日刊三里塚 HP版   2007/05  

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2007年 5月

日刊三里塚 HP版
全学連現地闘争本部

2007.5.31

市東さん耕作権裁判第3回口頭弁論

●6月18日10時30分

第4544号

法廷を包囲し裁判所監視する闘いを

一瀬弁護士のお話A(鈴木さん一坪裁判報告交流会)

裁判闘争の強化を訴える一瀬弁護士

5月17日に行われた一瀬敬一郎弁護士のお話の第2回目を掲載します。
■今、司法の反動化が激しく起こっています。03年に裁判の迅速化に関する法律というのができました。その内容は「第一審の訴訟手続をはじめとする手続全体の一層の迅速化を図り、もって国民の期待にこたえる司法制度を実現する」とうたい、第2条において
「第一審の訴訟手続については2年以内のできるだけ短い期間内にこれを終局させ、その他の裁判所における手続についてもそれぞれの手続に応じてできるだけ短い期間内にこれを終局させること」を目標として明示しています。
■今千葉地裁は、この法律を意識して、拙速審理、早期結審を強行しています。以前は、例えば1980年代の鈴木さんの成田用水裁判でも10年以上やりました。その時は証拠収集の時間とか検討の時間とかについて、裁判所側は最低限の配慮はしてくれた。
■ところが、現在の司法はまったく違います。最初から審理、弁論を一定の枠の中にあてはまて、結論ありきのようなやり方を露骨にしてきています。
■これは、司法の名を借りて行政権力の代行しているということです。このように裁判自体が大きく変貌してきています。今、われわれは、裁判という場をどのように闘うか、どのように活用するかも含めて考えるべき時に来ていると思います。
■農地死守は三里塚の原点中の原点です。だから41年の闘いがあるわけです。市東さんの耕作権裁判、もうひとつの一坪共有地強奪裁判、天神峰現闘本部裁判、そしてこの鈴木さん夫婦の一坪共有地裁判のすべてが、裁判を通して農地死守を貫く闘いです。
■三里塚闘争は正義のかたまりのような運動です。ですから全国、全世界に打てば響く広がりを作ることにも成功している。労働者との連帯を含め、こんなに幅広い人びとが参加し支持し、今なお闘い続けられている運動はありません。
■三里塚を訪れる誰もが、41年という長期で粘り強い闘いの存在に驚いていると聞きます。韓国民主労総しかり、アメリカの労働者しかりです。
■この三里塚で、裁判闘争自体の重みが従来と変わってきています。だから同時に訴えたいのが、裁判所を監視する法廷外の運動の重要性です。

「これから何十年でも闘う」

■裁判というのは一見、法廷内の理屈、論理だけの闘いと思われがちですが、違います。もちろん法廷内の闘いで圧倒しなければなりませんが、裁判所は権力機関です。ですから、法廷外の運動の盛り上がりが直接、法廷内に影響する力を持っているということなんです。
■法廷を包囲する闘いを盛り上げるために、やはり三里塚闘争全体を再興していかなければならないと思います。鈴木さんの裁判は単なる一坪共有地裁判ではありません。反対同盟の闘いに確信をもって、弁護団はこれから何年でも何十年でも闘います。(終わり)

 

日刊三里塚 HP版
全学連現地闘争本部

2007.5.26

6・16三里塚現地闘争

●午後1時半 萩原さん畑

第4543号

「共有地訴訟は訴権の乱用だ」

一瀬弁護士のお話@(鈴木さん一坪裁判報告交流会)

菱田の郷(さと)で行われた鈴木さん裁判の報告交流会(5月17日)

  5月17日に菱田の郷(さと)で行われた一瀬敬一郎弁護士による一坪共有地問題の解説を紹介する。
        *
■現在の三里塚闘争の攻撃の強まりを見るにつけ、闘いの新たな展開が求められている、という感を深くしています。
■私も30年近く、三里塚闘争とりわけ裁判闘争に関わってきました。鈴木幸司さんとは1980年代に成田用水問題で、何年も裁判をともに闘い、たくさんのことを教えていただきました。
■共有物分割請求という形をとった鈴木さんの一坪共有地裁判、そしてすでに控訴審に入っているもう一方の一坪共有地裁判への攻撃についてもどう捉えていくか、重要な課題だと思います。
■両者について共通する問題と異なる問題があります。まず共通する問題について。どちらも三里塚闘争への激しい弾圧、攻撃だという点で共通しています。2番目として両者の共有地がともに「三里塚地区周辺に土地を持つ会」という組合の合有財産だという点です。合有とは組合有と言い換えてもいいと思いますが、個人では売り買いできない財産という意味です。ここが共有とは違います。共有の方は個人で、自分の持分権を売り買いあるいは処分することができます。
■3番目として、請求が現物請求ではなく、全面的価格賠償請求という形で、金銭でむりやり取り上げるというやり方で行われてきていることです。共有物の分割というのは、民法に規定がありますが、あくまで現物による分割が原則です。それを金銭で補償することをもって共有物を取り上げようというのが、両者に共通してかけられている攻撃です。
■そもそも財産をむりやり取り上げられる法律というのは、収用法しかないわけです。当事者間に売買に関する契約もないのに契約を強制するような裁判はそもそも起こすことができません。契約自由の原則があるわけですから。ところが、一坪共有地で空港会社、県がやってきているやり方はこの売買を強制する、というとんでもない裁判なわけです。

「全面的賠償方式」は例外中の例外

■確かに最高裁判所が、きわめて例外的な件で「全面的価格賠償方式」という名の金銭補償での共有物分割を認めた判決を出しました。しかし、これは例外中の例外であって、三里塚の一坪裁判にはまったくあてはまりません。財産の性格もまったくちがう。それをいっしょくたにして、価格賠償で取ろうとしている。これは論理も何もないやり方です。
■違う点というのは、鈴木さんの裁判の方は県が主体で、空港建設と比べても事業の性格が破産しているということです。県は一坪共有地を取得した後に「空港会社に譲渡する」と言っています。緊急性も必要性もない裁判です。
■空港会社が起こした一坪裁判で一審が価格賠償方式を認めたことを見て、県が悪乗りして民法でとろうという悪らつな意図なのです。あの一審については、本当に不当判決です。民法の学者の鑑定書も提出しました。三里塚の先輩である富里で「富里地区周辺に土地を持つ会」という組合を作って一坪共有運動が行われたわけですが、空港を中止に追い込んだ後に、共有地は土地提供者に返されているわけです。こういう経緯を加瀬勉さんが証言しました。こういう実例がありながら、組合有という同盟側の主張を認めなかった反動的判決でした。(つづく)

 

日刊三里塚 HP版
全学連現地闘争本部

2007.5.24

6・18市東さん耕作権裁判
第3回口頭弁論●6月18日(月)10時30分 千葉地裁

第4542号

5・17鈴木幸司さん・いとさん一坪裁判

悪質な「地上げ屋」まがい!  却下せよ

訴権の濫用、信義則違反だ
   裁判所と県庁前でビラまき、
     弁護団・傍聴団一体の闘い貫く!

裁判終了後の総括集会

 5月17日、千葉県企業庁が提訴した鈴木幸司さん・いとさん所有の一坪共有地裁判の第2回口頭弁論が、千葉地裁(仲戸川裁判長)で開かれた。
 この裁判は、1966年以来41年間にわたって所有し続けてきた鈴木幸司・いとさん夫妻の一坪共有地を、千葉県企業庁が転売目的で強奪しようとしている裁判だ。聞いたこともない不当提訴だ。開廷前に、支援連は裁判所と県庁前に、「まさに悪質な地上げ屋まがい!、企業庁が転売目的で共有地を強奪」「組合財産を取り上げる異常な裁判許すな」のビラまきを貫徹して、傍聴に臨んだ。
 この土地は、空港建設敷地外にあって、何の必要性も緊急性もない。現在は県の事業計画にも入っておらず、公共性として何の体裁もない。企業庁は空港会社への転売目的で土地を寄せ集めしているだけだ。
 弁護団は、法廷で本案に入る前に、当然にも提訴却下の申し立てを行なった。「本件請求は、訴権の濫用ないし信義則違反であり、却下されるべきである」との内容だ。「実体的権利の実現を目的とするのではなく、提訴者の主張する権利又は法律関係が事実的、法律的根拠を欠き権利保護の必要性が乏しい」のは明白だ。
 弁護団、鈴木幸司さん、いとさんとともに、労農学は傍聴席を満席に埋め、一体的に闘いぬいた。
 閉廷後の控え室での総括集会で、弁護団の報告を受けて鈴木幸司さんは、「一坪共有地を転売するためにとりあげるなんて、とんでもない。金で解決するものではない、金を目的にしている者は一人もいない。完全に勝利するまで闘う」と決意を表明、続いて鈴木いとさんも「頑張ります」と力強く発言した。
 次回公判は、7月26日(木)午前10時30分、千葉地裁だ。再度傍聴席を埋め尽くして闘おう。

  弁護団交え菱田の郷で交流会

裁判報告交流会(「菱田の郷」で)

 17日夜7時30分から、一瀬弁護士を交え、「菱田の郷」で報告交流会が行なわれた。鈴木幸司さん、いとさんはじめ、反対同盟・支援20名が集まった。一瀬弁護士が金銭賠償(全面的価格賠償)による共有地強奪の不法性を説明した。「とてもよく分かった」との声が上がった。司法反動化のなかで、今後の裁判を法廷内外一体となって闘い、弁護団と傍聴団が一致結束して闘う方針を確認した。勝利に向かって、新たな交流を深める画期的な集いとなった。

 

日刊三里塚 HP版
全学連現地闘争本部

2007.5.16

5・17鈴木さん一坪裁判
第2回口頭弁論

●午前11時 千葉地裁

第4541号

5・12緊急闘争 森伐採に衝撃と怒り

労農学110が渾身の反撃を宣言

「愚弄を許さない」
万余の力で暫定路閉鎖へ

小見川県道を目指してデモ

  5月12日、動労千葉など110人の労農学が結集して、東峰の森伐採、耕作権裁判(反動的訴訟指揮)など、連続する〃三里塚つぶし〃に反撃ののろしを上げた。会場の萩原進さんの畑に集まった首都圏の仲間は、北東方向の樹木がなくなっているのを見て驚いた。少し視線の位置を高くすると反対側の萩原進さんの畑までが見える。東峰区住民の怒りを参加者全員が共有した。
 まず、北原鉱治事務局長が「みなさん、この現場に立って東峰の森の惨状を見て何を感じるか。空港会社の黒野社長が何度も謝罪し、反省し、森を残すと約束をしておきながらこの惨状だ。こういうことが人間として許せるのか」「今の日本の政治は腐りきっている。三里塚はふたたび決戦に入った。41年間闘ってきた三里塚が黙っていないという決意を今日の闘いで示そう」と激しい調子で権力、空港会社を弾劾した。
 つづいて、萩原進事務局次長が「先日、安倍政権は農地法の全面改悪を行う方針を発表した。また、昨日商工会議所などが暫定滑走路を3500bにすべきだという大会を開いた。東峰区を死に追い込もうということだ。敵がそのように来るのならこっちもやってやろうじゃないか。どんどん成田空港を衰退させてやる。労働者・農民が今こそひとつになって反撃する時だ」とアピールし、参加者を鼓舞してしめくくった。

“3500m?! 粉砕あるのみだ”

 鈴木幸司さんも「41年何のために闘って来たのか、支配階級を叩きのめすまで、何年でも闘いぬこう」と檄を飛ばした。 市東孝雄さんは、「商工会議所の会長はいけしゃあしゃあと『3500メートルにしたい』などと言い放った。冗談ではない。われわれの力を見せてやる時だ。私の耕作権をめぐるひどい裁判も許してはおかない。東峰の森伐採の問題と一体で反撃していく」ときっぱり。
 参加者はいつになく激しい調子の同盟の発言に決意を高ぶらせた。動労千葉の後藤俊哉特別執行委員が「動労千葉のストライキは三里塚から始まったようなもんです。何が民営化ですか。200人の自殺者を強制したんですよ。10万人も首を切ったんです。労農連帯でもっともっと人を集めよう」と激励した。
 さらに婦人民主クラブ全国協議会の仲間は「闘いが一番楽しかった、という大木よね精神を私たちの精神に、『労働者こそ世の中の主人公だ』を合言葉に前進していきましょう」とアピール。そして、全学連の代表も「労農学の力で空港廃港に」と訴えた。鈴木謙太郎さんが行動提起。
 デモは、小見川県道から東峰区の部落の中へ熱い訴えを展開しつつ、渾身の反撃をつきつけることを宣言した。6月現地闘争へさらに進撃しよう。

 

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全学連現地闘争本部

2007.5.8

5・10三里塚現闘本部裁判
第16回口頭弁論

●午前10時半 千葉地裁

第4540号

関実・三里塚パネル展、ビデオ上映、無農薬野菜市

十数か所で大盛況!

市東さんの農地を守れ、北延伸阻止!
数千・数万の大結集に向け、動き出す   

 関西で、3月7日から三里塚写真パネル展がスタートし、5月1日までの間、十数か所で行われ、大成功した。ビデオ上映、無農薬野菜市も行なわれ盛況だった。
【3・7〜8 泉州・泉佐野】最初は、泉佐野市生涯学習センターで開始。「市東さんの農地取り上げ反対を訴える」「戦争に反対する三里塚」の2枚のパネルの前で、じっくり見ている光景が目立った。参加は2日間で50〜60人。無農薬野菜もほとんど売れ、DVD「大地の乱」も販売された。
【3・11 国際婦人デー会場・大阪北区】集会自体は400人以上の参加があり、A&Uと婦人民主クラブ大阪西支部と共同で会場にブースを設置、行きかえりに多くの参加者が見入った。
【3・16〜17 淡路・洲本商店街】淡路島・洲本ではじめて「三里塚」をアピールするパネル展が開かれた。2日間で101名の来場、大いに盛り上がった。何人かの人と意見交換。ほとんどの人が「三里塚を初めて知った」とか「長い間戦い続けていることにびっくり」と驚きの声があがった。このパネル展から「三里塚の土」も並べ、「こんなすばらしい農地を無理やり取り上げるなんて許せない」と訴えた。
【3・21〜22 明石・勤労福祉会館】2日間で農家、主婦、学校の先生などが参加。農家の人は、「農地は大事。これからの農家は大変だが、このままでは農業がだめになってしまう」と農地の大切さに共感。
【3・24 豊中市・豊中福祉会館】豊中では20数年ぶりの「三里塚テーマ」での取り組み。パネル展は福祉会館で、野菜市は会場との関係でやむなく会場前の路上で車の中で並べて行われた。
【3・31〜4・1 フレンテ西宮4F】会場がスーパーの通路の位置にあり、延べ数百名がパネルを見ながら行き来。「誘導路をへの字に曲げているなんて本当にスゴイ!頑張ってほしい」などの感想。
【4・26 京大キャンパス吹き抜け】新入生など注目度が高く、大盛況。夕方、講演会も。
【5・1 メーデー会場の尼崎労働福祉会館】200名の参加者の2、3割の人がメーデー会場に入る前にパネルを見入った。「こんなことまったく新聞に報道されてないからなあ」と驚いていた。
【4・20〜21 22 神戸】神戸の最もにぎやかな三宮中心部でのパネル展。この3日間で100人が参加。
 関西で、暫定滑走路北延伸粉砕、市東さんの農地を守ろう! の大結集運動が開始された。数千、数万の大結集に向け前進しよう。

【写真は4月21日、神戸学生青年センター】

 

日刊三里塚 HP版
全学連現地闘争本部

2007.5.1

5・10三里塚現闘本部裁判
第16回口頭弁論

●午前10時半 千葉地裁

第4539号

東峰の森伐採阻止へ 5・12緊急現地闘争

萩原さんの畑に集まろう  「国家犯罪を暴く」

商工会議所、空港企業の3千5百b化策動許すな

この狭いスペースに空港会社は左から右へ新誘導路を通そうとしている。右が東峰の森(4月28日撮影)

 4月23日、東峰の森の本格伐採が始まった。森は東峰区の住民の身体の一部だ。反対同盟と東峰区の怒りは心頭に発している。同盟主催「5・12緊急現地闘争」に総力で集まろう。
 東峰の森伐採はあらゆる意味で許されない。そもそも政府は、1991年5月、村岡兼造運輸大臣の名をもって、「あらゆる意味で強制的手段を放棄する」ことを声明した。さらに、1991年から1994年にかけて行われた成田シンポジウム・円卓会議の隅谷最終所見でも同じ確認がなされた。
 暫定滑走路開港後の2005年5月にはNAA・黒野社長自身、東峰区住民に書簡を送り、地元への無視を「謝罪」し、以後二度とこのような一方的な措置は取らないことを文書で確約した。
 「東峰の森」それ自身についても1997年2月、2003年2月に「森につきましては、区の皆様とご相談することなしに、公団が一方的に計画を策定し進めていくということはあり得ません」などと文書で表明した。
 これらすべての確約、約束を踏み破っての「森」伐採だ。萩原進事務局次長は、「許せない。約束を破ろうが何をしようが、時がたてばごまかせる、というもくろみだろうがそうはさせない。徹底的に闘う」と抗議した。

  一方、空港利権しか眼中にない地元「経済界」は、4月27日、「成田空港の機能充実と地域経済の活性化を実現する会」(会長・野間口勉成田商工会議所会頭)なる空港建設推進機関を作り「暫定滑走路の3500b化にむけた運動を開始する」と表明した。3500b化ということは、東峰区の住民と家屋、畑、神社などをすべて更地にする、ということではないか。自分たちの私利私欲のために、「東峰区住民を追い出す」などと言い出した野間口らの大罪を許さない。
 羽田空港の第4滑走路の開業が迫るという状況の中で「暫定滑走路が短くて、北延伸したとしても需要が増えない」という地元利権屋どもの悲鳴だ。金もうけのために他人の生活を踏みにじる権利がどこの誰にあるというのか。
 
われわれは、政府・NAAそして地元「経済界」一体となった国家犯罪を許さない。白日の下に暴き、暫定滑走路の閉鎖を闘い取る決意である。

 

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