ZENSHIN 2005/02/21(No2186 p06)

ホームページへ週刊『前進』月刊『コミューン』季刊『共産主義者』週刊『三里塚』出版物案内販売書店案内連絡先English

第2186号の目次
 
1面の画像
(1面)
3月卒業式闘争の爆発をかちとり 石原・都教委に大反撃を
教労・全逓・自治体・国鉄先頭に05春闘勝利−3・20イラク反戦へ
日米安保協・米軍再編粉砕せよ
記事を読む  
日米新共同宣言を狙う安保協  世界戦争攻撃を許すな
2・19座間基地包囲に立とう
記事を読む  
“隊員は出兵拒否を”  第5次派兵 守山駐屯地で阻止行動(2月5日) 記事を読む  
(2面)
「日の丸・君が代」強制拒否 卒業式闘争を不起立で
組合破壊と戦争教育を狙う10・23都教委通達うち破ろう
都高本部の屈服をのりこえ
記事を読む  
都教委包囲ネット集会 不起立宣言に連帯
950人が今春決起誓う(投稿/東京・N)(2月6日)
記事を読む  
杉並・山田区長 成人式で特攻隊賛美  これが“石原教育改革”だ(1月9日) 記事を読む  
“研修は良心の拷問”  再発防止研修裁判で陳述(2月3日) 記事を読む  
関生弾圧 武委員長ら起訴弾劾  連帯しともに弾圧粉砕へ(2月2日) 記事を読む  
資本攻勢&労働 日誌 2005 1・20〜2・3
経済財政諮問会議 公務員賃金の削減を提案
松下が“攻めのリストラ”/労働力人口6年連続減
記事を読む  
(3面)
「工場法時代の遺制」と労働法制の解体叫ぶ経労委報告
極限的な搾取に春闘で反撃へ〔長沢典久〕
記事を読む  
「指定管理者制度」粉砕を
民営化で労働組合解体と解雇・非正規雇用化狙う〔堀井智也〕
記事を読む  
『石原知事に挑戦状』が大好評
反戦の思いを語る鼎談  ファシストと闘う待望の書(杉沢 厚)
記事を読む  
泉州住民の会 イラク派兵部隊への輸送を弾劾(2月3日) 記事を読む  
(4面)
青年は革共同に結集しよう
労働者一人ひとりが決定的な歴史的存在、社会変革の原動力
労働者党員は心から訴える 革共同中央労働者組織委員会 大原武史
記事を読む  
日誌'05 2月1日〜8日
辺野古移設の「見直し」検討  米ブッシュが一般教書演説
記事を読む  
(5面)
本山闘争が完全勝利
“一人の首切りも許さない”貫き  2名の解雇撤回・全員現職奪還
記事を読む  
(6面)
団結ひろば 投稿コーナー
「ビラ配布の自由守る葛飾区民集会」に参加 東京・労働者 石野真雄
『前進』の記事に共感もっと分かりやすく 東京 Y・M(16歳)
多くの人が『前進』を読めば世界は変わる 東京 角田誠治
郵政公社化で下請け会社も労働条件悪化 A県 郵便労働者A
記事を読む  
「日の丸・君が代」闘争高揚へ女性労働者は先頭に立とう
3・8国際婦人デーにあたって〔木村弥生〕
記事を読む  
2・27反核集会へ  ビキニ事件51周年
大石又七さん(ビキニ被爆者)が講演(投稿/Y・S)(2月27日)
記事を読む  
“共謀罪にとどめを”  2・4集会 臨戦態勢突入を宣言(2月4日) 記事を読む  
漁民が海上デモ敢行  辺野古 陸海で工事阻止行動(2月6日) 記事を読む  
狭山要請行動 “全証拠開示” 事実調べを(2月7日) 記事を読む  

週刊『前進』(2186号1面1)(2005/02/21)

3月卒業式闘争の爆発をかちとり 石原・都教委に大反撃を
教労・全逓・自治体・国鉄先頭に05春闘勝利−3・20イラク反戦へ
 日米安保協・米軍再編粉砕せよ

 米帝ブッシュの2期目の就任演説と2月2日の一般教書演説は、労働者に対する階級戦争と外への侵略戦争、世界戦争の攻撃を一層拡大する路線を打ち出した。日帝・小泉=奥田路線は米帝と反動枢軸を形成し戦争と民営化(労組破壊)の攻撃を推し進める路線だ。一方で日帝は第5次派兵を強行し、米帝とともにイラク侵略戦争の泥沼にのめり込んでいる。他方で日本経団連の12月の「05年経労委報告」や今年1月の「わが国の基本問題を考える」「これからの教育の方向性に関する提言」を振りかざしてきている。こうした中で石原と東京都教育委員会による「日の丸・君が代」強制を打ち破る闘いの決定的重大性がいよいよ鮮明になってきた。教労決戦を突破口に、教労、全逓、自治体、国鉄の4大産別決戦を闘い、05年決戦に勝利しよう。2・19座間基地包囲闘争の爆発をかちとり、3月卒業式闘争の勝利へ前進しよう。

 第1章 米日枢軸で世界戦争に進むブッシュ・小泉

 1月30日のイラク暫定国民議会選挙は、米英日帝を軸とした侵略戦争と軍事占領のもと、ファルージャ総攻撃の凶行と全土戒厳令状態のもとで行われた。まさに民主主義とは正反対のものだ。イラク人民と武装解放勢力の解放区・半解放区が各地に存在し、ゲリラ戦争の爆発が世界を揺るがす中で、シーア派・シスターニ師の裏切りをもテコに強行した選挙である。
 スンニ派が選挙をボイコットした上、投票率も操作され、国際的・国内的な「正当性」は完全に崩壊している。「イラクの民主化の時代が始まった」などというのはとんでもない虚構である。ただ米英日帝の侵略戦争と軍事占領、カイライ政権を粉飾するための儀式でしかない。イラク人民の民族解放・革命戦争は選挙後も一層激化している。
 ブッシュ一般教書演説は、「自由の拡大」「世界の専制政治の終焉(しゅうえん)」と「中東民主化」を掲げて、世界戦争計画の推進を強力に宣言した。泥沼のイラク侵略戦争をますます継続・激化させ、対イラン・シリア、対北朝鮮・中国侵略戦争へと突き進む宣言である。
 同時にこの一般教書は、米帝の危機の深さをさらけ出した。ブッシュは、何よりも「破綻(はたん)へと向かっている公的年金制度」の抜本的改革を打ち出した。1930年代のニューディール政策以来の公的年金制度を、確定拠出型年金の「個人勘定」の導入で根本的に解体・一掃することを宣言したのである。
 まさに没落し危機を深める米帝が生き延びるために侵略戦争・世界戦争を展開し、帝国主義間の対立を激化させ、国内に向かっても労働者にすさまじい階級戦争攻撃を加えているのだ。
 同時にこれは革命的情勢が接近していることを表している。
 一方、ライス新国務長官は、ヨーロッパ・中東歴訪を行い、とりわけパレスチナ民族解放闘争の圧殺に全力を挙げている。シャロンとアッバスの間での「停戦合意」なるものは、パレスチナの屈服を強制する以外の何ものでもない。
 米軍大再編(トランスフォーメーション)は、米帝の世界戦争計画の基礎的軍事的プランである。2月19日にも日米安保協議委員会(2+2)を行い、96年の日米安保共同宣言をも実質上改定し、新たな合意文書を作成しようとしている。
 とりわけ座間への米陸軍第1軍団の移転攻撃が最大の焦点だ。イラク侵略戦争の継続・拡大と北朝鮮・中国侵略戦争に向けた日米一体化と日本の基軸的戦略拠点化の攻撃に大反撃をたたきつけなければならない。
 教労・自治労を先頭に2・19座間基地包囲闘争への大衆的取り組みが開始されている。2・19闘争の大爆発をかちとろう。この闘いは「日の丸・君が代」闘争に向かっての重要なバネになる闘いでもある。
 自衛隊のイラク第5次派兵阻止の闘いが、守山駐屯地に対する闘いを先頭にかちとられた。さらに全国基地闘争を強化しよう。
 3・20イラク開戦2周年の闘いを、国際反戦闘争として大高揚をかちとろう。陸・海・空・港湾労組20団体とともに大統一戦線を発展させて闘いとろう。

 第2章 再び「特攻隊」づくりを狙う石原教育改革

 ファシスト石原都政の労働者階級に対する攻撃の中で最も重大なものとして、都立高校での「日の丸・君が代」強制攻撃がある。
 ファシスト石原の教育改革攻撃と対決するために、あらためて03年10・23都教委通達の超反動性をしっかり見据える必要がある。この通達は、「国旗の掲揚」「国歌の斉唱」「会場設営」などについて、事細かに指示したものであり、「日の丸・君が代」の神聖不可侵性を儀式の力をもって押しつけ、一人残らずそれに従うことを強制するものである。それは、教育勅語のもとでの戦前の教育と同じであり、教育を命令と服従に置き換えるものだ。しかもそれが自衛隊がイラクに出兵した新たな戦時のもとで行われているのだ。
 この石原の攻撃は文部科学省の管理教育すら超えたものであり、小泉の危機感を最も鋭くファシスト的に体現している。その狙いは、組合的団結を破壊し、教育労働運動を解体し、それをもって戦争教育を推し進めることにある。それは戦前回帰そのものであり、教育勅語の復活である。愛国心教育、教育基本法改悪・憲法改悪の先取り攻撃である。
 杉並区長・山田宏は、その石原の先兵として登場している。山田は1月9日の杉並区の成人式で特攻隊員の遺書を読み上げ、「愛国心と死」を強制した。これこそ石原の「日の丸・君が代」の強制攻撃の本質だ。こんな戦争推進者が行政を握っていることは絶対に許すことができない。労働者階級人民の大反撃をなんとしてもつくり出そう。
 結局、何が対立しているのかと言えば、戦争の担い手をつくり出すための、戦争の旗、戦争の歌を強制する攻撃に屈服するのか、それとも敢然とはね返すのかということだ。ここで屈服すれば、敵の攻撃はさらにエスカレートし、地獄の底までつき合わされるのだ。
 「日の丸・君が代」強制拒否は、労働者の戦争協力拒否の最前線の闘いだ。動労千葉の「戦争協力拒否宣言」と03年、04年の春闘ストライキ、陸・海・空・港湾労組20団体の「有事法制を完成させない・発動させない・従わない」の3ない運動、このような労働者、労働組合の階級的な闘いを発展させ、不起立闘争を拡大し、石原都政への大反撃の突破口を開こう。

 労働者階級に極限的な搾取

 日帝・小泉の戦争と民営化(労組破壊)の攻撃は、日本経団連・奥田の路線と一体のものである。日本経団連は昨年末出した「経労委報告」で、「攻めのリストラ」を掲げて一層の資本攻勢を宣言した。労働者を「工場法」以前の状態に引き戻し、搾取と抑圧を極限的に強化することさえうたっている。一握りのブルジョアジーが生き残るためになりふり構わない攻撃が押し寄せているのだ。
 2月8日に閣議決定された介護保険制度改革関連法案は、施設利用者の負担の大幅増と軽度の要介護者へのサービスの削減のためのものであり、「保険あって介護なし」と言われる介護保険制度の反人民性をさらに極限化するものである。
 戦争と民営化攻撃と対決する05春闘を動労千葉を先頭に闘いぬこう。何よりも4大産別を始めとしてすべての労働者の共同の闘いとして「日の丸・君が代」決戦を闘いぬこう。
 すべての全逓労働者は、郵政民営化粉砕を真っ向から掲げて闘おう。
 小泉=奥田路線と一体化して9条改憲へ突き進む自治労中央を打倒して自治体労働運動を推し進めよう。
 国労中央の国鉄闘争解体のための最後的屈服を許さず、5・27国労臨時大会闘争弾圧裁判闘争を闘おう。
 動労千葉労働運動に学び連帯して闘うことにこそ勝利の展望がある。
 全金本山闘争の歴史的勝利は決定的な意味をもっている。不屈の34年間の闘いの勝利は、労働組合は闘っても資本に勝てないという敗北主義を事実の力で粉砕している。
 NHKの大本営放送局化の前に立ちはだかった日放労労働者の闘いと連帯して闘おう。
 こうした闘いの中で、東京の教育労働者の「日の丸・君が代」強制拒否の闘いが一切を決するかなめの位置にある。石原もファシスト的で尊大な態度をとっているが、本当は労働者の決起に恐怖しているのだ。
 勝利の道は、都高教7000人の団結をかちとり、分会ぐるみで不起立を闘うことだ。都高教執行部は、「日の丸・君が代」強制の職務命令には「引く」という屈服方針を決定した。だが、現場の闘う労働者が団結して闘えば、勝利の展望を開くことは絶対にできる。全国の力で東京の闘う教育労働者を孤立させず、ともに闘いぬこう。
 カクマルの「告訴・告発」運動は、「告訴」に加われば起立しても「内心の自由」は守れるとする免罪符の運動だ。そして組合運動に権力の介入を呼び込み、不起立闘争の圧殺を狙うファシスト的な運動だ。怒りを込めて打ち破ろう。
 全国の全産別の労働者の決起で3月卒業式闘争を爆発させよう。

 第3章 北朝鮮侵略戦争への排外主義を打ち破れ

 「拉致」と核の問題を口実にした北朝鮮に対する排外主義の攻撃が吹き荒れ、与野党が一体となって「経済制裁」の発動を叫んでいる。日本共産党までが「話し合いのための経済制裁」などと言って唱和している。だが、経済制裁とは「兵糧攻め」であり、戦争の第一歩である。切迫する北朝鮮侵略戦争情勢に対決して闘いぬこう。
 名護新基地建設のためのボーリング調査を阻む辺野古の実力闘争は、日帝・防衛施設局に巨大な打撃を与えている。昨年4月以来10カ月に及ぶ不屈の座り込みと海上阻止闘争が、敵を追いつめている。さらに闘いを強め勝利を開こう。
 共謀罪新設攻撃を今春国会で最後的に打ち破ろう。
 学生運動の役割は決定的に重要である。教労決戦を教育労働者とともに担い、高校生を組織し、大衆運動を巻き起こそう。
 部落解放同盟全国連合会の第14回大会の成功へともに闘おう。
 青年労働者の決起を促し、マルクス主義青年労働者同盟を全力で建設しよう。機関紙活動の変革を軸に革命党建設の闘いを推進しよう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2186号1面2)(2005/02/21)

日米新共同宣言を狙う安保協 世界戦争攻撃を許すな
 2・19座間基地包囲に立とう

 2月19日にも米ワシントンで日米両政府の外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2+2、ライス、ラムズフェルド+町村、大野)が開かれようとしている。この閣僚協議で米日帝は日米新安保共同宣言に向かって「共通戦略目標」を決定して合意文書を発表する方針である。
 この「共通戦略目標」は、安保閣僚協議で進めてきた日米戦略対話の重大な結論である。これによって日帝・自衛隊は、北朝鮮・中国だけでなく、米帝が「不安定の弧」と呼ぶアジアから中東、北アフリカを含めた地域でも、米軍とともに侵略戦争を担っていくことを「戦略目標」として打ち出す。米帝ブッシュがイラク侵略戦争を強行し、世界戦争の過程が開始されたことに対し、日帝はこれに全面参戦することで侵略戦争・世界戦争のできる帝国主義へと飛躍していこうとしているのだ。
 米帝はブッシュの就任演説や一般教書演説に示されるように、「自由の拡大、圧政の打倒」を掲げてイランを始めとした中東諸国や北朝鮮、中国、さらに全世界に侵略戦争を拡大しようとしている。世界戦争へといたるこの戦争をやりきるために日米同盟を日米枢軸として形成しようとしているのだ。
 日帝が昨年12月に打ち出した新防衛計画の大綱は、「国際安全保障環境の改善」「国際平和協力活動」という名目で自衛隊がこの侵略戦争に参戦し、先制攻撃も辞さないことを打ち出した。そしてそのために自衛隊の海外派兵を「本来任務」に格上げする自衛隊法改悪を行おうとしている。
 今回の安保協での「共通戦略目標」の決定によって米軍再編(トランスフォーメーション)の具体案の協議が本格的に開始される。座間を始め横田、横須賀、厚木など本土の基地、そして何よりも沖縄の米軍基地が「不安定の弧」を中心に北朝鮮・中国はもとより、全世界で米軍が侵略戦争を強行していくための基軸的戦略拠点として決定的に再編・強化されるのである。
 「共通戦略目標」の決定によって、同時に自衛隊が東アジアだけでなく中東でも米軍との共同作戦を担うための「新ガイドラインの見直し」も進められる。97年の新ガイドラインに基づいて、周辺事態法から武力攻撃事態法、国民保護法と有事法制が強行されてきた。今やそのレベルをも超えた戦争体制へと突入しようとしているのだ。
 トランスフォーメーションによる米陸軍第1軍団(米ワシントン州)の座間移転は、日本全土が、とりわけ神奈川を中心とした首都圏と沖縄が米軍の基軸的戦略基地、一大出撃基地となることを意味しているのだ。日本がアジア人民、中東・ムスリム人民大虐殺の出撃拠点となり、自衛隊が米軍と一体化してそれを全面的に担っていくことになるのだ。
 それは基地周辺の住民がさらに激しく基地被害を受けることをも意味している。日帝は沖縄への「地元負担軽減」と言っているが、それはまったくのペテンであり、本質的にも現実的にも基地は再編・強化されるのである。
 米軍大再編とそれと一体となった自衛隊の侵略軍隊化を阻止し、世界戦争への攻撃を打ち砕くために、座間基地への米陸軍第1軍団の移転を阻止する闘いが決定的に重要だ。2月19日、座間基地司令部を数千人の“人間の鎖”で包囲し、第1軍団の移転を阻止しよう。日米安保閣僚協議を怒りを込めて弾劾し、粉砕しよう。

--------------------------------------------------------
 第1軍は来るな!
 キャンプ座間司令部包囲行動
 2月19日(土)午後2時から(雨天決行)
 キャンプ座間司令部外周を取り囲もう!
 集合地点(1)座間消防署臨時駐車場(小田急線相武台前駅から徒歩15分)
 集合地点(2)座間公園(小田急線相武台前駅から徒歩20分、JR相模線相武台下駅から徒歩15分)
 主催/第1軍は来るな! 2・19キャンプ座間司令部包囲行動実行委員会

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2186号1面3)(2005/02/21)

“隊員は出兵拒否を” 第5次派兵 守山駐屯地で阻止行動

 イラクへの陸上自衛隊第5次派兵が2月5日に愛知県守山駐屯地から行われることが明らかになり、同日、緊急の派兵阻止行動が現地で闘われた。「とめよう戦争への道! 愛知県連絡会」が呼びかけた。地元の東海を中心に、中部方面隊の基地がある富山、関西、東京などから労働者、学生、市民約100人が参加し派兵中止を求めて行動した。
 派遣部隊の出発時刻が早まるとの情報があり、午前中の集会を中止して午前9時すぎにデモが出発した。デモは守山駐屯地の正門近くまで進んだ。その後、緊迫する駐屯地正門前での申し入れが行われた。警察や右翼の妨害をはねのけて代表団が正門前で申入書を次々と読み上げた。
 自衛官とその家族に向けた訴えが駐屯地に響いた。自衛隊の派兵中止を求める5000筆あまりの署名も手渡された。駐屯地の中では隊旗授与式の真っ最中だ。派兵の中止を求める訴えは1時間も続いた。
 派遣部隊が駐屯地を出る時間が午後1時過ぎとわかり、再び正門前に駆けつけた。出兵拒否を呼びかける横断幕が何枚も広げられた。1時20分、目の前をバス5台に分乗して200人の自衛官が名古屋空港へ向かおうとしている中、シュプレヒコールで「出兵を拒否しよう」と全力で呼びかけた。地元住民を動員しての歓迎ムードはまったくなく、「日の丸」の小旗をわたされて基地前に来た人たちも、「戦地に自衛隊を送り出していいのか」と弾劾すると、はたと気がついて帰っていく人たちが大半だった。
 抗議行動後、駐屯地近くの会場で総括集会が開かれた。全国の連携を強化し、ねばり強く派兵反対運動を闘っていこうという討論が行われた。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2186号2面1)(2005/02/21)

「日の丸・君が代」強制拒否 卒業式闘争を不起立で
組合破壊と戦争教育を狙う10・23都教委通達うち破ろう
 都高本部の屈服をのりこえ

 全国の教育労働者、とりわけ日教組と都高教組合員の皆さんに、今春卒・入学式での不起立・不服従闘争への総決起を呼びかける。今春の闘いは、教育労働運動、日本労働運動の未来をかけた決戦である。日帝はイラク侵略戦争に深々と参戦し、さらに日米枢軸体制を強化して北朝鮮侵略戦争−世界戦争につき進んでいる。そのための戦時体制づくりとして、教育の国家統制と日教組破壊に全力を挙げている。「日の丸・君が代」の強制で東京がファシスト石原知事にじゅうりんされ、民族差別と排外主義の攻撃が吹き荒れ、子どもたちが戦争にかり出されていくことを絶対に阻止しなければならない。そのために、今春、総決起しよう。

 「教え子を再び戦場に送るな」の闘い今こそ

 都高教本部は、「職務命令が出たときには、『処分者を出さない。いったん引く』」という屈服方針を今年も提案し、大会決定である被処分者支援の立場さえ投げ捨てようと画策してきた。卒・入学式を前にした2月8日の都高教本部委員会では、「職務命令に従う」とする屈服的な方針の撤回と、処分撤回闘争を推進する修正案など、闘う方針が多くの分会の共同提案として提出され、圧倒的な支持を得ていた。ところが本部は、「被処分者支援」の復活は受け入れたものの、「職務命令に従う」の撤回はあくまでも拒否し、数を数えることなく「少数否決」と宣言した。このなりふり構わぬ暴挙は、「団結最優先」などと言ってきた都高教本部こそ、組合員の闘う意思を踏みにじる最悪の団結破壊者であることを鮮明にした。
 10・23通達との対決をあいまいにせず、これを粉砕する闘いが問われているのである。石原・都教委の03年10・23通達とは、教育労働者に処分の脅しをもって「日の丸・君が代」への全面屈服を迫るものである。「教育は不当な支配に服することなく」と規定した教育基本法第10条を真っ向から否定する大攻撃である。それは教育基本法のもとでの戦後平和教育を破壊し戦争教育に転換するものであり、そのために日教組・都高教を完全に屈服させ、つぶそうという攻撃である。
 日本経団連が1月18日に出した「これからの教育の方向性に関する提言」は日教組運動に対する支配階級の憎悪をあらわにし、日教組運動の解体を宣言している。「一部には自らの政治的思想や信条を教え込もうとする事例が見られ、これらが長年、教育現場を混乱させ、教育内容をゆがめてきた」と攻撃し、「勤務時間内の組合活動の禁止」「基本的な就業ルールの徹底」などを叫んでいるのである。
 連合に行った労働組合のうち、連合合流前のスローガンを掲げているのは日教組だけである。日教組中央のパートナー路線にもかかわらず、多くの日教組現場組合員の存在と闘いが、「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンをおろすことを許さないで、今日まできたのだ。この原点があってこそ、全国で不屈に「日の丸・君が代」強制反対闘争が闘い抜かれ、昨年春の闘いが大爆発した。
 戦争に突入した今、日帝支配階級はこのことに危機感を深め、日教組、全逓(JPU)、自治労など今なお戦後的戦闘性を残す公務員労働運動の一挙的解体に乗り出している。それほどまでに日帝の体制的危機は深く激しい。
 どうして日教組中央と都高教本部は、自らに迫っているこの危機、この攻撃を直視しようとしないのか。日帝の危機を見据えて反撃に出ようとしないのか。職場にかけられているすさまじい労働強化、組合破壊、教育反動化に多くの組合員が危機感を深め、怒り、闘う方針を求めているにもかかわらずである。
 昨年の春、都高教組合員が300人も決起して10・23通達をうち破る大きな地平を切り開いた。今春闘争でこの不起立闘争の地平をさらに拡大し、都高教7000人の組合員が団結して決起すれば、必ずファシスト石原と横山教育長を打倒できるのである。

 国鉄闘争での動労千葉の闘いを教訓に

 都高教本部は処分を恐れ、「処分が重なってクビに追い込まれたら、組織がもたない。責任がとれない」として、屈服方針を正当化しようとしている。
 だが、闘わないで、どうして団結が守れるのか? 敵権力が団結破壊の攻撃をかけてきている時に、避けられない激突を回避しようとすれば、一方的に組合員は攻撃にさらされ団結は破壊されてしまうのである。
 80年代に国鉄労働運動に襲いかかった分割・民営化攻撃との闘いの教訓を、教育労働者は今こそわがものとしよう。この時、攻撃に屈服し率先して政府・国鉄当局の手先となった動労(カクマル)は、自ら動労を解散し、JR総連となって「日の丸」労働運動に転落し、「軍事輸送の業務命令に従う」方針で戦争協力の旗を振っている。「たこつぼ」に入って嵐(あらし)が過ぎ去るのを待とうとした国労中央は、何一つ闘う方針を出さないことによって団結を破壊され組合員を激減させた。その国労本部は今や、1047名闘争をめぐって組合員を警察に売り渡す警察労働運動に転落している。
 この対極で動労千葉は、支部長を先頭に全組合員がクビを覚悟して分割・民営化反対ストライキを闘いぬいた。闘うことによって組合的団結を守り、40人解雇の大弾圧をはね返して、被解雇者を組合員全員で守り抜き、組織の骨格を守り抜いて今日に至っている。動労千葉は、組合員の熱い団結と信頼を打ち固め、戦争・民営化攻撃と真っ向から対決し、国際連帯を呼びかけて激動時代の労働運動の主流派になる気概と勢いをもって前進している。
 このように、執行部が処分を恐れず、最先頭に立って闘う方針を出せば、組合員はクビをかけて闘うのである。そして、処分されても、たとえクビを切られても、労働者が労働組合のもとに団結して闘い続ける限り、必ず勝利できる。そして、その闘いは全国の労働者を限りなく勇気づけ、労働者階級の全面的解放、究極的勝利の道を必ず切り開くことができるのである。動労千葉の闘いを徹底的に教訓化して闘おう。(中野洋氏著『俺たちは鉄路に生きる2』=労働者学習センター発行=はそのための格好の手引きである)

 団結うち固め分会ぐるみで不起立拡大を

 闘いが前進し、権力・都教委を追い詰めているからこそ、激突も激化している。校門前で「日の丸・君が代」強制反対のビラをまいただけで校長が警察に通報し、まいていた労働者が一時拘束されるなど、実に許し難い事態が起きている。憲法的権利もまったく保障しない、戦時下の言論・思想弾圧が起きているのだ。教育者たるべき校長が警察の手先になり、「業務妨害」などと称して批判者を弾圧するなど、こんなことを許していたらそれは教育の自殺行為だ。暴力による思想・言論の弾圧・統制こそが戦時下の「日の丸・君が代」強制の核心であり、10・23通達の暴力的本質そのものだ!
 都高教本部が屈服していても、敵の攻撃の弱点をついて分会ぐるみで闘う道は、まだいくらでもある。都教委は起立・斉唱の職務命令を出すよう校長に命令しておきながら、予防訴訟の裁判では「職務命令はあくまでも校長の裁量で出されるもの」と言わざるを得なかった。10・23通達が、教基法第10条が禁じる「不当な支配」そのものだから、ペテン的な逃げを打ったのだ。この点を突いて校長に職務命令を出させない取り組みを始め、あらゆる創意ある闘いを展開し、10・23通達粉砕、「君が代」不起立・不服従闘争の大爆発をかちとろう。今こそ、組合を下からつくりかえる大運動を起こそう。
 全国で数千数万の教育労働者が「日の丸・君が代」強制に抗して不起立・不服従を貫いたとき、学校を戦争の道具にしようとする石原や小泉、経団連・奥田の狙いを完全にうち破ることができる。それは、全国・全世界の労働者階級に勇気を与え、戦争協力拒否、教基法改悪阻止・改憲阻止の大展望と、労働運動の進撃の時代を押し開くだろう。ともに決起しよう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2186号2面2)(2005/02/21)

都教委包囲ネット集会 不起立宣言に連帯 950人が今春決起誓う

 10・23通達粉砕へ闘う熱気あふれ

 2月6日午後、東京・一橋の日本教育会館で、都教委包囲首都圏ネットの主催で「教育基本法の改悪反対・『日の丸・君が代』の強制を許さない−2・6総決起集会」が開かれました。大ホール満杯の950人が参加し戦闘的熱気あふれる集会がかちとられました。日帝がイラク侵略戦争から「新たな15年戦争」に突入した中で、時代の流れと戦争教育の押しつけに危機感を深め闘いを求める多くの労働者人民がいることが、この集会の大結集と熱気に示されました。
 何よりも、集会ではファシスト石原都知事と都教委の03年10・23通達=「日の丸・君が代」強制と対決し、今春卒・入学式闘争を不起立・不服従で闘う宣言がなされ、決戦の火ぶたが切られました。集会の最後に都立高校・養護学校と義務制の教育労働者が、断固、不起立・不服従で闘う宣言を発しました。
 都立高校被処分者のFさんは、「今年は戦後60年の節目の年。将来、生徒や子どもたちに『先生、お父さんはあのとき何をしていたの?』と問われた時、『不当な命令を拒否して闘ったよ。石原・小泉を追い詰めて勝利したよ』と言えるよう、全力で闘いたい」と決意を述べました。会場から大きな連帯と共感の拍手がわき起こり、全体の気持ちが一つに打ち固められました。
 3時間余の集会は、「日の丸・君が代」強制と現場で闘う教育労働者を中心に終始熱気に満ちたものでした。ピースリボン裁判や「君が代」伴奏拒否裁判原告、デッチあげ起訴攻撃と闘う板橋高校元教員の藤田勝久さんら、不屈に闘う教育労働者、被処分者らが次々と発言しました。労働者の権利と人間の尊厳をかけて、また子どもたちの未来のために、さまざまな反動をはねのけて闘いに立ち上がっていることが、それぞれの発言者からひしひしと伝わってきて感動的でした。

 大内さんら4氏が激励の言葉

 この間、全国を駆けめぐって教基法改悪反対闘争を牽引(けんいん)している高橋哲哉さん、三宅晶子さん、大内裕和さん、小森陽一さんの4氏も参加して連帯と激励の言葉を述べました。
 大内さんは、不起立闘争の歴史的な意義を4点にわたって提起しました。@石原ファシズム体制に大打撃を与えたこと、A労働者の戦争協力拒否の運動であること、B教育基本法改悪反対運動を大きく力づけたこと、C労働者の権利、人間の尊厳を教えてくれたこと――などを語り、あらためて闘いの重要性を浮き彫りにしました。
 石原・都教委の不当処分攻撃と闘う裁判闘争の弁護団、都議会議員、国労闘争団や立川テント村反戦ビラ弾圧の被告、高校生の保護者、都立高校卒業生の発言などもありました。
 集会では、町田市教委が「君が代」斉唱時の声量調査の通達を出したことや、昨春不起立を闘って今春定年を迎える被処分者が相次いで嘱託不採用とされたことが報告されました。理不尽きわまりない石原・都教委の暴挙にあらためて怒りが渦巻きました。
 広島や大阪、北海道など全国各地からも教育労働者が参加し、「私は40秒間のストライキ(=不起立)を貫徹する。労働者の団結でこの社会を変えよう」(広島)と、東京の闘いと連帯して全国で闘う決意が表明されました。
 今、戦時下で労働運動は日帝権力の激しい組合破壊攻撃にさらされている。しかし、日教組中央や都高教本部は、闘う姿勢をまったく放棄している。その中で、教育労働者を中心に多くの労働者、人民が大結集し、団結を固め決起を誓ったことは、実に重大なことです。勝利のかぎは、労働者の団結だ。この力で今春不起立・不服従闘争をぶち抜き、労働組合を下からつくりかえ、闘う労働運動を前進させよう。
 (投稿/東京・N)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2186号2面3)(2005/02/21)

杉並・山田区長 成人式で特攻隊賛美 これが“石原教育改革”だ

 杉並区の山田宏区長は、1月9日杉並区の成人式で、石原がシナリオを書き今年の夏に公開予定の映画「蛍」に出てくる特攻隊員の手記を読み上げ、「特攻隊のように国のために命を捧げた若者によって、今の日本があることを感謝しなさい」と述べた。これこそ、「日の丸・君が代」強制攻撃の狙いを示すものである。日帝の侵略戦争を全面的に賛美し、帝国主義侵略戦争で命を落とすことを「尊い犠牲」などと美化し、青年たちを侵略戦争に駆り立てようとしているのだ。
 山田区長は石原都知事と共通する反動的思想の持ち主である。教員を戦前同様「師範」と呼び、学校間・生徒間の競争をあおり、格差と差別を広げ、警察や民間企業を学校に引き入れ、戦争賛美の「つくる会」歴史教科書の採用を狙っている。教職員組合の団結の解体を狙っている。
 山田区長の杉並教育改革の狙いは、帝国主義侵略戦争で他国の人民を殺し、自らもそこで死ぬことを美化する教育でしかない。こんな教育を断じて許してはならない。都政を革新する会(長谷川英憲代表)は、ファシスト石原、山田区長と真っ向から対決して闘っている。連帯して闘おう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2186号2面4)(2005/02/21)

“研修は良心の拷問” 再発防止研修裁判で陳述

 2月3日、東京地裁で「服務事故再発防止研修処分取消請求裁判」の第2回口頭弁論が開かれた。
 この裁判は、03年度に「国歌斉唱不起立」などを理由に処分を受けた都立学校の教育労働者のうち137人が原告となり、昨年7月16日に提訴したもの。
 法廷には原告の教育労働者を先頭に傍聴者がぎっしり詰めかけた。この日の裁判は、新たな裁判官を迎えて更新手続きが行われた。原告代理人の弁護団がこの裁判の経緯を説明、「この事件の一番のもとは、卒業式・入学式、周年行事における『日の丸・君が代』の強制にある」と力説した。
 続いて原告2人が意見陳述を行った。養護学校のAさんは、「私は減給処分となりましたが、不起立は都教委の目にあまる悪政に対して熟慮して行った行動です」と語り始め、トイレも見張られ、「水を飲むのも禁止する」と言われた2度の研修の実態を告発。「処分が良心の処刑なら、研修は良心への拷問。裁判所は良心の番人になってほしい」と訴えた。
 次に今年1月に研修を受講した養護学校のBさん。10・23通達後の職員会議での校長の言葉が忘れられないと紹介。校長は「養護学校はぬるま湯だ。壇上実施するのにスロープも必要ない。学校を出たら厳しい現実が待っている。それを卒業式で教えればいい。それがノーマライゼーションだ」と言い放ったという。「たったひとつの通達で、人権に配慮し、障害や実態に合わせて実施していた形式が否定され、『日の丸・君が代』が強制されることによって憲法で当然保障されている内心の自由・表現の自由が踏みにじられる式に対して、私は従うことはできなかった」と断言した。
 次回法廷は3月30日(水)午後1時から722号法廷で開かれる。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2186号2面5)(2005/02/21)

関生弾圧 武委員長ら起訴弾劾 連帯しともに弾圧粉砕へ

 2月2日、1・13弾圧によって不当逮捕された全日建運輸連帯労働組合・関西地区生コン支部の武建一委員長ら4人の執行委員に対して、国家権力・大阪地検は不当にも全員の起訴を強行した。そして、大阪地検は、起訴後も4人を大阪府警や各警察署に分散留置し続けている。
 さらに、国家権力は、「背任」をデッチあげて不当捜索を行い、弾圧の拡大を狙っているのである。この不当起訴攻撃に対して、関西地区生コン支部の呼びかけにこたえて、不当弾圧粉砕の闘いを一層強化して総決起することを訴える。
 関西地区生コン支部は、40年前に生コン産業に労働組合をつくり、生コン産業の労働者の奴隷的な労働条件から、今日の労働条件をかちとるために、80年代の大弾圧を始め、幾多の弾圧や、日本共産党の敵対をのりこえて闘いぬいてきた。
 そして、セメント独占資本とゼネコン資本の両方から搾取され、過当競争のもとで倒産の危機にさらされてきた中で、これに対抗するために協同組合の組織化を推し進めてきた。この闘いは、生コン産業労働者の正当な組合活動であり、関西地区生コン支部と生コン産業労働者の血と汗の闘いの結実であるといえる。ここに国家権力は弾圧を加え、武委員長ら組合の中心をなす組合役員を逮捕することによって、関西地区生コン支部をたたきつぶすことを狙ってきたのである。
 80年代、日経連会長の大槻文平は、「関生型の運動は資本主義の根幹に触れる運動である。箱根の山は越させない」として、資本と権力による大弾圧を加えた。今回の弾圧はそれ以来の、いやそれ以上の大弾圧だ。それは、日本帝国主義が戦時下に突入し、「外への侵略戦争、内への階級戦争」に完全に踏み切り、労働運動根絶の階級戦争を開始したからである。
 今日の階級情勢の特徴は、連合・全労連指導部をのりこえた、やむにやまれぬ労働者の現場からの決起である。帝国主義は死の苦悶(くもん)にあえいでいる。そのもとでの資本の攻撃は労働者の忍耐の限度を超えている。それは、連合や全労連指導部の制動を打ち破って労働者階級の根底的な決起を引き起こさずにはおかない。まさに、そのような現場からの決起が総結集したのが、昨年の11・7労働者集会である。
 05年の階級決戦は、教労、全逓、自治体、国鉄の4大産別を中心とした「戦争と民営化」攻撃との激突である。そして、日本経団連の経労委報告による「攻めのリストラ」を掲げた05春闘の全面的な破壊宣言との対決である。11・7に結集した労働者は、11・7集会の地平をもって、この05年階級決戦に突入したのである。
 まさに、そこに襲いかかったのが今回の弾圧である。この弾圧は、国労5・27臨大闘争弾圧以来の一連の階級的労働運動破壊の弾圧であり、国家権力は、11月労働者集会の3労組共闘と11・7陣形の中心部分をぶっつぶせば、4大産別決戦を始めとした労働者の決起を反革命的に粉砕できると踏んで、関西地区生コン支部弾圧に踏み込んできたのである。この関西地区生コン支部への大弾圧が示すことは、日帝権力が、05年を、「労働運動をめぐる階級決戦」として完全に据えきってきたこと、そして、国家権力との死闘戦こそ、労働運動・階級闘争の命運を決する決戦だということである。
 関西地区生コン支部に加えられた弾圧との攻防戦は、まさに05年の階級決戦の成否を決する重大な闘いである。05年階級決戦の勝利をかけて、この弾圧を打ち破るために、関西地区生コン支部と連帯してともに闘おう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2186号2面6)(2005/02/21)

資本攻勢&労働 日誌 2005 1・20〜2・3
 経済財政諮問会議 公務員賃金の削減を提案
 松下が“攻めのリストラ”/労働力人口6年連続減

公務員人件費の削減提案 経済財政諮問会議が開かれ、奥田・日本経団連会長らが公務員の総人件費削減などを提案。奥田は24日の記者会見でも「地方公務員の数は多く、給与も高い」「国および地方公務員の総人件費削減に手をつけなければ」などと述べた。(1月20日)
松下、増収増益下でリストラ強行 松下電器産業はデジタル家電部門で早期退職者の募集を始めるなど、リストラ計画を強化している。(25日)=要旨別掲
自治労が春闘方針決定 自治労は28日まで中央委員会を開き、春闘方針を決定。代表職群でのポイント賃金要求を行う。(27日)
電機連合が中央委 電機連合は28日まで中央委員会を開催し、統一ベア要求を4年連続で見送る方針を確認した。(27日)
大阪市、特殊勤務手当全廃の方針 大阪市は、市職員の5種類の特殊勤務手当を05年度から全廃する方針を固めた。労使協議での合意前に方針を打ち出す異例の事態になっている。(27日)
全労連が05春闘方針を決定 全労連は28日まで評議員会を開き、「誰でも1万円以上、時給50円以上」の賃上げなどの春闘統一要求基準を設定。3年連続で大幅賃上げ要求を否定した。(27日)
12月の完全失業率、0.1ポイント低下 総務省統計局が公表した労働力調査によると、12月の完全失業率は4.4%と前月比0.1ポイントの低下した。厚労省が発表した一般職業紹介状況によると、12月の有効求人倍率は0.94倍となり、前月を0.02ポイント上回った。(28日)
労働力人口、6年連続減少 前項の労働力調査によると04年は6642万人と労働力人口が6年連続で減少し、1998年のピーク時に比べ151万人減った。(28日)
連合本部、公務員賃金の情報公開 大阪市役所の職員賃金への攻撃が強まる中、連合は公務員賃金の情報公開を行う考え。「あまりに有利・厚遇なものは見直すべき」という屈服方針。(28日)
NTT、年齢給と扶養手当廃止へ NTTはグループのうち約140社の一般労働者の年齢給と扶養手当の廃止を労組に提案したことを明らかに。(28日)
有事体制への組み込み拒否求めストも 民放労連傘下のテレビ神奈川労働組合は、国民保護法に基づく指定地方公共機関化を県が要請したことについて、「ストも辞さない構え」で会社側に受諾しないよう迫り、県への回答を留保させている。(31日)
私鉄総連、ベア1500円要求 私鉄総連は拡大中央委員会を開き、定昇相当分(2.1%)プラスベア1500円を統一要求として掲げることを決めた。ベアは昨春闘を200円上回る。(2月3日)

 松下電器の“攻めのリストラ”

 1月25日、今年3月期で増収増益を見込む松下電器が主力のデジタル家電部門で早期退職者1000人の募集を始めたことを明らかにした。プラズマテレビやDVDレコーダーを生産する社内分社2社が対象で、国内にいる両社の労働者約1万9000人のほぼ5%が対象。
 さらに2月2日までに100%子会社の松下電子部品や本社の半導体、照明部門の国内労働者も対象に600人。4日にはリストラ対象を約3000人上積み。
 松下は、業績が悪化した2001年度に早期退職制度で約1万3000人を退職させた。その後も毎年、早期退職を募り、今年度は当初3000人程度を計画、一連の追加で8000人がリストラ対象に。“業績は好調だがリストラを一気に進め、収益性の向上を狙う”などと主張している。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2186号3面1)(2005/02/21)

「工場法時代の遺制」と労働法制の解体叫ぶ経労委報告
 極限的な搾取に春闘で反撃へ

 05春闘は小泉=奥田による戦争と民営化(労組破壊)の攻撃と対決する重大な決戦だ。日本経団連の05年版経営労働政策委員会報告は、「攻めのリストラ」を叫びつつ、「工場法の時代の遺制を引きずる労働基準法などの関係法令を、今日の環境にふさわしいものに抜本的に改革する」と言い切り、労働法制の全面解体を唱えている。これは、9条改憲や東アジア勢力圏化を提言する日本経団連の「わが国の基本問題を考える」と一体で、労働者に襲いかかろうとしている。資本は、労働者階級の長期にわたる闘いの獲得物を奪い去り、むき出しの搾取を貫こうとしているのだ。労働者階級が生きぬく道は、帝国主義=資本主義を打倒することの中にのみある。

 資本の本性は200年前と変わらない!

 05年版経労委報告は、労働法制や労働監督行政の解体をきわめて露骨に求めている。「工場法の時代の遺制」とか「最近の労働行政は、企業の労使自治や企業の国際競争力の強化を阻害しかねないような動きが顕著」とかの文言に示されるように、資本は今や“労基法など守っていたら国際競争に敗れ去る”という危機感をあらわにして、“工場法以前に戻せ”と絶叫し始めたのだ。
 この資本の極限的な搾取と抑圧の攻撃に、労働者階級の怒りの総反乱をたたきつけなければならない。
 工場法は、資本主義の発祥地=イギリスでは1833年に制定された。それは、綿工場、羊毛工場、亜麻工場、絹工場に限り、児童(9歳未満)労働を禁止し、少年の深夜労働・長時間労働を制限したにすぎない法律だ(9歳以上13歳未満は1日8時間以内、13歳以上18歳未満は1日12時間以内)。工場法制定以前や、以降においても繊維産業以外の工場では、児童の無制限な酷使が平然と行われていたのである。
 マルクスは『資本論』の「労働日」の章で、12歳の少年の次のような証言を引用している。「私は型を運び、ろくろを回す。私が来るのは朝の6時で、4時のこともよくある。昨夜はけさの8時まで夜どおし働いた。私は昨夜から寝ていない。ほかにも8人か9人の子どもが昨夜は夜どおしで働いた」
 日本で工場法が制定されたのは明治末期の1911年、施行は1916年だ。その内容は、15人以上を雇用する工場での児童(12歳未満)労働の禁止、少年(15歳未満)の深夜労働・長時間労働(1日12時間以上)を禁止したにすぎない。しかも製糸業で14時間労働、紡績業に期限つきで深夜業を認めていた。その程度の「規制」さえ、なんの実効性もなく、労働者は「女工哀史」に象徴されるような奴隷的苦役を強いられたのだ。
 これが資本の本性だ。競争に促された資本は、ほうっておけば子どもも搾取対象にし、寝る時間も与えずこき使う。国家が法律で規制を加えなければ、資本は労働者種族を絶滅にまで追いやってしまうのだ。労働時間規制は、労働者階級の闘いの獲得物だが、他面では資本主義の存立にとって必要な条件をなしている。
 それすら今や日本経団連は労働者に保障できないと言っているのだ。それは、資本主義の陥った絶望的危機を示して余りある。

 8時間労働制は譲ることのできない権利

 今日でも基本的に労働者階級は、トヨタの「自動車絶望工場」と言われる現実が象徴するように、資本の非人間的な搾取と抑圧のもとに置かれている。
 また同時に、たび重なる労基法の改悪(変形労働時間制の導入と拡大)とそれを促した資本の一大攻勢、これへの連合の屈服の中で、8時間労働制など実質的にないに等しいような状態にたたき込まれている。
 だが、8時間労働制は、労働者階級が流血の闘いをとおしてかちとってきた、譲ることのできない最低限の権利である。1886年、アメリカの労働者は8時間労働制を要求し全米でストライキに立ち上がった。同年5月1日、数万の労働者が8時間労働制確立を掲げてシカゴに結集した。資本と国家権力は、群衆の中で爆弾を破裂させ、警官が死んだことを口実に戦闘的労働者を死刑台に送り込んだ(ヘイマーケット事件)。血なまぐさいデッチあげ弾圧で労働者階級の闘いを鎮圧しようとしたのである。生まれたばかりの第2インターナショナルは、このアメリカ労働者の闘いを支持し、5月1日を労働者の闘いの記念日とすることを決定した。メーデーはここから始まった。
 労働者階級が8時間労働制を現実のものにできたのは、ロシア革命によってであった。ソビエト権力を樹立したロシアの労働者は、直ちに8時間労働制を布告した。その衝撃のもとで、ヨーロッパ諸国は予防反革命の意味から8時間労働制の採用に踏み切った。
 まさに「標準労働日の創造は、長い期間にわたって資本家階級と労働者階級の間に多かれ少なかれ隠然と行われていた内乱の産物なのである」(マルクス『資本論』)。

 小泉=奥田と対決する春闘ストライキを

 さらに経労委報告は、「ホワイトカラーについて、一定の限られた労働者以外については原則として労働時間規制の適用除外とする制度(ホワイトカラー・エグゼンプション制)を導入すべき」と叫んでいる。ホワイトカラーへの労働時間規制の撤廃を手始めに、全労働者を無制限に搾取しようとしているのだ。
 これに呼応し、厚生労働省の労働政策審議会も「業務の態様に応じた効果的な業務運営の視点に立って、変形労働時間制やフレックスタイム制等の弾力的な労働時間制度の活用を図る」として、ホワイトカラー・エグゼンプション制の導入を検討すると答申している。小泉政権は、労基法を始めとした労働法制の解体と階級的団結の破壊に本格的に乗り出してきたのだ。
 経労委報告は、こうした攻撃を押し貫く方策として「労働条件は、基本的には労使間の交渉・協議により決められる(労使自治)べき」と言い放っている。連合幹部を屈服させて「労使合意」を取り付けさえすれば、労基法以下の条件で労働者をこき使ってもいいというのである。
 こうした資本の横暴も、連合や全労連の既成労組指導部の裏切りと投降の上にのみ成り立っているのだ。
 かつてエンゲルスは、工場法改悪の攻撃に直面したイギリスの労働者に、「それなら、もはや『労働保護』を要求するのではなしに、大胆かつ即刻、諸君の労働を、みずから保護することを可能とする地位に諸君をおく、プロレタリア階級の政治的・社会的支配のために闘え」と呼びかけた(『十時間労働問題』)。今の時代に通用するのは、こうした階級的立場を貫く労働運動だけだ。プロレタリア世界革命に向け、労働者自己解放の闘いを貫いてこそ、労働者の生存と生活は守られる。
 昨年の11・7労働者集会を経て、労働運動は階級的再生に向けた新たなうねりを生み出している。労働運動の〈分岐・流動・再編・高揚>情勢を促進し、闘う潮流が労組執行部の掌握に挑戦することが必要だ。動労千葉を先頭に、05春闘をストライキで闘おう。
 今春「日の丸・君が代」強制拒否の教育労働者の闘いを突破口に全逓、自治体、国鉄の4大産別が先頭に立ち、小泉=奥田の攻撃と総力で対決しよう。
 〔長沢典久〕

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2186号3面2)(2005/02/21)

「指定管理者制度」粉砕を
民営化で労働組合解体と解雇・非正規雇用化狙う

 数年ごとに職場全廃攻撃

 指定管理者制度をテコとする自治体民営化の攻撃が全国で具体化している。指定管理者制度とは、公共施設を株式会社など民間企業・団体に管理・運営させるための制度だ。PFI(民間資金活用)法(99年7月)と独立行政法人法(03年7月)に続いて03年9月の地方自治法改悪で導入された。
 指定管理者制度の対象施設は、全国の自治体(都道府県、市区町村)の「公の施設」である。公園や福祉施設、ホール・公会堂、スポーツ施設、霊園・斎場などの施設がターゲットとなっている。さらに、個別法を規制緩和し、給水施設やゴミ処理施設、下水道処理施設なども民営化しようとしている。
 これまでも「公の施設」の管理の委託は行われてきた(管理委託制度)。しかし、「公の施設」の管理の委託先は、自治体が2分の1以上出資する法人や公共的団体(社会福祉協議会、事業団、公社・公団)などに限られていた。
 指定管理者制度の導入により、これまでの管理委託制度は廃止された。現在、社会福祉協議会、事業団、公社・公団などの自治体の外郭団体に管理を委託している事業は、指定管理者制度の施行から3年以内(06年9月まで)に、指定管理者制度に移行するか、直営に戻すかが迫られる。
 指定管理者制度の対象となる「公の施設」は政令指定都市では数百件以上の施設が該当する。全施設を指定管理者制度の対象とする方針の地方自治体も多い。総務省調査では04年6月時点で、すでに1500施設で導入された。今年4月から来年4月にかけ移行をめぐり最大の攻防になる。
 「公的サービスを受ける『住民』、地域の公的サービスの質を担保する『行政』、新たな公共サービスの提供者として『民間』の3者のいずれもがメリットを享受する関係」(三菱総合研究所「パブリックビジネス研究会」)――指定管理者制度についてバラ色に描いているが、実際はまったく逆である。
 指定管理者制度で「公の施設」の管理・運営が民間に移行した結果、解散に追い込まれる社会福祉協議会や事業団、公社・公団が出ている。この場合、直ちに臨時・非常勤・パート職員の雇い止め問題が発生する。正規職員の解雇も問題になる。
 社会福祉協議会や事業団が指定管理者として従来どおり管理・運営を続けるケースもある。だが総務省は、指定管理者制度の導入に際して複数事業者による選定を指示しているので、社会福祉協議会や事業団による運営が継続する場合でも、民間との競争を理由に、そこに働く労働者の身分や労働条件を切り捨てる攻撃が例外なく行われる。
 結局、民間企業に移行する場合も、協議会や事業団が指定管理者として残る場合も、希望退職や勧奨退職などのリストラ攻撃が吹き荒れ、大幅賃下げなどが強行される。半数以上の職員が退職に追い込まれて、労働組合が解散したり、半分以下への賃下げが強行されるケースもある。しかも指定期間は通常3〜5年に設定される。つまり3年、5年ごとに、職場が丸ごとなくなるか否かという攻撃が繰り返されるのである。
 また、民間に「開放」されることで雇用が増えると宣伝しているが、これもまったくのデマである。
 指定管理者制度は、「公の施設」の管理・運営において「企業努力」によって収益を上げることを当然とする。つまり、売り上げ(自治体から支払われる一定の予算と施設使用料。施設使用料は条例の範囲内で管理者が自主的に決められる)から経費を引いた残りが管理者の利益という考え方だ。指定管理者となった民間企業では、パート、派遣、契約社員といった非正規の不安定雇用が大半を占めるのが現実だ。協議会や事業団の労働者が解雇、もしくは退職を強要された後、こうした労働条件で再雇用される場合もある。
 そこでは以前と同じ仕事量にもかかわらず、労働者の人数は大幅に減らされ、利潤追求という資本の論理が一切の基準となり、低賃金・長時間労働を強いられる労働者と、施設利用者が犠牲になる。
 さらにこの制度は、95年の日経連「新時代の『日本的経営』」報告で示されている、日本の労働者の9割を非正規雇用にするための戦略的な民営化攻撃だ。
 指定管理者制度の市場規模は約2兆円、潜在的な市場は10兆円を超えると試算されている。これまでの公共施設の建設などのハード事業からソフト事業にまで資本の参入を拡大し、病院、スポーツ施設、図書館、博物館、養護老人ホーム、ゴミ処理施設、下水処理施設――などあらゆる公共サービスを市場化し、民間資本を参入させるのだ。

 強制的に官民間で競争入札

 PFI法は、「公の施設」の管理・運営よりもさらに幅広く、企画の立案から、資金の調達、施行、管理・運営までのすべてを民間主導で行う。道路・鉄道・港湾・水道・下水道……と公共部門の多くの事業が対象だ。
 独立行政法人は、民間資本に直接ゆだねるのが困難な部門・事業を実質的に直接民営化する手法だ。法人格を持たせて独立させ、企業会計、目標管理・業績評価制度などを導入。独自の賃金制度も可能とする。
 規制改革・民間開放推進会議が強行しようとしている「市場化テスト」は、民営化のために強制的に官民で競争入札を実施し、コストと質で優れた事業者を選定するという制度だ。国税・地方税の徴収や年金業務、登記・公証事務、医薬品などの承認審査業務、職業紹介業務までもが対象となっている。
 同じく規制改革・民間開放推進会議が強調する混合診療は、医療保険が適用される診療と、保険が利かない自由診療の併用を認める制度だが、これが認められれば製薬会社は未承認薬を上限なしの希望価格で販売できる。そうなれば高価な新薬や先進医療を受けるには、公的保険に加えて高額な民間保険に入るしかない。これは医療保険の民営化攻撃そのものであり、必ず歯止めがなくなる。高水準の医療が受けられない実質的な無保険者が出ることは間違いない。
 07年4月から山口県美祢市で運営が始まる刑務所では、受刑者の教育や警備など運営の一部を民間が担う計画だが、受刑者の刑務作業も民間に任せ、「収益を上げてもいい」とされる。海外に進出した工場が「安い」労働力に着目して戻ってくる期待もあるという。
 民営化攻撃のもうひとつの柱が公務員制度改悪と公務員労働者の解雇の全面的「解禁」だ。さらに終身雇用制と年功賃金制を解体し、能力・業績主義賃金を導入するのが狙いだ。
 自治体民営化の狙いは、労働者の解雇・賃下げと労働者の非正規雇用化、そして社会保障制度の解体だ。何よりも、郵政民営化攻撃と併せて公務員労働者の労働組合を解体し、労働運動をなくしてしまう攻撃だ。
 国・地方の「借金」はすでに700兆円を超えている。国・自治体の財政赤字の「解決」と公務員労働運動の解体のために民営化が推進されているのだ。そしてブルジョアジーにとって開放された公共部門は、最後の巨大市場だ。民営化攻撃は支配階級の存亡をかけた階級戦争なのだ。その攻撃は、物理的にもイデオロギー的にも徹底した激しさを持っている。

 ストライキを武器に闘おう

 「戦争と民営化」の攻撃は、戦後的な日本社会を全面的に破壊し、深刻な社会的危機をもたらす。だが民営化攻撃に整合性、合理性などない。ブルジョアジーにとっても展望などない。「戦争と民営化」は、階級支配の危機の現れだ。労働者階級の激しい怒りをまきおこし、闘いを生み出す。
 もはや日帝のもとで日本の労働者階級は生きていけない。いまこそ「民営化絶対反対」の旗印を鮮明にしよう。全国の自治体現場では指定管理者制度を始めとする民営化攻撃に激しい怒りと危機感が満ちあふれ、闘いへの意欲が高まっている。
 1月の自治労中央委員会でも「なぜ自治労中央はストで闘う方針を出さないのか」という意見が続出した。そうだ。いまこそ「全国の現場からストライキで反撃しよう」と声を上げよう。現場の怒りを現実にストライキとして実現させよう。これこそ民営化攻撃と直面する自治体現場労働者の気持ちだ。
 国鉄分割・民営化攻撃とストライキで闘い、雇用と職場、団結を守り抜いてきた動労千葉に学び、労働組合のもとに団結して闘うことを訴えよう。
 〔堀井智也〕

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2186号3面3)(2005/02/21)

『石原知事に挑戦状』が大好評 反戦の思いを語る鼎談
 ファシストと闘う待望の書 2・6集会で飛ぶように売れた!

新刊 石原知事に挑戦状
石原知事に挑戦状 長谷川ひでのり著
発行 アール企画
販売 星雲社
定価 本体1000円+税
 「教育基本法改悪反対・『日の丸・君が代』の強制を許さない2・6総決起集会」で、長谷川ひでのりさんの新著『石原知事に挑戦状』の販売を手助けするよう、都政を革新する会から頼まれました。
 ロビーで「石原知事に挑戦状!」「とめよう戦争教育! うばうな介護!」などと声をかけながら販売したのですが、休みなく売れ続け、結局その場で100冊余り販売できました。4冊まとめ買いをする人や、入り口でまいた本のチラシをかざしながら「この本が欲しいんだ」と飛び込んできた人の姿などが印象的でした。
 私は出版関係の仕事をしていますので、本をさばくことがどれだけ大変なことかはよくわかっています。また、こういう集会で書籍を販売したことも何回もあります。でも、一つの集会で、その参加人員(950人)の1割以上が買うなどという経験はしたことがありません。一緒に販売した人によると、初めて見かけるような人が多数購入したとのことです。
 販売していて気づいたことは、こちらの声かけと本の表紙を見るだけで、ページをめくることもなく買っていった人が大部分だったということです。長谷川さんは、区議5期、都議1期の実績があるとはいえ、この集会に集まった人びとにとって必ずしもよく知られているとは言えません。ですから、『石原知事に挑戦状』という本のタイトルそのものが、あっという間に人びとの心をとらえていったのだと思います。

 労働者民衆の力への底深い信頼

 長谷川さんは「まえがき」で、石原知事のファシスト的突進とそれに立ちはだかる者がいないという状況を指摘した上で、次のように述べています。
 「このような事態にたいし、歯がみするような思い、危機感、怒りを抱いている人々は膨大に存在しています。石原知事の暴走をなんとしてでも止めよう!……石原知事に真っ正面から『挑戦状』をたたきつけ、思いっきり対決して、そしてうち倒そうではありませんか。私はそういう呼びかけをすべての労働者、市民のみなさんに発したいと思い、この本を出しました」
 まさにこの思いがそのまま届いた――それが集会場でのありさまだったと思います。
 しかも、この「石原知事に挑戦状」というきっぱりとした対決姿勢は、この本の全編に脈々と貫かれているものです。そしてその立場から、ファシスト石原知事の全言動・全政策がはっきりと暴き出され、わかりやすく明快な批判が次々にたたきつけられています。打倒対象としての石原と石原都政の全体像がこのうえなく明確なものとなっている――これが、本書の第一の特徴です。
 本書の第二の特徴は、「ファシスト石原は必ず倒せるし、労働者民衆はそういう力をもっている」ことに対する深い信頼です。日本共産党など「野党」までもが「石原人気」に恐れをなして、「是々非々」などと言いつつ、真っ向から対決姿勢を示すことができないことと好対照をなしています。長谷川さんの真骨頂を示すものです。
 まさに待ち望まれていたファシスト石原打倒の呼びかけです。

 卒・入学式闘争へ心を揺さぶる檄

 本書は3部構成になっています。第1部はジャーナリスト・斎藤貴男さん、平和遺族会全国連絡会代表の西川重則さんとの鼎談(ていだん)。
 「『日の丸・君が代』処分にたいして東京の全部の学校がストで闘うべき」と言う斎藤さん。「不起立闘争の拡大で石原・都教委をノックアウトできる」と訴える長谷川さん。「同じ思い、力を結集して、戦争への流れをはね返していきたい」と語る西川さん。この鼎談は、3〜4月卒・入学式闘争へのこのうえない決起のアピールとなっています。
 第2部は、石原都政に対する全面的な批判。中でも、教育の問題と社会保障の問題が二つの大きな柱になっています。教育のところでは、「石原知事が異常なまでの執念で学校現場に『日の丸・君が代』を強制するのは、特攻隊と同じ『青春』を過ごす若者を作るため」と指摘。それに対し人生をかけて決起した教育労働者の思い、不起立闘争の歴史的意義が、この本でよくわかります。

 介護保険反対の実績が説得力に

 社会保障のところでは、長谷川さんのこの間の実績である介護の問題を引き継ぎ、都立病院問題や保育所問題に切り込んでいるところが印象的です。
 第3部は、差別主義者で女性差別の権化のような石原知事に怒りを燃やす女性労働者との座談会。戦争と民営化(労組破壊)のもとで女性労働者が現に置かれている状況が具体的に語られていて、第2部の内容が肌身で感じられるものにもなっています。
 この本を3〜4月卒・入学式闘争への力強い武器にしましょう。また、長谷川さんを都議会へ送り出す決定的な跳躍台にしましょう。
 (杉沢 厚)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2186号3面4)(2005/02/21)

泉州住民の会 イラク派兵部隊への輸送を弾劾

 2月3日午後7時前に自衛隊イラク派兵の軍需物資を乗せたロシア機アントノフが関西新空港を飛び立ったことが、夜のNHKニュースで放映された。何たるだまし打ちか! 2日前の1日、泉州住民の会が軍事使用を認めないよう強く申し入れた時には、関空会社は「今のところ何の要請もない」と言っていたのだ。怒りに燃えた住民の会は5日、直ちに5人で抗議行動に立った。(写真)
 森田恒一代表が抗議文を読み上げた。関空会社職員は目をそらして、「自衛隊員の衣服や生活用品を積んだと聞いています。軍事使用はしていません」と開き直った。国賀祥司泉佐野市議や会員が「衣服や生活用品も自衛隊が使う物は軍需物資だ」「日航や全日空の労働組合が乗客の安全を守るために軍事輸送を断っているからアントノフに頼んでいるのではないか」と鋭く追及した。
 関空会社は5月ごろと言われる関西の自衛隊第3師団の派兵にも関空を使わせるつもりだ。関空の軍事使用を阻む決戦が始まった。
    ◇
 その後、関空会社が断ったため武器・弾薬は積み込めず、守山駐屯地から出発した自衛隊部隊は、クウェートに到着したものの装備できず立ち往生しているという。関空軍事使用反対の大衆的な闘いの発展が日帝・自衛隊を追いつめているのだ。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2186号4面1)(2005/02/21)

青年は革共同に結集しよう
労働者一人ひとりが決定的な歴史的存在、社会変革の原動力
 労働者党員は心から訴える

 はじめに

 すべての読者とりわけ青年のみなさんにわが革共同への大結集を心から訴えます。みなさんも承知のように、国家権力を始めさまざまな勢力が、私たちを「過激派」「暴力集団」などと非難し、人びとを遠ざけようとしてきました。しかし、日本共産党や他のすべての政治勢力が、帝国主義の絶望的な危機と「戦争と弾圧」の激しい攻撃に屈服し総翼賛化する中で、真剣に闘おうとする多くの人びとが、私たちを信頼しともに立ち上り始めています。昨年はこのような人びとと心をひとつにして11・7国際連帯集会の成功にまで登りつめることができました。
 しかし私たちは、この現状に立ち止まっているわけにはいきません。05年は、政府・支配階級にとっても、私たち労働者人民にとっても歴史的決戦の年になるからです。もし、この年に私たちが何もできずに日帝の攻撃に蹂躙(じゅうりん)されてしまったら、労働者人民の生活が極限まで破壊されるだけでなく、破滅的な世界戦争への道が掃き清められてしまいます。今やここに一切の幻想が入る余地はありません。「善戦はしたけれど」「反対はしたけれど」というのは第2次世界大戦前がそうであったように、ただの言い訳にしかなりません。「絶対に2度と再び侵略戦争は許さない」「国家権力や反動勢力の嘘(うそ)にだまされない」――こうした点で私たちは非妥協で過激であることをむしろ誇りとしています。
 私たちの確信は、日本労働者階級人民の根底的な力を信頼するところにあります。それは、究極的には人間自身−自分自身を信頼するということでもあります。ブルジョア政党に本質的人間的信頼関係はありません。実際に嘘、ごまかし、利用、弱肉強食の思想・論理に支配されています。これを批判しているかにみえる日本共産党なども労働者人民とその闘いを信頼したことはなく、利用の対象でしかありません。宗教も「現実」社会への幻滅や人間自体への不信の上に成立し、結果として現実社会を肯定していくものです。そしてファシズムは、人間と「現実」への絶望の上に成立します。
 こうした存在と私たちがどう違うのか、その基本的考え方についてあらためて明らかにしたいと思います。

 マルクスの共産主義とは何か

 共産主義について、崩壊した旧ソ連や北朝鮮に対する非人間的なイメージからすでに歴史的に破産したもの、あるいは理解しがたい体制としてずいぶんと縁遠いものに思われています。このため日本共産党も共産党という党名変更を考えたことがあります。しかし、名前は変えずに内容を変えるという選択をして、資本主義を肯定する「愛国者」の党に変わっています。また、かつて日本共産党を批判して誕生したいわゆる「新左翼」の運動も70年代の「連合赤軍事件」や「内ゲバ」などの陰惨なイメージで、危険でなるべく近寄らない方がよい存在と思われています。
 私たちは、このような歴史や現状について日本共産党のように「自分たちと無関係」で「間違ったことはない」などという立場は取りません。また、だからといって「宿命」などと考えて無力感に陥ることもありません。人間自身の成長や発展の歴史と同様に、現実の運動の発展も直線的に進むのではなく矛盾があります。矛盾があるからこそ発展があるという考え方なのです。大事なことは矛盾に負けないということです。
 実際、私たちが共産主義運動の発展をめざし新たな党を結成して以来約半世紀になりますが、その歴史は誇張でなく「血と汗と涙」の歴史でした。私たちはこの歴史を第6回大会で全面的に総括し、日本革命−世界革命に向けた新たな進撃を開始することに成功しました。日本の革命運動は確かに特殊な発展経過をたどりました。しかし、実は世界の革命運動の歴史を見た場合にはそれほど特別のことではないのです。大切なことは、どのような立場や考え方で、どのような行為が行われ、どのような結果がもたらされたのかということです。この立場や視点の置き方によって、物事の見方や評価はまったく変わってしまいます。簡単に言えば、労働者階級の立場から見るのか、資本家−支配者階級の立場から見るのかということです。もちろん中間的に動揺する人びともいますが、基本的にはこのどちらかです。
 ですから、私たちは物事を見たり考えたりする場合に労働者階級の立場から見る(階級的視点)ということを心がけています。ブルジョアジーやこれと利益をひとつにする人びとは、自らの搾取と支配の現実をごまかさなければ支配を維持できないので、どんなにもっともらしいことを言っても真実から遠ざかります。労働者であっても資本に買収されたり、蹂躙されている人も同様です。これに対し労働者階級にとっては、真実こそが武器になります。「共産党は、労働者階級の利益以外に特殊な利益を持たない」と『共産党宣言』の中でマルクスは言っています。共産主義の考え方の出発点は「労働者階級の立場に立つことによって嘘や幻想から解放され真実をつかみ取る」ことにあります。
 また、共産主義は宗教のように「神の国」を夢想して現実から逃げたり、「理想の社会」を想定して今生きている人間が犠牲になるというものでもありません。さまざまなことに悩み、孤立し、蹂躙されている今生きている人間が、資本の価値増殖運動を原理とする資本主義社会の現実と闘うことを通して人間本来の共同性を奪還し、人間生命の根源的能力に基づく社会を実現していくということなのです。
 したがって、人間社会の発展の現在的到達点である資本主義社会を労働者階級の立場から根底的に批判し(理論)、同時に私たち労働者階級人民自身の行為・運動(実践)によって、自分と他者との関係としての社会を根本的に変えていくこと(プロレタリア革命の実現)が共産主義の運動です。資本主義社会は、一方で商品経済の全社会化によって人間存在の極限的疎外と怒りの深まりをもたらし、他方での生産と交通の全面的発展によって労働者階級とその団結の発展をもたらします。これが共産主義運動の現実性の基礎となります。
 ここで大切なことは、共産主義社会が自然に実現するのではなく人間自身の意識的主体的行為によってのみ引き寄せられるということです。生産力の発展に伴う社会的な発展は、資本主義社会とその高度に発達した帝国主義に到達します。この社会は自動的に新たな社会に発展するのでなく、その危機を恐慌−戦争として破滅的に爆発させます。これは歴史的にも繰り返され、現在的にも明らかなことです。この野放図な発展の限界と危機を、人間が意識的主体的に突破するための指針・保証となる考え方を「弁証法」と言います。
 弁証法は、すべてのものを固定したものとして捉えるのではなく、すべてが絶えざる運動・変化の中にあり、同時にそこに一定の発展法則があることを見出し、自然やその下で発展してきた人間と社会そのものを正しく捉える考え方です。この運動発展の考え方を適応することが共産主義運動の原理になります。自然や社会に蹂躙され観念や宗教などの「幻想」に支配されてきた人間が、プロレタリアートの存在と闘いの発展によって資本主義社会の危機を革命によって止揚し、真に歴史の主体となって人間的な共同性に基づく社会を実現するということです。

 暴力の問題にも階級的な視点を

 私たちに対し「極左暴力集団」と非難する人びとがいます。そこで「暴力」の問題についても触れておきたいと思います。私たちは、人間性を蹂躙、破壊する手段としての暴力を心から憎んでいます。だからこそ暴力によってしか維持されない社会的人間的関係を、根本から変えなければならないと考えているのです。これを実現するのが共産主義社会です。私たちは真剣であるがゆえに、願うだけでは何も実現しないことを知っています。はっきりすべきことは、現在の社会で一般的に暴力反対を主張することは、帝国主義国家権力や反動の暴力を容認することにしかならないということです。この点でも階級的視点が大切です。
 「テロ反対」「民主化」の名のもとで、最大の破壊兵器を独占使用し、すさまじい大量殺戮(さつりく)を絶えず行っているのは誰なのか。また、これと闘う人びとに、軍隊、警察、監獄を使い日常的にどのような暴力的弾圧が行われているのか。私たちが暴力を恐れる意識は、実はこの巨大な暴力装置によって支配され蹂躙されていることから発生しています。この暴力装置を根本から破壊しない限り、私たちが暴力から解放されることはないのです。その場合、階級闘争と被抑圧人民の反乱の鎮圧、さらには他帝国主義国家との争闘戦を生命線としている帝国主義ブルジョアジーが自ら良心的にその武器を手放すことなど、歴史を見るまでもなくあり得ない幻想なのです。ブルジョアジーとその手先の破滅的暴力は、全労働者人民の武装した闘いによってしか粉砕できません。この人間的共同性を奪還するための革命的暴力まで否定することは、実際には労働者階級人民への血の弾圧と敗北しかもたらしません。これは、幾多の歴史の血の教訓なのです。
 同時に、ブルジョアジーの恐怖支配をのりこえて、自ら武装して立ち上がった労働者階級人民の歴史が、人間性を破壊する陰惨な暴力とはまったく別の解放感と人間的共同性にあふれた生き生きとした創造的過程であったという事実も押さえておきたいと思います。

 なぜ革命的共産主義運動なのか

 なぜ革命的共産主義なのでしょうか。現在みなさんが共産主義運動だと思っているのは、スターリン主義によって歪曲され労働者階級人民の利益と対立する偽りの共産主義運動だからです。世界史上初めてブルジョアジーを打倒しプロレタリア革命を実現したロシア革命は、さまざまな困難に直面しました。しかも、革命を指導したレーニンの死という決定的危機のもとでスターリンによって世界革命が裏切られ、「一国社会主義」として固定化され、資本主義と共存する体制にされてしまいました。そして、本来資本主義を打倒する運動としてあった国際共産主義運動は、ソ連を防衛するための運動に変えられてしまったのです。その結果「労働者階級の利益以外に特別の利益を持たない」はずであった共産党は、ソ連のため=党のために労働者階級とその闘いを従属・抑圧する存在になりました。ソ連が崩壊した今でも日本共産党の思想と運動の本質は、このスターリン主義に貫かれています。
 また、日本の左翼運動や労働組合運動もこの影響を深く受けています。党や指導部を労働者階級人民の上に置き、労働者階級人民は革命の主体ではなくこれに従属するという考え方や運動スタイルがそれです。このように資本主義による搾取と抑圧の現状を容認し、党と労働者階級人民の関係を別のものとして固定化し疎外する考え方は、マルクスやレーニンの弁証法に基づく共産主義運動ではありません。私たちは、このスターリン主義が階級闘争−労働運動に圧倒的な権威と影響力を持っていた時代にこれと対決し、真の共産主義運動を復権させるために自らを革命的共産主義と名乗ることになりました。私たちの運動は、スターリン主義の硬直化した非弁証法的な偽りの共産主義運動と意識的に対決し、現実の労働者階級人民の闘いを大切にし、共産主義への発展を切り開くための運動です。

 プロレタリア革命に未来あり

 マルクスは、ドイツの哲学者、経済学者であり革命家です。彼は、それまでに人間が到達した哲学的経済学的地平を批判的に継承し、人間の根本から解放を目指しました。そしてそれを空想から現実のものとするために資本主義社会を徹底的に分析・批判し、これを実際に打倒し未来社会を切り開く存在がプロレタリアートであることを明らかにしました。資本主義社会で最も疎外された存在として圧倒的多数を占めるプロレタリアートは、資本にみずからの労働力を商品として売ることによってのみ生存できる存在です。それゆえに階級的利害が本質的に一致し、しかも規律的で組織的なので、他のどの階級よりも団結することができます。この考えに基づいて世界で初めてプロレタリア革命を実現したレーニンも「労働者階級は、組織以外のどんな武器も持たない」と言っています。
 現在の共産党や労働組合があまりに労働者人民からかけ離れているため、労働者階級の闘いを否定する市民運動があります。しかし、こうした運動は一過性のブームしかつくれず強靱(きょうじん)な運動にはなりません。それはこの間の有事法などとの闘いにも歴然と現れています。労働者階級の闘いとは、私たちが生きている資本主義社会の現実に対する根本からの闘いなのです。現実から逃げたところでの市民主義やNPOなどの運動は、根本的には無力で結局ブルジョアジーの支配を容認するものになってしまいます。プロレタリア革命というのは、資本主義社会の根本的で、口先でない実践的批判です。
 また、私たちのめざす革命政権を「プロレタリア独裁」といいます。これは労働者階級と、その最も意識的な人びとが構成する党が、労働者階級の闘いを発展させ、すべての被差別被抑圧人民をも獲得しブルジョアジーの権力を打ち倒し、その反動を粉砕する政権です。ですから最大限の民主主義の実現であり、反動的反人民的な独裁のイメージではありません。スターリン主義下でのソ連や北朝鮮のような反人民的独裁は、共産主義と切断したところに発生しています。これはプロレタリア独裁ではなく、反プロレタリア的スターリン主義官僚の独裁であり、それゆえに必ず崩壊します。
 共産主義の実現−すべての国家権力とすべての抑圧機関の消滅−搾取や抑圧・暴力から解放された社会とは、資本主義と共存したところには実現できないのです。本当の共産主義は、プロレタリアの国際的連帯と団結に基づく世界革命によってしか実現できません。私たちはこれをめざす党です。実際この点で、昨年の11・7集会で、このスターリン主義の反動を越えて日米韓の闘う労働組合が一致団結したということは、私たちの主張と運動が空論などではなく実現可能なものであることを示し、本当に大きな展望を切り開いているのです。

 共産主義の党はぜひ必要である

 私たちが、党への加盟を働きかけると「どうして党に入らなければならないですか?」と言われる場合があります。党はどうして必要なのか、なぜ同志として迎えたいのかを明らかにしたいと思います。
 資本主義社会の最終段階としての帝国主義は、その危機を極限的に深め社会の隅々に至るまで全面的に矛盾をもたらします。そこから必然的に、さまざまな問題や水路を通じて社会を変えなければならないと立ち上がる人びとが生まれます。その人びとは、問題や矛盾の根源、すなわち真実に近づこうとします。そうでないと根本的解決にならないからです。しかし、こうした「決起」や「行動」はバラバラで、そのままでは矛盾や問題の根源である帝国主義を打倒する運動として大きくひとつになりません。下手をするとオウムのようなカルトや、あるいは民主党や共産党のような資本主義社会を支えるような運動にからめとられ、真実から遠ざけられて、まったく別の運動に利用されてしまうことになりかねません。
 こうした政党や運動を正しく批判し真実に向けてひとつになるために、党はどうしても必要です。実際、私たちの党が労働組合だけでなく、部落解放闘争、入管闘争、「障害者」解放運動、反戦運動などさまざまな課題を闘っているのに、なぜ団結して闘っていられるのでしょうか。党として一体となって協力し、矛盾と問題の根源に立ち向かっているからなのです。
 さらに、私たちは、帝国主義の矛盾と危機を根本的に突破するためにプロレタリア革命をめざす党であるということを明らかにしてきました。そして、「労働者階級の唯一の武器は組織である」ことを確認しましたが、この主要な組織とは労働組合と党です。しかし、現在の労働組合をそのまま見た場合、無力なだけでなく反動的な役割を果たしていて、とても期待できる存在には見えません。しかし、どうしてこうなのでしょうか。これらの労働組合の大半は、民主党や共産党などを支持する人や党員によって握られ、その思想の下で組合の方針や運動が決められているのです。そのため一人ひとりの労働者は、自らの存在と力に目覚めるどころかいっそう無力な存在に追い込まれています。労働組合が資本主義と共存する思想を持った勢力に支配されているため、会社や国家権力に追随する組織にされてしまっているのです。
 しかし労働者が商品として買われ、搾取され、人間性を蹂躙されている存在から解放されるためには資本主義を打倒するしかありません。労働組合は、労働者が資本による蹂躙から自らを守るために生まれた組織ですが、これを超えて「賃金制度の廃止」=資本主義の打倒の武器へと発展すべき組織なのです。労働組合は、自分たち自身の利益を守るための小さな団結から始まります。しかし個々の闘いはたまに勝利してもほとんど敗北します。
 そこから、大きな勝利のためには労働者間の階級的団結の拡大が必要であることを学び、さらにすべての人間の解放のために被差別被抑圧人民の利益を共同の利益として引き受けることで、自らの階級的使命を自覚し、革命の主人公になるのです。こうして初めて資本主義を真に打倒する展望をつかみ取ります。労働者を革命の決定的な主体として据え、労働組合を資本主義打倒の決定的な武器として発展させていく。この発展もまた、自然のままではかちとれないのです。やはり、そうした意識性を持った人間の組織が不可欠なのです。これが私たちの党なのです。
 主要な労働組合、地域、闘いの中に、この共通の目的と意識性を持った人間と組織の存在なしに革命が実現できるはずもありません。それは空想であり、結果として現状容認になります。怒りや反対を貫き本当に勝利するには党が必要であり、人間的共同性に満ちた同志とその組織を至る所につくらなければなりません。ですから私たちは、大切な人びとに対して支持者ではなく同志としてともに立ち上がることを強く呼びかけているのです。

 私たちの主張は空想ではない

 このような私たちの主張は、途方もないことでしょうか。けっしてそうではありません。
 第一に、帝国主義の発展があまりに巨大に見え、逆に労働者階級人民一人ひとりが分断され無力だと思わされているということです。私たちは、まずこの見方と対決します。労働者階級人民こそが本質的に決定的であり、この存在は党や労働組合の主体になることで資本主義社会に蹂躙された存在から世界を捉える存在に飛躍していくのです。
 第二に、資本主義の社会・世界がどうしようもない矛盾と危機に陥っているという現実です。このままでは、破滅しかないことを誰しもが感じ始めています。
 戦争−核、自然破壊、失業・貧困・飢餓などの根本原因は何か。人間が到達した生産力は、人類全体に人間らしい生活を実現できるのにどうしてこのような事態になっているのか。今やこの事態に警告を発する人びとや書物には事欠かなくなっています。しかし、この原因が帝国主義の世界支配にあり、これを「国際プロレタリアートとすべての被抑圧人民の力で打倒せよ!」とは言わないのです。スターリン主義の裏切りや失望があまりにも大きかったからです。しかし、このままで良いとは誰も思っていません。私たちは、困難にひるまず、真実を見据え、解決の道を訴えているだけなのです。
 第三に、9・11事件が起きた01年以降、世界に戦争を激しく拡大し国内支配を反動的に転換している帝国主義諸国、特に日本帝国主義に対し、すべての政治勢力が無力化する中で、事実としてわが党と党員だけが力強く確信も新たに前進しているということです。このことを多くの人びとが感じていると思います。もちろん、まだ不十分であることは自覚しています。しかし、不抜の団結力で現実に立ち向かい、前進を切り開いてきたからこそ、絶望などせず、いきいきと闘うことができています。私たちは、必ず世界を捉えられると確信しています。

 多くの積極的な同志が必要です

 私たちが、どんな攻撃にも負けず、人生をかけて守り抜いてきた党の一端があらためて理解していただけたと思います。この党の権威は、獄中30年の不屈の星野同志を始めとするわが党の同志たち一人ひとりの存在と闘いです。
 先に触れたように、党に入るといろいろとしばられると思う人もいます。しかし、こんな壮絶な闘いが強制などでできるはずがないのです。もちろん党には最低限の規律があります。それは、労働者階級における原則的規律でもあります。例えば、仲間や同志を警察や反動勢力に売り渡さない−守るということです。このような基本的なことが守れない組織や人格が信用されるはずがありません。またそのような組織が国家権力や反動的勢力から防衛されるはずがないのです。これが縛りなどではなく当然の規律であることは理解していただけると思います。党として団結し統一的な闘いを実現するための機関紙の購読と基本会議への参加、党組織を維持するための党費の納入、基本的にはこれが党員としての義務なのです。
 しかし、あくまで党の運動の発展は、労働者階級人民である党員一人ひとりの共同性に基づく積極性にこそあるのです。運動の発展のために意見を述べ批判する権利、さらにはどうしても自分の意志に反する場合に、同志や仲間を裏切らないという前提の上で党を脱退する権利もあります。
 組織に対する暗いイメージは主にスターリン主義によって自分たち自身の組織から引き離されてきた日本労働者階級人民の意識の反映なのです。この党は私たちの組織であり、その主体は党員一人ひとりです。それと別なところに党は存在しません。労働者階級一人ひとりが決定的歴史的存在であり、人間社会を変える原動力であるという党の思想的信念は、決定的な「一粒の麦」を獲得し育てることで初めて現実のものになります。「一粒の麦もし死なずば」という聖書の言葉をマルクスはよく引用します。さまざまな困難や攻撃に負けずに頑張り続ければ必ず大きな実りをもたらすという深い意味を込めていると思います。みなさん一人ひとりがかけがえのない一粒の麦なのです。
 わが同志たちが、さまざまな困難をのりこえ精一杯闘い党を守り抜いてきたからこそ、巨大な実りを実現するためにさらに多くの決定的で積極的な同志が必要です。05年の決戦の大きさは、待ったなしでこの課題を突きつけています。すべての闘いと運動に党建設−マル青労同建設を基軸に据え、党的団結を圧倒的に広げ、真に実り豊かな歴史的一年にしようではありませんか!

 革共同中央労働者組織委員会 大原武史

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2186号4面2)(2005/02/21)

日誌'05 2月1日〜8日
 辺野古移設の「見直し」検討
 米ブッシュが一般教書演説

●イラク米軍削減・撤退「示さぬ」 ラムズフェルド米国防長官は、現在約15万人いるイラク駐留米軍の削減や撤退について「1カ月や1年といったものではなく、状況に基づくものだ」と述べ、具体的な日程を示すべきではないとの考えを示した。(1日)
●米、非核国への核不使用に反対 ブッシュ米政権は、核保有国による非核国への核不使用(消極的安全保障)を国際条約とすることを拒否する方針を決定し、5月2日にニューヨークで開催する核拡散防止条約(NPT)再検討会議に臨むことが分かった。(1日)
●自衛軍明記に小泉が賛成 小泉首相は衆院予算委員会で、改憲について「自衛軍の明記に賛成だ」と述べた。民主党の鳩山元代表が、自らの改憲試案に「自衛軍の保持」を盛り込んだことを説明し、見解を求めたのに答えた。(2日)
●ブッシュが一般教書演説 ブッシュ米大統領は、上下両院合同会議で2期目初の一般教書演説を行った。1月の就任演説を受け、自由と民主主義の拡大によって「圧政とテロの台頭」を阻止すると表明。内政では公的年金制度の抜本的な改革を提案した。(2日)
●自民試案、憲法前文は全面書き換え 自民党の新憲法起草委員会の前文に関する小委員会(中曽根委員長)が初会合を開き、新憲法試案の前文は、現憲法の部分修正ではなく、全面的に書き換える方針を決めた。(3日)
●旧民社系「集団的自衛権の行使の明記を」
 民主党の旧民社党系議員グループが改憲についての提言をまとめた。9条2項を削除または修正し、自衛のための武力行使を可能とするほか、集団的自衛権の行使についても明記を求めている。(3日)
●人権擁護法案、再提出へ 03年に廃案となった人権擁護法案について、与党の人権問題懇談会は、修正を加えて今国会に再提出する方針を確認した。(3日)
●もんじゅ改造、福井県知事が了解表明 95年12月にナトリウム漏れ事故で止まった核燃料サイクル開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について、西川知事が運転再開の前提になる改造計画を了解する意向を表明した。(6日)
●「事前協議」の実施検討 在日米軍再編をめぐる日米協議で、日米安保条約に基づく「事前協議」を実施するための枠組みの整備が検討されていることが分かった。自衛隊と米軍との役割分担を強化するために日本側が米軍の行動を事前に把握する仕組みが必要と判断したという。(6日)
●辺野古移設見直しを検討 政府は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古沖への移設計画の見直しを、今後の在日米軍再編協議の議題として取り上げる方向で検討に入ったと共同通信が報じた。7日付の沖縄タイムス、琉球新報が大々的に報じた。この報道に対し、外務省は「検討している事実はまったくない」と否定した。細田官房長官は「今のところ、現状の政策、SACO合意について変更はない」と述べた。(6日)
●米国防費、4・8%増 ブッシュ米大統領が06会計年度の予算教書を発表した。財政赤字を削減するため全体として歳出を抑制しているが、国防予算は前年度比4・8%増の4193億jとなった。(7日)
●イスラエル、パレスチナ「停戦宣言」 イスラエルのシャロン首相とパレスチナ自治政府のアッバス議長が会談し、イスラエルの軍事作戦とパレスチナの武装闘争をともに全面停止することで合意したと発表。(8日)
●関空拒否で武器空輸できず イラクに派兵された陸上自衛隊の重火器と弾薬が空輸できず日本に残っていることが分かった。関西空港が「武器弾薬を搭載した航空機を離着陸させないのは空港の方針」と拒否。武器空輸のめどがつかなくなった。(8日)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2186号5面1)(2005/02/21)

本山闘争が完全勝利 “一人の首切りも許さない”貫き
 2名の解雇撤回・全員現職奪還

 全金本山労組は34年の激闘を闘いぬき、ついに歴史的勝利をかちとった。1月19日に仙台高裁で和解協議が行われ、全金本山労組と本山資本の間で「2名の解雇撤回、全員の原職復帰」を基本内容とする合意が取り交わされた。「一人の首切りも許さない」をスローガンに、組合の団結をうち固めて不屈に闘いぬくことによって勝ちとった偉大な勝利である。

 最高裁判決をくつがえした34年間の不屈の団結と闘い

 全金本山労組と本山資本の合意内容は以下のとおりである。
▽青柳充氏、熊谷春男氏に対する解雇を解雇日にさかのぼって撤回する。
▽現在63歳の青柳充氏は01年の定年退職日において円満退職、58歳の熊谷春男氏は他の組合員と同じ条件で職場復帰する。
▽ロックアウト状態の29名の組合員のうち、就労を希望する組合員は60歳の定年年齢を過ぎた組合員も含めて職場復帰する。
▽被解雇者を含め、全員の社会保険被保険者資格をさかのぼって回復する。
▽小野万東京分会長の賃金を是正し、未払い賃金を支払う。
▽解決金および未払い賃金を支払う。
▽職場復帰は3月16日とする。
 ついに青柳充氏、熊谷春男氏の解雇撤回をかちとった。青柳氏は不当解雇された1971年3月25日、熊谷春男氏は1972年11月24日にさかのぼって解雇が撤回される。
 両氏の解雇問題は青柳氏が1990年、熊谷氏が1994年にそれぞれ最高裁で敗訴の反動判決が確定しており、本山資本も裁判所も当初は「すでに確定したこと」としてきた。最高裁判決を高裁の和解協議で覆したことは、他に例を見ない。しかも、定年年齢を過ぎた青柳氏の社会保険資格をすべて回復させ、58歳の熊谷氏は年金回復とともに職場復帰をかちとったのである。
 「最高裁判決で負ければ勝利はない」などという連合、全労連指導部を始めとする労働組合運動の「常識」を打ち砕いたことの今日的意義は決定的に大きい。国鉄1047名闘争でも、「最高裁での敗訴でJR復帰の道は閉ざされた」などという国労本部を打倒し、1047名と動労千葉、国労、建交労の労働組合が団結してJR資本と闘いぬけば絶対に勝利できる。それを本山闘争の勝利は身をもって示した。
 全金本山労組は裁判闘争など第三者機関に頼るのではなく、あくまで組合員の現場闘争、日常闘争で、「組合がつぶれるか、会社がつぶれるかまでやる」とまで豪語した本山資本を追い詰めてきた。34年間にわたる本社工場への就労要求門前闘争、東京支店闘争、ユーザー闘争、銀行闘争などの現場での闘いを軸に、本山資本との直接交渉と裁判所の和解協議で攻勢をかけ続けたことでこの勝利をもぎりとったのだ。また、仙台地裁への300を超える労組署名の集中など、労働運動の力で裁判所を包囲して闘われたのである。

 3・16就労から新たな闘いへ

 さらに、希望者全員の就労をかちとった。全金本山労組は、1972年12月18日以降、東京支店で就労する組合員、2名の被解雇者を除く本社工場で就労する218名の組合員がロックアウトされ、32年間も不当にも職場を奪われてきた。さらに、87年には「事実上使用関係が消滅している」として、社会保険すら剥奪(はくだつ)された。29人の組合員も解雇同然の扱いを受け、まさに全組合員の総力戦として闘ってきた。
 その組合員が熊谷春男氏とともに職場復帰をかちとった。長期争議で60歳の定年年齢を過ぎた組合員もいるが、60歳以下の組合員と同様の条件で職場復帰できる。資本の就労拒否が一切の責任であり、定年年齢を過ぎていようと、すべての組合員は原職を取り戻す権利を持っている。この権利の獲得、勝利は絶大である。社会保険資格も87年にさかのぼって回復される。
 唯一の就労者である小野東京分会長に対する賃金差別、隔離就労など一切の不当労働行為を撤廃させ、この3月16日から本社工場構内に全金本山労組の赤旗を高々と掲げる。もとより、34年間の組合員、家族の苦闘、闘いの中でたおれた佐藤満男氏、千田輝行氏の奪われた命が元に戻せるわけではない。しかし、重軽傷者1500人、逮捕者140人という戦後労働運動の大争議が、ついに2名の解雇を撤回させ、ロックアウトを打ち砕いたことはまさに歴史的な勝利だ。
 全金本山労組は、「3月16日をもって私たちは職場復帰します。私たちは32年ぶりに本山製作所の門をくぐり『職場に砦(とりで)、地域に共闘を』のスローガンを掲げて新たに旅立ちをします。なお、退職する者も引き続き組合員として地域でスクラムを組んでまいります」と決意を新たにしている。
 総評・全国金属から除名され、全金本山労働組合を結成して今年2月で25年目に入る。全金本山労組の不屈の団結、組合員、家族の血と汗と涙がかちとった勝利だ。34年間の門前闘争に結集した数万人の労働者、全国で物資販売などをともに取り組んできた幾万、幾十万の労働者の力でかちとった勝利である。すべての闘う仲間とともに喜びを分かち合い、階級的労働運動を切り開く歴史的な号砲としよう。3・5本山闘争勝利報告集会に集まろう。

 労組は出世の道具ではない 青年の決起が職場を変えた

 長期争議での画期的な勝利

 戦後労働運動に比類のない34年にわたる長期争議である本山闘争の勝利は、労働組合が闘いの中で真の団結をつくり出した時にすごい力を発揮するし、勝利することができるということを示した。ロックアウトから32年、職場を奪われた労働組合がその団結を堅持して闘いぬくなどということは並大抵のことではない。この比類なき団結がいかにして生まれたのか。
 全金本山闘争の発端は1971年3月である。70春闘ストへの報復攻撃として、本山資本は青柳充氏への不当な配転命令を出し、配転拒否を口実に懲戒解雇攻撃に出てきた。当時の資本から送り込まれた執行部は、「不当労働行為ではない」「配転拒否はわがまま」として、組合規約を踏みにじってまで青柳氏の組合員籍を剥奪した。資本は「青柳は共産党だ」、執行部は「過激派だ」などとデマを並べ立て、解雇に反対する青婦部のビラまきを弾圧した。
 不当解雇直後、青柳氏は「なぜ闘うのか」というビラで以下のように訴えた。
 「現在、考え得るあらゆる卑劣な中傷やデマを背に受けながら不当解雇反対の闘いに立ち上がっているのは、私は要求づくりの討議に参加した全金労働者として、労働組合こそが労働者を支える唯一の力であると組合強化を指導してきた労働者として、常に自分を厳しくみつめて、『指導するに値する者は嘘(うそ)を言ってはならない』と自ら銘記し、労働者の立場を守ろうと決意し、出世のための組合活動は大衆を裏切る行為でありもっとも汚いやり方と軽蔑しているからです」
 現在の千葉敬次社長が67年当時の全金本山支部の委員長であったことに示されるように、「執行部は組合を食い物にして出世している」状況があった。青柳氏は、自ら執行部に入ってそれを実感し、労働組合を労働者の手に取り戻すことを決断し、その先頭に立った。支部副委員長、また全金宮城地本副委員長として、70春闘では57時間のストライキで二交替制導入を白紙撤回に追い込む勝利をかちとった。全金の中軸組合として、下請会社の組織化や地域共闘の強化にも積極的に取り組んだ。
 それゆえに多くの組合員は、青柳氏への不当配転−懲戒解雇の攻撃が、組合つぶしであり、自らへの攻撃であることをつかんだ。「青柳さんを守る会」が結成され、職制の妨害をかいくぐり、御用執行部とオルグ合戦、ビラ合戦をくり広げ、不当解雇撤回を闘う仲間が執行部を取り戻した。青婦部でも圧勝した。
 しかし、闘いの前進は新たな攻撃を生み出す。その直後、資本は職制らに第二組合を結成させ、管理職が組合員の自宅まで押しかけ支部脱退を迫った。一方で支部に残った御用派は支部の反撃をかく乱してきた。
 この時、支部組合員の8割以上が20代、今までは組合に無関心であったような労働者も、あまりに汚い会社のやり方に資本の本性を見た。青婦部を先頭に、管理職の不当労働行為を追及する職場闘争が開始された。中学校や高校を出て就職したばかりの青年労働者が職場で管理職を取り巻き、一人ひとりの組合員が自らへの不当な脱退工作を追及した。連日の職場闘争は、資本との力関係を一変させた。第二組合から続々と復帰してきた。

 暴力ガードマンとの闘い

 追い詰められた資本は、72年5月20日、争議破壊を専門とする天皇制右翼=特別防衛保障の隊員50人をガードマンとして導入し、暴力で労働組合をたたきつぶそうとした。朝の門前ビラまきすら「ビラ一枚と血のひきかえ」と言われるほど、流血のテロルが襲った。のべ160人以上が病院で治療を受け、十数人が入院する重傷を負わされた。就業時間中に構内を歩いていた女性組合員も入院を余儀なくされた。
 組合員は、暴力支配と対決するために毎週職場ごとに集まり、討議をしてビラをつくり、毎日門前ビラまきに立った。殴られながらも構内集会、デモを闘い、実力で労働組合運動と職場闘争を取り戻していった。
 資本は同年11月、この闘いの先頭に立ってきた熊谷春男氏を見せしめ的に解雇してきた。労働者の怒りと反撃がますます広がった。ついに12月18日、違法なロックアウトで、全金本山支部組合員218人を職場から排除した。門前には暴力ガードマン、職制、二組幹部とともに宮城県警・機動隊が陣取り、「ロックアウトが違法かどうかは知らない。ロックアウトは有効だ」と豪語し、全金本山支部の就労要求にテロルと不当逮捕で襲いかかった。
 青婦部はいち早く青年行動隊を組織し、本社工場への就労闘争=門前闘争を闘った。アルバイト体制をつくり、いったん収入を全部組合にプールして必要な生活費を申告するという「自己申告制」を始めた。
 すさまじい資本の組合つぶしの攻撃に対し、組合員一人ひとりが対決し、自らの闘いで団結をつくり出してきた。労働者は仲間を信頼し、団結して闘いに立ち上がった時に、驚くほどの戦闘性と独創的な闘いをつくり出す。その誇りと確信が「一人の首切りも許さない」というスローガンに込められた。

 労働者の魂を裏切らない

 34年の闘いは、「一人の首切りも許さない」という労働組合の原則を破壊しようとする帝国主義労働運動との闘いであった。
 75年のスト権ストの敗北と軌を一にして、同盟系労働組合である全金同盟との統一を求める総評全国金属中央は、闘争を終結させるために解雇撤回を放棄し、「別棟就労」への屈服をごり押ししてきた。
 ロックアウト以降、組合員は毎朝本社門前での就労闘争を闘った。毎日暴力ガードマン、職制、第二組合幹部、機動隊と対決し、アルバイトに散っていく。労働組合として初めて全国の労働組合オルグに駆けめぐり、上部に頼らず支援を訴えた。日常的な対峙の中で資本は危機を深め、闘いぬけば勝てるという実感を全金本山支部はつかんでいった。組合員の強い反対に対して、全金中央は「物資販売の指示文書を出さない」と生活の糧をタテにして屈服を迫った。
 75年10月25日に行われた支部集会の最中、当時23歳の佐藤満男組合員は、「自分は別棟戦術に反対なのは、それは戦術ではなくて路線の変更である。自分は労働者の魂を裏切らないために別棟には入らない」というメモをポケットに窓から飛び下り、抗議自殺をした。組合員はその怒りと悲しみを胸に刻み、労働組合として不屈の闘いを貫くことを決意したのである。
 79年3月に全金宮城地本は、中労委和解解決に白紙委任するという方針を決定し、被解雇者である青柳氏への除名処分と全組合員への再登録をかけてきた。そして追い討ちをかけるように、4月には仙台地裁が、青柳氏の解雇を不当とした仮処分決定を覆す反動判決を下した。しかし、もはやいかなる攻撃も、組合員の闘う意志と団結を砕くことはできなかった。
 80年2月、組合員35名は全金本山労働組合を結成、帝国主義労働運動に屈した総評全金を除名されても、闘う全金の誇りを守り抜くと「全金」の名を記した。その後、同年8月29日に愛知県蒲郡で開かれた第46回全国金属定期大会では、統制処分された組合員が壇上に整列し、組合つぶしと闘う労働者を除名処分する総評全国金属はもはや労働組合として死滅したことを全代議員の前で宣言した。
 以来25年の闘いは、まさに「路(みち)なきところに路をつくる」攻防であった。門前闘争、東京支店闘争、ユーザー闘争、銀行闘争など、全組合員が日常的で創意的な闘いを積み重ね、日々資本を追い詰めてきた。
 排除をのりこえ、連合傘下の労働組合との支援、連帯、共闘をつくり出し、闘う地域共闘をつくり出してきた。とりわけ、東北大学生運動との労学共闘は闘いの原動力となってきた。03年6月に宮城県警は、東北大学当局と「傷害事件」をデッチあげ、中野七郎書記次長への刑事弾圧・起訴攻撃をかけてきた。本山資本が事実上倒産の危機にあえぐ中で、警察権力が組合つぶしに出てきた大弾圧である。しかし、全国、地域の労働運動、学生運動の一体的な反撃で、仙台高裁で「傷害事件」ねつ造を認めさせるまで追い込んだ。この弾圧粉砕が勝利への重大な転換点となった。

 首切りのない社会つくろう 3・5勝利報告集会へ結集を

 全金本山労組の勝利は、小泉=奥田の戦争と民営化攻撃に大きく風穴を開け、3月卒業式不起立闘争から4大産別決戦の爆発への突破口を切り開いた。「骨太W」の攻撃は、労働組合をたたきつぶし、労働者をボロボロにした上に、侵略戦争に動員しようという攻撃だ。労働者階級が労働者階級として生きようとする限り、人生をかけて闘う以外に未来はない。
 その勝利の展望はどこにあるのか、資本の先兵となって労働者を統制し弾圧している連合、全労連の労働貴族をたたき出し、労働組合を現場労働者の手に取り戻すことだ。労働組合がなければつくって闘えばいい。闘えば団結がつくれるし、団結を裏切らなければ勝利できる。それを示した全金本山労組の勝利は、全国の闘う仲間に大きな感動を与え、激励となっている。
 「一人の首切りも許さない」というスローガンは、「一人の首切りもない社会をつくろう」ということだ。労働者階級の解放まで闘いぬくという労働組合の団結がここにはある。労働組合は闘う方針と階級的原則で団結した時に真の力を発揮する。労働者は労働組合で団結し、青春をかけ、人生をかけて闘うのだ。
 何より本山闘争の勝利は、今日まで本山闘争を支えともに闘ってきた労働者と労働組合、労働運動の勝利である。この全国的な支援、共闘こそ「一人の首切りも許さない」労働運動であり、連合の帝国主義労働運動を具体的に打ち砕いてきた土台だ。その力が全金本山労組の不屈の闘いに結実した時に、歴史的勝利を切り開いた。日本労働運動には小泉=奥田を打倒し、帝国主義打倒に突き進む力があるのだ。
 国鉄1047名闘争も、まさに動労千葉と全国の支援、共闘の力の集中、そして闘う国労の再生がかちとられた時に、大きな勝利を切り開くことができる。小泉=奥田に加担する連中を打倒し、闘う組合権力をうち立て、地域共闘、全国ネットワークを大きくつくり出していくことこそが4大産別決戦勝利の道だ。
 昨年11・7労働者集会で生み出された国際連帯と新たな団結を打ち固め、本山闘争の勝利を歴史的号砲として教労決戦―4大産別決戦に総決起しよう。05春闘に勝利しよう。
   ◇   ◇
本山闘争勝利報告集会
3月5日(土)午後1時開場
ハーネル仙台(仙台市青葉区本町2−12−7)
---------------------------------------------------

 全金本山闘争の歴史

1946年 本山製作所労働組合結成
 49年 65%の首切り強行
 61年 総評全国金属労組に加盟。本山製作所支部に
 68年 春闘で19年ぶりのスト
 70年 春闘ストで2交替制導入を粉砕(青柳副委員長)
   8月
組合執行部に御用派登場
 71年3月
青柳充組合員解雇。御用執行部が組合員籍剥奪
   4月
「青柳充氏を守る会」結成
   7月
青柳解雇地位保全仮処分勝利
   8月
役員選挙で御用派敗北
      組合分裂攻撃。本山製作所従業員組合結成。75名
 72年5月
暴力ガードマン導入。組合員にテロ・リンチ
   11月
熊谷春男組合員解雇
   12月
本社・工場、組合員全員にロックアウトの攻撃
 73年4月
「ガードマン撤去」の地労委命令
   7月
別棟隔離就労攻撃。組合は原職就労要求
   10月
「ロックアウト違法」の地裁仮処分決定
 74年1月
第二組合が「通勤確保」と称し門前での襲撃開始
 75年10月
佐藤満男組合員「別棟就労」に反対し抗議自殺
 76年3月
「別棟就労不当、原職復帰」の地労委命令
 77年8月 団体交渉で襲撃される。社会党国会議員も
 79年3月 全金宮城地本は青柳組合員除名、組合員再登録強要
   4月
再登録拒否の36名に6カ月の権利停止
      宮城地本はもう一つの全金本山支部を結成
      仙台地裁が青柳地位保全の仮処分くつがえす
   10月
宮城地本は八重樫委員長他35名を除名
 80年2月 全金本山労働組合結成。35名
 87年10月 社会保険資格剥奪
 90年4月 青柳解雇、最高裁が上告棄却
 94年3月 熊谷解雇、最高裁が上告棄却
   6月 小野東京分会長の賃金暫定是正(第2次)
   8月 大衡村新工場に全面移転
 96年9月 仙台地裁で和解準備手続き始まる
2001年5月 仙台地裁和解協議打ち切り
 02年12月 仙台地裁別棟裁判結審
 03年3月 別棟裁判判決。仙台高裁に控訴
   6月 東北大廃寮めぐり中野七郎書記次長デッチあげ逮捕
 05年1月 仙台地裁で全面勝利の和解合意

 ------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2186号6面1)(2005/02/21)

団結ひろば 投稿コーナー

 「ビラ配布の自由守る葛飾区民集会」に参加 東京・労働者 石野真雄

 1月29日(土)、東京・葛飾区の金町区民センターで「マンションビラ配布不当起訴抗議! ビラ配布の自由を守る葛飾区民集会」が行われました。定刻前から続々と区民が集まり、150人で埋まりました。
 「あらゆる政党、労働組合、反戦運動団体は、この不当弾圧を粉砕し、労働運動、反戦運動の前進をかちとるためにともに立ち上がろう」と『前進』2183号が報道したように、多くの市民運動体が参加、主催し、全労連、連合、全労協系の労組も参加しました。
 20日間も勾留され、起訴された被告の「公訴棄却、無罪判決を求めて裁判闘争を闘う」という熱いメッセージがありました。立川自衛隊官舎ビラ配布事件被告も参加していました。
 葛飾マンションビラ配布弾圧、立川自衛隊官舎ビラ配布弾圧、板橋高校の藤田先生への起訴は、崎坂検事が一人でやったことではなく、東京地検、小泉政権の承認の下に行われている、と多くの参加者が語りました。そして、民主主義一般に対する攻撃というだけでなく、有事法制下になって行われたこと、イラク侵略戦争を進める小泉政権と「日の丸・君が代」を強制する石原都知事の下でこの弾圧が行われていることを確認することが重要だという意見も提起されました。
 集会決議は「今回の事件は、明らかに、表現の自由を奪おうとする政治的な弾圧であり、民主主義への重大な挑戦であり、許すことはできません。戦前、国民を『見ざる、言わざる、聞かざる』の状態にして戦争に入っていきました」と危険性を述べています。
 葛飾では昨年、イラク反戦、9条改憲反対、教育基本法改悪反対の区民集会と行動が数多く行われ、幅広く労働戦線も参加した地域運動が反戦平和のアピールを強く発信してきました。今回の弾圧は「日本共産党弾圧」という範囲にとどまらず、こうした反戦平和運動の高揚を念頭に置いているといえます。私は、日本共産党を支持しているわけではありませんが、この弾圧は許せません。
 帝国主義の侵略戦争は、労働者をとことん搾取し、市民的自由を奪いつくすまでやみません。敵にとって改憲はその大きなハードルとなっています。私たちは大きな団結をもって闘う以外にないと思います。

 『前進』の記事に共感 もっと分かりやすく 東京Y・M(16歳)

 昨2004年の秋から『前進』を読んでいます。2184号の1面の「全労働者の戦争協力拒否を」という呼びかけはとても良かったです。また「NHKへの事前検閲弾劾」(1面)、「日の丸・君が代強制に全国で不起立を貫こう」(2面)、そして「クルド難民を強制送還」(6面)の記事には共感を覚えました。
 しかし、『前進』は全体的に読みにくい印象があります。すべての労働者・学生に読みやすく分かりやすい『前進』を提供していただければと思います。
 現在、世界は支配階級による支配を一層強化し、戦争への道を突き進んでいます。全世界の労働者を支配階級による「奴隷」状態から解放し、支配、差別、戦争のない世界を勝ち取っていただきたいと思います。
 中核派の皆さんを心より応援しています。頑張ってください!

 多くの人が『前進』を読めば世界は変わる 東京 角田誠治

 中核派の皆さんの日ごろの、また長きにわたる闘いの歴史に敬意を表します。2004年11・7労働者集会にも参加しましたが、最近は特に良い運動になってきていると思います。
 『前進』2183号を読みました。〈「日の丸・君が代」強制拒否へ>(1面)、〈関西生コン支部弾圧を団結の力で粉砕しよう>(1面)、〈「攻めのリストラ」叫ぶ経労委報告>(3面)の記事などはとても良かったと思います。ただ爆発・粉砕・進撃と勇ましい語尾が多く、少し戸惑ってしまいますが、これが「前進スタイル」というものでしょうか。
 日共や社民などとの統一戦線も重要だと思います。むずかしいでしょうが。
 6面の「NHK番組改変問題」について。中身に対しては異論はありませんが、「日本軍軍隊慰安婦制度」という用語が気になりました。いわゆる「慰安婦」は日帝側の言い分で、その実態は軍事性奴隷そのものです。国連人権委員会での公式用語も“sexual slavery”です。女性解放運動の視点からも「慰安婦」はカッコ付きで呼ぶべきで、「日本軍性奴隷制度」(いわゆる「慰安婦」制度)と表現するべきだと思います。
 たくさんの人が『前進』読むようになれば世界(日本)は変わる。でも、読みたくなるような環境づくりが大切だと思います。

 郵政公社化で下請け会社も労働条件悪化 A県 郵便労働者A

 私は郵便物を運ぶ運送会社に勤めています。一般の人は、赤い郵便車を見ると郵便局員が乗っていると思うかもしれませんが、2d、4d、大型車などは、ほとんどが下請け会社の社員が運転しています。仕事内容は、郵便局から郵便局へ小包や手紙などを運んだり、ポストなどから郵便を集めてくるなどです。
 郵政公社化前は、郵便物だけを扱う会社(郵便物専用運送会社。通称「専自会社」)や他の業務と兼業の会社が合わせて全国で107社くらいありました。
 専自運賃は、郵政事業庁の引き下げ要請を受けて、97〜02年までの連続5回にわたって合計30%を超える引き下げがなされました。また給与表改定や昇級、ボーナスなどの年々引き下げ、退職金や交通費、家族手当などの引き下げを余儀なくされましたが、それでも基本給には手をつけませんでした。ところがここ1、2年、急激な変化が起こっています。
 公社設立直後の03年5月、公社は、営業の強化による増収対策と人件費、調達費の大幅削減により、03、04年度の2年間で郵便事業財政の早期立て直しを図る「アクションプラン」を決定しました。その後、公社の経費削減の取り組みは専自各社にとって過酷で厳しいものとなりました。
 昨年4月から順次始められた競争入札で多くの新規業者が参入し、専自各社は契約の一部を失い、落札しても業務確保のため大幅な減収を強いられています。
 11月、公社は専自各社に@時間制運賃は12月から11・5%、05年4月から15%、合計26・5%の引き下げA距離制運賃は「競争移行分の削減相当」の引き下げBこれに応じられない場合は競争原理の導入、競争入札の前倒し実施――という厳しい要請をしました。
 専自各社は、これを受け入れ、一般地域運賃の12月20日からの11・5%引き下げ及び4月1日からの15%引き下げ、距離制運賃の3月1日からの33%引き下げを実施しました。
 こうしたことから専自会社や兼業会社の労働者は、勧奨退職や基本給の大幅引き下げ(10〜17%)、一時金の半減、退職金、各種手当の見直し・廃止、休日減など労働条件の急激な悪化に見舞われています。
 職場の労働者は、家計や生活設計が大きく打撃を受け将来に希望がもてず自ら職場を去る者、ローン返済に困り他の職場を探し移る者などさまざまです。しかし多くの者は今の雇用情勢の中ではじっと我慢し勤めているのが現状です。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2186号6面2)(2005/02/21)

「日の丸・君が代」闘争高揚へ女性労働者は先頭に立とう
 3・8国際婦人デーにあたって

 05年は、冒頭からブッシュの世界戦争宣言、小泉の日米枢軸宣言と対決する労働者階級の闘いとして始まった。その最大の焦点が石原=小泉の「日の丸・君が代」強制に対し労働者階級の魂をかけて立ち上がっている東京の教育労働者の卒・入学式闘争だ。まさにこの闘いの渦中で05年の3・8国際婦人デーを迎える。1917年3月8日(旧ロシア暦2月23日)、「戦争の即時中止! 子どもたちにミルクを! パンを!」をスローガンに街頭に打って出た首都ペトログラードの女性労働者の隊列は、ツァーリの軍隊と対峙しロシア革命の幕を切って落とした。この闘いに学び、すべての女性労働者は、05年階級決戦をともに闘い、プロレタリア世界革命への道を切り開こう。
女性労働者は「日の丸・君が代」強制拒否の先頭に

 ブッシュ・小泉が反動的枢軸

 1月20日、ブッシュの2期目の大統領就任パレードを真っ先に迎えたのは、1万人の労働者人民の怒りのデモ隊だった。ブッシュの就任演説は、米英日枢軸と独仏との分裂・対立を促進し、イラク侵略戦争の世界戦争への拡大と国内階級戦争激化の宣言だった。
 ブッシュを迎え撃った1万人デモは、昨年のMWM(百万人労働者行進)に表されたアメリカ労働者人民のブッシュに対する階級的な反撃が確実に発展していることを示している。そしてイラク・中東人民は、占領軍の武装制圧のもと強行された「国民議会選挙」を実質的に粉砕し、ブッシュ演説への回答とした。3・20イラク開戦2周年に向かって全世界人民の闘いが高揚することは確実だ。
 他方、1月21日の小泉の施政方針演説は、ブッシュの就任演説に完全に対応した、米国・米軍と全面的に連携した日米枢軸侵略戦争宣言であった。@イラクへの自衛隊派兵の継続・拡大、自衛隊法の改悪、軍事力増強と治安弾圧、A全面的な資本攻勢と労働運動の解体攻撃、B介護保険制度見直しを含め社会保障制度の一元的一体的見直し、消費税を軸とした大増税の方針――を打ち出した。
 また日本経団連の「国の基本問題検討委員会」は1月18日、「わが国の基本問題を考える」と「これからの教育の方向性に関する提言(教育提言)」を発表した。「わが国の基本問題を考える」は、改憲を第一に主張し、9条の改悪はもとより、三権分立の解体、首相権限の強化など、さらに教育内容の見直しにも踏み込んでいる。「教育提言」は、教育基本法改悪を改憲への跳躍台として位置づけ、日教組運動の破壊、差別・選別と愛国心教育をあけすけに語っている。
 この小泉=奥田路線と対決し、勝利する道はどこにあるのか。現にそれは04年11・7集会の地平として示されている。資本・権力と闘いぬく労働組合を軸にした階級闘争が国際的な団結をかちとった時、巨大な展望が開かれる。国際国内階級闘争の分岐・流動・再編・高揚が始まった。その焦点が「日の丸・君が代」強制拒否の闘いである。

 戦時下の戦争協力拒否闘争

 「日の丸・君が代」強制拒否の闘いは戦時下の戦争協力拒否の闘いである。  昨年3―4月の東京での300人に及ぶ「日の丸・君が代」強制拒否の決起は、全国の労働者・市民に圧倒的な共感を呼び起こし、連合や全労連の制動を打ち破って階級的なうねりとなって広がっている。
 「日の丸・君が代」強制は、小泉=奥田の戦争と民営化、労働組合・労働運動破壊の攻撃の決定的な環である。その中で現場の教育労働者が「職務命令」を拒否して処分覚悟で立ち上がった。イラクへの自衛隊派兵という戦時下にあって、労組指導部が屈服する中、戦争協力を現場から拒否する闘いであり、労働組合運動を階級的に再生・強化する質を持った全人民への檄(げき)であった。
 「『命がけで憲法を破る』と公言する右翼・石原都知事のもと、今、東京の教育労働者の『日の丸・君が代』強制反対の闘いは、いや応なしに歴史の最前線に立たされています。私たちの不当処分撤回闘争は、この国を『戦争をする国』にするドス黒い野望との闘いです」。処分された教育労働者のこの言葉の中に闘いの核心が語られている。
 すでに、東京はもとより全国の教育労働者が次々と「不起立宣言」を発している。あらゆる産別で、また地域の保護者、市民、学生、高校生も、連帯・支援の行動を開始している。
 「日の丸・君が代」強制拒否の闘いに立ち上がる教育労働者の先頭に多くの女性教育労働者がいる。日教組の歴史に残る勤評闘争や学力テスト反対闘争を支えたのも婦人部に結集する女性たちだった。「教え子を再び戦場に送らない」という闘う日教組のスローガンは、侵略戦争に子どもたちを送り出したことへの痛切な自己批判の上に出された。それは、戦後革命の高揚を切り開き、日教組結成の主軸となった女性たちの提案だった。闘いをとおして彼女らは教育労働者としての誇りに目覚め、組合こそ自分たちの拠点であり、力だと確信していった。
 闘いはすでに始まっている。2、3月が決戦だ。すべての労働者人民はこの勝利のためにともに闘おう。

 闘わなくては生きられない

 奥田は、日本経団連05年版経労委報告で「工場法の時代の遺制を引きずる労働基準法などの関係法令を抜本的に改革する」と言っている。労働者にもっと劣悪な条件で働け、奴隷労働に甘んじよというのだ。
 80年代以降、中曽根の「戦後政治の総決算」路線のもと、国鉄分割・民営化とともに男女雇用機会均等法による労基法女性保護規定の緩和―撤廃が始まった。これは労働運動指導部の屈服のもとで加速され、今日、労働者階級が百数十年かけて闘いとった8時間労働制の権利が全面的に踏みにじられるまでに至っている。そしてついに「工場法」的なものさえも資本家にとっては邪魔だと言い始めたのだ。労働者の団結と闘いを心底恐れる彼らは、奴隷労働によってわれわれ労働者の階級的魂と闘う力を押しつぶそうとしているのだ。
 2001年、小泉政権の登場と9・11を契機に財界の政治への全面的な介入が始まった。外に向かっての侵略戦争、内に向かっての階級戦争の時代に入ったのだ。労働者民衆の労働現場と生活の実態は激変している。賃下げ・リストラ・解雇によって労働者の1割が年収150万円以下に追いやられ、若年失業者が増大し、自殺者が年3万人を超え、社会保障制度の解体が激しく進んでいる。
 女性労働者と労働者家族は一層の困難を強いられている。6千万労働者の4割以上を占める女性労働者の大半が非正規職だ(03年、260万人の正規職がたたき出され、非正規職が195万人増加)。正規職の女性労働者の賃金は男性の6割にしかならず、女性パート労働者の賃金に至っては4割に満たない。食べるためには深夜までダブル労働、トリプル労働をしなければならない。社会保障解体のしわ寄せは直接に女性の肩にのしかかる。家族の解体、子どもたちをとりまく現実への不安――。
 闘わなくては生きていけない! この言葉はまさに圧倒的な女性労働者にあてはまる。だからこそ敵の攻撃の焦点である4大産別(教労、全逓、自治労、国鉄)の決戦に勝利しなければならない。ここに全労働者の命運がかかっている。
 「労働組合は、労働者階級の組織的中心として労働者階級の完全な解放という大きな利益をめざして活動すること」「労働者階級全体の前衛、代表としての自覚を持って行動すること」「ふみにじられている幾百万人の人民の解放をめざすこと」というマルクスの言葉をかみしめ、今こそ労働者の団結で小泉=奥田を打倒しよう。
 日本の資本主義の黎明(れいめい)期、「女工哀史」の時代、女性労働者は、けっして奴隷のような現実に甘んじてはいなかった。日本で最初のストライキは1886年に甲府の雨宮製糸工場の女工たちによって行われた。甲府地方の製糸工場の経営者たちが協定を結び、一斉に全工場に「30分の労働時間延長(未明4時から夜19時半までの15時間労働!)と賃金切り下げ」を強行したことに対して10代の幼い女工たちが「雇い主が同盟してわれらを苦しめるなら、われらも同盟しなければ不利益なり」と宣言して、近くの寺に立てこもって要求を突きつけ、闘いは勝利した。
 1930年代後半、太平洋戦争直前まで、主に紡績工場などで女性労働者による労働争議は絶えることがなかった。争議の多くは敗北を余儀なくされたが、そこから多くの労働運動の女性活動家が育っていった。また労働者家族の女たちは、夫の職場が争議になれば「婦人会」を結成して、争議資金を獲得したり、経営者の家におしかけて要求を突きつけるなど、闘争の一方の柱であった。時にはひるむ男たちのしりをたたいて決起させたという。家族としての女性の闘いは、戦後も三井三池闘争の「主婦の会」、そして動労千葉家族会、国労闘争団の家族会、5・27臨大闘争被告家族会などが示すように、闘いの帰趨(きすう)を決する位置を占めている。
 このように、歴史的にも現在的にも、労働運動・労働組合運動における女性労働者、労働者家族の女性の闘いは、階級の力を根底的に解き放つテコなのだ。
 怒りを持って立ち上がる女性労働者こそ、「日の丸・君が代」強制拒否の闘いに合流しよう。

 「家族の価値」叫び戦争動員

 小泉=奥田は、教育基本法と憲法改悪に突き進み、戦後的な一切のものを転覆しようとしている。自民党は改憲案の中で「両性の平等」の前に「家族の価値」を置けと言い、奥田も「家族の価値、役割」を押し出し、支配のテコにしようとしている。彼らは憲法24条の解体と教育基本法5条(男女共学)の削除を狙っている。資本と家族制度の二重の抑圧のもとに女性労働者を抑え込み、労働者階級の差別・抑圧・分断と侵略戦争への動員を狙っているのだ。これはすべての女性労働者と人民の怒りに火をつける。
 女性労働者を始めすべての労働者の皆さん! 今春、「日の丸・君が代」強制を打ち破る闘いに全力をあげよう。婦人民主クラブ全国協議会、労組交流センター女性部とともに各地の3・8国際婦人デー集会を成功させよう! 労働者階級の怒りを解き放ち、団結して小泉=奥田打倒の巨大なうねりをつくり出そう。
 〔木村弥生〕

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2186号6面3)(2005/02/21)

2・27反核集会へ ビキニ事件51周年
 大石又七さん(ビキニ被爆者)が講演

 2月27日、東京・杉並産業商工会館でビキニ事件51周年東京集会が行われます。主催は、大石又七さん(第五福竜丸元乗組員)を始めとする13氏の呼びかけで結成された同集会実行委員会です。
 1954年3月1日、アメリカは南太平洋マーシャル諸島・ビキニ環礁で水爆実験を強行、おりから付近で操業中の静岡県焼津のマグロ漁船第五福竜丸が「被爆」、乗組員全員が「死の灰」をかぶり、大きな「放射能被害」を受けました。これがビキニ事件です。
 ところがビキニ事件は55年1月、わずか200万jのアメリカの「見舞金」で政治決着されました。同年6月に日米原子力協定が仮調印され、56年にはアメリカから茨城県東海村に原子炉が送られてきました。
 これは、日米両政府がそれぞれの帝国主義的利害のためにビキニ事件の被爆者を人柱として取引材料にしたことを物語っています。
 小泉政権は日米枢軸路線を推進し、イラク侵略戦争に参戦しています。日本は戦時に突入しています。今こそ「核と人類は共存できない」という立場を鮮明にさせ、既成原水禁運動の「原子力の平和利用」論に規定された「核廃絶運動」をのりこえ、核戦争を不可避とする帝国主義と対決する反戦反核運動を形成することが求められています。
 集会が掲げる四つのスローガンを紹介します。
 ☆くり返すなアジア侵略、ヒロシマ・ナガサキ、オキナワ、ビキニを!
 ☆米軍の劣化ウラン弾使用弾劾! 自衛隊をイラクから撤兵させよう!
 ☆「日の丸・君が代」強制は戦争への道、教育労働者とともに闘おう!
 ☆原水禁運動発祥の地−杉並からあらたな反戦反核のうねりを!
 大石さんの訴えを心に刻んでほしいと思います。
 (投稿/Y・S)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2186号6面4)(2005/02/21)

“共謀罪にとどめを” 2・4集会 臨戦態勢突入を宣言

 2月4日夕、破防法・組対法に反対する共同行動は「共謀罪法案は廃案しかない! 共謀罪粉砕総決起集会」を東京・茗台区民プラザで開催した。会場には100人を超える労働者人民が結集した。集会は、今通常国会で共謀罪にとどめを刺すために、直ちに2―3月臨戦態勢に突入することを宣言する場となった。
 共謀罪法案をめぐる国会情勢は緊迫している。法務省は、廃案の危機という重圧を受け、法案の修正をテコに早期審議入りを必死に追求している。通常国会の会期末は6月19日。都議選が控えているため延長はない。「3月審議入り」は必至の情勢なのだ。
 集会の基調報告に立った共同行動代表の小田原紀雄さんは冒頭、関西生コン支部への不当弾圧を「委員長を逮捕するというのは組織解体攻撃である」と徹底弾劾した。そして、戦時下での一切の抵抗をたたきつぶすことを狙った共謀罪を全力で阻止する決意を述べた。そして、「3・15共謀罪を廃案へ!国会デモ」(午後6時、日比谷公園霞門集合。社会文化法律センター、日本労働弁護団、自由法曹団、日本民主法律家協会など共催)から「3・26戦争と治安管理に反対するシンポジウムU」(午後1時から分科会、6時から全体集会、豊島区民センター。同実行委員会主催)への結集を呼びかけた。
 足立昌勝さん(関東学院大学教授)の「共謀罪は廃案以外にない」と題する講演は、共謀罪攻撃の出発点が74年の刑法改悪攻撃にあることを暴露し、廃案への勝利の展望を指し示した。
 立川反戦ビラ弾圧で無罪判決をかちとった被告の訴えと、全金本山労組・中野七郎書記次長の34年間の争議勝利の報告は、参加者を感動させ奮い立たせた。
 洋書センター労組・支援共、5・27国労臨大闘争弾圧被告団事務局、渋谷のじれん、3・26戦争と治安管理に反対する実行委員会がそれぞれ闘争報告、最後に臨戦態勢突入を宣言するシュプレヒコールを上げた。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2186号6面5)(2005/02/21)

漁民が海上デモ敢行 辺野古 陸海で工事阻止行動

 海人自らの闘い

 2月6日、ボーリング調査と新基地建設に反対して、漁船23隻、漁民70人が宜野座から辺野古、そしてまた宜野座に戻る海上デモを行った。翻る大漁旗と反対協の旗、さらに「金は一時、海は万年」など、漁民それぞれの思いを染め抜いた旗も見える。この勇ましいデモを、辺野古では座り込みをしている80人が熱烈に出迎えた。
 漁民を出迎えながら山内徳信さんは「今日は歴史的な日。海人(うみんちゅ)が自分自身の闘いとして立ち上がった。アメリカも日本政府も震え上がっているだろう」と発言した。
 昨年12月13日以来、宜野座や国頭や東村などの漁民が陸続と決起して連日闘いに参加し、現在工事を阻んでいる。さらに、ボーリング調査差し止め訴訟に漁民約20人が新たに参加することになった。
 辺野古に基地ができたら東海岸の漁業は全滅する、絶対に許せないという思いで漁民は立ち上がり、日々の攻防を闘い、デモに、訴訟にと闘いを広げている。
 こうした漁民の決起を始め連日の陸と海での座り込みに防衛施設局と業者は追いつめられている。昨年4月19日以来約10カ月、63カ所やらなければならないボーリング調査は一カ所もできず、工事はまったく進展していない。業者のサンコーコンサルタントがふるった暴行は沖縄と全国の怒りを買っている。こうして彼らは泥棒猫のようにすきを突いて工事を強行しようとしている。

 板敷き作業阻む

 2月4日、この日の海は大荒れに荒れ、雨も降った。この天候不順から、昼には業者と防衛施設局の船も引き揚げた。波も高く危ないので、彼らが引き揚げたのを確認して反対派も陸に戻った。3時ごろになると一時天候が回復した。普通だと彼らは作業を終えている時間だ。ところが彼らは突然船を出し、ある単管やぐらに急行し、未完成の板敷きの作業を強行しようとした。実にこそくだ。
 反対派は急きょ態勢をとった。船を出し、そのやぐらに向かった。業者の船の一部は反対派の航路を妨害し、やぐらに近づけさせまいとする。船から仲間が海に飛び込んだ。泳いではるか遠方に見えるやぐらに行こうというのだ。この迫力の前に彼らはおののいた。一瞬、船を押さえる彼らの手が緩み、船は再びやぐらへと向かう。そして全員が再び海に飛び込み、やぐらを駆け登り、工事を弾劾した。怒りの声が響き渡る。「分かった、分かった」と作業請負業者・パシフィックコンサルタントの責任者が敗北を認め、工事は中止となった。

 第2次カンパを

 こうした攻防が連日辺野古で闘われている。漁民を始め闘いの陣形が広がっている。反対協が呼びかける第2次カンパ運動に協力しよう! 現地に駆けつけよう! 全国各地でこの闘いを支える運動を広げよう!

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2186号6面6)(2005/02/21)

狭山要請行動 “全証拠開示” 事実調べを

 2月7日、部落解放同盟全国連と解放共闘は狭山差別裁判糾弾・第2次再審請求特別抗告審闘争の一環として最高裁と最高検に対する糾弾要請行動に20人で立ち上がった。(写真)
 午前の集会で全国連中央本部の楠木吉秀事務局長は3月6、7日の全国連第14回大会を成功させ、狭山弁護団の3月補充書提出から5・23闘争へ、全国で狭山情勢をつくろうと訴えた。
 午後、最高裁で、1審の差別論告を支持し、30年間一度も事実調べせず、検察の証拠開示拒否を擁護する裁判所を追及・糾弾した。狭山事件の脅迫状・封筒の鑑定人で、滋賀県日野町事件の再審請求で証言した斎藤保鑑定人の尋問を要求した。最高検では、9月要請行動での盗聴事件への加藤検事の釈明を求めた上で、1審論告の撤回・謝罪、全証拠開示を強く要求した。

------------------------TOPへ---------------------------