ZENSHIN 2001/01/29(No1990 p06)

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黒田・カクマルから手を切り「会社を守る」と誓う松崎明

 JR東労組会長の松崎明が、十二月八〜九日に行われたJR東労組の全支部委員長会議で講演し、ついに公然とカクマルからの最後的な対立と離反を宣言した。(要旨別掲
 松崎は、これまではカクマルであったことを自認しつつ、今は完全に「手を切った」、自分は「カクマル組織の裏切り者である」、今や「カクマルであったことを恥じている」などと、権力と資本に向かって恥ずかしげもなく宣誓している。
 このことによって、昨年の九州労集団脱退を始め、JR総連がカクマルに背いてやっているすべてのことが、松崎の責任であり指示によるものであることが明らかになった。黒田カクマル対松崎(JR総連組合権力集団)の分裂・抗争に突入したのである。
 これは、党派としてのカクマルからJR総連カクマルが丸ごと集団離脱・脱党したということである。完全に「自作自演」のレベルを超えていることは明らかだ。修復も不可能だ。

 なぜ松崎に言及できないのか?

 しかし、JR総連執行部を「階級敵」と規定し「打倒する」と宣言しているカクマルが、『解放』紙上で松崎について何も言えないのはどういうことか。坂入やJR総連執行部の背後に松崎がいることが明らかになれば、いよいよカクマルの党的崩壊を加速するからである。
 なぜなら、黒田カクマルにとって、松崎とJR総連は、カクマルがつくり出した最大の「成果」であり、黒田にとって、松崎こそが黒田の理論と路線を体現する存在であり、松崎なしには黒田はありえないからだ。松崎の決別は、カクマルの党派としての本質的な死を意味するのだ。
 他方、松崎とJR総連は、よりストレートな権力・資本の手先として生き残ろうとしている。だが、それは絶対に不可能である。なぜなら、カクマルの白色テロをバックにしていることが松崎の「力」の源泉だったのであって、権力・資本との癒着も実はこのことによって成立していた。カクマルの白色テロを失った松崎の「権威」は急速に失われるのだ。
 国鉄分割・民営化、国鉄労働運動解体、総評解体においてカクマル=松崎が果たした役割とその責任問題は、今こそ全面的に追及されなければならない。JR総連の「国労解体」などという反革命方針を完全に粉砕しなければならない。
 黒田と一体で松崎は国鉄分割・民営化の最先兵となって生き残るために、「カクマルはもうやめた」「社会主義と決別」「スト絶滅が私の使命」などと公言し、「国労をつぶし、総評を解体する」と叫んで大反革命を働いてきた。この反階級的大罪は絶対に消えない。
 今こそ、JR総連を打倒し、すべての組合員を松崎の支配から解放し、積極的・変革的に獲得しよう。

 最近まで資金を提供していた!

 松崎講演で重大なことは、これまで、しかもつい最近まで、松崎自身カクマルに属し、カクマルの利害の観点からJR総連を運営してきたことを完全に認めていることだ。
 松崎は、カクマルは「組織と手を切ることを認めない」で「十分な資金の提供を(これまでどおりに)続けろと強要している」が、どんなに脅されてもそうした関係を復活しない、と言っている。ということは、つい最近まで「手を切っていなかった」のであり、それどころかカクマルに「十分な資金」を提供してきた事実を白状しているのだ。
 今度こそカクマルと手を切りました、と言えば言うほど、これまで松崎がカクマルとしてカクマル組織の先兵として、どんなに極悪の役割を果たしてきたのかが浮かび上がる。
 同時に、カクマル組織が松崎の指示で、盗聴、窃盗や列車妨害などの白色テロを凶行してきた、その全悪行を明らかにしなければならない。例えば、カクマルが最も激しくJR総連防衛のための反革命軍事作戦をやっていた九六年に松崎は何を言っていたのか。
 カクマルは松崎を批判した『JRの妖怪』の著者・小林峻一氏宅に九六年二月に侵入し、取材メモやフロッピーなどを盗み出し、その情報をもとに、取材に協力した人たちを脅した。これを松崎は「なんか小林某というフィクション作家の資料をカクマルが盗んだと言うんで、最近のうちにカクマルに五億ぐらいやって資料をもらおうかと思っている」(九六年七月、JR東労組東京地本大会)と、公式の場でカクマルの犯行であると認め、資金提供を自認していた。
 また、九六年四月以降にカクマルによる列車妨害事件が頻発したが、この時、松崎は、「事件は権力の謀略部隊が引き起こしたとカクマルが書いている。誰も信じない謀略説を繰り返している。私は謀略説を採る」(九六年六月、JR総連大会)と、カクマルの「謀略論」と同じ立場であることを強調していた。
 さらに、これに先立って、「『松崎にいろんなところで牛耳られてなんだ。松崎なんていうのは過激派じゃないか、あいつは。あんな過激派と仲良くやって、経営権の放棄ではないか』とこういうことを言わんばかりのことをさんざん宣伝しているわけですね。あの人とあの人と。ほら、いるでしょう。我が社にもいるぜ。……あまり邪(よこしま)なことをいろいろとなさると神様はお許しにならないんですよ」(九六年三月、第七〇回記念政経フォーラム)と、反カクマルの会社幹部を脅すために、列車妨害をやらせるとさえ予告していたのだ。
 松崎よ、こうしたカクマルとしての悪行にどう責任をとるつもりなのだ。

 「完全民営化」の先兵化を許すな

 では松崎は、何のためにこの期に及んで最後的に「カクマルと手を切った」のか。JRの完全民営化完遂の先兵となるためである。「日本の鉄道の中枢・JR東日本を守る」「会社と家族を守る」ためである。これは実際は会社=資本の利益を守るという意味でしかない。それは、完全民営化にともなう大合理化計画(ニューフロンティア21)への全面協力を誓い、その先兵となるという宣言である。
 松崎は、権力と資本から、これまではファシスト・カクマルの組織利害と権力・資本の利害は一致していたが、これからはそうはいかない、カクマルと最後的に手を切って会社=資本の一層の先兵となれ、と突きつけられ、ついに全面的に会社=資本・支配階級のためにやりますと態度表明したのである。
 今や、JR完全民営化=第二の分割・民営化の先兵となった松崎・JR総連を解体し、国鉄労働運動の大発展を実現すべき絶好機が来たのである。

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 〈資料〉「カクマルと手を切った」 松崎明(東労組会長)の講演

●JR東労組会長・松崎明の講演要旨(2000年12月8〜9日、JR東労組全支部委員長会議)
 先の臨時国会(11月)の参議院(交通情報通信委員会)において、質問に立った議員が、「JR東労組を牛耳っているのは、カクマル派の会長をはじめとする一部組合の幹部である」「会社は、私たちに一言も言えない異常な会社である」などと発言している。
 また、われわれの闘いに真っ向から反対し、会社の社宅に『進撃』という機関紙を配っている「カクマル派」は、私のことを「ブルジョアに完全に染まった組織の裏切り者」と言っている。そこで、皆さんにはハッキリと話しておきますが、「私は、かつてカクマルの活動をやっていたことがありますが、今は、完全に手を切っている」「今の日本にあって、革命など起こせるわけがない」
 彼らカクマル派は、いまだに革命を夢見ている組織であります。そんな組織に一時期であってもかかわりを持ったことを恥と思っています。彼らは、一度でも組織に入った者は逃がさないという連中ですから、私が手を切ったことを認めたくないのでしょう。
 それより、私を組織に止めておけば、資金の提供も十分にしてもらえると思い、われわれに対抗するような新聞などを投げ込んで、私を苦しめて楽しんでいるんだと思う。しかし、私は彼らの考えているようなことは絶対にしないつもりです。
 私は、皆さんが仕事をしている「会社と家族」を守っていくために、会社側と「どう闘っていったらよいか」を毎日考えている。そんな私が、彼らカクマル派と手を切るのは当たり前である。万が一にも、私が彼らの軍門に下るようなことがあれば、私は皆さんの前から消えます。そうでなければ、皆さんの家族の幸せなど守れない。
 カクマル派は、私のことをうらやましく思っている。それは、一時的にせよ「行動を共にした仲間」が、一流企業の組合の会長として生きている現実に対してであり、当然のことながら、私が彼らと手を切っていなければ、会社や組合は私をこの場に置いておかないと思う。
 皆さんには、カクマルからの嫌がらせが数多くあると思うが、自分がカクマルから会社と家族を守っていくんだという気構えで行動して欲しい。そうすれば、彼らだって自分たちの考えを否定する組合が存在することを知ると思うし、二度と皆さんに手を出してこないと思う。彼らカクマルは、脅かしに負けるような弱い組織に潜り込むのが大変うまい組織である。それに対して、皆さんが一丸となって闘っている姿を見せてもらって本当にうれしく思っている。
 これからも、カクマルの攻撃から会社を守っていこうではありませんか。JR東日本は、日本中の鉄道の中枢を担っている会社である。それを、カクマルにいいようにされないためにも頑張る必要がある。
 皆さんには、会社の内部はもとより外部からも、いろいろと攻撃があると思うが、それだって、もう少しの辛抱だと思う。弱小組合が民主化を叫んだところで、何ら状況が変わることはない。
 わが社の社員でない者が、私のことを「組合を牛耳っている」から民主化するんだ、ということのようですが、私が独裁者に見えますか。そう見えるならハッキリ言って下さい。私だって血の通った人間ですから皆さんの意見に従う心構えはできています。本当ですよ。皆さんが黙っていたら私だってこれで良いと思いますから。

●JR東労組・角岸幸三委員長のあいさつ要旨(同)
 カクマル派は坂入さんを拉致・監禁するなど、組織破壊攻撃を強めている。これを放置するわけにはいかない。東労組は労働組合主義に基づき、組合員と家族の利益を守る。いかなる党派からの介入も許してはならない。社会に対してカクマル派の悪質さを明らかにしていこう。

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