ZENSHIN 1999/05/03(No1907 p06)

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週刊『前進』(1907号3面1)

 「日の丸・君が代」強制阻止へ

 広教組・広高教組の闘いを守り全国に拡大しよう

 日共の闘争破壊を粉砕せよ

 「日の丸・君が代」攻撃との闘いは、広島を最大の焦点にますます重大化している。新ガイドライン関連法案の成立を阻止する闘いと結合して、「日の丸・君が代」の法制化阻止に総決起しよう。その先頭に立つ広教組・広高教組の闘いを守りぬき、全国に拡大し、日教組運動の階級的再生をつくりだそう。

 第1章 侵略の銃とる人間育成狙う

 小渕・小沢自自連立政権による「日の丸・君が代」攻撃の画歴史的な激化は、新ガイドライン攻撃と完全に一体のものだ。それは戦後の反戦平和意識を徹底的に解体し、労働者階級を再び侵略戦争へ総動員しようとする攻撃の最も鋭い暴力的な現れである。だが同時に、その攻撃の破綻(はたん)点をなしている。
 すでに日教組中央の屈服と転向を突き破って、闘う教育労働者の魂をかけたぎりぎりの決起が開始されている。この重大性をはっきりさせ、広教組・広高教組の闘いを全国に拡大し、「日の丸・君が代」法制化絶対阻止と日教組運動の階級的再生へ、大前進を開始しなければならない。
 第一に確認したいことは、今日の攻撃が戦後的な諸制度と価値観を破壊・解体する攻撃として仕掛けられていることだ。
 日帝は、日本を再び戦争のできる国に丸ごとつくりかえていく攻撃の柱として、「平和教育」「解放教育」に代表される「戦後民主教育」の根底からの解体を狙っている。国家主義と排外主義・差別主義を教育の根幹にすえ、国のために進んで侵略の銃をとることのできる人間を育成しようとしている。
 日帝は、九七年一月の橋本首相(当時)の施政方針演説で、戦争と大失業の時代に対応した国家と社会の大改造=「六大改革」攻撃の柱として、行政改革や財政改革と並んで「教育改革」を大々的に打ち出した。そして九七年、九八年と、中教審答申を始めとして戦後教育をあらゆる角度から全面解体する攻撃を繰り出してきた。
 そこでは、文部省権限の絶対化や職員会議の否定・圧殺を始め、教育の国家統制の著しい強化がもくろまれている。同時に、資本の自由競争=弱肉強食の原理の教育への全面導入と強烈な国家主義・排外主義・差別主義のイデオロギーが前面に打ち出されている。教育基本法の制度としての解体にとどまらない、その原点からの否定、破壊だ。
 この攻撃は同時に、すさまじい組合つぶしとして教育現場に襲いかかった。とりわけ民間右翼による闘う教育労働者への卑劣な襲撃のけしかけを伴った。
 日帝の攻撃と連動して、藤岡信勝や小林よしのりらが「新しい歴史教科書をつくる会」を結成し、「戦後平和教育」の絶滅・一掃を掲げた極右ファシスト運動の本格的展開に乗り出した。これとの最大の激突点がひとつは教科書問題であり、いまひとつは「日の丸・君が代」だった。
 とりわけ広島では、政府・文部省、自民党、民間右翼、反動マスコミが一体となって攻撃を仕掛けた。「偏向教育是正」を掲げて右翼が広教組攻撃のビラをまき、これを自民党議員が国会で取り上げ、産経新聞が大キャンペーンする中で、文部省が異例の現地調査を行い、県教育長の首をすげ替え、むきだしの暴力で屈服を迫った。
 今春卒業式での「日の丸・君が代」完全実施の職務命令による強制の狙いは、九五年の日教組中央の屈服と転向=「文部省とのパートナー路線」への転換以降も各県教組や支部・分会で不屈に続いてきた教育労働者の闘いを、ここで最終的に突き崩すことにあった。そのための権力のすさまじい暴力が世羅高校・石川校長を殺したのである。
 これに対して広教組・広高教組は、教育労働者の誇りと人間としての尊厳をかけて歴史的な闘いに決起していった。この闘いは、新ガイドライン関連法案反対の闘いと結合して、全国の人民の怒りと危機感と闘いへのエネルギーを解き放っている。
 この中で日帝は、日共スターリン主義の反革命的大裏切りに支えられながら、「日の丸・君が代」の法制化に一気に突っ走ることで、闘いのさらなる爆発を圧殺しようと必死になっている。最大の決戦はまさにこれからなのである。

 第2章 日の丸・君が代とは一体何か

 第二に、「日の丸・君が代」の学校現場への強制がもつ意味は何かということである。それは全人民への強制の突破口である。たとえ新ガイドライン関連法案を成立させたとしても、侵略戦争は、愛国心と排外主義を燃え立たせることをぬきにして発動できない。そのかなめとして「日の丸・君が代」があるのだ。  日帝はなぜ「日の丸・君が代」にここまで固執するのか。「日の丸・君が代」が天皇と軍隊と戦争に直結しており、一体不可分であるからにほかならない。
 戦前の日帝は、天皇のため国のために進んで命を投げ出すことを「最高の価値」として、子どもの時から全人民にたたき込むことに全力を挙げた。そのために学校行事が決定的に重視され、そのシンボルとして使われたのが「日の丸・君が代」であった。
 戦前の国民学校(今の小学校)の教科書には、「敵軍を追いはらって、せんりょうしたところに、まっ先に高く立てるのは、やはり日の丸の旗です。兵士たちはこの旗の下に集って、声をかぎりに『ばんざい』を叫びます」と書かれていた。日帝の侵略戦争と植民地支配は「日の丸」の旗を掲げて行われ、そのもとで何千万というアジア人民が虐殺された。まさしく「日の丸」の赤からは今日なおその血がしたたっている。
 「君が代」は、その歌詞のとおり、天皇制を賛美しその支配への絶対的服従を誓う歌である。やはり戦前の教科書は「君が代少年」と題して、植民地台湾の少年が大ケガをして死ぬまぎわに「君が代」を最後まで歌いとおしたという話をデッチあげている。朝鮮・中国・アジア人民虐殺の侵略戦争に日本人民を動員するためだけでなく、植民地や占領地域の人民の民族性を抹殺して「日本人になりきる」ことを強制する武器にも、「日の丸」「君が代」が使われたのである。
 日帝は今、新ガイドラインをテコに朝鮮半島への侵略出兵、海外派兵に本格的に乗り出し、新たな「十五年戦争」への道を突き進もうとしている。そのためにこそ、「日の丸・君が代」を再び絶対不可侵の神聖な価値として押し出し、その前に一切を犠牲にすることを強制してきているのだ。そして従わない者は「非国民」として排斥する。卒業式・入学式での強制は、その第一歩としてあるのだ。
 第三に、日本共産党スターリン主義が帝国主義者と一体化し、攻撃の最も悪質な先兵として登場していることを決定的に重視しなければならない。さらに、部落解放同盟本部派(高橋書記長)が日帝に全面屈服し、攻撃の手引き者に転落したことは重大だ。

 第3章 解同本部派の犯罪的な役割

 日共は、二月十六日付の『赤旗』で「国旗・国歌の法制化」を提言し、「日の丸・君が代」が法制化されればそれに従うという方針を打ち出した。人民の闘いへの大裏切り、圧殺宣言であり、安保=戦争の容認、天皇制容認に続く大転向である。日帝・小渕はこれに飛びつき、一気に法制化攻撃に踏み込んだ。
 しかし、広島で広教組、広高教組の「日の丸・君が代」反対の闘いが燃え上がり、日共の法制化提言の反階級的正体が暴かれた。内外からの批判に追いつめられた日共は、「党としては日の丸・君が代には反対」とペテン的な言い訳をしつつ、法制化への「国民的合意形成を」と開き直り、全国四千六百万世帯に『赤旗』号外を配布した。これは、新ガイドライン攻撃のもとで日共が侵略戦争への国民総動員、挙国一致体制づくりの先兵に転落したことを意味する。
 何よりも許しがたいことは、日共が広島の闘いの圧殺に乗り出したことだ。石川校長の自殺について、政府・自民党は「原因は教職員組合と、部落解放同盟広島県連の教育介入にある」などと、事実を百八十度転倒させた大デマをもって広教組・広高教組つぶしと部落解放運動つぶしを結合した一層凶暴な攻撃に乗り出した。日共はこれを賛美し、その先兵となっているのだ。  三月十日の衆院予算委員会で宮沢蔵相は、「背景に部落問題が関係している」「今回、命を落とされた方があったが、(過去にも)たくさんの人がいわばリンチにあい、職を失い、あるいは失望して職を辞めるということがあった。……共産党だけが実に勇敢に発言してきた」と、部落差別を公然と扇動する許すことのできない発言を行った。
 日共委員長の不破はこの発言に跳び上がって喜び、「大変感心しました」「国会の歴史で初めてのこと」「日本の民主主義がここまですすんできていることの現れ」(四月五日付『赤旗』)などと全面賛美したのである。さらに全教、全解連の「広島現地調査」を『赤旗』や全教のビラなどで報じ、七四年の八鹿高校差別事件を思わせる大々的な差別キャンペーンをやっている。
 人民の闘いが日帝との激突に発展する時、これをたたきつぶすために、日帝の部落差別=人民分断支配の最凶悪の手先となり、日帝と一体となって闘う人民を襲撃する。ここに日共スターリン主義の反革命としての正体がある。  他方、部落解放同盟本部派は恥ずべきことに、これらの攻撃を承認し、協力する立場に転落した。先の参院予算委で「解同広島県連は他県の部落解放同盟や中央本部とは違う特異な動きをしている」「同じ名前の団体とは峻別(しゅんべつ)して聞いてほしい」(広島県公立高校長協会会長)という証言がなされたのを受け、権力は広島県連に集中攻撃をかけている。政府・自民党と警察権力が事前に解同本部派の了解をとりに行き、高橋書記長らが「本部に従わない広島県連が悪い」と言って攻撃を承認したことは明白だ。  部落解放同盟全国連合会は、解同本部派のこの大転向に怒りを爆発させ、広島現地での闘いに連帯して反撃の先頭に立っている。
 日共スターリン主義の反革命的敵対を断固として粉砕し、解同本部派の屈服を弾劾し、日帝の部落差別攻撃の画歴史的な激化を全人民の力で打ち破って、「日の丸・君が代」闘争の勝利を切り開かなければならない。

 第4章 広教組に敵対するカクマル

 さらに、こうした中で危機感にかられたファシスト・カクマルが、広島の「日の丸・君が代」闘争への介入と破壊を狙って動き出している。四月十八日には、闘いの中心である福山市に乗り込んで集会を開こうと画策し、カクマルの正体が暴かれて大破産した。  そもそもカクマルは、沖縄の知花昌一さんの「日の丸」焼き捨ての決起に右翼と一体となって敵対してきた。JR総連カクマル松崎は「労働組合も国旗である日の丸を掲げるべきだ」と言い放ってきた。そのカクマルがにわかに「日の丸・君が代反対」を口にしだしたのは、広教組の闘いが日教組の戦闘的再生につながることを恐れ、これをたたきつぶそうとしているからにほかならない。
 カクマルを粉砕し、広教組・広高教組の闘いを先頭に、今こそ日教組運動の階級的戦闘的再生をかちとるために闘おう。
 「日の丸・君が代」法制化攻撃に対する労働者階級人民の闘いの爆発は、日帝の侵略戦争国家化攻撃の決定的破綻点をなす。広島に続いて、全国各地で新たな闘いが続々と爆発している。とりわけ極右ファシスト・石原が都知事になった東京での激突は必至だ。四月国会決戦の大爆発を突破口に、ガイドライン決戦の一環として「日の丸・君が代」法制化攻撃粉砕の全人民的な闘いをつくりだそう。その力で日帝の「教育改革」攻撃を打ち砕こう。

 

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