ZENSHIN 2005/04/25(No2195
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週刊『前進』(2195号1面1)(2005/04/25)
ファシスト石原打倒・都議選勝利へ
侵略戦争を美化し肯定する「つくる会」教科書絶対阻止
戦争・民営化と闘う労働運動を
05年冒頭以来の革命的激動は、4月に入りさらに風雲急を告げている。4月5日には「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書が検定合格となった。韓国での怒りの決起、中国の抗日デモが激発している。4月7日には都立高での入学式闘争が闘われ、関西では全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部への弾圧に抗する第1回公判が1200人の大阪地裁包囲闘争として爆発した。21世紀にプロレタリア世界革命を成し遂げようとする者にとって、待ちに待った階級情勢が訪れている。革共同は1〜3月決戦を勝ち抜き、プロレタリア世界革命をたぐりよせる05〜07年階級決戦の劈頭(へきとう)に立っている。4〜6月の都議選を闘いぬき、長谷川英憲氏の当選をかちとってこそ、われわれは「日本における1917年革命」への真の挑戦権を握りしめることができるのだ。
第1章 国政級の選挙に挑む展望開いた3月決戦
今や帝国主義は世界戦争へと突き進み、階級闘争は戦時下の闘いに突入した。この05〜07年は、帝国主義支配階級と労働者階級の双方が、生死存亡をかけて歴史的決着を求める決戦である。今次都議選は、05〜07年過程において唯一の国政級選挙であり、革命と反革命が全政治勢力を巻き込んで激突する一大政治決戦となった。
この決戦を勝ち抜くにふさわしい階級情勢は、1〜3月決戦の勝利によって切り開かれた。「日の丸・君が代」決戦は、その継続・拡大・激化としてのファシスト石原打倒闘争をたぐり寄せた。ファシスト石原打倒の決戦こそ05〜07年の最大の激突点であり、その具体的な攻防の火点は東京・杉並で「つくる会」教科書の採択を阻止する闘いにある。
この05年の関門を突破しなければ、07年に至る3年間は真の階級決戦にはならない。まさに今この時こそ、革共同と労働者階級は勝負に打って出るべきだ。都議選こそ、05〜07年を決する蜂起戦である。4大産別決戦の前進と完全に一体のものとして、一切の力を投入して長谷川英憲氏の勝利を実現しよう。
「日の丸・君が代」闘争の一層の激化・発展へ
まず、3月決戦の徹底的総括をとおして都議選勝利の展望を明らかにしたい。
3月決戦は第一に、「日の丸・君が代」闘争を基軸に勝利した。石原がファシスト的襲撃として振り下ろした03年「10・23通達」に対し、都高教の教育労働者は04年春、不屈の反撃に立ち上がった。これを起点に開始された大奔流をなんとしても抑え込もうとする大反動を、05年3月決戦は根底的に打ち砕いたのだ。「日の丸・君が代」闘争は、07年に向けてさらに継続・激化・発展していく展望を切り開いている。
05年3月は昨年とはまったく違う情勢下にあった。何よりも日米帝国主義が枢軸関係を形成し、世界戦争に突き進もうとしている恐るべき情勢が存在した。敵の闘争圧殺策動は激烈をきわめ、日本共産党の制動、カクマルの「告訴・告発」運動、さらにはこれに支えられた都高教指導部の抑圧などが襲いかかった。
こうした大逆流にもかかわらず、05年の卒・入学式闘争は、新たに決起した教育労働者を含む60人にも及ぶ「不起立」闘争として貫かれたのだ。「日の丸・君が代」闘争は確固として生き残った。高校生のすばらしい決起、全国の教育労働者の強力な決起、支援のビラ入れへの権力の空前の弾圧を粉砕し勝利した闘いなど、闘争の火は広がり、ますます燃えさかっている。
この決起は戦争教育強制・戦時業務命令への反乱であり、教労を始め全労働者階級の戦争拒否闘争の一大突破口を押し開いた。「侵略を内乱へ」の闘いは、端緒的だが力強く開始されたのである。
3月決起は日教組の組合権力をめぐる闘争への大きな展望をも切り開いた。ぎりぎりの攻防を貫く中で、日教組再生への戦闘的指導部の形成が始まっている。
3月「日の丸・君が代」闘争は、ファシスト石原に痛打を浴びせた。この勝利は、今日の階級闘争の最大の環がファシスト石原との対決にあることを鮮明にした。都議選決戦を闘い勝利できる情勢が切り開かれたのだ。
すでに戦争に突入し、教基法改悪・改憲に突き進む日帝にとって、「日の丸・君が代」の強制に続き教育現場を「つくる会」教科書で制圧することが絶対的課題になっている。その最先兵こそファシスト石原だ。「つくる会」教科書の採択を阻止する闘いは、教労を始め全労働者階級の決戦課題にせり上がっている。これは、「日の丸・君が代」闘争の直接の継続・激化として貫かれるファシスト石原打倒の決戦攻防である。
1〜3月決戦は第二に、昨年の11・7労働者集会の勝利的地平を堅持・発展させる闘いだった。
05年冒頭、ブッシュは大統領就任演説と一般教書演説で世界戦争への突進を叫びたて、日帝は1月18日の日本経団連の二つの提言で改憲への突撃をぶち上げた。こうした中で、国家主義・愛国主義・排外主義が鼓吹され、石原ファシスト一派の台頭が始まっている。
これと重なり連合は改憲推進勢力へと急速に転落し、自治労・日教組をも改憲派に変質させる大攻撃が仕掛けられている。こうした歴史的反動は、ファシスト石原打倒闘争とともに、自治労、教労、全逓(JPU)、国鉄の4大産別における労働組合解体攻撃との全面対決を階級決戦の最大攻防に押し上げている。
国家主義・愛国主義の洪水と労働組合解体攻撃の歴史的大反動は、プロレタリア国際主義と労働組合の新たな団結を呼びかけた11・7集会の地平とは非和解的に激突する。11・7の地平を堅持・発展させる壮絶な死闘の中から、教労を先頭とする4大産別決戦と石原打倒決戦の一体的前進が本格的に始まったのである。
その闘いの最先端にあったのが、「日の丸・君が代」決戦とともに動労千葉のストライキだった。それは、レール破断の続発に対して運転保安確立を求める正義の闘いであり、「国鉄改革の総決算」攻撃・1047名闘争解体策動を根底から跳ね返す闘いだった。またそれは、11・7集会を呼びかけた3労組の共闘と日米韓の3国労働者の階級的連帯を守りぬく闘い、とりわけ関西生コン支部への大弾圧に対する反撃として貫かれた。さらに動労千葉は、「日の丸・君が代」闘争への熱い階級的連帯に燃えてストライキを貫徹した。ここに、4大産別決戦とファシスト石原打倒闘争への一大号砲が打ち鳴らされたのだ。
これと固く結びつき、05春闘のど真ん中で階級的労働運動の反転攻勢をこじ開けたのが、全金本山闘争の勝利である。
さらに3・20国際反戦共同行動の高揚によって、陸・海・空・港湾労組20団体の闘いが、イラク軍事占領反対・改憲阻止を掲げた、かけがえのない労働組合の統一戦線としてよみがえった。
3月決戦は、闘う労働運動の新潮流の巨大な発展をかけた今秋決戦への進撃路を切り開いている。その決定的跳躍台が都議選決戦だ。郵政民営化をめぐり、自治労、日教組の改憲勢力化をめぐり、4大産別決戦が死活的になればなるほど、ファシスト石原打倒の4〜6月都議選決戦に集中的に決起し、勝利することが必要不可欠なのである。
第2章 選挙区全体ゆるがす革命的宣伝・扇動戦を
1〜3月決戦の勝利を踏まえ、今次都議選決戦の意義を明らかにしたい。
一つは、今次都議選を新指導路線に基づく選挙闘争として徹底的に闘うことである。4大産別決戦を闘いつつ、今日、一大決戦場となった都議選を基軸に総決起(総蜂起)することは、「労働者階級の今日的階級的決起を最大に切り開いていく」新指導路線の当面の最も正しい闘い方だ。「日の丸・君が代」闘争を先端とする4大産別決戦を石原との対決に絞り上げていくことは、戦闘的労働運動の防衛と発展にとって必要不可欠である。
今一つは、新指導路線の実践として、選挙区の労働者階級人民総体を対象に、選挙区全体を揺るがす一大政治決戦情勢をつくり出すことである。
そのために1〜3月の「日の丸・君が代」決戦で実践的に積み上げてきた宣伝・扇動の変革をさらに強力に推し進め、革命的宣伝戦を圧倒的に貫徹しなければならない。
新指導路線の実践として都議選を闘い勝利することをとおして、新指導路線自身の一挙的な前進は切り開かれる。
ファシスト石原打倒闘争における宣伝・扇動は、労働者階級を主体に据え、その分岐・流動を推し進めて総決起をつくり出し、さらにその決起を支持し促すものとして繰り広げなければならない。これまでのレベルを超え、石原=山田的勢力を実際に打倒していく一大政治闘争、一大イデオロギー闘争の爆発の中で、都議選の勝利も戦取される。
一つは、ファシストへの怒りで満身武装することである。ファシスト石原は、日本の労働者階級を帝国主義戦争に駆り立て、踏みにじり、殺した歴史、アジアを植民地支配し、何千万のアジア人民を虐殺、収奪した歴史を、ウソとデマゴギーで平然と開き直っている。これへの猛然たる怒りをたたきつけていくことである。
今一つは、帝国主義は打倒されるほかにないと言い切っていくことである。今や帝国主義は完全に行き詰まり、腐りきって再び侵略戦争に突っ込んでいるのだ。帝国主義は労働者階級を食わせていくこともできなくなったのだ。
一切は、右翼ファシストの毒々しいエネルギーをそれ以上のエネルギーで跳ね返す、全身にたぎらせた迫力である。
小泉=奥田の最先兵を打倒する労働者の力
次に、小泉=奥田路線の最先兵としてのファシスト石原を打倒する闘いの革命論的意義を明らかにしたい。
小泉=奥田の攻撃は、帝国主義の危機への激しい焦燥感をあおりたて、戦後体制とその価値観・イデオロギーを半ば暴力的に破壊して、ただひたすら日帝ブルジョアジーの延命を図ろうとするものだ。既存の社会体制を破壊し、その結果引き起こされる一切の矛盾を労働者階級に押しつける。それはきわめて凶暴だが、絶望的で破産的な攻撃だ。
したがってこれは労働者階級の怒りの爆発を必ず引き起こす。だから日帝権力は、あらゆる権力機構、あらゆるイデオロギー、あらゆる反動勢力を動員して労働者階級の闘いと団結を圧殺しようとする。その決定的な手段のひとつが、ファシストの動員・利用なのである。
戦争・戦争国家に突き進む日帝にとって、石原はそのファシスト先兵としてきわめて有用なものになっている。特にその教育政策において日帝ブルジョアジー本流と一体化していると言っていい。
石原は国家全体の権力を掌握することはできないが、最大の自治体である東京都知事としての権力を手にしている。都は国ではなく自治体であるという「すき間」を突いて、石原は半ば国家がなすべきことを都において強行しているのだ。
しかも、国家がいまだ公然とはできないこと、つまり憲法や教基法を実質的に廃棄し、既存の法律を無視して教育改革(改悪!)、民営化、社会保障制度解体のファシスト的改革を好き放題に強行している。その最たるものこそ「10・23通達」だ。こうして石原は小泉=奥田路線を牽引(けんいん)し、東京を突破口にその全国的拡大を図っている。
石原は日帝権力機構や警察に依拠してファシスト政策を実行している。石原のファシスト支配の実体は帝国主義支配にある。既成の権力構造は根本的に変えずに反動を促進する、反革命的大衆運動をやらずにファシスト政策を推進するという、独特のファシズムなのである。
このような石原のファシスト支配の構造には、決定的な矛盾と弱点がある。石原自身、支配階級の一員であり、労働者階級をけっして獲得できず、民間ファシスト運動を組織することができないのである。突撃隊、親衛隊やヒトラー・ユーゲントを持たないまま、それを公安警察が代行する構造なのだ。労働者階級が団結して立ち上がれば、そのファシスト暴力を無力化させ打ち破ることは必ずできる。これは3月「日の丸・君が代」決戦の教訓である。
石原は東京における反動的突出を全国に拡大しようと策している。神奈川県知事、横浜市長、埼玉県知事などをすでに石原派として結集し、あわよくば千葉にまで自己の「勢力圏」を拡大しようとしている。何よりも東京・杉並区の山田区長が石原直結のファシスト区政を強行している。山田の主張は百パーセント石原と、また「つくる会」と同じなのだ。
その杉並区を、石原一派は「つくる会」教科書採択の全国的拡大に向けての最大の突破口に位置づけている。石原打倒闘争の当面最大の攻防点は、「つくる会」教科書の採択を絶対に阻止することにある。杉並をファシスト打倒の主戦場にしなければならない。都議選における長谷川英憲氏の勝利こそ、この決戦の最大の焦点なのである。
第3章 天皇と国家のために死ねと教える教科書
「つくる会」教科書の特徴は何か。
第一は、帝国主義の危機に対する焦燥感をむき出しにしていることだ。今春「日の丸・君が代」攻防でファシスト一派はより一層の危機感を募らせている。
第二は、明治国家を徹底的に美化していることである。そこにあるのは、天皇制ボナパルティズム下での民族主義・国家主義・国粋主義による“国民的統一”なるものへの限りない憧憬(しょうけい)である。天皇制下の侵略戦争と領土拡大の肯定・美化である。今や、日帝ブルジョアジー本流が、これを自己の基軸的なイデオロギーとするに至っている。
だが、その明治国家は、15年戦争に突進し、惨憺(さんたん)たる敗北を喫してボロボロになって崩壊した。それが明治国家の必然的帰結だったのだ。
第三は、“愛するもののために死ななくてはならない。愛するものとは国家である”というファシスト的価値観だ。
プロレタリアートにとって、自己の解放と階級の解放はひとつのことである。プロレタリアートは、自らが属する階級の根源的な解放(それは同時に全人類の解放である)のために「個に死して類に生きる」存在だ。プロレタリア自己解放の闘いは、コミューンすなわち「真の共同体」をつくり出す。しかし、ファシストが掲げるものは、これとは正反対の国家という「幻想的共同体」だ。「つくる会」教科書を貫くものは、階級対立を押し隠し、ブルジョアジーのための国家に「至高の価値がある」という虚偽のイデオロギーにほかならない。
ファシズムは二つの絶望・焦燥に駆られて登場した。一つは、帝国主義・資本主義の危機に対する絶望的焦燥である。もう一つは、帝国主義を転覆しようとするプロレタリアートの団結と闘い、革命への絶望と恐怖である。ファシズムは労働者階級の団結破壊を養分にする。スターリン主義や社会民主主義の腐敗と堕落によって労働者の階級的団結が崩された時、ファシズムはプロレタリア運動への絶望を糧に跋扈(ばっこ)するのだ。
“国家、天皇のために死ぬ”ことを押し出すファシズムに対して、階級的解放のために闘うプロレタリアートの団結を真っ向から対置しなけれならない。
第四は、日清戦争、日露戦争を美化・合理化し、“日本に敵対する国家が朝鮮半島を牛耳ったら日本は危機になる。だから朝鮮半島を日帝が支配する”というイデオロギーで塗り固められていることだ。これはファシスト的「地政学」、弱肉強食の「社会的ダーウィニズム」そのものだ。民族間・国家間の生存競争は必然とされる。だから「植民地主義の善悪は問わない」ということになるのだ。
これに対して、戦争の悲惨さ、残虐さを訴えることは重要だが、それだけでは勝てない。「それしか生き残れない」という侵略戦争肯定の論理を根底的にひっくり返すことである。「自衛戦争」論のデマゴギーを暴き粉砕することである。レーニンは『社会主義と戦争』で、「帝国主義戦争は、いずれの側からも強盗戦争である」と喝破した。侵略戦争をやる以外に生き残れない帝国主義、歴史的命脈が尽きた帝国主義などひっくり返す以外にないことを、真っ向から対置し闘うべきなのだ。
杉並こそ「つくる会」一派うち倒す主戦場
今こそ1〜3月「日の丸・君が代」決戦を、「つくる会」教科書を葬り去る闘いへと拡大・発展させよう。「つくる会」教科書採択阻止の階級決戦を杉並区を主戦場に闘おう。1〜3月闘争に打撃を受けた敵は、激しい危機感に駆られ、凶暴な攻撃を繰り出してくるだろう。これと真っ向から激突して闘うことだ。
教科書闘争の主人公は杉並区の50万区民、とりわけ労働者階級である。このことを据えきった時、労働者の中から“「つくる会」教科書採択阻止の先頭に立つ人を都議会に出そう”という機運が広範につくり出されるのだ。
教科書闘争は4大産別決戦を爆発させる力になる。「つくる会」教科書の採択阻止は、4大産別を始め全労働者の戦争協力拒否の闘いだ。採択を許せば、労働者階級は侵略戦争の加担者に転落してしまうのだ。全党・全産別の同志が総決起し、杉並にはせ参じて闘おう。
都議選決戦は、民主労総を始めとする朝鮮人民、闘う中国人民、在日・滞日アジア人民との国際連帯を打ち固める闘いだ。したがってまた、闘う労働運動の新潮流を発展させる闘いそのものである。
また都議選は労働者階級自身の闘いである。党の総蜂起と労働者階級の総蜂起が真に結合して闘われるのである。
革命への情熱をたぎらせ、粗野ともいえるほどの荒々しさをもって都議選決戦を闘おう。全党員と闘う労働者が「荒野に叫ぶ預言者」のような精神に燃え、自己と労働者階級人民との一体性を心底信じて、ファシスト石原打倒を訴えよう。革共同はこの千載一遇のチャンスに命がけで総蜂起する。そして21世紀革命を実現する労働者党として、この都議選で生まれ変わろう。
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週刊『前進』(2195号1面2)(2005/04/25)
中国人民の新たな抗日闘争を断固支持し連帯して闘おう
北朝鮮・中国侵略戦争阻止へ
(T)
中国で日本帝国主義の再侵略に対する新たな抗日闘争が爆発している。
闘いの発端は、日帝の国連安保理常任理事国入りに反対する3月下旬のネット署名運動とその広がりであった。それは4月に入り、中国に進出する日系スーパー、イトーヨーカドーやジャスコへの抗議行動、日本商品不買運動に拡大した。9日には北京で1万人のデモと日本大使館への抗議行動となり、10日には広州の2万人を始め、深せん、海口などの諸都市で、合計数万人という大規模デモに発展した。さらに4月16、17日にも北京、上海、広州、西安などで抗日デモが呼びかけられている。
中国の労働者、学生、民衆は何に怒り決起しているのか。第一に日帝の国連常任理事国入りの策動、第二に歴史を歪曲し侵略戦争を肯定する「つくる会」教科書、第三に日帝の中国領・釣魚台(=「尖閣列島」)略奪と東中国海での石油・ガス田試掘の動き。これらに象徴される日帝のアジア再侵略への怒りだ。第四にこの底流には、小泉の執拗(しつよう)な靖国神社参拝に対する糾弾がある。第五に決定的なことは、昨年12月の新防衛計画大綱と2・19日米安保協(2+2)で中国を公然と名指しし、中国危機と台湾有事を想定した攻撃を宣言したことへの根底的怒りである。
(U)
日帝は今や米英日枢軸のもとイラク侵略戦争に参戦し、多国籍軍に派兵している。サマワの一角を占領している。そして米帝ブッシュの世界戦争路線と一体化し、米帝とともにイラクから北朝鮮・中国侵略戦争へと突き進みつつある。新しい「15年戦争」はすでに始まっているのだ。
北朝鮮・中国侵略戦争に向けては、すでに日米新ガイドラインがあり、周辺事態法に加え、武力攻撃事態法・国民保護法などの有事法制と改定ACSA(日米物品役務相互提供協定)が成立している。その上に今や日帝は米帝と共同し米軍再編(トランスフォーメーション)を推進し、日帝を戦争国家へと大転換する改憲へと突き進んでいる。
今日、新たに爆発した抗日闘争は、このように日帝が再び朝鮮・中国・アジアへの侵略と侵略戦争を開始しつつあることへの、根底からの怒りの決起である。それが国連常任理事国入り問題や「つくる会」教科書への抗議を契機に一気に爆発し始めているのだ。
ところが日帝政府とマスコミは、デモの原因を「中国の国内の不満のガス抜き」「底流に中国社会のひずみ」「日系企業への逆恨み」があるとして中国の側に求め、「一部が暴徒化」「警察が黙認」「官製デモ」などと、排外主義の扇動に躍起となっている。
日帝の侵略戦争・植民地支配の歴史への謝罪・賠償は今もって拒否しながら、今回のデモへの「謝罪と補償」(町村外相)すら要求している。野党も「小泉外交のツケ」と批判しつつ「極めて遺憾」「暴力で訴えるのは良くない」などと日帝に唱和している。
(V)
かつて中国の労働者、学生、人民は、1915年に第1次大戦のただ中で日帝が中国の半植民地化を狙って突きつけた「21カ条の要求」に反対し、中国各地で抗日運動に立った。1919年には朝鮮の「三・一独立運動」と連動しつつ山東半島の権益返還を要求して歴史的な「五・四運動」に決起し、中国全土で「日貨ボイコット」闘争を展開した。これは反帝国主義・民族解放闘争の決定的出発点となった。
だが日本の労働者階級人民は当時、この中国・朝鮮人民の闘いに連帯して、日帝の侵略戦争と闘うことができなかった。日帝の侵略と植民地支配に反対し、侵略戦争を日帝打倒の内乱に転化する闘いに決起できなかった。その結果、「15年戦争」―日中全面戦争から太平洋戦争への破滅の道を阻止しえず、アジア人民の2000万人の虐殺と日本人民310万人の犠牲を許してしまったのである。
(W)
しかし今また日帝は、過去の歴史をまったく反省せず、日米枢軸のもとで新しい「15年戦争」、北朝鮮・中国侵略戦争へ突き進んでいる。「日の丸・君が代」強制も、「つくる会」教科書も、国連常任理事国入り策動も、教基法改悪・改憲攻撃も、すべてそのためのものだ。中国にはすでに3万1千社以上の日本企業が進出し、膨大な直接投資を行い、中国を今や日帝経済の事実上の「生命線」と化している。これ自体がとてつもない侵略であり、民族抑圧なのである。
しかも「五・四運動」がそうであったように、今日の抗日闘争の爆発は同時に、帝国主義から資本と技術を導入しつつ労働者人民に貧困や抑圧を強制する中国の残存スターリン主義体制への闘いにも発展していくことは不可避である。
(X)
日本の労働者階級人民は今こそ中国人民の歴史的な抗日闘争を支持し、連帯して、日帝の新たな侵略・侵略戦争と闘い、日帝を打倒しなければならない。決起する朝鮮・中国・アジア人民との国際連帯と「侵略を内乱へ」の闘いに総決起しなければならない。
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週刊『前進』(2195号2面1)(2005/04/25)
侵略の正当化許すのか 中国人民・朝鮮人民を敵視
「つくる会」教科書
「新しい歴史教科書をつくる会」の扶桑社版中学校歴史と公民の教科書をめぐる闘いは、今や日本帝国主義との最大の対決点となった。中国と韓国で激しい人民の怒りが爆発し、日本の政府やマスコミがこの闘いを排外主義的に非難していることの意味を考えてみなければならない。中国人民の新たな闘いは1919年の五・四運動(キーワード参照)以来と言われている。われわれは、中国人民、朝鮮人民の反日帝の闘争、新たな抗日闘争を断固支持し、連帯し、「つくる会」教科書採択を断固阻止しなければならない。
強盗的な「21カ条」対中要求を居直り
「つくる会」の歴史教科書は、近現代の日本帝国主義による朝鮮・中国・アジアに対する侵略と植民地支配、侵略戦争の歴史を全面的に肯定する立場からつくられたものである。朝鮮人民、中国人民を敵視し、蔑視(べっし)して、日本帝国主義がどれほど朝鮮と中国の民族的な権利と財産と生命など一切のものをじゅうりんし奪い尽くしてきたかという歴史的反省がまったくないという恐るべきものである。
「つくる会」教科書は、第1次大戦への日本の参戦と対中「21カ条要求」について次のように言う。
「中国はドイツに宣戦布告し、青島からの日本軍の撤退を求めてきた。それに対し日本は、1915(大正4)年、ドイツがもっていた山東省の権益の引きつぎ、関東州の租借期限の延長などを中国に要求した。中国側は、列強の介入を期待して極秘の交渉内容を内外にもらし、5つの案件に正式な要求事項でないものをふくめて『二十一か条要求』と名づけたので、中国国内の反日世論は高まった」
まったく盗っ人たけだけしい言い方である。日本はこの21カ条で、中国政府に日本人の政治・財政・軍事顧問の登用、必要な地域の警察の日中合同、日本による武器の供給、華中・華南に日本の鉄道敷設権を認めることなど、全面的な侵略統治を要求したのだ。このような強盗的要求の理不尽さを指摘せずに、中国側の対応に問題があったかのように言うのが「つくる会」教科書なのだ。この21か条要求に対する怒りの全人民的広がりが1919年の五・四運動を呼び起こしたのである。
このように、中国人民の抗日運動に対する記述はきわめて排外主義的である。例えば、1928年ころの「中国の排日運動」という項では、次のように言う。
「中国の国内統一が進行する中で、不平等条約によって中国に権益をもつ外国勢力を排撃する動きが高まった。それは、列強の支配に対する中国人の民族的反発だったが、暴力によって革命を実現したソ連の共産主義思想の影響も受けており、過激な性格を帯びるようになった。日本に対しても、日本商品をボイコットし、日本人を襲撃する排日運動が活発になった」
そして図版で「中国の排日運動を伝える新聞記事」として「暴動化せんとする漢口の排日運動」「邦人二名暴民に奪はる」などの見出しが踊る当時の東京朝日新聞を載せ、日本が権益を脅かされ生命財産が危うくなり何らかの防衛策が採られるのが当然という印象を与えるようにされている。
さらに、日帝が「満州国」をデッチあげるために仕組んだ1931年9・18の柳条湖事件に関する記述も「国民党による中国統一がせまるにつれ、中国人による排日運動もはげしくなり、列車妨害や日本人学童への迫害などが頻発した」と、日本が生き延びるためにはやむを得なかったように描かれている。
要するに、中国が侵略されたのは、中国人民が悪かったからだという描き方になっているのだ。
南京大虐殺については本文中には一切記述がなく、「注」として「実態については、さまざまな疑問点も出され、今日でも論争が続いている」と、大虐殺の事実そのものを否定している。日本軍軍隊慰安婦問題は、「つくる会」教科書だけでなく、すべての教科書からなくなった。強制連行についても「つくる会」教科書には一切記述がない。
日本人民の惨苦も徹底的に消し去る
こうして、「つくる会」教科書は、朝鮮・中国・アジアに対する侵略の歴史を美化することで、日帝が2千万人以上も虐殺してきた歴史的事実を覆い隠してしまう。それだけでなく、それが日本の労働者階級人民に筆舌に尽くしがたい惨苦をもたらしたことをも覆い隠してしまう。日本の労働者人民も兵士を始め310万人がこの戦争で犠牲になったのだ。
ところが、「つくる会」教科書は、この「被害」の面でも徹底的に事実を押し隠している。45年3月10日の東京大空襲を頂点とする各地への大量無差別爆撃、4月から6月の沖縄戦、8月6日の広島への原爆投下、同9日の長崎への原爆投下という重大な事実についてほんの一言ずつしか記されず、どんな被害だったのかは書かれていない。
つまり、侵略戦争が他民族人民を大虐殺すると同時に、自国の人民をも地獄に追い込むことを、徹底的に押し隠しているのである。そうしておいて、「日本軍はとぼしい武器・弾薬で苦しい戦いを強いられたが、日本の将兵は敢闘精神を発揮してよく戦った」と徹底して美化するのだ。
また「戦時下の生活」のページでも、「……生活物資は窮乏をきわめた。しかし、このような困難の中、多くの国民はよく働き、よく戦った。それは戦争の勝利を願っての行動であった」と言っている。
「よく戦った国民」を称賛することで、戦争になったら、それに異を唱えてはならない、心をひとつにして戦わなければならない、と説いているのである。
杉並で採択阻止し石原・山田打倒へ
「つくる会」教科書は、結局、戦争について「繰り返してはならない」ではなく、美しいもの、たたえるべきもの、継承すべきものとして描き上げる。そして朝鮮・中国人民への蔑視と排外主義、とりわけ中国人民への敵意をあおりたて、侵略戦争も当然だ、必要ならとことんやるべきだと宣伝・扇動しているのだ。
今日、03年3・20イラク開戦後の世界で、自衛隊が参戦し、すでに日本が戦時下に突入していること、さらに日米枢軸のもとで米軍再編を行い、北朝鮮・中国侵略戦争に向かっての布陣を敷いていること、そういう中でつくられている教科書だということが重要なポイントである。つまり、日帝がやろうとしている新しい侵略戦争の担い手をつくり出すための教科書として、「つくる会」教科書が前面に出てきたのである。
この「つくる会」教科書をめぐる最大の決戦場が東京・杉並である。ファシスト石原は、東京での「つくる会」教科書採択の突破口として杉並を位置づけ、石原の先兵・山田区長のもとで、その採択を強行しようとしているのである。「東京から日本を変える」と言ってきたことを、杉並からぶち抜こうとしているのだ。
まさにファシスト石原を真っ向から粉砕する闘いとして、杉並の闘いを大衆的に爆発させ、その中で長谷川英憲氏を押し立てた都議会議員選挙を闘いぬこう。朝鮮人民、中国人民と連帯して、「つくる会」教科書採択阻止へ全力で闘おう。
キーワード 五・四運動
第1次世界大戦後の帝国主義世界体制を決めるパリ講和会議(ベルサイユ条約)で戦勝国日本への中国・山東省のドイツ権益譲渡が決まったことに対し、抗日運動が高まった。1919年5月4日、北京の大学生約3千人が天安門前に集まり、「山東半島の主権を返せ」を掲げ激しいデモ行進を行った。運動は拡大の一途をたどり、日本商品ボイコットが広がった。軍閥政府は大弾圧を加えたが、広範な民衆の怒りを引き起こし、多くの都市で労働者・商店のストライキが行われた。中国の民族解放闘争、抗日運動の歴史的出発点となり、中国共産党がこの運動の中で1921年に誕生した。
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週刊『前進』(2195号2面2)(2005/04/25)
アジア人民の怒りの声を聞け
中国各地で数万人のデモ 韓国や台湾でも抗議行動
文科省が「つくる会」教科書を検定合格としたことに対して、アジア全域で人民の怒りが爆発している。中国では9日に北京市で1万人、10日に広州市で2万人、深せん市で1万人のデモが闘われた。上海や成都、香港、台湾でも抗議行動が爆発している。韓国でもソウルなど各都市で抗議行動が闘われている。
アジア人民は、日本帝国主義が再びアジア侵略戦争と植民地支配の野望をあらわにしたものとして、危機感と怒りを強めている。この闘いに連帯し、侵略史を美化し排外主義を扇動する「つくる会」教科書の採択を絶対に阻止しよう。
韓国の全国教職員労働組合が抗議声明
韓国の民主労総傘下の全国教職員労働組合(イスイル委員長、9万2千人)は6日、「つくる会」教科書の検定通過に抗議して以下の声明を発表した。
◇ ◇ ◇
今や日本政府は、歴史の歯車を後戻りさせるとの意図を、何のためらいもなしにあらわにしている。事実上、日本政府の指示のもとで行われた島根県の独島条例通過に続き、日本政府は2005年4月5日、右翼団体である新しい歴史教科書をつくる会(以下「新歴会」)がつくった教科書を、韓国をはじめとする周辺国の要求を徹底的に無視して検定を通過させた。
日本の中学生の大部分が学ぶことになる公民の教科書には、独島を韓国が不法に占領していると書かれている。歴史教科書では、日本帝国主義の侵略行為は大東亜共栄圏を保護するための併合行為に変身しており、わが民族に加えられた残酷な植民統治は、「韓国併合後に設置された朝鮮総督府は、鉄道・灌漑(かんがい)施設を整備するなどの開発を行い、土地調査を実施し、近代化に努めた」と合理化されている。
日本首相の小泉は、検定結果の発表に続き、両国間に見方の違いが存在することをあまり拡大しないでもらえれば、という形で歴史歪曲を事実上、既成事実化しようとしている。
日本政府のこうした露骨な行為は、歴史を歪曲してでも、これ以上第二次世界大戦の侵略国であり敗戦国であるというくびきには縛られないという宣言であり、今後日本が軍国主義の旗印を鮮明にさせてゆくことを表明するものである。
アメリカは東北アジア地域の覇権を確保するために米日同盟を強化しており、その対日政策がこれをあおっているということも、すでに広く知られている事実だ。
したがって、日本政府の歴史歪曲問題は、その場限りの対応で解決する問題ではない。日本軍国主義が行った蛮行と歴史的罪科を徹底的に明らかにし、これに対する正当な賠償と真の謝罪がなされなければならない。われわれの内部に残っている親日残滓(ざんし)を徹底的に清算し、経済的従属関係から脱却するための積極的な努力がなされなければならない。
子どもたちに正しい民族意識を教えなければならない教師は、教壇で歴史の真実を教えることにより、日本軍国主義の復活を阻むための闘いを展開する。また、日本の良心的な教師や社会団体と連帯し、日本政府の歴史歪曲を糾弾し、不採択運動を展開する。さらには、韓中日の歴史家らが歴史的真実に立脚して作成した教科書を用いて、アジアの平和を築いてゆく教育を展開する。
2005年4月6日
全国教職員労働組合
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週刊『前進』(2195号2面3)(2005/04/25)
「侵略史を美化する教科書使わせない」
写真 杉並区役所前で演説する都政を革新する会の長谷川英憲代表(4月13日)
戦争叫ぶ石原の打倒を訴え
「つくる会」教科書の検定合格を弾劾して、都政を革新する会(長谷川英憲代表)は連日、杉並区内で街頭宣伝を行っている。
13日正午からは、この日に定例の区教育委員会が行われる予定の杉並区役所前で街頭演説と署名活動を行った。長谷川代表を先頭に結柴誠一区議、新城節子区議、北島邦彦事務局長が代わる代わるマイクを握り、韓国・中国民衆の闘いへの連帯と「つくる会」教科書採択阻止を呼びかけた。
長谷川代表は、「つくる会」歴史教科書の中身を具体的に批判し、「侵略戦争の歴史を隠蔽(いんぺい)し美化するこんな教科書を絶対に使わせてはならない」と訴えた。さらに「石原都知事は『週刊新潮』で『釣魚台問題で中国と戦争をやれ』と叫んでいる。1200万都民の都知事が戦争を叫んでいることは重大事態だ。こんな石原知事と山田杉並区長を打倒しよう」と熱を込めて訴えた。
15年戦争の時代を体験した区民がマイクを握り、「中国の人たちの怒りは当然。戦争は二度と繰り返してはならない。そのために声を上げよう」と反戦の思いを語り、呼びかけた。冬に逆戻りしたような寒い日だったが、区役所を訪れた区民や昼休みの労働者が訴えに耳を傾け、ビラに見入り、署名をしていった。
都政を革新する会と長谷川英憲さんの精力的な闘いで杉並の地熱は高まっている。6月都議選に勝利し、「つくる会」との全国的攻防の最大焦点として、8月杉並での「つくる会」教科書の採択を阻止しよう。
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週刊『前進』(2195号2面4)(2005/04/25)
自治体・教育労働者への政治活動禁止法案許すな
国策反対の行為は一切禁止 現業や公営企業職員も制限
自民党が自治体労働者と教育労働者の政治活動の実質的禁止法案を今国会に提出することを狙っている。自治体労働者と教育労働者の改憲反対や戦争協力拒否の闘いを圧殺し、日教組と自治労を戦争翼賛勢力化する攻撃であり、国家権力機構内の労働組合の絶滅を狙う大攻撃である。日帝・小泉政権は、改憲反対が圧倒的多数を占める自治体労働者と教育労働者の政治活動=改憲反対運動を禁止し、自治労100万、日教組30万を改憲勢力へ屈服・転落させて連合700万を丸ごと改憲勢力化し、一挙に改憲情勢をつくりだし、再び日本を戦争国家にすることを狙っているのだ。
違反行為には3年の懲役も
自民党は4月6日、地方公務員や公立学校教員による選挙運動などの政治的行為を制限する関連7法案を提出する方針を決めた。
@地方公務員の政治的行為を国家公務員と同様に制限するA3年以下の懲役または10万円以下の罰金の罰則規定を設けるB公立学校の教育公務員の政治的行為の制限に関する特例規定を削除し、国家公務員と同様に制限し、罰則を設ける−−などだ(別表を参照)。
現在、地方公務員法36条によって地方公務員は選挙運動などの政治的行為が「制限」されているが、国家公務員と違って罰則がない。教員は、国家公務員並みに政治活動を制限されている(人事院規則が適用される)が、これも罰則はない。これ以外にも政治的中立確保法で組織的な反政府教育が禁止されている。
自民党の公務員制度改革委員会(片山虎之助委員長)は「国家公務員には罰則があり、地方公務員にないのは問題だ」として国家公務員並みの政治活動の制限を狙っているのである。また水道や交通など公営企業職員は、そもそも政治的行為が制限されていないが、これについても自民党は、新たな規制を設ける地方公営企業法の改正も併せて検討するという。
さらに、自民党が今国会提出を目指している改憲手続きのための国民投票法案にも「公務員及び教育者の地位利用による国民投票運動の禁止」が盛り込まれている。これは公務員と教員が改憲に反対する運動にかかわることを一切禁止するものだ。違反した場合、公務員は2年以下の禁固または30万円以下の罰金、教員は1年以下の禁固または30万円以下の罰金となる。
マスコミ報道は「民主党の支持基盤である官公労の牽制(けんせい)が狙い」としているが、これにとどまらない。自治体労働者と教育労働者の政治活動の全面禁止、労組解体に踏み込もうとしているのだ。
すでに国家公務員については、国家公務員法102条(及び人事院規則)によって政治活動が厳しく制限されている。政治的目的のために▼新聞その他の刊行物を発行・編集し、配布する▼署名運動を企画・主宰し、組織・指導する▼行進その他の示威運動を企画・組織する▼集会その他で、また拡声器その他の手段を利用して、公に意見を述べる――ことなどを禁止している。
重大な問題は、国家公務員法102条が他の国家公務員への働きかけ、組織化を特に禁止していることだ。「政治的目的」の定義には「政治の方向に影響を与える目的で特定の政策を主張し、または反対すること」「国の機関または公の機関において決定した政策の実施を妨害すること」も含まれている。
国家公務員の国策に反対する行為、政治運動は一切禁止なのである。戦争政策や社会保障制度解体などの国の政策に対して、反対運動を呼びかけ、他の公務員を組織化することや公の場や多数の前での政治的発言や意見表明は禁止されているのである。
こうした政治活動の禁止を自治体労働者と教育労働者に強制しようとしているのだ。自治体労働者や教育労働者が有事法制や新基地建設に反対し、戦争協力を拒否する行動も、すべて「国の政策」に反対する行為として禁止・制限の対象となる。国の決めたことに逆らうことは一切許さないということだ。自治体労働者と教育労働者を、戦前のように「赤紙」(召集令状)を配り、教え子を戦場に送り出していく天皇の官吏・訓導としようとしているのだ。
選挙運動も制限しようとしている。労働組合が組織内候補として、候補者を立て選挙運動を行うのは労働者の政治活動、政治的行為として非常に重要な行為であり、譲ることのできない最低限の権利である。
団結権・団体交渉権・争議権の労働基本権を奪う攻撃と一体のものとして、言論の自由などの基本的人権も認めず、労働者からあらゆる権利を奪って国策に忠実に従い、実行するようにしようとしているのだ。
国家公務員の政治活動の制限は、1950年の朝鮮戦争の前年に盛り込まれたものだ。国家公務員の反戦闘争を弾圧し、闘う労働者を排除し(レッドパージ)、朝鮮戦争に協力させるためだったが、その後の闘いで実質的に「形骸化」してきた。それをも転覆しようとしている。
屈服と翼賛化拒否し闘おう
日帝・小泉政権は今日、その帝国主義的危機からの「出口」を戦争に求めて突進している。そのために自治体労働者と教育労働者の政治活動を禁止するという他の帝国主義でも見られないほどの凶暴な攻撃をかけている。
だが他方で、労働者からあらゆる民主主義的権利を暴力的に奪う形でしか戦争体制をつくれない危機性・脆弱(ぜいじゃく)性も示している。国家権力機構の現場にいる自治体労働者や教育労働者が戦争協力拒否の闘いを現場から巻き起こせば戦争国家はつくれない。ストライキに立ち上がれば国家機能は停止する。
3月卒業式で、ファシスト石原と都教委、警視庁公安の暴力・恫喝と対決しぬいて「日の丸・君が代」強制を拒否した東京の教育労働者の闘いこそ、今後の闘いの展望を鮮やかに示している。闘う自治体労働者、教育労働者の存在と力を恐れているのは、国家権力、政府・自民党の方だ。地方公務員の政治活動制限法案の国会提出を粉砕しよう。
(掘井智也)
地方公務員の政治活動制限法案のポイント
■地方公務員の政治的行為について、国家公務員と同様に制限
・制限される政治的行為は、国家公務員法及び人事院規則による制限と同様の内容とする
・地方公営企業職員・単純労務者である地方公務員・特定地方独立行政法人の職員についても、特例規定を削除し、国家公務員と同様に制限
・違反行為に対し、罰則(3年以下の懲役または10万円以下の罰金)の規定を設ける
■公立学校の教育公務員の政治的行為の制限に関する特例規定を削除
■単純労務職員・地方公営企業職員・特定地方独立行政法人の職員の政治活動に関する寄付や公職の候補者となることを禁止
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週刊『前進』(2195号3面1)(2005/04/25)
関生弾圧第1回公判 大阪地裁を完全に包囲 全国から1200人の怒り
戦時下の労組弾圧に反撃
関生弾圧粉砕へ地裁包囲
全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部への弾圧の初公判に結集した1200人が「人間の鎖」で大阪k地裁を包囲(4月7日)
「人間の鎖」で被告激励
4月7日、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部への不当弾圧第1回公判が午前10時から開かれた。関生支部組合員と全国から結集した支援の労働者・市民1200人が大阪地裁を完全に包囲し、地裁周辺は法廷内での闘いと呼応して断固たる反撃の集会とデモが半日闘いぬかれた。
闘う労働運動の圧殺を狙った大攻撃に対して、関生支部は敢然とストライキをもって決起し、多くの組合員が朝からの公判闘争に決起した。それにこたえて関西はもちろん、動労千葉の部隊を始め全国から多くの闘う仲間が結集した。
この日の第1回公判には武建一委員長ら4人の被告が元気に出廷した。武委員長は検察の卑劣な発言妨害を打ち破って、30分間にわたって日帝・国家権力、大阪府警、検察庁、大谷生コン資本を鋭く弾劾する冒頭陳述を行った。武委員長が、「検察、裁判所は一部特権階級の支配を守るものとなっている。これでは法のもとの平等はない。ただちに釈放することを求める」と冒頭陳述を締めくくると、傍聴席から大きな拍手がまき起こった。
この法廷内の闘いに呼応して、朝9時から地裁周辺には関生支部の組合員と支援の部隊が続々と結集し始めた。裁判所北門から天満署に面した東門、南正門までを関生支部組合員が取り巻き、全国金属機械労組港合同や、部落解放同盟全国連合会などの部隊が北門から西門までを押さえ、動労千葉、全国労組交流センター、関西合同労組を始めとする全国の支援の労働者・市民が南正門前から西門を取り巻き、9時半にはヒューマン・チェーン(人間の鎖)が完成して抗議包囲闘争が開始された。
これまで数多くの治安弾圧との闘いが取り組まれ、争議支援の行動も行われてきた大阪地裁前だが、これほどの大隊列が組織されて大衆的反撃が行われたことはなかった。平日の緊急闘争であったが、目標をはるかに超える大動員で大阪府警を驚かせた。まさに巨大な反撃が始まったのだ。
この闘いには全金本山、国労九州闘争団、広島連帯ユニオンなど、全国の闘う労働組合の組合員も駆けつけ、折から来阪していた米ILWU(国際港湾倉庫労働組合)のブライアン・マックウィリアムズ前委員長も参加した。
抗議集会と長蛇のデモ
裁判所を包囲した大抗議団は、傍聴者100人を201号大法廷に送り出した後、剣先公園に移動して抗議集会を開催した。
集会では、関生支部の高英男副委員長が当該組織を代表して、生コン労働者の生活をかけた産業政策の運動に対するデッチあげ弾圧であり、組織破壊攻撃であることを訴え、関生支部は弾圧に対して一層の団結強化で立ち向かい、第三、第四の弾圧をもはね返していくと決意を表明した。さらに、生コン政策協議会から全港湾、生コン産労の代表があいさつした。
支援団体からは、まず、港合同の中村吉政副委員長が立ち、「関生支部への弾圧や自治労・大阪市職への攻撃など、戦争と民営化の攻撃で、労働者が団結してかちとってきた権利が破壊され、やがては魂も命までも取られてしまう。労働者は闘わなければならない」と訴えた。さらに、ユニオンネットの代表、社民党の今西正行兵庫県議、南大阪平和人権センター、反戦・福祉議員ネットの森田充二高槻市議があいさつした。
続いてILWUのマックウィリアムズさんが発言。3月19日にイラク反戦を掲げサンフランシスコで港湾封鎖闘争を闘ったマックウィリアムズさんは、「資本家は話し合いをするより背中にナイフを突きつけてきている。労働者は強固な労働組合の声なしには公正でまともな扱いをかちとれない」「みなさんの闘いを支援し、獄中で闘うみなさんのリーダーを激励するためにここに来ました」と、熱烈に国際連帯を表明した。
動労千葉からは川崎昌浩執行委員が立ち、「日本の労働運動を変えていこう」と、11月労働者集会にともに取り組んできた立場から05年冒頭の不当弾圧を弾劾し、これをはね返すためにも3月の春闘ストライキを闘ったこと、さらに05年決戦を闘う決意を表明した。
続いて、管理職ユニオン、東京東部労組、大阪コンクリート圧送労組、解同全国連寝屋川支部から連帯の発言が行われた。寝屋川支部の仲間は、「会社に労災を認めろと話し合いをして、2カ月後に突然弾圧された。関生への弾圧とまったく同じだ」「なんで7カ月も閉じ込められんならんねん! 弾圧やっているのは小泉だ!」と小泉政権の労働運動破壊攻撃に対してともに闘いぬく決意を力強く表明した。
最後に全日建運輸連帯労組中央のまとめが行われ、この日の闘いの成功が全体で確認された。その後、中之島公園・女神像前で公判を終えた傍聴団と合流した。全日建運輸連帯労組の戸田ひさよし近畿地本委員長と弁護人から公判報告を受け、検察合同庁舎に向けた抗議デモに出発した。
この日の闘いは、関西のすべての闘う労働運動勢力と、11月労働者集会を成功させてきた3労組陣形と、国際連帯の力をかけ合わせた巨大な反撃となった。大阪府警は予想を超える労働者の大結集に驚き、宣伝カーに「扇動するな」と妨害を図ったが、圧倒的な抗議の声に粉砕され、なんの手出しもできなかった。闘う労働者の大部隊は、解散地点の西梅田公園まで意気高くデモを闘いぬいた。
この日の闘いをつうじて、連続的な大弾圧をもってしても、けっして関生支部を破壊することはできないこと、むしろますます団結が鍛えられ、連帯と共闘が広がり、戦時下の労働運動弾圧と闘いぬく階級的労働運動が力強く発展することが示された。
3〜4月、東京の教育労働者を先頭に「日の丸・君が代」決戦が打ちぬかれ、動労千葉が72時間ストライキに決起し、3・20国際反戦闘争が20労組を先頭に闘いぬかれた。そして、これらの闘いを引き継いで関生支部弾圧への巨大な反撃がたたきつけられた。
05年、労働運動をめぐる階級決戦は、敵の激しい「外への侵略戦争、内への階級戦争」と真っ向から対峙し、労働者階級の猛然たる階級的反撃へ転じた。この道を断固として進もう。そして絶対に勝利しよう。
次回公判は5月16日、第3回公判は6月9日、いずれも午後1時半から803号法廷だ。全力で結集し、支援しよう。
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週刊『前進』(2195号3面2)(2005/04/25)
「労働契約法」制定阻止へ 金銭解決で不当解雇を容認
4月13日、厚生労働省の「今後の労働契約法制のあり方に関する研究会」が「中間とりまとめ」を発表した。厚労省は、今秋にも同研究会の最終報告をまとめ、これをもとに07年度中に「労働契約法案」を国会に提出する方針だ。それは、労働基準法を実質的に空無化し、戦後労働法制の根本的転覆を図る攻撃だ。
イラク侵略戦争に参戦した日帝は、北朝鮮・中国侵略戦争を決断し、「つくる会」教科書による教育現場の制圧と教育基本法改悪、さらには憲法改悪へと突進している。こうした情勢は、郵政民営化を始めとする労組破壊と労働者の権利剥奪(はくだつ)の攻撃に一層の拍車をかけている。
労働法制の改悪は、今も激しく進んでいる資本攻勢を合法化し、それをさらに促進するものになる。
労働条件の悪化も資本の自由に
今回、厚労省の研究会が打ち出した「中間とりまとめ」には、「解雇紛争の金銭解決制度」の導入が盛り込まれた。それは、違法な解雇に対して労働者が裁判に訴え勝訴した場合でも、資本が金銭を支払えば労働者は退職させられるというものだ。「資本の解雇権」を明記した03年の労基法改悪に際し、厚労省や日本経団連がその導入を企てたが、労働者の闘いがこの策動を押し返した。厚労省は再びそれをねじ込んで、違法・不当な解雇を横行させようとしているのだ。
「中間とりまとめ」はまた、賃金や労働時間などの労働条件について、その一方的な変更権を資本に与える方針を打ち出した。
具体的には、@「就業規則を変更することによる労働条件の変更」を法制度として導入し、A労働条件変更の提案とともに、それに応じない労働者は解雇すると通告する制度(つまり、首切りの恫喝で労働条件の切り下げを迫るということだ)を、一定の条件のもとで認める――などである。
不当なことに今日すでに、「就業規則の変更に合理性があれば、反対する労働者も変更後の就業規則に拘束される」という趣旨の最高裁判決が幾つも出されている。現行の労基法でも、就業規則の変更は、労働者の意見を聞きおきさえすれば資本の一存で行える。これを盾に、資本が勝手に就業規則を改悪し、切り下げられた労働条件がそのまま労働者に押しつけられているのが現実だ。
その上さらに「就業規則の変更による労働条件の変更」が法律に明記されれば、賃下げ・長時間労働・配転強要などの攻撃は、資本の思いのままになる。
だが本来、労働契約も契約である以上、双方の合意によらずその内容を変えることはできないはずだ。ところが厚労省は、労働契約に限って資本に一方的な変更権を認め、“労働者はそれに無条件に従え”と言うのである。これこそ、資本主義が本質的に賃金奴隷制の社会であることを示して余りある。
さらに、これに関連して「過半数の労働者を組織する労働組合が就業規則の変更に合意すれば、その変更に合理性があるものとみなす」との規定も置かれる。連合中央の屈服を突いて、「労使合意」の形をとって労働条件を際限なく切り下げようとしているのだ。
その狙いは、労働者に一切の矛盾を押しつけて資本の延命を図ることにある。「中間とりまとめ」は、労働契約法制定の目的を「事業環境や経営環境の急激な変化に対して、従前にもまして速やかに適応しなければ企業の存続自体が危ぶまれる場合も生じてきており、その際には、紛争なしに労働条件の変更が迅速に行われることが必要となる」と、あけすけに述べている。まさにそれは、解雇・賃下げ強行法だ。
労組を否定する常設労使委員会
この攻撃を引き出したのは、連合中央・全労連中央の「解雇規制法」制定要求運動だ。労働者の団結に依拠して資本と闘うのではなく、司法に救済を仰ぐ彼らの路線は、小泉や資本に完全に逆手に取られている。
今回の攻撃は、労働組合の存在そのものの否定を狙っている。「中間とりまとめ」は、労働契約法制定の必要性を「労働組合の組織率が低下し、団体交渉等による集団的な労働条件決定システムの機能が相対的に低下してきていること」に求め、労働組合の代わりに常設の労使委員会を設置し、その決議で労働条件を変更できる制度を創設しようとしている。
つまり、団体交渉によって労働条件を決めるという戦後労働法制の根幹を覆し、労組から団交権を剥奪しようとしているのだ。
こうした動きとあいまって、ホワイトカラーを労働時間規制の対象外に置く「ホワイトカラー・イグゼンプション」の導入が企てられていることも重大だ。
共謀罪新設の攻撃や全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部への大弾圧などと併せて見れば、これら労働法制の大改悪が、労働争議を暴力的にたたき伏せ、階級的労働運動の一掃を狙っていることは明らかだ。
こうした攻撃が本格化する中で、34年の争議を貫き解雇撤回・職場復帰を実現した全金本山労組の勝利は、巨大な意義をもっている。これに学び、国鉄1047名闘争と郵政民営化阻止闘争を軸に「一人の首切りも許さない」闘いを貫こう。そこに労働法制の大改悪を打ち砕く道がある。
6月都議選に勝利し、戦時下の労組破壊と闘おう。階級的団結を固め、労働者の権利を守りぬこう。
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週刊『前進』(2195号3面3)(2005/04/25)
韓国
蔚山で非正規労組825人連行 団交要求し長期スト
韓国・民主労総は4・1ゼネスト18万人決起をもって4月決戦に突入している。4月はいわゆる春闘、本格的な賃金団体協約交渉闘争(賃団闘)の過程であり、同時に非正規職悪法との国会攻防となる。すでにノムヒョン(盧武鉉)政権は、すさまじい労働弾圧を発動し、闘う民主労総の解体へと突き進んでいる。
ゼネスト当日の4月1日朝、蔚山(ウルサン)の建設プラント労働組合のストライキに国家権力が襲いかかり、25人を連行、さらに抗議に立ち上がった組合員らを暴行、重軽傷者が多数出るという弾圧が発動された。さらに8日には、同労組の組合員825人が連行されるという空前の大弾圧が引き起こされた。
蔚山建設プラント労組の組合員は、精油化学工場施設の維持・補修を行う建設日雇い労働者だ。大部分が蔚山地域の業者である資本に対して、昨年6月から実に14回にもわたって「労働法を守れ」と団体交渉を要求してきたのである。しかし、業者はまともに対応しなかった。
労組はこのため、3月18日からストライキに突入していた。4・1弾圧後、7日には長期化する争議の打開を求め労組は蔚山市長と面談、業者との仲裁を要求したが、市長は責任回避に終始した。蔚山建設プラントの業者はSK資本グループ系列であり、SK資本と蔚山市長らの癒着ぶりはかねがね労働者の怒りの的となっていた。
翌8日、対市抗議集会を開いた後、組合員200人が市庁舎の庭先で抗議の座り込みに入った。これに対して警察官5千人が動員され、組合員らに暴行を加え、次々と連行したのだ。
建設産業連盟は「ストライキ労働者を暴徒として売り渡した警察庁長官はただちに辞任し、連行者たちをすぐに釈放せよ!」と抗議声明を発し、「200万建設労働者のわき立つ怒りで、蔚山建設プラント労組闘争に総力で邁進(まいしん)しよう」と呼びかけた。「強制連行された組合員たちをただちに釈放し、合法ストライキを保障せよ!」「長期ストライキを座視する蔚山市長、労働事務所はただちに使用者を処罰して事態解決に乗り出せ!」「使用側は交渉に臨んで団体協約を締結せよ!」
蔚山地方警察庁は10日、拘束した組合員825人のうち幹部9人に対して不法集会・デモ容疑で逮捕状を請求、組合員100人余を非拘束立件、残り700人余を帰宅処分・追加調査とした。
13日にはソウルのSK本社前で「労組弾圧SK糾弾およびストライキ闘争勝利上京闘争宣布式」が開かれ、15日には民主労総蔚山地域本部が蔚山市庁前で「建設プラントスト勝利!労組弾圧糾弾蔚山労働者大会」が開かれる。
4月8日には昨年秋の公務員労組ゼネストを指導し指名手配となっていた全国公務員労組のキムヨンギル委員長が逮捕され、公務員労組も非常体制に入った。吹き荒れるノムヒョン政権の労働弾圧に対し、労働者人民の怒りは極限にまで達している。
ノムヒョン政権は4月国会で派遣法改悪案など非正規職関連法改悪を狙っている。政府の民主労総取り込みのための社会的交渉攻撃を粉砕し、階級的労働運動を推し進める中にこそ勝利があることはいよいよ明らかとなっている。
民主労総は18日から国会前座り込み闘争に入り、法案処理の動きには無期限ゼネストで闘う方針だ。賃団闘と非正規職撤廃闘争を結合し、さらに日帝の「つくる会」教科書や独島(トクト)略奪攻撃への全人民的怒りを体現して闘う韓国の労働者人民と熱く連帯しよう。朝鮮人民との共通の敵である小泉=奥田、ファシスト石原打倒に突き進もう。
(室田順子)
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週刊『前進』(2195号3面4)(2005/04/25)
「脳死」「尊厳死」を許すな 国会闘争へ集会
3月13日、東京・文京シビックセンターにおいて、各地の「脳死・臓器移植」に反対する市民団体を始めとした集会実行委員会主催による「『脳死』は死ではない!! 『脳死』・臓器移植の落とし穴――記載不備を有効としたドナーカード・ドナーカードの形式変更、『脳死』臓器移植法『改正』・『尊厳死』法制化に反対する市民の集い」が開催され、80人が参加した。(写真)
集会は、午前中の各団体からの意見表明に続き、午後には心臓内科医・渡部良夫さんの講演と全体討論へと進み、今国会にも提出されようとしている改悪「脳死」法案と「尊厳死」法案の反対を掲げた集会アピールを採択した。
渡部さんは、早くから「脳死」・臓器移植に反対を続けてきた。講演では「脳死は死ではなく、臓器移植は正しい医療ではない」と題して2時間の熱弁をふるった。
「脳死は死という漢字を使うからおかしくなる。移植のために無理やり死の定義を変えたもの。世界に30通りもの死の規準があることがおかしい」「臓器売買、児童誘拐を呼び起こし他人の死を待ち望んでしか成り立たないものは医療ではない」と臓器移植に真っ向から反対した。
また、「自己決定権を振りかざしても『尊厳死』は合法的殺人の承認」と「尊厳死・安楽死」法案提出の動きに警鐘を鳴らした。
東京の脳死・臓器移植に反対する市民会議は「今、国会では本人の拒否表示がない限り家族同意だけで移植できるという自民党の『脳死・生命倫理及び臓器移植調査会』の改悪『脳死』法案や、『尊厳死法制化を考える議員連盟』と『尊厳死とホスピスを推進する与党議員懇話会』の二つの団体の尊厳死推進法案提出策動が同時に起こっている」と、全面化する福祉解体・優生攻撃との闘いへの決起を訴えた。
「障害者」と労働者人民の命を奪う臓器移植法廃絶、「尊厳死」法案粉砕へ立ち上がろう。
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週刊『前進』(2195号4面1)(2005/04/25)
『前進』軸にした党活動を
先進的な県委員会の実践から豊かな教訓を学ぼう
はじめに
全国の機関紙担当者会議が先般開催され、基調提起と各組織報告、討論をとおして『前進』を軸にした本格的な党活動への意志一致に成功した。
基調提起は、04年後期のみならず革共同第6回大会以降、典型的な機関紙活動で一貫して牽引(けんいん)してきたA地方委員会のB県委員会とC県委員会の2年間の実践から学び取り、それを全党の教訓とすることを中心に行われた。それは実例に基づいて機関紙活動と党活動のあり方を提起するものとなり、全参加者に「衝撃と感銘」(D地方委員会G同志)を与えた。討論もここを中心に行い画期的な会議となった。
B県委員会機関紙担当・M同志から「A地方委員会の会議は全紙面にカラーペンで線が引かれた『前進』を全員が机の上に広げて始まる。主催者は『前進』を軸にして会議を行っている。メモは『前進』を補足するように使う。この論文はこのように使えるとか、具体的に出される。会議の日までに『前進』を全部読まないとついていけないから、会議の前日には全員が全紙面を読む」と会議の様子が語られた。
実際にA地方委員会のレポートから分かる特徴は、各県委員長の全員が、受け取った『前進』を翌日中に全紙面読了し、会議までに読み残していることがほとんどない。
さらにM同志からの説明では、「機関紙活動の点検を猛然とやる。11月集会後は『あの人はどうなった』と全組織を会議で点検するので延々と3時間くらいやる。ここぞと決めた時はそれを連続して毎週やる。あれこれ言い訳は許さない。『決めたんでしょう、やろうとしたから決めたのでしょう』と。やらないわけにはいかない」ということであった。
労働者組織委員会のA同志から「B県委員会がすごいと思うのは、現場の同志と一緒にオルグに行くと、初めて会った人にも、2〜3回会った人にでも必ず『前進』を出してオルグする。それが体質化されていて当たり前のようにやられている。われわれもそうならなければいけない」という発言を受けて、B県のM同志が「B県委員長は『前進は名刺代わり』と言う。そうすることによって、相手もこちらが何者であるかをすぐ理解するし、そのことでかえってすべての話がしやすくなる。そういう活動の仕方が組織のものになっている」と説明した。
さらにM同志から「C県委員長は、『革命をやるのは労働者だ、あなたこそが革命の主体なんだ』と語る。そのように自覚すると労働者は自分から決起する。C県には一切の曇りがない。県委員長のもとに一致団結している。明るい。あの人はどうなってる、とお互いに話しあう。こうなると減ることはない」と語られた。
D地方委G同志は「C県のこうした活動を背景に、昨年のあの大原武史論文(本紙2171号)が書かれていることが良く分かった。大原論文には大きな衝撃を受けた。特に2回目の党建設論文(2186号)。かゆいところに手が届くような。H県の同志が『これで党が建設できる!』と言っている」と。
参加した全担当者が、本当にB県、C県の活動から真剣に学ぼうと確認した。この思いをすべての地方委員会、県委、地区委、全同志と共有したい。それがこの提起の最大の目的である。
具体的な政策を持ち恒常的拡大闘争貫く
A地方委員会の機関紙活動は数値の面ばかりでなく、その内容という点でも先進的であり、一貫して『前進』拡大闘争を牽引している。
もとよりその拡大闘争も苦闘に満ちたものであり、また一様ではない。しかし、一貫して持続的に拡大を続けているB県委員会とC県委員会の二つの県委員会の活動の中に機関紙活動の典型を見ることができる。それは新指導路線の実践における機関紙活動のあるべき姿を示している。この二つの県委員会の活動を徹底的に対象化し、研究し、すべての組織でそれを目指すということに尽きるのではないか。
B県委員会は規模の大きな県委員会である。大きな規模の県委員会が全体としてどういう指導を貫くことによって、恒常的な拡大闘争が闘いとられているのかを学ぼう。B県委員会の活動の教訓は、A地方委員会指導の直接の体現者ということができ、都委員会や地方委員会の機関紙活動の指導の指針となる。
今期の特徴点は、労働戦線での拡大が最高である。いま一つの大きな特徴として、拡大の担い手という点で、労働者の拡大が部数でも比率でもこれまでの最高を記録した。労働者同志による拡大闘争を意識的に努力している組織が大きな展望を切り開いている。
この2点に重なることとして、マル青労同での拡大を意識的に追求した組織で拡大が着実に進み始めた。また、地区党とマル青労同書記局が一体となった実践による拡大が多く生まれている。新指導路線の核心である。
これらのことがA地方委員会において圧倒的に進んでいる。B県委員会の拡大の内7割が労働者同志の拡大である点は特筆事項である。C県委員会の拡大のすべてが労働者同志によって担われた。決定的地平が闘いとられている。全労働者党員が転換的に決起し、実績を上げ、さらに対象者を設定して動き始めている。これは自然発生的に実現されることではない。
労組への意識的な持ち込み
B県委員会から学ぶことの一つは、絶えず具体的政策を出し続け、貫徹していることである。
今期の総括では、11・7労働者集会の組織化と機関紙活動がどのように闘われたのか、また同じ意味で「日の丸・君が代」決戦と機関紙活動がどのように闘われたのかが重要な点である。
もとより11・7の組織化と機関紙活動は単純に同一ではない。しかし、それをどのように一体的に闘おうとしたのかが、11・7の組織化にも、機関紙拡大闘争にとっても決定的な意味を持っている。
労組への機関紙の持ち込みを最も意識的に行ったB県委員会が組織建設においても重要な前進を実現している。方針が常に具体的で鮮明だということである。一つひとつの大衆闘争に始まり、組合大会、『前進』特別号の発行に際してなど、節目節目に必ず機関紙方針を打ち出し、決定し、実行している。
宣伝紙の大胆な活用は重要な成長のバロメーターである。労組への宣伝紙の持ち込み、11・7の組織化と総括過程でどのように機関紙を活用したかが11月を中心とした拡大、党への結集に示されている。
11月闘争を中心に宣伝紙の活用が、前期に比して倍増した。宣伝紙の活用が計画化され始めた。紙面改革と一体となって、労組工作で『前進』を持ち込むことに対する消極的な対応が打ち破られつつある。
そして、大衆闘争の展開と結合して相互発展的に意識的に活用されていることが重要だ。同時に、バラ売りの絶大な意義を確認しておきたい。
労働者党員が先頭で原則的な機関紙活動
C県委員会の拡大は03年前期からであるが、その後は継続的に着実な拡大を実現している。この過程は、減がゼロのコンスタントな拡大を続け、2年で15%の拡大を遂げている。そして、今や爆発的拡大に向かおうとしている。
リスト、計画、オルグが毎回かなりの数で貫かれ、フラクが拡大し、『前進』掲載の機関紙活動方針についても毎回討議し、方針を具体的に決定し、実践している。
C県委員会の今日的到達地平を示す今期の総括レポートを紹介する。
「C県委員会の後期取り組みをとおして労働者メンバーの多くが『前進』でのオルグに踏みきった。この点を軸に総括する。つまり、いまだ半年に2部という水準にとどまっているが、05年の大きな発展を切り開く突破口を開いたと総括する。
具体的には、
(1)9月にA同志(女性)が、初めてのオルグに踏み切る。学習会を続けていた女性(20代)に対して、細胞での何回かの検討を経て踏み切り、読者に獲得した。今回彼女が自らの決断として、『前進』でオルグした、という事実が他の同志に衝撃をもたらしている。
(2)12月にある戦線の水路で出てきた男性(30代、民間労働者)に対してB同志(女性)がオルグに踏み切り、他の同志の協力を得て獲得した。B同志は活動歴の長い同志だが革共同としてのオルグはしてこなかった。続いて別の女性(50代、「新婦人」)にも『前進』でのオルグを行っている(05年2月)。
この2部拡大は、対象がマル青労同候補であるという面でも大きな成果としてあるが、それ以上に主体の側が、A、B両同志とも大衆運動での信頼は厚いが、革共同として自己を打ち出してこなかった(これなかった)カベを打ち破った決起であるという点で大きい。地殻変動的決起への勝利を感じる。
(3)定購にはなっていないが多くの同志が『前進』でのオルグに立ち上がった。
マル青労同C同志が、自治労30代女性に提起。『俺たちは鉄路に生きる2』での学習会に組織している。/D同志(女性・自治労)が教員40代女性に提起。党宣言での学習会に組織。/E同志(女性・民間)が百万署名活動家(50代男性)に提起。/F同志(男性・民間)が学生、大学教授に提起。
それぞれ反応は悪くなく、一つ踏み込んだ関係の形成や学習会への組織化に成功している。定購への獲得も引き続き追求している。11・7参加者を対象に『前進』で組織していく方針の正しさを証明している。
(4)05年前期へ向けて。05年11月5000結集を成功させる力は全革共同の『前進』拡大闘争への総決起にある。04年前期〜後期をとおして地殻変動への動きは確実に始まった。この決起を『前進』の爆発的拡大に転化していくために全力をあげる。前期目標をプラス5において、計画的に実現していきたい」
以上の報告を徹底的に学び尽くそう。
対象を決め、そのオルグ担当者を決め、担当者を育ててオルグを成功させ拡大している。計画的な拡大、労働者メンバーによる拡大、マル青労同での拡大、細胞の力の総合による拡大など生き生きとした活動が示されている。1回ごとの拡大闘争が総括され、方針化され、実践され、拡大に結実し、その活動が組織全体の勝利として教訓化されている。レポートからも一人ひとりの同志を大切にし、育てようとする指導部の姿勢がうかがえる。こうした活動をしていれば必ず拡大すると言える内実の活動が実践されている。
新指導路線に立った活動
このC県委員会の機関紙活動から徹底的に学ぼう。
新指導路線に立った、最もオーソドックスな機関紙活動を典型的に闘い取り、ついに着実な拡大過程に突入しているのがC県委員会である。
C県委員会からは、機関紙活動だけではなく、どのような組織を建設すべきかということを学ぶ必要がある。機関紙活動は、新指導路線のもとでの党建設の闘いとしていかに実践されているかが重要であり、C県委員会が典型的な機関紙活動と組織建設をしている。
ここには機関紙活動で必要とされている全要素が完全に実践的に貫徹されていると言える。全党が労働組合運動の実践に圧倒的に突入したという中で、機関紙活動を総括する視点が求められる。
第一は、指導部の目的意識性が高く、常に政策が具体的に提起されている。レポートが確実に毎月出され、総括が具体的になされている。
第二に、機関紙拡大の対象を具体化し、対象分析とオルグ計画、オルグ方針を具体的に細胞で討議し決定している。その方針の実践を具体的に総括し、次の実践方針を討議している。
その際に全労働者同志の機関紙活動への決起が徹底的に追求されている。
ここの指導者は、自らが優秀なオルガナイザーであることは明白であるが、労働者同志の機関紙活動への決起を指導し、労働者同志の拡大闘争の成功に全力をあげていることが決定的なのだ。
それと同時に、機関紙拡大の対象として青年労働者を徹底的に重視していることが重要である。
第三に、機関紙活動と党勢拡大を意識的に結合し、一体のものとして取り組まれている。
その中心軸としてマルクス主義の学習(学習会)の組織化が一体のものとして意識的に追求されている。
第四に、大前提として、読者への配布、集金などの基礎が完全に確立している。
第五に、『前進』を全労働者の努力でより良いものにするために大きな献身をしている。二つの大原論文もこうした活動を背景に書かれているが、労働者同志の投稿を組織するという点でも一番活発である。ちなみに、投稿に熱心に取り組んでいる組織が、労働者同志の拡大闘争への決起を生み出していることがレポートで良く表れている。
紙面改革と結合して労働者に持ち込もう
第一の課題は、紙面改革の一層の推進である。
紙面改革を一切の基礎に据えきることを鮮明にし、党中央を先頭に全力をあげる決意を表明し、全同志、全読者のさらなる共同的決起をお願いする。
新指導路線の実践へ『前進』のさらなる圧倒的変革が求められている。
紙面改革は、最も積極的に機関紙拡大に決起している労働者同志を中心に熱烈に提起されている。労働者同志が、『前進』を自分自身の新聞として共同の事業として創造しようという意志と意欲がわき上がっている。これと党員の『前進』拡大闘争は一体である。労働者同志が職場・経営でぜひとも拡大したくなるような、平易で鋭い分析への飽くなき挑戦と変革が求められている。
これは別の側面から言えば、戦時下階級闘争と党派闘争の問題をはっきりさせることである。党への最大の組織化の武器は『前進』なのだ。
マルクス主義で武装され、労働者自己解放闘争論を全面的に提起しているのは『前進』だけである。現実の労働運動・労働組合運動をめぐる党派闘争の現実の中で、『前進』を労働運動指導部・労組活動家の機関紙にすることだ。
党中央の責任を鮮明にして努力していきたいと思う。労働者同志と職業革命家の真の協働に基づく党組織として前進していきたい。
第二の課題は、地区委員会や細胞会議のあり方の変革である。
機関紙拡大は、党建設・イデオロギー活動と一体である。
機関紙拡大闘争は、計画性と目的意識性の集約だ。『前進』拡大対象を地区委員会・細胞会議で決定し、労働者同志の活動を中心にして、細胞活動として拡大をかちとることだ。
その前提として、細胞の細胞としての確立が地区委員会建設の大きな課題になっている。ここを突破しないと機関紙活動のあるべき姿を確認してもなかなか実践的に前に進めないし、拡大しても維持できない。
C県委員会は03年に拡大を開始して以降、今回まで減が1部もない。細胞が確立しており、『前進』の全読者を細胞によって完全に掌握し対象化しきっているからである。
会議のもう一つの中心として、マルクス主義の学習を据えることが必要だ。スターリン主義の崩壊の世界史的大きさを強く確認することが必要である。だからマルクス主義で再武装することをとおして、自らも革命家として繰り返し蘇生し、それが機関紙拡大、党員拡大の実践力となっていく。
労働組合運動の実践と労働組合権力の獲得を徹底的に論議する。労働者が組合権力、支部をとることを決意すれば細胞建設、フラク建設が主体的課題となる。さらに、そのための機関紙拡大闘争が座り、『前進』を読むこと、『前進』で会議を行う習慣を確立・定着することが重要となる。
第三の課題は、機関紙配布網の再確立である。
配布網の再組織は、新指導路線に立った活動の上であらためて死活的な課題になっている。機関紙配布の現状が、新指導路線の要請にこたえ切れていない。
『前進』が会議の場で初めて党員に渡るという現実が多くの組織に見られる。衝撃的なことがらである。『前進』の配布を配布として独自に組織する原則が大きく後退している。これをただちに抜本的に変革しなければならない。
機関紙配布網の確立は今日求められている日常の党活動における最高の活動であることをはっきり自覚し直そう。
この点でも「特に1月には、地区キャップによる地区委員への配布日が一日後退したことを放置せず、ただちに再確立する討議をし確立した」というB県委員会の03年後期の総括レポートの提起はきわめて重要だ。
機関紙拡大で財政も解決へ
第四の課題は、党の死活が問われている財政確立の絶対的基礎として機関紙拡大を据えきるということである。
財政問題の全面的で抜本的な解決の道は機関紙の拡大にある。今期のF県委員会レポートで「拡大のうち2人はF代金以外の定期的な党へのカンパに応じてくれているので、非常に重要な増収となっている」という実例が述べられている。ボルシェビキの財政活動はこのようなものであった。
第五の課題は、街頭宣伝の意義は実践をとおしてさらに明瞭(めいりょう)となった。必死で実現を目指そう。
第六の課題は、書店政策の重要性を断固として確認し、意識的に粘り強く推進していきたい。
新指導路線の本格的物質化が真に問われている現在、機関紙活動を本当に基礎的にしっかりと確立していくことが重要だ。機関紙活動は地味な活動である。すぐに華々しい結果が出るわけではない。しかし、真に必要なことを確信を持ってやり抜くことによってしか道は切り開かれないのだ。その意味で、「学問に王道なし」と同じであることを確認しなければならない。
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週刊『前進』(2195号4面2)(2005/04/25)
“三里塚で勝ってみせよう”
満開の桜のもと三里塚反対同盟が団結花見の会を催した。北原鉱治事務局長が「中国人民の反日闘争に連帯し、三里塚で勝ってみせよう」と意気高く宣言(4月10日 三里塚第一公園)
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週刊『前進』(2195号4面3)(2005/04/25)
核燃ストップ訴え 受け入れ決定20年 六ヶ所で連続闘争
4月9日、10日と連続して、青森県六ケ所村現地と青森市内で反核燃闘争が闘われた。日本原燃による本格稼働に向けたウラン試験の強行を弾劾し、絶対に再処理をストップさせる決意を固めて、全国から反核燃に取り組む労働者・学生が総結集した。
8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会と杉並原発問題研究会の派遣団は、地元の闘う労働者・学生とともに2日間の闘争を全力で闘った。
9日、第20回4・9「反核燃の日」全国集会が、止めよう再処理!全国実行委員会(原水禁国民会議など3団体)と同青森県実行委員会(核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会など3団体)の主催で六ケ所村・総合体育館で開催され、会場を満杯にする1870人が参加した。東北各県の自治労など労組の旗が林立する中で、「日本の核武装阻止!核燃サイクル・再処理ストップ!」と書かれた全国統一実の横断幕は圧倒的な注目を集めた。
反核燃闘争は、85年4月9日、北村青森県知事(当時)が県議会全員協議会で地元住民の猛反対を踏みにじって六ケ所村のむつ小川原開発地域への核燃サイクル立地受け入れ決定を強行してから20年目を迎えた。現在でも「県民の不安は80%を超えている」(04年度調査)が、日本原燃は再処理工場の操業開始を07年5月と定め、使用済み核燃料を使用した総合稼働試験を年内にも実施しようとしている。さらに、三村青森県知事はMOX燃料の加工工場の受け入れを表明している。05年から07年にかけて、反核燃闘争は最大の決戦局面を迎えている。
体育館での集会終了後、参加者は直ちに日本原燃再処理工場正門前に向けて約5`のデモに出発した。圧巻はデモ解散地点である正門前であった。日本原燃への怒りを抑えきれない参加者は、そのまま正門まで行進し怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。
翌10日、青森市の青森県教育会館で、坂井留吉さん(核燃から漁場を守る会)を始め6人の呼びかけにより、「とにかく『再処理』止めよう市民集会――もんじゅ・MOX・中間貯蔵STOP!」が開催され120人が参加した。主催者あいさつに立った坂井留吉さん(写真)は、「核燃を子や孫の代までも残すわけにはいかない」と核燃阻止の決意を述べた。大きな拍手が送られた。
「みんなで止めよう!私の意見−3分スピーチ」で三角忠全国統一実中央事務局長と全国統一実の呼びかけ人でもある吉田義久相模女子大教授が発言した。
三角さんは、被爆60周年にあたり「核と人類は共存できない、してはいけない」と反核の原点を鮮明にさせて、「繰り返すなアジア侵略、ヒロシマ・ナガサキ、オキナワ、ビキニを」の立場から反核燃を闘う決意を述べた。
吉田さんは「もんじゅから抽出される高純度のプルトニウムは核武装のためのものだ」と気づき物理学者としての闘いを開始した経験を語り、「『原子力の平和利用』という名の核武装政策を許してはならない」と訴えた。戦時下の反核闘争の道筋を示した発言だった。
(投稿・山田弘幸)
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週刊『前進』(2195号4面4)(2005/04/25)
4月6日〜12日
日米安保協が審議官級協議
日韓外相会談での交渉決裂
●座間司令部、作戦指揮は「極東」限定 在日米軍再編をめぐる日米協議で、米側が陸軍第1軍団司令部(米ワシントン州)のキャンプ座間(神奈川県相模原市など)への移転構想に関し、@第1軍団の統一的な指揮権は太平洋軍司令部(ハワイ州)が持つA極東有事では第1軍団司令部が作戦を指揮するB極東以外に第1軍団の部隊を派遣する場合には現地司令部を設ける、としていることを日本政府関係者が明らかにした。(6日)
●普天間ヘリ訓練急増 在沖米海兵隊が普天間飛行場所属のヘリを断続的に飛行させ、住宅地上空での旋回訓練も実施した。飛行したヘリは、昨年8月に沖縄国際大学へ墜落したCH53Dの同型機など。(7日)
●日韓外相会談 町村外相と韓国の潘基文(パンギムン)外交通商相が会談。潘外交通商相は合格した中学校用教科書にある独島(竹島)の領有権を主張する記述の削除を要求。町村外相は拒否した。(7日)
●94年に北朝鮮基地攻撃を研究 大野防衛庁長官が記者会見で、北朝鮮のミサイル基地を戦闘機で攻撃する「敵基地攻撃」の可能性を、94年に防衛庁が研究していたことを明らかにした。関係者によると、F4戦闘機で弾道ミサイル基地を攻撃するシミュレーションを航空幕僚監部が作成。「攻撃は可能だが、有効な能力があるとは言えない」と結論づけたという。(8日)
●在日米軍再編で「遊休施設」の返還求める
日米両政府がハワイで開いていた在日米軍再編に関する外務・防衛当局の審議官級協議が終了した。日本側は、使用頻度が低い米軍の「遊休施設」の一部返還を求めた。また、米軍基地の一部を自衛隊との「共同使用」とし、管理権を日本側に移すことも要請した。また、朝鮮半島や台湾海峡などで「周辺事態」が起きた際、米軍に優先的に利用させる日本の民間空港・港湾の具体名や使用内容を定めた指針を策定することで大筋合意した。(8日)
●東中国海ガス田を国会議員が視察 自民、民主、公明3党の国会議員14人が、中国が東中国海で開発を進めている「春暁」ガス田など複数のガス田を海上保安庁の航空機で視察した。「日本も試掘権の設定などを急ぐべきだ」と主張。(9日)
●北京で抗日デモ1万人 中国の北京市で約1万人が日本に対する抗議デモ。日本大使館や日系企業のビルなどが投石を受け窓ガラスが割られた。この規模の抗日デモは72年の日中国交正常化以来初めて。翌10日は中国各地に広がり、広東州では広州市で2万人、深セン(センは「土」へんに「川」)市で1万人規模のデモが行われた。(9日)
●外相が中国大使に「被害補償」など要求
町村外相が王毅・駐日中国大使を外務省に呼び、北京で起きた反日デモについて「一連の破壊活動は誠にゆゆしき問題だ」と抗議し、「再発防止と日本人や日本企業の安全確保」などを求めた。さらに、「正式な陳謝と被害の補償」も要求した。(10日)
●キャンプ・ハンセン火災、金武町議会が抗議決議 沖縄県金武町の在沖縄米海兵隊基地キャンプ・ハンセン内で4日から6日にかけて発生した大規模火災で、金武町議会(伊芸弘明議長)が米軍、日米両政府、県に対する抗議決議案などを全会一致で可決した。(11日)
●常任理拡大反対派が会合 国連安保理改革に関し、常任理事国拡大に反対するイタリアなどのグループが会合を開き、119カ国が出席した。日本、ドイツ、インド、ブラジルのG4が3月末、改革実現に向けた会合を開催したのに対抗する動き。(11日)
●米国防長官、イラク訪問 ラムズフェルド米国防長官がイラクを電撃訪問し、イラク移行政府のタラバニ大統領や首相に指名されたジャアファリ氏と会談。(12日)
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週刊『前進』(2195号5面1)(2005/04/25)
戦争教育への転換要求する経団連
教基法改悪内容に踏み込み日教組解体叫ぶ「教育提言」
5・7代々木公園大集会へ
日本経団連は本年1月18日、「これからの教育の方向性に関する提言」を発表した。同日発表した「わが国の基本問題を考える〜これからの日本を展望して」で憲法改悪を要求したことに合わせ、資本家階級の死活をかけて教育の全面改造を要求し、教育基本法の各条文の改悪内容まで提起したのである。教育をめぐる「戦争と民営化(労組破壊)」攻撃が全面化しようとしている。その最大の焦点こそ日教組の改憲勢力化であり、完全解体である。全労働者の力で教育基本法改悪―憲法改悪を阻止しよう。「つくる会」教科書の採択を絶対に阻もう。「教育基本法の改悪をとめよう!5・7全国集会」(要項1面)に、教育労働者を先頭に総結集しよう。
「改憲提言」と一対で国家大改造狙う
資本の利潤追求を最大の動機として巨大な富を独占してきた帝国主義が、その矛盾を大爆発させて世界戦争に突入していく過程が始まっている。アメリカ帝国主義はイラク戦争開戦をもって「終わりのない戦争」に突入し、今や「自由の拡大」「圧制の打倒」を掲げて世界戦争に突き進むと公言している。小泉はそれに呼応して、日米枢軸路線のもとでイラク侵略戦争の継続・激化と北朝鮮・中国侵略戦争に向かって突き進もうとしている。
この世界戦争の急切迫こそが、日本の資本家階級の総本山=日本経団連が9条改憲を政府・自民党に迫るという、戦後史を画する重大提言に踏み切らせた動因である。
「わが国の基本問題を考える」(以下、「改憲提言」)は、自衛隊が国際的な戦争と軍事に積極的に参加・参戦していくことを正面から提起した。そして現行憲法を「綻(ほころ)びが目立つ」と攻撃し、「戦力不保持」をうたった憲法9条2項を改定して「自衛隊の保持」「集団的自衛権」を明記することを求め、「国益」のために帝国主義的軍事力を行使して他帝国主義との争闘戦に乗りだしていくことを真っ向から打ち出した。日帝ブルジョアジーは、“世界戦争が急迫する今、日本帝国主義が自ら戦争を発動できなければ、資本家階級の利害を守ることができない”という激しい危機感に突き動かされているのである。
そして、「これからの教育の方向性に関する提言」(以下、「教育提言」)は、「改憲提言」と対をなす重大提言である。その理由は大きく二つある。
一つには、「改憲提言」が求める憲法改悪と戦争国家への国家大改造は、教育の抜本的な改革なくして実現できないからである。
教基法とは、前文の冒頭で「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである」とうたった、現行憲法と一体の法律である。今やこの教基法を改悪し、戦後的な価値観を完全にたたきつぶし、社会の原理の根本を「戦時体制」に大転換させることが、死活のかかったテーマとなったのだ。
教育を変えるということは、「つくる会」教科書のようなもので子どもたちの価値観や死生観を根本から変えることであると同時に、地域を変え、社会を変えることである。戦前の日本がそうであったように、またナチス・ドイツの歴史が教えているように、「戦争は学校から始まる」のである。
二つに、憲法改悪をなし遂げるために、最大のネックになっているのが、日教組と自治労の存在と闘いだからである。
すでに国会は圧倒的に改憲勢力で占められている。しかし官公労系労働者は、連合結成から15年をへた今もなお、戦後労働運動の成果を最も強く継承し、階級的戦闘能力を保持している。だからこそ小泉=奥田は、“日教組・自治労を改憲勢力に転落させることができれば、反対勢力はなきに等しくなる”と襲いかかってきている。
とりわけ、「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンのもとに30万余の組合員が結集している日教組を改憲勢力に大転向させることを全力で追求している。今国会提出が狙われる憲法改悪のための国民投票法案に「公務員及び教育者の地位利用による国民投票運動の禁止」が盛り込まれようとしているのも、教育労働者や公務員労働者の反対運動の制圧が死活的であるからにほかならない。
すでに自治労本部は03年秋に「国の基本政策検討委員会」を立ち上げ、今年1月の中央委員会に「論点整理」を提出、両論併記という形で9条改憲を打ち出すにいたっている。日教組本部も今年3月の中央委員会で「憲法論議対策委員会」が「護憲から論憲へ」転換することを打ち出した。今年夏の全国大会には、日本経団連と寸分たがわぬ改憲案を提出することにもなりかねない事態なのだ。7月日教組大会、8月自治労大会が重大決戦である。
戦後史上最大の階級決戦の時がきた。すべての労働者が、教育基本法改悪・憲法改悪をうち砕く05年(〜07年)階級決戦に、総力で立ち上がることを心から訴える。何よりもその先頭に、教育労働者と自治体労働者が立とう。
教育目的を「国家・企業のため」へ一変
日本経団連が要求する「教育改革」とは、今、全産別の労働者に襲いかかる「戦争と民営化(労組破壊)」の攻撃をストレートに体現したものである。以下、「教育提言」が求める教基法改悪と「教育改革」の中身を見ていきたい。
第一に、「教育の目的」を愛国心教育に一変させることである。
「教育は国の発展の基盤である」
これが「教育提言」の冒頭の一文である。短い一文ではあるが、ここに、日帝ブルジョアジーが求める教育の抜本的転換がはっきり表現されている。戦後教育の“教育の主体は教育を受ける者”という建前を真っ向から否定し、「国家のための国民育成」「国・企業の発展を担うエリート育成」という原理をむき出しにした教育に大転換させるということである。
提言は、戦後教育が「郷土や国を誇りに思う気持ち(国を愛しむ心)を自然に育んでこなかった」と嘆く。そして「こうした状況を放置したままでは……21世紀の国際競争を勝ち抜き、国際社会に貢献していくことはできない」と強烈な危機感を表明し、「社会全体でわが国の教育力を高めるための行動を起こさなければならない」という。
そして「教育内容面で今後重視すべき点」に、「日本の伝統や文化、歴史に関する教育」「郷土や国を誇り、日本を他国の人にも魅力ある国にしようという気持ち(国を愛しむ心)」「国旗や国歌に対する理解を深める」を掲げる。さらに「公共の精神、つまり社会の構成員、あるいは組織・団体の構成員としての責任と義務を教育の中で強調していくべき」という。
意味することは、現行教基法の「教育の目的」を根底から覆し、戦前、教育勅語のもとに行われた「国家のための教育」に完全に回帰するということである。
教育基本法は、「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期する」「普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育」(前文)、「人格の完成」「平和的な国家及び社会の形成者」「個人の価値をたっとび」(第1条)と、教育勅語体制下の天皇制教育との決別を打ち出したものだ。
教育基本法の公布・施行は1947年3月。日本帝国主義が帝国主義戦争に大敗北する中で、日本の労働者階級が47年2・1ゼネストへのぼりつめていった、空前の革命的情勢の白熱攻防のただ中で制定されたのである。労働者階級の闘いがプロレタリア革命に発展することを絶対に封じ込めるという意図のもと、一定の「民主主義的改革」が断行された。こうした意味で、日本国憲法と教育基本法は戦後革命の敗北の副産物としてあったと言える。
しかし世界戦争が急迫する今、日本経団連は、教基法の「個人の尊厳」「人格の完成」といった「教育の目的」などもはや許容できないと、完全に破壊しようとしているのだ。
それは「つくる会」歴史教科書のような戦争賛美の歴史観で愛国心をたたき込み、ブルジョアジーの強盗戦争に子どもたちを駆り出すための教育に大転換させるということである。「愛国心」を持ち、「権利」を主張せずに「責任と義務」をまっとうする人間になれ、と求めているのだ。
第二に、公教育の全面的な民営化であり、そのもとでの差別・選別教育の極限化である。
同提言は、「教育力低下」の原因を「学校間の競争の低下」や「社会のニーズに適切に応えなくとも、学校が存続できる構造」に求める。そしてこの現実を変えるために、「教育機関間の競争促進」を掲げる。「小中学生の9割以上が公立学校に在籍している」現実を改め、「私立学校の設置を進める」「株式会社立学校やNPO立学校など、多様な主体による学校設置も認める」「公立学校の運営を学校法人だけでなく、株式会社やNPOに委託する公設民営の手法も活用していく」というのである。
この実現のため、現行教基法を改悪して、「多様な主体の教育への参入を促進し、株式会社やNPOによる学校設置・運営ができるようにする」という。
公教育を全面的に民営化して、憲法第26条が定めた「教育を受ける権利」を否定し、「義務教育は、これを無償とする」として国家が教育に責任を負わされている現実を完全に解体しようということである。教育をすべて競争原理にゆだね、教育機関に教育予算の奪い合いをさせ、そのもとで教育労働者も競わせ、子どもたちも競わせ、競争原理を極限までエスカレートさせる。そして教育予算を削減し、弱肉強食・優勝劣敗の論理で切り捨てていこうというのだ。
これは、95年の日経連プロジェクト報告「新時代の『日本的経営』」が打ち出したとおり、労働力を「雇用柔軟グループ」「高度専門能力活用グループ」「長期蓄積能力活用グループ」に3分割し、9割がたの労働者を不安定雇用にたたき落とす、という財界の労働力政策にストレートに対応した教育への転換である。
ほんの一部のエリート層を早期選抜し予算も重点配分して養成する。それ以外の圧倒的大多数の子どもたちからは、これまでの義務教育レベルの教育すら奪い、「愛国心」だけをたたき込む。子どもたちが受ける教育は、すべて親の収入によって決せられる。労働者家庭の子どもたちが切り捨ての対象となることは言うまでもない。
10条を解体し国家が教育内容を支配
第三に、教基法が禁じた教育の国家支配を完全に正当化しようとしている。
同提言は、現行教基法第10条(教育行政)について、「『不当な支配に服することなく』の表現が、一部教員による教科書や学習指導要領の無視や、校長など管理職の管理を拒む根拠となったことに鑑み、国が教育内容の方向を示すことについての正当性を明らかにする」とした。
戦前において、教育は国家を主体とする国家そのものの事業であった。教基法10条は、この戦前教育のあり方を否定して、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきもの」と、国家による教育内容への支配・介入を禁じるとともに、2項で教育行政が行うのは「必要な諸条件の整備確立」だけであると限定したものである。教育労働者は戦後営々と、この条文をも活用しながら、国家による教育統制と闘ってきた。
この教基法10条を完全に解体して、「国が教育内容の方向を示す」とはどういうことか。教育労働者を徹底的に管理し統制して、〈国が命令するとおりの教育内容>を教えること以外は一切認めない、という教育が復活するということである。
第四に、闘う教育労働者を学校現場から排除するシステムを確立しようとしている。
同提言は「教育基本法に、教員の自己研鑽(けんさん)の必要性、教員の自己研鑽の努力義務についても踏み込んで規定する」という。改悪教基法におけるこの規定と合わせて、さらに「研修を重ねても改善が見られず、教員としての資質を欠く場合には、現行の不適格教員に対する措置に加え、教員免許更新制により、教職以外の選択を行うよう促す」として、「不適格教員」制度プラス「教員免許更新制」により、国家や資本家の意のままにならない教育労働者を片っ端から排除するシステムを確立しようとしている。
さらに、各教育委員会に「教育基本法第8条2項の『特定政党を支持し、または反対するための政治教育そのほか政治的活動をしてはならない』という規定の趣旨を徹底させるために、必要な措置」をとれ、と要求し、「勤務時間内の組合活動の禁止など……基本的な就業ルールの徹底を図る」という。組合活動、反戦・平和運動、改憲反対運動などを理由として、闘う教育労働者を職場から追放するレッドパージが現実のものとされようとしているのである。
日教組へ憎悪むき出しに
第五に、同提言の重大な特徴は、日教組への憎悪をむき出しにして、その解体を宣言したことである。日教組解体攻撃としての教基法改悪の狙いをここまであけすけに打ち出した文書は、いまだかつて存在しないと言っていい。
提言は「教職員組合の本来のあり方への回帰」という節を設け、「(教員の)一部には自らの政治的思想や信条を教え込もうとする事例が見られ、これらが長年、教育現場を混乱させ、教育内容を歪(ゆが)めてきたことは否定できない。教職員による組合は、一定の範囲での職場環境、待遇の改善に取り組むという本来のあり方に徹すべきである」と打ち出したのだ。
実に許せない主張である。「自らの政治的思想や信条を教え込もうとする事例」とは、日教組が「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンを掲げて、平和教育や解放教育・民族教育を展開してきたことを指すことは言うまでもない。こうした日教組運動が「長年、教育現場を混乱させ、教育内容を歪めてきた」と憎しみを抱いて攻撃しているのである。
すでに広島県教委は「平和カレンダー」を教室に張ることまで禁じているが、「平和」や「人権」を「歪んだ教育」として排除の対象とし、「つくる会」教科書のような戦争賛美の歴史観・価値観をたたき込もうということだ。
日教組本部は「文科省とのパートナー路線」を掲げて職場闘争も放棄し、“教育基本法改悪反対運動も改憲反対運動もやりません”と忠誠を誓うところまで行き着いている。しかし、政府・資本家階級は日教組本部がどれほど屈服しようと「日教組が日教組である限り存在を認めない」と宣言したのである。教育労働者が「労働者階級の一員」として労働組合に団結することを認めず、日教組の存在をたたきつぶそうとしている。戦前同様に「教え子を戦場に送る聖職教師」になり果てろ、ということである。教育労働者の矜持(きょうじ)にかけて、絶対に粉砕しなければならない。
「つくる会」教科書阻止・石原打倒へ
以上のとおり、「教育提言」は、教育基本法の各条文にまで踏み込んで改悪内容を提示した歴史を画する重大提言である。しかし実はその中身はすべて、ファシスト石原が東京において先取り実施していることばかりである。石原こそ、小泉=奥田の最先兵だ。
石原と都教委は01年、東京都の教育目標・基本方針を改悪した。従来の教育目標から「人間尊重の精神」の言葉を削除し、「わが国の歴史や文化を尊重し、国際社会に生きる日本人の育成」に書き換えた。基本方針からは憲法・教育基本法という言葉も削除した。教育委員の米長は、このことをもって「都は教育基本法を事実上改定した」と公言した。石原は“現行教育基本法や現行憲法は、もはや東京の教育には関係ない”と、違憲・違法の「10・23通達」を始めとする攻撃を乱発してきているのだ。
小泉=奥田の先兵、ファシスト石原を打倒しよう。6月都議選決戦こそ、その突破口を切り開く最重要の決戦である。
教育基本法改悪との闘いは、憲法改悪阻止闘争そのものであり、05年(〜07年)階級決戦の最大の正面テーマである。その中で、政府・自民党は「05年通常国会に改正案を提出する」と言い続けてきたにもかかわらず、今国会への提出を阻んだことは、とても大きな意義がある。全国で大きく広がる教育基本法改悪反対運動の力、東京を先頭に全国の教育労働者が闘いぬいた「日の丸・君が代」闘争こそ、教育基本法改悪を阻む最大の力である。
「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」が呼びかける「教育基本法の改悪をとめよう!5・7全国集会」に、教育労働者の大隊列を登場させよう。教育基本法改悪反対運動をすべての労働者階級人民の共同の闘いに大きく広げよう。
「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史・公民教科書の中身こそ、日本経団連の求める教育である。その採択阻止が、教基法改悪を阻止するための当面最大の焦点だ。「10%採択の実現」を掲げる「つくる会」の策動をうち砕こう。杉並区を先頭に全国で採択を阻もう。6月都議選に闘う労働者は総決起しよう。
〔大西 晶〕
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週刊『前進』(2195号5面2)(2005/04/25)
板橋高卒業式刑事弾圧事件 “無罪判決かちとるぞ” 藤田さん支援の集会
都立高を始め全国各地で卒・入学式の「日の丸・君が代」闘争が闘いぬかれる中で、昨年の板橋高校卒業式をめぐって「威力業務妨害」容疑で起訴された藤田勝久さんの裁判闘争が始まります。全国各地で「日の丸・君が代」強制に対する裁判がありますが、藤田さんの裁判は唯一の刑事弾圧との闘いです。なんとしても勝利しましょう。
4月9日には、豊島区民センターにおいて「板橋高校卒業式刑事弾圧裁判支援集会/勝ち取るぞ!無罪判決/4・9藤田裁判に勝利する会」が行われました。教育労働者やOB、板橋区民、藤田さんの教え子など多彩な顔ぶれが集まりました。
集会は、3月の卒業式で不起立をして戒告処分を受けた教育労働者の開会あいさつで始まりました。
弁護団に続いて藤田さんが発言しました。冒頭、「私が有罪になってしまったら、この場に集まっているみなさんがいつでも捕まり、起訴されることを意味する。だからこの裁判には負けられない」と訴え、昨年の板橋高校卒業式について「開会前に保護者に『日の丸・君が代』強制の異常さを訴えたら追い出され、卒業式が始まる時には退場していた。ただそれだけのことなのに、翌日の産経新聞に『卒業式攪乱(かくらん)』と大々的に報道され、起訴まで行き着いた。でたらめ極まりない」と弾劾。そして「自民党、都教委、警察、検察、石原、小泉、右翼政治家、みなが一体になって攻撃してきている。こちらも力を合わせて反撃しなければならない。私個人の問題ではない。よろしくご支援お願いします」と述べました。
「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会が、あらゆる重圧を突き破って意気高く闘いぬいた今春卒・入学式闘争を報告しました。続いて発言した被処分者は、自らの今春の闘いを報告しつつ、「藤田さんのように退職された人がともに闘い続けてくれていることが本当に心強い。あらゆる人が、ともに抵抗していただきたい」と訴えました。もう一人の被処分者は、定年退職を迎えた3月卒業式で、いったんは会場外の係になっていたけれど「最後の年だから、ぜひ会場に入れて」と求めて会場に入り、「君が代」不起立で闘いぬいた報告をしました。
いよいよ4月21日から公判が始まります。「藤田先生の無罪を求める署名」を広げ、東京地裁最大の法廷で行われる公判を傍聴で埋めつくしましょう。
(東京 S・O)
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週刊『前進』(2195号5面3)(2005/04/25)
“これって犯罪?” ビラまき弾圧に深い怒り
4月6日に弁護士会館のクレオで行われた反弾圧集会に参加しました。「これって犯罪?/暴走する公安と脅かされる言論社会」と題し、立川自衛隊官舎反戦ビラ弾圧、国公法弾圧・堀越事件、板橋高校威力業務妨害弾圧、葛飾マンションビラ配布弾圧の四つの弾圧事件の弁護団によって開催された集会でした。(写真)
4弁護団と弾圧された当事者が一堂に会して反撃のネットワークを生み出したことは画期的なことです。都立高校の卒業式で「日の丸・君が代」強制反対のビラをまいて逮捕された事件もあり、一歩も引かず力を合わせて闘うことが本当に必要だと思っています。
ジャーナリストの魚住昭さん、憲法学者の奥平康弘さんの発言に続いて、4事件の当該と弁護団が思いを語りました。
何よりも印象的だったのは、弾圧を受けた本人たちの深い怒りです。立川テント村の当該は「ビラまきで逮捕されるなど想像もつかなかった。75日の勾留の後は、外出や訪問のチャイムも怖くなった。四つの事件の勝利は連動しているから、どんどん団結していこう」と語りました。国公法弾圧の堀越さんは「ビラをまいた11月3日は、憲法公布の日と自分の誕生日であり、特別な思いをこめていました。公安警察は『裁判所から来た』とうそをついて差し押さえを強行し、私を逮捕しました。国家権力による犯罪だと思っています」と語りました。
板橋弾圧の藤田さんは「学校の支配が進み、壊されている。検察は電話1本で呼び出しただけで『私が出頭を拒否したから』とうそをついて起訴した」と弾劾しました。葛飾の荒川さんは、逮捕も告げない不当逮捕や、子どもだけの自宅に十数人の刑事が押し入った揚げ句に何も押収せず帰ったことなどを語り、「この屈辱は無罪でも消えない。逮捕、勾留、起訴で奪ったすべてを返してほしい。公訴棄却しかない」と怒りを表明しました。
当事者の思いに触れ、弾圧は消えることのない怒りを生み出し、そのもとに集う団結によって必ずうち破れる、と確信を深めました。
(投稿 T・W)
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週刊『前進』(2195号6面1)(2005/04/25)
職員会議で校長追及 卒業式で不起立貫く 関西・教育労働者 高村伸二
東京の不起立の闘いを支えようと、3月12日に阪神間T市で50人の参加で集会を開きました。集会に先立ち、私たちは不起立の署名を集め、T市、N市などの市教育委員会と交渉を行い、「指導要領には日の丸をどこに置くとか、一同起立・礼・国歌斉唱とかは書いていない」との答弁を引き出しました。
集会当日の新聞朝刊には、T市の中学の卒業式に初めて「日の丸」が式場に入ったと、敗北感をあおる報道がなされる中、怒りを持った教職員・市民が参加しました。講師の方は、「東京ではほとんどの高校でビラがまかれ、高校生も立ち上がりつつある。私は2度目の不起立を貫き、生徒たちも校長・都教委のあいさつに不起立で抗議の意志を示した」と報告し、大きな共感を呼びました。
またN市の保護者は校長交渉の内容を生き生きと報告し、子どもとともに不起立を貫くと語りました。さらに、初めて参加した教職員組合の元委員長からは、「メールなどを活用して多くの人に知らせれば、まだまだ展望はある」と積極的な提言が行われました。
このような発言を受けて、T市で闘いの渦中にある私も不起立で闘うことを表明しました。
そして22日の卒業式を前に、私の学校の職員会議では、「東京の町田市教委は国歌斉唱時の声量調査をするが、これは強制ではないのか。教育関係以外の市幹部が出席するが何をしに来るのか」と激しく追及しました。管理職は「もしそのような指示が下りても調査しない」と述べざるをえず、まったく賛成がない中、校長は黙っているだけでした。
他日、組合の会合で他の学校の様子を聞くと、保護者がほとんど座った学校や一人でも座ったなどの報告があり、「日の丸・君が代」闘争が脈々と闘われていることを実感しました。
T市では教育に市場原理を導入し、教育の機会均等を破壊する学校選択制が導入されようとしていますが、こちらも教職員・市民の決起で3月答申を阻止しました。
この勝利を受け継ぎ、「つくる会」教科書の採択阻止へ、職場の仲間とともに頑張っていきたいと思います。
卒業式前に分会回り労働者の怒りに確信 関西 上野俊
T市では、この春の石原慎太郎シンパ的な市長による「学校自由選択制導入」は、闘う教育労働者と保護者、住民の連携の闘いのもとにとりあえず阻止できた。だが、卒業式では昨年より一歩踏み込み、式場への「日の丸」の持ち込み・掲揚と、市長直轄部門の人員を動員した現場チェックという東京型の新しい攻撃が行われた。
私は小・中学校の卒業式を前に、各学校の分会へのビラと資料配り、オルグを担当した。小・中学校とも、安全面から入校者に対するチェックが厳しくなっていたが、全体の半分近くの分会への持ち込みに成功、4〜5人の分会労働者とも会うことができた。
話しかけると、どの労働者も待ち受けていたように、市長の強引なやり方と、本格化した「日の丸・君が代」攻撃への怒りを口にした。あらためて闘いの意義を確信できた。
N市では、仲間の女性労働者のお子さんの小学校卒業式に当たって、学校長への「日の丸・君が代」強制反対の申し入れを行った。この校長はかつて同和問題で積極的に活動してきたが、校長に就任してから手のひらを返すように「日の丸・君が代」を導入した人物である。
私たちは校長に対して連続2回の「日の丸・君が代」強制反対の申し入れを行い、卒業式当日は児童手書きのビラを校門で配った。ビラに対する反応はとてもよく、女性労働者も式場で不起立を闘いぬいた。
また同時に、7つの小学校長へ、文書による「日の丸・君が代」強制反対の申し入れも行った。
確かにこの闘いは、目に見える成果を上げたとは思わないが、しかし着実に「日の丸・君が代」強制について問題提起ができたと思っている。
自衛隊のイラク派兵反対の闘いや、「つくる会」教科書採択反対の闘いと連動し、さらなる闘いを決意している。
学校訪問で実感した上意下達の戦時体制 東京・労働者 水木英子
闘う教育労働者に連帯し、卒業式とその前に校長への申し入れ行動に取り組み、地元の5つの学校を訪問しました。
申し入れ行動では「都の教育委員会の指示どおりにやります」という硬直した返答に、学校現場が教育とはほど遠い上意下達の戦時体制に入っていると感じました。ある高校の副校長は「皆さんは日の丸・君が代を問題視していますが、これは前からやられてきたこと。もうしばらくしたら処分などということもなくなるでしょう。民間の会社は上から言われたことが下まで通るでしょう。学校ではそれが通らない。そこを変えたいということでしょう。平和教育という点から言えば、他のことでちゃんと平和教育をやっていると先生方、自負していますから」と、まさに中間管理職らしい発言。争点をずらした、闘わないための言い訳は、どこかの組合と同じだな、などと思ってしまいました。
卒業式当日、朝早くから校門前で登校してくる教育労働者・生徒・保護者にビラをまきました。中でも印象的だったのが「都高教からなんの指示もないのですが」と言ってビラを見入っている教育労働者でした。皆、組合から闘う指示を待っているのです。
自治体シリーズ使い職場に『前進』を拡大 自治体労働者 浜田友恵
昨年の夏、自治労全国大会を前後して『前進』に自治体労働運動の記事がシリーズで連載されました。『前進』を職場の仲間に勧めたいと思っていたものの、なかなかきっかけがつかめないでいた私は、ある同志のアドバイスを受けて、自治体シリーズが連載されている間、『前進』を「読んでみて下さい」と組合執行部と青年層10人に渡そうと決めました。
私が反体制の活動家だということは、組合内に知れ渡っているのですが、それでも『前進』を渡すというのは、かなり勇気が要ることでした。オルグはしないで内容の紹介だけにし、『前進』の中身で勝負しようと決め、始めました。その間「要らない」という人は1人しかいませんでした。
シリーズが終わりに近づいたとき、定期購読を要請するのも、少し勇気が要りました。最初に書記長のところに行ったところ、「仕方がないな」と言って購読を了承してくれました。「やったぜ」とものすごくうれしく、残りの9人にもあたりました。
定期購読にはなりませんでしたが、1人はどっちにしようかということなので今も渡しています。また、自治労関係の記事が出たら買うよという人が2人現れたので、以後バラ売りしています。
『前進』に対する2〜3人の感想をまとめれば、「難しくはないが、自治労以外の記事はなかなか読めない」とのことです。
1月の自治労中央委員会の記事もそうですが、最近の『前進』は速報性が高まっているので、現場で売るにあたっては助かります。『前進』の拡大へ、一層頑張りましょう。
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週刊『前進』(2195号6面2)(2005/04/25)
福嶋裁判 検察の重刑求刑を阻止せよ 4・26公判に集まろう
4月29日に集会 完全無罪へ大運動を
迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧と闘い続けている福嶋昌男同志の裁判が、4月26日(火)に論告求刑の重大局面を迎える(東京地裁、午前10時開廷)。検察側は、有罪立証が完全に破綻(はたん)したにもかかわらず、それを居直り、重刑を求刑しようとしている。断じて許すことができない。福嶋同志を先頭に、傍聴席を満杯にして不当な論告求刑を弾劾しよう。そして福嶋同志の無罪判決をかちとるために新たな大運動を巻き起こそう。
爆取デッチあげ次々粉砕
86年の迎賓館・横田基地ロケット弾戦闘への報復弾圧としてかけられた爆取(爆発物取締罰則違反)デッチあげ弾圧と闘っている須賀武敏、十亀弘史、板垣宏、福嶋昌男の4同志は、戦時下の治安弾圧を打ち破り、大きな勝利をかちとっている。
4人の同志は16年と12年(福嶋同志)という超長期未決勾留と不屈に闘い、ついにそれを粉砕して保釈・奪還された。そして昨年3月25日に、須賀、十亀、板垣3同志が一審無罪判決の歴史的勝利をかちとった。4同志は無実だ。この勝利に続き、福嶋同志の裁判でも絶対に無罪判決をかちとろう。
福嶋同志は、岩手借家から押収されたとされる「飛距離計算」などの「メモ」の筆跡が福嶋同志のものであるというデッチあげを唯一の根拠に、迎賓館・横田基地ロケット弾戦闘の「爆取1条(爆発物の使用)」違反の「共謀共同正犯」とされているのである。
しかし、「メモ」は両戦闘とは無関係であり、「飛距離計算」などではない上に、福嶋同志の筆跡ではまったくないのだ。
12年間の裁判闘争で検察側立証を徹底的に粉砕するとともに、弁護側立証では山本義隆氏(物理学者、元全国全共闘議長)が、記載内容は「飛距離計算」ではないという事実を暴いた。さらに石川九楊氏(書家)が、福嶋同志の筆跡ではない事実を鮮明に論証した。もはや福嶋同志の無実・無罪は明白である。不当な重刑求刑を粉砕し、絶対に無罪判決をかちとろう。
福嶋同志迎え新運動結成へ
4・26公判直後の4月29日、「不当な長期勾留をやめさせるために! 十万人保釈署名運動」の主催で「福嶋さん歓迎、4人の完全無罪へ! 4・29集会」が行われる。
福嶋同志が保釈奪還されてから5カ月が過ぎた。実家に戻った福嶋同志は毎日のリハビリに励み、体力の回復に専念してきた。勾留されていたときは透き通るほど白かった肌の色が、今や黒くなり、たくましさが戻ってきた。出獄直後の歓喜にわいた歓迎会以来、多くの同志、支援者、友人の前に登場するのはこの集会が初めてである。
不屈に闘いぬいた福嶋同志の勝利をたたえ、福嶋同志の出獄を盛大に祝おうではないか。
この歓迎集会をもって、「十万人保釈署名運動」は新たな闘いを開始しようとしている。須賀、十亀、板垣同志の未決勾留が10年を超えた1998年から開始された保釈署名運動は、6年の闘いを経て4同志の保釈を実現し、その目的を達成した。4同志の獄中闘争、裁判闘争と連帯し、最悪の人権侵害である違憲・違法の長期勾留を許さず、4同志の保釈を石にかじりついても実現するという運動を展開してきた。労働者の集会、街頭、裁判所前などで保釈要求署名を集め続けた。裁判所へ押し掛けて署名をつきつけ、保釈を要求する直接行動を展開してきた。そして、多くの労働者、市民が運動に結集し、その力で4同志の保釈を実現したのだ。
保釈を実現した今、いよいよ4同志の無罪判決を完全に確定させる闘いへと飛躍しなければならない。今や獄外にいる4同志が階級闘争の大地にしっかりと立って、思う存分に闘いぬいている。この4同志と連帯し、日帝・国家権力の凶暴なデッチあげ弾圧に歴史的決着をつける闘いに、力強く前進するのだ。
新たに「迎賓館・横田裁判の完全無罪をかちとる会」(仮称)の結成が五十数人の人たちによって呼びかけられている。4・29集会で新しい運動の結成を大々的にかちとろう。大きな救援運動の構築こそが勝利の道である。
時代は完全に戦時下に突入している。関西生コン支部への刑事弾圧、卒業式ビラまきへの不当逮捕など、断じて許すことはできない。「人権が奪われるとき戦争が始まる」のだ。しかし敵に展望があるわけではない。労働者階級人民の団結した不屈の闘いがある限り、必ず勝利できる。
1〜3月決戦の大高揚の地平の上に、6月都議選決戦勝利、4大産別決戦勝利、「つくる会」教科書採択絶対阻止へ闘い進もう。その闘いと一体で4・26公判闘争、4・29結成集会をかちとろう。
福嶋さん歓迎、4人の完全無罪へ−4・29集会
4月29日(金)午後1時開場 2時開会
東京・渋谷勤労福祉会館
(渋谷区神南1ー19ー8、渋谷駅ハチ公口下車、公園通りをNHK方向へ)
主催/不当な長期勾留をやめさせるために! 十万人署名運動
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週刊『前進』(2195号6面3)(2005/04/25)
『共産党宣言』 −学習の感想−
労働者の自己解放性を基に I・M
新指導路線と『共産党宣言』の読み方ということが提起されて、自分としてはそういう視点をもって『党宣言』を読み直してはいなかったので、新たな気持ちをもった。
文章そのものを直接的に理解していくということと、時代的背景を知りつつ読んでいくことに加えて、あらためてプロレタリアートの自己解放性、戦闘性をベースにして『党宣言』をとらえていくということがひとつのものとなって、より理解が深まっていくと感じた。
従来、帝国主義段階における革命運動ということで、労働貴族の腐敗によって抑えつけられてきたプロレタリアートの革命性を見落としがちになってきたが、そこのところをしっかりと押さえないといけない。これまでは、だからこそ党が頑張るんだとなっていた面があるが、その分、プロレタリアートの闘いの比重が小さくなっていたと思う。
1848年1月に執筆終了の『党宣言』は、まさに革命的激動期(の前夜)のたまものであり、その激動期に身を置いて理解し、わがものとしなければならない。
パリ・コミューンの勝利にしても、帝国主義段階ではないからということで、あまり突っ込んで勉強をしてこなかった。気持ちの上で賛美するだけで、むしろ党がないから途中で敗北したというふうに流れがちになっていた。しかし、やはりプロレタリアートの革命性、創造性、献身性をしっかりと具体的に押さえないといけないと感じた。
新指導路線ということで、自分の内部で常識化して(実は風化して)いたものを、あらためてとらえ返さなければならないと感じた。
第3章は、時代背景が分からないと、ただ古くさいという感じを受けるだけだったが、『ドイツ・イデオロギー』や『共産党宣言』の学習会での説明で、内在的な理解ができるようになった。
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