International Lavor Movement 2012/08/01(No.432 p48)

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2012/08/01発行 No.432

定価 315円(本体価格300円+税)


第432号の目次
表紙の画像
《反原発総特集》
  労働組合よみがえらせ 全原発の廃炉へ
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目次●Contents 記事を読む
《反原発総特集》 労働組合よみがえらせ 全原発の廃炉へ
 第1章 T 福島原発労働者にインタビュー
 
《反原発総特集》 労働組合よみがえらせ 全原発の廃炉へ
 U 再稼働許さず政府・東電の事故責任を追及し続けよう
 
《反原発総特集》 労働組合よみがえらせ 全原発の廃炉へ
 V 放射線被曝を強制する重罪人・山下許すな
 
《反原発総特集》 労働組合よみがえらせ 全原発の廃炉へ
 W 労働者の団結を取り戻し新自由主義をうち破ろう
 
■コラム@ なぜ内部被曝は危険か? 記事を読む
■コラムA 低線量・内部被曝の隠蔽 記事を読む
年表(2011年3月11日〜2012年5月5日)
 ■福島原発事故と政府・東電の動き、■原発反対の全国・全世界の闘い
 

月刊『国際労働運動』(432号1-1)(2012/08/01)

《反原発総特集》

労働組合よみがえらせ 全原発の廃炉へ

 はじめに

 3・11から1周年、郡山市開成山野球場に1万6000人が結集し、政府・東電の責任追及、原発再稼働阻止、全原発の廃炉を宣言した。国労郡山工場支部、福島県教組などが最先頭に立ち、「原発いらない福島の女たち」とNAZEN(な全=「すべての原発いますぐなくそう!全国会議」)が牽引した。同時に動労千葉の4・1の外注化を阻止する闘いも大勝利をかちとった。新自由主義に対し、労働組合が闘えば反原発も国鉄決戦も勝利できることを示した。
 3・11郡山を頂点とする闘いで5月5日に「原発ゼロ」をかちとった。大飯原発の再稼働をめぐる野田政権との大激突になっている。だが大飯現地を始め全国の労働者人民の怒りは爆発している。一切のカギは闘う労働組合を甦らせることだ。6月10日、文京シビックホールで行われた国鉄闘争全国運動集会の勝利はその決定的な転換点となった。
 次は7・16反原発10万人大集会を大成功させよう。そして8・6広島、8・9長崎を、福島との連帯を柱に闘おう。今回の原発総特集は、全章のすべてが充実しているが、特に福島原発労働者へのインタビューは原発廃炉へ重要な内容を提起している。もっと議論し、もっと運動を発展させよう。

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月刊『国際労働運動』(432号1-2)(2012/08/01)

目次●Contents


《反原発総特集》
労働組合よみがえらせ 全原発の廃炉へ

T 福島原発労働者にインタビュー
 原発労働者とつながり階級的な反原発運動を 
 ――聞き手・織田陽介さん(NAZEN事務局長)

U 再稼働許さず政府・東電の事故責任を
  追及し続けよう
  1 地震による配管破損の真相を今も隠す
  2 大量の放射性物質が流出し続けている
  3 冷却水の途絶と4号機使用済み燃料崩壊の危機

V 放射線被曝を強制する重罪人・山下許すな
  1 情報独占・箝口令下で被曝・棄民の犯行
  2 「放射線安全」デマをまき散らす山下俊一
  3 被曝を食い物にする新自由主義医学の権化
  4 山下のエセ医学の起源は731部隊
  5 汚染がれき拡散反対 福島に診療所建設しよう
   コラム@ なぜ内部被曝は危険か?
   コラムA 低線量・内部被曝の隠蔽

W 労働者の団結を取り戻し新自由主義をうち破ろう
  1 被曝労働との対決が全労働者の最大攻防に
  2 核・原発の本性は無差別大量殺りくだ
  3 日米安保と原発が日帝の最大弱点に転化した
  4 事故責任者の東電資本こそ非正規化の張本人
  5 国鉄闘争を軸に闘う労働組合をつくろう

●年表(2011年3月11日〜2012年5月5日)
・原発反対の全国・全世界の闘い
・福島原発事故と政府・東電の動き

〔裏表紙の写真〕1万6千人が集まった「原発いらない!福島県民大集会」(3月11日 郡山市開成山野球場)

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月刊『国際労働運動』(432号3-1)(2012/08/01)

■コラム@ なぜ内部被曝は危険か?

 福島原発事故で原子炉からヨウ素やセシウムなどの大量の放射性物質(「死の灰」)が広範囲にばらまかれ、放射線を出し続けている。それは食物をとおして人間の体の中にまで入り込み始めている。
 人体は無数の細胞から成り立ち、そのさまざまな機能によって生命活動が行われている。放射線が細胞に当たると、細胞の分子を切断する(上図)。分子は原子と原子が結合したもので、その原子は原子核とその周りをまわっている電子から構成されている。原子同士を結合する力は、原子の電子が対(ペア)となることによる。放射線が分子に当たると、対の電子の1個を吹き飛ばし、分子は切断されてしまう。
 この放射線による電子の電離=分子の切断の作用が人間の生命活動・健康に深刻な影響を及ぼすのだ。
 原発から放出され、また核爆弾の炸裂で放出される「死の灰」は、多種多様の放射性物質を集中して含んでいる。この放射性微粒子を飲食や呼吸によって体内に取り込んで被曝するのが内部被曝である。外部被曝は、放射線源から遠ざかれば被曝の影響を少なくし、またなくすことができる。ところが、それが内部に入った場合、放射性物質が体外に排出されるか、放射線を出すのを止めるまで、被曝はずっと続く。放射能を体の中に取り込まないようにすることが最も肝心である。
 ヨウ素131とセシウム137はともにβ線とγ線を出し、ストロンチウムはβ線を、プルトニウムはα線を出す。α線、β線、γ線のすべてが被曝をもたらし、まばらにしか分子切断を行わないγ線に比べて、α線やβ線は密集して分子を切断するから、とくに危険である。体内で40μmしか飛ばないα線はその過程で10万個、10o飛ぶβ線は2万5000個の分子切断を行うという。
 放射線は生物的機能の基礎としての細胞の分子を切断する。とりわけ、分子を密に切断する内部被曝の場合は、細胞核に詰まっているDNA(遺伝物質)の巨大分子(2重鎖)を2本とも切断する可能性が増す。
 生物学的修復作用が正常に働くと細胞は元通り維持されるが、2重鎖2本切断は修復作用を困難にする。DNAが再結合できなかった時は、その細胞は死に、DNAが間違って再結合されて生き延びた場合には、変成(組み替え)されたDNAが生き延びる。この繰り返しが、がんを発生させるといわれる。
 変成された遺伝子が後の世代に与える重大な影響、DNA以外の細胞分子の切断による健康被害の問題など、内部被曝の危険性は甚大である。
〔参考文献 矢ヶ崎克馬『放射線の健康影響』〕

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月刊『国際労働運動』(432号3-2)(2012/08/01)

■コラムA 低線量・内部被曝の隠蔽

 3・11事故直後から官房長官・枝野(現経産相)は、環境中にばらまかれた「死の灰」について、「ただちに健康に影響はない」とペテン的発言を繰り返した。また、御用学者・山下は「100_シーベルト以下安全」論を福島県内でふりまいた。晩発性の疾病、低線量・内部被曝の影響を隠そうとしたのである。
 帝国主義とスターリン主義の核兵器・原発の開発の歴史は、同時に放射線被曝の歴史そのものだった。その全過程は、ヒロシマ・ナガサキ、ビキニ、チェルノブイリをはじめ無数の労働者人民を被爆させてきた。そして今、福島原発大事故で放射線被曝最悪の事態が進行している。
 ところが、「死の灰」をばらまいた原子力村の犯罪者たちは、ICRP(国際放射線防護委員会)のえせ基準にしがみつき、今もって放射線による恐るべき害悪を覆い隠そうと躍起となっている。
 このICRPとは、一握りの核・原発推進者たちの利益のために、圧倒的多数の労働者人民に放射線被曝の犠牲を強いることを「正当化」しようとする虚偽のイデオロギーの生産・推進機関である。
 米帝をはじめ支配階級は、放射線による被曝・内部被曝の危険性を核開発当初から察知していた。それが現場労働者や全世界の人々に知られ核・原子力開発の妨げになることを何よりも恐れた。被曝の危険性が隠しきれなくなると、さまざまな屁理屈をこねくり出して被曝を強制し核政策を推し進めていった。その先兵となってきたのがICRPなのである。
 ICRPは、「それ以上では放射線被曝によって『確定的影響』(急性障害)が現れはじめ、また被曝による『確率的影響』(がん死亡・罹患)が統計的に有意に増加すると評価した値」を100_シーベルトとしている。日帝政府や御用学者・山下らがこれにしがみつき、100_シーベルト以下は健康に影響はないと強弁している。
 しかし、放射線に安全量はない。低線量の長期間の照射が細胞をたやすく破壊することも確証されてきている(ペトカウ効果)。広島・長崎の被爆者、核・原発施設の労働者、X線を浴びた胎児などの被爆調査は、100_シーベルト以下の低線量でも、健康被害が起きることを明らかにしている。
 チェルノブイリ原発事故の低線量放射線汚染地域で甲状腺がんなどの患者が増えているという。放射能汚染された食品を繰り返し食べることによってセシウムなどの放射能が体内に蓄積される。長期にわたる低線量被曝の継続が健康に害を与えることが、今やますます判明してきている。糖尿病や消化器官・呼吸器官の慢性疾患、免疫系疾患、血液の悪性疾患などの病気の罹患率が高くなっている。
 低線量被曝・内部被曝の健康被害に対する否定・隠蔽行為は、被曝の歴史と現実の偽造にほかならない。ゴフマンは、原子力のための放射線防護法(ICRP勧告のこと)を「殺人免許証」と呼んだ。
ICRP基準を粉砕し、全原発廃炉をかちとろう。
〔参考文献 中川保雄『〈増補〉放射線被曝の歴史』〕

 

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