ZENSHIN 2011/03/07(No2478 p08)
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週刊『前進』(2478号1面1)(2011/03/07 )
戦争・大失業の菅打倒! エジプト革命連帯!
全国結集で3・20反戦デモを
3月国鉄ストと全国運動の力でJR外注化・新賃金制度粉砕へ
郵政雇い止めに労働組合の反撃を
3・27三里塚全国集会へ 反対同盟アピール(8面)
エジプト、チュニジアを先頭に、「大恐慌をプロレタリア革命へ」の闘いが全世界で始まった。「もう我慢できない」という青年労働者を先頭とした根底的怒りが爆発している。今こそエジプト革命に連帯し、この日本の地で階級闘争の革命的転換をかちとろう。米帝は革命の嵐を圧殺するために、リビアの内乱に軍事介入しようとしている。また二つの米韓(日)合同演習で朝鮮侵略戦争を発動しようとしている。今や東京・渋谷での3・20反戦大デモが決定的だ。エジプト革命連帯、菅政権打倒、朝鮮侵略戦争阻止へ、全国から総結集して闘おう。この力で3月国鉄決戦と4月選挙戦の勝利を開こう。
米帝の革命圧殺の軍事介入を許すな
エジプト2月革命は大恐慌のもとで、青年労働者を先頭に、労働組合をめぐる激闘を通して切り開かれた。エジプトの労働者や学生は幾多の犠牲を払ってタハリール広場を守り抜き、百万人のデモ拠点と化して闘った。
スエズ運河や鉄鋼、電機、ガスなどの基幹産業の労働者、そして公務員労働者が、官製労組の制動をぶち破ってストライキに決起した。弁護士や医者も革命に合流し、まさに全人民的闘いとなることによって、軍も手出しできない力関係をつくり出した。このエジプト革命は、瞬く間に北アフリカ・中東全体に広がり、さらに中国やアメリカ、さらにはロシアへも波及し、日々拡大している。
特筆すべきことは、エジプトを始めとした滞日・在日外国人労働者の戦闘的な流動と決起が、中東・北アフリカの革命的激動の中で起こっていることだ。
彼らとの連帯・合流は、日本の闘いの前進の重要な力である。今こそ韓国・民主労総を始めとする日韓米3国連帯のこれまでの地平を打ち固めさらに発展させよう。
エジプト革命はなぜこれほどすさまじい波及力をもっているのか。それは、労働者階級が自らの力に目覚め、労働組合を労働者自身の解放のための武器として奪還するならば、30年間続いた独裁政権だろうが、帝国主義の中枢国だろうが、根底的に打倒し、自らの社会をつくり出せるのだという確信を、心の底から持ったからに他ならない。
これに対して、エジプトを先頭に爆発するこの世界革命の闘いに震え上がり、革命の激浪を圧殺しようと、米帝オバマは今や、朝鮮侵略戦争を強引にやろうとしている。
米韓連合軍は2月28日から、韓国全土で増援演習「キー・リゾルブ」(3月10日まで)と、野外機動演習「フォール・イーグル」(4月30日まで)の二つの軍事演習を始めた。米軍2万人と予備役を含めた韓国軍20万人を投入し、金正日体制の崩壊への介入と北朝鮮の制圧、北朝鮮の核やミサイルの除去=空爆も狙うすさまじい戦争挑発行為である。
米韓軍は「北朝鮮のウラン核実験施設が3月中にも完成する」「北朝鮮はすでに弾道ミサイルを発射する準備を整えている」と北朝鮮脅威論をあおり、「キー・リゾルブの終了後に(北朝鮮の)挑発が起こる可能性がある」(韓国国防相の国会答弁)などと挑発している。体制崩壊が切迫する北朝鮮に戦争重圧を加え、「暴発」を誘い、それを合図に全面侵略戦争に突入しようとしているのだ。
さらに米帝はスエズ運河に原子力空母エンタープライズを待機させ、リビア沖に強襲揚陸艦、輸送揚陸艦と海兵隊400人を派兵し配置した。米(欧)軍はリビア上空に飛行禁止空域を設け、「カダフィ掃討」を口実にしてリビア内戦に軍事介入することをも狙っている。
何のためか。大恐慌がプロレタリア世界革命の勝利に転化するのを阻止するためだ。今やエジプト革命は米国内にも波及し、財政破綻した州政府がすべての犠牲を労働者に押しつけていることに対し、教育労働者を先頭にスト、デモ、議会占拠が闘われ、ウィスコンシン州から各州へと決起が拡大している。
米帝オバマは、戦争発動による排外主義・愛国主義でこの労働者の闘いを分断し、圧殺しようとしているのだ。今こそ3・20反戦大デモの大爆発が決定的に重要である。
朝鮮侵略戦争参戦と労組破壊狙う菅
米帝(米日韓軍事体制)による朝鮮侵略戦争の最大の出撃基地は沖縄だ。3月1日には、嘉手納基地から米原子力空母ジョージ・ワシントンの艦載機が爆音をとどろかせて飛び立ち、高校の卒業式を踏みにじった。抗議に対し米軍は「有事即応訓練中」と居直った。すでに沖縄は臨戦態勢に突入している。
日米両政府は、外務、防衛担当閣僚による日米安保協(2+2)を5月連休中に開催し、そこで中国との対峙・対決政策や朝鮮侵略戦争参戦を日米同盟の「共通戦略目標」として確認する。たとえ菅の6月訪米が吹っ飛ぼうとも、侵略戦争体制は築くということだ。
菅政権は予算関連法案成立の展望もなく(6月にも財政が尽きて「政府閉鎖」の危機に陥る)、民主党は内部分裂し、解散・総選挙にも打って出られない。この八方ふさがりの危機の中で、その突破を今や朝鮮侵略戦争参戦と労組破壊の攻撃に託そうとしている。
菅、仙谷、枝野らがこれまでの自民党や鳩山などと決定的に違う点は、革命のリアリズムを権力の中で最も知っているということにある。だから彼らは帝国主義者として、革命を圧殺するためならば、戦争でも、どんな理不尽なことでも、平気でやってくる。その典型が、「国鉄方式」による「いったん全員解雇・選別再雇用」の攻撃だ。
さらに、3月中旬にも国会に提出される公務員制度改革関連法案を絶対に許すな。これは、@スト権の代償措置として「強制仲裁」制度を導入する、A人事院勧告制度と人事院を廃止し公務員庁を新設する、Bこれを窓口にして給与交渉などを労組と進める(団体協約権の付与)、C労使交渉が決裂し中央労働委員会のあっせんもうまくいかない場合、中労委が示した裁定を団体協約締結と見なす(労使はこれに従う義務がある)といった、まったくとんでもない内容である。
公務員賃金の大幅カット、360万人の大量解雇・選別再採用、民営化・外注化・非正規化の攻撃を本格的にやるということだ。
日本経団連などブルジョアジーは、どんなに絶望的であろうが菅を支えるしかない。菅の後には誰もいない。また一方では亀井静香らの「挙国一致内閣」「救国内閣」論がすさまじい危機感を伴って出てきている。
菅政権打倒は、エジプト革命に連帯し、朝鮮侵略戦争を阻止し、プロレタリア革命(日本革命)をたぐり寄せる決定的闘いだ。3・20反戦大デモを全国総結集で闘おう。
「国鉄方式」の解雇に徹底対決しよう
1〜2月闘争は、まさに始まった世界革命の闘いのただ中での、激しい攻防、動と反動の連続だった。だがすべての労働者がそれぞれの産別・職場において、資本や体制内との激烈な攻防を、革命前夜における避けることのできない激突としてとらえ、先制的・攻勢的に闘い抜き、団結を維持・強化して3月決戦に突入している。これは決定的である。
とりわけ動労千葉は、検修・構内業務外注化、北嶋君へのライフサイクル発動、貨物の新小岩派出廃止、新賃金制度などの攻撃とひるむことなく闘い抜き、産廃絶対反対で勝浦市長選を勝利的に展開し、「闘えば絶対に勝てる」という強烈な信念を持った活動家を膨大に生み出した。そして今や、2・27定期委員会で4・1外注化阻止、新賃金制度粉砕、大幅賃上げへ、3月決戦ストを配置して闘う方針を確立し、意気高く前進している。
JRでは平成採の青年労働者の怒りが沸点に達し、新賃金制度推進の先兵になっている東労組カクマルから一挙に離反する可能性が生み出されている。国労共闘の労働者が職場で、新賃金制度・総合労働協約絶対反対、外注化阻止へ全身全霊を傾けて闘うなら、JRの青年労働者を圧倒的に獲得し、国労本部を打倒して、国労を階級的に再生させる突破口は絶対に開かれる。4月1日の闘争団の組合員籍はく奪の攻撃に怒りを爆発させ、国労本部打倒・JR体制打倒へ突き進もう。
郵政職場では、非正規労働者の大量雇い止め通告が始まっている。まったく不当な通告を受けた郵政労働者が、労組交流センターのビラを見て連絡を取り、「何とか一矢報いたい」「自分のような青年を二度とつくらないため闘う」と、続々と決起し始めている。
日本航空の整理解雇(指名解雇)された労働者の怒りは、日共スターリン主義の制動をぶち破って発展している。幼保一体化攻撃の本質は、保育を金もうけの道具とするために、保育の公務員労働者の首を切り、非正規職化し、低賃金化することだ。保育労働者と、保護者でもある青年労働者は、日本共産党が振りまく「より良い保育」論など粉砕して、民主党政権との激突に必ず立ち上がっていく。
問題は「多数派へ」の変革と飛躍をかけた、われわれの構えと実践だ。国鉄闘争全国運動を職場・地域に打ち立て、「国鉄方式」の首切り阻止へ、団結を総括軸に闘い抜こう。
学生を最先頭に3・20反戦大デモへ全国から総結集しよう。春闘行動を闘う青年労働者は3・20闘争を牽引(けんいん)し、日本階級闘争の革命的転換をやり抜こう。そこから3・27三里塚全国闘争に大結集し、菅政権打倒へ攻め上ろう。
3・20闘争と、動労千葉を先頭とした3月国鉄決戦を断固打ち抜き、菅政権打倒・4月統一地方選勝利へ突き進もう。
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週刊『前進』(2478号1面2)(2011/03/07 )
全学連 渋谷で“安保粉砕”訴え
怒りの大デモへ闘い進む
(写真 全学連の3・20反戦デモ参加へのアピールで渋谷の街が闘いの息吹に満たされた【3月3日】)
全学連は3・20渋谷反戦デモへの総決起を呼びかける宣伝戦に全力で立ち上がり、連日駅頭や各大学キャンパスに登場して奮闘している。
3月3日には、JR渋谷駅ハチ公口での情宣を行った。
流行の最先端の街としてこの日も渋谷の繁華街は若者を中心に非常なにぎわいを見せていたが、全学連が鮮やかなのぼりとPRボードを掲げ、ビラを配り、マイクで演説を始めると、瞬く間に街頭の雰囲気が一変した。
「エジプトを始めアフリカで中東で、青年労働者と学生が独裁政治の打倒と革命を叫んで立ち上がっている。問われているのはこの日本の状況だ。米日韓の軍事演習を許さず、日米安保を粉砕し、沖縄米軍基地撤去を! 戦争へと突き進む菅政権を打倒しよう。3月20日、この渋谷を大デモで席巻し、全世界の労働者人民と連帯しよう!」との鮮烈な訴えが響きわたり、多くの人びとの足を止めた。
4月から法政大に通う新1年生をはじめ、学生が次々と署名に応じ、3・20デモへの参加意思を表し、学生としての生き方、闘い方をめぐる熱い討論が交わされた。学生運動への処分と弾圧に対する法大での闘いを伝えると、衝撃と共感が広がった。
全学連の真剣なアピールに聞き入り、「演説に心打たれた。若い人が闘っているのは大事だ」と自分からビラを取りにきて、強い連帯感を示す労働者も現れた。国家としてもはや崩壊に等しい額の負債を重ねた揚げ句、その矛盾をすべて労働者庶民に押しつける菅政権に怒りをもつ人は、「もっとがんがん闘え」と全学連を激励した。
1万円のカンパを出して、3・20デモを支持する労働者も! すごい手応えだ。
また、南米、アジアなど外国の青年労働者や留学生が、日本革命、世界革命の展望に連なる3・20デモの内容に熱い共鳴と連帯感を示し、議論が沸騰した。
「渋谷に打って出るとその時の学生・労働者の怒りと必ずつながる」との確信が、この日も見事に的中した。その怒りは本気でこの社会を変えるまでに高まりつつある。そして渋谷デモ本番がそのエネルギーを爆発的に解放するだろう。
残る2週間、3・20渋谷反戦デモの大結集へ向け全力で闘おう!
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週刊『前進』(2478号1面3)(2011/03/07 )
前進速報版から
▼東京各地区で春闘集会を開催▼ウィスコンシン州から全米へ公務員労働者の闘い拡大▼三里塚団結街道裁判▼東北で春闘集会・デモ
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週刊『前進』(2478号1面4)(2011/03/07 )
日程 3・27三里塚集会、3・20渋谷反戦デモ
第3誘導路建設阻止! TPP反対!
現闘本部の破壊を阻止し、市東さんの農地を守ろう!
軍事空港建設粉砕・改憲阻止!
3・27三里塚全国総決起集会
3月27日(日)正午
成田市天神峰 反対同盟員所有畑
【主催】三里塚芝山連合空港反対同盟
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イラク開戦8年 全世界一斉行動
3・20渋谷反戦デモ
3月20日(日)午後1時集会(3時30分デモ出発)
代々木公園B地区野外ステージ
主催/3・20集会実行委員会
★朝鮮侵略戦争を阻止しよう! 沖縄新基地建設を阻止し、日米安保を粉砕しよう!
★戦争・大失業の菅政権を倒そう!
★法政大学の監獄体制をぶっとばそう!
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週刊『前進』(2478号2面1)(2011/03/07 )
動労千葉 3月決戦ストを配置
“外注阻止・新賃金粉砕へ”
定期委で春闘山場の方針確立
1〜2月闘争で大きな成果
動労千葉は第64回定期委員会を2月27日、千葉市のDC会館で開催した。昨秋の定期大会から5カ月間の激戦激闘を総括するとともに、11春闘決戦段階となる3月にストライキを配置して闘う方針を決定した。
冒頭あいさつに立った田中康宏委員長はまず、9月末の定期大会以降の過程について「動労千葉の歴史の中でも経験のないほど闘いに次ぐ闘いとなった。外注化との闘い、1047名闘争解体攻撃との対決を軸に、JRの大激変情勢に立ち向かって大きな成果をかちとってきた」とふり返り、特に検修業務全面外注化の突破口としてあった京葉車両センターでの構内運転業務2月外注化強行を組織一丸となって阻止したことの決定的な大きさを強調した。また、千葉運転区・北嶋琢磨君のライフサイクル強制配転に対する闘いに関しても「千葉運転区支部の闘いは本当に感動的だった。その最先頭に北嶋君が立ち続けた。組織拡大の展望を圧倒的に切り開き、当局に大打撃を与えた」と述べた。また勝浦市長選への挑戦、新小岩派出廃止攻撃との闘いについても「闘う労働組合が中心にしっかり座ることによって相当なことができる時代が来た。今後の闘いのあり方を指し示すものとなった」と勝利的総括をした。
さらに田中委員長は、北アフリカ・中東を始めとする情勢の根底的な激動、菅政権の絶体絶命の危機を明らかにした上で、4・9政治和解以降の国労本部の雪崩をうつ転向の深まりと、JR東日本資本と東労組の対立に触れながら「JR東日本は”国労が連合化すればJR総連カクマルは必要ない”とごみ箱に捨てようとしている。JRにおける労資関係が国鉄分割・民営化以来、最大の流動に入っている。原則的に闘い抜くならば本格的に組織拡大できるチャンスがいよいよ到来したということだ」と述べた。そして「焦点となるのは検修全面外注化と外注化強行のための組織破壊攻撃、さらに新人事・賃金制度が動く時だ。3月16〜17日の11春闘山場、さらに4月1日を中心として、いついかなる時でもストライキに立てる闘争体制を堅持してほしい」と訴えた。
総括を繁沢敬一副委員長が、情勢・方針について長田敏之書記長が提起した。長田書記長はとりわけ「この間、外注化阻止闘争、ライフサイクル攻撃との闘いの中で組織拡大を実現し、本格的組織拡大への基礎は築いた。11春闘過程でさらなる組織拡大を実現しよう」と強く訴えた。
(写真 定期大会以降の激戦激闘を勝利的に総括し、11春闘山場に向け「いつでもストに立てる闘争体制を」と訴える田中委員長【2月27日 千葉市】)
本格的な組織拡大への挑戦
議案の提起を受け活発な討論が行われた。
千葉運転区支部の大野茂支部長は「北嶋君のライフサイクル配転阻止を支部一丸となって闘い抜くことができた。北嶋君は『動労千葉に入ってよかった』と言っている。配転はされたが8割方は勝利だ。北嶋君を職場に戻すとともに、さらなる組織拡大へ闘う」と勝利感あふれる発言。貨物支部の組合員は2・20新小岩集会への結集に感謝をあらわすとともに「新小岩派出廃止絶対反対で最後まで闘い抜く」と決意を語った。各支部の委員が外注化阻止・組織拡大への決意を次々と述べ、また反合・運転保安闘争上の職場の課題がさまざまに出された。
答弁の中で大竹哲治副委員長は「JR東日本に続いて貨物でも新賃金提案、賃下げが策動されているのは間違いない。断固とした闘いを構える」と発言した。総括答弁で田中委員長は「エジプトや中東を見ても、途方もない勢いで情勢が動く時代だ。日本だって、どこから火が付くかわからない。その時にわれわれが何ができるのかが問われる。そのためにも徹底して職場にこだわり、組織拡大にこだわり抜こう。1047名解雇撤回の国鉄闘争全国運動を柱に労働運動の復権をかちとろう」と呼びかけた。
青年組合員の音頭で組合歌を斉唱、団結ガンバローで意気高く定期委員会を締めくくった。
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週刊『前進』(2478号2面2)(2011/03/07 )
郵政雇い止め 「支店長の野郎許せねえ」
全国の職場で大反撃始まる
「全国で非常勤職員への『雇い止め通告』が始まっています。本当に怒りに堪えない首切りですが、絶対に自分から『やめる』と言ったり退職届を出してはいけません。面談では『生活があるから辞めるわけにはいきません。引き続き仕事を続けたい』と答えよう。雇い止め通告や退職強要を受けたら、私たちに連絡を! (賃下げ通告などで)不安な人も連絡してください。雇い止め解雇絶対阻止で団結して闘おう! 職場の仲間の首切りをみんなの力で阻止しよう!」(H局の職場ビラより)
郵政当局が、3月末を期限に全国で数千人規模の非常勤職員に雇い止めを通告していることに対して、職場の怒りが爆発的に広がっている。「通告」を受けた多くの現場労働者が労組交流センターの窓口に駆け込み、不当な雇い止めや賃下げの実態を怒りもあらわに語り、自分に降りかかった攻撃が、郵政はもとより全国あらゆる産業で起こっている無数の首切りやリストラ、賃下げと同じ問題だと知り、労働組合による団結の大切さを知り、闘いを始める仲間が相次いでいる。
あらためて明らかになったことは、郵政民営化の失敗のつけを現場労働者に一方的に押しつける郵政当局の怒りに堪えないやり口だ。ゆうメイトへの一方的な雇い止めを「無効」とする広島高裁判決(2月17日、本紙前号既報)の地平に照らしても現在当局が進めている大量雇い止め攻撃のすべてが違法行為なのだ。
一方的に賃下げ “嫌ならやめろ”
東京D局で雇い止め通告を受けた非常勤労働者は、「現場の小包部門で2年間、週休2日の1日を廃休にして正月休みもなく出勤した。(人減らしの影響で)休日に突発的応援を頼まれても応えてきた」と雇い止めの理不尽さを語った。仲間同士の業務上の問題解決にもリーダーシップをとってきたという。
一方の現場管理者は無責任を絵に描いたような存在だ。新人に仕事をキチンと教えない。ゆえにミスや事故も多いが、彼らは誰も責任を取らない。こういう現場を実際に動かしてきた労働者が、一方的に「郵政破綻」の責任を押しつけられたのだ。
雇い止めの「理由」はJPEX計画(小包部門の子会社化と日通ペリカン便との統合)の破綻、すなわち民営化の破綻そのものだ。当局が「赤字は小包の現場がつくった」というデマを局内で組織し、「小包職員のエレベーター使用禁止」なる信じられない分断行為で雇い止めの正当化を図っている局もある。
また、勤務時間「短縮」を使った賃下げや健康保険からの除外、スキル評価の意図的ダウンによる時給切り下げなども全国で行われている。年収で正社員の3分の1の非常勤職員が、生活自体が成り立たない水準の賃下げを突然提示され、「応じないなら雇い止め」という手口だ。
東京J局では、6年も内務を勤めたスキル評価「A」の非常勤職員が突然「C」評価に下げられ、月収で3万円を超える減収を通告され途方に暮れた。これも「自主退職」に追い込む手口だ。この労働者は「テンキーを打ち込む作業で6年も実績を積んだ。検定資格も取った。突然、新人と同じ評価に下がるなんてあり得ない」と、怒りもあらわに語った。
東北地方のK局では、賃下げなど労働条件変更の「同意書」について、具体的内容は何も記載されていない白紙のまま「署名・捺印」を強いる、むき出しの不当労働行為が強行された。
「郵政危機」は百%経営の責任
「支店長の野郎、許せねえ!」――現場の怒りは爆発寸前だ。「郵便が潰れる」(週刊朝日3月4日号)などの報道があふれるほどの「郵政危機」の実態は、マスコミですら「宅配便事業の統合で重大な経営ミスが二つも続いたからだ(JPEX計画の失敗と再統合の失敗)」(同)と報道するように、現場労働者には1ミリの責任もない問題だ。政府も総務省もこの事実を公式に認めてしまった。現場の8割を低賃金の非正規職に置き換えるために「民営化の戦略事業」とまで銘打ったJPEX計画を現場労働者の猛反対を押し切って強行したあげくの”郵政崩壊”なのである。
経営責任をブルジョア的にごまかす(経営陣の総退陣など)こともせず、最も弱い立場の非常勤「数千人」を路頭に放り出して帳尻を合わせようとする悪らつな郵政資本を絶対に許してはならない。JR資本が鉄道の安全を破壊してしまったように、郵政資本は郵便事業そのものを崩壊させつつあるのだ。
これほどの事態にスト一本も打てないJP労組本部の屈服にもかかわらず、多くの職場で創意あふれる反撃が始まっている。労働組合としてどう対応するかが問題だと、圧倒的な現場労働者が再認識し、大流動を生み出している。「どう闘えばいいか?」という労組交流センターへの問い合わせも急増している。
不当な雇い止めに反撃し、これを跳ね返すことはまったく可能だ。郵政資本に打撃を与える具体的な闘争手段を駆使して、国鉄闘争全国運動とともに、30万JP労組を闘う労働組合によみがえらせる闘いの一大突破口を切り開こう!
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週刊『前進』(2478号2面3)(2011/03/07 )
“資本の嫌がる闘いを”
国鉄全国運動・九州 久留米で意気高く集会
「国鉄全国運動・九州」主催の「貧困と失業は国鉄から始まった/解雇者の声を聞こう2・27久留米集会」が2月27日、55人の結集で大成功した。参加者は久留米の労働者・市民、争議中の労働者、JR久留米駅頭街宣で出会った労働者、反戦闘争を闘う人士など、これまでにない多彩な顔触れで、みな闘いの意欲に満ちていた。
冒頭、動労千葉を支援する会が制作した『1980年代新自由主義との3つの決戦』が上映された。参加者は、新自由主義と対決してきた国鉄1047名闘争の意義をかみしめつつ、映し出される動労千葉の今年1〜2月スト、千葉運転区・北嶋君らの決起に胸を熱くして集会を始めた。
圧巻だったのは第1部の国労鳥栖闘争団・石崎義徳さん、国労小倉地区闘争団・羽廣憲さん、国労解雇撤回弁護団・山崎吉男弁護士、国鉄闘争全国運動呼びかけ人で元国労九州本部書記長の手嶋浩一さんによるパネルディスカッションだ。
冒頭、マイクを握った石崎さんは国鉄闘争の歴史に触れながら「国鉄分割・民営化に始まる新自由主義攻撃は、労働者が人間らしく生きることを破壊する攻撃でした。この闘いは私のためだけの闘いではありません。失業と非正規、首切りと貧困に苦しむみなさんの未来のかかった闘いです」と訴えた。羽廣さんは「私たち闘争団を切り捨て、『連合からオファーがあった』などと国労を解体して連合への合流を図る国労本部を許してはならない。4月1日は重大な日になる。対JR九州本社抗議行動をやろう」と呼びかけた。
山崎弁護士は「石崎さんは『闘う者がいる限り闘いはつぶせない』と述べているがその通りだ。弁護団もともに頑張る」と述べた。手嶋さんは「この攻撃に屈すれば戦争への道だ。資本が嫌がる闘いを徹底的にやりぬき、はからずも和解した闘争団も巻き込むような運動を」と語った。
第2部では、動労西日本の山田和広副委員長が「外注化や非正規化の攻撃は安全を踏みにじる。エジプトのように労働者の力で世の中を変えよう」と訴えた。
九州の新しい呼びかけ人なった伊藤莞爾さんとともに登壇した竹内良夫代表は「北九州、福岡集会と比べても結集がずいぶん増えた。大成功です」と喜びを表し「和解を拒否して決起した1047名当該の決意をわがものにして運動をさらに拡大しよう」と訴えた。筑後の自治体労働者は「国鉄と同じやり方で自治体労働者への大量首切り攻撃が始まっている。幼稚園と保育所をひとつにする民営化で保育労働者の大量首切りが狙われている。国鉄全国運動で新たな労働運動をつくり上げよう」と訴えた。
最後に水上晋事務局長が「運動は発展局面に入った。4・1JR九州本社行動から、日比谷公会堂での6・5大集会に立ち上がろう」と訴えて締めくくった。
この集会は、久留米在住の石崎さんの闘いを支え、ともに闘おうとする久留米―筑後の労働者らが、「国鉄全国運動・九州」の呼びかけ人たちとともに会場準備、司会、カンパアピールまで担った。石崎さんの地元である久留米・筑後にも1047名解雇撤回を闘う国鉄全国運動の旗がうち立てられたのだ。4・1−6・5へ総決起しよう!
(九州・H)
(写真 石崎さんの地元・久留米で”1047名解雇撤回”の旗が打ち立てられた【2月27日 福岡県久留米市】)
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週刊『前進』(2478号2面4)(2011/03/07 )
労働運動で社会変える
北海道 国鉄全国運動を立ち上げ
2月27日、”国鉄闘争全国運動で労働者の未来を創造しよう!”と北海道の運動組織を立ち上げ、動労千葉を支援する会の山本弘行事務局長を講師に招いた集会が大成功しました(写真)。
冒頭、司会の仲間が「今爆発しているエジプト革命には闘う労働組合の存在がある。労働運動で社会を変えることのすばらしさと現実性を確認しよう」「4・9政治和解に対する回答が国鉄闘争全国運動だ。いよいよ北海道でも、本日をもって結成される。気持ちを新たにして取り組んでいこう」と確信に満ちて発言し集会を始めました。
山本さんの講演は、動労千葉を支援する会結成からの経過、1047名闘争をめぐる4・9政治和解、先の2・16集会、国際連帯について魅力的な語り口で参加者を引き込んでいきました。とりわけ2・16集会での議論と総括には大いに刺激を受けました。「各職場の闘いをよりどころとした運動にしたい」「かつて三池を支援する会が政治勢力になっていったように全国運動も政治勢力化をめざしたい」など、全国運動のスケールが一段と大きくイメージされるようになってきており、私たちも気を引き締めていかねばと力の入る講演でした。
続いてタクシー労働者の仲間が基調報告を行いました。エジプト労働者の闘いを「ものすごい援軍」と表現し「全国運動で北海道にタハリール広場を実現しよう」と意気込みを語りました。そして「4・9和解の狙いは動労千葉をあらかじめ排除したことにすべてが表れている。労働運動の危機であると同時に『1047名解雇撤回』を貫く運動を切り開いていくチャンスでもある。決まった形はない。創意工夫をこらして実践しよう」と提起しました。
よびかけ人からのアピールでは「全世界で戦争と民営化、労組破壊、大失業、低賃金、貧困と飢餓に対する怒りが爆発している。非正規雇用のまん延、連合―既成労組の闘う労働者への敵対という現在の状況の出発点こそ国鉄分割・民営化だ。国鉄闘争全国運動は日本の労働運動を再生する指針だ」と述べ、北海道での組織の立ち上げを宣言しました。
参加者からも、札幌の民間大企業の不当解雇と闘う労働者を始め活発な発言が続きました。
ある労働者は「私の会社には組合がいくつもある。みな会社と闘うと言っている。しかしひとつにまとまらない。なぜなんだ」と悩んでいましたが、裏を返せばそれは自分がまとめたいという情熱です。全国運動はこのような労働者・労組活動家の声を聞き、ともに闘っていかなければと思います。集会は大成功でした! 集会のあとはジンギスカンを囲んでの交流会。ジンギスカンは安くておいしい労働者の食事です(笑)。6月5日の国鉄集会をさらに大きなものにしよう。
(北海道・K)
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週刊『前進』(2478号2面5)(2011/03/07 )
仙台で東北春闘集会
街頭デモに圧倒的な注目
闘いの春が来た! 2月27日、東北春闘集会が仙台市内で開催され、100人を超える結集で大成功した。
司会の開会あいさつの後、国労秋田闘争団の小玉忠憲さんが基調提起を行った。小玉さんは国労本部によって組合員権をはく奪されようとしている。組合による首切りを許すな! この集会は”東北の労働者は小玉さんとともに闘うぞ”という戦闘宣言を発する集会だ。
小玉さんは、@自分たちは今まさに世界史の転換点に立っている、Aその中で国鉄闘争全国運動こそ闘いの中心軸に据えるべきだ、B体制内労組執行部の「階級融和・和解」の思想を粉砕して闘う執行部・路線を確立しよう、C菅政権を打倒して朝鮮侵略戦争を阻止しよう――以上の四つの点を熱く提起した。
講演を鈴木達夫弁護士が行った。チュニジア・エジプトでの決起は、労働者としての人間の根底からの叫びであり、それは世界の人類を必ずとらえると訴え「大失業と戦争の時代は真っ暗な時代ではない。労働者解放のチャンスの時代なんだ」と喝破した。
さらに国労の仲間、仙台市役所・動労千葉を支援する会の仲間、秋田の仲間、さらには南部バス労組、全金本山労組、全逓、教労、医療福祉、婦人民主クラブ全国協、星野救う会、東北大学生自治会の仲間から熱い決意表明があった。
参加者は団結ガンバローを行った後、デモ行進に出発した。休日でにぎわう仙台の繁華街で、デモ隊は圧倒的な注目を集め、一緒にこぶしを振り上げる通行人も数多かった。
闘いはこれからだ!
東北の労働者は、チュニジア・エジプトの労働者に続いて、全国の先頭で闘うぞ!
(宮城・NJ)
(写真 ”エジプトに続こう!”青年労働者を先頭に休日でにぎわう仙台市内の繁華街をデモ【2月27日】)
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週刊『前進』(2478号3面1)(2011/03/07 )
反合・運転保安闘争路線の意義と核心
闘う労働組合をよみがえらせエジプト2月革命につづこう
連合打倒へ労働者階級の根源的な怒りを
坂本 千秋
チュニジア、エジプトに始まった労働者階級の歴史的決起は、大恐慌・大失業と戦争をプロレタリア世界革命に転化していく巨大な闘いとして、中東全域に、さらに全世界に拡大している。闘う労働組合をよみがえらせていくことは、この革命情勢下でますます決定的となった。昨年12月、労働者学習センター・ブックレットの特別号として発行された『戦後労働運動と反合・運転保安闘争』は、動労千葉が打ち立ててきた反合理化・運転保安闘争路線が労働組合と労働運動の再生にとってもつ歴史的意義を明らかにしている。国鉄闘争全国運動の発展を軸に全国・全産別で今こそこの路線を貫いて闘い、連合支配を転覆する日本労働者階級の一大決起をつくりだそう。労働者階級の国際連帯と団結をもって全世界を変革する闘いに突き進もう。
(写真 1月19日の動労千葉ストライキ突入集会【千葉運転区庁舎前】)
世界革命の時代と労働組合運動をめぐる激突
エジプト2月革命は、21世紀のプロレタリア世界革命の幕を開けた。帝国主義とスターリン主義の戦後世界体制を全面的に打倒し、現代世界を根本から変革する労働者階級の荒々しい決起が始まった。
この世界革命への新たなうねりは、中途半端な決着など断じて許さない根底的なものである。何よりも、最末期を迎えた資本主義・帝国主義の全矛盾がもはや後のない世界大恐慌として爆発する中で起きているのだ。大恐慌・大失業と戦争が全世界の労働者人民を生存の危機にたたき込み、資本の搾取と支配を暴虐のきわみまで推し進めた。これへの労働者階級人民の巨大な怒りと全体制の転覆を求める激しい思いが、戦後世界体制の矛盾の集中点である中東を突破口に、せきを切ってあふれ出たのである。
今や世界は、20世紀のロシア革命、1930年代の激動と第2次大戦後の戦後革命の嵐に続く歴史的な大動乱の時代に突入した。ついに訪れたこの世界革命情勢の最大の焦点はどこか。ほかならぬ日本だ。
日本では表面上はまだエジプトのような体制変革への激烈な決起は起きないかのように見える。しかし本質的には日本階級闘争こそが現代世界転覆の決定的な鍵を握っている。なぜなら、日本帝国主義こそ国際帝国主義の「最弱の環」として、この情勢下で最も深刻な、文字通りの国家存亡の危機に直面しているからだ。そして日本の労働者階級がその闘いの最先端に動労千葉労働運動という不動の階級的拠点を生み出していることと並んで、「反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命」の綱領をもつわが革共同が厳然と存在しているからである。
実際に日帝は米帝の中東石油支配の崩壊に他のどの帝国主義よりも大きな衝撃と打撃を受けている。「経済大国日帝の実体は米帝の世界支配によりかかった脆弱(ぜいじゃく)なものでしかない。日本の帝国主義としての最大の破綻点は、戦後憲法体制下の労働者支配の危機性と、安保・沖縄問題、すなわち日米安保同盟関係の矛盾と危機にある。世界大恐慌下でその矛盾と危機はいよいよ爆発点に達していく。これが生み出す巨大な情勢を日本革命の勝利に転化することは急務である」(綱領草案第12項)。この提起を今こそ実践に移す時が来たのである。
日帝の体制的危機はすでに限界を超えて加速度的に激化している。日帝は今や世界最大の財政破綻国家であり、その政治支配体制は崩壊の危機に瀕(ひん)している。民主党・菅政権は統治能力の完全な喪失をさらけだしている。
にもかかわらず日帝は自らの命運を託す政権として菅政権に代わるものを見いだすことができない。日帝の大ブルジョアジーは、労働者・農民への犠牲の極限的な集中と、日米安保強化をテコとした朝鮮・中国侵略戦争への突進に自己の延命の一切をかけている。その突破口は菅政権の掲げる新成長戦略とTPP(環太平洋パートナーシップ協定)参加、大増税推進、沖縄への辺野古新基地建設強行の路線以外にない。これに対する労働者階級と農民を始めとした全人民の怒りの爆発、階級対立の根底的な非和解化こそが、現下の政治危機のとどまるところをしらない激化を生み出している根源である。
そして、存亡のふちに立つ民主党・菅政権を日本経団連など財界首脳とともに必死で支えている最大の柱が連合だ。その犯罪性はあまりに深い。日本の労働者階級が今「生きさせろ!」の叫びを上げて菅政権打倒・日帝打倒へ必死に立ち上がろうとしている時、その前に真っ向から立ちふさがっているのが連合の労働貴族であり、労働組合の権力を握る体制内幹部なのである。日本共産党スターリン主義が牛耳る全労連もまた連合支配の完全な補完物である。
労働組合とはそもそも資本の支配と闘う決定的武器だ。その労働組合が逆に資本家階級の利害を体現し、労働者の闘いをたたきつぶす手段に転落・変質している現状をこれ以上許しておくことはできない! 労働組合と労働運動の再生に今や労働者階級の全生活と未来のすべてがかかっている。この労働組合・労働運動をめぐる攻防とその勝利にプロレタリア日本革命の成否がかかった局面に突入したのである。
「闘う労働組合をよみがえらせよう」――動労千葉が身をもって示し、全国の労働者に呼びかけてきたこの訴えを今こそ全力を挙げて一心不乱に実践しよう。自らの職場に資本・権力と絶対非和解で闘う現場労働者の新たな団結を形成し、その団結の力をもって、腐敗と変質を深める既成指導部から労働組合の権力を奪い返す闘いに挑戦しよう。その勝負はまさに国鉄闘争全国運動を軸とするこの2011年の闘いにかかっている。
1972年の船橋事故闘争で確立された路線
労働組合をよみがえらせていく闘いにとって決定的に重要なのが、動労千葉がその長期にわたる不屈の闘いを通して打ち立ててきた反合理化・運転保安闘争路線である。
今日の動労千葉の基礎を築いた中野洋前委員長がその著書で語っているように、動労千葉は最初から「闘う組合」としてあったわけではない。むしろ当初は国鉄労働運動の中でも「右派」に属する組合として出発した。その組合を、青年労働者が先頭に立って職場での日々の実践を通して内側から戦闘的・大衆的に変革し、今日に至る不抜の階級的団結を築き上げてきたのである。その決定的な推進軸となったのが1972年の船橋事故闘争に始まる反合・運転保安闘争の路線的確立であった。
労働者学習センターのブックレット『戦後労働運動と反合・運転保安闘争』(以下「ブックレット」)は、動労千葉が確立したこの路線が戦後労働運動の限界を根本的にのりこえる階級的労働運動の新たな姿を示していることをいくつもの観点から提起している。その提起に全面的に学びつつ、反合・運転保安闘争路線のもつ意義を今日の革命情勢との関係においてあらためてつかみ直すことを訴えたい。
資本主義の本質・矛盾と根底的に対決する
第一に確認したいことは、反合・運転保安闘争路線は、資本主義の本質とその矛盾を最も鋭く暴き出し、これと真っ向から根底的に対決する闘いであるということだ。
資本主義社会とは資本による労働の搾取の上に成り立っている社会であり、資本家と労働者の関係は根本的に絶対非和解である。この社会の全面的な転覆なしに労働者階級の解放はない。だが戦後の社会民主主義やスターリン主義の指導部のもとではそれらは単なる「理念」とされ、労働運動の現場ではもっぱら体制の枠内での改良主義的諸要求の実現に一切が流し込まれてきた。
そのことを端的に示したのが合理化攻撃への対応だった。「合理化反対」を口にはするが実際には「合理化は避けられない」として、その結果引き起こされる労働条件の悪化に対して一定の歯止めをかける条件闘争に終始してきたのだ。この壁を正面から打ち破ったのが動労千葉の闘いだ。
それは、鉄道における合理化が不可避にもたらす安全の崩壊という根本矛盾を徹底的に突くことによって、資本の攻撃を逆に敵の最大の弱点に転化していく闘いだ。価値増殖をひたすら追い求める資本の運動は、金もうけがすべてであり、それ以外には関心を持たないのを本質とする。合理化をすればするほど、その結果は労働者への強搾取・強労働と同時に安全の崩壊―大事故という社会的惨事となって現れる。資本はこの矛盾を解決することが絶対にできない。
動労千葉は合理化とこの安全問題、事故問題を結びつけることによって、「事故は闘争にならない」とされてきたそれまでの常識を覆した。逆に全労働者の怒りを根底から引き出し、資本と絶対非和解の団結をつくりだしていく闘いに発展させたのである。そこには資本主義そのものの打倒へと発展していく内容がすでに完全にはらまれている。
日々命の危険にさらされる怒りを組織化
したがって第二に、反合・運転保安闘争路線は、資本の支配に対する全労働者の根源的な怒りを底の底から解き放つことのできる路線である。ここに、この路線が今日の時代においてもつ最も重要な意義がある。
動労千葉顧問で元副委員長の布施宇一さんは、運転士は誰でも人身事故の経験を一つや二つはもっている、と言っている。そこでは労働者は「轢(ひ)く側」であると同時に自分の命も危険にさらされる。そうした危険な労働を日々強制されながら、いったん事故が起きればすべては労働者の責任とされる。この不条理きわまりない労働現場の現実に対する怒りは、労働者はみんな持っている。「平常な時は沈静化しているけれど、地下のマグマみたいにいつも労働者の気持ちの底にある。問題は、それを正しく自覚させ、解放し、労働者の闘いとして組織化していく路線の確立と実践です」(ブックレット)と。
これは鉄道で働く労働者だけが特殊にぶつかる問題ではない。全産別のあらゆる職場で形は違っても本質的には同じ問題が日常的に起きている。しかも今日、外注化・民営化・非正規職化による労働条件と労働環境の恐るべき劣悪化が進む中で、労働者の置かれている状態はきわめて非人間的な、ますます耐え難いものになっている。
今や身を粉にして働いても日々を食いつなぐのがやっとという低賃金のもとで、極限的な労働強化と分断支配が全職場を覆い、労働災害が急増している。資本は労働者を人間ではなくモノとして扱い、奴隷のようにこき使い、労働者の心身をもボロボロに破壊して、最後は使い捨てるのだ。しかもそこで何があっても一切は労働者の「自己責任」とされている。
この現実に怒りを持たない労働者などいない! とりわけ青年労働者の怒りは爆発寸前だ。求められているのは、多くの労働者の胸の中に積もりに積もっている怒りを徹底的に引き出して、その怒りに具体的な闘争形態を与えることのできる労働組合の路線と方針である。動労千葉はまさにそれを必死の格闘を通してつくりだし、率先して実践してきたのだ。
「集団的意思の形成」は誇り奪い返す闘い
第三に確認したいことは、この闘いは「労働者こそ社会の主人公」という誇りを奪い返す闘いである。そのことによって一人ひとりの労働者を社会変革の主体へと生まれ変わらせていく路線なのである。だからこそ「団結が総括軸」となる。闘いを通して労働組合の団結が維持・強化され、拡大していくことこそ勝利である。この団結こそが資本との力関係を現実に変え、最後は資本主義そのものを転覆していく決定的力となっていく。
国鉄闘争全国運動の呼びかけ人でもある日本近代史研究者の伊藤晃さんは、ブックレットの中で、戦後の労働運動史において動労千葉の運動が非常に光を放っているのは、「運動のつくり方」だと言っている。
すなわち、闘争をつくりだしていく過程で、指導部の意思・決断が重要であると同時に、それが組合員全員の闘う意思に転換され、「労働者の集団的意思」として確立されている。このことがきわめて重要である。そのことによって組合全体が強固に団結し、「組合員一人ひとりがイニシアティブを発揮するような運動」になっている。「そういう大衆的なイニシアティブが、どのようにしてつくられてきたのか……それは各人が、一人ひとりが意識的な主体になっていったということだ」と。
この集団的意思の形成は、労働者の内面にある資本への根源的な怒りを指導部が正しくつかみ、それに具体的な形を与えることによって可能になっている。そして伊藤さんは言う。過去の労働運動でもそうした例はあった。しかし一時的なものにとどまった。だが労働組合とは何かと考えた時、これこそ「普通の労働組合」ではないか。当たり前の労働組合の伝統が動労千葉の中に例外的に残されてきていると。まさにその通りだ。
労働者階級とはそもそも、資本との闘いに自己の尊厳をかけて団結して立ち上がった時、社会全体を変革できる巨大な力を自らの内側に生み出していくことのできる階級である。労働者階級を解放する力は労働者自身の中にある。体制内指導部の最大の誤りと犯罪性はこのことを否定し、「労働者は闘っても勝てない」という労働者蔑視(べっし)の考え方をふりまいてきたことだ。それは資本の力を美化する奴隷の思想だ。動労千葉の反合・運転保安闘争はこれを根本から覆し、全組合員、全労働者の力を全面的に解き放つ闘いとなったのだ。
労働者階級の階級への形成とは、個々の労働者が本来もっているこの力を解き放つことだ。そこに労働組合の役割がある。今日の動労千葉労働運動をつくりだした原動力もここにある。反合・運転保安闘争路線を全国・全産別の職場で貫いて闘うということは、職場の労働者全員の最も根底的で自己解放的な決起を丸ごと引き出して闘うことにほかならない。それが「労働組合をよみがえらせる」ことの核心だ。
資本の専制を許さぬ現場労働者の主導権
第四に、反合・運転保安闘争とは、列車を日々動かしているのは当局ではなく現場労働者であること、生産を担っているのは労働者であって資本家ではないことを、具体的な姿をもって全社会に突きつけていく闘いである。労働者階級が資本の支配を転覆し、ブルジョアジーにとって代わって自ら社会を運営できる力を実際に培い、その展望を切り開いていくことのできる闘いなのである。
新自由主義のもとで野放しにされた資本の営利優先と弱肉強食の原理は、今や社会全体を崩壊的な危機にたたき込んでいる。その象徴が何百人もの死傷者を出すような大事故の多発だ。これに対して労働者は、反合・運転保安闘争に立ち上がることによって安全の確保を実力で資本に強制する。資本の営利優先・弱肉強食の原理に対して、人間の共同社会建設を求める労働者階級の原理をもって真っ向から対決して闘うのだ。
それは、より根本的にとらえ返せば、人間が人間として生きられる社会を取り戻すために、労働者階級が一切の責任を引き受けて立ち上がることを意味している。言い換えるならば、資本家階級を打倒して、労働者階級が自らの手で全社会を再組織していく第一歩が、そこから踏み出されてくるのである。
伊藤晃さんはこのことを、「ヘゲモニー」という言葉を使い、労働運動の中から資本のヘゲモニーに対抗する「逆ヘゲモニー」をつくりだすのだと表現している。反合・運転保安闘争路線のもと、労働者がその労働組合的団結をもって資本の専制支配を許さない力を職場に築き上げることの重要性がそこで語られている。この職場支配権の確立こそ、最後はブルジョア国家権力打倒、プロレタリア革命権力樹立へと攻め上っていくプロレタリアートの最も基礎的な力を形成するものだ。
動労千葉の闘いにあらためて学び、今始まった巨大な世界革命情勢の中でこそ、反合・運転保安闘争路線をすべての闘う労働者がわがものとし、自らの職場で実践に移そう。この路線を現場の根源的な怒りと結合する路線として各産別で徹底的に練り上げ、全労働者の総決起を引き出して闘おう。闘う労働組合をよみがえらせ、全国の職場と地域に動労千葉に続く無数の拠点をつくりだし、資本の手先に転落した体制内指導部を完全打倒・一掃して、日本労働運動の再生へ全力を挙げて突き進もう。
国鉄全国運動の前進で日本労働運動の再生を
労働組合と労働運動再生の闘いにおいて国鉄闘争全国運動のもつ位置は今や決定的である。
国鉄闘争全国運動は、国鉄1047名解雇撤回闘争の「政治和解」による終結・解体を狙った昨年の4・9反革命に対し、これを労働運動全体の存亡の危機としてとらえるところから出発した。1047名闘争がこのような形で反動的な「政治決着」を強制されることは、国鉄闘争の火を最終的に消すことだ。それは、資本への屈服を果てしなく深めてきた日本労働運動の最後のとりでを明け渡すことだ。
このことに対する激しい危機感と、居ても立ってもいられぬ思いが一つに結集し、国鉄闘争を断固として継続する中から逆に、労働運動の根底的再生をかちとろうとする闘いが始まったのである。
それは、指導部の総屈服にもかかわらず、闘う労働者が80年代の国鉄分割・民営化に始まる労働運動解体の大攻撃と必死に闘い、守り抜いてきた階級的魂の爆発であった。それは、戦後革命期の大闘争を闘いぬいた日本の労働者階級がその階級的戦闘的精神を完全にはたたきつぶされることなく、その後も60年以上にわたって脈々と継承し続けてきたことを示している。この労働者階級の戦闘的魂と力を根絶できずにきたことこそ、安保・沖縄問題の矛盾と並んで日帝の致命的弱点を形成しているのだ。
この日帝の労働者支配の危機性を最も鋭く集中的に体現してきたのが国鉄労働運動なのである。だからこそ日帝はその解体に全体重をかけてきたのだ。今日の体制的危機の絶望的な深まりは日帝の焦りと凶暴化をますます促進している。4・9は日帝が国鉄闘争をここで最後的につぶすことで労働者階級の抵抗力を絶滅しようと仕掛けてきた大反革命だった。
実際に4・9に至る過程と4・9そのものによって何が生み出されたのか。一昨年末の社会保険庁解体に始まる公務員労働者360万人の大量首切りの本格化、昨年末の日本航空の整理解雇、さらに郵政職場での大量解雇の始まりだ。これらを頂点にせきを切ったような解雇攻撃と外注化・民営化・非正規職化の嵐があらゆる職場で一斉に吹き荒れている。しかも攻撃の基本は「国鉄方式」による解雇、すなわち「いったん全員解雇・選別再雇用」などの卑劣な手口を駆使し、労組破壊を直接に狙った無法きわまりないものだ。それも国鉄分割・民営化時よりもっと悪質なやり方で、連合の幹部を完全な手先に使って強行されている。
そしてこの大量首切りの嵐と完全に一体となって、昨秋11・23を契機に朝鮮・中国侵略戦争への突入がついに決定的に始まった。昔も今も帝国主義の最後のあがきは戦争で労働者を互いに殺し合わせることなのだ!
だが、国鉄闘争全国運動がこれと真正面から対決する闘いとしてぶっ立ち、この運動を結集軸に、闘う労働者が全国・全産別の職場で反撃を開始するならば、敵の攻撃は逆に全労働者階級の巨大な怒りに火をつける絶好のチャンスに転じるのだ。何よりも日帝政治支配の最大の柱であると同時に最大の弱点となっている、連合による労働者支配を今ここでこそ決定的に打倒することだ。
動労千葉を先頭とする4・1全面外注化阻止の国鉄決戦に勝利しよう。激化する国労解体攻撃を断じて許さず、現場から徹底的に粉砕し尽くす闘いをぶち抜いて、国鉄闘争全国運動の大前進を切り開こう。資本への怒りに燃える青年労働者を今こそ獲得し、その歴史的決起、総反乱をつくりだそう。国鉄決戦の前進を基軸に、全国の職場で反合・運転保安闘争路線を貫き、労働組合をよみがえらせる闘いをやりぬいて、日本労働運動の革命的再生をかちとろう。
エジプト2月革命に続く最大の道はそこにある。すべての同志はその最先頭に立って闘おう。われわれは必ず勝利する!
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週刊『前進』(2478号3面2)(2011/03/07 )
新刊紹介 戦後労働運動と反合・運転保安闘争
――国鉄闘争全国運動を広げよう――
労働者学習センター編。伊藤晃さん「戦後労働運動史の中の船橋事故闘争」/布施宇一さん/田中康宏さんほか。問い合わせはDC会館(TEL:043-222-7207)
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週刊『前進』(2478号4面1)(2011/03/07 )
エジプト革命と連帯し菅政権打倒へ 3・20反戦大デモを
エジプト2月革命 労働組合の力で旧政権倒す
大恐慌下の現実に怒りが噴出プロレタリア革命が始まった
エジプト革命は労働者階級の総決起の時代が来たことを世界に告げ知らせた。たまりにたまっていた労働者の怒りがあらゆる抑圧を吹き飛ばしたのだ。エジプトは中東石油支配の戦略的な要として帝国主義の全重圧を受けてきた。全世界の労働者が、エジプトの労働者がこれまでの闘いがどれほど困難だったか、受けてきた抑圧がいかに大きかったかを知っている。だからこそ蜂起の解放感をともに感じ、最後の勝利までともに闘おうとしている。エジプトの労働者階級と連帯し、大恐慌を世界革命へ転化する闘いの前進をかけて、全国から3・20渋谷デモに総決起しよう。
1 革命で今までの力関係逆転 労働者権力樹立が次の課題
元与党幹事長のエズを逮捕
エジプトでは今、国有のエジプト航空や石油・ガス会社、最大の新聞社アルアハラムを始め、大小の官庁、企業で腐敗や権力乱用で追及され、追放されるトップが続出している。
2月11日のムバラク大統領の辞任後、軍最高評議会は元与党幹事長のエズ(中東最大の鉄鋼資本家)を不正蓄財容疑で逮捕した。もちろん、軍最高幹部自身が最大の利権集団であり腐敗しきった存在だ。彼らが革命圧殺の策動をしていることは明らかだ。しかし彼らは、エズの逮捕をしなければ自分たち自身が労働者階級の怒りの的となると恐怖して、逮捕に及んだのだ。
2月11日のムバラク打倒はまさに全社会的な革命だった。社会全体の力関係が逆転したのだ。それまで大きな顔をしていた者がみな、小さくなった。
革命が全人民の正義になる
こうした状況の中で、「革命」という言葉の意味が一変している。それまでは、「革命」とはごく一部の人間が最先端で切り開くものというニュアンスで使われていた。しかし今、「革命」は全エジプト人の言葉だ。反動的な軍最高評議会でさえ「革命を尊重する」と言う。つまり「革命に反対する」ことは「人民全体の意思や業績に反対する」ことと同義語になったのだ。あえて言えば革命が「国民的正義」になったのだ。
これは、この革命が階級の違いをこえた「国民革命」であるということではない。逆に、徹底的に労働者階級が主体となった革命であるからこそ、諸階層をも吸引し、全人民的な正義になったのだ。
ムバラク打倒まで上り詰めたエジプト革命は、1917年のロシア革命で言えば「2月革命」だ。ロシア2月革命と同じように、労働者階級の力で旧体制の政権を打倒したのだ。プロレタリア革命が始まったのだ。
2月革命からさらに前進へ
支配階級の国家権力を打倒して労働者権力を樹立するのはこれからの課題である。だが、プロレタリア革命の完遂へ偉大な突破口は切り開かれたのだ。革命の第一幕は大勝利した。
確かに、労働者階級が全国的な組織として自分たちを組織し、ヘゲモニーを取りきることはまだできていない。支配階級の国家権力を打倒し、労働者の権力を樹立すると宣言しているわけでもない。だから「まだ2月革命」だということだ。
体制内諸勢力は現在、「ネット革命」などと言ってプロレタリア革命であることを隠そうとして必死になっている。だがインターネットは道具であって主体ではない。労働者階級こそエジプト革命の主体なのだ。
2 「違法スト」が革命準備した 国営マハラ繊維工場の闘い
スト・争議で革命の力養う
エジプトでは04〜08年に140万人の労働者がストライキなどの争議に決起してきた。こうした巨万の労働者の闘いが登場したこと自体、一つの「革命」だった。これまでの軍事独裁体制のエジプトでは、資本や国家権力へのわずかな要求を口にすることさえ逮捕・投獄や拷問の覚悟が必要であり、少人数の集会さえ困難だったからだ。
しかし労働運動だけが、長い間の地道な秘密の組織化を積み重ね、大規模なストライキができるほどの強力な団結体を形成してきた。この時期のエジプトで、こんな大規模な闘いを実現した運動が、労働運動以外のどこにあっただろうか。
これは、単に国家権力が社会全体を支配しているということだけではなく、資本と労働者の最も根本的な対決の場所=生産点を権力の手先、資本と官製労組が支配している状態をいかに打ち破るかということだった。官製労組と闘って、独自の労組(ないしそれに準じた組織)をつくることこそ最大のテーマだった。
過酷な軍事独裁政権の弾圧のもとで、それを突破して労働組合をめぐる組織戦に勝ち抜いた労働運動だけが、公然とストライキやデモ、座り込みを行える力関係を実力でもぎ取ってきたのだ。
エジプトではストライキは「違法」だ。だが、現実に「違法」ストライキを労働者の団結で決行し、弾圧したくてもできない力関係をつくってしまったのだ。この力関係がつくられたことが、労働者以外の諸階級・諸階層をも限りなく励まし、新たな運動への決起を促したのだ。
(写真 ストライキに立ち上がった石油・天然ガス労組の組合員【2月14日】)
4月6日ゼネスト呼びかけ
この過程では、鉄鋼労働者やセメント労働者、鉄道労働者などさまざまな部門の労働者がストライキに立ち上がった。その中でも力関係を決定的に転換する分水嶺(ぶんすいれい)になったのは、06〜08年のマハラの繊維労働者の闘いだ。
エジプト特産の綿花を使った繊維工業は、戦前から重視されてきた部門であり、50年代からのナセル軍事政権のもとでもますます重点産業とされ、国営化政策が取られてきた。マハラはその最大工場だった。この重点的な工場で大ストライキが起こって、全エジプトに影響を与えたのだ。
マハラの繊維労働者は、06年のストライキで賃上げに勝利し、また07年でも駄目押し的に勝利している。また「民営化をしない」という確約もかちとった。しかも一人の労働者も逮捕されなかった。「違法ストライキ」であっても、2万7千人が職場を武器に団結して闘えば弾圧を跳ね返せることを証明したのだ。「政府の方が震え上がったんだ!」。この報が全国に感動的に伝わった。この闘いに他地域の繊維労働者を始め全土の闘う労働者から連帯のメッセージが届き、ゼネストの熱が高まった。
この闘いをとおして運動が勢いづくとともに、労働者の団結が強化され広がった。そして08年にはマハラの繊維労働者は4月6日ゼネストを呼びかけた。
軍隊は4月6日の前日、奇襲的に工場に突入して労働者の朝の入構を阻み、ストライキ突入を力ずくで封じた。怒った労働者は、巨大な門前集会に立ち上がった。全市の労働者住民は、軍の凶暴な弾圧に反撃して、3日間にわたる食糧暴動に立ち上がった。
私服の治安警察はこの時、住民を混乱させようとして、市内各所で略奪をした。繊維労働者を中心とする同市の労働者は、この略奪に対して組織的に闘った。
団結した労働者の組織性
この闘いの経験は、確実に今回の革命に生かされている。1月25日からの蜂起の過程でも、機動隊が撃破されて市内に登場できなくなった28日以降、私服警官が民間人のふりをして博物館や商店で略奪行為を繰り返して蜂起を混乱させようとした。しかし労働者はこの08年のマハラの事態を知っていたからこそ、各地区に防衛委員会をつくり、混乱の拡大を防ぐことができたのだ。
また10万人から100万人規模に拡大した集会を反革命の襲撃から防衛し、医療、物資補給、衛生・清掃などあらゆる自治行政的な任務を遂行して18日間にわたって蜂起体制を維持できたのも、労働運動の組織性があったからだ。
タハリール広場の参加者は、「こんなに連帯感がある世の中は初めて」「女性が誰も、一人も嫌がらせを受けていない。こんなことは初めてだ。みんながみんなを助けている」(米独立放送局デモクラシーナウのインタビュー)と語った。共同の戦闘の中から新しい社会が生まれつつあることを誰もが感じた。
労働運動は、職場の団結をもとに連帯感あふれる共同体をつくることができ、組織性が高い運動をつくることができる。エジプト革命では大恐慌のもとでその労働運動の真価が存分に発揮された。
(写真 官製労組と激突し闘う独立労組が100万人集会の中軸を担った。1月31日のタハリール広場)
3 新自由主義下の失業と貧困 国鉄闘争の発展が連帯の道
革命に決起した大衆の怒りの的は、世界大恐慌の中での物価暴騰と賃金の停滞、失業だった。特に07〜08年の食糧価格の暴騰が労働者の生活を直撃した。4割の労働者が1日2j以下で生活しなければならない現実や、学校を出ても若者が就職できない現実がある。
これはサブプライムローンの崩壊とリーマン・ショックによって行き場を失った投機資金が石油と食糧を買い占めた結果であり、大恐慌、新自由主義そのものがもたらしたものだ。それをムバラク政権は、投資の自由化・優遇という新自由主義政策で促進した。
タハリール広場では、ムバラク政権の腐敗、汚職に対する怒りの声があらゆるコールに含まれていた。あらゆるものがコネとワイロで決められることへの怒りだった。
エジプトの権力者は、甚だしい不正蓄財を重ねてきた。打倒されたムバラク一族の蓄財は700億j、逮捕された元与党幹事長エズは180億jだ。権力を使って人民の資産を略奪した結果だ。それは隅々にまで及び、エジプトの支配階層は権力とのコネの大小に応じて私腹を肥やしてきた。華やかな新築のマンション、リゾート、スポーツ施設などを持つミニ・ムバラクがあちこちに生まれた。
そうした蓄財が、民営化によってさらに大々的に拡大された。日本の国鉄分割・民営化や郵政民営化の場合と同じく、新自由主義の民営化は、国有財産の分捕り合いと不可分一体なのだ。腐敗の蔓延(まんえん)は単に個々人の強欲の問題ではなく、民営化が必然的にもたらしたものだ。
全世界的意義もつ国鉄闘争
新自由主義は米日欧資本の工場の外注化・海外移転で職場の労働者を丸ごと解雇することを労組攻撃の切り札にしてきた。だがそれは世界中に膨大な労働者階級をつくり出した。そして全世界をのみ込んでいる大恐慌の中で、資本の断末魔のあがきはどこでも労働者階級を犠牲にしている。
だからこそ「エジプト革命に続こう」という巨大なうねりが、中東全域から中国やアメリカまでたちまち広がっているのだ。
ここにおいて、日本の国鉄闘争は、国際的にも決定的な位置を持っている。なぜなら、工場閉鎖・移転などの新自由主義攻撃は、職場を丸ごとつぶし、全員解雇することを労組破壊の切り札にするものだ。まさしく国鉄分割・民営化攻撃とまったく同じだからだ。
日本では国鉄分割・民営化以降、国鉄をモデルにして郵政、社保庁の民営化攻撃や民間の大々的な偽装倒産が蔓延してきた。そして米日欧からBRICsなどに移転した資本も、さらにそこから海外移転する動きが活発化している。
国鉄闘争は、こうした攻撃の元祖である国鉄分割・民営化と闘い続けている。動労千葉はJR東日本の検修部門全面外注化を阻み、組合つぶしの強制配転攻撃と不屈に闘って組織を拡大し、4・9反革命(政治和解による労働運動圧殺)と対決して全労働者を獲得する闘いをしている。
また03年以来、韓国・民主労総やILWU(米西海岸の国際港湾倉庫労組)が11月労働者集会に合流して日本の労働者との国際連帯闘争を強め、その闘いは現在さらにブラジルやドイツの労働者との国際連帯に発展している。これもまた動労千葉を軸とする国鉄闘争が世界の労働者に展望を与えているからだ。
沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒
国鉄闘争陣形はまた、動労千葉を先頭に一貫して安保粉砕を闘う反戦闘争の軸になってきた。
アメリカ帝国主義は今、必死になってエジプト革命、中東革命の圧殺を策動している。中東革命は、米帝の石油支配の崩壊であり、米帝の死であるからだ。米帝がどんな凶暴な戦争をしてでも中東革命を圧殺しようとすることは間違いない。しかし米軍は、在日米軍基地なしには中東での戦争はできない。日本の労働者階級こそが米軍を止め、朝鮮や中東への侵略戦争を粉砕する力を持っているのだ。
一切を国鉄闘争全国運動の組織化にかけよう。米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒に決起しよう。3・20渋谷をタハリール広場にしよう。
〔村上和幸〕
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週刊『前進』(2478号4面2)(2011/03/07 )
国際労働運動 4月号
革命準備する選挙戦
杉並、相模原、八尾を拠点に闘われる4月統一地方選挙は、菅民主党政権打倒の一大政治決戦である。エジプト革命は、日本の階級的労働運動への檄(げき)である。これと連帯し、民主党を始め全党派との党派闘争に勝ち抜き、国鉄闘争全国運動を職場・地域で組織しよう。菅政権を打倒し、勝利しよう。
第1章では、11・23において帝国主義戦争がついに始まったことを踏まえ、「戦争を内乱へ」の立場から革命を準備する選挙闘争、大恐慌下における革命的議会主義を全面的に提起している。
第2章では、菅民主党政権打倒論を全面的に提起している。菅が施政方針演説で明らかにしたTPP、新成長戦略、消費大増税、公務員360万人首切りと道州制、日米同盟深化による朝鮮・中国侵略戦争宣言など、大恐慌下の戦争と大失業攻撃を弾劾している。
第3章では、体制内派との労働組合をめぐる攻防に国鉄闘争全国運動で勝利していくことが選挙闘争に勝利する路線であることを明らかにしている。
翻訳資料は、ウィキリークスのエジプト版。ムバラクを後押ししていた在エジプト米大使館が、ムバラク軍事独裁政権の暴虐ぶりをつぶさに本国に報告していた公電が暴露されている。エジプト革命への理解を深める重要資料。
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週刊『前進』(2478号5面1)(2011/03/07 )
エジプト革命と連帯し菅政権打倒へ 3・20反戦大デモを
中東全域で大恐慌が革命に
決起している主力は労働者階級
チュニジア、エジプトをはじめ中東・北アフリカ諸国の革命は「世界大恐慌のプロレタリア世界革命へ」の転化の始まりだ。これらの諸国を長期にわたって支配してきた独裁政権は帝国主義と結んで新自由主義政策を導入し、大量の低賃金労働者をつくり出し、搾取してきた。そのなかで世界大恐慌が爆発的に激化し、労働者人民を一層の大失業と貧困にたたき込んだ。しかし労働者階級は戦闘的労働組合をつくって反撃し、力を蓄え、闘う組織を打ち鍛え、ついに独裁体制とブルジョアジーの支配、帝国主義の支配を打倒した。エジプト―中東革命は世界革命の現実性を示す闘いとして世界の労働者を限りなく激励し、勇気を与え、米国、中国、インド、北朝鮮などの労働者の陸続たる決起を引き出している。
ソビエト組織が登場 リビア
リビアのカダフィ独裁体制は、労働者のストライキに弾圧を加えたエジプトのナセル体制を手本にした体制だった。それは対外的にはナセルと同様に、一方でスターリン主義からの援助を引き出しながら、他方で帝国主義、巨大独占資本との癒着を深め、新自由主義政策を導入してきた。国内的には、莫大(ばくだい)な石油収入をカダフィ一族で独占して労働者人民に困窮生活を強制し(リビアの失業率は30%でエジプト以上!)、軍部や治安組織の力に依拠して過酷な労働者支配を敷いてきた腐敗した体制であった。
労働者人民を「ゴキブリども」と呼んでいたカダフィに対して激しい怒りを抱くリビアの労働者人民は、エジプト革命に鼓舞されて2月15日からカダフィ打倒のデモに決起した。以来、事態は急速に進行した。
2月25日の段階ですでにリビア東部は反政府派が制圧している。東部では労働者人民が自衛組織をつくり、反政府派についた警察や軍隊とともに各自治体を管理している。2月20日までに労働者・兵士が支配権を確立したリビア第二の都市ベンガジでは、労働者・学生・医師・弁護士らが結集して「市民評議会」(「2月17日革命連合」とも呼ばれている)というソビエト的組織を形成し、市の日常業務を管理し、完全な秩序を生み出している。
東部はリビアの国家予算の3分の2を占める石油と天然ガスの産出地帯であり、この地域を反政府派が掌握したことは、カダフィ体制に決定的な打撃を与えた。
これに加えて政府機関の存在する首都トリポリでも、25日にはついに市内で厳戒態勢を打ち破った数千人のカダフィ打倒デモが行われ、カダフィ政権を完全に追い詰めている。
政権内部の分裂も深刻化し、カダフィ一族の国外亡命の試みも行われた。
このような状況に対し、カダフィは22日の段階で退陣拒否を声明し、特殊部隊とアフリカ諸国からかき集めた傭兵(ようへい)部隊に依拠してあくまで残虐な武力弾圧策を取り、6千人を超えるといわれる労働者人民を殺害した。だが警察はすでに無力化し、軍の一般兵士も基本的にカダフィ体制から離反している。この現実のもとでは、カダフィは戦闘機やヘリコプターによる空からの攻撃や、狙撃兵による遠方からの狙撃に頼る以外に労働者人民の闘いに対処できなくなっている。
カダフィ体制の崩壊はもはや不可避である。その後の新体制がいかなるものになるかはまだ不透明だが、リビアでも労働者階級は必ずや、エジプトやチュニジアの労働者階級の闘いに学び、相互に連携して新たな革命的な運動を展開していくであろう。
石油労働者は2月21日から、油田で働く多くのエジプト人技術者や労働者と連携してストライキに決起し、カダフィ政権に決定的打撃を与えている。この石油労働者や、カダフィ体制との闘いに決起している教育労働者は、リビアの労働運動の軸を担っていくであろう。カダフィ独裁体制による徹底した情報統制にもかかわらず、全国的な蜂起を実現し、軍の反乱まで引き出した組織力の基盤は、こうした労働者たちの組織である。将来も必ずこのような労働者の組織が新自由主義政策のもとで急速に増大した労働者階級を革命的に牽引(けんいん)し、リビアのプロレタリア革命を主導していくであろう。
(写真 2月27日、反カダフィ派が制圧したリビア西部の都市ザウィヤで労働者が軍の戦車を包囲、反乱兵士とともにカダフィ打倒のシュプレヒコール)
労組が革命の拠点に バーレーン
2月14日に始まったバーレーンの反政府デモは、完全に「王政打倒」の革命運動へと発展している。18日の首都マナマの「真珠広場」を占拠していたデモ隊数千人への治安部隊による流血の弾圧をはね返して、19日にかちとった真珠広場再占拠の闘いが転換点となった。
政府側は野党勢力との対話を開始したり、政治犯100人以上の釈放を発表している(2月23日)が、労働者人民は体制内野党を引き込んだペテン的な懐柔策動を許さず、王政打倒の闘いを継続している。
この闘いでは、ストライキを呼びかけて重要な役割を果たしている労働組合が新たな闘いの拠点となりつつある。弾圧の機会をあくまでうかがう政府に対して、公立学校や一部の病院、工場などで労働者は労働組合の指導下で相次いでストに入り、次第に社会的影響力を増大させている。事の本質はスンニ派対シーア派の宗教対立ではなく、帝国主義・ブルジョアジーとプロレタリアートの階級対立、階級闘争なのだ。
労働者人民の闘いが産油国のバーレーンとリビア、アルジェリアに波及し、さらにはサウジアラビアにまで波及しようとしている事態に、米帝は激しい危機感を抱いている。バーレーンとサウジアラビアの石油利権の喪失は、米帝の中東支配と中東石油支配の崩壊、石油支配に支えられたドルの暴落をもたらす。それは、米帝の帝国主義戦後世界体制の盟主としての地位の喪失を意味する。また帝国主義諸国が中東の石油を失えば、すでに世界大恐慌下にある帝国主義世界経済は最後的に崩壊せざるをえない。
さらに米帝にとって重要な問題は、バーレーンには中東全域に(とりわけ対岸のイランに)にらみを利かし、中東の石油支配と軍事制圧を貫徹するために不可欠な米海軍第5艦隊の基地があることだ。それはペルシャ湾の石油輸送とサウジアラビア西部の巨大油田を軍事的に保障する役割も持つ。そのため米軍は最近、5億8千万jを投入して基地を2倍に拡張したばかりだ。
米帝はこの中東戦略上の要衝をなんとしても護持するためにバーレーンの革命を必死で阻止しようとしている。だがそれは、米帝の反動王政諸国護持の姿勢を鮮明にさせる。産油国を含む全中東諸国における労働者人民の反王政、反米帝の闘いをこれまで以上の勢いをもって爆発させる引き金となることは不可避だ。
(写真 2月19日、真珠広場を奪還【バーレーンの首都マナマ】)
懐柔粉砕し闘い発展 イエメン
アラブ最貧国のイエメンではサレハ大統領の辞任を要求するデモが1月中旬から開始された。
高い失業率(特に若年層は49%に達する)と貧困にあえぎ、政治的自由を奪われている多数の青年・学生がこのデモに参加した。イエメンでは人口の3分の1が必要な食料を確保できず、人口のほぼ半分は1日2j以下の生活を強いられている。
このような状況は95年以来のIMF(国際通貨基金)と世界銀行による経済構造調整政策の強行と民営化政策の結果であり、それがさらに大恐慌情勢下で一層深刻化した結果だ。人口の70%を占める25歳以下の青年労働者や学生たちは現体制が続く限り生きていくことさえ不可能であり、生きるためには現体制を打倒する以外にないと決意している。
チュニジアやエジプトでの労働者人民の闘いの爆発にも刺激されて、イエメンでのデモの参加者は日を追うごとに増加し、1月27日には数万人規模のデモとなった。2月2日、サレハ大統領は事態の沈静化を図るために、2013年の大統領選への自身の出馬を可能にする憲法改正を断念し、2年後の退陣を表明したが、労働者人民は即時退陣を要求した。そして2月3日、首都サヌアで大統領の退陣を求める最大規模のデモが行われ、2万人が結集した。
2月15日、南部のタイズで、サレハ大統領の辞任を求めて2500人の徹夜集会が行われた。警察はすでにこの集会を解散させる能力を失っていた。デモは2月10日以降連日行われ、日ごとに勢いを増した。
2月24日、サレハは懐柔政策を強化するために、デモ隊との対話を行う委員会の設置を首相に命じた。だが労働者人民は懐柔策に応ずることなく闘いを継続している。
イエメンには石油資源もあまりなく、外資の進出も多くないため、労働者の数はこの間それほど増加してはいない。だが民営化政策による失業の増大、世界大恐慌の影響で労働者の生活は急激に悪化した。2010年4〜5月、60万人を組織するイエメンの労働組合は、賃上げや非正規職の正規職化などを要求して全国ゼネストを打った。労働組合は今回の労働者人民の闘いの組織化においても重要な役割を果たした。労働者階級が本気で決起すれば全人民を率いて独裁政権を打倒することができるのだ。
エジプト―中東革命が示すように、大恐慌下の新自由主義攻撃と闘いプロレタリア革命を切り開くことは、世界の労働者に共通の現実の課題となった。今こそ日本の労働者階級も国鉄闘争全国運動の爆発的発展で菅政権を打倒し、この共通の闘いに決起しよう。
〔丹沢望〕
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週刊『前進』(2478号5面2)(2011/03/07 )
チュニジア 暫定政府打倒へ前進
労組活動家が革命を牽引
チュニジアでは2月19、20日、首都チュニスで暫定政府の退陣を求める4万人の大集会が行われた。そして27日、ついにガンヌーシ首相を辞任に追い込んだ。チュニジア革命もまさにロシア2月革命以後のような情勢に突入している。
チュニジアでは1986年以降、IMFと世界銀行の「構造調整計画」が実施されてきた。そのもとでの民営化、医療・福祉・教育制度の壊滅的改悪に対する戦闘的労組活動家の闘いが官製労組UGTT(チュニジア労働総同盟)と対決しながら展開されてきた。
鉱山労組、教員組合、郵便労組などの戦闘的な労働組合活動家は、体制内指導部打倒と階級的労働運動の発展を目指して闘ってきた。
昨年12月17日、失業した大卒の青年が暴行と屋台没収という圧政に抗議して焼身自殺すると、戦闘的活動家たちは体制内指導部の制動をはね返して全国の支部組合事務所を実力で占拠し、地域の諸産業の労働者や市民と討論を積み重ね、反政府デモを組織した。これらの戦闘的労組活動家が首都での大デモを組織し、ベンアリ大統領を国外逃亡に追い込んだのだ。ベンアリ打倒の闘いを通じて、UGTTの50万人の組合員は急速に戦闘的活動家たちの影響下に獲得されつつある。
1月14日にベンアリが打倒された後、15日にムバッザア下院議長が暫定大統領に就任し、ガンヌーシを首相とする暫定政府がつくられた。暫定政府は、反テロ法などの反民主主義的法律の廃止や報道基準の緩和、野党の合法化、政治犯の特赦などを発表したが、労働者人民はこのようなのりきり策を許さず、あくまで全面的な体制変革と暫定政府打倒を呼びかけて闘っている。
ベンアリ政権崩壊後の1週間、政権党の立憲民主連合の解散を求めるデモが各地で展開され、多くの都市でこの与党事務所が労働者人民に占拠された。同党は労働者の実力闘争によって実質的に解散されたが、依然として立憲民主連合の影響力は暫定政府行政機関の中に保持されている。このため暫定政府完全打倒の闘いが開始された。
1月21日、教員労組は「暫定政府はベンアリ体制の継続だ」として暫定政府を打倒し、労働者人民のための新政府樹立までゼネストで闘おうという呼びかけを発した。
他方、国営企業や官公庁の労働者は職場占拠闘争を開始し、与党立憲民主連合に属する会社や組合の幹部の追放闘争を展開した。民間企業でも工場委員会のような組織がつくられ、反動的職制の追放、労働者の生産管理闘争も開始されている。民間企業では、ストライキ闘争によって派遣労働者の正社員化もかちとられている。
戦闘的組合活動家たちは、地方からチュニスにはせ参じた失業中の青年たちの組織化も開始している。また、1月6日に8千人のうち95%がストに突入した弁護士やUGET(チュニジア学生総連合)とも緊密な連携関係が形成されている。
このような闘いと連動して、労働者を中心として武装した防衛委員会が各地で形成されている。この防衛委員会は、反革命勢力の襲撃や略奪攻撃から労働者人民を守るとともに、地方自治体の業務を行うために与党立憲民主連合の地区事務所を占拠している。労働者人民の革命的な武装と地域支配が開始されているのである。
(写真 2月21日、チュニジアの首都チュニスでガンヌーシ首相の辞任を要求しデモする労働者人民)
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週刊『前進』(2478号5面3)(2011/03/07 )
「欧州の新工場」で労働者が反乱
月8千円の低賃金と闘う
繊維工場で民営化を阻止
エジプト2月革命の根底には、大恐慌下で資本主義のもとでは生きていけない労働者階級が中東・北アフリカでも膨大に生み出されている事実がある。EU(欧州連合)など帝国主義の侵略、新自由主義とグローバリズムが中東・北アフリカでも「資本主義の墓掘り人」である労働者階級を台頭させてきたのだ。
そもそも欧州帝国主義にとって中東・北アフリカは従来からの勢力圏であり、石油・天然ガスなど原燃料の略奪先だった。95年には「EU・地中海諸国パートナーシップ協定」を締結し、その後、各国と個別にFTA(自由貿易協定)を結んでいった。中・東欧で賃金が上昇すると、2000年代後半から中東・北アフリカを生産拠点にする動きが加速した。08年にEU加盟国と地中海沿岸諸国の計43カ国による「地中海のための連合」が創設された。
この全過程が帝国主義によるすさまじい侵略と再植民地化だった。その最大手段は関税撤廃などの市場開放、規制撤廃・民営化による経済制度・経済機構の解体、民営化企業の株式取得を通じた帝国主義資本による支配だった。かつて70年代以降に中南米諸国が、そして97年通貨危機後に韓国が受けたのとまったく同じ再侵略が強行された。まさに〈新自由主義とその国際版であるグローバリズム〉そのものだ。
関税・法人税下げ外資導入
その典型がエジプトだ。エジプトでは90年代初めからIMF・世界銀行の主導の「経済改革・構造調整」、規制緩和・民営化が行われてきた。01年にはEUとの連合協定に調印。しかし21世紀に入ってこれらが停滞するなか、04年にナジフ内閣が登場して一層激烈な新自由主義政策に乗り出した。特に重要なのは、@関税率を平均14・6%から6・9%にまで下げ、外国製品を大量流入させ、A法人税率を43%から20%に引き下げて資本家を優遇し、B国有企業・国有銀行を民営化し基幹労働者の抵抗力をつぶそうとしたことだ。
こうした関税軽減、法人税削減、労働者圧殺攻撃の結果、国外からの直接投資額は01年度〜06年度で15倍化した。05年度には非石油部門への外資投資が石油部門への投資を上回るまでになった。
外資にとって一番のうまみは、自動車部品工場では月間賃金が100j(約8000円)〜120j(07年時点)で、中国沿海部より安くベトナム並みという低賃金にある。さらに電力・水道・ガスなどの公共料金はインド・チュニジア・トルコ・イタリアに比べ3分の1から7分の1の安さだ。しかもエジプト通産省には生産性向上のための組織、「KAIZEN CENTER(カイゼン・センター)」が設けられ、日本のトヨタなどのQC(品質管理)運動が持ち込まれてきた。こうした条件下で帝国主義資本は、レーニンが『帝国主義論』で指摘した〈植民地主義的な超過利潤〉を得てきた。
また、一定(最低11・7%)のイスラエル製部品を組み込んだエジプト製品であれば、米国へ無税で輸出される制度が04年から実施され、衣料品などの対米輸出が大幅に増加した。ムバラクは米・イスラエルとの外交的な協調・同盟関係を強めてきただけでなく、経済面でも米・イスラエルとの一体化に踏み込んでいたのだ。
自動車・電子の輸出が急増
しかし、こうした中東・北アフリカでの帝国主義の侵略と新自由主義・民営化の強行は同時に、中東・北アフリカでも生きていけない低賃金労働者を急速かつ大規模に生み出すことにもなった。失業率は15〜24歳の男性でチュニジア31%、エジプト23%に上る(10年、IMF報告)。
特に重大なのは2点。まず、韓国や中国と同様に、重化学工業で短期に同質性を持った労働者が生み出されていることだ。チュニジア・エジプト・モロッコの3国が電機・機械・自動車などの「欧州の新工場」とされている(日経10年6・23付)。チュニジアでは08年度に輸出額で電線・ケーブルを含む機械、電子分野が首位に立ち、繊維・皮革を上回った。ドイツの自動車部品大手のレオニ社の従業員比率は、国内が7%に対しアフリカが41%にも及ぶ。
もう一つ、中東・北アフリカで最も激烈な民営化攻撃が襲いかかったエジプトで、マハラの国営繊維工場(2万4千人)の労働者が04〜06年の決起でナジフ内閣の民営化攻撃を粉砕している。繊維産業だから真っ先に民営化対象とされたはずだが、これを大ストライキで打ち破った。しかも、ここを拠点に08年の4・6ゼネストが呼びかけられ、「4月6日青年運動」が発展していった。
マハラの国営繊維工場での民営化阻止決戦に勝ち抜いたことで、エジプト労働運動の今日にいたる闘いが生み出されてきたといえる。国鉄分割・民営化に勝利してきた動労千葉、それを拠点にした国鉄闘争全国運動の跳躍という現在の日本の労働運動と完全につながっている。中東で最先頭で闘う労働者たちは日本のわれわれとともにある。
〔島崎光晴〕
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週刊『前進』(2478号6面1)(2011/03/07 )
朝鮮侵略戦争を許すな! 3・20大結集へ
米韓演習 北朝鮮爆撃も 情勢は超緊迫
参戦狙う菅政権を打倒しよう
2月28日から米韓(日)の合同軍事演習「キー・リゾルブ」「フォール・イーグル」が始まった。本紙前号で弾劾したように、両演習は米軍が2万人以上、韓国軍(予備軍含む)が20万人以上参加して3月10日まで行われる。米軍は核空母も参加、フォール・イーグルの一部は4月30日まで行う。両演習は北朝鮮に対する侵略戦争そのものだ。3・20渋谷に集まり、朝鮮侵略戦争反対の大デモを闘いぬこう。
さらに3・20はエジプト革命を始めとする中東の闘いと合流し、朝鮮・中国の労働者と連帯して、沖縄新基地建設と大失業攻撃に突き進む菅政権を打倒する闘いだ。
(写真 昨年7月の米韓合同演習で米空母ジョージ・ワシントンから出撃する戦闘機【韓国東方沖】)
世界革命の圧殺をかけた米帝の戦争
北朝鮮への本格的攻撃が極めて切迫している。両演習は、北朝鮮の体制崩壊を想定した「作戦計画5029」を土台として行われている。演習中やその直後に昨年11・23砲撃戦を超えるような交戦が発生する可能性も大だ。それを契機に、そのまま米韓軍が北朝鮮爆撃に踏み込む瀬戸際的現実にある。米帝(米韓日)は本格的な戦争突入を目指して演習を行っていると言っても過言でない。
今回の演習で第一に重大な点は、世界大恐慌の進展とエジプト革命、中東から始まった世界革命の波が米韓演習を激しく戦争性のあるものにしていることだ。革命の嵐はアメリカにも波及し、ウィスコンシン州など多くの州で労働者がストライキやデモに決起し、州議会占拠に立ち上がっている。始まった世界革命の流れの遮断・粉砕、帝国主義による世界支配の崩壊の阻止をかけて、米帝は朝鮮侵略戦争―中国侵略戦争に突入しようとしているのだ。
北朝鮮の転覆と南北の米帝的統一
第二に重大な点は、世界大恐慌の進展とエジプト・中東革命が北朝鮮のスターリン主義体制を崩壊のふちに追い込みつつあることだ。米帝は北朝鮮の崩壊過程に介入し、自己のヘゲモニーのもとでの南北朝鮮統一を図ろうと狙っている。それを突破口に、自らの延命をかけて対中国の対峙・対決から中国侵略戦争という歴史的大戦争の過程に踏み込もうとしている。
北朝鮮スターリン主義の一国(半国)社会主義建設の完全な破産と世界大恐慌が北朝鮮経済を破綻させ、スターリン主義体制を崩壊のきわに追い込んでいる。北朝鮮の人口約2千400万人のうち配給を受け取り生活しているのはピョンヤン市民ら約400万人にすぎず、残る2千万人には配給が正常に行われていないため、地下経済に依存して生活していると韓国紙は報じている。石炭生産量が減り火力発電所の稼働率が低下し、暖房が効かず住民が厳寒に苦しんでいる。
その現状をうち破って北朝鮮の労働者・人民・兵士の闘いが各所で始まりつつある。2月18日頃、中朝国境にある新義州(シニジュ)市で、数百人の住民と当局が衝突する事態が発生した。ある商業者が保安員(警察官に相当)らに殴打され意識不明になったことをきっかけに、被害者の家族や周辺の商業者らが激しく抗議しデモに発展、軍部隊も鎮圧にのりだし住民に死傷者が出たと伝えられている。2月14日には、平安北道(ピョンアンプクド)定州(チョンジュ)、竜川(リョンチョン)、宣川(ソンチョン)などで政府への抗議デモが行われた。
ウラン採掘場で兵士たちが1月17日頃、食料が十分に与えられないことに抗議し、作業命令を拒否する事件が発生したと報道されている。また、脱北者の中に北朝鮮軍兵士の姿が目立つとされている。兵士たちの多くは食料不足などを脱北の主な理由としている。また昨年の韓国哨戒艦沈没事件以降、戦争への恐怖や「戦争反対」を訴える兵士も多いという。
これらの事態のいっそうの激化・拡大、すなわち北朝鮮の体制崩壊の到来が米韓(日)の軍事演習―朝鮮侵略戦争の情勢をきわめて切迫したものにしているのだ。
周辺事態法改悪で参戦をめざす日帝
第三の重大性は、朝鮮侵略戦争―中国侵略戦争への参戦に向かって、日帝が大きくかじを切ったことだ。
日帝は昨年7月に日本海で行われた米韓合同軍事演習への海上自衛隊幹部のオブザーバー参加に続き、今回の演習にも海自幹部を参加させた。1月10日にソウルで開かれた日韓防衛相会談の場で北沢防衛相は「日韓の防衛協力の新時代を」と語り、日韓両国の防衛協力を強化することで合意した。そして両者で物品役務相互提供協定(ACSA)の締結推進や、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の必要性を確認した。
防衛省幹部は「周辺事態法を改正して、米国に加えて『米国と行動を共にする国』にも後方支援ができるようにしたい」と、米韓両軍への「後方支援」=朝鮮侵略戦争への参戦の意思を明言した。日帝は1月には、周辺事態法を改悪して米軍への補給を「日本領海内」から「公海」にまで広げる方向で検討に入った。世界大恐慌と中国・北朝鮮情勢の急変が、新「防衛大綱」と一体で、日帝の朝鮮・中国侵略戦争への動きを加速しつつあるのだ。
3・20渋谷大デモこそ朝鮮侵略戦争を阻止し、エジプト・中東革命にこたえる道だ。青年労働者・学生を先頭に大結集しよう。
(北沢隆広)
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週刊『前進』(2478号6面2)(2011/03/07 )
沖縄は侵略最前線基地
普天間、嘉手納など演習激化
米帝の朝鮮侵略戦争の最大かつ最前線の基地が沖縄だ。昨年の11・23延坪島(ヨンピョンド)砲撃戦の直後に行われた日米統合実働演習で、沖縄基地がきわめて重要な役割を果たした。
ホワイトビーチ周辺には米軍艦船が集結し、普天間基地、嘉手納基地を中心に米陸軍の地対空誘導弾パトリオットミサイルPAC3の移動演習が展開された。沖縄基地が今日のイラク・アフガニスタン侵略戦争の出撃・兵站(へいたん)基地であるだけでなく、朝鮮侵略戦争の基地であることが鮮明になった。最近の沖縄基地をめぐる動きも11・23情勢下の攻撃だ。
(写真 嘉手納基地でパラシュート訓練をする兵士【2月16日】)
あくまで辺野古移設狙う菅政権
沖縄の労働者人民の「普天間基地撤去、辺野古新基地建設絶対反対」の強い意志は、米日帝の朝鮮侵略戦争の前に立ちはだかっている。
菅民主党政権は、普天間移設問題は5・28日米合意で決着済みという態度をとり、昨年末の沖縄訪問に際しても「辺野古がベター」とうそぶき、何がなんでも辺野古新基地建設を日米合意の線で貫徹するのだという姿勢を示している。
鳩山が首相当時に県外移設を「断念」する理由として挙げた「抑止力」について、「方便と言われれば方便だ」と述べたことが、あらためて民主党政権に対する怒りを広げている。政府の沖縄基地問題に関するすべての言辞がペテンであり、ごまかしであることを示すと同時に、基地はすべて侵略戦争のためのものであることを押し隠すための言辞だということなのだ。問題の核心は、米日帝の朝鮮侵略戦争が始まっており、そのために沖縄基地は手放さないということにある。
しかし、日米帝は、沖縄の労働者人民の怒りの爆発に戦々恐々としている。沖縄の怒りには、基地撤去・安保粉砕の根底的な要求がはらまれている。エジプト2月革命の高揚を頂点とする世界の労働者の闘いは、沖縄における革命の現実性を照らし出している。エジプトは沖縄とつながっている。米帝内部からも、移設強行は「沖縄における米国の軍事的プレゼンスそのものを危険にさらす」ことになるとの懸念が生まれているほどだ。
一方で、普天間基地は、縮小・撤去どころか、ますます強化されている。嘉手納基地の2本の内1本の滑走路の改修工事のために、普天間がその代替機能を担わされ、騒音と危険が倍増している。2012年10月からは、垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが普天間基地に配備されようとしている。
南西重視で石垣に海自艦艇寄港
日帝は日米同盟強化のために沖縄基地を差し出しつつ、独自の軍事力強化に腐心している。昨年12月の新防衛大綱で南西諸島への配備の強化を打ち出し、それを実践している。海上自衛隊は石垣港に、2月19日掃海艇2隻、3月3日護衛艦(イージス艦)1隻を寄港させた。これは、釣魚台(尖閣諸島)をめぐる動きと結合し、対中国・朝鮮の侵略戦争を準備する攻撃だ。排外主義と愛国主義を扇動し、沖縄県民を戦争に動員する攻撃でもある。
高江ヘリパッド建設強行の攻撃
沖縄本島北部の東村高江でのヘリパッド(ヘリコプター着陸帯)建設工事が強行されている。沖縄防衛局は、昨年12月から工事業者を動員して、工事を再開した。同23日には、米軍ヘリが超低空飛行で住民の監視行動を威嚇し、ホバリング(空中静止)によって座り込みのテントを損壊させる事件が起こった。鉄製の脚が曲がり、いす1脚が40bも吹き飛ばされた。
仲井真沖縄県知事は2月28日の県議会で「(米軍基地)整理縮小という点で(ヘリパッド建設は)必要だ。返還に伴うもので(工事は)進めるべきだ」と答弁、ヘリパッド建設を推進し、米軍基地の再編強化に協力するという態度表明を行った。断じて許せない。
嘉手納基地での降下訓練を強行
「嘉手納基地に駐留する原子力空母ジョージ・ワシントンの艦載機FA18スーパーホーネット5機が1日午前、地元の要請を無視し、卒業式の最中に相次いで滑走路を飛び立った。騒音は嘉手納高校など基地周辺の学校に鳴り響き、卒業式を妨害した。嘉手納町屋良では戦闘機が離陸する際に電車通過時の線路脇に相当する103・1デシベル(午前10時38分)の騒音が記録された」(琉球新報3・2付)
常駐機であるF15戦闘機、空中給油機KC135、空中管制機E3などに加えて、FA18、F16戦闘機、最新鋭ステルス戦闘機F22A、垂直離着陸攻撃機AV8Bハリアーなどが入れ替わり立ち替わり移転してきて訓練をしている。その訓練は夜間、早朝だろうが、卒業式だろうが、あたり構わず大騒音をたてて展開されている。その上、嘉手納基地でのパラシュート降下訓練が2月16日に強行された。敵地に特殊部隊を潜入させる訓練だ。朝鮮侵略戦争での作戦を念頭に置いたものであることは明白だ。
米帝も日帝も危機を戦争で突破するために凶暴な攻撃に出てきている。だが、見かけの凶暴さとは裏腹に、それは絶望的あがきだ。今こそエジプト革命に連帯し、3・20反戦大デモに立とう。
(高田隆志)
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週刊『前進』(2478号6面3)(2011/03/07 )
中東革命が中国に波及
北京・上海などで警察と対峙 労働者の怒りは臨界点
新自由主義への国際的総反乱
世界大恐慌と対決して闘われているチュニジア、エジプトなど中東の革命は中国労働者人民の決起を呼び起こした。
2月20日、27日(毎日曜日決起)の呼び掛けは、北京での1千人余の結集と警察とのもみ合い、上海では20日500人余、27日1千人余の結集があり、ジャスミンの持ち込みや女性の反政府演説(ハルビン)、27日北京では政府批判のスローガンをマフラーに書いて結集した若い女性などの勇気ある決起として打ちぬかれた。
中国当局の弾圧は常軌を逸した異様さで、スターリン主義官僚たちの狼狽(ろうばい)ぶりを示した。サイバー警察を総動員してインターネットを封鎖し情報を遮断する一方で、集会鎮圧のために武装警察を大動員して、集会地点の封鎖・制圧を行った。また事前に著名な民主・人権活動家や弁護士を数百人規模で拘留、軟禁し、大学では学生と教員に外出禁止令を出した。しかし労働者人民の決起を封じ込めることはできず、チュニジア、エジプトの労働者人民の決起に魂を揺さぶられ、自分たちも政府の独裁を打ち破りたいというやみ難い意欲をみなぎらせた数千人が、全国13〜27都市で立ちあがった。
今日の情勢の基調は、世界大恐慌=新自由主義の破綻に対する世界革命に向かっての国際的労働者人民の総反乱の爆発の開始だ。
中国でも帝国主義体制に依拠した改革開放=新自由主義政策の破綻の危機が激化している。帝国主義の超金融緩和と中国自身の4兆元景気刺激策の結果、インフレとバブル、貧富の格差拡大が統制が効かずに進行し、労働者人民を苦しめている。しかも官僚と企業のみが富裕化するスターリン主義体制の独裁に怒りが激化している。
チュニジアやエジプトでも反動独裁政権による新自由主義政策のもとで帝国主義を背後とした官僚と資本家が結託し、労働者人民を搾取・収奪して富を独占してきた。だが他方で今回の革命的決起の主力になった労働者階級を膨大に生み出し、この過酷な搾取や失業の現実の中で階級性を深めた青年労働者が労働組合的団結を発展させ、体制内の御用組合支配を打ち崩し、ついに革命的決起の扉を開いたのだ。
中国スターリン主義は「中国ではジャスミン革命は起こらない」と「豪語」しているが、「新自由主義の王国」として「世界の工場」と化した中国がそんなわけはない。実際、数億の新たな労働者階級を生み出しつつ、スターリン主義の独裁のもとで、それを後ろ盾とした新自由主義政策による過酷な資本の搾取の現実への怒りを抱く青年労働者・新世代農民工が階級性を覚醒させ始めたのだ。彼らは昨年、階級的団結を武器にストライキ戦術を貫徹し、総工会や地方政府の介入と対峙しつつ、闘争を堅持して要求をかちとった。それは国内の青年労働者の中に波及し、数百ものストライキの連鎖をつくりだした。
こうした労働者階級の階級的胎動が今回の運動と結びつく可能性は開かれており、中東・北アフリカの闘いの爆発を中国労働者人民が引き継ぐ展望は遠いわけではない。
(写真 昨年6月、江蘇省昆山の台湾系企業で2千人余の労働者が賃上げストに決起し警察と衝突)
中国スタの危機と破産を示す
中国スターリン主義は中国革命の勝利者であったことで「反帝」を看板にしつつ、「後進国のリーダー」として自己を誇示してきたが、実際には世界革命放棄の戦略ゆえに、中国革命を世界革命に発展させる道を自ら閉ざしたばかりか、闘う労働者人民に敵対して、帝国主義との妥協を繰り返してきた。1972年のベトナム戦争最中の米帝との国交回復以来、今日の改革・開放に至る過程はそれを示している。何よりも今日、中国は帝国主義・資本に新自由主義の展開の場を与え、中国労働者・農民に搾取・収奪の犠牲を集中し、スターリン主義体制の富裕化でしかない経済成長を遂げてきた。
その上、中国は自国の利益のために帝国主義との争闘戦に参入し、資源争奪戦・市場争奪戦を加速させている。このために、今日打倒されつつある中東・アフリカの反動政権と癒着し、権益を奪い、これに怒りを持つその地の労働者人民に敵対してきた。そして、帝国主義の戦争政策に対して、核を含む軍事力の強化で対応し、国際労働者階級の反戦闘争に敵対している。中国の「社会主義」は似非(えせ)で反人民的なものである。
チュニジアやエジプトの革命的決起が帝国主義の大恐慌=新自由主義の破綻に対する総反乱である以上、この決起は各国帝国主義のみならず、帝国主義に妥協して労働者に敵対する中国スターリン主義に対する労働者人民の総反乱の呼び掛けなのだ。
労働者の力で中国第二革命へ
中国スターリン主義の独裁支配の核心は、労働者階級の自己解放闘争を抑圧し、労働者の階級的団結を否定し、総工会のもとで労働者を支配統制の対象にしてきたことだ。だがいまやこれは青年労働者・新世代農民工の階級的覚醒が独自の工会(労組)要求として総工会支配を打ち破り始めたことで崩れ始めたのだ。
民主派の言う「一党専制」打破は、社会の主人公としてのいまや膨大な数を占める労働者階級を革命の推進力とする(独自の労働組合と独自の党の建設の推進によって)ことでのみ可能である。このことを踏まえて現に行われ始めた運動の限界性を見据えるとき、今日の中国労働者人民の進むべき道の鮮明な戦略性と真の革命勢力の形成の道が見えてくる。それはまた89年天安門をのりこえる道である。
世界大恐慌の深化の中で、いまや世界革命の展望が開かれていく時が来ている。中国スターリン主義足下の労働者階級がこの世界革命の巨浪と連鎖して立ちあがることは歴史の必然である。国際労働者階級の闘いの、民族と国境をぶち破る国際的団結の中で、帝国主義とスターリン主義を打倒する世界革命の闘いを画然と発展させよう。3・20闘争に総決起しよう。
(賀山宏)
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週刊『前進』(2478号6面4)(2011/03/07 )
2月22日〜28日
米韓&米日の合同演習開始/北朝鮮で住民が軍と衝突
●政府が特例公債法案の年度内成立を断念 菅政権は予算関連法案の中核である特例公債法案の年度内成立を断念した。赤字国債発行に必要な同法案が不成立となれば歳入の4割以上が不足し予算執行ができなくなる。(22日)
●中国が北朝鮮と中東情勢波及阻止で協議 中国公安相が2月13日から北朝鮮を訪問し、中東で広がる独裁政権崩壊の波が北朝鮮に及ぶことを防ぐための方策を協議したと、韓国紙・中央日報が伝えた。(23日)
●オバマが大統領経済報告 オバマ米大統領が2011年版の大統領経済報告を発表。「TPPを通じ、アジア諸国の貿易障壁削減と市場開放を目指すことをこれまで以上に重要視する」と明記。アジアへの輸出拡大を米通商政策の柱とすると表明した。(23日)
●北朝鮮で住民が軍と衝突 北朝鮮の新義州で18日頃、住民数百人が警官の暴行に抗議するデモを展開し、鎮圧に出動した軍と衝突したと、韓国紙が報じた。14日も複数の地方都市で電力供給や食料を求める住民の抗議行動が発生し、金正日総書記の指示で「暴動を鎮圧するための特殊部隊」が新設されたと伝えられている。(24日)
●IEAが原油高に警告 IEA(国際エネルギー機関)事務局長が、現在の原油高騰が続けば第1次石油危機時のような多大な影響を世界経済に与えると警告した。(25日)
●米がリビア制裁発動 米がリビアへの金融制裁を単独で発動した。カーニー大統領報道官は米の軍事力行使の可能性について「あらゆる選択肢を排除しない」と語った(25日)。国連安保理もリビア制裁決議を全会一致で採択した。(26日)
●中国でデモ封じ込めに厳戒 中国政府は全国の主要27都市を厳戒態勢に起き、「中国ジャスミン革命」の呼びかけを封じ込めた。(27日)
●米韓合同演習始まる 米韓両軍は、北朝鮮の体制崩壊を想定した有事の増援演習「キー・リゾルブ」と野外機動訓練「フォール・イーグル」の、二つの合同演習を韓国全域で開始した。「キー・リゾルブ」は3月10日まで、「フォール・イーグル」は4月30日まで続く。北朝鮮は軍事対応措置をとると警告した。(28日)
●日米が初のMD迎撃訓練開始 海上自衛隊と米海軍が、北朝鮮の弾道ミサイル(MD)迎撃を想定した初めての特別訓練を開始した。米本土の北米航空宇宙防衛司令部と東京の航空自衛隊航空総隊も参加、3月3日まで米海軍横須賀基地で実施する。(28日)
●米が韓国への核再配備に言及 米政府高官が「韓国側から戦術核の再配備が公式に要求されれば応じる」と述べたと、韓国紙が報じた。(28日)
●米軍がリビア周辺に移動開始 米国防総省のラパン副報道官が「想定されるあらゆる選択肢に対応できるよう」米軍をリビア周辺に移動していると述べた。(28日)
●高江ヘリパッド建設を推進 沖縄の仲井真知事が県議会で、東村高江の米海兵隊ヘリパッド建設工事を推進すると明言した。(28日)
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週刊『前進』(2478号7面1)(2011/03/07 )
東京各地で春闘集会 「職場をタハリール広場に」
2月下旬、東京各地で11春闘集会が開かれた。エジプト革命と動労千葉の1〜2月の闘いを引き継ぎ、国鉄闘争全国運動を職場から豊かに発展させるものとして闘われた。各地区から寄せられた報告を掲載します。(編集局)
西部 “全反動にかちぬく” 杉並区議選へ総決起誓う
2月26日荻窪で、80人の参加で春闘集会が行われた。東京西部ユニオン青年部が準備、司会や基調、まとめをすべて担う溌剌(はつらつ)とした集会だった。
冒頭の動労千葉スト報告DVDの上映に続く基調報告は圧巻だった。「エジプト革命と動労千葉の青年労働者のストライキに続き、国鉄闘争全国運動で労働組合をよみがえらせ、保育の民営化阻止、戦争と大失業の菅政権打倒・統一地方選勝利へ」を柱に、激しい世界革命情勢を自らに引き寄せる提起だ。
国鉄闘争全国運動の呼びかけ人である花輪不二男さん(世田谷地区労顧問)が、「労働組合らしい基調に感心しました。国鉄闘争30年の一つひとつに絶対譲れない労働者の魂がある。昨年の和解で終わらせてはならない」と、労働者の悔しさ、不屈さを忘れずに闘おうと提起した。
保育民営化反対署名実、動労千葉を支援する会・東京西部の報告の後、北島邦彦杉並区議が4月統一地方選必勝へ向けた並々ならぬ決意を表明した。街頭・職場で労働者はエジプトに続こう、菅は倒せると高揚している中、議会内外の全政党が「朝鮮で戦争なんかない」「日本はエジプトと違う」と労働者の決起を必死で抑え込もうとしている。「3〜4月の区議選過程は菅政権打倒とともにこうした全反動にかちぬく闘いだ。米日帝の朝鮮侵略戦争と公務員首切り・労組破壊の民営化・非正規化をぶっ飛ばそう」と訴えた。
集会は激突している現場闘争の報告をはじめ官民の労働者や諸団体、十数人がリレートーク。会場は拍手や激励で沸き立った。青年部のまとめに再度奮い立った。
集会に先立つ街頭宣伝では多くの青年と交歓した。
(東京西部Y・S)
(写真 北嶋邦彦区議が統一地方選挙必勝へ決意表明。西武ユニオン青年部を先頭に決起を誓う【2月26日 荻窪】)
東部 新小岩支部とともに 怒れる労働者相次ぎ合流
2・20新小岩貨物基地廃止阻止闘争の高揚を引き継ぎ、25日東部春闘集会が55人の結集でかちとられました(写真上)。
集会には、当日連絡してきた、卑劣な雇い止めに直面している郵政職場の非正規労働者や、雇い止めの危機にさらされている公務職場の非正規労働者、民間で長年労働組合を地道に組織して闘ってきた労働者など、新たな合流が相次ぎました。
冒頭、エジプトや動労千葉の闘いのビデオが上映され、その臨場感に興奮が高まります。そして動労千葉の佐藤正和新小岩支部長が登壇し2・20闘争の感動を語り、闘い抜いて団結を守ると決意表明しました。
国鉄闘争全国運動の活動者交流会の報告に続いて、全国運動東部の会が基調を報告。この間の東部の会の闘いと2・20闘争を闘った自信から「東部の会が飛躍すれば全国運動は発展する」ときっぱりと提起しました。
解雇撤回を闘うJRの外注先の労働者、東交の青年労働者、合同労組の仲間、金属労働者、公務職場の非正規労働者と区職労働者、学校現場の労働者、郵政職場の非正規労働者の怒りの発言が続きました。さらに3・5国際婦人デー集会の訴えと2人の青年から3・20渋谷反戦デモなどのアピールが行われました。
まとめに立った仲間はなぜいま国鉄闘争かと問いかけ、「4・9政治和解と対決し、動労千葉のように自分の職場で闘おう。国鉄全国運動をタハリール広場に」と感動的に訴えました。
今回の集会の特徴は、怒れる労働者が新たに結集したことと青年が中心を担ったことです。青年を先頭にエジプトの闘いを地域から実現しよう。
(東京東部・T)
南部 JR体制の支配覆す 職場まきこみ対当局闘争
26日、大井町きゅりあんで南部春闘集会が開催され、60人の結集で大成功した(写真下)。
なんぶユニオン・ワークフロンティア分会の青年の司会で開会した。
今集会のメインは、新宿駅で闘う国労共闘の仲間からの発言だった。JR体制の厳しい支配のなかで、4・9政治和解の大反動と新賃金制度の分断攻撃、外注化・非正規化の矛盾が吹き荒れている。これとどう対決するのか。「ホームにおける長時間の立ち番が安全無視である」という職場の矛盾を武器に転化し、分会・班で徹底議論し、またJR東労組の青年たちをもまきこんで、対当局闘争を組織していった。繰り返し行動することでわずかでも当局からの譲歩をかちとったとき、それが現場労働者の職場支配にとって大きな前進になったという職場闘争の教訓が語られた。参加者は国鉄全国運動の展望を実感し、初参加の青年が「次の国鉄集会に行きます」と感想を述べた。
JAL子会社・日東航空整備で闘うなんぶユニオンの仲間の発言も衝撃であった。JALの方針というだけで、経営状態は悪くないのに会社清算、140人の労働者全員解雇が通告された。しかし追及を重ねると、実は会社清算は決定ではなく極めてあいまいで、存続する方向さえ議論されていることも分かった。求められているのは闘う労働組合である。その先頭になんぶユニオンとして闘い、仲間を組織していく決意が語られた。
さらに動労千葉を支援する会・東京南部、なんぶユニオンの青年、自治体職場の労働者、部落解放同盟全国連・品川支部などの闘いが次々報告さた。青年同士の一体感もかちとられ、画期的な成功となった。(南部労組交流センター・A)
北部 精研労組がスト突入 全国運動で地区労復権へ
2月26日、「労働者の団結で職場に革命を起こそう! 東京北部春闘集会」が開かれました。
東京武蔵野病院精研労組はこの日朝から執行部を先頭に春闘ストライキに突入しました。昼休みに経営陣を追及する病院内デモと集会、申し入れ行動を貫徹。これと一体になって北部地区の労働者が病院を包囲! 青ざめ、申入書の受け取りすら拒否する経営陣を圧倒し、院内外がまさに「タハリール広場」と化しました(写真上)。
昼休み2回の行動と集会に参加した人数は100人にのぼります。若い看護師さんなどがたくさん駆けつけました!
屋内の春闘集会では、精研労組青年部長が「4・9政治和解と対決し、あらゆる職場でエジプトのように賃下げ・合理化と闘おう。これが国鉄闘争全国運動だ。闘う労組青年部をよみがえらせよう」と感動的に基調を提起。動労千葉争議団の中村仁さんと全国運動呼びかけ人の伊藤晃さんが「個別にかかった攻撃は全体の問題。団結して資本と闘うのが労働者の道だ」(中村さん)、「『和解思想』と対決し、新自由主義と対抗する陣形を創り出そう」(伊藤さん)と全国運動の意義を熱く訴えました。
これを受け、一陽会労組や東京北部ユニオンの各分会、郵政などから、職場での資本との激しい攻防が語られ、全体が一つになりました。とりわけ、国鉄方式のいったん全員解雇攻撃と闘う福祉現場の分会の闘いが、地域の労組に圧倒的な共感を生み、新たな分会立ち上げをもつくりだしたことが報告されました。
北部地区の労働者は、拠点労組を軸に地区労・地区ソビエト的前進をつくりだしていることに圧倒的確信を持ち、11春闘を通して青年労働者の獲得戦に猛然と入ろうと決意しています。
(北部労組交流センター・K)
三多摩 職場から決起始まる 階級的労働運動の前進へ
三多摩労働者集会が27日、八王子で開催された。参加者の実践方針と路線が鮮明となる画期的集会となった(写真下)。
「地域の団結をつくろう」との主催者あいさつの後、百万人署名運動三多摩連絡会・前事務局長の西山勲さんが連帯のあいさつを行い、「昔から親交があったが、今の菅首相ほど情けないやつはいない。権力に固執している」と民主党政権を痛烈に批判した。動労千葉を支援する会・三多摩の事務局長は「国鉄闘争全国運動は救済運動でなく、階級的労働運動をつくるためにある」と会員の組織化を訴えた。
職場からの発言では、金属の青年労働者が資本の攻撃と対決し抜いている実践に立って「春闘をストで闘おう」と力強く発言した。合同労組八王子の委員長は解雇撤回闘争の現状や倒産解雇攻撃の実態を報告した。医療労働者は医労連と対決し職場の労働者と労働組合をよみがえらせる論議が始まったと語った。福祉の青年労働者は国の処遇改善交付金を労働者に還元せず使途不明になっている実態を暴露。公共施設の労働者は、政府予算の不成立での財源不足を理由に当局が雇い止めを通告していることに怒りを燃やし、「労働者の誇りを捨てない。仲間のために闘う。最後まであきらめない」と宣言した。
基調報告を民間女性労働者が行い、「4月1日を国鉄労働者の第3の首切りの日にするな。大恐慌と戦争の時代に入った。職場の闘いと労働組合が重要だ。職場をタハリール広場にしよう」と提起した。
基調報告を受けて、国鉄労働者が国鉄全国運動を熱烈にアピールし、青年労働者が青年集会への結集を呼びかけた。
(民間労働者・T)
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週刊『前進』(2478号7面2)(2011/03/07 )
「子ども子育て新システム」絶対反対を
自治労本部・自治労連本部との党派闘争貫き組合権力奪取へ
革共同自治体労働者委員会
エジプト革命に続こう。国鉄闘争全国運動を基軸に階級的労働運動を発展させ、世界大恐慌を世界革命に転化しよう。それは絶対にできる。エジプト革命はアメリカ帝国主義を盟主とする戦後世界体制の崩壊に直結している。労働者は日々革命に目覚め、闘いを求めて動き出している。昨日まで10年、20年かかったことが1週間で起こる。2011年前半、菅民主党・連合政権を打倒し、日帝打倒―プロレタリア世界革命をたぐり寄せるために自治体労働者は総決起しよう。
国鉄決戦を基軸に闘いエジプト革命に続こう
エジプトの労働者と日本の労働者が直面する課題は同じだ。体制内野党や御用組合=体制内労働運動幹部を打倒し、職場に細胞をつくり、闘う労働組合をよみがえらせなければ、労働者階級は革命の主導権を握ることはできない。こうした党派闘争に勝ち抜くことで初めて労働者の根底的決起を引き出して革命に勝利する道が開かれる。
日帝支配階級の危機はエジプト以上だ。菅民主党・連合政権は日本経団連に支えられて「税と社会保障の一体改革案」や「TPP(環太平洋パートナーシップ協定)参加決定」の期限を6月に定めたが、今にも崩壊しかねない状態だ。大恐慌下の国家財政破綻という資本主義の最末期症状をどうすることもできない。
菅民主党政権の延命策はどんなに破綻的であろうと新自由主義攻撃しかない。経済同友会が1月1日に「道州制導入」を再度提言したことを受け、道州制=公務員制度改革=国鉄型解雇攻撃、労組解体攻撃の貫徹に全力を挙げている。
民主党・連合政権は昨年、国鉄闘争の息の根を止めるために「4・9政治和解」の大反革命に打って出た。この「4・9反革命」との攻防はJRの外注化攻撃との攻防として、国労本部が4月1日をもって闘争団員の組合員権を剥奪(はくだつ)し7月大会で連合への合流を決める動きとの攻防として、今日ますます白熱的に激化している。この大反革命に対して動労千葉の呼びかけで昨年6月13日に国鉄全国運動が始まったことは決定的だ。
国鉄全国運動の前進のなかで労働者は、菅民主党政権の「子ども・子育て新システム」、公務員制度改革による公務員360万人首切り攻撃に反対して必ず決起する。国鉄闘争(動労千葉と国鉄1047名解雇撤回闘争)をつぶせなかったことは敵の最大の破綻点なのだ。国鉄全国運動は全国・全世界の労働者の結集軸となり得る。この立場に立って「新システム」絶対反対の闘いに総決起しよう。
団結破壊・組合つぶしが新システムの一切だ
「子ども・子育て新システム」は菅民主党政権の公務員制度改革、新成長戦略の目玉である。社会保険庁に続く国鉄型のいったん全員解雇・選別再雇用、非正規職化を狙っている。現場で合理化反対、民営化反対を貫き闘ってきた保育労働者をここで一気に解雇し、非正規職化し、労働組合をつぶそうとしている。
それは1月24日に菅政権の子ども・子育て新システム検討会議ワーキングチームが出した政府案ではっきり示された。政府案は「セレブな幼稚園OK」「劣悪な保育所OK」とする一方で、他の幼保施設はすべてつぶして幼稚園と保育所の機能を併せ持つ「こども園」にするというものだ。
民主党政権は幼稚園、保育所の反対を調整して「新システム」をまとめようとは初めから考えていなかったのだ。公立保育所全廃による保育労働者の全員解雇・非正規職化、団結破壊、労組解体が唯一の目的なのだ。
自治労本部こそ最大の推進勢力
連合・自治労本部は民主党政権と一体となり、「新システム」攻撃を貫徹することで権力党派として生き残ることにすべてをかけている。
自治労本部は「幼保一体化」を錦の御旗にし、「民主党政権になったから長年の幼保一元化の要求が実現した」と思わせ、現場労働者を「新システム」推進勢力に駆り立てようとしてきた。しかし昨年の全国保育労働者集会(和歌山)で全国の現場労働者から怒りや疑問の声が噴出し、そのたくらみは頓挫した。そこで「新システム」導入によって起こる民営化、非正規職化、首切りの問題に一切触れず、沈黙を守っている。無内容な集会をアリバイ的に大阪、奈良などでやったのみで逃げ回っている。
自治労本部は民主党政権にぶら下がる以外に生き残る道はない。彼らは今まで主張してきた「幼保一体化」の破産には一切触れず、「チルドレンファースト」「ナショナルミニマム」などの言葉をもてあそぶ。「新システム」導入で保育の対象からはじきとばされるであろう金もうけの対象外である貧困家庭の子どもや、人的手立てが必要となる障害児を含む要支援児童への保育所措置の保障を要求するかのようなポーズをとりながら、「新システム」導入による公立保育所・幼稚園全面廃止―保育労働者全員解雇・非正規職化攻撃を推進する裏切りの先兵と化している。
日共・全労連・自治労連は最悪
日本共産党、全労連、自治労連、全保連(全国保育団体連絡会)は「新システム反対」のポーズをとっているが、現場労働者の決起を抑え込む最悪の反革命だ。
日共・全労連・自治労連は今日の革命情勢の中で革命の絞殺者としての本性を一層あらわにしてくる。そのことをはっきり見据えなくてはならない。彼らは「新システム反対」のポーズをとって労働者を取り込む一方、資本・当局と本当に闘おうとする労働者を反革命的に抑え込む。そのためだったらウソもつくし、今まで言わなかった「首切り問題」にも言及する。そして本当に労働者が決起し仲間を組織しようとすると、それをあらゆる手を使ってつぶしにかかる。彼らは党派闘争を構えているのだ。
現にわれわれがビラまきや個別オルグなどを始めると、自治労連執行部や全保連幹部は必死で自分たちの組織を縛り、われわれの活動を暴力的に妨害してくる。はじめはわれわれのビラを受け取り、笑顔で話していた自治労連組合員が次にはわれわれを避け、職場の管理職が表に立ってビラまきを妨害してくる。
しかしこれは、労働者の前にわれわれと彼らとの違いをはっきりさせ、選択を迫る意味でとても良いことである。彼らの裏切りは、われわれが闘い始めるなかで現場労働者の前にますます明らかになる。現場労働者はどちらの主張と闘いが本物なのかをしっかり見きわめようとしている。現場に分岐を持ち込み、現場を絶対反対派の側に獲得することが今最も必要なことだ。
職場に絶対反対の闘う団結をつくることが鍵
「新システム」の最大の狙いは保育現場の団結破壊だ。逆に現場の団結をどうつくるかが勝敗を決める。つまり職場闘争が一切なのである。
職場での当局や体制内労働運動幹部とのどんなささいな対立、衝突の中にも「新システム」攻撃、すなわち国鉄型解雇攻撃との激突がはらまれている。
大阪市当局の1万人削減攻撃が「不祥事根絶プログラム」との攻防として始まったのは、その典型的な例だ。敵の攻撃を路線的にとらえて闘えば必ず国鉄全国運動に結びつく。
道州制導入=公務員全員首切り攻撃が国鉄型=社保庁型解雇攻撃として始まっている。国鉄分割・民営化過程で行われた「首切り3本柱(転籍・希望退職・出向)」攻撃、処分歴や苦情、人事評価による首切りリスト作成などの攻撃に対して「絶対反対」を貫いて闘い、路線のもとに強固な団結をつくろう。それが動労千葉がつくり出してきた階級的労働運動であり、反合理化・運転保安闘争である。
「新システム」を国鉄型解雇攻撃としてとらえるのは、豊中市立保育所で働く深町加代子さんに対する保育事故処分撤回闘争を階級的労働運動の推進、反合理化・運転保安闘争路線の実践として闘いぬいてきたことに基づいている。
現場で起こるすべての問題を当局の責任であると言い切れるかどうかが試金石である。そのために労働組合が闘う方針を出すかどうかを巡って現場で体制内労組執行部とがんがんやり合おう。労働者と資本・国家(自治体当局)とは絶対非和解であることをはっきりさせ、職場実力闘争―ストライキで闘うことを提起することが重要だ。
日共・全労連・自治労連との決定的違いはここにある。ストライキで闘う労働組合をよみがえらせることがわれわれの路線だ。労働者は必ずこの路線のもとに決起する。労働者は資本・当局と実力で闘わなければ生きることができないからだ。それを言い切り実行することが攻防の鍵である。
階級的労働運動の立場から保護者の獲得を
保育所を巡る攻防においては、子どもを預ける保護者をどう組織するかという問題が一方である。保護者を利用者という存在としてではなく、「労働者階級」として獲得し組織することが肝要である。
ところが日共・全労連・自治労連は保護者を「市民」として位置づける。そして保育公務員労働者を保育サービスを市民に提供し(「保育の質を守れ」「よりよい保育を」)、市民のさまざまなニーズ(「待機児童解消」「延長保育・一時保育・病児保育」)に応える「全体の奉仕者」と規定する。両者から労働者性を抜き去り、保護者の要求と保育労働者の権利を対立させるのだ。
全労連・自治労連幹部は「市民との幅広い協同、大同団結」を掲げ、「公務員バッシングのさなかに『公務員の首を守れ』では誰も支持しない」と言う。保育労働者の解雇問題を絶対出させない。「よりよい保育」「公的保育」を守るために疲れた体にむち打って働くことを労働者に要求する。
しかし保護者は子どもを持つ若年の労働者であり、民営化・非正規職化の矢面に立たされ、社会の矛盾を集中的に受けている。だから民営化・非正規職化反対で保育労働者と団結することができる。そうした団結をつくれば保育所は必ず労働者の地域拠点となる。
職場とつながっているエジプト
職場とエジプト革命は直結している。大胆に『前進』を持ち込み、革命を訴えよう。もはやだれも労働者の怒りの決起を抑え込むことはできない。「4・1」をめぐる国鉄決戦に絶対勝利しよう。労働者階級全体の利害を貫く職場闘争、職場支配権―組合権力奪取の闘い、自治労本部打倒・自治労連本部打倒の党派闘争をやりぬこう。国鉄全国運動を爆発させ、日本と世界の労働運動の主流派に躍り出よう。
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週刊『前進』(2478号8面1)(2011/03/07 )
“闘う三里塚に正義あり”
3・27三里塚全国集会へ
反対同盟が大結集呼びかけ(上)
3・27三里塚全国総決起集会へ、三里塚反対同盟から熱烈なアピールが寄せられた。成田空港会社(NAA)の農地取り上げ攻撃=第3誘導路の粉砕へ、全国から大結集しよう。(編集局)
青年の未来守るため 事務局長 北原鉱治さん
1978年、当時の自民党福田内閣は遅れに遅れた成田空港の開港を「いかなる犠牲をはらっても強行する」として、3・30開港を宣言していた。農民から農地を奪って造られてきた空港の開港など絶対に認めるわけにはいかないと、全国から1万人を超える心ある人びとが3・26集会に大結集した。国家権力は人民の実力闘争を力ずくで抑え込もうと、全国から警察機動隊を三里塚に大量動員して警備にあたらせた。
当時成田市議会議員だった私は、3月24日に市議会の定例会を終え、その日の夜に横堀要塞(ようさい)に入った。要塞決戦を闘う52人がすでに集結しており、いかなる攻撃があろうともこのとりでを守り抜くことを誓い合い、配置についた。
われわれは機動隊のガス銃乱射や放水などに対し激しい実力攻防を展開しながら、警察の主力を横堀要塞に張り付けた。その一方、別の部隊が排水管を伝って開港前の空港管制塔を奇襲しこれを徹底的に破壊した。この作戦は見事に成功し、3・30開港を完全に実力で粉砕した。全国の労農学人民は勝利の快哉(かいさい)を叫んだ。
国家暴力をもって農地を強奪し、人民の闘いを弾圧する者には一分の正義もないのだ。
それから33年の歳月がたった。今三里塚現地においてはいかなることが起きているのか。
NAAは、祖父の代から受け継いできた市東孝雄さんの宅地、耕作地を第3誘導路によって空港内に囲い込んでしまおうとしている。これが人間のやることか!
国家権力の本質は何一つ変わっていない。闘う側にこそ圧倒的正義がある。
今や国境をめぐる国家間のあつれきが高まり、朝鮮半島における衝突によって戦争の危機が現実のものとなる中で、三里塚闘争が一貫して軍事空港反対を掲げて闘ってきたことの正しさは一層明らかになった。
学生諸君は自らの手に大学キャンパスを取り戻すために闘っている。反対同盟は当初から全学連とともに闘ってきた。一途な正義感、果敢な行動力に加え、最近の学生諸君は思慮深さも備え、その成長ぶりに目を見張っている。われわれ年輩者は、青年の未来を奪う戦争を阻止するために立ち上がる責任を負っている。
三里塚45年の闘いは正義であり、自ら歩んできた道は間違っていなかったと確信する。だがさらに広範な人民が共感し結集するために今何が必要か、足りないものはなかったか、その反省を常に持ちつつ進まなければならない。
現在アフリカ、中東を始め全世界で連続的に起きている決起に連帯する道は、この三里塚で実際に勝利すること、これに尽きる。目前に迫った3・27全国集会は、日本の未来を決する気概をもって一人ひとりが立ち上がる場だ。全力でここに結集し、ともに闘いましょう。
勝利の手応え感じる 天神峰 市東孝雄さん
2月14日、NAAは切り回し道路への切り替えを強行しましたが、ぶざまとしか言いようがないやり方でした。
反対同盟は1月9日の団結旗開きで道路切り替えとの決戦を宣言しました。切り替えによって旧小見川県道が封鎖されると、現闘本部となりの私の畑に行くのにさらに不便を強いられるので、これを許さないという決意を本当にここで示すことが重要でした。
工事そのものはまったくずさんなもので、1月下旬には一度舗装したアスファルトをはがしてやり直したりしている。どうやら検査で欠陥が見つかったようです。
2月4日は現闘本部裁判控訴審の日でしたが、反対同盟が東京に行っている時を狙って切り替えることもあり得ると、現地での緊急闘争を支援の人たちとともに闘いました。あの時のデモにあらわれた反対同盟の決意が、さらに向こうを追いつめたと思います。
反対同盟は決戦態勢をとって1月中の切り替えを完全に粉砕し、2月の中旬まで阻止したことで、勝利の手応えを感じています。
第3誘導路の計画は誰がどう考えてもめちゃくちゃなものですよ。こんな場所に道路を2本もまたいで、変電所を移設して、地形を大幅に破壊し、200億円も投じて3本目の誘導路を造るなんて常識ではあり得ない。東峰の森を破壊して造った東側誘導路は、今や使いもせず野ざらしじゃないですか。
第3誘導路で私の家と畑を空港の内側に囲い込んで、その圧力で私を追い出そうという攻撃ですが、こんなものには全然負ける気がしません。
この間全学連の学生さんが現地行動や援農でがんばってくれました。若い人たちがいるだけで、雰囲気が変わりますね。全員が農作業の即戦力になったとまでは言えないが、みな一生懸命やってくれた。農業の大事さを分かってくれたらうれしいし、これからも何度も三里塚に来て、経験を積み重ねてほしい。
TPPで農業がつぶされようとしていることが社会的に大問題になっていますが、農業・農民だけじゃない。労働者をはじめ全員にかけられた攻撃だと思います。
私の農地にかかわる裁判では今、NAAの破綻がどんどん引きずり出されています。NAAはうちが一度も耕したことのない土地を賃借地だと言い張ってきた。土地を明け渡せと言いながらその土地の特定が間違っているのでは話にならない。さらに違法脱法行為や強引に言い張ってきたウソが法廷で次々暴かれ、NAAの代理人は立ち往生しています。
そして成田空港自体も羽田との競争に負けながら、どんどん地盤沈下しています。年間離発着30万回化を叫んでも、航空需要が減ってはどうにもならない。反対同盟が闘ってきた45年の歴史の重みを感じます。そしてこんな破綻した空港をもっともっと追いつめてやろうと反対同盟は意気込んでいます。
全国のみなさんが現地に大結集することが大きな力になります。3・27全国集会の成功をともにかちとりましょう。
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週刊『前進』(2478号8面2)(2011/03/07 )
団結街道裁判 廃止処分取り消せ
「市と空港の共生」を弾劾
3月1日、千葉地裁民事3部(多見谷寿郎裁判長)で団結街道裁判の第2回弁論が開かれた。市東孝雄さんをはじめ三里塚芝山連合空港反対同盟17人が原告となり、団結街道(市道)の廃止処分の取り消しと、団結街道を封鎖している障害物の撤去を成田市とNAAに求める訴訟だ。反対同盟とともに闘う労働者、農民、学生、市民が駆けつけ、傍聴席を埋めた。
被告の成田市とNAAの主張は反動的で恥知らずの極致だ。
「市長と空港公団(NAAの前身)との協定で40年前から道路廃止を決めていた。誘導路を整備しないと空港の運営に支障をきたす。成田市は空港と共生していく。市東さんがこうむったのはせいぜい反射的利益の侵害だ。反対同盟全員に原告適格がない」
「反射的利益の侵害」とは「行政のはからいで受けていたメリットがなくなっただけ」というような意味だ。一字一句たりとも認められぬ極悪の居直り強盗の論理だ。
自分の家と畑との間を直線で結んでいた団結街道を封鎖されたことで、市東さんが日々の農作業にどれだけ過大な負担を強いられていることか! まさに生活破壊、営農妨害だ。反対同盟に対しては、現闘本部への経路を奪い袋地とする攻撃だ。それを重々自覚してやったのだ。その市東さんに面と向かって「原告適格がない」と決めつけ、空港の犠牲になれ、土地を明け渡して出て行け、と迫るNAAと成田市は絶対に許せない。
反対同盟顧問弁護団は「路線廃止の根拠は何か」「両者はいつどこで廃止を協議したのか」「成田市はいつどこで”空港と共生する”と決定したのか」などの質問を突きつけたが、総勢10人ものNAAと市の代理人はその場で回答することを一切拒否し「書面で出す」と繰り返した。
次回期日は4月19日。反対同盟と弁護団は追及の手を緩めず闘う。
反対同盟が会見
弁護士会館で記者会見が行われた。北原鉱治事務局長が「市東さんの畑を取り囲んでいる鉄板は、戦争時代の捕虜収容所よりもひどい。市東さんの3代続いた耕地と住宅を第3誘導路建設で空港の中に囲い込もうとしている。闘いにこそ正義がある。現地闘争に勝利しよう」と訴えた。
続いて弁護団の葉山岳夫弁護士が「”空港と成田市の共生”とは、空港からの二十数億円の固定資産税を市がもらって市民・住民を圧迫するという関係だ」と断罪し、裁判闘争と現地闘争を一体のものとして闘う姿勢を一層明らかにした。さらに次々と弁護団が立ち、この日の弁論の解説と闘いの決意を熱く語った。
この中で、2・4現闘本部控訴審で東京高裁の井上繁規裁判長が、弁護団の忌避申し立てを調書に一切記載せず、逆に、自分が「次回判決は5月20日」との期日指定を行った、と調書にウソを書かせていることが怒りをもって報告された。
締めくくりに司会の鈴木謙太郎さんが「3月に入ったが、引き続き裁判と現地闘争の日程が続く。気を引き締め全力で闘おう。3・27三里塚全国集会に大結集を!」と呼びかけ、全員が大きな拍手で応えた。
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三里塚裁判傍聴を!
◎鈴木さん一坪裁判
3月10日(木)午前10時30分 千葉地裁
※傍聴券抽選のため開廷1時間前に集合を
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週刊『前進』(2478号8面3)(2011/03/07 )
法大4・27−5・28「暴行」デッチあげ
高裁の逆転有罪判決弾劾
“ふざけるな!”と怒り爆発
「ふざけるな!」。怒りの声が次々に発せられ、法廷にこだました。
2月28日、東京高裁第9刑事部で開かれた法大4・27―5・28「暴行」デッチあげ弾圧控訴審の判決公判で裁判長・小倉正三は、新井拓君に懲役1年2月、執行猶予4年(一審懲役3月)、中島宏明君に懲役8月、執行猶予3年(一審無罪)の逆転有罪判決を言い放ったのだ。
一審判決の転覆を自らの使命として自覚し、第1回公判から両君と法大闘争への憎悪をむき出しにしてきた小倉は、地裁判決が正木敦行や星景ら暴力ガードマンの証言やビデオカメラ映像の信用性を否定したこと、「法大当局の施設管理権は万能ではない」としたことなど、すべてをひっくり返して逆転有罪判決を出した。
判決を貫く論理は、法大当局に対する学生の怒り、抗議の一切は「大学当局の立場とは相いれない独自の主義主張」=「不穏な意図」(判決文)であり、違法行為だ、というものである。”大学当局に抗議してデモ、ビラまき、集会をくりかえす者ならば、暴行する十分な動機があるはずなのであり、細かな論証など必要ない”というのである。
もはや「裁判」の形式的体裁を取り繕うことすら放棄して、ブルジョアジーの危機感を絶叫しているのだ。断じて許せない。
しかし、この権力者どもの悲鳴は現実の闘いによって、とうに粉砕されている。デモをしたら逮捕・投獄という弾圧を打ち破ったエジプト革命によって、そして何より5年におよぶ法大の闘いによって。
公判終了後、両君は、「一審無罪判決は09年秋、自民党政権が打倒された直後のもの。その後の民主党・連合政権の登場と国鉄1047名解雇撤回闘争をめぐる4・9政治和解攻撃、さらに11・23朝鮮侵略戦争突入情勢という階級情勢の大激動の中で、高裁はブルジョアジーの反動的意思をむき出しにしてきた。青年労働者・学生の怒りはリビア、エジプトの闘いと一つ」(新井君)、「法大生をはじめとする青年・学生と法大当局、国家権力はどこまでも非和解であることがあらためてはっきりした。法大闘争は06年3・14弾圧以来、08年5・28〜29弾圧での38人逮捕、09年暴処法弾圧など、激しい弾圧を打ち破って新たな仲間を獲得してきた歴史。断固この道を進もう」(中島君)と、反動判決を徹底弾劾した。
傍聴した学生は「あんないい加減な事実認定で有罪判決を下すなんて許せない」(法大1年生)「法大闘争への階級的憎悪そのもの。キャンパスを戦場にして闘う。倉岡処分を粉砕して、3・20渋谷反戦デモを大爆発させることがわれわれの回答だ」(法大退学処分者・内海佑一君)と、怒りと決意を語った。
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週刊『前進』(2478号8面4)(2011/03/07 )
“介護保険廃止を”
杉並住民の会など5団体が 厚労省行動
2月23日、杉並住民の会、神奈川県民の会、関東障害者解放委員会、労組交流センター医療・福祉部会、都政を革新する会の5団体、約30人で厚労省への要請行動が行われました。
菅政権は「税と社会保障の一体改革」と称して実は社会保障の解体と消費大増税をたくらみ、来年度の介護保険制度の改悪や介護・医療におけるさらに徹底した民営化、非正規職化で成長産業化を図ろうとしています。また障害者自立支援法のもとで障害者作業所への補助金打ち切りなどを強行しようとしています。
交渉では、最初から「介護保険制度は廃止しかない」「元に戻せ」と参加者の怒りの声が噴出しました。「審議会で検討して……」とごまかそうとする厚労省の担当者に対して「審議会などまやかしだ」と、さらに怒りの声が飛びました。
「ワタミなどが大きな利益をあげている。その裏で労働者は食っていけない低賃金、強労働、非正規職化でどんどん辞めている。高齢者は介護事故で殺されている。自分はそのようなところで働いてきた。介護労働者の処遇改善交付金など、資本家の懐に入るだけだ」「自立支援法にかわる法律ができるまで、というが今すぐ廃止すべきだ。民主党の公約ではないか。自立支援法が無くたって障害者や労働者は十分やっていけるんだ」
労働者や障害者、高齢者の団結こそ菅政権の社会保障解体攻撃を打ち破る力だという確信をもとに、1時間あまりの要請行動を闘いました。
厚労省前街宣では、厚労省の労働者に菅政権打倒をともに闘おうと訴え、30分で500枚のビラが受け取られました。「高齢者・障害者そして福祉労働者はこのままでは生きていけない。厚生労働省の労働者のみなさん、みなさんの仲間の社保庁の労働者が首を切られた。次はあなたたちが解雇の対象になる。同じ労働者として一緒に闘おう!」とマイクで訴えました。また、ちょうど裁判闘争を闘う動労千葉と支援する会の霞が関デモが通りかかり、エールを交換することができました。
街宣後、動労千葉の鉄建公団訴訟の傍聴にも参加し、団結を固めました。国鉄闘争全国運動を軸にあらゆる階層の階級的団結をつくり、菅政権を倒そう!
(投稿/杉並住民の会・H)
(写真 要請行動後、厚生労働省前で街頭宣伝を行い「菅政権を倒そう」とシュプレヒコール【2月23日 霞が関】)
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週刊『前進』(2478号8面5)(2011/03/07 )
団結ひろば 投稿コーナー
“カダフィはやめろ”
リビア人が渋谷デモ 東京 栗部 純
「ストップ ジェノサイド! カダフィ アウトサイド!」の怒りのコールが渋谷の街に響いた。「カダフィやめろ!」「リビアに自由を!」「虐殺やめろ!」「カダフィに法の裁きを!」「日本政府は目を覚ませ!」――。25日も首都トリポリでは治安部隊が反政府デモ隊に発砲、7人が殺されたと報じられた。権力の座に固執し、「デモ隊は死刑。天安門のように戦車でひき殺せ」と叫ぶカダフィへの怒りが爆発した。
2月26日午後、代々木公園けやき並木には続々とリビア人留学生ら在日リビア人たちが集まった。現在リビア各地で反カダフィのシンボルとして掲げられている赤黒緑の旧国旗を掲げ、その3色を顔にペイント。日本の労働者・学生・市民とともに午後4時、渋谷デモに打って出た。在日エジプト人を始め在日・滞日外国人も駆けつけ、200人ほどがリビアで続く革命決起への熱い連帯を行動で示した。
ネットでの呼びかけを見てデモに参加した高校生たちは「日本人にリビアのことを知ってほしい。日本政府がカダフィの味方をしているのはおかしい」と、手書きのイラストを掲げた。沿道からも共感の声が上がり、デモに次々と飛び入り参加した。
渋谷駅前から宮下公園脇を進み、デモは終着の神宮通り公園へ。参加者は輪になって「きょうの闘いは始まりだ。カダフィを倒すまで、リビアで闘う同胞とともに闘おう!」と気勢を上げた。
朝鮮高校無償化要求
在日朝鮮人らが決起 東京 J・M
2月26日、東京・代々木公園野外ステージで「朝鮮学校への『無償化』即時適用を求める大集会」(「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会主催)が開かれ、在日朝鮮人高校生を先頭に約2千人が集まり、集会・デモを闘った。
集会後、代々木公園を飛び出したデモは公園通りを渋谷駅前へ。
「高校無償化をすべての学生に! 朝鮮学校を排除するな!」「わたしたちは怒ってるぞ! 排外主義に反対!」「軍事衝突を朝鮮学校差別の口実にするな!」「石原は補助金を削減するな!」。元気に叫びながら手書きのプラカードを高く掲げてアピールする高校生たち。「未来を担う私たちの学び場に境界線を引かないで」と書かれた1枚のプラカードが目に焼き付いた。
2011年2月4日、文部科学省は朝鮮学校側の異議申し立てに対し、朝鮮高級学校への「高校無償化」適用手続きを「凍結」している理由に昨年11月23日に延坪島(ヨンピョンド)で起こった南北朝鮮の軍事衝突を挙げ、「不測の事態に備え、万全の体勢を整えていく必要があることに鑑み」手続きを停止していると通知してきた。
ここには、11・23をテコに北朝鮮敵視政策を満展開し、米帝とともに朝鮮侵略戦争に踏み込もうとする菅政権の意図がむき出しに示されている。差別・排外主義をあおり、これみよがしに朝鮮学校と民族教育を弾圧する民主党・菅政権に対する在日朝鮮人の怒りは、既成の民族団体の思惑を超えて大流動化し、一気に沸騰しようとしている。
午前10時、続々結集してくる参加者に法政大学の学生を先頭に「きょう一緒にデモします! 3月20日も渋谷をデモしましょう!」と訴え、3・20デモのカラービラを配り、賛同署名を呼びかけた。待ってましたとばかりに討論の輪ができ、「世界は革命情勢ですよね」。動労千葉はストライキで外注化、非正規職化を阻止していると話すと「すごい!」「やっぱプロレタリアートですね」。怒りは一つだと確信した。
在日・滞日外国人とスクラムを組んで3・20渋谷をデモしよう!
無罪判決へ最高裁に3・8申し入れ行動を 迎賓館・横田爆取弾圧裁判被告 福嶋昌男
3月8日、「迎賓館・横田裁判の完全無罪をかちとる会」と一緒に最高裁に無罪判決を要求する申し入れを行います。
私は迎賓館・横田基地事件に一切関与していない。私は無実です。ご存じのように国家権力・裁判所は、私が両事件に関与したなどとデッチあげて、懲役12年という不当な重刑攻撃をかけている。徹底的に弾劾する。
私は証拠とされているメモを書いたこともないし、触ったこともない。だが裁判所は、メモに指紋が付いているなどとデッチあげ、筆跡も間違いないと有罪にしたのだ。
私と弁護団は、すでに昨年1月12日に上告趣意書を、9月30日に補充書を提出している。弁護側は全部で四つの筆跡鑑定書を最高裁に提出し、ここでメモの字は私のものではないことを完全に明らかにした。
指紋については上告趣意補充書で、A国立大学・B教授による「メモの指紋と私の指紋とは一致しない」という検証報告書が提出された。B教授が率いる研究グループは指紋認証の最先端分野での研究を応用して、警察の指紋鑑定結果を対象にした科学的検証を行った。その結果、見たこともないメモに私の指紋がついていたなどという指紋鑑定がまったくのデタラメであり、警察と検察によって政治的にデッチあげられたものであることが明らかになった。
警察の独壇場であった指紋鑑定の実態が、ここに初めて科学の力で暴露されたのだ。
最高裁は警察の指紋鑑定の誤りを認めろ! デッチあげ筆跡・指紋鑑定での有罪は許せない! 無実である私に対する有罪判決を破棄し、無罪判決を出せ!
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