International Lavor Movement 2013/03/01(No.439 p48)
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2013/03/01発行 No.439
定価 315円(本体価格300円+税)
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月刊『国際労働運動』(439号1-1)(2013/03/01)
■羅針盤 労働者の勝利は不可避だ
▼世界大恐慌の本格的爆発と大争闘戦時代への突入のもとで、2013年の冒頭から日本でも世界でも労働者階級の根底的怒りが噴き出し、自己解放を求める叫びと闘いが巻き起こっている。最末期帝国主義の絶望的延命形態である新自由主義とその破産が、社会全体の毛穴をふさぎ窒息させ、体制自身を崩壊させる中で、資本家どもはなおうそと欺瞞と真実の隠蔽により、日々労働者への搾取・収奪と分断・団結破壊の野望をむき出しに攻撃を強めている。
▼外注化・非正規職化との闘いは、今や全世界的に労働者の死活的テーマとなり、自分たちが生きるために団結して闘う直接の命題になってきている。21世紀初頭の歴史はマルクスの『共産党宣言』が言う、「プロレタリアートのブルジョアジーに対する闘争は、その存在とともに始まる」「ブルジョアジーはなによりも、自分たち自身の墓掘り人を生みだす」という歴史の絶対的真理を世界的規模で新たに生み出し拡大している。
▼いよいよ「ブルジョアジーの没落とプロレタリアートの勝利は、いずれも不可避である」ことを証明する時が来た。大恐慌と争闘戦の激化にあえぎ危機を深める極右超反動の安倍を、1〜3月決戦の階級的高揚で絶対にぶっ飛ばそう! この闘いのただ中で青年労働者と学生を先頭に、革命勝利へ労働者党と労働組合の一体的建設をかちとろう。2・17国鉄集会の大結集・大成功で切り開こう。そして動労千葉を先頭に、2月JRライフサイクル攻撃、3月ダイヤ改定に立ち向かい、3月ストライキの爆発をかちとろう。駅業務を軸とする4・1全面外注化阻止の国鉄決戦を基軸に、3月大量解雇を粉砕する13春闘本番に決起しよう。
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月刊『国際労働運動』(439号2-1)(2013/03/01)
■News & Review 韓国
新大統領パククネに対する闘いを開始
非正規職撤廃へ新たな労働者の勢力が登場
□金属労組の4労組が不屈の闘いへ
金属労組と代表的な労組破壊事業場とされるマンド支部、ユソン(柳成)企業支会、ボッシュ電装支会、コンチネンタル支会は1月3日午後、大統領業務引き継ぎ委員会の前で記者会見を行い、「パククネ(朴槿恵)当選者をはじめ政府と政界が労組破壊の中断と原状回復に動け」と主張した。
これら四つの労組は1月3日からソウルで無期限上京闘争を続け、光化門と業務引き継ぎ委員会の事務室などで1人デモと宣伝戦を行っている。四つの労組とも職場閉鎖と用役(暴力ガードマン)投入、親会社による御用労組設立、金属労組の組合員の差別、不誠実交渉、労組幹部の解雇攻撃などの「労組破壊シナリオ」が適用された事業場であり、現代(ヒュンデ)自動車などに製品を納入する会社だ。
ユソン企業では、2011年の攻撃的職場閉鎖と複数労組の設立以後、金属労組所属の組合員に対する差別的な懲戒や残業の剥奪と第2労組の加入推奨などの不当労働行為があった。昨年9月の国会聴聞会ではユソン企業と創造コンサルティング(労組破壊の用役会社の筆頭)の労組破壊が暴露された。マンドと旧マンド系列社のボッシュ電装、コンテチネンタルでは、ほぼ同時期に労組破壊が行われた。7月末(夏休み直前)の職場閉鎖と用役投入や複数労組設立などだ。
4労組は金属労組の傘下にあり、新大統領に当選したパククネに対して不屈の闘いを開始した。
(写真 金属労組と傘下の4労組が大統領引き継ぎ委員会の前で記者会見【1月3日】)
「希望バス」が現代車高空籠城現場に到着
(写真 現代自動車高空籠城現場への「希望バス」に集まった700人【1月5日 ソウル)
1月5日、「希望バス」が1年3カ月ぶりにまた始動した。この日、ソウル大漢門前から約700人がバス14台で出発した。慶北(キョンプク)、忠南(チュンナム)、江原(カンウォン)など全国から18台のバスが出発し蔚山(ウルサン)の現代自動車非正規職支会の労働者2人が高空籠城(ろうじょう)している現場に到着した。さらにバス3台が増えて合計37台のバスが2000人を乗せて結集した。「また希望つくり現代自動車非正規職闘争勝利決意大会」を開いた。「当初5台のバスを準備したが、申し込みが殺到して、結局40台近いバスを埋めるほど熱い」闘いとなった。集会後参加者らはバスで2時間近く移動し、12月21日に命を絶った韓進(ハンジン)重工業のチェガンソ氏を追悼するため影島(ヨンド)造船所前で「また希望つくり」の行事を行い、その後、チェガンソ氏の遺体安置所へ弔問に出かけた。ソウルに帰り着いたのは朝6時頃になった。非正規職撤廃、整理解雇粉砕、労組破壊攻撃粉砕、損害賠償請求・仮差し押さえ粉砕の闘いが高らかに宣言されたのだ。
□現代車非正規職支会がストライキ
金属労組は、昨年何波にも渡るストに続いて、2013年の1月30日に夜昼4時間ストライキに突入することを1月8日の中央執行委員会で決めた。整理解雇、非正規職、労組破壊および損賠仮差し押さえ撤廃のための闘いだ。資本の側は、金属労組との対話を拒否し、大法院の是正を要求する判決さえ無視している。3大懸案解決の要求は労働者の切実な要求であり、新自由主義と対決する切り羽の闘いだ。
1月9日、現代自動車非正規職支会がストライキに立ち上がり総力闘争を宣言した。支会は交渉中断や座り込み場撤去仮処分、正規職でない新規採用などの様々な攻撃を受けている。午後2時40分から2時間のストを行い、蔚山工場本館前で500人の集会を開いた。支会は会社と正規職組合に特別交渉の再開を要求したが、会社側は社内報で「議論を白紙化し法的訴訟で解決する」と発表した。また正規職組合取り込みのために昼夜2交代制の試験実施を導入したりして懐柔している。しかし非正規職支会の団結は揺るがず、この日のストを貫徹したのだ。希望バスの連帯がこの闘いを支えている。
才能教育支部の最長の闘いなど
1月5日には双龍(サンヨン)自動車闘争勝利の「希望歩き」がソウル市庁横の才能教育籠城場で開かれた。才能教育支部の闘いは2月26日にこれまで最長と記録されたキリュン電子分会の1895日を超える。1月11日には「才能教育支部闘争勝利のための2013年闘争宣布式」が行われ、キリュン電子のキムソヨン前分会長も「非正規職が量産され、長期闘争事業場が増えている」と連帯発言で弾劾した。
保健医療労組も1月21日、大統領職引き継ぎ委員会の前で「営利病院設立許容大量民営化政策の廃棄を要求し、金儲けの道具に医療をするな」と「医療民営化、営利病院導入の中止、公共医療の強化」などを掲げて記者会見を行った。
民主労総が都心集会
これに先立ち1月18日午後3時、清渓(チョンゲ)広場で民主労総が労組弾圧中止と闘争事業場懸案問題解決を要求し都心集会を開催した。組合員など1500人が結集した。
キムジョンウ双龍自動車支部長、チャヘド韓進重工業支会長、キムヒョチャン現代自動車全州(チョンジュ)非正規支会長、ユソン支会のキムスンソク副支会長などが発言し、次期大統領に韓進重工業の損害賠償仮差し押さえの撤回、烈士の名誉回復と遺族への補償、双龍自動車の国政調査の実施と整理解雇者の復職、現代自動車の不法派遣の正規職への転換、ユソン企業の使用者による労組解散・労組破壊の中断、公務員および公共部門での解雇者の即時復職などの懸案事項の解決を要求した。ペクキワンさんは「パククネは危機に陥り、私たちの機会が訪れた。金が主人か、人が主人かの闘いの命題が近づいている」とし「民主労総は大統領選挙のときに1700万労働者を放置していたことを悔いて反省しよう。民主労総70万の胸にキャンドルをともし、1700万すべてがキャンドルになろう」と呼びかけた。
続く1月19日には労働界をはじめ宗教、女性、法曹、文化芸術など各界で結成した「整理解雇、非正規職、労組破壊緊急対応時局会議」がソウル市庁広場に2000人を集め、パククネ次期大統領と引き継ぎ委員会に時局宣言を発し、闘いの決意と団結を固めた。
(写真 民主労総が労組弾圧中止と闘争事業場懸案問題解決を要求し1500人で都心集会【1月18日 ソウル】)
金属労組に対する巨額の損賠仮差し押さえ
こうした年頭からの労働者の激しい闘いの開始は、パククネの大統領選の当選に対する労働者の危機感がほとばしっているものだ。当選直後から自殺者を含めて5人の労働者が死んだ。韓進重工業では158億ウォンもの巨額の損害賠償仮差し押さえの提訴が開始され、しかもそれをストライキのせいにしているが、まったくのデッチあげだ。金属労組所属の12の事業所に対して請求した損賠仮差し押さえは約730億ウォンに上るという。1月3日には国会議員74人を含む1万7千人が韓進重工業の損賠訴訟を不当として釜山地方法院に嘆願書を提出した。8日には第2次の5500人が提出。韓進重工業社長は「希望バス」の妨害があるから工場が正常化できないと言い放ち、国会聴聞会では労使合意の過程で整理解雇者の合意はしていないなどとまで言った。
双龍自動車では会社が設立した御用労組と会社側が結託し無給休職者454人の全員の復職に合意した。だがこれには整理解雇者や希望退職者は含まれていないばかりか、国会での野党や民主労総をはじめとする強い要求で実現寸前の双龍自動車問題に関する国政調査を不発にさせ、労組破壊を継続し、解雇者の復職を閉ざそうとする狙いがある。
攻撃はそればかりではない。電気、ガス、水道の値上げや民営化、観光公社免税店や清州空港民営化、高速鉄道KTX民営化などの攻撃が目白押しだ。危機に立つイミョンバク政権と次期大統領のパククネはセヌリ党で資本と一体となることを競い合ってきたのだ。こうして労働者の反撃は不可避となって、新自由主義粉砕、非正規職撤廃、整理解雇阻止の闘いが新年冒頭から爆発的に起きているのだ。
新たな労働者勢力の登場示した大統領選
だが、事の本質はペクキワンさんの発言にも見られるように、2012年大統領選挙で民主労総は推薦候補すら出せないばかりか、委員長の辞任で非常体制をとるほかなく、「2012年労働者政治勢力化」が雲散霧消したことにある。
それに代わって登場したのが統一戦線の労働者候補として立候補したキリュン電子前分会長キムソヨンさんをはじめとする現場労働者たちの非正規職撤廃、整理解雇阻止の闘いだ。
キムソヨンさんたちが選挙の場を戦場として席巻したことが新たな労働者政治勢力の登場だということだ。キムソヨンさんたちは遊説の最初にサムソン電子の本社前を選んだ。サムソン電子の会社からは、なんと演説を妨害に多数が出てきて小競り合いになったが、歴戦の闘士キムソヨンはひるまない。サムソン電子の労働者が白血病で死に、自殺者が相次いでいることを糾弾し、非正規職撤廃の大演説を行ったのだ。それは全国各地の闘争現場でも行われた。現代自動車非正規職の労働者が闘う蔚山や、韓進重工業のある釜山、サムソン電子の工場がある水原(スウォン)、そして海軍基地を建設しようと地元の農漁民の反対を押しつぶそうとする済州島(チェジュド)のカンジョン村などなど。韓国中をキムソヨンさんたちの非正規職撤廃、整理解雇粉砕の闘いが大統領選を圧倒したのだ。
誰が大統領になるかの選挙ではなく、韓国の階級闘争の真の中心が非正規職労働者と現場で闘う労働者にあることを示したのだ。それに恐れをなした警察は演説を阻止しようと警察車両で封鎖したが、逆にキムソヨンさんは警察車両の上に上がりこれを弾劾し演説した。闘う労働者候補の真骨頂だ。
こうして2012年は階級闘争の主座が転換する情勢が到来したといえる。09年の双龍自動車支部の77日間の籠城ストライキ、10年の現代自動車非正規職労働者の蔚山本館工場の25日間の占拠ストライキ闘争、11年の韓進重工業の85号クレーン占拠の309日間の闘いなどを継承した整理解雇粉砕、非正規職撤廃の荒々しい登場こそ韓国大統領選で起きたことだ。パククネと対決する労働者階級の闘いはこれからだ。
この大統領選挙では、民主労総の指導部ばかりでなく、旧民主労働党系のイジョンヒやシムサンジョンは投票日の直前に立候補を辞退した。これは13議席を持つ議会政党があまりに無残な結果が来ることにおびえたからだが、そのことは同時にこれら既成政党が生命力を失い、現場労働者が闘いの主導権を握る時代が来たことを示したのだ。いわば旧勢力・既成政党が自壊し、闘う現場労働者が前面に登場したのだ。
そして総選挙で不正な党内投票を行い、大統領選挙からずり落ちた民主労働党などとは違う闘う労働者の政党を建設することが求められているし、情勢はそうした方向を向いている。こうして新たな労働者の勢力の登場を刻印したものこそ今次の韓国大統領選だ。労働者対パククネの闘いが始まる。1月冒頭からの荒々しい展開はそれを示している。
韓国労働者の非正規職撤廃、整理解雇粉砕の闘いと動労千葉を先頭とする外注化阻止、非正規職撤廃の闘いはひとつの闘いだ。第2ラウンドを勝ち抜いて韓国の労働者との連帯をさらに進めよう。
(本木明信)
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月刊『国際労働運動』(439号2-2)(2013/03/01)
News & Review アルジェリア
人質事件、仏軍のマリ侵略停止を要求
19世紀末以来のアフリカ再分割戦に突入
アルジェリアのイナメナスで起きた人質事件は、現代世界の大激動をまざまざと示した。人質をとった武装集団の要求は、1月11日にフランスが開始したマリ戦争の停止だった。
だが、日本の報道機関は人質事件についてあたかも突然に起きた悲劇であるかのように報じ、マリで大虐殺戦争が起きていることについては異様なほど沈黙している。そしてアルジェリアの内戦的な階級闘争についても押し隠している。
なぜ、イナメナス天然ガスプラントがあれほどに軍事要塞化されていたのか。なぜ、今回の人質の中には、日揮の最高顧問(元副社長)やBPの副社長など、巨大資本の最高幹部級が含まれていたにもかかわらず、また、現場は広大な砂漠に囲まれており、武装勢力が脱出できる見込みはゼロだったにもかかわらず、アルジェリア政府は、武装勢力も人質も無差別に空爆するなど、制圧を極度に急ぐ強行方針をとったのか。
支配体制の危機にあえぐアルジェリア政府は、極度な緊張状態にあるからだ。
専制支配を打倒する労働者の闘い
すでに80年代後半からアルジェリア支配体制は深刻な崩壊の危機に直面していた。80年代に導入された新自由主義政策によって深刻な失業に直面した青年労働者は1988年、「青年の反乱」といわれるデモと暴動に決起していった。この闘いは、アルジェリア政府による500人以上の虐殺にもかかわらず全国に拡大し、政府も新憲法の制定と民主的選挙の実施を約束せざるをえなくなった。
だが、91年12月の総選挙で野党イスラム救国戦線が圧勝すると軍はクーデターを起こし、以後10年間の内戦で15万人の死者を出す弾圧で、このクーデター政権はかろうじて延命した。しかし、08年には再び労働者の大反乱に直面した。世界大恐慌の開始と投機によって食料価格が暴騰したために、デモ、暴動、ストが爆発的に広がったのだ。
ウィキリークスが暴露した在アルジェ米大使館が2010年に発信した本国宛の公電によると「毎週のように、さまざまな労働組合によるストライキが起きている」「食料価格暴騰に対するデモは毎日起き、全国の地方都市の官庁は包囲されている」という状況となった。これが、同年12月から始まった隣国チュニジアの革命に激励され、闘いは史上空前の巨大なものに発展していった。11年1月には全国のあらゆる都市で巨大なデモが闘われた。政府は、軍と治安警察による暴力的な弾圧と食料補助金の発動――価格半減と大量の小麦供給によって、かろうじてある種の均衡状態を作り出し、延命している。だが、今年1月の郵便労働者のストライキを始めとして、労働運動が深く広く発展している。
(写真 解雇撤回、綿実会社ユイコマの再国有化を求めストに立った労働者のデモ【10年2月 マリ・バマコ】)
ウラン、石油・ガスを巡る帝国主義の争奪戦
日揮は、この激しい内戦、大虐殺の軍事政権の下で90年代、一貫してアルジェリアから撤退せず、企業活動を続行してきた。それだけ執着すべき戦略的な地域とされてきたのだ。日本の政府・財界は、「日揮ほどアルジェリアを知り尽くした企業はない」(日経)として日揮を国家戦略の担い手としてきた。だからこそ、今回の人質事件でも国家総がかりで取り組んでいるのだ。フランスのトタル、イギリスのBPなども同様に国家的戦略的事業としてアルジェリアで活動している。
もちろん、アルジェリア自体に巨大な石油・ガス資源の埋蔵量があることが大きなことだが、隣接するリビア、ニジェール、マリなどにもウラン、石油・ガス、金などが豊富にある。資源も多くの国の間にまたがって存在し、またこの地域の諸民族もほとんどが国境を越えて生活している。アルジェリアは、この地域全体と直接につながっているのだ。
そしてこの地域、北アフリカ、西アフリカは(そしてアフリカ全体も)、帝国主義諸国の中では早くから没落傾向が激しいフランス、イギリス帝国主義の勢力圏で、新植民地主義支配体制が極度に不安定だ。
だから、アルジェリアを始めとしたアフリカ諸国は、各帝国主義の争奪の場になっているのだ。近年は、中国の進出も著しく、アフリカの貿易相手国の第1位になっている。
マリにはウラン鉱山がある。日本の動燃はフランスと協力して、1975年からマリでのウラン探鉱活動をしており、日本はマリ産のウラン購入の独占契約をしている。
マリ人の生活圏であるニジェールには世界第2位といわれる巨大なウラン鉱床が存在する。
直径何`にも及び、深さ100bを超える巨大な穴を掘ってウランを採掘する。穴はそのまま、採掘カスも積み上げたままだ。粉塵が風に飛ばされ、鉱山労働者と地域を汚染する。鉱山労働は極限的な被曝労働だ。砂漠地帯の数少ない井戸やオアシスの水も汚染されている。
そして、80年代にアフリカ全体でIMF(国際通貨基金)・世界銀行によって強行された構造調整計画によって、サバンナ地帯の砂漠化、オアシスの枯渇が急速に進んだ。たとえば、マリの南隣のコートジボアールでは、構造調整計画によって強制された輸出品目の生産の極端な拡大のため森林が伐採され、かつては国土のほとんどが森林に覆われていた国だったが、今は森林の5%しか残っていない。こうした沿岸部全体の非森林化がマリのような内陸部にも大きな影響を与えたのだ。巨大商社による欧州農産物のダンピング輸出も地元農牧畜業を破壊し、過剰放牧・環境破壊をもたらした。
ウラン鉱山による放射能汚染と構造調整計画=飢餓と大失業への怒りで、国境を越えた広範な人民が決起した。
リビアに対するNATOの侵略戦争は、これにいっそう拍車をかけた。
アメリカ帝国主義とNATOはチュニジア、エジプト革命に始まる労働者階級の自己解放の闘いを抑え
込むために、リビアで「不安定化戦略」を展開したのだ。諸軍閥に大量の資金と武器を供与し、近隣諸国からも大量の傭兵を動員した。階級闘争を軍閥間の戦争にすり替えることを狙ったのだ。
だがそれは、リビア近隣の反動的な傀儡政権も不安定化させるものとなった。
(写真 既成の御用労組連盟に反対して結成されたアルジェリア郵政独立労組のストライキ【13年1月6日 アルジェ】)
マリ労働者を圧殺する軍事クーデター
05〜06年の西アフリカ鉄道民営化反対ストライキがまずセネガルで起こった。この鉄道はマリも通っており、マリでもセネガル労働者支援闘争からストに発展していった。同時期に、南ア資本とマリ政府の合弁の金鉱山でも大きなストライキが闘われた。国際市場での金価格の値上がりにもかかわらず、鉱山労働者の労働条件が劣悪で、負傷した労働者を病院に送ることさえしない資本と安全闘争を弾圧する政府に対する怒りが爆発したのだ。金鉱山からたれ流される毒物に対する住民の闘いも合流した。2010年には、綿実油工場で大きなストライキが闘われた。
こうした労働者の闘いの圧力を受け、フランスの傀儡軍事政権も国政選挙を実施せざるをえなくなった。チュニジア、エジプト革命と同様の過程が進行しつつあった。だが、そこで選出された大統領への交代を前にして、米軍に訓練されたマリ軍人が昨年3月にクーデターを起こしたのだ。
しかし、この軍事政権は不安定極まるものだった。リビア内戦で大量の武器を入手したマリ北部の反政府諸勢力は、政府の拠点を次々に奪い、全域を制圧した。
民族抹殺、民族対立をあおる大虐殺戦争
この事態に対してフランスのオランド社会党政権は、「フランスの縄張り」(ミッテラン元大統領=社会党の言葉)である旧仏領植民地、アフリカの勢力圏を守るために戦争に踏み切ったのだ。フランス共産党、緑の党も、マリ北部の武装勢力に対する懸念は分かるが、国連を通じて対処すべきだなどと言っている。政府の戦争目的そのものは正当だというのであり、実際は仏軍派兵を積極的に支持しているのだ。特に、国策会社アレバのウラン鉱山利権がかかっているからだ。アレバは元々、1945年、第2次大戦後直ちに設立された、アメリカに対しても秘密に原爆開発をするための国家機関を母体にしている戦略的会社だ。
このフランスのマリ侵略戦争に向かおうとする動きに対してアメリカは当初、警戒感を示していたが、昨年10月、クリントン国務長官はアルジェリアを訪問し、仏、米、アルジェリアが共同してマリで軍事作戦をすることを働きかけた。そしてアメリカは、フランスに対して、米軍による兵站輸送、情報提供の協力と無人偵察機のマリ派遣をしている。仏本土を出撃したミラージュ戦闘爆撃機はアルジェリア上空で米空軍のKC135機から空中給油を受けてマリ北部を爆撃しているのだ。
フランスの傀儡であるマリ軍は、北部の反乱軍によって南部に押し込められていたが、フランスの戦争開始とともに中部・北部に進行し民族抹殺的な大虐殺をしている。人権団体の報告によれば、「肌の色が薄い」者は殺すという方針がとられ、証拠抹殺のために多くの死体が井戸に投げ込まれ、石油をかけられて燃やされているという。
フランスは、傀儡軍に民族抹殺をさせ、民族対立をあおり、「分断して統治する」再植民地化政策を強行しているのだ。
3・11によって、原発推進=原発事故という重大な犯罪に対するフクシマと全世界の怒りに直面した帝国主義諸国は、重大な犯罪をさらに重ねることによって、原発推進競争に突進し、居直ろうとしているのだ。だから、共同でウラン資源確保戦争=マリ戦争を進めつつ、その中で原発と核戦略をめぐるヘゲモニー争いを展開し、そして資源豊富なアフリカ大陸の再分割戦に打って出ようとしてるのだ。
仏オランド社会党政権の歴史的な労働法改悪
マリ侵攻の同日、オランド政権が昨年9月以来推進してきた「労働市場改革」の合意が、経営者団体と最大の労組ナショナルセンターであるCFDT(フランス民主労働総同盟)などとの間で成立した。第2、第3のナショナルセンターであるCGT(フランス労働総同盟)とFO(労働者の力)は、合意文書に署名していないが、反対闘争は組織しておらず、事実上容認している。
「労働市場改革」は、「国際競争力の強化」「雇用の確保」のためとして企業の社会保険負担カット、失業給付削減、「労働力柔軟化」(労働者の配転、非正規職化、解雇制限の大幅緩和)だ。従来、「期限の定めのない雇用」をされてきた労働者(正規職)が「期限の定めのある労働者」に突き落とされる。企業内の他職種・遠距離への配転も制限がない。オランドは、この合意を「歴史的妥協」と呼び、これをもって新たな労働力規制緩和立法を行うという。
職場の労働者はもちろん、労働者以外を含むフランス国民の過半数が世論調査で「期限の定めのない雇用の期限の定めのある雇用への変更に反対」と言っている。だが、既成労組幹部はこの怒りの声を踏みにじって歴史的な大裏切りに走ったのだ。
オランド政権は、この国内労働者の反撃の闘いを圧殺するためにもマリ侵略戦争に突入し、挙国一致体制づくりを狙っているのだ。
資源・市場の分捕りあい、世界の再分割戦が開始された。帝国主義を打倒するために、全世界の労働者のスローガン――「外注化阻止・非正規職撤廃!」を掲げて最前線で闘おう。それは、原発との闘い、戦争との闘いと不可分一体だ。
(村上和幸)
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月刊『国際労働運動』(439号2-3)(2013/03/01)
■News & Review 日本
“新しい時代の反合・運転保安闘争を”
動労千葉が旗開きを開催し戦闘宣言
(写真 団結ガンバローで1〜3月闘争への突入を宣言【1月12日 千葉市】)
□田中委員長が新たな決戦の路線を提起
動労千葉は1月12日、千葉市のDC会館で団結旗開きを盛大に開催し、2013年の闘いへの戦闘宣言を発した。
冒頭の新年あいさつで田中康宏委員長は、次のように述べた。
「昨年は動労千葉にとって大きな節目の年だった。第一は、検修・構内業務の外注化が強行されたことだ。千葉では91名が強制出向に出され、そのうち44名、半分以上が動労千葉の組合員。この攻撃は労働者を突き落としていくだけではなく、動労千葉を破壊する意図が貫かれている。シニア制度と闘い始めて以降12年間、組織の総力を挙げて闘ってきた課題だから、本当に大きな節目だ」
「もう一つ、国鉄分割・民営化から25年間、この攻撃を許してなるものかと闘ってきた1047名闘争で、国労など4者4団体が届かなかったところに僕らの闘いが来た。動労千葉鉄建公団訴訟の6・29東京地裁判決で、動労千葉の9名の仲間が採用候補者名簿に載っていたこと、不当労働行為によってそれを外した下手人が葛西職員局次長だったこと、もしその行為がなければJRに採用されたはずであると言い得ることを認めさせたことだ。これをもう一歩突き抜ければ、国鉄分割・民営化による20万人の首切りと、それ以降の非正規労働者に突き落とされた1千数百万人の労働者の悔しさをひっくり返すことができる。この二つを土台に2013年を進むことを決意している」
その上で、「その時に新たな進むべき方向は何か。外注化を強行された現実の中で考えてきた。それは、動労千葉の原点である反合・運転保安闘争に返ることだ。つまり、外注化という新しい時代の反合・運転保安闘争を現場からつくりあげる。外注化以降、現場はすべてが矛盾だ。それは敵の弱点でもある。でもそれに立ち向かうことができなかったら、この矛盾は労働者の団結、労働組合を破壊する。反合・運転保安闘争の出発点は何だったか。現場で事故が起きると、運転士が逮捕や処分、首になる。運転士に責任がないにもかかわらず、現場は真っ暗になり展望を失う。だけど、事故をどう見るかで力関係が逆転する。それが反合・運転保安闘争の核心だ。『運転士には一切責任はない。すべての責任は国鉄当局にある』。そう言いきったのは中野前委員長だけだった。その途端に、現場の声、エネルギーが全部結集した。だから総武線をガタガタにする順法闘争になった」と述べ、外注化阻止の第2ラウンドの闘いを、反合・運転保安闘争を土台に据えた職場抵抗闘争で闘うことを提起した。
(写真 新年のあいさつに立った田中康宏委員長)
安全破壊と雇用破壊の矛盾を突いて闘う
昨年強行された検修・構内運転業務の外注化は本来の業務委託ですらない。業務委託とは、下請け会社に専門的知識や経験があって、そこにコストを下げるために仕事を移すというものだ。だが下請け会社の千葉鉄道サービス(CTS)は、車両の清掃しかしたことがない。だから、検修・構内運転運転業務については、管理者を含めたJRの労働者が出向し、制服が変わっただけで、同じ業務をやるのだ。これは完全な偽装請負だ。
しかも、今回の外注化は、構内運転や仕業検査、派出検査業務など、業務ごとに委託するという、これまで前提とされてきたこととは異なり、毎日、何十という構内入れ換え業務や仕業検査を全部一つひとつ発注するという形式をとっている。だから、昨年10・1外注化強行の直後に動労千葉の出向者がストに突入すると、その担当の業務だけ「今日は発注しなかった」と言ってJRが行うということが起きている。外注化の名を借りてスト権そのものを否定するようなものだ。
さらに、構内運転業務はJRが指揮命令したら違法になる。しかし、列車はひとつの指揮命令のもとに動かさなければならない。構内入れ換え業務は、本線への出区、本線からの入区がある。本線運転と密接につながっている。これを別会社にして、指揮命令系統を別々にしたら運転保安は必ず崩壊する。本来、列車を動かすためには、運転法規上、明記された「通告」という厳密な指揮命令が必要だ。それは構内入れ換え業務も同じだ。それを、指揮命令すると偽装請負になるから、単なる「情報提供」と言い換えた。運転法規はすべて踏みにじられた。構内入れ換え業務は、強制出向させられた労働者だけが行うわけではない。JRの本線運転士も行う。本線運転士の規定は変えられないから「通告」をする。しかし、下請け会社に行かされた動労千葉の組合員には単なる「情報提供」だと言う。
こんなことが続けば絶対に大事故が起きる。これは、外注化の絶対的な矛盾だ。
田中委員長は、「かつての反合・運転保安闘争は、〈資本の最大の矛盾が事故や安全にある。それを踏まえて、これまで戦後の労働運動が闘いきれなかった反合理化闘争を、労働者が団結して資本を攻めていくものにする〉というものだった。そこに中野顧問の強い思いがあった。新自由主義攻撃下の新しい時代の反合・運転保安闘争は、運転保安の問題とともに、もうひとつは雇用破壊の矛盾だ。これだけの雇用破壊にまともな反撃がない。これが連合の犯罪的現実だ。これに立ち向かいたい。正規と非正規との連帯は、自分の職場から血を流して闘わなかったらできない。現場とひとつになって、労働者の団結をつくれる矛盾をつかみとって具体的運動にする。簡単ではない。だけど、絶対に勝ち抜くという執念で闘い抜く」と訴えた。
そして、「今年は安倍政権のもとで改憲・戦争とともに労働者の雇用と権利を破壊するという意味でも戦後史の節目になる年だ。JRも大きく変貌しようとしている。3月春闘過程で『ここから新しい反合・運転保安闘争が始まった』と言えるような戦略的なストライキを構えたい。JRだけでなく全職場での外注化・非正規職化を止める。それは自分の職場の具体的闘いから始まる。そのために明日から立ち上がりたい」と決意を明らかにした。
三里塚反対同盟、弁護など各界のあいさつ
来賓あいさつでは、決戦の三里塚から駆けつけた三里塚芝山連合空港反対同盟の北原鉱治事務局長が、「47年間で、最も印象に残っていることは、動労の津山大会を契機に動労千葉が分離・独立の道を選び、解雇を許さず闘っていることだ。労働者と農民がどう結合するのか。ジェット燃料貨車輸送の問題では、農民が空港に反対しているが、そこに労働者が燃料を運ばなければならない。大変苦しい問題だった。その時に、当時の関川委員長が、『われわれは成田空港に反対する。労働者は労働者として労働者の闘いを決行し、農民と連帯する』と言って、一緒に成田に帰ったことを思い出す。反対同盟がジェット燃料貨車輸送に反対する沿線デモをやった時、動労千葉の運転士が汽笛を鳴らして応えた。感動的な場面だった」と語り、変わらぬ労農連帯を表明した。
顧問弁護団長の葉山岳夫弁護士は「動労千葉は、11月集会を成功させ、国際連帯を発展させた。さらに国鉄闘争全国運動の一環としての鉄建公団訴訟で、反動判決ながら画期的な内容をかちとった。大失業と戦争に抗して、全世界で労働者が決起している。動労千葉を先頭とした階級的労働運動が全労働者を獲得する時代が来た。この大恐慌のなかで、JR資本が日本帝国主義の生き残りをかけた基軸的資本として登場している。外注化阻止闘争は、このJR資本と真っ向から対決する闘いだ。解雇撤回を東京高裁でかちとる」と熱い決意を語った。
田中委員長と家族会の山田佐知子会長が鏡開きを行い、参加者全員が2013年の奮闘を誓い乾杯した。杯を傾けながら組合員と支援が交流を深めた。
OB会、家族会、動労水戸、ス労自主、東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会、星野全国再審連絡会議の星野暁子さん、全学連、婦人民主クラブ全国協など各界から続々と連帯あいさつが行われた。
「出向者を原職に取り戻す」
動労千葉争議団の中村仁さんが鉄建公団訴訟控訴審勝利への決意を語り、幕張支部の山田護支部長は「長い闘いをやる気はない。絶対に勝って、今年中には出向させられた組合員を必ず原職に取り戻す」と宣言、木更津支部の山中茂夫支部長は久留里線ワンマン運転導入阻止を訴えた。
青年部からは、津田沼支部の滝厚弘さんが、2月で丸3年となるライフサイクル強制配転粉砕―運転士復帰の決意を表明、幕張支部の渡辺剛史さんと木科雄作さんが、外注化を粉砕し組織拡大の先頭に立つ決意を示した。
最後に、各支部の代表が次々とマイクをとって決意表明を行った。長田敏之書記長が「私も下請け会社に強制出向させられた当該。正月だけど『おめでとう』という気分ではない。職場から新たな闘いに突入し、勝利して、必ずJR本体に戻る。この闘いの過程で組織拡大を実現する。その時に初めて『おめでとう』と言いたい」と団結旗開きをまとめた。インターナショナルを合唱し、団結ガンバローを行い1〜3月闘争への総決起を誓い合った。
(写真 動労千葉鉄建公団訴訟控訴審の第1回口頭弁論を前に、東京高裁に向けてシュプレヒコール【昨年12月17日】)
1〜3月、ストを含む闘いを配置
動労千葉は、この旗開きをもって、13年の激闘に突入した。それは、日本労働運動の、いや全世界の労働運動の基軸的課題である、外注化阻止・非正規職撤廃の闘いを最先頭で闘い抜くものだ。
JR東日本は、昨年10月30日、「グループ経営構想V(ファイブ)〜限りなき前進〜」を打ち出した。それは、大恐慌と3・11大震災・原発事故情勢に対応して、JR資本が日本帝国主義の先頭に立ち、外注化などの雇用破壊と新幹線輸出の海外侵略に打って出ようというものだ。JR資本との闘いが、日本階級闘争の最前線であることを示すものだ。
そのなかで、昨年の外注化強行は「終わり」ではなく「始まり」であり、仕業検査、構内運転業務に続き、構内計画業務、機動班、倉庫・資材業務の外注化も今年10月以降に狙われている。そして、現に強行されている「強制出向」「偽装請負」の不当性を暴ききり、昨年12月26日に検修・構内業務外注化に伴う強制出向の無効確認を求めて提訴した裁判闘争と一体のものとして、徹底した職場抵抗闘争を貫き、JR、CTSの双方から外注化の矛盾を徹底的に追及することである。
そうした闘いのなかで、3・16ダイヤ改定を山場としてストライキを配置し、外注化阻止とともに、久留里線のワンマン運転導入を阻止することを課題にするとしている。
また、滝さんを運転士に戻すために、2月1日以降、指名ストに突入する構えで闘うとしている。
裁判闘争については、昨年12月17日に始まった鉄建公団訴訟控訴審(東京高裁)の第2回期日と、強制出向の無効確認訴訟の第1回期日が、ともに2月27日だ。
国鉄闘争全国運動が呼びかける「国鉄分割・民営化で不当解雇から26年/2・17労働者集会」(東京・すみだ産業会館)を成功させ、3・11反原発福島大行動に総決起し、動労千葉とともに13春闘の大高揚をかちとろう。
(大沢 康)
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月刊『国際労働運動』(439号3-1)(2013/03/01)
(写真 検修・構内外注化―強制出向強行を弾劾し意気高くスト突入総決起集会を開催した動労千葉の青年労働者ら【2011年10月1日】)
■特集 新自由主義と闘う青年労働者
階級的共同性を取り戻し労働者解放へ生きる時代
はじめに
2013年は、「大恐慌と戦争と大失業」が予想を超えるテンポで進んでいる。帝国主義戦後世界体制は、音を立てて崩れ落ちている。そこには資本主義・帝国主義の根本的矛盾がある。ゆえに、労働者階級の階級的な怒りが闘いとしてたたきつけられない限り、国境や正規・非正規などによる労働者の分断、国家主義・排外主義の嵐に飲み込まれ世界戦争・核戦争まで労働者人民を引きずり込んでいく。
昨年10・1のJR検修業務の外注化強行に対しても、闘いがない限りは、労働者への団結破壊攻撃として襲いかかってくる。青年が先頭に立ち、反合理化・運転保安闘争をつくりだし、安倍政権を打倒する13春闘に立とう。
本特集は青年労働者への渾身の訴えである。第T章は安倍政権とJR「経営構想X」を批判し、第U章は新自由主義下の青年労働者の実態に肉薄する。第V章は青年指導部への飛躍=マル青労同への結集をストレートに訴える。
第1章
争闘戦激化に危機深める安倍――JR東「経営構想X」粉砕を
アルジェリア情勢が示す帝国主義の危機と凶暴性
1月16日にアルジェリアで発生した日本人を含む人質事件は、世界大恐慌の本格的爆発と、そのもとでの帝国主義間・大国間の争闘戦時代への突入を示した歴史的事態だ。アフリカを戦場としてフランス、イギリス、日本、さらにアメリカなどの帝国主義国、さらに中国などによる資源・権益をめぐる大恐慌下の争奪戦・再分割戦がこの事態を引き起こしている。
そもそも人質を取った武装勢力の要求は「フランスによるマリへの軍事介入停止」であった。1月11日、フランス帝国主義はマリへの「内戦介入」という形をとって古典的ともいえる侵略戦争を開始した。昨年12月、国連安保理が軍事介入を容認した上での武力介入=侵略戦争である。EU帝国主義の中で「時限爆弾」と言われるほどに危機を抱えたフランス帝国主義はそこからの脱出をかけて絶望的な侵略戦争に打って出たのだ。
この直後にマリと北側で隣接するアルジェリアにおいて今回の事件が発生したのだ。典型的な帝国主義侵略戦争とそれに対する「人質事件」という形での民族解放闘争の爆発―周辺国支配階級・欧米帝によるその圧殺という構造なのだ。
マリを中心とする西アフリカは仏帝のエネルギー・軍事の戦略的拠点で、とくに「原発大国」である仏帝の原子力大手アレバはマリ隣国のニジェールにウラン鉱山を保有し仏企業がマリ国内にマンガン、リン、金鉱山の開発を進め、石油大手トタルはコートジボアールの油田開発、ガス電気大手スエズはアルジェリア産天然ガスに依存する。とくにアルジェリア東部は油田とともに欧州への天然ガス供給の心臓部である。
また、マリのウラン資源は日本が独占契約を結んでいる。中国のアフリカへの大々的進出との激突、さらには日帝との争闘戦が軍事化していることを背景に、帝国主義間・大国間の新たな世界戦争的激突が開始されているのである。
殺害されたのは、日揮の最高幹部であり、英・BPの副社長も殺害されたといわれている。侵略企業のトップクラスが結集するタイミングを狙った、きわめて目的意識的な闘争であった。
だからこそ、この闘いを圧殺しようとする帝国主義の凶暴化がある。マリへの侵略戦争を強行しているのはフランスの社会党・オランド政権である。日帝・安倍政権もいち早く「卑劣なテロを許せない」と、事件の全体像など全く伝えず排外主義扇動に全力をあげるとともに「自衛隊法改正」―改憲と戦争の攻撃をここぞとばかりにおし進めようとしている。
この戦争攻撃は、後ほど述べるJR「経営構想X」や労働法制改悪、「インフレターゲット」政策の決定などと全く一体の階級戦争攻撃なのである。帝国主義の資源・領土略奪と闘うアフリカの労働者階級人民と固く連帯し、外注化阻止・非正規職撤廃で階級的労働運動をよみがえらせよう。
内外の大激動情勢に吹き飛ばされる安倍政権
このような争闘戦時代への突入、帝国主義的軍事力のむき出しの発動によって昨年末の就任早々、完全に吹き飛ばされ、脱落帝国主義の「崖」を転がり落ちているのが日帝・安倍政権である。
日帝・安倍政権はASEAN・東南アジア歴訪で、激化する帝国主義間・大国間争闘戦の現実を「海外パッケージ輸出」で突破しようとしている。ベトナムで原発を、タイでは新幹線の受注、インドネシアでも鉄道、道路、港湾開発と、まさにパッケージ輸出の「海外展開」を行おうとしているのだ。
さらには「物価上昇2%目標」で、銀行から国債を買い取って物価目標を達成するまで市場に資金を無制限に流し続けようというのだ。このアベノミクスは直接的に円安を引き起こし、輸出製造業の救済となる。これに対し各国帝国主義がただちに日本批判を行っているが、これこそ「保護主義」そのものである。
またここで安倍はASEAN連携強化の「アジア外交の五原則」を発表し、中国との対決において「海洋安全保障における『法の支配』」を打ち出すとともに、ベトナムでは「新造巡視船の供与」を打ち出した。これらは米帝との「対米対抗」的矛盾を必ずもつものとなり、日米争闘戦の激化への展開となる。安倍がこの大争闘戦にふみこんだ瞬間、あっという間に孤立し、ガタガタになっている。
またこのインフレ政策は、労働者にとってはすさまじい賃下げ攻撃でもある。賃金が全く上がらないままで物価だけが2%上昇したらどうなるのか。1月21日に発表された「経労委報告」では「賃上げなど論外」とブルジョアジーたちが叫び立てている。
しかも金融緩和だけで物価が上がるわけがないことは、日銀総裁自身が認めているのだ。結果、紙幣だけが無制限に(労働者にはビタ一文渡らない形で!)発行され、2%どころではないインフレと、国債の暴落と債務不履行(デフォルト)が起こり、ギリシャ以上の事態となる。これに労働者階級の団結と闘いが対置されなければ、ただただ労働者人民への生活破壊が襲いかかることになるのだ。青年労働者だけではなく、誰一人例外なく、闘わなければ生きていけない情勢が到来しているのだ。
JR東「経営構想X」を国鉄決戦で粉砕しよう
このような中でJR東「経営構想X」との対決が決定的に重要である。3月をめぐる攻撃の一切は国鉄を主戦場に「経営構想X」との対決として集約される。
「経営構想X」は労働組合破壊による全面外注化・10割非正規職化と「海外展開戦略」による侵略の両方において、JRが日帝延命の「戦略的資本」として先頭に立っていくということを宣言した。「国鉄改革は、私たちの変わらぬ『出発点』です」「国鉄の失敗をくり返さない」などと新自由主義の突破口となった国鉄分割・民営化で強行した、200人を自殺に追い込んだ労働組合つぶし、核心的には動労総連合つぶしをやり抜くことこそ自分たちの原点であると確認した。
さらに「経営構想X」は3・11を「第二の出発点」と位置付けた。3・11とは新自由主義の破綻そのものであった。しかしJRは新自由主義を徹底して貫くことで、3・11で根底的な打撃を受けた日帝延命の先頭に立つことをはっきりさせたのだ
この両方の意味で、JRはどんなに破綻的であっても10・1を強行した。しかしそれに対し、青年労働者は職場からの反乱を開始した。「経営構想X」はその出発点から破産を突きつけられているのだ。
「経営構想X」は、とりわけ鉄道の安全の要をなす設備、検査修繕・構内業務、さらに駅業務の全面外注化・非正規職化、グループ会社への出向・転籍と退職強要、超低賃金化である。これに対しJRのとりわけ青年労働者=平成採の怒りと結びつき闘う労働組合を通して、外注化・非正規職化に対して闘ううねりを作り出すことができるならばその力が「経営構想X」を粉砕し、全社会的に吹き荒れる外注化・非正規職化・雇い止め解雇を阻止する力になるのである。
実際に2・1ライフサイクルについて、動労水戸においては、大子は対象に入っておらず、千葉では3年前に駅に配転された青年労働者が運転士に戻ることが確実になっている。10・1外注化阻止の勝利の地平がライフサイクル制度を粉砕しているのだ。このように動労千葉・動労水戸がライフサイクル配転を粉砕した一方で、水戸支社や高崎からも、青年を含む労働者がライフサイクルで池袋駅などに配転となる。
今こそ2・1ライフサイクル粉砕という勝利をひっさげ平成採―2000万青年労働者の現実とその怒りと結合し、平成採が層をなして動労千葉・動労水戸に結集してくる情勢を切り開くために立ち上がろう。
ライフサイクルは駅業務の外注化と一体である。「経営構想X」ではエキナカ事業の展開と一体で駅について全面的に外注化し、非正規職化しようとしている。ライフサイクルはこれを補完するものとして、運転士を駅にたらい回しにしようとするものだ。
しかし外注化された駅では何が起きているのか。安全の崩壊だ。外注化された駅では線路にものが落ちたり、人が落ちてもすぐに対応できないし、拾えない。目の前で線路に人が落ちているのに対応できない(してはならない)。管理駅に連絡をして電車を止めてやっと対応できる。
本来駅には、列車を止める、走らせるという権限がある。そうやって事故に対して、乗客の安全、労働者の安全は守られてきたのだ。駅の外注化はその概念を変えてしまう。安全のことなど、JR資本は考えていないのだ。この矛盾を現場から徹底的に突き、ライフサイクルを粉砕するのだ。
「経営構想X」の粉砕は安倍打倒に直結する闘いだ。2・1ライフサイクル攻撃勝利をもって2・17国鉄闘争を突破口に3・16ダイヤ改定との闘い、4・1のさらなる外注化攻撃粉砕へ攻め上ろう。
(図 JR東日本の社員数は、JR発足時の82,500人から2012年4月の59,130人へと、23,370人も減らされてきた。設備部門、検修部門の外注化・強制出向から転籍=非正規職化、駅業務の外注化=非正規職化を大々的に進めようとしており、さらなる人員削減を狙っている)
労働法制改悪を許さない
こうしたJRの経営構想を推進し、全社会化するために4月1日から施行されるのが労働契約法であり、高齢者雇用安定法(いずれも改悪)である。
改悪労働契約法について厚生労働省は、「有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申し込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルール」と、さも労働者にとっていいことであるかのように言っている。
しかし5年を超える前の雇い止めが激増するのは確実ではある。
さらに「クーリング」というものがある。労働契約と労働契約の間に6カ月以上の空白があれば、通算契約期間がリセットされるというものだ。「非正規労働者は5年以上は同じ職場で働かせない。どうしても働きたければ半年以上空けろ、通算期間をリセットして一からやり直せ」というものだ。資本にとって好都合な制度だ。
このようなことはすでにJRで「グリーンスタッフ」(GS)という名の契約社員として制度化されている。昨年3月に5年の「満期」で雇い止めにされたGSの青年労働者がどうしてもJRで働きたくて昨年秋、再びGSに応募しようとしたら「6カ月の空白期間がない」ということで応募さえも認められなかった。改悪労働契約法は、まさにJRのGS制度の全社会化である。
高齢者雇用安定法の改悪は、それまで60歳を超えた労働者の雇用継続について「労使の協定で対象者を限定できる」という仕組みをやめ、子会社や関連会社への継続雇用などをあらかじめ法律で制度化するというもの。選別的に子会社に雇用するとしても、遠隔地の子会社に飛ばすとしても(例えそれが海外子会社であっても!)すべて「雇用を守るからOK」と言っている。
これを先駆け的に制度化しようとしているのがNTTである。NTTは昨年末、「採用から65歳まで働きがいをもって安心して働き続けられる制度」についてNTT労組と妥結・合意した。これはひとことで言えば60歳から65歳までの定年延長分の賃金を労働者自身に負担させるということである。つまりその原資を今年4月から労働者の基本給を15%引き下げて賄うというのだ。
その結果、大幅賃下げと20歳時から定昇なしの超低賃金を一生強制される。表にあるように賃金に上限が決まっており、上がっても一般資格2級で24万円程度、一般資格1級で27万円程度だ。正規職員をそのまま事実上非正規職化する攻撃だ。このようにしてNTT資本は定年延長後の賃金の一切を労働者に負担させ、労働者を超低賃金で65歳までこき使えるのだ。定年延長は古参労働者だけの問題ではなく青年の問題である。
その上で20代、30代のどれだけに定昇があるのか。すでに青年の2人に1人は非正規職ではないか。こうして日本経団連が主張する「定期昇給の凍結・停止」がすでに行われているということであり、この攻撃こそ20代から60代までのすべての労働者を非正規にたたき込むということであり、95年日経連報告の「9割非正規化」や民主党・野田のフロンティア構想が掲げた「40歳定年制」をこのようにして行おうというのだ。
こうした労働法制改悪とJRを先頭に青年労働者が闘い、安倍政権を打倒しよう。
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(表はNTTグループ主要8社の一般職員の基準内賃金【基本給)額。子会社ではさらに減額が予想される。
高卒採用の初任給は12万1440円。ここから税・保険料などが引かれる。昇給は3年で頭打ちとなり、その後は、毎年の業績評価【A〜D】によって加給額【昇給額】が決まる。最低のD評価の場合はゼロないし減額となる。加給額は以前より切り下げられ、たとえ加給・昇格を繰り返そうと賃金の上限は低く抑えられている。以上が一時金や退職金の増減に影響する基本給部分となる。これに職務評価手当【仮称】、営業インセンティブ手当【仮称】、遠隔地への転勤・転居加算手当【仮称、新設】などが加わるとされる。)
第2章
職場で殺される! 青年の現実――闘う労組甦らせ生き抜こう
新自由主義攻撃下における青年労働者の現実、『ブラック企業』など、青年にとっては「当たり前」でさえある現実にあらためて、徹底的に肉薄していきたい。
(1)仕事がない――高い失業率
そもそも青年には仕事がない。全体と比べても失業率は高い。
ILO(国際労働機関)は今年、世界の失業者が初めて2億人を突破するとの予想を発表した。世界の失業率は6・0%と2012年見込みよりも0・1ポイント悪化する見通しという。特に青年の失業率が高い。15〜24歳の失業者は13年に同0・5%増の7420万人にのぼり、失業率では12・7%と同0・1ポイント上昇する見込み。先進国では若者の失業の長期化も進み、35%は失業期間が6カ月以上に及ぶという。
日本の完全失業率は2012年11月で4・1%。15〜24歳で見ると6・5%。特に男性については全体が4・2%なのに対し、15〜24歳では7・7%と高い。
しかしそもそもこの「完全失業率の調査」は、数値をできるだけ低く抑えることを目的につくられている。調査期間は月末の1週間。この間に、賃金を得る目的で1時間以上の仕事をすれば、その人は就業者となり、完全失業率の対象外となる。仕事探しをあきらめた人は失業者には入らない。
例えば、ハローワークで就活していない人は「失業者ではない」。また、派遣会社に登録しているだけで、実際に仕事がない人でも就業者にカウントされるなど。したがって実際の「完全失業率」は、もっとずっと高い数値になる。こうした膨大な失業者の存在こそ、多くの青年が非正規職でも働かざるを得ない現実の「土台」なのである。
(グラフ@ 非正規職の割合は35.2%、女性は54.7%)
(グラフA 若者の失業率は上昇し、非正規は増加)
(2)非正規職が半数近く――超低賃金で生きていけない
昨年2月の「労働力調査」(総務省、2011年度)によれば、日本の労働者の「派遣やパートなどで働く非正社員が全雇用者に占める割合」は35・2%。そのうち男性について見ると全体では19・9%であるが15〜24歳では45・6%と圧倒的に高い。女性については全体としても54・7%と非常に高い。特に15〜24歳男性の非正規率の高さは、女性から拡大していた非正規職が男性へと広がり、文字通り「10割非正規」という攻撃が襲いかかっていることを示している。先に見た失業率とあわせてみると、青年のほぼ半数が失業あるいは半失業状態にたたき込まれているということだ。(グラフ@A)参照)
こうした非正規職労働者の年間収入を見てみると、総体で見ると200万円未満が女性85・6%、男性58%を占める。1週間の就業時間が35時間以上の労働者でも100〜199万円で女性53・7%、男性30・3%。200〜29
9万円で女性23・7%、男性30・3%となっている。年収300万円未満の労働者が7〜8割を占めているのだ。
非正規職の青年労働者は生きるだけで精一杯か、食っていけない状態かの瀬戸際に立たされている。2、3の職をかけ持ちしなければ生活できない、病気でもしたら即どん底に落とされる。生活の一切と未来さえもが奪われている。(グラフB参照)
(グラフB 非正規労働者の年間収入割合【2011年】 上が非正規労働者総体の男女別年間収入別割合。下が1週間の就業時間が35時間以上の非正規労働者の男女別年間収入別割合)
(3)結婚できない――子どもがつくれない 将来が見通せない
(グラフC 正規、非正規労働者の未婚比率)
8月30日、厚労省が公表した「調査結果」(社会保障を支える世代に関する意識等調査結果について)によると、新自由主義のもとで青年労働者が結婚できない、子どもを産めないという現状が明らかにされている。
就業状況別に婚姻の状況を見ると、男性は正規就業者の方が未婚の割合が低く、女性は逆に正規就業者の方が未婚の割合が高くなっている。非正規男性20歳代の未婚率は94%、30歳代では75・6%。特に30歳代についてみると正規就業者の未婚割合が30・7%であり、2・5倍となっている。経済的背景があることは明白である。女性について見ると、30歳代は正規就業者の未婚割合が46・5%であるのに対して、非正規就業者は22・4%となっている。(グラフC参照)
「今後、子どもが欲しいか否か」という質問に対しては、既婚者の30歳代において「今後、子どもが欲しくない」が男性41%、女性50・2%と最も多くなっている。その理由は、既婚の20歳代では、男女ともに「経済的理由」が最も多い。30歳代では、男女ともに「現在の家族構成で十分」が最も多く、次いで「経済的理由」となっている。「経済的理由」は男女、20代、30代といずれも半数を超えている。
出生数は1970年代前半の「第2次ベビーブーム」以降、減少を続けている。70年代以降吹き荒れた新自由主義攻撃が、労働者種族の再生産さえも困難にさせているのだ。一個の社会として、もはや終わっていると言っていい。
(4)青年(20〜39歳)の死因トップは「自殺」
(表@ 15〜39歳、死因ののトップは自殺)(表A 「精神及び行動の障害」が激動 傷病別件数の割合【】%)
昨年、年間自殺者が15年ぶりに3万人を切ったが、それまでの14年間、自殺者は3万人を超えていた。昨年6月8日に出された2012年版「自殺対策白書」(内閣府)を分析し、青年労働者・学生の自殺をめぐる現実を明らかにしていきたい。
まず、どの年代よりも20歳代の自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)が高く、30歳代、19歳以下の順となっている(グラフD参照)。また、15〜39歳の各年代の死因トップが自殺である(表@参照)。男女別で見ると、男性は20〜29歳で実に50%を超える。30〜34歳で42%、35〜39歳が35%強となっている。女性では20〜24歳は48%強、25〜29歳で43%強、30〜34歳が34%である。
こうした状況は国際的に見ても深刻であり、15〜34歳の若い世代で死因の第1位が自殺となっているのは主要な国では日本のみで、その死亡率も他の国に比べて高いものとなっている。(グラフF参照)
また2011年、学生・生徒の自殺者数が1029人で、初めて1000人を上回った。1029人は、1991年482人の2・2倍、20年間で2倍強である(グラフE参照)。20歳代以下では「就職失敗」による自殺者数が09年を境に急増していることと関係している。また20歳代では「勤務問題」の占める割合が高いのが特徴だ。学生を含めて、若年層の自殺は全体の傾向に比しても増大している。
さらに以下のデータがある。全国健康保険協会管掌健康保険「現金給付受給者状況調査報告」(2011年)によると、精神疾患による傷病手当の割合が激増しているのである。「消化器系の疾患」への給付は95年14・64%→11年4・39%と減少している。これに対し「精神及び行動の障害」に対する給付は95年4・45%→03年10・14%→11年26・31%に激増している(表A22n参照)。
これは後に触れるように、資本が意識的に青年をうつ病→退職に追い込んでおり、これらと無関係ではないであろう。青年が資本によって、文字通り人格を破壊されているということだ。
(グラフD 20代の自殺率が最も増加している)
(グラフE 学生・生徒の自殺者1000人超)
(グラフF 主要国の自殺死亡率)
(5)生きるために労働する職場で「殺される」という現実
以上のようなことを背景とし、同時にそれは以下に述べることの結果でもあるのだが、本章で最も強調したいのは青年労働者がまさに労働現場で「殺されている」という現実である。
マルクスが『共産党宣言』で「近代の労働者階級は、労働(仕事)あるかぎりで生きることができ、その労働が資本を増殖するかぎりで労働にありつける」「資本を増殖させるためにのみ労働者が生き、支配階級の利益が必要とするかぎりにおいてのみ労働者が生きていける、というこの取得の惨めな性格」と断罪する資本主義の本性が、現代の破産した新自由主義のもとでむき出しになって日々、青年労働者に襲いかかっているのだ。
『ブラック企業』という言葉が青年の間で使われている。それは、資本が青年を文字通りに「使いつぶす」「破壊する」ことへの弾劾を込めた言葉である。それは一部の問題企業のことではない。JRはじめとして郵政、金融、民間等々、あらゆる資本がこうしたあり方を取り、それがまかり通っているのだ。
民営郵政では、誰もが辞めたがるような職場環境となっている。
「年賀状の営業ノルマは正社員は1万2千枚、非正規は2千枚、3千枚。『自爆』はコンプライアンスで郵便法で禁止されていますなんて言っている隣で別の管理職が売れなかったら『自爆』しろと言う。毎日パワハラを受けてどんどん病気になっていく」
「バイクも過積載でひっくり返る寸前で、タイヤもツルツル。欠区が増え配れない。人員補充もしない。交通事故が起きて仲間が死んでいくというのがここ2、3カ月で一気に増えている。職場に行けば殺される状況」
「郵便物をシュレッダーにかける事態が起きる一方で、資本は郵貯でもうける。郵便局は配達が本来業務だろ。郵政も終わっている」
(『前進』新年号青年労働者座談会、郵政非正規労働者の発言)
もはや職場の青年労働者の半数を占めるにいたった非正規職労働者は、このような矛盾と破綻があらわな現場で怒りを持ちながら、しかし同時にささいなことで雇い止め解雇にされる恐怖に、常にさらされている。そして、新自由主義の破綻で危機に立つ資本は、その現実に乗っかってさらに青年に、資本への従属を強いてくる。
資本が青年を「つくり替え」、破壊する
ほんの一部が社会的に明らかになっている。
▼あるIT企業の入社式での役員あいさつ 「お前たちはクズだ。その理由は現時点で会社に利益をもたらすやつが一人もいないからだ」「クズだから早く人間になれ」
▼新人研修は「平均睡眠時間は3時間」、徹底的に従順さを要求し、それを受け入れる者を選抜することのみが目的。「礼儀正しさをたたき込む」と言いながら、例えば手の挙げ方など細かいところまで怒ってくる。こうして一人の人間を「作り替える」。
▼そこに残れなかった青年は自主退職に追い込む。だから「大量採用、大量解雇」である。
▼退職強要の手段としては、「リカバリープラン」などと称して「ナンパ研修」「お笑い研修」などをやらせる。その中で「人間としておかしい」などと罵倒(ばとう)する。無地グレーのスウェットでの出勤、勤務を強要する。
こうした嫌がらせの目的は青年労働者の人格を破壊し、大量に採用した新人を効率よく「選別」し、「自己都合退職」に追い込むことである。意図的にうつ病に罹患させ、法的に争う力さえも奪う。
これらは実際のほんの一部である。こうして青年は、人間としての誇りとか、生きがいとかそうしたものを全て奪われている。あるのは資本への徹底した従属と、他人を蹴落とすための競争。それが最高の価値なのだということが植え付けられる。
それができなければ「生きている価値はない」「うちの会社では君の仕事がない」などと平然といわれ、人格そのものを破壊してくるのだ。そしてその結果、一人ひとりの青年は声を上げることができずに怒りを抱え込み、「すべて自分の責任だ」「いなくなりたい」「死にたい」とすら思わされている。あるいは「まわりの人間はすべて敵」と思っている。
階級的共同性をとりもどす時代
だがこうした現実は、労働者、労働組合が誰一人として声を上げない、闘わないことを前提にして成立している。だから昨年、青年労働者が先頭に立ってJRや郵政などで切り開いた職場からの巨大な反乱から、青年が地域の合同労組に加入し団交し、解雇を撤回させている闘いや職場の上司にもの申すといった一つひとつの闘いは、たとえ直接的な勝利がかちとられていなくても、たった一人から始まる小さなものであったとしても資本の支配を根本から覆し、階級的共同性を奪い返す決定的な自己解放闘争なのだ。
今日、新自由主義が完全に破産する中でこの2〜3月、大量解雇攻撃が青年をはじめ全労働者に襲いかかろうとしている。しかしこれまで述べてきた現実も含め、こうした攻撃は「資本主義の墓掘り人」をつくり出す。それが現代の青年労働者・非正規職労働者である。
JRを先頭に青年が「外注化阻止・非正規職撤廃、解雇撤回」の路線をもって階級的労働運動を具体的に復権させるなら、必ずそのもとで青年労働者の、プロレタリア革命への巨大なうねりをつくり上げることはできる。「ブルジョアジーの没落と、プロレタリアートの勝利は、ともに不可避である」(『共産党宣言』)。
第3章
マル青労同に結集して闘おう――マルクス主義と、闘う労働運動
この章では、青年労働者の怒りと闘いの先頭に立ってきたマル青労同10年の闘いの意義と、新自由主義を打ち破る闘いに責任をとる青年指導部がついに登場したことを明らかにし、すべての青年労働者にマル青労同への結集を訴えたい。
(写真 強制出向者を先頭にした幕張支部組合員を激励する動労千葉と支援【2012年10月1日】)
マル青労同の歩み
マルクス主義青年労働者同盟(マル青労同)は03年、米帝を先頭とするイラク侵略戦争の開始と国際反戦闘争の高まり、自民党・小泉政権による改憲・戦争と民営化―労組破壊の攻撃の中で結成された。結成にあたり「マルクス主義の学習とその実践」「闘う労働運動、労働組合をつくりだそう」という2本柱を打ち出して今日まで闘い抜いてきた。
結成以来の闘いはU章で見たように、新自由主義が「満展開」した中での七転八倒の闘いであった。資本による新自由主義攻撃と、それを体制内労働運動指導部が支えるという状況で闘う労働運動が見えない、そして青年の団結が徹底的に破壊されている中で、動労千葉のような闘いを自らの職場でつくり出すという壮絶な闘いであった。まず自らが闘いの先頭に立ち、あらゆる困難を引き受ける。さらに当局と体制内指導部の職場支配を現場労働者の手に奪還していく闘いは、現場の労働者を組織していく闘いだった。それにはまず、自らが腹を固めなくてはならない。その核心は「時代認識と路線」であった。その中で生み出されたのが「労働運動の力で革命をやろう」のスローガンである。
この闘いを指導部を先頭に貫いていく中で世界大恐慌と3・11情勢が爆発した。膨大な青年労働者が国家と資本の本質をつかみ、決起を開始した。マル青労同は3・11以来、その先頭で闘ってきた。そして昨年末、歴史的な第9回大会を開催した。
同盟9回大会の意義
9回大会はこの10年の闘いを「労働者党の希求へと結実した10年」と総括し、階級的労働運動の本格的全面的な発展を切り開く新執行体制を確立した。「外注化阻止・非正規職撤廃・解雇撤回を闘い、あらゆる職場で労働組合をよみがえらせよう」「マル青労同が地区党建設の先頭に立ち、真の労働者党を建設しよう」「1000人のマル青労同を建設しよう」こそマル青労同のスローガンであり、プロレタリア革命の大道である。
「僕たちは大まじめに労働組合を語って実践をする中で、ついに労働者党・革命党の建設を青年労働者自らが欲求するところまできた。マル青労同がやってきたことは『マルクス主義の学習と実践』『闘う労働運動、労働組合をつくりだす』という2本柱でした。労働運動の中にマルクス主義をよみがえらせる。これが連合打倒の路線なわけですよ。連合はそもそもがマルクス主義の否定から始まっているわけだから。
敵の攻撃に絶対反対で立ち向かい労働者自身が階級性を取り戻す闘いをやってきたわけです。現場の労働者にもまれながら、本当にともに闘う仲間を求めて職場細胞建設として同志をつくってきた。それを勝利へ結びつけるには、職場まかせ、産別まかせではなくトータルな中身で論議されないといけないということで激しく地区党を求めてきた。マル青労同1千人建設こそ労働者党・革命党建設、党と労働組合の一体的建設そのものだといえる。革共同の階級的労働運動路線の推進とはマル青労同1千人建設にあったということです」(『前進』新年号青年労働者座談会・郵政労働者の発言)
マル青労同1000人建設=青年指導部建設こそ、革命への最大の方針
昨年の衆院選と安倍政権の登場、大恐慌と戦争・大失業の爆発情勢に対し、階級的労働組合の復権と一体で、労働者の党を建設することが本当に必要だ。この闘いを担いぬく強固な青年労働者指導部=マル青労同1000名の登場が、一挙的に全情勢をくつがえす。
JRをはじめとするすべての職場にどのように「外注化阻止・非正規職撤廃・解雇撤回」の闘いを拡大させていくか。ブルジョアジーによる支配と重圧の中で、自然発生的には決して闘いは拡大されない。きわめて目的意識的に組織する立場にたちきる、組織としての実践が問われている。
(写真 勝田車両センター前でスト突入集会を行う動労水戸【2012年9月26日】)
▼時代認識と路線で闘おう
それは第一に、自らが労働者階級の指導部として、労働者階級全体の利害のために闘う立場に立とうということだ。職場や地域、産別を代表するだけではなく、あらゆる産別や地区、職場で、目の前の闘いだけではなく労働者階級全体の利害のために闘う指導部として、より一層飛躍しよう。
いまや革命情勢を本当のプロレタリア革命に転化することが、わがマル青労同の全同志の任務だ。そのために労働者を階級へと高めるカギは、時代認識と路線で団結して資本と非和解的に激突し勝利することであり、これと一体でマルクス主義の復権をもって、とりわけ青年労働者の中に階級性を復権させることである。
この時代認識と路線とは、決して職場の実践と切り離されたものではない。実際に資本との非和解的激突になればなるほど団結を強固にし闘いを勝利させるために必要とされるのが、時代認識と路線で一致し闘うことだ。
したがって、そこで必要とされる時代認識と路線とは、固定的なものでも観念的なものでもない。日々前進し、階級闘争の中で豊かに発展させていくものだ。中央委員会と細胞が有機的に一体となって日々建設されていることを土台にして生み出された路線を、さらに職場実践を通して、労働者階級とかみ合い、ますます豊かに深化させ、より労働者階級に浸透できるものとしていく。さらにその前進をただちに中央が獲得し、全体のものとしていくのだ。
(写真 非正規労働者の雇い止め撤回へ東京多磨支店に抗議のデモを行う郵政非正規ユニオン【2011年10月1日】)
▼職場細胞を建設し、拡大しよう
第二に、職場細胞を強固に建設し、拡大することだ。
それは、一般的に人数を増やすということではない。個々の同志の集合体ではなく、文字通り一つの細胞として、労働組合に責任を取る指導部として建設していくことだ。この職場細胞が職場の闘いに全責任を取って資本との非和解的激突を闘い、階級的労働組合の建設の死闘を現場で実践し抜くのだ。だから労働組合と細胞=党は限りなく一体のものとして建設されていく。
これは戦後労働運動の限界を乗り越え、体制内労働運動を突破する闘いである。日々時代認識と路線での一致に職場や街頭における実践を通して挑戦し、そしてあいまいさの余地を残さないような議論と踏み込みを絶えず行っていく。こうして形成される信頼感と緊張感が細胞に活力を与える。しかし、ここが崩れた時、たちどころに「サークル主義」が蔓延し、細胞が腐敗することにつながる。そして細胞の腐敗は、現場の労働者からの信頼をたちどころに失うことになるのだ。職場支配権・階級的共同性を奪い返すそのすべての出発点が細胞建設にあることを据えて、職場・地域で強固な細胞を確立しよう。
(写真 17万人が結集した反原発デモの先頭に立つNAZENの青年労働者ら【2012年7月16日】)
▼地区党建設の先頭に、青年労働者こそが立とう
第三に、地区党をより強固に建設することだ。これからあらゆるところで労働者の決起が始まる。その場合、一つの職場、組合や産別という狭い視野から見ては闘えない。これを止揚するのが地区党である。労働組合の復権という意味でも、拠点職場の絶対反対の闘いを地区の柱とし、地域の労働組合の結集軸にする闘いこそ、あらゆる労働組合や労働者階級人民の結集軸になる。
だからこそどんな些細なことであっても地区党に問題を提起し徹底的に議論し一致させ、一人ひとりが目的意識的にこの一致を実践するような地区党を建設することだ。これ自身、労働者が階級性を獲得する決定的な契機であり、労働者指導部をつくり出す過程であり、プロレタリア革命に責任を取る階級的共同性形成そのものなのだ。こうした地区党を軸とした組織建設が、外注化阻止決戦などの激しい階級決戦を勝ち抜くために、欠かすことができない土台となる。
地区党に結集する同志がそれぞれの闘いでつかみ取った教訓を地区に返し、全体と一致させる中で、拠点職場においても青年に対するさらなる踏み込みや獲得をつくり出す道が切り開かれる。この地区党建設は、労働者階級自身の権力を樹立するために、なくてはならないものなのである。
かつて革共同は、3全総において「地区党と産別委員会建設でプロレタリア革命を闘いとろう」という挑戦を開始した。それと時を同じくして、反革命分子カクマルと分裂し、非和解的な戦争へ突入した。カクマルは今日、JRにおいて外注化・非正規職化の最悪の先兵として外注化を積極的に推進している。だが動労千葉・動労水戸を先頭に10・1外注化阻止決戦を絶対反対で闘った中で、東労組の信用も支配も完全に吹っ飛び、膨大なJR平成採の青年労働者が合流するのにあと一歩、というところまで来ている。しかし、堰を切ったような平成採との大合流がいまだかちとられていないこともまた、党と労働組合の一体的建設の飛躍の壁であり、地区党建設の前進にその突破の道がある。
マル青労同こそが最先頭に立って、この地区党を一切のあいまいさのないものとしてつくり出すことが、プロレタリア革命への最短の道だ。すなわち、総選挙―安倍の登場に対して、私たちが、私たちの手で、プロレタリア革命に勝利する労働者党を建設しよう、ということだ。
▼自己変革を恐れず、共産主義者としての飛躍を
青年指導部の建設にとって決定的になくてはならないものは、時代認識と路線で青年自身が屹立することである。どのような激しい情勢になったとしても揺らぐことがないようにするために必要なものは、細胞での議論であり、もう一つ決定的に必要なことは自らがマルクス主義者となることだ。
マルクス主義者は絶えず自己変革と飛躍を自らに対して問う。ありのままの労働者が革命的なわけではなく、職場ではねつけられることなど日常的にいくらでもある。路線を提起しようとしても、「そんなものは分からない」と時には職場の労働者になじられる。そこであきらめてしまってはダメなのだ。むしろその貴重な経験を通し、なぜ通用しなかったのか、どう提起すればいいのかを、自分自身の現状に向き合うことから、共産主義者としての本格的な活動が出発するのだ。その実践の中で路線を豊かに語る力も、また労働者階級とかみ合う能力も飛躍するのである。
(写真 JR、郵政の労働者を先頭に成功した首都圏青年労働者集会【2012年10月14日】)
▼機関紙を軸に
だからこそ、さまざまな困難に直面しぶれそうになっているときこそ、機関紙『前進』を読むことが重要だ。自分の目の前の困難な闘いと同じような無数の闘いを、全国の同志たちが闘っていることを『前進』を通して知ることができる。だからこそ、日常的に会うことができない全国の同志たちの闘いとも、週に1度の機関紙を通して「団結して闘っている」と実感できるのであり、また、まだ闘いに立ち上がっていない青年労働者たちも『前進』を読み、職場や地域から立ち上がる。
だからこそマル青労同が先頭に立って、『前進』を自らの手で拡大しよう。
以上のような立場に立ち、労働者党建設の先頭に立つのがマル青労同だ。全国に階級的労働運動を建設していくことと一体で、1000名のマル青労同を建設しよう。こうした闘いは、すべての青年労働者がただちに着手できる壮大な事業だ。決して簡単なことではないが、人生のすべてをかける価値のある闘いだ。
青年春闘集会の成功へ
すべての青年労働者は、マル青労同とともに青年集会・春闘集会に結集しよう。それを突破口に、3月安倍打倒の先頭に立とう。大恐慌と帝国主義・新自由主義の破綻と崩壊にのたうつ自民党・安倍政権のインフレと円安政策による輸出業の大資本救済のための労働者人民の生活切り捨てや、改正労働法制の施行が4月に迫っている。全社会的に、4月に向かって数百万の労働者に対する雇い止め=解雇が吹き荒れようとしている。この時に「労働組合として、労働者が生きていけないということを絶対に許さない」という決定的な集会として、13春闘を「外注化阻止・非正規職撤廃・解雇撤回」で闘う春闘集会であり、国鉄を先頭として青年労働者が階級の指導部としての飛躍をかちとる青年集会・春闘集会である。この集会の成功を、青年指導部建設・地区党の拠点建設をかけてかちとろう。
2・24橋下打倒集会、青年春闘集会を突破口として3・16ダイヤ改定、3・11フクシマ、3・24三里塚を経て4月外注化阻止決戦の第2ラウンドを力強く開始しよう。JRを先頭に4大産別・6大産別で「外注化阻止・非正規職撤廃」を闘おう。
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月刊『国際労働運動』(439号4-1)(2013/03/01)
●翻訳資料
ドイツにおける階級闘争と革命的左翼の現状
ラーベン・ブロンシュタイン
以下は、2012年11・4労働者集会の後に、日韓理念交流と並んで行われた日独学習・討論会におけるドイツのラーベン・ブロンシュタインさんの講演です。
(文責は動労千葉労働者国際連帯委員会ドイツ語班)
…………………………
ドイツの階級闘争と言っても、みなさんはその言葉を聞くとマルクス・エンゲルスの時代のことや、あるいは大戦間のワイマール共和国時代におけるナチスとの闘いのことが頭に浮かび、現在のドイツの階級闘争についてはなかなかイメージすることができないのではないかと思います。
そこで、今回は、戦後のドイツの階級闘争、とくに東西ドイツ統一後の階級闘争についていくつかの柱を立ててお話ししたいと思います。
(写真 2012年11・4集会【日比谷野音)で発言するラーベンさん)
1 戦後は大多数が労働者
わかりやすい話ですが、現在のドイツ人のだいたい70〜80%の人たちが車やいくつかの家電は持っているものの、持ち家もないしさして財産もないし、文字どおりプロレタリアートとして存在しているということです。ここが戦前と決定的に違うところです。
戦前のドイツはすでに工業国としてありましたが、プロレタリアートの人口比率は40%くらいでした。大土地所有者の階級(ユンカー)も依然として残存していましたし、農民も今よりずっと多かった。こういった人々が第1次大戦後の猛烈なインフレ・経済危機のなかで没落しつつ、帝国主義段階になって登場した新中間層と一体となって、相当大きな小ブル層を形成していた。これがナチス台頭の温床をなしたわけです。ナチスは、この小ブル層をプロレタリアートに対して対抗的に動員することで勢力を増強していった。
要するに、プロレタリアートの激増という点で、ドイツの階級関係は戦後、大きな変化をこうむったということです。もちろん、だからと言って、この70〜80%のプロレタリアートがきちんとした階級意識を持っているかというと、そうではない。その点は日本も同じなのではないでしょうか。
2 ドイツ再統一で起きたこと
次に東西ドイツの統一問題です。この問題で非常に特徴的なのは、西ドイツの資本と支配階級が、ほんのいくつかの例外を除いて、東独の工業を粉砕・解体してしまったということです。ドレスデン、ライプツィヒ、エルフルトなどの工業都市を擁していた東独は、スターリン主義時代、ソ連・東中欧の体制のなかで抜群の工業力を誇っていました。その工業水準は、ロボトロン国営公社のようにコンピュータ・ハイテク産業など、いわゆる西側に匹敵するものがありました。しかし、こうした東独の工業力を、西ドイツの資本と支配階級は資本主義的に吸収したのではなく、「競争相手」として絶滅してしまったのです。生き残ったライカ(カメラなど)は数少ない例外ですね。
では、東独の企業で働いていた労働者はどうなったか。彼らは、相当数、旧西独地域に仕事を求めて流入したのです。また、失業者となった人々には、失業保険が今から見ればかなり手厚く与えられて、不満を抑え込むという政策がとられました。
スターリン主義崩壊の後、その国有企業が資本主義的に吸収されるのではなく、粉砕・解体されて跡形もなくなってしまったのは、東独ばかりではありません。東欧・中欧の旧スターリン主義諸国に一般的に言えることです。粉砕・解体されて、その後にドイツを始めEUなどの資本がなだれ込み、これらの国の工業を支配するようになったのです。
(写真 東西ドイツ統一で破壊されるベルリンの壁【89年11月】)
3 スターリン主義の犯罪的役割
東西ドイツの統一という問題では、スターリン主義の犯罪的役割を指摘しないわけにはいきません。東ドイツの最後の首相(最高権力者)はハンス・モドロウという人物でしたが、彼は当時のソ連・ゴルバチョフとタイアップしつつ、東独の側から東西ドイツの資本主義的・帝国主義的統一を強力に推進したのです。このことはあまり知られていませんが、とても重要です。
これに対して西ドイツの資本と国家は、そうしたそれまでの東独の支配層のなかで「使えそうな人間」と「使えない人間」をふるい分け、「使えそうな人間」を新たにドイツの支配階級とその政治委員会のなかに取り込んでいきました。その典型が、現在のドイツの首相アンゲラ・メルケルです。彼女は、東独時代、社会主義統一党(共産党)の下部組織・自由ドイツ青年団(FDJ)に属し、宣伝担当の幹部でした。東独に批判的な人物の動勢を監視する役割も担っていたことが最近わかっています。その彼女が、統一とその後の過程でどんどん変身し、キリスト教民主同盟(保守党)の党首を務めるまでにのしあがり、そして首相になったのです。逆に言えば、ドイツの資本家階級=支配階級は、新たな階級支配のために彼女のような人物を必要とし、積極的に押し上げたということです。ちなみに、現在のドイツの大統領ヨアヒム・ガウクも旧東独出身です。
東西ドイツの統一とその直後の過程といった決定的場面において、かつては「社会主義」を標榜し、西独と張り合っていた社会主義統一党や東独体制の幹部たちが、急速に社民化したり(現在の左翼党)、あるいは今言ったようなていたらくでしたから、それがドイツの階級闘争に与えた影響は非常に大きなものでした。一言で言って、非常に多くの労働者階級人民に混乱と士気阻喪という事態を招いたのです。
そもそも戦後直後、スターリンとその傀儡だったドイツ共産党(KPD)は、驚くべきことに「中立で統一の資本主義的ドイツ」をめざしていました。ナチスドイツの壊滅的破産の後だけに、ほとんどの政党が何かしら「社会主義」を口にせざるをえない状況のなかで唯一「ドイツの資本主義的再建」を主張したのです。いわば、オーストリア方式での再建です。それが、アメリカ帝国主義の「冷戦政策」で破産を余儀なくされてから、東独の建国に向かったのでした。そうしたジグザグによってドイツの労働者階級の階級意識は著しく混濁を余儀なくされ、戦後革命は大きな打撃を受けたのです。
戦前・戦後をつうじて、ドイツほどスターリン主義の犯罪的役割によって繰り返し階級闘争が敗北させられた国はありません。
4 社民党政権下での新自由主義
さて、ドイツ再統一過程とそこにおけるスターリン主義の犯罪的役割、そしてそれによるドイツ階級闘争の混乱について述べたのですが、まさにそこを衝いて登場し、次々と反動的政策を実施していったのが1998年からのゲアハルト・シュレーダーの社民党(SPD)政権(社民党と緑の党の連立政権)です。この政権のもとで、戦後初めてNATO域外へのドイツ国防軍の派兵が行われ、コソボ侵略にも参加し、またアフガニスタン派兵も行われました。相当な犠牲を出しながら、アフガニスタンへの派兵は今なお続いています。社民党政権は03年には「アジェンダ2010」を発表し、全社会的な新自由主義的政策を推進していきました。「アジェンダ2010」の狙いは、戦後西ドイツの立国の柱であった「社会的市場経済」の内実をなす社会保障・福祉制度を解体することにありました。
ドイツの階級闘争を見るうえで非常に大事なことは、社民党が政権に就くとそれまで保守党ではできなかった反動的政策が実施されるということです。たとえば、非常事態法の制定・施行の時もそうでした(1968年)。また、西ドイツへの米中距離核ミサイル配備の時もそうでした(70年代末〜80年代前半)。
シュレーダー政権以降、ドイツでも、社会保障制度の解体とともに、民営化・外注化・非正規職化がドラスチックに進むことになります。国際競争力強化の名の下に、企業のダウンサイジングやリストラ、IT(情報産業)化、派遣労働者の導入などが強行されました。シュレーダー政権は2005年までで、その後は現在にいたるまでキリスト教民主同盟(保守党)のメルケルが首相ですが、新自由主義政策をいっそう強めています。
(写真 アフガニスタン駐留ドイツ軍【2009年】)
(写真 現首相・メルケル)
5 ストライキ共和国=ドイツ
こうした新自由主義の展開に対して、がまんにがまんのあげくついに「堪忍袋の緒が切れた」のが2008年でした。この年ドイツでは、労働者のストライキ闘争が年間をとおして大爆発しました。「ドイツ=ストライキ共和国」などと呼ばれたのもこの年のことです。ストは、鉄道・近距離交通・空港・病院・保育園・清掃・自治体・郵政など公共部門から金属(自動車)やルフトハンザなど実に広範囲にわたりました。とくに、すごかったのは鉄道におけるドイツ機関士労組(GDL)の闘いで、「長年の賃金カットと労働強化にはもうがまんできない」「相手に打撃を与えてこそストだ」と大規模な波状ストを繰り返し貫徹して全体の闘いを牽引(けんいん)しました。
08年のストライキ闘争の背景には、何と言っても、10年近くの新自由主義的展開に対する労働者の怒りの蓄積がありました。またその過程で、政府と労組の伝統的な「友好関係」にヒビが入っていたということがありました。さらに体制内労組幹部として、「下手に現場労働者を抑えるようなことをすれば自分たちの地位が危なくなる」という思惑もありました。そのため、ストは激発し、容易に収拾に向かうことができなかったのです。ドイツの労組は大部分、幹部が社会民主党系ですが、ドイツ機関士労組は例外で、幹部はキリスト教民主同盟(保守党)の党員が多い。こういう組合が、そういう状況のもとで「ストライキ共和国」の先頭に立つことになったのです。
その後ドイツの労組幹部は、世界大恐慌が激化・深化するなかで、それまでよりもいっそう慎重になり、政府の新自由主義的政策を基本的容認しつつ、労働者の闘いを事前に抑え込むような態度を露骨にとるようになっています。それに対して労働者たちは、「ベルリン都市鉄道の民営化に反対する行動委員会」に見られるように、労組の枠を越えて現場労働者たち自身が下からランク&ファイル運動をつくりだそうと必死に苦闘しています。
(写真 ドイツ機関士労組【GDL)のスト【2007年】)
(写真 GDLのストでニュルンベルク駅に集まった機関士【2011年3月4日】)
6 私が動労千葉から学んだこと
最後に、私が日本の運動から学んだことをお話しさせてください。私はベルリンに住んでいますが、そこにはメンバーが数人、多くて数十人のグループがそれこそ何十と存在しています。そして、その一つひとつが、「あそこのグループとは一緒にやれない。あいつとは口を聞きたくない」とか言って、ささいなことでいがみあっています。また、多くのグループが「うちのグループのこの主張・この理論こそ正しいのだから、君たちは僕らのグループに結集せよ!」なんて偉そうに上から物を言っています。ドイツのトロツキスト系革命的左翼の現状は、だいたいにおいてこんな状況です。MLPD(ドイツマルクス・レーニン主義党)という党派があり、党員は1000人以上と言われていますが、ゴリゴリの毛沢東主義で、強烈なセクト主義です。
しかし、私はこの間、動労千葉派の運動を見てきて、みなさんがまったく違うやり方をしているのを目の当たりにしました。「義理・人情」とかも学びました。本当に新鮮な驚きでした。それが仲間との「団結」をつくり出すやり方なんだなと思いました。
私が「ベルリン都市鉄道の民営化に反対する行動委員会」の鉄道労働者に接したやり方も、そこから学んだものです。私は、小さな政治的グループに所属していますが、彼らにたいして上から物を言うんじゃなくて、「何かお手伝いできることはないですか」「どうしたら君たちの闘いを応援することができますか」と接近したんです。そしたら、快く受け入れられた。もちろん、私が動労千葉と良い関係にあるということを労働者たちが認識していることも、とても大きいけれど。「団結」という言葉は、もちろんドイツ語にもあります。でも、それでは言い表せない温かい中身を日本語の「団結」は持っています。だから私は、ドイツ語に「団結」(Danketsu)という日本語を輸入してそのまま使っています。日本のみなさんが思っている以上に、「団結」は大きな意味をもっているんです。
今後とも日本の運動との交流を深め、「時代認識と路線」を学ぶとともに、この「団結」の精神と作風でドイツの階級闘争を革命的に塗り替えていきたいと思います。
(写真 2012年11・3国際連帯集会で発言するラーベンさん)
(写真 2012年ベルリンメーデーに参加した「ベルリン都市鉄道の民営化に反対する行動委員会」)
(写真 2012年ベルリンのメーデーで動労千葉の連帯声明が読み上げられる)
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月刊『国際労働運動』(439号5-1)(2013/03/01)
■Photo News
●パククネ新政権と対決し、闘う労働者の「希望バス」再始動
(写真@)
(写真A)
1月5日、韓国で「希望のバス」が1年3カ月ぶりに再始動した。この日の朝、ソウルを出発したバスは、全国各地からのバスと合流し、計37台、1600人余が、現代車非正規職支会による高空籠城闘争が闘われている蔚山の現場(写真@)に到着し、鉄塔の下で非正規職撤廃までとことん闘いぬくことを宣言する決意大会を開催した(写真A)。新自由主義政策を強化する朴槿恵政権との新たな対決の闘いが、この闘いをもって開始された。
●中国各地で争議が爆発
(写真B)
(写真C)
1月10日、アップルのiPhoneの部品の生産などを行っている富士康の江西省宜春市豊城市にある新海洋精密部品工場(従業員数8千人)で、大規模ストライキが爆発した(写真B)。労働者たちは、平均賃金約1万8千円という低賃金と劣悪な労働条件の改善を求めて10日間のストライキを行った。1月17日には、上海市にある日系企業の神明電機有限会社で1千人の女性労働者がストライキに突入した(写真C)。会社が労働者に対して、今まで以上に劣悪な労働契約を一方的に強制してきたことに対する反撃の闘いだ。
●ムルシ政権と対決するエジプト労働者
(写真D)
(写真E)
ムスリム同胞団の政府であるムルシ政権の新自由主義政策の全面的推進と、IMFからの48億jの支援供与の条件としての緊縮政策の実施に反対して、エジプトの労働者の反撃が開始された。昨年12月、ムルシ大統領に独裁的権限を与えようとする憲法令を大規模デモとタハリール広場や大統領宮殿周辺の占拠闘争によって粉砕した労働者たちは、反動的な新憲法草案を承認する国民投票に反対して闘った(写真DE)。その結果国民投票の投票率は32・9%ときわめて低いものに終わった。6割以上の労働者人民が新憲法案にノーをたたきつけたのだ。この闘いをもってエジプトの労働者は、米帝やエジプト軍部と協力して新自由主義政策を満展開しようとしているムルシ政権との全面的対決の闘いを開始した。
●バングラデシュで教育労働者がストライキ
(写真F) (写真G)
1月10日、バングラデシュの私立学校の教育労働者数万人が、教育の国営化と月63jという超低賃金の改善を求めて首都ダッカでストライキとハンストに突入した。教育労働者たちは前日の9日には、首都に結集した教育労働者を弾圧するために出動した警察と激しく激突して闘った(写真F)。昨年の9月にも6日間のストライキが行われている(写真G)。
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月刊『国際労働運動』(439号6-1)(2013/03/01)
■世界経済の焦点 TPPと農業問題
米国農業の実態は政府補助金と兼業に依存
『共産主義者』第175号「原発・TPPと闘う労農同盟を発展させよう」国木田享論文が明らかにしているように、
@TPP(環太平洋経済連携協定)とは没落期にある米帝によるブロック化政策である。
Aそれは日本帝国主義に対する激烈な争闘戦として進められている。
B危機にあえぐ日帝ブルジョアジーは、自己の延命路線として日米同盟に賭け、TPP参加に突き進むしかない。
CTPPの内実は、究極の民営化・規制緩和、新自由主義攻撃である。
Dしかしこの攻撃は帝国主義国の労働者・農民を直接収奪の対象にする。生きられない現実を強制された労働者・農民の反乱は不可避に拡大・激化する。日帝・安倍政権はこれに脅え、TPPに踏み切ることをいまだに公言できないでいる。
□機能不全のWTO
そもそもWTO(世界貿易機関)という“自由貿易”を標榜するれっきとした世界大的な機構があるというのに、なぜTPPなのか。実際、今世界では2国間、あるいは2国以上の限られた国々の間でのFTA(自由貿易協定)が乱立状態にあると言える。TPPもこうしたFTAの一つである。それは、WTOが行き詰まり、機能不全状態にあるということだ。
WTOの前身であるGATT(関税および貿易に関する一般協定)は、第2次大戦直後に設立された。86年から94年にかけて交渉が行われたウルグアイ・ラウンドの結果、GATTを拡大発展させる形で新たな貿易ルール=WTO協定がつくられた。その本質は、ソ連・東欧スターリン主義が崩壊し、「冷戦」が終わって世界経済の一極支配をもくろんだ米帝が、発展途上国まで含む世界貿易体制の枠組みをつくろうとしたということである。アメリカを中心とした多国籍アグリビジネス巨大企業が「強い農業」の論理を合法的に世界に押しつけるべく創設したのがWTOだったと言っても過言ではない。
WTOは、各国政府が自国の農業を保護するために農民に補助金を出したり農産物の輸入を制限したりすることを、「自由貿易を阻害する不公正な行為」という建前を振りかざして、特に発展途上国の農業保護政策をやり玉に挙げ攻撃してきたのである。
1999年、米シアトルで開催されたWTO第3回閣僚会議では、5万人が抗議デモを行い、参加者の一部が警官隊と衝突して火炎びんを投げるなどの実力抗議行動を行い、非常事態宣言が出された。
05年12月、香港で開催されたWTO第6回閣僚会議では、「自由貿易」に反対するNGOメンバーなど約1万人が抗議デモを行った。韓国農民団体のメンバーが警戒線を突破して会議場に迫り警官隊と衝突したほか、道路を封鎖するなどして、約900人が拘束された。
「自由貿易」の名による途上国に対する収奪、格差拡大、環境破壊などに対し、「反グローバリズム運動」という形で反乱が続発し、WTO交渉自体も米欧間、米・途上国間での矛盾が激化し、行き詰まりの様相を呈した。
□不平等な2国間協定
そうした中で、01年に登場したブッシュ政権は、02年に自国の農業補助金を大幅増額していく法律を施行し、自らWTOの「理念」を否定する方向を露骨に取り始めたのである。これは米帝が国連やその他の国際機関を軽視する流れと一致している。
そこで台頭してきたのが、国際貿易のルールをWTOではなく2国間での取り決め、もともとはGATTにおいて「例外」として認められていたにすぎないFTAによって決めていこうとする方向性である。WTOだと他国に要求するのと同様にアメリカ自身も決定事項に縛られるが、2国間交渉だと、アメリカの圧倒的な強さを背景に相手国を縛り、自分は縛られないという不公平な取り決めを押し通し、面倒な義務を負わなくていいからである。
「FTAはWTOを補完し貿易自由化を促進する仕組み」とされてきたが、今やFTAはブロック化経済の性格を一層強めているのが現状である。
米帝はこれまでのFTA交渉においても、自国が優位である農産物(価格支持政策に裏打ちされた穀物や、競争力強化を果たした豚肉など)については自由貿易の論理に基づく市場開放を要求し、センシティブな(敏感な、競争力の弱い)農産品目、たとえば砂糖などについては一転して保護的姿勢を貫くというご都合主義的な態度を通してきたのである。これらの動向の背後では、当然アメリカの農業利益団体の意向が働いてきた。
これまでアメリカが交渉・締結してきたFTAを見てみると、初のFTAは、198
5年のイスラエルとのもの。その後89年に発効した米・カナダFTAはメキシコを加えて94年に発効した北米自由貿易協定(NAFTA)へと発展した。またチリを始め相次いで中南米諸国とのFTA交渉を立ち上げ、米国・中米間自由貿易協定(CAFTA―DR)をつくった。
悪名高い米韓FTA交渉は06年に開始され、12年に発効したが、韓国において労働者人民の激烈な反対闘争が起きたことは記憶に新しい。この米韓FTAにおいてISD条項、ラチェット条項、未来最恵国待遇といった「毒素条項」と呼ばれる不平等待遇を規定した条項があることは、周知の事実である。
そしてTPPは「環太平洋」とうたいながら、その貿易の規模から実質上米帝と日帝との2国間協定として発動されることになる。
「自由貿易」の名のもとに行われている米帝の貿易政策には、いささかの“進歩的”な要素もない、これは帝国主義の争闘戦政策である。
□「強い」米国農業の実態
(表 米国の農畜産物販売額別の農家個数【単位:千戸】)
「日本の農業・食糧生産は、高関税と過保護な国内支援で守られてきた、だから努力して、農業を強くしなければならない」などという言説が、大手を振ってまかり通っている。
例えば、一農家の規模を全農地面積を農家数で割った数字で、比べてみよう(08年)。日本は約1・2f。アメリカ198f。EU全体の平均は13・5f。オーストラリアは3千f。まさにケタ違いの数字となって表れている。
このあまりにも大きな格差のもとで、「自由競争をしろ」というのか。この差は農民の責任だとでも言うのか。
農業は自然的地理的条件によって作付内容、経営規模などのあり方を否応なく規定されるものであり、その地において、ねばり強く根気強く自然と向かい合い一体化することでしか成立しえないのである。土をいじったこともないやからが、「日本の農業は甘えている」などとしたり顔でいうのを許してはならない。
ちなみに農業所得にしめる政府からの補助金(直接支払い)の割合を比較すると、アメリカで5割前後、フランスで8割、スイスでは100%近くなのに対して日本では16%程度と言われている。
では「大規模」で「強い」米国の農業の実態はどういうものだろうか。やや立ち入って見てみよう。
07年の調査によれば、米国内で100万j(約1億円)以上の農畜産物を販売した超大規模農家(農場)は5万7
千戸、農家数の2・6%に過ぎないが、これら2・6%が全米販売総額の59%を占めた。
一方、5万j(500万円)未満の農家は戸数では78%を占めるが、その販売額は全体の4%に過ぎない。さらにそのうち極小農家ともいうべき販売額1千j(10万円)未満の農家戸数が、全農家の31%。
二極化が激しく進んだ結果である。
アメリカの農業が「強い」ということは、国家戦略によって農産品貿易に強力な後押しがあるということであり、現実には一握りの多国籍アグリビジネス巨大企業が暴利をむさぼり、ほとんどの農家は兼業収入と政府の補助金がなければやっていけないというのが実情だ。
米国の農家戸数を見ると、1935年のピーク(681
万戸)を境にして毎年減少し、大規模農家はますます経営規模を拡大し、一方で多くの中小農家が離農、規模縮小、兼業化を強いられるという過程が進んだ。07年の調査では農家総数が220万戸で、前回の02年に比較すると7万戸以上の純増となった。これは南部の多くの州で中南米からの移民が、都市近郊で野菜農家を始めたことによるものと考えられている。
農家の所得を見ると、07年の農家総所得は1戸平均8万6千j(約860万円)、このうち純農業生産所得は総所得の10%に過ぎず、非農業所得が90%(その中心は農家の世帯主・配偶者などの兼業所得で、総所得の68%に及んでいる)。多くの中小農家が政府の補助金と兼業所得などの非農業所得に依存している。
07年、農務省の補助金は約84万戸の農家に支払われ、総額80億j(約8千億円)、一農家あたりの支給額は952
3j(約95万円)に及んだ。ただし、補助金の中心である生産者への直接支払いは穀物などの作付面積を基礎としているため、大規模農家ほど多く支給される構造になっている。そのため政府補助金の80%以上が年間販売額10万j(1千万円)以上の大規模農家へ支給されている。農家総数の16%を占めるにすぎない大規模農家へ補助金の大部分が集中している実態である。
さらに農業就業者の平均年齢は、07年で57・1歳。02年が55・3歳。20年前は52歳。アメリカでも高齢化は確実に進行している。
以上見たとおり、多数の米国農民も農業だけでは食べていけない現実に置かれているのである。
□日帝の農業政策放棄
1980年代の中曽根政権による臨調・行革攻撃の中で、米の食管赤字は、国鉄、健康保険の赤字とひとまとめで「3K赤字」と呼び捨てられた。食管(食糧管理制度)とは、農家に対しては生産費を基準にして所得補償する価格で高く買い、消費者に対しては家計を圧迫しないような安い価格で売る、その差額を財政でまかなうというものであった。これを「むだ」として、国鉄分割・民営化と軌を一にして、日本は食管を廃止してしまった。食管法は96年に食糧法に変わり、米価が下がるにまかせ、2000年代には米の価格保障的なものは一切なくしてしまった。
1993年GATTウルグアイ・ラウンド農業交渉では、もともと日本は「一粒たりとも米は輸入しない」と強硬に主張していたが、93年12月にはアメリカ側の圧力に屈した形で態度を変え、米の一部自由化を認めた。95年から国内消費量の4%を最低限輸入することを約束した(ミニマム・アクセス)。その後99年からは米の関税化が実施された(1`につき341円)。この高関税によって米の輸入は実質上阻まれる一方、ミニマムアクセス米として、日本は関税なしで年間77万dを義務的に輸入している(主食として流通しないように破砕処理)。
TPPに加われば「関税撤廃」は米にも容赦なく適用されるだろう。米に限らず、日本の農産品はおしなべて壊滅的危機に瀕する。
日帝・財界ブルジョアジーはこれまで、帝国主義としての死命にかかわる農業農民政策をないがしろにし、むしろ米帝からの「外圧」に対し農業を犠牲として差し出すことで、延命の道を模索してきた。そして今や日本農業の壊滅を重々承知の上で、詭弁を使いTPP参加を扇動している。
福島原発事故と「復興特区」計画、そして三里塚における反対同盟・市東孝雄さんに対する農地取り上げ攻撃は、まさに日帝の農民への切り捨て政策の象徴である。
全国の農民の間に、もはや国に頼って生き延びるのではなく、農民として生きられる社会を自分たちの力で実現するしかないという気運が高まっている。三里塚反対同盟、全国農民会議の闘いはその先頭に位置している。
(田宮龍一)
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月刊『国際労働運動』(439号7-1)(2013/03/01)
■世界の労働組合 韓国編
全国公務員労働組合
全国公務員労働組合は、公務員労働者14万人で組織する労働組合である。(2010年末時点の教育・警察を除く国家公務員定員数は約15万4千人、地方公務員定数は約28万1千人)
公務員労組は、公務員労働者の労働条件改善と政治・経済・社会的地位の向上を目指すとともに、現在獲得している団結権だけでなく、団体交渉権、団体行動権を含めた労働3権の獲得を掲げる。また、綱領の第1に「国民から信頼される民主的で清潔な公職社会を建設する」ということを掲げているが、これは、朴正煕(パクチョンヒ)軍事独裁政権のもとでインフラなど経済開発のための公共部門が拡大される一方、福祉など民生部門が全く顧みられてこなかったことなどにより、公務員に対する民衆の反発が根強い現実を反映している。
■全国公務員労組の歴史
全国公務員労組は2002年に結成されるが、その前後の歴史は、労働3権を絶対に認めようとしない政府の激しい弾圧に対する闘いの歴史である。1945年8・15解放後、公務員労働者は53年制定の労働組合法によって労働3権を保障された。しかし61年に軍事クーデターを経て政権を掌握した朴正煕は、62年12月の憲法改定によって公務員労働者の労働3権を剥奪(はくだつ)した。
民主化を切り開いた87年民衆大闘争と労働者大闘争を経て89年、公務員労組を認める法案が国会を通過したが、盧泰愚(ノテウ)大統領は拒否権を行使した。
97年の国家不渡り危機とIMF(国際通貨基金)の介入を受け緊縮財政を強行した金大中政権は、公務員の整理解雇を突破口に民間での整理解雇を強行した。これに対し公務員労働者は自らを守る組織の必要性を痛感し、公務員労組準備委員会を結成。98年には職場協議会が合法化され、公務員労組を準備していた活動家は、職場協議会を活用して労組建設を推進する。
職場協議会が限界に直面する中、2001年に地域・職能別210団体、6万会員の参加で全国公務員職場協議会総連合(全公連)が結成され、労働組合設立に向けた本格的な活動に入る。しかし金大中政権は全公連を不法団体と規定し弾圧した。
そうした過程を経て、ついに2002年3月23日、政府による「不法」規定をはねのけ、組合員7万人で全国公務員労働組合が結成される。同年11月の3万人年休ストに対し政府は集会会場を襲撃し参加者全員を連行するなど異常な弾圧を加えるが、組合員は屈しなかった。
03年2月に成立した盧武鉉(ノムヒョン)政権は、労働基本権を保障せず「労働組合」名称のみを認める公務員労組特別法を受け入れるよう迫るが、公務員労組はこれを拒否。04年11月に特別法制定阻止のストに突入した。政府は組合員2500人懲戒、400人以上解雇の大弾圧を強行する。だが解雇者は犠牲者原状回復闘争委員会を結成し、現職組合員と共に組織死守闘争を展開する。
公務員労組特別法が06年1月に施行されるや、政府は公務員労組を激しく攻撃。しかし労組は、特別法廃止と一般法による労働3権保障を要求して労組設立申告を拒否するとともに民主労総に加入。政府は労組事務所を襲撃し、251支部中120支部の事務所を強制閉鎖したが、組合員は、事務所を奪還し、あるいは役所敷地内にテントやコンテナを設置し組合活動を続けた。
弾圧が激化する中、法内労組に転換しようという動きが出てくる。「法外堅持」派と「法内転換」派が対立する中、「法内派」が07年6月に「全国民主公務員労働組合」をつくり分裂。
その後、全国公務員労組側は、組織を立て直す必要性から、07年7月の代議員大会で法内労組への転換を決議。09年に入ると統合の動きが具体化し、9月に全組合員賛否投票を経て全国公務員労働組合、全国民主公務員労働組合、法院公務員労組が全国公務員労働組合として統合し、民主労総に加入した。
全国公務員労組は、政府・雇用労働部に労働組合設立申告書を提出するが、李明博政権の5年間に3度にわたって差し戻され、今日に至っている。
(写真 警察の襲撃の中でかちとられた全国公務員労組創立代議員大会【02年3月23日 高麗大】)
■朴槿恵次期政権との闘いへ
昨年12月16日の大統領選で朴槿恵(パククネ)が当選するや、ただちに公務員労働者をはじめ労働者に対する弾圧が開始された。行政安全部と江原道庁は12月27日、公務員労組のキム・ジュンナム委員長に対し「無断欠勤」を理由に重懲戒に当たる「解任」の手続きに入り、大邱(テグ)市はクァク・ギュウン事務局長を同じ理由で今年1月7日に解任した。公務員労組結成以来の10年間で解職者は137人で、民主労総傘下組織で最大規模だ。
公務員労組はただちに反撃に立ち上がり、キム・ジュンナム委員長がハンストに突入、大統領業務引き継ぎ委員会に対し、労組設立申告の受理、解雇者原職復帰、公務員報酬引き上げおよび報酬決定構造の改善、無条件の勤続昇進保障拡大、公務員・教師の政治表現の自由などを要求して闘っている。
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月刊『国際労働運動』(439号8-1)(2013/03/01)
■国際労働運動の暦 3月2日
■1919年コミンテルン創立■
世界革命への司令塔
ロシア10月革命の勝利を突破口にプロレタリア国際主義の号砲轟く
コミンテルンとは「共産主義インターナショナル」の略で、第3インターナショナルのことである。
1889年に結成された第2インターナショナルは、1914年の第1次帝国主義世界大戦の開戦に際して、それまでの「反帝国主義」「反戦」の立場をかなぐり捨て、自国帝国主義擁護の祖国防衛主義に転落してしまった。インターナショナル=プロレタリア国際主義を放棄して帝国主義戦争に協力する立場に転落した第2インターナショナルに対し、レーニンを始めとするロシアの革命党、ボルシェビキは、猛然と弾劾して闘った。
第1次世界大戦は、帝国主義が二つの強盗ブロックに分かれて繰り広げる市場・勢力圏再分割戦であり、同じ階級である労働者同士に殺し合いを強制するものだった。帝国主義戦争に対する労働者階級の立場は、自国政府の敗北を歓迎し、この戦争をプロレタリア革命に転化することでなければならない。「帝国主義戦争を内乱に転化」するために闘うということである。ロシアの労働者階級は、ボルシェビキとともに、この路線を貫いて、1917年10月革命に勝利した。
レーニンとボルシェビキは、新しいインターナショナルをつくる前に、まずもってロシアのプロレタリア革命に勝利し、世界革命の突破口を開いたのである。
(写真 コミンテルン第2回大会で演説するレーニン【1920年7月19日 ペトログラード】)
▼ロシア革命勝利の上に
コミンテルンは帝国主義諸国の反革命干渉戦争と戦っている中で結成された。
共産主義インターナショナル第1回大会は、19年3月2日にモスクワで開かれた。大会には30カ国から52人の代議員が出席した。大会の基本的な議題「ブルジョア民主主義とプロレタリアートの独裁についてのテーゼと報告」がレーニンによって3日目の会議で提起された。また、レーニンの提案した補足決議を承認した。第1回大会は、コミンテルンの政綱、全世界のプロレタリアートへの宣言、その他一連の決議と決定を承認した。大会は二つの指導機関、執行委員会とそれの選出する5人からなるビューローを設置することを決定した。
規約は、コミンテルンの目的を「資本主義の打倒とプロレタリアート独裁ならびに国際的なソビエト共和国という、一つの目標を追求するために、さまざまな国のプロレタリアートの共同行動を組織する」ことにあるとしていた。
レーニンは、コミンテルン創立大会の開会を宣言する際、1カ月余前にドイツの官憲に虐殺されたローザ・ルクセンブルクとカール・リープクネヒトを追悼して出席者全員の起立を促した。5日間の大会を成功のうちにかちとったレーニンは、次のように述べている。「われわれが社会主義の勝利をめざして闘うのは、われわれだけのためではない。われわれは全世界の労働者をわれわれと一緒に勝利させるために闘っているのである」
▼コミンテルンの変質
ロシア革命に続こうという世界の共産主義者と労働者階級の支持によって、コミンテルンは全世界に圧倒的な影響力を拡大した。しかし、1924年、レーニンの後を襲ったスターリンは、一国社会主義論によって世界革命を裏切り、コミンテルンをソ連スターリン主義反革命体制を防衛する機関に変質させた。トロツキー追放を始め、粛清の嵐で独裁体制を確立したスターリンは、帝国主義との共存でソ連防衛を図り、国際共産主義運動をそれに従属させた。帝国主義の基本矛盾の爆発は、第2次世界大戦として現れたが、スターリンはその一方の陣営と結んでこの世界戦争の担い手にまで転落した。そして、そのために障害になるとしてコミンテルンを大戦中に解散してしまった。
ソ連スターリン主義の崩壊、帝国主義の危機と大恐慌の中で、国際労働者階級の巨大な決起が開始されている。プロレタリア世界革命に向かっての新しいインターナショナルが必要となる時代が再び訪れている。
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コミンテルン関連年表
1917.11 ロシア革命
1919. 3 第1回大会
1920. 7 第2回大会、加盟条件21カ条決定
大会直後、第1回東方諸民族大会
1921. 6 第3回大会
1922. 1 極東民族大会
1922. 7 日本共産党結成(コミンテルン日本支部)
1924. 6 第5回大会
1928. 7 第6回大会、社会ファシズム論
1935 .7 第7回大会(最後の大会)
1936. 2 スペイン、フランスで人民戦線政府
1939. 8 独ソ不可侵条約締結
1943. 5 スターリン、コミンテルンを解散
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月刊『国際労働運動』(439号9-1)(2013/03/01)
■日誌 2012 11〜12月
11月2日千葉 民主労総、反対同盟と交流会
韓国・民主労総ソウル地域本部の労働者30人が、イジェウン本部長を先頭に三里塚現地を訪れた
2日東京 首相官邸・国会前・文科省前行動
金曜行動が闘いぬかれた
3日千葉 国際連帯集会に300人
労働者国際連帯集会が開かれた。韓・米・独からの仲間を迎え、300人が結集した
4日東京 11・4全国労働者集会に5800人
日比谷野外音楽堂で全国労働者総決起集会が5800人の大結集で意気高くかちとられた。動労千葉、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同の呼びかけ3労組を先頭に、全国から闘う労働者・労働組合が大結集した
7日東京 ストで闘う都労連の再生へ
都労連は、13年ぶりとなる29分間の勤務時間内職場集会を打ち抜いた
9日東京 「裁判員候補者通知」送るな!
「裁判員制度はいらない!大運動」の呼びかけで320人の最高裁デモが闘われた
9日東京 電源開発に工事再開抗議の申入書
銀座の電源開発(Jパワー)本社に対し、大間原発の工事再開抗議の申し入れ行動が闘われた
9日福島 チェルノブイリ・ウクライナ報告会
「原発いらない福島の女たち」の黒田節子さんが郡山市内で「チェルノブイリ報告会」を開催した
9日東京 被曝労働を考えるネットワーク設立
「被ばく労働を考えるネットワーク」設立集会が行われ、参加者280人で会場があふれた
10日東京 再稼働阻止全国ネットワーク結成
再稼働阻止・全原発廃炉へ向けた「再稼働阻止全国ネットワーク結成集会」に250人以上集まった
11日東京 反原発20万人が霞が関占拠
20万人の労働者人民が集会禁止弾圧を打ち破って霞が関一帯を占拠して闘い抜いた
11日東京 弁護士会館前で都と裁判所を弾劾
NAZENを中心とする労働者・学生・人民800人は、弁護士会館前で抗議行動を行った
11日韓国 非正規職撤廃へ日韓が連帯
「整理解雇撤廃! 非正規職撤廃! 組合破壊中断! 労働者参政権保障!」を掲げた韓国民主労総労働者大会がソウル駅前広場で開かれた。動労千葉訪韓団50人は民主労総とともに闘った
11日青森 大間現地闘争「原発建設工事やめろ」
青森で「建設工事の即時中止を!11・11大間原発反対現地集会」を集会実行委員会が開催した
11日愛媛 伊方再稼働阻止、人間の鎖で包囲
伊方原発ゲート前で「ストップ伊方原発再稼働!伊方現地集会」が総勢200人で開かれた
12日千葉 市東さん農地裁判
千葉地裁民事第3部で市東孝雄さんの行政訴訟・農地法裁判が開かれた
16日東京 金曜行動 反原発の怒りやまず
首相官邸・国会前、文科省前で闘い抜かれた
18日長崎 NAZEN長崎集会をかちとる
NAZENナガサキの集会に約30人が集まった
22日東京 NAZEN杉並が月例デモ
恒例となったNAZEN杉並の阿佐ケ谷デモが、約30人で杉並区役所まで貫徹した
23日東京 星野再審全国集会に640人
北区の赤羽会館で「フクシマ・オキナワの怒りと一体で獄中38年を打ち破れ!星野再審全国集会」が開かれ、640人が集まった
23日東京 官邸前、持続する金曜日の熱気
多くの労働者人民が集まり闘いぬいた
24日京都 京大集会、松本総長の打倒へ
動労水戸の青年労働者と八尾北医療センター院長の末光道正さんを講師に招き京大集会が開かれた
25日千葉 市東さんの会がシンポジウム
「市東さんの農地取り上げに反対する会」が主催するシンポジウムが、千葉市で開かれた
26日宮城 福島集団疎開裁判高裁第2回審尋
「ふくしま集団疎開裁判」の第2回審尋が仙台高裁で行われた
27日宮城 東北大学一日行動を闘う
東北大学川内キャンパスで、東北大一日行動が打ち抜かれた
30日茨城 動労水戸、外注先とJRでスト
10・1外注化後初めて、JRとMTS(水戸鉄道サービス)の双方でストライキに立ち上がった
30日茨城 動労水戸損賠訴訟、言い逃れ許さず
動労水戸不当労働行為粉砕裁判の第5回口頭弁論が、水戸地裁民事第1部で開かれた
30日東京 文科省・官邸前 怒りの反原発行動
総選挙の大キャンペーンの中、多くの労働者人民が官邸前反原発行動に結集した
12月1日 鈴コン解雇撤回1カ年決起集会
「解雇撤回・非正規職撤廃 鈴コン闘争勝利へ 解雇1カ年決起集会」が東京・豊島区民センターをあふれさせる185人の参加でかちとられた
1日東京 鈴コン分会、社前闘争
鈴コン闘争勝利へ!解雇1カ年決起集会の前、鈴木コンクリート工業分会は社前闘争に立った
1日、NAZENヒロシマが集会
広島大学原爆放射線医科学研究所教授の大瀧慈(おおたき・めぐ)さんを講師に招き、「内部被曝を考える」講演会を開催し、約50人が参加した
2日栃木 放射性廃棄物処分場計画の白紙撤回を
矢板市の長峰公園で、「指定廃棄物最終処分場候補地の白紙撤回を求める矢板市民同盟会」が主催する大集会が開かれ、8千人が集まった
6日東京 法大、武田君への不当処分撤回を
法大で不当処分と闘う文化連盟の武田雄飛丸君を先頭に、処分撤回を求める法大デモが闘われた
6日東京 郵政非正規ユニオン、都労委で闘う
郵政非正規ユニオンの東京都労働委員会闘争で証人審問が始まった
6日東京 8・15実行委 杉並で講演集会
戦後50年を問う8・15労働者・市民のつどい全国統一実行委員会主催の「戦争と改憲に絶対反対―国益と排外に憲法は屈するのか」集会が開かれた
7日東京 星野面会・手紙国賠、国の責任を追及
星野文昭同志の面会・手紙国家賠償請求訴訟の第5回裁判が東京地裁民事第38部で開かれた。被告・国を徹底的に追及した
7日東京 金曜行動、原子力ムラ出てけ
原子力規制委員会が入るビルの前でヒューマンチェーン」が闘われた
7日宮城 東北大学自治会選挙で勝利
東北大学学生自治会執行部選挙は、総投票数981票、うち信任592票を獲得した「あおの統一候補」が、新たな執行部として信任された
8日福井 もんじゅ廃炉へ、800人で抗議集会
高速増殖原型炉「もんじゅ」がある福井県敦賀市で「2012もんじゅを廃炉へ!全国集会」(集会実行委員会主催)が開催され、800人が結集した
9日東京 全学連拡大中央委員会開く
全学連拡大中央委員会が都内で開催された
9日福井 大飯原発止めろ≠ニ申し入れ
再稼働阻止全国ネットワークなどによる関西電力大飯原発への抗議・申し入れ行動が行われた
9〜10日千葉 動労総連合定期大会開く
動労総連合は第27回定期大会を開いた。今大会は青年が議論を牽引した
10日千葉 三里塚農地裁判でNAAを追及
千葉地裁民事第3部で市東孝雄さんの行政訴訟・農地法裁判が開かれた
12日東京 国労組合員資格訴訟 本部に全面反論
国労組合員資格確認訴訟の第6回口頭弁論が、東京地裁民事第11部で開かれた
13日東京 原発即時廃炉に、NAZEN杉並
NAZEN杉並のデモが意気高く闘われた。山本太郎候補と連帯した
14日東京 山本太郎さんを支持し闘う
荻窪駅北口で山本太郎候補と沢田研二さんが登場した。革新する会とNAZEN杉並は支持した
14日東京 前進社国賠 捜査報告書開示せよ
前進社不当捜索国家賠償請求訴訟の第9回が東京地裁民事第1部(渡部勇次裁判長)で行われた
14日宮城 東北石けん労組地労委が結審
東北石けん不当解雇撤回を求める地労委闘争の結審を迎え、1日行動を打ち抜いた
14〜16日福島 福島閣僚会議に女たちが抗議
「原発いらない福島の女たち」の呼びかけで「原子力安全に関する福島閣僚会議」への抗議アクションが行われた
15日東京 東日本解放共闘総会開く
部落解放東日本共闘会議の第21回総会が、品川のきゅりあんで開催された
15日東京 日比谷野音で閣僚会議弾劾
福島現地とひとつになり、「福島閣僚会議」を弾劾する闘いが行われた。1800人が駆けつけた
16日東京 安倍・石原うちのめす大決起
衆院選で山本太郎候補は7万超の票を獲得した
17日東京 動労千葉鉄建公団訴訟、控訴審
動労千葉鉄建公団訴訟控訴審の第1回口頭弁論が、東京高裁民事12部で開かれた
18日千葉 団結街道裁判、「類型論」が破綻
千葉地裁民事第3部において団結街道裁判の弁論が開かれた
20日東京 矢板・高萩市民が都心デモ
指定廃棄物の最終処分場候補地の白紙撤回を求める集会が日比谷野外音楽堂で開催された
21日東京 反原発金曜行動
首相官邸・国会前は安倍への怒りに染まった
23日沖縄 3千人がうまんちゅ大行動
オスプレイ配備強行や相次ぐ米兵犯罪に対する「怒りの御万人大行動」が宜野湾市海浜公園野外劇場で開催され3千人が会場を埋めて闘い抜いた
24日新潟 羽越線事故7カ年弾劾集会
50人の参加で弾劾集会が打ち抜かれた
25日東京 星野ビデオ国賠 証人申請却下を阻む
東京地裁民事第45部(石井浩裁判長)で星野文昭同志のビデオ国賠第10回裁判が行われた
26日東京 組合員53人が東京地裁に提訴
動労千葉、動労水戸、動労連帯高崎の組合員53人が、JR東日本が強行した検修・構内業務外注化に伴う強制出向の無効確認を求めて東京地裁に提訴した
28日東京 2012年末の反原発金曜行動闘われる
首相官邸前は労働者人民の安倍打倒の怒りに包まれた
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月刊『国際労働運動』(439号A-1)(2013/03/01)
■編集後記
あるブラック企業の顧問弁護士が「真実はカネにならない」とうそぶいた。しかし階級的な真実を武器に資本と国家権力を徹底追及できるのは「時代認識と路線」があるからだ。国鉄決戦も、反原発決戦も、星野全証拠開示運動もしかりだ。
3・11後の大量の意識変革は、これまでやられてきたことが実は「すべてずっとウソだった」ことがはっきりしたことによってもたらされた。
階級的真実を暴露し行動を呼びかけよう。なぜ先端技術の集中する原発で3・11のような大事故に至ったのか。なぜ青年たちが生きていくのも困難なのか。民営化・外注化・非正規職化による労働の寸断、労働と労働者の分断、そして労組破壊――資本主義のこうしたあり方が3・11を生み出したのだ。真実の認識は必ずや団結と労働組合につながる。
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