International Lavor Movement 2011/02/01(No.414 p48)

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2011/02/01発行 No.414

定価 315円(本体価格300円+税)


第414号の目次

表紙の画像

表紙の写真 生産ラインを占拠する現代自動車労働者(12月 8日)

■羅針盤 動労千葉のストと反戦デモ 記事を読む
■News & Review 韓国
 現代資本にドス突きつけた工場占拠スト
 非正規職労組、25日間の籠城占拠を解く
記事を読む
■News & Review ヨーロッパ
 緊縮政策に労働者・学生の怒り爆発
 EUの“弱い環”でゼネストとデモの波
記事を読む
■News & Review イラク・アフガン
 オバマがアフガンを電撃訪問NATO、11年撤退開始―14年完了決定
記事を読む
■特集 国際連帯で朝鮮侵略戦争阻止を 記事を読む
Photo News 記事を読む
■世界経済の焦点 記事を読む
■世界の労働組合 イギリス編
 イギリス通信労働組合
 (Communication Workers Union:CWU)
記事を読む
■国際労働運動の暦 2月1日
 ■1947年2・1ゼネスト挫折■
 戦後革命裏切った日共
 全官公庁400万労働者が決起したが米占領軍の脅迫に屈し「中止宣言」
記事を読む
■日誌 2010 11月 記事を読む
■編集後記 記事を読む
裏表紙の写真 CUバークレー校の授業料値上げ反対闘争(11月7日)

月刊『国際労働運動』(414号1-1)(2011/02/01)

羅針盤

■羅針盤 動労千葉のストと反戦デモ

▼11・23延坪島砲撃戦とその後の展開が突き出していることは何か。それは、世界大恐慌のもとで、米帝がついに朝鮮侵略戦争の強行に踏み切り、歴史的背景を持つ朝鮮半島での帝国主義と残存スターリン主義の間の新たな戦争=侵略戦争が切迫しているということである。それは同時に、〈帝国主義とスターリン主義の戦後世界体制が最後的に崩壊した〉ことを告げる歴史的事態でもある。米日帝による朝鮮侵略戦争の核心的狙いは、北朝鮮スターリン主義体制を転覆する侵略戦争を通して、韓国労働者階級、さらに世界の労働者階級の闘いを圧殺するところにある。
▼これに対して、労働者階級と人民の大反撃が12・3〜4動労千葉ストと渋谷デモとして断固として闘い抜かれた。12月3日正午、動労千葉は、〈12月ダイ改粉砕・検修外注化阻止〉のストライキに突入した。早朝からの大雨をついて駅とJR職場へのビラまきを行った支援の労働者と、スト直前まで組織拡大に全力をあげた動労千葉の組合員が、幕張車両センター前に結集した。その中を、正午を期してストライキに突入した幕張支部の組合員が職場から誇らしげに出てきて大合流した。幕張・京葉の検修職場と同時に、木更津、銚子、鴨川の検査派出もストライキに突入し、JR資本に大打撃を与えた。
▼動労千葉のストライキの熱気は、夕方の「朝鮮侵略戦争阻止・菅政権打倒」の渋谷デモに持ち込まれた。動労千葉のスト決起と3名の組合加入の報告は、参加者を奮い立たせた。440人の渋谷反戦デモは、開始された日米共同統合演習を徹底的に弾劾し、「大失業と戦争に突き進む菅民主党政権打倒!」の新たな戦闘宣言となった。

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月刊『国際労働運動』(414号2-1)(2011/02/01)

 韓国

現代資本にドス突きつけた工場占拠スト

非正規職労組、25日間の籠城占拠を解く

 □闘いは終わりではない

 11月15日に始まった現代(ヒョンデ)自動車蔚山(ウルサン)非正規職支会の工場占拠スト闘争は12月9日午後4時、籠城(ろうじょう)を解除し、籠城団は整然と隊列を整えて堂々と工場正門を出た。
 現代車非正規職支会組合員を外で待っていた連帯団体会員たちは拍手と「ご苦労さん」というあいさつで彼らを暖かく迎えた。
 最後まで籠城場を守っていた組合員も、外で待っていた人たちも涙を流していた。ずっと待ち続けた末に抱き合った彼らは皆同じく「闘いは終わっていない」と言った。
 現代自動車蔚山1工場で籠城に参加していたある組合員は「25日間、寒くて腹が減っていたけれど、外で粘り強く連帯してくれている人たちと家族対策委、そしてヤンジェ洞で籠城している同志たちのおかげで心の奥深いところに温かさを感じた」と言った。彼は「籠城場を出る足取りが重かったが、最後ではない、始まりだという考えで出てきた。現場に復帰してまた始めよう。まだ希望はある。われわれが始発点になってあらゆる非正規職が正規職になって、皆一つの労働者になることができるように現場で力いっぱい闘う」と言った。
(写真 11月9日午前、籠城場で開かれた組合員総会)

 □9日、籠城解除を決定

 非正規職労組(支会)は9日午前、緊急総会を開き「先ず交渉、その後籠城解除」案を決定し、イサンス非正規職支会長にあらゆる権限を委任していた。しかしこの日の午後1時30分頃、イサンス支会長がパクユギ金属労組委員長とイギョンフン現代車正規職労組(支部)支部長と会った3主体会議で「先ず籠城解除」に最終的に合意した。
 3主体と現代車は△籠城場非正規職の告訴・告発、損害賠償、治療費の解決△今回の籠城者の雇用保障(蔚山、全州(チョンジュ)、牙山(アサン))△非正規職支会指導部の社内身辺保障△不法派遣交渉対策要求について交渉を開いた。
 争議対策委とパクユギ委員長、イギョンフン支部長が午後2時10分頃、再び籠城場に上がって行った。争議対策委は「3主体協議結果、籠城を中断して現時間を期して私たちは籠城場を出る」と明らかにした。
 非正規職支会1工場のキムソンウク代表は「イサンス支会長がつらい決断をした。われわれの要求を100%貫徹できなかったが70〜80%要求案を受容した。第2の拠点をつくって闘争を共にして行こう」と支会長の決定事項を伝えた。
 キムソンウク代表は「われわれは25日間、奇跡を起こした。最後まで頭を下げずに堂々と進んで行こう。現時間をもって籠城場をたたむ」と宣言した。
 工場占拠後、現代車元・下請け労資が初めて交渉テーブルについた。現代車非正規職支会イサンス支会長と役員ら、イギョンフン現代車支部長とカンジョンヒョン組織強化室長、金属労組パクユギ委員長とイジェイン団協室長、キムジュチョル民主労総ウルサン本部長が労働側代表として出て、会社側からはカンホンドン代表理事副社長(蔚山工場長)を始めとする幹部7名と、下請会社社長2名が出た。
 金属労組、現代車支部、現代非正規職支会と現代車元・下請会社側が参加する「5者交渉」テーブルの性格について会社側は「今回のストライキにともなう特別協議体」とし、労働側は明確な「交渉」と主張して違いを見せ、この日の初顔合わせ会は35分で終わった。
(写真  1工場を出る組合員)

 □“組合員は勝利した”

 この25日間の工場占拠ストライキを現場で取材したチョ
ソンウン記者が蔚山労働ニュ
ースに次のような論評を寄せている。紹介しよう。
 現代車非正規支会組合員は勝利した。彼らは非正規職労働者も闘いによって団結することができるし、工場を止めることができて、新しい世の中をつくり出すことが可能だという希望を持てるようになった。
 現代車非正規職支会の組合員は闘争の中で代議員、現場委員、分任組など自らの闘争機関を建設した。集会と現場討論をとおしてあらゆる問題を討論し、論争して階級的立場をつくっていった。「あらゆる社内下請けを正規職化せよ」という3支会(蔚山、牙
山、全州支会)8大要求案を「雇用継承と懸案問題解決」に後退させた「3主体(金属労組、現代車支部、現代車非正規職支部)論議案」を「ゴミくず案」だとして糾弾し、揺れる指導部を叱咤(しった)した。
 現代車非正規職支会組合員は不法派遣撤廃、正規職化が不可能な夢だと考えはしなかった。まさに今、ここで実現しなければならない当面した目標とした。
 現代車非正規職支会組合員はチョンモング(現代自動車会長)を締め付ける闘争、頭の中で考えていた大部分のことをいっぺんにやった。工場占拠ストライキを、自分の闘争目標を実現するための実践的手段として選択した。資本の利潤に直接的に打撃を与えた。そして工場占拠ストライキを拡大するために現代車資本のすさまじい暴力に対して闘った。2工場、3工場のストライキを組織するために殴られても、殴られても闘争の現場に戻ってきた。病院のベットでも闘うと決意した。1工場占拠スト籠城場を死守して不法派遣撤廃、正規職化闘争の勝利のために自分を犠牲にして決起した。「同志という言葉がこんなにいいものだとは知らなかった」と家族までも変化させた。
 現代車非正規職支会の組合員は自分の前で話をし、行動していた支援勢力が果たして真の友であるのかどうか評価することができた。正規職労組が立ちはだかる壁を乗り越えてこそ直接現代車と対決できるという、貴重な階級的経験を持つことができた。
 現代車非正規職支会組合員たちはすでに「新しい人間」たちだ。生存のために正規職と競争して、同僚と競争して、同志と競争していた過去の非正規職労働者ではない。現代車非正規職組合員たちは資本の弾圧の中で生まれ、成長した、今は資本が恐れる新しい人間たちだ。
 現代車非正規職支会組合員たちはスト破壊脅迫と孤立の中で籠城場から降りては来たが、すでに彼らはあまりに多くのことを経験したし、成長している。25日間の1工場占拠スト闘争は今すぐ手に取れる結果ではなく非正規職撤廃闘争のために何が不足しているのか、何を準備しなければならないのかを学ぶ闘争の学校だった。
 現代自動車支部(正規職)は1工場2階の占拠籠城闘争場への会社側の侵奪を許さず体を張って闘った。会社側の妨害を貫いて籠城場に食料を送った。しかし、指導部の方針は非正規の闘いに真に連帯するものではなかった。
 金属労組と現代車支部、民主労総蔚山本部は、今すぐここで実現されなければならない正規職化闘争を「懸案問題解決」に後退させた。1工場拠点ストライキ場から闘争を組織して闘争を拡大させる役割ではなく妥協し仲裁し調整し収拾し闘争を終わらせようとした。誰のための妥協と仲裁なのか? 誰のための収拾終結なのか? 籠城解除を最も望んでいる者はまさに現代車資本だ。
 記者は最後に、「1工場拠点ストライキ組合員たちは『階級和解のための仲裁と妥協の機構』に対し、断固として闘う自分たちの指導部を建設しなければならないと自覚(「われわれは闘う準備ができている。指導部は絶対揺れるな」)しつつある。これが1工場占拠ストライキの要約だ」と記している。
 今回の工場占拠籠城闘争は現代自動車という巨大資本に立ち向かって、現実に25日間生産を止めるという闘いを貫徹した。正規職労働者との真の連帯をかちとっていくことの重要性がますますはっきりした。現代自動車非正規職支部の労働者の中に固い団結と労働者階級の真の力に目覚めた多くの労働者を生み出した。これがこれからの闘いを牽引していく最大の力であり、韓国の労働運動を牽引して行く大きな成果だ。
 (大森民雄)
(写真  正門前での整理集会)

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 全北バス7支会がゼネスト 警察による72人連行を糾弾

 全国運輸産業労組民主バス本部所属の全北地域7支会が12月8日午前4時から無期限ゼネストに突入した。
 第一旅客、湖南高速、全北高速、シンソン旅客、市民旅客、プアンスマイル交通など七つの労組は前日7日、地労委の調停が終わるまで会社の態度変化がなく、対策会議を持ってゼネストを決議した。
 午前10時30分、ゼネスト闘争に立った全北地域バス労働者闘争本部のゼネスト突入記者会見が開かれた。彼らは今回のストライキをとおして「バス労働者の人間らしい生活を必ずかちとる」と明らかにした。
 これに先立ち警察は全州市民旅客の車両を阻止していた労働者26人をドクチン警察署に連行した。
 午前10時頃、全北高速事業場周辺に集まった警察は11時30分頃、全北高速支会ストライキ現場がある駐車場を急襲して全北高速支会長を始めとする46人の組合員を全州ワンサン警察署に連行した。
 合わせて72人が警察署に連行されたのだ。
 現場にいた労組関係者は「会社側はあらかじめ警察が侵入する空間を準備しておいた」とし、「彼らはまた、組合員らが連れていかれると約束でもしていたかのように懸垂幕と労組施設などを素早く撤去した」と言い、会社側の準備した策謀を糾弾した。
 これに対して午後2時、全州市庁広場で開かれた全北バス労働者ゼネスト闘争勝利決意大会では午前に起こった野蛮な弾圧を糾弾する声であふれた。
 キムジョンイン公共運輸労組バス闘争対策委員長は「怒りに堪えない」と、言葉を詰まらせて「人間らしく生きようとする労働者を弾圧するのを見て、権力もまた資本家の犬」だと、警察の無差別連行に対して非難を浴びせた。
 彼は「過度の労働で膀胱炎や胃腸病に苦しんで常時的事故の危険におかれているのがわれわれ労働者の現実」だとし、「公共の権利である移動権の次元としても全北バスを市民のものとして、労働者のものとして、必ず取り戻さなくてはならない」と述べた。

( 写真 全北バス労働者のゼネスト闘争勝利決意集会)

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月刊『国際労働運動』(414号2-2)(2011/02/01)

 ヨーロッパ

緊縮政策に労働者・学生の怒り爆発

EUの“弱い環”でゼネストとデモの波

  没落帝国主義米帝が、朝鮮侵略戦争にのめりこみ、対中国争闘戦を極限的に激化している一方、米日と対抗して世界支配を争うEU帝国主義が、EUの解体的危機に直面している。
 新自由主義政策の矛盾を集中され、〈帝国主義の弱い環〉に陥れられた諸国、とりわけ、いわゆるPIIGS諸国と呼ばれるポルトガル・アイルランド・イタリア・ギリシア・スペインをはじめとする諸国で、労働者人民の積年の怒りが、ゼネスト、デモなどで爆発し、EU体制そのものを揺るがしているのだ。

□アイルランドの首都で10万人のデモ

 財政危機から、アイルランドはついにEU・IMFに救済を要請し、EUは730億ポンドの銀行救済資金の提供を決定した。ギリシアと同様、緊急援助≠フ条件として、EU・IMFが要求している財政赤字削減のための緊縮政策に対して、労働者人民の怒りが、ついに爆発し始めている。
(写真 ダブリンの抗議デモ【11月27日】)
 首都ダブリン市内で、11月27日、12月4日と連続してデモが行われた。とりわけ12月4日のデモには、10万人が全国各地から結集し、アイルランドにとって画期的な大闘争となった。教育労働者、公務員労働者、バスの運転士、テレコム労働者、看護師、そして年金生活者など、あらゆる領域の労働者が参加していた。子どもづれの母親もいた。学生は、すでに11月26日に、2000人の独自デモをやっている。
 デモ隊の怒りは、危機の元凶=銀行資本とその手先である政権党、フィアナ・フォイル(共和党)と緑の党に対してだけ向けられたわけではない。長年にわたって政府の政策を支持し、労働者人民に犠牲を強いてきた野党、フィナ・ゲール(統一アイルランド党)と労働党、そしてその影響下にある労働組合会議(CTU)に対してもぶつけられた。
 集会で、口先だけの政府批判をやった労組幹部の演説に対しては、「お前も、やつらと同じベッドで寝ていたではないか」「降伏した卑怯者!」などの野次がとび、「いますぐゼネストだ」の声が上がった。野党は、今回の緊急政策に対して議会で反対することすらせず、ゼネストどころか、デモでガス抜き≠試みると同時に、労働者の怒りの爆発を恐れて、11月27日のデモには、デモの過熱化を防ぐために=@組合官僚の手先の250人のデモ警備員を配置した。革命情勢への発展を恐れ、与野党はこぞって、労働者人民の怒りをデモ・スト、生産点での闘いの爆発から、来年の総選挙へと転換させようと反動的な策動を行っている。しかし、ついに労働者階級と既成労働組合指導部の間に亀裂が公然と現れ始めたことは確実である。  集会で、口先だけの政府批判をやった労組幹部の演説に対しては、「お前も、やつらと同じベッドで寝ていたではないか」「降伏した卑怯者!」などの野次がとび、「いますぐゼネストだ」の声が上がった。野党は、今回の緊急政策に対して議会で反対することすらせず、ゼネストどころか、デモでガス抜き≠試みると同時に、労働者の怒りの爆発を恐れて、11月27日のデモには、デモの過熱化を防ぐために=@組合官僚の手先の250人のデモ警備員を配置した。革命情勢への発展を恐れ、与野党はこぞって、労働者人民の怒りをデモ・スト、生産点での闘いの爆発から、来年の総選挙へと転換させようと反動的な策動を行っている。しかし、ついに労働者階級と既成労働組合指導部の間に亀裂が公然と現れ始めたことは確実である。

 □ポルトガルのゼネストに80%を超える参加

 11月24日、社会党政府の緊縮政策に反対して、巨大なゼネストが、全国、全産業、全社会分野で闘われた。統一ゼネストとしては、1988年以来初めてのことである。
( 写真 ポルトガルのゼネスト)
 ゼネストに参加した労働者の数は、200万人から300万人といわれる。ポルトガルの総人口が1千万人、労働人口が500万人だから、空前の労働者決起で、ポルトガル経済の中心部分を揺るがした。ゼネストへの参加率は80%を超えた。
 列車の80%がストップ。バスや、島との間のフェリー、地下鉄も運休。港湾労働者、海上運輸管制労働者が、全国の港湾の機能をストップさせ、空港では航空管制官と地上勤務員がストライキ。リスボン空港のチェックインカウンターも業務を停止し、リスボン発着の数十便がキャンセルになるなど、ポルトガルの陸海空の交通が止まった。
 郵便配達労働者は、民間のスト破りのトラックの突入を阻止するために局前にピケットを張った。学校も、教員と職員が閉鎖した。健康関係から銀行に至るサービス業務もストップした。
 ストの主力は公共部門の労働者であるが、民間の労働者も多数参加している。
 リスボン近郊のフォルクスワーゲン・オートヨーロッパ工場は、ポルトガル最大の輸出元だが、3600人の労働者がストに参加し、日産500台の生産ラインを完全に止めた。工場はスト防衛のピケットで固められた。出勤したのは全労働者の10%足らず。
 リスボン市内は、「ストに参加しよう!」と全労働者に呼びかけるのぼりであふれた。そして、市の中心部を、ゼネスト中の10万人の労働者が行進した。
 今回の歴史的なゼネストへの参加率は、列車、リスボンとポルトの地下鉄、河川運送業務、全国各地の空港の地上勤務員、乗務員、航空管制労働者など、スト参加はほとんど100%に近く、全体としては85%。多くの都市で、ごみ収集はストップ(各所で1
00%の参加)。保健関係職場でも、参加率は高い。とりわけ健康センターや病院。
 今回の緊縮政策反対の統一行動を指示した2大労働組合、CGTP(ポルトガル労働者総連合―ポルトガル共産党の影響下)とUGT(労働者総同盟―与党社会党の影響下)が共闘するのは、1974年にサラザール独裁政権を打倒して以来のことである。しかし、実は彼らは次のように公言している。「CGTPはゼネストを呼びかける。それは、新たな蜂起を行うためではなく、最悪の社会不安を避けるためである」(CGTP議長カルバリョ・デ・シルバ)。「愛国的で左翼的な政治を」(PCP/ポルトガル共産党)。「緊縮予算案の投票では、国の脆弱な経済を危機に追い込まないよう、反対投票をすることは差し控え、棄権に回る」(野党社会民主党)。これが、歴史的共闘≠フ中身だ。
 注目すべきなのは、今回の巨大な歴史的ゼネストに先立って、4月26日に機関士労組(SMAC=Sindacato dos Maquinistas)が、5時間のストをやり、朝の通勤時間の都市交通を完全にストップさせていたことである。〔ストは、さらに4月27日、29日にも行われ、これには、バスの運転士や郵便労働者も参加した〕。そして、5月7日には、緊縮政策反対の巨大な抗議行動が行われた。ポルトガル労働運動の新たな出発だ。  注目すべきなのは、今回の巨大な歴史的ゼネストに先立って、4月26日に機関士労組(SMAC=Sindacato dos Maquinistas)が、5時間のストをやり、朝の通勤時間の都市交通を完全にストップさせていたことである。〔ストは、さらに4月27日、29日にも行われ、これには、バスの運転士や郵便労働者も参加した〕。そして、5月7日には、緊縮政策反対の巨大な抗議行動が行われた。ポルトガル労働運動の新たな出発だ。

 □スペインでは1000万人のゼネスト

 9月28日、スペインで、緊縮政策に反対する労働者が24時間のゼネストに決起。労働人口の半数以上の1000万人の労働者が参加した。ゼネストは、スペインでは8年ぶりのこと。高速列車の80%が運休、中距離輸送も混乱し、通勤電車は25%しか走らなかった。タクシー運転手もスト。スト中の工場の門前では、ピケ隊と警官隊との間に衝突が起きた。
 マドリードやバルセロナの卸売市場では、配達を強行しようとしたトラックに卵や野菜などが投げつけられた。ごみの収集は止まり、ストライキを呼びかける組合のビラが街路を埋めた。
 闘いは続き、議会が政府の緊縮案を可決した12月3日の夜、航空管制官たちが、組合の指令を待たずに「病欠」で職場を離れ、24時間の山猫ストに入った〔6月のマドリッド地下鉄のストも、組合の闘争方針がないなかで、事実上、職場大会での決定から始まった〕。労働時間に関する交渉が長期化したことへの抗議と緊縮政策反対が掲げられている。翌4日、これに対し、政府は軍事政権以後、初めての非常事態宣言を発し、442人のスト参加者に対する懲罰の攻撃を開始した。
 ゼネスト後に、サパテロ首相〔PSOE=スペイン社会主義労働者党〕の内閣のサルガド経済相は「恐慌のさなか、労働組合はこれまで完璧に責任ある態度≠示してきてくれた」「この基本的姿勢が、これからも貫かれていくことを期待する」と述べた。スペインの労働組合、UGT(労働総同盟)とCC・OO(労働者協議会)は、財政危機の爆発以来ずっと政府に協力してきた。今年の1月、サパテロは、緊縮政策の立案にあたって、秘密裏に、この二大労組の指導部と会談をしており、UGTのメンデスは、「社会平和は、各人の望むところであり、また責任でもある。社会平和を破るつもりはないし、これからもそうである」などと言い、CC・OOのトクソ委員長は「ゼネストは、スペインにとって最悪の事態だ」と語っている。9月29日の行動については、「政府を代えようとするものではない。ただ、方向転換を要求するだけのものだ」と両労組の記者会見で言明した。

 □逮捕の恫喝でスト中止命令するギリシャ政府

 6月28日の24時間スト以来、ギリシャ労働者の闘いは続き、11月25日、アテネ市内を数百人が、緊縮政策に反対するデモを闘った。デモは、いくつかのグループ毎に、市内各所で行われた。退役軍人が、年金・健康保険を要求して、防衛省にデモ。さらに、11月30日、数百人のジャーナリストが首切り反対≠フプラカードを掲げ、アテネ市内デモ。ストで、テレビや新聞発行が止まった。12月2日、フェリーの乗務員が、職の防衛と失業手当を要求した8日間のストを終えて、仕事に戻る。政府が、スト中止を行政命令。逮捕の恫喝でスト中止を命令したのは、この半年で2回目だ。さらに、12月15日にも、闘争が予定されている。
 EUの弱い環≠ネどと呼ばれているこれら諸国は、実は新自由主義政策のもとで、民営化、規制緩和、グローバリゼーション、外注化、組合つぶしなどの攻撃を集中的に受け、低賃金・無権利の労働力市場、投機資金(=過剰資本)のターゲットとして、EU帝国主義だけでなく、日米資本の延命のために、食い荒らされてきたのである。
 その攻撃に対し、自ら屈服して協力してきたのが、体制内労働運動である。こうした諸国の労働者階級への攻撃は、独仏などEU帝国主義中心国の労働者に対しては、「より安い労働力」を求めての外注化(工場の海外移転)という恫喝による賃金抑制として襲い掛かった。これを容認してきたのは、やはりEUの体制内労働運動指導部だった。
 今や、世界大恐慌・戦争に立ち向かい、勝利するためには、帝国主義の延命の手先、支柱となっている体制内労働運動の壁を打ち崩す、階級的労働運動の新たな国際的潮流の形成を、「万国の労働者、団結せよ!」の旗の下、闘いとっていくことが急務である。   (川武信夫)
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 ■EU各国の緊縮政策2010

アイルランド:公務員労働者の賃金カット(5%)/公共部門労働者、24,000人の解雇/社会保障関連支出、28億ユーロ削減/最低賃金の引き下げ:一時間7.65ユーロ($10/840円)へ/付加価値税(消費税)を現行の21%から、2013年に22%へ、2014年には24%へ引き上げ/子ども手当を、1カ月につき16ユーロ削減/定年退職の年齢を2014年までに68歳まで引き上げ
ギリシア:公的サービス労働者へのボーナス廃止/公的部門の賃金と年金を3年間にわたり凍結/消費税を19%から23%に引き上げ/燃料・アルコール・タバコ税の10%引き上げ
ポルトガル:公務員の賃金カット/年金の凍結/家族手当の廃止/学校への援助の中止/消費税引き上げ/交通費・医療費の引き上げ/国有・公共企業(航空・鉄道・郵便など)の民営化
スペイン:官庁労働者は、6月以来、5%の賃金カット、2011年まで賃金凍結/タバコ税28%の引き上げ/新生児の母親にたいする2500ユーロの現金給付が廃止/長期失業者にたいする月額426ユーロの補助金の打ち切り

■EU諸国の債務と財政赤字(2009年)/失業率

  債務総額(対GDP%) 財政赤字(対GDP%) 失業率(%)(2010.6)
EU基準値 60 3  
イタリア 115.8 5.3 8.3
ギリシア 115.1 13.6 12.2
フランス 77.6 7.5 9.8
ポルトガル 76.8 9.4 11.1
ドイツ 73.2 3.3 6.9
イギリス 68.1 11.5 7.7
アイルランド 64 14.3 13.7
スペイン 53.2 11.2 20.2
(資料:EU統計局)

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月刊『国際労働運動』(414号2-3)(2011/02/01)

 イラク・アフガン

オバマがアフガンを電撃訪問NATO、11年撤退開始―14年完了決定

 世界恐慌の爆発の中で、米帝は北朝鮮・中国侵略戦争に訴えて世界支配を貫徹しようとしている。そうした中で、米帝のアフガニスタン、イラク侵略戦争はますます敗勢を深めている。

 □NATO首脳会議開く

 ポルトガルのリスボンで北大西洋条約機構(NATO、加盟28カ国)の首脳会議が11月20日開かれた。
 アフガン情勢を協議した会議には、NATO率いる国際治安支援部隊(ISAF)の派兵国48カ国に加え、日本、国連、欧州連合(EU)の代表も参加し、11年前半から地元軍・警察への治安維持権限の移譲を本格化し、14年末に完了する行程表を承認した。
 これは、アフガン情勢が改善したからというのでは全くなく、北朝鮮、中国侵略戦争に本格的に突入するための政策である。実際に2010年の1年間の国際部隊の死者は過去最多となり、690人を超えている(図参照)。米軍の地上部隊は戦闘には使えないような状態に陥っている。
 米軍は11年からアフガニスタンに初めて「M1A1エイブラムス」戦車を投入することを決めた。10年1月以来、オバマがアフガン増派をしてきたにもかかわらず戦局を改善することはできず、逆に敗勢が深まったことによる戦力増強である。米帝はこの間、タリバンを和平交渉のテーブルに引き出すためにカルザイ政権を使って接触を図ってきたが、タリバンによって拒否され、和平交渉の道が完全に破綻してさらなる戦力増強に追い込まれた。タリバンは9年間のゲリラ戦の中で戦術的にも洗練されてきており、米帝が敗勢をひっくり返すことはほとんど不可能だ。
 米帝オバマは、12月3日、アフガニスタンを電撃訪問し、負傷兵を慰問すると同時にバグラム空軍基地で101空挺師団の兵士を前に演説し、年末休暇の祝詞を述べ、「君たちは任務を達成しつつある」と言ったが、アフガンの大半をタリバンが制圧している状況であり、任務達成というにはほど遠い。101空挺師団は侵略最前線部隊として投入されており、今年だけで100人を超える死者を出しているのだ。

 □カルザイ政権と軋み

 こうした中で、米帝とカルザイ政権との関係に軋(きし)みが生じてきている。オバマの電撃訪問ではカルザイとの会談が行われず、テレビ電話での討論も、カルザイが拒んで単なる電話会談になった。オバマは、カルザイの汚職について批判を強めている。だが、実際には米帝が袋詰めの莫大な資金をカルザイに提供するようなやり方がカルザイ政権の腐敗を進行させたのであり、カルザイを汚職に導いたのは米帝である。
 一方でカルザイは、米軍に夜間に民家のドアを蹴破って行われる捜索を止めるように求めている。ロシア軍と共同で行われた麻薬工場への爆撃についても非難している。軍事作戦が泥沼化する中で、この敗勢の責任を巡ってどちらにより大きな原因があるのかで責任のなすり合いになっているのだ。

 □マリキが首相に再選

 米帝の侵略戦争は、イラクでも行き詰まっている。10年3月に国民議会選挙が行われたが、11月になるまで政府の形が決まらず、混迷が続くような有り様だった。結局、最も権限を持つ首相にはマリキが再選されたが、シーア派とスンニ派、クルド人の三つの勢力の対立の中で、ようやく米帝の思惑を押しつけたのである。
 米帝は、イラク人民のゲリラ戦闘を押さえつけるためにこの三つの勢力の分断と対立を煽り、スンニ派を中心としたゲリラ勢力に対してシーア派武装勢力の襲撃によって打撃を加えるやり方を取ったが、その生み出した現実としてイラク国内の勢力争いは収まるはずもなく、情勢の一層の不安定化は不可避である。そうした中で武装勢力の自爆戦闘などのゲリラ戦闘は現在も激しく続いている。
 米帝は、10年8月に米軍の戦闘部隊を撤退させたとしているが、現実には5万の軍隊を始め傭兵を含めれば、10万人以上の戦闘部隊がイラクに残ったままである。米帝は首都バグダッドの真ん中のグリーンゾーンにバチカン市国よりも面積の広い大使館を建設しており、イラクを実質的に植民地支配することを目論んでいるのだ。
 米帝のイラク占領支配の核心は、労働者階級の闘いを圧殺することにある。米帝は暫定統治の際にフセイン政権下で敷かれていた抑圧法の大半を廃止したが、公務員労働者と石油労働者から労働組合結成の権利や交渉権を奪う労働組合禁止法はそのまま維持した。労働者階級の決起だけはなんとしても阻止しようというのである。この労働運動弾圧法は、そのまま現在のマリキ政権に引き継がれている。
 イラクの労働者階級は、不屈に闘い続けており、08年には、米のILWU(国際港湾倉庫労働組合)が「アフガン・イラク戦争阻止」を掲げ、軍事物資輸送阻止の西海岸すべてをぶっ止めるストライキに立ち上がった闘いに連帯してイラクの港湾労働者がストライキに立ち上がった。イラク政府は南部石油労働者の一時金値上げ要求の闘いに対して指導者をバグダッドに強制配転し、仕事を与えずに机に座らせておくといった弾圧を加えているが、労働者は元の職場に戻すことを要求して闘い抜いている。
 世界恐慌の爆発が、帝国主義の世界戦争へと向かう中で、この攻撃を止められるのは労働者階級の広範な決起だけである。
 (秋原義明)

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月刊『国際労働運動』(414号3-1)(2011/02/01)

国鉄闘争全国運動を軸にした階級的労働運動と国際連帯を誓った全国労働者総決起集会(10年11月7日)

特集

■特集 国際連帯で朝鮮侵略戦争阻止を

 はじめに

 11月23日午後、北朝鮮軍が延坪島(ヨンピョンド)に向けて砲撃し、韓国軍がこれに応戦、双方に死傷者が出た。北朝鮮へのすさまじい戦争挑発=米韓軍事演習が軍事衝突に発展し、米帝の朝鮮侵略戦争が新たな段階に突入した。情勢は完全に一変し、新しい11・23情勢に突入した。
 大恐慌の戦争への転化が朝鮮半島を舞台に激烈に始まった。米帝は北朝鮮を包囲・封殺し、体制を転覆しようとしている。それは大恐慌情勢が生み出した激しい争闘戦の帰結であり、朝鮮半島をめぐる帝国主義と残存スターリン主義の間の侵略戦争が、ついに爆発したということだ。 
 第1章では、米帝が朝鮮侵略戦争に踏み切ったこと、対中国の戦争的対決を強め、日米安保強化を通じて日帝を全面的に動員しようとしていることを明らかにする。
 第2章は、日米韓、日朝中、さらに全世界の労働者階級人民の国際連帯で戦争が阻止できることを訴えている。

〔国鉄闘争全国運動を軸にした階級的労働運動と国際連帯を誓った全国労働者総決起集会(10年11月7日)〕

■第1章

 米帝が朝鮮侵略戦争開始――戦争へ日韓・日米合同軍事演習


 11・23の米帝の朝鮮侵略戦争の開始によって現在の一切の情勢の起点に11・23がすえられることになった。
 11・23の朝鮮半島の戦争勃発を受けて、全事態はこの戦争をめぐって起きている。
 米帝は、米韓合同演習を11月28日から12月1日まで行い、続けて12月3日からは東中国海で「尖閣奪還作戦」という日米合同演習を行った。この2つの合同演習は、米帝の朝鮮・中国侵略戦争の全容を示すものだ。同時に、米帝は、日帝を日米安保のもとで動員しつつ、日帝の対米対抗性を許さない相互絶滅戦的な争闘戦を貫いている。
 大恐慌の重圧下で、米帝が最先頭になって世界再分割をめざす帝国主義的争闘戦に突入している。戦後世界体制の崩壊とともに「基軸国」からずり落ち始めた米帝が、なりふり構わず帝国主義戦争に至る帝国主義間・大国間争闘戦に突入しているのだ。
 米帝は超金融緩和でドルを世界中にばらまき、一方でドル安で通商戦争に打ち勝ち、他方で新興諸国のインフレ化、バブル化も辞さず、そこへの輸出の拡大を狙っている。
 その決定的突破口として、対中国争闘戦がある。残存スターリン主義国家・中国の手に今や米帝の命運を左右するほどの米国債が保有され、米帝はこれに依存しているという危機的事態に対する、絶望的な現状転覆衝動が極点に達している。
 だからこそ米帝は、中国に人民元切り上げを強硬に迫っているのだ。そして対中国軍事戦略である統合エア・シー・バトル構想を打ち立て対中対決を強めている。
 同時に、北朝鮮スターリン主義の危機がいよいよ深まり、体制崩壊の危機が切迫している。米帝は、米韓関係を土台に朝鮮侵略戦争に踏み切った。米帝のヘゲモニーのもとでの「朝鮮統一」と朝鮮半島支配を戦略化している。これは朝鮮半島―東アジアをめぐる中国との激しいヘゲモニー争いとなり、対北朝鮮・中国侵略戦争となって爆発していく。
 日帝・菅政権は帝国主義としての存立をかけて、この朝鮮侵略戦争の過程に参戦しようとしている。12月の「防衛大綱の見直し」では、「動的抑止力」への転換を図り、自衛隊の南西重視戦略を打ち出す。中国脅威論で排外主義をあおり、「日米安保の重要性」を強調して、普天間基地の辺野古移設を強行しようとしている。
 プロレタリア革命こそが唯一の道である。国鉄決戦を基軸に、朝鮮侵略戦争阻止、日帝・菅政権打倒、安保・沖縄闘争、革命的反戦闘争を爆発させよう。日米韓・日朝中労働者階級の団結で戦争を阻止しよう。

 11・28〜12・1米韓軍事演習

 米韓合同軍事演習は11月28日から12月1日までの4日間にわたって黄海で行われた。参加したのは米軍が、原子力空母ジョージ・ワシントン、イージス巡洋艦カウペンスなど艦艇5隻、ステルス戦闘機F22ラプターなどの航空機、人員約6400人。韓国軍は、イージス艦の世宗大王など艦艇6隻、P3C哨戒機などの航空機、人員約900人。24時間態勢の演習だった。
 韓国軍合同参謀本部は今回の訓練を「黄海で実施された合同演習としては史上最大規模」としている。
 演習初日の28日は、米韓艦隊が合流し、訓練海域の警備作戦などを展開。29日からは、対空防御や航空機による爆撃訓練、海上射撃訓練や対潜水艦探知・防御訓練などの演習を行った。韓国軍幹部は、「演習はすべての可能性に備える」としており、「敵艦艇が北方限界線(NLL)を侵犯し攻撃に出るのを早期に察知し、艦載機を緊急出撃させ撃滅する」戦闘訓練も行った。
 湾岸戦争にも使われた偵察機E8ジョイント・スターズも参加しており、同機は、戦場の周辺を飛行するだけで、戦闘地域全体に配備されている車両やミサイル発射装置、地上部隊の動きを探査可能で、上空から味方地上部隊を指揮できる。演習期間中、北朝鮮軍が新たな動きに出れば、同機で即座に察知して対応することになっていた。
 米韓合同演習は年内にも空母を派遣しての再実施が検討されている。
 米韓は10月9日、米韓安保協議を開催し、新たな合同作戦計画「戦略同盟2015」を決めた。従来の「作戦計画5027」は朝鮮侵略戦争の際、米軍50万人と航空機16
00機、艦船200隻が出動、米軍主導で作戦を展開する計画だった。新たに策定する「戦略同盟2015」は、戦時作戦統制権が2015年に米から韓国へ移管されるのに備え、韓国軍が地上作戦を主導し、米軍は海軍と空軍で戦う態勢に変える。金正日体制の崩壊情勢に米帝は韓国主導の形で「南北統一」を行い朝鮮半島を制圧することを狙っている。
 これは南北朝鮮人民が求める「南北分断打破・革命的統一」に全面的敵対するものだ。米帝の朝鮮侵略戦争に韓国軍(人民)を徹底的に動員する計画だ。この戦争を通して南北人民を殺し合わせ、南北分断をさらに強め、韓国労働運動をこの侵略戦争で壊滅することを狙い、北朝鮮人民の決起を抑え込むものだ。
 米陸軍・海兵隊はイラク8年・アフガン10年戦争において無残な敗退を強いられ、軍は疲弊の極に達している。両戦争の戦場に米軍20万人を10年規模で動員し戦い続けることは米軍をすり減らすだけのことだった。そこで「QDR(4年ごとの米防衛力の見直し)2010」は、「志願兵制度の維持」を叫び、米軍崩壊寸前の危機をわめき散らしたのだ。
 米軍はベトナム戦争敗北によって徴兵制度の廃止に追い込まれ、91年のソ連崩壊後に米軍の大リストラを強いられ、その後の米軍再編などを通じて米軍はかつての200
万人体制から現在は150万人体制となり、陸軍は53万人(予備役35万人)体制に縮小している。海兵隊の18万人を加えても68万人だ。イラク・アフガン戦争に予備役である州兵をフル動員しているが、それも大破綻している。
 韓国軍は徴兵制を敷いており、現有総兵力は69万人(陸軍56万人、海軍6・8万人、空軍6・3万人、予備役380万人)体制をとっている。イラク・アフガン戦争で消耗した米軍は、朝鮮侵略戦争において陸は韓国軍に任せて空・海戦争を主軸に戦う戦略なのだ。米韓合同演習は、米韓の空海作戦が軸になっている。
 盧武鉉(ノムヒョン)前大統領は、対北朝鮮融和政策である「太陽政策」を唱え、対米対抗的な「自主国防」を主張した。韓国では米韓同盟が緊張し、韓国では反米基地闘争が激化していた。そうした情勢の下で盧武鉉は、米韓連合軍の戦時作戦指揮統制権の韓国軍への早期委譲を米帝に要求した。当時のラムズフェルド米国防長官はこれをチャンスとして、戦時指揮統制権の早期委譲に賛成し、12年4月17日に委譲することが決まった。これは米帝の朝鮮侵略戦争における陸の主体を韓国軍に転換することを意味していた。
 盧武鉉の北朝鮮融和政策に反対し、米韓同盟強化を掲げて大統領になった李明博(イミョンバク)は、今年3月末の韓国哨戒艦沈没事件を受けて、戦時作戦指揮統制権の委譲延期を米帝に求め、15年12月1日に延期となった。李明博政権は、北朝鮮の崩壊情勢を迎えて、米帝の朝鮮侵略戦争を断固支持して韓国軍を出動させようとしている。そのために米軍に作戦指揮統制権を委ねた。
 しかし韓国の労働者階級人民は10年6月の統一地方選挙における与党惨敗が示したように北朝鮮侵略戦争に圧倒的に反対している。南北人民が再び殺し合いになることなど絶対に反対である。その土台に民主労総を柱とする労働運動が資本・国家権力と激突しているという現実がある。李明博は、戦争参戦をもって強力な韓国労働運動を破壊しようとする狙いをもった許しがたい反革命策動を行っているのだ。
(写真  米韓合同演習で11月30日、ジョージ・ワシントンの艦上で艦載機に離着陸の合図をする兵士)

 日米共同統合演習

 12月3日から10日までは日米共同統合実動演習が行われた。米軍は艦艇約20隻、航空機約150機、兵員約1万400人が参加。自衛隊は艦艇約40隻、航空機約250機、兵員約3万4100人が参加した。過去最大規模だ。
 主な訓練は、能登半島沖などの日本周辺海空域や自衛隊の各航空基地などで北朝鮮の攻撃を想定した「弾道ミサイル対処」訓練。中国を仮想敵国とした四国南方海域・九州西方海域での海上作戦、沖縄東方などで実施する島嶼防衛を含む海上・航空作戦には空母ジョージ・ワシントンも参加した。さらに日本周辺空域で航空作戦が行われた。
 今回の日米共同統合演習には韓国軍の幹部も米艦艇に乗船し、視察した。7月には海上自衛隊幹部が初めて米艦合同軍事演習を視察しており、米日韓の軍事的一体化が進んでいる。
 さらに今月6日から15日まで、宮崎・鹿児島両県の県境をまたぐ霧島演習場で陸上自衛隊と米海兵隊が参加して日米共同演習が行われる。来年2月中旬から3月上旬にも、滋賀県の饗庭野演習場で同様の演習が行われる。敵地への「殴り込み部隊」である米海兵隊との共同演習は、自衛隊の朝鮮への上陸演習そのものだ。

 演習の最前線、沖縄

 日米共同統合演習の最前線が沖縄だった。
 @2日深夜から3日未明にかけて米軍の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を積んだ車両約60台が、嘉手納基地から国道58号など公道を通り、普天間飛行場(宜野湾市)とキャンプ・コートニー(うるま市)に移動し、両基地に配備された。移動自体が訓練の一環と見られる。その後、キャンプ・シュワブ(名護市)やホワイトビーチ(うるま市)にもPAC3が配備された。
 Aホワイトビーチに3日、米海軍と海上自衛隊の艦船20隻以上が演習参加のために集結した。海兵隊をヘリに乗せて敵地に送り込む強襲揚陸艦エセックスなどだ。米日60隻の艦船のうち、実に3分の1以上がここに集まった。
 B4日、沖縄周辺空域で米空軍と航空自衛隊による航空作戦訓練が実施された。嘉手納基地と那覇空港では早朝から午後までF15戦闘機などが離着陸を繰り返し、周辺は爆音に包まれた。軍民共用の那覇空港では同日午前9時過ぎ、空自のF15戦闘機がトラブルを起こし、滑走路が約25分間閉鎖された。
 C住宅地に隣接した金武町の米軍キャンプ・ハンセン第1ゲート付近で3日午前、通常の演習とは異なる激しい射撃音が確認された。敵味方が至近距離で戦闘する白兵戦の訓練が行われた。
 陸海空のすべてで侵略戦争突入を想定した激しい訓練が行われた。生活と生存を脅かされる沖縄の労働者人民の怒りは頂点に達している。

 米帝の対中国軍事戦略

 この米韓、日米共同演習の中に、米帝の対北朝鮮、中国軍事戦略である「統合エア・シー・バトル構想」が貫かれている。
 10年2月、米国防省のロバート・ゲイツ長官は新たな「4年ごとの防衛計画の見直し(QDR)』を発表し、この核心に「統合エア・シー・バトル構想」(統合空海戦闘構想)という安全保障戦略を盛り込んだ。
 中国は「大量の先進的な弾道ミサイル、巡航ミサイル、攻撃型潜水艦、電子戦能力、コンピュータ・ネットワーク攻撃能力、対宇宙システム等を開発・配備している」などの軍事力強化に対して、米帝の統合エア・シー・バトル構想とは、「この中国が持つ洗練されたアクセス拒否能力とエリア拒否能力を打破するため、空軍と海軍がすべての作戦領域(空、海、陸、宇宙、サイバー空間)をまたいで能力を統合させていく構想」であると言う。
 しかし、実際にこの構想を実現していくには膨大な軍事費が必要になる。
 現在、米議会でオバマに歳出削減を提言する諮問機関が草案を発表し、2020年までに赤字を4兆j削減するよに求め、国防分野では在外米軍の駐留規模の現在の3分に2への削減を求めている。
 大恐慌から脱出をかけて景気対策に巨額の財政を投じたことで、米帝の財政危機はすさまじく、かつての米帝ではなくなっている。ドル暴落の危機にあえいでいる崩壊しつつある帝国主義なのだ。かつてソ連を崩壊に追い込んだSDI(宇宙防衛構想)のような莫大な財政などどこにもない。
 米帝の統合エア・シー・バトル構想とは、具体的には、米日韓の軍事同盟を圧倒的に強化して、韓国軍と自衛隊の空海作戦能力を徹底的に米帝の下に動員することで中国包囲の軍事力を高め、朝鮮侵略戦争をやり、中国を封じ込めようとするものだ。しかし、韓国は中国とはできるだけ友好関係を保ちたい。そうなると統合エア・シー・バトル構想は、徹底的な日米安保強化政策となる。沖縄の米軍基地をさらに強化するものになる。
 その上で、米帝は日韓関係の修復に動いている。米韓同盟と日米同盟がバラバラであることが米帝にとっては壁になっている。しかしこれは無理だ。
 日韓の間には、日帝の36年間の苛酷な朝鮮植民地支配の問題が横たわっている。独島(竹島)問題もある。日帝ブルジョアジーによるいかなる謝罪も居直りに満ち、韓国人民には到底受け入れられない。日帝が労働者階級人民に打倒され、日韓労働者の革命的連帯の実現によってしか解決されない問題だ。
 そして菅は、朝鮮侵略戦争の際に、在韓日本人救出のために自衛隊の航空機や艦船の韓国派兵をしたいと言い出した。これは韓国労働者人民にとっては絶対に認められない問題だ。これは明らかに日帝の朝鮮侵略戦争であり、とんでもない攻撃だ。
(写真 日米共同統合演習で、沖縄のホワイトビーチに集結した日米艦船。左が米海軍の強襲揚陸艦江セックス【12月3日】)

 防衛計画大綱見直し

 日帝・菅政権は12月9日、「防衛計画の大綱」の改定の原案を明らかにした。菅は、12月中旬に閣議決定を強行しようとしている。8月末に新安保懇談会が菅首相に出した報告書の内容を基本的に踏襲したものだ。
 新大綱原案の核心は、日米同盟を強化して、朝鮮・中国侵略戦争に全面的に突入していくことを宣言したことだ。そのために米帝の「QDR2010」と対応する「動的防衛力」への転換を基軸にすえた。「基盤的防衛力」から積極的攻勢的な侵略戦争態勢への転換である。
 この点について新安保懇のメンバーは、報告書の作成に当たり、米QDRと統合エア・シー・バトル構想を反映させた結果であることを認めている。
 新安保懇発足直後の2月24日、来日したヒックス米国防副次官と新安保懇の一部委員が会合し、QDRで打ち出された「中国の接近阻止戦略を否定するような能力を日米で保有する必要がある」、そのために「統合エア・シー・バトル構想」を新防衛大綱に持ち込むことで一致した。
 米帝の対中国軍事戦略である海と空の兵力を一体的に運用する統合エア・シー・バトル構想が「動的抑止力」という言葉となって提言に盛り込まれた。
 すなわち中国軍の東中国海での動きを接近阻止戦略の発動であるとし、南西諸島防衛の強化を「動的抑止力」の充実で対応するとした。動的抑止力とは空と海の機動的戦闘能力の一体化と向上である。 具体的には、南西諸島の防衛態勢を強化するため、警戒監視や洋上哨戒、弾道ミサイル防衛(BMD)など空・海の防衛力を重点的に強化する。南西諸島を「自衛隊配備の空白地域」とし、「必要最低限の部隊を新たに配置する」と与那国島への陸上自衛隊の配備を強行しようとしている。中国海軍の太平洋への進出を南西諸島のラインで封じ込めようとするものだ。
 さらに菅は、来年春の訪米時に日米共同声明を出し、「共通の戦略目標」の修正と、「防衛協力の指針(ガイドライン)」の改定に踏み込むと言われている。まさに対中国侵略戦争のための日米同盟強化である。
 しかしこうした米日帝の朝鮮・中国侵略戦争への攻撃は破産必至だ。至る所で日米韓、日朝中の労働者への抑圧と搾取と支配を強め、労働者階級の反撃と反乱を呼び覚まし、プロレタリア革命情勢を成熟させる。労働者階級にとっては帝国主義打倒に向かっての決定的なチャンスが訪れているのだ。

■第2章

 動労千葉が切り開いた地平――階級的労働運動が最大の力

 帝国主義戦争を内乱へ

 11・23は米帝の朝鮮侵略戦争への踏み切りである。11・23情勢が示すものは、大恐慌が深化し、米中矛盾が非和解的に進行し、米帝が繰り出す経済政策はすべて自滅的なものとなり、米帝のすべての矛盾が米中対決として爆発せざるをえなくなったことだ。
 帝国主義の矛盾を戦争で乗り切っていこうとする帝国主義の攻撃に対する労働者階級の反撃は、資本主義を根幹から転覆する闘いとなって爆発していく。世界各国政府が行き詰まり、世界の全部が崩壊する過程が始まる。革命情勢が世界的に成熟していく。まさにプロレタリア世界革命のチャンスが到来してくる。それが11・23情勢である。
 帝国主義戦争が切迫した情勢にあって、レーニンは、「帝国主義戦争を内乱へ」と提起した。レーニンは、帝国主義の侵略戦争が始まった情勢を、革命のチャンスととらえ、プロレタリア革命を実現するために、その準備に全力を挙げることを提起した。
 帝国主義の侵略戦争の開始に対して、労働者は、職場闘争を軸に、労働組合権力を奪取し、2000万青年労働者、6000万労働者を丸ごと獲得して、プロレタリア革命を実現するために闘う時が来た。

 前進する日韓米国際連帯

 動労千葉の闘いを先頭に、日韓米を柱とする国際連帯が毎年の11月労働者集会を結節環にして発展してきた。
 全世界に新自由主義の攻撃が吹き荒れ、アメリカでも韓国でも、他の国でも民営化・労働組合破壊攻撃が激しくかけられた。ここから動労千葉とILWU(国際港湾倉庫労組)などのアメリカの階級的労働運動、韓国の民主労総ソウル地域本部との国際交流が始まり、11月労働者集会を軸に国際連帯が発展した。
 そして今日、世界大恐慌の深化の下で、全世界に戦争と大失業の攻撃が、「外への侵略戦争」「内への階級戦争」となって一体的に吹き荒れている。米日帝の朝鮮侵略戦争が始まり、職場ではどこの国でも民営化・労組破壊、非正規化・失業攻撃、賃金カット、首切り攻撃が相次いでいる。職場では資本に対する労働者の怒りが高まっている。膨大な青年労働者が決起を開始している。
 日本では、菅民主党・連合政権が、国鉄1047名闘争つぶしの4・9反革命を仕掛け、動労千葉破壊を核心に国鉄闘争支援陣形の解体を図ろうとした。これに対して動労千葉を先頭に国鉄闘争全国運動を立ち上げ、総反撃の闘いに打って出た。
 その時、韓国民主労総傘下の32組合代表、米ILWUローカル10のジャック・ヘイマン氏らが、いち早く国鉄闘争全国運動の呼びかけ人となり合流したことは、国鉄闘争全国運動の闘いの方向と、世界の闘う労働者の要求が一致していることを示した。
 そして2010年の11・7労働者集会には、民主労総代表団42名を始めアメリカのILWUローカル34、UTLA(ロサンゼルス統一教組)、そしてドイツのレーテデモクラシーのための委員会などが結集した。ブラジルのコンルータス、フィリピンの航空従業員労組からはメッセージが寄せられた。
 11月労働者集会は、国鉄集会として大成功した。動労千葉の4月1日からの検修構内業務外注化阻止闘争が平成採の青年労働者の決起を呼び起こし、JR資本の意図を粉砕し、新たなうねりとして開始した国鉄闘争全国運動の高揚した力がここに結集した。
 そして日韓米3国の相互の熱い交流をもってかちとられた。動労千葉を中心とする国鉄闘争全国運動、日韓米3国の国際連帯の前進を全世界に向かって発信した。
 そして動労千葉は、12月3日〜4日に、12・4ダイ改に反対し、検修業務外注化を阻止するストライキに決起した。そして、平成採を含む3人の組織拡大を実現した。大恐慌がもたらす帝国主義の「外への侵略戦争」「内への階級戦争」に対して労働者階級が職場闘争を軸に階級的労働運動を徹底的に闘うことをはっきりと示したのだ。職場で資本との力関係を変革することによって階級関係を変革することがすべてだ。既成指導部を打倒して労働組合の権力を奪取することがすべてを変えていくのだ。闘いは、青年労働者・学生を先頭に大きく前進している。

 動労千葉が開いた地平

 国際連帯を積み重ねた中でILWUや民主労総が動労千葉に求めたものは何か。
 世界最強とうたわれた民主労総も運動の「壁」にぶつかっていた。資本の合理化攻撃である。資本の合理化攻撃には二つの要素がある。資本の本質的運動としての合理化と、組合活動家に対する指名解雇攻撃などの労働組合破壊、団結破壊の攻撃だ。
 民主労総は、この合理化攻撃に対してすさまじいまでに非妥協的に「絶対反対」で闘ったが、それは「絶対反対戦術」とも言えるものだった。自らの命をも賭して「絶対反対」を貫いていた。しかし、それでは資本の合理化攻撃の「壁」は破れなかった。
 それへの対極にあったのが「戦術的エスカレーションでは事態は打開できない」とする動労千葉の「路線的な闘い方」だった。それは「絶対反対」を「戦術」ではなく「路線」として貫くということだった。「路線として貫く」ということは労働組合の団結の強化を総括軸として闘うという闘い方だった。
 動労千葉だけが初めてその合理化攻撃の「壁」を突破した。それが「反合・運転保安闘争路線」である。
 動労千葉の故・中野洋顧問は「日本の労働運動は合理化攻撃に闘いきれてこなかった」、そして「合理化自体は強行されてしまう。だけど団結を守り抜けば反撃できるんだ」と言っていた。そして国鉄分割・民営化という大合理化攻撃に対して、動労千葉は団結を守り抜いて勝利してきた。ここに民主労総は注目しており、学ぼうとしている。
 そして、民主労総と動労千葉との間で国際連帯は、理念交流にまで高まっている。
 現代がまさに革命情勢が到来する時代であることをとらえ、労働運動の敗北と勝利の教訓から学び、とりわけ動労千葉の反合・運転保安闘争路線の勝利性を学ぶこと、そして労働者こそが社会の主人公であり、労働組合は社会を変革する武器となるものであり、労働者階級こそが自らを解放し、新しい社会を建設する能力を持った階級であるというマルクス主義の神髄を復権させること、そして、「義理・人情」とは、労働組合の中で身につける労働者的規律のことであり、労働者が納得する方針を提起する力を指導部が持つということなどが重要なこととして出されている。

 革命的共産主義運動

 この動労千葉労働運動はしかし、何もないところから自然に生まれ出てきたのではない。革共同・綱領草案の「革命的共産主義者同盟の歩み」でこのように述べている
 革共同は、スターリン主義の党=日本共産党と決別して、当時の社会党・共産党に代わる真の革命的労働者党の建設をめざして、約半世紀前の1957年に結成された。以来60年安保闘争、70年安保・沖縄闘争を始めとする幾多の闘いの中で自らを組織的に強化して、労働者自己解放のマルクス主義思想に立脚し、「反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命」の勝利に向かって闘ってきた。   革共同は、スターリン主義の党=日本共産党と決別して、当時の社会党・共産党に代わる真の革命的労働者党の建設をめざして、約半世紀前の1957年に結成された。以来60年安保闘争、70年安保・沖縄闘争を始めとする幾多の闘いの中で自らを組織的に強化して、労働者自己解放のマルクス主義思想に立脚し、「反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命」の勝利に向かって闘ってきた。 
 こうした闘いの中で、70年代に動労千葉の戦闘的な変革が闘いとられ、反合・運転保安闘争路線が打ち立てられたのである。
 動労千葉は、さらに三里塚ジェット燃料輸送阻止闘争を闘い、79年にカクマルの支配する動労本部から分離・独立をかちとり、87年国鉄分割・民営化との決戦を勝利的に貫徹した。国鉄闘争を牽引し、1047名闘争も動労千葉のストライキと一体化して闘い抜かれてきた。
 70年闘争後の20年間を、国家権力とカクマルとの死闘戦を闘い、組織と運動を防衛し抜いた革共同は、91年に5月テーゼを打ち出し、改めて労働者階級の闘いに徹底的に依拠し、労働運動に全力を傾けるという路線転換をかちとった。その際に、階級的労働運動として、発展してきた動労千葉労働運動の存在が決定的な役割を果たした。
 そして06年の「党の革命」では、革共同はこれまでの党のあり方の根本的な自己変革を求められ、07年「7月テーゼ」を発表して、労働者自己解放の中にこそ現代社会を変革する唯一の道があり、ここにマルクス主義の核心があること、革共同を労働者の党として建設することを改めて思想的・綱領的に明確にした。 そしてこれと一体で労働組合論の革命論的確立をかちとり、動労千葉労働運動の切り開いた地平に学びつつ、階級的労働運動路線の物質化へ向けた白熱的実践に突入してきた。それは階級的労働運動路線と革共同の綱領草案として結実している。
 今こそ、11・7労働者集会を頂点に日米韓を先頭とする労働者階級が切り開いた2010年の前進の地平をひっさげ、国際連帯と階級的労働運動の力で朝鮮侵略戦争を阻止する2011年の決戦に躍り込もう。

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月刊『国際労働運動』(414号3-2)(2011/02/01)

(写真 超信電子工場の労働者が賃金未払いを弾劾して争議を起こし、警察と激突、6人が逮捕された【10月29日 深せん】)

特集

■特集 2 揺らぐ中国、前進する労働者の闘い

 はじめに

 世界情勢は大恐慌の深まりの中で米帝の朝鮮侵略戦争突入という新段階に入った。基軸国から没落した米帝が世界再分割を目指す帝国主義的争闘戦に突入し、中国の突き崩しを決断した。中国スターリン主義は、帝国主義との平和共存の中での生き残り=経済発展と共存の維持のための抑止力的軍事力の大強化で対応しようとしている。これは必ず破産し、経済発展の条件の喪失と中国自身が米帝の侵略戦争に引き込まれ、国際労働者階級人民の反戦闘争の高揚と結合する中国労働者階級の革命的反乱に逢着する。
 第1章は、4兆元景気刺激策がつくり出したインフレ・バブルの実態から、中国経済「発展」の虚構性を突きだす。
 第2章は、中国スターリン主義の外交・軍事政策の現状から、一国社会主義的中国「防衛」戦略の破綻性を暴く。
 第3章は、この間の中国労働者階級の闘い階級的前進の姿とその発展の展望を素描する。

■第1章

 迫るバブル崩壊の危機――4兆元景気刺激策の諸結果

 経済社会的矛盾の煮詰り

 リーマン・ショック直後の08年11月、中国政府は10年末までで4兆元を投入する景気刺激策を実施した。この政策についてスターリン主義は金融恐慌の中で中国経済成長の急回復をつくりだしたと自画自賛している。しかしこれは労働者・農民からの強収奪に基づく投資を軸にした経済成長という一国社会主義的経済社会建設の歪みを決定的なものとする結果を招いた。
 これによってつくり出された現実は、地方政府と国有企業と国有銀行をぼろ儲けさせただけで、貧富の差をさらに拡大し、超金融緩和の下でだぶついた資金が不動産投機だけでなく、あらゆるものに投機され、インフレと不動産バブルを来たし、労働者人民の不満の爆発を切迫させるものとなっている。
 実際に、4兆元政策は鉄道、道路、空港、住宅建設などのインフラ投資が中心であるが、その受注の90%が国有企業(中央・地方政府管轄)であったし、国有銀行の新規貸出は超金融緩和の下で09年には9・59兆元にもなったが、その9割近くが国有企業になされた。重大なのは、融資された資金は過半が不動産と株の投機に向けられバブルが加速したのだ。
 今日、地方政府では自らが握る土地使用権の販売によって財政収入の一部とする構造が固定化しているが、09年にはそれが通年の6割増になり、政府(中央も含む)の財政収入の2割にもなった。他方で地方政府の場合、土地使用権販売のために一方で「都市開発」への膨大な負債を抱えることにもなった。「融資平台」という地方政府の融資の受け皿のための公社は、4兆元政策の中で急増し、09年末には負債総額が8兆元となっている。
 中国市場におけるカネ余り状態はとんでもない状態にある。10年の秋段階での中国の広義のマネーサプライ(通貨供給量)は、69・64兆元であり、対GDP比で260%(量的緩和をしているアメリカでさえこの比率はこれまで60%程度)にもなっている。これは4兆元策以降急増したことによるものでもあるが、改革開放後、マネーサプライを過剰にした中での中国経済の成長という構造が横たわっているのだ。
 人民銀行の元副総裁で現在全人代の財政経済委員会の副主任は「過去30年、われわれはマネーサプライを急増させて、経済成長を推し進めてきた」と言っている。実際、インフレが加速している中でさえ、1〜10月の都市部の固定資産投資額は前年同期比24・2%となっており、まさにこの投融資によるマネーサプライが経済成長の「原動力」となってきたのだ。中国経済の成長そのものがバブルなのだ。
 そうした基礎の上に4兆元投資という巨大な規模の資金投入で、停滞した成長テンポを強引に上向きにかじ取りした結果、ついに中国経済の歪んだ成長構造がバブル崩壊とインフレ高進として爆発する段階にぶち当たったのだ。
 しかも中国経済にとって、世界経済にリンクしている今、カネ余りとなる構造はけっしてそれだけではない。中国の輸出が中国経済の成長に占める死活性から、人民元安を維持するためにドル買い・人民元売りを繰り返し、市場に人民元をばらまいている。
 さらに重大なのは正規のルートでさえ海外からの不動産投資は、1〜10月期に前年同期比48・0%増え、世界的な余剰マネーがなだれ込んでおり、その上、非正規の資金流入がさらに膨大にある状態で、中国の不動産バブル抑制政策は実質無力にされている状態だ。また、中国政府の不動産バブル抑制策を嫌う資金が綿花や食料品(ニンニクとショウガや食料油など)の先物買いに流れ込み、大幅な値上がりを来たしている。
 こうしたインフレ高進とバブル状態の制御しきれない現実は、中国経済自身の構造的原因であるのに加え、世界経済の中にはまり込んだ中国経済が、世界経済の大恐慌への突入の中で、世界的な余剰マネーが人民元高期待と儲け口を目指して流入する事態を制御できない状態になってしまったことを示している。
 それは具体的にはインフレ抑制のための金融緩和の停止をしたいが、そうすれば経済成長の軸にある不動産バブルの崩壊となる、というジレンマが突き付けられているという形で起きているのだ。

 労働者人民の怒りの爆発

  インフレ高進は8月前年同月比3・5%上昇、9月同3・9%上昇、10月同4・4%上昇で、11月も4%以上の上昇と見られ、全く物価上昇抑止策は効果なしという状態だ。他方不動産価格の高騰も、政府の価格抑制策による価格伸び率の鈍化傾向はあるにしても、8月には9・3%上昇、9月には9・1%上昇、10月には8・6%上昇で、抑制策が効かない状態が続いている。物価上昇の要因の90%は食品と住居である。こうした中でインフレ抑止を目的にして0・25%の利上げが10月19日に行われたが、全く効果なしの状態で、ついに12月3日中国共産党政治局会議は、金融の「適度の緩和」政策をやめ、「穏健」政策に戻すことを決定した。
 党と政府がこうした金融政策の変更を迫られるに至った要因は、直接的にはインフレ高進が生み出している労働者階級人民の生活苦の増大と生きんがための各所での闘争の爆発的な増大が起きていることからだ。
 外資系や私営企業の下での労働者階級(農民工が軸)の賃上げストライキの連鎖は続いており、また国有企業の場合はとくに早期退職をさせられた巨大な数のリストラ労働者の退職補償の追加支給を求めた陳情、抗議行動が激増している。さらに公共事業による農民、住民の土地や家屋の収用に対し、補償金の少なさに対する抗議や陳情も増えており、また膨大な数の解雇された代用教員、民弁(地方政府の資格認定教員)教員や退役軍人などの陳情活動も全国化している。
 まさにインフレの高進の中で、すべての人民の生きんがための怒りと要求が沸点に達しているのだ。反日デモの中でさえ「住宅価格高騰を抑制せよ」「腐敗反対」などのスローガンが掲げられている。
 そしてついにスターリン主義の党と政府は、もはや成長をある程度抑えても、インフレを抑制する以外にないことを決断させられた。だが、それは、流入した大量の余剰マネーの逃避を引き起こしかねず、必ずバブルの崩壊を結果する以外にない。

(写真 深せんの「捷和百得有限公司」で3000人のストライキが爆発した【10月27日】)

 スターリン主義の資本主義化政策の大破産

 中国のスターリン主義支配の下での資本主義化政策は、基本的に帝国主義世界経済体制の存在を前提にし、それに半ば組み込まれる資本主義化政策である。それはスターリン主義支配の成立の前提であった労働者階級・農民階級からの強度の搾取・収奪の展開構造を維持したまま、投資を軸に、帝国主義の投資と帝国主義圏を軸にした輸出の増大に依存して、高成長をつくりだしてきた。
 しかし、新自由主義的資本主義化政策の下で、さらに搾取、収奪は強まった(成長するGDPに対して労働者が受け取る賃金分配分は91年の48・8%から06年には37%強に下がっている)。こうした搾取・収奪の強まりこそが経済成長を支えており、富裕層のより一層の富裕化の結果を作り出している。「格差拡大」とは明確にいまや「階級対立」と規定する以外にないものだ。まさに中国の経済成長はスターリン主義体制を護持し、スターリン主義支配体制の下で既得権益を得ている者の富裕化でしかないことが全面的に誰にでも分かる情勢となっているのだ。
 こうした国内的階級対立の激化にとどまらず、経済大国となった中国は、世界経済体制の大国間の争闘戦の戦争的激しさが増す中で、争闘戦の加速主体となってがむしゃらな国益主義的展開に踏み込まざるを得ない中国経済成長の展開条件から逃れられなくなっている。
 今やとりわけ米帝の対中突き崩し戦略の発動という事態の中で、争闘戦が軍事的対立関係に進んで、世界戦争への道が開かれていく時、中国にとって、経済成長の不可欠の条件としての世界の平和状況を主観的には望みながら、一国社会主義=世界革命の放棄のゆえに、それとは逆な展開を引き寄せる道を歩む以外になくなっている。
(写真 10月13日から始まった深せんにある日系資本リコーの工場でのストライキは、25日まで13日間にわたって闘われた)

■第2章

 米帝の侵略戦争重圧――軍拡=抑止力強化で対抗

 米帝の朝鮮侵略戦争への踏み込み

  米帝は、大恐慌の深まりの中で、基軸国としての没落を巻き返すために画然と中国突き崩し戦略に舵を切った。何より重大なのは、米帝の経済の死活が中国に握られている事態であり、戦後体制が行きついたこの構造を世界戦争も辞さない形で破壊することを決断したのだ。その決定的矛先は中国に向けられている。
 米帝は「輸出2倍化」を掲げ、各国の貿易黒字上限の数値目標の設定を策動し、人民元安維持への攻撃、円高攻勢、アジアへの切り込み(南中国海問題、釣魚台問題への公然たる介入)、中国包囲網の形成(日米韓、インド、ベトナム、インドネシア、豪州などとのあからさまな連携強化)を進めている。そして朝鮮侵略戦争態勢の構築攻撃は、韓国哨戒艦沈没事件を契機にしながら延坪島砲撃戦によって原子力空母ジョージ・ワシントンの黄海展開という事態にまで進んでいる。
 こうした米帝の争闘戦的攻勢の最大の焦点は北朝鮮―朝鮮侵略戦争であり、それを通して中国侵略戦争への道を開いていくことにある。中国はこの間のこうした米帝の動向に対して、重圧を感じつつ、一方では外交的牽制や6カ国協議などの話し合いの場に米帝を引き込む動きを強めるとともに、他方で黄海での米韓合同演習に対抗的軍事演習を盛んに配置し、海軍力の強化を軸に抑止力的な次元での軍事強化で「対抗」しようとしている。
 北朝鮮問題では、中国は北朝鮮の丸抱え的救済を決断し、核問題は当面問わない形で経済援助に全力を挙げて北朝鮮の経済改革を進めさせた。その代わりに6カ国協議に復帰することを北朝鮮に確言させて、6カ国協議への米帝の誘い込みで、米帝の攻撃の強まりに対処しようとしている。
 しかし北朝鮮は、体制危機のあまりの深さと中国の付属物にされることへの不満から、表面上6カ国協議復帰と経済改革を承認する形で経済援助を取り込みながらも、中国の思惑を超えて「核保有」路線を放棄しないことを鮮明にしている。そして米帝との直接対話で体制護持を確認させるために、核開発(軽水炉、ウラン融合)を積極的に米帝に突き付け、さらに対韓国の軍事的挑発行為をも突き付けて米帝引き出しに躍起になっている。それは中国のヘゲモニーの下での6カ国協議開催をかく乱するものとなっているだけでなく、米帝の朝鮮侵略戦争―中国突き崩し戦略の展開に格好な「餌」となっている。

(図 各国の軍事態勢)

 抑止力強化の戦略的破綻

 米帝の朝鮮侵略戦争―中国突き崩し戦略の攻勢に対する中国、及び北朝鮮スターリン主義の対応は決定的に破綻している。
 米帝の重圧は、まさに帝国主義としての大破綻=死の苦悶から出てきているものであり、外交的牽制や何らかの抑止力的軍事的「対抗」によって引っ込むというような問題ではない。米帝は既に危機脱出をかけて新自由主義政策のグローバルな展開の重圧の中でソ連を突き崩し、バブル的世界経済への道を開いて延命してきた(中国経済の高成長はそれに依拠したもの)。
 それが大恐慌の中で行き詰まり、経済の国益主義的展開を世界に強制する一方で、軍事的な力による世界支配構造の再編(その中心環は中国の突き崩しであり、その突破口が北朝鮮の体制転覆=朝鮮の帝国主義的統一=朝鮮侵略戦争)に突入しつつあるのだ。だが、中国や北朝鮮は、米帝の帝国主義としての本質を把握せず、対立と言っても本格的な戦争にはならないだろうという認識なのだ。
 だから米帝の直接対話への引き出しのための軍事挑発行為であろうと、また米帝への抑止力強化のための軍事力強化であろうと、それは今日の米帝に対しては、それを逆テコにして米帝の侵略戦争態勢の決定的強化を引き出すものに転化してしまうのである。
 実際、この間の中国の抑止力的対抗、北朝鮮の対話引き出しのための軍事挑発は、明らかに、米帝主導の日米同盟の中へ日帝を再度引き込み(防衛大綱の見直しは露骨に米のQDRの線に沿ったものとなった)、韓国の米帝との同盟の深化を決定的に進めることになった。
 こうした「対抗」は、一定の情勢の中では侵略戦争突入の具体的切り口を与え、その中で中国自身が戦争に引き込まれるものとなるのだ。

 中国の軍事力強化の反人民性

  ここで、中国の軍事力強化の動向を見ておく。
 中国は米帝の軍事力を見据えながら、第一に中国が攻撃されないようにするための、中国へのアクセス拒否戦略として、中国に接する海域(黄海、東中国海、南中国海)の完全制海権とその外海への展開力の確保に全力を挙げること、第二に先制攻撃された場合の反撃力(核)を保持すること、第三に局部的戦争で勝ち抜く能力の形成、第四に石油ルートの確保のためのシーレーン防衛などを基本にした軍事的抑止力の確立を目指している。
 それは具体的にはアクセス拒否戦略上の軸をなす海軍力の強化、現代化であり、潜水艦、戦略的原子力潜水艦を始め空母建造にまで至る計画、ミサイル性能(大陸間・中距離弾道ミサイルや潜水艦発射ミサイル)の強化が最重要課題になっている。海南省南部には海軍の大基地が構築され既に展開が始まっている。
 中国スターリン主義の世界革命放棄=一国社会主義戦略は、帝国主義の包囲の下での経済社会建設という形で現実的には展開されるものであるから、スターリン主義の外交・軍事は平和共存が軸で、一方ではそれを守るための帝国主義との外交的綱渡り(平和共存の枠組みの中での牽制や妥協)を展開することであり、他方で一定の局面(自国が攻め込まれた場合)での対抗的に積極的な戦争という形での自国防衛を図ることが基本で、帝国主義に対する抑止力としての軍事力強化に力を入れるということになる。
 ここでは世界革命の放棄のゆえに、国際労働者階級人民の帝国主義に対する闘いは視野に入らず、むしろ帝国主義に対する妥協という点で、労働者階級の階級性を貫く闘いは中国スターリン主義の展開にとっては「妨害物」なのだ。実際に中国内では企業擁護の新自由主義的資本主義化政策による労働者階級に対する強搾取の展開を促進しており、また中国の資源獲得対象国における反動政権の労働者人民への抑圧を無視した政権の擁護や救済(ビルマが典型)に現れている。
 現在の中国スターリン主義は、ケ小平の「当分平和の期間が続く」という判断を踏まえて、帝国主義・資本に対する「開国」とその力を利用する改革・開放路線を採っている。これは平和共存路線の極限的展開であり、スターリン主義権力を維持するために、帝国主義の「理性」を信じて、スターリン主義支配の行き詰まりの危機の打開を帝国主義の資本と市場へのリンクに委ねたものだ。
 だから帝国主義との「対立」が激化しても、経済成長のためにはいずれかの段階で「落とし所」を出さなければならないし、「落とし所」が出されるだろうという考え方しかとれないのである。だが他方では、大恐慌の中の争闘戦が急速に強まる中で、一国社会主義建設論による国益主義的な発想から、経済成長にとっての資源不足、エネルギー不足の危機に駆られて、資源争奪、エネルギー争奪に全力を挙げざるを得ない。そのため、今や争闘戦の加速主体になり、それは南中国海(ここは中国に接する海域でもあり、230億バレルもの石油埋蔵量があるので、その独占をかけて自国領土化しようとしている)や東中国海での資源獲得を目的とした軍事性をはらんだ対決まで引き起こす段階に入っているのだ。経済成長のための平和とこうしたあり方の矛盾が、大恐慌の中で、帝国主義によって放置されない情勢が来ているのだ。

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 17期五中全会が決めた「十二五」計画の破綻性

 中国共産党は10月15〜18日に17期第五回中央委員全体総会(五中全会)を開き、11年から15年の第十二次五カ年計画(「十二五」計画)を採択するとともに、習近平を軍事委員会副主席に選んだ。
 五中全会は国内の格差拡大を軸にした社会的緊張の激化と、経済、外交、軍事の面での米帝の重圧との緊張激化、さらに日帝との釣魚台問題をめぐる緊張などの中で論議が行われ、「十二五」計画が採択された。「十二五」計画それ自体は、胡錦濤政権の「和諧社会構築」の深化として、とりわけ「経済発展方式の転換」を主要テーマにして、経済発展構造の転換(内需の位置を高める)や人民の収入分配のあり方の改革による収入増などを強く押し出した。
 「十一五」計画(06年〜10年)でも「和諧社会構築」(各階層間で調和のとれた社会というもの)は核心的テーマとされていたが、金融恐慌を乗り越えて経済成長を成し遂げたという賛美とは裏腹に、格差拡大を軸にした階級対立・矛盾が強まり、社会的緊張が極点に達する事態を結果しているからでもある。

 「十二五」計画の中身

 「十二五」計画提案を見ると、初めに情勢の特徴の基本として「現代の世界では、平和、発展、協力が依然として時代的潮流であり、……国際環境は総体的にわが国の平和的発展に有利である」とされている。次に国内的には「発展の中のバランスの失陥、……経済成長の資源環境の制約の強まり、投資と消費関係のアンバランス、収入分配の格差拡大、……産業構造の不合理、……就業圧力と構造的矛盾の併存、……社会的矛盾は明らかに増加している」と今日の矛盾点を指摘している。
 それに対する「十二五」計画は、まず基本目標として、経済発展方式の転換――安定した比較的速い発展、生産のエネルギー効率の向上、汚染物質排出量の削減、経済成長と歩調を合わせた人民収入の増加と労働報酬の労働生産率と同歩調での引き上げ、顕著な低所得者層の収入増と貧困人口の減少、民生の保障と改善、社会の一層の安定、という課題が提起される。それを具体化するものとして以下、@内需拡大戦略―消費拡大、A農業の現代化―農業の専業合作社と農業産業化のための竜頭企業の支援、農村の水利などの基礎施設、農村の基本的公共サービスの確立、B現代産業システムの発展と産業の核心的競争力の向上―戦略産業の位置づけアップ、サービス業と運輸体系の発展、海洋発展戦略の実施=海洋権益の保護、C都市化の推進―不動産業の投機需要を抑制し、不動産業の安定的発展へ、D資源節約型社会の建設の加速、E人材強国戦略―科学技術創新能力の強化、教育改革、F行政体制改革、公共サービスシステムの設立―公共サービス型政府、労働争議の処理メカニズムの完備、G文化ソフトパワー向上―中華民族の偉大な復興、H社会主義市場経済体制の完備―財税体制改革、環境保護税の徴収、不動産税の改革、I対外開放の水準の向上―貿易収支の均衡、が掲げられ、最後のまとめ部分で、富民と強国の統一実現が強調されている。
 また五中全会のコミュニケでは、「広範な愛国統一戦線を固め、…国防と軍隊現代化を強め、情報化の条件の下での局部戦争に勝つ能力をもって多様化した軍事任務能力の核心的完成としなくてはならない」と軍事に関する討論の結果が提示されている。

 「十二五」計画の破綻性

 この提案は大恐慌とその深まりの中での米帝の朝鮮侵略戦争への突入を切り口とした中国突き崩しという事態をつかみ切れておらず、「平和が時代的潮流、……国際環境は……わが国の平和的発展に有利」ということを前提にしてなされおり、そもそも破産している。帝国主義との関係の認識はブルジョア的なリアルポリティックスの論理であり、軍事的な対抗力さえ適切に強化してさえいれば、帝国主義は戦争などに踏み切ることはない、局部的戦争はある(「局部戦争に勝ちぬく能力」と押さえている)が、自分の国が侵略戦争に引き込まれることはないとの認識を前提としているのである。こうした前提の上での計画である以上、破綻は不可避だ。
 さらに提案は「和諧社会の構築」とは全く裏腹な現実があり、「社会的矛盾は明らかに増加している」と認めた上で、その「解消」のために、最も重要なものとしているのは、人民収入の増加と労働者の報酬の引き上げであり、民生の保障と改善である。
 しかしそれはスターリン主義支配体制に「大ナタ」を振るうような「改革」によって初めて進む可能性があるものであるが、政治体制の改革については言っていない。
 胡錦濤が「親民」路線を採っているのは、スターリン主義支配体制の危機への対応であり、この体制を護持するためだが、スターリン主義支配体制の枠内で人民に「恩恵」を施す次元のことはできても、スターリン主義支配体制の下での資本主義化政策が生みだしている格差拡大=階級対立の激化問題には無力だということだ。すでに「十一五」計画の中で李克強が責任者となって行政改革に取り組んだが、それさえ政府や党の官僚たちの抵抗によって、ほとんど進展なしで終わっている。
 スターリン主義体制は本質的には人民から「授かった」権力を、ソヴィエト的人民的統制を受けない形で独占し、スターリン主義支配体制の護持という人民とはかけ離れた独自の利害のために、人民を支配対象にして振るうことで成立している支配構造をもつ体制である。胡錦濤の「親民」路線は、労働者自己解放への別の形での抑圧を行っているにすぎないのだが、それが一定の範囲を超えれば、既得権益層(官僚や経営者層を軸にした)の権限や権益に抵触するから、既得権益にしがみつく部分(「保守派」)と一定の改革を通して支配体制の立て直しを図ろうとする(「改革派」)との対立関係が今や浮上している。
 今日では、既得権益層と軍部(人民解放軍)上層が結合して、外交や軍事問題における対米対抗性を強める動きも起きており、この対立関係は軋轢の度合いが高まっている。だが、「改革」に踏み込まないともはや人民的な反乱を防ぐことができない地平に来ているのだ。「十二五」期が、中国スターリン主義の体制的危機が決定的段階に入る時となることは間違いない。

■第3章

 労働者の反乱新段階へ――仏山ホンダのストが突破口

 闘争が基調的風潮に

 

 

(写真 5月17日から始まった中国広東省仏山の中国ホンダ部品工場のストは、5月31日、地元の総工会のスト破壊行為を蹴って闘われた)
(写真  9月7日、深せんの兄弟工業有限公司(日本のブラザー工業)で、数百人の労働者がストライキに突入した)

 現在の中国社会において、労働者人民が権益を求めて闘争を行うことはいわば当然であるという風潮が次第に醸成され、本格的な激動の条件が煮詰まりつつある。
 中国スターリン主義体制は愛国主義・排外主義扇動を強めてスターリン主義体制に対する人民の反感をそらしながら、一方では恩恵的に社会政策を強めつつ、他方では闘争を芽のうちに摘み取るために治安体制を圧倒的に強めている(ちなみに、「社会安定維持費」は年々増大。例えば、遼寧省の09年の財政収入1500億元のうち社会安定維持費支出が223・2億元で、この省4500万人の1人あたりに500元かけている計算)。
 いかに胡錦濤路線が「親民」路線を採って、矛盾を「解消」しようとしても矛盾は募るばかりであり、それに対する労働者人民の闘争が、労働者階級のストの波を先頭に社会のあらゆる側面から噴き出す情勢が到来しているのだ。
 中国スターリン主義の労働者人民に対する過敏なまでの治安体制の強化が進んでいるが、それはスターリン主義統治体制の内的危機の現れだ。ノーベル平和賞をめぐるヒステリックともいえる反応や内陸部各地での反日デモの続発への対応は、その典型である。労働者階級人民は今やスターリン主義権力と闘うことの「正当性」「当然性」を次々と確認し、その闘いの方法を創造的に作り出しつつある。
 労働者のストの中で独自の労組形成を承認させることに表されているように、何よりもスターリン主義権力の分断攻撃を打ち破る団結性、組織性をもった闘いが始められた。
 中国の労働者階級人民の闘いは、労働者のストや陳情行動の連鎖の中で、解雇された代用・民弁教員が闘いの全国組織をつくるとか、公共事業での住民の立ち退きに対する自主的組織による防衛行動などとして行われており、また強制的同化政策に対するチベット人民を始めとする少数民族の闘いも不屈に続いている。どの闘いも、組織的な闘いの傾向を強めている。その最先端をなしているのは労働者階級である。

 闘いの階級的発展の新段階

 中国労働者階級の闘いは、10年に新たな階級的発展の段階を開いた。今年の闘いは中国の労働運動の発展史において目覚ましい段階を画する闘いであり、それは5月中旬からの仏山南海ホンダの3週間近くのストライキが先頭で開いた。

 ホンダのストライキ

 仏山南海ホンダ自動車部品工場(約1700名が就業、自動車の変速機=トランスミッションを製造)の20日間近くのストライキは、5月17日、100余人の変速機組み立て職場の労働者が率先して大幅賃上げ要求のストに入ったことから始まった。17日に会社側が回答をすぐ出すとしたのでストはいったん止まったが、21日に会社側の「200元しか上げられない」との回答を受けて再度スト継続となった。
 会社側がストを率先していた2名の労働者を解雇したので全面ストとなり、28日にはこの工場の部品供給が途絶して、中国の四つのホンダ自動車の全工場は操業停止に追い込まれた。5月31日には地元の労組連合体である獅山総工会のスト破壊のための暴力的介入を跳ね返した。会社側は3度目の回答=355元の賃上げ案を提示したが、労働者の要求の800元とは隔たりがあるとして労働者側は拒否してストを続け、ついに6月4日からの長時間交渉の結果、5日に34%(約500元)の賃上げと労働者が主体的に労働組合を再組織することを承認させて妥結した。
 この闘いは、今日の中国の2億3千万の農民工の主力となっている「80後」「90後」(80年以後、90年以後生まれ)の若い農民工が、解雇攻撃や総工会の破壊的介入を乗り越えて団結を貫徹し、若い農民工が多い外資系企業、私営企業の新自由主義経営に対して、徹底的に闘って、勝ち抜いた。
 経済成長の中で、企業のボロ儲けの手段とされ、低賃金で残業漬けの労働なしでは生きていけない状態に置かれている農民工の普遍的怒りと不満を代表し、そうした状況をぶち破る闘いの狼煙であった(09年の自動車生産・販売の伸びの40%に対し、賃金の増加幅は9・1%しかない)。
 このストライキは、何よりも団結の強さとそれを維持し抜いたことであり、とくに最も低賃金状態に置かれている「実習生」(工業学校の最終学年生)が闘争の最も強固で解放された意識部分として、企業の学校を使った分断攻撃を許さず、スト隊列の全体の先頭で闘い抜いた。
 重要なことは、闘いを自分たちの労働組合の獲得という要求として練り上げ、既存の総工会系工会の指導部の無力さと反動性を粉砕して、工会を労働組合として再組織することをやり遂げていることである。これまでの農民工の闘いはストを行っても、大概は一発的なストであり、嫌気がさせば別の企業に移ってしまうものだった。そうした労働者階級の限界を超える労働者階級の階級意思の成長を示した闘いであった。
 このホンダのストを闘いの狼煙として受け止め、ホンダ系、自動車関係を始めとして、全国各地で日系企業中心の外資企業と国有企業も含んだ労働者のストと闘争が6〜7月過程に陸続と起こっている。

 大連の日系企業でのストライキ

 特筆すべきは大連の工業区で数十社の日系企業でのストが6月から8月初めにかけて連鎖的に起き、5万人近くの労働者が参加する闘争の渦が巻き起こったことだ。
 その他のストや闘争は膨大なので割愛するしかないが、重要な点は、ストの波は終わらず、かちとられた階級的地平を広げるような闘いが現在に至るまで続いていることだ。
 9月7日に深の兄弟工業(日本のブラザー工業の中国工場で、従業員1万人、プリンター製造)で、数百人がストに突入した。仕事量の増大や残業代カットに抗議するストライキだ。9日までストが続き10日以降は労働者が代表を選び、工場側と交渉するという展開になった。
 工場側が新規則を出し、1日の仕事量(ノルマ)を2倍にし、しかも従来は時間内に終わらない場合は残業として残業手当が支払われていたのに、新規則ではその日のノルマが規定時間内に終わらずに時間延長して働いても残業として認められず、残業手当が支払われなくなった。そのため基本賃金が若干上がったけれども、残業費を合わせた労働者の手取りは以前よりも数百元も下がってしまった。
 ストはこれに対する怒りの爆発だった。これは深市が7月から最低賃金を1100元と決定したことで、「労働契約法」規定で工場側も基本賃金の値上げを余儀なくされたのだが、それを逆手にとって利潤の増大の新攻撃を行ったのだ。
 工場側のやり口は生産ラインのスピードを上げ、休息やトイレの時間さえ与えず、朝8時から夜9時半までぶっ通しの労働を強制し、わずかばかりの基本賃金を上げたことを契機にさらなる搾取をやり遂げようとするものだ。
 もうひとつ重要なのは、政府当局が、他の工場にストが波及するのを阻むために賃金をこれ以上上げるなという指導を工場側にしたことだ。労働者のストの波を総括して、スターリン主義政府はストに対する報道統制をするばかりでなく、9月に入ってスト抑圧の姿勢を打ち出したのだ。
 他方、この闘いの中での労働者の団結性・組織性は強く、この闘いが自然発生的なものではないことを示している。ブラザー工業会長の工場視察の帰り際に、会長の車を包囲してスト行動を開始し、大衆の怒りの包囲の中で代表を選出し、現場大衆のいる前でその力に依拠して交渉を進め、要求に対する回答を期限内に出すことをその場で約束させたのだ。
 さらに企業側のスパイ勧誘(誰がストの率先者かを一人につき50元の奨励金で通報させようとした)に誰も応じていないことに示されるように、労働者としての階級的団結性を自らのものとしているのだ。

 リコーのストライキ

 さらに英雄性をもつ闘いが10月13日同じ深にある日系資本リコーのストライキとして爆発し、25日まで闘い抜かれた。
 この闘いの契機は、受注の減少による同系列会社との合併問題であり、それに伴う解雇や労働条件の悪化攻撃と低賃金労働に対決するものであった。この闘いは、会社側が暴力団(「黒社会」勢力と呼ばれる)を雇って、労働者の宿舎やスト現場に襲撃をかける中で、負傷を負いながらも団結を維持して闘いぬかれた。
 さらに地方政府当局が、警察権力を先頭に司法関連、労働部門関連を引き連れて、公然たる暴力的介入を決定し、労働者に仕事に戻るように強要するとともに、会社がそれに協力する形で勤務状況を記録して一人ひとりに脅しをかけることを跳ね返して闘ったのである。
 当局は「このストはすでに単純な労資の矛盾という枠を踏み出し、ストを扇動し、仕事に戻ることを阻んで、社会の安定に悪影響を与えている人がいると思われるふしがある」と言って介入を正当化した。
 ストは警察が工場内に駐屯する中で続けられたが、25日に労働者の要求はほとんど貫徹せず、100元の賃上げと引き換えに仕事への復帰を強制された。権力の重圧の前での退却を余儀なくされたが、けっして敗退ではない、労働者は27日、この憤懣を全員仕事放棄の抗議行動で表した。それ自体は駐屯していた警察部隊や監視人によって再び工場内に押し戻され、仕事に復帰することにはなったが、団結を維持しての労働者の不屈な組織的反撃の再度の闘いを予兆させるものであった。
 さらに11月9日からの三洋深合資工場(三洋華強激光電子龍華分工場)のストライキの中で、素晴らしい闘いがあった。中国の女性労働者の賃金は男子労働者の3分の2か半分で、また労働条件や宿舎・食事などが劣悪である条件の中に置かれており、今度のストは企業に対する怒りがより強い女子工員が引っ張っていると当該の女子労働者が誇らしく語っていることは、印象深い。労働者階級の階級意識の高まりと労働者自己解放性が生き生きと成長しているのである。

 スターリン主義に激突

 中国スターリン主義のこの間の労働政策は、労働者の怒りの増大の中で必死に対応しようとするものであるが、一貫して労働者に対する恩恵的な法令制定による「保護」と総工会による労働者統制を整備するものとして進められてきた。
 それは、資本家的搾取が社会の中で一般化しているにもかかわらず、「企業と労働者の利益は一致している」(企業は国有ではなくても中国「社会主義」の建設に貢献しているから)として、労働者階級の怒りの正当な爆発と自己解放的な闘争の抑圧を進めるためのものであった。
 「労働契約法」は抜け穴が多く、労働者の権益保護にとって実効性が薄いものであった。実際「労働契約法」の終身労働契約の締結を免れるために大型国有企業でさえ、著名なシノペックなどを先頭にして、正規職員から臨時工・派遣工に変える動きが大量に進んでいる。だからこそ、農民工を先頭にストの波が爆発したのである。
 これに対して、総工会はホンダの時に直接的破壊介入が跳ね返された後で、一方では政府当局とスト鎮圧の条例づくりに奔走し、「広東省企業民主管理条例」(後述)をつくって、ストの波に抑圧の網をかけることを策動し、他方で総工会が費用を出す常任活動家を大量に募集して基層工会に送り込み、基層工会への総工会統制を再建しようとしている。
 「広東企業民主管理条例」は本誌10年11月号に暴露されているように、あくまで総工会の労働者統制を再確立しようという目的と、その下でストライキをさせないという目的性に満ちたものである(なお現時点でこの条例は、未制定)。
 また総工会は7月の下旬に10省市で、1000万元を投入して、専門職員を募集し基層工会での集団協議ができる体制の形成を目指す試みを始めるとした。これは明らかに、現場の労働者の闘い、その自己解放性を全く信頼せず、工会の統制の効く専門=常任を投入して、幹部請負という形の資本家・企業家層との妥協的な労資関係を形成することで、労働者の闘いの発展を抑え込もうとしているのだ。
 だがこれは「泥縄」的対応にすぎない。スターリン主義支配のかなめの労働者支配(実体的にいえば農民工2億3千万を含めて、人口の過半数である7億人近くが、労働者階級だ)が完全に後手に回り、慌てふためいて労働者階級のストの波の中で揺さぶられているのである。

 日中朝米の労働者の階級的団結を軸にした反戦闘争を

 大恐慌の深まりの中で、「十二五」計画の破綻性があらわになる中で、労働者階級人民の反乱はさらに発展する条件を得ていく。それは同時により鋭い階級的発展の地平を獲得していく過程である。その点では、今始まりつつある米帝の中国突き崩し戦略の襲来の中で強まる愛国主義・排外主義扇動によるスターリン主義支配体制への戦争的結集の強まりにおいて、中国労働者階級の階級的飛躍が問われる時となる。
 とはいえ、中国スターリン主義の、帝国主義との平和共存的妥協の余地を残して経済成長の条件を確保したいという、帝国主義に対する不徹底の態度は、帝国主義の侵略に対する人民の怒りと闘いの中で、闘う人民の信頼を失っていく。
 その一方で、中国労働者階級人民は、資本と経営者層と非妥協的に闘うことでつかんだ階級的成長をバネとして、国際労働者階級人民の反帝闘争の巨大な高揚こそ中国労働者階級の利害の味方だという国際主義の思想をつかむことが始まっていく。
 まさに、スターリン主義の世界革命放棄戦略によって中国労働者階級に廃棄を強いられた国際主義の復権による、日中朝米の労働者階級の階級的団結を軸にした反戦闘争、反帝闘争の爆発こそ、米帝の中国突き崩し戦略による朝鮮侵略戦争―中国侵略戦争は粉砕できるのである。
 この闘いは、それを中国スターリン主義の労働者階級の自己解放闘争を抑圧するエセ社会主義の反人民性を突き出し、それを乗り越える闘いとして闘い抜かれるであろう。
 日本の労働者階級はこの国際的団結の形成をかけ、日本階級闘争の革命的大前進を必ずや切り開こう!

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月刊『国際労働運動』(414号4-1)(2011/02/01)

■Photo News

 イギリスで学費値上げ抗議デモ

  (写真@、A)

 12月9日、大学の学費値上げなどを内容とする教育関連の予算削減法案が下院で可決された。学費3倍化に激しい怒りを爆発させた学生たち3万人は、国会前に押し寄せ、激しく警察部隊と激突した(写真@)。怒りは繁華街にも広がり(写真A)、学生たちはチャリティー会場に向かうチャールズ皇太子夫妻の車を取り囲み抗議の声を上げた。この闘いで22人が逮捕された。

 米UTLAが解雇粉砕統一行動

  (写真B、C)

 11月19日、UTLA(ロサンゼルス統一教祖)が中心となって、学校関係の労働者(看護師、司書、スクールバスの運転手、営繕・清掃労働者など)が数千人の大量解雇攻撃に反対して統一行動を行った(写真BC)。UTLAは、首切りに反対する統一行動を、チームスターズ・ローカル1572(スクールバスや他の学校職員を組織)、カリフォルニア学校職員労組(教師、看護師、カウンセラー以外の学校職員を組織)、ロサンゼルス学校警察組合に呼びかけて闘った。

 現代車工場占拠スト、資本の攻撃跳ね返す

  (写真D、E)

 現代自動車蔚山工場占拠ストライキ突入から20日目の12月4日朝、現代資本は大型重機などを投入して労組員が立てこもる工場を破壊して労働者を追い出そうとした。だが、組合員たちは、急を聞いて門前に駆けつけた組合員、家族、支援部隊(写真D)などとともに闘い、この攻撃を跳ね返した。この日午後、ソウル駅前広場で民主労総を始め労働者、市民ら千人が集まり「現代車非正規職闘争勝利のための全国民衆大会」が開かれた(写真E)

 中国・深せん市のプラスチック工場でスト

  (写真F、G)

 11月18日午後2時頃より、広東省深市沙井鎮のプラスチック工場で、労働者百数十名が工場の門を封鎖して座り込み、車の出入りを阻止してストライキに立ち上がった。労働者たちは、劣悪な労働条件、低賃金、12時間に及ぶ長時間労働、過酷な管理制度に抗議して団交を要求していたが、会社側は団交に応じると見せかけてごろつき分子を導入して労働者に暴行を加えさせた。ストライキはこのような資本のやり方に抗議して行われた。労働者たちはストライキを警察やごろつきどもから防衛するために、工場前で防衛体制を取り(写真F)、門前での泊り込み闘争(写真G)を行った。

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月刊『国際労働運動』(414号5-1)(2011/02/01)

世界経済の焦点

■世界経済の焦点

欧州に広がる財政金融危機

アイルランド、ポルトガル、スペインも

 □ギリシャ危機からアイルランド危機へ

 ギリシャ危機が勃発したのは2009年10月、パパンドレウ政権(全ギリシャ社会主義運動PASOK)が発足し、前政権の粉飾決算をあばき、09年の財政赤字が大幅に増大することを明らかにしてからであった。
 ギリシャの債務不履行(デフォルト)の懸念が頂点に達するなかで、ギリシャ政府は09年4月にIMFとEUに支援を要請。5月2日、IMFとEUによる今後3年間の1100億ユーロ(約13兆円)の巨額支援が発表されたが、危機はポルトガル、アイルランド、スペインへと波及していった。
 5月9日に、総額7500
億ユーロ(約86兆円)のEUとIMFの緊急融資制度(欧州安定化メカニズム)が発足した。これはギリシャ以外のユーロ圏の諸国に対する、危機防止を目的にして設立された2013年までの時限措置である。
 9月末にアイルランドで国有化したアングロ・アイリッシュ銀行の経営が悪化し、中央銀行が公的資金293億ユーロを投入した。アイルランドの財政危機が爆発する中でEUは11月28日、緊急融資制度の第1弾としてアイルランド支援を決めた。

 □アイルランド支援策

 11月28日、EUとIMFは、共同で総額850億ユーロ(約9兆4000億円)のアイルランドへの金融支援で合意した。850億ユーロは、350億ユーロが銀行救済に、500億ユーロが政府の財政の穴埋めに使われる。財源はEUが625億ユーロ、IMFが225億ユーロ、金利は5・8%である(ギリシャの5・2%を上回る)。
 えげつないことに、EU財源のうちの175億ユーロは支援を受ける側のアイルランドの公的年金積立金からの拠出である。アイルランドの公的年金積立金は2001年に創設され、毎年のGDPの1%分を繰り入れてきたが、その残額の大半を財政の穴埋めに強制支出されることとなった。11月27日、ダブリンで5万人の抗議デモがあふれかえった。
 アイルランドの銀行総資産規模はGDPの約8倍である。10年7〜9月期まで15四半期連続で住宅価格が下落し、「住宅価格の下落→銀行の不良債権の増加→公的資金の注入増」の悪循環に陥っている。
 アイルランドのGDPはユーロ圏の1・8%(ギリシャはユーロ圏の2・7%)である。アイルランドはかつては遅れた農業国と見られていたが、90年代以降、低法人税率で医薬やIT(情報技術)企業を海外から誘致するとともに、金融業を基幹産業に育てた。
 90年代初頭に40%を超えていた法人税率を08年には12・5%まで下げ、日・米の実効税率(約40%)の3分の1にした。ユーロ圏で唯一英語が母語で、米国の名だたるIT企業が欧州の拠点としてアイルランドに進出している。90年代後半から07年の間に年率プラス7%以上の高成長をとげ、一躍最富裕国の仲間入りを果たし、「ケルトの虎の奇跡」と賞賛された。
 現在はサービス産業(ロイヤルティ、手数料、研究・開発、マーケットリサーチなど)・建設業・金融業が中心。住宅不動産価格は95年から07年にかけて5倍になり、不動産バブルはスペイン・英・米をはるかにしのぐ。
 08年の金融危機が直撃し、国内の不動産バブルが崩壊すると銀行財務が悪化。大手銀行に公的資金を投入したり国有化したりして国の財政が悪化した。今年の財政赤字は、なんとGDPの31・9%に達する。銀行の資産規模はGDPの8倍もある。
 アイルランド政府は11年まで国債の償還資金を確保しており当面資金支援は必要ないという立場をとっていた。しかし国債価格が急落し、EUとIMFの圧力で支援要請に追い込まれ、11月21日に金融支援を要請した。
 11月24日、アイルランド政府は、14年までに総額150億ユーロ削減し、財政赤字を3%に圧縮する4カ年計画を発表した。歳出削減は社会保障給付や公務員給与削減、所得税増税、水道有料化など100
億ユーロ。増税は、付加価値税率の段階的引き上げ(21%→23%)、所得税の見直し、資産課税の強化など50億ユーロ。ドイツの求めた周辺国より極端に低い法人税率の引き上げは拒否した。
 現在のGDP比32%の財政赤字を3%に圧縮し、なおかつ年率2・75%の経済成長を実現することを国際公約したが、ほとんど不可能である。
 アイルランドがここまで金融資産を拡大した要因は金利が低かったからである。
 00年からインフレを除いた短期金利は実質でマイナスになった。アイルランドのインフレ率は99年から07年までの平均は3・7%。ECB(欧州中央銀行)の政策金利は99年〜01年5月までは2・0%。01年5月〜03年5までは3・5%。03年6月から05年11月までは1%で、アイルランドは実質マイナス金利であった。
 ユーロ圏内では為替変動リスクがないため、高い金利を求めて資金が流入し、金融資産が拡大した。これらは主要には住宅関連の融資に集中し、さらにイギリスやアメリカの不動産融資にも回り、欧米市場とも統合していった。
 世界金融大恐慌の勃発で、経済成長率は07年のプラス6%から08年にはマイナス7%に急落している。不動産バブルがはじけ銀行損失が拡大した。10年7〜9月期まで15四半期連続で住宅価格が下落。「住宅価格の下落→銀行の不良債権の増加→公的資金の注入増」を繰り返している。銀行の資産規模はGDPの8倍もある。アイルランドの財政危機は新自由主義の「寵児」のドラスチックは破綻であり、解決不可能である。

 □アイルランドからポルトガル、スペイン危機へ

 当面の焦点は、危機のポルトガル、スペインへの連鎖だ。特にユーロ圏第4位の大国で、ユーロ圏全体のGDPの11%を占め、ギリシャ、アイルランド、ポルトガルの3カ国合計(6%)よりも経済規模が大きいスペインに波及するかどうかである。ポルトガルとスペインは、11年4月に巨額の国債償還期限を迎える。スペインに波及すれば、現在の欧州安定化メカニズムの規模では対応できなくなる。ECB理事会のメンバーでウェーバー・ドイツ連邦銀行総裁は、ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、スペインが向こう3年間に政府債務の借り換えができない場合、1400億ユーロが追加で必要になるとの試算をしている。
 だい4章 □欧州版IMF構想
 10月18日の独仏首脳会談で、財政規律の強化と恒久的な危機対応メカニズムの設立を目指すことが合意された(ドーヴィルの合意)。この直後からアイルランド国債利回りが急上昇している。債務再編についてメルケル首相が「銀行や投資ファンドも含めた仕組みが必要」と国債保有者の損失を辞さない手段を主張して、民間投資家のパニックとなった。「納税者だけの負担はのめない」と、もっともらしいことを言いつつドイツ帝国主義の利益を貫こうとしている。
 11月28日、EU緊急財務相会議は、「欧州版IMF」(ESM=ユーロピアン・スタビリティ・メカニズム)の骨格で合意した。欧州版IMFとは13年以降のユーロ圏の恒久的な金融安定の枠組みである。
 ECBには、過剰債務国を救済するために直接融資を行う権限が与えられていない。また、ユーロ圏から脱退する仕組みもない。「ユーロ圏の加盟国が(大きな混乱を市場に起こすことなく)破綻し、しかもユーロ圏にとどまる仕組み」(ショイブレ独財務相、10年5月)をつくろうとしている。そのためにはEU基本条約を改正しなければならない。緊急融資支援制度の期限が切れる13年までに創設しようとしている。
 当面の危機国への資金繰りは欧州版IMFが支援する。融資返済が困難になった場合、国債保有者を対象に「債務再編(返済期間の延長、金利減免、元本削減)」した上で、欧州版IMFが発行する債券と交換するというもの。
 ドイツ政府が当初主張していた民間投資家への自動的な債務再編のコスト負担を求める方針は見送られ、最後の手段として「事例ごとにケース・バイ・ケースで適用する」こととなった。
 だが、ポルトガル、スペインの債務返済危機は11年に迫っている。欧州版IMFではまったく間に合わないのだ。
   第5章 □財政再建はできない

 □財政再建はできない

 別表に明らかなように、欧州各国が一斉に財政再建に取り組んでいる。財政危機に陥
っている国はもとより、ドイツのように財政状態が相対的に健全な国も財政再建を行い、その上で経済成長を実現するとしている。果たしてそのようなことが可能であろうか。
 IMFの「世界経済の見通し」(10年10月)という注目すべきレポートがある。これは過去30年間の先進国の財政引き締めを分析し、「一国が財政赤字のGDP比を1%引き下げると次の2年間でGDPは0・5%低下し、しかも各国が同時に1%赤字削減すると落ち込みは倍増する」との試算を発表している。また、各国が同時に財政再建を行った場合、為替レートの減価が進まない結果、単独で財政再建を行う場合よりも、景気への押し下げ圧力が大きくなるとの実証結果も紹介している。欧州各国の13年までの財政再建計画などはその典型である。あらかじめ破綻が約束されている。

 □通貨統合による経済格差の拡大

 EUのうち、11カ国が99年1月に統一通貨ユーロを導入し、ギリシャは01年から導入した。ユーロ圏はドイツ、フランス、オランダなどの先進諸国と、経済発展が相対的に低い南欧などのPIIGS諸国に、大きく二分することができる。先進諸国は経済成長率も低めで、PIIGS諸国は経済成長率も高めである。しかしECBは一つの金利政策しか運営できないため、先進諸国にとっては過度に高い金利が、PIIGS諸国にとっては過度に低い金利が設定されてきた。
 景気が過熱化しバブルが発生したPIIGS諸国は相対的に低い実質金利で資金を借り入れられるようになり、それ以外の先進諸国では高い実質金利に直面した。このため、先進諸国では内需は弱めでややデフレ気味となり、経常収支は黒字が定着してきた。PIIGS諸国の内需は強めでインフレ気味となり、経常収支は赤字基調であった。この状態が通貨統合から10年間も継続してきたため、PIIGS諸国は先進諸国に対して徐々に国際競争力を失い、経常赤字を発生させ、それを先進国からの借り入れで賄う構造ができあがってしまった。ユーロ周辺諸国は08年までにドイツに対して15〜20%も物価格差を発生させ、その分だけ国際競争力が低下した。通貨統合は格差を解消するなどと言われてきたが、逆であることが実証された。 
  ECBのもとに金融政策を統一しつつも税制・財政は各国別々というユーロ圏では、安定成長協定(各国の財政赤字をGDPの3%以下、累積赤字をGDPの60%以下にする)を順守することが唯一の道だとされ、財政再建に突き進んでいる。ユーロを守るために、ユーロ圏からたたき出されないためにあらゆる犠牲を堪え忍べと、帝国主義権力や体制内左派政権から労働者階級に激しい資本攻勢が加えられている。   ECBのもとに金融政策を統一しつつも税制・財政は各国別々というユーロ圏では、安定成長協定(各国の財政赤字をGDPの3%以下、累積赤字をGDPの60%以下にする)を順守することが唯一の道だとされ、財政再建に突き進んでいる。ユーロを守るために、ユーロ圏からたたき出されないためにあらゆる犠牲を堪え忍べと、帝国主義権力や体制内左派政権から労働者階級に激しい資本攻勢が加えられている。
 だが、ユーロの分解は不可避であり、守るべきものでもない。アメリカに対抗し、戦争のない豊かで強い欧州をつくるという名目でEUとそのコアとしてユーロは作られてきた。だがユーロは帝国主義戦争をなくすものでも労働者階級の未来を約束するものでもない。第1次世界大戦、第2次世界大戦をプロレタリア世界革命に転化するための闘いの敗北の所産なのだ。守るべきものは労働者階級の国際連帯なのである。
       (常木新一)
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 ●欧州主要国の財政赤字の削減計画

(名目GDP比、%)

  2008 2009 2010 2011 2012 2013
ドイツ 0.0 −3.3 −5.5 −4.5 −3.5 −3.0
フランス −3.3 −7.5 −7.7 −6.0 −4.6 −3.0
スペイン −4.1 −11.2 −9.3 −6.0 −4.4 −3.0
イタリア −2.7 −5.2 −5.0 −3.9 −2.7 −2.2
ギリシャ −7.7 −13.6 −8.7 −5.3 −2.8 −2.0
ポルトガル −2.8 −9.4 −7.3 −4.5 −3.6 −2.5
アイルランド −7.3 −14.3 −32.0 −10.0 −7.2 −4.9
英国  −6.8 −12.2 −10.1 −7.6 −5.6 −3.6

   出所:欧州委員会、各国財務省  出所:欧州委員会、各国財務省

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月刊『国際労働運動』(414号6-1)(2011/02/01)

世界の労働組合

■世界の労働組合 イギリス編

イギリス通信労働組合

(Communication Workers Union:CWU)

(Communication Workers Union:CWU)

 ■概要

 CWUは、イギリスの電信電話・郵便事業で働く労働者の最大労組で、21万5000人の組合員を有する。1995年に、全国情報産業労組(National Communications Union :NCU)と合併し、Union of Communication Workersという名称をCommunication Workers Unionと改名した。国営企業のロイヤルメールやイギリス最大手であり世界でも最大規模の通信事業会社BTグループ(略称:ブリティッシュ・テレコム)で働く労働者が多く加盟している。本部をロンドンに置き、現総書記はビリー・ヘイズである。  CWUは、イギリスの電信電話・郵便事業で働く労働者の最大労組で、21万5000人の組合員を有する。1995年に、全国情報産業労組(National Communications Union :NCU)と合併し、Union of Communication Workersという名称をCommunication Workers Unionと改名した。国営企業のロイヤルメールやイギリス最大手であり世界でも最大規模の通信事業会社BTグループ(略称:ブリティッシュ・テレコム)で働く労働者が多く加盟している。本部をロンドンに置き、現総書記はビリー・ヘイズである。
(写真 09年7月のストライキ)

 ■労働党との緊密なパートナーシップ

 CWUは設立以来、労働党との結びつきが非常に強く、前総書記はアラン・ジョンソンで、彼は後にイギリス労働党の国会議員となり、ブラウン政権下で閣僚入りを果たして保険大臣、内務大臣を歴任し、次期党首候補と目される人物だ。
 しかし、2007年にロイヤルメールの民営化問題でこの緊密なパートナーシップにも亀裂が入り始めた。2001年以来、900万ポンド(日本円で約15億円)の献金がCWUから労働党へ渡ったとされているが、2008年のCWU年次総会では労働党とのパートナーシップの見直しが真剣に討論され、民営化法案が国会で通過された場合には労働党への献金をストップするという決議がなされた。

 ■イギリス郵政事業の大々的な規制緩和

 イギリスは近代郵便制度発祥の地であり、ロイヤルメールの歴史はヘンリー8世の時代の1516年にまでさかのぼる。チャールズ1世の時に一般利用が可能となり、チャールズ2世の時代の1660年に郵政省が設立された。しかし、そのイギリスが世界で先頭を切って、2001年に郵便事業の規制緩和を行ったのである。
 1969年に郵政公社となったロイヤルメールは、2001年にイギリス政府100%出資のロイヤルメール・グループとなり、窓口会社、郵便会社、小包会社の3つの事業体に分割された。イギリス政府は郵政サービス委員会(通称:ポストコム)を設立し、民間企業に郵便業務の許可を与えるとした。2006年1月1日から、ロイヤルメールは350年間にわたる郵便事業の独占権を失い、イギリスの郵便事業は完全に自由化された。
(写真 09年10月のストライキ)

 ■波状ストに立ち上がった

 イギリス郵便労働者
 2007年以来、労働党政府は、野党である保守党の支持のもとに郵便事業の民営化、さしあたりロイヤルメールの民間会社への売却を強行しようと躍起になってきた。その先取りとして、郵便局の閉鎖、大幅な人員削減、機械化の導入拡大などの策に乗り出し、郵便労働者の職場では、休憩時間を認めない勤務計画、時間外労働の強制など、協約違反の数々の労働強化が襲いかかっている。組合の会議では、1年に46時間にのぼる超過勤務、年収が6000ポンド(約95万円)減収した例、強制配転が日常となり、労働条件が日々悪化している例などが怒りをもって報告されている。
 郵便労働者は、こうした現実に対し波状ストで闘っているが、その闘いの最大の妨害者はCWU指導部である。現場労働者は全国ストを求め、そのためのスト権投票の実施を要求する声が支部から本部に殺到していた。しかしCWU本部はこれを頑強に無視し、絶対に全国統一ストの指令は出さず、各支部のストライキを分断し、無力化し、労働党政府およびブルジョアジーとの激突を必死になって避けようと全力をあげていたのである。
 そんな中で、2009年10月22日、ついにロイヤルメールの現場労働者がCWU本部を突き上げ、48時間の全国ストライキに決起した。CWUの郵便部門(12万人強)が全国スト投票を実施し、76%もの賛成でスト方針を可決したのである。これにより大幅な郵便物遅配が生じたが、さらに引き続いて29日にも再びストに突入。年末年始に向かって断続的なストで500万件以上の遅配となった。
 ランク&ファイルの郵便労働者の決起で、イギリスのロイヤルメールはいまだに政府が100%所有する完全国有の公社であり、今年5月の総選挙で政権を獲得した保守党・自由民主党連立政権の民営化策動と阻止のために闘うCWU労組との間で激烈な闘いが今も続いている。

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月刊『国際労働運動』(414号7-1)(2011/02/01)

国際労働運動の暦

■国際労働運動の暦 2月1日

■1947年2・1ゼネスト挫折■

戦後革命裏切った日共

全官公庁400万労働者が決起したが米占領軍の脅迫に屈し「中止宣言」

 2・1は幻のゼネストだ。前夜に指導部が総屈服を表明し、潰走(かいそう)したため、2月1日は何もなかった。戦後革命敗北の記念碑的な日付である。
 第2次世界大戦での敗北後、日本の陸海軍は崩壊し、支配階級は存立の危機に立たされた。戦争で命を奪われ、住居を失った労働者階級人民は、飢餓状態を強いられた。労働者階級はその中で階級的怒りに目覚め、団結し、闘いに立ち上がった。10月10日の政治犯釈放とGHQ(連合国軍総司令部)による労働組合の合法化で、労働組合の結成が急速に進んだ。
(写真 「スト中止」のためにマイクに向かう伊井弥四郎)

 ●急速な労働者の決起

 45年10月に8組合4千人だった組織労働者の数は、同年12月には700組合38
万人、46年6月には1万1500組合375万人に、46年12月には1万7千組合、485万人に爆発的に増加した。
 45年10月には、読売新聞争議が、正力社長の戦争責任追及に始まり、労働者による編集局占拠、全従業員による職場の業務管理に発展した。労働者による生産管理は瞬く間に全国に広がった。それは資本を追放して職場の全支配権を労働者が握る闘いであり、ソビエトの形成とプロレタリア独裁樹立の萌芽(ほうが)だった。
 46年4月に幣原(しではら)内閣が総辞職してから約1カ月、新しい内閣を組閣できない政治危機が生まれた。「住むに家なく着るに衣服なく食うに米がない」労働者の怒りが5・19食糧メーデーとなって爆発した。
 だが、戦後再建された日本共産党は、「獄中非転向」の党として、当時の労働者階級の中で圧倒的な権威と力を持っていたにもかかわらず、米占領軍を「解放軍」ととらえ、二段階革命論でプロレタリア革命に反対していたために、戦後革命の決定的好機に、労働者階級の闘いを勝利に導くことがなかった。闘いに枠をはめ、革命に敵対した。
 5月に発足した吉田内閣は、日帝経済の復興に着手し、そのために大規模な企業整理=人員削減に乗り出した。まず、国鉄で第1次7万5千人、海員で4万3千人の大量首切りが発表された。産別会議のストライキが広がっていった。
 11月26日、国鉄、全逓、全官公労などの呼びかけで、全官公庁共同闘争委員会が結成された。この組織が、翌年の2・1ゼネストを準備する中心に座った。
 インフレが再び激化する中、吉田内閣は石炭と鉄鋼に国家財政を集中投入する傾斜生産方式をとり、そのためには労働者の生活水準を切り下げることも辞さないと公言した。
 47年の元旦、吉田はラジオで闘う労働組合を「不逞の輩」とののしった。全労働者は憤激し、15日には全労働団体、総数400万人を結集した全闘(全国労働組合共同闘争委員会)が結成された。労働者は全国で一糸乱れぬ闘争配置につき官憲との激突を覚悟し、弾圧に備えて指導部を地下に潜らせる準備もした。
 GHQは労働組合幹部を直接呼びつけて脅迫したが全闘の代表は「たとえ投獄されてもこのストはやめられない」と言い切った。

 日本共産党の裏切り

 日共は「連合軍は民主勢力の味方」「彼らは中止命令など絶対に出さない」と主張し、最後までGHQへの幻想をあおり続けた。
 そしてスト前日の1月31日午後2時、マッカーサーは正式にスト中止命令を出した。徳田球一ら日共幹部はこれに屈服し、スト中止を説得して回った。午後9時、全官公庁共闘議長・伊井弥四郎はラジオで「一歩退却、二歩前進」と空しく叫び、スト中止を全国の労働者に呼びかけた。放送直後、共闘は自ら解散し、指導体制は崩壊した。何か展望を示しての後退ですらなく、GHQの恫喝の前に無条件降伏したのだ。
 中国革命の進展、朝鮮の激動と併せて、日本における2・1ストはプロレタリア世界革命の決定的な一翼にあった。ゼネストが革命をはらんでいること、GHQとの非和解的激突なしに済まないことを見据えず、日共は無残な敗北を労働者階級に強制したのだ。
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 2・1スト中止まで

【1946年】
5・1 復活メーデー
5・3 東京裁判始まる
5・19 食糧メーデー
5・20 マッカーサーがデモ禁止声明
5・22 第1次吉田内閣発足
6・20 制憲議会始まる
8月  総同盟、産別会議結成
8・12 経済安定本部発足
8〜9月 国鉄・海員の解雇撤回闘争
9・20 労働関係調整法成立  9・20 労働関係調整法成立 
10・1 産別会議の10月闘争始まる
10・19 電産、5分間の停電スト敢行  10・19 電産、5分間の停電スト敢行 
11・3 新憲法公布  11・3 新憲法公布 
11・26 全官公庁共同闘争委員会結成  11・26 全官公庁共同闘争委員会結成 
12・27 傾斜生産方式採用
【1947年】
1・1 吉田が「不逞の輩」発言
1・15 全闘結成
1・28 吉田内閣打倒人民大会
1・31 2・1スト中止を決定

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月刊『国際労働運動』(414号8-1)(2011/02/01)

日誌

■日誌 2010 11月

4日千葉 民主労総ソウル地域本部が来日
韓国民主労総ソウル地域本部の労働者42人が来日した。一行は成田空港での法務省によるまったく不当な「入国審査」で4時間も足止めを食らったが、動労千葉弁護団の奮闘と持ち前の闘志と結束力で全員の入国をかちとり、真っ先に日本の労農連帯闘争の不抜の拠点・三里塚闘争の攻防の焦点である天神峰に駆けつけた
5日東京 三里塚現闘本部裁判控訴審
東京高等裁判所第15民事部で、天神峰現闘本部裁判の控訴審第2回弁論が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と支援の労働者、学生、市民125人が結集し、証拠調べ打ち切り・結審の策動を粉砕する勝利をかちとった
6日千葉 日韓米国際連帯集会が大成功
労働者国際連帯集会が千葉市民会館で開催され、400人が結集して大成功した。民主労総ソウル本部の40人を超える代表団や、国際港湾倉庫労組(ILWU)、ロサンゼルス統一教組(UTLA)を始めとしたアメリカ、ドイツの労働者、在日・滞日外国人らが参加・発言して、日本の労働者・学生との交流を深めた。日本から田中動労千葉委員長らが発言し、国際連帯を強く打ち固めた
7日東京 11・7全国労働者集会に5900人
11・7全国労働者総決起集会が日比谷野外音楽堂で開かれ5900人が会場を埋めつくした。4・9政治和解の大反革命を打ち破り、国鉄1047名解雇撤回に向けた新たな闘争宣言を発した。また、大失業・戦争と闘う全世界の闘う労組代表も続々と結集し国際連帯の一大労働者大会となった。この日の闘いは、前日6日の田母神らの右翼ファシスト集会・デモをぶっ飛ばす国際反戦闘争としても圧倒的に打ち抜かれた
7日ソウル 11・7民主労総大会に4万人
全国民主労働組合総連合(民主労総)の全国労働者大会がソウル市庁前で開かれ、4万人が集まった。今年はチョンテイル烈士が「勤労基準法を守れ!」と焼身決起してから40年、95年民主労総創立から15年であり、世界大恐慌のもとで激化する大失業と戦争に労働組合、労働運動の闘いが鋭く問われる大会となった
10日大阪 八尾北医療センター明け渡し裁判
八尾北医療センターの明け渡しを求めて八尾市が提訴した裁判が、大阪地裁民事12部(高橋文清裁判長)で開かれた。八尾北医療センター職員の根こそぎ決起を先頭に、部落解放同盟全国連西郡支部、八尾北命と健康を守る会、地域の労働者100人以上が傍聴席にあふれた
10日ソウル 「G20糾弾! 国際民衆行動の日」9日にソウルに入国した100人を超える動労千葉訪韓団は、11・7労働者集会をともにかちとった民主労総ソウル本部の同志たちと再合流しG20粉砕を闘った。10日夜、「G20糾弾! チョンテイル烈士精神継承! 労働弾圧やめよ! ロウソク文化祭」に参加し、11日にはゼネストに立ち上がった金属労組とソウル駅前広場で合流。「韓米FTA強行と労働弾圧のイミョンバク政権糾弾大会」と、続く「人が優先だ! 経済危機の責任を転嫁するG20糾弾! 国際民衆行動の日」本大会に参加し、集まった1万人を超える労働者・農民・都市貧民・学生とともに実力デモを貫徹した
10日ロンドン 学生5万人が実力デモ
イギリスの首都ロンドンで5万人の学生が学費3倍値上げに反対してデモに決起した。全国学生組合(NUS)と大学教職員組合(UCU)が呼びかけた闘いだ。予想をも超えて全国から5万人もの学生が集まった。デモの学生は保守党本部にガラスを破って突入し、1階ホールを一時占拠した10日広島 UTLA・イングリッドさんと交流
UTLA(ロサンゼルス統一教組)を代表して11・7全国労働者総決起集会に参加したイングリッド・ガネルさんが、広島を訪れ、8・6処分撤回を闘う広教組組合員の倉澤憲司さんらの案内で、爆心地近くの袋町小学校平和資料館(被爆した校舎の一部を使用)を訪れた。広島市内で開かれた「戦争・民営化に立ち向かう国際的団結を/日米教育労働者交流集会」には40人が集まった
12日神奈川 日米教育労働者の課題は一つだ
UTLA(ロサンゼルス統一教組)のイングリッド・ガネルさんを招いて、11月12日夜に「日米教育労働者国際連帯集会 三浦半島」が開かれた。主催したのは神奈川労組交流センター三浦半島教育労働者部会
13日東京 北小路敏同志が逝去
革命的共産主義者同盟副議長で、一貫して先頭で革共同を指導してきた北小路敏同志が、敗血症で逝去した。74歳だった。16日に通夜、17日に告別式がそれぞれ都内で催され、偉大な革命家の業績をしのんだ
13〜14日 神奈川 横浜APEC粉砕全国闘争
横浜APEC粉砕全国闘争(主催・反戦共同行動委員会)に、11月労働者集会の大勝利とG20粉砕の訪韓闘争をかちとった11月集会派の労働者、学生、農民が連続闘争に決起した。米大統領オバマや菅首相を始めとする首脳たちが集まったみなとみらい地区に肉薄する横浜市中心部で、2日間にわたる断固たる集会とデモをたたきつけた。
13日には、首都圏の労働者・学生を中心に420人がAPEC会場に迫る集会(関内・大通り公園)とデモを闘い取った。また2日間にわたってJR桜木町駅と関内駅で街宣行動も貫徹され、警察の包囲をはねのけて闘いに賛同する200人近くの署名が集まった
14日の全国闘争には840人が参加し、蒔田公園で決起集会が行われた。反戦共同行動委の三角忠代表の行動提起を受け、参加者全員がAPEC会場に向けて都心デモに出発した。機動隊の大群による弾圧態勢の中、赤旗林立のデモは沿道の熱い注目を集めた。握手を求める労働者、ビルの窓から手を振る人びと、権力の妨害を打ち破って飛び入りでデモに加わる青年たちも現れた。強盗首脳会議のための権力の戒厳体制に横浜の労働者・市民の怒りは大きく高まっていた
14日東京 日比谷野音、保育大集会で大宣伝
全国労組交流センターは、日比谷野外音楽堂で開かれた「つくろう保育所 こわすな保育制度 すべての子どもによりよい保育を! 11・14大集会」(よりよい保育を!実行委員会主催)への参加者に「子ども・子育て新システム絶対反対、幼保一体化阻止」を訴える宣伝活動を行った
16日千葉 団結街道廃止処分取り消し訴訟
千葉地裁民事3部で団結街道廃止処分取り消し訴訟の第1回弁論が開かれた。市東孝雄さんをはじめ三里塚芝山連合空港反対同盟17人が原告となり、道路廃止処分の取り消しと、道をふさぐ障害物を撤去し通行させることを成田市と空港会社(NAA)に求める訴訟だ。開廷後直ちに市東さんが意見表明を行った
17日茨城 古田白同志が逝去
革共同茨城県委員会に所属して闘い抜いてきた古田白(あきら)同志が10月17日午後10時38分、1年間にわたるすさまじい闘病の末、息を引き取った。61年の生涯だった。20日、古田同志の逝去を悼み、水戸市内の斎場でお別れ会が催された
17日東京 「バッジ処分は不当労働行為」
闘う国労組合員9人が、国労バッジ着用を理由とするJR東日本の処分の撤回を求めて労働委員会に申し立てていた事件で、中労委は減給、出勤停止処分などを不当労働行為としたが、服務規律違反処分の不当労働行為性を否定した
18日千葉 鈴木さん一坪裁判 
千葉地裁民事5部で鈴木さん一坪共有地裁判が開かれた。鈴木幸司さんが亡くなったことで息子の謙太郎さんとその妻加代子さんが持ち分を継承し、訴訟の受継を申し立てたことについて、仲戸川隆人裁判長は原告の千葉県をけしかけてクレームを付けさせることに腐心した
26日東京 反戦貫き新たな弾圧看板に怒り
今年第6波目の法大包囲デモが打ち抜かれた。キャンパス内から闘いを開始した法大1年生グループを先頭に、迫力のデモが市ケ谷を席巻した
27日東京 星野全国集会、11年再審無罪へ
星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議主催の「獄中36年 星野文昭さんと共に再審勝利へ11・27全国集会」が、東京・牛込箪笥区民ホールに450人を集めて開かれた
28日東京 「北小路敏さんとのお別れの会」
杉並の西荻勤労福祉会館ホールを満員にして「北小路敏さんとのお別れ会」が行われた。60年安保闘争当時からの同志、友人から、北小路同志を知らない青年・学生まで幅広い層の労働者・学生・市民が大結集した
29日千葉 動労千葉、スト貫徹へ総決起集会
動労千葉は、12・3〜4ストに向けて総決起集会を開催した。勤務を終えた組合員、支援の労働者・学生など250人が集まり、DC会館ホールをぎっしり埋めた

 (弾圧との闘い)

4日東京 デッチあげ逮捕と一斉不当捜索弾劾
警視庁公安部は「詐欺」容疑をデッチあげて2人の同志を不当逮捕した。同日、同志らの住居を含む4カ所、6日には前進社本社と神奈川支社、東京・杉並の都政を革新する会事務所への不当な家宅捜索を強行した。9日に仙台、京都、広島、九州、沖縄へと不当捜索を拡大した
15日東京 法大5・28暴行デッチあげ裁判
法大5・28暴行デッチあげ裁判控訴審(小倉正三裁判長)の第4回公判が東京高裁第9刑事部で行われた。弁護側立証が開始され、恩田亮君への証人尋問と新井拓君への被告人質問が行われた
24日東京 国労5・27臨大闘争弾圧、控訴審闘争
国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いは、控訴審初公判を迎え、全面無罪戦取に向けた新たな闘いに突入した。被告団と弁護団は、11・7労働者集会以来の連続する闘いを貫いた自信に満ちて、検察官と裁判官を圧倒しきる公判闘争を展開した
25日東京 法大暴処法弾圧裁判第20回公判
法大暴処法弾圧裁判の第20回公判が、東京地裁刑事第1部(河合健司裁判長)で行われた。全学連委員長の織田陽介君が意見表明を行った。法大文化連盟の斎藤郁真委員長が証人尋問に立った

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月刊『国際労働運動』(414号9-1)(2011/02/01)

編集後記

■編集後記

 11月23日の朝鮮半島における砲撃は、米帝の朝鮮侵略戦争の開始である。朝鮮半島を南北分断した朝鮮戦争の継続がある。米帝の一貫した戦争重圧があった。だが根本的には大恐慌の深まりがある。全ての帝国主義国、大国が経済的に完全に行き詰まっている。他国を蹴落とす以外に延命できなくなっている。
 基軸帝国主義の米帝の危機は尋常ではない。米帝は、大恐慌からの延命をかけた新自由主義経済政策が自滅的になっている。ドル暴落の恐怖に震えながらやっている。その矛盾を対中国政策にぶつけて、排外主義的に乗り切ろうとしている。
 戦後世界体制の崩壊が始まり戦争が始まった。労働者階級は巨大な反乱に決起していく。まさに革命情勢が成熟してくる。プロレタリアートは「帝国主義戦争を内乱へ」を掲げ革命の準備を開始する時が来た。

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