SANRIZUKA 2002/11/01(No618 p02)

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週刊『三里塚』(S618号1面1)

 「再延長阻止」へ確かな自信

 反対同盟 開港6カ月、団結固く

 10・13集会 イラク反戦、世界の労働者と共に

 収用委再建許さぬ

 「審議会」設置で戦闘宣言

暫定滑走路開港から6カ月。反対同盟は騒音下でのたたかいで滑走路延長阻止の確かな拠点を築き上げた。(10月13日 成田東峰) 着陸するジェット機が、轟音と共に演壇後方の上空50メートル程をかすめる(発言者は萩原進さん)

 

北原鉱治事務局長
萩原進事務局次長

 十月十三日、反対同盟は三里塚現地で「暫定滑走路延長阻止、有事立法粉砕」全国総決起集会を開催、全国から千四百人の労働者、住民団体、学生などが集まった。四月の暫定開港から半年間、現地では殺人的な騒音下での新たな反対闘争の継続をめぐる様々な攻防があった。とりわけ「ジェット機を飛ばせば、必ず農民は落ちる」と公言し、暫定路の再延長を目論んでいた空港公団の思惑は見事に粉砕された。反対同盟は空港敷地内の土地を守り抜き、騒音下での生活防衛の闘いを含む様々な反撃を開始した。集会に参加した各同盟員の表情にも自信があふれていた。(2面に集会宣言その他

 

 北原鉱治事務局長は基調報告で「暫定滑走路の開港から半年。農家を苦しめる新滑走路は、我々の反撃でぶざまなものとなった。滑走路延長を阻止しよう」と呼びかけた。また県知事による「事業認定審議会」設置について「収用委再建の一歩だ。反対同盟は許さない」と宣言。さらに北朝鮮拉致問題を逆手に取った排外主義の扇動を批判し、「侵略戦争の歴史を忘れたか」と警鐘を鳴らした。

 

 

 

 萩原進事務局次長は「公団は騒音と排気ガスの直撃で『飛行機を飛ばせば農家はつぶれる』と言ったが我々は健在だ」「たたかえば勝てる」と強調。また「三里塚の農民殺しと有事法制は一体だ」と労働者学生との共闘を呼びかけた。
 

鈴木幸司さん

集会では動労千葉、関西新空港反対住民、北富士忍草母の会(メッセージ)、沖縄住民(同)、反戦被爆者の会(同)、部落解放同盟全国連、都政を革新する会、婦人民主クラブ全国協、たたかう「障害者」、反戦共同行動委、野戦病院などの共闘団体が発言した。

 このなかで動労千葉の田中康宏委員長は「激動の時代は三里塚のようなたたかい方が必要。力ずくの労働者支配に抗する労働運動の新しい潮流を作る」と決意を述べた。
 集会参加者は、頭上すれすれを航空機が飛ぶなかを天神峰団結街道までデモ。全学連の学生二人の不当逮捕をはねのけ、空港への怒りをたたきつけた。(以下は反対同盟の主要な発言)

     *

鈴木幸司さん(開会宣言・中郷部落) 権力とのたたかいは人民が一致協力しなければ勝てない。故・戸村委員長は「心を一つにしてたたかう」ことの大切さを教えてくれた。いま立ち上がる全世界の労働者人民と心を一つにして勝利の道を進もう。

 

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週刊『三里塚』(S618号1面2)

市東孝雄さん
伊藤信晴さん
鈴木加代子さん
郡司一治さん
宮本麻子さん(司会)
鈴木謙太郎さん

萩原静江さん

木内秀次さん
野平聰一さん
小川陽一さん(司会)

 「闘えば勝てる」を証明

市東孝雄さん(敷地内・天神峰部落) 家を直撃しているジェット排気ガスの対策を、成田市を通して公団に要求してきた。公団は、エンジンの噴射口が塀より一メートルも高いという反対同盟の調査結果を無視して「追加対策は必要ない」と逃げてきた。ごまかしだ。さらに事実を突きつけて追いつめていく。

     *

鈴木謙太郎さん(集会決議=中郷部落) 事業認定審議会は土地収用のための機関である。収用委再任命の第一歩だ。土地収用は有事の戦時徴発、有事法制と一体だ。10・15県議会闘争を呼びかけます。

     *

伊藤信晴さん(読売弾劾声明=事務局員) 「用地への居座りは国民的迷惑だ」とする4・17付社説は、暴力による空港建設を居直り、力ずくの土地強奪を扇動する極悪文書だ。反対同盟は再度、謝罪と社説の撤回を要求します。


     *

萩原静江さん(東峰部落・婦人行動隊) 公団は暫定滑走路の開港を強行して私たちの生活破壊を進めてきました。しかし反対同盟は大地を守り、有機野菜など本物の食べ物を、意気軒昂と作っています。ともに頑張りましょう。


     *


鈴木加代子さん(中郷部落・婦人行動隊) 機動隊と私服刑事、民間のガードマンまでが、うちの敷地の中まで入ってライトを照らしたりイヤガラセをしている。子供らを検問するなんて許せない。いくらなんでも警察はやっていいことと悪いことがある。
     *
木内秀次さん(事務局員=カンパアピール) 反対同盟は暫定滑走路の延長を阻止し、全国の労働者・学生・住民の皆さんとともに有事法制阻止の先頭でたたかいます。


     *


郡司一治さん(小原子部落=集会宣言) 開港は暫定滑走路の矛盾を世界にさらけ出した。堂本知事は収用委員会の再建を策動している。だがこれらに屈する反対同盟ではない。滑走路の延長を実力阻止し、空港廃港へと追い込む決意である。戦争のための有事三法を廃案に追い込もう。


     *


野平聰一さん(長原部落=閉会宣言・ガンバロー三唱) 暫定滑走路の延長を阻止し、有事法制制定阻止へ、団結ガンバロー!

     *


宮本麻子さん(司会)

 

●小川陽一さん(司会)

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週刊『三里塚』(S618号1面3)

事業認定審議会の設置条例が千葉県議会で採決されることに対して、現地支援連と全学連がデモ(10月15日 千葉市)

 条例改悪にデモ

 事業認定審議会設置 収用委再建の布石

 県議会最終日の十月十五日、堂本知事が「事業認定審議会」設置条例を可決・成立させようとしていたことに対し、三里塚闘争支援連絡会議(中核派、解放派、戦旗派、蜂起派)は同日午前、千葉市内で抗議集会とデモを行った。
 「事業認定審議会」は土地収用のために知事が「意見を聞く」諮問機関。昨年七月の土地収用法改悪で、収用手続き迅速化のカムフラージュとして新設が決まった。「第三者機関」というが委員は知事が決める。暴力的土地強奪の歯止めにならないことは明らかだ。
 千葉県収用委員会は十四年間、空白状態が続いている。成田二期工事に際して、当時の公団総裁が「強制収用」を表明、収用審理再会の手続きが動き出し、反対同盟と人民の強い抗議の渦中で委員全員が辞任した。以来、民間の土地収用は純然たる話し合いでしか実現できない。人民にとって誇るべき事態である。
 堂本は収用委再建による暴力的土地収用体制の復活をねらっている。

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週刊『三里塚』(S618号1面4)

主張 黒野「北延長」攻撃くじく

 開港6カ月の勝利

 住民無視への抗議殺到

 成田空港の単独民営化案が事実上決まったことを受け、空港公団の黒野匡彦総裁は同日、「暫定平行滑走路の二五〇〇bへの延伸ができなくても民営化を進めたい」などと述べ、総裁就任時に脅し文句として打ち上げた暫定路「延伸計画」の敗北を認める格好となった。国土交通相の諮問機関「交通政策審議会」の航空分科会空港整備部会で言及したもの。
 成田空港の民営化は〇四年度。公団総裁の任期は四年だが、民営化後の滑走路延伸はおよそ絶望的で、今回の黒野発言は事実上、暫定滑走路二五〇〇b化の棚上げに等しい。反対同盟と地権者農民、さらに周辺住民の怒りと反撃が、黒野新総裁のごう慢な姿勢を糾した結果である。公団内部では黒野への失笑の声が聞かれる。

 空論だった北延長

 黒野は七月下旬の着任早々「暫定滑走路の北側延伸」を打ち出した。「地権者を落として南延伸。ダメなら『北延伸』で地権者の頭上にジャンボ機を飛ばす」という「両にらみ方針」を打ち上げたのだ。
 「北側延伸」は空論だった。連絡誘導路が狭く、ジャンボ機はそもそも暫定路に入れないのだ。そこで公団は「西側に連絡誘導路を新設」との真っ赤なデマを水面下で流した。市東孝雄さん宅の西側に本格誘導路を新設し、市東宅を陸の孤島に閉じこめるという「計画」だ。
 ところが土地収用法が使えない成田空港関連で、五十軒もの地権者買収は不可能だ。「計画」はあまりの荒唐無稽さに笑い物となった。黒野の脅しは空振りに終わった。

 全員署名で反対決議

 できもしない「北側延伸」に成田市、下総町から反発が巻き起こった。とくに深刻な騒音被害と地価下落、過疎化に見舞われている成田市久住地区住民は「全員署名」で北延伸反対を決議し、抗議の意志を表明した。同地区の住民の多くが、反対同盟のたたかいに大きな期待の声を寄せている。
 黒野の住民無視の手法は、堂本千葉県知事からも「やりすぎだ」と批判された。こうしたあげくに、冒頭のべた事実上の撤回発言となった。
 問題は、三十七年間変らぬ政府・空港公団の農民無視だ。機動隊に村を蹂りんさせ、農業環境をズタズタに破壊し、反対農家の軒先まで滑走路を一方的に造り、「飛行機を飛ばせば、地権者は必ず落ちる」(用地部)と公言していた政府・公団。彼らはこれを「話し合い」と称して恥じない。
 黒野はこの農民無視を開き直り、手痛い反撃にあった。暫定路開港という国家犯罪への追及はこれからが本番である。

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週刊『三里塚』(S618号1面5)

ピンスポット ”農民としての誇りを感じる”

 援農隊続々現地に

 「農村に轟音、とても異様」

▽…農作業を手伝っていると、私服警察の車が双眼鏡で僕たちの方を見ていた。驚きです。三里塚に来るまで疑問だったことが少し理解できたように思います。
 農作業は腰が痛くなったが、楽しく過ごせました。戦争のための空港づくり、勝手な農民無視のやり方等々の話も聞いて良い体験でした。(大阪市大・G 男性)
     ◇
▽…私服警官が子どもにまでイヤガラセをやっているという三里塚の現実に驚きました。
 のどかな農村にジェット機の轟音。とても異様でした。農業についての話を聞き、農民としての誇りを強く感じました。(京大・H 男性)
     ◇
▽…農作業では、雑草と一緒に人参も抜いてしまいました。腰が筋肉痛。毎日こんな厳しい作業をやっている農家の人たちに驚きました。その農家の人から「現地に残ったら?」と言ってくれたことが嬉しかった。10・13集会に行こうと思います。(京大・T 女性)

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週刊『三里塚』(S618号1面6)

団結街道 

 市東さん宅には年老いた巨木が多数存在する。昔の多くの農家にならい、先代の市東東市さんも家の木を切ることを嫌った。鬱蒼(うっそう)とした状態が好きで、歴代の支援°庭師″たちは枝を落すために彼の留守を盗んだりしたそうだ▼先日の台風二一号で大きな樫(かし)の老木が倒れた。直径七十センチ。先代と同じくらいの樹齢だった。台風一過、倒れた樫はチェーンソー(電動ノコギリ)で切られたが、太い幹に刃が立たず、歯がもぐりこんではエンストした。後日、伊藤信晴さんが大きなチェーンソーを持ってきて残りを切った。約五十センチくらいずつ切断したが、それでも一人では持てない重さだ▼樫の材木は固い。鍬(くわ)やツルハシ、ハンマーなどの柄の材料になる。警官が腰にぶら下げている警棒も樫だ。この警棒でシコタマ頭を殴られた先輩諸氏も多いと思う▼そんな樫の木でも、芯に腐りが入っていたので驚いた。十数年前、先代が作業小屋を改築する際に、邪魔になっていた太い枝を落とした。その時の切り口から腐りが入ったのかもしれない▼台風二一号では、倒れるはずのないビニールハウスのパイプも倒れた。凄い風だった。萩原さん宅の丈夫なシートをかけてあったトラクター置場もめちゃめちゃに潰れた。ビニールハウスの覆いはボロい方が助かる場合もある▼一方、市東宅の一角で新たに育っている木もある。星野文昭さんの獄中闘争にちなんで畑の脇に植えられたコブシの木だ。細かった苗木が見違えるほど太くなった。台風もものともせず、新たな歴史の伴侶となっている。

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週刊『三里塚』(S618号1面7)

 闘いの言葉

 彼の遺骸は一個の唯物論者として/かの栗の木の下に葬られたり/我ら同士の撰びたる墓碑銘は左の如し/我らは何時にても起つ事を得る準備あり
石川啄木「呼子と口笛」

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週刊『三里塚』(S618号2面1)

 自衛艦、アラビア海で参戦の既成事実

 アフガン虐殺 空爆燃料20万kl提供

 対イラク参戦阻止へ 米議会決議

アラビア海上で米軍の補給艦に燃料を補給する海上自衛隊の補給艦はまな。(左)。こうした自衛隊の「支援」活動によってアフガニスタン空爆が可能になっている。自衛隊は罪もない人民の虐殺に加担している!
 アメリカによるイラク侵略戦争開戦が切迫している。アメリカ上下院で「大統領に武力行使権限を付与する決議」が行われ、ブッシュはいつでも攻撃に踏み出せる状況となった。日本の小泉政権はイラク侵略戦争に参戦するため、「新テロ対策特措法」を制定し、有事立法を強行しようとしている。海上自衛隊のアラビア海派兵を延長し、紅海近くにまで展開範囲を拡大する策動を強めている。日本は朝鮮・中国を蹂躙した戦前の15年戦争と同じ「戦時下」の状況に突入したのだ。北朝鮮による「拉致問題」を逆手に取った排外主義攻撃は、参戦国日本がイラク―北朝鮮・中国へと侵略範囲を拡大していく策動と一体である。リストラ・首切り・賃下げなどの資本攻勢に対する労働者の怒りを外にそらそうとする反動的狙いを秘めている。だがすでに、アメリカでイギリスでイタリアでパレスチナ・中東で巨大な反戦闘争が爆発している。反戦の砦・三里塚を先頭に国際連帯の炎を燃やし、日本の地で戦後最大のイラク反戦闘争を実現しよう。
 アメリカ上院と下院は十月十日から十一日にかけて、「対イラク武力行使決議案」を可決した。これでブッシュは、いつでも対イラク開戦に踏み切る「カード」を手にしたことになる。
 一方、9・12国連演説をもって、アメリカは新たな国連決議を採択させるために、ロシアやフランスなどと駆け引きを行いつつ、イラク攻撃の臨戦態勢づくりを急ピッチで進めている。
 イラク周辺の戦域では九月二十四日、米・クウェート合同演習が始まった。米軍一万一千人が参加し砂漠地帯で昼夜の演習を一カ月にわたって繰り返すという。イラクへの地上軍投入のための実戦訓練だ。
 また中東を管轄する米中央軍は、約六百人をカタールに派遣し、指揮機能の一部を移転した。イラク攻撃が始まれば、そのまま「前線司令部」となる。
 前号で湾岸九カ所の航空基地には二百機の作戦機が配置につき攻撃開始を待っていると報じたが、すでに米英軍は、九月二十六日前後に連日、本格的なイラク攻撃の準備作戦として、イラクの防空能力を弱めるために司令部施設やレーダー、軍用飛行場などの爆撃を開始した。
 ペルシャ湾には、八月佐世保に寄港して中東に向かった空母エイブラハム・リンカーンが約百機のFA18戦闘機を搭載して展開している。地中海には同規模の戦闘機を積んだジョージ・ワシントンが控えている。
 米中間選挙後の十一月末にも、イラク侵略戦争が湾岸戦争(三十万人の死者)以上の人民の犠牲者を出して強行されようとしている。一片の正義性もないアメリカ・ブッシュによる人民虐殺の暴挙を許してはならない。全世界で爆発するイラク反戦闘争に連帯し、日本の地で史上最大の反戦の炎を燃やさなければならない。
 対イラク戦争に全力で参戦しようとしているのが日本帝国主義の小泉政権だ。日本の石油は八六lを中東に依存している。アメリカを先頭とする帝国主義各国が軍事力をもって中東石油の権益確保にしのぎを削っている時に、日本だけ参戦に消極的になることはありえない。
 日本はすでにアフガニスタン侵略戦争の参戦国なのである。昨年十一月九日、海上自衛隊は「防衛庁設置法五条=調査・研究」に基づく情報収集活動の名目で護衛艦くらま、きりさめ、補給艦はまなをアラビア海に派遣した。
 そして十一月二十五日、テロ対策特別措置法(十月二十九日成立)に基づく「基本計画」(十一月十六日)による派遣命令(二十日)によって、「米軍等の活動への協力支援」を名目に補給艦とわだ(呉)、掃海母艦うらが(横須賀)、護衛艦さわぎり(佐世保)が出港していった。
 「陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない」「交戦権はこれを認めない」とした憲法九条は公然と踏み破られ、戦後五十六年にして日本は初めて再び海外侵略戦争へと踏み込んだのである。戦後史を転覆する暴挙である。

 有事立法阻止の正念場

 11月派兵期限の延長策動

 イージス艦も

 昨年十一月二十日に出された自衛隊に対する半年間の派遣命令は、五月二十日に延長され、十一月二十日に再延長されようとしている。これまでに護衛艦、補給艦、掃海母艦などのべ十六隻の艦船がアラビア海に投入され、空爆を中心とした米軍によるアフガニスタン人民虐殺の一端を担って来た。派遣は昨年十一月(二回)を第一次派遣隊として、今年二月十二日、六月六日(第二次派遣隊)、六月二十八日、七月十四日(第三次派遣隊)、九月十七日の七回にわたっている。
 米軍に対する「支援」は補給艦に対する燃料提供が約二十万`リットル、約七十二億円にも達した。海上自衛隊の護衛艦隊に所属する約四十隻の艦船の年間消費量に匹敵する燃料だ。
 このほか航空自衛隊も「物品輸送」という形で日本国内、国外で米軍支援を行っており、総回数は九十三回にも上っている。
 さらに沖縄を始めとする在日米軍基地が最前線基地と化している。
 日本の自衛隊の加担によって、アフガニスタンではすでに罪のない人民四千人以上が虐殺されている。海自艦の燃料はいったん米軍の補給艦に移載され、その上で空母や空母艦載機、地上航空基地の爆撃機、戦闘機の燃料となっていく。アメリカ軍は七月に結婚式場への誤爆をはじめ、数度にわたる誤爆事件を起こして八十人もの民間人を虐殺したが、こうした爆撃自体が自衛艦補給の燃料によって可能となっている。
 派遣された海上自衛隊の艦船はアフガニスタン人民虐殺に直接手を染めているのだ。テロ対策措置法では「武力の行使にあたるものであってはならない」だとか「戦闘行為が行われていない地域で(支援活動を)実施するものとする」などと言っているが、なぐさめにもならない。今こそ自衛隊のアフガニスタン侵略戦争参戦を阻止しなければならない。

 「俺が法律だ」

 ところがアメリカは、イラク参戦をにらんでアフガニスタン侵略戦争参戦で「実績」を作った自衛隊に対し、派兵の拡大を要求した。小泉政権は積極的に応える意向だ。
 九月二十六日までに、米国防総省のロッドマン次官補(国際安全保障担当)が加藤良三駐米大使に、派兵拡大を求める文書を手渡した。内容は
@現在アラビア海で行っている海上自衛隊補給艦による給油支援を紅海に近いソマリア沖にまで拡大することA船舶検査(臨検)などによる海上監視を強めるため海自のP3C哨戒機を派遣することなど、とされている。これとは別に給油対象国を米軍だけでなく多国籍軍参加のカナダなど他の国の軍隊へ拡大する要求が出されていることも明らかになっている。
 さらにアメリカは元々イージス艦派遣を求めているが、この要求が本格化することも明白だ。
 こうした対イラク参戦要求、派兵要求に対して、小泉政権はアラビア海への海自派兵期限の再延長はもちろん新テロ対策措置法の制定と有事立法の臨時国会での強行などで応えようとしている。現行のテロ対策措置法の趣旨は「テロ攻撃によってもたらされている脅威の除去」に限定されている。9・11反米ゲリラ決起やアルカーイダとの連携など何ら証明されていないイラクへの侵略戦争参戦の根拠法とするには無理がある。
 そこで小泉政権は、新テロ対策措置法を新たに策定して、対イラク参戦に乗り出そうとしている。こうした攻撃の中心として、臨時国会における有事四法案の制定に走ろうとしている。
 ブッシュのやろうとしていることは「アメリカの意に添わない国に対しては無条件に武力行使し、その国の政府を転覆する」という無法と非道の極致である。「俺が法律だ」とばかり、これまでの帝国主義的世界秩序を正当化してきた国際法の枠組みすら右から破壊するものだ。
 こうした無法の侵略戦争に小泉政権は、みずからの延命と石油権益確保のためにあえて参戦しようとしている。数百万人の犠牲の上に「二度と戦争をしない、戦争をさせない」と誓った日本の人民の歴史の重みをかけてイラク反戦闘争を爆発させなくてはならない。

 歴史視点隠す排外主義の扇動

 「拉致」逆手にとった戦時体制作り許すな

 現在、日本に吹き荒れている北朝鮮への恐るべき排外主義は、アフガニスタン−イラク侵略戦争への歴史的参戦という現実に対応したものである。日本は戦後五十六年にして完全に「戦時下」に突入した。
 日本帝国主義はリストラ、首切り、賃下げなどによって、労働者人民に渦巻く不安感・怒りを北朝鮮への排外主義に転嫁する策動を明らかに展開している。 
 拉致問題自体は、共産主義的自己解放のたたかいとは無縁の北朝鮮スターリン主義による誤った冒険主義的軍事行動である。しかし、これと米日帝国主義の比較にならない犯罪性を同等に論ずる事はできない。戦前の三十五年にわたる植民地支配、百五十万人ものぼる強制連行、軍隊慰安婦政策による強制連行の問題に一言もふれず「拉致問題」を使って北朝鮮への侵略戦争までけしかける反動的マスコミや政府の策動を許すな。
 この時期に小泉が訪朝した意図は、対イラク開戦情勢を背景にした戦争外交にあり、その実践的帰結が排外主義の扇動と有事立法攻撃の加速だ。
 アメリカでイギリスでイタリアでパレスチナ・中東でベトナム戦争を上回る勢いでイラク反戦闘争のうねりが起きている。全世界の労働者人民と連帯して、六〇年、七〇年を上回る反戦闘争を日本の地から実現しよう。「反戦の砦・三里塚」を先頭に前進しよう。

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週刊『三里塚』(S618号2面2)

 反戦の砦・三里塚先頭に

 成田は空輸基地

 10・13全国集会で反対同盟はイラク反戦闘争に決起する檄を発した。゛反戦の砦゛三里塚闘争を先頭に戦後最大の対イラク参戦阻止闘争を爆発させよう。
 戦争は「支配階級のために人民が死ぬ」という点に本質があるが、三里塚闘争は国家主義、排外主義の嵐に抗して虚偽の「国益」と対決し、農民的、人民的正義を大衆的に貫く地平を獲得してきたたかいである。
 さらにブルジョア民主主義の欺瞞と階級支配の暴力性を暴き、階級的実力闘争の思想と実践を三十七年間も積み上げてきた偉大なたたかいだ。
 しかも三里塚は労農連帯の立場を実践し全国的で強固な労農学共闘の陣形を作り上げている。こうした三里塚闘争の地平は反戦闘争の新たな発展にとってかけがえのない財産である。三里塚闘争の地平と質がイラク反戦闘争の爆発にとって真価を発揮するときを迎えたのだ。
 さらに北朝鮮・中国侵略戦争においては、成田空港こそが日本列島最大の兵站・輸送・出撃基地に転用される。一九九七年の日米ガイドライン締結時アメリカは巨大空港の提供を明確に要求した。千葉県収用委員会再建攻撃など強まる三里塚破壊は、有事体制作りのための治安攻撃そのものである。今こそ三里塚先頭に対イラク参戦阻止へ。

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週刊『三里塚』(S618号2面3)

イラク周辺に展開する米軍(海陸中心に図示)
10月5日、イタリア各地でイラク反戦デモがくり広げられフィレンツェでは1万5000人が参加した

 米帝ブッシュこそが最悪のテロリストだ

 9・12国連演説のごう慢

 数百万殺戮が「自由」か

 世界で爆発する反戦闘争、連帯の炎を

 アメリカのブッシュ大統領は九月十二日の国連演説で「対イラク開戦」へ決議を要求した。しかしアメリカ自らの悪行と犯罪行為を頬かむりしたこの演説は、歴史に悪名を馳せる愚劣なものとなった。
 まずブッシュは冒頭で「人類の尊厳に対する決意」などと見えを切った。しかし戦後各国で不正義の戦争を強行し、CIAによる軍事クーデターをくり返して来たアメリカの大統領の口から「人類の尊厳」なる言葉が出てくるとはブラックユーモアである。
 ブッシュは次に一九九一年のクウェート侵攻をあげ「イラクは危険な国」と罵倒した。だがこれも、今日暴露されているように、アメリカブッシュ(父親)の承認を得て行われたものである。開戦直前にイラク駐在のグラスピー米大使は、「アラブ諸国同士の紛争には関心がない」とフセインのクウェート侵攻に承認のサインを送り大統領親書まで手渡した。アメリカがフセインをそそのかしたのだ。
 さらに演説でブッシュはイラクがアメリカやクウェート首長の暗殺を企てたなどと非難したが、歯向かう相手国の首脳に対しては暗殺を常套手段にしてきたのがCIAだ。イラクに対しても分っているだけで一九九四年と一九九八年の二回、サダム・フセインの暗殺を企てた証拠がある。
 また「査察妨害」についても責任はアメリカにある。一九九八年の査察団にアメリカはCIAをもぐりこませクーデターのためのスパイ行為を行わせたのだ。
 査察に期限を設定せず、永遠に経済制裁をつづけようとするアメリカの意図は、イラクに対する石油権益争奪戦にあった。フランス、ロシアに遅れをとった失態を巻き返すために、直接の軍事行動という手段でのイラクの石油強奪を強行しようとしているのだ。「人類の恒久的な希望」を語る資格はブッシュには断じてない。アメリカは全世界人民の敵だ。今こそ米日帝国主義打倒へ進撃しよう。

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週刊『三里塚』(S618号2面4)

 集会宣言

 暫定滑走路の開港から半年が過ぎた。反対同盟は騒音とジェットブラストによる追い出し攻撃を粉砕し、意気高く闘いぬいている。暫定滑走路の延長を実力阻止し、空港廃港へと追い込む決意である。
 開港は暫定滑走路の矛盾を全世界にさらけ出した。限界が日々明らかになっている。誘導路の欠陥は運行の遅れを深刻にし、空港管制を混乱させている。航空需要は低迷し、開港で増便した分、搭乗率が下がっている。開港は政府・公団の体面を保つための、成算なき暴挙であった。
 おいつめられた公団は、「北側延伸」のデマを流して脅迫した。用地が買収できないのに平行滑走路の予算を盛り込んだ。堂本県政は収用手続きにかかわる新条例の制定に動き、収用委の再建を策動している。
 だがこれらに屈する反対同盟ではない。黒野公団総裁は「北側延伸」をみずから撤回する醜態をさらけだした。「居座りは国民的迷惑」として敷地内農家を攻撃した読売社説を徹底弾劾する。とりもどしにあえぐ公団の暫定滑走路延長攻撃を粉砕する決意である。
 イラク侵略戦争に反対し、反対同盟と三里塚勢力の力で自衛隊の参戦を阻止しよう。戦争のための有事三法を廃案に追い込もう。北朝鮮を排撃し戦争体制づくりにつなげる動きを許してはならない。
 成田空港を侵略のための兵たん・出撃基地としてはならない。暫定滑走路延長阻止へ。秋・冬の闘いに勝利し、来春三・三〇全国集会に総決起しよう。
二〇〇二年十月十三日
三里塚芝山連合空港反対同盟
 …………………………

 集会決議

事業認定審議会設置反対、堂本知事弾劾・集会決議
 堂本知事と千葉県議会は明後日(10月15日)の議会最終日に、「事業認定審議会」の設置条例を制定しようとしている。
 「事業認定審議会」は土地収用のための機関である。土地収用の前提をなす事業認定に際して、都道府県知事に調査・意見を具申する。委員は知事が任命し、学識経験を有する者7名以内で構成される。昨年7月の土地収用法改悪で、収用手続きの簡素化の一環として新たに制度化した。
 「公平な第三者機関」というが、知事の恣意的人選で委員が任命されることに明らかなように、土地強奪のための機関である。
 現在、千葉県に収用委員会は存在しない。成田空港二期工事のための収用審理再開に対する大衆的弾劾によって、87年10月に委員全員が辞任した。
 この千葉県において、「事業認定審議会」の設置条例を強行するねらいは収用委員会の再建である。これは収用委再任命の第一歩である。堂本知事は審議会委員を収用委員に横滑りさせるねらいをもってその設置を強行しようとしているのである。
 さらにこの動きは、土地・家屋の戦時徴発と労働者への業務命令、違反者への罰則を可能とし私権を剥奪する有事立法攻撃と完全に一体である。
 本集会は「事業認定審議会設置反対」、「堂本知事弾劾」を決議し、10・15千葉県議会闘争に立ち上がることを呼びかける。
 二〇〇二年十月十三日
 三里塚芝山連合空港反対同盟
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●読売新聞社に対する弾劾声明(抜粋)

 読売新聞社説(4・17付)「用地への居座りは国民的迷惑だ」を再度弾劾する! 国民の代弁者を装う読売新聞社は、反対同盟に謝罪し社説を撤回せよ。
 社説は、住民を無視した閣議決定以来の暴力的な空港建設を居直り、反対同盟を「国賊」「非国民」呼ばわりする暴言です。
 暫定滑走路計画は、国の一方的な空港建設の破綻の結果であるにも関わらず、一切を反対同盟と三里塚闘争のせいにする憎悪に満ちた文書です。また有事立法推進の社説と同時に掲載され、軍用滑走路建設を推進する主張です。その結論は「法的手段による解決」、強権的な土地強奪です。
 反対同盟は、読売新聞社に対して、再度社説の謝罪・撤回を呼びかけます。

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週刊『三里塚』(S618号2面5)

 三芝百景 三里塚現地日誌 2002

 10月2日(水)〜10月15日(火)

●市東さん、萩原さん宅で台風被害 台風21号が千葉県北西部を直撃し、反対同盟農家に被害が出た。中でも天神峰の市東孝雄さん宅では樹齢80年のカシの木が倒れ作業場の一部を壊した。萩原さん宅でもハウスが壊れた。被害の大きかった市東さん宅の修理のため、2日早朝4時半から現地支援および前進社本社の同志が復旧にかけつけ突貫作業を行った。(2日)
●関西集会に鈴木幸司さん 
大阪市のエル大阪で開催された関西実行委員会主催の三里塚集会に鈴木幸司さんと全学連現闘が参加し10・13集会への結集を訴えた。(4日)
●北原事務局長が動労千葉定期大会に 千葉市DC会館で開かれた動労千葉の第31回定期大会に、反対同盟から北原鉱治事務局長が参加し「労働者と共闘して反戦の砦として勝利する」と発言した。(6日)
●天神峰の大看板を修理 台風21号の強風によって壊された天神峰市東さん宅脇の大看板を現地支援が総出で修理した。この日も東京の前進社本社から応援がかけつけた。(6日=写真)
●成田市当局に抗議 反対同盟は市東さん宅脇のジェットブラスト対策塀問題で、責任を回避しつづける成田市当局に対して市役所で抗議行動を行った。(10日)
●富山大生が現地調査 10・13集会参加のため前日に三里塚入りした富山大学の学生3人が野戦病院の案内で現地調査を行った。その後木内秀次さん宅で援農作業を行った。(12日)
●全国集会が成功 敷地内東峰でおこなわれた全国集会は1400人の結集を得て成功した。反対同盟は「4・18開港による農民叩き出しを粉砕した。危機に陥っているのは公団と暫定滑走路の方だ」と勝利宣言を行った。(13日)
●関西実行委が現地調査 全国集会に参加した関西実行委の松原康彦さん、白石裕さんはじめ6人が三里塚現地調査を行った。(14日)
●収用委再建策動を弾劾 9月定例県議会の最終日、堂本知事が「事業認定審議会設置条例」を提案したことに対して「収用委員会再建策動を許さない」と支援連がビラまき、抗議デモを行った。またこの日、暫定滑走路認可取消訴訟公判が闘われ、反対同盟は航空労働者の証言に基づく鑑定書を提出、同滑走路の危険性を暴露した。(15日)

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