ZENSHIN 2005/02/28(No2187
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週刊『前進』(2187号1面1)(2005/02/28)
「特攻隊」を賛美し戦争教育を押しつける ファシスト石原打倒へ
「日の丸・君が代」強制拒否は世界戦争の道を阻む最前線
3・20を全国結集で闘おう
帝国主義は米帝ブッシュの凶暴なへゲモニーのもと、イラク侵略戦争から世界戦争(第3次世界大戦)へと本当に突き進んでいる。第2次世界大戦―アジア・太平洋戦争はとてつもない犠牲と惨禍をもたらした。その歴史をも超える戦争情勢が再び始まっている。05年決戦、とりわけ「日の丸・君が代」強制拒否の2〜3月教労決戦は、労働者階級人民がこれと真っ向から対決し反撃する歴史的意義をもった闘いだ。3月卒業式がいよいよ迫ってきた。ファシスト石原と都教委の理不尽な「日の丸・君が代」強制は戦前の戦争教育への回帰だ。これと闘う東京の教育労働者を先頭に、全国・全産別の労働者人民は総決起し、3月卒業式の不起立闘争を爆発させよう。これは世界戦争情勢と対決する最先端の闘いである。この闘いと一体で3・20国際反戦闘争と05年春闘の爆発を切り開こう。
第1章 世界戦争路線を突っ走ると宣言したブッシュ演説
東京都知事・ファシスト石原を最も凶悪な先兵とする「日の丸・君が代」の強制は、現下の日帝・小泉=奥田路線による戦争と民営化(労組破壊)の最先端に位置する攻撃である。
第一に、これは何よりも侵略戦争と天皇制的圧制と排外主義・愛国主義のシンボルである「日の丸・君が代」を、教育現場で一人の例外もなく強制し、児童・生徒にも無条件に押しつけていく攻撃である。そしてこれを拒む者は処分し、教育現場から追放しようとする理不尽極まる攻撃である。
第二に、しかもこれはすでに始まっている帝国主義侵略戦争―世界戦争過程を拡大・促進するための戦争教育そのものであり、子どもたちを再び戦場に送り出す攻撃だ。戦前の侵略戦争、第2次世界大戦の歴史への反省など一切投げ捨て、再び新しい「15年戦争」に突き進もうというのだ。
第三に、これは同時に教育現場での強制と処分の恫喝をもって、教育労働者の団結を破壊し、労働組合を解体しようとする攻撃である。労組と団結が解体されれば、戦争と闘う拠点もなくなってしまう。石原と小泉=奥田はそれを狙っているのだ。
こうしたとんでもない攻撃に、教育労働者を先頭として、全国・全産別の労働者、すべての学生と人民の怒り、危機感を爆発させ、「日の丸・君が代」強制拒否に立とう。3月卒業式闘争を大高揚させよう。団結し不起立で闘おう。戦後の歴史の中で今こそ闘う時だ。いや今闘わずして闘う時はないのだ。
米帝の体制的な危機と没落
すでに米帝ブッシュがヘゲモニーをとった帝国主義の侵略戦争―世界戦争の過程が始まっている。日米枢軸(米英日枢軸)のもとに日帝・小泉は、米帝・米軍と一体化しつつこの世界戦争過程に参戦し、新しい「15年戦争」に突き進んでいる。労働者階級はこのことに最も鮮烈な認識を持ち、政治的・理論的にも、感性的にも完全に自己を武装して、闘いに立ち上がらなければならない。
ブッシュが就任演説で、新国務長官ライスが公聴会証言で、それぞれ宣言したことは何か。「圧制に終止符を打ち」「(世界に)自由を拡大する」ことが米帝の究極目標であり、神から与えられた「召命」だということである。3カ国の「悪の枢軸」の決めつけに続いて新たにイラン、北朝鮮など6カ国が「圧制の拠点」だという名指しの規定である。そして「必要とあらば(先制的に)武力行使する」「圧制者たちを許すことはしない」という戦争恫喝である。
これは米帝があくまでもイラン、北朝鮮などへ次々に侵略戦争を拡大し、世界戦争まで突き進んでいくという凶暴極まる宣言だ。第2期ブッシュ政権はイラク侵略戦争を突破口に世界戦争路線を突っ走るという宣言だ。
基軸帝国主義であり、唯一の超大国である米帝は、今、歴史的没落と体制的危機にあえいでいる。ドル暴落、大恐慌爆発の懸念と、世界体制維持の重圧にあえいでいる。ここで国際的な争闘戦に勝ち抜き、米帝の「国益」を護持するためには、侵略戦争に訴え、世界戦争路線を突き進み、世界を暴力的に再編成するしかないということだ。ブッシュ政権のとてつもない凶暴性の歴史的根拠、必然性はこの点にある。
2月2日の一般教書演説も、就任演説やライス証言と完全に一体だ。ここでもブッシュは「自由の拡大」と「専制政治の終焉(しゅうえん)」を叫び、中東全体の「民主化」を叫んで、「テロ支援」や「核兵器開発」を口実にシリアとイランを攻撃のやり玉にあげた。北朝鮮に対しても「核の野望を捨てるように説得する」と述べ、外交的重圧と侵略戦争発動の二段構えの戦略を打ち出した。国際関係でも国連への言及はわずか一回、イラク参戦諸国との「有志連合」路線の推進を明言した。そこには独・仏とロシア・中国への対決政策(戦略)が完全に含まれている。
一般教書演説で今ひとつ重要なことは、経済危機と天文学的水準の「双子の赤字」、そして国内階級支配の危機にあえぐブッシュが、社会保障、医療、司法、入管など国内政策でも徹底的な資本攻勢、治安攻勢を宣言したことだ。特にニューディール政策以来の社会保障制度=公的年金制度の抜本的改革(=解体)に向け、09年から確定拠出型保険の「個人勘定」導入に踏み切ることは、実に重大事態である。
絶望的な体制的危機と歴史的没落を深める米帝は、だからこそ外に向け侵略戦争・世界戦争に突っ走ると同時に、内への階級戦争に全面的に訴えてきているのだ。
日米枢軸化へ突進する小泉
日帝は帝国主義世界体制の中で「最弱の環」である。そこから日帝は小泉=奥田路線のもと、米帝ブッシュと日米枢軸を形成し、軍事的にも一体化して延命する路線を突き進んでいる。イラク侵略戦争参戦と多国籍軍参加、そして昨年12月のイラク派兵延長決定こそ、日米枢軸化の決定的な飛躍点だった。
日帝・小泉は派兵延長決定を軸に昨年12月、新防衛計画大綱や国民保護に関する基本方針(要旨)の発表など反動的諸決定を行った。さらに日本経団連の「05年版経労委報告」が出された。これに続き今年1月には、日本経団連の国の基本問題検討委員会が「国の基本問題」と「教育の方向性」に関して提言した。2月19日の日米安保協(2プラス2)では、米軍再編(トランスフォーメーション)に向けて日米の「共通戦略目標」と「役割分担」が明確化され、日米新安保共同宣言やガイドライン見直しも合意されようとしている。
これらは日帝が小泉=奥田路線と日米枢軸のもと、米帝・米軍と完全に共同して、イラク侵略戦争から対イラン・シリア、対北朝鮮・中国の侵略戦争、さらには世界戦争に突き進むという攻撃だ。そのために本土と沖縄の米軍基地および自衛隊基地を大再編し、日本全土を大規模兵力の「戦力展開拠点」=基軸的戦略拠点にするということだ。
同時にこれに対応して、改憲(9条解体と集団的自衛権行使)と教育基本法改悪(教育勅語復活)へ本格的に着手し、日帝の政治・国家体制を戦争国家へと大改造しようということだ。
さらに日本経団連は05年版経労委報告で「攻めのリストラ」や「ベアゼロ」に加え、労働者を「工場法」以前の状態に引き戻せと要求した。これは19世紀的な搾取と抑圧という極限的な資本攻勢の宣言である。
今まさに労働者階級は急転回する世界戦争情勢を直視し、戦争と民営化(労組破壊)攻撃との闘いに総決起し、プロレタリア革命の勝利に向け闘いぬかなければならない。
第2章 「憲法を命がけで破る」と叫ぶ石原に不起立拡大を
米帝ブッシュの世界戦争路線に対応した小泉=奥田の攻撃を、最も凶暴にファシスト的に体現しているのが石原だ。教育現場における「日の丸・君が代」強制の攻撃だ。
石原はファシストである。再び日米戦争をやれ、北朝鮮と戦争しろと言い、「憲法を命がけで破る」とうそぶく人物である。中国領・釣魚台などの領土略奪を叫ぶ侵略と排外主義の権化であり、「障害者」への差別と抹殺、女性や高齢者への差別の張本人である。この石原が今、「東京からクーデターを起こす」「日本を変える」と称し、03年10・23通達をもって教育現場に戦争の旗、天皇制賛美の歌を強制しているのだ。
10・23通達は戦前への回帰
10・23通達とは何か。校長の職務命令と「服務上の責任を問われる」という処分の恫喝をもって「日の丸・君が代」を強制し、戦争教育を行う攻撃である。
通達には「国旗は式典会場の舞台壇上正面に掲揚する」「教職員は会場の指定された席で国旗に向かって起立し、国歌を斉唱する」など、強制儀式のマニュアルが事細かに指示されている。これはまさに学校が「教育勅語」のもとでの戦前に回帰することだ。日清・日露戦争以来、各種儀式による強制で「日の丸・君が代」を児童・生徒の意識と体にたたき込んできた歴史の復活だ。再びお国のために命を投げ出す若者、「特攻隊」となる青年を作り出す攻撃だ。その証拠に、石原の手先たる山田杉並区長は成人式で特攻隊員の遺書を読み上げ、彼らに「感謝しなさい」とあいさつしたではないか。
ここまで来ているファシスト石原と都教委の攻撃に反撃し、勝利する道は、昨年の300人の不起立決起を、今年の卒業式でさらに拡大することだ。ファシストは尊大で凶暴だが、労働者階級の団結した闘いの前には、まったく脆弱(ぜいじゃく)だ。
また職務命令には「引く」という都高教本部の屈服方針は許し難いものだ。しかし7000人の組合員が職場・分会ごとに団結して不起立を闘えば、石原・都教委に反撃できる。勝利は切り開ける。
都教委は予防訴訟の「答弁書」で、校長に「職務命令を必ず出しなさい」と言ったことはない、10・23通達で「教職員らに義務が課せられたことにはならない」と述べている。都教委の通達による命令と強制は教基法10条違反になるからだ。職場・分会が団結して校長交渉を闘い、校長に職務命令を出させない状況を作り出そう。
いよいよ「日の丸・君が代」強制拒否の闘いの正念場だ。都高教本部の屈服を粉砕しのりこえて闘おう。カクマルの「告訴・告発」運動による不起立闘争圧殺策動を完全に粉砕しよう。7000人の組合員が職場・分会ごとに団結し、歴史の主人公として不起立を闘おう。これこそは世界戦争情勢と対決する最先端の闘いなのだ。
勝利の見本がここにある!
動労千葉は、国鉄分割・民営化に反対して2波のストを打ち抜き、40人の解雇者を始め392人の不当処分をはね返して闘った。そして今日も団結を守り、原職復帰などの勝利を開いている。全金本山は34年間の長期争議を闘って、1月19日、ついに「2名の解雇撤回、全員の原職奪還」という画期的な完全勝利をもぎり取った。ここに原則を守り団結して闘えば勝てるという見本がある。これに続こう。
東京の教育労働者の闘いを孤立させず、それを全国・全産別の労働者、すべての学生、人民の決起で包み、連帯してともに闘い、3月卒業式闘争を大爆発させよう。もって石原と都教委を打倒するのだ。
2―3月教労決戦への全力決起を突破口に、4大産別決戦の前進をかちとろう。小泉改革の「本丸」攻撃=郵政民営化の絶対阻止へ血路を開こう。
3月卒業式闘争の大高揚と一体のものとして3・20国際反戦闘争を首都全国結集で闘おう。動労千葉を先頭に05春闘の爆発をかちとろう。6月都議選勝利へ決起しよう。
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週刊『前進』(2187号1面2)(2005/02/28)
JPU中央委 全逓会館包囲のデモ
“民営化阻止へ物ダメ”を
2月16〜17日、東京・文京区の全逓会館でJPU(日本郵政公社労組)の第120回中央委員会が開かれた。闘う全逓労働者は、中央本部の言う「民営化反対」がうそっぱちであることを暴き、中央本部を打倒し、郵政分割・民営化絶対阻止へ物ダメ・ストライキで闘うことを訴えた。
中央本部は、「郵政民営化反対」と言いつつ、郵政民営化に全面的に協力し、郵政公社のアクションプラン・フェーズ2による大合理化=首切りを労使一体で進める方針を強行した。それは、議案の「経営基盤の確立をはかるためには、原資の生み出しが必要であり……効率化や生産性の向上は避けて通れない」などの文言に明らかだ。「効率化」とは民営化そのものなのだ。
初日の16日、全国労組交流センター全逓労働者部会、全逓4・28連絡会、人事交流=強制配転に反対する近畿郵政労働者の会などの約50人が、冷雨の中、全逓会館前に陣取り、ビラまき・情宣活動を行った。東京、関東、東北、近畿、四国、日逓(日本郵便逓送)の労働者らが次々とマイクを握り、深夜勤や郵政版トヨタ方式(JPS)などによる民営化そのものの攻撃で次々と「過労死」を強制されている実態と闘うことを呼びかけた。4・28被免職者は、昨年6月30日の「懲戒免職処分取り消し」の高裁逆転勝利判決を受けて、「本部は郵政公社に上告を取り下げるよう要求すべきだ」と訴えた。
開会後、近くの礫川(れきせん)公園から全逓会館を包囲するデモ行進に立ち上がった。全逓会館前でデモ隊は警察権力の規制をはねのけて、ひときわ力強く「郵政民営化反対」「人活センター設置を許さないぞ」「効率化勧奨退職反対」「本部は反処分闘争を闘え」「物ダメ・ストライキで闘おう」とシュプレヒコールを上げた。
闘う全逓労働者は翌日もビラまきを行い、意気揚々と中央委闘争を貫徹した。郵政民営化法案の国会提出が切迫する中で、職場での組織化と4・28反処分闘争の勝利、そして6月の全国大会(奈良)に向けて闘うことを誓い合った。
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週刊『前進』(2187号1面3)(2005/02/28)
辺野古新基地建設完全粉砕・普天間基地撤去
SACOの破綻を実力で確定し「米軍再編」粉砕へ
「辺野古新基地見直し」はウソ
2月19日の日米安保協を前に、2月7日、琉球新報と沖縄タイムスの朝刊は「政府が辺野古新基地を見直すことを決断」という報道を大々的に行った。しかし、この報道は全国紙ではほとんどなされなかった。日帝政府は、一種の情報操作によって、あたかも沖縄にとって良い話が進行しているかのような煙幕を張り、沖縄の闘いを混乱させ毒を注ぎ込もうとしたのである。
辺野古現地で闘う人びとを先頭に、闘う人民は、このような闘争破壊の攻撃をも打ち破って、新基地建設実力阻止・普天間基地実力撤去(米軍基地撤去=沖縄奪還)に向かって、また世界戦争のための米軍再編(トランスフォーメーション)粉砕に向かって、闘いを強めなければならない。革共同は、全国の闘う人民に辺野古をめぐる決戦情勢が完全に煮詰まっていることをアピールするとともに、現地で闘う人びととともに最後まで闘い抜く決意を固め、支援を強化することを呼びかける。
辺野古の闘いはすばらしい局面を切り開いている。昨年の4月以来、そして9月の海上攻防戦開始以来、また11月の単管やぐら攻防戦に突入して以来、地元のオジー、オバーの肝心(チムグクル)を受け止めた支援や青年たちが決起し、防衛施設庁との本格的な大闘争の先頭に立ってきた。国家権力との体を張った命がけの闘いは、闘う漁民(ウミンチュ)の魂を揺さぶり、感動的な共同闘争に発展した。ひとまずの期限切れ(当初予定)である3月まで1本のボーリングも許さない闘いを貫徹した。
困難を解決しながら確実に前進してきたこの力は、今では日本の階級闘争史上にも例を見ない独特の闘う共同体(コミューン的空間)を形成している。このような力を生み出したことは、闘う人民の成果(共有財産)であり、日帝にとって決定的な敗北である。
名護・辺野古は闘う人民の不抜の拠点、永続的な闘いの震源地となりつつある。辺野古において切り開かれているすばらしい地平を守り発展させよう。そのためにも海上基地建設を完全に実力で阻止しよう。日帝国家権力に全面的な破綻(はたん)を強制しよう。
米軍再編推進と日米枢軸化
日帝は、全世界で戦争を拡大する米帝と一体となって進む以外に帝国主義として生き延びる道がない。小泉と日帝支配階級は「日米同盟の強化こそ国益」という論理を振りかざし、日米枢軸化の道、つまりイラク侵略戦争を継続・激化し、アジアにおいては日米共同で北朝鮮・中国侵略戦争への道を進む基本路線を帝国主義として選択した。今進行している米軍再編と日帝の積極的対応は、その具体化としてある。
小泉は米軍再編を国内政治的に貫徹するために「沖縄の負担軽減」をペテン的に振り回している。だが重要なことは、米軍再編が実行されれば沖縄はイラクや中東への出動拠点となるにとどまらず、北朝鮮侵略戦争、中国との本格的軍事対決の最前線となるということである。
日帝の側から中国との軍事的対決をあおり、沖縄をその犠牲に供していく動きはすでに激しく進行している。政府とファシスト石原が結託して行った釣魚台私設「灯台」の国家管理への移行(挑発的な領土略奪行為)や東中国海の資源問題をめぐる日帝の動きは、すでにひとつの分水嶺(ぶんすいれい)を越えた帝国主義的戦争行為である。闘ってこの道を阻止しなければ第二の沖縄戦は避けられないものとなるのだ。
沖縄の基地は強化される!
「沖縄の負担軽減」というだましの構図は、72年の沖縄「返還」や96年のSACO合意と本質的に同じであるが、実質的にはそれら以上にとんでもない攻撃である。今度の米軍再編は沖縄基地削減のチャンスであるという論理は、誰がどんな意図で言った場合でも正しくない。人民の実力決起を巻き起こすことなしに沖縄基地削減と沖縄基地撤去の展望が開かれることなどありえないのである。
今言われている海兵隊の「有事駐留方式」は、沖縄海兵隊が沖縄を本籍として展開し、いつでも沖縄に戻ってくることを保証する方式である。嘉手納を軸とする空軍や海軍・陸軍などの戦略的強化と一体のものとして、沖縄基地は21世紀も半永久的に強化・固定化(そして拡張)されようとしているのだ。本質的にも現実的にも沖縄基地は強化されるのだ。
辺野古基地をめぐる攻防はこれからが正念場である。問題の核心は、日米政府間の交渉や両政府と沖縄県当局の駆け引きのレベルに話をずれ込ませてはならないということだ。真実を暴き出し、労働者階級人民の実力ではっきりとしたけじめをつけよう。その時これまでの辺野古の営々たる闘いのすべての蓄積が爆発的な力となって発展する情勢が開かれる。
東京を先頭とする2−3月「日の丸・君が代」決戦と結合して3月沖縄・辺野古決戦を闘いぬこう。
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週刊『前進』(2187号2面1)(2005/02/28)
共同討論で渾身の「不起立宣言」
福岡から教育労働者は訴える
「日の丸・君が代」強制の暴力に処分を恐れず実力で闘い抜く
全国を席巻する卒業式闘争を
都高教の労働者にこたえ戦争教育を許さない決意
昨年来、福岡の地で、闘う教育労働者は新たな挑戦を敢然と開始した。新たな潮流運動を切り開く闘いとして、2・8集会・デモを皮切りに、5・16、8・8〜9集会、9・12と教育基本法改悪反対の集会・デモを繰り広げ、ひとつの勢力として形成してきた。連合執行部の制動をはねのけ、敵対をのりこえて、自らの力で、教基法改悪阻止闘争の大衆的高揚を切り開いてきた。まさに、それは「ランク&ファイル」(現場労働者)の運動として、不退転のチャレンジであった。
11・7全国労働者総決起集会は、こうした闘いを担った教育労働者が多く結集し、都高教の被処分者の不起立闘争の呼びかけと決意を、感動とともに緊張をもって受け止めた。集会に参加した3600人の労働者とともに、05年教労決戦を切り開く課題を、自らの階級的任務として全身で受け止めたのである。
都高教労働者の決起をどうとらえ連帯するのか。不起立闘争をどのようにして切り開くのか。繰り返しの討論、自らの真剣な模索、その過程をとおして、自らの不起立闘争へのエネルギーを高めていった。「不起立宣言」(別掲)は、その地平であり、自らの選択として作り出された。
東京の不起立決起にこたえるには「不起立」で闘うしかないことは、あまりにも明白であった。だが、こうした確認だけで、「不起立宣言」ができたのではない。11・7直後から始まった共同討論を踏まえた共同意志として「不起立宣言」は作られた。揺らぐことのない確信に満ちたものである。いかなる反動も敵対をもねじ伏せて進む渾身(こんしん)の宣言である。その重みを持っている。
闘う教育労働者は、1・30革共同九州政治集会で自ら登壇して「不起立宣言」を行った。この「不起立宣言」こそ、革共同集会の実践的結論であり、内容そのものであった。
今春の卒業式・入学式―「日の丸・君が代」闘争方針論議の中で、「不服従」宣言ではなく、あくまでも「不起立宣言」=起立しない実力闘争として問題を明確にさせた。
都高教の仲間が「不起立」宣言を発し、処分恫喝をはねのけて、2年目の不起立闘争を闘い抜こうとしている。アジア・世界の労働者人民の注視の中で、「日の丸・君が代」=天皇制・戦争教育とどう闘うのか。イラクへの自衛隊派兵=「教え子が戦場に送られる」という状況下で、教育労働者は戦時下での「戦争協力拒否」の闘いをどう闘うのか。こうした問題に対する回答として、不退転の不起立闘争=実力闘争の宣言を発した。
処分を恐れぬ体を張った不起立闘争は、必ず「不起立」ができない人をも励まし、決起を促し、「あの人もこの人も」という情勢をこじ開けることになる。こうした確信を形成する過程をとおして、「不起立宣言」は発せられた。
福教組の屈服方針に怒り組合員からの共感広がる
今日、卒・入学式での「日の丸・君が代」強制に対して、福教組(日教組)は、「処分を出さない」ことを絶対の前提にした方針をとっている。「日の丸・君が代」に対する内容的批判に問題をすり替え、「日の丸・君が代」の「強制」という暴力性にあらかじめ屈服し、対決することから逃亡している。
「日の丸・君が代」そのものは、非合理なものであり、説得―納得させられるようなものではない。実際、校長はどこでも説明に行き詰まった。「日の丸・君が代」の貫徹とは、力ずくで強行する暴力的なものでしかなく、それをもって職場の力関係を転覆することにある。天皇制暴力の発動そのものとしてある。福教組の「処分を出さない」「内容的に批判する」という方針は、こうした暴力的本質との対決を避けた屈服路線そのものであった。反革命暴力に不起立などの実力闘争を対置してのみ、それを打ち破ることができる。実力対決できなかった福教組とその現場は異常な事態にたたき込まれていった。運動会、発表会などの学校行事は、校長の一片の通達で行われ、職員会議は形骸化した。教育活動は教師個人の責任とされた。ついには、「目標管理制度―人事評価制度」を導入し、教師の個人責任として評価する制度となった。
加えて、教育労働者は超多忙の労働地獄にたたき込まれている。仕事の家庭への持ち帰り、居残りの常態化、研修漬け、さらには帝国主義の矛盾の表れである「不登校・登校拒否」「学級崩壊」「校内暴力」に、教師は独りで立ち向かってきた。今や、教育労働者は心身ともにへとへとに疲れ、極限的事態にある。「もう、我慢できない」という怒りが充満している。
教育基本法改悪は、こうした事態をさらに悪化させることは、火を見るよりも明らかだ。
問題は、何か? 福教組指導部の「原則反対、現実対応」といった、へ理屈にもならない屈服路線ときっぱり対決し、「日の丸・君が代」の強制という暴力と断固対決し、不起立の実力闘争に立ち上がることだ。
「不起立宣言」は、大きな反響を呼び起こしている。「闘争は終わった」という意識、福教組執行部の「処分は出さない」「現実対応」といった方針の中で、言わば、「平地に乱を呼び起こす」闘い、ランク&ファイルの闘いをとおして、05年教労決戦―3〜4月「日の丸・君が代」強制拒否の不起立闘争の爆発を作り出していく決意である。2・11集会の成功をかちとり、3月卒業式闘争の爆発をかちとる。
11・7集会の成果を広げ日本版MWMを始めよう
昨年の11・7労働者総決起集会は、日米韓の3国の労働者が一堂に会し、感動的な国際連帯集会としてかちとられた。
米英日帝国主義が枢軸を形成し、世界支配をめぐって世界戦争過程に突入する中で、3国の労働者が国際的に団結し、戦争と民営化(労組破壊)と対決する労働者集会であった。それは、開始された世界戦争を内乱に転化する階級的本隊の登場としてあった。アメリカでの10・17MWM(百万人労働者行進)、韓国の労働者階級の11月ゼネストと一体であり、「あそこから世界革命が現実的に始まった」というにふさわしい国際連帯集会であった。
この11・7労働者総決起集会に、都高教の被処分者が参加し、ともに決起することを呼びかけた。04年の日本階級闘争を支え、けん引したものこそ、「日の丸・君が代」強制拒否の不起立闘争、教基法改悪反対闘争の先頭に立った都高教300人の決起であった。
この都高教の被処分者の11・7集会への合流こそ、日本版MWMの現実性を開示するものであった。戦争と民営化(労組破壊)攻撃のもとで、連合的制動をはねのけて、労働者階級が陸続と決起してくることは不可避である。こうした労働者が11・7集会勢力と結合・合流し、一体となって闘う時、日本版MWMは始まる。その時、「05年革命」が現実のものとなる! 決起した都高教の被処分者が、自らの選択として11・7労働者集会に結集し、アピールを行った。ここにこそ、画期的意義がある。
今こそ、その実践の時である。05年階級決戦の一切をかけて、この3月卒業式における「日の丸・君が代」強制拒否の不起立闘争に総力で決起しよう。3月卒業式をめぐる不起立闘争の爆発は、確実に4月情勢を決し、05年全体を決するものとなることは間違いない。一点の火花が燎原(りょうげん)の火となって、全国を席巻するだろう。福岡の教育労働者は全国の先頭で断固として闘い抜く。
〔南原和敏〕
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私たちの不起立宣言
私たちは、今春の卒業式・入学式における「日の丸・君が代」強制を拒否し、不起立のたたかいに立ち上がることを宣言します。これは、「日の丸・君が代」強制に象徴される教育破壊、職場破壊に対する怒りの行動です。
今、教育の現場は「研修!研修!」と振り回され、校長や教頭による管理と統制、職員会議の形骸化、上意下達による教育実践が、日々強められています。諸権利が奪われ、時間外の労働が常態となり、仕事を家庭に持ち帰ることはごく当たり前のこととなっています。教師は子どもたちと向き合う時間やゆとりを奪われています。身も心もくたくたに疲れている状態にあります。様々な矛盾が私たちをおそうと共に、子どもたちに集中していっています。
卒業式・入学式での「日の丸・君が代」の強制強化以降、こうした状態が一方的に進められて来ました。「日の丸・君が代」は、合理的な理由もない理不尽なものです。職員会での論議では、常に管理職は明確な教育理論・理由を説明することはできませんでした。ただただ力によって強制してきたのでした。「日の丸・君が代」のこうした本質が貫徹され、「強制」が学校運営の基礎となったのです。
教育は社会の縮図です。子どもたちは大人社会を映し出す鏡です。「単身赴任」「リストラ」「サービス残業」「不当労働行為」「過労死」…が充満する社会では、一人ひとりの子どもの尊厳も踏みにじられています。「切れる子どもたち」「荒学年」「学級崩壊」「登校拒否・不登校」…は、子どもたちや親があえいでいる姿です。現代社会の矛盾こそが問題にされなければなりません。しかし、政府・自民党・文部科学省やそれに連なる人々は、その原因を家庭や教育労働者におっかぶせています。さらには、教育基本法や憲法を変えるとすべてが解決し、良くなるかのように吹聴する始末です。
教育基本法が変えられれば、子どもたち、労働者を取り巻く状況はさらに悪くなります。強制の教育が当たり前のこととなります。
今、日本は自衛隊をイラクに派兵し、増強しようとしています。さらに、改憲を行い、全世界で戦争をしようとしています。そのために、「日の丸・君が代」の強制が一段と強まっています。一昨年来、「東京から日本の教育を変える」として、学校行事や卒業式・入学式での「日の丸・君が代」の強制が、東京都教育委員会の通達、職務命令と処分をもって行われています。しかし、都高教の労働者は、処分覚悟で敢然と反撃に立ち上がりました。
教育に強制を持ち込むことを認めることは、教育の否定、教育への死刑宣告にも等しく、教師としての誇りを奪い去るものだからです。
教育基本法改悪で、私たちの人としての尊厳、教育労働者としてのあり方が破壊され、強制されることを、これ以上放置することはできません。
私たちは、今春の卒業式・入学式における「日の丸・君が代」強制を絶対に拒否する不起立を、ここに宣言します。
2005年2月1日
不起立闘争呼びかけ人・代表 大森武彦(福岡市・三筑小学校)
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週刊『前進』(2187号2面2)(2005/02/28)
今春決起へ全国で集会
関西 被解雇者が訴え
不起立宣言の拡大へ
被解雇者が訴え不起立宣言の拡大へ
2月5日、大阪の大淀コミュニティセンターで「はね返そう『日の丸・君が代』!/みんなですわろうや2・5関西集会」が開催されました。150人以上が参加し、東京の不起立闘争に続くぞという熱気に満ちた集会となりました。日帝が、すでにイラクに自衛隊を派兵し、侵略戦争に突入した中で、戦争教育を許せば、戦争への国家総動員体制がつくられてしまう、なんとしても止めたい、という危機感が、教育労働者を中心とする多くの労働者や保護者たちの結集を実現したのだと思います。
東京からの被解雇者の熱烈な解雇不当の訴えの後、参加した教育労働者、保護者から次々と不起立宣言が行われました。
2週間の短期間で、不起立宣言が144人、支援連帯声明が138人、総計282人分の署名が寄せられていることが発表されました。しかも、そのうちの193人は、氏名を公表しています。2週間という短期間で、これだけの人びとが「日の丸・君が代」強制への不服従を宣言し、氏名を公表してでも自分の意志を表明し、ともに立ち上がろうと訴えていることに深い感動を覚えました。
不起立宣言運動は多くの労働者の心をつかむと確信しました。卒業式・入学式に向かって、さらに数百、千を超える不起立宣言を集めることは可能だし、その数は、関西における教育委員会との力関係を変えるものだと思います。全国で一番早く行われる大阪の高校での卒業式闘争を、学校現場とそれを支える保護者・市民の力で闘い抜いて、全国にその闘いの息吹を発信したいと思います。
今回の不起立宣言運動をとおして、今まで「日の丸・君が代」強制に対して、職場全体で不起立をするために苦闘してきた人、孤立しながら頑張ってきた人との新たな出会いがあり、ともに闘うつながりをつくることができました。
教育労働者の不起立宣言は、職場生産点からの戦争協力拒否闘争そのものです。不起立闘争が全国に広がり、全国的なネットワークができれば、現場教職員による日教組再生の大きな力となるにちがいありません。これこそ、評価制度や多忙化などの戦争のための「教育改革」と闘う力を学校現場にとり戻す道でもあると痛感しました。
(投稿/関西・A)
広島 350人結集し熱気 “教基法改悪止めよう”
2月11日、広島市平和資料館・メモリアルホールで「『日の丸・君が代』強制反対/子どもは『お国』のためにあるんじゃない! 教育基本法改悪をとめよう2・11広島集会」が開催されました。会場は立錐(りっすい)の余地なく、昨年の2・7集会を大きく上回る350人余が結集し、熱気あふれる集会でした。
栗原君子さんが呼びかけ人を代表して開会のあいさつに立ち、「『日の丸・君が代』の強制など、学校現場に権力支配が強まっている。教基法上程見送りの報道は予断を許されない。さらに闘いを進めよう」と訴えました。
広教組委員長の山今彰さんは、現在、学校現場にかけられている攻撃をつぶさに暴露・弾劾し、「銃弾が2回撃ち込まれたが、屈しないで闘う」と、不屈の決意を明らかにしました。
千葉大学教授の三宅晶子さんが講演し、「『日の丸・君が代』強制反対の力こそ、教育基本法の改悪を止める力だ。今、闘わずしていつ闘うのか」と今春の卒業式・入学式における「日の丸・君が代」闘争の重要性を訴えました。そして「天皇」と「国民」を規定している現行憲法の問題点を明らかにし、「『国民』としての意識に取り込まれ、9条を変える方向にもっていかれてはならない」と警鐘を乱打しました。改憲と教基法改悪の目的を「子どもたちを政府や国の言うとおりの人間にし、イラクに送ってしまうものだ」と鋭く喝破しました。
都高教の被処分者の労働者は、「『立って歌え』という10・23通達、職務命令は許せなかった。卒業式や入学式は、都教委が点検と監視に現れ、『日の丸』に最敬礼、『君が代』の斉唱が強制された。私は今年早々、集会で、不起立を表明した。家族からも励まされている。私たち労働者は力をもっている。確信をもって闘おう」と自らの決意と勝利の展望を示し、会場から大きな連帯の拍手が送られました。
広教組若手組合員のコントグループ「もみじまんじゅう」は、「日の丸・君が代」の強制を笑いで吹き飛ばし、広島県朝鮮人被爆者協議会会長の李実根さんを始め、高校生、保護者、国労組合員、百万人署名運動などがアピールしました。
「岩ツバメの会」の被処分者は、それぞれ「『着席』を始めあらゆる闘いで徹底抵抗しよう」「仲間を増やして闘おう」「裁判闘争に勝利し、不当処分をはねかえそう」と力強く訴えました。
最後に、実行委員長の由木栄司さんが、「『日の丸・君が代』の強制をはねかえして、教育基本法改悪反対の運動を大きく発展させよう」と訴えました。
集会後、平和資料館前から広島市の中心街・紙屋町交差点を通り、原爆ドーム前までデモ行進しました。
(投稿/広島・K)
福岡 被処分者が講演 “弾圧に屈せず闘おう”
2月11日の「教育基本法改悪阻止集会」は、福岡市中心部の農民会館会場を埋めつくす人びとの参加で大成功しました。集会後は、元気に天神をデモし、今春「日の丸・君が代」闘争を不起立で闘い、教育基本法改悪=憲法9条改悪阻止の闘いを拡大することを参加者全員で確認しました。
実行委の主催者あいさつでは、「教育基本法改悪=改憲で日本を戦争に巻き込もうとしている。なんとしても阻止しなければならない。教育基本法改悪阻止が市民に意識づけられるように力強いデモをやろう」とアピールが行われました。
「被処分者の会」の会員から1時間にわたる講演を受けました。まず、「都の教育現場では、教育基本法改悪が先取りされている。それを全国的に広がらせないためにも、団結しなければならない」と呼びかけました。大量処分を強行した東京都の権力的教育行政の特徴と都教委や石原知事の感覚の有り様を暴露し、弾圧に屈せず不屈に闘おうとする東京の教育労働者の姿を明らかにしました。意気軒高と闘う姿に参加者も自分も闘うぞという気持ちを強くしました。
基調報告では、「日の丸・君が代」は強制こそが本質であり、教育現場の一切の抵抗を封じ、最終的には日教組を解体し、教育労働者を天皇主義教育・侵略戦争の担い手にする攻撃であることを明らかにし、「日の丸・君が代」強制反対=不起立の闘いが教育基本法改悪阻止・改憲阻止の道であり、不起立闘争を広げることを訴えました。
参加者からのアピールの最初は「国労5・27臨大弾圧を許さない会」呼びかけ人の手嶋浩一さんです。手嶋さんは「首を覚悟しなければ処分恫喝に勝てない」と自分自身の経験を踏まえて呼びかけました。高教組の参加者からは、「日の丸・君が代」強制がどれほど教育労働者の心を切り裂いているのかという実態と、再び闘いに立ちあがる決意が語られました。
ある保護者は、講演と基調報告を受けて、自分もわが子の卒業式では不起立する決意と不起立宣言に署名したことを述べられました。教育労働者は、不起立をずっと続けていることや、そのために「座る先生」として周囲から認められていると語り、「そんな先生を日本中にあふれさせ、教育基本法改悪を阻止しよう」と力強く締めくくりました。
集会終了後、手に手にプラカードを持ち、のぼり旗を林立させてデモに出発しました。博多弁のデモコールで戦争協力拒否、小泉政権打倒、憲法・教育基本法改悪阻止などを訴えました。沿道の市民の注目を浴びました。デモ解散の警固公園では「反ヤスクニ集会」のデモ隊が拍手で迎え、健闘をたたえあいました。
(投稿/福岡・B)
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週刊『前進』(2187号2面3)(2005/02/28)
予防訴訟 “教基法の否定だ”
都教委準備書面に怒り
2月14日、「日の丸・君が代」強制反対予防訴訟の第7回口頭弁論が東京地裁で開かれた。
前回・第6回口頭弁論において、原告(東京都立校で働く360人の教育労働者)・弁護団は、215nに及ぶ膨大な準備書面を提出して、戦前教育の誤りや戦後教育改革の経緯・内容、教育の権力統制への道―その到達点としての「日の丸・君が代」の強制、「日の丸・君が代」強制の違憲・違法性などを全面的に提起した。これに対する反論として今回、被告である都教委・都が提出した準備書面はたった35nの薄っぺらなもの。しかも原告の8章構成の準備書面のうち「第8章」についてのみ反論を行い、それ以外については触れなかった。
口頭弁論後に行われた報告集会では、都教委の準備書面の内容が紹介された。原告の「10・23通達は憲法第19条違反」という主張に対して、都教委が「教員の思想・良心の自由は、それが外部的行為となってあらわれる場合には教員の職務の公共性から内在的制約を受けるため、教員に国歌を斉唱させることは当該教員の思想・良心の自由を侵害するものではない」と主張していることなどに批判の声が上がった。
被処分者は、「都教委の書面は『国家に教育権がある』と主張し、教育基本法第10条を真っ向から否定している。これは教育基本法改悪を射程に入れた主張です。都教委の主張が認められたら、教育基本法を改悪しないでも国家の教育支配がまかり通ってしまうことになる。この裁判を『国家の教育権』を最大の争点として闘い、教基法改悪反対運動とつなげて闘っていこう」と訴えた。今後、都教委の主張に対する全面的な反論と証人尋問を行い、「10・23通達」に基づく「日の丸・君が代」強制の違憲・違法性を暴いていこうと確認された。
今後の口頭弁論の日程は、2月末の証人申請と3月に行われる進行協議を経て決定される。
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週刊『前進』(2187号2面4)(2005/02/28)
杉並 “闘えば勝てる”
活発な討論で確信
2月11日、杉並の産業商工会館で行われた「『日の丸・君が代』強制と処分を許さない」集会に参加した。
集会ではまず、元NHKの労働者が講演し、女性国際戦犯法廷を取り上げた番組が改変された問題で、事実経過を明らかにしながら政府・自民党やNHKのウソを暴いた。問題の核心が戦争責任を問う放送やイラク反戦の放送を一切やめさせようとする攻撃、「大本営放送の復活」との闘いであると訴えた。日放労労働者の闘いが前進する中で、東京の教育労働者に続く決起として内部告発がかちとられていることが明らかにされた。
学校現場からの訴えでは被解雇者が、「首を切ったのは許せない。職場に戻せと裁判闘争をしている」「都は教育委員会の議事録すら墨を塗って出す」と弾劾し、「頑張っていけば勝てる」と勝利の確信を語った。被処分者は、10・23通達という一片の紙切れによって一昨年まで組合方針で9割が不起立・不斉唱であったことがくつがえされた悔しさ、悩みながらも不起立に決起した経過を語り、卒業式を前に再度の闘いが問われていると胸の内を語った。
都高教の活動家は、都教委に逆らう教師に対してさまざまな攻撃がかけられている実態を暴き、「できることはなんでもやるという立場でやっている。頑張れば跳ね返せる」と決起を訴えた。
質疑応答では、子どもが卒業生という女性が「自分も座って闘うが、教組にどう声をかけたらいいのか」と、また「市民が保護者席で座る運動があってもいいのでは」など活発な意見が続いた。私学の教師からも実態が話され、ともに地域で闘っていこうと呼びかけられた。
連帯の発言では、戦争体験者の男性から、「自信を持って闘ってください」と激励の言葉が述べられ、教師と生徒との話し合いで生徒が不起立で闘うことを表明した事例なども紹介された。新城せつこ杉並区議と長谷川英憲さんからも石原都知事、山田区長と対決し、都高教の労働者と連帯して闘う表明がされた。
「ありとあらゆる闘いをやろう」と力強い方針提起が圧倒的拍手で確認された。集中した熱の入った地域集会となり、参加者がもう一歩前に出る決意を固めた。
(投稿/東京・C)
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週刊『前進』(2187号3面1)(2005/02/28)
“まだ杭1本打たせてない”
辺野古 座り込み300日で決起集会
2月13日、昨年4月19日の座り込みから300日を迎えた辺野古において、ヘリ基地反対協議会と基地の県内移設に反対する県民会議の主催で“座り込み300日集会”が開かれた。これに先だって、午前9時からはやぐら設置場所を視察する海上行動が行われた。集会開始の午前11時前にはすでにテント周辺に多くの人びとが結集し始め、500人に膨れあがった。
昨年11月以来のウミンチュ(漁民)の決起は防衛施設局を追いつめ、「掘削工事」を完全に阻止している。全県(全国)的な支援が広がり、新基地建設にトドメを刺そうという気運はいよいよ高まってきている。勝利への確かな展望が切り開かれてきているのだ。この日の集会は正念場を迎える普天間基地即時返還、名護新基地建設阻止の新たな闘いへの決意を打ち固める場となった。
集会の最初に、主催者の山内徳信さんがあいさつに立ち、「63本のボーリングの予定を1本も打たせていない。確実に支援の輪が広がっている。必ず勝利しよう」と訴えた。
ヘリ基地反対協の安次冨浩さんは「ネバーギブアップの精神で頑張ってきた。先日、スーパーブイが設置され、またしてもサンゴが破壊された。ありとあらゆる手段を駆使して、日米政府を追いつめよう」と発言し、命を守る会の金城祐治さんは「今日で301日、何日になろうが闘い抜く」と不退転の決意を述べた。
集会では多くの人が発言したが、300日の闘いを最先頭で担ってきたカヌー隊の若者からの発言とウミンチュの発言は、参加者の心を奮い立たせ、必ず勝利できるという確信を与えた。カヌー隊の若者は「300日闘って杭1本打たせていない。日本政府はここにいる500人の人びとを怖がっている」と自信をもって言い切った。集会に結集したウミンチュが演壇前にのぼり旗をもって勢ぞろいし、「海は体の一部だ。どんなことがあっても守る。言いたいことはこの海を壊さないでくれということだ。ウミンチュに力を貸してほしい」と訴えた。
集会終了後、午後2時からは「ボーリング差し止め訴訟原告団結成総会」が開催された。辺野古周辺の宜野座、金武、石川、東、国頭などのウミンチュ二十数人がこの原告団に加わり、さらに敵を包囲する強力な陣形が形成された。
昨年9月9日以来、防衛施設局との激しい攻防戦の中で、施設局は「掘削工事」に手がつけられない状態にまで追いつめられている。3月までに「掘削作業」を終えるという敵のプランは完全に破綻(はたん)しているのだ。
さらなる攻勢をもって防衛施設局を追いつめよう。現地に駆けつけ、全国各地で現地の闘いを支える運動をつくりだそう。
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週刊『前進』(2187号3面2)(2005/02/28)
第3師団にデモ
伊丹 元自衛官先頭に300人
陸上自衛隊第3師団からのイラク派兵部隊の出兵が迫る中、2月12日、伊丹市内で「第3師団からの派兵をとめよう2・12集会&デモ」が285人の参加で行われた。この集会は、昨年来「とめよう戦争!隊員家族と元自衛官連絡会」が自衛隊駐屯地に対する継続的な行動を行う中、これにこたえて「第3師団からの派兵をとめよう!関西実行委員会」(102人・25団体の呼びかけ)がつくられて開かれた。
集会場の使用禁止はね返し
伊丹市は集会直前に会場使用不許可の通知をしてきたが、集会実行委員会が市当局を追及し、大きな社会問題となる中で、この攻撃は跳ね返された。
学生と青年が司会をし、主催者の百万人署名運動・兵庫の梶原義行さんが「派兵と『日の丸・君が代』強制・教育基本法改悪の二つの課題を一つに闘おう」と力強くあいさつした。
昨年イラクで拘束され、ごく最近までアチェで取材活動を行ってきたフリージャーナリストの安田純平さんが講演した。安田さんは「アチェは天然ガスの宝庫で、日本が輸入する天然ガスの4割はアチェ産だ。復興支援は必要だが、自衛隊がすべきかは議論の必要がある。イラクでは石油を理由に戦争が始まった。自衛隊はすでに疲労が高く、自殺も多い。政権は死者が出ても撤退させないだろうが、そんな悲惨な泥沼にさせてはならない」と現地の映像とともに報告した。
元自衛官で全日建運輸連帯労組・近畿地区トラック支部委員長の川村賢市さんが講演、「1965年に自衛隊に入った。派兵費用差し止め本人訴訟を始めたのは、元防衛政務次官の箕輪さんが違憲訴訟を始めたのを知り、孤立させてはならないと思ったからだ。後輩を戦地に送らせたくない。1月13日の連帯労組に対する弾圧は、闘う労組の運動が資本主義の根幹を揺るがせているからだ。戦争が始まった時代の労組弾圧と闘おう」と訴えた。
元自衛官の三尾雅信さんらが「隊員は戦争をしたくて入隊したわけではない。家族も多数署名をしている。本当に戦争をする軍隊にさせないため、今こそ行動を」と訴えた。集会参加者からは、「3・13行動」を訴える高藪繁子さんや地元の伊丹・宝塚の市会議員、「反戦・福祉議員ネット」の高槻市議、部落解放同盟全国連の代表、関西合同労組・日本管検工業分会、沖縄・辺野古で座り込みを続けてきた仲間が、それぞれの闘いを報告し、自衛隊派兵を阻止しようと発言した。関西空港の軍事使用を許さない百万人署名運動泉州連絡会の国賀祥司泉佐野市議と京都連絡会の発言の後、奈良県連絡会の藤原好雄さんの元気あふれるまとめを受けて、デモに出発した。
デモ隊は伊丹市の中心部を大量の旗・のぼりをなびかせ、ドラムのにぎやかなリズムにあわせ、軍用トラックが大量に並ぶ第3師団のグラウンド横を通り、1年以上にわたって倒産攻撃と闘う日本管検工業前を経て、第3師団正門へ進んだ。正門では元自衛官連絡会を始め諸団体が自衛隊員に出兵拒否を呼びかけるアピールを行い、自衛官と家族、周辺住民に訴えた。
この日の闘いは川村さんや三尾さんら元自衛官と、イラク現地を訪れた高藪さんらが先頭に立った。それは、自衛隊の町である伊丹(中部方面隊総監部と第3師団司令部がある)と宝塚(自衛隊官舎が多数ある)の隊員とその家族に反響を生み出している。300人の参加者は、さらに関西各地の自衛隊に対する行動を行い、労働運動を押し進め、5月の派兵を数倍の隊列で阻止することを決意した。
(投稿・松本大介)
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週刊『前進』(2187号3面3)(2005/02/28)
国労弾圧公判 暴行シーンは存在せず
“厳罰”求め居直るチャレンジ
2月8日、国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第35回公判が東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で行われた。この日から、平山芳夫・国労長野地本副委員長への証人尋問に入った。
冒頭、橘日出夫被告が意見を述べ、1月29日の国労中央委員会に傍聴参加した際、芝崎辰郎執行委員ら国労本部が警視庁公安部と静岡県警を招き入れ、ビラまきに立った組合員を弾圧しようと画策していた事実を怒りを込めて暴露した。
平山証人が入廷した。彼は02年5・27臨大当時、長野地本長野総合車両所支部委員長で、長野地本から動員された警備係の副責任者だった。その後、長野地本副委員長に就任し、中央本部に転出した吉田進書記長に代わって地本で唯一の専従役員になった人物だ。
溝内克信検事の主尋問に答えて平山証人は、羽廣憲被告が平山の「腰に手を当て体全体を押した」とか、松崎博己被告が「胸を突いた」と証言した。また彼は、大会会場に向かうバスの乗降口で被告たちの説得活動に対応している最中に、松崎被告や富田益行被告から「胸や腹を突かれた」とも言い張った。
検事がその場面を確認するとして、証拠のビデオテープを再生した。だが、平山証人の言う「暴行」なるものはいずれも、ビデオの映像を注視してもどれがそれに当たるのか判然としない不確かなものだ。彼は、弾圧加担を居直り、被告を有罪に陥れようと、検事に迎合した証言を繰り返しているだけなのだ。
にもかかわらず彼は、「暴力で大会を開かせなかったり、暴力で大会をめちゃくちゃにすることが続いた。大会を開かせないために何をしてもいいという人たちは厳罰に処してほしい」と言ってのけた。法廷は強い怒りに包まれた。
「被告が組合員と思わなかった」?!
大口昭彦弁護人が反対尋問に立った。「あなたは吉田さんと同じグループか」と聞かれた証人は、「そうです」と返答した。彼は、裏切り路線を率先推進してきた吉田書記長直系のチャレンジグループなのだ。
大口弁護人に追及された平山は、とんでもないことを口にした。彼は5・27臨大から1カ月後の6月25日に警察に被害届を提出し、9月と10月の2回にわたり検事から事情聴取を受けている。その時も彼は「被告が国労組合員だとは知らなかった」と言うのである。組合員を警察に売った大罪から逃れるためのでまかせだ。支部委員長だった彼が、そんなことも知らなかったことなどありえない。
弁護団は5・27臨大に至る経緯を問いただした。02年4月、政権与党は闘争団員の除名を強いる3党声明を国労に突きつけた。5・27臨大は、それに屈した国労本部が、闘争団員の査問手続きを決定した大会だ。
佐藤昭夫弁護団長が「3党声明は労働組合への介入と思わなかったのか」「鉄建公団訴訟原告を統制処分にかけるのは、国労規約に反し、憲法が保障した裁判を受ける権利の侵害だと考えなかったのか」と問いつめた。証人は「決めたことを守らない人を指導するのは当然」と居直った。
河村健夫弁護人が「臨大決定は、闘う闘争団にとっては死ねと言われるのと同然では」と弾劾した。一瀬敬一郎主任弁護人が、4党合意は与党の離脱で崩壊したことを指摘して「5・27臨大は結果的に間違っていたのでは」と質問した。これにも平山は「決めたことに従わない人への処分はある」と開き直った。
橘被告、原田隆司被告が「私たちは当日、『国労バッジを着ける資格はない』とあなたを弾劾した。それを聞いて私たちが国労組合員と思わなかったのか」と追及した。平山は「分からなかった」と言い逃れた。松崎被告団長は「JRに法的責任なしと決めるのが解雇者にとってどれだけ重いか分かっていたのか」と語気鋭く詰め寄った。
平山証人への尋問は次回も続く。許さない会の運動を拡大し、8被告の無罪獲得へ闘いを強めよう。
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週刊『前進』(2187号3面4)(2005/02/28)
鉄建公団に解雇撤回迫る
1047名にとって87年2月16日は不採用通知を手渡された怒りの日だ。以来18年を迎え、鉄建公団訴訟原告団らは「けんり総行動」参加者とともに鉄道建設・運輸施設整備支援機構(旧鉄建公団)国鉄清算事業本部前で解雇撤回を求める行動を展開した(2月16日 東京・西新橋)
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週刊『前進』(2187号3面5)(2005/02/28)
教労決戦へ“一丸”
労組交流センターが総会 勝利の展望鮮明
全国労組交流センターの第12回定期全国総会が2月5日〜6日、神奈川県内で開かれた(写真)。交流センターが打って一丸となって今春の「日の丸・君が代」決戦に総決起する決意と態勢を打ち固めた。
1日目、入江史郎代表のあいさつの後、6月都議選に挑戦する長谷川英憲氏が東京の教育労働者の闘いと一体のものとして都議選を闘う決意を表明した。
佐藤芳夫顧問および共闘団体からのメッセージ紹介に続いて、辻川慎一事務局長が基調を提起した。
「家族関係の崩壊に見られるように日本の労働者階級はじゅうりんされている。教労決戦でひっくり返そう」と熱く語った。
続いて、34年間の長期闘争に完全勝利した全金本山労組の長谷武志委員長が感動的な報告を行った。
討論では、教労、全逓、自治体、国鉄の4大産別を始め、全国、各産別からの報告が相次いだ。動労千葉の田中康宏委員長が、05春闘で昨年1年間の成果を守り発展させると決意を表明した。
中野洋代表が「労働運動が分岐・流動・再編・高揚を開始している。今春の教育労働者の決起が決定的だ」と檄(げき)を飛ばした。
昨春の「日の丸・君が代」決起で不当な処分を受けた東京の教育労働者が駆けつけ、「組合が闘わない中、本気で闘えば仲間ができることが分かった。闘うことは楽しい。闘わなければ未来は開けない。動労千葉と一緒に闘っていく」と鮮明な決意を述べた。
2日目の討論では、広島の教育労働者が、東京に連帯して、今春「日の丸・君が代」反対に決起すると述べ、満場の拍手を浴びた。
中野代表が、「11・7労働者集会の地平を堅持しないといけない。05〜07年は階級決戦だ。卒業式闘争に続いて、3・20イラク反戦闘争に全力で取り組む」と闘いの展望を鮮明に示した。
最後に全日建運輸連帯労組・関西地区生コン支部弾圧に反対する特別決議を上げ、新役員を選出した。
参加者は総会後、東京で行われた「日の丸・君が代」強制に反対する集会に参加し、今春決戦へと実践的に突入した。
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週刊『前進』(2187号3面6)(2005/02/28)
大阪市職−市労連に対する「ヤミ・カラ」宣伝粉砕せよ
労使協定に基づく正当な権利 非難されるいわれは何もない
団結し闘うことは当然の権利だ
昨年来、全国のマスメディアが一斉に大阪市職―市労連(*)を攻撃している。「大阪市の職員労組は市当局と癒着して厚遇(**)を受け、ヤミ年金、ヤミ昇給、ヤミ退職金、カラ残業、カラ出張などで年間数百億円のカネをもらっている」――。1980年代の国鉄労働運動破壊と国鉄分割・民営化を狙った「ヤミ・カラキャンペーン」を彷彿(ほうふつ)させる攻撃だ。戦時下で再び激化したヤミ・カラキャンペーンの反動性と反革命性を暴き、労組破壊攻撃にストライキで反撃しよう。
2月4日、市労連は大阪市との団体交渉を開始した。団交で市側が180億円経費削減案を提示したことに対して、市労連は、労使協議を経ない提案には応じられないとしながら、生命共済の掛け金の市費負担(年7億円)や職員へのスーツ支給(同4億円)の廃止には応じるが、そのほかの大部分の制度廃止・削減については市と今後協議するとの組合方針を出した。以後、市労連は、これ以上譲歩はしないとして踏ん張っている。
このヤミ・カラキャンペーンは、公務員労働者の賃金が「高すぎ」、労使関係が「腐敗」「癒着」していると言い立てる形で展開されている。だが、実際にはそれを口実に公務員労働者の団結、労働組合としてのあり方、労働基本権を全否定し、労組をつぶすことに最大の狙いがある。
小泉=奥田が推進する戦争と民営化の攻撃、「骨太方針W」が掲げる「官から民へ」「官の改革」すなわち自治体関連の大民営化、公務員制度改革を貫徹するための労組破壊の当面の対象として大阪市職―市労連が選ばれたのである。
したがって、より本質的な攻撃の矛先は都労連(***)や自治労、そして日教組、全逓(JPU)、国労という旧総評官公労系4大産別労組に向いていると見なければならない。
教労決戦を始めとする4大産別決戦の一環として大阪市職―市労連解体攻撃を跳ね返そう。
ヤミ・カラキャンペーンは、戦時下で自治体労働者が労働組合をつくり、そのもとに団結すること、その労働組合が賃金や労働条件の改善を要求して闘い、当局と交渉し、協定を結ぶようなことを全面的に禁圧しようとする攻撃である。「公務員は賃金労働者ではなく帝国主義国家の下僕である。住民の戦争動員の先兵になれ」という攻撃だ。
しかし、公務員も労働者であり、団結して闘うことは当然の権利だ。労働者はそうする以外に生きていくことができない。労働者階級が百年以上にわたる闘いをとおしてかちとった労働基本権は、労働者階級にとって絶対に譲れない根源的な権利だ。
ところが日本帝国主義は、憲法28条(勤労者の団結権)さえ踏みにじり、公務員の労働基本権を大きく制約してきた。今回の「ヤミ・カラキャンペーン」は、それさえ全面的最終的に否定・剥奪(はくだつ)しようとする大反動だ。
公務員は権力の奴隷ではない!
@「ヤミ年金」「ヤミ退職金」とは何か。
条例・規則(例規)に明記されていないが、労使協定に基づいて支払われている年金や退職金のことだ。
大阪市では、職員約4万6千人が退職後に最高で月給の6・3カ月分を一時金と年金の形で受け取る契約を4互助組合をとおして保険会社と結んでいる。大阪市は、職員が直接支払う金額の2倍以上を公費で負担しており、2003年度の掛け金38億円のうち26・5億円を負担した。互助組合加入の退職者は退職金のほかに1人400万円前後が給付される。国税局は、この収入に源泉徴収義務があると判断しようとしている。義務があると判断すれば、退職者が納付すべき所得税額は昨年度で約3億円といわれる。マスコミは、国税局の判断を待たず、「条例にないヤミ退職金、ヤミ年金」「手厚い福利厚生」「際だった厚遇」と非難を浴びせている。
公務員労働者は、自治体の首長や議会、「住民」の奴隷ではない。労組を結成し、当局と対等の立場で交渉し、そこで締結した協定を非難されるいわれはない。その労使協定が例規を超える労働条件を定めていてもなんらおかしくない。民間でも、就業規則を超える労働条件を規定した労働協約を締結することがある。逆に、就業規則や例規だけでは資本・当局の専制支配となる。それを打ち破るために労働者は労組として団結し、要求し、交渉し、協定を結ぶのである。
非現業(事務職)公務員は、現業公務員や公共企業体労働者と違って協約締結権すら奪われている。その中で粘り強く要求し、交渉し、協定や覚書を取り交わし、労使慣行を確立してきたのだ。
ところが、公務員労働者が団結して闘った結果、例規を超える内容の賃金や労働条件、諸権利を規定した労使協定を結ぶと、「ヤミ」として非難される。
A「カラ残業への公金支出」とは何か。
現行の例規のもとでは「残業」「超過勤務」にカウントされない「不払い(サービス)残業」に対して、例規の運用で部分的に補償されていることを表すにすぎない。
全額支払われるべき残業代(超過勤務=時間外労働に対する賃金)がほんの一部だけ支払われたにすぎないのに、それを労働の実態がない賃金であるかのように言うのは本末転倒だ。
不払い残業を前提とした予算と施策を編成し、決定した首長や議会こそ非難されるべきであり、違法なのだ。役所の庁舎には深夜まで煌々(こうこう)と明かりがついている。予算編成期や議会開会中は徹夜もざらだ。そのすべての労働について賃金を支払え! 不払い残業の強制をやめ、全額補償せよ!
これら例規にない労使協定、超過勤務への部分的補償などは、公務員が民間の労働者より低賃金だった時代から実質的な賃上げや賃金確保のために行われてきた。公務員労働者が闘ってかちとった権利だ。
人勧制度においては「官民較差が5%以下なら勧告しなくてもよい」とされてきた。公務員賃金は民間賃金の95%でよいとする低賃金政策だったのだ。だから公務員労働運動は、賃上げをかちとるために、賃金を比較する民間企業の規模を大きくするよう要求したり、基本給を引き上げない当局にさまざまな手当や調整を要求し、それらをかちとってきたのだ。
B「度はずれな職員厚遇」とは何か。
公務員労働者がかちとってきた福利厚生のことである。それが充実していてはいけないという攻撃だ。
年金保険の保険料(掛け金)の負担比率を労使折半から使用者負担比率を引き上げることは、一般的に労働組合が追求してきたことだ。闘いの結果、労働者側よりも多く負担している企業は日本にも現にある。
衣服の支給にしても、職場・仕事で必要な作業服や防寒着、白衣などが通常、貸与・支給されているのと同じように、スーツが「事務職員の作業服」として支給されたとしても、なんらおかしくない。
総じて福利厚生の充実は、人勧による基本給抑制への代償としてかちとった正当なものがほとんどだ。
労組絶滅攻撃にストで反撃を
常に「労使対決型労働運動」を非難してきた連中がこういう時に限って「労使癒着を批判」している。彼らにすれば「労使対決もだめ、労使癒着もだめ」ということだ。
大阪市職に典型的な「参加・提言型運動」は、労使協調の運動路線である。ところが今や「赤字だろうが黒字だろうが、賃上げはない」「不況でもリストラ、景気回復でもリストラ」という資本攻勢と一体の労組破壊攻撃がかかっている。
ヤミ・カラキャンペーンは、大阪市職が04年、大阪港闘争を始めとする反戦闘争を闘い、04秋闘で本庁前座り込みなど要員闘争を打ち抜いたことへの報復でもある。大阪市職は自治労内右派の総本山とみなされているが、「右派か左派か」以前に「公務員の労働組合運動は許されない」とする攻撃の標的にされている。
戦後の「平和と民主主義」的なものは戦時下には許されないということだ。
01年9・11とアフガニスタン侵略戦争の中、自治労本部は不正経理問題で解体攻撃を受けた。03年イラク侵略戦争の中で自治労本部は「21世紀宣言」の採択を強行、「労使協働」をうたい、階級的労働運動を放棄し、戦争と民営化に協力することで延命を図った。しかし今日、日帝は日米枢軸下で労組壊滅攻撃に打って出てきている。戦争と民営化=労組破壊は常に同時に仕掛けられてくるのだ。
大阪市職―市労連への解体攻撃は、都労連―自治労への解体攻撃であり、4大産別―全産別の労働組合への解体攻撃だ。教労決戦と同じく、当該組合員の怒りと危機感を共有し、労働組合の存在そのもの、団結権そのものが問題にされていることに怒りと危機感をもち、すべての産別労働者が立ち上がるべき時が来ている。ストライキで闘おう。
〔川上憲一〕
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*市労連
大阪市労働組合連合の略称。連合・自治労に属する大阪市職員労働組合(大阪市職)、大阪市従業員労働組合(大阪市従)、大阪交通労働組合、大阪市水道労働組合などで構成する。4万人。大阪市役所には他に全労連―自治労連に属する大阪市役所労働組合(大阪市労組)もある。
**「職員厚遇」
▼大阪市職員互助組合が運営している年金保険(生命共済)の掛け金の市の公費負担が労働者本人負担の2倍以上になっている▼大阪市が係長以下の市職員に2〜3年に1着スーツを「制服」として支給している▼残業手当、出張手当などが「巨額」に上る――ことなど。
***都労連
東京都労働組合連合会の略称。都庁職、東水労、東交、都教組、都高教、都立大職組の6単組で構成。10万人。
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週刊『前進』(2187号4面1)(2005/02/28)
改憲と教基法改悪へ本格的に突き進み始めた奥田・経団連
「わが国の基本問題を考える」を批判する
1月18日、日本経団連(奥田碩会長)の「国の基本問題検討委員会」は「わが国の基本問題を考える−これからの日本を展望して」と題する提言を発表した。この提言は、帝国主義間争闘戦の激化の中で、最も脆弱(ぜいじゃく)で立ち遅れている日本帝国主義が、自らの延命をかけて、日帝の帝国主義的外交・軍事政策の大エスカレーション、そのための改憲と教育基本法改悪、国家改造の提言を行ったものである。この提言の行き着く先は、間違いなくイラク侵略戦争の泥沼的拡大であり、北朝鮮(−中国)侵略戦争、さらには世界戦争であり、日本と世界の労働者階級、被抑圧民族人民に対する一大反動攻撃である。闘う労働者人民は、この提言の実現に延命を託す日帝支配階級と真っ向から対決し、今春「日の丸・君が代」決戦を中軸とする4大産別決戦、3・20イラク反戦、05春闘の大爆発をかちとろう。この力で小泉・奥田体制を打倒しよう。連合、全労連の屈服を打ち破り、労働組合運動の戦闘的再生、国際連帯闘争の前進をかちとることが、日帝に勝利する道である。以下、経団連提言を批判し、今春闘争への決起を呼びかける。
財界が政治と軍事に関する超反動的提言 帝間争闘戦激化に危機感
昨年12月、日本経団連は、今年の春闘に向けた方針書である「05年版経営労働政策委員会報告」で、「攻めのリストラ」と称して労働者階級に対する一層の首切りと賃下げを宣言した。さらに「工場法時代の遺制を引きずる労働基準法などの抜本的改革」を声高に宣言した。
これは、「資本家の搾取を法的に規制するな。ほしいままに搾取させよ」という宣言であり、労働者を人間扱いせず、文字どおり労働力商品=賃金奴隷として1日中、無制限に働かせ、搾取するぞという宣言である。8時間労働制を全面的に解体し、労働者を虫けらのように扱おうとしている。絶対に許せない。今春闘で怒りの総反撃をたたきつけてやろう。
「わが国の基本問題を考える」は、この経労委報告と一体であり、労働者人民を犠牲にして、日帝支配階級が延命していくためのものである。何よりも、小泉政権が自衛隊のイラク派兵の継続(=泥沼的拡大)を強行し、新「防衛計画大綱」で自衛隊の侵略派兵軍隊への大転換を閣議決定し、米英日枢軸路線を推進する中で、財界主流がこの提言を行ったことはきわめて重大である。イラク侵略戦争を突破口とする日帝の新たな15年戦争への突進、米英日枢軸による世界戦争の流れを決定的に加速するものだからである。
日本経団連は、この提言と同時に「これからの教育の方向性に関する提言」も行った。これは教育基本法の改悪による愛国心教育と国家統制の強化、日教組解体を主張するものであるが、この教育提言を「基本問題」提言と同時に、いわば一体のものとして行ったことは、日帝が「教育改革」を、帝国主義間争闘戦と戦争国家体制づくり、国内階級支配のかなめとして、どれほど重要視しているかを示すものである。現在、激しく闘われている「日の丸・君が代」決戦−教基法決戦の階級決戦性を、敵階級の側から突き出しているのである。
経団連提言は6章からなる(別掲参照)。これは、経団連、財界団体の長い歴史の中でも例を見ないような、日本の政治・軍事体制についての超反動的な提言である。戦争に向かって、改憲と教基法改悪を激しくアピールしたものである。帝国主義間争闘戦の激化への危機感をあらわにして、これに勝利することを国家目標に据え、そのための改憲と教基法改悪、国家改造を提言している。
第1章「わが国を取り巻く現状と問題認識」では、激化する帝国主義間争闘戦と、「9・11(反米ゲリラ戦)」を契機とする被抑圧民族の民族解放闘争、そして労働者階級の国内的・国際的闘いの激発への危機感をあらわにしている。そして、「わが国は、内外において、かつて経験をしたことのない数多くの環境変化に直面し、これまでの枠組みを大きく変えるべき時期を迎えている」と述べている。そして、「内外の荒波を受けながら、依然として進むべき大きな方向性を見出しかねている」と、帝国主義間争闘戦が米帝を先頭にして相互のつぶし合いの激しさをもって激化しているのに、日帝は甚だ立ち遅れていることについて危機感をむき出しにしているのである。争闘戦におけるこのような日帝の致命的な立ち遅れをつくり出してきたのは、戦後労働者階級の階級的運動であり、反戦の闘いであることをはっきりと確認しよう。
そして提言は、国際・国内の脅威の増大や少子化問題などに触れた上で、こうした現実に対処するのには、「現行憲法や1960年改定の日米安全保障条約、省庁縦割り・官僚主導の統治システム、また、55年体制と呼ばれる国内政治体制……では、十分な対応が困難」としている。重大なことは、現憲法のみならず、日米安保条約も改定の対象に据えていることである。
日米同盟強化と「東アジア経済圏」をうたう 米軍再編への積極的対応
第2章「これからの日本が目指すべき道」で、まず「堅持すべき基本理念」として「民主」「自由」「平和」をあげている。何の変哲もない理念をあげているように見えるが、重大なポイントは、「こうした理念に対する挑戦が、常に我々の近くに存在することを強く認識し、これまでのように理念をただ唱えるのではなく、実現に向けて主体的に行動しなければならない」と言っていることである。
「近くに存在する」という言い方は、北朝鮮や中国を「民主・自由・平和」に挑戦する存在として見なしているのである。だから、「理念の実現に向けて主体的に行動する」という意味は、ブッシュが1・20大統領就任演説で述べた「圧政に終止符を打つ」「全世界に自由を拡大する」というのとまったく同じこと、すなわち「民主・自由・平和」の実現を掲げて侵略戦争をやるという宣言なのである。
提言はさらに、この基本理念に基づいて「これからの日本が目指すべき国家像」として以下の三つをあげている。
@国際社会から信頼・尊敬される国家
A経済社会の繁栄と精神の豊かさを実現する国家
B公正・公平で安心・安全な国家
耳障りのいい言葉を並べているが、それが実際に示すものは実に凶悪な戦争国家、治安国家なのである。
@「信頼・尊敬される国家」とは、世界中の戦争と軍事の問題に、日帝が積極的に介入し、軍事力を含む力で発言権を持ち、一個の帝国主義国家としてその存在、独自利害を世界に承認させていくということである。
Aは、トヨタなど一握りの日帝金融独占資本が、帝国主義間争闘戦でなんとしても勝ちぬくということであり、そのために科学技術立国と教育改革を打ち出している。
Bの「公正・公平」とは、「自己責任」「自由な競争」の名のもとに、社会保障などを解体し、社会的弱者を切り捨てていく国家である。「安心・安全」とは、日帝ブルジョアジーにとっての「安心・安全」ということであり、戦争国家、治安国家体制の確立ということである。
要するに、この国家目標は、帝国主義支配階級が労働者人民をとことん搾取・収奪し、戦争に動員して、自分たちの利益と延命を図るためのものとして打ち出されているのである。
軍事を前面に国家間競争論
第3章「外交・安全保障を巡る課題」では、「冷戦の終結後、国家間の競争は軍事力のみならず、経済力、情報力、文化的魅力といった国の総合力の優劣、いわば実質的な中身が問われる『外交戦』の時代となっている」と言っている。また第6章では「21世紀は……さまざまな国や人々との間で、国際的な競争を展開する時代」と言い、国家間の競争を全面的に肯定している。しかも「国家間の競争」の第一に、当然のことのように「軍事力」をあげていることは実に許すことができない。憲法第9条(戦力不保持)など頭から無視しているのである。
そして、経済大国=帝国主義国家としての利益を貫くために、「世界の平和と安定」、すなわち世界をめぐる戦争と軍事の問題で積極的に行動しなければ帝国主義間争闘戦に勝ちぬけないということを強く押し出している。
とりわけ第3章の「3.わが国外交を巡る重要課題」で、「日米同盟の重要性」と「東アジア地域との連携強化」を押し出している。経団連・奥田らが提唱し進めている「東アジア自由経済圏」(新たな「大東亜共栄圏」)構想が、軍事的制圧=侵略戦争と一体のものであることを、ここでの提起が示している。
日帝ブルジョアジーとしては、日中関係が米国に次ぐ日帝の生命線になってきている中で、ブロック化としての「東アジア自由経済圏」をつくり出す大目標がある。だが、同時に北朝鮮・中国問題は、残存スターリン主義の危機の激化と帝国主義によるその転覆策動という巨大な戦争問題をはらんでおり、「日米同盟の強化」抜きには一切が成り立たないのである。
それゆえ提言は、米軍再編(トランスフォーメーション)という米帝のとてつもない世界戦争政策に直面して、これに積極的にかかわっていくことで日帝自身の戦争国家化を進めるものとして、米軍再編への積極的関与を確認している。
だが米軍再編は、明白に対日争闘戦をもはらんでおり、日帝はきわめて緊迫した現実に追い込まれている。ここから、日帝支配階級は焦りと危機感を強め、日帝の軍事力(自衛隊)を一日も早く軍事・外交政策の推進力として展開できるレベルにもっていくことを全力で追求しているのである。
そこで第3章ではさらに「国際安全保障への積極的協力」として、自衛隊の国際活動(海外派兵)を真正面から打ち出している。
「自衛隊による国際活動は、国際社会の一員たる国家として当然の責務であり、国際社会の平和・安定の実現の観点からも……強化していくべきである」
ここで提起されていることは、日本防衛とか周辺事態という限定なしに、世界のどの地点での戦争や紛争にも、日帝としての権益をかけて主体的に関与し、軍事的に介入すべきだということである。経団連は、今や国際争闘戦に勝ちぬき、東アジア自由経済圏のような帝国主義的ブロックをつくり出すためには、自衛隊は、自衛という概念を大きく超えて、帝国主義的国際政策の推進のために、一人前の帝国主義的軍隊としての役割を果たさなければならないと、むき出しに主張するに至ったのである。そのために改憲とともに、海外派兵の一般法(いつでも直ちに海外派兵できる法律)の制定を要求しているのである。
第3章では、さらに「総合的な安全保障体制の確立」として、官庁・自治体・民間・地域・住民を含めた体制整備(戦争体制の確立)、安全保障会議の抜本的な権限強化、「総理大臣への権限集中などを定めた緊急事態への対処法の整備」(戒厳令のことだ!)、治安強化、シーレーンの安全確保、情報収集・分析・管理の強化など、反動的提言が目白押しである。外への侵略戦争と一体の攻撃として、労働者人民、在日外国人への支配と治安弾圧の強化を提言している。
自衛隊保持・集団的自衛権の明記を要求 9条改憲論へと踏み込む
提言は第4章「憲法について」と題して、憲法第9条の大改悪を主張している。ここがこの提言の中心である。「第9条にみられる規定と現実の乖離、国際平和に向けた主体的活動への制約」などと、まったく「居直り強盗」のような恥知らずの理由を掲げて改憲を次のように主張している。
「自衛権を行使するための組織として自衛隊の保持を明確にし、自衛隊がわが国の主権、平和、独立を守る任務・役割を果たすとともに、国際社会と協調して国際平和に寄与する活動に貢献・協力できる旨を明示すべきである」
現憲法第9条の1項も2項も踏みにじって、自衛隊の大増強も海外派兵も積み重ねてきた日帝ブルジョアジーは、今や現在のレベルですら「国際的な活動が制約されている」から、自衛隊の保持を憲法に明確に規定し、国際活動=海外派兵を全面的にできるように改憲せよと主張しているのである。
さらに、「集団的自衛権に関しては、わが国の国益や国際平和の安定のために行使できる旨を、憲法上明らかにすべきである」と言っている。
帝国主義の言う自衛権など、侵略戦争の代名詞でしかない。米帝のアフガニスタン、イラク侵略戦争ですら、米帝に言わせれば「自衛戦争」なのである。だから、集団的自衛権を憲法に規定することは、実際には米日枢軸で全世界に無制限に侵略戦争を拡大していくことを可能とするのである。
さらにこの部分で、「わが国の国益のために」という決定的な概念が打ち出されている。日帝ブルジョアジーはむき出しの国益=ブルジョア的・帝国主義的利益を掲げて軍事力を行使し、他の列強との争闘戦に勝ちぬく体制をつくろうとしているのである。
しかも、経団連提言の反動性、凶暴性は改憲の主張にとどまるものではない。
「憲法改正を待つが故に、必要な改革が遅れるようでは本末転倒である」
「何時発生するかも知れない予測不能な多様な事態への対処を憲法改正に委ねてはならない。例えば、緊急事態への対処や自衛隊の国際活動の拡大、集団的自衛権の行使などは、昨今の国際情勢の変化を踏まえれば、一刻を争う課題である」「内外情勢の大きな変化を踏まえ、憲法改正を待つことなく、早急に手当てすべきである」
これは、すさまじい提言である。帝国主義の凶暴性がむき出しになっている。ここでは明らかに北朝鮮への侵略戦争や、日本版9・11が想定されている。いざとなれば、憲法改正など待っていないで(憲法の解釈替えや立法措置で)「国際活動」「集団的自衛権の行使」と称して侵略戦争に突っ込んでいいのだと言っているのである。米軍再編についても、この考え方を適用すれば、日帝としてどんどん米日枢軸を強めて米軍と共同することが可能になる。
「愛国心」押しつけと日教組つぶしを狙う 教基法闘争が重大決戦に
経団連提言は、第6章「政策別の重要課題」の第一に教育問題を取り上げ、教育基本法の改悪を提言している。その核心は「国を愛しむ心」「『公(おおやけ)』を担う気概」を持ち、帝国主義のために働き、帝国主義国家のために戦争に行き、命をささげる従順な国民をつくり出すことを狙いとする愛国心教育であり、そのためにも教育労働運動、日教組運動を解体し、教育労働者を戦争政策の担い手とする攻撃である。
「教育基本法に教員の自己研鑽努力義務を規定するとともに、教職員組合が職場環境、待遇の改善などの活動に徹することを期待する」と、日教組運動の解体を提言している。同時に出された「これからの教育の方向性に関する提言」では、さらに露骨な表現で日教組運動への憎しみを語り、「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンを下ろすことを要求し、日教組解体攻撃を宣言している。
だが、同時に見ておくべきことは、基本問題提言で、今日の社会について「国家に対する無関心、無責任な利己主義が目立つ」「『公』を担う気概が失われている」と嘆いていることである。これは、戦争体制づくりの核心である「国民精神の動員」という点がまったく進んでいないことへの悲鳴なのである。戦後、労働者階級の反戦平和の闘いが不屈に闘われてきたこと、今なお日帝がそれを制圧・一掃できないまま、泥沼的な侵略戦争と階級戦争に突き進まざるをえなくなっていることへの焦りと危機感の表明である。
だからこそ、支配階級は労働者階級のイデオロギー的制圧のために教育問題を決定的に重視し、「日の丸・君が代」強制と教基法改悪をテコとして、学校教育の国家的統制に全力をあげているのである。
また教労・全逓・自治体・国鉄など、組合幹部が堕落し腐敗しても組合員の中に戦後的労働運動の戦闘性をなお保持している公務員労働運動への攻撃を決定的に強め、これをつぶそうとしているのである。
このことは逆に、4大産別決戦が日本帝国主義の体制的危機を突き、日帝の侵略戦争体制づくりをガタガタに崩壊させる、決定的に威力ある闘いであることを示している。
今春の闘いで大反撃しよう
情勢は小泉=奥田体制のもとで、日帝の政治危機を突破するための排外主義・愛国主義のあおりたてと、経済危機をのりきるための軍需経済政策(武器輸出の解禁で歯止めがはずされた)が一体化し、相互に強めあって、戦争への道、戦争への総動員体制が激しく進む過程に入っている。
だが、政・財・官が一体となった日帝のこの侵略戦争へののめり込みは、60年前の敗戦で歴史的に破産が刻印された「いつか来た道」なのである。世界の帝国主義の最弱の環=日本帝国主義にとって、まったく展望のない道なのである。
歴史的に破産し、「死の苦悶(くもん)」を深める帝国主義体制を、今こそ全世界の労働者階級と被抑圧民族人民の国際的団結の闘いで打倒し、戦争も失業も貧困も差別もない新しい社会の建設に向かって進む時である。
今春「日の丸・君が代」決戦、3・20イラク反戦、05春闘を戦闘的に爆発させ、帝国主義打倒−プロレタリア世界革命への道を押し開こう。
〔高村晋〕
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経団連の提言(目次と第4章)
目次
■はじめに
■第1章 わが国を取り巻く現状と問題認識
■第2章 これからの日本が目指すべき道
■第3章 外交・安全保障を巡る課題
■第4章 憲法について
■第5章 より民主的で効率的な統治システムの実現
■第6章 政策別の重要課題
■おわりに
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第4章 憲法について(抄)
1.綻びが目立つ現行憲法
現行憲法については、翻訳調でわかりにくい前文の表現、第9条にみられる規定と現実の乖離、国際平和に向けた主体的活動への制約、実質的に機能していない違憲立法審査権、厳格すぎる改正条項など、様々な問題を抱えている。とりわけ、第9条の解釈をめぐっては、長らく神学論争が続けられ、結果として、一国平和主義や国際問題への消極的関与にもつながることとなった。
国際安全保障環境は大きな変化を遂げた。21世紀に生きるこれからの日本を創造するため、新たな国の進路に関して国民的な議論を行った上で、合意を形成すべきである。
2.憲法9条について
(1)自衛隊の役割の明確化(第9条第2項)
自衛隊の役割は「存在する自衛隊」から「機能する自衛隊」へと大きな変革を遂げつつある。自衛隊の活動を通じた内外の平和・安定への協力や、これを通じた国際社会における信頼性の向上は、既に示した基本理念と国家目標の実現にも欠かせない。
第1項は引き続き存置されるべきである。しかし、戦力の不保持を謳う第9条第2項は、明らかに現状から乖離しているとともに、その解釈や種々の特別措置法も含め、わが国が今後果たすべき国際貢献・協力活動を進める上での大きな制約にもなっている。
従って、憲法上、まず、自衛権を行使するための組織として自衛隊の保持を明確にし、自衛隊がわが国の主権、平和、独立を守る任務・役割を果たすとともに、国際社会と協調して国際平和に寄与する活動に貢献・協力できる旨を明示すべきである。
さらに、自衛隊の海外派遣の活動内容・範囲について、基本方針を明確にし、場当たり的な特別措置法ではなく、一般法を早急に整備すべきである。
(2)集団的自衛権
集団的自衛権が行使できないということは、わが国として同盟国への支援活動が否定されていることになり、国際社会から信頼・尊敬される国家の実現に向けた足枷となっている。今後、わが国が、世界の平和・安定に主体的に関わっていくためには、必要な場合には、自衛隊によるこうした活動が可能となるような体制を整備しておく必要がある。
従って、集団的自衛権に関しては、わが国の国益や国際平和の安定のために行使できる旨を、憲法上明らかにすべきである。同時に、安全保障に関する基本法を制定し、その行使にあたって、国際情勢、活動地域、活動内容を踏まえて、国会の事前承認を原則とすることなど、限定的、かつ、その歯止めとなる措置を整える必要がある。
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週刊『前進』(2187号4面2)(2005/02/28)
反戦共同 3・20首都大結集へ
全国活動者会議が方針
千葉市のDC会館で2月13日、反戦共同行動委員会の05年度前期全国活動者会議が開催された。東京の「日の丸・君が代」強制拒否の不起立闘争発展へ全国の反戦共同行動委員会の力を結集して闘うことや、イラク開戦2年の3月20日には首都・東京へ全国から結集することを確認した。
滝口誠事務局長が議案を提案した。米帝が世界戦争への突入を開始し、日米枢軸に踏み切った小泉=奥田による「戦争と民営化」の攻撃が05年〜07年に集中している、他方で労働者階級が新たな革命的な決起を開始し、これらが11・7国際連帯集会としてかちとられた、と提起。さらに、@「日の丸・君が代」拒否の闘いA3・20と自衛隊イラク撤兵の闘いB沖縄闘争を始め米軍再編と対決する反戦・反基地闘争C被爆・敗戦60年の8月闘争――などの方針を提案した。
続いて、東京の教育労働者が「団結をつくることが最大のテーマ。内心の自由から戦争協力拒否へ」とアピール。全国沖縄青年委員会のメンバーも沖縄・辺野古闘争の報告を行った。
まず全学連の大山尚行委員長が都立高校へのビラまきの報告と決意を語った。関西反戦共同行動委員会の国賀祥司さんは、「関西新空港の軍事使用反対の闘いで空港が武器輸送を拒否、イラクへ自衛隊の武器が届いていない」と報告した。反戦自衛官の小多基実夫さんは、「イラク戦争の激化・泥沼化は自衛隊と日本社会に急速な分岐をつくる」と分析し、自衛官・家族を獲得する反戦運動の意義を訴えた。東京反戦共同行動委員会の三角忠代表は被爆・敗戦60年の8月の取り組みを呼びかけた。
最後に、討論のまとめを中野洋代表が行った。小泉政権と日本経団連の攻撃の核心を批判し、向こう3年の間に戦後的「平和と民主主義」を大転覆する攻撃が集中し、戦後最大の階級決戦になると強調。今春の「日の丸・君が代」闘争と3・20闘争を全力投球で闘うことを訴えた。
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週刊『前進』(2187号4面3)(2005/02/28)
2月9日〜15日
ミサイル迎撃法案閣議決定
北朝鮮が「核兵器保有」宣言
●沖ノ鳥島発電所、小泉「政府も積極的に」 石原都知事が沖ノ鳥島での発電所建設構想を表明したことについて、小泉首相は「なかなか夢のある話だ。沖ノ鳥島をどのように管理し、活用していくかは、関係省庁が連携を取って、日本(政府)としても積極的に取り組まなければいけない」と述べた。(9日)
●釣魚島の灯台を国有財産に 細田官房長官が記者会見で、釣魚島(「尖閣諸島」)に日本の右翼団体が建設した灯台について、所有者が所有権を放棄したため国有財産とし、海上保安庁が保守、管理すると発表した。(9日)
●北朝鮮「6者協議中断」 北朝鮮外務省が声明を発表し、ブッシュ政権が敵視政策を変えていないとして「6者協議への参加を無期限、中断する」と表明した。また「自衛のために核兵器を製造した」と明言、核兵器の製造・保有を初めて公式に宣言した。(10日)
●原子力空母の配備を表明 米海軍のクラーク作戦部長が上院軍事委員会で、横須賀基地を事実上の母港としている第7艦隊所属の通常空母キティホークの後継艦に原子力空母を配備する方針を表明した。(10日)
●嘉手納に17機が一時移駐 米空軍嘉手納基地報道部が、普天間飛行場の滑走路修復工事に伴い、同飛行場所属のKC130空中給油機など計17機を21日から一時的に移駐して運用すると発表した。普天間基地の嘉手納統合につながるなどとして嘉手納町議会などが抗議。同日、KC130空中給油機1機が給油ホースを格納せずにぶら下げたまま、嘉手納基地に緊急着陸した。第4エンジンのプロペラも停止したまま滑走路で停止。(10日)
●普天間ヘリ帰還へ 米国防総省は、沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故直後の昨年8月からイラクへ派遣されていた沖縄の第31海兵遠征部隊が2月7日にイラクでの任務を終了したことを明らかにした。約2200人の兵員と約20機の普天間飛行場所属ヘリが2月下旬にも沖縄に帰還するとみられる。(11日)
●イラク選挙、シーア派の過半数確実 1月30日に投票されたイラク国民議会選挙の集計結果が選挙管理委員会によって発表された。イスラム教シーア派の宗教政党を中心とする「統一イラク連合」が約48%の得票率を占め、議席配分方式に従えば単独過半数の議席を獲得することが確実になった。(13日)
●米がイラク基地からイランを偵察 米ワシントン・ポスト紙が、米政府が昨年4月からイラク国内の米軍基地を拠点にイラン上空に無人偵察機を飛ばし、イランの核兵器開発疑惑の証拠と防空システムの弱点を探ろうとしていた、と報じた。(13日)
●石破「米軍基地を自衛隊管理に」 石破前防衛庁長官が講演で「(日本が)独立して半世紀以上たって外国の駐留軍がこれだけいることをどう考えるのか。せめて(米軍基地を)自衛隊の基地にして米国が使う形にならないのか」と述べ、在日米軍再編協議で、国内のすべての米軍基地をいったん日本に返還し自衛隊の管理下に置いて日米で共用する案の検討を求めた。(14日)
●米、迎撃実験また失敗 ミサイル防衛(MD)の研究、開発を行っている国防総省のミサイル防衛局は、アラスカ沖から発射した弾道ミサイルを太平洋上で迎撃する実験を行ったが、迎撃ミサイルを発射できずに失敗に終わったと発表した。(14日)
●ミサイル迎撃法案を閣議決定 政府は、他国の弾道ミサイルをミサイル防衛(MD)システムで迎撃する際の手続きを簡素化する自衛隊法改正案を閣議決定した。(15日)
●参院憲法調査会の最終報告書4月20日 参院憲法調査会が4月20日をめどに最終報告書を提出する方針を決めた。(15日)
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週刊『前進』(2187号5面1)(2005/02/28)
3・20イラク反戦改憲阻止 首都大結集を
教基法改悪阻止・改憲攻撃粉砕
階級的労働運動と連帯し05年学生運動の大前進へ
革共同中央学生組織委員会
全国の学友諸君に訴える。05年−07年決戦は、世界と日本の歴史の大きな分岐点、戦時下に突入した中での最大の階級決戦だ。アメリカ帝国主義が世界戦争路線を突っ走り、日本帝国主義が米日枢軸を形成し、世界戦争への参戦へと突き進んでいる。日帝・小泉=奥田は、侵略戦争国家への大改造の攻撃、戦争と民営化(労組破壊)の大攻撃の一切を05年−07年に集中させてきている。この中で、3月都立校卒業式をめぐる「日の丸・君が代」強制拒否の教育労働者の闘いは、05年−07年の教育基本法改悪阻止・憲法改悪阻止決戦の帰趨(きすう)を決する大決戦である。全国の学友は、闘う教育労働者と固く連帯して3月卒業式決戦に総決起しよう。「日の丸・君が代」強制攻撃を粉砕し、3・20を全国結集で闘おう。米日帝の侵略戦争−世界戦争の攻撃と教育基本法改悪・憲法改悪を決定的に阻止しよう。05年を学生運動の大爆発の決定的な年としよう。
「日の丸・君が代」強制拒否へともに闘おう
学生戦線の闘いの課題は何よりも第一に、05年−07年決戦の一切の展望をかけて、3月都立校卒業式での「日の丸・君が代」強制粉砕の大決戦に総決起することだ。
この決戦は、米帝ブッシュの世界戦争宣言と日帝・小泉=奥田の米日枢軸形成と対決する日本の労働者階級の最先端の闘いである。
ファシスト石原都知事は、03年10・23都教委通達による都立校での「日の丸・君が代」強制を昨年に続いて今年も強行しようとしている。また生徒に起立・斉唱するよう指導せよという新職務命令も狙われている。さらに町田市教委は昨年12月16日、「君が代」の事前指導について「ほかの式歌と同様の声量で歌うことができるよう指導する」という「通知」を出した。校歌と同じ声量で「君が代」を歌うようになるまで生徒にたたき込めというのだ。
こんなことを許していいのか。これは、戦前戦中の軍国主義教育とまったく同じだ。教育を命令と服従に置き換えるものだ。学校儀式の中で「君が代」の斉唱、「日の丸」掲揚への直立不動などの身体的動作の反復をたたき込んでいくことで、「国家のために命を投げ出しても構わない人間」をつくりだそうとしているのだ。
何より10・23通達は、教育労働者から職場支配権を奪い、戦争教育を強制する攻撃である。天皇制国家暴力のシンボル「日の丸・君が代」を振りかざし、日教組・都高教本部を屈服させつつ、闘う教育労働者に対して各個撃破的に処分攻撃をかけ、職場から追放し、教育労働運動を破壊する攻撃である。日帝は、国際争闘戦とその極致である帝国主義戦争に突き進むために、戦後労働運動の成果を最も強く残し、階級的力をなお保持している官公系労働者の労働組合的団結を今ここで一挙に全面的に破壊しようとしているのだ。
昨年3−4月の300人もの都高教の教育労働者の不起立決起、大量処分をはね返す闘いの広がり、「教育基本法の改悪反対・『日の丸・君が代』の強制を許さない−2・6総決起集会」への950人の結集と教育労働者の再度の不起立闘争への決起宣言は、10・23通達をすでに大きく揺るがし、石原−横山を決定的に追いつめている。
今年の3月都立校卒業式の不起立闘争の爆発に、日帝の新たな15年戦争への突進をくい止めるのかどうか、ファシスト石原の突撃をくい止めるのかどうか、教育基本法改悪から改憲への大攻撃を阻止するのかどうか、労働者階級の階級的団結と国際連帯の力で帝国主義を打ち倒す展望を切り開くのかどうかの一切がかかっている。このことを徹底的にはっきりさせて闘おう。
被処分者の会や被解雇者の会などの闘いを「ハミダシ」と罵倒(ばとう)し、「挑発になるから不起立はやめろ」と叫ぶファシスト・カクマルの「告訴・告発」運動を粉砕しよう。
全国の学友は、都立高校すべてへのビラ入れ決戦に総決起しよう。高校生の不起立闘争への総決起をかちとろう。3月「日の丸・君が代」決戦を大爆発させ、5・7教育基本法改悪阻止の大闘争に攻め上ろう。
第二は、3月「日の丸・君が代」決戦を大爆発させ、3・20イラク侵略戦争開戦2周年の大統一行動に全国の労働者階級と学生の大結集をかちとることだ。
3月20日、全国から首都・東京に総結集して闘おう。自衛隊のイラクからの即時撤退、教育基本法改悪阻止・改憲攻撃粉砕、民営化反対を掲げた日本版MWM(ミリオン・ワーカー・マーチ)の実現をたぐり寄せよう。
米日帝の北朝鮮・中国侵略戦争を阻止する闘いを決定的に強化しよう。
第三は、米軍大再編(トランスフォーメーション)、日米安保の大改定と対決する第3次安保・沖縄闘争を大爆発させることである。
名護新基地建設阻止・ボーリング調査阻止の沖縄現地派遣をさらに強化しよう。地元住民と全国から集まった学生・若者の共同闘争はいまだに1カ所のボーリング調査も許していない。辺野古の闘いは、米軍トランスフォーメーションを足元から崩壊させる闘いだ。5・15沖縄行動に昨年を上回る大結集を実現しよう。
米陸軍第1軍団(米ワシントン州)移転阻止の座間基地(神奈川県)闘争などトランスフォーメーション粉砕の闘いを圧倒的に強めよう。三里塚・北富士・全国基地闘争の前進をかちとろう。
第四は、3月「日の丸・君が代」決戦を大爆発させ、ファシスト石原打倒の巨大なうねりをつくり出し、6月都議選決戦の勝利=長谷川英憲さんの当選をかちとることである。
大学改革・大学法人化粉砕闘争の大爆発へ
第五に、戦時下階級闘争の最先端の攻防である法政大決戦を学生戦線の総力をあげて闘い、大衆決起のさらなる前進をかちとっていくことである。
そして、04年の地平を引き継いで、全国大学で教育基本法改悪阻止=大学改革攻撃粉砕の闘いの大爆発をかちとっていくことである。特に大学法人化攻撃との対決として、開始されている学費値上げ阻止闘争を戦略的に重視し、全国学生の大統一行動を展望して闘いぬくことだ。そして激化する学生自治破壊・サークル活動破壊・自治寮解体への決定的反撃として、4月新歓活動の圧倒的大衆的成功をかちとることだ。
第六に、05年−07年決戦において、階級的労働運動と連帯して闘う自治会権力を全国の大学において樹立していくことである。
第七に、3月「日の丸・君が代」決戦の決定的な闘いとして、高校生の不起立闘争への総決起をかちとり、高校生運動の新たな発展と高揚を切り開くことである。
第八に、3月「日の丸・君が代」決戦を大爆発させ、学生戦線における党勢倍増に絶対に勝利していくことである。
世界戦争に突き進むブッシュ・小泉打倒を
05年−07年過程は、世界と日本の歴史の帰趨を決する戦後最大の階級決戦である。
それは第一に、戦時大統領として再選された米帝ブッシュが「圧制の打破」「自由の拡大」を掲げて、世界戦争のさらなる激化・拡大に突進していることである。しかもそれを具体的に、イラク侵略戦争の継続・激化、対イラン・シリア、対北朝鮮・中国侵略戦争への拡大としてうちだし、この世界戦争計画の貫徹のために、米英日枢軸を形成し、米軍大再編=トランスフォーメーションに全力をあげてきている。
何より米帝のイラク侵略戦争の泥沼的継続・激化が、1月30日の暫定国民議会選挙を契機にさらに進行していくことは不可避だ。米帝ブッシュは、イラクにカイライ政権をデッチあげ、イラクの新植民地主義的支配を確立し、イラクと中東の石油資源を帝国主義的に独占するために、どこまでもイラク侵略戦争を続行していくことをうちだしたのだ。
この米帝ブッシュの世界戦争への突進は、米英日帝国主義と独仏帝国主義の二大陣営への分裂と世界再分割をめぐる激突を決定的に促進する。国際情勢全体、国際階級闘争全体が、帝国主義の世界戦争の深化・激化・拡大の中にたたき込まれていくということである。
しかし、このことは、危機にあえぐ帝国主義が、その危機の重圧に押されて、ついに自滅的な世界戦争過程に突入したということであり、帝国主義に対する国際プロレタリアートの革命的反乱の全条件が日ごと、月ごと、年ごとにどんどんつくりだされていく過程に突入したということなのである。
第二に、日帝・小泉=奥田が米帝の世界戦争計画と米日枢軸化の戦略に積極的に呼応し、米日枢軸形成に踏み切ったことの重大性である。
昨年12月の自衛隊イラク派兵延長や新防衛計画大綱などの反動的諸決定に続いて、2月19日の日米安全保障協議委員会(2+2)では、日米の「共通戦略目標」を確認し、世界的規模での米軍と自衛隊の共同行動を積極的に進める「日米新安保宣言」の策定、さらにガイドライン(日米防衛協力の指針)の再見直しが検討されている。これは文字どおり、日帝が日米枢軸のもとでイラク・イラン、北朝鮮・中国侵略戦争、世界戦争へ突進するための体制づくりだ。
そして、こうした「外への侵略戦争」に対応した「内への階級戦争」として、侵略戦争国家への大改造と階級闘争の解体・絶滅を狙った戦争と民営化(労組破壊)の大攻撃が労働者階級に襲いかかっている。その最大の攻防が教労を始めとする4大産別決戦なのである。
石原打倒の展望開く「日の丸・君が代」闘争
第三に、日帝・小泉=奥田の先兵としてファシスト石原が労働者階級に対する絶滅型の大攻撃をしかけてきていることである。石原は、対北朝鮮・対中国侵略戦争と現行憲法(戦争放棄条項)の破棄を扇動しながら、「日の丸・君が代」強制と教育労働運動の圧殺を始め、排外主義・差別主義の政策化、社会保障制度の解体、治安弾圧の強化、労働組合運動の解体・根絶の攻撃を激しく展開している。こうした中で、3月都立校卒業式での「日の丸・君が代」強制拒否の闘いこそ、階級闘争の〈分岐・流動・再編・高揚>を促進し、05年決戦の突破口を切り開く決定的な環なのである。
第四に、イラク侵略戦争=世界戦争過程への突入が階級闘争の様相を一変させ、外に向かっての侵略戦争の激化に対応して内に向かっての階級戦争が激化し、戦時下の階級闘争に突入していることだ。
世界戦争への突入とは、帝国主義の未曽有(みぞう)の体制的危機の爆発であり、内への階級戦争としての民営化(労組解体)攻撃と治安弾圧が絶滅型の攻撃となって労働者階級に襲いかかるのだ。実際に労働者階級はこのままではもはや生きていけないというギリギリの地点にたたき込まれている。
その中で、労働者階級のギリギリの地点からの生きんがための決起が、既成の労働運動指導部をのりこえるランク・アンド・ファイル(現場労働者)の闘いとして世界的規模での爆発を開始している。そして、帝国主義の体制的危機と矛盾の極限的激化の中で、この労働者階級の革命的決起に突き動かされた学生・高校生の自主的主体的行動への決起がいたるところで始まっている。
第五に、世界戦争情勢への突入の中で労働者階級が新たな革命的決起を開始していることだ。それが、ILWU(国際港湾倉庫労働組合)ローカル10などが中心となってアメリカの首都ワシントンDCで行った昨年の10・17MWMであり、東京・日比谷野外音楽堂で開かれた11・7全国労働者集会であり、韓国・ソウルで開かれた民主労総(全国民主労働組合総連盟)の11・14全国労働者大会と11・26ゼネストである。
全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同、動労千葉の闘う3組合が呼びかけた11・7全国労働者総決起集会は、まさに世界戦争過程に突入した帝国主義に対して労働者階級の階級的団結と国際連帯をもって対決する闘いとしてかちとられた。
重要なことは、この11・7労働者集会が、04年3・20の大統一戦線形成と6万人の労働者階級人民の大結集の実現に対する大反動をうち破ってかちとられたものだということである。その大反動を突破する決定的力こそ、10・17MWMであり、不起立闘争に決起した教育労働者の闘いとの結合であったのだ。
この決起は、労働者階級として生きんがためのギリギリの地点からの決起であり、既成の労働運動指導部を下からのりこえるランク・アンド・ファイルの闘い、労働運動の階級的再生の闘いである。帝国主義の戦争と民営化攻撃と対決する最も大衆的な闘いが、労働者階級の自己解放闘争として始まったのだ。労働者階級は世界的な存在であり、同じ敵の同じ攻撃に立ち向かっているがゆえに、国際連帯を強く希求しているのである。
何よりこの日米韓労働者の決起は、世界戦争情勢と真っ向から対決する闘いである。20世紀におけるスターリン主義の歴史的大反動をうち破って、帝国主義と全面的に対決し、帝国主義を打倒しプロレタリア独裁−世界革命を実現する革命的階級の隊列がついに現実に登場したということである。
こうして帝国主義の激しい攻撃と労働者階級の革命的な決起の開始によって、階級闘争が〈分岐・流動>から〈再編・高揚>に向かって激しく動き出しているのである。革共同の新指導路線は、まさにこの情勢に対応する革命的路線なのである。
闘う学生はマル学同中核派に結集しよう
3月「日の丸・君が代」決戦の大爆発をかちとり、05年を学生戦線の圧倒的大前進の年とするために、以下の五つの課題を提起したい。
第一に、学生戦線の一切の闘いの土台に、帝国主義の世界戦争過程への突入と戦時下階級闘争の認識をがっちりとすえきることだ。
何より『前進』05年新年号1・1アピールの総括・情勢・任務方針の全体が、帝国主義の世界戦争過程への突入と戦時下階級闘争の認識に強力に貫かれた提起であることをつかみとることである。
われわれは、この世界戦争過程への突入という事態に対する激しい危機感と正しい分析をつかみ、労働者階級・学生・高校生の共通の認識にしていかなければならない。そして、戦時下においては、革命的非和解性をもった体制打倒の闘いこそが、帝国主義の体制的存亡をかけた攻撃をうち破る唯一の方法なのだということをますます鮮明に訴えていくことである。
第二に、世界戦争情勢下における学生戦線の任務の鮮明化である。
一つは、本格的に始まった階級的労働運動とその攻防に寄与し、連帯し、労働者階級の前進のために階級決戦を闘いぬくことである。
二つは、学生をプロレタリアートの側に獲得することである。学生というプロレタリアートとは区別される独特の階層をブルジョアジーが支配するのか、プロレタリアートが獲得するのかは、階級闘争全体にとって決定的な問題である。拠点大学を軸に学生を丸ごと労働者階級の側に獲得しよう。
そして、この両者を統一的に実践する方針として、階級的労働運動と連帯して闘う自治会権力を全国の大学で樹立していくことだ。
そのためにも、マスの学生を階級決戦へ組織し、階級的立場へ獲得するストレートな宣伝・扇動・組織戦に全力をあげることだ。さらに、さまざまな契機をつかんで政治権力・大学当局に対する学生丸ごとの決起をつくりだしていく大衆運動である。そして、この両者を統一的に発展させる闘いの中で、マルクス主義の学習会と理論闘争をやりぬき、その中から学生共産主義者を獲得し配置していくことである。
動・反動の激突促進し大衆決起をつくろう
第三に、戦時下における動と反動のせめぎ合いと激突を積極的に引き出し促進する中から、巨大な大衆決起をつくりだしていくことである。
われわれは、このことを04年の激烈な攻防を必死に闘う中からつかみとってきた。とりわけ法政大学生会館の閉鎖攻撃は、3・20において300人の全国結集を実現した学生戦線に対する大反動であり、新指導路線の闘いの前進をその根幹で破壊しようとする大攻撃であった。だからさらに、11・7労働者集会の直前には11・2弾圧が襲いかかってきたのだ。われわれは、これを戦時下における絶滅型の大弾圧としてみすえ、断崖(だんがい)絶壁からの猛然たる反撃戦を11・7大結集と12・4法大決戦への全国総決起としてたたきつけた。そして、このわれわれの渾身(こんしん)の決起が、法政大と全国大学における大衆決起を決定的に促進させているのである。
05年決戦において、これまで以上にさらに強烈な反動と直面しつつ闘わなければならなくなることは不可避である。しかし、党が闘う大衆として大衆運動の先頭に立ち、敵の矛盾と攻撃の集中点に激しく食らいつき、その重圧をぶち破る闘いに敢然と立ち上がるならば、それは必ず大衆を突き動かし、巨大な大衆決起へと転じていくのだ。
第四に、階級的労働運動と連帯する学生運動の意義についてである。
その核心は、処分を覚悟で「日の丸・君が代」強制拒否に決起した教育労働者の闘いや、10・17MWM−11・7労働者集会を戦時下での労働者階級のギリギリの地点からの革命的決起の始まりとしてつかむことである。
世界戦争情勢下において、労働者も学生も人民全体が、体制を打倒する以外に生きていけない極限的状態にたたき込まれているということだ。帝国主義が世界戦争過程に突入しており、戦時下階級闘争になっているからこそ、学生大衆においても、その要求や怒りは、帝国主義体制打倒という根底性、激しさがないと解き放たれないのだ。
その点で、われわれは、常に階級的立場を貫いた扇動を行っていかなければならない。体制打倒を鮮明に掲げ、階級的立場を貫いた扇動こそが、キャンパス全体を揺さぶり、大衆の決起を促進していくのだ。クラス討論または1対1のオルグなどにおいても、それは同じである。階級的主張を正面から訴え、原則的な獲得の闘いを貫き通すことである。そのことが学生大衆の要求や怒りを大きく解き放っていくのだ。
第五に、05年を学生戦線における党勢倍増の決定的勝利の年にしようということだ。
そのためにはまず、先の第一〜第四の闘いをキャンパスにおいて徹底的にやりぬくことである。
しかし重要なことは、闘争の成果の一切を党勢拡大に集約していくという、党建設の闘いそれ自身の意識性・計画性を強力にはっきりさせることである。党建設を基本会議の第一の議題にすえ、組織活動の半分を党建設の闘いに注ぐことである。機関紙拡大闘争とマルクス主義の学習会の組織化に猛然と決起することである。
さらに、党勢拡大の前進のために指導部が理論闘争の先頭に立つことだ。ブルジョア・イデオローグやファシスト・カクマル、日共スターリン主義に壊滅的打撃を与える論戦、批判を次々と繰り出していく戦闘精神をみなぎらせて、マル学同理論誌『中核』をガンガン発行していこう。
すべての闘う学友は、今こそマル学同・中核派に総結集しよう。ともに歴史的階級決戦の大爆発を切り開こう。
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週刊『前進』(2187号6面1)(2005/02/28)
子どもたちの笑顔と養護学校の労働者 兵庫上野 峻
ある市の教育委員会の傍聴の帰り、街外れの市立養護学校をのぞいた。ちょうど授業が終わった時刻で、バスで帰る子ども達に出くわした。寒い中だが皆元気そうだ。学校の前に子ども達の描いた絵が二つ張り出してある。名前入りで、色彩も絵柄も、バランス感覚も優れている。元気一杯で楽しい絵だ。私などにはとてもまね出来ない見事な出来栄えだ。
今、養護学校は厳しい環境の下にある。かつて「わが子を普通学級に入れてやりたい」との保護者の切なる願いを振り切り、各地に養護学校が設立され、教育の分離化が進んだ。
ところが今「三位一体の改革」のペテンで「財源が苦しいから」と給食の民営化などを口実として、養護学校そのものの切り捨てが開始されようとしている。
この養護学校には介助員として一人の合同労組の女性労働者が働いている。介助員の仕事はきつい。60`もある子どもの身体を動かし、下の世話、食事介護からむずかる子どもの機嫌取りなど、1日をとても長く感じる日が多いと言う。
だが養護学校の子ども達は素直だ。先生や介助員が手を抜き、真剣に向かい合わないとそれを見抜く、目を真っ直ぐ見て話さないと何にも聞き入れてはくれない。子どもたちの生きるための五感は鋭い。
半年前、私の姉の近所で母親が娘の将来を思い、娘の養護学校時代の仲間4人と「夢工房」というパン屋さんを始めた。採算性抜きでみんな懸命に手抜きなしで作るから「おいしいパン」と好評だ。
ある日のことだ。娘さんが大きな声を上げた。なんだとのぞいて見ると、ゴム手袋を忘れた娘さんが、その自分を責め、悔しくて大きな声を出したのだった。
養護学校介助員の女性労働者は今次05年春闘で、賃上げ13万円を要求して闘っている。過酷な労働条件の下、不当な低賃金を強いられてきた彼女の権利回復のための正当な要求である。「日の丸・君が代」強制にも断固反対を貫いている。
子ども達の笑顔を背に懸命に闘う彼女を、今後とも
支援して行きたい。
初めて沖縄基地建設阻止行動に参加して 関西・高校生 R・S
先月、長期休暇を利用して、沖縄の海上新基地建設阻止行動に参加した。一度も行ったことがなく、報道資料などの情報でしか知ることができなかった予想を超えた沖縄の現状を知ることができた。至る所に軍事基地が存在し、その存在が当然であるかのようであった。騒音公害や人権侵害を引き起こす原因である危険極まりない基地と人間が共存することはどのように努力しても不可能だろう。基地の存在は、大多数の人が望んでいない。当然、不必要であり、早急に撤去が必要だ。
辺野古では座り込みへの参加のほか、施設局側が強行設置した単管櫓(やぐら)にも登った。単管を固定している金具が腐食して崩壊寸前の状態になっていた。早急に撤去して元の広大な状態の海に戻ってほしい。櫓からは海人(うみんちゅ)が漁をしているのが見え、われわれの呼び掛けにこたえて釣れた魚を見せてくれた。基地が造られれば、このような光景は見られなくなってしまう。沖縄の海は、普段、接している海よりも透明度が高く、サンゴやジュゴンなども存在するので非常に好きで、船員(航海士)養成機関に所属し、海に生き、学ぶ者として、基地建設は絶対に許すことができない。
負傷者を出しながらも毎日闘い抜かれている基地建設反対闘争によって、施設局は敗北に追い詰められ、暴行をエスカレートさせたり、不誠実な回答しか出せないでいる。この政策は破たんし、選択肢は白紙撤回しかない。さまざまな形で決起・連帯し、必死の闘いを守り抜けば絶対に勝利できることが確信でき、絶対に再度、阻止行動に参加することを決意した。
最大の決戦に突入している今こそこの現状を全世界に伝え、皆で立ち上がり、白紙撤回・基地撤去をかちとろう!
被爆地広島から派兵を許さない!と集会 広島 T・O
2月9日夕方、広島県平和運動センターなどが主催する「イラク派兵反対!いくな13旅団!ヒロシマ集会」が、県庁前広場で開催された。
この集会は、1月22日の陸自・海田市(かいたいち)駐屯地を包囲した「人間の鎖」行動と1月28〜29日に寒風をついて、原爆ドーム前で闘われた24時間座り込み行動を引き継いで開催されたものだ。
「被爆地・ヒロシマからの派兵を許してはならない!」という広島の労働者市民、被爆者・被爆2世は、この間、これらのとりくみを総力で行ってきた。その総仕上げとして本集会が「派兵弾劾!」の闘いとして、とりくまれたのである。
この先頭に立っているのが、教育労働者や県職・水道などの自治体労働者、港湾労働者など「戦争動員」の当該である。とりわけ、今春「日の丸・君が代」強制と真っ向から対決する教育労働者が多く参加した。
「教育基本法改悪反対!ヒロシマ実行委員会」や百万人署名運動の仲間が2・11集会のビラを配り、労組ネットワーク広島の仲間が2・27「05春闘集会」のビラを配布した。
「『日の丸・君が代』強制反対!」「05春闘を闘おう!」と呼びかけると、参加した1千人の労働者は、「ごくろうさん!」と次々とビラを受け取り、その場で食い入るように読んでいる。みな今春決戦の方針を求めているのだ。
主催者、各団体や政党のあいさつの後、イラクへ自衛隊を行かせるな!とシュプレヒコールを行い、その後、帰宅する労働者でにぎわう夜の電車通りを駅前方面へデモ行進した。
前号掲載の石野真雄さんの投稿「『ビラ配布の自由を守る葛飾区民集会』に参加」のなかで、編集上の都合で整理した部分について石野さんから訂正の要望がありました。「『全労連、連合、全労協系の労組も参加しました』との表現がありましたが、組合としての参加ではないので訂正してください。しかしナショナルセンターの枠を超えて多くの組合員が参加したことの意義は大きいと思います」とのことです。「全労連、連合、全労協系の組合から多くの組合員が参加しました」と訂正します。
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週刊『前進』(2187号6面2)(2005/02/28)
共謀罪廃案の国会デモへ
組合旗・団体旗先頭に立とう
共謀罪は、イラク侵略戦争に参戦し戦時下に突入した日帝・小泉政権が、日米枢軸路線のもとで北朝鮮・中国侵略戦争に突入するために必要な治安弾圧の切り札である。
第2次世界大戦下で教育勅語と治安維持法は一体となって侵略戦争推進の役割を担った。今、小泉政権は北朝鮮への排外主義的扇動を激化させ、「日の丸・君が代」強制と共謀罪を一体化させることで侵略戦争を推進しようとしている。すべての労働者人民は、共謀罪廃案をかちとるためにともに立ち上がろう。
共謀罪の目的は労働者人民の団結を破壊することである。実行行為を必要としない「共謀」の内容を突き詰めると「思想の一致」にたどり着く。共謀罪が取り締まろうとする対象は労働者人民の思想だ。団結するためには絶対に必要な「思想・表現の自由」を抑圧し、労働者人民に沈黙と翼賛思想を強制しようとしているのだ。
共謀罪廃案をめぐる通常国会の攻防は正念場に突入した。法務省は、人身売買罪の新設、監獄法改悪、少年法改悪、入管法改悪、人権擁護法案(再提出)など重要法案の法務委員会での過密な審議日程に追いつめられている。刑事局を軸に共謀罪審議入り・制定に全力投球の体制を固めているが、思惑通りにはまったく進んでいない。
共謀罪反対闘争の成果として、「共謀罪は言論・思想を取り締まる悪法」「労働組合を弾圧する団結禁止法」という声が国会の内外で巻き起こり、民主党や日弁連執行部に対する強力な圧力となっている。
ナショナルセンターの枠を超え、連合、全労連、全労協傘下の労働者・労働組合の中に浸透し始め、大きな力になろうとしている。この状況下で2月7日、全労連は「共謀罪の新設に断固反対する」という坂内事務局長談話を発表した。
法務省に屈服し「司法改革」攻撃のお先棒を担いだ日弁連執行部の裏切りを絶対に忘れてはならない。日弁連の中で憲法と人権を守り抜く立場から執行部と対決して闘う弁護士と連帯し、日弁連全体を共謀罪反対に転化しよう。
3月15日の「共謀罪を廃案へ! 国会デモ」が、社会文化法律センター・日本労働弁護団・自由法曹団・日本民主法律家協会などの共催で呼びかけられた。
このデモを共謀罪廃案の3月決戦最大の闘いとして全力で取り組もう。3月春闘を総力を挙げて闘いぬいている動労千葉などの労働組合とともに、3・15日比谷に集合しよう。全国各地で集めた共謀罪反対の国際共同声明を持ち寄り国会デモに立ち上がろう。
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週刊『前進』(2187号6面3)(2005/02/28)
日本原 「過ちを繰り返すな!」
派兵の正念場に決起
2月11日、紀元節攻撃粉砕!侵略演習・イラク派兵阻止を掲げ、岡山県奈義町で日本原現地闘争が闘いぬかれ、中四国地方各地から労働者、学生など約80人が結集した。
正午すぎ、現地統一集会が、那岐山を望む反対派の拠点・宮内地区内の防衛庁用地内で開会した。初めに老人施設に入所中の日本原農民・奥鉄男さんからのメッセージを司会が読み上げた。メッセージは、日本原からついにイラク派兵部隊が送り出されてしまったことを弾劾した上で、自身の戦争中の体験、とりわけノモンハン事件の現場に一兵士として参加したことに触れ、「戦争の愚かさをいやというほど思い知らされた。その体験があって自分は戦後日本原演習場反対の闘いを精一杯取り組んだ。今回派兵された隊員たちも帰ってくれば、そういうふうになるはず。戦争は絶対にやってはならない。そのための演習場は必要ない。基地撤去までともに闘い続けましょう」と熱烈に訴えるものだった。
三里塚反対同盟から伊藤信晴さんが駆けつけ、連帯のあいさつを述べた。伊藤さんは、北朝鮮の核開発宣言による94年朝鮮危機以上の戦争切迫情勢を弾劾し、「三里塚空港の軍事使用は絶対に許さない。空港会社は東峰買収攻撃、北側延伸と暫定滑走路の拡張をあくまで強行しようとしている。北でも南でもどっちでも来い。反対同盟は身をていして絶対勝利する」と力強く宣言し、3・27三里塚現地への総結集を訴えた。
続いて決意表明が行われ、部落解放同盟全国連、闘う「障害者」、愛媛労組交流センター、岡山県反戦共同行動委、岡山の闘う学生などが次々に発言に立った。最後に日本原現闘本部が「日本原演習場は100年前、日露戦争直後に開設され、以来、侵略戦争の戦場に日本軍を送りだしてきた。戦後60年を経て、ついにこの日本原から自衛隊の出兵が強行され、侵略演習場としての歴史が本格的に再開されようとしている。『過ちを繰り返すな』と取り組まれた戦後の日本原闘争の勝利の地平を守りぬこう。2・11日本原から『日の丸・君が代』決戦、教育基本法・憲法改悪粉砕、小泉=奥田路線粉砕、05春闘の爆発へ猛然と進撃しよう」と訴えた。
集会後、陸上自衛隊日本原駐屯地までの約4`のデモ。解散地の駐屯地前では、隊内の兵士たちに向けて「派兵命令を拒否しよう」と声を限りに訴えた。
今年の2・11日本原闘争は、ついに駐屯地からの派兵が行われての闘争であり、第5次、第6次のイラク派兵部隊となった陸自中部方面隊のほとんどの隊員が日本原で演習を繰り返していたことから、まさに戦時下の闘争として闘われた。「侵略の歴史を繰り返さない」として始まった日本原闘争は正念場を迎えている。演習場全面使用・日米共同演習の策動(同規模の演習場では唯一実施されていない)が切迫する中、あくまでも勝利の地平を守りぬき、「侵略を内乱へ」の最前線として、日本原現闘は最前線で闘うことを宣言した。
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週刊『前進』(2187号6面4)(2005/02/28)
派兵壮行会へ申し入れ行動
広島・海田市
2月2日、陸自第13旅団(広島県海田市駐屯地)で行われた第5次イラク派兵部隊の壮行式に対し、「ヒロシマ・ピープルズ声明呼びかけ人会」、とめよう戦争への道!百万人署名運動広島県連絡会、教育基本法改悪反対!ヒロシマ実行委員会、ピースリンク・広島・呉・岩国の4者の共同で、内田益次郎陸自第13旅団長への派兵中止の申し入れをした。
被爆60周年の今年年頭、1月6日より、被爆地ヒロシマ(海田市駐屯地)からすでに業務支援隊が派兵され、続いて本隊の第1陣がこの日ついに派兵されようとしていた。ヒロシマからの派兵という急迫した事態に対し、被爆者や大学教授、弁護士などが呼びかけて県民の幅広い声を結集させ、1月22日には基地を包囲する「人間の鎖」1千人行動を実現した。
11時、壮行会を始めようとしている駐屯地内の隊員と家族にむけて、「派兵命令を拒否しよう」という呼びかけを全員で行った。
共同代表である被爆者の河合護郎さん(元広島平和文化センター理事長)が「ヒロシマからのイラク派兵の中止を求める」申入書を読み上げ(写真)、海田市駐屯地の荒木陽・司令職務室長に手渡した。
とめよう戦争への道!百万人署名運動広島県連絡会より、イラク占領を正当化するための国民議会選挙は許されないこと、ただちに軍事占領をやめることを申し入れた。
続いて教育基本法改悪反対!ヒロシマ実行委員会から、1月22日に「国歌・愛国心高揚の教育」発言をした内田第13旅団長に対して、発言の撤回を求める申し入れがなされた。
最後にピースリンク・広島・呉・岩国の世話人より派兵に抗議する申し入れがなされた。参加者全員で派兵を止めるまで抗議行動を続けることを確認し、シュプレヒコールを行った。
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週刊『前進』(2187号6面5)(2005/02/28)
『ドイツ・イデオロギー』−学習の感想−
現代に通じる資本主義批判 H・L
マルクス主義形成にとって過渡的なものであるとはいえ、『ドイツ・イデオロギー』は学習・主体化すべき内容があることが、講師の話でよく分かりました。唯物史観、プロレタリアートの世界的性格、労働−自己実現論…などです。
また、「人格的自由は、支配階級の諸関係のなかで育ってきた個人にとってのみ、……存在したにすぎない」(『新訳ドイツ・イデオロギー』115〜116n)ということは、現在でもまったくそのとおりと思います。帝国主義の危機の中で、プロレタリアートはますます人格を認められない存在になっていると思います。要するに、金持ちでなければ(財産を持っていなければ)人格を認められない。
都心のデパートに行けば高いものばかりが並び、金持ち相手に商売している。本屋に行っても高価な本ばかり並び、教育(学校)も金がなければ十分な教育を受けられない。政治も文化も経済も教育も、アメリカのような「所有者社会」になりつつある。金もないプロレタリアートは一切から排除され、奴隷のように朝から晩まで働くだけの存在になりつつある。
マルクスの言葉が現代にもそのまま当てはまる。資本主義に対する根底的な批判であると思う。「人格」という言葉のブルジョア性について、さらに考えてみたい。
共産主義論の原型とらえる N・O
かなり大量の部分を一気に進んだのでついて行けない感があるけれど、やはりマルクスとエンゲルスが哲学から出発し、しかし哲学者と決別して共産主義者へと飛躍をかちとる出発点としての『ド・イデ』をあらためて実感しました。
『共産党宣言』と重なる部分が非常に多いと思って聞いていましたが、最後のまとめで、「『宣言』の元本とも言えるが、やはり『宣言』には大飛躍がある」ということ、なるほどと思いました。『ド・イデ』をやったから価値論へ行けた。そして、『宣言』や『賃労働と資本』へ、プロレタリア革命論の全面的な確立へと向かっていった。『ド・イデ』はそこへ向けた本当に大きな飛躍の場だったのだと感じました。
その上で、『ド・イデ』で出されている共産主義論の原型をしっかりとらえることは重要で、とくに歴史をどうとらえるか、観念論批判と唯物史観の内容は、『宣言』を読んでいてもよく分からなかったことが深まる、という関係にはあります。
また、現実の物質的生産の生産諸力と生産諸関係の矛盾の問題として歴史の進展を見ること、それを客観的にでなく、実践的変革者の目で見抜いていく、ということを、マルクス、エンゲルス自身が自らの飛躍をかけてゴリゴリ追求したということは、私も含めて、現代に生きる各々にとっても非常に身に迫るものとして感じます。
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週刊『前進』(2187号6面6)(2005/02/28)
共産主義者 143号
11月集会総括と05春闘
倉本論文 世界革命の現実性を描く
榊原論文 6月都議選勝利への方針
05年決戦が激しく火を噴いている。05年階級闘争の出発点は、昨年11・7日米韓労働者集会の革命的・階級的地平にある。11・7は、イラク情勢を展開軸に危機を深める帝国主義と対決する国際労働者の階級的団結の力を示した。そして、11・7を結実させた核心にあるのは、新指導路線の実践をとおした労働組合論・党建設論における決定的ブレイクスルーである。
『共産主義者』143号は、この11・7地平に立って全論文が執筆・編集された今春決戦の特集号である。同志・読者に大いに活用していただきたい。
労働組合の国際的団結の地平をつかみとる
巻頭論文は、倉本同志による全面的な11月集会総括。日米韓国際連帯が切り開いた地平とプロレタリア世界革命の現実性を、集会の発言を引用しつつ生き生きと描き出している。戦争と民営化という共通の課題に対して、労働者階級は各国的な分断をのりこえて団結し、帝国主義を打倒すべきであること。そして、自国資本との闘いが、同時に他国労働者との連帯であることをつかんだ時、労働者階級はそのエネルギーを幾層倍加させてどこまでも闘うのだ。
1章では、このように11・7の感動の核心にある、プロレタリア自己解放性に基礎をおいた労働組合の国際的団結の地平をつかみとっている。
2章では、11・7がイラク戦争の泥沼化を展開軸とする世界戦争情勢と日米枢軸、トランスフォーメーションに対して開始された国際的内乱としての意義を明らかにした。そして3章では、11・7とひとつながりの闘いであった米MWM運動と韓国民主労総の激闘の発展を活写した。05年における米韓労働運動の新たな挑戦の革命的意義はきわめて印象深い。以上を受け、4章で「日の丸・君が代」強制拒否闘争の全産別での決起こそが国際的共同闘争の柱であることが鮮明にされている。
榊原論文は、6月都議選への決起を訴える必読の選挙綱領論文。小泉=奥田路線の反革命突撃隊=ファシスト石原打倒としての今次選挙戦の意義を提起した。新指導路線提起の地平から、杉並を主戦場とした選挙闘争に強制されてきた歴史的なゆがみをえぐりだし、本来的な革命的議会主義の路線を強力に打ち出している。オーソドックスな地区党建設を軸にした全党の総決起を「党の革命」をかけて闘うことがその核心だ。戦時下階級闘争における激動型選挙として、教労決戦を先頭に今春首都政治決戦をたたきつけ、勝利の展望を切り開こうと熱烈に訴えている。宣伝・扇動革命の実践として「とめよう戦争教育」「石原都知事に挑戦状」などのスローガンにしぼりこまれた闘いの方針をつかみ、実践しよう。
労働組合の革命論的確立と4大産別決戦論
中村論文は、11月集会高揚の原動力となった革共同の新指導路線と労働組合の革命論的確立の核心を明らかにした。昨秋の実践を総括し、革共同としてレーニン党組織論の真髄をつかみとったことが確認されている。その立場から、動労千葉の階級的労働運動の実践を強力に訴えている。本論文をしっかりとふまえて、続く4大産別論文を読みこんでいただきたい。
現場労働者同志による教労論文は、勤評闘争の教訓を総括し、「日の丸・君が代」闘争の意義を明らかにした。自治労論文は、ファシスト石原都政の歴史的意味と攻撃の方向性を具体的に暴き、都における自治体労働運動決戦の意義を説いた。国鉄論文は、「ニューフロンティア21」を軸としたJRの資本攻勢に対する反合闘争を訴える。全逓論文は、郵政分割・民営化阻止の決戦論。職場から力関係を転換する物ダメ闘争方針の意義は重要だ。
野口論文は、小泉・奥田による戦争と民営化攻撃の方向性を示した05年版「経労委報告」の全面批判。連合を先兵にしてしか階級支配を貫徹できない日帝の危機性が浮き彫りにされている。
国内民族抑圧との対決の不可欠性突きだす
前島同志によるアイヌ民族解放闘争論は、新指導路線の実践の地平から、国内における民族抑圧との対決の不可欠性を突きだした労作。アイヌ民族解放闘争との真の連帯をめざしての提起である。豊富な資料を使ってアイヌ民族の現状と闘いをくっきりと浮き彫りにした。ぜひ学習を勧めたい。
卒入学式闘争を全国全産別の労働者の決起として闘い、05年決戦の火柱をあげよう。
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週刊『前進』(2187号6面7)(2005/02/28)
公判日程
☆迎賓館・横田裁判
福嶋昌男同志裁判
3月22日(火)午後1時15分
4月26日(火)午前10時15分 論告求刑
*東京地方裁判所
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