International Lavor Movement 2011/10/01(No.422 p48)

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2011/10/01発行 No.422

定価 315円(本体価格300円+税)


第422号の目次

表紙の画像

表紙の写真 核と原発に怒りのヒロシマ大行進(8月6日 広島)

■羅針盤 9・11―19反原発大闘争へ 記事を読む
■News & Review アフガニスタン
 米軍ヘリ撃墜、米兵ら37人が死亡   特殊部隊シールズ、タリバンの罠にはまる
記事を読む
■News & Review 日本 記事を読む
■News & Review ベトナム
 南沙諸島、西沙諸島巡る中越対立   米QE2の影響受け激しいインフレ襲う
記事を読む
■特集/全原発の即時廃止 非正規職化撤廃を 記事を読む
■翻訳資料
 2011年米『国家軍事戦略』(下)
 2011年2月 米軍統合参謀本部   土岐一史 訳
記事を読む
■Photo News 記事を読む
■世界経済の焦点
 中国バブル崩壊の切迫   インフレ抑制で不動産暴落する瀬戸際
記事を読む
■世界の労働組合 ドイツ編
 教育・科学労働組合(Gewerkschaft Erziehung und Wissenschaft:GEW)
記事を読む
■国際労働運動の暦 10月8日
 ■1967年10・8羽田闘争■   70年闘争を切り開く
 ベトナム参戦国化と日米安保強化に反撃し階級闘争の転換かちとる
記事を読む
■日誌 2011年7月 記事を読む
■編集後記 記事を読む
裏表紙の写真 長崎集会で発言するシーハンさん(8月9日 長崎)

月刊『国際労働運動』(422号1-1)(2011/10/01)

羅針盤

■羅針盤 9・11―19反原発大闘争へ

▼8月17日、経産省原子力安全・保安院が北海道電力泊原発3号機の定期点検終了証を高橋知事に交付し、3号機は営業運転を再開した。「原発なくせ!」の圧倒的な声を踏みにじる暴挙だ。絶対に許せない! 福島原発事故は、今も1時間に1万_シーベルトという、数十分で死に至る高い放射線が検出されている。福島の子どもたちの45%が甲状腺の内部被曝をしていることも明らかとなった。放射性物質を含む汚泥や焼却灰が処理できずに、その量は14都県で少なくとも12万dに上る。原発事故の放射能被害は底なしに拡大しようとしている。人類と核・原発は共存できない。全原発を直ちに停止・廃絶しよう。再稼働を断じて許すな!
▼8月12日、福島県農林漁業者総決起大会が日比谷野音に農漁民など3千人を結集して闘われた。「原発事故ですべてを失った!」「損害賠償を早く支払え!」「私の人生を返せ!」「福島の自然を返せ!」「国の責任で元に戻せ!」など、政府や東京電力に激しい怒りがたたきつけられた。17日には、福島の子どもたちが永田町に乗り込み、「なぜこんなつらい目に遭わないといけないのですか!」と官僚たちに迫り、心から訴えた。
▼今こそフクシマの怒りと結び、全原発の即時停止・廃炉へ、原発を推進してきた犯罪者の責任を徹底的に追及し、打倒しよう! 「すべての原発いますぐなくそう!全国会議」(な全=NAZEN)が呼びかける「原発再稼働絶対阻止!」の100
0万署名を職場・地域・街頭で集めよう。9・11反原発百万人大行動に総決起しよう。自治労本部や日教組本部の制動を粉砕し、9・19を組合員の怒りで原発絶対反対集会に塗り替えるために先頭に立って闘おう。

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月刊『国際労働運動』(422号2-1)(2011/10/01)

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■News & Review アフガニスタン

米軍ヘリ撃墜、米兵ら37人が死亡

特殊部隊シールズ、タリバンの罠にはまる

 □ロケット砲で撃墜

 8月6日未明、アフガニスタンで米軍のヘリコプターが撃墜され、特殊部隊員を含む米軍兵士30人とアフガン兵7人の計37人が死亡した。墜落したのは回転翼を前後に持つ大型輸送用チヌーク・ヘリで、タリバン掃討作戦に出動していた。
 現場は、カブールから97`南西にある東部ワルダク州サイード・アバド郡タンギ・ジョイ・ザリン地区のタンギ渓谷。谷の両側を急勾配の山々がそそりたち、NATO軍の度重なる攻撃にもかかわらず、タリバンの根拠地となってきた。
 AFP通信が伝えた目撃者の証言によると、タリバン司令官の家の屋根にヘリが降りた直後に戦闘が始まり、ヘリが再び飛び上がったところを撃墜された。
 一方、アフガニスタン政府高官は、米軍ヘリ撃墜は「タリバンの罠だった」と語った。この政府高官は、タリバンのカリ・タヒル司令官が、タリバンの会合があると、その情報を米軍に流し、米軍部隊を現地におびき出したとして次のように述べた。
 「タリバン側は、ヘリがどのルートを飛んでくるかを把握していた。あれが唯一のルートだったので、タリバンはタンギ渓谷を挟む両側の山に陣取り、ヘリがやってくるとロケット弾や現代兵器で攻撃したのだ。ヘリは複数の攻撃をうけて墜落した」
 撃墜されたヘリには米海軍特殊部隊シールズの22人や空軍特殊部隊の3人が乗っており、米軍の最精鋭特殊部隊は大きな痛手を負った。死亡したシールズ隊員の大半はビンラディン襲撃作戦を担当した「シールズ・チーム6」に所属しており、さらに同作戦に従事したメンバーが含まれていたことも明らかにされた。タリバン側から言えば、ビンラディン暗殺の下手人に対する報復戦であった。
 「シールズ・チーム6」の投入は、この作戦のターゲットが反政府武装勢力の中でも最重要人物だったことを示唆している。シールズ・チーム6は、3000人の隊員を擁するエリート部隊であるネイビー・シールズの中の最精鋭のチームとされる。
 情報戦で最先端を行く米軍の特殊部隊が、タリバンのウソの情報の罠にはまって大敗北を喫した。アフガニスタンの軍事情勢を大転換させるような戦略的な大敗北と言える。今回の米軍ヘリ撃墜により、今年に入ってからの連合軍兵士の死者数は365人となり、今月の死者数は42人となった。
(写真 撃墜された米軍ヘリと同型の大型輸送用チヌーク・ヘリ)

 □相次ぐタリバンの攻勢

 南部や東部で、タリバンなどの武装勢力が駐留米軍やアフガン治安機関への激しい攻撃を継続している。
・6月28日 首都カブール西部郊外の高級ホテル「インターコンチネンタル・ホテル」が襲撃を受け、12人が死亡した。
・7月12日 ハミド・カルザイ大統領の弟で南部カンダハル州議会議長のアフメド・ワリ・カルザイが、自宅で暗殺された。アフメド・ワリは、自宅に踏み込んできた最も信頼していた護衛責任者により射殺された。タリバンが戦闘声明を出した。アフメド・ワリは、カンダハルの州議会議長を7年間務め、南部地域を取り仕切ってきた。アヘン取引や民間警備会社との関係が取りざたされる一方で、カルザイ大統領は弟を通じて中央政府の政策を南部に浸透させていたと言われていた。
・7月17日 首都カブール西部の高級住宅街で夜、武装した3人組のグループがジャン・モハンメド・カーン大統領顧問の自宅を襲撃した。タリバンが、「駐留米軍に協力的な人物を殺害した」との声明を出した。カーンは南部ウルズガン州の元知事で、カルザイ大統領の側近。
・7月27日 南部カンダハル市で、ハミディ市長が武装グループの自爆テロで死亡した。タリバンが戦闘声明を出した。ハミディ市長は市庁舎内の執務室で、地元の長老らと会っていた際、男が市長に近づき自爆したとされる。
・7月28日 アフガニスタン中部ウルズガン州の州都タリンコートで、タリバンが州立テレビ局の建物を占拠し、近くの州知事庁舎や州警察本部へ向け銃撃を繰り返した。アフガン治安部隊との間で激しい戦闘が行われた。タリバンが戦闘声明を出した。警察官や州政府職員ら21人が死亡、40人近くが負傷した。この半年で最大級の戦闘だった。

 □米帝の大崩壊の開始

 7月16日に米軍はアフガニスタンから撤退を開始した。オバマは、8月6日のような海軍特殊部隊「シールズ」などによる襲撃作戦を多用して、「名誉ある撤退」の軍事環境を作り出そうとしていた。格好よくアフガニスタンから逃げ出そうという試みが大失敗したのだ。
 米帝は、米軍撤退の後を埋めるアフガニスタン政府の治安部隊(軍と警察)を今年中に30万人に増強する計画に一縷の望みを抱いているが、これがまったく目途が立っていない。アフガニスタンの治安部隊は訓練や装備が不十分で、タリバン側に寝返る者も少なくない。
 イラクでもアフガニスタンでも米帝の軍事敗北により米帝の世界支配は一挙に崩壊に向かう。なによりも世界恐慌が激化し、ドル暴落の危機が迫り、米帝の大崩壊が始まっている。
 シンディ・シーハンさんは8・6広島大行動で「アメリカは民主主義国ではない。帝国主義の独裁政権だ。原発を廃止するためにも戦争を終わらせるためにも必要なのは革命です」と宣言した。これがアメリカの労働者階級の声だ。国際連帯で、イラク・アフガニスタン侵略戦争を粉砕しよう。
 (宇和島 洋)

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月刊『国際労働運動』(422号2-2)(2011/10/01)

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■News & Review 日本

 シンディ・シーハンさんと共に8月闘争―-広島・ナガサキ、沖縄、東京で集会

 2011年8月の反原発・反戦・反核闘争は画期的な地平を切り開いた。8・6広島―8・9長崎、8・11沖縄、そして8・15東京で、04年にイラク戦争で息子を殺され、反戦闘争の先頭で闘い抜いてきたアメリカの「反戦の母」シンディ・シーハンさんを迎え、フクシマの怒りと結びつき、全世界に闘いを発信したのである(シンディ・シーハンさんの8・6ヒロシマ大行動と8・15労働者・市民のつどいでの発言は要旨別掲)。

 □核も原発もなくそうと闘う広島の世界大会

 被爆66周年の8・6ヒロシマでは、朝の菅首相の祈念式典出席を弾劾するデモが闘われ、午前9時から、原爆ドーム前に1100人が集まり、「私たちは、フクシマとヒロシマの怒りを一つにして、すべての原発をただちに、一つ残らず廃絶する闘いにたちあがることを宣言する」と、「すべての原発を今すぐなくそう!8・6ヒロシマ宣言集会」が行われた。
 午後からは、広島県立総合体育館小アリーナに1685人が集まり、8・6ヒロシマ大行動が行われた。
 広島から反戦被爆者の会の下田礼子さんが「私たち被爆者は核の恐ろしさを誰よりも知っている。核と人間は共存できない」と訴えた。
 1954年にアメリカの水爆実験によりビキニ環礁で被爆した第五福竜丸元乗組員の大石又七さんは「米軍は1946年から58年に67回の核実験を行い、100の核爆発を行った。その放射能が内部被爆を起こした。ビキニ事件を隠した結果、2万3千発の核弾頭ができあがった」と弾劾した。
 被災地を代表してふくしま合同労組の市川潤子委員長は「労働者の命、子どもの未来より核武装や一握りの資本家の儲けを選ぶ社会を断固拒否する。私たち福島の労働者は、全世界から核も原発もなくすための闘いの先頭に立つ」と発言した。
 主催者を代表して被爆2世の中島健さんが「@福島原発事故を絶対に許さないAフクシマとヒロシマの怒りをひとつにB人間をカネと核の下にひれ伏させる新自由主義との闘いC労働組合こそ反原発を闘う団結の軸にD国際連帯の力で勝利しよう」というアピールを提起した。
 シンディ・シーハンさんは「アメリカは民主主義国ではない。帝国主義の独裁政権だ。原発を廃止するためにも戦争をやめさせるためにも必要なのは革命です」と訴えた。
 イラクで劣化ウラン弾被害と闘う小児科医のフサーム・サリッヒさんは「イラク民衆はよりよい未来とより豊かな生活を求めている。生きぬく闘いの象徴の街だからこそ、私はヒロシマにやってきた」と発言した。
 動労千葉の田中康宏委員長は「僕たちは今、この社会を変えるチャンスを迎えている。もっともっと怒りの声を上げよう。原発・失業に反対して闘い、11・6全国労働者総決起集会にすべての労働者の力を集めよう」とアピールした。
 集会後のデモ行進は、前日に広島で結成集会を開いた「すべての原発いますぐなくそう!全国会議(略称・な全)」に結集する青年・学生の隊列を先頭に勢いよく行われ、沿道からの参加者も数多く現れた。
(写真 原爆ドーム前で開かれた「すべての原発を今すぐなくそう! 8・6ヒロシマ宣言集会」)

 □長崎闘争も大高揚

 8・9長崎反戦反核闘争では、午前10時過ぎから爆心地近くの城栄公園で、菅首相の平和祈念式典出席を弾劾する集会とデモ行進が行われた。
 午後1時半から長崎勤労福祉会館で「反戦反核反原発・長崎集会」が115人の参加でかちとられた。国労小倉闘争団の羽廣憲さんが基調報告を行い、「反戦・反核・反原発と国鉄闘争に勝利しよう。闘う労働組合をつくり直し、その力で労働者が主人公の社会をつくろう」と呼びかけた。
 シンディ・シーハンさんは「今、本当に必要なのは革命に向けた行動です。原発と戦争、貧困、新自由主義と闘おう。闘いをやめない限り、敗北することはない」と訴えた。

 □沖縄でも講演集会

 8月11日、沖縄・那覇市のパレット市民劇場で160人を結集した「『反戦の母』シンディ・シーハン8・11沖縄講演会」が開かれた。
 シーハンさんは、体調を崩して参加できなかったが、録音されたメッセージが流され、ともに、反戦・反基地を闘い抜くことを誓い合った。

 □東京で8・ 集会

  8月15日、早朝の靖国参拝阻止デモを引き継ぎ、「原発とめよう 世の中かえよう 8・15労働者・市民のつどい」が東京・なかのゼロ小ホールで行われ、575人が会場を埋め尽くした。
 シンディ・シーハンさんが「『革命の母』として歴史に残りたい」と訴えた。
 子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク世話人で福島子どものいのちを守る会の佐藤幸子代表が、文科省交渉や土壌の独自調査などの取り組みを報告した。また、反原発への学生の決意に触れて「それを信じます。ぜひ若い人の力で原発をとめて下さい」と訴えた。
 韓国の民主労総ソウル本部のノミョンウ首席副本部長とキムハヤン組織次長が登壇。ノ副本部長はイミョンバク政権を弾劾し、「資本と政権に反撃を加える闘争を展開する」と宣言した。
 8月の一連の闘いは、3・11東日本大震災と原発事故を受けて情勢が一変する中で、新たな反原発、反戦・反核の闘いを創造する重大なステップとなった。9・11―19反原発闘争から11・6全国労働者総決起集会の1万人結集に向かって全力で闘おう。
 (大沢 康)

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 「原発を廃止し戦争をやめさせるには革命が必要」 「反戦の母」シンディ・シーハンさんの発言

 8・6ヒロシマ大行動での発言

 アメリカは独裁政権
 アメリカ合州国は民主主義の国ではありません。独裁政権です。帝国主義の国です。資本主義の独裁政権です。ずっと支配している階級の独裁政権です。世界で見ると、それはアメリカだけではありません。世界中の企業と政府は協力して無理やり新自由主義を行使しています。
 原発を廃止するには革命が必要です。そして戦争をやめさせるにも革命が必要です。そして、唯一正当な戦争は階級闘争です。
 一方、実際に武器を使った戦争、占領において一番問題なのは、それぞれの国の労働者階級と貧乏な人々がお互いを殺し合わせられていることです。
 日本人であろうがアメリカ人であろうがイラク人であろうが、一番重要なのはみんな同じ階級であることです。多くのアメリカ人はアメリカに階級はないと思い込んでいます。貧乏な人も億万長者になれる「アメリカの夢」という神話があるからです。しかし、人生を豊かにするのは物ではありません。人間関係です。本日は地球的な人間関係をつくる機会です。
 この悪の新自由主義と闘っているうちに、私は牢屋に入ったり、けがをしたり、深い屈辱感を抱いたことがあります。しかし、国境、海、憎悪、戦争をすべて越えたグローバル化もあります。そのグローバル化はいいものです。これらの闘いを非常に光栄に思っていることだし、勝利するために、みんなとその勝利を分かち合いたいと思います。
 私の国が66年前に広島の人間たちを実験台として使いました。そして、今年3・11の時も、自然災害もありましたけど、資本主義とか利益を最優先することによって大災害になったことをみんな見ていると思います。

 闘いをやめない限り、敗北することはない

 そして、ビキニの実験で被爆した兄弟もいます。米軍占領で苦しんでいるイラク人の兄弟もいます。66年間、被爆してから生活を送っている兄弟もいます。怒りを抱いているのは当然のことです。怒りを持たなければ、いったいどうしたのですかと思います。でも、怒りと違って、私はみんなを見る時、恨みとか敗北感はまったくありません。
 私は息子を亡くしましたけど、その事実もポジティブなことに変えようとしました。小さな敗北や後退はたまにありますが、闘いをやめない限り敗北することはないのです。
 新自由主義の怪物たちと闘っている一人でも残れば、私たちは勝利します。

 8・15労働者・市民

のつどいでの発言
 人間の歴史で戦争で亡くなった人たちが非常に多い。まったく不必要かつ無意味な死だと思います。戦争というのは必ず避けることができると思います。
 アメリカの大統領がテレビに出て、「イラク、アフガニスタンに派兵している兵士の数を増やしたくない」と、悲しそうな顔で言っているのに腹が立ちます。あいつらはウソつきです。
 例えばベトナム戦争を考えてみると、なぜ終わらせることができたか。アメリカの戦闘的な闘い、そしてベトナム国内の戦闘的な闘いがあったからです。

 戦争を終わらせるために国際的な連帯を

 本来、みんな一緒に連帯して、戦争を終わらせるための戦闘的な闘いをすべきなのに、そうじゃなくて、選挙政治に時間を無駄にしています。戦争を国家の道具として使わせない、そして原発を使わせないと思うなら、国際的な連帯で闘いをつくらなければいけません。われわれ民衆は、資本家階級の戦争に利用されることに対して、一緒に抵抗しなければなりません。

 戦場で殺された息子を誇りに思う

 私の息子はイラク戦争に行くか行かないかの選択の自由はありました。「母さん、僕は行きたくないけれど行かなければいけない」と彼は言いました。そして私は、「ケーシー、例えば車で事故を起こしたら、行かないで済むじゃないか」と答えました。もちろん軽いケガ程度ですけれども。しかし、最近分かったのは、ケーシーが「戦いに出ろ」という命令に対して抵抗したそうです。司令官が戦場に向かうトラックに乗れと命令したらしいです。「私は単なる修理工だから嫌だ」と答えたらしいです。そして無理やりに乗せられ、戦場で殺されたんです。でも私は非常に誇りに思っています。自分の国が占領している人を殺すのを断ったのです。その抵抗が戦争を終わりにすることができます。

 「革命の母」として歴史に残りたい

 すべての力はわれわれ民衆にある。そして私たちが力を発揮すれば、世界がよりよくなると思います。
 今日、「反戦の母」と「反核の母」、私は「反戦の母」なんですけれども、「反核の母」もいらっしゃると聞いております。しかし、私は「反戦」でもあるし、「反核」でもあります。アメリカではよく「平和の母」と言われています。しかし、私は、「革命の母」として歴史に残りたいと思います。
 私たちが今、生きている時代の悪の制度は、制度内の改革じゃ直らないです。唯一、打倒できるのは、われわれの連帯・団結です。

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月刊『国際労働運動』(422号2-3)(2011/10/01)

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■News & Review ベトナム

南沙諸島、西沙諸島巡る中越対立

米QE2の影響受け激しいインフレ襲う

 □ベトナム共産党第11回大会が開催

 今年に入ってからのベトナムの動きは、1月12〜14日に5年に1度のベトナム共産党第11回大会が開かれ、新指導体制が生まれたことである。そして、5月22日に国会議員選挙が行われ非党員候補42人が当選。定数500のうちの8・4%である(前回より1人少なく、党が目標としていた10〜15%にはならなかった)。
 また7月にはそれに基づいでベトナム国会が開かれ、新たな国家指導体制が生まれた。
 1月の党大会は370万人の党員(総人口8900万人の4・2%)の代表1377人が出席し、新書記長にグエン・フー・チョン国会議長(67)を選出した。彼は党の理論誌編集長、ハノイ市党書記などを歴任している。そして政治局員14人、党書記局員4人、党中央委員175名などの新指導体制を選んだ。
 書記長に次ぐ序列第2位の国家主席は、7月のベトナム国会でチュオン・タン・サン共産党書記局常務(62)を選出。国家首席は、国家元首であり人民軍最高司令官、国家安全保障評議会議長を兼任している。南部ホーチミン市の人民委員長(市長)や市党書記長を歴任した改革派と言われ、日本政界にも人脈がある。
 序列3位の首相には、グエン・タン・ズン首相(62)が再任。序列4位の新国会議長にグエン・シン・フン第一副首相(65)が選出された。中国にも日本にも対応できる体制とされている。
 政治報告では行政手続きの改革、人材の育成、汚職・濫費の防止・取り締まり、給与改革などを上げている。
 入党条件の緩和も進められ、これまで認められていなかった「私営企業家の入党」が試験的に実施されることとなった。
 党大会で承認された経済政策は、第10期5カ年計画を継承した第11期5カ年計画である。「2020年までに近代化の方針に沿って、基本的に工業国になる」との目標を設定し、特に交通インフラ体系の建設を上げている。年間平均経済成長率7・0〜7・5%、農業の平均成長率を2・6〜3・0%、1人当たりGDP約2000jを目指すというものである。第10期5カ年計画での経済成長の目標が、平均7・5〜8・0%であったことを見ると、第10期計画より0・5%低くなっている。これは大恐慌対策とも言うべきもので、世界大恐慌下の帝国主義世界、特にベトナムの輸出相手国第一位のアメリカ経済や2位の日本経済の落ち込みを考慮したものである。
 経済では2月11日に通貨ドンが9・3%切り下げられ、その結果、世界的な食料を含む資源価格の上昇もあって、激しいインフレがベトナムを襲っている。6月の消費者物価指数は前年同期比20・82%増で20%を超えた。1〜6月平均が16・3%で、政府目標の15%を上回った。高インフレは海外投資に悪影響を及ぼし、株価も下落している。帝国主義の大恐慌対策である金融政策はインフレと経済悪化としてベトナムを襲っている。

 □南中国海の領有を巡る中国との対立の激化

 ベトナムにとって、現在最大の問題は、中国との南中国海の西沙諸島、南沙諸島をめぐる領有権問題である。
 中国との国境線は、陸上(1999年)のほか、2000年にトンキン湾の境界線を画定している。南中国海の国境線だけは確定出来ていない。
 西沙諸島、南沙諸島海域には石油や鉱物資源が多く存在することから、両国がその資源の領有権を主張しているからである。西沙諸島をめぐってはベトナムと中国が、南沙諸島をめぐっては、中国とベトナムのほか、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、台湾の6国・地域が数十年にわたって争っている。
 ASEANと中国は、領土紛争の解決のための方針を2002年に「南中国海行動宣言」として発表している。これをASEANとしてはできるだけ早く法的拘束力を持った「行動規範」にまで高めることを目指し、7月23日にインドネシアで開かれたARF(ASEAN地域フォーラム)で、この「行動規範」策定をめぐる論議がなされた。中国は領土問題は多国間ではなく2国間交渉で扱うとしており、ASEANとの「行動規範」策定問題には応じていない。
(写真 南中国海領有権をめぐり、「中国打倒」を掲げてデモするベトナムの労働者ら【8月14日 ハノイ】)

 □中国艦船によるベトナム探査船活動の連続的妨害

 5月26日、ベトナムの東沖120海里(約220`)の南中国海・西沙諸島海域で、石油・天然ガスの調査活動を行っていたベトナムの探査船のケーブルを、近寄ってきた中国の監視船3隻のうちの1隻が切断して探査を妨害するという事件が起きた。ベトナム外務省は5月29日、異例の記者会見を行い、「現場は完全にベトナムの排他的経済水域(EEZ)である」として中国に対し激しく抗議し、「ベトナム海軍は主権と領土を守るために必要なことは全て行う」と宣言した。
 これに対し中国側は2日後の5月31日、「ベトナムの違法作業船に対してとった法執行行為は完全に正しいものだ」と真っ向からケーブルの実力切断行動を正当化した。この海域ではこれまでもベトナム漁船が中国の監視船によって何度も拿捕されており、5月31日にはベトナム漁船が中国艦船3隻によって威嚇発砲を受けている。
 こうした中でさらに6月9日、ベトナムの大陸棚200海里の水域内でベトナム探査船が中国の監視船3隻によって同様の妨害を受けた。「主権侵害である」とベトナム外務省は中国を激しく非難した。中国艦船による徹底した探査行動への実力妨害が浮き彫りになった。
 この中国艦船による探査妨害に対してベトナムでは、反中国抗議デモが始まった。抗議行動はまず6月5日、首都ハノイにおける中国大使館前での抗議活動(50人)として始まり、その後6月12日にはハノイだけでなく、南部のホーチミン市(数百人以上)などへも広がり6月19日、6月26日、7月3日と日曜のたびに連続的に行われている。ホーチミン市では1000名を超えるデモが行われるようになった。さらに一部では中国製品の不買運動にまで発展してきている。
 スターリン主義のベトナムでは、国内のデモは異例で、デモ自体が治安当局によって容認されていることを示している。しかし警察は、大学当局を通じてデモに参加しないように警告したり、デモ参加者が集まる喫茶店などの閉店を命じている。
 そして7月10日にはベトナム政府は、一転してデモを禁止する措置に出、十数人を連行した。7月17日のデモでは50名を拘束した。背景に中国との会談で「友好と相互信頼を損なう言動を防ぐ」ことで一致した影響がある。
 しかしハノイの警察トップが8月初めになって「愛国的デモは抑圧しない」と明言したことから再び8月7日、8月14日のデモが以前のように行われ、「中国打倒、祖国防衛」などがコールされ、公式にデモが容認された形となった。

 □中国軍の海洋戦力としての飛躍

 ベトナムが危機感を隠さない中国の軍事展開は、中国海軍の戦略と関係している。中国海軍の国防ラインは、第一列島線(九州―沖縄・南西諸島―台湾―フィリピン)内の近海制海権の確保と米艦隊・潜水艦の侵入阻止=内海化であり、第二列島線(伊豆諸島―小笠原―グアム・サイパン―パプアニューギニア)での外洋防衛ラインにおける本土防衛として形成されている。これは南中国海の中国領海化を意味する。
 これに向けた中国の海軍力強化の動きは急である。7月19日、中国海軍で最大規模の軍艦「井崗山」(排水量1万9000トン)が、上海で進水した。また8月10日には、中国大連港(遼寧省)で改装中だった旧ソ連製空母「ワリャーク」が、改装されて試験航行のために出航した。中国はこのワリャークのほか、国産空母2隻を建造中で、空母と潜水艦や駆逐艦で空母群を組み、統一的な海洋戦略のもとで行動する〔点検修理などもあり、3空母を確保し、常時1空母艦隊が就航〕。
 米軍空母艦隊への抑止力として最重要視されているものが、射程1500`以上、命中精度が高く、米空母や在日米軍基地を直撃できる空母キラー=DF21D(対艦弾道ミサイル・ASBM)の配備による「接近阻止・領域拒否(A2/AD)」戦略である。これは台湾有事などで米空母艦隊を第一列島線内に入れない戦略である。米帝は、この配備を最も警戒している。

 □ベトナムの対応

 国家的危機と受け止めたベトナムは、全力で対抗策を追求しつつ、政治的解決を模索している。ベトナム海軍は、6月13日、同国中部クアンナム省沖合数十`の海域4カ所で夜間の航行を禁止し、実弾演習を行って中国を牽制した。また7月15日には、米越両海軍が、ベトナム中部ダナン沖合で合同軍事演習を行っている。
 他方こうした軍事的な強硬方針を採るだけでなく、一方で中国へ特使を派遣し、平和的に解決するために策動している。海軍1万3千人、艦艇125隻のベトナムにとって、それが現実的な対応だからである。
 6月25日、ベトナムは政府特使としてホー・スアン・ソン外務次官を中国に派遣し、中国外務省の戴秉国国務委員(外交担当・副首相級)と会談、「問題の平和的解決」とともに「両国民の友好と相互信頼を損なう言動を防ぐ」ことでも一致した。
 また7月29〜8月1日にはハノイで中国側と領有権問題を協議し、「平和的な方法で解決する」事で再度一致している。ベトナムは中国との関係について「ベトナムの立場は一貫している、国際法に従った平和的な対話を通じて解決を図りたい」と強調している。
 こうした動きに対して米帝は、朝鮮侵略戦争遂行の立場から、ベトナムやフィリピンなどの立場を支援し、実際にも6月にはフィリピン海軍と7月にはベトナム海軍との合同軍事訓練を行った。
 また6月21日の日米安保協議委員会(2プラス2)で両国は「中国に国際的な行動規範の順守を促す」ことを求め、「航行の自由」「海上交通の確保、海洋安全保障の維持」で東中国海、南中国海での中国の行動を強く牽制している。さらに米上院では、6月27日、一連の南中国海での中国艦船の動きに対し、全会一致で中国の実力行使を非難し同海域での自由航行を確保するための米軍の作戦継続などを盛り込んだ決議を可決した。
 南中国海での領有権問題は、こうして米帝の介入によって米中軍事的対立のひとつの重大な火点となり、北朝鮮侵略戦争の遂行をめぐる軍事対決の南の戦線になりつつある。その先端にベトナムと中国の領有権問題が大きく浮上している。
 米軍沖縄基地はこうした米中対決、北朝鮮侵略戦争の最前線に位置しており、米軍基地全面撤去・沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒の闘いは、米日帝の北朝鮮侵略戦争、スターリン主義中国を巻き込んだ世界戦争を阻止する世界的な意義をもつ闘いとなっている。
  (武長幾夫)
(写真 南部沖合に展開する米空母ジョージ・ワシントンなど【8月13日】)

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月刊『国際労働運動』(422号3-1)(2011/10/01)

(写真 「核も原発もなくそう」と誓い合った8・6ヒロシマ大行動で1685人の参加者が「団結ガンバロー」【8月6日 広島県立総合体育館】)

特集

■特集/全原発の即時廃止 非正規職化撤廃を

 はじめに

 情勢は、資本主義の存続か打倒かをめぐる激突の第2幕に突入した。反原発・反失業の闘いは、国鉄決戦とともに国家と資本、帝国主義労働運動とのつぶすかつぶされるかの階級戦争の最大の戦場となっている。
 本特集は、反原発・反失業闘争の本格的発展に向けてのものである。第1章で、原発被曝労働の過酷極まりない現実を暴き、それが新自由主義の下での外注化・非正規職化、使い捨て雇用と偽装請負の極致であり、反原発と反失業は完全に一つであること、全原発即時廃炉の闘いの絶対的正義性と必要性を明確にさせる。第2章で、4大産別の非正規職青年労働者を先頭に開始された、反原発・反失業の闘いの現状とその意義を明らかにする。第3章で、「復興特区」・道州制攻撃の重大性を明らかにし、すべての怒りを11・6日比谷へ! 国鉄決戦と反原発・反失業闘争を基軸に階級的労働運動の発展をかちとっていく方向性を示す。

■第1章

 被曝前提の苛酷な原発労働――原発は人類と共存できない

 本章では、原発の本質そのものである被曝労働の実態に迫ることで、人類との共存などありえない原発それ自体の根本的問題性を突き出すとともに、原発被曝労働が新自由主義の下での外注化・非正規職化、使い捨て雇用と偽装請負の極致であり、反原発と反失業は一体であること、「すべての原発を今すぐなくす」ことの絶対的必要性と正義性を明らかにしていく。
 まず、「下請け労働者たちの被曝作業なくして原発は決して動かない」ことを具体的事実をもって示す。「多発する労災事故、高線量被曝とその隠蔽、証拠隠滅」と「定期点検時の被曝を避けるという設計思想すらない」ことは、原発という人類史上最悪の「死の産業」の本質そのものである。労働者に健康被害と死をも強制する被曝労働の一点においても、原発そのものが人類と相いれない存在であることを明確にさせる。
 続いて、原発の被曝労働が、電力会社を頂点にした何層にもわたる外注化と非正規職化、労働組合の解体・変質によって初めて可能となっている事実を明らかにする。40万人に達するといわれる被曝した原発労働者のほとんどが下請け・非正規職労働者でありその割合はますます増大している。外注化・非正規職化の実態を示し、さらにそれが労働組合の変質と協力ぬきにはありえなかったことを突き出して、反原発・反失業闘争の勝利の方向性を鮮明にさせていく。

 下請け労働者の被曝労働なしで原発は動かない

 3・11以来、半年近くが過ぎたにもかかわらず、福島第一原発事故はいまだ収束していない。それどころか、8月1日段階で、原子炉建屋外部の排気搭付近でこれまでで最も高い1時間当たり1万_シーベルト超の放射線量が計測された。大気と海に拡散され続ける放射性物質とともに、原子炉格納容器からメルトダウン・メルトスルーし再臨界と爆発の危機をはらみながら地中深く潜り込んでいく大量の核物質の存在をはじめ、福島第一原発でいったい何が起きているのか。何が起きようとしているのか。依然として、予断を許さない状態が続いている。
 他方で、原発事故収束のために数千人の規模の原発労働者によって、深刻な被曝労働を強いられながらの過酷極まりない作業が続けられている。原発とは、被曝労働抜きには絶対的にありえない。そしてその作業の大半は、東電を頂点に8次、9次にわたる外注化・下請け構造の下で、9割以上を占める非正規職労働者によって担われ、そのすべての労働者が混在する現場での偽装請負である。
 以下、被曝労働の現実を知るために、堀江邦夫氏の実体験に基づくルポルタージュ『原発ジプシー 被曝下請け労働者の記録』(増補改訂版/現代書館/2011年5月)、ならびに『原発労働記』(講談社文庫/2011年5月)を見ていく。
 『原発ジプシー 被曝下請け労働者の記録』は初版が1979年に出版され、19
84年には文庫本にもなった。当時、美浜、福島第一、敦賀の原発の定期点検に従事する下請け労働者の被曝労働の実態を初めて明らかにすることで社会的反響を呼んだ。
 今回、福島第一原発事故での懸命の復旧作業の場面を前に、「死の淵を過去2度にわたって彷徨(ほうこう)し、太い人工血管を全身に埋め込まれ、およそ考えつくかぎりの後遺症に次々と襲われ、そしていまでは『リハビリ難民』となってしまっている」と現況をつづる堀江氏は次のように述べている。
 「今回大事故を起こした福島第一原発は、かつて下請け労働者のひとりとして原子炉の奥深くにまで入り込み、放射能の恐怖におびえつつ被ばく労働に従事してきた、まさにその原発でした」
 「テレビに映ることも、人々に感動を与えることも、賞賛されることもなく、コンクリートに囲まれた原子炉内の暗い暑い現場にはいりこみ、日々、放射能をその全身に浴びながら、ただひたすら黙々と働く下請け労働者たちがいることを、さらには、彼ら労働者たちの被ばく作業なくして原発は決して動かないのだ、との重い現実にも想いを寄せていただけたら」(文庫版「跋にかえて」)として、加筆修正された単行本と文庫本が緊急復刊された。

 危険でもマスクを外さないとやっていられない

〈1978年11月 美浜原子力発電所〉
 ・1号機「廃液蒸発装置・定検」  ・1号機「廃液蒸発装置・定検」
 「タンクの底はまだ見えてこない。呼吸が荒くなってきた。しだいに頭が重くなる。のどが渇く。もう唾液も出ない。気のせいか、意識が時々ふっと途切れる。ヘドロをすくう。ビニール袋に入れる。外の者に渡す。新たな袋が入ってくる。この作業が始まって、どれだけの時間が過ぎたのだろう。……急にめまいを感じた。両脇から仲間に抱きかかえられるようにして、服を着替える場所にたどりつく。立っているのがやっとだ。放管(放射線管理係)がガムテープをはがし始める。思うように取れない。マスクが外れた。その瞬間、汗が一度に吹き出すのを覚えた。下着までびっしょりだ。思わずその場にへたり込んでしまう。そして幾度となく深呼吸。ここは原発内部だ。周りには放射性物質が浮遊している。深呼吸などしてしまえば、まちがいなくそれを体内に取り込んでしまう。内部被ばくだ。が、このときにはすでに、どうにでもなれ!という気持ちだった」
 「最初のころは、まじめにマスクをつけていた。だが、ほとんどの労働者はマスクを首にぶら下げているだけだ。私もついつい彼らの仲間入りをすることが多くなってしまった。内部被ばくへの不安よりも、その場の肉体的苦痛から逃れたい気持の方が強いのだ」
〈1979年4月 敦賀原子力発電所〉
 「床から舞いあがったホコリがモウモウと立ち込める中での作業だ。マスクの内側が汗で曇り、視界はほとんどきかない。労働者のなかには、マスクを外し、曇った箇所をゴム手でふき取る者もいた。マスクを取ってしまえば、まず間違いなく放射性物質を吸いこんでしまう。内部被ばくだ。しかし、曇ったままのマスクをしていたら、足場板から足を踏み外し、転落するかもしれない。被ばくか、転落事故か、どちらかの危険を選びとらなければならない。どちらにしても、死の影がまとわりついている」
 被曝を前提とする原発労働が死と隣り合わせのいかに過酷極まりないものであるか。すさまじく暑く呼吸すらまともにできない労働環境下で、内部被曝が不可避となるにもかかわらず思わず防護マスクを引き剥がして深呼吸を繰り返してしまう。こうした異常事態が日常茶飯事であった。福島第一原発事故収束作業中の労働者の熱中症による死亡・重篤事故の多発は、決して緊急時だけのことではない。現代の「蟹工船」とすらいわれる極悪の環境下で、「致死労働」ともいうべき被曝労働が、コンクリートに囲まれた原子炉内の暗い暑い現場で密かに延々と続けられてきているのだ。

 労災事故と労災隠し、高線量被曝と証拠隠滅

〈1978年10月 美浜原子力発電所〉
 「(懸命に働く元川さんは)次のようなことを話してくれた。わしは原発で働く前は、白血球が7千幾つあったんよ。標準値だった。ところが、各地の原発を歩き回っているうちに白血球がジャンジャン下がっちゃってね。1年ほど前には3000ぐらいに落ちてしまったんよ。なんとなくダルイなあ。医者に働いちゃイカンといわれるのがこわくて、な。どうしようもないんよ」
〈1978年11月 美浜原子力発電所〉
 「(1日に被ばくする)計画線量が当初の10_レム(0・1_シーベルト)から、3倍の30_レムに引き上げられた。実際に浴びた線量が計画線量をオーバーしかけると、その労働者を作業から外すのではなく、逆に、計画線量のほうをあげてしまう。所詮、計画線量とは、この程度のものでしかないのだろう」
〈1979年1月 福島第一原子力発電所〉
 「病院に向かう車の中で、安全責任者は、(転落事故でろっ骨を骨折した堀江氏に)つぎのようなことを話し始めた。労災扱いにすると労働基準監督署の立ち入り調査があるでしょ。そうすると事故のあったことがバレてしまう。ちょっとマズイんだよ。事故が公になり、東電に迷惑をかけることになる。そうなれば会社に仕事が回ってこなくなり、最終的にはあんた自身が仕事にアブレることになるんだぜ、ということをほのめかしている」
〈1979年2月 福島第一原子力発電所〉
 「木村さんが、なぜか知らんが、最近、髪の毛が抜けて、放射能の影響かなあと話しかけてきた。彼は25歳の地元の青年。75年から原発で働き始める。こっちじゃ、ぜんぜん働く場所がなかっぺしゃ、との理由からだ。(浴びてる線量は)一応、2000_レム(20_シーベルト)ということになってんだけど、本当はその数倍ってとこ。IHI(石川島播磨重工)の下請け労働者として福島原発で働いていたとき、そこの労働者たちは現場に着くとポケット線量計やアラーム・メーターなどをゴム手袋に詰め、それを木の箱の下に隠してから作業にとりかかっていた。その値を1日の被ばく量としてそのまま報告。作業を早く終えちゃえば、あとが楽。会社にしたって、工事が予定より早く進めば、それだけ儲かる」
〈1979年3月 敦賀原子力発電所〉
 ・放管教育と安全教育  ・放管教育と安全教育
 「日本での自然放射線量は1年間に約100_レム(1_シーベルト)。ブラジルでは7000_レムにも達している。これに対し、われわれが原発内で浴びる量は微々たるものですから、いかに安全かが分かると思います。管理区域内だからと言って、指示もないのにマスクをつける必要はありません。ちゃんと放管が指示しますから、あまり神経質にならぬように」
 企業ぐるみの労災隠しの問題、被曝を避けるという思想の欠如は、単に経営者のモラルや意識性の問題ではない。政府や電力会社を頂点とする原子力産業の巨大な構造の全体が、非人間的で殺人的な労働環境の下で不可避に発生する労災の責任を末端の非正規職労働者個人に押し付け、痛みすら感じることなく切り捨てている。新自由主義下の外注化・非正規職化の極致として、原発被ばく労働を強制し、重大労災事故を引き起こし続けている。
 福島県内の温泉地の浴場で、明らかに20代の原発労働者と思われる若者が「俺たち、(生きて)2度と温泉にはつかれないと思っていた」としみじみと会話していたことが目撃されている。原子力産業は、大震災で職を奪われた青年労働者たちの生き血を吸い、未来すら食いつくそうとしている。
 これは、原発労働者だけの問題ではない。JRや航空、郵政、製造工場をはじめ、民営化・外注化・非正規職化と労組破壊の攻撃にさらされているすべての産別・職場において、日々労働者が経験していることだ。すべては資本主義・新自由主義の本質そのものである。

 放射能被曝の一点でも人類と相いれない

 以上みてきたとおり、「彼ら労働者たちの被ばく作業なくして原発は決して動かない」(堀江氏)。
 被曝労働は現下の福島第一原発事故の収束作業にとどまらず、日本と世界で稼働中のすべての原発の日常的維持・管理業務、定期点検業務と事故処理、使用済み核燃料の管理・貯蔵や放射能汚染物の処理など、原発が存在する限り永久に続く。
 福島第一原発事故は膨大な量の放射性物質を放出・拡散させ、福島現地を頂点に東日本全域から日本全体、太平洋ひいては地球規模の放射能汚染をもたらしている。放射性物質を大量に含んだ水と大気は、大地に生きるすべての住民と動植物、食物とあらゆる生産物、がれきと土壌、地上にあるすべての物体と河川、海洋を汚し続けている。
 すでに全国各地で生産された食品、被災地のがれき、東北から首都圏の下水道の汚泥や清掃工場の焼却灰、そして工場敷地や学校の校庭やプール、保育所の園庭、公園から高濃度の放射能が検出され、そこに住み働く多くの労働者と住民、子どもたちの深刻な被ばく問題となっている。
 除染が緊急の課題となる一方、その作業を行う労働者自身の被ばく問題、使用した水やはぎ取った表土、資材の処理自体が解決不能の大問題となっている。下水処理場や清掃工場には汚染物質があふれ、敷地内にプレハブ倉庫を増設してしのいでいる状態であり、今後の方策すら立っていない。そこで働く労働者(大半は委託企業の非正規職労働者)の被ばく労働もまた、原発がつくり出したものである。
 原発と原発事故に伴うあらゆる被曝労働と放射能汚染で殺されてたまるか! すべての原発をいますぐ停止し廃炉とすることは、全労働者人民にとって絶対的正義であり、自分たちと子どもたちの未来をかけて非妥協的に闘いぬかれなければならない。

 外注化・非正規職化、雇い止め雇用と偽装請負の極致

 原発の被曝労働は、電力会社を頂点にした何層にもわたる外注化と非正規職化、労働組合の解体・変質によって初めて可能となっている。
 40万人に達する被曝労働者のほとんどが下請け・非正規職労働者でありその割合がますます増大している。8次とも9次ともいわれる原発産業の外注化と非正規職化、使い捨て雇用と偽装請負は、労働組合の変質と協力ぬきにはありえなかった。青年労働者を先頭とする反原発・反失業闘争の爆発の中にこそ、全原発の即時廃炉と労働者階級解放の道がある。

 40万人が被曝、大半が下請け・非正規職

  「原発労働者を取り巻く(1979年時点の)現状について」として、『原発ジプシー』初版あとがきではこう書かれている。
 「原発の下請け労働者には地元の農民や漁民、そして原発から原発へと渡り歩く日雇いの下請け労働者が大勢いる…原発内の労働が、作業量ではなく、放射線を浴びることがノルマになっているという事実からすれば、労働者を『被ばく者』とすることは、むしろ前提条件でさえある。原発には、他の産業とは比較にならぬほど露骨に資本や国家権力の『論理』が投影されている」
 当時の日本原子力発電株式会社の幹部たちは『原発ジプシー』を批判して、「だいたい、原発で働いていれば、通常でも被曝しているんです。なにかこうゼロでないといけないように考えている」(『週刊新潮』1981年5月7日号)と被曝労働を当然のように言い放った。
 堀江氏は、増補改訂版「跋―もしくは『最終章』として」の中で、「原発現場の特質をひとことで表現するなら、放射能による人体への汚染、つまり〈被ばく〉ということになろう」として、驚くべきデータを明らかにしている。(図参照)
 以下、抄録する。

@被ばく量が年々増加
 「注目していただきたいのは、被ばく量の推移だ。被ばく量は年々激増、私が原発で働いていた当時(1978〜79年度)にはまさにそのピークに達していたことがわかる。……今回の福島第一原発事故によって、その被ばく量は一気に増大することはまちがいなく、私が働いていた当時に記録した過去最大値をはるかに超えてしまう恐れも充分に考えられる」
A電力会社社員と下請け労働者の被ばく量の格差
 「電力会社社員と非社員の被ばく量の相違のほどは、一目瞭然。2008年度における電力会社社員の被ばく量は、全体のわずか3%程度。原発内の放射線下の作業のほとんどは、非正社員=下請け労働者たちに委ねられているという事実、電力会社社員の被ばく量だけは着実に減少している事実なども読み取ることができる」
B40年余にわたって放射線を浴びせられ続けてきた
 「日本で最初の商業用原子炉が運転を開始したのが1966年。このほぼ半世紀にもおよぶ長い月日のなかで、じつに大勢の非正社員=下請け労働者たち(*40万人に上ると言われる 引用者)が原発内に入り、放射線を浴び(せられ)続けてきた」
C3・11以降、東京電力のサイトから「情報公開コーナー」が根こそぎ削除されていた
 「この図の下となるデータの収集については、インターネット上のサイトをこまめに歩き回り、数字を拾い集め、それらを年報・白書・報告書などの文書類と突き合わせ、厳密にクロスチェックをおこなった。…(しかし)今回大事故を起こした東電のサイトから『原子力データライブラリー』と題する情報公開コーナーが根こそぎ削除されてしまっていた。同コーナーには、労働者に関する情報だけでも、『原子力発電所ではどのくらいの人が働いているの?』『原子力発電所で働く人への放射線の線量は?』等々、興味深い資料が少なからず含まれていた」

 外注化・非正規職化が労働者を殺している

 さらに、堀江氏の記述を見ていく。
〈1978年10月 美浜原子力発電所〉
 「事務所にもどると、責任者の梅元さんから呼ばれ、給料袋を渡される。基本給=7万7000円(日当5500円×14日) 時間外=2577円(3時間) 合計=7万9577円 ここから昼食代3500円(1食250円)と、民宿代6万3000円(一泊2食付き3500円)が引かれ、結局、手元に残ったのは、わずか1万3077円だった」
 「元請会社から1人当たりいくら支払われているか知ってる? たとえば1万5000円としようよ。5500円しか渡らない。単純計算しただけでも、9500円もピンハネしてることになる。それも1日・1人についてのピンだから、労働者を50人かかえてれば、たった1日で47万5000円。1カ月のピンハネ料だけで、950万。だから社長なんか、何千万円という家を建てたり、モーター・ボートまで持ったりしてる」
〈1979年3月 敦賀原子力発電所〉
 「わしら、この会社に所属するらしいですねえ。橋本さんは筆を止めると、用紙の一番下に印刷された会社名を指さした。すると、わしらはひ孫請けってことなのか。日立プラント→原山電工→竹井工業→神山工業。日立プラントが元請け。ひ孫請けが、私たちの所属する神山工業だった」
 7月25日付毎日新聞に、福島第一原発事故収束作業にあたる作業員の元請け・下請けの構成が示されている。しかし、4次下請け以下は明らかとなっておらず、4次以下の労働者は、3次下請け企業の名前を書くように指示されているとの報道もされた。さらに、4月から働く作業員4325人中、ほぼ3人に1人にあたる1295人と連絡が取れず、被曝検査を行っていないことが明らかとなっている。そのすべては「協力会社の作業員」とされる下請けの非正規職労働者だ。
 原発労働のすべては、過酷極まりない労働環境に置かれてきたのであり、それが今現在の高濃度に汚染された福島第一原発の事故収束作業のなかでも続いている。何層にもわたって外注化・非正規職化され、超低賃金と使い捨て雇用形態の下で、住所・連絡先すらまともに記録されることなく汚染したウエス(ぞうきん)のように労働者が使い捨てられている。これ自体が、原発労働の根本的問題そのものである。
 核と原子力は、人類と絶対に共存できない。それは、原子力発電の絶対的前提となっている被曝労働の一点においても明らかである。全原子炉の廃絶抜きに労働者階級の解放はありえない。全世界の全ての原発をいますぐなくす闘いは、資本主義・新自由主義の打倒と一体の全人類の未来のかかった緊急にして死活的闘いである。

 労働組合の変質と協力ぬきにありえない

 被曝労働と原発下請け労働者の現実は、電力資本や原発資本などと身も心も一体となった労働組合の協力と労働者支配抜きにはありえなかった。
 『原発ジプシー 被曝下請け労働者の記録』あとがきには、以下の記述がある。
 「1979年9月5日、全国9電力会社の労組など12組合で組織している電力労連(全国電力労働組合連合会・同盟系)が札幌で定期大会を開いた。その際、冒頭のあいさつに立った橋本孝一郎会長は、増大する電力需要を将来にわたりまかなっていくためには、原子力発電所を積極的に推進していく必要があると強調したという。この発言に、東電のある社員が語った、ラドウエスト作業(廃棄物処理)は、被ばく量が多いので請負化してほしいという意識をオーバーラップさせるとき、下請け労働者の存在は、もはや電力会社の社員(彼らも労働者なのだ)からも切り捨てられていることが分かる」
 「1982年末に結成をみた全日本民間労組協議会(全民労協)が、1984年6月、政策・制度要求中央討論会を開き、そこで『放射性廃棄物の処理には炭鉱離職者を使う』との提言をまとめています。労働組合が、です」
 原発労働は、新自由主義下の労働者の徹底的な分断と強搾取・無権利化、超低賃金と違法・不当な使い捨て雇用抜きにはありえない。元請け企業社員と何重にも及ぶ下請け企業の労働者が混在し、請負契約では禁止されている上位企業社員による指揮命令が現場で日常的に行われる偽装請負そのものによって成り立っている。
 福島第一原発事故にいたる国家総ぐるみの犯罪において、新自由主義の下での外注化・非正規職化と被爆労働の強制を率先して推進していった連合と電力労連の果たした役割は、罪万死に値する。断じて許されない。
 これは、原発労働者だけの問題ではない。すべての産業・職場の青年労働者が同じような境遇、労働環境の下に置かれている。労働者としての怒りを爆発させよう。すべての原発を今すぐなくす全階級的闘いは、連合打倒と階級的労働運動の再生によってこそ切り開かれる。原発労働者、非正規職青年労働者を先頭とする全労働者の怒りを結集し、労働組合の階級的団結をかけて闘いぬこう。労働者が生き抜くための闘いを繰り広げるとき、原発そのものをぶっ止めるとともに、階級社会全体の根底的変革の巨大な闘いとなる。反原発と反失業、国鉄闘争は不可分一体の闘いである。

 被災地と青年を先頭に職場・地域で闘おう

 すでに、数万の規模で全国の青年労働者が反原発闘争に立ち上がっている。そのほとんどが無権利・低賃金と使い捨て雇用に怒りを募らせる非正規職労働者であり、幼い子どもたちの健康と将来を守るために懸命の闘いを開始した膨大な数の母親、父親たちもまた20代、30代の青年労働者が中心である。反原発・反失業の闘いはなによりも青年労働者の闘いだ。
 福島をはじめ高濃度放射能汚染地域や原子力発電所の存在する全国の地域を先頭に、被曝労働を許さぬ職場安全闘争が、全原発の即時廃炉を求める闘いとともに猛然と開始されている。職場の労働安全衛生上、必要な処置を取ることは国と資本の絶対的責任だ。職場の全労働者の団結をかけた闘いとして取り組もう。
 9・11〜9・19反原発闘争の大高揚をかちとり、11・6全国労働者総決起集会・日比谷野音へ攻めのぼろう。

■第2章

  3・11下の1千万失業攻撃――被災地・青年労働者の決起

 本章では、大恐慌・震災恐慌下の1千万人失業攻撃に対し、被災地と4大産別の非正規職青年労働者を先頭に開始された反失業大闘争の現状を明らかにする。
 まず、被災地をはじめ本格化する震災解雇・大失業と労働者9割の非正規職化の攻撃を明らかにし、次に、それに対して被災地と4大産別の非正規職青年労働者を先頭に全産別・全社会を揺るがす決起が猛然と始まったことを示す。

 震災解雇・大失業と労働者9割の非正規職化の攻撃

 大恐慌は底なしの状況に突入している。戦後世界体制の要たる基軸帝国主義・米帝の「2番底」への転落の危機の進行の中で、米国債と米株価の急落、さらにドル暴落が現実のものとしてせり上がってきた。中国経済のインフレ激化と不動産バブルの崩壊、ギリシャ・欧州の財政危機が世界大恐慌の巨大震源となり、日帝は大震災と原発事故による震災恐慌にたたき込まれ、未曽有の政治的経済的危機を爆発させている。連合の労働者支配に支えられた民主党ボナパルティズム政権は、体制の延命をかけて「復興特区」・道州制と労働組合解体・労働者反乱圧殺のなりふり構わぬ階級戦争にうって出てきている。戦後革命を引き継ぎ、決着をつける巨大な階級決戦が始まっているのだ。
 今や、被災地をはじめとして、震災解雇・1千万人大失業と労働者9割非正規職化の攻撃との全面戦争に突入したのだ。
 まず、被災地の状況を「生きぬくために闘う! 東日本大震災救援対策本部ニュース」第60号(2011・5・28)に掲載された現地救援対策本部の報告から引用する。  まず、被災地の状況を「生きぬくために闘う! 東日本大震災救援対策本部ニュース」第60号(2011・5・28)に掲載された現地救援対策本部の報告から引用する。

 「皆さん、正社員になろうなんて思わないで下さい。求人の9割は非正規労働者です」

 5月13日、ハローワーク仙台での失業給付説明会。「9割非正規」の言葉に、眠気が覚めた。200名ほどの会場には、20代の青年労働者が多い。
 説明会で配られた資料のデータは震災前のもの。宮城県の有効求人倍率は0・42倍、そのうち正規の求人が4割、非正規が6割だった。ところが震災後に状況は一変、失業者が急増する反面、求人数は激減。求人の9割が非正規雇用だというのだ。
 1995年に当時の日経連が打ち出した「9割非正規化」路線が、今まさに目の前で進行している。震災解雇でクビを切って、新規求人は全部非正規。これが資本主義の「復興」の姿だ!
 4月末に労働局が発表した統計によると、雇用保険加入者のうち失業手当の受給手続きをした人の割合は、気仙沼の30・9%を筆頭に、大船渡25・5%、石巻21・5%、と続く。仙台は集計しきれていないようだ。30・9%……3人に1人が失業したということだ。しかも、この数字には農漁民や雇用保険未加入の非正規労働者は含まれていない。
 私に配られた『雇用保険受給資格者証』に記載された「給付日数」は「90」。雇用保険加入期間が5年未満だからだ。おそらくここにいる青年労働者の大半が同じ区分だろう。3ヶ月もすれば、わずかな失業給付も失われる。まさに食っていけない現実が訪れる。

 「彼氏が福島原発で働いているんです。4月に行ったきり連絡が取れなくて……」

 5月22日、雨の郡山。宮城と福島の仲間が集まって、駅前で街頭署名を集めた時のことだ。約2時間で350筆の署名。その中に、原発で働く恋人の安否を気遣う女性がいたとの報告があった。携帯電話も通じず、一切連絡が取れないそうだ。
 この一週間前には、原発で働く下請け労働者の死亡が報道されたばかりだった。「死と隣り合わせ」の現実を前に、寒気がした。そして、怒りが湧いてきた。

 福島第一原発の求人のみ

 明くる23日、仙台に戻るとまたハローワークだ。資格認定の手続き。
 求人検索用のパソコンに座ると、昨日の女性のことが脳裏に浮かんだ。
 パソコンには福島第一原発の求人が複数出ていた。全部下請け企業の求人だ。
 ・A社…基本給:15万〜18万円、職種:廃棄物処理作業、労働組合:なし  ・A社…基本給:15万〜18万円、職種:廃棄物処理作業、労働組合:なし
 ・B社…基本給:17万〜22万円、職種:原発の施工管理業務、労働組合:なし ※東日本大震災被災者の応募可  ・B社…基本給:17万〜22万円、職種:原発の施工管理業務、労働組合:なし ※東日本大震災被災者の応募可
 ・C社…基本給:28万円、職種:臨時現場作業員(溶剤の補助やがれきの撤去)、労働組合:なし ※入居可能な住宅はご用意できませんので、住居については自己確保となります  ・C社…基本給:28万円、職種:臨時現場作業員(溶剤の補助やがれきの撤去)、労働組合:なし ※入居可能な住宅はご用意できませんので、住居については自己確保となります
 B社の求人票には、「会社の特長」として「全国の原子力発電所を中心に信用と実績を誇る技術集約企業。平均年齢29歳の若さで成長を続けています。海外プラントのメンテナンスや経営の活用も多くあり、やり甲斐は充分」と書かれていた。
 信頼と実績だと! 若さで成長だと! やり甲斐は充分だと! メルトダウンさせておいて、何を言ってるんだ!

 学校現場の現状と訴え

 同じく、「救援対策本部ニュース」第82号(2011・6・24)に掲載された「学校現場からの現状と訴え」と題する福島県教組角田政志書記長の6・19フクシマ大行動での発言を引用する。
 「学校現場からの現状と訴えをさせていただきたい。
 東電の原発が事故を起こして以来、教育現場は非常に大きな困難と危機的な状況が現在も続いております。子どもたちにとっても大変な状況になっております。
 原発事故によって、小中学生だけでも1万5千人を超える子どもたちが避難を強いられました。800人を超える教職員も避難を余儀なくされました。県外には7千人を超える子どもたちが今も避難をしている状況にあります。そして約60校がいまだに学校が再開できず、臨時休校、または学校の臨時移転という状況です。
 教職員もまた被災者であります。しかしながら、県の教育委員会は、不当な勤務配置命令で家族がばらばらになったり、遠距離通勤を余儀なくされたり、学校に行けば担任も持てず、どういうふうにやっていったらよいか、気を使う毎日が続いています。自分の家庭、生活、そして勤務労働条件がメチャメチャになっている先生たちがたくさんいます。今私たち県教組は、こういった人たちをなんとか元の生活に戻すということで、交渉をずっと続けています。そしてもう一つ大変な事態は、来年、福島県では先生の採用をしない。これは、子どもたちが多く県外に行ったので、先生が余っているというふうに言っています。そして講師の人たちも来年は働き口が非常に厳しくなるという通知まで出しています。
 先生が余ってるなんていうのは、まったく嘘です。足りないんです。なんとしても雇用の機会を確保するために、私たち、これからも頑張っていきたいというふうに思っています」
 福島県の教育労働者に対して、「震災」を理由とする異例の8月人事異動の辞令交付に続き、大量の子どもたちの転校を口実とする首切り・労組破壊の攻撃がさし迫っている。
 さらに、被災地をはじめ全国で膨大な雇い止め、「派遣切り」「内定切り」が横行する一方、「電力危機」「節電」キャンペーンの下で、「土日稼働」が全国化し、休日なしのすさまじい長時間労働と労働強化が全社会化しようとしている。
 事態は、8月に入って好転するどころか、むしろ一層深刻化している。国家と資本の側から、「震災復興」をふりかざしたむき出しの震災解雇・大失業と外注化・民営化・非正規職化、増税と社会保障制度解体の階級戦争が、労働者の団結破壊と労組解体を核心として全面的にかけられてきている。まさに生きるために闘いぬき、すでに労働者を食わせることも原発事故を収束することもできないまでに統治能力を喪失したブルジョア支配を階級的労働運動の力で打ち倒すときである。

 被災地と4大産別を先頭に生き抜くための戦争を開始

 動労千葉の田中康宏委員長は、6・19フクシマで「今起きていることは、生き抜くための、人間が人間として生きられる社会をつくるための戦争だ。絶対に負けられない」と訴えた。
 反原発・反失業は文字通りの「生き抜く闘い」として発展し、階級的労働運動の復権をかけた国鉄闘争全国運動の意義はいよいよ明らかとなっている。反原発大闘争と一体で、1千万人大失業に立ち向かう国鉄解雇撤回・反失業大闘争を闘いぬこう。
(写真 1510人を結集して闘われた怒りのフクシマ行動【6月19日 福島】)

 労組青年部建設と非正規職雇い止め反対の闘い

 6・5大集会から8・7ヒロシマ青年労働者集会にいたる全過程で、国鉄闘争全国運動の圧倒的前進、被災地の懸命の闘いと一体で、JRをはじめ4大産別を先頭とする青年労働者の労組青年部再生の闘い、とりわけ郵政非正規ユニオンの雇い止め絶対反対の烈々たる決意と闘いが全体を牽引した。
 日本郵便の労働者の6割に達する16万人の非正規職労働者が、1カ月、3カ月単位の短期雇用・雇い止めの恐怖下で労災続出の連続深夜勤務、過重労働と最低の賃金、無権利状態を強制されている。この労働者の仲間たちが青年労働者を先頭に「自分ひとりの問題ではない」と怒りを燃え上がらせた。正規・非正規の分断をのりこえて階級支配の最深部から闘いに立ち上がったのだ。その決起の知らせは、号砲となって全国の郵政職場、4大産別と全産別の職場をかけめぐり、ともにユニオンに入って闘いたいという声がわき上がっている。連合支配とJP労組中央を揺るがして労働者自己解放の巨大な先駆けとなって発展している。
 動労千葉は昨年、今年と2度にわたってJR検修・構内業務全面外注化阻止をかちとった地平の上に、運転基地再編・組織破壊攻撃と一体となった京葉車両センター業務外注化との新たな決戦に突入した。敵の最大の弱点である「偽装請負」問題を突き、平成採獲得・青年部結成、組織拡大を最大の総括軸に、正規職・非正規職一体となった闘いを展開している。
 また、被災地を先頭に、全国の自治体職場、学校職場、民営化された年金機構事務所などにおいて、社会保険労働者525人の分限解雇撤回の闘いに続き、再任用・再雇用を含む非正規雇用労働者の雇い止め絶対反対の闘いが広がっている。
 労組交流センターの「震災解雇労働相談全国センター」とともに、合同一般労組全国協議会に結集する全国の労働組合によって、これも被災地の仙台や福島を先頭に、震災解雇との闘い、労組分会作りの闘いが急速に進められている。
 まさに、青年労働者を先頭に生き抜くための反失業大闘争が始まった。これは、大恐慌・震災恐慌下の階級戦争攻撃との激突として、絶対非和解の大決戦として発展せざるをえない。
(写真 「原発なくせ! 非正規なくせ!」と訴えた全国青年労働者集会【8月7日 広島】)

■第3章

 「復興特区」・道州制と激突――11・6国際労働者集会へ

 「復興特区」の狙いは労組破壊の階級戦争

 大恐慌下の震災恐慌と帝国主義間争闘戦での敗退、「最弱の環」への転落の情勢下で、5月27日、日帝ブルジョアジーは起死回生をかけた日本経団連「復興・創生マスタープラン」を公表し、むき出しの階級戦争への突進を宣言した。
 日帝ブルジョアジーは、「復興は単に元通りの姿に戻すことにとどまるべきではない、新しい日本の創生」などとぶち上げた。いまだ生死の境にある被災地住民を切り捨て、原発事故と放射能汚染、住民避難と補償問題について一言も触れぬまま、「復興特区」の名においてこれまで突破できなかった一切の制約を取っ払い、労働組合を解体して新自由主義を極限まで進め、被災地を手始めに日本全国の全労働者人民を食い物にしようとしている。
 「マスタープラン」は、被災地を突破口とする道州制導入そのものである。
 「復興に手間取れば、即座に国内外の競争に取り残される」とし、「まちづくり計画」として公共庁舎、公営住宅、道路・空港・港湾、上下水道、交通、医療・福祉、教育、防災、環境、廃棄物処理、電子行政などをあげ、都市計画、産業復興、農林水産業、観光、雇用など全分野にわたる規制緩和と全面的な民営化・民間開放を主張。PPP(官民共同)、PFI(民間資金活用)、市場化テストなど、あらゆる民営化手法を用いて、戦後的規制を最期的に突き崩そうとしている。
 「国全体としての産業競争力の底上げ」を掲げて・法人税と人件費をアジア各国並みに引き下げる。時間外労働時間延長の規制緩和、年単位の変形労働時間制の適用拡大、労働者派遣法に定める26業種の弾力的運用などを例示して、労働条件の徹底した切り下げを合法化する。
 結論は、安定した電力供給(原発推進)と消費増税、そして、「新成長戦略の加速」、「社会保障と税の一休改革」、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)推進であり、「風評被害」に対する早急な「原発安全宣言」を主張した。
 福島県民をはじめごうごうたる非難を浴びた海江田経済産業相の「原発安全宣言」と北海道・泊原発をはじめ停止している全原発の再稼働強行の策動はこの忠実な実行以外の何物でもない。
 これを受けて、6月20日、菅政権は「復興特区」規制緩和と「復興債」発行・大増税を核心とする復興基本法を成立させた。「21世紀半ばにおける日本のあるべき姿を目指す」として、「復興」に名を借りた道州制・国家大改造法であることを明示。犠牲の強要というべき「国民の努力」を条文化し、復興債の発行と規制緩和の「復興特区」創設をうたい上げた。
 6月20日、政府の復興会議が提言を出した。
 災害に対しては、あらかじめの「防災」という基本的考えから「減災」とするとして、国家としての災害防止の責任放棄を明示。3・11大震災を引き起こした国家犯罪を居直った。今後は、「自助」を基本とし、「自分で逃げろ」を災害に対する基本方針とした。こんなものは「災害対策」と言える代物などでは全くない。資本が、労働者住民からむしり取れるだけむしり取って、あとは勝手に死ねという、新自由主義の究極の姿である。そして具体的に、規制緩和と大増税を提言した。
 6月30日、政府は「税と社会保障の一体改革」最終案を確定し、新自由主義、「新成長戦略」にもとづく社会保障制度解体と大増税の基本方針を確認した。
 この一連の過程が示すものは何か。新自由主義による国家犯罪が大震災と原発事故の大惨事を引き起こし、今も放射能汚染を拡大している。そうであるにもかかわらず、さらに徹底して新自由主義を推し進める。「産業復興・創生」を旗印に、戦後憲法下のあらゆる制約、規制を取っ払って、社会保障制度と労働基本権・労働条件の全面解体、大増税をもって大失業=1千万人首切り・総非正規職化に突き進む。これが全労働者人民に対する挑戦であり、階級戦争でなくして何か。
 今こそ、国鉄決戦、国鉄闘争全国運動を基軸とする階級的労働運動の復権であり、反原発・反失業の闘いである。

 大失業時代の階級的労働運動

 攻撃は、青年労働者に集中している。
 昨年段階の総務省労働力調査で、15歳から24歳までの非正規雇用は45・8%、完全失業率は9・4%(図)。統計に表れない青年の実勢失業率は3割とされ、これが震災恐慌下で爆発的に増えている。すでに被災3県を除く完全失業者数ですら300万人を超えた。放射能汚染の広がる福島県の人口は200万人。東北・関東圏の膨大な数の労働者、農漁民、自営業者が生業も住居も奪われ、学生は将来の就職先すら失おうとしている。まさに1千万人規模の大失業となり、その過半が青年労働者なのである。
 生活保護受給者が200万人を超えた中で、財政危機を理由とする生活保護費の減額と「就労の意思がない」とされた失業者を生活保護の対象から外す大改悪まで検討されている。すでに被災地では、「避難所生活で住居費がかからない」、「義援金や東電からの賠償金仮払いを受け取った」などを理由に生活保護の打ち切りや停止が相次いでいる。職を失った多くの労働者が、日雇いの原発被曝労働を余儀なくされ、命を切り売りする以外に生きていけないところにたたき落とされている。
 こんな現実に労働者がこれ以上黙って従い続けると思ったら大間違いだ。被災地をはじめ、労働者の怒りは充満している。歴史的生命力を喪失した最末期帝国主義の大恐慌下の大失業は、プロレタリア革命以外に出口なしの状況に、日々刻々、全労働者階級と農漁民、中小零細業者をたたき込みつつある。
 だからこそ、3・11情勢下で「4・9政治和解」の全社会化というべき、国労、自治労、日教組など労働組合の最後的解体・変質の大攻撃が同時に進行しているのだ。国労本部は7月国労大会で闘争団員の組合員籍はく奪の「規約改正」を強行し、新人事賃金制度合意・総合労働協約締結をもって解雇・賃下げとの闘いを圧殺し、JR総連になり代わってJR検修・構内業務の全面外注化・非正規職化、戦後労働法制の解体と産業報国会化の先兵となる道を進もうとしている。
 連合・公務員連絡会は、公務員制度改革推進で労働三権のすべてを明け渡し、道州制=公務員360万人首切り・民営化を突破口とする全労働者の総非正規雇用化に道を開こうとしている。自治労本部は8月末長野大会で、資本主義防衛と国家財政再建の立場から「復興特区」を突破口とする道州制と公務員制度改革、「幼保新システム」強行と現業丸ごと民営化による首切り・9割非正規職化に最後的に舵を切り、本部打倒を求める現場組合員との激突となっている。
 まさに大失業情勢のもとで国鉄決戦・4大産別決戦が絶対非妥協で闘いぬかれるならば、国労本部や自治労・日教組本部の階級敵としての姿はあらわとなり、連合支配を根底からひっくり返すことはまったく可能である。決戦の時は来た。
(図 15〜24歳の完全失業率と非正規雇用率)

 被災地の闘い、反原発の闘いの発展へ

 被災地を先頭に、労働組合をめぐる激突が始まっている。
 被災地のある自治体当局は、業務の超多忙化の中で非常勤職員の雇い止めと闘う労組活動家の不当配転攻撃を強行した。さらに「労働組合と交渉の場は今後もたない。これからは施策の説明を行うだけだ」とまで言ってのけて、むき出しの不当労働行為を宣言した。福島県では児童・生徒の大量避難・転校のなかで、非常勤教職員の雇い止めと正規教職員の兼務辞令、新規採用の停止を強行し、労働組合解体攻撃を激化させている。
 日本経団連「復興・創生マスタープラン」がうたいあげる被災地における「復興特区」と称する無際限の規制緩和・民営化は、首切りと総非正規職化、低賃金・無権利、雇い止め雇用形態への大転換と労働組合絶滅を核心とする道州制攻撃そのものである。トヨタをはじめ、大企業が「復興特区」の規制緩和と法人税大減税、企業優遇措置と労働無権利化、「復興特需」をあてこんで、被災地に群がり、大震災・大失業に苦しむ被災地の労働者人民の生き血をさらに吸いつくそうとしている。
 しかし、被災地の怒りはこれから本格的に燃え上がる。反原発・反失業の闘いは急速に全人民化し、全面的激突となって拡大していく。全原発の停止・廃炉の闘いは、ヒロシマ、ナガサキとフクシマの怒りが結合し、「すべての原発いますぐなくそう全国会議」(NAZEN)の結成をテコに、全国の労組青年部運動を活性化させ、全国各地の9・11反原発大行動から9・19明治公園5万人集会をめぐる大闘争へさらに発展している。それは、原発産業の不当不法な偽装請負の巨大な構造の下で、日々劣悪極まりない被曝労働を担わされ続けている膨大な非正規雇用労働者をはじめとする電力労働者・原発労働者の歴史的決起を間違いなく生みだすものとなる。
 反原発の闘いとともに、放射性物質を大量に含んだ工場敷地内の建屋や土壌、貯水槽、汚泥処理の問題をめぐり、福島・郡山を先頭に全国の職場・生産点の緊急かつ切実な安全闘争(労働安全衛生闘争)が取り組まれている。動労千葉の反合・運転保安闘争をわがものとし、資本・当局に対する職場の全労働者の団結した闘いとして断固進めていこう。
 すでに被災地をはじめ震災解雇・雇い止めに直面する非正規雇用労働者の生き抜く闘いが巻き起こっている。外注化・民営化は総非正規職化の攻撃であり、ここから正規・非正規一体となった労働者の反乱が始まる。すでに産別職場の3割から6割に達している非正規雇用労働者抜きには、資本主義はもはや1日たりとも成り立たなくなっている。4大産別の青年労働者を先頭とする闘いは、資本主義の根幹を揺るがす闘いとして発展していくのだ。

 国鉄闘争全国運動の決定的意義

 3・11以来の激闘をとおして、国鉄闘争全国運動の決定的意義が明らかになっている。被災地と全国の闘いとして、国鉄闘争全国運動が労働者の団結と根底的決起を支える力となった。国鉄闘争と被災地労働運動が一つのものとして結びついた6・5大集会の成功が、6・11反原発百万人アクションの大高揚と結びつき、労働組合を結集軸とする6・19フクシマ大行動の画期的闘いを生み出した。
 そして8・6〜8・9でフクシマの怒りがヒロシマ・ナガサキの闘いと結合をかちとった。さらにアメリカの「反戦の母」シンディ・シーハンさんが来日して、8・6広島など各地で「原発を廃止するためにも戦争をやめさせるためにも必要なのは革命です。階級戦争です。私たちが闘いを止めない限り、敗北することは絶対ありません」と熱烈に訴え、圧倒的な共感を得た。8・6〜8・9は反戦・反核・反原発の世界大会となった。
 開始された階級戦争と決戦の一切は労働組合をめぐる攻防であり、その最大の戦場が1987年国鉄分割・民営化以来の最後的決着をかけた国鉄闘争である。動労千葉の外注化阻止・非正規職撤廃、偽装請負告発の大闘争に続こう。
 階級的労働運動の復権へ、国鉄闘争全国運動を押したて、結集軸として、全国の職場で闘いをまきおこそう。青年労働者の怒りを解き放ち、闘う労組青年部の再生をかちとろう。
 9・19明治公園集会の体制内的取り込みをぶっ飛ばし、9・11〜19反原発・反失業の大高揚をかちとって、11月労働者総決起を切り開こう。8・6広島〜8・9長崎、8・11沖縄、8・15東京のシンディ・シーハンさんを迎えた国際連帯の地平を引き継ぎ、11月労働者集会を国際労働者集会としてかちとろう。

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月刊『国際労働運動』(422号4-1)(2011/10/01)

翻訳資料

■翻訳資料

2011年米『国家軍事戦略』(下)

2011年2月 米軍統合参謀本部

土岐一史 訳

(9月号よりつづく)

 アジアでの軍事的な能力と可能性が向上するにつれて、われわれはより大きな地域安全保障上の協力を触発するための新たな方法を追求するであろう。わが国の結集力を高めつつ、われわれは、地域の多国間軍事演習の範囲と参加者を拡大するであろう。われわれは大量破壊兵器(WMD)拡散防止、世界的共通課題の達成、テロリズムとの対決その他の課題で、インドとの軍事協力の拡大を目指す。われわれはフィリピン、タイ、ベトナム、マレーシア、パキスタン、インドネシア、シンガポール、オセアニア諸国とのあいだの軍事的な協力、交流、訓練を拡大するであろう――彼らと協力して、国家の保全と安全を脅かす国内、国外の脅威に対処するために。このことはまた、われわれが持続可能で変化に富んだプレゼンスと域内への作戦上のアクセスを維持することを保障するものとなる。最後に、われわれは、地域のわが同盟国とパートナーの間に生じる、安全保障上の結びつきとコミットメントの発展を強力に推進する。これは地域の規範を強化し、地域の安全保障上の脅威に対処する上での責任と協力の向上に資するものとなる。
 わが国は、中国との積極的で、協力的で、包括的な関係を追求している。それは中国も責任ある指導的役割を果たすために歓迎しているものである。これを支援するために、統合軍は、中国とのより深い軍隊同士の協力を追求し、共通の利害を持つ領域を拡大し、理解を深め、誤解を減らし、誤算を防ごうとしている。われわれは、著作権侵害やWMD拡散と対決し、朝鮮半島の安定を維持するために北朝鮮に影響力を行使するという点での中国の協力を通じて、共通の利害を推進するであろう。われわれは、中国の軍備増強と、こうした軍拡が台湾海峡の軍事バランスにどのような影響を与えるかについて、慎重に監視し続けるであろう。われわれは、中国の軍備の近代化、宇宙、サイバースペース、あるいは黄海、東中国海、南中国海での強硬な主張の範囲と戦略的意味について懸念を抱き続けている。アメリカやパートナー国家の国益を守るために、われわれは、自らの意志を示し、世界的共通課題やサイバースペースへのアクセスとその利用を危うくする、あるいはわが同盟国の安全保障を脅かすいかなる国の行動にも反対するために、必要な部隊を派遣する用意を固めるであろう。
 国境を越えた脅威。アメリカの外交的、経済的取り組みと組み合わせながら、われわれは自らの結集力を高めて、国境を越えた安全保障上の脅威に対処する地域的・国際的な協力を培うであろう。自然災害や麻薬密売、著作権侵害、WMDの拡散、テロリズム、サイバー攻撃、伝染病などの国境を越えた脅威は、相互に得になる結果をもたらす協同の安全保障のアプローチをとった時に最もよく対処できることが多い。こうした脅威に対処することは、戦闘司令官が自らの地域に適応させ、地域の境界を越えて調整することのできる大まかで、しかし適応力のある政策を提供するのである。
 戦域での安全保障上の協力と人道支援。統合軍、戦闘司令官、各軍参謀長は、他のアメリカ省庁と積極的に協力して、より広範なパートナーとの間での集団的安全保障の技能を高めるため、戦域での安全保障上の協力を推し進めるものとする。われわれは、危機が訪れる前に中間機関を活性化して、国際的な相互運用を可能にすることを目指す。状況が共同作業を必要とする時は、準備は不可欠である。同様に、われわれは、戦闘司令官の責任区域の境界を越えて広範に、あらゆる不測の事態に備えた計画や訓練を行い、アメリカの外交的、経済的取り組みを支援し、危機の際の人的・経済的被害を和らげ、抑制しなければならない。人道支援と災害救助の活動は、統合軍をパートナーの必要に対処させ、時にはかつての敵同士の信頼と信用をかちとる機会を与えてくれる。それはまた、われわれがより広範な国益をかちとり、維持することを可能にする。われわれは人道上の危機に対して、合州国国際開発庁その他のアメリカ省庁の対応を支援し、促進する用意を固めなければならない。
 安全保障の分野での援助。安全保障上の援助には、われわれが国家の政策と目的を支持して、国際組織や外国政府に国防に関する論文や軍務を提供している一連のプログラムが含まれる。わが国の安全保障上の援助の効果を高めるには、わが国内の手続きの包括的な改革が必要である。よりよい、より効果的なパートナーシップを実現するには、もっと柔軟な人的・物的資源の動員、そして面倒な手続きの簡素化が必要である。われわれは、各省や各計画、統合軍の国防、外交、開発、法律の執行、諜報分野の能力養成活動などの分野にわたってより完全な取り組みを促進するため、人的・物的資源を共同的に活用する権限を追求する。  安全保障の分野での援助。安全保障上の援助には、われわれが国家の政策と目的を支持して、国際組織や外国政府に国防に関する論文や軍務を提供している一連のプログラムが含まれる。わが国の安全保障上の援助の効果を高めるには、わが国内の手続きの包括的な改革が必要である。よりよい、より効果的なパートナーシップを実現するには、もっと柔軟な人的・物的資源の動員、そして面倒な手続きの簡素化が必要である。われわれは、各省や各計画、統合軍の国防、外交、開発、法律の執行、諜報分野の能力養成活動などの分野にわたってより完全な取り組みを促進するため、人的・物的資源を共同的に活用する権限を追求する。

 D将来の戦力を形作る

 軍事力だけでない指導力にわれわれが焦点を当てる際には、われわれが自らの価値観とわが国の人民を、われわれの政治要綱や能力と同じくらい強調することが必要である。総志願兵制の軍隊は、今後もわが国の最大の戦略的長所、われわれが代表する価値観の最良の実例となるであろう。加えて、われわれは引き続き、この戦略を貫徹するのに必要なすべての能力を提供するための革新的かつ安価な方法を見出しつつ、近代化、容量、能力、態勢とリスクとの困難な二律背反をやらなければならない。

 わが国の人民

 将来の戦力を形作るために、われわれは、真に敵よりよく考え、敵よりよく革新する指導者を育て、このかつてない複雑で動的な環境でわがパートナーからの信用、理解、協力をかちとらなければならない。われわれの直面する頑固な脅威とそれが要求する国家全体のアプローチは、柔軟性、敏捷性、順応性、そして任務を達成するチームの中のチームを建設する能力を併せ持った指導者を必要としている。
 われわれは、市民・軍隊の連続体とそこに内在する課題について、もっと広く考え、関わらなければならない。軍人が、志願している間、国家に関わるように、われわれは同じく、彼らをよりよい市民として社会へ復帰させるという厳粛な誓いを負わされている。われわれは、軍人の給料や手当を守り、家族を支援し、負傷兵の世話をしなければならない。われわれは、わが軍人が戦争から帰還し、軍隊生活から市民生活へと移行するという挑戦的な大変動をやり遂げられるようにすることに一層の重点を置くであろう。彼らの実例が力になって、わが退役軍人の成功は、若きアメリカ人が軍務に就くことを鼓舞するものとなり得る。こうした努力のすべてで、われわれは常に、アメリカの価値観と社会との結びつきを強化していかなければならない。

 われわれは、率直で専門的な軍事的助言を行い、公共資源のよき提供者となり、精力的に法にかなった命令を執行することによって、選挙で選ばれた指導者と大衆への信用と信頼を維持するであろう。わが国の憲法に含まれる理想に対する軍隊の支持は、他国への高尚な手本である。われわれは基本的な価値観について宣誓し続けるであろう。文官による武官の統制は、わが共和国の核心をなす原則であり、われわれはこれを守り続ける。われわれは政治とは無関係な機関であり、全力を挙げてこの地位を守り続けると。
 総志願兵制の軍隊は、防衛する国を代表しなければならない。われわれは多様性と包括性という価値観へのコミットメントを強化し、お互いを尊厳と尊敬をもって接し続けるであろう。われわれは、すべてのアメリカ人の異なる展望、言語学的、文化的スキルの恩恵を受けている。われわれは、省庁をまたぐ、あるいは多国籍の環境で働くことができ、アメリカの他の省庁、同盟国、パートナーと連絡を取ることのできる指導者を育成するであろう。
 わが国の指導者は、負傷した退役軍人やその家族の世話をするわが国のコミットメントを最も強力に支持している。われわれは、軍人が最初に軍隊に入った日から、軍人とその家族により大きな復元力を与えるであろう。しかしわれわれは、医療費の高騰によりよく対応することによってこのコミットメントのバランスをとらなければならない。われわれは、自殺、外傷性脳損傷、薬物乱用、ホームレス、家庭内暴力その他の悲劇的なリスクを減らすための早期予防行動に焦点を当てるであろう。ますます注意力を傾注しているにもかかわらず、自殺は依然として、すべての軍務における厳しい脅威である。外傷性脳損傷と心的外傷後ストレスも同様に破壊的となっており、数十万人の軍人や退役軍人を蝕んでいる。あらゆる意味で、これらの問題はわが国の人民にとって最大の脅威であり、わが公共機関にとって戦略的リスクである。
 われわれは、軍人、退役軍人、その家族が早期解決にたどり着くのを妨げている不名誉をなくすために行動し、現在実施している活動の数と複雑さを単純化しなければならない。これは、指導のみが解決できる困難で、難解で、複雑な問題である。これを成し遂げるため、われわれは、退役軍人の介護を向上させるために他の政府省庁や公共機関(コミュニティー、州、連邦)の能力を強化するであろう。最大に機能したプログラムに焦点を当てて拡充し、機能していないプログラムは廃止しなければならない。われわれはこれをもっとしなければならず、するであろうが、公私のパートナーシップを含む介護を確立することによって、初めてわれわれは前進することができるのである。
 われわれは注意深く伝来の人事制度を見直し、とりわけ制服組、背広組、契約専門家、それから現役・予備役の適正なバランスが取れているかについて見直しを行うであろう。この点で、サイバースペースという新たな戦闘領域には特別な注意を払う必要がある。予備役もまた、統合軍の戦略的・戦術的な深みをもたらす上で不可欠である。同様に、予備役を動員しやすく、いつでも利用可能な軍隊として維持することにも引き続き注意を払う必要がある。
 われわれは、予備役の即応態勢について重要な前進をかちとってきた。これは今後も重要な領域となるであろう。われわれの遂行する任務は、われわれがますます民間の相手と協力していく中で、ますます多種多様となっている。同様に、予備役や州兵のスキルや経験もまた、かつてなく現実に適合したものになっている。こうした前進を十分に生かすには、われわれは引き続き、予備役と州兵を、定期的で予測可能な派兵に備えて、訓練され、充分な装備をつけ、即応でき、入手可能な作戦能力を備えた軍隊として活用しなければならない。

 能力と即応態勢

 われわれの国も軍隊も財政がますます逼迫しており、国防予算の拡大を当てにすることはできない。こうした財政逼迫に対応しつつも、われわれは図体だけは大きくて、即応性、訓練、必要な近代的装備を欠いたウドの大木になってはならない。そうではなくて、われわれは、質の高い人材を有し、正しい能力を守り発展させ、作戦上、制度上、軍隊運営上、将来の脅威のリスクを効果的に緩和する持続可能なテンポを維持する統合軍全軍を維持するであろう。われわれは自国の技術的優位性を維持し続け、わが国の産業的基盤が、わが軍があらゆる不測の事態に打ち勝つのに必要な能力と容量を展開することができるということを保障しなければならない。同時にわれわれは、費用を抑える新たな装備や技術の導入によって、計画的な取得プロセスの改善と選択的な戦力の近代化を追求するであろう。

 能力。戦時に形作られたわが国の戦略は、あらゆる範疇の軍事作戦に従事できる、モジュール化され、適応力があり、汎用的な軍隊を展開するところに眼目がある。統合軍は、緊急召集に部隊を集結させる能力を高め、敏捷な司令・管制システムを配置し、わが国の他の省庁とますます相互運用のできる組織に自らを高めるであろう。軍は適材適所で活動し、治安部隊を支援する専門知識を豊富にするであろう。統合軍は本質的にますます遠征軍にならなければならず、燃料とエネルギーの大量消費を減らすことによって兵站物資を減らすことが求められるだろう。加えて統合軍は、悪条件の空、海、サイバー、宇宙環境で訓練と演習を行わなければならない。
 統合軍は地球規模で、全側面にわたってアクセス、行動の自由、戦力展開能力を保障しなければならない。
 ・陸。統合軍は、全領域の作戦をこなす軍隊となり、持続可能なローテーションのもとで活動する適用可能でネットワーク化された多目的組織として組織されるであろう。  ・陸。統合軍は、全領域の作戦をこなす軍隊となり、持続可能なローテーションのもとで活動する適用可能でネットワーク化された多目的組織として組織されるであろう。
 ・海。統合軍は、個々の任務に適応した小さいユニット・艦隊と、多くの任務をこなせる大きいユニット・艦隊との適切な混合体で構成されるであろう。それは、あらゆる海域にわたる一切の海洋作戦を遂行する能力をもたらすであろう。  ・海。統合軍は、個々の任務に適応した小さいユニット・艦隊と、多くの任務をこなせる大きいユニット・艦隊との適切な混合体で構成されるであろう。それは、あらゆる海域にわたる一切の海洋作戦を遂行する能力をもたらすであろう。
 ・空。統合軍は、妨害を受けていない領域へのアクセス、地球規模の空爆、地球規模の迅速な機動力、地球規模に統合された諜報・探査・偵察(ISR)、指揮・統制を確保・維持・保障するために全領域での作戦を展開し、遠方やアクセスが妨害されている環境へ戦力を展開する能力を確保するであろう。  ・空。統合軍は、妨害を受けていない領域へのアクセス、地球規模の空爆、地球規模の迅速な機動力、地球規模に統合された諜報・探査・偵察(ISR)、指揮・統制を確保・維持・保障するために全領域での作戦を展開し、遠方やアクセスが妨害されている環境へ戦力を展開する能力を確保するであろう。
 ・宇宙。統合軍は弾力性のある構造を追求し、状況把握に重点を置き、自衛と再構成のためのオプションを提供し、敵を抑止するための対称的・非対称的能力を維持し、劣化する宇宙環境の中で作戦に備えて訓練するであろう。  ・宇宙。統合軍は弾力性のある構造を追求し、状況把握に重点を置き、自衛と再構成のためのオプションを提供し、敵を抑止するための対称的・非対称的能力を維持し、劣化する宇宙環境の中で作戦に備えて訓練するであろう。
 ・サイバースペース。統合軍は米軍用の「mil」ドメインを確保するであろう。これには探知、抑止、排除、多層防御を一体化させた方法を採用した、弾力性のある国防総省のサイバースペース体制が必要である。われわれはサイバースペースの能力を向上させ、統合軍がより少ない費用と付随する打撃がより少ない方法で、重大でバランスの取れた効果を上げられるようにするであろう。  ・サイバースペース。統合軍は米軍用の「mil」ドメインを確保するであろう。これには探知、抑止、排除、多層防御を一体化させた方法を採用した、弾力性のある国防総省のサイバースペース体制が必要である。われわれはサイバースペースの能力を向上させ、統合軍がより少ない費用と付随する打撃がより少ない方法で、重大でバランスの取れた効果を上げられるようにするであろう。
 統合核戦力は引き続き、確実な報復能力の整備を通じて戦略的安定を支えるであろう。われわれは、わが国の核戦力が引き続き効果的で、安全で、安定していることを保障するであろう。不測の地政学的脅威、技術的問題、作戦上の脆弱性に対抗するために、充分な核戦力体制を維持するであろう。
 統合特殊作戦は、分散した柔軟な軍隊であり続け、地域の専門知識を持ち、わが国の反テロリズムの取り組みその他、特殊作戦軍固有の特質を必要とする任務を支援する広範な能力を維持するであろう。そして特殊作戦軍の成功にとって決定的な成功要因を増やすであろう。
 知識に基礎を置いた今日の状況では、作戦上の取り組みは、軍の割り当ての面からだけでなく、ISR(インテリジェンス・監視・偵察)能力の割り当ての面からもますます優先されるようになっている。より小さな軍隊、より少ない兵站物資で適正かつ望ましい効果を生み出す能力は、健全なISR体制にかかっている。すべての領域で、われわれは情報の共有、処理、分析、宣伝を強化し、意志決定者をよりよく支援するであろう。われわれは指揮・統制能力の生存率を高め、冗長性により弾力的に対応できるようにし、人間による諜報能力を高めるであろう。そのためには、われわれは、単にISR能力の密度を濃くするという発想から、ISR提供者を雇い、一体化する方法論を評価するという発想へと転換しなければならない。統合軍は、陸・海・空・海兵隊の垣根を越えて効率的にISR提供者を雇って配置し、相互に促進し合い、または同じ領域で活動することの多いISRとサイバースペース作戦との結びつきを強化しなければならない。
 世界中のいかなる軍隊も、統合軍の攻撃、兵站、戦略的機動力、作戦立案、指揮・統制能力には及ばない。われわれは統合作戦コンセプトを探求しつつ、基地を機動的でより生存性の高いものにし、海上機動力を高め、宇宙の革新的利用を推進するであろう。われわれはこの優位性と能力を維持して、この他国を上回る優位を拡大するであろう――わが国だけが持つ能力が、そうした取り組みを増強するからである。こうした得意分野の能力をパートナーに貸し与える、または危機の際に彼らを立ち上がらせることは、パートナーへの正しい投資であり、長期の友好を生み出すのである。
 即応態勢。即応態勢もまた、引き続き他の何よりも優先されなければならない。わが軍隊、システム、能力は尋常ならざるストレスにさらされ続けるからである。即応態勢は、戦闘司令官が割り当てられた任務を遂行するのに必要な能力を供給・調整する能力である。即応態勢を回復することは、あらゆる作戦を実行するわが軍の戦略的深みを増すことにつながる。即応態勢は、度重なる戦闘によって劣化するからである。
 即応態勢を向上させる短期的な取り組みは、装備をリセットし、ユニットを再構成することに重点が置かれるであろう。時には――特にローテーション制の遠征軍では――一足飛びに実現するであろう。われわれはリセットするごとに、より全面的な、統合され、結合され、省庁をまたいだ、あるいは多国籍の訓練、演習、実験を行うことができるようになるだろう。前方展開と交戦は、この間より重要度を増すことになるだろう。長期的な近代化の取り組みは、湧き上がる脅威をしのぐのに不可欠な能力と可能性を発展させることによって即応態勢を向上させるであろう。軍事作戦の全面にわたる即応態勢のこれ以上の劣化は、わが国防の目的を達成する能力を掘り崩すものになる。これは容認できないリスクである。
 われわれは、「統合された」能力とコンセプトに重点を置いた、統合軍、あるいはユニットの即応態勢を評価するより効果的な方法を開発するであろう。継続的な即応態勢を必要とする任務に責任を負いつつも、われわれは、不慮の出来事のあいだ、紛争を抑止し、正確に対応するために、陸軍、海軍、空軍、海兵隊の垣根を越えた統合軍の即応態勢を測定する戦略的コンセプトを開発しなければならない。われわれは要求から能力へのプロセスを合理化し、軍隊の供給者を軍隊の指揮者の必要に同調させるであろう。

 結論

 本戦略は、戦略的環境について、そしてその中でわが国がいかに国益を前進させるかについての徹底的な評価に基づいている。これは、国の安全保障上の脅威に立ち向かう国家をあげてのアプローチを可能にすることによって、統合軍がアメリカの軍事的指導力を再定義する方向について書いている。本質的に真に国際的な問題に対処するには、実に多彩な指導的アプローチ――調整者、助言者、召集者、保証人としての――が必要である。われわれの指導的アプローチは、自らが持っている能力を増幅させ、それは有利な結果を保障するためにも重要なものとなっている。わが国の指導能力は、この戦略的転回点において、われわれがどれだけアメリカの国益を前進させることができるかを決するのである。
 本戦略はまた、持続せる戦闘任務にかかり切りになった軍隊から、将来に向けて形作られた統合軍への転換のベクトルも定めている。われわれの直面する脅威が、統合軍が柔軟で、敏捷で、適応力がある軍隊であることを求めている以上、本戦略も政治要綱と同じくらい人民を強調している。他の省庁と手を取り合って進み、官民パートナーシップに支えられたわが軍人の独特のあり方こそ、他を圧倒する利点であるということを本戦略は認める。われわれは引き続き、軍務の内と外とを問わず、軍人とその家族の世話をし、彼らが成功を続けるための条件を整えなければならない。それには議会、アメリカ人民、そして思慮深く、反省をする軍事指導部の支えが必要であろう。アメリカの安全保障と繁栄に成功裡に貢献することによって、われわれは引き続き、わが国の不朽の国益を21世紀に向かって前進させるであろう。

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月刊『国際労働運動』(422号5-1)(2011/10/01)

■Photo News

 ●歴史的な決起開始したイスラエル労働者

  (写真@A)

 8月6日、低賃金と物価騰貴に抗議するイスラエル史上最大の30万人を超えるデモが行われた(写真@)。8月1日には公務員の10万人ストが闘われた。医療労働者や清掃労働者もストに突入した。この闘いは新自由主義攻撃の満展開の下での、住宅価格、食料品の値上げに対する労働者階級の反撃の闘いとして、既成労組の制動を打ち破って勝ち取られたものだ。また「エジプト人のように進もう」というスローガン(写真A)に象徴されるように、イスラエルにおける資本との闘いを通じて、ユダヤ人とアラブ人の宗教的・民族的対立を乗り越えた新たな両者間の階級的連帯の闘いが開始された。

 ●反乱する英青年労働者

 (写真BC)

 イギリスでは、黒人青年の警官による射殺事件を契機として8月6日にロンドンで暴動がおき、全国に拡大した(写真BC)。この暴動は、大恐慌情勢下での緊縮政策の強化に対する、失業中の青年労働者の怒りの爆発としておきた。住宅補助金や生活補助金の削減は、職のない青年労働者の命さえ奪おうとするものだ。「生きさせろ」と要求する青年労働者の怒りの決起は、必ずやイギリス帝国主義を打倒する闘いへと発展するであろう。

 ●中国労働者の闘い

  (写真DE)

  (写真FG)

 8月2日から湖南省長沙市の鉄道労働者がストライキに突入した。長沙機関区の運転手300人以上がストに参加している(写真D)。数カ月にわたって残業代が支払われないうえ、特別手当もなく、超過労働が続いて10日以上も自宅に帰れないことへの抗議のストライキだ。基幹産業の労働者のストライキがついに開始された。
 8月1日には、上海と杭州でタクシードライバーのストライキが行われた。燃料費の高騰、手数料や老後保障がないことへの抗議のストライキだ(写真EF)
 8月3日には、貴陽の衣服工場で労働者がストライキに入り道路を封鎖した(写真G)

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月刊『国際労働運動』(422号6-1)(2011/10/01)

世界経済の焦点

■世界経済の焦点

中国バブル崩壊の切迫

インフレ抑制で不動産暴落する瀬戸際

 中国の不動産バブルはいよいよ崩壊を遂げる最終局面を迎えている。
 中国政府は過熱的に上昇を続ける不動産価格に危機感を抱き、銀行の不動産向け貸し出しの抑制、住宅ローンの頭金比率の引き上げと優遇金利の撤廃、地方政府への指示などによって不動産売買を抑制しにかかっている。
 だが、一定の経済成長を維持しながらバブルを沈静化させようなどという中国スターリン主義当局の思惑は、実現するはずもない。中国不動産バブルの崩壊は、労働者農民の極限的搾取・収奪の上に成り立ってきた「経済発展」の全矛盾をあばき、中国のスターリン主義官僚支配を根本から揺るがす体制的危機へと激化する。そしてさらに大恐慌下の世界経済をより一層危機と混乱の中にたたき込む決定的引き金となるだろう。

 □不動産バブル

 2008年のリーマン・ショックの直後、中国スターリン主義は素早く4兆元(49兆円)という史上最大の巨額の財政出動を行い、金融緩和政策を実行した。そのためもともとバブルの渦中にあった不動産にさらに投機的資金が押し寄せ、価格高騰に拍車がかけられた。
 05年12月と比較して現在の中国の不動産価格は主要な都市で40%近く上昇した。今や調整局面に入ったとも言われるが、価格が高止まりしている状態が続いているのだ。沿海部だけでなく内陸の都市においても、住宅建設ラッシュが続き価格が上がっている。
 電力関連の資料によると、中国全土に「睡眠状態」にあるマンションは7千万戸に達している。すなわち電気が使われていない、人が住んでいない、値上がりすることだけをじっと待っているマンションが7千万戸(1戸あたりの住人を3人とすると2億人分以上)あるというのだ。
 もちろんこうした投機に参入するのは真っ先に富裕な層の人びとだが、労働者庶民がこつこつためてきたなけなしの金でマンションを購入し値上がりを待っているのもすでに珍しいことではない。
 日本でも見られたように不動産価格の上昇とそれを担保にした借金の膨らみは社会全体をのみこみ、見かけの好景気をつくり出して、部分的には実体経済をも拡大する。しかしそうしたおびただしい数の高額不動産物件が、結局だれも引き取らないという現実に直面したとき、まさに見せかけの繁栄と活気は泡のように弾け、返すことができない膨大な借金ばかりが積み上げられた現実が目の前に現れるのだ。その時がまさに迫っている。

 □債務の拡大

 この30年間にわたり中国政府は無理を重ねても高い成長率を維持していくために、貨幣の過剰供給を行って投資の拡大をはかってきた。その矛盾が膨大な債務拡大の危機となって堆積してきたのだ。
 ある試算によれば、中国全体の公的債務は28兆元(342兆円)で、2011年の国内総生産(GDP)の70%にもあたる。その上今後数年間で10%以上も増加する見通しである。
 その半分は地方政府による債務である。中国国家審計署は昨年末現在の地方政府の債務残高が総額10兆7000億元(131兆円)であることを初めて公表した。
 格付け会社ムーディーズはこの額は過小に見積もられた金額で本当は14兆2000億元(174兆円)に達し、このうち最大で6兆元(73兆4000億円)は回収不能だとしている。いずれにしても途方もない数字だ。
 これは、採算を度外視しても強行されてきた住宅やインフラの開発、建設、景気過熱の当事者が地方政府である事実を端的に表すものである。 中国では地方政府が起債する資金調達は原則禁止されている。地方政府は都市開発や地下鉄などのインフラを整備する際には「融資平台」(プラットホーム)と呼ばれる法人(ダミー会社)を設立し、これが銀行から融資を受けたり社債を発行して資金調達する。
 地方政府は自らがもつ土地の使用権を節操なく企業に売却することで、法外な収入を得て、あるいは債務返済の財源としてあてにしてきた。当然にも地方の政府・官僚に賄賂政治の腐敗を骨の髄まで体質化させてきた。
 そしてこれらは現にそこに住み生活を営んでいる労働者・農民を官憲の暴力を使ってたたき出し、あるいは生活環境をとことん破壊する反人民的暴挙となって繰り返されてきたのである。
 こうした開発と経済成長のからくり全体が、一挙に崩壊するふちに立っている。もちろん地方政府の破綻は、中央政府そのものの危機となって爆発せざるをえない。

 □物価高騰・インフレ

 金融緩和、貨幣の過剰供給はインフレ、物価高騰となって庶民の暮らしを直撃している。
 中国国家統計局が7月9日に発表した今年6月の消費者物価指数は前年同月比で6・4%上昇。5月の5・5%を大幅に上回る。食品の上昇率はとりわけ高く、14・4%。非食品は3・0%だ。
 中国商務省の統計によると、6月27日〜7月3日の週の全国の豚肉卸売り価格は、前週に比べて2・83%値上がりし、1`あたり24・71元(306円)となった。
 この1年間で、中国人民の食卓に欠かすことのできない豚肉の価格は8割も高騰した。直接の原因は、感染病の蔓延で養豚業者が激減したことや、飼料価格の値上がりとされているが、この豚肉の値上がりが消費者物価高騰に拍車をかけ、労働者人民の生活を締め上げている。
 政府はこの間、労働者の賃金上昇を強く推進する政策をとってきたが、それもインフレを促進する一因となっている。その背景には農村における潜在的労働力の不足の露呈という問題がある。
 これまで中国農村には「無尽蔵」の労働力があるかのように言われ続けてきた。そして農民工の賃金は極限的なまでに低く落とし込められ、その「安価な労働力」を武器に中国製品は輸出競争力を発揮し、またそれをあてにして外国企業の投資を呼び寄せてきた。そのことが全世界的な低賃金構造を蔓延させ、帝国主義が新自由主義政策を繰り広げる土台をつくり出したのだ。
 この間、中国人民銀行(中央銀行)は預金準備率を数次にわたって引き上げ、政策金利を引き上げるなどして、インフレを抑えるために躍起になっている。
 だが、労働者人民の生活は、賃金ベースの上昇も打ち消してしまうほどのすさまじい物価高騰によって直撃されている。こうした生活苦と格差への怒りと不満が、各地で頻発する暴動的決起の引き金となり、中国スターリン主義体制を脅かしているのである。

 □高速鉄道事故

 7月23日、浙江省温州で中国高速鉄道「和諧号」が追突、脱線、転落する事故が起き、200人を超える死傷者を出した。中国の独自の技術開発と経済発展のシンボル的な存在として宣伝されていたこの鉄道が、とんでもない安全無視によって大事故を起こしたのだ。
 中国の高速鉄道は05年に建設が本格化し、07年から運行を開始し、今や総延長は8千`を超えた。日本の新幹線が3分の1以下の2300`であることからすれば、わずか5年で3倍以上の距離を敷設したことになる。これ自体いかに拙速で無謀であることかは容易に想像できる。
 事故直後、当局は壊れた車両を高架橋から地面にたたき落とした。落下していた運転席のある先頭車両については、現場で破壊して穴に埋めようとした。証拠隠滅そのものだ。そうした映像の一部始終が世界に流され、事故の2日後には事故現場の惨状を残したまま、この線の運行は再開された。遺族に対しては「賠償に早く応じれば奨励金を払う」と露骨な口封じがもちかけられた。
 国内外からごうごうと非難の声があがることで、28日に温家宝首相が現地入りして「原因究明」「安全重視」を口約束することで、遺族らの怒りと抗議を、ひいては全中国人民の怒りを沈静化しようとした。
 安全無視、人命軽視、速度競争、拙速主義、隠蔽主義――。およそ鉄道事業にあるまじき体質をすべて備えたこの中国高速鉄道は現在の中国スターリン主義の経済成長重視政策の行き着いた結果である。
 まさに、労働者の闘いなくして安全はない。

 □暴動の多発

 中国全土では毎年10万件の暴動事件が発生していると言われている。
 「暴動」とはもちろん労働者、農民、地元住民、被抑圧民族などによる生きるための闘い、武装決起、ピケット行動、デモ、ストライキなどのことだ。そのすべての詳細は報道規制などによって明らかではないが、これまでの中国の「経済発展」の内実――、すなわち企業への土地の使用権の無節操な売却、インフラや住宅などの無計画的な投資・開発・建設の強行、暴力を使っての住民の土地追い出しなどの暴挙に対する真っ向からの否定として激発しているのである。
★7月30日、新疆ウイグル自治区カシュガル市で「襲撃事件」が発生。市政府によると、深夜同市グルメ街で信号待ちをしていたトラックを男2人が乗っ取り、通行中の民衆に突っ込んだ上、通行人を次々と襲い、6人を刺殺し、28人にけがを負わせた。市当局は、「事件は反政府組織が周到に準備したテロ攻撃」と断定し、同様の「事件」と併せて、ウイグル族と見られる人びとへの逮捕・拘禁などの弾圧を強めている。
★8月1日、浙江省杭州市では、営業するタクシー約8000台のうち、半分ないし3分の2の車両の運転手がストライキを行った。彼らは初乗り料金の引き上げと社納金などの引き下げを要求。ガソリン価格の高騰で営業収入が減少する一方、物価の上昇の追い打ちで生活が苦しくなっていると訴えた。杭州市当局は臨時補助を出しながら、今年の10月末までに運賃の改定を行う方針を出した。
★8月2日、中国湖南省長沙の長沙駅で、タクシー運転士らによる数百人規模の抗議活動が闘われた。彼らは駅の階段で座り込み、残業代が数カ月にわたって支払われていないことや、10日以上帰宅できないこともある過酷な勤務に抗議。その様子はツイッターの中国版「微博(ウェイボ)」で書き込まれた。
★8月14日、中国遼寧省大連市で化学工場の移転を求めて大規模な抗議行動が闘われた。福佳大化石油化工(民営)の工場はポリエステル・フィルムや繊維などの原材料となるパラキシレンを生産している。この有毒物質に対し、14日早朝から若者を中心に住民数千人が大連市庁舎前に集まり、終日抗議行動を展開した。参加者の数は1万2千人に膨れ上がり、市当局はついに工場を閉鎖する決定を下した。
(写真 中国遼寧省大連市の市政府庁舎前で化学工場の撤去を求め抗議する市民【8月14日】)

 □堆積した全矛盾が噴出

 中国スターリン主義は搶ャ平の改革開放路線以来、スターリン主義官僚による支配統制を維持・強化しながら、そのもとで「市場原理」=商品経済を満展開し、外国資本の投資を呼び込み、企業や「資本家」を育成して激烈な競争と金もうけに駆り立てて、開発と経済成長を進めるという前代未聞の道をたどってきた。中国は、スターリン主義特有の海外戦略を展開し、資源争奪に明け暮れ、軍備を強化している。また一方で米国債を大量に購入して米帝を必死で支える存在となっている。その歴史的に堆積した一切合切の矛盾が、中国を不動産バブル崩壊という決定的な危機に直面させているのだ。
 中国労働者階級人民はその激動の中で、生きるための闘いに立ち上がっている。彼らの苦闘と具体的に結合することで、世界革命への国際連帯が一層現実のものとなることを確信できる。
 (田宮龍一)

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月刊『国際労働運動』(422号7-1)(2011/10/01)

世界の労働組合

■世界の労働組合 ドイツ編

教育・科学労働組合(Gewerkschaft Erziehung und Wissenschaft:GEW)

 ■概要

 GEWはドイツで最大の教育労働者の組合であり、2010年現在26万人以上の組合員を有する。ほとんどが教育関係の労働者で公立・私立双方の教育労働者を含み、幼稚園教育から大学や研究機関などの高等教育に及ぶ広範な層を網羅する。また、組合員にはデイケア・センターやユース・センターで働くソーシャルワーカーや看護師なども含まれる。
 GEWは1948年に設立され、ドイツ労働総同盟(DGB)傘下の8つの産業労働組合の1つであり、フランクフルトに本部を置く。国際教員組合(Education International)に加盟し、委員長のウルリッヒ・トーネ(Ulrich Thone)はその執行委員でもある。  GEWは1948年に設立され、ドイツ労働総同盟(DGB)傘下の8つの産業労働組合の1つであり、フランクフルトに本部を置く。国際教員組合(Education International)に加盟し、委員長のウルリッヒ・トーネ(Ulrich Thone)はその執行委員でもある。

 ■ドイツにおける教育労働者の労働形態

 ドイツの公立学校に勤務する教員は基本的に州単位で任用・雇用されるが、各州の定める州官吏法にもとづき任用される官吏と、「諸州における公務労働契約」にしたがって雇用される公務被用者に大別される。官吏が3年間の試用期間のあとは非行などを除き任用を取り消されることがないのに対して、公務被用者は試用期間については半年であるものの15年間勤務してようやく解雇されない権利を得るといった身分保障の仕組みが違い、また給料表も異なっている。しかし、公務被用者は官吏と異なり労働争議権を持つ。
 ドイツではフルタイム労働を必ずしも前提としない公務員法制が制定されているので、広範なパートタイム労働が見られる。特に学校教員の約40%はパートタイム労働であり、これは総授業数の3 分の1 を担うほどの規模である。また、パートタイム労働に就く教員の割合は漸増しており,その85%を女性が占める。さらに、教員全体に占める女性の比率は継続的に上昇し、現在では約70%に達している。  ドイツではフルタイム労働を必ずしも前提としない公務員法制が制定されているので、広範なパートタイム労働が見られる。特に学校教員の約40%はパートタイム労働であり、これは総授業数の3 分の1 を担うほどの規模である。また、パートタイム労働に就く教員の割合は漸増しており,その85%を女性が占める。さらに、教員全体に占める女性の比率は継続的に上昇し、現在では約70%に達している。
 また、ドイツでは教員の半数以上が50歳以上で、教員の平均年齢は諸外国に比べて著しく高い。

 ■GEWの闘い

 GEWは、こうした労働者の労働形態に即したきめ細かな対応が求められている。パートタイム労働が法制化されて以来の30年間で、GEWの組合員の70%以上が女性となり、また高齢化も進んでいる。GEWは、女性労働者の社会における地位確立を目指したさまざまな取り組みを行い、また若い教育労働者を育てるプログラムも実施しており、現在では「GEW青年部」の設立に力を注いでいる。
 公務使用者である公立学校の教育労働者は労働争議権を持つことから、GEWは2009年1月には教員の賃上げを要求して全国的なストライキを呼びかけ、労働争議権を持たない官吏に対してはスト破りの授業を行わないよう署名を求めるなどの大規模な闘いを展開した。
 今年に入って2011年4月には、高齢の教員の負担を軽くするために、55歳からは週1時限、60歳からは週2時限の授業時間削減を要求し、GEWは、公教育に携わる教育労働者にベルリンでのストには5000人以上の教育労働者が参加し、巨大なデモが行われた。
(写真 GEWのストライキ【2011年4月5日 ベルリン】)

 ■反原発への取り組み

 日本の3・11の東日本大震災によって引き起こされた原発事故は、世界中に大波紋を広げているが、GEWは3月17日開催の組合幹部会で1つの宣言文を採択した。これは日本の災害を受けた宣言で、原子力エネルギーとの決別を明言している。
 「われわれは教育者の組合として、今日および将来世代が人間の尊厳ある健やかな生活を送れることを目指しており、そのため原子力エネルギーの利用を明確に拒否する。原子力発電所の稼働延長を即刻撤回し、脱原発を貫くことを要求する。大学講義や授業、保育、研究会、公的な催しなどにおいて、青少年や大人が日本の災害を正しく理解する手助けをし、原子力の危険性に批判的に対決するよう、組合員に呼びかける」
 GEWはすでに1980年に原子力のエネルギー利用を拒否する採択をしているが、3・11を機にその立場を強めていく決意を発表したことになる。日本の教職員組合も一致団結して子どもたちを原発から守るために全力を挙げていかなければならない。

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月刊『国際労働運動』(422号8-1)(2011/10/01)

国際労働運動の暦

■国際労働運動の暦 10月8日

■1967年10・8羽田闘争■

70年闘争を切り開く

 ベトナム参戦国化と日米安保強化に反撃し階級闘争の転換かちとる

 「ジュッパチ」と呼ばれる1967年10月8日は、戦後の日本階級闘争の歴史を塗り替えた日だ。生死をかけた血みどろの闘いは全世界に衝撃を与え、ベトナム反戦闘争の全世界的高揚ののろしとなった。
 佐藤首相の南ベトナム訪問は、当時泥沼化し始めていたアメリカ帝国主義のベトナム侵略戦争に、日本帝国主義として公然と協力する、そのために日米安保を強化することを宣言するものであり、日本のベトナム参戦国化を明確にするたくらみだった。
 前年66年秋の革共同第3回大会は、反帝国主義・反スターリン主義世界革命戦略を打ち立て、「戦後世界体制の根底的動揺の開始」の時代認識を鮮明にさせ、70年安保闘争の爆発を切り開く戦闘宣言を発した。同年12月には、60年安保闘争以来の苦闘をのりこえて全学連が再建された。また、65年に総評と社会党の主導で結成された反戦青年委員会が、各地の闘う青年労働者の力で内側から戦闘的につくり変えられていく過程でもあった。

 ●「弁天橋を渡れ!」

  弁天橋の阻止線を突破して、滑走路を占拠して佐藤の飛行機を阻止する――これを本気で目的意識的に追求したのが10・8闘争だ。
 この日朝、全学連主流派の1500人の部隊は、集会場の萩中公園に着くや、そのまま隊列を組んで駆け足で1・5`先の弁天橋に殺到した。機動隊の阻止線を2カ所で突破した。
 権力は、弁天橋に装甲車を並べて封鎖した。学生たちは装甲バスを一斉に乗り越え始めた。バスの上に赤旗が翻り、学生は次々とバスの向こう側の警官隊の中に飛び降りていった。警察は放水をバスの上の学生めがけて撃ち込んだ。多くの学生が橋の下の海老取川に転落した。
 攻防の中で、警察バス車両を学生が奪取した。バスのスピーカーから「こちらは全学連主流派。バスを先頭に突入します」の放送が流れ、学生および周辺に集まってきた住民、労働者から一斉に歓声が上がった。
 機動隊がガス銃を撃って襲いかかってきた。この闘いの中で、京大生山崎博昭君が機動隊に虐殺された。その報は、近くの穴守橋付近で闘っていた反戦青年委員会2千の大隊列にもたらされ、全体が弁天橋方向に移動し、全学連とともに闘った。この隊列に機動隊は襲撃を加えてきた。彼らは恐怖に駆られ、警棒を振り下ろし、無差別の暴行を加えたが、労働者学生は激しい肉弾戦を闘い抜いた。

●激動の7カ月

 10・8羽田闘争は、日帝権力を震撼させた。権力の大弾圧、マスコミの「過激派」キャンペーン、日本共産党の敵対(彼らはこの日多摩湖畔で「赤旗まつり」に興じていた)などが一斉に襲いかかってきた。だが逆にそれは10・8闘争のめざましい革命的役割を証明していた。弾圧の凶暴さは、革命の現実性に対する敵の恐怖の現れだった。死を賭してベトナム侵略戦争に反対する闘いの正義性は何人も否定できなかった。
 何よりも、青年労働者に巨大な衝撃を与え、「全学連のように闘おう」「学生と連帯しよう」という声がわき上がった。反戦青年委員会の隊列は急速に膨れ上がった。ちょうど67年10月8日は、キューバの革命家チェ・ゲバラがボリビアの地で反革命の手に落ち殺害された日でもあった。ゲバラが遺した「第2、第3のベトナムを」のスローガンを習って「第2、第3の羽田を」が合言葉となった。
 その後、11・12佐藤訪米阻止闘争(第2の羽田)、68年1・17〜21の佐世保闘争(米原子力空母エンタープライズ寄港阻止闘争)、2・26、3・10、31の三里塚闘争、王子野戦病院開設阻止の3、4月連続闘争は「激動の7カ月」と呼ばれた。そして、それはその後の日大闘争、東大闘争、米軍タンク車貨車輸送阻止の新宿闘争(10・21騒乱罪)、69年〜71年の安保・沖縄闘争の大高揚につながっていった。「10・8のように闘おう」は、70年闘争以後の青年労働者・学生の基本精神となった。
(写真 羽田・弁天橋で機動隊の装甲車に殺到する全学連【1967年10月8日】)

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 10・8羽田闘争前後の主な闘い

1967年
  5.28 砂川基地拡張反対闘争に12000人   5.28 砂川基地拡張反対闘争に12000人
  8. 6 広島反戦闘争に2500人、10月闘争誓う   8. 6 広島反戦闘争に2500人、10月闘争誓う
  9.14 法政大学で機動隊導入、285人逮捕   9.14 法政大学で機動隊導入、285人逮捕
10. 8 佐藤南ベトナム訪問阻止羽田闘争 10. 8 佐藤南ベトナム訪問阻止羽田闘争
10.10 三里塚、外郭測量阻止闘争 10.10 三里塚、外郭測量阻止闘争
10.13 日比谷で反戦青年委員会7000人集会 10.13 日比谷で反戦青年委員会7000人集会
10.17 山崎博昭君虐殺弾劾中央葬 10.17 山崎博昭君虐殺弾劾中央葬
10.19 米軍タンク車輸送に反対し順法闘争 10.19 米軍タンク車輸送に反対し順法闘争
10.21 アメリカを中心に全世界でベトナム反戦国際統一行動、東京では6万人 10.21 アメリカを中心に全世界でベトナム反戦国際統一行動、東京では6万人
11. 3 三里塚で反対同盟と共催の集会 11. 3 三里塚で反対同盟と共催の集会
11.12 佐藤訪米阻止羽田闘争 11.12 佐藤訪米阻止羽田闘争
1968年
 1.17〜21 米原子力空母寄港阻止佐世保闘争  1.17〜21 米原子力空母寄港阻止佐世保闘争
 2.26 三里塚闘争、機動隊と衝突  2.26 三里塚闘争、機動隊と衝突
 3.28 全学連49学生が米軍王子基地突入  3.28 全学連49学生が米軍王子基地突入
 4. 1 王子で市民の抵抗が爆発  4. 1 王子で市民の抵抗が爆発
 4.21 全学連、反戦が7000人決起  4.21 全学連、反戦が7000人決起

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月刊『国際労働運動』(422号9-1)(2011/10/01)

日誌

■日誌 2011年7月

1日東京 郵政非正規職ユニオンが抗議行動
東京多摩郵便局で郵政非正規職ユニオンによる雇い止め撤回要求の抗議・申し入れの就労行動が組合員たちを先頭に約20人が参加して行われた
3日大阪 関空と原発に怒りのデモ
泉佐野市末広公園で「関空の軍事空港化反対/市職員給与2割カット反対/全原発を廃止しろ」を掲げて関空反対全国集会が開かれた。関西新空港絶対反対泉州住民の会と関西労組交流センターが主催し、地元の50人をはじめ170人が結集した
4日東京 都労働委に雇い止め撤回求め申し立て日本郵便東京多摩支店による非正規職労働者15人の不当な雇い止めの取り消しと現職復帰を要求して闘っている郵政非正規ユニオンは、日本郵便(鍋倉眞一社長)を相手取り、東京都労働委員会に不当労働行為救済の申し立てを行い受理された
4〜6日東京 日教組第99回大会で宣伝活動
日教組第99回定期大会が東京・千代田区の日本教育会館で行われた。初日の朝、全国労組交流センター教育労働者部会が大会代議員・傍聴者に宣伝活動を行った
7日東京 最高裁の反動判決弾劾
「日の丸・君が代」起立・斉唱を強制する03年「10・23都教委通達」のもとで威力業務妨害罪をデッチあげられた藤田勝久さんの都立板橋高校事件で、最高裁は、藤田さんの上告を棄却する反動判決を下した。強く弾劾する
8日茨城 動労水戸が指名スト
動労水戸は、6人の組合員の指名ストに決起した。運転士登用差別をめぐって最高裁で完全勝利(08年12月)した組合員のうち、運転士を希望しない者と運転適性検査に不合格だった者6人に対してJR水戸支社が7月5日、一方的に「運転士の職名を外す」という事前通知を行ってきた
8日宮城 反原発!大学奪還! 東北大集会
「反原発!大学奪還! 7・8東北大集会」が、東北大学学生自治会の主催で行われ、全国の学生と東北大生ら150人が東北大学川内北キャンパスに大結集した
10日東京 被災地の怒りと結び東京集会
福島原発事故と日本の核武装を問う7・10反戦反核東京集会が、東京・なかのゼロ小ホールで開催された。450人が結集し、8・6ヒロシマ―8・9ナガサキへ向かって、フクシマの怒りと反原発闘争のうねりと結びつき新たな反原発・反戦反核闘争を築いていく集会としてかちとられた
10日東京 吉祥寺、反原発デモに350人
吉祥寺の繁華街で、反原発・反失業の吉祥寺デモ第2弾が猛暑を突いて意気高く打ち抜かれた。主催は労組交流センター青年部準備委員会。青年労働者を先頭に350人が結集、太鼓隊のリズムに合わせた解放感あふれるデモは、街ゆく人びとの圧倒的な共感と注目を集めた
11日佐賀 佐賀県庁に200人が抗議
「古川県知事は出てこい!」――。35度を超す猛暑も吹っ飛ばす怒りの声が佐賀県庁に響きわたった。地元の原発反対運動団体の呼びかけで、平日にもかかわらず200人が県内外から集まった。合同労組レイバーユニオン福岡、とめよう戦争への道!百万人署名運動福岡県連絡会も7・8県民説明会弾劾闘争に続いて連続決起した
12日千葉 団結街道裁判、確固たる入会権が存在三里塚・団結街道の廃道処分取り消しを求める団結街道裁判の弁論が千葉地裁民事第3部(多見谷寿郎裁判長)で開かれた。被告の空港会社(NAA)と成田市は、三里塚芝山連合空港反対同盟にも天神峰の市東孝雄さんにも「原告適格がない」と強弁している。反対同盟と支援の労働者、学生、市民は怒りを燃やして法廷でともに闘った
15日京都 原発廃止・大学奪還=A京大集会
京都大学で「7・15大学奪還学生行動」が打ち抜かれた。昼休みのクスノキ前広場では「すべての原発を直ちにとめよう!原発廃止・大学奪還」のアピールがキャンパスを席巻した
16日大阪 7・16関西反原発行動
大阪中之島・女神像前で反原発関西行動が行われた。主催は全学連、関西労組交流センター、婦民全国協の実行委員会。この日は福井県大飯原発の再稼働問題が切迫する中での緊急闘争でもあった17日大阪 関生組合員13人を解放せよ≠ニデモ炎天下の大阪中之島・剣先公園に1000人の労働者が結集し、関生弾圧粉砕集会がかちとられた。とりわけ13人の不当逮捕・起訴という5・11大弾圧と闘い抜き勝利してきた全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部は、500人を超える決起で結集。動労千葉は、田中康宏委員長、中村仁執行委員が駆けつけた。全国金属機械港合同も総決起で結集し、11月労働者集会呼びかけ3労組がそろった闘いになった
17日福島 線路・職場・故郷を返せ≠ニデモ
線路を返せ、職場を返せ、故郷を返せ!=\―。労働組合旗を林立させた戦闘的な大デモが、いわきの街を揺るがした。動労水戸が呼びかけた「すべての原発を止めよう!7・17いわき集会&デモ」が、380人の結集で打ち抜かれた
18日千葉 「収去命令」弾劾し三里塚緊急闘争
三里塚芝山連合空港反対同盟の呼びかけで緊急現地闘争が闘われた。天神峰現地闘争本部破壊の攻撃が迫る中、労働者・農民・学生・市民250人が猛暑をはねのけて結集し、闘う決意を固めた
19日東京 星野再審闘争新たな補充書を提出
星野文昭同志と再審弁護団は、第2次再審請求書の補充書(3)を東京高裁第11刑事部に提出した
21日東京 被処分者、不当研修に反撃
東京都教育委員会は、今春の卒・入学式で「日の丸・君が代」強制に反対して不起立で闘った教育労働者3人に対する「服務事故再発防止研修」を強行した。研修会場の文京区の東京都教職員研修センター前では朝から昼過ぎまで、教育労働者を先頭に多くの仲間が抗議行動を闘いぬいた
21日栃木 下野、育鵬社歴史教科書を否決
下野(しもつけ)市で、「教科書改善の会」が執筆した育鵬社版歴史教科書の採択をひっくり返した。百万人署名運動・栃木県連絡会は20日、教育長と面会し要請書を提出した
21日宮城 大震災以降初めての地労委一日行動
東北石けん労働組合は大震災以降初めての地労委一日行動を闘い抜いた
22日大阪 関西生コン弾圧、13人全員を奪還
13人ものデッチあげ逮捕としてかけられた全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部への5・11弾圧について、不当逮捕・起訴された13人全員の保釈奪還がかちとられた
24日宮城 仙台で革共同東北政治集会
被災地・仙台で革共同東北政治集会が165人の結集でかちとられた。岡崎康史同志が登壇して基調報告を行い、3・11大震災・原発事故に対して階級的労働運動路線をもって対決し、拠点建設・職場細胞建設の力で労働組合権力を奪取していく歴史的挑戦に着手したことの勝利性を訴えた
24日千葉 動労千葉を支援する会が総会
動労千葉を支援する会の定期全国総会が、千葉県労働者福祉センターで開催された。北海道から沖縄まで全国各地の代表130人が結集して総括を深め、新たな闘いの方針を打ち立てた
24日大阪 西郡支部大会、1千人建設突入を宣言
歴史的な第6回部落解放同盟全国連合会西郡支部大会がかちとられた。会場の大阪・八尾市桂人権コミュニティセンターには、ムラの長老から青年、全国のきょうだいや仲間、八尾北医療センター労組、八尾北命と健康を守る会など地域の共闘団体や全学連、関西労組交流センターの仲間200人が大結集した
24日金沢 志賀原発反対集会で8・6を訴え
さよなら!志賀(しか)原発集会が金沢市中央公園で2千人の結集で行われた。富山大学生自治会と北陸労組交流センターの仲間は、8・6ヒロシマ大行動への参加を訴え反原発署名を集めた
26日東京 三多摩、産別こえ怒りの集会
郵政非正規ユニオンと三多摩労組交流センター、合同・一般労働組合全国協議会、労組交流センター全逓部会の共催による「雇い止めを撤回せよ!7・26総決起集会」が東京・国分寺市で開催され、130人の仲間が参加した
26日大阪 西郡住宅明け渡し弾劾裁判で反動判決
西郡住宅明け渡し弾劾裁判控訴審で大阪高裁第12民事部・安原清蔵裁判長は、部落解放同盟西郡支部の岡邨(おかむら)洋支部長、辻西幸子書記長、田中由加さんの3人に対し「控訴棄却・住宅明け渡し」判決を下した。絶対に許せない
27日東京 杉並、原発推進教科書許さぬ
「つくる会」の教科書採択に反対する杉並・親の会、東京西部ユニオンなど労働者市民10人が、杉並区役所前で「育鵬社・自由社の教科書採択阻止 すべての原発を止めよう」とアピールした
27〜29日静岡 闘争終結など絶対認めぬ
伊東市で開かれた国労第80回定期大会で、国労本部は国鉄闘争終結宣言を含む運動方針と、組合員資格をJR及びその関連企業に雇用された者に限定する国労規約の改定、闘争団員からの組合員籍の剥奪を強行決定した。「共に闘う国労の会」は大会前日の27日から3日間の闘いを貫徹した。27日は伊東駅前を制圧して街頭宣伝行動を行った。28日は、会場のホテル聚楽前は、国労本部を痛撃する弾劾集会の場になった。28日午後には「共に闘う国労の会」が主催して、伊東市内で「闘争団切り捨て、労資一体化を許すな!7・28総決起集会」が開かれ、55人が結集した。翌29日も「共に闘う国労の会」は大会会場のホテル前を制圧、現場組合員を排除した大会を徹底的に弾劾するビラを配布する宣伝行動を貫徹した
31日 東西で革共同集会をかちとる
東京 革共同政治集会は豊島公会堂に首都圏から870人が結集し開催された。大恐慌と3・11反革命と対決し、プロレタリア世界革命に進撃する革共同の熱烈な戦闘宣言が発せられた。全学連委員長織田陽介同志の基調報告をはじめ、青年労働者、学生が担った
関西 革共同政治集会が大阪私立中央会館で開催され、全関西から220人が結集した。黒沢肇同志が基調報告を行い「国鉄決戦と反原発闘争で11月労働者集会の1万人結集」を訴えた

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月刊『国際労働運動』(422号A-1)(2011/10/01)

編集後記

■編集後記

 8月15日、「原発とめよう 世の中かえよう 8・15労働者・市民のつどい」が東京・中野区のなかのゼロ小ホールで行われた。
 来日し8・6広島、8・9長崎、8・11沖縄を訪問したシンディ・シーハンさんが、以下のように述べた。
 「政治家や戦争でもうかるやつらに戦争をやめる動機はない。直接戦争で苦しまないからだ」「原発は戦争と同じくらい不必要」「私は『反戦』と『反核』の母だ。アメリカでは『平和の母』と言われるが『革命の母』として歴史に残りたい。私たちの時代の悪の制度は制度内改革では直らない。唯一打倒できるのは私たちの連帯、団結の力だ」と言明した。  「政治家や戦争でもうかるやつらに戦争をやめる動機はない。直接戦争で苦しまないからだ」「原発は戦争と同じくらい不必要」「私は『反戦』と『反核』の母だ。アメリカでは『平和の母』と言われるが『革命の母』として歴史に残りたい。私たちの時代の悪の制度は制度内改革では直らない。唯一打倒できるのは私たちの連帯、団結の力だ」と言明した。
 米帝のイラク侵略戦争は、米帝を打倒する「革命の母」を生み出した。熱い国際連帯を感じさせられた。

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