『前進』第1977号2面
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国労中央執行委員会は十月四日、九月二十六―二十九日に強行した「『本部原案・JR不採用問題の打開について』の是非を問う全組合員一票投票」の集約結果を公表した。それによれば投票資格者数二三、六三五名に対し、賛成が一三、〇三三名(五五・一%)、反対が八、五一一名(三六・〇%)、保留が一、一四〇名(四・八%)となっている。われわれは何よりも、「四党合意」という敵権力の支配介入=不当労働行為を組合員一人ひとりに強制し、闘争団切り捨ての賛否を問う「一票投票」を強行した国労中央を徹底弾劾する。「一票投票」自体が無効であり、集約結果は絶対に認められない。「四党合意」受け入れが承認されたとすることは断じて許されない。国労の団結をズタズタに破壊してでも本部への居座りを策す現執行部打倒へ、断固として闘いぬくことを訴える。
まず、そもそもこの「一票投票」自体が断じて許しがたいものであり、無効であるということだ。「闘争団切り捨ての賛否を問うのか」「踏み絵ではないか」「中止せよ」という闘争団の怒りの声を一切無視して強行された「一票投票」は、その結果以前に絶対に認められないものなのだ。
「四党合意」は、「JRに法的責任なし」を国労が臨時全国大会で決定せよ、そうすれば「雇用」や「和解金」について検討してもよいなどという露骨な政治的支配介入である。この「四党合意」の賛否を組合員に問うたこと自体、国労中央が敵権力、JR資本の不当労働行為を組合員一人ひとりに強制する許しがたい暴挙だったのだ。
しかも、現本部執行部は、「四党合意」受け入れの方針案を七・一―八・二六の二度の全国大会で採決できずに「総
退陣」表明にまで追い込まれていた。これを完全に開き直り、「四党合意」を生き残らせ、執行部に居座るための反動的クーデター策動として「一票投票」が強行された。
それは「本部原案」の是非を問うという形で、「四党合意」の是非ではなく、本部を信任するかどうかを迫るものであった。組合員に対して“お前らはおれたちを打倒するつもりなのか”と恫喝するものこそ「一票投票」だったのだ。
本部執行部は、七・一での闘争団の演壇占拠を「暴力行為」と非難した「七・三本部見解」の立場から、“闘争団の一部や外部勢力のような「演壇占拠派」と一緒になって本部を倒そうとするのか”“お前らは「暴徒」と同じ立場をとるのか”という恫喝を加えたのである。
実際にチャレンジ一派や革同上村一派が支配する機関では、役員による「背面監視」のもとでの投票が強制された。組合員に文字どおり「踏み絵」を踏ませるものだったのだ。
さらにJR資本の介入がすさまじかった。東京地本のある職場では、職制が反対派のビラまきなどの運動を選別的に規制し、チャレンジや革同上村派の活動を容認するということが起こった。あまりにも露骨な不当労働行為である。
こうした卑劣な恫喝のもとで行われた「一票投票」の結果は、何を示しているのか。
賛成五五%に対して、反対三六%である。反対と保留、白紙などを加えて四五%が賛成しなかった。組合員一人ひとりにとっては、反対票を投ずることは「四党合意」反対=本部原案否決=本部打倒を選択するものであった。その中で、“本部を打倒するのか”と迫られて、半数近くが“打倒すべし”と答えたのだ。
これは完全に国労全体を真っ二つにするものであり、七・一―八・二六よりもさらに激しい分岐と激突が起きているということだ。七・一―八・二六での闘争団を先頭とした闘いに比すべき、巨大な反乱がまき起こったのである。そこには、組合員一人ひとりの労働者魂と十四年間の苦闘のすべてをかけたすさまじい怒りと決起があったのだ。
これに対して「賛成五五%」でかろうじて過半数に達したことをもって、本部原案が承認されたなどと言えるのか。断じて否だ。
本部は、「一票投票」の実施要綱を出した「指令第一〇号」で、「投票結果の是非については組合員の投票資格者総数の過半数とする」としていた。だが、「一票投票」など規約にもないのだから、当然にもその結果には何の効力もない。だから、「是非は……過半数とする」としながらも、それが承認なのか決定なのか、実にあいまいなものだった。
過半数を超えれば「決定」としてごり押しし、過半数に達しなければ「アンケートのようなもの」と逃げることができるように、どうにでも解釈できるようなものにしていたのだ。
そもそも、こうした労働組合の存立の根幹にかかわる問題を「過半数で承認」とすること自体がでたらめだ。国労規約には、規約改正のためには代議員定数の三分の二以上の同意が必要という規定がある。「JRに法的責任なし」を決定することは、規約改正にも匹敵する重大な問題である。最低でも、三分の二以上の賛成なくしては行いえないようなことなのだ。
さらに問題なのは、この投票結果が本当に「四党合意」の賛否を表しているのかということだ。
チャレンジや上村革同は、「四党合意」反対の声と闘いに追いつめられ、「一票投票」と並行して行われた代議員選挙のビラなどで、次のように言わざるをえなかった。
「四党合意は、『JRに法的責任がない事』『解決水準の具体的数字がない事』等、多くの問題点を持っています」「不満ではあるけれどもこの政治的な枠組みを受け入れました。私もこの本部の決断を支持します」(チャレンジ)
「『四党合意』に賛成か、反対かと問われれば、『法的責任なし』を認めた『四党合意』には反対です。しかし……『四党合意』を蹴って、話し合いの場がなくなることには反対です」(上村革同)
実に矛盾したペテン的な言い回しではないか。そうする以外に、彼らは組合員の怒りをかわすことはできなかったのだ。
またチャレンジは、「四党合意の内容の是非ではなく、解決の枠組みを悔しいけれども受入れ、『解決交渉に入るか入らないか』を決める事」だと組合員をだまし、“今解決しなかったら永遠に解決しない、長期闘争になって、国労は「ジリ貧」となる、闘争団へのカンパも増額される”などという「ラストチャンス論」をまき散らした。そして、“分裂してもいいのか”という卑劣きわまる脅しをかけたのである。
したがって、こうしたチャレンジや上村革同の組織した「賛成」なるものは、「四党合意」への賛成だとはけっして言えない。
しかも断じて許しがたいことは、「一人三千万円の解決金が出る」などのデマ情報で「賛成」を組織したことだ。彼らは、“三千万円も出るのだから、これで解決したいという闘争団の気持ちを大切にしなくていいのか”などと組合員を脅して回ったのだ。
さらに、投票結果を十月二日までに本部に報告するとされていたのに、盛岡地本、秋田地本の報告が遅れたのはなぜなのか。チャレンジ一派が全国の状況を見て、賛成多数に不正操作するためではなかったのか。
このようなデマとペテンと恫喝、そして不正で「賛成」を組織したにもかかわらず、かろうじて過半数という結果だったのだ。
集約結果についての国労中央執行委員会の「見解」は、「一票投票の結果は、全組合員の意志を示すものとして重要な意義を持っている」「中央執行委員会は、政治・政府関係者に投票結果を報告するとともに、早期全面解決に向けた要請を行う」「第六七回定期全国大会には、一票投票の結果を報告し、結果に基づいた運動方針を提起し、政治の場でJR不採用問題を始めとしたJR労使紛争の早期全面解決を図る決意を固め合うこととする」としている。
「全組合員の意志を示すものとして重要な意義」などと言うが、どういう意志が示されたのか。「結果に基づく運動方針」とは、いったい何か。全組合員の意志は、完全に二分されているのだ。このような現状で「四党合意」受諾の方針を再び提起することなど、絶対にできないはずだ。
労働組合の執行部であるならば、組合員が団結できる方針を出さなければならない。しかし、五・三〇「四党合意」以降、組合員の分岐と対立は拡大するばかりである。その元凶は「四党合意」である。国労にとって「四党合意」は撤回以外にない。
ところが、この「見解」は、投票結果を「四党合意」強行のために完全に利用しているのだ。
そして「政治・政府関係者」に対して、あたかも「四党合意」が承認されたかのように報告し、定期大会で「四党合意」受け入れの方針を決定しますと誓約し、「ゼロ解決」でもいいから「政治の場での早期全面解決」を行ってくれとお願いしているのである。
このことはまた、「一票投票」が敵権力とJR資本の意を受けて行われたことを示している。実際、中央執行委員会に「一票投票」方針を持ち込んだのは、上村副委員長であり、上村はJR西日本の指図を受けていると言われている。本部執行部は、ここまで労働組合としての自主性を投げ捨て、敵権力・資本にひれ伏して恥じないのだ。チャレンジや上村革同は転向した裏切り者だ。彼らはもはや国労ではない。即刻総退陣させなければならない。
「一票投票」によっても何も決着はついていない。「四党合意」もろとも現執行部を打倒し、新たな闘う執行部を打ち立てる以外に決着はつかない。決戦はより激烈な過程に入った。
あらためて「四党合意」絶対反対の大運動を職場から巻き起こそう。闘争団を守りぬき、闘争団を始めとする千四十七人の団結した力で解雇撤回・原地原職奪還をかちとろう。裁判闘争やILO勧告をかちとる闘い、そして「四党合意」に対する労働委員会闘争を闘いぬこう。
さらに、今こそJRの大合理化攻撃との闘いにJR本体組合員が総決起することである。チャレンジ一派や上村革同は、“闘争団の問題ばかりやらないで、JR本体の問題をもっとやるべきだ”と言って、闘争団切り捨てと、JR本体の組合員との分断を策している。だが、「和解路線」=屈服路線のもとでJR本体の闘いを徹底的に抑えつけてきたのは、チャレンジや上村革同自身ではないか。
今、JR東日本において「シニア協定」とセットで「設備部門におけるメンテナンス体制の再構築」と称する全面外注化攻撃が襲いかかっている。これは、JR結託体制による国労解体攻撃だ。JR東労組=カクマルに続いて「シニア協定」を受け入れた国労東日本エリアのチャレンジ一派は、これに屈服している。解雇撤回闘争を投げ捨てる者は、合理化攻撃とも闘えない。「四党合意」や大合理化攻撃に対して、闘争団とJR本体組合員が一体となって闘うことが必要だ。
十・二八―二九の定期全国大会に向かって、全力で闘いぬこう。