ZENSHIN 2006/09/04(No2260
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週刊『前進』(2260号1面1)(2006/09/04)
「改憲・教育・戦争」を叫ぶ安倍の登場を粉砕しよう
「次期政権の最大の抵抗勢力は官公労だ」と中川政調会長が公言
8月15日に小泉が全世界の反対を蹴って靖国神社参拝を強行したことは、日帝の北朝鮮・中国・アジア侵略戦争宣言であり、新たな15年戦争への踏み出しの歴史的な攻撃である。それは、イスラエルを先兵とする米帝のレバノン(パレスチナ)侵略戦争と一体のものである。帝国主義の危機と凶暴化がここに凝縮している。この中で改憲と教育基本法改悪を掲げて小泉から安倍への政権交代が図られようとしている。改憲阻止を第一のテーマに11月労働者総決起をかちとろう。自治体、全逓、教労、国鉄の4大産別決戦に全力で立ち上がり、労働者の団結の力で情勢を切り開こう。
侵略戦争への突進が「使命」
今、小泉の後継として登場してきている安倍は、9条改憲と新たな侵略戦争・世界戦争への突進を自己の最大の使命として掲げ、集団的自衛権の行使と教育基本法改悪に全力で突き進もうとしている。
安倍は、8月22日の横浜市での講演で「憲法改正と教育改革」を政権公約の柱に据える考えを表明した。「私たちの手で新しい憲法をつくる」と言い、「次なるリーダーは、新しい憲法を政治スケジュールに乗せていくリーダーシップを発揮しなければならない」と真っ向から改憲を政治日程に乗せることを宣言している。
また、この講演で首相官邸に日本版NSC(国家安全保障会議)を設ける意向を明らかにした。これは7月5日の北朝鮮ミサイル発射を口実にした国連安保理制裁決議のための日帝の突出を主導した安倍が、官邸をホワイトハウスのような大統領的権限をもったものに作り替える意図をもって言われており、改憲と戦争遂行に突進する安倍の狙いを示している。
自民党防衛政策検討小委員会は23日、自衛隊が海外で活動する際の恒久法「国際平和協力法案」の素案を了承した。必ずしも国連決議や国際機関の要請を活動の前提とせず、隊員の武器使用基準を緩和するとしている。これは、安倍が9月1日の政権公約で打ち出そうとしている現行憲法下でも集団的自衛権は発動できるとする解釈改憲と軌を一にしている。侵略戦争の歯止めを取り払おうとしているのだ。
また、安倍は講演で「教育の再生」を叫び、教育基本法改悪の成立を図り、「家庭や地域、国を愛する教育」を強調している。安倍は文春新書『美しい国へ』でも「教育の再生」という一章を設けて、教員免許更新制で「ダメ教師は辞めていただく」とか「教育バウチャー制度」とか、盛んに「教育改革」を訴えている。政権を握ったらまず教基法改悪に突進してくることは間違いない。
これらの攻撃を貫くために安倍は、4大産別を始めとする労働組合の破壊に全力を挙げている。
安倍を支える中川自民党政調会長は19日、「次期政権の最大の抵抗勢力は官公労だ」と、自治労など4大産別に敵意をむき出しにし、公務員制度改革に突進する意思を表明した。「官公労は自民党が増税して、その結果選挙で敗北、政権交代するのを待っているのではないか。次期自民党総裁は、官公労と対峙する気概が求められる」と。
9月から政府の「行政改革推進本部専門調査会」が、公務員のスト権問題の本格的検討に入る。財政危機にあえぎ、5年間で5・7%以上の公務員削減を打ち出している政府・自民党は、公務員に「スト権」を付与する代わりに大リストラと身分保障の剥奪(はくだつ)を狙っている。
重要なことは日本帝国主義の資本家階級がこのような極右政治家・安倍を選択したことだ。
安倍の登場を労働者の団結の力で粉砕しよう。
靖国巡る日帝危機と凶暴化
小泉が靖国神社参拝を強行した8月15日夜、加藤紘一衆院議員(自民党元幹事長)の山形県の実家と事務所が放火され全焼した。右翼団体の男が現場で割腹自殺を図った。靖国参拝に異論を唱える政治家に対する右翼テロだ。反対するものはテロで一掃する。これが靖国攻撃の本質だ。これこそ新たな15年戦争突入情勢下で起こっていることだ。
靖国問題をめぐって支配階級の分裂が起こり、死闘が展開されている。靖国問題は血塗られた日帝の本質を示している。日帝は第2次大戦でいったん完膚無きまでにたたきのめされた。教育勅語と靖国神社による日帝支配は歴史的に破産を遂げた。日帝は絶対にこの矛盾を解決できない。ここにすさまじい日帝の危機がある。だからこそ、絶望的に凶暴化する右翼テロが出てくるのだ。右翼テロは、日帝・小泉がつくりだしたものだ。
小泉の靖国神社参拝への階級的怒りと危機感と反発心を持って8・15に東京では反戦共同行動委の300人のデモを先頭に労働者人民の闘いが起こった。
戦争国家化と4大産別決戦
小泉政権の5年間とは「改革」を掲げた、戦争と民営化・労組破壊の攻撃の5年間だった。小泉は政治的・軍事的には米帝ブッシュとの同盟関係を強化し、日米枢軸のもとでイラク侵略戦争の参戦と北朝鮮・中国侵略戦争の政策を進めると同時に、日本経団連・奥田と一体となって、「骨太方針」T〜Yによる「構造改革」を進めてきた。
しかし、小泉の攻撃は各所で大破綻(はたん)している。その最たるものが民営化・規制緩和のもとでの外注化、指定管理者制度の攻撃だ。これはリストラと事故の多発となって矛盾を爆発させ、連合指導部への怒りが渦巻いている。
帝国主義の矛盾が大爆発し、労働者階級の怒りがあらゆる制動を突き破って噴出し、帝国主義支配を根底から揺るがす事態に発展しつつある。だからこそ4大産別決戦が重要になってきている。
戦前は4大産別、すなわち公務員労働者はすべて戦争の先兵にさせられた。教育労働者は「聖職者」として教え子を率先して戦場に送り出す役割を負わされ、公務員は「赤紙」=召集令状を届ける官吏だった。
今日、イラク参戦をもって戦時下に突入し、さらに北朝鮮・中国侵略戦争に突入しようという時に、教育労働者や公務員の労働組合があって、まだ戦闘性が残っていることに、支配階級は我慢ならないのだ。だから「公務員=悪」のバッシングが起こっているのだ。
逆にここで戦争・改憲と民営化攻撃に対する大反撃がたたきつけられれば、日帝の政治支配は崩壊する。労働者階級の力で戦争を止め、社会を変革していく道が開かれる。すべての労働者の明日がかかった闘いとして、4大産別決戦にかけきらなければならない。これが11月総決起に問われているのだ。
動労千葉と共に11月決起へ
戦時下の階級闘争では、敗北主義・日和見主義は排外主義と一体化する。労働運動指導部が敗北主義に陥り、その敗北を合理化し、居直り、ブルジョア的価値観の立場から労働運動の破壊を自らの使命とし、底なしの屈服と資本の手先化を進めている。これに対して現場労働者の反撃の闘いが起こっている。連合・全労連指導部の反労働者性を暴き出し、信用を失墜させ、労働組合の中からたたき出すまで闘いぬくことが必要である。
国労の佐藤委員長は、「4党合意を受けとめることができなかった」と関係者に「おわび」し、動労千葉を排除して政治解決を図ることをひたすら権力・資本にお願いする完全屈服路線を歩んでいる。だが、本部の屈服方針で要求が1_でも実現するはずがない。鉄建公団訴訟を弾圧するために、5・27臨大闘争弾圧で国労組合員を権力に売った国労本部を打ち倒し、現場からの闘いで国労の根底的な再生をかちとることこそが、勝利を開くのだ。
自治労は、今や日帝の戦争・改憲と民営化・労組破壊の攻撃との闘いの最前線にいる。自治労大会は日本労働運動の帰趨(きすう)を決する決定的な決戦となった。国民保護計画の実行を粉砕する闘いに職場から立ち上がろう。国と地方自治体の財政破綻の全矛盾を公務員労働者に押しつけ、首切り・賃下げを行ってくる攻撃に屈服する自治労指導部をぶっ飛ばして闘おう。
教育労働者は、日教組本部の民主党案支持の裏切り方針を粉砕して、教基法改悪案に対する全階級的な大反撃の先頭に立とう。
全逓労働者は、集配拠点再編攻撃との闘いがこれから激化することに確信をもち、職場闘争を徹底的に闘い抜き、それを11月大結集に結びつけよう。
労働運動の階級的再生は、職場における原則的闘いによって切り開かれる。動労千葉の闘いに学び、それぞれの職場で闘いを切り開こう。
動労千葉は、戦後労働運動のすべてを継承している。そしてその今日の危機を突破する方向を体現して闘っている。だからこそ、韓国の民主労総を始め、アメリカでもイギリスでも闘う労働者の中に動労千葉の名前が響き渡り、連帯の輪が広がっているのだ。
動労千葉が呼びかける「憲法9条改悪阻止、戦争と民営化−労組破壊に立ち向かう9・23労働者集会」(3面に呼びかけ文と要項)に全力で結集しよう。この集会が11月労働者1万人総決起に向かってのステップだ。
臨時国会決戦で、教基法改悪案を始め、共謀罪新設法案、改憲のための国民投票法案、防衛庁の「省」昇格法案の採決を粉砕しよう。これらとともに「9条を変えるな」を合言葉に改憲そのものをメインテーマにした大運動をつくり出そう。
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週刊『前進』(2260号1面2)(2006/09/04)
自治労大会 “民主支持は現場の声ではない”
改憲と民営化に危機感
闘う方針求め怒りが噴出
(写真 労組交流センターの労働者の訴えは、戦争と民営化攻撃に怒る多くの組合員の共感を呼んだ【8月24日 さいたま市】)
自治労の第78回定期大会が8月24、25日、さいたま市の大宮ソニックシティーで開催された。労組交流センター自治体労働者部会を中心に約50人は「現場の闘いが改憲を止める」「国会闘争を確立しよう」と訴えた。さらに動労千葉の安全運転闘争への不当処分撤回や改憲反対署名を訴えた。
大会の討論では、改憲・戦争と民営化・解雇・賃下げに怒りが噴出した。さらに本部の無方針・闘争圧殺への怒りと同時に全国の職場の血のにじむような闘いも明らかとなった。
香川の女性代議員は、公立病院、学校給食、保育所の民営化、合併による人員削減・労働強化などの攻撃に対する危機感を表明。「職場反合闘争と反戦・平和運動を結合し、取り組みを強めていく」と語った。広島の青年の代議員は、青年部総会での多数意見として「行政改革に対して職場でどう闘うかが不明確」と批判、反合理化の取り組みを要求した。
来年の参院選方針に対しては、教育基本法改悪や改憲を進める民主党支持に対して重大な疑義が突きつけられた。新潟の代議員は、民主党が原発推進に転換したことを明らかにし、「本当に民主党でいいのか。明確な回答を求める」と迫った。
これに対する本部答弁は「原発推進をうち出したのはプロジェクトチーム。民主党の意見とならないよう働きかける」と、現場の怒りの噴出におびえながら、言い逃れでごまかそうとした。
本部は、賃下げと首切り−自治労解体の攻撃に対して、何も反撃の方針を出していない。それどころか完全に推進者に成り果てている。指定管理者制度導入で単組解散に追い込まれているところもあるのだ。本部は、現場の怒りと危機感、闘いの意欲をすべて民主党選挙に流し込もうとたくらんでいる。自治労を改憲勢力に転落させ、闘えなくする攻撃だ。民主党支持の声は現場にはない。
本部に対する怒りが噴出し、埼玉、新潟、福島、山形、広島、沖縄、全国一般などの代議員から改憲阻止の明確な方針を出すよう要求が続出した。とりわけ沖縄の代議員は「憲法改悪に反対して自治労が断固闘う方針を出して闘えば、自治労は再生し強くなる」と戦争への憎しみを込め体の震えるような演説を行い、大きな拍手を浴び、大会の雰囲気を一変させた。
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週刊『前進』(2260号1面3)(2006/09/04)
「北延伸」着工阻止へ
公聴会に怒りのデモ
三里塚「地元同意」演出許さず
8月21日、成田空港暫定滑走路「北延伸」の公聴会に対する弾劾闘争が、三里塚芝山連合空港反対同盟の主催で闘われた。国土交通省は「地元同意は得られた」という形を取り繕うためにのみ、周辺自治体の首長や地元関係者、NAA(成田空港会社)らを発言者として寄せ集め、この公聴会を開いたのだ。
(写真 市東孝雄さんを先頭にデモ隊が公聴会を弾劾【8月21日 成田市内】)
午前9時、東峰の開拓道路上に120人の労農学が結集し、伊藤信晴さんの司会で集会が始まった。北原鉱治事務局長が冒頭の発言に立った。「東峰部落の公開質問状に対するNAA黒野社長の回答が返ってきた。『皆さんの人間の尊厳をかけた生き方に胸が詰まる』などと白々しい美辞麗句を並べながら、北延伸はやるという。今日の公聴会を断固粉砕しよう」
続いて本部役員の鈴木幸司さんが、「完成した滑走路は一本もない。この空港から新たなアジア侵略に向かうことを許さない。一人ひとりが市東さんになって闘おう」と檄(げき)を飛ばした。
続いて市東孝雄さんが「暴力的農地取り上げを『悪かった』と口では謝った連中が、今日は公聴会だという。何を今さら説明すると言うのか。北部でも騒音区域線引き問題で、地元の人たちは全然納得してない。私は一人になっても敵の攻撃をぶっつぶすために闘う」と決意表明した。
続いて動労千葉の滝口誠さんが、組合員が館山運転区、木更津支区廃止反対の総行動に立ち上がったことを報告し、格差社会、地域切り捨ての攻撃を弾劾した。
関西から駆けつけた新空港反対東灘区住民の会の松原康彦さんは、96年の神戸空港建設の「公聴会」も1カ月後の閣議決定のためのアリバイだったことを暴露した。
全学連の織田陽介委員長は、8・15小泉靖国参拝弾劾闘争を報告し、全国ゼネストから11月労働者1万人決起に合流する決意を表明した。
最後に萩原進さんがマイクを握った。「かつては向こうが話し合いを拒絶し、空港建設を進めてきた。それが40年たって説明会。北延伸が行き詰まっていることは明らかだ。市東さんの『一人でも闘う』という決意で今日はすでに半分以上勝利している。三里塚の闘いのいかんに改憲決戦の行方もかかっている」と敵の攻撃を鋭く喝破し、参加者を奮い立たせた。
参加者は直ちに公聴会会場の成田国際文化会館を見下ろす土手に移動。会場にまで響けと力一杯コールを叫び、市内デモに出発した。すでに会場周囲で弾劾ビラをまいていた人も加わり、炎暑の中を沿道にアピールしながらデモ行進した。さらにJRと京成の成田駅前で、公聴会弾劾の情宣・ビラまきを反対同盟を先頭に行った。
公聴会は賛成発言ばかり並び、一般紙の報道でも「形骸化」などとやゆされる始末。国交省・NAAはなりふり構わず、9月中旬にも北延伸計画の認可―着工を強行する態勢に入った。市東さんの農地強奪の不法を全国に訴え、反対同盟とともに「北延伸」着工阻止決戦に総決起しよう。
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週刊『前進』(2260号2面1)(2006/09/04)
国労5・27臨大闘争弾圧裁判 無罪獲得へ弁護側立証
“本件は正当な組合活動”
8・22公判 弁護団が重厚な冒頭陳述
国労5・27臨大闘争弾圧裁判は8月22日の第62回公判から弁護側立証に入った。この日の公判では、弁護団が冒頭陳述(前半)を展開し、この弾圧が国労と国鉄闘争の解体を意図するものであり、団結権の観点から被告が無罪であることを重厚な論理で説き明かした。公判闘争は被告の無実をかちとる、ますます重大な攻防局面に入った。
(写真 弁護側立証へ結束を固めた『奴隷の道を拒否せよ!』出版記念パーティー【7月12日 日比谷】)
この弾圧は、02年5月27日に開かれた国労臨時大会で、本部方針に抗議して国労組合員らが展開したビラまき・説得活動が「暴力行為」にデッチあげられた不当きわまる弾圧だ。5・27臨大で国労本部は、鉄建公団(旧国鉄清算事業団−現鉄道運輸機構)を相手に地位確認(解雇撤回)を求める訴訟を起こした国労闘争団員らを統制処分の手続きにかけることを決定した。国鉄分割・民営化によって解雇された闘争団員が、旧国鉄の責任を問い、解雇撤回に向けて闘うことは当然の権利行使だ。ところが国労本部は、00年5月の4党合意で「(闘争団員らのJR不採用について)JRに法的責任がないことを認めろ」と自民党らに迫られ、これを受け入れて以来、裏切りと屈服を重ねた末、ついに解雇撤回の闘争を貫く闘争団員を統制処分に付したのだ。
「こんなことがまかり通ったら国労はもはや労働組合ではなくなってしまう」という思いに駆られ、被告とされた国労組合員らは臨大早朝、本部役員らが宿泊するホテル前に赴き、抗議の説得活動に立った。それを国労本部は「暴力」に仕立てて組合員を公安警察に売り渡したのだ。
公判では、まず佐藤昭夫弁護団長が冒頭陳述に立った。佐藤弁護団長は、臨大当日の被告の行動を「被告らのビラまき・説得活動は組合の運営・意思決定への参加という組合員としての基本的権利の行使であり、正当な団結活動・組合の行為である」と評価した。
また、鉄建公団訴訟原告への統制処分を発動した国労本部を、「屈服のために組合員たる個々の労働者の行動を抑える統制権などあるはずがない。自らが闘わないからといって、組合員の裁判を受ける権利まで制約するなど許されるものではない」と指弾した。
そして、本件における被告の行動は団結権の行使として当然、刑事免責を受けるべきことを明らかにし、「使用者が責められるべき行為(団結切り崩しなど)をし、あるいは相手方が労働者のモラルに反する裏切りを行う場合などは、これに対する強い抗議行動がとられることも、団結権保障と公平の観点から当然に容認されなければならない。表面的、形式的に犯罪構成要件に当たる場合であっても、もはやそれだけで犯罪視することはできない」と述べて、被告を起訴した検察官を厳しく批判した。
そして「本件は、政府与党が、政治解決を求めた国労執行部を取り込み、国家的不当労働行為に対する責任追及の闘いを阻止しようとし、警察・検察もそれと一体になって反対する組合員の正当な団結活動を妨害・抑圧した事件である」と弾圧の本質を喝破した。
葉山岳夫弁護人は、国鉄労働運動の解体を目的に強行された国鉄分割・民営化の実態を80年代にさかのぼって暴露した。
大口昭彦弁護人は、1047名問題の政治解決を求める国労本部の屈服を突いて出された4党合意が、国鉄分割・民営化以来の国家的不当労働行為の最終的貫徹を目指すものであったことを暴き出し、これに抗して闘われた鉄建公団訴訟などの闘いの歴史的な意味を説き明かした。
浅野史生弁護人は、国労本部が02年4月の与党3党声明による支配介入を受け入れて開催された5・27臨大の違法性を論じ、小島好己弁護人は、4党合意以来の闘争団・現場組合員の闘いを「中核派による国労大会への妨害行為」と描き出す検察側冒頭陳述を徹底的に批判した。
冒頭陳述の前半を終えた弁護団は、酒田充前国労本部委員長ら国労関係者と中曽根康弘元首相、甘利明4党協議会座長ら15人の証人申請を行った。次回公判も弁護団の冒頭陳述が行われる。
「政治解決」路線打破する基軸に
この裁判では、61回の公判闘争で被告・弁護団による検察側証人への徹底した反対尋問が繰り広げられ、この弾圧が国鉄闘争と国労の解体を意図した政治弾圧であることや、被告の行動は「暴力」と非難される余地のない、組合員としての正当な組合活動だったことが明らかになっている。検察側立証でのこの攻防は、きわめて大きな勝利を切り開いているが、被告の無罪獲得は、これからの弁護側立証の成否にかかっている。
この弾圧との闘いは、国労と国鉄闘争、ひいては日本の労働運動の階級的再生に直結している。
改憲情勢が煮詰まる中で、国鉄闘争も重大な岐路に立っている。国労本部は「政治解決」の名で1047名闘争を解体し、スト基金を被解雇者に分配して闘争を終結させることさえ策している。改憲攻撃に立ちはだかる中心軸をなしてきた1047名闘争をこんな形で押しつぶすたくらみは、国労を改憲翼賛勢力に転向させる一大攻撃と一対をなしている。
他方、これまで国労本部に対抗して鉄建公団訴訟を支えてきた勢力の中からも、国労本部と手を組んで「年内解決」を唱える動きが現れている。
だが、国労本部の統制処分にも屈せず鉄建公団訴訟を貫いてきた闘争団員が、国鉄闘争をみすみす敗北に導く「政治解決」路線に甘んじることなど絶対にない。
5・27臨大闘争弾圧は、国労本部の裏切りを突き破って闘争団・現場組合員の闘いが発展しつつあったことに対する弾圧だ。組合員を公安警察に売った最悪の団結破壊者=現国労執行部を打ち倒してこそ、国鉄闘争は勝利できる。この弾圧との闘いには、すべての国労組合員と労働者階級の未来がかかっている。
今やJR体制は重大事故の続発という形で破産をさらけ出している。動労千葉のように職場からの闘いでJRと立ち向かうことが必要だ。
公判闘争に結集しこの弾圧を打ち破ろう。そこに国労再生の道がある。
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週刊『前進』(2260号2面2)(2006/09/04)
教基法闘争 「愛国心」認めた日教組本部
民主党改悪案を批判する(上)
安倍は改悪の最先兵
自民党総裁選は、安倍の断然優勢が伝えられている。安倍は、憲法全面改正・集団自衛権行使容認を政権構想で打ち出し、教育改革を国家戦略の最優先課題として位置付け、教基法改悪案の臨時国会成立を総裁選公約に盛り込むという。首相直属の「教育改革推進会議」設置は、経済財政諮問会議の教育版というべきトップダウンの教育政策決定機関であり、教育振興基本計画の策定機関である。
安倍は、チャーチルの対独開戦を引き合いに出して、「『闘う政治家』とは、ここ一番、国家のため、国民のためとあれば、批判を恐れず行動する政治家のこと」だとうそぶいている(『美しい国へ』文春新書)。「安倍政権」は、まさに教基法改悪を突破口とする戦争突入・改憲強行政権として登場しようとしている。臨時国会は、政府・与党の教基法改悪案成立強行との大決戦となった。
日政連が策定に参画
他方、民主党は、民主党案の解説パンフ「教育のススメ」を発行し、西沢潤一、桜井よし子らをパネリストとして「教育再生シンポ」を開催している。「日本国教育基本法案」を売り込む改悪推進運動を満展開し始めたのだ。
自治労などで「教育のススメ」が組織内候補の推薦チラシとともに大量にばらまかれていることは重大だ。日教組が平和フォーラムなどとともに構成する「教基法改悪ストップ実行委」運動は、改悪推進運動への変質の危機に直面している。
民主党案は、突如出てきたものではなく、民主党の教育基本問題調査会で日政連議員(日教組本部)も関与して進められてきた新法案策定作業の産物だ。05年4月に発表した党草案では、「創憲」路線に対応して「新憲法に連動して新しい教基法を制定する」という立場を明確にし、「愛国心」を前文に盛り込むことや「宗教的情操教育」も打ち出している。日教組の意見を民主党案に一定反映させることと引き換えに、本部は、愛国心教育にとっくの昔から合意していたのだ。「政府案阻止の戦術」など、まったくのペテンに過ぎない。「調査会設置要求」運動も、改憲と連動させた新法制定運動なのだ。
改悪阻止はおろか、改悪反対でさえない「読み、生かす」運動に終始してきた日教組本部は、教基法闘争を民主党案をテコとする修正工作に押しとどめようとしていた。本部が曲がりなりにも「政府案廃案」を掲げた国会闘争を指示したのは、「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」の反対運動の高揚、なによりも「日の丸・君が代」不起立闘争を水路とする闘う日教組再生運動の前進が強制したものだ。
森越日教組委員長は、「臨時国会では、政府案阻止、慎重審議の一点で一致する野党共闘が重要だ」と言い、民主党にすがる屈服姿勢を深めている。臨時国会闘争の爆発は、被処分者を先頭とする「日の丸・君が代」闘争を闘う潮流の奮闘にかかっている。
格差教育も全面容認
民主党案の「学ぶ権利の保障」「幼児・高等教育の漸進的無償化」「政府の予算確保目標」「現場主権・地域主権」などは日教組の意見を取り入れたものとされている。
しかし、民主党案の「学ぶ権利の保障」とは、教育の自由も、教育の機会均等も保障しない。民主党案2条の「学ぶ権利の保障」には「教育の目的の尊重のもとに」という条件がついている。民主党のいう「教育の目的」(1条)とは、主権者育成ではなく「国家・社会の形成者たるに必要な資質を備えた人材の育成」論であり、国民たるに必要な資質を国家が法定する構造は政府案と変わらない。政府案は2条「教育の目標」に徳目を列挙しているが、民主党案では、学校教育(4条)、普通・義務教育(7条)それぞれに「我が国の歴史と伝統文化」「道徳心の育成」といった目標がしっかり規定されている。
3条では「ひとしく」を削除し、「発達段階及びそれぞれの状況に応じた適切かつ最善の教育」という規定に置き換えている。「能力発達の必要に応じて」と解釈されてきた現行規定の改悪であり、格差教育・差別教育を容認するものだ。
「GDP比を指標とする国の予算確保目標」も、教育振興基本計画体制の一環でしかない。教育振興基本計画は、行政評価に基づく予算の重点配分で教育予算全体を抑制しつつ、国家統制を強化する仕組みだ。国策に沿わない地方当局の教育施策には金が回らない。
(つづく)
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週刊『前進』(2260号2面3)(2006/09/04)
“格差社会を助長”
全国連絡会 教基法改悪で学習会
8月19日午後、「大内裕和さん・高橋哲哉さんを囲んで改めて教育基本法問題を問い直す」と題する学習会が開かれ、東京・文京区民センターに教育労働者など約160人が集まって、熱心に学習した。主催は大内さんらが呼びかけ人になっている「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」。
大内さんと高橋さんは、この6月に共著で『教育基本法「改正」を問う』を出版している。その中身を深めていく観点で問題提起がなされた。
まず大内さんが、6月に出した本では、@愛国心、A格差社会、B憲法の3点に絞ることで、教基法改悪が日本社会の進路そのものにかかわるものであることを明らかにしたことを踏まえ、特に格差社会を助長するものであることに重点を置いて提起した。格差社会の問題はさまざまに論じられているが、教基法の問題と結びつけて語られていないと指摘した。そして教育の新自由主義改革が臨教審以来始まり、それが財界の労働力政策の転換と併行していたことを明らかにし、教員免許更新制と全国学力テストが具体的に進められていることの危険性に警鐘を鳴らした。
高橋さんは、主として愛国心問題を中心に問題提起した。敗戦直後の東大総長だった南原繁の著作集から、教育基本法制定の中心人物であった南原が何を言っていたかを、要点を朗読しつつ説き明かした。特に南原の論文の結語の「今後、いかなる反動の嵐の時代が訪れようとも、何人も教育基本法の精神を根本的に書き換えることはできないであろう。なぜならば、それは真理であり、これを否定するのは歴史の流れをせき止めようとするに等しい。ことに教育者は、われわれの教育理想や主張について、もっと信頼と自信をもっていい。そして、それを守るためにこそ、われわれの団結があるのではなかったか」というくだりを読んで、反動の嵐への対抗を訴えた。
休憩後、会場からの質問に答える形で、さらに論点が深められた。会場からの発言では、被処分者の会からの今秋闘争の提起などがあった。
(写真 大内、高橋両氏の講演は教基法改悪阻止の決意を高めた【8月19日 文京区民センター】)
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週刊『前進』(2260号2面4)(2006/09/04)
郵政民営化絶対阻止 全逓労働者は闘う
強制配転はね返したぞ
私が勤務している大宮郵便局が、07年3月19日から配達専門局になります(注)。そのため大宮局の郵便課が大幅な縮小の対象になります。全逓(JPU)大宮支部郵便分会の要員協議が、8月7日、8日と行われました。
(写真 全逓大会で民営化反対のデモに立った闘 う全逓労働者)
その要員協議にかけられる人が全部で15人で、その中の7人が減員させられます。また要員協議が異例の早さで7カ月以上も前に行われ、内命は8月29日になります。
郵政民営化による新会社への帰属基準日が9月1日で、帰属方針(帰属会社希望等申出書)の受け付けが9月8日までということになっているので、8月中に7人減員の内命を決めたいと郵政公社と組合(地本)が結託しているのです。
私は8月7日の月曜日に要員協議に入りました。支部の役員に聞いたところ、現局希望が少なく他局希望が多いと聞かされていたので、私は現局希望ということで絶対に現局に残れると信じていました。しかし、席に着くなり、こんなやりとりとなりました。
地本「あなたは、さいたま中央局です」
私「私は現局に希望をしたので現局に残りたい。さいたま中央には行きたくありません。何でさいたま中央になったか、わけを聞きたい」
地本「さいたま新都心局が06年11月に4人減になる関係で、あなたの局の7人減が全員さいたま中央局に行くことになり、支社との話であなたはさいたま中央に決まりました。あくまでも人事権は支社にあります」
私「私はこの局に31年間いて、仕事も皆の中心でやり、組合も青年部や分会の役員をやり、組合員とともにやってきました。これからも郵便分会で仲間と一緒にやっていこうと思っています。ところで現局希望でさいたま中央に行く予定の人は何人いるのですか」
地本「2名いる予定です。他局希望で現局に残る人もいます」
私「私も含めて、もう一人に対して意志を踏みにじる行為は絶対に許せません。だれがどう考えても、現局希望が他局に行って、他局希望の人が現局に残るという、こんな要員協議は絶対におかしい。希望調書を書いても書かなくても同じではないか」
地本「言いたいことはわかりました。しかし支社の方に人事権があります」
私「私にも考えがあります。これからいろんなことをやりますよ。私は絶対にさいたま中央局には行きません。また、こんな理不尽な要員協議を認めないし、絶対に許せません」
このようなやりとりで40分間の要員協議が終了しました。
そして4日後に地本から電話がありました。
地本「実は調整した結果、あなたは現局に決まりました」
私「大宮局でいいんですね」
地本「はい」
私「決定ですね」
地本「はい、決定です」
このように急に変わった意図はわかりませんが、とにかく私は現局・大宮局に決まりました。しかし現局希望のもう一人が、さいたま中央局に飛ばされる事実があります。自分だけが現局に残ったからいいという問題ではありません。もう一人の組合員の現局希望がかなうことです。
また要員協議の対象である15人の中から7人が減員させられる事実は変わりません。同じ全逓組合員であり、現場労働者の仲間を絶対に見捨てることなどできません。さいたま中央局へ7人が飛ばされることを、私は断じて認めることはできません。7人減員を撤回させるまで断固として闘う決意でいます。
また小泉が仕組んだ07年10月の郵政民営化に絶対反対を貫き、阻止するためにありとあらゆる闘いを考え出し、現場の全逓労働者一丸となって、この1年間を私は首をかけて闘いたいと思います。
(全逓労働者 大熊豊彦)〔全国労組交流センターのビラより転載〕
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■(注)
日本郵政公社は「都市部における集中処理局と配達専門局への機能分離」なるものを提示してきた。都市部の郵便局を対象に、新型区分機を集中配備して道順組立や差立などの内務を拠点化し、それ以外の局を配達専門局にするというもの。この攻撃をまず「さいたまエリア」で試行実施し、全国すべての都市部の郵便局に拡大しようとしている。JPS(トヨタ方式)がまず越谷局で試行実施されたのとまったく同じだ。
しかもこの攻撃にJPU本部が完全屈服し、むしろ当局の先兵となって現場労働者に襲いかかってきている。(編集局)
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週刊『前進』(2260号2面5)(2006/09/04)
7・28〜8・21
人勧、現行水準に据え置き勧告
「偽装請負」摘発相次ぐ/安倍と日本経団連が会談
●6割の企業で「心の病」増加
社会経済生産性本部が企業のメンタルヘルスの取り組みの調査結果を発表。従業員の「心の病」について61.5%の企業が過去3年間で「増加傾向」と回答。年齢別に見ると30代に集中。(7月28日)
●人事院が処分の手順作成へ 人事院は、国家公務員を降格などの対象とする「分限処分」の運用基準を作る方針を決めた。免職の前段階として、「注意喚起」「再教育・研修」「配置転換」などの新手順を導入する。(29日)
●北越製紙労組、経営統合に反対
王子製紙が北越製紙に経営統合を提案した問題で、北越製紙の労働組合は経営統合に正式に反対を表明。経営側を全面支持していく姿勢を打ち出した。(30日)
●安倍官房長官が日本経団連と会談 安倍官房長官は首相官邸で日本経団連と会談を行い「再チャレンジ支援」協力を要請。(31日)
●「偽装請負」労働が製造業で横行 朝日新聞が「偽装請負」問題のキャンペーンを開始。(31日)
●ビクター、松下電器労連へ 松下電器産業労働組合が解散し、ドメイン(事業部門)別組合の連合体「松下電器労働組合連合会」が誕生。これに松下電器の子会社である日本ビクター(JVC)労働組合が加盟した。(8月1日)
●06年度人事院勧告 人事院は、06年度の国家公務員の給与改定について、官民格差の比較方法を変更して月例給、一時金(期末・勤勉手当)とも現行の水準に据え置く内容の勧告を国会と内閣に対して行った。(8日)=解説別掲
●新地域別最賃出そろう 新しい地域別最賃額を決める地方の最低賃金審議会が、8日までにすべて結審した。全国の加重平均は現行水準比5円増(約0.7%増)の673円になる見通しだ。10月1日を中心に発効予定。(8日)
●06年版労働経済白書 厚労省は「06年版労働経済の分析(労働経済白書)」を発表。「就業形態の多様化と勤労者生活」をテーマに大手製造業の工場で「請負」を含む外部労働力の活用が増えている実情を大きく取り上げ、非正規雇用の比率が20歳代で高まり「将来の所得格差が広がる可能性がある」などと懸念を表明。(8日)
●パロマ、パート100人解雇 瞬間湯沸かし器事故を起こしたパロマは、国内4工場のパート労働者約100人に解雇を通告。(9日)
●松下に立ち入り調査 松下電器産業の「松下プラズマディスプレイ」茨木工場が社員を請負会社に大量出向させ、「偽装請負」をごまかした問題で、大阪労働局は同工場を立ち入り調査。(9日)
●谷垣財務相、経団連会長に支援要請 谷垣財務相は日本経団連の御手洗会長に会い、自民党総裁選への支援を要請した。(21日)
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人事院が給与改定を見送り
人事院は8月8日、官民の較差はほとんどないとして、月例給、一時金ともに改定を見送る勧告を行った。
比較対象の企業規模を従来の「100人以上」から「50人以上」に変更したため、本来ならばプラス勧告になるはずだったものが帳消しになった。
政府は「骨太方針2006」などで比較方法見直しを強調し、人事院がそれを受けて基準を変えた。従来通り「100人以上」規模との比較なら月例給で1.12%(4252円)、一時金で0.05カ月のプラス勧告になるが、比較対象規模を変更したため較差は0.00%(プラス18円)、一時金でマイナス0.02カ月となった。
今後、地方人事委員会勧告にも国の勧告と同様、「規模50人以上」の調査結果が反映されるかどうかが焦点となる。
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週刊『前進』(2260号3面1)(2006/09/04)
9・23労働者集会に集まろう
“団結の力で改憲を阻もう”
動労千葉が熱烈な呼びかけ
動労千葉は「憲法9条改悪阻止!/戦争と民営化−労組破壊攻撃に立ち向かう9・23労働者集会」への結集を呼びかけている。この集会は、改憲阻止の11月1万人決起に向けた決戦態勢を打ち固める重大な闘いだ。同集会実行委の「賛同と参加のお願い」を紹介します。(編集局)
憲法9条改悪阻止!
戦争と民営化−労組破壊攻撃に立ち向かう
9・23労働者集会への賛同と参加のお願い
呼びかけ/国鉄千葉動力車労働組合
主催/9・23集会実行委員会
全国のたたかう労働者のみなさん! 憲法改悪がついに政治日程にのぼろうとしています。「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と定めた9条2項が破棄され、「自衛軍を保持する」に書き替えられようとしています。現行憲法の核心が打ち砕かれようとしています。
日本を全世界への戦争の戦略拠点とする日米安保の飛躍的強化がおし進められ、北朝鮮のミサイル発射を口実として恐るべき排外主義があおりたてられています。ブッシュや小泉は、泥沼化するイラク侵略戦争の危機に突き動かされ、戦争を世界に拡大しようとしています。改憲―戦争への道を止めるために、今こそ闘いに立ち上がらなければなりません。
小泉政権は、今春の通常国会に、教育基本法改悪法案、改憲国民投票法案、共謀罪新設、防衛庁の防衛省への昇格法案を提出しました。いずれもこれまでの社会の在り方を根本から覆す、改憲に直接つながる歴史的な反動法案です。3分の2議席を大きく超える数の力を頼りに強行採決し、一挙に改憲に突き進もうとしたのです。しかし、改憲・戦争と生存権否定への危機感が充満し、我慢のならない怒りの声がいつ噴出するともしれない状況を恐れ、いずれも採決することができませんでした。闘いは秋の臨時国会にもちこされました。秋に向け、全力を尽くして再び闘いを組織しなければなりません。
一方、行革推進関連法や、医療制度改悪法の制定が強行され、8時間労働制や労働者の団結権を解体する労働契約法の制定が画策されています。社会をおおい尽くすような民営化―労組破壊攻撃、社会保障制度の解体攻撃が吹き荒れ、労働者の生きる権利が奪われようとしています。
中曽根元首相が、国鉄分割・民営化について、「国労をつぶし、総評・社会党を崩壊させて、立派な憲法を安置するためにやった」と繰り返し発言し、今また森前首相が「郵政民営化で全逓、自治労、日教組をつぶす」と公言しているとおり、民営化―労組破壊と憲法改悪は一体の攻撃です。差し迫る憲法改悪攻撃との闘いの焦点は、労働組合をめぐる攻防です。この過程で、連合は変質を深め、改憲容認勢力に転落しようとしています。全労連も、今何よりも求められている労働者の共同行動を分断する役割を果たしています。しかし、そうした制動を打ち破って現場からの怒りの声が高まりはじめています。
「日の丸・君が代」の強制を拒否する教育労働者の闘い、日本の労働運動と労働者の未来をかけて闘われている国鉄1047名の解雇撤回闘争、本部の屈服に抗して立ち上がろうとしている全逓や自治労の仲間たちの現場からの怒りの声の噴出、日米安保の再編に対する沖縄の闘い、岩国や座間での住民投票の勝利など、これまでの枠を突き破る新たな闘いが始まっています。
動労千葉は、尼崎事故をはじめ、民営化の矛盾が「安全の崩壊」となって噴出するJRの現状に対し、JRの卑劣な処分攻撃と対決し、反合理化・運転保安確立の闘いに立ち上がっています。闘いは、全国に、そして国境をこえて大きな波紋を広げています。闘わなければ生きることができない情勢のなかで、無数の労働者の怒りの声が地鳴りのように響きはじめ、闘う労働組合を求めているのです。
全世界で闘いが燃え上がっています。フランスの労働者・学生は、300万のデモとゼネストで初期雇用契約法を撤回させました。韓国の労働者は幾度ものゼネストで非正規職関連法の制定を阻止しています。アメリカでもストライキが激発し、1千万の移民労働者が立ち上がっています。
今こそ、改憲―戦争と、民営化・労組破壊に抗し、職場から闘いを巻きおこそう。現場からの闘いで労働運動の再生を実現しよう。
私たちは、この秋の臨時国会をめぐる闘いを日本の労働者の未来をかけた闘いと位置づけ、左記の集会を呼びかけます。そしてこの闘いを突破口として、11月労働者集会への1万人結集実現に向けて全力で闘いぬく決意です。つきましては、表記集会への多くの皆さんの賛同と参加を心よりお願い申し上げます。
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憲法9条改悪阻止! 戦争と民営化−労組破壊攻撃に立ち向かう
9・23労働者集会
日時/9月23日(土)午後1時開場・1時30分開始
場所/文京区民センター 都営地下鉄・春日駅下車すぐ 東京メトロ・後楽園駅下車200メートル JR水道橋駅下車800メートル
○基調講演/動労千葉執行委員長・田中康宏
○特別報告/「処分粉砕・基地廃止粉砕闘争」動労千葉
○発言/9条改悪阻止全国署名の訴え 百万人署名運動事務局
職場・労組で闘う仲間から 全逓・自治体・国鉄・教育・医療・金属ほか
○集会後デモ
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週刊『前進』(2260号3面2)(2006/09/04)
1年迎えたAMFAスト
不屈の闘い、他労組に拡大
全員一票投票でストを継続
昨年8月19日、アメリカのノースウエスト航空(NWA)の整備士、清掃・用務労働者4400人がストライキに突入して以来、1年が経過した。ストは不屈に闘いぬかれている。
NWAはAMFA(航空整備士労組)に所属する4400人の組合員の半数の解雇、25%賃下げ、医療給付・年金カットを提案してきた。ストは、このすさまじい攻撃に対する、やむにやまれぬ反撃だ。
NWAは、経営危機を口実にしてこの攻撃をかけてきた。そして秋には、裁判所に破産法第11条(日本の会社更生法に相当)に基づく申請を行い、それによって、労働協約上の義務をすべて破棄しようとしてきた。半数解雇の提案も、大部分の組合員の解雇へとエスカレートさせた。
スト中の組合員は、収入を絶たれ、大変な生活上の苦難に直面している。しかし、05年の末にNWAのAMFA組合員は、全員の一票投票でストの継続を決定し、今も不屈にストを貫徹している。
また、今年6月には他社の全AMFA支部が、NWA社の仲間を支援し続ける決議をあげた。
(写真【上】AMFAのピケ(ミネアポリス・セントポール
空港 今年8月)【下】AMFAの宣伝トラックが各地を
走る。「NWAは安全か? 整備士はスト中」【8月】)
他労組官僚の敵対はねのけ
アメリカでは一般に、他職場や他労組の問題をめぐる争議行為は違法とされ、弾圧される。しかし航空産業には、一般産業と違い鉄道労働法が適用され、そうした闘いは違法ではない。にもかかわらず、NWAの他職種の組合の労組官僚は、連帯ストをしなかったばかりか、最小限の連帯行動や支援もしなかった。パイロット組合はAMFAのピケットラインを越えて就労することを組合員に指令した。IAM(国際機械工組合、手荷物係等の地上職を組織)は、ピケを越えるだけでなく、AMFA組合員の職域の仕事まで引き受けるように指示した。もっとも恥ずべき犯罪、スト破りに手を染めたのだ。そして「AMFAは孤立」「勝てないスト」と非難した。
だが、こんな大量首切りを前にして、正面から反撃しないという選択肢がありうるだろうか。
NWAは、1年前からスト破り要員を雇った上で、AMFAにこうした提案をしてきた。労働組合と激突して壊滅させることを最初から狙っていたのだ。
「ゴミをあさって暮らせ」
IAMなどの指導部は、スト破りをして、自分たちの組合だけは生き延びようとした。だが、屈服すれば、資本はさらに踏み込んでくる。
今年6月、IAMは大量のレイオフ(事実上の解雇)と11・5%の賃下げなどの協約案を組合員に強引に押し付けた。NWAは、これによって最初にレイオフされる予定の約50人の従業員に「財政的後退に備えるために」というパンフレットを送りつけた。
「子どもの服やおもちゃは、親族や友人からもらえ」
「家賃の安い所に引っ越せ」
「ゴミの中から必要なものを取ることをためらうな」
そしてパンフレットには、家を売るならお手伝いしますという不動産会社の広告も載せている。
「破産」を申請しながら、NWAの経営者たちは表向きの役員報酬だけで、150万j(1億7千万円)以上得ている。こんなやつらが、労働者には、ゴミをあさって暮らせと説教するのだ。
労働者の怒りに火が着いた
だが、この屈辱を味わっている労働者の目の前で毎日、AMFA組合員がピケットを張り、連帯を呼びかけている。AMFAのスト集会には、他労組からも参加があり、闘いは確実に広がっている。
IAM所属のタラップ係労働者は、6月の裏切り協定への怒りを爆発させ、IAM第143地区協議長を選挙でひきずり下ろした。
PFAA(プロフェッショナル客室乗務員組合)の執行部が会社側と合意した協約案は、組合員投票ですべて拒否された。6月には全客室乗務員の投票でPFAAから脱退し、AFA−CWA(客室乗務員協会・全米通信労組)に加入することが決定された。
NWAのAMFA組合員は、8月25日から多様な抜き打ち的なストライキを行うという。
労働者の怒りは、限界を超えた。AMFAの不屈の闘いは、多くの仲間を励ました。厚い壁を破って、闘いの合流が始まりつつある。
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週刊『前進』(2260号3面3)(2006/09/04)
大企業が偽装請負 青年層を酷使し強搾取
●キヤノン、トヨタなど大企業が
キヤノンやトヨタ、松下などの工場が偽装請負と呼ばれる悪質な雇用を行ってきたことが突き出されている。
そもそも「業務請負」はアウトソーシング(外部委託)の一種で、製造、営業など業務を一括して請け負う形態である。かつて製造業への派遣労働が禁止されている中で、バブル経済崩壊後の90年代以降、正規雇用よりもずっと低賃金・低コストで労働者を搾取し、リストラも可能な労働形態として、「法の抜け穴」的に製造業の生産ラインに広がってきた。製造業は派遣法改悪で04年3月から最長1年間の派遣が解禁されたが、派遣法による規制を嫌って、従来どおりの請負が横行してきた。
こうした背景から、請負は派遣と違って労働者に指揮命令はできないにもかかわらず、発注元企業が直接指揮して請負労働者を派遣労働させる違法行為が日常的に行われてきた。これが偽装請負だ。
現在製造業の工場で働く請負労働者は1万社100万人。その中心的な担い手は20〜30代の青年労働者だ。最近は労基法が適用されない個人請負(偽装雇用)まで広がっている。一時金や昇給はほとんどなく、賃金は正社員の半分以下だ。金属・機械の産業別労組JAM(40万人、連合加盟)の調査では、請負会社は発注企業から時給1300〜1700円を受け取りながら、労働者には900〜1200円しか支払っていない。ピンハネ率は3割だ。労基法も守らず、社会保険にも未加入というところも多い。元請け−1次下請け−2次下請け……と、次々と下請け会社に仕事を発注する場合もある。つまり、いくつもの会社=資本家が一人の労働者に群がり、寄生し、賃金をピンハネするのだ。
大手請負会社は、請負について「もう当たり前のビジネスモデル。今の新工場は、大量の請負労働者を使うことを前提にして設計している」と開き直っている。実際、デジカメ、薄型TVなどの最新鋭工場では、請負労働者が正社員よりも圧倒的に多い。大分キヤノンでは正社員1千人に請負労働者4千人だ。
●低賃金で強労働で無権利
請負という雇用形態自体が低賃金・無権利である中で、偽装請負はなお一層、悪質だ。
使用者責任や労働安全上の責任があいまいにされている。企業は劣悪な環境のもとで、危険な作業を請負労働者に行わせる。作業中の感電死など、重大な労災事故が頻発している。また、偽装請負がばれないように、労災隠しが横行している。
偽装請負で労働局から是正指導を受けた企業は、昨年度だけでも請負を発注した660社のうち358社にのぼる。過半数だ。キヤノンやトヨタ自動車、松下電器、東芝、日立製作所、ニコンなど、みな日本経団連の中心的な企業だ。経団連・御手洗会長の出身企業キヤノンは、大分の子会社や宇都宮市の本体工場で偽装請負を行っていた。「経営者よ、正しく強かれ」とか「フェアに競争」とか「人間尊重」(経労委報告)と美辞麗句を並び立てる日本経団連の大企業も、一皮むけばその本性は、労働者の血と汗を無慈悲に搾り取る極悪の資本家どもだ。
請負会社は北海道、東北、九州、沖縄などから大量の若者を集めて工場に送り込んでいる。寮費などを天引きされ生活費は数万円、給料日前に金がなくなって、水とパンでしのぐことすらあるという。
限界を超えた深夜勤や長時間労働で、体力ある青年労働者ですら長く勤めることができない。シャープ亀山工場では24時間を2交替勤務だ。請負会社幹部は「顔ぶれは1年で5〜6回入れ替わっている」と言う。資本は青年労働者の若い力をおのれの搾取欲のために搾り取り、用済みとなれば工場の外へ無慈悲に放り出しているのだ。
●連合中央が加担している
しかも、許し難いことに、連合傘下の御用組合がこれに積極的に加担している。松下プラズマディスプレイ(プラズマTVを製造)茨木工場では偽装請負が労働局から摘発された後、松下社員を「技術指導」の名目で請負会社に大量出向させることで「指揮・命令」の違法性を形だけ回避するごまかしをやった。労組も協力した。これを電機連合は、「違法行為はなかった」などと主張している。
連合の高木会長自らが、「コスト削減でこういう雇用形態の人が製造現場にも入ってくるのを知りながら(労組は)目をつぶっていた」「消極的な幇助(ほうじょ)をしてきた」と、資本との共犯・結託を認めている(8月9日付朝日新聞)。偽装請負が社会問題化したことで、あわてて「経団連に是正要請する」などと言っているが、連合中央、御用組合幹部は、完全に資本家の手先だ。
日本経団連は「国際競争にうち勝てる企業体質の強化」を叫び、最低限の労働基準を定めた労基法をすら「工場法時代の遺制」と攻撃している。自民党・小泉政権はこの経団連と一体となり、労働法制改悪、労組破壊、規制緩和、公務員リストラに突き進んでいる。
攻撃は凶暴だが、そこには日帝のどうしようもない危機があり、資本主義、帝国主義の体制は全世界的にもう完全に行き詰まっているのだ。労働者階級は、労働者を食わせていけなくなった資本主義を打倒し、戦争も失業もなく、飢餓も貧困も差別・抑圧もない新しい社会をつくる以外にない。正規・非正規を超えた労働者の、とりわけ青年労働者の労働組合への結集と団結をつくり出すことは、労働運動の階級的責務である。
日本で韓国でアメリカで、そして全世界で、労働者階級と被抑圧民族の、帝国主義に対する怒りの反乱が始まっている。
「社会はブルジョアジーのもとでは、これ以上生きていくことはできない」「ブルジョアジーは何よりも、自分たち自身の墓掘り人を生み出す。ブルジョアジーの没落とプロレタリアートの勝利は、いずれも不可避である」(マルクス『共産党宣言』)
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週刊『前進』(2260号3面4)(2006/09/04)
自治体労働者は改憲・民営化と闘う
(6)国民保護計画との闘い
再び「赤紙」を配らない
戦争協力業務を拒否しよう
自治体労働者は、かつて「赤紙」と呼ばれる召集令状を住民に配達して回り、侵略戦争動員の先兵となった。この歴史を二度と繰り返してはならない。戦争協力業務を拒否し、戦争動員のための国民保護法・国民保護計画を打ち砕こう。
国民保護法の指定公共機関であるJR東日本の労働組合、動労千葉は戦争協力拒否宣言を発した。ところが自治労は自治体の国民保護計画策定に組合が参加することを方針としている。自治体労働者は、自治労本部の屈服を弾劾し、自治体の国民保護計画策定と避難訓練動員を自ら粉砕しなければならない。
消防庁通知
7月5日、総務省消防庁国民保護運用室から全国の自治体に「特定船舶の入港禁止措置に関する情報について」という通知が来た。そこには「北朝鮮籍のマンギョンボン92号について、6カ月間の入港禁止を閣議決定した」とある。マンギョンボン(万景峰)92号が入港しているのは事実上、新潟港に限られているにもかかわらず、全国の自治体に通知を出し、すべての北朝鮮船舶の入港を禁止するかのような圧力をかけ、排外主義をあおり立てているのである。
「船舶の入港禁止」とは経済制裁であり、一種の戦争である。「戦争をしかけよ」と自治体に命令しているに等しい。
また、消防庁国民保護運用室から各都道府県国民保護担当部局長への通知であることから、国民保護法の実態を察することができる。
「保護」は嘘
国民保護計画とは何か。03年成立の武力攻撃事態法に関連して04年に成立した有事法制の一つであり、国民保護法に基づいて作られる住民や公共機関の戦争動員計画である。国の国民保護基本方針に沿って、05年度に都道府県の国民保護計画が策定された。06年度中に全国の市町村の国民保護計画が策定される。
国民保護法は「武力攻撃事態等」として@着上陸侵攻Aゲリラ・特殊部隊による襲撃B弾道ミサイル攻撃C航空攻撃の4類型を想定している。また「緊急対処事態」として「大規模テロ等」を想定している。そして、それらの事態が起きた際の「国民の保護のための措置」を国、自治体が実施するとうたっている。
東京都国民保護計画は「武力攻撃事態や大規模テロ等から都民等の生命、身体及び財産を保護し、都民生活や都民経済への影響が最小となるよう……『国民の保護のための措置』を的確かつ迅速に実施する」と書きながら、最後に「自分自身で身を守る『自助』、地域で助け合う『共助』に基づきご協力ください」と言っている。
「国民の保護」とは、自衛隊や米軍の作戦行動の妨げにならないように住民を排除することであっても、住民を守ることではないのだ。
消防庁のモデルプランは、弾道ミサイル攻撃に対して「堅固な建物内に避難する」という。大都市の何百万人もの住民が入る「堅固な建物」などどこにあるのか。核・生物・化学(NBC)兵器に対して「風下を避け、手袋・帽子・雨合羽などで外部被爆を抑制する」という。ふざけている。「住民を守る」などというのは大うそだ。
自衛隊主導
国民保護計画で強調されているのは有事=戦争に際しての国―都道府県―市町村―住民という指揮命令系統であり、指定公共機関・指定地方公共機関(医療、電気、水道、運輸、電気通信、放送各事業者など)の総動員であるが、その特徴は「平素からの計画、啓発、研修、備えと訓練」である。そして最も重視されているのは平時からの自衛隊と自治体との連携の密接化である。今や自衛隊幹部が堂々と各自治体に入ってきている。東京都はさらに米軍との連携を志向している。
自治体の多くは国民保護計画作り自体を自衛隊出身者や防災関係で構成する民間業者に丸投げしている。その結果、「自治体を自衛隊が指示する」格好になっている。全国の自治体で自衛隊主導による戦争体制づくりが進められている。自治体労働者はその先頭に立たされようとしている。
昨年8月に開かれた神奈川県第2回国民保護協議会で知事のあいさつの次に陸自連隊長が報告した。「着上陸攻撃」を物々しく説明した後、こう述べた。
「ゲリラや特殊部隊による攻撃として、工作母船や潜水艦などで潜入した後、国内協力勢力と接触をし、情報交換後、攻撃目標付近に出没して、破壊やら拉致やら援護射撃等により任務を達成し、次の行動に移って、さらにまた新たな任務で重要な施設を攻撃するという要領であります」
自衛隊が得意げに語る戦争計画に何の質疑も出ないまま神奈川県の国民保護計画が策定された。
計画粉砕を
国民保護計画に対して各地の労働組合が「戦争業務協力拒否」の宣言を発し、国や自治体との交渉を軸として闘いを始めている。
国民保護計画そのものが荒唐無稽(こうとうむけい)である。また憲法を始め種々の法律や自治体の条例とそこここで矛盾が生じている。ここを突けば国民保護計画を無力化できる。基本的人権を前面に掲げて計画の形骸(けいがい)化を図っている自治体もある。
全国の自治体労働者は戦争協力業務拒否の職場闘争を闘い、国民保護計画=戦争動員計画を打ち砕こう。11月全国労働者1万人決起の先頭に立とう。
(長谷川幸宏)
(写真 3月7日、千葉県富浦町で「テロリスト上陸」を想定した避難訓l練に小学生を動員)
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週刊『前進』(2260号4面1)(2006/09/04)
9条改憲への国民投票法案阻もう
労働者の反対運動を恐れ権力の力ずくで突破図る
政府・自民党は9月末からの臨時国会で、共謀罪や教育基本法改悪案とともに、憲法改悪のための国民投票法案の成立を狙っている。次期政権を目指す安倍晋三は、教基法改悪と改憲を最大の公約に掲げている。今秋国会こそ改憲阻止の大激突の場だ。通常国会に提出され継続審議となっている国民投票法案の正体とその狙いを、あらためてはっきりさせよう。
公務員・教育者への規制 郵政労働者も弾圧対象に
5月末に国会に提出された国民投票法案(与党案)は、形の上では、原案(与党の「法案骨子」やその基になった議連案)とはかなり異なっている。大きく変わった点は三つある。
第一には、メディア規制など言論や運動への規制に批判が集中したのを受けて、その一部を修正したこと。第二は「憲法改正案広報協議会」の設置を新たに盛り込んだこと。第三は改憲発議への国会法の改正とセットで提出したことだ。第一の点は「規制をなくした」と宣伝されているが大ペテンだ。一番肝心なところは何も変わっていない。第二、第三の点は重大なエスカレーションだ。
第一の点について。原案にあったメディアへの規制は外見上は大幅に緩和され、罰則もなくなった。また外国人の運動をカンパも含めて全面禁止していたが、この項目も提出直前に削除された。
だが、最大の核心であった「公務員等・教育者の地位利用による国民投票運動の禁止」は別掲のとおり、そのまま残っている。違反者に厳罰を科すことも同じだ。しかも「日本郵政公社の職員」が規制対象として新たに明記された。
この「公務員等」は、国や地方公共団体、独立行政法人、郵政公社などで働く職員のすべてが対象だ。実際には自治体やその関連職場で働く全労働者が、雇用形態の別を問わず、改憲反対運動にかかわることを禁止されることになる。また「教育者」とは、私立学校も含め、幼稚園から大学までのあらゆる教育機関で働くすべての教育労働者を含むとされている。
本年6月29日、東京地裁は、社会保険庁の労働者に対し、国家公務員法の政治活動制限条項に違反したとして罰金10万円の有罪判決を下した。公務員労働者が休日に自分の住んでいる地域で政党のビラを配布したという、いわば一市民としての当然の政治的権利の行使が驚くべきことに「罪」とされたのだ。判決文は、“たとえ勤務時間外に職場とは無関係に行われた行為であっても、行政の中立に対する国民の信頼を損なう恐れがある”と平然と述べ、公務員には24時間、政治活動の自由など存在しないのだと言っている。
国民投票法案の狙いは、まさにこの判決をすべての公務員労働者、自治体労働者、郵政労働者や教育労働者に適用しようとするものである。「地位利用」はどうにでも解釈でき、いくらでもデッチあげの口実になる。しかも罰則は、公務員は最高2年、教員は1年の禁固ときわめて重い。同じ公務員でも警察官の場合は禁固6カ月どまりなのに、一般の公務員労働者の方が4倍も重く処罰される。
このことは、裏を返せば、政府・自民党が4大産別の労働組合を始めとした労働者階級の改憲阻止闘争の爆発を心の底から恐怖していることを示している。国会内で巨大与党の力をどんなに誇ろうと、労働者が本当に団結して9条改憲阻止に立ち上がったら、改憲攻撃を押し通すことなど絶対にできない。彼らもそれをひしひしと感じているということだ。だからこそ、連合の改憲勢力化を阻止し続けてきた自治体労働者や教育労働者から最低限のブルジョア民主主義的権利すら奪うことで、その闘いを事前にたたきつぶそうとしているのだ。
さらに、公務員・教員だけでなく他の労働者階級人民全体に対しても、「買収罪」「国民投票の自由妨害罪」「投票干渉罪」などの罪を設け、最高7年の刑によって反対運動を徹底的に弾圧しようとしている。この点も原案とほとんど変わらない。
改憲派がメディア独占 広報協議会設置盛り込む
メディア規制についてもペテンがある。原案にあった「虚偽報道」や「不正利用」といった新聞・雑誌などへの露骨な言論統制条項は、さすがに削除された。だが規制がなくなったわけではない。代わりに新たに二つのメディアに関する条項が、政府案・民主党案ともに盛り込まれた。
ひとつは、国会に議席をもつ政党・政治団体に限り、新聞への意見広告掲載やテレビ・ラジオでの宣伝が無料でできるとしたことである(107条)。しかもその放送時間の長さや回数、新聞広告の大きさや回数は、改憲案を発議した国会の、各政党の議席の数を踏まえて決めるというのだ。いまひとつは、この無料宣伝を許可された政党以外の他のあらゆる団体や個人は逆に、国民投票の実施7日前からテレビ・ラジオを通じた宣伝を一切禁止されることである(106条)。
これでは、自民党を始めとする一部の大政党がマスメディアを独占し、改憲推進の大宣伝をやりたい放題に展開できる。反対の声は事実上、排除されていくことになる。
国家財政使い改憲を大宣伝
第107条の無料の意見広告や放送の権利をどの政党に、どれだけの配分比率で与えるかを決定するのは、国会内に設置される「憲法改正案広報協議会」である。その設置は国会に提出された政府案に初めて盛り込まれただけでなく、民主党案にも盛り込まれ、99%同じ内容だ。
この広報協議会は、衆参両院の議員各10人、計20人の委員で構成される。委員は、各政党に、所属議員数の比率に応じて割り当てられる。当然にも改憲案賛成派が絶対多数を占めることになる。その任務は、国会が議決した改憲案(新憲法案)と国民投票について、国民の間に「周知徹底」をはかることにある。すなわち、改憲案とその解説を「広報」として作成し、説明会や講演会を全国で組織し、放送や新聞などのメディアをも「広報手段」として動員して管理下におく。建て前は「公正・中立」を装うが、その活動が改憲推進の宣伝・扇動ほぼ一色となるのは火を見るよりも明らかだ。
これは原案にあったメディアへのむきだしの言論統制よりも、一層悪質で陰険なやり方だ。国家財政と権力をフルに使った改憲推進の大宣伝で社会を制圧し、労働者の反対運動は警察力で弾圧して、力ずくで改憲への道を開こうとするものだ。
国会法改悪で改憲促進 「憲法審査会」が随時発議
もうひとつ、国民投票法案の最後に、政府案・民主党案ともに「国会法の一部改正」が盛り込まれたことも超重大だ。
これは、国会での改憲発議の仕組みを定めるものだ。改憲案や関連法制についての審議が国会で常時行えるようにするための機関として、衆参両院に「憲法審査会」を新たに設置する。衆院で100人以上、参院で50人以上の議員の賛成があれば改憲案を憲法審査会に提出でき、憲法審査会はその審議を国会の開会中だけでなく、閉会中も継続して行うことができる。そして憲法審査会での採択→本会議での3分の2の多数による可決→国民投票へと進む、というものだ。
つまりこの国民投票法が成立すれば、憲法審査会の設置によって、直ちに自民党の新憲法草案を国会に提出して「行け行けどんどん」と突き進むことも可能になる。
また発議の方法については、内容上関連する項目ごとにまとめて発議できるとしている。投票方式について「一括投票か、条文ごとの個別の投票か」が大問題となっていたが、投票ではなく発議の形式に問題をすり替えることでごまかそうとしている。
さらに、最低投票率についての規定は設けず、有効投票数の過半数で承認としているところなどは、原案そのままだ。仮に投票率が40%だった場合、その過半数=有権者全体のわずか20%の賛成で改憲が可能になってしまう。まさに、クーデターを可能にする法案と言わなくてはならない。
国民投票法案に示されるような、きわめて強権的でクーデター的な、ブルジョア民主主義そのものも破壊するようなやり方なしには、日帝はその改憲と戦争への攻撃を貫くことはできない。そのことは、帝国主義ブルジョアジーによる支配の本当に末期的な、腐りきった姿でもある。この帝国主義の支配を、労働者階級の団結した力で今こそ打ち倒すべき時代が来ているのだ。
4大産別を先頭に、国民投票法案阻止・全反動法案粉砕の今秋臨時国会決戦へ、労働組合の本格的な決起をつくりだそう。それを柱に、9条改憲阻止への巨大な全人民的闘いを巻き起こそう。
与党案そっくり民主案 ビラまきにも4年の禁固
日帝の改憲攻撃を背後で支え、そのお先棒をかつぐ最も悪質な役割を果たしているのが民主党と連合だ。民主党が提出した国民投票法案は、「与党案と90%以上一致している」(公明党幹部)と言われる代物だ。実際にも、両者の違いはほとんどない。
はっきりさせておきたいのは、民主党が「運動への規制はしない。原則自由」などと言っているのは大うそだということである。確かに民主党案には、与党案のような公務員・教員への規制の条文はない。だがそれは、現在の公務員法の政治活動制限条項を適用して弾圧すればよいとの立場をとっているからだ。また「投票干渉罪」「国民投票妨害罪」などの弾圧条項は、民主党案にも同様に含まれている。
さらに重大なのは、与党案と一字一句同じ「職権濫用(らんよう)による国民投票の自由妨害罪」を設けていることだ。公務員労働者に対し「故意にその職務の執行を怠り、又は正当な理由がなくて国民投票運動をする者に追随し、その居宅に立ち入る等その職権を濫用して国民投票の自由を妨害したときは、4年以下の禁錮(きんこ)に処する」という。ここには国と地方の公務員だけでなく「日本郵政公社の職員」も明記されている。
これは、立川反戦ビラ入れ事件や社会保険庁職員への有罪判決が示すような弾圧を、全自治体労働者と郵政労働者に対してしかけることを狙うものだ。他方で改憲案を大宣伝する「広報」の配達や説明会のチラシをまくことが「職務」として強要され、拒否すれば4年の重刑になる。これでは、自治労やJPU(全逓)が労働組合として改憲反対に取り組むこと自体が許されないことになってしまう。まさに究極の労組破壊攻撃だ。
民主党の教基法改悪案が政府案以上に反動的な代物であるのと同様に、民主党の国民投票法案も実にとんでもないものだ。こんな小沢・民主党を連合中央や自治労本部が支持しているのは断じて許せない。労働組合の自殺行為として断罪し、与党案と民主党案をともに廃案に追い込もう。
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【公務員・教育労働者への規制】
公務員等の地位利用による国民投票運動の禁止(第104条) この「公務員等」は、国や地方の公務員、独立行政法人、日本郵政公社、公庫などに勤務するすべての労働者を含む。
教育者の地位利用による国民投票運動の禁止(第105条) この「教育者」とは、私立学校や幼稚園の教員、大学教授などもすべて含む。
国民投票運動の規制違反(第122条) 104条違反は禁固2年以下か罰金30万円以下。105条違反は禁固1年以下か罰金30万円以下。ただし、警察官や国民投票を管理する選管の職員が運動禁止規定に違反した場合は、同じ公務員でも最高で禁固6カ月と処罰は逆に軽い。
職権濫用による国民投票の自由妨害罪(第111条・民主党案107条) 公務員労働者や郵政労働者の場合、「故意にその職務の執行を怠り、又は正当な理由がなくて国民投票運動をする者に追随し、その居宅に立ち入る等その職権を濫用して国民投票の自由を妨害したとき」は、最高4年の禁固となる。
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法案が成立したらどうなる
改憲への発議手続(国会法の改正)
衆議院は100人以上、参議院は50人以上の議員が集まれば憲法改正案を発議できる。発議は内容上関連する条文を一括して行える。
改憲案をいつでも(国会閉会中も)審議できるようにするため、衆参両院に憲法審査会を常設機関として設置
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全議員の3分の2の賛成で改憲案可決(自民新憲法草案はこれを2分の1の賛成に変えようとしている)
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国民投票の実施手続
国会の発議後60日〜180日以内に実施
投票権は20歳以上(※民主党案は18歳以上)
国会に憲法改正案広報協議会を設置し、国民への広報活動(実際には改憲案の大宣伝)を行う
運動への規制(公務員・教員の運動禁止を始め、労働者人民の改憲阻止運動をあらゆる口実を設けて弾圧し、違反者は逮捕・投獄。他方で国会に多数の議席を有する政党は改憲賛成のTV・新聞広告を無料で優先的に展開できる)
有効投票総数(※民主党案は投票総数)の過半数の賛成で承認(投票率がいくら低くても構わない)
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改憲が成立(いったん改憲を許せば、その後は政府の必要に応じてどんどん変えられる)
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【国民投票法案とは】
現憲法96条は、憲法改正には衆参各院の総議員の3分の2と、国民投票での過半数の賛成が必要としている。国民投票法案はその具体化だが、ただの手続き法ではない。労働者人民の改憲反対運動を徹底的に弾圧して、少数の賛成でも「改憲が承認された」とデッチあげることが狙いだ。自民・公明の与党は04年末、改憲推進派の国会議員の組織=憲法調査推進議員連盟が作成した案(議連案)をもとに「法案骨子」を作成した。今年5月にはそれを手直しした与党案と、民主党案が通常国会に同時提出され、ともに継続審議となっている。
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週刊『前進』(2260号4面2)(2006/09/04)
泉佐野からのレポート
ごみ有料化阻止の闘いが空港優先市政を揺るがす
泉佐野市議 国賀 祥司
多数の市民が臨時議会を傍聴
8月8日、市議会に多数の市民が傍聴に詰めかけた。「泉佐野市の家庭ごみの有料化についての是非を問う住民投票条例」を採択させて有料化を撤回させるためである。1年間にわたって闘ってきたごみ有料化阻止の最大の山場である。
(写真 住民投票を成功させる集会に多数の市民が集まった【7月23日 泉佐野市】)
特別委員会では住民投票を直接請求した住民代表4名が意見表明した。「1袋50円は高すぎる。誰も納得していない」「説明会は3カ月間しかやっていないし、内容もデタラメ」など、市長と議員に住民投票条例案に賛成するように迫った。そして多くの傍聴者から拍手がわき起こった。
特別委員会には私も入っている。私は市民の意見をくみ上げ、新田谷市長らを追及した。「住民投票条例は市政の混乱を招く」という市長意見を取り上げ、「有料化で市民に混乱を持ち込んだのは市長ではないか。5000人を超す直接請求署名を拒否するのか」と追及した。また「市民が主役の政治」を公約している市長に「住民投票こそ市民の意見を聞く最善のやり方ではないのか」と迫った。
公明党は「同一筆跡の署名は違法。告訴しないのか」と市民への弾圧を要求。さらに「住民投票に3000万円もかけるのは税金のむだ遣い」だと反対した。
3時間の審議の末、委員会では賛成4、反対5、退席1で残念ながら1票差で否決された。
すぐに本会議場に移り、私を始め6議員が討論した。公明党はここでも市民への弾圧を要求した。私はこれを批判し、市民の直接請求の重みを訴え、全議員に住民投票条例に賛成するように訴えた。傍聴者から大きな拍手がわき起こった。採決の結果は、賛成5、反対14、退席1で残念ながら否決された。しかしごみ有料化に反対する闘いは、市政を揺るがし、全市民の共感を呼んだ。
関空赤字のツケを押しつけるな
泉佐野市では、昨年3月議会で突然、「家庭ごみを有料化する」条例が提出され、可決してから多くの市民が反対してきた。市長に撤回を申し入れ、1万人を超える反対署名を集め、説明会に乗り込んだが、市長はこれを拒否して今年4月1日から有料化を強行した。5月市議選ではごみ有料化が最大の争点になり、最も強く反対した私に多くの支持が寄せられ6選を果たした。賛成した議員は市民からごみ有料化問題で追及され、現職議員が3人も落選した。
家庭ごみの有料化とは、1枚50円(50g)と20円(20g)の2種類の指定袋にごみを入れないと回収しないというものだ。しかも1枚目から50円という前例のない高い値段にした。市民は「1枚50円はあまりにも高すぎる」「関空赤字のツケを市民に押しつけるな」と強く反対している。
住民投票署名が市長追いつめた
ごみ有料化に対し昨年市民が「ごみ問題を考える会」をつくり反対運動を行ってきた。マスコミがこの問題を取り上げ、泉佐野市のごみ行政は悪政の代表として広く知れ渡ることになった。
ごみ問題を考える会は、今年3月から住民投票条例の制定を求める直接請求署名を始めた。署名を集められる期間は1カ月間と短く、本人署名で押印し、生年月日を書くという非常にハードルの高いものであった。地方自治法では有権者の50分の1、すなわち1612筆以上集めなければ成立しない。しかし市民の怒りの強さはこの高いハードルを大きく超えた。6月に提出した署名は、法定数をはるかに超え、3倍にもなる5059筆にもなった。市民の怒りの大きさ、何とかしたいという熱意の大きさが示されている。その結果、臨時議会を開かせることになったのである。
日本共産党は当初、住民投票条例に反対していた。ところが市民の運動の広がりに追いつめられ反対できなくなった。また自治労など市職員も運動の広がりにだんだん賛同するようになった。
ごみ有料化問題は、空港優先市政と小泉の三位一体改革攻撃の結果であり、自公政権との闘いである。闘いは始まったばかりだ。市民はごみ袋を見る度に怒りを覚えると表明している。有料化を撤回させるまでやむことのない闘いに突入した。
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週刊『前進』(2260号4面3)(2006/09/04)
8月15日〜22日
安倍が「改憲を政治日程に」
加藤議員実家を右翼が放火
●加藤議員の実家放火 山形県鶴岡市にある加藤紘一衆院議員(自民党元幹事長)の実家と事務所が放火され全焼した。現場には男が腹部を切って倒れており、この男が放火した後割腹自殺を図ったものと見られる。男は東京の右翼団体の一員。小泉首相の靖国神社参拝に対する同議員の否定的意見に対する攻撃。(15日)
●靖国参拝すれば「首脳会談行わず」 韓国大統領府のソジュソク統一外交安保政策主席秘書官は、日本の次期首相が靖国神社に参拝すれば、中断している日韓首脳会談を引き続き行わない方針を明らかにした。韓国当局者が次期首相との首脳会談に言及したのは初めて。(16日)
●イージス艦、太平洋6隻に倍増 米国防総省は、北朝鮮が保有するミサイルの脅威に対応するとして、太平洋に配備する弾道ミサイルを迎撃するミサイル防衛(MD)能力を備えたイージス艦を年内に6隻に倍増する方針を決めた。数年内に18隻に増やす予定。(16日)
●米令状なし盗聴「即時停止」判決 米ブッシュ政権が「対テロ戦争」での情報収集を目的に実施している国内での「令状なしの盗聴活動」の適法性が争われた裁判で、ミシガン州デトロイトの連邦地裁は、プライバシー、言論の自由や三権分立の原則などに照らして活動は合衆国憲法違反だとし、即時停止を命じる判決を出した。政権側は控訴した。(17日)
●「北朝鮮が地下核実験準備」と米テレビが報道 米ABCテレビは、複数の米政府高官の話として、北朝鮮が最近、同国北東部で地下核実験を準備している可能性を示す新たな兆候があると報じた。(17日)
●普天間代替協議機関設置で合意
沖縄県の稲嶺知事と額賀防衛庁長官が会談し、普天間飛行場移設の協議機関の早期設置に向け調整することで合意した。(18日)
●横須賀、放射能事故に備え拠点
横須賀基地(神奈川県)への原子力空母配備をめぐり、米海軍が放射能漏れ事故に備える「緊急事態作戦センター」を基地内に本格的に設け、軍やエネルギー省の原子力防災の専門スタッフら十数人を常駐させる計画を進めていることが分かった。米海軍は原子力空母の安全性について「大量の放射能が外部に漏れる事故は考えられない」としていたが、一方で緊急事態に備えた体制整備を内部で進めていた。(17日)
●「新憲法制定にリーダーシップ」 自民党が南関東・北関東ブロック合同大会を横浜市で開き、安倍官房長官、麻生外相、谷垣財務相が総裁選への「所信表明」と題して演説。安倍は「新しい憲法を制定すべく、政治スケジュールに乗せるためのリーダーシップを発揮すべき時がやってきた」と述べ、改憲に意欲を示した。また、首相官邸に日本版NSC(国家安全保障会議)を設ける意向を明らかにした。(22日)
●在日米軍再編法案「来年の通常国会に」
政府高官は、在日米軍再編関連法案の提出時期について「来年の通常国会になる」との見通しを明らかにした。沖縄の米海兵隊のグアム移転に関する融資や出資に国際協力銀行を活用するための法改正案などが通常国会に提出する来年度予算関連法案となるため。(22日)
●普天間移設で米、1月着工要求へ 在日米軍再編の焦点である普天間飛行場のキャンプ・シュワブ(名護市)沿岸部移設をめぐり、米国側がV字滑走路の建設予定地となるシュワブ内の兵舎など関連施設の移転工事を、来年1月に開始するよう日本政府に求める意向であることが分かった。日米関係筋が明らかにした。(22日)
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週刊『前進』(2260号5面1)(2006/09/04)
9・1防災訓練を粉砕しよう
米軍・自衛隊が住民を統制
侵略戦争のための 国民保護計画の発動だ
東京都・足立区合同総合防災訓練(第27回8都県市合同訓練)が、8月31日夜間から9月1日午後にかけて足立区の舎人公園などを中心に行われる。今年の訓練には米軍(空軍、海軍)が初めて本格的に参加する。しかも、訓練の主会場は関東大震災で多くの朝鮮人・中国人が虐殺された東京東部の地だ。絶対に許せない。自治体労働者を先頭にして労働者は戦争協力、戦争動員を断固拒否し、9・1防災訓練粉砕の闘いに立とう。
労働者は戦争協力を拒否して闘おう
重大なことは、今年の防災訓練が「国民保護計画」の発動=実働演習として全国的に行われようとしていることだ。
2004年に成立した「国民保護法」に基づいて06年中に各地方自治体が「国民保護計画」を作成することが義務付けられた。すでに多くの自治体で危機管理室などが設置され、警察官僚や自衛隊(OB)が派遣・出向している。今年3月には、千葉県富浦町で小学生125人を始め住民約400人を動員した「テロ攻撃想定訓練」が行われている。
7月5日の北朝鮮のミサイル発射実験に対して日帝は突出して戦争策動を強め、同時に「国民保護計画」の必要性を声高に叫んだ。「北朝鮮の脅威」をあおって戦争体制の画歴史的な強化が狙われている。
この「国民保護計画」について自治労本部は、「住民の安全や権利が侵害されないよう点検」「国民保護協議会に、労働者や社会的弱者など幅広いメンバー構成とするよう申し入れ」(自治労第78回定期大会本部方針)という「点検・参加」方針を打ち出した。これは戦争動員体制への積極的参加・協力方針だ。
「国民保護法」は、国民を保護するための法律ではない。日米帝の侵略戦争発動時に、労働者人民を戦争動員するための法律だ。有事法制のもとで、国民は”保護する”対象ではなく米軍と自衛隊が自由自在に行動するために排除する対象でしかない。その上で、ありとあらゆる職種の労働者が戦争体制のもとに徹底的に動員されるのだ。
政府は「国民保護法」で「武力攻撃災害」などという言葉を使って、あたかも地震などの自然災害と戦争被害を一緒であるかのように描き出して「国民保護計画」の本質を覆い隠そうとしている。こんなペテンを許してはならない。
4大産別の労働者、とりわけ自治体労働者と教育労働者は、住民の戦争動員の手先となるのではなく、〈戦争協力拒否宣言〉を発し国民保護計画による戦争動員を拒否しよう。軍事輸送を拒否して闘う動労千葉のように闘おう。9・1防災訓練反対の闘いに立とう!
米軍が本格参加しヘリや軍艦も出動
1971年から始まった「防災訓練」は自衛隊の戦争訓練=治安出動訓練として、同時に、地域住民の総動員体制作りとして行われてきた。ここ数年の総合防災訓練は、国民保護計画の策定と一体で、地域住民を「自主防災組織」に組織し、警察、自衛隊、消防署、NTT、電力、ガス、日本赤十字社、さらに自治体労働者、運輸労働者、医療労働者などを総動員して行われてきた。
2000年、石原都政下での「ビッグレスキュー」は「首都を救え」のスローガンのもと、自衛隊が地下鉄大江戸線を使って移動訓練を行い、銀座に自衛隊装甲車が出動し、翌01年には川崎の公共埠頭である東扇島に自衛隊艦船が入港するなど自衛隊を前面に出した訓練を強行した。石原都知事は、「大きな災害が起きた時には三国人が騒動を起こすことが想定される」(00年4月、陸自第1師団創隊記念式典での来賓あいさつ)という許しがたい差別暴言を叫んで自衛隊を大々的に登場させたのだ。
今年の訓練では、帰宅困難者を米海軍の艦船で神奈川県横須賀市に運んだり、米空軍のヘリコプターで横田基地から救援物資を搬送するとして、米軍が初めて大々的に参加する。さらに韓国のレスキュー隊も参加する。米軍再編と日米同盟再編、北朝鮮に対する侵略戦争策動が強まる中で、日米韓3カ国の合同軍事演習として訓練を強行しようとしているのだ。
「防災訓練」は、04年有事関連7法制定(武力攻撃事態法など)以降、文字どおりの侵略戦争への総動員体制作りへと質的な転換を遂げている。今回の米軍参加がそのことを明確に示している。
在日朝鮮人民への迫害・襲撃許すな
しかも今年の訓練が、東京東部、荒川河川敷などを主会場として行われようとしていることは断じて許せない。
日本帝国主義は9月1日を「防災の日」としている。1923年9月1日は関東大震災が起こった日である。
この日関東地方を震度6、マグニチュード7・9という大地震が襲った。東京・横浜を中心に死者・行方不明者約14万人、負傷者10万4千人を超す大災害となった。危機にたたされた支配階級は「朝鮮人暴動」をねつ造し、戒厳令を発動した(戒厳令は単なる地震では発動できない)。内務省自らが「朝鮮人が家屋に放火し、井戸に毒を投げ込んでいる」というデマを流し、軍隊、警察、自警団、在郷軍人会を動員し、朝鮮人6000人以上、中国人600人以上を虐殺した。虐殺を指示した内務大臣の水野錬太郎、警視総監の赤池濃は、日帝の植民地支配下にあった朝鮮での1919年3・1独立運動を弾圧した張本人であった。
自衛隊はすでに60年安保闘争の高揚期に、治安目的のために関東大震災を詳しく研究し、軍隊がすばやく治安維持に当たることができたこのときの戒厳令を高く評価している。
日帝は9月1日を「防災の日」とし、朝鮮人・中国人虐殺の歴史を抹殺するとともに、労働者人民を「防災」と称して戦争に動員し、反革命テロルの実働部隊となった自警団の復活をも目論んだのである。
東京都足立区は、在日朝鮮人が多く居住する地域であり、荒川河川敷には今も関東大震災で殺された人びとの遺骨が眠っている。9・1防災訓練は、明らかに在日を標的とした作戦そのものなのだ。関東大震災での朝鮮人・中国人虐殺を絶対にくり返してはならない。
9・1防災訓練粉砕闘争は、侵略戦争阻止、9条改憲阻止の闘いそのものだ。全力で闘おう。
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ファシスト石原 “空母持ってこい”
「米軍は今でもやっているが、海軍も来いと言ったんです。…軍艦かなにか持ってくるらしいけど、ぼくは航空母艦持ってこいと言ったんだ。そうはいかないらしいけど」(8月4日記者会見)
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週刊『前進』(2260号5面2)(2006/09/04)
レバノン情勢 イスラエルが敗北し危機
侵略戦争拡大を策す米帝
8月14日のレバノン停戦発効以後もイスラエル軍の一部がレバノン南部に居座り、散発的な戦闘が続いている。特に、イスラエル軍は18日夜から19日にかけて、レバノン東部のバールベック近郊を攻撃した。イスラエル軍はヘリコプターで奇襲部隊を運び、イスラム教シーア派の政治勢力ヒズボラの拠点を破壊しようと狙ったが、それ自身は空振りに終わり、逆に撤退過程をヒズボラに襲撃され、イスラエル軍将校1人が死亡した。
イスラエル国内では現在、今回のレバノン侵略戦争の敗北の責任を問う声がわき起こっている。21日には予備役兵を中心に200人以上が首相府前で抗議を行った。「戦争は失敗だった」「指導部は責任をとれ」とオルメルト首相の辞任を要求している。実際、今回のレバノン侵略戦争でイスラエル軍は117人の死者と1千人以上の負傷者を出している。レバノンの3千人以上の死者はほとんどが老人や子どもを始めとした民間人で、ヒズボラの軍事組織にはほとんど打撃を与えられていない。地上戦闘で何度も敗北をなめさせられたのだ。イスラエル軍はヒズボラの攻撃を受けて指揮系統が混乱し、また兵站(へいたん)が十分に行われず、前線では水・食料が届かず民家を襲撃して食料を強奪した。
その一方でヒズボラは、停戦発効後、今回の戦争での勝利を宣言してセレモニーを行っている。さらにヒズボラは、18日、イスラエルの攻撃で家を失った住民を対象に、1世帯あたり1万2000ドル(138万円相当)の現金支給を始めた。これはレバノンの平均年収の2年半分に当たる金額であり、ヒズボラが単に軍事組織ということではなく、住民に根を張った政治勢力であり、今回の戦争でさらにその支持を広げていることを示す事態である。
米帝ブッシュは、レバノン停戦合意直後の14日「ヒズボラは敗北した」と発言して、イスラエルの軍事的敗北を塗りかくそうと試みた。しかし、今回の戦争でイスラエルの側が軍事的に敗北したことは明白である。これは、今後の米帝の中東支配にとっても、決定的な事態である。
(写真 イスラエルのミサイルで破壊されたビルのがれきに「MADE IN USA(がれきは米国製)」という横断幕が掲げられた【ベイルート郊外の街で】)
泥沼的に戦線拡大した米帝
今回のイスラエルのレバノン侵略戦争は、イラク侵略戦争の泥沼化の中で、米帝がどうにもならない状況を打開するために、イスラエルを使ってレバノンのシーア派政治組織ヒズボラを壊滅させようとしたものである。ところがイスラエルが軍事的に敗北したことによって、中東、ムスリム人民、とりわけレバノン人民のヒズボラへの支持が拡大するという逆効果を生み出した。
そもそも米帝は、イラクにおいてイラク人民の武装解放闘争を制圧して植民地支配を維持するためには、シーア派を中心としてカイライ政権をデッチあげる以外にない状況にある。だが、米帝にとってイランが影響力を持つシーア派にイラクの権力を握らせることは絶対に出来ないことである。米帝は、イラクのシーア派を米帝の下に完全に屈服させるためにイランを戦術核兵器によって攻撃することも狙ったが、その政治的影響が大きいだけでなく、軍事的にも成功の見込みがなくいったんあきらめざるをえなかった。そうした中で、米帝はイスラエルを使ってレバノンのシーア派であるヒズボラ壊滅の策動に出たのである。しかし米軍自身を投入する余力はなく、イスラエル軍を使わざるをえなかったところに米帝の危機性があらわになっている。
レバノンでイスラエルが敗北した結果のもたらす影響は大きく、米帝・イスラエルは直ちに取り戻しを図らなければならないところに追い込まれている。すでにイスラエルは、パレスチナ占領地のヨルダン川西岸からの撤退を凍結すると発表し、パレスチナ自治政府のシャエル副首相を拘束するなどイスラム政治勢力ハマスへの攻撃を強めている。パレスチナ議会議員の4分の1近くが拘束されているのである。だが、これによっても今回の敗北を取り戻すことはできず、シリア、イランに対する侵略戦争策動をさらに強めようとしている。
イスラエルは、国連部隊がシリアとレバノンの国境を封鎖しない限り、レバノンの海と空の封鎖を解除しないと主張している。またイランがウラン濃縮の停止を求める6カ国包括提案を拒否したのを受けて、米帝はイランがイラクの民兵を訓練し、装備を提供していると非難を強めている。
決定的危機の中東侵略戦争
米帝の中東侵略戦争は、今や決定的な危機を迎えている。イラクでは、一時12万人まで削減していた米兵を今では13万8千人まで増強せざるをえなくなっており、しかも武装解放勢力の拠点であるアンバル州を制圧できないまま、首都バグダッドを抑えるために兵力をバグダッドに集中させている。だが、どんなに兵力を集中しても武装闘争を制圧することが出来ないでいるのだ。
さらにアフガニスタンでは、タリバンが南部や東北部諸州の制圧を拡大しており、カンダハルを包囲する状況になっている。合同軍が、都市を制圧しようとして兵力を集中しても、それ以外はタリバンが自由に動ける地域となっている。そして合同軍の移動や兵站が次々とゲリラに襲撃されている。米帝にとって事態はますます悪化する一方なのだ。
イスラエルのレバノン侵略戦争は、イラク侵略戦争の泥沼に追いつめられた米帝が、侵略戦争拡大の衝動に激しく駆り立てられていることを示している。日帝は、小泉を引き継ぐ安倍政権を登場させ、9条改憲を強行して、日米枢軸の下にさらに侵略戦争拡大へと突進しようとしている。4大産別を始めとして労働者階級の巨大な決起を切り開き、労働者の国際連帯を押し進め、改憲阻止、日帝打倒へ闘おう。
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週刊『前進』(2260号5面3)(2006/09/04)
米軍再編と自衛隊の大転換
加速する侵略軍隊化
隊内外貫く改憲阻止闘争を
日帝は改憲の先取りとしてイラクヘの戦時派兵と米軍再編を推し進めてきたが、同時に自衛隊の転換と再編を一気に強行している。04年12月の新防衛大綱がその画期だ。米帝の世界戦争政策=米軍再編に従属的に食らいつきながら、対米対抗性を持った新たな建軍ともいうべき本格的な軍隊の強化を開始している。
改憲阻止決戦に本格的に突入し、職場・キャンパス・街頭から改憲阻止の奔流を巻き起こさなければならない。そのためにも改憲の先取りである自衛隊の再編についての整理と暴露は急務だ。
●米軍初参加で日米共同の9・1治安訓練
東京都が8月31日〜9月1日に実施する総合防災訓練に在日米軍が参加する。米軍の部隊や艦船が参加する共同訓練は全国で初めてだ。想定は首都直下地震での帰宅困難者や物資搬送を米軍艦船やヘリコプターで行うというもの。これは今年3月に都が作成した東京都国民保護計画と一体であり、米軍再編下の日米共同の治安出動訓練だ。
「帝国主義軍隊は民衆を守らない」。これは関東大震災や沖縄戦の血の教訓であり、阪神淡路大震災での教訓でもある。昨年の10月20日には、北海道警察と陸自北部方面隊による治安出動実働共同訓練がなされた。02年に陸自師団と都道府県警察とで締結した「治安出動の際における治安の維持に関する現地協定」に基づくもので実働共同訓練は全国初だ。
自民党新憲法草案9条の二3項には「国際平和協力」と同時に「治安の維持」を明記している。治安出動を憲法に規定しようというのだ。基本的人権の条項12条、13条では、現憲法の「公共の福祉」の文言が「公益及び公の秩序」に置き換えられている。日帝は戦争・改憲と民営化への労働者階級と諸階層の総反乱に怯(おび)えて「治安の維持」「秩序の維持」を前面化しようとしている。共謀罪法案や国民投票法案もその一環だ。9・1闘争は改憲阻止闘争そのものでもある。全力で闘い抜こう。
(写真 サマワからの撤収のためヘリに乗り込む自衛隊員。陸自部隊は装甲車の「日の丸」を塗り隠し、逃げるように撤収した【7月7日】)
●帝国主義的な砲艦外交を開始した日帝
4月19日に予定されていた海上保安庁による韓国領独島への「海洋調査」に対して、盧武鉱大統領は韓国国防省に臨戦態勢を命じた。当時、日本海には自衛艦隊20隻が展開していた。日帝・小泉は、4月16日〜28日に予定されていた海自集合訓練の最中にこの「海洋調査」をはめ込もうとしたのだ。1876年の江華島条約から朝鮮侵略への出発点となったのも「海洋調査」だった。領土問題はやはり戦争の最大の火点の一つなのだ。
今、再びアジアを侵略しアジア人民を敵に回すことによってしか延命できない日帝は、排外主義攻撃の矛先を北朝鮮にとどまらず韓国や中国にも向けている。このような歴史を画する砲艦外交を可能とする軍隊に、自衛隊はいつ転換したのか。自衛隊にいま何が起きているのか。
5月1日発表の米軍再編最終報告はその主敵を北朝鮮・中国と名指している。「再編」という名の軍事的「転換」が、米軍だけでなく日米両軍で進行している。そこでは「相互運用性の向上」「即応性の向上」などが強調され「一緒に訓練し、一緒に出兵し、一緒に生活する」中での日米一体化が目指されている(前進社刊『米軍再編・日米同盟強化を止めよう』参照)。そのために日米共同の強襲上陸訓練がひんぱんに実施されている。
米軍再編にキャッチアップしながらの自衛隊独自の実戦的軍隊化=転換と再編の実態には驚くべきものがある。自衛隊のこの転換と再編の基本的方向は、04年12月の新防衛大綱で打ち出された。「島嶼部(とうしょぶ)・離島への侵略など」「新たな脅威や多様な事態等に対応」しうる全国的部隊配置、「国際平和協力活動」への即応態勢などがこの大綱の軸である。そこには「占拠された離島など」への奪還作戦を突破口とする朝鮮半島や中国への侵攻が戦略的に想定されている。
これは「専守防衛」からの一大転換である。これらは昨年8月、防衛庁の「18年度防衛力整備事業」として概算要求され、その一部は今春から実施に移されている。
具体的に見ていこう。@即応侵攻部隊としての陸自中央即応集団(軍)の創設。A陸海空三自衛隊の統合運用と、そのための統合幕僚監部の改編新設。自衛隊の三軍統合は独自の戦争発動を可能とする軍隊への歴史的転換なのだ。B日本海と西南海域への監視態勢と部隊配置の強化。特に佐世保の西部方面隊普通科連隊が「西南即応部隊」ともいうべき位置で突出した激しい実戦訓練を繰り返している。今年1月のカリフォルニア、6月6日の佐世保での強襲上陸訓練がそれである。C市街地戦闘など近接戦闘訓練の激化。D自衛隊と警察の治安出動共同訓練(前述)。E海自では弾道ミサイル防衛の推進と全通甲板型ヘリ空母の建造などが「16年度防衛力整備事業」で既に出されている。
これら@〜Eなどを通して自衛隊の実戦的軍隊への転換が進められているのだ。
昨年8月には制服組OBらで構成し瀬島龍三を会長とする「日本戦略研究フォーラム」が遠距離ミサイル・トマホークの導入や空自攻撃力強化による「策源地攻撃能力」の保持を提言した。7月5日の北朝鮮のミサイル実験に対する防衛庁長官額賀や官房長官安倍らの「敵基地攻撃能力」発言はこの提言を直接に受けたものである。日帝は今や強大化しつつある自衛隊を使って戦争発動を決断できる政権を求めている。だから小泉や安倍には「靖国」という装置が必要なのだ。
●元自衛官と家族の闘いがくさびを打つ
イラク戦時派兵は、自衛隊の外征型軍隊化をめざす改憲の先取りでもある。これに対する新たな対自衛隊闘争が力強く展開されてきている。元自衛官と現役自衛官の家族の闘いが自衛隊のこの大激変の前に大きく立ちはだかろうとしている。北部方面隊から東部方面隊、1次から10次派兵まで70回を超える駐屯地「申し入れ」宣伝行動。04年1月15日にはサマワ基地に対し「即時撤退」の申し入れも行った。隊員の中に階級分岐の芽が持ち込まれ、隊内と政府・防衛庁に激震が走った。隊員家族と元自衛官の「兵士を送るな」「仲間よ行くな」の訴えは多くの兵士や家族に届いた。この全国的展開は「出征兵士を送る」黄色い旗運動のペテンを暴き、その拡がりに楔(くさび)を打ち込んだ。
陸上自衛隊派遣部隊はイラク民衆の民族解放戦争によって基本的にたたき出された。サマワに隣接するナシリアのイタリア軍2600人の今夏完全撤退。これはサマワへの兵站ルートの失陥に直結し陸自600人は「敵地」に孤立。イラク民衆の陸自包囲という戦争的現実が、自衛隊を敗退・撤収に追い込んだ。だから陸自部隊は「日の丸」マークを隠してこそこそと占領地から逃げ帰らざるをえなった。多くの自殺者や自殺未遂者とその家族の苦しみ、嘆きは戦時派兵の現実だ。
自民党新憲法草案20条は、新たな戦死者の合祀と兵士動員を目的とした靖国神杜の国家管理をもめざすものである。76条の軍事裁判所の設置は、兵士の抵抗・反乱のみならず民間人やマスコミ報道をも処罰の対象とし、軍事・軍隊の聖域化を目的とするものである。
「3人の息子たちは戦争をするために自衛隊にはいったんじゃない! 戦争のための憲法は反対だ!」「小泉を辞めさせて!」と、隊員の母が駆け寄ってきて叫んだ。街頭で隊員やその家族にもアピールしていた矢先の事だった。「9条を変えるな!」こそ隊員や家族の声だ。隊員家族と元自衛官連絡会の会報を読もう。ホームページを見よう。この新たな対自衛隊闘争を支え守ろう。
改憲阻止の力ある闘いのうねりを巻き起こそう。「安倍政権」と全面対決し、今秋臨時国会闘争の勝利と11月労働者1万人総決起の展望を押し開こう。
(二村功)
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週刊『前進』(2260号6面1)(2006/09/04)
N・フィールド教授「9条は守るべき砦」 静岡 ちばりょう
8月15日、静岡靖国問題連絡協議会主催の第39回平和記念日集会が、静岡市内で開かれた。
講師はシカゴ大学日本学教授で『天皇の逝く国で』の著者ノーマ・フィールドさん。演題は「私たちが立つ瀬戸際とは―シカゴ大学で原爆を教えながら考える日常(戦争・格差・原発)―」。
ヒロシマ・ナガサキを教える授業風景が紹介された。課題を与えられた学生が、周囲の人にインタビューをする。相手からどういう反応があったか、反論を受けたか、学生たちがどう変わり、あるいは変わらなかったか……など生きた平和教育のようすを聞くことができた。
「ヴェトナム戦争のときアメリカは徴兵制だった。誰にとっても戦争が身近な事柄だった。今は志願制。大学に子どもを送る家庭では、戦争は無関係で、遠い出来事。2千人のアメリカの若者が亡くなっているのに関心を示すことはない。町には戦争の影がまったくない。志願制が反戦の動きを押さえこんでいる」
また、「9・11以後『対テロ』と言えばアメリカ国家は何でもできる。恐怖と無関心がとんでもないアメリカをつくり出してしまった。日本には憲法9条がある。守るべきとりでがある。それを堅持する闘いは人類の勝利につながる。ぜひ頑張ってほしい」と結んだ。
18歳まで東京で暮らしたノーマさんの日本語はよどみなく、講演は分かりやすかった。
戦争への道は地獄への下り坂。転がしてはならないのだ。私たちの課題は大きい。
無産者が希望持てる良書を世に出して 安心メールより 匿名
私は、賃金労働者で「精神障害者」です。完全に共産主義を理解しているわけでもありませんし『前進』購読者でもありませんが、興味がある分野を貴サイトで拝読し、独力で学習しつつマルクス主義の古典を読んでます。前進社さんの本も時々買っております。
日本共産党すら、マルクス主義の古典をないがしろにしている現状に憤りを感じつつ、前進社の方々がマルクス主義の古典を学習するために良書を出してがんばっていることに深い敬意を抱いています。特に『共産党宣言』『帝国主義』などの古典を学習するために貴社の本を拝読し、ずっと分からずに悩んでいたところで「なるほど! こう読めばいいんだ!」という感じで目からうろこが落ちたことも何度もあり感謝しております。
そんな中、貴社の本には少し不満があります。注釈が少なく「どうしてこの箇所はこういう訳にしたのか?」が分からないことも少なからずある点です。もっと徹底的に学習するために、役に立つ良書をドシドシ出して下さい! 「格差社会」が広がる現状をどうすべきか。なぜ「景気回復」の声のもとで非正規雇用者・業務委託が増加するのか。
私たち無産者は、どうすれば希望をもつことができるのか。もっともっと教えて下さい。
広島を席巻したデモ 次は11月3車線で! 東京 戸川美紀
見てください! この写真は、一番デモが盛り上がった商店街の様子。アーケードの中に若い労働者の声がとどろき渡ったんですから、もうすごい。「戦争止めよう」なんて一緒に叫んでるうちに、本当に止められるんじゃない!?って思えてきた。だってこんなにエネルギーが自分の中から出てきてる。それになんと言っても楽しい!
次の日は、呉の大和ミュージアムを見学したけれど、人間魚雷とか、沖縄に着く前に沈没した大和の模型だとか。しまいには、「宇宙戦艦ヤマト」のコーナーがでっかく作られていて、「未来へ……」と続く。これが日本の未来!?
帰りのバスの中では、ポンポンと感想が飛び出した。「大失敗した戦争の歴史を、誇りに思えだなんて」「それにしても、子ども連れの大人がけっこういた。あんなデタラメを教えるなんて、やばいよ」「侵略したこととか、原爆の被害にあった労働者のこととか、全然出て来ないんだもの、デタラメさも大胆にお金をかけて作ると、ここまで行き着くのか」
そして話題はデモの話へ。「今年の広島は、勝負かけて来た。このままいったら戦争になっちゃう。デモを警察が妨害してきたけど、絶対ゆずらなかった。東京でもこんなデモ、しようよ。次は11月。隊列を1車線から2車線へ、3車線へと広げよう」「よおっし」
秋が待ち遠しいです。
闘いの勝利によって中東民衆の信頼獲得 兵庫 風のイグアナ
イスラエルのレバノン侵略のもくろみは、ヒズボラとレバノン民衆の力によって粉砕された。「ヒズボラを支持する」と言っているキリスト教徒レバノン人の姿を見て私は思った。民衆が求めているのはイスラム支配ではなく、勝つことなのだと。そして、現在の中東でイスラエルとその背後のアメリカに勝つことができるのはイスラムだけだ、と感じているからこそ民衆はイスラムを支持しているのだと。
70年代の中東には多くの「マルクス主義系セクト」が存在し、闘いを牽引していた。それらが現在壊滅してしまい、イスラムがレジスタンスの旗頭となっているのはなぜか。それはよく言われるように、イラン政府が各地のイスラム組織に資金や武器を援助しているからでもなく、「マルクス主義系セクト」が厳しい弾圧にさらされたからでもない。イスラムが勝利したからなのだ。
中東の地で共産主義革命がかちとれなかった勝利、帝国主義の打倒という勝利を(まがりなりにも)成し遂げたのはイスラム革命だった。勝つことによってイスラムが民衆に希望を与えたのだ。
中東で闘っている民衆を「ムスリム(=イスラム教を信じている人々)」と規定するのではなく、「イスラムに希望を託さざるを得ない人々」とみなければいけないと思う。共産主義が希望を託すに値するものだと信じられれば、共産主義者になる可能性を持った人々なのである。
勝つこと、勝てることがすべてを決する。中東でも、日本でも。
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週刊『前進』(2260号6面2)(2006/09/04)
“勝利へ共同の闘いを”
星野文昭同志のアピール
星野文昭同志(徳島刑務所在監)の、7・30東西革共同集会へのアピールを紹介します。星野同志は、自己にかけられた無期弾圧を打ち破る闘いと、帝国主義を打倒する闘いが、固く一体のものであると訴えています。彼は労働者階級の闘いを心から信頼し、その中に無期弾圧を打ち破る展望を見出しています。「星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議」は、星野同志たちの闘いから「35年目の渋谷」において11月25日に歴史的な大集会を開こうと呼びかけています。集会に大結集し、星野同志の再審無罪と早期釈放へ闘おう。星野同志に全国から手紙を送ろう。暑中見舞いは、毎日数十通が彼の手に届きました。獄中31年、今この瞬間も不屈・非転向で闘い続ける星野同志を、何としてもわが隊列に取り戻そう。全国に「救う会」をつくろう。(編集局)
通信は私への大きな励まし
本集会に参加されている皆さん、友人、支えてくれている皆さん、私と暁子、家族を支えつつ、再審と早期釈放のために力を注いでくださっていることに、心から感謝しています。
そして、5月から、これまで親族に限られていた面会、通信が友人にも広げられ、多くの皆さんからの励ましが届くようになったことに、発信制限によってほとんど返信が出せていませんが、この場を借りて、心からのお礼を言いたいと思います。
今のところ私からの発信が制限されている変則的な形ですが、皆さんと交流ができるようになったことは、私・暁子、家族にとって大きな励ましであり、力です。そして星野運動を新たに大きくつくりだしていく力になると思っています。
また、弁護人との面会が、立ち会いなしで可能になったことが、再審無罪をかちとるために画期的なものになろうとしています。これによって何より、事実=無実を共有化することが可能になります。
そして、それを土台に、法的に最も研ぎすまされた形で物的証拠化を実現して、私の当日の「薄い青」の服装を「きつね色」とし、終始十字路にいた私が、そこから離れた「現場」で殴打に加わったとする虚偽の供述、それを根拠とする無期判決を覆していかなければなりません。
全人民の解放をかけた闘い
星野無期は、私と暁子、家族に、生命さえも奪う極限的な攻撃を集中するものです。
そして、それに止まらず、そうすることによって、帝国主義の延命のためにあらゆる犠牲を労働者人民に強いる現実に立ち向かい、人間的未来を開こうとするあらゆる人々の運動を圧殺して、とりわけ、沖縄へ差別的に基地を強制し続け、全土に戦争に動員する体制を強制し、あらゆる基本的な権利を奪って、人間として生きること自体を奪おうとしています。
そのような意味から、星野無期を覆すたたかいは、あらゆる形で人間的未来を開いていこうとする者、運動にとって、その原点にかかわるものであることを、あらためてはっきりさせなければなりません。
そのことに、一人一人があらためて向き合い、私・暁子、家族への極限的攻撃を許さず、一日も早い解放をかちとること、そしてそのことを、すべての人々にとって、人間的に生きること、その未来を開くために、力を合わせて実現していく課題として取り組み、そうすることによって、すべての人々が人間的に生き、人間的未来を開く力、内容をより豊かにつくりだしていくことが問われていると思います。
獄中・家族、人民の力を合わせて、星野無期を覆すことも、帝国主義を葬り人間的未来を開くことも、獄中・家族、人民自身の自己解放的な意欲、主体的な内容・力を根底から解き放つことなしにはありません。そして、それを実現していく、大衆運動−組織、党のあり方、内容の根本的変革、飛躍が何より問われています。
再審かちとり「無期」覆そう
私たちは、この社会の現実を根底的に批判しとらえ、その変革・解放の道すじを明らかにしていくこと、人民の怒り、主体的決起、行動を、ともに身を置き合って解き放っていくことを、真に一体にやりぬいていかなければならないと考えます。
労働者人民を生かすことも幸福にすることもできず、人類へのあらゆる災禍を強い、歴史的生命力を失ったこの帝国主義を、労働者人民の排外主義の分断をのりこえ、アジア−世界の連帯した力で葬り、労働者人民が社会の主人公となって、生産と生活のすべてを互いに尊重し合い、補い助け合って、人間的に豊かに創造していく、そしてそれをめざす中で、真の人間的なつながりを取り戻し、人間的に豊かに生きていくことが、今、私たちに求められていると思います。
このたたかいを圧殺する星野無期をすべての労働者人民の総力で覆していくことによって、私たちは、この人間的未来へ向かうたたかいの内容を最も豊かに創造していくことができる。このことをあらためてはっきりさせ、すべての人民の力を結集して、必ず星野無期を覆す再審と早期釈放をかちとり、そのことですべてのたたかいを一層強め、豊かに発展させていきましょう。私と暁子、家族への一層の支援をよろしくお願いします。ともに頑張りましょう。
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週刊『前進』(2260号6面3)(2006/09/04)
9・24北富士闘争へ
侵略・改憲攻撃を許さず 米海兵隊実弾演習阻止を
忍草国有入会地守る会と北富士忍草母の会が、9・24北富士総決起集会の呼びかけを発した。米軍再編のもとでの朝鮮・中国侵略へ向けた軍事演習を許してはならない。全力で結集しよう。(編集局)
闘う仲間のみなさん。青年労働者・学生のみなさん。私たちはついに、自衛隊が北富士演習場に建設したイラク・サマワ宿営地模擬施設を撤去させました。
自衛隊は2004年5月、北富士演習場内の地元農民の入会地に、入会農民に無断でこの施設を建設し、自衛隊を訓練してイラクに派兵してきました。私たちはイラク派兵訓練のたびに、訓練の中止と施設の撤去の申し入れを行ってきましたが、陸上自衛隊がイラクから撤退する中で、自衛隊はサマワ宿営地模擬施設を撤去し、ここを更地に戻したのです。
しかし闘いはこれからです。そもそも北富士演習場の半分を占める国有地2千ヘクタールは、東京地裁も認めた地元忍草農民の入会地です。私たち入会農民はここに、採草、耕作など生活の8割を依存して生活してきました。私たちは、北富士演習場を撤去し、入会地を取り戻すまで闘いを貫く決意です。
小泉政権は陸上自衛隊は撤退させましたが、航空自衛隊は派兵したままであり、さらに米軍物資の輸送をイラク全土に拡大しています。そして憲法改悪と米軍再編という本格的な戦争国家への道に踏み出しています。また労働者人民に対して、賃金カットと非正社員化、医療費や年金切り下げなど、格差拡大による生活破壊と労働組合破壊の攻撃をかけています。
北富士では今年11月、米軍が海兵隊の実弾演習を計画していますが、この演習に関して、米軍再編にともなう一大エスカレーションが行われようとしています。
この演習は、在沖米海兵隊の長距離砲実弾演習での沖縄県道104号線封鎖にともなう県民の負担を軽減するという名目で、海兵隊の長距離砲の演習を本土の五つの演習場へ移転し、1997年より実施されてきたものです。長距離砲以外の海兵隊の実弾演習は、その後も沖縄で実施されていたのですが、今回の北富士演習では、機関銃などの小火器の演習も実施するとなっています。これは、今後海兵隊がすべての実弾演習、一般演習を本土の自衛隊演習場で実施することに道を開こうとする決定的な攻撃です。
朝鮮・中国への侵略戦争のために行われている米軍再編では、米陸軍統合作戦司令部の座間への移転、名護での新基地建設とともに、自衛隊基地を米軍と大規模に共同使用していくことが計画されていますが、米海兵隊のあらゆる訓練を本土の自衛隊演習場で行って朝鮮半島へ出撃していくという、かつての朝鮮戦争とおなじ攻撃が計画されているのです。成田空港の暫定滑走路を「北」へ延伸させる攻撃も、明らかにこの攻撃と一体となった、朝鮮・中国有事即応へ向けた攻撃です。
私たちは、「北富士を朝鮮・中東につなぐな」というスローガンを掲げて闘ってきましたが、その真価が問われる時代が来たと感じています。憲法改悪、戦争と労働組合破壊の攻撃の中で、三里塚芝山連合空港反対同盟、国鉄千葉動力車労働組合をはじめ、全国の闘う仲間のみなさんと勝利をめざして闘っていく決意です。
9・24北富士闘争への結集をよろしくお願いいたします。
2006年8月10日
忍草国有入会地守る会
北富士忍草母の会
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米軍の北富士での実弾演習粉砕、梨が原国有入会地奪還、北富士演習場撤去
9・24北富士総決起集会
日時/9月24日(日)正午
場所/北富士演習場・サマワ宿営地模擬施設跡地
集会後、午後1時 演習場の調査/2〜4時 母の会と交流会
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週刊『前進』(2260号6面4)(2006/09/04)
獄中16年 倉持同志の出獄あいさつ
革命的労働運動−これこそ私が人生かけめざすものだ
倉持嘉之同志が7・30東京革共同集会で行った出獄のあいさつを紹介します。倉持同志は、1974年1・24対カクマル戦弾圧と90年決戦武蔵野爆取デッチあげ弾圧を完全黙秘・非転向で打ち破り、16年間の獄中闘争を貫いて横浜刑務所を出所しました。(編集局)
33年ぶりの革共同集会
本年3月24日、横浜刑務所より満期出所致しました倉持です。
出所の際には、神奈川の同志をはじめ全党の同志、私にとってかけがえのない同志たちによって、盛大な、そして非常に感動的な出獄歓迎会を開催して頂き、有難うございました。
(写真 横浜刑務所の門を出た笑顔の倉持同志。出迎えの人びとが感激の握手、握手【3月24日】)
出所して4カ月ほどになりますが、同志たちによる献身的な援助を受けて、社会復帰に向けて準備を進めています。本日は、こうして33年ぶりに革共同集会に参加し、全党の同志に出獄のあいさつをさせて頂けることになりました。重ねて深く感謝致します。
私は、労働者の街、神奈川県川崎市の南部で生まれ育ちました。70年安保闘争を闘う中で、反戦高協の運動に参加し、反戦闘争・学園闘争を闘っていました。その後、神奈川の労働者同志たちとともに、反帝・反スターリン主義の革命的共産主義による労働運動を発展させてゆこうと、高校卒業と同時に横浜市水道局に就職しました。
当時、70年安保・沖縄闘争の革命的発展に恐怖し、敵対してきたカクマル派が、69年、71年の二つの11月決戦への国家権力による破防法型弾圧と一体となって、12月反革命を凶行し、その後もK=K連合(警察=カクマル連合)による白色テロ攻撃を日に日にエスカレートさせていました。すべての集会、デモに白色テロ襲撃を仕掛け、ついには革命的労働運動総体を壊滅させようと白色襲撃を繰り返していました。この反革命攻撃に対して私たち革命的労働者は、これに対峙し、打ち破って革命党・革命運動、革命的労働運動を守り発展させてきました。
カクマル派は、73年12月、破防法裁判闘争の壊滅と本多書記長の暗殺を狙って、破防法弁護団会議を襲撃しました。この白色襲撃に対して、神奈川の革命的労働者は、総蜂起して戦い、ついに白色襲撃拠点としていた横国大に集結していたカクマルに対して、1・24戦闘を爆発させ、勝利したのでした。1974年1月24日。今から32年前の戦いです。
1・24戦闘の勝利に対する報復弾圧として、警察権力は、私たちに全国指名手配弾圧を加えてきました。しかし、私たちは、この弾圧を打ち破って闘い続けよう、そうした闘いによって日本階級闘争、革命運動の新たな、真に革命的な発展を切り開いてゆこうと決意しました。ともに革命的労働運動を担い、1・24戦闘を戦った私たちは、今度はそれぞれが異なった条件の中で、この指名手配弾圧と対峙しながらフェーズT・フェーズUの闘いに決起していったのです。
階級闘争の新たな地平を切り開いてゆくこと、そうした闘いを担ってゆくことは、身も心も生命がけの闘いを常に要求されるものです。当然にもそれは、平坦な道のりではありませんでした。しかしそれは、けっして例外的な闘いではありません。当時も今も、それぞれの戦線の最前線で闘いぬいている同志たちが、同様に経験していることに違いないからです。ただ、私たちはそれを、多くの同志たちとは異なった戦線で経験してきたということです。
正義確信し弾圧を粉砕
全国指名手配弾圧を受けながら、90年天皇・三里塚決戦を闘う過程で、90年10・1武蔵野爆取弾圧を受けました。
デッチあげ公妨で不当逮捕されて以来、数次にわたる再逮捕、3カ月間に及ぶ拷問的取り調べと闘い、そして90年武蔵野爆取弾圧・74年1・24戦闘弾圧の二つの弾圧によって16年間の獄中闘争を闘うことになりました。
こうした16年間にわたる獄中闘争は、獄外の闘いに支えられ、獄中獄外が一体となって最後まで不屈に闘いぬいたこと、そして完黙・非転向を貫いて闘いぬいたことによって勝利することができました。そして、ついにこの春、無事に満期出所を果たすことができたのです。
こうした指名手配弾圧下の闘いと、それに続く獄中での裁判闘争―下獄闘争の32年間に及ぶ闘いの日々は、同志たちに支えられながら、革命の大義、闘いの正義を信じて闘いぬくことによって勝利できたと言えます。この同志たちとともにかちとった共同の勝利を、この場でともに確認したいと思います。
革命勝利へ共に闘おう
そして今、改憲攻撃・新たな侵略戦争攻撃に対して、全人民的規模で総決起が始まっています。こうして革命的情勢が成熟していく中で、革共同は新指導路線のもと、革命的労働運動の発展を、本格的な革命党への飛躍をかけて闘っています。これこそ私が労働運動に身を投じて闘いとろうとしていたものです。今日それが実現されつつあります。私は、今後も同志たちとともに、新たな戦線での闘いに力を尽くしてゆこうと決意を新たにしています。勝利の日までともに闘いましょう。
最後になりますが、星野同志の即時奪還を訴えたいと思います。私の獄中闘争を最も強く支え続けた闘い、それは星野同志の獄中闘争でした。
70年安保・沖縄闘争を最先頭で闘いぬいた革命家である星野同志が、それゆえに、国家権力の報復弾圧を35年間にもわたり一身に受け続けています。それも、無期懲役刑という最も過酷な刑罰を科されてです。星野同志に対する弾圧は、闘うすべての人民に対する弾圧であり、何よりも私たち自身に対する弾圧です。これを断じて許してはいけない。
星野同志奪還の闘いは、革命的共産主義運動の未来、その質を決定するものです。私たちが労働者階級の圧倒的な支持を得られるのかどうかが問われる闘いです。
獄中31年、いまだに無期囚として獄に囚われ続けている星野同志の即時奪還を実現しましょう。ともに闘いましょう。
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