ZENSHIN 2010/10/25(No2461 p06)
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週刊『前進』(2461号1面1)(2010/10/25 )
11・7検修外注化阻止決戦へ
排外主義・愛国主義うち破り国際連帯の力で戦争阻止せよ
11・13〜14横浜APEC粉砕を
10月15日、関西国鉄集会が360人の結集で大成功した。動労千葉が呼びかけたこの労働者集会は、国鉄闘争と関西生コン支部のゼネストが合流し、画期的な地平を開いた。330人の結集で成功した10・3首都圏青年労働者集会に続き、11・7労働者集会1万人結集へ決定的な前進がかちとられた。「国鉄闘争の火を消してはならない!」と6・13大集会でスタートした国鉄全国運動は「全国の地域・職場に国鉄闘争の支援・共闘組織を」の方針のもと急速に会員を拡大し、11・7大結集運動を牽引(けんいん)している。残る2週間、鬼神もたじろぐ縦横無尽の闘いで11・7の歴史的大爆発をかちとろう。
12月ダイ改は大反革命
今年の11・7労働者集会は何よりも第一に、動労千葉と国労の解体・一掃を狙う日帝・菅政権の攻撃に対する一大決戦への突入集会である。不当労働行為も解雇もすべて正当化し日本労働運動を絶滅するという4・9政治和解の大反革命との最大の決戦だ。
まず、外注化攻撃が再び全面的に動き出している。JR東日本は、動労千葉の5波のストで検修 構内業務外注化が阻止される中で、同時に止まっていた「設備メンテ外注化見直し」の12月1日実施を再提案してきた。そして京葉車両センターでの構内運転業務を焦点に千葉管内における外注化の突破口を開く準備を強めている。
さらに、12月4日のダイヤ改定で、動労千葉解体を狙った大攻撃がたくらまれている。千葉における輸送体系の抜本的変更(千葉駅始発のローカル線全廃)に向けて、3月の特急大幅削減に続き、ローカル線の大幅な削減が提案されている。これは千葉駅や成田駅周辺での大規模再開発とも連動して運転基地の再編をはらむ大攻撃だ。検修関係でも検査派出体制の変更、要員削減・労働強化をもくろんでいる。
貨物と3島会社(北海道・四国・九州)を焦点にした「分割・民営化25年問題」をめぐる攻撃は、民営化の破産を塗り隠すためのJR体制の大再編であり、矛盾と犠牲をさらに労働者に集中する第2次分割・民営化攻撃そのものだ。貨物・3島会社の経営破綻の問題、1047名解雇問題、カクマル問題、そして安全崩壊の問題こそJR民営化体制の矛盾と破綻の象徴だ。
日本における新自由主義攻撃の突破口だった国鉄分割・民営化は「国民に多大な成果をもたらした」どころか、根本的に失敗し破綻している。だから日帝・国交省は必死に「国鉄改革の完遂」=第2の分割・民営化の必要を叫んでいるのだ。これはJR労働戦線の大再編攻撃と完全に一体である。
動労千葉は、当面の攻防の焦点を12月ダイ改との闘いに設定し、「検修・構内業務外注化阻止、ローカル線切り捨て反対、反合・運転保安確立」の闘いと位置づけ、ストライキを含む闘いに立ち上がる。今春の検修・構内業務全面外注化阻止闘争は、昨年の11・1労働者集会から開始された。12月ダイ改との闘いをもって突入する2011年国鉄決戦=外注化阻止決戦は、不可避的に昨年以上に激しい決戦中の決戦となる。
4・9政治和解の反革命は、労働者階級のかけがえのない前衛的部隊を階級的に抹殺するための攻撃であり、そのことで日本の労働運動と階級闘争の全体を絶滅する攻撃だ。敵が体制の延命とプロレタリア革命の圧殺を狙って激しく加えてきているこの攻撃に、労働者階級の総力を集中して反撃し、国鉄闘争の決定的な勝利を切り開こう。
11・7日比谷野音で、動労千葉とともに、ゼネスト体制を継続して闘う関西生コン支部とともに、1047名解雇撤回・非正規職撤廃・検修外注化阻止の大決戦と、日帝・菅政権打倒への総決起を宣言しよう。
この闘いはJR体制をガタガタにし、JR総連カクマルを崩壊のふちにたたき落とし、平成採の怒りと決起を全面的に解き放つものになる。この闘いに勝利する力が、4大産別決戦を全面的に発展させ、道州制・民営化推進と360万人解雇・非正規化の公務員大攻撃を粉砕する大決戦を前進させるのだ。
超反動・菅政権打倒へ
11・7労働者集会は第二に、戦争と大失業攻撃、労組破壊、階級的労働運動破壊の凶暴な民主党・菅政権を打倒する大闘争だ。
体制的に総破綻し、あらゆる面で国家存亡の危機に直面する日帝は、労働者に反革命的な階級決戦を激しく挑んできている。小沢を打倒して成立した凶暴な超反動政権、日帝ブルジョアジー救済政権である菅政権は、「新成長戦略」なるものを振りかざし、一方では大失業攻撃、1047名闘争解体、民営化・外注化と非正規職化、階級的労働運動絶滅の攻撃を激化させ、他方ではそれと一体のものとして、北朝鮮・中国侵略戦争と、沖縄闘争圧殺と辺野古新基地建設の攻撃に全力をあげてきている。
特に釣魚台(尖閣諸島)問題での突出は歴史的事態だ。釣魚台は日帝が朝鮮植民地化のために行った中国との戦争=日清戦争で奪い取ったものだ。これを「日本固有の領土だ」などと言うのは帝国主義的強盗の論理そのものだ。そもそも世界単一の革命的階級であり世界革命と共産主義をめざして闘う労働者階級には、国境も祖国も「固有の領土」も存在しない。
日本の労働者は、中国や韓国や全世界の労働者階級人民と連帯し、団結して、国際反戦闘争に決起し、「領土と資源を守れ」などと叫んで排外主義と戦争をあおる帝国主義と残存スターリン主義、またその先兵である右翼愛国主義勢力を打倒するために決起しなくてはならない。掲げるべきスローガンは「領土を守れ」ではなく「労働者の国際的団結で帝国主義の侵略戦争を阻止せよ」であり、「弱腰外交と売国の菅政権打倒」ではなく「戦争・大失業と労組破壊の菅政権打倒」だ。
11・7労働者集会の大成功と国鉄全国運動の発展で闘う労働組合を甦(よみがえ)らせることこそが、民主党・菅政権を打倒し、4・9反革命を粉砕し、戦争を阻止する唯一の道だ。
1万人の反戦デモを!
11・7労働者集会は第三に、世界大恐慌下で強まる排外主義・愛国主義と戦争の危機、とりわけ米日帝の北朝鮮・中国侵略戦争―世界戦争の攻撃を、労働者の国際連帯と団結で阻止する巨大な反戦闘争である。
9月8日の釣魚台への日帝・菅政権の侵略行動は、8月の新安保懇報告が打ち出した「静的抑止から動的抑止への転換」を、釣魚台で実地に発動したものにほかならない。それは、周辺事態法の発動から北朝鮮・中国への侵略戦争に発展すると想定した日米共同演習のシナリオそのままに行われた。実際にも、その2日後の9月10日には、北沢防衛相が中国を仮想敵国と明確に位置づけた「2010年版防衛白書」を閣議で報告したのである。
民主党政権で初のこの防衛白書は、中国の日本近海での動きを取り上げ、「中国の脅威」と在日米軍の存在意義を強調し、日米安保の強化で中国軍と対抗するという集団的自衛権の行使を明確に表明している。そして北朝鮮については「近い将来、権力構造の変化に際して体制が不安定化する可能性も排除できない」と分析している。
米帝オバマ政権は、2010年版QDR(4年ごとの国防政策見直し)で中国に力=軍事力で重圧をかける方向を明確にし、9月15日には未臨界核実験を強行した。米帝は対北朝鮮・中国で核戦争も構えているのだ。
こうした中で、釣魚台での日帝・海上保安庁の行動が、12月の「防衛計画大綱」策定(04年以来の改定)に向けた計画的な軍事行動、侵略行為そのものであったことは明白だ。同時にそれは、沖縄闘争を解体し、辺野古新基地建設を推進する攻撃そのものだった。
「新安保懇報告」は、釣魚台への対応をにらんで宮古島以西の南西諸島への陸上自衛隊配備を行うとしている。現在、沖縄本島の陸自部隊は2000人。これを2020年までに南西諸島を含めてなんと2万人規模に増強するという構想も浮上している。まさに日帝の「新成長戦略」「東アジア共同体」のための侵略と戦争の体制づくりである。
韓国哨戒艦沈没事件を契機に繰り返される米韓(日)合同演習、「大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)」という名の米日韓豪による対北朝鮮の海上封鎖訓練、さらには「尖閣奪回」の日米共同演習など、対北朝鮮・中国を軸に、東アジアでの帝国主義侵略戦争の危機が、世界大恐慌の深化・発展のもとで今まさに日々激化しているのだ。
これを阻止する力は、労働者の国際的団結と反戦決起だ。11・7労働者集会と1万人の反戦大デモで今こそ戦争を止めよう。
11・13〜14横浜APECは、帝国主義間・大国間の争闘戦激化の中で、戦争・大失業と労働組合破壊を狙う帝国主義的強盗会議だ。11・7の国際連帯の力を基礎に労働組合の旗を林立させて、断固として粉砕闘争に立とう。
残る2週間、あらゆる闘いをやりぬこう。人生をかけ、世界革命勝利をかけて、11・7の1万人大結集を全力で闘いとろう。
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週刊『前進』(2461号1面2)(2010/10/25 )
10・15大阪 JR西本社へ包囲デモ
関西国鉄集会が画期的地平
「国鉄1047名解雇撤回! 職場・地域に『国鉄闘争全国運動』を広げよう! 改憲―戦争と民営化―労組破壊に立ち向かう闘う労働運動を! 関西労働者総決起集会」が10月15日、大阪市中央公会堂において360人の大結集でかちとられた(3面に関連記事)。
この集会は二つの発言を柱として、さながら「国鉄・生コンゼネスト」集会として、ものすごい熱気の中でかちとられた。
第一の柱は、呼びかけ団体である動労千葉・田中康宏委員長による「国鉄全国運動を呼びかけた意義と展望」の鮮明な提起だ。第二の柱は、「生コン産業ゼネスト」を3カ月を超えて闘いぬく全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部の高英男副委員長による歴史的なゼネスト闘争報告である。関西から「4・9政治和解」の大攻撃を打ち破る国鉄闘争全国運動をつくりだし、11・7集会への1万人結集に向けて大きな一歩が踏み出された。
この集会に先だって、午後4時からJR西日本本社行動が、関西・米子・広島の国労組合員、九州、北海道の闘争団員、動労西日本などの国鉄労働者を先頭とする50人のデモとして闘われた。尼崎事故を居直り、さらなる業務外注化で生き延びようとするJR西日本経営陣と、それを支える体制内労組を国鉄闘争全国運動で打倒する第1波闘争として、戦闘的に打ちぬかれた。
(写真 JR西日本本社に向かってデモ行進。フェンスに囲まれているのは生コンストライキで工事がストップした梅田北ヤード跡地【10月15日 大阪市】)
全国で国鉄集会
また秋田、福岡を先頭に仙台、群馬、東海など全国で国鉄集会が連続的にかちとられ、動労千葉を支援する会が各地で続々と結成されている。
11・7労働者集会では関西地区生コン支部が高らかに闘争報告を行う。さらに、5波のストライキでJR東日本での業務外注化・非正規雇用化の攻撃を粉砕してきた動労千葉が、再び決戦段階を迎えた外注化阻止決戦への突入宣言を発する。世界各国から闘う労組の代表もやってくる。
「新自由主義攻撃への対抗軸となる新しい労働運動をつくりあげることを展望し、国鉄分割・民営化反対、1047名解雇撤回に向けた全国的な運動」(国鉄全国運動呼びかけ文)が荒々しく始まっている。
11・7集会まであと2週間、職場・地域の仲間を組織し、全国から日比谷野音に集まろう!
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週刊『前進』(2461号1面3)(2010/10/25 )
前進速報版から
▼裁判員制度に終止符を!東京で集会
▼弁護士面会妨害許すな! 星野再審連絡会議がビラまき
▼福岡・秋田など各地の国鉄集会詳報
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週刊『前進』(2461号2面1)(2010/10/25 )
国鉄闘争を圧倒的な基軸に職場から組合ぐるみ11・7日比谷野音へ
11・7は検修外注化阻止決戦への突入を宣言する大集会だ
国鉄全国運動の爆発的前進開こう
11・7全国労働者総決起集会は何よりも国鉄闘争の成否をかけた一大決戦だ。その最大の攻防点は再び激突局面を迎えたJR東日本による外注化攻撃だ。動労千葉は11・7集会の場で外注化阻止決戦への突入を宣言し、組織の総力をあげた闘いに入る。JR東日本における外注化攻撃との闘いは、新自由主義攻撃の先頭を切ってきたJR体制を粉砕し、青年労働者の堤防決壊的な決起を切り開き、菅民主党政権の新成長戦略をその根幹で打ち砕く闘いだ。会社と一体となって外注化を推進している東労組カクマルをぶっ飛ばし、国労解体攻撃を打ち破って、11・7労働者集会にJR職場から総結集をかちとろう!
(写真 「外注化阻止・強制配転粉砕」へ幕張支部を拠点に春闘ストに決起した動労千葉【3月】)
「年度内実施」公言したJR
菅民主党政権は、連合に片足を置いた政権としての特質を使いきって「4・9政治和解」を実行し、「国鉄改革の完遂」に全力をあげている。「4・9」は始まりであって、国鉄分割・民営化攻撃の完遂か、その粉砕・転覆かをかけた階級決戦は進行している。
4・9反革命は、24年間、不屈に闘い抜かれてきた国鉄1047名闘争の解体・一掃を狙うものだ。動労千葉と1047名の闘いを分断し、労働者階級の前衛的部隊である動労千葉を孤立させて圧殺しようとしている。
6・13大集会をもってスタートした国鉄闘争全国運動は、この4・9反革命に対する広範な危機感と怒りを結集し、世界大恐慌と新自由主義に立ち向かう新たな階級的対抗軸として屹立(きつりつ)している。11・7労働者集会への1万人結集と外注化阻止決戦の中で、国鉄全国運動のさらなる爆発的発展をなんとしても切り開こう。
千葉管内のローカル線切り捨て
菅政権が進めるJR大合理化との闘いこそ4・9反革命を打ち破る核心的な攻防だ。
JR東日本は動労総連合との団交で、検修外注化の「2010年度内に実施」を公言した。JR東日本はこの間、水面下で外注化の準備をどんどん進めている。申し入れにも答えず、団交も開かず、現場労働者には何も知らせないまま準備を終わらせ、ふたが開いた時には後戻りできないところまで既成事実を積み上げようとしている。
12月4日のダイヤ改定では、動労千葉の業務そのものを奪い、地域を切り捨てる千葉管内のローカル線大幅削減を組み込んだ。また、新型車両の大量投入による検修業務の大合理化、基地のさらなる統廃合、京葉車両センターでの業務外注化も狙われている。12・4ダイ改は外注化攻撃そのものであり、動労千葉への重大な組織破壊だ。
12・4ダイ改にストを構え闘う
動労千葉は「検修・構内外注化阻止、ローカル線切り捨て反対、反合・運転保安確立」を掲げて12・4ダイ改にストライキを構えている。ここから新たな決戦が始まる。
カクマルこそ攻撃の張本人
JR東日本の外注化の準備は、東労組の全面的な承認と協力のもとに遂行されている。春以降の東労組の動きは、それを裏書きするものだ。
動労千葉の5波のストを先頭に、全職場から怒りが噴出し、検修外注化4月実施はいったん破産に追い込まれた。この状況にあわてふためいた東労組は3月、会社に対して「解明要求」の申しれをした。その中身は01年以降に実施された「車両検修職場の効率化」(=合理化・外注化のことだ!)について、「安全・品質管理体制、教育・研修体制が不十分」というものだ。さらに5月にも、各系統の業務委託で「JR社員が委託会社の作業員に直接指示するなどの偽装請負」「JRの所有物を無償で委託会社に貸与・譲渡または修理するなどの偽装請負」が発生しているとの申し入れを行った。
東労組は、これまで進められてきた外注化が「01年の議事録確認どおりに進んでいない」と騒ぎ、あたかも外注化問題に取り組んでいるように装っているが、とんでもない茶番だ。「この点を直せば外注化は進められる」ということを労組の側から教えてやっているだけだ。核心は、解明要求や交渉報告のどこを読んでも、東労組は外注化そのものに1ミリも反対していないことにある。
「偽装」を認めた01年議事録確認
そもそもJR東労組は98年9月時点で「必要な合理化には応じる」と外注化に全面協力を表明して会社と覚書を交わしている(「21世紀を展望した効率化の実施に関する覚書」)。駅への契約社員導入についても99年1月に「確認メモ」を交わした。この裏切りと協力なしに01年以降の業務外注化や非正規職化は絶対に進められなかった。
東労組は今になって「JR社員が委託会社の作業員に直接指示するのは問題だ」と言っているが恥知らずもいいところだ。東労組が結んだ議事録確認では、構内運転業務の指揮・命令について「乗務中の指令指示や出場後の着発線変更等の運転取扱いに係わる指示・連絡についてはJRが直接(委託会社の)作業員に行なう」と明記している。偽装請負を容認して外注化を進めてきたのは東労組自身なのだ。
JR総連・東労組は、4月1日をもって検修外注化が強行されるかどうかという時にいったい何をやっていたのか。ひたすら参院選での民主党比例代表名簿にカクマル分子=田城郁(たしろかおる)を登載させることに躍起になっていた。これだけ業務全面外注化と強制出向―転籍が問題になり、組合員が「4月以降、職場はどうなるのか」という不安の中で働いているのに、東労組の運動方針は「たしろ選挙」と「浦和事件」の動員だけだった。
「この瞬間に闘わないで、いつ外注化と闘うのか」「『国鉄改革の完遂』を叫んでいる民主党をなんで応援しなければいけないのか」――東労組傘下の多くの青年が怒りをあらわにし、職場で離反が進んだ。しかし、そうであればあるほどJR総連カクマルは、さらに組合員へのファシスト的統制を強めるとともに、これまでにも増して徹底的にJR大合理化の先兵として登場しようとしている。彼らの目的は職場や雇用を守ることではない。政権に潜り込んだり、会社に取り入って、腐った労組幹部としての特権的地位を守りたいだけだ。そのためなら傘下の組合員さえ平気で強制出向や転籍に追いやる連中なのだ。
実は、このJR総連カクマルの存在を抜きに、業務の全面外注化攻撃が成り立たないところに資本の最大の弱点、破綻点がある。労働者階級の必死の階級的反撃と決起があれば、現場の怒りは解き放たれ、大恐慌下における民営化・外注化攻撃は絶対に粉砕できる。
青年の決起がJRを倒す力
こうした外注化攻撃への青年の怒りと決起が1047名闘争―国鉄闘争全国運動と実体的にも結合した時、JR体制はJR総連カクマルもろとも必ず打倒できる。その大合流と総決起の場こそ11・7労働者集会だ。
「国鉄分割・民営化絶対反対」「1047名解雇撤回」を不屈に貫いてきた国鉄1047名闘争は、JR資本―JR総連カクマルの支配のもとでの青年労働者の苦闘と完全に一つのものだ。それは、あくまで国鉄分割・民営化の不正義を問うとともに、職員を極限まで削減し、安全を切り捨て、乗客を殺してでも利潤を追求するJR体制を打倒する闘いだ。だからこそJR経営陣はJR総連カクマルと結託し、平成採用の青年労働者をこの闘いに合流させないために、すさまじいエネルギーを注いできた。
JR職場からわき上がる青年の怒りと決起を、外注化阻止決戦の中で一つに結集しよう。
勝利の道筋は、動労千葉の10年の外注化阻止闘争が鮮明に示している。
動労千葉は、JR東日本での業務外注化が本格的に始まった2000年以降の死闘に勝ち抜いてきた。外注化の焦点である幕張車両センターでは、支部役員のほとんどが強制配転され、ベテラン組合員が中心的な仕事からすべて外されながら、新たな指導部を建設して闘い抜き、東日本の中で唯一、外注化を止めてきた。この闘いの中で6人の青年労働者が動労千葉に結集し、闘いの先頭に立っている。
動労千葉は、外注化阻止決戦の中でさらに多くの青年組合員を獲得し、東労組が多数を占めている現実そのものを覆す闘いに挑んでいる。ここで国鉄分割・民営化攻撃以来の二十数年来の攻防に真の革命的決着を付けようとしているのだ。
JR東日本の検修全面外注化は、9割の労働者を非正規職にたたき落とす攻撃であり、同時に、公務員360万人首切りを狙う公務員制度大改悪、全社会的な正社員大量首切りに大々的に道を開くものとなる。
JR体制を粉砕し、外注化を阻止する闘いは、労働者階級全体にとっても、とてつもなく大きな意味を持っている。この決戦に突入する全労働者階級の戦闘態勢を11・7集会で構築しよう。
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週刊『前進』(2461号2面2)(2010/10/25 )
日航が露骨な退職強要
「整理解雇」も振りかざし
日航はついに労働者への露骨な退職強要に着手した。資本により解雇の対象とされた労働者は、個人面談という名目で「あなたの活躍する場はない」「希望退職に応じなければ整理解雇は免れない」などという恫喝を繰り返し受けている。日航は、パイロットについては50歳代後半の機長、50歳以上の副操縦士、客室乗務員については45歳以上の労働者などを解雇の対象にするなどとする「基準」を一方的に設定し、該当者に有無を言わせず退職強要の攻撃を仕掛けている。
労組の頭越しに一人ひとりの労働者を呼びつけて退職を強要するやり方は、労働組合への団結破壊攻撃そのものだ。国鉄1047名闘争の解体を策す「4・9政治和解」を強行した菅民主党政権は、日航においても徹底した労組破壊を通した大量解雇の攻撃を押し貫こうとしているのだ。
日航の経営破綻の責任は、労働者には一切ない。にもかかわらず菅政権はすべての責任を労働者に押しつけ、まさに国家施策としてこの攻撃を強行している。連合幹部もこれに同調し、その推進者になっている。
菅政権は、労働者を徹底的に犠牲にする一方、日航救済のため3500億円もの公的資金を投入した。そして、そのことをもテコとしつつ「国民負担を残さないため」と称して激烈な首切りリストラに乗り出している。
日航で退職強要の対象とされているのはベテランのパイロットや客室乗務員、整備部門の労働者らだ。この攻撃は航空の安全を徹底的に破壊する。日航は、米カリフォルニア州にある運航乗員訓練所の閉鎖も決定した。こうした施策は、1985年8月の御巣鷹山事故(日航機墜落)のような重大事故を引き起こさずにはおかない。動労千葉が実践する反合・運転保安闘争路線で日航リストラに大反撃をたたきつけよう。その闘いの渦中で、4・9反革命を粉砕しよう。
菅政権は、日航の大首切り攻撃に「国鉄分割・民営化25年」を期したJR大合理化や公務員制度改革、新成長戦略などすべての攻撃の成否をかけている。その前哨戦は、すでに激しく火を噴いている。11・7労働者集会は、このただ中で資本と菅政権に真っ向から対決する闘いだ。11・7労働者集会1万人結集を闘いとり、闘いを抑圧する体制内執行部を打倒して労組の団結と闘いを根底からよみがえらせよう。
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週刊『前進』(2461号2面3)(2010/10/25 )
公務員360万人の首切りと「保育新システム」粉砕へ!
革共同自治体労働者委員会
11・7労働者集会まであと2週間。全国の闘う自治体労働者は11月集会1万人結集の闘いの先頭に立とう。11月労働者集会の歴史的成功は世界大恐慌を世界革命に転化する突破口となる。国鉄1047名闘争をめぐる「4・9政治和解」という大反革命を国鉄全国運動で打ち砕き、菅民主党・連合政権を打倒し、階級的労働運動の拠点を建設することが勝利の道だ。公務員360万人首切り・保育新システム粉砕へ、闘う自治体労働者1千人の団結した隊列を登場させよう。
国鉄全国運動で「4・9政治和解」と対決しよう
11月労働者集会1万人結集のために自治体労働者に求められていることは何か。第一に世界大恐慌下の「4・9政治和解」反革命と国鉄全国運動で真っ向から対決することである。
膨大な財政投入など帝国主義のあらゆる恐慌回避策にもかかわらず、世界大恐慌は今日ますます深刻化し、全面的爆発の過程に入っている。ところがブルジョアジーも体制内勢力も大恐慌を大恐慌としてとらえることができない。この世界大恐慌の到来の時代認識を明らかにし、プロレタリア革命を訴えることは最大のイデオロギー闘争、党派闘争である。前進2459号4―5面論文を武器に大恐慌情勢=革命情勢を告げ知らせよう。
大恐慌は資本主義の命脈の尽きたことを示している。だが帝国主義は財政破綻の責任を労働者に転嫁し、労働者を大失業、非正規化、低賃金化にたたき込む新自由主義攻撃で延命を図っている。また帝国主義は資源・市場・領土・勢力圏をめぐる争闘戦を激化させている。イラク・アフガニスタン侵略戦争を長期化・泥沼化させた上に北朝鮮・中国侵略戦争をも構えている。
大恐慌下の内への階級戦争、外への侵略戦争の攻撃と対決しプロレタリア革命をやりぬけるかどうかが労働者階級に問われている。最大の階級戦争である4・9反革命を打ち砕く闘いとして国鉄全国運動を大きく発展させよう。排外主義を打ち破り、労働者国際主義を貫く反戦闘争に立ち上がろう。11・7集会はこの二つを実現する場だ。
4・9反革命は公務員攻撃
4・9反革命とは、直接には労働組合の側からの1047名解雇撤回要求の取り下げ、国鉄分割・民営化の承認、国家的不当労働行為の容認である。労組の側が資本と国家に労組破壊、団結権侵害、解雇の自由を与えると申し出たのである。
これは1047名と動労千葉だけではなく国鉄闘争陣形の中心、4大産別―公務員労働運動に対する裏切り・敵対だ。戦前戦後の労働運動が血を流して闘いとった労働基本権などの諸権利を敵に売り渡し、労働組合を新たな産業報国会へと変質・転落させる攻撃だ。
また4・9反革命は公務員労働運動解体=公務員360万人首切りへのゴーサインだ。公務員攻撃は国鉄分割・民営化攻撃の10倍、20倍の規模だ。菅首相は6月11日の所信表明演説で「戦後行政の大掃除」を掲げ、公務員制度改革、地域主権改革(=道州制導入)、新しい公共、公務員総人件費2割削減を実現すると述べた。菅は「戦後行政の大掃除」で中曽根の「戦後政治の総決算」を継承し、それを上回る公務員労働運動解体の大攻撃をやろうとしているのである。
第二は、国鉄闘争を軸に公務員制度改悪・公務員360万人首切り攻撃と真っ向から対決することである。
国鉄闘争を軸に公務員制度改悪粉砕へ闘おう
菅民主党・連合政権は2012年を目途に人事院・人事院勧告制度を廃止し、分限免職自由の公務員制度をつくろうとしている。政府・与野党とも、公務員制度改革で民間並みの労使関係をつくり出し、公務員総人件費の大幅削減と無制限の公務員首切りを実現しようと国会で議論している。
すでに現行法のもとで公務員360万人首切り攻撃が進行している。これらは国家公務員法・地方公務員法の分限免職規定に依拠して強行されている。それを許しているのは体制内労働組合だ。
社会保険庁解体・日本年金機構発足では、国鉄分割・民営化と同じように職員2万数千人のいったん全員解雇・選別再雇用が強行された。1159人が不採用となり、自主退職を拒否した525人が分限免職となった。
この攻撃は自治労本部と社保労組幹部=社会主義協会派の当局への屈服・協力によって初めて可能となった。それまで45年間、国家公務員の分限免職が行われなかったのは階級的力関係に規定されていたからだ。
広島・福山社会保険事務所の平口雅明さんは75人の不服申し立て者の先頭に立ち、人事院公平委員会公開審理闘争で当局と自治労本部を追いつめている。社保庁525名解雇撤回、公務員360万人首切り・公務員制度改革粉砕へ、解雇撤回の闘いと年金機構労働者の反乱で自治労本部・社保労連幹部を打倒しよう。
病院と保育の民営化粉砕へ
菅政権の公務員360万人首切り攻撃の突破口は、政府の地方出先機関の原則廃止、自治体への事務・権限の移譲だ。これは、菅を議長とする地域主権戦略会議が提起した「地域主権戦略大綱」(6月22日閣議決定)に盛り込まれている。出先機関に勤める国家公務員21万人の首切り=分限免職攻撃である。国と県の同一部門の統廃合で県職員が分限免職攻撃を受ける可能性もある。
地方公務員については全国1千の公立病院への公立病院改革攻撃としていったん全員解雇(分限免職)・選別再雇用の攻撃が強行されている。労組役員の選別排除や組合脱退強要などの不当労働行為がまかり通っている。その例は夕張、銚子、氷見、阿賀野、米内沢、西条など枚挙にいとまがない。だが追い詰められているのは当局だ。労働組合が団結を固め、分断を許さず、絶対反対を貫いて闘えば、攻撃をはね返すことは可能だ。
さらに自治体保育現業労働者30万人の首切りが狙われている。「新成長戦略」の重要項目として「子ども・子育て新システム」の2013年導入が盛り込まれた。保育所と幼稚園の全廃、こども園への幼保一体化、資本の参入・民営化の大攻撃だ。自治体保育労働者30万人の首切り、総非正規化、低賃金、労働強化、安全崩壊は必至だ。
2012年階級決戦は保育決戦でもある。民営化は自治体ごと職場ごとに行われる。保育所に子どもを預ける保護者も労働者だ。民営化への怒りは激しい。職場闘争はいくらでもできる。保育士が労働者として階級意識を持って闘えるかどうかが鍵だ。職場に階級的団結をつくり出し、保育新システムを打ち砕こう。
新成長戦略で総非正規化
菅の「新成長戦略」は新自由主義攻撃そのものだ。9月10日の「日本を元気にする規制改革100項目」や10月1日の所信表明演説が示すように新成長戦略に日帝の命運をかけている。大恐慌のもとで過剰資本・過剰生産力にあえぐ日帝には絶望的・破産的であろうとも新自由主義政策に訴える以外にないのである。
医療、介護、福祉(保育)など社会保障部門を市場に開放、規制緩和・民営化で資本の利潤追求の対象にし、産業化しようとしている。「500万人の雇用創出」の美名で労働者を正規職から非正規職に置き換える。労働者は生きていけない。新成長戦略は資本を救済し肥え太らせるためだけにある。
新成長戦略は「新しい公共」を唱えている。これは公務員労働者のコーディネーター化と住民のボランティア動員であり、コーディネーター以外の公務員は総非正規化だ。「雇用創出」とは「官製ワーキングプア」の拡大、無権利・不安定雇用・超低賃金・過密労働・安全崩壊のことだ。
しかも連合が新成長戦略の先兵になっている。連合は資本と一体化して原発や鉄道、水道などのインフラ輸出に乗り出そうとしている。自治労も8月の熊本大会で「持続可能な日本社会のグランドデザイン構想」討議案で新成長戦略を主体的に推進することを確認した。大会で徳永秀昭自治労委員長は「正規・非正規の賃金シェア」を主張した。賃下げと非正規拡大で日帝を救済するということだ。
日本共産党―全労連も「医療、介護など社会保障の充実で経済成長を」と主張する(赤旗10・15付)など、新成長戦略の先兵になっている。
正規職の首を切り、非正規職を大量に創出する菅の新成長戦略とその先兵、連合・全労連・体制内労組幹部に対し、労働者の怒りが巻き起こっている。11・7集会で官・民、正規・非正規の労働者の総団結をつくり出し、菅政権と連合・全労連幹部を打倒しよう。
階級的労働運動実践し職場拠点をつくり出そう
第三は、本物の階級的労働運動の実践と拠点建設である。
動労千葉と動労千葉を先頭とする国鉄決戦の切り開いた革命的地平と現実的成果を徹底的に学び、生かし、創造的に職場闘争を組織しよう。
職場における動労千葉を支援する会の組織化、動労千葉物販運動の拡大、反合理化・運転保安闘争路線を貫く職場闘争を通じて国鉄全国運動を巻き起こそう。この闘いを体制内労組幹部との党派闘争として展開し、職場支配権―組合権力を握り、連合・全労連支配を打ち破ろう。全国で青年労働者がこの闘いの先頭に立ち、体制内派の支配を食い破っている。
闘う自治体労働者は11・7労働者集会に総結集し、世界の戦闘的労働組合と連帯し、ともに大恐慌をプロレタリア革命に転化しよう。
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週刊『前進』(2461号3面1)(2010/10/25 )
国鉄闘争を圧倒的な基軸に職場から組合ぐるみ11・7日比谷野音へ
10・15関西国鉄集会 360人が結集し大成功
関生ゼネストの報告にわく
10月15日の関西労働者総決起集会は画期的な成功をかちとった。
集会は司会の全国金属機械港合同・中村吉政副委員長の開会あいさつで始まった。中村さんは「4・9和解は間違っている。JRは生コン資本などと違い、すぐに倒産する会社じゃない。これからはJR資本を相手に好き放題の闘いをやろう」と提起した。
国鉄全国運動の呼びかけ人であるスタンダードバキューム自主労組・入江史郎委員長が「動労千葉の闘いはこの社会の主人公が労働者であることを告げ知らせ、世界に通用する労働運動の質を持っている」と訴えた。
(写真 熱気にあふれた10・15関西集会【大阪市中央公会堂】)
4・9政治解決に怒りの反撃
動労千葉の田中康宏委員長が主催者あいさつに立った。最初に関西地区生コン支部のストライキを「動労千葉にとって大いなる援軍です」と述べ、生コンストと一体でJR東日本の検修全面外注化攻撃を打ち破ってこの集会をかちとっていることを強調した。続いて11・7労働者集会の意義を力強く提起した。
「国鉄分割・民営化によって今や1500万人の労働者が非正規になっている。この責任をわれわれが取る必要があると考え、国鉄闘争全国運動を呼びかけた。4・9政治解決を認めたら、分割・民営化を10倍するような攻撃が来る。公務員制度改悪、360万人首切り攻撃だ。民営化の結果が尼崎事故であり、さらなる安全の崩壊が起こっている。分割・民営化で国鉄は7社に分割されたが、今度は数百の子会社に分割され、すべての業務が外注化されようとしている。労働運動の火を消す政治解決に真っ向から対決し、労働運動をよみがえらせるのが国鉄全国運動だ。11・7労働者集会はその第一歩だ」
1047名解雇撤回闘争から動労千葉争議団の中村仁さん、国労旭川闘争団の成田昭雄さん、国労小倉地区闘争団の羽廣憲さんが、全国の労働者と団結して解雇撤回を掲げて闘いぬく決意を表明した。どの発言も「解雇撤回、謝罪もないのに何が勝利報告集会か」「今この時に組合の旗をたたむことのどこが勝利なのか」と4者4団体の裏切りを激しく弾劾し、「1047名闘争に責任を取って、国鉄全国運動を結集軸に11月7日、日比谷野音をあふれさせよう」と決意を述べた。
国鉄臨職解雇撤回闘争当該である和田弘子さんの「分割・民営化に先行して強行された6千人の国鉄臨時職員への解雇攻撃と闘うことが、今日のJRの非正規職撤廃に向け闘うことだ」というメッセージが紹介された。
賃上げ要求し関生スト継続
次に、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部の高英男副委員長が、7月以来4カ月間にわたり激しく闘い勝利を切り開いている生コンゼネストを報告した。関生支部は集会当日に集団交渉を闘い、その高揚の中で多くの組合員が結集した。
高さんは、まず4・9政治解決に対して「『少数になっても和解を認めるべきではない』という確信を持ち、国鉄闘争全国運動に組織として呼びかけ団体になった」と述べた。そして「本日の集団交渉はゼロ回答だった。『ゼロ回答とは何ごとか!』と、次の集団交渉である10月末まで1カ月のストライキ継続を通告した。労資の間に妥協はない。これからが本当の労働条件をめぐる攻防だ」と現状を報告。「このストライキは賃上げを求める闘いだ。同時に、セメント資本とゼネコンによって支配され、高いバラセメントを買わされ、生コンを買いたたかれてきた生コン業界が生きていくためのギリギリの闘いだ。労働組合の闘いに、ゼネコンから収奪されている中小零細業者が組織する協同組合が協力せざるをえなくなり、3割の組織率しかない労組が全体の生コン出荷を阻止している。この闘いの中で組合員は鍛えられた。連日組合員は工場門前で監視活動を闘いぬいた。闘いの中でしか労働者は鍛えられないし、今の地平を築くことはできない」と勝利の地平を提起した。
最後に「11月集会を呼びかけている3労組に共通するのは、少数でも闘いぬくことだ。動労千葉の28人の公労法解雇との闘いや、港合同の闘いも同じだ。闘いの中にしかわれわれの生きる道はない。少数であることを恐れることはない」とまとめた。参加者は大きな拍手と歓声で応えた。
八尾市による2010年4月の売り渡し、民営化攻撃を粉砕して闘い抜いている八尾北医療センター労働組合の藤木好枝委員長、非正規職の講師の解雇攻撃と闘う日教組奈良市の有田雅行副委員長、大阪市1万人首切り攻撃と対決している大阪市職浪速支部ユース部の赤田由行書記長、JR契約社員制度撤廃を掲げ不当解雇と闘う動労西日本の山田和広副委員長、教育の民営化と闘う京大生・冨山小太郎さんが決意を表明し、戦争と民営化、労組破壊に対して国鉄闘争全国運動で立ち向かい、11・7労働者集会へ向け闘うと述べた。
それぞれ4・9反革命と激突して職場・大学・地域で闘い抜き、団結を拡大し大きな展望を握りしめている。
最後に国労兵庫保線分会の富田益行さんが「この集会で国鉄闘争全国運動の準備会がスタートした。11・7集会1万決起に進もう」と提起し、団結ガンバローで熱気にあふれた集会を終えた。
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週刊『前進』(2461号3面2)(2010/10/25 )
全国で国鉄集会開く
小玉さん“絶対勝てる”
秋田闘争団の地元でデモ
10月17日、「国鉄1047名解雇撤回せよ! 民営化・非正規職化許すな! 生きさせろ! 10・17秋田集会」が秋田市で開催され、80人が結集した。
冒頭、「ともに闘う秋田の会」共同代表Aさんが力強く主催者あいさつ。青年労働者が基調を提起し、「国鉄全国運動を秋田で本格的に担う決意で本集会を開催します」と宣言。菅政権の戦争政策と公務員労働者首切り、民営化・外注化を批判し、「競争と分断を打ち破り自分の職場、地域、街頭、あらゆるところで労働者の団結を組織する。大恐慌情勢下で労働者が勝利できるか否かは、国鉄闘争全国運動の発展にかかっています。11・7にあと一人を組織しよう」と提起した。
特別報告を国労旭川闘争団の成田昭雄さん、原告側主任代理人の藤田正人弁護士、国労秋田闘争団の小玉忠憲さんが行った。成田さんは「全国をめぐってきたが、どこでも展望が見えている。全力で頑張ろう」と笑顔あふれる報告。藤田さんは「4者4団体のこれまでの裁判方針は極めて不十分。新たな裁判に20人の新弁護団が結集している」と報告。小玉さんは、政治解決を拒否した思いを語り「ここで奮起すれば絶対に勝てる」と提起した。
参加した仲間が決意を述べた。国労郡山工場の仲間、JR外注会社の青年労働者、全金本山労組、仙台市職労の仲間、東北石けん労組、南部バス労組、そして地元・秋田の会会員で農業を営むBさんは「自分もかつては労働運動をやったが、あの内容ではとても和解とは言えない。みなさんとともに闘う」とキッパリ。秋田闘争団家族の小玉由利子さんのあいさつを受けて、共同代表のCさんが「これだけの結集に感激しています。自分の所属はこの秋田の会だと胸を張って言える」と感動的に締めくくった。
ただちにJR秋田支社に向かってデモ行進に立ち、「解雇撤回! 闘争勝利!」のかけ声が秋田市中心部を席巻した。
(写真 宣伝カーに国労闘争団・成田さんが乗り込んでデモ。先頭は小玉さん【10月17日 秋田市】)
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週刊『前進』(2461号3面3)(2010/10/25 )
解雇撤回を絶対貫く
福岡 羽廣さんが熱く訴え
10・17福岡労働者集会は感動的でした。主催は、全国に先駆けて結成された「国鉄全国運動・九州」です。
国鉄分割・民営化攻撃を振り返るビデオ上映の後、竹内良夫代表(元九州国際大学学長)が開会あいさつ。「今回の政治解決で、労働者の利益を守る労働運動は、動労千葉とそれに連なる運動以外なくなった」と断じ、「和解を拒否した羽廣さんら国鉄1047名当該と動労千葉を守りぬき、新自由主義を打ち破る新たな労働運動をつくり出そう」と訴え、11・7全国労働者集会への賛同と結集を呼びかけました。
圧巻だったのは、中村仁さん(動労千葉争議団)と羽廣憲さん(国労小倉地区闘争団)、手嶋浩一さん(元国労九州本部書記長)をパネリストにしたパネルディスカッションです。
手嶋さんは「分割・民営化は、国労と動労千葉がともにストライキで闘っていれば阻止できた。修善寺大会でつくられた国労指導部も最初からお願い路線だった。だから今回の屈服がある」と国労本部を批判しました。羽廣さんは「私は最初から『解雇撤回のない政治解決は拒否だ』と言ってきた。勝利の核心はあくまで解雇撤回、絶対反対を貫くことだ」と。仁王立ちになって4・9反革命と対決する姿が会場を圧倒しました。
中村さんは、国鉄分割・民営化に反対してストで闘った動労千葉の勝利の確信を語り、「黙っていてはダメだ。今必要なことは私たち労働者が声を上げることだ」と呼びかけ、11・7に総決起する決意をあらためて固めさせてくれました。
呼びかけ人の宮村みつおさん、藤井冽さん、呼びかけ団体のス労自主、レイバーユニオン福岡のあいさつ、教育労働者の11・7集会派遣カンパアピール、自治体労働者、運輸労働者の発言も新たな力を感じるものでした。最後に呼びかけ人の林田英明さん(毎日新聞労組)がまとめを行い、事務局長の水上晋さんの音頭で団結ガンバローを三唱して集会を締めくくりました。
(M・A)
(写真 中村仁さんと羽廣憲さん、手嶋浩一さんがパネルディスカッション【10月17日 福岡】)
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週刊『前進』(2461号3面4)(2010/10/25 )
資本の暴走止める
「支援する会・群馬」旗揚げ
10月17日、高崎市労使会館で「動労千葉を支援する会・群馬」結成集会が動労千葉を迎えて30人の参加でかちとられた。
冒頭、動労千葉を支援する会作成のビデオ「ドキュメント国鉄分割・民営化」を上映。群馬合同労組の青年労働者が司会を務め、準備会の仲間が「4・9政治解決は動労千葉を絞め殺し、労働者を戦争に動員する攻撃。動労千葉を守り、ともに闘おう」と基調を提案した。
動労千葉執行委員の山口世修さんは分割・民営化当時を振り返りつつ、怒りと熱を込めて30分以上の報告を行った(写真)。「今の資本の暴走を止められるのは労働組合だけ。動労千葉は当たり前の普通の組合だが、組合員が力を合わせれば何でもできる。11・7の1万人結集をかちとろう」という力強い訴えに会場は大きな拍手で応えた。
動労千葉を支援する会から東京北部の別所基明さんが連帯のあいさつを行い「北部では会報の毎月発行を続け、いつでも右手に物販、左手に会報を持ってみんなで突貫して大きな成果を上げている」と述べた。動労千葉を支援する会・群馬の代表になった化学一般昭和高分子労組の大谷和昭さんは「動労千葉に学び、先進的な地区の支援する会運動から学んで、群馬の地から闘いを拡大しよう」と決意を表明した。
参加者の発言が続いた。国労高崎の組合員は「今までは運転中でも本部指令に出なければならなかったが、動労千葉の安全闘争によって、指令は止まって受けるようになった。動労千葉の闘いでJR全社にわたる業務が変わった。これはすごいことだ。国労も頑張りたい」と語った。群馬合同労組の仲間は「私は浅草橋闘争の被告です。人生をかけて動労千葉と連帯して闘ってきて本当によかった」と発言。全参加者が11・7集会への決意を口々に語った。
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週刊『前進』(2461号3面5)(2010/10/25 )
“東海で大運動を”
名古屋集会で決意と展望
10月17日、「国鉄分割民営化反対! 1047名解雇撤回10・17東海国鉄集会」が名古屋市教育館で開かれた(写真)。
動労千葉の川崎昌浩執行委員が「国鉄分割民営化反対・1047名解雇撤回全国運動からの訴え」を行った。「戦後最大の労働運動解体攻撃であった国鉄分割・民営化対して、動労千葉は2回のストを打ち、国鉄1047名闘争が始まった。この闘いは労働者の未来を切り開く闘い。動労千葉は4・9政治解決に抗して全国運動を呼びかけました。国労闘争団からも4人がともに闘っています。6・13集会から4カ月で20以上の職場と地域で国鉄全国運動が立ち上げられた。11・7集会には全力で集まって下さい」と呼びかけた。
続いて、国労秋田闘争団の小玉忠憲さんと国労小倉地区闘争団の羽廣憲さんのメッセージが読み上げられた。
本集会の呼びかけ団体である愛知労組交流センター、三重労組交流センター、東海合同労組がアピールし、ス労自主が特別報告で「国鉄全国運動の目的は、菅民主党政権の戦争と道州制、民営化、労働運動壊滅、挙国一致体制と激突することだ。東海の地で大きな運動をつくり上げていこう」とアピール。
闘う仲間からのアピールでは、大学職員、郵政労働者、日本アラブ未来協会、とめよう戦争への道!百万人署名運動岐阜連絡会が発言した。
酒井鋼材解雇撤回闘争の当該が集会宣言を読み上げ、「すべての労働者の権利と未来をかけ、労働運動の再生に向けた最大の課題として、国鉄闘争全国運動を職場・地域に組織していこう。派遣法・非正規職撤廃に向けて青年労働者とともに闘おう。怒りの声を組織し11・7全国労働者集会に総決起しよう」と誓って、団結ガンバローで集会を締めくくった。
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週刊『前進』(2461号3面6)(2010/10/25 )
仙台 全金本山を先頭に
動労千葉・中村さんら迎え
10月7日、仙台市内で宮城労働者集会が開催され、70人が参加した。
主催者あいさつに立った全金本山労組の長谷武志副委員長は「全金本山は上部団体から除名されても最高裁で敗訴しても『一人の首切りも許さない』という原則を貫いて勝利した。これこそ国鉄闘争が貫くべき道」と述べた。
仙台市職労の神保美彦副委員長が基調を提起し、「菅政権は労働者の首を切り戦争に突き進む政権。この時、労組幹部は、共産党も社民党もみな資本や当局の言いなりだ。動労千葉のように闘う労働組合につくり変えよう。職場に支援する会をつくり、11・7に決起しよう」と訴えた。
国労秋田闘争団・小玉忠憲さんと動労千葉争議団・中村仁さんが特別報告を行った。小玉さんは「私は分割・民営化に反対して停職処分を受けJR不採用となった。6畳の部屋に3年閉じ込められ、90年4月に2度目の解雇。4・9政治解決は絶対認められない。9月28日、鉄道運輸機構裁判を再開した」と力強く報告(写真)。中村さんは「『国鉄闘争は終わっていない。一緒に闘おう』という訴えに多くの労働者が共感を寄せている。われわれの要求は解雇撤回・JR復帰。JR東の外注化攻撃に対し御用組合の中から青年の決起が始まった。正規も非正規も一つになって闘うチャンスだ」と訴えた。
参加者が決意を表明した。市職労の青年たちは「市職労・支援する会を結成し、公務員360万人解雇を許さない職場の団結をつくる」、JP労働者は「労働者の団結こそ社会を変える力だ」、街頭で出会った労働者は「集会に参加して、私の中で何かが立ち上がってきた」と感動を述べた。全金本山労組の千田芳明書記長は「1047名闘争をともに闘う」と述べ、星野さんを救う会、東北大生の熱い決意で集会を締めくくった。
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週刊『前進』(2461号3面7)(2010/10/25 )
ロサンゼルス 業績評価の実名報道で教員が自死
UTLAとともに反撃を
6千人実名で地元紙が報道
この8月、全国労組交流センター教育労働者部会は、UTLA(ロサンゼルス統一教組)のリーダーシップコンファレンス(分会長を中心とする研修会)に招待され、日本の教育システム分科会で報告した。
最も注目されたのは、日本で導入された業績評価・査定給制度や多忙化などの実態、それに対する日教組本部の屈服、そのもとでの若い教員の退職や病気、自死などの現実と、それに対する闘いの展望だった。
この報告に関心が集まったのは、UTLAにとってまさに切実な問題だったからだ。UTLAは05年に新自由主義に屈した旧執行部を打倒して闘う体制を築き、査定給の導入を阻んでいる。
しかしオバマ政権は大恐慌下の各州の財政危機に付け込み、@テストの点数と連動した成績給の導入、Aチャータースクール(公設民営校)の数の上限撤廃などを基準にして州間競争をさせ、そのランクに応じて連邦補助金を出すという政策を打ち出した。ブッシュ政権をはるかに超える分断、団結破壊攻撃だ。
この攻撃を最先頭で担ったのがロサンゼルスタイムズ紙だ。8月14日、同紙は1面トップで市内の小学3年生と5年生を担任する教員6千人の実名をあげて教師査定結果を発表した。クラスの読解と算数のテストの平均点が前年より増えた分を担任の教員が加えた「付加価値」として計算する方法を使い、あたかも「科学的統計」であるかのように装ったものだ(下の図)。同紙のホームページでも、教員の名前を打ち込むと査定結果を見られるようにした。
またちょうどこの時期、全米で「スーパーマン待望」という映画が封切られた。ビル・ゲイツなど大資本家を救世主とし、教員組合を”公立学校の改革=チャータースクール化の妨害物”として攻撃する映画だ。
(写真 ロサンゼルスタイムズ社門前を封鎖して抗議闘争に立ち上がったUTLA【9月14日】)
課題は共通だ ともに11・7へ
UTLAは、9月14日にロサンゼルスタイムズ社門前を封鎖する抗議闘争を組織した。組合員は、同紙に「最も無能な教師」と名指しされた教員ジョン・スミスさんに連帯し、口々に「私がジョン・スミスだ」と叫んだ。「テスト向けの教育反対」「ロサンゼルスタイムズを査定しろ」というスローガンを掲げた。
しかし9月末、5年生担任の教員リゴベルト・ルエラスさんの自死が明らかになった。UTLAの必死の反撃にもかかわらず、教員たたきの犠牲者を出してしまったのだ。UTLA指導部は彼の家族と勤務していたミラモンテ小学校の組合員のもとに駆けつけ、追悼し、支え、全力で闘う姿勢を明らかにした。
全国労組交流センター教育労働者部会は、ただちに連帯と追悼のメッセージを送った。
日本でも日教組本部が業績評価制度に屈服する中で、多くの仲間が退職や自死に追いやられている。反撃の展望は、国鉄全国運動の発展と一体で職場に団結をつくり出し、日教組を現場組合員の手に取り戻すことにある。11・7集会にはUTLAを代表してイングリッド・ガネルさんが参加する。職場の仲間とともに参加しよう。
(写真 実名で教員の業績評価を報じたLAタイムズ)
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週刊『前進』(2461号4面1)(2010/10/25 )
医療も民営化・非正規化し「営利事業化」狙う新成長戦略
11・7集会の大結集で反撃へ
1929年以来の歴史的大恐慌の深化と日帝国家財政の破綻、円高―為替戦争という激烈な争闘戦が日帝にすさまじい危機を強制している。輸出市場をめぐる争闘戦で徹底的に追い詰められた日帝は、通貨戦争に乗り出すと同時に、釣魚台(尖閣列島)での侵略軍事行動という戦争挑発に踏み切った。東アジアにおける巨大な権益と資源を巡って、軍事的・戦争的な争闘戦がついに開始されたのだ。この中で菅政権が打ち出した新成長戦略は、労働者階級からの徹底した収奪とアジア侵略を狙うものだ。これは民営化・労組破壊攻撃であり、社会保障の全面解体と増税、さらにアジア勢力圏化という「内への階級戦争と外への侵略戦争」攻撃そのものだ。これを迎え撃ち粉砕する闘いが11・7労働者集会だ。11・7労働者集会の1万人結集をかちとるため、本稿では医療・福祉にかけられた新成長戦略攻撃の実態と方向性について明らかにしたい。
むき出しの新自由主義攻撃
菅民主党政権は4・9反革命を突破口に道州制=360万人公務員労働者のいったん全員首切り―選別再雇用と非正規化・労組破壊攻撃に突き進んでいる。新成長戦略はこの実現のために発表されたものだ。
新成長戦略は「経済・財政・社会保障の一体的立て直し」を実現する戦略とされ、「需要や雇用を(新しく)創出し、同時に持続可能な財政・社会保障制度を構築する」とうたっている。
それは何よりも労働者への大首切り攻撃であり、社会全体の非正規化攻撃そのものだ。大恐慌のもとで医療・福祉を最大のターゲットとする新自由主義攻撃だ。
「2020年までに健康分野で約45兆円の新規市場、約280万人の雇用が目標」と言うように、歴史的に行き場を失った過剰資本が医療・福祉を「産業」化し、食い物にするものである。生活と生存に密接にかかわるこの分野で民営化・大合理化を強め、労働者から徹底的に搾り取ることで、資本は暴利をむさぼろうとしているのだ。
この新成長戦略との対決は、11・7労働者集会の重大な課題である。新成長戦略は4・9反革命と一体であり、国鉄全国運動とは新成長戦略との激突である。11・7は、新成長戦略に命運をかける菅政権打倒の闘いとなったのだ。
「医療でもうけろ」と叫ぶ資本
新成長戦略は「ライフイノベーション」と称して「高い成長と雇用創出が見込める医療・介護・健康関連産業を日本の成長牽引(けんいん)産業として明確に位置づける」と打ち出した。これは医療・福祉の2012年問題だ。2012年は医療と介護の報酬・制度改定が重なった。これとの攻防は「国鉄改革25年問題」「公務員制度改革2012年問題」を巡る攻防と完全に一体だ。
新成長戦略に言う「ライフイノベーション」の本質は、むき出しの新自由主義攻撃だ。その内容は、経済産業省が09年8月に設置した医療産業研究会の報告書(今年6月発表)で示されている。
報告書は「医療は、社会のコストセンターではなく、自律性をもつ産業の側面を持つ」「成長のためには利潤を上げることが必要」とし、結論では「公的保険外の市場創出が目的」と明言している。そこでは「医療でもうけることがタブーという考え方はおかしい」(家次恒シスメックス社長)というブルジョアジーの要求がそのまま具体化されている。
研究会の座長、伊藤元重(東大経済学部教授)は「週刊ダイヤモンド」4月24日号で以下のように主張している。@電子カルテの普及など医療情報基盤の整備を、アウトソーシングなどの徹底した合理化と市場拡大の武器として推進する、A混合診療の推進による保険外診療の拡大と利潤増を追求する、B「メディカルツーリズム」という医療を通した海外進出(=新たな侵略)――などである。
医療と介護が市場の標的に
新成長戦略と報告書は第一に、最大の核心として、医療の民営化・合理化・外注化、そして非正規化を推し進めようとしている。「高い成長と雇用創出が見込める医療・介護・健康関連産業」として、公的医療・介護・関連部門を市場に放出するというのである。
そもそも、医療・福祉は「非営利事業」とされ「高い成長」など不可能であり、もうけることが許されない分野だった。実際、大半の病院は現在も赤字だ。そこで利潤を追求すれば、徹底して労働者から搾り取る以外にない。そこで拡大したのが民営化・外注化だ。
それは経営主体を変更し、労働者をいったん解雇=選別再雇用、非正規雇用にし、労働組合を破壊するものだ。電子カルテの普及など医療情報基盤の整備は、この民営化・外注化を進めるために行われている。
現在でも、寝具類の洗濯や廃棄物処理、検体検査、院内清掃などの外注化率はすでに80%を超えており、1986年に外部委託が解禁された給食業務は62%だ。医療器材(ガーゼ、カテーテル、ペースメーカーなど)の調達、購買代行も外注化が進んでいる。三菱商事は医療ビジネスで2400〜2500億円もの売上を稼ぎ出している。
また「病院の生き残り」戦略として、ジェネリック(後発)医薬品の購入などによるコスト削減、ベッド回転率アップなどの効率化がしのぎを削って行われている。これは結局は、現場労働者の労働強化、非正規化、分断と団結破壊、いつ事故が起きてもおかしくない安全崩壊を生み出し、促進しているのだ。
こうした攻撃と同時に公立病院の民営化が道州制実現の突破口として強行されている。現に銚子市立病院(千葉県)や氷見市民病院(富山県)、阿賀野市立水原郷病院(新潟県)などで、民営化=分限免職という社保庁型の全員解雇攻撃が行われた。それはまさに教育・保育における攻撃と並んで、公務員360万人首切り・民営化・労組破壊の攻撃そのものだ。現場には激しい怒りが渦巻いている。
さらに決定的なのは、2004年から「紹介予定派遣」という名目で解禁され拡大してきた看護師の派遣労働が、医療労働者の非正規化を激しく加速させていることである。
公的医療保険の解体を狙う
新成長戦略と報告書は第二に、「医療の高度化」と合理化の推進をテコに国民皆保険制度を解体しようとしている。
それは一方で「財政負担を軽減する」として労働者から必要な医療を奪い、他方で、もうけるためには「公的財源に依存しない市場の拡大が必要だ」として「公的医療」のさまざまな規制を最後的に取り払い、保険外診療分野の拡大などで医療・福祉を資本の食い物として明け渡すものだ。
日帝は、それを診療報酬改定などの手法で誘導している。医療関連法規の3分野(人、施設、保険)すべてが大規模に改悪された06年医療大改悪は、その画期であった。
さらに2010年の診療報酬改定は新成長戦略の露骨な推進だ。具体的には、@すい臓がんなど高度な手術は3〜5割も上がるが、盲腸の手術は下げる、A療養型病院や精神病院などでは、重症患者の機能訓練や合併症の精神患者には手厚くし、重症度の低い患者の長期入院は下げる、B画像診断も最新装置で診断すると上げ、旧式の装置で診断すると下げる――などだ。大学病院やがん専門、救急病院など大病院はこれで数億円も収入が増える。逆に診療所などは大幅に収入が減る。
こうした「医療の高度化」は、医療にかかれない人を膨大に生み出す。それは、病院間の競争を促進して非重症患者の治療を切り捨て、国民皆保険制度を最後的に崩壊させるものなのである。
医療でも海外市場の争奪戦
第三に、新成長戦略は「アジア等海外市場への展開促進」として、「医療・介護・健康関連産業は、今後、高齢社会を迎えるアジア諸国等においても高い成長が見込まれる。医薬品等の海外販売やアジアの富裕層等を対象とした健診、治療等の医療及び関連サービスを観光とも連携して促進」することを狙っている。医療分野の国際競争力を強化させて海外侵略の武器とするものだ。
実際、外国人の患者は保険外の治療で病院にとっては収益アップが図れるとしてすでに誘致が進んでいる。「神戸ポートアイランドに研究機関を集積し、移植や内視鏡手術に特化した先端病院、放射線がん治療専門施設を作り、高度な医療を提供、外国から多数の患者や家族を長期間受け入れる」などの資本の戦略も報道されている(朝日新聞9・15付「ポーアイ医療の『出島』に」)。
また「日本を元気にする規制改革100」(9月10日閣議決定)では「医療滞在ビザ」の創設がうたわれ、10月1日の菅所信表明演説でもこれについて直接言及されている。
介護保険のさらなる改悪
新成長戦略はさらに、「医療・介護サービスの基盤を強化する」としている。公的介護をさらに奪い、介護分野においてさらに市場を拡大するということだ。
2012年は介護保険制度の5年ごと見直しの年であり、この分野でも新成長戦略の政策化が始まっている。在宅介護重視のための住宅建て替えへの資金投入など、数年間促進した「予防」領域を保険制度から切り離し、完全民営化・市場拡大する。介護保険制度発足の年に介護市場規模は約3・6兆円だった。今年度はその2倍以上の約7・9兆円と見込まれ、2025年には19兆円市場にする(厚労省検討会)としている。
それは介護・福祉分野の労働者を一層の低賃金・強労働・強搾取にたたきこむ。介護保険導入後の福祉分野は、今でも「福祉のワーキングプア」の現実にある。それは、労働者への徹底した分断攻撃の中で、「常勤換算」導入(非常勤やパート労働者の労働時間を常勤1人に換算する)などの行政の誘導により非正規化が極度に進行したことで起きてきた。新成長戦略は、これをさらに過酷に推し進めようとしているのだ。
社会保障を解体する菅政権
以上のように、新成長戦略は医療・介護・健康領域の全面民営化で市場を拡大し、公的資金を投入する社会保障・福祉を極限的に縮小・解体するものにほかならない。
アメリカの医療の現実を見れば、市場原理による医療費負担拡大と関連産業の巨大化により、無保険者が拡大し、「必要な医療を必要なときに」受けられない労働者層が激増して、米社会を根本的にむしばんでいる。
日本もその後を追いかけるように、医療・福祉に大企業が殺到し、暴利をむさぼっている。労働者人民から医療を奪う「高度先進医療」は医療崩壊を生み出す。医療などの社会保障分野の最後的解体は社会を根本的に崩壊させる。これは資本主義の終わりを告げ知らせる事態だ。
新成長戦略は新自由主義攻撃の極致である。それは資本主義・帝国主義の過剰資本・過剰生産力――生きた人間を労働力商品とする資本の論理が必然的に生み出した――の「解決ならざる解決」策、「死の苦悶(くもん)」だ。行き着く先は労働者への極限的搾取と侵略戦争と強権国家体制だ。それを阻止できるのは労働者階級と階級的労働運動だけである。
大恐慌下の「新成長戦略」との闘いは、国鉄決戦を軸とした「2012年問題」を焦点とする戦後最大の階級決戦となる。医療・福祉分野が大決戦場となる。日帝の思惑どおり新成長戦略で経済成長を実現することなど絶対に不可能だ。日帝は根底的な危機を深め、争闘戦で絶望的な敗勢にたたき込まれていく。
「医療・介護など社会保障で経済成長を」と叫ぶ日本共産党を先頭とした新成長戦略の推進勢力と対決し、国鉄全国運動を軸に職場から絶対反対で闘いぬき、反撃を組織すれば絶対に勝利できる。11・7労働者集会1万人結集を実現し、菅民主党政権を打倒しよう。
〔望月夏穂〕
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【資料】医療の民営化を露骨に唱える経産省「医療産業研究会」報告(抜粋)
「医療が、公的保険制度に象徴される『計画された供給』という考え方にとらわれ、社会の期待の変化に円滑に応じられず、経済的自律性も低い場合には、産業群を構成する分業の中から外れ、名実ともに社会のコストセンターと受け止められるおそれがある」
「自らの経済活動を維持するためには、一定の利潤をあげることが必須。……非営利事業であっても、事業体を自律的に維持するための利潤は必要」
「公的保険制度に直接的に関係しない医療に関わる経済活動の拡大は、医療・介護機関による公的保険外の事業の充実と収益の拡充に繋(つな)がる」
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週刊『前進』(2461号4面2)(2010/10/25 )
“NAAに全証拠出させよ”
市東さんの耕作権裁判 裁判長の指揮に怒り爆発
10月18日、千葉地裁で市東孝雄さんの耕作権裁判が開かれ、農地強奪攻撃への怒りをたたえて、三里塚芝山連合空港反対同盟を始め労農学市民が傍聴席を埋めた。
空港会社(NAA)は市東さんの畑の一部を「不法耕作」と決めつけて明け渡し訴訟を起こしたが、肝心の土地の特定が誤っており、NAAが「契約地だ」と主張する場所について、実際に市東家は一度も耕したことがない。この決定的な事実を突きつけられ、NAAは行き詰まっている。
反対同盟顧問弁護団は、旧地主の藤崎政吉と空港公団(NAAの前身)の間で交わされた土地買収交渉の記録、報告書の提出を再三にわたり強く求めてきた。
ところがNAAは「交渉担当者が死亡したのでわからない」としらを切っている。すぐにウソと分かる逃げ口上だ!
NAAの居直りをかばい立てするのが白石史子裁判長だ。反対同盟側の求釈明に対し答えるかどうかをNAA代理人に聞くだけ。答えない、出さない、わからないと言えばそれはNAAの勝手で、「はい次に……」という具合だ。この証拠隠しへの加担と早期結審のもくろみに反対同盟、弁護団、傍聴者の怒りが爆発し、裁判長の訴訟指揮を徹底弾劾した。
反対同盟は傍聴席の最前列で「NAAが隠し持っている一切の証拠を提出させろ!」と要求した。この当然の声に包囲され裁判長は立ち往生した。次回の弁論は来年の1月24日。追及の手を緩めず、NAAの主張の誤りを確定させよう。
閉廷後、近くのホテルぷらざ菜の花で記者会見と報告集会が開かれた。最初に市東さんが立ち、「証拠を隠したままずるずる結審までやっていこうとしているが、きょうは弁護団と傍聴者の気迫で裁判長を押し込んだ。これからもがんばりましょう」とあいさつし、大きな拍手を受けた。続いて葉山岳夫弁護士を始め弁護団が法廷の解説と決意を述べた。
北原鉱治事務局長は弁護団の奮闘をたたえ、「旧地主の藤崎を法廷に出させよう」と徹底追及を呼びかけた。
さらに市東さんの農地取り上げに反対する会、動労千葉の関道利執行委員、関実、群馬の青柳晃玄さんが連帯の発言をした。動労千葉の関さんは「鉄建公団訴訟でも、JR不採用になった動労千葉の組合員が数日前は名簿に載っていたことを証言させた」と法廷闘争の重要性を語り、外注化阻止決戦と11・7労働者集会を呼びかけた。
司会の鈴木謙太郎さんがここで、「11月は5日の現闘本部裁判控訴審を始め裁判闘争が4回ある」と列挙し、傍聴を要請した。
最後に萩原進事務局次長が、「11月5日の控訴審は特に大結集をお願いしたい。成田のハブ空港からの陥落は反対同盟44年の闘いによる勝利だ。一つひとつの裁判を全力でていねいに闘っていこう」とまとめ、全員が大きな拍手で応えた。
(写真 「きょうは気迫で裁判長を押した」と法廷闘争の手応えを語る市東さん【10月18日 千葉市】)
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週刊『前進』(2461号4面3)(2010/10/25 )
前進社国賠訴訟 弁護団が求釈明書
“また不当捜索やるのか”
10月15日、東京地裁民事第1部(甲斐哲彦裁判長)で、前進社不当捜索国賠訴訟の第3回口頭弁論が行われた。昨年10月、警視庁が法政大で「公安条例違反」をデッチあげて学生を逮捕し、それを口実に10月23日に強行した前進社不当捜索から1年。今年の11月労働者集会への事前弾圧など絶対に許さないという、原告の決意にあふれた法廷となった。
まず原告弁護団は、被告である国の答弁書や東京都の準備書面は原告の主張になんら回答していないことを弾劾し、真正面から答えるよう要求する求釈明書を提出し、同時に警視庁などが作成した捜索許可令状請求書や捜査報告書などの資料開示を求めた。
次いで原告の代表が意見を陳述し、「今年もまた11月労働者集会を妨害するために前進社に捜索に来るつもりなのか。これまで集会当日に前進社に来たことさえある。今年は、韓国の民主労総ソウル本部やアメリカ、ブラジル、ドイツなど全世界から闘う労働者がやってくる。大恐慌下で大失業、労組破壊、戦争と対決するまったく正当で違法性などない集会だ。不当な政治弾圧はやめろ」と弾劾、追及した。
さらに、「被告警視庁は、関係のない膨大な記録媒体を中身も見ずに押収したことを、完全に開き直っている。しかも中核派は『共産主義社会の実現を究極の目的とする極左暴力集団』『前進社は中核派の拠点』、だからその前進社への捜索は必要であり正当であると強弁している。この論理はまさに、日本を戦争と破滅に導いた治安維持法の理屈そのものではないか」と徹底弾劾した。
その上で、大阪地検特捜部によるフロッピーディスクの改ざん問題などについて、「日本の権力中枢である検察庁の底知れぬ腐敗と反人民性が暴き出されている。その根底には、裁判員制度の導入で『精密司法』から『核心司法=ラフ司法』に転換したことがある。検察庁を解体し、裁判員制度は廃止するしかない。裁判所も、警察・検察の腐敗を批判もなくノーチェックで支えてきた」と厳しく追及した。
警視庁による11月労働者集会への妨害・弾圧策動など断じて許さず、1万人大結集へ闘おう。
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週刊『前進』(2461号4面4)(2010/10/25 )
2010年 10月13日〜19日
「釣魚台」削除をグーグルに要求/名護市議会が「県内移設撤回」決議
●中国名削除をグーグルに要求 前原外相は参院予算委員会で、インターネット検索大手グーグルの地図サービス「グーグルマップ」上の釣魚台(尖閣諸島)に中国名と日本名が併記されていることについて「尖閣諸島は日本固有の領土。外務省としてしっかり申し入れを行う」と述べ、グーグル側に中国名の削除を求める考えを示した。(14日)
●ダイバート中止求め抗議決議 沖縄県議会は、嘉手納飛行場滑走路改修工事に伴う普天間飛行場および那覇空港等へのダイバート(目的地変更)に関する意見書と抗議決議を、それぞれ全会一致で可決した。抗議決議では「普天間飛行場は市街地の中心に位置し、過重な基地負担を地域住民に与えている『世界一危険な飛行場』であり、県民は強い憤りと不満を抱いている」と米空軍の措置を批判し、改修工事に伴う目的地変更や訓練での使用を行わないことや、普天間飛行場の早期閉鎖・返還など4項目を要請した。(14日)
●名護市議会が県内移設撤回求め決議
名護市議会は、米軍普天間飛行場「県内移設の日米合意」の撤回を求める意見書と決議を17対9の賛成多数で可決した。同議会で名護市辺野古への移設に全面的に反対する決議が可決されるのは、1996年以来。(15日)
●日米安保新宣言見送り 日米両政府が、日米安全保障条約改定50周年を記念して11月のオバマ大統領の来日時にまとめたいとしていた包括的な新「日米安保共同宣言」の策定を見送る方針を確認したことが分かった。米軍普天間飛行場移設先の最終案決定もオバマ来日以降に先送り。(16日)
●仲井真知事が再選出馬を表明 沖縄県の仲井真知事が会見し、11月28日投開票の県知事選に再選出馬することを正式表明した。米軍普天間飛行場返還・移設問題への対応について「県内移設反対」を明言しないのかとの指摘に対しては「運動論的な表現を使う必要があるのか。私の頭に、県内のほかの場所という選択はまったくない」と強調した。知事選は宜野湾市の伊波市長も出馬を表明。(16日)
●自衛隊使用・訓練18回 政府は、自衛隊による在沖米軍基地の共同使用・共同訓練について、07年度から09年度までの3年度分で陸自16回(共同使用)2100人、空自2回(共同訓練)200人だったことを明らかにした。沖縄への離島侵攻対処の部隊を持つ西部方面隊(九州)などが米国で訓練する派遣訓練には、07年度からの3年度で陸海空合わせて43回、1万人超の隊員が訪米した。(19日)
●嘉手納の騒音激増 米軍嘉手納基地の滑走路修復工事の影響で嘉手納町屋良地区の騒音が激増した。基地奥にある南側滑走路の工事の影響で航空機の運用が住宅地に近い北側滑走路のみで行われているため。屋良地区では90デシベル以上の騒音が4日から13日までの10日間だけで、9月1カ月間の187回に迫る179回を記録した。町役場には「頭が割れそうだ」「朝昼夜となくうるさい」などと悲痛な叫びが多く寄せられている。 (19日)
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週刊『前進』(2461号4面5)(2010/10/25 )
三里塚裁判傍聴を!
◎現闘本部裁判控訴審
11月5日(金)午後2時 東京高裁
★デモ 午前11時半 日比谷公園霞門集合
◎団結街道裁判初弁論
11月16日(火)午前11時 千葉地裁
◎鈴木さん一坪裁判
11月18日(木)午前10時30分 千葉地裁
◎市東さん行政訴訟
11月26日(金)午前10時30分 千葉地裁
◎市東さん農地法裁判
11月26日(金)午前11時10分 千葉地裁
(同日に同じ法廷で連続して開かれます)
※傍聴券抽選のため開廷1時間前に集合を
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週刊『前進』(2461号4面6)(2010/10/25 )
日程 10・31狭山集会
寺尾差別判決36カ年糾弾! 狭山第3次再審闘争勝利!
10・31狭山集会
■広島
10月29日(金)午後6時30分
いきいきプラザ(広島市西地域交流センター、西区福島町1-19-12)
主催 部落解放広島共闘会議
■東京
10月30日(土)午後6時30分
南部労政会館(JR大崎駅南口すぐ)
主催 部落解放東日本共闘会議
■大阪
10月31日(日)午後2時
八尾市幸第二公園(雨天時は西郡第三集会所)集会終了後デモ
主催 部落解放同盟全国連合会西郡支部/八尾北医療センター労働組合/関西労働組合交流センター
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週刊『前進』(2461号5面1)(2010/10/25 )
11・7日比谷で1万人の反戦デモを
全国学生は戦争に突き進む菅政権打倒へ総決起しよう
革共同中央学生組織委員会
世界大恐慌はついに、帝国主義戦争へと突き進む過程に突入した。全世界の労働者・学生に、戦争か革命かの選択が迫られている。「大恐慌を世界革命へ」と転化する闘いに、すべての青年・学生が総決起するときだ。北朝鮮・中国侵略戦争に突き進む日本帝国主義・菅政権を打倒する巨大な反戦闘争をたたきつけよう! 全国300万学生は11・7日比谷野音へ!
排外主義の扇動粉砕し国際連帯の力を示そう
11・7全国労働者総決起集会は第一に、国際連帯の力で戦争を阻止する闘いだ。
10月16日、元航空幕僚長・田母神らの呼びかけによる「中国弾劾デモ」は、「日の丸」を掲げ「国家の危機」「領土を守れ」と青年・学生を扇動している。ビラには「中国人が水道に毒を入れる」などという文言まで! これはわれわれのとるべき立場か? 選び取るべき未来とはこんなものなのか? 断じて否だ。右翼排外主義が組織する労働者・学生の分断と対立を許すな! 田母神たちの「次は1万人」という扇動と、それをもテコとした日帝・菅政権の反動的跳躍に対して、11月7日1万人結集と首都を揺るがす大反戦デモをこそ、たたきつけなければならない!
その上で、示されているのは青年・学生の巨大な分岐と流動化だ。田母神たちは集会参加者に対して「日の丸以外の旗類、拡声器の持ち込みはご遠慮ください!」と言い放った。行動を開始した青年・学生の根底にあるものは、大恐慌が引き起こす「大失業と戦争」の現実に対する怒りだ。それは右翼勢力のファシスト的(愛国主義的)思惑に収まるようなものではない。この青年・学生の怒りはラディカルな反戦決起へと転じることをもってこそ、真に解き放たれる。田母神らはその現実性を感じ取って戦々恐々とし、必死に制動を加えているのだ。
そして、中国だ。成都、武漢など各地で爆発する「反日デモ」は、大失業と戦争に怒りを爆発させる労働者階級の決起であり、その行動は日本帝国主義への怒りと一体で、反資本・反政府の闘いへと発展している。日本のブルジョアマスコミは「共産党政権への労働者の不満があり、その発散としての『反日』だ。根本にあるのは失業問題」と報じている。だとすれば、日本で起きている「反中国」もその構造は同じではないか。排外主義・国家主義の本質は、階級意識を解体し、本当の敵を覆い隠すものでしかない。私たち青年・学生が打倒すべき相手は帝国主義であり、スターリン主義だ。「国家主義」ではなく、「国際連帯」を! 帝国主義侵略戦争ではなく、国境を越えた反戦闘争を! 大恐慌は、戦争か革命かをつきつけ、もはや中間の道はない。田母神らの組織する1万か、11月1万か。私たちの決断がこの社会の未来を決める。
だからこそ11月集会への大結集を訴える! 11月集会こそ、日・米・韓、ブラジル、ドイツの戦闘的労働運動の一大結集をもって国際連帯の力を現実に示してきた闘いであり、中国・朝鮮・アジアそして全世界の学生・労働者との団結を生み出す展望そのものだ。この闘いに1万人が結集し、国際連帯と菅政権打倒を訴えるとき情勢は一変する。右翼が「戦後最大」と小躍りするデモなど問題にもならない革命への大波涛(はとう)が、11月1万から開始される! 青年・学生の巨大な流動を獲得する1万人の大反戦デモへ!
世界大恐慌への回答は帝国主義打倒と革命だ
11月集会は第二に、世界大恐慌に対する労働者と学生の回答だ。
大恐慌が突き出したものは資本主義が歴史的に蓄積してきた全矛盾の爆発だ。戦後世界体制は、30年代階級闘争と戦後革命の高揚を圧殺したスターリン主義の裏切りに支えられて成立した。そして軍事的、政治的、経済的に圧倒的力量を持つアメリカを基軸帝国主義とすることで維持されてきた。
その全矛盾は米帝に集中し、71年の金・ドル交換制停止、73年オイルショックを経て、74−75年恐慌へ行き着き、「過剰資本・過剰生産力」を露呈して根底的動揺に陥った。そこから開始された新自由主義政策は、労働者の団結破壊を核心とし、資本の利潤追求を一切に優先して規制緩和、民営化、非正規職拡大を推進し、金融バブルの全世界的膨張をもたらしながら帝国主義体制を延命させてきた。
しかし、財政破綻から資源・市場をめぐる争闘戦の激化という大恐慌の現段階がまざまざと示しているのは、「過剰資本・過剰生産力」という恐慌の根本原因が何一つ解決されないばかりか、大失業と資本救済によって逆に温存されているということだ。大恐慌は、複数の帝国主義国の財政的破滅をもたらし、今や基軸帝国主義アメリカをはじめ全帝国主義とスターリン主義を体制の存亡をかけた争闘戦と戦争へと駆り立てている。
その過程で現実化することは何か! 大増税、大衆収奪による資本救済ではないか! 数千万、数億の労働者の失業であり、労働者が国家による分断の中で戦争に動員され、殺し合わされるということではないか!
現実に菅は「日本版海兵隊」創設を唱え、オバマは核実験を強行した。そして11月に両者の会談をもって「尖閣諸島奪還」の軍事演習を行うという。釣魚台問題で排外主義をあおる菅政権が狙うのは戦争国家体制構築であり、沖縄での辺野古新基地建設の強行だ。
その中で、社民党や日本共産党が「尖閣は日本の領土」と絶叫し、4・9反革命と一体で帝国主義的国益主義に屈服している。帝国主義も体制内派も、もはや戦争をしなければ生きられない、と声をそろえている。
だが決定的なことは、彼らが必要とする戦争を実際に担わされるのは私たち青年・学生だということだ。
戦争を起こすか否か、決めるのは資本家でも体制内でもなく、私たち自身だ。戦争に対する態度の中に未来をかけた選択がある。
だからこそ11月集会への大結集を訴える! われわれは資本に従属し、戦争にまで行き着くしかない存在か? 隣の仲間、国境の向こうにいる学生・青年は、蹴落としあい、殺しあう対象か? そうではない! 団結した労働者・学生こそ、社会を動かす主人公であり、労働者階級に国境はない。この真実を声高らかに宣言し、大恐慌を引き起こして戦争に突き進む帝国主義を打倒する闘いが11月集会だ。
それこそ、世界大恐慌に対する私たちの回答だ!
戦争に加担する大学に学問を語る資格はない
11月集会は第三に、「大学の戦争協力」を打ち破り、学生の巨大な反戦政治闘争で大学を取り戻していく闘いだ。
菅政権は戦争国家化のテコとして大学を決定的に位置づけている。菅が「新成長戦略」で提起した「東アジア共同体」を実現する軍事的踏み込みとしての「新安保懇報告」作成の委員には、京都大学教授の中西寛が加わっている。そして、あらゆる大学に研究助成として米軍マネーが流れ込んでいる。
法政大学新聞には「就職先としての自衛隊」の特集記事が載った。
それによれば、自衛隊は幹部候補を防衛大以外からも募集し、さらに入隊した上で各々の大学に出向させて研究を進めている。自衛隊が帝国主義軍隊としての転換を遂げようとする中で、大学は丸ごと軍事研究と戦争動員の機関へと変質させられようとしている。
「教育の民営化」に対決できない「大学」や「学問」は、最後は戦争の加担者になる。就職をめぐる競争が軍隊への道を開き、研究者が「どんな助成にも飛びつくしかない」現状が軍事研究を生み出す。そして大恐慌に対決できない大学は、戦争のイデオロギー的支柱になり果てる。
そもそも学問、科学の意味とは「人間が人間らしく生きること」だ。自然と社会を科学的に認識することを基礎に、人間は自らの活動=自由を拡大してきた。科学とは人間の目的意識的活動と不可分である。
しかし、資本主義社会における資本の価値増殖運動は、利潤獲得を唯一の動機にした無政府的なものだ。そして、恐慌の爆発で初めて「作り過ぎた」ことを知る。恐慌という社会の破滅的危機をもってしか、過剰生産を止めることができないのが資本の原理だ。資本主義とは生産を破壊に転じ、餓死や戦争を強制してしか成り立たない非人間的社会であるという現実が、日々目の前で繰り広げられている。
この転倒した社会を変革し、意識的な社会の再組織を求める立場に至らない研究など果たして科学、学問と言えるのか。
人間が労働力商品とされる資本主義を転覆し、人間は自分の活動の主人となり、人間らしく生きるもっとも根底的な条件を回復する。それがマルクス主義であり、労働者階級の闘いだ。
だからこそ、11月集会への大結集を訴える。動労千葉労働運動の真骨頂こそ、資本と非和解で闘い、生産の主役としての労働者の誇りを生み出してきたことである。
闘う指導部と組織つくろう
11月集会は戦争へ突き進む菅政権を打倒し、その過程で真に労働者と学生の意志を体現する革命的労働者党とその指導部を生み出す闘いだ。
現場から怒りを持って立ち上がった青年・学生が、絶えず指導部によって裏切られ、一敗地にまみれてきた歴史の上に、今がある。それをのりこえる組織と指導部を生み出す中でこそ、階級闘争の全歴史は総括され、青年・学生の根底的決起が生み出される。
11月集会は革命的共産主義運動と動労千葉労働運動の全地平をかけた最大最高の政治決戦だ。全国学生が闘いとってきた法大闘争の地平もまた、この闘いの有機的一環だ。
300万学生は、11・7日比谷へ結集しよう。その闘いの最先頭にマルクス主義学生同盟1千人の隊列を登場させ、学生運動の壮大な復権をもって、プロレタリア世界革命の展望を切り開く階級決戦へと進撃しよう。
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【集会要項】 10・29第5波法大包囲デモ
学祭規制粉砕! 処分撤回! 菅政権打倒! すべての法大生は11・7日比谷へ!
10・29第5波法大包囲デモ
10月29日(金)12時40分正門前集合 12時55分デモ出発
3・14法大弾圧を許さない法大生の会/法大文化連盟
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週刊『前進』(2461号5面2)(2010/10/25 )
法大デモ “学祭規制粉砕を”
キャンパスに訴え響く
10月15日、後期最初の第4波法大包囲デモを打ち抜きました!
昼休みの正門前で、法大文化連盟委員長・斎藤郁真君(法学部2年、退学処分)が「菅政権打倒! 学祭規制粉砕! これが今回のデモのスローガンです。今こそ学生は政治を取り戻そう! 11・7全国労働者総決起集会の1万人結集をかちとろう!」と戦闘的にアピール!
続いて社会科学研究会の洞口朋子さん(経済学部2年、無期停学処分)が、前日の14日に社会科学研究会の学祭からの排除問題をめぐる法大当局との団体交渉に決起した1年生の闘いを報告し、「同じ法大生が仲間を守るために、そして学祭を守るために立ち上がっている。今こそ法大生はデモで怒りを示そう」と圧倒的にアピール!
最後に倉岡雅美さん(人間環境学部3年、停学1年処分)が「モノ・カネじゃなくて、学生の誇りと存在、そして未来をかけてともに行動しよう! ともに生き、ともに闘おう!」とキャンパス中に響く呼びかけを行い、法大生の圧倒的共感を呼び起こしました。
法大生が固唾(かたず)をのんで見守る中、元気よくデモ隊は総長室に向けて出発。今回のデモには初参加の学生も決起し、またキャンパスから飛び出て沿道をともに歩く学生もいました。
11日に門前で襲撃を行った右翼もこの日は恐れをなして登場できない中、デモ隊は「不当処分撤回!」「沖縄新基地建設阻止!」「日米帝の朝鮮・中国侵略戦争を阻止しよう!」と戦闘的にシュプレヒコールを行いました。警察権力の卑劣なデモ規制・妨害をものともせず、道行く労働者から手を振られたり声援を送られたりと圧倒的な歓呼の声で迎えられつつ、市谷を一周するデモを貫徹しました。
法大から3けたの隊列を11・7に登場させよう!
(法政大・U)
(写真 マイクを握る法大文連委員長・斎藤郁真君を先頭にデモは市谷を一周し「処分撤回! 学祭規制粉砕!」の声を響かせた【10月15日 九段北】)
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週刊『前進』(2461号5面3)(2010/10/25 )
共産主義者 166号
「公務員改革」の核心を暴露
11月宣伝・組織戦に活用を
本号は、5本の書き下ろしと巻末に『前進』夏季特別号アピールを配している。どれもが今秋11月1万人結集に向けた絶好の論文だ。すべてを読みきり、最後の力をふりしぼって職場・大学・街頭で宣伝扇動戦・組織戦に打って出よう。
菅民主党政権の凶暴性と破綻性
巻頭論文は、2010年代初頭決戦の最大の攻防として、「国鉄分割・民営化25年問題」と「公務員制度改革2012年問題」に焦点をあてて展開されている。特に公務員制度改革については、「労働基本権の付与」と人事院制度廃止の意味について、歴史的経過を追いながら論述し、その狙いが「労働基本権の剥奪(はくだつ)、首切り自由・賃下げ自由の同時強行」にあることを暴露している。その攻撃の決定的きっ先として4・9反革命があり、その核心は動労千葉や動労千葉型労働運動の絶滅にある。冒頭の四つの課題と三つの方針が「外への侵略戦争と内への階級戦争」に反撃し、階級の分断を打ち破る最も有効な闘いであり、その突破口は、「壮大な労働者党建設への飛躍」をかけた11月1万人結集にあることを熱烈にアピールしている。
野沢論文は、90年代初めの「政治改革」の登場から今日の民主党政権の誕生までをたどりながら、「世界史上例をみない」政権交代がこの4年間繰り返されている日本の現状を、新自由主義の全面的な破綻と議会制民主主義的統治形態の崩壊として総括し、「脆弱(ぜいじゃく)なボナパルティストの菅政権を後のない『ブルジョア救済内閣』」として明確にしている。6月に閣議決定された「新成長戦略」「地域主権戦略大綱」「財政運営戦略」の意味をさぐり、その凶暴性と破綻性をおさえることをとおして階級的激突の不可避性を「絶好機の到来」として明解に突き出している。
4・9政治和解と国鉄25年問題
北倉論文は、「4・9政治和解」の、歴史を画する恐るべき攻撃性をあらためて論述し、特に国労本部の裏切りを徹底的に暴き出している。国鉄分割・民営化の破産、当局・JR総連結託体制の崩壊にもかかわらず民主党・連合政権がJR総連カクマルを引きずり込んだことにみられる矛盾。さらに25年問題の具体的背景として、分割・民営化以降の4会社の経営破綻とすさまじい人員削減、そして安全崩壊の現状を暴露している。2010年代初頭決戦は、国鉄全国運動の前進とJR青年労働者の獲得でその成否が決まる。あらたな国鉄闘争の死活性と豊かな展望をつかみ取る上で、きわめて重要な論文だ。
沖縄県委員会論文は、今年前半戦を「〈国鉄>と〈沖縄>の一体性をつかみとってきた」画期的前進として総括し、国鉄分割・民営化攻撃が、安保・沖縄闘争や沖縄労働運動の破壊と一体であったことをはっきりさせ、国鉄全国運動の前進で沖縄闘争の爆発を切り開くことを力強く提起している。また、「新安保懇」の自衛隊の南西諸島への配備、沖縄辺野古基地建設と「1〜2日あれば世界中どこでも派兵可能」なMV22オスプレイ配備にみられる基地機能の強化が全一体で進められていることを指摘し、沖縄―本土を貫く反戦政治闘争の決定的重要性を訴えている。
「同一価値労働」のまやかし暴く
谷口論文は、闘う労働組合を甦らせ、職場における団結拡大の組織化にとって、きわめて有効かつ必要な内容である。賃金および賃金闘争について踏み込んではっきりさせ、「同一価値労働同一賃金」のまやかしを暴き、「賃金制度の廃止」を明確に対置している。男女の賃金差別の克服として一定の意味をもった「同一労働同一賃金」とはまったく異なる新自由主義攻撃の一環としての「同一価値労働同一賃金」。公務員労働者の分断攻撃としてのイデオロギー的支柱にもなっているこの考え方の先頭に立つ連合・自治労指導部を怒りをこめて徹底的に批判している。
「夏季特別号アピール」は、前半の闘いがつくりだした階級的地平をあらためて確認し、その上に立って2010年代初頭の階級的大決戦を見渡した充実した内容として、巻頭論文とあわせて読み返そう。
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週刊『前進』(2461号6面1)(2010/10/25 )
“裁判員制度は絶対つぶせる”
10・20 東京 470人が廃止へ確信と決意
「戦争動員」への怒りあふれ
10月20日夕、「幕引きの秋(とき)裁判員制度10・20集会」が、東京・霞が関の弁護士会館2階講堂クレオで行われ、会場をいっぱいにする470人が集まった。主催は、憲法と人権の日弁連をめざす会。裁判員制度は日々、破綻の危機に追い込まれている。「いよいよ廃止するときだ」。集会は、制度廃止へむけて確信と一層の決意を深めるものとなった。
(写真 各地で闘う人びとの報告と決意に参加者は拍手でこたえた【10月20日 東京・弁護士会館】)
「国民動員」はナチスと同じ
第1部では、京都大学名誉教授の池田浩士さんが「ファシズムは市民参加で――ボランティアから裁判員まで」と題して講演を行った。池田さんはナチズムやファシズムの研究をされているドイツ文学者である。ナチスとボランティアの歴史をひもときながら、裁判員制度の「国民動員」がもつ危険性を訴えた。
ヒトラーは重要法案を国民投票での同意を得て実行してきたという。初めは支持率40%台で政権の座についたナチ党だが、「大失業状態をボランティア労働(労働奉仕)で解消して支持を集めた」。高速自動車専用道路「アウトバーン」建設に代表される公共事業に、正規労働者の賃金の5分の1から7分の1ほどの「チップ」で失業者を呼び込んだ。失業率は44%から1・9%にまで減少。「その後ナチスはボランティア労働を義務化して、軍需産業に必要な労働力として動員した」
決定的なことは、国民の無償の社会奉仕によって、「国民」が「国家」の主体的な一員としての「自覚」をもつようになっていったことだ。これがかの「人種差別法」にまでいきつくことになる。こうしてナチス・ドイツは戦争国家をつくりあげていった。
池田さんは「『国民参加』こそがファシズム支配のあり方だ」と警鐘を乱打し、裁判員制度の「国民動員」がまさにナチスのボランティア政策と同様の狙いをもって、下からの戦争動員体制をつくることにあると暴露した。
そして池田さんは裁判員制度を弾劾し、「悪法に対しては抵抗すること、悪法そのものをなくすことだ。私たちは国によって裁かれる被告ではなく、国を裁く市民でありたい」と結んだ。
検察の犯罪を厳しく断罪
第2部では、冤罪の袴田事件をテーマにした映画『BOX袴田事件 命とは』の監督である高橋伴明さんから、ビデオメッセージ「国のタクラミが気にくわない」が寄せられた。高橋さんは、この映画を裁判員制度廃止を意識して制作したことを明かした。
続いて、前日弁連刑事弁護センター委員である鈴木達夫弁護士が、「証拠改ざん問題と裁判員制度」と題して今日の検察犯罪について特別報告した(要旨別掲)。裁判員制度の導入は、「精密司法」から「核心司法」への転換をもたらした。「核心司法」とは、事件の実体的真実を解明するのではなく、検察が恣意(しい)的に描いた「見立て」に沿って早期の裁判を行うものだ。
鈴木さんは「この転換で検察は最後の抑制を失い、ついには見立てに反した証拠を改ざんするに及んだ」と指摘し、「人の生命・自由・財産を『法の名』で奪うことができる刑事裁判に、権力の恣意を横行させてはならない。裁判員制度を即刻廃止しよう」と訴えた。
(写真 「めざす会」代表の高山弁護士が圧倒的な勝利の展望を明るく語り、集会を締めくくった)
各地から取り組みの報告
各地の取り組みの報告が続いた。「裁判員制度はいらない!大運動」の千葉、茨城、東海のメンバーが、街頭宣伝、学習会、地域集会や地裁前での抗議行動などの取り組みを報告した。茨城の会からは選任手続きを拒否したという裁判員候補者の男性が、「裁判員をやりたくないのにやらされる。非常に不快だ」と政府に対して怒りをぶちまけた。
最後に、憲法と人権の日弁連をめざす会代表の高山俊吉弁護士が裁判員制度廃止のアピールと行動提起を行った。高山さんは「制度が始まって1年5カ月たつが、依然として8割もの国民から背を向けられている。さらに裁判が滞留している。裁判員裁判の事件が年間2000件、しかし900件しか判決が出せない。しかも裁判員拒否者を一人も処罰できない」と制度破綻の現状を明らかにした。そして、「裁判員制度を柱とした司法改革そのものが破綻している。証拠改ざん事件についても、大阪地検特捜部のみならず、こんにちの日本の刑事司法のあり方そのものが解体されなくてはならない」と喝破した。
そして@なぜ今裁判員制度なのかにこだわって学習し実践すること、Aもっと私たちの姿をみせる闘いをしよう、と行動方針を提起し、「一人の拒否をみんなの拒否へ。みんなの拒否を制度の廃止へ」と締めくくった。
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週刊『前進』(2461号6面2)(2010/10/25 )
証拠改ざんと「検察の劣化」 裁判員制度こそ諸悪の根源
鈴木達夫弁護士の特別報告
検察の腐敗した本性が増大
証拠改ざん問題、検察審査会の問題で、人びとの不信と怒りが司法の世界に集中しています。
大恐慌がますます深まるなかで、日本の社会と国家の屋台骨が揺らぎ、その中心である司法の危機と矛盾が噴き出している。刑務所の対応をとっても、徳島刑務所の星野文昭さんへの面会や弁護士接見などが一変しています。また、裁判員制度とともに検察審査会法が改悪されましたが、今や支配階級内部のすさまじい権力闘争の道具に「市民参加」が利用されている。その中で証拠改ざん問題も起きているということです。
国鉄分割・民営化から始まる中曽根行革、小選挙区制の政治改革、「諸改革の最後の要」といわれる司法改革。その中軸が「司法への市民参加」といわれる裁判員制度です。
松川事件をはじめ数多くの冤罪が示すように、検察は法の名をかぶせて人の命までをも奪う権限、国家暴力の行使権限を独占し、いかなるダーティーな手段をもいとわなかった。この検察の本質を裁判員制度の導入が、ますます太らせ全体の体質にしたと、私は考えます。
恣意的見立て行う核心司法
昨年2月に公表された最高検察庁作成の『裁判員裁判における検察の基本方針』と題する冊子があります。最高検はそこで、「裁判員裁判において検察に求められているもの」として、主張・立証の分かりやすさを第一に挙げながら、「刑事裁判において解明すべき実体的真実とは、いわゆる『事件の全容』ではない。捜査段階で有用な指標は『事案の核心と全体像』であり、これを早期に把握するように心掛けつつ証拠収集を進める。この『核心』とは評価的、価値的概念である」と言い切っています。
これまでの建前であった「精密司法」から、いわゆる「核心司法」への検察原理の転換です。
裁判員裁判では、公開の法廷に提出される主張と証拠が事前に「公判前整理手続き」という密室で決定され、公判廷は超迅速に演じられる劇場となっています。その帰結として、この「核心司法」が検察の原理となっている。
今回の事件では、「見立てに沿った改ざん」なる言い方がさかんに使われています。「核心とは評価的、価値的概念」と言ってはばからないのだから、まさに主観的・恣意的な「見立て」が「早期」に検察官に要求される。しかし、われわれからみれば実にラフ(粗雑)な司法の蔓延(まんえん)です。
いままでも証拠に対する傲岸(ごうがん)な姿勢に終始してきた検察が、「核心司法」への原理的転換により最後の抑制を失い、その見立てに反する証拠の改ざんに及んだのが今回の事態です。さらに「時限爆弾」と称して、押収して改ざんしたフロッピーディスクを、異例にも早期に返還した。それを弁護側の申請する証拠として出させて、改ざんを隠蔽(いんぺい)しようとした。このおそろしいまでのずるさ。こうした「検察を増長させてきた裁判所の責任も重い」(木谷明・元裁判官、朝日夕刊10・4付)。
破綻が続く「公判部機動班」
いま刑事裁判の現場では、裁判員裁判向けの特別検察チームの破綻が続いています。
法政大学の学生運動に対して118名の学生が逮捕、33名起訴という大弾圧が襲っています。また国労臨時大会をめぐる組合員のビラ配布に、暴力行為等処罰法が発動され、多数の組合員が逮捕・起訴されました。
これらの公安・労働裁判に差し向けられたのが、3年ほど前に東京地検に発足した「公判部機動班」という裁判員裁判向け検察官チームです。
ところが、学生裁判では「検察官の有罪立証なし」の無罪判決や、あまりにもデタラメな証拠・証人申請が却下され検察立証が立ち往生し、検察の破綻が続いています。
さらに労働裁判では、この暴処法の適用そのものが退けられ「共謀の立証もなし」とされて、最も重い求刑の「中心的人物」は無罪、他の被告人は共謀が否決された結果、単純暴行罪。検察官は控訴を断念しました。
裁判員制度導入に伴う「核心司法」なるものが、その担い手においてこうしてぶざまに破綻している。証拠改ざん・隠蔽事件で「検察の質の劣化」をマスコミまでが言及しています。国家刑罰権を発動し、人の生命・自由・財産を「法の名」で奪うことができるこの刑事裁判に、「評価的、価値的概念」、つまり権力の恣意の横行を許してはなりません。そのためにはまず裁判員制度を即刻廃止することです。
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週刊『前進』(2461号6面3)(2010/10/25 )
星野闘争 徳島刑務所の再審妨害許すな
弁護人との秘密交通権を否定
10月12日、星野暁子さんと兄の治男さん、いとこの誉夫さんが、徳島刑務所で星野文昭同志と面会した。3月の不当な「懲罰」で、処遇の区分が4類に落とされていたが、再び3類に戻っていることが分かった。面会は1カ月3回になった。
今夏の暑さは厳しく、星野同志は「夜は汗だくのまま寝るので眠れない。布団を3等分して、順番に体を動かして冷たい所に移動してしのいでいる」と言っていた。また、汗疹が湿疹になって残っていた。刑務所の非人間的な処遇に、心から怒りがわいてくる。
さらにこの日、面会終了後、処遇第1統括が出てきて、「原則として、弁護士面会は再審が受理されるまでは普通面会として扱い、面会時間を制限する。刑務官の立会をつける」と一方的に通告してきた。これは、再審弁護人との「秘密交通権」を奪う、とんでもない攻撃だ。
星野同志は無実であるにもかかわらず無期懲役に処せられ、36年もの投獄を強いられている。星野同志はこの攻撃に屈せず、再審闘争で、国家権力と真っ向から闘い続けている。
再審開始を実現し、無罪・釈放をかちとるために、刑務官立会のない「秘密交通権」のもとで、再審弁護人と緊密な討議を行うことは絶対に必要だ。それは権利であり、無条件で保障されなければならない。
1996年の再審請求以降、徳島刑務所のさまざまな妨害を粉砕しながら、再審弁護団は、刑務官立会も時間制限もない面会をかちとってきた。今回、何の理由もなく弁護人との面会の権利を奪おうという刑務所の暴挙は断じて許せない。
星野同志と弁護団は、昨年11月27日、第2次再審請求書を提出し、今年の9月30日には、「補充書(1)」と「鑑定書その1」を提出した。検察官は、弁護団の証拠開示の要求に対して、闘争現場写真などを開示せざるをえなくなっている。徳島刑務所の弁護人面会妨害は、再審闘争への妨害・破壊策動である。絶対に粉砕しよう。
3月以来、徳島刑務所と法務省は星野同志に対し、連続懲罰、友人面会の拒否(連続5回・7人)、暁子さんの手紙の抹消と、獄中弾圧を激化させている。9月17日には、ついに暁子さんの面会まで不許可にした。
大恐慌の深化のもとで、大失業と戦争の攻撃の激化への労働者階級の怒りが渦巻いている。この情勢の中で、民主党政権は自らが打倒されかねない危機に陥っている。最も恐怖しているのが、階級的労働運動の爆発であり、動労千葉の闘いであり、革命をめざす革共同の闘いだ。さらに国家権力と36年間も非転向で闘う星野同志の存在だ。
日帝・法務省・徳島刑務所の攻撃激化と全力で対決し、力強く前進しよう。18日、「星野さんをとりもどそう!再審連絡会議」は、直ちに暁子さんとともに、霞が関で抗議のビラまきに決起した。11・7労働者集会、11・27星野全国集会の圧倒的な成功で、獄中弾圧を打ち破ろう。星野同志を奪還しよう。
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週刊『前進』(2461号6面4)(2010/10/25 )
団結ひろば 投稿コーナー
チリ鉱山事故が示す安全闘争の死活性 東京 向井保雄
南米チリの鉱山落盤事故で地下700bに取り残された33人が全員救出されたニュースで、世界の労働者が直面させられている課題が浮き彫りになった。チリは世界一の銅の生産国だが、事故を起こしたサンホセ鉱山には非常用の脱出口すらなかった。安全対策はないに等しい状態だったのだ。
そのため、チリ鉱山労働組合は1995年にサンホセ鉱山の閉山を要求していた。しかし実際に閉山になったのは2007年の爆発事故で死者を出してからだった。そしてわずか2年後の09年に鉱山は再開した。再開を許可したのはチリ政府だ。そして事故は起きた。安全対策は何も進んでいなかったのだ。
しかも今回の落盤事故直前、坑内にいた労働者たちは「何かがきしむような大きな異常音」を聞き、鉱山会社の責任者に「地上に出させて欲しい」と訴えていたという。だが聞き入れられず、会社は作業続行を命じた。奇跡的に九死に一生を得た33人の労働者たちは、工事再開を許可した政府と、事故の予兆さえ無視して労働を強制した鉱山資本にほとんど殺されかけていたのだ。
別の問題も表面化した。33人が救出される直前の10月8日、同鉱山で働いていた別の作業員のほぼ全員に、一方的に解雇通知が送られていたのだ。退職金も支払われていない。次の仕事もなく政府から何の援助もない。彼らは18日、当地でデモ行進を行い、「地上の作業員も苦しんでいるぞ」と訴えた(写真)。
顧みれば鉱山労働は、資本主義的文明をその底辺で支える最も危険な労働を強いられてきた歴史がある。国内でも古くは1963年の三井三池炭坑の炭じん爆発(458人死亡)をはじめ多くの大惨事を重ねてきた。「改革・開放」後の中国でも炭坑事故は激増し、21世紀に入ってからの死者は年間で3千人から6千人(!)という信じられない数字が報道されている。
サンホセ鉱山の再開が許可された理由は、高まる資源獲得競争で銅の国際価格が4倍にも跳ね上がったからだ。資本の利潤追求の原理とはかくも酷(むご)いもので、それは革命以外に止めようがないのだ。
チリの救出映像は感動的だった。しかしあの大統領のふりまく笑顔の裏側には、今なお世界のブルジョアジーが生き残りを競う資本主義の残酷な現実がある。その最下層でサンホセ鉱山と同様の、死と隣り合わせの労働を強いられている膨大な仲間が存在するのだ。この現実を直視した瞬間、救出の喜びは深い怒りに変わる。
三里塚闘争に初参加 3キロのデモは圧巻! 学生 うな
不景気な空港に第3誘導路を造る意味なんざまったくないのに、豊かな土地を強奪する戦争国家のやり方を激しく憎みます。
今回、三里塚闘争に初参加しました。3`のデモは圧巻でした!
織田委員長が温かく鷹揚(おうよう)に笑いながら、「これが成田空港の実情なんだよね」と、デモ中に教えてくれたのは、閑古鳥が鳴く敷地内のあるホテルの実情のこと。
赤字経営にもかかわらず経営を続ける。それは有事の際、米軍が宿泊するため。ひたすら戦争が始まるのを心待ちにしています。そんなやつらに土地をつぶされてはならないんです。
軍事空港・日米安保粉砕、そしてすべての基地撤去。私たちはやらねばなりません。全学連は闘います。
三里塚の皆さま、援農に行きますよ。
星野再審妨害に怒り 即座に霞が関で行動 東京 佐々木信
10月12日、星野暁子さんが文昭さんと面会した後、徳島刑務所の処遇第1統括という者が、「弁護士との面会は一般面会と同じ。面会時間を制限する。刑務官の立会をつける」と言ってきた。
ふざけるな。再審の打ち合わせをする弁護士との面会が権力に筒抜けでいいわけがない。そもそも法務省や検察庁は、自分の都合のいいように証拠をねつ造する連中ではないか。
さらに、東京から徳島まで出掛ける弁護士の面会時間が、たったの30分だなんて聞いてあきれる。弁護人との面会は憲法でも保障している権利だ。
「星野さんをとりもどそう!全国再審連絡会議」が、霞が関で即座の抗議行動を呼びかけた。私も黙っていられない思いで駆けつけた。18日の昼、裁判所前には暁子さんをはじめ9人が集まった。茨城の仲間も参加した。
「星野のぼり」を林立させ、私たちはマイクで怒りのアピール。ビラをまき、署名をお願いして闘った。反応はすごくいい。通りかかった弁護士が「それはひどい。今、司法全体がおかしくなっている」と署名。二人連れの若い女性は「36年間も監獄に入れられていながら、信念を曲げないなんてすごい」と署名してくれた。署名は全部で17筆集まった。用意した500枚のビラがどんどん受け取られた。
裁判所前は、国家権力に怒る人たちでいっぱいだ。私も、獄中で闘い続ける星野さんに思いをはせ、怒れる労働者民衆とともに、絶対に星野さんを奪還するぞと固く誓った。
獄中弾圧・再審妨害をくり返す徳島刑務所に抗議をたたきつけよう。
抗議先は、「〒779−3133 徳島市入田町大久200−1 徳島刑務所長・松本忠良」だ。抗議とともに、星野文昭さんに激励の手紙を出そう。
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週刊『前進』(2461号6面5)(2010/10/25 )
法大裁判に集まろう!
★暴処法裁判
第19回公判 11月1日(月)午後1時30分
★5・28暴行デッチあげ裁判(控訴審)
第4回公判 11月15日(月)午後1時30分
いずれも東京地裁429号法廷
12時30分に傍聴券配布所に集合
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