ZENSHIN 2005/03/07(No2188
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週刊『前進』(2188号1面1)(2005/03/07)
東京の教育労働者の闘いを孤立させるな! 3月卒業式闘争を全国で
連合の屈服うち破り闘う春闘を
3・20大統一行動を成功させ自衛隊撤兵・改憲絶対阻止へ
米帝ブッシュの世界戦争宣言と日帝・小泉の米日枢軸を土台とする施政方針演説に引き続いて、2月19日、日米安全保障協議委員会(2プラス2)では米軍再編に向けて日米の「共通戦略目標」が合意された。世界戦争を実際に貫徹する日米同盟へと一気に安保体制が強化されようとしている。これと呼応し相次いで日本経団連の提言が出され、日帝ブルジョアジー本流が反革命的な「政治革命」を要求してきている。改憲、教育基本法改悪が本格的な政治課題に浮上した。この大反革命に対決し、昨年の11・7の地平を堅持して、3月卒業式での「日の丸・君が代」強制拒否の不起立闘争を、都高教の労働者を先頭にすべての労働者人民の総決起で爆発させよう。その力で3・20イラク反戦国際統一行動にのぼり詰めると同時に、05春闘を動労千葉のスト決起と連帯して全職場で闘いぬこう。
第1章 世界戦争が可能な日米同盟の強化狙う
2期目のブッシュが世界戦争路線を突き進み、それを米英日枢軸で推進していくことが鮮明になった。米軍再編は、日米安保同盟を世界戦争を貫徹できる軍事同盟に変革していくことと一体のものである。
そのために、2月19日、2プラス2が開かれた。ライス米国務長官は、「今までの成功に甘んじてはいけない。日々改善するべきことがある」と「日米同盟の変革」を求め、ラムズフェルド米国防長官は「平和協力活動は血を流してこそ未来につながる尊いものになる」と、自衛隊が血を流し、イラクで英軍が果たしているような関係に日米同盟を変革するよう求めた。
2プラス2では、米軍再編をめぐり今後、3段階で協議が行われる。第1段階が、今回まとめた「共通戦略目標」。これで今後の日米交渉の土台をつくり、第2段階で「自衛隊と米軍の役割・任務・能力」を見直し、第3段階の「個別の米軍基地の見直し」に進むという攻撃プランだ。
今回出された共同発表文は、現在の日米安保のレベルなどをはるかに超えた、世界戦争を日米枢軸で戦う宣言であり、そのための共通戦略目標の決定である。
第一に、「世界の日米同盟」を最初から宣言した。日米安保を全世界に拡大する大エスカレーションだ。
第二に、日米の「共通の戦略目標」として北朝鮮を名指しした。北朝鮮とその背後に存在する中国に対する侵略戦争宣言を行った。「地域の戦略目標」のところで、「台湾海峡」問題を明示したことは決定的なエスカレーションである。
第三に、「世界の戦略目標」として「基本的人権、民主主義、法の支配といった基本的な価値を推進する」と確認した。ブッシュ演説で言う「圧制の打破、自由の拡大」を承認し、世界戦争路線を日帝も推進することを約束したのだ。
第四に、台湾海峡問題を「地域の戦略目標」にしたことは、沖縄基地の負担軽減などまったく考えていないということだ。沖縄の基地はますます再編・強化される。「(SACO)の最終報告の実施が重要」とは名護新基地建設など沖縄基地強化の宣言そのものだ。
第五に、これらの課題を確認した日帝は、集団的自衛権の行使、9条破棄の改憲で突破することを米帝に約束したということだ。
こうした情勢を最も鋭く示すものが日本経団連の「国の基本問題」と「教育の方向性」に関する提言だ。特に「国の基本問題」提言は、財界が初めて反革命的な意味で「政治革命」を要求したものとしてある。すなわち日帝ブルジョアジーの主流が、改憲を含む「政治革命」をやらないと、帝国主義として生きていけないことをはっきりさせたのだ。
これは日本階級闘争にとって巨大な転換であり、ついに“堤防決壊”が始まり、本格的な改憲に向かって濁流があふれて流れ始めた情勢と言える。
今回の日本経団連の改憲論は、「世界の平和と安全」すなわち世界戦争に深く関与していくことが国益であり、そうでないと争闘戦に勝てない、改憲はそうした国益のために必要であるとの論理になっている。
まさに日本経団連は、日本の政治を戦争に向かって根底的に変えようとしているのだ。そして「教育提言」はこれと完全に一体のものである。
第2章 ファシスト石原を不起立で打倒しよう
こうした大攻撃の先兵にファシスト石原がいる。石原は最も好戦的な人物であり、第3次世界大戦前夜とも言うべき情勢下で日帝の最も反動的な意図を先取りし、代弁し、実行する人物だ。日帝が改憲・教育基本法改悪で狙っているものを、東京から始めて、全国に拡大しようとしている。
石原はファシストであり、その階級的本性から、石原の意図を貫徹するためには労働者階級の団結形態である労働組合を破壊しなければならないと思っている。しかし逆に労働者階級が団結して闘いに決起した時の、その革命的団結力に根底から恐怖している。
だから石原は、表面では一見ふてぶてしく振る舞っているが内心ではビクビクしているのが現実だ。
その石原が憲法にも教育基本法にも違反する「10・23通達」を居丈高に出してきた。石原の狙いは、高圧的に振る舞い、処分を振りかざし、暴力的強制で抵抗を終息させることだった。
これがヒトラーやムッソリーニがよく使った方法だ。暴力で脅し労働者階級が恐れて反撃もせずに引けば、さらに図々しく要求をエスカレートさせ、白色テロを加え、労働組合の一掃へ向かってくる。逆に労働者階級が団結して反撃すれば、攻撃は粉砕できる。
ファシストに対して「処分を受けないように引け」などという都高教本部の方針は自滅・自殺行為だ。これは20年代のイタリア、30年代のドイツ階級闘争の敗北の痛切な教訓である。
だから昨年3〜4月、「10・23通達」に対して300人の都高教の教育労働者が処分を恐れずに不起立闘争に決起したことはきわめて偉大であり、歴史を切り開くものだった。
さらに実際の処分の発動やその他のさまざまな攻撃に対して、あらゆる手段を駆使し団結を形成しての反撃が組織され、石原を追い詰めていった。
中でも、「再発防止研修」の執行停止申し立て裁判において、東京地裁は昨年7月23日、却下の不当決定を出したが、「自己の思想、信条に反すると表明する者に何度も同一の研修を受けさせるなど著しい精神的苦痛を与える程度に至れば違憲の可能性がある」との判断を示した。
却下は不当だが「違憲の可能性」判断は石原に大打撃を与えたのだ。これに大衆的な反撃が加わり、「再発防止研修」はどっちが研修を受けているか分からないほどに石原・都教委の狙いを粉砕したのである。
教基法違反を認めた都教委
また、予防訴訟でも、追い詰められた都教委は「答弁書」で、次のように言わざるを得なかった。
「都教委は校長に対して、『各校長が各教職員に職務命令を必ず出しなさい』と発言したことはない」「(10・23通達によって)教職員らに職務命令による義務が課せられたことにはならない」
予防訴訟における、都教委への追及が「10・23通達」の違憲性・違法性を暴き出していった。その結果、都教委は大幅に後退した。要するに憲法や教育基本法に違反することを認めたのだ。闘わなければこの事態は開かれなかった。
その上で、この300人決起が本当に「日の丸・君が代」の強制を阻止し、石原打倒へ発展していくためには、3月卒業式を、昨年を上回る「日の丸・君が代」反対の不起立闘争として全力で闘いとらなければならない。その闘いが都高教をも変える力になる。
都高教本部が言うように石原に恐れをなして「引け」ば、町田の市教委が実施しようとしている子どもたちの「君が代」の「声量調査」まで一気に進む。教師が子どもの口に耳を当てて調査するのだ。次には教師が声量の低い「子どもの口をこじ開けて大声で歌わせる」ことになるのだ。こんなことが許せるのか。
好評の長谷川ひでのり著『石原知事に挑戦状』の3者鼎談で斎藤貴男氏が述べているように、ここで抵抗しなかったら、もう抵抗できるときはない。今はそういう情勢である。戦前の教師の過ちを繰り返してはならないのだ。
「日の丸・君が代」強制拒否の不起立闘争は、戦争協力拒否闘争であり、反戦闘争である。全労働者階級の課題であり、誇りある正義の任務だ。これこそは11・7労働者集会が開いた国際連帯の闘いだ。ブッシュと小泉の世界戦争への道を阻む最前線である。
カクマルは「日の丸・君が代」不起立闘争への反革命的な憎悪を燃やし、告訴・告発運動なる反革命運動を持ち込み、混乱させ破壊しようとしている。告訴・告発運動の本質は不起立闘争の圧殺であり、石原と都教委を最も喜ばせる運動だ。
あらゆる反動を打ち破り、東京を孤立させず、全労働者人民の総決起で3月卒業式闘争を闘いぬこう。
教労を先頭とする4大産別決戦はいよいよ正念場だ。勝利を断固開こう。
第3章 動労千葉ストと連帯して全職場で闘おう
昨年の3・20イラク反戦闘争は陸・海・空・港湾労組20団体を中心とする大統一戦線が形成され、日比谷公園に6万人が結集して、日本の階級闘争に歴史的な一ページを書き加えた。そして今年も、陸・海・空・港湾労組20団体は改憲反対の学習会を積み重ね、3・20主催者として躍り出た。
これにこたえて全国から東京・日比谷野音に総結集しよう。3・20に「日の丸・君が代」強制拒否の闘いを大合流させ、イラク反戦と改憲阻止の大統一戦線を成功させよう!
2・19座間闘争が大成功し、3000人を集めて基地を包囲した。自治労、教労を先頭に労働組合が先頭で打ち抜いた。沖縄の名護新基地建設阻止闘争も新しい情勢を不屈に切り開いている。辺野古の闘いは、米・日帝国主義の政策を左右する偉大な闘いへ発展している。
さらに05春闘を動労千葉を先頭に全産別・全職場でストライキを含む闘いに決起しよう。動労千葉は2月20日の定期委員会で、3月中下旬にストライキを配置する方針を決定した。運転保安確立と定期昇給制度解体阻止などを掲げて不屈に闘う方針だ。これに連帯し全産別・職場で闘おう。
3月卒業式闘争の大爆発をかちとり、ファシスト石原をグラグラに揺さぶり、打倒し、都議選決戦に向かって闘いを進めよう。
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週刊『前進』(2188号1面2)(2005/03/07)
“米第1軍団司令部は来るな” 座間基地に「人間の鎖」 沖縄と連帯し3千人決起
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2月19日、キャンプ座間近くの2つの会場に労働者、市民3千人が集まり、「第1軍団は来るな!」「基地を返せ!」と叫んだ(第2会場) |
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集会後、司令部の周囲2キロ余を「人間の鎖」で包囲した |
2月19日、午後3時15分、冷たい雨の中、花火の音を合図に全国から結集した3000人の人びとが手をつなぎ、サウスキャンプ座間の周り2・2`を「人間の鎖」で完全に包囲した。直ちに「第1軍団司令部はキャンプ座間に来るな!」「米軍再編による基地機能強化反対!」と基地に向かって怒りの声をあげた。
座間基地周辺の2つ会場には、冷雨をものともせず、地元・神奈川と全国から予想を超える多くの人びとが結集し、最大の盛り上がりとなった。午後2時に集会が始まるころには、第1会場は、全国から自治労、教組、私鉄、国労を始めとした労組隊列1500人でいっぱいになり、その後も続々と結集してきた。第2会場には、地元の「基地撤去をめざす県央共闘会議」の労働者、市民の隊列800人が集まり、こちらも結集が続いた。
婦人民主クラブ全国協議会と、「とめよう戦争への道!百万人署名運動」は、ともに大成功を担った。
集会では、主催者を代表して大波修二さんがあいさつに立ち、「キャンプ座間が、横田、相模補給しょう、厚木・横須賀の司令部となることを拒否しよう」と訴えた。
沖縄からかけつけた国会議員の糸数慶子さんと沖縄平和運動センターの山城博治さんから熱烈な決意が述べられた。
西村綾子相模原市議から、「闘いはこれから。さらに攻勢的に闘おう」と行動アピールが発せられた。
世界戦争の攻撃と直接的に対決
キャンプ座間包囲行動の意義はどこにあるか。
第一に、米軍再編(トランスフォーメーション)とそれと一体の自衛隊の侵略軍隊化という、世界戦争攻撃と直接対決する闘いとしてうちぬかれたことだ。
この闘いは日米安全保障協議委員会(2プラス2)を直撃した。闘いは始まったばかりである。さらに数倍数十倍の闘いをたたきつけ、米陸軍第1軍団司令部の座間移転を阻止しよう。
第二に、沖縄の基地撤去の闘い、辺野古での新基地建設阻止の闘いと固く連帯してうちぬかれたことだ。伊波洋一宜野湾市長、辺野古の「命を守る会」の金城祐治代表世話人からメッセージが集会に寄せられた。金城さんは「今やらないで、いつやるのか。平和感覚では滅びます。私たちの誇りにかけて、ともに闘いましょう」と熱烈に訴えた。2・19包囲行動は、沖縄の闘いと結びつき、闘いの本格的発展を切り開いた。
第三に、自治労、教労、国労を始め、労働組合・労働者が全国から大挙結集して闘いぬいたことだ。米日枢軸の形成と、これによるイラク侵略戦争、北朝鮮侵略戦争の策動に対し、労働者階級、労働組合がこれと真っ向から対決して立ち上がろうとしている。
座間闘争をさらに発展させ、絶対に勝利しよう。
相模大野駅前で座り込み
この行動に先立ち、西村綾子相模原市議、婦人民主クラブ全国協議会と「とめよう戦争への道!百万人署名運動・神奈川連絡会」は、13日から18日まで相模大野駅前で座り込みを行い、2・19包囲行動への参加を訴えた。労働者市民の関心と共感はかつてなく大きく、2千筆を超える教基法改悪反対の署名が寄せられた。
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週刊『前進』(2188号1面3)(2005/03/07)
「大東亜戦争は自衛戦争」 杉並区長が侵略賛美の暴論
2月21日の杉並区議会で山田宏・杉並区長は、「特攻隊のような尊い犠牲に感謝するのは当然」「私は太平洋戦争という呼び方はしない。大東亜戦争という。この戦争は自衛戦争だった」と日帝のかつての侵略戦争を完全に正当化した。
これは、山田区長が1月9日の杉並区成人式のあいさつで「特攻隊」賛美発言を行ったことを、結柴誠一区議(都政を革新する会)が追及する中で出たものである。議場を圧する結柴議員の迫力ある追及に追い詰められた山田区長が直接答弁に立ち、石原知事と同じファシストの正体をむき出しにしてきたのである。
山田区長は、36年間の朝鮮植民地支配、中国への15年侵略戦争を含むアジア・太平洋戦争で、日本軍が2千万人以上のアジア人民を虐殺し、焼き尽くし、奪い尽くした侵略戦争の全歴史を、「日本の自衛戦争」と正当化したのだ。そしてその過程で300万人の日本人民が帝国主義によって殺されたことを「尊い犠牲」と美化したのだ。絶対に許せない。
考えても見よう。日本人民は悲惨な戦争を体験し、戦後憲法や教育基本法で、もう二度と戦争を繰り返さないと誓いを立てたのではなかったのか。それを山田区長は完全に居直り、第2次大戦は「日本の自衛戦争」で正しかったと言い、今またイラクで始まっている帝国主義の侵略戦争、世界戦争を積極的に促進しようと狙っているのだ。
これこそ山田区長の杉並「教育改革」の狙いが、侵略戦争を美化し、子どもたちに「日の丸・君が代」を強制し、再び「特攻隊」をつくり出すことにあることを示している。
山田区長は、ファシスト石原と一体となって、戦争教育の旗を振っている。石原=山田「教育改革」を粉砕しよう。「日の丸・君が代」強制拒否の3月卒業式闘争を大爆発させよう。
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週刊『前進』(2188号2面1)(2005/03/07)
昨年上回る不起立闘争を実現しよう
再び「特攻隊」作りを狙う 石原教育改革と勝負の時
職場・分会の団結で総反撃を
いよいよ3月、卒業式が目前に迫っている。今春卒・入学式における「日の丸・君が代」強制との闘いは、教育基本法改悪・憲法改悪、戦争国家化攻撃と全面対決する最大の焦点である。小泉・自民党と奥田・日本経団連の先兵として首都・東京でやりたい放題の暴挙を繰り広げてきたファシスト・石原に対して、卒・入学式で昨年を上回る「日の丸・君が代」不起立闘争を実現し、労働者の総反撃をたたきつけよう。東京を先頭に全国で、教育労働者の壮大な「日の丸・君が代」闘争を実現しよう。
卒・入学式へ向けて闘いの気運が高まる
いよいよ卒業式が目前に迫る中、東京で、全国で、「昨年を上回る『日の丸・君が代』不起立闘争を実現しよう」という気運が大きく高まっている。
東京では、昨春の不起立闘争で不当処分を受けた教育労働者が「減給処分を恐れず、今年も断固不起立を貫く」という宣言を次々と発している。さらに昨年は処分されなかった労働者からも「今年は自分の番だ。不起立で闘う」という声が上がっている。「石原と都教委のやりたい放題の暴挙に、これ以上黙っているわけにはいかない」という思いは、すべての教育労働者の共通した思いである。
さらに全国で、「東京の仲間を孤立させてはならない」「東京の闘いに続こう」という闘いも大きく広がっている。教育労働者の「不起立宣言」が、大阪や福岡、千葉など各地で発せられている。文部省の「是正指導」により大量不当処分を受けてきた広島の教育労働者も、「『日の丸・君が代』闘争に再度立ち上がる」という力強い宣言を発している。
他方で、石原と都教委は今春卒・入学式闘争の爆発を押さえ込もうと全力を注いでいる。昨春の被処分者に対して、強制異動が発令された。また昨春に処分を受け、今年3月で退職を迎える教員6人に、嘱託採用不合格の決定が通知された。「1回でも処分を受けたら再雇用はない」という見せしめで、これから退職を迎える教員の決起を封じることを狙っているのだ。
このような石原と都教委の凶暴な攻撃は、敵の強さの表れなのか。そうではない。教育労働者の不屈の闘いに大打撃を受けていることの表れである。闘いがさらに大きく広がれば、「10・23都教委通達」そのものが完全に無力にされてしまうという現実に、石原も都教委も震撼(しんかん)しているのである。
教育基本法改悪・憲法改悪が切迫する今、そして自衛隊のイラク派兵が継続され、アメリカ帝国主義が全世界への侵略戦争の拡大を宣言している今、この時こそが、教育労働者が断固として「戦争協力拒否宣言」を発して立ち上がる時である。日教組が戦後50年余掲げ続けてきた「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンを高く掲げて、教育労働者の生きざまをかけた「日の丸・君が代」不起立闘争に、東京で、全国で、立ち上がろうではないか。
改悪教基法を先取りする攻撃うち砕こう
今春「日の丸・君が代」闘争こそ、ファシスト石原と対決する最先端の闘いである。
99年4月に石原慎太郎が都知事に就任してから6年。石原は就任以来、一貫して「東京から日本を変える」と公言してきたが、その核心は「教育改革」攻撃である。石原は、東京の教育を変えることによって、日本社会全体を大改造しようとしているのである。
教育基本法はいまだ改悪されていないにもかかわらず、東京においてはすでに教育基本法を踏みにじり、改悪教基法を先取りした攻撃が乱発されている。
石原と都教委は01年、東京都の教育目標・基本方針を改悪した。従来の教育目標にあった「人間尊重の精神」の言葉を削除し、「わが国の歴史や文化を尊重し、国際社会に生きる日本人の育成」に書き換えた。基本方針からは憲法・教育基本法、子どもの権利条約という文言を削除し、「社会貢献の精神」や「学校経営の改革」などを新たに盛り込んだ。教育委員の米長は、このことをもって「都は教育基本法を事実上改定した」と公言した。
石原は“教育基本法の見直しに先駆けて、東京では新・教育基本法を実践する。現行教育基本法や現行憲法は、もはや東京の教育には関係ない”と、違憲・違法の「10・23通達」を始めとする攻撃を乱発しているのである。
日本経団連は1月18日、『わが国の基本問題を考える〜これからの日本を展望して〜』と『これからの教育の方向性に関する提言』の二つの提言を発表した。憲法と教育基本法の各条文にまで踏み込んで改悪内容を提示した歴史を画する重大攻撃であるが、その中身はすべて、石原が東京において先取りして実施しているものばかりである。
二つの提言が提唱する「教育改革」の方向性は、@愛国心教育の徹底、A公教育の全面的な民営化、B教員免許更新制導入による教員の首切り、C現行教基法10条の解体と国による教育支配の明示、D日教組・教職員組合つぶし、の5点にまとめることができる。
これらが東京においてどうなっているであろうか。
(1)愛国心教育の徹底は、何よりも「10・23通達」による「日の丸・君が代」強制が象徴している。
敗戦から60年目の今年、石原は自らシナリオを書いて「特攻隊」をテーマにした映画をつくっている(今夏公開予定)。この映画について、石原は『文藝春秋』04年9月号で、「(特攻隊の)青春のピューリティー(純粋性)は何人にも否定されえないし、私が描きたいのはそうしたある確かな青春の姿」と述べている。石原が学校現場に「日の丸・君が代」を強制するのは、特攻隊と同じく「国のため・天皇のために生き、死ぬ青春」を過ごす若者をつくるためなのである。
(2)民営化攻撃も、とりわけ都立高校改革では都立高を独立行政法人に見立てたNPM(ニュー・パブリック・マネジメント)型行革を推し進め、民間企業の経営手法を導入しようとしている。各校に「学校経営計画」を策定させ、“改革の実績をあげた”学校には予算や人事を重点支援するシステムである。
(3)「指導力不足等教員要綱」により、教育行政が「指導力不足」と決めつけた教員を研修所に送り、「不適格教員」として退職を勧告、分限免職に追い込むシステムがつくられた。
(4)教基法10条を否定し都教委が直接教育内容にまで介入した例は枚挙にいとまがないが、やはり卒・入学式のありようを事細かに指示した「10・23通達」が象徴的だと言える。
(5)教職員組合つぶしの攻撃も乱発している。「ながら条例」改悪により時間内組合活動が大幅に縮小された。長期休業中の自宅研修が制限され、夏休みも連日の出勤が強制され、教職員組合主催の教研集会は年休を取らなければ参加できなくされた。
全国初の人事考課制度や主幹制度の導入、「定期異動実施要綱」の改悪による強制異動なども、教職員に分断を持ち込んで団結を破壊し、組合活動を弱体化させるための攻撃である。
石原はこうした「教育改革」攻撃の“実績”をもって、政府と他の道府県を東京に続かせようとしているのである。
「つくる会」勢力の「首都圏連合」
すでに石原に続いて、神奈川県知事・松沢成文、埼玉県知事・上田清司と、「新しい歴史教科書をつくる会」を支持する極右が首都圏の首長に座っている。埼玉県知事・上田は昨年12月に「つくる会」前副会長の高橋史郎を県教育委員に任命した。さらに3月13日に投開票される千葉県知事選には、かねてより「自虐史観の排除」などを訴えてきた森田健作が立候補した。仮に森田が当選すれば、東京―神奈川―埼玉―千葉を一体化する「首都圏連合」構想が動き出し、“東京から日本を変える”石原の構想が現実化するという、とんでもない事態になろうとしている。
「つくる会」教科書をめぐっても、石原は突出している。都教委は01年8月、都立養護学校で「つくる会」の歴史と公民の教科書を採択した。04年8月には、東京都立初の中高一貫校である台東地区中高一貫校(05年4月開校)で「つくる会」歴史教科書を採択した。今年夏の大量採択(06年度以降に使う教科書を一斉に決定する)を前にして、市区町村教育委員会に“「つくる会」教科書を採択せよ”とはっぱをかけたのだ。「つくる会」は、石原、加戸(愛媛)、松沢(神奈川)、上田(埼玉)など「つくる会」支持者の首長―教育長ラインで、採択率10%を狙っている。今春闘争は、今夏の教科書採択時に「つくる会」教科書採択を許さないためにも、重大な意義を持っている。
これは戦争国家化を阻む最先端の闘いだ
「日の丸・君が代」強制を頂点とする石原「教育改革」攻撃との対決は、けっして教育労働者だけのテーマでも、東京の労働者だけのテーマでもない。ファシストが教育を完全に制圧し、教育をテコに社会全体を戦争体制に大改造することなど、絶対に許すわけにはいかない。
日本経団連が『わが国の基本問題を考える〜これからの日本を展望して〜』『これからの教育の方向性に関する提言』を発表したことは、教育基本法改悪・憲法改悪攻撃がこれまでの延長線上にはない重大局面を迎えたことを意味している。重大なのは、これが“自民党のタカ派の一部の主張”というレベルの話ではないということだ。日本の支配階級・資本家階級の本流が“教育基本法改悪・憲法改悪へ突き進め”と大号令を発したのだ。
教育労働者の不起立闘争は、この歴史を画する重大攻撃の前に立ちはだかる巨大な力を持っている。
第1節 今春こそ勝負!信念貫き闘おう
昨年春、「日の丸・君が代」処分を受けた労働者は248人、都高教7000組合員の約3%である。しかしその行動は、朝日・読売・毎日・産経の各紙が社説で取り上げ、新聞社同士で大論争をするという事態まで生み出した。そして全国の労働者に巨大なインパクトを与え、限りない勇気と闘う意欲をつくり出した。「日の丸・君が代」闘争、教育をめぐる闘いとは、社会全体を揺るがす大問題であり、全人民のテーマなのである。
勝負の時は、今年の春である。東京において昨年を上回る500人、1000人の教育労働者が不起立闘争に立ち上がれば、石原を絶対にぶっ飛ばせる! 今春「日の丸・君が代」闘争は、教育労働者の未来を決する闘いであるだけでなく、日本の労働者全体の行く末を決する決定的な意義を持つ闘いである。
職場・分会の団結した力で、昨春を上回る不起立闘争を実現し、石原と都教委に総反撃をたたきつけよう。堂々と胸を張り、信念を貫いて闘い、勝利を切り開こう!
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週刊『前進』(2188号2面2)(2005/03/07)
カクマル またも「フキリツは挑発」 「告訴・告発」の正体あらわ
ファシスト石原と都教委による「日の丸・君が代」強制の攻撃に対する闘いは、日帝・小泉の戦争と民営化(労組破壊)攻撃を打ち破る最前線の闘いである。昨年の不起立の闘いは、すべての労働者人民への激励であり、衝撃であった。連合と全労連の既成の指導部によって押さえつけられていた重しを吹き飛ばす意義をもっていた。
これに対する石原と都教委の処分攻撃は、権力の焦りにみちた報復であり、予防反革命攻撃であった。これにひるまず怒りをもって反撃を組織し、昨年を倍する不起立をもって闘うならば、敵の思惑を粉々に打ち砕くことができる。
この闘いの発展に震え上がり、大衆的な不起立決起の拡大を阻止しようとあがいている勢力がいる。それがカクマルである。
昨年11月に開始した「告訴・告発」運動は、不起立で闘うかどうかが問われている時に、そこから目をそらさせ、検察権力に石原を起訴してもらおうというナンセンスきわまりない方針である。副知事に警察官僚を登用し、治安弾圧に最も力を注いでいる石原都政を、今日の権力が立件する? とんでもない幻想だ。あたかも「石原を弾劾し、石原と闘っている」かのように装いながら、「日の丸・君が代」闘争を破壊することにカクマルの目的があることは明白だ。そうして、教労内のカクマル組織を維持し、延命しようと図るカクマルならではの見え透いた手口だ。
「春闘」集会で闘争破壊宣言
カクマルは、これまでも「不起立運動は挑発」とののしって敵対してきたが、ここへ来てさらに露骨になった。2月11日に行われたカクマル「春闘」集会(この集会は教労、全逓、自治労などの発言はあるが、交運労働者の発言がないのはどうしたことだ?)で、基調報告を行った「教育労働者」は、さらに声を大にして不起立の闘いを非難している。
「彼ら(中核派)は、毎朝学校の校門にやってきては、教師、生徒の見境なくビラをまき散らして、『フキリツ、フキリツ』とシャックリのように挑発的言辞をくりかえし……」。カクマルは権力や都教委、校長の立場に立って、「ビラまきはやめてくれ」と叫んでいる。そして、「こうした『フキリツ運動』なるものは、まさに挑発者のそれでしかないのだ」と言って、あからさまに不起立の決起に敵対している。この基調報告を収録した反革命通信『解放』では、わざわざ「フキリツ」とカタカナで書いて不起立闘争への敵意と侮蔑(ぶべつ)を表している。不起立闘争破壊宣言そのものである。
カクマルは一方で、「一定の諸条件のもとでは国歌斉唱時の起立を拒否するという闘争形態をも駆使してたたかう」などと言っているが、これは「条件がないから闘わない」と言っているのだ。都教委の強制攻撃に対して一人ひとりの教育労働者が悩み考えているのと無縁なところで、こんな言葉をもてあそんでいることをどうして許せるか。
都高教決定は「闘う方針」!?
そればかりか、カクマルは、都高教執行部の屈服方針に対しても完全に容認した。2月8日の都高教本部委員会で「戦闘的修正案を集中し、またしても原案の大量修正を勝ちとりたたかう方針を確立した」と。
この会議では、闘う方針を求める修正案が多くの分会の共同提案として提出された。しかし本部は、肝心の「職務命令がでたときには、『処分者を出さない、いったん引く』ことを組織方針とする」という方針の撤回はあくまで拒否し、数を数えることもなく「少数否決」と宣言し、なりふり構わぬ暴挙で組合員の闘う意思を踏みにじったのだ。これがどうして闘う方針か。カクマルは2・8決定を「たたかう方針」だからこれに従えと恫喝しているのだ。口先で都高教指導部を批判するポーズをとっているが、カクマル自身がその執行部の手先でしかないことを自己暴露している。
動労カクマル松崎と同じだ
中曽根の「戦後政治の総決算」攻撃の突破口であった国鉄分割・民営化の攻撃に対して、カクマル黒田と松崎は動労カクマル組織を維持するために全面屈服し、分割・民営化=20万人首切り攻撃の先兵となった。この恥ずべき歴史を今、教労カクマルが繰り返しているのだ。「日の丸・君が代」攻撃に屈服し、起立することは、教え子を再び戦場に送ることにつながる裏切りであり、戦争協力拒否ではなく戦争協力そのものである。このことが今、一人ひとりの教育労働者に問われている。その時、カクマルは、不起立で頑張るのは間違いだ、それは挑発だ、「君が代」斉唱には起立して応じるのだと宣言したのだ。
今日、カクマル松崎は、法律が通ったら軍事輸送には応じる、という立場を公式に表明している。自分たちが生き延びるためには戦争に協力すると言っているに等しい。カクマルはこの同じ論理で、「日の丸・君が代」強制に屈服し、起立すると宣言したのだ。これが「告訴・告発」運動の本性である。このようなカクマルの敵対を粉砕して「日の丸・君が代」決戦の爆発をかちとろう。
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週刊『前進』(2188号2面3)(2005/03/07)
自分あて宅急便で「私文書偽造」!? 石原が理不尽な弾圧
都政を革新する会の議会活動・政治活動に対して、警視庁が、またも許すことのできない、言語道断の不当弾圧を加えてきた。
2月21日朝、都革新のAさんが杉並区役所前で、区民とともに「日の丸・君が代」強制に反対し、またこの日の区議会の傍聴を呼びかける宣伝を行っていたところ、突然十数人の公安刑事が襲いかかり、問答無用でAさんを逮捕し連れ去った。それを口実にして直ちに同日昼過ぎ、区内上高井戸の都革新事務所に不当な捜索を強行した。
逮捕・捜索の理由は、Aさんが「K」という日ごろ使っているペンネームで自分の衣類などを都革新の事務所に宅急便で送ったことが、なんと「有印私文書偽造」にあたるというのだ。
いったい、どこが「犯罪」だというのか! これでは筆名、芸名を名乗って活動する人は全員逮捕されてしまうではないか。この間、警視庁は、ビラまきや運転免許証の更新などで言いがかりをつけ、デッチあげ弾圧を繰り返してきた。今回は6月都議選を前にして弾圧の手口を新たにエスカレートさせてきたのだ。
この日は結柴誠一区議が区議会質問で、「特攻隊」を賛美する山田区長を追及することが予定されていた。弾圧は直接的には、この区議会質問への妨害を狙って行われたものである。
さらに、この弾圧は「日の丸・君が代」強制反対・教育基本法改悪反対闘争への大弾圧である。ファシスト石原知事と警視庁は、闘いの広がりに危機感を深め、なりふり構わぬ弾圧に出てきたのだ。
こんな理不尽な弾圧に絶対に屈服するわけにはいかない。言論・表現活動、政治活動の権利を踏みにじるこの暴挙を許していたら、戦争と暗黒の時代になってしまう。全人民の怒りで粉砕しよう。3月卒業式闘争の爆発をかちとろう。
警察の妨害に屈することなく、多くの支援者が傍聴席で見守る中で、結柴区議が山田区政、石原都政を徹底的に弾劾し追及した。
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週刊『前進』(2188号2面4)(2005/03/07)
東京東部で交流集会 被処分者が「不起立」宣言
2月17日、「労働者はたたかって元気になろう/05春 東部労働者交流集会」に参加しました(写真)。11・7労働者集会に参加した下町の労働者がナショナルセンターを越えてつくった集会です。焦点は「日の丸・君が代」をめぐる教育労働者の闘いでした。
集会は動労千葉新小岩支部の佐藤正和支部長の司会で始まり、地域で統一戦線をつくって闘う民間労組の労働者、自治体労働者、そして解雇攻撃をうち破って原職復帰を実現した労組の発言が続きました。
司会が義務制の教育労働者に代わり、教育労働者の特別ステージです。都立高校から、今回再雇用の不合格を通告された被処分者、被解雇者の会の代表、そして被処分者の代表の発言が続きました。特に卒業式を前に校長の職務命令をめぐって、分会を挙げて激しく職場闘争を闘っている被処分者の生々しい報告は、迫力のあるものでした。自分たちで企画し、いったんは校長も了解したスライド上映を拒否された生徒が、教師の予想も超えて校長を追及する事態も起きていることが報告されました。
司会の教育労働者が、きっぱりと「座ります」と不起立を宣言しました。すると被処分者が再度マイクを握って「言い忘れましたが、私も今年、減給処分を覚悟で再度不起立を貫きます」と断固として宣言したのです。会場は緊迫した感動に包まれました。
争議に勝利した合同労組の仲間が、「労働者は首をかけて闘わなくてはならない時がある」と教育労働者に感動的なエールを送りました。婦人民主クラブ全国協江戸川支部が3・8国際婦人デー集会を呼びかけ、実行委代表が、教育労働者の闘いに感銘を受けたと述べ、「この集会でいつも元気をもらって帰る。今こそ立場の違いを越えた地域の統一戦線で闘おう」と訴えました。
最後に「日の丸・君が代」強制中止を各校長に求める決議を確認しました。
(投稿/古田勝一)
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週刊『前進』(2188号2面5)(2005/03/07)
2・3〜2・18
規制改革推進会議 労働法改悪を「追加答申」
派遣労働者5年で2.6倍/松下が職種別賃金導入へ
●所定内給与、東京と青森で14万円の差 厚労省が、04年の賃金構造基本統計調査の結果を発表。所定内給与で最も高いのは東京都の36万7200円、最も低いのは青森県の22万3700円。両都県の差は14万3500円。(3日)
●大阪市と市労連の交渉開始 市が一方的に発表した「総額180億円の手当などの削減案」について団体交渉が始まった。(4日)
●日本経団連「優先政策事項」を改定 日本経団連は「優先政策事項」を改定した。「戦略的な外交・安全保障政策の推進」を追加するなどした。(7日)
●全労連が共謀罪反対の談話 共謀罪新設について全労連は「断固反対」との談話を発表。(7日)
●基幹労連が中央委 基幹労連は10日まで中央委員会を開き、統一的なベア要求を放棄。(9日)
●三菱自労組、一時金、過去最低の3カ月要求 三菱自動車労働組合は中央委員会で、今春闘の年間一時金要求額を過去最低の3.0カ月とすることを決めた。ベア要求は3年連続で見送る。(14日)
●基幹労連が要求書提出 基幹労連に加盟する造船や鉄鋼の大手労組が、要求書を経営側に提出。3月16日に回答が集中。(15日)
●規制改革会議が「追加答申」の素案検討 政府の規制改革・民間開放推進会議は、3月末に予定している「追加答申」の素案について議論。(15日)=要旨別掲
●JT、年功型賃金を全廃 日本たばこ産業(JT)は06年4月から年齢給など年功型賃金を全廃する。(15日)
●松下電器、職種別賃金制を検討 松下電器産業は、営業や技術、人事などの職種ごとに賃金体系を分ける「職種別賃金制度」導入の検討に入ることを明らかに。早ければ06年度にも導入へ。営業や技術、人事、情報システムなど10程度の職種に分ける想定。給与体系が職種ごとに決まるので、配属職種によって年収が大きく変動することになる。(15日)
●奈良市水道局、手当見直し 奈良市水道局が、全職員に一律に支給している月額1万3000円の「企業手当」見直しを検討。(16日)
●JT、希望退職35% JTは希望退職者が全社員の約35%に当たる5796人になったと発表。25工場のうち15工場を閉鎖。(17日)
●派遣労働者、236万人に 厚労省は、「労働者派遣事業の03年度事業報告」の集計結果を発表した。派遣労働者数は約236万人で対前年度比10.9%の増加。5年間で2.6倍になった。(18日)
●国公労連が「自ら是正」方針 国公労連は「『ヤミ、カラ』批判を受けかねない労働条件は、それが闘いの到達点であっても、自ら是正する運動を」とする小田川書記長の談話を発表。(18日)
規制改革会議の「追加答申」(労働分野)の概要
内閣府の規制改革・民間開放推進会議が論議した検討項目は介護職の業務範囲等の明確化など16項目。「雇用・労働」については、@「労働者派遣における事前面接の解禁」とA「労働時間規制の適用除外(エグゼンプション)」。
@は、派遣の事前面接は現行法では「採用行為」とみなされ、雇用主でない派遣先企業には厳しく禁じられている。労働側は「派遣先による容姿・年齢差別を助長する」と批判している。
Aは、アメリカのホワイトカラーエグゼンプション制度を参考に、「裁量性の高い業務」に限り労働時間規制を適用除外すべきというもの。適用除外なら「1日8時間」「週40時間」「週1回の休日」「時間外手当」などの規定は意味をなさなくなる。8時間労働制の解体だ。
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週刊『前進』(2188号3面1)(2005/03/07)
05年「日の丸・君が代」春闘の爆発へ 動労千葉のストと連帯し
戦争と民営化(労組破壊)の攻撃を団結してはね返そう
05春闘は、日本帝国主義―小泉=奥田路線による戦争と大民営化攻撃に対して真っ向から闘う春闘である。アメリカ帝国主義の2期目のブッシュ政権が「自由と民主主義の拡大」の名のもとに世界戦争の拡大を宣言し、日帝・小泉政権がそれと完全に一体となり、イラク派兵を継続し、米軍の世界的再編(トランスフォーメーション)の一環としての在日米軍の強化、自衛隊の一体化を進めている。まさに戦時下での春闘である。当面する最大の決戦が、東京都立学校の卒業式での不起立闘争を拡大する「日の丸・君が代」強制拒否の闘いである。そしてさらに、3月中〜下旬を焦点にストライキを含む闘いに立ち上がる動労千葉と連帯し、団結を打ち固め、4大産別を先頭に全産別の闘いを発展させることだ。連合や全労連の指導部の屈服と裏切りを突き破り、05春闘の戦闘的高揚をかちとろう。
経労委報告・改憲提言に全面対決する春闘
05春闘は、昨年末以来の帝国主義の「外への侵略戦争、内への階級戦争」のすさまじいエスカレーションのもとで闘われる。
05年は戦後60年、自民党結党50年であり、まさに歴史の節目である。この戦後の日本帝国主義の体制が完全に行きづまる中で、日帝ブルジョアジーは日本経団連の奥田会長らを先頭に、小泉政権と一体化し、激化する帝国主義間争闘戦に日帝資本が勝ちぬくための方策を、さまざまな報告、提言として打ち出している。
昨年12月に今春闘に向けたブルジョアジーの方針として出された「05年版経営労働政策委員会報告」は、「『攻めのリストラ』へと軸足をシフトする」と称して、「ベアゼロ」よりも踏み込み、「ベア」という言葉すら一掃することを宣言し、定期昇給の廃止を唱えている。さらに「正社員」「非正社員」という呼び名もなくし、労働者の大多数を非正規雇用=首切り自由の不安定雇用に突き落とすと叫んでいる。
さらに、労働基準法などを「工場法の時代の遺制を引きずる」ものと言いなし、労働者階級の血と汗でかちとってきた労働者保護法制を全面的に撤廃し“工場法以前に戻せ”と叫んでいる。特に8時間労働制の解体は重大な攻撃である。
資本家どもが生き残るためには、労働者階級を労働力商品として搾取し尽くし、その生存などどうなろうが構わないという、資本主義の発生期のような本質がむき出しである。
また「民間にできることは民間に委ねる」という原則のもと、「市場化テスト」(官民競争入札による民営化)や、「公務員の身分」の保障を撤廃する公務員制度改悪を提言した。
それだけではない。03年の奥田ビジョンで打ち出した「東アジア自由経済圏」の形成に向けて、自由貿易協定の締結などに後れをとっていることにいらだちをあらわにしながら、その推進を絶叫している。
経労委報告は、1月18日に経団連が発表した「わが国の基本問題を考える」(改憲提言)や、同日の「これからの教育の方向性に関する提言」と一体のものとして見る必要がある。
特に、「わが国の基本問題を考える」は経団連として初めて「外交・安全保障や憲法」についての提言として出されたものであり、憲法第9条の解体を真っ向から打ち出したものである。それは「わが国は、東アジア自由経済圏の構築と日米同盟の強化を外交政策の軸」とするとし、「国際安全保障への積極的協力」をうたい、そのために憲法上、自衛隊が「国際平和に寄与する活動(世界戦争のことだ!)に貢献・協力できる旨を明示すべき」と言っているのだ。
また、教育についての提言と併せて、教育基本法の改悪をも真っ向から打ち出している。
これらの提言は、帝国主義が米帝ブッシュのヘゲモニーによる米英日枢軸をもって世界戦争に突入しつつある中で、日帝が〈小泉=奥田路線〉をより鮮明にしたものである。しかも、ブルジョアジーが、自らの利益を貫き、「国際競争」=市場と勢力圏の分割・再分割をやるための帝国主義間争闘戦に勝ちぬく国家政策として、「国益」をかけて戦争をやれる体制をつくることを要求している。まさに“帝国主義”としての本性がむき出しである。
戦後の成長を経て「経済大国」となった日帝が、労働者人民をこれまでのように食わせていくこともできないばかりか、戦争をする以外に生き延びられないという死の苦悶(くもん)にのたうっていることを示しているのである。
2月19日の日米安全保障協議委員会(2プラス2)で打ち出した日米の「共通戦略目標」は、イラクからイラン、北朝鮮、そして中国へと侵略戦争を拡大していくために、日本をアジア・太平洋地域の戦略拠点にするものである。これが経団連の要求でもあるのだ。
そして、そのために特に教育基本法の改悪を提言しているのは、労働者人民を戦争に動員するための教育にすることであり、そのために労働組合としての日教組を解体することを要求している。それは、総評傘下にあって唯一戦後の綱領的スローガンとして残っている「教え子を再び戦場に送るな」というスローガンを降ろせということだ。
このような戦争と民営化(労組破壊)の攻撃と真っ向から対決するのが05春闘である。それは3月卒業式闘争の爆発を軸とする「日の丸・君が代」春闘だ。
3月卒業式闘争から4大産別の総決起へ
これらすべての攻撃と対決し、05春闘の決定的な一環として教育労働者を先頭に全産別の課題として闘われなければならないのが、3月卒業式の「日の丸・君が代」闘争である。
とりわけ、東京の不起立闘争を昨年を上回る闘いとして爆発させることだ。東京の闘いは、何よりもファシスト石原と真っ向から対決する闘いである。石原東京都知事こそ、小泉=奥田の「教育改革」攻撃を最右翼から支え推進しているからだ。03年10・23都教委通達は、天皇制と戦争の象徴である「日の丸」を仰ぎ見ろ、「君が代」を立って歌えと強制するものである。
これに対する昨年の都高教の労働者を先頭とした処分を辞さない不起立闘争は、石原に大打撃を与え、労働運動の〈分岐・流動・再編・高揚〉情勢を促進し、教基法改悪・改憲阻止闘争の方向を指し示したのだ。それはまた、労働者の「戦争協力拒否」闘争そのものである。今、全国の教育労働者が「東京を孤立させるな」と「不起立宣言」を発し、東京の教育労働者とともに決起しようとしている。その最先端で、都高教の連合派執行部などの制動をはねのけて、東京の不起立闘争を全力で支援し、発展させよう。
これが「日の丸・君が代」春闘と言うべき、05春闘の第一の課題である。
3・20を労組の大統一行動に
第二の課題は、3・20国際反戦闘争を、ナショナルセンターの枠を越えた労働組合を中心とした大統一行動としてかちとることだ。
自衛隊のイラク派兵が継続され、武力攻撃事態法に基づく「指定公共機関」が指定され、国民保護法が施行される中で、自治体や運輸・通信・医療・放送などの戦争動員・協力が具体的に強制されようとしている。労働組合の戦争協力拒否の闘いが決定的になってきているのだ。昨年3・20の陸・海・空・港湾労組20団体を先頭とした統一戦線をより発展させ、さらに全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同、動労千葉の3労組が呼びかけた11・7労働者集会の国際連帯の地平を全面的に発展させる闘いが求められている。
3・20闘争を、イラク反戦、改憲阻止の統一戦線を発展させる跳躍台としてかちとろうではないか。
郵政・自治体の大民営化攻撃
第三の課題は、戦争と民営化攻撃を一体のものとしてとらえ、4大産別を先頭に、民営化=資本攻勢それ自体と闘う春闘を戦闘的に闘い、その中で労組解体攻撃を打ち破ることだ。
特に、大民営化攻撃の本質をはっきりさせなければならない。民営化とは「官から民へ」の名のもとに、郵政や自治体などを民営化する攻撃である。それは昨年6月に閣議決定された「骨太方針W」や12月の「新行革大綱」、さらに政府の「規制改革・民間開放推進会議」の第1次答申に明らかなように、すべての公的部門を民営化の対象にするものである。そこで働く労働者の首を切る、あるいは不安定雇用化する。そうして国家権力機構内にある全逓、自治労、日教組などの官公労系労組を破壊する攻撃なのである。
同時に、それをとおして、資本に対するあらゆる規制を撤廃させ、全社会を弱肉強食の論理で覆い尽くそうとするものだ。年金・医療・介護などの社会保障制度すらも民営化することがたくらまれ、労働者階級の全生活を資本の支配とむき出しの搾取と収奪の対象にしようというのである。民間資本がより利潤を上げるための大リストラをも加速させるものとなるのだ。
したがって、4大産別決戦は、民間も含めた全産別の労働者の未来がかかった決戦にほかならない。
教労戦線の「日の丸・君が代」闘争は同時に、教育労働者の多忙化―労働強化や人事評価制度、06年度にも導入が狙われている「教員免許更新制」などの首切り攻撃、さらに教育の民営化攻撃を打ち破る闘いでもある。
郵政分割・民営化攻撃と闘う全逓労働者の闘いも正念場を迎えている。小泉政権は、郵政事業の4分社化と非公務員化を絶対に譲れないものとして、「小泉改革の本丸」の攻撃を強めている。自民党との一定の「調整」の上で関連法案の提出を強行しようとしている。国家公務員の3分の1近くを占める郵政労働者を非公務員化し、その過程で国鉄分割・民営化と同様の〈いったん全員解雇・選別再採用〉方式を貫き、活動家パージを行おうとしているのだ。07年民営化を前に、「効率化勧奨退職」や「人材活用センター」設置などで、すさまじい人員削減が狙われている。郵政民営化攻撃との闘いは、その後の公務員制度改悪攻撃との闘いの成否を決する位置を持っている。物ダメ・ストライキを復権させ、郵政民営化を阻止しよう。
自治体・公務員労働運動は、指定管理者制度による民営化攻撃が吹き荒れ、今国会で「市場化テスト法」の成立が狙われている。公営企業の地方独立行政法人化や民営化攻撃も激化する。430万人の公務員労働者全体が、競争原理にさらされ、首切りと権利の剥奪(はくだつ)が行われようとしているのだ。政府は、国家公務員の賃金について、能力等級制の導入に先立ち、全国一律で5%程度引き下げて「地域手当」で地域格差をつける大幅賃下げ攻撃を8月の人事院勧告に盛り込み、関連法案を成立させて直ちに実施する方針を打ち出した。自治体・公務員労働運動においても、今こそストライキで闘おうという声が満ちあふれている。
国鉄1047名闘争勝利へ
さらに、国鉄労働運動も今春闘過程で重大な局面を迎える。国鉄1047名闘争は、国労中央や全労連中央の敵対を打ち破り、鉄建公団訴訟を軸にして国労、全動労(建交労)、動労千葉の3組合の団結を発展させることが勝利のカギである。3月7日には国労闘争団の鉄建公団訴訟が結審を迎える。動労千葉の鉄建公団訴訟は3月11日から口頭弁論が始まる。
1047名闘争が、国鉄分割・民営化から18年を経て、なおも不屈に闘い続けられていることは、4大産別決戦の勝利の展望を指し示していると言っていい。国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いが国労再生の闘いの軸となっている。この中で、動労千葉が05春闘においても3月中〜下旬を焦点にストライキを配置して闘おうとしていることは決定的に重要である。それは、大幅賃上げや反合・運転保安闘争、強制配転者の原職復帰などの、資本攻勢との闘いの普遍的な課題を掲げたものである。そして、日帝・JR資本による「国鉄改革の総決算」攻撃を、国鉄分割・民営化体制―JR資本とJR総連カクマルの結託体制の破綻(はたん)に転化し、いよいよ動労千葉の組織拡大に結実させていく闘いである。
資本攻勢の嵐に抗し大幅賃上げの実現を
ここで、最近の資本攻勢の実態と賃金闘争を中心とした春闘をめぐる情勢について押さえておきたい。
一つは、「攻めのリストラ」と称する資本攻勢が激化していることである。例えば、営業利益が前期比53%増の松下電器は、さらに収益力を高めるためと称して、今期の早期退職者数が7千〜8千人(国内労働者の約6%)という人員削減を強行する。他方、業績悪化が続くJT(日本たばこ産業)は、全労働者の35%の5800人が希望退職するという。
二つに、経団連が経労委報告で要求している規制撤廃が、小泉政権の方針となろうとしていることだ。規制改革・民間開放推進会議は2月15日、規制改革の追加案を決め、派遣労働者の事前面接の解禁を求めた。派遣労働者は03年度は236万人で前年度比10・9%増だ。昨年の派遣法の改悪により製造業への派遣も解禁され、さらに増加している。派遣労働者の事前面接とは、活動家パージ、労組破壊攻撃であり、団結を一層解体するものだ。
また、アメリカのホワイトカラー・エグゼンプション制度のように、事務労働者の従事する業務のうち、裁量性の高いものについては、労働時間規制の適用から除外することを求めた。
これらが、3月下旬の「規制改革・民間開放推進3カ年計画」に盛り込まれ、閣議決定されようとしているのだ。
連合・全労連の屈服打ち破り
三つに、賃金闘争の解体が激しく進んでいることだ。金属大手の集中回答日が3月16日で、その後、電力、NTT、私鉄、JRなどの公益企業、中小の回答が続こうとしている。
許しがたいことに、連合は4年連続で統一要求を放棄した。その中で、2年連続1兆円超で最高の純利益を更新しているトヨタ自動車の労組を始め、電機などの大手企業労組が軒並みベア要求を放棄している。上場企業の05年3月期の予想連結経常利益が2年連続で過去最高を更新するにもかかわらず、連合主要産別はベア要求すら放棄し、一時金要求も業績に応じて格差をつけるという状況だ。
また、経労委報告の定昇廃止の主張に呼応し、各企業で年齢給などの年功的要素を一切なくす賃金制度改悪を進めている。松下電器が職種別賃金を導入して、営業や技術などの職種ごとに格差をつけようとしている。これまでの目標管理による成果主義とも異なり、職種や仕事内容で賃金が決まるというもので、労働者の団結を全面的に解体する攻撃である。定昇制度を全廃したキヤノンは、「賃金改定」を4月から1月に変更し、春闘から全面撤退しようとしている。
連合会長の笹森は、「全員の賃金が上がる発想は捨てないといけないだろう」(朝日新聞2・9付)などと言って、こうした賃金制度改悪を完全に容認しているのだ。
また連合は、統一要求を放棄する一方で、「大手と中小の格差是正」なる方針を掲げている。例えば中小労組の多い最大産別のUIゼンセン同盟は「賃金引き上げ基準1千円」という方針だが、意識的に「ベア」の言葉を使っていない。そもそも大手の賃上げ要求を掲げない「格差是正」なるものは、労働者の賃金総体の引き下げをもたらし、いわば“貧困の平等”を強制するような階級支配を強化するものなのだ。
総務省の家計調査によれば、04年の1世帯当たりの実収入はピークの97年に比べて6万5000円も減少している。労働者の生活は、社会保障負担の増大や今後の増税攻撃によって一層苦しくなる。労働者の要求は大幅賃上げなのだ。
全労連も、経労委報告について「賃上げを認めている」などと的はずれの評価を行い、「企業の社会的責任を果たすこと」に期待をかけると言って、資本への幻想をあおっている。
これら、連合や全労連の指導部の屈服・裏切りを許さず、職場の団結を固め、05春闘を大幅賃上げを掲げて闘おう。
治安弾圧との闘い強めよう
第四の課題は、労働組合への治安弾圧と闘い、団結を守りぬくことである。
関西生コン支部に対する弾圧を粉砕し、共謀罪を先取りする労組弾圧と闘う陣形をつくり出そう。そして3労組共闘を守りぬこう。
全金本山労組の「2名の解雇撤回・全員の原職奪還」の全面勝利は、労働運動の原則を貫くことこそ勝利の道であることを示している。この勝利の地平を共有しよう。
「日の丸・君が代」春闘と動労千葉春闘をともに闘い、全労働者階級の中に広め、闘う新潮流運動を発展させよう。革共同をプロレタリア革命を実現する革命的労働者党として発展させよう。この中で青年労働者の運動を大きくつくり出そう。青年労働者はマルクス主義青年労働者同盟に結集しよう。
〔大沢 康〕
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週刊『前進』(2188号3面2)(2005/03/07)
動労千葉 3月中〜下旬にスト配置 運転保安確立、定昇解体阻止
定期委で春闘方針を決定
指名スト―全組合員対象へ
動労千葉は2月20日、千葉市のDC会館で第52回定期委員会を開催し、「05春闘勝利―組織拡大を中心とした当面する取り組み」について討議し、3月中〜下旬に焦点をあてて、ストライキを配置する方針を決定した。「具体的な戦術配置については、『仕業緩和』を求める行路を指定した指名ストライキ、全組合員を対象としたストライキ等を組み合わせて要求の解決を求めていくこと」とした。
「05春闘の新賃金及び労働条件改善、反合・運転保安要求」は次のとおりだ。
@3万8000円の大幅賃上げ獲得、定期昇給制度―賃金制度改悪阻止。
AJR貨物における「生活改善一時金」30万円(55歳以上の社員は40万円)の獲得。
Bシニア制度撤廃―定年延長と、65歳まで働ける労働条件の確立、55歳以降の賃金減額制度の撤廃。
C第二基本給制度の廃止。
D差別なき基準昇格制度の確立。
E諸手当改善。
F強制配転者の原職復帰、予科生の士職発令、不当労働行為根絶。
G限界をこえたロングラン行路の緩和。
H業務外注化計画―幕張電車区縮小計画の中止。
Iたび重なるレール破断に対する抜本的な安全対策の実施。
J安全にかかわる一切の規制緩和計画の撤回、この間の重大事故に対する経営責任の明確化、安全問題の職場規律攻撃へのすり替え、背面監視、乗務停止乱発攻撃の即時中止。
K1047名の解雇撤回―原職復帰。
強制配転者が検修職場復帰
定期委員会であいさつに立った田中康宏委員長は、冒頭、駅などに強制配転されていた組合員が昨年と今年1月までの9人に続いて、3人が2月25日付で幕張電車区に復帰することを明らかにし、「JR体制の堤防決壊まで闘い続ける」決意を表明した。そして、今春闘をめぐる情勢の特徴を提起した。
第一は、05春闘が戦後60年という戦後の歴史の分岐点で闘われることだ。
07年の憲法発布60年、教育基本法、労働基準法制定60年に向けて、特に小泉政権は憲法改悪攻撃に手をつけている。また、07年は国鉄分割・民営化20年であり、05年は動労千葉が国鉄分割・民営化反対の第1波ストライキを闘ってから20年になる。そういう中での春闘である。
戦時体制下の正念場の春闘
第二は、戦争と民営化に対決する春闘である。
日本経団連は、ベースアップそのものをなくし、定昇を廃止すべきだと言っている。「攻めのリストラにシフトする」と言い、労働者を保護する法律、規制を撤廃し、労働基準法は「工場法時代の遺制」だからつぶしてしまえと言う。8時間労働制をつぶせということだ。さらに、徹底的な民営化が、郵政民営化や市場化テストで行われようとしている。民営化とは、国鉄分割・民営化に明らかなように、労働者の雇用、賃金を破壊し、労組を破壊する攻撃だ。
この背景には、世界で戦争をやり、労働者を虫けらのように犠牲にする以外にない帝国主義の危機がある。日本経団連は「国の基本問題」に関する提言で憲法改悪を迫り、東アジア自由経済圏と日米安保の強化が外交政策の軸だとして、戦争をする以外に日本の資本主義は生きられないということを財界の要求にしている。まさに「戦時体制下の中で労働運動の正念場の春闘」である。
「国鉄改革の総決算」と対決
第三に、国鉄分割・民営化を総決算する動きが本格的に開始される情勢下での春闘である。
JR東日本における国労の配属差別事件についての和解が成立し、昇進差別事件についても中労委で和解作業が進んでいる。「会社は労務政策を変えた」と言っているという。カクマルは国労組合員の隔離職場であるベンディング職場の廃止に激しく反対し、会社と対立している。一方、国労本部は1047名闘争を切り捨て、労資協調に向かっている。
この事態の本質は、国鉄分割・民営化体制が破綻したということであり、それは特に労務政策の破綻と安全の崩壊として現れている。さらに1047名闘争が不屈に闘い続けられている。
田中委員長は、こうした中での「国鉄改革の総決算」攻撃について、「この攻撃をわれわれは甘く見てはいけない。カクマルもぶっ飛ばし、国労も動労千葉もつぶすという意味を持つ。しかし、動労千葉が本気で勝負をすれば、これまで18年間、不当労働行為や差別の中で悔しい思いをしてきたことを全部動かせる可能性がある情勢だ。JR東労組の存立基盤が揺らぐ。われわれにとって格好のチャンスだ」と語気を強めた。
そして、「われわれが国鉄分割・民営化に首をかけて真正面から立ち上がったことが、この情勢をつくってきた。敵の側に矛盾を強制してきた。第2の分割・民営化攻撃が始まってから4年間の闘い、去年の2月闘争以来、強制配転者の原職復帰を実現してきたことの意味は考えていた以上に大きい」と総括した。
組織拡大へ勝負をかける
その上で、@大幅賃上げ獲得、貨物会社を焦点にした賃金制度改悪阻止、A反合・運転保安春闘、B強制配転粉砕、予科生の士職登用、C組織拡大闘争への総決起などを訴えた。
反合・運転保安については、2月13日に総武快速線下りの幕張本郷駅付近で、またもレールが30_も破断する事故があったという。この安全崩壊の現実に徹底対決することだ。また、館山から東京を1日2往復するというロングラン行路が設定されたり、年休も取れないような要員の逼迫(ひっぱく)状況がある。これに対して仕業緩和を求めて闘う方針を提起した。
組織拡大について、田中委員長は「日本労働運動に大きなインパクトを与える。動労千葉が結集軸になって資本との力関係を変えるところまで前進することができる。職場闘争なくして組織拡大はない」と強調した。
教育労働者と連帯、3・20へ
最後に、田中委員長は、石原都知事のファッショ的な弾圧に抗して立ち上がった東京の教育労働者の「日の丸・君が代」闘争、不起立闘争と結びつくことと、3・20イラク開戦2周年の国際反戦大統一行動の実現に向かって闘いぬくことを訴えた。
動労千葉の3月中〜下旬のストを含む決起と連帯し05春闘をともに闘おう。
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週刊『前進』(2188号4面1)(2005/03/07)
3月滑走路「北延伸」決定粉砕を 成田の軍事空港化を阻もう
3・27三里塚全国集会へ
赤坂 潤
「日の丸・君が代」強制に反対する3月卒業式闘争が階級決戦として焦点化する中、三里塚闘争は暫定滑走路の「北延伸3月決定」をめぐる大攻防に突入した。反戦の砦(とりで)として実力闘争を貫き、労働者人民の闘いの生命線を何度も守り抜いてきた三里塚闘争が正念場を迎えたことを革共同は声を大にして訴える。3月決戦は卒業式闘争と3・20イラク反戦闘争、そして三里塚3・27全国闘争(反対同盟主催、三里塚現地)の一体的闘いである。天神峰現闘本部裁判を支援する会運動
への各支援団体、労働団体の取り組みの強化をかちとり、3・27三里塚全国集会に集まろう。
戦時下で反戦の砦三里塚の意義鮮明
かつて日本帝国主義は、アジア・太平洋侵略の15年戦争で2千万人を殺りくした。その中で米英帝国主義のアジア権益と衝突、日独伊枢軸を結んで対米開戦にのめり込んだ。そして沖縄戦からヒロシマ・ナガサキの被爆にいたる膨大な犠牲を人民に強いて1945年の敗戦へと転がり落ちた。
「永久に戦争を放棄する」「軍隊を保持しない」とうたった現行憲法9条は、灰燼(かいじん)に帰した街並みで「戦後復興」の途についた労働者・農民の「2度と戦争の過ちは繰り返さない」との痛苦の思いと反帝国主義の闘い(戦後革命闘争)の反映でもあった。
それから60年。日帝は日米枢軸を結び、アジアと中東の帝国主義的権益を確保するためにイラク侵略戦争に自衛隊を派兵し、ついに9条改憲を政治日程にのせ、文字どおりの戦時国家へと逆戻りしつつある。「拉致問題」での排外主義の扇動や日本独自の核武装論の台頭など、政治反動の勢いはすでに戦前並みだ。
しかしこの日帝の歴史的政治反動は、いまだその核心部において労働者人民の階級的抵抗を突破できていない。教労、全逓、自治体、国鉄を始めとする日本の労働運動は、連合指導部などの裏切りと屈服にもかかわらず、現場労働者を完全に制圧するにはほど遠い状況にある。80年代の国鉄分割・民営化攻撃と対決して闘ってきた動労千葉を先頭とする階級的労働運動の存在とその前進は、戦時国家への転換を決定的な地点で阻んでいる。
いま教育現場での「日の丸・君が代」強制や、郵政民営化など、労働組合を根こそぎにする攻撃が吹き荒れるのは、そこに戦時国家への転換を目指す政治反動の成否がかかっているからだ。これは国家主義への屈服を強要する戦前の「国体明徴運動」(天皇機関説の排撃)なのだ。
3月闘争は分水嶺(ぶんすいれい)となった。卒業式闘争や動労千葉の3月ストライキ闘争、開戦2年の3・20イラク反戦闘争、そして三里塚の暫定滑走路「北延伸」阻止の3・27全国集会は、ひとつながりの決戦である。
ここであらためて、反戦の砦=三里塚闘争の今日的意義を確認しよう。革共同は、二重対峙・対カクマル戦争および国鉄分割・民営化を頂点とする日帝権力の大反動期(80年代)において、常に三里塚とともに、三里塚闘争をとおして階級的団結を形成し、反動の嵐に抗して労働者人民の抵抗拠点を守り抜いてきた。そして40年間、軍事空港建設という第一級の国策を阻止し続けている三里塚闘争の現実は、戦時国家への転換を目指す日帝の致命的な弱点を形成している。
政府・国土交通省が経済的合理性を度外視してまで暫定滑走路の「2500b化」や「北延伸」に執着し、反対同盟農民への常軌を逸した監視や敵対行為を続ける理由は、この三里塚闘争の不屈性への階級的憎悪だ。三里塚闘争は帝国主義国・日本がけっして許容できない正真正銘の反戦の砦なのである。
革共同は、三里塚闘争を革命党の矜持(きょうじ)にかけて守り抜く。反対同盟農民の渾身(こんしん)の呼びかけにこたえ「天神峰現闘本部裁判を支援する会」運動などの新たな取り組みに全力を挙げることをあらためて訴える。
米軍再編下で進む全土の総力戦体制
現在進行する日米枢軸化の中心課題である米軍再編(トランスフォーメーション)の特徴は、在日・在韓米軍の実戦編成への移行と日米安保体制の決定的な変質・エスカレーションである。対北朝鮮(対中国を含む)の侵略戦争体制が、50年朝鮮戦争(休戦状態が継続中)以来初めて本格的な実戦モードに移行し、日帝・自衛隊はこれと完全に一体化する。そして成田空港の米軍基地化や沖縄・辺野古の新基地建設を始めとする沖縄米軍基地の強化・再編などが、この体制の大きな一角を占める。
最も大きな動きは、米陸軍第1軍団(ワシントン州)の司令部を神奈川県の座間基地に移転し、これを陸海空海兵の4軍を統合運用する最高レベルの司令部(司令官の階級を大将に。現在司令官は少将)に格上げする計画だ。在韓米軍司令部も今回の再編で座間に統合される。
こうして50万人〜70万人の大規模な米軍部隊を日本で受け入れ、朝鮮・中国戦域で指揮・運用するのである。沖縄・辺野古の新基地建設や下地島空港の取得、嘉手納基地(米軍)と那覇基地(自衛隊)の統合計画などもこうした動きとつながっている。
米軍はこれと連動し、38度線付近に展開する第2歩兵師団の駐留地を、数年内に北朝鮮からの射程外のソウル南方(平澤)に移転することも決定した。これで米軍は自軍の損失を考慮せずに先制攻撃が可能となる。これまでのトラップワイヤー戦略(触れると爆発するの意。前線に自軍を展開させて開戦の抑止力とする)の放棄で、まぎれもない開戦体制だ。
これらと関連して、2月19日の日米安保協議(2プラス2)で「共通戦略目標」として日米の軍事的一体化が明確に打ち出された意味はあまりに大きい。50万人規模の兵力を日本で受け入れ共同作戦を遂行するには、成田空港の米軍基地化を始め、自衛隊3軍と官民の総力戦的な対米支援がなければ絵空事なのだ。
開戦直前まで行った94年の朝鮮侵略戦争危機(北朝鮮「核開発」問題)では、当時の米クリントン政権が開戦寸前の体制をとりながら、日本の後方支援体制の無準備ゆえに戦争を断念し収束させた。この問題を今回の2プラス2で基本的にクリアしようとしているのだ(労働者人民の抵抗を圧殺することは未解決だ)。
成田空港の米軍使用など対日支援要求1059項目(95年)、日米安保共同宣言(96年)、新安保ガイドライン(日米防衛協力のための指針)の見直し(97年)、周辺事態法制定(99年)、そして有事法制の制定・完成(03〜04年)という一連の攻撃は、まさに今回の米軍再編(対北朝鮮実戦モードへの移行)と表裏一体で進行していたのだ。
純粋に軍事面でも、作戦指揮系統全般で米軍と自衛隊のほぼ完全に一体化した戦力体系が構築される。集団的自衛権の承認や改憲が急浮上するゆえんだ。日米一体化は「9条の枠内」というへ理屈をはるかに超えている。情勢は一気に50年朝鮮戦争情勢へとラセン的に回帰して動き出したのである。
成田が日米共用軍事空港に
ここで成田空港の決定的な役割について明確にしておこう。
今回の米軍再編で、横田基地の第5空軍司令部とグアムの第13空軍司令部が統合されることも明らかになった(これも開戦のための編成)が、より死活的な問題は、米軍の膨大な地上兵力を運用する戦略空輸体制を、日本でどのように構築するかである。
湾岸戦争(91年)以降の米陸軍の運用の特徴は、戦略空輸による迅速な展開力にある。その傾向はアフガニスタン戦争〜イラク戦争を経た現在の米軍再編の決定的な特徴でもある。地上兵力の9割以上が空輸、それも民間の航空輸送力に依拠して展開するのだ。空軍作戦基地の大量確保も死活問題だが、巨大な兵站(へいたん)処理能力を備えた空港施設が確保できなければ、侵略軍の核となる地上軍は運用できない。
そこで成田空港の米軍基地化、日米軍民共用化である。三里塚闘争に火が付くことを恐れ、政府はこの問題を隠し続けているが、95年の「対日支援要求1059項目」で米軍が真っ先に成田空港の確保を要求したことには決定的な意味があるのだ。
91年の湾岸戦争ではダーラン空港(サウジアラビア)が確保できなければ米軍の展開は空論だった。同様に現在のイラク戦争で戦略空輸基地となっているクウェート空港、「親米」湾岸諸国の空港施設、傷病兵の後送基地であるドイツのフランクフルト空港(米軍ラムシュタイン基地)も死活的だ。戦域での大規模な空港施設の確保は絶対的なテーマなのである。
現在の横田基地はアジアに展開する各米軍への空輸体制のハブ(中心軸)となっているが、朝鮮戦争に必要なレベルの戦略空輸体制に単独では対応できない。
すでに基本合意に達した「横田の日米軍民共用化」と「横田空域管制権の返還」は有事に備えた横田の能力拡充計画だが、すべては成田空港のフル活用が前提なのだ。50万人(成田市の人口の5倍)規模の兵員や装備の受け入れという問題は、糧食の確保(50万食)や宿泊、輸送など、すべてにわたって巨大な民間施設と労働力の動員なしに成り立たないのである。
40年にわたる三里塚闘争が成田空港の軍事化に決定的な制約を加え続けている現実は、米軍再編および朝鮮侵略戦争と対決する闘いにとってきわめて重要な橋頭保だ。3・27三里塚全国集会を、闘う朝鮮人民と連帯し、軍事空港=成田を包囲・粉砕する新たな陣形を強化する闘いとして取り組もう。
本部裁判を支援し延伸を阻止しよう
日帝・国交省は、02年の暫定滑走路開港による敷地内農民たたき出しに失敗し、とうとう今年3月末を期限に暫定滑走路(2180b)の「2500b化」について結論を出すようNAA(成田国際空港株式会社)に要求した。
それまでに滑走路用地・東峰地区(滑走路南側)の反対農家から用地を買収できなければ「北側延伸」を決断すべきという内容だ。北延伸工事に一方的に着手することで本筋たる南側延伸(本来計画)のために東峰地区の用地内農家を脅迫し、すでに破産に破産を重ねてきた買収交渉を復活させる思惑だ。
NAAが「2500b」化を急ぐ理由は、成田空港発着機の大半を占める大型機が飛べないなどの欠陥が致命的で、その克服が空港会社の株式上場(07年度予定)の絶対条件となっているからだ。
すでに羽田空港の新滑走路(09年開港=国際線用)に成田のアジア便の大半が移管する情勢だ。欠陥を抱えた成田の暫定滑走路は、暫定のままで終われば将来の閉鎖すら現実化する。これは40年にわたる成田空港建設の最後的挫折だ。
一方の国交省は、成田の失敗で帝国主義的航空政策における国際競争(帝国主義的争闘戦)で大きく立ち後れている現状を、羽田新滑走路で乗り切る以外になくなっている。そのためにも同省は成田暫定滑走路問題に決着を付ける方針に転じたのだ。
さらに、反対同盟と地権者農民の闘いをなんとしてもつぶしたい権力・治安当局の一貫した思惑も働いている。国家の反動的威信をかけた40年にわたる国策プロジェクトの最後的挫折=三里塚闘争の勝利を権力は絶対に許容できない。
こうして暫定滑走路の「北延伸」攻撃は、実際にはジャンボ機が飛べるようにはならない(誘導路の不備、北側の東関道トンネル化の困難など)にもかかわらず、意味のない延伸工事の強行に向かって動き出したのだ。
この北延伸攻撃について反対同盟は、40年間変わらぬ政府・国交省の農民無視を厳しく弾劾している。そもそも暫定滑走路の開港自体が「地元農家との合意なしに新滑走路は造らない」とした確約(シンポ・円卓会議)をホゴにしたものだった。開港を阻んでいた東峰神社の立ち木を盗伐し、農家の屈服を前提に頭上40bにジェット機を飛ばし(東峰地区)、ジェット排ガスを直撃させる(天神峰・市東さん宅)などの暴挙は、40年の農民無視を完全に開き直るものだった。
しかし反対同盟と地権者農民は、この暴挙に最後まで屈服せず、身を挺(てい)してこの国家犯罪を告発しているのだ。
暫定滑走路の延伸が行き詰まったことで、NAA社長の黒野は昨年6月、「反対派はもう条件闘争ではなくなって大変だ。金では動かない」などと悲鳴を上げたが、すべては自らの農民無視が招いた結果だ。
用地内農民への脅迫許すな
革共同は、反対同盟農民が農民としての生き様をかけて空港完成を阻み続ける心意気を、すべての労働者人民とともに共有する。「北延伸」攻撃は、新たに騒音被害を受ける地元住民の反対の声も広がる中で重大な岐路にある。「北延伸の3月末決定」を振りかざし、この期に及んで敷地内農民を脅迫したたきだそうとする国交省とNAAの策動を許してはならない。三里塚現地への大衆的結集力が求められているのだ。反対同盟と固く連帯し、3・27三里塚全国闘争の勝利を何としてもかちとろう。
また、天神峰現闘本部裁判闘争は、それ自体が北延伸攻撃との闘いの一環だ。現闘本部は今なお暫定誘導路を寸断(への字)し、成田空港の完成と軍事化を阻む拠点としてそびえ立っている。裁判はこの3月から地上権をめぐる攻防の核心部に入る。支える会運動への全国的取り組みをさらに強化し、3月全国集会にその成果を結集しよう。
三里塚農民はかつて、北総台地を揺るがした代執行阻止闘争で「日本農民の名において代執行を阻む」(71年)との檄(げき)を発して権力と激突し、全国の労働者農民・人民の広範な支持を集めてきた。三里塚闘争は一方で、高度成長の中で切り捨てられてきた農民たちの怒りを代弁する闘いでもあった。
現在激しく進行する労働者階級への資本攻勢は、他方での徹底的な農民切り捨て(輸入自由化、流通規制緩和による農産物価格の下落など)を要件にして可能になっている。経団連が「(コストの高い)日本農業は全部捨てても良い」と公言するのは、「労働者家族の年収を200万円に下げるべき」(同)という資本攻勢と表裏一体だ。
革共同は、日帝の農業政策(農業の放棄)に断固として反対する。社会主義を目指す労働者階級の党として、三里塚農民がこの戦争と大失業時代にあって、労働者と農民が連帯して闘う意義を訴えていることを受け止め、これを強く支持する。三里塚闘争の新たな発展は、労農連帯の新たな深化の中にあることを確認しよう。
3月決戦を総力で闘い抜こう! イラク戦争反対・自衛隊撤兵! 3・20日比谷野音闘争から暫定滑走路「北延伸3月決定」阻止の3・27三里塚現地闘争に集まろう。
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週刊『前進』(2188号4面2)(2005/03/07)
北富士 入会地で侵略訓練するな サマワ模擬施設に抗議
自衛隊北富士演習場(山梨県)で2月20日、サマワ模擬訓練施設を使った4回目の訓練強行に対し、忍草母の会、忍草国有入会地守る会の呼びかけで緊急の抗議・申し入れ行動が行われた。山梨を始め首都圏から約40人が結集した。
日米安保閣僚協議(2プラス2)で日米間の共通戦略目標が合意され、日米枢軸のもとで全面的に侵略戦争−世界戦争に乗り出す中で、北富士が侵略出撃訓練場として使われているのだ。激しい怒りに燃えて参加者は梨ケ原廠舎(しょうしゃ)前に結集した。
午前11時、忍草母の会の天野美恵事務局長が「サマワ宿営地施設の場所は忍草の入会地です。演習を粉砕するまで闘いを続ける」と激しく弾劾した。忍草国有入会地守る会の天野豊徳会長(写真)が「自衛隊のイラク派兵が延長され、明日から4回目の演習を行おうとしている。入会地無断使用を許さない。富士を朝鮮・中東につなぐなと闘ってきたが、自衛隊のイラク派兵で中東につながれてしまった。残念ですが、とどまることなく権力に挑戦し、施設の撤去を要求し、イラク派兵に断固反対する。命ある限り権利を主張する」とあいさつし、申入書を読み上げた。
申入書は「2度にわたって東京地裁で『梨ケ原に忍草入会組合の入会権あり』の判決を勝ちとっています。わたしたちは入会地を無断使用して侵略演習をくり返すことを徹底弾劾します」と梨ケ原の返還を要求し、@サマワ宿営地模擬施設訓練の即時中止、A自衛隊のイラクからの即時撤退、B在日米軍基地強化・再編反対を申し入れた。
婦人民主クラブ全国協の西村綾子代表が「忍草母の会、入会農民とともに演習場撤去・富士を平和の山に取り戻すまで闘う」と申し入れを行った。都政を革新する会の長谷川英憲代表の申入書(代読)や百万人署名運動・郡内地区連絡会、反戦共同行動委員会などが申入書を読み上げ、サマワ模擬施設訓練の中止とイラク即時撤退を要求した。
最後に天野事務局長が、何度も申し入れをしているのに返事がないことについて、対応に出ている自衛隊責任者を追及し、また機動隊による厳戒態勢を弾劾し、怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。
米軍再編の中で北富士演習場の位置はきわめて高くなっている。忍草母の会、入会組合とともに入会権奪還・北富士演習場返還のために最後まで闘おう。
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週刊『前進』(2188号4面3)(2005/03/07)
ワールドアクション 渋谷で反戦ウォーク “日の丸は戦争の第1歩”
高校生が熱く訴え
東京・渋谷の宮下公園で2月20日、“自衛隊は撤退しろ!「日の丸・君が代」強制するな”ワールドアクションが行われた。小雨が降り寒さも厳しい中、約100人が集まり、約1時間のリレーアピールと渋谷反戦ウォークを行った。
フリージャーナリストの志葉玲さんがイラク現地の状況について報告。ファルージャのNGOから入手したという資料を基に「イラク選挙を前にファルージャで米軍は何千人も殺した。モスクで多数のイラク人を射殺し、遺体を戦車でひきつぶして、証拠隠滅している」とイラク選挙の実態を生々しく暴露した。
とめよう戦争!隊員家族と元自衛官連絡会の元自衛官が陸上自衛隊第3師団派兵反対の兵庫県伊丹市での集会・デモを報告した。婦人民主クラブ全国協の会員がキャンプ座間を約3千人で包囲した「人間の鎖」を報告。米陸軍第1軍団司令部移転反対を訴えた。
「日の丸・君が代」強制反対で処分を受けた東京の教育労働者のメッセージが紹介された。「上からの指示のままに動くロボットのような教員をつくること、国家に対して物言わぬ国民をつくるのが本当の狙い」と、若者が多く集まるワールドアクションに高校生の組織化を訴えた。
都立高校出身の大学生が「処分された先生もいる。居ても立ってもいられずビラまきを始めました」と発言。高校生から「僕たちが座るよ」「仲間に声かける」と大きな反響が出ていることを報告した。
飛び入りの高校1年生は「『日の丸・君が代』は、国家への忠誠心を強制する、戦争への第1歩。教育を変えることで日本を侵略国家に変えようとしている」と発言し、「卒業式では絶対に立たない、歌わない」と決意を示した。
沖縄の辺野古からのメッセージに続き、辺野古の座り込みに参加した女性労働者が「辺野古の人たちは全国の人たちに政治を変えてほしいと言っている。支援ではなく連帯が必要。私たちには訴える力もあるし、仲間もいる。東京でもっともっと訴えよう。辺野古に届くようなデモをやろう」と呼びかけた。
渋谷の街を1周する反戦ウォークに出発。元気なかけ声のウォークに歩道から合流する人や、一緒に手を振り声を上げる若者など、大きな注目を集めた。
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週刊『前進』(2188号4面4)(2005/03/07)
2月16日〜22日
日米安保協「共通戦略目標」
嘉手納爆音訴訟で不当判決
●沖国大ヘリ墜落事故で報告書 昨年8月の沖縄国際大学ヘリ墜落事故で、日米合同委員会の事故分科委員会は、事故報告書をまとめ、離着陸の際の飛行経路を再検討するよう勧告することを決めた。事故原因は「3日続けて17時間勤務していた」などを理由とする整備ミスと断定した。(16日)
●町村外相、普天間ヘリ帰還容認 町村外相は衆院予算委員会で、イラクに派遣されている在沖海兵隊について「一部の部隊がイラクでの任務を終えたと承知している。任務終了後、沖縄に帰ってくるということになるだろうと思っている」と述べ、普天間飛行場への帰還を容認する姿勢を示した。(16日)
●新嘉手納訴訟、飛行差し止め棄却 米軍嘉手納基地の周辺住民5541人が国を相手取り、米軍機の夜間・早朝の飛行差し止めと騒音被害の賠償総額約160億円などを求めた新嘉手納爆音訴訟の判決が那覇地裁沖縄支部であった。飯田裁判長は、総額約28億円の賠償支払いを国に命じたが、健康被害は認めず、飛行差し止めの訴えも退けた。(17日)
●陸自ヘリ訓練で中学校庭に 福島県相馬市の市立中村第一中学校の校庭で、陸上自衛隊東北方面航空隊(仙台市)の中型ヘリコプター4機が着陸地点を間違え、計7回にわたって離着陸訓練を繰り返した。(18日)
●国民投票法案「協議促進」 衆院憲法調査会は、4月に公表する最終報告に改憲手続きを定める国民投票法案をめぐる政党間協議を促す文言を盛り込む方針を固めた。(18日)
●屋外訓練の射撃方向が自動車道と平行 米軍が沖縄県金武町のキャンプ・ハンセン内「レンジ4」付近に建設を進めている都市型戦闘訓練施設で行われる屋外実弾射撃の一部訓練の射撃方向が、隣接する沖縄自動車道とほぼ平行する角度に設定されていることが明らかになった。(18日)
●CH53ヘリ試験飛行 沖国大に墜落したCH53D大型輸送ヘリの同型2機を山口県の岩国基地に移駐させるため、在沖米海兵隊が普天間飛行場内で試験飛行を開始した。宜野湾市の伊波市長は「住宅地上空での飛行訓練につながり、断じて認められない」と批判した。(18日)
●キティホーク後継艦「未定」 ラムズフェルド米国防長官は、訪米中の町村外相と朝食会で、横須賀基地(神奈川県)を事実上の母港としている通常型空母キティホークの後継艦について「なんら決定されていない」と説明した。17日にも米海軍長官が、下院軍事委員会で、日本側が受け入れを拒んだ場合には一度退役した通常型空母を再配備することも可能だとの見方を示した。(19日)
●2プラス2、共通戦略目標合意へ 日米両政府は、外務、防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)で今後の「日米同盟」の基本理念となる「共通戦略目標」で合意し、共同声明を発表した。北朝鮮問題のほかに初めて台湾海峡にも言及し、ともに「平和的解決」を求めることをアジア太平洋地域での共通の戦略目標とした。米軍と自衛隊の役割分担や在日米軍の再編・再配置を今後の数カ月で集中協議し、早期に結論を出す方針を固めた。(19日)
●米機25機未明の離陸 米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機やKC135空中給油機など約25機が午前2時30分から約1時間、民間居住地に激しい騒音を響かせながら同基地から飛び立った。翌22日も未明の飛行が強行された。(21日)
●豪、イラク南部へ増派 オーストラリアのハワード首相は、小泉首相の要請を受け、陸上自衛隊が駐留するイラク南部に450人の兵員を増派する方針を発表した。「自衛隊の安全を確保するため」としている。準備が整い次第、10週以内に派遣する。駐留期間は当面1年を予定。(22日)
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週刊『前進』(2188号5面1)(2005/03/07)
3・20は全世界一斉反戦決起の日 国際階級闘争の分岐・流動を
11・7連帯集会地平の発展へ 根本的変革めざす米MWM運動
村上 和幸
イラク侵略戦争が泥沼の危機に引き込まれる中で、2期目のブッシュは、就任演説、一般教書演説で、米英日枢軸のもと世界戦争路線を突き進むことを宣言した。他方でブッシュ政権の凶暴な弾圧にもかかわらず、米帝の体内から労働者階級が根底的な反乱を巻き起こしている。米英軍の中から相次いで反戦兵士、反戦兵士家族が決起している。国際連帯闘争を強化し、2−3月「日の丸・君が代」強制拒否の闘いを爆発させよう。05春闘を戦闘的・階級的に闘いぬき、全世界の3・19−20反戦決起と連帯し、3・20国際反戦闘争に総決起しよう。
アメリカとイギリスで3・19-20に大デモ
「われわれはANSWER、IAC、平和のための退役軍人、反戦イラク帰還兵、および湾岸戦争帰還兵に対し、直ちにイラク戦争を終わらせすべての占領軍を撤兵させるために、3月19日のニューヨーク共同行動への統一呼びかけを実現する討論を開始することを提案する」
このようにアメリカ百万人労働者行進(MWM)委員会は、昨年12月2日の「反撃体制を構築しよう――労働者の権利とイラク戦争終結のための闘いでランク・アンド・ファイル(現場労働者)が団結するためのMWM運動からの呼びかけ」で共同闘争を提起した。
MWM運動は、西海岸サンフランシスコの労働組合、ILWUローカル10(国際港湾倉庫労働組合第10支部)のイニシアチブで開始され、350万人を代表する労働組合や労働組合連合体の賛同を集めて、全米を席巻した。
既成労働運動指導部が、大統領選において民主党のケリー候補支持運動に労働者のエネルギーを流し込もうとすることに対して、MWMは、労働者自身が自分自身の要求を掲げて独立した勢力として登場する運動をつくっていった。医療保険を始めとする切実な生活要求、イラク反戦の要求は、労働者階級の心をとらえた。
MWMは、大統領選投票日直前の10月17日にワシントンでの集会を設定し、あらゆる圧力と闘って、こうした強力な勢力に成長した。
10月17日の1万5000人を結集したMWM集会には、日本から動労千葉派遣団が参加し、「動労千葉は日本のILWUローカル10だ」と紹介されて発言した。
そして、11・7日比谷野音で行われた関西地区生コン支部・港合同・動労千葉の3労組が主催した労働者集会には、ローカル10やMWMの代表、韓国民主労総ソウル本部の代表が参加し、MWMと11・7は名実ともに一体となった。3600人が参加した11・7集会は、戦時下の新たなインターナショナル形成への歴史的な一歩となったのだ。
とくに11・7集会で、東京都の「日の丸・君が代」不起立闘争の被処分者が壇上に並んで国際連帯を訴えたことは感動的だった。処分をかけてファシスト石原と対決し、戦争動員を拒否するこの闘いは、日米韓の闘う労働者の魂を完全にとらえた。
韓国民主労総はゼネスト決起に向けて11月14日、「チョンテイル烈士精神継承2004年全国労働者大会」に史上最高の7万人を結集し、動労千葉派遣団も合流した。
この11・7集会をめぐる日米韓の階級的戦闘的労働運動の交流の中で、03年3・20イラク開戦から2周年の闘いに全力決起することを確認し、互いに連携して組織化を進めている。
アメリカでは、MWM、AMSWER、パレスチナ・アラブ人団体などが、「トゥループス・アウト・ナウ(直ちに撤兵を)!」という統一戦線組織をつくり、ニューヨーク、サンフランシスコなどで大デモを行う。
米英日枢軸の一角イギリスでは、反戦連合が3月19−20日を全世界一斉決起の日と定め、19日にロンドンで総決起する。
職場の労働者の運動が世界的に結合し、労働組合運動を基礎にしてイラク反戦の一点で共同の闘いに決起していくのだ。
労働協約改定へ闘いを貫くホテル労組
MWMの巨大なインパクトが、動と反動が入り乱れた〈分岐・流動・再編・高揚>情勢を生み出している。
一方では、今年のAFL−CIO(アメリカ労働総同盟−産別会議)の会長選挙をめぐって、現執行部に対するNUP(ニュー・ユナイティー・パートナーシップ)という既成労組官僚の内部の潮流の対抗的な動きが活発化している。これは労組の合併・整理を大規模に進め、組合員に対する統制力を強化する動きだ。
だが他方、労組官僚の統制を突破する闘いがMWM運動と一体になって進められている。ぎりぎりの生活をかけた職場からの労働者の決起が、全労働者階級の団結を求めて不屈に闘われ、勝利の展望をつかんでいるのだ。
サンフランシスコのホテル労組=UNITE HEREローカル2の4300人の労働者は、昨年9月からストに突入し、あるいはロックアウトと対決して労働協約改定闘争を貫徹している。
組合の要求のポイントは、@賃金要求、A医療保険の経営者負担分の大幅引き下げ撤回要求、B労働協約の期限切れ期日を他の地域の期日に合わせる要求である。争議の長期化の中で、経営者団体は、@Aについては、ついにある程度労働者側の要求を受け入れる姿勢を示してきた。だが、Bについては、かたくなに拒否してきた。
組合員の中には著しい低賃金が強制されてきた非正規職労働者も多い。経営側は、Bの労働協約の期限についての要求を取り下げない限り、組合がストをやめてもロックアウトを続けると宣言し、労働者の生活を深刻に脅かすことによって労働者の屈服を狙ってきた。実際、ストとロックアウトの長期化で、スト資金から払われるわずかな金だけでは家賃も払えなくなった労働者もでた。だが、労働者は屈服せず、ロックアウトされたホテルをピケで逆包囲して闘った。家賃が払えずに家を追い出され、友人・知人宅で寝泊りしながら、子連れで毎日ピケラインに立ち、ピケラインで食事を取る組合員もいた。
吸収・合併の進行によって、ほとんどのホテルは全米・海外に展開する巨大チェーンになっている。労働者側が地域ごとにばらばらに闘うのでは交渉力が弱い。全国一斉に闘うためには労働協約の期限をあわせる必要がある。だから、Bの闘いは、経営側と労働組合との力関係を変えようという闘いだ。
生活の困窮の中で、UNITE HEREローカル2の労働者たちは、経営者側に切り崩されずに団結を守り、あくまでもBの要求を貫いて闘っている。この不屈の戦闘性は、全米の労働者を感動させ、労働運動の新たな高揚を切り開いている。
ピケを張った呼びかけにこたえて、当該ホテルを会場に予定していた多くの学会、国際会議、労組大会などが会場を変更し、その面からも巨大な影響を与えた。
この闘いを支える決定的な力になっているのがMWMだ。MWMは、ILWUローカル10の地元であるサンフランシスコのホテル労働者の闘いを支援している。11・7労働者集会は、最初の具体的な国際連帯行動としてこのホテル労働者の闘いの支援を行った。
労働協約改定闘争に対して、ロックアウトとスト破り導入でこたえてきたホテルの経営者には日本の国際興業も含まれている。そのため、11・7集会のデモ隊列は、東京駅近くの国際興業本社前で弾劾のシュプレヒコールをたたきつけ、翌8日にも動労千葉を始めとする代表団が国際興業への抗議行動を闘った。
11月20日には、サンフランシスコでMWM、ILWUローカル10、UNITE HEREローカル2が団結集会を行った。そこで日本の11・7−8連続行動で使われたプラカードを手に手に掲げてデモをし、国際連帯の力を示した。この日、経営者側はロックアウトとスト破り労働者導入を中止し、60日間の冷却期間を設定することに同意した。
社会保障制度破壊のブッシュ政権と対決
ブッシュ政権は一般教書演説で、「社会保障は20世紀の偉大な道義的成功だったが……現在の道筋においては破産に向かっている」として、社会保障を根本から破壊していくことを宣言した。年金への個人勘定の導入は、年金の保障を無くしてしまう攻撃だ。
アメリカでは4500万人が医療保険をもっていないというが、実は保険でカバーされているとされている人も、適切な医療を受けられる人は少ない。手続きが引き延ばされて保険給付が受けられないケース、重症でもかかりつけの医師以外の診療が受けられないケース、手術はできても入院費に保険がおりないために感染症で亡くなってしまうケースなどが多い。そのため保険会社や医療機関を相手にした訴訟による闘いが多発している。こうした中で、ブッシュの一般教書演説は、医療訴訟を事実上禁止することを宣言している。
また、企業に対する集団代表訴訟を制限している。労働組合や住民団体、消費者団体による裁判闘争を封じ込めようとしているのだ。
このブッシュ政権、ブルジョアジーの攻撃の最先端が、ホテル労働者の労働協約改定交渉における健康保険の大幅削減提案だった。UNITE HEREローカル2の労働者は、団結の力でその攻撃を打ち返した。そして、一層の団結のために、全国一斉の協約改定期限を要求して今も闘い続けている。
ILUWローカル10を始めとするサンフランシスコ労組評議会は、この闘いを全面的に支援している。ホテル労働者は無協約状態の長期化で健康保険の期限が切れ、高額な医療費の自己負担という事態が迫った。その時、サンフランシスコの労働者は、保険者であるカイザー・パーマネント社に強力に要求し、保険給付を継続するという回答を引き出した。階級の仲間へのホテル労働者の信頼に、地域の労働者は全力の闘いでこたえたのだ。
階級的団結の原則守り抜く
UNITE HEREローカル2が困難な条件を乗り越えて団結を守り、不屈に闘うことができているのは“階級的団結の原則”を守っているからだ。AFL―CIOやUNITE HERE(当時HERE)の既成指導部が労働者の闘いをブルジョア政党である民主党への支持運動にねじ曲げていることに、ローカル2は強力に反対してきた。03年のサンフランシスコ市長選において、民主党のニューサム候補への支持について、「これは組合執行部だけが決める問題ではない」として、職場の全組合員による徹底した討論を行い、支持を拒否することを決定した。ニューサムが小差で当選した後、ローカル2の決断への非難が高まったが、「ニューサムは労働者、貧しい人間を攻撃してきたのだ」「われわれは労組が民主党を支持するのが当たり前だと思っている政治家たちに思い知らせることができた」として、圧力を敢然とはねのけた。
こうして労働者階級の利益を基準にして闘うことによって、団結は強化されたのだ。
そして、既成政治家に対しても、この原則を貫く闘いこそが最も有効であることも証明されている。
ローカル2が、スト、ロックアウトの長期化による生活の困窮にも揺るがず、ILWUローカル10、MWM、サンフランシスコ労組評議会、日本の11・7潮流と固く結合して階級的利益を貫いて闘っていることは、労働者階級が階級として団結した時の巨大な力を示している。ニューサム市長はこれに恐怖し、それまでホテル経営者を守るために配置していた市警部隊を引き揚げさせたばかりか、自ら労組のピケラインに立った。市長選でニューサムを労働者の敵として真っ向から批判した時の団結力が、ここでも彼に重くのしかかったのだ。
それまで居丈高で強大に見えたホテル経営者団体は、ここに至ってついに孤立し、最も不利な立場にあると思われていた低賃金で不安定雇用が多いホテル労働者の組合が連帯の力を見せつけた。
「労働運動の分水嶺」になるかもしれないといわれていたこの闘いが、ついに現実に新たな闘いと団結を生み出す、本当の分水嶺になってきている。遠いニューヨークの公立学校の労組、UFT(統一教員組合、14万人)のホームページも「サンフランシスコのホテル労働者は協約闘争をいかに闘うべきかのABCを示した」「われわれは何を学べるか」という2つの論説を掲載した。
そして、このような闘いの中からUNITE HEREローカル2の組合員たちは、一層大衆的な基盤をもってサンフランシスコの3・19反戦集会に参加しようとしているのだ。
“労働者階級が民主的に管理する社会を”
MWMは冒頭の12月2日の文書で、04年の10・17に向かった闘いを総括し、新たな闘いへの決起を以下のように訴えている。
「主要な労働組合の賛同が増え、MWMが国中に地方ごとの実行委員会を立ち上げるようになると、AFL−CIO指導部はMWMの目的そのものは支持するが、開催時期には反対だという声明を出した。
この声明を発表した背後で、組合の支部がバスを手配してMWMの支持者を遠方まで運搬することを妨害する動きが一段と強められた。
そこでわれわれは、次のように問いかけた。この選挙の時期に、誰がアメリカの働く人びとの要求を代表しているのか? 企業の要求を掲げた民主党か、それともわれわれの要求を掲げたMWMか。MWMの要求は、全国民的な健康保険、軍事予算削減、すべての人びとのための安価な住宅、公立学校を存続させる集中的な計画、衰退する都市の再建、世界中の労働者を互いに競争させる強搾取の中止、などである。
われわれは、すべての人びとに手をさしのべ、われわれの要求のために立ちあがり、われわれの要求を表明し、現在進行中のアメリカの根本的変革をめざす運動のために労働組合のランク・アンド・ファイルと地域の中に根を張ることを訴えた。
われわれは、USLAW(全米反戦労組連合)の多くの人が行進を支持したことを知っているし、ジーン・ブラスキン(USLAW共同呼びかけ人)がリンカーン記念碑前で演説してくれたことに感謝している。ただ、USLAWはMWMを支持したが正式な賛同はしなかった。われわれはその時は失望した。しかし現在、ファルージャが壊滅させられ、イラクで冷酷な征服戦争が展開されている時、民主党指導部が喝采し、AFL−CIO指導部が死の沈黙を守っている現実は、そのとき以上の緊迫性をつきつけている」
労組支部でのMWM賛同をかちとり、現実の10・17動員につなげるためにはAFL−CIO執行部や労組中央との厳しい闘いが必要だった。USLAW内ではMWMに賛同する大きな流れはあったが、労組中央からの圧力に弱い部分を変革し、USLAW全体としての正式な賛同に結実させていくことはできなかった。
だが、ブッシュ再選、ファルージャ大虐殺という情勢の中で、労働組合を労組官僚から奪還する闘いは、待ったなしということだ。
「企業支配の国際的性格と、それが労働者階級に強制する搾取は、世界の低賃金工場へのアウトソーシングによって、最も露骨に表現されている。このような方法で労働者同士を互いに競わせることは、すべての国での労働者の意志を打ち砕くことを必要とし、なによりも国境を超えた労働者の反撃のための団結を阻害することを必要としている。
MWM運動はアメリカだけを対象にしているのではない。日本の鉄道労働者による民営化反対の闘いでもそれは行える。それは、韓国民主労総の中にもある。民主労総は正規雇用を廃止しようとする企業に対してゼネストを構えている。
日本の鉄道労働者の労働組合である動労千葉が、民営化と組合破壊に反対して東京で行ったデモにMWMは参加した。アメリカでホテル労働者をロックアウトしているホテルのオーナーである会社の東京事務所への抗議団にMWMは合流した」(同12・2文書)
そして結論として、労働者階級が階級として独立する闘い、労働者階級の新たな党が必要であり、またその形成のために今ほど有利な時はないとし、「MWM、USLAW、アメリカ労働党、そしてランク・アンド・ファイルの反撃を組織している諸組織が、一致して行動すべき時」だと団結を呼びかけている。そして、共同の闘いとして3・20開戦2周年闘争への全力結集を呼びかけているのである。そうした共同の政治行動の意義は、次のように語られている。
「われわれを苦しませている抑圧の階級的性格を明確にすることによって労働者の課題を実現する道を開くことができる。課題とは、われわれの社会の変革であり、あらゆる社会において、統治のてこを労働者階級が民主的に管理することである」(同)
このMWMとともに、国際連帯を発展させ、帝国主義の世界戦争への道を阻止する闘いの最前線に立つ3月「日の丸・君が代」強制拒否決戦を圧倒的に爆発させよう。
3・20全世界一斉反戦闘争に結集し、全世界の労働者階級と“一つの軍勢”として固く団結しよう。11・7=MWMの歴史的地平を圧倒的に前進させ、世界革命に勝利しよう。
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週刊『前進』(2188号5面2)(2005/03/07)
福岡でイラク反戦デモ 日米安保協と対決
2月20日、福岡・天神でアメリカのイラク攻撃を許さない実行委員会(青柳行信代表)が呼びかける集会とデモが行われた。
この闘いは、前日の19日、日米安全保障協議委員会(2プラス2)が行われ、日米枢軸によるイラク侵略戦争、世界戦争、そのための米軍のトランスフォーメーションが推し進められていこうとする情勢と対決して闘われた。
冒頭、実行委員会代表の青柳行信さんが「1月30日のイラク国民議会選挙はカイライ政権をデッチあげるための選挙として行われた。マスコミはあたかもこの選挙が成功であるかのように宣伝しているが、まったくのデタラメだ。スンナ派だけでなく、シーア派の多くの人たちも選挙をボイコットした。投票した人たちもアメリカの占領政策を支持したわけではない。今こそ占領軍を、自衛隊をイラクから撤退させよう。イラク攻撃から2年になる3月20日、全世界の人びととともに立ち上がろう」とアピールした。
労働者や市民が次々と自衛隊のイラクからの即時撤退の訴えや沖縄・辺野古の新基地建設阻止のアピールを行った。
教育労働者は「2月11日、福岡で教基法改悪阻止の集会とデモが100人の参加でかちとられた。私たちは『私たちの不起立宣言』をたたきつけ、3、4月の卒・入学式を不起立で闘う」と決意を述べた。
反戦共同行動・福岡の石崎昭哲さんからは共謀罪新設阻止の取り組みの報告とアピールが行われた。また婦人民主クラブ全国協からは3月12日の3・8国際婦人デー集会に向けたアピールが行われた。
集会後、天神一周のデモに立った。「占領軍は撤退しろ」「自衛隊は撤退しろ」「日の丸・君が代強制反対」――デモ隊のコールが太鼓のリズムにのって天神の寒空に響きわたる。道行く人たちが立ち止まってデモに注目した。拍手をしながらデモ隊の横を最後までついてくる人もいた。
デモ終了後、九州大学学生自治会と青柳代表が、3・20国際反戦闘争のアピールを行った。
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週刊『前進』(2188号6面1)(2005/03/07)
圧倒的な注目集めた都立高でのビラまき 東北大 吉岡篤
この間2週間にわたって毎朝、都立高校前で高校生や教職員に対して不起立・不斉唱を呼びかけるビラをまいてきました。私たちがまいたビラは、高校生や不起立で闘おうとしている教育労働者の圧倒的注目を集め、石原や都教委にものすごい恐怖を与えています。
今春の卒・入学式をめぐる激突は、昨年とは比べものにならないほど激しく展開されています。石原・都教委は「日の丸・君が代」を強制するために、闘う教育労働者に対して不当な転勤をちらつかせたり、卒業式でも「生徒が立たなかったら式を中断して指導する」との通達も出しています。そして私たちのビラまきに対しても、校長など管理職が妨害し、あるいは権力と一体となって弾圧してくるという状況です。これこそ「日の丸・君が代」を使った教育の暴力支配=戦時教育ではありませんか!
しかし、この状況がいつまでも続くことはありません。なによりも「職場には闘うエネルギーが充満」しています。昨年の被処分者が、今年は不起立・不斉唱=「40秒間のストライキ闘争」をさらに拡大していく戦闘宣言を発しています。
高校前でのビラまきは、何よりも反動の嵐の中で闘い続けている教育労働者にものすごい激励と、連帯のアピールとして届いています。「高校生の組織化は学生にしかできない」「昨年私も処分された。ビラをまいてくれてうれしい」など多くの檄(げき)が寄せられました。また、都立高OBが母校を訪問し、被処分者とエールを交換し合うということもおきています。
それだけではありません。決定的なことは、決戦部隊のもう一つの柱である高校生がついに決起し始めたことです。この間、高校1年生が都立高校への朝ビラを一緒に行い、街頭に立って同世代の高校生に不起立で闘おうと呼びかけています。あるいは、ビラを5枚、10枚と持ってクラスの友達にまくという高校生もいます。石原が最も恐れていたこと――高校生自身が今や闘いの主体として立ちあがるということ――が現実に始まっているのです。
いよいよ卒業式本番です。全国から一人でも多く駆けつければ、それだけ多くの高校で不起立・不斉唱を呼びかけることができます。「日の丸・君が代」強制を打ち破り、石原を打倒するために全国から卒業式決戦に駆け付けよう。
ビキニ被爆の「証人」=第五福竜丸を見て 東京 原光吉
JR京葉線「新木場」駅から徒歩10分。小高くなった夢の島公園の一角に都立第五福竜丸展示館はあった。この展示館は美濃部都政のもとで76年にオープンした。
玄関を入ると、そこには第五福竜丸が鎮座していた。思っていたよりも圧倒的な迫力で迫ってくる。うす茶色の船体は木造船ゆえのひび割れが目立つ。
第五福竜丸は、ビキニ被爆後、「はやぶさ丸」という名の東京水産大学練習船となり、最後は廃船処分で夢の島に廃棄された。ビキニ事件を抹殺しようとする政府により名前まで奪われた。数奇な運命をたどったこの船に安住の地を提供するために奮闘された人びとに心から感謝したい。
NHK「フリーター漂流」に友人の怒り 東京・フリーランス 吉川弥生
私のまわりの若者の間では、先日放映されたNHK特集「フリーター漂流」が話題になっています。
経済の自由化とは、労働力の自由化であり、労働者が「生産の歯車」以上であることは資本にとって、単なる障害である、ということなのでしょう。帝国主義によるグローバライゼーションという名前の「第三世界」の人々に対する搾取が「先進国」へも逆流しています。労働のニート化、フリーター化、時間給による保障のない派遣労働化は、アメリカでも日本でも急ピッチで進んでいます。NHKの番組を見た友人らは、「フリーターのドナドナ(歌のドナドナです)」「野麦峠へ逆戻り」などと、怒り心頭です。
戦後初めて、日本の若者が、自分たちと第三世界の状況の根っこを同じものとして実感できる事態になったと言えるのではないでしょうか。その意味で、やはり国際連帯が非常に生きてくる、と思います。皮肉ではあるけれど、日本の普通の労働者が初めて世界の問題と自分たちをつなげて考えていく機会を与えられているのではないかとも思います。
「精神障害者」の敵か味方か選択を迫る 関西 吉村隆生
2月11日より3日間、大阪市内で医療観察法による審判などに従事する精神科医、医療従事者、保護司などを養成するための研修会が開かれました。全国5カ所のうちの一つとして行われたものです。私たちは、「精神障害者」をはじめ10名で抗議闘争を闘いました(写真)。朝8時集合なので、仲間の中には睡眠障害のため朝起きられないので徹夜をした人もいました。
参加してくる人に対して「精神障害者」に対して敵になるのか味方になるのか、選択を迫るビラを配布しました。また、マイク宣伝で、講師であるペテン師山上皓らを弾劾し、参加者に「精神障害者」に敵対するのかと問いました。
研修会は270人の規模です。厚労省は保安病棟の建設が強固な反対にあって2カ所以外頓挫しているなかで、研修会に人が集まっていることが制度の成功例だと打ち出しています。しかし、抗議のビラをほとんどの人が受け取りました。また、わざわざ外に出てきて激励していく人もいました。なぜこういう現象が起きているのかと言うと、厚労省が最初に希望者を募ったところまったく人が集まらず、病院などに圧力をかけて業務命令で参加させているからです。
また今、厚労省は「グランドデザイン」=障害者自立支援法案を国会に上程し、精神保健福祉法改悪案を出していますが、そのなかで、通院医療費補助の大幅削減と共に、指定医でなくとも強制入院させることのできる制度を新設しようとしています。医療費補助の削減で浮いた金を保安病棟に投入し、保安病棟を頂点とする新たな強制入院制度の体系を作ろうとするものです。
新たな強制入院制度は、いまは一定の経験をつんだ指定医が診断しているものを、経験の浅い医者でもできるようにするものです。精神科救急制度の破綻(はたん)をとりつくろい、「精神障害者」をがんじがらめに強制医療の中に縛り付けようとしているのです。
治安維持のためならどんなに人間性を奪ってもかまわないという厚労省の新施策に対して、心の叫びの反撃を加えていきたい。
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週刊『前進』(2188号6面2)(2005/03/07)
共謀罪反対3・15国会デモへ 改憲へ向け団結破壊狙う
思想処罰する治安弾圧法
戦時下の階級闘争へ突入する中で、小泉と奥田(日本経団連会長)が一体化し、戦争と民営化の攻撃が激化している。その攻撃の一環として、労働者階級の反撃を根絶するための治安弾圧体制の切り札である共謀罪新設の攻撃がかけられている。労働者を先頭に今国会での共謀罪廃案へ立ち上がろう。
戦時下の治安の維持に腐心
日帝・小泉政権のイラク侵略出兵をもって日本の階級闘争は「戦時下の階級闘争」へと突入した。今や小泉政権は、日米枢軸路線を推進し、北朝鮮への排外主義的扇動を激化させながら、北朝鮮・中国侵略戦争から世界戦争への道をまっしぐらに進んでいる。
昨年12月14日、日本経団連は、「05年版経営労働政策委員会報告」を公表し、さらに今年1月18日には「わが国の基本問題を考える」と「これからの教育の方向性に関する提言」を立て続けに発表した。
ここに示された内容は@東アジア自由経済圏の形成をめざし資本への規制を撤廃させ「攻めのリストラ」を推進し労働組合(運動)を解体する、A9条改憲を行い集団的自衛権を明文化し教育基本法を改正する、B「個人の尊厳」を掲げた教育を「愛国心」「国家への忠誠」を教える教育へと大転換させ日教組を解体する、というものだ。まさに日帝ブルジョアジーの階級戦争宣言だ。
この路線を貫徹するためには、経団連が主張するように「安全・安心な社会の構築」と「治安の維持」が不可欠となる。「治安の維持」とは言い換えれば、労働者階級の反撃を根絶するということだ。今日、戦時下の弾圧としてビラまきで逮捕・長期勾留などの攻撃がエスカレートしている。その上で治安弾圧の切り札として、小泉政権は共謀罪新設の攻撃に踏み込んできている。
ここで重要なことは、小泉政権は、かつての天皇制イデオロギーと治安維持法のような労働者人民を暴力的に統合し支配する体制をつくることができないまま、階級間戦争に突入してしまったことである。一方で労働者人民は、その政治的団結体である革命党(革共同)を堅持し、労働者の唯一の団結体である労働組合(階級的労働運動)を守り抜いたまま、階級決戦に突入することができた。
ファシスト石原都知事の「日の丸・君が代」強制を拒否し、自らの存在をかけて卒・入学式で不起立闘争に決起した教育労働者の闘う姿を見よ! 34年間の争議に勝利し2名の解雇撤回・全員原職奪還をかちとった全金本山労組の歴史に残る闘い。動労千葉を始めとする3労組が主催し戦争と民営化に反対する国際連帯集会を見事に実現した11月労働者集会の地平。今、労働者人民は、小泉=奥田路線を粉砕し日帝ブルジョアジーを打倒する気運にあふれている。反動石原都政への怒りが渦巻いている。
追い詰められているのは日帝・小泉=奥田であり、反動石原都政なのだ。
戦争への国民動員と一体
日帝・小泉政権の攻撃は、「日の丸・君が代」の強制と教育基本法改悪、共謀罪の新設、憲法改悪が相互に補完しあいながら侵略戦争政策を推進する構図となっている。
まず「日の丸・君が代」の強制と教育基本法改悪で労働者人民の間に天皇制イデオロギーをまん延させ、日教組を破壊してすべての教育労働者に戦争協力を強制する。共謀罪の新設は、侵略戦争(侵略軍)と天皇制に反対するすべての思想を処罰し、革命党を始めとした団体(組織)を解体する。そして憲法改悪で、集団的自衛権の承認と侵略軍の創設、天皇の元首化を定める。
これらの攻撃に共通する特徴は、これまで国家権力を縛ってきた法の理念を解体し、労働者人民を管理・支配するための法に変質させるということだ。
例えば、現行憲法の第99条「憲法尊重擁護の義務」は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と定められている。これが自民党・憲法改正大綱原案では、「国民は、これを尊重し擁護する責務を有する」という内容に百八十度逆転している。
また教育基本法の第10条(教育行政)の1は「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである」と定められている。これに対して経団連は、「不当な支配に服することなく」の表現を問題視し、「国が教育内容の方向を示すことについての正当性を明らかにすることが必要」と主張し、10条の理念を解体逆転しようとしている。
そのために日帝・小泉政権は、「日の丸・君が代」強制を突破口に、共謀罪の新設ですべての労働者階級人民に「投網を投げかけるような」治安弾圧体制を敷き、改憲で侵略翼賛体制を完成させるという攻撃をこの1〜2年でやり遂げようとしているのである。
労働者の団結がすべて対象
共謀罪の目的は労働者階級人民のあらゆる団結形態を取り締まり、解体することである。とりわけ団体(組織)を内部から解体することにポイントが置かれている。共謀罪は労働者階級人民にとっては「団結禁止法」であり、絶対に廃案にしなければならない悪法である。
共謀罪の特徴は、@実行行為を必要としない、A刑法・特別刑法のうち557罪種に適用される、B団体(2人以上の集まり)に適用される、C5年以下の懲役・禁固(重罰)が科せられる、D自首した場合はその刑を減軽又は免除する、という点にある。警察権力は、共謀罪の捜査手法として室内の盗聴、電子メールの傍受、おとり捜査、スパイ化などを日常的に行う。
共謀罪の捜査対象は「2人以上の団体」であればいいわけで、実際には労働者階級人民の結成したすべての団体が対象となる。革命党、労働組合、反戦運動団体などである。
共謀罪の成立を判断する尺度は、実行行為を必要としないため、捜査にあたっている警察官の心証だけとなる。「共謀した」と警察官が判断すれば共謀罪が成立する。まさに警察官にとってフリーハンドで適用できる治安弾圧法である。
さらに「共謀」という概念の変遷が共謀罪を究極の治安弾圧法へと強化する。
現行刑法では、共謀した内容を実行するための準備にとりかかった時点から、初めて「共謀」が「犯罪」に問われる。例えば、「小泉に卵をぶつけてやろう」と「共謀」しただけでは「犯罪」とならない。「共謀」の上に「実際に卵を買った」時点から「共謀」したことが「犯罪」に問われる可能性が出てくる。
ところが、犯罪を事前に実行者と謀議していれば、実行行為に加わっていなくても、実行者と同じ罪に問われるという「共謀共同正犯」論が、現実には判例の積み重ねによりあたかも「法」として通用していて、これが多くの冤罪の温床となっている。
国労5・27臨大闘争弾圧では、「遠くで仲間が本部派の人に抗議していた。それを黙ってこっちは見ていた」という行為に対して「見ていたということをもって共謀が成立した」と検事は主張し、これを「黙示の共謀」と言っている。「黙示の共謀」には「目配せ」や「うなずき」も含まれるとまで言っている。
「黙示の共謀」の主張は、共謀罪における「共謀」の概念をどんどん拡大し、発言だけでなく配られた書類・メモ・ビラ・機関紙の内容をすべて共謀した内容とみなすことを可能とする。
共謀罪で弾圧された場合、「自分はその場で反対の意見を言った」と主張しても認められない。参加していた事実だけで共謀が成立するのだ。
参加しただけで弾圧されるというのは、その団体の思想を国家権力が恣意(しい)的に問題としているということだ。国家権力がA団体を「共謀罪の捜査対象」と認定した瞬間から、A団体とかかわりを持った団体や個人も「共謀罪の捜査対象」となる。A団体の街頭宣伝を聞いた、ビラを受け取った、機関紙などの出版物を買った、集会に参加した――これらのことすべてが「かかわり」となる。「それがいやならA団体とかかわるな」という圧力が、すべての労働者人民にかけられる。A団体の思想を排除することをとおして、国家権力の認めた団体(思想)のみが労働者人民自身に強制される。
共謀罪は、A団体の「思想を処罰する」という弾圧と、国家権力に翼賛する思想を労働者人民に暴力的に強制することを同時に行う。これが治安維持法を超えた治安弾圧法として共謀罪が果たす役割である。
労働組合の力で阻止できる
日帝・小泉政権は、03年3月に治安弾圧の切り札として、共謀罪新設法案を国会に提出した。ところがこの法案は、今日まで4度の国会を経たにもかかわらず成立していない。今度の通常国会でも衆院・法務委員会での審議入りさえできていない。日帝・小泉政権はますます危機的状況に立たされている。
この現実を生み出した力は、労働者階級人民の共謀罪への関心の高まりと「共謀罪を廃案へ」の声の広がりである。破防法・組対法に反対する共同行動を先頭とした「共謀罪を廃案へ」の呼びかけが、国会の内外へと浸透し始め、その度合いに応じて連合・全労連・全労協傘下の労働者と労働組合の間に関心が広がり、ナショナルセンターの違いを超えて共謀罪に反対する「声明」や「談話」が発表され始めた。マスコミの関心も高まり新聞や週刊誌などに特集記事が掲載されるようになった。
しかし、今、最も求められているのは、労働者と労働組合の決起である。「声明」や「談話」のレベルでとどまっている既成指導部を突き動かし、組合旗や団体旗をたなびかせて国会闘争に立ち上がろう。
3月15日に、「共謀罪に反対する市民・労働者と法律家の国会請願デモ」が、自由法曹団・日本民主法律家協会・日本労働弁護団・社会文化法律センターなどから呼びかけられている。
この場に05春闘を闘い抜く動労千葉を先頭にした戦闘的労働者の隊列と「日の丸・君が代」強制反対の闘いの息吹が合流する時、共謀罪廃案への展望が大きく切り開かれる。すべての労働者は、3・15国会デモに立ち上がろう。
〔山本茂〕
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週刊『前進』(2188号6面3)(2005/03/07)
『共産党宣言』−学習の感想−
『宣言』の立場から実践を B・T
前回の『ドイツ・イデオロギー』に引き続いて重要な講義と討議だったと思います。内容としては、マルクスが『共産党宣言』で言い切ったプロレタリアートの世界史的使命と「存在そのものが闘いの始まり」であるということを本当に確信をもって据えきることが決定的だと思いました。講師の話にたびたび出てきた、この立場で今、日本経団連の「05年版経労委報告」を切っていくこと、これこそわれわれがやらなければならないことだと思います。
対極が日本共産党で、「大企業の社会的責任」(論)とは、まさに『共産党宣言』の精神と内容の換骨奪胎、ブルジョアジーへの全面的屈服であり、絶対に許せない問題があると思っています。(ブッシュの言う「オーナーシップ社会」もガンガン批判すべきだと思います。)
今ひとつ学んだのは、『ド・イデ』と『宣言』の関係、その間にある『哲学の貧困』のもっている位置について、『ド・イデ』のマルクスの上で、決定的な飛躍の位置にあることがよく分かりました。
それと、ロンドンで開催された共産主義者同盟第2回大会での労働者同志との討論と、その中で綱領(『共産党宣言』)の起草がマルクス、エンゲルスに委任されたということ。これはまさに、今われわれ自身の「党の革命」、新指導路線でのブレークスルーをかちとる闘いにとって、ものすごい力になると思いました。
その他、トータルに『宣言』を自分のものにする意欲と自信をあらためて感じることのできた学校でした。
極めて今日的リアルな実感 J・N
ソ連の崩壊以降、帝国主義間対立がますますむき出しのものとなり、その中で今日、日帝においても国内の階級的攻撃がやはりむき出しのものとなっている。古典的なブルジョアジー対プロレタリアートの関係が鮮明となってきている。『共産党宣言』で書かれていることが、歴史上の過去の文書ということではなく、きわめて今日的でリアルに感じられるものとなってきている。
そういう中で、日本経団連の「05年版経労委報告」との対比で『党宣言』を読んでいくことは大変に分かりやすいし、またリアルに階級的な怒りをかき立てるものになると感じた。『党宣言』が、これまでに比べて労働者人民にはるかにストンと受け入れられる時代になっていると思う。
他方では、『党宣言』自身は、他のマルクスの本と比べて、字面そのものは分かりやすいし、活動家が見れば、ある種当たり前のことが書いてあるとして、サッと読み進んですましてしまいがちになるので、一文一文を丁寧に読んで、マルクスの真意をきちんと押さえていくことは必要なことと痛感する。
また、学習会に参加するといつも思い知らされることだが、歴史的背景をちゃんと知っていくことも、正確な理解にとって大切なことであることがよく分かった。
労働者の自己解放の宣言 J・F
『共産党宣言』の学習会は、これまでも何度も参加したし、自らも組織してきた。しかし、新指導路線のもとで綱領的・運動的な党の前進が切り開かれつつある中での今回の学習会は、以前とは違った新鮮さで格闘するものとなった。第1章で展開されているプロレタリアートの存在とその革命性という問題を、これほど力強く感じ取れたことはなかったということである。
これは、『宣言』自体の中で、「プロレタリアの運動は、圧倒的多数者の利益のための、圧倒的多数者による、自立的な運動」であると言われていることにかかわるが、「自己解放性」という問題と真剣に格闘してきた結果、『宣言』の読み方が変わったものと思う。
本当に『宣言』は、労働者自らを革命的主体として形成する宣言であり、また人間の解放をついに成し遂げる階級が人間史に現れたことの宣言であることを心から確信しました。
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週刊『前進』(2188号6面4)(2005/03/07)
解同全国連 狭山支部ついに結成 石川一雄さんとの絆固く
2月20日、埼玉県狭山市内で部落解放同盟全国連合会・狭山支部結成大会が開かれた。狭山特別抗告審闘争が重大な局面を迎える中、無実の石川一雄さんの地元、狭山の地に深紅の荊冠旗が高々と掲げられた。狭山支部の結成は、全国連と石川一雄さんとの連帯を不動にし、狭山を狭山闘争の拠点にする上で決定的に重要である。
結成大会には地元・狭山の同盟員、全国連の県連、支部や埼玉県下の労働者を先頭に共闘の労働者・学生ら45人が結集し、狭山支部の真新しい黄色のゼッケンをつけた支部員が会場中央に陣取った。
「私たちは今日、部落解放同盟全国連合会狭山支部の結成を宣言します」。青年が開会を宣言すると、会場は拍手に包まれた。解放歌斉唱、全国連創立宣言朗読の後、青年が大会議長に選出された。
来賓として山田幸助全国連中央本部中執、山川博康東日本解放共闘事務局長がそれぞれあいさつした。
全国連中央本部を代表して楠木吉秀事務局長が発言。狭山支部結成の歴史的意義を高らかに確認した上で、3月6〜7日に奈良で開催される全国連第14回全国大会への結集を訴えた。
狭山支部準備会の代表が支部結成に至る経過報告と運動方針案を提案した。「狭山の地でこれまで村全体が狭山事件というすさまじい差別襲撃を受けてきた現実をはね返し、狭山闘争を狭山に取り戻すために、石川一雄さんの仮出獄以来10年の闘いを進め、石川さんとの連帯を強めてきた。『法』打ち切り後の差別の洪水と既成解放運動の後退・流動の中、狭山闘争と部落解放運動の責任をとる唯一の勢力として、ついに全国連狭山支部の旗揚げを決断したことの意義は大きい」と報告。「差別糾弾闘争を軸に全国連の3大闘争路線を実践し、狭山闘争の先頭で闘う」と宣言した。
役員人事案とすべての議案を満場一致で採択、これを受けて新支部長があいさつした。「狭山支部」と鮮やかに染め抜かれた荊冠旗を新役員を先頭に支部同盟員が広げると、割れんばかりの拍手がわき起こった。会場全体が一体となって「団結がんばろう」がとどろき、狭山支部結成大会は歴史的な大成功を収めた。
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