ZENSHIN 2010/09/13(No2455 p06)

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第2455号の目次

全学連運動の大衆的復権誓う記事へ
1面の画像
(1面)
青年労働者を先頭に11月へ
連合指導部を打倒し闘う労働組合の再生を
公務員制度大改悪と道州制=国家改造攻撃に総反撃しよう
「東アジア共同体」構想を打ち砕け
記事を読む  
9・28鉄道運輸機構訴訟へ
和解拒否の闘争団が裁判再開
記事を読む  
全学連運動の大衆的復権誓う(9月9、10日) 記事を読む  
前進速報版から 記事を読む  
鉄道運輸機構訴訟 9・28再開控訴審闘争 記事を読む  
(2面)
360万人の解雇と非正規化を狙う
公務員制度大改悪に反撃を
身分保障解体と大幅賃下げ
記事を読む  
闘争団が最高裁に戦闘宣言
新たな鉄建公団訴訟始まる(9月3日)
記事を読む  
“スト権はいらない”
総屈服する連合・公務労協
記事を読む  
11月集会実行委 1万人大結集へ全力
関西生コン長期ストにわく(9月4日)
記事を読む  
(3面)
派遣法・非正規職撤廃へ
国鉄全国運動の前進に展望
非正規化を推進する連合
青年労働者の怒りで打倒を
記事を読む  
「7・1統合」の破綻と闘いの展望
郵政民営化絶対反対の闘いが多数派の怒りと結合する時だ
革共同全逓委員会
記事を読む  
(4面)
協会派『連合運動』を断罪する
大恐慌下で連合へ“合流宣言”
労働運動解体の先兵に変質へ
記事を読む  
西郡住宅裁判大阪地裁闘争
不当判決に弾劾の嵐
貯金の差し押さえを追認(9月3日)
記事を読む  
南アフリカで3週間ゼネスト 記事を読む  
日誌 2010年8月31日〜9月7日
政府がイランへの制裁を拡大/米最新鋭原潜が横須賀に初寄港
記事を読む  
(5面)
米日韓の軍事演習許すな
対北朝鮮・中国で実戦さながら
沖縄・横須賀基地撤去へ
記事を読む  
全国から10・10三里塚へ
反対同盟が熱烈に訴え (上)
記事を読む  
新成長戦略を粉砕しよう
「東アジア共同体」構築と9割の非正規職化を狙う
記事を読む  
(6面)
団結ひろば 投稿コーナー 記事を読む  
マルクス主義学習講座
『共産党宣言』をとらえ返す(中)
労働者階級は勝利する主体として歴史的に成長する
記事を読む  
星野さんとともに
8・25-26徳島−自治労大会と星野奪還を闘う
関西 桑原雅人
記事を読む  

週刊『前進』(2455号1面1)(2010/09/13 )

 青年労働者を先頭に11月へ

 連合指導部を打倒し闘う労働組合の再生を

 公務員制度大改悪と道州制=国家改造攻撃に総反撃しよう

 「東アジア共同体」構想を打ち砕け

 全学連大会は、全国の闘う学生の自己解放的決起で感動的成功をおさめた。それを受けてさらに、青年労働者を先頭とした「派遣法・非正規雇用撤廃!」「労組青年部の力を総結集しよう」の闘いが、11月労働者総決起に向け画然と開始されている。4・9政治和解の大反革命を打ち砕いて、9・28鉄道運輸機構訴訟の再開控訴審闘争が、いよいよ東京高裁大法廷で始まる。大恐慌の激化と北朝鮮侵略戦争の切迫情勢下での、10・10三里塚現地大集会に総決起しよう。国鉄全国運動の発展と11・7労働者集会1万人結集へ、ひたすら組織し、組織し、組織し抜こう。

 大恐慌の激化と労働者の決起

 11・7労働者集会1万人結集に向かう現下の内外情勢は、世界大恐慌の激化、深化・発展を基底に、危機と激動を深めている。
 その第一の最大の特徴は、大恐慌の震源地であるアメリカ帝国主義の底知れぬ危機の新たな深まりだ。9月3日に発表された8月の米雇用統計は失業率が9・6%に上昇した。超低賃金の労働者を含めた実質的な米失業者は2800万人におよび、米自動車産業の被解雇者は30万人に達する。特にデトロイト市の失業率は50%を超えて、住む所も、食べ物もない労働者家族が急増している。
 9月8日、グアムへの無人偵察機の配備が暴露された。これは世界戦争体制の強化であると同時に、無人機に頼るしかない米軍の崩壊的危機をも示している。イラク侵略戦争での米兵死者はすでに4400人に達し、それ以上に「軍隊内の自殺、他殺、飲酒運転等の死亡」(米陸軍報告書)が多いのだ。2010年度の米軍事費は約7千億jで歳出の42%にのぼり、米財政危機を加速させている。

 日・仏・南アでストが爆発

 第二の特徴は、大恐慌下で世界でも日本でも、公務員労働者をめぐる階級的激突が始まり、労組を先頭に、ゼネストの爆発を軸とした大反撃がまき起こっていることだ。
 フランス全土で9月7日、今年最大の大ストが爆発した。年金支給年齢の引き上げ(受給開始年齢を現在の60歳から62歳に、満額受給年齢を65歳から67歳に)、これと一体である新規課税の攻撃に、運輸、教育、司法、医療、国営・民営のメディア、金融関係、自動車、石油関連の労働者など、公共・民間両部門の労働者が一日ストを打ち抜き、全国200カ所で大デモが闘われた。
 南アフリカでは130万人の公務員労働者が、8月18日から約3週間にわたってストを闘い抜いた。ストの中心になっている公立病院では「たとえストで患者が死亡しても、それは政府の責任だ」と、労組のスト防衛隊が南ア国防軍と対峙。スト支援のデモが各地で連日闘われて、1994年の南ア民主化以降の最大の闘いとなっている。
 日本では、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部のストが、「大阪府内の建設現場で工事が止まる事態」に発展し、ゼネコンとブルジョアジーを震え上がらせている。これは日帝の代表的なスーパーゼネコンとの死活をかけたすさまじい攻防だ。労組を軸とした自己解放的な決起で関連業界にも波及・拡大し、組合側優位で勝利に向け、団結を固め闘い抜かれている。
 これは体制内指導部の「資本や国家と闘っても勝てない」という敗北主義を打ち破り、11月に向けて全労働者を励ましている。

 11・7大結集のうねりを!

 「11・7全国労働者総決起集会への賛同と参加のお願い」が、このストを闘っている関西地区生コン支部と、全国金属機械労組港合同、国鉄千葉動力車労働組合、および国鉄闘争全国運動からすでに発せられている。この呼びかけ文こそ、11月集会組織化の最大の武器だ。あらゆる職場にこれと集会チケットを持ち込み、今こそ11月1万人大結集運動のうねりを、猛然と巻き起こそう!

 国鉄全国運動を全職場で組織

 呼びかけ文は冒頭で、13回目を迎えた11月労働者集会と、4・9政治和解攻撃と闘う国鉄全国運動の二つの力を固く結合して、今年の11・7を「日本労働運動の再生に向けた出発点」にしようと訴えている。
 そのためにまず第一に、4・9政治和解の大反動と対決し、「すべての労働者の権利と未来をかけ、労働運動復権に向けた最大の課題として、国鉄闘争全国運動を全国の職場・地域に組織する」ことが決定的だ。
 4・9反革命は「国鉄分割・民営化25年問題」を突破するための日帝の大攻撃だ。一方で保育公務員30万人の首切りを始め、公務員労働者360万人の全員解雇と再雇用=9割非正規化という公務員大攻撃と道州制・国家大改造であり、他方では「東アジア共同体」=アジア侵略の攻撃だ。民主党・連合政権の「新成長戦略」こそ、国鉄分割・民営化を一度に10個やるような大攻撃だ。これと全面対決する闘いが、国鉄全国運動と今年の11・7労働者集会である。
 今春4月1日からのJR東日本の検修業務全面外注化が、動労千葉の5波のストを軸とした現場労働者の怒りの爆発により阻止された。しかし追いつめられたJR東会社は、JR総連・東労組や国労本部を先兵に、検修全面外注化の9月実施を新たに策動している。
 だがこれは逆に、青年労働者を獲得する絶好機だ。平成採を始めこの攻撃に怒るすべての国鉄労働者を全国運動に獲得しよう。改憲阻止の闘いをも含む「2012年決戦」へ、11・7から1年間の闘いが始まるのだ。

 非正規職撤廃は死活的要求

 第二に、大恐慌下で「正規・非正規、官・民の分断を打破して職場から闘いを組織する」ことだ。派遣法・非正規職撤廃は、今や階級的労働運動の戦略的課題だ。2千万青年労働者と怒りを共有し、組織化へ闘おう。
 その最大の攻防点はJR青年労働者をめぐる闘いだ。JR東日本東京支社だけでも契約社員はすでに800人、正社員と同じ24時間拘束の泊まり勤務を毎月8〜9回こなしても、手取りは月収16万円だ。正社員登用試験の合格率は3割台で、途中で病気退職する青年が続出している。こうしてJR東会社は人件費を8年前から1225億円削減し、経常利益を1632億円も増やした。そしてJR東日本執行役員25人の08年度平均給与は3800万円で契約社員の実に20倍。しかもこれを許しているのが、年収2千万円という連合幹部を始めとした体制内指導部なのだ。

 戦争・改憲に怒り大結集を

 第三に、資本主義の行き詰まりが改憲と戦争の危機となって襲いかかっている現実に対決し、「改憲・安保・沖縄・政治反動に対する怒りの声を結集」して闘うことだ。
 米韓合同軍事演習の連続的な強行や、「金正日体制崩壊」で切迫する北朝鮮侵略戦争情勢と、沖縄米軍基地問題とは、11月APEC・日米首脳会談をいよいよ焦点化させている。こうした中で11・7労働者集会は、反戦闘争を闘う労働運動をよみがえらせ、新たな安保・沖縄闘争の巨大な爆発を切り開く闘いだ。戦争と改憲を実体的に阻止する三里塚農民の闘いや裁判員制度反対運動を始め、戦争・改憲と政治反動に対する広範な怒りの声を、11・7労働者集会にこそ大結集しよう。
 第四に、「労働者の国際連帯闘争を大きく発展させる」ことだ。日米韓の国際連帯は年々深まり、さらにブラジル、ドイツとの交流へと拡大してきた。今年の11・7集会は、民主労総労働者大会と同日開催であり、ソウルでのG20粉砕闘争として11月訪韓闘争が闘われる。国際連帯の格段の飛躍を実現しよう。
 千葉法相が強行しているのは死刑執行だけではない。今ほど民族・国籍・国境を越えた労働者の共同闘争が力を発揮する時はない。圧倒的多数が非正規職労働者である在日・滞日外国人労働者との団結こそ、11月労働者集会が掲げる派遣法・非正規職撤廃への道であり、敵の分断支配を打ち砕く闘いだ。横浜APECを見据えた治安弾圧、難民申請者の入管収容所への収容・再収容=退去強制攻撃を強める民主党・連合政権を打倒しよう! 11月1万人の大結集をかちとろう!
 職場闘争、物販闘争と「動労千葉を支援する会」づくりの三つの方針を全力で実践し、青年労働者を先頭に、すべての仲間の主体性、能動性、自己解放性を思う存分発揮して、11月1万人決起へ進撃しよう。
 北朝鮮侵略戦争の切迫下に、巨大な反戦政治闘争でもあるのが10・10三里塚闘争だ。労農同盟と軍事空港絶対反対、農地死守・実力闘争の勝利をかけて総決起しよう。

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週刊『前進』(2455号1面2)(2010/09/13 )

 9・28鉄道運輸機構訴訟へ

 和解拒否の闘争団が裁判再開

 国労秋田闘争団の小玉忠憲さんを原告とする鉄道運輸機構訴訟の控訴審が9月28日午前11時から、東京高裁第14民事部(西岡清一郎裁判長)で行われる。同日夕方には、東京・文京区民センターで「国鉄闘争勝利!鉄運機構訴訟控訴審報告集会」が開かれる。この日の一日行動に総結集しよう。
 小玉さんは屈辱的和解を拒否し、解雇撤回へ不屈に闘い抜いている。その闘いは、裁判闘争においても徹底的に貫かれる。これは、動労千葉争議団の鉄建公団訴訟と並んで、1047名解雇撤回を貫く重要な闘いだ。
 鉄道運輸機構訴訟は、今年3月に裁判長の交代に伴う更新手続きが行われた後、政府が4・9政治解決案を提示、4者4団体がこれを受け入れる中で、審理は停止状態になっていた。4者4団体は6月28日、最高裁で和解に応じ、同訴訟では小玉さん以外の原告は訴えを取り下げた。
 4者4団体路線のもとに行われていたこれまでの裁判は、結局は和解を求めるものでしかなかったのだ。国鉄分割・民営化と1047名の解雇を真っ向から弾劾する闘いはいつしか打ち捨てられ、国鉄改革法や「採用差別についてJRに使用者責任はない」とした03年12月の最高裁反動判決、わずか550万円の慰謝料しか認めなかった鉄建公団訴訟判決に屈服する形で、裁判は進められてきた。
 だが、9月28日の再開第1回目の裁判は、これまでとは画然と異なる新たな裁判闘争のスタートになる。
 和解を拒否した4人の国労闘争団員(小玉さんのほか、鉄建公団訴訟原告の羽廣憲さん、成田昭雄さん、石崎義徳さん)は、4者4団体路線に従う旧弁護団を全員解任し、新弁護団を選任して、新たな闘いに入っている。新弁護団は、国労5・27臨大闘争弾圧裁判を闘う弁護士を中心に、現在20人の弁護士によって編成されている。これまでの裁判方針を根本的に転換し、階級的原則に立脚した裁判闘争を貫徹する強力な布陣が敷かれたのである。
 民主党政権と鉄道運輸機構、JR資本は、4・9政治和解で国鉄1047名闘争を跡形もなくたたきつぶそうとたくらんだ。だが、そのもくろみはものの見事に粉砕された。和解を拒否した国労闘争団員の不屈の決起は、支配階級を確実に追いつめている。鉄道運輸機構や裁判所は、絶対反対派の闘争団がいかなる闘いを展開してくるかと身構え、恐れをなしている状態だ。

 大法廷埋める圧倒的結集を

 9月3日、小玉さんと10人の弁護団が、東京高裁で行われた進行協議に臨んだ。この場で、9月28日の裁判は大法廷の東京高裁101号法廷で開かれることが確定した。また、この日の裁判では、右陪席裁判官の異動に伴い、原告と弁護団が更新意見の陳述を行うことも決定された。
 小玉さんと弁護団は、この意見陳述で、和解を徹底的に弾劾し、解雇撤回まで闘う意志を全面的に明らかにする方針だ。
 他方、同じ9月3日には、鉄建公団訴訟の3原告と弁護団が、最高裁に上告理由補充書と3原告連名の陳述書を提出し、新たな闘いに踏み出した(関連記事2面)。
 和解を拒否した4原告の闘いは、国鉄労働者や国鉄闘争を支援してきた100万人の労働者に感動と勇気を与えるに違いない。心ある労働者は誰しも、「不当労働行為による解雇にはあくまで解雇撤回で闘うべきだ」と思っている。4人の国労闘争団員による裁判闘争を徹底的に活用して膨大な労働者の中に分け入り、国鉄全国運動のさらなる発展をかちとろう。
 民主党・連合政権は360万人公務員労働者の首切りに向けて公務員制度改革に着手し、JR資本は国鉄分割・民営化25年を前にいったん頓挫した外注化攻撃に再び乗り出そうとしている。
 解雇撤回を貫く新たな裁判闘争は、これらの攻撃と根底的に対決する闘いでもある。
 9・28裁判に、大法廷を埋める圧倒的な結集をかちとろう。この闘いを跳躍点に11・7労働者総決起集会1万人結集に攻め上ろう。

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週刊『前進』(2455号1面3)(2010/09/13 )

 全学連運動の大衆的復権誓う

 全学連第71回定期全国大会が9月9、10日、東京・文京区民センターで開催され、全学連運動の歴史的大前進が切り開かれた。1年生、初参加者も多数結集し、11・7全国労働者総決起集会への1万人大結集と、学生自治会の大衆的復権へむけた歴史的な挑戦が始まった。
 大会初日は、織田陽介委員長と坂野陽平委員長代行が議案を提起し、活発な討論が行われた。織田委員長は、法大闘争の勝利の地平を明らかにし「ついに全学連の真の復権に着手する時がきた。大衆的な学生自治会を建設し、壮大なエネルギーを発揮して闘おう」と宣言、大恐慌と対決して世界を根底的に変革しようと熱烈に訴えた。法大闘争報告に立った文化連盟の斎藤郁真委員長も「法大当局をぶっとばす。それが学生自治会建設だ」と喝破した。1年生や初参加者も次々と発言した。
 また、三里塚反対同盟の北原鉱治事務局長、動労千葉の越川幸夫執行委員、法大弾圧裁判弁護団の藤田正人さん、革共同の代表が初日に来賓あいさつを行った。(詳報次号)

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週刊『前進』(2455号1面4)(2010/09/13 )

前進速報版から

▼難民に自由を!と叫び東京入管収容所にデモ行進
▼ギリシャで民営化反対の交通スト
▼フランスで年金制度改悪反対の闘いが爆発
 集会要項 10・10全国総決起集会
第3誘導路粉砕! 団結街道廃止許すな! 現闘本部の破壊を阻止し、市東さんの農地を守ろう! 軍事空港建設粉砕・改憲阻止!
10・10全国総決起集会
10月10日(日)正午 成田市東峰 反対同盟員所有畑
主催/三里塚芝山連合空港反対同盟
【会場への行き方】成田駅からタクシーで「東峰十字路」まで2500円。車は成田インターから国道295号線、日航ホテルの所を左折し小見川県道、東峰十字路近くへ。

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週刊『前進』(2455号1面5)(2010/09/13 )

 鉄道運輸機構訴訟 9・28再開控訴審闘争

 鉄道運輸機構訴訟
 9・28再開控訴審闘争
 □控訴審傍聴 9月28日(火)午前11時〜12時 東京高裁101号法廷
 □JR東日本本社前行動 午後1時半〜 新宿駅南口
 □国鉄闘争勝利!鉄運訴訟控訴審報告集会
 午後6時開場 文京区民センター 3F大ホール
 主催/国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回を共に闘う国労の会

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週刊『前進』(2455号2面1)(2010/09/13 )

 360万人の解雇と非正規化を狙う

 公務員制度大改悪に反撃を

 身分保障解体と大幅賃下げ

 「民間並みに生首をとばせ」(みんなの党・江田憲司)――国会で公務員360万人首切り・総非正規化、大幅賃下げのために現行公務員制度をなくせと与野党が激しく論議している。人事院勧告制度廃止と「協約締結権」付与(労働基本権回復ではない!)、身分保障剥奪(はくだつ)で公務員360万人を解雇する大反動、戦後革命圧殺の上に存続してきた公務員労働運動を解体・根絶する大反革命攻撃が始まっている。「4・9政治和解」は動労千葉と国鉄闘争を軸とする日本労働運動全体を解体しようとする大反革命だった。それと軌を一にした労働運動破壊攻撃が公務員制度改革だ。
 体制内労働組合幹部は「協約締結権」と引き換えに労働基本権の根幹であるスト権の奪還を放棄した。腐った体制内労働組合幹部を打倒し、国鉄全国運動を基軸に4大産別―公務員労働運動をよみがえらせ、公務員制度改革=360万人首切りを粉砕しよう。

 戦後革命圧殺と御用組合化

 人勧制度を中心とする戦後の公務員制度は、1947年の「2・1ゼネスト」圧殺の上に成立した。公務員が革命に関与することを恐れ禁じたマッカーサー書簡とそれに基づく政令201号による公務員からのストライキ権剥奪は、国家公務員法の改悪、人勧制度の設置などを導き、戦後革命期の終焉(しゅうえん)と公務員労働運動―労働運動全体の体制内化のきっかけとなった。
 こうして戦後的公務員制度がつくられた。それは公務員賃金を低く抑えつけつつも身分を保障し、団結権と団体交渉権(ただし協約は締結できない)を認めて公務員労働運動を存続させた。
 だが今日の世界大恐慌と日帝の財政破綻は、戦後的諸権利や戦後的労働運動を許す余地を完全に奪っている。だから4・9政治和解の大反革命に続いて公務員制度改革の歴史的大攻撃が襲いかかっているのだ。
 国公法・地公法―人事院・人事委員会とその勧告制度は、賃金・労働条件だけでなく採用試験、任免、賃金・研修・分限・懲戒に関する苦情の処理、倫理の保持など人事行政全般、組合登録・効力停止・取り消しなど広範な権限を有する。人勧制度は、スト権を根幹とする労働基本権を公務員労働者から奪った上に立ち、公務員労働者を全面的に管理・支配・抑圧する機関だ。卑近な例でいえば、ほぼ10年連続の賃下げを勧告し、社保庁解体・大量首切りを承認・推進する反動機関となっている。労働基本権剥奪の「代償機関・措置」という表現では済まない抑圧・管理のための官僚組織だ。この人勧制度の廃止という「戦後制度の大掃除」で公務員労働運動をも一掃してしまおうとしているのだ。

 「労使合意」で賃下げ納得感

 公務員制度改革―人勧制度廃止は大幅賃下げ攻撃でもある。
 人勧制度のもとでの公務員賃金については、民間準拠を原則とする勧告が出されてきた。約40歳の公務員の平均年収は約400万円だ。民間が低賃金だというなら公務員も、正規職であっても99%が低賃金だ。青年層と非正規職は極限的に低賃金だ。こうした低賃金構造の上に、人勧制度を廃止すれば、労使間で「自由に」「自主的に」公務員賃金を低く抑え込むことができる。それと連動して民間労働者の賃金もさらに低くできることになる。
 しかも労使の交渉と合意で協約を結ぶことで低賃金、賃下げへの組合員の怒りを抑え込もうとしている。労使間の協約の適用として一般組合員に賃下げと労働条件劣悪化が押し付けられるのだ。労使で合意した賃下げに組合員は「納得」を強いられる。これが自治労の「持続可能な日本社会のグランドデザイン構想」のいう「納得感」のある総人件費削減だ。
 公務員制度改革―人勧廃止・「協約締結権」付与の目的は、公務員首切りの自由化と労働運動解体、総人件費2割削減実現のための公務員賃金の大幅引き下げだ。

 協約締結権で政労使が合意

 連合・公務労協は遅くとも数年前からスト権回復を放棄した。今の「労働基本権確立」の要求はまやかしだ。
 06年1月、政労協議の場で行革推進本部専門調査会を設置し、公務員の人事管理、労働基本権などについて検討することになった。労働組合自ら行革を推進し、公務員の首切りに加担・協力する立場に立ったのだ。
 06年5月に行政改革推進法が成立し、総人件費の大幅削減と公務員制度改革の検討が規定された。これに沿って「行革推進本部専門調査会」が発足し、座長に佐々木毅学習院大学教授、労働側委員に連合の古賀伸明事務局長、自治労の岡部謙治委員長、国公連合の丸山建蔵委員長が入った。公務員制度改革―労働基本権回復の放棄を政労使で合意するためだ。実際、調査会は07年6月、協約締結権付与を打ち出した(争議権については両論併記)。
 08年6月、自公政権のもとで民主党など野党とも合意の上に国家公務員制度改革基本法が成立した。同基本法は公務員に「協約締結権を付与する」ことと「自律的労使関係制度を措置する」ことを規定している。これに基づいて国家公務員制度改革推進本部を設置し、3年以内をめどに法制上の措置、5年以内をめどに制度改革に必要な措置を講ずるとした。11年までに「協約締結権」を盛り込んだ国公法・地公法改正案を成立させ、13年までに具体的な制度として実施する予定だ。
 この基本法に基づいて同年10月に「労使関係制度検討委員会」が発足した。自治労の金田文夫特別執行委員(前書記長)、国公連合の森永栄委員長、連合の山本幸司副事務局長が加わった。検討委員会は09年12月、「自律的労使関係制度の措置に向けて」という報告を提出、@労使合意の反映を重視するモデルA国会の関与を重視するモデルB中間的モデル――の三つの選択肢を示した。
 自治労本部は@が最適だとしてスト権回復をまったく主張しなくなった。これに対して、昨年8月の自治労熊本大会で「スト権を含めた労働基本権の回復を要求すべきだ。道州制に絶対反対だ」という意見が出るなど、自治労本部への批判が巻き起こった。
 菅民主党政権は来年の通常国会に「協約締結権」と「自律的労使関係制度」を盛り込んだ国公法改定案と地公法改定案を提出し、公務員制度改革を具体的に進める方針だ。当局・支配階級に解雇の自由、総非正規職化、賃下げの自由を与える「協約締結権付与」「自律的労使関係」など断じて認められない。
 行政改革=省庁解体・民営化による公務員360万人いったん全員解雇・選別再雇用の攻撃は社保庁解体で始まっている。それは社保労組の屈服と協力によって可能になった。逆にいえば民主党・連合政権の最大の弱点である連合の労働者支配を覆すことができれば公務員360万人首切り攻撃を粉砕できるということだ。動労千葉と国鉄全国運動が4・9政治和解という大反革命と対決し、国鉄分割・民営化の完遂を阻んでいる、これに続いて公務員労働運動を戦闘的階級的によみがえらせ、公務員制度改革を粉砕しよう。

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週刊『前進』(2455号2面2)(2010/09/13 )

 闘争団が最高裁に戦闘宣言

 新たな鉄建公団訴訟始まる

 9月3日、屈辱的和解を拒否して解雇撤回を貫く国労闘争団員は、新弁護団とともに最高裁への行動に立った。
 1047名闘争の解体をもくろむ「4・9政治解決案」に屈した4者4団体は、6月28日、最高裁での和解に応じ、鉄建公団訴訟などの訴訟を取り下げた。和解を拒否し、裁判闘争を続ける鉄建公団訴訟原告は、羽廣憲さん(小倉地区闘争団)、成田昭雄さん(旭川闘争団)、石崎義徳さん(鳥栖闘争団)の3人となった。だが、3原告は不屈の闘志を燃やして闘い続けている。
 この日の行動は、最高裁に新弁護団の上告理由補充書と3原告連名の陳述書を提出するとともに、最高裁調査官との面接を求めて行われた。鉄道運輸機構訴訟原告の小玉忠憲さん(秋田闘争団)も駆けつけ、闘いをともにした。
 午前10時、成田さん、小玉さんが8人の新弁護団とともに最高裁前に結集した。この日を期して、和解を拒否した闘争団員による鉄建公団訴訟は、最高裁との具体的な攻防に入る。原告と弁護団は、必勝の決意を全身にみなぎらせた。
 最高裁に乗り込んだ成田さんと弁護団は、書面を提出した上で、鉄建公団訴訟を担当する調査官との面接を強く要求した。最高裁はかたくなに面接を拒んだが、原告と弁護団が示した解雇撤回への強固な闘争意志は、反動の砦(とりで)である最高裁を確実に揺さぶった。最高裁における本格的闘いはついに幕を開けたのだ。
(写真 最高裁行動を終え強固な団結を確認する国労闘争団員と新弁護団【9月3日 最高裁前】)

 “私たちには勝利の確信がある。”

 この日に提出された3原告の陳述書は、屈辱的和解を拒否した理由を述べるとともに、国鉄分割・民営化攻撃とは何であり、闘争団が解雇撤回を求めて闘ってきたのはなぜなのかを全面的に説き明かしている。
 陳述書は、次のように述べている。
 「本件訴訟につき本年6月28日、最高裁において、私たちを除く一審原告全員と一審被告の間で和解が成立し、私たち以外の原告は訴えを取り下げました。しかし、私たちは、この和解を到底納得できず、和解に応じることを拒否しました。私たちは、本裁判を継続し、解雇撤回をかちとるまで闘い抜きます」
 「いくばくかの金銭が支払われたとしても、私たちは解雇撤回のない和解には応じられません。私たちが24年間、あらゆる苦難に耐えて闘い続けてきたのは、こうした屈辱的な『解決』のためでは断じてないのです。しかも、今回の和解は、動労千葉争議団および動労千葉を除く4者4団体に対してのみ提案されました。1047名の全体が、組合の所属を超えて一致団結した時に解雇撤回は実現できると私たちは確信しています。だから、1047名に分断を持ち込む和解案を断じて認めることはできません」
 「和解を拒否し訴訟を貫く国労闘争団員は6人になりました。だが、私たちは何らひるんではいません。闘志はますます燃えさかっています。なぜなら、私たちには勝利の確信があるからです。6月13日、東京・文京シビックホールに1635人の労働者・学生が結集し、『国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回闘争を支援する全国運動』をスタートさせました。政府への哀願に明け暮れてきた従来の『1047名闘争』とは画然と異なる、労働者階級の階級性に立脚した本当の1047名闘争が、ついにここから始まったのです」
 この決意に応え、1047名解雇撤回へともに闘いぬこう。

 反動判決下した最高裁と対決し

 弁護団は、夏休み返上で上告理由補充書を準備し、この日、満を持して最高裁に提出した。この上告理由補充書の核心は、「4・9政治解決案」と真正面から対決し、あらためて国鉄改革法23条の違憲性を全面的に突き出して、1047名解雇撤回闘争の正義性をとことん明らかにしたことにある。
 4者4団体路線のもとに行われてきたこれまでの鉄建公団訴訟は、「JR不採用につきJRに使用者責任はない」とした03年12月の最高裁反動判決を前提化し、ひいてはこれに屈服する形で展開されてきた。
 その対極で新弁護団は、JRを免罪した最高裁の反動判決を全面的に弾劾した。最高裁はまた、4者4団体と鉄道運輸機構に政治和解の場を提供し、4・9反革命を完成させた張本人でもある。新弁護団は、この事実に対しても徹底的な批判を加えている。こうして、新たな鉄建公団訴訟は、階級的原則を貫き通す闘いとして始まったのだ。
 最高裁は、いつでも3原告に反動判決を下す構えでいると見て間違いない。小玉さんを含め、4原告の闘いはこうした策動との激烈な攻防に突入した。

 5・27臨大裁判は控訴趣意書提出

 新たな鉄建公団訴訟・鉄道運輸機構訴訟の本格的開始と軌を一にして、国労5・27臨大闘争弾圧裁判も新段階に入った。同弁護団は8月31日、東京高裁に重厚な控訴趣意書を提出した。これを受け、5・27裁判控訴審の第1回公判は11月24日に確定した。
 国労本部と公安警察が結託して強行した不当弾圧に全力で立ち向かってきた5・27臨大闘争弾圧被告の闘いは、一審で暴力行為等処罰法の適用と共謀認定を粉砕する大きな勝利を実現した。和解を拒否した4人の闘争団員の決起をつくり出した根源的な力も、5・27被告の闘いにあった。
 新たな鉄建公団訴訟・鉄道運輸機構訴訟と5・27裁判を縦横に駆使し、今こそ動労千葉派=11月集会派が国労の主流派に躍り出よう。国鉄全国運動3千人の組織化を軸に、JR職場において「国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回を共に闘う国労の会」300人の組織化をかちとろう。

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週刊『前進』(2455号2面3)(2010/09/13 )

 “スト権はいらない”

 総屈服する連合・公務労協

 公務員制度改革をめぐる重大な勝負の時がきている。本稿では連合こそ「争議権抜き、協約締結権のみの回復」推進の張本人であることを暴く。

 社会が停止することなどしない

 9月8日夕、公務公共サービス労働組合協議会(=公務労協。日教組や自治労、国交連合、都市交などで構成)が日比谷公会堂において「国民生活の安心と安全を確保するための公共サービスの再構築と公務員の労働基本権の確立を求める9・8中央行動」を行った。
 同行動で主催者あいさつに立った公務労協議長・中村譲(日教組委員長)は、労働基本権をめぐって「団結権、団体交渉権、協約締結権、争議権がセットされていなければ、そもそも組合を結成する意味はない」と発言した。あたかも争議権も含めた労働3権を求めるかのような言葉だ。
 だが中村は、こう続けた。「労働基本権を公務員が持った場合を想定して言えば、ILO基準が満たされている欧米諸国で国が立ちゆかなくなったとか、社会の機能がまひしているか。そうした話は一切聞かないのであります」
 なんと”争議権を得ても、私たちは国が立ちゆかなくなったり社会の機能が停止するようなストライキは絶対に行いません。ご安心ください”と誓約したのだ。なんという奴隷根性か! しかし実際、争議権獲得へ闘うつもりなど毛頭ないのだから当然の言葉だ。

 公務労協は争議権の獲得を放棄

 争議権を奪ったまま協約締結権だけを回復するという今の流れは、連合・公務労協自身がつくったものだ。連合はここ数年、公務員制度改革をめぐる議論を政府の各調査会・研究会に入り込んでともに進めてきた。
 さらに公務労協は07年12月、各単産の書記長を構成員として、公務・公共部門の団体交渉制度の在り方に関する研究会を発足させた。09年7月に出した最終報告は「争議行為の制限を存続させたうえでの交渉制度」が「報告書の前提」として、争議権獲得を完全放棄した。
 しかも同報告は、「スト権奪還」を掲げて闘ってきた戦後の公務員労働運動について、「公務員に対する包括的な労働基本権の制限……は、公務員の労使関係の形成にとって極めて不幸な結果をもたらした。戦後長期間にわたり、争議権の回復を求める労働組合の闘争と当局による大量処分という悪循環や訴訟に多くのエネルギーを奪われ、健全な労使関係を形成するための環境整備が十分になされてこなかった」と言った。60〜70年代、毎年激しい刑事弾圧と数万人の行政処分をも突き破って闘ってきた歴史を「不幸な結果」と全否定したのだ。
 この総括の結論は”二度とこのような闘いはやりません”ということにほかならない。こんな屈服は絶対に許せない!

 連合幹部が「フルセットは困る」!!

 みんなの党代表として公務員バッシングの先頭に立つ渡辺喜美は、行革担当大臣だった06〜08年当時の公務員の労働基本権をめぐる議論について、著書『公務員制度改革が日本を変える』で以下のように述べている。
 「私は公務員にも民間並みの信賞必罰を行うために基本権をフルセットで解禁することを提案しました。しかし、組合が争議権付与にビビってしまったため、協約締結権まで付与することを、私が大臣当時に方向づけました」「私が行革大臣のころ、一般公務員に労働基本権をフルセットで解禁しようと画策していたところ、組合の幹部が大臣室にやって来て『フルセットは困る』と訴えてきました。……結局、このときは、協約締結権までということに収まりました」
 渡辺が主張する労働3権付与は、公務員の権利を保障するためのものではまったくない。8月3日の衆院予算委でみんなの党・江田憲司が「とにかく労働基本権を公務員に早く付与してください。それで民間並みのリストラ、人員整理ができるようにしましょう」と述べたとおり、公務員労働者360万人をいったん全員解雇・選別再雇用する道州制を貫徹するための大攻撃だ。公務員の終身雇用制と年功序列型賃金を解体して、「9割の労働者の非正規化」をやりぬこうというのだ。
 連合幹部は、公務員労働者がスト権を獲得したら幹部の思惑も超えてストライキに立ち上がることを最も恐れている。だから「スト権は与えないでくれ! 協約締結権だけにしてくれ!」と懇願しているのだ。連合・公務労協こそ公務員制度改革による首切り・賃下げの極悪の担い手だ。
 争議権なき協約締結権を「大きな前進」と持ち上げること自体が根本的におかしい。労働者にとって最大の武器はストライキだ。「スト権実力奪還」の思想を復権し、大幅賃下げ人勧粉砕へ、今秋賃金確定闘争をストライキで闘おう!
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〔資料〕
 「労働基本権を公務員が持った場合を想定して言えば、ILO基準が満たされている欧米諸国で国が立ちゆかなくなったとか、社会の機能がまひしているか。そうした話は一切聞かないのであります」
9・8中央行動 公務労協議長(日教組委員長)中村譲あいさつ
 「私は公務員にも民間並みの信賞必罰を行うために基本権をフルセットで解禁することを提案しました。しかし、組合が争議権付与にビビってしまったため、協約締結権まで付与することを、私が大臣当時に方向づけました」
 「私が行革大臣のころ(08年を指す=引用者注)、一般公務員に労働基本権をフルセットで解禁しようと画策していたところ、組合の幹部が大臣室にやって来て『フルセットは困る』と訴えてきました。……結局、このときは、協約締結権までということに収まりました」
 渡辺喜美著『公務員制度改革が日本を変える』

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週刊『前進』(2455号2面4)(2010/09/13 )

 11月集会実行委 1万人大結集へ全力

 関西生コン長期ストにわく

 9月4日、11・7全国労働者総決起集会の成功に向かって、第1回実行委員会が都内で開かれた。
 今年で13回目を迎える11月労働者集会は、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同、動労千葉のこれまでの闘う3労組に加え、国鉄闘争全国運動が新たに呼びかけ団体に加わった。国鉄1047名闘争の「4・9政治解決」で直面している日本労働運動の危機を突破し、11月集会を労働運動の再生に向けた歴史的な出発点にしようという熱気にあふれて、第1回実行委はかちとられた。
 首都圏を中心に全国から100人を超える労組活動家、闘う仲間が結集した。議事は動労千葉の長田敏之書記長の司会で進められた。
 初めに港合同の中村吉政副委員長があいさつに立った。「6・13国鉄集会の熱気を各地に広げて運動をつくろう。不況の深まりでうちの組合にも労働相談が増えているが、痛感するのは労働者の横断的団結がないことだ。国鉄闘争を闘い、団結を横に広げよう」と、11月集会の成功のために闘うことを呼びかけた。
 関西生コン支部の高英男副委員長は、7月2日以来2カ月間にわたり労組と中小零細業者が一体となって闘っている生コン・ストライキについて、約1時間にわたって報告した。この長期ストは、竹中工務店や大林組などスーパーゼネコンの買いたたきに怒り、生コン価格の引き上げを要求して出荷拒否を続けているものだ。生コン労働者の生きるか死ぬかをかけたぎりぎりの闘いだ。
 高副委員長は「労働者はみな真っ黒に日焼けして闘っている。スーパーゼネコンを揺るがす闘いをやれて勝利の確信を深めている」「ストの影響は広がっている」「勝ちきるまで、もうちょっとや。11月には勝利の報告をしたい」ときっぱりと語った。参加者は万雷の拍手で連帯の気持ちを表した。
 国鉄全国運動からは、動労千葉を支援する会の山本弘行事務局長が運動の進展を報告した。国鉄1047名闘争当該の動労千葉争議団の高石正博さんがあいさつした。
 基調報告を動労千葉の田中康宏委員長が提起した。田中さんは、関生のストライキや動労千葉の今春の外注化阻止闘争の勝利を語り、「われわれ11月派はすごい集まりだ。労働者は腹を据えて闘ったら、勝てるということだ。このことに確信をもとう」と呼びかけた。さらに「国鉄闘争全国運動で日本の労働運動をつくり直そう」「12年の公務員制度改革は国鉄分割・民営化を10倍するような究極の民営化・非正規化攻撃だ。これを見据え、11・7労働者集会の大結集で反撃しよう」と呼びかけた。
 このあと、討論に移った。教育労働者、国鉄、全逓、地域合同労組、医療の労働者らが職場闘争を報告し、突破すべき課題を提起した。青年労働者の組織化、執行部を握る闘いに大胆に挑戦すること、11月集会大結集へ全力で組織する決意が語られた。11月集会1万人大結集へ、闘いはうなりをあげて始まった。
(写真 2カ月間にわたる関西の生コン・ストライキを報告する関生支部の高副委員長【左】)

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週刊『前進』(2455号3面1)(2010/09/13 )

 派遣法・非正規職撤廃へ

 国鉄全国運動の前進に展望

 非正規化を推進する連合

 青年労働者の怒りで打倒を

 世界大恐慌はますます深化し、「2番底」の危機が切迫している。資本主義は断末魔の危機にあえぎ、戦争と労働者階級への一大攻撃をしかけてきている。その最も鋭い現れが青年労働者の現実だ。15歳から24歳の完全失業率は10・7%と全体の倍、同年代の非正規率は約半数の46・7%だ。10人に1人が失業、約半分がいつ首を切られるかも分からない低賃金の非正規雇用。この現実を資本の奴隷となって労働組合の側から一貫して推進した者こそ、連合のダラ幹どもだ。彼らに根底的怒りをたたきつけ、打倒する中にこそ、派遣法・非正規職撤廃の道がある。

 「国際競争力」を叫び製造業派遣の禁止にも反対

 08年9月のリーマンショックを契機に本格化した世界大恐慌の爆発は日本の製造業を直撃、「需要が蒸発した」と言われるほど商品がまったく売れない事態になった。まさに資本主義は最末期の危機に陥ったのである。自動車や電機の資本家は、その矛盾を非正規労働者に全面的に強制した。悪名高い「派遣切り」と言われる事態だ。
 「派遣切り」にあった労働者は宿舎からもたたき出され、路頭に迷うことになった。まさに大失業が革命に直結する問題となって登場したのだ。
 この事態に動揺した当時の自民党政府の桝添要一厚労相は、一時的にせよ「製造業への派遣は禁止すべきだ」と発言せざるをえないところに追い詰められた。
 だが、それに労働組合の側から反対したのが電機連合委員長の中村正武だった。中村は「電機産業で派遣を廃止したら、国際競争力を損なう」と主張、連合の三役会でも、製造業への派遣禁止にただひとり反対した。
 この発言はマスコミでも大きく取り上げられ、怒りの声が沸騰した。「それだと『正社員のリストラ解雇も国際競争力のためならやむなし』ということだ。これはすでに労働組合ではない。資本の番頭、労務担当の電機連合ではないか」と。まさに、その通りだ。
 このような反労働者的な言動を重ねたのは、電機連合だけではない。自動車総連も中央委員会で製造業への派遣禁止に対して、「拙速で一律的な対応は、短期的に派遣社員の雇用喪失を拡大しかねない」などと反対を表明した。
 日本帝国主義の根幹をなす電機や自動車産別を握るIMF―JC(金属労協)のダラ幹は、帝国主義間争闘戦に勝ち抜くためなら、平気で同じ職場の労働者の首切りの先兵になる連中だ。
 電機連合書記次長の新谷信幸は、次のようにうそぶいている。「携帯電話事業に見られるように、限られた”賞味”期間にヒット商品をいかに大量に市場に供給できるかが事業成功の鍵を握るビジネスの場合、急速な生産の立ち上げ、立ち下げができないとグローバル競争のもとでは、業として生き残れない」「派遣・請負活用が進む職場では、高い技能習熟を前提とせず、流動的な労働力であっても生産できる製造の仕組みやシステムが構築されてきている」
 非熟練の労働力が生産の主力になっているから、容易に首を切れる派遣や請負でいいと言うのである。これは資本の言い分そのものだ。

 派遣法の制定に賛成しその改悪を一貫して推進

 電機連合を始めとしたIMF―JCのダラ幹たちのこうした言動は、リーマンショック直後の緊急事態における一時的発言ではけっしてない。
 電機連合は1985年に制定された労働者派遣法に労働組合として唯一賛成し、99年の抜本改悪にも、03年の製造業への派遣労働の解禁にも一貫して賛成し、それを率先推進してきたのだ。
 それらのことを電機連合は臆面(おくめん)もなく語っている。
 「電機連合(当時は電機労連)は、1985年の労働者派遣法の立法化に際して、総評および同盟の産別の多くが立法化に反対したのに対して、産別として唯一、法制化賛成の立場をとった」「この背景には……『無法派遣』が横行している状況をふまえ、情報関連労働者の基本的権利を認め、保護の網を張る必要性から、派遣労働者保護法の制定を求め取り組んだものである」(電機連合ホームページより)
 74―75年恐慌後、日本帝国主義は「雇用調整」という名の大規模な首切り・リストラを労働組合の屈服と協力を背景に強行した。そして正規雇用を削減し、パートや請負という名の非正規雇用を拡大していった。だが、戦後労働法制は直接雇用を原則としており、その抜本的改悪抜きに非正規職化の全面的な推進はできなかった。その壁を突破したのが85年の派遣法制定だった。
 だが戦後労働法制の原則を大きく突き崩す派遣法の制定策動は当然にも労働組合の反対に直面し、何度か挫折した。それを救ったのが当時の電機労連だった。
 電機労連は連合に加盟して電機連合と改名するが、「以来、電機連合は、一貫して……、対象業務の拡大や、派遣期間等の改正に際しては、推進の立場をとってきている」と彼らは言う。99年の派遣法抜本改悪などでも、電機連合は主導的な役割を演じた。
 さらに許し難いのは、03年に製造業への派遣労働が解禁された時の対応である。
 電機連合はそれに先立つ01年に、早くも「電機産業における派遣労働者の権利保護ガイドライン」を策定している。本来は違法であるはずの製造業派遣を「権利保護」と称して容認したのだ。
 古賀伸明連合会長も、この電機連合のパナソニック労組出身だ。こうした連合ダラ幹こそが、労働者の3割が非正規職という今日の現実をつくり出してきたのである。

 労働者の9割を非正規職化する攻撃に大反撃を

 資本と民主党政権は、こうした連合幹部の裏切りをテコに、労働者の9割を非正規職化する大攻撃に乗り出している。
 この攻撃の切っ先に位置するのが、2012年度にも強行されようとしている公務員制度改革であり、公共部門のさらなる民営化だ。
 国鉄1047名闘争解体のために仕かけられた「4・9政治和解」の大反革命を受け入れた国労本部は、国鉄分割・民営化25年を期したJR大合理化の先兵に転落し、連合との合流にあからさまにかじを切った。
 この情勢は、都労連の解体と全労協解散の動きを促進し、自治労中央、日教組中央の一層の転向に拍車をかけている。彼らは公務員労働者の雇用保障を破壊する公務員制度改革を推進し、道州制導入と360万人公務員労働者の首切りに自ら道を開いている。
 自治労中央や日教組中央は、これまでも公務職場における非正規職化を容認し、「官製ワーキングプア」と呼ばれる現実を当局と一体となってつくり出してきた。だが、彼らの転向は今やそのレベルにとどまらない。
 自治労大会で徳永英昭委員長は、「正規と非正規の賃金シェア(分かち合い)……人勧削減原資を非正規職員のために確保する交渉協議を行う」と言い放った。これは公務員労働者全体を非正規職化するということだ。
 現に、自治労中央は「子育て新システム」を唱える民主党の政策を推進し、公務員保育労働者30万人の首切りと非正規職化に突き進もうとしている。
 連合幹部は、官民を問わずおしなべて、民主党政権が唱える「新成長戦略」を労組の方針とするに至っている。だが、新成長戦略が言う「雇用創造」とは、正規職の首を切り、徹底的な非正規職化を強行して不安定雇用を生み出すということだ。連合幹部は「9割の労働者を非正規にする」と呼号した95年日経連プロジェクト報告路線の最先兵に化したのである。
 だが、こうした連合幹部の大裏切りに対する労働者の怒りは、青年を先頭にふつふつと煮えたぎっている。その怒りを行動に転化する時は、まさに今なのである。
 4・9反革命を契機とした日本労働運動の大転向に対し、国鉄1047名解雇撤回を掲げた国鉄全国運動を組織することをとおして「闘う労働組合の全国ネットワーク」をつくり出そう。11・7全国労働者総決起集会への1万人結集をなんとしても実現し、職場から階級的労働運動を再生して、非正規職と派遣法を撤廃しよう。それこそが労働者階級が生きられる社会をつくる唯一の道だ。 (湯村宏則)
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 派遣法推進の電機連合(幹部の言動)
「電機連合は、1985年の労働者派遣法の立法化に際して、総評および同盟の産別の多くが立法化に反対したのに対して、産別として唯一、法制化賛成の立場をとった」
「以来、電機連合は、一貫して……対象業務の拡大や、派遣期間等の改正に際しては、推進の立場をとってきている」
「固定的な生産設備や正社員の増強よりも、投入する労働量を機動的に変動させることで急激な負荷変動に対応することが必要」
「高い技能習熟を前提とせず、流動的な労働力であっても生産できる製造の仕組みやシステムが構築されてきている」

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週刊『前進』(2455号3面2)(2010/09/13 )

 「7・1統合」の破綻と闘いの展望

 郵政民営化絶対反対の闘いが多数派の怒りと結合する時だ

 革共同全逓委員会

 郵政民営化から3年、その「戦略事業」とされたJPEX計画(日通との共同出資で小包部門を子会社化)は破綻し、その結果としての日本郵便・ゆうパックとの「7・1再統合」は34万個の遅配を出し、3割の顧客を失っていまだ混乱が続くという致命的な破産に行き着いた。小泉「構造改革」以来の新自由主義に基づく民営化そのものの全面的な破綻である。「生産性向上運動」で民営化とJPEX計画に全面協力してきたJP労組中央の支配も音を立てて崩壊を始めた。多くの職場で「資本家と労働貴族は退陣せよ!」との闘いが力強く始まっている。わが全逓戦線は、国鉄決戦と連帯・結合し「4・9反革命」を真にのりこえる闘いとして、郵政労働運動の多数派獲得への闘いの開始を断固として決意する。そして階級的労働運動の復権をかけ、11・7全国労働者総決起集会への総決起を誓う。

 民営化そのものの大破綻

 社会問題にまで発展したゆうパックの「7・1再統合」の破綻は、政府・総務相と郵政資本が進めてきた新自由主義に基づく「郵政民営化」そのものの破綻だ。大恐慌の進展の中で国家財政の崩壊的危機にあえぐ日帝の、まさに国家的大破産を象徴する事態だ。
 JPEX計画は昨年、小包部門を切り離して子会社化する民営化の「戦略事業」と銘打って強行されたが、その実態は8割の労働者を非正規職に追い込み、飛躍的な労働強化と劇的な賃下げで、果てしない競争と再編の渦中にある国際的な物流事業に参入するという大がかりな計画だった。
 これは郵政労働運動の全面的・最後的な解体と一体の計画だった。「半分の賃金で2倍働かせる」ことが事業成功のカギを握るからだ。
 JP労組中央はこの空前の労働強化と賃下げ計画に屈服し、自ら計画を推進する先頭に立った。こうした結果、郵便事業会社(日本郵便)では、すでに6割もの労働者が非正規雇用に追い込まれる現実が生まれたのだ。非正規職が6割とは社会平均の約2倍である。

 現場労働者の反乱は起きた

 しかし現場労働者の反乱は起こった。民間運輸資本の果てしない競争で労働者を文字通り部品のように使い捨てるJPEXへの出向を、現場労働者が続々と拒否したのだ。ある職場では、180人の集配課で出向に応じたのが5人だけという事態も生まれた。結果、地獄労働で名高いSD(セールスドライバー。事業計画の核だった)の体制が整わず、JPEXは1000億円もの大赤字を出して文字通り破産したのだ。
 そのなれの果てが7・1再統合での34万個の遅配であり、今なお混乱が続く「新生ゆうパック」の惨状なのだ。旧日通ペリカン便を吸収し荷物量は2倍に増えたのに、郵便本体の要員配置は以前のままというむちゃくちゃな経営の結果だ。
 新たな闘いはここから始まった。日本郵便社長の鍋倉が「混乱の原因は現場の責任」との会見を行い、全国の郵政労働者のすさまじい怒りを呼び起こしたのである。「ふざけるな! 誰が仕事を回してきたと思ってるんだ!」。職場は文字通りの怒号に包まれた。
 社長発言の意図は明白だ。自ら招いた事業破綻の責任を現場に押しつけ、労働者をこの上さらに犠牲にすることで、事態をのりきろうというハラなのだ。
 すでに運輸業界では、「次の年末繁忙期で失敗すれば、ゆうパックは終わる」との見方が支配的だ。郵政当局は再統合後の混乱の中で、「年賀販売の強化」などを口実に現場管理体制を強化し、マル生攻撃と強権的職場支配の復活を画策している。肝心のゆうパック事業の破綻を修復する要員増などは論外という姿勢だ。郵政資本が自ら破綻させた小包事業の再分離など、さらなる大合理化攻撃に手を染める可能性も高いのだ。
 まさに郵政労働運動の正念場だ。JP労組中央の裏切りにもかかわらず、現場労働者から「大赤字の責任は百パーセント経営陣が取れ!」という怒りが噴出していることはまったく正当だ。

 赤字の責任は経営陣が取れ

 大金融資本・三井住友銀行の西川や、元トヨタ会長の奥田(日本郵政の社外取締役)らが、「郵政版トヨタ方式」「働き度を2倍に」と称し、寄ってたかって強行したJPEX計画の破綻の責任は、百パーセント資本家どもに取らせることが必要なのである。
 「事業破綻」を労働者へのさらなる労働強化と首切りでのりきると表明したに等しい鍋倉発言を絶対に許してはならないのだ。「おれたち現場労働者が郵便を支えているのだ」「資本家と労働貴族こそ退陣せよ!」という現場の怒りこそが正当なのだ。「事業破綻」の中でこそ、郵政民営化絶対反対で「一人の首切りも許さない」という階級的労働運動の神髄が問われているのだ。動労千葉の「反合・運転保安闘争」を郵政職場で圧倒的に貫くことが求められているのだ。ここに「4・9反革命」を全逓戦線においてのりこえる闘いをつくる核心問題もある。

 職場で資本と闘い抜く!

 問われているのは職場
生産点での闘いであり労働組合である。職場生産点でこの資本の度し難い攻撃への怒りを解き放ち、現場労働者の切実な要求と怒りを具体的な闘いとして日常的にやりぬくことである。その先頭に立てるのは、今や郵政民営化絶対反対で闘い抜いてきたわが動労千葉派だけなのだ。わが全逓委員会は多数派の獲得、すなわち職場権力の奪取という次元の闘いに、今こそ断固として踏み出すことを決意している。
 ゆうパック7・1再統合の破綻は、御用組合=JP労組の職場支配の完全な空洞化をもたらした。彼らは7・1後の大混乱の最中にあって、組合執行部として現場で何ひとつ方針も出せず、指をくわえて眺めているしかなかった。そして彼らは、現場労働者が”破綻の現場”で死ぬような思いを強いられている時に、労働貴族の「なんば選挙」(JP労組本部元書記長)にうつつを抜かしていたのだ。
 この労働貴族どものあまりの腐敗に、ついに既存の末端執行部を含む現場労働者の怒りが全国的に噴き出し始めた。実際に、本部派役員が制動をかける目の前で、20〜30歳代の現場の若手執行委員が群をなして公然とわが動労千葉派の闘い方に賛意を表明するような画期的な事態も生まれている。
 組織統合から3年、この大恐慌情勢にあって旧「同盟」の生産性向上運動と労資協調路線が、現場労働者の階級的利益と完全に対立することが路線的にも思想的にも明確になったのだ。階級的労働運動が、現場労働者の多数派を獲得しつつ、ともに行動し、文字通りの主流派として職場権力をめざす生きた団結を拡大する決定的なチャンスなのである。

 6割を超えた非正規の怒り

 とりわけ、郵政現場の過半数を占めるに至った非正規職(その多くが青年労働者だ)の怒りと圧倒的に結びつくチャンスである。彼らは正規職と同じ仕事で時給換算にして3分の1の低賃金を強制され、しかも半年ごとの契約更新で日常的に解雇の脅威にさらされている。JPEXへの出向攻撃の時も、「出向に応じなければ雇い止め」という脅迫と不当労働行為が公然と行われた。
 そうした中で非正規職の労働者は、職制の抑圧や不当な労働条件に対して声を上げること自体が大きな困難を強いられてきたのだ。彼らの中には、腐り果てた労働組合幹部の現実に愛想をつかした非組合員や”一匹オオカミ”も多い。
 しかし彼らの深い怒りこそが、実はあのJPEX攻撃を揺るがし粉砕した動力の最大部分をなしていたのだ。郵便事業会社だけで約15万人に上る非正規職員が、非人間的な労働条件を強制され、怒りを充満させているのだ。
 7・1再統合の破綻後、全国の郵政職場で違法な超勤や廃休が再び際限なく強制され、交通事故を含む業務事故が多発している現実は重大だ。ある支店では「事故多発はすべて社員の注意不足」という役職者研修の内容が発覚、現場労働者の怒りが爆発している。
 今後、資本・権力との非和解的な激突はますます不可避だ。わが階級的全逓労働運動は、必ずや現場労働者の怒りを徹底的に解き放つ闘いとなるだろう。われわれは職場での闘いを通して、そのことを実感している。「労使協調路線など問題外」「労働組合は職場で資本と闘ってなんぼだ」という戦闘的息吹が、多くの労働者の心をとらえ始めているのだ。
 JP労組本部の屈服のもとで、郵政資本が戦略的に進めてきた正規職と非正規職の分断体制をのりこえるのは今だ。資本との日常的な闘いをやりぬくことを通して、職場全体の怒りと具体的実践的に結びつくこと、そのための組織戦術を柔軟に練り上げることがきわめて大事だ。われわれはJP労組中央の支配の空洞化を絶対に見逃さない。ここで大きく突破し、郵政労働運動の階級的復権と主流派としての登場の道を押し開こう。この中で産別を超えた国鉄全国運動への取り組みを拡大し、11月労働者集会の圧倒的結集を実現しよう。

 民主党政権打倒し11月へ

 労働運動の階級的復権への道は、「資本家階級全体に対する闘争、資本による労働の搾取に基づく社会組織全体に対する闘争」(レーニン)となる以外にない。世界大恐慌は第2段階に突入し、空前の財政投入は帝国主義諸国・主要国、全世界の国々に未曽有の財政危機を引き起こしている。アジアの市場権益と勢力圏をめぐる日米と中国・アジア諸国のむき出しの激突も、11月APEC首脳会議(横浜)を一大焦点に始まっている。
 この中で日帝政治委員会は空前の政治危機に突入した。民主党代表選は、階級支配の崩壊的危機を改憲・戦争と大増税、首切り、リストラ、非正規職化、すなわち労働者を犠牲にすることでのりきるための泥仕合だ。菅も小沢もともに連合の帝国主義労働運動とその指導部を頼み、さらなる翼賛化と大反動をめざしている。
 「国鉄分割・民営化を十も合わせたような」(動労千葉田中委員長)公務員制度改革=360万人のいったん全員解雇・選別再雇用という大攻撃や道州制導入の大反動が、他ならぬ民主党政権のもとで競うように進行している。末期帝国主義の労働者支配が崩壊し、労働者階級とのむき出しの激突が完全に不可避となっているのだ。
 この中に郵政民営化と新自由主義攻撃の破綻という現実もあり、「4・9反革命」という敵階級の恐怖に満ち満ちた労働運動への破壊攻撃もあるのだ。
 郵政現場の闘いを通して確信することは、労働者階級が座して死を待つことはあり得ないということだ。民主党・連合政権を打ち倒し、「大恐慌をプロレタリア革命に」転化する闘いの前進は圧倒的に可能だ。その大きな展望を、職場生産点での闘いの一大飛躍を土台に、国鉄全国運動と11月労働者集会でこじあけようではないか。
 動労千葉を支援する会の会員獲得に全力を上げよう。沖縄・辺野古新基地建設絶対阻止、米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒への反戦・政治闘争を真っ向から闘いぬこう。国際連帯闘争の大前進の中で11月APEC粉砕闘争(横浜)とG20粉砕闘争(韓国)を一体的に闘おう。
 連合JP中央打倒の全逓決戦は勝負の時だ。職場での団結を組織し、多数派の怒りと結合する闘いの飛躍をなんとしてもこじ開けよう。11月労働者集会の1万人結集の実現へ、全力で2カ月間を闘いぬこう!

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週刊『前進』(2455号4面1)(2010/09/13 )

 協会派『連合運動』を断罪する

 大恐慌下で連合へ“合流宣言”

 労働運動解体の先兵に変質へ

 09年10月、社会主義協会派は『連合運動―20年の検証と労働運動の課題』と題する論文集を発行した。これは、09年8・30の戦後自民党支配の崩壊という一大情勢下で出された協会派の歴史的転向を宣言する綱領的文書である。「連合は変わった。だから連合労働運動の推進に奮闘しよう」と主張し、「4・9政治和解」を画期とする階級的労働運動壊滅攻撃の先兵となることを表明したのである。以下、階級的原則を投げ捨て帝国主義労働運動路線へと最後的に転落・転向した協会派に対する壊滅的批判を行いたい。大迫達志

 「4・9政治和解」と一体の転向宣言

 本書冒頭の「発刊にあたって」で彼らの意図が露骨に示されている。
 「連合が1989年11月21日に結成されてから20年。結成時の運動方針、運動路線と比べても、確かな変化をたどっている」
 「『連合を批判するだけでは何も進まない』というのが本書の立場であり、『活動家』の任務は、その連合運動の不十分さをどう克服していくか(にある)」
 「これからの連合運動は、この新しい政権(民主党主軸の3党連立政権)を相手に連合運動の中心的課題である政策・制度要求の実現を求めていく」
 彼らは「連合は変わった。批判するだけでは何も進まない」として、協会派内外にわき上がる動揺や反発を押しつぶし、連合に大合流していく大転向・大転換を推し進めようとしている。
 しかし現実には、「国鉄分割・民営化で国労と総評を解体し改憲への道を開く」(当時の中曽根首相)という支配階級の意図のもとでつくられた連合の階級的性格が変わったわけではない。協会派の方が変節したのだ。大恐慌が深まり、〈戦争か革命か>を問う時代の到来のもとで、協会派自身が歴史的な転向を宣言した。
 いまや彼らは連合に身も心も取り込まれることで、労働組合解体・変質攻撃の恥ずべき先兵となり果てた。社会保険庁解体・民営化による職員2万人のいったん全員解雇・選別採用・非正規化に協力したばかりか、解雇撤回闘争の爆発を恐れて「分限免職」の恫喝で自主退職を迫った。全国社保労組を解散して採用者のみを組合員とする日本年金機構労組を新たに立ち上げることまでやってのけた。開始された公務員360万人首切りへの協力と引き換えに、自らの党派の労組幹部の延命を懇願したのだ。
 政府・国交省と一体となって国鉄1047名闘争を解体し日本労働運動を壊滅させることを狙った「4・9政治和解」は協会派が主導した。7月末の国労大会における闘争団員の組合員権はく奪とスト基金の取り崩し、全国組織の解体・連合化への布石を打った。8月末の自治労大会での公務員大量首切り・非正規化推進の「グランドデザイン構想」議案と「公務員賃下げ」の徳永委員長発言も、協会派の全面的転向・協力抜きにはありえなかった。国鉄分割・民営化時の動労カクマルの裏切りに匹敵する階級的犯罪行為に手を染め続けているのである。
 協会派は今や、動労千葉を先頭とする国鉄全国運動、新自由主義と対決する階級的労働運動の対極に位置している。大恐慌が爆発し、国鉄・沖縄決戦、公務員決戦が階級決戦としてせりあがっている。まさにその時に、最悪の階級的敵対物になり果てたのだ。

 戦争と非正規化の民主党政権に協力

 「第T部第一章/新自由主義改革の帰結と日本資本主義」は、「経済危機克服への道」を「内需主導型経済構造への転換によって雇用の改善と社会保障の立て直しを進めること」だと結論づける。これは資本主義擁護の新自由主義論であり、大恐慌下の「雇用創出」と称する大量首切り・総非正規化であり「セーフティネット」という名の社会保障解体論である。これが彼らの基本的立場だ。国鉄4者4団体派幹部が発した「争議に革命を持ち込むな」とはプロレタリア革命そのものへの敵対であったということだ。
 さらに「第二章/『ポスト自民党政治』と日本社会の改革課題」において、民主党「第3の道」論を支持し帝国主義の総路線を展開する。
 「90年代後半には保守政党の行きすぎた新自由主義が国民生活を破壊した結果、社民主義と新自由主義を折衷した『第3の道』が生まれた。イギリス・ブレア等……ヨーロッパで破たんしつつある『第3の道』がいま日本で花開こうとしている」
 「アジア外交にもっと真剣に取り組まないと米中関係や米朝関係の進展に立ち遅れ、アジアの中で孤児になっていく」
 「知識産業、環境産業、福祉産業、環境・福祉・耐震住宅産業などで内需・外需を適切に取り混ぜ、成長戦略を模索するほかない」
 「財政再建。プライマリーバランスの均衡化・黒字化。無駄な歳出の削減。縦割り行政の是正で低コスト化・効率化、年金記録の徹底究明と制度の設計変更。消費税アップはこうした税財政改革で国民の信頼を取り戻した上で理解を求めていく。税と社会保険料を一元化して管理する歳入庁」
 「地方分権。国家と自治体の対等化。外交・安保、財政、教育、社会保障などの基本方針は中央政府、身近な課題は自治体との原則」
 「東アジア共同体をめざす。拉致問題の解決、核廃棄を北朝鮮に求めていく。テロの温床をなくし治安維持を含む平和建設」
 日本経団連の文書と見まがうばかりの帝国主義的政治綱領の満展開である。彼らにとって道州制の突破口としてある社保庁解体や歳入庁設立は至極当然のことなのである。最後には労働者の戦争動員にまで至る。まさに大政翼賛・産業報国運動への大転換である。本当に怒りなしに読めない。

 80年代国鉄決戦の裏切りを開き直る

 善明建一社会主義協会事務局長による「第三章 連合運動20年と日本労働運動の課題」は、03年9月の『連合評価委員会最終報告』を押し立てて、連合労働運動の推進への大転換を主張する。
 「労働組合が『合理化』に対する基本的姿勢は、第一義的に首切り・賃下げ・労働強化反対でなければならないことは明らかだが、これを教条的にスローガンとして叫ぶだけで広範な労働者を闘いに組織していけるかというと、簡単なことではなかった」
 現実にはどうであったか。資本主義の繁栄を前提とし合理化と引き換えのモノ取り主義に堕した協会派流「反合理化闘争」論のインチキは、国鉄分割・民営化阻止決戦の過程でいっきに暴かれた。74〜75年恐慌の爆発と戦後発展の終焉(しゅうえん)に直面した日本帝国主義は、80年代初頭より体制の存亡をかけて総評労働運動の中軸=国鉄労働運動の解体をめざす国鉄分割・民営化の大攻撃に打って出てきた。そこではもはや取引の余地はなく、〈闘いか労組解体か>が全労働組合指導部に問われることとなった。
 その時点で、動労千葉は分割・民営化絶対反対の渾身(こんしん)のストライキ闘争に立ち上がることで組合の団結を守り通し、今日に至る1047名解雇撤回・外注化阻止の闘いの土台をつくり出した。当時の動労(JR総連)カクマルは分割・民営化の先兵となることでJR体制下の労働者支配を任されると同時に、全労働者の敵として永遠に刻印されることとなった。
 その時に国労内の最大勢力であった協会派はどうしたか。現場労働者の必死の抵抗闘争にもかかわらず、24万組合員の組織をあげた大ストライキの号令を発することもなく屈服していった。
 歴史に「もしも」はないとされる。しかし、動労千葉とともに国労24万組合員が先頭となり総評450万が絶対反対のストライキに立っていたなら、国鉄分割・民営化阻止、中曽根政権打倒の歴史的な情勢が切り開かれたであろうことを誰が否定できるか。
 国鉄分割・民営化と1047名解雇撤回闘争の開始以降も、国労内協会派は「チャレンジ・グループ」を先頭に一貫して「政治和解」による闘争団切り捨て・連合合流路線を策動し続けてきた。それを阻み24年間にわたる歴史的闘いを発展させてきたのは、動労千葉と1047名闘争当該を始めとする日本労働者階級の力である。
 これに対し、「組織存続のため国労の失敗を繰り返さない」と反階級的総括を行ってJR総連カクマル・松崎に接近し党派的路線的合流を試みたのが、戸塚秀夫、故樋口篤三や協会派・山崎耕一郎元社青同委員長らであった。彼らは英・ブレアのニューレーバー主義を引き継ぐ「第3の道」を掲げ、階級的原則を投げ捨てて4者4団体派を形成するに至る腐った労組幹部らの合理化・民営化協力路線を形成していった。

 「首切り・賃下げ」提言を基本路線化

 今や協会派は、「連合は変わった。社会民主主義化した」として、綱領的次元での連合=帝国主義労働運動路線への転換にまで行き着いた。その根拠とするものこそ、この本で何度も取り上げられる03年9月の『連合評価委員会最終報告』である。
 「連合評価委員会」とは何か。座長は中坊公平(司法改革・裁判員制度導入を進めた元日弁連会長)であり、道州制推進の神野直彦東大教授(副座長)、寺島実郎日本総研理事長、大沢真理東大教授らである。その提言は、「働く者の意識改革」を求め「労働組合も相当の覚悟を持って産業構造の転換に対応する必要がある」として、「パートの均等待遇の実現」「同一価値労働同一賃金原則をもとに、正社員と非正社員の枠を超えた新しい公正な賃金論を確立することが急務」だとした。「『働きに見合った処遇』を得るために、年功型賃金から職務型・職種型賃金への移行」を提言し、「生活給の維持に固執するのは矛盾した行動」とまで決めつけた。
 要は階級的労働組合運動の原則を解体し、“資本と闘うのではなく労働組合の方が変われ”ということであり、「働きに見合った処遇」の名において労働者を分断し総非正規化をもたらす、とんでもない提言だ。それは今年の日本経団連「経労委報告」や、『週刊ダイヤモンド』8月28日号の「解雇解禁」の主張と何ひとつ変わらない。連合と協会派は、ブルジョアジーにとって最高の首切りと賃下げ、外注化・総非正規化、労働組合破壊の自由を求める提言を奉り、自らの基本路線として確認したのである。
 ここから「4・9政治和解」までは一直線である。前記『週刊ダイヤモンド』や自治労徳島大会での徳永委員長発言でも、広島電鉄労組による「非正規社員の正規化」と一体で行われた月給5〜6万円の大幅賃金カットの妥結が美談としてとりあげられた(賃下げはこれにとどまらない)。資本の非正規化・賃下げ攻撃と闘うのではなく、労働組合自らが「正規と非正規の賃金シェア(分かち合い)」を掲げて賃下げを提案する。それは「均等待遇」の名による総非正規化だ。
 しかしこんなうそ寒い連合路線の先は見えている。大恐慌と大失業が容赦なく青年労働者、全労働者を襲っている。連合支配の崩壊と一体で協会派の党派的生命力は衰退の一途である。青年労働者の怒りはあらゆる制動をはねのけ、闘う青年部の団結をつくり出す。連合とその先兵と化した協会派の裏切りに対し、現場労働者の壮大な怒りの爆発をもって階級的断を下すべき時が来ている。
 日共スターリン主義とともに戦後労働組合運動に少なからぬ影響を与えてきた社会主義協会派の末路は、醜悪で無残なものである。
 「大恐慌をプロレタリア世界革命へ」「国鉄決戦の勝利でプロレタリア革命へ」こそ、労働者階級の勝利の時代認識であり、革命の戦略だ。

 闘う労組青年部をつくろう

 われわれは戦後労働運動の限界、資本主義の発展をあくまで前提とする協会派流「反合理化」論をのりこえる職場闘争を全力で推し進めていく。動労千葉の反合理化・運転保安闘争路線の実践をもって階級的団結と職場支配権を取り戻し、労働組合権力をめぐる党派闘争に勝ちぬいていく。青年労働者を先頭とする現場労働者の怒りこそ一切の土台であり、国鉄全国運動、「動労千葉を支援する会」3千人会員と11月全国労働者集会1万人結集の力こそ、最大の拠りどころである。
 職場生産点で資本・当局と闘いぬき、階級的労働運動の前進をめざすすべての青年労働者は革共同、マル青労同に結集せよ! ともに、4大産別決戦の爆発の中で、民主党・連合政権打倒から労働者自己解放のプロレタリア革命の大道を切り開こう。
 資料 “連合の不十分性を克服する”という協会派
「『連合を批判するだけでは何も進まない』というのが本書の立場であり、『活動家』の任務は、その連合運動の不十分さをどう克服していくか(にある)」
(「発刊にあたって」)
 「労働組合が『合理化』に対する基本的姿勢は、第一義的に首切り・賃下げ・労働強化反対でなければならないことは明らかだが、これを教条的にスローガンとして叫ぶだけで広範な労働者を闘いに組織していけるかというと、簡単なことではなかった」(第三章)

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週刊『前進』(2455号4面2)(2010/09/13 )

 西郡住宅裁判大阪地裁闘争

 不当判決に弾劾の嵐

 貯金の差し押さえを追認

 9月3日、西郡住宅闘争―大阪地裁大法廷での貯金差し押さえ弾劾裁判の判決に、家賃供託者を先頭に部落解放同盟全国連西郡支部、八尾北医療センター労組、八尾北命と健康を守る会、全関西・東京から闘う仲間90人が大結集した。
 2年間の裁判をとおして明らかになった応能応益家賃制度の破綻と私たちの闘いの正義性、事実関係の一切を踏みにじり、稲葉重子裁判長は原告9人の訴えを棄却する暴挙を行った。
 「不当判決だ! 絶対に認めることはできない」。岡邨(おかむら)洋全国連西郡支部長が立ち上がって裁判長を弾劾。原告を先頭に傍聴席を埋め尽くした仲間たちは一斉にシュプレヒコールをとどろかせた。被告・八尾市の代理人は、私たちと顔を合わせることを恐れて誰も来なかった。裁判官たちは、あわてて逃げ去った。彼らの不正義は暴かれた。敵を追いつめ勝利しているのは私たちの方だ。

 原告団が烈々たる戦闘宣言

 私たちは直ちに、弁護士会館に場所を移して弾劾集会に決起した。不当判決をものともしない原告団の烈々たる戦闘宣言が発せられた。
 「労働者として、一人の青年として証言に立った。結果はこういう形になったが、勝利しているのはわれわれだ。みんなと一緒に闘っていく」「資本主義の中では弱者が絶えず不利におかれる。団結で闘う以外にない。労働者階級として、さらに前進していく。意気盛んに闘っていく」「裁判官も行政もみんな同じ穴のムジナだ」「判決は絶対許せない。闘うための第一歩だ」「私たちはここまで闘ってきてますます力をつけている。これでもか!と闘っていく」。この闘志! 敵の狙いは根本から打ち破られているのだ。
 弁護団は、「差し押さえた貯金口座はどういう口座か。年金、結婚資金、生活の基盤、命の綱だ」「住宅建設の経緯、新自由主義のもとでの応能応益家賃の導入――こうした重要な争点から完全に逃げている」と判決文の中身を弾劾した。
 判決文は“はじめに棄却ありき”の反動的な内容だ。裁判所は、末光道正議員と住宅管理課の話し合いで「強制執行しない」と言った事実を認めているにもかかわらず、私たちの請求を棄却したのだ。絶対に許せない。
 岡邨支部長は「追いつめられているのは八尾市、国だ。9・3をもって新たな闘いに入った。徹底的に闘いぬく! 団結の拡大によって、ひっくり返す。大いに闘い、大いに団結を固め、徹底的にやろう」と力強く訴えた。
 闘いはまさにこれからだ。住宅明け渡し弾劾裁判の結審は10月1日(午前11時、大阪地裁808号法廷)。八尾北医療センター明け渡し裁判も始まる。私たちは国鉄全国運動とひとつになって住宅闘争、八尾北民営化阻止決戦を闘い、新自由主義攻撃を木っ端みじんに打ち砕く。一切を11月労働者集会1万人結集へ!(投稿/全国連西郡支部 植村清)
(写真 不当判決後直ちに原告団が弾劾と決意を表明。弁護団は判決文を徹底批判した【9月3日 大阪弁護士会館】)

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週刊『前進』(2455号4面3)(2010/09/13 )

 南アフリカで3週間ゼネスト

 人口4900万人の南アフリカで130万人の公務員労働者が8・6%の賃上げと月約1万円の住宅手当を要求し、8月17日から約3週間、ゼネストを打ち抜いた。学校・病院・裁判所などあらゆる公共施設が停止。ズマ政権の激しい非難やスト破り、軍隊や警察を使ったピケット労働者への逮捕・弾圧をはねのけて戦闘的に貫徹された。
 南アでは新自由主義政策のもとでインフレ率が10年間で180%に達している。自動車や鉱山を始めとした主要民間労組も連帯の賃上げストに決起、軍の組合も連帯を表明した。94年のアパルトヘイト打倒以降最大の革命的な労働運動の爆発へと発展している。
 決定的なことは、政府・アフリカ民族会議(ANC)を主導してきた南アフリカ共産党(SACP)の階級的な裏切りが明らかになる中で、これを歴史的に支えてきた南ア労組会議(COSATU)が公然と反旗を翻し始めたことだ。
 ストの指導者は「私たちは世界的な新自由主義の攻撃と闘っている。自分の危機をわれわれに支払わせようとしている資本家どもとの闘いだ。団結すれば必ず勝利できる」と語っている。
 フランスでも7日、サルコジ政権の年金制度改悪に反対して250万人が参加する大規模なゼネストが闘われた。

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週刊『前進』(2455号4面4)(2010/09/13 )

日誌'10 2010年8月31日〜9月7日

 政府がイランへの制裁を拡大/米最新鋭原潜が横須賀に初寄港

●オバマ「イラク戦闘任務終了」 オバマ米大統領はホワイトハウスでの演説で「『イラクの自由』作戦は終わった」と述べ、2003年から続いたイラクでの米軍の戦闘任務が終了したと宣言した。(31日)
●米政府、辺野古報告書を評価 クローリー国務次官補は定例会見で、米軍普天間飛行場代替施設の専門家協議の報告書について「今後も協議を継続する良い基盤となった。数カ月後に開かれる日米安全保障協議委員会(2プラス2)に向けて前進した」と評価した。(31日)
●9都県市合同防災訓練 千葉県君津市の小糸川漁港隣接地と同県木更津市の東京湾アクアライン・海ほたるで、9都県市合同防災訓練の千葉会場訓練があった。参加したのは東京、千葉、神奈川、埼玉の各都県、千葉、横浜、川崎、相模原、さいたまの各市。自衛隊、海上保安庁、消防、電力・ガス会社、各種団体も含め、全部で約200機関の約8千人と、ヘリコプター15機、艦船6隻も加わった。(1日)
●イラン制裁を強化 菅内閣は、国連安保理で6月に採択された対イラン追加制裁決議を踏まえた日本独自の追加制裁を閣議了解した。資産凍結の対象拡大や貿易保険の禁止などが柱。原油の輸入については、経済への影響が大きいとして制裁の対象からは除外された。(3日)
●交付金保留「名護市の反対が理由」
 沖縄防衛局長は定例記者懇談会で、名護市への米軍再編交付金の支給が保留されている問題について、手続きが遅れている理由として、名護市長が普天間飛行場代替施設の建設拒否を公言していることを挙げた。再編特措法施行規則では、再編実施への措置に遅延が生じ、市町村長が協力しない場合、年度交付額を減額やゼロにできるとしている。(3日)
●小沢が在沖海兵隊不要論 民主党代表選に出馬している小沢前幹事長がテレビ朝日の番組に出演し、沖縄に駐留する米海兵隊の存在について「海兵隊の実戦部隊は要らないと思う。米政府も要らないと思うから、引き揚げているんだ」と述べ、海兵隊不要論を展開した。一方で米軍普天間飛行場移設に関連して「合意を守るのは大事」とも述べ、名護市辺野古への移設の日米合意順守の姿勢も示した。(3日)
●最新鋭原潜が日本に初寄港 米海軍は、バージニア級攻撃型原子力潜水艦「ハワイ」(乗員約130人)が海軍横須賀基地(神奈川県)に初めて寄港したと発表した。バージニア級は米海軍最新鋭の攻撃型原潜で、日本入港は初めて。韓国の哨戒艦沈没事件を受け、北朝鮮を牽制する狙いがあるとみられる。(3日)
●米軍機騒音が増加 沖縄県文化環境部は09年度の航空機騒音測定結果を発表した。航空機騒音規制措置で飛行が制限されている夜間〜早朝(22時から翌朝6時)の月平均の航空騒音発生回数が、嘉手納飛行場周辺で測定した15局中13局、普天間飛行場周辺で測定した9局中7局で前年度より増加した。(7日)

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週刊『前進』(2455号5面1)(2010/09/13 )

 米日韓の軍事演習許すな

 対北朝鮮・中国で実戦さながら

 沖縄・横須賀基地撤去へ

 韓国哨戒艦沈没事件を口実に、7月下旬から米韓合同軍事演習が連続的に行われている。これは北朝鮮―中国侵略戦争の策動だ。沖縄は米軍機が飛来し、まさに「戦場の島」となっている。9月5日から予定されていた黄海での合同演習は台風のため延期されたが、演習は年末まで断続的に続く。米日韓の北朝鮮侵略戦争策動を粉砕し、日米安保粉砕・米軍基地全面撤去へ闘おう。
(写真 攻撃機を満載した核空母ジョージ・ワシントン。欧州・中東の戦争に出動し多くの人民を虐殺した)

 史上最大規模の侵略大演習

 ここでは横須賀を母港とする米原子力空母ジョージ・ワシントンを軸として、7月25日から28日まで日本海で行われた米韓軍事演習の内容を暴露・弾劾する。
 演習は、参加人員8000人、艦艇20隻、航空機200機で史上最大の米韓合同演習として行われた。
 ジョージ・ワシントンを旗艦(指揮艦)としてイージス駆逐艦マックキャンベルとジョン・S・マケイン、ラーセンなど5隻の駆逐艦、潜水艦、そして韓国からはアジア最大の揚陸艦独島などが参加した。
 演習では各艦船のレーダーがコンピューターを通して艦隊全体が巨大なひとつの目を持って、広範な作戦範囲内にある北朝鮮・中国の航空機や艦船の動向をすべて掌握し、警戒・監視しながら作戦行動した。
 ジョージ・ワシントンの指揮所では米韓両軍の司令官が協議しながら空母からの艦載機の離発着を指揮し、攻撃・爆撃態勢をとった。
 演習にはステルス戦闘機F22ラプターが参加した。F22ラプターはステルス機能を生かし北朝鮮の警戒をかいくぐって領内に侵入し、堅固な地下施設破壊のために作られた小口径爆弾SDBで核施設の破壊を狙う。北朝鮮本土の爆撃を想定しているのだ。
 F22は通常グアムにいるが、米韓合同演習のために沖縄に飛来してきていた。F22の航続距離は3000`、作戦半径700`。空中給油機を伴って訓練した。中国への戦闘行動が可能だ。
 演習では、侵入してきた北朝鮮潜水艦を撃退する訓練、空母護衛訓練、対空射撃訓練、対艦射撃訓練など北朝鮮侵略戦争の実戦訓練が行われた。
 北朝鮮の潜水艦に対する作戦というが、北朝鮮侵略戦争が対中国戦争へ発展することを想定した演習だ。空母を米韓両軍の戦闘機が護衛する訓練などは、中国が開発中という「空母キラー」と呼ばれる対艦弾道ミサイルを想定したものだ。
 なお海上自衛隊員4人がジョージ・ワシントンに乗り込み、米韓合同演習に参加したことは重大だ。民主党の長島昭久防衛政務官が必死にねじこんだものだ。米日韓一体の戦争体制づくりを狙っている。

 核空母Gワシントンが主軸

 ジョージ・ワシントンは、排水量10万4178d、全長333b、原子炉2基(120万`ワット)を搭載し、士官・兵員3200人、航空要員2480人が乗艦し、搭載機は85機だ。
 92年就役以来、ボスニア・ヘルツェゴビナ侵略戦争、イラク戦争など、ヨーロッパや中東でさまざまな戦争に出動し艦載機が空爆作戦を実施、多くの労働者人民を虐殺してきた。その空母が08年9月から横須賀に配備された。
 横須賀を母港とする空母は、朝鮮半島や台湾を柱に東アジア全体から中東、アフリカ東海岸までの広大な海域・地域を作戦範囲としている。
 横須賀を母港とした最初の空母であるミッドウェーは91年のイラク・中東侵略戦争に参戦した。次の空母インディペンデンスは96年の台湾危機の際に二つの空母戦闘群のひとつとして派遣された。98年1月にはイラク情勢緊迫のもとで急きょペルシャ湾に派遣された。
 次の空母キティホークはアフガニスタン侵略戦争参戦のために01年10月に艦載機を15機搭載し横須賀を出港、北アラビア海でアメリカ軍特殊部隊約600人と約20機の米陸軍ヘリの発着基地となった。
 03年1月、イラクへの侵略戦争のためにキティホークは横須賀を出港した。キティホークの艦載機は、3月20日開始したイラク侵略戦争で3000回以上出撃し、90万d近い爆弾を投下しイラク人民多数を虐殺した。
 そして現在、横須賀を母港とする原子力空母ジョージ・ワシントンは、北朝鮮侵略戦争のための米韓合同演習の主力として参加し、北朝鮮侵略戦争そのものを仕掛けようとしている。
 米帝は、世界支配のために朝鮮戦争、ベトナム戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争などの侵略戦争を全世界で展開してきた。その最大の前方展開の基軸が日米同盟であり、その最大の拠点が沖縄の米軍基地であり、また米空母の唯一の海外母港が横須賀基地だ。米空母は米帝の世界軍事支配のための血塗られた動く核基地である。

 中国漁船長逮捕を弾劾する

 米韓合同軍事演習に対して中国スターリン主義が強烈に反発し、対抗的な軍事演習を行っている。米帝はこの間、対北朝鮮政策としては中国を利用する6カ国協議で対応してきた。北朝鮮の核武装化を6カ国協議の枠の中で抑え込む政策だ。しかし、北朝鮮危機が激しく進行し、韓国哨戒艦「天安」沈没事件が勃発した。韓国のイミョンバク政権は、これを絶好の口実として「北朝鮮の仕業」と断じて北朝鮮への戦争的危機をあおった。朝鮮半島は一触即発の戦争危機に陥った。
 米韓日は国連などあらゆる機会をとらえて北朝鮮の孤立化を図った。北朝鮮の崩壊を促進する戦争戦略「5030」を発動している。
 ところがこの戦争戦略は、実は対北朝鮮のみならず対中国戦争としてもあるのだ。米韓合同演習は、実は対中国戦争として構えられている。
 ジョージ・ワシントンは、8月16日にベトナム沖で、米ベトナム合同軍事演習を行った。ここには西沙諸島、南沙諸島の領有権をめぐるベトナムと中国との対立がある。ここに米帝が対中国の軍事的観点から介入した。
 北朝鮮をめぐり、ベトナムをめぐり米帝の対中国戦争をみすえた対応が激しく始まっている。とりわけ北朝鮮問題は中国にとって死活的な課題となっている。いわば中国の勢力圏としてある北朝鮮が帝国主義によって切り取られる問題であり、中国スターリン主義の崩壊につながりかねない問題である。
 そこに9月7日、釣魚台(尖閣列島)付近で操業する中国漁船が海上保安庁に連行され、船長が逮捕される事件が起きた。日米共同演習シナリオで次の文言がある。
「中国が尖閣列島の領有権を主張したり、その周辺の海域で漁船が領海侵犯をしたりして日本の巡視艇に体当たりをするなどして……」。これが周辺事態法の発動から対北朝鮮―中国戦争に発展するとシナリオ化されている。米ベトナム合同演習、米韓合同演習と一連の、日帝による対中国の戦争行為として9・7中国漁船船長逮捕が行われた。徹底的に弾劾しなければならない。
 横須賀基地では多くの労働者が働いている。基地機能の死命は基地労働者が握っている。
 07年11月、全駐労は大幅賃下げなどに抗議して2波にわたる全国統一ストライキを打ち抜いた。労働者が社会のすべてを動かしており、労働者こそ社会の主人公なのだ。職場で労働者が職場闘争を闘い、反戦闘争を闘い、階級的団結をうち固めていくことが、戦争策動を打ち破り、戦争の元凶=帝国主義を打倒する最大の力だ。
 国鉄・沖縄決戦で菅と小沢を打倒しよう。北朝鮮・中国侵略戦争反対、米韓合同軍事演習粉砕、沖縄基地撤去、横須賀基地など全米軍基地を撤去しよう。辺野古新基地建設を絶対に阻止しよう。
 原子力空母の横須賀基地母港化2周年に抗議する9・25横須賀闘争を戦闘的に闘おう。
 〔宇和島洋〕
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空母母港化37周年、原子力空母ジョージ・ワシントン横須賀母港化2周年抗議、配備撤回を求める
9・25神奈川県集会
9月25日(土)午前11時開会 11時50分デモ出発
横須賀市「ヴェルニー公園」(旧臨海公園)
主催・神奈川平和センター、三浦半島地区労

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週刊『前進』(2455号5面2)(2010/09/13 )

 全国から10・10三里塚へ

 反対同盟が熱烈に訴え (上)

 三里塚芝山連合空港反対同盟は、市東孝雄さんを先頭に10・10全国総決起集会への大結集を全力で呼びかけている。労農連帯の力で10・10の大爆発をかちとり、日帝・空港会社(NAA)の第3誘導路建設、農地強奪攻撃を打ち砕こう。反対同盟のアピールを掲載します。(編集局)

 青年よ、こぞって参加を 事務局長 北原鉱治さん

 今日の政治の様相をみると、民主党は労働者人民の生活など二の次にして権力闘争を繰り返している。今の社会の延長に明るい展望が見出せるだろうか。三里塚闘争は44年間の歳月を経て、あらためてこのような政治に終止符を打つために民衆の先頭で闘うことを明らかにする。
 先日も韓国のKBSが三里塚闘争を取材したいということでやってきて、私が歴史や現状をつぶさに話した。世界が激動に見舞われている中で、三里塚が「空港絶対反対」を掲げて不屈に闘いぬき、現に国策を阻止し、全国の闘いの結集軸になっていることが、やはり注目に値することなのだと感じた。
 65年前の第2次世界大戦で日本がたどった誤った道筋は、単に過去のことではない。当時を体験した者として、この空港が「有事」において50万人もの米軍部隊が飛来する軍事拠点にされようとしていることを、絶対に許すことはできない。
 今この空港の拡張のために、市東孝雄さんという一農民の農地を強奪しようとするやからがうごめいている。市東さんの生活と農業のために欠かすことのできない道路である団結街道を、反対している本人の目の前で封鎖した。そしてやがては大々的な工事を強行して第3誘導路を建設し、市東さんの家と畑を空港の中にすっぽりと囲い込んでしまおうとしている。これが本当に血の通った人間のやることか!
 日本列島のあちこちで進む農業破壊、農民切り捨てのもっとも際だった象徴的な攻撃だ。労働者も資本家にとことん搾取され、首を切られ路頭に放り出されることが次々と起きている。自ら立って闘わなければ明日がない。そういう時代だ。
 今こそ、ものをつくり運ぶ労働者と、命の糧である食物をつくる農民が、固く手をたずさえて闘うときだ。動労千葉の仲立ちによって、アメリカ、韓国、さらにブラジル、ドイツと多くの国の労働者人民との連帯と交流が広がっている。すばらしいことだ。ここに世界の反戦平和の基礎ができつつあると感じる。資本家たちの古い政治をうち砕き、われわれの新しい政治が取って代わる時が来た。
 きたる10・10全国総決起集会に、歴戦の勇士はもとよりだが、青年労働者・学生の大挙結集を呼びかけたい。ともに闘いましょう。

 敵の攻撃受けて立つ! 天神峰 市東孝雄さん

 今年の前半戦は、私の裁判においても現地攻防においても、NAAを追いつめる闘いをやったと思っています。
 10月21日に、羽田空港の4番目の滑走路の開業が予定されていて、アジアだけでなくアメリカの航空会社などが次々とそちらへ移る計画を打ち出しています。NAAと千葉県、成田市など自治体、地元の利権団体などはそれで本当に焦っているのがありありです。向こうはすぐにでも現闘本部をどかして、私の畑も取り上げてしまいたいのだろうが、そうはいかない。
 向こうは団結街道を封鎖して、私の農地を鉄板で囲い込んだわけですが、私にしてみれば「だからどうした」ということです。すべては私を屈服させて追い出そうという攻撃ですけど、「なんの効き目もないよ」と、はっきり言ってやりたい。私は今までどおりここで農業を続けます。成田市は危険なピンカーブを曲がる「迂回ルート」を示し、畑に行くにはそこを通れなどと言うわけですが、そんなのにだまって従っていられるか! ということです。
 今年は警察の逮捕も経験しましたが、取り調べの刑事や検察が何を言おうが、結局は私と支援の人びとの間を切り離そうとする意図でいろいろなことを言ってくるだけで、私の生き方を少しでも変えさせることはできませんでした。それどころかさらに自信が固まり闘志がわきました。
 第3誘導路の工事が8月から始まりました。まず張れるだけフェンスを張ったところですが、もうしばらくしたらフェンスの中でやり始めることでしょう。そして変電所の移転とか道路の付け替えとか工事は本格化してくるでしょうが、私の営農と生活に直接妨害するようなことをやってきたら、その時こそ許しません。その機会をとらえてさらに断固闘います。法も道理も無視してやってくるなら、「受けて立つ!」ということです。
 私がこうして闘っているのは全国の労働者、農民、学生、市民のみなさんの支えがあるからだし、今年沖縄に行って基地に反対する人びとのエネルギーをもらったからです。10・10大結集をいろんな場所で訴えて回っているので、9月は大変忙しい月になっています。どうか一人でも多くの人に、現地に来て、見て感じて考えてほしい。
 10・10三里塚でお会いしましょう。

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週刊『前進』(2455号5面3)(2010/09/13 )

 新成長戦略を粉砕しよう

 「東アジア共同体」構築と9割の非正規職化を狙う

 民主党・連合政権が進める新成長戦略は、世界大恐慌で絶望的な危機を深める日帝の総力を挙げた戦略的で全面的な攻撃である。7日に設置を閣議決定した新成長戦略実現会議の陣容はそれを示している。菅首相が議長を務め、委員には米倉弘昌・経団連会長、岡村正・日本商工会議所会頭、桜井正光・経済同友会代表幹事とブルジョアジーのトップが名を連ねている。さらに許せないことに古賀伸明・連合会長までが参加している。
 「新成長戦略」は「新成長戦略〜『元気な日本』復活のシナリオ〜」(以下「戦略」)として6月に閣議決定された。その階級的本質は、外に向かっての侵略戦争=「東アジア共同体」構築の策動であり、内への階級戦争=徹底的な賃下げと9割の労働者の非正規化の攻撃である。
 「戦略」は「世界同時不況を一つの契機に、持続可能な資本主義の在り方についての本質的な検討を深めている」と、危機感をあらわにし、これが日帝の生き残りをかけた必死のあがきであることを語っている。徹底的に粉砕あるのみだ。

 民営化推進とボランティアへの動員攻撃

 まず、「戦略」は「環境、健康、アジア、観光」で約500万人の雇用を実現すると宣言している。その実態は何か? 過半数の284万人の雇用を創造するとしている「健康(ライフ・イノベーション)」についてみてみよう。「戦略」は「日本の高齢化は、医療・介護・健康関連産業にとって高い成長と雇用創出が見込めるチャンスである」「民間事業者等の新たなサービス主体の参入も促進し」と述べている。悪名高いあの「コムスン」などのように、医療や介護をこれまで以上にあくどく資本の食い物にしようというのだ。労働者に対してはどうか。非正規職に突き落とし、いっそう安い賃金で長時間、体がぼろぼろになるまで過酷な労働を強制するということだ。
 さらに、「幼保一体化に全力で取り組む」と、全面的な民営化と保育公務員労働者30万人の首切り・非正規化を宣言している。
 それらがもたらす「社会の不安定化」=労働者の反乱を防止するために持ち出しているのが「新しい公共」だ。その狙いは、一方で財政危機を突破するための社会保障の解体であり、公務員労働者の首切り・自治体労働運動の解体だ。代わって、それを民間・ボランティアに担わせようというのだ。「戦略」はその運動の「国民参加割合を5割に拡大する」と“大国民運動”として展開することをたくらんでいる。
 もう一方で「戦略」は「新しい公共」の役割を次のように語っている。「長期失業や非正規就業で生活上の困難に直面している『孤立化』した人々を支える『パーソナル・サポート』制度を導入」するというのだ。失業や非正規雇用で労働者を生存の限界まで追い込み、その怒りが爆発するのを防ぐためにわずかな“施し”を与えてやろうということだ。どこまで労働者を愚弄(ぐろう)するのか。
 さらに、この活動を「従来の行政機関ではなく、地域の住民が……共助の精神で参加する」と、労働者階級のボランティアへの動員を画策している。日帝は、新成長戦略の推進が労働者階級の根底的な怒りを引き出すものとなることに心底おびえきっているのだ。

 インフラ輸出はアジア侵略政策そのもの

 世界大恐慌は、中国スターリン主義をも巻き込みながら、帝国主義間・大国間の争闘戦を激化させ、分裂化・ブロック化を激しく促進している。新成長戦略の本質はさらに、この死闘戦下で日帝が死活をかけて「東アジア共同体」の構築をめざし突っ走ろうとすることだ。
 「戦略」は、「アジア諸国が急速な成長を遂げてきた」「日本にとって、大きなビジネス機会である」と侵略の牙をむき出しにしている。その遂行のために、「『東アジア共同体構想』の具体化の一環として、2010年にAPECをホストする機会を通じて、FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)の構築のために強いリーダーシップを発揮する」と並々ならぬ決意を語っている。
 日帝が画策しているアジア勢力圏化の具体的道筋がパッケージ型のインフラ(社会的資本基盤)輸出だ。「戦略」はそれを、「インフラ整備をパッケージでアジア地域に展開・浸透させる」と述べている。政府は、官民の連携でベトナムへの原発のセールスを行うなど早くも動きを開始している。さらにマレーシア、インドネシアの水関連事業、フィリピンの高速道路建設など東南アジアで9つの重点事業を選ぶ方針も固めた。
 パッケージ型とは、設備・資材・プラントなどの輸出だけでなく、企画から建設後の運営・管理まで含めて「パッケージ」にして輸出することだ。これは単なる商品輸出、資本輸出をこえて、相手国の生産基盤を握り、経済的・社会的に支配し勢力圏化していくことを意味する。20世紀初頭、帝国主義各国は侵略した植民地に真っ先に何百`もの鉄道を建設し、植民地支配・経営の基盤としていった。パッケージ型インフラ輸出はその現代版だ。
 だがこれは米帝・中国などとの争闘戦を激烈化させ、勢力圏をめぐる戦争へと発展していく。日帝は、すでにEUや中国などとの間で新幹線(高速鉄道)や原発の輸出をめぐって対立をエスカレートさせている。
 新成長戦略は日帝にとって破滅的とも言えるコースだ。だが、帝国主義であるかぎりこの道を突き進む以外にない。「新安保懇」報告が狙う戦争のできる国家への飛躍、「公務員制度改革」による労働運動の解体を目指す攻撃はいずれも一体のものだ。

 日帝の延命に積極的に手を貸す連合中央

 民主党・連合政権下で新成長戦略を積極推進しているのが、連合を牛耳る労働貴族どもだ。新成長戦略は連合がより加担を深めることで可能となるのだ。冒頭で紹介したように連合は新成長戦略実現会議の委員に会長の古賀を送り込み、「連合の考え方の多くが新成長戦略に盛り込まれた」「成長戦略が策定されたことを高く評価する」(事務局長・南雲)と、積極的な立場を表明し、最大限の賛辞を送っている。実際にも連合はすでに原発輸出の積極推進を明言し、全水道は水道事業輸出の積極推進を打ち出している。
 さらには「この成長戦略を如何に実現させるかが重要である」「そのためには、この計画を実現していく強い政治のリーダーシップが必要」と民主党政権にはっぱをかけ、その先頭を担うことを誓っているのだ。「労働組合」の名を掲げて帝国主義の延命に積極的に手を差し伸べ、日本・アジア・世界の労働者階級を地獄に突き落とそうというのが連合の労働貴族どもだ。絶対に許すことはできない。
 階級的労働運動を発展させ、青年労働者を先頭に11・7労働者集会への1万人結集を実現しよう。その力で新成長戦略を粉砕しよう。
 〔北沢隆広〕
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【表】 「新成長戦略」の7戦略分野と21国家戦略プロジェクト(抜粋)
@環境・エネルギー大国戦略
A健康大国戦略
 ●国際医療交流
Bアジア経済戦略
 ●パッケージ型インフラ海外展開
 ●法人実効税率引下げとアジア拠点化の推進等
 ●アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の構築を通じた経済連携戦略
C観光立国・地域活性化戦略
 ●「総合特区制度」の創設と徹底したオープンスカイの推進等
 ●公共施設の民間開放と民間資金活用事業の推進
D科学・技術・情報通信立国戦略
 ●「リーディング大学院」構想等による国際競争力強化と人材育成
E雇用・人材戦略
 ●幼保一体化等
 ●新しい公共
F金融戦略

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週刊『前進』(2455号6面1)(2010/09/13 )

団結ひろば 投稿コーナー 団結ひろば 投稿コーナー

 8月日本での闘いは大きな収穫でした! ドイツ イングリット、モニカ、ローラ

 日本の同志のみなさん。8月前半の闘いをともに闘うことができたことは私たちにとってとても大きな収穫でした。特に「労働者階級に対する絶対的信頼」が強調され「労働者階級の解放は労働者自身の事業である」と繰り返し提起されたことは、今でも頭の中にしっかりと残っています。それと革命運動の三本柱は、時代認識と路線と団結でしたよね。
 集会に参加するのに入場料を払うのはドイツにはないことで、ちょっと意外だったのですが、それ以上に、みなさんがとても明るく生き生きと闘っているのに触れたことはすばらしいことでした。戦闘的な演説の仕方、集会の組織の仕方・盛り上げ方などすごく勉強になりました。特に、集会の最後にみんなでやる「団結! がんばろう!」は私たちにとってすごいインパクトで、体が震えるような信じられないような瞬間でした。
 それと、すばらしいなと思ったのは労働学校です。そこでマルクスやレーニン、階級闘争の現状などを学ぶわけですね。動労千葉をはじめ全国にそういう学校がいくつもあると聞いて本当に驚きです。しかも語学講座もあるなんて!
 9月には全学連大会が、そして11月には全国労働者総決起集会が開催され、訪韓闘争が行われると聞いています。みなさんの秋の闘いが大成功をおさめることをドイツの地から応援したいと思います。
 私たちも仲間を募り、新たな闘いに踏み出していきたいと思います。
 国際連帯万歳!

 8・6の責任勢力として飛躍し大勝利! 広島 竹林かな

 去る8月27日、8・6ヒロシマ大行動の総括実行委員会が行われました。戦争切迫情勢、連合の変質の中で、8・6ヒロシマ大行動こそが反戦・反核闘争に責任をとる決意で臨み、大勝利と飛躍を大きくかちとることができたと確認されました。実行委員会に参加し論議してきたみんなが、例年になく主体的に大行動をつくりあげたことが飛躍の鍵だったのではないかと思います。
 ある団体は、分岐した二つの「8・6」から誘いを受けたが、デモ行進があるのは「大行動」だけであり、平和のための実践として「大行動」を選択して参加してくださいました。ここ数年、過激で言葉の意味もよく分からない、といった批判も「いい行動にしたい。広島の市民に伝わる言葉で訴えたい」という思いで提起してくださったのですが、今年はそれが実現できた、本当によかった、と言ってくださっています。
 以下に、初参加者の感想を紹介します。

 平和を創る行動の一歩 広島 M

 昨年までの私の8月6日は「平和について考える一日」で、近年は「記念式典」に参加し、それが自分の中では「行動」だった。しかし、今年初めて「8・5交流集会−8・6大行動デモ−8・7平和公園碑めぐり」に参加した。
 印象に残っているのは、行動に移している人たちの「目」。生き生きとしていた。「平和」に向かって願い・祈る人はたくさんいるけれど、遅々として進まない現実や矛盾に「先が見えない」と悲観的な気持ちにもなる。でも、ここに参加している人たちからは、現実の矛盾に怒り、そして「祈るのではなく自分たちで創(つく)ってやるぞ」という「未来に向かう」エネルギーを感じた。
 集会の中で全国から選りすぐりの労働問題を知ることとなったが、誰も立ち止まっておらず、自分の身近な矛盾に気づき、怒り、立ち向かっていた。一日だけの「行動」ではなく、続けていくことにこそ意味があることを教えてくれた。
 まさに「継続は力」。平和を創る「行動」も同じ。今だって、「NPT再検討会議」を終え、「被爆65年目」を迎え、世の中は「核廃絶」に向け大きな節目に来ているはずなのに、国の代表者たちは「非核三原則見直し修正案」を提出したりしている。同じ国の中で当たり前のように起こる相反する動き。「この『矛盾』を本当に変えることができるのだろうか」と、今までならただ疑問に思うだけであったが、多くの仲間がいるとわかった今は「できるかもしれない」。
 私のような感覚でいた人は少なくないかもしれない。でも、気づけば変わる。来年の「大行動」へはこの経験で成長した「私」で参加したい。

 自治労本部の裏切りは完全に一線越えた 関西・自治体労働者 青野暁人

 自治労徳島大会で自治労本部の裏切りは完全に一線を越えた。特に大阪市職出身の徳永委員長の「賃金シェア」方針は、大阪市「職員1万人削減」のような道州制攻撃=大量非正規化攻撃を補完して促進するものだ。
 大阪市職本部のこの間の分裂は、この1万人解雇を推進するのかどうかをめぐる分裂であり、分裂選挙を終えた徳永委員長は、この大会ですべての単組に「大阪市職本部のように道州制攻撃に協力しろ」という宣言を発したということだ。
 大会では、われわれの「大阪市1万人削減に絶対反対で闘おう」というアピールを聞いて焦った関西の自治労幹部が「大阪のことに勝手に口を出すな」「生き残りのためにどれだけ必死か分かっているのか」とヤジを飛ばしてきた。
 しかし「じゃあ1万人削減に対してどうするつもりか」と追及すると「お前たちに話す必要はない」「あれは橋下府知事の維新の会に対して対抗的に言っているだけであって、本当にやるわけがない」と言う。
 まさに国鉄分割・民営化と同じように「道州制などない」「首切りなどやれない」という言い訳で幹部だけの「生き残り」を画策しているのだ。
 当然ながら、こんな論理に現場労働者はまったく支配されていない。実際に「1047名解雇撤回」署名が例年をはるかに超えるペースで集まり、アジテーションを聞きに集まってくる労働者も多数いた。
 われわれの登場が本当に労働者の向かうべき方向を示すものになってきた。すべての現場労働者と向き合い、闘う団結と路線を打ち立てる指導部になる決意をあらためて固めた。

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週刊『前進』(2455号6面2)(2010/09/13 )

 マルクス主義学習講座

 『共産党宣言』をとらえ返す(中)

 労働者階級は勝利する主体として歴史的に成長する

 プロレタリア革命 1章後半

 「ブルジョアジーは、自分に死をもたらす武器をつくりだしただけではない。その武器を取る人々をもつくりだした。すなわち近代の労働者。プロレタリアである」
 ここでの「武器」とは、生産力の発展そのものである。ブルジョア的に発展した生産力がブルジョア的生産関係、所有関係、秩序に反逆する。恐慌という経済破綻を引き起こす。だが、ひとりでにその「反逆」(経済破綻)が革命に転化していくわけではない。ブルジョアジーは、その「武器を取る主体」、革命情勢を革命に転化する主体=労働者階級という革命の主体をつくり出した。労働者階級は実際に武器をとって闘うという意味でもある。プロレタリアートは、自ら立ち上がってブルジョアジーを倒す。革命的行動によって、破綻した支配階級を打ち倒す。そうした歴史的存在なのだ。

 プロレタリアートとは

 プロレタリアートは、このように『宣言』の叙述の中で、具体的には革命(労働者革命)の主体として登場してくる。ここから、あらためて労働者階級の闘争の発展をたどり直す。
 ブルジョアジーつまり資本が発展する度合いに応じて、プロレタリアートも発展する。
 「近代の労働者階級は労働があるかぎりで生きられる、しかも、その労働が資本を増殖するかぎりで仕事にありつける。労働者は、自分を切り売りする。労働力を商品として売る。だから自分自身を商品として売っているに等しい。だからまた競争と市場のあらゆる動揺にさらされている」
 労働力の商品化という資本主義の本質的矛盾が「近代の労働者とは?」という問いの中でズバリと規定されている。
 機械の普及と分業の発達によって、労働者は機械の付属物になった。
 「労働者にかかる費用は、自分の生存の維持と労働者種族の繁殖のために必要な最小限の生活手段に限られる」
 「さらに機械や分業が増加すればするほど、労働時間の延長によってあるいは単位時間の労働密度の強化(ノルマの増大あるいは機械の運転速度の増加)によって、労働の量は増加する。搾取は増える」
 大工場の中で労働者は、産業の一兵卒として、軍隊的に位階的に組織される。
 「労働者は、ブルジョアジーやブルジョア国家の奴隷であるだけではない。機械の、職制の、個々のブルジョアジーの奴隷である」(市場での労働力の売買だけでなく、まさに労働現場でそうなっている)

 労働者階級の闘争の発展

 「プロレタリアートはさまざまな発展段階をとおっていく。プロレタリアートのブルジョアジーに対する闘争は、その存在とともに始まる」
 最初は個々の労働者が闘う。次に一つの工場の労働者、さらに、地方における一労働部門の労働者が闘う。しかし、階級的に団結して資本家と闘うのではなく、労働者の怒りは最初、機械、工場の打ち壊しに向けられる。職人的労働者たちは失われた地位を取り戻そうとする。この段階では労働者は分散的、受動的だ。労働者の結集はブルジョアジーの団結の結果にすぎない。ブルジョアジーが自分の政治目的のために、全プロレタリアートを運動に引き入れる。プロレタリアートは(この段階では)自分の敵の敵と闘う。
 「歴史的運動(の主導権)は、すべてブルジョアジーの手に集中的に握られている。こうして獲得された一つひとつの勝利はすべてブルジョアジーの勝利となる」
 労働者階級はそこからどのように発展し、前進し、成長していくか。そしてついに、何を成し遂げることができるのか。
 工業の発展とともに、プロレタリアートの数は増加する。密集した巨大な集団となり、力も増大する。その力を自覚するようになる。
 ブルジョア的生産の発展とともに、個別的な衝突は「ますます階級間の衝突という性格を帯びる。労働者はブルジョアジーに対する同盟を結成し、賃金要求のために結集する。労働者は恒常的な組織をつくり、反抗にそなえる」(労働組合)。
 「労働者はときどき勝利する。しかしそれは一時的なものにすぎない」「労働者の闘争の本当の成果は、労働者の団結がますます広がっていくことにある」「多くの地方的な闘いはどこでも、一様な性格をもってきているので、お互いに連絡がつけば容易に一つの全国的闘争、一つの階級闘争に統一される。ところであらゆる階級闘争は政治闘争である」
 「このようにしてプロレタリアは階級へ組織され、それとともに政党に組織されていくが、それは労働者自身のあいだの競争によって、繰り返し破壊される。しかしこの組織化はいつもそのたびに再建され、ますます強力に、ますます強固に、ますます強大になる」(資本と国家権力による弾圧と分断、組織破壊をのりこえて発展する労働者の階級的団結と党=政治組織の形成・発展)
 これらの闘争において、「ブルジョアジーはプロレタリアートに呼びかけ、協力を求め、政治運動(ブルジョア的改革)に引き込む」「このようにして、ブルジョアジーは自分たちのもっている教養的な要素(知的な力)をプロレタリアートに供給するが、それはブルジョアジー自身に向けられる武器となる」
 階級闘争が決着に近づく時期になると、「支配階級の一部分が自分の階級から絶縁し、未来を決する革命的階級に結びつくようになる」。今やブルジョアジーの中から、とりわけ「歴史的運動の全体を理論的に理解するまでにいたったイデオローグの一部がプロレタリアートの側に移行してくる」。
 ここの展開は、労働者階級の階級への形成と党の問題において、本質論として重要な意味がある。労働者階級は闘争の中であらゆる条件・要素を取り込みながら、ブルジョアジーを倒す力を持つ階級として歴史的に成長する。あくまで労働者階級自身の歴史的事業としてとらえられている。
(写真 ▲9月7日、フランスでサルコジ政権の年金制度改悪計画に反対して300万人がゼネストに決起。全国200カ所でデモを行った。全世界で労働者が立ち上がっている!)

 真に革命的な階級

 プロレタリア=共産主義の主体

 「今日、ブルジョアジーに対立しているすべての階級の中で、プロレタリアートだけが真に革命的な階級である。その他の階級は、大工業の発展によって衰退し没落する。プロレタリアートこそは大工業のすぐれて固有の産物なのである」
 ブルジョアジーに反抗し、立ち上がる他のすべての階級は、プロレタリアートの立場に立ち、ともに闘うことによって革命的となる。
 「これまで支配をかちとったすべての階級は、全社会を自分たちの利得の諸条件のもとに従属させることによって、生活上の地位を守ろうとした。プロレタリアは、自分自身のこれまでの獲得様式、同時にこれまでの歴史上のあらゆる獲得様式を廃止しないかぎり、社会的生産力を自分のものにできない」
 労働者が自分のぎりぎりの生存費しか保障されない状態を廃止することによって、社会的生産力全体を個々人が豊かに担いかつ享受する関係を初めてつくり出せる。

 公的社会全体を吹き飛ばす変革

 「これまでのすべての運動は、少数者の運動あるいは、少数者の利益のための運動だった。プロレタリアの運動は、圧倒的多数者の利益のための、圧倒的多数者による自立的な運動である」
 「現在の社会の最下層であるプロレタリアートは、公的社会を形成しているいくつもの層の上部構造全体を空中に吹き飛ばさなければ、起き上がることも身を伸ばすこともできない」
 私的欲望と経済的利害がぶつかりあう、いわゆる「市民社会」(経済的諸関係)に対して「公的社会」と言っている。広義の「政治的イデオロギー的上部構造全体」を指す。これらを丸ごと拒否し、粉々に打ち砕き吹き飛ばさないと労働者階級は身を伸ばすこともできない。ブルジョアジーを倒し革命に勝利するということは、同時に公的社会全体を覆し、社会と人間のあり方全体を根底から変えるということでもある。
 「プロレタリアートのブルジョアジーに対する闘争は、内容上ではないが、形式上ではまずは国民的なものである。それぞれの国のプロレタリアートはもちろんまず第一に自国のブルジョアジーと決着をつけなければならない」(プロレタリア革命の根底性、暴力革命、プロレタリア独裁論、世界革命)
 「われわれはプロレタリアートの発展の最も一般的な諸段階を描き出すことによって、現存の社会のなかに潜む多かれ少なかれ隠然とした内乱が、ついに公然とした革命となって爆発し、ブルジョアジーの暴力的打倒をとおしてプロレタリアートが自分自身の支配を打ち立てる地点にまで到達した」
 プロレタリアートがこの後、どのように進み、何をどう変革していくかは第2章で見よう。

 勝利の必然的根拠 1章まとめの2段落

 第1の段落

 「これまでのすべての社会は、抑圧階級と被抑圧階級の対立にもとづいてきた。しかし一つの階級を抑圧することができるためには、その階級に少なくとも奴隷的な生存ぐらいは保っていけるだけの条件が保障されていなければならない」
 「ブルジョアジーには支配する力がない」
 「彼らは自分たちの奴隷にたいして奴隷制の内部で奴隷としての生存を保障することができないからであり、また奴隷に養われるどころか、奴隷を養わなければならないような状況にまで奴隷をおとしいれていかざるをえない」
 「ブルジョアジーの存在はもはや社会とはあいいれない」(すべての権力を労働者に!)
 資本主義、現代の帝国主義は、労働者を食わせることもできなくなっている。ブルジョアジーはなぜ「工場法以前に戻す」と言っているのか。なぜ労働者保護の考え方そのものを否定しようとしているのか。全面的な〈弱肉強食の論理>で、大半の人間を純然たる搾取材料の地位にたたき落とさない限り、もはややっていけないからだ。

 第2の段落

 ブルジョアジーの存在と支配の本質的条件は資本の形成と増殖である(富の私的な集中)。資本の条件は賃労働であり、賃労働は労働者の競争(分断)を条件とする。したがって、労働者の「組織による階級的団結・革命的団結」がはっきりと形成され突きつけられるなら、ブルジョアジーの存在・支配、資本の運動そのものが不可能となるのだ。
 労働者階級は、資本に対する防衛のためだけからも階級的団結を必要とする。この対立は本質上非和解的なものだから、革命的団結を必ず発展させる。こうして、ブルジョアジーの存立の土台そのものが崩れる。
 〈階級的に団結したプロレタリアートをいつまでも搾取できる資本主義>など成立しない。だからブルジョアジーは、実は自分の墓掘り人を生産しているのだ。ブルジョアジーの没落とプロレタリアートの歴史的勝利は不可避である。
 繰り返し破壊されるとしても、資本・国家権力と闘う中で、労働組合を労働者階級の闘う団結体としてよみがえらせ、それを基礎に革命(全面的勝利)を貫徹し、〈階級のない社会>に向かって、全社会を自分たちで運営できる団結をより強力につくり上げていく。どんな困難があれ、労働者階級にはそれができる。
 (つづく)
 〔仲山良介〕

 【目次】
◆「まえがき」部分、
第1章前半/ブルジョアとプロレタリア(前号)
◆第1章後半/プロレタリア革命(今号)
◆第2章/プロレタリアと共産主義者、第3章、第4章(次回)

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週刊『前進』(2455号6面3)(2010/09/13 )

 星野さんとともに

 8・25-26徳島−自治労大会と星野奪還を闘う

 関西 桑原雅人

 大阪が今年の暑さにおいて全国一と言われる中、徳島も8月25、26日、大変な暑さであった。星野文昭さんが不当にも閉じ込められている徳島刑務所は、かなり山間部にあるが、冷房がない中、今年は例年以上に大変な夏を過ごされていることは容易に想像できる。
(写真 全国自治体労働者総決起集会で発言する星野暁子さん【8月25日】)

 暁子さんと共に

 自治労大会の前日、自治体労働者は全国から続々と集まり、自治労本部を打倒するとの熱気のもと、前夜決起集会を猛然とかちとった。
 この集会には星野全国再審連絡会議からも多くの参加があった。代表して星野暁子さんが発言された。この日の午後の星野文昭さんとの面会において、刑務所当局がこれまでずうっと認めていた金山克巳さんの面会を認めなかったことが報告された。会場から「許せない!」「刑務所当局の分断攻撃に反撃するぞ!」等々怒りが爆発した。
 今さまざまに星野文昭さんとわれわれを分断し、星野文昭さんの孤立化攻撃を卑劣にもエスカレートしてきているのは、刑務所当局が今や内と外のさらなる団結の高まりを恐れているからだ。今こそ星野文昭さんとわれわれ労働者との団結をさらに強めよう。

 徳島刑務所行動

 わたしたちは実際に翌日、自治労大会1日目のビラ配布、全国国鉄運動賛同署名活動後、全国の自治体労働者30人をこえる部隊で徳島刑務所に行き、星野文昭さんへの差し入れ行動を次々に行った。
 自治労中央は今や民主党の中枢そのものとなり、公務員労働者360万人いったん全員解雇・一部選別再雇用攻撃の手先に成り下がった。
 全国の自治体労働者は必ず自治労本部打倒・体制内組合幹部打倒に決起する。この闘いの先頭でわたしたちは闘い、日本階級闘争をギリシャのような闘いに持ち込む。さらにそれを発展させ、星野文昭さんを労働者人民の手に、胸に取り返そう。星野文昭さん奪還へ、これからも闘う!

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