International Lavor Movement 2012/09/01(No.433 p48)

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2012/09/01発行 No.433

定価 315円(本体価格300円+税)


第433号の目次

表紙の画像

(表紙の写真 7・16反原発デモを牽引したNAZENの青年たち)

■羅針盤/10・1JR外注化阻止決戦へ 記事を読む
■News & Review 韓国
 金属労組が最大規模のゼネスト
 自動車工場などで13万人が機械を止める
記事を読む
■News & Review 沖縄
 普天間基地へのオスプレイ配備反対
 離着陸・モード転換時に事故多発
記事を読む
■News & Review 日本
 動労千葉、外注化阻止へ決戦態勢
 7・16代々木に反原発で最大規模の17万人
記事を読む
■特集 野田・橋下・連合を倒し改憲を阻もう 記事を読む
■討議資料 記事を読む
■Photo News 記事を読む
■世界経済の焦点
 米帝アグリ企業の実態
 穀物流通や種子も独占支配しTPP推進
記事を読む
■世界の労働組合 イタリア編
 イタリア労働組合連盟
 (Confederazione Italiana dei Sindacati Lavoratori:CISL)
記事を読む
■国際労働運動の暦/9月28日
 ■1864年国際労働者協会結成■
 最初の国際連帯組織
 「万国の労働者団結せよ」を掲げて誕生した第1インターナショナル
記事を読む
■日誌 2012 5、6月 記事を読む
■編集後記 記事を読む
(裏表紙の写真 7・16代々木公園を埋め尽くした17万人もの人々)

月刊『国際労働運動』(433号1-1)(2012/09/01)

羅針盤

■羅針盤/10・1JR外注化阻止決戦へ

 原発再稼働や消費大増税を始め、危機にあえぎつつ絶望的に凶暴化する野田政権打倒へ今こそ総決起する時だ。今こそ闘う労働組合の力で野田を打倒し、新自由主義を打ち破るのだ。その最大の闘いが国鉄決戦であり、10・1外注化阻止決戦にある。
 勝利の展望はひとえに労働組合の階級的再生にかかっている。その核心は、国鉄分割・民営化以来営々と闘い抜かれてきた国鉄決戦にあり、とりわけJR東日本の10・1検修・構内全面外注化を阻止できるかどうかにかかっている。10・1外注化阻止へ、7〜8月からすべての労働者人民が総決起することを訴えたい。
 JR東日本は、車両の検修部門という鉄道輸送の安全の根幹にかかわる業務を、10月1日から全面的に外注化しようしている。そもそも外注会社には、車両の検査修繕を行う能力はまったくなく、JR東日本から労働者を出向、転籍させようとしている。これは違法な偽装請負そのものだ。
 動労千葉は平成採の青年労働者の怒りの反乱と結びつきながら、この攻撃を12年間も阻み続け、今年の4・1外注化も阻止してきた。そして今や4・9政治和解の反革命を打ち破り、JR東労組や国労本部の裏切り・妥結と対決し、10・1外注化阻止の大決戦に、この7〜8月から完全に突入しているのだ。
 外注化と非正規職化は新自由主義の決定的攻撃である。新自由主義という腐り果てた破綻的社会をつくり出した本格的な元凶が国鉄分割・民営化だった。だから新自由主義を打ち倒し、命脈尽きたブルジョア社会を根底から変える道は、民営化と外注化・非正規職化粉砕の大攻防に勝ち抜くことにある。

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月刊『国際労働運動』(433号2-1)(2012/09/01)

News&Reviw

■News & Review 韓国

金属労組が最大規模のゼネスト

自動車工場などで13万人が機械を止める

 □現代、起亜、韓国GM自動車・部品工場で

 民主労総傘下の金属労組は7月13日、2006年に金属労組が発足して以来最大規模のゼネストをかちとった。金属労組組合員13万人が機械を止めたのだ。
 金属労組は△深夜労働撤廃及び勤務形態変更△非正規職の正規職化△元下請不公正取引根絶などを要求して4時間の時限ゼネストを展開した。
 現代(ヒョンデ)自動車支部は4万4千余人、起亜(キア)車支部は3万余人がそれぞれ4年ぶり、3年ぶりにストライキに突入した。韓国GM支部の1万3千余人も10日と12日に続いてストライキを続けた。光州全南(クゥアンジュチョンナム)支部の錦湖(クムコ)タイア支会も10日から展開されている巡回ストライキを続けて金属労組ゼネストに合流した。
 タタ大宇(テウ)商用(サンヨン)車1100余人と大宇バス700人もストライキに立ち、ストライキ出陣式を開催した。これ以外にもマンド、トウォン精工、ダス、テウォン鉱業、現代ロッテム、現代モービス、セジョン工業、ハンイルイファ、S&T大宇など、主要自動車部品会社労働者たちがゼネストに参加した。
 この日のストライキに参加したのは130余カ所で、正確なストライキ参加組合員数は11日までにストライキ賛成反対投票に参加した13万人と大きな差異がなかった。ストライキに参加した支部および支会は、夜間にも夜間組4時間のストライキを続けた。
 地域別の大規模ストライキ集会が開催された。京畿(キョンギ)支部と現代車ナムヤン委員会、起亜車華城(ファソン)支会、マンド平沢(ピョンテク)支会のストライキに入った組合員は京畿道庁に集まり午後2時30分からストライキ出征式および民主労総京畿本部集会を開いた。仁川(インチョン)支部のストライキ部隊は午後2時、整理解雇撤回闘争を長い間くり広げている大宇車販売支会支援集会を本社前で開いた。大田忠北支部(テジョンチョンプク)も午後3時、全州(チョンジュ)のサンダン公園にストライキ部隊が集まり、ともに集会を開いた。忠南(チュンナム)支部は午後3時30分、支部傘下の各支会のストライキ隊伍を引き連れて忠南唐津(タンジン)の現代製鉄正門前で集会を開いた。仁川、忠南唐津、慶北浦項(キョンプクポハン)に分かれている現代製鉄6千余人の労働者たちは20日の2次ゼネストに参加する予定だ。
 慶州(キョンジュ)のウェドン工業団地所在のダス、ITWテリム、DSC、シグオートマック支会は午後2時、ダスに集まりゼネスト共同出征式を開いた。
 同時刻ころ、ソウル支部も各事業場組合員たちをソウル東北部圏と南部圏に分けて共同出征式を開催した。その他ストライキに参加した支会は大部分が支会別にストライキ出征式を開催した。
 金属労組は要求案が貫徹されないならば、7月20日の2次ストライキと8月中旬の3次ストライキにつなげる方針だ。

 □夜間労働撤廃と昼間連続2交替制を要求

 現在、中央、支部別交渉の最大の核心は昼間連続2交替制施行の是非だ。夜間労働撤廃と昼間連続2交替制は労組が10年以上要求してきたもので、昨年のユソン企業のストライキを起点に社会的議題に上った。金属労組側では今回のストライキをとおして昼間連続2交替制論議に終止符を打つという立場だ。
 現代自動車と双龍(サンヨン)車の場合、去る2009年に労使が昼間連続2交替制施行に合意したが、まだ履行されていないだけに、張りつめた綱の引き合いが続いている。
 最近までの交渉で、現代車労組は昼間、夜間それぞれ10時間交替をそれぞれ8時間ずつに変えて、新旧工場増設で人員を補充しなければならないと会社側に要求した。しかし会社は「8―9」時間制度は導入することができるが、人員の補充は不可能だと主張している。会社側は労組側に18日には交渉を再開することを要求しているが、合意には時間がかかるものと見られる。
 金属労組もまたこの間、金属産業使用者協議会と中央交渉を開いてきたが、昼間連続2交替制と非正規職問題などでの意見の隔たりが大きく、交渉は難航してきた。
 キムジヒ金属労組代弁人は「昨日の夜にも交渉が行われたが決裂した」とし、「正確な案を提示するならばストライキの後にでも交渉を行うことができるが、ゼネストを無力化するための形式的な交渉は受け入れられない」と説明している。
(写真 7月13日、現代自動車蔚山【ウルサン】工場本館前でゼネスト出征式と支部争議対策委員会発足式が開かれた)

 □2次、3次ストから民主労総ゼネストへ

 したがって金属労組は13日に続いて20日と8月下旬までゼネストが続くものと予想している。キムジヒ代弁人は「合意を導き出すことが難しいだけに、8月までストライキが続くものと見られる」として「必ず貫徹しなければならない要求案であるだけに、しっかり力を集中する闘争を行うだろう」と説明している。
 パクソンチョル金属労組委員長も12日、記者会見で「深夜労働撤廃、元下請不公正取引根絶、非正規職撤廃、労働条件改善の4大要求と2012年賃金団交完全勝利のために機械を止める」として、「今日の1次ストライキを起点にしてわれわれの要求が円滑に実現されなければ7月20日、2次ストライキを、8中下旬3次ゼネストに続くだろう」と警告した。
 金属労組は今回のストライキとは別に、8月28日から31日まで行われる民主労総ゼネストにも合流する方針である。
 (大森民雄)
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 ■翻訳記事 「金属労働者」ホームページから

 韓国の金属労組AVOカーボンコリア支会には、昨年の複数労組施行以後、会社の主導で御用労組がつくられ、多数派を形成した。その中でそれをはね返して闘い抜き、現在、金属労組支会の「組織拡大」を進めて民主労組の職場支配を取り戻そうとしている。(大森民雄 訳)

 ●「まだ少数ですが揺らぎません」

 複数労組AVOカーボンコリア支会がストライキ権を獲得したいきさつ 2012年7月2日、カンジョンス編集部長

 ▼「2012年争議行為賛成反対投票54・2%で可決」

 賛成が過半数を少し超えて争議権を確保した。圧倒的賛成率でないのが残念でもある。しかし現在、複数労組事業場であり、その少数労組である大邱(テグ)支部AVOカーボンコリア支会にとって、今回の賛成反対投票結果は「小さな勝利」という並々ならぬ意味がある。26日、支会事務室で会ったチェジョンシク支会長は「労組は分けられているが一緒に闘わなければならないというすべての労働者の意志だ」とその意味を説明する。
 AVOカーボンコリアでは2011年7月4日、企業労組ができた。「会社が職班長を主につくった御用労組」というのがチェジョンシク支会長の説明だ。最初、企業労組は10名にしかならなかったが昨年10月以後、多くの組合員が「金属支会」を脱退して企業労組に加入した。
 そして現在、労組加入対象者59名中金属労組支会は26名、企業労組は33名で支会が少数労組になった。支会が会社と今年の賃金交渉を行ってきたが、会社は支会の要求を受け入れなかった。これに対して支会はストライキ権確保のために6月13日、争議行為賛成反対投票を行った。
 現行労組法は複数労組の場合、交渉窓口単一化手続きに参加した全体組合員の過半数の賛成でストライキを決議することにしている。金属労組支会の組合員と企業労組の組合員の全体の過半数が賛成しなければならないということだ。しかし支会組合員数が少ない状況で賛成反対投票結果を予測することがたやすくはなかった。いや、もし企業労組側の組合員が投票に参加しなかったり、すべて反対票を入れたらストライキ権も持つことができない結果が生じるかもしれないのだった。
 しかし結果は予想外だった。賛成32名、反対24名。支会組合員よりも6名多い人が賛成票を投じた。
 54・2%が残念な結果ではなく反転の機会になった理由だ。チェ支会長は「一言で言うと正義は生きている=Aこれじゃないですか」と言って笑う。「現場の職班長が企業労組所属だが、どうしようもなくて加入した人も多い。外向きには何かすることができないが、秘密投票で自分の意志を明らかにしたのではないだろうか」
(写真 「AVOカーボンコリア支会の今年の目標は複数労組を葬ること。団結した支会の姿を取り戻す」と支会長は決意を明らかにした)

 ▼「一言で言えば正義は生きているということ」

 支会は今年、賃金交渉で基本給引き上げ以外にも家族、社員手当新設、ボーナス10
0%引き上げなどを要求した。チェ支会長は「すべての要求案は現場組合委員が直接提起して決めたもの」だと説明した。チェ支会長は大邱地域の労組所属事業場の中でも特にAVOカーボンコリアの賃金が低い水準であるのに加えて、物価上昇に追いつかない程度の賃金に組合員たちが不満を持っていたと付け加えた。
 会社は賛成反対投票前まで11回の交渉を行いながら基本給4万5千ウォン引き上げ、家族手当5千ウォン新設以外に何の案も出さなかった。このような会社の態度にどちら側の組合であれ不満を持っていたことは当然だった。それでも企業労組委員長は組合員たちに「会社が難しいと言っている」として交渉で会社が言った話をそのまま代弁した。チェ支会長は「もし金属労組に転換しなかったならば会社は複数労組をつくらなかっただろう」と言う。「会社は労組が自分たちと対等の位置に立つことを望まない。民主労組に転換した後に労働者たちが対等な立場から要求して闘うのが嫌だったのではないか」というのがチェ支会長の説明だ。昨年6月、複数労組設立を前に会社の代表理事は支会長に「金属労組さえ脱退すれば何でもやってやる」ということまで言っていた。

 ▼「金属さえ脱退したら何でもやってやる?」

 複数労組がつくられたので会社の弾圧は当然の成り行きだった。「複数労組ができた後の現場の状況はまさに最悪だった」。会社は団体協約を無視して一方的に福祉を縮小した。支会自体を無視する態度も見せた。会社が団体協約違反したと抗議したという理由で会社は支会長も解雇した。「支会長さえ解雇すれば組合員たちを揺さぶれるだろうと思ったのだろうが、かえって縮こまらずに毎日集会をやって、地域からも毎日連帯闘争に来るので会社が引き下がるしかなかった」。結局会社は停職18日に懲戒水準を下げた。
 チェ支会長は「今の複数労組法は労組の団結力、労働3権を無力化するための資本の法です。現場では毎日のように労労葛藤を誘発しています」。続いてチェ支会長は「企業労組をとおして結局、金属労組の基盤を瓦解させた後に無労組に進もうというのが会社の目標」だとし、「金属労組がつぶれたら会社が企業労組を労組として待遇してやって存在させる理由がないだろう」と指摘する。

 ▼「今年の目標は現場分裂を克服すること」

 チェ支会長はこの1年あまりの間、金属労組を守らなければならないという考えがさらに強くなったと述べた。「組合員が一つにならなければ資本はいつでも攻撃する。組合員が一つに力を合わせてこそ会社が複数労組だの何だのとやる気を無くすることができる。金属労組もまた同じだ。金属労組がばらばらになればいつでも攻撃されるだろう。団結力を守らなければならない」
 チェ支会長は「今年のわれわれの目標は現場の分裂を克服すること、これ一つだけ」だと強調する。分裂した現場を一つにまとめて再び金属労組に団結するための機会をつくらなければならないということ。チェ支会長はしげしげと現場を訪ねて組合員に会っていると言う。「今年の交渉で内容的に成果をつくり出さなければならない。われわれが勝利できるという確信を組合員たちに与えなければならない」と、チェ支会長は今年の闘争の重要性を強調した。

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月刊『国際労働運動』(433号2-2)(2012/09/01)

News&Reviw

■News & Review 沖縄

普天間基地へのオスプレイ配備反対

離着陸・モード転換時に事故多発

 米帝は、8月にも垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを沖縄・普天間基地に配備しようとしている。
 4月11日にモロッコで米海兵隊の訓練中のMV22オスプレイが墜落し2人が死亡、2人が負傷、6月13日にはフロリダで米空軍のCV22オスプレイが訓練中に墜落し5人が負傷する大事故が起きたばかりだ。そして7月9日にはノースカロライナ州で海兵隊のMV22オスプレイがエンジントラブルで緊急着陸した。
 これほど事故が続いているのに、米国防総省は「安全」と強弁し続ける。
 これに対して沖縄の労働者人民は、8月5日にオスプレイ沖縄配備阻止の10万人集会に決起しようとしている。
 原発再稼働反対の20万人が首相官邸前を包囲し、7・16には代々木公園に史上空前の17万人が大結集した。原発再稼働と消費税大増税、さらにオスプレイ配備を強行する野田・新自由主義政権を打倒する闘いが巻き起こっている。エジプト革命、ギリシャの労働者の闘いに連なる日本の労働者人民の歴史を画する闘いだ。
(写真 垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ)

 □侵略戦争の殺人兵器

 

オスプレイは、従来のCH46ヘリと比べて「最大速度は2倍、搭載量3倍、行動半径4倍」とうたわれる「最新鋭の航空機」だ。侵略戦争の突撃部隊である海兵隊の能力を数倍にする殺人兵器だ。
 だが、この輸送能力の飛躍的強化がどれほどの危険を伴うものかは、開発段階から今日の実戦配備までに36人を事故で失っていることに示されている。米軍にとって兵士や労働者の命は使い捨ての消耗品なのだ。
 オスプレイは、ずんぐりとした胴体に固定翼が付き、両翼の端に巨大な回転翼とエンジンが一つになったものが付いている。
 この回転翼の角度を変換できる。垂直に上に向いた状態がヘリモードとなり垂直離着陸ができる。次に回転翼の角度を徐々に傾けると転換モードとなり、90度傾けると固定翼機モードで飛行できる。
 オスプレイのこれまでの重大事故を見ると、ほとんどが離着陸時とモード転換時に起きている。ここにオスプレイの構造的欠陥がある。
・回転翼がCH46の75%弱
 オスプレイの自重はCH46の2倍強の16dもあるのに、回転翼の長さはCH46の75%弱の5・8bしかない。ヘリコプターの最大の特徴は、大きな浮力・揚力が得られる大きな回転翼だ。オスプレイの回転翼は余りに小さい。浮力、揚力が少なくバランスを失い易く墜落しやすい。
・オートローテーション機能がない
 普通のヘリコプターだと、エンジンが停止しても、気流を利用しながら回転翼の角度を自動回転して軟着陸できるオートローテーション機能が付いているが、オスプレイは回転翼が小さくその機能がない。だからエンジン停止になれば一気に墜落してしまう。
・モード変換468b落下
 オスプレイのガイドブックには、ヘリモードで飛行中、エンジンが止まった場合、「固定翼機モードで滑空し着陸できる」と書いてある。
 だがヘリモードから固定翼モードへの切り替えには12秒かかる。この間にオスプレイは1600フィート(約468b)落下する。ということはヘリモードで468b以下の高度では落下するしかない。さらに固定翼モードに切り換えた場合にでも本当に無事に着陸できるのかという疑問が出されている。
 まとめると、オスプレイには、ヘリモードの時に小さな回転翼による浮力・揚力不足からバランスを失う危険があり、離着陸時からモード転換時に重大事故が起きている。エンジン事故も多く、度々エンジン火災を出している。両方のエンジンが止まれば墜落する危険があるのにだ。
 海兵隊運用のMV22オスプレイも、空軍特殊部隊運用のCV22オスプレイも、戦場用の厳しい訓練を行っている。中でも離着陸訓練は、離着陸時とモード切り換え時にオスプレイが不安定になることを考えると危険このうえなく、事故が起きる可能性が高い。世界一危険な普天間基地に世界一危険なオスプレイを配備することなど絶対に許すことはできない。
 沖縄ではこれまで米軍基地あるがゆえの大事故が何度も起き、命の危険にさらされてきた。59年6月30日宮森小学校(石川市、現うるま市)への米軍ジェット機墜落事故では児童12人を含む18人が殺された。68年11月には戦略爆撃機B52が嘉手納基地から離陸に失敗し知花弾薬庫近くで墜落・炎上した。そして04年8月、返還されているはずの普天間基地のCH53米軍ヘリが沖縄国際大学に墜落した。もう絶対に許せない状態が果てしなく長期にわたって続いているのだ。普天間基地を直ちに閉鎖し、返還せよだ。

 □「事故率」の問題

 

米海兵隊総司令部のオスプレイ担当者は、海兵隊運用のMV22オスプレイの事故率を1・28、海兵隊平均は2・46と説明した。事故率は、死者が出たり、200万jを超える損害が発生した事故(クラスAの事故)の件数を10万飛行時間当たりで表したものだ。そしてオスプレイの事故率は低く安全だと強調した。だが、米海兵隊の事故率の算出そのものがとんでもないデマだということが明らかになっている。
 この事故率には開発段階の事故が含まれていない。さらに05年以降の実戦運用後の飛行時間が10万時間を超えたばかりだ。だからモロッコのオスプレイ事故が起きただけで、事故率は1・93に跳ね上がった。
 さらに米空軍は、空軍特殊部隊が運用するCV22オスプレイの事故率を13・47と発表している。同じオスプレイなのになぜこんなに違うのか。 米海兵隊が事故率に換算していないケースが多数あることが暴かれてきた。06年3月にオスプレイがノースカロライナ州で飛行準備中に突然上昇し、地面にたたきつけられていた。クラスAの事故だったが海兵隊は「機体は離陸するはずではなかった」として事故に含めなかった。
 06年12月に米国内の海兵隊基地で、エンジンカバーから火を噴く事故が起きていたがこれも事故扱いにしていなかった。
 さらに09年6月に米議会が調査したところによると、これまで予算を付けて海兵隊に納入されたのは145機。ところが海兵隊は保有している機数を「105機」と記載し、40機が行方不明になっているという。過去の事故が隠蔽されている可能性がある。

 □沖縄全体、普天間基地化

 

普天間基地に来年までに計24機が配備され、さらに空軍嘉手納基地にCV22オスプレイが配備されようとしている。沖縄全域で低空飛行訓練が行われる。
 さらに、普天間配備の前に山口県の岩国基地に陸揚げされ一時駐機するほか、本土でも岩国、キャンプ富士を始め拠点が置かれ、沖縄・本土の七つのルートで150bの低空飛行訓練が行われる。
 オスプレイ配備は、米日帝の朝鮮・中国侵略戦争のために強行されるということだ。
 米帝オバマは、1月の「新軍事戦略」で「アジア・太平洋重視」を打ち出し、対中国戦争戦略を明確にした。そして、北朝鮮・金正恩体制の危機につけ込んで侵略戦争体制を強化している。沖縄配備のオスプレイの行動範囲は朝鮮半島から中国大陸に達している。オスプレイの配備はそのためだ。
 危険なオスプレイの沖縄配備強行反対は、米軍基地撤去・日米安保を粉砕するまで終わることのない闘いになる。民主党の前原は打撃を受け、このまま行けば「日米安保が大きく傷つく」と危機感を表している。オスプレイ配備反対の闘いは原発再稼働阻止、消費増税粉砕と一体となって大爆発している。10・1JR外注化阻止の国鉄決戦と結合して職場で街頭で闘おう。
 (宇和島 洋)

 

(図 MV22 オスプレイとCH46輸送ヘリコプターの行動範囲)(表 MV22オスプレイとCH46の基本性能)

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月刊『国際労働運動』(433号2-3)(2012/09/01)

News&Reviw

■News & Review 日本

動労千葉、外注化阻止へ決戦態勢

7・16代々木に反原発で最大規模の17万人

 □10月1日外注化強行へ具体的攻撃始まる

 JR東日本の検修・構内運転業務の全面外注化をめぐる攻防が正念場を迎えている。
 JR東日本千葉支社は、京葉車両センターの構内運転業務について、今年1月27日に「1日勤」の外注化を強行した。千葉だけはまったく外注化ができず、業務外注化を請け負う千葉鉄道サービスには、その能力も実績もまったくないという現状をなんとか打開しようともくろんだのだ。しかし、今年4月1日の全面外注化も強行できず、JRは完全に追い詰められた。
 こうした中で、許せない事態が起きている。JR東労組が5月19日に外注化についての「申し入れ」を行い、「団交」の中で、「10月1日外注化実施」と明言させ、6月19日は会社の「修正提案」なるものを引き出し、21日には裏切り妥結したのだ。「修正提案」は、対象業務を一部削減し、全体で1500人の出向としていたものを1200人に縮小するとしている。東労組はこれを「成果だ」と言っている。だが、いったん外注化されれば、その業務は本体にはなくなり、出向に出されたまま、帰る職場はない。いずれ転籍―非正規職化だ。また、外注業務は次々拡大され、文字通りの全面外注化に行き着く。
 この間、JR資本は、明確にJR東労組カクマルとの結託体制を清算しようと動いてきた。そうした中で追い詰められたカクマルは、外注化を受け入れることで結託体制の「修復」を試み、資本の先兵として延命しようとあがいているのだ。これに続いて国労本部も裏切り妥結に走った。断じて許すことはできない。
 交渉は各支社、各地方に移っている。すでに仙台支社は6月29日に外注化提案を行った。強制出向が約70人だ。その後、新潟支社でも外注化提案が行われた。6月10日から12日にかけて水戸支社も外注化の提案を行った。強制出向は約100人だ。
 だが、千葉支社はいまだいつ提案するか明らかにできていない。何よりも動労千葉の闘いがあり、東労組の現場組合員も反対しているからだ。
 昨年11月に開かれたJR東労組の「2011政策フォーラム」で、千葉地本の青年労働者が次のように発言した。
 「外注会社は、自ら企画し、立案して且つ自らの擁する技術を用いて業務を行うはずなのに、私たちが出向して作業を行うということは、外注会社に技術がないと言っているようなものです。それなのに外注しようというのは、もはや偽装請負とかのレベルではなく、何を考えているのかよく分からないというのが正直なところです」
 「定年を65歳にすれば外注化する必要もありません。全部、本体で持てます。偽装請負という難しい問題は起きません」
 東労組は、動労千葉に煽られている∞絶対反対など言うべきではない≠ニ言いなし、こうした青年労働者の怒りの声を押しつぶそうとしているのだ。青年労働者は、動労千葉に加入して、ともに闘う以外に生きる道はない。

 □6・10国鉄闘争全国集会で決戦を宣言

 こうした中で、6月10日、「国鉄分割・民営化反対、1047名解雇撤回/新自由主義と闘う労働組合をつくろう! 国鉄闘争全国運動6・10全国集会」が、東京・文京シビックホールに1800人を集めて開催された。
 この集会は、昨年に続いて国鉄闘争と被災地・反原発の闘いが一つに結びついた大集会としてかちとられたが、今年は、「国鉄闘争の火をさらに大きく」を掲げ、特に「外注化阻止」が大きな焦点となった。
 動労千葉の田中康宏委員長が、新自由主義によって社会が破壊されることへの煮えたぎる怒りを表明し、「必要なことは労働組合を甦らせること」と訴え、それが可能であることを、外注化を阻止してきた動労千葉の11年間にわたる闘いへの確信に満ちて訴え、外注化10月強行阻止へ全力で立ち上がることを表明した。
 これを受けて、全国運動呼びかけ人の鎌倉孝夫さん(経済学者・埼玉大学名誉教授)が、「ここに本物の労働運動がある」と述べた。そして、資本そのものの本質をあらわにし、金融独占資本が国家も利潤追求のために利用するという、新自由主義を理論的に分析し、「独占体と国家の支配を打ち破り、変革する力は、職場生産点に基礎を置いた、労働者・労働組合の組織的闘い以外にはない」と喝破した。
(写真 国鉄闘争の火をさらに大きく」を掲げ1800人が結集した国鉄闘争全国運動集会【6月10日 東京・文京シビックホール)

 □鉄建公団訴訟で不当労働行為認定

 6月29日、動労千葉の国鉄清算事業団被解雇者の9人が訴えていた鉄建公団訴訟の一審判決が東京地裁民事第11部(白石哲裁判長)で出された。判決は、9人に対する90年4月1日解雇を「有効」とする絶対に許せない反動判決であるが、他方で国鉄当局による不当労働行為を明確に認定した画期的判決でもある。2010年4・9「政治和解」をのりこえて不屈に闘い抜いてきた動労千葉と国鉄闘争全国運動が切り開いた地平だ。
 判決は、カクマル松崎を先頭とする改革労協(現JR総連)に突き上げられた国鉄当局が、原告らを採用候補者名簿から排除してJR不採用としたことを不当労働行為と認定し、被告の鉄道運輸機構に慰謝料300万円と損害賠償の支払いを命じた。
 国鉄分割・民営化に際して新会社・JRへの採用・不採用が通知されたのは、198
7年2月16日だった。この直前まで動労千葉組合員は採用候補者名簿に記載されていた。だが、設立委員会への名簿提出期限(2月7日)直前に急遽、国鉄当局が停職6カ月または停職2回以上≠ニいう不採用基準を策定して原告ら(本州75人、全国で117人)を名簿から削除したのだ。これについて判決は、「動労千葉等、分割・民営化に反対する労働組合に属する職員を不当に差別する目的、動機の下に、本件名簿不記載基準を策定したと推認するのが相当」であり「裁量権の逸脱ないし濫用に当たる」と国鉄当局による不当労働行為を明確に認定した。
 採用手続き過程での不当労働行為を認定したのであれば、原状回復=解雇撤回が絶対の原則だ。承継法人=JR東日本に採用されたものといて扱うしかないはずだ。
 だが判決は、「本件名簿不記載基準が策定されなければ、原告らは採用候補者名簿に記載され、その結果、JR東日本に採用されたはずであるといいうる」とまで述べながら、あくまでも国鉄改革法23条の枠組みを固守する反動的立場から、名実ともに一体である旧国鉄(=清算事業団)とJRを切り離した上で、「再就職促進法の失効という事情」から「清算事業団が原告らに対して行った本件解雇は有効」という許せない判断を下したのだ。
 にもかかわらず、画期的判決なのだ。4者4団体による鉄建公団訴訟、鉄道運輸機構訴訟などでは、停職処分を理由とするJR不採用は「合理的」と判断されいずれも敗訴してきた。だが、動労千葉と顧問弁護団は2004年12月の提訴以来、この不採用基準をいつ、誰が、どのような経緯で策定したのかという一点をとことん追及し続け、国鉄職員局補佐として名簿作成の中心にいた伊藤嘉道証人をひきずり出し、ついに採用候補者名簿からの排除が、葛西敬之(当時国鉄職員局次長、現JR東海会長)やカクマル松崎らが結託した国家的な不当労働行為であったことを認めざるを得ないところまで裁判所を追い詰めたのだ。

 □職場の闘いの「援軍」

 7月14日に開かれた「外注化阻止・非正規職撤廃・強制出向粉砕! 検修・構内業務の10・1全面外注化阻止! 動労千葉総決起集会」で、田中委員長は、検修・構内業務の外注化について、「絶対に止める。千葉支社が今も提案の日程すら明らかにできていないということは、この12年間の闘いが敵を追い詰めているからだ。支社は何の確信も持っていない。東労組も裏切り妥結したが、何の確信も持っていない。だから、これは止められる。検修・構内関係の組合員全員が委任状を書き、この攻撃が具体的に動き出したら、約80名の仲間が集団で強制出向を拒否する集団訴訟に訴える。水戸の仲間も含めれば100名以上になる。これは日本の労働組合の歴史上なかった闘争になる」と述べ、あらゆる手段で阻止する決意を明らかにした。
 また、6月以来、原発再稼働に反対し、首相官邸前に最大20万人とも言われる人民が結集している闘いについて、「この時に労働組合が闘う力を取り戻したら歴史は動く。社会は動く。こんな腐りきった野田政権を打倒して、本当に労働者が権利を取り戻して胸を張って生きられる世の中をつくる。そういう一歩手前まで来ている。僕らはこの怒りの声を職場から闘い抜く『援軍』だと思っている。この怒りの声に現場から労働組合がもう一回、闘う労働組合として息を吹き返すということが結合した時に、歴史は動き出す。そのために外注化阻止決戦を闘う」と訴えた。

 □代々木公園を埋めた空前の反原発集会

 そして、7月16日、「さようなら原発10万人集会」が代々木公園一帯を埋め尽くす17万人の巨大な結集でかちとられた。この間、インターネットなどを通じて立ち上がり始めた人々と、ナショナルセンターの枠を越えた労働組合が結びついた一大決起だ。
 メイン会場のサッカー場では7人の呼びかけ人からあいさつが行われた。
 「国民の生命と財産を無視するような政府を徹底的に弾劾していく。絶対に原発ゼロにさせなければならない」(ルポライター・鎌田慧さん)
 「42年前、18歳だった私は、日米安保反対でこの公園にいた。日本の市民が再び声を上げたのは感無量。たかが電気のために、なぜ命を危険にさらさなければならないのか。お金よりも命が大事だ」(音楽家・坂本龍一さん)
 「合意なき国策の上に、日本中に原発が造られてきたことに、はっきりとさようなら≠フ声を上げよう」(経済評論家・内橋克人さん)
 「この運動は勝つと確信した。しかし、大飯の原発再稼働を許してしまった。これは私たちが侮辱されているということだ。政府のもくろみを打ち倒さねばならない。しっかりやり抜こう」(作家・大江健三郎さん)
 「野田政権に聞く。あなたたちが国民と言う時、誰を見ているのか。性懲りもなく原発を推進する人たちに、本当の民主主義は何かを教えてあげないといけない」(作家・落合恵子さん)
 「この未来に続いていく命のために、私たちが今できることをやろう」(作家・澤地久枝さん)
 「これまでも日本で政府に文句を言う自由が奪われた時代があった。人間が生きるということは、自分以外の人の幸せのために生きていくことだ」(作家・瀬戸内寂聴さん)
 さらに、再稼動された大飯原発のある福井から中嶌哲演さん(福井県小浜市の明通寺の住職)が、「大飯原発再稼働は死刑判決を受けたようなものだ。住民を無視した巨大な利権構造がある。第2のフクシマにしてはならない」と訴えた。
 最後に、昨年の9・19明治公園でも発言した武藤類子さん(ハイロ〔廃炉〕アクション福島原発40年実行委員会)が、「1年余にわたって、一人ひとりが考え、様々なことをやり遂げてきた。『絶望こそ希望だ』という言葉もある。声なき声をともに上げ、分断されることなく、ともに歩んでいこう」と訴えた。
 国鉄闘争(=労働組合再生)と反原発闘争を一体的に推進する中に、新自由主義を打ち破り、プロレタリア革命を実現する水路がある。ともに前進しよう。
 (大沢 康)
(写真 「さようなら原発集会」のメイン会場のサッカー場を埋めた労働者ら【7月16日 東京・代々木公園】)

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月刊『国際労働運動』(433号A-1)(2012/09/01)

編集後記

■編集後記

 被災地・福島を先頭とする労働者階級人民の怒りのすべてが全面的に解き放たれつつある。6・22(4万5千人)―6・29(20万人)―7・6(15万人)と繰り返し、繰り返し、首相官邸前とその一帯を「再稼働反対」の叫びで埋め尽くし制圧する闘いは、さながら日本における「タハリール広場」だ。
 欧州恐慌を今日的な最先端とする世界大恐慌の底なしの激化・深化のもとで、ギリシャ労働者の不屈の決起を始め全世界の労働者階級の嵐のような革命的決起。これと今や完全に一つとなって、日本の労働者階級人民の歴史的決起が始まっている。しかもこれは、大恐慌下ですでに歴史的命脈の尽きた資本主義・帝国主義と、生きていくための必死の闘いを開始した全世界の労働者階級との力と力の激突、倒すか倒されるかの階級決戦情勢の到来を告げている。

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