ZENSHIN 2010/06/06(No2454 p08)
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週刊『前進』(2454号1面1)(2010/06/06 )
大恐慌の激化と財政破綻にあえぐ
民主党政権=菅・小沢打倒を
全国300万学生は全学連大会へ
国際連帯と国鉄全国運動の発展で11・7労働者集会へばく進しよう
11・7全国労働者総決起集会は、「大恐慌をプロレタリア世界革命へ」と一直線に突き進む今年最大の階級決戦、政治決戦だ。それは何よりもまず、@国鉄闘争全国運動とその組織を職場・地域1千カ所に組織化する闘いであり、A民営化・外注化阻止、派遣法・非正規職撤廃の闘いである。そして同時に、B沖縄米軍基地撤去、戦争・改憲阻止、APEC粉砕の反戦政治闘争であり、C労働者国際連帯の発展をかけた闘いである。9・14代表選で大分裂情勢に突入した民主党、菅と小沢をともにぶっ飛ばし、労働者階級の根源的怒りと今こそ結合して、職場・地域で大組織戦へ猛然と打って出よう。
代表選そのものに労働者の怒りを!
9月14日の民主党代表選に首相・菅と前幹事長・小沢が立候補し、民主党を二分して「大義なき権力闘争」などと称される醜悪極まる全面激突の選挙戦が繰り広げられている。菅も小沢も、ともに最悪の労働者人民の敵である。連日報道される選挙戦の過程自体が、労働者人民へのとんでもない攻撃だ。
これに根底からの激しい怒りを爆発させ、菅も小沢もぶっ飛ばさなければならない。大恐慌の激化と国家財政の破綻にあえぎ、超反動化を深める民主党・連合政権を、一刻も早く打倒するために総決起しよう。
民主党代表選は、「これは西南戦争。小沢をつぶす」と菅陣営が公言するように、民主党内のブルジョア的両陣営の激突であり、どちらが勝とうとも、民主党分裂や政界大再編をはらみながら事態は進展している。しかも菅も小沢も、普天間問題に象徴される安保・外交問題や内政=経済政策において、若干の対立を抱えているが、大恐慌激化の中で支配階級としての政策的確信と展望を一切持っていない。
彼らは自分の政治生命の危機と資本主義・帝国主義の体制的破綻にあえぎ、のたうち回っている。民主党分裂をも不可避とするこの選挙戦自体が、まさに断末魔の日帝・政治委員会とブルジョアジーの姿そのものだ。
菅や小沢をここまで追い詰めているものは、一方での大恐慌の激化と財政破綻だ。そして他方での、昨年の8・30総選挙、今年の7・11参院選情勢で示された労働者階級の怒りと決起である。「ギリシャのゼネストのようになる」という労働者階級の反乱への恐怖が、彼らの行動を根底で規定しているのだ。
こうした中で決定的なのは、菅と小沢の激突、民主党の分裂は、連合の帝国主義労働運動とその指導部の危機を激化させると同時に、そのさらなる翼賛化・反動化を一挙に促進するということだ。これはまた、連合を支柱とし先兵としたボナパルティズム的な労働者支配、政治支配体制の崩壊を意味する。
そしてこれは、労働者階級と資本家階級のむきだしの激突によってのみ決着がつく革命的激動情勢への突入、革命的情勢の本格的成熟だ。今や階級闘争の一切が労働運動、労働組合をめぐる、壮絶な死闘によって決せられる。国鉄全国運動の実践をもって、この階級闘争の荒海に断固として漕(こ)ぎ出そう。青年労働者を大胆に膨大に組織し、11・7労働者集会の1万人結集で勝利を決しよう。
非正規化とアジア侵略の新成長戦略
今日の情勢を根底で規定しているのは、米帝経済を始めとして「二番底」への転落が現実化しつつある大恐慌の深まりだ。この中で、円高・株急落に示される「最弱の環」としての日帝の最後の延命策ともいうべきものが、日本経団連、民主党、連合が運命共同体的に一体となって推進しようとしている「新成長戦略」だ。その階級的本質は何か。
第一に、これは正規職労働者を非正規職労働者へ90%まで置き換える大攻撃だ。「500万人の雇用創出」とは公務員労働者360万人をいったん全員解雇し、選別再雇用で、基本的に非正規職として採用することだ。
8月3日の衆院予算委員会の審議で何が言われたか。「とにかく労働基本権を公務員に早く付与してください。それで民間並みのリストラ、人員整理ができるようにしましょうよ」「できの悪い人には3分の1、4分の1の給料を」「今の制度(人勧制度)があるから生首が切れないんですよ」(みんなの党・江田憲司)。これが怒りなしに読めるか。
民主党議員とのやりとりで江田は、労働者の生首を飛ばせ、賃金を3分の1、4分の1にせよ、そのために労働基本権に言及し(実はスト権は絶対に認めない)、人勧制度を廃止して、公務員の身分保障をなくせとわめいているのだ。これはこそ日帝ブルジョアジーがやろうとしていることの正体である。
自治労徳島大会での、「正規・非正規の均等待遇の実現のために正規・非正規の賃金シェア(分かち合い)に大胆に取り組む。人勧の削減原資を非正規に配分する」という徳永委員長発言は、日帝と民主党の公務員攻撃に全面屈服し、非正規職化と賃下げを推進する連合ダラ幹の許し難い本質・正体を示した。これが4・9政治和解の帰結だ。
国鉄全国運動を4大産別の中に嵐のように巻きおこし、階級的労働運動の拠点を建設することこそ、「新成長戦略」と民営化・道州制攻撃を打ち破る唯一最大の道だ。
第二に、「新成長戦略」は「インフラ輸出」でアジア侵略へと全面的に打って出る新たな攻撃だ。日帝は「東アジア共同体」構想に、大恐慌からの延命の一切をかけている。
具体的には、アジアへの新たな商品輸出・資本輸出に加え、原発、新幹線、人工衛星などを含む大規模な「インフラ輸出」に乗り出し、それを企画から建設後の運営・管理まですべて「パッケージ」にしてやろうとしている。まさに全面的なアジア侵略と勢力圏化の攻撃だ。アジアのインフラ整備は、2010〜20年に8兆jの規模が見込まれている。
しかし、この官民一体の「インフラ輸出」はすさまじい反動的飛躍を日帝に突きつける。特に自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)の締結で、日帝は米欧と中国に大きく後れをとっている。これを打開するため日帝は、ASEAN関連の経済閣僚級会議で東アジア地域の16カ国の経済統合に向けた行動計画原案を提示し(8月26日)、10月の東アジアサミットで協議しようとしている。だがこれは、米帝および中国スターリン主義との争闘戦、全面激突が不可避だ。
ここでも、連合などの労働組合が「東アジア共同体」構想を全面的に支えていることは重大だ。連合の原発建設推進への転換は、原発輸出の最先兵を担う宣言でもある。全水道の「水基本法制定」運動は上下水道のインフラ輸出推進であり、JR総連やJR連合の「交通基本法制定」運動も新幹線輸出の推進だ。この侵略と戦争の先兵化を許すな。
国鉄全国運動は安保・沖縄闘争を闘い、戦争・改憲を許さない階級的潮流を一つに束ねる大衆闘争でもある。この運動を発展させ、11月総決起で、「東アジア共同体」構想もろとも「新成長戦略」を粉砕しよう。
三つの実践方針を貫き11月総決起へ
「新成長戦略」との闘いの核心は、労働者階級の階級意識と団結の解体を狙った大攻撃に、階級的労働運動路線の全面的飛躍をかけて反撃し、闘い抜くことである。
4・9政治和解は、1047名解雇撤回闘争の圧殺、戦後労働運動の解体で、労働組合的団結を根こそぎ絶滅する歴史的な大攻撃だった。こうして総屈服・総転向した帝国主義労働運動と労働組合を先兵に、日帝は全労働者の首切り・非正規雇用化を推進し、新たな侵略と戦争に突き進もうとしているのだ。
だが同時にこの過程は、連合を使った労働者支配を劇的に崩壊させていく。すでに現場とダラ幹の矛盾・対立は極限的に高まり、自己保身に走る体制内勢力が組合権力を放棄していく事態も生まれている。問題は、階級的労働運動派がいつでも組合権力を取りにいく主体的準備をしておくこと、何よりも組織的力を蓄えることである。4・9反革命に総力で反撃する国鉄全国運動の発展をもって、民主党の分裂、政界大再編情勢という未曽有の政治危機と真っ向から対決し、職場・地域に階級的労働運動の拠点をつくりだそう。
その実践的方針こそ、@動労千葉の反合・運転保安闘争路線を貫く職場闘争への決起、Aこの職場での生きた攻防と結合し、全産別・全職場で動労千葉物販に取り組むこと、Bそしてそれを水路に「動労千葉を支援する会」を始めとした国鉄闘争支援組織を職場・地域に組織することだ。国鉄全国運動の発展、会員拡大こそ11月1万人決起を実現する道だ。細胞的団結、組織的団結で、あらゆる困難をのりこえ、組織的前進をかちとろう。
三里塚闘争は、「東アジア共同体」構想と米日韓による北朝鮮侵略戦争策動に真っ向から対決する闘いだ。労農同盟と軍事空港絶対反対、農地死守・実力闘争の原点に立って、階級的な発展をかけて、10・10三里塚全国闘争に総決起しよう。
9月全学連大会に、全国300万学生は革命への情熱に燃えて大結集しよう。青年労働者と学生の決起こそ、大恐慌を革命に転化する最大の力だ。青年・学生の主体性、能動性を思う存分に発揮し、闘う自治会、闘う労組青年部をよみがえらせ、11月1万人総決起へとばく進しよう。
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週刊『前進』(2454号1面2)(2010/06/06 )
10・10三里塚集会へ招請状
呼びかけに応え大結集しよう
国交省と成田空港会社による第3誘導路建設と市東孝雄さんへの農地強奪攻撃の切迫に対し、反対同盟は10・10三里塚全国総決起集会への総結集を呼びかけている。以下は招請状全文。(7面に関連記事)
招請状 三里塚芝山連合空港反対同盟
全国の労働者、農民、闘う仲間のみなさん! 三里塚闘争は、今年、44年間の闘いの成否をかけた新たな決戦に突入しました。反対同盟は連帯と団結の旗を高く掲げ、敢然と闘う決意です。きたる10・10全国総決起集会に総結集されるよう呼びかけます。
新たな決戦は、身体を張った渾身(こんしん)の決起で火ぶたを切りました。「羽田ハブ(基幹)空港」に追いつめられた空港会社と千葉県・自治体は、「年間飛行回数30万回」を掲げて第3誘導路計画を本格化させ、団結街道の廃道攻撃に出ました。この闘争つぶしに対して、市東孝雄、萩原富夫両同盟員が不当逮捕をものともせずに実力で闘いました。午前3時の街道閉鎖(6・28)、裁判さなかの農地囲い込み(7・26)といったやみくもな攻撃と反対同盟は対決し、3カ月の激闘で闘いを守りぬき突破口を切り開いたのです。
不屈の反対闘争と長期大不況で、今、成田空港と航空資本はかつてない危機にあえいでいます。羽田をハブ空港とする国交省の政策転換は、成田空港の陥落を象徴する事態です。本格的な羽田国際化を意味する4本目の滑走路の開業(10・21)の対極で、成田は「貨物・LCC(格安航空)専用空港」といわれるまでに展望を失い、鳴り物入りで開業した成田新高速鉄道も「アクセス向上」とはほど遠いぶざまな姿をさらしています。
この三里塚の闘いは、4・9政治和解と闘う国鉄闘争、140万沖縄県民の基地撤去闘争と一体となって闘いとられた勝利です。しかし、そうであればあるほど、天神峰・東峰敷地内に対する攻撃は凶悪となり、これに立ち向かう労農連帯の闘争陣形をさらに強くすることが求められます。
恐慌情勢がもたらす底知れぬ危機の中、失業と貧困が拡大し、財政投入による国家財政の破たんが労働者・農民を襲っています。6月18日に菅内閣が閣議決定した「新成長戦略」は、日本農民と労働者、アジアの民衆に対する収奪宣言です。そのアジア経済戦略は、11月APEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議をもテコに、ふたたびアジアに侵略の矛先をむける「東アジア共同体構想」に他なりません。FTA(自由貿易協定)の立ち後れに危機感あらわにする財界の意を受けて、300万農家を40万に激減させる農家壊滅攻撃が始まりました。また地域主権戦略は道州制と360万公務員首切り攻撃です。
この戦略と一体のもとに出された「新安保懇」の報告書(8・27)は、グローバル化と周辺地域防衛をうたって、非核三原則の見直しと武器禁輸の緩和、集団的自衛権に踏みこみました。改憲と戦争、排外主義の攻撃が一線をこえています。米韓軍事演習が侵略の切迫をもたらしています。沖縄・名護の新基地建設舞い戻りはこうした攻撃のもとにあります。
成田空港は有事の兵站拠点として米作戦計画に位置づけられています。終始一貫、軍事空港建設に反対し、戦争への道を拒否してきた三里塚は、安保粉砕・基地撤去へと不屈に闘う沖縄の闘いに、真に応える本土の決起を決意します。
いまこそ、ともに立ち上がろう! 企業に減税、庶民には大増税!
そして首切り、賃下げ、非正規化と、社会保障の切り捨てに怒りの声が渦巻いています。断崖絶壁に立つ民主党・菅内閣を打倒しよう! これこそ三里塚が待ち望んできた情勢の到来です。ストライキで闘う動労千葉、沖縄や関西住民、韓国やアメリカを始めとする全世界の労働者と連帯して闘おう。
第3誘導路建設粉砕! 現闘本部裁判控訴審闘争に勝利し、市東さんの農地を守りぬこう! 10・10全国集会への大結集を訴えます。
2010年9月1日
………………………
記
【集会名称】第3誘導路粉砕! 団結街道廃止許すな! 現闘本部の破壊を阻止し、市東さんの農地を守ろう! 軍事空港建設粉砕・改憲阻止!
10・10全国総決起集会
【日時】10月10日(日)正午
【会場】成田市東峰 反対同盟員所有畑
【主催】三里塚芝山連合空港反対同盟
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週刊『前進』(2454号1面3)(2010/06/06 )
自治労大会 非正規職化と賃下げを推進
徳永委員長発言に反撃を
8月26〜27日に徳島市で行われた自治労定期大会の冒頭、自治労本部の徳永秀昭委員長は歴史的な非正規職化・賃下げ推進宣言を発した。
「国や自治体の財政、状況を分析したとき……正規と非正規の賃金シェア(分かち合い)……例えば人勧削減原資を非正規職員のために確保する交渉協議を行う」
“大恐慌―財政危機の折、正規職の賃下げ分を非正規職に回し、全体を非正規職化する”ということだ。正規・非正規の「均等待遇」とは総非正規職化のことだ。徳永委員長は95年日経連報告「9割の非正規化」を推進すると提言したのだ。
(写真 徳永委員長発言に怒りの反撃が開始された。国鉄全国運動の賛同署名に列をなす自治労組合員【8月26日 徳島市】) 4・9反革命の自治労版
徳永発言は4・9政治和解の自治労版ともいうべき反革命である。4・9政治和解の歴史的な意味は資本の解雇自由、賃下げ自由を労働組合側が承認したということだ。このことを自治労本部も承認したのだ。つまり公務員360万人の首切りを容認し、道州制=戦争国家化、民営化=労組解体を自治労本部が積極的に推進するということだ。公務員制度改革による公務員の身分保障剥奪(はくだつ)も認めるということでもある。
自治労本部は日帝・民主党政権の意を体し、大恐慌下における日帝の新自由主義的延命策=新成長戦略を自ら担おうとしている。自治労の大会議案「持続可能な日本社会のグランドデザイン構想」がその総路線だ。
スト絶滅狙う公務員改革
徳永発言は、政府・与党、諸野党の公約である公務員総人件費2割削減、公務員制度改革の攻撃と軌を一にしている。 政府・与野党は今日、財政再建、公務員人件費2割削減を実現をするために公務員制度改革で人勧制度を廃止し、協約締結権を与え、労使交渉で賃下げ・首切り・非正規化を進めればよいと議論している。8月3日の衆院予算委の議論がそれだ。
「生首をバサッと切るのか、あるいは希望退職を募るのか。能力主義、成績主義を徹底させる。そういう公務員制度改革にする」(玄葉光一郎公務員制度改革担当相)
「労働基本権を付与して民間並みのリストラ・人員整理ができるように。給与法を改正して、出来の悪い人は給料4分の1に」(みんなの党・江田憲司衆院議員)
公務員制度改革とはスト絶滅、解雇自由、賃下げ自由、総非正規化のための攻撃だ。「労働基本権回復」とか「労使交渉による賃金決定システム」などではない。実力粉砕の対象だ。
総じて徳永発言は自治労の団結解体、労働組合としての死亡宣言だ。徳永発言もろとも自治労本部を打倒し、自治労を戦闘的によみがえらせなければならない。全国の自治体労働者は秋の賃金闘争と11月集会1万人結集に向かって進撃しよう。
(3面に関連記事)
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週刊『前進』(2454号1面4)(2010/06/06 )
前進速報版から
▼教育労働者の訪米団、ロサンゼルス統一教組と交流▼総合労働協約締結策動弾劾し国労東日本エリア大会へ宣伝戦▼自治労徳島大会
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週刊『前進』(2454号2面1)(2010/06/06 )
貨物・3島会社は破綻必至
「国鉄分割・民営化25年問題」を撃つ
「民営化成功」の神話は崩壊 JR大合理化との大決戦へ
JR3島会社(北海道・四国・九州)とJR貨物は、いつ倒産してもおかしくない状態だ。本州3社との経営統合さえ問題になっている。この「国鉄分割・民営化25年問題」は、国鉄一産別の問題ではない。四半世紀にわたる日帝階級支配の土台をなしてきた「国鉄分割・民営化は成功した」という神話が、根底から崩壊しようとしているのだ。「25年問題」は、さらなるJR大合理化の暴力的強行か、JR体制の打倒かをかけた一大決戦の到来を告げ知らせているのだ。
大恐慌・財政破綻で新たな攻撃狙う
「いつまでも国鉄の看板を背負って政策はできない。黒字体質になっていないと先に進めない。2011年8月(2012年度予算の概算要求編成時)に向けて、2010年度の決算の結果に大変な意味がある」「JAL問題の次はJR貨物と考えている。まずは自助努力だ」――今年1月、国土交通省はJR貨物会社幹部に退路を断った大合理化を迫った。
3島会社とJR貨物の経営は、まったく成り立っていない。発足から四半世紀が経った今も株式の上場ができず、鉄道運輸機構が株式を100%保有している。2012年には、税制上の減免措置が再び期限切れを迎える。日帝支配階級、国交省は、世界大恐慌と国家財政破綻の圧力の中で、一方で、1047名解雇撤回闘争に反動的決着をつけて国鉄労働運動の根絶を狙うとともに、「国鉄改革の完遂」を叫んでJR各社にさらに徹底した合理化を迫っているのである。
これを受けて貨物会社は今年、11年連続ベアゼロ、定期昇給の6カ月凍結・延伸、一時金の超低額回答という次元を画する賃下げを強行した。貨物版「第2の分割・民営化」攻撃が全面的に始まったのだ。
JR発足時から労働者数は半減
JR貨物は発足から数年間はバブル経済の影響で黒字を計上したが、バブル崩壊後は経営が悪化、93年以降8年連続で赤字が続いた。中期経営計画「ニューチャレンジ21」(02年度〜)で2千人削減を打ち出し、徹底した合理化で01年以降はかろうじて黒字を記録したが、08年度から大恐慌の直撃を受けて再び赤字に転落した(図2)。
JR貨物と3島会社の労働者は、JR発足時と比べて約半分に減らされている(図1)。国鉄分割・民営化の過程で国鉄労働者の2人に1人が職場を追われ、分割・民営化以降さらに半減しているのだ。貨物の職場では長時間乗務が強制され、年休や公休すらまともに取れない慢性的欠員状態が強制されている。JR7社で、外注化が一番進んでいるのも貨物だ。国鉄時代から継承した設備も老朽化が激しく、大幅な設備更新を迫られているのにその余裕もない。
その全矛盾は労働者に押しつけられている。JR貨物は、今年度の事業計画で「人件費40億円削減、物件費43億円削減で15億円の経常利益を確保する」としているがとうてい不可能だ。1年で63億円もの増収(48億円の赤字を埋め、15億円の黒字上乗せ)などできるわけがない。営業収益の伸びが見込めない中で、一切は人件費削減に向けられている。JR貨物社長の小林正明は「苦い水だが一緒に飲んでもらう」と宣言している。これ以上、どんな「苦い水」を飲めというのか。
国家のテコ入れで大赤字を穴埋め
3島会社も経営破綻の危機にある。2009年度は3社とも大きく営業損益を出した(図1)。
3島会社はこの営業損益を、経営安定基金運用益と税制上の優遇措置で穴埋めして採算ラインのギリギリのところで経営している(図2)。
そもそも3島会社は恒常的な赤字が見込まれるため、JR発足時に総額約1・3兆円の経営安定基金が設けられ、その運用益で営業損失をまかなうという枠組みで「民間会社」としてスタートした。また税制上の優遇措置の効果は1年間で北海道27億円、四国11億円、九州46億円、貨物16億円(08年度、推定値)という規模であり、優遇措置が切られればこれが赤字に上乗せとなる。
国の一般会計に28兆の国鉄債務
国鉄時代もJRとなった今も、大都市圏の営業収入は突出している。国鉄分割・民営化直前の頃は、山手線周辺などの旅客収入で北海道から九州、貨物も含めた国鉄経営のすべてをまかなってきた。これを7分割したら貨物や3島会社の経営が成り立たないことは初めから分かり切っていた話なのだ。この失政の責任は、政府・国交省、JR経営陣にある。現場労働者に矛盾を押しつけることなど言語道断だ。
分割・民営化は「国鉄長期債務の解消」を大義名分に、労組破壊を狙って強行された。長期債務はどうなっているのか。分割・民営時の国鉄長期債務は約37兆円。このうちJR各社が引き受けた債務を除き、約28兆円が国鉄清算事業団解散時に国の一般会計に引き継がれた。なんのことはない、約900兆円という国の債務にまぎれ込ませているだけだ。
これで「国鉄分割・民営化は成功した」などと言えるのか! 3島会社とJR貨物の現状が示しているのは国鉄分割・民営化という日帝の命運をかけた国策の破綻だ。
日帝・支配階級はこの危機を「JR3島会社やJR貨物の経営自立を始め、国鉄改革に関する未解決の課題への取り組みを強化し、その完遂に全力を挙げる」(前原国交相談話 6月28日)と、さらに徹底した大合理化によって暴力的に突破しようとしている。
JR本州3社もまた、安全の根底からの崩壊、要員問題、JR総連カクマルを使った労務支配の破綻という全面にわたって矛盾を噴出させている。結局、大恐慌の中で全JR資本は、JRをさらに数百の子会社・孫会社に細分し、鉄道業務を丸投げ外注化し、JR労働者を強制出向・転籍へ追いやる究極の合理化に突き進むしかないところに立たされているのだ。
職場の団結を固めJR体制の打倒を
これが「4・9政治和解」の核心にある問題だ。1047名闘争解体の動きはJR大再編情勢と一体で進んだ。ここに決着をつけなければ、支配階級はこれ以上一歩も前に進めないところに立たされているのだ。
動労千葉を先頭に検修全面外注化4月1日実施を阻止した闘いと、6・13大集会をもってスタートした国鉄全国運動の意義は限りなく大きい。JAL大リストラに続くJR大合理化との闘いは、全社会的な正社員首切り、公務員360万人首切りを許すのかどうかをかけた決定的攻防だ。
この中で、JR総連カクマルはいっそうの「働こう運動」に組合員を駆り立て、合理化の先兵として自らを資本に売り込んでいる。国労本部は「JR攻めはしない」とJR大合理化と闘わないことを大会で誓った。また闘争団員の組合員資格はく奪、JR各社ごとの組織への再編、連合との関係など重大な組織問題について「来年6月末までに結論を出す」とした。これは都労連の動向を始め労働運動の大再編に直結している。
まさに87年国鉄分割・民営化以来の大決戦の到来だ。何よりも現場には「これ以上の合理化なんて冗談じゃない!」という怒りが渦巻いている。
動労千葉は、資本・当局が生み出す破綻点である事故と安全の問題をとらえて離さず、職場の怒りを合理化反対の具体的闘いに組織し、戦後労働運動の限界を突き破る反合闘争をつくり上げてきた。この路線のもとに、いよいよ全JR労働者を獲得すべき時が来た。国鉄全国運動3千人会員の獲得、「共にたたかう国労の会」300人会員の組織化で反撃に立とう。
JR体制への青年労働者の怒りはいよいよ噴出し始めた。卑劣な競争・分断をうち破り、職場に団結と闘いをよみがえらせよう。
(日高隆)
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週刊『前進』(2454号2面2)(2010/06/06 )
「新成長戦略会議」に連合が参加
政労使一体の攻撃の先兵
菅民主党政権は8月30日、急激な円高・株価下落など大恐慌の一層の深まりの中で、追加経済対策の基本方針を発表した。ここで重要なことは「新成長戦略実現推進会議」の設置を決めたことである。首相を議長とし、経済閣僚、日銀総裁、日本経団連会長、連合会長ら約10人で構成する。荒井聡・経済財政相は「戦略を前倒しで進めたい」と述べた。基本方針を踏まえた追加経済対策の具体策は10日に発表される。
6月に閣議決定した「新成長戦略」は、日本経団連が4月に打ち出した「成長戦略2010」をベースにしている。「7つの戦略分野と21の国家戦略プロジェクト」のすべてが資本家階級の利害を体現したものである(前号3面参照)。国内的には「雇用・人材戦略」と称する低賃金・使い捨ての非正規職化、「地域活性化戦略」と称する道州制の推進、対外的には「アジア経済戦略」と称するアジア侵略である。帝国主義間争闘戦の中で必死に生き残ろうとする日本帝国主義のあがきである。
連合はこの新成長戦略の先兵になっている。賃下げ・非正規職化とアジア侵略に手を貸す帝国主義的労働運動=連合の犯罪性はきわめて重大だ。徹底的に弾劾する。
自動車総連出身の直嶋正行経済産業相は8月下旬、東電、東芝、日立のトップとともにベトナムに原発のセールスを行った。その後、ASEAN(東南アジア諸国連合)関連の経済相会合に出席し、総額25兆円にのぼるアジアのインフラ計画「アジア総合開発計画」を16カ国で了承した。さらに「東アジア共同体」の構築へ向け、16カ国の経済統合に向けた行動計画の原案を提示した。
アジア侵略のための新成長戦略を労使一体で推進するために、連合は8月19日、「エネルギー政策に関する基本方針」を初めて策定し、原発の新増設を「着実に進める」立場を鮮明にした。原発の輸出が「原子力の平和利用、核不拡散に貢献する」(南雲事務局長=電力総連会長)と開き直っている。反戦反核闘争、反原発闘争圧殺の立場を公然と表明したのだ。
全水道は水道事業輸出に積極的推進の立場を打ち出した。連合会長・古賀は「新成長戦略の前倒し推進」を叫んでいる。
連合は今春闘に向けた「連合白書2010」で次のように言った。「生産性を高め、国際競争力をつけていかなければならない」「日本を開発拠点として生産性を向上させ、それを海外で展開し、そのもうけを国内に還流する」
これは「国際競争に勝ち抜くために、日本の労働者も低賃金で働け」「日本で研究・開発したものをアジア諸国で生産し、アジアの労働者を低賃金で搾取して利益を上げよ」ということだ。こんな帝国主義労働運動=連合を絶対に打倒しなければならない。
新成長戦略を菅民主党・連合政権もろともに粉砕しよう。プロレタリア革命に勝利するために階級的労働運動を不屈に発展させよう。
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週刊『前進』(2454号2面3)(2010/06/06 )
東京南部 職場軸に新たな闘いへ
動労千葉を支援する会結成
8月26日、「動労千葉を支援する会・東京南部」の結成総会を開催しました。冒頭、動労千葉の闘いの軌跡をDVD上映。
動労千葉を支援する会事務局長の山本弘行さんが「6・13以降、ものすごい勢いで各地に動労千葉を支援する会がつくられている。国鉄全国運動の意義は、職場にとことん依拠して徹底した職場闘争を進めること、そして反戦闘争を闘い、職場に支援する会をつくること。職場に仲間が3人いれば結成しましょう。全国で1000の支援する会をつくりましょう」と訴えました。
動労千葉争議団の高石正博さんが船橋事故闘争の経験と動労千葉の闘い方を語りました。「動労千葉は本部が指示すればすぐにストができる組合と思っている人がいるけど全然違う。スト一つやるにしても、執行部は何カ月も前からいろんな議論をして、各支部で何回も討論している。そうやって意見をまとめていくことでストライキを始めとした闘いができる。だから団結が生まれる。そういう労働組合の当たり前のあり方が他の組合ではなくなってしまった。だから政治和解に闘えなくなっている」
また尼崎事故について「ATSの設置やレールの交換を日常的に労働組合が闘っていたら絶対に起こらなかった事故」と断言しました。「動労千葉は団体交渉で危険な個所については普段から何度も当局に改善を突きつけている。事故が起きても、組合の指摘を無視してきたのは当局だから処分できない。そうやって力関係をつくり団結を守っていく」と闘いの核心について訴えました。
続いて、支援する会・東京南部新代表のYさんの基調報告です。南部地域における支援する会運動の歴史と総括が出され、「これまでの運動のスタイルから役員体制を一新して、職場を軸にした支援する会拡大の闘いに出る。動労千葉派が支援する会運動でひとつになって勝負する」と訴えました。当面、11月集会1万人結集に向けて職場・地域で拡大闘争に出ること、とりわけ4者4団体派のもとで1047名闘争に取り組んできた労組に大胆に働きかけようと提起しました。
これを受け、「共に闘う国労の会」、なんぶユニオン、南部労組交流センター、ス労自主、全国連品川支部、リサイクルショップ・たみとやの方から決意表明が続きました。それぞれ動労千葉とかかわってきた自分の思いを語り、ここが勝負所だと訴えました。
南部地域は国労新橋支部を始め4者4団体にとっても重点地域です。そのど真ん中で動労千葉を支援する会が結成され、4・9政治和解と対決する闘いが始まったことは大きな化学変化をつくりだします。この力で11月1万人結集の最先頭に立ちます。
(投稿・南部労組交流センターWK)
(写真 新たな役員を選出し拡大に打って出る体制を確立した結成総会【8月26日 品川区】)
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週刊『前進』(2454号2面4)(2010/06/06 )
ゆうパック「正常化」のウソ 現場労働者からの報告
何から始めるか? 現場で意見出し合い行動始めよう
郵便局で働くすべてのみなさん。ゆうパック業務の混乱は、会社側が言うように「正常化した」のでしょうか。冗談ではありません! 現場の苦労が何も分かっていない! 全国の職場で怒りが渦巻いています。
そして会社と一蓮(いちれん)托生のJP労組幹部たち。現場は知っています。彼らはあの大混乱の最中に労働貴族の「なんば選挙」一色だった。そして原口総務相は「前西川社長が悪い」と言って自分に返り血がくるのを逃げた。これで一件落着? 冗談じゃないぜ、まったく!
超勤・廃休の嵐でごまかすな!
さて職場の状況です。1カ月以上たち、大本営発表とは裏腹に混乱は続いています。K局でもまだ遅延到着便があり、「臨時便」のほかに理由不明の遅延便が入ります。それも遠方ではなく近県差し出しが。おそらく拠点ターミナルの新東京か、それ以前の局で混乱が続いている。
こんな時は局内に「遅延便到着です。仕分け応援お願いします」と放送が流れます。特に郵便課の伝送・小包係は相変わらずです。繁忙期がすぎても荷物量は確実に以前の2倍。それを以前のままの人数で処理している。とてもじゃないが無理です。決済システムの変更などの付随作業をあわせると、作業量は3倍から4倍ですよ。
早勤(7時00分〜15時45分)には後(あと)超勤が3〜4時間、夜勤(12時45分〜21時30分)には前(まえ)超勤が2時間付けられ、これが常態化しています。深刻な健康被害を出している深夜勤(ふかやきん)の回数は、元の「1指定8回」に戻ってしまった! 「廃休(はいきゅう)」の回数も激増です。
深夜勤の3回連続、早勤、夜勤は超勤当たり前。やっと回ってきた休日は「廃休」。これでは体がもちません。いつ誰が倒れてもおかしくない状況です。
すぐに最低でも「中勤」(10時50分〜19時35分)を増配置すべきです。会社側は、非常勤(6時間勤務)配置でごまかすつもりですが、ここは絶対に正社員の配置が必要です。
労働者は機械の部品ではない!
システムの不統一が1カ月たっても改善されない。ゆうパックセンター職員には業務の基本も知らされない。彼らも困惑しています。決済系システムの基本や収納方法の具体的な指導もなく、収納後の事務が混乱したまま。それでも改善の気配がない。小包関係の返納事務担当者がこれほど泣かされていても、返納方法は個々ばらばら。めちゃくちゃな状態です。
まだあります。配達証などの添付証書が足りない、代金収納証明のレシートもない、受払票には必要事項の記載もない。何個持ち出して幾つ配達され、幾つ持ち戻ったのかが判然としないまま! 返納事務担当者はこの集計に時間をとられ、次の仕事に移れない。最終的な点検を行う業務企画室も毎日頭を抱えている。「生産性を上げる」どころの話ではないのです。ゆうパックセンターは職場内で分断されたまま。職員のユニホームも統一されない。おかしな話です。当たり前のことをやらない。
なぜなの? 別の疑問もわきます。「経営失敗の責任を現場に押しつけ、ゆうパックごと切り捨てる(再分離)」ハラなのか? 労働者は機械の部品ではないのだ!
これは労働組合の本当の正念場です。「ゆうパック」事業を郵便事業と統一せよ! 日通から来た全労働者を郵便局の正社員として雇用せよ! 郵政民営化(=私有化)を撤回せよ! これが私たちの要求です。
正規・非正規の分断をのりこえ
組合本部の議論はまるで経営者セミナーです。組合が経営の思惑に負けたら終わり。やはり大事なことは、組合を“職場から”変えることです。“会社の組合”ではなく“職場の組合”が動くことです。
いざという時(今まさに!)現場の切実な要求実現に動けない役員、執行部はダメです。この空前の混乱で、現場の意見を聞いて闘う方針を出した執行部が一人でもいるか? 人は悪くなくても、肝心な時に動けなければアウト。現状を見れば「その通り!」でしょう。多少の「経験」にたけた者より、私心なき情熱で突き進む若者の方がよほど労働組合の理にかなっている。どの国の歴史も、時代の変革期は青年労働者が先頭に立ってきました。優れた感性の青年の力を引き出すことが最優先課題です。そこから道はおのずとひらけるでしょう。
具体的に闘う方針が大事です。お互いの困難を知り、たとえば全員の意志でむちゃな超勤を「やらない」態勢をつくろう! 私たちの先輩たちはかつて、このように闘って「8時間労働制」や「深夜労働の禁止」「児童労働の禁止」などをかちとってきた。
そこに向かってどうする? 何から始めるか、何が問題か、現場同士が自由に意見交換し、どんな小さなことでも行動を始めよう。正規職、非正規職の分断をのりこえるのも今です。非組合員の皆さんにも当然、発言権があります。同じ労働者同士が競争しあうのではなく、生きた団結を復活させよう!
(東京K郵便局・荒川草一)
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週刊『前進』(2454号3面1)(2010/06/06 )
徳島大会 首切り・賃下げ推進の自治労本部打倒を
「グランドデザイン」に怒り
国鉄全国運動の賛同署名に列
全国労組交流センター自治体労働者部会と徳島労組交流センター、星野暁子さん始め星野再審全国連絡会議は、自治労徳島大会第1日目の8月26日の朝、50人を超す参加で会場のアスティとくしま前を席巻し、自治労組合員4千人に「社保庁型公務員360万人首切り協力の自治労グランドデザイン構想粉砕、自治労本部打倒、菅民主党政権打倒」、国鉄全国運動、沖縄闘争を訴える大宣伝活動をやりぬいた。
労組交流センターのビラとグランドデザイン構想批判のリーフレット、子ども・子育て新システム批判のビラ、徳島・星野さんを救う会のニュース、各2千枚が代議員、傍聴者らに渡された。国鉄全国運動の賛同は107筆、星野署名は43筆に上り、昼休みには署名の列ができた。『前進』は11部も売れた。
(写真 「公務員360万人首切り協力のグランドデザイン構想粉砕」――労組交流センターのビラを手に代議員・傍聴者らが入場【8月26日 徳島市】)
「賃金シェア」
大会冒頭、自治労本部の徳永秀昭委員長があいさつの中で重大発言をした。「正規・非正規の均等待遇のため賃金シェア(分かち合い)を採用すべきだ。正規の賃下げで非正規の賃上げを」と言ってのけた。公務員360万人首切り・総非正規化に行き着く大攻撃を労組の方針としようという提案だ。突然の大反動方針に会場から驚きの声とどよめきが起こった。来賓の民主党・枝野幸男幹事長や連合・古賀伸明会長が称賛し、翌朝の商業新聞が「美談」とした。
労組交流センターの仲間は早速、昼休みに徳永発言を弾劾する怒りのアジテーションを行った。「賃下げを要求するなんて労働組合の方針ではない。非正規化を認め固定化・拡大する方針だ。絶対に認められない」
演説に引き寄せられた組合員が国鉄全国運動賛同署名と星野再審要求署名に列をなした。自治労組合員も民営化・非正規化の新自由主義攻撃と闘う国鉄闘争に闘いの展望を見いだしている。
大会議事では経過報告・総括、当面の闘争方針、「持続可能な日本社会のグランドデザイン構想(討議案)」などの提起と質疑応答が行われた。グランドデザインの提案にはまばらな拍手しか起きない。命脈の尽きた資本主義をこれ以上延命させて労働者によいことがあるはずがない。
公務員人件費2割削減の民主党支持を強制する本部、公的保育を廃止する「子ども・子育て新システム」を支持・推進する本部への批判が相次いだ。連合と民主党の原発推進路線に対する自治労の立場がただされた。グランドデザイン構想で消費増税、総人件費削減が前提化されていることに批判が出た。
本部答弁は居直りばかりだが、グランドデザイン構想の「総人件費削減」部分は、さすがにまずいと思ったのか、修正すると言明した。
大会2日目も、全国労組交流センター自治体労働者部会を先頭に20人を超える部隊で宣伝行動を展開した。前日の徳永委員長あいさつを徹底的に暴露・弾劾し、注目を集めた。「『賃金シェア』は公務員賃下げ宣言だ。非正規職並みに正規職の賃金を下げる運動をしろというのか」「賃下げ人勧粉砕、非正規職撤廃」――新しいビラ1500セットを配った。11・7労働者集会のチラシと「社保ニュース」も一緒だ。ビラは会場内でもよく読まれた。朝だけで国鉄全国運動署名が25筆寄せられ、『前進』が4部売れるなど大反響だ。
賃下げ認めぬ
2日目の大会討論では当然にも徳永発言への怒りと批判が噴出した。
「賃下げ人勧を認めるのか」「非正規職員はそのような要求をしていない」「正規を減らして非正規を増やした当局を許すのか」「正規化を要求する非正規の闘いに冷や水を浴びせるのか」
徳永委員長は「原理原則が正しくても政策を実現できなければ無意味」「政治的現実を考え、社会的に通用する運動を」と総括答弁。資本家階級への屈服を表明、批判する組合員を恫喝した。徳永発言への実践的批判は秋の賃金闘争の爆発で賃上げをかちとることだ。
原発問題では「自治労は原子力、化石燃料、自然エネルギーのベストミックスで行く」と本部は繰り返し強調した。全然反原発ではないのだ。
徳島大会は自治労本部が公務員360万人首切りの先兵になったことを示した。現場労働者の怒りを組織して自治労本部もろとも菅政権を打倒し、11月へ攻め上ろう。
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週刊『前進』(2454号3面2)(2010/06/06 )
前夜集会 大会決戦に向け高揚
星野全国会議と共同開催
自治労大会の前日、徳島市内で全国自治体労働者総決起集会が開かれ、高揚した。全国の自治体労働者や星野再審全国連絡会議のもとで闘う人びとなど65人が参加した。
愛媛の自治体労働者が司会を務め、「この徳島大会で自治労中央が民主党政権と深く結びつき、団結破壊の方針を出してくる。闘う方針をもって自治体労働者と結びつこう」とあいさつした。
基調報告を全国労組交流センター自治体部会代表の佐藤賢一さんが行った。「こんな大会議案、誰が認めるか! 『グランドデザイン』は公務員360万人首切り路線そのものだ。自治労本部打倒こそ6千万労働者が生き残る方針だ!」と確信をもって宣言した。特に「『総額人件費の見直しには職員の納得感の確保が必要』とするグランドデザインは労働組合の議案とは言えない」と厳しく断罪した。
続いて全国から結集した自治体労働者が自らの闘いを報告、決意を述べた。大阪市職の青年労働者は1万人削減との闘い、ユース部選挙への決意を述べた。8月人事院公平委員会公開審理を闘った広島の平口雅明さんは「私の反乱を全体のものに」と発言。豊中市職の女性労働者は保育事故を理由にしたつぶし攻撃との闘いを報告した。
星野文昭さんと昼に面会した星野暁子さんが自治労大会決戦をともに闘う決意を述べた後、星野文昭さんのメッセージを読み上げた。「労働者人民が全体の状況を変える力を持っていることを信頼して実践を」との言葉に勇気を与えられた。
大会決戦を準備した徳島労組交流センターの青年労働者の決意表明を受け、全員で団結ガンバローを三唱し、意気高く大会決戦に向かった。
(写真 前夜総決起集会で「自治労本部打倒が労働者の方針だ」と基調報告【8月25日 徳島市】)
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週刊『前進』(2454号3面3)(2010/06/06 )
転籍同意を拒み闘おう
自治労共済の全労済への統合問題
自治労の書記解雇許すな
昨年の自治労定期大会(熊本)で「自治労共済の全労済への統合」が決まり、2013年度「統合の完結」、16年度「全面移行」に向かって統合の動きが進められている。これを口実にして自治労共済の本部、県支部の一部の書記に「全労済への転籍」の名で解雇の攻撃がかけられている。
社保庁にならい「転籍同意書」!
ところが書記労は「これまでの労働条件を維持できるような確実な転籍を」という内容で交渉を繰り返している。これは自治労本部の書記解雇攻撃への屈服だ。
書記労本部の言う「これまでの水準」など現実には絶対にありえない。全労済が提示している「人事諸制度コンセプト」は評価制度で労働者を競争と分断にたたき込む攻撃なのである。
そもそも自治労共済と全労済とではその性格が違う。自治労共済は解雇なしで定年まで働く公務員を対象にしているが、全労済は解雇もありうる民間の労働者を対象にしている。自治労共済の解散と全労済への統合はいわば民営化なのだ。
自治労本部は書記の団結を破壊し、「対象書記個人が転籍に同意するかどうか」という間題にすりかえ、「転籍同意書」を出させようとしている。書記に「解雇撤回闘争」をやらせまいとしているのだ。また非正規の書記は転籍対象からさえ外され、「雇い止め=解雇ありき」で使い捨てにされようとしている。絶対に許せない!
これらは、社会保険庁解体に際して当局に屈服・協力した自治労本部―社保労組本部がやったことと同じだ。彼らは日本年金機構に採用しないとの通知を受けた組合員に自主退職を迫り、厚労省や年金機構の非正規職員に応募させた。これを「分限免職回避」と称した。同時に社保労組を解散し、労組として絶対に解雇(分限免職)撤回闘争に取り組まない態度をとったのだ。
だが分限免職者は525人にも上り、うち78人が人事院に不服を申し立て、解雇撤回闘争に立ち上がっている。現場組合員の怒りと闘いを押しとどめることは不可能だ。
新自由主義の先兵と化す本部
自治労本部は、自治労共済の解散と全労済への統合で、書記(組合員)の首切り、転籍、非正規化を積極的に推進し、組合としての団結を破壊し、組合員と家族の生活と権利を守る責務をも放棄しようとしている。とりわけ闘う書記の選別・排除、解雇・転籍によって書記の本部派への純化、血の入れ替えを図り、各県本部・単組の右翼的変質を加速しようとしている。
自治労本部は、命脈の尽きた資本主義・帝国主義に魂を売り渡し、民主党政権を支え日帝を救済しようと躍起になっている。この時、組合書記の位置は決定的なのだ。
8月23日、大阪市の平松市長が大阪市職1万人削減の市行革案を近く発表することが明らかになった。当の大阪市職出身の徳永自治労委員長は、8月26日の定期大会で「賃金シェア」と称して正規職の賃下げと非正規職化の拡大を提案した。定期大会は「グランドデザイン構想」を打ち出し、自治労本部が公務員360万人首切り、民営化・外注化・非正規化を進める地域主権=道州制攻撃、新自由主義の先兵となることを宣言した。だがこのような自治労本部に現場労働者が怒りを沸き立たせている。
闘いの方針は明らかだ。自治労共済解散―書記解雇攻撃を新自由主義攻撃―地域主権改革=道州制による公務員360万人全員解雇・9割非正規化の攻撃として暴露し、国鉄分割・民営化反対、1047名解雇撤回の国鉄全国運動を基軸に闘い、11月集会1万人結集を実現することだ。
自治労本部は転籍拒否―解雇撤回闘争が組織の中から生み出されることを死ぬほど恐れている。追い詰められているのは本部だ。全国の自治労書記はともに闘おう!
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週刊『前進』(2454号3面4)(2010/06/06 )
保育公務員30万人の首切り
「子育て新システム」粉砕へ
菅政権が6月25日に決定した「子ども・子育て新システムの基本制度案要綱」は、戦後公的保育を解体し、保育や幼児教育を全面的に民営化する攻撃だ。同時に保育公務員30万人への社保庁型いったん全員解雇攻撃であり、自治体労働運動解体の大攻撃だ。要綱は規制改革会議での議論の延長にあり、09年2月に少子化問題特別対策部会がまとめた「次世代育成のための新たな制度体系の設計に向けて―第1次報告―」が基になっている。併せて検討すると、その狙いは明白だ。
行政の保育実施義務を葬り去る
新システムでは、戦後保育制度の根幹にあった国や地方自治体の「措置、実施責任」が最終的に投げ捨てられる。
戦後保育制度の根幹は市町村に保育実施義務を定めていたところにあった。それは、戦後革命を背景とした戦後憲法の生存権規定(25条)や児童福祉法の福祉理念および公的保障原則に基づいていた。これが葬り去られ、市町村は利用者に「利用する地位」を証明し、利用者が保育事業者と「契約」を結ぶ際にあっせんし、補助金を給付し事業をチェックするだけとなる。
全面的民営化で公立保育所一掃
保育は全面的に民営化される。その手法が「バウチャー(利用券)方式」と「契約制」だ。バウチャー券は公的分野の市場化を進める切り札的手法だ。投入される税金が利用者にバウチャー券(利用券)として補助され、利用者は保育料を自己負担分とバウチャー券で支払う。こうして利用者と事業者は通常の商契約となり、価格競争が自由化される。こうなれば公立保育所は存在しえない。
「イコールフッティングによる多様な事業者の参入の促進」も決定的だ。「指定制」で、保育士数・幼児数、施設などの最低基準は撤廃か基準低下する。「使途範囲の自由化」で資本は運営費を好き勝手に使える。「配当、会計基準」の変更で株主配当優先が可能となる。ピジョン、ベネッセなど資本の要求が要綱に丸ごと反映された。
保育料値上げと職員の非正規化
@高所得者を狙って「付加的サービス」が売られ、低所得者は保育から排除され、保育格差が生まれる。
A保育料は上がる。規制改革会議で市場化を主張した学習院大教授の鈴木亘は「いいサービスには高い保育料でもいいという親のニーズもとらえれば、コストに見合った保育料になる」(朝日新聞6・27付)と言っている。
B保育の質は劣化する。新システムのモデルの一つは東京都の認証保育所だ。保育士の数も少なく、面積も狭く庭もないビルの一角の保育所が一般化する。
C待機児童の解消にはならない。待機児童問題は、石原都政をはじめ都市部の自治体が公的保育所の建設を怠ったためだ。
資本は「待機児童問題」を保育の市場化のために都合よく世論操作してきた。公的義務がなくなればカウントもされなくなる。
D保育労働者の低賃金化・非正規化をもたらす。「公立保育園は公務員準拠の年功給で、年配保育士の賃金は高めだ。民間の参入で競争させれば人件費が下がり、人員増に回せる」「(保育と介護の規制緩和で)非正規雇用換算で計100万人相当の雇用が生まれる」(鈴木亘、同)
「幼保一体化」で団結破壊を狙う
総務省「09年地方公共団体定員管理調査結果」によれば、全国の公立保育所職員10万6931人、公立幼稚園職員1万8382人。非正規職は同数かそれ以上いると推測される。
幼保一体化で、公立保育所の正規保育士約12万人、非正規保育士12万人、幼稚園職員約2万人、その他を合わせ約30万人の公務員保育労働者の首切り選別が狙われている。
要綱には「現在の幼稚園、保育所、認定子ども園からの円滑な移行に配慮しつつ、学校法人、社会福祉法人、株式会社、NPOなど、多様な事業主体の参入を可能とする」とあるが、「円滑な移行に配慮しつつ」とは雇用問題のことだ。
12年には公務員制度改革攻撃も狙われている。
幼保一体化は菅民主党政権の新成長戦略のプロジェクトの一つだ。政権を支える自治労本部は「使途制限撤廃は認めない」「保育所存続を前提に」「幼保一体化の移行リスクを回避する」と言うが、こんな言辞はアリバイにすぎず、「制度デザインは評価できる」(7・2見解)が本音だ。本部は新システムを推進するために解雇攻撃をひたすら隠蔽(いんぺい)して、闘いを抑止するのに必死だ。
しかし現場保育労働者の闘いを抑圧することは絶対にできない。営々と積み重ねられてきた保育労働者の闘いは、攻撃の本質が明らかになり、動労千葉型の闘い方と結びつくことに成功すれば、自治労本部を民主党政権もろともぶっ飛ばすに違いない。新システムの公表は自治労本部打倒情勢の始まりだ。
保育公務員30万人解雇は公務員360万人首切り攻撃の一環であり、第2次国鉄決戦と一体の階級決戦だ。「子ども・子育て新システム」粉砕へ、労働者階級全体の未来をかけて闘おう。
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「子ども・子育て新システムの基本制度案要綱」のポイント
○幼稚園、保育所を一体にし(幼保一体化)、「子ども園(仮称)」にする
○推進体制・財源を一元化、家庭省構想
○市町村の責務を、自由度をもった給付設計、サービス給付の提供確保とする
○利用者と事業者の契約制、バウチャー(利用券)方式を導入する
○イコールフッティングによって株式会社・NPO等多様な事業主体の参入促進。事業者指定制。企業会計を導入。運営費の使途範囲を自由化
○2011年通常国会に法案提出、段階的に実施し2013年度に本格施行を目指す
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週刊『前進』(2454号3面5)(2010/06/06 )
全国保育集会 労働者はどうなる!
首切り推進の本部に憤り
公的保育を解体し、保育労働者の団結を破壊するための菅民主党政権の「子ども・子育て新システム」。これを推進するために現場労働者を大動員するなんて絶対に許せない! 7月30日〜8月1日、全国労組交流センター自治体労働者部会は、自治労徳島大会の前哨戦として行われた自治労の全国保育集会(和歌山市)への宣伝に決起した。全国から集まった1500人の現場の仲間に「団結破壊の新システム絶対反対で闘おう!」「新自由主義による公務員360万人首切りに対して国鉄全国運動で闘おう!」と熱烈に訴えた。
自治労本部は全国保育集会の中で「子どものためのナショナルミニマム全国集会 in WAKAYA
MA」と題して大衆的シンポジウムまで開き、保育労働者だけではなく保護者・周辺関係者も巻き込もうとした。「自治労が最低基準や貧困対策について運動したので、政府にそれらを守らせることができた。だからみんなで新システムを推進しよう」というのである。
政府内で「新システム」論議が煮詰まり、連合が「子育て基金構想」を出す中で、2月5日に自治労保育関係代表者会議が開かれ、新システム容認・推進で意志一致が行われた。全国保育集会は、定期大会の前にその路線で現場組合員をだまし、不満や疑問、怒りをねじ伏せるために位置づけられていたのだ。
私たち労組交流センターのビラは吸い込まれるように全国の仲間に渡っていく。1日目の夕方、「国鉄分割・民営化反対! 1047名解雇撤回!」新たな全国運動の署名を訴えると、北海道から沖縄まで圧倒的に多くの仲間が署名に応じてくれた。
決定的なのは2日目の保育制度についての分科会だった。午前、本部が「子どもにとって幼保一体化は必要」と新システム推進について説明。これに対して午後、全国の現場労働道者から怒りと疑問が続出した。
「最低基準も示されないのに期待できるのか」「本部は民営化についても賛成・反対の立場を明らかにせず、そこにこんな制度を持ってくるのはおかしい。民営化反対を言い続けたい!」「本部と現場では方向が違う!」「政府が出したものを直すのでいいのか」「一般財源化と最低基準を取引したのか」
本部は「最低基準は『おおむね』は出している」「資格がどうなるのかはまだ決まってない。幼稚園・保育所の役割は残す」とごまかしたが、参加者の中から怒りが噴出し、本部を批判する発言に拍手がわいた。
特に「私たち労働者はどうなるのか?」という質問に本部は一言も回答できなかった。本部は新システムが30万公務員保育労働者の首切り・非正規化、保育現場の団結破壊の攻撃であることを押し隠そうとしているのである。
焦った本部は3日目の分科会で、本来ならば現場の意見交換となるべきところを、本部が終始一方的に話す場に変え、「わからない時は本部に直接聞いて」と質問時間さえ極小にしてそそくさと終わろうとした。圧殺態勢を打ち破って質問をした組合員に対しては、大会終了後に「勝手に質問するな」「勝手に署名活動をするな」と排除攻撃を行ってきている。
国鉄全国運動の正義性に打ちのめされ追い詰められた自治労本部と社会主義協会派のおぞましい姿があらわになった。闘いの圧殺と団結破壊への怒りは今、全国の自治体職場で燎原(りょうげん)の火のように広がっている。
自治体労働者部会はさらに全国保育集会での闘いの報告をビラにして徳島大会で配った。保育労働者が積極的に取りに来るなど反響を巻き起こした。現場は真実と闘いの方針を求めているのだ。
自治労本部の「現場の声を生かした制度設計」をぶっ飛ばそう! 全国の保育労働者は国鉄闘争全国運動の最先頭で闘い、闘う労働組合を職場に築き、11・7集会1万人決起を実現しよう。その力こそ、新システムによる保育公務員30万人首切りと保育現場の団結破壊を打ち砕き、階級的団結をつくり出す力だ。
(関西・保育労働者 保田結菜)
(写真 自治労の全国保育集会参加者に「新システムに絶対反対しよう」と訴え【7月30日 和歌山市】)---------------------------------------------------
週刊『前進』(2454号4面1)(2010/06/06 )
派遣法・非正規職撤廃を! 民営化・外注化と闘おう
11・7へ青年労働者が先頭に
11・7労働者集会の1万人大結集運動の先頭に青年労働者が立とう。青年労働者の力で正規雇用と非正規雇用の分断を打ち破り、派遣法と非正規職そのものの撤廃をめざして、2千万青年労働者を一つの階級として団結させる労働運動、非正規雇用を生み出す根源である民営化や外注化攻撃と闘う労働運動をつくりだそう。11・7労働者集会は、業務全面外注化攻撃と闘う動労千葉や大阪一帯の建設現場をストップさせるストを決行中の全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械港合同を先頭に、闘う労働組合のネットワークをつくる挑戦だ。この壮大な事業に青年労働者は闘う労組青年部を復権して結集しよう。11・7までの2カ月間を職場生産点で全力で闘い抜こう。
正規・非正規の分断破れ
「非正規雇用」――この雇用形態こそ1970年代半ばから始まった新自由主義攻撃の核心部分である。非正規雇用とは何か。それは「正規雇用と比較して条件が悪い」という話に還元できる次元の話ではない。有期の契約で雇い止めというかたちで解雇も自由、賃金も半分から3分の1、年金や医療保険の負担も免れる――非正規雇用とは、労働者階級の数百年間の階級闘争の中で獲得してきた雇用の歴史的条件を根底から覆した雇用形態なのだ。
(写真 【図 派遣元・派遣先事業所数と派遣労働者数の推移】)
史上最大74春闘スト
戦後帝国主義の高度経済成長の終焉(しゅうえん)を刻印した1974―75年世界恐慌(戦後初の実質マイナス成長)に対して、日本労働者階級は、約650万人が参加する春闘史上最大のストを闘い、32・9%の賃上げを実現した。74年春闘は、総評は71単産227万人がストに突入し、日教組が全国で全一日ストに突入し、槙枝委員長が逮捕され、全国800カ所の強制捜査が行われたほどの規模で闘われた。
これに対して猛烈な危機感を募らせたのが日帝ブルジョアジーだ。日経連はただちに「大幅賃上げの行方研究委員会(のちの経労委)」を発足させ、75年度の賃上げを15%以下に、76年以降は一桁(けた)台に抑え込むガイドラインを設定した。賃上げを容認した日本生産性本部・賃金決定機構委員会の金子委員長は財界の強い批判を受けて辞任に追い込まれた。
日帝ブルジョアジーはこれを転機に、総評労働運動との関係を、体制内に包摂する、ある種の「容認」から解体を目指す姿勢に転じ、約10年かけて日本労働者階級との歴史的な力関係を変える大攻撃を始めたのだ。それが、1981年の第2臨調設置から始まった国鉄分割・民営化(87年)であり、これとセットで制定された労働者派遣法(86年)だった。
70年代半ばに日本帝国主義はデッドロックにぶちあたり、他方で総評労働運動は、内部矛盾や限界を抱えながらも最大の春闘ストで史上最高の賃上げをかちとり、翌75年にはスト権ストも闘った。この時期が新自由主義の出発点であると同時に、総評労働運動のピークであり、凋落(ちょうらく)の始まりともなった歴史的分岐点だった。
賃金めぐる歴史的攻防
ブルジョアジーの「生産性原理」からすれば賃金は最大の問題だ。賃金をどう抑え込むか。そのために労働組合をどうねじ伏せるか。文字どおり歴史を画するブルジョアジーの攻撃が始まったのだ。
それまでは重化学工業を中軸に発達した高度成長という「特殊な条件」のもとで確立した終身雇用や年功賃金を土台に正規雇用労働者の賃金は家族全員の生活を支えうる「水準」だった。毎年の春闘期に一定の賃上げを容認するかたちでブルジョアジーと労働者との階級的力関係は形成されてきた。公務員の賃金をめぐっては、64年4月に総評と中立労連が公労協を中心に大幅賃上げゼネストを計画。ストの前日に総評の太田議長と池田首相のトップ会談で、公務員の賃金は民間準拠とするとし、ゼネストは未然に収拾された。
雇用についても、日本的経営と呼ばれた終身雇用の慣行や労働組合の存在や労働法によって、資本が一方的に解雇することも簡単ではなかった。
だが、高度成長が終焉し、日本帝国主義の経済発展の条件が劇的に失われる中で、賃金・雇用、そして労働運動の存在をめぐって、ブルジョアジーの生き死にをかけた力関係の歴史的大転換攻撃が始まったのだ。70年代後半以降に生み出された非正規雇用というのは、それまでの歴史から考えれば、強烈な質的転換なのだ。
期間の定めのない雇用、すなわち正規雇用の解雇には、「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められること」が裁判でも判例となっており、資本にとって解雇は大きなハードルがある。整理解雇も「人員削減の必要性」「解雇回避努力」「被解雇者選定の合理性」「手続きの妥当性」の4要件が必要とされる。正規雇用に関して言えば、いまもなお、その歴史的地平と条件は完全に解体されたわけではない(そして正規の解雇解禁こそが今後の新自由主義攻撃の中心テーマとなる)。日本のブルジョアジーは、そういう「正規雇用」に対して、それとはまったく違う雇用体系として、日本の労働者階級に非正規雇用を強制してきたのだ。
解雇自由の雇用体系
非正規雇用というのは、それまでの戦後的な歴史的条件とはまったく違う雇用形態だ。期間の定めのない雇用から有期の雇用。3カ月とか半年で合法的に解雇ができる。正規雇用の半分以下の低賃金。労働者の生活や都合は関係なく、必要な時に雇って、いらなくなればほうり出す。年金や健康保険の使用者負担も免れる。まさしく工場法以前の労働条件に戻す攻撃なのだ。
こういうめちゃくちゃな雇用形態が、正規雇用と並行して、全労働者の3人に1人、青年労働者の2人に1人の割合で非正規雇用にたたきこまれているのだ。いまや団塊世代が受けとる生涯賃金と比べると団塊ジュニア世代が得る生涯賃金はほぼ半分と言われる。生涯賃金が半分になる歴史的な賃下げ攻撃が、この20数年、非正規雇用の導入をテコに日本の労働者階級にかけられてきた。これほど理不尽なことが「普通」にされている、この現実!
NTTは10分の1に
いま一つ確認したいのは、非正規雇用は一般的な資本の利潤追求や合理化から増加したわけではなく、ブルジョアジーの側が終身雇用と年功賃金というそれなりに「安定」した労働者支配を自ら突き崩して、強烈な階級闘争を通して強行してつくりだしたのだ。労働者階級の側からすれば、一つの歴史的後退として強制されたのだ。
少し背景的に押さえるならば、戦後の高度成長が重化学工業を軸に発達したことによって、労働現場では成人男子労働者の熟練や筋力がそれなりに重視されてきた。しかし、74〜75年を転機に高度情報技術(コンピューター)などを使って、工場や事務、サービス部門のオートメーション化=合理化が激しく進められた。その中で熟練・筋力労働の解体と労働過程の単純化・標準化が拡大して、非正規雇用が次々と生み出された。
もちろん、単なる技術的過程として進んだわけではない。例えばNTTでは、どのように重層的な外注化―非正規雇用構造が生み出されたのか。
国鉄の分割・民営化攻撃を頂点とする、3公社(日本電信電話公社、日本専売公社、日本国有鉄道)の民営化とその後の激しい労組解体―団結破壊攻撃を通じてNTTは479社(08年)に及ぶ分社化と外注化を通して雇用・賃金もめちゃくちゃになったのだ。
NTTでは2002年から満50歳で全員が退職届を書かされ、子会社に再雇用や転籍となり、賃金は6割になる。こういうやり方で、84年当時に30万人以上いたNTT社員は、03年には3万6千人にまで減った。50歳で退職届を書かせることは明らかに「脱法行為」だ。本来、労働者が拒否すればできない。だが労働者の反抗を労働組合が抑え込み、強制することによってこれらの一切の事態が進行したのだ。
正規職の解雇解禁狙う
他方で、日帝ブルジョアジーは、正規雇用の解雇「自由」までは貫徹できたわけではない。
国鉄では、憲法や労働法制をすべて無視して国鉄改革法という法律を作り、「国鉄とJRは別法人であり、JRには、国鉄職員を採用する義務はない」という暴論で、法律的整合性などはまったく関係なく、日本帝国主義としてある種の「決断」をもって押し通した。しかし、この攻撃に対して、動労千葉は2波のストを敢行して、団結と組合を守り抜いてJRに乗り込み、国労も激減したとはいえ数万人の組合員を維持してJRに残った。
JR資本は、「解雇」という点では超ウルトラを強行し、JRに採用された労働者に対して不当配転で草むしりや自販機の詰め替えや空き缶の回収業務をやらせるなど、むちゃくちゃな労務管理をやった。だが、賃金や雇用制度という点では終身雇用や年功賃金を温存せざるをえなかった。
そこに本格的に手をつける攻撃が始まったのは分割・民営化から10年以上たった01年以降の外注化攻撃なのだ。全面外注化と一体で動労千葉や国労を解体して、資本の思うがままに労働者を右から左に出向や転籍を強要して、すべての労働者を非正規雇用に突き落とそうとしているのだ。
近年のJR職場では、保線や設備関係などで外注化攻撃が激しく進展し、駅や改札にも契約社員が増えた。しかし、結局、動労千葉や国労の完全解体抜きには、NTTのような業務丸ごとの外注化はできないのだ。今まさにこのことが焦点になっているのだ。
国鉄は労働運動の基軸
日本帝国主義の歴史を画する転換をかけた暴力的な新自由主義の攻撃に対して、国鉄労働運動・国鉄闘争は大きな傷を負い、後退を重ねながらも、なお二十数年間にわたって闘い続けられてきたことの意味は大きい。
非正規雇用化攻撃のエポックとなった86年の労働者派遣法の制定は、国鉄分割・民営化とセットの攻撃であることは論を待たない。国鉄分割・民営化攻撃に対して総評労働運動はまったく対決できずに解体に追い込まれた。民間製造業では電機連合や自動車総連などの御用組合の協力と容認によって非正規化や偽装請負が強力に推進された。流通や外食などのサービス業では資本と完全に一体化したUIゼンセン同盟などの「活躍」によって6〜7割以上が非正規の業種となった。自治体や学校、郵政などの公共部門でも非正規雇用はどんどん増えた。
日帝ブルジョアジーは、バブル崩壊後の長期にわたる不況・停滞の危機をのりきり、国際競争力を維持するために労働者を情け容赦なく犠牲にしてきた。特に日経連は1995年、労働者の9割を非正規雇用にせよという「新時代の日本的経営」報告を発表し、正社員のクビを徹底的に切り、非正規雇用に置き換え、成果主義や能力主義を導入して、賃金を徹底的に抑え込んできた。
政府・自民党は、規制緩和と称して労働法制を片っ端から改悪した。連合は、各種の審議会や諮問機関に参加して、これをすべて容認してきた。そして小泉政権が登場し、「聖域なき構造改革」路線のもとでこれらの攻撃は極限的に加速した。その行き着いた先が、民主党政権に入閣した自動車総連や電機連合、UIゼンセン同盟の労働貴族たちの姿なのだ。
分割・民営化で本格化
いまや非正規雇用の労働者は1700万人を突破し、全労働者の3人に1人が派遣やパート、契約社員などの非正規雇用だ。若年フリーター層の平均年収は160万円。正社員の半分以下の賃金で酷使され、社会保険や医療保険もなく、いつクビになるかわからない状態で働かされている。
日本の産業の中心である電機や自動車などの製造業では、仕事が見つからない北海道や東北、九州、沖縄などから高収入や好待遇を謳(うた)う誇大広告によって労働者がかき集められ、現代の『蟹工船』『女工哀史』さながらの劣悪な労働条件で酷使されたあげくに、リーマンショック以後、百万人規模で解雇されている。
こういう日本の青年労働者の現状の出発点が80年代に本格化した新自由主義攻撃にあり、その頂点的攻撃が国鉄分割・民営化なのだ。青年労働者の職場の現実は、国鉄分割・民営化によってつくりだされたのだ。
国鉄闘争は、新自由主義攻撃の出発点である国鉄分割・民営化攻撃に対して闘い続け、連合と対抗してきた。国鉄闘争は、日本の労働者階級の戦闘性や階級性、伝統を継承し、労働運動をよみがえらせ、階級的労働運動を形成していく可能性をもった闘いなのだ。「非正規」問題に典型的に示される青年労働者の現状を本当に打破するために、この国鉄闘争のもとに2千万青年労働者の団結をつくりだすのが国鉄闘争全国運動だ。
職場の団結が重要だ
さらに確認したいのは、非正規雇用は、労働者階級全体にかけられた重大な団結破壊の攻撃であり、労働組合解体の攻撃だということだ。
ブルジョアジーによる労働者支配の最大の武器は労働力の商品化そのものにある。雇用や賃金の問題は、ブルジョアジーの労働者支配にとって何よりも大きな意味がある。
同じ職場で同じ仕事なのに正規と非正規の労働者に分断された現実。これを打ち破るのは本当に容易ではない。超低賃金という非正規雇用労働者の労働力商品としての「競争力」によって、職場では正規と非正規の競争・分断・対立が日々生み出されている。簡単にクビ(雇い止め)にできる最悪の労働条件で非正規雇用の労働者が闘いを始めるのは簡単なことではない。この現実をどう打破するかは労働運動にとって巨大な課題だ。
連合がリストラや非正規化や偽装請負に全面協力することによって非正規雇用は拡大してきた。これがさらに労働者の団結を解体し、労働者間の競争をあおり、労働組合の弱体化と転向を促進し、それがさらなる合理化・外注化―非正規化を拡大していく。悪循環だ。これは電機や自動車などの民間製造業だけではない。郵政や自治体、学校現場で生み出されてきた現実だ。
第3章節 徳永発言を許すな!
郵便局では正規と同じ仕事をしながら、実に6割が非正規雇用で正規の半分以下の賃金で働いている。自治体も同じだ。自治労の徳永委員長は8月の定期大会のあいさつで「正規職員と非正規職員の賃金をシェアするべきだ」と述べた。全国の自治体の非正規職員は約60万人。勤務時間が正規職員と同じ非正規職員は全体の28・4%に上る。自治労が何よりもこういう現実を容認してきたのだが、この現実にさらに屈服して、非正規職員の拡大と正規の賃下げを労働組合の路線として打ち出しているのだ。
学校現場でも3割以上が非正規の労働者だ。授業がない日は無給で、教材準備やテスト作成、採点なども「ボランティア」だ。欠員の穴埋めのために毎日複数校を渡り歩かされ、しかも教職だけでは生きていけずに週末にはアルバイト。
他方で、職場に非正規雇用の労働者が増えるにつれて、正規雇用の仕事量は増え、過重労働や残業が激増する。そして正規雇用の労働者は、若い時から管理職的に位置づけられ、ますます正規と非正規の対立があおられる。
こういう現実と闘って、正規と非正規の分断攻撃を打ち破っていく労働運動をつくる必要がある。非正規の問題を、本当の意味で階級的に、労働者階級全体の立場に立って、歴史的な視点をもって、本当に突破できる労働運動をつくっていかなければならない。
国鉄1047名解雇撤回闘争の解体を狙う4・9政治和解攻撃以降、自治労の徳永委員長の発言に見られるように、雪崩のような既成労組幹部の転向が始まっている。ブルジョアジーの側も、全国的な公立保育園の民営化、都営地下鉄と東京メトロの統合・民営化(東交労組の解体が狙いだ)、大阪地下鉄の運営部門の民営化など矢継ぎ早に打ち出している。4・9以降のこういう階級情勢の激烈な進展を見据え、構えて闘うことが絶対に必要だ。
動労千葉の闘いに展望
資本主義にはもう後がない、歴史的な世界大恐慌情勢に規定された危機にのたうちながら、ブルジョアジーは国鉄闘争解体の攻撃に出てきている。
いま一つの大攻撃がJRにおける外注化攻撃だ。JR東日本会社は、年間2千億円近い経常黒字を出す「最優良」企業だ。しかし、世界大恐慌情勢は甘くはない。JRも、いつ日本航空のようになるか分からないのだ。それが「国鉄分割・民営化25年問題」だ。
そもそもJRという企業は、国鉄分割・民営化という国家ぐるみのカラクリと暴力によって人為的に維持しているにすぎない。それどころか、北海道・四国・九州の3島会社と貨物会社の4社はまったく経営が成り立たず、赤字垂れ流しで、完全民営化は不可能なのだ。国鉄の分割・民営化はいまだ完遂されていないのだ。前原国交相は4・9政治和解に際して「国鉄改革の完遂」「JALの次はJR貨物だ」と叫んでいる。分割・民営化から四半世紀、25年問題は、ものすごい危機感と重圧をブルジョアジーに与えている。
安全・事故問題が民営化の破綻としてJR資本を締め上げている。7月に新幹線トンネルで起きた保守用車両の衝突事故は、民営化と外注化がもたらした事故だ。元請け―下請け―孫請けの指揮命令系統もバラバラで保守ダイヤの確認もなされないまま業務が行われているのだ。起こるべくして起きた事故だ。JR体制は、経営そのものを吹き飛ばすような第二、第三の尼崎事故がいつ起きても不思議ではない巨大な内的矛盾をはらんでいるのだ。
しかし、それでもJRは、文字どおり、すべての業務を外注会社に丸投げする全面外注化攻撃に踏み込まざるをえないのだ。そして、それは必ず大事故と青年労働者の反乱として矛盾は顕在化する。JRには、日本のブルジョアジーの巨大な自己矛盾が典型的に存在しているのだ。これはJRだけの問題ではなく、日帝ブルジョアジー全体が抱える自己矛盾である。
(写真 検修業務の外注化阻止を掲げて48時間ストに決起した動労千葉の幕張支部の組合員ら【2月1日 幕張車両センター】)
階級の展望かけた激突
JRの外注化をめぐる攻防は、戦後日本の階級闘争の転機・転換となるような大きさを持つ。日帝ブルジョアジーと日本労働者階級のどちらに未来と展望があるのかをかけた激突を本質に持つ問題なのだ。今日のブルジョアジーの攻撃の方向性は、この二十数年間分の新自由主義攻撃を数年がかりでもう一回貫徹するぐらいの、いや、それ以上の攻撃を構えているのだ。
それが国鉄労働運動の解体攻撃と一体となったJRの業務全面外注化攻撃であり、公務員制度改革と2012年の人事院勧告制度の廃止、道州制=公務員360万人首切り攻撃なのだ。
今日の民営化や外注化、公務員首切りの攻撃は、今日までの約30年間、正規雇用とはまったく異質の非正規雇用を労働者階級全体の約3分の1まで強制したところから、今度は正規雇用をも解雇解禁、賃下げ自由の新自由主義を貫徹する攻撃なのだ。
それは連合のもとでも国鉄闘争を結集軸に闘ってきた労働組合を解体し、協会派や日本共産党などの既成左翼を最後的に完全に屈服・転向させる攻撃でもある。そして全員解雇・選別再雇用の国鉄方式で4大産別の労働組合を解体し、公務員労働者360万人を解雇と非正規にたたきこむ攻撃だ。
人事院勧告制度の廃止―公務員制度改革―道州制の攻撃は、核心的には公務員の雇用保障を粉砕することにある。今日、非正規雇用の存在が職場から家庭、教育、医療、社会保障……あらゆる意味で社会の全面崩壊をもたらしているが、公務員の雇用保障の解体はそれ以上に社会構造を一変させる。
それをもって民間でも、1995年の日経連報告が言うように9割の労働者を非正規化し、正規雇用であっても簡単に解雇できるような状況をつくりだす、歴史を画する労資の階級的力関係の転換の大攻撃なのだ。この階級決戦にしか、世界大恐慌情勢の中で日帝ブルジョアジーが生き残る道はないと考えているのだ。
国鉄闘争―JR外注化をめぐる攻防は最先端の階級攻防だ。世界大恐慌の中でブルジョアジーが生死をかけて加えてきた攻撃を動労千葉労働運動が打ち破れるかどうか。ここに決定的な勝負の分かれ目があるのだ!
外注化攻撃と闘う路線
動労千葉の反合・運転保安闘争路線こそ民営化・外注化攻撃と闘う労働運動の路線であり、非正規雇用を生み出す根本と闘う労働運動の路線だ。動労千葉は、反合理化・運転保安闘争路線を貫いて現場の団結を維持し、平成採の青年労働者の結集を実現しながら、外注化攻撃と日々対決して勝ちぬいてきた。動労千葉は、01年からの外注化攻撃に対して「絶対反対」の原則を曲げずに団結と組合を守りぬき、職場から、どんな攻撃もはね返す組合の階級的団結を一からつくってきた。
動労千葉は、「事故」「安全」という鉄道労働者にとって何よりも切実な問題を国鉄労働運動の中で初めて労働組合の正面課題として位置づけ、「一切の責任は当局にある。運転士に事故の責任を転嫁するな」と言い切って事故を起こした仲間を絶対に守りきる闘いを何十年間もやりぬく中で今日の団結をつくってきた。1年365日の不断の職場闘争によって職場支配権を資本やダラ幹から奪い、現場労働者の誇りを取り戻す闘いがあって初めて現場の階級的団結は形成できるのだ。
職場丸ごとの絶対反対
検修部門を全面的に外注化し、JRを数百の子会社・孫会社に分割する攻撃に対して、動労千葉は昨年から5波のストを闘い、今年4月1日の実施を阻止した。この動労千葉の闘いによって、新自由主義における合理化攻撃が実は破綻的で脆弱(ぜいじゃく)であり、闘えば粉砕できることを示した。
検修部門の労働者が下請け会社に出向しなければ、外注会社は業務を請け負う能力をもてない。現行の法律では、本人の同意がなければ請負会社への出向は違法だ。JRの社員が請負会社の労働者に「指揮命令」すればただちに偽装請負になる。結局は、NTTの時のように労働組合が協力して、組合員を出向に「同意」させたり、違法を黙認したりしなければ外注化は成り立たないのだ。労働組合が本当に現場労働者の団結を守りきり、断固闘えば外注化は阻止できるのだ。
動労千葉の拠点職場である幕張車両センターでは、外注化攻撃に対して徹底的に職場闘争が闘われた。検査周期を延ばすなどの要員を削減する合理化攻撃に対して動労千葉は、時間外労働・休日出勤を拒否する「非協力闘争」に入った。この闘争の核心は絶対に仕事の手を抜かないことだ。しっかり仕事をして毎日仕事を遅らせ、「この人数では就業時間内に仕事は終わらない」と逆に要員を増やさせたのだ。
「仕事をしっかりやる」――具体的な労働を武器にして、奪われた労働条件を奪い返し、何よりも自分の仕事を通じて労働者の誇りを取り戻していく闘いだ。動労千葉の労働運動は、労働を武器に労働過程そのものを労働組合の側が支配していくことで職場支配権を握っていく。動労千葉は、この中で「この社会を、この職場を動かしているのは俺たち労働者なんだ」という労働者意識、階級意識を現場の労働者の中に強烈につくりだし、その中で組合の団結を組織しているのだ。
民営化・外注化に対する動労千葉の「絶対反対」の原則は、反合・運転保安闘争を基軸に、具体的な職場闘争の方針や総括を通して職場丸ごとの団結を組織することで初めて「絶対反対」が「絶対反対」たりうる。活動家だけが闘い、活動家だけが処分されるという、これまでの労働運動の「壁」を突破したのが動労千葉労働運動だ。
国鉄全国運動の先頭に
青年労働者の現状の出発点が国鉄分割・民営化にあり、ここに現状打破のカギと可能性があることをもう一度はっきりさせて、「正規・非正規」「公務員・民間」などあらゆる労働者の分断をのりこえて、2千万青年労働者の団結を回復し、新自由主義と闘う新たな階級的労働運動をつくりだそう。産別を越えて青年労働者が団結を回復し、労働運動を復権させて闘うことがこの社会を根底から変革する道だ。
国鉄闘争全国運動は、JR職場だけでなく全産別の労働者階級の闘いだ。この先頭に青年労働者が立とう。非正規雇用を生み出す民営化・外注化攻撃に対して、動労千葉の反合・運転保安闘争とその職場闘争を徹底的に学び、ガンガン実践しよう。11・7労働者集会の先頭に青年労働者が立とう。
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週刊『前進』(2454号5面1)(2010/06/06 )
書評 熊たちの434日 終わっていないニューコア労働者の闘争
非正規職の存在自体をなくす闘い
本パンフレットは2008年11月11日に韓国で出版された『熊たちの434日 終わっていないニューコア労働者の闘争』の抄訳である。編著者のクォンミジョンさんは民主労総京畿道本部副本部長を歴任し、現在、金属労組組合員として非正規職撤廃を掲げ、変革的労働運動に取り組む活動家である。
(写真 『熊たちの434日/終わっていないニューコア労働者の闘争』【抄訳】 【原著/クォンミジョン編著、2008年11月11日発行、図書出版メーデー】 動労千葉を支援する会で取り扱っています【千葉市中央区要町2−8 DC会館】)
正規と非正規一体の大闘争
イーランドグループは90年頃までは中堅のアパレルメーカーだったが、2000年以降に百貨店のニューコアなどを次々に買収して一大流通企業グループにのしあがった。
韓国では2007年7月1日に「非正規職保護」をうたい「非正規職法」が施行された。この法律は「非正規職に関して2年経過後、事業主に直接雇用を義務づける」と規定している。するとイーランド・ニューコアは雇用して2年になる前日に非正規職労働者を解雇した。その上、正規職労働者まで外部委託に変え、いつでも解雇できるようにした。さらには契約期間1日の、あるいは白紙の勤労契約書の作成を強要してきた。同社3千人の労働者のうち1千人を解雇し、残る2千人を外部委託する攻撃だ。
民主労総は6月以降、非正規職と正規職が一体となり「ニューコア−イーランド一般労組共同闘争本部」を結成し、非正規職撤廃の大闘争に突入していった。この闘争の背景については本紙2316号(07年10月22日付)の島崎論文で展開されている。
闘いは2007年1月から始まった。6月1日、第8次団交が決裂。6月4日、ニューコア江南店、野塔店で外注化阻止のレジ台占拠闘争が闘い抜かれ、6月22日から全面ストライキに突入、調印式を行う2008年8月29日までの434日間、全面ストライキが闘い抜かれた。その間、ソウル地方庁長室や明洞聖堂でろう城するなどのすさまじい闘いもあった。
しかしこの闘いは不本意な形で終息せざるを得なかった。本書の「はじめに」で「希望の種をまきながら希望の実を摘むことができなかった闘いも、それ自体として意味を持つ。……今後、他の多くの職場で、正規職と非正規職が共同の要求を掲げて共に闘う姿を目にすることができればと期待する」(5n)とクォンミジョンさんは結んでいる。
動労千葉はこの闘いに連帯メッセージを送った(巻末に掲載)。07年の11月日比谷集会にはイーランド一般労組から3人の女性活動家が参加し、1週間後の韓国労働者大会前夜祭はソウルのホームエバー上岩店前で行われ、警察官と激しく衝突する現場に動労千葉訪韓団も合流している。
(写真 座り込みに警察部隊が突入! 抵抗する組合員たち【07年7月31日 ソウル・ニューコア江南店】)
資本主義体制の変革かけて
本書は構造調整の名のもとでかけられてくる新自由主義の激しいリストラ・合理化攻撃、外注化に対し、組合指導部が正規職と非正規職に等しくかけられた攻撃としてとらえ、困難な中でも共同の闘いを組織すべく闘った記録であり、総括だ。
韓国においても「非正規職労組の要求を聞きいれようとする会社側を、逆に脅迫する正規職労組もあった」。これに対して民主労総のニューコア労組は、「労働者をひとつにする」闘いとして「非正規職という存在自体をなくしてゆく闘い」を決意して闘いに突入したのである。
総括の核心は「『非正規職闘争』というのは、非正規職の労働条件を改善することだけを言うのでなく、非正規職を正規職化することだけに限られるわけではない。非正規職を作りだしたこの社会を作り直すことこそ真の『非正規職闘争』だ。この闘いをとおして共同で残さなければならないのは『労働者の階級性』だ」(15n)
「非正規職が存在するのはやむを得ないと考えてしまったら、非正規職の処遇改善に関心が向かうほかない。資本の利潤獲得を当然のものとして認めてしまったら、結局労働者に対する最少費用という考え方を認めざるを得なくなる」「非正規職問題のゴールは『正規職化』ではなく、構造調整を粉砕し、資本主義を変えることであり、自由主義反対闘争の主体をつくることである」(16n)という一節だ。
日本においても連合・全労連・全労協をはじめ非正規職の処遇改善、「非正規職を正規職に」というスローガンを掲げる労働組合は存在する。しかしそれらは、前記クォンミジョンさんの文章を引用するならば、”非正規職の存在をやむを得ないものとしての処遇改善””資本の利潤獲得を当然のものとして認めた”上での組織化であるから、それは非正規職を容認した上での取り込みでしかない。彼らは資本と一体となりセーフティネットが必要だともいう。しかしセーフティネット論は解雇・リストラ、外注化、非正規化拡大が前提だ。
重要なことは解雇・リストラ、非正規化・外注化を許さない闘いだ。動労千葉のように国鉄1047名の解雇撤回を貫き、外注化、民営化を許さない闘いこそが必要だ。この闘いと非正規職撤廃、派遣法撤廃の闘いは一体だ。11・7集会のビラのスローガンである「国鉄1047名解雇撤回! 民営化・非正規職化を許すな!」にはそういう闘いの視点が込められているのだ。
非正規職撤廃闘争は非正規職を生み出す資本主義そのものを変えることだという主張は、ニューコア闘争を激烈に闘い抜いたがゆえにその実践的総括として提起されている。したがって本書のサブタイトルは「終わっていないニューコア労働者の闘争」なのである。現実に著者は非正規職撤廃のために金属労働者として現場で闘い抜いている。熟読し学びつくしたいパンフレットである。
(相馬 修)
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週刊『前進』(2454号5面2)(2010/06/06 )
新刊紹介 国際労働運動 10月号
新自由主義とは何か
「チェンジ」と期待をあおって登場したオバマだが、実質失業率が20〜25%に達し、公的国民皆保険制度の公約は破られ、イラク・アフガン侵略戦争を拡大している。特集は、破産した新自由主義の本性を解明し、アメリカの現実に迫っていく。
第1章は、オバマ政権の崩壊的危機を2800万人の失業者、新自由主義の金融政策の根底的破綻として具体的に暴いている。
第2章は、30年代のアメリカ階級闘争、戦後革命、60年代のベトナム反戦闘争と公民権運動、米帝の没落を決定づけた70年代前半のドル危機、石油危機、74〜75年世界恐慌とベトナム大敗北を総括。そこに登場した新自由主義とは、戦後革命への大反動であり、ニューディール型経済政策・階級支配策の最終的破産へのブルジョアジーの巻き返し策であり、労組を軸とする労働者人民の団結体を破壊し、団結をバラバラに解体することに核心があるとしている。
第3章は、新自由主義が破産し、威圧力が吹き飛ばされ、既成指導部の権威が失墜する中で、労働者階級のランク&ファイルの闘いが3・4カリフォルニアのスト・デモ、ILWUローカル10のイスラエル船のボイコット、リッチモンド教組、シカゴ教組の民営化反対派の勝利となっている事実を生き生きと伝えている。
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週刊『前進』(2454号6面1)(2010/06/06 )
民主党政権を打倒し革命へ
全国学生は全学連大会に結集しようC
団結し自治会を建設する
革共同中央学生組織委員会
9〜10日の全学連第71回定期全国大会を、大激動の時代と対決する歴史的大会としてかちとろう。世界大恐慌の中で急坂を転げ落ちるように没落する日本帝国主義は、一方で小沢と菅が「新成長戦略」の貫徹をめぐって醜悪な権力争いを繰り広げるとともに、他方でアメリカ帝国主義との争闘戦による「円高・株安」情勢によって危機を深めている。その矛盾のすべては労働者・学生に押しつけられようとしている。今こそ、「民主党政権打倒! 日本帝国主義打倒!」の労働者・学生の行動を、そして組織された力をたたきつけよう。「教育の民営化」と対決し、キャンパスに学生の自己権力としての学生自治会を建設しよう。今秋の展望を切り開く全学連大会へ、全国の学生は総結集しよう。大会の成功のために4点を訴える。
(写真 8・6ヒロシマ大行動の集会をリードする全学連) 「新成長戦略」と対決し大恐慌下の反戦闘争を
第一に、全国学生は民主党政権による「新成長戦略」を粉砕する政治決戦に立とう。菅と小沢による民主党代表選の核心は、誰がいかにしてこの没落する日本帝国主義を救済するのかということであり、具体的には「新成長戦略」(6月18日閣議決定)の貫徹をめぐってだ。
「新成長戦略」は、世界大恐慌に直撃される日帝の延命のために、改憲・戦争、アジア勢力圏化、道州制・民営化・首切りを極限的に推し進めて帝国主義間争闘戦に勝ち抜こうというものだ。「通貨戦争」的形態をもって円高が進行し、8月31日には日経平均株価が年初来最安値を更新する中で、支配階級の内部から「小沢出馬」として、より対米対抗的にブルジョアジーの利害を貫く路線が噴き出してきている。
しかし、民主党・連合政権というかたちでの階級支配はもはや破綻している。そもそも、菅は「消費大増税」を掲げて7・11参院選で惨敗し背骨が折れているのであり、小沢・鳩山はともに6月2日に労働者民衆の怒りで打倒されているではないか。そこにはなんの求心力も幻想もない。労働者・学生はブルジョア議会制民主主義の欺瞞(ぎまん)を見抜き、怒りは急速に高まっている。何よりも、階級支配の破綻を強制している中心には、「4・9政治和解」を拒否して国鉄全国運動を呼びかけた動労千葉労働運動があり、うなりをあげて始まった11月労働者集会結集運動があり、小泉以来の全政権の反動政策とその崩壊を突き抜けて不屈に闘いを継続している法大闘争がある。
「戦争と大失業」とは、「死滅しつつある資本主義」(レーニン『帝国主義論』)としての帝国主義の矛盾の爆発である。1917年のロシア革命でプロレタリア革命の現実性をたたきつけられ、1974〜75年世界同時恐慌で「経済成長」の幻想と国家独占資本主義政策も瓦解し、80年代以降の新自由主義政策の破産の結果として世界大恐慌を引き起こした資本主義にわれわれ学生の未来はない。全国学生は大恐慌下の反戦政治闘争に立とう。「新成長戦略粉砕、民主党政権打倒」の行動をキャンパスから巻き起こそう。
学生は商品ではない! 怒りを大爆発させよう
第二に、新自由主義大学がわれわれ学生に強制する現実にもはや我慢がならない。「教育の民営化」への激しい怒りの中に、大学と世界を変革するエネルギーが宿っている。
「奨学金返還訴訟4233件、04年度の70倍超」(読売新聞8・24付)、「卒業予定者の5人に1人(11万人)が就職浪人、暴動が起きないほうがおかしい」(週刊現代9・11号)。学生は、「奨学金、就活、学費」の三重苦に縛られ、競争させられ、可能性をおとしめられるだけの存在なのか。学費高騰と大失業・賃下げによって、「奨学金」という名の学生ローンがなくては大学に通えず、「訴訟」に怯(おび)えて4年間をただ就職することのみに費やすために入学してきたのか。大学・教育とはそういうみじめなものなのか。
この事態を引き起こしている元凶はもちろん資本主義であり、ブルジョアジーだ。しかしそれと同じく悪質なのは、さまざまな理屈を並べ立てて現状を追認し、資本家どもと一緒になって「新成長戦略推進は国際競争力のために必要だ」などと叫んでいる大学当局や教授たちではないか。いったい「法的措置を強化する必要がある」(東大教授/前出の読売新聞記事)などが、真理探究であり社会の批判者たるべき「教授」の吐く言葉なのか。これこそ、学問の堕落であり腐敗そのものではないか。
「教育の民営化」と新自由主義大学を、学生の団結と行動によって根底的に変革しよう。
新自由主義は「学生の商品化」を推し進めたがわれわれ学生は未来を担う世代であり、断じて「商品」ではない。資本主義の原理が「無限の価値増殖と利潤追求」および戦争であり、大学・教育もその道具とされていくのなら、学生はそれを全面的にひっくり返すラジカルな時代観と行動によってキャンパスを自らの手に取り戻そう。全学連大会はその出発点だ。
キャンパス支配権奪還かけ法大闘争を全国へ
第三に、全学連大会において「大学の主人公は学生である」ことを宣言し、キャンパス支配権を奪い返すために学生自治会を建設しよう。
闘って勝利するために、われわれ学生には団結と組織が必要だ。そしてキャンパスに学生自身の利害を貫く権力が必要だ。60年安保闘争、70年安保・沖縄闘争の空前の爆発に対する帝国主義国家権力と大学当局の反動によって、いったんは解体された学生自治会権力を、世界大恐慌と「教育の民営化」の21世紀現代においていま一度復権させるということは、学生がストレートに資本・当局・権力の不正義に対して闘い、団結と数の力によって圧倒し、キャンパスを実力で取り戻していくということだ。
「それは必ずできる!」ということを、4年半におよぶ法大闘争が端緒的に示してきた。法大闘争は、新自由主義大学の学生支配に対し、ただただ組織的団結と行動につぐ行動によって風穴を開けてきた。それは、国境を越えて通用する内容と路線を生み出し、世界の学生に展望を示してきた。今こそ法大闘争を勝利に向かって大前進させ、全国に拡大しよう。
法大闘争の核心は、常に自らが立ち向かうべき敵が大学当局と資本であることをはっきりさせ、怒りを一つに束ね、非和解の闘いを貫いてきたことだ。「営業権」「施設管理権」、そして処分や規制をめぐる非和解の対決構造の中でこそ、法大生の怒りは普遍化し戦闘化し、素晴らしい学生活動家と革命家を生み出してきた。それは、動労千葉の階級的労働運動の地平から学び、全世界で決起を開始した青年労働者・学生の闘いにも通じるものだ。
さらにそれを、全学連と文化連盟という学生組織を大衆的に建設していく闘いとして発展させてきた。団結が組織として物質化し始めたときに、学生は絶対に負けることはない。学生御用団体が当局と結びついて多数を握っている中においても、組織的団結にかけきり、世界を時代をつかんだ闘いの路線によってあらためて大衆的分岐を巻き起こし、力関係をひっくり返していくことは可能だということを、2010年前半の法大闘争は実践してきた。キャンパスと職場、最も激しく苦しい資本との激突点にこだわるからこそ、そこから巨大な可能性が生みだされる。それが法大闘争と全学連運動だ。
これはほんの始まりにすぎない。斎藤郁真君、倉岡雅美さん、洞口朋子さんへの処分撤回署名運動が法大・首都圏から全国に広がり、「教育の民営化」に対する怒りを結合し始めていること、このうねりは法大闘争の全国大学への拡大であるとともに、必ず自治会建設へとのぼりつめていく。だからこそ、全学連大会で法大闘争勝利と学生自治会建設に向かって団結を固めよう。
11月1万結集の先頭に立つ
第四に、大会の大成功から全国キャンパスにおいて新自由主義大学に対する学生反乱を巻き起こし、動労千葉など4団体の呼びかける11・7全国労働者総決起集会1万人結集の最先頭に立つことが全学連運動に課せられた歴史的使命だ。学生の未来は、労働者・労働組合と団結し、時代に立ち向かう中にある。
そして今年は、60年安保闘争から半世紀、70年安保・沖縄闘争から40年だ。戦後革命期の大激動の中で産声を上げ、日本帝国主義の戦争政策と体を張って闘い抜き、日本共産党スターリン主義や社会民主主義をのりこえる路線と展望を示してきた全学連運動が、帝国主義の最末期である世界大恐慌の今だからこそ、時代の最前面に躍り出よう。われわれにはその力があり、路線があり、リーダーがいる。すべての学友にあらためて全学連大会への大結集を訴える。そして全国の活動家は、最後の最後まで死力を尽くした組織戦をやり抜き、大隊列を大会へ登場させよう。
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週刊『前進』(2454号6面2)(2010/06/06 )
全学連大会に集まろう −初参加の学生から訴え−
新しい仲間と新しい組織を 法政大学1年生
全国学友の皆さん、自分は法大1年生として今年の全学連大会への結集を呼びかけます。
時代は激動の時代です。学生は政治と主体性を奪われ、大学は本来の機能を失い、戦争の足音がこの国の内外から響いてきています。
未来を担う学生が、未来を壊される。自分の所属する法政大学では自治的な公空間であるはずのキャンパス内に公安警察が突入し、大量の学生が不当逮捕されました。
我々学生は今や、変革を求めずとも、学生が学生であり続けるために、この現状を維持するためだけにでさえ、闘わなければいけないのです。
さて、そこで必要となるのは新しい仲間であり、新しい学生運動であり、新しい組織です。
少しでも政治に関心を持つ学生なら、大会に結集して欲しい。色々な意見をぶつけ合いながら止揚し、共に既存の学生運動を超える新しい学生運動を始めようではありませんか。我々学生が持つ共通利害の実現へ向かって、目的合理的に前進する強大な組織をつくり出そうではありませんか。今こそ、行動の時です。
(写真 8・15靖国弾劾デモ。法大正門前で決起集会)
主流派になれ それが革命だ 法政大学1年生
全国学生は全学連大会に集まろう。
意思表示できる人間はとても若い。理論と実践を通した思想で武装し、自分の正義を信じてその脅威と戦えるくらいの意思表示をできる人間は若いとみられるだろう。
老いてからその愚直さに気付くものといわれるが、それを経験するのも人生を一つ豊かにしてくれる材料となるだろう。
自分の人生を豊かにできないことほどもったいないことはないと思う。なにしろ、たった一回の人生なのだから。
自分が主流派になるという気概を取り戻せ、若人よ。そして、自分が主流派になれ! それが革命だ!!
情勢は私達の手で変えよう 首都圏A大学2年生
全国学生に大結集を呼び掛けます。時代を嘆いて現実逃避するのではなく、批評だけして諦観(ていかん)するのでもなく、監理された蟲壺よろしく昏(くら)い中で共喰いし合い生きのびるよりも、この社会を操作して居る諸悪の根源ときちんと対峙するときなんです。理論や政治に興味なくても、時代に生きるからには此のきな臭くて終末的な趨勢(すうせい)を肌で感じるはず。
多くの人々がこの社会の在り方に違和感を感じる通り、この資本主義社会なんざ破綻し始めて居るのです。今の世の中腑(ふ)に落ちないことだらけ。そんな社会にしたのは一体誰か? …政治家や資本家たちでしょ。
今、菅政権は改憲に進み戦争をしようとして居ます。このままボヤボヤしていたら日本は核武装し、私達学生は再び戦地に立たされる。また、公務員の大量首切りや、正社員を首にし、使い捨ての非正規職を大量に増やす…なんてことも推し進めようとして居ます。
そんな中でもっと人々は空虚に成り、食って行く為に血の滲(にじ)むような労働を繰り返し、絶望する。…私達学生も、大学を出ても仕事が無いって云うのは本当なのです。もう一握りの政治家達に任せてはいられないでしょう? こんな退廃的な哀(かな)しい情勢は私達の手で変えないといけないのです。
確かに国家権力や資本家たちの金のちからはデカいです。しかし、私達学生と全世界で必死に生きようと頑張る全ての労働者が協力するならば展望は有ります。此れは理論ではなく、現実の闘いなのです。生の痛みを感じることが出来る闘い。
今回の全学連大会は、そんな現実の闘いをどう勝ち取るかの中核を成す大きな機会です。だから…全ての学生は、どうぞ此方においでませ。一緒に闘いましょ。本来、学生は強いものよ。
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週刊『前進』(2454号6面3)(2010/06/06 )
日程 全学連第71回定期全国大会
9月9日(木)〜10日(金)
東京・文京区民センター
地下鉄大江戸線・三田線春日駅、丸の内線・南北線後楽園駅、JR水道橋駅/文京区本郷4-15-14参加費/1000円(資料代など。宿泊費は除く)連絡先/電話 050−3036−6464 mail cn001@zengakuren.jp http://www.zengakuren.jp
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週刊『前進』(2454号6面4)(2010/06/06 )
新安保懇が報告書提出 日本版「海兵隊」創設
「基盤的防衛力」も大転換へ
対北朝鮮・中国の侵略戦争狙う
8月27日、「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」(新安保懇)が菅首相に報告書を提出した。政府はこれをふまえ、年末までに「防衛計画の大綱」の改定を進める計画だ。
この報告書の重大性は日帝が北朝鮮・中国侵略戦争を現実に遂行することを目指し、そこに向かってかじを切るよう提言していることだ。そのために自衛隊の配備の転換や編成替え、さらに日帝の軍事戦略の大転換まで主張している。
世界大恐慌下で日帝は絶望的な危機を深めている。菅政権の新成長戦略はその突破を目指すものだ。それは国内的には非正規化攻撃や道州制攻撃とともに、原発などの「インフラ輸出」というアジア侵略のエスカレートを図るものだ。日帝は「東アジア共同体」構想の実現に向かって突き進むしかない。だがそれは米帝・中国などとのアジアをめぐる争闘戦を極限的に激化させる。安保懇報告書の背後にあるのは、どんなに破綻的であろうと侵略戦争とそれを遂行できる帝国主義への飛躍をもってこの危機を突破しようとする日帝の衝動に他ならない。
報告書はアメリカの軍事力の後退や中国の軍事力の近代化、北朝鮮の核・ミサイルの脅威をあおることから始まる。そしてそれへの対応として「離島(南西諸島)の防衛の強化」や「潜水艦の増強」を強調している。
注目すべきは、防衛省が陸上自衛隊普通科(歩兵)連隊の一部をアメリカ海兵隊型の部隊に改編することを検討している事実だ。海兵隊とは海などから「敵地」に最初に上陸して陸軍などの後続部隊のために陣地などを構築する部隊だ。防衛省は九州南部を担当する第8師団の一部や、沖縄本島に常駐する第15旅団の中の普通科連隊をこの日本版「海兵隊」に改編しようとしている。さらに報告書は「従来の『静的抑止』に対し、『動的抑止』の重要性が高まっている」として、重火器中心から軽量で機動力のある陸上戦闘力への転換を主張している。
いずれも残存スターリン主義の北朝鮮や中国との戦争を想定し、上陸して攻め込むことを念頭に置いたものだ。
「南西諸島の防衛」はすでに石垣島、宮古島への自衛隊の配備の検討が始まっている。これは自衛隊を中国と軍事的に正面対峙させ、自衛隊・日本全体を戦争的緊張の中にたたき込み、排外主義をあおり、侵略戦争を準備する攻撃だ。
また「潜水艦増強」はアメリカの国防戦略と共同歩調をとって、中国の「アクセス拒否」戦略を無力化させることを狙うものだ。「アクセス拒否」戦略とは、アメリカ艦隊の中国への接近を阻止する戦略であり、中国はそのために現在約60隻の潜水艦を保有している。これを日本の潜水艦などによって壊滅させることを狙っているのだ。
武器輸出や非核3原則の放棄も
さらに報告書は、日帝の戦後の「専守防衛」というあり方そのものの抜本的転換を提言している。日帝は1976年に初めて防衛大綱を策定して以来、「脅威に直接対抗せず、自らが不安定要因にならないよう必要最小限度の基盤的防衛力を保有する」という「基盤的防衛力構想」を基本としてきた。それは04年の現大綱でも有効な部分は継承している。
もちろん日帝は、これらを隠れみのに世界有数の軍事大国へと飛躍してきた。だが報告書はこのあり方ではもう時代遅れだとし、完全な放棄を主張している。代わりに登場させたのが「脅威対抗型」の基本思想だ。
報告書は、これら以外にも「受動的な平和国家から能動的な『平和創造国家』を目指す」「武器輸出の緩和」「日本版NSC(国家安全保障会議)の設置」や、「非核3原則」も「賢明ではない」と放棄を要求するなど、戦後の日帝の「国家」「軍事」のあり方の根本的な転換を主張する内容で埋め尽くされている。北朝鮮・中国侵略戦争のための新安保懇報告を絶対に粉砕しよう。
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週刊『前進』(2454号6面5)(2010/06/06 )
2010年 8月24日〜31日
辺野古に自衛隊「共同使用」案/米が北朝鮮への追加制裁を発動
●辺野古に自衛隊「共同使用」案 沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題で、防衛省が名護市辺野古の代替施設に自衛隊を常駐させる案を検討していることが分かった。日本政府案として日米協議の場で提示した。5月の日米声明に「日米間の施設の共同使用」が盛り込まれ、詳細は今後の検討事項とされていた。共同使用の形態が明らかになるのは初めて。(24日)
●劣化ウラン弾の貯蔵可能性 菅政権は、沖縄県が7月に照会した基地問題に関する諸項目について回答。この中で嘉手納弾薬庫での劣化ウラン弾の存在について「わが国の一部施設・区域に保管されることもある」と説明し、可能性を認めた。一方で「内部規律によりわが国の訓練場で使用することはない」と訓練実施については否定した。(25日)
●アジア開発計画25兆円 東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国と日本、中国、インドなど東アジアサミットに参加する計16カ国の経済閣僚による非公式会議がベトナムで開かれ、ASEANと中国、インドを結ぶ地域のインフラを一体整備する総事業費約2900億j(約25兆円)の「アジア総合開発計画」を了承した。対象には鉄道や空港、港湾など約700件のプロジェクトが盛り込まれた。(26日)
●普天間移設で日米最終合意 日米の外務・防衛当局は、米軍普天間飛行場移設問題で、名護市辺野古に建設する代替施設を検討する専門家協議を終了し、滑走路1本の「I字案」と2本の「V字案」を併記する報告書に最終合意した。両案とも米軍機の飛行経路は集落近くを通るが、飛行経路については、文章では触れるが、図示することは見送った。(28日)
●米、北朝鮮への追加制裁を発動 オバマ米大統領は、北朝鮮の武器売買や不法行為などに関与した団体・個人に制裁を科す新たな大統領令に署名し、追加経済制裁が発動された。キムジョンイル総書記の秘密資金を扱うとされる朝鮮労働党の特殊機関「39号室」など3団体1個人を指定、米国内資産を凍結した。(30日)
●政府が2案併記を発表 日米両政府は、米軍普天間飛行場移設問題で、日本が推す滑走路1本の「I字案」と米国が求める2本の「V字案」を併記した専門家の検討結果を発表した。発表に先立ち、沖縄県側に説明した。最終決定は年明けになる可能性もある。(31日)
●普天間のアセスやり直しを示唆 岡田外相は、米軍普天間飛行場移設に関する日米専門家の報告書で米側の求めた陸上に近接する新たな飛行ルートを明示しなかったことに関し、米側が主張する飛行経路の見直しは、沖縄に導入予定の米海兵隊垂直離着陸機MV22オスプレイの配備が背景にあると語った。また「一体どういう経路が必要なのか、今の環境影響評価(アセスメント)で十分かも含めて検証していく」と述べ、これまで3年に及んだアセスのやり直しもあり得るとの認識を表明した。外務省で記者団に語った。(31日)
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週刊『前進』(2454号7面1)(2010/06/06 )
全国から10・10三里塚集会へ
農地と共に最前線で闘う市東孝雄さん
許すな!第3誘導路の軒先工事
2010年夏、三里塚闘争はその44年の長い歴史の中でも最も激しい攻防の渦中にある。日帝国家権力と成田空港会社(NAA)は、なりふりかまわぬ農地強奪策動を繰り広げ、団結街道を封鎖・破壊し、市東孝雄さんの農地を鉄板フェンスで囲い込むという暴挙にまで及んだ。だが三里塚芝山連合空港反対同盟はこの攻撃を敢然と打ち返し、「農地死守・軍事空港粉砕」を掲げて不屈の闘いを貫いている。決戦のさなかにある三里塚現地、天神峰から報告する。(本紙・田宮龍一)
(写真 炎天下、萩原進さん親子の稲刈り作業に顔を見せた市東さん【左】。この田は空港の4000b滑走路と暫定滑走路のほぼ中間に位置している。反対同盟の日々は営農と現地攻防、裁判闘争だ【8月28日 千葉】)
「空き巣狙い」の暴挙だ
6月28日未明、成田空港会社(NAA)は夜陰に乗じてこそ泥よろしく団結街道の封鎖を強行した。さらに7月26日、反対同盟が市東さんの耕作権裁判を総出で闘っている留守を狙って、空き巣狙いのように市東さんの南台の畑を鉄板フェンスで囲い込む工事を強行した。翌27日には千葉日報の片隅に「第3誘導路工事に着工」との記事が小さく掲載された。
8月半ばには実際に第3誘導路建設の予定地をフェンスで囲い込むなどの工事が行われた。今後は機動隊の前線指揮所や変電所の移設、道路のトンネル化・付け替えなどの工事に進もうとしている。
やみくもに巨費を投じて進められる工事の数々は、市東さんというたった一人の農民を屈服させるためだけに行われている。こんな非常識で非合理で、一片の道理もない農民圧殺を、NAA、国家権力・警察、成田市当局が結託して行っているのだ。
鉄板で包囲された農地
今まで家と南台の畑とを直線で結んでいた団結街道の閉鎖によって、市東さんは農作業のために「迂回(うかい)ルート」をたどって農作業に通うことを強いられている。その道を実際に歩いてみた。炎天下、新たに建てられたフェンスや機動隊の監視台を横目に見ながら、交通量の多い道路を歩く。この道のりは、団結街道と比べて3倍もの長さだ。時間、距離、暑さ、すべてに怒りを感じずにはおれない。
やっと畑の入り口の手前までたどり着いた。そのわきには、警察車両が何台も駐車するための広いスペースが確保されている。ここにも「NAAの所有地につき立入禁止」との不遜(ふそん)な看板が出されている。畑の入り口では、機動隊員が高い鉄板の上に上半身だけ現して一人たたずみ、こちらを常時監視していた。
市東さんの畑は、四方を鉄板と鉄線のフェンスによって包囲されている。現闘本部建物がやはり鉄板に重包囲された姿でそびえ立っている。
畑の東側の団結街道だった場所は、鉄板によって断ち切られ、特に誘導路に沿ってカーブしてゆく北側部分は破壊され、道としての機能を完全に奪われていた。
情景は一変した。フェンスの上に尾翼を見せて走行するジェット機の騒音だけが、相変わらずだ。
雨の降らない猛暑の中で、市東さんはこの畑にスプリンクラーで散水するために、一日に何度も自宅とこの畑を往復しタンクに入れた水を運ばなければならなかった。団結街道封鎖と農地鉄板包囲はまさに一農家に対する国家的地上げ、追い出し行為にほかならない!
(写真 市東さんの畑からフェンス越しに見える現闘本部〔右〕と「へ」の字誘導路を走行する全日空機 【千葉県成田市天神峰】)
監視ヤグラからの光景
団結街道の入り口に位置する市東さん宅の敷地に建てられた監視やぐらに上ってみた。
いたるところ鉄板フェンスが張りめぐらされた殺伐とした状況が広がっていた。ここから北方へ走る団結街道は両側が元々の高いフェンスにはさまれた上に、今では巨大な障害物によって通行を完全に遮断されている。約500b先に封鎖された現闘本部が見える。その隣の南台の畑は鉄板フェンスによって視界から遮られている。
現在の小見川県道がものすごい交通量で団結街道の真下をくぐり抜けているのも見渡せる。東側は空港敷地内で、暫定滑走路と誘導路がのびている。現地を訪れた人は、必ずやぐらに上り、空港と農村がせめぎ合っているこの光景を目に焼き付けてほしい。
団結街道の両側にはかつて反対同盟の農家の家宅と畑の豊かな田園風景が広がっていた。
開拓農民が多いから土地を奪うのはたやすいこと、と高をくくっていた空港公団(現NAA)は、反対同盟の頑強な実力闘争に追いつめられ、1978年にA滑走路1本での1期開港を強行した。そして、収用法による強制収用の脅しと、金に糸目をつけない悪らつな買収によって反対同盟農家を切り崩し、天神峰においては市東家だけが残った。まさに市東さんの家と畑は、この地における成田空港による侵略との闘いの最前線にあたる。
孝雄さんの父、故市東東市さんは、「代執行がやってきたら、家の屋根に上って闘う」と不屈の闘魂を示した。まさに反対同盟の「農地死守・実力闘争」の真骨頂を表す決意表明だった。孝雄さんはこの地で農業と闘いを受け継いで、10年を超えた。
(写真 畑を囲んだフェンス【千葉県成田市天神峰】)
不当逮捕に完黙を貫く
この間日帝国家権力とNAAは、天神峰で営農を続ける市東さんに対し、民事訴訟で農地を収奪することを画策してきた。だが法廷でNAA自身の違法・脱法行為の数々が暴かれる中で窮地に追いつめられたNAAは、団結街道破壊攻撃に乗り出し、5月17日、「NAAの看板を壊した」容疑で市東さんを不当逮捕した。
市東さんは完黙・非転向を貫き、23日間の勾留をはねのけ奪還された。
その直後に強行された団結街道封鎖は本当に許せない暴挙だ。だが今、市東さんは泰然自若として「こんなことで私の闘志をくじくことができると思ったら大間違いだ。これまで以上に闘う」と明快に言い切っている。
市東さんの畑では、作物の葉が豊かに一面に青々と茂っていた。猛暑・水不足に耐えて育つ野菜の姿は、もちろん市東さんの毎日の営農活動そのものだ。
周囲にフェンスを張りめぐらしても、祖父の代から受け継いだ耕作地をつぶすことができず、敵は歯がみしいらだっている。「1億8千万の金を積まれても、1本100円の大根をつくり続ける方が大事」と語り、その信念を貫き通した市東さんが、敵をここまで追いつめたのだ。
成田空港を必ず廃港へ
NAAは、この団結街道の封鎖・破壊によってへの字誘導路のカーブが緩和されると触れ回っているが、市東さんの畑と現闘本部建物の存在が誘導路の直線化を完全に阻んでいる現実はなんら「緩和」されない。
萩原進事務局次長は7・31緊急現地闘争で、デモの到着地点である鉄板に包囲された南台の畑に立ち、特に学生に向かって次のように訴えた。
「全学連はかつて羽田、佐世保、王子を闘いそして三里塚に来た。政治闘争、街頭闘争はキャンパスに閉じこもっていては絶対に理解できない。この三里塚の地に立って、市東さんが本気で自分の生涯をかけて闘っていることを分かってほしい。ともに闘おう!」
われわれはこの畑を反対同盟とともに絶対に守り抜く。最後にはこの鉄板を必ず打ち倒し、第3誘導路建設を粉砕し、成田空港を廃港へ追い落とす。青年・学生はこぞって援農、現地攻防にかけつけよう。反対同盟が呼びかける10・10全国総決起集会の大結集、大爆発へ進もう。
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週刊『前進』(2454号7面2)(2010/06/06 )
横浜「みなとみらい」を封鎖
超厳戒の11月APEC粉砕へ
「新成長戦略」を振りかざす日帝
アジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議が11月上旬、警察官2万人以上という超厳戒態勢のもとで、横浜市の「みなとみらい地区」で開催される。米帝オバマを含むアジア太平洋地域21カ国の首脳が集まり、「貿易自由化」「経済協力」などを協議する。今回の議長国・日本は6月に札幌で開かれた貿易相会合で、「APEC全域をカバーする自由貿易地域構想の実現に向けた議論をめざした」と報道されている。
日帝や米帝は大恐慌からの脱出策として、帝国主義資本の導入のもとでの中国を始めとしたアジア地域の「高成長」を取り込むことを狙っている。菅民主党政権の「新成長戦略」にも「アジア太平洋自由貿易圏を2020年までに構築する道筋を策定する」と明記され、日本経団連も同じ問題提起を行うなど、APECの位置づけはきわめて高い。
しかし「経済連携」をめぐる各国の利害、とりわけ”新興大国”中国スターリン主義と米帝、そして日帝の、アジア侵略と支配をめぐる利害対立と争闘戦は、大恐慌下で激烈を極めている。
ただ一点明白なことは、これら各国支配階級の思惑が、さまざまな分野の規制緩和、いわゆる「構造改革」を、労働者人民に対する搾取・収奪の徹底強化としてエスカレートさせる一点で一致していることである。
アジア太平洋諸国の労働者・農民をグローバリズムと新自由主義のもと、いかにしてさらなる「自由競争」の嵐にたたき込み、超低賃金で搾取し、その犠牲の上に、支配階級のどのグループが延命するかを競い合うための駆け引きの場、それがAPEC首脳会議なるものの正体なのだ。それゆえ首脳会議の開催自体が、アジアと世界の労働者・農民・学生たちの激しい怒りの対象となっているのだ。
日本労働者階級人民は、このアジアと世界の労働者人民との階級的連帯にかけて、APEC首脳会議を粉砕するために11月総決起をかちとらなければならない。
労働者や農民の怒り爆発に恐怖
国内でのAPEC首脳会議開催は95年の大阪会議以来だが、日帝治安当局は、この反階級的な頭目どもの会議開催に向けて恐怖心をむき出しにした空前の厳戒態勢を準備している。警察当局は全国の警備警察を総動員し、会議の期間中、横浜市の広大なみなとみらい地区全体を、住宅地も含めて封鎖してしまう計画だ。さらにその周辺の横浜駅から桜木町、関内にいたる約2`四方は厳重な「警備強化」地域となり、「交差点ごとに検問と職質を受ける状態」が準備されている(東京新聞8・25付)。
玄関口となる羽田空港とその周辺、そして横浜につながる首都高速など陸路周辺も戒厳状態におかれる。警察官の動員計画は「みなとみらい地区だけで1万人」(同)とされる。2万人を動員した08年の洞爺湖サミットの警備体制をはるかに上回る「戒厳令」体制が準備されているのである。
全国の警察当局も厳戒態勢の準備に入った。各県警は相次いで「テロ防止対策会議」を開き、鉄道やバスなど公共交通機関の担当者も招集し、「テロを未然に防ぐ」と称し、労働者人民のあらゆる抗議や闘いを封殺するために、「万が一」の時の対応や情報体制の強化などの検討に入った。公共交通機関などには「自主警備の強化」という名目で、自警団の組織化が要請されているという。街頭の「防犯カメラ」の設置台数の増加も、さまざまなレベルで強化される。
(写真 横浜港に面したAPEC会場のパシフィコ横浜【手前の白い建物】がある横浜市の「みなとみらい地区」ではマンションに約4000世帯7000人が暮らし、約6万7000人勤務。ここを封鎖するというのだ) 自治体も動員し治安体制を強化
自治体も積極的に動員される。警視庁が2002年に新宿区歌舞伎町に初めて高性能監視カメラを設置してから8年が経過し一気に全国に広がったが、いまや警察の監視カメラ網は住宅街にまで拡大された。駅周辺に市や町の自治体予算で設置された多数の監視カメラの映像が、警察署や交番内のモニターで24時間チェックされている所も多い(宇都宮市の例)。
また一般の民家や民間会社に監視カメラを「リース」で設置させ、一般住宅路を通行する市民の録画記録を警察に提供させるシステムも進んでいる(東京都内)。
11月のAPEC首脳会議開催は、このような「監視社会」体制を激しくエスカレートさせ、治安弾圧体制をいよいよ強化する。このことの中にもAPECの反人民性と末期的危機に陥った資本主義社会の本質があらわになっている。
この敵階級の危機と矛盾を突く国際連帯の闘いの発展と、労働者、労働組合の怒りの総結集で、厳戒態勢もろとも11月APEC首脳会議を粉砕しよう!
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週刊『前進』(2454号7面3)(2010/06/06 )
日程 三里塚裁判、法大裁判、前進社不当捜索国賠訴訟
三里塚裁判傍聴を!
◎市東さん農地法裁判
9月10日(金)午前10時30分 千葉地裁
◎鈴木さん一坪共有地裁判
9月16日(木)午前10時30分 千葉地裁
傍聴券抽選のため開廷1時間前に集合を
法大裁判に集まろう!
★暴処法裁判
第17回公判 9月16日(木)午後1時30分
★5・28暴行デッチあげ裁判(控訴審)
第2回公判 9月22日(水)午後1時30分
いずれも、東京地裁429号法廷 12時30分に傍聴券配布所に集合
前進社不当捜索国賠訴訟
第2回弁論 9月17日(金)午前10時30分
東京地裁415号法廷
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週刊『前進』(2454号8面1)(2010/06/06 )
団結ひろば 投稿コーナー
もんじゅで重大事故 ただちに廃炉にせよ 東京 広崎敦森
8月26日、福井県敦賀にある高速増殖炉「もんじゅ」で原子炉容器内に中継装置が落下するという大変な事故が発生した。
民主党・連合政権は、ナトリウム火災で15年もの間止まっていた「もんじゅ」の運転再開を5月6日に強行した。技術的問題や機器の劣化問題などから、必ず事故が起きると言われていたが、壊滅的被害をもたらしたチェルノブイリ事故すれすれの重大事態が早くも起きた。炉心に燃料集合体を交換した後、炉内中継装置(重さ3d、長さ12b、ステンレス製)を撤去するため、2bつり上げた時、はずれて原子炉容器内に落ちたというのだ。現場で作業していた労働者たちは「ドーン!」という大きな衝撃音を聞いている。
プルトニウム燃料がぎっしり詰まった炉心や炉内構造物などがどうなったのか? 日本原子力研究開発機構は、「変化なし」の一点張りで、事故隠し・情報工作にやっきとなっている。ナトリウムで満たされ放射能汚染が最も激しい炉内は目視が不可能で、状況は不明という。しかも、この炉心では核兵器生産の根幹をなす98%高純度プルトニウムがつくられるのだ。絶対に許せない!
一握りの支配階級どもに労働者の団結と生活・未来を破壊・じゅうりんされてなるものか。核武装と核事故の「もんじゅ」をただちに廃炉へ!
徳島で自治体労働者集会に参加しました 白鳥真也
8・25全国自治体労働者総決起集会に参加しました。全国規模での集会の準備と運営に携わること自体が初めてでした。全国の自治体労働者との交流を通して今後活動する際の心構えが知れたり、自分自身が今悩んでいることが吹っ切れたりしました。何よりも介護業界と自治体にかけられている攻撃が共通していることを知り、ともに闘うぞという気持ちをより一層強くすることができました。
星野再審要求行動にも参加し、本当に内側の団結を深める良い機会となりました。
以上のことが勝利点とするならば、反省点は計画を立てず思いつきで行動してしまったことです。労働者は徹底した人員削減と労働強化でフラフラになるまで働かされています。だから、疲れているから寝ようとなるし、どうしても活動がおろそかになってしまう日もある。それを突破する方法が、計画を立てて行動すること、つまり目的意識的に行動することだと分かりました。
資本家によって時間が奪われている中で、われわれがこの活動に全労働者の未来がかかっているという確信を持って行動できるか否かに、組織拡大の鍵があると思います。11月に皆さんとお会いすることを楽しみに、これからも猛然と行動していきたい。
民主党・千葉法相は死刑執行をやめろ! 東京 村雨省吾
本当に許せないことが起きています! それは、7月28日に起きた千葉法相による死刑の執行です。さらに千葉法相は、8月27日には東京拘置所の死刑場の公開までやった。法大闘争で33人もの学生たちを延々と閉じ込めた東京拘置所。あの場所で、国家権力の名をもって死刑囚の命が奪われている。そして、あの無機質で、重苦しい場所である東京拘置所が、まるで奇麗な場所であるかのような報道が垂れ流されている。こんなことが許せるか!
死刑執行は、司法制度の危機の現れだ。えん罪事件である布川事件が再審を確定、足利事件が再審・無罪判決をかちとる。石川一雄さんを始めとする狭山差別裁判の闘い、星野文昭さんの再審・無罪をかちとる闘いも裁判所を圧倒し、前進している。そして何より、裁判員制度そのものがグラグラになっている。国家権力の「威信」が揺らいでいるからこそ、千葉法相は死刑を執行したのだ。「議論を起こしたい」というキャッチフレーズは、裁判員制度導入の時にくさるほど使い古された言葉だ。労働者を動員し、裁判員に仕立て上げ、死刑判決を出させるためのパフォーマンス、公開処刑そのものではないか!
千葉法相の死刑執行こそ、労働者階級の闘いに対し、治安強化で突っ込もうとしている民主党政権の姿そのものだ。労働者階級の怒りで今すぐ死刑制度を撤廃しよう!
東大で防災=戦争訓練 職組の屈服許せない 元東大病院看護師 古市よしえ
8月29日、文京区で石原都政による総合防災訓練が実施され、在日米軍や自衛隊、消防ら約1万5千人が動員された。
今年の防災訓練は、北朝鮮侵略戦争のための米韓合同軍事演習が強行されている中で、それに規定された戦時実戦演習そのものだった。傷病者をヘリコプターで搬送し、米海軍輸送揚陸艦や横須賀基地内の医療施設でトリアージ訓練も行われた。トリアージとは、戦場に戻せる可能性の高い者を選別し優先して搬送・治療するという軍事用語だ。まさに戦時実戦訓練である。
今年の特徴は、今までの自衛隊大量投入の「見せる訓練」から、住民(労働者)動員を軸にした実戦訓練に変わったことだ。白山通りや小石川高校でトリアージが行われた。視察した石原都知事は「自助共助なくして公助はない」と言い放った。”国家のために労働者は犠牲となって死ね”ということではないか!
今回、初めて大学が演習の対象にされ、東大では大学正門周辺と病院近くのグランド・通りが使用され、高校生や地域住民が動員された。断じて許せない。
私が東大病院で働いていた当時、トリアージへの発想転換をしたのが医学部保健学科の教授であった。「社会資源の有効活用」と称し、「次のような患者が同時に来たらどちらを優先しますか?」として「50代の会社社長と20代のフリーター」のどちらかを選択するアンケートがあった。それを見て身震いしたのを覚えている。それが今、こうした形で実践的に開始されたのだ。
多額の交付金が投入され、独占企業と一体化している東大は日帝そのものと言ってよい。01年の東大病院の統合・再編は侵略大学化であり、闘う東大分院労組つぶしと一体で強行された。
現在の日共指導下での東大職組の労働運動は、崩壊的危機にある。今年の1月から基本給のカットが始まったが、組合執行部はまともな抗議もしなかった。こうした労組幹部の屈服を背景にして今回の防災演習がやられたことは確かである。
絶対反対と団結を軸にした階級的労働運動こそが、戦争を止め、社会を根本から変革できる。新たな国鉄闘争全国運動をもって、東大の労働運動を再生する決意だ。
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週刊『前進』(2454号8面2)(2010/06/06 )
マルクス主義学習講座
『共産党宣言』をとらえ返す (上)
労働者には資本主義を倒し階級社会をなくす力がある
仲山良介
【目 次】
◆「まえがき」部分、第1章前半/ブルジョアとプロレタリア(今回)
◆第1章後半/プロレタリア革命 (次回)
◆第2章/プロレタリアと共産主義者、第3章、第4章(次々回)
革共同「綱領草案」の理論的基礎は、主として『共産党宣言』に置かれている。『共産党宣言』は、今から約160年前、ドイツ人を中心にした労働者の国際組織が打ち出した、歴史上初のプロレタリア革命(労働者革命)論の全面的提起である。「綱領草案」をより深くつかむためにも、『共産党宣言』をしっかりと学び直そう。何より現在の情勢に根本的に、鋭角的に立ち向かうために。
(写真 プロレタリアートのブルジョアジーに対する闘いは、勝利するまで不屈に続く――8・6広島)
「まえがき」の部分
労働者階級自己解放の宣言
『共産党宣言』は 「共産主義者同盟」という革命的労働者組織の本格的な討論と決定に基づいて書かれた。マルクスが書いたものを一方的に労働者組織が受け入れたわけではない。むしろ、労働者組織によるマルクス獲得のオルグがあり、マルクス・エンゲルスは階級移行的な決断をもってそれに応え、『宣言』の執筆者となっていった。その意味でマルクスの個人著作ではない。
ヴァイトリングのキリスト教博愛主義と小ブル革命主義の混合物のような「教義」から抜け出し、〈労働者階級の歴史的運動〉の立場で根底的に問題を提起しきったのが『共産党宣言』だ。
共産主義は偉大な創始者の発明・発見でもないし、それに導かれ救われるというような宗教的運動でもない。一言で表現すると、「セクトの運動(小ブル的空想的社会主義)でなく、階級の歴史的運動」ということである。共産主義とは、労働者階級がブルジョア支配階級を倒し、名実ともに自分たちの力で社会を運営していく。そういう形で、これまでの階級支配の歴史を終わらせ新しい歴史を創造していくということなのだ。
19世紀と20世紀のマルクス主義と労働者階級の全運動は、『共産党宣言』の原則をめぐって闘争してきたとも言える。資本主義が末期的となり、支配階級が新自由主義を振りかざして「資本主義の原理に戻れ」とわめいている今だからこそ、『共産党宣言』の原則が革命的に復権されなければならない。
「共産主義者宣言」という議論と党の概念
〈自覚した個々人がバラバラに共産主義者になって、そしてゆるやかに自由主義的に連合する〉という考え方で『宣言』を解釈しようという主張がある。今から15年くらい前に新自由主義イデオロギーに対応する形で行われた『共産党宣言』150周年のキャンペーンの中で、その根本を解体しようとする試みとして流行した。スターリン主義への小ブル的反発の意味もあるだろう。〈01年9・11反米ゲリラ戦―アフガン・イラク侵略戦争―世界大恐慌情勢―全世界的な労働者階級の台頭〉の中で、こういう議論は吹き飛んだ。しかし、この問題は根本的に考えてみる価値がある。
(1)『共産党宣言』はもともと革命的労働者組織の綱領的文書として出されたものである。だから文書のタイトルも当然にも『共産党宣言』となっている。
(2)共産主義は労働者の階級闘争の貫徹の中にある。資本家と労働者の階級対立の非和解性がこの社会のすべての矛盾の基礎にあり、労働者階級はその死活の闘争の中でブルジョアジーを倒し新しい社会をつくる階級的団結を形成する。その団結こそが新しい社会の「母体」となる。
(3)つまり、労働者階級のブルジョアジーとの闘争の中から共産主義は生まれる。それをやりぬくためにこそ〈共産主義の党〉が必要であり、またその中から生まれてくる〈闘う労働者の政治組織〉が党である。だから共産主義者=共産主義の党は初めから、労働者階級の階級としての団結を基礎に形成される。つまり、共産主義の党とは労働者階級自身の党であり、労働者階級が自己権力の樹立と階級のない社会への移行を目指すための政治組織なのである。
党とは何かしら超階級的、全人民的なものだという思想は間違っている。このような思想・発想はスターリン主義そのものであり、またカウツキー主義の特徴でもある。以上のような意味で、『宣言』は共産主義者の自由連合宣言ではなく、『共産党宣言』――労働者階級の革命宣言なのだ。
共産主義という妖怪の正体
「共産主義」とは何か。当時、”正体不明だが、とにかく人間性の本性を根本から脅かすもの”として恐れられ、反対されていた。だが共産主義の正体とは、闘う労働者階級そのもののことである。今の社会秩序を根底的に破壊・変革するのは、共産主義というわけのわからない妖怪(幽霊)ではなく、われわれ労働者階級だ――そういう意味を込めて、「共産主義の党自身が、自らの正体を明らかにする時が来た」と宣言している。
ブルジョアとプロレタリア 1章前半
階級社会を廃止する存在
「これまでのあらゆる社会の歴史は、階級闘争の歴史である」
この冒頭の一行は、「ついに階級社会の歴史に終止符を打つ存在であるわれわれ労働者階級」の革命宣言として全体が貫かれていることを意味する。
階級=階級関係とは、根本的に労働と生産をめぐる関係である。他人の労働とその生産物を奪いとって生きている社会階級と、他人のために労働させられている階級との関係だ。だから絶え間ない闘争の歴史である。
だが、これまでの歴史は支配階級と底辺の被支配階級(働く階級=多数者)がぶつかったとしても、「底辺の被支配階級」が勝利して次の支配階級となったわけではない。そもそも被支配階級が「俺たちこそ社会の主人公だ」と言える条件はなかった。身分的・人格的な従属のもとで、幻想的な外皮(たとえば宗教的な争い)をもって階級闘争は闘われた。
身分制的な階層秩序のもとでは、労働し搾取される階級と、搾取し支配する階級との全面的対決という形にはなかなかならない。封建社会の農民一揆の場合、搾取・収奪や支配の緩和(救済)を命がけで訴えるというのが基本的なあり方だった。
封建社会が没落して、近代のブルジョア社会=資本主義社会が生まれた。しかし、「ブルジョア社会は、階級対立を廃止したわけではなかった。それはただ新しい階級を、抑圧の新しい条件を、闘争の新しい形態を、古いものと置き換えたにすぎない」「われわれの時代、ブルジョアジーの時代は、階級対立を単純化したことを特徴としている。社会全体がますます、敵対する二大陣営、直接に対峙する二大階級に分裂していく――すなわちブルジョアジーとプロレタリアートに」
結論的に言って、われわれ近代のプロレタリアートは、〈ついに階級社会の存在そのものを廃止することのできる階級〉なのである。歴史上初めて、労働する階級が革命によって社会と歴史の真の主人公となる――そういう階級として登場してきた。
以上のような第1章冒頭の展開はきわめて重要である。
ブルジョア社会とはどういう社会か
「近代のブルジョアジー自身が長い歴史的発展の産物である」
産業革命を経て近代的大工業が現われ、ここに全産業軍の指揮官である近代ブルジョアジーが生まれた。【その前提に、大量の農民の土地からの追放によるプロレタリア化があった】
大工業は、すでに準備されていた世界市場をつくり上げ、それがまた工業、商業、海運、鉄道を一挙に拡大し、中世以来の伝統的階級を後景においやった。
ブルジョアジーは、近代代議制国家(議会制民主主義の国家)において独占的政治支配権を闘いとった。自分たちの政治権力を樹立した。これが狭い意味のブルジョア革命である。近代的国家権力とは、全ブルジョア階級の共通の事務を処理する委員会にすぎない(ブルジョアジーのための組織でしかない)。
「ブルジョアジーの歴史的革命的役割」
「ブルジョアジーは歴史上きわめて革命的な役割を演じた」
ブルジョアジーは、あらゆる封建的・家父長的・牧歌的関係を破壊し、ただひとつの破廉恥な自由、すなわち商業の自由をもたらした。宗教的政治的幻想に覆われていた搾取を、あからさまで粉飾のない搾取に置き換えた。
ブルジョアジーは生産諸関係と社会的な諸関係全体を絶え間なく革命し続ける。生産の絶え間ない変革、社会状態全体の不断の動揺、永続的な不安定と運動――これこそが、この時代の特徴である。人間はこの中で、自分たちの生活上の位置と自分たち相互の関係―つまり物質的・階級的関係―を、さめた目で見つめざるをえなくなった。
ブルジョアジーは世界市場を切り開き、生産と消費を国境を越えた全世界的なものにつくりかえていった。
安価な商品は、民族、国家の障壁をぶち壊し、すべての民族にブルジョアになるよう強制する。一言で言えば、ブルジョアジーは自分自身の姿に似せて世界を創造するのだ。
ブルジョアジーは人口を密集させ、生産手段を集中させ、財産を少数者の手に集積させた。ここから必然的な結果として生じたのが政治的中央集権制であった。「(ゆるやかに)連合した程度の関係でしかなかった(封建的)諸州が、一つの国家、一つの政府、一つの法律、一つの国民的な階級利害、一つの関税線のなかにまとめあげられた」
【ブルジョア国家は中央集権的・官僚制的国家に発展していかざるをえない。肥大化した国家官僚制の解体や「市民的コントロール」など、ありえないウソである。せいぜいが国家行政の部分的簡素化とか効率化だ。実際にはこのようなスローガンのもとに仕掛けられているのは、公務員労働者への大リストラと労働運動の破壊攻撃以外の何物でもない】
ブルジョア的生産力の発展の帰結
ブルジョアジーは、わずか百年たらずのうちに、(産業革命直後の時点で)これまですべての時代を全部合わせたよりも、はるかに巨大な生産諸力をつくり上げた。
ブルジョアジーの生産力がある段階まで発展すると、封建社会の諸関係と矛盾し、封建的な所有諸関係は束縛に変わった。したがって、この所有諸関係は粉砕されるべくして粉砕された。
生産力と生産関係(社会的諸関係、社会組織、所有関係)の矛盾は革命的大変動をもたらした。生産諸関係が変わり、封建的支配階級=封建的土地所有者そのものも消えた。同じような運動(歴史の運動)がわれわれの眼前で進行している。
「近代ブルジョア社会は自分で地の底から呼び出した魔物をもはや制御できなくなった魔法使いに似ている」「近代的生産諸関係と所有諸関係に対する、近代的生産諸力の反逆」が始まった。
それが、すなわち恐慌である。1825年から40年代まで10年ごとに商業恐慌が起きた。
恐慌では生産物と生産諸力の大部分が破壊される。全社会的な破壊戦争の様相を呈する。なぜそうなるか。資本の運動が、発展した生産力をより高い割合での資本の増殖のために使えない状態、資本が「絶対的」に過剰化した状態をつくり出すからだ。
生産力を絶えず高めることが資本主義の存立条件なのだが、しかしそれは資本主義の経済的秩序と社会的秩序を破壊する。恐慌の克服はより深刻な恐慌への道を開き、それを予防する手段をますます狭める。労働力の商品化を根底とするブルジョアジーとプロレタリアートの対立関係の中で、生産力のこれ以上の高度化をこなしていくことはもはやできない。
生産力の高度化はストレートに破壊の力に転化していく。それは現在、封建社会の解体期や資本主義の初期とは比べものにならないほどの破壊力として作用し、発現する規模に達している。
「ブルジョアジーが封建制を打ち倒すのに用いた武器が、今やブルジョアジー自身に対して向けられている」。恐慌は革命の条件をつくり出す。だが、ひとりでに革命が実現されるわけではない。ブルジョア的生産力の発展は、同時にこの〈武器〉を利用して革命を実現する主体=労働者階級を生み出したのである。
(つづく)
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週刊『前進』(2454号8面3)(2010/06/06 )
星野闘争
金山同志の面会不許可弾劾
自治労大会の労働者 徳島刑務所を訪れ激励
8月25日、徳島刑務所は、金山克巳同志の星野文昭同志との面会を不許可とした。友人面会拒否の一段のエスカレートであり、断じて許すことができない。
徳島刑務所は、5月20日以来、連続4回、6人の友人面会を拒否してきた。その理由としてあげていたのが「星野同志が提出した5人のリストに入っていない」ということであった。金山同志は「5人のリスト」に入っているのだ。面会拒否の理由はない。
この日一緒に面会する予定であった星野暁子さん、徳島救う会の仲間と3人で猛然と抗議した。すごすごと現れた「第1統括」なる職員は、「面会させる必要が認められない」「所長の裁量だ」と繰り返すばかりだ。
さらに、今後の面会について「再審支援者の面会は2人に限定する」という、とんでもない攻撃を加えてきた。「親族は面会できるが、友人は原則不許可。特別な場合にのみ許可する。これまで緩やかだった法律の運用を5月31日から厳格にした」と、友人面会を根本から否定してきたのだ。
これは、06年以来の友人面会を全面的に禁止しようとするもので、絶対に許せない。総計94人に及ぶ友人面会は、無期の獄壁を事実上突き崩してきた。日帝・国家権力は、なんとしてもこの地平を破壊しようとしているのだ。
徳島刑務所は、友人面会拒否に加え、星野同志への連続懲罰、処遇における「優遇区分」の降下、手紙の「墨塗り」などの獄中弾圧を激化させている。
真に追い詰められているのは、日本帝国主義である。世界大恐慌情勢の一層の深化の中で、「最弱の環」としての危機を深める日帝は、プロレタリア革命の接近におののいている。星野同志の36年間に及ぶ非転向の闘いは、労働者階級の怒りを爆発させる結集軸になっているのだ。
「4・9政治和解」情勢と対決し、国鉄闘争全国運動の前進をかちとろう。労働運動、労働組合をよみがえらせる闘いに執念をもってチャレンジしよう。労働者階級の怒りを徳島刑務所にたたきつけ、星野同志への獄中弾圧を粉砕しよう。
8月26日、自治労第82回徳島大会を闘いぬいた自治体労働者35人は、大挙して徳島刑務所に押しかけた。前日の金山同志への面会拒否に怒りの抗議をたたきつけた。そして全員が星野同志に差し入れし、星野同志への激励行動をうちぬいた。
星野同志は面会を通して次のようなメッセージを送り、自治体労働者の闘いに応えた。
「大切なことは、自分を信じ仲間を信じること、そして日本の労働者人民が今の戦争を始め全体の状況を変える力をもっていることを信頼して実践することだ。どんな困難な時にも屈服せず、労働者人民を信頼して団結して闘うことだ」
星野同志と労働者階級がひとつになった瞬間だ。星野同志と団結し、11・7労働者集会1万人結集、11・27星野全国集会の成功をかちとろう。星野同志を奪還しよう。
(写真【左】 星野文昭さんに差し入れ後、自治体労働者たちは徳島刑務所門前で「星野さんを取り戻そう」と団結!【8月26日】)
(写真【右】 交流センターとともに自治労大会の代議員にアピールする星野暁子さん【8月26日 徳島市】)
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