ZENSHIN 2005/04/11(No2193 p08)

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第2193号の目次

成田軍事空港反対!
3・27三里塚全国総決起集会の後、デモに立つ動労千葉など反戦共同行動委の隊列(3月27日午後 成田市東峰)

1面の画像
(1面)
小泉=奥田の最先兵 ファシスト石原打倒へ
労働者階級の決起と連帯してともに帝国主義打倒の闘いを
革共同はすべての新入生に訴える
革共同中央学生組織委員会新入生
 歓迎企画 労働者と共に世界革命へ闘おう(4、5面)
記事を読む  
都教委の処分弾劾する
2年目の不起立に震撼  石原の事実上の敗北宣言(3月30日)
記事を読む  
“勝利まで闘う”  被処分者ら直ちに抗議(3月30、31日) 記事を読む  
(2面)
5・27臨大闘争弾圧粉砕を軸に国労再生を担う指導部形成へ
勝利のカギは酒田・革同体制打倒  革共同国鉄委員会
記事を読む  
国労弾圧公判 “痛みはどこに行ったのか”  供述の変遷を突き追及(3月29日) 記事を読む  
動労総連合がスト  ベアゼロ打破へ団結固く(3月23、26、28日) 記事を読む  
(3面)
05春闘情勢 教労決戦と動労千葉ストを最先頭に小泉=奥田に反撃
連合中央の総屈服つき破り
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北朝鮮・中国侵略戦争動員狙う  「国民保護基本指針」弾劾 記事を読む  
教育労働者 福岡の闘い
「不起立宣言」貫いた  分会での論議を活性化(投稿 福岡・ST)
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3・19大阪 国際連帯で集会
日比谷結集を呼びかけ(投稿 大阪 H・M)(3月19日)
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『特攻隊』とは何だったのか
−−石原と山田杉並区長の暴言を糾す−−  投稿・中川慎一
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訂正 記事を読む  
(4面)
新入生のみなさんへ  労働者階級と共に世界革命へ闘おう
  世界戦争の過程が始まっている〔片瀬 涼〕
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(5面)
新入生のみなさんへ  労働者階級と共に世界革命へ闘おう
帝国主義打倒こそ生きる道  マルクス主義を武器に歴史変革の主体として
マルクス主義学生同盟中核派 丸山 太
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(6面)
“階級の論理”で石原と対決しよう
「つくる会」教科書採択阻止へ  弱肉強食の社会ダーウィニズムの論理で歴史を描き侵略を擁護
記事を読む  
“石原知事は辞任を”  女性差別暴言に抗議行動(3月8日) 記事を読む  
日誌'05 3月23日〜29日
衆院憲法調査会が最終報告案  「国民保護指針」を閣議決定
記事を読む  
(7面)
3・27三里塚 40年の闘いに勝利の展望つかむ
北延伸は空港廃港の第一歩
“労農連帯が戦争止める”  現闘本部裁判支援を訴え(3月27日)
記事を読む  
現闘本部裁判 “木造建物はある”  地上権めぐり原告窮地に(3月24日) 記事を読む  
辺野古 座り込み1年 工事阻む  “調査期限の延長許さぬ”(3月24〜31日) 記事を読む  
マスハドフ チェチェン大統領暗殺弾劾
民族抹殺狙うプーチン  チェチェン人民は戦闘宣言(藤沢明彦)
記事を読む  
(8面)
団結ひろば 投稿コーナー
「国旗・国歌」強制に親として不起立貫く 東京・自治体労働者 N・S
地元の教育労働者と「日の君」反対で集会 関西合同労組 佐久ミチル
経済制裁の大合唱にストップかける闘い 新潟 中村明
『共産主義者』掲載のアイヌ民族論に感銘 K・S
記事を読む  
労働者の団結で反撃を  共謀罪反対シンポで討論(投稿・布施宏)(3月26日) 記事を読む  
党学校 −−学習の感想−−  団結すること自体が革命的 U・L 記事を読む  
コミューン 5月号  EU拡大と争闘戦 記事を読む  

週刊『前進』(2193号1面1)(2005/04/11)

小泉=奥田の最先兵 ファシスト石原打倒へ
労働者階級の決起と連帯してともに帝国主義打倒の闘いを
 革共同はすべての新入生に訴える
 革共同中央学生組織委員会

 世界戦争への過程がすでに始まっています。全世界で労働者階級と被抑圧民族が帝国主義との闘いに決起しています。革共同中央学生組織委員会は、すべての新入生・学生諸君に、激動する現代世界と向き合い、帝国主義の打倒と世界革命の実現に向けて、ともに闘うことを訴えます。

 第1章 戦争・恐慌・失業・飢餓の根源こそ帝国主義だ

 世界を見ても、日本を見ても、学校を見ても、どこを見ても、人間が互いに対立させられ、殺し合いをやらされている。どうしてこんなに生きにくいのか。そう感じているのはあなただけではありません。労働者階級全体がギリギリの状態に立たされているのです。
 一切の問題は資本主義・帝国主義の問題です。資本の利潤追求のみを動機とし、拡大に次ぐ拡大を遂げ、巨大な富を独占してきた帝国主義。その帝国主義が矛盾を爆発させている。歴史的生命力が尽きようとしている帝国主義が断末魔のあがきに突入している。帝国主義の矛盾が戦争として爆発を始めていること、帝国主義を打倒することが一刻も早く求められていること、その決定的チャンスが到来していることを、私たち全体の認識にする必要があるのです。
 帝国主義の危機はあまりに深刻であり、その攻撃は堤防決壊的な激しさで襲いかかってきています。一方で、労働者階級の怒りと変革の要求、他方で既成指導部の裏切りと転向への絶望が渦巻いています。それに対応して、ファシストが帝国主義の先兵として突撃してきています。「日本の危機」「国家の危機」を叫び、侵略戦争を翼賛し、労働者階級の階級的団結を解体して動員する決定的な攻撃に出てきています。
 私たちは、歴史の重大な分岐点に立っています。一切は、帝国主義を批判し、帝国主義を打倒する立場で、労働者階級が階級的に団結できるかどうかにかかっています。そして、現状を帝国主義の問題として批判し、帝国主義打倒にこそ現状変革の展望があることを訴える勢力が力強く登場するかどうかにかかっています。革共同は、既成の潮流をのりこえる帝国主義打倒の潮流として登場するために闘っています。
 今や、労働者階級の国際的な隊列の発展が始まっています。イラク反戦の闘いに全世界数千万の労働者階級が決起しています。何よりも、アメリカ帝国主義の足下から労働者階級の反乱が始まっています。そして、帝国主義国の労働者階級と、イラク・パレスチナを始めとする中東・ムスリム人民、および朝鮮・中国人民の闘いが、反帝国主義のひとつの軍勢となって進もうとしています。
 04年の11・7労働者集会は、スターリン主義の歴史的な反動をうち破って、帝国主義と対決する日米韓の労働者階級の団結と連帯を生み出しています。「日の丸・君が代」強制拒否の闘いはファシスト石原打倒の展望を切り開いています。動労千葉の闘いが階級的労働運動の前進を支えています。これらの決起の中に、スターリン主義の破産をのりこえ、帝国主義を打倒する力が存在するのです。

 ブッシュと世界戦争

 アメリカのブッシュ大統領は、本気で世界を戦争にたたき込もうとしています。ブッシュは先の就任演説で「自由の拡大」「圧制の終焉(しゅうえん)」というスローガンを掲げました。これは、アメリカ帝国主義が世界戦争を遂行するための国民結集のイデオロギーです。「自由の拡大」なるスローガンは、何よりもイラク侵略戦争と軍事占領を、「自由」の名で正当化するものです。
 イラクへの侵略戦争の根底には、アメリカ帝国主義の中東支配・石油支配とドル支配の危機がありました。9・11反米ゲリラ戦と中東新植民地支配の危機、中東の石油をめぐるEUと中東諸国の接近、石油決済通貨のドルからユーロへの切り替えの動きなど、アメリカ帝国主義の中東支配・石油支配とドル支配が深刻な危機に陥っていたのです。イラク侵略戦争によってアメリカ帝国主義は、EUの狙いを粉砕し、中東支配を再編し、再植民地化する政策を開始しました。
 これが、ブッシュの言う「自由の拡大」の典型的な姿です。つまり、「自由の拡大」とは、アメリカ帝国主義の世界支配の危機を、暴力的に再編する戦争=世界戦争の宣言なのです。「圧制の拠点」と決めつけた国々に侵略戦争を拡大しながら、他の帝国主義国をたたき落とし、アメリカ帝国主義の世界支配の再確立を図ろうとしているのです。
 そして、ブッシュは、このような世界戦争を本気で発動しようとして、きわめて具体的にその態勢づくりを進めています。対ソ連戦を想定したこれまでの米軍の配置を大きく再編するトランスフォーメーションです。中東−アジア地域を「不安定の弧」と称してイラク侵略戦争を継続するとともに、究極的には中国の転覆と支配を戦略目標とした北朝鮮への侵略戦争発動を狙うものです。
 しかも、このトランスフォーメーションが、米・英・日の枢軸を形成し、独・仏−EU連合との対立に踏み切るものとして進められていることは重大です。イラク侵略戦争で決定的となった帝国主義間の分裂と抗争を、さらに深刻に推し進めるものにほかなりません。
 「ブッシュは本気で世界戦争をやろうとしている」と訴えた時、「ブッシュを代えればいいではないか」、あるいは「確かにブッシュは横暴だが、世界戦争まではやらないだろう」という意見があります。しかし戦争は、単に好戦的な勢力が政権を握っているから起こるものではありません。戦争は、帝国主義という体制全体の矛盾の爆発だからです。帝国主義が帝国主義である限り、戦争にまで行き着くしかないのです。
 帝国主義は過去の話ではありません。〈資本主義の独占的段階〉である帝国主義は、市場に対する過剰な資本・生産力の重圧のもとで、生き残りをかけて世界の市場・資源・勢力圏を求めて激突します。帝国主義の国内支配と世界支配の危機が深まる中で、それは結局、侵略戦争・世界戦争として爆発せざるをえません。独占的段階に至った資本主義的生産関係のもとでは、そうする以外に過剰な資本・生産力をどうすることもできないからです。
 確かに戦後の帝国主義は、アメリカが他の帝国主義と比べものにならないほど圧倒的な経済的軍事的力量を持ったことで、特異な戦後発展を遂げました。しかし、アメリカの歴史的没落が激しく進むとともに、各帝国主義国のあらゆる国家独占資本主義政策が破産し、さらにはどうにもならない過剰資本状態の中で起きた日米の経済バブルも崩壊し、いよいよ帝国主義は世界大恐慌と世界戦争の過程に突入し始めているのです。
 資本主義・帝国主義は、歴史上かつてない巨大な生産力を生み出しました。しかしこの生産力が資本主義の生産関係のもとでは過剰となり、その矛盾は大恐慌と戦争、失業と全世界的な飢餓として爆発するしかないのです。だから、帝国主義を問題にし、帝国主義を打倒することが必要なのです。
 アメリカ帝国主義が貿易赤字と財政赤字を膨大に積み上げ、ドルを基軸通貨とした帝国主義世界経済が決定的に行き詰まっています。恐慌の爆発を繰り延べる方式も、完全に限界にきています。戦後、アメリカを頂点として巨大化してきた帝国主義的な生産力が過剰となり、世界恐慌の爆発という形で、一挙にその暴力的な「解決」を迫っているのです。国際的には、帝国主義国そのもののいくつかをたたきつぶし、国内的にもいくつかの金融資本をスクラップするような激しい資本破壊・資本整理を不可避とします。帝国主義国は生き残りをかけて相互につぶし合いを行い、ついにその軍事化・戦争化となるほかないのです。
 ここに、没落する米帝ブッシュが、世界戦争へ突き進む必然性があるのです。

 第2章 改憲と世界戦争参戦の路線を提言した経団連

 こうして見た時、「グローバル化が進んで、国家の枠組みがなくなり、アメリカも自国の利害から離れ、世界全体が『帝国』を中心にしたネットワークになっていくから国家間の戦争にはならない」という意見は、帝国主義を擁護する反動的見解です。現実は、いわゆるグローバリゼーションのもとで帝国主義国家間の対立が一層激化し、軍事的な対立にまで発展しています。
 「グローバリゼーション」とは、国家独占資本主義政策の破産と解決不能の財政危機として戦後の延命方式が破綻(はたん)した帝国主義が、それを開き直り、帝国主義の論理、資本の論理をむき出しにして、「多国籍企業」と軍事力で世界に侵略と支配を拡大する過程だったのです。
 その結果は、一方で、暴力的なやり方で世界の富がアメリカ帝国主義に集中・独占されると同時に、他方で、全世界に飢餓と貧困を激増させ、失業と非正規雇用化、賃下げを強制し、資本主義・帝国主義がその搾取の対象である労働者階級を食わせていけないという一個の体制としての限界の露呈でした。1日1j以下で暮らす人が世界全体で12億人、アメリカ国内でも飢餓人口が3千万人・人口の15%に至っています。他方で、ごく一握りのアメリカの資本家どもが、世界の富の6割を独占するに至っているのです。
 しかも、アメリカ帝国主義の歴史的な没落は容赦なく進行し、各帝国主義によるFTA(自由貿易協定)の締結合戦という局面に入り、帝国主義の分裂と抗争を激化させ、帝国主義の矛盾が帝国主義国家同士の戦争として爆発することは避けられなくなっているのです。こうして、すでに帝国主義は03年3・20イラク開戦をもってアメリカを先頭に世界戦争過程に突入しているのです。
 資本主義・帝国主義の矛盾の爆発は、人類が経験したことのないほど破壊的なものです。しかし、この資本主義・帝国主義を世界革命で打倒することの中にこそ、新たなより高次の社会への移行を必然とする条件があるのです。
 いま世界は2期目のブッシュ政権のもと、本当にイラク侵略戦争から世界戦争へと突き進んでいます。この情勢に対応し、日本の資本家階級の総本山である日本経団連が、『わが国の基本問題を考える』という提言で、憲法改悪と教育基本法改悪を正面から打ち出しました。
 安保・外交問題についてこれまで発言しなかった財界が言っているところに事態の重大性があります。この情勢で、日本帝国主義自身の戦争を発動できなければ、自らの階級的利害を守ることができないという激しい危機感です。そのため、憲法を始めとする戦後的な制約をうち破って帝国主義戦争を発動できる国家体制に抜本的に転換する国家大改造を断行しなければならないとしています。
 05〜06〜07年の3年間がまさに改憲をめぐる大決戦となりました。その最大の攻防は、戦後の階級関係の転覆、労働組合−労働者の団結の解体にあります。財界・資本家階級も、ここがなかなか進んでこなかったことにいらだっています。そして、ここを右から突破するファシスト的な突撃隊として、東京都知事の石原が登場してきているのです。

 戦争体制へ国家改造

 (1)『わが国の基本問題を考える』は、「世界の平和と安定」に対して「主体的に関与」するという論理で、日本帝国主義は世界戦争に参戦すべきだとしています。ついに日本の資本家階級が、世界戦争の論理を打ち出したのです。
 日本経団連は、世界中の「国際紛争」に対して「世界の平和と安定」のために軍事力を積極的に投入する、帝国主義的軍事力を行使できなければアジア諸国を従わせることができない、だから日本は米・欧に比してアジア勢力圏化に立ち後れてしまっているのだ、としています。そのためには、現行憲法第9条は決定的な制約だと言うのです。
 (2)「集団的自衛権」についての足枷(あしかせ)を外すことを要求しています。帝国主義同士のつぶし合いの死闘の中で、アメリカ帝国主義との間で日米枢軸関係を形成して、世界戦争に踏み出していくことを決断したのです。
 2月19日に開催された日米安保協議委員会で、重大な合意が行われています。そこでは、米軍のトランスフォーメーションに、日本帝国主義が全面協力すること、日米同盟を決定的に再編することで合意しました。
 そして、北朝鮮のみならず中国を日米共同の戦略的対象とし、日米の軍事力の一体化に向かって踏み込むことを確認しました。そして日米枢軸への踏み切りによって日本・沖縄が世界戦争の出撃拠点としてはっきりとすえられたのです。
 (3)「民営化」「規制緩和」と称して、資本に対する国家の規制を撤廃させ、弱肉強食の資本の搾取の徹底と労働組合の解体を要求しています。同時に、国家を改造し、治安弾圧と戦争という役割に純化させようとしています。
 (4) まさにこのような国家改造が教育改革、教育基本法改悪において打ち出されています。今や資本家階級は、労働者は資本にとって「材料」「商品」に過ぎないという本質を徹底させ、それを教育において貫こうとしています。学校は「人材」をつくる「工場」であり、教育力とは「人材」をつくる生産力である。そのために教師を徹底的に働かせる。こうした教育力=生産力をあげるために、今日の教育労働者へのすさまじい攻撃があるのです。これは同時に、モノなんだからいくら殺してもいい、という人間を殺すイデオロギーでもあります。
 教基法改悪では、日本を愛する日本人をつくれと言っています。愛国心、日本人としての誇りと根性がなければ、国際競争に勝てないと言っています。 

 第3章 閉塞状況打破を右から叫ぶファシストの突出

 日本の労働者階級の闘いにとって、今や、ファシスト石原を打倒することが第一級の戦略的課題になりました。
 「戦争こそは社会の原理」「中国を分裂させる」「憲法を命がけで破る」といった言辞を見て下さい。これこそが今や、世界戦争参戦を決断した日本の資本家階級のむき出しの階級意志です。石原は、それをストレートに体現し、都知事の権力を使い切って、小泉=奥田路線が突破できないでいるところを突き破っていこうとしているのです。
 なぜ石原に300万もの票が集まったのか。それは労働者階級の現状に対する怒りが渦巻いており、既成政党、労働運動の既成指導部の裏切りと転向に絶望しているからです。そしてこの閉塞(へいそく)状況の打破と現状の変革を石原がファシスト的に叫んでいるからです。
 だから、「石原が言っていることはひどい」と弾劾しているだけでは、労働者階級の怒りや変革の要求をとらえられません。現状を帝国主義の問題として批判し、帝国主義打倒こそ現状変革であることを訴える勢力が力強く登場すれば状況は一変するのです。
 そのためにも、石原のファシスト的な言動と対決し、帝国主義打倒の立場を鮮明に突き出すことです。
 (1)石原は「戦争こそは社会の原理」であり、無条件に受け入れるしかないと言っています。しかし、石原が問題にしている日清戦争、日露戦争や二つの世界大戦も、危機にあえぐ帝国主義国家同士の資源や植民地をめぐる死闘でした。資本家階級の利害のために労働者階級と被抑圧民族人民を犠牲にした不正義の戦争でした。それは、労働者階級にとっては選択の余地のない原理ではなかったのです。不正義の侵略戦争を行う帝国主義に対して、労働者階級が国際的に連帯し、また被抑圧民族人民と連帯して帝国主義を打倒するという革命的選択、壮大な展望があったのです。
 (2)石原は「日本の危機」「国家の危機」を叫んで、国家のために尽くせとあおっています。しかしいったい、「日本の危機」「国家の危機」とは何なのでしょうか。日本という帝国主義国家の中には、圧倒的多数の労働者階級と、それを支配する一握りの資本家階級が対立して存在しています。危機に陥っているのは、日本の資本家階級です。しかし労働者階級にとって、これは資本家階級を打倒するチャンスにほかならないのです。
 (3)石原は、憲法などの戦後的制約が日本を危機にしていると激しく批判します。そして、この制約を突破すれば、日本の危機が打開されるかのごとく言います。しかしこれはまったくのデマです。帝国主義が、戦後的制約を突き破って進もうとしている方向は侵略戦争・世界戦争であり、地獄の道です。もちろん、憲法を改定できず、戦後的制約に縛られていても危機を爆発させて地獄です。帝国主義に出口はないのです。労働者階級の力で打倒する以外ないのです。
 (4)石原は、国民が権利ばかり主張し、「公共の精神」が失われていると非難します。労働者の権利の要求は「甘え」であり、国家に要求など一切しない「自立した個」となって国家に奉仕しろと言うのです。これは、労働者階級は、どんな扱いをされても資本家のために文句を言わず賃金奴隷として働けということにほかなりません。そして、「国家と個人との一体感」を取り戻すべきだと強調し、あたかも「国家」が階級対立を超えた普遍的価値であるがごとく押し出し、「国家」のために侵略戦争で犠牲になることを賛美します。こんなものを労働者階級が受け入れられるはずもありません。
 だから石原は、行政権力や警察権力、民間反革命の暴力を動員し、労働者階級の階級性をたたき折り、労働者階級の階級的団結をバラバラに解体し、国家に対して動物的な忠誠心を抱くまで屈服させようとしているのです。
 石原が「日の丸・君が代」強制でやっていることはまさにこれです。「日の丸・君が代」の強制を徹底的に儀式化し、それに従うことを拒否すれば、経過報告、処分、強制転勤などの組織的拷問を加え、思考停止にたたき込んで動員するという攻撃です。石原は、労働者階級を同じ人間とは見ていない。「家畜」ぐらいにしか見ていないのです。
 しかし他方で、石原には階級的な存在や闘いに対する恐怖と憎悪があります。労働者階級が階級的に団結して立ち向かった時に、石原のイデオロギーは粉砕されてしまうのです。
 そして、労働者階級の団結をもって闘おうとしない日本共産党スターリン主義や社会民主主義、市民運動主義者は、ファシスト石原と闘えないのです。 
 バラバラに分断され苦しんできた学生にとって、自らの存在の意義、自らの生きる意味をつかむことができる武器がマルクス主義です。学生は、マルクス主義で武装し、自らを歴史変革の主体として飛躍させよう。戦争か革命かの時代にこそ、学生が労働者階級の闘いの先頭に立ち、歴史を動かす役割を果たそう。マルクス主義学生同盟中核派に結集し、帝国主義の打倒に向かって闘おう。

 4〜5月の大闘争へ

 学生は、階級的労働運動と連帯して、帝国主義の世界戦争への突進、「戦争と民営化」の大攻撃と対決し、すべての闘いを帝国主義打倒をめざして闘おう。
 第一に、教育労働者の「日の丸・君が代」強制拒否の闘いに連帯し、4月入学式闘争に立とう。「日の丸・君が代」攻撃粉砕・教育基本法改悪阻止・憲法改悪阻止の歴史的な大闘争をつくりだしていこう。改憲阻止闘争を05―07年の大決戦としてうち立てよう。国民投票法案の提出阻止へ全力を挙げよう。5・7「教育基本法改悪を止めよう!全国集会」に大結集しよう。「つくる会」教科書の採択を阻止しよう。
 第二に、ファシスト石原を打倒し、「日の丸・君が代」攻撃粉砕・教育基本法改悪阻止・憲法改悪阻止の大闘争を爆発させよう。「教育改革」、社会保障制度解体、労働組合破壊を狙うファシスト石原に対して、全都・全国でファシスト石原打倒の大運動を巻き起こそう。6月都議選決戦に勝利しよう。そして石原打倒の突破口を切り開こう。
 第三に、米軍再編と対決し、沖縄基地撤去・辺野古基地建設阻止・全土基地化阻止の闘いをかちとろう。沖縄闘争を米日枢軸体制を粉砕する戦略的な環として闘い抜こう。辺野古現地のボーリング調査阻止の闘いをさらに発展させ、辺野古基地建設を完全に粉砕しよう。5・15沖縄現地闘争に新入生を先頭に大結集しよう。全学連現地行動隊に参加しよう。
 第四に、「戦争と民営化」攻撃と対決し、全国大学闘争を爆発させよう。法大決戦に勝利しよう。ファシスト石原と対決する都立大・首都大闘争を爆発させよう。東北大有朋寮廃寮を阻止し、富山大再編・統合を粉砕しよう。全国で闘う学生自治会をうち立てよう。
 第五に、イラク侵略戦争阻止・占領軍撤退闘争をすべての闘争の柱にして、「侵略を内乱へ」をかちとろう。自衛隊に対する即時撤退の闘いを強めよう。

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週刊『前進』(2193号1面2)(2005/04/11)

都教委の処分弾劾する 2年目の不起立に震撼 石原の事実上の敗北宣言

 東京都教育委員会は3月30日、臨時会を開催し、3月卒業式において「君が代」斉唱時に不起立するなどした教育労働者52人に対する懲戒処分を決定した。教育労働者の不屈の戦争協力拒否闘争を、入学式を前に処分によって封じようとする石原と都教委の暴挙を徹底的に弾劾する。
 52人の内訳は高校44人、「障害児」学校4人、中学校1人、小学校3人。今回初めて不起立した人は戒告(昇給延伸3カ月)、2度目の10人は10分の1の減給1カ月、そして3度目以上の4人は10分の1の減給6カ月という重処分である。また戒告のうち3月末で定年退職する1人は、嘱託による再雇用選考合格も取り消された。
 石原と都教委は、「10・23通達」から2年目の今卒業式において、不起立闘争を完全に封じ込めようとあらゆる手段で襲いかかった。処分の恫喝に加えて、昨年の被処分者の嘱託採用を不合格として「1度でも不起立したら、再雇用はない」と脅し、被処分者への不当な強制異動も相次いだ。ほぼ全高校の卒業式に警察を配置し、「日の丸・君が代」強制に反対してビラをまいた3人を逮捕させた(勾留できず奪還)。都教委職員を特定の学校に重点的に派遣し、多い学校では最大10人が監視にあたった。警察と都教委職員を併せて20人近くが監視体制をとった学校もある。これらはすべて、教育労働者の抵抗を力ずくで押しつぶすためのものであった。
 しかしそれらをすべて打ち破って、教育労働者は堂々と2年目の不起立闘争を闘いぬいた。「2年目の不起立闘争を封じる」という石原と都教委のもくろみは完全に打ち破られた。イラク侵略戦争と自衛隊派兵のただ中で、教育労働者は断固として「戦争協力拒否闘争」をたたきつけたのである。大量報復処分は、石原と都教委の「敗北宣言」にほかならない。
 とりわけ4人に対する6カ月の減給処分は、「日の丸・君が代」闘争への全国各地の処分と比べても飛び抜けた重処分である。「たった40秒」の不起立をこれほどの重処分としたことは、石原が教育労働者の闘いに心底恐怖していることを示している。労働者こそファシスト支配を打ち破る力を持っているのだ。
 昨年の処分に対して、教育労働者200人余が都人事委員会に不服審査請求を行ったが、都教委は審理開始を遅らせ、1年たった今も公開口頭審理が始まっていない。処分撤回を求めた人事委審理はまったく進めず、さらなる追加処分を振り下ろした都教委は絶対に許せない。石原と都教委は不当処分を撤回せよ!

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週刊『前進』(2193号1面3)(2005/04/11)

“勝利まで闘う” 被処分者ら直ちに抗議

 不当処分決定に対して、「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会を先頭に多くの被処分者が反撃に立ち上がっている。都教委が処分を決定した30日午後、ただちに記者会見を行って抗議声明を発表し、「被処分者の会は勝利の日まで闘いぬきます」ときっぱりと表明した。
 31日には、処分が発令される文京区の東京都総合技術教育センター前に100人近い教育労働者と市民が集まり、呼び出された被処分者を激励し、都教委に抗議の声を上げた。(写真)
 さらに4月5日には、処分撤回を求めて都人事委員会に対する不服審査請求を行おうとしている。
 処分に屈せず意気軒高と闘う教育労働者を全労働者の力で守りぬき、ファシスト石原に大反撃をたたきつけよう。

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週刊『前進』(2193号2面1)(2005/04/11)

5・27臨大闘争弾圧粉砕を軸に国労再生を担う指導部形成へ
 勝利のカギは酒田・革同体制打倒
 革共同国鉄委員会

 05年決戦を突破口にした05〜07年は戦後最大の階級決戦だ。時代は戦争か革命かの一大激動期に入った。それは、国鉄分割・民営化以来18年、日本労働運動の命運を握り続けてきた国鉄闘争の存否をかけた重大な決戦への突入を意味している。その成否は、1047名の固い団結と、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いを貫き、国労共闘の力強い発展をかちとることにかかっている。

 「国鉄分割・民営化の総決算」狙う政府JR

 米大統領選でのブッシュの再選は、イラク侵略戦争の一層の泥沼化のただ中で、米帝が世界戦争への突入を決断したことを告げ知らせた。小泉=奥田は、その米帝ブッシュと枢軸関係を形成することに日帝の延命の道を託した。日米帝は2月19日の日米安保協議委員会(2プラス2)で「日米の共通戦略目標」に合意し、米軍大再編(トランスフォーメーション)を推し進め、軍事的に一体化して世界戦争を遂行しようとしているのだ。
 そのためにも、小泉=奥田は07年改憲を至上命題とし、総力を挙げた階級決戦へと出てきている。日本経団連は、1月18日の「わが国の基本問題を考える」「これからの教育の方向性に関する提言」の二つの提言をもって改憲への突進を宣言した。
 今日、ファシスト石原を先頭に国家主義・愛国主義・排外主義の洪水が組織され、日教組、自治労などを改憲勢力へと変質・解体する策動が一気に激化している。労働組合を破壊することなしに改憲も戦争も貫徹できないからだ。
 こうした攻撃の先端に労働運動や反戦闘争に対する戦時型弾圧の激化がある。国労5・27臨大闘争弾圧は、立川テント村や板橋高校元教員への弾圧など、この間の一連のビラまき弾圧の突破口をなす攻撃だった。さらに今、国家権力は全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部の破壊を狙う大弾圧を強行している。
 戦時下の労働運動は、こうした弾圧に総力を挙げた反撃をたたきつけてこそ、大きく発展することができるのだ。

 改憲を阻止してきた国鉄闘争

 87年の国鉄分割・民営化を前にして、中曽根は「(国鉄改革を始めとした)行政改革でお座敷をきれいにして立派な憲法を安置する」と言い放った。だが、国鉄闘争の不屈の展開は改憲攻撃のストレートな貫徹を敢然と阻んできた。
 今こそ国鉄闘争18年の闘いの真価が問われている。改憲をたくらむ小泉=奥田は、国鉄闘争をこのまま放置できなくなっている。だから政府・JRは、今年中にも国鉄1047名闘争を根絶しようと「国鉄分割・民営化の総決算」攻撃に出てきたのだ。同時にそれは、JR総連カクマルとJR資本の結託体制の清算をも狙うものだ。
 現在、国鉄分割・民営化以来初めて、国労を相手に「和解」の動きが始まっている。これは、国労に闘争終結宣言を出させ、1047名闘争そのものを解体する攻撃に出てきたということだ。それは、国鉄労働運動そのものを一掃・根絶する、かつてない凶暴なものとなるだろう。
 だがこれは敵の強さの現れではない。小泉=奥田は、国鉄闘争に決着をつけられないまま戦時下に突入し、階級決戦に出なければならないところに追いつめられたのだ。小泉=奥田は、国鉄闘争が「日の丸・君が代」強制反対−教育基本法改悪阻止の教育労働者の闘い、郵政民営化反対の全逓労働者の闘い、公務員制度改悪・自治体リストラと対決する自治体労働者の闘いと結合し、公然たる階級的大反乱へと発展することを恐れている。
 国鉄1047名闘争は、05〜07年の階級決戦の土台に位置する重大な闘いだ。この闘いを教育労働者、全逓労働者、自治体労働者を始め全日本の労働者の闘いと結合し、発展させるならば、07年改憲に向けた戦争と民営化の大攻撃を跳ね返し、革命情勢をたぐり寄せることはできる。国労の再生と1047名闘争の勝利、日本労働運動の再生は、その闘いの高揚の中でこそかちとられるのだ。

 卒業式闘争と連帯し動労千葉が春闘スト

 動労千葉は、3月15日から5日間の安全運転闘争と17〜19日の72時間ストライキを打ち抜いた。「ベアゼロ打破・大幅賃上げ獲得」「定昇解体−賃金制度改悪阻止」「強制配転粉砕、士職発令、不当労働行為根絶」「JR総連解体−組織拡大」「1047名闘争勝利」を掲げたこの闘いは、「日の丸・君が代」強制反対の教育労働者の決起と結びつき、3・20イラク開戦2周年の国際反戦共同行動を牽引(けんいん)し、それに心棒を入れたのだ。
 今春闘で日本経団連は「攻めのリストラ」を叫び、ベアゼロ攻撃と定昇解体攻撃を激しく進めている。JRでも、東日本を始め全社が4年連続のベアゼロ(JR貨物は6年連続)を強行し、諸手当改悪にまで踏み込んできた。JR西日本やJR貨物では賃金制度改悪による定昇解体−賃下げ攻撃が狙われている。労働者・労働組合は団結して闘わなければ生活も権利も守れない。

 安全問題で露呈したJRの矛盾

 この2〜3月、千葉管内だけでも5件のレール破断や継ぎ目ボルト折損が起きた。これはJR体制のもとで鉄道の安全が今や崩壊の危機に直面していることを示している。その直接の原因は、JR東日本の利益優先・安全無視の効率化政策にある。JR東日本は、「ニューフロンティア21」(01〜05年1月)のもとで保守部門を全面外注化し、3312人に上る要員を削減した。
 レール破断は昨年1月にも起きている。JR東日本は、その1カ月前(03年12月)に、国土交通省から事業改善命令を受けたばかりだった。ところがJR東日本は、その後も利益優先・安全無視の効率化政策を強行した。それはJRの資本・カクマル結託体制ゆえである。JR東労組カクマルは「効率化推進」「責任追及から原因究明へ」を掲げ、資本の手先となってこれを支えてきた。その結果、安全無視の政策はますます野放図化していった。
 もはやJRは、いつ大事故が起こっても不思議でない状態だ。JR東日本も「ニューフロンティア2008」(05〜08年)の冒頭で、異例にも「安全問題」に言及しなければならなくなっている。動労千葉の運転保安確立の闘いは、JR体制の矛盾を突く、ぎりぎりのところからの反撃として闘われたのだ。それは、大リストラ−規制緩和の中で、大事故・大災害と隣り合わせで働かざるをえない全日本の労働者に、渾身(こんしん)の決起を呼びかけた偉大な闘いだ。
 今回のストライキ闘争は、JR体制の土手っ腹に開いた風穴をさらに押し広げた。動労千葉は、闘いによって強制配転者12人の原職復帰をかちとった。闘えば勝てるのだ。
 「日の丸・君が代」強制に抗する教育労働者の闘いも、動労千葉のスト決起と結合して発展した。それは、闘争抑圧者に転じた日教組本部−都高教本部と対決し、闘う教育労働者が新たな指導部を打ち立てる闘いとして進行した。動労千葉のストライキは、日教組の再生へ闘う教育労働者を限りなく激励したのだ。
 動労千葉ストはこうして、05〜07年階級決戦の突撃路を切り開いた。それは、国鉄労働者にとっては「国鉄分割・民営化の総決算」攻撃を真正面から打ち破る闘いの跳躍台をなしている。

 1047名闘争圧殺が「和解」の狙いだ!

 05年は国鉄闘争の正念場の年である。とりわけ国労全国大会に向かう過程は、1047名闘争終結宣言を許すか否か、国労の存亡をかけた決戦だ。
 現在、中労委で進められているJR東日本と国労との「和解」の動きは、1047名とJR本隊を分断し、JR本隊内部の分断と団結破壊をも国労に受け入れさせ、国鉄1047名闘争の終結宣言を迫ることを意図するものだ。
 それはかつてなく激烈な攻撃ではあるが、敵の破産と危機の現れだ。日帝にとって1047名闘争の解体は絶対的な課題だが、国労本部に1047名闘争を圧殺させる以外、手段がないところに追い込まれている。それは4党合意の崩壊でいったん破産したやり方だ。だから敵は、JR東日本との「和解」という新たな手法を用いて、国労と1047名闘争の解体・根絶へとなりふり構わぬ攻撃に突っ込んできたのである。
 本来、国労が労働組合らしく闘っていたならば、今日の「和解」情勢は敵を追いつめる好機の到来、団結を一層固める機会になっていたはずだ。JR総連カクマルは分裂し、JR資本との結託体制は崩壊の危機に直面している。分割・民営化以来18年の積もりに積もった矛盾は、安全問題でも要員問題でも一斉に噴出し始めているからだ。
 しかし、和解路線をとる国労本部のもとで、事態はまったく逆の形で進行している。国労本部は、敵の前に闘わずひざまずいたからこそ得た和解情勢であるとしか見ていない。だから国労本部は「和解」実現のために、進んで1047名闘争終結宣言を出し、国労を解散してJR連合に合流しようとさえしているのだ。
 昨年9月の配属差別一括和解によって国労への組合差別がなくなったのか? まったく否だ。和解後も品川ベンディングは残され、処分攻撃は続いている。にもかかわらず国労本部は、「JR東日本の労務政策が変わった」と叫びつつ、「和解」情勢に飛びついている。
 次期国労全国大会で1047名闘争の終結宣言を出して18年の闘いの一切を投げ捨て、国労運動の裏切り者・今井伸に頭をたれてJR連合への合流を狙う酒田・革同執行部を断固として打倒するために、総決起が求められている。その闘いの軸は5・27臨大闘争弾圧を粉砕することにある。

 和解路線の克服が喫緊の課題に

 闘う国労組合員は、00年7・1全国大会での「演壇占拠」を始めとした連続的大反撃で4党合意を大崩壊にたたき込んだ。それは国鉄闘争と国労の解体を狙う攻撃に致命的打撃を与え、国労内に二重権力状態をもたらした。その過程で引き起こされたのが02年5・27臨大闘争弾圧だ。
 4党合意を粉砕し1047名闘争を最後まで貫こうと訴えた国労組合員を、酒田・革同執行部は平然と警察に差し出した。それ以降の国労本部は変質と転落を深め、その惨状は目を覆うばかりである。ところが、闘う執行部樹立=国労再生を果たすべき国労内反対派もまた、酒田・革同体制を覆せないままできた。
 それはなぜか。反対派の総体が4党合意をもたらした政治解決=和解路線を真の意味で克服することができないできたからだ。5・27臨大闘争弾圧を打ち砕く闘いを軸に酒田・革同執行部を打倒する方針が未確立だったからだ。
 日本階級闘争は戦時下に突入している。戦時下の労働運動は、路線問題、組合権力問題をあいまいにしては絶対に闘えない。戦争と民営化に対して、断固、プロレタリア革命を対置して動労千葉のように闘うことが求められている。国労において、その闘いは5・27臨大闘争弾圧粉砕を土台にして、酒田・革同執行部を打倒し、闘う執行部を打ち立てることなのだ。

 国労共闘の飛躍が情勢を決する

 国労東日本は、連合のパートナー路線と同様の「職場総点検運動」なる「提言運動」路線へ突き進み、全争議を「和解」の名で売り渡そうとしている。上村ら革同を先頭にした国労西日本は、JR西労組(JR連合)と一緒になって「イラク鉄道復興・人道支援会議」なる侵略翼賛運動にのめり込んでいる。東日本も西日本も、闘争団の切り捨て、1047名闘争の解体、JR連合合流で一致して動いているのだ。
 国労はまさに存亡の危機にある。この事態を転換し、国労を再生させるためには、反対派から強力な求心力をもった最左派が断固として登場することが必要なのである。その役割は、闘う闘争団らとともに、国労共闘こそが担わなければならない。5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いこそ、国労共闘がそのための変革と飛躍を遂げる勝利のカギをなしている。
 国労共闘が5・27臨大闘争弾圧粉砕を旗印に断固として指導部に躍り出る挑戦を始めた時、現執行部打倒は現実の課題となり、国鉄闘争の様相は一変する。
 国鉄闘争勝利に向けての当面の課題の第一は、9月15日に判決を迎える鉄建公団訴訟の一審勝利へ、1047名闘争の大前進をかちとることだ。
 4党合意粉砕の激闘は1047名闘争の新たな発展を生み出した。04年は1047名闘争の前進をかちとる画期的な年となった。4月13日、日比谷公会堂に国鉄闘争史上初めて国労闘争団、全動労争議団、動労千葉争議団がそろって登壇した。さらに昨年末、3争議団・闘争団は、日本共産党や全労連中央−国労本部の圧殺策動を突き破り、そろって鉄建公団訴訟に決起した。1047名闘争は、鉄建公団訴訟を軸にいよいよ大発展過程に突入した。
 鉄建公団訴訟の一審判決勝利へ今こそ前進しよう。国鉄闘争は、分割・民営化による大量首切りという国家的不当労働行為に対し、解雇撤回・職場復帰を求める日本労働運動に輝く大闘争である。この闘いには05〜07年階級決戦の成否がかかっている。国労の「和解」情勢が1047名闘争解体を狙う攻撃であることをしっかりと自覚し、その先兵に成り下がった酒田・革同執行部打倒の闘いを根底に据えて、解雇撤回まで不屈の闘いを貫くことだ。
 そのために、偉大な勝利をかちとった全金本山闘争の教訓を学んで闘おう。全金本山労組はこの3月、34年の闘いに勝利し、解雇を撤回させ、職場復帰をかちとった。裁判での敗北をものともせず、闘いを裏切る全金本部と対決しぬき、支援を結集し、実力で勝利を闘いとったのである。
 第二は、闘争団とJR本隊との緊密な結合を図ることである。
 「和解」による1047名と本隊との分断攻撃を突破し、闘争団とJR本隊がしっかりと結びつくことが勝利を切り開く。別言すれば、誰がJR本隊を獲得するのかが問題なのだ。そのためには、1047名闘争を貫き、動労千葉のように闘うことが勝利の道であることを、徹底的にはっきりとさせることである。
 第三は、酒田・革同執行部を打倒し、闘う執行部をなんとしても樹立するために必死の組織的苦闘に突入することだ。
 国労内は依然として二重権力状態にある。問題は、分会・支部・地本など職場権力を国労本部から奪還し、国労再生への総決起をかちとることだ。
 第四は、これら一切の課題の土台をなすものとして、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いを、国労共闘を先頭に大前進させることである。
 8被告を先頭にした闘いは、警察への組合員売り渡しの張本人である酒田・革同ら国労本部派の犯罪性を暴き、確実に追いつめている。ここに国労再生・1047名闘争勝利の決定的な環がある。組合員を警察に売り渡す国労本部派幹部の存在を許しておいて、国労の再生は不可能だ。国労でこそ、この運動と闘いの拡大を図らなければならない。それは必ず国労再生を切り開く大きな力となる。
 このことに確信をもって、国鉄職場で国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会の会員を拡大し、今こそ国労再生へ総決起しよう。

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週刊『前進』(2193号2面2)(2005/04/11)

国労弾圧公判 “痛みはどこに行ったのか” 供述の変遷を突き追及

 3月29日、国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第38回公判が東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で開かれた。今回の公判で、国労長野地本副委員長の平山芳夫証人への弁護側の反対尋問は4回目となった。
 平山証人は02年5月27日の国労臨時大会当日、長野地本から動員された警備係の副責任者であり、現在、長野地本の唯一の専従役員としてチャレンジ路線を推進している。彼は吉田進書記長直系の人物だ。以前の公判で平山証人は、5・27臨大直後に吉田書記長の指示で警察の事情聴取に応じたことを認めている。
 この日の公判で、弁護団は平山証人の「暴行」に関する証言の矛盾を徹底的に暴き出した。

 佐藤弁護団長が国労本部を弾劾

 公判の冒頭、佐藤昭夫弁護団長が意見を述べた。5・27臨大は、鉄建公団訴訟を起こしたことなどを理由に闘争団員を査問にかけるため、国労本部が強行開催したものだ。佐藤弁護団長は、労働者の権利行使を統制処分の対象とした国労本部を批判し、この臨大に際して本部役員らへのビラまき・説得活動に立った被告の行動の正当性を明らかにした。
 さらに、イラク反戦国際共同行動3・20集会について触れ、被告を始め闘う国労組合員や動労千葉が大結集する一方で、陸・海・空・港湾労組20団体に名を連ねながらまともに動員もしていない国労本部のありさまを突き出して、その裏切りを鋭く指摘した。
 平山証人が入廷した。検察側の冒頭陳述では、平山証人に対し松崎博己被告が「胸部を突き飛ばし」、羽廣憲被告が「右手をつかんで押し戻した」とされている。平山証人はこれに加え、検事の主尋問に答えて「羽廣被告から右手をつかまれ、ねじられた」とも述べていた。
 しかし、臨大直後の02年6〜9月に作成された供述調書では、証人が羽廣被告につかまれ、ねじられたのは左手だったことになっている。その後、02年10月に被告らが逮捕され、国鉄闘争支援者が当日の被告らの行動を撮影したビデオテープが押収された。そのビデオを見て、平山証人は「つかまれ、ねじられた手は右手だった」と供述を変えたのである。
 河村健夫弁護人が尋問に立ち、「あなたは、ビデオを見る前は左手をねじられたと一貫して言っている。その根拠は左肩が痛かったからだ、と。しかしビデオを見たら右手と分かった。痛みはどこに行ってしまったのか」と追及した。証人はしどろもどろになった揚げ句、「痛みはあとまでひくものではなかったので」と言い逃れた。
 弁護団は、証人が羽廣被告に押し戻されたと主張する場面について、ビデオを再生して問いただした。法廷で再生されたビデオの映像は、むしろ平山証人が羽廣被告を引きずっているような印象を与えるものだ。
 河村弁護人が「あなたは自主的に後退したのではないか」と問い詰めた。証人は「ビデオを見たら百人が百人とも、私が押されていると言うと思う」とむきになって返答した。そこで弁護団は、02年10月の検事の事情聴取で証人が「私は逃げるように後退しました」と供述している事実を突きつけた。羽廣被告に押されたのではなく、自らの意思で「逃げた」というのが、初めてビデオを見た時の証人の認識だったのだ。だが彼は、「ビデオを見れば誰でも私が押されていると分かるはず」と言い張った。

 次回4・20公判に総結集しよう!

 平山証人への尋問は次々回公判に持ち越された。次回4月20日の公判は、陪席裁判官の交代に伴う更新手続きになる。そこでは被告・弁護団の意見陳述が行われる予定だ。
 38回に及ぶ公判闘争は、警視庁公安部と酒田・吉田・革同執行部との癒着・結託と、組合員を警察に売り渡した酒田らの階級的大罪を、事実をもって暴き出している。8被告と弁護団は、初公判以来2年にわたる闘いを全面的に総括し、次回公判を無罪獲得と国労再生に向けての戦闘宣言を発する場にするため、総力を挙げている。許さない会の運動を一層拡大しよう。次回公判に総結集しよう。

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週刊『前進』(2193号2面3)(2005/04/11)

動労総連合がスト ベアゼロ打破へ団結固く

 動労千葉の3月17〜19日のストライキに続き、動労総連合傘下の各組合は、大幅賃上げ獲得、反合−運転保安確立、強制配転粉砕、1047名の解雇撤回、JR総連解体−組織強化・拡大などのスローガンを掲げてストライキに決起した。戦時下における労組解体攻撃が吹き荒れる中、動労総連合はこれと真正面から立ち向かう闘いを貫いた。

 ●動労水戸

 動労水戸は3月23日、売店やベンディングに強制配転されている9人の組合員が24時間のストライキを貫徹した。
 JR東日本は国鉄分割・民営化以来、動労水戸の組合員を駅売店やベンディングセンターなどに強制配転し、鉄道業務から排除する労務施策を続けてきた。東京ではベンディング職場を大幅に縮小したものの、水戸支社はいまだに動労水戸への隔離・収容政策を続け、運転士免許を持つ組合員への運転士発令を拒否している。動労水戸のストライキは、大幅賃上げを要求するとともに、19年にわたる強制配転を粉砕する闘いとして打ち抜かれた。
 ストに立った組合員は、水戸駅前でのビラまき宣伝行動とJR東日本水戸支社前での抗議行動に決起した。その後、水戸市内で行われたスト貫徹集会で、国分勝之委員長が「ストを機に一層の団結を固め、青年労働者の組織化へ取り組みを強化しよう」と訴えた。スト支援に駆けつけた茨城県内の労働組合が動労水戸との共闘を誓った。
 JR東日本は24日、4年連続のベアゼロ回答を行った。また、わずか400円の基本給増額と引き換えに祝日手当など諸手当の大幅な廃止を強行しようとしている。これを丸のみした東労組への労働者の怒りは必ず噴出する。
 ストを貫いた動労水戸はJR総連解体・組織拡大へ新たな決意を固めている。

 ●動労西日本

 動労西日本は3月26日、JR貨物・吹田機関区で乗務員が指名ストに入った。
 スト当日は区長ら現場管理者や支社の職制数人が機関区に泊まり込み、厳戒態勢をとった。午後1時から吹田機関区門前で行われたストライキ総決起集会には森田充二高槻市議が駆けつけ、国労組合員、スタンダード・ヴァキューム石油自主労組、関西合同労組、健保労組、また民間の多くの労組が結集した。集会後、機関区前で戦闘的デモを行い、当局を圧倒した。
 今回のストは、吹田機関区内の全組合が動労西日本のスト協力要請にこたえ、スト破り・スト妨害をしないことが徹底された。JR総連・貨物労の役員は当局と一体となってスト破壊に動いたが、現場にはストへの共感が満ちていた。
 JR貨物は24日、6年連続のベアゼロ回答を出してきた。また、成果給の導入を軸とした賃金制度の改悪を狙っている。さらに4月から「ニューストリーム2007」という新たな合理化施策に踏み込もうとしている。この間、JR貨物は「チャレンジ21」「ニューチャレンジ21」合理化で1000人以上の要員削減を強行した。これによる要員不足の矛盾は、すべて労働者に押しつけられている。
 吹田機関区の乗務員は2けたの欠員状態だ。2月に入り、会社は交番指定表で休日とされた日に乗務を指定し、「強制ではない。お願いだ」と言いながらも業務指示で乗務を命じてきた。動労西日本は、労基法に違反する休日の乗務指示を徹底的に拒否しぬいた。
 JR貨物関西支社は一昨年来、「マイナスの平準化」と称して最も要員の足りない吹田から広島や岡山にベテラン乗務員を強制配転している。配転されたのは国労の活動家ばかりだ。
 こうした現実への職場の怒りを体現し、吹田機関区でのストは打ち抜かれた。
 続く3月28日、動労西日本はJR西日本広島支社・五日市駅でストに立った。
 JR西日本は16日、ベアゼロ回答を強行した。JR西日本はまた、昇進試験に受からない限り賃金は上がらないという新昇進賃金制度の再改悪案を提案している。五日市駅でのストライキは、JR西日本のこうした攻撃に対する怒りの反撃として闘われた。

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週刊『前進』(2193号3面1)(2005/04/11)

05春闘情勢 教労決戦と動労千葉ストを最先頭に小泉=奥田に反撃
 連合中央の総屈服つき破り

 3月決戦は、50人を超える都高教の教育労働者の処分を恐れない「日の丸・君が代」不起立闘争への決起と、3・17〜19の動労千葉のストライキ、全金本山闘争の原職復帰の完全勝利を頂点に、3・20日比谷野音での国際反戦共同行動6000人の決起として大高揚した。教労決戦と動労千葉ストを先頭とした階級闘争の最基軸における戦闘的潮流の闘いと労働者階級の怒りが結合することを恐れた日帝・資本は、05春闘で連合中央の4年連続のベア要求放棄にもかかわらず、一部企業で昨年と比較してわずかながらも一時金アップや賃上げを認めざるを得ない状態だ。小泉=奥田の春闘解体・労組破壊攻撃はけっして彼らの思惑どおりにはいっていない。3・20日比谷に結集した勢力の周りに、怒れる広範な労働者階級人民を組織し、小泉=奥田を打倒する一大反撃をつくりだそう。

 3・20へと上りつめた3月闘争

 6年連続の賃下げ攻撃のもとで苦闘する日本の労働者階級の中には、もはや我慢の限界であり05春闘でこそ大幅賃上げを、という要求が広範に存在していた。
 これに対し日本経団連・奥田は、昨年12月14日に発表した経労委(経営労働政策委員会)報告で「攻めのリストラ」を叫び、「労使はいまこそさらなる改革を進めよう」と、この間の首切り・賃下げ攻撃だけでは飽きたらず春闘解体=労組破壊に踏み込んできた。この攻撃に連合中央は完全屈服し、4年連続の統一ベア要求放棄を決定した。
 さらに、日本経団連は年が明けるや1月18日に改憲提言「わが国の基本問題を考える」と、教育基本法改悪提言「これからの教育の方向性に関する提言」を発表した。この二つの提言こそ、日帝ブルジョアジーが米帝ブッシュとの日米枢軸でイラク侵略派兵を強行する小泉と一体となって9条改憲と戦争国家化に踏み出し、教育労働者を侵略戦争への加担者に仕上げようというすさまじい攻撃だ。
 労組破壊の攻撃は、戦闘的労働組合である全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部への1・13、3・9の相次ぐ治安弾圧として襲いかかった。
 その上で、郵政民営化と自治体労働者への民営化=労組破壊、国鉄1047名闘争解体攻撃で、戦後日本労働運動の戦闘性をまがりなりにも保持し、国家機構の内部に存在してきた4大産別の労働組合を最後的に解体しようとする一大攻撃に踏み込んできた。
 この攻撃を許したものこそ連合中央の改憲攻撃への屈服である。逆に言えば、4大産別の労働運動を解体することなくして、日帝は改憲に突き進めないのだ。まさに、新たな戦争国家に命がけで飛躍しようしている日帝と、それに屈服した連合中央に全面対決する決意抜きには05春闘は闘えなかったのだ。
 日帝・資本の攻撃を根底ではねとばしたものこそ、第一に、東京の教育労働者の根底的な決起だった。ファシスト・石原による「日の丸・君が代」強制こそ、天皇制白色テロルの論理をもって、教育労働者の戦後的反戦意識を圧殺・解体し、日教組の労働組合的団結を一気に破壊しようという一大反動であった。処分恫喝に屈せず不起立を貫いた教育労働者の決起は、2度の逮捕攻撃にうちかってビラまき闘争を貫いた闘いとあい呼応し、小泉=奥田の05春闘解体攻撃を根底において打ち破ったのだ。
 第二に、この教育労働者の闘いと結合して、動労千葉のストライキ闘争が爆発したことだ。一律大幅賃上げなどの要求と結合し、安全問題を真正面から掲げた3・17〜19のストライキはかつてないほどの圧倒的支持を得た。
 第三に、34年間の全金本山闘争の勝利と3月16日の原職復帰だ。これは、原則を堅持して闘いぬくならば絶対に勝利できることを指し示し、労働者階級を限りなく鼓舞激励している。
 これら一切の勝利が陸・海・空・港湾労組20団体などが呼びかけた3・20日比谷野音の6000人決起へとつながっていった。

 4年連続してベア要求を放棄

 05春闘において、6年連続の賃下げで労働者階級の怒りはかつてなく高まっており、ここで賃上げを獲得しなければ労働者階級は生きていけないぎりぎりの所に立たされていた。
 だが、連合中央は昨年11月段階で「大手と中小の折り合いがつかない」などと言って、早々と統一ベア要求を放棄し、日帝の定昇解体攻撃に全面屈服した。
 この背後には、国益主義・企業防衛主義の立場に立ちきり、完全に現代の産業報国会に転落したIMF・JC(金属労協)内の民間大単産の大裏切りがある。電機連合や基幹労連は軍需産業の利害を体現した帝国主義的労働運動そのものだ。金属労協のダラ幹どもは改憲賛成を叫び、「アジアの労働力との競争」を唱え、成果主義と職種別賃金の導入で定昇解体・大幅賃下げを労組自ら提案するまでになっている。
 このような民間大単産のダラ幹どもと、労働者階級の怒りの声に押されてベア要求を掲げる中小労組との間で一定程度摩擦が起こったということだ。だが連合中央は、帝国主義的労働運動としての本質をむき出しにして、中小労組の統一ベア要求を拒否したのだ。
 しかし、6年連続の賃下げへの怒りは地に満ちていた。電機連合内部においてすら、ベア要求を放棄している点で本質的には同罪だが、一時金の要求額を引き上げる単組が日立製作所労組や三菱電機労組のように出てきてしまった。また自動車総連でもベア要求をする単組や一時金要求を引き上げる組合が続出した。
 すでに見たように階級闘争の最基軸において、闘う労働運動の制圧に失敗した小泉=奥田は、3月16日の金属大手の集中回答日などの春闘回答で、労働者階級の怒りを恐れ、ベアゼロと引き替えに一時金を上げるところも一部発生した。
 この結果は、05春闘の限界をも鋭く示している。日本経団連・奥田は、17日の記者会見で、「短期的な業績は賞与・一時金に反映との考え方が定着した」などと評価した。連合中央のベア要求放棄によって、来年にはすぐにでも下げることのできる一時金をわずかだけ、それも文字どおり一時的に上げることで労働者階級の怒りをそらし、ベアゼロを強行したのだ。
 さらに奥田は、「賃上げなど経済的な豊かさだけでなく、多様な働き方など『こころの豊かさ』をいかに実現するかを話し合う個別労使が増えている」などと、経労委報告の「春闘から春討へ」が定着したと言っている。統一闘争としての春闘を否定し、個別交渉に解消した連合中央の裏切りは許し難い。

 いたるところで労働者の抵抗が

 以上見たように、日帝・小泉=奥田は、断末魔の帝国主義の死の苦しみからこの春、戦争と民営化(労組破壊)攻撃に決定的に踏み込んできた。だが教労決戦や動労千葉ストを先頭にして民間中小でもストに決起する労組が続々と現れ、闘う労働運動の反撃でその攻撃は行き詰まっている。
 JRの相次ぐレール破断、土佐くろしお鉄道での運転士死亡事故、東武鉄道での踏切事故、日航の相次ぐ事故など、首切りと極限的な労働強化の中で安全問題の切り捨てが隠しようもなくあらわになっている。今や帝国主義は労働者階級を生かすことすら出来なくなっているのだ。
 さらに、日帝が定昇解体・大幅賃下げ攻撃の手段として推し進めている成果主義賃金制度の導入も労働者階級の不屈の抵抗と反撃を生み出している。
 財団法人労務行政研究所の発表によれば、東証1部上場企業の人事・労務担当取締役と労組委員長を対象に「成果主義人事制度の導入効果と問題点」について調査した結果は、成果主義人事制度について、労使とも9割が「問題あり」と回答している。成果主義導入粉砕はまったく可能だ。
 文字どおり、日帝の攻撃はいたるところで、労働者階級の抵抗にあい、頓挫している。動労千葉労働運動から学び、闘う労働運動を復権させ、団結を固めて闘うならば、巨大な反撃を組織することは可能だ。いざ春闘後半戦と、4月決戦に突入しよう。

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週刊『前進』(2193号3面2)(2005/04/11)

北朝鮮・中国侵略戦争動員狙う 「国民保護基本指針」弾劾

 3月25日、小泉内閣は国民保護法に基づく「国民の保護に関する基本指針」を閣議決定した。これを受けて都道府県は国民保護計画を、指定公共機関(放送や運輸、水道、電機、ガスなどの事業者)は国民保護業務計画を05年度中に作成し、市町村と指定地方公共機関は06年度中に同様の計画を作成する。さらにその計画に基づいて各自治体や指定公共機関に人員の配置を含めた体制がつくられ、労働者人民を動員した訓練が自衛隊の指導の下に行われることになる。
 国民保護基本指針の閣議決定は、日帝の北朝鮮・中国侵略戦争への決定的なステップだ。まさに日帝が武力攻撃事態法、周辺事態法に基づいて米帝とともに北朝鮮・中国侵略戦争を本気でやろうとしているからこそ、国内戦争体制の構築を進めているのだ。
 基本指針は、武力攻撃事態を@着上陸侵攻、Aゲリラや特殊部隊による攻撃、B弾道ミサイル攻撃、C航空攻撃の4類型を想定している。そして、国が警報を発令して避難地域を指示し、都道府県が市町村を通じて住民に避難を指示し、市町村は避難住民を誘導する、などと役割と手順を示している。しかし、実際に戦闘地域が予想され、あらかじめ避難が可能なのは@の着上陸侵攻の場合に限られる。その他は、攻撃の場所や目標はあらかじめわかるわけではなく、事前の避難は不可能である。
 この武力攻撃事態への対処は、対策本部長の首相の下に最高権限を集中し、その命令の下に国、地方自治体だけでなく、指定公共機関や指定地方公共機関など全人民を管理・動員する形で行われ、一元的な戦争体制がつくられるのである。しかも定期的に訓練が行われることによって全社会的な戦争体制が実践的につくられていくことになる。
 また基本指針は、「我が国に対する外部からの武力攻撃に対処するため」としつつ、その一方で「緊急対処事態」として「テロ等の事態」に対してもこの戦争体制が発動できるようにしている。「緊急対処事態」としては、@原子力事業所等の破壊、石油コンビナートの破壊、Aターミナル駅や列車の爆破、B炭疽(たんそ)菌やサリンの大量散布等、C航空機による自爆テロ等、という例を挙げている。いずれも「等」が付いており、いくらでも拡大解釈できる。要するに労働者人民の決起に対しても日帝が戦争体制を発動するということである。
 日帝はなぜ、核兵器や生物・化学兵器による攻撃を想定し、それに対応する体制をつくらなければならないのか。それは、米日帝が北朝鮮・中国侵略戦争に突入すれば、反撃もあると考えているからにほかならない。米帝ブッシュ政権は、イラク、イラン、北朝鮮を「悪の枢軸」と名指しし、イラク侵略戦争を凶暴に展開している。北朝鮮に対しても時期を選んで侵略戦争を強行しようとしているのである。しかも北朝鮮に対する侵略戦争は、同時に中国に対しても軍事的に屈服を迫っていく戦争政策として構えられており、究極的目的として中国侵略戦争がすえられている。
 こうした中で日帝は、この米帝の北朝鮮・中国侵略戦争に全面的に参戦する決意を固め、武力攻撃事態法を始め有事体制を構築してきた。さらに改憲によって一切の戦後的制約を取り払おうとしている。日本経団連の改憲提言は、「憲法改正を待つが故に、必要な改革が遅れるようでは本末転倒である」として改憲を待たずに自衛隊が侵略戦争に全面的に参戦できるようにしろと叫んでいる。
 そのために小泉政権は、国連決議なしでも自衛隊を多国籍軍として派兵する自衛隊派兵恒久法案を今年中に国会に提出しようとしており、海外派兵を自衛隊の本来任務に格上げする自衛隊法改悪も策動している。
 日帝は、「有志連合」の一角としてイラク侵略戦争に突入している。自衛隊は武装米兵を輸送するなど実際の戦闘行動を行っているが、まだ一定の憲法的な制約を受けている。改憲によってこうした制約を突破し、全面的な侵略戦争に突入しようとしている。
 国民保護基本指針の閣議決定を断じて許さず、自衛隊イラク撤兵へ全力で闘いぬこう。労働者の戦争協力拒否の闘いを強めよう。

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週刊『前進』(2193号3面3)(2005/04/11)

教育労働者 福岡の闘い 「不起立宣言」貫いた 分会での論議を活性化

 私は、今春の卒・入学式における「日の丸・君が代」強制反対の「不起立」闘争を職場の仲間やかつての同僚に呼びかけ、卒業式で断固として「不起立」を貫徹しました。
 「日の丸・君が代」反対の「三ない運動(立たない・歌わない・演奏しない)」や「日の丸」の排除や掲揚させない闘いがかつて闘われていました。それは「強制反対」ではなく、天皇制(戦争と差別)の「日の丸・君が代」そのものに反対する闘いでした。しかし、日教組の路線転換以降、「立たない」はなくなり、「日の丸」排除もできなくなりました。そういう中であっても、私は不起立を続けていました。それは、「孤立した闘い」となっていました。
 その闘いを根底からとらえ直すものとして眼前に現れたのが東京の決起でした。「日の丸・君が代」の本質は「強制」にあることや、その「強制」に実力で反対することが勝利の突破口であることをつかみ取り、大阪での取り組みにも触発されて「不起立宣言」を内外に公表し、不起立者の組織化を進めました。教育委員会、執行部を私たちの闘いの土俵に引きずり出すとともに政治的影響力を持ち、分会(職場)での論議の活性化をつくり出す闘いとなりました。
 私の職場では、2月初めに分会長に「私たちの不起立宣言」を渡すことから組織化を始めていきました。その時に分会長は「こういうことをやったら、処分になるかも」と言っていました。2月中旬、分会員に封書で「私たちの不起立宣言」を載せたビラと私の手書きの不起立宣言を配りました。その後、分会員からの反応はありませんでした。分会員はその話題を避けていたようです。3月に入り、分会会議で話題にして、不起立を呼びかけましたが、分会長は二の足を踏んでいました。私の職場だけではなく、ともに不起立をしていたかつての同僚にも呼びかけても、「できない」という返事がほとんどでした。不起立者は50人は組織できるだろうと思っていましたが、そう簡単ではありませんでした。そういう中で、「以前は処分など恐れずに闘っていた、自分も不起立する」と宣言してくれた教育労働者の存在は心強いものです。
 昨年の秋からの職員会議では、上意下達の強制が職場を覆っている現状を追及してきています。卒業式の論議では、公務員として憲法・教育基本法を遵守する義務があることや教育基本法と憲法が改悪されようとしている現在、教育労働者として憲法・教育基本法に反するものや、戦争や差別につながるものに絶対に反対すべきであることを発言していきました。また、「日の丸・君が代」の強制強化と同時に職場の管理や教育問題の深刻化が進んでいる現実を分会の仲間とともに訴えました。それに対して校長は卒業式前日の終礼で、「式場では、教育公務員としての行動をしてほしい」と言うのみでした。
 今回、私の職場での不起立者は私一人だけでしたが、福岡市全体では二けたの不起立者を確認しています。間違いなく、いろいろな分会での論議が「活発」に行われ、私たちの主張が圧倒的に正しく、展望があることを確信しました。入学式に向けてさらに闘います。
 (投稿 福岡・ST)

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週刊『前進』(2193号3面4)(2005/04/11)

3・19大阪 国際連帯で集会 日比谷結集を呼びかけ

 3月19日、全世界のイラク反戦行動と連帯して、大阪でもさまざまなとり組みが行われました。私は、扇町公園で行われた二つの集会とデモに参加しました。
 午後1から、「グローバル反戦行動デー おおさか」集会が行われました。この間、5月にも予定されている関西の第3師団からのイラク派兵を止めようと行動してきた「第3師団からの派兵をとめよう!関西実行委員会」と関西労組交流センターも集会実行委に加わってきた集会です。
 この集会では、韓国からのメッセージも紹介され、また米陸軍第1軍団司令部移設に反対する、神奈川の県央共闘会議の方からの闘いの報告もなされました。さらに、大阪府警による不当弾圧と闘う全日建運輸連帯労組・近畿地本の川村さんから、「弾圧に屈せず、こうして反戦平和を闘うことが、私たちの権力への回答」「4月7日の初公判には、大阪地裁を包囲する行動を予定している」と、力強いアピールがなされました。
 この集会の後、2時から大阪平和人権センター主催の「世界同日行動 イラク占領支配反対!自衛隊の即時撤退を求める3・19大阪集会」に合流しました。この集会には自治労を中心に5千人が結集しました。
 この集会で朗読紹介されたイラクの女性団体からのメッセージは、「あなた方の軍隊のイラク駐留を止めてください」と私たち日本の労働者人民に問いかけ、連帯を求めるものでした。
 集会の後、2コースに分かれてデモに出ました(写真)。シュプレヒコールで、「自衛隊はイラクから撤退せよ!」「イラクをイラク人民に返せ!」「朝鮮民主主義人民共和国への経済制裁反対!」「米軍再編阻止!」「米軍は沖縄から出ていけ!」と訴えました。
 私たちの仲間は、この二つの集会参加者に、3・20日比谷への結集を呼びかけるビラや、春闘決起を呼びかけるビラをまきました。また『前進』を販売していた仲間は10部販売したそうです。
 (投稿 大阪 H・M)

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週刊『前進』(2193号3面5)(2005/04/11)

『特攻隊』とは何だったのか −−石原と山田杉並区長の暴言を糾す−−
 投稿・中川慎一

 石原が1999年4月に都知事に就任して以来の最も激しい攻撃として、「石原教育改革」があります。東京都の高校卒業式での「日の丸・君が代」不起立闘争は、敵の攻撃の心臓部を打ち抜く反撃です。このような時に、石原やその先兵としての杉並区長・山田宏は「特攻隊」賛美発言を繰り返しており、この夏には、「つくる会」歴史教科書採択時期ともからめて、石原慎太郎脚本による『特攻隊』映画が企画されています。私は街頭に立って「イラク反戦・教基法改悪反対」を訴えていて、「敵の側のウソで塗り固めた特攻隊キャンペーンを、全力で打ち砕かなければいけない」と痛感しました。それで、以下の投稿をさせてもらいました。
 特攻隊を考える核心点は、階級的な視点に立ってとらえることだと思います。石原は「特攻隊で死んでいった無私の青年たち」とまつりあげて、その死には不変の価値があると強弁していますが、全部ウソです。ここでごまかされないことが肝心です。
 石原は『文藝春秋』04年9月号で「青春のピューリティー(純粋性)は何人にも否定されえないし、私が描きたいのはそうしたある確かな青春の姿」と言います。だがそれなら、現在石原の懲戒解雇恫喝にも屈せずに、自分の意思で、自分の全人生をかけて「日の丸・君が代」不起立を必死に闘いぬいている教育労働者の姿こそそうです。しかし、石原はこの闘いには心の底から憎悪するのです。なぜか? 現代は階級社会であり、ここには石原の中で階級的な選択があるわけです。さて、特攻隊は労働者階級にとってはどういう存在なのでしょうか?

 敗北を重ねる中での苦し紛れの作戦

 広い意味での「特別攻撃隊」は、1941年12月8日の真珠湾攻撃に参加した5隻の特殊潜航艇団からですが、この時は自爆を前提とした「特攻隊」とは多少違います。「神風特攻」が出撃したのは44年10月21日。実際に関大尉らの敷島隊と加藤兵曹長らの菊水隊の「体当たり攻撃」があったのは10月25日でした。
  真珠湾攻撃から半年もたたない42年6月5日のミッドウェー海戦で惨敗した日本軍は、早くも戦略的敗勢に向かい、43年4月連合艦隊司令長官山本五十六の搭乗機撃墜、44年6月マリアナ沖海戦惨敗、サイパン全滅と、急坂を転げ落ちる敗北を重ねる中での、44年10月「捷(しょう)1号作戦」発動下の「神風(しんぷう)特攻」出撃でした。
 もはや作戦らしい作戦も立案できないところまで敗北した中で、後はどう天皇制を保持した敗戦・講和に向かうための時間稼ぎをするかだけでした。日帝と天皇が、自分が始めた戦争の敗北まぎわに強行した、無責任で絶望的な「消耗大作戦」でした。これが「特攻隊」の本質です。
 日帝は特攻で殺した青年たちの間にも差別を強いています。2階級特進した狭い意味での特攻隊は3915人。普通は約6千人。広い意味では1万人以上が特攻で犠牲になっています。狭い意味での特攻作戦戦死者のうち7〜8割が学徒出身者です。
 海軍特攻機は約2360機、これに加えて陸軍の特攻機は1379機以上と言われています。これが空からの特攻です。
 水上からの特攻は、公園の池に浮かぶボートをふた回りほど大きくしたベニヤ板のモーターボートに爆弾を積んだ特攻艇「震洋」が陸海軍合わせて1万200隻。この中で、少なくとも1700人が犠牲になったと言われています。さらに水中からの特攻が「回天」などで犠牲者544人という記録になっています。

 特攻隊でどれだけの犠牲が払われたのか?

 このほかに片道だけの燃料を積んで特攻出撃した「戦艦大和」艦隊の犠牲者3700人などがいます。さらに、兵士に爆弾を背負わせて戦車に突撃させた特攻や、沖縄戦での記録のない特攻などもありましたが、正確な記録は公表されていません。
 天皇と日本軍は、特攻に赴く青年達に、「いのちを差し出せ」と、青年の命をゴミのように扱って特攻を強制していたのです。
 当初は特攻機にはゼロ戦などが使用されましたが、戦争末期には特攻機専用設計の「桜花」「剣」などが生産・使用されました。
 行き着く果てに、特攻機の最後に設計された「タ号」は木製機。エンジンは現在のファミリーカー以下の100馬力。「タ号」というのは「竹槍」からの命名だそうですが、飛び立てるのかどうかも危ういような「特攻機」に100`爆弾を積んでどうして米軍にたどり着くのでしょう。街頭署名運動の時に「犬死にだった」と言ったら激甚な反応がありましたが、ろくに飛べない飛行機にほとんど訓練らしい訓練も受けていない青年を無理やり乗せて特攻させて「犬死に」を強制したのは天皇ではありませんか。
 「お国のために命を差し出せ」と言っておいて、こんな粗末な「自殺兵器」「自分の棺桶」に乗せて特攻を強要したのは、たんなる殺人でしかないし、それを「賛美」して自分の犯罪をごまかすことほど卑怯なことはありません。
 こうして見る時に、特攻隊で命を落とした青年たちを一番侮辱していたのは天皇と日本軍そのものであり、こうした真実をごまかして、もう一度特攻隊に駆り立てる石原都知事は「死者をさえもう一度殺そうとしている」のです。
 特攻隊員とされ運良く生き残ったある男性は、「突っ込んでいく、勇ましく、崇高な、と。そんなもんじゃないよ。自分でやってみろ。……自分を失って突っ込んでいくんだ」と、特攻隊を美化する者を弾劾しています。(『世界』3月号)
 石原などは、特攻隊は志願者だったと強調し、美化しますが、実態は強制でした。特攻隊員の手紙は軍が徹底的な検閲をして、少しでも弱気なことを書いたら凄惨(せいさん)なリンチが待っていました。杉並区の成人式で山田区長が読み上げた「遺書」も、軍の検閲を想定して家族に書いた手紙で、後で家族に累が及ばないようにと恐れたものではないでしょうか?

 戦争を内乱に転化する闘いこそ

 すでに見て来たように、特攻という戦術は、敗勢が決定的になる中で日本帝国主義が国体=天皇制の統治形態を維持して、講和=戦争を終結させるための、いわば天皇と日帝支配者が自分だけは助かりたいというエゴのために強行した大犯罪でした。
 第2次大戦での日本の戦死者に限っても、約310万人と言われる犠牲者の過半は、特攻が始まってからのものです。特攻で敗戦の時間稼ぎをして助かったのは天皇制とブルジョアジーだけで、この10カ月間で日本でも100万人単位の犠牲が生じ、そしてアジアでは日本軍が数百万人のアジア人民を虐殺しています。特攻隊は「犬死に」であるばかりか、加害者、日本人の犠牲者も拡大させた、絶対に許されないことでした。「特攻隊に感謝」など、事実を180度ねじ曲げた暴言です。
 特攻が始まった44年秋に戦争終結していたら、犠牲の過半は回避できました。特攻隊の青年たちは、同じ体を張って闘うなら、こんな腐り切った天皇制とその司令部の連中に体当たりして出撃拒否し、打倒すべきだったのです。
 第2次大戦のさなか、イタリアでは革命運動がファシスト党を解散させ、ムッソリーニを処刑しています。やればできるのです。
 さらに第1次大戦で初めに戦争終結の流れを作ったのはロシア革命であり、完全に戦争を止めたのはドイツ海軍の特攻出撃拒否でした。1918年10月末、敗戦が決定的になったドイツでは、軍港ウィルヘルムハーフェンに停泊していた軍艦で反乱が起こり、それはただちに最大の軍港キールでの大規模な反乱に発展、これに地上軍の兵営や周辺の労働組合などもすべて反乱に加わり、この闘いはたちまち全国の主要都市に広がり、2週間で戦争をやめさせたのです。帝国主義打倒−革命への闘いこそ平和を築く闘いなのです。
 今、私たちに特攻隊で死んでいった青年たちの死をむだにしない道があるとしたら、それは再びウソとデタラメで特攻隊を賛美して、「日の丸・君が代」を強制して天皇制万歳の教育を繰り返す、そしてまたもや青年たちを死地に追いやろうとしている石原らを打倒することです。そのために全力で闘うことです。

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週刊『前進』(2193号3面6)(2005/04/11)

 訂正

 2191号3面の3・14本多同志をしのぶ会の記事中、葉山岳夫弁護士の肩書きが「破防法弁護団長」とあるのは「破防法裁判主任弁護人」の誤りでした。おわびし、訂正します。

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週刊『前進』(2193号4面1)(2005/04/11)

新入生のみなさんへ 労働者階級と共に世界革命へ闘おう

世界戦争の過程が始まっている

 激動する現代。人生の新たな一歩を踏み出した新入生のみなさんに「労働者階級と共に世界革命を実現するために闘おう!」と呼びかけます。01年「9・11」からアフガニスタン侵略戦争、そしてイラク侵略戦争をもって、アメリカ帝国主義は世界戦争の過程に突入しました。小泉政権はその米帝と日米枢軸を形成し、本気になって戦争国家に転換しようとしています。帝国主義と共に歩むのか、それとも「ノー!」と立ち上がるのか。道は二つに一つです。

 米帝国主義とドルの没落 世界の暴力的な再編狙う

図 米国の財政赤字と経常赤字 米議会予算局が3月に発表した来年度の予算教書によると05年度の財政赤字は4270億j(約45兆円=以下円換算で表示)と過去最大に達し、今後10年間の赤字累積は約265兆円を上回る見通しだ。累積財政赤字は03年時点で約715兆円。今年に入ってからは、実に毎月10兆円以上のペースで赤字が増えている。
 しかも、この巨額の財政赤字に加えて、米国の04年度の経常収支(国際間の貿易収支やサービス収支などの合計)は、前年度比25%増の6659億4千万j(約69兆円)と初めて6千億jを突破し、3年連続で過去最大を記録している。
 財政が赤字でも他の部門(貿易など)が黒字なら、まだまかなえるが米国は両方とも巨額の赤字で急ピッチで増えている。(グラフ参照)
 加えてイラク戦費の問題がある。米国は通常の軍事費だけで世界の軍事費の半分近い4190億j(約44兆円)を支出しているが、さらにイラクとアフガニスタン侵略戦争の戦費が来年度までで計32兆円となる。
 米国のGDP(国内総生産)は、一国としてはダントツ世界一で、2位の日本の2倍以上、世界経済の4分の1を占める。経済成長率も、05年の実質成長率が3・5%の見通しだ。しかし、その米経済の実態は、巨額の「双子の赤字」が雪だるま式に増え、泥沼化したイラク戦争の膨大な戦費が財政を直撃している。いつ破産してもおかしくないのだ。
 ところが米ドルは国際取引の決済に使われる国際通貨(基軸通貨)なので、米国は、自国通貨のドルで対外支払いできるため国際収支の制約を直接には受けない(他の国ならすぐ破産)。また、他の国なら、財政建て直しのために自国通貨を大量発行すれば、たちまちインフレになるが、米国はドルを大量発行しても、世界でドルが流通する限り破綻(はたん)しない。
 これはドルの永遠の強さを示すものではない。日本や中国などが外貨準備という形で膨大な米国債を購入・保有しているなどの諸要因の結果かろうじて成り立っているにすぎない。また、すでに米と同規模のGDPを持つEUの通貨ユーロに国際取引や外貨準備がシフトされる傾向もあり、基軸通貨ドルの地位は不安定化し、常に暴落の危機にある。
 米国は財政も経済も巨額赤字を抱え、なお借金を膨らませながら、経済を維持しているのである。これを世界経済レベルでみると、世界経済は、米国の借金と消費という形で世界中の資金が米国に集中・循環する綱渡り的構造によって成り立っているにすぎない。
 問題は、このやり方がいつまでも続かないことである。永遠に借金を続けることは不可能だ。世界がドルを買わなくなれば、米国は国債を発行できない。米経済はたちまち破局に至る。世界一の軍事力も維持できず、イラク戦争も継続できない。
 こうした米経済−世界経済の矛盾的・危機構造が実際に破綻した時、1929年の世界大恐慌を上回る資本主義が成り立たないほどの危機と混乱をもたらすことは必至だ。
 ブッシュ政権は米経済の維持のために1期目(01〜04年)だけで3度にわたる減税を行った。その額、なんと日本円で約180兆円。日本の税収1年が約42兆円だから4年分以上の額である。このためブッシュが大統領に就任した時には黒字だった財政は過去最大の赤字となっている。ここまでやらないと米経済はもたないのだ。
 減税やバブルによる消費ブームの結果、確かに米国の個人消費は95年以来4%ずつ伸びた。これは世界平均の2倍だが、他方で貯蓄率はすでに「先進国」中で最低の0・8%で欧州やアジア平均の10分の1だ。これ以上の過剰消費は持続不可能だ。早晩、米国の消費ブームは必ず壁にぶつかる。
 現代資本主義は、いつ破局してもおかしくない矛盾的、危機的構造を抱えている。だからこそアメリカ帝国主義(米帝)は、戦争に訴えることで世界支配を暴力的に再編し、他の資本主義国(帝国主義)との競争に勝って、基軸帝国主義の地位とドル体制を維持しようしている。現代帝国主義は再び三たび世界戦争を不可避としている。

 ブッシュ演説と米軍再編 「自由」を叫んで戦争拡大

 米国が巨額赤字を抱えながら、ドルが基軸通貨の座を維持できる主要な経済的要因は、原油取引がドルで行われていることだ。もし原油取引にドル以外の通貨が使われたら、ドルの基軸通貨の座は揺らぐ。実際にフセイン政権は、イラクの石油の開発権をフランスやロシアに与え、原油取引をユーロ建てに切り替えた。
 イラク戦争は、文字どおり「石油の独占支配」「基軸通貨ドルの維持」「中東の暴力的支配」のための帝国主義の侵略戦争であり、何より破局寸前の米国が延命する唯一の「解決策」なのだ。米経済危機は経済それ自身では「解決」できない。戦争しかないのだ。
 したがって、イラク戦争の成否はアメリカ帝国主義(米帝)の運命にとって決定的な意義を持つ。だから米帝は、どんなにイラク戦争が泥沼化しても撤退できない。イラクでの敗退は、中東・石油支配の破産であり、ドルの地位は土台から揺らぎ、米帝の歴史的没落が露呈する。もはや戦争以外に体制維持できないところに米帝−現代帝国主義(資本主義)の根本的矛盾があるのだ。

 米軍の変革・再編

図 米国が進める米軍のトランスフォーメーション(変革・再編)

図 米国が「不安定の弧」と呼ぶ朝鮮半島から東南アジア、中東、北アフリカに至る地域 米国が進める米軍のトランスフォーメーション(変革・再編)とはどのような意味を持っているのか。
 米軍関係者が具体例として挙げるのがアフガニスタン戦争だ。
 米国は01年9・11後、タリバン政権がアルカイダをかくまっているという理由で戦争を始めたのだが、この時はわずか約1カ月の短期間で作戦を立案して軍を展開、特殊部隊と精密誘導爆弾の空爆で一方的に軍事侵攻し、タリバン政権を崩壊させた。またイラクに対しては「大量破壊兵器開発の疑い」や「アルカイダとの関係の疑い」を理由に、軍事侵攻してフセイン政権を崩壊させ、いまだに軍事占領を続けている。
 米軍「変革・再編」の基本的構想は、米国が「不安定の弧」と呼ぶ朝鮮半島から東南アジア、中東、北アフリカに至る地域(地図参照)で、アフガン型、イラク型の戦争をいつでもできる態勢をつくり、実際にどんどん遂行することである。
 そのために軍の運用思想や編成、配置などを包括的に見直し、即応性や効率性を高めた軍隊に米軍を変革しようとしている。陸軍は特殊部隊を多用してより小型で機敏に。空軍は地上部隊との連携を強める。海軍はより少ない艦船でより広い海域をカバーする。海兵隊は、即時展開能力などの柔軟性と利便性を高める。
 米陸軍変革では、世界のあらゆる場所に1個旅団戦闘チームを96時間以内に展開させる構想を打ち出している。そのために高速輸送船やC17大型輸送機、ストライカー(軽装甲戦闘車両)を導入する。ストライカーは速度が100`以上で重量がM1戦車の3分の1以下で即応性の象徴だ。
 海外駐留部隊や基地の「再編・再配置」も、こうした変革の一環だ。そのキーワードは「静から動へ」と言われる。ソ連崩壊前の時代の朝鮮半島や欧州の駐留米軍のように、目に見える形で対峙する部隊を配置して、そこから動かさないという駐留方式をあらためて、必要に応じて世界中に再展開できる「機動的な駐留」へと変えようとしている。

 日本が戦略拠点に

 今回の「再編・再配置」は、アジアと欧州に展開する計20万人の在外米軍が対象で、主要な舞台は日本、韓国、ドイツの3カ国だ。旧ソ連と対峙する前線基地だったドイツでは、駐留米軍の規模は半減するが中東やアフリカに向けた戦略展開拠点として、戦略的性格を変える。
 アジア地域の再編・再配置は「不安定の弧」をにらむ拠点として日本を決定的に重視している。米軍は再編・再配置に際して、@大規模兵力の中枢基地である「戦力展開拠点(PPH)」A中枢的役割を担う常設基地である「主要作戦基地(MOB)」B小規模の常駐部隊がいる「前進作戦拠点(FOS)」C武器や装備を事前集積しておく「防衛協力地点(CSL)」――の4類型に分けている。そしてPPHを日本と英国に、MOBは韓国と英領ディエゴガルシア、FOSをタイ、フィリピンと位置づけている。
 在日米軍再編の主な内容は、@陸軍第1軍団司令部(ワシントン州)のキャンプ座間への移転、A第5空軍司令部(東京・横田)の第13空軍司令部(グアム)への統合、B海軍厚木基地(神奈川県)での夜間発着訓練(NLP)の岩国(山口県)移転、C沖縄の海兵隊の本土移転などだ。
 この再編と関連してさらに、@ストライカー部隊をハワイ、アラスカに置き、高速輸送船と大型輸送機C17で展開する、Aグアムに戦略爆撃機を配備、Bグアムに原潜配備、C横須賀を母港とする空母キティホークに加えハワイに空母を追加配備する――などが計画されている。
 在韓米軍については、3分の1を削減することで合意しているが、具体的には軍事境界線付近の米陸軍第2歩兵師団をソウル以南に移転し、縮小する。同時に最新鋭の戦闘装甲車ストライカーを新たに配備する。
 キャンプ座間に移転しようとしている太平洋軍第1軍団の管轄は、米西海岸から太平洋、インド洋、中東、アフリカ東海岸までをカバーする。つまり米国が「不安定の弧」と呼ぶ地域がすっぽり入る。
 今回の米軍再編・再配置と日本との関係では、陸空軍の司令部移転が重要な意味を持つ。
 米側は、キャンプ座間に移転させた陸軍第1軍団司令部に極東有事の作戦指揮権を与える方針だ。現在の在日米軍司令官は有事の際の指揮権を持っていない。米側の構想では、移転した陸軍第1軍団司令部と在日陸軍司令部を統合し、多機能的な新司令部を創設する考えだ。空軍や海兵隊も司令部に加え、陸海空3軍と海兵隊を統合運用できる権限を持つという。在韓米軍司令部が廃止された場合には、この新司令部が在韓米陸軍も統括する。

 終わりなき戦争へ

 米帝は、9・11後の帝国主義の危機の中でイラク・アフガン戦争を行い、トランスフォーメーションで超地球的な戦争態勢を構築し、戦争を中東・アジアに拡大、終わりなき侵略戦争の道に踏み込んでいる。
 この米軍「変革・再編」と対応関係にあるのが、ブッシュが2期目の大統領就任演説で打ち出した「自由と民主主義の拡大」「世界の圧制に終止符を打つ」ための戦争という考え方だ。ブッシュはこれを「神からの召命」とまで言っている。
 米帝の侵略戦争を「自由と民主主義」のために「神からの召命」を受けて、世界で勇敢に戦っているという虚偽のイメージで描きあげ、愛国主義や国家主義、民族排外主義をまぶして正当化しようとしている。
 こうした考えは、人類を地獄絵図の世界戦争に引きずり込んだ戦前の日本やナチス・ドイツと同じだ。米軍は、イラクのファルージャで老若男女皆殺しのジェノサイド型戦術を採用し、クラスター爆弾などの非人道兵器を使用し、劣化ウラン弾でイラク全土を汚染した。それを「神からの召命」と言って、世界中でやろうとしている。
 第2次世界大戦の時、日本やナチス・ドイツは、天皇制や「大東亜共栄圏」、ゲルマン民族至上主義と「生存圏」論などをテコに政治、経済、教育、文化などのあらゆる領域を極限的に軍事・警察化して、侵略戦争を拡大したあげく最後は世界戦争に訴えて帝国主義的な延命を図った。そして最後は無惨に破産した。
 米帝は今日、没落を阻止するために、巨大軍事体制の構築と戦争の拡大に突き進んでいる。これまでの2度の世界戦争では、「持たざる帝国主義」がそうした凶暴で極限的な戦争の道を選択したが、現代世界の矛盾と危機は、基軸帝国主義である米帝にとってそれ以外選択の余地のない道となっていることにある。
 他方で、帝国主義の危機ゆえに極限的な暴力性に満ちているが、実際はそうした極限的軍事態勢は、なんら帝国主義の危機を解決するものではなく、むしろ経済的にも軍事的にも社会的にも体制崩壊につながる負担となる。@イラク人民の民族解放の武装闘争の高揚、Aイラク戦費の負担、B戦争目的の虚偽性の露呈(大量破壊兵器問題など)、C米軍の解体的危機(戦死者の増大と志願兵の大幅減、拷問事件などの腐敗と退廃など)、D米国内と世界中での反戦と撤退の要求の高まり――など、例を挙げればきりがない。

 日米枢軸を選択した小泉 新たな「15年戦争」に突入

 米帝の世界戦争戦略に参画し、戦後的な「平和と民主主義」を完全に転覆して戦争国家化と戦争の道へ突き進んでいるのが日本帝国主義(日帝)である。すでに日帝はイラクに自衛隊を出兵し、イラク侵略戦争に参戦した。これは事実上、新しい「15年戦争」への突入であった。こうした中で小泉は日米間で共通の戦略目標を設定し、国家、軍事、社会、教育など、すべてを反動的に転覆しようとしている。

 「2+2」の重大性

 日米両政府は2月、日米安全保障協議委員会(2プラス2)で「共通戦略目標」を盛り込んだ共同声明を発表した。
 「国際社会での民主主義の基本的価値の言葉」「大量破壊兵器の不拡散」「テロの防止と根絶」という米国の世界戦略そのものを日米の共通の戦略目標として確認している。日帝が米帝と同じレベルで戦争をやることを示した重大な歴史的文書である。東アジアについては「朝鮮半島の平和的な再統一」と台湾海峡に言及し、日米共通の戦略目標とした。
 共通戦略目標は、米国の世界戦略に日本が積極的に関与し、特にアジア・太平洋地域で朝鮮半島と台湾海峡問題で自衛隊と米軍が共同対処(戦争)できるよう役割と任務を抜本的に見直すものだ。
 そのために、日米防衛協力の指針(ガイドライン)の見直し作業も進められている。朝鮮半島有事や台湾海峡有事での米軍と自衛隊との共同作戦などが見直しの対象だ。また今後10年間の日本の軍事政策を示す新防衛計画大綱(昨年12月)は、海外派兵を自衛隊の本来任務とし、従来の国土防衛のために必要最小限の「基盤的防衛力」を維持する方針を転換した。米帝同様に侵略と戦争の極限的な軍事化の道を進もうとしているのだ(日米枢軸路線)。
 こうした軍事の領域だけでなく日本社会の全領域で戦争化・軍事化が進んでいる。@拉致問題に関連して北朝鮮への排外主義をあおり、韓国の独島(竹島)や中国の釣魚台(尖閣列島)略奪の領土問題、A日本経団連が改憲などを求める提言「わが国の基本問題を考える」を発表。憲法9条2項(戦力・交戦権の否認)の改定を要求。B教育現場での「日の丸・君が代」の強制や「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史・公民の教科書、教育基本法の改悪。C自衛隊官舎や卒業式のビラ配布で逮捕するなどの治安政策・警察の強化――など。
 現代資本主義の運動は、戦争という激しい社会的危機を生み出す。それはもはや現代世界が資本主義のもとでは生きていけないこと、その解決は、帝国主義体制そのものの根本的変革、世界革命を実現する道しかないことを示している。そして他者に犠牲を転嫁して延命しようとする帝国主義の苦悩は、社会的危機と同時に、その解決者であるプロレタリアートと被抑圧民族の存在と闘いを生み出すのである。
 〔片瀬 涼〕

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週刊『前進』(2193号5面1)(2005/04/11)

新入生のみなさんへ 労働者階級と共に世界革命へ闘おう

帝国主義打倒こそ生きる道
 マルクス主義を武器に歴史変革の主体として
 マルクス主義学生同盟中核派 丸山 太

 現代世界は世界戦争と世界大恐慌の破局に向かって音を立てて転がり落ちている。同時に、全世界の労働者階級人民の生きるための闘いは、世界を根底的に変革する方向に向かって爆発的な進撃を開始している。新入生のみなさん! みなさんが大学生活を送る2005年からの数年間は、これから数十年、数百年の世界史の行方を決する決定的な数年になろうとしている。この時にあたり、今こそマルクス主義学生同盟中核派に結集し、マルクス主義を思想的武器に、労働者階級とともに世界を変革する事業の担い手となって闘うことを訴える。

 現代世界は根底から革命する必要がある

 われわれの生きる21世紀初頭のこの世界はいったいどういう時代になろうとしているのか、まずそのことをしっかりと直視する必要がある。
 世界戦争の時代が到来し、社会全体が戦時下に突入している。
 米ブッシュ政権は本気で世界戦争に突進している。ブッシュは2期目の大統領就任演説で、イラク戦争で「世界はより安全になった」と総括し、こういう戦争を世界中に広げていくことが「世界に自由を拡大する」ことであり、それが「アメリカが神から与えられた召命である」とまで宣言した。そして中国への戦争をも含む世界戦争遂行のための具体的準備を、米軍トランスフォーメーションとしてすでに開始している。
 この中で、日本の支配階級はアメリカとともに世界戦争に突っ込んでいこうとしており、そのための戦争体制構築を急ピッチで進めている。彼らはものすごく焦っている。日本経団連の改憲提言では、「憲法9条を早急に変えろ。それでも間に合わなければ新しい法律で対応しろ」とまで言っている。
 小泉政権が今国会に提出しようとしている改憲のための国民投票法案の内容も、彼らの焦りと危機感をよく表している。そこでは公務員や教員が改憲反対の運動をすることも、在日外国人がそういう運動にかかわることも、さらにはメディアで投票結果の予測や「投票結果に影響を及ぼすような」報道や討論番組を企画することさえも禁止している。戦前のような恐るべき言論統制の法案が今の日本に登場しようとしている。
 「国のために死ねる国民を作る」(教育基本法改正促進議員連盟、西村眞悟)ということが本気で議論されている。そのためにファシストの石原東京都知事を先頭に「日の丸・君が代」を強制し、教育基本法の改悪案を国会に提出しようとしている。大学キャンパスでも戦争反対の議論をすることはおろか、サークル活動を自由に行うことさえ許さないような「大学改革」が全国の大学で始まっている。
 これは恐るべき情勢である。この数年で日本と世界のあり方が一変しようとしているのだ。
 多くの人は「大変な時代だが、頑張って『勝ち組』になれば幸せになれる」というような主張をしている。だが起こっていることは「頑張れば幸せになれる」とかいうレベルの話ではない。社会の「勝ち組」といわれている人びと自身が出口のない矛盾と危機にあえぎ、何の展望もなく、ひたすら世界戦争と人民への極限的な犠牲の強制に突き進んでいるのだ。世界戦争と弱肉強食地獄の中で、すべての人間が生きることさえ危うい、そういう決定的破局の時代に突入しようとしているのである。
 このような時代の流れの中に人間らしく生きる選択肢などあるはずもない。支配階級自身がまったく展望もないまま、こういう絶望的な道に突き進んでいるのが今の情勢なのである。

 帝国主義の危機

 起こっている問題の一切は、この社会の基本的システムの問題、すなわち帝国主義の問題である。
 学校の教科書では帝国主義は過去の問題のように言われている。だが、帝国主義は現在の世界と社会の問題である。帝国主義とは一握りの巨大な金融資本・独占資本とその国家が世界の市場・勢力圏を分割支配するという資本主義の独占的段階であり、資本主義の最後の発展段階である。
 帝国主義は20世紀をとおして2度にわたって世界戦争を引き起こしてきた。戦後は特異な経済発展を遂げたが、それも70年代で行きづまり、90年代に入ってからは長期大不況が続いている。この中で、危機にあえぐ帝国主義各国は世界市場・勢力圏をめぐる帝国主義間争闘戦を激化させ、その対立はついに互いに軍事力をもって対立することを不可避とする段階にまで至っている。米帝のイラク侵略戦争もこの中で起きた。帝国主義世界戦争が三たび現実化し始めているのだ。
 戦争も大失業も、帝国主義支配階級がこれまでのように世界を支配することができなくなり、その中で無理やり延命しようとして引き起こしている事態なのだ。
 だから、一切の問題を階級的にとらえる必要がある。
 小泉も経団連会長の奥田も、帝国主義支配階級はみんな「憲法を変え戦争のできる国にすることが国益」「米国との同盟が国益」と「国益」を振りかざし、あたかもそれが日本人すべての利益であるかのように押し出している。だが、これはペテンである。彼らが「国益」と言っているのは実はほんの一握りの金融独占資本、帝国主義支配階級の利益にほかならない。労働者階級人民にとっては何の利益にもならない。
 それどころか、彼らが人民を食わせられないほどに危機に陥っているということは、彼ら支配階級が支配階級として社会を成り立たせられなくなっているということであり、彼らを打倒する決定的チャンスが到来しているということだ。そういう歴史的分岐点に今われわれは立っているのである。
 起こっている事態をこのようにつかみ、自らの存在を、この決定的な歴史的分岐点の中に位置づけ、自分たち自身の力で新しい歴史を創造していく。これがマルクス主義の思想である。特に改憲が策動されているこの数年間が決定的だ。新入生のみなさん! ぜひともこの躍動感を共有してほしい。みなさん一人ひとりの決断と行動が世界史の行方を決定づけることができる、そういう時代が到来しているのである。

 資本主義社会の矛盾構造をつかみとろう

 起きている問題をもっと根底的にはっきりさせれば、一切の根源は資本主義の原理的矛盾の問題である。
 資本主義社会は、生産手段を私有財産として階級的に独占するブルジョアジー(資本家階級)が、生産手段を持たないプロレタリアート(労働者階級)を支配し搾取して成り立っている社会である。この社会は、人間の生活を豊かにするために社会的生産が行われるのではなく、より多くの利潤の獲得を動機とする資本の運動によって社会的生産が行われている。
 生産手段を持たないプロレタリアートは、自らの労働力を商品としてブルジョアジーに売って、その対価として賃金を受け取って生活する以外に生きられない。各個別資本はより多くの利潤を得るために生産を行っているが、その中で資本は利潤の源泉=剰余価値の部分をより多くわがものとし、賃金=労働力価値の部分を可能な限り切り下げていく。これが資本主義の運動法則である。
 だから、労働者の労働はこの社会の富を産み出している活動であるにもかかわらず、労働者が受け取るものは自分と家族がぎりぎり生活していけるだけの賃金でしかない。労働者の労働が賃金部分以上に産み出した新たな社会的富(剰余生産物)はすべてブルジョアジーのものとなる。過労死するほど働かされても、労働者は自分の財産をつくることなど基本的に不可能な関係におかれている。これが搾取である。
 このように資本主義社会は資本が自己増殖していくために、生きた人間である労働者が搾取されていくというきわめて転倒した社会なのである。
 そしてこの転倒したあり方こそが資本主義の矛盾そのものなのだ。一方では労働者階級に貧困を強制し、他方では絶えず資本を増殖させていこうとする資本主義の運動は、必ず“これ以上生産をしてももうからない”という過剰資本の状態にぶちあたる。これが恐慌・不況である。こうなると資本の運動が回転しなくなり、資本主義社会は大混乱にたたき込まれる。資本は労働者に一切の矛盾を押しつけ、首切りや賃金引き下げを行う。社会には過剰なほどに富があふれているのに、労働者人民は貧困と飢餓にあえぐということが起こる。
 帝国主義段階では過剰資本・過剰生産力が世界大恐慌と世界経済の分裂化・ブロック化、そして世界戦争となって爆発する。これは資本主義社会の原理そのものの矛盾であると同時に、帝国主義の基本矛盾の爆発そのものなのである。
 だから今起こっている問題は、帝国主義を打倒し、資本主義社会そのものを根本的に変革し、より高次の社会に移行する以外に解決の方法がないということだ。
 この根本的革命のかぎを握るのは労働者階級の存在と闘いである。

 プロレタリアートは国際的革命的な階級

 今、全世界で帝国主義の戦争と大失業・団結破壊(労働組合つぶし)の攻撃に対する労働者階級の団結した闘いが始まっている。
 すでに03年のイラク開戦を前に全世界で2千万人の労働者人民が同時に戦争反対の行動を起こすということが始まっていた。昨年10月にはアメリカで、労働者自身の手で社会を変えようということを掲げてMWM(ミリオン・ワーカー・マーチ)が呼びかけられ、300万人以上の労働組合の賛同を得るということが起こっている。そして11月に東京で行われた全国労働者集会では、MWMを先頭で牽引(けんいん)してきたアメリカのILWU(国際港湾倉庫労働組合)と韓国の戦闘的労働組合である民主労総、そして日本の動労千葉を始めとした闘う労働組合が一堂に会し、国際的に団結して帝国主義の戦争と労働組合つぶしと対決しようと宣言した。日本でも世界でも、労働者は生きるためにストライキやデモなどの闘いに続々と立ち上がっている。
 ソ連の崩壊後、“社会主義は歴史的に破産した。資本主義は最後的に勝利した”などと言われてきた。しかし崩壊したのは社会主義ではなく逆にそれを歪曲し、世界革命を裏切り労働者階級の闘いを抑圧してきたスターリン主義だ。そして今、資本主義=帝国主義が労働者人民を食わせられないほどに危機を深めている中で、ついに開始されたこの労働者階級の世界的闘いのうねりは、スターリン主義の破産をのりこえて、資本主義を根本から変革する歴史的闘いの始まりなのだ。
 労働者階級とはどんな階級か。
 先にも述べたように、資本の自己増殖運動は労働者からの搾取によって成り立っている。労働者はその労働が資本を増殖する限りでしか仕事にありつけず、仕事にありつけなければ生きることができない。たとえ仕事にありつけても、資本家はできるだけ多くの利潤を得るためにとことんまで賃下げ、労働強化を行う。労働者は極限的に搾り取られ、時には過労死さえ強制される。けがや加齢で労働能力が落ちると、使い捨て商品のように捨てられる。労働力商品化の論理は労働者家族の中にも貫徹され、労働者家族は資本の搾取の中で繰り返し破壊される。
 このように、労働者階級はその生き死にを資本家階級に依存した存在とされている。労働者階級は賃金という鎖でつながれた奴隷=賃金奴隷とされているのだ。

 自己解放の闘い

 だが労働者階級は、あたかも一個の使い捨て商品のような存在とされているがゆえに、資本主義社会の部分的改良ではなく、この社会そのものを根底的にひっくり返すことなしには自分自身を解放できない存在なのである。「プロレタリアは、この革命において鉄鎖以外に失うものはなにもない。プロレタリアが獲得すべきは全世界である」(マルクス、エンゲルス『共産党宣言』)。労働者階級は本質的に守るべき財産などは何もない存在なのだ。
 だからこそ労働者階級は、ブルジョアジーとの階級闘争の中で職種を越え、国境を越えて団結することのできる国際的存在であり、一切の私的な利害から自由に、全面的・根本的・全世界的に資本主義社会を変革することのできる単一の階級であり、ブルジョアジーを打倒して世界革命にまで必然的にのぼりつめる階級なのである。労働者階級はその存在自体が革命的存在なのだ。
 今始まっている国際的な労働者階級の決起は、世界戦争に突き進む帝国主義を打倒し、社会を根本から変革し、共産主義社会を建設するプロレタリア世界革命につながっていく歴史的で決定的な闘いの始まりなのである。

 共産主義の本質

 共産主義とは、ひとことで言えば労働者階級自己解放の運動であり、生産手段の私的所有の廃止である。労働者階級が階級闘争をつうじて団結を拡大し、革命によってブルジョアジーを打倒し、プロレタリア独裁権力を打ち立て、支配階級から生産手段を奪取する。それを国有化を経て社会的に共有化していく。そして、そのことをつうじて階級的搾取を廃止し、人間に対する人間の支配そのものを廃止する。これが共産主義運動の全体像である。
 以上のことは現実の労働者階級自身の階級闘争の中から必然的に出てくる結論なのであり、その意味で共産主義運動とは現実の労働者階級を主人公とした現実の運動である。労働者階級は自己を解放し生きるために共産主義を必然的に闘いとっていく存在なのである。
 そして共産主義の実現が可能な客観的根拠は、この資本主義社会そのものの中にあるのだ。今や世界中の人民が豊かに暮らしていけるだけの生産力と生産機構が世界に存在している。しかし、それらは一握りの資本家階級によって独占され、資本の自己増殖のための手段とされているがゆえに、人間に対する破壊力となって人間に襲いかかってきているのだ。だが、生産を現実に動かしている労働者階級が国際的に団結し、この生産力と生産機構をその手に奪取するならば、共産主義の実現はまったく可能だ。その物質的条件は現代社会の中に成熟しているのである。
 問題は、結局のところ国家権力の打倒=政治革命にいかに勝利するのかという一点にしぼりあげられる。なぜなら、ブルジョアジーはブルジョア国家の暴力装置(軍隊、警察、監獄その他)によってプロレタリアートを支配し、彼らの反抗を抑えつけ、そのことをつうじて階級的搾取を貫徹しているからである。
 現に今、世界戦争の時代の中で、ブルジョア国家はその本性をますますむき出しにして人民を暴力的に支配しようとしている。有事法制で戦争への動員を強制し、反戦ビラをまくだけで逮捕している。愛国心を強制し、「国家のために死ね。それが日本人の生き方だ」と言って戦争協力を強制しようとしている。
 だからこそ、警察権力などの国家権力の弾圧にひるむことなく、プロレタリアートを軸とした人民の団結でブルジョア国家を打倒し、プロレタリアートの国家を打ち立てる必要があるのだ。

 世界革命実現にむけ青年は総決起しよう

 マルクス主義の思想的核心は以上述べてきたように、労働者階級がその存在として革命的であり、プロレタリア世界革命によって世界を変革する主体であることをつかみ、その思想的確信に基づいて労働者階級の力を根底的なところで信頼することにある。このプロレタリア自己解放の思想こそがマルクス主義の全体を貫く思想である。
 20世紀は帝国主義の時代、戦争の時代でもあったが、同時に革命の時代でもあった。1917年ロシア革命は資本主義社会に終止符を打ち、共産主義社会の建設に踏み出した決定的一歩であった。しかし、スターリン主義の裏切りによって革命ロシアは社会主義・共産主義とは似て非なるものにねじ曲げられ、国際共産主義運動はまったく異質なものに変質させられた。
 スターリン主義の問題の根本は、プロレタリア自己解放の思想を投げ捨てたところにある。世界革命を一国社会主義論で裏切った結果、ソ連という国家体制、共産党という党が目的となり、労働者階級の現実の闘いを手段にしてしまった。プロレタリア自己解放の思想を裏切り、投げ捨てたその当然の帰結としてソ連は崩壊し、北朝鮮や中国などの残存スターリン主義も危機を深めている。日本におけるスターリン主義運動である日本共産党も労働者階級の闘いを裏切り続けている。
 20世紀に決定的一歩を踏み出しながら、成し遂げられなかった人類史的課題である帝国主義の世界的転覆=プロレタリア世界革命の完遂の事業を、スターリン主義をのりこえて今こそ成し遂げるときがきた。帝国主義の絶望的危機と世界戦争への突進というこの情勢を今度こそ世界革命に転化できるかどうか、この決定的チャンスをものにできるかどうか。このことが現代を生きるわれわれ一人ひとりに問われている。
 マルクス主義を武器に、労働者階級の立場に立って現代世界をとらえたとき、労働者階級とともにこの腐りきった帝国主義の世界を根底的に変革する闘いの中にこそ、青年・学生の生きる道を見いだすことができると思う。この道をともに進もう。
 帝国主義に対する怒りを心とし、この歴史的決戦の時代に生きかつ闘うことを喜びとして、ともに闘おう。闘う学生はマルクス主義学生同盟に結集しよう!

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週刊『前進』(2193号6面1)(2005/04/11)

“階級の論理”で石原と対決しよう 「つくる会」教科書採択阻止へ
 弱肉強食の社会ダーウィニズムの論理で歴史を描き侵略を擁護

 都知事・ファシスト石原との闘いが重大化している。侵略戦争と国内階級戦争に突き進む日本帝国主義・小泉=奥田路線の先兵としての石原の策動をたたきつぶすことは、階級的団結とプロレタリア革命の勝利のために絶対に不可欠である。この闘いに教基法改悪阻止・改憲阻止闘争の勝利がかかっている。教育労働者の不起立闘争と固く連帯し、石原を全力で打倒しよう。その一環としてファシスト団体「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書の採択を絶対に阻止しよう。6月都議選決戦(7月3日投票)に勝利しよう。

 愛国主義・国家主義に対する防波堤の危機

 石原のファシスト攻撃の重大性、ある意味での恐ろしさを過小評価することは階級的敗北につながりかねない。石原との対決に今の時点で勝利することは、日本革命にとって決定的に重要である。
 石原問題を考える時、これまでは「あまりの超反動的言辞」ということから、支配階級としての“統一”もかちとれないハミダシ的言辞であり、人民からも門前払い的にそっぽを向かれると思われてきたということがある。しかしこの考えは、今やわれわれが依拠できるものではない。
 要するに、日本帝国主義の戦後発展が、一定の日米関係下でまずまずのレベルで達成されてきた限りで、これまで石原的言辞は一見「浮いた」ものに見えていたにすぎない。帝国主義が国際的体制として危機に陥り、米帝も日帝も危機に陥り、帝国主義間の大分裂が進み、戦後的成長も行きづまってしまった状況の中で、帝国主義間争闘戦が戦争に転化し始めた今日の情勢のもとでは、「石原」をめぐる情勢は大きく変わってきているのである。
 帝国主義の根底的危機が感じられ、これまでの生活が続けられなくなってきている時、帝国主義ブルジョアジーの危機感はものすごいものとなってくる。これが反動的インテリゲンチャ層、小ブル層においては、「日本の危機、国家の危機、民族の危機」という激しい愛国主義、ナショナリズム、排外主義の意識、感情を一気に増幅させるものとなる。
 これは別の面から言えば、帝国主義が行きづまり、人民の生活や未来をなんら保障できない状況になってきて、「国民が一定の方向で一致する」といったことは、ますますできなくなってきているということでもある。誤解を恐れず言えば、国としての方向性があやしくなってしまって、価値的にひきつける体制的力がなくなってきているということである。
 「戦後の平和と民主主義」の時代には、戦前の侵略戦争や第2次世界大戦などの歴史的経験の記憶も一定程度あり、国家主義や民族主義、愛国心、天皇制賛美などというのは、一部の右翼的勢力や若干の層を除いては、人々をひきつける力をそれほどもてなかった。しかし、帝国主義の危機の時代が始まり、またソ連スターリン主義の歴史的崩壊ということが発生し、既成の労働運動指導部が一斉に自国帝国主義の延命と発展に自己のダラ幹的利害を一体化させる(屈服したということ)にいたり、国家主義、民族主義、愛国主義、排外主義といったイデオロギーへの防波堤は崩れ始めたのである。こうした危機と変化の中で、石原的ファシストが「都民」「国民」の前に大きな顔をして立ち現れるにいたったのである。
 こういった文脈の中で石原的ファシストの論理を打ち破るのはけっして容易ではない。石原の思想は、「新しい歴史教科書をつくる会」の「教科書」と共通するものであるが、そこにあるのは徹底した民族主義、国家主義である。そして、世界を弱肉強食の論理がまかりとおる社会的ダーウィニズムの世界として描き、侵略戦争を合理化するということである。 
 これを決定的に打ち破るものは、徹底した階級の論理をおいてほかにはない。別の言い方をすれば、帝国主義(帝国主義的資本主義)の決定的批判を軸点にしてのみ、これを打倒することができるのである。

 明治国家と教育勅語への礼賛が出発点に

 現在、侵略戦争を賛美する「つくる会」の「歴史」「公民」教科書の採択阻止の闘いが全国で闘われている。ここで石原のファシスト思想を徹底的に批判・粉砕する闘いの一助として、「つくる会」歴史教科書(2001年版)の内容を具体的にみていきたい。

 科学的論拠が欠如している

 (1)まず彼らは、明治国家をトコトンまで美化し、肯定し、一切の出発点にしようとする。
 彼らは明治憲法について、「大日本帝国憲法」として誇らしげにうちだし、なんとこれによって日本は「アジアで最初の議会をもつ立憲国家として出発した」と全面的に肯定し、美化するのである。彼らにとっては、明治憲法のもとで、天皇が統治権をもち、軍事については天皇が予算を含めて一切の統帥権をもつことについて、なんら問題があるとも思っていないのである。軍事について専権的に天皇が統帥権をもつことなどについては、言及さえしていない。この点では、教育勅語について「これは、父母への孝行や、非常時には国のために尽くす姿勢、近代国家の国民としての心得を説いた教えで、1945(昭和20)年の終戦にいたるまで、各学校で用いられ、近代日本人の人格の背骨をなすものとなった」と手放しで美化し、肯定していることも重大である。
 「近代国家」とか「近代日本人」とか言っていることから明らかなように、彼らにとって明治国家は、国家として非のうちどころのない立派な国家ということなのである。しかし、彼らがここで言っている「近代国家」とか「立憲国家」とかいうものは、その内容はきわめて情緒的であいまいなイデオロギーでしかない。その内実は階級的ごまかしに満ちているのだ。「近代国家」をうんぬんしているが、彼らは民主主義、民主的議会制度といったものが、「近代国家」の古典的なメルクマールとしてあることについて、一切言及しない。天皇の絶対権限で統治する国家を民主国家とはとうてい言えないからである。
 また何よりも、明治国家を資本主義―帝国主義(資本主義的帝国主義)のための国家形成としてみることについても、一切言及しようとしていない。そもそも日本の明治国家は、先進資本主義国がすでに帝国主義段階へと移行する過渡的過程の中で、後発の資本主義国家形成をほとんど同時に帝国主義国家形成として遂行した国家なのである。そして近代国家というのは、もともとは封建制を打倒してブルジョアジーが権力を握り、資本主義の発展に道を開くものであり、その政治形態が古典的にはブルジョア民主主義、議会制民主主義なのだ。
 日本の場合、その後発性から、明治維新をとおして成立した国家は、初めは絶対主義的天皇制でしかなく、その後、大隈重信、板垣退助の隈板(わいはん)内閣時代〔1898年(明治31年)〕をメルクマールにして、ブルジョア的勢力と旧体制的勢力の階級的均衡において、ブルジョア的勢力がヘゲモニーを握る天皇制ボナパルティズム国家へと移行していったものである。そしてさらに、この国家は帝国主義国家へと推転し、天皇制はその反動的政治体制としての意義をもっていった。
 さらには1930年代以降の世界史の中では、天皇制は、ドイツのナチスやイタリアのファシズムと類似の階級的役割を演じ、帝国主義的・侵略的・軍事国家体制の具体的形態となっていったのである。
 要するに「つくる会」教科書の近代史の部分は、明治国家・天皇制について、後発資本主義国家の形成ときびすを接して進行した帝国主義国家化という階級構造においてとらえることを拒否しているのであり、およそ科学的な論拠を欠くものでしかない。だからその国家のもとで、日本の労働者人民がどれほど過酷に収奪され、搾取され、苦しんだのかということが、一切不問に付されてしまっているのである。また後に見るように、その対外政策がどれほど侵略的で極悪非道のものであったか、そして国内では徴兵制のもとでどんなに多くの労働者・農民の生活と生命を破壊したかについて、およそ言及しようとしないのである。

 「日清・日露」と朝鮮植民地化

 (2)明治国家をこのようにただひたすら近代国家化などと美化し、絶対化した上で、「つくる会」系の連中は日清戦争、日露戦争についても、デタラメの極致を平然と展開している。
 まず日清戦争については、朝鮮半島の地政学的位置から論じて、「日本に向けて、大陸から一本の腕のように朝鮮半島が突き出ている。当時、朝鮮半島が日本に敵対的な大国の支配下に入れば、日本を攻撃する格好の基地となり」などと言って、“日本を防衛するためには、清国と戦争してでも朝鮮の支配権をかちとることは正しい”といった論理を平然と振り回すのである。修正前の原文では、「朝鮮半島は日本に絶えず突きつけられている凶器」とすら言われていた。
 まさにこれは、帝国主義の対外侵略戦争の典型的論理そのものである。そこから「日清戦争は、欧米流の近代立憲国家として出発した日本と中華帝国との(避けられない=修正前)対決だった。……古代から続いた東アジアの中華秩序は崩壊した。その後、列強諸国は清に群がり……中国進出の足がかりを築いた」などとしているのである。
 勝手な地政学的口実で他民族・他国を侵略し、領土を拡大する帝国主義的侵略戦争を、近代化のための戦争だったなどと合理化することが許されるわけはないのだ。「近代立憲国家」というペテンが、まさにここで侵略の口実とされている。現実に帝国主義的侵略者としてふるまったのは、日本(日帝)そのものだったのだ。

 侵略なしに生きられぬ体制

 (3)日露戦争についても、デタラメな勝手きわまることを平然と言っている。
 「ロシアは満州の兵力を増強し、朝鮮北部に軍事基地を建設した。このまま黙視すれば、ロシアの極東における軍事力は日本が到底、太刀打ちできないほどに増強されるのは明らかだった。政府は手遅れになることをおそれてロシアと戦争を始める決意を固めた」
 「戦場になったのは朝鮮と満州だった」
 「(戦争の結果)1905年9月、ポーツマス条約が結ばれた。この条約で日本は韓国(朝鮮)の支配権をロシアに認めさせ、中国の遼東半島南部(のちに、日本は関東州とよぶ)の租借権を取得し、南満州にロシアが建設した鉄道の権益をゆずり受け、南樺太の領有を確認させた」
 「日露戦争は、日本の生き残りをかけた壮大な国民戦争だった」…………
 まったく帝国主義的強盗戦争の論理むきだしである。日帝が朝鮮の支配権と「南満州」の権益を狙って侵略戦争をしたことは明白なのに、「戦場になったのは朝鮮と満州だった」などと平然と書いている。日本が生き残るためだったら、朝鮮人民や中国人民は何をされても構わないというのか。「列強間の生き残り合戦」と一般化して、一種の生存競争の(社会ダーウィニズム的な)論理で一切を合理化している。
 しかし、ここで問題となっていることは、一般的な民族対民族などというものではなくて、帝国主義国家と帝国主義国家との関係なのである。そもそも他国を侵略し、植民地化し、世界を分割しなければ生き残れない体制とはどんな体制なのか――それこそが問題なのだ。資本主義、そして何よりも帝国主義経済体制であるからこそ、帝国主義戦争が不可避となったのである。このことをはっきりさせなくてはいけない。

 第2次大戦の惨禍を再び繰り返すのか!

 (4)第2次世界大戦をめぐっても、帝国主義的強盗戦争の論理を満展開している。カイライ勢力を集めたいわゆる大東亜会議(1943年11月)なるものを、得手勝手にアジア諸国代表の会議にすりかえて、あたかもこの戦争は、日本がアジアを解放するために行った戦争であるかのように言いなしている。さらに「玉砕」や「特攻隊」の美化など、彼らの言辞は、断じて一言も許せない。
 「戦争は悲劇である。しかし戦争に善悪はつけがたい。国と国とが国益のぶつかりあいの果てに、政治では決着がつかず、最終手段として行うのが戦争である。アメリカ軍と戦わずして敗北することを、当時の日本人は選ばなかったのである」
 この部分は、文科省から「程度が高すぎる」という意見がつけられて修正(削除)されたが、これでは、第2次大戦やアジア侵略には何の問題もない、これからもやる、ということである。実際、彼らの考え方はそうなのである。アジアの人民を何千万人も虐殺し、日本の労働者・農民を何百万人も殺したこと、あげくの果てに沖縄戦、ヒロシマ・ナガサキをひきおこしたことを、いったい何と考えるのか!

 改憲・核武装と天皇制支配

 (5)戦後について述べているところも断じて許し難い。「歴史」「公民」の二つの教科書から、特徴的な例を挙げる。
(イ)日本国憲法はGHQに強制された。
(ロ)大日本帝国憲法のままで民主化は可能だったと、美濃部達吉らの意見を根拠にして主張している。
 以下は「公民」教科書の記述である。
(ハ)憲法9条のもとで自衛権はあると主張。また憲法改正をすべきだと、中学生教科書で主張。
(ニ)「現代の民主主義や人権思想は、『個人の尊重』という個人主義的な考え方と切り離せない」「個人としての人間を尊重するためにも、各人が社会に対するさまざまな義務を果たし、積極的に社会秩序を維持していくことが必要となる」
 彼らは「基本的人権」の立場や民主主義そのものを真っ向から攻撃している。彼らが国家主義、国家至上主義であることは明らかだ。
(ホ)「核兵器廃絶という理想を考える」というコラムでは、「核兵器廃絶が表面的(?)に合意されたとしたら、そのときが、世界にとってもっとも危険な瞬間だ」「核兵器廃絶の禁を破るものが世界を支配するかもしれない」などと語り、日本の核武装化を実質的に絶叫している。
(ヘ)「生命尊重は最高の価値となりうるか」
(ト)天皇については、「民族の祭り主」「国民の敬愛の対象」「みずからは権力をふるわないものの、そのときどきに権力をにぎる幕府などに権限を与える立場」「わが国の歴史には、天皇を精神的な中心として国民が一致団結して、国家的な危機を乗りこえた時期が何度もあった」などと語り、天皇制についてのかぎりない美化と誇張とうそを書き連ねている。
 古代から平家・源氏にいたるまでの時期は、まさに権力そのものをにぎっていたのではないのか。権力を奪いあう内乱やクーデターをくり返していたのではないのか。明治憲法下の天皇は権力をふるっていないとでも言うのか。デタラメを言うな。
 逆に、天皇などあってなきがごとき時代があり、衣食もギリギリという時代があったのではないのか。
 大体、特別の家系がそれ自体で特別の絶対的存在として特権をもつことが、とんでもないことではないのか。怒りに堪えない。
 彼らは、天皇を持ち出すことで一切の暴力統治を合理化でき、労働者人民をこれでいくらでも弾圧できると考え、その効果を意識しているのである。

 階級的立場で強力に武装を

 以上、大まかに「つくる会」教科書の内容をスケッチしたが、これがどれほどデタラメで反動的なものかは一定程度、明らかになったと思う。重要なことは、ここで彼らが言っていることは、帝国主義の危機が戦争に転化する時代には、帝国主義ブルジョアジーにとって不可欠の論理・イデオロギーとなっていくということである。また労働者人民の側が階級的見地・階級的闘いの立場にきちんと依拠しないならば、国家をあたかもそれ自身一個の生命体であるかのようにすりかえ、国家のために死ねと強制する力にうちかてなくなってしまうのである。
 したがって労働者階級と革命党は、階級的立場・見地で強力に武装し、この「つくる会」の主張や石原や山田杉並区長のファシスト的言動と断固として対決し、攻撃的に徹底的に粉砕していかなければならない。
 石原が「いまいちど戦争をして、今度は勝てばいいのだ」と言う時、彼はその立場で都政を動かし、さらには国家をその方向にもっていこうとしているのである。だからこそ、ファシスト石原を打倒することはプロレタリアートの未来のかかった死活的課題なのである。6月都議選に全力で勝利しよう。

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週刊『前進』(2193号6面2)(2005/04/11)

“石原知事は辞任を” 女性差別暴言に抗議行動

 「3・8国際婦人デー集会実行委員会」が3月8日、石原都知事の女性差別暴言を弾劾して、都庁に申し入れた。実行委を構成する東京労組交流センター女性部や婦人民主クラブ全国協、杉並の高齢者などが参加した。以下、申し入れ文を紹介します。(編集局)
   ◇   ◇
石原慎太郎 東京都知事殿
抗議申し入れ

 石原慎太郎東京都知事による2001年の女性差別暴言に対して、東京都内の女性たち131人が発言撤回と謝罪、損害賠償などを求めておこした裁判の判決が、去る2月24日東京地方裁判所で出されました。請求そのものは退けられたものの、判決文には「法の下の平等を規定する憲法やその他の法令、国際社会における取り組みの基本理念と相容れない」と知事を厳しく批判しました。
 私たちは、石原都知事がこの判決内容を改めてとらえかえし、すべての女性・労働者市民に謝罪し、発言を撤回すると同時に、知事をただちに辞任することを求めます。
 石原都知事はこれまでも就任一期目から民族差別発言や「障害者」差別発言をくりかえし、排外主義と差別を公職の立場からあおり立ててきました。今日においては、憲法99条にある憲法遵守義務を負った存在であるにもかかわらず、「ヒットラーになりたい」「憲法を命がけで破る」などと発言しています。そして「東京から日本を変える」とこの戦争・差別・排外主義、労働者切り捨ての都政を全国に拡大していくと豪語しています。都知事、あなたのような人が知事として居座り続けていることを認めることはできません。即刻辞任すべきです。
 そもそも2001年10月から12月にかけて都議会・報道など公的な場所で繰り返し行われた女性蔑視(べっし)そのものの発言を許すことはできません。石原都知事は「文明がもたらしたもっとも悪しきものはババアなんだそうだ」と週刊誌インタビューや議会で発言しました。学者の発言を引用するという形をとっていますが発言の主旨は「男にはいくつになっても生殖能力があるが、閉経した女性には生殖能力がなく、生殖能力を失った女性が生きているのは無駄であり、罪である。それは地球にとって悪しき弊害(へいがい)であり、惑星を消滅させてしまうものだ」というものでした。あなたこそ女性の存在だけでなく、男性も、人間全体をも否定しています。そういう人だからこそ、歴史を直視せず、戦争をあおり、破壊を進めていこうとするのでしょう。
 しかも引用したという東大・松井孝典教授の主旨はまったく逆で、「人間圏の繁栄が実は『おばあさん』の出現によってもたらしたものだ」というものでした。問題の発言は石原都知事自身の発想であり、考え方です。
 他人の考え方を尊重せず180度曲解して平然としている日頃の態度そのものから、誤引用も出たのです。自らの意見に同調しないものの存在は、はなから認めないという石原都知事らしい恥ずかしい姿です。
 今日3月8日は「戦争の即刻中止! 女性解放! 暮らしを守る」とかかげて全世界の女性たちが営々とたたかってきた国際婦人デーです。私たちは、今日の日に申し入れに立ち上がりました。
 石原都知事は東京都の教育において、学校現場における「日の丸・君が代」強制を行い、強制に反対する教育労働者を処分し、抗議する市民を警察に売り渡すなど憲法違反を常態化させています。「憲法を踏み破る」ことをこととし、ファシスト政治を率先して行う石原都知事に労働者民衆は黙っていません。世界中の女性が怒り、私たちを激励してくれています。知事はただちに辞めなさい。
 以上強く申し入れます。
2005年3月8日
3・8国際婦人デー集会実行委員会

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週刊『前進』(2193号6面3)(2005/04/11)

日誌'05 3月23日〜29日
 衆院憲法調査会が最終報告案
 「国民保護指針」を閣議決定

●韓国大統領「日本、侵略を正当化」と批判 韓国の盧武鉉(ノムヒョン)大統領が談話を発表し、独島(竹島)や歴史教科書問題に対する日本の姿勢を「侵略と支配の歴史を正当化し、再び覇権主義を貫徹しようとする意図を見過ごすわけにはいかない」と批判。「断固として是正を求める」と強調した。(23日)
●自民・新綱領で「新憲法制定」 今年11月で結党50年を迎える自民党は、10年ぶりの改定となる「新理念・綱領」の最終案をまとめた。新設する「前文」で「歴史、伝統、文化の尊重」を掲げ、新憲法制定や教育基本法の改定などを盛り込んだ。(24日)
●スーダンPKOを採択 国連安全保障理事会は、平和維持活動(PKO)として国連スーダン派遣団(UNMIS)を創設する国連決議1590を採択した。停戦監視などにあたる最大1万人の平和維持部隊などで構成する。(24日)
●国民保護指針を閣議決定 政府は「国民の保護に関する基本指針」を閣議決定した。「武力攻撃事態」は@大規模部隊が日本に上陸する「着上陸侵攻」Aゲリラや特殊部隊による攻撃B弾道ミサイル攻撃C航空機による爆撃――の4類型を想定。自治体や運送、放送事業者など「指定公共機関」は、指針をもとに個別の計画づくりを進める。(25日)
●自衛隊誘致決議を撤回 沖縄県伊良部町議会が臨時議会を開き、下地島空港への自衛隊駐留と01年4月の訓練誘致決議を撤回する決議を16対1の賛成多数で可決した。防衛庁長官らに要請した自衛隊駐留決議は撤回された。宮古5市町村の合併承認案も再提案され、賛成多数で可決した。(25日)
●座間移転後に司令部一本化 在日米軍再編を進める米国防総省が、陸軍第1軍団司令部(米ワシントン州)をキャンプ座間(神奈川県)に移転した後、同キャンプの在日陸軍司令部と統合し、多機能的な新司令部を設置する計画を立案していることが明らかになった。(25日)
●サマワの英軍宿営地付近に着弾 陸上自衛隊が駐留する南部サマワの英軍宿営地近くでロケット弾とみられる砲弾が着弾した。英軍がオランダ軍に代わって、初めての英軍に対する攻撃となる。(27日)
●在日米軍再編で外相と防衛庁長官が12都県関係者と意見交換 町村外相と大野防衛庁長官は、米軍基地を抱える沖縄県や東京都の知事を含む12都県の関係者と在日米軍再編をめぐる意見交換をした。出席した知事らからは「報道以外に情報がない。きちんと説明してほしい」などと個別の基地の具体的な交渉状況の説明を求める声があがった。(28日)
●衆院憲法調査会が最終報告案提示 衆院憲法調査会(中山太郎会長)は各党による幹事懇談会を開き、5年間に及ぶ議論をまとめた最終報告案を正式に提示した。自衛隊の存在を憲法に規定することを認める意見が多数だったことを示し、憲法9条改正の方向性を打ち出したのが特徴。各党幹事間で調整し4月中旬にも河野衆院議長に提出する。(29日)
●沖縄では国民保護関連条例先送り 沖縄県議会は武力攻撃など有事に備える国民保護計画関連条例案について継続審議とした。太平洋戦争中に地上戦で多くの住民が犠牲になった沖縄戦の経験を踏まえ、慎重に審議することで与野党が一致したため。28日までに43道府県が同様の条例を制定、うち3県ですでに国民保護計画が策定されている。(29日)
●「尖閣、竹島を指導要領に明記を」と中山文科相 中山文部科学相は参院文教科学委員会で、「次回の学習指導要領では(「尖閣諸島と竹島は日本の領土」と)きちっと書くべきだ」と述べ、中央教育審議会が見直し作業を進めている指導要領に日本領と明記すべきだとの考えを示した。(29日)

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週刊『前進』(2193号7面1)(2005/04/11)

3・27三里塚 40年の闘いに勝利の展望つかむ
 北延伸は空港廃港の第一歩 “労農連帯が戦争止める”
 現闘本部裁判支援を訴え

成田軍事空港反対!
3・27三里塚全国総決起集会の後、デモに立つ動労千葉など反戦共同行動委の隊列(3月27日午後 成田市東峰)

 成田市天神峰で3月27日、三里塚芝山連合空港反対同盟主催の「3・27三里塚全国総決起集会」が開催された。さわやかな晴天の下、全国から1200人が結集し、3月末にも迫る暫定滑走路「北延伸」決定を許さず、成田軍事空港の廃港まで闘うことを誓った。
 集会会場は天神峰の千葉県立花植木センターの横にある反対同盟員の畑だ。暫定滑走路の真横に当たり、時折、ジェット機が轟音をあげて離着陸する。機動隊や私服刑事による不当な検問などの弾圧体制をはねのけて全国から集まった。正午から婦人行動隊の宮本麻子さんと太郎良陽一さんの司会で集会が始まった。
 本部役員の鈴木幸司さんが開会宣言を行った。「反対同盟の闘いも足かけ40年になります。さまざまな苦しみや困難をのりこえて40年の歴史をつくってきた。全国のみなさんの支援・共闘があればこそです。三里塚闘争は農民だけの闘いではない。暫定滑走路は1メートルも延長させない」と語り、加えて「天皇制の恐ろしさを抑留経験の中で気付いた。『日の丸・君が代』強制は戦前の教育とまったく同じ。また侵略戦争を繰り返そうとしている」と指摘し、天皇制打倒を強調した。
 北原鉱治事務局長が主催者あいさつを行った。「40年闘ってきて、ようやく勝利の展望が見えてきた。労働者と農民が団結するなら戦争は止められる。若い人たちに第2次世界大戦のような状況を二度とつくってはならない。反対同盟は勝利するまで闘います」
 基調報告は事務局次長の萩原進さん。昨秋からの三里塚をめぐる情勢について、@北延伸問題、A収用委員会再建、B軍事使用の問題――の3点を挙げ、北延伸や軍事使用阻止の闘いとして、現闘本部裁判の意義を訴え、支援する会の拡大を訴えた。
 特に北延伸攻撃との闘いについて「暫定滑走路を開港したが欠陥性が露呈した。中部国際空港、羽田空港の国際化で成田空港の地位は地に落ちるばかり。南に延ばすことは出来ず、北に延ばしても本来の計画の空港にはならない。北延伸は空港廃港の第1歩。われわれは、営農・生活を続け、欠陥が露呈する暫定滑走路の末路を見届け、廃港に追い込む」と力強く断言した。さらに労農連帯、国際連帯を強調し、次回の全国集会を10月9日に行うことを発表し、結集を呼びかけた。
 動労千葉の田中康宏委員長が3月15日からの運転保安闘争と17日からの72時間ストライキを報告。大きな歓声と拍手を受けた。田中委員長は国鉄分割・民営化がレール破断などの安全崩壊をもたらしたと指摘。「われわれの闘いは小さな火花にすぎないが、労働者の怒りと闘いの確信が結合すれば、闘いは燎原の火のように燃え広がる。団結を広げよう」と訴えた。
 顧問弁護団の葉山岳夫弁護士、遠藤憲一弁護士、浅野史生弁護士の3人が登壇。現闘本部裁判について「原告側が肝心の木造平屋をすっぽぬかして撤去を要求していることが判明した。この点について釈明を求めた。写真や念書、領収書などの証拠を出した。勝利は明らかだが油断は禁物です。ご協力お願いします」と語った。
 天神峰の市東孝雄さんが登壇し、「NAA(成田空港株式会社)の黒野社長が脅しのためだけに、なんのメリットもない北延伸を進めている。まったく許せない。『謝罪』と工事の繰り返し。農家の頭上40bにジェット機を飛ばし、さらにジャンボ機まで飛ばすと脅す。人のやることではない。こんなことに負けるわけにはいかない。私の耕作地は、祖父の代から開拓してきた。農業を続けていく腹は固まっている。やつらの横暴は許さない」と力強く決意を示した。

 軍事空港建設反対の闘い

 「軍事空港建設反対の闘い」として反対同盟の伊藤信晴さんがアピールした。
 「有事法制の国会審議で当時の井上担当大臣が成田の軍事使用はあり得ると発言している。国民保護法制で成田空港も指定公共機関に指定されたが、成田はたんなる一指定機関にとどまらない。現代の戦争は空港確保が決定的で、成田が朝鮮・中国侵略戦争の兵站(へいたん)基地になる」として、日米帝の侵略戦争を成田空港で粉砕しようと訴えた。
 鈴木加代子さんのカンパアピール後、住民団体などの決意表明が始まった。
 関西新空港反対住民を代表して東灘区住民の会の山本善偉代表、泉州住民の会事務局長の国賀祥司泉佐野市議が登壇した。山本さんは「私は1920年生まれで、先の戦争ではなんの批判もできず協力した。三里塚に触れて生き方が変わった。三里塚を闘い続けることが私の生き方です」と語り、地元の神戸空港反対の闘いを報告した。国賀さんは、関西新空港の軍事使用反対の闘いで、空港が自衛隊の武器・弾薬の輸送を拒否したことを報告した。
 北富士からは、国有入会地守る会の天野豊徳会長と忍草母の会の天野美恵事務局長ら4人が登壇し、自衛隊のイラク派兵のために北富士に建設されたサマワ模擬施設を弾劾し「北富士、三里塚、沖縄が手をつないで日本の反戦のために闘わなければならない」と5月の訓練粉砕の闘いへの参加を呼びかけた。
 部落解放同盟全国連合会共闘部長の金平通雄さん、都政を革新する会代表の長谷川英憲さん、婦人民主クラブ全国協議会、闘う「障害者」などが決意表明。金平さんは狭山再審棄却を弾劾し、長谷川さんは「ファシスト石原を倒すチャンスがやってきた」として反石原の統一戦線の形成と7月都議選への立候補の決意を語った。
 決意表明の最後に全学連の大山尚行委員長が三里塚と沖縄の闘いは米日帝の侵略戦争を阻む闘いだとして全学連の闘いの決意を示した。さらに「5・7教育基本法の改悪をとめよう!全国集会」、5・15沖縄闘争、7月都議選などを闘おうと訴えた。
 「北延伸の決定は、用地買収の最終的な破綻(はたん)を意味する。暫定滑走路は重大な欠陥を抱えたまま空港の重石(おもし)となり、廃港へと道をつける」という集会宣言を野平聰一さんが読み上げ、鈴木謙太郎さんが行動方針を提起し団結ガンバロー。デモに出発した。敷地内を周回し、団結街道を直進。暫定滑走路の誘導路の直線化を阻む現闘本部の勇姿を再確認した。

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週刊『前進』(2193号7面2)(2005/04/11)

現闘本部裁判 “木造建物はある” 地上権めぐり原告窮地に

 天神峰現闘本部裁判の第5回口頭弁論が3月24日午前、千葉地裁民事第5部(安藤裕子裁判長)で行われた。裁判は「地上権」をめぐる本格的論戦に突入した。弁護団は原告・成田空港株式会社(NAA)の論理矛盾を突く鋭い弁論を展開し、原告側を窮地に追い込んだ。
 この裁判は、成田空港暫定滑走路の象徴的欠陥である「へ」の字誘導路の直線化のために、空港公団(現在はNAA)が反対同盟を被告として起こした。03年11月、旧地主の石橋政次の相続者から底地を買収したとして、その上に建つ現闘本部の建物の撤去を要求している。しかし土地は、当時、反対同盟副委員長だった石橋が反対同盟に提供したものであり、本部建物は反対同盟の所有物として建築時に登記されている。反対同盟はこの土地を使い続ける正当な権利として「地上権」を主張している。
 この裁判において「地上権」の構成要件は、@建物が登記され、Aその建物が現存していることである。また、地代の支払いも決定的に反対同盟の権利を主張する。
 これまでの追及で、空港会社は、木造建物(旧現闘本部)が登記されている事実を認めている。しかし、これと現在の鉄骨造り3階建て(一部木造)の現闘本部に「同一性はない」と主張している。また旧地主の石橋が「無償で使用させてきたにすぎない」と言い張っている。つまり、登記物件と同一性はないから反対同盟に地上権はなく「無償で借りていた」から地権者(NAA)が請求すればいつでも返還しなければならないと主張していた。
 この日、弁護団は地代支払いの領収書を提出した。否定しようのない証拠を突きつけられた原告側は顔面蒼白。続いて遠藤憲一弁護士が@「既存の木造建物」とは旧現闘本部の木造建物を指すのか、A「既存の木造建物」は明け渡し対象物件に含まれているのかと鋭く追及した。「次回書面で」と逃げる原告側に対して、「訴状を書いたのだから訴えの対象物件を即答できるはず」とたたみかけると、代理人の上野が蚊の鳴くような声で「木造建物はあると主張するのか」などと聞き返した。「もとより」の声にがっくりと肩をおとし着席した。
 裁判後の記者会見で葉山岳夫弁護士が「原告主張では撤去を要求している鉄骨造り3階建て(一部木造)と木造の登記物件との関係がいまだはっきりしない。この登記物件をすっぽぬかして土地を明け渡せと言っている」と矛盾を指摘。鉄骨3階建物の中に木造平屋建物があることを示す決定的な証拠として建築中の写真も提出したことを明らかにした。
 遠藤弁護士は、鉄骨建物の建設過程の写真を示し、「空港会社は鉄骨部分を明け渡せと言い、既存の建物(旧現闘本部)との同一性はないと主張している。ならば執行できない。木造建物(旧現闘本部)は残っている」と指摘した。
 反対同盟事務局長の北原鉱治さんは「現闘本部は反対同盟最初の団結小屋なので残したいと、木造平屋小屋の上にかぶせるように増築した。裁判所に現場を見るよう要求する。その時には反対同盟も権利者として同行する。原告代理人の発言は回答になっていない。正義は勝つ。まだ裁判は続くが、われわれは微動だにしない」と語った。
 事務局次長の萩原進さんも「天神峰や東峰など空港敷地予定地には公民館などの共同施設が全村的にない。そのため反対同盟が資金や資材をもちよって自力で建てたのが現闘本部だ。裁判自体がおかしい。原告側は苦し紛れしかない。絶対勝つ」と決意を語った。
 その後の支援する会の例会では、代表世話人の戸村義弘さんが「裁判が分かりやすくなってきた。前提が崩れており、空港会社は初めから原告に値しないことが明らかになった」「地についた思想性や革命の言葉は、闘いを実践している者でなければ出てこない」と三里塚の闘いを賞賛した。
 暫定滑走路「北延伸」決定をめぐる大攻防に突入している。見切り発車した暫定滑走路は、07年株式上場と09年羽田国際化を控え、空港の破綻を促進している。暫定滑走路の延伸と欠陥の解消は、成田の再浮上にとって不可欠である。現闘本部はこれを阻止する拠点だ。裁判の論戦はいよいよ核心に入り、その緒戦で勝利的な地平が切り開かれた。勝利のカギは現闘本部裁判闘争の全国的支援陣形だ。さらに支援する会の会員を拡大しよう。
 次回は6月9日、午前10時30分、千葉地裁501号法廷。

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週刊『前進』(2193号7面3)(2005/04/11)

辺野古 座り込み1年 工事阻む “調査期限の延長許さぬ”

 名護新基地建設のためのボーリング調査を阻止する辺野古現地の闘いは一層激しく続いている。防衛施設局は、4月6日で切れるボーリング調査のための海上使用を延長しようとしており、連続的にスパット台船やスーパー固定ブイを出してきている。
 11月から立っているやぐらは老朽化し、傾き、曲がり始め、さびつきが進んでいる。このままではボーリングのスイッチを入れた瞬間、やぐらが一挙に崩壊しかねない状態だ。負傷者を出しながらの不屈の闘いは、彼らが数カ月かけてやってきた作業を破綻させているのだ。
 防衛施設局は、そのためにやぐらの補強作業を最優先課題にして、「やぐらにこもる反対派の皆さんの身の安全のために」、やぐらを補強したいと笑止千万なことを言っている。
 3月31日、防衛施設局と請負業者であるパシフィックコンサルタンツは、やぐらの補強工事を反対派が拒否するや、「拒否するなら、この工事を強行する」と宣言。そして作業員数人と5人のダイバーを乗せた船で突っ込んできた。反対派は、十数人のダイバーを集め、海に飛び込み、体を張って船の進路をふさいだ。パシフィックコンサルタンツは、敗北を認め工事を中止した。しかし、この日の事態は現地情勢の緊張を示してあまりある。
 これに先立つ3月24日には、中城湾港からスーパー固定ブイが出港した。スーパー固定ブイは、水深25b以上の海でボーリング調査を行うための機材で、その長さは60b、ほぼ沖縄県庁と同じ高さである。
 その前の週には、スパット台船が早朝辺野古に姿を現し、奇襲的にボーリング調査を強行しようとした。
 スーパー固定ブイは、沖の深い所で行うため、波にきわめて弱いとされるが、同時に反対派の行動も今まで以上に厳しく危険な闘いとなる。決死の覚悟で海上戦の体制をとった。
 スーパー固定ブイは、岸を離れたものの、1時間ほどで戻り、この日の作業はできなかった。
 防衛施設局は、リーフ内での作業を暴力的に突破しようとしながら、一方で沖合のボーリング調査を強行し、年度末の3月末までにアリバイ的「実績」を作ろうと必死だ。しかしそれを完全に粉砕した。そして期限延長を許さない闘いに入っている。
 3月決戦が切り開いた地平の上に、辺野古闘争にも勝利しよう! 決戦の現地に駆けつけよう! 「命を守る会」「ヘリ基地反対協議会」にカンパを集中しよう! そして当面最大の闘いとして、4・17座り込み1周年集会に結集しよう!

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週刊『前進』(2193号7面4)(2005/04/11)

マスハドフ チェチェン大統領暗殺弾劾
民族抹殺狙うプーチン
 チェチェン人民は戦闘宣言

 3月8日、チェチェン共和国の首都ジョハル(グロズヌイ)近郊のトルストイユルト村で同共和国のアスラン・マスハドフ大統領がロシア連邦保安局(FSB)特殊部隊の銃撃によって虐殺された。特殊部隊は、大統領がかくまわれていた家を燃やし、暗殺の証拠を隠滅した。また大統領をかくまっていたユスポフ氏も惨殺された。
 だが、この蛮行をもってもロシア・プーチン政権がチェチェン人民を屈服させ制圧することはできない。チェチェン人民は直ちに民族解放戦争の継続を宣言した。闘うチェチェン人民―ロシア人民と連帯し、国際的なチェチェン反戦運動をつくり出し、プーチン体制とそれを支える国際帝国主義に反撃しよう。

 チェチェン人25万人を虐殺

 ツァーリズムとスターリン主義の大ロシア主義的民族抑圧政策を引き継ぐロシアのエリツィン―プーチン政権は、米欧日帝国主義の支持のもと、チェチェン民族の民族自決=分離・独立の正当な権利・要求を真っ向から否定してきた。94年12月に始められた第1次チェチェン侵略戦争以来、10年にわたる2度のチェチェン侵略戦争で25万人のチェチェン人民を虐殺した。
 とりわけ、エリツィン体制下で首相となったプーチンは99年9月、「国際テロの絶滅」を掲げて第2次チェチェン侵略戦争を開始し、チェチェンをロシアの直接統治下に置き〔後にかいらい政府に転換〕、マスハドフをチェチェン大統領として認めないと宣言した。ロシア軍は、爆撃・砲撃・掃討作戦による大量虐殺のみならず、軍事占領下で日常的に戦争犯罪、人権侵害を繰り返した。
 こうしてロシアは、3人のチェチェン大統領を暗殺した。1人目は94年4月にロシア軍のミサイル攻撃で殺害されたドゥダエフ大統領であり、2人目は昨年2月カタールでロシアFSB要員によって暗殺されたヤンダルビエフ元大統領代行であり、3人目が今回のマスハドフ大統領である。
 特にマスハドフ大統領は、ロシアも公式に認めた97年1月の選挙で選ばれた大統領であり、エリツィンと97年5月に平和条約に署名した。このマスハドフ大統領の暗殺はロシアの国家テロリズム犯罪である。
 マスハドフ大統領は、ゲリラ戦争でロシアの侵略戦争に対抗する一方で、常にプーチン大統領に和平交渉を呼びかけてきた。また、チェチェンの完全独立にこだわらず、ロシア連邦内での最大限の自治を要求する政策をとってきた。
 今年2月には、3週間にわたってチェチェン軍の戦闘行為を一時停止させ、大統領兼最高司令官としての力を示し、プーチンとの交渉を切り開こうとした。
 だが、プーチン大統領は交渉の呼びかけを拒絶し、マスハドフ大統領をあえて殺害した。プーチンは自ら戦争終結の道を閉ざし、チェチェン民族を絶滅するまで侵略戦争を続けると宣言したのだ。

 サドゥラエフ師が新大統領

 チェチェンの指導者は一斉にロシアへの報復と戦争継続を宣言した。チェチェン共和国のウドゥゴフ情報相は3月9日、「マスハドフ大統領はロシアに和平の手を差し伸べて殺された最初の大統領だ。ロシア帝国を壊滅させなければならない。チェチェンとロシアの対立は、和平交渉も停戦もない時代に突入した。プーチン政権が倒れるまで戦争は続くだろう」と述べ、武装闘争路線の維持と戦闘継続を宣言した。
 バサエフ司令官も10日、マスハドフ大統領を3人目の「殉教者」として称賛、同大統領の死は独立派の団結を強めたと強調し、ロシアに対する「聖戦」継続を呼びかけた。北カフカス全体への戦線の拡大も提起された。
 チェチェン共和国の戦時における最高会議である国防会議は3月10日、シャリアト(イスラム法)最高裁長官のアブドゥル・ハリム・サドゥラエフ師(37歳)を大統領に指名した。サドゥラエフ新大統領は3月14日、チェチェン共和国のロシアに対する独立戦争の継続を公式に表明した。「われわれは無実の人民に対するどんな暴力も容認しない。しかしチェチェン人民の独立する権利を守るために神が選んだ方法で戦争を行う権利を持っている」。あらゆる戦術で戦うということだ。

 危機を深めるプーチン体制

 ロシア軍(連邦軍、内務省軍、FSB軍)は不正義の侵略戦争の長期・泥沼化の中で戦闘意欲を低下させ、精神的・道徳的堕落・退廃・腐敗を深めるばかりである。徴兵拒否者の続出と予算不足でロシア軍は現状さえ維持できない。
 プーチン大統領の支持率は昨秋、20ポイントほど低下し、40%程度になった。その要因はさまざまだ。
 9月初めのムスリム・ゲリラ部隊による北オセチア・ベスランの学校占拠に対する強行作戦で人質300人以上が死に追いやられた。この事件の直後にプーチンは州知事の任命制など中央集権体制の強化や治安体制の再編強化、高齢者・退職者に対する社会保障の大幅削減を強行した。
 またウクライナ大統領選でプーチンが公然と支持した親ロシアのヤヌコビッチ首相が敗北、親欧米のユーシェンコ元首相が巨大な大衆運動を背景に勝利した。
 巨大石油会社ユコスの社長らを逮捕し、課税追徴金で破産の危機に追い込み、事実上、再国有化した。
 これらは欧米帝国主義の批判を招き、プーチンの威信を大きくそいだ。
 チェチェン問題では、欧州人権裁判所が2月24日、第2次チェチェン戦争の初めの半年、無差別爆撃などの人権侵害が行われたとしてロシア政府に賠償金を命じる判決を出した。
 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのモスクワ支部が2月、チェチェンで過去1年間に女性や子どもを含む住民数百人が行方不明と発表した。10年間で数千人だ。チェチェン駐留ロシア軍とかいらいチェチェン政府第1副首相カドゥイロフの私兵組織「カドゥイロフツィ」は、誘拐ビジネス、略奪、暴行、拉致、監禁、虐殺を「日常業務」としている。
 ロシア兵士の母委員会は2月26日、ロンドンでチェチェン大統領対外代表のザカエフ氏と共同会見し、ロシアとチェチェンの相互理解、和平交渉が可能であることをプーチンに示した。
 プーチンは、こうした危機を突破するための大作戦としてマスハドフ大統領暗殺を強行した。しかし、チェチェン人民が闘う意志を固め、反撃に立ち上がり、ロシア人民も反戦運動を始めた中で、軍事占領もかいらい政府による統治も成功しない。チェチェン人民の武装闘争の再度の勝利とロシア軍の再度の敗退は不可避だ。
 プーチン政権をロシア―国際プロレタリアートとチェチェン―ムスリム―被抑圧諸民族人民の共同闘争で打倒し、ロシアにおける第2プロレタリア革命を実現しよう。
 (藤沢明彦)

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週刊『前進』(2193号8面1)(2005/04/11)

団結ひろば 投稿コーナー 

 「国旗・国歌」強制に親として不起立貫く 東京・自治体労働者 N・S

 卒業式当日、保護者、労働者、学生がビラをまく中、正門から入ると玄関の近くで高校の分会長が保護者の案内をしている。校長には、卒業式に先立ち「職務命令を出さないで欲しい」と保護者として申し入れしてきた。その時に組合役員とも会い、ともに頑張りましょうと言ってきた経過があったので、分会長に丁重にあいさつし、式の行われる体育館を目指す。
 学習指導要領はいつ憲法の思想・表現の自由を超えたのか。法律で決まったから強制していいのかという怒りが充満してくる。行き着く先は生徒への強制、学校の兵舎化だ。親として子どもたちをそのような状況に置くわけにはいかない。
 卒業式は、副校長の「大本営発表」のような抑揚の開式の辞から始まった。正面左に日の丸、右には都旗がある。いよいよ「国歌斉唱」だ。周囲の保護者がほとんど立ち上がったため、林のような中での単独の不起立だった。教師の列も見えなくなった。
 「君が代」を歌う生徒の声はほとんど聞こえない。わずかに保護者の間からすすり泣きのように聞こえるのみである。とりわけ男子生徒の声は聞こえない。みんな「歌わない」で頑張っている。卒業生の息子が「みんな歌いはしないよ」と言っていたとおりだ。
 この後、申し入れを聞き入れなかった校長と都教育長代理のあいさつ時にも不起立で臨もうとしたが、着席のまま進められた。だが教育長代理のあいさつの時「礼」と声をかけられたのに礼を意識的にしない保護者は少なくなかった。皆それぞれ表現の違いはあるが、それなりの意思表示を必死でしているのだ。
 妙な緊張と堅苦しさのみが伝わってくる卒業式だった。思い出をつづるような生徒のための企画は見られなかった。国家のための卒業式が始まろうとしている。まだ闘いは始まったばかりだ。

 地元の教育労働者と「日の君」反対で集会 関西合同労組 佐久ミチル

 2月27日、私が加入している関西合同労組の支部主催で「『日の丸・君が代』強制反対!2・27講演集会」を開催しました。地元の教育労働者を講師に招き、「『君が代』の強制とその起源を考える」と題した講演で、20人の労働者や市民が参加し、熱気あふれる集会をかちとりました。
 今日の「日の丸・君が代」強制の攻撃は、けっして教育労働者だけに限られたものではなく、私たち中小民間で働く者にとっても黙っていられないものです。でも、ともに闘うぞと思っても、知り合いに教職員はいないし、どうしようかと悩んでいました。
 そこで、仕事が終わった後、小学校、中学校、高校に不起立宣言支持・連帯の署名用紙を持って回ろうということにしました。しかし仕事が終わった後回るのはしんどいし、春闘の準備で忙しい。でも地道に回っている中でひとりの教育労働者と出会いました。
 昨年の11月に「教育基本法改悪反対」の署名運動のために学校に行き、たまたまその日「イラク反戦写真展」をやっている教員がいたので話をしました。「自分は中小企業で働いていてひとり分会だ。でも戦争反対のネットワーク、労働運動の大きなうねりをつくりたい」と訴えると、心底共感してくれました。今回の講師の件も、頼むと快く引き受けてくれました。職場で春闘を闘いながらついに地元で「日の丸・君が代」反対の集会を開催することができました。
 春闘真っただ中ですが、教育労働者に不起立の闘いを呼びかけ、ともに闘いたいと思います。

 経済制裁の大合唱にストップかける闘い 新潟 中村明

 昨年11月の日朝実務者協議で明らかにされた「安否不明者」の遺骨問題を契機に、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)に対する経済制裁を求める声が広がってきました。排外主義の扇動が毎日のように流されています。新潟県議会、新潟市議会が経済制裁を求める決議を上げ、県と市は具体的な制裁を始めました。
 この流れにストップをかけようと県内の労組役員、学者、議員、宗教者、NGO関係者ら15人による呼びかけが発せられ、3月17日に新潟市内で「ちょっと待ってよ経済制裁!日朝関係を考える3・17集会」が行われました。集会(写真)には、全港湾、自治労、教労を始めとする労働者、宗教者、在日朝鮮人など70人が参加しました。新潟県労組交流センター代表も呼びかけ人に加わり、集会成功のために協力しました。
 集会で講師の森正孝さん(静岡大講師)は「拉致問題を解決するには、日帝の植民地支配に対する謝罪と賠償を行うこと、同時に戦後一貫して続けている日米による戦争重圧、敵視政策を中止することが必要。経済制裁は戦争へ突き進みかねない最悪の選択である」と述べました。
 県民アピールが提案され採択。翌日は呼びかけ人など8人でただちに県と市に要請行動を行いました。
 今の状況をなんとかしたいという良心的な活動家は多数存在し、そうした人びとに呼びかけるならば運動は大きく発展することが示されたと思います。
 有事体制下、指定公共機関の労働者が戦争協力に「ノー」を貫くことが求められていますが、この集会に労組活動家が多数参加したことは、この面からも意義深いものとなりました。

 『共産主義者』掲載のアイヌ民族論に感銘 K・S

 『共産主義者』143号の「アイヌ民族解放との本格的連帯を」を大変興味深く読ませていただき感銘し、考えさせられました。
 多くの「日本人」にとって、アイヌ民族は、消えゆく伝統を細々と守っている「滅びゆく過去の民族」のイメージだろうと思います。そこでは、「自然の中で生きる」「美しい(変わった)伝統を持つ北の民」ということだけが強調されていて、アイヌ民族が余儀なくされている現実や差別の実態、先住権の問題などは一切抹殺されているのではないでしょうか。
 『共産主義者』の論文を読んで、アイヌ民族は、過去何世紀ものあいだ勇敢に闘ってきただけではなく、現在もこうして土地の権利、先住民としての権利、そして民族自決権を求めて生き生きと闘っているのだ、ということがよく分かりました。
 ある資料によると、アイヌは「日本人」よりずっと早く、7000年前から「日本」全土に住んでいたのにもかかわらず、紀元前600年ごろ和人が到来してのち、民族を大量に虐殺され、追われて北海道に来たのだ、ということです。
 また、東京に住むあるアイヌの人は「研究資料のためといって、血やしょんべんを取りにくる学者はあとを断たない」と言っています。アイヌ民族を研究対象としてしか見ない学者の態度が人びとに差別と偏見の意識を与えているのではないのか。それは帝国主義の「民族抹殺攻撃」をも思想的に支えていくのだ、と強く思いました。私たちはこれと対決し、アイヌ民族解放闘争に連帯していこうではありませんか。

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週刊『前進』(2193号8面2)(2005/04/11)

労働者の団結で反撃を 共謀罪反対シンポで討論

 3月26日、「戦争と治安管理に反対するシンポジウムU」が東京・豊島区民センターで開催され、210人が参加した。主催は同シンポジウム実行委員会。参加者は、学習と白熱した討論をとおして、「共謀罪を絶対に阻止すること」「この時代状況に団結と抵抗をもって対決すること」を決議し宣言した。
 記念講演は藤田進さん(東京外大教授)が行い、「米国と同じ位置に立ち軍事的に中東民衆と対決するのか。それとも、国・民族を超えた住民連帯で闘うのか」が日本の労働者人民に問われていると訴えた。
 第1分科会のテーマは「疑わしきは逮捕!共謀罪と反『テロ』包括法」。足立昌勝さん(関東学院大教授・刑法)は、共謀罪を「民衆の心の中を取り締まる悪法」と批判した。鈴木達夫弁護士は、米「愛国者法」の暴露と批判を行った。田中康宏さん(動労千葉委員長)は、「戦争と民営化」に反対する国際連帯の重要さを語った。
 第2分科会のテーマは「エスカレートする治安管理、窒息する社会」。山下幸夫弁護士は、反体制運動への法律を駆使した弾圧の激化に警鐘乱打した。
 第3分科会のテーマは「抵抗のあり方を探る」。ビラまきや反戦落書きで弾圧された体験を共有し、熱心な討論が行われた。
 第4分科会のテーマは「現場から改憲を撃つ」。武内更一弁護士は「司法改革」と改憲は一体の攻撃であることを暴露した。鄭香均さん(都庁国籍任用差別裁判原告)は「昇進試験を受ける自由も拒否する自由も外国籍者にはないとは人格の否定だ」と訴えた。藤田勝久さん(「日の丸・君が代」弾圧被告)は04年都議会での横山教育長と土屋都議(民主党)の「日の丸・君が代」強制推進の発言を暴露し弾劾した。
 全体集会は、なすびさん(山谷労働者福祉会館活動委員会)の分科会報告で始まり、龍眼さん(心身喪失等医療観察法反対闘争)と鄭香均さんのアピールが続いた。
 司会がスティーブ・ゼルツァーさん(タフト・ハートレー、抑圧と民営化反対キャンペーン)のメッセージを読み上げた後、シンポジウム「イラク・改憲・共謀罪」が始まった。小田原紀雄さん(日本基督教団牧師)をコーディネーターに藤田進さん、足立昌勝さん、笹沼弘志さん(静岡大教員・憲法)の3人が意見を闘わせた。「あらかじめ近代憲法や民主主義のらち外に置かれた人びとと、どう連帯していくのか」などの意見をめぐり論議となった。
 立川反戦ビラ弾圧被告からの裁判闘争の報告に続いて、高山俊吉弁護士が発言した。改憲阻止に全力を挙げる決意を述べ、「改憲と司法改悪に反対する4・27大集会」(午後6時、弁護士会館2階講堂クレオ)への大結集を呼びかけた。
 組対法に反対する全国ネットワークから、福岡、全国金属機械港合同、全金本山労組、京都、静岡、関西救援連絡センターが決意を述べた。最後に山際永三さん(人権と報道連絡会)がまとめの発言を行った。
 動労千葉の3・17〜19春闘72時間ストライキ、「日の丸・君が代」の強制と対決し不起立で闘った教育労働者、ビラまき弾圧・起訴と闘う民衆、そして労働者人民の立場に立って弁護活動を闘いぬく弁護士。このすべての闘いに共通することは、自らの存在をかけて、国家権力への「翼賛」を拒否していることだ。そのことを実感できたシンポジウムであった。
 (投稿・布施宏)

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週刊『前進』(2193号8面3)(2005/04/11)

党学校 −−学習の感想−−
 団結すること自体が革命的 U・L

 労働者の組織化は「労働者自身のあいだの競争によって、くりかえし破壊される」(『新訳・共産党宣言』24n)とありますが、僕の職場でもそうです。
 僕は仕事ができません。職場の人からはずっと反発されてばかりいます。仕事のできる年下の人からは呼び捨てにされます。お互いを競争相手としか見ない関係は、能力のない者には−「障害者」には特に−耐え難い環境です。(「障害者」はいつもいじめられています)
 こういう状況に耐え抜いて組織化しなければならない。団結をつくり出すこと自体が革命的なことです。
 「しかし、この組織化は、いつもそのたびに再建され、ますます強力に、ますます強固に、ますます強大になっていく」(同)とは、そのようにともに闘っていこう、というマルクスの呼びかけだと思います。
 労働者階級は革命的な階級だからこそ、団結が破壊されると矛盾がすべて弱者に集中してしまう、過労死・過労自殺を生んでしまうのでしょう。それほどの怒りがあるからこそ、ひとたび団結すると必ず闘いに立ち上がる、ということなのでしょう。
 そのために闘おうと思います。

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週刊『前進』(2193号8面4)(2005/04/11)

新刊紹介 コミューン 5月号 EU拡大と争闘戦

 今号の特集は、04年5月に25カ国を統合して出現した拡大EUの意味するものについて徹底的に分析する。
 結論的に言えば、アメリカの人口の1・6倍の人口(4億5千万人)をもち、単一通貨圏拡大に向けて突進する巨大な対米・対日対抗的ブロックの出現と、その結果としての世界経済の分裂化の一挙的進行は、EU帝国主義と米帝との政治的軍事的対立を急加速させ、世界戦争情勢をさらに激化させるであろう。
 第1章は、イラク侵略戦争の開始と米帝の世界戦争政策への突進という情勢のもとで、一挙に激化した帝国主義間争闘戦への独仏などのEU帝国主義の激烈な対抗措置としてEU拡大が行われた経緯について明らかにしている。
 第2章は、拡大EUが世界経済の分裂化とブロック化を決定的に促進し、戦後世界体制の解体を極限にまで推し進めていることについて解明している。
 第3章は、拡大EUのもとでも依然として経済危機を克服しえず、さらに激化する帝国主義間争闘戦に勝ち残るために資本と国家権力がヨーロッパ労働者階級に激しい資本攻勢をかけている現状について暴露している。
 翻訳資料は、第2期ブッシュ政権の内外政策を包括的に明らかにした米大統領一般教書演説の全文訳である。米帝の世界戦争政策と労働者階級に対する大資本攻勢を分析する際に不可欠な資料である。

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