ZENSHIN 2010/04/26(No2437 p06) |
週刊『前進』(2437号1面1)(2010/04/26 )
●2010年メーデー/マル青労同は青年労働者に訴える
解雇撤回・国鉄闘争勝利へ
大失業と戦争の鳩山政権を倒せ
沖縄米軍基地撤去・日米安保粉砕へ 本土・沖縄の労働者は団結し闘おう
4・28-5・15沖縄闘争に総決起を
昨09年、労働者の怒りにさらされた自民党の政治支配は終わりを告げ、連合幹部を抱きこんだ鳩山・民主党政権が誕生しました。労働者の味方を装って登場した鳩山政権ですが、1000兆円と言われる国と地方の借金から逃れることはできず、民営化と労働者の団結破壊、さらには自民党政権でもできなかった改憲と戦争への道を突き進んでいます。鳩山内閣の支持率は2割台に落ち込み、転落の一途です。そして国鉄1047名闘争の解体攻撃は、6千万労働者階級の根底的な怒りに火をつけようとしています。さらに沖縄の普天間基地移設をめぐってもグラグラの状態です。資本家階級には、資本主義体制の危機を解決することはできません。世の中に責任を取ることができるのは、あらゆるものをつくり出し、世の中を動かしている労働者階級だけです。ついに労働者が社会の主人公になる時がきたのです! 闘う労働組合をよみがえらせよう。マルクス主義青年労働者同盟に結集してともに闘おう。
世界に広がるストの波
大恐慌情勢下で、世界各国の政府・資本家が「恐慌対策」「景気対策」と称してやっていることは、労働者階級に対する徹底的な賃下げと強搾取です。資本主義の破綻のすべての矛盾をあくまで労働者に押し付けています。
しかしそれすら限界です。ギリシャでは国家財政の破綻から国家そのものが崩壊していくという事態にいたっています。この事態を前にして、ギリシャの労働者は「労働者に破綻の責任は一切ない」とゼネストに立ち上がりました。このゼネストは、ヨーロッパ全土に広がっています。闘いの焦点は財政危機を口実にした民営化・外注化攻撃であり、鉄道・航空などの合理化攻撃との闘いです。そして公務員の大量首切り・賃下げ、社会保障・年金削減、増税との闘いです。
重要なことは、どの国でも現場の労働者が、政府・資本家を支える体制内労組幹部との激突をとおして立ち上がっていることです。
(写真 3月20日の「イラク反戦7周年全世界一斉デモ、ワーカーズアクションin渋谷」。青年労働者が先頭に立って「解雇撤回! 基地撤去! 鳩山を倒そう!」と訴えて渋谷をデモした)
闘うメーデーの原点に立ち返って
2010年メーデーにあたり、「労働者の時代が来た。労働者にメシを食わすことができなくなった国家など倒そう」と訴えます。
メーデーの起源を振り返れば、資本家階級と労働者階級の利害は相いれないことがはっきりします。「8時間は労働を、8時間は睡眠を、あとの8時間は自由を」という要求を体を張って闘いとってきたのがメーデーの原点です。
1886年、アメリカの労働者は「8時間労働制」を要求してゼネストに立ち上がりました。この闘いは、AFL(アメリカ労働総同盟)の前身「アメリカ・カナダ職業別労働組合連合会」が84年にシカゴ大会で採択した決議にもとづいていました。
86年5月1日を期して全米各地でゼネストが決行され、中心になったシカゴでは、約4万人の労働者がストに入って一大デモンストレーションを行い、あらゆる職場で要求を獲得していきました。ストライキをめぐって労働者は警察による襲撃やデッチあげ弾圧と激しく闘いました。
こうした激突を契機に、1889年の第2インターナショナル創立大会は「毎年5月1日を8時間労働制獲得と労働者の国際的連帯の日として設定すべきだ」という提案を可決しました。この決議を受けてヨーロッパ各地で最初の国際的メーデーが実施されたのです。遠く海を越えたアメリカの労働者の闘いに、ヨーロッパの労働者は感激し、励まされ、ともに立ち上がっていったのです。
このようにメーデーの歴史には、労働者階級と資本家階級の激しい闘いの歴史が刻み込まれています。だが、その後の歴史の中で、体制内労働運動の指導部がこの革命的な原点を踏みにじってきました。私たち青年労働者は今年のメーデーを、国鉄1047名解雇撤回闘争を始めとする闘いの勝利を誓い、団結の威力を資本家階級にたたきつける日として、闘いとっていこうではありませんか。
国鉄・沖縄闘争を基軸に
今の日本を見てください。1987年の国鉄分割・民営化以来、新自由主義政策によって起きていることは、正社員の激減と非正規職への置き換えです。正社員には長時間労働、サービス残業が強制されています。非正規職は会社の都合のいい時間だけ雇われ、ダブルジョブ、トリプルジョブを強制され、さらには会社の都合で首を切られています。その矛盾は青年労働者に集中しています。15歳から24歳の完全失業率は14・2%。25歳以下の青年労働者の45%が非正規職に落とし込められているのが現実です。2千万青年労働者の怒りは積もりに積もっています。
この怒りの爆発を抑え、資本のデタラメなやり方を支えているのが、体制内労組幹部です。しかし資本と闘い、体制内幹部と激突する中から、労働者の利益を代表する闘いが始まっています。それは動労千葉(国鉄千葉動力車労働組合)を先頭とする民営化絶対反対の闘いであり、国鉄1047名解雇撤回を闘う闘争団の姿に示されています。さらにあらゆる産別にともに闘う青年労働者がいます。その結合として、動労千葉など3労組が毎年開催している11月全国労働者総決起集会の国際的団結は国境を越えて広がっています。
非正規化と貧困、青年労働者の大失業の出発点は国鉄分割・民営化です。だからこそ政府・資本家は、23年間も不屈に闘われてきた国鉄労働者の解雇撤回闘争を完全につぶそうと必死になり、「解決金」で団結を解体しようとしています。国鉄闘争がかつてメーデーの起源になったような闘いに発展することを恐れているからです。
国鉄1047名闘争の「政治解決案」は絶対に認めることができません。1047名の労働者が政府・国鉄による不当労働行為を徹底弾劾して23年間闘ってきた「解雇撤回」の要求を完全に踏みにじるものだからです。
政府が解決案につけた条件は、ゼニカネと引き換えに「不当労働行為や雇用の存在を二度と争うな」「雇用について人数等が希望どおり採用されることは保証できない」という内容を組合が機関決定して了解しろということです。労働組合に対して「首を切られても文句を言うな。今後いっさい闘わないことを誓え」という、労働組合の解散要求に等しいものです。どうしてこんなものを認めることができるでしょうか。
職場では、会社は「アルバイトの君を正社員にしてやる。その代わりに何でも言うこと聞け」と言ってきます。隣の労働者を蹴(け)落として自分だけは助かる。その先にあるのは、会社へのさらなる忠誠と奴隷的労働です。
確かに賃金は多い方がいい。しかし「ゼニカネと引き換えに、人間性まで奪われていいのか」という思いもある。だからこそ労働組合があるのです。労働組合は団結して資本と闘って、その中で人間性を取り戻し、労働者の団結を学んでいく場です。
国鉄1047名解雇撤回闘争に感動して連帯を求める遠く海を越えた労働者がいます。徹底して団結を奪われ、バラバラにされてきた青年労働者こそ国鉄闘争を闘おう。そして団結を取り戻そう。
沖縄と本土の分断のりこえて一つに
沖縄の労働者人民は、琉球処分、戦前・戦中の軍国主義教育、そして本土防衛の捨て石として唯一の地上戦を強いられ、帝国主義の支配体制のために犠牲を集中されてきました。さらに戦後は27年間、アメリカ帝国主義のアジア支配体制の要として米軍の軍政下に置かれました。帝国主義者どもは戦後革命の爆発に恐怖し、サンフランシスコ条約と日米安保によってその圧殺を図ったのです。これこそ戦後、沖縄と本土の労働者を分断してきた元凶です。
しかし、1960年代の復帰運動の高まりの中で、青年労働者を先頭に、沖縄におけるゼネストが準備されました。米軍基地労働者が「死すべきは基地である」と訴えて基地内からストとデモに立ち上がり、その闘いは労働者階級と全人民の魂を揺さぶりました。本土でも青年労働者、学生が続々と決起しました。当時、学生運動の先頭で闘った星野文昭さんは、デッチあげ逮捕により今も獄中にあります。沖縄―本土を貫く青年労働者の闘いで奪還しよう。
忘れてならないことは、沖縄のゼネストと本土の闘いを分断したのが当時の総評幹部だったことです。沖縄と本土の闘いの結合に革命の現実性を見たからです。
当時の闘いを圧殺したのが体制内労組幹部であったのと同じく、今は連合幹部が鳩山と結託してその役割を担おうとしています。しかし「普天間5月決着は絶望的」という報道が示しているのは、民主党―連合体制の破綻ということです。もはや、責任を取るやつはいません。いよいよ労働者が天下をとる時代がきました。
沖縄全島の総決起が始まっています。4・28沖縄デー闘争―5・15沖縄闘争を労働者の魂で闘いぬき、民主党・連合政権を倒そう。
マル青労同と共に革命勝利を開こう
鳩山政権の危機を突いて、新党結成が相次いでいます。しかしいずれも、資本主義体制の延命のための動きであり、労働者をどうやってこき使うかしか考えていません。行き着く先は戦争動員です。
もう労働者はだまされない。青年労働者の闘いは始まっています。動労千葉が呼びかける「1047名解雇撤回、国鉄闘争勝利の全国大運動」こそ青年労働者の闘いです。マルクス主義青年労働者同盟はその先頭で闘います。
現場労働者自らの闘いで労働組合をよみがえらせ、労働者党を建設し、プロレタリア革命勝利に向けてともに闘おう!
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週刊『前進』(2437号1面2)(2010/04/26 )
3万法大生の怒りと共に包囲デモ
4月23日昼、法政大学文化連盟と全学連、闘う労働者ら250人が、3万法大生の怒りと一つになって法大解放総決起集会を市ケ谷キャンパス正門前で闘いぬいた。(詳報次号)
法大当局はこの日、校舎のすべてのブラインドを下ろし、キャンパス中央へ続くすべての通路と正門を封鎖した。不当処分に学生証チェック、そしてキャンパス全面封鎖の仕打ちに学生の怒りはさらに爆発した。校内では洞口朋子さんと新入生が当局を徹底追及し、正門前では斎藤郁真文連委員長が「自分たちに不都合なことは学生に知らせない。抗議のビラをまいたら処分。断固として抗議する」とマイクを握り(写真)、恩田亮同副委員長が「1年生の決起に全力で連帯していくぞ」と総長室デモを呼びかけた。
法大では今、正体不明の「偽装職員」がビラを受け取った新入生に「学生証を見せろ」と脅迫する。新入生は学生証チェックに拒否をたたきつけ、1年生のクラスで抗議の決議も上がっている。この日は新入生もデモに合流し、午前と午後の2波のデモを貫徹した。
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週刊『前進』(2437号2面1)(2010/04/26 )
「1047名問題和解案」に対する動労千葉の見解
国鉄闘争の火を消してはならない
国鉄分割・民営化との闘いは終わってない
政府と与党3党・公明党による国鉄1047名解雇撤回闘争についての「解決案」に対して、動労千葉は4月9日に以下の「見解」を発した。1047名闘争解体攻撃をうち破り、「国鉄分割・民営化絶対反対、解雇撤回」の新たな全国大運動を巻き起こそう。(編集局)
(写真 2・13JR東日本本社デモ)
1
政府と与党3党・公明党が、国鉄1047名問題の「解決案」について合意し、政府・鉄道運輸機構と4者4団体の間で「和解」が成立しようとしている。これは、当該である動労千葉、動労千葉争議団を排除して進められてきたものであり、われわれには何も提示されてはいない。しかし、報道されているかぎりでは、謝罪も、解雇撤回もなく、いくばくかの金銭によって国家的不当労働行為を正当化し、人生をかけて闘いぬいてきた1047名の思いをふみにじるものだと言わざるをえない。
政府は、今回の「和解」について、「1047名は万全の雇用対策を講じてきたにもかかわらず結果として解雇された方々」「政府としての責任は全(すべ)て果たしている」「ただ長くかかっている話でございますし、かなり御高齢になっておられますので、その意味では何らかの政治的解決が必要との考えに同意する」(1月29日・衆院予算委員会での前原国土交通大臣答弁)とし、JR各社は「法的に解決済みの問題」などとして、「200名程度の採用を要請する」という4党案すら拒否している。
「和解」という姿をとって国鉄分割・民営化が正当化され、1047名の23年に及ぶ苦闘が否定されようとしているのだ。
この間、「政治解決のため」と称して国労本部が行なってきたことは、国鉄改革法の承認、「JRに法的責任なし」の承認、政府やJRへの「詫(わ)び状」の提出、JRとの「包括和解」=全ての不当労働行為事件の取り下げやJRにおけるあらゆる合理化の容認、解雇撤回要求の取り下げ等、闘いの放棄と屈服であった。
23年間の困難な闘いを継続した闘争団の本来の思いはこうして蹂躙(じゅうりん)され、孤立させられた。その過程で闘いは、本音と建前が分離し、与野党の国会議員への根回しだけが「解決」の唯一の手段と見なされるようになった。こうした結果の産物が今回の「政治決着」である。
2
国鉄分割・民営化は戦後最大の労働運動解体攻撃であった。第2臨調の設置(1981年)、中曽根内閣の発足(1982年)から約30年、戦後日本の労働運動の歴史の半分に及ぶ歳月が国鉄分割・民営化攻撃との攻防を焦点として火花を散らしてきたと言っても過言ではない。20万人の国鉄労働者が職場を追われ、200人が自殺に追い込まれ、総評・社会党が解体され、日本の労働運動は後退を余儀なくされた。以降、社会をのみ込んだ新自由主義政策の下で、労働者の雇用・賃金・権利・団結は破壊され、全雇用労働者の4割が非正規職に突き落とされたのだ。
国鉄分割・民営化攻撃の決着を許さず、23年間闘い続けられてきた1047名闘争は、こうした現実への決定的な対抗力であった。それは、労働運動史上前例のない大量首切り攻撃をめぐる争議であると同時に、日本の労働運動の全蓄積がここに凝縮して生み出した画期的な闘いであった。だからこそ全国の無数の労働者がこの闘いに自らの未来を託して支援し続けてくれたのだ。またそれは、「行革でお座敷をきれいにして立派な憲法を安置する」という中曽根の狙いを許さず、今日まで改憲をおしとどめてきた力でもあった。
動労千葉は国鉄分割・民営化攻撃に対し、首をかけて2波のストライキに立ち上がり、40名の不当解雇をはじめとした組織根絶攻撃を受けながら、団結を守ってJRにのり込み、今日まで闘いの道を貫いてきた。それは、労働組合の存在価値、労働者の誇りをかけた闘いであった。
国鉄分割・民営化はまさに分水嶺であった。われわれは、30年に及ぶその攻防の帰すうを問う大きな歴史の転換点に立っている。
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「和解」の結果起きるであろうことは、国労の瓦解・JR連合への吸収である。実際、国労とJR連合との間では、様々なかたちをとった協議が始まっている。
23年間の闘いは何のためだったのか。ときの首相が「国労を潰(つぶ)し、総評・社会党を潰すことを明確に意識してやった」と公言してはばからない現実を許しておくことはできないからであった。ここまで突き落とされた労働者の現実、労働運動の現状を打ち破り、労働者が団結と誇りを取り戻すためであった。その結果が国労の「瓦解」では、首をかけ、人生をかけた闘いの意味が失われることになる。
しかも、自治労や日教組をターゲットにしたいわれなき非難や弾圧が吹き荒れ、この1月には、社会保険庁の解体・民営化をめぐり、国鉄と全く同じやり方で1000名の労働者が解雇され、数千名の労働者が非正規職に突き落とされているのだ。そして、525名の労働者が屈辱的な「自主退職」を拒否し、あえて分限免職の道を選んで闘いに立ち上がろうとしている。道州制導入をめぐっては、公務員労働者360万人を一旦(いったん)解雇し、選別再雇用するという究極の民営化・労組破壊攻撃がかけられようとしている。
絶対に国鉄分割・民営化を正当化させてはならない。それは、敵にフリーハンドを与え、労働運動のより一層反動的な再編・解体攻撃に棹さし、日本の労働運動・労働者の将来に大きな禍根を残すことだからだ。このようなかたちで1047名闘争が終わった後に始まるのは、新たな、より大規模な民営化・労組破壊攻撃である。
今、与党3党のみならず、公明党や自民党を含むあらゆる勢力が国鉄分割・民営化問題の原点に引き戻され、それに決着をつけるために動きだした背景にあるのは、危機を深める現在の情勢だ。貧困の蔓延(まんえん)や社会の崩壊をもたらした民営化・規制緩和路線への怒りの声が1047名闘争のもとに結集することを恐れているのだ。
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動労千葉争議団と鉄道運輸機構との裁判では、本州JR不採用者は、「採用する職員」が決定されるわずか数日前までは、採用候補者名簿に登載されていたことが明らかになった。それが、葛西職員局次長(当時)の指示で急遽(きゅうきょ)外されたというのである。
この時に起きていたのは、あまりに激しい組合破壊攻撃の中で、膨大な労働者が自ら職場を去り、本州では、JR各社の採用者数が「定員割れ」になるという事態であった。国鉄当局は当初は、閣議決定された定員を割り込んでしまった以上全員採用するしかないと判断し、その旨の記者会見まで行なっていた。
予想外の事態にあわてたのが鉄道労連(現JR総連)であった。民営化の手先になった手前、「全員採用など絶対に認められない」「国鉄改革の妨害者を採用するな」という特別決議まであげて当局に激しく迫った。
動労千葉9名はこうして名簿から外されたのである。採用差別は、まさに政府・当局とJR総連が結託した不当労働行為であった。その後、1千万人以上の労働者を非正規職に突き落とす突破口となった攻撃がいかに強行されたのか、その構図がついに明らかになったのである。いよいよ反転攻勢に立ち上がるときがきたのだ。
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国鉄分割・民営化攻撃との闘いは何ひとつ終わっていない。今、JRの職場では、鉄道業務のほとんど全てを丸投げ的に外注化し、JRを数百の子会社・孫会社に分割して労働者を強制出向にかりたて、あるいは非正規職に突き落とす究極の合理化攻撃がかけられている。それがもたらすのは第二の尼崎事故だ。
「官から民」というだけでなく、この20年余り、あらゆる企業で吹き荒れた外注化(アウトソーシング)攻撃は、新自由主義政策・民営化路線の核心をなす攻撃であった。例えば、1984年に民営化されたNTTは347の会社に分割され、9割以上の労働者が退職を強要されて下請け会社・孫請け会社に突き落とされている。それは、アメリカでは「外注革命」と呼ばれ、日本では通産省が音頭をとって進められた国家戦略であった。労働者はそうやって「最底辺へと向う泥沼の競争」に駆り立てられたのだ。そして人と人の社会的連帯が断ち切られ、雇用・教育・医療・社会保障をはじめ全てを競争原理の中に叩(たた)き込んで社会そのものを破壊したのである。
われわれはこの闘いを「第二次分割・民営化反対闘争」と位置づけ、反合・運転保安闘争路線の真価をかけ、三河島事故・鶴見事故以来の国鉄労働運動の総括をかけて、数年がかりの大闘争に入ることを宣言した。闘いは、昨年秋から今春にかけ、5波のストライキで外注化4月1日実施を阻止し、東労組等の組合員が動労千葉に結集しはじめる成果を実現している。それは同時に労働運動の再生をめざす闘いでもある。
労働者が置かれた酷(ひど)い現実は自然になったものでも、避けがたい必然だったわけでもない。労働組合が後退と変質を深めたことによってもたらされたものだ。労働運動の現状を変えないかぎり何も変わらない。ここに今問われている核心問題がある。
われわれは、1047名闘争と、外注化阻止・第二の分割・民営化反対闘争をやりぬけば、今はまだ団結する手立てを見いだせていない無数の労働者の怒りの声が堰を切って流れだすことを確信して闘いぬく決意だ。
今回の「政治決着」は、こうした現実に抗するどころか、「解決のために」と言って、JRにおける業務外注化攻撃等の容認と一体で進められてきた。解雇争議の「和解」の裏で労働組合そのものの変質が進み、何千名もの労働者が強制出向に駆り立てられ、非正規職に置き換えられているのだ。
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怒りの声は社会の隅々まで満ちている。今こそその怒りの声を団結した力として結集させなければならない。国鉄分割・民営化攻撃の決着を許さず闘い続けられてきた1047名闘争は、その結集軸となる可能性を秘めた闘いであり、日本の労働者と労働組合にとって勝利の展望そのものとして存在してきたのだ。このようなかたちで幕を引いてはいけない。
国鉄分割・民営化攻撃との闘いは何ひとつ終わっていない。動労千葉と動労千葉争議団9名にとって全てはこれからである。国鉄闘争の火を消してはならない。われわれは、23年間の長きにわたり動労千葉の闘いを支えてくれた支援の力に応えるためにも、1047名解雇撤回、民営化・外注化・労組破壊攻撃と対決し、その勝利の中に労働者と労働組合の未来がかかっていることを確信し、闘い続ける決意である。
2010年4月9日
国鉄千葉動力車労働組合
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週刊『前進』(2437号2面2)(2010/04/26 )
動労千葉 鉄建公団訴訟
不採用基準の不当性暴く
田中康宏委員長が怒りの証言
動労千葉鉄建公団訴訟の第24回口頭弁論が4月21日、東京地裁民事第11部(白石哲裁判長)で開かれた。この日は、田中康宏委員長への証人尋問が行われた。4月9日に政府と与党3党・公明党が「解決案」に合意し、国鉄1047名解雇撤回闘争を解体するために国家ぐるみで襲いかかってきている中で、きわめて重要な裁判闘争となった。
(写真 裁判闘争を終え東京地裁前で総括集会を開催する動労千葉組合員と支援【4月21日 千代田区】)
前代未聞の処分
証言に立った田中委員長は、あらためて1987年国鉄分割・民営化に至る経過をたどり、いかに前例のない労組破壊攻撃が吹き荒れたのかを生々しく証言した。田中委員長は「85年に国鉄再建監理委員会が最終答申を出し、国鉄当局が雇用安定協約破棄を通告してきた。雇用不安が激しくあおられる中で、当局による不当労働行為はやりたい放題になった。国鉄分割・民営化は、まさに国家的不当労働行為そのものだった」と述べた。そして「この時、労働組合がいかにあるべきかが根本から問われた。闘えば間違いなく犠牲は出る。悩みに悩んだ。しかし闘って団結を守る以外に道はないと決断した」と、85〜86年の分割・民営化反対ストに立った時の思いを明かした。
尋問は、このストに対する大量報復処分の問題に進んだ。原告の9人はこの時の処分を理由にJR不採用とされた。
国鉄当局は2波のストで解雇28人、停職59人の処分を出した。田中委員長は「全国全線区で闘われた75年スト権ストですら解雇15人。動労千葉の2波のストに対する処分は過去に前例のない重処分だ。しかも、本人はストに入っておらず現場の支部役員をやっていただけで処分を受けるなんて聞いたこともない」とその異常性を指摘した。
しかも、28人の公労法解雇は97年3月に撤回され和解が成立している。それよりもはるかに軽い処分である停職処分を理由に9人の原告がJR不採用となったのは「まさに矛盾そのもの。9人の不採用がいかに理不尽なものかを示している」と田中委員長は断じた。
さらに、昨年12月の伊藤嘉道(当時国鉄職員局補佐、現JR東日本高崎支社長)の証言について田中委員長は「9人の名前はもともとは採用候補者名簿に登載されていたのに、鉄道労連(現JR総連)の突き上げを受けた葛西敬之職員局次長(現JR東海会長)らが名簿から排除したという真実が初めて明らかになった。決定的な証言だ」と述べ、「この裁判でも『停職6カ月』又は『停職2回以上』という不採用基準をいつ、どこで、だれが作ったのかについて釈明を求め続けてきた。裁判の根幹にかかわる問題だ」と指摘した。
解雇撤回を貫く
最後に、4月9日に合意が成立した「解決案」について問われた田中委員長は「JR不採用から23年、80年代初めから30年にわたって人生をかけて国鉄分割・民営化反対闘争を闘ってきたわれわれの思いを踏みにじるものだ。私も解雇された身だが、自分たちの解雇問題はもう自分たちだけの問題じゃない。分割・民営化以来、1千万人以上の労働者が非正規職に突き落とされてきた。この社会の現実を絶対に変えたいから私たちは解雇撤回を貫いてきた。原告らの解雇は撤回されるべきだ」と言い切った。
続いて被告である鉄道運輸機構の代理人が反対尋問を行った。“動労千葉の2波のストは違法スト。不採用になったのは当然”と言わんばかりに田中証言に難癖をつけたが完全に一蹴された。反対尋問は次回も続く。
葛西証人採用を
原告代理人は最後に、伊藤証言で明らかになった新事実をふまえ、首切りの張本人である葛西敬之の証人採用をあらためて裁判所に要求した。
総括集会で田中委員長は「今日の裁判は新たな闘いの重要な出発点だ。国鉄分割・民営化反対闘争はなにも終わっていない。新たな全国大運動を巻き起こし、この腐りきった社会を変えるまで団結して闘い抜こう」と訴えた。原告の中村仁執行委員は「労働者が置かれている現状を覆すためにも、国鉄当局が間違っていたことを今こそはっきりさせる必要がある。動労千葉は1047名闘争の先頭に立って闘う」と決意を表明した。
次回口頭弁論は7月28日午後1時30分から東京地裁で開かれる。
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週刊『前進』(2437号2面3)(2010/04/26 )
国労臨大 本部方針粉砕を
「解決案」は「雇用ゼロ」 活路は解雇撤回貫徹に
分割・民営化への全面屈服を強要
4月26日の国労臨時大会を巡る攻防は、労働者階級全体の命運を決める一大決戦になった。国労本部はこの大会で、4月9日に政府が示した「解決案」の受け入れを強行決定しようとしている。それは1047名闘争と国労、そして日本の労働運動全体を敗北に引き込む歴史的裏切りだ。
4月9日、与党3党・公明党と政府は「国鉄改革1047名問題の解決案(四党申入れ)について」と題する合意文書を取り交わした。そこには、「解決案受け入れの条件」として、次のように書かれている。
「不当労働行為や雇用の存在を二度と争わないこと。したがって、今回の解決金は最終のものであり、今後一切の金銭その他の経済的支援措置は行われないこと」「政府はJRへの雇用について努力する。ただし、JRによる採用を強制することはできないことから、人数等が希望どおり採用されることは保証できないこと」
ここに「和解案」の本質は示されている。ところが国労本部はこの条件を組合員にはひた隠しにし、「解決案は、4者4団体が政治解決にあたって求めていた『路頭に迷わない解決』に沿った内容」などと強弁して、解決案の受け入れを臨時大会で強行決定しようとしているのだ。
4党・政府合意文書に徹底的に貫かれているのは、1047名と国労組合員に対し、国鉄分割・民営化への最終的で全面的な屈服を迫るという支配階級の徹底した意志だ。「不当労働行為や雇用の存在を二度と争わないこと」という言いぐさは何だ。「解決案」は、1047名をあたかも根拠もなく金を要求する無頼漢のように描き出し、「これが最後だ」と札束でほおをたたいて総屈服を迫っている。
国鉄分割・民営化攻撃の中で、労働者の尊厳はとことん踏みにじられ、職場の団結はずたずたに引き裂かれた。20万人が職場を追われ、200人が自殺に追い込まれた。
動労千葉の鉄建公団訴訟では、本州でJR不採用とされた国鉄労働者の名前が当初は採用候補者名簿に載せられていたものの、JR総連カクマルの突き上げを受けた葛西敬之職員局次長(現JR東海会長)らによって名簿から排除された経過が明らかになった。
「解決案」は、こうした攻撃の一切を正しかったと承認しろと迫っているのだ。
闘争団を路頭に迷わせるのか!
4党・政府の「解決案」を受け入れるとは、JRへの採用はゼロでもいいと認めることだ。
ところが国労本部は、臨大に提出する方針案で、「政府と4党が合意した解決案にもとづき、JR北海道、九州等の各社を中心に200人の採用を要請する取り組みを行う。またその他の雇用についても政府からの働きかけを要請する」などとうそぶいている。これは、闘争団員と国労組合員を欺くペテンだ。
政府と4党の合意文書には、はっきりと「JRによる採用を強制することはできないことから、人数等が希望どおり採用されることは保証できない」と書かれている。
この「解決案」を受け入れれば、「採用を要請する取り組み」をいくら行おうが、すべて拒否されて終わりになることは目に見えている。こんな地獄の道に闘争団を引きずり込む権利は誰にもない。
今日の大恐慌と大失業情勢の中で、闘争団が生きていくためには、「解決案」を粉砕する以外にない。本部方針は、「採用ゼロ」の「解決案」を無条件で受け入れるとともに、一切の裁判を和解で終わらせ、闘争団への生活援助金も交付停止にするとしている。国労本部は、政府やJR資本と一体となって、闘争団を路頭にたたき出そうとしているのだ。本部方針を葬り去ることのみが、闘争団の生き抜く道だ。
現に、和解に絶対反対する闘争団員が、歴史的な決起を始めている。この闘いの中にこそ、1047名と国労、日本労働者階級の未来がある。
JRに忠誠誓う最悪の本部方針
この「和解案」の受け入れは、JR本体組合員に対する外注化を軸とする大合理化・首切り攻撃を全面容認することでもある。
本部方針案には、「JR産別の企業内組合として社会的責務を自覚した未来志向の国労運動の未来を見据え(る)」などと書かれている。ここまで露骨に国労解散−JR連合との合流の意図をあらわにした方針案はかつてない。国労本部の狙いは、1047名闘争を終わらせ、JR会社に籍のない闘争団員を組合外に放逐し、統一組織としての国労を解散して、会社ごとの単組の連合体に組み替えること、ひいては国労を自ら解体し、連合に合流することにある。
これは、支配階級の意志と完全に連動している。4月9日の4党・政府「解決案」提示とともに、国交相の前原は次のような談話を出した。「国鉄改革には、未(いま)だ完全民営化を果たしていないJR三島会社やJR貨物の経営の自立を始め、未解決の課題が残されています。国土交通省としては、今後とも、こうした課題への取組みを強化し、国鉄改革の完遂に全力を挙げてまいります」
大恐慌情勢下で、JR各社の収益は大きく落ち込んでいる。その中で三島・貨物の「完全民営化」を始め「国鉄改革を完遂する」とは、一層の合理化・労働強化と、首切りを強行するということにほかならない。
実際、国交相の前原は、日航1万6千人首切りを最先頭で強行している人物だ。前原は、その手法をJRにも適用し、労働組合の抵抗を一切封じ込めて、JR大合理化を強行しようとしているのだ。
だが、動労千葉を先頭とする闘いは、検修全面外注化4月実施の攻撃を打ち砕いた。もちろん、JRはあくまで外注化強行を狙い、体勢を立て直そうと必死だ。
だが、今や危機に陥っているのはJR体制だ。民主党・連合政権も、沖縄米軍基地問題で絶体絶命のところにまで追い込まれている。JR体制と対決し、解雇撤回をあくまで貫き闘えば、勝てるチャンスは到来しているのだ。
「解決案」を粉砕し、国労本部打倒へ総力で決起しよう。動労千葉が呼びかける1047名解雇撤回の全国大運動を大きく発展させよう。
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週刊『前進』(2437号3面1)(2010/04/26 )
道州制・公務員攻撃粉砕へ
地域主権戦略会議 橋下提案を批判する
崩壊寸前の国家財政危機で絶望的突破狙う鳩山・橋下
大恐慌下の財政危機の爆発と帝国主義間争闘戦の敗北、労働者反乱の危機に直面する民主党・連合政権は、帝国主義としての生き残りをかけて、道州制=改憲・戦争と民営化・外注化・労組破壊の新自由主義攻撃に絶望的に突進している。橋下徹大阪府知事が主導する政府の地域主権戦略会議は、公務員制度改革・公務員労組解体を道州制の最大の突破口と位置づけた。国鉄を基軸に職場生産点での反合・運転保安闘争の実践をもって闘いぬく歴史的決戦が始まった。
「新しい公共」を掲げた労組破壊・地方政府構想
政府の地域主権戦略会議で、橋下徹大阪府知事は財政危機とアジアにおける国家間争闘戦敗北の危機をあおり、その絶望的突破をかけて道州制導入にむけた地方政府基本法構想をぶち上げた。その最大の「プロセス」として人事評価制度の法制化を環とする地方公務員法改悪・公務員制度解体を激しく主張している。それは「新しい公共」と称する公務員360万人の首切り、外注化・非正規職化=労組破壊攻撃と一体である。
大恐慌は全世界で財政危機の爆発と労働者階級の反乱、帝国主義間争闘戦の激化と世界戦争情勢の深まりという重大局面に突入した。東京新聞社説(4月17日)は「公務員制度や行政改革を怠り増税を先送りした結末はギリシャに先例がある。財政危機に陥ってから手をつけようとしたら今度はゼネストの反乱に遭った。まず政権が官僚の抵抗をはねのけ公務員制度・行政改革を断行せよ。そのうえで必要なら増税を行え」と言い放った。今や道州制・公務員攻撃は、日帝政治危機下で混迷を深める政府・与野党、分岐・乱立するブルジョア「新党」の共通のスローガンともなった。
大恐慌と大失業、戦争と革命の時代の攻防の核心は、労働組合絶滅攻撃との闘いだ。社会保険庁解体だけではない。すでに自治体業務の3〜4割に達している民営化・外注化・非正規職化の進行は、いたるところで労働条件の劣悪化と業務破綻をもたらし、正規・非正規の現場労働者に耐えがたい犠牲を強いている。職場に怒りは満ちている。国鉄決戦勝利の全国大運動を猛然と進めよう。人事評価制度粉砕の闘いをはじめ職場生産点で反合理化・運転保安闘争路線をもって闘い、体制内労働組合指導部をぶっ飛ばして、ギリシャのような現場労働者の総反乱を切り開こう。
以下、橋下提案の核心点を取り上げ、徹底的に批判する。
橋下提案は、日本帝国主義の絶望的な攻撃の方向性を示している。しかし、その橋下大阪府政自体がすでに大破産に直面している。
大恐慌下で「アジアに打って出る」道州制攻撃
府庁舎移転、関西3空港統合、水道事業統合をはじめ、橋下構想は音を立てて崩れている。失業率は全国最悪で、会計データ改竄(かいざん)にもかかわらず財政赤字累積が表面化している。この現実を前に橋下は「地方でやれることには限りがある」などと泣き言を垂れた。
そのとおりだ。資本主義そのものの破綻が問題となっているのだ。「公務員が働かないから財政危機になり、大阪の経済も再生しない」などとする公務員攻撃は問題のすり替えである。こんなものは体制内労組指導部の屈服と協力抜きにはおよそ通用しない。青年労働者を先頭とする職場生産点からの反撃で必ず粉砕できる。
橋下提案は第一に、日本帝国主義の没落からの突破をかけて、「アジアに打って出る」という位置付けで道州制導入を叫んでいる。
3月3日付の提案文書「地域主権時代の”新しい国のかたち”」では「一人当たりGDP順位は大幅に低下し、明治以来の中央集権の仕組みは限界だ」「成長著しいアジアの都市・地域との競争に打ち勝てない」と危機感をあらわにし、道州制をもって「アジアに打って出る、外から稼ぐ戦略が不可欠だ」と打ち出した。道州制による徹底した民営化・規制撤廃・労組破壊をテコにして、空港・港湾物流や金融業、IT産業、製造業などでの中国や韓国、アメリカとの資本間・国家間の争闘戦に打ち勝ち、外から稼ぐ、すなわち新たな侵略に打って出ると公言しているのだ。
「自己責任」の社会保障解体・増税と地方独裁
橋下提案は第二に、財政破綻の責任を地方に押し付け、「地方政府」のもとでの大増税と借金漬け、医療・福祉・社会保障制度解体に道を開こうとしている。
橋下は、「財政赤字が拡大するなか、全国均一のバラマキを続けることは困難」「権限と財源と責任の一致で、地方も責任を負う覚悟が必要」と新自由主義むき出しの自己責任論を展開する。原口総務相も「間違ったリーダーを選んだ地域はツケがくる」と唱和した。「住民の責任」を掲げて「夕張」型の住民からの暴力的な収奪を全国で進めるということだ。
「『地方政府基本法』の制定に向けて」(1月)では「地方自治の理念の再構築」と称して、「自治体に関するあらゆる法律を対象にして、国、地方のかたちを根本から作り直す」としている。道州制をうたうその全内容は改憲そのものである。
「地方自治」ならざる「地方政府」の「自由と責任に基づく完全な課税自主権と起債自主権」のもとで、財政破綻した場合の「地方政府再生法」まで打ち出し、「借金の痛みを実感し、地方は自分で稼げ」と言う。NTTの株売却を例に、公営企業のほとんどを株式会社化し、株売却収入による借金の削減まで提案している。公営企業とその資産を投げ売りし、利潤追求の手段にするというもので、人民の資産に飢えた狼のように資本が群がり、食い散らかし、投げ捨てることとなる。
現に政府の成長戦略会議では、伊丹空港を民間に売却し、その収入で関西空港の1兆円超の債務削減に充て、採算がとれなければ伊丹空港の廃港もありうるとした。自らがもうかればすべて良し。マルクス『資本論』の描く「我が亡きあとに洪水よ来たれ」の腐りきった世界そのものである。
さらに「自主立法権」では「地域の実情に即して法令を自由に変更できる権利(上書き権)」をうたっている。際限のない規制撤廃だ。労働者保護法制や医療・福祉・保育・社会保障基準の解体が狙いだ。「議会内閣制」への転換と称し、地方自治法や地方公務員法が定める「地方議会議員の地方公共団体常勤職員との兼職禁止や特別職公務員の任命制限の廃止」「教育委員会制度改革」の提案も入った。首長による独裁と私物化の留め金を外し、新たな汚職の巣窟(そうくつ)と化すことも必至だ。今、鹿児島県阿久根市で起こっている違法不法でたらめな市長独裁が全国化するということである。
公務員法の改悪で終身雇用の解体と労組絶滅
橋下提案は第三に、以上すべての突破口として人事評価と賃金の直結による年功賃金制の解体、首長による恣意(しい)的な降任・解雇の自由による終身雇用制の解体、全労働者の9割の非正規化に行き着く地方公務員法改悪を主張する。公務員労働者に対する分断と労働組合破壊こそ橋下提案の最大の核心である。
公務員の「強すぎる身分保障」を問題とし、「民間を含めた社会相場に応じた対応ができない公務員は特権階級」と言いつのる。「地方公務員法等の改正の検討にあたって」(3月)では、「能力・実績主義による人事評価制度は人事管理の基礎」「評価を給与に反映させ、総人件費をコントロールする仕組みを法律で明記すべき」と主張。「公務エリアが開かれた労働市場となるよう任用制度の弾力化、官民の人材流動化」を掲げ、鳩山の「新しい公共」と重なる公務員労働者の限りないゼロ化、丸ごと民営化・外注化・非正規化、労働者の分断と団結破壊に突き進もうとしている。これが民主党・連合政権の公式の方針になろうとしているのだ。
反合保安闘争路線で反乱を
しかし国鉄1047名闘争に続く社保労働者の解雇撤回闘争は日本年金機構内の闘いと結合して前進している。激しい賃下げと分断をもたらす人事評価制度や賃金表改悪に対する怒りが高まり、青年労働者、現業労働者を先頭に体制内指導部の屈服をのりこえる絶対反対の闘いが全国で広がっている。人員削減、外注化・非正規化、労働強化によって業務の破綻と事故・病気が続発・蔓延(まんえん)する職場の現状に、現場の闘いは爆発寸前だ。「ブルジョアジーのための財政再建なんてくそくらえ!」――公務員労働者の反乱やデモは全世界で広がっている。「財政再建」を旗印に当局・資本と一体となって団結と闘いを押しつぶす自治労本部・自治労連本部をぶっ飛ばそう。泉佐野市の「財政健全化計画」と闘うこくが祥司議員の7選必勝を! 国鉄決戦を基軸に反合理化・運転保安闘争路線で闘いぬき、民主党・連合政権打倒、道州制粉砕・橋下打倒を実現しよう。
(大迫達志)
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週刊『前進』(2437号3面2)(2010/04/26 )
徳之島「基地絶対反対」で1万5千人
「振興策の毒はいらない。戦いは始まった!」――沖縄普天間基地問題で進退窮まった民主党・連合政権が、普天間の移設先候補地に徳之島を浮上させたことに全島民の怒りが爆発した。4月18日、全島民の6割に当たる1万5千人の労働者人民が「米軍基地受け入れ絶対反対」の総決起集会を行った。自治労や日教組の現場労働者を先頭に県外からも多数の支援者がかけつけ、連帯と団結を誓った=鹿児島県徳之島町
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週刊『前進』(2437号3面3)(2010/04/26 )
交流センター女性部大会 組織拡大へ固い一致
“全員が階級のリーダーに”
4月10〜11日、国鉄1047名解雇撤回闘争の解体か、新たな継続・発展かをかけた歴史的な激突情勢の中で、全国労働組合交流センター女性部第17回定期全国大会が千葉市のDC会館で行われた。全国から代議員・傍聴者が結集し、国鉄闘争の全国大運動への総決起と女性部の前進・拡大の実現へ、固い一致をかちとった。
司会が「大恐慌の中で闘いの前進と組織拡大で故中野洋交流センター代表にこたえていきたい。2010年は女性部が主流派として躍り出る時、全員が階級のリーダーになれる白熱した議論を」と開会を宣言した。
主催者を代表し長谷川ユキ女性部長があいさつに立ち、国鉄1047名闘争の「政治和解案」を徹底弾劾し、「職場・地域で動労千葉労働運動を強力に進めよう。交流センターが労働組合・現場の指導部として登場していく時だ」と檄をとばした。
三役が議案を提起し、「敵は労働者を数、モノとして扱う。私たちは一人ひとりを大切にし団結の力で闘う。組織拡大をどうやるか、実感している問題を出し合おう」と、議論の進め方を鮮明にした。三浦半島教組の労働者が、組合権力奪取の闘いについて特別報告を行った。2日間の討論で19人が発言した。
「働いている老人ホームの民営化反対のビラをまいたら配転。保育園の民営化でまた配転。毎年配転だ。この間、現業で80人が配転になった」――この発言が示すように労働者への分断攻撃が激しさを増す一方、組合選挙に打って出る決意、民営化絶対反対で闘う八尾北労組や脱落一派と対決して闘う高槻医療労組・団結速報グループの闘い、広島の合同労組組織化の経験など、職場で生き生きと闘っている発言が続いた。
また「地区交流センター事務局長になった。センターを変える」という新リーダーも登場した。沖縄闘争への決起の訴え、国労闘争団家族と団結する決意など、「絶対反対」「階級的団結」の闘いが職場の労働者をつかみつつあることが鮮明にうち出された。国鉄決戦を基軸にする2010年の闘いの方針が参加者全員のものとなった。
大会には、10日の中野さんの追悼集会・偲ぶ会に参加した民主労総ソウル地域本部長イジェウンさんとKBSの非正規職労働者が参加し傍聴した。本部長は「日韓の女性部には共通性がある。家事・育児・仕事、闘い、待遇・雇用・賃金など。女性労働者を組織することが労働運動全体を活性化させる」と語った。日韓の団結をさらに深めようと確認した。
田中康宏交流センター代表は「@組織拡大A存在感のある女性部に。闘いの場に必ず女性部の旗が立つ、そういう女性部になるB国鉄決戦を自ら闘う」と女性部の課題を提起し奮起を促した。
まとめを辻川あつ子事務局長が行った。「解雇撤回が求心力を持つ時代に来た。1047名闘争−国鉄闘争の新たな大運動を私たちが担う。4・28−5・15沖縄・安保闘争を闘おう。女性部が闘いの先頭に立とう。討論で、大会に参加して良かったという発言が多かった。若い労働者が多く参加する女性部にたどりついた。大成功した。今大会の確認は組織拡大だ」
最後に、議案、会計、新役員体制が満場の拍手で確認された。
(写真 若い労働者が多く参加して2日間の討議をかちとった女性部大会【4月10日 千葉市・DC会館】)
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週刊『前進』(2437号3面4)(2010/04/26 )
土地強奪の根拠崩壊
鈴木一坪裁判 5・16三里塚へ決戦の檄
4月15日、千葉地裁で鈴木幸司さん、いとさん夫妻の一坪共有地裁判の口頭弁論が開かれ、三里塚反対同盟と支援の労働者・学生が傍聴闘争を闘った。この裁判は駒井野の一坪共有地の明け渡しを求めて、千葉県が共有者である鈴木さん夫妻を訴えたもの。
成田国際物流事業の複合基地にする計画のもとにこの土地の造成・整備を行い、2011年に成田空港会社(NAA)に譲渡する――これが裁判まで起こして土地強奪をたくらむ県の主張である。だが現実には大恐慌情勢の真っただ中でそんな大仰な計画はとうの昔に頓挫し、県とNAAとの譲渡契約すら交わされていない。「計画は破綻しているが土地は分捕る」というこの恥知らずで悪らつな思惑を、弁護団が鋭く徹底追及した。
すると原告・千葉県の代理人弁護士は「被告は誤解している部分がある。NAAに譲渡するために共有関係の解消をしろと言っているわけではない」と述べた。「誤解? 何がどう誤解なのか」。弁護団がたたみかけ、廷内も怒号で騒然となった。うろたえて口ごもる県側に対し、傍聴席から市東孝雄さんが「それなら譲渡しないということだな!」と一喝を浴びせた。
裁判長は、現闘本部裁判で反動判決を出したあの仲戸川隆人だ。窮地に陥った県側にたびたび助け舟を出そうとする仲戸川だが、肝心の県の代理人は土地強奪の理由さえまともに主張できぬほど動揺している。
次回期日を7月1日として閉廷を宣しようとした仲戸川裁判長に対し、怒りの声が最後までたたきつけられた。
裁判所の控え室で総括が行われた。葉山岳夫弁護士を始め弁護団からは、「誤解」発言に表された県の動揺の背景には、日航の経営破綻と10月末での貨物専用機事業からの撤退に象徴される航空産業の衰退、成田空港の危機があることが指摘され、今後も追及の手を緩めることなく闘うことが明らかにされた。
被告の鈴木いとさんは、「体に気をつけながらこれからも闘います」との簡潔だが力強い決意表明を笑顔で行い、温かい拍手を送られた。
北原鉱治事務局長は、「3・28三里塚全国集会は寒さとの闘いだったが、われわれの熱く燃える闘志で大結集し勝利した。団結街道廃道化攻撃に対し5月16日に三里塚現地で大集会を開く。三里塚からこの社会を変えよう」と訴えた。
最後に行動提起として萩原進事務局次長が発言した。「5月20日から団結街道の管理権がNAAに移る。さらに第3誘導路については建設の認可申請手続きとして公聴会が開かれる。われわれは現地における監視を強化し緊急動員態勢を組んで、実力闘争をもって阻止行動に立ち上がる。そのために沖縄の闘いと日程として重なるがあえて5月16日に三里塚現地大闘争を設定した。沖縄と三里塚を一体のものとして闘いぬこう」
この提起に全員が身を引き締めて奮い立ち、大きな拍手でこたえた。
5・16三里塚現地(成田市東峰)に大結集し、団結街道廃道化を実力阻止し、第3誘導路建設を粉砕しよう!
(写真 鈴木いとさんの笑顔での決意表明に、一同も思わず顔をほころばせた【4月15日 千葉地裁】)
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週刊『前進』(2437号3面5)(2010/04/26 )
4・28沖縄デーへ渋谷街宣
続々と「参加します」
4・28沖縄デー集会実行委の2回目の統一街宣が18日、JR渋谷駅前で行われた(写真)。「普天間基地撤去! ウソつき鳩山ぶっ飛ばそう!」の横断幕を見て多くの若者が署名した。「鳩山政権は破綻している。今日は徳之島、25日は沖縄で大集会です! これと団結し4・28日比谷集会へ!」――沖縄や徳之島出身者も署名に応じた。
4・25沖縄と4・28日比谷の両方に行くと表明した女性。基地撤去も地獄の職場を変えることも団結にかかっていると訴えると、涙ぐんで署名した男性。大学時代に辺野古座り込みに参加したという女性労働者は「こういう出会いを待っていた。集会に行きます」と千円札を差し出した。10人もの若者が集会参加を約束した。
日本共産党や右翼の街宣、若者に検問を繰り返す警察で重苦しかったハチ公前広場が次第に変わった。署名の輪が討論の場となり解放空間に変わった。通りかかったアメリカとカナダの報道機関に取材も受けた。まさに安保・沖縄闘争は革命の最短コースだ。街頭や職場が安保・沖縄闘争の戦場だと実感した。全力で4・28へ! (SG)
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週刊『前進』(2437号3面6)(2010/04/26 )
日程 三里塚裁判
三里塚裁判傍聴を!
◎市東さん耕作権裁判
4月26日(月)午前11時 千葉地裁
※傍聴券抽選のため1時間前に集合を
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週刊『前進』(2437号4面1)(2010/04/26 )
5・18集会で裁判員制度にとどめを
闘う弁護士が対談 武内更一さん×森川文人さん
安保・沖縄闘争の爆発で改憲阻止へ
破綻あらわな裁判員裁判つぶす時
「裁判員制度にとどめを!全国集会」が5月18日に東京・日比谷公会堂で開かれる。またこの日「改憲国民投票法」の施行が強行されようとしている。4―5月国鉄決戦、沖縄決戦の重要な一環として5・18集会に大結集をかちとろう。破綻があらわな裁判員制度を廃止に持ち込み、鳩山民主党・連合政権の打倒へ攻め上ろう。裁判員制度はいらない!大運動、司法改革絶対反対・改憲阻止の闘いの先頭に立つ武内更一弁護士と森川文人弁護士に闘いの地平と5・18集会の意義について語っていただいた。(聞き手・編集局)
(写真 闘う弁護士を先頭とする「裁判員制度はいらない!大運動」の隊列は赤いのぼりと横断幕で注目を集めた【3月20日 イラク反戦・渋谷デモ】)
改憲路線進める鳩山民主党
――各政党・勢力の改憲への動きはどうなっているでしょうか?
森川 民主党は最初から改憲政党です。小沢一郎は「国連による国際安全保障」「国連中心主義」を打ち出し、日本の軍隊の海外派兵を自由にやることを当初から考えています。そういう政党が政権を握っている。国内的には道州制的な形で機動的に国家を運営する体制をつくろうと考えている。「国会改革」の方針に改憲の意図が現れています。内閣法制局長官の国会答弁禁止は、法案は出されていないが、この1月からの通常国会では法制局長官は答弁できなくなっています。また、安保・沖縄問題で民主党・鳩山のペテンが露骨に現れています。実質的な改憲を進めながら明文改憲を狙っています。裁判員制度も実質改憲の一つです。
武内 自民党は「新憲法草案」を出しました(05年11月22日)。民主党も「憲法提言」で改憲に向かって基本的なことを言っています(05年10月31日)。5月18日に改憲手続法(国民投票法)が施行されると、憲法審査会を動かし、そこで改憲案を作ることになるでしょう。つい先日自民党は「兵役の義務の検討」を言い出した。欧米各国には「兵役の義務」があるから日本でもと言う。
森川 「現代の赤紙」といわれている裁判員制度が憲法には存在しない新たな「義務」として押しつけられた。このことからすると徴兵制もあり得ると思います。アメリカも、貧しい人たちが自ら軍隊に入り戦場に行く「経済的徴兵制」の状態になっていますが、アフガニスタン、イラクでの戦争が泥沼化しているため、自発的に軍に入る人が減っています。だから徴兵制に戻ることもあり得るのではないか。
武内 いきなり9条改憲という形でやらず、憲法全体について見直す、変えるというのが自民党、民主党の戦略です。特に民主党は「憲法提言」で地方自治のあり方を根本的に変えると言っています。都道府県を廃止して「道州」「広域自治体」「地方政府」をおき、大幅な権限を与える。大阪府の橋下知事も「地方政府」「大阪都」を主張しています。国家権力の根本は中央政府が握り、福祉や教育、住民へのサービスはみな地方の負担。民営化・外注化です。道州の総力で産業基盤を整備し、企業活動を自由にやらせる。
森川 憲法は権力に対する制限規定の性格を持つとされてきました。これを大転換させ、権力ではなく人民を縛るものに憲法を変えてしまおうとしている。やはり憲法9条が最大の問題。軍隊を持つなという現憲法の制限をはずすと、大手を振って小沢一郎のいう「普通の国」になれる。帝国主義的な侵略戦争に参戦できる。
武内 海外権益を守るためには軍事力が必要になる。戦争で破壊された国、紛争のあった国に「復興支援」「国際貢献」の名で軍隊が入る。企業も一緒に行く。イラクでそうなっている。アフガニスタンでも同じことが企図されています。
森川 この間「バイアメリカン」条項とか、GMの破綻に対抗するトヨタへのバッシングとか、トヨタにも大きな問題があるのはもとよりですが、露骨な保護主義的な動きが出てきている。日本でも高校の無償化や地方参政権の問題で北朝鮮はずしの排外主義が露骨に高まってきている。大恐慌、保護主義、排外主義、争闘戦という流れが1930年代と同じように来ている。民衆・労働者が主体的にこの動きを止めることが課題です。
国民投票法は改憲手続き法
――改憲、戦争を止めるにはどうしたらよいでしょうか?
武内 核になるのは労働者です。労働者を戦争に動員しなければ戦争はできないからです。労働者が団結して戦争動員を拒否することです。
森川 本土と沖縄の労働者の団結、朝鮮、日本、アメリカそして全世界の労働者のインターナショナルな団結が排外主義のプロパガンダに対抗する正しい方向だと思います。
武内 その場合「労働者の利益は企業と国家の利益と一体だ」というイデオロギーを打ち破ることが重要です。それは排外主義、保護主義、海外進出、侵略に労働者を動員するためのイデオロギーです。自分も傷つけ、相手国の労働者も殺し傷つけることになる。労働者に何も利益を生まない。
森川 労働者と資本は非和解的な関係、対立的な関係にある。戦争に行かされるのは労働者。今日も戦争は地球上で起こっている。若い人たちの暮らしは、国家予算と同じく戦中・戦後直後の混乱期と同程度。マスコミが戦中の思想弾圧として扱う「横浜事件」も過去の話ではない。法政大学でこの3年間に118人も逮捕・弾圧されている。昔がひどくて今がよいというわけではない。若い人はリアルにこの困難な時代にどう生きるかを真剣に考えている。このままでは展望がない。怒りの爆発、怒りの決起は不可避です。
武内 かつて日本の労働者は必ずしも強制的に戦争に動員されたばかりではなかった。自ら国の方針に従った面もある。支配階級は今もそれを狙っている。戦前のやり方が説得力を持ちかねない時代。一人ひとりでいたらそういうものに取り込まれかねない。それを見抜いて対抗できるのは団結。
――団結して戦争に反対しようということですね。5月18日施行の国民投票法にどう立ち向かっていけばよいでしょうか。
武内 国民投票法の狙いは改憲。その中心は9条改憲です。法案審議の過程で、改憲をして国のあり方を根本から変えないと今の体制がもたないという認識があった。だから改憲手続き法なんです。国会や「官」が全部一方的に改憲の方向を決め、マスコミが「よいことだ」と圧倒的に宣伝する中で投票に行かされる。そこが最大の問題なんだけど、政党などは最低投票率要件とか、投票者の年齢制限とか、技術的なことを議論する。
森川 正面から政治的目的を暴露すること、ごまかしようがない事実を突きつけることが重要です。今回、沖縄の普天間基地の移転問題で政府・与党も野党、マスコミも、日米安保を前提に県内、国内、国外のどこに基地を移設するかという問題にしています。反戦という本当の民衆・労働者の声をきちんと上げる運動をやらなければ、結局は軍事の枠組みに取り込まれてしまう。基地はいらない、どこにも基地はいらないという反戦の闘いを安保粉砕を含めてやっていくことが大事だと思います。
――改憲阻止と反戦、安保・沖縄は一体の闘いだということですね。
武内 「北朝鮮の脅威」というのはつくられたイデオロギーです。東アジアでは米軍と日本の自衛隊が圧倒的な軍事力を持ち、北朝鮮に重圧を加えている。アメリカはいつだって北朝鮮の政権を打倒する侵略戦争計画を持っている。
森川 「安全保障」という言葉はいんちき。本当は侵略戦争の問題です。4月8日に米ロが新戦略核兵器削減条約を締結した。アメリカとロシアが世界の戦略核の95%を持っていて、実戦配備の核弾頭をそれぞれ1550発に減らす。古くて使えないものを廃棄する。実戦配備しないで保管する戦略核の数は無制限。戦術核も無制限。新核軍縮条約で核はなくならない。本当の反戦、9条改憲阻止とは帝国主義打倒につながるものです。
(写真 たけうち・こういち 憲法と人権の日弁連をめざす会事務局長。司法改革との闘いの最先頭に立つ)
やらないのが正しいと確信
――改憲攻撃の一つ、裁判員制度の問題に移りたいと思います。「裁判員制度はいらない!大運動」は現在どこまで進んでいるといえますか?
武内 大運動が始まったのは2007年の4月。「人を裁くことを義務付けるのはおかしい」というのが出発点。圧倒的多数の民衆が「人を裁きたくない」「人を裁くことを強制されたくない」と思っている。私たちは「人を裁く義務はない」とはっきり言って運動をしてきた。裁判員制度がいかに刑事司法を壊しているか、被告人の権利、憲法上の権利をいかに壊しているかを明らかにしてきた。それが「こんな制度は拒否してよい」「裁判員を義務付けられることはおかしい」という確信につながってきている。権力とマスコミが「施行1年」という既成事実を大騒ぎしても、読売新聞が今年3月27―28日に行った面接アンケートでは「裁判員はやりたくない」が76%です。現に毎日毎日裁判員裁判がやられている中で、なおかつ当初と同じ水準の拒否が維持されている。
森川 団結をつくり上げた。いやだと思っていたレベルから運動に発展している。いやだという人がいっぱいいる。跳ね返せるという機運が広がってきている。だからこの運動に関してはまったく少数者意識がない。われわれが多数者です。裁判員制度廃止こそ民主主義の役割というか、民衆・労働者の声であることがはっきりしてきた。
――「やりたくない」から意識的な批判、運動への進化・発展ですね。
武内 「やらないのが正しい」という確信になってきた。呼び出しを受けても行かない人、回答も出さない人が続出している。出頭に応じなかったら過料10万円の制裁が規定され、脅しに使われましたが、10万円を払ってでも裁判員には行かないという非常に強い拒否の意識が根付いた。その結果たくさんの人が拒否して出頭しないし、裁判所は過料取り立てを一つも執行できない。運動が追い込んできたんです。
――大運動は階級闘争の新しい地平を切り開いているようです。
武内 労働者・民衆自体を動員しなければならない制度なんです。だから労働者・民衆が強い意思で拒否したら成り立たない。
森川 裁判員制度というのは民衆・労働者への弾圧だったわけです。憲法を大転換し、国民を動員して処罰主体、お上意識の方に回すという攻撃・弾圧に対して、むしろ弾圧をきっかけにより主体的に民衆・労働者側から拒否し、反撃し、廃止まで求める運動になってきている。裁判員制度廃止の闘いは改憲阻止の大運動に発展する。
武内 司法改革制度審議会の意見書は「いままで国民は統治客体意識を持ってきた。これからは統治主体意識を持たなければいけない」と言っています。体制を支え担う側に積極的に身を投じる人格、人間をつくろうというイデオロギーです。「国のため」「社会のため」に自ら身を投じる人がいない限り簡単に戦争動員はできないから。
(裁判員制度のカラー全面広告が載った全国紙を広げ)「ともに。裁判員制度」と書いてある。右下に効能書き。「裁判に参加することで、犯罪がどのようにして起こるのか、考えるきっかけをつくる。安心して暮らせる社会には何が必要か、自分のこととして考える。そんな昨日とは違う自分と出会える」。社会防衛のイデオロギーです。最高裁と法務省と日本弁護士連合会が連名で宣伝している。弁護士は人権、国民の権利、その弁護の観点からこれに強く反対しなければならない。ところが日弁連は裁判員制度を宣伝する側に回っている。私たちはこれに一番怒っている。裁判員制度の狙いは「健全な社会常識を直截(ちょくせつ)に刑事裁判に反映する」こと、つまり国民の意識を人を裁く、社会を守る、国家権力と一緒に治安を維持するという立場に取り込むことです。
森川 それがまさに「昨日と違う自分」だね、国に協力する自分という。
(写真 もりかわ・ふみと 法大弁護団として、不当弾圧との闘いに信念を貫く。かたわらで音楽活動も)
勝てる展望を開いた大運動
――裁判員裁判の現状はどうなっていますか。
武内 裁判員制度は大きく破綻しています。最高裁の統計では、昨年5月21日に法律が施行されて以降の起訴案件数が昨年12月までで1200件。そのうち昨年12月までに処理できたのが140件。1千件以上が年越し。普通の裁判だったらとっくに終わっている。さらに1〜3月に起訴された何百件もがたまっている。どこの裁判所もパンクしています。
裁判員裁判にはあらかじめ法廷外で何をするかを全部決めてしまう「公判前整理手続き」がある。その密室で決めたこと以外は公開の法廷ではできない仕組みです。法廷で新しいことが出てきても無視。法廷で儀式、見せ物、ショーをしているだけ。こんなものは裁判ではない。
候補者として出頭した人は「人を裁きたい」人、国から命令されたら「やります」という人です。あとは「義務だから仕方なく来た」という人。そのように凝縮された中から6人の裁判員が選ばれる。だから裁判員裁判は一般の意識と全然違うものになる。非常に悪辣(あくらつ)な仕組みです。
森川 ただでさえ長い勾留期間がどんどん長期化する。被告人の防御権が制度的にも実際的にも破壊されている。最高裁やマスコミは、裁判員制度は「順調にいっている」と必死にキャンペーンしていますが、破綻しているのが本当の実態。それを一気につぶそうという運動が5・18全国集会です。
武内 大運動では、裁判員制度の本当の現状、実情を明らかにするために、毎月「裁判員制度はいらない全国情報――裁判員制度の実相を伝える唯一の情報誌」を出版しています。真実を知り、この制度はもう破綻している、だまされてはいけない、自分たちの反対でつぶせる、という確信を共有してもらいたい。その運動の一つの集約点として5・18集会をやります。
森川 破綻するのを待つのではなくて、主体的に民衆・労働者側から倒してしまうことをめざす運動です。ぜひぜひ結集をお願いしたい。弁護士も必死にがんばっています。
――勝てる展望が開かれていますね。
武内 行動すれば勝てる。黙っていたら自然には彼らはやめません。どんな汚い手を使ってでも。それを民衆・労働者の怒りでやめざるを得ないように追い込む。今までの刑事裁判がひどかったから裁判員制度がつくられた。裁判員制度をつぶし、刑事司法の悪しき慣行、運用を全部変えていく。
森川 自分たちの力で情勢を切り開き、社会を変えることができる。護憲ではなく改憲阻止。護憲というのは守りだけど、若い人たちには守りたいものはない。守るべき生活はない。仲間との団結以外に守りたいものはない。百年に一度の戦争と革命の時代、戦争に動員されることを拒否して革命に決起する――そういう闘いが改憲阻止の闘い。裁判員制度廃止の闘いもそこにつながる。
武内・森川 5・18集会に大結集しましょう。
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週刊『前進』(2437号4面2)(2010/04/26 )
2010年 4月14日〜20日
オバマ「普天間は現行計画で」/徳之島3町長、会談拒否
●米軍車両が接触、「時間ない」と逃走 那覇市内の国道で、米軍トラックによる当て逃げ事故が起きた。運転席の兵士は時計を指さし、時間がないという素振りをして制止を振り切って逃走した。浦添署が米軍車両を発見し事情を聴いた。那覇署は道路交通法違反の疑いで調べている。(14日)
●オバマ「(普天間は)現行計画で」
オバマ米大統領が鳩山首相との12日の非公式会談で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部に移設する現行計画の履行を強く求めていたことが分かった。複数の外交筋が明らかにした。(15日)
●内閣支持続落25% 朝日新聞社が実施した全国世論調査(電話)によると、鳩山内閣の支持率は25%で前回調査(3月14、15日)の32%から下落し、昨年9月の政権発足以来初めて3割を切った。不支持率は61%(前回47%)に急増。(17、18日)
●山田・杉並区長らが新党結成 東京都の山田宏・杉並区長らが、首長や地方議員が中心の新党「日本創新党」の結成を発表した。党首には山田が就任し、代表幹事に中田宏・前横浜市長、政策委員長に斉藤弘・前山形県知事。新党は5月下旬に結党大会を開き、参院選の候補者を発表する。(18日)
●徳之島、反対集会に1万5千人 米軍普天間飛行場の移設候補地に挙げられている鹿児島県の徳之島で、移設反対集会が開かれ、島内や奄美群島などから約1万5千人が参加した。人口約2万6千人の島としては異例の規模。徳之島での大規模な反対集会は、約4200人を集めた3月28日以来3度目。(18日)
●橋下知事ら地域政党 大阪府と大阪市を解体・再編して「大阪都」を新設する構想の実現のため、橋下徹知事が府議や大阪市議らとつくる政治団体が府選挙管理委員会に設立を届けた。名称は「ローカルパーティー『大阪維新の会』」で橋下が代表に就く。「大阪維新の会」は国会議員を擁しない地域政党で夏の参院選にも候補者は擁立せず、国政とは一線を画す。(19日)
●徳之島3町長、会談拒否 鳩山内閣は、米軍普天間飛行場の移設先として検討している鹿児島県徳之島の3町長に対し、平野官房長官と会談して欲しいと要請した。3町長は会談には応じられないとの見解で一致し、拒否する考えを伝えた。(20日)
●防衛相「なかなか厳しい」 北沢防衛相は、政府が米軍普天間飛行場の移設先に検討している鹿児島県・徳之島について「今の状況ではなかなか厳しいものがある」との認識を明らかにした。5月末までの合意について「(米国という)交渉相手がいて難航が予想される。5月末までに片付くのか、私の立場で申し上げられない」と疑問視した。(20日)
●米軍つり下げ訓練で抗議決議 名護市議会は、辺野古周辺空域で4月6、7の両日、米軍ヘリコプターが兵士をつり下げて訓練したことに抗議し、訓練の中止などを求める意見書と抗議決議を全会一致で可決した。 (20日)
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週刊『前進』(2437号4面3)(2010/04/26 )
日程 裁判員制度にとどめを! 5・18全国集会
裁判員制度にとどめを!
5・18全国集会
■講演「憲法違反の裁判員制度」 斎藤文男さん(九州大名誉教授)
5月18日(火)
午後6時半
東京・日比谷公会堂
主催 裁判員制度はいらない!大運動
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週刊『前進』(2437号5面1)(2010/04/26 )
4・28沖縄デー闘争に結集しよう
安保粉砕・鳩山政権打倒へ 沖縄の怒りと結合し闘おう
4・16学習会/鈴木達夫弁護士の講演から
4月16日、東京都内で「4・28大集会に向けた講演学習会」が開催された。米軍基地と安保に対する沖縄の労働者人民の怒りが根底から爆発している。この闘いと結びつき、東京・首都圏から青年労働者・学生をはじめ100人を超える参加で熱い講演学習会となった。「職場から安保・沖縄闘争の炎を! 4・28日比谷野音を埋めつくそう」と題して弁護士の鈴木達夫さんが講演を行った。鈴木さんは、70年闘争を全国反戦青年委員会代表世話人として先頭で闘った。自らの職場であった日放労長崎分会の闘いも紹介しつつ、安保・沖縄闘争の意義と労働者の闘いを語った。講演の後、活発な質疑応答が行われ、沖縄出身労働者、青年労働者、学生などが質問、活動報告や決意を述べた。最後に司会の「ひとりでも多く4・28沖縄デー集会に組織しよう」の提起を全体で確認した。鈴木さんの講演を紹介します。(編集局)
基地の存在が生活を破壊
こんばんは。非常に寒い中、これだけ大勢の人にお集まりいただきありがとうございます。
提起したいことは、大恐慌の時代とは大失業と戦争の時代であるというのがまずひとつ、もうひとつは、政治闘争ということについて皆さんとともに考えたい、ということです。
国鉄闘争の「大運動」が始まりました。これも政治闘争です。では政治闘争とはいったい何か。一言で言うと、個々の資本の共同利害を代表する国家、その国家との闘いだと私は考えます。全階級的、全人民的な課題をめぐる闘争です。
沖縄問題は、言うまでもなく政治闘争、全階級的課題です。まず、沖縄労働者人民の怒りに、日本と世界の労働者階級が結合しようということ。また、民主党政権を倒す最も現実性ある近道だということです。さらに沖縄の米軍基地を撤去することは、「沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」のスローガンに集約できる。
次に、沖縄労働者階級の闘いや怒りの根元についてです。皆さんは沖縄に行ったことのある方がほとんどだと思いますが、そこですぐ分かるように、全国の米軍基地の75%が沖縄に集中し、まさに基地の中に沖縄がある。そういう沖縄基地の存在そのものが沖縄人民の生活を破壊している。本土の2倍の失業率はそのひとつの現れです。
1952年の4月28日、サンフランシスコ平和条約が発効する。同時に日米安保条約も結ばれ、日本帝国主義は沖縄をアメリカに売り渡す。その結果、アメリカの軍政下に置かれる。そして72年5・15返還。しかし、基地の中に沖縄があるという状態はまったく変わらない。さらに基地犯罪。72年5・15体制というのは、それまでの米軍政下に劣らない過酷な現実を沖縄に強いていった。
闘いの主役は労働者階級
この現実をくつがえす闘いの主役は、一貫して沖縄の労働者階級であったことを確認したい。1960年代、祖国復帰協議会というのが本土復帰運動の中心になりました。その中軸を担ったのが沖教組の前身の沖縄教職員会です。67年2月、これは「10・8羽田闘争」より約8カ月前ですが、教育公務員法2法を阻止するために2万人の労働者が沖縄の国会にあたる立法院を包囲し、機動隊をゴボウ抜きして阻止してしまった。
さらに69年2・4ゼネスト。それを本土から総評が乗り込み、「闘っても勝てない。本土復帰が遅れるだけ」と言って圧殺する。70年の12月には「コザ暴動」が爆発し、米軍人関係車両約100台を燃やしてしまう。そして71年11月の全島ゼネスト。全軍労(全沖縄軍労働組合)が牽引(けんいん)して、沖縄の労働運動がアメリカの軍政を徹底的に揺さぶる過程です。米軍の銃剣と対峙しながら、何波もストライキを打っています。
そして72年返還―5・15体制を迎えるわけですが、それを食い破って、これはみなさんもう記憶にあると思いますが、95年の10万人決起。07年9月の「集団自決」教科書検閲粉砕の12万人決起。沖教組、高教組と自治労が中心だった。
職場と街頭の闘いは一つ
昨年の「8・30」で全選挙区で自民党がたたき落とされた。5・15体制に対する怒りが臨界点を越えて噴き上げ、沖縄闘争が新たな歴史的段階に入った。
70年闘争の中で中心を担うのが沖縄基地労働者の労働組合、いわゆる全軍労とその牧港支部青年部、牧青(まきせい)と言われましたけど、この人たちの闘いが、沖縄の労働運動の中で軸になった。その中で70年3月、大量首切りに反対して、太田隆一さんという首を切られた当事者の一人の反戦派労働者が、同じく解雇通告された仲間が死を選ぼうとしたときに、「労働者は死んではならない。死すべきは基地だ」という叫びをあげた。そして、牧青自身が、「解雇撤回・基地奪還」というスローガンを掲げる。すごいスローガンです。
70年1月以来の解雇撤回ストがそうした路線のもとに闘われて、71年2月から4月の3波の24時間ストに突入していく。米軍基地機能をストップさせてしまう。ベトナム人民殺戮(さつりく)の出撃基地の機能が止まり、文字どおり世界の労働者人民の魂を揺さぶった。
このようなスローガン・路線や闘いがなぜ生み出されてきたのか、私もずっと考え続けてきました。整理すると、ひとつは首切りを絶対に許さないという労働組合運動の原則が、沖縄の労働運動の中に強固にあった。
もうひとつは、沖縄が地上戦の戦場になり、それ以来の戦争絶対反対の闘いの歴史。これがベトナム反戦闘争で山場を迎える。目の前を飛び立ったB52がベトナム人民の上に爆弾の雨を降らせてそのまま帰ってくる。そのB52が嘉手納基地に墜落・炎上する。絶対これは許してはならない。ストレートにベトナム人民との連帯ということが沖縄労働者階級の中にあった。こうした要因が、首切り絶対反対と基地撤去という、ある意味では矛盾的事態をのりこえて革命的に飛躍していく闘いに結実していった。
この点では「10・8羽田」から沖縄の人びと、全軍労労働者も大きな影響を受けていました。そして佐世保エンタープライズ寄港阻止闘争です。
政治闘争・経済闘争・理論闘争、この三つが労働運動において必須だとよく確認されます。また反戦意識は階級意識だとも言われます。
この点については、経済闘争を政治闘争にいかに転化させるか、どう結びつけるかとか、あんまりそう考えるのは私はどうかなと思う。政治闘争を政治闘争としてストレートに職場に持ち込んでいくと。レーニンが、労働者はどんなに遠い国、どんなに遠いところでも、人民が権力から弾圧され殺され虐げられているときには必ず心を動かすものなんだと、労働者というのはそういう存在なんだと言ってますよね。
私は長崎分会の委員長をやっているときから、それは本当だと感じていた。この点でも、労働者階級の決起を信頼していくということが大事なことだと思っています。だから、政治闘争は遠い、経済闘争は近い、というようにとらえると間違う。どう転化するか、転化の理屈とか考えるのも変なことになる。そうではなくストレートに持ち込む。
青年労働者が職場から決起
次の問題として、反戦青年委員会は65年に発足していくわけですけど、この中で激しい論争がありました。街頭か職場かという。私たちはどちらも大事だというふうにとらえました。私たちは、職場から決起し、他方街頭闘争のエネルギーを職場に返していきながら、それを労働運動として展開しようと、実践の中で考えた。そのなかで反戦派労働運動とも言えるようなものの端緒を手にし始めた。それが定着し前進し、そして圧倒的に労働者をとらえたのが動労千葉であると言えると思います。
この反戦青年委員会というのは、全国全共闘と並んで70年闘争の主役になりました。70年闘争の後半は、街頭闘争の8割が反戦派労働者でした。71年渋谷闘争、星野文昭さんが先頭の一人であった、そのなかにあった。永田典子さんという大阪の教育労働者が虐殺されています。あるいは「赤い郵便車」、全逓の労働者が郵便車に火炎びんを積んで機動隊の暴力と闘った。労働者が本当に真剣になって闘おうとしたら、何でもできる。
沖縄闘争は革命の水路だ
沖縄闘争の戦略性ということについても提起したいと思います。「沖縄奪還」というスローガンについて革共同の創設者・本多延嘉さんの話を少し覚えています。
60年に日米安保条約の改定が全人民の課題となり国会を30万人が取り巻くところまで行った。これに支配階級は懲りて安保には手を付けず自動延長の形を取り、他方で、「沖縄返還」をもって日本帝国主義の飛躍を図った。
当時、高度成長で日本経済は世界で第3位から2位になったところ。その帝国主義大国として沖縄をアメリカに売り渡したままではやっぱりまずい。アメリカにとっても、先ほど言ったような基地労働者の決起が続き、基地の存在が揺さぶられていた。そういう中で、沖縄返還が日本帝国主義の70年政策として設定された。
沖縄では、労働者人民は怒りに燃えている。そこでわれわれは、日帝のこの70年方針に手を突っ込んで、沖縄人民とともに闘い70年闘争を沖縄闘争として爆発させていく、その観点からも「沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」というスローガンを立てきった。
一切を日本革命をいかに早く成就するかの観点から、敵の矛盾に手を突っ込んででも、人民の怒りがあれば何としてでもその怒りと結合する、どうしたら日本帝国主義を倒せるか、こういう問題意識だったと思います。
70年安保・沖縄闘争が爆発し、本当に日帝がガタガタになっていく。沖縄返還をもって日帝は大国主義、排外主義のもと一気にアジア侵略に走ろうとした。その足元をかっぱらった。安保の矛盾の集約点が沖縄であり、また安保は戦後日帝のあり方を規定する存在であり、同時に日米間の根本的矛盾をはらんだ軍事体制である。それが戦後世界体制の再編、危機の中で、揺らぎだしている。ゆえに、「沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」を日帝打倒の水路として位置づけた。
国鉄と沖縄を一体で闘おう
国鉄・沖縄決戦と言われます。動労千葉が提唱する1047名解雇撤回大運動で、あんな「政治和解」などぶっ飛ばすと。この国鉄決戦の爆発こそが、沖縄闘争を全労働者のものにする土台をつくり、またそれを拡大する。他方、安保・沖縄などの反戦政治闘争の前進こそが、国鉄闘争の大爆発へと返ってくる。同時にこの反戦政治闘争は、アメリカや韓国の労働者との国際連帯を圧倒的に強める。
いま大失業と戦争の時代、その反戦闘争の最大火点になっている沖縄を水路に、7月を待たずに民主党・連合政権をぶっ倒していく、いちばん太い水路ではないかと思います。
職場闘争をとことん闘って、これと沖縄闘争・反戦闘争との結合の中で革命的拠点をどんどんつくっていこう。このことを最後に提起して終わりたいと思います。
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週刊『前進』(2437号5面2)(2010/04/26 )
DVD「沖縄戦後闘争史」完成
新たな安保・沖縄闘争の大爆発のために、学習資料DVD「沖縄戦後闘争史」が制作されました。
おびただしい死傷者を重ねた沖縄戦、本土復帰闘争の高揚、沖縄−本土を貫く70年安保・沖縄闘争の爆発、95年米兵による少女暴行事件から始まる新たな基地撤去闘争のうねり、辺野古の海上基地建設阻止の実力闘争など、戦後から今日までの沖縄の闘いを記録した貴重な映像資料をふんだんに盛り込み、全25分に凝縮しました。沖縄の歴史をこれから本格的に学ぶ青年労働者・学生にとっても、闘いの現場に自ら参加していた歴戦の闘士にとっても、あらためて「日本革命の火薬庫」沖縄闘争の歴史的な意義をつかむ最良の武器です。学習会、上映会などでの活用に最適です。
編集・制作は沖縄戦後闘争史制作委員会。頒価500円。注文は前進社へ。
(写真は全軍労牧港支部青年部のストライキ)
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週刊『前進』(2437号5面3)(2010/04/26 )
自民の分裂と小政党乱立
激化する日帝の政治危機
大恐慌下の日帝の破滅的な財政危機と、帝国主義間・大国間の争闘戦の激化の中で、日帝の政治危機がかつてなく深まっている。
米軍普天間基地問題で反人民的正体をあらわにし、袋小路に突入している鳩山民主党政権の支持率は、ついに2割台に急減した。7月参院選の結果を待たずに、政権崩壊かという危機にある。しかし他方では、昨年の8・30総選挙で政権から転落した自民党も、離党と分裂が相次ぎ、いよいよ自滅的解体状況を深めている。
特にこの間、沈みゆく泥船から逃げ出すように、自民党所属議員の脱党と、新党結成の動きが続いている。昨年の渡辺喜美の「みんなの党」に続いて、鳩山邦夫の離党、さらに4月に入って平沼赳夫(元自民党)、与謝野馨、石原慎太郎(都知事)らの新党「たちあがれ日本」の結成、そして舛添も脱党し新党結成へと動いた。
またこの自民党をめぐる動きと並行し、山田宏・杉並区長、中田宏・前横浜市長らは、地方自治体の首長・首長経験者を軸に「日本創新党」なるものを結成した。
未曾有の大恐慌と政治危機の中での、こうした自民党からの離党と雨後の筍(たけのこ)のような新党結成は、現時点ではきわめて過渡的・流動的であり、路線的一致もなく、ただ参院選を前に自民党に見切りをつけて、政治的に野合したという要素も強い。
だが彼らに共通しているのは自民党への絶望と同時に、日帝の体制的破滅状況への右からの危機感と、プロレタリア革命への恐怖である。絶対多数の政党がもはや存在せず、小政党が分立し、民主党を含めて与野党双方を巻き込んだ離合集散と政治的再編が、これから一挙に激化することは不可避である。それは日帝のかつてない政治危機への突入を意味する。
ここで重要なことは、自民党から飛び出した連中は、みな超右翼的でファシスト的なイデオロギーと政治信条を持った者ばかりだということだ。彼らは鳩山政権の破綻性や、それに有効に対決できない自民党執行部の混乱と無力に危機感を深め、「このままでは革命が起きて日本が滅ぶ」「国家を救え、日本を救え」と叫び、革命への恐怖に突き動かされている。
平沼は「このままで日本は本当に大丈夫なのか」と危機感をアジり、夏の参院選に田母神俊雄・元航空幕僚長などの極右ファシスト分子の立候補を画策している。山田や中田は、「彼らこそが日本の財政をここまでの危機に陥れた戦犯だ」と自民党や民主党を攻撃し、道州制導入や公務員数を3分の2に減らす「改革」を叫んでいる。その狙いは自治労・日教組を始め労働運動の解体・一掃だ。
大恐慌は戦争と大失業を生み出す。そしてブルジョア国家の体制的危機の中で、新たな極右的保守勢力、改憲や軍事大国化を叫ぶ勢力の登場が不可避となっている。しかし民主党や自民党にも、分立する極右的小政党にも、危機を突破できる展望など何もない。
問題は、労働者階級が闘う労働組合をよみがえらせ、今こそプロレタリア革命にむけて団結して闘い抜くことだ。国鉄決戦と安保・沖縄決戦の爆発で、民主党・連合政権を打倒し、大恐慌と戦争・大失業を革命勝利に転化しよう。
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週刊『前進』(2437号5面5)(2010/04/26 )
財界が消費税17%を提言
財政破綻に恐怖し凶暴化
4月13日、日本経団連と経済同友会が、6月にも発表が予定されている鳩山内閣の「新成長戦略」へのそれぞれの提言を発表した。
いずれも、消費税大増税という労働者階級への大攻撃を打ち出していることが特徴だ。これは、今年度の政府の当初予算で新規国債発行額が税収を大幅に上回り、財政赤字が天文学的に拡大していくという財政破綻におびえた資本家どもの凶暴な攻撃である。
鳩山−民主党・連合政権の「新成長戦略」は、自民党政権時代とは違った日帝の成長のあり方を提示するとして昨年12月30日に基本方針を打ち出し、6月までに具体化させるというものだ。
民主党・連合政権は、普天間問題の5月決着の絶望化と2割台に落ちた支持率から、政権崩壊の危機にある。だからこそ鳩山は「新成長戦略」を押し立てて参議院選挙に臨もうとしている。
経団連は民主党・連合政権の誕生によってそれまで自民党一本槍だった路線が破綻し、政府との関係がいったんは切れるという危機に直面した。民主党との関係修復に連合のダラ幹を使うことまでやった御手洗・経団連は、提言において資本家の階級的利害をむき出しに、@企業の国際競争力の強化とそのための法人税の大幅減税、A財政危機対策として消費税の大増税、Bアジア戦略とEPA・FTA締結の加速、C道州制攻撃を真正面から打ち出している。
とりわけ消費税については11年度から段階的に10%程度まで引き上げ、20年半ばまでに10%台後半ないしそれ以上にすると公言している。資本家には減税しておいて、労働者階級からは、あらゆるものを買うたびに2割も税金で巻き上げようというのだ。まったくもって許し難い。
民主党・連合政権に入り込んでいる経済同友会にしても、まったく同じだ。彼らの提言は、「消費税率については、2013年度に10%、15年度に15%、17年度には17%とする」となっている。
そして政権内部からも、「消費税増税は4年間凍結」とした鳩山政権の方針に反して、菅財務相や仙谷国家戦略相が消費税増税を口にし出している。
このようにブルジョアジーが口をそろえて消費税大増税を主張する背景には、日帝の絶望的な財政危機がある。国際帝国主義は大恐慌に直面してこの間、1929年の世界大恐慌を上回る空前絶後の財政・金融政策を展開し、大規模な資本救済を行ってきた。その結果、恐慌は「底を打った」などと宣伝されているが、これは金融機関の救済を国家財政の破綻へと移し替えたものであり、大恐慌をいよいよ激化させ、ギリシャを始め各国の国家的破綻と革命情勢を生み出している。
日帝はバブル崩壊以降の危機脱出のために膨大な赤字国債を垂れ流してきた。その結果、債務残高は加速度的に積みあがって1000兆円に迫り、対GDP比は197%に達する。アメリカが92%、ギリシャでさえ111%だ。まさに国債暴落と、ギリシャ的な体制破綻が切迫しているのだ。
国鉄・沖縄・三里塚・法大決戦の爆発で、プロレタリア革命勝利、民主党・連合政権打倒に突き進もう。
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週刊『前進』(2437号6面1)(2010/04/26 )
階級的労働運動で入管体制粉砕を
外登法・入管法と民族差別を撃つ関西研究交流集会
団結し実践に踏み込んだ1年
4月18日、第19回外登法・入管法と民族差別を撃つ関西研究交流集会が大阪・東成区民ホールで開かれた。集まった250人の誰もがこの1年、「打ち破ろう分断! 取り戻そう団結! 民族差別・排外主義と入管体制を打ち破り、全世界の労働者は団結しよう!」のスローガンのもと実践に踏み込んできた自信にあふれていた。基調報告に立った国労5・27臨大闘争弾圧裁判被告でもある国労奈良電車区分会の橘日出夫さんは、「分断を許さず、怒りを一つに団結し、民主党・連合政権を打倒しよう! 動労千葉が呼びかける1047名解雇撤回の全国大運動を進めよう。ここに階級的労働運動の力で入管体制を打ち破り、万国の労働者が団結する道がある」と力強く訴えた。(本紙・室田順子)
(写真 “怒りを一つに鳩山政権打倒を!” 基調報告する国鉄労働者=4月18日 東成区民ホール)
労働者の街で
「この労働者の街、大阪市東成区において歴史的な入管集会が打ち抜かれることをここに宣言します」――司会の京大生と民間金属労働者が力強く宣言し、3月に逝去された動労千葉の中野洋前委員長、全国実運動を先頭で担った高英三さん、林歳徳さんら先達の遺志を継いで闘いぬくことを確認した後、集会呼びかけ人を代表して末光道正さん(八尾市議)が開会のあいさつをした。
「世界大恐慌下、私たちの営々たる階級的労働運動の実践がついに11月労働者集会を中心に隣の労働者である在日・滞日外国人労働者と団結する、そこに労働組合の重要な課題をすえるところまで来ました。その勝利の軸が第2次国鉄決戦です」と呼びかけた。
全学連の訪米ビデオが上映され、訪米団の京大生、本慶圭佑(ほんげ・けいすけ)君が「全学連は歴史的な国際連帯を切り開いた。バークレーの学生たちと世界単一の労働者党をつくろう、世界革命をやろうと語り合った」と報告し、会場は一気に盛り上がった。
「裁判員制度にとどめを!5・18全国集会」への結集を呼びかけるメッセージが紹介され、続く連帯のあいさつでは、大阪・星野文昭さんを取り戻す会が星野さんへの理不尽な懲罰攻撃を弾劾し、第2次再審闘争の勝利を訴えた。さらに、日本アラブ未来協会の田中博一さんがパレスチナとの連帯を、セイブ・ザ・イラクチルドレン広島の大江厚子さんがイラクの現状報告を交えて8・6ヒロシマ大行動への結集を呼びかけた。
国鉄闘争軸に
「改悪入管法粉砕、在留カードの導入を阻止しよう。世界は革命情勢です。国鉄と安保・沖縄闘争で民主党政権を打倒しよう」と基調報告は訴えた。これと一体のものとして、動労千葉の長田敏之書記長が国鉄1047名解雇撤回闘争を支援する大運動を呼びかけた(要旨別掲)。
「入管収容所の壁を越えて」と題して、牛久入管収容所問題を考える会の田中喜美子さんが収容所での自殺が相次いでいること、強制退去執行中のガーナ人が成田空港の航空機内で死亡したことを報告、「日本の入管体制が彼らを殺している」と弾劾し、「アメリカの労働者がイラク反戦でイラクの労働者とともにストライキを闘った。こういう連帯闘争で世界を変えよう」と呼びかけた。ビルマ難民が強制送還におびえた収容生活の実態を訴え、「平和な世界をつくろう」と呼びかけた。なんぶユニオンの宮里勝博書記長、関西合同労組かねひろ運輸分会から闘いが報告された。
続々と決意表明が行われた。国賀祥司泉佐野市議が道州制攻撃と「財政健全化」との闘いを報告し、5月市議選必勝の決意を述べた。部落解放同盟全国連西郡支部の岡邨洋支部長が「労働者を信じ、団結を拡大してきた」、八尾北医療センター労組の藤木好枝委員長が「民営化攻撃を阻止し、3・31を突き抜けて数年越しの闘いに入った」と報告した。
最後は勢いある青年・学生の発言だ。大阪市職の赤田由行さんが「安保闘争は常に青年・学生の闘いだった」と熱烈に4−5月沖縄闘争への総決起を訴え、全学連の冨山小太郎書記長が「労働者階級には民族や国境を越えて団結する力がある。団結は革命のエネルギーそのものだ。そのためあすから自分の現場で団結をつくっていこう!」。団結ガンバローとインターナショナルが響きわたった。
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週刊『前進』(2437号6面2)(2010/04/26 )
全国大運動で勝負
動労千葉 長田敏之書記長
動労千葉を築いた偉大な指導者、中野洋前委員長の墓前に勝利を報告できる日は必ず来る。
われわれは1047名闘争を人道的に解決してもらいたいわけじゃない。国家的不当労働行為なら解雇撤回が当たり前の話。4者4団体はこの当たり前の原則を投げ捨て、政府に屈服した。
1047名闘争の火を消すわけにはいかない。青年労働者の決起が惨たんたる現状を打破する力になる。
動労千葉は腹を固めて日本の労働者が置かれている現実を根底から打ち破る闘いを決断し、6月
に東京で総決起集会を開催したいと思っています。
1047名闘争と現場における外注化阻止決戦を2大闘争として構え、全国に訴えていく。この闘いをとおして沖縄闘争や入管闘争、学生の闘い、あらゆる闘いが結びつけば日本の階級闘争は大きく前進する。
(写真 1047名闘争を訴える動労千葉の長田書記長)
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週刊『前進』(2437号6面3)(2010/04/26 )
4・24集会弾圧 “新入生が決起” 洞口さんが証言
検察の論告求刑に怒り
4月20日、法大4・24解放闘争裁判が東京地裁刑事第17部で行われた。
弁護側証人として法大生の洞口朋子さんが昨年の4・24闘争について証言し、その後、検察官が論告求刑を行った。
多くの仲間を獄中に奪われる中、洞口さんは法大生の先頭で闘いぬいてきた。「昨日は、私たちのビラを読んでいた新入生が法大当局によって不審者扱いされ、『学生証を見せろ』と脅された。しかし、新入生は一歩もひかず抗議の声を上げて暴力職員を退散させた。まわりの学生から拍手がわき起こった」。学生運動を根絶やしにしたい法大当局を打ち破り、学生の新たな反撃が力強く開始されていることが冒頭に確認された。
そして、4・24当日の外濠校舎の状況が証言された。「外濠校舎内の吹き抜けのまわりには、授業中にもかかわらず1階から5階まで数百もの学生が集まり、抗議の声を上げる学生たちと合流していた。法大当局は、ロープまで張って必死に合流を阻もうとしたが、学生は雪崩のように外濠校舎を飛び出し、正門前の集会にともに参加した」「4・24は法大生が立ち上がり、声を上げた日だ。建造物侵入も威力業務妨害も成立しない。先頭で闘う6名を見せしめにして、法大生の決起を抑え込むことなど許さない」
さらに洞口さんは、「私は法大闘争を支持するアメリカの仲間に招待され、教育をめぐる100万人のゼネストに参加してきた。法大当局のやっていることはあまりに小さい。この時代にどう生きるのかをかけ、大学を変え、未来を切り開こう。4・23闘争を爆発させよう」と、法大闘争の世界的な大きさと勝利性を生き生きと訴えた。
退学処分と闘う斎藤君が意見
被告団を代表して斎藤郁真君が弁護側立証を締めくくる意見表明を行った。「文化連盟の委員長として抗議の声を上げてきた私は、4・24闘争を理由に無期停学に加えて退学処分となった。裁判の結果も出てないうちから、法大当局は抗議の表現を非合法としたのだ。抵抗の表現に自由がないところで真の表現の自由などない。裁判所は同じ立場で弾圧するつもりか。資産の3分の1を金融商品につぎ込む法大当局は、学費を上げ、奨学金という借金を負わせて学生の未来を奪い、表現の自由を抑えつけている。この背景を見て判断せよ!」と、政治弾圧を許さない決意を裁判所に気迫を込めて突きつけた。
検察官の論告求刑に移った。求刑は「懲役1年6カ月」だ。断じて許されない。
論告は、「『前進』紙上で法大闘争は呼びかけられた」「4・24は組織的、計画的に行われた悪質な犯行」など、法大生の自主的な闘いをすべて否定し、学生の自立した姿を抹殺するものだ。「命令する組織」と「従う者」しか登場しない論告は、権力者どもの腐敗した人間観を表している。学生の可能性に背を向け、分断して暴力的に支配することだけを狙う国家権力は、法大当局ともども打倒するしかない。
次回、5月19日に弁護側の最終弁論が闘いとられる。法大闘争の爆発をかちとるとともに政治弾圧を絶対に粉砕しよう。
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週刊『前進』(2437号6面4)(2010/04/26 )
団結ひろば 投稿コーナー
「事故はタクシー労働者の責任じゃない!」 北海道・S労働組合 A・K
10春闘を私の職場で闘っています。「減車」の動きが焦点となる中で、4月冒頭に系列のタクシー会社で「ひき逃げ死亡事故」が起きました。私はこの問題をメインにし、「事故は労働者の責任じゃない!『ひき逃げ死亡事故』は労働者が悪いのか? 競争と不安をあおる会社の姿勢こそ問題」と訴えたビラを全社員(280人)に配りました。
それに先立つ支部の会議で全国労組交流センター・民間交通運輸部会(準)の「事故の原因は合理化と労働強化」「動労千葉のように闘おう」というビラを配布し討論しました。会議の後、仕事を終えた仲間が「このビラは良いから拡大して掲示板にはろう」と言ってきました。この労働者の反応に押され、全社員にビラを配りました。パッと見てすぐに「ひき逃げは労働者が悪い」と言ってきた労働者は2人でした。大半の労働者は食い入るようにビラを読んでいました。
翌日は、H社での春闘ストライキ集会に私も指名ストに入って参加しました。減車問題がメインとなる中で、私は、事故問題に絞った発言をしました。発言が進むと70人ほど集まった労働者の中から「そうだ、そうだ」という声が上がり、その声がどんどん大きくなりました。一体感を実感して発言を終えると、一人の労働者が近寄ってきて「とてもいい発言でした。心が解き放たれる気がしました。多分みんなも同じだと思いますよ」と言ってくれました。
その翌日、日ごろお世話になっている組合運動の先輩にこのビラを渡しました。常日ごろ運転手のマナーにうるさく、「ちゃんと確認すれば事故は防げる」と言っている人ですが、予想に反して「いいビラだ。自分のところでもまくからもう少しくれ」と言ってくれました。さらに翌日、新たな組合員が加入してくれることになりました。労働者の立場に立ちきった内容は必ず労働者に通じると確信しました。
「反核燃の日」六ケ所再処理工場前で集会 W
4月11日、前日の青森市内での一連の反核燃集会・デモを引き継ぎ、六ケ所村の日本原燃再処理工場前で青森反戦反核学習会主催の反核燃行動がかちとられた。
結集した闘う仲間たちは「日帝の核武装阻止! 核燃サイクル・再処理工場即時解体!」の決意に燃え立ち、正門前に座り込んで怒りの集会を断固貫徹した。
再処理工場は原発・「もんじゅ」と一体で核兵器材料のプルトニウムを生産する核軍事施設である。1985年4月9日、核武装を狙う中曽根政権のもとで北村青森県知事が六ケ所村への核燃施設受け入れを機動隊導入によって強行した。今回は25回目の「4・9反核燃の日」。
地元六ケ所の漁民は「あってはならぬものができた。原発から出る放射能を六ケ所に運び込まない運動も必要。もんじゅとともに再処理工場を解体しよう」と熱烈に訴えた。青森の労働者は「再処理工場稼働は日本のプルトニウム保有になる。全国の仲間と必ず阻止する」と決意を表明。
北陸労組交流センターとス労自主の仲間が風雲急を告げるもんじゅ闘争への決起を呼びかけた。東京の労働者は「危険なものをまき散らす工場になぜ金をつぎこむのか。再処理工場解体まで闘う」と発言。核問題研究情報センター代表の吉田義久氏と8・6―8・9反戦反核全国統一実行委事務局長の三角忠氏は、世界戦争・世界核戦争戦略のQDR・NPRを打ち出したオバマと、核武装に突進を開始した民主党鳩山政権を徹底的に弾劾し、「核燃サイクルを破綻させて日帝の核武装の野望を粉砕し、国際連帯を実現して核と戦争のない世界をつくっていこう」「全国闘争として再処理工場解体の闘いをさらに広げていこう」と檄(げき)を飛ばした。
最後に日本原燃に向けて再処理工場解体、日帝の核武装絶対阻止のシュプレヒコールをたたきつけ、全国集会に合流、六ケ所村内をデモ行進した。労働者階級の力で国鉄・沖縄決戦を爆発させ、民主党連合政権をぶっ飛ばし、核燃サイクルを即時解体しよう。
もんじゅ運転再開に怒りの敦賀現地闘争 北陸 K
4月18日、福井県敦賀市で、もんじゅ再開反対!現地抗議集会が500人の参加で行われた。
北陸労組交流センターと富山大学学生自治会は、愛知労組交流センター、東海合同労組、8・6―8・9反戦・反核全国統一実行委員会の仲間とともに結集し、参加者にアジテーションとビラで「日米安保粉砕! 沖縄米軍基地撤去! もんじゅ運転再開阻止! 民主党政権打倒! 国鉄1047名闘争勝利!」と訴えた。
「国鉄1047名解雇撤回」ののぼりを掲げ、ビラで政府と4党の「解決案」を全面的に批判していることに打撃を受けた原水禁事務局は、われわれと参加者を分断しようと、ビラまきを妨害してきたが、次々とビラが受け取られていく様を目のあたりにして、なすすべもない。
現地集会は、「もんじゅを廃炉へ!全国集会実行委員会」主催となっているが、社民党と原水禁がとりしきり、「もんじゅ再開は止められない。再開してからも運動は続けよう」という、参加した現場労働者に敗北感と闘争の幕引きを強制する度し難い内容である。
集会中は退屈そうにしていた青年労働者も、もんじゅゲート前までのデモでは、元気よくシュプレヒコールをあげている。現場労働者はみんな、もんじゅ再開に怒り、闘う方針を求めているのだ。それを抑えつけているのが体制内指導部である。反戦・反核闘争の主体は労働者階級だ。その闘いは、体制内指導部の制動を打ち破る度合いに応じて前進するということを痛感させられた。
労働者の階級的団結で核と戦争を止めよう。国鉄・沖縄決戦を爆発させ、改憲と核武装を進める鳩山民主党・連合政権を打倒しよう。
第10期党学校で 本来の労働者階級の前衛党を建設しよう 久永裕幸
第10期党学校を受講して、反スターリン主義・革命的共産主義の闘いはマルクス主義を復権する闘いなんだ、とあらためて感じました。
党(党員)を労働者階級と離れた特別の存在とすることは、特権意識を生み出すものになると思います。
このスターリン主義によって歪められた、党を階級の上に置くあり方が、労働者階級の解放をとおして人類の普遍的解放を実現するものではなく、スターリン主義官僚制によって労働者階級人民を抑圧するものになっている。このマルクス主義の改ざん・変質と闘い、本来の労働者階級の前衛党を建設していかなければならない。そのことを強く再確認することができた党学校でした。
革命的共産主義運動50年の闘いは、党を特別のものとせず、労働者階級と一体の存在として党を建設する闘いだったと思います。それは、レーニンが第2インターナショナルの変質(日和見主義)と闘い、マルクス主義を復権する苦闘をとおしてロシア革命に勝利していったことと重なるものを感じました。特に『国家と革命』の講義での国家をめぐる日和見主義との闘いは、今われわれが直面している現実そのものを見るようでした。
われわれは今、世界革命情勢を前にして労働者階級の前衛党として綱領草案を発表し、マルクス主義を貫いた労働運動である動労千葉労働運動を広げる闘いに全力をあげています。この闘いに勝利するためにも、党学校での講義内容を深め、武装していくことが必要だと実感した1年でした。
第10期党学校で マルクス主義で私を鍛える1年間に賭け 八田瞭子
この世界大恐慌下の革命情勢の中で、労働運動の中でオルグしてきた労働者と青年労働者を絶対に革命運動に獲得したい! 党学校―マルクス主義で私自身を鍛える1年間に賭けようという思いで参加しました。
あらためてマルクス主義が労働者階級の解放と実践の理論だということを強烈に突きつけられました。
最初に、今日、動労千葉が切り開いてきた階級的労働運動の地平を半世紀の革命的共産主義運動の観点から明らかにしたことです。動労千葉労働運動を徹底して学ぶ最大の根拠は、労働者の生きた団結の実践と階級的労働運動路線が労働者階級を支配階級に育て上げ、帝国主義を打倒していく「労働者自身の事業」なのだという確信です。
『共産党宣言』〜『資本論』〜『帝国主義論』『国家と革命』のどの時代どれをとっても、マルクスやレーニンが眼前に起こっている階級闘争を徹底して見つめ、その中に労働者の闘いへの信頼を見いだし、革命に敵対する者たちに決死的な路線的闘いを挑んで、プロレタリア独裁、革命に切り込んでいく。情勢の中に闘いがある、闘いがあって路線を深化・発展させ、情勢を切り開く――まったく当たり前のことを学びました。そして、綱領草案の理論的背景を進行形でより深化してつかみ取ったことを実感しました。
労働者は時間がない、しかし、実践する労働者こそ学ばなければならない。『共産主義者』を改めて読み始めました。党の機関紙・誌をはじめ、出版物一つひとつが、この間の情勢的把握と理論的前進の源泉です。
党学校の最高の講師とあの密集した緊張感は自分をさらけ出し、獲得する自己解放的なものでした。マルクス主義を掲げ、「党は階級自身の中から形成しなければならない」。
沖縄―国鉄で実践を!
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週刊『前進』(2437号6面5)(2010/04/26 )
法大裁判に集まろう!
★暴処法裁判
第12回公判 4月26日(月)午後1時30分
第13回公判 5月13日(木)午後1時30分
★4・24集会弾圧裁判(最終弁論)
第14回公判 5月19日(水)午後1時30分
※いずれも、東京地裁429法廷 12時半に傍聴券配布所へ
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