ZENSHIN 2011/02/07(No2474 p08)
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週刊『前進』(2474号1面1)(2011/02/07 )
チュニジア蜂起・エジプト革命に連帯し 2・16国鉄解雇撤回大集会へ
「大恐慌を革命へ」の先頭で闘う動労千葉のストライキに続こう
労働組合の力で菅政権打倒を
(写真 ライフサイクル配転に怒りのスト 動労千葉は2月1〜2日、「ライフサイクル撤廃!強制配転粉砕!外注化阻止!」を掲げ組織一丸となって春闘第1波ストを貫徹した【2月1日 千葉運転区庁舎前】=記事2面)
チュニジアとエジプトでのプロレタリアートの革命的決起と階級的労働運動が、大恐慌下で今や01年9・11以来の革命的衝撃となって全世界を根底から揺り動かしている。米帝を先頭とした帝国主義の中東・世界支配は決定的に崩壊し、新自由主義の全面的破綻がもたらす世界革命情勢が、ついに現実の革命として爆発を開始した。チュニジア・エジプトの決起は、動労千葉ストを先頭とした日本の闘いと完全にひとつだ。それは革共同が新年号路線をもって実践している、「大恐慌をプロレタリア世界革命へ」の闘いそのものでもある。チュニジア蜂起・エジプト革命と連帯し、国鉄闘争全国運動と外注化阻止決戦の爆発、2・16国鉄解雇撤回大集会へと総決起しよう。闘う労働組合の団結と力で菅政権打倒へ突き進もう。
革命的決起の主力は労働者
チュニジアの青年労働者を先頭にした戦闘的労働運動の爆発と蜂起は、瞬く間に北アフリカ諸国に広がり、ついに中東、とりわけエジプトでのムバラク打倒の壮大な決起、激突として発展している。「労働運動の闘いが革命への道を切り開いた。だからこそエジプトの労働者は官製のナショナルセンターが労働者を代表することを全面的に拒否する」という、新たな労働組合のナショナルセンター「エジプト独立労働組合連盟(EFIU)」の1・30設立宣言に、エジプト革命の本質が示されている。
チュニジア・エジプト情勢の最大の核心は、労働運動が革命を切り開き、その革命の前進によって、労働者自身が労働組合をつくる権利を実力でもぎりとっていることだ。戦闘的・革命的な勢力による労働組合の組織化、体制内派からの組合権力の奪取こそ、チュニジア・エジプト革命の組織化、前進の根底にあるものだ。
このブルジョア・マスコミがひた隠しにしている労働運動の日々の苦闘と前進の中に、今日の革命情勢をたぐり寄せた最大の核心と原動力がある。それはかつての日本の戦後革命の嵐をほうふつさせる闘いである。
今日のチュニジア・エジプト情勢を根底で規定しているものこそ、世界大恐慌と、そのもとでの戦争と大失業、貧困のすさまじい進展だ。新自由主義の破綻は、世界の労働者に「闘わなければ生きられない」ギリギリの現実を強制し、それが革命的反乱と蜂起を生みだしている。
チュニジアでは失業率は公式発表の14%の2倍以上、大卒の失業率も3割を超える。成人の40人に1人は警察官、うち3分の2は私服警官という警察国家だ。エジプトでも人口のほぼ半分を占める25歳以下の若者の失業率は4割だ。これに食料価格などの高騰(インフレ)が加わる。プロレタリアとプロレタリア家族を襲う現実は、全世界の共通の姿である。
この革命的反乱は必ず全世界プロレタリアートの心をとらえ、帝国主義支配を下から突き崩し、革命と反革命の激突をも通して、プロレタリア革命の勝利として発展していかざるを得ない。チュニジア・エジプトの労働者階級と連帯し、動労千葉ストに続いて2〜3月の闘いに総決起しよう。
大失業と貧困に根底的怒り
08年9月のリーマン・ショクで本格化した世界大恐慌は、今やますます激化・発展している。今次の大恐慌が1929年大恐慌を超えるものであり、資本主義の歴史的終わりを告げるものであることはますます明らかだ。この間、基軸国・米帝を始め各国で大恐慌対策としての未曽有の財政・金融政策が次々と繰り出されてきた。だがそれは短期間の多少の浮揚と景気の波動をつくり出したが、けっして大恐慌を解決するものではなかった。
むしろ決定的なことは、大恐慌のもとでの大不況がプロレタリアートに大失業として日々襲いかかり、さらに戦争へと向かって激化していることだ。これに対するプロレタリアートの反撃が、ヨーロッパを先頭にゼネストとして爆発し、今またチュニジア・エジプトでの革命的決起を生み出しているのである。
FRB(米連邦準備制度理事会)議長のバーナンキは、「(経済の回復は)失望するほど遅い」と危機感をあらわにしている。アメリカ労働者階級は、9・4%(12月の雇用統計)を超える大失業に直面している(数字に表れない、求職・就職をあきらめた膨大な人びとがいる!)。バーナンキ自身、「労働市場の正常化にはさらに4〜5年はかかる」と言うほど危機的状況だ。
世界で階級対立は急速に激化し、階級決戦が本格化している。今や「大恐慌を世界革命へ」「闘う労働組合と党を建設し、帝国主義の侵略戦争を内乱へ」の新年号路線を、さらに実践的に深化し、階級情勢の激烈な進展に現状変革的に猛然と立ち向かう時である。
かつてレーニンは、1912年のプラハ協議会から17年のロシア革命勝利に前進する中で、「帝国主義戦争を内乱へ」を「革命の準備」の闘いとして据えきり、階級的労働運動、機関紙拡大、党建設で勝負していった。このレーニンの革命的立場と闘いは、当時のカウツキー派との激烈な党内闘争、国際的な党派闘争を通して準備され貫かれていった。
「わが党は革命的ストライキを行っている」「革命的集会と革命的デモンストレーションを行っている」。この帝国主義主義戦争と対決し、ロシア革命に勝利したレーニンの、自信と確信に満ちあふれた宣言と闘いを、国鉄全国運動と外注化阻止決戦を軸に、大恐慌下で今日的に断固実践しよう。
拠点建設と組合権力奪取へ
今年の前半決戦で、「国鉄解雇撤回・外注化絶対阻止」の地殻変動的な勝利をかちとることこそ、大恐慌下でプロレタリア権力樹立へと進撃する勝利の唯一最大の道筋だ。
この闘いは、労働組合での拠点建設と権力奪取に向けた、職場生産点での本格的挑戦である。その最大の火点こそ、国労の権力奪取をめぐる大闘争だ。このことを階級情勢の核心に据えて闘いぬいた時、この2011年を国鉄分割・民営化以来、日本の労働者階級に襲いかかった民営化と規制緩和、外注化・非正規職化、労組破壊攻撃への総反撃の年とすることができる。
しかもその最初の大攻防が、昨年4・9反革命から1周年の本年4月をめぐってすでに激烈に始まっている。それを最も端的に示すものこそ、1・29国労拡大中央委とそれに向かう過程での諸動向だ。
昨年11月27〜28日に開催された国労の東北3地本会議で、高橋伸二委員長は、「国労は全労協に所属しているが、1047名闘争のためにつくられた背景がある。連合からオファーがきており、今後社会的な労働運動をつくるためにどうするのか、大胆な議論を要請したい」と、全労協からの脱退=連合への合流を表明した。そして今拡中委では「JR不採用問題の最終的解決に向けた取り組み」として、4月1日をもって「闘争団組合員の組合籍剥奪(はくだつ)」の手続きを進めることを確認した。
同時に、4月1日のJR東日本の検修業務の全面外注化に対し完全屈服した。そして、これと闘うどころか、合理化・外注化を認めた上での「安全総点検」運動、その最大の目玉が4・25を「安全確立行動日」とする「全国主要駅頭における宣伝行動」だという。とんでもない屈服と変質だ。さらに、団結を破壊し青年労働者にすべての矛盾を転嫁するJR東日本の「人事・賃金制度の見直し」にも反対せず、「公正な人事・賃金制度」を対置し、就業規則丸写しの「総合労働協約締結」へと全面屈服を開始した。
当面する闘いは、「国鉄解雇撤回・外注化絶対阻止」の旗を高く掲げ、それを軸に〈国鉄〉〈沖縄〉〈三里塚〉〈法大〉の闘いがひとつになった重層的な大決戦である。
今こそ階級的労働運動路線を全戦線で爆発的に推進し、4月外注化絶対阻止、1047名解雇撤回へ進撃しよう。チュニジア・エジプトの革命的決起と連帯し、国鉄全国運動を全力で闘おう。2・16国鉄集会の大成功をかちとり、2〜3月決戦の勝利へ進撃しよう。
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週刊『前進』(2474号1面2)(2011/02/07 )
三里塚 誘導路工事を阻止 現地デモ
東京高裁本部裁判結審強行を弾劾
(写真 反対同盟と現闘、全学連が「切り回し道路」工事現場へ怒りのシュプレヒコールをたたきつけ、作業中止に追い込んだ【2月4日 天神峰】)
(写真 結審強行と裁判長の逃亡を徹底弾劾し総括集会が開かれた。北原事務局長が現地闘争への決起を熱烈にアピールした【2月4日 日比谷公園】)
第3誘導路関連工事本格化を許すな! 4日、三里塚芝山連合空港反対同盟が呼びかける緊急闘争が闘われ、この日狙われていた切り回し道路への切り替えを粉砕した。
午前9時、市東さん宅南の開拓組合道路に反対同盟と支援の労農学60人が結集した。市東孝雄さんが最初に「こんな工事は認められない。怒りを込めてデモをやろう」と呼びかけ、続いて全学連の織田陽介委員長が「街頭、世界中に怒りがあふれている。三里塚から日帝打倒を!」と叫んだ。
「う回ルート」を向かい風を押し返してデモが進撃した。到着地の南台の市東さんの畑で、萩原進事務局次長が「三里塚、動労千葉が”一点突破”で勝利したとき、雪崩を打って総決起が始まる」と、1月中の切り回し道路開通を粉砕した勝利を確認し、2〜3月の総決起を訴えた。デモ隊は再び工事現場前に集合して弾劾をたたきつけ、この日の工事を完全中止に追い込んだ。
弁護団が井上裁判長を忌避
同日、東京高等裁判所で天神峰現闘本部裁判の控訴審第3回弁論が開かれた。反対同盟を先頭に120人が裁判所を取り囲む霞が関デモを行い、傍聴闘争に臨んだ。
午前11時開廷。井上繁規裁判長の結審策動と対決する緊迫した雰囲気のもとで、冒頭に北原鉱治事務局長が現闘本部の実地検証を求めた。続いて顧問弁護団が、NAA(成田空港会社)が付帯控訴状で仮執行での建物撤去を求めたことを違法・不当と弾劾し、石橋恵美子証人らの採用を強く請求した。すると、井上裁判長は理由も告げず「請求を却下する」と述べた。間髪を入れず弁護団は「忌避! 裁判官忌避を申し立てる!」と一斉に立ち上がった。裁判長は、忌避申立を無視してか細く「弁論終結」を口にし、期日指定も閉廷宣言もできず一目散に姿を消した。
「逃げるな!」 法廷は怒号で騒然となった。
裁判後、北原事務局長は「彼らが答弁できないところまで追い詰めた結果だ。現地闘争で勝利する」と現闘本部を守り抜く決意を語った。
(詳報次号。関連記事3面)
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週刊『前進』(2474号1面3)(2011/02/07 )
前進速報版から
▼動労千葉、青年を先頭に春闘第1波スト▼4月八尾市議選勝利へ西郡で集会▼エジプト革命の只中で独立労組のナショナルセンター
日程 1047名解雇撤回2・16集会
国鉄分割・民営化で不当解雇から24年
2・16(選別・解雇の日)を忘れるな!
1047名解雇撤回2・16集会
2月16日(水)午後6時半 すみだ産業会館
(墨田区江東橋3-9-10丸井共同開発ビル8階/JR錦糸町駅南口すぐ)
呼びかけ/国鉄闘争全国運動
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週刊『前進』(2474号1面4)(2011/02/07 )
日程 1047名解雇撤回2・16集会
日程 1047名解雇撤回2・16集会
国鉄分割・民営化で不当解雇から24年
2・16(選別・解雇の日)を忘れるな!
1047名解雇撤回2・16集会
2月16日(水)午後6時半 すみだ産業会館
(墨田区江東橋3-9-10丸井共同開発ビル8階/JR錦糸町駅南口すぐ)
呼び
かけ/国鉄闘争全国運動
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週刊『前進』(2474号2面1)(2011/02/07 )
動労千葉が春闘第1波スト
運転士の強制配転に怒り
青年組合員を先頭に組織一丸
動労千葉は2月1〜2日、「ライフサイクル制度撤廃! 北嶋琢磨君の強制配転粉砕! 外注化阻止!」を掲げて、旅客関係の本線乗務員、駅営業職場に配転されている組合員を対象とする春闘第1波ストを貫徹した。青年組合員を先頭にして組織が一丸となり、闘う労働組合としての真骨頂を示す熱気あふれる闘いとして打ち抜かれた。
(写真 「滝君を運転職場に戻せ!」習志野運輸区門前で抗議【2月1日】)
北嶋君の怒りが職制を圧倒
スト1日目の2月1日。組合員と支援200人が集まり、寒風をついて千葉運転区と習志野運輸区への抗議行動に立ち上がった。
「誰がライフサイクルなんて制度を考えたんだよ!」――千葉運転区の門前に居並ぶ職制に対して、2月1日をもって強制配転された千葉運転区支部の北嶋君が怒りをたたきつけた。「育てるときは『やれ、やれ』って言って、本人が『運転士を続けたい』って言えば『駅に行け』。運転士、回せないでしょうが。おれは一生、このことを忘れない!」。職制たちは下を向き、北嶋君の顔もまともに見られない。ひとたび腹をくくった労働者に、こわいものなどない。誰が電車を動かし、社会を動かしていると思っているのか!
配転通知撤回を求める北嶋君の指名ストは、19日から2週間に及んだ。連日、運転区門前に立って訴えかける北嶋君の姿は、千葉だけでなく全JR職場に響き渡った。千葉運転区支部組合員は、連日のビラまき体制をつくりともに闘い抜いた。大野茂支部長は「北嶋君は、今もこれからも、ここ(千葉運転区)の運転士だ! ライフサイクル制度の撤廃へ、支部は先頭に立って闘う」と決意を述べた。
発言に立った田中康宏委員長は「ライフサイクルの問題は、駅の契約社員化と一体だ。この問題には、外注化・非正規職化や、こんな制度を容認する腐った労組の問題など全問題が含まれている。今日のストは闘いの始まりだ。組織拡大を前進させ、制度そのものを撤廃するまで闘おう」と訴えた。
駅に24年間も強制配転され続けている組合員がマイクをとった。「当時『2年で帰す』と言われたが24年も駅に塩漬けにされたままだ。千葉運転区の若い運転士、聞いてるか! 会社に絶対だまされちゃだめだ。一緒に声をあげればライフサイクル制度なんて、いつでもつぶせるんだよ。ともに闘おう」と庁舎の中に向かって呼びかけた。各支部からも「おれも10年間、飛ばされた」「怒りがよみがえる。北嶋君、がんばってくれ」という発言が相次いだ。一人の青年の決起が、国鉄分割・民営化への原点的怒りを呼び覚まし、組合員の心を一つにした。
習志野運輸区に激しく抗議
習志野運輸区での抗議行動でも、組合員と支援は「ライフサイクル制度粉砕!」「滝君を運転職場に戻せ!」とシュプレヒコールを繰り返した。
1年前のこの日、津田沼支部の滝厚弘君がライフサイクルで津田沼駅に強制配転されたのだ。津田沼支部の相馬正利支部長は、門前に並ぶ管理者に向かって「滝君がこの1年、どんな思いで仕事をしてきたか分かってるのか。さらに今回、千葉運転区の北嶋君を出す。本当に怒りで一杯だ」と怒りをぶつけた。
この場で発言に立った新小岩支部・佐藤正和支部長は、前日の1月31日にJR貨物会社が新小岩派出廃止提案を行ったことを怒りをもって報告し「リストラ攻撃は労働組合破壊から始まる。支部はものすごい怒りに燃えている」と派出廃止絶対反対の闘いを宣言した。
(写真 「スト貫徹!総決起集会」に300人が結集【1月28日 千葉】)
京葉車両Cの外注化を粉砕
動労千葉は、ライフサイクル、新賃金制度、新小岩派出廃止、検修全面外注化という超重大な決戦課題のすべてに正面から立ち向かっている。
2月1日実施が狙われていた京葉車両センターでの構内運転業務(一部)外注化は、動労千葉の闘いで粉砕された。
千葉支社は、なんとか外注化の突破口を開こうと、エルダー社員として外注会社(千葉鉄道サービス)で働く動労千葉組合員に「現役時代と同じ構内運転をやりませんか」と声をかけた。動労千葉組合員は「ふざけるな!」と断固拒否し、あえて肉体的にはきつい清掃の仕事を続けている。その結果、外注業務の担い手がそろわなかったのだ。労働組合が一丸となって立ち向かえば外注化は阻止できることを示す大勝利だ。
20日には新小岩支部主催で「俺たちの働く職場を奪うな!/新小岩貨物基地廃止絶対反対!/2・20新小岩集会」(2月20日正午、JR貨物新小岩派出にて)を開催する。2・16国鉄集会の圧倒的成功から、2・20新小岩集会に連続的に総決起しよう。
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週刊『前進』(2474号2面2)(2011/02/07 )
“闘争団追放は許さぬ”
雇用確保もあり得ない 国労中央委で本部弾劾
国労共闘と「共に闘う国労の会」、労組交流センターは、1月29日、東京・新橋の国労本部で開かれた国労第181回拡大中央委員会に対するビラまき宣伝戦に立った。
(写真 闘う国労組合員らは国労本部前に陣取って中央委参加者にビラを配布【1月29日 新橋】)
国労の再生へ
国労本部前には「1047名解雇撤回」「検修業務の全面外注化阻止」と書かれた横断幕が広げられ、4・9政治和解を粉砕し1047名闘争の貫徹を訴えるビラや、動労千葉の青年組合員がライフサイクル強制配転に抗して指名ストに突入したことを報じるビラなどが、中央委員会参加者に次々と手渡された。
4・9政治和解を受け入れた国労本部は、完全に1047名解雇撤回闘争の敵対者に成り下がり、またJR東日本との総合労働協約の締結や、新人事・賃金制度の受け入れを策している。
この日の中央委員会から7月の国労全国大会に向かう過程は、現場組合員の力で国労本部を打倒し、国労の階級的再生をこじ開ける大決戦だ。宣伝行動参加者は、裏切りを深める本部役員らに対し、その固い決意をたたきつけた。
連合合流狙う
国労本部は今年7月の全国大会で、「組織整備」と称して、闘争団員を国労からたたき出そうとたくらんでいる。国労本部ら4者4団体幹部は、「今年4月1日までに雇用確保を実現する」などと言って闘争団員を4・9政治和解のもとに抑えつけてきた。だが、雇用などあり得ないことはもうごまかせない。今や彼らは、「4月1日にJRまたはJR関連会社に籍のない者は組合員資格を失う」とあからさまに言い放っている。
“JR社員でない者は組合員としない”などというのは、国鉄分割・民営化とJR体制への最後的な屈服だ。社会保険庁の解体に際して、自治労全国社保労組は自ら組合を解散し、分限免職者を排除した新労組を立ち上げた。これを上回る暴挙に、国労本部は手を染めようとしているのだ。
中央委員会で高橋伸二委員長は、「1047名問題の政治解決実現は……ナショナルセンター連合の理解と支援なくしては困難だった」「連合のご尽力にあらためて敬意を表する」と発言した。彼は昨年11月に開かれた国労東北地方協議会の会議で、「国労は全労協に所属しているが、1047名問題のためにつくられた背景がある。連合からオファーがあり、今後社会的な労働運動をつくるためにどうするのか、大胆な議論を要請したい」とも述べている。雇用もないまま闘争団を放逐し、全労協も脱退して、連合に合流するという思惑を、国労本部は隠そうともしないのだ。
「共に闘う国労の会」を拡大し、国労本部打倒−国労を階級的に立て直す大決戦に突入しよう。
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週刊『前進』(2474号2面3)(2011/02/07 )
自治労中央委 “菅打倒が11春闘方針”
交流センターが情宣に立つ
労働組合として「死」を宣言
1月27、28日に東京・九段会館で行われた自治労第141回中央委員会に際して全国労組交流センター自治体労働者部会は情宣行動に立った。大恐慌と朝鮮侵略戦争情勢の中で国鉄全国運動を基軸に解雇撤回・外注化阻止を貫く階級的労働運動を推進し、侵略戦争を内乱に転化しようと呼びかけた。特に菅民主党政権とそれを支える自治労本部打倒、360万人首切りの公務員制度改革粉砕、幼保一体化の新システム阻止、「新成長戦略」推進の「持続可能な日本社会のグランドデザイン構想」粉砕を強力に訴えた。新自由主義攻撃を小泉自公政権以上に激化させる以外に延命策を持たない菅政権は凶暴だがぐらぐらだ。菅民主党政権打倒こそ11春闘方針だとアピールした。
これに対して徳永秀昭委員長は開会のあいさつで、@昨年8月の徳島大会で自身が提起した「正規―非正規の賃金シェア」論を盛り込んだ11春闘方針の実践を組合員に強要、Aスト権なしの国家公務員制度改革法案の今国会成立を目指すとし、B地方分権と称して地域主権改革(道州制=公務員360万人首切り)推進の決意を表明した。また、C「民主党は内紛をやめよ」とさとしつつ菅民主党政権支持をあらためて強調した。
徳永委員長は朝鮮侵略戦争情勢、日米安保強化、消費大増税、TPP参加問題への言及を意識的に避けた。日帝の命運を左右する最大級の重大問題について何の見解も示さないのは、すべてを容認・肯定していることしか意味しない。“戦争突入時には労働組合は階級闘争をやめ、資本と国家を救うために犠牲をいとわない”と宣言したのだ。自治労の労働組合としての死、産業報国会化の宣言だ。粉砕せよ!
(写真 「自治労本部打倒!」の訴えに組合員が注目【1月27日 東京・九段会館前】)
本部への怒りと批判が続出
この委員長あいさつを大会の基調として「労働組合の立場において、政権の基盤強化にむけて努力する」という当面の闘争方針案や11春闘方針などの議案が提案された。質疑・討論の大半は本部翼賛だが、菅政権と自治労本部への現場労働者の激しい怒りが表れた。
「公務員人件費2割削減のマニフェストを維持する民主党政権は支持できない。議案は賃金削減容認。賃金・労働条件を下げるための公務員制度改革に反対」(山形)
「幼保一体化の新システムは、市町村の保育実施義務の撤廃、保育の産業化。公立保育所廃止で分限免職が出る。公的保育を根本から変える新システム反対」(新潟)
「菅内閣の第三の道、沖縄、公務員賃金に関する政策は生活感覚と乖離(かいり)」(東京)
「消費増税、TPPをどう考えるか」(香川)
「菅政権は大きく後退した。グランドデザイン構想の『政権と方向性が一致している』との見方は甘すぎる」(高知)
「グランドデザイン構想は運動の方向を制約しないものに。『職員の納得感の確保』は賃金・労働条件の切り下げの意味か」(長野)
「グランドデザイン構想は菅政権を肯定的に評価しているが、なじまない」(宮城)
「正規の賃金を下げて非正規の賃金改善となるのか。均等待遇にはまず正規職化を」(北海道)
「統一自治体選挙は厳しい状況。裏切り者と言われるか無視されるかだ。沖縄基地、消費増税、TPP参加表明など菅政権の政策は国民生活とかけ離れている」(岡山)
「賃金シェアは均等待遇に反する。グランドデザイン構想は緊急提言とすべき」(茨城)
「TPP参加への本部の見解を。菅は財界におもねり、新自由主義になっている」(佐賀)
「自治労は消費増税に賛成していると宣伝されかねない」(秋田)
本部への批判や怒り、疑問が出されたが、本部の答弁は居直りに終始した。破産した「普天間飛行場国外移設」論を繰り返したり、「消費税に絞らず税制全体で財源確保を」とごまかしたりだ。TPP参加について「お答えは難しい。本部は準備不足。連合の考え方で行く。これから議論する」としどろもどろだ。
採決では全議案が圧倒的多数の賛成で可決された。唯一カウントされた11春闘方針案は総数328、賛成324で可決。社民党系の反対派は民主党系の本部に完全に屈服し取り込まれている。4・9国鉄政治和解情勢は自治労にも及んでいる。体制内労働運動は、朝鮮侵略戦争参戦準備に入った日帝・菅政権を総翼賛する体制に組み込まれているのだ。
だが現場では、このような自治労本部と日帝・菅政権に対する怒りが渦巻いている。労働者は現状打破と闘う方針を求めている。国鉄全国運動を基軸に解雇撤回・外注化絶対反対の職場闘争を巻き起こし、階級的労働運動潮流をつくり出そう。この力で連合・自治労本部と菅政権を打倒し、大恐慌と戦争をプロレタリア革命に転化しよう。
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週刊『前進』(2474号2面4)(2011/02/07 )
春闘解体する連合白書
経労委報告に100%呼応 賃上げ闘争も完全放棄
連合打倒し春闘ストを闘おう
1929年大恐慌を超える破壊力で世界大恐慌が激化・深化し、帝国主義・大国間の争闘戦が11・23朝鮮侵略戦争への突入情勢として火を噴いている。この情勢の中で1月18日、日本経団連の「2011年版経労委報告」が発表された。
相前後して昨年12月28日、「連合白書 2011年春季生活闘争の方針と課題」が発表された。だが、これは「労使一体となってグローバル競争に打ち勝つ」と宣言した経労委報告と100パーセント連携した代物であり、経労委報告に全面的に呼応する連合の立場表明だ。白書は内に向かっての解雇・賃下げの階級戦争を容認し、外に向かってのTPPを軸とする侵略と侵略戦争を「労働組合」の名で推進することを叫んでいる。
その基軸をなす攻撃として4・9反革命を貫き、動労千葉と動労千葉派を破壊し、春闘を終わらせ変質させ、労働者階級の階級性と団結を解体することを狙っている。産業報国会化に向かって連合がかじを切ったことを示す宣言だ。帝国主義の最悪の救済者に成り下がった連合の労働貴族を打倒し、11春闘の大爆発をかちとろう。
日帝危機に震え上がり救済を叫ぶ
第一に、白書のなかで連合は大恐慌と争闘戦の激化で袋小路に陥っている日帝の現状に震え上がっている。会長の古賀は冒頭から「日本経済は、長期低成長とデフレからの脱却ができず……世界における日本の経済的地位が低下」と泣き言を連ね、「いま、労働組合に求められているのは……日本経済社会を健全な状態に『回復』『復元』すること」と提言する。
しかし、労働者階級にとって日帝の危機は「嘆く」ことではなく歓迎すべきことだ。求められているのは日帝の救済ではなく、打倒のために立ち上がることである。「救済」とは労働者を際限のない解雇・賃下げの地獄に突き落とし、戦争で虐殺することだ。
今日の世界大恐慌は景気循環的な不況ではなく、もはや帝国主義にとっては戦争以外に解決不能の、“資本主義の終わり”を告げる事態だ。労働者階級の立場は連合のような体制内労働運動の組合支配をうち砕いて立ち上がることだ。職場において労働組合的団結を取り戻し、「侵略を内乱へ」を実現して、今すぐプロレタリア革命を準備していこう。
連合の力で闘いを圧殺すると宣言
第二に白書で絶対に許せないことは、日帝の危機を救うために今こそ連合の出番だと叫んでいることだ。
まず、「これまで我が国の労使関係は『対立と協力』の調和によって安定した関係を築いてきた……そのことが戦後の高度成長を支える原動力となってきた」と、資本家の手先となって労働者支配を行い、日帝を支えてきたことを誇らしげに語る。これ自体許せないが、問題は次だ。「経済がグローバル化してもこの基本は少しも変わるものではない」と、大恐慌と争闘戦激化の時代だからこそ労使一体をさらに進め、他帝国主義に勝っていこうと主張する。
さらには「社会の安心、安定のためには労働組合は不可欠なインフラとの認識に立ち」と語る。労働者・人民の怒りを抑えプロレタリア革命を圧殺するためには、ブルジョア国家の直接的な力だけでは十分ではなく、体制内化した労働組合が決定的な役割を果たすことを自覚し、帝国主義労働運動としての自らの存在意義をブルジョアジーにアピールしているのだ。
第三に連合は、経団連が掲げる「春の労使パートナーシップ対話」に積極的に応じ、春闘を完全に解体・変質させようとたくらんでいる。
「春の労使対話」への変質に加担
その核心は賃上げ闘争の完全な放棄だ。11春闘の連合の要求は「1%を目安に適正な配分を追求する」というものだ。これは「賃上げ」ではなく、「福利厚生費や手当、一時金などを含む給与総額1%アップ」ということでしかない。労働者階級は自らと家族の人間としての最低の生活条件を確保するために8時間労働制の要求と共に、“生きられるだけの賃金を寄こせ!”と闘ってきた。大恐慌が日々労働者の生活を直撃し、生存の危機にたたき込んでいる今こそ、原則的に“大幅一律賃上げ”を要求し、団結を固めてストライキで闘うことこそ労働組合の任務だ。
もう一方で連合は、それと並ぶ今春闘の「運動の両輪」として「政策・制度の実現」を掲げる。その内容は「税制改革」「日本の社会経済システムを立て直し、セーフティネットを確立」等々ということだ。菅首相が議長を務める「社会保障改革に関する集中検討会議」の幹事委員に1月31日就任した古賀は、「増税も受け入れなければならない」と消費増税に賛同を表明した。「セーフティネット」とは、労働者階級の怒りが爆発するのを防止するための「安全装置」だ。このように「政策・制度の実現」とは日帝の延命のために連合が積極的に手先となることだ。
連合や全労連などの体制内労働運動の打倒が、労働組合再生と労働者階級の解放のための切実な課題だ。動労千葉の青年労働者は、ライフサイクルに対して14日間の指名ストを闘いぬいた。動労千葉は、2月1日、京葉車両センターでの構内外注化を阻止した。動労千葉のように闘うことこそ、連合を打倒し、労働者の階級的な解放を実現していく道だ。青年労働者を先頭に、11春闘をストライキで闘おう。
(北沢隆広)
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「連合白書」のポイント
●経労委報告「労使一体となってグローバル競争に打ち勝つ」に呼応
「我が国の労使関係は『対立と協力』の調和によって安定した関係を築いて……そのことが戦後の高度成長を支える原動力となってきた」
「経済がグローバル化してもこの基本は少しも変わるものではない」
●資本主義を守るために連合が先頭に立つと宣言
「社会の安心、安定のためには労働組合は不可欠なインフラとの認識」
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週刊『前進』(2474号3面1)(2011/02/07 )
郵政大リストラ阻止へ
賃下げ推進を狙うJP労組中央委
闘う組合をつくり反撃を
外注化と一体 成果主義賃金
2月17〜18日に連合JP労組の第7回中央委員会が開かれる。ここでJP労組中央本部は、郵政資本がたくらむ大リストラ・賃下げ計画に承認を与え、自ら大量首切りと賃下げ、そして成果主義賃金導入の推進者となろうとしている。
今回の賃下げ攻撃の階級的本質は大恐慌と争闘戦の敗勢に危機を深める日帝の最大の恐慌対策としてある。JR東日本の人事・賃金制度の見直し攻撃とともに全労働者階級に対する賃下げ攻撃の突破口だ。郵政当局が昨年9月末に出した「集配事務等の外部委託」=外注化攻撃と一体のものとして、9割の労働者の非正規化を進めるものだ。
今こそ青年労働者を先頭に職場から怒りの声を上げ、中央本部の労働貴族どもを打ち倒して、労働組合を現場労働者の手に取り戻そう。
1月28日、日本郵便事業会社は総務省に経営改善策を提出した。その中身は、成果主義賃金の導入と給与やボーナスのカットであり、正規・非正規社員のさらなる人員削減だ。非正規労働者の大量雇い止め=解雇を昨年末始めた郵政資本は、さらに正社員の賃下げと超勤の禁止など大規模なリストラを強行しようとしているのだ。
亀井郵政改革担当大臣(当時)の「10万人正社員化」発言以来、分断と競争があおられ、サービス残業や年賀はがきなどの自爆営業までやらされた揚げ句に、結局雇い止め=解雇という仕打ち。極少数の正社員化された者にも、とたんに賃下げが襲いかかる。ふざけるな!という怒りが現場に渦巻いている。
JP労組本部は、郵政大リストラをめぐる一連の新聞報道と日本郵政・斎藤社長の記者会見に関する1・11見解で「支出削減策……郵便事業収益改善に関する協力体制を講じる」としている。中央委員会の議案では、今年の春闘は「郵便事業の早急な収支改善に向けた対応を闘いの柱に」と言っている。「収支改善運動」を労働組合がやるというのだ。「収支改善」とは賃金を下げるということだ。
(写真 東京高裁の超反動判決に対して怒りのシュプレヒコールをぶつけた【1月28日 霞が関】)
赤字は民営化破綻の帰結だ
郵政資本は大リストラ攻撃の理由を「赤字」と言っているが、医療や福祉と同様に公的事業である郵便事業で利益を出そうということ自体が大間違いなのだ。直接的意味でも赤字の責任はJPEX計画を強行し破綻させた経営陣にある。労働者には赤字の責任は一切ない。根本は民営化の破綻だ。彼らの本当の狙いは成果主義賃金の導入を柱とする人事・給与制度の全面転換にある。
「労使一体」を叫ぶ2011年版経労委報告が出された。JR東日本は「人事・賃金制度の見直し」を提案した。そして郵政でも新たな人事・給与制度が示された。これらは完全に一体の攻撃である。国鉄も郵政も分割・民営化されたとはいえ、現場労働者の抵抗によって人事・給与制度は今日にいたるまで手つかずのままだった。そこに一気に手を突っ込んできたのだ。労資一体を強調し、労組に対して、労働者の一切の権利を剥奪(はくだつ)し破壊する資本の先兵に徹底的になれというものだ。
郵政で示された新人事・給与制度は、これまでの賃金を一律3割カットし、そこからあらかじめ500億〜1千億円を引いて総人件費を抑えた上で、残りを「成果」に応じて再配分するというものだ。「頑張った者が報われる」などと言っているがうそっぱちだ。労働者全員にあらかじめ3割の賃下げが強要されるのだ。資本の手先となって主任、総務主任、課長代理へと昇進しなければ賃金は絶対に上がらない仕組みだ。
団結し賃下げ解雇と闘おう
成果主義とは、賃金という労働組合の団結にとって根幹にかかわるところでの労組破壊・団結破壊の攻撃だ。成果主義が導入されたら、賃金闘争そのものが成り立たなくなる。賃金を上げるためには、自分がとことん資本の手先になるしかない。激しい分断と競争が持ち込まれ、職場の団結は徹底的に破壊される。
その上で全面的な外注化を柱とし、1割の正社員以外はすべて非正規にすることを前提とした制度である。これを国鉄と郵政、自治体、教労の4大産別で一気に推し進めようとしている。これこそ経労委報告路線だ。
郵政においてこの新人事・給与制度は09年に提示されていたものの、その年の全国大会で「棚上げ」されたままになっていた。それほど現場の反発と反対を恐れて、連合JP労組中央本部ですら一気に導入できなかった代物なのだ。こんなものは労働組合が合意しなければ導入できない。まさに労働組合が問題になっているのだ。
今や郵政民営化は完全に破産し、日々そのぶざまな姿をさらしている。一切のツケを現場労働者に回し平然としている資本に対する怒りが煮えたぎっている。それとともに、「労資一体」になったJP労組中央への怒りが噴き出している。
外注化、ライフサイクル攻撃に対し、動労千葉は青年労働者を先頭にストライキで闘いぬいている。この闘いと一つになり、青年労働者が先頭に立って支部・分会から怒りの声を上げよう。大リストラ・賃下げ絶対反対で職場の要求をまとめ、JP労組中央本部を下から包囲し、打倒しよう。労働組合を職場生産点からつくり直そう。
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●郵便事業会社の「経営改善策」
「成果主義を反映した給与体系の導入を検討」
「ボーナスや給与カットを検討」
「非正規社員を減らしたり、配置転換」
●2009年に会社が提案した「新たな人事・給与制度」
「現在の給与制度は、定期昇給の中の自動昇級のウエイトが大きく、年功要素の強い給与体系となっている」
「基本給は、『役割基本給』と『役割成果給』の2つに再整理する」
●JP労組本部見解
「支出削減策……郵便事業収益改善に関する協力体制を講じる」
●JP労組中央委員会議案
「(今年の春闘は)郵便事業の早急な収支改善に向けた対応を闘いの柱に」
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週刊『前進』(2474号3面2)(2011/02/07 )
東京「日の丸・君が代」予防訴訟 超反動判決を弾劾する
回答は今春不起立闘争だ
東京高裁(都築弘裁判長)は1月28日、「日の丸・君が代」強制に反対して東京の教育労働者395人が訴えた予防訴訟の控訴審判決で、原告が全面勝利した一審判決を覆す超反動判決を出した。反動判決を徹底弾劾し、3〜4月の卒・入学式の「日の丸・君が代」不起立闘争で大反撃しよう!
同訴訟は、都教委の03年「10・23通達」直後の04年1月に、@国歌斉唱・ピアノ伴奏義務不存在確認、A懲戒処分の差し止め、B損害賠償の3点を求めて訴えたもの。この予防訴訟が土台となって、東京の教育労働者は以降、毎年毎年現場において「日の丸・君が代」不起立・ピアノ伴奏拒否などの抵抗をねばり強く続け、拡大してきた。通達から7年目となった昨年4月の入学式までで、処分を受けた労働者はのべ430人にも及ぶ。
不起立闘争が拡大する中で、同訴訟の06年9月の東京地裁判決は、卒・入学式等における起立・斉唱・ピアノ伴奏の義務がないことを確認し、不起立・不伴奏を理由にいかなる処分もしてはならないとして、都に原告1人あたり3万円の慰謝料の支払いを命じた。原告の全面勝訴判決だった。
それを東京高裁が全面的に覆したのだ。控訴審判決は、国歌斉唱・ピアノ伴奏義務不存在確認、懲戒処分の差し止めの請求について、”10・23通達の取消訴訟または無効確認訴訟を提起すればいい、損害を避けるためにほかの方法がある”という理由で、「請求はいずれも不適法」とした。内容判断に一切立ち入らず、門前払いしたのである。
加えて、「10・23通達」が憲法26条(すべて国民は……ひとしく教育を受ける権利を有する)、同23条(学問の自由は、これを保障する)、同19条(思想及び良心の自由は、これを侵してはならない)、改悪前の教育基本法10条1項(教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである)に違反するという訴えについては、いずれも全面否定。総じて、請求をいずれも棄却し、一審判決を取り消した。
この超反動判決は、「10・23通達」から8年間たつ今もなお、教育労働者が誇りも高く闘いぬいている現実に追い詰められた日帝・資本家階級の階級意志を鮮明に示したものだ。
不起立の継続に追い詰められて
都知事・石原はこの判決を受けて、「国歌・国旗に対する国民の反応は、日本だけ奇異。この判決はごく妥当だ」と述べた。石原が「奇異」と呼ぶ労働者の抵抗闘争がいまだ根絶できていない現実に最も打撃を受けているのは石原なのだ。
官房長官の枝野は「入学式、卒業式などの儀式の場での国旗掲揚、国歌斉唱の指導は各学校で適切に行われる必要がある」と述べた。枝野は1999年の「国旗国歌法」制定時には、菅や前原とともに反対票を投じたというが、今や菅民主党政権は教育労働者の極悪の敵に成り下がっているのだ。
この8年間、日教組運動・教育労働運動を根絶しようとする大攻撃に対して、現場労働者はがっちり立ち向かってきた。全国で「日の丸・君が代」不起立闘争を拡大して現場組合員の団結を組織し、処分・解雇を辞さず闘う主体をつくり出してきた。そして今、全国各地に不起立闘争に立ち上がる青年労働者が登場し、国鉄闘争全国運動に合流し、日常的な職場闘争をとおして職場の団結をつくり出す闘いに踏み出している。
不起立闘争は大恐慌と大失業、戦争の時代に立ち向かう教育労働者の戦争協力拒否闘争である。菅民主党政権を全面支持して「教え子を戦場に送る」道に突き進む日教組本部をうち倒す闘いである。その意義は朝鮮侵略戦争の危機が現実化する今日、ますます大きくなっている。
こんな判決に教育労働者は負けはしない。報告集会では、「これで裁判所も暴力装置だということがはっきりした」など、怒りの発言が相次いだ。
超反動判決に対する回答は不起立闘争の拡大だ! 労働者魂を見せつけてやろう! 3〜4月の卒・入学式で、「日の丸・君が代」不起立闘争に全国で立ち上がろう!
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週刊『前進』(2474号3面3)(2011/02/07 )
三里塚第3誘導路 工事推進に緊急抗議
反対同盟先頭に激しい怒り
1月31日、三里塚現地において第3誘導路関連の工事が一層激しく進められ、三里塚芝山連合空港反対同盟、支援連絡会議、全学連が緊急闘争を闘った。
午前9時、天神峰の市東孝雄さん宅近くの「う回ルート」で通行の片側規制が行われ、切り回し道路との連結・開通に向けての舗装工事があからさまに進められた。さらに暫定滑走路の下をくぐる小見川県道「天神峰トンネル」の西側出口一帯で、「県道の拡幅工事」が作業員を動員して大々的に始まった。この場所にまさに第3誘導路を通すという計画だ。
急を聞いた反対同盟と現地支援部隊が現場に急行し、さらに東京から全学連が全速力で駆けつけて、怒りのシュプレヒコールを上げて急ピッチの工事を徹底弾劾した。
工事の動態を把握した上で、市東さん宅の離れに全員が集合した。
(写真 全学連は、切り回し道路工事を進めるNAA・工事業者・警備員に激しい怒りをたたきつけた【1月31日 天神峰】)
萩原進事務局次長が口火を切った。「市東さんら地元民には一切説明もなく、工事が開始された。反対同盟は第3誘導路建設の実質的な工事として見すえ、全力で闘う。2月4日の現闘本部裁判控訴審、われわれはこの日に敵が切り回し道路への切り替えを強行するものと構えて、緊急現地闘争を開催する。霞が関、三里塚の同時デモだ。NAA(成田空港会社)は市東さんに1月切り替えを通告しながらできなかった。さらに徹底的に破産に追い込もう。やつらは『成田空港がだめになったら4万人の雇用がなくなる』などと危機感むき出しにして、年間離発着30万回化だ、24時間空港化だと、それが成田市の発展だと触れ回っているが、今こそその化けの皮をはがす決定的チャンスだ。大胆に闘おう」と一同を鼓舞した。
北原鉱治事務局長は、「三里塚45年の歴史の中で再び真っ向からの激突の時を迎えた。空港建設は不正義ゆえに完成しない。昨今の情勢は戦争へのにおいを漂わせている。日本の将来、若者の未来のために闘おう」と訴えた。
さらに足立満智子成田市議会議員が、「30万回化地元合意」の実態が、利権にかかわる地域ボスたちの合意・賛同にすぎず、地元住民の騒音地獄化に対する怒りと拒絶感が高まっていることを報告した。
NAAを窮地に追い込んでいる手応えを実感しつつ、全学連の学生たちは再び工事現場に登場。NAA職員、工事作業員、さらに法大闘争弾圧でも当局に雇われていた東京警備のガードマンらに向けて「第3誘導路粉砕、農地死守」のシュプレヒコールをたたきつけた。
実際この工事には何の展望もない。切り回し道路は非常な急傾斜と急カーブを伴い、危険極まりない代物だ。天神峰トンネル出口に第3誘導路をかぶせる工事も、恐ろしく大規模な難工事になる。こんなものに途方もない予算をつぎ込むのは、ただただ市東さんの営農を妨害し追い出すことだけが目的なのだ。
こんなでたらめな農民殺しの攻撃をどうして許せるか! 労働者・農民・学生・人民の実力決起で絶対に粉砕しよう。
(写真 反対同盟の2・4闘争方針提起を受け現闘と全学連は全力決起を固く誓った)
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三里塚裁判傍聴を
◎市東さん行政訴訟
2月22日(火)午前10時30分 千葉地裁
◎市東さん農地法裁判
2月22日(火)午前11時10分 千葉地裁
(同日に同じ法廷で連続して開かれます)※傍聴券抽選のため開廷1時間前に集合を
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週刊『前進』(2474号3面4)(2011/02/07 )
国際労働運動 3月号
青年労働者が主役だ
特集は、11春闘を青年労働者が先頭になって闘い抜き、闘う青年部運動を復権しようという力強いアピール。国鉄闘争を基軸とした戦後労働運動を継承し、その歴史的限界を突破するのは青年労働者だ。4・9反革命、11・23情勢と対決し、国鉄闘争全国運動を柱に青年労働者が総決起することを訴えている。
第1章は、世界大恐慌の矛盾が青年労働者に集中していること、帝国主義を打倒する力は青年労働者にあること、戦前も戦後も青年労働者が労働運動を牽引(けんいん)してきたことを明らかにし、世界大恐慌が戦争と大失業を生み出す今日、労働組合をめぐる権力闘争に挑戦し、連合と全労連指導部を打倒することを訴えている。
第2章は、ライフサイクルの全面的な批判。動労千葉の青年労働者がライフサイクル撤廃を求めて指名ストに突入した。JR平成採の全青年労働者を獲得するために熱く論じている。
第3章は、闘う春闘を取り戻すためにも、戦後労働運動の中で唯一合理化攻撃を跳ね返してきた動労千葉の反合・運転保安闘争路線に必死で学ぼうと提起している。
翻訳資料は「ウィキリークスが暴露した米軍秘密情報」。イラク・アフガン戦争における米軍秘密情報が暴露された。戦争の反人民性を示す核心部分を紹介する。
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週刊『前進』(2474号4面1)(2011/02/07 )
青年を先頭に2・16集会に大結集を
国鉄全国運動の本格的発展へ
大恐慌―大失業と戦争の時代に勝利する労働運動つくり出そう
来る2月16日、「国鉄分割・民営化で不当解雇から24年/2・16(選別・解雇の日)を忘れるな!/1047名解雇撤回2・16集会」が開催される。今年の2・16集会の位置は、かつてなく決定的なものに押し上げられた。「2・16」こそ国鉄1047名解雇撤回闘争の原点中の原点だ。2・16国鉄集会の大成功をかちとり、国鉄闘争全国運動のより本格的・全面的発展への決定的な突破口を切り開こう。JR職場の青年を先頭にして、大結集を実現しよう!
(写真 昨年の6・13大集会に1635人が結集、国鉄闘争全国運動がスタートした)
再び国鉄分割・民営化との対決が時代の最焦点に
2・16国鉄集会の大成功のために、1047名闘争をめぐる4・9政治和解攻撃の本質を階級攻防全体の中でいま一度はっきりさせ、これを打ち破って前進してきた国鉄闘争全国運動の持っている巨大な可能性をあらためて訴えたい。
年頭から国鉄をめぐる情勢は、激しく火花を散らしながら国鉄分割・民営化以来、最大最高の決戦局面に突入している。それは、欧州―中東を始めとした国際的な大動乱情勢とひと連なりとなった歴史的な階級激突だ。
国交相・前原(当時)が昨年、「国鉄改革の完遂」を叫んで4・9政治和解に踏み込んだ意味は、昨春以来の攻防を通してますます鮮明になってきた。
日本帝国主義は、世界大恐慌がますます深まる中で、帝国主義としての存立の危機に立たされている。菅政権は、昨年11・23南北朝鮮砲撃戦をもって始まったアメリカ帝国主義による朝鮮侵略戦争への参戦を狙い、死活をかけた軍事的飛躍に踏み込んでいる。あるいは、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)参加に踏み込むことで帝国主義的な市場・資源・勢力圏の再分割戦に躍り込もうとしている。
内に向かっては、国家財政破綻の現実性に万力のように締め上げられながら、消費税大増税に決定的にカジを切るとともに、「行政刷新の強化・徹底」(菅の施政方針演説)、すなわち道州制導入―公務員労働者360万人首切りという国鉄分割・民営化を10倍する攻撃を構えている。このすべてが、2011年に折り重なるようにして決戦化している。
しかし日帝・支配階級はそうであればあるほど、日帝の新自由主義攻撃の前に30年間にわたって立ちはだかり、その“完遂”を阻み続けてきた国鉄闘争を最後的に根絶しない限り、これ以上一歩も前に進めないところに立たされている。既成労働運動指導部が雪崩を打って総転向を遂げる中で、逆に、動労千葉と動労総連合、国労共闘を先頭とする11月集会派が生き生きと闘いの炎を燃え上がらせていることを日帝・支配階級はもはや一刻たりとも容認できない。この情勢の中でもう一度、1987年国鉄分割・民営化にかけた支配階級の意図を、全面的に貫徹する必要に迫られているのだ。
新自由主義の完遂を阻み続けてきた24年間の闘い
87年国鉄分割・民営化にかけた支配階級の意図とは何だったのか。
国鉄分割・民営化において日帝・支配階級は、「国鉄とJRは別法人であり、JRには国鉄職員を採用する義務はない」という、憲法も戦後労働法制も無視した暴挙に、国家的決断をもって踏み込んだ。それは、20万人の国鉄労働者を職場から追いやり、200人もの労働者を自殺に追い込み、戦後労働運動の屋台骨をなしてきた国鉄労働運動をたたきつぶすことで階級的労働運動の息の根を止めることを狙った労働者階級に対する“戦争”そのものだった。
労働運動根絶を狙った攻撃
しかし、動労千葉の85〜86年の2波にわたる渾身(こんしん)のスト決起、さらに89〜90年の3波のストは、全国鉄労働者の労働者魂を奮い立たせ、敵の狙いを根幹において打ち破った。1047名の国鉄労働者が「国鉄分割・民営化絶対反対、解雇撤回」を掲げて闘いに立ち上がったのだ。動労千葉は組織の骨格を守り抜いてJRに乗り込み、国労も激減させられたとはいえ職場で国労の旗を守る無数の現場活動家が踏ん張り抜き、とくにJR東日本においてはJR総連・東労組と対峙する関係を残してきた。こうした力関係の中で、JRにおいては人事・賃金制度という労働者支配の根幹部分においては「年功型賃金」「終身雇用制」という国鉄時代のあり方に手を付けることはできなかった。
国鉄分割・民営化と、その後の二十数年にわたる新自由主義攻撃は、労働運動全体の力を大きく後退させ、膨大な労働者を非正規雇用に突き落とした。連合は、リストラや非正規職化、偽装請負に率先協力することで、その先兵となった。しかし日帝・支配階級は、正規雇用労働者の「解雇解禁」まで貫徹できたわけではなかった。国鉄1047名闘争は、総評解散―連合結成(89年)に抗する最大の対抗軸となり、連合支配の完成を阻み、あらゆる産別で格闘する現場労組活動家のよりどころとなって「百万人」といわれる支援陣形を形成してきた。
10年にわたり外注化を阻止
この対峙関係に本格的に手をつける攻撃が始まったのが、2000年以降のJRでの「第2の分割・民営化」攻撃だ。これは「9割の労働者を非正規雇用に」と呼号した95年の「日経連プロジェクト報告」路線の実行そのものだ。それは一方では、JRにおける検修部門・施設部門などの業務外注化、契約社員制度導入、次元を画する要員削減などの大合理化を、他方で、動労千葉や国労を解体して1047名闘争を終結させることを狙った大攻撃だった。
国労本部は、98年5・28東京地裁判決(「JRに法的責任なし」を判示)で最後的に展望を喪失して1047名闘争の政治和解策動(政府へのお願い運動)にのめりこみ、「労使関係の正常化」を請い願ってJR資本の大合理化攻撃を次々と丸のみしていった。この過程で尼崎事故(05年)を始めJRの深刻な安全の崩壊が衝撃的に突き出された。
動労千葉は、この第2の分割・民営化攻撃に対し、反合・運転保安闘争路線で組織を再武装し、血のにじむような闘いを通して外注化攻撃の前に立ちはだかり、千葉支社管内においては10年にわたって外注化を止めてきた。これは本当に歴史的な地平だ。さらに、業務外注化、ライフサイクル配転への青年の怒りと結びつき、平成採用の青年労働者が続々と動労千葉に加入を始めた。
この闘いは、昨春過程の検修外注化阻止闘争でさらに大きく発展した。昨年の動労千葉の5波に及ぶすさまじいスト決起は、千葉支社管内のみならずJR東日本全体の青年の心をつかんだ。隠然たる動労千葉への支持は、東労組の制動をぶち破る公然たる青年の反乱へと転化し始め、ついに検修業務全面外注化というJR東日本の根幹的政策を頓挫させてしまったのだ。この事態は、支配階級やJR資本を心底から震え上がらせた。
(写真 5波のストで検修全面外注化を阻止した動労千葉)
改憲・戦争への攻撃と一体
こうした中で、動労千葉と動労総連合、国労共闘をなんとしても解体し、国鉄闘争の息の根を止めるために仕組まれたのが昨年の4・9政治和解だった。この攻撃が、東日本での全面外注化の貫徹、新人事・賃金制度提案、JR貨物・3島会社(JR北海道・四国・九州)の大合理化と一体であることは明らかだ。
この攻撃はまた「労使一体となってグローバル競争に打ち勝つ」(2011年版経労委報告)と叫び、労組の総翼賛化と大幅賃下げを狙う支配階級との最先端の攻防点だ。また、国鉄分割・民営化当時の首相・中曽根康弘が「行政改革でお座敷をきれいにして、立派な憲法を安置する」と公言したのと同様、軍事外交政策における日帝の反動的飛躍と一体だ。大恐慌と戦争の時代の中で、二十数年の攻防を経て、国鉄分割・民営化攻撃との対決がもう一度、階級決戦の最焦点に押し上げられたのだ。
労働運動の再生を展望し開始された歴史的な運動
動労千葉は、この4・9和解攻撃の本質を、総評解散―連合結成以来の労働運動の重大な危機として見据え、新たな全国運動を呼びかけた。国労闘争団の4人の闘う労働者も、動労千葉争議団と一体となって和解を断固拒否して立ち上がった。「国鉄闘争の火を消すな!」の叫びは広範な人びとの危機感と結合し、6・13大集会の感動的な成功をもって国鉄闘争全国運動がスタートした。
この新たな全国運動の呼びかけは、無謀な挑戦としてではなく、困難ではあるが実現可能な展望を指し示すものとして受け止められた。
その理由は第一に、なによりも国鉄闘争が占めてきた歴史的な位置の大きさからだ。一般的な全国運動の呼びかけではなく“国鉄闘争の全国運動”という点に決定的意味がある。「国鉄闘争の火だけは絶対に消してはならない!」という思いは、二十数年の重みをもって日本労働者階級の中に脈打っている。
その理由は第二に、新自由主義攻撃に抗して30年にわたって勝ち抜いてきた動労千葉労働運動の圧倒的勝利性だ。
国鉄分割・民営化という国家をあげた攻撃に真正面から立ち向かい、団結を日々強化し、青年の獲得を開始した動労千葉の闘いこそ国鉄闘争全国運動にみずみずしい生命力、求心力をもたらしている。職場の闘いを決定的土台に据え、現場労働者の怒りや思いを具体的闘いに結実させて勝利を切り開いてきた動労千葉の反合・運転保安闘争路線こそ国鉄闘争全国運動の心棒に貫かれている。
民営化、外注化、非正規職化といった究極の合理化攻撃に打ち勝つ労働運動は果たして成り立つのか。これは現場で苦闘する労組活動家の誰もがぶつかっている問題だ。
業務外注化を10年間止めてきた動労千葉の闘い、さらに全日建運輸連帯労組関西生コン支部の5カ月に及んだ産業ゼネストの完全勝利は、それがまったく可能なことを現実の闘いで鮮やかに示した。「こう闘えば勝てる! ともに闘おう」という全労働者への熱烈な呼びかけだ。
国鉄闘争全国運動は、「国鉄決戦の勝利とそれをテコとする日本労働運動の再生へ、ついに始まった闘う労働者の歴史的決起」(2011年1・1政治局アピール)だ。われわれは、大恐慌―大失業と戦争の時代の中で、戦後労働運動の限界を突き破る階級的労働運動を一から創造するという壮大な挑戦を6・13大集会をもって開始したのだ。それは、職場に階級的労働運動を組織し、工場・経営に不抜の拠点を打ち立てる闘いであり、革命を目的意識的に準備する闘いそのものだ。この闘いが秘めた巨大な可能性を確信し、その全面的発展にかけきろう。
(写真 産業ゼネストに完全勝利した関西生コン支部)
破産を極めるJR体制打倒
国労本部は、「4・9政治和解で不採用問題は解決した」と言いなし、東日本における総合労働協約の締結という事実上の労使共同宣言を結ぼうとしている。4月1日には「JRへの雇用ゼロ」という現実が隠しようもなくあらわとなる。この中で国労本部は、現在「特別組合員」とされている闘争団員を7月全国大会で最後的に追放しようとしている。これが労働組合のやることか! それは国労の自己解体と連合への合流、全労協解散に直結している。
やはり4・9政治和解は間違いだったのだ。今こそ解雇撤回・JR体制打倒を掲げて闘おう。
問答無用の解雇、雇い止めにあい、やり場のない怒りをたぎらせている多くの青年労働者にとって、24年間も「解雇撤回」を貫いてきた1047名闘争は、ものすごい衝撃と感動をもって受け止められている。青年自身の結集軸として、また主体的闘いそのものとして1047名闘争を打ち立てていく展望が圧倒的に広がっている。
24年もの闘いに追い詰められ、あらゆる側面から国鉄分割・民営化政策の破産をさらけ出しているのは何よりも政府とJR資本の側だ。JR大合理化の矛盾の一切を押しつけられようとしているJRの青年労働者が、ついに積年の怒りを爆発させて決起を開始したことは決定的だ。外注化やライフサイクル強制配転、大幅賃下げへの怒りを国鉄闘争全国運動のもとに結集し、1047名闘争の勝利へ突き進もう。JRの青年労働者を先頭に2・16国鉄集会への大結集を実現しよう。
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週刊『前進』(2474号4面2)(2011/02/07 )
貨物・3島会社の大合理化
破産のツケ労働者に回すな 新小岩派出の廃止絶対反対
JR貨物関東支社は1月31日、千葉機関区新小岩派出を廃止する方針を明らかにした。しかもそれを、目前に迫った3月12日の貨物ダイヤ改定をもって強行するというのだ。“絶対に反対運動をさせない”という本当に許しがたいやり方だ。
(写真 千葉機関区新小岩派出)
団結破壊狙う基地廃止攻撃
基地廃止は、最大の団結破壊攻撃だ。
しかも、今回の新小岩派出廃止では、庁舎はそのまま残り、列車もそのまま残る。仕事も残る。そこで働く労働者だけを千葉機関区本区(蘇我)に引き揚げるというのだ。効率も何もかも無視し、動労千葉新小岩支部の破壊だけを目的としためちゃくちゃな暴挙なのだ。
「動労千葉の闘いは、新小岩支部から始まったと言っても過言ではない」――動労千葉の田中康宏委員長はこう述べている。新小岩支部は、動労千葉の最も伝統ある拠点職場だ。1968年に始まる滝口誠さん(当時の新小岩支部青年部長)への不当解雇撤回闘争から、動労千葉の闘う労働組合への飛躍は始まった。新小岩から巣立った多くの青年労働者たちが、動労千葉の骨格を形づくっていった。新小岩支部は今日も、1047名闘争を始めとする地域共闘の中心として、きわめて大きな役割を果たしているのだ。
動労千葉組合員と地域の労働者の闘いの砦(とりで)、血と汗のにじんだ職場を資本の勝手な都合で廃止することなど絶対に許せない。
破綻4社を今後20年支援
新小岩派出廃止は、「国鉄分割・民営化25年」を期した貨物大合理化攻撃の重大な突破口をなす攻撃だ。
昨年12月21日、国土交通省と財務省は、事業仕分けで問題とされた鉄道運輸機構の剰余金1兆5千億円のうち、1兆2千億円を国庫に返納させることを決めた。馬淵澄夫国交相(当時)が「向こう(財務省)の言い値」「苦渋の決断」と言っているように、財務省が国交省を押し切った形だ。さらに、残った剰余金約3千億円と、今後生じる剰余金をあわせてJR3島会社(北海道・四国・九州)とJR貨物会社に、今後20年で計8490億円の支援策を実施することも決めた。民主党政権が掲げた「国鉄分割・民営化25年問題」の解決は見事に頓挫し、20年も先送りされた。
JR貨物・3島会社は、分割・民営化から24年がたった今も、政府(鉄道運輸機構)が株を100%保有する事実上の国有会社だ。完全民営化どころか、毎年毎年、巨額の赤字を生みだしている。この上さらに20年もの間、膨大な公的資金を投入せざるをえないというのだ。
さらに資金をつぎ込んだところで絶対に解決のつく問題ではない。国鉄の7社への分割と民営化という枠組みの中では、何をやっても完全民営化など不可能だ。
国鉄分割・民営化は失敗に終わったのだ! その責任をとるべきは、こんな施策を強行した政府・財界の連中だ。そのツケを労働者に押しつけることなど絶対に許されない。
派出廃止反対の大運動を!
重大なことは、新たな支援策に「各社において経営自立のための計画を策定するとともに、第3者委員会による計画実施状況のフォローアップなど、計画の実効性確保を図るための枠組みを構築する」という条件が明記されたことだ。
JR貨物の社員数はすでに6661人(昨年4月1日現在)と民営化時の約半分になっている。業務外注化が、最も激しく進められているのもJR貨物だ。すでに列車運行も要員配置も極限的に削り込まれた貨物会社に対して日帝・国交省は「JALの次はJR貨物だ」「完全民営化への道筋を示せ」と迫り、JR貨物は「4500人体制」合理化に踏み込もうとしている。現場労働者に、血のにじむような犠牲を強制すると言っているのだ。その始まりが新小岩派出の廃止攻撃だ。
JR貨物は昨年、11年連続ベアゼロに加え、定期昇給6カ月延伸という賃下げ攻撃を強行した。貨物ベアゼロ打破・大幅賃上げ獲得の闘いは11春闘の最重要課題だ。
基地統廃合を始めとする貨物大合理化を丸のみし、その手先となることで組織的延命を図るJR総連・日貨労への怒りを今こそ爆発させよう!
動労千葉は、新小岩支部を先頭にして「新小岩派出廃止絶対反対」を宣言し、断固として闘いを開始している。JR東日本の検修外注化阻止、1047名闘争と一体で新小岩派出廃止絶対反対の大闘争を巻き起こそう。
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週刊『前進』(2474号5面1)(2011/02/07 )
1047名の解雇撤回!外注化絶対阻止!
外注化は日帝資本の「国策」
新自由主義攻撃を打ち破り全労働者の未来決する闘い
動労千葉は、昨年4月のJR検修業務全面外注化を阻止し、今年2月には京葉車両センターでの構内運転業務の外注化も粉砕した。JR東日本と東労組は、今なお検修業務外注化の強行を狙っているが、これもJRの青年労働者の決起と動労千葉の組織拡大の闘いによって行き詰まっている。検修業務外注化阻止の闘いをさらに大爆発させ、今こそJR体制打倒へ突き進もう。
JR検修業務外注化阻止の闘いこそ、国鉄分割・民営化を最後的に粉砕し、新自由主義攻撃を根底から打ち砕き、日本の労働運動をよみがえらせていく中心的闘いだ。そして国鉄闘争全国運動の原動力だ。まさに全労働者の未来をかけた決戦であり、非正規職に突き落とされた労働者を始め2千万青年労働者と結合していく闘いだ。
労組を破壊する究極の攻撃
なぜならば、外注化こそ新自由主義の核心的攻撃だからだ。職場の団結を破壊し、労働者を非正規職に突き落とす究極の民営化・合理化、労組破壊攻撃だからだ。
ブルジョアジーは95年の日経連プロジェクト報告で「9割の労働者を非正規雇用にする」と打ち出した。その攻撃の最大のテコが、外注化だ。
日帝支配階級が外注化に込めた反動的狙いは、通産省(現経産省)の報告書をまとめた『アウトソーシングの時代』(99年出版)という本に全面的に語られている。その執筆者は、村上ファンドの創設者で、インサイダー取引容疑で逮捕・起訴された元通産省官僚の村上世彰らだ。村上はそこで、「外注革命」と称して90年代から外注化を徹底的に推し進めてきたアメリカを手本に、財界と国家が一体となって業務外注化を推進すべきだと主張している。
村上は、アメリカの外注化を「資本主義への回帰政策が功を奏した」と絶賛する。そして「『ヒト』『モノ』『カネ』、さらには『情報』までをも、固定資産から流動資産へと変化させ」「『資産を持たない経営』への転換を図った」ことがアメリカ資本の成功の鍵だと強調している。大企業は株を保有するだけの存在になるところまでとことん労働者も設備も外注化し、徹底的にコストを削減すべきだと言うのだ。
さらに村上は、「米国で典型的なアウトソーシングとは、……当該部門の全機能を丸投げすること」「日米のアウトソーシングにおける最大の相違点は、人員の転籍にある。……米国のアウトソーシングでは、数千人規模の転籍がよく見られる」「日本的雇用慣行(長期安定雇用・年功賃金制・企業別組合)の存在が、アウトソーシングの利用形態を制限させてきたのではないか。これまで日本のアウトソーシング利用が、人事政策の変更を伴わない範囲に限られてきたのは、日本的雇用慣行における最大の特徴である、長期安定雇用に原因があるからだ」と言い放っている。
つまり、労働組合を破壊し、戦後の労資関係・階級的力関係を全部ひっくり返し、労働者を自由に解雇して、非正規職化し資本の都合のいいようにたらい回しにせよということだ。
村上はまた、「フル・アウトソーシングが進めば、より成果主義が進むだろう。成果主義とは、『頑張った者が報われる』反面、『頑張らなかった者はもちろん、(能力的に)頑張れなかった者も報われない』のだ。ある意味で、優勝劣敗の原則が支配する緊張感の高い社会と言えよう」などと平然とうそぶいている。そこにあるのは、労働者が階級的に団結し、仲間を仲間として支え合うことに対する徹底した憎悪だ。
村上は、「行政のアウトソーシングが進まない最大の理由は、この雇用問題にある」「この雇用問題を解決するには、公務員制度の改革も必要だろう」とも言う。外注化を公務員大量首切り=道州制360万人解雇として位置づけている。
まさに外注化との闘いは階級戦争であり、労働組合をめぐる攻防だ。
非正規職化の基軸的な手段
2001年から始まるJR東日本の「ニューフロンティア21」と、10万人以上の労働者を一気に外注会社に転籍させた02年のNTT「構造改革」が、日本における本格的な外注化の突破口だった。NTTの労働者は347社もの外注会社に追いやられた。
日本航空においても同様の攻撃が吹き荒れた。87年に完全民営化された日航は、「もうかる整備」を掲げ、06年に部品部門とエンジン部門の整備を全面外注化、09年に日航本体の整備部門を丸ごと子会社に外注化した。自社整備体制という安全原則を投げ捨て、整備部門を持たない航空会社に行き着いたのだ。09年のこの過程では約1500人が子会社に出向させられ、賃金・労働条件が切り下げられた。何よりもそれは、労組破壊の攻撃として行われた。
このように全産業で強行された外注化こそ、労働者の3割が非正規職という今日の現実をつくり出してきたのだ。
外注化の結果は事故の続発
外注化と非正規職化が労働者にもたらした最悪の結果は、安全の崩壊と事故・労災だ。JRでは、分割・民営化以来、300人以上の労働者が事故で命を奪われた。とりわけ犠牲は青年労働者に集中している。
この間、続発する新幹線事故は、外注化こそが元凶だ。昨年7月にJR西日本の山陽新幹線須磨トンネル内で起きた保守車両同士の衝突事故では、車両を運転していた孫請け会社の青年労働者が刑事責任を問われている。こんな理不尽なことがあるか! 事故の責任を負うべきなのは、安全を無視して大合理化・外注化を強行してきた資本家どもではないか。
にもかかわらず資本は世界大恐慌下、とりわけ4・9反革命と11・23以降の朝鮮侵略戦争情勢において、ますます外注化攻撃を強め延命しようとしている。郵政、自治体、教育、医療……あらゆる職場・産別で外注化攻撃が吹き荒れている。
だがそれは、ますます世界大恐慌を深化させ、全世界の労働者の反乱を巻き起こし、革命情勢を決定的に引き寄せていくものとなるのだ。
労組が闘えば展望は開ける
ここまで外注化と非正規職化が拡大したのは、既成の労組幹部が資本と一体となってそれを推進してきたからだ。
問われているのは労働組合だ。労働組合が労働組合として当たり前に闘えば絶対に外注化を阻止できる。
動労千葉は外注化攻撃を真正面から見据え、絶対反対で全力で立ち向い、外注化を阻止してきた。この10年間に及ぶ激しい外注化との攻防を、粘り強く原則を貫き闘ってきた。それは、非正規職を生む元凶を撃つ闘いでもあったのだ。
反合・運転保安闘争路線のもと、偽装請負・強制出向問題や安全の崩壊という外注化の矛盾を暴き出し、資本を追い詰めた動労千葉の闘いは、労働組合の可能性を示している。
だからこそ日帝は4・9政治和解で国鉄闘争を解体し、動労千葉に孤立を強いて、JRの全面外注化をなんとしても強行しようとしているのだ。
だが、動労千葉は外注化と対決する中で組織拡大に転じ、青年部結成に向けて突き進んでいる。これは、戦後労働運動の限界をのりこえる決定的な闘いだ。
今こそ青年労働者の怒りを結集し、検修外注化攻撃を阻止しよう。ここに労働者階級全体の未来がかかっている。
(写真 昨年2月13日、「解雇撤回、外注化阻止」を掲げ動労総連合を先頭にしたデモ隊がJR東日本本社に怒りのシュプレヒコール【新宿】)
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週刊『前進』(2474号5面2)(2011/02/07 )
JR東が「新賃金制度」提案
青年労働者に最大の矛盾が 春闘で賃下げ・分断の粉砕を
JR東日本は1月13日、「人事・賃金制度の見直しについて」の提案を各労組に行った。
これはまさに、抜本的な賃金体系の改悪だ。徹底した賃下げの攻撃であるとともに、労働者をとことん分断し、競争を強いて団結を破壊する狙いがそこにはある。またそれは、鉄道業務の全面外注化を一層推し進めるためのものでもある。
JR東日本は、新人事・賃金制度を今年4月1日から実施するとしている。有無を言わせずこの攻撃を強行しようとしているのだ。JRにおける11春闘の最大のテーマは、新人事・賃金制度を粉砕することにある。
基本給表もなくす抜本改悪
この提案の最大の問題は、等級・号俸という形で定められている現在の基本給表を廃止するとしていることだ。JR東日本は、労働者一人ひとりに賃金金額を発令するとしている。つまり、賃金は資本のさじ加減ひとつで決められるようになるということだ。
新賃金制度では、初任給と所定昇給額は定められるが、昇給にあたって「勤務成績が特に優秀な社員については、所定昇給額以内の金額を特に加算することがある」としている。労働者を徹底的に競わせ、資本に忠誠を誓った者だけが「特別加給」の対象となる。「特別加給」には、「所定昇給額以内」という上限の基準があるだけだ。具体的な金額は、すべて資本の裁量に委ねられる。
これにより同期や同僚の間で、誰がどのくらいの賃金を得ているのかはまったく分からなくなる。基本給表が廃止されれば、ベースアップという概念もなくなる。労働者が団結し、資本に賃上げを要求して闘う賃金闘争そのものを解体・一掃することが、新人事・賃金制度の狙いだ。まさに1047名問題の4・9政治和解が、JRによるこうした攻撃を引き出したのだ。
全世代に及ぶ大幅な賃下げ
新人事・賃金制度による最大の犠牲者は、「平成採」の青年労働者だ。
JR東日本は、55歳以上の賃金減額制度を段階的に改めるとして、新賃金制度を中高年層の労働者への恩恵であるかのように押し出している。それによって世代間を分断し、国鉄時代に採用された労働者を青年労働者に敵対させようとたくらんでいるのだ。ここに、今回の提案のこの上ない悪らつさがある。東労組カクマルや国労本部は、このJR資本の意図に完全に乗っかっている。
だが、新人事・賃金制度は、全世代の労働者に対する賃下げ攻撃にほかならない。JR東日本は「生涯賃金ベースでみれば底上げになる」などとうそぶくが、これはまったくのペテンだ。
今回の提案は、初任給を引き上げるとしているが、他方で定期昇給幅は引き下げられる。JRは、30歳代半ばから現行より賃金が下がると説明しているが、実際には20歳代後半で今よりも賃金が下がるのだ。これでどうして生活していくことができようか。
しかも、現在の青年層が55歳に到達した時の賃金は、今より1万円以上も下がる。このため退職金も削減されるし、年金受給額も大幅に減る。
さらに、55歳以上の労働者に対しても、賃下げの狙いは貫かれている。
現在、JR東日本は、55歳以上の労働者の賃金を9割に、57歳以上の労働者の賃金を8割に引き下げる制度をとっているが、この減額制度自体がまったく不当だ。55歳以上になったからといって、仕事が緩和されることなどない。55歳以上の減額制度の廃止は、ようやく本来の賃金に戻ったということにすぎない。
しかも、今回の提案でJR東日本は、55歳以上の減額制度をなくす代わりに、退職特別加算金を半減するとしている。現在は満60歳で定年退職すれば支給される特別加算金100万円が、50万円に削られるのだ。
例えば、現在54歳以上の労働者の場合、経過措置により減額制度は全廃とならず、依然として賃金は9割に引き下げられ、57歳到達時以降の減額分がわずかに緩和されるだけだ。結局、この世代に対しても、退職特別加算金引き下げの効果だけが襲いかかるのだ。
職場支配権をかけた激突に
JRの提案は、現行の1等級から10等級の等級区分も変え、係職1級から主幹職Aまでの9区分にするとしている。そこには、「統務職」「専任職」という新たな職名が設けられている。
JRは統務職を「人材育成体制の強化・充実」のための「職場のフォアマンクラスの職」と位置づけている。東労組カクマルとの結託体制の清算をも視野に入れ、助役の下にフォアマン(職長)層を育成し、資本による職場支配を確立することが統務職新設の目的だ。
さらに、統務職・専任職・主幹職には、最高6万円の役割手当を支給するとしている。一般労働者には賃下げを強い、管理職には手厚く報いる。
昇進制度については、「係職→指導職」「指導職→主務職」「主務職→統務職」という昇職は試験によるとしているが、係職、指導職、主務職内の1等級から2等級への昇格は昇格審査によるとする。これは「業務遂行や経験等」「作文」を考慮して判断するとされているが、JRが「新たな小集団活動で成果があれば評価する」と説明しているように、資本に対する忠誠度が評価の基準になるということだ。
また、「指導職→統務職」への飛び級試験の制度も設けられる。ここでも徹底した競争があおられている。「賃金を上げて欲しいなら、仲間をけ落としてはい上がれ」という団結破壊の攻撃だ。
新人事・賃金制度との攻防は、まさに職場支配権をかけた資本との非和解的激突なのである。
経労委報告の最先端の攻撃
新人事・賃金制度は、業務の全面外注化の攻撃と一体だ。JR東日本は、全面外注化を前提とした賃金体系をつくり出すとともに、新人事賃金制度によって労働者の団結を徹底的に破壊し、外注化を一層推し進めようと狙っている。
今回の提案は、日本経団連の「2011年版経営労働政策委員会報告」が叫ぶ「人事・賃金制度を年齢・勤続基軸から仕事・役割・貢献度を基軸とするものへ見直しを図る」という攻撃の最先端をなしている。基本給表の廃止という根本的な賃金体系の改悪こそ、賃金による労働者分断の最たるものだ。そこには資本がもくろむ労働者支配の究極のあり方が示されている。
経労委報告は、「春闘終焉(しゅうえん)」「春の労使パートナーシップ対話」を掲げ、「労使一体となってグローバル競争に打ち勝つ」と絶叫した。それは、大恐慌と戦争の情勢下で、動労千葉を始めとする階級的労働運動を絶滅するという反動的決意の表明だ。これは、4・9政治和解のもとでのさらなる労組解体攻撃だ。
新人事・賃金制度との攻防は、労働組合とは何かが正面から問われる闘いだ。青年労働者に矛盾を集中させるこの制度と、全組合員が一丸となって闘ってこそ、労働組合の団結は保たれる。労働組合がこんな制度を受け入れたら、二度と賃金闘争は闘えなくなる。ところが、東労組カクマルも国労本部も、この攻撃の積極的な担い手となって青年労働者に襲いかかろうとしているのだ。
動労千葉は、北嶋君に対するライフサイクル強制配転の攻撃に対し、全運転士による反撃のストライキに決起した。一人の組合員への攻撃に対し、全組合員が一丸となって立ち上がったところに、動労千葉の不抜の団結の真骨頂がある。
資本は常に賃金をもって労働者の分断を図ってくる。だから、労働者・労働組合の階級的団結を打ち固めることを総括軸に賃金闘争を闘えば、それは体制内労働運動のくびきを引きちぎり、プロレタリア革命に向かって開かれた闘いとして発展していくのだ。
その決戦の時は訪れた。JR体制は破産をあらわにし、青年労働者を先頭とする動労千葉のストライキは、平成採の総反乱の突破口をこじ開けた。外注化阻止決戦と一体のものとして新人事・賃金制度粉砕の11春闘を闘いぬき、JR体制打倒の展望を切り開こう。
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週刊『前進』(2474号6面1)(2011/02/07 )
動労千葉ストと2・16集会から11春闘へ
青年労働者の怒りを解き放ち 賃下げ・首切り・外注化粉砕を
エジプト情勢と日本の闘いは一つ
情勢は一変した。チュニジア、エジプトの革命は、プロレタリア世界革命の号砲であり、青年労働者を先頭とする労働組合の再生が全世界共通の課題であることを告げ知らせている。11春闘は日本階級闘争全体を左右する重大な決戦としてせりあがっている。侵略戦争を内乱へ! 国鉄解雇撤回・外注化絶対阻止! 動労千葉ストライキを先頭に、菅政権打倒へ進撃しよう。2・16国鉄集会を突破口に、青年労働者の怒りを総結集して闘いぬこう。
(写真 「解雇撤回」を掲げて立ち上がったJAL労働者の本社前宣伝行動【1月25日 天王洲】)
世界で労働者の革命的反乱・決起が始まった
歴史的な11春闘を闘うにあたって、第一に確認すべきは、大恐慌下の大失業と戦争の攻撃が激化し、チュニジア、エジプト情勢が示すように、全世界労働者の革命的決起の情勢が到来しているということである。
「大恐慌は大失業を生みだし、朝鮮侵略戦争を現実化させた」(本紙新年号1・1アピール)
大恐慌は際限なく進行し、いまや「資本主義的私的所有の最期を告げる鐘」(『資本論』第1巻24章)が世界中で鳴り響いている。財政危機を深めるブルジョアジーの最大の恐慌対策は、大失業・非正規化と戦争による労働者階級の闘いの圧殺、とりわけ労働組合の解体以外になくなった。
国鉄分割・民営化に始まり、社保庁解体から「4・9政治和解」、そしてJAL、日本郵便、JRをはじめ全産別で、「会社清算・倒産(危機)」を口実とする無法・不当な大量解雇、外注化・非正規化と新人事・賃金制度導入の大攻撃が吹き荒れている。倒産攻撃こそ、国家と資本による究極の分断・合理化・団結破壊である。公務員制度改革と道州制・公務員360万人首切りもまた、「国家財政破綻の危機」を掲げた歴史的攻撃である。
日本経団連の2011年版経営労働政策委員会報告(経労委報告)の核心は、「労使一体となってグローバル競争に打ち勝つ」とするタイトルどおりだ。大恐慌と戦争情勢下の「4・9政治和解」=「階級融和・圧殺」路線の全面展開である。
日本帝国主義は、大恐慌下の帝国主義間・大国間争闘戦の中で、存亡のふちに立っている。経労委報告は、経済再生=祖国防衛のために労資が一体となって、首切りと賃下げ、外注化・非正規化、アジア侵略の「新成長戦略」に突き進もうという、日帝ブルジョアジーの悲鳴ともいうべき呼びかけである。これを日本経団連が、連合や全労連の体制内労組指導部に対して行っている。そこまで危機は深いのだ。
経労委報告の結論は、「雇用重視」を口実とする賃上げの拒絶にとどまらない。競争に打ち勝つ「多様性に富む労働市場の確保」がキーワードだ。「年齢・勤続基軸の年功賃金制から仕事・役割・貢献度を基軸とした人事・賃金制度の見直し」を行う。「正規労働者の処遇の検討」に踏み込んで終身雇用制を最後的に解体。「同一価値労働同一賃金」への転換を唱えて非正規職化を徹底して推進する。資本の存続のために首切りと賃下げの自由を認めろ、労働組合は協力しろとぬけぬけと主張しているのだ。
まさに11春闘は、11・23朝鮮侵略戦争突入情勢下での階級決戦の戦場そのものとなった。11春闘の爆発で帝国主義の「最弱の環」日帝打倒に攻め上ろう。
体制内派の「階級融和」「和解」思想を打ち破り
11春闘を闘うにあたって第二に確認すべきは、最大の焦点が労働組合の路線と組合権力をめぐる攻防であり、すべての体制内派がふりまく「会社再建」「企業防衛」の「階級融和」「和解」思想との激突となっていることである。
経労委報告が公表された翌日の1月19日、日本経団連幹部と連合幹部との懇談会が行われた。米倉日本経団連会長、古賀連合会長を筆頭に、総資本代表と労働貴族代表との間で「経済成長」を議題に「春の労使パートナーシップ対話」(経労委報告)そのものの、おぞましい議論が行われたのである。
連合の11春闘の要求は、基本給のベースアップではなく「福利厚生費や手当、一時金などを含む給与総額1%アップ」である。「仮に所定内賃金の1%の処遇改善要求であるならば極めて厳しい」(経労委報告)とする主張に完全に沿った「あくまで一時的な手当、一時金」そして福利厚生費まで入れた1%アップ要求でしかない。史上空前の利益をあげた自動車や電機をはじめ主要単組はそれすら引っ込めている。
連合の幹部どもは、本気で賃上げを求める気などさらさらない。それどころか、日本資本主義の延命と菅政権の護持のために「労働組合として何ができるか」(自治労中央委員会議案)がすべてなのだ。
連合の政策・制度要求は、「新成長戦略の推進による新たな雇用創出と安定的な名目成長の実現」であり、「税制改革」「社会保障・税共通の番号制度の導入」である(大衆収奪とIT化による大合理化、治安管理のための国民総背番号制の主張だ!)。彼らの強調する「非正規雇用労働者の処遇改善」とは、吹き荒れる大量解雇・非正規化攻撃と一切闘うことなく、むしろ不可避にまき起こる労働者の闘いの分断・圧殺と一層の外注化・非正規化の先頭に立つということである。「第2のセーフティネット」の主張で、95年日経連プロジェクト報告が唱えた「9割の労働者の非正規化」のための条件整備を連合自身が進めようとしている。
その実例は、社会保険庁解体時に果たした連合、自治労、社保労組の反階級的所業に見ることができる。連合・古賀事務局長(当時、現会長)自らが参加する日本年金機構設立委員会において、社保庁正規職員1千人解雇・選別採用方針が決定された。そして、自主退職の強要をはねのけ分限免職を受けて立った525人の社保庁労働者の闘争圧殺のためにのみ、社保労組を解散して解雇者を組合から排除し、新たに別組合を立ち上げることまでやってのけた。大量解雇に協力し、正規職の大幅賃下げと外注化・非正規化を推し進めておいて、なにが「非正規雇用労働者の処遇改善」であり「正規職と非正規職の賃金シェア(分かち合い)」(徳永自治労委員長)か! 労働貴族どものこんな大ペテンを、6千万労働者の怒りで粉砕しつくそう。
全労連の「経済再生のための賃上げ」論も、資本主義体制護持の立場に立つ連合と変わりはしない。大恐慌下の資本主義の再生、企業の再生なるものが何をもたらすというのか。労働者階級に対する強搾取・強収奪であり、帝国主義の行う戦争に協力するということ以外にはありえない。口先ばかりの反対を唱えようと、労働者の闘いがストライキとして火を噴き、革命的反乱に発展しようとした瞬間にその圧殺に走るスターリン主義反革命としての歴史的役回りを断じて許すわけにはいかない。
組合破壊・変質狙う4・9和解
「4・9政治和解」こそ、1047名闘争を解体し、解雇や不当労働行為と一切闘わず国と資本の責任も不問に付すことを誓わせる究極の分断と闘争圧殺、労働組合破壊・変質攻撃であり、戦争情勢下の階級戦争攻撃に協力する「城内平和」思想そのものである。全産別でかけられている倒産解雇・大幅賃下げ・非正規化攻撃に対して、「会社再建」を掲げて労働者のストライキに反対し、「落としどころ」と称して仲間の首を差し出し非正規職化を進め、あるいはせいぜい職場闘争と切り離した法廷闘争に切り縮めることなど、あってはならない。
そもそも「日本経済の再生」自体が、この大恐慌の進行の中で、およそありえない。「4・9政治和解」に与(くみ)し、「資本主義の繁栄」を大前提に利潤のおこぼれの分配を説く体制内諸潮流すべての主張が急速に色あせている。現に首を切られ、超低賃金を強制され、人間としてのつながりも誇りも未来も奪われようとしている青年労働者に、そんなまやかしなど一切通用しない。
体制内労組指導部による労働者支配は、大恐慌・大失業の進展の中で、音を立てて崩れつつある。青年労働者の怒りと結合し、国鉄解雇撤回・外注化絶対阻止を掲げて11春闘を闘いぬくとき、菅政権打倒、プロレタリア革命の歴史的な突撃路が切り開かれる。壮大な展望をかけて、11春闘を闘おう。
国鉄全国運動を推進し闘う青年部をつくろう
第三に確認すべきは、外注化・非正規化阻止、菅政権打倒へ、闘う労組青年部建設を先頭とする労働組合の再生を総括軸に、国鉄闘争全国運動をおし立て職場生産点から闘いぬくということである。
すでに激闘の火ぶたは切られた。ライフサイクル配転を拒否する動労千葉の青年労働者の長期指名スト決起と2・1〜2ストライキは、JR職場をはじめとする2千万青年労働者、6千万労働者の魂を揺さぶり、巨大な火柱となって全産別に広がっている。
安全問題・要員問題が爆発し、3島・貨物会社の大赤字をさらけ出す国鉄分割・民営化の決着をかけて、JR資本の行う全面的な外注化・非正規化攻撃に先を争って協力するJR総連カクマルと国労本部=協会・革同指導部を、青年労働者の怒りを爆発させて打ち倒すときが到来している。
自治労本部は、菅「新成長戦略」を先取りする「持続可能な日本社会のグランドデザイン構想」を押し立て、公務員360万人首切りの先兵と化した。公立病院の廃止・分限免職のラッシュも、「幼保新システム」による60万労働者の大量首切り・総非正規化も、自治労本部の協力抜きにはありえない。全国の職場で民営化絶対反対の闘いが進み、第2第3の動労千葉をめざす拠点建設の飛躍が始まっている。
大破綻した郵政民営化の犠牲にされてたまるか! 「経営危機」を振りかざして民営郵政の首切り・賃下げ攻撃の先兵と化したJP労組本部を打ち倒し、職場支配権を奪い返す気運が、全国の郵政職場に満ちている。
教え子を戦場に送るな! 11・23情勢下で組合権力の強権発動で現場の怒りの圧殺に奔走する日教組中央の策動を圧倒して、正規・非正規の教育労働者の決起と労組権力への挑戦が激しく闘われている。
JALにおける解雇撤回闘争も、日共スターリン主義の「企業再生」思想と法廷闘争への切り縮めをはねのけて前進し、JAL傘下の数万の正規・非正規労働者の解雇絶対反対の闘いとして発展しつつある。医療・福祉、NTT、金属、交通運輸、合同一般はじめ、全産別で、青年労働者の「生きさせろ!」の闘いが広がっている。すべてが国鉄闘争全国運動そのものであり、階級的労働運動の壮大な進撃が始まっている。
チュニジアからエジプトへと続く労働者の革命の劇的な進行は、米帝を先頭とする国際帝国主義の北アフリカ・中東支配を根底から突き崩し、プロレタリア世界革命の道をさらに決定的に推し進めている。日米韓からヨーロッパ、中国・アジア、中東、中南米へと広がった労働者国際連帯闘争は、世界全体をおおうものとして発展していく。その決定的一翼として、日本における国鉄闘争全国運動があり、菅民主党連合政権打倒の11春闘が闘われているのだ。
「2011年こそは、全ブルジョア世界の破滅への行進と全面対決し、人間社会の共同性を奪還するプロレタリア世界革命の実現という、歴史上最も偉大な事業への第一年である」(新年号1・1アピール)
いまや国鉄解雇撤回・外注化絶対阻止は全労働者のスローガンとなった。11春闘は、青年労働者の未来をかけた闘いである。国鉄全国運動を押し立て、職場から総決起しよう。激闘の中で闘う労組青年部をつくり出そう。
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週刊『前進』(2474号6面2)(2011/02/07 )
韓国労働運動 整理解雇に怒りの反撃
組合員の団結訴え厳寒の中で「高空籠城」
韓国の労働運動は年明け早々から新たな決戦に突入している。昨秋の現代自動車での闘いを引き継ぐ非正規職労働者の怒りの爆発に加え、資本のリストラ、大量解雇、労組破壊攻撃に対する現場労働者の全力をあげた反撃が、真冬の凍りつく寒さを突き破って続々と開始されている。
とりわけ非正規職労働者の闘いは拡大し、不退転の決起となって韓国社会を揺るがしている。新年冒頭にはソウルの弘益大学で170人の清掃労働者や警備、施設労働者が集団解雇される事件が発生し、140人の労働者が直ちに労組を結成して1月3日から大学構内の占拠・座り込みに突入した。その多くが50〜60代の女性労働者で、劣悪な条件下できつい労働に従事しながら、これまで労働運動とは無縁だった人たちだ。座り込みは1カ月を超えて続き、多大な反響を呼んでいる。
GM大宇で非正規職勝利
この中で2月2日、GM大宇自動車の非正規職支会が、解雇者全員の復職を資本に認めさせる大勝利をかちとった。
GM大宇の非正規職支会は、労組結成を理由にした解雇に対し、07年以来3年を超えるテント座り込みを続けて闘ってきた。昨年12月1日には2人の組合員が「解雇撤回と非正規職の正規職化」を掲げて工場の正門アーチに上がり、高空籠城(ろうじょう)闘争を開始。12月20日からは支会長が無期限ハンストに突入していた。
1月に入って資本は、15人の解雇者中14人の復職に応じた。だが労組は残る1人を含む15人全員の復職をあくまで求め、さらに団結を固めて闘った。その結果、座り込み1192日、高空籠城64日、ハンスト45日の激闘の末についに実力で勝利をもぎりとったのだ。
この勝利は昨秋のキリュン電子、ドンヒオートの勝利に続くものだ。しかしGM資本はその一方で、1月31日に子会社の大宇自動車販売で全労働者の7割にのぼる大量整理解雇を強行した。労働者側は直ちに大宇自販の本社を占拠し、無期限座り込み闘争に突入した。
(写真 GM大宇の工場正門前で高空座り込みの労働者と連帯し集会を開く金属労組【1月21日】)
韓進重工業の解雇が決戦に
この大宇自動車販売の整理解雇と並び、韓進重工業での整理解雇が大問題となっている。韓進重工業は73年の歴史をもつ造船所だが、黒字経営にもかかわらず昨年1年間で下請け・非正規を含め3千人以上の労働者の首切りを強行した上、昨年末、新たに正規職400人の解雇を発表した。これに対し、韓進重工業組合員の全面ストライキと工場内での徹夜座り込みが、すでに1カ月を超えて闘われてきた。
この闘いの牽引(けんいん)力となっているのが、韓進重工業の解雇者、組合員でもある民主労総釜山本部のキムジンスク指導委員が1月6日から開始した、地上35bのクレーン上での高空籠城闘争だ。彼女が上がった85号クレーンは、2003年の大争議の際に、当時の労組委員長だったキムジュイク韓進重工業前支会長がその上で129日間にわたる座り込みをして、最後は資本に対する抗議の首つり自殺をした場所だ。
キムジンスク指導委員は、1986年に労組活動を理由に韓進重工業を解雇された後も、現場の組合員とともに、52歳になる今日まで民主労組死守の闘いを続けてきた。そして今日、新たな解雇攻撃に対して「正面からぶつかる戦い」以外にないと決断し、全組合員に総決起を呼びかけ、再び85号クレーン上での籠城を決意したのである。
「ジンスク姉さんが85号クレーンに上がった!」との知らせは一瞬にして工場内と地域を駆けめぐった。「私は今、ジュイク氏が座っていた場所に座り、横たわっていた場所に寝ています。そして私はジュイク氏がやりたかったのに結局できなかったこと、自分の足でクレーンを降りていくことを必ずやるでしょう。この85号クレーンがもう死や涙ではなく、勝利と復活になるように私の全力を尽くします」「今こそ民主労総と金属労組の名に恥じない闘争を!」――キムジンスク同志のこの訴えが全組合員を奮起させ、工場占拠と釜山市内での座り込みが連日闘われている。
(写真 韓進重工業のクレーン上に籠城し、上から手を振るキムジンスク指導委員【1月26日】) 現代自動車も第2次闘争へ
現代自動車でも、第2次ストライキへの準備が本格的に始まった。1月26日、会社と正規職労組との間に結ばれた「労使合意」が提示されたが、非正規職3支会はこれを拒否した。そして組合員を集めて「会社が交渉で狙っているのは仲間を分断して労組をつぶすことだ。労働者の武器は団結とストライキだ。この武器を手放してはならない。私たちは昨年の経験でこのことを学んだ。労働組合の力は仲間たち自身の手でつくりあげるものだ。自分と仲間を信じて、また始めよう」と確認した。
今や、昨秋の現代自動車を先頭とした青年労働者の決起が50代、60代の労働者の人生をかけた決起をも引き出し、韓国労働運動の新たな歴史を開き始めている。資本との大激突に突入した韓国労働者と連帯し、日本での闘いを切り開こう。
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週刊『前進』(2474号6面3)(2011/02/07 )
1月26日〜2月1日
エジプト情勢に大動揺の米欧帝/前原「辺野古拒否なら普天間固定」
●新嘉手納爆音訴訟の上告棄却 米軍嘉手納基地の周辺住民が米軍機の飛行差し止めと騒音被害への損害賠償を求めた新嘉手納爆音訴訟で、最高裁が原告の上告を棄却した。具体的な判決理由は一切示されなかった。(27日)
●米軍が日米韓合同演習に期待 ウィラード米太平洋軍司令官が「日米韓3カ国が将来的に合同演習をすることは十分あり得る」と記者団に語った。「3カ国の能力、戦術は互換性がある。韓国軍と自衛隊が相互運用するというアイデアは自然な流れだ」「3カ国で情報共有を進めることも可能だ」と、対北朝鮮で3カ国の連携が深まることに期待を示した。(27日)
●日米が共通戦略目標で初協議 日米安保審議官級協議が米国防総省で開かれ、今春予定の日米共同宣言に盛り込む「共通戦略目標」について初の協議を行った。外務・国防担当大臣による2プラス2協議を菅首相訪米の前に開催し、共通戦略目標を策定・発表する方針で一致した。(27日)
●日本国債を格下げ 米の格付け会社S&Pが日本の財政赤字の悪化を理由に、日本国債の格付けを一段階引き下げたと発表した。(27日)
●都教委通達「合憲」の判決 「日の丸・君が代」を強制し、従わない教職員を処分するとした都教委通達について、東京高裁は一審が「違憲・無効」とした判決を取り消し、「合憲」とする逆転判決を下した。(28日)
●前原外相が訪沖 前原外相が那覇市内で講演し、昨年5月の日米合意に基づき普天間飛行場の名護市辺野古への移設を進める方針をあらためて強調した。辺野古への移設を県が容認しない場合には、普天間基地の現状固定化について「申し訳ないが、そういうことになる」と明言した。(29日)
●TPP参加を国際公約 菅首相が世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)で講演し、TPP参加について6月までに結論を出すと言明した。またアジア太平洋地域の平和と安定にとって「日米同盟の重要性は一層強まっている」と強調した。(29日)
●英仏独がエジプト情勢で声明 25日に始まったエジプトでのムバラク体制打倒の反乱に、英仏独の欧州3カ国首脳が強い危機感を表明する共同声明を発表した。(29日)
●米がムバラク政権に見切り 米政府がムバラク政権擁護から転換し、「エジプト国民の願望に応じる新政府への秩序ある移行」を支持すると表明。この考えを英やイスラエル、トルコ、サウジアラビアなど各国首脳に伝え、協力を求めた。同時に「米国は混乱と暴力、秩序の崩壊を望んでいない」と米の意にそわない政権の誕生に対する警戒感を表明した。(30日)
●小沢一郎を強制起訴 民主党の小沢一郎元代表が政治資金規正法違反容疑で強制起訴された。(31日)
●エジプトで100万人デモ エジプトで過去最大の100万人規模の集会が開かれ、ムバラク大統領が米大使と協議した上で引退を表明した。だが即時辞任は拒否し、9月の選挙までは現職にとどまるとした。(1日)
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週刊『前進』(2474号7面1)(2011/02/07 )
エジプト革命に続こう
労働組合を奪還 蜂起を実現
世界大恐慌のただ中で起きたエジプト革命が世界を揺るがしている。官製労組と対決し、独自の労働運動を組織してきた闘いこそが、この革命を生み出したのだ。そして今、革命圧殺を狙う帝国主義との闘いは、労働組合をめぐる闘いにかかっている。
官製労組と闘って組織化
1月25日「怒りの日」の決起でエジプト革命が開始されてから5日後、1月30日に新たな労働組合のナショナルセンター、エジプト独立労働組合連盟(EFIU)が設立された。
「労働運動の闘いが現在の革命への道を切り開いた。だからこそエジプトの労働者は『官製』のナショナルセンターが労働者の代表として語ることを全面的に拒否するのだ。彼らは労働者の権利を否定してきた。そしてあの有名な1月27日の声明では、現在のあらゆるデモに反対することさえ表明している」(設立宣言より)
これまでの唯一のナショナルセンター、エジプト労働組合総連合会(ETUF)も傘下の産別組織も各企業・各工場の支部組織も、役員は政府に任命された。労組というより労働者の監視・管理機関だ。このETUFと対決し、独自の組織を建設する闘いが、エジプト革命を切り開いたのだ。
エジプトは戦略的に決定的に重要な国家だ。イスラエルに次ぐ巨額の軍事援助をアメリカ帝国主義から受けてきた。
その焦点は労働者の闘いの鎮圧だった。今回、大統領のムバラクが副大統領に任命したオマル・スレイマンは、諜報(ちょうほう)機関の長として労働者人民の逮捕・暗殺・拷問を指揮してきた。それはエジプト人民にとどまらない。彼は1995年以来、米中央情報局(CIA)が海外で誘拐した「反米活動の容疑者」をエジプト国内の監獄に入れ、拷問する役割も引き受けた。
アメリカの援助で警察力が徹底的に増強された。「国民の37人に1人が警察官」といわれる、世界のあらゆる独裁政権の中で最も極限的な警察国家がつくられた。特に労働運動の活動家は警察に逮捕され、拷問された。
そして官製労組ETUF以外にスト権は与えられていない。ETUF以外の労働組合は禁止された。つまり、どのようなストも「違法スト」以外ではありえないのだ。どんなささやかな職場闘争でも、非公然の組織網をつくり、用意周到に準備を重ねてからでなければ行えなかった。
(写真 軍の戦車の上に乗った労働者【1月29日、カイロ・タハリール〔解放〕広場】)
06年の繊維大ストライキ
こうした弾圧体制の中での粘り強い組織化の成果が2006年からの繊維労働者の大ストライキだ。
2004年にアハマド・ナジフが首相に任命された。彼は、ムバラク大統領の息子、ガマル・ムバラクを中心とする若手の新自由主義急進派グループに属する。彼らは国際通貨基金(IMF)・世界銀行と構造調整計画の実施で合意し、国営企業の民営化攻撃をエスカレートさせてきた。それは解雇の大波であり、物価高騰だった。インフレ率は03年、04年は4・3%だったが、05年は9・5%だ。
ナジフは06年5月、国営企業の労働者の怒りを抑えようとして2カ月分の年末ボーナスを約束したが、12月7日のボーナスは以前と同額だった。
北部ナイル川デルタ地域の工業都市マハラの国営繊維工場では、多くの労働者が2日間にわたってボーナス受け取りを拒否した。そして3千人の女性の被服労働者が工場の門前の広場で集会をした。紡績部門、織布部門の工場に向かってデモをし、そこの男性労働者に集会参加を呼びかけた。
「2カ月だ! 2カ月だ!」。1万人の大集会でシュプレヒコールがこだました。機動隊が出動したが、かつてない多数の結集を前にして何もできなかった。
集会後も工場に泊まり込み、機動隊との籠城(ろうじょう)戦を経て1・5カ月のボーナスで妥結した。民営化しない約束もとりつけた。
この勝利の報が全国をかけめぐり、繊維、自動車、セメントなど多くの現場活動家が新たなストや職場闘争を組織した。
2008年には「4月6日全国ゼネスト」が呼びかけられた。拠点のマハラでは警察と軍が前日から工場を占領したためストにはならなかったが、繊維労働者を先頭に全市の労働者が集会に決起し、機動隊と対決して食糧暴動に発展した。「4月6日運動」が生まれ、ストライキ・革命の担い手が育っていった。
前年のサブプライムローン危機――世界大恐慌突入――の中で投資先を失った投機資金が原油と食糧を買い占めた。食糧価格が急騰し、人口の約半数が1日2j以下で生活しているエジプトの労働者人民を直撃した。
そして新自由主義・構造調整計画を強行したナジフ首相らは、食糧補助金などあらゆる補助をカットした。だからストライキで勝利した経験がある繊維労働者が先頭に立った時、住民全体が帝国主義の新自由主義政策の先兵、ムバラク政権への怒りを爆発させたのだ。これがエジプト全土に波及し、ムバラク体制を根底から動揺させた。
2010年には各地のストライキだけでなく、全国レベルでの最低賃金要求闘争が爆発した。同年12月のトラック労働者の長期ストは全国の物流を止め、そのために工場も停止、社会の主人公が誰であるかを圧倒的に示した。
以上が1月25日からのエジプト革命の前段だ。
(写真 2007年、マハラ繊維工場で再びストライキ) チュニジア革命の衝撃
1月14日、チュニジアのベンアリ大統領が国外逃亡した。このチュニジア革命の軸になったのが、エジプトと同じく官製労組と対決して労働組合運動を再建してきた労働者たちだった。
「北アフリカ・中東には22人のベンアリがいる。全員打倒しよう」
この呼びかけに応えてモーリタニア、モロッコ、アルジェリア、リビア、イエメン、ヨルダン、レバノン、シリアなど至るところで巨大なデモが起こった。
エジプトの労働者階級人民は、このすべての闘いと自分たちが完全に一体だと感じ、熱い連帯感を表明している。集会の中でも「パレスチナとの連帯」「ムバラクのガザ封鎖を許すな」などのスローガンが叫ばれている。
革命歪曲・圧殺との闘い
ムバラク体制に対する反乱を抑えきれないと見た米欧日のマスコミがエルバラダイを「野党勢力の代表」として押し立てるキャンペーンを開始した。
エルバラダイは、国際原子力機関(IAEA)の事務局長として、米英・独仏の帝国主義間対立の中で独仏側に立った経歴も持っている。だから彼の擁立はアメリカ帝国主義にとって重大な矛盾だが、中東支配の崩壊におののくブルジョアジーは、エジプト革命をねじ曲げ、エルバラダイらに事態を収拾させ、闘いを圧殺しようと必死になっているのだ。
またアメリカの帝国主義労働運動=米労働総同盟・産業別組合会議(AFL―CIO)は、出先機関「ソリダリティーセンター」を通じて、エジプトの新たなナショナルセンターに介入している。73年、チリの労働運動に介入し、クーデターを起こして労働組合員を大量虐殺した手口を繰り返そうとしているのだ。
こうしたあらゆる策動は、労働者階級は自らの力で社会を変革し新たな社会を担いうるという自信を歪め、破壊するところに核心がある。この自信が破壊され、帝国主義の策動を許した時に、労働者階級は流血の敗北をこうむってきたのだ。階級的労働運動の組織化を貫くことこそが勝利の道だ。
中東石油支配は帝国主義の世界支配のキーポイントだ。そしてエジプトはこの地域の軸である。
エジプトの労働者の闘いは中東全体の革命に直結している。中東石油地帯の支配の崩壊は、アメリカのドル体制の崩壊であり、帝国主義の世界支配の崩壊だ。
世界革命の時代だ。
新自由主義の根幹を撃つ国鉄全国運動を一切の軸にすえて、労働者が主人公になる社会をつくっていこう。
〔村上和幸〕
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週刊『前進』(2474号7面2)(2011/02/07 )
法大入試情宣禁止仮処分 「受験生は金もうけの道具か」
審尋で当局を断罪
法政大学は今年もまた入試期間中の「情宣禁止仮処分」を裁判所に申し立てました。今年の仮処分は、入試期間中に全学連の織田陽介委員長と坂野陽平委員長代行、倉岡雅美副委員長、法大文化連盟の斎藤郁真委員長、内海佑一さん、洞口朋子の計6人に対し、「キャンパスから半径200b以内の立ち入りを禁止する。違反したら罰金100万円を払え」というとんでもない内容です。
この仮処分の審尋が2月1日、東京地裁で行われました。審尋に先立ち、裁判所前で宣伝をしました。圧倒的な注目で、ビラがどんどん受け取られていきます。
坂野委員長代行は「国家権力は何を恐れているのか。エジプト、チュニジアでは労働者、学生の巨万のデモが起こっている。日本でも始まろうとしているこの闘いを圧殺するための弾圧が情宣禁止仮処分だ」と鋭くアピール。昨年の法大入試でビラをまき、不当逮捕された私は「受験料3万5千円を確保するために、大学や社会を批判する学生からビラまきの自由を奪う。大学と裁判所が結託して憲法を停止させる。これこそが戦争への道ではないでしょうか」と訴えました。
道行く労働者、中学生から「頑張れ!」と声援を受けながら、東京地裁に向かって元気よくシュプレヒコール。
審尋では初めに斎藤文連委員長が「教育を破壊しているのは法大だ。法大はわれわれを『業務妨害の集団』と描くが、われわれが06年3月14日以降の学生弾圧やあくどい金もうけを暴露するのは当然だ。裁判所は申し立てを即刻却下せよ」と訴えた。織田全学連委員長は、法大当局の入試直前の仮処分申し立ては「われわれに反論の時間を与えないためだ」と暴露、「法大当局は『回復不能な損害』と訴えているが、大恐慌で減少しているのは入学者数ではなく受験者数だ。受験生1人を3万5千円と見る法大当局の破綻だ」と断罪し、「法大当局の申し立ては侵略戦争への加担だ。全世界で立ち上がる学生、青年への敵対だ」と怒りを爆発させました。
法大当局が雇う極悪弁護士・芝昭彦は「『営業権の侵害』とは受験者数の減少のことだ」と認めた。要するに”受験生をかき集めて金もうけをしたいから、大学批判のビラをまくな”ということだ。 弁護団が「大学が『営業権』を語るなど絶対におかしい。学生たちが行っているのは『業務妨害』ではなく平穏な表現活動だ。なぜ入試直前に申し立てるのか。なぜ2週間前まで放置していたのか」と追及すると、芝は「入試期間は把握していない。受験者数がどれくらい減ったのかも分からない」と答えた。申し立てには何の事実把握も裏付けもないのです。
東京地裁は2月3日に決定を出そうとしています。今回の仮処分攻撃を法大と裁判所の墓穴に転化しよう! 入試決戦の爆発、受験生との結合から倉岡処分絶対阻止へ!
全世界の闘いと固く連帯し、3・20渋谷反戦デモを大爆発させよう!
法大生は先頭で闘う。
(法大・洞口朋子)
(写真 「ビラまき禁止仮処分を阻止するぞ!」裁判所に向かってシュプレヒコール【2月1日 霞が関】)
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週刊『前進』(2474号7面3)(2011/02/07 )
オバマ一般教書と米帝危機
競争力強化と国内結束叫ぶ
アメリカ帝国主義オバマ大統領が1月25日に行った一般教書演説は、体制延命のための政策展開がまったく行き詰まっていることを自己暴露した、超反動的内容だ。大恐慌情勢の深化、本格化の中で、財政・金融政策の展開、追加金融緩和政策、減税延長法制定などにもかかわらず、経済の回復はならず、失業率は上がり続け、住宅不況は長期化している。根底にある過剰資本・過剰生産力の問題を解決できず、争闘戦の激化と米帝危機を対外的に転嫁する攻撃に踏み込んでいるのだ。
●没落への危機感むき出しに
まず第一に、オバマは、米帝の基軸国としての没落と崩壊の激しさへのあけすけな危機感をもって、むき出しの「競争力強化」=争闘戦激化に踏み込もうとしている。特に中国やインドが新興大国として台頭し、米帝を脅かしている今日の事態を、「われわれの世代のスプートニクの時(1957年)」と、旧ソ連の宇宙開発に後れをとった衝撃になぞらえ、「苦しいことだが、ルールも世界も変わってしまったのだ」と、「意識改革」と没落からの危機突破を叫んでいる。
昨年の一般教書では「米国が2位になることは認めない」と言ったオバマだが、今年はさらに危機が深まっている。だからこそ「われわれは、技術革新、教育、基盤整備で他国を凌駕(りょうが)する必要がある」と、争闘戦への動員をあおり、「未来はわれわれの勝利に終わる」と、基軸国でありながら率先して帝国主義間・大国間争闘戦になりふり構わずのめり込もうとしているのだ。今後も世界の盟主として振る舞おうとするなら、「競争力の強化」が欠かせないということだ。
第二に、冒頭に「トゥーソン銃乱射事件」(1月8日アリゾナ州トゥーソンで起きた銃乱射事件。民主党のギフォーズ下院議員が至近距離から頭を撃たれ重傷)を持ち出し、「われわれは米国という家族の一員だ」と「超党派」「挙国一致」で国際競争に打ち勝つ「成長戦略」に取り組むとしている。事件は米社会の分裂の深さを示したが、オバマはこれを逆に奇貨として「階級融和」を訴えているのだ。昨年秋の中間選挙で歴史的大敗を喫し、政治基盤のもろさを露呈する中で「挙国一致」と言い、共和党の超党派的協力を求めている。それは、より鮮明に米帝・資本家階級の意思を体現していくということにほかならない。
特にオバマは競争力強化へ、技術革新、インフラ投資とともに企業の「法人税の引き下げ」を提案し、ブッシュ減税の延長、企業規制の撤廃などむき出しの資本救済、企業活性化にのめり込み、さらにTPP(環太平洋パートナーシップ協定)推進など貿易自由化推進や、輸出倍増、雇用増大などを強調し、アジア太平洋の勢力圏化、ブロック化に向かっている。
TPPは、他国を追い落としてつぶすことのみが自国の延命になる帝国主義間・大国間の非和解的な争闘戦政策への突入である。それは米帝が日帝に仕掛けた争闘戦だ。一般教書には昨年に続き日本への直接的言及がないとはいえ、対日争闘戦が基軸にある。
米帝ブルジョアジーの団体、ビジネス・ラウンドテーブルは、一般教書演説に対し、企業競争力と雇用拡大を重視する大統領の姿勢に「励まされた」とした上で、「貿易協定の締結、包括的な税制改革の実現を急がねばならない」と主張している(日本経済新聞1月27日付)。これはTPPと法人税引き下げの要求だ。
第三に、「借金に埋もれないことだ」と、財政赤字のすさまじさにのたうち回り、公的医療保険や年金を除く政策予算を2011会計年度から5年間凍結する方針を打ち出し、10年間で4千億j(約32兆8千億円)の赤字削減を見込んでいるが、これは共和党との激突と、公共部門でのリストラ、階級矛盾の激発を不可避とする。
一方で米地方自治体のリストラが激しく進行している。「地方債のデフォルト(債務不履行)続発」が予言され、全米50州中48州で歳入不足が長期化し、教職員、警察、消防士の削減、公共施設の閉鎖、リストラが激化している。
●朝鮮侵略戦争への踏み込み
第四に、外交・安保についてはイランとともに北朝鮮に「核開発の放棄を改めて要求」し、アフガニスタンについては「7月には駐留米軍の撤退を開始する」と言及しているが、これは「厳しい戦い」とも言い、成算がまったくないことを自認している。対外政策では、あえてすべてを抽象的に描き、世界政策が完全に行き詰まり展望を失っていることをも示している。だからこそ侵略戦争の泥沼化にあえぎながら、国内政治危機の激化に対し必死に「国内融和」を図ろうとしていると言える。
その中でも昨年11・23延坪島(ヨンピョンド)砲撃戦をもって、米帝の朝鮮侵略戦争が開始されたことを踏まえ、「同盟国の韓国を支持し、北朝鮮に核兵器廃棄の約束を守るよう求める」と述べ、金正日(キムジョンイル)体制の転覆と自らのヘゲモニーでの南北統一に向けて、朝鮮半島最重視の姿勢を鮮明にしていることは重大である。
だが同時に、中東和平問題への言及がまったくないことは米帝の危機の深さを示している。チュニジアに続くエジプトの労働者人民の爆発的決起こそは、米帝の中東政策の決定的破産、戦後体制の最後的崩壊を推し進めるものだ。
米帝も日帝も絶望的に体制的危機を深め、資本主義は終わりだ。労働者階級が取って代わる時だ。
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週刊『前進』(2474号7面4)(2011/02/07 )
ギリシャ “全労働者は支援を”
外国人労働者がハンスト
チュニジア革命が北アフリカ諸国や中東諸国に怒濤(どとう)のように波及しつつあるなか、地中海対岸のギリシャでそれと連動する新たな闘いが起きている。ギリシャに働きに来ている多数の外国人労働者の代表がハンストに立ち上がった。このハンスト参加のためギリシャ全国から外国人労働者が駆けつけた。
この間ギリシャでは、公務員の人員・賃金削減、社会保障の解体など、財政再建を理由にした新自由主義政策に対して労働者階級のゼネストが繰り返し闘われてきた。決定的窮地に陥った政権は外国人労働者への攻撃、排外主義をあおり、労働者階級の闘いをそらし、分断し、団結を破壊する攻撃に出ている。
「社会不安、失業、犯罪の責任は外国人労働者にある」という猛烈なキャンペーンを右翼・ファシスト、政府、マスコミが行っている。差別的な出入国管理、外国人労働者の大量収容・国外退去、トルコ国境での分離壁建設なども進めている。決定的なことは労組の体制内指導部と既成政党がこれに完全に屈し、キャンペーンの先棒を担いでいることだ。
これに対して1月25日以来、首都アテネとギリシャ第二の都市・テサロニキで外国人労働者の代表300人が集団で無期限のハンストに突入した。彼らは次のような呼びかけを発している。
「われわれはギリシャ全土の外国人労働者や難民を代表している。われわれは貧困や失業、戦争や独裁を逃れてギリシャにやって来た。多国籍企業とその政治的下僕のせいでわれわれは故郷を離れ、命の危険を冒してヨーロッパに来るしかなかった。しかしギリシャでのわれわれの生活は企業や政府の激しい搾取のためにとても苦しい。しかも生活は恐慌と経済危機の中でますます耐えがたくなっている。さらに今『ギリシャ経済の惨状とギリシャ労働者の苦しい生活の原因は外国人労働者にある』といったウソのキャンペーンが行われている。ファシストや人種差別主義者ばかりでなく政府がその先頭に立っている。われわれはすべての外国人労働者(男も女も)の合法化を求める。われわれはギリシャ労働者と同等の政治的・社会的権利を求める。この声を届けるため、われわれ300人は1月25日、命懸けのハンストに突入する。ギリシャの労働者、搾取に苦しむすべての労働者がこの闘いを支援しともに決起することを要請する」
この呼びかけは、在日・滞日外国人労働者との連帯・共闘を追求している日本の闘いにとっても重要な意味をもっている。国際連帯とプロレタリア世界革命へ向けた闘いを2011年、圧倒的に前進させよう。
(動労千葉とともに闘うドイツの労働者からの情報を基にしました)
(写真 ハンストのために船でアテネに到着した外国人労働者たち【1月23日】)
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週刊『前進』(2474号8面1)(2011/02/07 )
団結ひろば投稿コーナー
青年労働者を使い捨てる資本を許さない 新潟 T
私は新潟の地域一般ユニオンに加盟している26歳の青年ですが、現在解雇撤回と職場復帰を闘っています。
昨年8月に派遣会社のS社に採用され、工作機械のM社の工場で実習生として働き始めましたが、試用期間3カ月にもかかわらず、勤務5日目に突然現場をクビにされました。
これまでに会社と5回の団交をやってきました。会社は請負事業を行うために私を含めて5人を採用しながら、その事業を撤退すると言っているでたらめぶりです。
会社の解雇予告手当による解決をはね返して、団結の強化・拡大を総括軸にして、青年を使い捨てにする資本を許さない闘いを続けています。工場の門前でビラ配りをしています。組合は連合系組合ですが、労働者の受け取りは非常に良いです。
会社資本はこれまで解雇撤回の要求を拒否し続けてきましたが、この間の闘いによって、会社が私の意向に沿うよう交渉に応じると言ってきました。1月末の団交でS社が解雇撤回を明言しました! 一歩前進です。職場復帰については、派遣先のM社資本との闘いによると思います。M社で門前集会を行う予定ですが、今後も雇用の責任追及を続けていきます。
多くの青年労働者が低賃金、不安定な労働を強いられ、資本の都合で使い捨てにされる。競争と分断によって、社会が青年労働者の未来を奪っています。私は非正規労働者ですが、正規職との団結を求めて闘います。青年の先頭に立って闘うことで、新潟や全国の青年運動の活性化につながっていけばと思います。
大恐慌によって労働者の未来を奪っていく資本主義を打ち倒そう! 戦争に労働者を動員する帝国主義を倒して、労働者による共同体をつくっていきましょう! 皆さんとともに闘って、地域一般ユニオンが青年労働者の結集軸となっていくようがんばります。
「TPP阻止集会」で三里塚との結合訴え 宇都宮 山本和夫
1月31日、宇都宮市でJAなどが主催する「TPP交渉への参加阻止栃木県民集会」が開催され、労組交流センターの仲間とともに断固ビラまきに登場しました。
この「TPP阻止集会」は、すでに全国各地で数千人という規模で開かれているものです。どういうビラをまくかの論議を重ね、「大資本を救済し、労働者・農民を切り捨てるTPP絶対反対! 労働者と農民は今こそ団結して菅・民主党政権を打倒しよう!」という見出しで、三里塚反対同盟の「TPP反対声明(10年11・14付)」などを掲載。三里塚にこそ勝利の展望があることを打ち出したビラを作りました。
会場の「マロニエプラザ(栃木県宇都宮産業展示館)」には、朝9時受付開始と同時に県内各地でチャーターされたバスから農家の人たちが降りて来ます。年配の方だけでなく若い人もけっこういます。受付正面に陣取り「ともにがんばりましょう!」「実力阻止」との訴えに、「そうだ実力だ」「断固阻止だ」との声が返ってきます。われもわれもという感じで人びとが集まり、ビラ受け取りのための大渋滞。農民たちの「ごつい手」に囲まれてしまいました。用意したビラは、文字通り「あっ」という間になくなってしまいました。こんなことは初めてのことです。
翌日の地元紙は「3000人集会」と報道。民主党議員の発言にはヤジが飛び、会場全体はTPP粉砕の怒りのマグマです。「国会議員になんかに任せてられねえ」という思いがみなぎっていました。資本と闘う労働者と農民の団結こそが社会を変えられる。この真理が大衆をとらえる時が来たのです。TPP粉砕を国鉄闘争全国運動の前進と一体のものとしてかちとる――新たな決意を固めた1日でした。
援農闘争こそ三里塚闘争の核心だと思う 東京 下田 智
学生諸君が三里塚の援農に決起しています。私も先輩として一言書かせてください。
三里塚闘争といえば、集会やデモ、裁判や現地での実力攻防が直接にはあげられます。しかし援農闘争こそ三里塚闘争の核心だ、と僕は思うのです。
農作業というのは、ある種「人間労働の原点」に近いものがあると思います。人間は自然とかかわらなければ存在できませんが、ナマの自然というのは、なかなかどうして手ごわい存在なのです。
スキを見せるとすぐに生えてくる雑草、作物を食い荒らすさまざまな虫。これらは憎たらしいけど憎めない連中ですが、天候の不順は農民を悩ませます。また、作物の病気の心配など、他にももっとあるのでしょうが、これらと闘うのは、掛け値なしにしんどい作業です。無農薬を貫く三里塚ではなおさらです。
できた野菜がこれまた美味。取れたてを農作業の合間や昼食時などによくいただきますが、市販のものとは存在感からして違います。どこに出しても恥ずかしくないものを作っている。これは反対同盟農民の誇りであり、労働者階級のそれと相通じるものがあると思います。
たしかに援農はキツい。特に僕のように足の長い人は地面から遠くて大変(笑)なのですが、資本のもとでの疎外労働とは違ったすがすがしさがあります。政府にも資本にも負けない、力ずくで生き抜き勝利する! こういうパワーがわいてくるのです。
許せない!「池上彰そうだったのか」 東京 A・K
1月26日のテレビ朝日「そうだったのか!池上彰の学べるニュース」を見て本当に怒りに堪えません。
北朝鮮のミサイルが日本を狙っているとか、日本の自衛隊に守りがないとか解説し、若手芸人に相づちを打たせるというひどいものでした。
若手芸人は会社からすさまじい率で搾取され、大食いや体を張った番組で健康と命さえ脅かされています。彼らを使って若者を戦争動員するこの手の番組は許せません。
最近のマスコミの対北朝鮮、中国への排外主義報道はイラク戦争に突入する直前の連日の報道を思い起こさせます。『赤旗』の販売所には志位和夫の中国への抗議文が傍線を引いて張ってある始末です。
そういう中で『前進』1月17日号の「米日韓軍事体制が急進展」の記事は、この間の軍事衝突事件の背景を具体的に暴露した良い記事でした。ここにも書かれているように実際、報道されず隠されていることが実に多くあるということです。
記事を書く皆さん。池上彰的な手口など粉砕する真実を踏まえた分かりやすい記事を書いてくださるようお願いします。
全学連三里塚援農記 私の認識をはるかにしのぐ偉大な勝利 全学連書記次長・東北大 石田真弓
今回、私が何よりも感じたことは、三里塚闘争44年間の「勝利」の歴史です。
三里塚には大きな集会の度に訪れていますし、本や映像を通して闘いの歴史もある程度は知っているつもりでしたが、これまで私の中にあった三里塚闘争の現状に対する認識は、率直なところ「国家権力と高いフェンスに囲まれた農地」であり、これと不屈に闘っている反対同盟というようなものでした。しかし、もう一歩踏み込んだ時に見えた三里塚闘争の姿は、私の認識をはるかに凌駕(りょうが)する偉大なものでした。
今焦点になっている市東さんの畑や団結街道をはじめ、東峰神社や開拓道路など、三里塚闘争を象徴する場所をめぐり、援農をして反対同盟の皆さんの話を伺うほどに、自分の中に感動がわき上がってきました。成田空港が完成していないということがどういうことなのかを肌で感じ、「三里塚闘争は圧倒的に勝利している!」「主導権はわれわれの側にある!」という確信を深めました。三里塚闘争は私たち闘う学生・労働者の展望そのものです。
法大闘争もこれまで勝利し続け、今年で6年目に突入します。資本主義の終わりの時代が訪れる中、本当の勝利に向かって反転攻勢に打って出ています。
三里塚闘争も今こそ本当の勝利をかちとる時です。全学連と三里塚反対同盟の勝利は一つです!
2011年、全学連は三里塚反対同盟と一蓮托生(いちれんたくしょう)の思いで闘い抜きたいと思います!
全学連三里塚援農記 労働者と農民が手を組み戦争に反対する 広島大 上野浩幹
11月23日の朝鮮半島での砲撃戦から、ますます反戦闘争が焦点になってきているこの時に、あらためて三里塚闘争を学び、反対同盟と交流したことの意義は大きかった。60年や70年安保闘争のような闘いを実現したい。その魂は三里塚に生きている。現地で学んだ三里塚闘争は、革命的共産主義運動そのものでした。
国家暴力に対して人民が武装し闘って農地を守り通してきた44年間。三里塚は、ヒロシマ―ナガサキ―オキナワなどの戦時下で被害にあった場所ではない。戦後の日本が軍事大国化していく道を、成田軍事空港建設粉砕という戦争絶対反対の闘いとして、人民の手によって止めてきた。
この闘いが今の情勢において、もう一度、輝きをもって人民に対して提示され、人民の反戦の砦(とりで)になる時がきている。
そして三里塚闘争の魅力は、労農連帯にある。労働者と農民という、社会の生産を担う2大階級が手を組んで戦争に反対する。国家暴力とガチンコで闘いぬいて、いまだに農業をやり続けている。資本主義社会を打倒した後の、プロレタリア独裁の可能性がここにあると感じました。
今回行けなかった仲間、新入生を連れて三里塚に行こう!
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週刊『前進』(2474号8面2)(2011/02/07 )
星野再審闘争 東京高裁に補充書提出
無実証明する「一郎丸写真」
1月31日、星野文昭同志と再審弁護団は、星野同志の無実を示す決定的な写真と「厳島鑑定書(その2)」をはじめ無実の新証拠7点を添えて、第2次再審請求書の「補充書(2)」を東京高等裁判所第11刑事部に提出した。
これは昨年1年間、4回の3者協議を通して検察の隠し持つ「証拠」を開示させてきた闘い、さらには、星野同志への不当極まる獄中弾圧を、星野同志の不屈の闘いを軸に打ち破り、11・27全国集会の感動的な勝利にまで上り詰めた地平の上でかちとったものであり、再審開始への大きな前進である。
星野暁子さん、星野誉夫さん、「星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議」共同代表の戸村裕実さん、東京なんぶ、茨城の取り戻す会などがかけつけた。
岩井信弁護士は「今回の補充書は、星野さんの無実を証明する『一郎丸写真』の出現を第一に据えている。あえて『出現』という表現をとるほど重要。これと、シミュレーション実験によるKr供述の信用性の崩壊、耳撃(みみげき)記憶の研究に基づくAo、Ar供述の信用性の崩壊の3本柱になっている。確定判決を完全に崩すものです」と明快に説明した。
鈴木達夫弁護団長は、「星野さんの再審闘争は、現在、司法権力との最も激しい攻防のひとつになっている。この緊張の中で今日の提出をやり抜いた。この補充書と鑑定書を活用し尽くして、さらに深く広い運動を展開してください。私たちも皆さんとともに間断なき闘いを裁判所に挑んでいきます」と語った。
「一郎丸写真」とは、昨年8月、検察に開示させた写真の中から発見されたものだ。機動隊員「殴打」の現場を通り過ぎて、渋谷の東急本店前に到達したデモ隊の写真の中に星野同志が鮮明に写っていた。星野同志が手にしている鉄パイプは白い紙が巻かれている。この白い紙に汚れや破損は一切なく、機動隊員を「殴打」した痕跡はまったくない。これは「星野同志が機動隊員を激しく殴打した」というデッチあげを暴くものであり、星野同志の無実を示す決定的な新証拠(物証)である。
厳島行雄教授の鑑定書は、星野同志デッチあげの唯一の「証拠」である「共犯者供述」が、警察・検察によって捏造(ねつぞう)されたものであることを解明し尽くす大部のものだ。厳島教授は、「共犯者供述」に現れている殴打場面に近い状況で実験を実施した。その結果、被験者は驚くほど記憶していない事実が判明した。
Kr供述では、デモ隊が機動隊員を捕捉してから殴打現場を出発するまで、わずか35秒前後の出来事をあたかもビデオテープの再生であるかのごとく時間の経過に従って具体的に詳細に述べている。
鑑定書は、科学的・実証的に分析した上で「彼(Kr氏)らの供述内容は、真実の記憶に基づくものではあり得ない」と結論付けている。
4・9−11・23情勢下で、星野奪還闘争は国家権力との激しい攻防に突入した。動労千葉の北嶋琢磨さんのストライキ、国鉄闘争全国運動と一体で、また、沖縄米軍基地撤去を闘う沖縄・本土を貫く闘い、反戦闘争を闘う全世界の労働者人民の闘いと一体で、力強い前進を闘いとろう。イラク戦争開戦8周年の3・20反戦大デモの大爆発が勝利の鍵だ。東京高裁に星野同志の再審開始・即時釈放を求めて全国大運動を展開しよう。
(写真 「再審を開始せよ」と補充書を提出する弁護団と星野暁子さんら【1月31日 東京高裁前】)
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週刊『前進』(2474号8面3)(2011/02/07 )
西郡住宅明け渡し弾劾裁判 不当判決に怒り
「仮執行」は付けられず
3家族の住宅追い出しを許さない! 1・28不当判決徹底弾劾! 闘いはこれからだ。絶対に出て行かない。団結の力で勝利するぞ!
大阪地裁を包囲するデモで怒りのシュプレヒコールが響き渡った。
1月28日、辻西幸子さん、田中由加さん、岡邨洋さん3家族への住宅明け渡し弾劾裁判が大阪地裁大法廷で開かれた。3人を先頭に部落解放同盟全国連西郡支部、八尾北医療センター労組、八尾北命と健康を守る会、東京から全国連杉並支部と品川支部、関西労組交流センターなど闘う仲間130人が大結集した。八尾北医療センターはこの日、午前中休診し、八尾北労組・職員が根こそぎ決起した。
田中健治裁判長は、応能応益絶対反対の団結に追いつめられ、3人に対し、住宅を明け渡せ、最高家賃の倍額払え、お上に逆らうなと許せない反動判決を強行した。この暴挙を徹底弾劾する。
八尾市側は私たちの怒りを恐れて誰も来ることができなかった。八尾市を勝たせるためだけに判決を書いた裁判官は慌てて逃げ去った。
「不当判決だ! こんな判決認められるか!」「もう法も裁判所もいらない!」――3人と傍聴席を埋め尽くす仲間たちの怒りが爆発した。
裁判所と八尾市よ! 勝利したのは私たちだ。私たちは敵の狙いを完全に打ち破った。裁判所は私たちの怒りと団結に恐れをなして仮執行宣言を付けることができなかった!
判決後、3人は「裁判長はこの2年半、私たちが訴えてきたことに何一つ答えず、追い出し、住むところを奪い、命まで奪う判決を出した。しかし私たち3人はけっして負けてない。これは団結して闘っているから言えるんです」「今日から新しい闘いの出発だ」と烈々たる戦闘宣言を発した。
西郡から住宅のみならず、八尾北医療センター、保育所、学校、家族のきずな、人のつながりまで奪い、更地にして売り飛ばす攻撃こそ、危機に立つ菅政権の新自由主義攻撃であり、その最先端が新成長戦略だ。
これに対して労働者の根底的な怒りの決起が始まった。それが1・28の3人の不屈の決起と西郡支部の団結、そして八尾北労組の根こそぎ決起だ。八尾北労組は「3人にかけられた住宅追い出し攻撃は3人だけの問題ではない。八尾市丸ごと800事業民営化の最先端であり、部落差別を使った労働者の分断、団結破壊の攻撃だ。団結したら打ち破れる」と決起した。私たちの14年間の応能応益家賃絶対反対の闘いは、動労千葉のストライキ決起、国鉄全国運動と固く一つの闘いだ。
私たちは民営化=外注化、9割非正規化で労働者をバラバラにし、何もかも奪いつくす攻撃に怒る労働者、住民の闘いの砦となって闘い、必ず勝利する。4月市議選こそ最大のチャンスだ。来る2・10差し押さえ弾劾裁判控訴審判決もこの団結を拡大し迎え撃とう。
(投稿/部落解放同盟全国連西郡支部 植村清)
(写真 不当判決を弾劾し「新しい闘いは始まった。団結の力で勝利するぞ」とデモ【1月28日】)
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週刊『前進』(2474号8面4)(2011/02/07 )
八尾で総決起集会
“一丸となって勝利へ”
1月30日、大阪・八尾市で1・28住宅明け渡し不当判決徹底弾劾、住宅闘争勝利、八尾北医療センター明け渡し阻止、4月市議選必勝を掲げた総決起集会を165人の結集でかちとった。
全国連西郡青年部長・佃文弘さんの「チュニジア、エジプトで革命が起こっている。全世界で学生や青年の怒りが爆発し立ち上がってきている。世の中をひっくり返す大チャンスがそこまで来ている」という戦闘宣言で集会が始まった。
住宅明け渡しと闘う当該3人が発言。辻西幸子さんは「14年間供託して闘い続けてきた。給料の差し押さえに続いて追い出し。負けてたまるか。不当判決に絶対負けない」と、田中由加さんは「裁判長は役所側に立っていることがはっきりした。さらに燃えてきた。みんなと一丸となって闘っていきたい」と述べた。岡邨洋さんは「14年間の住宅闘争が八尾市を裁き解放同盟本部派市議・吉村と八尾市の結託を暴いてきた。ここに住宅闘争の大きな意義がある。全国連西郡支部、八尾北労組、八尾北命と健康を守る会の絶対反対の団結で、ここから闘いが新しく始まっている。団結の力を確信した。この中で生き生活できる」と烈々たる決意を語った。
泉佐野市議・国賀祥司さん、関西労組交流センター代表・南谷哲夫さんから、4月八尾市議選必勝に向けてともに闘う力強い発言を受け、北島邦彦杉並区議と解同全国連品川支部からのメッセージが紹介された。
基調報告は八尾北医療センター労組委員長・藤木好枝さんが提起した。「八尾北労組は3人と固く団結して闘う。当該の3人が出ていかないと真っ向から立ち向かっていることが勝利の証しだ。4・9国鉄政治和解攻撃と11・23朝鮮侵略戦争情勢に対して国鉄全国運動が立ちはだかっている。国鉄全国運動そのものとして八尾市の労働運動を塗り替えていく闘いを開始していく。市議選必勝に向けて闘おう」と檄(げき)を飛ばした。
末光道正八尾市議は「3人の闘いに続いて新たな住民の決起が始まっている。日本共産党と解同本部派・吉村は、国と八尾市の手先となって差別をあおり、闘いをつぶす役割を果たしている。八尾北・西郡から手をかけた新自由主義・新成長戦略の攻撃を、反対に八尾北・西郡から6千万労働者の闘いにしよう。それができる時がきた。一気に菅民主党政権と田中市政を打ち倒して資本主義を終わらせよう。生きるために闘い、青年を獲得しよう。選挙戦の中で八尾北と西郡の旗を高く掲げて前進しよう」と提起した。後援会も“すえみつ必勝”を訴えた。
国労5・27臨大闘争弾圧被告、関西合同労組、婦人民主クラブ全国協八尾支部、八尾北命と健康を守る会、住宅差し押さえ弾劾裁判原告の決意表明を受け、団結ガンバローで集会は圧倒的な熱気のうちに締めくくられた。集会後、寒風の中、青年の鉦(かね)と太鼓を先頭に村内を戦闘的に練り歩いた。
(投稿/八尾北医療センター労組 青木麻季)
(写真 1・28住宅明け渡し不当判決徹底弾劾、住宅闘争勝利、八尾北医療センターの明け渡し阻止、4月市議選必勝を掲げ総決起集会が165人の結集で大高揚【1月30日 大阪・八尾北医療センター】)
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週刊『前進』(2474号8面5)(2011/02/07 )
日程 共謀罪など治安立法許すな。法大裁判。前進社不当捜索国賠訴訟
インターネット規制反対!
一切の戦争・治安立法を許すな
2・8総決起集会
2月8日(火)午後6時 渋谷勤労福祉会館
呼びかけ 共謀罪新設反対国際共同署名運動/破防法・組対法に反対する共同行動/組織的犯罪対策法に反対する全国ネットワーク
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法大裁判に集まろう!
★5・28暴行デッチあげ控訴審(判決)
第8回公判 2月28日(月)午前10時
東京地裁429号法廷
9時30分に傍聴券配布所に集合
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前進社不当捜索国賠訴訟
第5回弁論 2月18日(金)午後1時30分
東京地裁415号法廷
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