュの開始した侵略戦争なのである。ブッシュの「十字軍」発言は米帝の本音である。
 米帝は「九・一一テロを根絶する」と豪語してこの侵略戦争を発動したが、それは九・一一という形をとったパレスチナ人民と全世界の被抑圧民族の積もりに積もった怒りと憎しみの爆発を抑えるどころか、むしろ決定的に激化させる以外の何ものでもない。なぜなら、パレスチナ人民の忍耐と犠牲は完全に限界を超えていたのであり、九・一一はそれに突き動かされて炸裂(さくれつ)した。米帝はまさにどのような憎しみの報復を受けてもあまりにも当然という事態を自らつくり出していたのである。
 米帝はただただ報復を叫び、九・一一を必然化させた根本的矛盾を開き直り、むしろより暴力的、一方的に、がむしゃらに激化させようとしている。それは九・一一を不断に再生産するだけである。
 第一次世界大戦中以来、帝国主義はパレスチナ圧殺・シオニズム支持の民族抑圧政策を押し貫き、第二次世界大戦後にイスラエル建国を強行し、数次にわたる戦争を経て今日に至っている。米帝のその中東・アラブ支配、中東和平策動は歴史的に完全に破産しているのである。
 パレスチナ人民のパレスチナ国家建設、イスラエル打倒、米帝の中東支配打倒という、侵すことのできない、生死をかけた、切実な民族自決の要求を断固支持しよう。この立場から、史上最悪・最凶暴のアフガニスタン侵略戦争を自らの階級的存立をかけて絶対に阻止しよう。
 第三に、アメリカ労働者階級の中から起こりつつある「報復反対」の歴史的総決起に熱烈に連帯し、アメリカ労働運動の階級的再生を支持し、アメリカ革命運動の再生のためにともに闘おう。
 米帝は、今、テロリストとその集団と見なした者は無期限拘束可能という悪法を制定しようとしている。アラブ人民に対するヘイト・クライム(差別と偏見による襲撃)が激化し、死者さえ出ている。「イスラム原理主義者の報復を予防する」という名で、逮捕、盗聴、密告の恐怖政治が敷かれ、失業の増大、労働者の無権利化が進み、相まってアメリカは暗黒社会と化しつつある。そのブッシュへの支持が九割近くにも達するという政治状況の中で、だが断固として排外主義・愛国主義と闘う運動が組織されつつある。
 五〇年代後半に米共産党に反逆して闘い抜いた独立左翼労組である米電機労組(UE)が報復戦争反対の声明を発した。彼らは韓国・民主労総の声明を受けとめつつ、「九・一一の悲劇を、われわれの市民的自由を奪い、生命のより多くの大虐殺や無意味な損失だけに至らせる軍事的な冒険のために利用することに対して、われわれの抵抗を宣言する」と毅然たる階級的態度を打ち出した。
 またアメリカ社会の中でレーガン反革命以来の資本攻勢の最大の犠牲転嫁の攻撃を受けてきたのは黒人労働者である。彼らは、イスラムコミュニティーなどを軸に、差別と迫害、低賃金と大失業に抗しつつ、営々と闘い抜いてきており、今や九・一一の衝撃をつかみ、ブッシュの「報復」に名を借りたイスラム国家への侵略戦争に憤激して新たな胎動をつくりつつある。
 全米で巻き起こっている反戦闘争の中では、「国家による暴力をこれ以上許すな! アラブ人やイスラム教徒に対するこれ以上の排外主義襲撃に反対! 市民の自由を守ろう!」という叫びが共通のものとなっている(ピース・プロテスト・ネットの声明)。特に労働者階級は、広範な規模で「テロをもたらしたグローバリゼーション反対」の声をあげている。アメリカ帝国主義の世界支配が自らへの資本攻勢の嵐(あらし)とそれによる過酷な労働者支配によって初めて成り立っていることを階級的直感でつかみ、根本的な拒否を突きつけているのである。
 アメリカ労働者階級は、九・一一による凄絶(せいぜつ)な苦しみの試練をのりこえて、労働者階級本来の階級性をつかみなおし、決起しつつあるのだ。断固として連帯して闘おう。
 第四に、日本の労働者人民の日帝・小泉政権打倒と参戦阻止の闘いこそが今最も求められている。
 日帝・小泉政権は、「多少の犠牲はやむをえない」と公言して自衛隊を実際に戦場に送ることに踏み切った。そのことをテコにして、憲法じゅうりん・憲法停止のテロ対策法案および自衛隊法改悪案を強権的に推し進めている。それは武器使用の拡大、無限定の地域への自衛隊出兵であり、参戦法案=有事立法そのものである。防衛機密、そのための罰則規定が盛り込まれたことは、事実上の国家機密法である。そこで言う難民支援とは、タリバン後への日帝としての侵略のための策略の一環でもある。
 日帝は、軍事的対立をはらむ帝国主義的勢力圏分割戦に参戦するためには、もはや後はないという攻撃にはっきりと転じている。それは日米同盟強化の形態と過程をとりつつも、米帝的戦後体制の打破、日米対立の激化となっていくしかないものである。
 入管攻撃が激化し、すでにアフガニスタン人、ウズベキスタン人を逮捕し、収容所に閉じ込める攻撃が襲いかかっている。
 破防法の改悪、対象施設の拡大がもくろまれている。爆弾テロ防止条約を臨時国会で批准するとともに、その国内法化として生物兵器関連法、爆発物取締罰則など七つの法改悪案が臨時国会に提出される。
 機動隊四百人が在沖米軍基地の防衛のために自衛隊基地から派遣された。沖縄は、アフガニスタン侵略戦争の最前線基地として、戦火に燃える島となっても構わないという位置づけをされ、沖縄人民に再び沖縄戦を強制する攻撃が推し進められているのだ。
 小泉の「聖域なき構造改革」が九・一一と十・七をもって、その戦争国家づくりの攻撃を全面化するところとなっているのである。
 この中で、資本攻勢は労働組合・労働運動解体の階級戦争の本質をむき出しにしている。連合は総屈服し、日本共産党スターリン主義は、「主義主張にかかわらずテロに反対」と声明し、一切の反戦闘争を頭から否定し敵対している。
 日本の労働者階級人民は、以上のようにアフガニスタン侵略戦争の本質が、帝国主義の基本矛盾の大爆発としての戦争であることをしっかりとつかみ、その一環としての自国帝国主義・日帝の本格的な侵略戦争参戦=戦争国家化の大攻撃を真っ向から粉砕する闘いに総決起していかなければならない。今こそ小泉政権を打倒しよう。

 第3章 21世紀革命の勝利の道を突き進め

 二十世紀はおびただしい流血と破壊をもたらした帝国主義戦争と、一九一七年ロシア革命を源流とする革命の世紀であった。世界の推定戦死者は十六世紀に百六十万人であったのに、十七世紀には六百十万人、十八世紀に七百万人となり、それが十九世紀には千九百四十万人にのぼり、二十世紀にはなんと一億七百八十万人に一挙に増大した(米「年報・世界の軍事と社会」)。
 帝国主義とその文明が頂点に達した二十世紀ほど非人間的で、凶暴で、破壊的な世紀は人類史上なかったということなのだ。
 二十一世紀の冒頭に始まった帝国主義のアフガニスタン侵略戦争は、二十世紀において国際プロレタリアートが果たそうとして果たしえないできた人類史的課題の決着をぎりぎりと問うものである。
 ところで、ビンラディンらアルカイダの歴史的・階級的性格はどこにあるか。ソ連スターリン主義のアフガニスタン軍事侵攻への抵抗、米帝による軍事的・経済的テコ入れ、そして米帝のサウジアラビア軍事駐留への怒りを歴史的な形成の契機としている。それは、帝国主義とりわけ米帝の自己の帝国主義的利害のためのみのパレスチナ・中東支配、アフガニスタン支配および中央アジア勢力圏化の野望が生み出し、ソ連スターリン主義の反人民性がつくり出した民族解放闘争の歪曲形態である。イスラム教の教義、観念が、大国の抑圧へのやりきれなさ、屈辱、不信を吸収し、イスラム諸国に広がってきたことを基盤にして、アルカイダなどゲリラ諸組織が存在している。
 彼らは、アメリカなど帝国主義諸国の労働者階級の存在と闘いを措定しない。帝国主義の戦争をなくすにはその根源である帝国主義を労働者階級と被抑圧民族の団結で打ち倒すしかないことを認めない。それは原理的には、スターリン主義への憎悪という形をとって、共産主義への絶望と否定によって成り立っていると言わなければならない。
 われわれは、九・一一とそこにある被抑圧民族からの不信、本質的には階級的決起への援助を真っ向から受けとめるとともに、共産主義的解放の思想と戦略こそが、世界戦争と大恐慌から人類を救う道であるという確信を一層深めている。レーニンとコミンテルンが一九二〇年に掲げた「世界革命の勝利へ、万国の労働者と被抑圧民族は団結せよ」という革命的スローガンを、スターリン主義の長きにわたる歪曲と裏切りを打ち破って、今二十一世紀の現代に鮮烈によみがえらせる決意である。
 アフガニスタン侵略戦争と第三次世界大戦への道を断固拒否し、そして九・一一反米ゲリラをのりこえて、反帝国主義・反スターリン主義世界革命の旗を高々と掲げ、全世界の労働者階級と被抑圧民族の団結をかちとろう!
 十・二一国際反戦デー闘争に全国で総決起しよう!
 十一・一一全国労働者総決起集会をすべての労組・労働者の総結集をもってかちとろう!

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週刊『前進』(2026号1面2)

10・8 全国で抗議行動
 十月七日(日本時間八日未明)の米英軍のアフガニスタン侵略戦争突入に対して、全国の闘う労働者学生人民は八日、東京のアメリカ大使館に対する弾劾闘争を始めとしてただちに怒りの闘いに立ち上がった。

■『前進』ホームページ独自企画各闘争の詳しい記事を掲載しています。    記事へ

 

激突! アメ大抗議

反戦共同行動委員会の70人が厳戒警備下のアメリカ大使館に押しかけ警官隊と激突して弾劾を貫徹した(8日午後1時)

 

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大 阪

関西反戦共同行動委に参加する諸団体がアメリカ総領事館に対する抗議に立った。大阪中之島の剣先公園の緊急集会には251人が参加、米総領事館に対する怒りのデモを闘った(8日夜)

 

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岩 国

10・7三里塚の帰路、空爆を知った広島、山口の反戦共同は岩国基地に抗議(8日)

 

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福 岡

10・21集会実行委は福岡市大濠公園隣の米領事館に抗議行動に立った(8日午後2時)

 

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相模原

西村綾子市議を先頭に30人が米軍相模補給廠に抗議した(8日午後1時)

 

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富 山

富山大学学生自治会は自民党富山県連に対して緊急抗議行動に立ち上がった(8日)

 

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週刊『前進』(2026号2面1)

 10・7三里塚

 侵略戦争阻止! 三里塚に反戦の炎 来春「暫定滑走路」開港粉砕へ

 意気高く“6ヵ月決戦”宣言 10月テスト飛行阻止の熱気

 三里塚芝山連合空港反対同盟主催の全国総決起集会が十月七日、成田市東峰で開催された。集会は、暫定滑走路の完成−十月十五日のテスト飛行が切迫する重大情勢の中で開かれた。反対同盟はこの攻撃と対決し、来春四・一八開港粉砕の六カ月決戦に突入することを宣言した。
 アフガニスタン侵略戦争への突入と暫定滑走路完成間近という緊迫した情勢の中、戒厳態勢を突き破って全国から千五百五十人が現地に結集。三里塚闘争の大爆発に恐怖する権力は、集会に参加しようとした全学連の学生一人を不当逮捕するという暴挙に及んだ。仲間を奪われた全学連を始め会場内に憤激が広がった。
 鈴木加代子さんと木内秀次さんの司会で集会が始まった。伊藤信晴さんが「開港阻止の宣言を高らかにあげる」と開会宣言した。
 北原鉱治事務局長が基調報告を行った。「米国はこれまでベトナム戦争や中東で何百万人も虐殺してきた。苦しめられてきた民衆の怒りの爆発をどうして責められようか。アフガニスタン侵略戦争で成田空港が一大兵站・出撃基地として軍事使用される。日本政府は参戦するといっている。絶対許さない。世界の人びとと連帯し反戦の闘いを貫くのが反対同盟の責任と立場だ」と、成田空港の軍事使用を許さず、戦争を止めようと強く訴えた。

 動労千葉・田中新委員長が檄

 特別報告には新たに委員長に就任した動労千葉の田中康宏さんが登壇。動労千葉が新しい世代の執行部を確立したことを報告した。さらに動労千葉の闘いの地平と団結を継承し新たな時代に対応する飛躍を実現すると宣言。田中委員長は「広範な戦争反対や怒りを、闘う思想、路線と結合させ、今の社会を根底から変えよう」と訴え、国鉄闘争勝利と十一月労働者集会の成功を呼びかけた。
 続いて萩原進事務局次長が暫定滑走路粉砕決戦アピール。半年間決戦を訴え、来春三・三一現地闘争と四・一四全国集会を呼びかけた。
 天神峰の市東孝雄さんは「暫定滑走路を粉砕するためにこの地にふんばる」と力強く宣言した。
 本部役員の鈴木幸司さんは「いよいよこの地に生まれたかいがあるという気持ちだ。最初農民は作物を作るだけだった。しかし闘いは闘う人間を作り出してきた。現在の状況を変えるのはわれわれしかいない。われわれに正義がある。確信を持って先頭で闘う」と意気軒高と決意を語った。
 弁護団の報告と木内敦子さんのカンパアピールが行われ、住民団体の決意表明が始まった。
 最初に関西新空港反対住民を代表して全関西実行委員会代表の永井満さん、泉州住民の会代表の森田恒一さん、東灘区住民の会の山本善偉さんが登壇した。
 永井さんはブッシュ米大統領が聖書を都合よく引用して侵略戦争を正当化していることを弾劾。日常生活の中で闘う敷地内農民を守って闘うことを訴えた。森田さんは九月十八日に大阪で行われた三里塚集会を報告した。山本さんは暫定滑走路のデタラメさを糾弾。鈴木幸司さんにもらった杖を手に、沖縄民権の会の故古波津英興さんの年まで闘うと闘志を示した。

 米軍・自衛隊に富士使わせぬ

 北富士忍草母の会事務局長の天野美恵さんは、もっと権力が来るぐらいの闘いをやらないといけないと話し始め「米軍にも自衛隊にも北富士は使わせない。母の会は年をとっても一人二人でも実力で演習を止める」と力強く宣言した。
 反戦被爆者の会の大槻泰生会長は「米国は正義を振りかざし、第三次世界大戦をやろうとしている。五十数年前の八月六日を思い出す。日本は憲法無視で戦争をやろうとしている」と戦争への強い危機感を表明し、戦争を阻むために闘おうと呼びかけた。
 部落解放同盟全国連合会の金平通雄共闘部長は十月三日から五日まで、切迫する狭山異議審棄却阻止を掲げて座り込みを貫徹したことを報告。その渦中の十月五日、参戦法案と自衛隊の出兵が閣議決定され、緊急に国会へ抗議行動をしたと語り、戦争でしか生き残れない帝国主義を打倒しようと訴えた。
 都政を革新する会の結柴誠一代表は「テロ弾劾」論に切り込み、被抑圧民族と連帯して闘おうと呼びかけた。婦人民主クラブ全国協の代表は「日の丸を立てた自衛隊が出兵している。これはクーデタだ。憲法には戦争を始めた政府はたたきのめせと書いてある。私たちは何をしてもいい」と発言した。
 反戦共同行動委員会の三角忠さんは、報復戦争と小泉の参戦を阻止するために立ち上がることを訴え、国際的な連帯と、祖国敗北主義で闘おうと呼びかけた。
 共闘団体の決意表明が始まった。会場を圧する盛大な拍手の中、革命的共産主義者同盟の天田三紀夫書記長が登壇した。「本集会の実践的結論は暫定滑走路の開港攻撃に対して、半年間決戦に突入することだ」「闘うイスラム諸国人民と連帯し、帝国主義のアフガニスタン侵略戦争絶対阻止へ総決起しよう」と力強く決意を語った。
 宮本麻子さんが「反対同盟は滑走路工事終了後のテスト飛行に対して現地緊急闘争に決起する。暫定滑走路開港阻止■ 来春三・三一現地闘争−四・一四全国集会への総決起を訴える」と集会宣言を読み上げ、ガンバローを三唱した。
 すぐデモに出発。暫定工事で敷地内は文字どおり収容所のような有り様だ。強い怒りが込み上げる。全学連はスクラムを組んで戦闘的なデモを貫徹した。
 十月十五日にもテスト飛行が強行されようとしている。四月開港粉砕の六カ月決戦に総決起しよう。

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週刊『前進』(2026号2面2)

 敷地内反対同盟の決意

〈決戦アピール〉

 人間性、思想性かけ断固闘う  事務局次長 萩原進さん

 反対同盟は二年間決戦を訴え一年半闘い抜いた。とりわけこの半年間、一坪共有地の囲い込み、団結街道の閉鎖、東峰神社の立ち木伐採と力をもって暫定滑走路を完成させる攻撃があった。しかし反対同盟は、ひるむことなく勝利的に闘い抜いています。
 これから四月の開港へ向かって文字どおりジェット機を飛ばし住民を追い出す攻撃に入っていきます。暫定滑走路というのはわれわれに対する報復攻撃だ。騒音による空爆、事故による人殺しだ。われわれを人間としてみていない。われわれは三十数年の闘いのこの人間性と思想性をかけて断固として闘い抜く。
 アメリカの侵略戦争を許してはならない。日本も参戦しようとしている。三里塚を出撃拠点にさせない。
〈決意表明〉

 この地に踏ん張り闘い抜く  天神峰 市東孝雄さん

 勝手に計画を変更し、住民の声を踏みつぶして、飛行機を飛ばすという人民無視のやり方は許せません。私は公団・政府の不当なやり方に抗議します。
 しかし暫定滑走路はなんと無残でしょうか。完成してもガラガラです。しかし目と鼻の先でジェット機を自走させ、への字に曲がった所でジェット噴射で家を直撃する。こんなことは絶対に許せません。
 ここで農業と生活をしている者の生死に関わる問題です。テスト飛行を阻止し、暫定滑走路粉砕のためにこの地にふんばります。
 空港は基地です。三里塚闘争は自分の命と人の命を守る重要な闘いです。戦争に反対する全国、全世界の人たちとともに闘います。

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週刊『前進』(2026号2面3)

 三里塚は絶対勝つ 革共同・天田書記長

 本集会の実践的結論は暫定滑走路の開港攻撃に対して、半年間決戦に突入することです。三里塚闘争は闘えば絶対勝てます。三里塚農民の軍事空港反対・農地死守の農民反乱は、労働者階級との結合を求め、労農連帯の思想を育みました。そして被差別人民、反戦自衛官の闘いを合流させてきました。この三里塚闘争こそ日本の革命的ゲリラ闘争を発展させ、日本革命の勝利を生き生きと展望させる闘いです。
 闘うイスラム諸国人民と連帯し、帝国主義のアフガニスタン侵略戦争を絶対阻止するために、すべての皆さんが総決起することを訴えます。九・一一反米ゲリラが突きつけたものは何でしょうか。あの闘いは帝国主義に対する被抑圧諸国人民の怒りの爆発でした。帝国主義プロレタリアートは、この闘いをいかに受け止め、いかに生き、いかに闘い抜くかが根底的に問われています。九・一一ゲリラが突きつけた帝国主義国の労働者階級に対する絶望を真に乗り越える道は、三里塚闘争の勝利に向かって闘い抜くことです。
 二十一世紀冒頭、荒々しい戦争と革命の時代を迎えました。三里塚闘争の三十六年間の闘いの一切の教訓をこの半年間決戦の中に生かしきって、三里塚闘争勝利、帝国主義打倒、日本革命−世界革命勝利に向かって、日本、全世界の労働者階級と被抑圧諸国人民と連帯して総決起しようではありませんか。

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週刊『前進』(2026号2面4)


自衛隊参戦阻め
出撃阻止へ各地で決起

 


 十月五日、参戦法案が閣議決定され国会へ提出された。自衛隊のパキスタン派兵も閣議決定、翌六日に愛知県の小牧空港を出発した。全国の闘う労働者・学生は国会・小牧・横須賀で派兵弾劾に決起した。

 

 

国 会

閣議決定を弾劾する部落解放同盟全国連合会と全学連(10月5日)

 

 小 牧

 空自C130輸送機のパキスタン派兵に5日、6日と連日抗議(10月5日 愛知県・小牧)

 

横須賀

全学連と神奈川労組交流センターが横須賀闘争に決起(10月6日)

 

 

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週刊『前進』(2026号2面5)

 革命軍軍報 10・2千葉

 一切の協力者 容赦せぬ

 大騒音で農民の追放を狙う 県・堂本知事に怒りの反撃

 革命軍は偉大な戦闘を貫徹し、以下の軍報を発表した。(前号に速報)
 革命軍は十月二日、千葉県睦沢町上市場むつみニュータウンにある千葉県企画部交通計画課主幹・生田昌司宅とその乗用車に対して断固たる爆破攻撃を敢行した。
 革命軍は暫定滑走路来春開港を絶対粉砕する激しい戦意をもって決起した。必勝の戦闘計画を立案し、計画どおりに生田宅に時限爆破装置をセットした。
 午前二時四十五分、時限爆破装置は、「ドカーン」という周辺住民が飛び起きる大音響で爆発した。白煙が高く上がり、生田の買ったばかりの乗用車は無残にパンクし、車庫の屋根には無数の細かな穴があいた。戦闘は絶大な威力をもって貫徹された。
 この時、革命軍部隊はいかなるデッチあげも許さない完ぺきな撤退作戦をすでにやり終えていた。千葉県警が特別捜査班を設置してデッチあげを策動しようとそのための口実など、何一つない。
 十・二戦闘は、第一に、暫定滑走路の開港をもって敷地内農民、地権者、周辺住民を大騒音でたたき出そうとする国土交通省、空港公団、千葉県に対する怒りの反撃である。
 二千百八十bという、およそ使いものにならない欠陥滑走路の工事を強引に進め、強行開港するのはなんのためか。それは敷地内農民をジェット機の騒音と振動、噴射ガスで痛めつけ、屈服させ、追放するためなのだ。絶対にこんなことを許すわけにはいかない。
 「反対農家の上空四十bを飛ばす」と公団幹部自らが公言している。これは日帝・公団による反対派農民への「空爆宣言」だ。それを工事完成を早めて十月から強行しようとしている。
 「飛行機をぶんぶん飛ばせば、そのうちに農民は逃げ出すよ」(七八年開港時の首相福田)とか、「反対派の軒先まで工事を進め、お見せすることでご理解いただく(=たたき出す)」(二期着工後の公団総裁発言)とか言って、日帝運輸省・公団は既成事実の押し付けで農民をたたき出そうとしてきた。それでも屈服しない農民を、今度は四十bの上空から「空爆」しようとしているのだ。これが三十数年間、まったく変わらない日帝の空港建設=農民圧殺のやり方だ。
 三里塚には憲法も法律もない。国家権力による「無法の暴力」が押し付けられてきた。「暫定」着工後、その攻撃は決定的に強まった。団結街道をふさぎ、県道をトンネルに変え、迂回道路が人家に迫り、騒音を振りまく。東峰や天神峰の村中にフェンスを張りめぐらし、農民の生活・営農の条件を極限的に破壊してきた。六月には東峰神社の立ち木十九本をすべて無断で切り倒す白昼の強盗行為が行われ、抗議した敷地内農民の萩原進さんを不当逮捕した。ガードマンや私服刑事が家の中をのぞいて威圧したり、「検問」と称して脅迫することは日常茶飯事だ。本当に、こんなことが許されてよいのか!
 十・二戦闘は、このような暴挙を繰り返す日帝・公団・千葉県当局に対する、階級的正義の反撃である。ジェット機騒音による農民たたき出しを絶対に許さない宣言である。
 十・二戦闘は第二に、千葉県と堂本暁子知事に対する断固たる警告と反撃の闘いである。堂本知事は、成田空港の完全空港化の憎むべき推進者である。四者協議会を立ち上げ、「本来の二千五百b滑走路に向けて一層の努力を」と檄を飛ばしている。どういうことだ! 「抵抗する農民をつぶせ」「たたき出せ!」ということではないか!
 堂本知事はこのために成田新高速鉄道の建設に躍起になっている。生田は、この堂本知事のもとで新高速鉄道建設のための調査をやり、現在は三里塚闘争圧殺のための芝山鉄道を担当している。農民をさんざん苦しめておいて、自分はのうのうと定年退職後の芝山鉄道への「天下り」すら狙っていたのだ。絶対に許さない。
 堂本知事は、十・二戦闘がたたきつけられたことに対して、「誠意を持った話し合いが解決の唯一の方法だ。暴力による反対は許せない」などとコメントしている。ふざけるな! 堂本よ、お前の号令のもとで千葉県と公団、警察、国家権力が、敷地内農民にどれほど凶暴な、問答無用の暴力を振るってきたのだ! 昼夜を分かたぬ攻撃の重包囲の中で生活・営農する農民の苦しみを、「環境派」「市民派」を自称する堂本は考えたことがあるのか!
 われわれは日帝の開港攻撃の最悪の先兵、共犯者=堂本知事を絶対に許さない。堂本知事のもとで完全空港化を策動する者どもを絶対に容赦しない。
 十・二戦闘は、第三に、日帝のアフガニスタン侵略戦争参戦を阻止する闘いである。成田空港がアフガニスタン侵略戦争のための中継基地、出撃基地となることを絶対に許さない。闘うアフガニスタン・中東人民、アジア人民と連帯して、革命軍は帝国主義のアフガニスタン侵略戦争粉砕へ全力で闘い抜く決意である。
 労働者人民の皆さん! 国家権力の暴虐なたたき出し攻撃と不屈に闘う敷地内農民を守り抜き、暫定滑走路四月開港絶対阻止、成田軍事空港粉砕へともに闘おう。

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週刊『前進』(2026号3面1)

 9・28大阪

 “勝利まで闘争団支える” 関西共闘会議(準)の結成へ

 九月二十八日、エルおおさか大ホールで「小泉『構造改革』と対決する労働運動を! 九・二八労働者集会」が開かれた。全日建運輸連帯・関西地区生コン支部と全国金属機械・港合同の呼びかけで結成された集会実行委員会が主催し、国労大会と十一月労働者集会の勝利に向けて決定的な意義を持つものとなった。
 冒頭、港合同の中村吉政副委員長が、「第三次世界大戦が行われようとしている緊迫した状況だ。自衛隊派遣を阻止しよう。闘争団を勝利させるまで闘おう」と開会を宣言した。
 呼びかけ人からの提起として関西生コン支部の増田幸伸執行委員と港合同の辻岡尚執行委員が発言した。
 増田さんは「アメリカの侵略戦争には断固反対だ。労働運動こそ小泉政権の侵略加担、改憲・軍事体制構築との闘いを展開しなければならない」と述べ、新自由主義との闘いを強調し、「『他人の痛みは自分の痛み』をモットーとしてきた立場からも、闘争団を守りぬく」と宣言した。
 港合同の辻岡さんは、「四党合意は露骨、傲慢(ごうまん)、凶悪な、不当労働行為そのものだ。四党合意糾弾の地労委闘争はこれへの真正面からの反撃だ」と訴えた。そして、港合同の六支部にかけられた倒産攻撃に対し「団結権を対置し、不当労働行為を追及する。遠くない将来、勝利を皆さんに報告したい」と宣言、「国鉄闘争は全労働者の闘いだ」と訴えた。
 九州の国労闘争団員四人が登壇した。闘いの経過を報告した闘争団員は、「人生をかけた国労運動が国労からこういう形で切られるのは許せない」と本部の四党合意受諾を弾劾、「国労大会に向けてあらゆる行動を展開する」と宣言した。
 九州の闘う闘争団の代表は、ステージに掲げられた「小泉『構造改革』と対決する労働運動を!」のスローガンを指さしながら、「私はこれに共感する。小泉『構造改革』と対決する国労運動をつくりたい」と述べて、闘う闘争団の行動方針を提起した。
 さらに闘争団員から決意表明がなされ、それぞれに「仲間を売らない、労働者の魂を売らない」「原地原職・解雇撤回ぬきに闘いを終結させることはできない」ときっぱりと発言。
 四党合意地労委申し立て人の国労組合員四人が登壇し、神戸地域分会神戸保線班書記長の高崎庄二さんが、「四党合意は国家的不当労働行為だ。七回の審問で、中曽根行革以来の自民党・運輸省による国労つぶしの実態を明らかにした」と報告した。また、国労大会について「国労の解体か再生かをかけた重要な闘いだ。闘争団・組合員の強固な団結で現本部を打倒し、闘う新たな執行部の樹立へ闘う」と決意を述べた。
 地労委闘争代理人の永嶋靖久弁護士は、「国家による不当労働行為の総体と闘う地労委である以上、審問廷の外でいかに闘うかだ」と支援を呼びかけた。参加者は地労委闘争の一層の強化を誓った。カンパアピールをした国労組合員も国労大会の重大性を強調した。
 分割・民営化前に国鉄臨職を解雇され、十八年の解雇撤回闘争を闘うおんな労組の和田弘子さんが連帯のあいさつをした。
 人事交流に反対する近畿郵政労働者の会の北川敏雄代表が、「四・二八被免職者は現場の労働者が支えてきた。自力で闘おうとしている国労闘争団を労組を超えて支えよう」と訴えた。
 「日の丸・君が代」闘争を闘い、処分攻撃と対決する四人の教育労働者が登壇し、「アメリカが『ショー・ザ・フラッグ』と小泉に迫った。日の丸はそういう使われ方をする。今こそ闘わなければならない」と決意を表明した。
 関西合同労組の宮武章治書記長が、「闘う闘争団と国鉄闘争を支援する関西共闘会議準備会」の結成を呼びかけ、「戦争と小泉構造改革がたばになって襲いかかっているからこそ、四党合意を許してはならない。労働運動のしかばねの上に侵略戦争を許してはならない。激しい戦闘精神で闘おう」と檄を飛ばした。
 集会のまとめを高英男関西生コン支部副委員長が行い「千四十七名の不当解雇を許さず、四党合意に反対し、連帯して最後まで闘う」と宣言した。
 この集会で、関西共闘会議(準)が提起され、東京の五・三〇―九・二五集会に呼応して新たな国鉄闘争支援運動が全国で始まった。世界戦争開始の大反動に立ち向かう階級的労働運動の前進をかちとろう。

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週刊『前進』(2026号3面2)

 10・5東京

 “帝国主義打倒を” 動労千葉・中野さんが講演

 十月五日、東京・全水道会館で、「ブッシュの報復戦争と日本の参戦を許すな! 小泉『聖域なき構造改革』反対! 国鉄千四十七名闘争勝利! 十・五東京労働者集会」が、同集会実行委員会の主催で開かれ、二百十人が参加した。
 呼びかけ人を代表してスタンダード・ヴァキューム石油自主労組の労働者が「ブッシュの戦争は絶対に許さない。アメリカの中東政策は石油をとるための政策だ。戦争が始まれば労働組合がつぶされる。それに絶対にノーと言い、小泉の構造改革と対決する集会だ」と、集会の獲得目標を明らかにした。
 連帯のあいさつでは、都職労の労働者が、東京都人事委員会の三年連続の年収マイナス勧告を弾劾し、「反戦闘争を闘う中から賃金・反合理化・反行革を闘おう」と訴えた。
 国労闘争団の労働者は、「反戦闘争のうねりをつくり出してほしい」と呼びかけた上で、「国労は大会を開くが、思いどおりにならなければ逃げ出そうとする人は、逃げてほしい。私たちが国労の旗を守る。一度脱線した車輪をレールに乗せるのは労力がいるが、必ず国労を闘うレールに乗せる」と力強い決意を表明した。また、ほかに闘争団から寄せられたメッセージも紹介された。
 動労千葉の中野洋常任顧問が、「二十一世紀―労働者はいかなる時代に生きているのか―『九・一一』と十一月労働者集会五千人結集の死活性」と題して講演した。中野さんは、「二十一世紀は予測を上回る大恐慌と戦争と革命の時代だ」とした上で、「『テロ弾劾、報復戦争』の大合唱と闘う必要がある」と九・一一に対する労働者階級の立場を明確にし、アメリカの報復戦争と日本の参戦を阻止しようと訴えた。
 そして、「今や労働者は闘わなければ人間として生きていけない時代だ。活動スタイルを変えよう。これまで『資本主義にノーと言える労働運動』と言ってきたが、『帝国主義を打倒する労働運動』と言わなければならない。日本の労働者階級を団結させる絶好のチャンスが来た。十一・一一集会に五千人を結集し、小泉に対決する戦略的対峙陣形をつくろう。東京の皆さんがその気になればできる」と奮起を促した。
 各産別からの報告と決意では、三一書房労組の三角忠委員長が「九月十三日、ほぼ完全勝利の命令が東京都労働委員会から出された。これを労働者階級の勝利に結びつけていく」と訴えた。全逓、教組、自治労、NTT労組、特殊法人労組、国労の労働者の報告は、それぞれ小泉改革に対して怒りの反撃が始まっており、その先頭に立って闘うという決意が、現場の労働者が必ず立ち上がるとの確信に満ちて語られた。
 呼びかけ人の全逓労働者が「労働者の誇りをもって十・二一国際反戦デー、十一・一一集会に決起しよう」と集会をまとめた。
 なお、集会破壊を狙ってカクマル十数人が押しかけたが、参加者の怒りの決起によって完全粉砕され、荷物をほうり投げて算を乱して壊走した。

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週刊『前進』(2026号3面3)

 たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう!

 小泉「聖域なき構造改革」路線と対決する

 11・11全国労働者総決起集会

 全日本建設運輸連帯労働組合・関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合・港合同、国鉄千葉動力車労働組合の三労組が「たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう! 小泉『聖域なき構造改革』路線と対決する十一・一一全国労働者総決起集会」を呼びかけている。
 三組合が九月に全国に発した「賛同と参加のお願い」では、以下のように訴えている。(抜粋)
   ◇   ◇
 私たち三組合は、「人の痛みがわかる労働運動」「団結権確保」「階級的団結の強化・拡大」を旗じるしに闘いぬいてきました。そして九八年たたかう労働組合が大同団結して、全国ネットワークをつくり出すことを呼びかけ十一月全国労働者集会を開催してきました。
 本年の十一・一一労働者集会は、小泉政権の「聖域なき構造改革」と戦争国家化攻撃と闘う多くの労働組合の参加をいただき、二十一世紀にむけたたたかう労働運動の起爆剤として成功させたいと思います。
 志を同じくするみなさんの賛同と参加を心よりお願い申し上げます。
   ◇   ◇
 この呼びかけに多くの労働組合・個人が賛同している。十月八日には、呼びかけ三労組と賛同労組の代表らが東京都内で集会実行委員会を開催した。
 九月に呼びかけが発せられて以降、九月十一日に反米ゲリラが起き、十月七日(日本時間八日未明)にはついに米英軍がアフガニスタンへの空爆を開始した。この重大情勢下で、「テロ弾劾、報復戦争」の大合唱に抗してアメリカの報復戦争と日本の参戦を阻止する国際反戦闘争をつくり出すことを、大失業攻撃との闘いと国鉄闘争とともに十一・一一集会の重要な課題に据えて、メインスローガンなどを決定した。
 呼びかけにこたえて、十一・一一集会の五千人結集に向けて全力で闘おう。

 11・11全国労働者総決起集会

【日時】11月11日(日)正午開会
【場所】東京・日比谷野外音楽堂
[呼びかけ]
全日本建設運輸連帯労働組合・関西生コン支部
全国金属機械労働組合・港合同
国鉄千葉動力車労働組合
《メインスローガン》
●全労働者の団結で、大失業攻撃をうち砕こう!
●全労働者の団結で、「四党合意」を粉砕し、国鉄1047名闘争に勝利しよう!
●全労働者の団結で、アメリカの報復戦争と日本の参戦を阻止し、新たな国際反戦闘争をつくりだそう!
●全労働者の団結で、有事立法、改憲−戦争国家化攻撃を粉砕しよう!

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週刊『前進』(2026号3面4)

 小泉改革と闘う新潮流を

 11月労働者集会の成功のために(6)

 連合・JR総連打倒を 戦争と首切りの手先

 小泉「構造改革」の推進誓う 屈服方針に怒りの声噴出

 侵略容認するテロ根絶決議

 九・一一反米ゲリラに対する帝国主義のアフガニスタン侵略戦争がついに開始された。日本の労働者階級は、これと真っ向から対決し、闘うイスラム諸国人民と連帯し、帝国主義の侵略戦争、日帝の参戦をなんとしても阻止しなければならない。そのためには日本労働運動の中の祖国擁護派、侵略翼賛勢力と徹底して対決することが求められる。
 連合指導部やJR総連カクマルなどの裏切り者、資本の先兵を打倒し、本来の労働組合の団結をよみがえらせること、そして、急増する未組織・不安定雇用労働者を組織化すること、それを闘う労働運動の新潮流、全国ネットワークとして結合すること、ここに労働運動再生のかぎがある。
 今回は、連合とJR総連カクマルを徹底批判する。
 連合は十月四、五日に開催された第七回定期大会で帝国主義的労働運動への一層の純化を進めた。
 今大会は、何よりも九・一一情勢下の大会だった。連合は「同時多発テロ攻撃に関する緊急決議」を採択したが、それは「このような卑劣なテロ攻撃……連合は断じて許さない」と「テロ弾劾」を絶叫し、「国連及び各国政府に対し、テロを地上から根絶するために必要な行動を取ること……強く要請する」というものだ。九・一一反米ゲリラの根源にある帝国主義の民族抑圧と侵略戦争への弾劾の言葉が一言もないばかりか、「テロ根絶」を帝国主義者に要請しているのだ。
 JR総連書記長・山下も「いかなる理由があろうとも、テロは許されません」と「テロ弾劾」に唱和し、「国際的な役割を果たすことは、憲法の枠内で、許される範囲の中で行えばよいのであり、そのことは十分に可能」と発言した。
 連合は前回九九年の大会で「『連合の政治方針』の改訂」を行ったが、それは日米新安保ガイドライン関連法に事実上賛成し、憲法改悪推進に道を開くものだった。連合は、ここからさらに「テロ根絶」の名のもとに帝国主義の侵略戦争容認に転落したのだ。
 九九年大会で、JR総連はこの連合新政治方針に対する「対案」という形をとって、改憲反対のポーズを取りつつ、安保・自衛隊を容認し、「独立国家の自衛権」「軍事輸送協力」を積極的に主張した。今回の九・一一に対して「憲法の枠内で」「国際的な役割を果たす」と言うことは、小泉政権が憲法を事実上停止して侵略派兵を強行することに対決できないばかりか、「国際的な役割」の名のもとにそれをしり押しする反労働者的役割を果たすものである。連合指導部の帝国主義的労働運動を下支えし、ファシスト労働運動の側から推進しているのがJR総連カクマルなのだ。
 さらに、連合七回大会の方針は、小泉「聖域なき構造改革」に全面屈服し、それを労働組合のナショナルセンターの名をもって推進するものである。

 労働組合否定の連合新方針

 大会では首相・小泉が来賓としてあいさつし、連合の屈服ぶりを見透かして「連合の皆さんはむしろ味方であると思って、これから政策運営をしていかなきゃならない。けっして抵抗勢力とは思っていない」と発言した。
 今大会で連合会長となった笹森清事務局長は答弁で、「小泉さんの言っている、あるいは竹中さんが示している骨太の内容、そしてそれに基づく構造改革は、基本的には連合も否定しない」「(小泉構造改革に反対すると)既得権擁護の守旧派、抵抗勢力だと位置づけられるような状況になりかねない」などと言っている。連合は、小泉政権に完全屈服し、「抵抗勢力」にはならない、小泉「構造改革」に全面協力すると誓ったのである。
 「二十一世紀『ニュー連合』の役割と行動」と題する二〇〇二〜〇三年度運動方針では、「弱肉強食・優勝劣敗の市場主義」などと、あたかも「市場主義の構造改革」に反対しているかのようであるが、小泉の「構造改革」に反対するとは絶対に言わない。
 首切りと闘う方針も賃下げと闘う方針もない。連合が要求しているのは、せいぜい「セーフティネットとしての雇用創出」でしかない。それは、小泉政権が「五百三十万人の雇用創出」などと言っていることとまったく同じである。
 「労働を中心とする福祉型社会」などと言いつつ、具体的には「ワークシェアリング」を一層推進し、「新しいワークルール」と称して「長期雇用を基本にしつつ、多様な働き方が保障されること」を追求すると言うのだ。これらは、「多様な雇用形態」と称して大多数の労働者のパート化、不安定雇用化を狙う日経連路線をそのまま連合の方針とするものだ。
 小泉「構造改革」は、NTTや電機大手の大リストラに明らかなように、正規雇用労働者の企業別労働組合としての連合の基盤を直撃している。小泉「構造改革」は連合の存在すら許さない激しさをもって強行されているのだ。
 今夏の参院選では、民主党の比例代表に連合の組織内候補として立候補した九人の合計得票が百六十九万票にとどまり、三人が落選した。連合の組織人員約七百九十万人の圧倒的多数が民主党を支持しなかったのだ。鷲尾悦也会長が「これほどまでに労組のリーダーが決めたことが職場に浸透しないものなのか」と嘆いてみても、闘わない労組リーダー、しかも小泉と「構造改革」を競い合う民主党支持の方針に労働者が従わないのは当然である。
 こうした連合のかつてない危機の中で連合の運動方針は「組織の強化・拡大を最優先する」としている。「新保守主義・市場万能主義と軌を一にしてノン・ユニオニズム(労働組合否定論、労働組合無用論)の考え方が広がっているが、これに抗し、強力な組織拡大運動を展開していく」と、「中小労働運動の強化」「未組織労働者の組織化」を打ち出している。
 だが連合は、この間の資本の大リストラに積極的に協力することで、自らの基盤を掘り崩してきたのだ。リストラ攻撃と闘うことを放棄した「中小労働運動」など成り立つはずがない。実際、傘下の中小の労組から、連合方針に対する怒りの声が噴き出している。
 しかも、「労働組合否定」を自ら進めているのは、ほかならぬ連合指導部である。
 「労働組合は労働者の生活と権利のために、『抗議』から『要求』へ、さらに『参加』へと運動段階を発展させてきた」として、「あらゆるレベルで参加を追求」と言うのである。「抗議」も「要求」も放棄した労働組合とは、もはや労働組合とは言えない。「コーポレート・ガバナンス(企業統治)に位置づけられた日本型の『従業員代表制度』の制度化」などはまさに労働組合の否定である。しかも、「国の政策決定のプロセスに労働者代表が参加」などと言う。
 この行き着く先は、すさまじい国益主義である。七月の電機連合大会で委員長の鈴木勝利は、゛第二次大戦中にアメリカの炭坑労組が「国益」よりも「労働者の利益」を掲げて闘ったから衰退した゛と発言した。連合路線は、企業や国家が危機の時には首切りや賃下げなどの「痛み」は我慢して企業と国家に協力すべきだという企業主義・国家主義そのものであり、全社会的な大リストラに協力するだけでなく、侵略戦争へと労働者を駆り立てていく極悪の「愛国労働運動」の役割を果たすのだ。

 ファシスト労働運動打倒を

 JR総連カクマルは、この連合路線の先を行くファシスト労働運動である。
 今年八月にJR総連・東労組がJR東資本と締結した「二十一世紀労使共同宣言」は、JR東労組がJR東の「ニューフロンティア21」に全面屈服し、「業務の効率化に不断に取り組み」「会社の発展」のために働くことを宣言している。保守部門の全面外注化や「シニア制度」を率先推進し、しかもそれをテコに国労や動労千葉を解体しようというファシスト労働運動なのだ。
 JR総連・松崎明はこの間、「資本主義社会を肯定して生きている」などと、資本の競争原理を全面的に受け入れ、その先兵となることをファシスト労働運動の路線としてきた。それは、国家の競争=帝国主義間の競争に打ち勝つために、「安保・自衛隊を容認する」「自衛隊を認めるんだったら核だって」という戦争賛美の論理にまで行き着いたのだ。
 JR総連は、連合の帝国主義的労働運動にさおさし、より徹底して進めるファシスト労働運動である。
 連合路線とJR総連のファシスト労働運動を打倒し、階級的労働運動の再生を今こそかちとらなければならない。それは、日本の労働者階級が国際反戦闘争の一翼を担う階級的団結をつくり出すことである。
 国鉄分割・民営化―総評解体・連合結成に抗して闘いぬかれている国鉄闘争、JR総連カクマルと対決する国鉄労働運動こそ、その中軸に位置する闘いだ。
 国労大会決戦に勝利し、十一・一一労働者集会の圧倒的成功をかちとろう。
〔大沢 康〕

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週刊『前進』(2026号3面5)

 資本攻勢&労働日誌

 9月19日〜10月5日

 

 ●政府総合雇用対策を決定

 ●健保本人負担3割の試案

 ●連合大会で笹森新会長に

 派遣法改悪、今国会で 経済財政諮問会議

●9月19日 自民・公明・保守の与党3党は「緊急雇用対策」を小泉首相に提言。内容は20日発表の政府「総合雇用対策」と同じ。
◇不良債権処理などによって建設業界で大量の失業者発生が見込まれることから、厚労省、経産省、国交省は建設業からの離職者を雇い入れた事業主への助成制度の創設など労働移動施策を提言。
●20日 政府の産業構造改革・雇用対策本部は「総合雇用対策」を決定した。「雇用の受け皿整備」「雇用のミスマッチ解消」「セーフティネット整備」の3つの課題をあげているが、小泉構造改革路線による雇用破壊そのもの。
◇経産省が発表した2000年の工業統計によると、製造業の労働者は806万人で、前年比2.3%減。前年を下回るのは9年連続。
●21日 政府の経済財政諮問会議は、構造改革の中で緊急性が高いとする施策をまとめた「改革先行プログラム」の中間とりまとめを決定した。派遣法の臨時特例法制定を今国会で強行することを指示している。(要旨別掲)
◇CSG連合は、大会を開き、来年9月にゼンセン同盟と産別組織を統合する方針を決めた。
◇自治労や日教組、国公総連などでつくる公務員連絡会は総会を開き、今年12月の公務員制度改革の「大綱」策定に向け方針を討議。
◇日本人材派遣協会の調査によると、派遣労働者の約36%が正社員になることを望んでいる事実が明らかになった。
●25日 厚労省は、2002年度実施をめざす「医療制度改革試案」を発表。健保の患者の本人負担を現行の2割から3割に引き上げる。
●28日 総務省発表の8月の完全失業率は5.0%と、過去最悪だった7月と同水準となった。厚労省発表の有効求人倍率は1年1カ月ぶりに0.6倍を割り0.59倍に。
◇9・11反米ゲリラの影響で、ソニー、富士通、NECが追加のリストラを行うと発表した。
●29日 自治労が組合員の共済制度にからみ約2億円の裏金を作っていることが明らかになった。
●10月1日 個別紛争処理法案が施行された。都道府県の労働局が中心となって、個別労使紛争処理にあたるとしている。
◇日本版401kである確定拠出年金法が施行された。
●2日 小泉は衆院代表質問で、企業が解雇する際のルール作りを進めていくと答弁した。
●3日 トヨタ自動車は確定拠出年金制度を来夏から導入し、確定給付型と併存させる。
●4日 連合は5日まで大会を開いた。1日目に小泉が出席、「連合のみなさんは決して抵抗勢力とは思っていない」と発言。2日目に笹森会長(電力総連顧問)、草野事務局長(自動車総連常任顧問)、大原会長代行(自治労委員長)らの新執行部を選出した。

 経済財政諮問会議の改革プログラム(中間とりまとめ)−労働分野
臨時国会で措置
・派遣法の臨時特例法制定
 中高年齢者について派遣期間の上限を1年から3年に延長
9月末までに措置
・派遣法改悪
 派遣期間延長、「物の製造」業務の派遣禁止撤廃の調査・検討開始
・裁量労働制の拡大
 企画業務型裁量労働制の見直しの調査・検討開始
・職業紹介規制の抜本的緩和
 無料職業紹介の届け出制に変更を含め、全般的調査・検討開始
・有期労働契約の見直し
 対象範囲拡大、契約期間の上限を3年から5年に延長の調査・検討開始
・解雇基準やルールの立法化検討開始

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週刊『前進』(2026号4面1)

 米帝ブッシュの報復戦争−第3次世界大戦突入阻止へ総決起せよ

 「9・11」と世界情勢の核心

 アメリカ帝国主義ブッシュ政権は十月七日、ついにアフガニスタンへの一大侵略戦争に突入した。米英軍による空爆攻撃の開始に対し、帝国主義各国はこぞって参戦を表明し、国際帝国主義によるアフガニスタン人民に対する大殺戮(さつりく)の恐るべきジェノサイドが繰り広げられようとしている。日帝・小泉政権は直ちに米帝への支持を表明し、ここぞとばかり自衛隊の大々的な出兵と戦闘行動突入を強行し、それをテコに戦争国家化、有事立法・改憲への扉を一気に押し開こうとしている。これに対して中東・イスラム諸国人民の激しい怒りが爆発し、アメリカ国内を始め全世界で労働者階級人民の巨大な反戦闘争への決起が続々と開始されている。世界史は決定的な分岐点を迎えた。われわれは今こそ、反帝国主義・反スターリン主義世界革命の旗を掲げ、全世界の労働者階級と被抑圧民族の団結した力で世界戦争へと突き進む帝国主義(およびスターリン主義)を打倒することを訴え、その最先頭で日帝の参戦を阻止する闘いに総決起しよう。「対テロ軍事行動支援特別措置法案」=参戦法案国会成立を絶対阻止しなければならない。「闘うイスラム諸国人民と連帯し、帝国主義のアフガニスタン侵略戦争を阻止せよ!」――この国際反戦闘争をつくりだすために、九・一一反米ゲリラ戦とこれへの「報復」を掲げた帝国主義の侵略戦争突入のもつ意味について、あらためて確認していきたい。

 労働者階級と被抑圧民族の団結の力で帝国主義打倒を

 民族抑圧の元凶=米帝自らが招いた「9・11」

 九・一一ゲリラ戦闘は、まさに米帝の中枢そのものを直撃する歴史上かつてない巨大なゲリラ戦争として、米帝体制としての世界体制を震撼(しんかん)させた。そして、全世界の支配階級どもが、ブルジョアジーが、スターリン主義者が、声を上げて弾劾し、「国際テロ」に対する報復を叫び、独特の形態で世界戦争の遂行へと突き進みつつある。
 しかし、われわれが第一にはっきりさせなければならないことは、今度の事態は、米帝自らの残虐な戦争と反革命的テロ行為の数々こそが呼び起こしたものだということである。
 戦後世界において、米帝が全世界で引き起こした侵略と戦争、暴力とテロは数限りない。
 朝鮮戦争・ベトナム戦争を始め、石油資源の独占的支配をめぐる、イスラエル建国をテコにした中東における戦争と暴力とテロの数々は、何よりもアメリカ帝国主義によって引き起こされた。あるいはカリブ海制圧のため、アフリカの資源戦争のため、ソ連崩壊後の東欧の帝国主義的再編のため、アジアの市場争奪戦のため、そのすべてにおいて強大な軍事力を駆使し、暴力の限りを使って世界支配を遂行してきたのがアメリカ帝国主義なのだ。
 そればかりではない。ソ連スターリン主義崩壊後の米帝は、戦後世界体制そのものの崩壊的危機の進行の中で、帝国主義と帝国主義の争闘戦的対立の激化と、帝国主義の戦後新植民地主義的支配体制の崩壊的危機と民族解放の闘いの激化に対して、「唯一の超大国」(唯一の世界帝国主義)として、「グローバリズム」とか「自由と民主主義と正義の防衛」と称して、その軍事力を背景に自国帝国主義の利害をむきだしにして全世界に犠牲を強制してきたのだ。
 とりわけわれわれは、次のことを重視すべきである。九〇年代における米帝の中東支配の破綻(はたん)、そのもとでの中東石油をめぐる帝国主義各国と旧スターリン主義・残存スターリン主義が絡んだすさまじい争闘戦の激化である。とくにカスピ海地域の石油・天然ガスの輸送ルートをめぐって、旧スターリン主義圏に属する中央アジアの勢力圏化のための激烈な争闘戦が進行していた。この中で米帝ブッシュ政権が、新たな世界戦略の樹立をもって軍事的・暴力的な争闘戦の打開を準備していたことである。ブッシュはそのために、闘うパレスチナ・アラブ人民に対するイスラエルの凶暴なせん滅戦的な攻撃を放置し、援助し、パレスチナ・アラブ人民の闘いの封殺政策に転じつつあり、これに対するアラブ人民の怒りがうっ積し、爆発寸前の情勢に入っていたということだ。
 このような米帝の帝国主義的利害のための戦争的準備の強化と、そのもとでパレスチナ・アラブ人民の闘いを戦争的・テロル的手段で踏みにじり、襲撃し殺戮し圧殺する攻撃への怒りこそが、九・一一ゲリラを直接に呼び起こしたのだということをはっきりさせなければならない。イスラエルの目にあまる戦争的・暴力的行動を容認する一方で、イラクを「ならずもの国家」呼ばわりして暴力的「制裁」を継続するのみならず、アラブ・イスラム諸国への敵意と牽制(けんせい)をあらわにしてきた米帝の「ダブルスタンダード」への怒りは満ち満ちていたのだ。
 九・一一ゲリラによる、世界を支配してきた米金融資本の象徴・世界貿易センタービルの大崩壊は、自らが招いた米帝体制としての世界体制の破産と崩壊の象徴的表現にほかならない。
 今、ブッシュは「報復」を唱え、USAナショナリズムを扇動しつつ、ついにアフガニスタン侵略戦争を引き金とする巨大な帝国主義的侵略戦争の火ぶたを切ったが、米帝に報復を叫ぶ権利は断じてない。世界の帝国主義者どもとスターリン主義者が、「テロせん滅」を大合唱し、米帝の「報復」を口実とした侵略戦争に唱和し、加担し、推進していることを断じて許してはならない。

 革命的共産主義者の9・11ゲリラへの態度

 第二に、九・一一反米ゲリラに対する革命的共産主義の党としてのわれわれの態度も鮮明にしなければならない。
 このゲリラは、あまりにも絶望的な行動である。だがわれわれは、アラブ人民あるいはイスラム諸国人民をこのような絶望的行動に追いやっている主体的根拠に、帝国主義国プロレタリアート、とりわけアメリカ帝国主義下のプロレタリア人民の闘いへの絶望がはらまれていることを十分に認識しなければならない。したがって、この闘いを同時に、アメリカ帝国主義下のプロレタリア人民および全世界の帝国主義下のプロレタリア人民への弾劾としても受けとめなければならないと考える。また本質的にはアメリカ帝国主義を打倒せよという、命をかけた叫びとしても受けとめる。
 しかし、そのように受けとめることと、この闘いを支持することとは峻別(しゅんべつ)しなければならない。われわれは、九・一一反米ゲリラをそのまま単純に支持することはできない。なぜなら、これはアメリカ帝国主義とアメリカ人に対する怒りの行動ではあるが、これそのものがアメリカ労働者階級を始めとした全世界の労働者人民に対して、アメリカ帝国主義打倒を呼びかけたものだとは、受けとることはできないからである。端的に言ってアメリカの労働者人民を闘いの主体としてはまったく措定していないからである。
 また何よりも、このような方法によっては米帝は打倒できないことをはっきりさせなければならない。
 イスラエルを先兵とするアメリカ帝国主義によるアラブ民族への民族殺戮と対決し、アラブを始めとした被抑圧民族の解放をかちとることは、アメリカ帝国主義を打倒し、全世界の帝国主義およびスターリン主義を最終的に打倒することによってしかなしとげられない。民族解放達成の道は、帝国主義国の労働者階級人民の帝国主義に対する反乱を呼び起こし、究極的には労働者階級の自己解放の闘いと結合する中にしかない。プロレタリアート自己解放の闘いと民族解放の闘いが世界史的に統一し、その力で帝国主義とスターリン主義を世界から葬りさることによってしか、民族解放も人間解放もかちとることはできないのだ。
 プロレタリアートこそは、帝国主義・資本主義の墓掘り人である。プロレタリアートによる生産手段の奪取をとおしてこそ階級支配を止揚し、帝国主義の民族分断・民族差別・民族抑圧を粉砕し、貧困と差別、さらには抑圧と殺戮と戦争から全世界を解放することができるのである。プロレタリア自己解放の共産主義思想こそが全人間解放の思想である。
 われわれは、九・一一を帝国主義の数々の凶暴性がもたらし、それに対する帝国主義下のプロレタリア人民の屈服がもたらした被抑圧民族の絶望的怒りと不信としてとらえ、なんとしてもこれを、プロレタリアートと被抑圧民族のがっちりと団結した力強い闘いに転化するために全力で闘わなければならない。九・一一こそは米帝の世界支配の破産の現れであり、瓦解(がかい)の始まりである。〈アメリカ帝国主義の打倒、アメリカ体制としての世界体制の転覆の時代の到来〉としてこの事態を受けとめ、反帝・反スターリン主義世界革命の戦取へ猛然と決起しなければならない。
 第三に、九・一一そのものの意味することを超えて、九・一一は世界情勢をガラリと変えたことを確認したい。

 第3次世界大戦の道への世界史的推転

 九・一一を口実にした米帝ブッシュの報復戦争阻止・新たな第三次世界大戦への突入阻止のための、反戦の旗を掲げた巨大な革命的大衆行動を起こすために全力で決起しなければならない。
 情勢は今や、恐るべき世界戦争の時代へと一挙に推転した。
 もともと米帝ブッシュ政権は、アメリカ経済のバブル崩壊と世界大恐慌・大不況の時代への突入という時代的転換点にあって、戦後帝国主義世界支配体制の崩壊、帝国主義の新植民地主義体制の崩壊、帝国主義間争闘戦の死活をかけた激突の時代を、戦後米帝特有の巨大な軍事的力をもって政治的にも経済的にも独自利害の貫徹をむきだしにして延命する戦略をもって登場してきた政権である。
 米帝はそもそも、一九二九年大恐慌と一九三〇年代の世界大不況と世界戦争の時代を、超軍事体制をもって他帝国主義に勝ちぬき、唯一生き残り、その圧倒的力で戦後帝国主義支配体制を築き、対スターリン主義対決=帝国主義間争闘戦の展開のもとで圧倒的な軍事経済をもって戦後を支配してきた帝国主義である。その米帝は今、再び世界大恐慌の到来を前にしてブッシュ政権のもとで世界戦略を検討し直し、ミサイル防衛構想をぶち上げて軍事予算の圧倒的増強を計画し、最後は世界大的戦争に訴えて、民族解放闘争を圧殺・粉砕し、帝国主義間争闘戦に勝利する道を歩み始めていたのである。
 このような道を歩み始めた米帝ブッシュ政権にとって九・一一は、あらかじめ確立しようとしていた世界戦略を圧倒的に推進するものとなったのだ。
 日帝による一九四一年のパールハーバー(真珠湾攻撃)以外に米国内への攻撃を経験したことがない米帝は、アメリカの労働者人民の衝撃と排外主義的怒りをテコに、パールハーバーへの報復を合言葉に第二次世界大戦に突入していったように、九・一一報復を合言葉にアフガニスタン人民に対する帝国主義的侵略戦争、民族抹殺の戦争に突入し、長期の世界大的戦争へと突き進みつつある。
 かつて日帝が朝鮮人民の民族解放闘争や中国人民の民族解放の闘いへの介入を口実に、朝鮮・中国侵略戦争へと大々的に突入していったように、アメリカは今、帝国主義的排外主義の偏見から九・一一を「イスラム原理主義者の国際テロ」と決めつけ、そのことを口実に、中東侵略戦争を大々的に遂行しようとしている。そもそも戦後中東は一貫して石油資源の独占的支配をめぐる帝国主義間争闘戦の激突の場であった。そして今やそれに加えてソ連スターリン主義崩壊後の旧ソ連領中央アジアが、カスピ海の石油・天然ガス資源の強奪をめぐる、全帝国主義諸国とロシアや中国をも加えた壮絶な争闘戦の戦場となっている。
 この中での、圧倒的軍事力をもってする米帝の露骨な国益のための帝国主義的強盗的戦争の推進は、たちまちにして旧スターリン主義国・ロシアや残存スターリン主義国・中国をも巻き込んだ、帝国主義同士の激烈な対立に転じることは火を見るよりも明らかである。中東および中央アジア人民を殺戮し、難民化し、焼き尽くす強盗的戦争は、世界大恐慌の爆発による世界経済の統一性の崩壊と世界経済の収縮の中で、確実に全世界を巻き込んだ戦争へと絶望的に発展せざるをえない。九・一一をもって世界史は世界戦争の時代へとがらりと回転した。恐るべき第三次世界大戦が、このような独特の形で始まったのだ。
 全国・全世界に、帝国主義的強盗的戦争への巨大な反戦の闘いを呼びかけて立ち上がろう。全世界の労働者人民が、革命的祖国敗北主義の立場に立って自国政府の戦争参加と対決し、帝国主義国プロレタリアートの闘いと全世界の民族解放闘争の連帯の力をもって、帝国主義の侵略戦争を内乱に転化するために猛然と決起することを訴えよう。

 世界大恐慌と一体となって切迫する世界戦争の危機

 以上の立場を確認した上で、今後の情勢についてさらに検討していきたい。

 戦争の長期化・泥沼化

 第一に、この戦争はブッシュ自身が繰り返し語っているように、「かつてない長期の戦争になる」ことは確実だ。それは、この戦争が米帝の戦後新植民地主義的支配体制の崩壊、戦後中東支配の破綻の結果として起こったという階級的性格から不可避なのである。
 この戦争の特異性は、なんと言っても国家間戦争ではなく、彼らの言う「国際テロ集団(ネットワーク)」による民族解放闘争のせん滅を目指す戦争というところにある。アフガニスタンやイラクなどの一部の国家をも巻き込む形で戦争は展開されるが、いわば内戦が国際的規模の内戦として戦われ、戦争目的は最終的に「国際テロ・ネットワークのせん滅」なのである。帝国主義支配階級が自己の統治下に法制的手段をすべて掌握している国内での内戦ですら、非合法・非公然の抵抗を完全に根絶やしにするには困難があるのに、ましてや国際的規模での抵抗闘争を、しかも民族解放という民族的怒りに根ざした戦いを根絶・せん滅に追い込むことは、ほとんど不可能なほど困難である。
 ブッシュ政権は、タリバン政権の屈服によるオサマ・ビンラディン氏の引き渡しの実現を追求しつつ、タリバンの拒否を見越して、@タリバン政権を粉砕する戦争(イスラム国家に対する侵略戦争)の形態に持ち込み、それに勝利することを追求するとともに、A組織としてのアルカイダ絶滅戦争として、その軍事的・政治的・経済的包囲と封じ込めへの国際的支持と協力の取りつけに全力をあげてきた。そして、ロシアをも含む、全帝国主義諸国の積極的支持と加担を組織し、同時に国連安保理常任理事国を構成する中国の賛同を確保し、イスラム諸国・アラブ諸国をもねじ伏せる形で米帝の戦争への同意・協力を取りつけてきた。
 しかし、タリバン政権を粉砕すること自体が、かつてソ連軍が翻弄(ほんろう)され疲弊させられたように、きわめて困難であり、まして全世界に根を張っていると言われているアルカイダの絶滅はけっして容易ではない。また、米帝が追い詰めれば追い詰めるほど絶望的な決死的反撃をよび、アメリカ国内はもちろん、全帝国主義諸国の国内をも戦場としたやりあいへと発展する可能性を大いにはらんでいるのだ。
 したがって、この戦争の過程で米帝が九・一一の死傷者をはるかに上回る人民虐殺・民族抹殺の戦争を遂行したり、長期戦争の中で泥沼化していった場合、国際的支持や協力など直ちにガタガタに崩れるものでしかない。最初の一撃的戦争で相当の戦果をあげない限り、かつての米帝のベトナム侵略戦争や旧ソ連のアフガニスタン軍事侵攻のように、戦争は長引き、泥沼化し、国際的支持はもちろん国内的支持も喪失していくことは確実である。しかも、アメリカ国内までも戦場とするような戦争の長期化は、確実に疲弊をもたらさざるをえない。
 またブッシュは、差し当たってこの戦争がイスラム勢力との宗教戦争に発展することを回避するために躍起になっているが、イスラム諸国人民とその民族解放を求める運動の一切をせん滅しようとする米帝の戦争目的は明らかであり、宗教的信念にもとづく自己犠牲的戦いとの対決に帝国主義国の傭兵(ようへい)が勝利することはきわめて困難である。
 しかし米帝にとっては、もともと戦後の新植民地主義体制の崩壊・中東支配の破綻の結果として起こった戦争であり、決定的戦果をあげて軍事的強権性をもってその破綻を突破して勝利する以外に、退くことは本質的に不可能なのだ。したがってたとえ泥沼化しようと、米帝はさらに凶暴化してこの戦争を継続する以外にない。

 “イスラム復興運動”

 この戦争の長期性、泥沼性との関係では、次の点も重要である。
 われわれは、この戦争をキリスト教的文明とイスラム文明の文明間戦争であるかのように言う一切の見解と対決し、これが階級闘争であり、このような宗教戦争的イデオロギーは帝国主義に対する階級的解放の闘いと民族的解放の闘いを混乱させ、歪曲するものでしかないことをはっきりさせなければならない。
 帝国主義の新植民地主義的支配とそのもとで貧困と差別、旧社会の共同体の崩壊と分断が激しく進行し、国際共産主義運動がスターリン主義によって制圧され解体させられた中で、イスラム復興運動が浸透し、貧困な大衆をとらえてきた。そして、イラン革命の爆発を頂点としてイスラム教が中東全体をとらえ、アラブ民族主義とイスラム復興運動が帝国主義的支配を破綻させているという現実がある。
 しかしその本質は、帝国主義とスターリン主義の世界支配体制としての戦後体制下において、階級支配への怒り、帝国主義による侵略と新植民地主義的支配の現実への怒りが充満し、それが国際共産主義運動のスターリン主義的変質に規定されて、世界を再びイスラム復興運動がとらえるかのような現象をつくりだしているという点にある。
 資本主義的・帝国主義的現実のもとでは、ムスリムの「社会的公正観」、ムスリムとしての一体性がもたらす「共同体意識」、そしてイスラムの中にある「相互扶助の観念」が人民大衆をとらえ、そこで自己を維持し、救済するしかない現実があるからだ。そしてその中から、帝国主義とスターリン主義への憎しみと不信、帝国主義諸国人民への絶望がイスラム武装勢力に流れこむことが繰り返し生み出されるのだ。したがって、この現実は帝国主義による世界支配こそが生み出したものである。
 だが、イスラム復興運動によっては、一切の抑圧の根源である帝国主義・資本主義を打倒し、労働者人民の解放と民族解放を実現することはできない。国際共産主義運動のスターリン主義的変質を粉砕し、きっぱりと決別し、反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命を掲げた革命的共産主義運動以外に、この現実を止揚することはできないのだ。

 石油をめぐる争闘戦

 第二に、この戦争は確実に、帝国主義的利害をめぐる、スターリン主義をも巻き込んだ帝国主義諸国同士の強盗的侵略戦争に転化することをはっきりと見通さなければならない。
 つまり、九・一一とそれへの報復という独特の形で戦争が始まったが、その本来の階級的性格をたちまちのうちに露呈することは確実であり、われわれはこの戦争の進展を注意深く分析して、帝国主義的強盗的戦争の本質を暴露するために全力をあげなければならない。そして階級支配の廃絶、帝国主義打倒、スターリン主義打倒を掲げて懸命に闘わなければならない。
 中東は、戦後帝国主義世界体制を経済的に支える石油資源をめぐる帝国主義と帝国主義のすさまじい激突の場である。そこは今日、イスラエル建国を使った米英帝の石油の独占的支配のための暴力的支配が、パレスチナ・アラブ人民の英雄的な民族解放闘争の激化によって破綻し、さらにソ連スターリン主義崩壊後の中央アジアをめぐる分割戦の激化も伴って、激しい争闘戦の戦場となっている。
 差し当たっては九・一一への「報復」として、特に支配階級として同じく国内階級闘争の暴力的発展を共通して恐れる全帝国主義諸国と残存スターリン主義国が統一性を保っているが、戦争が中東と中央アジアをめぐる米帝の独自利害のむきだしの貫徹として突き進むことは確実であり、その様相が露骨になるや否や、たちまち米帝への協力や一致の体制は瓦解し、帝国主義相互の争闘戦貫徹のための帝国主義戦争という戦争の階級的性格がむき出しになっていくであろう。

 米帝経済危機と戦争

 第三に、この戦争は完全に世界大恐慌と一体となって激烈な世界戦争に拡大・発展するということである。
 すでに、アメリカ経済のバブルがはじけ、二九年型世界大恐慌の本格的爆発過程に突入していたが、九・一一ゲリラ戦が与えた実体経済への打撃(航空業・旅行関係業・保険業など)がそれを促進し、アメリカの株価は続落を続け、それが日欧・アジアの株価下落を誘い、決定的情勢に転じ始めている。
 現在米帝は、「九・一一への報復」で全米の挙国一致体制を整え、その一環として経済的危機をも突破するむなしい試みを懸命に行い、また他帝国主義諸国もこれにかつてなく同調して世界大恐慌への転落阻止に懸命になっている。しかし、もともと急速な生産低下、過剰資本・過剰生産力状態の全面的露呈の中で急激な景気後退局面に突入し、失業率の急上昇などが起きていたのであり、FRB(米連邦準備制度理事会)による利下げや減税政策などによってはもはや根本的打開は不可能なのだ。
 重要なことは、この米株価の続落と米経済危機の全世界への波及であり、日本経済への直撃が最も深刻だということである。しかも欧州・アジアへも波及し、それが日米危機に戻る形で、世界経済全体の収縮過程が始まり、ドルが揺らぎ始めたことである。米のバブル経済によって支えられた世界貿易構造も、その米バブルを支えた国際資金循環の構造も、大動揺過程へと突入した。
 したがって、色々な曲折はあるが、これが最後的にドル暴落へと転ずる時、戦後帝国主義経済の統一性は瓦解し、世界経済は急速に縮小していくのである。
 むしろ米帝ブッシュ政権は、今やドル暴落の危機を直接的契機として開戦を決定した可能性もあると言わなければならない。米帝経済危機を戦争で突破するという反革命的思惑もあるということだ。だが、しょせん戦争の遂行それ自体が世界大恐慌を最終的に爆発させることになるであろう。
 恐慌と戦争と、この両者が相互規定的にスパイラル的に進行することは完全に確実になった。そしてそれは、戦後帝国主義世界体制をつくり支えてきた米帝の軍事力、この構造そのものの最後的破綻となる。
 これは、中東で始まった戦争を確実に世界に拡大することになる。そしてそれは、帝国主義同士が、自己の延命をかけてむき出しに争うことに一挙に転化する。戦争は九・一一への報復などという次元をはるかに超えて、拡大的に発展せざるをえない。

 中国問題の大きさ

 第四に、この情勢の中で中国問題の位置がきわめて大きいことである。
 ソ連スターリン主義崩壊後の帝国主義は、崩壊したスターリン主義圏や崩壊しつつある残存スターリン主義圏をめぐる市場争奪戦への突入で一時的に延命した側面があり、とりわけ東欧、中央アジア、何よりも中国市場をめぐって激しい帝国主義間争闘戦が展開されてきたのである。
 世界大恐慌への突入は、この情勢に決定的なインパクトを確実に与える。特に、中国がWTO(世界貿易機関)加盟を果たす意味は小さくない。中国は世界大恐慌の荒波を直接に被ることになり、世界の中でも最も激烈な変化にたたき込まれるであろう。
 中国スターリン主義体制は、世界大恐慌による経済的打撃の中で国内階級闘争の爆発を抑えるだけの力を持たず、スターリン主義権力を打倒する勢力が党的・階級的になお未形成な中では、国内統治力の瓦解的情勢に突入せざるをえない。その無秩序的混乱の中で、中国市場の奥深く入り込んでいる各国帝国主義がむき出しの対立を激化させていく。しかも、世界経済のブロック化と帝国主義間争闘戦の激烈化の中で、中国スターリン主義国家も特定の帝国主義国との結合を深める方向へと突き進まざるをえないのだ。
 最終的には、中国スターリン主義自身が国内支配の危機突破をもかけ、特定の帝国主義国との連合による帝国主義戦争への参戦の道を選択するであろう。
 その場合、中央アジアへの石油資源をめぐる中国の介入の度合いの大きさとの関係で、アフガニスタン侵略戦争が開始された中での中国の帰すうは重要な意味をもってくる。
 こうした中で、もともと対米的に軍事的脆弱(ぜいじゃく)性の突破をつきつけられている日帝は、その絶望的飛躍の度合いと、その段階での日米関係のありように規定されつつ、対中国的にも日帝自身の軍事的対応を必ず不可避にする。まさに世界は大激動へと突き進むことになる。そして中国、南朝鮮など東アジアが最も見通しのきかない、ドラスチックな激変の舞台になることは確実である。
 第五に、さらに、この米帝の戦後新植民地主義的支配体制の今ひとつの破綻点である南北朝鮮分断政策は、この中東での戦争爆発の中で、必ず激烈な破綻に直面すると見ておくべきである。

 日帝の参戦阻止へ

 第六に、この戦争は日米争闘戦をますます激化させ、日帝の戦争国家化への突進に決定的な拍車をかけるものとなる。
 すでに米帝の対日要求はこれまで以上に強烈で待ったなしになっており、日帝・小泉政権もまた、日米同盟を理由に第二次大戦後の軍事的制約をどしどし取り払う攻撃に踏み切っている。そして米帝は、ミサイル防衛構想などを含めた米帝の新たな世界戦略―世界戦争政策推進の観点から、それを積極的に推進し、強制し、許容するというものすごい情勢が進行している。
 何よりも小泉政権は、主体的参戦の意図と思想を真っ向から打ち出して、アフガニスタン侵略戦争への加担に踏み切った。参戦法案=「テロ対策特措法」や自衛隊法改悪を、野党の屈服と協力のもとで国会審議抜きで強行し、自衛隊の侵略出兵や治安出動に次々に着手し、戦争国家化への攻撃を一挙にエスカレートさせている。国内階級闘争の様相を一変させる情勢の到来だ。
 われわれは今こそ、革命的情勢に対応した革命党の三大義務遂行のために「米英帝の空爆弾劾! 日帝の参戦絶対阻止!」「闘うイスラム諸国人民と連帯し、帝国主義のアフガニスタン侵略戦争を阻止せよ!」を掲げて猛然と決起しなければならない。その巨大な反戦闘争の渦の中で、有事立法粉砕・改憲阻止決戦の大爆発へ突き進もう。

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週刊『前進』(2026号5面1)

 侵略戦争に協力する日本共産党

 「テロ根絶」叫び 帝国主義の民族抑圧・虐殺に積極加担

 人民の実力決起への恐怖が根底に

  藤枝 杳

 十月七日、米・英帝国主義は、アフガニスタン全域に対する空爆を開始し、許すことのできないアフガニスタン・中東侵略戦争についに突入した。これについて日本共産党委員長志位は八日、「アメリカの軍事攻撃開始について」と題した声明を発表した。この声明は「国連を中心とした国際政治の場で、国際社会としての的確な告発と制裁という手段がつくされないまま、軍事攻撃と戦争という事態になったことを、残念に思う」と言うのみである。ここには、アメリカ帝国主義の侵略戦争突入に対するただの一言の批判も弾劾もない。ただ米帝に゛国際法にのっとって戦争をやってください゜とか細く懇願しているに過ぎないのだ。日帝・小泉に対しては「軍事行動が始まったからといって、自衛隊の海外派遣をめぐる新規立法や憲法解釈の変更などを、本格的な国会審議もなしにただ急ぐようなことはすべきでない」と言う。日帝の参戦そのものに反対する言葉の一言もなく、゛時間をかけてやってほしい゜とすがるのみである。帝国主義の侵略戦争に屈服する日共、労働者階級人民と被抑圧民族人民の最悪の敵=日共スターリン主義を今こそ打倒し、労働者人民の巨大な反戦闘争の爆発へ、死力を尽くし立ち上がろう。

 「テロ糾弾」で国際社会が一致せよと絶叫

 まず九・一一反米ゲリラ戦争以降の日共の主張を見てみよう。
 @日共の主張の核心は゛テロ糾弾゜の絶叫である。「このようなテロ行為は、いかなる宗教的信条や政治的見解によっても、正当化できるものではありません」「国際社会全体にたいする攻撃であり、世界の法と秩序にたいする攻撃」(九月十七日「米国での同時多発テロ事件にかんする各国政府首脳への書簡」)。「いかなる理由があろうとも」と繰り返し強調し゛テロ絶対反対゜を基本的立場として打ち出している。しかも九・一一ゲリラの原因が帝国主義の被抑圧民族への侵略にあることには文字どおり一言も触れない。
 A実践方針は唯一「テロ根絶」である。しかも「テロ根絶」を、帝国主義による民族抑圧や帝国主義と労働者階級の階級的対立関係を一切消し去った「人類」「国際社会」の共通の意思として描く。「野蛮なテロを根絶することは、二十一世紀に、人類がこの地球上で平和に生きてゆく根本条件の一つ」(「書簡」)、「卑劣なテロを世界から根絶しなければならないということが、国際社会と日本国民の強い総意であることは、いうまでもありません」(九月二十日の「日本政府の対応についての申し入れ」)。帝国主義への怒りと弾劾ではなく「テロ反対」が日共の立場なのだ。
 Bこうした主張を「各国政府首脳」に発したことにも重大な意味がある。日共が「テロ根絶のための国際社会の共同」と言う時、その呼びかけの対象は、労働者人民や被抑圧民族人民ではなく、国連安保理、NATO加盟国を始めとする「各国政府首脳」なのだ。
 C「テロの根絶のためには法と理性にもとづいた解決が必要」「テロ犯罪にたいして、軍事力で報復することは、テロ根絶に有効でないばかりか……さらにいっそうのテロ行為と武力報復の悪循環をもたら」(「書簡」)す、とする。「軍事報復ではなく」と言うのも、帝国主義と同じ立場から「テロ根絶に有効でない」からより有効な手段を選択せよ、と主張するものだ。
 D米帝のアフガニスタン侵略戦争に対してはどうか。「国際法上の根拠がどこにあるのか」「テロ事件の翌日に採択された国連安保理事会決議1368は、『テロ攻撃の実行犯、組織者、支援者を法にてらして処罰』することをもとめているものであり、米国の軍事力行使を容認する内容はどこにもありません」(十月二日の衆院本会議における志位の代表質問)。なんと、゛国連決議や国際法上の根拠を持つ戦争であることをはっきり打ち出して、犯人を処罰してくれ゜と言っているのだ。
 E日本政府の対応に対しては゛日本政府自らの主体的な判断が欠けている゜から問題だと言う。「問題は、……世界からテロを根絶するという目的を達成するうえで、国際社会がどのような手段をとるべきか……という選択の問題です。この点で、日本政府のいまの対応には、率直にいって、この選択の問題について、主体的な検討をおこなった形跡がみられません」(九月二十日の「申し入れ」)。周辺事態法制定の時と同じく、「アメリカの戦争への自動参戦」だから問題だとして、゛日本の国益に基づき、主体的意思を持ってテロ根絶のために参戦せよ゜という、より右からの国益主義・愛国主義の鼓吹にほかならない。

 被抑圧民族人民と帝国主義国人民の闘い敵視

 こうした主張を掲げて日共は、国会議員・地方議員を先頭に日共系のさまざまな団体を総動員して、連日各地で街頭宣伝に出ている。「赤旗」は゛街頭の訴えに大反響゜と大宣伝している。日共は今、スターリン主義としての本性をむき出しにして、開始された国際反戦闘争の爆発に恐怖しこれを抑え込むために総力でうごめき始めている。全国で四千人以上の地方議会議員を擁すると自慢する日共は、各地の地方議会で自民党と共同して「テロ糾弾」決議を上げることに奔走している。「テロ糾弾」とは「報復戦争突入」のために日帝があおっているものであることを日共は知りつつ、これに率先加担しているのだ。
 なぜ日共はこれほど激烈に反応しているのか。日共自身がスターリン主義反革命として、九・一一反米ゲリラ戦争が与えた人民への巨大な衝撃に根底的に恐怖し、震え上がったからだ。
 九・一一は、米帝の暴虐に対する被抑圧民族人民の怒りがいかに激しいものかを、何よりも帝国主義足下の労働者人民に深刻に突きつけた。この巨大な衝撃の中で、帝国主義足下の労働者階級人民の真剣な苦闘がかつてない巨大な規模で始まっている。
 九・一一反米ゲリラ戦争を見た瞬間、広範な人民が「アメリカがひどいことをいっぱいやってきたから起きた」と肌で感じた。そしてこの九・一一への報復を口実に米帝がアフガニスタン侵略戦争に突っ込んだことに対して、広範な人民が「報復戦争は許せない」と決起し始めている。
 当然である。全世界の被抑圧民族人民はもちろん、帝国主義国の労働者人民も誰もが、インティファーダに決起するパレスチナ人民の存在を知っている。パレスチナ人民の闘いが、米帝の中東支配、石油支配のためのイスラエル建国と軍事侵略・虐殺に対する必死の抵抗闘争であることを知っている。九・一一の一切の責任はアメリカ帝国主義にあると感じ取り、帝国主義国のプロレタリアートとして被抑圧民族の闘いにどうこたえるべきかを真剣に考え始めている。
 それは間違いなく、被抑圧民族人民に暴虐の限りを尽くしてきた帝国主義、しかも自国の労働者をも今や「食わせていく」ことができなくなった帝国主義に対する根底的な反乱へと大きく開かれたものである。
 だからこそ日共は「テロ根絶」を絶叫しているのだ。その目的は、米帝の数限りない暴虐に根底的に疑問を持ち始めた人びとに対して゛悪いのはアメリカではない。すべての悪の元凶はテロリストだ゜とたたき込むことであり、開始された戦争への人民の反戦闘争を抑え込むことである。

 階級的観点に立たずに人民の抵抗闘争を否定

 日共は米帝ブッシュの侵略戦争に対しても、日帝・小泉の参戦に対しても、「法と理性にのっとる」よう求める。それは帝国主義者による戦争でも゛法と理性゜にのっとっていれば正しい、だから゛国際法上根拠のある戦争にしてください。そうすれば支持します゜と帝国主義者どもに懇願するものにすぎない。
 実際に日共は、九一年イラク・中東侵略戦争(湾岸戦争)に対して「この戦争を……帝国主義戦争、侵略戦争などと定義づけることは誤り」「不正義を制裁する性格を帯びたもの」(『赤旗』九一年三・五論文)と言って賛成した。今の日共の主張は、゛あの時と同じように筋を通してください゜というものなのだ。
 だがいったい、「国際法上根拠がある」戦争であれば、労働者人民や被抑圧民族人民にとって「正義の戦争」であるのか? 否である。国連も国際法も、すべて帝国主義の世界支配のための道具に過ぎない。開始された戦争は、アフガニスタン・中東人民にとって絶対に許すことのできない侵略戦争であると当時に、米帝足下の労働者階級にとっても自らの階級的利益にまったく相反する、米帝ブルジョアジーの利益のための戦争にほかならない。
 しかしここでもうひとつ重大な問題がある。帝国主義の行う戦争は「法と理性」があればと「条件つき」で賛成する日共が、他方で「テロ」に対しては「いかなる宗教的信条や政治的見解によっても正当化できない」と絶対反対を絶叫する。ここに、日共のスターリン主義の本性が示されている。
 日共が「テロ根絶」と絶叫しているのは、ほかならぬ日共自身が、九・一一として炸裂(さくれつ)した被抑圧民族人民の根底的な怒りに、どうしようもなく恐怖し震え上がったからなのだ。それは゛こんな被抑圧民族人民の闘いを放置しておいては、再び世界革命の時代が到来してしまう゜
という恐怖であり、被抑圧民族人民の民族解放闘争が帝国主義国の労働者の帝国主義打倒の闘いと結合した時、本当に帝国主義が打倒されてしまうという恐怖である。この恐怖ゆえ、被抑圧民族人民の闘いすべてを「テロ」「テロリスト」と非難し、帝国主義者にも負けない激しさで「テロ根絶」を絶叫し、帝国主義に対して゛こういう立場に立っていることを認めてくれ゜と訴えているのだ。
 日共が「テロ」という言葉で指すものは何なのか。九月二十三日に行われたNHK番組「日曜討論」の中で、書記局長の市田は「軍事行使が無条件の前提だということでは、この問題の解決にならない。これは、イスラエルとパレスチナの(テロと軍事報復の)悪循環を見ても明らかです」と発言した。十月三日の参院本会議における代表質問においても「軍事力による報復が……テロと軍事報復の際限のない悪循環をもたらすことになることは、パレスチナとイスラエルの関係を見ても明らかです。それはテロ根絶にとって、有害ではあっても決して有効ではありません」と発言した。なんと、パレスチナ人民の解放闘争を「テロ」と非難し「根絶」すべきと絶叫しているのだ。
 重要なことは、「テロ」と言い「ゲリラ」と言っても、そこにはそれを生み出した階級的根拠、背景、基礎があるということだ。日共はそれをまったく無視して「とにかくテロは根絶」と絶叫する。しかし帝国主義を打倒することによって帝国主義の民族抑圧をなくす以外にテロをなくすことなどあり得るのか。
 日共が「テロ」と非難するのは被抑圧民族の民族解放闘争であり、労働者階級人民の抵抗闘争である。帝国主義の支配体制を揺るがすものに対する徹底した恐怖と憎悪――この点では帝国主義と寸分違わない立場にあるのだ。その一方で、帝国主義の支配体制を維持するための巨大な国家暴力とその残虐な行使についてはなんら否定せず、「法と理性」に基づいて発動すればOK、とするのである。
 日共は、人民が自己解放闘争に立ち上がった時の根底性、不屈性、非妥協性や、人民の決起が発展していった時には帝国主義打倒にまで行きつかざるをえないことを反革命として知り抜いている。この人民の決起の根底性、激しさに対する恐怖こそスターリン主義の本性なのだ。
 日共はスターリン主義反革命としての嗅覚(きゅうかく)で階級闘争の高揚期の到来と帝国主義の危機を感じ取り、このままではスターリン主義党としての自己の存立基盤そのものを揺るがされてしまうという危機感を持っているのだ。スターリン主義とは、人民の闘いが革命的に発展する時には、必ずその前に立ちはだかる武装反革命である。人民の革命的武装は絶対許さないが、それを阻止するためにはどんな暴力的手段も使う。このスターリン主義の本質がまさにむき出しになっているのだ。

 レーニンの革命的祖国敗北主義が問われる

 第三次世界大戦への過程に不可逆的に突入した今、国際階級闘争は、再びみたびスターリン主義の裏切りのもとに敗北の道を歩むのか、それとも反スターリン主義・革命的共産主義の党が全世界の労働者階級人民と被抑圧民族人民の共同の闘いで反帝国主義・反スターリン主義世界革命の勝利を切り開くのか、という歴史的な大決戦に突入した。アフガニスタン・中東侵略戦争をめぐって、スターリン主義と反スターリン主義が真正面から激突しているのだ。
 わが革共同こそ、この重大情勢の中で日共スターリン主義と激突して闘い、打倒する党である。日共との激突に勝利することによって初めて、日本の労働者階級人民の反戦闘争への総決起を実現することが可能となるのだ。
 その核心は、一九一四年の第一次帝国主義戦争の勃発(ぼっぱつ)に対するレーニンの闘いを、われわれが本当にやりきることにある。第二インターナショナルのほとんどの勢力が雪崩をうって祖国擁護派、祖国防衛主義に転落する中で、レーニンは、@戦争の階級的性格を明らかにすること、すなわち目の前で起きている戦争が支配階級=ブルジョアジーのための帝国主義戦争であり、労働者階級の階級的利益にまったく反する戦争であることを明らかにすること、Aこの戦争に対して労働者人民は、自国政府の敗北を促進し、戦争によって生み出された政府の苦境と大衆の憤りを利用して、帝国主義戦争を内乱に転化するという革命的祖国敗北主義の立場に立って闘うべきであることを鮮明にした。この闘いをレーニンを先頭にボルシェビキが全力で貫徹することによって、一九一七年のロシア革命の勝利がかちとられ、また第一世界大戦はそのことによって終わった。
 今問われているのは、このレーニンの闘いを自らの職場、大学、地域、街頭で全力でやり抜き、職場の仲間や学生を猛然と組織することである。
 「米帝はアフガニスタン侵略戦争をただちにやめよ! 日帝の参戦阻止!」「闘うイスラム諸国人民と連帯し、帝国主義のアフガニスタン侵略戦争を阻止せよ!」の反戦闘争を巻き起こそう。国会闘争に総決起し、十・二一国際反戦デー闘争の爆発をかちとろう。十一月労働者集会に労働者階級の巨大な隊列を登場させよう。

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週刊『前進』(2026号5面2)

 2001年日誌

 阻もう! 改憲=戦争への動き

 10月3日〜9日

 参戦法案などが国会に提出 米英軍が連夜の空爆を強行

●在日米軍の動き報道自粛要請 在日米軍司令部が報道機関に対し、作戦に関連した米軍部隊の動きや、基地の警戒態勢について詳細な報道を控えるよう要請した。(3日)
●「防衛秘密」を新設 自衛隊法改悪案に、自衛隊の秘密保持強化のための「防衛秘密」という考え方を設け、「漏らした時は五年以下の懲役に処する」などとする内容を盛り込んだ。また自衛隊員以外にも業者や他省庁の職員も処罰の対象にしている。(3日)
●アフガニスタン人一斉拘束 東京都などに住むアフガニスタン人に対し、出入国管理法違反(不法入国)などを口実に家宅捜索。計十一人の身柄を拘束した。(3日)
●米軍支援「柔軟性を」と米高官 アーミテージ米国務副長官らが、テロ対策特別措置法による自衛隊の米軍支援活動に関連して、自衛隊の活動の内容や地域について「できる限りの柔軟性」を持たせることが重要だと日本政府側に要望していたことがわかった。「武器・弾薬の輸送」を念頭に置いた発言と見られる。(3日)
●「海自艦船を派遣」と山崎 自民党の山崎拓幹事長がインタビューで「中東のシーレーン(海上交通路)確保が目的だ。アフガニスタンで何か起これば、情報収集が必要なので出すことになる」と述べ、米軍の軍事行動開始後に海上自衛隊の艦船数隻を派兵する考えを明らかにした。(3日)
●那覇空港も警護対象 自衛隊法改悪案で、警護対象施設に自衛隊那覇基地を併設している那覇空港も想定していることが自民党国防部会で明らかに。(3日)
●バズーカで対応当然と麻生 自民党の麻生太郎政調会長が講演で「武器使用対等の原則で、向こうが戦車で来たら、対抗手段としてバズーカ砲くらい撃つのは当たり前のことだ」と述べた。(4日)
●参戦法案国会へ提出 政府は「テロ対策特別措置法案」=参戦法案と自衛隊法改悪案を閣議決定し、国会に提出した。またパキスタンに陸・空自衛隊を派兵することも決めた。(5日)
●憲法との関係「答弁に窮する」 小泉首相が衆院予算委で、テロ対策特措法案と憲法との関係について「確かにあいまいさは認める。すっきりした法律的な一貫性、明確性を問われれば、答弁に窮してしまう。そこにはすき間がある」と述べた。自衛隊の活動地域について「無限定と言えば無限定だ。(地球上の)どこで戦闘が行われるか分からない」と答弁、米軍がアフガニスタン以外の国で軍事行動を起こした場合、自衛隊もそれに呼応することを認めた。(5日)
●「旗を見せろとは最大限の関与を、という意味」
アーミテージ米国務副長官が「旗を見せろ」発言について「日本がこの戦いに最大限に関与していることを示せという意味だ」「米国とともにあるかどうかということで、五〇%、六〇%という尺度はない」と述べた。(5日)
●空自輸送機が出発 航空自衛隊のC130輸送機六機がパキスタンに向け愛知県の小牧空港を飛び立った。空輸隊は空自隊員を中心に約百四十人で編成されている。拳銃などを携行している。(6日)
●空爆開始 ブッシュ米大統領がテレビ演説で米英両軍によるアフガニスタンへの攻撃開始を宣言。カブールやカンダハルへ巡航ミサイルや爆撃機で攻撃を行った。(現地7日)
●憲法調査会10月末から 衆院憲法調査会が「国際協調と安全保障」をテーマに憲法九条の論議に入る方針を固めた。(7日)
●連夜の空爆 米英両軍による二晩目の空爆が行われた。米国はアフガニスタン以外の「テロ支援国家」に対しても今後攻撃を加える可能性があるとした。タリバンは徹底抗戦を表明。現地では二十五人以上が死亡とアフガン・イスラム通信が伝えた。(現地8日)
●日中首脳会談 小泉首相が中国を訪問し、江沢民国家主席らと会談した。小泉は、靖国神社の公式参拝について明言を避けた。(8日)
●沖縄へ機動隊420人
沖縄の在日米軍施設の警備のために、警察庁が本土から沖縄へ機動隊員約四百二十人を派遣した。一部は航空自衛隊の輸送機で沖縄に入った。(8日)
●地雷除去でPKF派兵と山崎 自民党の山崎幹事長が「国連平和維持活動(PKF)本体業務の一つの地雷除去がある」と述べ、国連平和維持活動(PKO)法を改悪して派兵すべきとの考えを示した。(9日)
●3日目の空爆 米軍がアフガニスタンに対する三夜目の空爆を行った。地雷撤去に携わるNGO職員四人が死亡するなど犠牲が広がっている。(現地9日)
●これ以上なら改憲と小泉
 小泉首相が「今回の法案は現行憲法の範囲内であるが、もうこれ以上ということになれば、憲法改正をもって処する以外にない」と語った。(9日)

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週刊『前進』(2026号5面3)

 改憲阻止決戦シリーズ

 今、問い直す侵略と戦争の歴史

 第2部 15年戦争の末路(8)

 広島・長崎に原爆投下A

 アジア侵略戦争の悲惨な結末

 世界戦争の帰結

 人類最初の原爆は、日帝のアジア侵略戦争、日米帝国主義のアジア・太平洋支配をめぐる戦争の帰結としてあった。
 @米帝の意図は何か。
 第二次世界大戦が始まったころから、米、独、英、日帝などが原爆の開発に総力を傾けた。ドイツの侵攻で英帝の研究は挫折し、ドイツ、日本も開発には至らなかった。結局、圧倒的な経済力と工業力を持つ米帝によって原爆は開発されたのである。
 「マンハッタン計画」と呼ばれた原爆開発プロジェクトは、推定二十億j(現在の日本円で約二兆円)の費用をかけ、全米十九州に三十七の工場を建て、最盛期には十二万人以上の科学者、軍人・軍属、労働者が原爆開発に従事した。
 四五年七月、米英ソのポツダム首脳会談に臨んでいた米トルーマン大統領は、ニューメキシコ州アラモゴード砂漠での核実験成功の報に接し、日帝に即時無条件降伏の最後通告を発する一方、軍に「八月三日以降に原爆を投下せよ」と命令した。ソ連参戦=アジア進攻を目前に、戦後世界の米帝による支配を意図したトルーマンの明確な意思のもとに広島・長崎への原爆投下は行われた。
 米帝にとって「初めに原爆投下ありき」だったのである。それはアジアをめぐる日米帝国主義の強盗戦争の帰結であり、第二次世界大戦の終結だった。
 しかし、それは同時に、核で満身武装した帝国主義とスターリン主義による世界核戦争の現実性=危機的な戦後世界体制の始まりでもあった。新たな核戦争の時代が到来したのだ。
 A日帝にとって、また日本の労働者人民にとって原爆投下とは何だったのか。
 被爆は、日帝のアジア侵略戦争とアジア支配をめぐる日米帝国主義間の強盗戦争の帰結である。同時に、それは天皇ヒロヒトが戦争責任逃れと自己保身を図るため、「国体(=天皇制)護持」の保証のないポツダム宣言を黙殺し、降伏引き延ばし工作を策動した結果でもあった。
 日本労働者階級人民にとって被爆は、階級性を投げ捨てアジア侵略戦争に動員されていった帰結でもあった。「国のため日本民族のため」と、日帝の侵略戦争に命を差し出すことが尊いという帝国主義のイデオロギーに屈服し、戦争に加担した結果の被爆だった。
 B在日朝鮮人・中国人にとって何だったのか。
 広島・長崎では多数の朝鮮人・中国人も被爆した。七万人を超える朝鮮人が被爆、四万人が死亡した。日本は「唯一の被爆国」ではない。
 日帝の朝鮮植民地支配は、土地、資源、言語にいたる一切を奪い(十奪)、神社参拝、宮城遥拝、創氏改名などの「皇国臣民化」を強制する徹底したものだった。日帝は「土地調査事業」「産米増殖計画」で朝鮮人民の農地や山林を奪った。戦局の拡大とともに三九年には国民動員計画、四二年に朝鮮総督府による官斡旋(あっせん)、四四年に国民徴用令を発動。徴用・強制連行の手段で朝鮮人の強制移入を図った。
 在日朝鮮人の数は三〇年に二十九万八千九十一人、四〇年に百十九万四百四十四人、四四年十二月末で百九十三万三千八百四十三人と飛躍的に増加し、日本の軍需産業、炭鉱・土木・港湾・ダム工事の中に送り込まれていった。
 朝鮮人被爆者とは、日帝の植民地支配によって虐げられ、日帝のアジア侵略戦争遂行のための人的資源として犠牲を強いられ、またアジア支配をめぐる日米の帝国主義強盗戦争の帰結としての被爆という、三重、四重の被害の体現者なのだ。

 被爆と排外主義

 朝鮮人被爆者が救護所にたどり着き、必死で助けを求めた時、軍医は「犬につける薬はあっても朝鮮人につける薬はない!」と追い払ったという。「日本に来て残ったものは死ぬまでいえぬ病だけだ」。朝鮮人被爆者の憤怒の叫びだ。朝鮮人に対する日本人の差別・排外主義は原爆地獄の中でさえ吹き荒れたのだ。
 韓国に帰国した被爆者と被爆二世は、悲惨を極めた。同胞から「売国奴」とののしられ、劣悪な環境のもとで生きることが精一杯の毎日であった。「私が死んだら、ひつぎを日本大使館の前にさらしてくれ」と遺言を残して亡くなった在韓被爆者もあった。
 七〇年十二月、韓国人被爆者の孫振斗(ソンシンド)さんが強行渡航し、原爆症の治療を求めるという闘いがあった。最高裁で孫さんの勝訴が確定したが、被爆者健康手帳を取得しても韓国に帰ればただの紙切れでしかない。日本国内にいれば被爆者と認められるが、出国すれば取り消される。在外被爆者は約五千人といわれ、アメリカ・ブラジル在住の日本人被爆者なども含まれる。
 この不合理な取り扱いの根拠となっていた旧厚生省の七四年の局長通達を、今年六月一日、大阪地裁は誤りと断じる判決を出した。原告・郭貴勲(カクキフン)さんは、四四年に二十歳で日本軍に徴兵され、広島の部隊に配属後、被爆。帰国したが九八年に治療のため来日、被爆者健康手帳を取得したが帰国で失効。この繰り返しで被爆者手帳は六冊となった。「朝、韓国を出る時は被爆者でなく、昼に日本に着いたら被爆者、日本を出ればまた被爆者でなくなる。どう考えてもおかしい」
 控訴断念を求める声を踏みにじり国と大阪府は控訴した。闘いは終わらない。
 日本政府は渡日できない在韓被爆者や渡日費用について一切責任を果たそうとはしていない。日帝は、すべての朝鮮人・中国人被爆者に原爆二法の適用はもとより国家補償をすべきだ。
 C部落民被爆者・沖縄の被爆者にとってはどうか。
 被差別部落民は、被差別部落から来たことが分かると「部落へ帰れ」と言われ、多くの部落民が残留放射能の高い地区に舞い戻らざるをえなかった。広島の被差別部落に被爆者が多いのは、疎開先がなかったことと、このような部落差別があったからである。
 沖縄の被爆者は、一九七二年の「返還」まで、原爆二法の埒(らち)外に置かれていた。劣悪な医療体制のもとで「核を枕」にすることを余儀なくされてきた。今もそれは継続・強化されている。
 (吉島幸夫)

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週刊『前進』(2026号6面1)

 9・11反米ゲリラ口実とした入管体制の戦時的強化阻止を

 排外主義・差別主義の扇動許すな

 十月八日、ついに米・英帝国主義がアフガニスタンを空爆し、全世界の帝国主義を巻き込んだアフガニスタン侵略戦争が勃発(ぼっぱつ)した。第三次世界大戦に至る道筋が火を噴いたのである。われわれは、闘うイスラム諸国人民と固く連帯し、米日帝のアフガニスタン侵略を粉砕するために、今こそすべての労働者人民に反戦闘争を呼びかけていかなければならない。

 アフガニスタン人13人を不法に拘束

 九・一一反米ゲリラの炸裂(さくれつ)と同時に、アメリカでは民族差別と排外主義が扇動され、イスラム人民に襲いかかっている。日本でも十月三日、アフガニスタン人十三人が入管法違反(不法入国、不法滞在)で拘束され、収容された。しかもそのうち九人はタリバン政権から逃れて日本に入国し、難民申請中であり、審査のさなかの収容である。ただちに弁護団が形成され、闘いの体制に入った。
 さらに十月九日、法務省が「テロ対策本部」を設け、入管局と公安調査庁、検察庁が緊密に情報交換する態勢を固めた。あとでもふれるが、公安調査庁が在日朝鮮人の外国人登録原票コピーを入手していた問題はこのことから見ても重大な問題である。
 日帝・小泉は戦争体制構築の一環として、入管体制の強化を推進してきた。今年四月末の金正男法外入国事件を契機に、所信表明演説で入管体制の強化をうたい、通常国会で予算を組み、警備官の増員を強行した。そして九・一一情勢下で、日帝はことあるごとに入管体制の強化を言明している。戦争が現実化するなかで戦時型入管体制がむき出しの姿で突き出され、強行されているのである。
 九・一一を前後する入管体制強化の動きを見ていこう。
 第一に、入管法改悪の動きである。「テロ対策」、有事立法制定攻撃の重要な柱として改悪を強行しようとしている。許せないことに日帝・小泉は、翼賛国会の中でこの入管法改悪を審議なしで提出即成立に持ち込もうとしている。
 来年のワールドカップのフーリガン対策と称して「国際的な競技会などの円滑な実施を妨げるような行為をした者」をただちに強制退去できるようにするため、入国拒否、退去強制の要件全体を見直すとしていた。これに加えて、ジェノバ・サミットなどでの激しい抗議闘争に恐怖して、国際会議などにも適用することにしたのである。だが、オリンピックやワールドカップが常にアラブゲリラの標的となってきた歴史を見るならば、「テロ対策」であることは明瞭である。
 また国際組織犯罪等対策推進本部(本部長・福田官房長官)が「国際組織犯罪等対策にかかわる今後の取り組み」として実刑一年以下の違法行為でも退去強制できるように早期に入管法を改悪することを決めた。
 総じて、アフガニスタン侵略戦争・参戦体制下で退去強制を日帝のほしいままに乱発できるように改悪しようというのである。

 戦争体制下で「敵性外国人」と入国阻む

 第二に、小泉の「米国における同時多発テロへの対応に関するわが国の措置について」という演説で示された当面の七項目方針で、「出入国管理等に関し、情報交換等の国際的な協力をさらに強化する」ことが打ち出されたことである。
 これに先立ち、外国人の入国ビザ審査を強化するため外務、法務、警察各省庁などの情報をオンラインで共有するシステムとして「査証広域通信ネットワーク」を形成、来年には運用を開始することを決定した。金正男入国事件で突き出されたビザ・パスポート問題を突破する実践的結論なのである。戦争と恐慌が切迫しているからこそ、なんとしても水際で「敵性外国人」の入国を阻むことが日帝にとって緊急の課題となっているのである。
 そもそも入管体制は常に戦争と一体となって転変してきた。
 もともと査証制度は第一次世界大戦の過程で確立されたものである。この時まで、在留を管理することが大きな目的であった入管体制が、国の安全と直結する問題として、「敵性外国人」の入国を徹底的に管理するものへと改変された。
 日本では一九一八年に内務省令第一号「外国人ノ入国ニ関スル件」が制定され、上陸禁止条項として「帝国ノ利益ニ背反スル行動ヲ為シ又ハ敵国ノ利便ヲ図ル虞(おそれ)アル者」と定められている。これはロシア革命の日本への波及を恐れたがゆえの制定である。さらに日中戦争が本格的に進行していた一九三九年には、この内務省令を改定し「外国人ノ入国オヨビ退去ニ関スル件」(内務省令六)が制定され、おもにスパイを防止するために発動されていた。
 入管体制は戦争と革命に直結した国家の治安体制の基軸なのである。今日、アフガニスタン侵略戦争の開始と、南北朝鮮危機の深まりのもとで、いよいよ戦争的危機が深まっている。この情勢に対応して、日帝・小泉はなりふりかまわず入管体制の強化を叫んでいるのである。

 在日に破防法弾圧で民族抑圧を強化

 第三に、入管攻撃が日常的に激化していることである。
 一つに、公安調査庁の破防法二七条に基づく外登証原票コピー入手問題である。在日朝鮮人・中国人に対する破防法弾圧を本格的に開始したものとして徹底的に弾劾しなければならない。
 八月十七日の最初の報道以降、四百人を超える在日朝鮮人の原票コピーが公安調査庁の手に渡っていたことが明らかになった。しかし、新聞社の調査への回答を拒否している自治体もあり、実際はもっと多数に上ると思われる。東京の杉並区では、なんと九八年から請求に応じていたことが明らかになっている。
 外国人登録原票は、在日・滞日する外国人の生活史が克明に記録されている。原票は当該の外国人には一切開示されず、閲覧すら禁止されていたのだが、九五年十二月から、在日のねばり強い闘いによってようやく開示を実現した。
 ところが、国家権力は自由に閲覧し、コピーを入手していたことが、指紋押捺(おうなつ)拒否闘争の中で暴露された。とりわけ朝鮮大学校がある東京の小平市が、実に十五年間もの長い間、警察の請求に応じて無差別に閲覧させていた事実は、外登法の本質を明示している。
 また、本人開示が実現した後、法務省は自治体に対して開示を請求した在日人民のリストの提出を要求し、ブラックリストを作成したのである。これに対して在日朝鮮人・中国人が猛然と闘い、九九年八月、外登法改悪時に、衆院で以下のような付帯決議がなされたのである。「登録原票の開示に当たっては、外国人のプライバシーが不当に侵害されることのないよう適切な措置を講ずること」
 今回の破防法弾圧は、在日人民を始めとした指紋押捺拒否闘争の地平を踏みにじり、在日外国人を破防法対象者として戦時政策的に治安管理し、民族抑圧をこれまで以上に加え続けることを明言したものだ。断じて許すことはできない。

 外国人労働者への「摘発」攻撃の激化

 二つに、外国人労働者に対する「摘発」攻撃の激化である。
 九・一一以降、「摘発」はさらに激化している。重大なことはアパートローラーなどで密告させ、五千円の報奨金を出していることである。冒頭のアフガニスタン人への弾圧も密告を契機としているのだ。茨城などでは「クライム・キックアウト作戦」と称して連日、外国人労働者の拘束が続いている。五月以降二回の「首都圏入管法違反外国人集中摘発月間」では合計千三百八十人の外国人労働者が拘束・収容された。
 以上のような入管体制の戦時的強化の急激な進行の中で明らかになったことは、在日朝鮮人・中国人に対しては、破防法弾圧で治安管理を強化し、一方では、参政権問題をちらつかせた日本国籍の強要を基本路線としていることである。そして永住権を持たない外国人は総体として、常に退去強制の恐怖にたたき込んで管理する、このために入管法の改悪を推し進めようというのである。
 こうした戦争体制下での入管体制の強化に対し、在日人民は地域から粘り強く闘いに立ち上がっている。
 アフガニスタン侵略戦争への日帝の参戦は、今後一層の排外主義、差別主義の扇動の中で推し進められるであろう。戦争と恐慌の時代にあって、われわれはあらためて七・七精神の立場に立ちきり、愛国主義と排外主義、差別主義の嵐(あらし)の前に立ちふさがる巨大な労働者階級の隊列を形成しなければならない。帝国主義による砲弾が降り注ぐ中で懸命に生きようとするアフガニスタン人民を始めとするイスラム諸国人民の闘いに心底連帯し、アフガニスタン侵略戦争を阻止しなければならない。
 そして、闘う朝鮮・中国−アジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱に転化する闘いの爆発をつくり出そう。国際主義で武装した労働者階級の巨大な隊列を今こそ登場させよう。十・二一国際反戦集会の成功をかちとり、十一・一一労働者集会に全国から総結集しよう。

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週刊『前進』(2026号6面2)

 泉佐野市議会

 国賀議員反対貫く 「テロ糾弾決議」を阻止

 九月二十六日、泉佐野市議会の最終日の前々日に自民党と日本共産党が、「テロ行為を糾弾する決議案」を出してきた。国賀祥司議員は断固とした反対で本会議提出を阻止した。
 双方の決議案の文言は、「いかなる理由があろうとも、こうしたテロ攻撃は絶対に許されない」とほとんど同じだ。議会途中で提案された決議案は全会一致でなければ本会議に提出できない。日本共産党は、自民党と組んで、最終的には自民党案で「テロ糾弾決議」を上げようとしたのだ。
 国賀議員は、議会運営委員会で、「アメリカ帝国主義が長きにわたって行ってきた侵略戦争とアラブ人民虐殺を免罪するような決議案は反対である。九・一一反米ゲリラ事件の原因を作ったのはアメリカ自身にある」と反対した。決議案は米帝の報復戦争を支持し、小泉政権の参戦と自衛隊の派兵を促進するものだ。こんな決議案は粉砕あるのみだ。国賀議員の反対意見で自民党と共産党のもくろみは完全に粉砕された。国賀議員の意見に賛成する議員もいた。

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週刊『前進』(2026号6面3)

 “戦争肯定許さぬ”

 相模原市議会 西村議員が議場圧し演説

 相模原市議会では西村綾子市議(婦民全国協代表)が「テロ弾劾決議案」に真っ向から反対して闘った。
 今回、決議は全会一致という原則を覆し、反対があっても決議を上げることが決められた。日本共産党の対案は保守案より三倍も長く激しいテロ弾劾である。
 決議案は九月二十五日、本会議に提案された。西村議員は、毅然(きぜん)として「米国のアフガニスタン報復戦争を肯定してはならない。まして小泉内閣が、この時とばかりに集団的自衛権の行使、改憲・有事立法制定から自衛隊の参戦を狙うことなど絶対に許されない」と弾劾した。その迫力に、議場は静まり返った。戦争反対の堂々たる演説が議場を圧した。
 決議案は四十三対三で可決された。西村議員とともに反対したのは護憲派市民会議。社民党は積極賛成に回った。
 議会後、ひとりの傍聴者が西村さんを激励した。「孤立しているようだが、あなたの主張は正しい」。六十代の男性だった。

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