International Lavor Movement 2011/04/01(No.416 p48)
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2011/04/01発行 No.416
定価 315円(本体価格300円+税)
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月刊『国際労働運動』(416号1-1)(2011/04/01)
■羅針盤 ムバラク打倒した労働者階級の威力
▼エジプト革命は、労働者と労働組合の根底的な階級的威力を指し示している。ムバラク打倒にまで到達したエジプトの蜂起と革命は、第一に何よりも、官製労組の支配を打ち破って新たなナショナルセンターを設立した青年労働者を始めとする労働者階級の、嵐のような決起とストライキの爆発が、最大の原動力となった。
▼新自由主義は全世界で、農漁民や遊牧民から土地と海を奪うと同時に、膨大な賃金労働者を生み出し、それを「資本主義の墓掘り人」に変えることで「大恐慌をプロレタリア世界革命へ」の闘いを現実化した。今やチュニジア、エジプト、モロッコなどの北アフリカ諸国は超低賃金下で「ヨーロッパの新工場」、生産基地となっており、日本企業も次々に参入している。
▼しかもエジプトの青年労働者は慢性的失業状態にあり、大恐慌前の2005年段階でも若者の失業率は23%におよび、人口の4割が「一日2j以下」の貧困生活を強いられてきた。大恐慌下で、さらなる大失業、食糧価格高騰、インフレが労働者を襲った。独立労組連盟や08年のストライキや「食糧暴動」のただ中から生まれた「4月6日運動」の労働者や学生のグループが、決起を呼びかける指導部となり、ムバラク打倒という、プロレタリア革命完遂への第一段階の勝利を切り開いた。
▼スエズ運河の6千人の労働者のストを始め、鉄鋼、交運、病院、電気、ガス、製薬、新聞など、エジプト全土での労組・労働者のストの爆発こそが、タハリール広場防衛や、100万人デモの組織化を支え抜き、米帝などの策動やムバラク派の反革命を押し返したのだ。
3・20渋谷反戦デモを5千人の大結集で闘い抜こう。
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月刊『国際労働運動』(416号2-1)(2011/04/01)
■News & Review 韓国
現代車非正規職支会が第2波ストへ
「現場の団結した力で懲戒阻止!」
現代(ヒョンデ)車非正規職支会第4工場事業部のチョミソン現場委員が訴えている。
(写真=2月17日、第2波スト出征式)
「(昨年)11月15日に第1工場で占拠座り込みを始め、12月9日にストライキを中断して降りてきました。その翌日、使用者側はこっそり憲法裁判所に旧派遣法は違憲だと申請しました。本当にとんでもないことですよね。平和期間と誠実交渉の決裂宣言は使用者側が先に行いました。使用者側はこの数日間チラシをまいて、使用者側案は『合理的な』『現実的な』『代案』と主張しましたが、これは私たちの闘争を押し倒す弾圧です。
そして、支会が使用者側の案を受けず、名ばかり社長を押し出して不法を働いたから懲戒を受けろというのです。この懲戒が正当ですか。絶対違います。7月22日の大法院判決、2月10日のチェビョンスン判決(ソウル高裁が一審に続き、現代自動車蔚山(ウルサン)工場で2年以上働いた非正規職労働者は実質的な正社員として認めなければならないと決定)です。私たちが懲戒される理由はありません。
懲戒されたら支会が全組合員を招集して、蜂の群れのように不当懲戒を無にしなければなりません。皆さん、そのために何が必要でしょうか? ストライキ指針が必要です。すでに第1工場のイミナ同志が今日付けで不当解雇の通知を受け取りました。明日、懲戒委員会が開かれるそうです。来週もあちこちで懲戒委員会が開かれるでしょう。支会は懲戒委が開かれたらストライキ指針を出して下さい。現場でしっかり団結した力で懲戒を阻止すれば、隊伍は壊れません。
皆さん、第2派闘争の開始を知らせる懲戒撤回闘争! 懲戒にはっきり答えを出し、われわれの要求である正規職化を争奪しましょう。第2波ストを組合員が作っていきましょう。不当解雇を粉砕して正規職化をかちとろう!」
□殺されてたまるか!
現代車非正規職支会は2月7日に臨時代議員大会を開き、第2波ストの組織化に踏み出した。
現代車資本は工場占拠を解けば交渉に応じると言いながら実際にやってきたことは、組合員に対する巨額の損害賠償請求や告訴告発、労組への弾圧と分断工作でしかなかった。解雇者の復職も一部の選別的復帰しか認めないと主張した。金属労組現代車支部(正規職労組)執行部は1月25日の交渉で、会社側の主張を大幅に受け入れた内容で合意し、その合意案をのむよう非正規職3支会に迫った。しかし、現代車非正規3支会(蔚山、牙山(アサン)、全州(チョンジュ))はこれを「われわれ組合員をみな殺しにする案だ」と即座に拒否した。
7日の代議員大会であらためて「正規職と非正規職が共同で作業し、元請け管理者からすべての作業指示を受ける製造業では、下請け労働者は不法派遣だという昨年7月の大法院判決の根拠は一つも変わっていない。現代車工場の中で働くすべての下請け労働者が現代車をつくってきた事実も変わっていない。現代車工場の全労働者が団結して闘える要求、『すべての社内下請労働者を正規職に転換せよ』という要求は正当だ」と、第2波闘争方針を決定した。
この方針を受け、9日午後からイサンス支会長と現代車非正規職解雇者の2人がソウルの曹渓寺(チョゲサ)で無期限座り込みに入った。イサンス支会長は昨年の工場占拠ストにより指名手配され、蔚山の現場で陣頭指揮することができない中で非正規職闘争の正当性と指名手配の解除を訴えてハンストに突入したのだ。イサンス支会長は「交渉に期待したため活動が萎縮し、混乱した。だが現場にはまだ闘う力が残っている。私をはじめ仲間たちは『仲間を信じ、私を信じ、正規職化をかちとろう』というスローガンが一番好きだ。おそらく会社は組合員にさまざまな懐柔カードを持ち出すだろうが、互いを信じ、これをのりこえることが必要だ」とアピール。
この日、現代車蔚山工場烈士広場の前では全組合員決意大会が開かれ、 集まった250人の組合員が第2波ストライキを決意した。
この日、現代車蔚山工場烈士広場の前では全組合員決意大会が開かれ、 集まった250人の組合員が第2波ストライキを決意した。
2月12日、現代非正規職支会のノドグ前主席副支会長、キムテユン組合員が良才洞現代起亜車本社前で高空籠城に突入した。
2月14日、現代非正規職支会は争対会議で「4項目の議題に関する交渉にはもう参加しない」ことを決め、17日のスト出征式で公式に交渉決裂を宣言することにした。
翌15日、イサンス支会長の曹渓寺ハンストが6日目を迎え、現代車本社前高空籠城も3日目を迎え、現代車蔚山非正規職支会の組合員45人が上京し、現代車本社前で非正規職撤廃集中集会が開かれた。現代車本社前の30bの広告看板の上で座り込み中のノドグ、キムテユン組合員からは「私たちの目的はただ一つ、最高裁判決による現代車非正規職労働者の正規職転換だ」とのメッセージが届いた。
この日、韓進(ハンジン)重工業のキムジンスク指導委員の高空籠城は40日を超え、前日の14日朝には韓進重工の幹部2人も高空籠城に突入していた。集会では約60日間、富平のGM大宇(デウ)工場正門で高空籠城を続けたGM大宇非正規職支会のファンホイン組合員もマイクを握り、「満足できない結果で座り込みをやめたこと、現代車の仲間より先に闘争を終えたことは申しわけない。だが闘争で得たのは、闘争の意志さえあれば何でも実現できると知ったことだ」と連帯を表明した。10月からフランス大使館の前で野宿座り込みを続けているヴァレオ空調コリア支会の組合員たちもともに闘った。
他方、15日夜、現代車は支会組合員が所属する社内下請け業者に懲戒委員会再開を告知し、懲戒対象者を発表した。現代車は特別交渉期間中は懲戒を留保すると言っていた。16日現在、支会が確認した解雇者リストはイサンス支会長を始め31人に上った。
迎えた2・17スト出征式当日、現代車は会場として予定されていた烈士広場周辺を管理者千人以上と大型バスを配置して封鎖した。この暴挙にも正規職労組である金属労組現代車支部は沈黙。この屈服に乗じ、会社管理者たちがバイクで出勤する現代車支部代議員のヘルメットを強制的に脱がし、後ろ髪をつかむという事態に至った。
非正規職支会は2月16日発行の争対委機関誌で「警備隊が出勤の途中、正規職組合員の身分をいちいち確認しており、正規職代議員を阻止し、身元確認と所持品確認を要求している。こんなに現場が蹂躙されれば現代車支部24年の歴史でかちとってきた現場権力は一日で崩れる。現代車支部と活動家が社側の露骨な現場統制に積極的に抗議して闘争を組織しなければならない」と訴えている。
しかし非正規職支会は、この弾圧を突き破り、17日午後5時半、組合員500人を現代自動車蔚山工場正門前に集結させ、ストライキ出征式をかちとった。現代車支部は公式には参加しなかったが、参加した現代車支部活動家は非正規労働者とともに闘う決意を明らかにした。
現代車非正規職支会のユンソゴン事務局長は「16日から全工場で解雇懲戒が出されたいる。だが8年間守ってきた労働組合だ。解雇・懲戒を堂々と突破して前進する」と断言し、「25日間の工場占拠ストライキは殴られ、血を流して守ったストライキ闘争だ。スト中断後に行われた5回の交渉で現代車は告訴・告発・損賠を撤回せず、不法派遣特別交渉を回避している。こんな提案に合意できるわけがない。懲戒・解雇を振り払い、8項目の要求(注1)をかちとるための第2次全面スト闘争を組織するため、前だけを見て着実に歩いていこう」と訴えた。
曹渓寺でハンスト中の現代車非正規職支会のイサンス支会長は電話で「サイトに書き込まれたストライキ出征式の写真を見た。仲間の目が生き生きしていた。きょう現代車は平和な集会を妨害した。現代車が弾圧するほど、彼らの正当性が消え、私たちの正当性がさらに確保される。第2波ストライキは第1波ストライキより苦しいかもしれないが、現場を組織して組合員と共に現代車を降伏させる」と決意を明らかにした。
続けて「組合員が現場で闘争を展開すると信じている。欺瞞的な4議題(注2)でぶれたのも事実だが、これ以上欺瞞的な4議題で悩まず、8項目の要求(すべての社内下請を正規職化しろ)、ただこの要求だけで力強く第2波ストライキ闘争を組織しよう」と呼びかけた。
翌18日午後4時、警察は現代車本社前の高空籠城に対し警察特殊部隊を投入。非正規職支会組合員2人を広告塔から引き下ろし、瑞草警察署に連行した。ストライキ闘争の前進に追い詰められた許し難い暴挙だ。
(写真上 第2波ストライキ闘争の出征式【2月17 日 現代車蔚山工場正門前】)
(写真下 2月12日、現代車非正規職支部組合員2人が本社前の30bの広告看板で無期限高空籠城に突入!)
□4時間ストを闘って
怒りに燃えた労組は、2月21日午後1時から4時間のストライキに立ち上がった。これは直接には第4工場のフャンホギ代表、エンジン変速機のシンミョン企業での集団懲戒に対する抗議ストライキだったが、これに第1工場、第2工場の組合員が合流して闘った。
シンミョン企業の組合員は「午後1時にシンミョン企業の前に組合員が集まったが、第2工場の組合員も来て80人ほどになった。管理者が妨害した。代表2人が業者社長に懲戒について抗議した。ぶつかりもせずに押し出されたが、きょうの部分ストは意味があった。第2工場の仲間たちが来てくれてありがたい。私たちが一つになった感じを受けた。持続的にゲリラストライキをして、管理者の封鎖を突破するまで闘い続けなければならない」と語った。
第1工場の組合員も「緊急の指針だったが組合員が集まってくれたので自信がついた。組合員の意志を確認した。きょうの部分ストは当然だ。不当懲戒に対して指針が必要だったし、意味あることだった。私たちはまだ負けていない。最後まで、勝つまで闘う」と意気高い。
(写真 現代車非正規労組は不当懲戒に対抗して4時間ストを闘った【2月21日 蔚山】)
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●注1/昨年9月、現代車非正規職3支会(蔚山、牙山、全州)は現代車に「不法派遣撤廃! 非正規職即刻転換」のための交渉を要求、労使合意事項として要求したのが以下の8項目。@非正規労働者と3支会および対国民謝罪、A社内下請け労働者全員の正規職化、B全解雇者の正規職化、C同一部署・同一勤続による未払い賃金支給、D不当懲戒および拘束・手配に対する補償、E故リュギヒョク烈士の名誉回復、F現在進行中の整理解雇の即刻中止、G今後、不当な非正規職労働者を使用しないこと。
●注2/「特別交渉」は予め現代車(元請け)と非正規職支会との労使交渉ではないとされた上、@告訴・告発、損害賠償、治療費などの解決、A雇用保障、B非正規職支会指導部の社内での身辺保障、C不法派遣交渉対策の4議題も、25日間に及んだ工場占拠ストの引き金となったドンソン企業(社内下請け業者)廃業へのストに限られた。特別交渉中、現代車は懲戒を保留するとされたが、労組の事実上の争議放棄が前提なのだ。
(室田順子)
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月刊『国際労働運動』(416号2-2)(2011/04/01)
■News & Review エジプト
世界を揺るがすエジプト革命革命の連鎖に震撼する米・EU帝国主義
第1章 □エジプト革命の巨大なインパクト
□エジプト革命の巨大なインパクト
労働者階級の歴史的決起によってムバラク打倒をかちとったエジプト革命は、アメリカ帝国主義を主軸とする戦後世界体制の中東における柱を決定的に打ち砕いた。
世界大恐慌と侵略戦争開始情勢のただなかで、労働者人民の怒りがどんなに深く、激しいか、そして労働者階級の力がどんなに巨大であるかを、エジプト革命は、すでに決起を開始している全世界の労働者に対して、あらためてさし示した。この闘いは、エジプト労働者階級とともに、帝国主義の中東支配の支柱である反動的政権のもとで数十年のあいだ苦しんできた中東アラブ諸国の人民に、限りない自信を与え、解放への展望を示すものである。また、地中海をへだてたギリシアを先頭に、EU帝国主義の緊縮政策の名による階級戦争と闘っているヨーロッパ全域の労働者人民にとって、巨大な同盟軍が登場したことを意味する。
そしてさらに、ムバラク打倒によって、巨大な打撃をこうむったのが、アメリカ帝国主義だけでなく、中東全域に巨大な利権を抱える英独仏を先頭とするEU帝国主義であることが、日々明らかになり、世界プロレタリアートの共通の敵の姿が、ますます鮮明になってきた。以下、エジプト革命がEU階級闘争に対して与えているインパクトについて明らかにし、階級的労働運動の世界的勝利の道が、どこにあるかを明らかにしていきたい。
□新自由主義のエジプト・中東進出
エジプトがムバラク政権下で、米帝の戦後世界体制の中東における最大の支柱であったこと、率先してイスラエルへ手を差し伸べ、他の反動政権の盟主となって、パレスチナに代表される民族解放闘争の解体において米帝の手先となったこと、そして、帝国主義にとって死活的な石油・天然ガスなどの資源を確保するために中東地域を反動的に制圧する役割を果たしてきたことは、周知の事実である。
その確認のうえで、今回のエジプト革命で次のような点が暴き出されてきた。すなわち、第一に、この間の新自由主義の展開のなかで、とりわけEU帝国主義が、エジプトを先頭とする中東諸国〔西アジアとも呼ばれる〕を格好のターゲットとして資本を集中してきたことである。
第二に、それによって中東・アフリカが経済的・金融的・産業的・社会的に大変貌をとげてきたことである。
第三に、その手先としてムバラク政権が強権的支配体制を強化し、帝国主義の延命のために強行していた新自由主義政策が、中東に膨大な労働者階級を新たに生み出してしまった、ということである。
第四に、この若々しい労働者階級が、世界大恐慌のただなかで、エジプト、チュニジアを先頭に、ついに巨大な歴史的反乱を開始し、それが湾岸諸国の労働者階級の決起を促し、プロレタリア世界革命への大合流が現実化してきている、ということだ。
21世紀に入ってから、新自由主義が、ラテンアメリカ諸国、アジア諸国をへて、中東・アフリカに押し寄せた。狙いは、石油など資源の要衝であるこの地域の金融的支配、国有企業の民営化による民間資本への開放、エネルギー部門の拡充・インフラ開発・IT情報産業などによる新規分野の開拓、そしてとりわけEU諸国からの工場移転(国境をこえた外注化)などである。
その集中的表現として、EU帝国主義の直接投資が急増した。エジプトは、中東の大国として、石油輸送の大動脈=スエズ運河を押さえ、石油、天然ガスの産出国でもあることから、サウジ、UAE(アラブ首長国連邦)と並んで、最大のターゲットとなった〔表T参照〕。
EU帝国主義は、戦後世界体制のなかで、米帝に奪われていた中東支配を奪い返すべく、独仏英間の帝国主義的争闘戦を含みながらエジプトに進出、国内市場にくいこみ、エジプト労働者を、EU諸国よりもはるかに低い賃金で搾取していった。
フランスは二十数社が進出し、5万人の労働者を雇用、ドイツは、直接投資額が5億ユーロ、2万人を雇用している〔表U参照〕。
EU金融資本も侵入。フランスはエジプト最大の債権国で、資産が170億j、次はイギリスで107億j、第三位がイタリアで63億j、その他の諸国を含めて、エジプトにおけるEU諸国の資産総額は403億jにのぼる。
□ムバラク政権は、新自由主義攻撃の手先
このような新自由主義のエジプト・中東進出の道を開いたのがムバラク政権であった。規制緩和・民営化・外注化・労組つぶしなど、EU帝国主義の利益の実現を、他の中東反動政権に先んじて、ムバラクが体現していった。
2004年には、抜本的な税制改革を行い、外国投資家に対して、財産相続税、資本所得税を廃止するなどの優遇政策を約束した。そして、会社設立の手続きを簡略化し、経済自由地域を開設するなど、「投資に良好な環境」を整備し、欧米資本の流入を促進したのである。
その結果、世界銀行は「エジプトは、この間、有効な経済改革を実行した世界の10の国のなかで、第六位」「中東・西アジア地域で、最も投資環境がいい国」と賞賛した。
したがって、ムバラク政権の階級的性格は、たんなる専制的暴力支配、民主主義のじゅうりんという次元にあるのではなく、帝国主義の新自由主義攻撃に労働者人民をさらし、極限的な搾取を強い、そこから必然化する労働者階級の反乱を、徹底的に抑圧・弾圧することにあったのだ。そして、このムバラク体制の労働者支配の支えとなったのが、体制内労働運動〔ETUF(エジプト労働組合総連合会)〕である。〈4月6日青年運動〉と呼ばれる労働者の階級的結集の出発点となった2008年の労働者反乱は、このような新自由主義への一大反攻ののろしであった。
世界大恐慌直前のヨーロッパの投資会社のパンフレットには、次のような文言があふれていた。「エジプトはアフリカへの資本進出の門戸」「エジプトへの投資は安全な賭け=v「エジプトはアメリカ、EUと完璧な信頼関係にたっており、政治は安定、人びとは平和に暮らしています。投資環境は最高」等々。
□中東の労働者決起に恐怖するEU帝国主義
こうしたことから、チュニジア労働者の決起に間髪をいれずに、エジプト労働者人民が立ち上がったときに、アメリカ帝国主義とイスラエル、中東の反動的政権はもとより、EU諸国のブルジョアジーは、文字どおり真っ青になった。
2月初旬にミュンヘンで行われたNATO定例会議でも、ブリュッセルのEU外相会議でも、予定した議題は吹っ飛び、「エジプト情勢」にどう対応するかが、大問題となった。NATO司令官ラスムッセンは「エジプトの激動は、中東だけでなく全世界に地殻変動をもたらすものだ」と叫び、独仏英などのEU中心国は、EUの協議を待たずに、「事態の平和的で、秩序ある展開を希望する」などという緊急声明≠出して、対米対抗姿勢と、EU内部の分裂の隠蔽を試みたのである。
一方、EU企業は、エジプト現地スタッフに避難命令を発し、工場の本国への撤退計画、危機管理対策などに追われた。
帝国主義者は、「イスラム原理主義の脅威」などと言っているが、実は彼らが、最も恐れているのは、中東全域の労働者人民の決起が、すでにギリシャを先頭に開始されているEU労働者のデモやストライキによる決起と合流し、ついにプロレタリア世界革命へ向けて大爆発するにいたることである。
□EU全土でエジプト革命支持のデモ
それでは、EUを始めとする全世界の労働者は、エジプトの労働者反乱に対して、どのような反応をしているであろうか。
チュニジアに続くエジプト労働者人民の決起に、全世界で連帯のデモが広がった。
ヨーロッパでは、パリ、ロンドンを始め、ベルリン、マドリード、ウィーンなどでエジプト大使館への抗議行動として、在住のエジプト人と合流したデモが行われた。
アメリカでは、全国各地に行動が広がり、ここでも在米エジプト人民との共闘が闘われている。
注目すべきは、中東諸国の動向である。ムバラクとならぶ反動政権への怒りを爆発させたデモが続発していることだ。アルジェリア、イエメン、リビア、ヨルダンなどで、反政府デモが闘われており、ヨルダンでは内閣の打倒をかちとっている。
とりわけ、パレスチナ各地では、「中東人民に誇りと自信を回復させてくれた」と叫んでエジプト革命を支持したデモが行われた。
ところが、西岸を支配する反動アッバス自治政府は、このデモをただちに弾圧し、ムバラクを電話で激励した。ガザを支配するハマス政権もデモを弾圧した。にもかかわらず、西岸地区でもガザ地区でもデモが続けられている。
ギリシャに続け≠ノ始まったヨーロッパ労働者階級の決起は、地中海をわたって中東・アフリカ人民を動かし、それが再びヨーロッパの階級闘争へと還流して、国際連帯のうねりをつくりつつある。
現に、ギリシャの労働者階級は、政府の緊縮政策への闘いを非妥協的に年を越えて継続している。2月1日、アテネの交通労働者は、公共交通の民営化へ向けての動きに抗議して、2日にわたって首都のバス、地下鉄を止めた。裁判所のスト中止命令は粉砕された。また、政府の医療部門の経費削減計画に反対する医師たちは、2月2日、24時間ストを宣言して、厚生省の会議室を占拠、座り込みを続けている。
□体制内派の壁と衝突
こうした闘いは、いずれも労働運動の体制内指導部との熾烈な闘争を不可避としている。イギリスやフランスのデモでは、体制内派は、なんとかエジプト革命の階級的爆発力がEU労働運動に感染≠キることを阻止しようと、既成政党の「エジプトの民主化」アピールに同調するなどの策動を行い、階級的労働運動の発展に敵対しているのである。
エジプト革命をかちとったエジプト労働者階級と連帯し、世界大恐慌と戦争との全世界労働者人民の闘いを、プロレタリア世界革命の勝利へ前進させる唯一の道は、体制内指導部を打倒し乗り越える階級的労働運動の職場での実践である。その基軸は、新自由主義・民営化・組合破壊攻撃と闘う国鉄全国運動である。
(川武信夫)
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表T 西アジア諸国(*)への直接投資流入額(100万j) 表T 西アジア諸国(*)への直接投資流入額(100万j)
2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009
エジプト 450 2,161 5,376 10,043 11,578 9,495 6,712 エジプト 450 2,161 5,376 10,043 11,578 9,495 6,712
サウジ 778 1,942 12,107 18,400 22,821 38,151 35,514 サウジ 778 1,942 12,107 18,400 22,821 38,151 35,514
UAE 4,292 10,089 10,901 12,815 14,184 13,700 4,003 UAE 4,292 10,089 10,901 12,815 14,184 13,700 4,003
チュニジア 584 639 783 3,308 1,616 2,758 1,688 チュニジア 584 639 783 3,308 1,616 2,758 1,688
総計 10,843 19,992 37,943 55,562 総計 10,843 19,992 37,943 55,562
【国連UNCTAD資料】(*中東12カ国/チュニジアは含まれていないが参考に付加)
西アジア諸国への直接投資流入額の対GNP比
2003 2004 2005 2006 2003 2004 2005 2006
エジプト 0.61 2.62 5.46 8.79 エジプト 0.61 2.62 5.46 8.79
サウジ 0.36 0.78 3.94 5.30 サウジ 0.36 0.78 3.94 5.30
UAE 4.84 9.72 8.16 7.77 UAE 4.84 9.72 8.16 7.77
平均 2.00 3.18 4.87 5.99 平均 2.00 3.18 4.87 5.99
【国連UNCTAD資料】
表U エジプトにおける外国企業
▽フランス:〔銀行〕BNPパリバ、クレディ・アグリコール、ソシエテ=ジェネラル、〔IT〕フランス・テレコム、〔製造業〕ラファルジュ、シュネーダー、〔自動車〕ルノー、バレオ(日産)、〔エネルギー〕トタール、〔交通〕EADS、エアフランス、〔百貨店〕カルフール
▽ドイツ:〔化学製薬〕バイエル、BASF、〔鉄鋼〕ジーメンス、テュッセン=クルップ、〔自動車〕ダイムラー、BMW
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月刊『国際労働運動』(416号2-3)(2011/04/01)
■News & Review アメリカ
朝鮮侵略戦争へ新「国家軍事戦略」
米帝の戦争政策を打ち砕くエジプト革命
米統合参謀本部は2月8日、米軍制服組による軍事戦略の報告書「国家軍事戦略」を公表した。
大統領が出す「国家安全保障戦略」(昨年5月)や、国防総省の「4年ごとの国防戦略見直し(QDR)」(同2月)を受け、軍の運用指針をブッシュ政権下の04年以来、7年ぶりに全面改定した。
□新軍事戦略の概要
米の新国家軍事戦略の特徴の第一は、「米国は当面は経済的、軍事的に世界で一番である」と傲慢にも言い張って、今後とも米帝基軸の世界支配を護持する態度を示したことだ。
その上で、今後は「アジア太平洋地域への関与の優先度が高まる」と言い、「今後数十年間も北東アジアにおける強固な米軍戦力を維持する」と、アジアの軍事支配を永続的に強化する方針を鮮明にしたことだ。
第二は、朝鮮侵略戦争を真っ向から打ち出している。「北朝鮮の核能力や潜在的に不安定な権力継承は、地域の安定や国際社会の核不拡散努力に悪影響を与える危険性がある」と。そして、「韓国は米国の不変の同盟国。北朝鮮が挑発的な脅威であり続ける中、米国は韓国に対し、揺るぎない責務を持つ」と、たとえ韓国が嫌だと言っても米帝は朝鮮半島に軍事介入する決意を表明している。
そして、朝鮮侵略戦争において、日帝自衛隊の動員を強力に提起していることだ。「自衛隊の国際平和協力活動の能力拡大を支援する」「日本と韓国の防衛協力を後押しする」と言っている。
第三に、「QDR2010」に基づいて、中国との戦略対峙・対決・戦争をはっきりと打ち出したことだ。「米国の同盟国を脅かしたり、国際公共財やサイバー空間への権利を危険にさらすいかなる行動にも、米国は反対のために必要な手段を講じる用意がある」
さらに「中国の軍事力拡大と、軍拡が台湾との軍事バランスに与える影響を注視。宇宙、サイバー空間、東中国海、南中国海に関する中国の攻撃的対応に懸念を持ち続ける」としている。
□大恐慌が世界革命を
世界大恐慌の深化が、11・23の南北砲撃戦をもたらした。米帝の朝鮮侵略戦争が始まった。次いでエジプトで革命が起こり、世界大恐慌は世界革命を現実のものとした。米新国家軍事戦略が描いていた世界地図が瞬く間に変わったのだ。エジプトを始め北アフリカ・中東地域は、革命の波で洗われている。
世界大恐慌の深化が、11・23の南北砲撃戦をもたらした。米帝の朝鮮侵略戦争が始まった。次いでエジプトで革命が起こり、世界大恐慌は世界革命を現実のものとした。米新国家軍事戦略が描いていた世界地図が瞬く間に変わったのだ。エジプトを始め北アフリカ・中東地域は、革命の波で洗われている。
米帝の中東石油支配の要であるエジプトの失陥は、米帝の世界支配の崩壊の始まりを意味する。革命の火の手は、米帝の中東軍事支配の中枢で米第五艦隊の基地があるバーレーンにも広がった。バーレーンがあって初めてイラク侵略戦争、アフガニスタン侵略戦争が可能になった。米帝の世界軍事戦略が一挙にその足場を失うような事態だ。
世界最大の石油産出国であるサウジアラビア、さらに中東石油支配の最後の拠点であるイスラエルの存立さえも危うい事態となる。
米帝軍事中枢が描くシミュレーションが、労働者階級人民の階級闘争によって、容赦なく踏みにじられていく、そうした時代が始まった。
エジプト革命の巨大なうねりは中国13億の人民を飲み込もうとしている。中国スターリン主義の反人民的独裁政治の打倒、中国第二革命が現実的な問題になりつつある。
米帝は、対中国の軍事重圧を加え、ソ連を崩壊させたように中国スターリン主義を崩壊に追い込もうとしている。しかし、中国スターリン主義は中国の労働者階級の革命によって打倒されるのだ。その革命は、米帝打倒を中軸とする世界革命の一環だということだ。その時、米帝は中国革命を圧殺するための中国侵略戦争に出てくる。しかし中国革命を圧殺することなどできない。それは、米帝の命取りになることは間違いない。
□朝鮮侵略戦争反対
01年9・11に対して、米帝ブッシュは「対テロ戦争」を叫び、アフガニスタン侵略戦争を開始し、さらにイラクに侵略戦争を拡大した。それから10年の「長い戦争」の中で、米軍は疲弊し尽くした。死傷者が続出し、厭戦気分が蔓延している。軍事において完敗したのだ。「軍事的に世界で一番」などとは言えない。
そして世界大恐慌が襲い、経済的没落は激しく、「財政赤字が国家安全保障上の深刻なリスク」と告白している通り、一旦ドル暴落にでもなれば、「経済でも一番」などとは言えない事態にすぐなる。
そして米帝のアジア支配である。
中国の台頭に対して、米帝は対峙・対決を強め、対中国の軍事重圧を強め、中国突き崩し戦略をとっている。同時に朝鮮危機に対しては、朝鮮侵略戦争で朝鮮半島の南北統一を米帝が主導することを通して、朝鮮半島を制圧し、もってアジア支配を強固なものにしようとしている。
そのために米韓同盟で韓国軍を動員し、そして日米同盟で自衛隊を動員し、さらに日韓同盟を結ばせて、周辺事態法を改悪して自衛隊をできるだけ朝鮮半島の戦域の近くまで動員しようとしている。
しかし、その前には日米韓・日中朝の階級闘争が立ちはだかっている。韓国、北朝鮮、日本、アメリカ、アジアのすべての国の労働者階級人民は朝鮮侵略戦争に反対している。最大のカギを握っているのが日本の労働者だ。さらに沖縄の労働者人民の普天間基地撤去、名護新基地建設反対の闘いは日米同盟を揺るがす闘いになっている。
エジプト革命が立証したのは闘えば勝てるということだ。問題は、「闘っても勝てない」という闘いへの絶望を振りまく体制内労働運動の指導部だ。この打倒の中にエジプト革命≠ェある。
国鉄闘争全国運動を柱に、朝鮮侵略戦争反対、菅内閣打倒、沖縄奪還、日米安保粉砕・日帝打倒の闘いが大きく発展する情勢を迎えている。
3・20渋谷反戦デモに決起しよう。
(宇和島 洋)
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月刊『国際労働運動』(416号3-1)(2011/04/01)
(写真 820人が結集した、国鉄分割・民営化で不当解雇されて24年の1047 名解雇撤回2・16 集会【東京・すみだ産業会館】)
■特集/国鉄全国運動柱に4月選挙戦勝利を
(写真 820人が結集した、国鉄分割・民営化で不当解雇されて24年の1047名解雇撤回2・16集会【東京・すみだ産業会館】)
はじめに
杉並、相模原、八尾を拠点にして闘われる4月統一地方選挙は、菅民主党政権を打倒する一大政治決戦である。ブルジョアジーと国家権力、民主党、日本共産党、反動的市民主義等々との党派的激突に勝ち抜き、国鉄闘争全国運動を職場・地域で全力で推進しよう。階級的労働運動の拠点を建設していく闘いを通して、必ず勝利をかちとろう。
4月統一地方選挙闘争の勝利に向けて、本特集は以下の3章構成となっている。第1章では、帝国主義戦争がついに始まった中での選挙闘争の意義を明らかにする。革命的議会主義の本来的あり方を確立したい。第2章では、選挙闘争の最大の焦点であり、激突点である菅民主党政権打倒論を怒りを込めて鮮明にしたい。そして第3章では、労働組合をめぐる攻防に国鉄闘争全国運動で勝利していくことこそ、選挙闘争に勝利する路線であることを明らかにしたい。エジプト革命と連帯し、4月選挙闘争の勝利へ。
■第1章
革命を準備する選挙闘争 大恐慌下の革命的議会主義
エジプト革命に続け!
エジプトの労働者階級は、2月11日、30年にわたるムバラク独裁体制を百万人のデモとストライキで打倒した。イスラエル・エジプトという米帝の中東支配の決定的一環が崩壊しつつある。
エジプト革命が、大恐慌が生み出した大失業と貧困、食料などの暴騰に対する青年労働者の怒りの爆発である以上、大恐慌をつくり出した米帝をはじめ帝国主義者どもに「収拾」したり「解決」することなど絶対にできない。
権力を掌握した軍との激突を始め、エジプト人民は、これからも幾多の試練を経なければならないが、プロレタリア革命を貫徹するしか決着はない。そして現に、エジプトの若きリーダーたちは、労働組合を軸にして、この歴史的な挑戦に命がけで決起している。
プロレタリア世界革命が始まった。全世界のプロレタリアートが「チュニジア蜂起に続け! エジプト革命に続け!」と根底的決起を開始している。エジプト革命は世界革命の一環として初めて勝利できる。4月統一地方選挙闘争は、こうした世界革命のうねりの中で闘われる巨大な政治決戦なのだ。
エジプト革命は「市民革命」「ムスリム革命」などでは断じてない。これこそプロレタリア革命なのだ。エジプト革命では短期間で決定的な試練が二度、三度と訪れた。
一度は2月2日、3日のタハリール広場に対する治安部隊を中心にしたムバラク派の武装襲撃を完全に粉砕し、広場にプロレタリア権力を打ち立てた闘いだ。この力と権威がなかったならムバラクにとどめを刺した11日の百万人デモは実現しなかった。
二度目は「ムスリム同胞団」(イスラム政治勢力)がスレイマン副大統領と取り引きし、「ムバラク体制維持」で反動的収拾を図ろうとしたことである。しかし、「独裁一掃まで闘う」と体制内的反動的収拾を許さず最後まで革命のコミューン=タハリール広場を守り抜いた。イスラム主義的制動をついに乗り越えた、このプロレタリア自己解放闘争の爆発こそ決定的だった。
そして2月8日から、スエズ運河の基幹産業労働者がストライキに立ち、このストライキの波は瞬く間に全土に広がった。この労働者の決起はムバラク退陣後も続いている。食えない、働けない、生きられない、この根底的怒りが「闘えば勝てる」「闘えば社会を変革することができる」という確信となって爆発している。そしてこの思いは、今や全世界のプロレタリアートの魂となって発展している。大恐慌は大失業と戦争を生み出し、ついにプロレタリア世界革命を生み出した。階級的労働運動を徹底的に実践し、とりわけ国鉄決戦勝利で全階級に責任をとる主流派へと飛躍しよう。それがエジプト革命に連帯し、世界革命を達成する唯一の道である。
(写真 エジプトのムバラク政権崩壊を国旗を振って喜ぶ人たち【2月12日 カイロ】)
戦争に突き進むしかない帝国主義
大恐慌は世界革命を生み出す。そして世界革命の渦は大恐慌をますます激化させ、帝国主義の絶望的侵略戦争を激化させる。〈11・23情勢〉はますます激化していく。
昨年11月23日、延坪島(ヨンビョンド)で起こった北朝鮮軍と韓国軍の砲撃戦は、アメリカ帝国主義(米日帝)による朝鮮侵略戦争の本格的突入の始まりであった。米中の対峙・対決、米中の争闘戦の激化が、ついに朝鮮侵略戦争となって吹き出したのだ。
米帝は北朝鮮・金正日体制の解体過程に介入し、米帝主導の南北朝鮮の統一を実現しようとしている。この方向に韓国の李明博政権と日帝を深々と巻き込んでいる。世界支配の崩壊的危機にのたうち回る米帝は、こうして強力な軍事力を背景として、アジア・太平洋地域をいまいちど米帝の強力な支配地域にしようとしている。
11・23砲撃戦以降、いったい何が起こっているのか。米帝は、11・23以降も韓国の軍事演習、米韓合同演習(2回)、米日合同演習を、いずれも米空母を動員しつつ強行した。今年に入っても、2月中旬から米韓合同演習を前倒しで進めている。北朝鮮に対する挑発であると同時に、中国スターリン主義に対する威圧であり、挑戦である。
これに対して中国は軍事力強化をもって自己の勢力圏を防衛する権利があることを強力に押し出している。国産空母建造計画の公表、ゲーツ国防長官と胡錦涛の会談最中のステルス爆撃機の試験飛行(1月11日)。さらに対艦弾道ミサイル(ASBM)の開発と配備の開始の公表(1月中旬)などがある。
これに対して米帝は、さらに対決色をあらわにして、激烈な対中国の軍事力強化の動きをあえて公表した。1月6日、ゲーツ国防長官は、核搭載式の新型長距離爆撃機の開発に国防予算を集中的に投入すると言明。1月12日には、中国のステルス機に対して必要な戦力を開発して対抗すると言明。また中国のASBM開発に対しては、10年2月のQDRで提起した「ジョイント・エア・シーバトル(統合空海戦闘)」構想で対応するとして「空・海・陸・宇宙・サイバー空間などあらゆる作戦領域で、海空軍の能力を統合して米国の行動の自由に対抗する挑戦に立ち向かう」と押し出した。
要するに、11・23は米帝による米日韓体制の下での朝鮮侵略戦争、そして中国侵略戦争の歴史的開始を告げ知らせたのである。米中の争闘戦は、すさまじい経済的戦争であるだけでなく文字通り軍事力を行使しての戦争そのものに転化し始めた。米中矛盾の爆発をとおして、帝国主義間(大国間)争闘戦が戦争に転化する世界史的情勢がついに始まったのである。
戦争の本質はプロレタリア革命の圧殺
08年9月のリーマン・ショックから2年半。29年世界大恐慌をはるかに越える歴史的な大恐慌は、全世界的に大失業と非正規職を膨大に生み出し、ついに帝国主義の侵略戦争=世界戦争へと転化する情勢を現実化させた。そして帝国主義の外への侵略戦争が、労働者階級への大失業攻撃=階級戦争をさらに加速させていくものとなっていることに対し、労働者階級の根底的怒りが、世界革命の先端を切り開くものとしてついに噴出した。
帝国主義の侵略戦争の究極の階級的本質は、戦争と大失業攻撃に対決しプロレタリア革命へと立ち上がる労働者階級の闘いの圧殺にある。帝国主義はプロレタリア革命の恐怖から逃れることができず、労働者階級の団結と決起、労働組合と労働運動の解体にますますのめり込んでいくしかない。逆に言えば、労働組合と労働運動を革命的に発展させ、労働者人民の内乱的決起を実現していくならば、帝国主義は侵略戦争を強行することができないのだ。
大恐慌が帝国主義の侵略戦争をついに現実化させた時代とは、労働者階級にとって絶望の時代などでは断じてない。帝国主義・資本主義を最後的に打倒する歴史的チャンスの到来である。その勝利の鍵は、労働組合の革命的再生と非公然・非合法の革命党建設である。では大恐慌がついに侵略戦争と世界革命を現実化させている今日、選挙闘争はどのような革命的意義をもっているのか。
「戦争を内乱へ」を圧倒的に進める選挙闘争
(写真左 杉並・都政を革新する会の旗開き【1月16日】 写真右 相模原・革新市政をひらく会新春のつどい【1月15日】)
1914年、第1次世界大戦が勃発したとき、なぜレーニン率いるボリシェビキだけが「帝国主義戦争を国内戦へ」を掲げ、革命的祖国敗北主義を貫く闘いを貫徹できたのか。17年10月のプロレタリア革命勝利を実現できたのか。 この土台には、「ただ一つの正しい革命理論であるマルクス主義を真に苦しみを通じてたたかいとった」(『左翼空論主義』)というボリシェビキの血のにじむような格闘があったことを忘れてはならない。これなしに、社会排外主義を撃滅し、労働者階級の階級意識を革命に向かって発展させていくことは出来なかった。
その上で重要なことは、1912年1月に、事実上、ボリシェビキ単独で党大会(プラーグ全国協議会)を開き、きたるべき帝国主義戦争にむけて党の進むべき路線・方針・組織戦術を確定し、このプラーグ協議会路線を「鉄の規律と革命性」で貫徹していったことである。
プラーグ協議会路線とは、革命的議員の革命的宣伝・扇動を徹底的に駆使し、ロシアの拠点工場の中で機関紙を軸に体制内=メンシェビキ派との党派闘争に打ち勝ち労働組合の拠点建設を推進することであった。レナ鉱山における労働者射殺事件(1910年)は大衆の革命的気分を革命的高揚へ転化する決定的きっかけとなったが、ボリシェビキは高まる労働運動の革命的高揚をがっちりつかみ、工場労働者の階級意識を高め、革命的行動へと組織する闘いを、度重なる弾圧を受けながらも、「信じられない献身性」をもって組織していったのである。
労働者出身の革命的議員らの宣伝・扇動と組織化(議員が地区党の指導部であった)を軸に工場における細胞建設の前進が、革命の決定的準備として目的意識的に遂行されていった。それまでメンシュビキの機関紙「ルーチ」が制圧していたヴィボルグ地区で、1913年には「プラウダ」が工場全体を制圧するまでに前進し、首都ペテルブルグにおける拠点建設を圧倒的に進めていった。
当時のロシアの選挙区は、労働者クーリアや都市住民クーリアなどに分かれ、メンシェビキやエス・エルらの体制内勢力との党派性を鮮明にさせた労働者獲得戦として選挙戦は闘われた。メンシェビキが都市住民クーリアで多数を占めたのに対して、ボリシェビキは労働者クーリアでメンシェビキを完全に圧倒した。ボリシェビキはこうした闘いの一切を、革命に向けての具体的準備として、すなわち革命に向けたプロレタリアート人民の組織化としてしっかりと位置づけて闘い抜いた。
このような闘いを土台として、第1次世界大戦勃発後、ボリシェビキ国会議員団が革命的扇動を理由に逮捕され、シベリア流刑にあって宣伝・扇動の司令塔を奪われても、逆に議員団の立派な革命的行動が労働者の革命的魂を燃え上がらせた。逆に、ドイツ社会民主党国会議員団の戦時公債賛成が、どれほどドイツ労働者階級の足を引っ張ったことか。そしてボリシェビキの工場細胞に指導された労働組合を軸に資本との非和解的対決(経済闘争と政治闘争の結合したストライキとデモ)を最後まで貫きとおし、「城内平和」を粉砕して革命勝利へ突き進んでいった。
レーニンの言う「革命的議会主義」とは、選挙闘争や議会での暴露・扇動を通して、革命に向かって労働者人民の組織化を徹底的に進める戦術の一環である。したがってそれは労働組合の階級的拠点建設を推進し、党の細胞建設を圧倒的に前進させる闘いとして、初めから計画された闘いである。大失業と戦争の時代に、4月統一地方選挙闘争を本来的な闘いとして徹底的に闘い抜こう。われわれは既に、昨年の泉佐野選挙、沖縄・北中城選挙で圧倒的な変革と前進を始めている。
(写真 全国連西郡支部、八尾北労組などの旗開き【1月15日】)
■第2章
菅民主党政権を打倒しよう 大失業と戦争に全面対決
4月選挙闘争は菅民主党政権にとどめを刺す闘いだ。菅の施政方針演説(1月24日)を徹底的に弾劾し、怒りの決起をかちとろう。
TPPは日本社会を壊滅させる
菅は、第一に「平成の開国」を実現するとして、環太平洋経済連携協定(TPP)に6月をめどに交渉参加していくと宣言した。
TPPはもともとシンガポール、チリ、ブルネイ、ニュージーランドの4カ国の参加で2006年に発効した広域的自由貿易協定(FTA)であり、これに米国、ペルー、オーストラリア、ベトナム、マレーシアが加わり、現在9カ国で拡大交渉を進めている。日帝ブルジョアジーは「これに乗り遅れたら日本は沈没する」という凄まじい危機感で、菅民主党を後押しし、交渉参加に必死になっている。
TPPとは基本的に例外品目をつくらない。関税は100%撤廃する。したがってこれまで高率の関税によって保護されてきたコメをはじめ日本の第一次産品は壊滅的打撃をうける。さらに医療を含むあらゆるサービス、公共事業の入札、金融・保険市場、ビジネス関係者の往来、投資、環境など、あらゆる分野の規制が撤廃され、自由化される。
そうなれば、日本の社会構造は一変する。例えば、皆保険制度(公的保険制度)は解体し、アメリカ同様の混合診療制度で労働者は医療を奪われる。米金融資本は350兆円の郵貯・簡保に群がり、新興国にバブルを生み出す投機マネーに使用していく。一事が万事、大資本・金融独占資本がボロ儲けするためには、どんな犠牲を労働者・農民・人民に転化しようが構わないということだ。
2011年版経労委報告の表題は「グローバル競争に打ち勝つ」。完全にTPPに参加して大競争に突進することが前提になっている。「人材・設備・資金・情報といった経営資源をグローバル市場の動向に適正に対応させ」と、労働者の首切り・賃下げ・合理化・非正規職化を一段と進めることを宣言している。
TPPとは、日帝解体を狙った米帝の争闘戦だ。米帝は「東アジア共同体」といった対米対抗的な日帝のアジア勢力圏構想をたたきつぶそうとしている。米帝はTPPで日本の経済・社会、階級構造がどうなるか知り抜いていてやっている。だが、日帝ブルジョアジーと菅政権は、経済的整合性を棚上げしてでもTPPにのめり込むしかもはやない。独占資本だけが生き延びるために、労働者・農民・人民にどんな犠牲を押しつけても構わないという反動的な決断をした。
(
写真 TPP反対沖縄県民大会に5400人が結集【1月29日】)
新成長戦略で労働者は殺される
菅は第二に、「最小不幸社会の実現」として、「新成長戦略の推進で潜在的需要の大きい医療・介護・子育てや環境分野の雇用創出を図る」とした。
菅の新成長戦略は「経団連成長戦略2010」を全面的に取り入れたもので、七つの分野(@環境A健康BアジアC観光D科学技術E雇用F金融)を成長戦略の柱としている。
新成長戦略とは新自由主義の極致であり、労働者を生きられなくする。「介護」でいえば、大手介護事業者のワタミ、ニチイ学館、ケアサービスなどは大幅な増収・増益を記録する一方、介護労働者は極端な低賃金、強労働、非正規化によって、過酷な労働条件のもとに置かれている。厚生労働省の発表でも、離職率は18・7%、1年以内の離職率は実に44・6%にもなっている。給与水準は全労働者平均が299・1万円に対して203・4万円。医療・介護の成長産業化で、労働者は極限的に搾取され、労働者家族(高齢者)からは介護が奪われ、大企業がボロ儲けするだけだ。
「子育てで雇用創出」とは「子ども子育て新システム」で幼保一体化を行い、この過程で全保育労働者を首切り・非正規化するということだ。公務員360万人の一旦全員解雇・選別採用に向けた歴史的大攻撃の突破口である。
保育の民営化でどうなるか。石原都知事のもとで導入された東京独自の認証保育所では、賃金など労働条件を事業者が自由に決められるため、手取り10万円程度がざらとされる。「土日は居酒屋でアルバイトして生計を立てる」若い保育士によって、保育がかろうじて成り立っている。共働きでないと子どもを預かってくれない。非正規労働者である親がひとたび雇い止めされたら保育を断られる。保育の全面民営化は青年から保育を奪う。
要するに、TPPも新成長戦略も、新自由主義をさらに徹底的に進める攻撃だ。「資本主義は毛穴という毛穴から血を滴らせて生まれ出た」(マルクス)。菅の行おうとしている究極の新自由主義攻撃は、これとまったく同じではないか。4月選挙闘争を菅政権への怒りのるつぼに転化しよう。
社会保障のための消費大増税の大ペテン
さらに菅は「内閣は、今年6月までに社会保障改革の全体像とともに、必要な財源を確保するための消費税を含む税制抜本改革の基本方針を示す」と述べた。「社会保障改革と税制改革を一体でやる」というのは、社会保障費を賄うために消費税を引き上げるしかない、というキャンペーンであり、大デマ宣伝だ。財政赤字がこれほど増えたのは、恐慌対策で大銀行・大企業に湯水のように財政を投入したためである。そもそも菅は、昨年の参院選で「消費税引き上げノー」を突きつけられたのだ。それが半年もしたら消費大増税を再び持ち出す。労働者人民をなめるのもいい加減にしろ、ということだ。
さらに菅は「内閣は、今年6月までに社会保障改革の全体像とともに、必要な財源を確保するための消費税を含む税制抜本改革の基本方針を示す」と述べた。「社会保障改革と税制改革を一体でやる」というのは、社会保障費を賄うために消費税を引き上げるしかない、というキャンペーンであり、大デマ宣伝だ。財政赤字がこれほど増えたのは、恐慌対策で大銀行・大企業に湯水のように財政を投入したためである。そもそも菅は、昨年の参院選で「消費税引き上げノー」を突きつけられたのだ。それが半年もしたら消費大増税を再び持ち出す。労働者人民をなめるのもいい加減にしろ、ということだ。
日本経団連会長・米倉は2010年『豊かで活力ある国民生活を目指して』で「消費税率を一刻も早く引き上げ、法人税への過度の依存を改め」、「2011年度から段階的に消費税率を少なくとも10%まで引き上げる。2020年代半ばまでに10%台後半ないしそれ以上に引き上げる」と主張した。菅は日本経団連と一体で消費大増税をぶち上げているのだ。
ブルジョアジーの主張は、〈すべては経済成長のためである〉〈経済成長を促し補完する税制に改革せよ〉〈法人税を引き下げ消費税率を上げよ〉ということに尽きる。小泉構造改革の理論的支柱であった竹中平蔵などは、社会保障などは所得の少ない人間が多い人間から強奪する、泥棒同然のずるい行為であるとまで言っている。
まとめよう。
@消費税は所得が低いほど負担率が高まる逆進性をもった大衆収奪税制だ。1%アップで労働者家族は平均、年間34万6千円の負担増となる。その一方で、特に輸出産業の大資本にとっては、消費税は下請けに支払わせ、還付金を丸儲けできる(08年度の還付金総額は6兆6千億円)詐欺のような制度だ。増税はこれをさらに拡大する。
A正規労働者を派遣労働者に切り替えると合法的に節税できるのが消費税の特徴だ。消費税増税で非正規雇用はさらに決定的に拡大される。9割の非正規化の決定的テコとなる。
B「社会保障の財源」などまったくのペテンだ。増税分は全部、法人税減税にあてられる。大企業のために法人税減税をもっとやるための消費大増税だ。
C消費税導入後、13年連続で自殺者は3万人を超えている。自殺者に占める「自営業・家族従事者」の割合は、他業種の7倍以上。消費増税で自営業は壊滅する。
「消費増税しなければ国家が破綻する」と言うならば、そんな国家(ブルジョア国家)などつぶれてしまえ、ということだ。もはや資本主義の枠内で財政再建などありえないのだ。プロレタリア革命しかないのだ。
「地域主権改革」は究極の新自由主義攻撃
菅は「国づくりの3つの理念を推進する土台、それが内閣の大方針である地域主権改革の推進」と述べ、「公務員制度改革や国家公務員の人件費2割削減」を表明。360万人公務員首切り=道州制に向け、さらに決定的な踏み切りを行おうとしている。
菅を議長とする地域主権戦略会議は昨年12月23日、出先機関廃止へ向けたアクションプランを閣議決定し、出先機関に勤める国家公務員21万人の首切り=分限免職攻撃に突き進んでいる。社会保険庁解体・日本年金機構発足では、職員二万数千人のいったん全員解雇・選別再雇用が強行され、1159人が不採用となり、自主退職を拒否した525人が分限免職となった。国鉄分割・民営化型の「いったん全員解雇・選別再雇用」方式が大手を振ってまかり通ろうとしているのだ。
そして菅は公務員制度改革で終身雇用制と年功型賃金を最後的に解体し、「9割の非正規化」に労働者階級を叩き込もうとしている。「国家公務員の労働基本権(争議権)に関する懇談会」は12月17日に提言をまとめ、さまざまな制約をつけつつも争議権付与を検討するとした。その本音は、「労働基本権を公務員に早く付与してください。それで民間なみのリストラ、人員整理ができるようにしましょう」(昨年8月の国会審議における「みんなの党」江田憲司の発言)ということだ。人事院勧告制度の廃止と公務員庁設置の攻撃を、ストライキで粉砕しよう。
「日米同盟の深化」は朝鮮・中国侵略戦争宣言
菅は施政方針演説で「世界の平和創造に能動的に取り組む外交・安全保障政策の推進が不可欠」「日米同盟は、アジア太平洋地域のみならず、世界にとっても安定と繁栄のための共有財産」とぶち上げた。今、日米間では「日米同盟の深化」の具体的内容として「日米共通の戦略目標」が協議されている。それは〈米帝の戦略目標〉を〈日帝の戦略目標〉とするということだ。日米安保が世界を股にかけて侵略戦争をおこなう軍事同盟として、まさに飛躍的な「深化」を遂げようとしている。
こうした動きは05年2月の日米安全保障協議委員会(2+2)によって始まった。同年10月の日米安保協(2+2)中間報告、「日米同盟:未来のための変革と再編」では、日米安保の「極東条項」をきっぱりと投げ捨て、日米安保の及ぶ範囲を「世界中」とした。
そしてそれに基づいて、「共通戦略目標」を定め、世界規模での「テロ」や「大量破壊兵器」などの「新たな脅威」に対応すること。同時にアジア太平洋地域において「北朝鮮」と「台湾海峡」有事に備える日米の「役割・任務・能力」を形成していくことを確認した。
米軍制服組のトップ、マレン統合参謀本部議長は2月8日、「米国家軍事戦略」を発表し、北東アジアでの米軍戦力を「今後数十年にわたって維持していく」と強調した。また、「自衛隊の海外での運用能力向上に協力する」と、自衛隊の海外軍事展開を強力に後押ししていくことを明記した。
国家軍事戦略とは国防総省が昨年2月に公表した「4年ごとの国防計画見直し」(QDR)を具体化する指針である。米帝は対中国の対峙・対決から対中国侵略戦争を見すえ、さらには中東支配の失陥という米帝世界支配の破綻に恐怖し、日帝を米帝軍事戦略の中に深々と組み込み、トコトン動員していくことを宣言したのだ。
菅政権は「共通戦略目標」を明確に北朝鮮・中国にすえきる決断をした。小沢・鳩山の対米対抗的な路線を一掃して、大恐慌が激烈に進み、帝国主義間(大国間)争闘戦が死闘化していく中で、米帝の朝鮮侵略戦争、対中国侵略戦争を「共通の戦略目標」として、これに参戦すると宣言したのだ。
対中国戦争構えた新防衛大綱
このことは、菅政権が昨年12月17日に閣議決定した新「防衛計画の大綱」を見れば明瞭だ。「中国の軍拡」や「北朝鮮の核、ミサイル開発」に米軍と共に対処するとし、これまでの「基盤的防衛力構想」を投げ捨て「動的防衛力を構築する」ことを明記、北朝鮮・中国侵略戦争路線へ大転換した。
新大綱は南西諸島の「防衛強化」を強力に打ち出した。沖縄の宮古島以西の島しょ防衛について「自衛隊の空白地」と位置づけ「機動運用可能な部隊を強化し、侵略を阻止・排除する」「巡航ミサイル対処もふくむ防空体制を確立し、海上輸送路を確保する」とした。
既に昨年3月、那覇の陸自第一混成団(約1800人)を約300人増やして第15旅団に格上げしたが、さらに与那国島に100人規模の「沿岸監視隊」を配置する。2020年までに南西諸島や沖縄で自衛隊戦力を2万人規模に拡大しようとしている。
空自部隊では那覇基地所属の戦闘機を現行の22機から36機に増やし、最強の戦闘機とされる「F15改」を配備する。新田原基地(宮崎県)などに配備されたF4戦闘機(現在約70機配備)を次期戦闘機(FX)にかえる。地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の全国配備も具体化する。海自所属の潜水艦は04年大綱で定めた16隻から6隻増の22隻体制にする。護衛艦は04年大綱から1隻増の48隻体制にしたほか、4隻だった迎撃ミサイル搭載イージス艦を6隻に増やす。
こうして「日米共通戦略目標」に基づいて、対北朝鮮・中国侵略戦争にむけた自衛隊の南西拠点化が急激に進められ、戦後的制約をいっさい突破する策動が、次から次へと繰り出されている。
一つは周辺事態法改悪の検討だ(1月19日)。自衛隊の米軍に対する海上補給(燃料、水・食料)地域を、現行の「日本の領土・領海」から公海上に拡大し、黄海上で展開する米原子力空母への補給を可能にし、一体となって軍事作戦を行なおうとしている。二つに日韓ACSAの締結交渉開始とGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の事務レベル協議の開始だ(1月10日)。三つに、自衛隊の海外派遣を随時可能にする恒久法の制定に向け着手した(2月3日)。
米帝の朝鮮侵略戦争・中国侵略戦争へ向けた歴史の歯車は〈11・23〉によって決定的に回った。重大なことは、この侵略戦争の担い手に日帝・菅政権がなり、労働者階級を殺し合いに引きずりこもうとしていることだ。
(写真 沖縄近海で日米共同訓練を行う米原子力空母カールビンソン【1月7〜8日】)
安保・沖縄闘争の大爆発は不可避
日米同盟にとって沖縄は、対朝鮮、中国侵略戦争の最前線基地に位置づけられている。米軍基地の島として犠牲を集中されてきた沖縄が、今後は自衛隊基地の島にもされようとしているのだ。日米帝は対北朝鮮、中国侵略戦争で真っ先に沖縄を戦火にたたき込もうとしているのだ。
そのために辺野古新基地建設をあくまで沖縄の労働者階級人民に押しつけようとしている。それは新たな米軍基地を建設するということと同時に、この新基地建設の強行過程を通して、沖縄米軍基地撤去、沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒の沖縄闘争を圧殺してしまおうという反革命的意図を持つものであることは明白だ。沖縄における国鉄決戦に位置する基地労働者に対する合理化攻撃も始まっている。だがそれは、沖縄の労働者人民の根底的怒りの決起を必ず作り出す。
11・23情勢によって、安保粉砕、沖縄奪還闘争はいよいよ重大な局面に入った。4月選挙闘争の勝利をかちとり、5月沖縄闘争の爆発へ、階級的労働運動の飛躍をかけて闘い抜こう。菅民主党政権と沖縄闘争は絶対的に非和解である。
予算成立のメド立たず
以上のような菅政権の絶望的な反動性と凶暴性は、政治的にはほとんど崩壊しているといっていい。危機を抱え、脆弱さを暴き出され、完全に破綻している。
2011年度予算案と予算関連法案の成立のメドがまったく立たない。2月16日には小沢につながる民主党議員16人が会派離脱を表明。「3月政権危機」が現実になろうとしている。
国債費増があまりにも大きく(予算全体の37%)、二進も三進も行かない。ついに国と地方自治体が抱える借金総額は1018兆円と初めて1000兆円を超えた。国と地方の道路・土地などの資産総額を初めて約49兆円上回り、債務超過となった。企業で言えば倒産、破産である。
国際通貨基金(IMF)は日本の公的債務残高が資本主義の歴史上、最悪の水準に迫りつつある、このまま債務が増え続ければ、5年程度で第二次世界大戦直後の英国(対GDPで269%)を抜き、16年には債務残高の対GDP比は277%になると警告した。
債務不履行(デフォルト)か、超インフレで調整する(つまり戦争で超インフレ状態をつくりだし、借金をチャラにする)か、いずれかしかない、まさに断崖絶壁の危機に立たされているのが菅政権なのだ。
資本家と連合に支えられる最悪のボナパ政権
それでも菅は、「(支持率)1%でもやめない」などとうそぶいている。バックには日本経団連をはじめブルジョアジーが付いている、さらに連合が全面的に支えてくれている、という何ともはかない願望の上に立った「砂上の楼閣」政権でしかない。
この右足をブルジョアジーに置き、左足を連合に置く最悪のボナパルティズム政権の崩壊・打倒は、日本階級闘争に地殻変動的な大激動情勢を必ずもたらす。なぜなら、それは本質的にブルジョア政治支配の最後的な崩壊と、同時に体制内勢力を使った労働者支配の瓦解の始まりを意味するからだ。
09年9月の自民党の歴史的敗北と民主党の「勝利」は、55年体制以来の自民党支配に対する労働者人民の積もりに積もった怒りの爆発だった。自民党支配は最後的に崩壊し、自民党支配への回帰などもはやありえない。そして今や「コンクリートから人へ」を掲げた民主党へのほんの一時の「期待」も完全に吹っ飛んで、既成政党・勢力への不信感は沸点に達している。
4月選挙闘争で菅民主党政権に最後のとどめを刺そう。労働者階級の怒りの最先頭に立って、鮮明な労働者階級の革命的主張を断固として登場させよう。国鉄解雇撤回・外注化阻止の国鉄決戦と固く結合し、階級的労働運動の前進で菅政権を打倒しよう。
■第3章
労組めぐる死闘に勝つ 職場・地域に組合の拠点を
4月統一地方選挙闘争が菅政権打倒の一大階級決戦である以上、階級闘争の最火点における激烈な闘いの前進なしに、選挙戦の勝利もありえない。現下の階級闘争の最大の攻防は労組解体攻撃との闘いである。4月選挙闘争の勝利は、労働組合を甦らせる闘いと完全に一体だ。
労組解体攻撃との闘い
昨10年は労働運動をめぐる熾烈な攻防の連続だった。10年1月1日、社会保険庁が解体され日本年金機構が発足。この過程で、社保庁正規職員1千名解雇・選別採用が行われた。そして自主退職を拒否した525名が分限免職(首切り)された。重大なのは首切り・選別採用を決める日本年金機構設立委員会に、なんと連合事務局長の古賀(現連合会長)が加わり、連合が自ら労働者の首切り・選別を行ったという歴史的事実だ。これは国鉄分割・民営化の時にもなかった決定的な踏み切りだ。
さらに、自主退職の強要をはねのけ、分限免職を受けて立った誇り高い労働者の解雇撤回闘争を圧殺するためにのみ、自治労中央は社保労組を解散させ解雇者を組合から排除し、新たな別組合(日本年金機構労組)を立ち上げることまでやった。この自治労中央の裏切りは未来永劫消えない。
大恐慌が激化・発展する中で、労組解体、9割の非正規職化へ向けて、国鉄分割・民営化方式を体制内勢力を先兵にして進めているのが民主党政権なのだ。だが、こんなやり方に労働者階級は黙っていない。525名の決起はブルジョアジーと民主党・連合政権を心底震え上がらせた。だからこそ、1047名解雇撤回闘争を最後的に、しかも出来るだけ惨めに終わらせ、労働者に敗北主義を強制するために、国土交通大臣・前原(当時)を先兵に、4・9政治和解に踏み切ったのだ。
4・9政治和解とは、国鉄1047名解雇撤回闘争を百万人支援陣形もろとも解体・一掃する意図をむき出しにした攻撃だ。「解雇撤回と不当労働行為を二度と争わない」「雇用の保証はできない」を認めれば「人道的救済」として金をくれてやるという許し難い攻撃だ。
国家的不当労働行為によって、労働者の生存権を奪った者が、当の生存権を奪われた労働者に恩恵を施す、それが「人道的解決」であり、これによって、加害者・犯罪者は、その犯罪行為を消してしまうだけでなく、慈善者・救済者として登場する。こんなことが許されれば、首切りし放題だ。労働者はただただ救済してもらうだけの惨めな存在におとしめられてしまう。国労本部をはじめ4者4団体が進めていることは、労働者の誇りを奪い、敗北主義の泥沼に沈める行為であり、絶対に許されない。
4・9で国労本部と4者4団体派を屈服させた民主党・連合政権は、JALでの大量首切り攻撃に突き進み、ついに昨年12月31日、165名の整理解雇を強行した。これは労働組合の活動家を狙い撃ちにした指名解雇そのものだ。そして「JALの次はJR貨物」とハイエナのように労働者の首を次々に求めている。やつらは労働者の血の一滴まで吸い尽くそうとしているのだ。
(写真 北島区議を先頭に日本年金機構本部前で宣伝行動【1月4日 杉並】)
燦然(さんぜん)と輝く動労千葉の反合運転保安闘争
国労本部をはじめ4者4団体派の思想は、「労働者は闘っても勝てない」「社会を変革する力など労働者にはない」という骨の髄までの敗北主義である。だからブルジョア権力にお願いすることだけが唯一の路線といえば路線なのだ。こうして加害者が慈善者にいつの間にか変わってしまう。
「分割・民営化で国労をつぶし、総評・社会党を解体して、床の間に立派な憲法を安置する」と語り、20万人の国鉄労働者の首を切り、国家暴力の不当労働行為の限りを尽くして200人の労働者を自殺に追いやった中曽根康弘さえ「和解を喜んでくれた」と賞賛の対象にさえなってしまう。
労働運動を階級的に再生させるためには、この体制内思想、「和解思想」を徹底的に粉砕する労働者自己解放闘争、実力闘争の思想と路線が絶対に必要だ。
動労千葉の反合理化・運転保安闘争こそ、戦後労働運動の限界を乗りこえ、「闘えば勝てる」展望を指し示してきた。動労千葉は、「事故問題は労働運動の課題にならない」という戦後労働運動の限界を突破し、1972年の船橋駅構内における電車追突事故に対して、「事故の責任は運転手にはない。一切の責任は当局にある」と言い切って、実力闘争で団結を拡大し、ついに処分を粉砕して労働者を守り抜いたのだ。それまで「事故は労働者の自己責任」「処分は仕方ない」という既成の常識を完全にくつがえし、「闘えば勝てる」「社会の主人公は労働者だ」というマルクス主義を労働組合運動に見事に復権させたのである。
だからこそこの反合・運転保安闘争路線は、エジプト革命を闘い抜いている青年労働者と直ちに団結できる路線である。労働者の誇りを取り戻し、資本との非和解的対決を貫いて、階級的団結を拡大していく路線だ。世界革命に向かって国際連帯闘争の要をなす路線だ。これを縦横に駆使して職場・地域に階級的拠点を建設していくこと、国鉄闘争全国運動の可能性は計り知れないほど大きい。
国鉄闘争全国運動で労働者階級の多数派へ
国鉄闘争全国運動は、国鉄決戦の勝利とそれをテコとする日本労働運動の再生へ、ついに始まった闘う労働者の歴史的決起だ。4・9政治和解の反革命を乗りこえて、職場・生産点で体制内勢力の団結破壊・制動を踏みしだく青年労働者を先頭にした職場闘争が、この間広範に展開されてきた。動労千葉の闘い、さらに全日建運輸連帯労組関西生コン支部の5カ月に及ぶ産業ゼネストの完全勝利は、「闘えば勝てる」ことを全労働者に示した。
国鉄闘争全国運動は、大恐慌―大失業と戦争の時代に、戦後労働運動の限界を突き破って階級的労働運動を一から創造していこうという壮大な挑戦だ。それは圧倒的な可能性をもった闘いである。何よりも「国鉄闘争の火を消してはならない!」という思いが、分割民営化から24年の激闘を通して日本労働者階級の中に今も激しく脈打っている。分割・民営化から始まった新自由主義を粉砕したい、という思いは、労働者階級の圧倒的な希求だ。問題は、民営化、外注化、非正規化といった資本の究極的な合理化攻撃に、労働運動・労働組合は果たして勝てるのかということだ。
これに対する回答は、動労千葉の日々の実践が示している。2001年以来の業務外注化攻撃を10年間にわたって止め、10年4月1日実施計画の検修部門の全面外注化攻撃を、ストライキと平成採の組織拡大で打ち破ってきた闘いが、戦後労働運動の限界を現実に突破し、日本労働運動を揺るがしている。
反合理化・運転保安闘争路線を新自由主義を打ち破る階級的労働運動路線として打ち立てること、これによって4大産別で、全産別で日本労働運動は階級的に甦っていくだろう。そしてそれは全世界の労働者階級の勝利の路線として、闘いの指針となっていくだろう。
国鉄闘争全国運動は、職場に階級的労働運動を組織し、工場・経営に不抜の拠点を打ち立てる闘いだ。「侵略を内乱へ」に向け、革命を目的意識的に準備する闘いだ。階級的労働運動が、日本労働運動の主流派・多数派へ飛躍していく闘いだ。この闘いが秘めている巨大な発展可能性をわれわれはまだ、本当に引き出し切れているとは言えない。これからの一日一日が勝負だ。全面的発展をかちとろう。
保育民営化反対を国鉄闘争として闘う
現業労働運動の拠点を解体し、360万公務員首切り・選別採用へむけた攻撃の突破口となった保育民営化攻撃を、国鉄闘争全国運動の爆発の力で粉砕しよう。
菅政権は1月24日、201
3年度から実施を目指す幼稚園と保育所の一体化にむけた最終案を公表。幼・保双方の機能を持つ「こども園」を創設する一方、既存の保育所は3歳児未満の専用施設に特化し、幼稚園はそのまま維持するとした。しかし、こども園を補助金などで優遇し、事業者がこども園に移行することを露骨に誘導しようとしている。1月27日には、2013年に幼稚園への私学助成を廃止する方針を固めた。
「子ども・子育て新システム」の狙いは、新成長戦略のもと、保育をブルジョアジーの儲けの道具とするために、全国の公立・私立の幼稚園・保育所で働く約60万人の労働者を解雇・非正規化し、超低賃金労働者として奴隷のようにすることだ。
社会保険庁解体攻撃を思い出さねばならない。労働者にとって第一に、これは解雇攻撃との闘いだ。いざとなれば連合・自治労は解雇・選別のための設立委員会に加わり、労組を解散させて解雇撤回闘争を圧殺することさえ平気でやる。全保連・日本共産党も解雇攻撃であることを百も承知で隠し続けている。「より良い保育」、「市民との幅広い協同」論で、子ども・保護者を盾にして、労働組合の反合理化闘争、解雇撤回闘争として闘おうとは一切しないのだ。
したがって、保育民営化絶対反対の闘いの勝利の展望は、国鉄闘争全国運動と一体になって、国鉄1047名解雇撤回闘争を全国的に発展させていく中にある。政府への「お願い」運動ではなく、ストライキを軸にした労働者階級の実力闘争で、民営化絶対反対、合理化・首切り反対、非正規化反対の階級的団結を作り出すならば、民主党政権の攻撃など絶対に粉砕することが出来る。
国鉄闘争の勝利と保育民営化絶対反対の闘いの勝利は一体だ。保育労働者、子どもを預けている青年労働者(保護者)に国鉄闘争全国運動を持ちこみ、国鉄決戦に獲得しよう。それが保育現場を過疎支配している日本共産党スターリン主義のくびきから労働者を解放し、労働現場からの荒々しい決起を実現する道である。
裁判員制度廃止へ
4月選挙闘争で、裁判員制度廃止を真っ向から掲げ、闘う弁護士を先頭にした「裁判員制度いらない」大運動と連帯して、職場・地域に大きなうねりを作り出そう。
11・23情勢の中で裁判員制度は「国民の思想改造」「国民精神の戦争動員」という戦争国家化攻撃そのものになってきた。制度実施以降、既に累計百万通の「赤紙」(裁判員候補者通知)が送りつけられている。しかし、拒否者は増加し続け、被告人が全面否認している鹿児島の裁判員裁判では、候補者の実に92%が拒否した。死刑判決が連発される事態にもなり、労働者人民のなかには不安と怒りが充満している。労働者人民の力で裁判員制度を廃止に追い込むことは絶対にできる。
闘う弁護士戦線と連帯し、街頭を「裁判員制度廃止!」の怒りで埋め尽くそう。
ファシストを粉砕し青年労働者の獲得へ
国鉄闘争全国運動を推進し、労働組合が先頭になって闘う4月選挙闘争は、ファシスト反革命との激突を通して勝ち取られる。
ファシズムとは、資本主義・帝国主義の危機の時代に、没落する小ブルジョア層が現状変革を反革命に向かって組織していく運動だ。それは労働者・労働組合の団結をなによりも憎悪し、労働組合を暴力的に襲撃し、解体しながら成長していく。疑似革命的なスローガンを時には掲げながら、国家主義・排外主義に社会全体を組織していこうとする。階級的労働運動とは絶対非和解だ。
昨年の「尖閣」問題を契機に台頭した田母神・山田(前杉並区長)らを中心にした右翼ファシストも、結局、青年層を獲得できていない。大恐慌による首切り・雇い止め、非正規職化、超低賃金などの現実を、ファシスト運動で解決することなど絶対に出来ないのだから、当然といえば当然だ。何よりも昨年の11・6(田母神グループの総決起集会)対11・7(5900名が結集した全国労働者集会)で圧勝したことが決定的だった。青年労働者を獲得できるのが階級的労働運動の力だ。
統一地方選前半戦の東京都知事選に、いまだ石原は出馬表明していないが出てくるだろう。大阪府知事・橋下、名古屋市長・河村(愛知県知事・大村)ら、ファシスト的手法を使ったやからが、国会議員以上に権限をもった首長に座り、公務員バッシングを全面的に展開し、360万公務員首切りの道州制へむけ突き進もうとしている。
菅政権のもとでの政治不信の爆発が、一見すると奴らを押し上げるが、奴らのエセ求心力ももはや失われている。大恐慌はファシスト的な「夢」や「願望」も打ち砕く。青年労働者、学生は根本的なラジカルなものを求めている。プロレタリア革命に命を懸ける、未来をかける、そうした運動こそ青年労働者・学生を根本的に獲得する道だ。
4月統一地方選挙闘争で、労働組合の力強い登場を勝ちとり、解雇撤回、民営化・外注化阻止の国鉄闘争全国運動で青年労働者を獲得し、勝利に向かって進撃しよう。
4月選挙闘争をいかに闘うか
@エジプト革命・世界革命のうねりが燃え広がり、労働者階級の革命的高揚・活性化がドンドン進行していく中で、4月統一地方選挙闘争は「侵略を内乱へ」の闘いを圧倒的に進める重大な決戦である。杉並、相模原、八尾を拠点に、菅民主党政権を打倒し、日帝の政治支配を崩壊のふちにたたき込む闘いとして、4月選挙闘争をたたかう。
A選挙闘争という一個の政治決戦を、大失業・戦争の深まりに対する労働者階級の怒りと生活・生存をかけた決起と完全に一体の闘いとして、この決起を爆発的に促進する闘いとしてやりぬく。国鉄闘争全国運動を職場・地域で全面的に推進し、階級的拠点を拡大しながら選挙戦を闘い抜く。
Bすなわち、国鉄闘争全国運動を爆発的に推進し、労働組合を甦らせていく闘いをグイグイ前進させ、階級的労働運動の拠点を地域に圧倒的に打ち立て、青年労働者を広範に獲得していくこと。そして地区党建設の飛躍的前進を闘いとることである。
Cこの選挙闘争は、街頭での田母神ら右翼ファシスト勢力との激突を不可避とする。この激突を攻勢的に闘いぬき、ファシストをはじめ自民党・民主党から日本共産党、反動的市民派に至る一切の戦争翼賛勢力を打倒して、全大衆を革命の側に獲得していく。プロレタリア革命を引き寄せ、準備する闘いとして、大恐慌下の選挙闘争をやりぬき、必ず勝利しよう。
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月刊『国際労働運動』(416号4-1)(2011/04/01)
■翻訳資料
ムバラク独裁の暴虐を暴露したウィキリークス
鵜川遊作 訳
鵜川遊作 訳
【解説】
2011年1月25日「怒りの日」に始まったエジプト革命は、2月11日、30年間に及ぶムバラク軍事政権による強権支配を労働者、民衆の闘いによって打倒した。エジプト革命は、ムバラク政権下での労働者と民衆の長い闘いがこじ開けた偉大な勝利である。
世界恐慌の爆発により、米帝が世界支配を崩壊させ、その延命のために、矛盾の一切を労働者階級、民衆に押し付け、戦争政策を推し進める過程で、エジプトという米帝の中東石油支配と政治支配、軍事支配の一大拠点が労働者の革命的決起により崩壊した。
闘いはこれからだ。エジプトの革命は、われわれが実現しようとしているプロレタリア世界革命にとって極めて重要な橋頭保を築くことになる。日本革命と強く連動している。国鉄闘争全国運動を組織し、三里塚軍事空港粉砕、沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒の闘いを前進させよう。その力で菅政権を打倒しよう。
日本革命、世界革命が現実のものとなってきた。世界革命を達成する革命的労働者党の建設が求められている
ウィキリークスは、25万点に及ぶ米外交関連ケーブル文書をすでに取得し、2010年11月29日から徐々に公開してきた。そして12月中旬にはチュニジアで独裁政権打倒の労働者人民の蜂起が始まっていた。
そうした中で、エジプトでは、今年に入った1月25日「警察記念日」をデモの日と定め、ムバラク打倒の闘いの準備を開始した人々がいた。
08年「4月6日運動」を立ち上げた労働者と若者のグループだった(『前進2474号』以後の村上和幸論文参照)。1月25日に始まった労働者人民の闘いは、堰を切るように溢れだした。
ウィキリークスは、1月25日以降、在エジプト米大使館発の米外交文書の公表を集中的に行った。そこで世界中に明らかにされたのは、ムバラク政権による恐るべき腐敗と民衆支配の実態である。米政府はムバラク政権の強権支配の実態についての極めて詳細な情報を米大使館から得て、そのうえで、エジプト政府を米帝の利害に沿ってひきまわしてきたことが浮き彫りにされている。ムバラク政権を全面支援してきたことが暴露されている。
今回の革命の真の主役である労働者の動きをどの程度把握できていたのかは、ウィキリークスの文書では明らかではない。しかし、われわれは労働者の国際連帯によって、エジプトの労働者がこうした革命情勢をいかにしてこじ開けてきたかの詳細を知ることができるだろう。
今、エジプトの若者がインターネットの送受信を武器にしたことを考えると、この間のウィキリークスの果たした役割も重要であったと言える。
ウィキリークスが暴露した秘密文書は、米帝の反人民的政治を明かす内部文書として確認でき、それはわれわれの現状分析の正しさの確認する手段ともなる。ただ、現時点で起こっていることを認識するためにはリアルタイムの情報に及ばない。
そこで最初に1月25日から2月11日まで、約2週間がどのようなものであったかを報じたイギリス日刊紙『ガーディアン』から、「身柄拘束と拷問を行うエジプト軍」と題する文書を紹介する。この間の労働者民衆の決起に対して軍がどのような弾圧を行ったかを暴露している。
身柄拘束と拷問を行うエジプト軍 カイロ在住クリス・マクグリール記者
数百人の反政府抗議参加者を狙い撃ちした軍隊が人権キャンペーンによって告発されている。
ガーディアンが集めた証言によると、エジプト軍は、ムバラク反対の大デモが始まって以来、秘密に数百〜数千の反政府派を逮捕している。拷問された人もいる。
軍隊は自らを中立だと主張してきた。反ムバラク抗議運動とムバラク派から距離を置いていると。
しかし、人権キャンペーン・グループはそれは明白に事実ではない、行方不明と拷問のいずれにも陸軍は関与していると言う。エジプト人への虐待は悪名高い国家治安情報局(SSI)が長年にわたって関与してきており、陸軍ではないというのも嘘だ。
ガーディアンは、軍によって激しく殴られ、他の虐待も受けた逮捕者に話しかけたが、その答えは軍の脅しの宣伝をしているようにもみえる内容であった。人権グループは、「陸軍が拘束した者たちに電気ショックを使用している」と伝えている。
エジプト人権グループは、陸軍に拘束されて行方不明になった親戚を必死に探し求めている家族のことを語っている。逮捕者の内のある者はタハリール広場の端にあるエジプト古代博物館内に収容されていた。兵士は彼らを、ハマスやイスラエルなど、外国勢力のために行動しているのだろうと追及した。釈放された逮捕者らは、身体に残された拷問痕を示した。
拘禁された人の中には人権活動家やジャーナリスト、弁護士もいるが、そのほとんどは釈放されている。しかし、カイロのエジプト人権の会の代表のホサム・バハガト氏によれば、全国で数百ないし数千の一般人が軍に拘束された後「消えている」と言う。政治的なビラを持っていただけで、デモに参加しただけで。中には、外見だけで拘束された人さえいる。現在も多くの人が行方不明のままだ。
陸軍に拘束された一人は23歳の男性で再び逮捕される恐怖からファースト・ネイムだけをアシラフと告げた。彼は、ムバラク派によって襲われた抗議者の応急治療用の医療品の箱を運ぶ際中、タハリール広場の端で金曜日に拘束された。
「私は道端におり、兵士が私を止め、どこへ行くのかと聞きました。私が答えると、彼は私が外国の敵のために働いていると糾弾しました。ほかの兵士が駆け寄ってきて、みんなで銃を使って私を殴り始めました」と彼は言った。アシュラフは仮陸軍駐屯地に連行され、そこで後ろ手に縛られ、殴られ、博物館裏の軍隊の支配地域に移された。「彼らは私を部屋に連れてゆき、将校がやってきて、私が反政府活動しているのは誰に金をもらっているのだ、と聞きました。私はもっとましな政府を欲しているのだと言うと、彼は私の頭を殴り、床に転がしました。そこで兵士が私を蹴り始めました。彼らは銃剣を持っており、それで私に暴行を加えると脅しました。彼らは、私はここで死ぬこともできるし、刑務所で消えて誰にも分からなくすることもできるのだぞと脅しました。拷問は苦しく、軍事刑務所で行方不明にされるのかと考えると本当に恐かったです」
アシュラフは、数十人の他の人と部屋に連れて行かれて、激しい拷問を受けた。約18時間後に、タハリール広場には行くなと警告され釈放された。
他の者はそれほど幸運ではなかった。カイロの人権監視研究家、ヘバ・モレイェフは「多くの家族がわれわれに呼びかけ語っている。息子が見当たらない、消えてしまったと。起こっているのは、彼らは軍に逮捕されているということだと思う」と語った。
これらの行方不明者の中に、政府を批判して4年間の実刑判決を終えて最近釈放されたばかりの有名な政府批判の論客であり、ブロッガ―のカリーム・アメールがいる。彼はタハリール広場を離れるとき、夜遅く軍隊検問所で月曜の夕方逮捕された(この項終わり)。
続いてウィキリークスが暴露したものを紹介する。これは、ムバラク政権の弾圧体制と米帝との関係についての報告を、在エジプト米大使館が公電で米本国に送ったものである。以下の3点である。
1、 非常事態法を使った弾圧体制
1、 非常事態法を使った弾圧体制
「エジプトの非常事態は、1958年の非常事態法が適用され、1967年以来ほとんど連続的に発動されており、それは告訴なく個人を逮捕でき、無期限に拘束できる広範な権力をエジプト政府に付与する」
2、 ムバラクによる治安弾圧体制
2、 ムバラクによる治安弾圧体制
「犯罪者に対するエジプト警察の残忍さは日常的であり、蔓延している。情報提供者は、警察は容疑者を自白させるために暴力を使うことを毎日のこととして行っていると記述している」
3、大統領の後継者をめぐる画策
「***は政務官に最近承認された憲法修正一括提案は主にガメル・ムバラクが彼の父親からの継承を保証することを狙っているもので、彼が統治するときにはもっと支配しやすく、安定した政治状況を用意するものだと語った」
非常事態法を使った弾圧体制 作成日時 10年1月12日 スコビイ在エジプト米大使
1【重要な点】
エジプトの非常事態は、1958年の非常事態法が適用され、1967年以来ほとんど連続的に発動されており、それは告訴なく個人を逮捕でき、無期限に拘束できる広範な権力をエジプト政府に付与する。
非常事態法は国家治安裁判所を作り、それに対しては控訴ができず、大統領による修正のみが可能な判決をだす。 非常事態法は大統領に集会の自由への規制を加える大きな権限を与える。それとは別に、刑法は5人以上の人が集まると「公共秩序へ脅威を与える」として犯罪とすることができる。
過去20年以上、政府が非常事態法を使ったほとんどの場合は、イスラム・グループとアル・ジハドやムスリム同胞団の政治活動家などの暴力的イスラム教過激グループなどに絞られている。しかし、エジプト政府は最近では非常事態法をブロガー(ブログを作る人)や労働者デモ参加者を対象として使っている。
2【政府に権力の拡張使用を可能にする】
1967年アラブ―イスラエル戦争以来、エジプトはほとんど連続的に非常事態の下にある。非常事態法の適用は政府が民法と刑法に関係なく、市民の自由を制限する広範な権限を政府に与える。
非常事態法3条は大統領に、個人の集会、移動、居住、ある時間にある場所を往来する自由を制限することを命じる権限を与える。そして、「公共の安寧秩序を脅かす容疑者や個人を逮捕」し、犯罪手続き法の実行なしの逮捕と調査の権限を与える。実際、内務省は大統領の口頭のあるいは書面の「命令」を実行する。3条はまた、個人の通信の監視や出版物の押収も可能にする。
3【非常事態法による身柄拘束】
非常事態法3条は拘留者が国家治安裁判所に6カ月後に逮捕命令に対して控訴することを保証している。実際、刑務所で拘留者は30日後に拘留命令に反論する法廷審問を要求できる。拘留者は30日ごとに法廷審問を再提出できる。しかし、裁判官は拘留命令を無期限に維持できる。非常事態法は最大抑留期限を決めていない。それ故、それによって政府は、国家治安裁判所と大統領の承認のもとに、個人を告訴なく無期限に拘留することができる。
4【非常事態法の裁判システム】
非常事態法7条は国家治安裁判所設立を規定している。3人の民間人裁判官が法廷を取り仕切る。そのうちの2人は、大統領が任命した軍人裁判官によって置き換えられうる。
非常事態法はまた裁判事件を調べ、国家治安裁判所に持ち込む国家治安検察官を設置する。7条によって、国家治安裁判の判決は最終である。上訴は出来ない。
6条はまた、全ての国家治安裁判所の判決は大統領の再吟味に従い、14条は、大統領は国家治安裁判所の判決を修正することができることを規定している。
5【非常事態法の下の集会と刑法】
2項から非常事態法は「個人の集会の自由を制限」できる権限を与える。
2項から非常事態法は「個人の集会の自由を制限」できる権限を与える。
それとは別に、刑法は「5名以上の人が集まるのは公共の秩序と安全を脅かす」として犯罪とすることができる。集会とデモの法律は市民に集会を開催する前に警察に届け出ることを義務付けている。そして警察は集会を中止させること、一度集まった集会を解散することもできる。
6【非常事態法におけるテロ裁判】
イスラム・グループやアル・ジハドのようなイスラム教テロ・グループが一連の攻撃を仕掛けた90年代中、政府は非常事態法を使って数千のイスラム教徒を逮捕し、拘留した。約4000から5000人の拘留者が刑務所内に置かれていると、情報提供者は推量している。非常事態法を使って、公安警察はシナイのベドウィン・グループを04年、05年、そして06年4月のそこでのテロ攻撃の調査との関連で拘留した。
7
08年末、政府はエジプト人18人を含むヒズボラ細胞26人のメンバーを逮捕するために非常事態法を使った。その細胞はスエズ運河を通過する米国やイスラエルの船を狙っているといわれていた。その裁判は今、国家治安裁判にかかろうとしている。09年7月、政府は25人のエジプト人と一人のパレスチナ人のグループを逮捕、拘留するために非常事態法を使った。そのグループはハマスを助け、カイロのカーン・アリ・カリリ・マーケットでの09年2月の爆破を助け、コプト教徒が所有するカイロ宝石店で盗みを働いたと疑われた。
新聞報道によると、1月4日、国家治安検事はこの事件を国家治安裁判所に送った。
8【テロに関係のない非常事態法裁判】
政府はまた、テロと関係のない場合に非常事態法を使った。エジプト政府は08年10月にキリスト教とイスラム教への攻撃と考えられる事件に、非常事態法を適用し、ブロガーのハニー・ナジールを刑務所に送った。
エジプト政府はまた、07年12月以来、シナイのベドウィンが直面した困難を表明したことに対し、非常事態法を適用し、活動家とブロガーのムサド・アブ・ファグルを刑務所に入れた。08年に、エジプト政府はイスラム宗派のヘテロドックス・グループのブロガーに非常事態法を適用して逮捕し、約90日間拘束した。
9
最近は、政府は05年国会議員選挙、08年地方議会選挙、そして10年国会議員選挙の直前の段階で大勢のムスリム同胞団 (MB)メンバー を起訴もなく逮捕するために非常事態法を使った。
最近は、政府は05年国会議員選挙、08年地方議会選挙、そして10年国会議員選挙の直前の段階で大勢のムスリム同胞団 (MB)メンバー を起訴もなく逮捕するために非常事態法を使った。
政府は拘留者の大部分を数日から数カ月拘留したのち釈放した。
10
政府は、マハラのデルタ・タウンでの08年4月の労働者ストライキ中に労働者と警察の間で起こった衝突に関連して49人を逮捕し起訴するために非常事態法を使った。
08年12月に、国家治安裁判所は警官が22人を襲い、彼らを盗みと許可のない武器を所有していた罪で有罪判決を出した。
04年には、国家治安裁判所は非合法組織に属している非合法のイスラム自由党に関連している26人を有罪にした。数人の被告が政府は自白させるために彼らを拷問にかけたと語った。
ムバラクによる治安弾圧体制 作成日時 09年1月15日
1【要約とコメント】
犯罪者に対するエジプト警察の残忍さは日常的であり、蔓延している。情報提供者は警察は容疑者を自白させるために暴力を使うことを毎日のこととして行っていると記述している。イスラム主義者の拘束者に対する残虐さは全般に減少していると伝えられるが、公安警察は政治的な脅威であるとみなされるムスリム同胞団活動家への拷問は今なおしばしば行っている。
過去5年間、政府は拷問の存在の否定をやめてきた。07年以来、裁判所は15人の警官に拷問と殺人で実刑判決を出した。
独立NGOは、エジプト政府主導の警察の人権教育は成果を上げておらず、実行意思を欠いている、と批判している。エジプト政府は、警察を体制権力の道具から公共サービス機関に変換する真剣な努力をしていない。
2【蔓延の問題】
警察は常習犯罪者を自白させるために残忍な手段を使うが、デモ参加者、特定の政治犯や運の悪い見物人に対しても行う。ある人権弁護士は、エジプトの拷問の証拠はファラオの時代にさかのぼると我々に語った。NGOの情報提供者は、カイロの警察署だけでも毎日、文字通り数百の拷問事件が起こっていると推量した。
08年11月だけでも、非番の警官が些細な争いから市民を撃ち殺す事件が2件あった。2人の警官に対する裁判は現在司法当局で進行中である。
3
一人の学識経験者が、警察は盗みを働いた女性の容疑者を殴り、他のかかわった人物や盗まれた貴重品の場所を白状させようとした、とわれわれに語った。
国際NGOの情報提供者は、容疑者のアパートの部屋番号を教えろと、高級なカイロ・アパートメント・ビルのドアマンを警官が殴っているのを目撃したと記述した。
国際NGOの情報提供者は、容疑者のアパートの部屋番号を教えろと、高級なカイロ・アパートメント・ビルのドアマンを警官が殴っているのを目撃したと記述した。
4
情報提供者は警察の残忍性は訓練の不十分さ、人手の足りなさ、当局の公認によるものだとしている。人権弁護士***は、警官は、上司から犯罪の解決への圧力をかけられているので、日常的に残忍な振る舞いをしている。大部分の警官は残忍な取り調べ方を犯罪解決のためと正当化している、と語っている。またある警官はイスラム法の制裁は拷問であると信じていると。***は警官に対する司法上の刑事免責の文化が残忍さを生み出す温床になっている、とコメントした。
***によると、警官は法律を超えていると感じており、検事によって守られている。人権弁護士***は常習犯に対して電気ショックを使ったりする警官の残忍さは長時間の勤務、自身の経済的な問題によって、意気が上がらない警官の問題だという。彼は、警察は弁護士が依頼人を守るために警察署に行くと弁護士を殴りさえする、と主張した。
5【犯罪者とイスラム教徒】
***は、エジプト政府は、1997年のルクソール(観光地)・テロ攻撃の後、イスラム・グループのような暴力的なイスラム教徒と正式な対話を開始して以来、イスラム教徒に対する拷問は減少した、といった。***は、エジプト政府はイスラム教徒を常習犯罪者よりは扱いが良くなっている、と主張していた。
あるイスラム拘留者は甘やかされ、友達や家族と定期的に会うこと、かなり良い食事と教育を要求した。ルクソール攻撃前は、政府はイスラム教徒への拷問は日常的にやっていたと、***はコメントした。
6
弁護士***は、エジプト政府はムスリム同胞団(MB)メンバーを含めて、イスラム教徒への拷問にはさらに気乗りがしなくなっている、というのは彼らが公開で政治声明を発表し続け、政府を妨害しかねない国際的NGOと連携があるからだ。***は、MBメンバーが、4月6日フェ―スブック・ストライキのように、政府が脅威を感じるやり方で政府に反対する民衆を動員するときには、この規則は適用されない、と推測していた。
***によると、MB所属のブロッガーと警察が逮捕した4月6日運動メンバー***は同類となり、エジプト政府は、他の4月6日メンバーが怖がって政治的活動を止めさせるために多分彼を拷問する。
***の評価は、4月6日メンバー***が受けた拷問とその警官が4月6日女性活動家を去る11月に強姦した事との評価とかさなる。***はわれわれに、彼の逮捕の後電気ショックを使って激しい拷問を受け、入院したが、公安警察は彼が協力的になると拷問を中止したと語った。
7【エジプト政府の問題認識】
情報提供者は、過去5年間、政府は拷問が行われていることを否定するのを止めてきており、その問題に対処し始めたことを認めた。しかし、情報提供者は、内務省が警察の残忍なやり方を変えようとする本格的な行動をしないからだと、信じている。
***は、00年から06年の間、司法の独立を弱体化するために、内務省が出したとされる裁判官を軽視する服務規定について、エジプト政府は07年に、裁判所が警官への短期間の実刑判決を認める政治的決断をしたと主張した。
(注:資料によると、裁判所は二人の警官がバス運転手イマド・エル・ケビールを襲い、男色を強要したとして07年11月に3年の実刑判決を下した。拷問の現場をとった携帯電話ビデオがユー・チューブで公開されたので、この裁判は悪名高い)
***はこの裁判が転換点となったと記述している。
第8節 8
残忍であると起訴された13の裁判が現在裁判中であるが、裁判官は過去数カ月間、凶悪な犯罪を犯した警官に対して、しばしば3年の実刑という最低の穏便な判決を出し続けている。
例えば、08年10月に、裁判所は警官が漁師を殴り、溺れさせたことに対して3年の実刑判決を下した。08年11月に、裁判所は二人の警官が男を車に繋ぎ、引きづりまわして、殺したことに対して3年の実刑判決を下した。
大統領の後継者をめぐる画策 作成日時 07年4月4日
1【要旨】
政務官***、国会議員***との最近の会合で大統領の息子ガメル・ムバラクの父親からの大統領継承の可能性を議論し、ガメルが国防大臣ムハメド・フセイン・タンタウィとエジプト総合情報局(EGIS)トップのオマール・スレイマンを彼の大統領への野心実現への脅威とみなす度合いを深めているとの見解を述べた。***は、タンタウィは最近***に、「ガメルが彼を益々失望させている」と確信をもって語った。
2【競争相手を取り除こうとあがくガメル】
3月29日、***は政務官に次のように語った。「最近承認された憲法修正一括提案は、主にガメル・ムバラクが彼の父親からの継承を保証することを狙っているもので、彼が統治するときにはもっと支配しやすく、安定した政治状況を用意するものだ」と。
ガメルとその取り巻きは、ガメルへの継承の不可避性にますます自信を深め、今や政治的「障害物」を取り除くことに手を尽くしている。***は、国防大臣タンタウィとEGISトップのオマール・スレイマンを取り換える、内閣改造ができるだけ早い5月か6月にあり得るというカイロのエリートの予測を語った。ガメルとその取り巻きはこの二人を脅威であると見なしている。そこで、ガメルはムバラクに彼らを道から取り除くように要請していると伝えられている。そうすれば、継承行事では何の問題もなくなる。***は、ムバラクが彼の息子を就任させる前に死ぬと、ガメルの継承への障害が起こりうる、「ガメルはこのことを知っている、そこで、ムバラクが確実に支配している間に、遅くならない内に、早く父親の死に備えて、今、彼の助けで出来るだけ大きな不正工作をすることを望んでいる」と判断している。
3
***は最近の私的会合で彼に「彼はガメルとその取り巻きとここまでやってきた、彼らが進めているのはとんでもない腐敗だ」と意見を言ったと、****は言った。
最近の憲法修正に落胆して、ムバラクあるいはガメルが意味のある政治改革を進める意思を疑って、***は、彼は、エジプトにとって最もあり得る脱出口としてムバラク後の軍事クーデターだろうと見ている、・・・われわれは恐ろしい状況にいる、それが全ての可能な悪い選択の中の最良なものだ、と言った。(注:***は可能なクーデターのシナリオについてそれ以上語らず、未来について単に分析して見せたようだ。われわれは、他の対談者が可能なクーデターを予測するのを聞いたことはない)
国家民主党内部者 「軍は権力の移転を保証するだろう」
1【主要点】
国家民主党(NDP)の前大臣、デソウキ博士は継承についての世間やメディアの予測を否定した。彼は、エジプト軍と公安警察は、たとえ継承者が一般人であっても権力の円滑な移転を保証するだろうと言った。
デソウキは野党は弱く、民主主義は「先の長い話」だと言った。彼は、ムスリム同胞団(MB)は何ら合法的な政治的役割はない、エジプトの宗教と政治の混合は賢いやり方ではなく許されないと言った。
2【コメント】
デソウキは主要な地位に就いていたNDPの内部者だ。エジプト軍と公安警察がガメルを意味する一般人への円滑な継承を保証すると彼が請け合うことは異常に直接的であり、剥き出しだ。
軍が主要な政治的経済的権力であり続けることはここでは伝統的なやり方だ。しかし他の観測者はわれわれに告げる。近年、軍の影響力は減少し、分裂しており、その指導力は弱くなっていると。彼らは告げる。大統領ムバラクがもはや存在しない場合の継承シナリオは予測しがたくなるであろう。
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月刊『国際労働運動』(416号5-1)(2011/04/01)
■Photo News
●革命的激動期に突入した中東
(写真@A)
(写真BC)
1月14日のチュニジアでのベンアリ独裁政権打倒の闘い
(写真@)に続き、エジプト、イエメン、アルジェリア
(写真A)、モロッコなどでも独裁支配とその下での新自由主義政策を粉砕する歴史的闘いが爆発した。とりわけエジプトでは、29年間にわたる独裁体制を維持してきたムバラク政権を打倒しようとする労働者人民の闘いは、治安部隊との激しい激突に勝利し、ついに兵士たちを獲得し、2月10日にムバラクを打倒した
(写真BC)。この巨大な勝利を支えたのは、体制内労働運動を打ち破ってこの数年間労働者階級の階級的闘いを組織してきたEFIU(エジプト独立労働組合連盟)などの新たな労働運動勢力であった。大恐慌下での新自由主義政策の全面展開と、ヨーロッパ帝国主義の経済侵略の激化のなかで大量に形成されながら、激しい搾取と生活難にたたきこまれていた労働者階級こそが、まさにこの中東の諸独裁政権の打倒に決起したのだ。
(写真DE)
(写真FG)
エジプトの労働者階級の闘いは、中東諸国の労働者階級に労働者が決起すれば独裁政権は打倒できるという勝利の展望を示した。エジプト周辺のアルジェリア、モロッコ、イエメンにも連鎖的に労働者階級の闘いが波及したばかりでなく、産油国であるイラン、バーレーンなどでも労働者の陸続たる決起が開始された。イランでは、2月14日にテヘランで大規模な反政府デモが爆発し、治安部隊と激しく衝突した(写真DE)。イラン中部のイスファハンや南部のシラーズでも同様のデモが行われた。バーレーンでは、2月17日に、首都マナマの中心部の広場を数千人の労働者人民が占拠し、一部王族の支配体制を打倒する闘いを開始した(写真F)。イエメンでも2月に入って闘いはさらに大きく発展している(写真G)。これらの闘いは中東における米帝の石油利権を脅かし、米帝中東支配の要であるイスラエルの危機を一層激化させ、戦後の中東支配体制を根底から覆す闘いへと発展している。
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月刊『国際労働運動』(416号6-1)(2011/04/01)
■世界経済の焦点
絶望的危機示す2011年度予算案
「社会保障と税の一体改革」は消費税大増税
□ギリシャを超える膨大な累積債務
菅政権が国会に提出した2011年度政府予算案は、世界大恐慌下における日帝の体制的危機と民主党政権の破綻を示して余りある。
一般会計予算の総額は92兆4116億円で過去最大に膨らんだ。11年度の新規国債発行額は44兆2986億円で、これも過去最大の規模となった。他方、税収の見込みは41兆弱。新規国債発行額が税収を上回るという異常な予算は、10年度に続き2年連続だ。実は09年度においても、当初予算の段階では国債発行額が税収を下回っていたものの、結果として国債発行額は税収を超えた。08年9月のリーマンショック以降、こうした事態は完全に構造化されてしまっている。
この結果、11年度末の国債発行残高は668兆円、国と地方自治体を合わせた長期債務残高は892兆円に達する見込みだ。829兆円は日本のGDPの184%に相当する。ギリシャでさえ、政府の累積債務はGDPの129%程度だ。日本の国家財政はすでに完全に破綻している。
1月27日には、アメリカの格付け会社スタンダード&プアーズが日本国債の格付けをスペインやチリの国債格付けより低位に引き下げた。これを受けて日本国債の価格は急落した(金利は高騰)。
□「埋蔵金」は完全に枯渇
膨大な国債発行に加え、11年度予算案は、鉄道運輸機構の余剰金1・2兆円を始め財政投融資特別会計の積立金など計5・2兆円の「埋蔵金」を一般会計に繰り入れることでかろうじて成り立っている。財政投融資特別会計の積立金でつじつまを合わせる操作は、09年度来、毎年続けられてきたが、11年度で同特別会計の積立金は底を突く。
民主党政権は、数十兆円規模の「埋蔵金」を官僚に吐き出させるとして、鳴り物入りで「事業仕分け」を強行してきた。だが、11年度予算案では、事業仕分けによる歳出削減額は3000億円にとどまった。政権交代以来の2年弱で、民主党政権は、もともとほとんど存在しなかった「埋蔵金」を、すべて使い果たしてしまったのだ。
そもそも、鉄道運輸機構に余剰金があること自体、おかしなことだ。98年に国鉄清算事業団が解散して日本鉄道建設公団に統合された際、28・3兆円に膨らんだ国鉄長期債務のうち24・2兆円は国の一般債務に付け替えられた。この措置がなければ、鉄道運輸機構に余剰金など発生するはずがない。国鉄分割・民営化は、赤字解消という点でも完全に破産した。
□国債暴落は不可避
昨年6月、菅政権は「新成長戦略」と同時に「財政運営戦略」を策定した。「財政運営戦略」は、国と地方自治体の基礎的財政収支(プライマリー・バランス)を2020年度までに黒字化するという目標を掲げている。
日本の国家財政は、92年以来20年近くにわたり、基礎的財政収支の赤字状態を続けてきた。基礎的財政収支が赤字になると、新たな借金が借金返済額を上回り、負債総額は雪だるま式に増えていく。こんなことはいつまでも続かない。この危機を、社会保障の徹底的な解体によって突破しようとしたのが小泉政権だった。小泉が06年に策定した「骨太方針2006」は、「11年度に基礎的財政収支を黒字化する」とうたっていた。だが、現に編成された11年度予算案では、基礎的財政収支は22兆7489億円もの赤字になっている。
菅政権は昨年6月段階で、基礎的財政収支の黒字化達成を20年度に先送りしたが、今年1月21日に内閣府が策定した「経済財政の中長期試算」は、20年度においても基礎的財政収支は23・2兆円の赤字になると予測している。基礎的財政収支の黒字化など、もはや絶対に達成できない。
そうであれば、国債の大暴落は必ず起きる。文字通り国家が破産するということだ。その時は刻々と迫っている。
□「一体改革」はペテン真の狙いは資本減税
こうした危機の中で、菅政権は消費税大増税への突進を開始した。今年6月までに消費税率の引き上げ幅を策定し、11年度中に増税法案を通し、どんなに遅くとも衆院選を経た後の15年度に実際の増税に着手するというのが、菅の思い描くスケジュールだ。
そのために菅は、「社会保障と税の一体改革」というスローガンを振り回している。だが、「社会保障のため」と称して消費税増税を押し貫こうとする手法そのものが、徹頭徹尾ペテンだ。
消費税増税は資本の基本方針だ。今年1月、経済同友会は「2020年の日本創世」なる提言で、「消費税は2013年10%、2015年15%、2017年17%と段階的に引き上げよ」と叫び立てた。日本経団連も昨年4月の「経団連成長戦略2010」で、「消費税率を少なくとも10%まで引き上げていくべきである」と唱えている。
資本が消費税増税を求めるのは、それによる税収を法人税減税に充てるためだ。実際、消費税導入以来の消費税の税収総額は、その間の法人税の減収額を上回っている。
また、巨大資本は消費税から膨大な輸出還付金を受け取っている。09年の1年間で、トヨタは2000億円超、ソニーは1000億円超もの輸出還付金を懐に入れた。労働者や中小企業から収奪された消費税は、そのまま大資本に吸い上げられている。
菅は、第2次改造内閣の経済財政担当相に与謝野馨を充てた。自民党政権下で財務相などを歴任した与謝野の起用は、まさに消費税増税のためのシフトだ。消費税増税の具体案を策定する「社会保障改革に関する集中検討会議」のメンバーには、元厚労働相の柳沢伯夫や慶応大学長の清家篤、東大教授の吉川洋ら、小泉「構造改革」以来、新自由主義攻撃の先頭に立ってきた人物が任命された。この会議には連合会長の古賀伸明も加わっている。古賀は「福祉をきちんとするために消費増税を受け入れなければならない」と言い放っている。
□「新成長戦略」に基づく大規模な法人税減税
だが、消費税の増税分は、社会保障ではなく、資本への減税に回される。
現に菅政権は、11年度税制改定で大規模な法人税減税を決定した。これは「国際競争力強化」を叫ぶ「新成長戦略」の柱をなす政策だ。法人税の実効税率(国税と地方税を併せた税率)は現行の40・69%から約35・6%に引き下げられる。これによる減税規模は年間1・2兆円に及ぶ。
にもかかわらず日本経団連は、さらなる減税を求めている。だが、「日本の法人税は諸外国と比べて高い」という資本の主張にはウソがある。租税特別措置により、大資本への課税は実際には利益の約30%程度にとどまっている。
さらに菅は、株式などの配当や売却益への課税を軽減する証券優遇税制の2年間延長も決定した。昨年度の段階で、証券優遇税制は12年に廃止すると決められていたが、それも覆されたのだ。
つまり、財政危機がどれほど深まろうと、資本減税はとことん貫くということだ。
□労働者には大増税
他方で、労働者階級には大増税がのしかかる。
今年1月から、16歳未満の被扶養者を対象とする年少扶養控除と、16歳から19歳の被扶養者を対象とする特定扶養控除が廃止された。これによる増税額は、年収400万円で中学生以下の子どもが1人いる世帯の場合、年間1万9000円、年収600万円で中学生以下の子どもが2人いる世帯の場合、年間7万6000円と試算されている。
この措置は、子ども手当の支給と高校の授業料無償化を口実に、昨年の税制改定で決定されていた。子ども手当が支給されても、それは増税で相殺されてしまうのだ。
□民主党マニフェストは全面的に破産した
子ども手当をめぐる混乱は、民主党マニフェストの破産と菅政権の統治能力の喪失を突き出している。
もともと民主党は、中学生以下の子どものいる世帯に1人当たり月2万6000円の子ども手当てを支給すると公約していた。だが、10年度の支給額は半額の月1万300
0円にとどまり、11年度予算案でも満額支給は断念、3歳未満の子どものみを対象に月2万円に増額するとした。
これは、年少扶養控除の廃止による増税への怒りをかわそうとする、まさにその場しのぎの方策だ。菅政権は、11年度から子ども手当を満額支給するという前提で、昨年末段階で年少扶養控除の廃止を先行的に決めてしまった。ところが、11年度予算の編成過程で、子ども手当満額支給の財源などないことが突きつけられた。
今回、3歳未満のみを増額としたのは、旧児童手当が3歳未満の子どもは1人あたり1万円、3歳以上は5000円となっていたためだ。この水準と比較して、3歳未満だけを増額としたのだ。民主党政権がすでに実施している1万3000円水準の子ども手当を基準にすれば、3歳以上の子どもがいる世帯は10年度と比べて負担が増える。
また、子ども手当の財源は、国庫負担分のほかに自治体負担分や企業負担分もあるが、今回、子ども手当の増額分を予算に計上しない自治体が続出した。これは、菅政権が統治能力を失っていることの象徴だ。
菅政権は、大資本の利益をむき出しの形で呼号することによってのみ成立している政権だ。だが、問題なのは、菅が声高に叫び立てる政策が、現に実行に移せるか否かである。そもそも、予算関連法案の成立さえ危ぶまれ、いつ倒れてもおかしくないのが菅政権の実態だ。
□労働者の総決起で菅政権打倒へ
09年末からのギリシャ危機を突きつけられた菅は、昨年7月の参院選を前に「消費税の税率を10%に引き上げる」とぶち上げた。その結果、民主党は大敗し、参院選で消費税増税への突破口をこじ開けようとした菅の思惑は打ち砕かれた。にもかかわらず、またぞろ菅は消費税の大増税を叫び始めたのだ。こんな政権は、チュニジアのベンアリやエジプトのムバラクと同様、労働者のゼネストと大デモによって打ち倒されて当然だ。
菅はまた、財政危機を振りかざして公務員労働者360万人の首を切ろうとたくらんでいる。だが、赤字の責任は労働者には一切ない。財政破綻は、大恐慌下で膨大な資本救済費が延々とつぎ込まれてきたことが原因だ。
しかも銀行などの大資本は、国家によって救済されながら、その国家に対する最大のカネの貸し手に転じ、国債投機によって膨大な収益を上げてきた。巨大な財政赤字は、もはや「踏み倒す」以外に解決できない。労働者階級が資本主義を覆し、自らの権力を打ち立てた時に初めて、ブルジョア国家が大資本に負っている膨大な債務を帳消しにできる。それだけが、現実的な財政赤字の解決策だ。
チュニジア・エジプトの革命に続こう。国鉄闘争全国運動を推進軸に、階級的労働運動をよみがえらせて、菅政権を打倒しよう。
(岩谷芳之)
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月刊『国際労働運動』(416号7-1)(2011/04/01)
■世界の労働組合 イギリス編
イギリス消防士組合(Fire Brigades Union:FBU)
■概要
イギリスの消防士は現在30%が非正規の労働者で、Detained Duty System(待機勤務制度)と呼ばれる労働形態で雇われ、呼出しに応じて勤務に就くというパートタイム労働で働いている者もいる。FBUは、正規とこうした非正規の消防士、それにコントロールセンターで働く労働者を含み、組合員数は約4万8000人であり、イギリスの消防士の85%を組織している。
イギリスの消防士は現在30%が非正規の労働者で、Detained Duty System(待機勤務制度)と呼ばれる労働形態で雇われ、呼出しに応じて勤務に就くというパートタイム労働で働いている者もいる。FBUは、正規とこうした非正規の消防士、それにコントロールセンターで働く労働者を含み、組合員数は約4万8000人であり、イギリスの消防士の85%を組織している。
FBUの設立は1918年であるが、公務員労組に組織されていた消防士たちが分離独立し、1930年に現在のFire Brigades Unionを名乗るようになった。2005年の選挙で体制内派の前委員長アンディ・ギルクリストを倒して、左派のマット・ラックが委員長になった。 第2章 ■2002年〜2003年の消防士大ストライキ
FBUの設立は1918年であるが、公務員労組に組織されていた消防士たちが分離独立し、1930年に現在のFire Brigades Unionを名乗るようになった。2005年の選挙で体制内派の前委員長アンディ・ギルクリストを倒して、左派のマット・ラックが委員長になった。 第2章 ■2002年〜2003年の消防士大ストライキ
2002年5月、大量解雇を狙うブレア政権の合理化計画に対して、FBUはスト権投票を行い、賃上げと合理化反対要求で、9割以上という史上最高の賛成でスト権を確立した。02年〜03年、ブレア政権の消防合理化へのFBU組合員の怒りが爆発し、賃上げと合理化撤回を求めて15日間ストを含む半年間の大争議が闘われた。政府は人員削減と抱き合わせの賃上げ案を示し、マスコミは連日、「消防士は欲張りだ」「交渉を蹴って不必要に争議を起こしている」等、非難と批判の報道を流した。ブレア政権は、1万9千人の軍隊を投入してこの闘いを圧殺しようとした。
FBUへの攻撃を全労働者階級への攻撃と受け止めたイギリスの労働組合は、ただちに連帯行動に入った。鉄道・海運・運輸労組(RMT)と機関士・機関助士組合(ASLEF)が組織する地下鉄労働者はロンドン地下鉄の大部分を止めた。自治体と国会公務員を組織する公務員労組(UNISON)と公務・民間サービス労組(PCS)も連帯行動を組織した。イギリスの労働者階級は、これを自分たち全体の問題ととらえ、あらゆる戦闘的な労組がFBU闘争の防衛のために共に決起した。
■労働党との決別
2004年6月17日、FBUは大会で大激論の末に、圧倒的多数で労働党からの脱退を決定した。執行部は、「労働党内部からの変革」の名のもとに労働党加入の継続をはかり、反対派へはなりふりかまわず処分を乱発した。だが大会に先立って、反対派が執行部を握る地本・支部では、続々と今回の選挙で労働党ではなく左派の統一戦線候補を支持することを公然と決定していった。ランク&ファイルの活動家は、執行部にスト突入を抑圧される中で、次々に首をかけて山猫ストや順法闘争に決起した。
執行部案を大会で否決して労働党脱退を勝ち取ったFBUのランク&ファイル運動は、ダラ幹を打倒し、労働者の手に労組を取り戻す闘いの勝利に確信をもった。
■草の根FBU
ギルクリスト執行部を批判しながらブレア政権の攻撃に対して現場から反撃してきた勢力が、04年2月、「草の根FBU」というフラクションをつくった。これは、ランク&ファイル活動家グループである「レッド・ウォッチ」や「ブランスウィック・ランク&ファイル・ネットワーク」などが、これまでの対立を超えて大同団結したものだ。これらのグループは、イギリス反戦連合の積極的な担い手でもある。
■消防士のストライキは続く
2010年、イギリスでは史上最大の階級決戦を迎えた。オズボーン財務相が10月20日、議会に財政赤字の解消をうたった歳出削減策を発表するやいなや、これに反対する公務員労組を先頭とする大規模デモ・ストが即座にたたきつけられた。
FBUは非正規職化攻撃と一体となった勤務時間の変更攻撃に対して、10月23日、第1波の8時間ストライキに突入し、政府のスト破り策動が狙われた27の職場ではスト突入の1時間前の9時からピケットが張られ、終日ピケットラインを実力で守りぬいた。11月1日もロンドン消防士約5500名の8時間第2波ストライキが戦闘的に貫徹された。
(写真 2010 年10 月23 日、ストライキに突入した消防労働者が歳出削減策反対のデモに合流)
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月刊『国際労働運動』(416号8-1)(2011/04/01)
■国際労働運動の暦/4月17日
■1964年4・17春闘スト■
不発の戦後最大スト
太田−池田トップ会談で中止取引 日共が「米帝の挑発」とスト破り
4・17ストは、1964年、総評が国労など交運共闘・公労協を先頭に計画した戦後最大級の春闘ストである。公労協とは、公共企業体等労働組合協議会の略で、国労、動労、全逓(今のJP労組)、全電通(今のNTT労組)など9組合。公労法でストは禁止されていたが、この年初めてストライキと明記した。このストライキは、スト前日に、当時の池田勇人首相と太田薫総評議長とのトップ会談で、中止になった。実現しなかった幻のストとして1947年2・1ストと並ぶ(2月号本欄参照)。
60年代始め以来の労働運動の低迷の中で、労働者を吸引し民同支配の危機を突破するために提起されたストだ。太田は「青年よハッスルせよ」とか「ヨーロッパ並み賃金を」と叫んだ。「太田ラッパ」と言われた。経済闘争重視路線である程度賃上げを実現して、労働組合としての組織力を維持しなければもたないという危機感があった。しかし、いったん指令を下ろして、職場に火が付くと、労働者はものすごい戦闘力を発揮し、4・17ストへの総決起の情勢になった。
だがスト前日、太田・池田会談が開かれ、「民間準拠方式」ということで手打ちが行われた。官公労の賃金を民間並みに引き上げるということで、民間が上がらなければ上がらない、賃金の決定に自分たちの力が及ばないという屈辱的な取引だ。
実際、スト中止から1カ月近くたって出された賃上げ額は労働者の期待を踏みにじるもので、平均220
9円、全電通1756円で、物価値上げの足しにもならないものだった。
●日共のスト反対声明
このスト準備過程で日本共産党が真っ向からストに反対しその反反労働者性をさらけ出したことで、4・17ストは記憶されている。
日共は4・8声明において、@スト体制が無準備・無防備である、A日韓会談反対闘争などの政治的課題との結合がなく、B労働者独自の闘争であり国民から孤立している、Cさらにストには挑発のにおいがあるから「再検討すべきである」と訴えた。この2日前に日共は総評などにストの回避を申し入れ、その工作が不調に終わったために、声明を発表し、日共党員を公然たるスト破りとして動員したのである。
最も重大な問題はBで、「幾百万の国民生活に直接影響をおよぼし、国民全体にかかわる重大な政治問題になる」と言っていることだ。これは「ストは国民に迷惑」というブルジョアジーの宣伝そのものだ。
日共は「笛を吹いているのはアメリカ帝国主義だ」とまで言って、スト破壊に全力を挙げた。
日共のスト破りは、労働者階級が戦闘的に決起していったことに対する恐怖の反動である。「ストライキには革命のヒドラ(怪物)が宿っている」(レーニン)。まさに日共は革命に恐怖したのだ。
日共は「修正主義者とトロツキストがストを挑発している」と叫んだ。それは革共同が62年の三全総路線のもとで、職場から闘いを築いていったことに対する恐怖の表現だ。
(写真 スト中止で取引した池田首相・太田総評議長の会談【64年4月16日】)
●中共の「中間地帯論」
日共は7月の第9回中央委員会総会で「スト反対は誤り」と「自己批判」したが、なぜこのようなスト破りに走ったかを明らかにできなかった。日共の宮本顕治書記長は、当時「療養」と称して中国・海南島に滞在していたからあずかり知らなかったと言って、責任を
聴濤克己幹部会員らに押しつけた。
当時の中国共産党は、日帝・池田政権に期待を寄せ「中間地帯」として日本資本主義を「反米親中」の路線に獲得することをもくろんでいた。だから日本の階級闘争を激化させることに反対だった。中国寄りの宮本指導部は、その意向に沿って4・17ストを「米帝の陰謀」として反対したのである。日共は、4・17ストをめざす労働者の闘いを敵階級に売り渡すことによって、労働者階級の自己解放としての革命に反対する立場を鮮明にしたのだ。
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4・17スト関連日誌
4・ 2 総評第25回臨時大会で公労協を主力に17半日ストを確認
4・ 2 総評第25回臨時大会で公労協を主力に17半日ストを確認
8 日共が4・17公労協ストは弾圧を招く挑発的陰謀として反対を表明
8 日共が4・17公労協ストは弾圧を招く挑発的陰謀として反対を表明
12 日共第2の声明「職場の組合幹部、社会党員、組合員大衆に訴える」
14 日共第3の声明「労働者は反動と分裂主義者の笛におどらされてはならない」
16 池田勇人首相・太田薫総評議長のトップ会談で妥協・スト中止
16 日共第4の声明「あくまで挑発、分裂とたたかい、職場の団結をかため、職場を基礎に闘争の態勢を強化しよう」
17 春闘統一行動、鉄鋼、造船、電機など民間労組を主体に24時間スト
7・19 日共は第9回中央委員会総会で、4・17スト反対は「誤りだった」と自己批判
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月刊『国際労働運動』(416号9-1)(2011/04/01)
■日誌 2011年1月
1日 全国で郵便局に元旦ビラ入れ
全国労組交流センターの仲間たちが全逓労働者部会を先頭に、北は北海道から南は沖縄まで全国一斉に郵便局へのビラ入れ情宣を行った。首都圏では100局以上で行った。労働者から圧倒的な反響があった
1日神奈川 西村市議が元旦駅頭で訴え
神奈川労組交流センター、婦人民主クラブ全国協議会相模原支部、西村あやこ相模原市議は、小田急線相模大野駅前に旗を林立させ、駅前広場でビラまきと国鉄署名・百万署名に決起した
4日東京 年金機構本部や厚労省前で情宣
労組交流センター自治体労働者部会は、東京の日本年金機構本部と厚生労働省、さらに全国各地の年金事務所の前で社保労働者525人分限免職(解雇)撤回を訴える宣伝行動を行った
8日千葉 動労千葉 熱気みなぎる団結旗開き
動労千葉の団結旗開きが、DC会館で盛大に開催された。2010年の大きな前進を踏まえ、1047名解雇撤回・検修全面外注化阻止の新たな決戦への総決起宣言の場となった
9日千葉 三里塚、新年デモと旗開き
三里塚芝山連合空港反対同盟の新年初の現地デモと団結旗開きが、労農学158人の結集でかちとられた。デモに先立って反対同盟は、暫定滑走路南端に位置する東峰神社のしめ飾りを付け替え、さらに市東孝雄さん宅に立つ看板を「第3誘導路粉砕! 農地取り上げを許さない」のスローガンに一新し、2011年決戦の意気込みを鮮明に表した。午後1時から、成田市内のレストランで団結旗開きが盛大に開かれた
13日東京 法大包囲デモ 「禁酒」に怒りの反乱法政大学文化連盟と全学連の主催で「全面禁酒粉砕! 倉岡さんへの処分阻止! 戦争反対! 『お願い』ではなく反乱を!」を掲げて新年1発目の法大包囲デモを打ち抜いた
14日東京 星野全国再審連絡会議 署名を提出
「星野さんをとり戻そう! 全国再審連絡会議」は、霞が関の裁判所前でビラまき・宣伝活動を闘った。その後、東京高裁第11刑事部に対して、第2次の署名提出と申し入れを行った
15日茨城 動労水戸 団結うち固め旗開き
動労水戸が、2011年団結旗開きを水戸市内で開催した。検修外注化阻止決戦を頂点にライフサイクル、新人事・賃金制度と真っ向から対決し青年労働者の組織化に打って出る態勢を打ち固めた
15日神奈川 相模原 西村市議、5期目へ決意
「さがみはら革新市政をひらく会新春のつどい」が開かれ、4月の相模原市議選に5期目の出馬を決意した西村あやこ市議を囲んでの総決起集会として大いに盛り上がった
15日大阪 八尾 新春団結旗開き盛大に
八尾市議会選挙まで100日。全国連西郡支部と八尾北命と健康を守る会、八尾北労組の1・15新春団結旗開きはすえみつ道正市議の決意表明を中心に大成功をかちとった
16日広島 革共同中四国政治集会が成功
2011年の革共同中四国政治集会は大成功した。広島市西区民文化センターで行われた集会には「国鉄解雇撤回・外注化絶対阻止! 大恐慌―大失業・戦争を世界革命へ!」のスローガン字幕と革共同旗が掲げられ、155人が結集した
16日東京 都政革新する会の旗開き
都政を革新する会の旗開きが盛大に行われた。東京西部ユニオンを始め支持者・区民180人が参加し、北島邦彦杉並区議会議員の4月区議選必勝へ向けて決意と団結を打ち固めた
17日大阪 関西支社を大阪に新設
『前進』2471号(1月17日発行 )に、革共同関西地方委員会から、 2010年決戦の勝利の地平の上に、年末についに前進社関西支社を再建したとの報道が載せられた
『前進』2471号(1月17日発行 )に、革共同関西地方委員会から、 2010年決戦の勝利の地平の上に、年末についに前進社関西支社を再建したとの報道が載せられた
19日千葉 動労千葉 配転粉砕へ青年が指名スト
動労千葉は、「強制配転の事前通知撤回・ライフサイクル制度撤廃」を求めて千葉運転区支部・北嶋琢磨君の指名ストに突入した。同時に、千葉運転区支部の全組合員が時間外・休日労働、所定以外の勤務は一切行わない非協力闘争に突入した。支部組合員を先頭に、他支部の仲間、動労千葉を支援する会など80人が駆けつけた
19日東京 日航CCUなど146人の原告が提訴
日本航空による昨年末の165人の整理解雇の撤回を求め、146人のパイロット、客室乗務員が東京地裁に提訴した
19日北海道 札幌の教育シンポで情宣
北海道労組交流センターは、北海道平和運動フォーラム主催のシンポジウム「いま教育で何が起こっているのか。教育に自由な討論を呼びかける――教師に誇りと勇気を」の参加者に、国鉄闘争全国運動への合流を訴えるビラを配布した
22日鳥取 伯備線事故弾劾 米子で国鉄集会
米子市において「伯備線事故5周年弾劾! 国鉄1047名解雇撤回! JR検修全面外注化阻止!」を掲げた国鉄集会とデモが闘いとられた
22〜24日茨城 日教組全国教研で情宣
日教組第60次教育研究全国集会が水戸市を中心に開かれた。全国労組交流センター教育労働者部会は茨城労組交流センターの仲間とともに断固登場、大情宣で現場組合員と大合流した
24日千葉 三里塚耕作権裁判
千葉地裁で三里塚芝山連合空港反対同盟・市東孝雄さんの耕作権裁判が開かれた。日帝・成田空港会社(NAA)の暴力的で卑劣な農地強奪攻撃に怒りを燃やす労働者、農民、学生、市民が大挙駆けつけ、傍聴席を埋めた
24日東京 共謀罪阻止国会闘争
破防法・組対法に反対する共同行動は、国会開会日に国会前に一番乗りし、ビラまき、座り込み、集会をかちとった。日帝支配階級は、予防反革命の共謀罪関連法案を4度目の提出で成立させようと本格的に構えている
25日東京 日航整理解雇 本社前制圧し大街宣
日本航空が強行した165人の整理解雇撤回を求めて19日に提訴した146人の原告団の当該である日航キャビンクルーユニオン(CCU)、日航乗員組合を先頭に300人が日航本社前(東京・天王洲アイル)を制圧し街頭宣伝行動を行った
25日東京 国労5・27臨大闘争弾圧裁判控訴審
国労5・27臨大闘争弾圧裁判の控訴審第3回公判が、東京高裁刑事第10部(村瀬均裁判長)で開かれ、裁判長の交代に伴う弁護団の更新意見の陳述と、原田隆司さん、東元さん、富田益行さんの各被告の被告人質問が行われた
27日東京 自治労中央委員会で宣伝
全国労組交流センター自治体労働者部会は、九段会館で開かれた自治労第141回中央員会に結集する組合員に「菅政権支える自治労本部打倒を/首切り・賃下げの公務員攻撃粉砕/新成長戦略を先取り推進するグランドデザイン構想粉砕」と熱烈に訴え、1000枚のビラを配布、注目を浴びた
27日東京 3・20反戦デモ 第1回実行委開く
3・20集会第1回実行委員会が都内で開催された。実行委員会は坂野陽平全学連委員長代行の「『11・23』から戦争が始まった。今こそ戦争を阻止しなければならない。学生がその先頭に立ち、主体として闘う。3・20を歴史的な集会にしよう!」という訴えで開始された
28日千葉 動労千葉がスト総決起集会
動労千葉は、スト貫徹!総決起集会を千葉市民会館で開いた。組合員を先頭に300人が集まった。集会終了後、参加者は直ちに千葉運転区庁舎前での抗議行動に立った。組合員が次々とマイクを取って怒りをたたきつけ、シュプレヒコールを繰り返した。集会での方針提起で田中康宏委員長は、千葉支社がライフサイクル配転通知を撤回しなければ2月1〜2日、春闘第1波のストに突入すると宣言した
28日東京 「日の丸・君が代」訴訟で反動判決
東京高裁(都築弘裁判長)は、「日の丸・君が代」強制に反対して東京の教育労働者395人が訴えた予防訴訟の控訴審判決で、原告が全面勝利した一審判決を覆す超反動判決を出した。反動判決を徹底弾劾し、3〜4月の卒・入学式の「日の丸・君が代」不起立闘争で大反撃しよう
28日大阪 西郡住宅明け渡し弾劾裁判で不当判決
辻西幸子さん、田中由加さん、岡邨洋さん3家族への住宅明け渡し弾劾裁判が大阪地裁大法廷で開かれた。田中健治裁判長は、応能応益絶対反対の団結に追いつめられ、3人に対し、住宅を明け渡せ、最高家賃の倍額払え、お上に逆らうなと許せない反動判決を強行した
29日東京 国労中央委で本部弾劾
国労共闘と「共に闘う国労の会」、労組交流センターは、新橋の国労本部で開かれた国労第181回拡大中央委員会に対するビラまき宣伝戦に立った
30日大阪 八尾で総決起集会開く
八尾市で1・28住宅明け渡し不当判決徹底弾劾、住宅闘争勝利、八尾北医療センター明け渡し阻止、4月市議選必勝を掲げた総決起集会を165人の結集でかちとった
31日千葉 三里塚第3誘導路工事推進に緊急抗議
三里塚現地において第3誘導路関連の工事が一層激しく進められ、三里塚芝山連合空港反対同盟、支援連絡会議、全学連が緊急闘争を闘った
31日東京 星野再審闘争 東京高裁に補充書提出
星野文昭同志と再審弁護団は、星野同志の無実を示す決定的な写真と「厳島鑑定書(その2)」をはじめ無実の新証拠7点を添えて、第2次再審請求書の「補充書(2)」を東京高等裁判所第11刑事部に提出した
31日栃木 「TPP阻止集会」で訴え
宇都宮市でJAなどが主催する「TPP交渉への参加阻止栃木県民集会」が開催され、労組交流センターの仲間は断固ビラまきに登場した
(弾圧との闘い)
26日東京 法大5・28暴行デッチあげ控訴審
法大5・28暴行デッチあげ弾圧裁判控訴審の最終弁論が東京高裁第9刑事部で闘いとられた。7期日をかけて闘われてきた控訴審は、新井拓君と中島宏明君の一審無罪判決を覆そうとする検察側との全面的な激突となった
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月刊『国際労働運動』(416号A-1)(2011/04/01)
■編集後記
戦後も一貫して戦争と革命の時代だった。エジプト革命をもって、世界恐慌を世界革命へと転化する時代が始まった。
スターリン主義の裏切りによって辛うじて延命してきた米帝基軸の帝国主義世界体制は、新自由主義をもって労働者階級人民にその全矛盾を押しつけ、さらなる延命を図ってきた最末期の帝国主義であった。この体制は、中東石油支配体制をパレスチナ人民に対する白色テロ国家であるイスラエルを柱に、それをエジプトの極反動的な独裁体制が支えて成り立ってきた。
エジプト革命はその反動体制に労働者革命をたたきつけ、米帝に重大な打撃を与えた。北アフリカ、中東、アジア、全世界の労働者人民への限りない檄となった。アジアにおける朝鮮侵略戦争反対の闘いが決定的だ。情勢は一変した。3・20渋谷反戦大デモに決起しよう。
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