ZENSHIN 2006/01/01(No2229 p16)

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週刊『前進』(2229号9面1)(2006/01/01)

11・18釜山 動労千葉の動輪旗が労農5満人のデモとともに進む

 労働者は一つ!国境を越え団結が前進 米韓労働運動の展望

 「今こそ、戦争と民営化−労組破壊の大攻撃に抗し、労働運動の再生を実現しよう。怒りの声をたぎらせて支配の厚い壁を突き破ろう。労働者の団結した力はけっして打ち砕かれることはない。もっと怒りの声をあげよう! 団結しよう! 小泉反動内閣を打倒しよう! 日米韓労働者の国際的団結を発展させよう!」――動労千葉の田中康宏委員長は11・6労働者集会で4600人の労働者人民に訴えた。3労組共闘−動労千葉を扇のかなめとして、歴史的合流を進めた日米韓の闘う労働組合は、その場からただちに激しい階級攻防へ進み、06年の激闘へと躍り出た。05年1年間の韓国、アメリカの闘いの軌跡を踏まえて06年の階級攻防を展望する。

 韓国 非正規職撤廃テーマに民主労総の激闘が続く

 「非正規職関連悪法の国会通過阻止!」「非正規職労働者の権利を保障する立法を行え!」「特殊雇用労働者に労働3権を保障せよ!」――韓国・民主労総(全国民主労働組合総連盟)は、労使協調路線を進めるイスホ執行部を打倒し、非正規職労働者、現場組合員を先頭に6万人を超える12・1〜12・8ゼネスト闘争をかちとった。それは同時に釜山(プサン)APEC−香港WTO粉砕闘争として、生存権をかけた力強い労農連帯闘争を実現した。12月ゼネスト闘争は、非正規職撤廃闘争が本格的な非和解的激突過程に突入したことを告げ知らせた。
 この闘いの渦中で、戦争と民営化攻撃に対し最もよく闘いぬいてきた日韓労働者、動労千葉と民主労総ソウル地域本部との共同闘争が飛躍的に進んだことは特筆に値する。お互いの顔が見える連帯闘争が始まった。今、戦争と民営化攻撃で襲いかかる帝国主義は、万国の労働者の共通の敵だ。国境を越えた労働者の国際連帯闘争で労働者人民の未来を切り開こう。
(写真 5万人が結集した11・13全国労働者大会【ソウル光化門】)

 労使政交渉でなくゼネスト闘争

 韓国労働運動の輝けるナショナルセンター、民主労総は05年、ノムヒョン(盧武鉉)政権、帝国主義資本・韓国資本との全面激突をとおして、ついに非正規職撤廃闘争を韓国階級闘争の主要課題に据えきった。
 この闘いは05年1〜3月、3度の代議員大会における「社会的交渉」方針をめぐる激突から始まった。イスホ委員長らが推進した社会的交渉路線とは、ノムヒョン政権のもとに労資協調して韓国資本と帝国主義の要求を受け入れる路線であり、階級的団結を自ら解体し、資本のもとに売り渡す路線そのものだった。それは民主労総が階級的労働運動を堅持するのか、社会的交渉路線に転落するのか、の路線をかけた闘いでもあった。
 97年にアジアを襲った金融危機は韓国経済を飲み込んだ。帝国主義資本が牛耳るIMF管理下で、大企業・公営企業の構造調整が「労働市場の柔軟性を高める措置」とともに強行され、労働者に整理解雇制、派遣勤労制などの資本攻勢が襲いかかった。その結果、大量の失業者と年間に60万人もの非正規職労働者が量産され続け、今や1500万韓国労働者の55%を超える850万人が非正規職化するに至った。
 さらに04年9月、ノムヒョン政権は非正規職関連の労働法制改悪を打ち出した。「期間制及び短時間勤労者保護などに関する法律」「派遣勤労者保護などに関する法律改正案」だが、「保護」とは名ばかりで、派遣業種の拡大や非正規職労働者の事由制限の撤廃など非正規職を量産し、正規職労働者を非正規職化する攻撃だった。
 04年11月、民主労総は18万人のゼネストを打ちぬいて非正規職闘争態勢を構築したが、イスホ執行部は決定していた12月無期限ゼネスト方針を留保、批判が集中する中で攻防の05年が明けた。
 ノムヒョン政権が2月臨時国会で法案成立を図ると公言していた1月20日、民主労総は定期代議員大会を開催した。1月18日には現代自動車非正規職労組が資本の暴力的弾圧に抗してストに突入していた。チョンジュ(清州)の半導体企業ハイニックス・マグナチップでも、労働条件改善をめざして労組を結成した途端に工場閉鎖・集団解雇となった社内下請け労働者たちが、年明けから門前テントに座り込んでストを続けるなど、争議現場では血が流れていた。2月総力闘争に向けて闘争態勢構築は急務だった。
 にもかかわらずイスホ委員長は「社会的交渉の実現」と称し、IMF管理下で設置された労使政委員会を再編し、新たな労使政交渉のテーブルづくりを目指していた。しかし政権が法改悪を強行しようという時、民主労総の方針はゼネストではないのか! 非正規職闘争を正面課題に据えてノムヒョン政権と闘うべきだ! 非正規職労組、現場組合員はこぞって社会的交渉路線推進に反対し、代議員大会の傍聴席を埋め、壇上を実力占拠して議決を阻んだ。
 蔚山(ウルサン)では3月18日から蔚山建設プラント労組の非正規職労働者1000人余がストに突入。3月末現在、少なくとも全国42の労働現場で非正規職闘争が続いていた。これらの非正規職労組を先頭に4・1ゼネストは18万人の怒りのゼネストとなった。
 この決起は4、6月国会への法案提出を押し返した。7月17日からアシアナ航空操縦士労組が25日間の大ストを展開したが、ノムヒョン政権は史上3度目の緊急調整権を発動し、スト禁圧に乗り出した。かつての独裁政権でさえためらった緊急調整権の発動だった。しかも12月11日にまたも、大韓航空操縦士労組ストに緊急調整権を発動した! 労働者から団結権、争議権を暴力的に奪い去る国家的不当労働行為の極致だ。ノムヒョン政権を倒す以外に労働者が生きる道はない。
 9月に入って蔚山で現代自動車の下請け労働者が自殺し、釜山で貨物連帯組合員が焚身(ふんしん=焼身)するなど、「労働者が殺される」事態が相次ぐ。「非正規職労働者を殺すな!」「烈士を生き返らせろ!」と怒りが沸騰する中、10月7日に民主労総首席副委員長がタクシー業界からの金品授受容疑で逮捕された。イスホ委員長は「指導部の空白と混乱は、政府の一方的な非正規職法案の処理に手を貸すことになる」と辞職を拒否したが、「居座ってゼネストをつぶす気か!」と現場組合員らは猛反発。ついに10月20日、イスホ執行部は総辞職に至った。
 民主労総は非常対策委員会のもと、11・13全国労働者大会から釜山APEC粉砕、12月ゼネスト闘争へ、闘いはノムヒョン政権との全面激突へと進んだ。

 先駆的に闘ってきたソウル本部

 この激動の真っただ中、組合員17万人を擁するソウル地域本部からコジョンファン本部長を先頭に19人が来日、11・6日比谷野音で日米韓3国労働者の歴史的な国際連帯が実現したのである。
 ソウル本部は4月に「美しい連帯・差別撤廃実践団」を結成、非正規職労組組合員を先頭とした120人の団員でソウル全域を駆けめぐって労働者、市民に非正規職撤廃を訴える大行進を展開。6月には多くの非正規職女性労働者が結集する女性連盟とともに最低賃金闘争を闘った。
 11月12日の全国労働者大会の前夜祭で、ロッテホテル解雇者として発言したイナムギョン・ソウル本部事務処長(ソウル実践団共同団長)は、11月8〜10日、正規職を代表する事業所であるソウル地下鉄や起亜自動車、ソウル大学病院などでの宣伝戦を、労組結成から4〜6カ月の非正規職労働者たちが担ったことを報告し、「正規職が立ち上がってこそ非正規職を撤廃することができる。非正規職、正規職の区別なく、労働者は一つだ! 非正規職差別撤廃!」と呼びかけた。
 イナムギョン氏が解雇されたロッテホテル争議は、00年に正規職・非正規職労組の共同闘争として闘われ、500人もの非正規職労働者の正規職化をかちとった非正規職闘争の先駆的闘いだった。
 民主労総の11・13全国労働者大会には、動労千葉が約100人の訪韓団を率いてソウルを訪問、感動的な合流を果たした。11・12前夜祭では田中康宏委員長が「私たちは、国鉄の民営化に反対して、多くの解雇者を出しながらストライキで闘いぬきました。全世界の先頭に立つ民主労総のすばらしい闘いを日本でも実現するべく私たちは頑張ります」とあいさつし、訪韓団全員で「鉄の労働者」の律動を披露した。さらに動労千葉は11・17〜18釜山APEC反対闘争に駆けつけ、労働者・農民5万人とともに「APEC反対! ブッシュ反対!」を闘いぬいた。

 「互いの力を倍加させる交流」実現

 動労千葉発行『世界に翔びたとう6』に掲載された訪韓団座談会では、組合員が訪韓でつかんだ確信が率直に語られている。
 「今回直接に会話ができて、同じ闘いをやっている、闘っているから相通じるものがあるって感じましたよね。みんな生き生きとしている」「動労千葉は今、日本の労働運動を再生させようって運動の核になっている。組織の外には『第2の動労千葉』をつくる核がどんどんできなければいけないし、そういう闘いをやらないと民主労総の本気の闘いには連帯できない」「でも俺(おれ)、考えたんだよ。かつては日本の労働者もみんな持っていたものなんだから、今でも底にはみんな持っている。それをどうやって覚ましてやるかってだけのことなんだ」
 コジョンファン本部長が「韓日の現場労働者同士が直接出会い、交流し、お互い『同じ労働者階級だ』と心から確信し、歓(よろこ)びあえるような出会い、お互いの力を倍加させるような交流を実現したい」と呼びかけた”力ある交流”が実現したのだった。国際連帯の真価と限りない展望がここにある。
 民主労総は06年1月に代議員大会で次期執行部を選出、新体制を確立し、本格的な非正規職撤廃闘争に突き進もうとしている。
 「労働者は一つ!」――国境を越えた労働者の国際連帯闘争を実現し、戦争と民営化で生き延びようとする帝国主義どもと、それぞれの現場で闘いぬき、打倒するのだ。闘う韓国労働者と連帯し、帝国主義国・日本で、階級的労働運動再生へ06年4大産別決戦を猛然と闘いぬこう。  (室田順子)

 アメリカ 戦争・民営化・倒産攻撃に現場からストで対決

 資本主義存亡の危機と労組破壊

 05年12月1日、アメリカの階級的労働運動は、資本・国家権力と激闘しつつ初めて韓国民主労総ゼネストとの連帯行動に決起した。12月8日の関西生コン支部への第3次弾圧には、ただちに弾劾決議を上げた。
 動労千葉―3労組共闘が11・6国際連帯集会の求心力となり、倒産・労組絶滅攻撃と必死に闘うAMFAローカル9(航空整備士労働組合第9支部)とタフト・ハートレー法攻撃と対決して闘っているILWUローカル10(国際港湾倉庫労働組合第10支部)、ゼネスト組織化の渦中にある民主労総ソウル本部が死活をかけて現場から11・6に結集し、ともに主催者の立場で闘った。さらに動労千葉を中心とした訪韓団がソウル、釜山で民主労総と一体となって闘った。
 こうした中で日米韓の労働者と階級的戦闘的労働運動が結合したことは決定的な意味をもっている。帝国主義とスターリン主義を打倒し、世界革命に勝利する現実的な勢力が登場したのだ。
 米帝の世界支配は崩壊の危機にある。イラク侵略戦争はブッシュ自身が開戦理由のウソを認めるほど不正義性が暴かれている。米軍中枢さえ「軍崩壊の危機」と叫ぶほど占領支配は危機的だ。アメリカ労働者人民の怒りは、ますます高まり、9月24日の全国反戦闘争には30万人が結集した。
 米帝国主義は、欧日との帝国主義間争闘戦を激化させ、イラク、中東から朝鮮−中国侵略戦争、世界戦争へ突進している。
 その根底に米帝の産業競争力の崩壊がある。GMとトヨタの逆転は象徴的だ。貿易赤字と累積債務は天文学的だ。世界大恐慌の過程がすでに始まっている。
 今労働運動を襲っている攻撃は、この存亡の危機を逆手にとったものだ。政府の財政破綻(はたん)、企業破綻を理由として民営化・アウトソーシング(外部委託)・工場移転が強行されているのだ。
 アメリカの基幹産業である自動車のGM、フォードなどが破綻し、年金の大幅カットなどを強行した。GM系の巨大部品会社デルファイは10月8日、破産法第11条(会社更生法)の申請を行い、現行の労働協約を一挙に破棄した。
 ノースウエスト航空は、AMFAに対し、8月に半数の解雇、賃金26%削減の攻撃をかけ、さらに破産法第11条を申請し、アウトソーシングを徹底的に進め、12月には全員解雇にまで攻撃をエスカレートさせている。
 航空産業では、70年代から規制緩和・民営化が進められ、短期収益競争で巨大航空会社が次々に倒産・交替していった。現在の倒産の波は、この歴史的破綻がさらに進行していることを示している。
 また、ブッシュ政権による05年4月の破産法制改悪によって、全産業で倒産攻撃が激化している。そして国家財政、地方財政の破産をテコにした社会保障、医療、教育、公共サービスの解体・民営化攻撃が激化している。
 ハリケーン・カトリーナの災害は、公共事業の民営化と戦争への資源集中によって引き起こされた。恐るべき被災に対して、ブッシュ政権は救援どころか、被災者、特にアフリカ系アメリカ人に対する差別扇動と軍・警察による追い出し、大企業による土地収奪でこたえている。
 この暴虐非道に労働者の怒りは臨界点に達している。だが、AFL−CIO既成指導部は、資本への際限ない譲歩を労働者に強いている。AFL−CIO(米労働総同盟・産業別組合会議、唯一のナショナルセンター)の労働者支配は破産したのだ。
 日帝も、米帝との帝国主義間争闘戦の激化の中で日米枢軸を強化し、戦争に突き進む以外になく、4大産別を焦点とした労働者階級への大攻撃に出ている。労働者は国境を越えて同じ攻撃に直面しているのだ。
(写真 「一人への攻撃は全員への攻撃」を掲げたILWU【国際港湾倉庫労組】ローカル10組合員総会でAFMA【航空整備士労組】のストライキ支持を決定。前列右がAMFAのプリスコさん【05年8月18日 サンフランシスコ】)

 AFL−CIO支配体制が崩壊

 05年、アメリカ階級闘争に第2次大戦後の時期以来の大激変があった。米帝の労働者支配の代官、AFL−CIOが大分裂したのだ。原因のひとつは、後で述べる米帝のすさまじい危機である。あとひとつは、04年にILWUローカル10が開始した百万人労働者行進(MWM)運動に示される戦闘的・大衆的・階級的な労働運動の新潮流がAFL−CIO指導部と激突しつつ躍進したことだ。
 MWMは、AFL−CIO官僚の支配を打ち破るランク・アンド・ファイル(現場労働者)運動として、労働者階級の独立した勢力の建設を明確に掲げ、皆保険制度やイラク反戦など労働者の切実な要求をスローガンにした。AFL−CIO指導部はMWM賛同禁止指令を出し、全力で動員を妨害したが、MWMは350万人の労働者を代表する労働組合・組織の賛同を集めた。
 AFL−CIO指導部は、イラク戦争を支持し、ベネズエラなどでの米帝のクーデター策動にくみしたが、これも民族解放闘争と国内の反戦闘争によって破綻した。
 従来のAFL−CIOでは労働者の怒りは抑えきれなくなり、大分裂に至ったのだ。
 AFL−CIO分裂後、分岐・流動・再編がさらに加速している。ナショナルセンターに加盟していない独立労組であるAMFAのストに対し、AFL−CIO指導部も、その分裂組織の「勝利のための変革」指導部も、スト支援の拡大を全力で妨害している。だが、AFL−CIO傘下の巨大労組である全米自動車労組(UAW)の本部委員長がAMFAのスト集会でともに闘う意志を表明した。自動車産業の倒産攻撃に対して、組合員の怒りが沸騰し、既成巨大労組も大流動しているのである。

 韓国のゼネスト支持し休業集会

 ニューヨークの都市交通労組(TWUローカル100、3万4千人)は、04年MWM参加を経て、新たな潮流が既成指導部の制動との闘いを強めている。05年12月13、19日、「公務員違法ストには逮捕と損害賠償だ」という市当局の恫喝に怒りを爆発させ、ストライキを行った。
 戦闘的、大衆的、階級的に闘う潮流が主流派に飛躍しつつある。
 ILWUローカル10は執行委員会で12月1日に@ローザ・パークス追悼と闘いの記念Aイラク侵略戦争反対B民主労総ゼネスト支持を掲げてストップ・ワーク・ミーティングを行うことを決定した。これは、太平洋岸の港湾の経営者団体との労働協約でかちとった、年1回、全組合員が休業して集会を行う権利をこの日に行使するというものだ。
 執行委員会決議は、組合員総会で討議され、可決された。一人ひとりの組合員が民主労総ゼネストを自分の闘いとしていった。
 ILWUの「ランク・アンド・ファイル労働運動の10の指導原則」は、既成労働運動の支配との闘いの武器になっている。だから、動労千葉が闘いの歴史の中で形成したものと共鳴するのだ。本来組合はAFL−CIO官僚が支配するようなものではなく、組合員自身のものだとして、一人ひとりの利益と意志を大事にする。そして、差別・分断と闘い、裏切らずに闘いぬくことを宣言している。階級的指導性、戦闘的な闘いと民主的討論をつうじて階級意識を高め、全組合員、全階級の団結を強化し、全米・全世界の労働者と結合し、ともに闘うということだ。
 ストップ・ワーク・ミーティングは通常、経営者団体が提示した協約案などの組合内での討議などのために行われる。この権利を民主労総ゼネストとの連帯のために行使することには、経営者団体との厳しい緊張関係がある。だから、労働運動内の諸潮流との闘いの激化や分岐・流動をもたらす。
 ILWUローカル10は、この緊張の中で民主労総ゼネストと連帯する道を選択した。民主労総が帝国主義の全重圧を受け、ノムヒョン政権の激烈な労組破壊攻撃に必死に対決している闘いに、自らをかけたのだ。
 首をかけ、組合の存亡をかけて闘っているAMFAローカル9もプリスコ委員長らが11・6日比谷でともに闘い、12・1ゼネスト支持の決議を上げ、ILWUローカル10の12・1集会に参加した。そして両労組の地元のサンフランシスコ労組評議会、アラメダ郡労組評議会などでも支持決議案が可決され、全世界の労働者に巨大なインパクトを与えている。
 国境を越えた現場労働者の闘う団結がついに形成され、労働者階級に対する階級戦争―世界戦争を世界革命に転化する闘いが開始された。米韓―全世界の労働者と連帯し、動労千葉のように闘おう。労働者階級の中に反帝・反スターリン主義世界革命の党を建設しよう。
 (村上和幸)
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 *ローザ・パークスさん 05年10月24日に亡くなった”公民権運動の母”。1955年12月1日、全米有色人地位向上協会(NAACP)モンゴメリ支部の書記だった彼女がバスの座席を白人に譲ることを拒否して逮捕されたことからバス・ボイコット運動が組織され、公民権運動高揚の出発点になった。

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週刊『前進』(2229号10面1)(2006/01/01)

 全国学生は改憲阻止ゼネストへ

 小泉打倒の最先頭に立つ

 

全学連は05年、「日の丸・君が代」強制反対、「つくる会」教科書採択阻止、沖縄・辺野古闘争などを全力で闘い11・6集会に大結集をかちとった。全国300万学生の改憲阻止ゼネストの実現に向け、新中央執行委員会の皆さんに決意と展望を大いに語ってもらった。(編集局) 

 学生座談会出席者

 内海佑一(法政大、全学連副委員長)
 今野進(東北大学)
 原田幸一郎(京都大、全学連副委員長)
 新宅公志(京都大、全学連書記長)
 今岡壮一郎(大阪市立大)
 中島敦史(広島大、全学連副委員長)
 織田陽介(司会、全学連委員長)

京都での日米首脳会談を直撃する闘いに立ち上がった全学連。キャンパスはブッシュ・小泉への怒りで染め上げられた(11月16日 京都大学時計台前)

 11月闘争の地平

 今野 世界革命の展望実感
 中島 嵐の中心に動労千葉
 新宅 反戦運動の季節来た

 小泉打倒への手応えつかむ

 織田陽介 05年は小泉打倒へまっしぐらに突き進んできた一年でした。秋の闘いをとおして小泉打倒、改憲阻止決戦の歴史的爆発への圧倒的な手ごたえをつかむところまできました。
 今野進 労働者集会は、自分は去年に続いて2回目だったんですが、本当に世界革命の展望を実感しました。韓国やアメリカから労働者が駆けつけ、AMFA(航空整備士労組)はストライキ中にもかかわらず勝利と国際連帯を求めてやってきた。各国でぎりぎりの地点から立ち上がった労働者が互いに結びあい、スターリン主義に破壊されたプロレタリア国際主義を復権しつつある。
 原田幸一郎 小泉政権の戦争と改憲、民営化の攻撃に対して、いよいよ労働者階級の総反撃が始まった。世界中で吹き荒れる戦争と民営化、労組破壊攻撃に対して、現場労働者の血の通った団結と闘いとして世界革命が開始されている。その扇の要(かなめ)に動労千葉の闘いがある。
 内海佑一 法大では、動労千葉講演会が決定的でした。ストレートに小泉政権打倒が、民営化との闘い、改憲阻止、4大産別決戦とつながる。動労千葉の闘いの中にこそ小泉打倒の核心をつかめるものがある。
 中島敦史 動労千葉のことを淡々と紹介してるだけでは学生はピンと来ない。しかし、小泉打倒にむけてあらゆる所から闘いが始まっている。その嵐の中心に動労千葉がいて日本の労働運動を揺り動かし、世界も注目している。学生自身が本質的に求めている闘いの先頭にいるのが動労千葉だ、われらの動労千葉なんだということが伝わった時、ぜひ11・6に行ってみたいという人が出てきた。
 今岡壮一郎 小泉や奥田は人間を殺すことなんかなんとも思ってない。尼崎事故では、大阪市大の学生も一人死んでいるんです。これに対して安全運転闘争を対置した動労千葉の闘いは、国鉄分割・民営化を知らない今の学生にとっても通用する。動労千葉のように闘う以外に生きていけない、殺されるわけだから。しかも動労千葉の闘いはすごく具体的。戦争を実際にやる段になっても労働者が決起したら絶対に止められることを示している。動労千葉の闘いをつかむことで労働者階級が新しい社会を作っていけると確信できる。
 織田 民主労総の全国労働者大会は革命のワンシーンを見ているようでした。革命歌が流れ、みんな地面をガンガンたたいてる。地響きがして揺れているんですよね。おれたちは闘うんだというのがみなぎっていて、すごいカッコいい。闘いたいと思っている人なら絶対に入りたくなる。
 原田 『前進』に掲載された「APEC反対決議」はものすごい決議だと思いました。社会の主人公はおれたち労働者階級だ、戦争・民営化を強制するブッシュはわれわれが追放すると宣言し、政治権力奪取にむけて力強く前進すると言っている。
 今岡 日本の派遣法がもっと極悪になって韓国に持ち込まれようとしている。それが日韓FTAやAPECと一緒にやって来る。こんなものがアメリカや日本から持ち込まれて来る中で韓国だけで頑張る、勝つというのは大変なことです。だから動労千葉への期待がものすごくある。日本の労働運動地図を塗り替えてほしいということですよね。国際連帯を作っていく上でも動労千葉のように闘うことが重要なんですよね。

 弾圧粉砕してデモ打ち抜く

 原田 11・16日米首脳会談粉砕の京都現地闘争は、小泉とブッシュの日米安保大転換を直撃し、改憲攻撃と真っ向から対決する闘いとしてやり抜きました。
 中島 警察権力とやりあってデモをもぎりとったのが決定的でした。
 原田 京都府警は、御所周辺のデモは一切認めないと弾圧してきました。大勢で警察署に抗議に行った時は、刑事20人ぐらいが軍手を一斉に着けだし、弾圧の脅しをかけてきた。こちらも一歩も引かず連日やり合いました。「デモ妨害許すな! いったい何様のつもりだ」というビラを大学でもガンガンまいた。そういう闘いの中で、御所の真横を通るデモを認めざるをえないところに追い込みました。
 今岡 デモの音が入って昼の会食シーンだけはテレビ報道できなかったらしいですからね。
 織田 「弾圧やれるもんならやってみろ」という闘いでデモをかちとったのが重要だよね。11・16闘争はキャンパス集会からすごい解放感でした。時計台前が学生で埋まって、飛び入りも続出、沿道全体を「ブッシュ、小泉許せん!」という空気に染めていった。
 新宅公志 朝ビラだけで1500枚もまいた。学生とのすごい一体感がありました。あの闘いが、この間全学連がつかんだことの集大成だったと思うし、小泉打倒の解放空間を作るということはこういうことなんだなと全国から集まった学生が肌で実感した。反戦運動の季節がやって来たぞ、どんどん広がるな、という確信があります。
 織田 民主労総のコジョンファンさんは「労働運動が新たな段階に突入するためには学生運動が爆発しないとだめなんだ」と言っています。まさに、その時が来ています。これから沖縄で、国会前で、どんどんぶつかっていく。全学連が最先頭に立って情勢を切り開いていきましょう。

 大学闘争の前進

 織田 小泉に勝ち寮守った
 内海 新施設決戦の勝利へ

9月21日、仙台地裁が執行停止を決定! 寮を砦(とりで)に実力で勝利(9月17日友朋寮前での全国集会 仙台)

 有朋寮決戦でつかんだ確信

 織田 有朋寮決戦を今振り返ると、小泉とやり合って勝った、勝って有朋寮を守り抜いたということだと思っています。
 あの時は「小泉、来れるもんなら来てみろ」「機動隊が何百人来ようが、おれたちは一歩も引かない」という決意でした。体力的には相当きつかったですけどね。夜中まで作業や討論をして、朝は連日5時起きで警戒体制をとって闘った。でも、守ってるだけじゃだめだと街頭に打って出ました。最初は大変な決意でした。「民営化批判なんかしたらぶっ飛ばされんじゃないか」とか話をしながら、でも「小泉打倒でいこう」ということで一生懸命みんなでビラを考えて。そうしたら街頭の反応は全然違ってた。総選挙投票日には2時間の街宣で1200枚ビラがまけた。寄せられた支援も次元を超えている。ただの学生寮に労働者が身銭をきって米を20`とか持ってきてくれる。
 もう一つの問題意識は、今までの寮運動をどうのりこえるのかということでした。やはり三里塚闘争に学んだことは大きかった。条件交渉のほうが、何か現実的路線であるかのように吹聴されてるけど、絶対に勝てないわけですよね。強制執行を権力に突きつけられた時、「自分たちに何ひとつ非はない。まず白紙撤回して権力を全部引かせろ。そうじゃなければ話し合いなんかできるわけねぇだろう」という人間的誇りを土台にすえて闘う。これをはっきりさせたことが決定的だった。その時はじめて「当局は学生の団結に震え上がっているだけじゃねえか。強制執行できるもんならやってみろ。その時はお前の首が飛ぶときだ」というアジテーションがバンバン出てきた。この教訓を小泉との対決としてとらえかえした時、有朋寮決戦は、今われわれがつかんでいるものを最先端で切り開いた闘いだったと思います。
 内海 法大では、11・6と新施設決戦を一体で闘いました。当局の狙いはサークル活動、自主活動、反戦運動の一掃にある。新施設で活動するためには活動方針、予算案、決算案、名簿まで出せと言っている。大学の意に添うサークルしか入れない、単独部室ではなく共用、半年ごとに部屋を入れ替え、荷物も置くなと言っている。防犯カメラや熱監視センサーまで取り付けた、まさに監獄のような代物です。当局は「学生会館の機能を引き継ぐ」と言ってたけど全部ウソ。

 当局のデマとペテン許さん

 大学教授なんてウソと詭弁(きべん)で塗り固められたサークル活動破壊者でしかない。これを徹底的に暴露して権威を全部失墜させていく。小泉との対決と構造が同じなんですよね。さしあたり強く見える敵は、実は学生が団結して立ち上がればすぐに崩壊するようなグラグラの体制なんだと暴き、学生の「勝てないんじゃないか」という重さを吹き飛ばす。秋の闘いでつかんだ質を大学闘争でも貫くことです。学生は一年生の時から資格を取らされ就職活動予備軍という扱いです。怒りは臨界点に来ている。11・6に決起した学生を先頭に新施設決戦に必ず勝利します。
 今野 東北大では「学生自治会費は払う必要ありません」という憎悪むき出しの自治会破壊攻撃を仕掛けてきました。当局は、独立行政法人化以降、大学に自治会や寮などの自治団体があったらやっていけないと相当追いつめられています。これに対して、1年生と結合していく中にこそ勝利の道があるということで頑張って新歓集会には新入生300人が集まって大成功しました。その中から活動家が生まれ、「つくる会」教科書決戦、6・22杉並区役所包囲行動にも結集していきました。危機の中で大学当局は「つくる会」に接近し、吉本学長は「武士道」とか山折哲雄などの反動イデオロギーを学生にすり込もうとしてきました。こうした中で「つくる会」教科書決戦を闘い抜いたことは決定的でした。
 前期の闘いの集約として7月に自治会選挙を闘い、ここ10年来で最高の7割信任で大勝利しました。原則を貫き、一歩も引かず闘えば勝てるということです。

 06年決戦の展望

 原田 扇動で全学揺るがす
 今岡 沖縄で決着をつける

単管やぐらに登ってボーリング調査を実力阻止。ついに計画変更にたたき込んだ(4月26日 名護市辺野古沖)

 いざ改憲阻止決戦の本番へ

 織田 小泉が、ついに改憲に手をかけてきた。この歴史的大攻撃に対して、全学連は全国300万学生の改憲阻止ゼネストを宣言し、日本帝国主義を革命的激動の炎の中にたたき込んでやらねばなりません。ゼネスト闘争の大爆発にむけ、秋の過程でつかみとった扇動上の教訓はほんとうに巨大なものです。
 原田 小泉反革命に対してわれわれ自身が根底的に問われた。これまでのあり方を全部打ち壊す必要がありました。大事なのは「学生が決起するのは難しい」という考えを徹底的にぶち壊すことでした。
 小泉反革命とは、すべての労働者、学生を地獄にたたき込むものです。そのギリギリの地点から学生も丸ごと立ち上がることは間違いない。しかし、この学生の決起を抑圧しているものが具体的にあるわけです。
 だから扇動も大転換しました。扇動は、敵の支配を日々うち破る土台になる闘いです。単に、いい内容のビラを出せば学生が決起するというわけではありません。敵の支配をうち破ることが核心であり、その時にこそ学生のエネルギーが解き放たれる。小泉の言っていることに一対一で反論しているようなビラではまったくダメなんです。怒りの爆発で吹き飛ばす、権威をたたき落とす、焼き滅ぼすということですよね。
 内海 重要なのは小泉をとことんこき下ろすことです。小泉なんかまったく脆弱(ぜいじゃく)だ、デマとペテンで塗り固めた虚妄(きょもう)の政治でしかないんだ。やつらの言辞を一つひとつとらえて百倍にして返す。みんな、ブッシュや小泉は倒したほうがいいと思うけど無理なんじゃないかと思ってしまってる。そうじゃないんだ、全労働者が決起したら小泉なんか一瞬で打倒できるんだという確信ですよね。
 新宅 戦争になる構造とかを説明しているレベルでは、学生もなかなか動けない。イラク戦争なんかおかしいと思っていてもクラスやゼミでは口に出して言いづらい状況がある。だから扇動で、ブッシュや小泉の権威をズタズタにしてぶっ飛ばす必要があるんです。ビラも、説明調を修正して徹底議論しながら作りました。全結論を「小泉=打倒対象」に絞っていく。そうやって一生懸命作ったビラはまくのも楽しい。こちらのまき方も変わるし、学生の反応も変わってきた。
 原田 最大の核心は、敵と味方をはっきりさせることです。敵は小泉や資本家どもであり、味方は労働者階級とキャンパスの学生なんです。学生の政治決起への信頼とは、自分たちの力でキャンパスを変えられる、社会を変えられるという確信そのものです。
 この確信を作ったのは、やはり仲間との白熱的討論と実践です。ビラの見出し一つでも夜中の2時、3時まで何時間も議論し、朝ビラが終わったらもう一度全員で総括をやる。ビラはどうか、受け取りはどうか、どこでまけば一番いいか、どう声をかけたら良かったかも含め、あらゆる議論をしてみんなで共有する。
 こうして、日々小泉とやり合い勝利した解放的な空間の中で、キャンパス展開に次々と新しい学生が参加し始めました。ここで決定的だったのは、自治会での取り組みを呼びかけたことです。自治会企画の討論の中から11・6集会を全学に呼びかけることが決まり、小泉政権打倒の全学実行委を立ち上げました。そこで1回生がビラを作り全学にまく。これがまた衝撃を与え、輪をかけて学生の決起が広がっていきました。
 今野 僕自身も11・16京都闘争ですごい重要なものをつかみました。小泉なんか打倒できるんだという空気がキャンパス中にある。昼集会にわんさか京大生が集まって、大学全体の空気が熱い。「これだ!」と思いました。東北大では今改憲と派兵延長反対のクラス決議運動をやっているんですが、アジテーションやビラの内容を転換してすごく反応がよくなってます。
 織田 結局、小泉とのやりあいなんですよね。
 そもそも、なんで強盗戦争やってるやつが国を代表してんだ。一人の人間として見たとき、ほんとに腐り果ててるし、絶対におかしいんですよ。学生が、ブッシュや小泉とまったく対等な立場に立ったとき、本当にこんなやつぶっ飛ばしたい、ふざけんな、というストレートな怒りが沸いてくる。この構造を実践的につかんだことがすごく大きい。
 もう一つは、いかに扇動内容を準備するかにかかっている。4大産別で次々と反乱が起こり、米軍再編にも全国で決起がまき起こっている。小泉は、こんな爆弾を抱えながら改憲に手をかけなければならない。小泉なんか何やってもうまくいってない、大破綻(はたん)しているわけですよ。このことを事実と数字の暴露を全力で用意し、あの手この手でキャンパスに持ち込む。小泉は権力とマスコミで世の中を制圧しているけど、アジとビラがあれば大学キャンパスはわれわれが完全に制圧できる。

 中国・北朝鮮侵略と闘おう

 原田 小泉政権が、体制の存亡をかけた改憲攻撃に踏み込んできた。憲法という戦後革命を圧殺した地獄の釜の蓋(ふた)を小泉はついに開けてしまったんです。時代はもう一度戦後革命の原点に戻った。改憲決戦は、戦争か革命かを問う歴史的決戦です。全学連は真っ向から闘いを挑むということです。
 新宅 06年は冒頭からイラク派兵延長、「日の丸・君が代」、国民投票法案、沖縄特措法案、教育基本法改悪をめぐる大決戦がはじまる。すべては中東や中国・北朝鮮への侵略戦争、世界戦争のためだ。こんなものほんの一握りの資本家どもが延命するためでしかない。キャンパスでも街頭でも全学連が破天荒に登場し、労働者・学生が総決起したら小泉なんか明日にでも倒せるんだとガンガン訴え、全大学で数百名、数千名のデモを爆発させよう。
 中島 国民投票法案をめぐる攻防からが改憲決戦本番です。国民投票法案を見ても、敵がいかに改憲と戦争をめぐる国論二分状態に陥ることを恐れているかが示されている。だから、国民投票運動にかかわること自身をもって処罰するなどと言っている。こんな八百長投票でなければ改憲もできないということです。
 いよいよ全学連が主役として躍り出る時代が来た。改憲阻止ゼネストはまったく可能です。それを実現できるかどうかは、われわれにかかっている。
 内海 21世紀冒頭革命を絶対にやりぬく立場で、改憲阻止決戦に決起します。05年決戦の中で、全学総決起の圧倒的展望をつかみ取ったことは決定的です。敵が凶暴なのは、敵が強いからじゃなく、敵が追いつめられているからなんだ。3万法大生の総決起を実現し全学でストを組織したい。
 今野 06年は、これまで経験したこともないような一大決戦をむかえようとしています。東北大は、院生を含めて2万学生の総決起をかちとり、これまでのストがエピソードとなるような大ゼネストを必ず実現します。
 今岡 改憲決戦は、同時に沖縄決戦です。沖縄圧殺、日米同盟強化に対し、全学連こそが「基地撤去・安保粉砕」の実力闘争をたたき付けよう。辺野古での激闘が日帝を追いつめ破綻させています。06年は、本土−沖縄を貫く闘いで基地と日米安保にとどめをさす年です。
 同時に改憲阻止こそ、最大の国際連帯の闘いです。靖国を闘い、沖縄や「日の丸・君が代」を闘ったから国際連帯がある。改憲決戦の大爆発で日帝を焼き滅ぼし、全世界の闘いの最前衛に躍り出よう。

 マルクス主義が勝利の武器

 原田 マルクス主義こそ真に時代を変革する革命的イデオロギーです。帝国主義にいまだ生命力があるかのように描くイデオロギーや、帝国主義の破綻を国家主義で突破しようとするイデオロギーを完膚なきまでに粉砕しよう。
 織田 民主労総がゼネストに立ち、社会全体を揺るがすものすごい闘いを展開しています。改憲阻止決戦でこういう闘いをやろうじゃありませんか。小泉やブッシュに、おれたちの未来を決められてたまるか。帝国主義の延命のためになんか命はかけられない。帝国主義打倒、革命にこそ命をかけるんだ。おれたちこそが歴史をつくってやるという主流派精神で登場する。その時、労働者は間違いなく立ち上がってくると思います。06年、全力でがんばりましょう。

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週刊『前進』(2229号10面2)(2006/01/01)

 沖縄の闘う議員から

 沖縄の闘う議員から新年メッセージが寄せられた。日米安保の大転換粉砕、新基地建設阻止へともに闘おう。(編集局)

 全国の闘う人達と共に一歩一歩前に 読谷村議会議員 沖縄反戦地主 知花昌一さん

 ハイサイ グスウヨウ チュウ ウガナビラ
 全国の皆様へ、新年のあいさつを送ります。
 沖縄と言ったら米軍基地問題がなんと言っても一番の焦点になります。その中で、昨年の名護辺野古の闘いは、日米政府の思惑=世界的米軍再編をくじく大きな勝利的成果を勝ち取りました。辺野古の600日を超える座り込み、激烈な戦いをやりぬいた海上闘争、那覇で、普天間で、読谷村で、東京で、全国各地で闘いぬいた成果です。
 東アジアにおける米軍再編とは、韓米同盟と日米同盟の機能的分業を廃止し、米韓日が軍事的一体化をなし、対中国戦略の構築とし北朝鮮に対する恫喝および崩壊戦略のための「戦争の日常化体制」を構築しようとするものです。日本のこれまでの戦争関連法もそれに連動するものです。
 この攻撃を日韓民衆が国際連帯を強化し、大きな運動を作り上げ、阻止する闘いをやり遂げる必要があります。
 今年も沖縄は、辺野古はさらに闘いの強化が必要であり、普天間撤去の闘いがあり、反戦地主の強制使用との闘いがあり、名護市長選があり、知事選があり、そして地方議員選があります。どの闘いも基地沖縄にとっては米軍再編を阻止する闘いの一環です。
 新年を迎える度に、いつも大きな課題が全面に迫り慄然(りつぜん)とするのですが、気落ちする暇はありません。全国の闘う人たちと共に、韓国の運動と連帯して、一歩一歩前に進みましょう。

 沖縄の「戦場化」は絶対見過ごせない 北中城村議会議員 宮城盛光さん

 新年明けましておめでとうございます。
 2005年の沖縄は、激しい闘いに明け暮れた1年でした。防衛施設局による一昨年の4月19日のボーリング調査強行から600日を超える粘り強い闘いが展開されました。単管ヤグラをめぐる攻防は陸上と海上が一体となって、また全国からの支援によってついに勝利しました。この闘いによって日帝を追いつめ、SACO路線を完全に粉砕しました。この勝利の意義は本当に重要です。
 2006年はこの勝利の地平からの出発です。しかし追いつめられた日米帝は、昨年10月29日の日米安保協(2プラス2)で米軍再編の「中間報告」を出しました。これは日米帝の世界戦争戦略に沖縄を位置づけたものです。辺野古の闘いはますます重要な位置を持ってきています。沖縄本島北部を要塞(ようさい)化し、沖縄全体を「戦場化」するものです。まさに沖縄差別の極致です。このことを黙って見過ごすことはできません。
 名護市民とくに辺野古のオジー、オバーたちとともに新基地建設(辺野古沿岸部案)の闘いに立ち上がります。今年も沖縄の闘いは熱くなります。
 9月統一地方選挙にも絶対に勝利します。日米帝の新基地建設阻止、中国・北朝鮮侵略戦争阻止、アジア人民と連帯してともに全国で勝利しよう。

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週刊『前進』(2229号11面1)(2006/01/01)

 成田からのイラク出兵阻止する

 反戦の砦三里塚の真価今こそ

 06年を闘う反対同盟の決意

全国集会で欠陥だらけの暫定滑走路粉砕を宣言(3月27日 成田市天神峰)

三里塚芝山連合空港反対同盟は、暫定滑走路北延伸攻撃粉砕、自衛隊成田出兵阻止への決起を全力で呼びかけている。血盟にかけてこれにこたえよう。今こそ三里塚40年の実力闘争の真価が発揮されるときだ。(編集局)

 40年の闘いの勝利 事務局長 北原鉱治さん

 40年の三里塚の歴史を振り返ってみると、誇りを持ち胸を張ってこの偉大な農民闘争の勝利の地平を確認できる。
 成田空港のこの有様をご覧なさい。国際空港とうたいながら国家暴力で農地を取り上げ、人びとの血を流し、命を奪い、逮捕者を出しながら建設されてきたが、今もって滑走路が「1本半」しかできていない現状だ。そして公団から民間会社になった今も「代替地も金も用意した、だから土地をよこせ」と迫ってくる。われわれの闘いが求めるものはモノや金ではない。人間としてどうあるべきかを主張する闘いだ。農民が営農し、そこに農地があり、開拓道路、一坪共有地、山林がある限り完全空港化など絶対にありえない。これを力ずくでも取り上げようというなら、われわれの決意は再び血を流そうとも「受けて立つ」ということだ。
 暫定滑走路北延伸攻撃を、この06年に完全粉砕する。成田を使っての自衛隊イラク派兵を絶対に許さない。
 小泉政権のもとで憲法、教育基本法の改悪も進められ、このままではあの悲惨な世界大戦の二の舞いだろう。私もかつて海軍の一員として南太平洋の戦場に駆りだされた。だがあの戦争は天皇制国家によるアジア、南方諸島に対する侵略・略奪の戦争であった。そして日本の敗戦でこれからは民主主義になるとささやかな希望が心にわいたのも事実だった。
 だが今の日本に民主主義はどこにあるだろうか。三里塚の現実がそれを示している。私も戦争によって青春を謳歌することがなかったが、今の若者たちも戦争の危機が迫り、何の夢も描けない時代の中にある。戦争に反対し自ら立ち上がり闘うことでしか未来は開けないことを、青年たちに訴えたい。
 『前進』は現状に満足することなく、より多くの人民を、特に若者を決起させるために自分たちに何か欠けているものはないかと常に自問しつつ、今後も闘ってほしい。

 強固な意志武器に 本部役員 鈴木幸司さん

 06年はまず北延伸を断念に追い込み、東峰の森を守る。闘いを東峰の人らだけにまかせてはいけない。あの森をあそこまで育てる苦労は容易じゃない。また、うちの上を通る飛行機はちょうど天神峰の市東さんのところを通るが、市東さんとこのうるささはこんなもんじゃない。互いに苦闘を分かち合い、団結と強固な意志を武器に闘うのが反対同盟だ。
 公団から空港会社になっても、やり方はまったく変わりない。金さえ出せば追い出せると思っている。農民がどれだけの思いで土地を耕し、作物を育ててきたか。そういう苦労なんか考えちゃいない。昔から農業をおろそかにした国は滅びると決まっているんだ。
 管制塔を占拠した人らが、国に賠償金支払ったっていうが、とんでもない話だ。権力に対し「悪かった、すみません」ってことだろう。自衛隊が成田から出ていったら、あれは完全に兵站基地、軍事空港だ。三里塚闘争はまさにこれからの闘いなんだ。
 俺もかつてシベリア抑留で、マイナス何十度という寒さの中で強制労働させられた体験がある。栄養失調や疲労で体の弱い人から死んでいくのを、たまらない気持ちで見ていた。天皇制の徹底した教育で、戦争で国のために死ぬことが一番の名誉だと思わされていたんだから、教育とは恐ろしいものだ。あんな戦争を二度と繰り返しちゃいけない。
 振り返ったら40年も闘ってきた。権力に対してこれほどやれるとは、闘いが始まったころは思わなかったが。ここまでこれたのも全国の闘う仲間がいたからだ。そしてさらに多くの人と結びついて、小泉を倒し、天皇制を倒し、権力を倒しましょう。
 『前進』は読者が学生が基準になっているんじゃないかな。もっとわかりやすく、たとえば俺ら農民も投稿する気になるようなものをめざしてほしい。「闘えば必ず勝つ」、この核心をぱっと示す、そういう新聞を期待しているよ。

 改憲阻止へ奮起を 本部役員 三浦五郎さん

 闘う同志のみなさんに新年のごあいさつを送ります。
 私は06年1月で満93歳になります。なかなか闘争の現場には出られないのが心苦しいのですが、気持ちはみなさんとひとつです。生きているかぎり空港反対闘争の隊列に加わっていきたいと考えています。三里塚闘争は人民に勇気を与える闘いです。負けるわけにはいきません。
 戦後60年、自民党の小泉政権は戦争政策を強めています。憲法改悪の問題を始め、反動攻勢が目白押しです。本当に怒りにたえません。許してはなりません。
 自衛隊の東部方面隊が制服のまま部隊として成田空港からイラクに出発しようとしているのです。反対同盟は軍事空港反対をかかげて闘ってきましたが、今こそ戦争情勢を粉砕するために、奮起する時です。米軍が成田に飛来する攻撃も現実味を帯びてきました。みなさんと一緒に阻止したいと思います。
 空港会社は今年中に北延伸工事への着工を行うと言っている。天神峰や東峰の仲間の人たちを大型機の騒音によって追い出す状況を作り出すのが北延伸の狙いです。大騒音で農民をたたき出す北延伸を許してはなりません。2006年は三里塚も決戦です。応援よろしくお願いします。

10・9現地闘争でデモの先頭に立つ反対同盟

 この地で農業営む 中郷 鈴木謙太郎さん

 三里塚は40年闘い続けてきたわけだけど、われわれにとっては日常なんだ。12歳の時から闘争のなかで育ってきたから。仕事に追われて普段はほとんど意識しないし、深く考える暇もない。だけど、国策が、俺らの闘いで止まったままというのは、考えてみたらえらいことだ。
 うちの部落の周囲では警備と称する嫌がらせも続いている。初めての人が援農に入ると、かなりしつこく監視にくる。家族への露骨な嫌がらせは、抗議の影響もあってずいぶん減ったけど。だから三里塚では長い歴史を通して、反対運動への支持は根強く、声にならない支持も多い。また、多くの人が警察を嫌っている。テレビドラマでは警察は正義で追いかける方と決まっているが、やつらが家をのぞいたりしてたちが悪いと、こっちが警察を追いかけることもある。
 いずれにしろ、空港会社は北延伸を完成させる期限を切ったんだから、今年は動くだろう。この地で農業を営む者として何をやればいいのか、団結を守るために何が最善の選択なのかをよく考えて闘っていく。

 現地攻防決戦の年 事務局員 伊藤信晴さん

 「北延伸は09年完成」がNAAの目標だ。遅れると羽田の新滑走路にアジア便を全部持って行かれるのでNAAは必死だ。工期から逆算して今年の秋着工がギリギリになる。今年は久しぶりに現地攻防戦で決戦の年になりそうだ。
 昨年3月に国交省の大臣書簡で「土地を売らないなら交渉はこれが最後だ」と脅してきた。あれが国の本音だろう。
 自民党の改憲草案では「国民の義務」を規定し、国防を義務として強制しようと狙っている。戦争に反対すると犯罪になる。平和な時代はいくらでも言えても、国が戦争を始めた瞬間、反戦をいうのは大変なんだ。戦争は国策中の国策だからね。三里塚が第一級の国策を40年も止めているという現実はすごいことだ。敵はやはり三里塚の陣形をつぶしたいんだ。
 小泉は「改革」ではなくて反動。三里塚こそが変革者だ。暫定滑走路「北延伸」阻止、空港の軍事化阻止、そして改憲阻止闘争の先頭に三里塚が立つ。

 許せない談合事件 婦人行動隊 宮本麻子さん

 小泉政権の「戦争と民営化」の攻撃によって世の中がどんどん悪くさせられています。福祉関連の私の職場でも労働者の数が減らされ、仕事が減らされ毎日へとへとになるまで働かされています。「公務員改革」と称する政策でこの状況がさらに悪化させられるなんてがまんができません。
 三里塚をめぐっても大変な年になります。北延伸は反対同盟をつぶすためだけの工事です。ですから東峰の森の問題や成田クリーンパークのような矛盾がつぎつぎと明らかになってきています。反対同盟は05年、北延伸の恫喝に負けず空港会社の攻撃を押し返しましたが、気を緩ませるわけにはいきません。
 談合事件も無視できる問題ではない。国土交通省や空港会社は何かと言えば「空港の公共性」を宣伝してきましたが、私腹を肥やすための空港建設だと弾劾されても反論できないでしょう。
 反対同盟は2006年、全力でがんばりますので共に前進しましょう。

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週刊『前進』(2229号11面2)(2006/01/01)

 敷地内から 北延伸攻撃許さない

 06年は白熱の年に 事務局次長 萩原進さん

 05年を振り返ってみると、あらゆるデタラメで非常識なやり方で暫定滑走路を800b延ばした結果がへの字に曲がった誘導路とか、今の空港の無様な形になっている。で、向こうは「北延伸」を露骨に出してきたわけだが、すぐには南には延ばせない。だから北にのばすぞ、大型機を飛ばすぞという脅しであり、追い出し攻撃なわけだ。
 こんなことをやすやすとやらせるわけにいかないという闘いが06年に引き継がれる。その焦点が東峰の森であり、クリーンパーク問題であり、天神峰現闘本部裁判であり、一坪共有地の裁判もある。「北延伸」攻撃をやればやるほど、矛盾が拡大しボロが出てくる。そういうところに追い込んできた手応えがある。
 だけどやはり彼らの狙いは、成田に4000bの滑走路を造って、大型機を飛ばし、軍事使用もできる空港にすることだ。そのために常識も法律も無視してやってくるだろう。だから06年は三里塚にとって一層白熱した年になることを覚悟しなければならない。40年間にわたって農地強奪と軍事空港に反対してきた三里塚の大義が証明され、その真価が問われるときだ。
 小泉はあと1年ということで、テロ対策、国民保護などというごまかしで戦争態勢づくりを進めるだろう。さらに彼流のやり方で民営化という労働運動つぶし、弱者の切り捨て政策、増税、教育の反動化なども進めるだろう。だけどその基盤は弱いことを見抜いてわれわれがガーンと闘えば、小泉政権の骨を折ることだってできる。そういうなかで全国の闘う人たちとの連帯がより一層求められてくる年だろう。
 最近の『前進』には闘いの現場からの投稿・報告がよく載るようになったが、個々の闘争の紹介に終わらず、お互い同士の連帯、結びつきをより強めるために、例えば沖縄・辺野古の闘いの勝利の展望を三里塚の実力闘争の歴史に見いだせるような提起を行ってほしいと思っている。

 私たちは引かない 天神峰 市東孝雄さん

 最近、私服警官の嫌がらせや機動隊の過剰警備を見ていて、とことん運動を続けてやろうと思う。
 われわれは、この地で農業を続けるという当たり前のことをやってる。北原事務局長がよく言うように、何か物を欲しがっているわけではない。警察の方が侵略者なのであって、われわれには堂々と通すべき筋がある。相手が国だから、国にたて突くってことは大変だが、正しいことは正しいと引かないのが三里塚だ。だが向こうは理屈にも法律にも合わなくても、北延伸をやってくるだろう。
 北延伸用地にある廃棄物処理場クリーンパークが閉鎖できなくて、NAAは処理に困っている。法律を無視して埋め立てないと工期が間に合わない。土地は旧公団の所有地で、NAAは返してくれといっているが、反対同盟が問題として取り上げたので市は弱っている。
 市の本音は空港に協力だけど法律も無視できない。この間、市長がうちにきて「成田市は国と立場が違う。北延伸には反対」みたいなことを言うから、ゴミ処理場はどうなってるのかと聞いたら、逃げるように帰ってしまった。
 今度の国会で共謀罪も出るでしょ? 政治全体の反動化が進んでいる。弾圧もこれまでより厳しくなっていくかも知れない。
 06年は大変な年になりそうだが、前向きに行きたい。法律面でも少し勉強しようかと思っている。いろんな困難を乗り越えてきた反対同盟だから、やっていける自信がある。

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週刊『前進』(2229号11面3)(2006/01/01)

 革命が必要なのだ 天神峰現闘本部裁判を支援する会代表世話人 戸村義弘さん

 先日、戦争体験を語る趣旨の会合に出て驚かされた。「戦争体験を語る」というから侵略戦争の反省に立った趣旨の会合だと一人合点して行ったら、戦友会みたいな趣きがある。靖国神社も批判しない。天皇制を賛美する。いたたまれなくなって最後に批判の言葉を述べて帰って来たけれど、反動化の状況が草の根にまで広がっている。知らず知らずのうちに足元までが戦争政治へ戦争政治へと侵されているのを実感して、ショックを受けた。今も昔も戦争への人民の動員のやり方は変わらない。
 こういう時代だからこそ三里塚のように権力に対して徹底的に闘う、政府批判を中途半端にとめておかない闘いが本当に必要だ。
 兄の一作が「みなさん、権力への敵がい心を持たなければならない。敵がい心の強さが闘いの強さを決めるのだ」と語った言葉をしみじみと思い出す。
 天神峰の現闘本部裁判は、反対同盟の側が原告となり空港会社側を被告席に立たせて追及するような展開がつづいている。本部の地上権は明らかだ。今後現闘本部の実地検証を求めて闘って行く。しかし、法廷の外での支援陣形の広がりが最後は勝敗を決する。
 社会が壊れ始めている。「革命」が必要なのだと声を大にして言いたい。
(三里塚教会員)

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週刊『前進』(2229号11面4)(2006/01/01)

 サマワ施設撤去へ

 北富士忍草母の会事務局長 天野美恵さん

 全国の闘う皆さん。今年もよろしくお願いいたします。
 北富士演習場とされている富士山麓・梨ケ原は、私たち忍草農民の先祖伝来の入会地です。火山灰のやせた土地で、そのうえ950bの高冷地の忍草で生きていくために、私たちは入会地にソバをつくり、燃料、飼料、堆肥、建築資材など生活の8割を入会地に依存して生活してきました。
 戦後この入会地を占領接収し、入会地から農民をしめだした米軍に対して闘いを開始してから60年になります。米海兵隊は北富士で実弾演習をくりかえしては、朝鮮やベトナムに出撃していきました。
 私たちは「富士を朝鮮・中東につなぐな」をスローガンに、演習場に何度も突入し、ゲリラとなって演習を実力で阻止してきました。この闘いのなかで、「北富士演習場に忍草農民の入会権あり」の判決を2度にわたってかちとってきました。
 政府や警察は、私たちの闘いをつぶすために、弾圧や分裂攻撃をかけてきましたが、私たちは絶対に負けません。
 イラク戦争のなかで、小泉内閣は北富士にサマワ宿営地模擬施設をつくり、ここで自衛隊派兵部隊の訓練をしてイラクに送りこんでいます。また憲法改悪や労働組合破壊、福祉の切り捨てなど目にあまるものがあります。
 私たちは今年も、サマワ模擬施設撤去・入会地奪還、北富士演習場撤去のスローガンのもと、三里塚、沖縄の反基地闘争、動労千葉を先頭とする全国の仲間の皆さんと連帯し、勝利をかちとるため不屈に闘っていく決意です。

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週刊『前進』(2229号11面5)(2006/01/01)

 三里塚に学び闘う 

 全関西実行委員会代表世話人/淡路町空港反対同盟代表 永井満さん

 私たち関西の住民が三里塚を知ったのは戸村一作委員長が淡路に来られた1969年7月のことであった。関西新空港を淡路島北部に建設するという案が持ち上がり、大方本決まりするところまで行った。島の北部の町々に反対同盟ができ、島を挙げて反対の機運が高まっていた最中であった。委員長は三日間、淡路島をめぐり、三里塚の闘いを語られた。
 私たちとって衝撃的であったのは、三里塚の闘いは、単なる住民運動ではない。生存のために農地を守ろうとする農民と、「公共の利益」を掲げて農民に襲い掛かり農地を奪おうとする国家権力との「階級闘争」である。そしてこの淡路島に空港を建設しようとする国家の計画に反対する住民の闘いは、三里塚と同じく必然的に国家権力に抵抗する人民の階級闘争にならざるを得ない。そういう人民の闘いを国家権力は全力でたたきつぶそうとするだろう。その視点と覚悟なしに空港反対の闘いの勝利はない。
 三里塚では農民が非妥協・不屈・実力闘争を掲げて闘っている。これは長い闘いになるけれども人民は必ず勝利する。
 この委員長の言葉と映画「三里塚の夏」は、私たちに大きな衝撃を与えた。私たちの「運動」はその最初から「闘争」に変えられた!
 以来三十有余年、わたしたち関西の住民はこの土台に堅く立って三里塚を、関空を、そしてあらゆる闘いを闘ってきた。三里塚こそ私たちの闘いの土台であり模範であり、目標である。「三里塚のように闘えば勝つ!」
 今、憲法を変え、教育基本法を変え、日本を再び侵略戦争にくみする国家に変質させようとする企(くわだ)てが露骨に進められている。
 私たち関西の住民は三里塚に学び、三里塚をともに闘う仲間と力を合わせ、この年も全力で闘うことを堅く決意する。
 三里塚闘争勝利万歳!

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週刊『前進』(2229号12面1)(2006/01/01)

闘う新年のメッセージ

 もうこれ以上我慢できない06年からの2年が勝負の時

11・6労働者集会の終了後、米韓の労働者とともに銀座をデモ

昨05年は日帝の戦争・改憲と民営化(労組破壊)の攻撃に、日米韓の労働者国際連帯で反撃する砦を築き上げた。この道を進もう! 06年の闘いに向かって、ともに闘う各界の人士、議員から寄せられたメッセージを紹介します。(編集局)

 この苦境にただ耐えて済ますことはできぬ とめよう戦争への道!百万人署名運動 小田原紀雄さん

 不況を脱しつつあるなどというデマをどれほど流そうと、労働者の生活実感では確実に困窮の度合いが強まっています。リストラに次ぐリストラ、規制緩和という名の中小企業解体攻撃が結果する労働強化、増税、連合会長選に示された結果は中小企業に働く労働者の怒りです。
 また、大都市における路上生活者の拡大は、この社会が、いうところの「社会的弱者」を切り捨てた上辺の豊かさの享受を共有する者のみが形成する方向へと進みつつあることを示しています。
 こうした傾向はひとり日本社会固有の事態ではなく、グローバリズムによる全世界的傾向です。ポストコロニアル社会は、人種、ジェンダー、階級、民族、宗教などを横断する差別構造を解決できないばかりか、グローバルな規模で地球全体の差別構造を固定化・深化させています。
 先のハリケーン・カトリーナがアメリカ南部の「下層大衆」にもたらした被害は、こうした社会の歪みの象徴です。また、フランスのアルジェリア移民の子どもたちによる「暴動」も同様の問題でしょう。
 06年は、労働者の「怒りを組織する」年にしましょう。もうこれ以上耐えられないし我慢をする気もないことを断固として示す年にしましょう。
 年頭から「共謀罪」制定阻止の決戦です。あらゆる民衆の闘いに牙をむくに違いない「共謀罪」の制定をなんとしても阻止しなければ、闘うことそれ自体の困難さは飛躍的に強まります。そして今年もまた春の「日の丸・君が代」をめぐる攻防戦を闘わなければなりません。国民投票法制定策動、教育基本法改悪攻撃、挙げればきりのない攻勢がかけられます。それらのすべてを自らの任務として担わなければなりません。
 そして、日本−沖縄関係史始まって以来ずっと差別・抑圧・収奪にさらしてきた沖縄の普天間基地代替辺野古基地建設の着手を、何としても阻止する闘いもまた我々の任務です。ご承知のとおり百万人署名運動の主任務は反戦闘争です。これの大昂揚(こうよう)を獲得して反改憲闘争の中軸を担い得る運動体へと鍛え直す年でもあります。共に闘いましょう。

 鉄鎖を打ち破り世界につながる運動を! 全国労働組合交流センター事務局長 辻川慎一さん

 私は、民主労総労働者大会派遣団の一員として再訪韓した。コジョンファン氏の言う「血だらけの匍匐(ほふく)前進で戦線を切り開いてきた韓国民主労総」は、その規模だけでなく階級性の高さにおいて私が目指す労働運動そのものであった。そして、何よりも驚かされたのは膨大な戦闘的労働組合活動家層の存在である。これが、民主労総の運動を切り開き、支えぬいているのだ。我々の中心的課題が、階級闘争に人生をかける青年そして学生活動家の育成・創出にかかっていることを確信した。
 私は日程を1日多く取り2年前ソウル本部で知己を得た移住労働者組合(MTU)の副委員長に会いに行った。委員長が獄中にあり事実上の委員長として闘っているバングラディシュ人である。彼が健在で、私の名前まで記憶していてくれたことを知り、再会したいと願っていた人である。
 私は、彼に無理をお願いし、移住労働者が働く工場を案内してもらった。そこでは、バングラディシュ人、カザフスタン人、ネパール人などアジア各国の労働者たちが韓国人監督の下、低賃金で長時間の過酷な労働に従事していた。彼らは突然の訪問を怪訝(けげん)そうに迎えたが、日本の労働者が訪ねてきたと分かると一転してうち解けてくれた。そして自分たちのおかれた厳しい現状を真剣に訴えた。私は、目と目、心と心で彼らが労働者として兄弟であることを感じた。低賃金で物価が高いと訴えながら、大切であろうお菓子やジュースを強く勧め、歓迎してくれる姿に熱い思いがこみ上げた。そして、どう彼らに連帯し応えれば良いのか苦悶(くもん)した。
 ところが彼らは「自分たちに会いに来て、訴えを聞いてくれただけでうれしい」と言うのだ。私が「貧しい国をつくる世界システムと新自由主義を、労働者の連帯で打倒したい」と言うと、彼らは「同感だ!」と応えた。私は彼らと固く握手した。
 私たちの闘いはすべての労働者とつながっている。確信も新たに06年決戦に突入しよう!(茨城県地域連帯労働組合執行委員長)

 国民投票法案粉砕し闘って活路を開こう 国労5・27臨大弾圧事件弁護団副団長 葉山岳夫さん

 新年のご挨拶(あいさつ)を申し上げます。
 11・6日米韓労働者集会の成功で、闘う労働者の国際的連帯は爆発的に進展しました。20年以上にわたる動労千葉の国鉄分割、民営化攻撃との闘い、全金本山労組の勝利、国労5・27臨大刑事裁判闘争の前進等々労働者の闘いこそが全国の、全世界の労働者に共感と連帯をまきおこすことが実感できました。
 また、鉄路を武器にして闘われた動労千葉の安全闘争は、沿線市民の絶大な共感、支持をかちとって勝利しました。
 2006年は、労働者を中軸とする全人民的な闘いによって、ファシスト小泉反動政権による改憲攻撃およびこれと不可分一体をなす、ファッショ的国民投票法案を粉砕する年です。小泉政権は、日米軍事同盟下に朝鮮半島、台湾海峡に対する帝国主義戦争のできる憲法改悪に向けて、9条2項を破壊し「公益と公の秩序」すなわち国益をもって基本的人権を制圧するというクーデター的攻撃をかけて来ようとしています。
 共謀罪の制定策動、教育基本法改悪、「日の丸・君が代」強制攻撃、アジアへの帝国主義戦争準備のための米軍トランスフォーメーション等々、闘わなければ生きられない状態です。しかし、闘えば必ず活路が開けると確信します。
 三里塚芝山連合空港反対同盟を中心とした成田空港絶対反対の闘いは、政府、空港会社をして2500b滑走路を事実上断念させ、その結果、欠陥だらけの2180b暫定滑走路をさらに北側に延伸するという反人民的にして自滅的攻撃をかけてきました。北側延伸攻撃およびこれと一体の天神峰現地闘争本部撤去を阻止する裁判闘争、一坪共有地収奪攻撃を粉砕する裁判闘争等を現地の闘いと連帯して闘うことによって成田空港廃港の展望を切り開くことが出来ると確信します。
 1047名の解雇撤回・原職復帰の国鉄闘争も前進しています。あの9・15鉄建公団反動判決でさえ国鉄の不当労働行為の一部を認めざるを得ませんでした。動労千葉組合員による鉄道運輸機構に対する裁判、さらには5・27国労臨時大会における刑事弾圧裁判を今年も元気一杯闘い抜く決意です。
 ともに頑張りましょう。

 労働者の国際連帯の力で小泉打倒を 東京反戦共同行動委員会代表 三角忠さん

 改憲と戦争に踏み込んだ戦後60年がすぎ、本年冒頭から、改憲のための国民投票法案、教育基本法改悪案の国会上程必至という待ったなしの帝国主義の戦争攻撃の本番を迎えた。
 わが反戦共同行動委員会の真価がだからこそ問われる時代に突入したのだ。
 われわれは、こうした全世界を覆う戦争の危機を帝国主義の本性をムキ出しにして突走る小泉政権打倒の絶好のチャンスとしなければならない。実際それは全く可能だ。
 あらためてわれわれの出発点をふり返ってみよう。1991年、アメリカの中東侵略「湾岸戦争」への日本の掃海艇派遣という重大な海外派兵に反対して結成されたのが本会である。
 その基調には、帝国主義がその危機の脱出をかけて歴代の自民党政府すら国会答弁で明確に否定した「海外派兵」に踏み切った点を日本の労働者民衆のすみずみにまで訴え、戦争を再生産してやまない帝国主義を打倒する力を持った大衆的反戦運動の構築こそ急務であることを自覚して出発したことを第一に宣言した。
 第二に、そのためには、否応なく派兵にかり出される自衛官を「軍服を着た労働者」すなわち戦争に反対する労働者階級の一員として共に闘う視点を明確にし、労働者階級こそが侵略戦争を許さない本隊であることを確認したのである。
 その成果は、すぐにPKOカンボジア派兵−小牧闘争で爆発した。以来15年、「二度と侵略戦争を許さない」われわれの闘いは、沖縄をはじめとする在日米軍基地を包囲し、海外派兵の前線自衛隊駐屯地への派兵拒否のアピール、あるいは戦争法案に反対する国会闘争へと脈々と受け継がれてきたのである。
 こうした営々たる闘いを地道に闘い続けてきたからこそ、昨年の11・6労働者集会に体現された日・韓・米の「戦争と民営化に反対する国際連帯」に大きく合流できるのである。
 いざ、改憲・戦争攻撃に突走る小泉政権打倒へ向け闘おう!

 労働者の怒りと力で燃える決戦の年に 反戦共同行動委員会事務局長 滝口誠さん

 「11・6」。日米韓の労働者が国境を越え、言葉の壁をのりこえ、がっちりと団結しながら、共通課題である戦争と民営化攻撃粉砕の歴史的”宣言”を発した。マルクスの『共産党宣言』が21世紀初頭の今、よみがえったのだ。
 動労千葉は、ただちに百名の仲間とともに、5万人が結集し11月13日にソウルで開かれた韓国・民主労総の全国労働者大会に決起し、18日にはプサンでのAPEC反対闘争に決起して民主労総の闘う仲間と熱い血盟を結びました。
 この偉大な地平に立って熱い思い、勝利の展望をただちに職場、学園、全国の労働者人民に還流させ、06年決戦勝利に向かって突進しよう。これからの2年間が勝負の時です。
 小泉や財界は06年通常国会で改憲にむけた「国民投票法」の制定、教育基本法改悪−改憲を強行し、一方では郵政民営化、40万人の首切り、労組破壊が吹き荒れようとしています。またこれと並行して数百万人の公務員労働者の首切りなど、労働者の団結も、雇用も、社会保障制度などすべてを破壊し、戦争に突き進もうというのです。
 「もうこれ以上我慢できない!」怒りとエネルギーは一挙に噴き出し、小泉政権打倒、戦争と民営化粉砕の火は、炎となって燃え広がることは必至です。その成否は私たちの闘いにかかっています。
 労働者階級を中軸に、帝国主義と対決する階級的反戦闘争を営々と闘いぬいてきた反戦共同行動委員会の出番であり、その真価をかけて06年決戦を全力をつくして闘いぬく決意です。ともにがんばりましょう。

被爆60年8・6ヒロシマ大行動(原爆資料館前)

 戦争と原爆を絶対に再現してはならない 反戦被爆者の会会長 大槻泰生さん

 闘いから闘いへ、昨年は大きな闘いの連続でした。
 8・8衆院解散、そして9・11総選挙は、反人民的な小選挙区制度により、残念ながら小泉・自民党の「歴史的大勝利」という結果におわりました。
 しかし、これによって小泉自民党政権と公明党による野合的な危機のりきり体制は、何一つ解決したことになりません。敵は、自民党内の造反議員をたたきつぶすという「内ゲバ」的反動エネルギーをもって、戦後体制の残存物をファシスト的に破壊し、侵略戦争と国内階級闘争を遂行できる強権的な恐怖政治をしこうと必死に画策しています。
 私たち、労働者人民には、小泉=奥田のいう「改革」で戦争動員にからめ取られるのか、それとも、あの11月東京・日比谷野音の全国労働者総決起集会が宣言したように、国際連帯の下、全国の青年労働者・学生を先頭に、小泉打倒、帝国主義打倒の闘いに起つのか、という、二つに一つの選択が迫られています。
 私は、先の侵略戦争を残念ながら「正義」と信じて、終わりまで戦争に協力加担しました。その結果が、原爆投下による放射線に身を灼(や)かれ、後遺症として、今日にいたるも、皮膚ガンによる左耳切除と原爆症によって、心身ともに苦しめられる毎日です。また、戦後60年たった今も、私の肉親は生死の確認さえできない状況です。これこそが戦争と原爆がもたらした現実なのです。しかも、私たち部落民にとっては、戦争は最大の差別行為でもあったのです。
 アジア侵略も、ヒロシマ・ナガサキも二度とくり返してはならないものです。だが、小泉自民党と神崎公明党は、今、再び、それをやろうと画策しているのです。
 私はこのまま、小泉政権を打倒せずしては、死んでも死にきれぬ思いです。
 皆さん! 今年こそ、「日の丸・君が代」強制、教育基本法改悪を阻止し、あらゆる改憲策動を粉砕しようではありませんか。人民を苦しめる社会保障制度の解体、「官から民へ」の資本攻勢をくい止めて、私たちの力で「私たちの世の中」を創り出そうではありませんか!

  阪神被災地で反戦・反失業の闘いを貫く 阪神被災地・雇用と生活要求者組合代表 長谷川正夫さん

 被災地の闘いは11年目を迎えました。
 被災地の闘いは、最初のうちは、被災者が立ち上がるということのおもしろさ、うれしさ、権利を主張することに気づき、11月労働者集会に参加する闘いでした。
 最初は70名参加しましたが、年々数が減ってきたのが事実でした。しかしその中で、忘れてはならないのは、労働者の団結ということで、その後の被災地の諸々の闘いの中で、その団結が引き継がれ、全課題の闘いをやり抜いてきたというのが、10年間の総括です。
 今年の闘いは、在日の人々との連帯や、部落差別に対する共同闘争、神戸空港、被災地の権利、関西合同労組・就労者組合などの労働組合が、被災地の反失業総行動という形の中で、すべての闘いに取り組んでいかなければならないと思います。それらの闘いの中に、被災地労働者企業組合もあり、自分たちが自分たちの仕事として、立ち上げてきました。
 このいろいろな闘いが、被災地総行動として闘っていく中で、それぞれを総行動の一環として、全部自分たちが担っていくという方向で、新しい年からやっていきたいと思います。
 ブッシュ、小泉ら独裁者は、労働者人民が立ち上がることによって、ぶちこわすことができるし、立ち上がらなければ自分たちが泣き寝入りするだけだ。それが運動だと思う。これら独裁者と闘い、「自分たちは自分たちで生きていく」という闘いだと思う。
 今憲法改悪が問われる中で、私たち労働者が、自分たちのための世の中とは何なんだということを考え、11・6労働者集会の中で言われた国際連帯の中で、まさしく革命が必要なんだと思う。
 今年こそ、労働者人民の生活を守り、改憲を阻止し、戦争を阻止する大きな決戦をともに闘いましょう。

 1月、東部方面隊のイラク派兵阻止を! 反戦自衛官 小多基実夫さん

 全国の闘う労働者の仲間の皆様、力ある反戦闘争の本格的な発展をともにかちとる年頭の決意を申し上げます。
 われわれ日本の労働者民衆は、武装した自衛隊のイラク(派兵)占領をこの2年間止められずにきました。自衛隊の全部隊を今年こそは絶対に撤退させなくてはなりません。そのために全力で取り組む決意です。
 とりわけ、1月下旬にも強行されようとしている陸自東部方面隊のイラク派兵を阻止する闘いは重要です。「東部方面隊は、横田、横須賀、座間、厚木など在日米軍の中枢を守る首都治安部隊を基軸としているため、唯一イラク派兵部隊から外す」というそれまでの方針を変更して、陸自の全方面隊(特に指揮官)に戦場体験−実戦経験を積ませることを最優先の課題にしたためです。そういう意味で、今までの派兵にも増して「自衛隊の侵略軍隊的転換」を強烈に目的化した許すことのできない派兵なのです。
 そして、制度的な面からいえば、陸海空3自衛隊の統合運用とトランスフォーメーションによる日米軍事体制の再編です。これは、日本を一挙に明治以来の侵略戦争常態化社会に一変させる突破口といえます。
 このように現実に開始した侵略戦争をテコにし、自衛隊の転換を切っ先にして、実は日本社会を丸ごと戦争国会に変質させようという狙いが進められています。言うまでもなく9条の無内容化、自衛隊の「自衛軍」化を始めとする自民党の改憲攻撃=「有事立法体制の完成化」です。
 このような凶暴な攻撃ですが恐れることはありません。反戦と革命と労働者の側に確実に勝機が近づいています。自衛官とその家族の人たちとの連帯−交流を広めることが重要です。
 イラク戦争開戦時の参議院選挙で自民党の自衛隊出身候補3名全員を落選させ、自民党選対から「裏切り者呼ばわりされた」という百万人余の自衛官とその家族たちの怒りは、ますます充満しているのです。
 昨年11月、国際連帯の大きな高揚をかちとった労働者の闘いは、今年は「軍服を着た労働者きょうだい」の心もしっかりとつかむことができると思います。ともにがんばりましょう。

 沖縄にこたえる闘い一人ひとりが担おう 沖縄民権の会 座覇光子さん

 私たちの闘いが永遠であろうとも一年に一度振り返り、決意を新たにすることは大切だと思います。「辺野古海上基地建設反対」の命がけの闘いの前に海上基地を断念せざるを得なかった政府は今度はキャンプ・シュワーブ沿岸案として県内移設を企てている。地元沖縄に何の断りもなく暴挙を行おうとしている。
 横田基地の爆音訴訟では32億円の賠償の判決を出しながら、沖縄では爆音訴訟も却下して新米軍基地を建設するというあまりにも露骨な権力のコントロールの下の差別に対して沖縄人は満腔(まんこう)の怒りをもってこたえるであろう。
 沖縄、本土の差を”温度差”というのは、受けとめ方の違いを双方がよく知っているということ。どちらもこれをのりこえようとしている。距離の問題ではなく、民衆の権利を剥奪(はくだつ)する国権の犯罪である。沖縄にかけられる攻撃は、日本労働者階級人民にかけられた攻撃である。
 沖縄民権の会では、「新しい歴史教科書をつくる会」の反沖縄キャンペーンの元になった曾野綾子の『ある神話の背景』を、徹底的に批判し、告発していく。「生きて虜囚の辱めを受けず……」。この洗脳によってどれほど多くの沖縄人が、〔集団自決などで〕殺人を強要され死なざるを得なかったか? これからの多くの若者のためにもこの本を焼き捨てたい! 曾野綾子のような考え、沖縄観をすべての人の心から払拭(ふっしょく)したい!
 善良なヤマトゥンチュは、「沖縄の問題を、自分たちの問題として考えたい」と言うが、「あなたの問題そのものだ! 沖縄の人以上に……」と言いたい。沖縄民衆はこれまで以上にエネルギーを出し尽くして、戦争に、軍事基地に反対していくでしょう。辺野古を阻止した闘い以上にもっと闘ってくれと言えるだろうか! これにこたえる闘いを一人ひとりが担い、示していく年である。本土、沖縄が一つに結ばれた時、これこそが、世界中の労働者階級の解放の道、戦争をなくして行く道である。

辺野古への新基地建設反対集会(11月23日)

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週刊『前進』(2229号13面1)(2006/01/01)

 闘う新年のメッセージ

 もうこれ以上我慢できない06年からの2年が勝負の時

「戦争賛美の教科書採択は許さない!」 杉並区役所を1千人が包囲(8月4日)

 本部派の妨害許さず差別徹底糾弾を闘う 部落解放同盟全国連合会書記長 中田潔さん

 昨年、全国連は「差別糾弾闘争を復権し、侵略戦争の時代にたちむかう新たな解放運動の創造」を宣言したたかってきました。その宣言どおり全国連は寝屋川支部にたいするデッチあげ弾圧に徹底糾弾をたたかい完全無罪で弾圧を粉砕する勝利をかちとりました。
 さらに、狭山第2次再審棄却を徹底糾弾し、狭山闘争の責任勢力として第3次再審闘争の方向性を指し示してきました。とくに、狭山現地における狭山支部がその先頭にたっています。長年の差別と権力の弾圧の重圧をつきやぶって地元の人々から、権力の差別捜査を糾弾・告発する運動が生まれてきました。石川一雄さんへの権力犯罪を暴き、権力の部落差別を徹底糾弾すること、これこそ、本来の狭山闘争です。今年は、いよいよ第3次再審闘争がはじまります。ともに闘い抜きましょう。
 さらに11・6労働者集会で、全国連は大会に次ぐ動員を実現しました。これは、みずからも労働者階級の一員として、動労千葉、港合同、関生支部を先頭とするたたかう労働組合と連帯して小泉反動政治を打倒するという全国連の決意のあらわれです。
 今年は部落解放運動にとっても、日本全体の情勢にとっても、非常に大きな節目の年です。ひとつは、憲法改悪、労働者階級への搾取と収奪を強める構造改革攻撃が本格化します。それは、部落差別の大洪水をひきおこし、部落大衆にいっそうの生活破壊をもたらします。解同本部派など既成の運動は大衆のたたかいを妨害しています。本当に厳しい局面です。
 一方で、「それでも部落差別を許さない。自分たちで解放運動をたたかおう」という部落のきょうだい、生活不安に怒りをもった部落大衆が、全国連に新たに結集してきています。全国連の組織建設にとって非常にチャンスを迎えています。
 こうした激しい情勢のなかで、3月5日〜6日、全国連第15回全国大会を開催します。この大会を全国連は、改憲阻止、小泉政権打倒をまっこうから掲げた大会とします。そして全国連の三大闘争路線こそ、この戦時下で、唯一たたかうことのできる正しい路線であることを明らかにします。
 2006年の闘いに、ともに勝利しよう!

  「小泉改革」と対決し5月市議選必ず勝つ 泉佐野市議会議員/泉州住民の会事務局長 国賀祥司さん

 2006年は、泉佐野市議選の年です。私の6回目の挑戦となります。「絶対に勝つ!」必勝の決意で闘います。みなさんのご支援をお願いします。
 5月市議選は、小泉の戦争と民営化との闘いと位置づけて闘います。小泉は「郵政の次は公務員」と自治労破壊を宣言している。経済同友会は「地方公務員制度改革への10の提言」で小泉の攻撃内容を吐露している。「提言」では、まず議員定数を半減させる。つぎに地方歳出を民営化で1割、市町村合併で1割の合計2割、20兆円を削減する。そして総人件費は定数削減で2割、給与で1割削減し計3割削減するというのである。ふざけるんではない。財政危機に陥った原因を造ったのは誰だ! 公務員労働者や市民にはなんの責任もない。
 泉佐野市政も国同様、新田谷市長のもとで小泉「構造改革」路線を突っ走ってきた。空港優先市政を長く続け、空港関連事業への巨額の歳出で、市民1人当たり約140万円もの借金(他市の3倍以上)をした。そのため経常収支が赤字になり、市職員と市民に犠牲を集中する政策をとった。3年間で200人の職員削減、給与昇級24カ月ストップ、3年間給与3%カット、その他諸手当カットで、3年で平均230万円もカットされている。市民へは、市独自の福祉施策は全部切り捨て、保育料など公共料金は全部値上げする。これで合計111億円も捻出(ねんしゅつ)する大リストラ計画である。
 この攻撃に、労働者、市民が起ち上がりはじめた。今年4月から家庭ゴミを有料化する市長方針に対し、反対運動、署名運動が始まった。12月から始まる説明会での激突を恐れた部長、課長、参事ら責任者3人が昨年11月末に退職した。職員と市民が共闘して反撃するチャンスである。
 また昨年5月、関西空港が自衛隊第6次イラク派兵部隊に軍事使用された。米軍トランスフォーメーションの日米中間報告では「民間空港・港湾を使った共同演習」が記載されている。関空の軍事使用、戦争攻撃との闘いも本番である。あらゆる意味で5月市議選は、小泉政権、新田谷市政と対決する決戦となった。
 全国のみなさん、昨年の11月国際連帯闘争の地平を拡大し、帝国主義を打倒する勝利の2006年にするためにがんばりましょう。

 弱者切り捨てと戦争への政治うち砕こう 東大阪市議会議員/解同全国連荒本支部 阪口克己さん

 すべてのたたかう仲間のみなさん! 新年あけましておめでとうございます。
 昨年は、小泉政権による戦争と民営化、労働運動つぶしと弱者きりすての政治、とりわけ9月の総選挙以降のやりたい放題の戦争政治に対して、11月6日の全国労働者集会の大成功をもって階級的な反撃ののろしをあげ、生き死にをかけた決戦に突入しました。
 地方議会のなかでも、三位一体の行財政構造改革の名の下に、大資本優遇の政治のあり方のすべてのツケを労働者や弱者におしつけようとしています。
 「公務員は優遇されている」というデマキャンペーンをふりまき、市民感情をあおる一方で、労働組合を解体して、今までかちとってきた既得権のすべてを奪い、人件費の総量抑制のために、多種多様な新たな任用制度を導入し、労働者をバラバラにし、指定管理者制度をはじめとして運営を民間企業に丸投げし、一切の公的責任を放棄する動きが大手をふってまかり通っています。
 さらに、高齢者の長生きが「悪」でもあるかのように宣伝し、帝国主義が自らつくりだした財政危機の責任を転嫁し、年金・医療・介護・生活保護をはじめとした社会保障制度の抑制と見直しが強まっています。
 その上、税制改革の名の下に消費税の値上げをはじめ、年金生活者からも税金をむしりとり、様々な控除や減免制度を見直して、二重三重の負担を強制してきています。まさに、黙っていたら殺されかねない時代がはじまっています。
 こうした小泉政権の戦争と民営化、労働運動つぶしと弱者きりすての戦争政治のなかで、部落解放運動に対する攻撃も激しくふきあれています。小泉政権は、自分たちに向けられる不満や怒りをかわすために、部落差別を悪用し、部落民だけが優遇されているかのようなデマ宣伝をふりまき、すべての矛盾の矛先を部落民に向けています。
 国や行政、議会、警察、自治会など公的責任をおっているところが、率先して部落差別をあおっている事件が増えてきています。私たちは、こうした国家や行政による差別と分断の攻撃を絶対に許さず、狭山第3次再審闘争をはじめとした糾弾闘争に勝利します。
 2006年は、部落民と労働者階級の団結した力で、小泉政権を打ち倒し、「改憲」策動をはじめとしたすべての戦争政治を粉々に打ち砕きましょう。
 3月5日〜6日に行われる全国連第15回大会の成功のためともに立ち上がって下さることを訴えます。

 日米同盟と米軍再編に市民総決起で反撃 相模原市議会議員/婦民全国協代表 西村綾子さん

 2006年は、この国をあらためて戦争をする国としてスタートさせるのかどうか決定的な年になるだろうと思います。憲法改悪と教育基本法改悪を絶対に許さないために、今日まで培ってきた思想と実践に確信を持った闘う労働者・市民・学生が全労働者の階級的怒りを組織して、全人民的闘いを国際連帯をかけてつくり出す時が来ました。
 労働現場で、地域で、学園で思う存分、そして粘り強く真剣な討論を巻き起こし、大きなうねりをつくり出しましょう。
 神奈川県・相模原も、いよいよ日米同盟と米軍再編との真っ向対峙(たいじ)する闘いが始まっています。
 米軍第1軍団司令部の座間キャンプへの移駐、横須賀ヘの原子力空母の母港化などは沖縄の新基地建設と一体の大攻撃であり、座間に置く前線司令部の下での部隊配置、機能、装備すべてにわたる実戦即応体制の整備にほかなりません。二度と戦争をしない誓いと国際連帯の実践としても、第1軍団の座間移駐は絶対に阻止しなければならないと思います。
 さらに重大な問題は、座間キャンプに、新設の自衛隊中央即応集団司令部300人を駐留させるということです。10月29日に共同発表され、3月に最終報告と言われる「日米同盟−未来のための変革と再編」は、横田基地や厚木基地の自衛隊への移管も含めて完全に日米軍事同盟として変革するというものです。
 さらに市是として全面返還を要求し、跡地利用計画も策定している相模総合補給廠には、自衛隊の普通科連隊1300人を移駐させるとの発表です。
 相模原では今、市民集会などを取り組んで市民総ぐるみの反対運動をしています。県下横須賀、厚木、相模原の労働組合や市民団体で構成する、「基地撤去を目指す県央共闘会議」では、昨年座間司令部を人間のくさりで取り囲む抗議行動を2回成功させ、年末には補給廠ヘ向けて、「米軍も自衛隊も来るな!」とキャンドルデモを行いました。これからが本番、戦争協力拒否の実践です。
 同時に小泉政治は、社会福祉の解体、増税、民間委託や公務員改革と称するリストラ、賃下げ、そして何よりも市民のための職員ではなくて、国策の執行人というお役人にしてしまう攻撃が激化しています。地方自治の破壊を許さない議員活動を市民とともにがんばっていく決意です。

 「つくる会」の企みは沖縄圧殺攻撃と一体 杉並区議会議員/都政を革新する会 新城節子さん

 全国のみなさん、獄中の同志のみなさんに新年のごあいさつをおくります。
 今この時を、世界の闘う労働者とともに迎えていることを実感しながら新しい年を迎えています。昨年11月6日の国際連帯集会での韓国やアメリカの労働者の闘い、民主労総大会・訪韓団の報告にそれを確信したからです。帝国主義という敵をみすえ、労働者階級が国境を越えて結ばれた時に状況を変え、時代を拓(ひら)く力が発揮されるのだということです。
 昨年は、教育労働者の「日の丸・君が代」不起立の闘いから始まり、都議選・教科書決戦から9・11総選挙への労働者の大反撃へとつながりました。採択過程の不正が暴きだされた「つくる会」教科書撤回の闘いはさらに拡大しています。「つくる会」が軍隊慰安婦や南京大虐殺の抹殺に続き、攻撃の矛先を沖縄に向けたことは、「つくる会」の破産につながるでしょう。
 「つくる会」の企みは、米軍再編・日米同盟の新たな転換で示された沖縄圧殺攻撃と一対のものです。中国への侵略戦争を想定し、再び沖縄を「戦場」にするというものであり、だからこそ日本軍の命令による集団自決が住民の意思であったかのように歴史を捏造する必要があるのです。帝国主義の国益のためには、沖縄がどれだけ血を流そうとも構わないということであり、これは第4次の琉球処分に他なりません。
 今「島ぐるみ闘争の再燃」「ゼネラルストライキを!」と、沖縄の怒りは沸点に達しています。辺野古の1年半の命がけの闘いは勝利をひらき、日・米帝国主義ののどもとにつきささっています。小泉政権の新憲法制定を阻む闘いの中にこそ、辺野古を始めとした安保・沖縄の闘いがすえられなければなりません。激しい時代を労働者・民衆の深い結束の力で変えてみせようではありませんか。今年もともに闘いましょう。

長谷川英憲・都革新代表を押し立て闘った7月都議選

 労働者の国際連帯に世界変える力を確信 杉並区議会議員/都政を革新する会 結柴誠一さん

 全国の読者の皆さん、新年おめでとうございます。
昨年は杉並区の「つくる会」教科書採択阻止の闘い、採択阻止を掲げた都議会選挙に全国からご支援をいただき、ありがとうございました。それにこたえ、教育労働者・保護者の闘いと結び、違法な採択手続や調査報告書の書き換えの不正を厳しく追及してきました。この春3度目の「日の丸・君が代」不起立闘争と連帯し、「つくる会」教科書を葬り去るまで闘います。
 昨年は、選挙や議会が物事を決定する場ではなく、一握りの財界の利益を追認させる道具でしかないことをさらけ出した年でした。決定する力は、労働組合の団結と大衆行動にあり、昨年11月6日の日比谷野音を埋め尽くした労働者の国際連帯です。ソウルの民主労総全国大会、釜山のAPEC闘争から動労千葉訪韓団が持ち帰った感動と輝きは、私たちを奮い立たせ、労働者の団結の力と勝利を確信させました。
 年明けから小泉政権は、共謀罪、教育基本法改定、国民投票法案など矢継ぎ早に打ち出し、新憲法制定に向け動き出しました。沖縄の辺野古から日本全土を北朝鮮・中国に向けた出撃基地とする安保の大改定に、沖縄の島ぐるみ闘争など、全国各地の基地闘争が大爆発する兆しです。「公務員は悪」の大宣伝、自治体労働者の民営化と首切り攻撃に、現場から反撃が始まりました。
 動労千葉が団結し切り開いてきた戦争と民営化に勝利する闘い方が、全産別、全戦線に燃え広がるでしょう。国境を越えて手を握り合い、初めて得た国際連帯の感動は、思いもよらないものでした。同じ困難に苦しみ、同じ攻撃にさらされ、共通の敵と闘う階級が、手をつないだ瞬間に湧き上がった力は、世界を変える自分たちの力に確信を与えました。
 私自身このような労働者の支援を受けて闘えることを誇りとし、それに恥じない闘いを志します。現場から寄せられた力こそ最強の武器です。いっそうのご支援をお願いいたします。

 闘う日本星火団よ!世界の人民と団結を 在日台僑元日本兵 林歳徳さん

 東アジア人民の進歩で、米帝の忠犬日帝は今、アジアから浮き漂うヤマト武者となり、最後のあがきをしているが、因果応報、結果おのずから成る。
 日本国内に散在している「星火団」(闘う日本人民達)の星火が燃え出し、天皇制日帝列島を焼き直して、新鮮な「日本人民共和国」が成立するのも間近に来ている!
 さすれば、人間から鬼になった旧ヤマト人が星火団の革命で、鬼から人間に復帰し、アジアの一人として、また旧中日友好国として、アジアの平和を帝国主義国(日米英露覇道)の手から奪い返すことができます。
 毎日苦闘している日本星火団よ! 世界人民と団結して、新鮮な日本人民共和国建立の「干城(かんじょう)」として、共に闘勝万歳の声を高く、大声で叫びましょう!


 2006(丙戌)年 元旦

 

 

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週刊『前進』(2229号13面2)(2006/01/01)

 獄中同志の新年アピール

 再審闘争の全人民化で「無期」うち破ろう 徳島刑務所在監 星野文昭同志

 二度にわたる世界大戦によって、全世界の労働者人民に史上類例のない惨禍を強いた帝国主義は、今再び弱肉強食的に延命するために侵略戦争−世界戦争によって世界を再分割し、またそのために国内で、大量首切り、賃下げ、生活破壊などあらゆる犠牲を労働者人民に強いる以外になくなっています。
 小泉「改革」とは、徹頭徹尾、帝国主義ブルジョアジーの利益と延命のためのものであり、労働者人民に一方的に犠牲を強いるものだ。それは、労働者人民の深い怒りを爆発させ、根底的決起を生み出す。
 11・6日米韓の連帯闘争は、全世界の労働者が連帯して帝国主義を打倒していく力をもった闘いとして、労働者人民の深い怒りと決起と結び、世界史を人間解放へと必ず転換していくものとなる。まさに、このような人間的未来を圧殺するものとして星野無期があることを訴えたい。
 私が死亡した機動隊員を殴打せず、火炎びん投てき命令をしていないことを百も承知で、嘘(うそ)の供述を捏造(ねつぞう)してまで無期を強い、今も再審を決定しない。これは、71年11・14が、日米帝の利益のために、アジア・世界への侵略・戦争、そのための沖縄基地強化と日本全体の動員の道を許さず、日本・アジア・世界の連帯した力で帝国主義打倒・人間解放の道を開き、のみならず、今日の闘いがそれを創造的に発展させていることを、日帝・権力が何がなんでもつぶそうとしていることにあります。
 したがって、星野無期は、私個人、家族のみにかけられているものではない。それは、沖縄−日本、さらに世界のすべての人民にかけられている。星野無期を覆すことは、すべての人民自らの課題であり、また、沖縄−日本、アジア−世界の解放、人間解放の闘い・力を根本的に強めていくものだ。
 星野再審・釈放の運動は、多くの心ある人びとの力を結集し発展してきたとはいえ、この20年、獄中、家族、何より暁子が、類例のない重圧をはね返して発展してきたことがあり、そのことが、多くの人びとの感動や共感、希望となって大きく発展してきました。今、獄中・家族の闘いが中心になりつつも、それを守りつつ、より広くすべての人民自身の闘いへ飛躍的に発展させていくことが問われています。
 今、名張毒ぶどう酒事件などの再審決定によって、「新旧証拠の総合的判断」ということによって再審を開く流れが、長い逆流からの転換としてつくられつつあります。
 私の再審においても、供述がデタラメであること、無実であることを突きつけていくことが鍵(かぎ)になっています。私が殴打したというK供述の服装と私の当日の服装が違うこと、私が終始、現場から離れた十字路上にいて、そこにいることによってしか見ることのできない目撃があること等々、嘘の供述を覆す「物的証拠化」をなんとしてもやっていきたい。
 人民の人間解放の希求、力を信頼し、依拠し、それを養い結集し、人間解放をかちとることと一体に、それを根本的に強めるものとして、それをつぶそうとしている星野無期を必ず覆しましょう。(71年11・14沖縄「返還」協定批准阻止・渋谷暴動闘争戦士。デッチあげ殺人罪で無期懲役。再審棄却に対する異議申し立てが04年1月棄却、現在、特別抗告審。獄中31年)

 帝国主義は危機だ!革命の勝利に攻勢を 横浜刑務所在監 倉持嘉之同志

 2006年は、改憲阻止、民営化阻止決戦の年です。
 現憲法は、軍隊・戦力の不所持、交戦権は認めないと明記している。しかし、日米安保のもと沖縄を最前線基地として米帝は、侵略戦争を続け、日帝はそれに協力して来た。イラク侵略戦争を契機として日米枢軸関係−日米軍事同盟は画歴史的に強化され、イラクに海外派兵された自衛隊は、その地位を年々高めており、また、朝鮮侵略戦争共同作戦体制は、実戦的に形成されつつあります。「主権在民」「基本的人権」についても同様で、とりわけ近年は、教育基本法、刑法、労働法などの改悪が進められています。
 こうした中で、自民党改憲草案は、軍隊の所持、交戦権の行使を明記し、「平和主義」にかえて戦争主義を、「主権在民」「基本的人権」にかえて国家主義とそのもとでの人権抑制を掲げています。日帝の再侵略戦争とそのための国家体制の構築を定めたものであることは誰にも明らかなことです。
 戦後世界体制は崩壊し、帝国主義間争闘戦は激化の一途をたどり、中東をはじめとして世界の再分割戦争は開始されている。アジアに孤立した敗戦帝国主義=日帝は、日米同盟のもと帝国主義としての存亡、権益をかけて、朝鮮・中国−アジア再侵略戦争に突き進もうとしている。しかし、それは、日米矛盾の激化をはじめ帝国主義間争闘戦を決定的に激化させ、朝鮮・中国−アジア人民の民族解放闘争と階級闘争の歴史的爆発が日帝にたたきつけられ、日帝は敗戦以来の根底的な体制的危機に陥ることは必至です。
 民営化攻撃は、百年以上にもわたって蓄積されてきた社会資本を資本家たちに投げ与え、あるいは、公共的な諸部門を資本主義の私的な利潤追求の対象とし、公共的な機能を本質的に喪失させる。それゆえむき出しの国家暴力による統治と一体のものです。何よりも民営化攻撃は、戦後的階級関係を支配階級の側から根底的に転覆するために、公務員労働者の労働組合を破壊し、そして、公務員労働者を再び天皇の官吏・官憲として、侵略戦争と階級支配の先兵にしようとするものです。しかし、民営化攻撃を粉砕する闘いは、日帝の思惑を核心において打ち破り、真に労働者人民の階級的団結を実現する労働組合を成長・発展させている。日本階級闘争の中で光彩を放つ動労千葉の闘いが、この勝利を雄弁に物語っています。
 改憲阻止決戦、民営化阻止・労組破壊阻止決戦は、労働者階級人民、被抑圧人民にとって、きわめて攻勢的な、人民の未来を獲得してゆく闘いです。それは、戦後的な枠組みや制約を革命的に打ち破る真に階級的な労働組合・運動、それを中核とする巨万の革命勢力を形成し、闘う朝鮮・中国−アジア人民との連帯、民族解放闘争との連帯、国際連帯をかちとる闘いです。まさに11月労働者集会が実現した画期的な地平を全人民化する闘いです。「連帯し、侵略を内乱へ」を実現し、日本革命を突破口とするアジア革命−世界革命を今日的に実現してゆく闘いです。反帝国主義・反スターリン主義の革共同の本格的プロレタリア革命党への飛躍をかちとり、2006年決戦に勝利しましょう。(90年10月武蔵野爆取デッチあげ弾圧元被告、74年1・24カクマル完全せん滅戦闘弾圧元被告、獄中16年)

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週刊『前進』(2229号14面1)(2006/01/01)

 日米韓の国際連帯を発展させ崩壊的危機の帝国主義打倒へ

 万国の労働者は戦争・民営化と闘おう

 島崎光晴

 はじめに

 06―07年は日本革命の命運をかけた時となった。4大産別での労働組合破壊を許して資本のむきだしの奴隷制度に引きずり込まれるのか、それとも4大産別決戦に勝ちぬいて労働者階級が社会の主人公として自らを解放するのか。新憲法の制定を容認して再び侵略戦争に動員されるのか、それとも新憲法を粉砕して日帝を崩壊的危機に追い込むのか。すべてが06―07年で決まる。日本の労働者人民は国際連帯を強め、日帝の戦争・改憲と民営化(労組破壊)攻撃をずたずたに切り裂き、日本革命に向かって06―07年を全力疾走しなければならない。
 現代帝国主義は今や、世界大恐慌と世界戦争に突入しつつある。第2次大戦後60年間の積もりに積もった全矛盾が噴き出している。そのような体制的危機の中で、帝国主義は、帝国主義国でも新植民地主義体制諸国でも、全世界で労働者階級に対する空前絶後の攻撃を仕掛けてきている。資本主義としても19世紀的な搾取を強め、帝国主義としては20世紀以上に最も凶暴になっている。
 しかし、帝国主義国の労働者階級はギリギリのところで反撃に立ち上がっている。新植民地主義体制諸国の人民は、イラク人民を始めとして民族解放闘争の新しい高揚期を切り開きつつある。今や、全世界で革命的情勢が到来し始めているのだ。20世紀はスターリン主義によって歪曲されてきた。しかし、21世紀冒頭の現在、歴史はついに世界革命に向かって転回しようとしている。11月の国際連帯・労働者集会と訪韓闘争はその最先端に位置し、革命の21世紀を照らし出すものとなっている。日本の労働者人民は、世界革命―日本革命に向かって死力を尽くして決起しなければならない。
 以下、第1章では、帝国主義が世界大恐慌と世界戦争にのめり込みつつあることを分析する。第2章と第3章では、米国と韓国の労働者階級がどのような情勢下で、どういう攻撃と闘っているのかを明らかにしたい。第4章では、日帝の戦争・改憲と民営化(労組破壊)の攻撃が帝国主義としての生死をかけた攻撃であると同時に、しかし日帝にとって確固とした展望があるわけでもなく、労働者人民が真っ向から立ち向かえば必ず日本革命に転化できることを明らかにする。

 第1章 米帝の恐慌防止策が限界へ 石油争奪めぐって戦争拡大

 第1節 住宅バブルの崩壊が間近に 自動車敗退でドルが弱体化

 現代帝国主義は今や、帝国主義としての基本矛盾を爆発させている。革共同は第6回大会(01年)で、帝国主義の基本矛盾を次のように規定している。「@過剰資本・過剰生産力問題の歴史的激化と世界経済の分裂化・ブロック化、その結合点で爆発する29年型世界大恐慌の不可避性として、Aまた、そうした事態のなかで生じる帝国主義体制の危機と、そのもとでの帝国主義戦争すなわち植民地侵略戦争と帝国主義世界戦争の不可避性としてあらわれざるをえない」と。今、世界で起きているのはそういうことだ。
 帝国主義世界経済は、すでに90年代末に危機の臨界点を越えていた。97年のアジア通貨・経済危機、97年秋からの日本経済の恐慌への突入、00年春からの米経済のIT(情報技術)バブル崩壊を経て、世界経済は大恐慌に突入し始めた。ただ、米帝が財政・金融政策を総動員して恐慌突入を防いだことによって、世界大恐慌はぎりぎりのところで先延ばしされてきた。しかし、そうした米帝の恐慌防止策は、より矛盾を深めるものとなった。いよいよ世界大恐慌は避けられなくなっている。
 何よりも、米経済の恐慌防止策とバブル引き延ばしが限界にきている。恐慌を防いできたのは以下の4点だ。
 @まず01年からの金融緩和である。03年には長期金利が1958年以来45年ぶりの歴史的な低水準となった。
 Aこの低金利によって住宅ローン金利も下がり、住宅バブルが膨れ上がった。米家計は住宅価格の上昇分を担保にカネを借り増し、それを消費に充ててきた。05年上半期の名目成長率6%強のうち住宅関連の寄与がほぼ半分を占めた。一方、米家計の負債総額は11兆1420億j(約1300兆円)に膨らんでいるが、その約7割が住宅担保ローンだ(05年6月)。
 B自動車ローンの金利をゼロにし、さらには従業員向け割引を一般客に適用するなど、自動車販売が無理やり拡大されてきた。値引きは最大で正価の34・5%にもなった。
 C01年度から繰り返し富裕層に大減税が実施された。
 しかし、これらの恐慌防止策は完全に限界に達している。
 @超低金利に加え原油価格の高騰で、インフレ圧力が強まってきた。FRB(米連邦準備制度理事会)は04年から金融引き締めに転じ、政策金利は01年9・11反米ゲリラ戦の前の水準に上がった。
 A住宅バブルがついに崩壊し始めている。最も投機的だったマンハッタンのマンション価格が05年7―9月期に2けたのマイナスになるなど、住宅価格はピークを打った。住宅価格が続落していくと消費は激減せざるをえない。家計の住宅ローン返済も焦げつき、米銀や国外金融機関に多額の不良債権が発生する。住宅バブルが全面崩壊する時こそ、バブル崩壊の”本番”がやってくるのだ。米国人民には、返済できない膨大な負債に加えて大恐慌が襲いかかる。資本家階級のためにバブルを引き延ばした結果、人民はとてつもない犠牲を強いられるのだ。
 B自動車の値引き販売で米自動車メーカーが経営危機に陥ってしまった。値引きによってGMは、新車を1台売ると2311j(28万円弱)の赤字を出すまでになった(05年1―3月期)。このため米自動車メーカーの業績は05年に赤字に転落。長期債の格付けは、「ジャンク(くず)債」と同じ格付けに引き下げられた。
 C恐慌防止策は、財政赤字・経常赤字(貿易赤字など)を急膨張させた。経常赤字の膨張によって、対外純債務(債務残高マイナス債権残高)の対GDP比は04年に21%を超え、07年には50%を超える見通しだ。80年代半ばに「ドルの危機ライン」と指摘されたレベルに初めて達しつつある。
 結局のところ01年以降の米経済は、家計債務、政府債務、対外債務を空前絶後の規模に膨れ上がらせただけなのだ。恐慌防止策によって米経済の矛盾は極まり、恐慌の爆発力がさらに充填(じゅうてん)されたのだ。米経済が本格的な恐慌に突入するのは避けられない。

 ドル・石油・軍事での支配が崩れつつある

 恐慌防止策の行き詰まりとともに、ドル暴落がいよいよ現実化している。ドル暴落は、米国と世界の金融市場を瓦解(がかい)させて大恐慌を引き起こすとともに、通貨面からのブロック化を促進するものとなる。
 第一に、自動車産業の崩壊的危機に見られるように、米経済がさらに没落している。90年代半ば以降、米帝は日本の自動車会社に米国現地生産を促し、米国内に日本企業を抱え込んで競争力をそぎ落とそうとした。しかし逆に、日本車の米国現地生産は米自動車会社の敗退を引き起こした。日本車3社の北米現地生産は、00年の285万台から05年には400万台と激増した。その結果、新車販売でGM・フォード・ダイムラークライスラーのビッグ3のシェアは初めて60%を割り込み、日本車全体で初めて30%を超えた(04年)。自動車は、米製造業で国際競争力を保持している数少ない部門だった。GMは米製造業で売り上げ第1位。その自動車で米資本が敗退し崩壊的になっているのだ。日米帝国主義間での新たな〈不均等発展〉にほかならない。ドルを没落させる歴史的事態だ。
 第二に、米国の巨額の財政赤字・経常赤字は国外からの資金流入によって補填(ほてん)され、それによってドルが維持されてきたが、この構図がもろくなっている。国外の民間資金が米市場や米企業に”魅力”を感じて流入してくる、という従来の構図は崩れている。日本・中国などの中央銀行による米国債の買い支え、さらにはオイルマネーという特殊な資金によってドルが支えられる状態だ。特に中国は対米カードとして米国債を買っており、米中関係が緊張していけばドル暴落の現実性はいよいよ高まる。
 第三に、従来、世界の原油取引がドル建てで行われ、それを米帝の石油支配と軍事支配が支え、この全体がドルの信認を維持する関係にあった。しかし、米帝のイラク侵略戦争の泥沼化によってこの全体像が崩れつつある。米帝は、確認埋蔵量で世界第2位のイラクの石油を独占し、親米の大産油国に転換させる狙いだった。しかし、イラク戦争の泥沼化はこの狙いを打ち砕いた。むしろ逆に、戦争の泥沼化は米帝の石油支配と軍事支配の限界性を暴き出しつつある。すでに9・11以降、「有事に弱いドル」に変化している。イラク戦争の一層の泥沼化は、ドル・石油・軍事の一体化でかろうじて成り立っている米経済を最終的に瓦解させるにちがいない。

 中国のバブルも崩壊すると日帝は大打撃

 米経済が本格的な恐慌に向かっていく時、中国経済も崩壊的な危機を迎えざるをえない。何よりも、中国経済の成長なるものは、中国に進出した日米企業が米市場向けに輸出を増やしてきたことによる。中国のGDPに占める輸出の割合は42%(05年上半期)で、ハイテク産業の輸出の85%が外資企業による。だから、米経済恐慌は中国を直撃する。中国に進出している日米欧の大企業は、対米輸出の減退による中国での減産・減収という初の事態に直面することになる。最も大きな打撃を受けるのは日本企業だ。
 また、中国の国有企業を中心にしたバブルも崩壊せざるえない。中国では建設や自動車の需要を当て込んで、鋼材・セメント・アルミ・化繊などへの過剰投資・過剰生産が行われてきた。03年から若干の引き締めが実施されたが、地方政府には抑制が効いていない。固定資産投資(インフラ建設・設備投資・不動産投資)は、なおも増え続けている。しかも国有銀行が、国・地方にとって資金を引き出すための「自動預け払い機」のようになっているため、野放図な投資がはびこっている。銀行の融資額は、02年末からわずか1年半で5兆元(約65兆円)も増えた。このため、主要製品600品目のうち約87%もが供給過剰となっている(11月公表)。このような中国バブルが破裂するのは避けられない。それは、世界大恐慌を本格的に爆発させる要因となる。

 米欧ではインフレ化 引き締めは恐慌促進

 大恐慌の今ひとつの引き金として、世界的なインフレ圧力がある。米バブルが崩壊し始めた01年以降、米日欧はそろって金融緩和政策をとった。これが世界的な過剰流動性を引き起こしている。実体経済をはるかに上回るマネーがあふれた。世界の機関投資家の金融資産残高は04年には初めて40兆jを突破するまでに膨らんだ。この過剰流動性のもとで、米欧ではすでに物価上昇に転じ始めている。日本はやっとデフレから抜け出すかどうかの局面だが、世界的にはインフレ化し始めている。さらに原油価格高騰が物価上昇要因として加わっている。このため、米国に続いて欧州中央銀行も、05年12月に5年ぶりの金融引き締めに転じた。
 歴史的には90年代半ばから過剰流動性が続いており、少々の利上げではインフレが収まらない可能性もある。そうなると、インフレに対して厳しい金融引き締め政策をとらざるをえなくなる。それが世界大恐慌の引き金を引くことにもなりかねない。
 21世紀に入って、米帝の恐慌防止策、中国のバブル経済、世界的な過剰流動性のもとで、帝国主義世界経済はなんとか生きながらえてきた。しかし、それは世界的な過剰資本・過剰生産力をますます累積させるものでしかなかった。そのすべての矛盾が今や、世界大恐慌として爆発しようとしているのだ。資本主義のもとでは、生産力の発展は恐慌に行き着くしかなく、労働者は大失業にたたき込まれるしかない。もやは、こんな資本主義は終わらせるべきなのだ。労働者が生きていくためには、資本主義という体制自体を覆すしかないのだ。

 第2節 FTA締結でブロック化へ イランと中国巡り米欧対立

 帝国主義間争闘戦の激化、世界経済の分裂とブロック化も、新しい局面に入っている。
 帝国主義間争闘戦で現在の最焦点となっているのは、石油資源の争奪戦である。米帝によるイラク侵略戦争の最大の目的は、フランス・ロシアなどが持っていたイラクの原油開発権益を奪い取ることにある。石油資源の奪い合いがすでに帝国主義の侵略戦争として火を噴いているのだ。レーニンは『帝国主義論』で、植民政策の要因としてまず〈原料資源の独占的支配〉をあげた。20世紀初頭の帝国主義も21世紀冒頭の今の帝国主義も、まったく同じではないか。産油国に侵略し人民を殺戮(さつりく)して石油を略奪する。軍事力を使って他の帝国主義から石油権益を奪い取る。そのために労働者人民を戦争に引きずり込む。そうした帝国主義戦争がすでに始まっているのだ。
 現在の石油争奪戦は、世界に戦火を拡大していくものとなろうとしている。何よりも、米帝はペルシャ湾岸の石油権益を絶対に手放せないため、イラクで泥沼化すればするほど中東とイランなどへの侵略戦争を拡大していく以外にない。さらに米帝は、原油の調達先を多様化するため、ベネズエラなど南米、ロシアとカスピ海地域、ナイジェリアなどアフリカからの原油輸入を増大させている。しかし、これらの地域はすべて、民族解放闘争が激しく起こっているところである。その地域で米帝が石油権益を奪うには、侵略戦争に訴えるしかなくなる。また、中国も世界中で原油権益の確保に参入しようとしている。石油をめぐる米中対立の激化は、米帝の中国侵略戦争への動きを助長することになる。
 米帝のイランや中国への侵略戦争の策動は、米欧争闘戦をますます非和解にし、軍事的緊張を引き起こしていく。フランスを始めとしてEUは、イランとも中国とも経済的・外交的な関係を強めている。フランスは05年3月の台湾総統選の前には、中国と初の海軍合同軍事演習を実施するなど、軍事的関係にまで踏み込んでいる。

 ロシア・中国がドル離れしユーロ格上げ

 さらに、帝国主義は死活をかけて、世界市場の再分割、勢力圏の奪い合い、FTA(自由貿易協定)の締結合戦にしゃにむに突っ込んでいる。03年秋のメキシコでのWTO(世界貿易機関)閣僚会議の決裂は、「多国間交渉」を頓挫(とんざ)させた。これ以降、各帝国主義は一斉にFTA締結に突っ走った。04年には世界中で結ばれたFTAが200件を突破、05年には300件に達する見込み。第2次大戦の最大要因となったのは1930年代の世界経済のブロック化だった。それをはるかに上回るブロック化がすでに今、進行しているのだ。
 各帝国主義国は、他の帝国主義国を排除して勢力圏を囲い込もうとしているが、実際は排除できず、米欧日の入り乱れた争闘戦になっている。東アジアでは日米欧が、南米、中・東欧、中東・アフリカでは米欧が激しく争っている。
 こうした通商面だけでなく、通貨面からもブロック化が進んでいる。欧州単一通貨ユーロは、やはりドル体制を突き崩すものとなっている。すでに、アジア各国・地域の預金に占めるドルの割合は、01年9月末の80%強から04年末の67%にまで大きく低下した。05年にはロシアと中国が自国通貨をドル連動制からバスケット方式に変え、ユーロの割合を引き上げている。ドイツなどEUはロシアに対し、原油・天然ガスの輸出をドル建てからユーロ建てに替えるよう働きかけている。もしこれが実施されると、通貨面でのブロック化が一挙に加速するだろう。

 第2章 年金・医療解体するブッシュ フロリダ州モデルに民営化

 第1節 所有者のための社会に転換 所得税廃止し消費税一本に

 米国の労働者階級は、戦争と民営化(労組破壊)の攻撃と果敢に闘っている。米帝は、80年代初めのレーガン政権以来、労組への弾圧と破壊、賃下げと労働条件の改悪、経済的・社会的規制の緩和・撤廃と民営化、社会保障の削減を四半世紀にわたって強行し続けてきた。長期の不況と国家財政の破綻(はたん)のもとで資本主義として延命するために、同時に帝国主義間争闘戦で優位に立つために、ひたすら労働者に犠牲を強いてきたのだ。
 現在、米帝は労働者階級への攻撃を質的にエスカレートさせつつある。第2期ブッシュ政権は、「オーナーシップ(所有者)社会」構想を国内政策の基軸としている。米国では、30年代のニューディール以来、階級協調的な社会政策が膨大に作られ、制度化されてきた。レーガン時代以来、解体されてきたとはいえ、依然として残っている。ブッシュ政権はそれを徹底的に解体し、「所有者」=資本家階級の利害に沿った社会に大転換させようというのだ。
 「オーナーシップ社会」構想の第一の柱は、公的年金制度の破壊である。65歳以上の米国民の年収のうち、公的年金が4割弱、企業年金が2割弱を占める。現行制度では、労働者が給与所得の6・2%を公的年金の保険料(社会保障税)として国に納め、政府が一括運用して高齢者に給付している。これを廃止して、任意加入の「個人退職勘定」に変え、運用も個人の管理に任せようとしている。要するに、年金を国家の社会政策から個人の資産管理に転換するということだ。
 第二の柱は、公的医療保険制度の解体だ。米国では無保険の人が全人口の16%にも上っている。公的医療保険は、高齢者向けのメディケアと低所得者向けのメディケイドに限られている。それでも、連邦政府支出に占める公的医療保険の割合は、公的年金を上回る。これを解体し、民間医療保険に転換させようとしている。
 1935年創設の公的年金と1966年施行の公的医療保険こそ、米国の社会保障制度の柱をなす。それを解体して民間に投げ捨てようというのだ。05年版「大統領経済報告」では「個人の選択機会と管理権の拡大」などと称している。要は国家制度の民営化そのものだ。
 年金では企業年金が積立不足になっており、医療では企業の医療費も削減されており、何重ものダメージとなる。現在の米国の自己破産の原因で一番多いのは医療費負担で、破産の半分を占める。乳幼児死亡率はキューバ以上の高さになっているが、これも医療が奪われているからだ。公的年金と公的医療が解体されれば、もっとひどい事態となる。
 第三の柱は、資本家階級を徹底優遇する税制への大改悪だ。すでに第1期ブッシュ政権下で、株式配当・値上がり益への課税は累進税率を撤廃して低率化し、所得税の最高税率は35%に引き下げ、相続税は撤廃して、贈与税は最高税率を35%に引き下げた。01年度の減税のうち3分の1もが、年収120万j(約1・4億円)の富裕層に集中した。法人所得番付で上位200社のうち80社が法人税を1jも払わなくてもよくなった。
 第2期ブッシュ政権は、個人所得税を10―35%の6段階から15―33%の3段階にし、法人所得税は8段階から30%に一本化し、配当・値上がり益課税と贈与税を撤廃しようとしている。さらには、所得税を廃止し、消費税一本に大改悪する案が出ている。配当など資本家の金融所得を無税にし、労働者の生活にだけ課税しようというのだ。

 第2節 州予算の41%が民間委託に 40%占める臨時職・パート

 ブッシュ政権は、従来から行ってきた規制緩和・民営化を一段と進めている。
 規制緩和では、05年4月に第2期政権としての規制緩和策の実施を関係省庁に指示した。たとえば、米雇用機会均等法によって、従業員1000人超の企業には業務部門ごとの男女の従業員の比率、人種構成などの詳細な報告が義務づけられているが、それを簡素化する。つまり企業が女性差別、人種差別をやりやすくする。また、米国では企業への集団代表訴訟が多いが、資本家階級の要求を受けて訴訟を難しくする新法を作った。さらに医療過誤訴訟の賠償金には上限が設けられた。工場や発電所の排ガス規制も緩和された。雇用、企業訴訟、医療、環境という多方面にわたり、資本家階級の利害に沿った規制緩和が強行されている。
 民営化では、政府サービスの実施主体を官と民の競争入札で決める制度が導入されつつある。米国では「競争的調達(コンペティティブ・ソーシング)」と呼ばれるが、日本の「市場化テスト」とまったく同じだ。ブッシュ政権は、「連邦政府職員の半数が、民間でもできるサービスに携わっている」として、「その半数に当たる約43万人を競争的調達の対象にすべき」としている。
 州政府の民営化では、フロリダ州が全米のモデルとなっている。99年から05年にかけて140件もの州機能が民営化・民間委託された。その結果、州予算570億j(約6・8兆円)のうち41%もが、委託した民間会社に支払われるまでになっている。史上かつてない規模と範囲の民営化だ。
 人事業務の民間委託では、委託先のカバーガイズ社には守秘義務が課せられているが、カバーガイズの下請けには守秘義務もなく監査もされておらず、個人情報の安全が問題になっている。さらに、事前テストでエラー率が37%だったにもかかわらず強引に民間委託したため、人事業務の外部委託では業務に遅れが発生、州公務員の保険が解約される事件も起きている。民営化がとんでもない事態を引き起こしているのだ。
 さらにブッシュ政権は、社会福祉や環境保護などの制度を連邦から州に移管する形で切り捨てている。

 連邦から州に移管し民営化して切り捨て

 06会計年度の連邦予算では、農業・住宅・環境保護など150以上の連邦政府事業を州移管によって縮小、廃止する。しかし、州財政の方も第2次大戦後最大の危機にある。貧困層のための制度・機構は、連邦レベルに比べて州レベルでは弱い。しかも、多くの州では州法で財政均衡が義務づけられており、州移管となると即、民間に投げ捨てられてしまう。
 実際に03年度の場合、州財政全体で教育・福祉・医療・刑務所などの経費が145億j(約1・7兆円)も削減された。この中には相当規模の民営化が含まれる。04年度では、州全体の歳出の約3分の1を占める教育関係費が最も多くしわ寄せを受けた。約20州で小中学校などの教職員削減や学校閉鎖を余儀なくされた。教育の民営化そのものだ。さらに、各州が運営しているメディケイドも予算が圧縮された。一方で、04年度だけで29州が175億j(約2・1兆円)もの増税を実施した。これこそ日帝の「三位一体改革」の原型にほかならない。
 このような規制緩和・民営化によって、非正規雇用がますます増大している。米国では90年代以来、業務の外部委託やリストラによって人員削減と非正規雇用化が強行されてきた。米国のパートタイム・臨時雇用など非正規雇用の労働者数は4390万人(04年)、公式・非公式の解雇者を加えると6000万人以上で、1億3200万人の労働者の40%が長期的臨時職あるいはパートタイムだ。医療、運輸、小売り、公務、教育、ホテル、食品業などで外注化と臨時職・パート化が拡大している。
 非正規労働者は、賃金が低いだけでなく健康保険、有給休暇、企業年金などの付加給付がつかない。日雇い派遣労働者の場合、最低賃金で8時間働いても手取りで30j弱(約3600円)にしかならない。アフリカ系の公務員労働者の多くが貧困ライン以下の生活だ。「非正規職の増大は、長期常用労働者の職の安定性・労働条件・手当などを脅かしている」(サンフランシスコ労働者評議会)。実際、ホワイトカラーの時間外の割増賃金禁止法(ホワイトカラー・エグゼンプション)によって、600万人の労働者から残業代が奪われてしまった。
 イラク戦争下で米国の労働者階級は、こうした攻撃にさらされている。日本の労働者階級への攻撃とまったく同じと言っていい。このような攻撃に対し、米国の戦闘的労働組合は、アメリカ革命を切り開く質を持った闘いに立ち上がっている。だからこそ日米韓の労働者の連帯が切実に求められているのである。

 第3章 米中バブルに頼る韓国経済 非正規職化で体制延命図る

 第1節 構造調整で危機的構造激化 対日貿易赤字が過去最大に

 韓国の労働者階級も、戦争と民営化に対して本当に死活をかけて闘っている。日本の労働者階級は、なんとしてもこの闘いに肉薄し連帯しなければならない。
 韓国経済は、97年の通貨危機とIMF(国際通貨基金)管理によって、戦後の重化学工業化の矛盾を露呈させた(『現代帝国主義論U』144n〜参照)。米帝を筆頭に帝国主義はこの危機につけ込み、韓国への支配の強化、再植民地化政策に乗り出した。当時のキムデジュン(金大中)政権は、直接投資や株式取得などを外資に開放して、帝国主義に売り飛ばした。同時に、金融・財閥・公共部門・労働市場の「4大構造調整」を強行し、労働者を犠牲にして経済体制を再編してきた。
 この結果、韓国の全株式の約4割を外国人が支配するまでになった。外国人持株比率は、銀行トップの国民銀行で77%弱、鉄鋼大手のポスコで70%弱、現代自動車55%強、サムスン電子54%弱に上る。いずれも韓国経済を代表する大企業だ。
 一方、「構造調整」によってガス、発電、通信が民営化され、鉄道も民営化が策動されてきた。98年には整理解雇制が導入されて失業者が増加。非正規労働者も97年危機以降500万人も増えて855万人になり、1500万労働者のうち56%にも及んでいる。
 そして今、このような「構造調整」によって、韓国経済は危機的構造を深めている。
 第一に、輸出志向型の重化学工業化という点で、新しい成長軌道が生まれているわけではない。04年に韓国の輸出先として中国向けが43%増で、輸出全体の2割を占めるまでになった。ここには二つの問題がある。@日米欧と比較して国際競争力が劣位であるため、帝国主義国向けではなく中国や新植民地主義体制諸国への輸出に頼らざるをえない。帝国主義からの重圧を受け続けているのだ。A輸出品目の1位は半導体、2位は無線通信機である。中国にこれらを輸出し、中国で製品に組み立てて対米輸出する構図になっている。つまり、韓国の対中輸出の激増は、米経済バブルの引き延ばしの上に初めて成り立っているものにすぎない。米バブルが本格的に崩壊すれば、韓国の輸出も激減する。
 さらに、半導体や液晶の製造装置、液晶材料など重要な資本財・部品を日帝に依存する構造も変わりない。04年は297億jの貿易黒字だが、対日貿易赤字は237億jと過去最高になった。
 第二に、財閥の旧態依然とした体質も同じままである。05年10月には、サムスンの事実上の子会社の前社長らが、世襲を目的にした株の贈与で有罪判決を受けた。また、現代自動車グループ会長の長男が、傘下の起亜自動車の副社長に就任している。こうした体質が敬遠されて、好業績のサムスン電子ですら株価が04年1年間でわずか0・3%しか上昇していない。
 第三に、国内経済では、カード普及策によって無理に消費をあおってきた結果、家計が借金まみれになっている。05年半ばの家計の負債総額は4500億j(50兆円弱)で、00年の約2倍に膨らんだ。カードや銀行ローンの支払いを滞納しているのは、特に20代、30代が多い。

 第2節 日帝は労働運動解体を要求 米日帝に屈するノムヒョン

 こうした中で、帝国主義諸国はFTAという形で一層の侵略と再植民地化政策を強めている。米帝と日帝がわれ先にと、貿易と投資での対外的な障壁をすべて解体して、韓国経済を組み敷こうと狙っている。
 特に日韓FTA交渉での日本企業の要求はすさまじい。在韓日本企業団体であるソウルジャパンクラブの要望文書(04年8月)では、まず最初に「労働・労使関係分野」をあげている。具体的には、「不合理な各種手当やベースアップは問題」「過度に労働者が有利な労使協定・慣行の是正」「労働紛争が横行しないよう政府等が徹底して指導する」「パートの労働条件に関する法律の廃止」「派遣後2年経過時に雇用義務が企業に生じる制度の廃止」「60日前の事前通知など正規職解雇の条件の緩和」など膨大な要求を突きつけている。韓国の労資関係を一変させる項目ばかりだ。韓国の労働運動を破壊しようとしているのは、誰よりも日帝と日本資本なのだ。
 さらに日本企業は、税制での外資優遇、韓国外為市場の開放、銀行による中小企業向け貸出比率の義務づけの撤廃、知的財産権の保護と違反行為への罰則強化、自由貿易関税地域(関税ゼロ地域)の対象の拡大、首都道路網の整備、交通マナー・運転マナーの改善、文化開放の一層の促進、警察における外国語対応電話サービスの徹底などを要求している。韓国の経済・社会・文化のすみずみにまで侵略し、植民地支配を実質的に復活させようとするものだ。この一点だけでも日本の資本家階級は万死に値する。
 ノムヒョン(盧武鉉)政権は、このような日帝を始めとする帝国主義に屈服し、同時に財閥資本の要求に沿いながら、労働運動への抑圧と破壊をますます強めている。その中心的政策が非正規職の拡大と労働条件の悪化である。正規職と非正規職を分断して労組の団結を破壊し、労働運動を圧殺する。非正規職の拡大で低賃金と劣悪な労働条件の労働者を増大させる。それによって正規職も一層搾取する。非正規職化は労働運動破壊の主要手段と位置づけられているのだ。
 ノムヒョン政権にとって、労働運動をこのまま放置しておいては、米日などとのFTAを結ぶことはできず、財閥資本も生き残れず、そうなれば体制が崩壊してしまいかねない。だから、非正規職問題は体制の成否をかけたものとしてある。もっと大きく見れば、現在の韓国労働運動の攻防の中には、アジアをめぐる日米争闘戦、日帝による韓国の再植民地化、韓国財閥資本の延命、分断国家である韓国の体制的護持、そして米日帝の北朝鮮侵略戦争の策動など、さまざまな歴史的圧力が凝縮されているとも言える。民主労総は、そのような歴史的な攻防をまさに生死をかけて闘っているのだ。

 第4章 工場法以前の搾取狙う日帝 改憲へ公務員労組破壊策す

 第1節 もはや財政破綻は解決不能 延命へ労働3権解体を狙う

 日本の労働者人民はこの06年、4大産別決戦と改憲阻止を一体のものとして闘い、日帝打倒へ飛躍しなければならない。日帝は今日、経済・政治・外交・社会のあらゆる面で体制が崩れかねないほどの危機に陥っている。だから、戦争・改憲と民営化の攻撃は帝国主義としての生死をかけた激しいものになっている。しかし、日帝がどのようにあがいても、その危機から逃れられるものではない。
 日帝・小泉「構造改革」の柱は民営化にある。小泉政権は「官から民へ」「国から地方へ」と称して、郵政民営化、公務員制度改革、社会保障制度の解体、医療制度の改悪を矢継ぎ早に仕掛けている。その背景には、国家財政・地方財政の大破綻がある。@国・地方の債務残高は774兆円で、政府短期証券などを加えると1000兆円にも達する(05年度末)。国債発行残高だけでも税収の14年分で、第2次大戦末期の12年分よりも大きい。Aしかも、債務額は今も雪だるま式に増え続けている。一般会計の歳入の42%が新規国債であり、歳出の22%が国債費である(05年度)。Bさらに、90年代後半に大量発行した10年物長期国債が償還期を迎えている。しかし返済できないため、借換債を05年度100兆円、08年度130兆円も発行しなければならない。
 財政破綻は、帝国主義国家の存立にかかわる超特大の危機にほかならない。資本家階級の側も財政破綻を絶叫し始めている。しかし、問題はその原因だ。国家財政が破産したのはなぜか。労働者には何の責任もない。何よりも、バブル崩壊後の90年代に、大銀行・大企業を救済するために、膨大な財政支出が行われてきたからだ。90年代の景気対策は11回、計137兆円に及んだ。さらに97年秋から恐慌への対策として、銀行に公的資金が36兆円弱も投入された。全上場企業の年間利益が10兆円だから、ものすごい額だ。日帝は「官から民へ」と言うが、実際は「民」の崩壊的危機に対して「官」が総力で介入してきたのだ。その結果、「民」に加えて「官」もとり返しのつかない危機にたたき込まれてしまったのだ。
 一方、超低金利によって、本来なら家計の利子収入となるべきものが大銀行・大企業に収奪された。福井日銀総裁自身が、「93年からの10年間で失われた家計の利子収入は実に154兆円」と試算している。大銀行は不良債権を減らすため、こうした例のない大衆収奪をしてきたのだ。
 さらに、90年代末に税制が大企業優遇と大衆課税に転換させられた。法人税は88年度まで42%だったが、99年度に30%に下げられた。帝国主義国では英と並び最低になった。所得税も84年の19段階で最高税率75%〜最低税率10・5%から、99年に4段階で37%〜10%に変えられた。一方で、97年の消費税税率引き上げで5兆円の増税となった。04年度では消費税が法人税を上回るまでになった。
 日帝は「構造改革」によって財政再建ができるかのように言っているが、どうあがいても不可能だ。大銀行は郵政民営化で郵貯・簡保330兆円を自分の資金に分捕ろうと狙っている。しかし、郵貯・簡保の国債保有は国債残高の24・6%で、民間銀行より多い。だから、民営化後も国債での運用を優先すると法で規定せざるをえなかった。そもそも民営化しても、財政赤字と財政資金需要が減らない限りは「官から民へ」とはならない。むしろ逆に、民間金融をつうじて資金が「官」に流れることになるだけだ。
 日帝は今や、国家公務員の大幅削減と賃金引き下げに乗り出し始めているが、“削減対象として想定している国家公務員の人件費は年4兆円規模”とされる。消費税税率も引き上げようとしているが、仮に消費税を5%アップして10%にすると12・5兆円の増収となる。しかし、これらすべてを強行したとしても、1年分の国債発行額35兆円にはるかに及ばない。ましてや債務残高はけた外れだ。仮にもし日帝が郵政民営化、「三位一体改革」、公務員制度改革など「構造改革」をほぼすべてやったとしても、財政破綻から逃れられないのだ。
 そもそも、日帝に財政再建の真の「青写真」があるわけではない。帝国主義国家としての破滅を目前にして、ただひたすら労働者に犠牲を押しつけているだけなのだ。ブルジョア的に言っても展望のない「構造改革」に、労働者人民が引きずり込まれていいのか。こんな「構造改革」はずたずたにして、日帝を破滅に追いやってしまえばいいのだ。

 “世界市場獲得”叫び非正規雇用を急拡大

 民営化はまた、終身雇用制・年功型賃金を解体し、労働3権(団結権、団体交渉権、争議権)の制度を解体する基本政策としてもある。
 95年の日経連の「新時代の日本的経営」は、“常用雇用は1割、あとは非正規雇用にする”との構想を打ち出した。米欧との争闘戦に勝つために、不況下で資本が生き延びるために、労資関係の大転換に踏み込んできたのだ。以来10年、実際に非正規雇用は32・3%にも達している(05年4―6月期)。93年1月末〜05年7月末で正社員など一般労働者は143万人も労働、パート労働者は531万人も増加した。派遣労働者のいる事業所は全体の31・5%になった(04年の厚労省調査)。03年の約20%からわずか1年で10ポイントも増えた。派遣労働者の3人に1人は、04年に解禁された製造業で働いている。
 こうした非正規雇用の増大、それによる賃金引き下げによって、大企業は収益性を高めてきた。04年度の上場企業1620社の人件費は27兆円で、前年度から4%も減り、05年3月期の全国上場企業の純利益は過去最高の10兆円にもなった。1620社でみると、売上高が17%減っても赤字にならないまでになった(04年度)。
 しかし、世界が大恐慌と世界戦争の時代を迎えている中、資本家階級はさらに労働者に襲いかかろうとしている。05年6月の「骨太方針X」では、「経済の活性化」「世界市場を獲得する競争力をつくる」と称している。「世界市場を獲得する」というのだ。“世界を獲得する”と言っているに等しい。日本の資本家階級がこういう言い方をするのは歴史的に初めてだ。
 そのために、 経団連の03年版経労委報告の原案では、「日本の労働者の賃金水準を発展途上国並みに引き下げる」としている。05年版経労委報告では、「工場法の時代の遺制を引きずる労働基準法などの関係法令を、今日の環境にふさわしいものに抜本的に改革する」と、“工場法以前に戻せ”と言い放った。「労使自治」などと称して、“労資関係に国が口を出すな”“資本の好き放題にさせろ”と言っているのだ。
 さらに、07年には労働契約法案を提出しようとしている。労働組合ではなく常設の「労使委員会」を労資協議の場とし、解雇をめぐる裁判では金銭解決に道を開くなど、労働3権を実質否定するものだ。自民党の新憲法草案は、労働3権を原理的に否定している。改憲攻撃と並行して日帝は、制度としても労働3権を解体しようとしている。

 公務員の終身雇用・年功賃金を集中攻撃

 日帝は今や、常用雇用1割、「途上国」並み賃金、工場法以前の労資関係、労働3権の全面剥奪(はくだつ)に踏み込もうとしているのだ。しかし、公務員労働者の組合的団結、終身雇用制・年功型賃金を解体しない限り、これは進められない。だから今、日帝は公務員労働者に集中的に攻撃をかけてきているのである。公務員の削減と賃下げによって終身雇用制と年功型賃金を解体し、それによって民間で一層の団結破壊と非正規雇用化・賃下げを図る、という狙いだ。だから、公務員労働者だけではなく、全労働者の利害がかかった問題なのである。
 しかし、工場法以前のような搾取でしか生き延びられないというのは、資本主義としてあまりにも破産的ではないか。工場法以前の英国の労資関係は、「無制限な奴隷状態の制度、社会的にも肉体的にも道徳的にも知的にもどの点でも奴隷状態の制度」(『資本論』第1巻)だった。児童が劣悪な条件下で1日十何時間も働かせられるのが通常だった。このため19世紀の英国では実際に寿命が短くなった。とことんまで搾取するのが資本の本性なのだ。そこで1833年から1864年にかけて工場法が設けられ、労働時間などが一定制限された。国が法律をもって介入しないと、労働力を維持することさえできなくなったのだ。
 そうした、労働力を維持できなくなるほどの時代に戻そうというのだ。生産力がこれほど発達したのに、1世紀半前の労資関係―支配関係に逆行させないと成り立たない。生産力が発達したのであれば、人類はもっと豊かになっていいはずではないか。それなのに、1世紀半前のむきだしの奴隷制度に戻すだと! こんな体制は転覆する以外にないのだ。

 第2節 アジア勢力圏化は絶望的に 帝国主義の“最弱環”化進む

 戦争・改憲攻撃との闘いも正念場を迎えた。日帝は06年から07年にかけて、北朝鮮・中国侵略戦争に突入していくために、あらゆる面での準備を完成させようとしている。しかし、日帝にとって確たる未来があるわけではない。絶望的なコースが待っているだけだ。労働者階級が真正面から立ちはだかれば、日帝打倒への好機とすることができる。
 日本経済はアジアを“生命線”としている。アジアへの直接投資の急増によって、日本経済はアジアの日系工場を抜きに成り立たない構造になっている。現在も中国への直接投資を増やし続けている。04年度の対中投資額は前年度比4割増の4909億円で、9年ぶりに過去最高を更新、対米投資とほぼ同額となった。こうした対アジア投資の増加で、上場企業の海外生産分の利益は利益全体の30%弱と最高になっている(05年3月期)。輸出分を加えるとさらに大きくなる。製造業の海外売上比率は91年度の5・6%から04年度には16・1%に上昇した。海外売上比率が30%を超す企業は電機・自動車だけでなく化学・機械・医薬品などの業種でも数多い。
 このように“生命線”と化しているアジアを日帝は勢力圏として囲い込もうとあがき続けている。05年5月にマレーシアと、9月にタイと、FTAを核とするEPA(経済連携協定)に正式合意した。シンガポール、メキシコ、フィリピンに続き5カ国目となる。12月にはASEAN(東南アジア諸国連合)とのFTA交渉を07年春までに妥結することを確認した。

 日帝がアジアFTAから排除される危機

 しかし、日帝のアジア勢力圏化は絶望的なまでに困難だ。@12月に初めて開かれた東アジア首脳会議では、日帝はもともとASEANと日中韓の13カ国を提案していたにもかかわらず、中国の影響力を恐れてインド・オーストラリアなども参加させる方針に転換、ASEAN側の反発を買うという醜態を演じている。A何よりも要をなす韓国とのFTA交渉が04年12月から中断したままになっている。一方で米帝が韓国とのFTAを追求している。さらに韓国はASEANとのFTA交渉を加速、06年発効を目指し始めた。BしかもASEANが中国、米帝、EUとのFTAを先行させて進めている。特に中国とは2010年の関税撤廃を目指して、05年7月には貿易品目の9割以上の関税を引き下げた。
 日帝は70年代以来、韓国やASEANと最も深い経済的関係を形成してきた。ところが、このまま進むと、韓国―中国―ASEANがFTAを形成し、そこに米欧が介入し、日帝が排除される事態になりかねない。これは日帝にとって“生命線”の失陥であり、死に等しい。
 だから日帝には、戦争と改憲以外に生きる道がなくなっているのだ。すでに90年代以来、米帝は帝国主義間争闘戦で優位に立つために軍事力を振りかざし、実際にも戦争を発動してきた。軍事力のない帝国主義は勢力圏も築けず、滅びてしまう時代がとっくの前に始まっている。日帝は90年代に円圏を策動したが、アジアで戦争をやる力がないために米帝にたたきつぶされてしまった経緯がある。しかも現在、米帝は世界戦争計画をもってイラク侵略戦争に突入し、中国・北朝鮮侵略戦争を準備しつつある。日帝にとって、日米枢軸を基本戦略とし、トランスフォーメーションで日米安保を強化し、そういう形でアジアで戦争をやるしかない。それが日帝にとって勢力圏争奪戦からはじき飛ばされないための唯一の選択となっている。
 しかし、改憲と大々的な侵略戦争は、国家機構内の労働組合を放置しておいてはできない。そうした労組的団結が存在したまま戦争に突入すると内乱を招き、体制が崩壊してしまう。戦前の「産業報国会」のように労働者が積極的に協力しない限り、帝国主義戦争はできない。だから日帝は、07年改憲に向けて公務員労働運動をつぶすことを最大の国家政策にしているのだ。4大産別決戦は、改憲と戦争を再び繰り返すのかどうかをかけた歴史的な意味を持つ。4大産別決戦のすべての現場で、「ここで踏ん張って戦争を止めよう」という叫びを響きわたらせよう。

 労働者の国際的団結で帝国主義と闘おう

 日帝の戦争・改憲の未来は絶望的なものでしかない。何よりも、第2次大戦に至るすべての歴史を肯定し、再び天皇を押し立て、「日の丸・君が代」を強制し、靖国イデオロギーを振りまく、というやり方でしか戦争ができないからだ。これはいったん第2次大戦で敗北したやり方である。それから60年を経てまったく同じ方策にのめり込んでいるのだ。今度こそ日帝を打倒しなければならない。
 すでに現在、靖国問題をめぐって日韓、日中関係が緊張し、それが韓国とのFTA交渉を中断させるまでになっている。アジアを勢力圏とするために戦争国家にのしあがる、そのために靖国参拝を強行する、しかしそれへの反発からFTA交渉がこじれて勢力圏化が絶望的になる――こういう事態になっているのだ。戦争国家として突出しようとすると、アジア勢力圏化が後退してしまう、というジレンマにすでに陥っている。このような意味で、日帝は帝国主義の“最弱の環”なのだ。
 日帝はだからこそますます凶暴化するだろう。しかし、日米韓3国の国際連帯を発展させ、日本の労働者人民が決起すれば、日帝を一段と破滅的なところに追いつめ、革命に転化することはまったく可能だ。
 日帝の攻撃には、体制としての成否がかかっており、尋常ではない激しさがある。だから、一瞬でも立ち止まってしまうと、労働者階級は敵の攻撃の暴風雨に吹き飛ばされてしまう。しかし、その攻撃の大元には、帝国主義としても解決しようのない絶望的な危機がある。だから、労働者側がたえず一歩でも二歩でも前進しようとしていれば、必ず敵の破産がさらけだされ展望が開かれてくる。これが05年の激闘をとおしてつかんだ確信である。06―07年、一歩どころか何十歩も何百歩も進撃して、日本革命への血路をなんとしても切り開こう。4大産別決戦を基軸に、改憲阻止決戦、新たな安保・沖縄闘争を大爆発させよう。

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週刊『前進』(2229号16面1)(2006/01/01)

 坂本千秋・野沢道夫・大谷一夫共著『改憲攻撃と労働者階級』を読んで

 「護憲論」を超える内容を提起 「これで勝てる」と確信できる

 金山克巳

 歴史的決戦の時にタイムリーな出版

 昨年、日本における労働者階級の闘いは大きく前進した。動労千葉など闘う3労組の呼びかけによる11・6労働者集会は熱気あふれる成功をかちとり、韓・米労働者との連帯は歴史的な地平を切り開いた。
 日帝・小泉政権は、10月末に自民党新憲法草案を発表した。06年通常国会には、「国民投票法案」の提出がたくらまれている。
 いよいよ06年から07年へ、改憲阻止決戦が開始される。日本階級闘争の死活をかけた決戦が始まったのである。「戦争ができる国」にする攻撃は、日本の戦後的あり方のすべてを覆す、帝国主義としての全命運をかけた攻撃としてかけられてくる。06〜07年は、第2次大戦後の戦後革命敗北の中でやり残してきた、戦争の根源である帝国主義の打倒をあらためて問う歴史的決戦となる。
 その時、「これで勝てる!」という本が出版された。昨年10月、前進社から発行された『改憲攻撃と労働者階級』がそれである。この本を読んだ人は同じ思いだろう。
 これこそ、改憲阻止決戦の武器である。今すぐ、この本を持って、労働者人民の中へ入ろう。この武器を手に、革命党としての存立をかけて改憲阻止決戦に総決起しよう。
 第T部の最後に、広島平和公園にある慰霊碑の碑文が引用してある。「安らかに眠って下さい。過ちは繰り返しませぬから」という文章だ。これを読んで、私は、平和公園で考えたことを思い出した。
 「過ち」とは何か。戦争のことではないか。「過ち」を繰り返そうとする張本人・小泉純一郎が慰霊碑に花輪をささげる、被爆者に対するこれほどの侮辱があるだろうか。われわれがなすべきことは、小泉政権打倒であり、戦争の根源である日本帝国主義を打倒することだ。それが、無念にも殺された被爆者の怒りにこたえる道だ。
 以下、本書からの引用はページ数のみ示す。

 第T部 憲法改悪攻撃を全面批判する

 “戦争国家化のための改憲”の狙い暴く

 「憲法改悪とは何か」と質問してみよう。多くの人は、「第9条を破棄し、戦争ができる国にする」と答えるであろう。それ自体は正しい。しかし、今日の改憲攻撃に対して、「この素晴らしい憲法を守ろう」と言うだけで勝てるだろうか。
 その答えを出すためには、まず、改憲攻撃の本質を徹底的に解明する必要がある。その意味で、第T部が、本書の核心である。ページ数を数えても、第T部が全体の45%を占めている。中でも第2章「改憲攻撃の進展とその背景」が重要だ。ここをがっちり学習しよう。
 私が、本書全体を読んで感じたのは、「戦争とはこれほど大変なことか」ということである。
 日本帝国主義は、1945年の敗戦で根底的な破産に直面した。帝国主義として、完全に背骨を折られてしまった。そして、怒濤(どとう)のようなプロレタリア革命に直面した。
 この危機から逃れるために、支配階級に残された選択肢は限られていた。憲法第9条は、まさにそれ以外にない、革命回避の道として採用されたのである。現行憲法の重要な要素をなしている主権在民、民主主義、基本的人権、地方自治なども、その意味で不可避・不可欠のものとして盛り込まれた。このようにして、日本帝国主義は、かろうじて天皇ヒロヒトその人と天皇制を延命させ、プロレタリア革命を免れた。これは、沖縄を米帝に売り渡し、在日朝鮮人民を排外主義の下に置いて、生き延びる過程でもあった。
 実を言うと、この部分は、少し先回りして第V部の内容によって述べている。順序は逆になるが、本書は、第V部から読んだ方が分かりやすい面がある。私は、第V部まで読んで、また第T部に戻った。
 さらに脇道に入る。
 本書は、本来なら三冊分の内容がある。それを、あえて一冊にまとめたのは、改憲攻撃を、戦争と革命という立場から丸ごと把握するためであると考えている。第T部、第U部の内容を、第V部の歴史的考察が支えるという立体的な構造になっている。

 <クーデターに等しい大攻撃>

 「狙われているのは一種のクーデターだ」(55n)
 日帝・小泉は、憲法の全体系を覆し、「戦争のできる国にする」ことを狙っている。しかし、いかに帝国主義権力者といえども、これは簡単なことではない。
 改憲とは、単に憲法の「改悪」という言葉で示されるような、なまやさしいものではない。もちろん第9条の改悪、とりわけ第2項の破棄が焦点になる。しかし、それだけで済む攻撃ではない。60年間にわたって蓄積されてきた、戦後民主主義的な価値観を一掃することを迫られている。攻撃の基軸は、労働者階級の団結を破壊し、階級的な闘いを根絶することに据えられている。そのためには、「工場法」以前、フランス革命以前の状態にまで戻してしまうことが求められる。近代憲法の原理そのものを破壊して、まったく新たな憲法ならざる憲法を制定することになる。
 第二章第二節の小見出しを並べてみよう。
▲「九条を解体し武力行使を宣言」
▲「『国防の責務』で戦争協力を義務づけ」
▲「戒厳令導入で軍の治安出動狙う」
▲「天皇を再び国家の最大の中心に」
▲「基本的人権の全面解体」
▲「議会の形骸化と首相の独裁権確立」
▲「憲法原理の変質と大転換」
▲「改憲手続きを大幅に緩和」
 これは、反革命クーデターに等しい攻撃、いや、反革命そのものである。ここまでやらなければ、戦争はできない。支配階級にとっても、のるかそるかの攻撃なのだ。
 通常国会で成立が狙われている共謀罪もここに発した攻撃だ。現代にこそ、治安維持法以上の悪法が必要であることを、支配階級の側は実感している。司法制度の改悪、警察官職務執行法の改悪(職務質問を拒否できない)などが目白押しになっている。

 天皇制がなぜ今出てくるか

 「なぜいま、天皇制が再び前面に出てくるのか」(116n)
 弾圧だけでは、戦争はできない。社会全体の価値観を変え、「お国のために戦い、喜んで命を捨てる」というイデオロギーで染め上げる必要がある。
 そのようなイデオロギーは、日本帝国主義には結局、天皇制イデオロギーしかない。天皇制とは一度は破産した体制であり、非合理きわまりない内容しか持っていないが、戦争についてリアルに考えれば、これに代わるものはない。「つくる会」教科書、「日の丸・君が代」の強制も、最終的にはここに集約される。小泉の靖国神社参拝も、「天皇のため、お国のために死ね」という攻撃である。
 天皇制は、白色テロルを本質とする凶暴な支配体制であり、ブルジョア独裁を貫くものとして存在してきた。敗戦後、天皇ヒロヒトが処刑もされず、退位もせず、そのまま生き延びたことで、現在の日帝にも、天皇制支配は貫徹されている。日本帝国主義が戦争体制を確立するには、この天皇制を前面に立てる以外にない。

 プロレタリア革命か否かが核心問題

 「憲法を問うことは、国家とは何かを問うことであり、国と社会のあり方をいまいちど根本から問い直すことなのだ。体制変革、プロレタリア革命こそが問題の核心である」(169n)
 基本的人権や民主主義についても、「労働者階級の立場からいまいちど整理」する必要がある(152n)
 ブルジョアジー自身が「侵すことのできない永久の権利」としてきたはずの基本的人権を、ボロ布のように投げ捨てる帝国主義の危機の時代に、われわれは直面している。労働者階級の立場に徹底的に踏まえて、戦争の根源である帝国主義打倒に向けて闘い抜く以外に、勝利の道はない。そして、その立場を鮮明にして闘う時、勝利の展望が大きく開かれるのだ。

 <帝国主義打倒の闘いとして>

 「問われる選択……ファシズムかプロレタリア革命か」(165n)
 日帝は、帝国主義戦争、侵略戦争を実際に行う国を目指している。帝国主義として生き延びようとする限り、もはやここを避けて通るわけにはいかない。軍事力で自己の権益を守る体制なしに、帝国主義として生きられないのだ。
 自民党の新憲法草案は「自衛軍」の創設をうたっている。それは、海外への派兵、侵略戦争を完全に想定している。軍事裁判所すなわち「軍法会議」をつくることも目指されている。帝国主義軍隊は、「軍法会議」がなければ、戦争できないからだ。
 これらの攻撃を貫徹するには、帝国主義的な排外主義、愛国主義、民族主義の扇動が不可欠とされる。「拉致問題」においてどれほどものすごい排外主義があふれ出したか、思い出してほしい。日帝は、これを念頭に置き、対北朝鮮、対中国の挑発的事件を引き起こす可能性がある。
 領土問題に対する労働者人民の思想的状況は、重大な危機をはらんでいる。韓国領の独島(日本名「竹島」)、中国領の釣魚台(日本名「尖閣列島」)に対する反応を見ても、排外主義的に流されてしまう危険を強く感じる。
 では、何をもってこの反革命の奔流に立ち向かうか。
 何よりも、「戦争の根源である帝国主義を打倒せよ」の大方針がなくてはならない。そして労働者階級の組織的闘いの本格的爆発でこたえるのである。改憲阻止決戦と4大産別決戦は、完全に一体の闘いである。
 また、革命的祖国敗北主義、プロレタリア国際主義の重要性は明らかであろう。今こそ、その真価が問われる。

 第U部 「構造改革」攻撃と改憲

 日本経団連の二つの提言を全面批判

 ここでは、昨年、日本経団連が出したふたつの提言を正面から見すえ、改憲攻撃が労働者階級に何をもたらすかを全面的に解明している。
 第1章の見出し「すべては巨大企業のために」が、鋭く攻撃の本質を暴いている。
 まさにこのとおりだ。日帝・支配階級は、国家財政破綻のつけをすべて労働者人民に押しつけている。さらに、労働者階級を「工場法」以前的な無権利状態にたたき込み、やりたい放題に搾取・収奪しようとしている。ブルジョアジーにとって、労働者とは資本の価値増殖の手段でしかない。働けるうちは徹底的にしぼりとり、働けなくなったら「さっさと死ね」と言うのだ。
 「非正社員はこの一〇年で五割近く増え、労働人口の三分の一をしめるまでになっている」(229n)
 95年、当時の日経連が発表した「新時代の日本的経営」にうたわれた、大半の労働者を不安定雇用のもとに置く事態が、現実のものになり始めている。
 「日本経団連は、『〇五年版経労委報告』においてはついに、公然と労働基準法の解体を要求した」(233n)
 社会保障も解体の危機に瀕している。憲法第25条の、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」が奪い取られようとしているのだ。
 1917年、ロシア革命の勝利に衝撃を受けた帝国主義諸国は、革命予防の観点から、さまざまな社会保障や社会福祉の政策を展開してきた。これをも、日本帝国主義は奪い取ろうとしている。かつて中曽根は、「老人福祉は、枯れ木に水をやるようなもの」とうそぶいた。それがそのまま、現実の攻撃になっている。
 現行憲法の重要な柱の一つである地方自治も、事実上、解体する攻撃が加えられている。

 <労働者階級は必ず決起する>

 では、労働者階級は、この攻撃に屈してしまうのか。そんなことはない。
 われわれの闘いは、労働者階級への無限の信頼を土台にしている。マルクス主義の神髄は、プロレタリア自己解放をうたいあげたところにある。日本の労働者階級は、必ず歴史的決起をかちとるのだ。
 日帝・小泉政権の攻撃はあまりにもあくどい。公務員労働者への攻撃はどうか。「公務員イコール悪」と言いふらしている。郵政民営化はどうか。郵政労働者の怒りは爆発寸前だ。労働基準法の(事実上の)廃止に関しても、「人間として扱え」の声を押さえることは誰にもできない。
 健康保険の破綻(はたん)、年金の破綻、介護保険改悪、医療費のアップ(08年度以降、70歳台前半の窓口負担は2倍化)、闘わなければ生きていけない。
 「黙って死ねるか」の怒りは必ず爆発する。その時に、03年以来の国際交流は、重大な力を発揮する。

 第V部 戦後革命の敗北と日本国憲法

 戦後の激動と憲法制定の過程を解明

 第V部では、戦後革命の敗北と憲法制定の関係を歴史的に解明している。
 「改憲問題はわれわれを現憲法制定時の日本階級闘争、戦後日本史の原点に立ち返らせる。なぜなら改憲闘争がわれわれに、戦後革命を引き継ぎ、その敗北をのりこえるたたかいを求めているからだ」(258n)
 この部分が面白かったという人は多い。戦後日本の階級闘争が、ダイナミックに描かれている。「本当に革命だったんだ」と思った人も多いだろう。しかし、それだけでは、第V部を読んだことにはならない。
 現行の憲法が、どのような階級的攻防を経て制定されたのか。その詳細な展開が、そのまま改憲阻止決戦論となっている。第T部の主張と重ね合わせることで、全体の主張が完成する。したがって、第V部まで読んで、第T部に帰る。やはり、それが正しい読み方だと私は考えている。この歴史的な過程に踏まえることで、今日の改憲攻撃の本質が、より鮮明になる。
 第V部では、排外主義、愛国主義との闘いが、労働者階級の生死をかけたものであることが、くり返し強調されている。また、日帝の戦後的発展が、沖縄を切り捨て、踏みにじることや、在日朝鮮人民への差別、抑圧、排外の攻撃と表裏一体で進められたことが、リアルに解明されている。この視点なしに、われわれは、改憲決戦に勝利できない。

 <日共の裏切りは極めて重大>

 第V部で、くり返し強調されている問題が、もう一つある。
 「国際共産主義運動、日本共産主義運動におけるスターリン主義の問題性・裏切り性ということのもっている大きさ」(320n)だ。
 日本共産党・スターリン主義の裏切りが、戦後革命の敗北にとっていかに深刻な意味を持っていたか、しっかり学びとる必要がある。戦後の労働運動、革命闘争の高揚が生き生きと描きだされているだけに、それがより一層浮き彫りになっている。
 まさに、これを乗り越え、世界革命−日本革命に勝利するために、わが革共同は結成されたのだ。

 <闘う労働者党の建設は急務>

 われわれは、すでに戦時下階級闘争への突入状況にあるととらえなければならない。共謀罪成立を目指す執拗(しつよう)な攻撃、関西生コン支部への弾圧、国労5・27臨大闘争弾圧などは、これまでとは次元を画すものである。05年の不当逮捕・不当捜索なども、一昨年までとは違う、新たなエスカレートを示している。
 戦前の日本やドイツ、かつての帝政ロシアを見ても、革命党の絶滅と階級闘争の根絶なしに戦争に突入できないことは明白だ。
 06年、われわれは労働者人民とともに星野文昭同志奪還闘争に総決起する。なぜか。星野同志にかけられた死刑求刑、無期懲役を、戦時下階級闘争への突入の中で、とらえ返すからだ。星野同志に対する攻撃は、当時も今も、日帝・国家権力と革共同の関係を規定している。わが革共同は、破壊活動防止法を適用され、星野同志とともに死刑を求刑された革命党なのだ。
 改憲阻止決戦を闘い抜くためにこそ、非合法・非公然の不敗の態勢が必要だ。戦時下の階級闘争では、この態勢なしに、真に階級的な主張と闘いを展開することはできないからである。

 本書を労働者人民の中に持ち込もう

「おわりに」において、3つにまとめられた方針が全体を集約している。
 1.労働者階級の国際連帯。
 2.労働者階級の階級的に組織されたたたかいの本格的で全面的な復権。
 3.統一戦線が死活的に求められている。
 この3つの方針を一体で実現することによって、改憲阻止決戦は、かつてない規模で爆発する。思い切って労働者人民の中に入り、闘いの方針、勝利の展望を鮮明に示すことが求められている。それを果たすのが本書である。
 まず読むことだ。読めば、面白いし、空気が入る。必ず、他の人にも読んでほしいと思う。それが重要だ。労働者階級自身がそう感じるのは間違いない。 
 この本をとおして、これまでにない広範な人びととの接点ができる。この武器を、労働者人民の中に持ち込もう。
 06年の通常国会に、「国民投票法案」の提出が狙われている。また、教育基本法改悪との闘いも焦眉の課題である。これらをめぐる闘いは、改憲阻止決戦そのものである。06年前半の重大な攻防点として闘い抜こう。
 改憲阻止決戦を力の限り闘い、勝利しよう。
(前進社刊/2200円)

本 改憲攻撃と労働者階級

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